衆議院

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第1号 平成26年2月26日(水曜日)

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本分科会は平成二十六年二月二十四日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十五日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      うえの賢一郎君    上杉 光弘君

      佐田玄一郎君    塩崎 恭久君

      大串 博志君    杉田 水脈君

二月二十五日

 上杉光弘君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十六年二月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 上杉 光弘君

      石崎  徹君   うえの賢一郎君

      大西 英男君    門  博文君

      佐田玄一郎君    塩崎 恭久君

      田所 嘉徳君    武井 俊輔君

      簗  和生君    大串 博志君

      後藤  斎君    津村 啓介君

      今井 雅人君    浦野 靖人君

      杉田 水脈君    高橋 みほ君

   兼務 鬼木  誠君 兼務 階   猛君

   兼務 伊藤  渉君 兼務 稲津  久君

   兼務 輿水 恵一君 兼務 柏倉 祐司君

   兼務 椎名  毅君 兼務 高橋千鶴子君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   総務大臣政務官      藤川 政人君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          井上  利君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日原 洋文君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   武川 光夫君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     岡本 全勝君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           武井 俊幸君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        関  博之君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 笹島 誉行君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  門山 泰明君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          三輪 和夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  米田耕一郎君

   政府参考人

   (総務省情報通信国際戦略局長)          阪本 泰男君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       今林 顯一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            吉良 裕臣君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   吉田  靖君

   政府参考人

   (消防庁次長)      市橋 保彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          小川 秀樹君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           有松 育子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       安藤よし子君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  宮川  晃君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       西郷 正道君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           高橋  洋君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         森  昌文君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 谷脇  暁君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   総務委員会専門員     阿部  進君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  佐田玄一郎君     田所 嘉徳君

  大串 博志君     後藤  斎君

  杉田 水脈君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  田所 嘉徳君     武井 俊輔君

  後藤  斎君     田嶋  要君

  木下 智彦君     中田  宏君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     大西 英男君

  田嶋  要君     後藤  斎君

  中田  宏君     鈴木 義弘君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     石崎  徹君

  後藤  斎君     津村 啓介君

  鈴木 義弘君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     門  博文君

  津村 啓介君     高木 義明君

  杉田 水脈君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     簗  和生君

  高木 義明君     辻元 清美君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  簗  和生君     佐田玄一郎君

  辻元 清美君     大串 博志君

  浦野 靖人君     今井 雅人君

同日

 辞任         補欠選任

  今井 雅人君     高橋 みほ君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋 みほ君     杉田 水脈君

同日

 第一分科員階猛君、第三分科員鬼木誠君、第四分科員高橋千鶴子君、第六分科員伊藤渉君、稲津久君、輿水恵一君、第七分科員椎名毅君及び第八分科員柏倉祐司君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十六年度一般会計予算

 平成二十六年度特別会計予算

 平成二十六年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

上杉主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました上杉光弘でございます。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十六年度一般会計予算、平成二十六年度特別会計予算及び平成二十六年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。新藤総務大臣。

新藤国務大臣 平成二十六年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 本予算案につきましては、デフレ不況からの脱却・経済再生と財政健全化をあわせて目指すという政府方針のもと、総務省が果たすべき課題を大きく、民間投資を喚起する成長戦略、国・地方を通じた財政健全化・地方分権改革の推進の二つと認識し、これらの課題に対応するために策定した総務省のミッションとアプローチの実現に向けた取り組みを推進するための予算として編成したものであります。

 総務省のミッションとしては、「元気をつくる」「命をまもる」「便利なくらしをつくる」「みんなの安心をまもる」「国の仕組みをつくる」という五つのミッションを掲げ、その実現に向け、活力ある地域づくりやICT成長戦略の推進、国際展開の推進、さらには国民の命を守る消防防災行政の推進などに積極的に対応するとの考え方に基づき、取りまとめたものであります。

 一般会計の予算額は、十六兆九千百二十七億円であります。

 以下、事項等の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

上杉主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上杉主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上杉主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

上杉主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田所嘉徳君。

田所分科員 茨城一区の田所嘉徳でございます。

 行政の皆さんは連日大変でしょうけれども、よろしくお願いをしたいと思います。

 鉄腕アトムの誕生日、二〇〇三年の四月七日ということでございまして、まさに六十年前に今の時代を想像の限りを尽くして書いたサイエンスフィクションでありますけれども、政治家の公約ではありませんから、何でも自由に想像の限りを尽くせるわけでございまして、そのイメージと実際どのように違うのか、私はいろいろ調べてみたこともございます。

 そういう中で、確かに、十万馬力のロボットが空を飛んで活躍をしているということはございませんけれども、高速道路のジャンクションであるとか、あるいは高層ビルが建ち並んでいる姿、まさに二十一世紀の今の姿かなというふうに思っております。さらには、国際宇宙ステーションで宇宙での活動がされている。

 しかし、注目すべきは、あの時代に想像もできなかったようなことが今できているということだろうと私は思います。

 それは、まだ警察に電話がかかってくると黒い電話にみんな飛びついたわけでありますけれども、今は、中学生や高校生でも携帯電話を持って、動画を配信したり、メールのやりとりをしている。あるいは、瞬時に世界の情報をインターネットを通じて検索することができる。まさに、想像もできなかったような時代が今到来しているわけでございます。

 この前、ITモデルハウスを見てまいりましたが、大型のディスプレーが部屋に飾ってありまして、光通信でつないである。そうすると、お父さん、お母さんが九州にいても、息子が北海道の大学にいても、あたかも隣の部屋を見るように見られる。ちょっと顔色が悪いから、近くの病院にこの画像を送っておきますよとか、そんなことが、できなかったことができるようになった時代ですから、もうできる、いつでも進められる、利活用の時代、しっかりと進めていく必要があると思います。

 そういう中で、電波の利用というものをしっかりと行うことが非常に重要だろうと思っております。

 そこで、まずお聞きしたいのは、電波の使用を皆さん認めていろいろな放送等をさせているわけでありますけれども、これは、講学上どのように分類されて、どんな特性があるのかということを説明してもらいたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 電波法上の無線局免許につきましては、電波の公平かつ能率的な利用を確保するために、電波の利用を一般的に禁止しておきまして、一定の要件に適合した者に対してその禁止を解除するものでございます。

 また、電気通信業務用の無線局や放送をする無線局につきましては、それぞれの免許人であります事業者に行為能力だとかあるいは権利能力を設定するという行政行為から、いわゆる講学上の特許という性質も有している面もあるというふうに承知しております。

田所分科員 許可といいますと、誰でもできることを一般的に禁止して、それを解除するということでございますが、特許については、特権を付与する、特別の能力を与えるということでございまして、その性質上、競願関係にあっても、特段にその中から誰かを選ぶということ、そういう制限もありませんし、先願主義も妥当しない、広い裁量が認められているわけであります。

 そういう中にあって、それと引きかえに、やはりしっかりとした行政との規律というものを持っていかなくちゃならないんだろう。排他的、独占的に利益を与えるということになるわけでありますので、そういうことを踏まえて、いろいろな行政に当たってもらいたいというふうに私は思っております。

 そういう中で、この前お話を聞きますと、電波利用料の制度というものはマンション管理人の世界なんだ、管理組合のようなものなんだということでございます。これは、なぜそんなことを言えるのか、その根拠を示してもらいたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料制度というのは、電波の適正な利用の確保に関しまして、無線局全体の受益を直接の目的として行う事務、これは電波利用共益事務と呼んでおりますけれども、この処理に要する費用を、受益者であります無線局の免許人の方々に公平に負担していただくという制度でございます。

 その根拠でございますが、電波利用料の根拠は電波法第百三条の二でございまして、そこに、今申し上げました定義や使途、それから料額、徴収方法等が規定されているところでございます。

田所分科員 わかりました。電波利用共益事務ということで、共益、皆さんで負担をし合ってやることを決めているんだ、そんなことなんだろうと思います。

 確かに、それはそういう背景があったのかもしれませんけれども、今日、今言ったような電波の非常に有効な利用が求められる中で、私は、立法事実というものも変わっていると思いますし、いろいろと考慮していかなければならないことがあるというふうに思っております。

 そういうことで、私は、それはもう変えていくべきだと思っているんですが、その前段として一つお聞きしたい。電波利用料について、諸外国ではどのような負担あるいは費用の徴収といった例があるか、それを示していただきたいと思うんです。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 諸外国におきましては、一つには、我が国の電波利用料と類似の制度を採用しているということと、電波利用の経済的な価値に着目しまして、電波の免許人の選定に際しまして、競売を実施して、最高価格を入札した者を有資格者とします周波数オークション制度が、OECD加盟国三十四カ国中、少なくとも二十七カ国において導入されているところでございます。

田所分科員 金額等、オークション等も行われているでしょうし、どのくらいの負担が諸外国においてはされているのか、それも示してもらいたいと思うんですが。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカの例で申し上げますと、七百メガヘルツ帯のオークション、二〇一一年に実施されたわけですが、このときに入札価格としては十五億三千万円というのがございますし、イギリスにおきましても、これは二〇〇〇年になりますけれども、第三世代携帯電話のオークションで三兆九千九百億円という事例があるところでございます。

田所分科員 先ほどの説明の中で、そういった、みんなで出し合って電波に対応する支出をするんだという考え方だから、私、この前も示されましたけれども、電波利用料の予算、歳出というもののバランスを見ると、まさに消化するためにやっているというような印象しか受けないんですね。

 今いろいろ話を聞く中で、諸外国のそういった負担の状況を見ると、これはどこのなのか、読んでみますけれども、アメリカで一兆六百億円とか一兆八千四百億円、あるいはイギリスでも、今三兆九千九百と言っていましたね、ドイツでは五兆六百億円などと資料が出されております。

 私は、利用価値に応じて、税金なら担税力という言葉がございますが、負担能力に応じてしっかりと負担をしてもらうようにするべきだというふうに思っています。消費税を上げたり、非常に苦労して予算をつくっていかなくちゃならない中で、比較審査方式とか、そういった今やっていることを廃して、その利用価値に応じたしっかりとした収益をとるようにしなければ、私は、得べかりし利益を喪失してしまっているような状況だろうというふうに思っています。

 よく、NHKの給与が高いという話が委員会で出ますと、いや、放送業界というのは物すごくコストも高いし、いい人材を得るためには一定の高い報酬を払わなくては人材は集まりませんよ、こう見えを切るわけでありますが、そんなにたくさん報酬を払って集めた人材が毎日何で追及されているのかなという疑問も私は感じるわけであります。

 いずれにしても、そこから見えることは、この業界は非常に豊かに見えてまいりますし、外国の状況を見てみましても、やはりしっかりと、考え方を変えて、国民のために利益をどうとるのかということを考えるべきだと私は思っています。

 毎日、携帯電話の広告、PRがテレビでやられていますけれども、私は、人々の富はみんなあそこに行ってしまうんじゃないかと思って心配をしているわけであります。

 そういう中で、やはり市場原理に基づいた価値の創造をしっかりとして、それを国民に、電波の利用というものも財産ですから、そういう観点からしっかりやっていくべきであろうというふうに思っています。

吉良政府参考人 経済的価値に着目した周波数オークションというものがございますが、これは一方では、メリットも当然ありますけれども、デメリットといたしまして、一つに、高額な落札額の支払いによりましてその後の事業への支障があるおそれもありますし、資金力のある事業者が大部分の周波数を落札することによります公正競争上の問題だとか、あるいは安全保障上の問題などが掲げられておりまして、近時のオークション制度を導入した諸外国におきましても、このデメリットが顕在化していると思われる事例も散見されるところでございます。

 調査はしておりますけれども、そういう調査をした上でいろいろ考えていくべき問題だと思っております。

 済みません、先ほど私の答弁にちょっと間違いがありまして、アメリカの七百メガ帯オークションでございますが、これは、二〇〇八年の実施で、一兆八千四百億円でございます。失礼しました。

田所分科員 今、利益もあるが不利益もある、問題もあるというようなことを言われましたが、まあ、やってみてくださいよ。全然、一歩も進まないという理由にはならないと私は思うんですね。要考慮事項の不尽ですよ。他事考慮をしている場合じゃなくて、そういう状況に向かって、どう利益を上げていくのか、国民のためになるようにするのかということをしっかりと考えてやってもらいたいと思うんですね。

 私が先ほど特許をわざわざ聞いたのは、規律があると思うんです、行政との関係。許したことに基づいて、今どう動いているのか。

 そういう中で、例えば、いろいろな放送の会社がありますけれども、そこが、もらっている電波量に見合ってどれだけの商いをしているのか、それをちゃんと明らかにして、見ている、監視しているということが非常に重要だろうということを申し上げました。たしかこれもこの前お聞きしましたが、委員長か誰かが、いつも明らかにしておくようにしなくちゃならないんだろうと言われていたようでございますが。

 いずれにしても、それも、わかれば、どの程度もらったところがどんな商いができているんだというようなことを示してもらえればありがたいと思います。

吉良政府参考人 電波の有効利用ということで、携帯事業者とかあるいは放送事業者が電波を得ることによりまして、そういうものが収益を上げて事業を行っている。それから、ほかに、行政の関係では、防災関係でデジタル化等をしまして新たなシステムをやっているというようなこと、電波の有効利用に向けて、いろいろな経営等をやっているところでございます。

田所分科員 プラチナバンドなんてよく言われていますけれども、私は、あれは業者がもうかって仕方がないプラチナバンドに聞こえて仕方がないんですけれども、しっかりその観点を理解しながらやってもらいたいと思っています。

 そういう中で、多分、もう少しすると、以前はスポット、WiFiとかああいうのがあるところでないとパソコンは使えなかったですねという時代が来るだろうと思います。どこでも利用できるような、そんなこともできるんだろうと思いますし、基盤も整備されて、以前は時間を気にしながら接続してインターネットをやっていた時代が、非常に、そういった点も規制緩和によって、世界一安いと言われるのかどうか、そういう通信にもなっています。

 これから、利活用をしっかりと進める、あるいは、今言ったような、利益をしっかり把握しながら国民のために電波利用というものを進める、そういう中で、周波数再編等、将来に向けてどのように進めていくのか、大臣に聞きたいと思います。

新藤国務大臣 委員が先ほどから問題提起いただいておりますように、電波は有限希少なものということであります。ですから、できるだけ効率よく、そしてみんなで使えるようにする。しかも、その電波をさらに活用するためには技術開発が必要だ、このように思っております。

 少なくとも、スマホの普及によりまして、移動通信のトラフィックだけでも、直近一年間で約一・七倍、この上昇のカーブはさらにふえていく、こういうことだと思います。

 ですから、周波数需要に対応するため、周波数の圧縮、それから共用により効率的に利用する技術、さらには高い周波数への移行を促進する技術など、こういった周波数の再編、有効活用といったものをぜひ考えていきたい、このように考えておるわけであります。

 特に、ここのところで、電波利用料の見直しをいたしましたが、MツーMですね、センサー、このセンサーを使ってのものは、実質負担がゼロでできる。今、日本は既に世界一のセンサー大国なんですけれども、さらにこのセンサーを普及させることによって、ICTを活用して、いろいろなサービスや公共施設の管理、いろいろなものに活用できるようになっていくのではないか、このように考えております。

田所分科員 ICTにかける大臣の思いというのもよく聞いておりますし、まさに我が国の未来を開くためにその利活用は大変重要だろうというふうに思いますので、しっかりとその点のリードを、やはり規制や何かで諸外国におくれますと、そういう点で競争力がなくなるということになってまいりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、予定しておりました防災の無線については若干後に送りまして、ICTを活用した教育ということについて先に聞きたいと思います。

 資源のない我が国、優秀な人材を育成しなければ我が国の存立は成っていかないわけでありますけれども、私は、そういう点で、習熟度という観点から教育をやるということが若干弱いんじゃないかというふうに思っています。

 そういう中で、どのようにそういった教育の習熟度を満たしながら進めていこうとしているのか、その点、まず聞きたいと思うんです。

義本政府参考人 お答えいたします。

 子供たちの学力、学習の習熟度を把握することは、委員御指摘のとおり、大変重要なことと考えておるところでございます。

 文部科学省におきましては、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握、分析して、国の政策や教育委員会の取り組みの成果、課題を検証し、その改善を図っていく、あるいは、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善に役立てていくこと、このような取り組みを通じまして、教育に関する継続的な検証、改善、いわゆるPDCAサイクルを確立することを目的といたしまして、平成十九年度より、小中学生を対象にしまして、具体的には小学校六年生、中学校三年生の全児童生徒を対象に学力・学習状況調査を実施しているところでございます。

 また、高校段階におきましても、学習の達成度の把握につきましては、昨年の十月に教育再生実行会議の第四次提言を取りまとめられまして、その中で、達成度テストの創設等が盛り込まれているところでございます。

 これを踏まえまして、文科省におきましては、中央教育審議会におきまして、達成度テスト、いわゆる基礎レベルのあり方について現在検討を行っているところでございます。

田所分科員 るる言われたようですが、私は、象徴的にわかりやすく言いたいと思うんですが、地元しかわからないんです、文科省ではよくわからないから、調べてきたんです。

 高校入試、公立高校、五教科で百点以下で入っている人が、茨城で二百六十人いるんですね。それで、五教科で最低点数は何点かというと、四十点というんですね。これで公立高校に入れているという状況です。

 私は、まさに、習熟度を満たさないで進学をしたり卒業していくというような状況があるんだろうと思っています。やはりそれをしっかりと満たしていかなければ、将来、社会に出てもいろいろな問題が生ずるということです。

 それには、ICT、しっかりとしたプログラムをつくって調べれば、一人一人の能力なんてすぐわかるんですよ。だから、そういった観点から、それをしっかりと活用してもらいたいと私は思っています。

 これまで、フューチャースクール推進事業を今年度やってきたわけですね。そういうものを含めて、通信環境、ハードもそうですけれども、コンテンツを開発して、習熟度をしっかりと踏まえた教育、ちゃんとした人を世に出すというようなことをまずやっていかなくちゃならないと思いますが、そこのこれまでの実績とか、今後どうするのか、その点を聞きたいと思います。

藤川大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員おっしゃるとおり、教育分野でICTを活用することは、子供たちの将来にとって、まことに有益なことと考えております。

 総務省は、児童生徒一人一台のタブレットPC等を配置し、情報通信技術面の実証研究を行うフューチャースクール推進事業を文部科学省と連携して行っているところでございます。

 その結果、学校におけるICT環境の構築や運用のノウハウの蓄積とともに、学び合いによる学習意欲の向上など、成果が上がっていると考えております。

 私も、先日、実証校である宮古島市立下地中学校を訪問し、児童生徒が主体的にICT機器を操作する様子を見せていただき、未来の可能性を実感したところでございます。

 他方で、導入、運用コストの増大や学習内容の分散保存、管理といった課題等が判明してきたところでございます。

 そこで、総務省では、文部科学省と連携して、これまでの成果と課題を踏まえて、来年度から先導的教育システム実証事業に取り組む予定でございます。

 具体的には、クラウド等を活用して、学校、家庭を問わない継続した学習や、多種多様な端末に対応した低コストの教育ICTシステムを確立しまして、その成果を普及モデルとして推進してまいりたいと考えております。

 よろしくお願い申し上げます。

田所分科員 今、よく思いはお聞きいたしました。

 そういう中で、韓国などは非常にその教育が進んでいるということでありますし、ICT活用の教育というものについて、異次元の活用、今の延長じゃなくて、今言ったように、ソフトウエアをしっかりと整備して、習熟度を満たさない人たちをどんどん出してしまうようなことのないように頑張ってもらいたいというふうに思っています。

 次に、その教育のずっと後の方の話になります、法曹養成制度の改革ということについてお尋ねをしたいと思います。

 法科大学院というものができまして、過重な事前調整の世界から、自律的な事後チェック型の社会をつくっていくんだというような司法制度改革の思想もあったというふうに思います。

 そういう中で、法科大学院がつくられて、三千人ぐらい合格させよう、七、八割が合格できるような、そういうイメージでしっかりと法曹の能力を備えさせようということでつくったわけですが、どうも、認可数も、たくさんやり過ぎてなかなか、競争率も、七割、八割なんというわけにはとてもいかない。

 そういう中で、三千人というような目標も、そのままにしておかない、修正していくんだということを、まだそんなに長い歴史ではない中でこれを変えていかなければならない不安定な状況にある。

 どういう状況であるのか、説明してもらいたいと思います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございましたように、司法制度改革に基づきまして、新しい法曹養成制度、法科大学院を中核とする法曹養成制度がスタートしたわけでございますが、御指摘ございましたように、合格率の低迷あるいは志願者の減少といった状況が生じているところでございます。

 そこで、現在、昨年の九月から開催されております法曹養成制度改革推進会議のもとで、法科大学院の教育の質の向上などを図るとともに、法曹養成制度についての見直しを進めているところでございます。

田所分科員 入学者数なんかも半分以下になっちゃっているんですね。学生からも信任されないような状況が現実に生まれております。

 そういう中で、皆さん、閣僚会議の中でいろいろなことを言っています。数値目標を掲げることは現実性を欠くものだ、こう言っているんですね。

 それで、これから必要な調査を行って方針を立てていくというんですが、これは、学校を認可するような時点でもう既にしっかりと踏まえて進めておくべきものだったと思うんですね。なぜ今さらということを私は思うんです。こんな重要な法曹養成のシステムにおいて、こういう場当たり的なものでは非常に問題があるというふうに私は思っております。

 そういう中で、司法試験の受験の機会の緩和等、今いろいろと考慮されているようですけれども、それをちょっと表明してもらいたいと思います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 今般、法務省から提出を予定しております司法試験法の一部を改正する法律案がございます。この法律案は、短答式試験の試験科目を憲法、民法と刑法の三科目とするほか、受験期間内に受けることができる司法試験の回数についての制限を廃止することをその内容とするものでございます。

 このような法改正の趣旨は、短答式試験の試験科目を憲法、民法、刑法の三科目とすることで、特に法学未修者について基本的な法律科目をより重点的に学習させるという法科大学院教育のあり方と司法試験を連携させて、基本重視という試験とするというものでございまして、また、受験回数につきましては、五年の受験期間内に三回との受験回数制限を廃止いたしまして、五年の受験期間内には毎回受験できるようにすることで、合格率が最も高い、司法試験の受験資格取得直後から間断なく司法試験を受験できるようにするための環境整備を図る、こういう趣旨のものでございます。

田所分科員 生徒たちは、学生は、そういう制度に翻弄されてきているということです。そういうことを踏まえて、しっかりと、こちら側の理論だけじゃなくて、そういったものをどう保護してあげるのかということも考えてもらいたいと思いますし、これから学校もいろいろと集約するんだというけれども、これだって、今まで投資したものがいろいろと損になっていくわけですから、そういうことを踏まえて、この問題、非常に重要な法曹育成ということで、しっかりと力を入れてやってもらいたいというふうに思っております。

 最後に申し上げて結びたいと思いますけれども、同報系の防災行政無線デジタル化というのがあるんですが、どのくらいカバーしているか、七六%、自治体でカバーしているということでありますけれども、スピーカーで外に大きく音を出してカバーするわけです。

 すぐ近くの人はうるさくて聞こえないですよ。遠くの人はわからない、理解できない。しかも、今は、非常に気密性の高い住宅に住んでいる、あるいは車で移動している。そういう中で、全国にこれをどんどんふやして、どこでもあの大きなスピーカーが鳴るようにする社会、騒音列島になってしまうと私は思うんですね。

 そういう中で、放送の規律とか、しっかりとそういったものを考えてやっていく。あるいは、そのほかのあり方として、例えば、コンパクトな、自動的に起動するようなラジオとか、そういった違った方法もあるわけですし、あとはエリアメールとか、そういうものを含めて、この世の中、うるさいものをどんどん直接アナログ的に、デジタルというのはそこまで運ぶだけの話で、その後はアナログな話でありまして、それをどんどんふやしていくというような考え方は若干改めるべきだろうということを申し上げて、時間のようですので、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

上杉主査 これにて田所嘉徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、階猛君。

階分科員 民主党の階猛です。本日はよろしくお願いいたします。

 きょうは、NHKの会長、経営委員長にも来ていただいておりますので、私の質問に対して、時間も短いですから、端的に、要領よくお答えいただきたいと思っております。

 さて、きのう総務委員会で明らかになりました、会長の方が理事の皆さんに対して辞表の提出を求めていたという件について伺います。

 改めてお聞きしますけれども、辞表を提出させた、また、その辞表の日付が空欄になっていた、そのような事実関係ですけれども、このような辞表を提出させた意図はどこにあったのか、会長、お答えいただけますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 本件は、人事のことでございます。これについては、非常に我々にとりましても経営上大事でございますので、その目的とかということについては発言を控えさせていただきます。

階分科員 会長、NHK倫理・行動憲章というのは御存じですか。

籾井参考人 存じ上げております。

階分科員 その倫理・行動憲章、当然、会長も役職員の一人で適用があるんですけれども、その中には、「活力あるより良い職場環境を追求します」ということで、「創造性を重んじ、活発な議論の行われる風通しの良い職場を追求します」「人権、人格を尊重し、誰もが十分に能力を発揮できる規律ある職場を目指します」。

 会長がやられたこと、理事に辞表を提出させて、自由な発言を萎縮させるようなことをしたわけですけれども、これはまさに、この行動指針、倫理・行動憲章に反しているわけでございます。

 そして、その倫理・行動憲章に反する事態が発生したときは、迅速に調査と原因究明に当たり、再発防止に努めるとともに、社会への説明責任を果たすということが、会長御自身の責務として、この倫理・行動憲章には定められております。

 ですから、説明責任をちゃんと果たしていただきたいんですけれども、いかがですか。

籾井参考人 今の御質問は辞表の件だと思いますが、私は、NHKの理事が、そういうふうな辞表を預かったことにより萎縮するとは思っておりません。

 我々は、やはり一丸となってNHKの経営のために尽くしていかなければいけないので、こういうことは一般社会ではよくあることだと私は理解しております。

階分科員 全く私の常識には反しておりますし、そもそも、辞表を提出したら、もし会長の意にそぐわないことがあれば、その辞表が表沙汰になってやめざるを得ないというふうに考えるのが普通で、それゆえに萎縮するんだと思っております。

 また、世間一般ではよく行われていることだというような趣旨の発言がありました。

 それでは、経営委員長にお伺いしますけれども、経営委員長は会長を任命するわけですけれども、会長を任命する際、このような辞表を取りつけることはあり得るんですか。

浜田参考人 そういうことはやったことはありません。

階分科員 世間一般でやられているって、会長、全然違うじゃないですか。

 では、御自身でも辞表を経営委員会に今からでも出されたらどうですか。

籾井参考人 私は、NHKの会長という役職をしっかり受けとめて、責任を全うしたいというふうに思っております。

階分科員 だから、別に辞表を提出したからといって萎縮するわけでもなくて、職務に支障を来すわけではないということを先ほどおっしゃったわけだから、だったら、辞表を今提出したらどうですか。

籾井参考人 今も申しましたけれども、何度も同じ答えで申しわけございませんが、私は、会長の重みをしっかり受けとめ、放送法に基づいて、公共放送の使命を果たしていく所存でございます。会長としての責任を引き続き全うしていきたいというふうに思っております。

階分科員 その責任を果たすだけの資質があるかどうかというのが今問われています。

 そもそも、会長は、コンプライアンスに対する認識が極めて希薄である、あるいは、認識していてもそれを遵守するつもりがないというふうに私は感じております。

 まず、「会長、副会長および理事の服務に関する準則」というのを放送法六十二条に基づいて経営委員会が制定しておりますけれども、それに基づいて、会長はどのような義務を負っていますか。

籾井参考人 私は、就任以来ずっと申し上げておりますが、放送法に基づき、しっかりと経営をやっていくという方針を常々申し上げておりますし、国会の場におきましても、そういうことを何回も申し上げております。

階分科員 答えになっていませんよ。準則、御存じですか、そもそも。読んだことはありますか。(籾井参考人「あります」と呼ぶ)何が義務として要求されていますか。会長の義務は何ですか。

籾井参考人 協会は、その役員、職員の職務の適切な執行を確保するため、役員及び職員の職務に関する義務その他の服務に関する準則を定め、これを公表しなければならないというふうになっております。

階分科員 答えになっていないんですよ。今六十二条を読み上げましたけれども、その六十二条に基づいて、準則が定められております。その準則には、会長の義務としてどのような内容が定められていますか。御存じなければ御存じないというふうに答えていただければ結構です。

籾井参考人 先ほどから申しておりますように、私は、放送法、六十二条も含めまして、これを遵守していくというふうに申しておるわけでございます。

階分科員 内容がわからないのに遵守できないでしょう。

 私から言いますけれども、この準則には、健全な民主主義の発達に資するとともに、国民に最大の効用と福祉とをもたらすべき使命を負うということを自覚して、誠実にその職責を果たさなくてはならないということとか、放送法その他の法令の遵守とか、あるいは、名誉や信用を損なうような行為をしてはならないというような義務が定められているわけですよ。

 今回の辞表を取りつけた行為というのは、こうした準則には反しないとお考えですか。

籾井参考人 反しないと思っています。

階分科員 それ自体がコンプライアンス意識の欠如だということを申し上げたいと思います。

 その上で、経営委員会としては、今のやりとりも踏まえまして、今回、会長が理事に辞表を提出させて、会長自身この準則に抵触する嫌いがあると私は思っておりますけれども、一方で、辞表の提出を求められた理事の皆さんたちも、この準則に基づく行動がとりにくくなっているというふうに思っております。

 こうした事態について、経営委員会としてはどのように考えられますか。

浜田参考人 お答えいたします。

 会長の人事権にかかわることでございますので、経営委員長としてのコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

階分科員 それでは、ちょっと法律に入っていきますけれども、放送法五十五条の二項という条文があります。この五十五条二項で、「会長は、副会長若しくは理事が職務執行の任にたえないと認めるとき、又は副会長若しくは理事に職務上の義務違反その他副会長若しくは理事たるに適しない非行があると認めるときは、経営委員会の同意を得て、これを罷免することができる。」要するに、罷免事由があるときであっても、経営委員会の同意を得なければ罷免することはできないという規定がございます。

 一方で、今回辞表を取りつけたということになると、実際上は、会長の一存でもって、経営委員会の同意を経ることなく、理事の職責を奪うことができる、こういう話にもなるわけです。

 すなわち、申し上げたいのは、五十五条二項の規定を潜脱する行為ではないかということです。この点について、まず、会長の御認識を伺いたいと思います。

籾井参考人 何度も申しておりますが、これは人事の案件でありまして、この場で発言は控えさせていただきたいと思います。

階分科員 人事の案件じゃないですよ。放送法の解釈を聞いているんです。会長の解釈ではどうなんですか。

 任命権者である経営委員会の同意を得ることによって、会長は経営委員会のコントロールに服して、そして人事権の濫用を防ぐということになっているわけですよ。

 だけれども、辞表を取りつけるということは、経営委員会の同意というものが事実上なされないことになって、会長の暴走にもつながりかねない、だから私は問題ではないかと思っていますが、五十五条二項について、今回の行為はそれを潜脱するものだというふうには理解されませんか。

籾井参考人 そのようには理解しておりません。

階分科員 では、今の五十五条二項について、放送法を所管されています総務大臣、この経営委員会の同意が設けられている趣旨からして、私は、辞表取りつけというのは問題だと思っていますけれども、この点、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 まず、会長の人事権の行使でありますから、私から直接のコメントをすることは避けたいというふうに思います。

 その上で、一般論として、私の感想でありますけれども、私が報道等で漏れ伝わっていることから判断いたしますと、今回、会長は、人事権を行使して、理事を罷免するために辞表を受けたのではない、私はそういうふうに理解をしております。それは、辞表の中に日付が入っていないということも聞いておりますから、ですから、その辞表そのものは効力がないんです。

 したがって、会長のガバナンスのお考えでありますから、しかもそれは人事権の問題でありますから、その是非というか、コメントは私はいたしませんが、そういうことからすると、これは一回、自分のもとでみんなで心を合わせて頑張っていこう、そして、身柄を預かるが、そういう意味で、一生懸命やってくれと。現実に、罷免された理事はおりませんし、そういう意味で、皆さんが一丸となって頑張ると、会長は繰り返しこれまで述べられております。

 ですから、今委員が御指摘のような、もしそういった行為が実際に効力を発することが行われたならば、それは今度は、NHKの中の監査なり経営委員会なり、そういったものがいろいろと御議論なされるかもしれません。でも、まず、前提として、そういう実態はないのではないかということを私は感じております。

 ただ、そのような疑義といいますか、御心配が発生している、国会において何度もこのような委員会等において皆さんが御心配いただいている、こういうような混乱が起きていることはまことに残念だと思っているわけでありまして、こういう機会を通じて、しっかりとNHKが職員一丸となって活動ができるように、そういった体制をさらに固めていただきたい、このように考えておるわけであります。

階分科員 それから、私はもう一つ問題だと思っておりますが、きのう公表されました二月十二日の経営委員会の議事録の抜粋でございますけれども、この中で美馬委員という方が、今回の問題を受けて、クライシスマネジメントをどうするかというようなお尋ねを会長にしておりますところ、最初に、それでもなお私は大変な失言をしたのでしょうかということで、まず、そもそもクライシスという認識が欠けているということ。それから、対策をどうするかということについては正直よくわかりませんというような発言もされております。

 私は、この危機意識の欠如、そして危機が生じたときに何をしたらいいかわからないというのは、大組織を率いる会長としての資質に問題があるのではないかというふうに思っておりますけれども、この点について、何か御反論があれば、会長、お願いいたします。

籾井参考人 昨日の経営委員会におきまして、経営委員の皆様方に再度私は申し上げました。

 私は、美馬委員の発言を受けて、それでもなおかつ大変な失言をしたというのでしょうかと申し上げました。これは、私の真意とはほど遠い報道がなされていることに対して、私の真意、気持ちを理解していただきたい一心で申し上げたものであります。

 それから、クライシスマネジメントということについては、これは一月二十八日のことだと思いますが、それにつきましては、私は、営業で頑張ります、このように申し上げたと思います。

階分科員 営業で頑張りますというか、そもそも、今クライシスだという認識はおありになりますか。

籾井参考人 このように、本当にいろいろお騒がせしていることについては、非常に申しわけなく思っておりますし、私自身も大変反省もしております。

階分科員 クライシス、危機が今起きている、現在進行形で今危機の状態にあるという認識はありますか。

籾井参考人 私も含めて、副会長も含めまして役員全員が緊張感を持って経営に万全を期すということが、やはりこの事態に対応できる方法だと思います。

階分科員 質問に答えてください。今危機だという認識はありますか。

籾井参考人 非常に世の中をお騒がせして申しわけないというふうに思っております。

上杉主査 籾井放送協会長に申し上げます。

 質問の趣旨を踏まえて、的確に答弁をしてください。

階分科員 今の委員長のお話を踏まえて、私の問いに正確に答えてください。

 今が危機だという認識はありますか。

籾井参考人 危機という言葉が適当かどうかわかりませんが、異常な事態であるというふうには思っております。

階分科員 異常な事態を惹起したのは御自身の言動にあるということも認識されていますか。

籾井参考人 私が、就任の記者会見におきまして、公的な立場であるにもかかわらず、その状況をしっかりと把握せずに私的な見解を述べたこと、これは大変に申しわけなく思っています。

 ただ、そのときには、私は、本当に、ついた初日でございまして、その辺の認識がなかったことは私の不徳のいたすところでございますけれども、私が申し上げたことで世の中をお騒がせしているということに対しては、何度も謝罪いたしておりますが、申しわけなく思っている次第でございます。

階分科員 民間企業であれば、こういう事態が起きたときに、まさにその危機の拡大をいかに防ぐか、経営の破綻につながらないように、どうやって説明責任を果たし、そして解決策をとっていくかということになるわけです。そこがクライシスマネジメントなわけですね。

 先ほどおっしゃったのは、営業することによってと言っていましたけれども、その前提として、そもそも、今回の危機をどうやって食いとめるかということが発想として必要なわけですね。

 このクライシスマネジメントということについて、正直よくわかりません、対策をどうするかということについては正直よくわかりませんというお答えになっているというのは、私は非常に問題だと思っています。

 経営委員会の中での発言ですので、経営委員長についても、こうした発言をされるトップ、果たしてふさわしいのかどうかということについて、御見解をお願いします。

浜田参考人 会長は、再三再四にわたり、謝罪をし、あわせて、放送法を遵守する旨の発言も繰り返されております。そういう中では、経営委員会といたしましては、今後の努力を見守りたいというふうに思っております。

階分科員 いや、今後の努力をというお話でしたけれども、私は、きのう発覚した新たなことについて、またお尋ねしているんですね。

 次々と問題が発覚してきておりまして、会長が何か問題を起こして、その収束に毎日のように追われている、負の連鎖が続いているわけですね。こういう事態にあって、なお、クライシスマネジメントというのを、対処する方法を知らないという御発言なわけですよ。これは非常に問題なのではないかと思っています。

 そもそも、経営委員会が会長を任命されるわけですけれども、こうしたクライシスマネジメントができるかどうかというのも、重要な資質として、任命する際に判断の重要な要素となるのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

浜田参考人 昨日ですけれども、私からは、就任会見以降、NHKとしての事態の収拾に当たっている状況において、経営委員会で再度、誤解を招く発言をされたことについては、御自身の立場に対する理解が不十分であると言わざるを得ないこと、及び、一刻も早い事態の収拾に向けて、役職員一丸となり、誠心誠意取り組んでいただくよう、経営委員長として要請したわけなんですけれども、先ほど申し上げましたように、経営委員会でも、委員御指摘のように、リスクマネジメントに関する意見も出ております。

 私の考え方としても、会長と、どういうことができるのか、御相談したいなというふうにも思っています。

階分科員 私は、今まさに危機の状態であって、災害でいえば火が燃え広がっている状態で、その火をむしろ消火すべき役割である会長がもっと火を拡大しているような、そういうあるまじき状況が続いていると思います。

 そういう状況にあって、その危機を収束するマネジメントについて、自分はそのことについてはわからないというお話でございますから、私は、もうこの職務にたえないのではないかというふうに認識しております。

 放送法の五十五条の一項で、経営委員会は、会長が職務の執行の任にたえないと認めるとき、罷免することができる、こういう条文があります。この職務の執行の任にたえないということが今実態としてあるのではないかと思っていますけれども、経営委員長の認識はいかがでしょうか。

浜田参考人 先ほども申し上げましたけれども、経営委員長としては、会長に対し、厳しく自覚を促し、説明責任を果たすとともに、事態の収拾を速やかに行うよう要請をいたしております。

 会長には、今後、公共放送のトップとしての適切な行動をとっていただけるものと期待をしております。

 経営委員会としては、今後の動きを監督し、助言し、必要に応じ苦言も呈して、経営委員会の職務を一層果たしてまいりたいというふうに思っています。

階分科員 経営委員会の方から監査委員というのを指名して監査委員会というものを開いて、その場でも、何か経営上問題があればいろいろ調査ができるということがあるわけでございますけれども、この監査委員会に調査をしてもらうということなども考えるべきだと思っているんですが、この点について、経営委員長、いかがでしょうか。

浜田参考人 監査委員会は、ある意味では、経営委員の方が兼務はされておるわけですけれども、自律的機能を持った組織でございますので、監査委員会が独自に判断されることかなというふうに思っております。

階分科員 そうすると、経営委員会としては、今回の問題について独自にクライシスマネジメントをやられるつもりはないということでよろしいでしょうか。会長に委ねているということでよろしいですか。

浜田参考人 先ほど申し上げましたけれども、会長に対しては、今後の事態収拾に向けてのさらなる努力を要請しつつ、あわせて、経営委員会では、今の現状の情報の共有化を図りつつ、今後の対処の仕方の意見交換も行っております。

階分科員 会長に再度お伺いしますけれども、クライシスマネジメントのやり方がわからないとおっしゃいましたけれども、私は社内弁護士をしておりまして、クライシスマネジメントについては一応実務としてかかわってきております。こういう問題が起きたときは、外部の有識者による第三者委員会を開いて、そこで原因の究明をさせて、そして再発防止策を講じるというのが普通だと思いますけれども、そういうお考えはないですか、会長は。

籾井参考人 まず、クライシスマネジメント、クライシスに対して私は知らないと申し上げたことを言いますと、通常、民間の会社においていろいろなことがあったときにはそういう普通の手だてをしますが、あのときには、来て、私的発言ということでしたにもかかわらず、その部分を捉まえて、いろいろ大変だ大変だということを言われまして、そういう経験は私にとって初めてでございます。したがいまして、こういう事態については、私は、どう対応していいのか、これがわかりませんでした。

 本当に、例えばコンプライアンスの……(階分科員「質問に答えてください」と呼ぶ)いやいや、だから、そう言っているじゃないですか。だから、通常の場合には第三者委員会とかそういうこともやるべきだと思いますが、これが本当に、さっき言いましたように、クライシスという言葉をお使いになっていますけれども、私にとっては、要するに、全く、最初に言いましたように、公と私の部分がごっちゃになっていたということでございます。

 今後は、会長として職責を全ういたしていきたいと思います。

階分科員 要は、クライシスの原因になった発言を問題にしているんじゃなくて、今現在クライシスで、それが続いているから、それをとめなくちゃいけないんじゃないかということを言っているわけですよ。そのクライシスの原因となった発言を今ここで云々しているわけじゃなくて、今現在クライシスなんだから、それをとめるためにどういう手だてを講じるかということで、第三者委員会を設けたらどうかと言っています。

 それについて、御見解はどうですか。

籾井参考人 今のところは本件についての第三者委員会を設ける予定はありませんが、必要とあらばそういうことも考えていいと思いますけれども、今のところはそういう考えは持っておりません。

階分科員 公共放送というのは、社会において重要な役割を果たすべき組織です。そのトップが連日のようにこうやってその資質を国会で問われているという異常事態は、まさにクライシス中のクライシスだと思っていまして、一刻も早くそれをとめる手だてを講じなければ、会長だけの問題じゃなくて、働いている皆さん、NHKの役職員の皆さん、それから視聴者である国民にも大損害を与える、そういう自覚を持って、早くこのクライシスをとめていただきたいんです。

 御自身の進退も含めて御検討いただきたいんですが、いかがでしょうか。

籾井参考人 いや、本当に私、起こったことは初日でございましたので、それ以降、連日こういうことで多忙をきわめているんですが、同時に、私は、私が私的発言をしたことについては、既に公式に取り消しております。

 したがいまして、それを、取り消したものに対していろいろと議論が出ているわけですが、私としては、本当に、初日にそういう、公人でありながら私的発言をしたことを大変反省し、それを取り下げさせていただいたと思っております。

階分科員 時間ですのでこれで終わりますけれども、やはり危機の認識がなければそれに対する対応もできないのだなということ改めて感じまして、会長にはちょっと考え直していただきたいなと思っております。

 以上です。ありがとうございました。

上杉主査 これにて階猛君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)分科員 公明党の伊藤渉でございます。

 きょうは大臣もお見えでございますけれども、昨年の通常国会では総務委員として大臣と議論させていただいたこともございますが、今、総務省大臣政務官、藤川政務官、伊藤政務官とも同じ地元の出身でございまして、きょうは、地元の諸課題及び被災地の復興のことについて、三十分のお時間を頂戴しましたので、やりとりをさせていただきたいと思います。

 まず、被災地の復興のことについてお伺いをしたいと思います。

 私どもは、震災発災後、間もなく丸三年になろうとしておりますけれども、各県、市町村に至って担当も決めまして、たびたび現場に足を運びながら、これまで被災地の課題の克服に取り組んでまいりました。

 まず、冒頭ですけれども、私が特に力を入れておりますのが、福島県いわき市というところでございます。

 現在、福島県の状況でございますけれども、被害状況即報等によりますと、県全体で避難者数が約十三・六万人、県内への避難者数が八・八万人、福島県外への避難者数が四・八万人、そして、このいわき市には、原子力発電所の事故災害もございまして、他の市町村から受け入れの避難者数が二・四万人。これは、当該市の人口の約一割弱に相当する避難者でございます。

 こうした状況を受けて、復興の作業員の方の受け入れ、住宅の不足、交通の渋滞、医療機関の混雑など、受け入れ自治体としての課題もございまして、この行政サービスの増大に対応するため、平成二十五年度の交付税措置から、被災自治体の支援の一環として、原発避難者特例法の避難住民の受け入れに伴う経費の市町村分の算定方法について見直しを行うなど、財政上の支援を行っていただいております。

 まず、お伺いをいたします。

 この担当地域である福島県いわき市の状況でございますが、平成二十四年度から平成二十五年度の交付税の増額分、これがどうなっているか、答弁をお願いします。

    〔主査退席、うえの主査代理着席〕

佐藤政府参考人 避難者の受け入れに要する経費に対する特別交付税措置ですが、おっしゃるとおり、今年度、見直しを行っておりまして、従来、個別の経費を積み上げて算定する方式をとっておりましたのを、標準的経費の単価を用いる方式に改善をいたしました。その結果、財政措置が大幅に充実されております。

 具体的に、いわき市のことで申し上げますと、二十四年度の特別交付税措置額は、十二月分と三月分を合わせて三億九千万円となっております。これに対して、二十五年度は、十二月分で五億円となっております。三月分については、現在算定中ですが、おおむね、ほぼ五億円程度の額になるだろうと思いますので、二十五年度全体として見ると、十億円程度になると思っております。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。

 いわき市の状況を見ておりますと、こうした状況も受けて、行政サービス自体は、充実をしているというか、もとの状況に戻りつつあります。

 そして、来年度の状況を見ますと、災害住宅、いわゆる土地の取得から建設に移行をしていきます。今、この建設需要が増大をしてきておりまして、ともすると、せっかくつけていただいたこの交付税の執行という段階でさまざまな課題が出てくる可能性が予見をされますので、来年度に向けて、引き続き自治体の要請そして課題に耳を傾けていただいて、柔軟な対応をぜひともお願いをしたいと、まず冒頭お願いをしておきたいと思います。

 次に、原子力発電所の事故に伴う長期の避難者を抱えているという特殊な課題から、これまでも、例えば、周辺自治体から移り住んでいる方は、ふるさとはやはり捨てられない、あるいは、この事故の状況から、廃炉には数十年かかるというような話でもございますので、半永久的に帰れないかもしれない、そういう背景から、もう戻らないと決めた方もおみえでございます。

 そんな中で、仮の町構想ということが現在もるる議論をされております。集約型ですとか分散型ですとか、さまざまな議論があるわけですけれども、このいわゆる仮の町構想について伺います。

 まだまだ非常に先行きの見通しが立てにくい中でございますので、そうした中、自治体のいろいろな相談に乗っていただいていることには、心から感謝を申し上げます。

 以前は、おおむね分散型で進める方向でございましたけれども、昨年の九月だったと思いますが、選挙もございまして、少し住民の皆様方の議論も変化をしている様子で、今は、分散とか集中にこだわらず、ただし、さらに将来のことを考えると、インフラを仮の町のために新たに整備をする、これはなかなか難しい、こうしたことは控えつつ、永続性のある形にしたい、依然さまざまな見解が見受けられる状況でございます。

 これは復興庁でお願いしていると思いますが、現状と見通しについて答弁をお願いします。

岡本政府参考人 復興庁でございます。

 今御指摘の長期避難者の方の生活拠点、私ども、町外コミュニティーという言葉を使っておりますが、避難元の市町村、そして、受け入れていただきます受け入れ市町村、それから、全体を、広域を担っていただいております県と私ども復興庁とが協議を個別に、受け入れ自治体ごとに協議をしております。

 その際には、まずは、中核となります公営住宅の整備、さらには、その周辺の道路や学校施設の整備なども必要になってまいります。さらには、そのようなハード事業だけじゃなくて、コミュニティーをどう維持するか、さらには、孤立をどう防止するか、いわゆる見守り事業でございますが、そのようなソフト事業も組み合わせた事業を実施する予定でございます。

 現時点でございますが、私どもと地元市町村とで行いました調査結果で、現時点では、四千八百九十戸の住宅を建設する予定でございます。このうち、おおむね三千七百戸につきましては、今年度末、すなわち来月末までに用地確保のめどがついておりまして、順次事業に着手しております。二十六年度内、来年度中には、このうち五百七十六戸の入居が可能でございます。

 残りの戸数につきましても、県、市町村と一緒に、早急に整備を進めてまいりたいと思っております。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。

 従来より、被災地の復興については、風化と風評との闘い、こういうことを心に期して取り組んでまいりましたので、引き続き、サポートをしっかりお願いしたいと思います。

 もう一問、復興関連で、今もございましたけれども、災害公営住宅、これは市が整備をいたします。そして、県が復興公営住宅を整備しておるわけでございます。

 特に、私が担当しておりますいわき市で見ますと、二十五年度に災害公営住宅が百三十六戸、二十六年度に九百三十三戸が完成していると資料で報告を受けているわけでございますが、いわゆる建設業界の人手不足など深刻な課題も抱えながら、これまでは予定どおりに進みつつあると伺っておりますけれども、県が整備する復興公営住宅の用地がなかなかうまく決まらないというようなことも相談を受けたりしております。

 国のバックアップ体制を堅持して、引き続き、しっかり被災自治体のサポートをお願いしたい。このことについても、現状と見通しについてお伺いいたします。

岡本政府参考人 現在、まず、岩手、宮城で建設予定が二万一千戸ございます。このうち、七割の用地は確保済みでございます。

 それから、今先生が特に御指摘の福島県でございますが、おおむね、今御指摘のように、県がつくっていただくのは原発の避難者の長期住宅、それから市町村が津波被害の住宅を確保しております。ただ、一部少し入り繰りがございますが。

 市町村がつくっております住宅の方は、三千百九十三戸の計画のうち、二千百九十八戸分は確保済みでございます。

 御指摘の、県がつくります分につきましては、四千三百九十戸のうち、いまだ七百十五戸しか用地は確保できておりません。

 この大きな理由は、実は、計画策定が、津波は津波被害直後からつくったんですけれども、原発被害の方は、ようやく今年度から議論を始めたところでございます。これがスピードのおくれでございますが、個別にはいろいろ議論があるというところは聞いておりますが、全体では、県からは、スムーズに進んでおるということでございますので、この後も、県と私どもが、二人三脚というんでしょうか、一緒になって、用地確保それから施設整備に取り組んでまいりたいと思っております。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。

 いろいろな情報、地元に入りますと、うわさも含めて飛び交いますので、今答弁いただいたとおり、しっかりとサポート体制を、丸三年を迎えようとする被災地の復興に向けて、お願いをしたいと思います。

 では、話題をかえまして、ここから地元愛知県の話など、さまざま議論させていただきたいと思います。

 これは新藤総務大臣は大変お詳しい内容で、離島、いわゆるEEZ等々の話ですが、昨年の総務委員会でも御質問はさせていただいて、むしろ新藤大臣に私が教えていただいたようなお話ですけれども、まず、島の一般的に余り知られていない話を、少し御報告も兼ねてさせていただきます。

 これは新藤大臣から答弁で改めて教えていただいたことですけれども、我が国には六千八百五十二の島々がある、しかしそれは、周囲百メートルの島々で六千八百五十二だ、よって、これらを中心に九十九の基点によって我が国の排他的経済水域が成り立っている、国境を形成する離島の振興、保全、これは極めて重要です、これは大臣から答弁でもいただきました。

 そうしたことも受けて、離島の定住促進などを記述した改正離島振興法が平成二十五年四月からスタートをいたしております。

 こうした問題は、国の安全保障にかかわるだけではなく、日本の地域の活力を維持すること、また、海洋にある資源を含める我が国の資源を確保する、そういう観点からも見直しが必要だ、これも大臣から御指導いただいた内容でございます。

 こうしたいわゆる離島の重要性について大臣の御理解をいただいた上で、特に、愛知県にも離島がございまして、その離島が抱えている消防救急体制について、昨年の総務委員会で御質問をさせていただきました。

 このときも大変詳細に御答弁をいただいておりまして、当時です、約一年前ですけれども、離島振興法に定める島の属する市町村の百十市町村中百二市町村が消防本部を設置されていて、残りの八町村には常備消防がない、こういう状態だ、常備消防があるとしても消防署が設置されていない、こういう島が離島二百三十五島中百九十九島ある、ここはまさに民間人である消防団そして役場の方々が頑張ってくれている、よって、消防防災ヘリ、ドクターヘリ、いろいろ活用をさせていただいているけれども、地元自治体、特に離島の消防体制の強化、これは重要だというふうにも言っていただきました。

 そういったことを受けて、足りないところを補っていかなければならない、まず常備消防のない八町村へ消防本部の設置、それから、離島への消防署等の設置、消防資機材の充実、こういったものをやるために、我々も必要な財政措置を含めて離島問題についても取り組んでまいりたいと、地元にとっては大変ありがたい御答弁をいただいたわけでございます。

 そして、これは具体的には、まさに伊藤忠彦政務官のお地元でもございます、愛知県の南知多町にある日間賀島と篠島、ここの実情を訴えたことに対する大臣からの答弁でございました。

 当該地域では、南海トラフ巨大地震の発生も想定されており、消防体制、救急体制の整備は極めて重要な取り組みでございます。消防救急体制の強化の実現に向けて地元自治体と検討を進めていただいている、このように聞いておりますけれども、目下の取り組み状況及び今後の見通し、大臣もお見えでございますが、お地元でございます伊藤政務官に答弁をお願いしたいと思います。

伊藤大臣政務官 大変、委員が何度も両島に行っていただきまして、防災を初めとする地域の実情について耳を傾けていただいていることに、まず敬意を申し上げておきたいというふうに思います。

 その上で、先般、大臣からも答弁をさせていただきましたとおり、離島における消防体制の強化というのは非常に重要でございまして、離島の消防署等の設置、消防資機材の充実を図る必要があるということは十分考えておりますし、これらを支援するための所要財政措置も講じてまいろうということなのでございます。

 特に、お話がございました日間賀島、篠島につきましては、所管をする知多南部消防組合に設置されております知多南部消防組合連絡調整委員会におきまして、消防体制強化に向けた検討が現在行われていると承知をいたしております。

 消防体制の強化につきましては、まず、こういった地域での検討を進めていただく必要があるのでございますが、実は、こうした離島の消防を考えた場合に、どうしても財政的に厳しいわけでございます。

 例えば、昼夜三交代でいきますと、相当の人数を置かなければなりません。そしてまた、その経費が発生をいたしてまいります。どうしても、今残る八つの島等々で困難をきわめている事情というのは、そういうことなんだろうと思います。

 しかし、こうした離島ですとか山間僻地の消防署というのは、観光ですとか地域振興のためにも大変重要な装置でございますし、無論、地域の人たちが安心して暮らしていただくということも大事でございますので、今後とも、私ども総務省といたしましては、検討状況を注視しつつ、さまざまなケースをお示し申し上げて、よくお話を伺うなど、きめ細かな対応に努めてまいり、ぜひ実現に向けて頑張ってまいりたい、こう思っております。

 以上でございます。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。

 お地元の伊藤忠彦政務官とともに、力を合わせて、こうした課題を克服し、離島の振興に努めてまいりたい、かように思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 次は、やはり総務省が所管をするいわゆる公立大学について御質問したいと思います。

 巷間よく言われておりますとおり、いわゆる大学全入時代に入っております。さまざまな資料を見ますと、現在、大学と短大を合わせたいわゆる収容力は九三%程度になってきている、こんな資料もございます。

 一方で、資源のない我が国でございますから、人が財産でございます。そして、そんな中で、大学も、世界で建設的な役割を日本が果たすためにはグローバル化が極めて重要でございまして、さまざまな意味から、大学自体のスピード感のある自己変革を求められる、こういう状況に突入をしてきております。

 この公立大学でございますけれども、国立大学の法人化に続きまして、公立大学も地方独立行政法人として法人化をした大学がございます。平成二十五年度現在で六十三法人六十五大学と承知をしておりますが、その運営方法などはおおむね国立大学法人に類似をしておりますが、当然異なる部分もございます。

 その一つが、資金調達の手段でございます。

 地方独立行政法人法第四十一条第五項、「地方独立行政法人は、長期借入金及び債券発行をすることができない。ただし、設立団体からの長期借入金については、この限りでない。」こういう条文によって、いわゆる資金調達の手段が国立大学法人とは異なっております。

 この点について、各法人が設立団体の許認可を受けた上で直接資金調達する方法など、経営手段の選択肢に幅を持たせるといったことが当時議論にならなかったか、まず、法案作成の過程について政府参考人にお伺いをいたします。

佐藤政府参考人 当時の制度創設時の考え方を調べてみますと、まず、地方独立行政法人については、運営経費をみずから賄うことを必ずしも前提としていないということから、果たして、これらに長期借り入れを認めるにしても、返済能力がどうなのかという議論があったようです。

 それから、もしそれが不足するということであれば、結局は設立団体が償還財源を負担せざるを得ないということが想定されるために、広く一般的に長期借入金を認めることは不適当だという判断をしていたようです。

 また、法律上、地方独立行政法人が解散する場合には、債権者保護の観点から、当該法人の財産をもって債務を完済できない部分は設立団体が負担するということにもなっておりますので、設立団体以外から広く長期借入金等を認めるという場合には、設立団体自体の財政状況にも非常に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 こうしたことから、設立団体からの長期借入金に限って認めることにしたというふうに承知をしております。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございました。

 さまざまな議論があったことは承知をしておる上で今回質問をさせていただいておりますが、先ほど言ったように、大学経営もさまざまな課題を抱えていて、機動的な自己変革をしていかなければならない。

 また、当然、これも文部科学省のホームページなどに出てきますけれども、法人制度の特に大学というところについてのポイントの一つは、こうやって書かれています、自主自律的な環境のもと、魅力ある教育研究を積極的に展開する。そこには、予算、人事等の規制の緩和、こういったことも書かれている。

 そうした趣旨からいうと、設立団体からの長期借り入れももちろんですけれども、国立大学法人と同様に、国立大学法人はちなみにどうなっているかといいますと、例えば、施設の移転のために行う土地の取得等、あるいは業務に係る収入をもって償還可能と見込まれる事業については、文部科学省の償還計画の認可の上で、民間銀行から資金を調達することができるようになっています。野方図じゃありません、ちゃんと確認をした上で、機動的に大学自体が借りられるように国立大学法人はしているわけです。

 これは、ツールとしては、用意してあげても大きな問題にはならないのではないか。もちろん、慎重な検討が必要なことはよく承知をしておりますが、設立団体に償還計画の認可を受ければ市中調達も可能とすることについては検討の余地があると考えますけれども、これも大臣政務官に御答弁をお願いしたいと思います。

伊藤大臣政務官 ただいまの公立大学の債務の件でございますけれども、時代の背景として、私たちがよく承知をしておかなければならないことは、言うまでもないんですが、子供の数が減ってきておりますので、大学経営そのものについて考えれば、非常に厳しい状態になっているということは間違いないと思います。

 その上でなのでございますけれども、今局長からの答弁もございましたけれども、公立大学の債務につきましては、当該法人が解散する際、当該法人の財産をもって債務を完済することができないときには、そうした設立の団体が負担することが出てまいりますし、仮に設立団体以外から広く長期借入金等を認めた場合であっても、議会が承認をしない限りできていかないわけですから、結局同じことが発生すると想定されるわけでございます。

 設立団体の財政状況に極めて大きな影響を及ぼすことも考えられることから、確かに、大学の変革としては資金が入り用であるということは実態としてありましょうけれども、その手法といたしましては、市中金融の借り入れという方法を安易に取り上げていくことは少し慎重に検討する必要があるのではないかと現行考えているところでございます。

 以上です。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。

 もちろん、今政務官おっしゃっていただいたように、さまざまな角度から慎重に検討をしていただく必要があると思いますし、法律がつくられているわけですから、そのときの議論の経過も十分承知をした上で、環境の変化、現場のニーズ、そういうことも含めて、これからまた検討を私も進めていきたい、こういうふうに思います。

 次に、いわゆる情報通信関係になるんですけれども、海の話です。

 先ほどは島の話をさせていただきましたが、日本は、四方を海に囲まれた、これは言うまでもないことですが、輸出入の貨物のトンベースで九九・七%、いわゆる外航海運でございますけれども、担っております。

 この輸送の基盤である日本籍船、いわゆる日本のフラッグを持った船及び日本人の船員は、我が国の管轄権、保護の対象であり、経済安全保障の観点から、平時より一定規模を確保することが必要でございます。

 例えば、東日本大震災の際も、日本商船隊の船舶でありながら、日本のフラッグではないので、外国籍船であるために、事故等の影響を受けて、我が国の管轄権が及ばずに日本への寄港が拒絶されたケースもある、こういうふうに承知をしているわけでございます。

 こうした状況を受けて、平成十九年の交通政策審議会で、いわゆる一定規模の国民生活、経済活動水準を確保するために必要な日本籍船、それから日本人船員を試算しております。この数は、最低限必要な日本籍船として約四百五十隻。ちなみに、船の数は、ボトムになったときは九十二隻でございます。また、日本人船員は、トータルで五千五百人と試算がされておりますが、一番少なくなったときは二千三百人でございます。人は半分、船はもう半分以下ですね、はるか半分以下。

 さまざまな施策に取り組んでいただいて、少しずつこの状況の改善をしていただいておりますが、いわゆる船で働く方々の環境の改善として現場から要望があることの一つが、きょう質問をさせていただきますデジタルデバイドの解消でございます。これも、簡単な話ではないことは十分承知をした上で、必要性においてもこの場で少し報告をしておきたいと思います。

 例えば、救急救命という観点から、海上における傷病者の救急救命処置には、画像の伝送が可能となる無線医療の高度化が必要ですし、海の緊急通報である一一八番の実効性を高めるため、海上通話エリアの拡充も、もちろん、拡充されるにこしたことはないわけです。災害対策という観点からも、津波災害時の船舶の避難の判断に資するため、インターネットの回線を利用する海上保安庁の緊急情報配信サービスやスマートテレビによる情報収集ができれば、よりよいわけでございます。

 通告には、るるこの質問の趣旨を理解していただきたいと書きましたが、ちょっと時間のこともありますので、問いかけに移らせていただきます。

 海事行政を所管するのは国交省でございます。これと連携をして情報通信行政を所管するのが総務省でございます。制約された予算の中での対応ですので、知恵が必要でございます。ぜひとも、知恵をおかりして、現状の把握、問題の解決に向けて検討を進めていきたい、こう思いますが、藤川大臣政務官、ぜひとも前向きな答弁をよろしくお願いします。

藤川大臣政務官 総務省では、海上におけるデジタルデバイド解消の重要性に鑑み、新たな無線システムの導入のための制度等の取り組みを進めているところでございます。

 海上における安全、安心の確保や船上での生活環境の充実が、船員の後継者の確保、育成に不可欠であり、そのためには、海上におけるデジタルデバイドの解消が、本当に、委員おっしゃるとおり、必要不可欠な重要なことと認識をしております。

 これまで、海上における安全、安心を確保するため、総務省といたしましては、一一八を緊急通報用の電話番号とする制度整備を行い、平成十二年から海上保安庁において緊急通報一一八番の運用が行われているところでございます。

 また、平成二十五年からは、同庁において、電子メールを活用した緊急情報配信サービスが全国展開をされております。

 また、災害時の船舶や沿岸での被災者の通信を確保するためには、携帯電話基地局を船上に開設することも考えられますが、これについては、現在、アンテナ開発等の技術的課題や実用化に向けた課題の洗い出しを行っているところでございます。

 さらに、海上におけるブロードバンド利用を推進するためには、警察等が陸上で利用している画像伝送システム、委員おっしゃられたとおりの画像伝送システムを海上で利用することも有効でありますが、総務省といたしましては、この実現に向けた技術的検討を実施するとともに、インマルサットシステムによる衛星通信の高速化に向けた制度整備を進めているところでございます。

 以上のように、総務省といたしましては、国土交通省等の関係府省と連携をし、海上におけるデジタルデバイドの解消を目的とした新たな無線システム導入のための制度等の取り組みを一層進めていくこととしております。

 今後も、その解消に向けて取り組んでまいりますので、また今後ともの御指導よろしくお願い申し上げます。

伊藤(渉)分科員 新藤大臣のもと、同じ愛知出身の両政務官とともに、諸課題の解決にこれからも全力で取り組んでまいります。

 以上で終わります。ありがとうございました。

うえの主査代理 これにて伊藤渉君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)分科員 後藤でございます。

 大臣、連日お疲れさまでございます。今回のあの二月の豪雪、大臣の御地元も本当に大変な被害があったというふうにお聞きをしています。

 私の山梨も、本当に観測史上初めての大雪ということで、孤立集落や孤立をした御家庭の方というのはほとんどなくなりましたけれども、これから、これも大臣の御地元と同じように、特に農業被害をどういうふうにしていくのか、さらには、その際にどの程度国が再建にサポートしてくれるのかということも大きな課題になってまいります。

 そういう中で、大臣、私つくづく今回思ったのは、ちょうど三年前の三・一一のときには、金曜日のお昼、二時過ぎという形で、大きな地震が起こり、そして今回の豪雪も、十四日の日、途中でやんで首都圏は雨になってしまうというふうな予想もありましたから、各自治体の方も、霞が関もそうかもしれませんけれども、御自宅にお帰りになった方もたくさんいらっしゃると思うんです。

 私の地元も、どの程度かというのはちょっとこれからお尋ねをしていきますけれども、去年も大臣にもお話をさせていただいたように、要するに、緊急参集というものを、自治体、特に、まず一義的には県がどういう参集範囲で対応をしているのか。

 あわせて、これからの農業再建も含めて、地域の再建というのは市町村が当然主体になっていくのは言うまでもありませんから、今回、あの大雪の中で土曜日、日曜日がどういうふうな出勤の体制だったのかというのは、やはりきちっと検証する、何が足らざる部分だったのかということを、大臣、去年もお約束をしていただいて、その後調査をしていただいておりますけれども。

 改めて、どうも、大きな災害というのは、真夜中であるとか土日であるとか、過去の経験から見ると、そういう形のものが多いんですよね。平日の、皆が勤務時間の中でいるというところではなかなかないというのが、この豪雪も含めて、この十年くらいのいろいろな大きな災害、台風も含めて、感じる点なんです。

 ですから、まず内閣府の方にお尋ねをしますが、総務大臣からの御指示もあったというふうに思いますけれども、自治体で、地域防災計画もさることながら、BCPという観点で、大きな災害があったとき、どういうふうにやっていくのか。そして、どの程度自治体が、BCPや地域防災計画を。地域防災計画の方は市町村も含めてほぼ全域で計画はつくっているというふうに去年大臣からお答えをいただいていますけれども、業務がどう継続をしていくのかというのは。

 私の地元は、今回の豪雪でも四日ないし五日、山梨県全体が、東京と結ぶJR中央線もそうですし、中央道も寸断をしてしまった。四日目、五日目からようやく中央道が何とか開通をしたのですが、本当に、食料もコンビニやスーパーからなくなり、ガソリンも、緊急車両でも、また除雪をする重機の燃料さえ滞った地区があるんです。

 そういう部分も含めて、やはり内閣府も、もう一度、今回の豪雪というものも含めて、これは古屋大臣、西村副大臣からも、きちっと検証して今後の対応に生かすという御答弁はいろいろな委員会でいただいていますけれども、改めて、地方自治体のBCPの計画の策定状況と、そして、今回どの程度参集したかという把握をされていれば、その報告も含めて、お願いをしたいというふうに思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 まず、地方公共団体のBCPの策定状況についてということでございますが、消防庁が昨年八月に調査した結果によりますと、これは防災関係でございますけれども、都道府県で約六〇%、市町村で約一三%となってございます。

 内閣府といたしましては、地方公共団体のBCPの策定を促進するために、平成二十二年四月に手引と解説というものを策定し、また、策定支援のために、BCPの意義の理解の促進、あるいは、庁内体制、団体規模別の優良な業務継続計画の事例紹介等の対策を講じておりますが、さらなる進展に向けまして、努力してまいりたいというふうに思っております。

 また、今年度より、市町村を含みます地方公共団体の職員等に対しまして、災害対策全般に関します研修を実施しております。

 また、今回の豪雪に関します、BCPに基づく策定状況ということでございますが、BCPは主に地震を念頭に策定されている公共団体も多いということもございまして、今回の場合は、必ずしもBCPに基づいてということではございませんが、地域防災計画、または、これに基づく実施計画に基づきまして、災害発生時におきます災害対策本部の体制でありますとか、活動内容、配備基準等を定めております。

 これらに基づきまして、特に群馬県、埼玉県、山梨県等、今般の大雪で被害が大きかった各県につきまして、何人参集したかというような数字はまだ把握してございませんけれども、降り始めの段階で待機職員を増強し、また、地域防災計画に基づきまして、大雪警報等の発表に応じて段階的に職員を増強し、体制の配備に移行したというふうに伺っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、災害時にきちんとした体制を組むことは大変重要だと思っておりますので、今後、落ちついた後で、調べてまいりたいというふうに思います。

後藤(斎)分科員 今、統括官がお話しいただいたように、昨年、この場で大臣とも話をして、大臣からも御指示をいただいて、都道府県でいえば、平成二十三年の四割弱のBCPの策定率から、昨年の八月では六割まで上がったと。非常にいいことだと思うんです。

 ただ、やはり、どうしても地震に特化した形のものになり過ぎているのではないかなというのは、実は、今回、感じました。

 今回、特別警報を何で出さなかったのかという議論も一部ありますけれども、確かに、災害というのは、事前に、全ての情報を入手し、全ての人員やいろいろなその周辺の業務環境を整備する、これはできないことだと思います。

 ただ、大臣も、地方自治を所管されている大臣でありますから。

 去年もお話をさせてもらったように、市町村は、仮に今回の豪雪でも、本当に、雪をかき分けながら役場にたどり着いた、市役所にたどり着いた方はたくさんいらっしゃいます。これは首長さん、市町村長の皆さんもそうです。ただ、県という段階になると、特に部長さんや課長さんも、県庁のそばに住んでいる人は本当に少なくて、やはり、遠くから電車で通う、車で通うという形で、これも昨年指摘させていただいたとおりであります。

 ですから、市町村よりも、むしろ県の方が、どういうふうな参集要員の体制をしいて、いち早く、国との連携も含めて、対応をどうつくっていくかということは、本当に、大臣、大切なことだと思うんです。

 ですから、今、内閣府の政策統括官、防災担当統括官からお話をいただいたように、これからいろいろ検討していくということでありますけれども、質問通告してありませんけれども、大臣、御地元のことも考えると、特に都道府県段階のBCPを、地震だけではなくて、この数年間で、こういうふうな、歴史上かつてないとかいろいろな言葉で聞きますけれども、やはりもう一度、内容も含めて見直していくということを、古屋大臣とも連携しながら、ぜひやっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 まず、この災害に対する備えに万全を期す。そして、それを、経験則というのがありますけれども、私たちは想定をする。

 しかし、自然の猛威というのは、想定を超える事態が発生をする。それから、特に昨今の気象、気候変動の影響なのかもしれませんが、これまでに経験したことのないような事象が起きている。

 今回もそうであります。私どもの埼玉でも、平均降雪が十センチ程度のところに九十八センチ降ったわけですから、これは、家も、それからカーポートも、そして、特に農業関係のハウスは、そういった対応を想定していない中で起きて、被害が大きくなりました。

 ですから、こういったものに対して、まずは全政府的にこの復興に支援をする。これは第一義的なもので、既に安倍総理から指令が出ておりますし、私どもも、各省それぞれ連携していこうということであります。鋭意進めております。

 それから、委員がおっしゃっていただきましたように、BCPの策定は、二十三年の四月時点で、都道府県三八%、市町村四%、これが、昨年、二十五年の八月時点で、県は八七%まで持ってこれましたから、そして、市町村でも二七%ということでございまして、一〇〇パーにならなければいけないわけですから、まだ途中でありますけれども、しかし、一定の進捗がある。

 そして、あとは、中身についての御指摘は、そのとおりだと思います。ですから、さらに、この中身、そして必要度というものに応じて対応を考えていく、そういうことをやろうと思っています。

 そして、大切なことは、今回もそうでしたけれども、対策本部ができる、そして、いろいろな連絡をとる、これは重要ですが、それよりも先に現場は動くんですね。

 ですから、実際には、もう十四日金曜日の十二時半に、政府内で緊急対策室が警戒会議というものの中にできました。それから、我々も、消防も、もう金曜日の三時の段階で、各都道府県に、警戒態勢を強化してください、帰宅困難者対策、そして被害状況の把握、そういったものを全部出しているんです。

 一例だけ言いますけれども、二月十五日の十四時二十五分に、山梨県から消防防災ヘリの応援要請をいただきました。そして、四十九分に横浜の消防航空隊が出動して、甲府の古関町というところでありますけれども、精進湖線において、道路が寸断されて孤立している四名を救出しているわけであります。

 今回、亡くなられた方がいて、本当に残念ですし、もったいないことだというふうに思いますが、雪になれていない地域の被害が大きい、こういうことでもあります。

 どんなふうにして亡くなったかというのを一人一人全部私どもも承知をしておりますけれども、孤立状態で亡くなったというよりは、雪になれていないから、屋根の下を歩いていて圧死してしまったとか。埼玉だって、秩父では、大雪の降っていない、もっと平野の加須などというところでも亡くなっているんですよ。

 ですから、そういうような情報を、警戒情報や避難情報というのを徹底するとか、いろいろな反省点があります。もろもろを踏まえて、これは不断の見直しをしていかなくてはいけない、こういうことだと思います。

後藤(斎)分科員 大臣がおっしゃるように、霞が関全ての行政機関も、また自治体も、本当に懸命の努力をしてくれて、これは私も多とします。

 ただ、私は、金曜日まで道路も鉄道も寸断されていたので、先週金曜日にようやく帰ったんですけれども、農家の方の話を聞くと、降り始めの十四日金曜日の十時ぐらいまで、大臣の御地元もハウス栽培している農家がたくさんあると思いますけれども、加温をしていて、雪が積もっていなかった。警戒予報もないし、雨になるみたいな予想に急遽変わって、加温機を切っちゃったんです。それで、朝になって見たら、ぺしゃんこになっていたというふうなことです。

 これは別に気象庁を責めるわけでも何でもないし、大臣がおっしゃったように、できるだけいろいろなものを想定しながら、やはり対策というのは、予防段階、応急段階、復旧復興段階と、それぞれの分野を通っていかなきゃいけないということを、僕は改めて感じています。

 今、そういう、第一ステージから、いわゆる復興、特にハウス栽培の農家の方、全壊した農家の方は、これから、その壊れたハウスのビニールやパイプや支柱の撤去ということをしていく。これも、いろいろなばらばら感があって、私は、ちょっとよくないと思っているんですけれども。

 その中で、今、多分、大臣の方にもいろいろなことで特別交付税の前倒し措置等をやっていただいたことは、市町村から見れば若干ありがたいと思うんですけれども、これも、ある意味では、ちょっと別の言葉で言えば、運転資金の前借りみたいなものですから。

 そうではなくて、除雪に対して、これからちょっと細かな話をしていきますけれども、山梨県でも、県の県道部分が五十五億、市町村部分が三十億という形で除雪をしちゃったわけで、このお金が今度出るかどうかというのが、自治体から見れば、本当に大きな課題であります。

 きょうは、あえてそんなに触れませんけれども。農家の方たちから見ても、ハウスの撤去に三分の一だけ。要するに、三分の二は自己負担しろというのが、緊急対策。まあ第一弾ということなので、これは農水大臣にもくれぐれもお願いしていますけれども。

 一反歩当たり、十アール当たり二百万くらい撤去費用がかかるというふうに大臣もお聞きになっていると思いますけれども、百四十万くらいは自己負担で片づけろ、あとは災害等廃棄物処理事業で環境省の方が見るよと。

 いや、それは違うよ、対象事業を広げて、現行制度であれば、十分の九はきちっと国が負担をしてという、そのくらいのことをやらないと農家の方はみんな諦めちゃうよ、だから、もう一度、関係省庁で連携しながらと、先ほど財務大臣にもくれぐれもお願いをしましたけれども。

 大臣、まず特交について、できるだけ前広にということでやっていただくことは多とするものの、では、きょうは国交省にも来てもらっているので、ちょっと細かな部分に入りますけれども、雪寒事業という形で、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法、雪寒法と言われているものがかなり昔につくられて、この事業の対象になるのは、基本的には、大臣、過去の積雪の五カ年平均が五十センチ以上という大前提がありますが、この地域に指定をされていなければ、特に県道については、まず県道についてお伺いしますけれども、国の支援の対象にならないということで理解をしてよろしいんでしょうか。国交省にお尋ねします。

谷脇政府参考人 今お話がございましたいわゆる雪寒法におきまして、積雪や寒冷が特に甚だしい地域におきまして、特に道路交通の確保が必要であると認められる道路を指定いたしまして、その道路における除雪費用に対して補助を行ってきたところでございます。

 社会資本整備総合交付金、これは都道府県に対する補助でございますけれども、除雪の費用につきましてもこの法律が根拠になっておりますことから、その支出は、同法により指定された路線に限定されるということになってございます。

後藤(斎)分科員 次長、例えば、山梨県で県道の除雪に五十五億かかったと。これは、どうやって、誰が負担をするんですか。

谷脇政府参考人 除雪の費用につきましては、まず都道府県の部分につきましては、通常の予算といたしまして、社会資本整備交付金の配分を行っております。

 その余の部分につきましては、保留をしておりまして、たくさん雪が降りましたときにそれを助成するという仕組みになってございますけれども、今申し上げましたように、これは積雪地域における指定の道路が対象になっているということでございますので、その積雪地域の指定のない部分につきましては、追加的な交付は、今の制度ではできないということになってございます。

後藤(斎)分科員 大臣、だから、雪寒法の対象地域になっていないところは、まず自己負担しなさいと。要するに、雪寒法の対象になっていれば、三分の二は、政令で定める部分で国が費用補助をするというたてつけになっているようなんです。

 これは、大臣に細かな点を聞くのは申しわけないので、佐藤局長にお尋ねしますけれども、では、県の、例えば県道の五十五億は、全て特交で負担できるんですか。

佐藤政府参考人 特別交付税は、普通交付税の基準財政需要額の算定によっては捕捉されなかった特別の財政需要があるということに着目して交付をいたしております。

 この特別の財政需要というのは、地方団体ごとにさまざまなものがありますが、一般的に申し上げますと、そうした事業を実施するかどうか、あるいは、どういうやり方をするかというのは、地方団体の判断によるところが大きいと思います。

 したがって、こうしたものに特別交付税措置をする場合には、全額を措置するということはしておりませんで、対象となる財政需要の一部を措置するということにしております。

 除排雪経費につきましても、特交の算定に当たりまして、対象経費を広範囲に捉えています。これは、道路の除排雪に限らず、公共施設の除排雪でありますとか、さらには、高齢者の雪おろしに対する支援、こういったものも除排雪経費として対象に捉えております。

 あるいは、地方団体ごとに、除雪の基準が違う、出動の基準ですとか、そういうものが違うということもあります。

 そうしたことから考えますと、やはり地方団体の判断の違いという部分が大きいものでありますから、この除排雪経費についても、対象経費の全額を措置するということにはしておりません。

 もう少し具体的に申し上げますと、標準的に必要となる経費については普通交付税で算定をしておりまして、大体通常はこれで足りるんですが、豪雪なんかの場合に、これを実所要額が超える場合があります。ここの部分を特交で対象にして措置をいたしておりますが、今までは、この超える額の二分の一を措置するということを基本にしてまいりました。

 大体、豪雪のときもこういったやり方で対応してきたのですけれども、今回の特徴として、通常積雪が極めて少ない地域に多くの雪が降ったということが特徴でありまして、おっしゃった山梨でありますとか埼玉でありますとかそういった団体は、普通交付税で措置されている額が極めて少額になっています。

 したがって、今までのようなやり方でやった場合に、果たしてその必要となる額に対して十分な財政措置となるかどうかということについては、検討の余地があるというふうに我々考えておりますので、特に関東甲信の大雪に見舞われた団体から実情をよくお伺いして、支障が生じないように、三月分の特別交付税で適切に対応したいと考えております。

後藤(斎)分科員 国交省の方に重ねてお尋ねをしたいんですが、例えば市町村道の除雪の補助については、雪寒法の対象ではなくて、二年前の北海道の大雪対策のときの関係閣僚会議の資料を拝見させていただくと、臨時特例措置という形で、基本的には、市町村道の部分については、これも社会資本整備総合交付金なのかどうかは別としても、国交省の方でサポート、支援していますよね。

 例えば、今回、県道の部分も、臨時特例措置という形で補助の対象にはなるんですか。

谷脇政府参考人 市町村道の除雪費につきましては、今お話が出ておりました交付税の関係で措置されるという部分があるわけでございますけれども、国土交通省といたしましては、全国的な豪雪の年で地方財政措置だけでは間に合わないような場合には、幹線市町村道の除雪費について臨時特例の措置を講じてきたところでございます。

 今までは市町村道について講じてきておるということで、県道については、講じてきてはおりません。

後藤(斎)分科員 では、先ほど山梨の事例で、これは、大臣、大変恐縮で、埼玉も同じだと思うんですけれども、三十億の市町村道の除雪経費は、平成二十四年二月二十一日の大雪対策関係閣僚会議で決められたと同じように、基本的には、臨時特例措置で市町村道の除雪費用三十億は対応ができるんですか。

    〔うえの主査代理退席、主査着席〕

谷脇政府参考人 市町村への特例措置につきましては、先ほど申し上げましたように、全国的な豪雪の年で地方財政措置だけでは間に合わないような場合に臨時特例措置ということで講じてきたということでございまして、そういう要件に当たるのかどうかという部分につきましては、関係機関等との関係もございまして、これから検討させていただくということでございます。

後藤(斎)分科員 大臣、お聞きいただいているように、やはり、過去の部分、通常ベースだとなかなか対応がしにくいというのはあると思います。特にたくさん雪が降る地域については、基本的には、雪寒法に基づいて、社会資本整備総合交付金で三分の二をきちっと国が費用負担をするという仕組みもありますけれども、佐藤局長にお答えをいただいたように、いやいや、特交の対象になるけれども全額じゃないんだよというふうなことで、何か、どこが行ったり来たりかというのが、正直言って、僕はよくわからなくなっちゃった、きのう話を聞いて。

 総務大臣も、新藤大臣も、いち早く、特交でやるから任せておけというふうにおっしゃられましたし、総理も、除雪経費、特交の繰り上げ交付の措置も含めてしっかりと支援をしていくというふうにお答えになっています。

 ですから、これは道路局の谷脇さんにもう一度お尋ねをしますが、例えば、県道の除雪費用も、市町村道と同じように、特例措置を講じて経費が国から一定程度支援できるということは、関係閣僚が合意すればできるんでしょうか。教えてください。

谷脇政府参考人 県道につきましては、申し上げておりますように、これまで特例措置の対象としておりませんけれども、他の制度との関係あるいは財源等々の関係も含めまして、今後の検討課題であるというふうには考えております。

後藤(斎)分科員 では、ちょっと視点を変えますけれども、大臣、地方自治体から見れば、県にしても市町村にしても、何々省からという、例えば、総務省から全額出るのか、費用負担が出るのか、国交省から出るのかという、霞が関の出口というのは余り関係ないわけです。

 ですから、総務大臣、これはぜひ関係閣僚が合意の上できちっとした対策を講じてもらわないと、先ほど佐藤局長が答えていたように、特交でも全ての経費負担が出ないということは、逆に言えば、県や市町村の自主財源の中から負担を、ある意味では当然の部分もあるかもしれませんが、通常でも、市町村は、埼玉は裕福かもしれませんけれども、山梨のようにローカルになると、非常に財政事情は厳しい。ですから、大臣のところにも、この間、少し落ちついてきた部分以降、やはり、きちっとした財源確保をしてくれ、財政措置を講じてくれという要望がいっぱいあると思うんですよ。

 ですから、これは大臣がお答えになる前に佐藤局長にもう一度お尋ねをしますが、例えば、山梨県でいえば、仮に特交だけでやるとしたら、県道の五十億の部分で、どの程度特交が現状の仕組みだと出ていくのか、市町村道の三十億については、現状の仕組みだと市町村にどのくらいの特交としての繰り入れが新たにできるのか、その点について教えていただけますか。

佐藤政府参考人 詳細は今後の算定になりますが、先ほど私は、県分について中心に申し上げました。おっしゃるように、県で除雪費が五十五億円かかるとすると、山梨県の場合は、普通交付税に算入されている部分は大変少ない、数億円だというふうに聞いておりますので、この五十五億円の約二分の一が特別交付税による手当てということに、機械的に言えば、そういうことになります。

 それから、市町村について申し上げますと、市町村は、県分よりは少し手厚い措置を従来から講じておりまして、基本的な構造として、普通交付税で見ていない、それを超えたところの半分を見るという構図は同じですが、普通交付税で算定した額を超えたところの二分の一を特別交付税で手当てをするという構図は同じですが、やはり、団体によって全て見切れないところが非常に大きくなるという場合が、豪雪のときなんかは出てきます。

 したがって、最低でも、全体の実所要額に対して七五%までは見る、普通交付税と特別交付税を合わせて全体の七五%までは見るというふうな手当てもいたしております。

後藤(斎)分科員 大臣、そういう意味で、埼玉はもっと数字が多いかもしれませんが、山梨県の県分、特に県道の除雪費用が中心と聞いていますけれども、五十五億のうち半分は特交で面倒を見るということですから、二十二・五億は自分たちで、県の中でがらがらしてかき集めるということになるわけですね。

 市町村のトータルで約三十億というのは現時点で把握がされているようでありますけれども、七五%ですから、二十五億ですかは特交、普通交付税で手当てするけれども、二五%は自前で、ほかのところから集めてきて、除雪機で雪かきをした業者さんにお支払いをするということになるわけですよね。

 だから、この部分が、初めは、市町村長の皆さんも含めて、基本的には国が、全額と言っていいかどうかは別としても、かなりの部分を支援してくれるというのが、前提に、多分頭にあったと思うんです。ですから、今、県も市町村も、雪かきをして、ここのところ、きょうも、少しずつ暖かくなってきていますけれども、もう何かかなり昔のことのようになってしまった部分もあるんですけれども、それでは県も市町村も財源的にもたないという事態がやはり起こりつつあるわけです。

 ですから、国交省の谷脇次長に改めてもう一度お尋ねをしますけれども、市町村道の除雪経費、少なくとも、山梨でいえば、三十億部分については臨時特例措置というものにしていただいて、臨時特例措置が半分なのか三分の二なのかは別としても、国交省としても、補助金できちっと支えるというふうなことで、ぜひ、大臣も含めて、検討していただいて、関係閣僚会議できちっとした前向きな形で御提示をしていただきたいと思いますけれども、その点については、いかがですか。

谷脇政府参考人 市町村への特例措置につきましては、先ほど申し上げましたけれども、いろいろな要件等々ございますので、関係機関と調整をして、ちょっと検討させていただきたいというふうに思っております。

後藤(斎)分科員 谷脇さん、要件要件と言うんだけれども、ちょっと要件を具体的に教えてもらえますか。どういう要件ですか。

谷脇政府参考人 特例措置の適用につきましては、具体的な数字はちょっとあれでございますけれども、雪の降り方が、全国的に通常と違う形でたくさん降ったという場合、まさに、考え方といたしましては、交付税の対応で十分にできないというような、かなり広がりを持ったところで出たような場合に今まで適用してきたということがございます。

後藤(斎)分科員 さっき大臣も御地元の埼玉の部分でお触れいただいたし、私も言っているように、だって、谷脇次長、観測史上初めての豪雪であったという事実は、誰も否定していないわけですよ。

 であれば、もう既にその時点で、広域性もあり、今次長がおっしゃった部分でいえば、特例措置の基準が何かむにゃむにゃとあるんだけれども、基準に当てはまると言ってくれれば、市町村は少なくとも、二五%部分の一部についてか全てかは別としても、対応が可能になるというふうに、少しでも安心できるじゃないですか。

 その点、はいと言ってください。

谷脇政府参考人 市町村の臨時特例措置につきましては、全国的な豪雪の年で地方財政措置だけでは間に合わないような場合に特例的に措置を講じてきたということでございますので、今回の状況がそれに当たるのかどうかという部分につきましては、これから検討させていただきたいというふうに思っております。

後藤(斎)分科員 次長、これから検討はいいんですけれども、先ほど佐藤局長からも答弁いただいたように、通常でない部分で、特交の部分をこれから総務省でも考えてくれるということも含めてなんですけれども、通常であれば、除雪費は、普通交付税においても、担保というか、基準財政需要の中に入っている。

 今回みたいに、急にたくさん雪が降って、除雪しなければまず生活できないわけですから、それについて、通常、例えば今回十億円かかって、普通交付税の措置で一億円あったとすると、九億円は、まず事業者にその除雪費用を出さなきゃいけないわけですよ。

 多分、そういう市町村が、十億なのか一億なのか数字は別としても、当然たくさんあるという前提で、これが何百市町村かは別としても、通常の財政需要を上回ったものがこの一週間で急に出てきたということについては、谷脇次長、誰も異論はないじゃないですか。

 関係機関とのという、関係というのは、どこの機関と相談して最終的にお決めになるんですか。関係閣僚会議ですか、それとも閣議で決めるんですか、それとも国交大臣がお決めになれるんですか。それも含めて、改めて、ちょっと御答弁いただけますか。

谷脇政府参考人 市町村への除雪費の臨時特例措置につきましては、そもそも、考え方といたしまして、除雪の費用というのは、それぞれの市町村で通常は支出をしていただくところにつきまして、通常市町村がやる部分についての普通交付税でございますとか、特に難しい場合の特別交付税という、全体の交付税のいろいろな用意がある中で、交付税の措置として、どうしても交付税の全体のボリュームとして対応できないというような場合、それを超えるような全国的な豪雪の年で、広い意味での地方財政措置だけで間に合わないような場合に国交省で臨時特例の措置を講じてきた、今までの考え方はこういうことでございますので、そこら辺を含めまして検討させていただきたいというふうに申し上げているところでございます。

後藤(斎)分科員 佐藤局長、先ほど局長にお答えいただいたように、通常であれば、この山梨のケースでいえば、県負担分、県の除雪費用の二分の一が特交で対応ができる。市町村でいえば七五%まで。

 だから、谷脇次長、県も半分しか特交で対応できない、市町村も最大で七五%しか普通交付税、特交で見切れないということだから、改めて二つだけ要請をしておきたいと思います。

 一つは、十分でない、特に除雪費用が通常の年に比べれば高額になっている県道も含めて、臨時特例措置について適用が可能かどうか整理をしていただきたい。

 もう一点は、市町村道の除雪費用の補助については、必ず臨時特例措置に入れ込んでもらいたい。

 これについて強く要望しますので、ぜひもう一度、端的でいいから、お答えいただけますか。

谷脇政府参考人 市町村の部分につきましては、今申し上げましたように、この要件との関係について検討させていただきます。

 また、県道につきましては、御指摘のように、今まで特例対象としたことはございませんけれども、他の制度との関係とか財源等々の問題も含めまして、今後の検討課題であるというふうには認識しております。

後藤(斎)分科員 大臣、地元のスタンスからいえば、大臣も、今お聞きをいただいて、えっ、本当かみたいなことを多分お感じになっても、沈着冷静な大臣ですから表情にはお出になりませんけれども、やはり自治体から見れば、実はちょっと困ったなと思い始めて、慌てていると思うんです。

 数億なのか数十億なのかは別としても、やはりそれぞれの自治体にとってみれば、全然想定をしていないものが経費として発生をして、それは当然のことながら、生活をきちっと一日でも早くという形で対応せざるを得なかったということについては、大臣、これも、誰も異論はないと思うんです。

 ただ、現状の仕組みだと、県道については、先ほど佐藤局長から御答弁をいただいたように、大体二分の一までしか特交でも費用負担はできない。そして、市町村道については七五%。それに国交省の社会資本整備総合交付金を上手に組み合わせれば、自治体の負担というのは低減をするし、当然、先ほども繰り返しお話ししているように、これはもちろん、釈迦に説法で大変申しわけありませんけれども、県や市町村から見れば、国交省からその費用負担が出ようが、総務省が全額出してくれようが、農水省だの環境省だの、そこは問わないと思うんです。

 ですから、当然法律の枠内ではありますけれども、特交というこの仕組みを鑑みたときに、幾つかの要件が書いてありますけれども、少なくとも、特交の、現在の省令における、除排雪に要する経費が多額であるという一行が、普通交付税による措置の額を超える経費についての算定という大きな枠と法律の枠の中で私はできると思うので、ここについては、局長が御答弁したものは現行の制度だと思うので、ぜひ、局長たちにも、よく大臣からも指示をしていただいて。

 交付税で全額見てくれるのなら、それはそれでいいと思うんです。でも、国交省の仕組みもあるのであれば、そこは、冒頭申し上げたように、非常時だという前提が、少なくとも一週間あったわけですから、災害対策本部が十八日、議論の一方で、おくれたかどうかというのはありますけれども、それはともかくとしても、国がきちっとサポートするというのは、これは、自治体にとっても非常に待ち望んでいることでありますし、総理や大臣たちが、繰り返し、特交でもちゃんとやるから心配せずにやれよとおっしゃってきたわけですから、その点について、大臣、特交の話と特例措置も含めて、国交省の交付金を踏まえて、制度をうまくかみ合わせて、きちっと、自治体に大きな緊急の負担増にならないように、ぜひ、閣議での発言も含めて、対応をやっていただきたいと思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 委員は、そもそも、国の制度の仕組みは熟知されているわけですから、今、その中で、当然答えも予測されて質問していただいているんだと思います。そういう中で、では制度を今回の場合に対応させるためにはどういう工夫が必要か、さまざまなヒントを出していただいているんだと思います。

 現行の制度があります。それから、臨時異例の措置、さらに、想定を超える場合での、ある程度の、ショックアブソーバーといいますか、そういう受け入れは、制度、措置があるわけですね。まさに、特交なんというのはそういうものになるわけなんですけれども。

 それでも賄い切れない事態が起きたときにどう対応していくのか。これは、今度の大雪だけではなくて、この間は竜巻がありましたし、それから、集中豪雨といいますか、経験したことのないような雨が降る、またゲリラ豪雨、いろいろなものがありますね。ですから、そういうものに対して、より柔軟に対応できるような仕組みというのを考えなきゃいけないというふうに思います。

 これまで災害に遭われた方々にどういう対応をしてきたか、それから、こういうふうに世の中の事象が変わっていくことでどう対応したらいいか、私どももそれは知恵を出したいと思っていますし、これは全政府的にやろうじゃないかということで総理も官房長官も明言されておりますから、つまるところ、自治体の財政運営に支障の出ないようにしなければいけない、できる限りの支援措置を組みたい、我々は、このように思っております。

 一方で、それは、制限があること。そもそもが、財政の枠の中のことでもありますから、そこが悩ましいところでありますけれども、委員の趣旨はよく私も理解をしておりますし、最終的に、幾ら役所の人たちに言っても、現行制度を超える、のりを越えることはできないわけですから、そこはやはり、政治の役割は重いんだと思っております。

 いろいろな知恵を出してもらえるように、我々もいろいろ研究しながら工夫していきたい、このように思います。

後藤(斎)分科員 それと、もう一点。大臣、最後にしますけれども、今のような、いろいろな、それぞれの関係省庁、財源措置も含めて、制度というものがあります。これは、冒頭申し上げたように、農業災害もしかりであります。

 確かに、農林水産省がメーンになって国の支援制度を形づくっている、これはもちろん当たり前のことなんですが、環境省でも、違った仕組みですけれども、同じような仕組みがある。

 二十四年の大雪のときもそうでしたけれども、まず、大臣のお立場であれば、県や市町村にどういう再建のメニューがあるのか、そして、それを支える財源は、どういう財源が。今のような雪寒法に基づくもの、基づかないもの。大臣がおっしゃったように、臨時特例措置という形で最後は関係閣僚会議で合意をされているわけです。そういうことも含めて、これは早目に。

 大臣の御地元もそうでしょうが、ビニールハウス、農家の皆さんは、少なくとも秋作には間に合わせたいということで、もう撤去を始めているわけです。それが、三分の一しか農林省から補助金が出ないということになると、農家の方は、あのきのうの新聞を見たら、やはりもうやめようかと、撤去費用が一反歩で百四十万かかるなどということはできぬと。そういうことを大臣は多分お聞きになっていると思うんです。

 だから、その災害廃棄物処理事業みたいな、環境省の十分の九みたいなものもうまくメニューとして、早目に、市町村や農家の方、中小農家も含めて、こう対応できるよと、残余は、この部分しかできないもの、ここまでできるものという整理をしながら、どうしてもそれで対応できないものは雪寒法の改正も、私は、農業災害については、口蹄疫と同じように特別法をつくるべきだと思って今準備をしていますけれども、そういうことも含めて、行政でまずやっていただけること、これは、法律のいろいろな制約があるのであれば、法律改正も含めてやっていくんだという強い意思がなければ、先ほど大臣がおっしゃられた、これは雪だけじゃありません、竜巻もゲリラ豪雨も、全ての災害というものはそういうものだという前提で対応していかなければ、そして、その中で、市町村や県から見れば多分一番使い勝手がいいという特交という切り札が、確かに、どこまでという限度はあるにしても、ぜひそこは、政府がまとめて、早くメニューをつくって、市町村や農家の方、一番苦しいところに対してきちっとバックアップできるよということを、大臣、最後に、必ず政府全体でやるということを明言していただきたいと思うんです。いかがでしょうか。

新藤国務大臣 これは、まず実態を把握すること、それから、事情をお聞きして、その中でどのようなメニューがあるのか、こういうことを整理しなきゃいけないと思います。

 それは、あわせて、公的な支援だけではなくて、共済もあると思いますね。それから、保険のこともあると思います。融資もあると思います。いろいろな、さまざまな観点から、総合的な支援メニューというものをつくり出す必要があるだろう、このように思います。

 うちの方も既に、自治体等の事情はそれぞれ、我々が聞くよりも先に、必要性の高いところからどんどんと御連絡をいただいておるわけでありますから、そういうようなものを踏まえながら、そして、委員が今御心配いただいているような趣旨は、これは最終的にはやはり政治が非常にリーダーシップをとらなきゃいけない分野でもあると思いますから、そこは、先ほども申し上げましたけれども、全政府として、検討し、知恵を出して、前向きに取り組んでいきたい、このように考えます。

後藤(斎)分科員 済みません、あと一分で終わりますけれども。

 大臣、実は農業共済も、共済にまず加入しなければ対象に当然ならない。園芸施設共済についても果樹共済についても、加入率は、基本的にはそんなに高くない。

 そういう前提の中で、仮に入っていたとしても、例えば、去年ハウスを一反歩つくって、一千万かかるわけですが、それが壊れても百六十万くらいしか出ないということ。農水省、今の共済事業は、そこが限度なんです。ですから、片づける費用しかない。再建に向ける費用というのはないんです。

 当然、資本主義の国ですから、最後は自己責任なのかもしれませんけれども、では、一反歩に一千万かけて再建をするなどというのは、よっぽど若くて、すぐれたブランド力を持った農家ということでない限りは、そんな簡単に、再建へ向けて努力しようなどということはないんです。

 現状的に言えば、農家、もちろん、みずからの自己責任もあるかもしれませんけれども、農済にも加入をしていなかった、ただ、地域の基幹産業だし、やはりもう一度頑張っていこうという意欲のある人は今でもいるんです。でも、対策がどんどんどんどん遅くなっていけば、そのやる気もそがれて、結局は、ぺしゃんこになったハウスと、ビニールとパイプがそのままそこに残っていくということになっては、大臣、地域の元気にならないじゃないですか。

 だから、それについて、ぜひ大臣、最大限、今おっしゃっていただいたように、政府全体として、今までの通常の制度ではなくて、臨時特例だという意識でもう一度頑張っていただきたいことをお願いして、一言で結構ですから、頑張りますというふうに言ってください。

新藤国務大臣 問題意識は共有しております。

後藤(斎)分科員 終わります。

 ありがとうございます。

上杉主査 これにて後藤斎君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、新藤総務大臣に初めて質問をいたします。よろしくお願いをいたします。

 東日本大震災と原発事故から間もなく三年目を迎えようとしております。

 私も東北ですので、震災翌日、岩手県庁の対策本部に激励に行ってから、ずっと被災地を歩いております。あのときの県庁は大変な混乱ぶりでありまして、既に海上保安庁など国の多数の機関も詰めておりました。また、当初は、市町村との連絡がとれない中、救助に派遣されている自衛隊からの連絡が唯一の連絡だった、そういうところを見てまいりました。

 県、市町村の職員の皆さんも、大きな犠牲を出し、また、みずからも被災しながら、住民と行政の間で大変な苦労をされてきたことに、心から敬意を表したいと思います。

 もちろん、それは国家公務員においても同じであります。きょうは、ここに光を当てて、審議を進めたいと思います。

 まず、国と地方で、どれくらいの公務員がこの震災と原発事故で亡くなられたのか。また、その後の、療養生活に入ったとか、あるいは、残念ながら自殺などもありましたけれども、関連死など、把握されている状況をお答えください。

井上政府参考人 お答えいたします。

 人事院が平成二十四年六月十二日現在で把握しております、東日本大震災を原因として公務上の災害及び通勤による災害と認定された一般職の国家公務員は三十七人であり、そのうち、死亡者の数は十一人というふうになっております。

 なお、いわゆる関連死につきましては、人事院では把握をいたしておりません。

伊藤大臣政務官 お答えを申し上げます。

 岩手県、宮城県及び福島県の県職員及び市町村職員のうち、東日本大震災により死亡または行方不明となった常勤職員の人数は、総務省で調査をさせていただきましたところ、岩手県が百二十七名、宮城県が百四十八名、福島県が十六名と承知をいたしております。

 なお、震災以降の関連死の人数につきましては、承知をしておらないところでございます。

 以上でございます。

高橋(千)分科員 関連死ということが、その後も随分議論になっております。きょうは、きのうのきょうですので、数字が出てくるとは思っておらなかったんです。ぜひ、このことに注目していってみていただけるかということで、一点だけお約束いただけるでしょうか。

伊藤大臣政務官 ただいま委員の御指摘いただきましたことにつきましても、今後注意をしてまいりたいと思っております。

高橋(千)分科員 ありがとうございます。

 今いただいた数字について、資料の一枚目に国家公務員、それから、二枚目に地方の数字をつけておきました。

 今、労災認定という形でしかわかる数字がないということですので、もしかしたらもっとあるかもしれないわけですけれども、二百八十人を超す犠牲が被災三県を越えてあったということでありまして、本当に痛ましいことではないかなと思っています。

 きょうは厚労省にも来ていただいているんですけれども、民間の労災については、震災後、手続を簡素化するということで、通知を何度か出してきたと思うんですけれども、簡潔に、その趣旨と、それから実態を伺いたいと思います。

安藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 東日本大震災で被災された方に対する労災保険給付につきましては、資料の散逸や事業場の閉鎖などによりまして、通常に比べ労災請求に困難が伴う中で、請求書の受け付けから支給決定までの事務を迅速に行う必要がございました。このため、都道府県労働局に対しまして、適切な事務処理について指示したところでございます。

 主なものを申し上げますと、請求につきましては、平成二十三年三月十一日付で、請求書における事業主証明や診療担当者の証明が受けられない場合においては、これらの証明がなくとも請求書を受理することを指示いたしました。

 また、労災認定のための事務処理に際しましては、通常さまざまな資料の提出を求めているところでございますが、平成二十三年三月二十四日付で、通常の事務処理で予定しております、例えば賃金台帳などの資料を収集することができない場合には、家計簿や預貯金の通帳などの代替資料を収集すること、また、代替資料が収集できない場合であっても、関係者から聴取するなどの方法によりまして調査を行って業務上外の判断を行うこと、これを指示したところでございます。

 なお、請求手続に関する取り扱いにつきましては、阪神・淡路大震災の際にも、同様の取り扱いをしてまいりました。

 以上でございます。

高橋(千)分科員 同様の趣旨で、公務災害についてはどのような便宜を図られたのか、伺います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 人事院におきましては、平成二十三年四月に各府省等に通知を発出いたしました。その中で公務上の災害の考え方や公務上の災害となる事例を示し、各府省等において東日本大震災で被災した職員の公務上の災害等の認定事務が迅速かつ適切に行われるよう促したところでございます。

三輪政府参考人 地方公務員についてお答え申し上げます。

 地方公務員につきましては、地方公務員災害補償基金におきまして、平成二十三年四月に各支部に通知を発出いたしまして、その中で公務上の災害の考え方あるいは公務上の災害となる事例を示し、各支部において東日本大震災で被災した職員の公務上の災害等の認定事務が迅速かつ適切に行われるよう促したところでございます。

 以上でございます。

高橋(千)分科員 次に、特殊公務災害という分類がありますけれども、これはどのような概念なのか、また、今回の大震災で、特殊公務災害は、どのように扱われて、認定数がどのようになったのか、伺います。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 特殊公務災害とは、消防職員や警察職員など政令で定める職員が、その生命または身体に対し高度な危険が予測される状況のもとにおいて、職務に従事し、被災をした場合に、補償額を加算するという制度でございます。

 この加算制度の趣旨でございますけれども、警察官、消防吏員等は、任務の遂行に当たりまして高度の危険を伴うものでありますけれども、その職責上、みずからの生命身体に高度の危険が予測されるにもかかわらず、あえて職務を遂行しなければならないというものでございます。

 したがいまして、当該職員に対しましてこのような職責を課した使用者たる地方公共団体は、当該職員が安んじてその職務を遂行できるよう、特別の公務についての災害補償の額のかさ上げを行おうとするものでございます。

 また、東日本大震災についての認定等の状況のお尋ねでございます。

 地方公務員災害補償基金に確認しております数字でございますけれども、今回の大震災によります公務災害の認定件数は、平成二十五年十二月三十一日時点で三百六件、このうち、特殊公務災害の申請件数は百四十五件、特殊公務災害の該当件数につきましては、支部審査会を経たものも含めまして三十九件となっているところでございます。

 以上でございます。

高橋(千)分科員 今、三十九件と最後に数字をいただいたのは、私、資料の二枚目につけておいたものよりも数字がふえているということで理解してよろしいのかなと思っています。

 今読んでいただいた地方公務員の特殊公務災害等の関連条文、これは資料の一枚目につけておいたんですけれども、「その生命又は身体に対する高度の危険が予測される状況の下において、犯罪の捜査、火災の鎮圧その他の政令で定める職務に従事し、そのため公務上の災害を受けた場合」。これは、私はよく理解できるところであります。

 今おっしゃったとおりだと思います。本当に命を失う覚悟を持ちつつも職責を果たさなければならない、そうした公務に対しての加算であるという説明でございました。

 ただ、同時に、ここは、この条文には書いていないんだけれども、当然、震災、天災、そうしたものも読んでいるということですよね。それでさっき言ったような数字が出てきたと思うんですけれども。

 そこの関連性について、一言説明いただけますか。

三輪政府参考人 御説明申し上げます。

 地方公務員災害補償法に基づきまして行っている仕組みでございますけれども、具体的にその中身が、政令等において定められておるところでございます。

 その中におきまして、警察官あるいは消防吏員あるいは災害対策の応急従事職員、こういった方につきまして、天災の発生時における人命救助その他の被害の防御といったような規定がございまして、こういうところで読み込まれる、整理をされるという理解でございます。

高橋(千)分科員 応急従事職員ということで、政令に書いてあると説明があったと思います。そのことが争いになっている事例でございます、これからお話しするのは。

 仙台市で特殊公務労災を申請して、今中央基金で再審査を行っている大友純平さんという方の御両親がいらっしゃいます。これは、実は、資料の最後に、大臣、ぜひ読んでいただきたくて、つけておきました。

 河北新報が、地元紙ですが、七月七日付で、これは特集記事で載せているんですけれども、あらあらお話をしますと、仙台市若林区役所勤務の方で、三十八歳、市の広報車で避難誘導をするために荒浜に向かい、犠牲になりました。震災発生から四十九日目、海岸から約一・五キロ内陸の、南長沼周辺で発見されたのです。

 この方は、十四時五十九分、十メートルの津波警報が出た後で出動を命じられています。十五分後です。ラジオを聞きながら行きなさい、地図が新聞に載っていますね、県道塩釜亘理線より東側には行くなと。つまり、津波が高いのが来るだろうということの上司の指示を受けたわけです。それで、広報車に乗って出動したわけですけれども、当然のことながら、どこで被災したかというのは、詳細なところまではわかりません。でも、消防車の方たちとか、市の広報車を見たという方は何人もいらっしゃいます。

 その中で、地公災が判断をしたのは、今やりとりしたことなんですよ。

 高度の危険が予測される状況ではないんだ、また、そういう業務じゃない、つまり、もともと危険を顧みずやるという仕事ではないんだ、だって、ラジオを聞いて行けと言ったんだからと、そういう裁決なんですね。

 私は、本当にこれでいいんだろうかと。さっき言ったように、天災などの発生時における人命救助のための応急従事、それでいいじゃないかと思うんですね。

 現場や情報も混乱していました。避難を呼びかけるという最善の行動を起こした結果です。そのまま評価する、そういう考え方でよろしいんじゃないでしょうか。大臣、お願いします。

新藤国務大臣 まず、高橋委員から初めて御質問をお受けするということを大変光栄に思っております、田村厚労大臣からお話はよく伺っておりまして、大変いい人だとおっしゃっておりましたから。しかも熱心な活動をしていただいていることに、敬意を表したいと思います。

 その上で、これは大事なことなので、少しきちんと答弁させていただきたいと思います。

 特殊公務災害とは、例えば消防職員や災害応急対策従事職員などが、その生命または身体に対し高度な危険が予測される状況下において、天災等の発生時における人命の救助その他の被害の防御というような職務に従事し、そのため公務上の災害を受けた場合、補償の額をかさ上げするという、地方公務員災害補償法に基づく制度で、当該職員が安んじてその職務を遂行できるようにしようとするものである。こういう趣旨がございます。

 そして、この地方公務員災害補償基金が御判断をされることであります。それは適切な判断が必要だ、このように思いますけれども、一般論でありますが、今お尋ねのケースがこういったものに該当するかどうかは、法令の趣旨に沿って適切な判断が求められている、このように考えております。

高橋(千)分科員 個別で聞きますと、どうしてもそういう答えになってしまうんだと思うんですね。

 昭和四十七年の、特殊公務災害についての国会答弁がございます。

 目の前の学校に火災がある、あるいは洪水時に子供が川に落ちたというのを目撃した場合、人情としては、公務員であろうと一般人であろうと水の中に飛び込んで子供を助けたい、その気持ちはだれも同じであろうと存じます。そこに飛び込んで助けなければならないという職責を持っているのが、消防吏員であり、警察吏員である。土木職員であれば、人情として、飛び込みたい気持ちは十分あり、また、飛び込んで助けてくれれば大変な善行であることには間違いないと思いますけれども、職責としてそういうものを持っていない。

 こういう答弁をしているのを基金側は言っているわけなんですね。

 だけれども、結局、飛び込んだわけですよね。そのときに、その人が消防団員だったか、先生だったか、子供の命を救うために飛び込んだ先生だったか、そこに違いがあるんだろうかということが問われていると思うんです。

 現実に、実は、宮城県の支部審査会、つまり、この方は仙台市ですので、宮城県の方は、支部長の決定を公務外から内に逆転認定しているのが、二十二件中二十一件です。つまり、認めているんです。同じようなケースなんですよ。そこをちゃんと見ないと、おかしなことになっちゃうんです。

 大友さんの両親によれば、息子さんは、三・一一の二日前にチリ津波がありましたよね、あのときに、もしこんなことがあったら自分は家のことは振り返られないからと話したといいます。そして、もし自分にそういうことがあっても理解してほしいとおっしゃったそうです。まさか二日後にそれが現実のものになるとは思っていなかったわけです。

 正義感の強い人でもあり、公務員としてそういう覚悟をしていたということです。そこを認めてほしいというだけで、誰も責めているんじゃないんですね。正当に、危険を顧みず職責を果たしたということを認めてほしいと。

 南三陸の遠藤未希さんとか、随分話題になりました。これは単なる美談にしてはだめだと思うんです。大臣の率直な思いを聞きたいと思います。

新藤国務大臣 そういうお話を聞きますと、本当に胸が痛みます。そして、私もそういったケースというものを幾つか知っておりますから、まことにこれは心が痛むわけであります。

 大切なことは、やはり、そういう思いをたくさんの人が伝えてあげることだと思います。

 制度にのっとっての判断というのは、判断権者がおりますから、その人たちが適切に判断をなされるわけであります。しかし、今議員が言っていただいているように、私も含めてでありますけれども、人のために頑張った、命を賭して職務を遂行しようとした、そういう人たちの思いというものをきちんと伝えて、状況を説明すること、それが適切な判断につながっていくものだ、私は、このように考えております。

高橋(千)分科員 今、特殊公務災害とは何たるやということを、そのものずばりを変えなくても、今言った現場の判断、そして、本当に命をかけて頑張った方たちを考慮するということを政府の意思として示すだけでいいんじゃないか、私は、今、そのことを聞いています。現実に、それで宮城県支部では却下して認定しているんですから、おかしな話なんですよ。

 もっとおかしな話を言いますと、仙台支部が認めていないけれども、充て職ですから支部長は仙台市長ですけれども、仙台市長は、認めたくないと言っているわけじゃないんですよ。頭を下げて、本当に申しわけなかったと言っているのです。これは若林区ですので、区長さんは、みんな私の責任ですと訴えて、早く見つけてあげてほしいと、沼の水を全部抜かせてあげた。それが区長がやったことです。

 特殊公務災害を申請しなさいと言ってくれたのは、区役所の人たちなんですね。何度も今も花を手向けに来る直接の上司が、決まればいいと、特殊公務災害と認めてくれればいいと言ってくれているんですよ。

 だから、誰も争っていないというか、誰も望まない争いをしているんですよ。そういうことをきちんと整理していただいて、こういうケースを、検討するとか、考慮に値するとか、一言おっしゃってくださってもいいのではないか。

新藤国務大臣 先生からこの御質問をいただいておりますので、私も事実関係を少し把握しておりますけれども、この地方公務員災害補償基金宮城県支部審査会、これは、宮城県支部において支部長が非該当とした二十二件のうち、宮城県支部審査会において二十一件が該当になった、こういう事実があるわけですね。

 まさにそれこそが、制度として、支部長は規定されたルールに従って第一義的な判断を行った、しかし、それを超えて、支部審査会が、学識経験者なども含めて、また、さまざまな事情も加味して判断を行っている。私は、そういう制度がうまく動いた例だ、このように思うんです。

 誰もが、わざわざ、いわばしゃくし定規な、小さな判断をしたいわけがありません。でも、それは、やはりルールにのっとって、執行する人はきちんと手続をとって、その上で、そういった救済、事情酌量、そういったものを取り入れられるようなものが、これが民主主義の知恵だと思うし、それが世の中のルールにあってしかるべきだというふうに思うんです。

 ですから、私は、政府がこれについて判断をするというよりは、何といっても、国民の代表である議員が国会でこのように発言いただいたことはとても重いことだと思いますし、心情においては、とても、誰もが理解できる、そしてまた、本当に気の毒で、また、そういう方の思いというものを我々は受けとめなければいけない、こういう思いであります。

 ですから、この法治国家において、適切にルールが運用されるように、そしてさまざまな声を上げていくこと、これが極めて重要だ、このように思います。

高橋(千)分科員 ありがとうございます。

 個別案件ですので、これ以上は申しません。

 きょう、実は御両親が上京しておりまして、中央基金の審査会の方での意見陳述となっております。本当に、今おっしゃってくださったような判断が出ることを望みたいと思っています。

 私は、実は、平成二十二年の二月二十五日の分科会で、公務災害、これは、特殊ではなく、一般の方について質問をしております。民間の労災と比べて非常に厳しいのではないかということを指摘しています。つまり、所属長に必ず申請を書いてもらわなきゃいけないと。

 例えば学校の先生とか、その人を長く働かせたんだということを、みずから認めるというのはなかなか厳しいわけですよね。民間だったら個人で申請できるのに、公務災害はそれができない。例外的に認める事例があるんですけれども、でも、そのために、その申請すらできないで何年も待たされている、その一歩が踏み込めないでいる人がいる、そういうことを取り上げました。

 逆に、それでも、その仕組みの中で、現場の校長先生がこの人は過労なんだと認めてくれたのに、現場を知らない基金が却下、却下とする、それもおかしいじゃないか、そういうふうな指摘をしたわけなんですね。

 ですから、もうそろそろこの制度を、民間と同じように見直してもいいと思うんですが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 これは、委員が平成二十二年の二月の二十五日の予算委員会の分科会で御質問いただいております。

 そして、その際にも申し上げましたが、もう既に御存じのことですから、状況は変わらないわけなんですけれども、しかし、まず公務災害補償にあっては、正確さなり公正さも期さなければならない。しかし、一方で、基金においては、平成二十三年度以降、ですから、委員の御質問の以降、やむを得ない事情がある場合には直接請求することができる、こういうことで運用を図っているわけであります。

 ですから、先ほど申し上げましたように、制度としての正確性、公平性を担保しつつ、さまざまな事情、そういったものはさまざまな方策をもって伝えられる、それをもって判断が適切になされていく、こういう仕組みになっていくんだと思います。

高橋(千)分科員 ありがとうございます。

 大概はやむを得ない事情だと思いますので、ぜひそこで対応していただきたいと思います。

 その質問の中で、もう一つ取り上げたことがあったんです。

 収支の状況、労災の認定状況に、要するに、たくさん認定すればということが当然リンクすると思うんですけれども、その状況に応じて地公災基金の地方負担金を、最大プラスマイナス二〇%、上げたり下げたりするメリット制というものがございます。それで、既に始まっています。私はこれを指摘しました。

 今回は、震災によって、当然、被災地に大きく労災が出るわけですよね。それで負担金をふやすなどということになったら大変なことになるわけで、当然、それはおかしいということで対応されたと思いますけれども、確認をしたいと思います。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるメリット制と申しますのは、御指摘のように、各団体の職員区分ごとに、補償等の給付費と負担金の割合が、平均値を上回りあるいは下回るという場合に、プラスマイナス二〇%の範囲内で、定款で定める負担金率を引き上げまたは引き下げる、このような制度でございます。

 地方公務員災害補償基金におきましては、今回の平成二十三年三月十一日に発生いたしました東日本大震災による公務災害及び通勤災害に伴いまして、地方公務員災害補償法等の規定によって給付されました補償等につきましては、メリット制の算定に反映させないこととしたというふうに承知をいたしております。

高橋(千)分科員 そうなんですね。今回は算定の土台にしないというお答えでありました。

 当たり前だと思うんですね。最初にこの数字も出していただいたけれども、たくさん犠牲があった、たくさん犠牲があったから大変支払いがふえたじゃないかといってメリット制がきいてしまって負担金がふえるということは、全くおかしなことなんです。

 実は、大友さんの件のやりとりの中でも、そういう話がどこかから聞こえてきたんですよ。財政に限りがあるからとか、極端に認めちゃいけないからとか、そういう声が聞こえてきた。

 絶対おかしいですよね。命にかかわる問題を、負担がどうなるからとか財政がどうなるからということで事実をゆがめるようなことがあってはならない。私は、そう思います。

 ただ、それは、別に東日本大震災に限らない問題だと思うんですね。今回だって大雪被害が起こっています。その前は豪雨災害でした。本当に災害が続いています。そういう中で、実態として起こってきた公務災害。

 あるいは、災害でなくても、残念ながら、超過労働というのがあります。メンタルもあります。やはり、それをきちんと認めるという立場に立たなければ、だめだと思うんですね。私は、やはり、メリット制というのは、やめるべきだと思います。大臣、どうですか。

新藤国務大臣 地方公務員災害補償基金におけるメリット制は、任命権者の公務災害防止のための取り組みを促すことで公務災害の減少を図り、また、地域ごとの負担と給付の公平が図られること、こういう目的があるということ、これはまず共有したいと思います。

 その上で、二十二年度から導入されておりますし、メリット制は、民間企業に関する労災保険制度においても導入されている、こういうこともあります。

 地方公務員災害補償基金のメリット制については、地域ごとの負担と給付の公平が図られるべきであるとの観点から、これは、そういった負担の公平を是正する効果を見込むものであるということで、知事会、市長会、それから町村会等関係団体の要請を受けて導入が決定された、こういう経緯があります。

 ですから、東日本大震災の場合には、先ほど答弁させましたように、また別の考えがとられているわけでありますけれども、そういったそもそもの制度の目的と、それから、それぞれの地域から、地方からの御要請があってこのようなことになってきたということでありまして、現状においては、これまでのそういった御要請を尊重していく、こういう状態であります。

高橋(千)分科員 時間なので、要望にとどめます。

 地方からの要請があったというのは、当時も答弁がありました。やはりそれは、負担金が高いから、大変だからということなんだと思うんですよね。

 防止策、防止のためと、大変結構なことですよ。メンタルヘルス対策をやっているのも知っています。だけれども、今の、長引いた、定員管理、賃下げ、そして超過労働、これは大もとを変えなければ、幾ら、相談やりましょうとか、その程度ではどうにもならないんです。現実に、今、地方は悲鳴を上げていて、本当に小さな自治体でも、この間田村市に行ってきましたけれども、百二十名も削減された中で線引きをどうするとか言われて、矢面に立っている。本当に、愚痴も言いたくなりますよ。

 そういう実態の中で、数字だけを見るというふうなことはやめなくてはいけない、やはり大もとを変えなきゃいけないということで、大臣にもぜひ取り組んでいただきたいということを指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

上杉主査 これにて高橋千鶴子君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

上杉主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。杉田水脈君。

杉田分科員 日本維新の会の杉田水脈です。連日になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 私ども日本維新の会は、昨年の通常国会におきまして、教育委員会の廃止法案というものを出させていただいております。教育委員会の話は、文科の委員会でも、そして今回のこの予算委員会でも数々の議論が繰り広げられております。A案、B案、C案というものまで出てまいりまして、我々は、A案でお願いをしたいということをいろいろ申し上げているところでございます。

 この教育委員会の改革は戦後初の教育の大改革になるというふうに、我々は目玉と捉えて推進をしてきておるところなんですけれども、今回は、ここは総務省の管轄ということでございますので、この教育委員会の改革がもし実現したといたしまして、どういう形になるかはわからないんですけれども、教育委員会廃止という形になるのか、そういうふうなこともあるんですけれども、何分、首長が自分たちの関与をふやしていけるようにしようというのは、これはA案、B案、C案、どれも通じて申し上げている共通の部分になってくるかと思います。

 この教育委員会改革がなし遂げられたときに、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、そして地方公務員法など、地方の行政から見てさまざまな部分を改正していかなければいけないと思うんですけれども、そこの方向性などをお答えいただければと思います。

伊藤大臣政務官 政府は、地方教育行政の責任体制を明確にするために教育委員会制度の改革に取り組んでおりまして、これまで教育再生実行会議や文部科学省の中央審議会においても検討が行われてきたのは御案内のとおりでございますし、ただいまは国会でも大議論をしていただいておりますし、また、現在、与党におきましても教育委員長と教育長を一本化する等の改革案が検討されていることは承知をいたしております。

 教育行政は自治体行政において大きなウエートを占めておりまして、教育委員会制度の見直しは地方公共団体の運営に大きな影響を与えることは間違いございませんので、地方行政を所管する総務省といたしましては、文部科学省と連携をして、適切にこれに対して対応してまいりたい、ただいまそう考えているところでございます。

杉田分科員 私は地方の自治体の職員をずっとしておりましたので、ちっちゃなところを変えるだけでもすごく大変な部分があります。このような大きな改革という形になってきますと、これは全国津々浦々の自治体までしっかりと変えていかなければならないというところがございますので、ぜひとも、先ほど御答弁いただきました、総務省と文科省の方できっちりと手を結んでいただきまして、方向性を示した上で、こことここをこのように改革するんだというところをしっかり示していただければというふうに思います。

 今回のこの教育委員会の改革に関しましては、どうしてもネックとなってくるのが、教育の中立性ということがいろいろ言われます。

 首長が関与するという形になってくると教育の中立性が担保できないのではないかというのがいろいろなところでやはり問題として懸念される、そういう議論がたくさんなされてきておりますが、もともと今の状態で教育の中立性はどのように担保されているのかというのは、私もわかっております。きちっと議会などのチェックも経ておりますので、教育振興方針とか計画とか、それが議会のチェックを受けているので中立性が担保できるというのが今までの日本の教育行政だったと思うんです。

 でも、実際のところ、例えば、株式会社で偉人伝教育とかをしているところがあるんですよ。この偉人伝の教育というのは、日本の道徳教育の中からも割とごそっと抜け落ちていました。今回、新しい道徳の教科書の見直しの中では、かなりここの部分にスポットが当てられて、いろいろな方の偉人伝が入ってきているとは聞いているんですけれども、これまでの教育はここの部分が非常に抜け落ちていた部分がありますので、株式会社でそういった偉人伝教育をやっていこうという人たちを、とある県の自治体の教育委員会がそれを拒否したというような問題もございます。

 実際に、これは私の地元の自治体なんですけれども、中学校の修学旅行で靖国神社の遊就館の見学を行ったんです。これを議会で、共産党の議員の方が、それはおかしいんじゃないかというふうに指摘をした、それに対して教育委員会は、二度とこのようなことはいたしませんというふうに答弁したというのがあるんですね。

 こういう事例を見ていくと、今まで教育の中立性が確保されていたのかどうかというのを逆に疑問に思ってしまうんですけれども、そのあたり、総務省から見て、教育の中立性というのをどのように捉えて、今きちっと担保されていると実際に考えていらっしゃるかどうか、お尋ねしたいと思います。

伊藤大臣政務官 お答え申し上げたいと思います。

 現行制度は、教育行政の政治的中立性の確保の観点から、もう私が言うまでもないことなんですけれども、教育委員会制度が採用されておって、例えば教科書の採択や教職員の人事等の教育事務について、合議体による決定を経て事務の執行を行う。ここが最大の、先ほどの議会のチェックということも含めてなんですけれども、本来発揮されるべきチェック機能だというふうに私たちは認識をしているわけでございます。

 制度改革に当たっても、今委員が御指摘をされましたとおりなんですが、教育行政における中立性の確保の観点は重要なことでございまして、与党の中でも国会でも御議論を願っているところでございます。

 いずれにいたしましても、私どもは、文部科学省と連携をして、先ほど来委員が御指摘の中立性の確保を含めて大事なことと承知をいたしておりますので、改革が真っすぐに進んでいくように今見守っているところでございます。よろしくお願いします。

杉田分科員 教育の政治的中立性というこの言葉を隠れみのにして日教組がやりたい放題だったんじゃないかというふうな疑問が、たくさん私のところにも寄せられているんですね。

 先ほど、しっかりと中立性のことについてはまた議論をしていただけるという御答弁をいただいたんですが、済みません、大臣からも一言、この教育の中立性について、大臣の思いをお聞かせ願えたらと思います。

新藤国務大臣 国の教育制度、これは、未来の国を担っていただく子供たちに対する極めて重要な問題です。教育のあり方が国の将来を決めてくるという観点から、さまざまな御議論をいただくことがいいというふうに思います。

 そして、ともすれば、教育基本法は、権力の介入を防ぐ、そういった中で教育の独立性をうたっていたんですけれども、それが現場の独立性とすりかえられた部分もなきにしもあらずでございました。ですから、そういったことを教育基本法の改正のときに議論して現在に至っているわけであります。

 だから、どこの国においても、自分の国に誇りを持ち、そして家族に誇りを持って、地域や国を大切にする、そういう思いを持って、かつ、自分の能力を最大限生かせるような環境をつくってあげたいと私も願っております。

 教育制度の内容、教育の内容については文科省が担当いたしますから、方針をきちんと議論していただいて、国会の議論というのも非常に重要だと思います、ですから、そういうものを踏まえて政府と議会が連携をとるということになります。

 私どもは、そういった方針が定まったところで、これをどのように制度として、また組織として位置づけるか、地方自治の中でそういったものを位置づけるかということで、方針に沿って適切な対応をする、このように考えているところでございます。

杉田分科員 ありがとうございます。

 私も、自分が児童福祉にかかわっていた経験もございまして、やはり教育というのは、子供たちに生きる力をつけていく、できれば行政とかのお世話にならずに自立をしていける、そういう子供たちをどんどん育てていかないといけないと思っています。その根底にあるのが、やはり、先ほど大臣のおっしゃった、愛国心だとか、自分の生まれた国に誇りを持つ、先祖に感謝をする、そういった部分だと思いますので、そこをしっかりと教育でしていただけるということが、これは文科だけの問題ではなくて地方自治の問題であるという形で捉えていただいて推進をしていただけるよう、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 続いての質問に参ります。

 自治体のファシリティーマネジメントについての質問でございます。

 自治体経営で、今、自治体資産の有効活用の視点で、自治体のファシリティーマネジメントの取り組みがさまざまなところで行われていると思います。

 私も実際に自治体の現場にいて、箱物ですよね、これは建てる予算をとるのは皆さん必死なんですけれども、その維持管理、そして、今はもうほとんどの建物が補修をしたりだとか建てかえをしたりだとかという時期に当たっていると思うんです。これはどこの自治体も同じような状態にあると思うんです。

 ここのところにきちっとアセットマネジメントの視点とかを取り入れながら、中長期の補修計画をして予算を確保しているような自治体もあれば、全くそのような調査が行われていない、では、今後どれだけそういったことに予算がかかるのかというようなことも把握ができない自治体も数多くあります。これは、同じような規模の自治体であっても、すごく濃淡が分かれています。

 それから、予算委員会の中でもかなり話題になったかと思うんですけれども、小さな自治体においては技術職の職員がいらっしゃらないところがあるというようなことがあります。

 これは、私は、隠れた需要ということで、今後、高速道路とかトンネルとかそういうところではなくて、自治体が持っている今まで建ててきたさまざまな箱物、そういった公共の建物の維持補修の予算というのがどばっと来るのではないかというふうに感じております。

 これについて、今後の予算の把握だとか、実際に行っていくときには、当然、今までのように、ぼんと予算をとって建物を補修するとかではなくて、いかにそれを平準化していって今後の維持管理に充てていくかというような考え方も取り入れていかないといけないと思いますし、同時に、PFIやPPPといった新しい手法もどんどん取り入れて、自治体が率先してそういうことをやっていく必要があると思うんですけれども、その方向性についてお尋ねしたいと思います。

新藤国務大臣 これは、杉田議員の今の提起というのは国家的課題だと思います。これから日本が経済成長をしつつ財政再建を果たしていく、その中で鍵となる大きな項目の一つなんですね。

 それで、これは単純に言って、日本が高度経済成長をして、それに伴って人がふえ、かつ施設ができました。そして、資産が、公共施設、社会資本が整備されてきたわけですよ。いっときに大量に整備されたものが、ある時点から大量に老朽化していくわけです。

 ですから、それをいかに長寿命化を図りつつ、危険が及ぶものについては即座に改修しなければいけないし、新しくつくり直さなきゃいけないものと補修していくものを区分けをして、そして、それを総合的に、また計画的といいますか、むしろ戦略的にこういうものを維持していかなくてはいけないんですね。ですから、それをぜひ私たちはここで手がけようと思っています。

 これまで自治体単位で、例えば、道路、橋、下水道、それから庁舎、いろいろな公民館や学校、それぞれが独自の観点で必要性に応じて補修とかをしてきたんですけれども、トータルで、一体日本じゅうにどれだけのそういう固定資産があるのか、そして社会資本がどのような状態になっているかというのを把握しなきゃいけないんです。

 ですから、今回の予算で、公共施設等の総合管理計画、こういうものを各自治体に要請することを私たちは考えています。

 それの計画策定の指針を示す。それは、国として同じ基準で、同じ指針でデータをそろえないと総合計画になりませんよね。ですから、自治体の所有している資本は千差万別ですけれども、それを管理する台帳は共通のものにしなきゃなりません。それから、それをどうやって維持していくかも共通の指針が必要だと思います。こういうものを私たちはつくろうと思っているんです。

 それに対しての計画策定費は特別交付税措置を講じることにしたいと思います。そして、この計画をつくった暁に、公共施設のいろいろな管理、修繕、除却も含めて、そういうことをやる際には地方債を適用できるようにしよう、こういう特例措置を創設するための法案を今回出させていただいているわけなんです。

 これは一年、二年で終わるわけではないんです。今後、よく長寿命化といいますけれども、そういうものと、それから、新しくつくるものがありますよね。今つくっているものを管理する部分と、そうはいいながら、新しい都市計画や生活の求めに応じてつくっていくものがあって、かつ、今度は国土強靱化という観点から整備しなければいけないもの、こういう大きな三つのカテゴリーに分かれると私は思うんですけれども、こういうものを、総合かつ戦略的な資産運営といいますか、維持をしていく。これがうまくいくか、それとも無計画的にやるかは、これはこの国の死活的重要事項になるのではないか。

 ですから、いい御提案をいただいたと思うんですけれども、我々とすれば、それを言葉ではなくて具体の実行に移そうということで法案を提出しておりますから、理解をしていただいて、ぜひ応援してもらえればありがたい、このように思います。

杉田分科員 私、東日本大震災を目の当たりにしたときに、何か自分にできることはないかと思いまして、これから、多分、復興の中でもさまざま新しいものをもう一回つくっていかないといけないという事情が出てくると思いましたので、そのときに、ちょっと一念発起いたしまして、ファシリティーマネジャーの資格を取ったんです。

 その中でファシリティーマネジメントというものを学んでいくと、非常に奥が深くて、それこそ地震の知識なんかもそういう試験問題の中に出てくるんです。一番感銘を受けたのは、単なる箱物をつくる、それをまたマネジメントして維持管理をするとかいうことだけではなくて、本当に、人々の働き方そのものも根本から見直しましょうというようなことが全部書かれてあるんですね。だから、今の議論よりも一歩も二歩も進んだ視点がその中にはあるなというふうに、私も非常に勉強になりました。

 ですから、自治体もこのファシリティーマネジメントという観念を入れていただきまして、単に箱物をつくるだけではなくて、もう一回再構築するというだけではなくて、人の働き方とか、住民の方々とどのように接していくのかというコミュニケーションツールとしての箱物というような視点なども入れていただいて、ぜひそういう指針をつくっていっていただきたいと思います。ぜひ協力をさせていただきたいと思います。

新藤国務大臣 聞かれてはいないんですけれども、せっかく関心を持っていただいているので。

 そこで、鍵を握るのはICTなんですね。新しい建物をつくるときに、例えば電球単位でコントロールする。電力、それから熱、こういうものをICTを使ってセンサーで管理することで、これまでにない節減ができる。

 それから、例えば、この間トンネルの崩落事故がありましたね、ああいう傷み始めている老朽化したトンネルに、例えばセンサーをずっと取りつけていったら何千個になりますけれども、危ないところは即座にチェックできるようにして、そこからまず直していくとか、こういう新しい仕組みを入れる。

 それから、全国で一体どれだけの資本があるのかというのを、これはICT化、データ化しなきゃいけません。その中で効率管理というものをやっていく。ですから、そういうところで、今までのものを維持管理するだけじゃなくて、もう手法から新しくしようじゃないか、それで革命的な効果を出そう、こういうことを私たちは考えているんです。

 その第一弾として、今般、電波の利用料の見直しがございました。センサーについては、今後新しく設置されるセンサーの利用料は実質ゼロです。ですから、もう既に私たちの国は世界最大のセンサー活用国なんですけれども、これから飛躍的にそういうものができていくようになると思います。

 それらをあらゆる分野で総合的に連携させながら、新しい技術を使って、これも都市経営や自治体経営のイノベーションなんですね、こういうものを起こしていきたいと思っているんです。興味を持っていただいておりますので、ぜひそういった観点も加えていただけるとありがたいな、このように思います。

杉田分科員 ぜひ、大臣がおっしゃった革命的な改革に期待をしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 私がちょうど自治体職員をしていたころ、平成の大合併というのがありました。私が勤めていた自治体はある程度の規模のあるところでしたので、合併議論というのはなかったんですけれども、私の地元であります兵庫県なんかでもかなり市町村の合併が進みました。

 この合併の評価、検証ですよね。合併によって、いわゆる経済波及効果とか、そういうものはあったのかどうか。まずは、全国的にどういう効果があったのか、どのような評価をされているのかをお尋ねしたいと思います。

伊藤大臣政務官 平成の大合併によりまして、市町村数は三千二百三十二団体から一千七百十九団体となったわけでございまして、合併は数の上では相当進捗をいたしたと思います。

 この結果、平均人口や平均面積ともに約二倍になるなど、市町村の規模は総じて一定の拡大を見るとともに、政令市に移行する例も見られる等、財政基盤の強化が図られたと思います。

 また、議会の議員数や首長の数が約半分になるなどの人件費の削減や、公共施設の統廃合による固定費の削減など、行財政の効率化が着実にあらわれつつあるというふうに私どもも認識をいたしております。

 一方、周辺部の旧町村の活力喪失等の課題も、町村自体からの御指摘もございまして、今認識をいたしております。

 これらの課題に対して、合併市町村においては、合併後のサービスの維持のために、旧市町村の役場を総合支所や分庁舎として配置したり、地域審議会や地域自治区等を設置するなどして、その一体的な振興や周辺地域への対応に取り組んでいるところでございまして、合併後、これをどう定着させていって、住んでおられる住民の方に迷惑にならない行政体となれるかどうか、ここを今しっかりと取り組んでいるところでございます。

杉田分科員 今、広がりつつある、効果が出つつあるという御答弁だったんですけれども、私も、これはその効果があらわれるのはなかなか時間がかかっていくんだろうなというふうには感じております。合併後すぐのときには、例えば、たくさんある庁舎を一カ所にするということも進みませんでしょうし、なかなかすぐに人件費を削減することもできないでしょうから、時間をかけてという形になっていくんだと思うんです。

 そのあたりは今後の課題になってくると思うんですが、目に見える形で、例えば交付税はどれだけ減ったのかとか、人件費が全国でどれだけ減ったのかというようなこともきちっと具体的なものが出てくれば、皆さんも、やはり平成の大合併は間違いじゃなかったんだと。あと、まだまだ課題の残っている地域はたくさんあると思いますので、そこについての課題解決とか、そういったこともまだこれからも取り組んでいただくところがたくさん出てくると思いますので、よろしくお願いをいたします。

 一点、やはり自立した地域をつくるというのが、この平成の大合併の中に一つ目的としてあったと思うんです。でも、なかなかそれがその意向のとおりにいかずに、合併がうまくいかなかった地域とかもあると思うんですね。合併をしたところは非常に多大なる苦労をしていらっしゃると思うんです。今まであった自治体が一つになるわけですから、そこに働く人も、そこに暮らす住民の方々も、本当に苦労されていた。そういうたくさん汗をかいた方がいらっしゃる一方で、うちの自治体は合併をするのは嫌なんですと言いながら、今は過疎になって困っていますというようなことが出てきている。このアンバランスですよね、このあたりはどのように考えていらっしゃいますか。

伊藤大臣政務官 ただいま委員の御指摘のことは非常に重要なことでございまして、私ども総務省というのは、やはり、地方が自立をする、この自立ということは非常に重要なキーワードなのでございます。

 ところが、先ほどお話がございましたとおり、合併をしようというそのときには一人でいることを考えたんですけれども、基礎自治体として持続可能な形で行政サービスを提供していくには、単独の公共自治体の活性化をしていったり、近隣市町村との有機的な連携による活性化が重要なときを迎えてきております。

 これは、フルセットで行政を自治体として持っていなきゃいけないということではなくて、近隣と協力をしていくことによって広域な連携を推進していこう。要するに、人口減少の時代でございますので、どうやって自立をしていくかという方法の中でこうしたことを今考えているわけでございます。

 地方自治法の改正をさせていただいて、市町村合併によらない新たな広域連携の仕組みとしての連携協約という制度を創設させていただいて、連携協約とはどういうことかといいますと、地方公共団体が地域の実情に応じて自由に内容を協議して、政策面での役割分担等を定めてまいるものでございますが、こうした制度を活用していただいて、地方公共団体にとって使い勝手のいい方法によって今後の新たなそれぞれの団体の連携を進めていただくことを今期待させていただいているところでございます。

杉田分科員 今の安倍内閣の方向性というのは、頑張る人が報われる社会というところにあると思うんですね。これは、私は、本当に、人だけではなくて、各地域についても言えると思うんですね。私たち日本維新の会は、自立する個人、自立する地域、自立する国家というのをうたっておりますけれども、やはり自立する個人があって自立する地域がないと、自立する国家に結びつかないというふうに思うんですね。だから、頑張った自治体が報われるというようなことを今後もしっかりと念頭に置いてやっていっていただきたいなというふうに思います。

 次の質問なんですけれども、これは実は内閣委員会の方で昨年取り上げさせていただいた一つの課題なんですけれども、いわゆる公務員の労働組合の問題なんです。

 この内閣委員会の質問の中では、公務員の労働組合は、労働基準法とか労働組合法とかに基づく労働組合ではなくて、職員団体ですよね。職員団体なのに、なぜ、公務員労働組合、何とか市労働組合とかという名前がついているんですかと言うと、職員団体の名称は自由であるというような答えが返ってきたので、労働組合と名乗ることができる。

 では、いわゆる公務員の労働組合がいろいろなデモに参加したりとか政党活動を行っている、今回も、特定秘密反対とか脱原発とかのデモとかになると、自治労連とかというような赤い旗を立ててデモとかされているんですけれども、そういうふうなことができるんですかというようなことをお聞きすると、職員団体が政治活動をすることは認められている、けれども、公務員は認められていないというような答弁が返ってきました。

 では、その職員団体の構成員で公務員じゃない人がいるんですかというところを質問しますと、そこから先の答弁がなかったんです。

 ここのところをきょうはもうちょっと深めて質問をさせていただこうと思ったんですけれども、時間がなくなってまいりましたので、これはまたの機会に、ここの部分をもうちょっときちっと詰めて質問をさせていただける時間を、もっとこの問題だけでしっかりとって、進めていきたいと思います。

 以上を申し上げまして、一分余りました、私の質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございます。

上杉主査 これにて杉田水脈君の質疑は終了いたしました。

 次に、津村啓介君。

津村分科員 民主党・無所属クラブの津村啓介でございます。

 新藤先生、よろしくお願いいたします。

 最初に、国家戦略特区の議論をさせていただきたいと思います。

 大臣とは、臨時国会で、特区法案の審議の際にもいろいろと建設的な議論をさせていただけたと思っておりますが、いよいよ、昨日、国家戦略特別区域基本方針が閣議決定をされまして、これからこの実行を加速させていくという段階かと思います。

 一月七日の第一回諮問会議で、安倍総理が、三月中に地域を指定する、菅長官は、昨年秋の段階で、三つから五つ程度を全国で指定するということもおっしゃっておりました。

 また、一月十六日の非公開のワーキンググループの後の翌日の報道では、大都市部で二から三、そして、バーチャル特区という言い方もありましたけれども、点在する地域をパッケージで指定する地方型を一から二地域指定するということも報道されておりますが、現在の検討状況と、三月中にその指定が滞りなく進むのか、その辺を確認させてください。

新藤国務大臣 津村委員には、この国家戦略特区の法案審議のときにも大変熱心な御議論をいただいて、感謝しております。そして、いろいろと御心配いただき、また期待をいただいているところもあると思うんですけれども、ぜひこの戦略特区をいい形で仕上げていきたい、私はこのように思っているわけであります。

 現状、今御指摘がありましたように、特区の諮問会議というのを設定して、これまで三回やってまいりました。きのう、この特区の基本方針、地区を指定する、また事業の内容を特定するための指針となるものが正式に閣議決定ができました。それに沿って作業が進みます。

 今はっきりしていることは、安倍総理がおっしゃっておりますように、三月中に第一弾の特区指定を行う、こういうことで、今、精力的に作業を詰めているという状態であります。

 一方で、その戦略特区基本方針の中で決まりましたのは、まず第一弾は厳選して地区を決める、こういう方針が出ましたが、その数においては、何カ所というものを前提にして作業しているわけではありません。いろいろな八田座長の御提案、これは御提案でありまして、決定事項ではありません。それから、そのほかの方がいろいろな場所でおっしゃっているのも、それはその方の思いを述べられているのかもしれませんが、私は、戦略特区担当大臣として、今まで一度も数を幾つというのは言ったことがございません。

 三月中に決められるものは、要するに、準備が整って、指定するにふさわしい状態になったものをやっていくということであります。これは、戦略特区はこの一回で終わらせるのではなくて、今準備しているけれども、まだ最終的な詰めに至っていないものは引き続き詰めて、用意が整ったならば指定をする。

 特区は、諮問会議は全体を議論しますけれども、特区が決まりますと、今度は特区会議というのを設けて、その一特区ごとに、さらにそれを推進するための組織ができることになるんですね。

 そういうふうに、どんどんと時間とともに準備ができたものから指定をしていく。効果を測定して、場合によれば、それは全国的な展開に規制緩和が適用される場合もある。一方で、効果がなかなか特定できないというものについては見直しの規定も設けている。こういう、柔軟、かつ、特区自体が自己増殖的に膨らんでいけるような、そういう中から、持続可能性や、そして世界で最もビジネスのしやすい拠点をつくるというこの目的を達成するような、そういう特区にしたい、このように考えているわけでございます。

津村分科員 第一弾が三月中ということで、大変結構なんですが、その後も門戸は広げていきたいということで、ざっくりしたイメージで結構なんですが、第二弾はいつごろになりそうですか。

新藤国務大臣 まず、この第一弾を成功させる。今、安倍内閣のアベノミクス、この成長戦略のキーワードは実践とスピードだと私は思っているんです。ですから、まず第一弾を決めて、そこで、この事業の効果、また影響というものをはかって、その中から、ああ、こんなことができるのか、本当にここまで進むのかということがわかってくると、それならば私たちもこういうことをやりたい、私も参加したいというのがまた持ち上がってくると思うんですね。そういうふうに世の中の雰囲気が盛り上がっていくように、そういう形をつくっていきたいと思っているわけであります。

 第二弾については、そんなに時間はかからないかもしれません。なぜならば、第一弾で、三月中にはまだ指定できないが、既に準備をしているところがあります。そういったものが要件が整えば、第二弾というのはあると思います。

 でも、まだテーマの議論もしていないようなもので、新しいテーマが出てくれば、そのテーマを議論した上で、第三弾、第四弾と、こんなふうになっていくのではないか、このようなイメージを持っていただければいいと思います。

津村分科員 大臣、御記憶あるかどうかわからないんですけれども、十一月二十一日に国家戦略特区法案が衆議院の本会議にかかって、私はそこで賛成討論をさせていただきました。安倍総理、頑張ってください、国家戦略特区はぜひ進めてください、応援しますということを大きな声で述べさせていただきました。

 本当にデフレ脱却はしなければいけませんし、これはもう党派を超えた問題として、日本経済の再生に全力で向かっていかなきゃいけないわけですけれども、残念ながら、まだ十一月の時点はもう少しよかったと思うんですけれども、年が明けまして、一月の下旬ぐらいから株もやや軟調に推移しています。ああいうマーケットの動きというのは、見る人の見方ですので、正解というか、正しい分析というのはなかなか難しいんですけれども、アベノミクス三本の矢が、一本目の矢あるいは二本目の矢に頼り過ぎて、三本目の成長戦略のところがなかなか見えづらいということをおっしゃる方がかなりふえてきていると思います。

 言葉としては非常に威勢がいいといいますか、今も実行とスピードだということをおっしゃいましたけれども、私がこうやって数にこだわるのは、いつやるんですかとか、幾つやるんですかとかいうことにこだわるのは、マーケットも含めて、実行とスピードを皆さん見ているからでして、大きな言葉はたくさんいただくんですけれども、具体的なものは全然見えてこないというのがマーケットの失望を生んでいるのかな。特に外国人の売りが大きいと聞いていますけれども、外国人の皆さんというのは、日本語の微妙なあやだけでは動かせないものがあると思うので、詰めて議論をしたいんですね。

 きょう、事前の通告では、構造改革特区と総合特区、過去の特区制度のPDCAをどうやっているかということをお聞きしようと思っていたんですけれども、そこは前回も多少お聞きしたところなので、私なりに把握しているところでは、これは内閣官房、内閣府が昨年つくられたものですけれども、個別的には、コスト削減百七十二億円が四十七特区で進んだとか、アネクドートといいますか、ミクロ的なものの積み上げでいろいろ書かれているんですけれども、成長戦略、第三の矢、これでデフレ脱却だ、需給ギャップを埋めていくんだ、需要を創出するんだというからには、やはり今回、第一弾で指定していく戦略特区、それを全て合わせて、どの程度の需要創出、雇用創出ができるのかという全体観をお示しいただく必要があると思うんですね。

 まだ指定もしていないんですから、今の段階で数字が出てくる話じゃないんですけれども、基本方針を拝見いたしますと、二十ページに、「認定基準」としてア、イ、ウとあるんですけれども、そのイには「区域計画の実施が当該国家戦略特区における産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に相当程度寄与するものであると認められること。」とした中で、「産業の国際競争力の強化又は国際的な経済活動の拠点の形成に資する目標が設定されており、」云々とあるんです。

 この目標がどういうものであるかということが非常に大事で、抽象的なものであったり、先ほど申し上げたような、足し算ができないような、いろいろな需要でも雇用でもないものが書かれていても、だからそれで何%GDPが上がるのか、どうやってデフレ脱却につながるのかというストーリーが途切れてしまいます。

 それから、十八ページにも、「区域計画の記載事項」として、「区域計画の実施が国家戦略特区に及ぼす経済的社会的効果」という、ここはちょっとぼやっとした書き方をしているんですが、この辺をぜひ詰めていただいて、数字で後で検証できるものを、三月の特区の指定の時期なのか、四月以降の実施計画を作成される時期なのか、いずれかの時期に明確にするべきだと思いますが、大臣のお考えはいかがですか。

新藤国務大臣 まず、津村委員が賛成していただいて、その討論を言っていただいたことは、私もよく聞いておりますし、とてもうれしく思いました。

 特に今度の国家戦略特区については、当初、野党の皆さんからは、中身がないから、これはこけおどしだ、反対しようと思っていた、こういうことを何度も言われました。しかし、議論の中で、これは少し期待してもいいかもしれない、可能性にかけてみたい、こういうようなお言葉をいただいて賛成していただいたというのは、これは私たちにとってはとても誇りに思えることなのであります。

 そういう思いを共有しながら、とにかく日本を、経済を新しいステージに持ち上げる、デフレから脱却して、成長の安定軌道、持続的可能な軌道に乗せていく、このためにこれを突破口にしたいという思いでありますので、しっかりとその重みをかみしめて仕事を進めていきたいと思います。

 御質問のことにつきましては、今度の国家戦略特区指定は、経済的社会的効果、それから波及効果、こういったものを定量的な基準に基づいて表示した上で指定することにしております。

 それから、何を目標にするのかというのは、国家戦略特区の上位にある日本再興戦略、そこにあるKPIにどう貢献するかという観点でそれぞれ事業の提案をしてください、これは私が最初の説明会で申し上げたことであります。

 ですから、そういう定量的な数値そして指標を使って、皆さんに効果のほどがわかるようにしていきたいと思います。それは、事業が特定されて計画が整ったところで明らかになってくるわけであります。ですから、そのタイミングというのは、まさに明らかになった時点でやります。

 いずれにしても、国家戦略特区が一体幾つできるのか、これからどこまで膨らんでいくのか、これは、やりながらどんどんと見えてくるものですから、適宜チェックをしながら、PDCAを回しつつ、ローリングという言葉がありますね、まさに見直しをしながらそういったことを発表していきたい、このように考えております。

津村分科員 時間が限られておりますので、次の質問に参ります。

 大臣、私は十一月にも指摘したんですけれども、KPIは二〇二〇年度までの目標が羅列されているものですけれども、一方で、アベノミクスは二年間でデフレ脱却ということを言っているわけですから、時間軸がずれておりまして、今回の国家戦略特区はアベノミクスのまさにデフレ脱却の話なので、二〇二〇年のKPIとのリンクでこれをしても時間がずれちゃっていまして、全然マーケットに対するメッセージにならないんですよ。

 アベノミクスの成長戦略、需要創出効果という意味で、ちゃんとリンクがされるべき。今回、今からやるんですから、できるんですから、その根拠となる文言は書かれているわけですから。きちんとこの二年間、大臣は前回の御答弁でも一年後、二年後、五年後というのもちゃんとパスを考えていくということをお答えいただいているんですけれども、今回の数値目標のところで、一年後、二年後の姿ということをしっかりと提出していただく、それを実施計画に盛り込んでいただくということが大臣のおっしゃっている意味だと思うんですが、それでよろしいですか。

新藤国務大臣 そこは、事業ごとに何年後を設定するかというのは、しかも、それもローリングと申しておりますけれども。

 つまり、今度の特区は、最初に決めて、それがゴールじゃないんですよ。決めたことを実施するために、これを決めて、あとはそれを実現するだけだではないんですよ。最初に決めたことが呼び水となって、世界からを含めて次なる新しい投資が入ってくる、そういうものにしていこうと思っているわけです。

 それが一年、二年後にどんな効果が出るか。大体、事業というのは、物事を何かつくるにしても、事業計画を立てて、設計をやって、都市計画決定をして、そういったものも出てきます。ですから、一概に一年間で、二年間で終わらせるものではないんだというのは御理解いただけると思います。

 私たちが申し上げているのは、定性的な数値を使って、何年後にはどんな目標があるかというのは設定していきます。しかも、それは常にローリングをしていくということです。

 日本再興戦略とアベノミクスはリンクしていないとおっしゃいますけれども、アベノミクスは最初のスターティングのものです。それを使って日本をどう持ち上げていくかというのは、再興戦略ともつながっていく。しかも、それは年限を切ることではなくて、私たちは、今の日本の課題を克服して、新しい種をまいて、そして経済を膨らませていく、そのための仕事をしていくわけでありますから、そこは中期のものもあれば短期のものもある、そういう複合されたものだというのはぜひ御理解いただきたいと思います。

津村分科員 私は、十一月の時点で、応援しています、頑張ってくださいと申し上げましたし、今もその気持ちは変わらないんですけれども、幾ら私一人が応援しても、マーケットに響かなければ残念なことになりますし、今、相当危機的な状況にあると私は思います。

 大臣がもう少しわかりやすい、そして具体的なメッセージを早く出されないと、残念ですけれども、成長戦略あるいはアベノミクスを腰折れさせた責任者ということになられると思うので、釈迦に説法ですけれども、そこはぜひ御自覚を持っていただいて、この三月、四月が本当に大事な時期だと思いますので、頑張っていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 私が非常に注目したのは、この国家戦略特区、アベノミクスとのつながりは少し遠い項目だったのかもしれませんが、ワーキンググループの九月の検討状況という資料の中に、「地方議会に係る被選挙権・選挙権年齢を、地方独自に引き下げることの解禁」という項目が盛り込まれまして、ここで、総務省側からは、「選挙権については、国民投票法附則との関係、憲法九十二条との関係、少年法との関係、同日選時の混乱可能性など、検討課題あり。」ということが書かれているんです。

 一方で、これは八田座長がお書きになったのかもしれませんが、ワーキンググループ側からの意見として、「少なくとも被選挙権については、特段の問題はないのでないか。」「若者不足の過疎地域等において、地域活性化につながるはず。」ということが書かれています。しかし、残念ながら、十月十八日の検討方針では落ちている。

 この一カ月の間にどういう議論があったのか、ぜひ教えてください。

新藤国務大臣 これは、国家戦略特区担当大臣として、一方でまた総務大臣ということで、両方を兼ねているものですから、ちょっと複雑な状況になったことなのであります。

 いずれにいたしましても、今御指摘の被選挙権、選挙権年齢の引き下げ解禁、これは、昨年八月から九月にやった提案募集の中で、一団体から御提案がございました。

 しかし、総務省として調整、検討した中で、被選挙権の年齢については、これは民主主義の根幹である選挙制度にかかわることであり、特区として実験的に行うものではなく、また、被選挙権という憲法で定められた基本的人権について団体ごとに差をつける合理的な根拠は認めがたい。そして、被選挙権を含む選挙制度にかかわる問題については、これは何よりも、通常、国会の各党各会派での御議論をいただいて、その上で進めてきているわけであります。そういった観点から指摘がありました。さらには、地方六団体からの御意見も聞きながら幅広く議論していく事柄でもあります。

 したがって、そういう指摘の中で、国家戦略特区のワーキンググループとしては、提案としてしなかった、こういう状態であります。

津村分科員 政治家としての新藤大臣にお伺いさせていただきます。

 今、若者の政治離れあるいは低投票率ということが注目をされています。このことについて、大臣はどういう御所見をお持ちですか。

新藤国務大臣 これは、国民が与えられた権利、しかも、普通選挙、自由選挙を得られるまでにどれだけの御苦労があったか、私たちのはるか先輩方の御苦労でありますけれども、そういう歴史を踏まえれば、せっかく得ている権利を行使しないということはまことに残念だと思います。それは、国民の意識の醸成というものが必要だと思うし、また、投票権を行使するに値しない、そういう政治活動であると、我々、政治にいる者としてじくじたる思いもあります。

 ですから、何よりも、有権者が投票をする、また、したくなる、そういう活動を私たちはしなければいけないし、かつ、不断の情報発信というものが非常に重要である、このように考えております。

津村分科員 私は、自分のことを言って申しわけありませんが、今、民主党の青年委員長という仕事をしておりまして、小泉進次郎前青年局長、あるいは今の松本洋平局長ほかと、超党派の、学生さんであったり、時には高校生と政治を語るというようなことをさせていただく機会がよくございます。

 いろいろと若い皆さん、頑張っているんですけれども、私は、今大臣がおっしゃったような社会的な背景だとか、あるいは精神的なというか、気持ちの持ちようみたいなところでまだまだ改善の余地があると思うんですけれども、二つの制度的な要因が低投票率をさらに加速させていると思っています。

 一つは、十八歳で高校を卒業した後に、二十で投票権を得るまでに二年間のラグがあること。もちろん、さらに大学で政治や社会を勉強している方もいらっしゃるでしょうけれども、多くの先進国では、ほぼ一〇〇%の方々が受けている学校教育、高校ぐらいまでの教育の最後の学年ぐらいで選挙のことをいろいろと勉強して、そのまま投票権ということになって、非常にそこはつながっているけれども、日本では二年間のラグがある。そういう意味で、私は十八歳投票に引き下げることは非常に意味があると思っているということが一つです。

 この話は一旦終わりまして、もう一つの問題にお話を進めたいと思うんですが、私は、住民票のあり方が非常に重要だと思っているんです。

 今、多くの学生さん、特に地方出身の学生さんは、住民票を地元に置いたままにして、今住んでいるところに移さないケースが多いと思うんです。なぜならば、成人式に出られないから。やはり、多くの学生さんたちは成人式に出たいわけです。

 今、住民票というのは、法律上は、現に住んでいるところに移すことになっているんですか。それとも、それは自由に、もう引っ越しているのに、もとのところに置いておいてもいいものなんですか。

新藤国務大臣 住民票は現に住んでいる場所に移す、これが原則だと思います。

津村分科員 現に住んでいるところに住民票があるかどうかということは、それは法律で決められていることだと今おっしゃいましたし、そうだと思うんですけれども、例えば、高校生が卒業して大学に入学をした、そのときにどのくらいの割合で住民票を移しているかということは御想像がつかれますか。

新藤国務大臣 これは申請ですから、調査をしたりとか把握をするというのは実態上なかなか難しいのではないか、このように思います。

津村分科員 私は、自分の知り合いしかサンプルがありませんので、いいかげんな数字を言うことはできません。ただ、相当な数の大学生が住民票を現住所に置いていないケースがあると私は感じています。そして、そのことが低投票率につながっていると思います。

 なぜなら、例えば、統一地方選挙が行われる四月の半ば、わざわざそのために帰省する学生がどれだけいるのか。あるいは、去年の七月の参議院選挙は学生さんは試験の真っただ中でした。そういう時期にどれだけ帰省して投票するのか。そういうことを学生時代に経験していて、社会人になってそれを変えていくのか。そもそも、住民票をまた移すのかとか、社会人になってもそのままにしているという人もたくさんいると思います。

 ここの実態は、確かに全数調査は難しいかもしれませんが、例えば、大学側に協力をしてもらって、ある程度のサンプルを調べることはできるかもしれませんし、あるいは、私はきのう事務方の方に少し申し上げたんですけれども、内閣府その他が国民生活のいろいろな調査をされている中で、項目を二つ三つふやして、住民票は今どうなっているか。これは、強いて言えば年金未納問題にもつながってきて、必要な連絡が自分の今住んでいるところに来ないわけですから、親御さんとの関係とか実家に帰る頻度によっては、必要な行政サービスの情報が手元に届かない学生がたくさんいるということになるわけで、投票率だけの問題じゃないと思うんですね。

 ですから、私は大臣に御提案したいんですけれども、全数調査は無理かもしれませんが、住民票と現住所に住んでいる乖離の問題について、何らかのサンプル調査なりアンケートなり、調査を始めるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 まず、投票率を上げなければいけない、そういう意味で問題意識を持つことは共有したいと思います。

 それから、選挙権の年齢については成年制度ともかかわってきますね。他国の例でいうと、一体何歳にしているのが多いのかというのはもう先生も御存じだと思いますが、いろいろ世界の実態というのもあります。しかし、それも含めて、これは国民の最も基本的な権利の一つですから、これは国会において国民の代表たる各党各会派が御議論をしていただくことだ。私たちは、行政に今いる者とすれば、それを期待しているということであります。

 あえて私、申し上げますと、外形的な事由によって、制度上の問題で投票に行かないということ、そのままそれを許容していいのかということはあると思います。

 例えば、では委員は、学生時代に今のようなことで住民票を移さなかったんでしょうか。それから、自分の地元に、どこが地元かわかりませんが、例えば、自分はもう別の場所にいる、自分の家に住民票に基づいて選挙権の投票用紙が行った、でも、帰っていられないから行かない。そんなことで投票権を放棄できるんでしょうか。私はそういうことはやったことがありません。気持ち悪くてそんなことはできません。

 ですから、こういう問題を精神論で片づけるつもりはありませんよ。だけれども、外形的なもので解決を図るという以前に、そもそも必要性があれば皆さん行くんですよ。だから、そういう必要性を感じられないような政治、これを私たち政治家が深く反省しなければいけないということだと思います。

 あえて、これはちょっと恐縮な言い方になるんですけれども、仮にその調査をやるということは、これは制度を厳密に運用すれば、住民基本台帳制度上で、もし届け出がなくて、そして、その方たちを調査した結果、市町村長は職権でその方の住民票を移動することになるんです、その方が求めていないにもかかわらず。また、実態上よくわかりません、一体どのぐらいの頻度で生活しているのかがわからないんですから。でも、調査をするということは、そこでわかった方たちは、職権で住民票を移動させることになるんです。

 ですから、そういったことを私たちは想定しておりませんし、これはあくまで住民基本台帳制度という、住んでいる人がその市町村に登録をして、そこで行政サービスを受ける、こういうことで制度を運用してきているわけでありますから、これは特別な調査というものは今考えておりません。

 成人式に出たいからとか、それは別に招待状がなくたって、成人式に、自分のかつての仲間のところへ出かけていくなんということはできると思うし、私も、実際、自分が中学から地区外に出ましたから、住まいは変わっていないけれども、でも、友達がもういないわけですよね。そうすると、成人式のときは自分の地元の成人式に出て、かつ、自分の友達がいるところにも行きました。ですから、それは幾らでもいろいろなやり方はあるのではないか、このように思います。

津村分科員 幸い、私は東京に住んでおりましたので、その問題はありませんでしたけれども、今の大臣のお言葉は、学生さんたちに聞かせると非常に不評だと思います。非常にハードルの高いことをおっしゃったと思いますよ。

 さっき申し上げたように、選挙の時期というのは学生生活のリズムとは全く違いますし、例えば北海道だとか鹿児島から来ている学生さんたちにそのことが言えるのか、私は非常に疑問に思います。

 またこれは継続的に議論させていただきたいと思います。大学であるとか、内閣府であるとか、ほかの機関の協力を得ながらであれば、直ちに職権が云々ということにつながらない調査方法は幾らでもあると私は思っております。

 最後に、西村さん、ごめんなさい、毎回お呼びして、時間がなくなって申しわけないんですが、厚生労働政務官に一問お伺いをさせていただきます。

 この四月以降、法律がきちんと通ればということですけれども、今、新しい難病政策ということが進みつつあるという中で、通常国会で法律が通れば、二十七年の一月から医療費助成というのが進んでいくと思います。

 私は、百五十ほど最初に指定をされて、残りが来年の夏ではないかというふうに仄聞しておりますが、そのことが正しいかどうかということの確認と、それに続いて、障害者総合支援法の福祉サービスの対象となる難病についても見直しが行われていく、そういうタイムスケジュールだと思いますが、その選定がこれから法律が通ってから夏以降進むわけですけれども、一方で、筋痛性脳脊髄炎という難病について、臨時国会でも随分活発な議論がなされましたが、客観的な診断基準がまだ未整備だということを主たる理由に、なかなか選定されないということが指摘されております。

 今、研究がかなり進んできて、早急にこれは取りまとめるということを、先般高鳥政務官がお答えになっていますが、夏までに最後の客観的診断基準というものが整備できれば、この土俵に乗って議論ができるということになるわけですけれども、その客観的な診断基準の研究の進捗状況についてお伺いいたします。

赤石大臣政務官 お答え申し上げます。

 一遍に三つぐらい質問をいただきました。

 最初の難病の医療費助成につきましては、先生がおっしゃられるように二段階で、二十七年一月からと来年の夏からということで、一応、対象疾患を三百疾患程度予定しておりまして、その日程で進めようというふうに思っております。(津村分科員「百五十ずつでいいんですよね」と呼ぶ)おおよそそれでよろしいと思います。ただ、若干数には変動があるかと思いますけれども、そういうことでやっております。

 基本的には、厚生科学審議会のもとに第三者委員会を設置して、そこできっちりと議論していただくというふうになっておると思います。

 それから、筋痛性の脳脊髄炎につきましては、慢性疲労症候群ということで今まで来ているわけですけれども、なかなか客観的な指標ができないということで、私もこの方の団体の理事長さんとお会いしましたけれども、今の判断基準で検査をしてもひっかかってこないんですね。それで、新しく幅広く、脳のPETも含めて、血液検査も含めて検証しようということで、これから今スタートするところでありまして、ことしじゅうにまとめるというのは、いろいろなデータの蓄積からいってかなり難しいなとは思っていますけれども、幅広にいろいろ検討を進めてまいりたい、このように思っております。

津村分科員 時間が終わりましたのでこれで終わりますが、引き続き議論させてください。

 ありがとうございました。

上杉主査 これにて津村啓介君の質疑は終了いたしました。

 次に、輿水恵一君。

輿水分科員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、このような質問の機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。

 また、先日の大雪の被害、本当に、亡くなられた方に対しましてのお悔やみと、被害に遭われました方へ心よりお見舞いを申し上げます。

 私も、現地を回らせていただきました。農家のお宅に行くと、そこの地域の市長さんなんかも一緒に現場におられて、やはり大事な、例えば施設園芸なんかは、収益が上がってきて、今まで外に行っていた若者が戻ってきて、そして、いよいよ仕事を始めようか、そんな状況の中でこういった被害に遭われた。一日も早く復旧をしながら、戻ってきた若い世代のメンバーにこの地域でしっかりと働いていただきたい、そんな思いで頑張っておられました。少しでも復旧復興が早くできるように私も全力を尽くしていきたい、このように決意をさせていただいているところでございます。

 さて、そのような中、本日は、地方分権、地域主権という言葉は走っておりますが、やはりそれと並行して、地域力をいかに高めていくのか、そういった視点について大臣の方に質問をさせていただきたいと思います。

 かつて日本は、GDP九%とか、そういった形で伸びていたんですけれども、今はコンマ台。少子高齢化の中で、これから大きく伸びるということもなかなか難しい。地域においては過疎化が進んだり、また、最も大きな問題として、二〇二五年、団塊の世代の皆様が七十五歳以上になられる。そのときの地域をどうやってしっかりとしたものにしておくのか、住みなれた地域で安心して暮らせる、そういった現場をどうつくるのか、大きな課題であると思います。

 そこで、地域、地域と一言で言っても、日本全国ばらばらであります。それぞれが、いろいろな形の地域がある。その中で、地域をしっかりとしたものにするということは、いよいよ、そこにもうまさに、地域主権、地方分権、地域が主体となって、自分たちの町、自分たちの地域をどうやって守って、どういった形にしていくのかという部分では大きく意識を変えながら、また、今まで国の一律の制度が来たものを、どうやって自分たち独自のアイデアを持って進めていくのか、そういったことが重要になるのかなと。

 そして、そのアイデアを持って進める上で、当然、福祉の現場もありますし、先ほどの農業、産業の育成、あらゆる部分が、総務省だけではなく、厚労省も、経産省も、農水省も、さまざま絡んできて、そしてそれが地域ごとに独自性を持った事業としてうまく展開できるような取り組みがこれからは必要になってくるのかなというふうに思うんです。

 まず、大臣に、地域主権、また地方分権、そういった中で、あらゆる分野を乗り越えた、また、横串、そして省庁横断的な取り組みとして、地域を活性化させるための考え方についてお聞かせ願えますでしょうか。

新藤国務大臣 私は、地域の活性化は、日本を元気にさせる上で極めて重要かつ最大の課題だと思っています。

 かつ、私たちは、アベノミクスによって、経済を成長させる、景気を回復させる、デフレからの脱却を目指す、その成長の実感を全国津々浦々にお届けする、それぞれの地域で、それぞれの企業や家庭で感じていただかなければならない、この責務を負っているわけであります。

 その意味において、今委員が御指摘いただきましたように、地域といっても千差万別、そして、この一億二千万人が住む日本でありますけれども、千七百を超える自治体がございますが、実態は、人口五万人以下の市町村が七割です。委員が住む、私たちの隣町、あんな、百二十万だとか、うちの町も五十八万人いますけれども、これは本当のごくわずか、一握りの地域であって、大半は五万人以下の市町村なんです。その残り三割の地域に人口が八割集中している。

 そして、過疎地はさらに過疎が進み、都市部は人口集中が進みつつ、全体として人口減少ですから、それぞれが、全体として活力がそがれていく、こういう状態であって、これが二〇五〇年になりますと、国土を一キロメッシュでチェックした場合に、人口が減り過ぎて無居住地域になるのが、要するに、今住んでいる地域の中から二割が無居住地域になる。だからそこは自治体を形成できなくなるおそれがあるわけであります。

 したがって、まずは目の前の景気回復を、実感をお届けするためにも、それぞれの地域での元気をつくっていかなくてはいけない。一方で、将来の日本の国家的課題である、人口減少下において国土を維持し活力を維持するためには、今の自分の住んでいる町というものを維持していかないと、国全体の活力がさらにそがれることになる、こういう観点から、地域活性化が必要だと私は思っているんです。

 そして、総務大臣をやらせていただき、地域活性化担当大臣をやりながら、地方分権改革の担当大臣もやらせていただいております。ですから、まずは個性と自立、それぞれの地域が自分たちのやりやすいような権限を持ち、規制を緩和し、そして財源、税源を持てるような制度をつくっていかなければいけない。

 したがって、できる権限移譲は、今テーブルにのっているものは全部やろうではないか、それが今国会に提出する第四次の分権改革の一括法であります。

 そして、二十年前に始まった分権改革、まずは、国と地方が上下、主従の関係だ、これを対等の立場にしようと切りかえてきた、これはもうかなりの分野で進みました。そして、全国的に移せる権限や事務権限というものは、今回の第四次一括法で一区切りになることになります。

 ですから、今後は、それぞれの地域を生かすためには、まず、その人たちがやりたい、全国的にはどうかわからないけれどもやる気のある市町村がやりたい分権、こういったもの、手挙げ方式をつくろうと思っています。

 それから、規制緩和の項目、分権の項目はつくりますけれども、これを一度決めると、今度は全自治体で適用するとなると、いや、それは我々にやれと言われても困るんだ、今までどおりやってくださいという自治体も出てきちゃうんですね。だから、最大公約数をつくろうと思うと、うんとハードルが下がっちゃったわけです。

 ですから、今回はそれぞれの、自分の町でやりたい分権、これは手挙げ方式ということで、できるところに権限をおろす、まだできない状態のところは今までどおりにやる、こういう多様性を認めようではないか、私はこういうことを考えているんです。

 あわせて、そういう条件を環境整備しながら、あとは、千七百の自治体で千七百通りの元気プランをつくらなきゃいけない。それには、総務省も今やっておりますけれども、国土交通省、環境省、農水省、経済産業省、金融庁、文科省、ありとあらゆるところが地域活性化のためのいろいろな仕事を持っているわけですね。

 ですから、政府の中に、地域活性化のプラットホームというものを設定して、そこで、まず関係閣僚会議、それから関係局長会議、そして担当課長会議、こういうのを設けて方針を決めて、実務をやるチームをつくって、そこで、ある市にはA省の仕事が行っている、それをみんなで、会議の場で共有することで、そんな仕事をやっているのならば、うちの省もそこに入れるよ、そういう仕事があるのなら、これも使ってくれると効果が出ると政策の横串を通そうではないか、こういうことを二十六年度から実施したい。

 これは、内閣の中で相談をして、もう組織はできております。そして、二十六年度の予算で、これを地域の元気枠と仮称で名づけておりますけれども、各省が予算を持ち寄って、そしてそこが複合的に、総合的に、この仕事が、ある町に集中できるように、そしてその地域のまちづくりが、活性化が、今までよりさらに拍車がかかって進むような仕組みを整えた。

 全てが解決できるわけではありませんけれども、そういう目の前の課題と長期のビジョンの解決に向けて、我々とすれば、今できる限りの仕組みをつくってきている、こういうことでございます。

輿水分科員 ありがとうございます。

 まさに、地域が国と対等、さらに進んで、地域が本当に主役で、国がそれをどうやって押し上げていくか、国がどうやって支えていくのか。支えていくという言い方ではなく、一緒になって、どうやってその地域のために尽くしていくのか。今大臣がおっしゃられた、あらゆる部門が協力をして、地域のために、こういった総合的な取り組みはまさに必要であるし、これをしっかり加速化していかないと、間に合わなくなってしまってはおしまいでございますので、私は本当に期待をしているところでございます。

 そこで、今、地域でいろいろな個々特性がある。そこの中で、いろいろな支援をいただきながら、手挙げ方式で、これはやったことない、あれはやった方がいい、自立自主、そういった取り組みが必要だと思うんです。

 地域、地域、また地元の自治体を見てみますと、新たな企画の立案だとか政策を推進するとかいったことよりも、今までやっていたことをどう正確にやっていくか、どう効率的にやっていくか、そういった取り組みの人材はたくさんいるんですけれども、新しいことを、ほかがやっていないことを独自で考え出して、そしてチャレンジして、失敗するかもしれないけれども頑張ろうじゃないかという人材がなかなか地域にいない可能性がある。

 そういった意味で、新たな事業、また手挙げをして、将来のことを考えたときに、このままじっとしていたのではだめだ、では、そのために何が必要なのかと地域の事業を総合的にコーディネートするような人材の育成、また、そういった人材をサポートするための取り組み等がこれからは非常に重要になるかなというふうに思うんですけれども、その辺に対してのお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

新藤国務大臣 これは、例えば中心市街地活性化の仕事に代表されますが、そこには、TM、タウンマネジャーを設けることができる、それに対する人件費等も含めての支援をできるようなスキームがあります。

 今大切なことは、成功事例をつくることなんです。ですから、今、私たちがやっているのは、地域の元気創造本部というものを私が総務省に行ってからつくって、幾つかの地域でモデル事業をやってみようと。

 それは、総務省が考えておろすのではなくて、地域の皆さんで集まってもらって、何ができますかと。地域には資産があるんですね、観光資源や地場産業。地域の資産プラス地域の資金、こういうものを使って、産学金官、産業界、学界、金融界、そして官、そういうもののラウンド、皆が集まって議論できる一つのテーブルをつくって、その中でまちづくりをやっていこう、そんなことをもう始めています。

 それから、地域の資源の中で大きいのは、特に過疎地などは、逆に言えば自然、資源エネルギーの宝庫でもありますよね。ですから、今度は、自分たちでエネルギーをつくる、熱や電気をつくって、それを売ることができる。もうすぐ電力の自由化になりますから、そうすると七・五兆円の市場が新たにできるんです。そういう市場を活用して、地域の分散型エネルギーのプロジェクトを立ち上げてみようではないか。こういうような幾つかの試みをやっています。

 大切なことは、そういう成功例を全国の皆さんに知ってもらう、それで、あの町でそんなことができるんならば、うちの町もできるんじゃないか、そういうことができるなら、私たちもこの制度を使おうとか、そういうふうに情報を発信することも重要だと思っています。

 何よりも、やる気にさせるためには、あの町がやっているのになぜうちの町はやらないんだ、うちの町長たちは何をやっているんだ、うちの議員は何をやっているんだという状態に、なってほしくはありませんが、もしなった場合には、これは拍車がかかりますよ。

 ですから、そういう複合的な、いろいろな手段をまた工夫して、私どもは、これがかけ声倒れに終わってはならないと思いますから、具体的なプロジェクトを始めていますし、そういったものの展開を期待しているわけなのであります。

輿水分科員 ありがとうございます。

 まさに、地域で何するんだと、なかなか考えても思いつかないところに対して成功事例を、こういったのがあるんだということで見せていただくことによってイメージが湧いて、目標も見えてくるかな、そういうふうに思います。

 その上で、今度は、例えば、イメージが見えてきた、でも、これを実行するには、自分のところの市に、どこどこさんの市にいたような、あんな人がいてくれればな、そういったこともあるのかなと。

 そういったときに、例えば、中心となってそういった会議を企画、運営する人材、またそれを進めるような人材の育成が必要なのか。あるいは、育成をすることもできないような、そういった地域もあるかもしれません。そういったところに対しては、アイデアだけでなく、例えばそれを立ち上げた人材を一時的に派遣して、日本一体となって、人も情報も動かしながら、総合的に地域の活性化のために取り組んでいく、そんな取り組みも必要なのかなと思うんですけれども、その辺の状況についてお聞かせ願えますでしょうか。

新藤国務大臣 いい議論をいただいているので。

 これは、制度は幾つかあります。人材育成のプログラム、こういったものも組んでいます。でも、大切なことは、地域にはいるんですよ。それを活用できるような仕組み、また、そういうアイデアを提供することが重要なんです。

 それは、役所や首長さん、議員だけじゃないんですよ。たまたまその地域に住んでいる学者もいるし、出身の方もいるし、経済界で活躍している人もいる。ですから、そういう人たちで、文化人も含めて、いろいろな人たちが集まって町を考える、そういう協議会をつくってもいいんじゃないかと私は思っているんです。

 それを一つの町や村で完結させるのではなくて、例えば、県もまたがって、地域を接している幾つかの町や村が一緒になって、同じ山系だとか水系だとか平野だとか、そういうもので一つの圏域をつくって、まちづくりというものを考える。うちは観光でいくから、おたくは農業でいけ、こっちは地場産業でいくから、うちは教育だ、うちは医療だ、こういうふうに特色を出しながら一つの圏域をつくるような仕組みをつくろう、これが中枢拠点都市構想であって、その先にあるのは、議会でもない、シティーリージョンという構想です。これはもう既にヨーロッパでやっているところもあって、私どもも現場を見に行ったり意見交換したりしているんですけれども、そういう多様なまちづくりのスタイルをつくって、こんなことができますと。

 うちの町はもう人がいなくなっちゃったから、とんでもありません。必ずいるし、逆に、そうであれば、自分がてこ入れしてお手伝いしようという人はたくさんいるんですよ。だから、そういう人たちの活躍の場をつくる。

 これは、人材のコーディネーターだとか、人材育成プログラム、それだけではありません、NGOの支援もNPOの支援も必要だと思いますし、総務省は、町おこし協力隊という、そこの町に定住してその地域のよさを引き出すようなことを専門に、いわば町のアドバイザーみたいな形で実践できるような仕組みももう既に始めていますし、多様な仕掛けをすることが重要ではないかな、このように思います。

輿水分科員 ありがとうございます。まさにそう思います。地域の住民の方は自分の住んでいるところを一番わかっていますし、一番愛している、その皆さんが立ち上がっていくこと、ここは本当に大事だと思います。

 その上で、きょうは事務方の方もいらっしゃっているので、やはりそういったものをまとめていく、サポートするといった役割は行政としてもしっかり果たさなければいけないし、そういったことをできる人材を用意しておくことも必要なのかなと思うんですけれども、その辺についての取り組み状況をお聞かせ願えますでしょうか。

関政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、人を育てる、いい方にリーダーになっていただく、あるいはその方を支える、サポートする方々、いろいろな形で、地域では人材の力が大事だと思っております。

 それで、我々も折に触れて研修を実施しておりますが、その研修も、昔は地方公務員の方だけを対象にしておりましたが、今、こういう地域の人材を育てる研修には、地域のNPOですとか団体のリーダーあるいはサポーターの方々も参加できるということで声をかけて、それぞれかなりの方々にプラスして、一緒になって御参加いただいております。その方々にヒントを持ち帰っていただいて、地域へ戻っていろいろな取り組みをしていただく。

 また、その研修会では、いろいろな地域で既にもう頑張って、元気を出してやっていただいているところもありますので、そういうところの、取り組んでいるリーダーの方々、葉っぱビジネスをやっている方々とか、鹿児島で地域づくりの塾をやっている「やねだん」の方とか、そういう方々にも直接御参加いただいて演習などもしていただきまして、それぞれの地域の人材の力を高めたいと思っておりまして、そういう研修をやることが一つ。

 それから、あわせまして、そういう取り組みでいい取り組みがあった場合に、それをやはりある程度きちんと我々も評価しなきゃいけないということで、先般も、総務大臣、新藤大臣の表彰で、自治区といいましょうか自治会みたいな取り組みも既に表彰をしております。

 また、私ども、地域の元気創造プラットフォームというのをウエブ上に立ち上げておりまして、そこにもそういう取り組みをこれから逐次紹介して、情報の共有あるいは情報の発信をどんどん支援してまいりたいと考えているところでございます。

輿水分科員 ありがとうございます。

 まさに本当に、行政だけだと、自分の区域というところで縛られてしまう可能性があるんですけれども、あらゆる、NPOさんだとか地域の民間の方の意見とか発想が来ることによって、先ほどの、流域でとか、市域を超えた範囲での、全体として同じ資源があって、また同じ課題がある、そういったところが協力をして地域の活性化への取り組みが進むのかな。それに対して、そういったことを新藤大臣以下皆様が御理解していただいてしっかりサポートしていく体制がある、そういったことによって地域の希望の未来というのは大きく開けるのかなというふうに感じました。ありがとうございます。

 先ほどちょっと御紹介がありましたが、地域づくりの総務大臣表彰、先日、二十五年度の表彰を受けた茨城県の筑見区自治会、私は実際、そこへ行かせていただきました。地域の活性化において、自助と互助と共助と公助、公助だけじゃなくて、やはり自治会の活動というのは、自分たちの地域は自分たちでということで、自助と互助の取り組みが本当に進んでおりました。

 先ほど大臣言われたとおり、私たちの地域には人材がたくさんいますと。本当にいました。ところが、なかなかそれが進まなかったところで、立ち上がった一人の民間の方がいらっしゃって、その力を結集することによって、何と自治会内でタウンページができていました、自治会内タウンページ。誰々さんはごみ捨てができる、誰々さんは電球の交換ができます、誰々さんは病院への送り迎えができる、あるいは誰々さんは囲碁の相手ができますみたいな。それで、タウンページで連絡すると、地域内でそういった生活の物事が完結してくる、そんなものもできる。

 さらに、地域内で、高齢化で、少しでも元気でみんなが長生きできるようにということで、サロンを開設して、地域の高齢者の方一人一人が、そこの運営もしながら時には利用者にもなるという、みんなで運営をして、参加をしながら新しいまちづくりをしていく、そんな取り組みがありました。まさに、地域というのは本当に力があるな、また、新しい取り組みができるんだなと。

 そこで、今言われたような、地域の人材を育成するための取り組み、プログラムを進められる、このことは本当に、これから日本の現場を強くしていく。やはり、地域が活性化できるかどうかというのは、まさに、地域のコミュニティーをいかに大きくできるか、ソーシャルキャピタルをどう育てていくのか、そういった取り組みだと思っていますので、その辺の取り組みはぜひお願いしたいと思います。

 そんな中で、今度は、若い世代から、しっかりとそういった地域の取り組みにも参加していただきたい。

 この前の筑見区も、子育て中のお母さんも病院への送り迎えをされていました。それは、自分は筑見区に住んでいるんだけれども、千葉に住んでいる親がやはり地域の方に送り迎えしてもらっている、それに対して自分も感謝の思いがある、そういったことで、自分はここでやらせてもらおう、そういう動機づけでそこを担っているんです。

 そういった取り組みに対して、若い人たちも企業も、みんなが推し進めていくような、少しでも協力していく、場合によってはそういった状況に対して評価をしていくような、そして、社会全体として、地域のために尽くしていくことも大きな意味があること、そういった意識づけも大事なのかな、また、そういった情報交換を、地域に住んでいる自治会の方だけではなく、広く一般世間の人も知った上で、この日本の持っている底力を大きく広げていくことも必要なのかな、そのように感じております。

 自治会というのは日本にしかない、すごい財産だと私は思います。また、日本の宝だと思っています。そういったところをもう一回強めていくことが、日本の地域主権、地方分権の底辺を支える大きな力になるのかな、そんなところを育てていくことが必要、また育てていくべきだと思うんですけれども、その辺についての大臣のお考え等ありましたら、お願いいたします。

門山政府参考人 自治会、町内会についてお答え申し上げます。

 お話がありましたように、自治会、町内会というのは、地域的な共同活動を通じまして、住民の皆さんの自助、共助を進めるとともに、行政面でも多大な御協力をいただいている。まさに、先生おっしゃいますように、日本を支える底力ということで、欠くことができない取り組み、存在だと認識しております。

 特に、東日本大震災のときなどは、自治会、町内会の果たした役割というのは目覚ましいものがあったというふうに考えております。

 そういうことから、総務省におきましては、毎年、自治会活動の功労者に対しまして総務大臣表彰を行っておりますとともに、昨年から、新しいことでございますけれども、自治会功労者に対する叙勲の制度というのも設けられたところでございます。

 総務省といたしましては、今後とも、自治会のあり方をいろいろ勉強いたしますとともに、そういった自治会の支援ができるようなことに努めてまいりたいというふうに考えております。

輿水分科員 ありがとうございます。

 一番最初の問題に戻るんですけれども、地方分権、地域主権、いろいろな形で、やはり制度とか財源の、また権限の移譲等もあるんですけれども、そういうこと以前に、地域で一つ一つの、例えば先ほど言った高齢化の問題にしても、地域で安心して介護と医療が受けられる、そして、完結型の地域、生活の支援もしっかりと受けられるようなものをつくるというのは、まさに地域が主体となって、現場が主権を持って進めるべきことであるなというふうに感じております。

 そういった意味では、一つ一つの具体的な項目を見ながら、いよいよ、国の制度がとか法律がというよりも、時代そのものが、地方分権、地域主権の時代になっている。また、現場もそのことを自覚して、まさに総務省の皆様にその辺を主体的に取り組んでいただいて、先ほど大臣おっしゃられていました、日本の元気といっても、地域が元気にならなければ何もならない、その辺の取り組みをしっかりと進めていただければと思います。

 最後に、地方分権、地域主権、実際、まさにもう動いているんだ、そのことを各現場で理解していただいて、さらに加速をしていくというか、現場で取り組んでいく、自覚をしていく、そんな方向での指揮をとっていただきたいと思うんですけれども、御見解をお聞かせ願えますでしょうか。

新藤国務大臣 地域の元気の塊を日本の元気にするんだ、私はそういうモットーでやりたいと思っています。

 かつ、これからこの国を元気にさせるために、地域の活性化、それから、そこに新しい仕組みを入れる、ICTやその他のいろいろな取り組みを入れる。イノベーションです。

 しかも、それは、これからの地域を考える上では、自分たちの町の活性化なんだけれども世界に通じますよ、だから、国際展開できるものは、新しいアイデアは世界に向けてだってやっていい、こういうことを考えて元気にさせていきたい、このように思っているわけであります。

 ちなみに、最後に一言だけ申し上げますが、安倍内閣においては、地方分権と言っておりますけれども、地域主権という言葉は使っておりません。それは法律用語になりません。主権は国民にあるわけでありまして、私は、国と地方の対立の概念に陥ることは、ぜひやめた方がいいと思っているわけなのであります。

 国と地方は、それぞれの役割分担の中で、自分の町や自分の暮らしの中には国も地方も一緒に入っているんです。県も市も村も、みんなその同じ地域にあるわけで、役割分担の中で、ともに役割を果たしていくべきだ、このように考えております。

輿水分科員 どうもありがとうございました。

 私も、まさにそのように思います。今後は、もう国と地方が一体となって、また、国がしっかりと地域のために、そういった思いでともに働いていきたいと思っております。

 また、大臣の、地域の元気が、日本の元気が世界を変えていく、そういった視点も共有させていただきながら、一生懸命に働いてまいりたいと思います。

 本日は、大変にありがとうございました。

上杉主査 これにて輿水恵一君の質疑は終了いたしました。

 次に、武井俊輔君。

武井分科員 自由民主党の武井俊輔でございます。

 大変長時間、お疲れさまでございます。去年に引き続きまして、総務の分科会でまた新藤大臣に質問できますこと、大変ありがたく思っております。また、郷土の大先輩、上杉主査ということで、どうぞよろしくお願いをいたします。

 私どもの宮崎県でございますが、来月の十六日に、ようやっと念願の東九州自動車道が宮崎から県北の延岡市まで開通をするということになりました。本当に、上杉主査初め先輩方のさまざまな御努力の結実で、今ここまで来たなと。来年、また大分を経て北九州小倉まで東九州道が全通をするということでございまして、ようやっと、なかなか立ちおくれてきた私どもにも新しい一ページが来るのかなと思っております。また一生懸命頑張ってまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 とはいえ、なかなか既整備的にも厳しい状況は続いておりまして、新幹線も当然ございませんし、高速道路もようやっと片側一車線でできようかというところでございます。鉄道で見ますと全線単線でございまして、およそこういった高速交通網、高速道路もまだまだ未完成の区間もたくさんあるという状況です。

 九州の一番中心の福岡に行くでも飛行機に乗るのが一般的ですし、また、陸路であれば、どうも計算しますと、一旦鹿児島までおりて、そこから新幹線に乗ったら一番速いという大変残念な状況も続いております。ですから、鹿児島まで鉄道で二時間かかるんですが、鹿児島から新幹線で二時間、同じ時間乗ると、九州ははるかに飛び出して、もう山口ぐらいまで行っている。隣の県で何たることかと思うわけですが、そういったようなものを抱えながら、私たちは今活動をしておるんです。

 そういった中で、まず、道州制についてお話を申し上げていきたいんです。

 そういった、非常に差がある中で、今この道州制の議論があるということであります。これは私ども自民党の中でも議論は続いておりますので、結論は、ここで何かが出るとならないことは十分承知をしておるんですが、非常に立ちおくれている、インフラが整っていない現状の中で道州制の議論が進んでいくということに対して、やはり不安を感じることも事実でございます。

 そしてまた、地元に帰りまして話を聞いても、不安という以前になかなか関心がないというのもこれまた残念ながら事実でございまして、これは、県民の皆さんはもちろん言うに及ばずなんですが、県庁に行きまして県の職員なんかに聞きましても、担当の部署の人は、こうでああでというような話も議論されるんですが、なかなか前向きな話もない。

 一方で、例えば、地方整備局が廃止されるんじゃないかといったような話、いろいろな期成同盟とか、そういったようなものの中では、むしろ、業界の皆様から、そういったことにならないようにという要望がある。こう言ったら言葉は悪いかもしれませんが、知事がそれに対して言いわけというか、説明をするというか。

 言ってみれば、現状としてはそういったようなところでして、九州全体という枠組みの中で見ても、まあまあ話として盛り上がっている関心事項があるかなとすれば、九州道の州都は福岡になるのか、はたまた九州の中心である熊本じゃないかとか、そういったような程度と、あえて言わせていただきますが、そういった状況であろうかと思っております。

 その上で、実際、では、今、現状において、道州制について、そもそも国としてどのようなスタンスで臨んでいるのか。町村会、また町村議会議長会等が、道州制については反対をするということを明確に打ち出しております。やはり、これは現実に、特に、町村会なんて市町村合併という大変な思いをしたところ、また合併しなかったところにしてもしかりですが、そんな思いを受けてきた。そういった現場の苦労、苦悩を重ねてきた中から発出された思い、気持ちであろうと思いますので、やはり、これはこれで重く受けとめていかなければならないと思っております。

 まず、この町村会、町村議長会、こういった姿勢も含めまして、現状で道州制について国としてどのようなスタンスで臨んでいるのかについてお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 昨年も武井議員から御質問をいただきました。またことしも、今回もこのように熱心に御質問いただくことは本当にありがたく思っております。

 そして今、地元のお話が出ましたけれども、何といっても、それぞれ皆さん、自分の地域をどうやって発展させていくのか、そしてそれは手段があるのかということをとても心配されていると思います。また、地域で活動すればするほど、実情を知る人はさまざまな課題を承知するわけでありますから、そういう中でいろいろな御心配がある、このように思います。

 まず第一に言えることは、何かの、一つの手段では変わらないということですよね。何かが一つできないから、全てが今だめなので、逆に言えば、一つを変えれば全てがよくなるということではないわけです。ですから、総合的な取り組みをしながら将来の国の形というか地域の形をどうつくっていくかということ、それを我々は、やはり地道に、しかも大きな志を持って進めていかなくてはいけないということだと思います。

 その意味で、道州制というのは、国と地方の形を根幹から変える大きな制度です。

 それは、まず第一に、住民に対する行政サービスの向上、それから行政の効率化、地方にとっては自立を促すものであります。一方で、そうした強い地方自治を確立させることによって、国の統治機構全体も強化するものにならなければなりません。国と地方とどちらがいいではなくて、全てこの日本の国の中で、国家行政機能と地方自治の行政機能が双方に向上する、こういうものでなければいけないと私は思っているんです。

 そこまで大きな改革については、何といっても国民的な議論が必要だ。それから、制度を考えるに当たっても、国民の代表たる議会、各党各会派の御議論というものが非常に重要になってくる。行政とすれば、そういう国民の声を聞き、国民の代表が定めた方針に沿って、それに対して我々は適切に行政手段を講じていく、こういうことになっていくんだと思います。

 前政権では、道州制担当大臣というのは置かれませんでした。私たちは、第二次安倍内閣において、私が拝命いたしましたが、もう一度道州制の担当大臣を置いて、国民的議論を進めながら、政府としてもこういったものに対して取り組んでいこうではないか。与党自民党の公約でもあります。公明党も御協力をいただいております。あわせて、政権としてそういったものに取り組む、こういうことになっている。

 今、現実に、さまざまな反対意見、推進の意見もありますけれども、反対の意見も出てまいります。それは、委員が最初におっしゃったように、それぞれの地域での御心配があるからです。そういったものを、やはり丁寧に声を受けとめなければいけない、こういうことを今与党において作業していただいているということだと思います。

 いずれにしても、私たちは、国と地方のあり方というのを見直して、そして日本の国の機能を向上させる、そのために道州制というものが有力な手段ではないのかという観点から、私としても、これは着実に、しかも腰を据えた取り組みが必要だと。しかし一方で、だからといって、長期的課題ですでは、これまた役目は果たせないと思いますから、我々とすれば、まずは与党の御議論を見守りながら、政府としても適切に対応できるようにそれぞれの研究をしている、こういうことでございます。

武井分科員 ありがとうございます。

 先ほど、冒頭、宮崎県の現状という話を少しさせていただいたんですが、やはり道州制を推進していく前提として、それぞれ地域の競争条件、まずこれがきちんと平等、少なくとも機会の平等までは担保していただかなければいけない、そういう意味で現状を申し上げたんです。これはもちろん国土交通省が担う部分も多いわけですけれども、そのあたりもぜひとも御配慮いただきたいということ。

 そしてまた、加えまして、今大臣から、行政能力の向上等のために資するということ、確かに、本当にこれもそのとおりだと思うんですが、実際、話を聞いていましても、やはり市町村合併の都道府県バージョンみたいな意味合いで思っていらっしゃる方も非常に多いです。

 道州制の議論のときによく言われるのは、国は外交と防衛を主に担ってという話があるんですけれども、例えば、東日本震災のようなこと、また過日の雪害のようなこと、激甚災害というのは、当然、国が担わなければならないからやるわけです。そういったようなことを考えましても、どこまでが地方が担うべきで、どこまでが国が担うことか、もちろん、これも今議論のさなかだということではあろうかと思うんですが、賛否以前に、平たく言えば、大部分の人が今よくわからないというのが現状だと思います。

 国としても、少なくともそういう大きな方向性を打ち出して、今議論しているのであれば議論している、こういうことを議論していてこういうことが課題だということも含めて、適宜適切に情報を、きちんと現状を、できていないなら、ここまでだというならここまででもいいんですけれども、とにかく、なかなかそういうものがされていないなという思いが非常にあるんです。

 ですから、賛否とかいう以前に、どのような形で、今の道州制の状況とかあり方、そしてまた国の考える思いというものを国民の皆さんに周知していくか、これが大事なことだと思うんですが、その取り組みについてどのように臨むのか、また臨んでおられるのか、お伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 まず第一に、目の前の暮らしを活性化させる、元気にさせなければいけないわけです。ですから、道州制の導入を待つまで何もしないということはあり得ません。今、現状で進められる地方分権それから地方自治の確立はどんどんと進めていって、権限移譲や自治が拡充した中で、そういう状態でさらにそれを強化するために新しい制度としての道州制があるわけなので、これは、今私がやっている地域活性化ですとか、それから分権改革、そういうものも含めて、全て国の統治機構と地方自治の形の変更につながっていくんだ、このように御理解をいただきたいと思うんです。

 その上で、大枠で言えば、そもそも、第一次安倍内閣、道州制のビジョン懇というものができて、そのときに指摘された道州制導入のメリットは、東京一極集中の是正、多様性のある国土の構築、広域的な経済圏の確立、そして重複行政の解消による行財政改革の向上、こういうものを挙げました。しかし一方で、それは、地域間格差の拡大や住民自治という意味では形骸化を招くおそれもあるということであります。

 ですから、国が外交、防衛、マクロ経済をやり、地域は地域の手でということになったら、それでは、地域間の調整は誰がやるんですか。同じ立場の者同士が調整をすることが、果たして客観的なチェックが可能になるんだろうか。それから、全国に、シビルミニマムといいますけれども、全国民が受けられる、標準的な享受できるもの、こういったものを保障するために、誰がそれを保障するのか。

 ですから、私は、国と地方は上下ではない、そして、同じ枠の中に混在しているんですよ。自分の町の中には、国道も通るし、国管理の広域河川もあり、一方で警察や保健行政が、県がそこに入り、そして市町村が基礎的な自治業務をやっているわけで、同じ町の中に混在しているじゃないですか。ですから、そんなふうにすぱっと切れるものではなくて、混在しながらそれぞれの役割分担を果たす。

 基本は、地域のことは地域でできるようにしようというのは、地方自治の本旨ですから、自立させるための制度をつくることは、国として、法律が求めていることなのでありまして、そういう中から望ましい形を探っていかなくてはいけない。

 だから、目に見えて、まずこんなことができるようになります、あなたの町でやりたいことは、今まではできなかったことも努力をして、熱意があればできるようになります、そういう成功例をたくさんつくろうというふうに思っておるわけですね。

 そうした中で、それでは権限と財源を移譲して、果たしてどこのエリアでどこまでのことを自分たちで処理できるのか、そういう設計をしなければいけない。それには、まずは国民的議論を行うための国民会議をつくろうではないか。その国民会議をつくるための根拠となる法律を基本法でつくろうとしているのが今です。それに対して、その法律をつくることですらいろいろな意見があって、やはりこれは慎重な、さらに意見を聞かない、これを突然国会に出すわけにいかないですね。

 こういう状態になっているということで、目に見えた推進がないように見えますが、進んでいるがゆえに見えてくるいろいろな障害を乗り越えて、そして整理すべき課題を調整して着々と進んでいるんだ、このように私は考えております。

武井分科員 確かに、実際に部会などで話をしていると、非常によく議論はなされております。ですから、なればこそ、今のようなお話をできるだけ国民の皆さんにも、確かにほかの、消費税とかTPPとか、そういったようなものに比べると、関心的になかなか持ちづらい必然はあるんですが、しっかりとまた工夫を、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、ちょっと時間も過ぎましたので、指定管理者制度について御質問をさせていただきたいと思います。

 ちょうど本格的に導入されて十年ということになってまいりまして、行政ニーズが高まる中で、一方で行政がスリム化していかなければいけないということ、非常に知恵を出した、意義ある制度だというふうには思っております。自主事業なんかも盛んになって、公園なんかも非常に有効に活用されているとは思っております。しかし、現場でさまざまな声を聞いておりますと、やはり課題もるるあるように感じております。

 まず確認なんですが、十年目を迎えた指定管理者制度の導入で実際にどのように行政が改善されたか、行政効果があったかということについてどのような認識があるか、お伺いをしたいと思います。

門山政府参考人 お答えを申し上げます。

 指定管理者制度でございますが、平成十五年の地方自治法の改正で導入された制度で、おっしゃいますように、今ほぼ十年が経過ということでございます。

 この間、地方自治体におきましては、地方公務員の数が約三十五万人減少しているといったようなことで、行政体制のスリム化を進めてきたわけでございますけれども、そうした中にありまして、一方で住民のニーズに応えつつ、なおかつ行政サービスの水準を維持向上する上で、指定管理者制度の果たした役割というのは大きかったと受けとめております。

 また、数でございますけれども、指定管理者の管理する施設は年々増加しておりまして、平成二十四年四月一日現在では、全国で約七万三千の施設で活用されているということで、制度としては定着しているということかと存じます。

 一方、課題といたしまして、指定管理者の選定において公平性ですとか競争性が十分確保されているのか、あるいはまた、業務の継続性ですとか働く方の雇用の安定ということでどのように調和が図られているのか、さらには、小規模な団体におきましてはなかなか事業者の確保が難しいというところもございまして、どうやって適切に事業者を確保するのかといったような課題もあらわれているところでございます。

 今後とも、制度につきましては、適切な運用、必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

武井分科員 ありがとうございます。

 引き続き局長にお伺いをいたします。

 先ほど、七万三千件というお話がありました。確かに、一定の行政効果。

 課題もお話しいただいたんですが、実際、見てみますと、今まで委託で受けていた財団がそのままやっているとか、そういったようなこともあるわけなんです。特に、行政のOBが理事長を務めたり、実質的に天下り団体みたいなところが運営をしている事例も少なくないかと思うんです。

 こういった、いわゆる財団法人と、あとは民間の株式会社とかがそれぞれ運営をしているかと思うんですが、割合についてお伺いをしたいと思います。

門山政府参考人 総務省で実施しております公共施設の指定管理者制度の導入状況に関する調査というものがございます。この調べによりますと、平成二十四年の四月一日現在でございますが、財団法人、社団法人、これに地方三公社も含めてでございますけれども、こういったところが指定管理者となっております施設は、数で申しまして、一万九千三百八十五施設ということでございます。全体が約七万三千でございますが、それに対する割合は二六・四%ということになっております。

 一方、民間の企業等、株式会社ですとか特定非営利活動法人などでございますけれども、こういったところが約三割の施設を担当しているというのが現状でございます。

武井分科員 今の御説明にあったとおりなんですが、このような事例を含めても、競争といいながら実際はなかなか競争原理が働いていないという事例も少なくないわけであります。そもそも、発注の方式によって、そこしかできないだろう、一者しか応募できないだろうというところや、また、できレースと言っては言葉が悪いんですけれども、そういったように言われてもしようがない事例とか、あと、十年ですから、当然更新が三年とか五年で来るわけですが、更新を見てもなかなか新規参入されない、いわゆる選挙でいうと現職が圧倒的に強いといったようなところがあって、新しく参入するのがなかなか難しいなどという課題もあります。そういったようなことも含めて、いろいろ公募の、選定過程、また結果についての不満も少なからず聞くわけであります。

 そういった意味で、公募における競争のあり方、そしてまた結果の情報公開等について課題があると思いますが、どのように認識をされているかお伺いします。

門山政府参考人 お答えいたします。

 指定管理者につきましては、施設の管理を最も効率的かつ効果的に行うことができる事業者を、かつ、住民の方々のコンセンサスを得ながら選定する、こういうことが重要でございますので、手続は公正かつ透明性が高い手続によるということが求められているというのはおっしゃるとおりでございます。

 具体的には、公募などによりましてまず複数の事業者から事業計画書を出していただくことが望ましいというふうに考えております。総務省といたしましても、選定する際の基準あるいは手順などにつきましては、適時に必要な情報公開に努めるように助言をしているところでございます。

 実際、それではどのような形で事前事後の公表をしているかということでございますが、公募基準を事前公表している団体というのは、都道府県、市町村、全体の平均でいきますと五〇・五%ということで、約半数でございます。都道府県の場合ですともう九十何%というところでございますが、やはり市町村が若干低いという傾向はございます。

 それから、事後的にどういう理由で選定を行ったかということを公表している団体でございますが、こちらは、比率といたしますと、全体の五八%ということでございます。

 なお、施設によりましては、利用者の方あるいは住民の方々からの評価を踏まえまして指定する更新の制度、こういったものを採用している例も見られます。これは、法令上は妨げられるものではございません。やはり、最も効率的かつ効果的な管理を実現するものとして、住民の皆様あるいは議会の理解を得るということが重要だというふうに考えているところでございます。

武井分科員 ありがとうございます。

 指定管理はもう一問お願いしていたんですが、ちょっと時間がありませんので、割愛をさせていただきます。

 非常にさまざまな、直接利害がかかわる制度ですので、ぜひともそういった不断の改善をお願いしていきたいと思っております。

 最後に、意見書についてお伺いをしたいと思います。

 地方自治法九十九条にございますが、普通地方公共団体の議会は当該地方公共団体に係る公益に関する事件につき国会または関係行政庁に意見書を提出することができるということで、意見書が各都道府県、市町村議会からいろいろと上がってくるかと思うんです。

 まず、これはちょっと通告していないんですが、大臣にお伺いします。

 実際、意見書が、上がってきたものというのは、結構、直接目を通されることとかはございますか。

新藤国務大臣 私も、これは機会あるごとに見ております。

武井分科員 この意見書なんですけれども、私も県議会議員をしておりまして、大臣も川口の市議会議員をされていらっしゃったということで、意見書を出される側にもいらっしゃったかと思うんですが、これは私の地元の宮崎の県議会、十五枚ぐらいですか、さきの議会でも意見書が出たということなんです。

 これ、書いた方も書いた方、受ける方も受ける方というところで、実際にその後どうなっていったのか、どうしたのかというのがなかなかわからないところが県議会におりましたときもございました。実際に私たちも、では、例えば前の議会で我々が何の意見書を出したか、それぞれ地方議会で聞いてわかりますかというと、多分ほとんど覚えていないんじゃないかと思うようなところがありまして、そういった意味では、やはりこれは、法律に定められた権利として出しているわけですから、出す側も受ける側も、もうちょっと意味づけをしっかりしていかなければならないのではないかと思うんです。

 それを踏まえてお伺いをいたします。

 厳密には意見書を議会事務局から各府省に送付されるわけですけれども、その後、これはどのような取り扱いになっているのかお伺いをしたいと思います。

新藤国務大臣 これは、地方自治法九十九条によって、意見書を出すことができる、議事機関の意見表明ができるということであります。しかし、意見書の提出を受けた国会または関係行政庁は、意見書に対して回答その他積極的行為をする義務というものはこの法律の中にはうたわれていない、こういう状態であります。

武井分科員 そのとおり、まさにそうかと思うんですが、これは総務省とか国だけが悪いとか言っているわけじゃないんですよ、実際に、地方住民の代表たる議会が、その意思として意見書を上げるわけですから、それを出した結果、何の回答もないというのが現状なわけですが、そういう意味で、やはり何らかの打ち返しをしていくべきではないかと私は思っております。

 一つの県議会でこれだけ出るわけですから、全国または市町村が都道府県に出すものも考えれば、量は莫大に、多分一万近くになるんじゃないかというふうにも言われております。全部というわけには到底いかないであろうと思いますが、例えば、同じような趣旨のもの、消費税とかTPPとか、それぞれいろいろある、もちろん各県固有のものは固有のものであるわけですが、そういったようなものも含めて、例えば、内容が多かったようなものについては何らかの形で回答をする、ホームページに掲載するとかいうこともやり方としてあるのかもしれないんです。

 そういった何がしかの工夫はあるのではないかと考えるんですが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 まず、地方議会から意見書を提出する場合には、当然、議会の議決が必要になります。ですから、そこの地区の住民の意思というものが反映されていく、それが法律にのっとって正式に国会または行政庁に提出される、これは、私は重いものだというふうに思っています。

 今度は、地方自治の観点から出していただいた意見を、それは地方自治は独立しています、一方で国政は、国会は国会で、これは唯一の立法機関として存在しているわけです、また、行政庁というものがあります。ですから、そういう国民の意見の表明を受けとめて、かつまた参考にして立法作業や行政事務に当たる、この意味においては、私は趣旨は生かされているんだというふうに思うんです。

 それが、一つ一つに対してどう対応したかではなくて、例えば、同じような意見がとても多い、これは実際にその意見のものが法律として成立する場合もあります。それから、極めて対立して、双方の意見がある、これも意見書の中で数でもってわかってきます。ですから、そういう意思を我々は参考にしながら仕事をしています。

 また、国会議員も、委員のところにもたくさん意見書が回ると思うんですよ。私は、一応全部見ています。その中で特に目にとまるものがあれば、それに対して団体から御意見を聞く場合もございます。

 ですから、これを活用するもしないも立法機関としての議会の考え方次第だし、それから、行政府は行政府で、こういうものを十分に勘案しながら、これは意見書だけではありません、地方団体の声やパブリックコメントや、いろいろな国民の声を受けとめながら現実に作業をしているわけでありまして、これを生かすも生かさぬも組織次第というところがまずあるわけですね。

 その上で、大前提として、法律において、これはそれぞれの立法機関の、また行政機関としての存在を確立させた上で、参考たる意見として地方自治の観点から出せる、こういう仕組みになっていて、地方自治法においてそれ以上の義務を設けていないというのは、そこに法の趣旨があるということでございます。

 委員の問題意識は、現実にそういったものを活用して、立法作業にいかに生かしていくか。それは、これからの議員の活動がそれによって充実されるのではないか、このように考えます。

武井分科員 ありがとうございました。

 実際に地方議員をしている立場からすると、非常に形骸化しているんじゃないかという思いがありましたので、御質問をさせていただきました。

 大臣の思い、そして、私ども議員側もやらなければいけないことがたくさんあるということも改めて認識をいたしましたので、お互いにしっかりこれを意義、意味あるものにしていければと思っております。

 以上、終わります。どうもありがとうございました。

上杉主査 これにて武井俊輔君の質疑は終了いたしました。

 次に、鬼木誠君。

鬼木分科員 こんにちは。福岡二区、自由民主党の鬼木誠でございます。

 きょうは、放送法について、日本の表現の自由はどこまで自由なのかということを質問させていただきます。

 日本国憲法二十一条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」、放送法第三条「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」こうした法律に守られて、日本の放送は、言いたい放題のやりたい放題、無制限の自由のもとで公共の電波を恣意的に利用してきました。この現状に一石を投じたいと思います。

 昨年、食品業界においては、虚偽表示が問題となりました。食品業界は当初、虚偽表示ではなく誤表示であると言い張りましたが、バナメイエビをシバエビであるとした等の表示が誤表示ではなく虚偽表示であったことは、誰の目にも明らかでありました。これらの虚偽表示が消費者にさまざまな不利益を与えたことが社会問題となったのは、皆さん周知のとおりだと思います。

 翻って、マスコミの虚偽報道について考えたいと思います。

 最近に限ったことではありませんが、マスメディアによる虚偽報道がひど過ぎると私は感じております。事実誤認というよりも、悪意による虚偽報道が往々にしてまかり通っております。これは、情報の消費者である国民の知る権利、事実を正しく知る権利を侵害しているのではないでしょうか。

 一例を挙げます。

 特定秘密保護法案の国会審議中、テレビ、新聞では執拗なネガティブキャンペーンが展開されました。法案が成立した十二月六日の「報道ステーション」では、若手の記者らしき男性がこう言いました。一般民間人が旅先できれいな風景を写真に撮ってフェイスブックにアップしたとき、そこに秘密に当たる軍事施設が偶然写っていたら逮捕されてしまう、そんな社会になる、そういう内容を発言されました。

 法案上、こんなことが起こるようなつくりになっていないことは明白であります。にもかかわらず、こうして事実と異なる報道で反対世論をあおり続けておりました。

 法案成立の日、メディアがこんな基礎的なことさえわかっていないわけがなく、これは虚偽報道と言われても仕方ないものだと思います。

 報道がうそはいけないと私は思います。重要法案に関する報道がうそ、そのうそに基づいて国民は判断をし、世論調査には国民は、反対だと答える、そしてメディアは再び、その世論調査をもって、国民の半数以上が反対だと言っていると言って世論をあおる。うその拡大再生産を自作自演してきた。この状況は大変問題があると感じました。

 放送法第四条に「報道は事実をまげないですること。」とあります。公共の電波がうそを喧伝してよいのでしょうか。虚偽報道は許されるのでしょうか。新藤大臣の御見解をお願いします。

    〔主査退席、うえの主査代理着席〕

新藤国務大臣 うそを喧伝すること、そして虚偽報道、許されるわけがありません。ですから、もしそういったことがあるならば、それは罪に問われることになりますから、これは許されるわけがないんです。

 その上で、しかし、私たちの放送というのは、あえて放送法という法律をつくって、表現の自由、何人からも干渉されない、そして事実を曲げずに、政治的公平中立を守ること、こういうことが法律でうたわれています。それは、日本の民主主義の根幹だからです。

 言論の自由や表現の自由を維持して、そして健全な民主主義を発達させるために、放送というのは極めて重要な位置づけだということになっているわけでありますから、この放送法にのっとって行う事業者、それはNHKだけではありません、民間放送事業者も同じです、同じ法律のもとでこういった権限が与えられ、そして規制があるわけです。

 ですから、それを守って、国民によりよい番組を提供していただきたい、このように思いますし、そうした、今委員がおっしゃったような、これはまさに国民の声です。

 ましてや、委員は、今回、たくさんの方々の衆目の期待を担って国政の場に出ていらっしゃいました。ですから、国会の中で、そういう疑義があるならばそれをただしていく、そして、それが罪に問われることなのか、やっていいことなのか悪いことなのか、そういったことは一つ一つ確認していくことが重要だと思います。

 私は、放送法を預かる所管大臣として、そういったことは、うそや虚偽は許されないんです。でも一方で、そのもとで、放送に干渉があったり、それから言論が制限されるようなことは、民主主義にあって、かつてそういったことでなかなか国政の状況が伝わらない時代もあったことは、これは我々は反省をしなくてはいけないんです。

 ですから、民主主義の根幹を守るために、私は、しっかりと放送法を遵守させて、そしてまたそれを監視してまいりますし、委員は、国会の立場から、ぜひそういった国民の声をきちんと出していただきたい、このように思います。

鬼木分科員 大臣のおっしゃるとおり、正しい情報に基づく十分な議論が民主主義の基礎でございます。情報に基づいて国民は主権者の権利行使である投票行動をするのですから、情報が正しいか誤っているかというのは重大なことです。主権者が誤った情報に基づいて行動すれば誤った選択が行われる、すなわち、国が道を誤るということになります。

 虚偽情報で国民を扇動すること、正しい事実を知らせないことは、主権者の国民の知る権利を侵害している、民主主義における大問題だと思います。

 知る権利は、マスコミの権利ではなく、国民の権利。主権者はあくまで国民であります。マスコミは、国民の知る権利を担保するために、取材の自由を含め、さまざまな場面で優遇を受けているはずです。そこにあるのは、どこにも土足で踏み込んで、人の悪口のネタを仕入れる権利ではないはずです。

 マスコミにあるのは、国民に事実を正しく知らせる義務であります。公共の電波を取り扱う権利を享受するならば、マスコミは、正しく伝える義務を果たさなければなりません。権利の裏には義務、自由の裏には責任が伴うのは当然のことであります。公共の電波を扱う者の義務、より厳しい自制、ノーブレスオブリージュがあるはずでございます。

 にもかかわらず、報道の場で多々見受けられる、なかったことをあったかのように喧伝する作為、あったことについて全く触れない不作為、過剰な演出、誇張、歪曲、やらせ、捏造、事実を正確に伝えないこれらの姿勢について、私はガイドラインを定めるべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 ガイドラインに相当するものとして、NHKと日本民間放送連盟、いわゆる民放ですね、それぞれ、放送に携わる全ての人々に向けてガイドラインが設定されています。そして、ニュース報道の正確、公正、公平などを求めているわけであります。

 しかし、それは、例えばNHKの場合、ニュースや番組は正確でなければならない、しかし、その上で、意見が対立する問題を取り扱う場合には、個々のニュースや番組の中で双方の意見を伝える、そういうことが自分たちの番組基準の中にはあるわけなんです。

 それから、民放におきましても、ニュースの報道は何よりも正確かつ公正でなければならず、公平で客観的であることが求められる、取材に当たっては、まず事実を確認し、また、対立している問題については多角的に取り上げ、一方に偏ることのないように配慮しなければならない。これは、もう既に放送基準としてガイドラインが定められているわけなんです。

 そのガイドラインに従ってなされた放送が、それでもまだいろいろな意見が出てくる。それもまた、多様な意見の一種だと思います。

 ですから、大切なことは、情報は取捨選択をする、そして、受け取る国民側も、自分たちでそれに関心を持って、きちんと理解、また把握する、そういった努力というものも必要だと思います。

 それから、それは何度も申し上げますが、そういう国民の意見の代弁をするために、国政に参画する議員が、委員のような方がいらっしゃるわけでありますから、そういったことをしっかりと問題提起して、そして、放送機関が行っているものに対して、放送法を遵守しているかという立場でチェックをする、これは非常に重要なことだと思います。

鬼木分科員 御答弁のとおり、放送法もBPOも、形式としてはガイドラインを定めておりますが、ただ、しかし、現状がこのありさまでございます。

 そして、放送法は、珍しいことに、罰則のない業法でございます。いろいろな業界があって、いろいろな業法がある。だけれども、罰則のない業法。こういう行為はいけない行為だというガイドラインを定め、悪質なものには相応のペナルティーを科すことが必要だと私は考えます。

 報道にも一定の制限が必要、罰則も必要だということを発言いたしますと、マスメディアの側からは、言論の自由を萎縮させるという批判が私に対して出ることと思われます。しかし、マスコミは、みずからの言論の自由を振りかざす一方で、自分以外の世の中全般の言論の自由を侵害してきたのではないでしょうか。

 マスコミによるバッシングは、世の中の言論を萎縮させております。何か物を言えば、一方的に全力でたたき潰される。橋下大阪市長やNHK籾井会長の慰安婦発言、自分の価値観と相入れないものは徹底的にたたき潰す言葉狩りが行われます。

 過去には、柳沢伯夫厚労大臣の産む機械発言など、文脈を無視して全体の中の一文、一語句を取り上げてたたく言葉狩りによって、多くの国民がたたかれ、潰され、メディアの前での発言に萎縮をしております。

 国民の言論の自由、表現の自由を侵害しているのが、現在のマスメディアではないでしょうか。自分こそが国民世論である、自分こそが正義であるというおごりがマスメディアにあるのではないでしょうか。そこには何の正当性もないわけであります。ただ公共の電波を借りて私見を強要しているのであります。

 メディアが何を言ってもいい自由ではなく、広く国民一般が自由に発言できる社会こそが、言論の自由ではないでしょうか。そこで繰り広げられる多様な議論こそが、民主主義の基礎ではないでしょうか。

 したがって、メディアの言葉狩りは、言論の自由を侵害する違憲行為ではないか。憲法上の国民の表現の自由を守るなら、マスメディアには一定の制限が必要ではないかと考えますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

新藤国務大臣 非常に重要な指摘だと思うんですね。ですからこそ、国民は、一体、放送にどういう保障がなされているのか、そしてどういう権利を国民は持っているのかということをきちんと知った上で、その上でこの放送の適切性についての議論をしていくべきだというふうに思います。

 ですから、委員は御承知のことだと思いますけれども、これはきちんと把握、共有したいと思います。

 まず、憲法二十一条において、「出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」日本国憲法でこれが保障されているんです。

 その上で、放送法の三条、放送番組編集の自由で、放送番組は、何人からも干渉され、または規律されることがない、しかしこれは法律に定める権限に基づく場合でなければということになります。ですから、これは、違法であったり、犯罪性を許されるものではない、こういうことですよね。

 その意味で、放送事業者は、有限希少な共有財産である電波を使って社会的な報道を行うことができるというふうになっているわけです。それにさらに、事実を曲げないで行うことなどを定めていて、かつ、それを受けて放送事業者たちは、自主の番組の編成基準などを設けて、それを遵守しようとしているということであります。

 ですから、国民・視聴者が放送番組をどのように捉えて、そしてまたその意見を放送事業者側に届けていくかは、これは非常に重要なことだと思うんです。

 放送事業者は、公平に、そして自分たちの与えられた使命のもとに、表現の自由を維持しようとしている。そこで伝える報道が国民にとってどう捉えられているのか、そのやり方がどういうふうに思われたのか、その意見を国民がきちんと届けることによって、放送事業者は、国民が求めているもの、そして国民の判断というものを知ることになるわけであります。

 ですから、何かの法律でもって規制をかけるのではなくて、これはまさに、民主主義の根幹たる言論の自由、表現の自由を維持するために、自主自律で規制をかけた上で放送事業者を認めているんですから、それに対して、事業者が国民の期待に応えられるようなきちんとした放送を行えるように国民は声を出し続ける必要があるし、また、現実に、そういう国民の声を受けて放送事業者は放送をなされていると私は考えています。

鬼木分科員 憲法や法律上、言論の自由ということはよくわかりますが、しかしながら、その自由が他者の権利を侵害しているという事実にも目を向けていただきたいと思います。憲法改正以前に、これは自民党が、自由に対する責任、権利に対する義務というものを整理して、議論する必要があると思っております。

 次に行きますが、人をたたいてたたいてたたき潰すまで、首をとるまでたたくのがメディアの暴力であります。繰り返し繰り返し悪意ある映像を流し、その当事者を大衆の憎悪の対象とし、社会的に抹殺する。悪意ある報道によって、多くの法人、個人が死に追い込まれてきました。

 うそをつく自由、悪口を言う自由、首をとるまでたたく自由、日本の表現の自由とは何でもありなのか。言い返す力のない人を一方的にたたきまくるのは、大人のいじめではないでしょうか。

 ほとんどの人は、メディアに対して言い返す力を持っていません。電波の利用権とはそれほど大きな力、権力なんです。

 公務員が悪い、公共事業が悪い、一方的な正義の名のもとに悪者を設定することで大衆の不満をあおり、その悪者をたたきまくるショーを見せることで、怒れる大衆の留飲を下げるマッチポンプが行われてきました。

 この大人のいじめを子供が見ています。人が人をたたき殺し、人が人を許せない、そんな社会をつくっています。こんな状況で日本からいじめがなくなるはずがありません。

 こうしたメディアの姿勢が時代の閉塞感の一因ともなっていると私は考えます。

 メディアが人をたたくのはどこまで自由なのか。それによって命を絶たれた人がいても、その責めは負わないのか。メディアによる言葉の暴力、映像の暴力、そしてそれらを規制することについて、大臣はいかがお考えになるでしょうか。

新藤国務大臣 その放送が暴力と言えるものならば、許されるわけがありません。ですから、それが、報道なのか、放送なのか、それとも暴力なのか、こういったものをよく見きわめなければいけないということであります。

 そして、放送事業者側は、何度も申しますが、放送法に基づく自主自律の取り組み、これによって、放送番組の適正化を図る努力を続けています。一方で、国民は、その放送を見て、視聴者として、それに対して意見を言うことができるわけです。

 ですから、国民・視聴者側から放送番組に寄せられる意見と、放送番組、放送を送り出す方の事業者の自律、この相乗効果によってよりよい放送ができるんだ、このように思うわけであります。

 ですから、委員の前提であれば、暴力や人を死に追いやるような、そういった行為が許されるわけがありません。一体、それは犯罪なのか、それとも報道の範囲なのか、それは、国民も意見を寄せることができるし、放送事業者は自主自律の基準のもとでこれを適切に運営する義務がある、こういうことだと思います。

鬼木分科員 暴力であれば許されるわけがないということなんですが、それが、今日に至るまで現状が変わらない、見過ごされてきたということに、私は問題意識を持っております。

 ペンは剣よりも強しという言葉がありますが、これはもはやレトリックではなくなっています。第四の権力と言われるように、マスメディアは一大権力となってしまいました。しかも、表現の自由を盾に、誰からもチェックのきかない権力となってしまいました。

 もともと、マスコミの役割は、権力のチェック、批判、牽制であります。マスメディアが一大権力と化した以上、その権力をチェックする仕組みが必要だと私は考えます。全ての権力には批判、牽制が必要であるというのなら、マスメディアみずからが甘んじてチェックを受けるべきではないでしょうか。もしメディアがそれを否定するなら、無批判の権力を容認することとなり、自己矛盾でございます。

 多くの国民の言論の自由、表現の自由、知る権利を侵害しながら、おのれの権利だけを振りかざす傲慢な権力に、多くの国民がたたかれ、泣かされてきました。

 今、マスメディアは、みずからの行為によって国民の信頼を失い、多くの国民から疎まれ、嫌われる存在となっています。これは私が言っているんじゃありません、メディアに抑圧されたサイレントマジョリティーの声が私を後押ししております。

 憲法では、三権分立により、権力は相互に牽制し合うものとされています。しかし、メディアは、憲法でうたわれた表現の自由を金科玉条に、誰からもチェック、批判されない専制権力と化しています。

 さらに、そこでマスメディアがやっていることは、国民の知る権利と表現の自由の侵害であり、国民の権利を中心に考えたとき、メディアの横暴には目に余るものがある現状でございます。

 繰り返し同じような質問で恐縮ですが、第四の権力と言われるマスメディアをチェックする機関が必要と考えますが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 このチェック機関こそが、まさに国民・視聴者の声にならなければいけないんだというふうに思うんです。ですから、情報を盲目的に信じる、そして扇動されて、それに誘導されて間違った判断を下すようなことが、あっていいわけがありません。

 したがって、そういう情報が、メディアといっても、最近は、インターネットも含めて、ありとあらゆるいろいろな出所不明の情報も出てくる社会になったわけですから、そういったものをより分けて、きちんと選択して判断できる、そういう能力を国民も養っていかなければいけないんだというふうに思います。

 そして、その上で、放送番組、これは放送事業者側が何よりも、厳しい規律の中で、与えられた権限を最大限生かすためにも、国民に対して、放送法の求める、真実を曲げない、公平中立、そういったことを心がける必要があるわけです。

 既に、自主的な番組審査ですとか、そういったものについての機関があることは委員も御承知だと思いますけれども、放送事業者側がやってくれていることに対して国民がきちんとチェックをする、国民が意見を寄せるというのはそういうことだと思いますし、いよいよ、情報化社会というのは、情報を出す方と受け取る側のそういう相乗効果、緊張関係というものがより重要になってきているのではないかな、このように思います。

鬼木分科員 本当に、情報における、民主主義における根幹的な議論になってきているとは思いますが、やはり世の中には、一日じゅうテレビをつけて、そこでしか情報を得ていない人たちが、うのみにしてしまう、それが公共の電波であるということに問題意識を持っております。

 よく詐欺事件などがありますと、だます側とだまされる側どっちが悪いんだみたいなところで、その責任は、自己責任であり、だまされる側に責任があると必ずしも言い切れないのと同じで、やはり国民・視聴者の側に全ての責任を負わせる形はちょっと難しいのかなと思っております。

 しかしながら、今、インターネットがあらわれまして、本当の情報、メディアが伝えない真実がどんどん明るみに出てきているから、国民が、テレビはおかしいよねということに気づき出した。まさに、国民自身が情報を取捨選択できる時代に確かになりつつあります。

 ただ、本当に、みんながその情報リテラシーを手にするときまでこの状況が続くかと思うと、私はふんまんやる方ないわけでございます。

 最近では、全聾の作曲家、佐村河内守氏の別人作曲事件がありました。国民の主権行使にかかわるような重大なテーマではありませんが、メディアの情報がいかにいいかげんなものか、そして、そのいいかげんな情報によって、いかに国民が踊らされているかが象徴的にあらわれた事例だと思われます。

 自分で作曲したというのもうそなら、耳が聞こえないのもうそ、設計図とやらも妹が書いたということで、全てがうそまみれです。

 ユーチューブ上では、SMAPの稲垣吾郎氏が佐村河内氏の後ろから声をかけたところ、佐村河内氏が振り返って問いに答えるという民放番組の一場面がアップされています。つまり、撮影の段階で佐村河内氏の耳は聞こえていたことのあらわれであり、過剰な演出を通り越して、メディア、組織ぐるみの巨大なうそということが示されております。

 また、NHKスペシャル「魂の旋律 音を失った作曲家」においてもやらせが指摘されております。

 インターネットの発達などにより、そうした数々のうそが明るみに出ることで、国民は怒っております。虚偽報道に踊らされ続けた国民が怒っております。

 一九六六年、国際連合総会にて採択された市民的及び政治的権利に関する国際規約第十九条では、干渉されることなく意見を持つ権利、表現の自由というものが権利として規定されております。しかし、その国連で採択された規約においては、第二項の表現の自由、その行使は、特別の義務と責任を持ってなされなくてはならず、他の者の権利、国の安全、公衆の健康や道徳の保護の目的のため一定の制限を課すことができるということが明記されております。

 日本も、憲法のくびきにとらわれず、メディア、電波を使う者に対する特別の義務と責任を課すること、そして一定の制限を課すること、これには挑戦する価値があるのではないかと私は考えております。

 現憲法を改正するという議論が行われておりますが、占領軍がつくった占領憲法だから変えなくてはいけないというふうな議論を離れて、現行憲法の運用は、今の日本人、私たち自身の問題であるという意識を持つべきだと思います。自由には責任が伴う、権利には義務が伴う、そのことを日本人自身が今整理しなければならないと考えます。

 行き過ぎた自由、他者の権利を侵害している自由については一定の制限があってしかるべきであるということ、そしてまた、この論点については大いに議論がなされるべきであることを主張いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

うえの主査代理 これにて鬼木誠君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西英男君。

大西(英)分科員 東京都選出の自民党の大西英男でございます。

 今回の地方法人課税の見直しについて質問をしてまいりたいと思います。

 大臣、お疲れさまです。九時からもう六時間余、ノンストップで審議に加わっておられて、ひどいですね、八時半まで、お食事の時間もないようでございまして、心から、お疲れさまでございますと申し上げます。

 そうした中で、私ども、昨年の税調のときにも、この不条理な地方法人課税の見直しについてずっと主張をし続けてまいりましたが、多勢に無勢、地方の議員の方々は、何かうまく財務省か総務省にだまされてしまったのではないかと思うわけでございます。

 地方法人特別税は、縮減はされるけれども半分、そして縮減された分は法人住民税でしっかりと新たな税として召し上げられる、こういう大変遺憾な改正が行われたわけでございます。消費税が一〇%になった折にはさらに見直しが行われるということでございまして、それを踏まえて、大臣のお考えを伺いたいと思います。

 大臣は長く川口市の職員としてお勤めになられて、そのころは川口市も不交付団体だと伺っておりますけれども、そんな中で地方自治をしっかりと見詰めてこられたわけでございますが、リーマン・ショック以後、それこそ交付団体に転落をされて、鳩ケ谷市と合併が三年前に成立をなさって、これからまた、大臣の思いの片隅には、選挙区の川口市のことをお考えになっていると思うんです。

 その中で、地方法人住民税というのは、まさに、努力する自治体、汗を流す自治体、歳入をふやしていこうという自治体の基幹税ですよ。努力する自治体が報われる、そこに国が手を突っ込んでいくというのは、これは地方分権に反することではないかと思うんですね。それによって、国からの地方交付税に依存するような体質をつくっていくことになってしまうわけで、まさに、民主主義、地方自治に反することが行われてきているわけでございます。

 この地方の基幹税である法人住民税を国税化するということについて、地方分権を推進する立場におありになる大臣の御所見を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 大西議員にはいろいろなところで御一緒させていただいておりますので、かなり考えが近いと個人的にも思っておりますし、また、そのような中で、この議会で精力的に活躍をされております。

 ですから、そういった意味では、まず、委員の主張というのはよく聞いて、頭にとめて、その上でいろいろな検討を進めていきたい、このようには思っております。

 しかし、私の地方分権にかける、そういう流れに対する御質問をいただきましたので、これは制度的な整理として総務省の見解を、またそれは私の見解でもありますが、申し上げたいと思います。

 そもそも、地方分権の推進の観点からは、地方団体がみずからの財源を地方税によって、自主財源によって賄うことが基本でありますから、それが可能になるような経済情勢と、そういう地方税の体系というものをつくり上げること、これは総務省の悲願であるし、それが地方自治の最も望んでいることだ、このように思っております。

 そして、これまでも、かつて、国税である所得税から個人住民税、これは地方税でありますが、三兆円の税源移譲、これは三位一体の改革で、この後に、交付税のことがありましたから、いろいろとお叱りをいただきましたけれども、少なくとも、税源移譲が国から地方へ行われたことは事実であります。

 そういった地方税の充実に取り組まなければいけない。これは、総務省も、それが仕事なんですから、そういうふうに思っております。

 しかし、今度は、個々の地方団体ごとに見るとなってまいりますと、都市部を中心に、多額の財源超過額が生じている団体があります。しかし、今、景気が悪いですから、この数は、数としては少なくなりましたが、多額の財源超過額が生じている団体がある、これは事実です。

 一方で、税収が少なくて財政力が弱い団体もある。それは、過疎地であるとか、それから地域の勢いがなくなっているところは、必然的に、同じ自治体であっても税収が下がってしまっている、財政力指数がどんどん低下している、こういう状態があります。

 ですから、私たちとすれば、各団体の仕事量に見合った形で地方税の比重を高めていくためには、税源の偏在性を小さくしなくてはいけない、それから、そのときの景気の動向に加えて、安定的な地方税体系を構築することが必要だ、これも総務省の基本中の基本であります。

 今回の税制改正は、税制抜本改革法の規定を踏まえて、地方消費税の充実によって地域間の財政力格差の縮小を図る、地域間の財政力格差が拡大してはならない、こういう観点から、偏在性の大きい法人住民税の法人税割の一部を地方法人税として国税化をする、国税化はしますが、その税収全額は地方交付税の原資に繰り入れる、全額地方のために使う、こういうふうになっているわけであります。

 法人住民税の国税化は、地方消費税の税率引き上げにより地方の税財源が拡大する中で行うものでありますから、そして、国税化された税収全額は地方の固有財源として交付税に使われるわけでありますから、逆に、地方の貴重な税財源の充実になっていく。それは、財政力の弱い自治体にとっては財政運営の自主性と自律性が高まるという意味においては、その部分においての地方分権というのは逆に自律性が高まるんだ、このように私は理解をしております。

大西(英)分科員 大臣の御主張ではありますけれども、今年度予算で地方交付税は減額されましたね。お金には名前が書いてあるわけじゃないんですよ。もし、そうやって格差是正をおっしゃるのであれば、地方が元気になってきて税収が上がっている今こそ、格差是正のために、地方交付税の減額なんてやる必要ないじゃないかと私は思っております。

 いろいろなお考えがあることは十分承知しておりますけれども……(新藤国務大臣「ちょっと確認していいですか」と呼ぶ)はい。

新藤国務大臣 私も、いつもそのことは考えています。

 これはぜひ委員に共有してもらいたいんですけれども、地方交付税というのは、地方が稼ぐお金ではありません。そうではなくて、地方が必要な財政需要に対して不足する分を、自主財源である地方税の足りない分を補填するのが交付税です。

 ですから、地方交付税が減るということは、地方の税収がふえて地方税が充実しているから、本来必要な財政需要額に対して今までよりもふえたから、それを補填する額が少なくなったということであって、交付税を削ったわけじゃないんです。

 交付税が削れるようになったということは、それは、国税の三四%なりなんなりが交付税として、国税も、ふえれば、その分が地方に回ります。それから、地方の自主財源がふえます。そうすると、必要な交付税の額が少なくなるというのは望ましいことなわけなんです。

 交付税は減らしましたけれども、地方の一般財源はふやしているんです。ですから、地方のお金はふやしつつ交付税は減らすことができたというのは、それだけ地方の経済が今までよりは少し充実してきた、こういうふうに御理解いただけるとありがたいんです。

大西(英)分科員 だからこそ、法人住民税を地方交付税の原資にすることはないんじゃないんですかと私は主張しているんですよ。

 地方交付税というのは、国民ひとしく、離島の方々にも一定のサービスを提供しよう、そのために財源の再配分を国でやろうじゃないかという制度ですよね。ですから、地域の税の格差がある、地域間の財政力の格差があるということであれば、地方税の配分率を変えて、そしてしっかりと地方に補填をしていく。

 地方固有の税源である法人住民税や法人事業税に国が手を入れて、そしてそれを地方交付税の原資にするということは、地方分権に反するのではないかと私は主張しているわけでございますけれども、いかがでございましょうか。

新藤国務大臣 それは、今回地方消費税が拡充されることによって、不交付団体は、地方消費税を受け取る率が高まりますから、さらに税収が上がる。そして一方で、交付税の交付団体は、地方の消費税の取り分がふえることで、その地方の交付税は減ってしまうんですね。交付税を受け取らなければ運営できないような財政力の弱い団体の税収が今度は下がり、交付税を受け取らなくても済むような財源超過の団体はさらにふえる。少ない方がさらに減り、ふえる方はさらにふえちゃうんですから、これはやはり現行制度の中では財源調整をさせていただかなければならない。

 しかし、これは委員も御承知のように、例えば、財源超過団体も、全てを取り払うわけではなくて、一度国税化するけれども、またそこから配分されるわけですよ。超過団体にも行くんです。ゼロではないんです。

 ですから、そういう中で、財源の調整と保障をしている、このように私は理解をしています。

大西(英)分科員 大臣、もう釈迦に説法で、これは十分御承知だと思いますけれども、平成二十二年度予算において、都民の租税負担、国税負担がどれだけ還元されたかということを調べさせたんですね。そうすると、東京都は、還元率はわずか九%ですよ。そして、島根県は何と五六〇%。

 東京都は、日本のリーディングシティーとして、経済の牽引車として、こうした交付税にしても、全ての国税の原資を差し上げないとは言っていないんですよ、もっと公平公正にやっていこうじゃないかということを申し上げているわけでございまして、法人住民税や法人事業税は、東京を含めて、あらゆる自治体の基幹税ですよ、そこに手を入れることはないじゃないか、ほかに工夫は幾らでもあるんじゃないかと私どもは考えているわけですね。

 大臣、これは御承知だと思いますけれども、速記録に残すためにあえて私は読み上げますけれども、政府は、昨年夏に、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針を打ち出しました。そこにこう書いてあるんですよね。「地方財政を健全化し自立を促進する。このため、地方税収を増やすなど歳入を充実し、国の取組と歩調を合わせて歳出抑制を図るなど、歳入・歳出両面の改革に取り組むとともに、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保する。また、不交付団体数をリーマンショック以前の水準にすることを目指す。」。

 こうやって地方法人課税を見直すということが、果たして不交付団体への道を促進することになるんですか。努力する自治体が報われない流れになっていく。

 これは、ちょっと語弊がありまして、私が言っていることじゃないんですよ、それは地方の生活保護化につながってしまう。汗を流さなくたって、努力しなくたって、地方交付税でお金は来るんだ、では、それを待っていればいいじゃないかと。そういうような、無気力、無活力、そして努力することを忘れるような自治体は全国にないと思いますけれども、そういうことになったら困るのではないかと私は思うんですね。

 そんな意味で、法人住民税を交付税原資化するのは、地域を活性化し地方税収をふやし、不交付団体をふやそう、これが国の基本方針ですから、骨太の基本方針ですから、これに反する見直しではありませんか、今回の税制改正は。

 大臣の御答弁をお願いいたします。

米田政府参考人 ただいま大西委員御指摘のように、昨年の六月十四日に閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針におきましては、地域経済の好循環の実現により景気の底上げを図り、地方法人課税のみならず地方税全体を増収させること等を通じまして、目標として、不交付団体数をリーマン・ショック以前の水準に戻すということを示しております。

 ただ、今委員御指摘の法人住民税の法人税割でございますけれども、御承知のとおり、地方税の中でも特に地域偏在性が大きいという特徴がございます。したがいまして、好景気のときには、一部の地方団体にのみ大きな増収を生じさせるという結果をこれまでも示してきております。

 今回、偏在性の小さい地方消費税につきまして税率引き上げを行いますとともに、その地方消費税の増収の範囲内で、法人住民税法人税割の一部について交付税の原資化を行うという改革を行っておりますけれども、このことによりまして、多くの地方団体の税収が底上げをされるということが図られるものというふうに考えております。

 したがいまして、一般財源総額を確保するとともに、不交付団体となる地方団体の数をふやすという政府の方針に沿った改革であるというふうに考えております。

大西(英)分科員 私は、総務省も財務省にだまされているんじゃないかと思いますよ。お札には印がついていないということですよ。

 結局、そうやって、血の出るような努力をして自治体が税収を上げた、法人事業税や法人住民税を上げた、それを吸い取っていくじゃないか、地方交付税の原資化をしようとするじゃないか、これは本来の地方分権に反するのではないか、それぞれの自治体の財政力を高めることに反するのではないかと私は言っているんですよ。

 東京都だって、税収の浮き沈みがあるのは当たり前ですよ、それに備えて、財政調整制度で財源を積み立ててきているんです。リーマン・ショックがあったときに、東京都に対して国からは一銭の支援もなかった、不交付団体ですから。しかし、一兆円の財源を取り崩してその危機を乗り切っているじゃないですか。そうした努力が全ての自治体で行われるような流れにしていくことが地方分権につながっていくんじゃないんですか。

 財務省が、莫大な、巨大な赤字財政を改革するという美名のもとに、こういう好景気のときに地方に回るべき税収をどんどん吸い上げていくようなことに対して、断固闘うのが総務省の姿勢じゃないですか。財務省と呼応してこういった地方固有の税源を吸い上げるとは何だと私は主張しているところでございます。

 そして、まだちょっと時間もあることでございますので、総務省の優秀なお役人もいらっしゃいますので、東京都の実情を、金持ちだ、税金はあり余るほどあるんだ、そういうような見方をぜひ変えていただきたい。大都市は大都市特有の行政需要があるんですよ。

 例えば、保育所の待機児童の問題。平成二十五年四月時点で、待機児童数は全国で二万二千七百四十一人、このうち東京都は、何と八千百十七人、四割近くも占めているんですよ。

 この待機児童解消のために、東京都は、保育所をつくろうといったって、地方に比べたら土地の代金というのは何十倍ですよ。建設コストだって高いんですよ。人件費だって高いんですよ。そういう中で、今、必死の努力を続けているわけですよ。

 さらには、東京都は、合計特殊出生率、これは全国で一番低いんですよ。全国平均が一・四一、東京都は一・〇九ですよ。こういった問題に対しても、首都東京として、あるいは一千万人を擁するリーディングシティーとして、少子化対策をしっかり進めていこう、そして出生率を上げていこう、そういう努力を今しているわけですよ。

 さらには、財務省あたりから聞こえてくるんですかね、何言っているんだよ、東京都は高校生の医療費の無料化をどんどん進めているじゃないか、ほかの全国の自治体を見ろ、やりたくたってやれる財源ないじゃないかと言っているけれども、とんでもないんですよ。

 東京都の中で、これをやっているのは、わずか三自治体にすぎないんですよ。全国では三十自治体が、東京都の児童生徒の医療費の無料化を、さらに高い水準で行っているところもあるわけですよ。

 さらに、東京都の場合に、よく言われるんですよ。私が勝手なことを言うせいか、地方出身の議員の皆さんから、何言っているんだ、東京は、高速道路を見ろ、網の目のごとくできているじゃないか、あれは東京都のお金でやったんじゃないだろう、我々地方からの国税でやったんだろうなんという暴論を吐く人もいるんですけれども、例えば首都高速都心環状線、これを利用している六割は都民以外ですよ。いわゆる経済の心臓部として通過交通ですよ。全国に物流の恩恵を及ぼしているわけですよ、東京の高速は。これに対して東京は独自財源で相当な負担を今日までしてきているわけで、こういった大都市特有の負担というのは年々増大をしてきているわけでございます。

 今回の見直しでは、こうした東京都、大都市としての財政需要に対する論議が全くなされない、さらには、税収の多い少ないだけ。

 一人当たりの税収からいったら、東京都一千万人、これは全国の中で三十番台にすぎないんですよ。もっと豊かな地方はたくさんある。

 そういった問題についても全く論議がなされないで、格差是正、そういう美名のもとにこの改正がなされたということは、私は、地方自治にとって大変不幸な歴史を刻んだと思うんです。

 新藤大臣、これから税制秋の陣、一〇%の消費税値上げに向けて、この地方法人税の見直しについて論議がされていくと思うんですけれども、ぜひ、財務省に惑わされることなく、地方自治体を守る総務省としてしっかりとした見直しをし、論議をしていただくように、ちょっと聞きにくいんですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 いや、さすがですね。経歴を拝見しましても、四十五年間政治に携わっていらっしゃるわけですから、やはりそういう迫力を持って、しかも、委員はお住まいはどこなんですか、江戸川区の。(大西(英)分科員「江戸川の松島と申しまして」と呼ぶ)もう東京のど真ん中ですよね。そういう意味では、行政エリアで、人の住んでいないところじゃなくて実際に人がいろいろと活動されて、そういう中で活躍されてこられた。

 ですから、今の委員のそういう思いはどんどん言っていただいていいと思います。そういう東京の思いというものをやはり党は受けとめなければいけないし、政府も受けとめたいというふうに思います。

 その上で、しかし、全体的に不交付団体が激減しちゃった。だから、やはり交付税の不交付団体はふやすべきなんです、経済がよくなればふえるんですから。ですから、ふやすための努力をしなければいけない。

 それから、まさか東京都を、東京都にお金があるからといって、お金を奪って交付団体にさせるわけではない。

 ですから、本当に、努力をされているという意味においては、どこの自治体でも必死に、今委員が言えば言うほど、それは努力しているんだということのあらわれですから、そういった思いは我々は受けとめたいというふうに思うんです。

 その上で、しかし、私も隣の埼玉ですから、委員や私などが想像もつかないような、てこ入れしようにも、元気を出そうにも税収が余りにも少ない、そういう市町村があって、そういうところにやはり安定的な財源を配分しなければいけない、調整しなければいけない、保障しなければいけない。それをやるのは国の責務だというふうに思っています。

 ですから、バランスの問題です。やり過ぎれば、せっかく頑張っているのに、その勢いをそぐようなことがあってはなりません。一方で、日本国民として、全国津々浦々に最低限の、いわゆる標準的な生活が送れるような、そういう行政を確保することも私たちの役目であります。

 ですから、今委員がいろいろ言っていただいたことと、それから地方が厳しい状態になっていること、これをしんしゃくした上でベストミックスというものを考えなければいけない。

 委員は委員のお立場でどんどん、きょうはいいお話をいただいたと思いますし、私どもも、そういったものに真摯に向かい合いながら、全体の底上げを狙っていきたい、このように考えます。

大西(英)分科員 総務大臣は、私ども、御尊敬申し上げているんです。それこそ、地方自治体の職員出身、市議会出身、そして今、安倍内閣の論客として、この安倍内閣をリードしていただいておられる。その大臣だからこそ、今お話しになった、地方の血の出るような努力をおわかりいただけるんだと思うんです。

 しかし、今までのさまざまな流れの中で、一挙に改革をするというのは大変難しいとは思いますけれども、ぜひ、今後、御期待を申し上げたいと思います。

 そして、ここで、まだちょっと時間があるようでございますから申し上げるんですけれども、お尋ねをいただいた、私ども東京二十三区の中の江戸川区、それは東京の中で一番の貧乏区なんです。今、新年度予算を審議中ですが、約二千三百億円、そのうちの自治体固有の特別区税というのは五百億円を切っているんです。あとの税源はどうしているかというと、御承知のように、都区財政調整によって、豊かな、税収があり余っている、港区や渋谷区あるいは千代田区。

 だから、この二十三区の中でも、お互い、おい、おまえたち江戸川区の貧乏人、誰のおかげでこんな豊かな生活をしていられるんだ、港区や渋谷区、都心区が稼いでいるからできるんだろうなんという論議もある。

 何を言っているんだ、我々は、あなたのところに貴重な労働者を送り込んでいるじゃないか、後顧の憂いなく子供たちを預かり、そしてお年寄りにも生きがいのある生活をつくり、そういう中で、働く戦士を送り込んでいるからこそ、それだけの税収が上がっているんじゃないか、その負担をするのは当たり前だろうとか、私は、都議会時代、そういった仲間たちといろいろな論議をして、都区財調制度というのを守り抜いてまいりましたから、決して私は、他の自治体を、島根県を貧乏だとか、そんなことを言うんじゃありません。

 しかし、そうした、本当に努力しても努力しても税収が上がらない、県民所得が上がらない、そういう厳しさというのは私なりに承知しているつもりでございまして、東京だけが栄えればいい、二〇二〇年のオリンピック間近だからというだけで私どもは主張しておりません。

 これから、ぜひ、総務大臣を中心にして、総務省の皆様も、いい地方自治制度をつくっていきましょう。その基本は何か。それは、地方が自力更生、努力すること、汗を流すこと、そして、懸命に努力する自治体が報われるような制度をつくっていかなければ絶対だめだと思うんですよ。

 今回の法人税の見直しについては、私が言ったんじゃないんですよ、あえて申し上げますが、日本の自治体の生活保護化だ、こう指摘する人もいるので、それをぜひ念頭に入れて、今後とも、一緒に手を携えて、日本の繁栄のために頑張らせていただきたい、そんな思いでございます。

 ありがとうございました。

うえの主査代理 これにて大西英男君の質疑は終了いたしました。

 次に、柏倉祐司君。

柏倉分科員 みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いいたします。

 私は、出身が、大臣の埼玉のお隣の栃木県でございます。栃木県も広うございまして、私は、鹿沼、日光という、あちら側、西部と、さくら市、高根沢、塩谷、そういったところを地元にさせていただいておりまして、我が党の渡辺喜美代表の隣の選挙区でございます。

 都会には都会の、いろいろな享受といいますか、都会には都会の、都市計画やいろいろな悩みがあるのだなと、前の大西先生の御質問を拝聴して、そう感じました。

 当然、地方には地方、地域には地域の悩みがございます。特に過疎化が著しいところは、私の地元もそうなんですけれども、悩みが尽きないものでございます。

 私、心臓専門の内科医なんですけれども、医療でもそうでございます。

 そして、月曜日も予算委員会で質問させていただきました防災の部分、そういう部分も、どうしたらいいのか、今後どのように地域の実情に沿って防災組織体系というのを築いていったらいいのか、これはもう、自治体の皆様もそうですが、そうじゃない医療機関の人間も、頭を悩ませておるのが実情でございます。

 そういう前段で、まず、自主防災組織に関して質問させていただきたいと思います。

 発災がもしあったとき、その直後から数日まで、特に二十四時間というような間に関しましては、超急性期の救命、救護、そういった活動が行われます。

 基本的には、組織で、レスキュー隊、自衛隊、警察、そういった組織で人々を救っていくわけでございますけれども、本当の超急性期、災害が起こった瞬間というのは、お隣同士の助け合い、避難所に、体の悪い方、お年寄り、子供さん、妊婦さん、そういった方を一緒に連れていくというところ、共助の部分ですね、これがやはり、かなり必要になってくるんだと思います。

 そこで、共助のコミュニティー、一番共助のコミュニティーとして原形をなすのは、やはり、自治会であったり、この防災コミュニティーがつくられるユニットだと思うんですね。そこの防災コミュニティーをどうやってきめ細かく組織して実効性のある避難行動を策定していくのか、やはりこれは、常日ごろから問題意識を持って改革していかなければいけないところだと思います。

 一口に自主防災組織といいましても、これは、地域によって全く色彩が違ってくると思います。都市には都市の、地域には地域のあり方があるでしょう。その地方地方、あると思います。

 特に都市では、人はいっぱいいますけれども、お互いの関心が薄い。地方に行きますと、お互いの関心はある程度あるけれども、高齢化が進んでいて、なおかつ、それぞれが孤立している可能性もある。そういう特性があると思うんです。

 しかも、近年は、雇用が不安定ということもあって、若い人がいたとしても、常にいるわけじゃなくて、夜間仕事に出ていたりだとか、期待される担い手という人がいない、ないしは機能しない。悪い言葉で言えば、幽霊会員化している、そういった現実もあると思います。

 やはり、一朝事あるときにお隣さんの事情、顔がわかる自主防災組織というものの強化が、今絶対的に求められているのだと思うんです。

 そこでお伺いしたいんですが、そういった地方都市、いろいろな地域性も加味して、どうやって自主防災組織をつくっていくのか。現状と、その支援策についてお伺いいたします。

市橋政府参考人 お答えいたします。

 まず、自主防災組織の現状でございますが、平成二十五年四月一日現在で、全国で十五万三千六百組織が設置されておりまして、人数は、約四千三十七万人となっているところでございます。

 また、活動地域の世帯数の全世帯に対する割合であります活動カバー率、これは、全国で七七・九%というふうになっているところでございます。

 首都直下地震など大規模災害が発生した場合には、消防、自衛隊、警察などによる救助活動のほか、御指摘のように、自主防災組織におきまして、消防機関による初動対応が行われるまでの間の初期消火ですとか、要支援者の避難誘導等の役割が期待されているところでございます。

 また、平常時には、住民の防災知識の普及、災害危険箇所の把握等の活動が行われているところでございます。

 私ども消防庁といたしましても、自主防災組織の充実強化は大変重要であるというふうに考えておりまして、新たに自主防災組織を結成するための手引の作成、周知、あるいは、結成を支援する市町村の担当者を対象といたします研修の実施、リーダー育成のための教本の作成、優良な活動事例の紹介などを行っているところでございます。

 また、来年度からは、新たに、消防団員等を活用した自主防災組織のリーダー育成強化の取り組みも考えているところでございまして、自主防災組織と他団体との連携も支援しながら、地域防災力の向上につなげてまいりたいというふうに考えております。

柏倉分科員 ありがとうございます。

 今、数字をいただきました。四千三十七万人が自主防災組織ということですから、少なくとも三分の一強は加入しているという理解だと思うんですけれども、この中で、いわゆる若年層といいますか、本当に体を動かせる四十代、三十代、そういった若い人たちが、どれぐらいしっかりと働けるのか、どれぐらいきっちりと防災組織の中でリーダーシップを、教育をすると言っていますけれども、本当に先頭に立ってできるのか、そういう現実的な見直しというのは絶対に必要だと思います。

 私の友人、もちろん後輩も含めてですけれども、地域の消防活動を一生懸命やっておりますけれども、自主防災組織の中でどういった活動をしているかというところを聞いても、正直言って、余り意識がないんですね。

 消防団の集まりは定期的にやるわけです。定期的に活動する。そして、出初め式、そういったところもやって、規範意識というのは持っているんですね。地元の消防団、水防団、それに関しては持っているんです。ただ、そうじゃなくて、地域の自主防災組織の中で自分がどういう立場にあるかというのは、余り理解していない若い人が多いように思います。

 そういったところ、自覚も含めて、リーダーシップの養成というものをしっかりと行っていただきたいと思います。

 次は、一朝事あったとき避難をしたその後のこと、自主防災組織の、その後の役割について伺いたいと思います。

 避難した後は、すぐに帰宅できるとは限りません。避難所での生活が長引く可能性もあります。そういった中で、やはり中心となるのは、今おっしゃった、自主防災組織のリーダーシップだと思うんです。しかし、避難をするときのリーダーシップと避難所の中でのリーダーシップというのは、おのずと、機能、役目が変わってくると思うんですね。

 その中で、今ちょっと医療のことを話しましたが、医療と、避難所の自治のことについて、ちょっとお伺いしたいと思います。

 近隣で構成されている自主防災組織ですから、いつも見ている顔、ちょっとした顔の変化で、この人ぐあい悪いのかなとか、いろいろな細かいところまで気づけるというのは、やはり大きなメリットだと思うんですね。そういう医療的なケア、こういったものも、絶対的にリーダーシップを持ってやってもらえるようにすべきだと思います。

 また、先ほど紹介があった自主防災組織の手引というもの、これは二百ページもあるんですが、私は、読ませていただきました。

 この中で、医療のところで、こういう役割を自主防災組織に期待するというくだりもありました。

 例えば、AED。これもやはり、ある程度自主防災組織の中で、トレーニング、しっかり使えるようにするということも大切だと。

 あとは、地域の病院、薬局等、それとの協議会を常に持って、どういった避難所でのサービスを受けるべきなのか、緊急時にどういうコンタクトをとるのか、そういった協議会的なものも設けて、地域の自主防災の医療の底上げをしていくというようなものも書いてありました。

 医療でも、自主防災組織の中である程度役割を果たすというのはこの自主防災組織の手引の中にも書いてありますので、これをどうやって現実に進めていくのかを、まず一点、聞かせていただきたいということ。

 あと、やはり大事なのは、集団生活ですので、避難所の中での自治というのも、ある程度、最低限これはガバナンスをきかせて、平和裏に、成功裏に送ってもらわなきゃいけないということは絶対だと思います。

 それに関しても、この自主防災手引にしっかり書いてありまして、「避難所のルールや良好な関係を維持できるよう調整に努める」と。まさに、自治会の役割そのままを避難所にもしっかりと反映させるということだと思うんです。

 前段の医療について、そして、避難所における自治、それにどのようにかかわっていくのか、この自主防災組織の役割についてお聞かせください。

市橋政府参考人 自主防災組織が担うべき役割として、その手引にもございますように、例えば、AEDの使用ですとか、さらには、救命活動の実施というような役割もございます。これらにつきましては、やはり指導する立場の人間が必要でございますので、地元の消防機関あるいは消防団と連携しながら、住民の方も参加の上で訓練を重ねていくというような取り組みが大事なんだろうなというふうに思っております。

 また、避難所におきましても、実際に、東日本大震災のときにも、避難所の運営ということで、炊き出しをやっていただいたりとか、あるいは、ちゃんとみんな避難しているかということで確認をしていただいたりとかいうようなことで、重要な役割も担っていただいております。

 そういうふうな事例も紹介しながら、地元での訓練で、例えば避難所の運営についていろいろ考えるとか、そういう現実に即した取り組みができるよう、働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。

柏倉分科員 避難生活が長引けば、そこでの生活というものが、短期間ですが、その人の実際の生活になるわけですから、そういったところの、これは、名前を入れればいいとか、数字合わせだけではなくて、頭の体操、現実に即したシミュレーションをやっていただいて、自主防災組織の中で役割を担える有効なリーダーシップを育てる、そういう人たちの教育にも、こういったところを、医療、自治を、しっかりと含めていただきたいと思います。

 次は、災害時の要援護者の方々とどのように自主防災組織の人たちはかかわっていくべきかという問題ですけれども、やはり、一番地域に密着しているわけですから、一番地域のことをわかっているはずなんです。ですが、災害時要支援者台帳というものは、これはなかなかオープンにするわけにもいかない。個人の情報、やはり個人情報保護がありますので、難しいと思います。

 ただ、その自主防災組織さん、一朝事があったときに一番役目を果たすであろう自主防災組織の皆さんが、災害時要援護者さんがどこに住んでいて、どういったような疾病なり状況にあるのかというところを、ある程度把握しておくべきだと思うんです。

 そのためには、やはり、福祉関係、民生委員、社協の方々との連携というのを常日ごろ深めていかなければいけないと思うんです。

 そこで伺いたいんですが、自主防災組織と社会福祉協議会等の福祉関係団体との連携の現状と、その推進策についてお願いをいたします。

市橋政府参考人 自主防災組織と社会福祉関係団体との連携についてでございますけれども、私どもが把握しているところでは、自主防災組織が、例えば社会福祉協議会やNPO法人と連携して避難訓練を実施した事例がございます。また、消防団、ボランティアや地域住民とともに、津波襲来時の一時避難所を開設したような事例もございます。

 私どもも、このような、社会福祉協議会を初めとする他団体との連携事例というふうなものを取りまとめた上で、紹介をしているところでございます。

 また、昨年六月に災害対策基本法が改正されまして、市町村長に、御指摘ありました、避難行動要支援者名簿の作成が義務づけられたところでございます。今後は、名簿情報に基づく避難行動要支援者の具体的な避難行動支援を進めていく必要があるというふうに考えております。

 その際に、市町村では、自主防災組織を初め、民生委員、社会福祉協議会、自治会等の避難支援者等関係者との連携を十分図りながら、避難行動要支援者一人一人の避難支援計画の策定を進めていくということが重要であるというふうに考えております。

 この法改正を踏まえて改定されましたガイドラインにおきましても、自主防災組織には、避難支援関係者間の調整を行うコーディネーターとしての役割も期待しているところでございまして、今後とも、これら他団体との連携について、助言等をしっかりとしていきたいというふうに考えております。

柏倉分科員 やはり、支援を要する方々がどの地域でも常にいらっしゃいますので、そういった方々にまず真っ先に救いの手を差し伸べられるような、地域地域のコミュニティーづくり、そこにしっかりとこの自主防災組織も根差していただきたいと思います。

 次なんですが、ちょっと特殊なお話で、竜巻に関してなんですが、私の地元の栃木県の鹿沼市というところも、昨年、突風被害、竜巻の被害を受けまして、私も本当に目の前で竜巻を見たんですけれども、生まれて初めて見たんですけれども、小さいころあんな竜巻があったかなと思いますと、なかったように思うんですね。やはり、最近、物すごい気候の変動とともに、災害そのものの性質も規模もかなり変わってきているなというふうに実感をいたしました。

 それで、私、この自主防災組織の手引を見たところ、風水害に関しては確かに記載はありました。洪水と暴風雨、そういったものに対する記載はあったんですが、竜巻、確かにこれは、特殊に、一つにくくり出して、特出ししていろいろ論じるにはまだ数が足らないかもしれないですし、災害も、非常に点状になりますので、面状になりませんので、難しいとは思うんですけれども、この現状を考えますと、竜巻のときに、自主防災組織の方々に、救護活動でも結構です、どういった活動をしてもらうことを考えているのか、それとも、今のところ考えていないのか、その考えを聞かせていただければと思います。

市橋政府参考人 御指摘のように、風水害の場合には、ある程度事前の対応が可能でございまして、例えば自主防災組織がいろいろ避難の呼びかけをするというようなこともできますけれども、竜巻の場合、通常、そういう時間的な余裕がないというようなことであろうというふうに思います。

 ただ、竜巻につきましても、例えば、住民の方々に、前兆となるべき現象、こういう事態があったら備えてください、そういう場合には、とるべき行動として、屋内に避難してくださいですとか、そういうことにつきまして普及啓発を図っていただくということも大変重要な役割であろうというふうに考えております。

 そういう意味で、私どもといたしましても、普及用の資料の提供をするなりして、自主防災組織の活動について支援していきたいというふうに考えております。

柏倉分科員 いろいろなタイプの、そして規模の災害が出てきておりますので、一つ一つ詰めていくのは大変かと思いますが、地域の住民にとってみれば、やはり、被災経験、これはきのうのように覚えていますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 自主防災組織に関しては、それで質問を終わらせていただきます。

 次は、災害時における情報管理に関して質問をさせていただきたいと思います。

 東日本大震災のとき、医療従事者の方、これも予算委員会で質問させていただいたんですが、石巻赤十字病院の石井正先生という方がいらっしゃいまして、その方が、三百カ所ある避難所の医療情報をどうやって集めたかというところも赤裸々に書いておったんですが、医療チームを組んで、三百カ所ローラーして全部集めたというんですね。もっといい集め方があるんじゃないかというようなことも予算委員会では提案させていただきました、古屋大臣から御答弁いただいたんですけれども。

 そこで、各論で恐縮なんですが、集め方と、もう一つは、やはり、どんな情報をとるべきかということも大事だと思うんです。要は、災害が起こる前、つまり平時に、しっかりともっと新しい情報をとっておく。

 避難生活に資するようなもの、例えば投薬情報だと私は思うんです。石井先生もおっしゃっておりました。

 その人がどんな薬を飲んでいる、これがわかれば、どんな病気があって、どういう緊急度をもって、どういう処置をしなければいけないか、この人は定期的に薬を出していれば落ちついているだろう、この人は透析が必要だからヘリコプターで移動しなければいけない、この人はインスリン注射をしているから注射針がすぐ必要だ、こういったきめ細かい医療情報は、投薬情報から大体類推できることなんですね。

 これは、当然、先ほども申し上げました個人情報保護法の壁はあるかと思います。しかし、投薬情報というようなものを事前に集約をする、当然、限られた人しかアクセスできないようにして、避難情報として管理をして、いざ事あるときはそれを役立てるというようなことも必要だと思うんです。

 避難情報に資するそういった新たな情報、どういった情報を考えているのか。

 そして、情報というのは、一旦つくったら管理しなきゃいけません。これは、個人情報保護法ということで、閲覧制限は当然あると思います。そしてもう一つは、やはりバックアップ、クラウド化というものも絶対に考えなきゃいけないと思うんですね。

 石巻の場合は、庁舎の一階が浸水してしまったということで、結局は、それが十分に活用できなかったということもあります。あと、東北のある地域では、自分のバックアップを宮城県に置いてしまった、バックアップをつくったはいいけれども、そのためになくなってしまったということもあるわけです。

 やはり、このクラウド化、バックアップ化というのも真剣に考えなければいけないと思うんですね。

 そこで、避難生活に資する平時での備えとしての新たな情報、どういったものを必要とするのか、そして、この情報のバックアップ、クラウド化をどのように進めていくのか、お答えいただきたいと思います。

日原政府参考人 まず最初に、避難所における情報の関係でございます。

 避難所の運営等に関しましては、昨年の災害対策基本法の改正におきまして、新たに、避難所等における生活環境の整備等に取り組むようという努力義務が課されておりまして、その中で、努力義務ではございますが、安全性とか良好な居住性の確保、あるいは物資の供給とあわせまして、保健医療サービスの提供など、生活環境の改善に努めなければならないというふうな規定が置かれております。

 委員御指摘のように、避難所におきまして、特に何か問題が生じていないかどうかとか、必要なものを届けるためには、ふだんから情報をきちんと把握することが重要だと思っております。

 そのために、一つは、まず、きちんと逃げていただくということがありますので、避難経路とか避難方法をあらかじめ確保しておくとか、現場で何か起こったときにきちんと伝えていくために、自家発電装置や発電機あるいは衛星等の装置を設けてもらうということも必要かなと思っております。

 委員御指摘のように、個人情報にかかわる部分をどういうふうに集めてくるかということでございまして、先ほども御指摘ありましたように、逃げるための避難行動、要支援者に関しましては個人情報保護法との関係を整理して規定を設けたわけでございますけれども、それ以外の有益な情報につきましては、本人同意をとりつつ、どういうふうに集め、どういうふうに管理するかということについて、大変重要な御指摘だと思っておりますので、関係省庁とよく相談をしながら、検討を進めてまいりたいというふうに思います。

柏倉分科員 ということは、今、薬に関しては、事前に集めるというようなことは余り考えていないということでよろしいんでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 医療機関における診療情報、これについて、投薬情報も含めまして、しっかりとバックアップをとるということは重要だと考えております。

 そのために、ICTを活用した地域医療ネットワーク事業という事業を持っておりまして、平成二十四年度から、医療機関相互の間で診療情報が参照できるように、そのために、御指摘のように、防災上安全な地域にデータを蓄積するサーバーを設置すること、また、蓄積するための診療情報の主要なデータを標準的な形で保存すること、これはいろいろな、電子カルテを持っておられるシステムがございますので、それが共通して見られるような標準形式で保存する、こういうような形での基盤整備を行ってきたところでございます。

 今後とも、こういうような取り組みの普及、展開を図りながら、診療情報の安全なバックアップを推進していきたいと考えております。

柏倉分科員 地域医療ネットワークとの連携というのを図っているということだったんですが、基本的に、災害に資するという観点ではなくて、地域地域の情報をネットワーク化するというところでの出口しかまだ考えていらっしゃらないのかなと思います。

 やはり緊急情報として、医療情報に関与する部分ではありますけれども、一元的といいますか、最低限、例えばマイナンバーなんかでしっかり管理をして、いざ事あるときは利用できるような、そういうたてつけもぜひ考えていただきたいと思います。

新藤国務大臣 今の委員の指摘は非常に重要なことなんです。

 しかも、今までのやり方、それから人力、そしてそれを組織化することでは賄い切れないほどの巨大規模の災害が一度起きているわけです。ですから、あの東日本大震災に匹敵するような災害が別の場所で、それはどこの場所かわかりませんけれども、また起きたときにどう対応するかということを我々政府として対応していかなければ、あれだけの被害に遭った、また犠牲になったたくさんの人たちの思いを、受けとめることはできないんですね。

 ですから、まさに今議員が御指摘されたような、そういう、いわゆるICTを活用して情報を共有する。

 今までの発想だとバックアップということになりましたけれども、この間の災害で、市役所が、役場が壊れてしまうと、そこのパソコンが動かなくて、そこの中に入っていた情報の復旧ができなくて、結局、手作業で被害者台帳をつくったりしていたわけですよ。だけれども、そのときに、たまたま県庁が持っていたので使えたとか、そういうのがあるんですね。

 ですから、そういったもろもろのことを含めて、メディカル・メガバンク計画、構想だったんですけれども、ことしから計画になりまして、それは東北でやることが最もふさわしい、東北の地区にはその権利があるということで、今、医療情報に限っても、これは、診療情報や薬剤も、薬局も、いろいろな方たちに協力してもらって、もちろん本人の承諾が必要なんですけれども、そういうもののネットワークを組もうということが実証で始まっています。これはまさにクラウドを使うわけで、それはバックアップをそのままやりますし、これは全国にそういうものをつくっていかなければいけないんだと。

 それは省が違いますから、我々総務省としては、その基盤を提供する部分を受け持っているんですけれども、今まさに委員が御指摘いただいたようなことは、我々政府として、これを実用化できるようにやっていこうと。

 特に、今、石巻圏ですとか気仙沼医療圏、そういったところはもう既に動き始めている、こういう状態でありますから、またいろいろと御関心を持っていただければありがたい、このように思います。

柏倉分科員 大臣みずからの御答弁、ありがとうございます。

 メディカル・メガバンク計画、ぜひ進めていただきたいと思います。私のおやじも開業医ですので、開業医の側からしますと、非常にそれはありがたい。

 そして、もう一つ欲を言わせていただけると、開業医が情報を提供するのもなかなか時間的に忙しいところがあったりして、その合意を、インフォームド・コンセントを取りつけるところから、それを電子化して伝達するところまで、一種クラーク的な、それに特化した人がいると、積極的に開業医さんもやってくれるようになると思うんですね。

 大病院は、それはもう義務感として持っていらっしゃると思います。ぜひ、その開業医の視点にも立ったメディカル・メガバンク計画の後押しを、大臣にお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

うえの主査代理 これにて柏倉祐司君の質疑は終了いたしました。

 次に、石崎徹君。

石崎分科員 本日は質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。地元の有権者の代弁者としての代議士としての重要な務めであるというふうに思いますので、地元の声を踏まえながら、きょうは幾つか質問をさせていただきたいというふうに思ってございます。

 国家戦略特区の選定が今迫っているところでございます。ちょうど昨日は選定の基本方針が閣議決定をされたところでございますけれども、先ほど別の委員の方からも、特区の方針の総論、一般論につきまして質問がありました。

 私につきましては、より具体的に、今地元新潟市で提案をしております、農業の分野についてのニューフードバレー特区について、方針の基準などについて、少し当てはめながら質問をさせていただきたいというふうに思ってございます。

 閣議決定につきましては、雇用、農業を含め六分野の規制改革メニューの中からの選定ということで決まりましたけれども、新潟県については、エネルギーの分野で申請しているということでございますが、きのう決定された分野の中にはないと。一方で、新潟市については、農業の分野で申請をしているということで、きのうの方針に沿っているというところだというふうに思います。

 お配りした資料がございまして、少し目を通していただきたいんですけれども、新潟といえば、米や日本酒、そして海産物といったイメージが全国的にも定着しておりまして、また、そうした関連の食品産業の集積も非常に進んでいるというところでございます。

 イメージだけではなくて、農業でいえば、農地面積、農業生産額、米の輸出額等、新潟市単独だけで都道府県並みの実力があるというところでございます。

 また、日本海側に位置しているということで、太平洋側が大規模な自然災害等に見舞われた場合でも代替機能を担うこともできる地理的な特徴を持っているところでございます。

 そこで、まず一問目といたしまして、日本海側への国の投資額と太平洋側の投資額を比べた場合に、ある試算によれば、一九七〇年以降、三倍から五倍の開きがあるというふうに言われてございます。その意味で、この日本海側の中で一つこの特区を選定するということは、今まで裏日本というふうな言葉でも呼ばれた地域でございますが、非常に明るい方向性を示していただくということになるんだというふうに思ってございます。

 その点で、新藤大臣が、これまで繰り返し述べられてございますが、地域間バランスに配慮した形で選定ということをおっしゃってございますけれども、改めて、地域間バランスとは何かにつきまして、この日本海側の観点を含めて、お答えをいただけたらというふうに思ってございます。

新藤国務大臣 この国家戦略特区は、世界で最もビジネスのしやすい環境をつくる、そして、それが日本経済の刺激剤となって、新しいこの日本の経済の扉を開こうではないか、その中で、国際競争力を強化する、また、これまでできなかったことを進めるという意味において、大胆な規制緩和と税制、そういった政策資源を投入して、そして、この国家戦略にふさわしい、そういうテーマとともに地域を選んでいこう、こういうことであります。

 総理が、三月中にこの第一弾を決めたい、こういう方針を示されて、私どもとすれば、今それに向けて作業を急いでいる、こういう状態であります。

 ときどき言われるのは、その国家戦略特区が、いわゆる大規模ビジネス拠点として、集積のある都市部に特化されるのではないか、それでよいのかという問題意識をおっしゃる方がいらっしゃいます。

 私どもは、やはりこれは、新しい経済の扉を開くそれなりの集積があって、しかもそれは、世界を取り込むとともに、世界に出ていく、こういう規模が必要だという意味において、都市部を、都市の集積されたものを否定することはありません。

 しかし、一方で、テーマによっては、それは場所ではなくて、その地域のやる気と、それから準備態勢、それからその地域の潜在的な発展可能性、こういうものを加味した特区というのは十二分になり得るんだと思います。

 あえて、バランスをとるという意味で、日本国の中の外形的な場所のバランスというよりは、機能として、準備が整ったものについて、特区諮問会議の御議論を経て、そして、最終的には閣議決定によって全閣僚が参加して特区を決める、こういうことになるわけでありまして、あらゆる可能性を排除しているわけではございません。

石崎分科員 ありがとうございました。幾つか示唆に富んだ御発言をいただきました。

 準備が整ったものであれば選定をしていくということで、昨日閣議決定されました基本方針の中には、六つの指定条件が盛り込まれたところでございます。

 今、全国からいろいろな形で申請が出ているというふうに思いますけれども、この条件に当てはめる形で選んでいくんだというふうに思います。その中には今大臣がおっしゃった点が幾つか盛り込まれているというふうに思いますけれども、少々、地元の新潟の申請について、具体的に見ていきたいというふうに思ってございます。

 一番目の条件ということで、大きな経済的社会的効果がある地域を選ぶということでございますが、資料二ページ目の左下に書いてございます、例えば農家レストランについていえば、一経営体当たり一千五百万円ほどの年間売り上げを見込んで、既に十五以上の設置希望が寄せられているということで、これは、潜在的な需要を掘り起こしていくという点では、非常に重要な観点だというふうに思います。

 また、KPIというのも、日本再興戦略でも重要な選定の基準として言われてございますけれども、今、新潟についても、一年後、二年後、あるいは五年後などの短期的な数字、そして二〇二〇年ごろまでの中長期的な数字を含めて、こうしたKPI、具体的な客観的な数字の形で今算出をしているところでございます。

 また、きのう決まった基準の二番目についていえば、特区を超えた波及効果がある。先ほど、大臣、海外に日本のものを売り込んでいくということをおっしゃられましたけれども、我が新潟についていえば、既に新潟市だけで全国三位の輸出米生産高を誇る地域ということでございますし、いろいろなインフラが整備されてございまして、東アジアへの玄関口としての、非常に優位的な地域だというふうに思ってございます。

 また、三つ目の基準といたしまして、計画に先進性、革新性があるという点がございますが、これも配付資料で三ページ目に書かせていただいたんですけれども、非常に今TPP等の議論も含めていろいろと議論になってございます農業委員会、これにつきましても、今、地元の農業委員会との間で、事務分担につきまして、いろいろと調整をしながら、これから、規制緩和を含めて、やっていくような話が出てきているところでございます。

 ほかには、そこに書いてございますように、農地交換に係る制限の緩和、あるいは第一種農地などにおける一時転用の許可要件の緩和など、これまで他の地域ではとったことのないような規制緩和につきましても、今、積極的にこれから取り組もうというところでございます。

 また、保税地域の指定、外国人在留資格の緩和など、雇用拡大、企業収益拡大に向けての取り組みも、積極的にこれから取り組んでいこうというところでございます。

 先ほど大臣からも、やる気も大事だということでございましたけれども、これも、きのうの指定条件の四番目にございました。これまでのたび重なる関係省庁様との協議もさることながらでございますけれども、今後も、地元の自治体、そして民間事業者、非常に数多くの企業が今集積している地域でございまして、三者一体となって、オール新潟体制でこれから進めていこうというところでございます。

 また、五番目の、プロジェクトが実現可能である点というのも大事だということでございますが、具体的に国家戦略特区法の中で盛り込まれましたいろいろな改革項目につきましても、適応十分可能だというところでもございます。

 あるいは、六番目の、インフラや環境が整っているという点の条件につきましても、資料をお配りのとおり、日本海側随一のインフラを整備している地域だというふうに自負をしているような地域でございます。

 今いろいろと新潟市の特徴について具体的に見てまいりましたけれども、これを踏まえて、新藤総務大臣のお考えになられます農業分野に係る国家戦略特区のイメージ、そして、そうした自治体に対する期待感などについて、お考えをお伺いしたいというふうに思ってございます。

新藤国務大臣 私は、今まで、この国家戦略特区の指定の箇所数それから場所、一度も対外的に発言したことはございません。そして、今まさに特区の諮問会議で、五閣僚とそれから民間委員の方々によっていろいろな議論をしていただいているところでありますから、予断を持った話は避けさせていただく、こういうことであります。

 その上で、食と農業の分野については、例えばの戦略特区のイメージとして、国際的ビジネス拠点の形成、医療等の国際的イノベーション拠点の形成、そして革新的な農業等の産業の実践拠点の形成、こういう中で新たな規制改革の項目を入れております。ですから、こういったものについて、日本の国家戦略たり得るのではないか、こういうイメージとしてはあるということであります。

 ですから、それが、今委員が一つ一つ言っていただいたような各項目に最もアピールできる、そういう地区はどこなんだと。

 そして、戦略特区は、皆さん、地域からの御提案いただいたものにお墨つきをつけて、マル・バツで選ぶものではなくて、地域の御提案を尊重しつつ、民間の企業もそれから国も事業主体となって一緒に入っていって、そこで新しい経済の扉をあけようではないかと。

 したがって、指定して、その後からさらに拡大していく、参加者がふえていく、そういうものでなければならないわけであります。だから、そういう発展可能性と革新性、こういったものが非常に重要なポイントになるのではないかと思います。

 加えて、日本の農業の質の高さは、これはもう、我々、全世界に誇れる、折り紙つきのものでありますけれども、それに加えて、やはり最先端の技術を導入した、そういう効率化とか高度化とか、こういったものもその中に織り込めれば、またその先の可能性が広がるのではないかな、これは私の個人的なイメージでありますけれども、そんなことも考えております。

石崎分科員 大臣の非常に情熱的なこの特区にかける思いを踏まえてお答えいただきまして、まことにありがとうございました。

 先ほど、幾つか、六つの条件に当てはめましていろいろ申し上げた中にも、今大臣がおっしゃった点、しっかりと盛り込まれているというふうに確信をしているところでございますけれども、一点、今、効率化そして高度化の農業が必要だというお話がございました。今、総務省の方でもICを使った先端な農業にこれから取り組んでいこうというような話も伺っております。

 今、新潟市、非常にいろいろな食品産業を集積してございます。また、自治体もいろいろとこれから取り組みを行っていくところでございますので、大臣のおっしゃった、民と自治体そして国が一体となって、これから、受け入れ体制、しっかりと取り組んでいきたいというふうに思いますし、取り組み状況を、逐次、検討、見直しなどローリングしていきながら、大臣おっしゃったように、決まった後も、これからさらにやる気を見せていく姿勢が我々にも地元にも大事なんじゃないかというふうに思ってございます。

 その中で、ローリングしながらの中で、既に決まった現在の特別区域法の枠組みを超えるような大胆な規制緩和案が地元から出てきた場合には、どのように、大臣として、後押しあるいはお支えをいただけるのかについて、お考えを伺いたいと思います。

新藤国務大臣 そのようなすばらしい提案が出ることを私たちは待っているわけです。そういったものについては、スピーディーに対応していこうと。

 そして、安倍総理は、ダボスにおいて、新たな規制緩和改革期間を、二年間、集中期間として置く、その間に、日本のいわゆる岩盤規制と言われるものについては、ありとあらゆるものについてテーブルにのせ、私のドリルから逃れることはできない、こういう演説をされたわけであります。

 この国の経済の新しい扉を開くというのは、並大抵のことではなし遂げられないと思います。

 経済成長戦略は、今まで何度もつくっているわけです。しかし、それを今回、本当の意味で実効性あるものに、成果を出せるかどうか。成長戦略そのものは、いつも、その時点で最適なもの、最善のものをつくっているんですけれども、成果を伴うものにしなければいけないわけですから、その意味で、新しい提案についてはスピーディーに取り組んでまいる、こういうことでございます。

石崎分科員 ありがとうございました。

 私も、この仕事につく前は政府の成長戦略をつくる立場におりまして、毎年のようにいろいろと変更があるというのは非常に歯がゆい思いをしてございました。

 今大臣おっしゃったように、ドリルであけていくというところでございますけれども、そうした地域をしっかりと選んで、日本が世界で一番企業が活動しやすい国、あるいは、先ほどおっしゃいましたけれども、日本経済を新しい成長のステージに持っていけるような地域選定がこれから行われることを切にお願いするとともに、地元の日本海側、特に新潟、やる気もそしてポテンシャルもある、そういったところをしっかりと頭の中に入れておいていただけるというふうに思ってございます。

 大臣には、きょうも朝から晩までの大変お忙しい中でございますので、質問はこのあたりにさせていただきまして、次に、人口減の対策につきましての質問をさせていただきたいというふうに思ってございます。

 今、地元の新潟県の独自の取り組みということで、これからいろいろと人口減の対策に取り組んでいくというところなんですけれども、確かに、人口の社会減につきましては自治体ごとの取り組みでもいいのかなというふうに思うんですが、自然減につきましては、もっと国の責任で取り組んでいくべきだというふうに私も思ってございます。

 ちょうど、二十五年度の厚生労働白書では、我が新潟県の少子化対策の取り組みが特集されまして、にいがた出会いサポート事業というのが取り上げられました。これは出会いをサポートしていくというところで、年間五百組のカップルが成立していくということで、これも一つの人口減対策だというふうに思ってございます。

 この点については、ことし初めて補正予算で三十億のお金がつきました少子化事業につきまして後で質問させていただきたいと思うんですが、ほかにも新潟県が取り組んでいる点で、Uターン、Iターン者の増加の取り組み、あるいは出産一時金の拡充、そして子供の医療費の補助拡充、あるいは病児・病後児保育への補助の拡充、保育士さんたちの職員給与の改善等の取り組みをこれからやっていこうというところでございます。

 まずは、総務省の伊藤政務官にきょうお越しいただきましたけれども、Uターン、Iターンの対策につきまして、地方自治を所管する総務省としてどのようにこれから後押しをしていくのか、お考えを伺いたいと思います。

伊藤大臣政務官 ただいまお話がございました、全国各地でUターン、Iターン等に努めていただいております地方自治体を後押しする総務省の施策でございますけれども、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を移して、地域に住み込んで活動いたします地域おこし協力隊というものを平成二十一年度に創設させていただきまして、現在、全国で三百十八団体におきまして、九百七十八人の地域おこし協力隊員が、農林水産業の応援や住民の生活支援などに取り組んでいるところでございます。

 さらに、地域が活性化し、定住人口がふえるためには、地域が元気になって雇用の場がふえることが必要なわけでございますけれども、このことのために、総務省といたしましては、地域の元気創造プランを実践させていただいております。

 全国に産学金官地域ラウンドテーブルをつくらせていただきまして、地域の資源と資金を活用して事業を起こしていただきまして、そこに雇用を生み出して、地域経済の、まさに好循環、イノベーションサイクルを展開させていただいております。

 事業化に必要なマネジメント人材については、起業家誘致・人材サイクル事業によって、都市部からのノウハウの移転も推進をさせていただいているところでございます。

 また、過疎地域等を対象に、地域資源を活用した地場産業の振興や、日用品の買い物支援といった日常生活の機能確保などにも取り組んでいるところでございます。

 私も、最近、日本で唯一の飛び地村と言われている、和歌山県の北山村というところに行ってまいりました。四百七十人の村民がおられるわけでございますが、ここで車座対話というのをさせていただきました。三十代の方が三人、お子さんを産んだ二十七歳の方が一人参加をされましたけれども、一様に、戻られるに当たっての、やはり自分が住んでいた地域の記憶というのがございまして、それをまた引き寄せて雇用の場をつくることの大切さというのは、身にしみて感じてまいりました。

 ぜひ、こうした、地域が元気になって活力を生み出すことが人口増加の対策ともなることでございますので、今後とも、この地域元気創造プランを初め、ただいま安倍内閣で進めております、地域の元気なくして日本の元気なしという政策を、邁進してまいりたいと考えております。

石崎分科員 まことにありがとうございました。

 厚労省の方でも、こうした事業、取り組みを行っているというところでございますけれども、確認しましたところ、二十一年から二十四年末まで取り組んでいても、年平均で、実際に就職できた件数が二百件前後ということで、余り効果が上がっていないというところでございます。このあたり、きょうは質問は省きますけれども、ぜひ、これから、成果が上がるように、総務省と連携をしながら取り組んでいただけたらというふうに思いますし、自治体のいろいろな取り組み、これを踏まえて、いろいろと検討していただきたいというふうに思ってございます。

 次に、新潟県がこれから取り組もうとしてございます病児・病後児保育とか、あるいは出産一時金の拡充、子供医療費の拡充等の施策につきまして、これも、いろいろと、保険制度の中での財源の問題ですとか、市町村ごとのいろいろな取り組みにばらつきもある中で、なかなかこの問題に取り組むことが難しいというのは、よく存じ上げているのでございます。

 今、安心こども基金という形で内閣府の方に基金ができたところでございますが、これを見ますと、待機児童の解消などの保育が中心、その整備のための資金というのが非常に大勢を占めているところでございますけれども、今申し上げた出産ですとかこういった分野にもう少し資金を回していけるように、財源を振り分けることも少し検討していくべきじゃないかと考えておりますが、その点、いかがお考えでありますでしょうか。

鈴木政府参考人 先生御指摘のように、少子化対策におきましても、安心して妊娠、出産をしていただけるような環境づくり、これが大変大切だと思っております。

 このため、厚生労働省といたしましても、平成二十六年度予算案におきまして、各地域の特性に応じた切れ目ない妊娠、出産への支援、このための事業を盛り込んだところでございます。

 具体的には、出産直後の心身のケアとか、きめ細かい育児支援を行う産後ケア事業、それから、助産師さんたちによる相談支援を行います、産前産後のサポート事業、こういったものを創設することにしております。

 あわせまして、こうした新しい支援も含めまして、市町村がさまざまな支援策を用意していただいております。こうした支援を妊産婦の方々の具体的な状況に応じて組み立てて御提供できるようなそういった意味合いから、市町村に母子保健のコーディネーターを配置する、こういった取り組みもやってまいりたいと思っております。

 そうしたことで、地域のいろいろな創意工夫を生かして、妊娠、出産への切れ目ない支援、これに取り組んでまいりたいというふうに思っております。

石崎分科員 ありがとうございます。

 今、妊娠、出産支援につきまして、自治体の取り組みを踏まえて検討していくというお言葉をいただきました。ぜひ、全国のいろいろな自治体の取り組みを踏まえながら、この分野にもいろいろと後押しを国としてもしていただけたらというふうに思ってございます。

 自然減については、先ほど、国の責任で取り組むべきだという私の持論を申し上げました。

 次に、去年の補正予算でお金がつきました地域少子化対策強化交付金につきまして、質問をさせていただきたいというふうに思ってございます。

 昨年、婚活・街コン推進議員連盟というのを立ち上げたところでございまして、全国から非常に物すごい反応がございます。

 私の事務所にも、一月から、三十社ほどのいろいろな街コン会社、あるいは結婚相談会社の方からの問い合わせが来ております。一度たりとも政治に見向きをされなかったところだということでお話を伺っておりますし、ISOを取得している会社ですとか、いろいろ話を聞いてみると、かなり成果を上げている会社もあるというふうに伺いました。

 例えば、シンガポールのような国は、国が指定をした婚活会社というのが幾つかありまして、そういった形で、国もそういったものを後押ししていくというような事例を伺っているところでございます。

 去年、この三十億というお金がつきまして、新潟県の方も、この交付金をもらって新規事業を今やるところではあるんですが、この交付金、自治体向けのお金にとどまっているところでございます。

 今申し上げた他国のこうした状況を踏まえて、民間の事業者で優秀なところには国としても何らかのサポートをしていくべきなんじゃないかというふうに思いますけれども、そのあたり、いかがお考えでしょうか。

武川政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年度補正予算に計上されました地域少子化対策強化交付金につきましては、各地方公共団体が、結婚、妊娠、出産、育児の切れ目ない支援の先駆的な取り組みを行っていただきまして、もって地域における少子化対策の強化を図ることを目的といたしております。

 本交付金におきましては、行政やNPO等、関係者の相互理解や連携の仕組みを構築する事業についても地方公共団体が選択できる事業メニューを組んでおります。地域のネットワークを最大限活用し、NPO等を含めました民間団体とも連携して、地域の実情に応じた少子化対策に取り組んでいきたいと思っております。

 なお、地方公共団体は、交付金の実施に当たりまして、地域の実情に応じ、当該地方公共団体が適切と認める法人または法人以外の団体に事業を委託することはできるとされているところでございます。

石崎分科員 ありがとうございます。

 一方で、地元は、潟コンという街コンをやってございまして、これは、全国で二番目に大きい規模でございます。

 一回集まると、商店街で三つほどの飲み屋をかけ持ちして、一つの飲み屋の中で二、三回席がえをするということなので、一日の中でいろいろな出会いが生まれますし、商店街への経済効果もございます。その街コンに出るために、いろいろ、美容室とか、洋服を買ったりとか、かなりこの効果がございまして、ある試算によりますと、年間一千四百億円の経済波及効果があるというふうに言われてございます。

 その点で、来月の三月十四日に、第一回婚活・街コン推進サミットということで、いろいろな全国の民間事業者を集めて、森大臣にもお越しいただく予定なんですけれども、過疎対策を所管いたします総務大臣そして伊藤政務官もぜひ御参加いただきまして、今一体何をしていくべきなのか、これをまず検討していくところから始めていきたいと思いますので、そのあたり、御理解をいただけたらと思います。

 一点、役所に対してなんですが、これから継続をしていけるかどうかが、自治体もこれから事業化するかどうかの判断になるというところでございますので、この三十億というお金が、単年度だけではなく、これからも数年かけてやっていくというその方向性もこれから決めていただけると、各自治体、取り組みやすくなるというふうに思ってございます。

 きょうの私の質問、いろいろと申し上げさせていただきましたけれども、この人口減少というのは、我が国が直面いたします新たな、もう一つの大きな、大津波と言っていいほどの大きな問題だというふうに思ってございます。

 この問題、所管するところが、なかなかばらばらしている。一義的には内閣府というところなんですけれども、初めてこの三十億というお金がついたということで内閣府さんも喜んでいるところでございますけれども、どこを司令塔としていくのか、あるいはどういう資源を投入していくのか、政府全体でこれは考えていくべきだというふうに思ってございます。

 きょう、先ほど大臣から、特区につきましていろいろとお話を伺いました。午後の始まりの方の、ある委員の方の質問への答えの中に、スピーディーにということの中で、第一弾が決まった後も、第二弾についても、そんなに時間をかけずにこれから選定をしていくというお話がございました。やりながらほかの地域ということで、いい特区申請につきましては、大きな、幅広い観点で、積極的に第二、第三、やる気のある自治体については、選定をぜひお願いしていきたいというふうに思います。

 繰り返しになりますけれども、この日本海側、これまで裏日本と言われておりましたこの地域、どうか光を当てて、この地域がこれから日本全体の成長を引っ張っていくんだ、そのあたりもどうか御理解いただけたらというふうに思いまして、私からの質問とさせていただきます。

 本日は、まことにありがとうございました。

うえの主査代理 これにて石崎徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、浦野靖人君。

浦野分科員 朝からずっと御苦労さまでございます。

 私からは、きょう、総務省が進めるICTについていろいろと質問をさせていただく予定にしております。

 先ほどの委員の質問にありました婚活、実は私、去年、JCを卒業してしまったので、もう現役ではないんですけれども、ことし、私の地元の、出身の青年会議所も、婚活をJCの事業として初めてやるというので、ちょうど、ああ、やはり日本全国でそういう取り組みが大分広がっているねんなというふうに思ってさっき聞いていたんです。

 先ほどの質問の内容は、過疎をどうやって食いとめていくかということで、そういう婚活というのも、何しか結婚して子供が生まれないと、人口がふえないと過疎はとまらないということだったと思うんですけれども、ICTも、そういう意味では、かなりいろいろな可能性を秘めたものだというふうに私は思っています。

 通告の順番に、今からいろいろと紆余曲折をしながら聞いていきたいと思うんです。

 きのうの昼前に質問をしてくださいというふうに決まりましたので、どんな質問をしようかなというふうに思って、慌てていろいろと総務省のホームページを私はまず開いたんです。私は、昔からICTに関しては非常に興味があったので、すぐにICTの部分に目が行ったので、よし、これを今回いろいろと聞いてみようと思って、いろいろ調べました。

 ICTのツイッターも総務省は開かれておりまして、質問をするということで来ていただいた方が、実は、そのツイッターアカウントを直接管理されている方だったみたいなんです。私は、これは非常にいい取り組み。これは一月二十八日から始めておられました。ついこの間、一カ月ぐらいしかたっていないんですけれども、きのうの昼、十四時現在で八千六百三十七フォロワー。この後、僕がフォローしましたので、一人確実にふえていますけれども、一カ月なので仕方がないかなと思うんですけれども、少し寂しいような気もしました。ツイートもまだそんなに数は多くありませんし、これからいろいろとICTに関することを発信していっていただけるんだろうと思うんです。

 その中で、先々週、十四日から大雪が降りまして、一部、政府の対応が遅いんじゃないかということも言われていましたけれども、いろいろな災害情報、首相官邸の災害情報アカウントもありますし、内閣府の防災アカウント、国土交通省のアカウントもあって、これが皆、一生懸命情報発信をしておりました。

 私は、ちょっと残念だったのは、ICTのツイッターがそういったツイートを全然フォローしてはらないので、もちろんそれが反映されないからなんですけれども、リツイートをしていなかったというのがちょっと残念やったな。

 総務省が決めているICTツイートの運用方法の中にも、普通のものはリツイートしないと書いていますけれども、「大規模な災害等の緊急時に、国民に情報提供を行うために有用性が高いと思われるアカウントについては、フォローやその発信する情報をリツイート等する場合があります。」というふうにわざわざちゃんと書いてあるにもかかわらず、そういった情報を全く発信できていなかったのは非常にもったいなかったなというふうに思ったんですね。

 まずは、これをフォローしていただいてこれから発信をしていただきたいと思うんですけれども、その辺はいかがお考えですか。

    〔うえの主査代理退席、主査着席〕

新藤国務大臣 これに関心を持っていただいて、とてもうれしいと思います。

 これは、一部、何か論議を呼んでおりまして、もえキャラクターが、こんなことを総務省がやるのか、こういうことで、評判のよい方とけしからぬという方がいらっしゃるようでございます。

 私は、このSNSを利用するのに、総務省が、まず自分たちでもできることをやろうじゃないかということで、ホームページのリニューアルをしたんですね。これは、省内の若手の、それも若手といっても本当の若手の人たちに集まってもらって、ホームページの色だとかデザイン、それから機能をいろいろ研究してもらいました。

 それで、とにかく楽しくやれということ。それから、役所の場合、自分たちが発信するけれども、それが一体どのぐらい反応しているのか、見てもらっているのか、わからないというか、自分たちは発信するのが仕事ですからということなので、そうではないんですよというので、ホームページをどこまで見てくれているか、そういったことも意識しようと。

 去年は、参議院選挙のときに、例のネット選挙の解禁の動画コンテストを自分たちでやったり、いろいろやりました。今回のことも、ホームページのリニューアルに伴って、ツイッターのアカウントはICTだけじゃなくていろいろなところでつくれ、自分のやっていることをどんどん発信してくださいという話をして、その一環がこれなんです。

 今、委員がチェックしていただいた後から、けさの状態でも八千七百までもう上がっています。それから、今御指摘の、防災や国交省、官邸、こういったところは、それはそのままフォローすればいいだけのことですから、そういったことはもう済んでおります。

 これは、要は、管理をする人間がいかに柔軟にその辺を工夫しながらやっていくか。まだ今のところはさほどのツイートがないのは、これから私たちが仕事をやっていく上で、ICT関連でこんなことが起こりました、こんなイベントがありますとか、そういう自分たちの行事があることに関して新しい資料が載りましたというと、それをSNSで出して、見に来てもらう、こういう工夫をしているということであります。

 ですから、ぜひいろいろな御意見もいただきたいし、そこは我々は柔軟に、スピーディーに取り組んでいきたい、このように考えています。

浦野分科員 恐らく職員の方が普通の業務の中でさらにこれをやられているということになると思うので、やはり業務自体が非常に大変だと思うので、こればかりやるというのは、それはそれでまた問題になるかもしれないんですけれども、せっかくですから、これはこれからも、私は、大臣がおっしゃったみたいに自由に楽しくやった方がいいと思います。この絵も、お聞きしたら、何か職員の方の奥さんが書かれたということで、非常に手づくり感があって僕はいいんじゃないかなと思います。

 かたい情報発信ももちろんしていただいて、いろいろなやわらかい情報も発信してもらうというのが、僕はICTの一番いいところじゃないかなと思いますので、よろしくお願いします。

 それで、今、災害についてのことを言いましたけれども、このICTの戦略の中で、G空間という今まで余り聞きなれない言葉が出てくるわけですけれども、内容を拝見させていただいたら、これがすごくいい取り組みなんじゃないかなと思うんです。僕が不勉強だったのかもしれないんですけれども、G空間について余りみんな知らないんじゃないかなと思うので、ぜひ大臣からG空間について、アピールといいますか、どういうふうなものなのかというのをお聞かせいただけたらと思います。

新藤国務大臣 これは関心を持っていただけるととてもうれしいんですけれども、かつて、もう十年ぐらい前になりますでしょうか、今話題になりましたネイチャー誌で、これから世界を変える三大科学技術はバイオとナノテクとG空間、このように言われたことがあります。

 このG空間というのは、ジオスペーシャルのGであって、地理空間情報技術、日本語ではそのように呼んでいます。この地理空間情報技術を使って新しいサービスや行政をやろう、こういうことなんです。

 何をやるかというと、衛星からの測位情報を受けとめて、その衛星の測位情報と、日本の国土を電子国土化して、地球上の緯度、経度を正確にはかった上で電子地図をつくり、その中で、衛星から得られる場所と時間と高さをリアルタイムで正確に捕捉する。ですから、それを使って、例えば移動体の管理を行うとすれば、自動の走行や物流管理ができていく。

 それから、例えば津波なども、GPS波浪計というのが今でもあるんですけれども、その精度が、今度は今までの測位の精度を非常に上げますので、センチメートル単位で自分のいる時間と場所、それから高さがわかるんですね。そうすると、沖合に置いてあるGPS波浪計の移動によって津波の予測ができる。その海の波浪の変動を電子地図上でシミュレーションすれば、どこの地形でどういう事象が起きるかがわかる。こういったものを、今度は携帯電話を使って宇宙からダイレクトに通信させて、そして、災害の予測、それから避難情報、その後の復興の状況、こういったものを連絡できるようにやれないか。

 これは、アメリカが打ち上げているGPS衛星の数が足りないと、ビル陰だったり山陰だったりすると電波が途切れちゃうし、そもそもGPS自体の精度が、民生用のGPSというのは五十メートルぐらいの誤差がありますから、それをコンピューターで補正しているんですけれども、それを、日本が独自の衛星を打ち上げて、これは準天頂衛星といいますが、この衛星を打ち上げて、GPS衛星の測位信号を補強することによって非常に正確な情報をとれる。それを組み合わせて、いろいろなことができる。

 例えば、農業のトラクターに、車と同じようなカーナビ、G空間の情報を受け取れるカーナビが設置できれば、とにかく時間と場所と高さがわかるんですから、北緯何度、東経何度何分のところから何秒かけて、もしくは何分かけて移動してくださいという指示を出せば、そのまま自動で耕うんするわけですよね。それは土木技術にも使えると思うし、さまざまな活用ができる。そういう世界を開く技術だと思っているんです。

 平成十七、八年ごろだったと思いますが、地理空間情報技術推進基本法という法律を議員立法でつくりました。私はその提案者の一人であります。それに基づいて、こういう新しい仕事を政府の中でやっていこうではないか。これは全政府的にどこのセクションでも使える技術だと思うんですけれども、そういったものをやろうと。

 私が今総務省におりますので、総務省に、ICTとG空間をかけ合わせたら何ができるかという研究会をつくりまして、その中でいろいろな提案をして、実用化できるもの、実験に入れるものはやっていこう、こういうふうに今進めている、こういうことでございます。

浦野分科員 私は一年前から国会議員をやらせてもらっているので、これまでのそういう議論を知らなかったので、不勉強で申しわけなかったですけれども、非常にすばらしい取り組みなんじゃないかな、恐らく私ぐらいの世代の人間はみんな率直にそういうふうに思うような技術だと思います。

 どうしてもそういう技術はアメリカが先行して、日本が追いつけ追い越せでやっても、いつの間にか一歩先にアメリカが進んでいる。例えば、代表的な会社はグーグルという会社で、先ほど大臣がおっしゃっていた自動で車を動かす、あれもグーグルが今実験をやっていますよね。恐らく、あっちは一営利企業が莫大な資金を使って自分たちの利益を生み出すために取り組んでいるんだとは思うんですけれども、日本も負けず劣らず、そういう本当に役に立つ技術というのを一生懸命やっていただけたらなと思います。

 それで、ICT戦略会議の資料の中に、新しく小宮山さんがつくったスマートプラチナ社会という非常に新しい言葉があふれていましたけれども、この部分についてもまだまだ認知度が低いというか、私はこれも大事なことだと思っているんですけれども、大臣、その点もちょっとお聞かせいただけたら。

新藤国務大臣 このスマートプラチナというのは、生きがいを持って、地域社会において年を重ねても元気で生きられる、そういう暮らしをつくろうじゃないか、だから、シルバーではなくて、それを超えたプラチナだ、こういうことで小宮山先生がお名前をつけられて、そして、プラチナ大賞というものもことしおつくりになられて、私、総務大臣賞を出しました。

 要は、まちづくりです。それから、医療や福祉やそういうものをかみ合わせて、そこでいろいろな人たちに参加してもらって、ICTを使って、例えば健康モデルをつくる、それから健康管理を行う、こういうようなものをやりながら、町を活性化させながら、そこに新しいICTをかませてイノベーションを起こしていこう、こういう仕事であります。

浦野分科員 私は、ICTの基本というのは、例えば、こういう端末、タブレット、この委員会では使用はオーケーなんですか。僕はちょっとわからないんですけれども。本会議場ではあかんけれども、各委員会ではタブレットを使ってもいいというふうには言われているんですけれども。予算委員会はどうだったか。多分、予算委員会は予算委員会で決められていると……(新藤国務大臣「通信はだめなんじゃないか、資料を見るのはいいけれども」と呼ぶ)ああ、だめなんですね。

 私は、ICTというのは、結局、こういうものをこういう場でも活用できるような世界というのが、実はICTの目指すべき世界だと思っているんですね。もちろん、会議中に余計なものをネットを介して見たりとかするのは、それはしてはいけないことですけれども、例えば資料とかでも、ネットで見られたらこうやって持ってこなくても済むわけなんですね。ICTというのはそういうものを目指すものだと。ICTの包括する世界というのは非常に広大な世界なので、ごく一部の話ですけれども。

 ただ、そのICTの基礎を築いているのは、やはり無線のデータ通信だと思うんですね。私は、特にWiFiの環境というのは、今、一番安価で整備しやすい環境だと思っているんです。

 私は、初めて予算委員会の分科会で去年質問して、それが国会議員になって初めての質問だったんですけれども、そのときは、国会内で全くネット回線が、引かれてはいるんですけれども、その当時、まだADSLという非常に懐かしい名前の通信網で、今はやっと光回線を引いていただいたということで、私たち維新の会の控室も、自分たちで子機を買ってきてWiFiを飛ばしています。さっきちらっと見たら、ここは民主党さんのWiFiが拾えるんですけれども、各党、各セクションが恐らくばらばらに自分たちでWiFiをつけて電波を飛ばしているんだと思うんです。

 私は、そのときも言ったんですけれども、ICTを推進している政府が、国会内で全くそういうものが整備されていない。議員会館も、回線は整備されていますけれども、WiFi環境は全くない。

 多分、学校教育のICT化を目指す議員連盟の勉強会だったと思うんですけれども、自民党さんが主催でやって、各企業の人たちがデモンストレーションをしに来ていたんです。議員会館でやったんですけれども、WiFiがないというので、びっくりした、困ったといって、自分たちで持ってきたものを急遽つけてやったということを冒頭におっしゃっていました。何で会館にそんな環境がないんですか、こういうものをやると言っているのにといって、企業の人がえらい文句を言っていました。

 総務大臣が号令をかけて全部つけろと言う権限を持っているのではないと僕はわかっているんですけれども、その点はいかがですか。

新藤国務大臣 ごもっともな御提案だと思いますし、なぜないんだという素朴な疑問がありますよね。

 国会議事堂内、これは議運ですよ。議院運営委員会の申し合わせ事項になると思います。ですから、そういう議論を各党間でしていただければ、これは技術的にそういった環境を整備することは全く問題なくできると思いますから、まずそういうことはやるべきだと思います。

 とにかく、WiFiの環境をいかによくしていくか。例えば、もう既に、世界遺産となった富士山は、山頂に世界から物すごい人が集まっている。御来光を拝もうとするけれども、WiFiがないものだから、あれ、今の状態を伝えられないとかね。こういうものだって、実は山小屋までもう線が入っているんですから、いろいろな工夫ができると思います。

 外国人が日本に対して期待をするのがWiFi環境の整備、特にオリンピックを控えて、この間のロンドン・オリンピックのときの反省も踏まえて、大容量の高速の回線を整備することは当然やっていきますけれども、そういった課題があります。それは、そのまま外国人の日本に対する最大不満になっているんですね。

 ですから、そういうものを一つ一つやっていく必要があると思いますし、政府自体は、ICT社会、ITの社会を進めていこう、こういうことを方針として掲げていますから、それは順次やっていきたいというふうに思います。

浦野分科員 前に同じことを聞いたときは麻生大臣が答弁に立っていただきまして、そんなに甘くないんだよというふうに言われまして、同じように、議運でちゃんとやってくれということを言われました。

 我々はもちろん野党ですけれども、そういったことをこれからも議運で提案させていただいて、私は、ぜひ与党の方からこういう話をしていただけたら、すんなりスムーズにいくんじゃないかなと思いますので、またお願いしたいと思います。

 先ほどの大臣の答弁の中にもありましたけれども、外国人が一番不満に思っているのは、観光に来て、ネットにつなげられないのが結構大きいというのを、私も、この質問をするに当たっていろいろお聞きしたときに、初めてそれを聞きました。

 大阪府が、今、府域全体で無料のWiFiにアクセスする環境をつくるということをしています。これも、実は大阪の観光協会が提案をされて、外国人が観光に来られたときにアンケートをとったら、それを非常に不満だと言っていたということで取り組むことに決まったんです。お聞きすると、観光地では結構そういうものに取り組んでいるところもあるということで、大阪が初めてやるのかなと思ったら、そうでもなくて、日本全国でそういう取り組みをやられているんだなというふうに思ったんですけれども、総務省としては、そういった取り組みを応援するような何か枠があるんですか。

新藤国務大臣 これはそれぞれ、民間の方がおやりになることであり、自治体がおやりになることですが、これは大歓迎ですね。しかも、全国的にWiFi環境をつくっていこう、政府として、そういう音頭をとるといいましょうか、皆さんにお願いすることはとてもいいことだと思います。

 我々とすると、無線LANのビジネス推進協議会、こういうものがあります。それから、観光庁というのがあります。ですから、そういうところを通じて、うまくいった例、ベストプラクティスを紹介して、そして、それによってどんな効果が出たかということを知らしめることによって、また次の整備地域が出てくる、こういったことを期待したいし、それぞれの応援をしたい、このように考えております。

浦野分科員 私自身は、このICT、まず、WiFi環境が日本全国どこに行っても整備できている。特に、私が一番思っているのは、先ほどの委員からも質問があった過疎地ですね。過疎地で情報弱者になられる方というのがたくさんいらっしゃいます。私は、WiFi網を、都市部だけではなくて、過疎地、特に、中山間地とか、いわゆる人が余り住んでいない、そういうところにこそまず本来は整備していくべきだと思うんですよ。

 こういうタブレット端末は、年配の方は最初は取っつきにくくてなかなか使い始めてくれないんですけれども、実は、この端末の方が、今までの何よりも、携帯なんかよりも全然使いやすい、使い始めてしまえば本当に便利なものだというのを、まだまだ年配の方々は知らないんだなというふうに思うんですね。

 だから、そういう基礎になる環境をまず国で、僕は、日本という国は、技術的にも世界でも多分唯一、全国どこにでもそういう環境を整える力を持っている国だと思っています。国土もそんなに大きくはないですし、技術でカバーできる、いろいろなノウハウも持っている国だと思うので、ぜひそういった環境を整えていただいて、そういう情報弱者になる人たちにも手軽にいろいろな情報が届けられる、さらに、情報だけじゃなくて、医療とか、そういうものにもつながる大事なツールだと思うんですね。

 同僚の岩永議員がいつもビッグデータのことを大臣によく言っていると思うんですけれども、ビッグデータというのも絶対に利用しないといけなくなると思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 あと一分ありますね。最後、一つだけ。

 冒頭、防災アカウント、いろいろ出ているということを言っていたんですけれども、気象庁が実はツイッターを持っていないんじゃないかな。ちょっと調べたんですけれども、気象庁のホームページにもツイッターが載っていなかったんです。気象庁の災害情報、全国の気象情報をツイッターでわあっと流すのはさすがに大変だと思うんですけれども、ぜひ気象庁も、災害に特化した情報発信のツイッターアカウントをつくっていただけたらなと。これは調べている中で、入っていないなと。気象庁は国交省の管轄なので、ここで言うのもあれなんですけれども、ぜひそれはお伝えいただけたらなと思っております。

 本当は、ロボットのいろいろなことについても、推進会議の資料には載っていたので、質問できるかなと思ったんですけれども、総務省では答弁ができないということだったので、また機会を見つけてICTのことでいろいろと聞きたいと思います。

 どうもありがとうございました。

上杉主査 これにて浦野靖人君の質疑は終了いたしました。

 次に、今井雅人君。

今井分科員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 新藤大臣、きょうは本当に長時間、御苦労さまでございます。あしたの集中審議も御指名させていただきましたので、一緒におつき合いいただきたいということで、よろしくお願いしたいと思います。

 質問に入る前に、実は私、新藤大臣と余りお話ししたことがないんですが、ちょっとこれをお話ししようかなと思っているんです。

 私は、岐阜県の下呂市の門和佐という、家が百四十軒ぐらいですかね、本当にくそ田舎です、で育ちました。ああいう田舎というのは親族が一緒になっていますから、私のところは本家が細江家というところで、そこに三軒、分家があります。私の祖母がそこに家を分家で建てたんですけれども、その祖母の兄弟、細江金次といいます。ここにプロフィールがありますが、昭和十六年に召集されて、釜山に行っておりましたけれども、その後、南方方面に移動しまして、昭和二十年三月十七日、硫黄島で戦死をしました。そのときの部隊が栗林部隊でございます。

 ちっちゃいころから、まだひいおじいちゃんが生きておりましたから、よくその話を聞いておりまして、一度やはり硫黄島に行きたいなと思っているんです。そんな思いで、靖国神社にはよく参拝をしておりますけれども、正直、新藤大臣のお父上が栗林……(新藤国務大臣「おじいさん」と呼ぶ)おじいさんですね、というのは存じ上げませんでして、国会に来てから知りまして、何とも言えない、上司に会ったような気分でございます。

 質問ではないんですけれども、そういうことがございまして、そういう意味では、同じ思いを持っているDNAだと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 きょうは、総務全般ということでありますけれども、最初に、郵政の問題をちょっと取り上げさせていただきたいと思います。

 新藤大臣も郵政選挙は経験されておられますし、いろいろな思いがあると思いますけれども、私は、実はずっと金融機関におりまして、銀行におりました。それから、ちょうど郵政民営化を是か非かと言っているときは、元財務省の財務官の榊原英資さんのところの研究所で一緒に政策を考えたりとかしておりましたけれども、当時、郵政の民営化を実は二人で大反対しておりました。

 というのは、郵政の民営化自体は私は反対ではありませんでしたが、あの民営化には大義がない。なぜかといいますと、小泉さんはずっと昔からそうやっておっしゃっておられましたし、竹中さんも、私は懇意にさせていただいていますけれども、そういうお話をされておられましたが、もともと小泉さんの郵政民営化しなきゃいけないと言っていた理由は、郵政で集めたお金が非常に乱暴に使われて、資金運用部で雑に使われているので、これがいろいろな既得権の温床だから、これをたたかなきゃいけない、そういう論調だったと私は理解しております。

 その後、運用の改革が行われて、資金運用部に財投で行くという仕組みはなくなって、八年間ぐらいかけて市場運用に回すというふうに、もう既に改革が行われていたんですね。ですから、そもそも小泉さんが改革をしなきゃいけないと言っていたもとの部分は、もう改革が終わっていたわけです。

 ところが、そのこともはっきり言わないで、何か民営化をすればバラ色だというような論調でお話をされていたので、論理的じゃありません、どうして民営化をしたらバラ色になるのかということをちゃんと国民にわかるように論理的に話さない限り、この民営化は失敗しますよということでずっと反対をしてまいったわけです。

 その後、民主党で当選をさせていただいて、民営化についての見直しをもう一回しようということでやってまいりましたが、当時はいろいろな意見がありまして、一番当初の担当大臣は亀井さんでしたから、とにかく限度枠をなくせとか、もうとんでもないことをいろいろおっしゃっておられましたけれども、いろいろな議論の中で、何とか自民党の皆さんにも御理解をいただいて、改革法案をやったわけであります。

 私自身は、積み残しがいろいろまだあって、あのとき法案をつくりましたけれども、まだ道半ばである、この問題はずっとやっていかなきゃいけないというふうに思っております。

 そこで、まずお伺いしたいんですけれども、当初四分社化して、今度三社体制になりますが、会社を分けたことによって事業間同士での消費税というのが発生するようになって、恐らく、毎年度約五百億円ぐらいの消費税が発生していると思いますけれども、これは本来、会社が一つの中で、要するに社内取引だったわけです。それが政治の力によって分社化されて、その結果、消費税を課せられるということになってきているわけでありまして、事業会社からすれば、そういうふうに分けられて消費税も取られるというのは、私は少し理屈としておかしいんじゃないかなというふうに思っているんですが、この辺についての御検討は今どういうふうになっているか、教えていただきたいと思います。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘なさいました、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険が日本郵便に窓口業務を委託する際に手数料が発生いたします。手数料が発生いたしますと、これに消費税がかかります。先生がおっしゃったとおり社内取引でございますので、これについて非課税措置の要望をしてきてございます。

 それで、昨年末、平成二十六年度の与党税制改正大綱におきましては、「郵政事業のユニバーサルサービスの安定的確保のために必要な措置の実現に向けた検討とともに、引き続き所要の検討を行う。」とされたところでございます。

今井分科員 まだ検討段階ということでありますけれども、そもそもの経緯というか筋というか、そこをやはりしっかり考えていただきたいと思うんですね。

 当然、財務省は、それはもう事業会社を分けたんだから消費税は当然であるという立場であるのはよくわかりますし、財源がある問題でもありますのでそこもわかるんですけれども、どうしてこういう状況になったかというその経緯もよく考えていただきたいということであります。これからのテーマだと思いますから、私もこの動きは今後も注視させていただきたいと思いますし、ぜひ前向きにやっていただきたいと思います。

 もう一点、限度枠と新規事業の話です。

 よく当時の議論で、イコールフッティング、そして暗黙の政府保証、ゆうちょというのは暗黙の政府保証があるので、イコールフッティングという観点で考えるといろいろな縛りをかけなきゃいけないという御意見がありました。特に金融機関の方からはそういう声が大きかったわけであります。

 確かに公平な環境というのは大事なんですけれども、よくよく考えると、では、今の状態がイコールフッティングかどうかという問題も考えなきゃいけないんです。

 というのは、暗黙の政府保証がどれぐらいあるかというのは私は非常に甚だ疑問ではありますけれども、仮に多少あるとしましょう。ですが、一方で、ほかの金融機関は、要するに預金を限度なくずっと集められるわけですね。しかし、郵便局は貯金を一千万までしか集められません。正直言って、一千万で張りついているお客様はたくさん田舎にはいらっしゃるわけですね。では、その先の営業ができるかできないかといったら、それはできないわけであります。

 片方は無制限、片方は一千万ですから、これも不公平ですね。だから、片方は政府保証だからといいますけれども、そこは多少そうだとしても、逆は不公平になっているわけですから、そういうことのバランスをやはり考えなきゃいけないというふうに思っております。

 それと、地元で郵便局の若手の人たちとよく酒を飲みながら話したりするんですけれども、彼らは、何か新しいことをやりたい、お客様に喜んでいただくサービスをしたいということで、非常にモチベーションはあるんですけれども、そのモチベーションを抑えられてしまっているという状況ですね。

 やりたいんだけれども、できない。あるいは、お客様にもう少し貯金を預けていただきたいといっても、張りついている。営業ができないんですね。営業ができない組織というのは、やはりモチベーションは上がりませんよ。そうすると、やはり業績も上がりませんよ。

 ですから、そういうこともぜひ考えていかなきゃいけないと思っているんですが、その辺の検討はいかがですか。

今林政府参考人 限度額につきましては、先生先ほど御指摘いただきましたとおり、ゆうちょ銀行につきましては一千万円ということでございますが、これにつきましては、先ほど先生お触れいただきました郵政民営化法の百七条及び百三十七条におきまして、他の金融機関等との間の競争関係に影響を及ぼす事情などを勘案して政令で定めることというふうにされているところでございます。

 それから、先ほど先生が御指摘のとおり、御尽力賜りました郵政民営化法の改正案の御審議におきまして、附帯決議としまして、「本法の施行により直ちに勘案すべき事情が変わるわけではないことから、当面は引き上げないこと。」という附帯決議を頂戴しているものと承知しております。

 他方、ゆうちょ銀行の新規業務について御指摘をいただきましたが、現在、住宅ローンなどの個人向けの貸し付け、それから法人向けの貸し付けに係る業務の認可申請がなされております。これにつきましては、郵政民営化委員会におきまして、限定条件をつけてこれを容認する意見が取りまとめられております。現在、総務省及び金融庁において、貸出先の審査あるいは回収の体制などについて、ゆうちょ銀行から話を聞くなどしまして審査を行っているところでございます。

今井分科員 そういう答弁なんでしょうけれども、ちょっと乱暴な言い方をすれば、郵政よりももっと優遇されているのは、実は農協なんですよね。農協は、今はもう組合員は准組合員の方が多くなって、農業をやっていらっしゃらない方からお金を集めて、それで金融もほとんど自由にできる、保険もできる。実態は、もう組合組織じゃなくなっているわけですね。そこと実質的には競争しているんです。特に、地方ではガチンコでやっているわけですね。信金、信組さんも大変な苦労をされていますけれども。

 そういう全体的なバランスをやはり考えないと、私は、そういう意味では、別に農協が憎いわけじゃありませんけれども、どう冷静に考えてもそこはフェアじゃないなという部分もあるので、そこはぜひ考えていただきたいというふうに思います。

 ちょうど、来年、予定では上場を目指すということであります。そうすると、政府の株式もどれぐらいか売っていくわけでありますので、いよいよ民営化が本当に進んでいくのでありますが、ぜひひとつ考えていただきたいのは、先のことまで考えたときに、スケジュールを合わせて、では、どんどんと政府の保有比率が下がっていった段階で、それをだんだん解除していくということの道筋をきちっとつくっていただきたいということ。

 そうすると、実は、手前でそういうことをやると、その企業価値が上がりますから、売却したときの売却代金が高く売れますよ。そうすると、いわゆる税収というか、政府が受け取るお金、これもたくさん受け取れるわけです。そうすると、それはまた財政に充てられるわけで、そういう好循環もありますから、上場をやるのはもちろん会社の方ですけれども、ぜひ、大臣、その辺も含めながらきちっとそのスケジュールをこれから検討していただきたいということについて、いかがですか。

新藤国務大臣 委員が郵政に対して非常にいろいろな思い入れを持って、また真摯に検討いただいていることは敬意を表したい、このように思います。

 私も専門ではありませんが、しかし、そもそもが、日本が高度経済成長をした、戦災復興から高度経済成長に移ったその最大の原因は、そして世界がびっくりするような成長をなし遂げたエンジンは、私は郵政だと思っているんです。いわゆる財投ですね。ですから、それがあったがゆえに、税金と財投によってダブルエンジンでこの国は高度成長したわけです。

 しかし、一方で、そのお金が巨大となって、そして、個人金融資産千四百兆のうち、郵貯、簡保で七百兆を占めるようになり、そういうところに投資先を失って、その活用をどうしたらいいのかというところが大きな課題だと私は思っているんです。

 その意味において、今委員がおっしゃったこと、郵政の民営化も法律で決まりましたし、企業価値を高めて、そして民営化の実感を感じていただくこと、それから国に対していろいろな貢献をしてもらうこと、この中で、では郵政は、例えば貯金事業は、どの分野で何のためにやるのかということを考えなければいけない。保険も同じです。新規業務は一体何のために行うんだということを、やはりきちんとしたミッションをつくるべきだ。これは、まさに今、西室社長が同じことをお考えであります。そういう中で、これからの新規業務の扱い方、こういったものもよくやっていこうと。

 だけれども、とにかく一つだけ私が誇れるのは、今、KITTEがありますね、不動産投資事業。これは大きなものではないとはいえ、KITTEは何と年間の集客が二千二百、三百万となっています。日本で最も人が集められるのはスカイツリーなんですね、年間五千万人です。次がディズニーランドだったんです、二千万人です。でも、KITTEができたことで、KITTEはディズニーランドを超える集客をしているんですよ。そういうところで、例えば郵政のネットワークを使って物産展だとかをやって、その物産展の成果が今度はネット販売につながっていく。そういういろいろな有機的な連携が、民営化によって、新しい事業はまだまだ工夫するとできると思うんですよ。

 ですから、今、委員が御指摘いただいたようなそういうスケジュール感、それから、何よりも私はミッションだと思います。限度額を上げるのか、下げるのか、維持するのか、これは、それを何のために使うのか、どんなところに活用できるのか、こういったものとあわせての検討になっていく、このように考えています。

今井分科員 ぜひよろしくお願いします。

 KITTEは、私もときどき行くんですけれども、すごい人ですね。(新藤国務大臣「東京駅と接続している」と呼ぶ)そうですね、場所もいいということで。

 ぜひ郵政をしっかり見ていただきたいんです。私のところは本当に僻地ですから、郵便局の皆さんが、見守り隊といって、スーパーカブに消火器をつけて、それで独居老人のところを回ったりとか、昔はそういうことをしていたんですね。だから、本当に地域の人の支えですから、ユニバーサルサービスを守るというところであの法案をつくって、それは僕は、田舎を守るという精神で、絶対守るべきだということでやってまいりましたので、それも含めて、会社がしっかり健全に続いていくことをぜひ考えていっていただきたいというふうに思います。

 次に、これも地方の話で申しわけないんですが、これは最近地元でよく言われるんですけれども、二〇一一年に地上とBSのアナログ放送が終わりました。被災地が翌年になりましたけれども、二〇一二年までには日本全体がアナログがなくなってデジタル放送に移行したわけでありますが、大臣も御案内だと思いますけれども、デジタル放送の電波が届かないところがあって、それでやむなくケーブルテレビを契約してデジタル放送を見ている地域というのが私の選挙区にもかなりあります。

 実はこういうことが起きておりまして、結局、そのお金を払うということは、ある意味、地域によっての不公平となっている。あるところにいればお金を払わなくていい、あるところにはお金を払わなきゃいけない。しかも、デジタル放送の方に向けたのは国の政策でありますから、自分で選択したわけではありません。国の政策によって、自分が毎月お金を負担しなきゃいけなくなった状況に追い込まれた人たちがいるわけです。

 今、そういう人たちの中には、ばかばかしいから俺はNHKの受信料を払わないということで抵抗して、いまだに払っていない人たちがちょこちょこいらっしゃいます。そのこと自体も問題かもしれませんけれども、そういう感情論にやはりなっているわけですね。

 私は、常に思うんですけれども、自分で選んだなら仕方ありません、国がやった政策によって不利益をこうむっている人たちにはそれなりの措置をしてあげるべきだ、これが国の政策と責任というものじゃないかなというふうに思うんですね。

 ですから、ぜひこのあたりのところも総務省の方で全国の状況を見ていただいて、何らかの配慮をしていただけないかなというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 まず、平成二十一年度から、そういったアナログからデジタルへの移行によって、今御指摘のような問題が発生しております。

 まず、加入することに関してどういう支援をしているか。できるだけ住民の負担の軽減を図らなければなりません。これは御案内のとおりです。

 そして、対策の手法としては、まず、ケーブルテレビ加入対策が選択された場合には、国は、初期費用として、世帯当たり上限三万円を支援する。それから、NHKは、NHKの難視世帯に対して、国とは別に、ケーブルテレビの加入の初期費用についての支援、これが一世帯当たり定額二万八千円あります。通常、ケーブルテレビの加入料が平均五、六万ですから、その中で、五万八千円程度のそういった加入対策は今でもできているということであります。

 それから、視聴料の問題でありますが、これは、総務省として、全国のケーブルテレビ事業者に対して、地デジを可能な限り利用しやすい料金で提供してほしい、こういうことで、住民負担が重くならぬような取り組みをしております。

 地デジのみの再放送を提供するケーブルテレビ事業者、全国三百八十六社ありますが、この中で、月額千五百円以下の事業者が二百八十四社ということで、我々の要請に応えていただいております。これまで四回にわたって、総合通信局を経由してケーブルテレビ事業者への協力要請をしているということであります。

 あと、できることをいろいろと工夫してまいりたいと思いますが、取り急ぎ、そういった初期での対策は出してもらっている、こういうことでございます。

今井分科員 引き続きいろいろ対策を考えていただきたいんです。

 大体、こういう地区に住んでいらっしゃる方というのは年配の方で、年金生活ですから。今、現状を言うと、マクロスライドで年金を削られて、うちの母も毎月一万円ちょっと減ったと言っていました。それで、消費税が上がります。あの辺の地域は車ですから、ガソリンの値段も上がる。入りが減って、負担ばかりふえているんですよ。千五百円でも決して安くありません。それは、我々にとって千五百円はそう大した金じゃないかもしれませんが、そういう方々にとっては千五百円というのは大変大きなお金でありますので、そういうところもぜひ目配りをしていただいて、状況はどうかなと、環境も変わってきていますから、その辺もぜひ御配慮いただきたいというふうに思います。

 それと、先日予算委員会でお願いしましたけれども、地方公務員のアルバイト、お医者さんのアルバイトの件ですね。

 この間御答弁いただいたんですけれども、あれはあれで、いろいろなほかの対策もやっていらっしゃるという御答弁でしたから、それはそれで了としますけれども、ぜひお願いしたいのは、ああいう地方公営企業でそういう問題が起きていないかということを、総務省の方に調査していますかと私が言ったら、全く調査はしていないというふうに言われたので、せめて実態調査だけして、そういう問題が起きていないか、あるいは実際は潜りでやっていらっしゃる方もいるかもしれませんけれども、その辺のところの本当の問題点を総務省としてしっかり捉えていただきたいというふうに思うのです。今すぐその制度を変えてくれということをお願いするわけではありませんが、まず問題意識を持つということだと思うんです。

 そこの部分を田村大臣にもお願いしようと思っておりますけれども、私の承知している限り、かなり困っていらっしゃる方がいらっしゃるので、これは人道的観点の対策でありますから、やる気があればできる、変えられることだと思うので、その辺をぜひお願いしたいと思うんですが、いかがですか。

新藤国務大臣 まず、手続をとれば兼業ができる、この規定を知られていない方々もいらっしゃるのかもしれません。ですから、こういう制度の周知徹底を図る。それから、この制度を活用する際に、それがスムーズに適用されるような助言というものは我々はやっていくべきだと思います。

 特に、地方の医師不足に関して、これが貴重な戦力となっていて、その制度を知らないがゆえに、我々はそれは認めるわけにはいきませんが、そんなことはないと思っておりますけれども、でも、実態としてそんなことがあるならば、それは気の毒なことだし、また、あってはならないことであります。

 したがって、まずは制度が円滑に運用できるようにしていく。その上で、その把握が必要なのか、本来これは自治体の権限ですから、自治体が適切に運用されているという地方自治の範囲のことでありますから、我々は、必要な指導助言をしながら、その他の問題については、必要性というのは研究していきたい、このように思います。

今井分科員 全くおっしゃるとおりで、法律上は、基準をつくればそういうことができるようになっていますけれども、各自治体、これは濃淡がありますが、総じて消極的なようなんですね。

 本来は自治体が主体的にやるべきなんですけれども、総務省もぜひ、その辺の実態を見て、指導なり、こういうことができるんだよということの通知なりをやっていただけるというお話でしたので、そういうことをやっていただけると本当に助かりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 もうあと二、三分ですので、最後、NHKの人事について、私、一言だけ申し上げたいんです。

 私は、実は四十年、剣道をやっております。段位は七段で、師範もやれる。大学で監督をやったり、いろいろしてまいりました。

 今回、籾井会長や百田さんを見ていると、私は考え方は非常に近いものを持っています。ですから、そのこと自体をとやかく言うつもりは私はございません。しかし、私は、日本人として、子供たちに剣道を学ばせるときに、人をとうとんで礼節を重んじろ、所作が大事だ、言葉遣いが大事だと。言葉というのは言霊なんです。そこに人格があらわれるわけです。

 ですから、今回は、私が拝見していて、内容はともかく、公然の場で人のことをくず呼ばわりするとか、あるいは、決まっちゃったんだからしようがないよねということを公式の場で言う。しかも、私は歩き方も気に入りません。背筋を伸ばしてきちっと歩いていただきたい。

 やはり公共放送のトップに立つ方は、言葉遣い、所作、礼儀、こういうものをしっかりやっていただかないと、日本人の心がおかしくなる。そのことを私は一番心配しておりまして、よく内容がどうだったかこうだったかとおっしゃる方がいますが、私は、よほどそちらの方が問題だというふうに拝見をさせていただいておったんです。

 ぜひ、そういう部分も含めてしっかりと指導していただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 最後に御答弁をお願いします。

新藤国務大臣 今委員のお話にはとても共感できるところがあります。

 ですから、今、会長も、世間からの重圧があって、しかし、自分は会長としての職責を果たさなければならない、こういう思いの中で、しかし、なれない中で、国会からたくさんの追及を受けて、どのようにしたらいいかという迷いがあることも事実だと思います。

 ですから、私は、一刻も早くこの事態を収拾して、それはきちんと説明をして、その上で、会長と職員が一丸となって仕事でもってNHKのよさというものを国民に知らしめてほしい、このように期待をしているわけであります。

 そして、その前段での立ち居振る舞いにつきましては、委員からそういうような御指摘があったということは、私も頭にとめて、そして、機会のあるときにお話を申し上げたい、このように思います。

今井分科員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

上杉主査 これにて今井雅人君の質疑は終了いたしました。

 次に、椎名毅君。

椎名分科員 こんばんは。結いの党の椎名毅でございます。

 本日、予算委員会第二分科会ということで、三十分質疑時間を頂戴いたしました。本当に感謝を申し上げたいというふうに思います。

 大臣におかれましては、朝から晩まで本当に大変だと思いますけれども、お疲れさまでございますと一言申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 早速ですが、本日、総務省関係ということなので、大きく二点伺いたいと思います。

 一点目が消防団関係、それから二点目が、先日本会議でも私の方から伺わせていただきました、地方財政に関係する部分について質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、消防団に関して伺います。

 私の地元は川崎市の麻生区、多摩区というところで、神奈川九区でございますけれども、各区に一団、消防団がございます。消防団の皆様方が、地元への貢献ということで日ごろとうとい御尽力をされていらっしゃることについて、私自身も感謝を申し上げております。

 消防団の今日的な意義というところについて質問をしていきたいと思います。

 消防団と常備消防については、車の両輪であるという形で語られることが多いと思います。みずからの地域はみずからで守るという非常にとうとい気持ちを持たれて日々訓練されていらっしゃるわけですけれども、非常に重要であるというふうにされているにもかかわらず、なり手が少ないとか、高齢化しているとか、サラリーマン化しているといった問題があるというふうに言われて、さらに言うと、なかなか解決ができない状況にあるというふうに言われています。

 今現状、消防団人口八十七万人ということですね。人をふやそうという形で課題を設定して、その解決のために動かれていらっしゃるということは十分認識をしておりますが、なぜ人が減っているのかというところを明確にしていくこと、そして、今日的な消防団の意義を明確化していくことが重要なのではないかというふうに思います。

 私自身は、仮説を立てて考えてみたんですけれども、消防団の今日的な意義ということをもう少し明確化していくこと、これがまずもって重要であり、それに応じて、課題解決のために対策を打っていくということが必要なのではないかなと考えた次第でございます。

 本論に入りますけれども、消防組織法九条で、消防団は消防機関というふうに扱われて、基本的に、消防本部それから消防署と並列に扱われているようでございます。少ない時間ながら一生懸命勉強しましたけれども、要するに、法的な権限という意味でいうと、消防機関と一くくりにされている部分が多くて、消防団というもの、具体的に言うと、消防団員と、それから消防吏員という消防署で働いている方々と、大きな差はないんだろうというふうに思います。

 常備消防がなかったというか、整備が十分でなかった時代には、消防団の皆様方が最前線に立たれて火災の鎮圧等をやられていたということが多くあったという話は、私自身も、地元の消防団の皆様方からも多く聞いております。

 今現在において、常備消防の整備率が大体九八%ぐらいということになって、消防団の果たすべき役割は、法律には消防署と消防吏員がやるべきことと同じようなことが書かれているわけですけれども、法律に書かれている部分と多少変わってきているんだろうなというふうには私自身も思っています。

 実際に最前線に立つというよりかは、火災予防だったり風水害の予防だったりという予防的な観点で活動すること、それから、災害が起きた後の、救助だったり災害時の避難誘導だったり警備だったり、こういった後方支援みたいな部分だったりするのかなというふうには思っています。

 そういった状況で、実際にやるべき仕事ということがだんだん変わってきている中で、現在の消防団をめぐる法的環境という意味でいうと、必ずしもそうはなっていないのかなというふうに思っています。

 改めて消防団の意義というものを再定義した上で、法律でもう少し明確化していくことも必要ではなかろうかなと思いますけれども、今日的な意義という意味で、大臣の御見解をいただければというふうに思います。

    〔主査退席、うえの主査代理着席〕

新藤国務大臣 確かに、委員が御指摘いただきましたように、消防の常備化率九七・九%です。ですから、消防団が、その意味ではもう役割を変えるんではないか、こういう御指摘は一面あると思います。

 しかし一方で、やはり大規模災害時には常備消防のみでは対応が困難であって、動員力のある消防団、これはもう圧倒的に人数が多いわけですから、消防団が消火や救助、住民の避難誘導等に大きな役割を果たすことが期待されておりますし、東日本の大震災の際にも、またそのほかの、この間の大島のときもそうでございましたけれども、実際に大活躍をされているわけであります。中には命を落とされた方もいらっしゃるわけでありますから、とうとい活動をしていただいているということに変わりはありません。

 そして、即時対応力を有する消防団が火災現場にいち早く駆けつけ初期消火を行うこと、それから、災害時以外にも、戸別訪問による防火指導や地域行事の警戒活動、まさに地域防災のかなめとしての重要な存在に変わりはないと思います。

 先ほど委員も言っていただきましたけれども、みずからの地域はみずからで守る、愛郷心と公共心に基づいて、仕事を持ちながら、地域の安心、安全のために働いていただいているわけであります。

 ちょうどことしが、明治以来の、消防団が設置されて百二十年なんです。そして自治体消防の六十五年、こういう節目の年を迎えて、そのときに、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律、こういうものを、議員立法ではありますが、つくっていただきました。これからの消防団をさらに充実強化していくという方向性をこの法律で位置づけていただいて、何よりも、やはり人間を、人員を少しでもふやしたい、昨年の春以来、消防団増員が総務省の中の大きな一つの、実は隠れた目標なんです。それをやるために、見直さなければいけないところもあります。

 それは、消防団員が地域居住主義ですから、サラリーマンがふえていく中で、なかなか地域で働く仕事をする方が少なくなっている、こういうことがございます。

 一方で、会社に勤めている方が、勤務先で消防団に入ることもできるんですね。だけれども、その場合、それは昼間の勤務中のことになるかもしれませんが、出動の要請があったときに、やはり企業の御理解がないとなかなか活動しづらいということがございます。

 それから、若年の、若手、女性の消防団員も大分ふえてきましたけれども、やはり若い人たちが入りやすいような仕組み、こういったものも必要だと思います。

 加えて、私は、今、文書で要請をいたしましたが、特に過疎と言われるような地域では、もうそこに残っている人たちで若い人というのは、郵便の方か公務員の方かというふうなのが主になります。ですので、地方公務員の皆さんに、ぜひ消防団への加入促進をしていただけないか、こういうお願いをしてあります。

 それは、例えば、期間を限定して、若い職員が消防団に入って活動してみる。気に入ればそのまま長くやっていただければいいし、何年かしてまた若い人にかわってもいいし、とにかく、地域を守るという意味では公務員も同じ思いがありますから、そういう方たちが消防団に、一緒に活動していただけないかというようなことを要請いたしました。

 それから、日本郵政に対しても協力要請をいたしまして、郵政の職員の皆さんが消防団の活動も、これは業務の可能な範囲でありますけれども、そういったことができないかというようなお願いもし、私は、地方に、現場へ行くときには必ず郵便局の皆さんと懇談することにしていますので、その際にも、直接そこの皆さんにもお願いをしながらやっております。

 ですから、一年かけていろいろな準備をしてきましたので、この春からそういった新しい工夫によって少しでも団員がふえればいいな、このように期待をしているところでございます。

椎名分科員 どうもありがとうございます。

 消防団の増員が総務省の隠れた優先目標だというのは非常に力強いお言葉だなと思っていて、私自身も、野党議員ではございますけれども、微力ながら協力できる限りのことをやってまいりたいというふうに思います。

 本当に、今おっしゃっていただいた今日的意義というところで、引き続き変わらない部分とそれから変わる部分とあるというところについては、非常に私自身も感ずるものがございまして、消防団の皆様方を後押ししていくことが地域代表としての役割、性格を持っている我々政治家の一つの役割ではなかろうかと私自身も思っておりますので、ぜひ協力してまいりたいというふうに思います。

 関連して、少し通告しているところと違いますけれども、ぜひ御検討いただきたいなというふうに思うのが、若干縦割り行政の話になるのかもしれないですけれども、消防団の皆様方が、防犯、警備という概念の仕事も事実上行われているということがあるかと思います。

 これは、総務省系の消防と警察関係の仕事ということで若干違うわけですし、市町村とそれから県というところで違う部分がございますけれども、事実上、やはり地元の若手の方々が消防団の方々として警備、防犯といったことにも従事されていらっしゃるので、こういった役割も改めて追加をしていくことができないかなと思うわけですけれども、御所見をいただければというふうに思います。

新藤国務大臣 これは、消防団も消防組織法の中で位置づけられておりますから、法的な整合性というのを検討しなきゃいけないと思います。

 しかし、趣旨といいますか、精神において、運用ですとか、いろいろな工夫、研究はしてもいいのではないか、このように思います。

椎名分科員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いできればというふうに思います。

 先ほど大臣から御指摘いただきました議員立法のお話、まさに、消防団の強化を進めていく、地域防災力を高めていくための消防団の強化ということが、法文の八条だったか、あったというふうに思います。議員立法ということで、私自身も、そういう重要な法律についてはぜひとも後押しをしたいということで、党の中でも議論をさせていただきましたけれども、こういった中で、災害時の事後的な対応、救助だったり避難誘導だったりというところも重視されてくるのかなというふうには思っています。

 先ほど大臣のおっしゃっていた過疎の部分、それから大規模災害の部分というのは、多分、私の住んでいる都市型というか郊外型の消防団と、過疎それから地方の消防団の果たしている役割というのは若干違う部分もあるのかなというふうには思っておりますけれども、特に、それでも共通する部分について申し上げますと、やはり災害対応、事後的な救助それから避難誘導といったところの重要性かなと思っております。

 こういったところを強調してくると、今後の消防団の装備やそれから訓練等についても、基準その他を見直していき、やり方を変えていく部分も必要になってくるのかなというふうには思っています。

 一例を挙げますと、小型ポンプ操法の訓練なんかで、さすまたというか、いわゆるとび口というか、こういうものが使われていますけれども、やはり破壊消防と申しましょうか、延焼を防止するためにまず隣家を破壊する、そういった概念というのは昨今恐らくそこまで使われていないんだろうというふうに思います。ともすると、そういったものを装備しておくというよりかは、時代のニーズに合った形で、装備それから訓練等についても不断のアップデートをしていった方がいいのではないかというふうに考えておりますけれども、消防庁の参考人の御意見をいただければというふうに思います。

市橋政府参考人 消防団の装備につきましては、東日本大震災の教訓ですとか、あるいは大規模災害への対応、このようなことを考えまして、また、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律も踏まえまして、トランシーバー等の双方向の情報伝達が可能な情報通信機器、そして、安全靴やライフジャケット等の消防団員の安全確保のための装備の充実、これに加えまして、チェーンソーや油圧ジャッキ等の救助活動用の資機材の充実を図ることといたしまして、本年二月七日付で消防団の装備の基準を改定いたしまして、あわせて、地方交付税措置を大幅に拡充させることとしたところでございます。

 また、この消防団の装備の拡充を踏まえまして、現場のリーダーであります消防団の中堅幹部の消防団員に対しまして実践的な救助等の教育訓練の充実を図るため、三月末までに消防学校の教育訓練の基準も見直すこととしているところでございます。

椎名分科員 どうもありがとうございます。

 その変更された新しい基準というのを私も少し拝見させていただきました。こういった新しい基準で、まさに災害へ対応していく、それから安全を確保していく。消防団の皆様方、民間人で、とうとい心に基づいて、災害対応だったり消防活動だったりということに参加をされていらっしゃいますので、やはり彼らの安全を確保していくということは物すごく重要だと思います。

 予算措置等を含めて改定をしていただけているということについては本当に力強く思いますので、引き続き消防団に対する支援をお願いしたいなというふうに思います。

 さらに三点目、安全確保という意味で申し上げますと、東日本大震災のときに、水門の操作等さまざまな形で、避難をする方々を助けに行こうとして、結局、二百五十名以上のとうとい命が、お亡くなりになられているという非常に不幸な事態が起きているわけでございます。

 こういった消防団の皆様方の安全確保と、それから、もし仮に被災をしてしまった場合、それから、不幸にして殉職をされてしまったような場合というところについては、やはりきちんと手当てをしていかなければならない部分だというふうに思っています。

 民間人で、当然ほかに仕事を持たれていて、そして、ほかに仕事をされている部分についての収入を当てにして家族の生活が成り立っているわけですから、善意の発露として消防団の活動をされて、かえってふだんの生活に影響が起きるような形ではやはり問題なわけですね。

 公務員については、当然、もし殉職されれば二階級特進ということがあって、それに基づく恩給等、そういった手厚い手当てがなされているわけです。善意の発露として消防団の活動をされていらっしゃるこういった方々に対して、きちんと、消防の公務員の方々と比しても遜色ない、十分な手当てというものをしていかなければならないだろうと思っていますけれども、参考人の御意見をいただければと思います。

市橋政府参考人 御指摘のように、消防団の団員の安全確保は大変重要でございます。東日本大震災でも、とうとい、貴重な消防団員、多くの方がお亡くなりになりました。

 このために、私どもといたしましては、退避ルールの確立、あるいは単独行動の原則禁止、津波到達予測時刻等に基づく活動可能時間の設定など、こういう行動原則を徹底することが大変重要であるというふうに考えておりまして、こうした行動原則を定めたマニュアルを作成してほしいということで地方公共団体の方に働きかけ、推進しているところでございます。また、それに基づきました安全教育を徹底する必要があるということで、消防団員に対する教育カリキュラムの見直しを検討しているところでございます。

 また、不幸にしてそういう事故が起こった場合の補償の話でございますけれども、これは公務災害補償制度がございまして、これにつきましては、基本的に、補償の種類、支払い額の計算方法は、消防職員、消防団員ともに同一となってございます。

 ただ、消防職員が常勤、それから消防団員が非常勤という性格の違いから、消防職員が、被災日前三カ月の平均給与額を基礎として支払い額を算定するという仕組みになってございますけれども、消防団員の場合には、政令において勤務年数及び階級によりまして補償基礎額というものを定めまして、それを基礎として計算を行っているため、金額につきましては、対象者の平均給与額または補償基礎額により異なるというふうなことにはなります。

 それから、このほかに、生前の功績をたたえるため賞じゅつ金制度というものがございまして、国、県、市町村から同額の支給がなされるものでございますが、これにつきましては、消防職員、消防団員に違いはございません。

椎名分科員 ありがとうございます。

 安全確保に関しては、災害等のタイミングですと消防署の指揮下に入ることになるわけですけれども、そういった中で、消防署と消防団の連携をきちんとやっていかないと、その指揮下に入った消防団の皆様方が安全を確保していくことも難しいということもあろうかと思いますので、そういったところも引き続き御検討していただかなければならない部分かなというふうに思っています。

 あと、公務災害補償の話ですけれども、今おっしゃっていただいたとおり、あくまでも、自分たちがふだん稼いでいるお金ではないところをベースに、法律、条例等で定めたものを基準にということになるので、どうしてもやはり、家族という意味でいうと、自分たちが通常当てにしている収入とは別の、異なる部分でお金が補償されることにはなろうかというふうに思います。

 そういった意味で申し上げますと、翻って安全確保というのが非常に重要になってくると思いますので、どうぞその点、引き続きの御検討をいただければというふうに思います。

 だんだん時間がなくなってきてしまったんですが、地方財政について大臣に伺えればというふうに思います。

 私自身も、新しい政党を立ち上げまして、結いの党という政党で、総務の関係の部会に入らせていただきまして、小さな政党ですので部会長という名前をいただいていますが、そんな大した役割ではないんですけれども、さらには、地方分権に関するプロジェクトチームというか、そういったものの主導をしていくという形になりましたので、引き続き、地方自治、地方分権というところについて大臣にいろいろ問いを立てさせていただきたいなというふうに思っております。

 そんな中で、やはり、地方分権を進めていく過程の中で、地方の財政的な基盤を確保するということが今後最も重要なことだと思いますし、分権をするに当たって、机上の空論のように浮ついて道州制というのではなくて、きちんと財源的な裏づけをもって現実的に地方に権限を移譲していくことを追求していくことが重要かなというふうに私自身は思っています。

 そういった観点で、さまざまな問題意識を持ちながら、この間、大臣に本会議で質疑をさせていただきました。その続きという意味で幾つか伺います。

 地方交付税という制度そのものの話なんですけれども、単年度のフローとしての地方交付税を計算するに当たって、財源不足額を基準に物事を考え始めていくわけだと思いますけれども、やはり、地方交付税のもともとの法律の定めからすると、それでは足りないということで加算をしていることになるんだと思います。

 この加算というシステムをとるのか、それとも法定率を上げるのかというのは、政策選択のあり方、オプションなんだというふうには思っていますが、一応、地方交付税法六条の三によると、制度改正をするか法定率の変更をするかというのが原則であって、附則で加算をするということは余り想定されていないのがもともとの原則だろうというふうに思います。

 地方の財政の健全化を図っていく中で、短期的に見たときに、この地方交付税という制度が、短期的にというのは地方交付税という制度が存続していることを前提としてなんですけれども、やはりこの法定率の引き上げというのは検討していかなければならないことの一つなのではないかというふうに思うんです。大臣の御所見をいただければと思います。

新藤国務大臣 これは、総務省の悲願であります。ですから、財務省に対してはずっとそういう要求を出し続けている、こういうことでありまして、本来の制度にのっとって、この交付税により、特例加算であるとか、そういった追加の支出をすることなく制度として維持できるようにするべきだ、私たちはそう願っているわけであります。一方で、今の現状で、パイが変わらずに、総税収が変わらずに法定率を上げれば、その分、国にしわ寄せがいくだけのことであります。

 だから、大切なのは、国、地方、いずれにしても、景気を回復させて、そして、税制抜本改革の中で必要な税収を得る、国民の負担軽減、また生活に支障の出ないような工夫をしながらですね。

 やはり国家を運営していくのには、税収がきちんと維持できなければ、結局のところ、全てのものはツケ回しになるわけでありますから、我々は、日本の経済の回復とあわせてこのような法定率の引き上げというものを求めていこうと。

 しかし、景気がよくなると不交付団体がふえて、そして特例加算のようなものも出さなくても済むようになるということもあります。ですから、総合的な観点から、国、地方を合わせての財政運営を心がけていきたい、このように考えます。

椎名分科員 ありがとうございます。

 景気が上がって必要な税収を得るというのは、もう本当にそのとおりでして、結局そこに帰着せざるを得ない部分はあろうかというふうに思いますけれども、それは不断の、今後の経済政策等でやっていかなければならないことなんだというふうに思います。

 他方で、現下に見えている財政状況の中で、どこに重きを置き、どこでどうするという調整をすることを考えたときに、総務省の悲願だとおっしゃったので、大臣に言うことではなくて財務大臣に申し上げなければならないことかもしれませんけれども、やはり法定率の引き上げというのは検討していかなければならないことの一つかなというふうには思います。

 時間もなくなってしまったので、この間質問させていただいた臨財債の話について伺わせていただきたいというふうに思います。最後、一言ですけれども。

 この臨時財政対策債、積み上がったストック部分について、この間、本会議で、地方財政計画の策定、地方交付税の算定等を通じて確実に対応するとおっしゃっていただきましたけれども、やはり具体的にどう対応していくのかというところが必要であるとともに、地方が起債をして財政赤字を積み上げていくというこの状況を何とかしていかなければならないんじゃないかなというふうに私自身は思っています。折半ルールと申し上げましょうか、臨時財政対策債の枠組み、発行枠を認めていくという現在の制度そのものを抜本的に今後見直していくことも必要ではなかろうかというふうに思いますけれども、具体的にどうしていくべきか御所見をいただければと思います。

新藤国務大臣 臨財債のような臨時異例の特例債に頼らない財政体質というものをつくらなければいけないわけであります。

 例えば、平成十九年、二十年度は新たな臨財債の発行というのは行われなかったんです。そのときは税収が確保できたんです。もっとも、その前の償還しなきゃいけないものがありましたから出すことは出しましたけれども、でも、新たな臨財債の発行は行われなかったんですね。

 それから、今回も、税収がやや上振れしてきている、そういう中で、景気回復の兆しも見える中で、平成二十六年度の予算では、この臨財債を約六千億円発行抑制することができているんです。

 ですから、景気回復と、不断の財政の、歳出、健全化、こういったものを重ねることによって、現行制度の中においてもこれ以上の債務を積み上げないようにするということをまずやりながら、そして法定率の引き上げによって交付税総額の安定的な確保を実現していきたい、このように思っているわけであります。

椎名分科員 時間も来たので終わりますけれども、やはり、地方の歳出削減というところについて今一言御言及いただきましたけれども、そういったことも含めて財政の健全化に取り組んでいかなければならないなというふうに思っております。

 時間が来ましたのでこれで終わります。引き続きよろしくお願いいたします。

うえの主査代理 これにて椎名毅君の質疑は終了いたしました。

 次に、門博文君。

門分科員 大変お疲れのところお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。自由民主党の門博文でございます。

 私は、先回の総選挙で初めてこの政治の世界に議席を頂戴いたしました。それまではずっと、大学を出まして民間会社で仕事をしておりまして、特に、新藤大臣の御地元は埼玉の川口ですけれども、私は、さいたま市というところにホテルがあったんで、サラリーマンですけれども、そこの仕事をずっとさせていただいておりまして、川口やさいたま市にはもう何度となくお邪魔をさせていただいておりました。

 こうやって、初めて政治の世界に来させていただいたんですけれども、できるだけ、行政とか政治の世界の中にも、民間のいろいろな経営的なノウハウとか感性とか、そういうものを私たちの世代で、ぜひいろいろな形で表現もしていきたいし、活動もしていきたいなというふうに思っております。

 そんなことで、きょうは質問の機会を頂戴いたしましてありがとうございます。総務省に関係した質問、特に地方自治のあり方について少しお話をお伺いさせていただけたらと思います。

 私ごとが続きますけれども、私の父親は、現在和歌山県で県議をさせていただいておりまして、幼いころから父親のその姿を、背中を見てまいったものですから、地域にとって地方自治というのは大変重要なことでありますし、やはり地方自治が地域に根差してこそ、日本の背骨というか根底がしっかりしてくるというふうに思っております。

 これから、特に地方は、高齢化、過疎化、そんなことが大変急速なスピードで進んでいきますので、新しい地方自治体のあり方、それから町のつくり方、そしてまた社会保障のあり方についても、この地方自治体の姿というのが非常に密接に関係するというふうな思いを持っております。

 そこで、質問の方に移らせていただきます。

 地方自治体、地方自治にとって、平成の大合併から数えて、もうそろそろ十年目の節目を迎えようとしております。十年前、先ほど申し上げましたように私は政治の世界におりませんでしたので、当時の記憶を傍観者としてさかのぼりますと、合併に向けておのおのの地域でいろいろな議論がされて、中には住民投票までしてどうするかとか、町の名前をどうするかとかというような議論が全国各地でされたように記憶をしております。

 そういうそれぞれの皆さんの御苦労があった上で、もくろみどおり合併が成立したところ、そしてまた、調整が調わなくて、残念ながら現在に至ってもまだ合併が実施できなかったところ、そしてまた、その中には、もくろみから少しずれたけれども違った形で合併が成功したというところがそれぞれあったかと思います。

 そこで、改めて、この十年を迎えようとしている今のタイミングで、もう一度この平成の大合併についてお尋ねしたいと思います。

 基礎的なことですけれども、もう一度おさらいという意味で、この合併によりまして、全国で幾つの市町村がどれぐらいの数に整理というか統合されていったか、ちょっと数字としてお聞かせいただきたいと思います。

伊藤大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 平成の大合併と言われました合併は、全部で六百四十二件、その後の合併が六件、合わせて六百四十八件の市町村合併が行われました結果、平成十一年当時三千二百三十二団体がございましたけれども、平成二十六年に至りましては、千七百十九団体となったことでございます。そして、平成二十六年、本年の四月五日に、栃木県の栃木市に岩舟町が合併をいたす予定になっておりまして、ことしに入りまして千七百十八団体となる予定となっております。

 以上でございます。

門分科員 ありがとうございました。

 それぞれの地方でのいろいろな折り合いというか御努力があって、三千幾らの地方自治体が千七百幾らという形で整理をされたということであります。

 資料を二枚、地図をお配りさせていただいているんですけれども、まず資料一、これは私の選挙区の地元の和歌山県の地図です。左側が合併の前の市町村の配置が書かれた地図でして、右側が合併後ということで、和歌山県においては、平成の合併によりまして、五十市町村ありましたのが三十市町村になりました。

 これは、非常にいろいろな、思惑どおり合理化が図られたり、効率化が図られたことがありましたけれども、その一方で課題も生まれたのも事実であります。

 さかのぼりますこと平成の二十三年九月に、紀伊半島を襲いました台風十二号、十五号の大水害が発生をいたしました。そのとき、余りの行政面積の広さに、対応が大変だったことがありました。

 ここで、資料二の地図をまた改めてごらんいただきたいと思うんですけれども、これは、今資料一でごらんいただいた和歌山県の中で、特に田辺市というところをクローズアップした地図であります。田辺市というところは、この大水害の被害の中心的な一つでありました。

 合併前は一市二町二村であった、この中辺路町、本宮町、龍神村、大塔村、そして田辺市。これが、合併によって一つの、田辺市という市になりました。ですから、右のこの青い全域が、今、田辺市の行政区になっております。

 そこにもちょっと注釈を入れさせていただきましたけれども、面積でいいますと、実に和歌山県の二二%をこの田辺市が占めるところとなりました。これは、きのう調べましたら、東京都の約半分の面積ということになります。この地域は、紀伊山地のど真ん中で、急峻な山岳地帯がほとんどであって、その地域の中で土石流なり土砂災害が多く発生したわけであります。

 そのときに、当時、合併した後でしたから、市長さんが一人、陣頭指揮をとって、それぞれの対応に奔走されたわけですけれども、このとき、誰言うことなくですけれども、もし、合併前のように、例えば町長さんや村長さんが前の行政区と同じような形でいてくれたら、また違った復旧の仕方、復興の仕方があったんじゃないかというようなお話もあったのも事実であります。

 このようなケースもありましたことによって、合併によって総務省がそもそももくろんだメリットというか、よい点、そして、やってみたんだけれども、この十年間の中で、弊害というか、見えなかった、もしくは想像していた部分もあるかもわかりませんけれども、いろいろな課題とかデメリット、悪い点も浮き彫りにされたこともあったかと思います。

 改めて、もくろみしたとおりのメリット、よかった点について、まずお聞かせいただきたいと思います。

新藤国務大臣 私の地元も、かつて周辺五市で合併しようという構想をずっとやってきて、それが途中から四市になって、合併の協議までしたが、うまくいかなくて、一回破綻をして、それからもう一度やり直して二市で合併した、こういう経緯があります。ですから、合併に対する悲喜こもごものいろいろな事情というのは、私も自分の地元で経験しておりますし、それは、よいところもあれば、すぐに解決しない問題もある、こういうことだと思います。

 総じて言えば、合併によって人口と面積は倍になったんですね。しかし、議員の数は、六万七百六十人が三万一千三百十二人ですから、四八・五%のマイナス。そして、職員の数は、百四十六万人が百十九万人、二十六万人のマイナスになって、一八%カットできた。そして、公共施設の統廃合であるとか、広域的なまちづくりが行われた。そして、規模の拡大によって、政令市ですとか、ランクが上がる、そういうことは出ました。総じて、行財政改革が進んだという意味においての一定の効果はあったもの、このように思います。

 しかし一方で、やはり最大の課題は、住民の声が聞きにくくなっている、届きにくくなっている、それから、周辺部の旧市町村の活力が低下する。また、私もこれは目の前で見ておりますけれども、やはり、それぞれの地域には、歴史や伝統があります、コミュニティーがあります。こういったものが、地名も含めての喪失があるということであります。

 やはり、合併した中で、旧区域同士の競争といいますか競合といいますか、そういったものがある。しかし、これは、いずれにしても、一体感を醸成するような工夫をし、時間とともに、その地域が拡大、発展していくことによってこの効果があらわれてくる、私はこのように考えております。

門分科員 ありがとうございました。

 確かに、今、大臣のお言葉にもありましたように、合併のいろいろな作業を進めているときというのは、本当にそれぞれの地域で悲喜こもごもなことがあって、今、私は田辺の話をしましたけれども、もちろん、よかったこともあったり、その思惑が、ちょっと離れたり。ただ、それでも合併を解消したいという話がまだないのが、今何とかそれが進んでいる証左かなというふうに思います。

 そんな合併という大事業を簡単にはなかなか総括はできないと思いますけれども、端的にお答えいただきまして、まことにありがとうございました。

 そういう分析の中で、これからの地方自治のあり方を新しく総務省の方でも御研究、お考えいただいているというふうに伺っております。これらの平成の合併にかわる新しい方法というか仕組みとして、広域連携の仕組みを御検討されているというふうに聞いておりますけれども、その点、ちょっと具体的に内容をお示しいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

伊藤大臣政務官 ただいま大臣のお地元の話も出ました。私の地元も、四市五町ございまして、三つの合併が進みましたけれども、一つも実になりませんでした。

 今から申し上げることは、そういう意味では、今の財政状況を見ますと非常に重要なことをこれからしようとしております。

 人口減少社会にあっても、全国の市町村が基礎自治体として持続可能な形で行政サービスを提供していくためには、単独の地方公共団体の活性化に加えまして、やはり、近隣市町村との有機的連携によって活性化がなされる、そのことが重要であると同時に、単独であらゆる公共施設を整備して全ての行政サービスを提供するというフルセットの行政の考え方からいよいよ脱却をしていくときが来たんじゃないか、こういうことを今、考えの根本に置いております。

 このような市町村間の新たな広域連携を推進していくために、これから地方自治法を改正させていただきまして、市町村合併によらない新たな広域連携の仕組みとして、連携協約制度を創設してまいりたいと考えております。

 この連携協約という制度は、地方公共団体が地域の実情に応じて自由に内容を協議し、政策面での役割分担を定めるものでございまして、地方公共団体にとって使い勝手のよいものにしてまいりたい、かように考えているところでございます。

 以上でございます。

門分科員 ありがとうございました。

 今、そういう新しいお取り組みを御検討、お考えいただいているということで、私は、平成の合併を受けて次のフェーズに、地方自治をどうしていくかについては、非常に画期的なことであるというふうに思っております。

 特に、お話をお伺いしますと、何となくイメージは私なりにつかめておるところでありますけれども、今までも、地域の連携ということでいいましたら、例えば消防とかごみの焼却とかという形で、具体的に広域で何とか組合みたいなものをつくってやってきた経緯もあったんですけれども、これは、お伺いしているところでいいますと、従来の共同処理制度という方法とはまた一皮というか、ちょっと違った取り組みでお考えいただいているというふうに聞いております。

 そのあたりをちょっと踏み込んで、従来のそういう広域組合との違いをもう少し教えていただけたらと思います。

伊藤大臣政務官 ただいま私が申し上げました連携協約というのは、地方自治法の改正をさせていただきまして、新たな広域の連携の仕組みとして位置づけておるわけでございますが、地方公共団体間で連携して事務を処理するに当たりまして、事務分担ではなくて、基本的な方針及び役割分担を定めるものである。すなわち、全体の、一緒にやってみようと思う団体が政策的な方向性をまず共有していただこう。そして、その実行はそれぞれ、基本的には、法的には自治法上の裏づけによって責任を持って実施することが求められるわけでございますけれども、その方向でいこうと。

 ただし、例えば、何かトラブルが自治体間であった場合なんかの紛争解決の手続につきましてもビルトインされておりまして、連携協約に係るトラブルがあれば、申請によって都道府県や総務省が任命する自治紛争処理委員が間に入ることで解決を図ることとさせていただいております。

 組合や協議会のような別組織をつくらない、より簡素で効率的な相互協力の仕組みであるというふうに考えていただければと思います。

 その点では、これまでの、今委員がおっしゃいました共同処理制度とは異なるものであるというふうにお考えいただければと思います。

門分科員 ありがとうございました。

 非常に画期的な、合理的なシステムというか仕組みを本当にお考えいただいていると思います。

 また、平成の大合併のときは、例えば財源的にも合併特例債とかいう、地方自治体にとってもメリットがあったと思いますけれども、当然、このシステム、仕組みの導入に当たってはさまざまな財源措置もお考えいただけると思いますので、ぜひとも、そういうアクセント、強弱というか、どこにどういう財源を担保して、手だてしていくのかということもあわせて御検討いただけたらと思います。

 繰り返しになりますけれども、広域連携については、年初の安倍総理大臣の施政方針演説でもこのことについて触れられておりました。私は、地方中枢拠点都市構想というふうにお聞きしておりますけれども、今質問させていただいている途中ですけれども、大変評価をしております。

 冒頭申し上げましたように、民間企業で働いておりましたので、やはり経営というのは合理的な部分が必要であったり、無駄をできるだけなくしていくというのが経営のそのものでありますので、そういう観点から見ても大変いい制度になっていくのではないかなというふうな期待も持っております。

 そこで、きょう、この質問をさせていただいて、御答弁いただいて、速記録、議事録ができ上がったときに、私は必ずこれを自分の選挙区に持って帰って、こういうことを今政府は考えてくれているんだというふうに伝えたいと思いますので、ぜひページをたくさん割いていただきたいと思うんですけれども、新藤大臣から、特にこの制度についての思いや取り組みの決意、改めてお聞かせいただけたらと思います。

新藤国務大臣 いわば、平成の大合併は規模のメリットを追求したんですね。面積や人口を拡大させて、その中で、まず公務員や議員の削減を図った。そして、公共施設の統廃合など、そういう行財政改革を進めた。その土台ができたところで、今度は質の改革をしようということであります。

 これは、連携をする意義というものを見出してもらわなければなりません。それには、まず、その地域の牽引役となる町を設定しよう。それは、人口が二十万以上の中核市また政令市であって、昼夜間人口比率が一を超えるというのは、昼間、よその地域から自分たちの町には人を引き寄せることができる、そういう拠点となり得る町が中心となって、それを中心に、周辺の自治体との役割分担をしながら、連携そして強化をしていこうじゃないか、こういうことです。

 ですから、これからはアイデア合戦なんです。同じことをみんなでやっても意味がないと思います。私も、あちらこちら、機会をできるだけつくって市町村を回っておりますけれども、同じような気象条件でも、ある村は農業で頑張った、土壌が同じなんですから、隣の村はどうしてやらないのかなと思うと、そこは観光拠点があるから、そちらの方がいいんだと。それから、ある地区には、今度は空き家を活用して、そこにサテライトオフィスを入れようではないかとか、そういういろいろな、それぞれの町の特性があるわけなんです。でも、一つ一つの、それだけでやろうとするとやはり限界がある。

 ですから、例えば、今度こういう広域の連携をつくっていただいた中で、では、自分たちは人を寄せるための観光ですよ、働く場所はこういう地域でできますよ、それから、例えば、自然エネルギーや再生可能エネルギーを我々はつくることができます、それは、大都市に供給することはできなくたって、少なくとも自分たちの圏域の中ではこれを供給することができる。それによって町の経営ができていくとか、いろいろな工夫をしていただいて、まちづくりの連携をしていただきながら、各自治体が知恵を寄せ合って、そして有機的連携を図っていこう。

 その中で、私は、もうすぐ千七百十九の自治体になると先ほど申しましたけれども、千七百十九の自治体があるならば、千七百十九通りの活性化があるんです。それを持ち寄って活性化をさせていかなくてはならない。そして、安倍総理がおっしゃっておりますように、地方の元気なくして国の元気なし、地域の元気の塊を日本の元気にするんだ。

 私は、総務大臣として、また、地域活性化、そして地方分権担当、たまたま同じ一人の人間がそういう系列の仕事をしていますから、これらを組み合わせて、今までとは違う新しいステージをつくりたい。

 そこには当然、分権があります。それから、規制の緩和もあっていいと思います。何かの効果をもたらすための手段として提案されるならば、我々はそれを特区にしてみたり、それから、単なる規制緩和でもいいですし、広域連携の中の特別な認可でもいいと思います。

 とにかく、いろいろなやり方があると思うんですけれども、まずは、地域の皆さんである程度のスケールをつくって、持続可能な事業を出してください、私たちはそれを、まずはモデルをやってみようということで、地域の元気創造本部というのを、大臣に就任してから一年かけて、いろいろな意見をいただきながら取りまとめをしてきました。そして、もう既に仕事は始まっています。持続可能な、その地域でやっていく仕事です。

 それは、国から補助金を引っ張ってきたから、それでラッキーの世界ではないんです。国が一度お金を出してうまくいくが、そのお金が途絶えてしまうと続けられないでは意味がありません。ですから、最初の立ち上げのきっかけづくりにはするけれども、自分たちでそのお金をうまく回しながら、そして、それは国のお金だけじゃなくて、地域の金融機関のお金も、要するに、民間の金融機関から融資を受けても維持できるような、そういう仕事をつくってくださいということで、既にもう成果が出始めています。

 日本は、このまま放っておけば、過疎化が進み、そして人口減少になるわけです。高齢化が進むんです。でも、それを逆手にとってのアイデアと、そしてそれを生かす技術、ICTです、コンピューターのテクノロジーを使って徹底した工夫をすることによって、私は、新しいまちづくりのモデルができるはずだと。

 それは、総務省だけがやるのではなくて、私たちがまず総務省としてそういう仕事を進めますけれども、あわせて、同じまちづくりをやっているのは、国交省も、農水省も、環境省も、経済産業省も、各省がいろいろな仕事を持っているわけです。ですから、それを一つに集めて、地域の活性化プラットホームという共通の土台をつくって、その中で、どこの町にどの役所が何の仕事をしているのか、それを情報共有することによって、では、そこの町だったら、うちの仕事も加えるともっとよくなるよとか、そういうような横串の連携をさせようじゃないか、こういう仕組みを平成二十六年度に整備したわけであります。

 地域の元気枠という予算の枠、これは各省持ち寄りの枠でありますけれども、そういう枠もつくって、そして、複合的に有機的に総合的なまちづくりができるような、そういういろいろ絡み合わせた組み合わせによって、とにかく、その地域の皆さんに、その地域のやりたいやり方で工夫をして元気になっていただきたい、こういうことを進めていきたいと思っているわけであります。

門分科員 ありがとうございました。

 大臣のお取り組みについての姿勢をお聞かせいただきまして、私たちも、一層力強くこのことを支えていけたらなというふうに思います。

 そろそろ時間もあれですので、最後の質問かと思うんです。

 資料の一の方に戻っていただきますと、和歌山県の地図で、左側は合併前と書いていたんですけれども、今度、合併後のところは、県境がありまして、府県で、大阪府の市町村も少し入った地図を持ってきたんです。

 大阪は今、都構想とかいろいろ、二重行政の解消とかという問題、地方自治について取り組んでいらっしゃいますけれども、それはそれとして、今の御説明いただいていることからいいますと、先ほど大臣は、全国千七百十九の地方自治体、いろいろな組み合わせがあるというふうにお話をいただきました。

 今回、この地図を見ていただくとおり、大阪府の南部というところは、ところによったら、やはり大阪市内へ行くよりは和歌山に来た方が近かったり、堺市に行くよりも和歌山の方が近いというところが随分、和泉山脈というところに背中合わせにあるんです。

 今回の広域の連携については、今までの府県とか県境について、そういうこともちょっと新しい価値観で、県境をまたいで広域連携の考え方をしたらどうかというところも、先ほどの地方自治体の組み合わせという中でお考えをいただいているというふうに聞いておりますけれども、その県境を越えた連携のことは可能なのかどうか、その辺の御検討の内容をお聞かせいただきたいと思います。

新藤国務大臣 これは全く問題ありません。

 もう自由にエリアをつくっていただければいいわけで、ましてや、県をまたいでやるとするならば、市町村の取り組みを県がそれぞれさらにバックアップをしていただけることになると思います。和歌山ですと、山の地域であれば、例えば林業などを使って、これもまちづくりに使えないか、林業を通して定住化を図ることだとか、いろいろな工夫が私はできるというふうに思います。

 ですから、まさに全ての力を結集して、国、県、市、町、村、そういう力を結集した、自分たち独自のまちづくりを進めていただきたい、我々はそれを応援する、こういうことでございます。

門分科員 ありがとうございました。

 来年度実施予定とお伺いしています。モデル事業を先行して始めていこうということですけれども、ぜひ県境を越えたエリアの取り組みということもお取り上げいただけたらと思います。いかがでしょうか。

新藤国務大臣 ぜひ、いい提案をお待ちしております。

門分科員 そうしたら、もう時間が迫っておりますので。

 きょうは、本当にありがとうございました。

 私たち和歌山県は、現在、全県で人口九十八万人、そのうち、先ほど地図でありました和歌山市というところが私の選挙区ですけれども、ここが三十六・七万人、四割近くがそこに固まっています。今度の広域連携の二十万人以上の都市といったら、もう和歌山市だけしかないんです。

 ですから、今回、広域連携ということに合わせて、今まで以上に和歌山市が、従来も県庁所在地、県都であったんですけれども、この制度の導入を見越して、さらに、県のリーダーシップ、県全体の地域のリーダーシップを発揮するというきっかけにさせていただきたいと思います。

 引き続き、いろいろなことで大臣初め総務省の皆さんにもお願いに上がると思いますけれども、どうかよろしく御対応いただきますようにお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

うえの主査代理 これにて門博文君の質疑は終了いたしました。

 次に、稲津久君。

稲津分科員 公明党の稲津久でございます。

 きょうは、新藤大臣、また総務省のそれぞれ所管局長等に御質問させていただきますけれども、公共放送のあり方ということで、NHKの次期経営計画などについて順次伺っていきたいと思っています。

 その前に、籾井NHK会長の一連の発言、そしてその発言の後にさまざまな、撤回あるいは謝罪、また答弁がどうなのかと、いろいろなことがございました。それとあわせて、先般はNHKの技研元主任研究員が逮捕されるという大変な不祥事の中で今日を迎えているわけなんですけれども、私は、率直に、極めて遺憾であると言わざるを得ないと思うんです。

 それで、やはりNHKの経営のあり方というのは、もう御案内のとおり、民放のように、コマーシャルの広告収入とか、そういうもので成り立っているのじゃなくて、受信料で成り立っている。言ってみれば、ある意味、視聴者からの信頼で成り立っているという側面もあると思うんです。したがって、ここのところをきっちり受けとめていかないと大変なことになるだろう。

 それで、これまでも、前国会等でも私も議論させていただきましたけれども、二〇〇四年にNHKに一連の不祥事が頻発しまして、その結果、受信料の不払いというのが目立ってきた。そこから今日に至るまで、これは総務省からのさまざまな御指導もあったと思うんですけれども、とにかくガバナンス強化に努めるんだということで今日まで来まして、NHKの職員、関係者も不断の努力を払って、ようやく今、不払いということも随分改善されてきたというふうには認識しております。

 そこで、まず、これは大臣にお伺いしておきたいと思うんですけれども、私は、そういうことを踏まえていくと、やはり今回のことは決してあってはならないものである、そのように強く思っています。大臣もこのことについてはもう何回か御答弁なさっていますので、それを私も承知はしておりますけれども、しかしながら、改めて、大臣のこの問題についての所見を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 私も、今般の会長の就任会見における個人的発言をめぐって混乱が生じていることはまことに残念だ、このように思っているわけであります。

 しかし、その上で、公共放送としてNHKが放送法にのっとってどういう位置づけになっているのか、そして何を期待されているのか、そのことを見直していく、見詰めていく、そういういい機会にしなければならない、このようにも思っております。

 放送法は、これはNHKだけではありません、民放も含めてです、第一条の目的において、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保し、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること、これが原則であります。

 そして、その放送法の原則を踏まえて、三条において、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と定めております。政府や議会も含めて、これによって規律されているわけであります。

 そして、この放送法の規定を踏まえて、放送機関のトップが行った個別の発言について、政府としてはコメントするべきではない、このように考えております。

 さらに、そのように放送法が自律性を担保した上で、放送番組の編集に当たっては、番組の編集の内容、不偏不党であるとか、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかに、もろもろのことがあるわけであります。

 ですから、このことをきちんと踏まえた上で、では、今度の会長の発言は、それによってNHKの運営やNHKの放送に何かの影響を及ぼしたのかということになります。

 会長は、まず、複数の意見のある事柄について個人的意見を行ったこと、それは直ちに放送法に違反するものではない、こういうことであります。しかし、これは、会長の就任会見として私的見解を述べることは適切ではなかった、このように思っているわけなんです。

 そして、会長は、これまで、そのことを反省し、謝罪し、そして撤回をいたしました。個人的な発言、見解部分については、全て取り消された、取り消しているわけであります。

 この会長の個人的発言に従ってNHKの放送番組が編集されていることではありません。また、会長自身が、そうしたことは一切行わない、自分の個人的見解を放送に反映させることはないということを何度も明言されているわけであります。

 したがって、私とすれば、国会が御心配いただいているのは、放送法の精神が侵されるのではないか、この一点に尽きると思いますから、それについては、会長が深く反省をして、そして、まず、職員と会長が一丸となって、本来の能力を生かして、NHKがあまねく全国によい放送をお届けする、その努力を続けていくこと、そして、仕事をきちんと始めてもらいたい、このように私は思っているわけでございます。

稲津分科員 確かに、会長の個人的な発言というのは撤回ということは、それは十分承知していますし、これまでの経過も理解はしています。

 繰り返しになりますけれども、あの二〇〇四年以来、そのときは発言とかそういう話じゃないですけれども、どうやって公共放送の信頼をきちんとかち得ていくのかということは、やはりNHKとして一番大事にしなければいけないことですので、ぜひ、所管大臣として、今後もしっかりこれは見ていっていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。

 それでは、公共放送のあり方についてということで順次伺ってまいりますけれども、まず、NHKの次期経営計画策定についてということで伺います。これはまだ少し先の話ですけれども、現段階でのということで、質問を通して意見を少し整理させていただきたいと思うんです。

 NHKの現行の経営計画は平成二十六年度が最終年ということで、二十七年度からの経営計画については今後一年間かけて議論をする、このようになっております。

 私は、経営計画策定に当たっては、もちろん、よいことはしっかりそれを継承して、また、反省点についてもしっかり反省していくということは必要かと思っておりますので、その観点に立って質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、NHKが行った現行経営計画についての意見募集を見てみますと、例えば、経営計画案の具体的な内容が示されず項目だけであった、それから二点目として、経営委員会の議論が経営計画決定後に公表された、こういうことも述べられておりまして、視聴者に対しては、果たしてこれで十分な情報開示ができたんだろうか、あるいは、透明性が確保されていたのか、こういう指摘もありました。

 それで、現行の経営計画の最大の焦点というのは、その前に計画された、二〇一二年から受信料の収入一〇%を視聴者に還元するということであったと思います。

 ただ、執行部の方としては、還元策も含む計画案を経営委員会に提示をしていたにもかかわらず、ホームページを見てみますと、意見募集の告知については、例えば、東日本大震災を踏まえた放送機能の強化について、また、受信料の公平負担について、こういったことで七項目ぐらいずっと書いておりまして、一〇%還元については、あなたはどのようにお考えですか、こういう問いかけにとどまっていたわけなんです。

 これは、いろいろな見方はあると思うんですけれども、私は、次期経営計画の策定に当たっては、しっかり視聴者からの意見を聞いて、それを計画に反映できるような仕組みが必要であろう、こう考えますけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 委員が、二年前、二十四年の三月二十二日にもそういったことで御指摘をいただいて、これは貴重な御指摘だと思います。

 その上で、現行のNHKの経営計画は、事前に視聴者からの意見募集を実施した上で、執行部と経営委員会との間で議論を重ねて策定されたということであります。

 一般論でありますが、NHKの経営は、国民・視聴者の負担する受信料によって支えられておりますから、次期経営計画の策定に当たっては、国民・視聴者に対して説明責任をしっかり果たしていただくことが重要であります。

 また、国会からのさまざまな指摘についても耳を傾けて、NHKがみずから自律性を持って、そうした仕組みの中で、よりよい経営計画をつくっていただきたいと私は期待をしております。

稲津分科員 ありがとうございます。ぜひ、その方向で進めていただくことをお願い申し上げたいと思います。

 それでは、次に、経営計画にかかわる経営委員会の議論についてということで質問をさせていただきたいと思います。

 現行の経営計画をめぐっては、経営委員会での議論の大半が受信料の値下げをどうするかということに費やされた、このように承知をしております。本来は、こういうことも大事なんですけれども、もう一方では、NHKの公共放送のあり方ということをしっかり議論すべきであろう、こういうふうに思っております。

 では、この経営計画に将来像がどんなふうに明記されていくのか、具体性を示していくのか、これは難しい問題ですけれども、やらなきゃいけない。

 特に、この後の質問に続けていくんですけれども、インターネットでのテレビ放送の同時配信をどうするのか、これは大変重要な問題だと思います。そして、では、その場合の受信料はどうするのか、ここら辺の議論が若干、深めることができなかったのかな、私はこのようにも考えておりますし、そのような指摘もありました。

 次期経営計画の策定に向けて、経営委員会における議論が、ある意味、もう少し深化するようにしていただきたいと思っていますし、将来にわたる公共放送のあり方をしっかり議論する場となるように注視をしていく必要もあるだろう、こう思っておりますけれども、総務省はどのような御見解か、お伺いしたいと思います。

福岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 経営計画は、NHKが自主的に策定をしているものでありますので、そのことは前提として申し上げますが、申し上げるまでもなく、NHKの経営は、国民・視聴者の負担する受信料によって支えられております。

 したがいまして、NHKが今後どのような方向を目指そうとしているのか、まさに委員がおっしゃいました将来像でございますが、これらにつきまして、やはり国民・視聴者から理解を得る努力を十分に行う必要があるだろう、そういう意味でも、十分に議論が行われることが望ましいというふうに考えてございます。

 また、経営委員会と、それから実際に放送業務に従事しております執行部といいますのは、まさにNHKの経営における車の両輪でございます。したがいまして、次期経営計画の策定を進めるに当たりましては、経営の将来像につきましても、経営委員会と執行部との間で十分な議論がなされた上で策定されることが望ましいというふうに考えております。

稲津分科員 そこで、もう少し経営計画について議論を進めたいと思うんですけれども、今度は、前経営計画との違いについてということで伺いたいと思っています。

 前経営計画、現行計画の前ですね、これは大変際立った特徴があったというふうに私は思っております。

 それまでの経営計画では、効率化する要員の人数とかが例外的に数値目標として設定されたということはありましたが、このときの計画では、多くの項目で、三年間の経営計画中に目指す成果の指標が数値として示されていたりしました。それからもう一つは、説明資料が非常に丁寧に付されておりまして、具体策が非常にわかりやすい、そういう解説もあった、このように承知をしております。

 ただ、現行の計画を見てみますと、説明資料も余りついていないし、それから、公共、信頼、創造・未来、改革・活力、この四つの重点項目の説明についても、具体性に乏しくて、なかなか施策の具体性がつかみにくい、そういうこともあったと思います。

 それで、前回と現行の計画を比較してみますと、不思議なことに、受信料の値下げ以外では、数値目標が対応されていない。前計画で示された数値目標が、今度、次の計画ではどう扱われるのか、こういうような指摘もありました。

 そこで伺いたいことは、現行計画公表時の経営委員長の発言の中に、コスト意識に関して、目標設定と実績の差異分析が行われず、説明責任が果たされていないと感じる、こういう旨の発言があったことを私は記憶しておりますが、次期NHKの経営計画の策定に向けて、数値目標のあり方などをどうするのか、この課題についてどのように考えるか、総務省の考え方をお伺いしたいと思います。

福岡政府参考人 ただいま御指摘がございましたように、現在の経営計画を策定いたしました際には、前計画との対比の中で、目標として数字だけを追って、公共放送としての社会的使命を忘れることがあってはならないという考え方から、数値を直接的な目標とするのではなく、基本方針、あるいは今御指摘ございました四つの重点目標という大きな価値観を目標に設定したものである、これは、当時、NHKの方でそういったお答えがあったというふうに聞いてございます。

 それで、実際にNHKが今後経営計画を策定していくに当たりましては、これは当然、本則でございますが、NHKの社会的使命、特に十五条で書いてございます、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、よい放送番組、この社会的使命を果たしていくためにはどういう目標設定が必要なのかということは当然議論がなされなければいけないものだろうというふうに思っております。

 したがいまして、その中で、数値目標などの具体的目標のあり方につきまして議論が十分深められる、そういうことが必要であろうというふうに考えております。

稲津分科員 結局、経営計画をつくるというときには、いろいろな考え方があって、そのときの大きなコンセプトに基づいてつくっていくのは当然だと思うんですね。

 今、十五条のお話がありましたが、社会的使命を果たすんだということ、そこが一番大事な点だと思うんですけれども、その上で、ぜひ、次の経営計画策定のときに、そうした具体的な指標みたいなものはある一定程度必要だと私は思っているんです。そういったことも総務省としても少し踏まえていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 次は、方向性をちょっと変えまして、経営計画から離れて、離れてというか、これもそれに関連するんですけれども、NHKの放送センター、それから地域放送会館の老朽化対策についてということで伺っていきたいと思っています。もちろん、これはNHKに直接予算関連で伺えばいいんですけれども、それはまた時を新たにしたいと思っています。

 今回のNHKの来年度の予算の中では、地域の放送会館の整備ということで、五十・六億円を計上しております。それから、渋谷の放送センター、二十六年度の予算、建てかえのために八十億円の積み立て、報道によれば三千四百億ぐらいかかるということで、そこをずっと積み立てて、二〇一四年度末で九百五十億円が積み立てられる、こういうふうに示しております。

 実は、私も、渋谷の放送センターに以前視察に行きまして、この狭隘で老朽化した施設で、果たしていろいろな災害有事のときに対応できるのかなという不安を感じました。それから、地方の放送会館についても、私の北海道の札幌もそうなんですけれども、建ってから随分年数がたっておりまして、こうしたことを考えていくと、やはりここはしっかり計画を立てて、順次必要なものは建てかえるべきということを思っております。

 それで、今回、いろいろ調べてみますと、オンデマンドの事業が初めて黒字化が見込まれるということで、NHKの予算全体で三年ぶりの黒字予算。ここには、NHKの朝ドラの「あまちゃん」の効果も相当あったみたいで、このことが黒字化、予算編成に寄与するという話もありました。

 それはともかくとしまして、NHKの来年度の予算は別途総務委員会でも審議されることになりますので、詳しくは私は聞きませんけれども、きょうは、総務省に対して、考え方のみお伺いしておきたいと思うんです。

 東日本の大震災の発災を受けて、公共放送のセンターとか地域放送会館の耐震強化は、今後起きるであろう首都直下型あるいは東海・東南海・南海、各地の起こるであろう災害を考えるときに、喫緊の課題であると私は強く思っております。

 総務省としてこの点についての問題意識をどう持っているのか、この点についてお示しをいただきたいと思います。

福岡政府参考人 渋谷の放送センター等の御指摘を頂戴いたしました。

 渋谷の放送センターは、第一期工事が完成してから、その部分につきましては四十八年たっているというふうに伺っております。また、その他の一部の地域放送会館につきましても、同様に五十年が経過しているところが幾つかあるというふうに聞いてございます。

 したがいまして、総務省も、NHKもそうでございますが、災害時における公共放送としての社会的使命を果たしていくためには、今御指摘ございました地震等の大規模災害に対応した設備の整備を図っていくことは、まことに重要なことだというふうに考えてございます。

 現実に、地域放送会館につきましては、NHKの方で年に一、二カ所のペースで、老朽化が進んでいるところから対策、整備を進めていく予定だというふうに聞いてございます。

 また、渋谷の放送センターにつきましても、これは今委員からるるお話がございましたように、今回の二十六年度の予算にあわせて、NHKとして、想定ではございますが、二〇二五年に新たな放送センターを運用開始したい、三千四百億円等を発表してございます。

 そういうことで、総務省といたしましても、二十六年度のNHK予算に大臣意見を付しておりますが、その中で、この新放送センターの整備につきまして、今後、整備計画の具体的内容を逐次かつ速やかに明らかにすることといった配意をすることを求めているところでございます。

稲津分科員 ありがとうございました。

 次は、先ほど少し触れました、インターネットを通じた番組の提供についてということでお伺いをさせていただきたいと思っております。特に、受信料の制度について今後どうしていったらいいのかという考え方を少し整理させていただきたいと思っているんです。

 NHKがインターネットを使って情報発信していく場合に受信料を財源としていいのかという議論がいつもつきまとっているわけなんです。民放は、CM、コマーシャルの収入をベースとしてインターネットの活用も行っているだけに、NHKばかり常に収入補填される仕組みでいいのかという反論も出てくると、行き着くところは、民業圧迫じゃないかという声が出てきても不思議ではない。

 これまで、受信料制度の専門調査会の報告書を見てみますと、免除、割引制度等が検討の中心で、受信料そのものの検討には立ち入っていないように見受けられるというのが、実は私なりの見方なんです。

 通信と放送の融合時代をいよいよ迎えてまいりました。

 そこで、いろいろ調べてみますと、もう御案内かと思いますが、ヨーロッパでは、ここ数年、受信料制度は大きな変革期を迎えてまいりました。放送用の受信機の所有者に受信料それから受信許可料を課す伝統的な受信料制度から、放送用受信機の有無にかかわらず、公共放送等を維持するための放送負担金を課す、こういう仕組みに変わってきているということがあります。

 例えば、ドイツでは、二〇一〇年十二月に、各州が第十五次放送改正州間協定に調印をしまして、テレビ、ラジオなどの受信機の所有にかかわらず、全ての世帯が同額の放送負担金を支払う、こういう制度に移行しました。一三年一月の発効というふうになるんですが、スイスでも同じような制度がスタートする見込みだ、こんなことも聞いております。

 私は、これはどちらがいいかとか、ヨーロッパと同じ方法をとるべきだとか、そういうことは自分なりにも考え方がまだ整理できていないんですけれども、ただ、いずれにしても、このような各国の動きの中で、我が国の公共放送におけるインターネットを通じた番組提供、それから受信料のあり方、これをどうしたらいいのか、どう見直していくのかということは非常に大事な課題だと思っておりまして、この点についても所見をお伺いしておきたいと思います。

福岡政府参考人 お答えをいたします。

 現状におきましては、NHKによりますインターネットを通じた番組の提供につきましては、必須業務ではなくして、行うことができる業務、任意業務として位置づけをしてございます。

 そして、今御指摘ございましたように、受信料との関係がございますので、今行っておりますのは、受信料とは別に料金を徴収してやっていくNHKオンデマンドというサービス、あるいは、受信料財源を大きく毀損しない範囲で無料で、小規模な形で実施するNHKオンラインという形で行われているところでございます。

 他方、これも御指摘がございましたように、一部外国の公共放送におきましては、インターネットを通じた番組提供を公共放送の基本的な任務としても位置づけた上で、御指摘のドイツの例、私も承知してございますし、また、イギリスにおきましても、テレビ以外の受信機によってインターネットを通じて番組を視聴する者につきましても受信料の支払いを義務づけるといったような制度も導入されているというふうに承知をしてございます。

 今後、こういった形を一つの想定といたしまして、NHKが、今の現状のような形ではなくして、本格的に大規模にインターネットを通じた番組提供の実施を行うということになりますれば、当然、受信料制度のあり方に大きな影響を与えることとなる、このことは十分認識をしてございます。

 したがいまして、この点につきましては、さまざまな時代の流れや視聴者のニーズなどを踏まえつつでございますが、やはりある程度時間をかけて、国民の幅広いコンセンサスを得つつ、議論を行っていくべき事項であるということは認識をしているところでございます。

稲津分科員 この受信料制度、インターネットを通じた場合はどうするのかという議論はこれからも引き続きいろいろな場面でさせていただきたいと思っていますし、また、質疑の中でさまざまな点を一緒に明らかにしていきたいというふうに考えております。

 それで、インターネットを通じた提供についてということでもう一つお伺いしておきたいんですけれども、それでは、新たな時代の公共放送はどうあるべきかということなんです。

 デジタル化に移行しまして、では、これから公共放送に何が求められているのかということが一つあると思います。

 NHKは、放送法にうたわれているとおり、放送技術を先導することが求められているというふうに私は思うんですけれども、この放送技術という言葉を、狭い意味で、電波を使って番組を届ける、そういうことに限らず、インターネットを使ったそういった先進的な活用も含めて、広い意味で、新たに放送局としてできるサービス、こう捉えていきますと、やはり大変重要な役割になっていくんだろう、このように言う専門家もいらっしゃいます。

 民間ではなかなかリスクが高くて新しいサービスに踏み切れないものを、公共放送だからこそ担える役割があるんじゃないか、こういう視点も大切じゃないかなと思っています。

 いろいろ申し上げましたけれども、新しい時代の公共放送はどうあるべきか、総務省としても柔軟な発想でぜひ考えていただきたいな、こう思っておりまして、この新たな時代の公共放送のあり方についてどのような所見をお持ちなのか、これはぜひ大臣にお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 今、非常に重要な御指摘をいただいているんだと思います。

 NHKによるインターネットを通じた番組提供は、放送した番組の配信、これはオンデマンド、有料でありますけれども、平成二十年の十二月から実施して、二十六年度予算で初の単年度黒字を見込んでいるということです。

 先ほど委員も御指摘がありましたように、いろいろ、「あまちゃん」ですとか、貢献したものがあると言われておりますけれども、いずれにしても、利用が上がったということでありまして、非常に喜ばしいことだ、このように思います。

 そして、あわせて、放送と同時の配信を国際放送等について限定的に実施するなど、新たな国民・視聴者のニーズも踏まえて順次実施をしてきた、このようになっております。

 インターネットの普及、利用は、時代の大きな潮流であり、今後、NHKが通信と放送の連携サービスを初めとするインターネット活用の先進的な取り組みを着実に実施して、公共放送としての先導的な役割を果たしていくことを私どもも期待をしております。

 そして、NHKのインターネットを通じた番組提供をより柔軟に行えるようにするために、放送法の改正案を準備させていただいております。

稲津分科員 時間になりましたので、終わります。

うえの主査代理 これにて稲津久君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋みほ君。

高橋(み)分科員 日本維新の会の高橋みほでございます。きょうはどうぞよろしくお願いいたします。

 私たち日本維新の会は、地域が元気にならなければ日本は元気にならない、そんな思いで日々活動いたしております。そして、そこで大事なのは民間の活力であって、行政はそれをサポートすることに全力を尽くすべきだ、そのようにも考えております。

 私ごとで恐縮ではございますけれども、地元の札幌で、毎月、高橋みほ地域活性化塾というものを開催しておりまして、二月で六回を数えました。三回目までは、北大で長らく産学官の実践の研究をされていた特任教授を講師としてお迎えしまして、その後も、地域で活躍している方をお迎えし、地域を活性化するためにはどうしたらよいかということを日々話し合っております。

 そこで、大きな問題点としましては、アイデアはあるけれども、それを生産者から流通までうまくつなげていけない、また、アイデアはあるけれども、そのアイデアに対してお金を貸してくれないとか、さらに、六次産業化とはいうけれども、農家の人が、製品をつくったり、それを販売することまで求められても、実際には難しいというようなこともよく言われております。

 北海道は、豊かな土地があり、資源も豊かであるにもかかわらず、今までは、どちらかというと、国からお金が降ってくる、それを待っているとも言われておりました。おいしい農産物がとれるのに、それをそのまま本州に出荷してしまって、加工し販売する本州の会社にお金が落ちてしまう、そのような残念な結果にもよくなっておりました。

 これからの北海道というものは、やはり自分たち自身がメーンのプレーヤーとして産業に携わっていきたい、そんなふうにいつも話し合っております。

 そこで、調べましたところ、総務省さんでは、地域の元気創造プランというものに取り組んでいらっしゃる、そのようにお伺いしました。これは、地域で人、物、金をどう動かしていくかというところに着目しているプランだと伺っております。

 この地域の元気創造プランというのは、地域経済イノベーションサイクルのプロジェクト1と、民間活力の土台となる地域活性化インフラプロジェクトのプロジェクト2に分かれているそうです。

 このプロジェクト1では、地域経済イノベーションのために、全国展開の先行事例として、地域金融機関から融資を受けて事業化に取り組む民間事業者が事業化段階で必要となる初期投資費用等について、地方公共団体が助成する経費に対し、総務省が交付金として、一事業当たり五千万円を上限として交付するそうです。

 この地域経済循環創造事業交付金の交付決定は六十七事業あったそうで、ブロック別に見ますと、例えば、東海ブロックは五事業なのに北海道・東北ブロックは十四事業と、かなり交付決定がされているのがわかりました。

 どのような事業が採択されているかというのを拝見しましたところ、私が加入しております中小企業家同友会の会員である江別製粉株式会社さんがハルユタカという江別の小麦を販売するための専用の貯蔵施設の整備事業が採択されているなど、身近で、将来性がありそうな事業が多く見られました。

 ただ、これはいつも言われていることだと思うんですけれども、事業に対する交付というものは、未知の事業にお金を投資するため、ばくち的な要素が高かったり、必要性がないような事業にお金を出したりとか、無駄な税金投入といった可能性もなきにしもあらずではないかというふうに思っております。

 そこで、どのような事業からこれら事業を選定し、税金の無駄遣いと言われないような仕組みをとっているのか、これで本当に地域活性化になるのであろうか、新藤総務大臣にお伺いしたい、そう思っております。

    〔うえの主査代理退席、主査着席〕

新藤国務大臣 私たちは、アベノミクスによって、停滞、長期混乱していた日本経済を立て直して、そしてデフレから脱却をし、持続可能な安定成長軌道に乗せよう、それにはまずは景気回復だと。

 そのアベノミクスの所期の効果は、少しずつですが、出てきております。しかし、実際の成長の実感というものを全国津々浦々にお届けしなければ国民全体の満足を得ることはできない、しかも、これからマクロ経済の数値のみが向上しても、国民生活や地域のそれぞれの活性化がなされなければ実体経済として回復していかない、こういう思いがあります。

 その中で、私は、地域を活性化する、きょうは何度も申し上げておりますけれども、全国の自治体、市町村で千七百十八です。そのうちの七割が五万人以下なんですね。残りの三割の地域に何と八割の人口が集中している。

 ですから、過疎化が進み、地域の活力が低下している一方で、集中している都市部には都市問題が起きている。そのやり方は、一律でくくって、都市部ですとか地方ですとか、そういったような政策ではもう語れない。したがって、千七百十八の自治体があるならば、千七百十八通りの活性化策を考えなければいけない。

 そのときに、まずは、モデルとなるような先行プランをつくって実施してみよう、こういうことで、総務省の方に私が参りまして、地域の元気創造プラン、そのままの名前なんですけれども、地域の元気創造会議というのをつくって、そしてプランをつくってきたんです。

 今御指摘いただきましたように、これは、全国で有意な事業、六十七事業を先行モデルとして融資いたしました。地域的なものとか、そういったものよりは、事業の中身を見て認定したということであります。

 まず第一に、この新しい取り組みは、よく産学官の連携といいますけれども、その産学官に金融を入れる、そして、地域の資源を生かす、プラス地域資金を活用する産学金官ラウンドテーブルというものを設けたんです。その中で、自分たちの地域でどんな事業が成り立つのか、そういったものを御提案いただきました。

 最大の採択案件は、我々が交付するお金と同額程度を民間の金融機関から融資を受けられるかどうか、これをバロメーターにいたしました。結果として、六十七事業で二十一億円の交付金を出しておりますけれども、その事業に対して、地域金融機関からの融資が二十三億円ございます。

 我々は、立ち上げの最初の一回のお金を出すだけですけれども、地域金融機関は、融資したお金は回収しなくてはなりません。ですから、金融機関が融資をしても回収できる見込みのある事業、これがバロメーターだったんです。

 結果的には、六十七事業で二十一億円交付しましたが、この六十七事業は、年間で約二億から三億円の税収、税を払います。それから、金融機関に借りたお金を返していく。それを前提にして、持続可能な事業を採択したということですね。

 そうすると、年間で二、三億の税金を払っていただけるということは、十年間で私たちの投下した国の交付金は回収する、それはまた次のお金にもちろん回していく、事業的にはそういうふうな考えを持つわけであります。

 そういうふうにして、今御指摘いただきましたように、お金を出しました、補助金をとることがもう至上命題化して、お金が入ってくればラッキー、でもお金が切れたら仕事が終わりでは意味がないということで、もちろん、意味がないというのはちょっとおかしいかもしれませんね、それは必然性があるんですけれども、我々のものは、サイクルとして事業を成り立たせようと。

 ちなみに、北海道においては、芦別チップの製造事業、これは国から三千三百万の交付をしておりますけれども、融資が同じく三千万出ています。それから、エゾシカ製品オリジナルブランド化、これは斜里町ですね、ここは四千二十八万交付していますけれども、融資が一千万。そして、今触れていただきました江別市、麦の里えべつ、これは四千五百万の交付をしておりますが、同じく四千五百万の融資を受けている。

 こういうことで、投資効果はとりあえず倍、それから、これに対して雇用のものが出てきます。そういった地域経済の刺激策になっているのではないかということであります。

 それから、もう一個もやりましょうか、分散型エネルギーインフラというのは、今度、電力の自由化によって、七・五兆円の新しい市場ができるんです。それを市町村が自分たちで、地域で調達できる、つくれるエネルギーというものをプロジェクト化して、そのエネルギー事業で地域を回していけないか、こういうことをやってみようと。

 今現在は、それをどこでできるのか、その計画をつくっていただいている。北海道においても、三カ所で予備調査が実施中であります。

 全国それぞれの魅力があります。特に、議員の地元の北海道は、可能性の宝庫ですね。ですから、そういったものを生かして、それぞれの地域で持続可能な事業を出していただければ、それを我々は応援をする、こういう仕組みになっているわけでございます。

高橋(み)分科員 ありがとうございました。お金の件では、回収の見込みのある事業ということを最大の選択肢というか、そういうふうにしているということを聞いて、安心いたしました。

 そして、今、大臣に言っていただいたように、北海道というのは、何といっても、やはりこの事業にはぴったりで、可能性の宝庫でありますので、このシステムを利用して北海道がもっともっと持続可能な経済をつくれるように本当に頑張っていきたいと思っておりますので、ぜひ、政府としましても、北海道の認定というところでいろいろ考えていっていただければと思っております。

 先ほど加えて言っていただきましたエネルギーの件に関しましても、北海道は、やはり北海道電力さんが一人で頑張っていらっしゃいまして、今度、電気料金を再度値上げするというようなことも検討しているということもありますので、いろいろなところが電力などをいろいろつくっていくということは、本当にこれからの北海道にとっても日本にとってもいいことだと思いますので、ぜひ、その後押しをしていただければと思っております。

 次に行きまして、消防ヘリについてお尋ねしたいと思います。

 近年、防災にはヘリが必要だということはよく言われているんですけれども、平成二十五年十月一日現在、全国で消防ヘリは七十五機配備されていると伺っております。

 でも、日本じゅうを数で見ますと、私の地元である北海道は三機しかないんですね。札幌市が二機、北海道が一機。面積的に考えると、北海道にはもう少しヘリがあった方が北海道じゅうあまねくヘリの恩恵を受けることができるんじゃないかと思っております。

 今までの配備としては北海道はちょっと少ないと考えますけれども、その点、いかがでしょうか。

市橋政府参考人 お答えいたします。

 大規模災害の発生時におきまして、消防防災ヘリコプターは、情報収集、救助、救急、消火等の重要な任務を果たし、極めて重要な消防力であるというふうに認識しております。

 北海道におきましては、昭和五十五年から配備が進められまして、広大な地域を管轄するということで、北海道の防災航空隊に一機、そして札幌市の消防局に二機の合計三機体制を確保し、道内の安全、安心の確保に大きく寄与していただいているところでございます。

 また、道外で発生した大規模災害におきましても緊急消防援助隊航空隊として出動し、東日本大震災におきましては、岩手県、宮城県を中心に、延べ五十六日間にわたり活動していただいたところでございます。

 いずれにいたしましても、ヘリの配備につきましては、北海道内をカバーするという観点と全国的なカバーをするという観点の両面から考えていく必要があるんであろうというふうに考えております。

 ただ、ヘリの配備につきましては、運航体制、人員、財源の確保など、さまざまな課題もあります。いずれにいたしましても、地元自治体の意見を聞きながら、よく相談していきたいというふうに考えております。

高橋(み)分科員 ありがとうございます。

 現在、首都直下の地震があるかもしれないとか、東南海地震が起こる可能性もあると言われているんですけれども、現在北海道に配備されている飛行機、最大限飛ぶ距離というのが、東京や関西までは行けないんじゃないかというふうに言われております。もし本当に大地震が起こったときは、北海道からすぐに救助できるようなシステムというのもやはり必要じゃないかと思いますので、その点、ちょっと御検討いただければと思っております。

 ヘリコプターといいますと、地震があったときに、ヘリコプターで上から被害の状況を撮影して送る、今実際どうなっているかというのはとても大事な点だと思っております。

 今のシステムですと、ヘリテレというものが導入されているというふうに伺っております。これは、ヘリコプターで撮影したものを地上アンテナ設備に飛ばして、それを通信衛星に再度飛ばし、防災関係機関に再度、またもう一回飛ばすというかなり面倒くさい方法で現在は防災機関の人たちが見るというふうに伺っております。

 そのようなことをしますと、地上アンテナシステムが地震や津波で壊れてしまった場合機能しないという困った状況になりますので、現在では、ヘリサットと呼ばれる、通信機材を積んだヘリコプターの導入というのも検討されていると伺っております。

 これはすごくいいなと私は思っているんですけれども、現在、導入を進めているのが、東京、京都、埼玉、宮城及び高知県の五機だということを伺っております。

 場所的に考えますと、何といっても九州とか北海道にそのヘリサットを一つ積むということは、広域の災害に対処する場合にはとても必要なことだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

市橋政府参考人 ヘリサットにつきましては、これはヘリコプターより直接通信衛星に映像伝送を行うヘリコプターテレビ伝送システムの一つでございます。御指摘のように、地上のアンテナ設備を設ける必要がないということから、地上のアンテナ設備が破壊されるような災害時におきましても、日本国内のあらゆる場所でリアルタイムの映像を発信できるということで、災害に極めて有効な通信手段というふうに考えております。

 この技術につきましては、独立行政法人情報通信研究機構の研究成果をもとに、消防庁で実用化を目指したものでございまして、平成十七年度より研究開発を進めてきたものでございまして、世界初の試みということで、現在、消防庁所有のヘリコプター五機に対して、平成二十四年度末に一機整備いたしまして、さらに今年度末、二十五年度末までに四機を整備するというふうに考えているところでございます。

 それで、今後のヘリサットの整備でございますけれども、まず、初めてのシステムでございますので、消防庁の所有するヘリ五機全てに整備を終えて運用を本格化させようという今現段階でございます。災害時や訓練時の運用状況を見ながら、配備先の航空隊の意見も聞きながら、今後の整備方針というものを十分検討していきたいというふうに考えております。

高橋(み)分科員 ありがとうございます。

 五機の配備が終わりましたら、北海道とか九州など、やはり場所的にいろいろなところに配備するということが大事だと思いますので、ぜひ御検討いただければと思っております。

 次に、消防車両等の無償使用制度についてお尋ねしたいと思います。

 現在、通常の消防自動車に加えまして、多くの特殊車両があります。例えば、研磨剤を混入した高圧水流であらゆる対象物を迅速に切断できる設備を装備するウオーターカッター車とか、本当にいろいろなもの、新しい消防車両等がつくられております。これらは、通常の火災などでは必要ではないんですけれども、大規模災害や津波、事故などが起こったときに力を発揮しますので、国が購入し、それを地方公共団体に無償で使用してもらうということになると伺っております。

 ただ、この車、購入するのは国ですけれども、維持管理費は、無償使用している市町村の費用となるそうです。

 車を維持するというのは、かなりお金がかかる問題だと思っております。ふだん使用しないものを、買うのは国だけれども、それを維持するのは地方公共団体だとすると、市町村としては、ちょっと押しつけられた感もあるのではないかと考えます。持ち主が普通は費用を負担するのが常識だと考えますと、これも国が負担すべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

市橋政府参考人 無償使用制度でございますけれども、緊急消防援助隊が使用する車両、資機材のうち、NBCテロ災害等に対応するための特殊な車両、資機材や、消防庁ヘリや指揮支援車等大規模災害時において国においても直接使用する車両、資機材、そして長期活動を後方支援するための車両など、緊急消防援助隊としての使用が想定され、通常使用することが想定されないような車両、資機材、これらにつきましては、国の責任を果たすということから、消防庁みずからが整備し、緊急消防援助隊が所属する地方公共団体に無償で使用していただいているところでございます。

 これらの無償使用の車両、資機材の維持管理経費につきましては配備先市町村の負担ということとしておりまして、それを前提にいたしまして、全国に要望照会を行った上で配備をしているというところでございますけれども、配備先の負担を軽減するということから、来年度から地方交付税措置をすることを考えているところでございます。

 この無償使用車両の大きさ、装備はさまざまでございますけれども、地方公共団体からの聞き取りによりますと、大体、一車両当たりの平均的な法定点検費用等は年間二十四万程度であるというふうに聞いておりまして、それをもとに、所要額、これは人口十万人の標準団体に戻しますと六万円というふうな計算になりますけれども、これを来年度から地方交付税で措置していきたいというふうに考えております。

高橋(み)分科員 ということは、一台につき二十四万円ぐらいを、全額出るぐらいに補助するということで伺ったということでよろしいでしょうか。

市橋政府参考人 あくまでも普通交付税の世界でございますので、二十四万円が現在三百八十台ほどあるということで、総体の需要額を出しまして、それを各団体に割り振ったというふうな形でございますので、実額ということではないんですけれども、我々とすれば、押しつけということではなくて、今までも自分で負担していただいたというふうな形の中で手を挙げていただいたわけなんですけれども、それに対しての維持管理経費ということで少しでも貢献できたら、財源の軽減に寄与できたらということで、こういう措置をとらせていただくところでございます。

高橋(み)分科員 押しつけではないと何度も何度も言われておりましたけれども、もちろん、いろいろな都市、そういう本当に大事な機械をいただくというのはありがたいことですし、必要性があったときに使えるとはわかっておりますけれども、やはり地方の財政というのもなかなか厳しいときではありますので、その点をちょっと酌んでいただければと思っております。

 次に、除雪費についてお伺いしたいと思っております。

 ことしは、東京でも何度か雪が降りまして、皆さんが大変困った状況になりました。ふだんは雪が降らない山梨県でも、雪が本当にたくさん降って大変なことになりました。

 北海道の人間から見ますと、本当に大変だな、大丈夫かなと思うとともに、私たちがふだん雪に対して大変だと思っている思いを、普通は雪が降らない地域の人もちょっとはわかってもらえるのかなというふうに考えてしまうときもございます。それほど、雪が降っているところに住んでいる人間というものは、冬はすごく大変な思いをして除排雪を行っております。

 私の地元でございます札幌というのは、実は、除排雪が、一〇〇%とも言わないし、五〇%とも言わないし、かなり低レベルなんじゃないかなというふうに言われていることもあります。

 今、車が通りますと、二車線が一車線になってしまったり、一車線道路ですれ違うことができなくなったりという道がすごく多くなってしまいまして、経済活動にとってもかなり負担になってしまっているという現実がございます。

 雪をきちんと除排雪しないということから、普通に歩いている御高齢の方たちも、転んでしまって手をけがしてしまったりというような状況もあって、きちんと除排雪をしないことが日常生活にかなりのダメージというものを与えております。

 そこで、市道に関する予算などについてお伺いしたいと思っております。

 札幌市は、積雪度が三級地から四級地に見直されたんですけれども、普通交付税が、除排雪費に係る過去五年の平均所要一般財源額に対しては七五%にとどまっています。もちろん、これは特別交付税でカバーされているんですけれども、たとえそれが一〇〇%カバーされたとしても、札幌市民は、除排雪が不十分である、もう少しお金をかけてくれないかなと、ふだんいつも思っております。

 それを考えますと、普通交付税で、市民がある程度、夏場と同じとまでは言わないんですけれども、それほど不都合を感じない程度の生活を送れるようなぐらい、きちんと除排雪ができるだけの措置をすべきだと感じているんですが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 これは、実際にお住まいの方々がそのように思っていらっしゃる、それに対して札幌市がどのような措置をとっているか、こういうことだと思います。

 私どもとすれば、これは、ルールに基づいて、財政需要の算定を行うときに、まずは普通交付税で見る、それを超えたものについては特別交付税で手当てをしている、こういう仕組みであります。

 除排雪経費に係る標準的な所要額は、おおむね三年ごとに見直しをさせていただいております。今般、平成元年から平成二十年の積雪データをもとに、二十四年度に新たな積雪データや除排雪経費の状況を反映させた。したがって、札幌が、今までの積雪度三から、さらに多い四になった、手厚くなった、こういうことであります。

 この除排雪に係る地方交付税措置につきましては、そういった積雪や除排雪経費の状況を踏まえた上で、それぞれ御相談いただきながら、適切に対処してまいりたい、このように考えております。

高橋(み)分科員 ありがとうございます。

 今、新藤大臣が、ルールに基づいてきちんと決めているとおっしゃっておりました。きっと、それはそうだと思っております。ただ、そうだといっても、やはり札幌市民、北海道民からすると、もう少し除排雪にお金を入れてほしいなと思うのが、本当に心からの願いだと思います。

 先ほども、地域が活性化するためにはどうしたらいいのかというようなお話があったと思うんですけれども、やはり、冬に雪があって車ものろのろとしか走れない状況というのは、経済を循環させて活性化させていくという点から考えますと、かなりハンディでございます。そういう点をぜひこれからも考えていっていただきたいと思いますので、その点、よろしくお願いいたします。

 質問通告からちょっと外れてしまうかもしれないんですけれども、今、除排雪の費用というものはきちんとルールによって決められているというお話でしたが、それを考えますと、総務省さんはICT街づくり推進事業というのをやっていると伺っております。特に、北海道の北見市では、地域実証プロジェクトとしまして、北見市G空間情報とICTの連携活用事業を行うそうです。

 これは、昨年の暴風雪の被害を受けて、暴風雪の可能性や吹きだまりの危険性などをきちんと一目でわかるようなシステムにするということをやるそうです。ただ、リアルタイムの状況ではないそうなので、できたら、これをリアルタイムでできるような予算をつけたらどうかというふうに考えております。

 さらにそのようなシステムが組めるようになったらいいなというふうに考えているんですけれども、除排雪予算の増額が難しいということですので、こういうところにお金をつけるということは可能かどうか、ちょっとお伺いできればと思っております。

武井政府参考人 ただいま御指摘いただきましたICT街づくり推進事業の中で、御指摘のような映像伝送のような事業、今現在はそのようなものは想定されておりませんが、今後は、そうした実態も踏まえて、どんなことができるのか検討させていただければと思っております。

高橋(み)分科員 ありがとうございます。

 本当に、除排雪というものは北海道にとりまして大切なものですので、除排雪をするだけではなく、新しい技術を導入したシステムを開発していくということも大事だと思っております。それができれば、北海道以外の世界じゅうの雪が降る地域にいろいろな技術を売っていくということも可能だと思っておりますので、ぜひ、その点、総務省さんとしても応援していただければと思っております。

 済みません、四番目も質問通告しておりましたが、ちょっと時間がないようなので、ここで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

上杉主査 これにて高橋みほ君の質疑は終了いたしました。

 次に、簗和生君。

簗分科員 自由民主党の簗和生でございます。

 質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、今般の降雪被害に係る政府の対応について質問をいたしたいというふうに思います。

 まず、今般の降雪は、広範囲にわたり甚大な被害をもたらしました。被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。そして、お亡くなりになられた方々に対してお悔やみを申し上げたいというふうに思います。

 最初に、今般の降雪に係る特別交付税措置について伺いたいというふうに思います。

 昨二月二十五日に、被災地域に対する特段の配慮ということで、四十九の地方公共団体に対して、三月交付分の特別交付税の一部繰り上げ交付が決定をされました。災害救助法適用団体または一定の積雪積算値を超えた団体が対象になったということでありますけれども、今回の繰り上げ交付の対象にならなかった地方公共団体においても、相応の除雪に係る対応を迫られているという状況にあります。

 私の地元栃木県那須町においても、通常除雪経費として計上している費用の四倍に相当する費用がかかるだろう、そういう見込みであるということであります。

 ぜひ、今般繰り上げ交付の対象にならなかった地方公共団体に対しても、三月分の特別交付税の算定時においては特段の配慮をいただきたいというふうに思っておるところであります。改めて、総務大臣、新藤大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 繰り上げ交付の有無にかかわらず、地方団体の除排雪経費については、標準的な所要額を措置し、それを超える場合には、三月分の特別交付税で措置することにしているわけであります。

 ですから、できる限り実態を反映して所要見込み額を把握する、そして、三月分の特別交付税においてしっかり対処してまいりたい、このように思います。

 特に、栃木県でも大雪に見舞われておりまして、そういった実情についてはよくお伺いしながら、地方団体の財政運営に支障が生じないように、そういった対応ができるように努力してまいりたいと思います。

簗分科員 大臣、大変力強いお言葉をいただきまして、ありがとうございます。

 それで、災害関連の経費につきましては、今年度のみならず、年度をまたいで発生していくことになるかと思います。除雪だけではなくて、いろいろな農業被害に対する支援、こういったものも各自治体はやっていくと思いますので、ぜひ、来年度の特別交付税の算定時においても、引き続きの特段の配慮をお願いしたいということを申し上げたいと思います。

 次の点でございますけれども、特別交付税の対象となる、災害等のための特別の財政需要、この定義についてでございます。

 今般の特別交付税の繰り上げの対象については、除排雪に係る経費というものが対象になっているわけでありますけれども、この降雪による被害は、農林業関係で本当に多額の費用が発生をしているという状況であります。農作物の損傷、ビニールハウスの損壊、それから生乳の廃棄、それから畜産関係、畜舎の損壊、それから木材加工施設や特用林産施設関係の損壊、こういったものもありました。

 栃木県においては、私も実際に地元を視察して歩いてまいりましたけれども、総額で県内約七十二億円という被害の中で、農作物については十七億円を超える、そして施設については五十四億円を超えるということで、降雪被害では、これまでで最大という被害状況でありました。

 特に、栃木県はイチゴで有名ですけれども、この出荷の最盛期であったということもあって、これから大変な痛手になるというふうに思っています。イチゴのほかにも、トマト、それからキュウリ、こういったものも出荷期であります。それから、ブドウについても被害があったという状況であります。

 本当に高齢の農家の方が多くて、もうこの機に廃業してしまおうと言う方も多いんです。ですから、これは万全な支援策を講じていただいて、営農の継続、これをしていただけるような、そうした意欲というものを減退させないような手厚い施策を打っていただきたいというふうに思っているところでございます。

 まず、具体的には、共済金、これを早期に支払いをお願いしたいというふうに思います。

 それから、復旧における全体的なスケジュール、これも早期に国として示していただきたいと思います。

 今、施設の復旧において、資材、これが調達がちょっとおくれるんじゃないかとか、そういった懸念もあるので、そういったことも含めて、全体の調整、全体的なスケジュール感というものを早期に示していただきたいと思います。

 それから、技術指導。これは、もう二度と、同じような災害が生じたときに被害が生じないように、こういった形での技術指導を徹底していただきたい、そういうふうに思っているところでございます。

 また、私の地元は栃木の県北なんですが、酪農関係で被害がありました。

 生乳を廃棄処分した。これは、事情があったんですね。

 一つには、除雪がおくれた関係で集乳車が入っていけなかったんです。これで本当に多くの生乳を廃棄せざるを得なかった。

 停電の影響もありました。

 栃木県においては、約十六万軒停電がありまして、午前中に始まった停電が夜の八時過ぎになってようやくおおむねの復旧があった、それ以降もまだ部分的には停電が続いたという状況がありました。こういった影響もあったので、例えば保冷タンク、こういうものが十分に機能しなくて、これで廃棄せざるを得なかった、こういった状況もありました。

 また、林業も大きな影響を受けています。

 大変森林の多い県北地域でありまして、倒木、これもまだ被害の全容は解明できていないんですけれども、この被害もあります。こういったところもしっかりと対応をお願いしたい。

 それから、特用林産物についても、シイタケ、こういったものの施設も損壊をしました。これについても手厚い施策を、支援をお願いしたいというふうに思っているところでございます。

 それで、農業被害が特に大きかったというところでございますけれども、農林水産省さんの方からは、手厚い支援施策、これを比較的早期にやっていただいたというふうに私は評価をしているところでございます。

 ただ、例えば被災農業者向けの経営体育成支援事業につきましても、これは、十分の三の国庫補助ということでありますが、あくまでも、融資を受けているか自治体の単独事業を受けていることが条件となっているということでございますので、いずれにしても、自治体とあわせて支援をしていく形になると思うんです。

 そうした中で、那須町においても、早急に手を打ちました、損壊した施設についての復旧・除去費用として二〇%補助を出すと。上限は二百万円ですけれども、こういう形で補助施策を打ちました。

 こうした形で各自治体でそれぞれに復旧費用を出していくと思うんですけれども、これについては、本当に自治体のこれからの財政運営に大きな影響が出てくると思うんです。

 この特別交付税という中で、これは自然災害等の特別の財政需要ということでございますから、こういった農業関係被害に対して特別交付税措置がどのようになされているのか、まず、現行の制度についてお伺いをしたいと思います。お願いします。

佐藤政府参考人 特別交付税におきましては、雪害とか干害、冷害、あるいはひょうの害というようなものについて、農作物が被害を受けた場合には、その地方団体がいろいろな形で支援を行うわけでございます。

 特別交付税の算定上は、それを一つ一つ積み上げるということではなくて、農作物被害額の一%相当の額ということで特別交付税の措置を算定し、配分しているということになります。

 ただ、これは、通常のそう大きくない干害、冷害、雪害を想定しているものですから、今回のように、通常降らないところに大量に雪が降って、広範囲に降り、かつその被害額が非常に大きいということになりますと、果たして今までのこういうルールの算定で対応できるのかどうかということについては、検討の余地があるというふうに考えております。

簗分科員 ありがとうございます。

 一定程度、農業関係の被害に対しても現行制度上はそういった配慮がなされているということですが、十分ではないということなので、こうした被害が発生したというのを契機に、こうした農業関係等も含めた対応ができるように、制度の拡充をぜひ検討をお願いしたいということを申し上げたいというふうに思います。

 それで、次に、特別交付税の割合という点について質問をしたいと思います。

 平成二十三年度における地方交付税法等の一部を改正する法律において、この改正において、交付税の算定方法の簡素化、透明化の取り組みの一環として、交付税総額における特別交付税割合を引き下げることとされまして、本則上は、毎年度交付すべき特別交付税の総額は、地方交付税総額の百分の四に相当する額とされたという形になっています。

 ただ、経過措置として、平成二十三年度から二十五年度までの各年度は百分の六に相当する額、それから、二十六年度分は百分の五に相当する額という経過措置がとられています。

 これは民主党政権下でなされた法改正でございますけれども、災害復旧費など年度当初に予想できなかった支出に対応するという特別交付税制度の趣旨に鑑みまして、国が地方のそれぞれの実情に応じて弾力的に交付金を支出できる部分の割合を引き下げることは、私は、望ましいことではないというふうに考えているんです。

 この経過措置がとられたのも、東日本大震災の発生に伴ってとられたというふうに私も理解しておりますので、改めて、この引き下げ、あるいはこの割合についての、総務省の見解を大臣にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

新藤国務大臣 まさに今委員が御指摘いただきましたように、特別交付税の役割というのもあります。そして、近年は、集中豪雨、豪雪、今までに経験したことのないような災害が発生している。

 そういう状況を踏まえまして、災害対応に万全を期すために、今回、交付税総額における特別交付税の割合六%を引き下げることとしている現行法を改正して、そして、平成二十七年度までの東日本大震災の集中復興期間中はその割合を維持する、そのような旨の地方交付税法等の一部を改正する法律案を提案させていただいております。

 ですから、この成立を図って、そして、しっかりとこの割合を維持していきたい、このように考えておるわけであります。

簗分科員 大臣、どうもありがとうございます。

 早期にこの法律を成立させていきたいというふうに私も思っています。よろしくお願いをいたします。

 それでは、二点目に参りますけれども、今般の降雪に伴う除雪対応についてお伺いをしていきたいというふうに思っています。

 全般的に見て、今回、除雪対応をめぐっては、いろいろな指摘がなされているところだというふうに思っています。

 私の地元においても、特に那須町を中心として、非常に今回、想定外の降雪量だったということで、除雪、これは大変な難題として対応を迫られたという状況がありました。雪の絶対量の問題なんですね、今回は。それで、オペレーターそれから資機材、こういったものがこれに対応し切れるようなものではなかったというところが一番の原因だったというふうに、除雪のおくれに対しては思っています。

 それから、これは住民の方々ですけれども、例えば、雪の天候仕様のタイヤの装備をしていなかった、こういった状況で雪道を走ってしまったがゆえに、立ち往生してしまったり、動かなくなって、乗り捨ててしまった。こういったものが障害になって除雪車が入っていけなくて、これもまた除雪のおくれにつながった。こういった事情があったというふうに把握をしているところでございます。

 ただ、一方で、地域、広域的な応援体制という点では、私の地元はうまく機能しました。

 建設業協会の皆さんが相互の応援という体制をつくっていましたので、それぞれ、那須町の除雪に対しては、近隣の那須塩原市、大田原市、それから那珂川町から業者が応援に入ったということで、これはうまく機能することができたというふうに思っています。

 それで、質問をしたいんですけれども、道路管理者という観点から、国、それから地方公共団体、それぞれ道路に対してあるわけですけれども、今般の除雪対応についてどういった状況だったのか、それをまず全般的にお伺いしたいと思います。

谷脇政府参考人 今回の大雪によりまして、高速道路で五十八区間、直轄の国道で二十四区間、補助国道で八十九区間、都道府県道で三百十二区間、合計四百八十三区間が通行どめになってございます。

 これの除雪に努めた結果といたしまして、現在、高速道路と直轄国道におきましては、通行どめは解消いたしております。補助国道で十八区間、都道府県道で百七区間が残っておりまして、やはり、機械力が十分でない自治体の方が通行どめの解消がおくれる傾向にあるという状況でございます。

 こういった中で、私どもといたしましては、自治体を支援するために、北陸地方整備局などの、日ごろから除雪になれておりまして、除雪の機材もそろっている、こういう整備局を中心に、大雪の降りました地域に対しまして、リエゾン、連絡員でございますけれども、六道県十一市町村に、TEC―FORCE、専門の技術者でございますけれども、これを延べ二百五十六人、あるいは除雪車、これを三十一台派遣するというようなことで、除雪を支援しているというところでございます。

 各道路管理者、連携をとりながら取り組んでいるという状況でございます。

簗分科員 ありがとうございます。

 今、国と地方公共団体の連携というところまでお答えをいただきましたけれども、特に、やはり国が広域的な視点を持って、ぜひ、全体の調整とか、それから自治体間の連携とか、そういうところにおいてリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思っていますので、今般のこの被害の影響、それから教訓等を踏まえて、引き続きこういった国としての地方の支援体制というものを構築していただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。

 それで、今回、こういう声がありました。

 建設業者に除雪を委託するわけですけれども、この除雪とは別のところで仕事を抱えていると、当然除雪を優先的に行いたいんだけれども、やはり、そっちの、従前の事業の方で工期がありますから、こういった部分について猶予とか配慮をしていただける形にしていただければ優先的にいろいろな協力ができるだろうということなんです。

 ですから、そういった面で、今回、国の直轄事業に対してどんな工期上の配慮をされたのか、それから、地方公共団体に対して、国としてどんなその辺におけるメッセージを発したのかというところをお伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 今般起こりました除雪作業に対しましてのさまざまな配慮でございますが、まずは、私どもの方は、各地方整備局に対しまして、除排雪作業への優先的な協力をまずはやっていただきたい、また、それに伴って生じます工事実施日の変更、いわゆる工期の変更、あるいは工事の一時的な中止、こういった手続に関しまして柔軟に対応するように、一番最初の大規模な降雪がございました二月七日に、文書を発出して通知をさせていただいているところでございます。

 また、各地方整備局からは、関係する自治体あるいは建設業団体といったようなところにもこの措置をお知らせさせていただいておりまして、適切に運用していただけるようお願いしているところでございます。

 以上でございます。

簗分科員 ありがとうございます。

 本当に、これは行政だけでは対応できない、そういう中で、地元のこうした現場の建設事業者の皆さんにお願いすることになるわけですから、こうした配慮というものはしっかりやっていただいて、そして、国だけではなくて、地方自治体もこういった配慮をちゃんとするような形で、今後も、国としてのそういったメッセージを発していただければというふうに思っているところでございます。

 それで、今申しました、行政だけではやはり限界があるというところについて話をしてみたいと思います。

 今般、那須町でございますけれども、高久町長が、今般の雪を受けて、早々にこういう発言をされました。今回の大雪は、住民の多大な除雪協力なしには対応できなかったということなんですと。

 今回、本当に、各そういった地域レベルで、地域の方々が、自分たちが持っている農業用のトラクターとか、こういうものを出されて、狭いところを除雪しました。

 こういったことを受けて、これから町としては、いわゆる住民協力組織みたいなものをつくって、こういった大雪とか、それからもっと拡大して、災害時に対応できるような、こういった組織づくりをしていこう、こういうことを高久町長は発しているわけであります。

 では、お伺いしたいんですけれども、大きな観点から、こうした動きがあるように、行政と住民の協力、分担ということについて、行政の限界というもの、そういう観点から、それから、自助、共助という考え方が非常に重要になると思うんですけれども、この自主防災組織、こういったものをこれからつくっていく、こういったものも含めて、国としての見解と今後の対応についてお伺いしたいというふうに思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 今先生からも御指摘ございましたように、雪害など災害からの被害を軽減するためには、行政には限界がございます。やはり、地域コミュニティー等の住民等によります自助、共助の精神に基づく防災活動が極めて大切でございます。

 実は、昨年、防災に関する世論調査というものを実施しておりまして、これは十年に一遍やっておるんですけれども、前回の調査のときには、そういう防災みたいなことは公助、要するに、国、地方公共団体がやるべきという意見が非常に多かったんですけれども、昨年の調査では、自助、公助、共助のバランスのとれた防災政策ということを望む国民の割合が、これが一番になりまして、圧倒的にふえたという状況でございます。これは、東日本大震災の経験を踏まえてのことだろうというふうに思います。

 こうした取り組みを一層促進する観点から、昨年、災害対策基本法を改正いたしまして、居住者等による防災訓練や物資などの備蓄、あるいは、災害発生時において、居住者などの助け合いなどの、いわゆるコミュニティーレベルでの防災活動というものを促進するために、地区防災計画というものを法的に位置づけたところでございます。

 この地区防災計画は、地域住民の自主性を尊重しつつ、地域の特色を踏まえて作成するものでございますので、その作成を促進するために、今後、ガイドラインの作成とか、あるいはモデル地区の設定、支援等を行うことによりまして、その作成の促進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

簗分科員 ありがとうございます。

 その地区防災計画の策定、これが進むように、ぜひ今後とも取り組みをお願いしたいというふうに思っています。

 それでは、最後の点になりますけれども、農業関係の被害に対する支援についてお伺いをしていきたいというふうに思っております。

 今回、先ほど申しましたように、特に農業用ハウス、これの損壊が非常に大きかったというふうに把握をしています。

 被災農業者向け経営体育成支援事業という中で、再建においては相応の補助を出していただくということでありますけれども、ここにおいて、被害前と同程度の施設の取得ということが条件になっているということであります。ある程度柔軟性はあるというふうに聞いているわけですけれども、今般の被害を受けて、次に同じような大雪になったときにまた同じような被害が生じないようにということで、改善をしていかなければいけないと思うんですね。

 そういう意味では、まず、こうした農水省の施策の中での補助における特段の配慮と、それから、もう一つは、しっかりと原因の究明というものを作業として行う必要があるというふうに思っています。構造とか強度、それから経年数、それから、農家が実際にどんな対応をしたのか、処置をしたのか、こういったことによって恐らく結果というものは変わっていたんだというふうに思っています。

 ですから、これから再建を進める当たり、一度、国としても、この被害の原因、これをしっかりと分析した上で、それなりの考え方を出して、そして各農家さんごとに再建に向けて取り組みをしていただくということが必要になるというふうに思いますので、そういった分析とか原因究明、情報収集、こういったものについての政府としての取り組みについてお伺いをしたいというふうに思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 二点御質問がございましたので、まず前段の、補助事業における配慮という点でございます。

 先ほど来先生御指摘のとおり、被災者向けの経営体の育成事業を初め五項目の支援対策を打ち出しておりますが、さらに、被害状況を把握して、現場のニーズを伺った上で追加対策を検討するということにしております。

 そういう意味では、再建する施設の内容に対する配慮についても、被災農業者が今後も意欲を持って農業を継続していけるように、引き続き、さまざまな角度からその内容についても検討してまいりたいと考えております。

西郷政府参考人 ハウスの技術対策についてのお尋ねがございました。

 農水省では、気象庁の予報などを踏まえまして、今回も、昨年十一月二十七日、また本年二月十七日に技術指導通知を発出いたしまして、積雪及び寒害に伴う園芸作物の被害防止対策は講じてきたところでございます。

 それから、施設整備をいたす際には、毎秒五十メートル以上の風速とか、あるいは今回の雪のような一平米当たり五十キロ以上の積雪に耐えるという強度を有します低コスト耐候性ハウスの整備について支援をしてきております。

 また、こうしたハウスにつきましては、こういったハウスの業界団体でございます日本施設園芸協会で、雪対策としてのマニュアルだとか施工業者用のマニュアルなども整備して対応しているところでございますが、このような事態に至ったわけでございます。

 先生御指摘のように、今回、このような豪雪によるハウスの被害状況などを適切に把握いたしまして、検証を加えた上で、今後の雪害対策、技術対策に生かしてまいりたいと存じております。

簗分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、その検証というものをしっかりとやっていただいて、次は同じ雪になっても被害が最小限にできるようにという形でリーダーシップをとっていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 それで、最後の質問になりますけれども、被災農業者向け経営体育成支援事業において、国庫補助率、これを引き上げていただきたいというお願いでございます。

 今、撤去とか再建、修繕に対して十分の三の国庫助成ということでありますけれども、先ほど来申しておりますように、今回の災害関連対応経費、これは地方公共団体にとっては本当に大変な負担になるというふうに思っています。独自にこうした再建に向けた補助事業も実施するわけでありますし、それから、それ以外についても、多くの被災者向けの支援が今必要とされているという状況で、必要に迫られることになります。

 こうした観点も踏まえて、十分の三ということでありますけれども、現場の実情に応じて追加的に施策を講じていくということを今おっしゃっていただきましたので、ぜひこの補助率についても引き上げをしていただきたい。それを今地方は本当に求めています。その点についての見解をお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の被災農業者向けの経営体育成支援事業、先ほど来御指摘ありますように、融資や地方公共団体の補助と組み合わせることを前提に国の補助率を十分の三としているところではございますが、先ほども申し上げましたように、被災農業者が今後も意欲を持って農業を継続していけるようにするという観点で取り組んでおりますので、引き続きさまざまな角度から支援策を検討してまいりたい、このように考えております。

簗分科員 ありがとうございます。ぜひ特段の配慮をお願いしたいというふうに思います。

 質問は終わりました。

 それでは、最後に。

 今般の降雪の被害、これは本当に甚大でした。早期の復旧に向けて、地方自治体、これは一生懸命今頑張っています。相当の経費の支出を強いられることになりますので、ぜひ、新藤大臣におかれましては、地方交付税措置において特段の配慮をお願いしたいと、改めて申し上げたいというふうに思います。

 そして、この被害の発生を踏まえて、今、災害に強い国土づくりというものを国全体で進めているわけでありますから、今後の対策というものの確立をしっかりと行っていただきたい。そこにおいては、除雪そして農業関係、これが今回大きな問題になりましたので、これらについて特段の力を入れていただきたい。

 それをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

上杉主査 これにて簗和生君の質疑は終了いたしました。

 以上をもって本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後八時三十二分散会


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