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第1号 平成27年3月10日(火曜日)

会議録本文へ
本分科会は平成二十七年三月五日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

三月九日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      金子めぐみ君    田所 嘉徳君

      土井  亨君    森山  裕君

      小川 淳也君    松浪 健太君

三月九日

 土井亨君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十七年三月十日(火曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 土井  亨君

      大西 英男君    大西 宏幸君

      金子めぐみ君    鈴木 憲和君

      田所 嘉徳君    森山  裕君

      簗  和生君    小川 淳也君

      緒方林太郎君    奥野総一郎君

      神山 洋介君    玉木雄一郎君

      落合 貴之君    木内 孝胤君

      松田 直久君    松浪 健太君

   兼務 小倉 將信君 兼務 逢坂 誠二君

   兼務 後藤 祐一君 兼務 足立 康史君

   兼務 中川 康洋君 兼務 濱村  進君

   兼務 真山 祐一君 兼務 塩川 鉄也君

   兼務 堀内 照文君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   復興副大臣        長島 忠美君

   総務副大臣        西銘恒三郎君

   総務副大臣        二之湯 智君

   財務副大臣        宮下 一郎君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   総務大臣政務官      武藤 容治君

   総務大臣政務官      長谷川 岳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進室次長)           末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進室次長)           若井 英二君

   政府参考人

   (内閣府地域経済活性化支援機構担当室長)     小野  尚君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        原田 淳志君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  上村  進君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  新井  豊君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  佐々木敦朗君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          丸山 淑夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  平嶋 彰英君

   政府参考人

   (総務省情報通信国際戦略局長)          鈴木 茂樹君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            安藤 友裕君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       武田 博之君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            吉良 裕臣君

   政府参考人

   (消防庁次長)      高尾 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           中岡  司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           磯谷 桂介君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木下 賢志君

   政府参考人

   (農林水産省生産局農産部長)           柄澤  彰君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            丸山  進君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     吉田 光市君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            吉田 雅彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 板野 裕爾君

   参考人

   (日本放送協会理事)   木田 幸紀君

   参考人

   (日本放送協会理事)   森永 公紀君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役副社長)   鈴木 康雄君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          田中  進君

   総務委員会専門員     畠山 裕子君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  金子めぐみ君     大西 英男君

  小川 淳也君     神山 洋介君

  松浪 健太君     落合 貴之君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     簗  和生君

  神山 洋介君     緒方林太郎君

  落合 貴之君     木内 孝胤君

同日

 辞任         補欠選任

  簗  和生君     大西 宏幸君

  緒方林太郎君     玉木雄一郎君

  木内 孝胤君     篠原  豪君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     鈴木 憲和君

  玉木雄一郎君     緒方林太郎君

  篠原  豪君     松田 直久君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     金子めぐみ君

  緒方林太郎君     奥野総一郎君

  松田 直久君     篠原  豪君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     小川 淳也君

  篠原  豪君     落合 貴之君

同日

 辞任         補欠選任

  落合 貴之君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 崇志君     松浪 健太君

同日

 第一分科員塩川鉄也君、第三分科員中川康洋君、濱村進君、第四分科員逢坂誠二君、後藤祐一君、第五分科員真山祐一君、第六分科員小倉將信君、第七分科員堀内照文君及び第八分科員足立康史君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十七年度一般会計予算

 平成二十七年度特別会計予算

 平成二十七年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

土井主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました土井亨でございます。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十七年度一般会計予算、平成二十七年度特別会計予算及び平成二十七年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。高市総務大臣。

高市国務大臣 平成二十七年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 本予算案につきましては、平成二十六年度補正予算等とあわせ、経済再生と財政健全化の両立を実現する予算であるという政府方針のもと、総務省として、国民の生命財産を守り抜く、ローカルアベノミクスの実行、絶え間ないイノベーションの創出、日本のすぐれた技術を世界に発信、国民とともに改革をなし遂げていくことに積極的に取り組むための予算として編成したものであります。

 これらの取り組みの実現に向け、活力ある地域づくりや、ICT成長戦略の推進、さらには、国民の命を守る消防防災行政の推進などについて重点的に推進するとの考え方に基づき、取りまとめたものであります。

 一般会計の予算額は、十六兆三千四百二十八億円であります。

 以下、事項等の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 よろしくお願い申し上げます。

土井主査 この際、お諮りをいたします。

 ただいま総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土井主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土井主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

土井主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西英男君。

大西(英)分科員 おはようございます。東京第十六区、江戸川区を中心とする選挙区から選出されております大西英男でございます。

 予算分科会のトップバッターを仰せつかって、大変恐縮でございます。

 高市大臣を初め関係者の皆様には、早朝から御参加をいただいて、恐縮しております。

 大臣には、連日予算委員会また総務委員会等々でお疲れでございますから、私のときはお休みいただいても結構ですよと事務的にお伝えをしたんですけれども、早朝からお出ましをいただいて、感激でございます。ありがとうございます。

 今大臣の所管にもございましたように、ことし、我が国にとりましては大きな転換期を迎えているわけでございまして、大臣が御指摘のとおり、ローカルアベノミクス、地方へ日本がよみがえりつつある力をどう及ぼしていくかが一番の政策課題ではないかと思います。

 そんな中で、私ども、真の地方創生、地方が元気になる道というのを誤ってはならないと思っているんですね。

 この委員会の中にはいらっしゃいませんが、ともすると、東京の力をある意味では収奪することによって、税制面でもいろいろこれから論議をしなきゃならない問題がありますが、それによって地方に東京のお金をばらまくことによって豊かになるはずはありません。

 真の地方創生というのは、自立自助によって地方の活力をよみがえらせ、地方の魅力をふやし、そして、地方に住みたいという人たちが、東京一極集中じゃありませんよ、東京なんかへ出ていく人がいなくなるような地方を創設していくことが一番の課題ではないかと思うんですね。

 そうした観点で、今ちょうど八時五分、NHKの朝ドラの「マッサン」が始まっておりまして、私も、家を早く出てしまったので、まだ「マッサン」をきょうは見ていないんですけれども、いよいよ佳境に入ってきました。

 先日、私は、小樽で講演を頼まれまして行った折に、余市も回ってまいりました。そして、あのニッカの工場や何かも見学をさせていただいたんですけれども、何と、あのドラマが始まってから、入場者数が六〇%もふえているというんですね。

 私は酒好きですから、ニッカのミニチュア瓶で今までの歴史をたどるようなお土産が売っているというので、楽しみにして行ったんですよ。そうしたら、もう売り切れでして、ニッカの工場内のお土産物屋は物不足で大変でした。

 そのような形で、NHKの朝ドラが地方で大きな経済的効果を上げているんですね。

 それで、振り返ってみると、私は朝ドラが好きですから、「あまちゃん」、これなんかも、岩手県の久慈市をちょっと調べてみますと、放送が始まって観光客が八六%もふえた、こういうあまちゃん現象があの岩手県をよみがえらせているんですね。

 しかも、タイムリーでしたね。三・一一で東北の人たちが生きる力を失いかけていたとき、そして、あすへの希望を迷っていたときですね。それが、あのあまちゃんが見事に立ち直ることによって、岩手県、東北に、震災を乗り越えて頑張ろうという勇気を与えてくれたし、その姿を見た日本全国民は、さらに日本のあしたへの大きな希望を持ったわけでございまして、私は朝ドラの効果をつくづく感じます。

 さらに、「八重の桜」ですね。あれは、ちょうど三・一一の後ですよ。

 会津という国は、私は半分会津の血が入っているんですよ。うちの父は、会津でも、福島のチベットと言われる只見の出身で、そして師範学校を出て東京の小学校で教えているときに、母との間で淡い恋が生まれて東京に定着をしたという血が流れているんですね。

 会津の歴史を振り返ってみると、悲惨ですよ。いわれのなき賊軍として、会津の人たちは塗炭の苦しみを強いられたんですね。最も勤王家であった松平容保公が逆賊とされた。あの歴史の非情さというのをつくづく感じます。斗南藩に移されて、そして明治維新後も、会津は、さまざまの差別を受けながら見事にそれを乗り越えて今日頑張ってきているわけでございまして、会津出身の八重が、そうした境涯にも負けずに、そして当時、彼女は、キリスト教というのはなかなか日本では定着をしていませんでしたが、その志を立てるために、新島襄と二人で力を合わせて、キリスト教の普及や同志社大学の創立のために努力をなさったわけですね。

 こうしたさまざまな、テレビとはいえこの朝ドラ一つをとってみても、あるいは大河ドラマや何かについても、それぞれの地域で大変な経済的波及効果を及ぼしているわけです。

 ですから、私は、政治家は反省しなきゃいけないと思うんですよ。我々政治家が百の政策、百の演説を打つよりは、テレビドラマ一つが日本の地方をよみがえらせているんですね、日本人に勇気を与えているんですね。

 私は、これは率直に受けとめて、今NHKに対しては、何か会長に対する執拗な批判が繰り広げられていて、本当に木を見て森を見ずのような論議にもう嫌気が差している一人でございますけれども、NHKがこうした公共放送としての使命を果たして日本の行く末に大きな力を与えていることに対して、ドラマをどうふるさと創生に生かしていくか、そしてこうしたNHKという公共放送の使命感を生かしていくために、地方の声をドラマの選択に、来年はどこをやる、もう決まっているんだと思いますけれども、二年後はどこでやる、いや、私たちの地域にはこんなドラマがあるよ、こんなことをぜひ扱ってもらうことが我々の地域を生かすし日本をよみがえらせるよ、そういうような提案を受けとめて、しっかりと方向性ができるような工夫をお願いできないかと思っているんです。

 これは、高市大臣に御質問をすると、また政府の放送への介入だなんて言われるといけませんから、NHKの方からお答えをいただければと思います。

木田参考人 先生におかれましては、朝ドラも大河もたくさんごらんいただきまして、まことにありがとうございます。

 今お話を承りまして、御趣旨はごもっともかと思います。地域への貢献、地域社会の活性化というのはNHKにとっても大変大きな役割の一つでありますので、今のお話を踏まえて、具体的にどういう方法をしていくか、いろいろこれから検討していきたいと思いますけれども、しっかりと受けとめさせていただければと思います。よろしくお願いします。

大西(英)分科員 私たちの国には、愛する人々が、それこそ襲いかかる時代の流れあるいはさまざまな人生の困難を乗り越えて頑張ってこられた足跡というのがたくさんあると思うんですね。さらには、愛する仕事にマッサンのように人生をかけて取り組んで、それが地方に産業を起こし、あるいは地方をよみがえらせてきている、こんな実例もたくさんあるわけですね。ぜひこれからも、日本人に勇気を与えていただけるようなドラマを積極的につくっていただきたいと思っております。

 次に、NHKのドラマによって、例えば、先ほどお話ししたように、「あまちゃん」では、放送当時八六%も観光客がふえた。あるいは、余市でも今、前年から六〇%ふえる観光客が押しかけている。ことしあたりの数字はもっと上になると思いますよ。あるいは「八重の桜」によっても、あの三・一一、東日本大震災によってどん底に落ち込んだ会津の観光や産業についても、これが見事によみがえって三四%も観光客がふえて、これは今持続しているようですが、ドラマが行われているときは観光客が集まるんですが、しかし終わった後に、激減はしていませんけれども減少しているんですね。

 ですから、私どもは、こうしたNHK朝ドラ効果といいましょうか、こういった効果が持続していく、さらにそれが地域の活性化につながる、そして永続的な地域の産業につながっていく、そうした方策をやはり政府としてもしっかりとっていくべきではないかと思うんですね。

 そうした中で、国土交通省の御努力に敬意を表するんですけれども、ロケツーリズムというものの推進に取り組んでおられるんですね。これによって、今私がお話ししたようなことを何とか継続していこうという取り組みをなさっておられます。

 これをさらに強力に推し進めて、そして二〇二〇年には東京にオリンピックが参りますから、世界の人々に、日本の歴史、そして日本がどのように自然災害やさまざまな障害を乗り越えて今日を築いてきたかということをわからせる意味でも、このロケツーリズムを初め観光産業の振興のための御努力をさらにお願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

吉田(雅)政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるロケツーリズムでございますけれども、非常に有力な観光振興の方策の一つでございます。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、地域におきましては、ロケ地の活用手法あるいは効果の継続性の維持のノウハウがないといった課題を抱えているところも多いところです。

 このため、観光庁におきましては、自治体、民間企業、大学等の関係者に参加を呼びかけまして、平成二十五年度にロケツーリズム連絡会をつくりまして、先進事例集やマニュアルの作成、セミナーの開催による情報交換、発信などを実施しております。

 また、観光庁におきましては、昨年度及び今年度におきまして、地域の特徴ある資源を活用した取り組みに対し、魅力ある観光地づくりの観点から支援を行っており、その中でロケツーリズムを観光資源とする取り組みも選定しております。

 平成二十七年度予算案では、地域資源を活用した観光地魅力創造事業を要求いたしております。

 今後とも、委員御指摘のとおり、こうした取り組みを推進してまいります。

大西(英)分科員 ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。

 次に、子ども農山漁村交流プロジェクトについてお尋ねをしていきたいと思います。

 これは、地方創生にとっても大変大切な事業ではないかと思うんですね。それともう一つは、都会の子供たちの人間性豊かな心を育む意味でも大切なことだと思いますし、都市の子供たちが農山漁村に行く、ある意味では、それが定着をして、継続をして、拡大をしていけば、それが大きな地方の産業にもなっていくわけでございまして、地方の経済的な活性化に果たす役割は大変大きなものがあると思うんです。

 これは、平成二十年度から事業が行われていて、四百十七地域、既に五十万三千人の子供たちあるいは青少年の指導者たちが地方を訪れているようでございます。

 ふるさと創生というのは、まさに地方と都市がともに、その自然的な環境や経済的な環境、さまざまな条件をそれぞれの自助努力によって活性化をさせていく、そしてそれぞれが、都市は地方のおかげで新鮮な食料を供給してもらう、あるいは美しい自然を守っていただいていることによって、地方を訪れた折に心がよみがえっていく、お互いが役割を分担しているわけですね。やはりそれを日本の未来を背負う子供たちが実体験として身につけていくことが、これからの日本の調和ある発展にとって大事なことではないかと思うんですね。

 そういう意味では、この事業をさらに一層拡充強化をしていただきたいという思いがありますし、これをある意味では、義務化というほどでもないですけれども、都市の全ての子供たちが一度は就学中に地方を体験する、そしてできれば、二泊だとか三泊なんてそんな短いものじゃなくて、一週間ぐらい滞在をして、そこで地方でなければ学べないような勉強もしてもらう。

 地方には人材がたくさんいますよ。子供がどんどん減って、定年退職をしている校長先生や教師がたくさんいらっしゃいます。私なんかも今、六十九歳を間もなく迎えようとしているんですね。校長先生は六十五歳で定年でしょう。私の辞書には定年なんという言葉はありません、まだまだ元気なつもりでおりますし、子供たちにも負けないつもりでおりますけれども、こういう人材がたくさん地方にはいるわけで、この事業をさらに一層拡大強化していただきたいと思っておりますけれども、御所見を伺いたいと思います。

原田政府参考人 お答えいたします。

 子ども農山漁村交流プロジェクトは、農山漁村でのさまざまな体験を通じました子供たちの生きる力の育成とともに、都市と農山漁村の交流を創出することによりまして、農山漁村地域の再生、活性化に大きく寄与するものと考えております。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略のアクションプランにおきましても、地方への新しい人の流れをつくる施策としまして、子ども滞在型農山漁村体験教育に必要な施策の推進が位置づけられておりまして、このプロジェクトを推進することが地方創生にも資するものと考えております。

 また、先生御指摘のとおり、プロジェクトの継続的な推進によりまして、観光や農業といった産業の振興に資するものと考えております。

 今後におきましては、与党の中で推進のための法律の制定の準備をされておることも承知しておりますので、文部科学省や農林水産省などの関係省庁とも十分に連携しながら、より一層このプロジェクトが活用されるよう支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

大西(英)分科員 実は、こうしたプロジェクトがあることを知りまして、私も地元の江戸川区に声をかけて、この夏、四十人の子供たちが十勝へ参ります。この成果をすごく楽しみにしているんです。今後ともどうぞよろしくお願いしたいと思います。

 そうした中で、私も総務省を窓口にしていろいろ御相談をしていると、関係している省庁が、総務省、文科省、それから農林水産省、環境省、それぞれがいろいろなプロジェクトをやっているんですよ。これは、私どものような政治に携わっている人間にとってもわかりにくいんですよ。

 いや、うちの総務省ではそれはできませんで、文科省ならできますとか、そんな話も伺ったこともあるわけでございまして、大事なプロジェクトであるだけに、これは各省庁にまたがったっていいですよ、だけれども、窓口だけは特定してもらって、ここでしっかりと受け入れる、そしてそれぞれの省庁と連携をとって、事業を実施するときにはみんなが力を合わせてやっていく、そういう体制をつくっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

原田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、現在、子ども農山漁村交流プロジェクトに関する施策につきましては、文部科学省が送り側であります学校の宿泊体験活動等の取り組みを、また、農林水産省などが受け入れ側である農山漁村等の取り組みをそれぞれ支援しております。また、総務省は、それら関係省庁による支援措置のほか、地方の創意工夫、特性を生かした自主的な取り組みを支援しているところでございます。

 これまで関係省庁が連携しながらプロジェクトの推進に取り組んできたところでございますけれども、自治体や学校関係者にとりまして一層利用しやすい体制の構築に向けまして、関係省庁とさらに検討を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

大西(英)分科員 よろしくお願いいたします。

 次に、消防団員の増員と活性化についてお伺いをしたいと思います。

 消防団、私どもも地域で、選挙運動はしちゃいけないので選挙運動の第一線には立ちませんけれども、大きな力になっていますね。それは、党派の問題ではありません、ふるさとを愛するからですね。

 そして、暮れから正月、あの人たちは、家庭もあり、生業もあり、そんな中でも、地域の火の用心というのでしょうか、防火体制を強化するために、拍子木を持って地域をずっと歩いてくれていますよ。毎年、皆さんは、一月元旦は徹夜でそうした消防団活動を行って、床につくのは夕方だ、こう言って、元旦だけは、正月行事は自分たちは家庭ではできないんですよと。そんな人たちが、ふるさとを愛する、ふるさとのために自助努力、そして共助で、我々がその先兵になって頑張ろうということでやっています。

 今でも忘れられないのは、三・一一の折、自己犠牲の精神によって、二百五十名を超える方々が多くの方々を救うためにみずからの命をささげられたわけでございまして、本当に悲しい出来事であったとともに、消防団精神、自己犠牲をいとわず、人を救う、地域を守る、地域を救う、これが世界に広がって、日本の精神として多くの世界の人々からもたたえられたわけでございます。

 この消防団制度、長い歴史がありますけれども、年々団員が減少してきていまして、今、全国で百万人の目標があるところを八十万台にまで落ち込んできているわけで、さまざまな努力で今日まで総務省消防庁が取り組んでいるのは高く評価はしているわけでございますけれども、さらに一層これを充実していかなければならないのではないかと思います。

 こうした中で、どうやったら消防団員を増員することができるのか、消防団員になってもらうのか。それは、待遇とか、あの人たちには個人的なインセンティブを与えてほしいなんという思いはありません、ないと思います。問題は、それらを送り出す企業。これは、人材を割かれるわけですから大変です。

 今、消防団員のうちの七二%が雇用されている人たちなんですね。そういう意味では、企業に対して、雇用主あるいは事業所が消防団員を快く送り出してもらえるような流れもつくっていかなければいけないわけでございまして、現在でも、二十三の都道府県、百五十二の市町村で、例えば減税をする、あるいは自治体の仕事に対して入札での加点をする、総合評価方式でやっている場合には落札方式の加点とか、いろいろな工夫をしてやってくれているんですけれども、これを実施している自治体がまだまだ少ないんですね。一つは、これをさらに強化をしていただきたい。

 もう時間も厳しくなってきたようでございますが、そこで、もう一つ大事なのは、平均年齢が大分上がってきているんですね。これが、十年前は三十七歳であったのが、今四十歳になってきている。

 ですから、どのようにしたら若者にこういった消防団活動に参加してもらえるか。そのためには、学生、あるいは小中学生に消防クラブだとか、高校生にも消防クラブだとか、そういう若い世代が消防団活動に積極的に参加してもらえるようなシステムもつくっていかなければならないと思うんです。

 例えば、今、学生消防団活動認証証明書というのを発行するという取り組みが、ことしから始まるんですかね、これなんかもぜひ、これが添付されていれば各企業がそれを入社のインセンティブにするとか、これも大いに学生たちに活用してもらい、そして、社会も地域もみんなで、あなたたち消防団こそ今の民主主義社会において模範的な人たちですよ、自己の利益ばかりを求めない、刹那の快楽に溺れない、地域を愛し、自己犠牲の精神でしっかりと消防団の使命を果たしていく、こういう人たちを増強するために一層の御努力をお願いしたいと思いますけれども、御意見をいただければと思います。

高市国務大臣 先ほど委員が御指摘くださったとおり、今、消防団に占めるサラリーマン、勤め人の方の割合が七二・二%と増加しておりますので、本当に、おっしゃったとおり、企業など事業所に御協力いただくことが大変重要になっております。

 先月、私自身からも、主要経済団体の代表者に対しまして書簡を発出して、まず、被用者の方の入団促進について働きかけを行いました。そしてまた、これも委員が御紹介くださいましたが、採用時に、学生消防団活動認証証明書を発行しておりますので、これも評価をしてください、また、ボランティア休暇など働き方にも御配慮ください、そしてまた、会員企業にこの手紙の内容を通知くださいということでお願いをいたしました。

 そして、消防庁では、消防団員の確保に寄与した事業所に対する表彰、消防団等地域活動表彰や消防団協力事業所表示制度の普及促進に加えまして、二十七年度予算案によりまして、新規に消防団協力事業所を支援する取り組みをモデル事業として実施することにいたしました。

 また、各地方公共団体におきましても、協力事業所に対して、法人事業税の減税ですとか、これは長野県や静岡県でしていただいております、また、入札参加資格の加点、それから広報誌への広告掲載料の免除などの支援策を実施していただいておりまして、大変ありがたく思っております。

 これらの取り組みを情報提供して、全国に広げていきたいと考えております。

 また、それから、今後、やはり長期的に若い方、消防団員を確保していくということを考えますと、高校生の消防活動に関する理解の促進も必要でございますので、消防庁では、各市町村で行われております高等学校における消防団との交流活動や青少年消防クラブ等の設置、消防学校における防災教育などを全国に紹介して、推進を図っております。これらの先進的な取り組みについては、平成二十七年度の予算案によるモデル事業として実施するということで、全国に波及させてまいりたいと思います。

 どうもありがとうございます。

大西(英)分科員 ありがとうございました。これで質問を終わります。

土井主査 これにて大西英男君の質疑は終了いたしました。

 次に、神山洋介君。

神山(洋)分科員 おはようございます。

 きょうは三月の十日でございますので、三月の十一日、あすになりますと、ちょうど震災から丸四年が経過をするということになります。これは日本国民全員であるべきではありますが、我々国政に身を置く人間は、特にこの震災の教訓というものをさらに強く意識して、さまざまある教訓をこれから後世のために生かしていくということが不可欠であろうと思っております。

 きょうは、その観点の中から、大臣にお越しをいただきましたので、地域防災に関して議論させていただきたいわけですが、特に、今もお話がございましたが、まずは消防団に関して取り上げさせていただきたいと思います。

 お集まりの方々を含めて、そして大臣におかれましてはもう当然ではございますが、御案内のとおり、一昨年に消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が施行されまして、さまざまな取り組みがさらに追加的に行われてきたということでございます。我が党を含めて、これは国会の総意として成立をした法律でございますので、ぜひこの取り組みは強めていかなければならない、こう考えているところでございます。

 その上で、法律施行以来、これでちょうど一年強経過をしたわけですが、特にきょうは、消防団への加入促進のための取り組みについてということに関して、これまでにどんな取り組みが行われてきたか、これは当然前提として承知をした上で質問させていただいておりますが、その取り組みの結果、では、消防団への加入促進がどの程度プッシュをされて、具体的にどんな効果が出ているのかということをまずはお伺いさせていただきたいと思います。

高市国務大臣 消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律、これはまさに全会一致で議員立法によって制定していただいたものでございます。

 この法律を踏まえまして、私自身も、地方公共団体の長宛てにも書簡を発出いたしました。ここでは、女性や若者を初め、地方公務員の加入促進をお願いしますと、勤務先での入団なども働きかけたところです。

 それから、被用者の団員が増加しているということを踏まえまして、主要経済団体に対しましても書簡を発出しまして、従業員の入団促進を初め、消防団活動がプラスに評価される仕組みですとか、職員採用時に評価される仕組みの導入について働きかけを行っているところであります。

 消防庁におきまして、消防団協力事業所表示制度の導入促進、それから学生消防団活動認証制度の実施、若者や女性の入団促進を図るためのモデル事業の実施などに取り組んでいます。

 その結果なんですが、まだ残念ながら消防団員数全体は減少しておりますけれども、女性、大学生、地方公務員の数は増加をしております。

 引き続き、消防団の充実強化に精いっぱい取り組んでまいります。

神山(洋)分科員 ありがとうございました。

 今大臣から御答弁をいただきましたように、それは、例えば女性であるとか若年層、若者といったところ、新たな消防団のマンパワーの一翼を担っていただきたいという方々に関しては増加をしているが、しかし、もともとの問題意識でありました消防団のそもそもの人員不足というものを解消するにはまだ至っていないということが現状ではなかろうかと思っております。

 これはもちろん、何かをやったからすぐに一日にして、消防団人員がずっと減少してきたトレンドが一気に逆転をするということでないことは重々承知をしておりますが、しかし、やはりこの一年の中のみで見れば、まだまだ取り組みとしてはこれからであるという状況なのかなというふうには思っております。

 ここは余り時間をかけていてはいけないものだと私は思っております。震災の事例を考えてもそうでございますし、各地域でさまざま発生をしてきた災害等々を考えても、やはりこれはできるだけ速やかに人員を確保して、定足数を満たすような形、努力を続けていかなければなりませんし、我々も国会の中でそのための後押しをさせていただかなければならない、こう考えているところです。

 その意味でいうと、やはり来年度予算においてこの人員を拡充していく、消防団への加入促進をさらに強めていくためにどうするのかということは、極めて重要な要素ではなかろうかというふうに考えるわけです。

 来年度予算での関連する取り組みの内容、そしてその規模、狙いというところについて、まずは大臣から御答弁いただければと思います。

高市国務大臣 平成二十七年度の予算案では、住民の積極的参加のもとに地域防災力の充実強化を図るということを狙いといたしまして、消防団への若者、女性等の加入促進に関する経費を二・七億円計上しております。これは、対前年度比で三千三百万円増ということでございます。

 来年度からは、新たな担い手である女性や学生などの入団促進を図るために、先進的な加入促進策をまずモデル事業として実施しまして、これをその後全国に波及させるということにしております。

 このほかの新規事業としましては、各界各層の参加による地域防災力充実強化大会の開催、それから消防団への入団に関する利便性確保のためのワンストップサイトの構築などを実施することといたしております。

 こういったことが代表的な政策でございます。

神山(洋)分科員 ありがとうございます。

 今お話をいただきました来年度予算二・七億円という中に、幾つか内訳があるわけです。御紹介をいただきました消防団活性化モデル事業ということに関して言うと、〇・五億円の予算がつけられております。それも含めた上での二・七億円ということも含めてのお話ではあるんですが、私は、もう少しこれは力を入れていいんじゃないかというふうに思うわけです。

 特に、今御紹介をいただきましたモデル事業というところが、今の消防団の人員をいかにスピーディーに拡充していくのかということに関して一番直接的に働きかける政策の領域であろうかと思うわけです。一都一道二府四十三県あって、全国に千を超える自治体があって、現状、足りてはおりませんが、八十万人を超える消防団員の方々がいらっしゃって、それをさらにふやしていかないといけないということを考えたときに、もちろん、金額だけで判断をするのは早計だということは承知していますが、五千万円という予算でどれほどの効果が見込めるのだろうということを一つ思うわけです。

 加えて申し上げれば、このモデル事業をやるということは極めて大事だとは思うわけですが、これはつまり、どういう効果が生み出されるのか、その政策のどれが一番効果的なのかということがまだ判明をしていない中で、いろいろなアイデアはあるでしょうから、そのアイデアを募って、それぞれの自治体ごとの工夫に対して国がバックアップをしますという政策なわけです。

 そういう意味でいうと、五千万円の予算の効果が全てこの消防団員の人員拡充のところに最終的に帰結をするのかというところも少し怪しいという意味で、これは、質も含めてではありますが、量及び質ということにおいて、もう少し拡充をするというお考えはありませんでしょうか。大臣、いかがでしょう。

高市国務大臣 ちょうどモデル事業として新規にお呼びかけをして募集を行うところでございますので、まずは、その中で非常によい取り組みというものが出てきたら、それを精査しながら、いいものを全国に波及させていく、こういう順番だと思います。それは、予算は多ければ多いほど助かるんですけれども。

 このほかにも、一般的な入団促進に係る経費については、地方交付税で平成二十六年度から新たに標準団体当たり約五百万円が措置されておりますので、こうした財政措置も活用しながら、さらなる入団促進の取り組みについて各地域に働きかけてまいります。

神山(洋)分科員 今言及をいただきましたが、いろいろな自治体でいろいろな工夫が、今回のモデル事業に対しても当然アイデアが出てくるかもしれませんし、既にいろいろな工夫が行われているということも知られているところでございます。

 ここでお伺いをしたいのは、恐らく、その地域の特性ということによってもどんな施策が有効で有効じゃないのかということが変わってくるかと思うわけですが、いろいろな工夫が行われている中で、今それぞれの自治体によって行われている各種の加入促進策を、一つ一つ全てとは申し上げませんが、大臣がどう評価をされているかということをお伺いさせていただきたいと思います。

 特に、これは、こういう議論の中でよく代表的な事例として使われる話ではありますが、長野県であるとか静岡県では事業所に対しての税制優遇措置があるということもありますし、宮崎市の事例であったりとか、各種の、自治体の中でさまざまな工夫、アイデアが盛り込まれて、いろいろなトライ・アンド・エラーを今繰り返しているというところかもしれません。

 こういったさまざまな具体的な取り組みに対して、大臣、それぞれ、どういうふうにお考え、評価をされていますでしょうか。

高市国務大臣 先進的な取り組みを既にしていただいている自治体がかなりございます。

 例えば、佐賀県佐賀市では、県庁部というところで、県庁の職員の皆様によって消防団活動をしていただいている。あと、熊本県熊本市、大学生の加入を促進してくださっております。愛知県犬山市は、女性分団の発足ということです。また、やはり消防団協力事業所に対する法人事業税等の減税や入札の加点というのは大変ありがたい取り組みで、長野県、静岡県でしていただいておりますし、消防学校において高校生に対する防災教育を実施してくださっている東京都や富山県のお取り組みも大変参考になります。

 この二十七年度予算で、先ほど来申し上げておりますモデル事業、ここでさらによいお取り組み、参考になるお取り組みが出てまいりましたら、全国の方々にしっかりとお知らせをしていくということをしたいと思っております。

神山(洋)分科員 ありがとうございます。

 今まさに後段でおっしゃっていただいたことに関連してなんですが、いい取り組みは積極的にやはり水平展開をしていくべきではないかなというふうに思うわけです。

 例えば、今事例として出させていただいた税制優遇措置が最も効果的であるという判断をされるのであれば、それは今は長野県、静岡県が代表例かもしれませんが、場合によっては全都道府県に対してそういう制度を導入するように働きかける、場合によっては必要な措置も行う、財政的なバックアップも行うということも、ある意味では検討すべきではないかと思うわけです。

 これはやはり、限られた国家予算であり、自治体の予算も含めてですが、限られた予算を優先順位の高いところに配分をしていくというあるべきストーリーから考えたときにも、この消防団人員の拡充、もしくは今不足をしているところを何とか定足に戻さなければならないということが政策的な優先順位が高いという場合には、私はこれは考えてもいいと思うわけです。

 もちろん、将来的な財政負担を考えたときに、どれだけずっとそれを負担しますよということが言えるかという限度があるのは重々承知をしていますが、よほど効果が高いということであれば、一自治体で今回のモデル事業も含めて一回やってみて、これは非常に効果が高いという施策に関して、では、いっそのこと国がバックアップをして全国的に水平展開をしましょうということは検討していいと私は思うわけですが、大臣、その点はいかがお考えでしょうか。

高市国務大臣 先ほど申し上げました減税措置、これは非常にありがたいことだと思っているんですが、減税措置を実施するためには、その県内全ての市町村で消防団協力事業所制度を導入していただくことが不可欠でございます。

 ちょっと残念ながら、これは二十六年四月一日現在の数字ですが、六百七十四市町村においてまだこの制度を導入しておられないということで、今、未導入の市町村に対して一刻も早い導入をお願いしております。先月発出いたしました私から首長の皆様への手紙にも、このことを書かせていただいております。

神山(洋)分科員 もちろんその制度がよければというお話でございまして、別の施策の方が有効性が高いということなのであれば、それを優先してバックアップして水平展開をするということでございまして、そういう意味では、どの施策が今の段階で一番有効性が高いかということに関しては、まだ判断がつかない状況なのかなということを思います。

 冒頭申し上げましたが、それほど時間をかけていい案件であるとは私も思えませんので、ある意味では、先ほどお話のありましたモデル事業を来年度予算の中でやるのかなと思うわけですが、それの中で、やはり順番、効果の大小ということはきちっと判定をしていただきたいなと思うわけです。

 この後の話は言及にとどめますが、例えば平成二十五年度の予算に関して、平成二十六年行政事業レビューシートという形で、消防団に対しての取り組みというのはいろいろなことが書いてありますが、その中を読んでも、消防団の人員をやはりスピーディーに拡充をしていかなきゃいけない、そのための具体的な施策を少し急いで、場合によっては力を入れて考えなきゃいけないと。その指標は、人数がふえたか、ふえるに至ったか、減少がとまったかというところがキーだと私は思っているんですが、そういう要素が実は余り強く感じられないなと、これは個人的な印象ですが、感じております。

 ぜひそこは、人数をとにかく、誰でもいいからとかそういう意味ではありませんが、やはり政策のターゲット、指標は、これは人数をいかに戻していくのかということであるということはぜひ強く御認識をいただけたらありがたいなと思っております。

 実は、きょう消防団の話をさせていただくに至ったのは、当然ですが、これは大臣も含めて、あらゆる国会に議席を持つ人間がそうだと思いますが、地元を歩いていれば、消防にまつわる苦労、そして悩み、いろいろなことを耳にするわけです、聞かせていただくわけです。

 一方で、地域の防災及びいざというときの災害対策、東日本大震災のような大きな災害対策も含めてですが、やはり消防団という組織が非常に不可欠であって、重要性が大きくて、しかし一方で、金銭的にはそんなに恵まれないかもしれないけれども現場の方々は大きな使命感に駆られている中で非常に頑張っていらっしゃるというのはわかっている。でも、なかなか待遇面、そして今のお話でいえば、人数がなかなか整わないという中で、一定の人に大きな負荷がかかってしまうというところに対しての苦しみも現場で非常にあるわけです。

 そうした中で、具体的な事例を申し上げれば、私は地元で同級生の夫婦と話をしていて、旦那も奥さんも同級生、そういう二人が私の目の前で、夫婦げんかとは言いませんが、いろいろ言い争いをするわけです。旦那は使命感に燃えて、俺は地元のために、仕事も忙しいけれども消防団を頑張っているんだ、奥さんはその横で、だって、あなたは仕事も子育てもほっぽり出してすぐ行っちゃうじゃないのという話をされているわけです。その旦那いわく、俺は地元のために頑張っているんだから、もうちょっと気持ちよく仕事をさせてほしい、奥さんの側からすると、家庭をいろいろ犠牲にする中で私たちの家族はどうなるのよということを、これは半分笑いながらも含めてですが、ぶつぶつ言っているという状況を目にするわけです。

 その意味でいうと、先ほど来少し議論になってまいりましたのは、事業所に対してのバックアップ施策が少し議論としてはありましたが、もう一度、改めて家庭とか個人に対して目を向けるということもあっていいのではないかなというふうに私は思います。

 もちろん、これは、常備消防とは違う枠組みの中で消防団というものが考えられているわけですから、では、お給料を幾ら、いっぱいふやしましょうという話ではないと思います。当然、現場でやっていらっしゃる方も、俺たちは金のためにやっているわけではもちろんないよということをおっしゃいます。

 ただ、そうはいっても、もう少し個人に対して目を向けてバックアップをすることができないか、こういうことはやはり考えるわけですし、今まで行われてきている自治体でのさまざまな取り組みの中でも、例えば、消防団員ですという表示をするカードがあって、それがあると、協力してくれるお店だったりとかいうところで割引を受けられますとか、入館料が半額になりますとかいうことも含めてあるわけです。

 そのことがいいかどうかは別として、送り出す事業者側に加えて、個人に対してもう少しプッシュをするような施策というものはあってもいいのかなと思います。

 これも、お金の話になりますのでそう簡単ではないのもわかりますが、例えば、それは住民税だったり、もろもろに対しての控除というか手当だったり、金額としての多寡は問わないけれども何らかの形で、公に尽くしているということに対して、税制面を含めたバックアップをしますよということは検討はしてもいいんじゃないかなというふうに私は考えております。

 その観点の中で、団員及び家族に対して、全体の消防団員として活動する、もしくは、消防団員としてこれから新たに加入をして、日曜に俺もやってみようかと思うとき、または、家族の側からすると、そういうふうにやってみようという話があったときに、では、あなた、やってみたらいいんじゃないのと後押しをしやすくなるような環境づくりをするという意味において、個人及び家族に対しての追加的な優遇措置というのは検討できないものだろうかというふうに思うわけです。

 大臣、この点、御所見いかがでしょうか。

高市国務大臣 やはり年末の夜警活動なども、三日間連続でほとんど徹夜の状況でやっていただいておりますし、ふだんの訓練も、お仕事をお持ちの方が多いので、夜間などで、大変御家族の御理解が必要だと思っております。

 一番ありがたいのは、今、女性消防団の加入促進をしておりますので、夫婦で消防団ということで奥様もお誘いいただければいいんですが、子育てや介護などもあって、なかなかそうもいかないおうちもあるかと思います。

 先ほど委員が紹介してくださいました消防団応援の店というのをやっていただいている地域もあります。これは、飲食店や物品販売店などが地域ぐるみで、日ごろから活躍してくださっている消防団員やその御家族に割引サービスを行う制度でございますが、これが今、平成二十六年度で三百五十三地域で導入されております。これも、家族の御理解を得る観点からは重要な取り組みですので、こういった取り組みを全国に紹介するということと、あと経済界とも連携しながら推進を図っていくということになるかと思います。

 税制面については、特に地方税につきましては、なかなか、自治体に対して、必ずこうしなさいといったことはできませんので、それぞれの地域で工夫をしていただくように働きかけてまいります。

神山(洋)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、送り出していただく事業者の側に対してのバックアップというのは当然大事だと思いますが、個人であるとか家族、もっと言えば地域社会全体に対しての、いい意味でのよい環境づくりということを強く意識をしていただければと思いますし、来年度行われるモデル事業の結果は非常に大事だと思いますので、その結果を踏まえて、どうそれぞれの政策を評価し、その中でいいものはきちっと水平展開をできるような後押し、枠組みというものを強く意識をしてやっていただければなと思います。

 もう一つは、これはもう答弁は求めませんが、今申し上げた環境づくりということでいうと、思い起こされるのは、例えば「海猿」という映画があって、それを見た方々の、いろいろな意味での、ああ、いいねという印象があって、海上保安庁の印象が非常によくなったなんというお話もありました。消防団で同じことができるかどうかは別ではありますが、いいイメージづくりとか、そういったものも大事だと思うんです。

 予算の中には、当然、ポスターをつくりますというのも入っているわけですが、現場の話を聞けば、ポスターが来ればそれは張るんだけれども、このポスター、一体誰が見るのかなと思いながら現場で張っているんだというお話もあって、いろいろな工夫はあり得るのかもしれませんが、ポスターよりももっといいアイデアはないかなということも考えますので、そういう環境づくりということにも御配慮いただけたらありがたいなと思います。

 これは最後になろうかと思いますが、今までの消防団の話とは少し違いますが、断層について一点お伺いをさせていただきたいと思います。

 私の地元は、神奈川県の西部にありまして、神奈川県の中でも、そして関東地方の中でも日本全国の中でも、地震発生の確率が非常に高いということが昔から言われてきた地域でした。私自身も、小学生のときから、一時期ヘルメットをかぶって通学をせよと言われたこともあったりとかいろいろな経験をしてきた中で、かなり強く意識を持ってきたつもりです。

 その中で、先日来複数報道が出ていることについての事実確認をまずはさせていただきたいんですが、神縄・国府津―松田断層帯という、この世界では少し名の知れた断層がございます。昔から、いわゆる相模トラフでの地震に連動してこの断層が動いて、そしてマグニチュード八クラスの地震を呼び起こすというリスクが非常に高いというふうに言われていまして、私のこれまでの理解の中では、この断層は日本で一番動く可能性が高いのだということを、これは日常会話で地元の方々も普通に話をするんですが、日々する中で、防災訓練の話であったりとか、日常的な意識啓発が行われてきた経緯があります。

 今回、複数報道がある中で、この神縄・国府津―松田断層帯の評価が少し変わるという報道もあります。これは、地元の防災計画のみならず、地域の人間のこれから先々あり得るであろう災害対策、災害に対してのリスクに備えるということについて非常に大きな要素を占めておりますので、まずはこの事実関係について、どういう状況かということを御答弁いただきたいと思います。

磯谷政府参考人 お答え申し上げます。

 政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会におきましては、先生御指摘の神縄・国府津―松田断層帯の地震発生確率につきまして、今後三十年以内にマグニチュード七・五程度の地震が発生する確率を〇・二%から一六%とし、日本の活断層の中でも発生確率の高い分類に属するものと評価しておりました。

 その後、地震調査委員会が平成二十六年四月に公表した相模トラフ沿いの地震活動の長期評価におきまして、神縄・国府津―松田断層帯のうち国府津―松田断層の部分につきましては、重点的な調査観測による最新の科学的知見に基づいて評価が見直されたものでございます。

 具体的には、国府津―松田断層につきましては、相模トラフからの分岐断層であって、相模トラフで発生するマグニチュード八クラスの海溝型地震に伴って何回かに一回の割合で動く断層であること、また、相模トラフではマグニチュード八クラスの地震が発生する確率は今後三十年以内にほぼ〇%から五%であると評価されました。

 なお、国府津―松田断層以外の断層を含む神縄・国府津―松田断層帯地域全体の活断層の評価につきましては、現在地震調査委員会において見直しを行っているところでありまして、検討結果がまとまり次第、地震の発生確率、想定される地震の規模等を速やかに公表する予定でございますし、自治体にもきちっと周知を図ってまいりたいと思っております。

神山(洋)分科員 ありがとうございます。

 この評価に関しては、これから以降、現時点においてもそうですが、地元の大変大きな要素ですので、できるだけ速やかにその結果をリリースしていただきたいということは、あわせてこの場でお願いをさせていただきたいと思います。

 本当はこれについてもう少し議論をさせていただきたいんですが、時間の関係もありますので、最後に一点、大臣にWiFiステーションの整備に関してということで質問をさせていただきたいと思います。

 ここまで、地域防災の観点から消防団の議論を先ほどさせていただきました。御丁寧な御答弁に感謝を申し上げます。

 震災のときにも非常に大きな課題となったのは、これは必ず災害時にはそうですが、情報をいかに、しかも正確な情報をスピーディーに伝達をするかという観点でした。もちろん、災害時にはテレビ、ラジオといった既存のメディアが大変大きな要素を占めるわけですが、徐々に徐々に、時代の変遷の中で、恐らくここにお集まりの方は多くの方々がスマートフォンを持っているという状況になって、さまざまな形で手元の端末によって情報を、場合によっては発信をすることも含めてですが、使うという状況になってきました。

 そういう意味で、このWiFiステーション、いわゆる無線LANという設備は、今後、これは防災ですとか観光ということのみならずかもしれませんが、ある意味ではこれから道路みたいな形のインフラになっていくものだろうと私は認識をしています。

 そういう意味で、この事業は非常に重要であろうと私は思っているんですが、それを、では、どういうコンセプトの中で、どのぐらいのスケジュール感の中で、どういう金額をもって整備をしていくのかというところは、いろいろ調べていても若干怪しいなという気がして、余りよく見えないなと思っているところです。

 今回も来年度予算の中で、観光・防災Wi―Fiステーション整備事業ということが挙げられているわけですが、どこにこの事業のゴールを置いているのか、どうなったらこの事業はコンプリートするのかということも含めて、現在の進捗状況についてお伺いをさせていただきます。

高市国務大臣 まず、防災面でも、それからまた観光振興という面でも、この無料WiFiの環境整備というのは喫緊の課題だと考えております。

 二十五年度の補正予算を活用しまして、防災拠点にWiFi整備を行う自治体への補助事業を先行的に実施をいたしました。ここは、災害時に加えて、平時には観光などに活用する事例というものも登場してきております。

 来年度の予算案では、整備対象に観光拠点も加えた観光・防災Wi―Fiステーション整備事業ということで実施をいたしまして、自治体によるWiFi整備を強力に推進する予定であります。

 それから、どこにゴールを持ってきてということなんですけれども、ゴールは、全国各地で完璧に整備されるというところがゴールなんでしょうが、一つの目標としては、やはり、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、訪日外国人へのおもてなしとしても重要だし、それからまた災害時に、現在も観光客、外国人の方が来ていただいていますけれども、多言語で情報を伝えていく、そういったツールとしても必要であると考えておりますので、一つの区切りは二〇二〇年ということでやっております。

 これも、観光庁や民間の通信事業者とかなり連携をし、施設の所有者とも連携をしながら進めてまいりますので、総合的な取り組みとなってまいります。

神山(洋)分科員 ありがとうございました。

 きょうは、消防団の話から、最後はWiFiの話までということで、大臣に御答弁をいただきました。

 特に消防団に関しては、やはり時間をそうかけてはならない問題だと思っておりますので、法律の趣旨も踏まえながら、ぜひ積極的なバックアップをいただいて、この加入促進をさらに強くしていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

土井主査 これにて神山洋介君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方分科員 民主党、緒方林太郎でございます。

 大臣、きょうは長丁場、本当にお疲れさまでございます。

 冒頭に、これは答弁を求めるものでありませんので、大西議員からも神山議員からも消防団の話がございましたが、何を隠そう、私、現役の消防団員でございまして、北九州市八幡西消防団第七分団の団員として、落選中に消防団に入りまして、出動したこともございます。そして、日々の訓練等々をさせていただいています。

 諸先輩方にいろいろ御指導をいただきながら今頑張っているわけでありますけれども、そういった中で、消防団の方々が、本当にとうとい、年末の防災、日々の訓練、そして災害が起こったときの素早い活動というのは、自分自身、落選してから入ったんですけれども、最初に、一期目当選していたときの消防団に対する見方と、実際にやってみて、こんなに大変なんだということを特に実感いたしました。

 現役の消防団員として、大臣にぜひ、消防団よろしくお願いしますということを冒頭申し上げさせていただきたいと思います。

 では、本題に入りたいと思います。

 本日は、公職選挙法と政治資金規正法に関する質疑でございまして、公職選挙法、特に問題になるのは寄附、違法な寄附を行うことに対して、やはり公職選挙法に、これは求めてもいけないし渡してもいけないということが書いてあります。

 そして、地方自治体の垂れ幕とか時々かかっていて、だめですよということが書いてあるんですが、結構難しいなと思うものが、いわゆる会費と言われているもの、何かの会に行ったときに会費として出す、これは恐らく、大臣そして主査、きょうおられる議員の先生方、全ての方が何らかの経験をしておられるというふうに思います。

 しかし、私が知るところでは、会費と書けば会費となるわけではないというふうに公職選挙法の解釈上なっていると思います。

 まず、選挙部長にお伺いをいたしたい。

 公職選挙法上、寄附を禁止するその規定から類推される会費というのはいかなるものでしょうか、選挙部長。

稲山政府参考人 お答えをいたします。

 公職選挙法では、百七十九条の第二項におきまして寄附の定義がございます。「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のもの」というふうに規定をされておるわけでございます。

 会費というものはいろいろな実情があろうかと存じますけれども、寄附との関係で申し上げますと、一定の債務の履行に当たるような性格のものであるのかないのかといったところが重要なポイントになってこようかと存じます。

緒方分科員 ちょっとよくわからなかったんですけれども、何かの会に行くときに、例えば会費一万円と書いてあるとしますと、ここに一万円を持っていく行為は恐らく何ら違法ではない、それは当たり前のことでありまして、何の問題もないと思います。

 例えばですけれども、何らかの祝賀会とかめでたい会で招待状が来ました、ぜひ御来臨くださいと書いてあって、そして会費も何も書いてない、けれども、行けば食事が出てくる、お土産までついている、そういった状況の会に、会費は明記されていないという状態で行って、多分そこに来る方は、一人一人がお気持ちで、五千円持っていく人もいれば三万円持っていく人もいるし、意気に感じて十万円持っていく人もいるかもしれない。

 そういった会に、例えば、大体相場観はこれぐらいだろうと思って一万円を包んで持っていく行為、これは会費ですか。

稲山政府参考人 お答えを申し上げます。

 あくまでも一般論ということでございますが、先ほど申し上げましたような寄附の定義がございます。

 そんな中で、いかなる名義をもってするを問わず、公職の候補者等は、選挙区内にある者に対して寄附をしてはならない、こうなっているわけでございまして、会費制でない会合で金銭を支払うことにつきましては、一般論でございますが、いかなる名目であれ、先ほど申し上げましたような債務の履行といったものとは認められないものと解されておりますので、禁止されている寄附に該当するというふうに考えられます。

緒方分科員 私も多分そうだろうと思ったんですけれども、公職選挙法というのは結構せつない法律でありまして、我々公職にある者は、何らかの祝賀会があって、そして招待状が来た、そこに行けば間違いなく席が用意をされていて食事が出てくる、場合によっては、きょうはありがとうございましたということでお土産までもらう、にもかかわらず、そこに何らかの気持ちをもって、会費という形かどうかはともかくとして、金銭を持っていくことが今の御答弁ではだめだということになるわけですけれども、これはただ食いを求める法律だというふうに私は言っております。

 実は、このただ食いを求められていることというのは、自分自身もいろいろな会合に行くときに、恐らくきょうおられる先生方も、そういう明記がないときというのがそういう状態にあるということを知っている方、知らない方、多いというふうに思います。そういう状況であるということは、とりあえず理解はいたしました。

 もう一つ、例えば地域で盆踊りをやっています。盆踊りに行くときに、会費ということで例えば三千円ぐらい包んで置いてくる行為、これは会費ですか。

    〔主査退席、田所主査代理着席〕

稲山政府参考人 あくまでも一般論でございますけれども、今のようなものは、例えば平成元年の改正の中でいろいろな寄附禁止が強化されたわけでございますが、典型的な寄附というふうに当たろうかと存じます。

緒方分科員 そうですね。こういった行為も寄附に当たる、違法な寄附に当たるということであります。

 これは、余り具体事例を出すのは本当は本意ではありませんが、一昨年だったと思いますけれども、埼玉五区、大宮の地域で、盆踊りに会費を持っていったことで、埼玉五区選出の国会議員の方々が、自民、民主両方であります、埼玉県警から警告を受けたという事例を報道で見ました。

 なかなか解釈が難しい。しかも、この埼玉五区の両方の衆議院議員というのは、いずれも弁護士であります。弁護士であったとしても、これは解釈がとても難しい。

 そして、恐らくなんですけれども、私がいつも思うのは、市役所とかいろいろなところに、寄附は求める側も受け取る側もこれは違法ですと書いてあるんですが、恐らく、その話と今こういった話というのが、多分、現場におられる方はぴんときていないんだと思うんですよね。いや、これは別に会費でもらっている話だしと。これは、公職選挙法上違法に当たる寄附とか、そういった垂れ幕とは関係ないのだと。少なくとも、関係があると思いが至らないことというのは多々あるというふうに思います。

 なかなか、これを周知していくことは難しいというのが私の実感でありまして、これは一つお願いなんですけれども、高市大臣、旧自治省ということで、地方に対するいろいろなリーチが高市大臣にはあると思います。知事会とか政令指定都市市長会とか市町村会とか、いろいろなところとリーチがあると思います。

 こういった、やっちゃいけないですよということをより具体的に、選挙部と協力をしながらもう一度周知徹底をする。

 そして、事前に大臣の方にも資料としてお渡しいたしましたが、地域によっては、議会だけではなくて議会と行政が協力しているところもありますけれども、市民の皆様へのお願いということで、こういったことはやらないでくださいと言っているような、そういうお願いを、また公職選挙法の規定とは別に、それをかみ砕いて、市とか市議会の方から、行政とかかわりのあるいろいろな組織にばっと一斉に発出しているような自治体がございます。

 そういったことをやることによって、先ほどの、ただ食いを求められているというのが本当にせつないところではありますけれども、それが公職選挙法の求めるところであるのであれば、例えば、いろいろな行事を催す方に、会費を書いてください、そうしないと、我々、ただ食いに行きますというようなことをせざるを得ないわけでありまして、そういうことをできるだけ周知徹底していただくということを、これは全国のいろいろな地方自治体の市長会だ知事会だというところに徹底することはできないでしょうか。

 大臣、答弁をお願いします。

高市国務大臣 私も政治活動を長く続けてまいりまして、地元で同じような惨めな思いをしております。

 会費が明記されていない案内状が来たときに、もしも、来賓用にもう一度会費を書き直して送ってくれるか、それができないんだったら私は出席できませんというようなことでお断りをしたり、行っても肩身は狭いですし、多くの方が、会費を持ってこられないということを御承知いただいていないので、何だ、非常識だというようなことで批判を浴びたことも随分ございました。

 しかしながら、公職選挙法は、まずお金のかからない選挙、クリーンな選挙をすること、そしてまた、金銭の寄附などに惑わされずに公正に有権者に投票していただくこと、そういった目的もあるので、まあ仕方ないのかなと思っております。

 今、広報してくださいということで、去年の臨時国会はいろいろございましたよね、うちわ問題初め、いろいろ閣僚の問題も出ました。

 それで、昨年の十月に、私からも事務方に対して、少し選挙管理委員会と協力して、改めて寄附禁止のルールに関して国民の皆様に周知啓発をするようにということで指示をいたしまして、具体的には十月三十一日付で、各都道府県及び市区町村の選挙管理委員会に対しまして、寄附禁止に当たる行為の例をすごくわかりやすく、見やすくしましたイラストデータを提供しました。これを広報誌などに載っけていただけるとということで、特に十二月は忘年会シーズンでもあり贈答シーズンでもございましたので、それをお願いしました。

 その結果、十二月には結局解散・総選挙になってしまったんですが、私の地元に帰りましても、奈良県に帰ってみると、「県民だより」という広報誌にちゃんとそのイラストデータで、病気見舞いはだめですよとかこういった会費はだめですよというようなわかりやすい広報を出していただいておりました。各地でも、随分そのデータを活用して、皆様にわかりやすい広報をしていただいております。

 あと、二月にも新聞広告を行いました。これは、やはり四月の統一地方選挙を見据えてやっております。

 ただ、ちょっと新聞広告については、政府の広報予算が少ないものですからちっちゃいものになりましたけれども、できるだけ、インターネットも活用しながら広報を充実してまいります。

緒方分科員 ありがとうございます。

 本当にこの件はなかなか難しいところがありますし、各都道府県であったり市町村の議会がその気になってというか本腰を入れて、議会としてのイニシアチブが本当は欲しいなというところがあります。答弁は求めませんので、少し念頭に置いていただければというふうに思います。

 次に、政治資金規正法の話であります。

 政治資金規正法によって、現在、企業・団体献金を受け取ることができるのは政党及び政党の支部ということになっておりますが、そもそも、なぜこのような規定になっているのか、答弁をいただければと思います。

稲山政府参考人 政治活動に対します寄附、献金のあり方につきましては、長年の議論を経まして、これまで数次にわたりまして政治資金規正法の改正を行ってまいりました。企業・団体献金は、政党等に対するものに限定されるなど、種々の改革が行われてきたところでございます。

 平成六年の政治改革におきまして、今御指摘のあったようなことになっているわけでございますが、これは、選挙や政治活動を個人中心から政党中心に移行させることにあわせ、政治資金の調達も政党中心に改めることとしたものであり、そのために、今申し上げましたような、会社、労働組合、その他の団体は、政党と政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならない、こういったことになったものと承知をいたしております。

緒方分科員 それを踏まえてですけれども、これは事実関係の答弁になりますが、政党の支部というものについて、各主要政党が持っている政党支部の数、それぞれどの程度でしょうか。

稲山政府参考人 本年一月二十一日に公表いたしました、政党助成法に基づく本年一月一日現在の状況として届け出られました各政党の支部数をちょっと申し上げたいと思います。

 自由民主党七千四百六十八、民主党四百八十九、公明党は四百二十七、維新の党が百七十五、次世代の党七十二、社会民主党二百三十五、生活の党と山本太郎となかまたちは五十一、日本を元気にする会はゼロでございます。新党改革は三、太陽の党は一となっているところでございます。

 また、政党助成法に基づく届け出がなかった政党につきまして、二十六年末現在における規正法に基づく届け出の状況を申し上げますと、このほかに、日本共産党は三百六十三となっているところでございます。

緒方分科員 その数が多いことについては、現行の制度のもと、合法的に行われているものなので、それを批判したりとかそれがどうだと言うつもりはないんですが、先ほど部長が言われました、政党本位の政治をつくっていくために、政党そしてその支部に企業・団体献金を制限するということですが、済みません、特に政党批判をしたいということでなく聞いていただきたいんです。

 今、自由民主党の数が圧倒的に多かったということ、そして、奈良でどうかわかりませんけれども、我が福岡で見ていると、県議会議員の方々、さらには政令指定都市市議会議員の方は、それぞれ支部を持っている形になっています。政令指定都市市議会議員であったとしても、その資金管理団体と、そして、その方が支部長を務める支部というのがありまして、事実上支部が個人化しているという、これも一つの傾向としてあるんだろうと思います。

 これは合法的に行われているものでありますので、それがいいとか悪いとかということではございませんけれども、やはりこの状態は、平成六年の改正のときの理念からいって、政党本位でやっていくということとの関係では少し、脱法とまで言うと失礼に当たると思います。そこまでも申し上げませんけれども、本当にこれがいいのかというふうに自分自身は思っています。

 企業・団体献金を出すことができるのは政党の支部のみとしたことというものの背景に、これは自分の推察ですけれども、ある意味総覧性を高める、例えば民主党であれば、民主党というのでばっと引けば、民主党全体でどれぐらいの企業・団体献金があるかというのがわかりやすいとか、そういうことも背景にあったりするのかなと推察するんですけれども、そういうことは背景にあるんでしょうか、部長。

稲山政府参考人 お答えをいたします。

 政党がその支部をどのように構成するのか、また、その財政面を含めまして政治活動をいかなる形で展開するかは、組織の基本原則にかかわることでございまして、政党の自主的な御判断によるべきものと考えております。

 お尋ねの、もともとの趣旨がそういった、資金の総覧性といったこともあったのではないかというような御指摘でございますが、あくまでも、この政治資金規正法は、それぞれ支部を有する場合でも、各支部それぞれ一つずつ、例えば政治資金の収支報告書等により公開し、その資金の流れを明らかにする、こういったことでございます。

 いろいろな議論がございましたので、そういったことを意識された識者もおられるかもしれませんけれども、この改正の経緯の中で、総覧性ということをもって改正をされたといったようなことが残っておるかということにつきましては、そこまでのことは私どもは承知をいたしていないところでございます。

緒方分科員 わかりました。

 いずれにせよ、企業・団体献金に対してもいろいろな厳しいお声も出てきています。政党助成法との関係もございます。窓口が余り分散しているということは、本来の政治資金規正法の想定する理念とは若干の乖離があるんじゃないかなという指摘をするだけにとどめさせていただければというふうに思います。

 もう時間もありませんので、最後の一点、選挙期間中の選挙活動についてです。

 私は、選挙を三回やりまして、当選、落選、当選なんですが、三回やってみて奇妙だなと思うことが一個あります。実は、解散されてから、そして公示されてから、対抗馬の方、それは政党を問わずですけれども、対抗馬の方と顔を合わせるということがほとんどありませんでした。通常であれば、例えば青年会議所が合同個人演説会をやっていたりとかそういうことがありますけれども、なかなか、時間的なタイミングがあって、それも私の選挙区ではなかったのです。

 これから、十八歳以上の方ということで選挙権が与えられていくということになったときに、公職選挙法の中で、ある意味候補者を見比べる機会を提供するということはとても重要ではないかというふうに私は思っております。

 しかしながら、現在は、演説会等々について非常に厳しい制限がかかっておりまして、例えば、私と誰か対抗馬の方々とが、特に公示後に顔を突き合わせて、よく諸外国でやっているように討論をし合う、そしてそれを多くの方の参考に供することができないということになっています。

 これは、立法事実として、そして歴史的な経緯として、何でこんなふうになってしまったのかということについて、選挙部長、お願いいたします。

    〔田所主査代理退席、主査着席〕

稲山政府参考人 お答えをいたします。

 公職選挙法におきましては、選挙運動のためにする演説会でございます。これは、個人演説会、それから衆議院小選挙区や比例代表に届け出た政党等による政党演説会等に限られております。また、これらの演説会を第三者が合同で開催することも禁止されているところでございます。

 一方、複数の公職の候補者等が合同で個人演説会を開催する、こういったことは認められております。この合同の個人演説会において候補者同士が議論を行うこと、これは制度的に可能ではございます。

 経緯でございますが、公選法が制定されました昭和二十五年のときには、基本的には演説会の開催を禁止するような規定はございませんでした。また、衆議院、参議院、また都道府県知事の選挙におきましては、市や一定の町村でいわゆる立会演説会、公職の候補者等の政見を周知させるための立会演説会を開催するものということになっておったわけでございます。

 その後、いろいろ経緯がございまして強化されてきた、規制がふえてきたということでございますが、平成二十七年の改正によりまして、当時の解説書等によりますと、座談会などの名目で演説会が不必要に頻繁に開催され、悪質な選挙運動を誘発するとともに、候補者にとって負担になっていた、こういうふうな解説がございます。こうしたことに鑑みまして、一定の選挙につきまして、立会演説会、それから個人演説会以外の選挙運動のためにする演説会がそこで禁止といったようなことになりました。

 その後、平成二十九年の改正により、一定の第三者による開催が禁止されるとか、またその対象が拡大されるとか、いろいろ経緯があるわけでございますが、大きくは、平成五十八年の改正によりまして、立会演説会というものが廃止をされました。

 これは、候補者の自由な活動をかえって妨げるのではないかといった意見でございますとか、政見放送など他の制度が充実してきたといったこと、また、現実、実態は、特定候補者の時間帯にその候補者が動員した支持者のみ集まって、他の候補者の時間帯になると一斉に退場するといったような現象が見られるなど、立会演説会の形骸化等を理由に廃止された経緯があったところでございます。

 このように、選挙運動に一定のルールを設けておりますのは、選挙の公正公平を確保するためでございまして、こういったような経緯の中で、今申し上げたような規制が図られているところでございます。

 一点、私、昭和と平成を少し間違ったところがございます。訂正をさせていただきたいと思います。

緒方分科員 そうですね。今行うことができるのは合同の個人演説会。あくまでも、私が個人演説会をする、そして別の方が個人演説会をする、個人演説会をする、それをがちゃんとしただけであって、別にそれにすぎないという解釈のもと行われているのが公示後の合同個人演説会。

 あくまでも、個人演説会の合同にすぎないということで、これが立会演説会と何が違うのかと言われると結構難しいなと思いますが、結構ルールがあって、相手の言ったことに反応しちゃいけないとか、たしか、青年会議所でやっているものでもそういうふうにやっている。それは多分、合同でやっている個人演説会だから、人の言っていることに反応するんじゃないということなんだろうというふうに思います。

 今、立会演説会等々の解釈もございました。私も過去の議事録を読んでみますと、最初のころはゲリラ的に、あちこちでぼこぼこぼこぼこと演説会を予定して、場合によっては、相手候補が来られない時間を把握した上で、そこでやると言って、それで、来ないときに、あいつだけ来なかったというふうな、そういったゲリラ的に行われる演説会が乱発したことによって、やはりこういった演説会に少し制限をかけていこうというのが、先ほどありました昭和二十年代の改正でありますし、昭和五十八年については、もうこれは本当に悲しい物語ですけれども、立会演説会をやると、私がやっているときは私の支持者だけがどっと来て、そして私がいなくなったら支持者がどっといなくなって、そして次の方が来ると次の支持者の人が来てと、余りに不毛だということで昭和五十八年の改正が行われたと聞いています。

 こういったことは絶対許してはならないし、あくまでも、本当は自由な選択を国民に提供するための機会であるにもかかわらず、それがそうなっていないということは残念なことでありますけれども、だからといって、今みたいに物すごく制限されてしまうと、これから、先ほど申し上げましたが、十八歳以上の方が投票に入ってくるような法律も今提出されておりますし、若い方が入ってきます。そして、若い方は、インターネット等々を通じて候補者を恐らく見比べていくということもやるでしょうし、そういった多様な機会を与えていくことが必要だというふうに私は思います。

 今みたいに、私の実体験からして、相手の人とほぼ会わずに、それぞれ、選挙が用意ドンで始まったら、私はこっちを向いてうわっと叫んでいるし、相手方はうわっと叫んでいるし、そこに接点がなくて、それを全部集大成したのが、最後、投票日になって、結果としてわっと出てくるというような状態というのは、本当に国民の自由な選択としての選挙を推進していく上で、私は適当でないのではないかと思います。

 ただ、これは議員立法で進んできている話ですので、高市大臣によろしくお願いしますと言っても、議員各位で御議論いただければというふうになるんだと思いますが、政治家として、最後に一言、答弁をいただければと思います、大臣。

高市国務大臣 演説会を開くとなると、やはり公正で公平な第三者をどう確保するかとか、先ほど委員がおっしゃったような問題点をどうクリアするかとか、それから、短い選挙運動期間中ですから、候補者同士がぴたっと時間を合わせるというのが無理だったときに、公正な選挙に影響を与えると思います。

 ただ、これからやはりインターネットも発達をしていきますし、今でも、マスコミ各社がいろいろな政策ごとにアンケートを事前にくれて、それが横並びで報道されておりますよね。それがまた、インターネットなどのメディアも幅広くそういったアンケート活動を行って、候補者の政策を比較しながら見ていただけるような環境というのができていくだろうと考えております。

緒方分科員 答弁ありがとうございました。

 基本的に、公職選挙法というのは、議員立法で進んできた歴史のある話ですので、我々議員の側で、しっかりと今後勉強した上で、よりよい制度にしていくように頑張っていきたいと思います。

 きょうは、貴重な答弁ありがとうございました。

土井主査 これにて緒方林太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、濱村進君。

濱村分科員 公明党の濱村進でございます。

 私は、二〇一二年初当選以来、総務委員会に所属しておりましたので、吉良局長も、あるいは原田審議官、当時は総務課長でいらっしゃったかと思います、非常に懐かしいなというふうに思いますけれども、第百八十七回の臨時国会からは所属がかわりました。ですので、高市大臣には初めて質問をさせていただきますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 本日は、地域おこし協力隊とSIMロック解除に関連してお話をさせていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、これはちょっと、もともと通告はしておりませんが、ぜひ高市大臣にお尋ねをさせていただきたいことがございます。

 一昨日、地域おこし協力隊サミットが開かれたかというふうに思います。大臣が先頭になって、地域おこし協力隊にずっと力を入れておられるというふうに思うわけでございますけれども、私の地元であります兵庫県からも、朝来市の方が座布団を敷いて鍋を囲んでやっていらっしゃったかと思います。そこに大臣もお立ち寄りになられたかというふうに思いますけれども、全体を通して、大臣が直接隊員の方々と触れ合いをなさってどのようにお感じになられたか、そしてまた、今後どのようにしていかれるのか、このような御感想、御所見がございましたら、お願いしたいと思います。

高市国務大臣 やはり若い方々が多いです。八割が二十代、三十代でございます。また、四割が女性ということで、非常に皆様パワフルで、あと、それぞれの地域の特徴を十五秒でアピールするというコーナーがあったんですが、短い時間でも、とにかく地域の特色をよくつかんで宣伝をされたとかなり感動しました。

 それから、やはりその地場産品を活用していかに特産物をつくり出していくか、また全国にアピールしていくか、そういう感性もすばらしかったと思います。

 私も、ほかのブースでも、例えばままかりの食べ方というのをそんなにイメージできなかったんですが、オイルに漬けてイタリア料理に使えるような瓶詰をつくっていたところもあったし、本当に皆さんすばらしい感性で、そしてまた、インターネットも十分に使いこなせる世代ですから、彼らがそれらの産品を日本全国に、また海外にも発信していく原動力になるなというふうに感じました。

 今のところでも、六割ぐらいの方が、任期が終わった後もそのまま定住してくださっていますので、総務省としては、これから定住してくださるという方がお店を起こす、また事業を始めるというときにここを支援する、この政策に重点を置いていきたいと思っております。

濱村分科員 ありがとうございます。

 急なお尋ねにもかかわりませず、非常に丁寧にお答えいただきまして、そしてまた、非常に大事なポイントが含まれていたかと思います。

 地域おこし協力隊の隊員の方々は非常に、十五秒という短い時間で特徴をばっと差し込めるかというと、なかなか普通の人はできない、それぐらい優秀な方が多いのかなと私自身は感じておりまして、これまで私も、何人もの隊員の方やあるいはIターンで地域に来られた方々と交流を重ねてまいりました。

 そうした方々と触れ合うたびに、非常に力があるというふうに感じたわけですけれども、力があるよりも何よりも、大事なのは熱意、情熱があるかどうか。この地域をいかに活性化させるかということに対しての熱意があるかどうかなのではないかというふうに思うわけでございますけれども、これが、都会から、例えば仕事で行政から委託されたいわゆるコンサルタントというような方々との少し違いではあるのかなというふうに私自身は感じておるところでございます。

 きょうは、地域おこし協力隊、じっくり深めていきたいというふうに思うわけでございますけれども、大臣も今おっしゃられたとおりで、定住していただくことが非常に大事だということをおっしゃいました。六割の方が定住されているということでございましたけれども、この隊員の方々が移住して、まず移住が必要です、そこに定住して、そしてその地で永住するというような、こういうプロセスで地域に残ることが非常に望まれているということでございます。

 隊員の方が委嘱されている期間、これは三年間でございますけれども、この三年を過ぎて、その地域で生活するための収入を得られる仕事を見つけなければいけません。この仕事というのは、地域おこし協力隊の仕事をやりながら見つけなければならないわけでございますけれども、隊員のころと同じ職につけるということであるかというと、必ずしもそうではないというふうにも思うわけでございます。

 一方で、地域を活性化させるための取り組みとしては、さまざまおやりになっているわけでございますので、一つの仕事にとどまらない、そうした働き方、動き方をされていらっしゃるかというふうに思うわけでございます。

 そこでお尋ねしたいと思いますが、地域おこし協力隊員の兼業の可否について、自治体採用と外部団体の採用、これでそれぞれ違うと思うわけでございますが、自治体採用の場合、どのようになっているのか、お聞かせください。

原田政府参考人 地域おこし協力隊が地方自治体に採用される場合の任用形態は、一般職の非常勤職員や、特別職である臨時または非常勤の嘱託員といった任用形態があるものでございます。

 このとき、一般職の地方公務員につきましては、地方公務員法三十八条第一項の規定によりまして、任命権者に許可を受けなければ営利企業等への従事をすることができないとされておるところでございます。

 一方、特別職の地方公務員につきましては、地方公務員法の規定は適用されないところでございますが、任命権者の定めるところによりまして、営利企業等への従事が制限される場合があるところでございます。

濱村分科員 今、地方自治体に採用される場合は、兼業が禁止される場合があると。場合があるというのは、任命権者が許可をすれば営利企業へ従事することもできるというのがまず一つ目でございますけれども、もう一つが、特別職であれば兼業が可能であるということであるかと思います。

 自治体に採用される場合、任命権者がそれぞれ都度都度兼業を受け入れるということが現実的なのかどうか。あるいは、そういったことも、隊員側から兼業をお願いするということになると、少し言いにくい状況もあるのかなというふうにも思うわけでございますので、どちらかというと、特別職での採用の方が望ましいのではないかというふうにも私は考えた次第でございますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。

原田政府参考人 お答えいたします。

 特別職である臨時または非常勤の嘱託員等につきましては、主としまして特定の学識経験を必要とする職であって、みずからの学識経験に基づきまして非専務的に公務に参画する労働者性の低い勤務形態が想定されているところでございます。

 地域おこし協力隊の活動内容は、地域ブランドや地場産品の開発、農林水産業への従事、住民の生活支援など非常に多岐にわたっているところから、その任用なり勤務形態につきましては、それぞれの受け入れ自治体におきまして、制度の趣旨なりそれぞれの実態というものを踏まえまして、責任を持って適切に判断されるべきものと考えているところでございます。

濱村分科員 特別職は、ある種の専門性が必要な方であるということでございました。

 そういう意味ではそのとおりなのかなというふうにも思いますし、である限りは、この地域おこし協力隊員の方々が自治体に一般職として採用される場合も、できる限り兼業、あるいはそういったことに配慮をいただきたいなというふうに思うわけでございますけれども、さらに少しお伺いをしたいと思います。

 外部団体の職員を自治体が地域おこし協力隊として委嘱する場合、協力隊の設置要綱にも関連してくるということであると思いますけれども、この場合、兼業の可否についてはどのように決まりますでしょうか。

原田政府参考人 地域おこし協力隊につきましては、先ほどの自治体職員として直接雇用するもののほか、自治体と雇用関係にない形態で、例えば農業生産法人とか観光協会等といった外部団体の職員に委嘱することも可能となっているところでございます。

 この場合、兼業の可否につきましては、自治体の定めますいわば設置要綱等々によるもののほか、外部団体の就業規則の規定等によることになると思います。

 少し敷衍をさせていただきますと、委嘱の根拠となります自治体の定める要綱等でございますけれども、ここに兼業についての記載がある場合とない場合がございます。逆に、兼業の可否について記載がある場合、例えば外部団体の職員であっても届け出、協議が必要だとか、そういう規定があるところもございますので、そういうところについては、そういう要綱に基づく判断と外部団体の就業規則の規定等によりまして兼業の可否を判断することになりますし、一方、自治体の定める要綱等におきましてその記載がない場合につきましては、原則として、外部団体の就業規則の規定によりまして兼業の可否を判断することになる、こういうことになりますので、実態は非常にさまざまな状況になっているところでございます。

濱村分科員 自治体の定める要綱、これが非常に大事なわけでございますけれども、これはぜひ総務省の方からも、どのようになっているのか、実態をしっかりと把握いただいて、スムーズな運営をしていけるような形をぜひ整備していただきたいというふうに思っております。

 設置要綱で定めるところにおいて兼業が可能になる場合もある、届け出、協議をするというようなこともあるというわけでございますけれども、これは、要綱で兼業可能ということであったとしても、さらには、そこで働く場合に、雇用主がいて、雇用主の就業規則が定められているということになるかと思います。この雇用主の就業規則で、しっかりとその枠内で働かなければいけない。これは、基本的には当然のことだとは思いますけれども、一応、念のために確認でお伺いできますでしょうか。

原田政府参考人 もちろん、外部団体での雇用契約がある場合には、外部団体の中での就業規則に応じまして兼業の可否が決まってまいります。

 先ほど、少しお話しさせていただきましたけれども、地方自治体の設置要綱におきましても、例えば兼業に関しては、活動に支障がない範囲では可能ですというのを明記しているところもありますし、逆に、規定がないものが禁止しているというあれではなくて、そういう規定が現実に存在しないので、個々具体に、例えば外部団体との協議なりそういうことを実態上やる中で、地域おこし協力隊の方が活動しやすい、また地元にとっても有意義な役割を果たせるような方策がとられておるものと思っております。

濱村分科員 隊員の方々であれば、基本的には、こういう状況なので兼業をさせてくださいということは可能だとは思うわけでございますけれども、やはり人間関係、地域に行くわけでございますので、なかなかそういう発想に至らない方々も大変多くいらっしゃる地域に行かれることも多いというふうに思うわけでございます。

 高市大臣にお尋ねさせていただきたいというふうに思いますけれども、基本的には、地域で新たな仕事を生み出す、そういったエンジンになるのがこの隊員の方であるというふうにも思っておるわけでございますが、既存の就労環境の中で、この枠組みの中だけでですと、その役割、わざわざ都会から地域に行ったということで、地域を興すんだということで行かれているにもかかわらず、なかなか動きにくいという状況があるやにも聞いておるわけでございます。

 実は、大臣が触れ合っていただいた兵庫県の朝来市の方も、狩猟をされている。よく、朝来市というのは鹿とかイノシシとかさまざまおるんですけれども、そういうものをわなをつくってしとめるということもされておられます。

 その収益源はどうなるんだというと、地元でしっかり調整して、それは構いませんよ、あなたの持ち分にしてくださいという話になっているというふうには聞きましたけれども、当然、それは生計を支えるだけに十分足り得るかというと、そうではないんですね。なので、その程度ならというものがあるかもしれません。ですので、そういったところを柔軟にやっておられる方は非常にいいんですけれども、そうではない地域も大変多くあるというふうにも聞いております。

 ぜひこの点、大臣、非常に重要なところでありますので、兼業ができた方がいいのではないかというふうに思うわけでございますけれども、どのようにお考えでございましょうか。

高市国務大臣 公務員制度の公正性というものも担保しなきゃいけないとは考えております。

 ただ、今、受け入れ自治体におきましてさまざま、任用ですとか勤務の形態についても、その地域の実情に応じて協力隊員が役割を十分に発揮できるように工夫を重ねていただいております。

 これは二十一年度に創設した事業でございますので、これからまだまだ続けていく中で、少し、工夫をしていただいている地域の事例も発信しながら取り組んでまいりたいと思っております。

 何よりも、短期間公務員として働いていただくというよりは、やはりその地域で起業、ビジネスを起こしていただく、御自分で何かに乗り出していただくということをとても重視しとうございますので、来年度の予算に向けて、しっかりと支援の体制をつくっていきたいと思っております。

濱村分科員 大臣、ありがとうございます。

 地域で起業されるということを重視していくということが確認できましたので、本当に安心しているわけでございますけれども、ぜひ取り組みを加速化していただければというふうに思います。

 最後に、ちょっと大臣に、これはお願いだけでございますが、平成二十一年から始めている制度でございますけれども、こうした隊員の方々が地域に残られている、これは、およそ六割残られているということで聞いております。

 このような方々が、どのような形態で採用されて、三年を経た後にどういった形態で残っていらっしゃるのか、あるいは離れていらっしゃるのか。あるいは、その残っている仕事というのは、隊員時代におやりになっていた仕事なのかどうか、あるいはそうではない全く別の仕事なのか、あるいは兼業していろいろやっている取り組みの中で見つけた仕事なのか。こうしたところも、基礎的な情報でございますし、地域おこし協力隊をさらに発展させるという意味では非常に重要なことであると思いますので、ぜひ情報を把握いただければというふうに思う次第でございます。

 大臣については以上でございます。

 続きまして、SIMロック解除に関連して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 昨年の平成二十六年十二月二十二日、年末差し迫ったときでございましたけれども、SIMロック解除に関するガイドラインが改正されたわけでございます。

 ポイントといたしましては、携帯キャリアが、二〇一五年、ことしの五月一日以降発売する端末については、SIMロック解除のサービスを提供しなければいけないということになります。

 基本的に、ナンバーポータビリティーを使って事業者を変更したいとユーザーが思ったり、あるいは、端末はそのまま日本のものを持っていって海外に行きました、海外に持っていって、日本から持っていった端末に現地のSIMカードを差し込んで利用する、こういったニーズに対応するためにはSIMロック解除を進めていかなければいけないということで、ずっと検討してきたわけでございますけれども、このたび、しっかりと進めるということであると思います。

 当然、ナンバーポータビリティーを使った事業者変更がしやすくならなければいけないわけでございますけれども、一方で、一部のキャリアでは、SIMロック以外の制限があるために、利用者にとって事業者変更をしたいと思えない状況をつくっているのではないかというようなことも言われております。

 その制限の一つ、APNロックというものがございますが、ほかにも、SIMロック以外の機能制限というものでいえば、APNロックとかIMEIロック、あるいはキャリア独自の内部のロック、こういったものもあるというふうにも伺っております。特に、APNロックについては、昨年十一月に行ったパブコメでも大変多くの意見が寄せられておりまして、二十一件もの同様の意見が寄せられているというふうにも承知しておる次第でございます。

 そこでお伺いしたいと思いますが、まずAPNとは何なのか、これを御説明願えますでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 APNというのはアクセスポイントネームでございますが、これはインターネットの接続先をあらわす文字列でございます。

 NTTドコモのアンドロイド端末の場合、これは二種類のAPNが利用者の携帯端末に設定されております。一つが、インターネット接続用のAPNでございます。これはspmode.ne.jpというんですが、これと、パソコンとかタブレット端末等から携帯端末を経由してインターネットに接続する、いわゆるテザリング用のAPNの二種類でございます。いずれも、NTTドコモのネットワークに接続をすることとなっております。

濱村分科員 今、APNについて御説明がございました。

 では、このAPNロックという状況、これについてはどのような状況であるか、御説明いただけますでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、MVNOの契約者がSIMカードを差しかえて利用する場合にも、携帯端末上のテザリング用のAPN設定がNTTドコモ用に固定されているというようなこともありまして、MVNOのSIMが差された携帯端末はMVNOのネットワークに接続できないというような状況も、先ほど多分その御指摘だろうと思いますが、そういうことでございます。

 このように、MVNOの利用者がテザリングを利用しようとしたような場合に、MVNOのネットワークに接続できないような状態をAPNロックというふうに呼んでおります。

濱村分科員 今、APNロックがあった場合に、これは実は、いわゆるMNO、ドコモさんとかauさんとかソフトバンクさんとかというキャリアのところから、MVNO、そういったところの回線を借りて事業を行うようなところについては、SIMカードを差しかえた場合に、テザリング、ネット接続できないじゃないかというような状況が発生し得るということであります。ですので、利用者から見てみれば、MVNOにかえたいんだけれどもかえられないという状況が起きかねない、こういう状況であるというふうに思うわけでございます。

 このAPNロックのような機能制限についても解除するべきというパブコメの意見に対して、総務省さんはこのように述べられておられます。総務省さんはしっかり全ての意見に対して考え方を公表されておられますので、しっかりそれの内容について触れさせていただきたいと思うんですけれども、このガイドラインの改正案、本改正案といいます、「本改正案の「六 その他」で示す「端末に設定されたSIMロック以外の機能制限」は、例えばMVNO等の他社のSIMカードが差し込まれた場合にテザリングができなくなるといった機能制限等を想定しており、基本的に本改正案に賛同の御意見として承る。 なお、今後、総務省においても、事業者による取組を注視するとともに、必要に応じ適切な措置を講じることを検討してまいりたい。」というふうに総務省さんはお答えされているわけでございます。

 つまりは、これは基本的に、事業者のAPNロックということについても、SIMロックが解除された場合には、あわせて解除するように努めることが適当であるというふうにおっしゃっているというわけでございます。

 ところが、先ほど局長がおっしゃったので、事業者さん、パブコメでも名指しされているわけでございますけれども、ドコモさんでございますけれども、ドコモさんの方としては、APNロックの解除については検討されておらないというふうに認識をしております。

 これに対しては、総務省はどのようにお考えなのか、お聞かせ願えますでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 利用者が端末のSIMロックを解除して他社のSIMに差しかえて利用する場合、テザリング等の付加的な機能について制限なく利用できることが利用者利便の観点から望ましいと、総務省、私どもは考えております。

 このため、先ほど御指摘のございましたガイドラインにおきましては、「事業者は端末に設定されたSIMロック以外の機能制限についても、SIMロックが解除された場合は併せて解除できるよう努めることが適当である。」というふうにしておるわけでございます。

 先ほどの御指摘ですが、NTTドコモからヒアリングをしたところ、端末にAPNロックをかけている理由といたしまして、テザリングの利用に当たってAPNの手動入力を不要として、ユーザーが容易かつ安心して利用できるようにするということと、本来の携帯端末と、テザリングを経由して接続するパソコン、タブレット等からのコンテンツ利用の範囲を区別するというようなことがあるというふうに聞いておるところでございます。

 NTTドコモでは、アンドロイド端末につきまして、テザリング用APNと通常のAPNを同一にすることも検討しておりますが、この場合、携帯端末のAPNによって行っているユーザー認証の方法そのもの、すなわち通常のAPNかテザリングAPNかによってコンテンツの利用範囲を区別するというようなことを見直す必要がありまして、そこで、コンテンツ事業者等関係者との調整も必要であるというふうに聞いております。

 総務省としては、引き続き、事業者による取り組みを注視してまいりたいと今のところは考えておるところでございます。

濱村分科員 今、コンテンツ事業者との調整も必要だということでございました。確かに、MNOのキャリアからしてみれば、この調整というのは非常に大変な調整であるというふうにも考えますし、多少時間が必要なのかなというふうにも思います。

 一方で、総務省さんとしては、そのドコモさんのお考えに対しては、機能制限の目的が自社の利用者保護である場合においても、事業者においては、その手段の必要性や利用者のニーズも踏まえつつ、利便性とのバランスを考慮して適切な対応に努めることが必要と考えるというふうにおっしゃっておられるわけでございます。

 これはどういうことかというと、たとえドコモさんの既存の利用者の皆様を守るというためであったとしても、それはそういう理由があったとしても、利便性とのバランスを考慮して適切な対応に努めることが必要だと。この必要だと言っている適切な対応、これが実は明記されていないので、なかなか理解に幅が出てきてしまいます。

 特に質問として通告はしておりませんけれども、この適切な対応、どういったことを想定されておられるのか。局長、多分答えにくいと思いますが、ぜひお願いします。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの立場といいますか、これはもう先生御指摘のとおりでございまして、利用者が端末のSIMロックを解除して他社のSIMに差しかえて利用する場合に、テザリング等についても制限なく利用することが望ましいと思っておりますが、いろいろな課題があろうかと思いますけれども、そこは、事業者の方で、APNロックの可否につきましても十分検討していただきたい、こういうふうに考えているところでございます。

濱村分科員 なかなかお答えしづらいことかと思いましたが、いずれにいたしましても、とある事業者さんだけを名指しにするわけではなく、非常に大事なのは、APNロックについては確かにドコモさんなんですけれども、IMEIロックであればほかの事業者、auさんもソフトバンクさんも絡みます。そういうことを考えれば、SIMロックを解除しただけではとどまらない、ほかの機能制限についても、適切な見直しというのは非常に重要なポイントになってくるわけでございます。

 どこまでいっても、これは利用者の利便性を高めるためにやっている取り組みでございますので、その点、バランスを考慮しながら、ぜひ総務省にリーダーシップを発揮していただきたいことをお願い申し上げて、質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

土井主査 これにて濱村進君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木分科員 民主党の玉木雄一郎です。

 きょうは、地域経済の活性化という観点から、地元の幾つかの案件も挙げながら、質問また提言したいと思います。

 まず、大臣にお聞きしたいんです。

 地方創生、今、安倍政権としても力を入れて取り組んでおられます。ローカルアベノミクスとも言われますが、この地方創生というのは、例の第一の矢、第二の矢、第三の矢でいうとどれに当たるんでしょうか。

高市国務大臣 第二の矢にも当たり、第三の矢にも当たると思います。

 財政政策を通じまして、地方の、これから発展していくため、また安全に生活ができるためのインフラ整備を行っていくという面もあるかと思いますし、あとは、やはり成長戦略、それぞれの地域資源を生かしながらそこで雇用を生み出していく、所得を引き上げていく、こういった面もあるかと思います。

玉木分科員 ありがとうございます。

 私もそうだと思いますね。第二の矢、いわゆる財政支出の部分と、第三の矢、いわゆる民間投資を喚起するという本来の第三の矢の非常に重要な役割が、地方の経済の活性化においても、あるいはおいてこそ、むしろ発揮されなければいけないのかなという問題意識を私は持っています。

 その上で、きょう質問したいのは、地域経済活性化支援機構についてであります。

 一つ具体例を申し上げますと、私の地元の、大臣も渡ったことはあると思いますが、瀬戸大橋があります。あの根元に宇多津町という小さな町があるんです。橋の根元にあるという立地を生かしてこれからいろいろな活性化をしていきたいということで取り組みをしておるんですけれども、実は一つ、四国最大規模の水族館をあの橋の根元につくろうという構想がございます。これができれば、四国島内はもちろんのこと、関西方面からも橋を渡って香川県に、四国に人が入ってくる、活性化の起爆剤になるのではないのかということで構想が進んでいます。

 もちろん、水族館ですから、税金を投入してやるような話ではなくて、あくまで民間でやる話だと思うんです。ただ、民間でやる際に少し手助けをするようなことがあれば、このプロジェクトもより円滑に進んでいくのではないのか。

 基本的には、民間の事業ですから、民間で投資回収をして自律的に回っていくということなんですが、例えば、地元から、企業から一定の出資金を集める、あるいは地元の金融機関から融資を集めてそういうことをやっていく際に、地域経済活性化支援機構、REVICというふうに略されると承知をしておりますけれども、こういったところが足りない資本を出資して補ってあげたりとか、あるいは、少しリスクの高い部分の、いわゆるメザニンと言いますけれども、劣後ローンのところを少し引き受けるとか、金融的なストラクチャーを組むときに、民間だけではできにくいところを少し後押ししてあげるということが、民間資金あるいは民間活力を喚起しながら持続的な地域経済の活性化につながっていくという意味では、非常に意味があると私は思うんですね。

 というのは、このREVICさんは、もともとは企業再生支援機構と言って、だめになった企業を再生するということで本来つくられたんですが、途中で法改正がされて、再生事業だけではなくて、むしろ積極的な、活性化事業にも仕事ができるように業務を追加した経緯があると思います。

 その意味では、今こそ出番であって、民間が中心にやっていくような地域活性化案件にREVICさんが積極的に入っていって、まさに民間の知恵と資金で地域を元気にしていく、こういうことに積極的な役割を果たすべきだと考えますけれども、そもそもREVICは、こういうことはできますか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、地域経済活性化支援機構、REVICは、地域における総合的な経済力の向上を通じた地域経済の活性化を図るため、過大な債務を負っている事業者の再生支援のほか、地域経済の活性化に資する事業活動の支援を行うことを目的としておりまして、こうした支援に積極的に取り組むことによりまして、内閣の最重要課題でございます地方創生の実現に貢献することが期待されております。

 こうした背景を踏まえまして、REVICにおきましては、地域の活性化に向けた取り組みを積極的に支援するため、従来から有しておりましたファンドへのGP出資機能に加えまして、昨年十月に施行されました機構法改正により新たに付与されましたLP出資機能をも十全に活用することによりまして、地域経済の活性化を支援するファンドの設立、資金供給の促進を図っているところでございます。

 REVICにおきましては、こうした機能を活用しまして、地域の金融機関とも緊密に連携しながら、地域ヘルスケア産業支援ファンドや地域観光・まちづくり活性化ファンドなどの組成や出資を行ってきているところでございます。

 一般論として申し上げますれば、こうしたREVICが出資を行ったファンドを通じまして、地域の活性化に資する事業を行う事業者に対して出融資を行うことが可能となってございます。

 REVICにおきましては、今後とも、こうした地域経済の活性化を支援するファンドへの出資機能あるいは専門家の派遣機能などを活用することによりまして、地方創生の実現に貢献してまいりたいと存じます。

玉木分科員 室長が言うと簡単なことも難しく聞こえますね。

 ちょっと整理をしますと、今るる説明いただきましたけれども、例えば、水族館のような民間事業がありますね。これはまちづくりにも使える、町の活性化にも使える。では、地元の金融機関、香川県だと百十四銀行さんというのが有名なんですけれども、そういったところと組んでそういった事業に対して出融資を行っていくということは、一般論としてできますね。それをもう一度お答えください。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 もう既に、そのようにして、地域の金融機関と一緒に出資をしてファンドをつくって、まさに、町おこしですとか、地域の観光ですとか、そういうことをやっているファンドはございます。そういうことはできるようになってございます。

玉木分科員 できるということなので、こういうことをぜひ、私の地元でもしっかりと応援していきたいと思うんです。

 最後に大臣にお聞きしたいんですけれども、REVICは、たしか総務大臣も主務大臣の一人に入っていると思います。税金で、一般会計の予算とかでやるのも大事だと思うんですが、ぜひ、民間の努力を応援するような、こういったファンドも積極的に活用して、本当の意味での、第三の矢というか、民間が本当に元気になっていくような応援のあり方を地域創生の中にも明確に位置づけて、総務大臣としても応援、後押しをしていただきたいと思うんですけれども、この点、最後にいかがでしょうか。

高市国務大臣 REVICは、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、経済産業大臣と、主務大臣が四人おります。

 先ほど委員からお話がありました事業も、地域観光・まちづくり活性化ファンドという類型の中で活用が可能なんだろうと思うんですけれども、やはり、REVICがこういう四類型のファンドに出資することによって民間資金の呼び水になるというのは非常に大きいと思いますので、私は、こういった政府系の出融資を積極的に活用することは必要だと思います。

 総務省でも、やはり、このローカル一万プロジェクトを進めるに当たって、民間金融機関の融資が非常に重要であるということで位置づけておりますので、まさに委員の御指摘のとおりだと考えております。

玉木分科員 ありがとうございます。ぜひまた応援をいただければなと思っております。

 もう一つ、地域のお金を生かしていくという意味では、国が税金で召し上げて、それをまた国が配っていくというのも一つの方法かと思うんですが、そもそも、地域で稼いだものは地域に残しておくというのも、私は地域の自主性とか自立性を促していく意味で大事かなと思っております。

 そこで、一つ質問をしたいのは、公営ギャンブル、とりわけ、地元に丸亀ボートというものがございまして、これは、大臣も一回来ていただきたいんですが、今、日本一の売り上げですね。大阪の住之江ボートとかいろいろありますけれども、とてもきれいで、売り上げも非常に上がっているというところなんですが、問題が一つありまして、公営ギャンブルは、売り上げが上がりますと、その一部を地方公共団体金融機構に納付することが義務づけられているわけですね。

 納付したものがうまく使われればいいんですけれども、これは何に使っているのかというふうに聞いたら、この機構がさまざまな地方の事業に融資をするときに、普通よりも低利融資にするためにその利子の差額分を補填しているというふうに伺っています。今はもう極めて低金利時代なので、埋めるべき利子の差というのはほとんどなくなっているんじゃないのかなと思うんですね。

 そうすると、これは、公営ギャンブルも、地方公共団体とある種一緒になって盛り上げて、集客努力もしながらやっているので、そこで上がったものは、召し上げて、言葉は悪いですけれども、上納するんじゃなくて、地域で残して、例えば、丸亀市なんかに入れて、丸亀市がまたそれでさまざまな、子育て事業とかあるいは公益的な事業に使うというふうにする方が地域の活性化に役立つのではないかなと思うんです。

 まず、納付の義務づけ、延長する法律が今出ているやに理解していますけれども、ちょっと言葉は悪いですけれども、公営ギャンブルから上がったものを召し上げて機構で使っているという、この事実関係について教えてください。

佐藤政府参考人 公営競技を施行している団体から納付された納付金については、この使途といいますか取り扱いについては、地方公共団体金融機構法に規定がございます。

 金融機構に納付された納付金は、地方公共団体健全化基金に積み立てた上で、その運用益を地方公共団体向けの貸付金利の引き下げに充てているところでございます。

玉木分科員 金利の引き下げに充てるということなんですけれども、今申し上げたように、だんだん金利は下がってきていますから、その必要性もだんだん下がってきているのかなというふうに思うんですね。

 従来そういう仕組みだったとは思うんですけれども、地域再生の観点からも、納付金の義務づけというのは、一律義務づけしたものはそろそろ廃止してもいいのかなと私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 これは、制度そのものが、施行団体に偏在する収益金の全国的な均てん化というものを図る目的で創設されております。それから、やはり刑法の特例として認められている公営競技というものが社会的な理解を得るための一つの要素となっております。

 丸亀ボートさん、せっかく頑張っていただいているんですが、だからなんですけれども、納付金は一定以上の黒字団体のみがまず納付する制度となっており、財政規模に比べて多額の繰り出し金や基金残高がある団体もあって、制度の意義そのものは失われていないと考えております。

 それで、今委員から御指摘がありました納付金制度の延長についてなんですけれども、これも、地方六団体からかなり御要望もあり、施行団体の経営状況にも配慮して、暫定的に納付額を現行の算定方式から二〇%減額することということで施行団体の皆様にも御理解をいただいたところでございます。

 当面は、やはり納付金を通じた地方財政全体への貢献がさらに図られるということが望ましいと考えております。

玉木分科員 今の立場ではそういうお答えになると思うんですが、では、今機構の貸し付けが何にされているのかというのを、大臣、ぜひ一回分析していただきたいんです。

 昔はいろいろな、例えば上下水道とか、地方がやっている事業に対して貸し付けして、それを安くしようということだったんですが、今は半分弱が臨財債ですよ。実は臨時財政対策債になっているので、事業をやってそれを安くしてあげるというのが、少し機構の貸し付けのありようも変わってきているのかなというふうに思うのです。

 今回は、少し納付を安くしていただけるということで、それは非常にありがたいんですが、中長期的にはこの制度のあり方そのものにさかのぼって、ありようをぜひ考えていただければなということを、地方創生の観点からも提言申し上げたいなと思っております。

 次に、これも地域の創生、活力ということにつながるんですが、日本郵政グループのことについて少しお伺いしたいと思うんです。

 三社同時上場ということで進めておるんですが、復興の財源に充てるということでありますから、できるだけ上場の価値というのは高くなればいいと思います。その意味では、特に金融二社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の収益性が上がっていくように、キャッシュフローが将来的にも出るような方向で改革をしていくことが大事かなというふうに私は思っておるんですが、まず、問題が一つあるのは、例の限度額であります。

 これは、大臣もこれまでも何度か記者会見や国会でも聞かれてお答えになっておるんですが、上場価値を高めて株価を上げることを考えれば、限度額はやはり廃止して、ある程度自由にやっていただくように持っていくのが方向だとは思うんです。一方で、他の金融機関とのイコールフッティングというようなことも言われますし、アメリカからもいろいろ言われるということがあると思います。

 例えば、ゆうちょ銀行にちょっと絞ってみましょうか。ゆうちょ銀行の預け入れ限度額の引き上げというのは、大臣、可能ですかね。

高市国務大臣 不可能なことではないと思っております。

 私もこれまで、ゆうちょ銀行の限度額の水準について、記者会見等でも質問を受けて発言をいたしておりますけれども、これは、現在は郵政民営化関連法令で定められていて、原則一千万円とされています。

 しかし、この限度額の見直しをすることによるメリットという点でいいますと、御高齢の方で、そのお住まいの地域にゆうちょ銀行及びごくごく少数の金融機関しかないといった環境だった場合に、年金や退職金が振り込まれて限度額を超過してお困りになるといったようなこともございますから、やはり地域創生という意味でも、地方でも安心して快適に利便性を持って生活が営める、そういうことを考えましても、利用者の利便性には大いに資すると思います。

 それからもう一つは、やはり株式を日本郵政グループは上場いたしますので、日本郵政グループ全体の企業価値の向上にも一定の効果はあると思います。企業価値の向上ということを言いますと、むしろの業務の範囲などの拡大の方が効果はあるんでしょうけれども、それでもやはり、民営化してよかったねという、利用者の利便性といったところには一つのポイントを当てていく必要があるのかなと考えております。

 ただ、二十四年の郵政民営化法改正法案の附帯決議が国会でございます。限度額については当面引き上げないこととされておりますので、そういった意味で、他の金融機関との競争関係への影響も勘案していくことが必要だということを何度か申し上げてまいりました。

 今、与党の方でも議論が始まっているようでございますし、これは附帯決議でございますから、各党の中で、どういった御意見があるのか、御議論があるのか、そういったことも見きわめながら、限度額のあり方について考えてまいりたいと思っております。

玉木分科員 ちょっと突っ込んで話をしたいんですが、郵政民営化法の百四条と百三十四条なんですけれども、限度額の規制が解除される場合が一応法定されておりまして、一つは、日本郵政が、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式を全株処分した日。あるいは、日本郵政が、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の株式の二分の一以上を処分した場合に、今度は二分の一でいいんですけれども、そのときに、内閣総理大臣、これは金融庁長官ですね、及び総務大臣が、限度額等の特例の規定を適用しなくても、他の金融機関等との適正な競争関係を阻害しないと認める旨の決定をした日。いずれか早い日に解除されるということなんですね。

 多分、ハードルが低い方は、まず二分の一を処分して、金融庁長官と総務大臣、高市大臣が、余り競争関係を阻害しないねというふうに決めたらできるので、こっちの方がハードルが低いと思うんです。

 ただ、これは報道ベースですけれども、今回上場をするに当たって、東京証券取引所には、発行済み株式の三五%以上の流通を求める東証のルールがございます。社長の会見だったと思いますが、お伺いすると、三五%以上を流通させるというルールの特例を認めてもらうように今調整をしているということは、多分、最初の上場のときには、発行済み株式の三五%未満しか市場には出ていかないということなんだと思います。

 そうすると、まず、さっき申し上げた全株処分か、あるいは二分の一以上処分して、最低二分の一処分して、大臣がいいよというふうに認めるという二つ目の要件も、三五%さえも株を市場に出さないというのであれば、第二要件も結構厳しいのかなというふうに思うので、今回の上場に当たっては、事実上、限度額を、やはり規制を撤廃するのはなかなか難しいのかなというふうに現行法の中では感じるんですけれども、これは改めていかがでしょうか。

高市国務大臣 私が記者会見で意見を述べておりますのと同じように、麻生大臣も記者会見で意見をおっしゃっております。

 やはり、他の金融機関との間の競争関係に影響を及ぼす事情、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命の経営状況などを勘案することが求められていたと記憶をしているということとともに、附帯決議について述べられております。なかなか簡単に結論が出るような話ではないということを麻生副総理・財務・金融担当大臣が記者会見でおっしゃっております。

 なかなか高いハードルでもありますし、さまざまな意見が与野党内にあるかと思います。やはり国会の附帯決議というのは政府にとりましても大変重いものでございますから、繰り返しで恐縮ですが、法的な問題というよりは、むしろ各党の中で、現在の競争環境も踏まえてどのようにお考えになるのか、このあたりを見きわめて対応してまいりたいと思っております。

玉木分科員 ありがとうございます。

 なかなか、私も、現行法上、見ると、すぐには難しいのかなと思うんですが、大臣が最初におっしゃったような、うちの近所もそうなんですけれども、他の金融機関がなかったりとか、あるいは離島とか、そういうところで、例えば、都銀さんがこんなところに支店をつくるんですかみたいなところがあるわけですよね。

 明らかに競争関係でバッティングしない、あるいは特に競争が生じない、そういったところについては、地域限定で少しその限度額を外すような、地域特例のようなことを考えていく方が私は現実的なのかなと。いきなりゼロか一〇〇で外すか外さないかというよりも、地理的な条件によっても随分競争条件は違うと思いますので、離島特例とかあるいは過疎特例とか、離島振興法の適用になっているところ、あるいは過疎法の適用になっているところ、そういったところをまず限定的に外していくというのも立法措置のありようとしてはあるのかなと思います。

 これは与野党を超えて議論を深めていければなと思っておりますけれども、何か御意見とか感想がありましたら。

高市国務大臣 ゆうちょ銀行以外に全く金融機関がないようなところについては今でも例外が認められておりますけれども、それでも、今委員が指摘されたように、地域を限定する、特に過疎地、離島などに限定するとか、あとはやはり年齢で、何歳以上の方に対してはという限定をするとか、いろいろな方法はあるんだろうと思います。

 やはりこれも、国会の方でもぜひお知恵をいただきたいと思っております。

玉木分科員 最後に一問お伺いしたいんです。

 二月十八日の社長の会見録をちょっと読ませていただいたんですけれども、ゆうちょ銀行、物すごい金融資産がありますね。この運用の見直しを行うということ、正確に言うと、「全面的に現在のポートフォリオを見直す必要があると思っています。」ということをおっしゃっておるんです。

 これは、昨今、GPIF、年金の基金については、株式への投資比率をふやすということである意味非常に大きな話題となりました。ゆうちょ銀行の持っている金融資産も負けず劣らず巨大でありまして、現在、国債を中心に運用されていますけれども、これを同じように見直していくのか。つまり、株式への、とりわけ国内への株式投資をふやしていく方向で運用の見直しを行うのかどうか。この点について教えていただけませんでしょうか。

田中参考人 ゆうちょ銀行の運用についてお尋ねを頂戴いたしましたので、御説明を申し上げます。

 まず、ゆうちょ銀行を民営化いたしましたのが二〇〇七年の十月でございます。その時点では、先生御指摘の国債等、我々は、財投の預託金も含めまして約九割あったものでございますけれども、その後、ALMの管理等をやりながら、またリスク管理をやり、運用の多様化ということに取り組んでまいっておりまして、二〇一四年の九月の段階では国債等のウエートが約六割を切ったところでございます。そういう意味では、民営化以降、多様化、高度化に努めてまいったところでございます。

 足元の、この経済の金融状況でございますので、やはり運用の多様化というのは非常に重要な経営課題の一つだというふうに考えておりまして、現在、私どものグループは中期経営計画の改定作業を行っておりますけれども、その中におきまして、この運用の多様化、高度化というのは非常に重要な課題の一つだということで、いろいろな角度からグループ内で検討を重ねておるところでございます。

玉木分科員 では、具体的に、国債を減らすとか株式をふやすとかという方針は、今現在ではまだ決まっていないということでよろしいですか。

田中参考人 今申し上げましたように、現在策定中でございますので、現時点で、特に確たる数字とかいったものについては持ち合わせてございません。

玉木分科員 上場しますよね。そうすると、少なくとも上場までには、どういう運用方針か、これはさすがにお示しになるということでよろしいですか。

田中参考人 まず、今申し上げました中期計画の策定をしておりますので、そのときに今後の運用の多様化をどう考えておるのかということはある程度説明をしていかなきゃいけないなという認識でございますけれども、運用につきましては、やはりマーケットに与える影響というのも、先ほど先生御指摘のとおり、私どもかなりの金額を運用しておりますので、そういったことも考えまして方針を説明してまいりたいというふうに考えております。

玉木分科員 いや、スケジュールだけ教えてください。しっかりとした運用方針が明らかにならないと、バリュー、企業価値のつけようがないと思うので、そこはさすがに上場までには、運用方針は出されますよね。

田中参考人 繰り返しになりますけれども、今作業をしておりますけれども、運用の方針という大枠、フレームワーク、考え方等については、極力説明をしてまいる努力をしてまいりたいと思っております。

玉木分科員 最後に、全国津々浦々の郵便局の窓口から預金を集めてこの大きな資産が形成されていますね。もちろん、投資効率あるいはリターンを大きくしていくということも大事なんですけれども、もともと地域から集めたお金なので、一番最初にREVICの話を出しましたが、まちづくりとか地域を元気にするようなファンドがいろいろ組成されていますね。こういうところにも積極的に資金を出していって、地域が元気になることにお金を戻していくというような観点で運用方針を定めていくのも、日本郵政グループのあり方としては、単に利益だけを追求するのではなくて、もちろんリターンは一定程度求めなければいけませんけれども、地域を元気にしていく、お金を出していただいた地域に還元させていくという観点からも投資を考えていくということが大事だと私は思います。

 運用方針を決めるに当たっては、そういった地域への貢献といったような観点も、ぜひ、ゆうちょ銀行にはお願いしたいな、このことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

土井主査 これにて玉木雄一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、木内孝胤君。

木内(孝)分科員 維新の党、木内孝胤でございます。

 本日は、地方創生、そして郵政の改革の二点についてお伺いをいたします。よろしくお願いいたします。

 まず、地方創生についてでございますが、我が国は、連日の予算委員会でも御論議されていますとおり、人口減少、財政、社会保障、本当にさまざまな課題を抱えております。その中で、課題を解決するために、この地方創生はこれ以上にないぐらいすばらしい考えだと思っております。

 一方で、いろいろ振り返ってみますと、改革ですとか成長、あるいは地方を活性化させる、こうした議論というのは、過去二十年間ずっと続いてきている議論でございます。

 私は、二年前の選挙に一度落ちまして、今回復帰したわけでございます。二年間、なぜ、改革あるいは成長、さまざまのことが進んでいないのか、本当に考え抜きました。地元の商店街、あるいは地域の皆様、そして、私は地元が東京でございますけれども、日本津々浦々、いろいろな方とお会いしました。

 一つ、私の問題意識として、やはり今の経済の仕組みそのものが時代に合っていないのではないか、そのような問題意識がございます。

 そこで、総務大臣にお伺いをいたします。

 地方を活性化させるためには、いろいろなアプローチがあると思います。国が中央からいろいろなメニューを出して、アイデアを出して、指導して地方を助けるという考え方、これはすなわち、従来の中央集権型の地方創生のやり方だと思います。

 他方で、自主自立。私は、地方創生の一番の肝は、個人が自立をして、地方が自立をして、分権自治を進めることだと考えております。もちろん、その中身としては、税財源の移譲も考えられます。

 地方分権なくして地方創生なしと考えますが、大臣は、地方創生に関して、中央集権的なアプローチがいいと思っていらっしゃるのか、あるいは、地方に全てを任せて、税財源も含めて任せる、この二つ、どちらのアプローチの仕方がよろしいとお考えでしょうか。

高市国務大臣 まず、現在行っております地方創生政策、そして二十七年度に総務省で取り組もうとしております地方創生に資する政策は、基本的に地方分権の考え方に立っていると考えております。

 他方で、地方交付税制度がございますけれども、これはやはり、日本全国どこに住んでいても一定の質の行政サービスがきちっと受けられる、その財源を確保するという趣旨のものでございますから、財源の再配分といった意味でも、中央集権的な嫌いはあるかと思います。

 しかし今回、特にまち・ひと・しごと創生事業費を地方財政計画の歳出に計上するに当たりまして、これは、地方公共団体が自主性、主体性を最大限発揮できる環境をつくるということ、ここに期待をいたしました。

 地方創生は、まさにこれからが正念場で、いつまでも東京で上がった税収を地方で分けようという形ではいけません。むしろ、日本全国どこに住んでいても質の高い教育が受けられる。子供を連れて帰って、お父さん、お母さんの働く場所がしっかりとある。それから、安心して生活ができる、社会保障サービスが受けられる。それから、どの地域に住んでも安全に生活ができる、防災体制なんかも問題がない。さらには、今まで、テレワークなどを活用してということでブロードバンド環境の整備なども進んできましたけれども、むしろ、地方に人の流れをつくろうと思ったら、今までのテレワークの考え方を超えて、東京、大都市圏の企業などが地方で生活している人をテレワーク採用する、それぐらいのところまで行かなきゃいけないんじゃないかなと思っております。

 基本的には、地方でできるだけ主体的にアイデアを出していただき、それを当面、国が支援を行っていくということが望ましい、そう考えております。

木内(孝)分科員 地方創生大臣のこちらの資料でございますけれども、こういうのを拝見していましても、地方の自立につながるですとか財源の自由度を増すとか、そういうことが非常に意識されているということは読み取れます。

 ただ一方で、総じて、結論として何が上がってくるかというと、結局のところ、受け手サイドの地方からすると、全然自由度がないという結論になっております。

 それと、これは必ずしも大臣所管の話ではございませんけれども、中央集権体制の維持という観点からいうと、例えば、今、商工中金、これも民営化延期というような方向になっております。あるいは政投銀、こういうのも民営化延期の方向となっております。

 私は、アベノミクスにおきまして、金融緩和ですとか積極財政、ここについてはもともと方向性が非常に似ておりましたので、中央集権体制、官僚主導からの脱却という意味において三本目の矢に期待していたところ、こうした改革も実は全部先延ばし。あるいは、GPIF改革は、私も前からいろいろ申し上げていた中で、結局、何かガバナンスの強化と言いながら、ガバナンスの強化も骨抜き。こうした方向性を全部合わせますと、私は、今回の地方創生というのが、正直言って全く期待できないというふうに考えております。

 例えば、個々の、私が復活当選して初めて出てきたのが補正予算の中身でございましたので、これをちょっとお伺いしたいんですが、いきなり補正予算の中身で出てきたのが、プレミアムつき商品券あるいは低所得者向けの灯油等の購入助成、そしてふるさと名物商品・旅行券。過去の地域振興券なんかとあわせても、その経済効果がいかほどにということも含めて、これは内閣府にお伺いしたいんですけれども、この経済効果、あるいは、過去は大した効果はなかったけれども、今回は新たな創意工夫がなされて非常に効果があるのか否かとか、こうした改善点あるいは工夫点、そして乗数効果、経済効果についてお伺いをいたします。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 まず、今御指摘の地域振興券について申し上げますと、これにつきましては、当時経済企画庁が行った分析によりますと、新たに誘発した消費喚起効果は給付額の約三割程度であったと承知をいたしております。

 今回行いますプレミアムつき商品券についてですが、これは、これまでも各自治体でもかなり実績がございますし、どこが違うのかと申し上げますと、地域振興券は全額が国費であったわけでございますが、このプレミアム商品券については、そのプレミアム部分について交付金を充てるということでございますので、助成した金額以上の消費効果が期待できると我々は考えているところでございます。

 また、具体的に、それぞれの地方団体がどのようなプレミアム率を設定するとよりよく売れるのかということを、それぞれ地域の、地元の商店街の方々も入っていただきまして、消費喚起効果が最大となるようなことで、実情を踏まえたプレミアム率を設定しながら取り組んでいただきたいとお願いをしているところでございます。

木内(孝)分科員 いろいろ工夫はなされているんだなということは感じる一方で、これを受け取る商店街の方とも私は直接議論をさせていただいておりますけれども、これは本来、国が今方針を転換して、個人の自立、地方の自立、国家の自立を目指すべきときに、全く逆行した政策だというふうに思っております。

 ここで、大臣にお伺いいたします。

 維新の党は道州制の導入をうたっております。過去の延長線上に基づいて、小さな創意工夫では、こうした根本的な仕組みの変更はできないと思っております。こうした中で、大臣の道州制に向けての御所見をお伺いいたします。

高市国務大臣 これはもう、まさに国の基本システムにかかわることでもあります。都道府県の役割、存在というものをどう考えるかというのは、非常に大きなシステムの変更につながることでございます。

 現在、与党の中でも道州制推進に向けた検討が行われていると聞いておりますので、これは本当に、国会で多くの会派の衆知を結集しながら結論を出していく、そしてまた、決まったらしっかりと総務省はそれに対応するということだと考えます。

木内(孝)分科員 この道州制以外のところで申し上げますと、やはり日本というのは、これはいろいろな方、諸説ございますけれども、例えば野口悠紀雄先生なんかの言う戦時統制経済、戦時に今の経済の仕組みの根本がある程度固まったのではないかという見方がございます。

 私は、その統制型の経済から自由主義経済、あるいは中央集権から地方分権、あるいは計画重視からルール重視、あとは、特定産業の利害を重視するところから市場を重視する、今いろいろ行われています産業政策よりも競争政策を重視する、特定産業の補助金よりも減税を重視する、裁量型再分配よりルールに基づいた再分配をする、こうした方向性が、国が成長軌道に乗る、活力を取り戻すための最も有効な成長戦略だと思っております。

 大臣は、総務大臣になる前も政務会長を務めていらっしゃいましたし、どちらかというとこういう思考の大臣あるいは政調会長でいらしたのではないかと私は思っていたんですが、ただ、永田町に復活して、戻ってきますと、それと逆行している。先ほど申し上げた、民営化を延期するとか、競争主義を排除するとか、個人の自立を阻害するとか、私は、そのように見えてしまって、今困っているところです。

 その点につきまして、大臣の御所見をお伺いいたします。

高市国務大臣 例えば、商工中金の民営化の延期について例を挙げられましたけれども、やはり、昨年、消費税率の引き上げもあり、先ほどから御指摘がありますように、地方によってはまだまだアベノミクスの効果が実感できない。特に中小企業、小規模事業者は厳しい状況にある。その中で、まだニーズがあるということでこれを延期することにしたものだと承知をしております。

 それから、私自身もやはり、行き過ぎた結果平等を排して、やはりチャンスの平等というものを保障していく社会が望ましいと考えておりますし、公平で公正な社会、これが重要だと思っております。

 実際、自民党も政権に復帰させていただき、安倍内閣が取り組んできた中に、生活保護の不正受給もできるだけ減らしていこうと。これは、大変な人手も要ることです。そしてまた、地方の公務員の転勤などもありますから、なかなかノウハウが蓄積されない、情報が蓄積されない。困難もあるけれども、やはり公正な社会じゃなかったら、真面目に頑張って義務を果たしている人がばかを見るじゃないか、こんなことで一生懸命取り組んできたことです。

 何も、市場経済を否定している政策が行われているとは私も思いません。例えば、農地をできるだけ広いものにしていって、生産性を上げるためにということで農地の制度改革も行われ、今は農協改革に取り組んでおりますし、TPPへの参加につきましても、守るべきものは守りながらも、ダイナミックな市場経済、そしてまた国際競争の中でしっかりと体力をつけていく。日本の産業も力強くなっていくんだ、そのかわり、広大な市場の中でしっかりととるべきところはとらせてもらいますよ、こういう発想に基づくものだと思います。

 少なくとも、総務省でも、地方の自主性、自立にポイントを置いて政策は構築しますが、しかし、冒頭申し上げましたとおり、日本国に住んでいる限り、ナショナルミニマムをしっかりと保障していく、しっかりと必要な行政サービスは受けられる環境もつくっていかなきゃいけません。今、全部の地方が自立をして自主財源でやっていける、そういう状況ではありませんから、しっかりと地方に体力がつくところまで応援は続けてまいりたいと思っております。

木内(孝)分科員 地方創生の取り組み、方向性が間違わないように、我々としても、自立の地方ということで御提言を申し上げたいと思います。

 続きまして、郵政についてお伺いをいたします。

 これは日本郵政の方にお伺いいたしますが、今後の民営化に向けてのスケジュールと、上場へ向けての取り組み、経営課題を教えてください。

鈴木参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、日本郵政と、その傘下に三つの大きな子会社を持っておりますが、そのうちの二つ、ゆうちょ銀行とかんぽ生命、合わせて三社を上場いたすことにしておりまして、昨年十二月の末に、この秋に向けて三社同時上場したいということを申し上げました。

 現在のところ東京証券取引所に上場する予定でございますので、東京証券取引所の方で上場に向けて、三社同時上場ということでいいのかということと、あと、上場するに際しましては、株式総数の三五%以上を出すという規定がございますので、それを今回日本郵政グループの上場については適用しないということを、先月の終わりだったと思いますが、パブリックコメントの、求める形で、東証の意見として出しております。ですから、そういう意味で、東証の規制上の問題は何とかクリアできるのではないかと思っております。

 もちろん、それ以上に、上場に当たりましては私どもの企業の業績がしっかりしているということが何よりも重要でございますので、現在、昨年つくりました中期経営計画の見直しをしている最中でございますが、三年後にも、今のパフォーマンスよりはいい結果が出るようなものをつくっていきたいと思っております。

木内(孝)分科員 私も銀行に十二年間と、その後、外資系の投資銀行に八年ほどおりまして、上場会社の主幹事を複数社担当させていただきましたが、本当に上場準備というのは、普通の仕事以上に骨の折れるものでございます。我々としても、さまざまな意味でバックアップをしてまいりたいと思います。

 一つ、その中でお伺いしたいのですが、ゆうちょ銀行の社長が三月末で交代をするのではないかと言われております。これは、二百兆円の資産を持つ世界最大級の銀行でございます。そして、今後、上場を控え、資産のリスク管理、ALM管理、あるいはBIS規制の強化に向けての体制づくり、さまざまな経営課題がある中で、ガバナンスの強化として、これは非常に難しいところでございますが、政治がこうした民間企業への人事に介入するというのは、なかなか距離感が難しい。

 一方で、これは非常に公益性があって、まだ政府が株を保有している。こういう状況の中で、今、大臣もこの社長人事に一定程度かかわる可能性があろうかと思いますし、あるいはかかわること自体が問題な可能性もあります。

 こういう平場でなかなか議論しづらい面はあるかと思いますが、この社長の適格要件、どういう業務経験を有していたりとか、あるいは、今副社長がおっしゃったような経営課題に向けてどのような人物像をイメージされているか、御所見をお伺いいたします。

高市国務大臣 ゆうちょ銀行の役員が就任しようとか退任しようとされる場合には、法に基づき、事前に届け出を行うということになっております。ただ、ゆうちょ銀行も会社法及び銀行法に基づく一般の銀行でありますから、次期社長にこういう方がよいというようなことについては、私は申し上げるべきではなく、銀行の経営判断に委ねられるべきものだと思っております。

 ですから、委員も銀行にお勤めでしたからよく御承知のとおり、銀行法第七条の二に定められております取締役等の適格性として規定されている内容、これだったら一般論として申し上げられると思います。銀行の経営管理を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者でなければならない、そういった方であろうと思います。

木内(孝)分科員 法律ではそのように定められているわけですけれども、私が一つ懸念しておりますのが、GPIFのケースと非常に似ているかと思うんです。

 GPIFというのは百三十兆円の資産を有しております。GPIFを改革するということを言うと、株式のポートフォリオをふやすという文脈に聞こえてしまうわけです。そうしますと、結果としまして株価上昇につながる、市場をそれだけ動かす要因になるわけでございます。

 ゆうちょ銀行はGPIFと立場は違いますし、独法と違いますけれども、その中でも、やはり市場への、マーケットへの影響力が非常に大きい中で、一つ一つのコメントが物すごく重要なわけです。それにもかかわらず、今まで、株式のポートフォリオの変更のニュースが出たり、あるいは、ダボス会議という大きな会議で、成長軌道に向けてGPIFを改革するとか、そういったようなコメントも過去に引かれているわけでございます。

 これが株価上げにつながってよかったと思っていらっしゃる部分もあるかもしれません。しかしながら、何が起こったかというと、みずから株価をつり上げておいて、そして国民の財産を、国民が後追いで株を買わなければならない、そんなような状況に追い込まれたりして、私は、これは、市場との対話において非常に問題のある行為を行っているというふうに認識しております。

 GPIFは、独法としてはどちらかというと塩崎大臣所管ということかもしれませんけれども、ゆうちょ銀行もそれだけ規模が大きい存在となっておりまして、例えばポートフォリオというか資産運用の内容を見直すとか、そうした小さなコメント一つでも相場を動かし得る、非常に大きな存在でございます。

 こうした問題についてのコメント等、あるいは過去のGPIFの関係者のコメント等について、大臣の御所見をお聞かせください。

高市国務大臣 今の問いに対しては、総務相としてコメントをするべき立場にはないと思っております。

木内(孝)分科員 総務大臣としてはコメントできないかもしれませんけれども、それだけ影響があるということは御認識いただいて、三月末、その人事等につきまして、また、そもそも政治サイドからこうした民間会社の人事についてコメントするということも含めて、慎重に御対応いただければと思います。

 それで、一つお伺いしたいんですが、これは郵政会社の方にお伺いした方がいいのかもしれません。

 一つ、収益をふやす方向性として、総資産をふやすことによって収益を上げるという考え方がございます。これが今、限度額の引き上げ等々の話じゃないかと思います。もう一つ、収益の上げ方の考え方としては、やはり資産運用能力を強化するということかと思いますけれども、今度、上場に当たっては、資本収益率、資本をどのようにして効率的に活用しているのか、そういうようなことが言われます。

 恐らく、限度額を上げるということは、ある程度規模は大きくなるけれども、どちらかというと収益率の向上にはつながらないということでございますが、そこら辺の郵政会社としての方向性、収益性を目指すのか、それとも収益の絶対額を目指すのか、ここはやや曖昧なメッセージを今市場に発信していると私は考えておるんですが、その点の御意見をお聞かせください。

鈴木参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御質問でございますが、二つを二つながら追求したいと思っております。

 まずは、私どものゆうちょ銀行の収益の九割五分以上は資本収支、すなわち運用益でございます。したがいまして、これも二月の定例記者会見で私どもの社長西室が申し上げましたが、リスク管理を十分した上で、運用能力のある人を、公募してでも来ていただきたいと思っておりまして、現に公募をして、少し、何人かはもう応募がございます。

 したがいまして、まずは、一番大きいところでは、運用能力を上げて収益率を上げたいというのが一つ。

 もう一つは、今現在、百七十七兆円の預かり資産、負債を持っておりますけれども、これに資産も合わせれば二百兆円近いわけですが、全体の大きな資産があるからこそうまく回っているということだと思われます。

 昨年一年間は金利がずっと低下傾向ではございましたが、その中でも、年度見通しでいいますと、千五百億円ほど収益を上げることができます。これも全て、大きな資金があって、それをうまく回したからだと思っております。

 したがいまして、現在、次の中期経営計画を考えている最中でございますが、預かり資産も、一応は、ある程度は伸ばしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

木内(孝)分科員 こちらの立場で資産のバランスをどうこうコメントする立場にはないんですが、国債の保有残高が過去一年間で六三%から五三%に大きく減少しております。

 過度に一つの資産に偏った運用というのは、ALMの観点から、一般論としてはなかなか危ないのではないかという気もしている中で、私は、これは基本的に健全な方向への分散かなというふうには思いますけれども、今、国債の価格がかなり高いところで張りついている中で、今なおこれだけの大きな金額の国債を保有している、ここら辺のリスク管理をどのようにお考えなのか、郵政の方にお伺いしたいと思います。

鈴木参考人 私どもは、毎年、ゆうちょはもちろん、かんぽも同様でございますが、年間のリスク管理計画を立てておりまして、その中で、まずALMをどう見るかということをやっております。

 その中で、当然、その大きな計画の上で毎月見直していくわけでございますが、そのうちで、同じリスクの中にも、市場の金利リスクもあれば、いわゆる市場リスクもあれば、あるいはオペレーショナルリスクもあるというところで、今委員御指摘の点はいわゆる金利リスクに係る部分でございますけれども、そこも、全体としては幾つになるというふうな数字でALM管理をしております。

 特に、金利に係る部分でいいますと、レバレッジ比率が大分話題になるわけですが、そこも当然、金融庁の御指導のもとの一般的な、これだけの安全度を見てくれという中には当然入っておりますので、その部分は守りながらやっていきたいと思っております。

 以上でございます。

木内(孝)分科員 それと、最後にお伺いしたいんですが、やはり郵政グループの場合、非常に大きな公益性を持っていると思います。

 そうした中で上場となりますと、ある意味、経済あるいは収益追求といういろいろな義務が課されるわけでございますが、そこの公益性と収益追求のバランスのあり方。私は、郵便局が持っているネットワーク等々、社会で果たしている役割は非常に大きいと思っております。私は証券会社出身ということで、どうしても収益追求型のタイプと見られがちなんですが、ここの収益追求をするバランスと、公益性というのはとりもなおさず採算性が落ちる可能性がある。この二つの逆方向に向いた課題をどういうふうにお考えなのか、お聞かせください。

鈴木参考人 お答え申し上げます。

 一般論として、表現は悪いんですが、過疎地といいますか辺地といいますか、そういうところに支店を置くともうからないのではないか、こういう指摘がございますが、私どもは二万四千のネットワークを持っていることがコストではなくてブランド力になっていると考えておりまして、やはりこれだけの郵便局があるからこそ、郵便を信頼していただき、郵便貯金もどこでもおろせるということで信頼していただけていると思っております。

 その意味で、法律の中に記されておりますユニバーサルサービス義務は当然に守っていくつもりでございますし、十分に果たしていきたいと思っております。

木内(孝)分科員 日本郵政グループの上場に向けた取り組みその他、応援させていただいておりますので、ぜひ頑張っていただければと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

土井主査 これにて木内孝胤君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂分科員 逢坂誠二でございます。

 高市大臣、それから籾井会長、きょうもよろしくお願いいたします。

 まず最初に、地域おこし協力隊についてお伺いをしたいんですけれども、私は、この地域おこし協力隊という仕組みといいましょうか制度を非常にいいなというふうに思っています。

 去年の夏も、私の地元のある町で、地域おこし協力隊の御夫婦がその町を離れられるということで、地域の皆さんが非常に残念がって、地域の会館で送別会をやっていて、それに一緒に参加をさせてもらいまして、最後はもう、みんなで酒を酌み交わしながら、涙、涙。

 それで、地域おこし協力隊というと若者を想定する方も結構多いんですけれども、ある一定程度経験を積まれた方、しかも御夫婦でその方は来られていたんですけれども、非常にいい働きをしているということで、私はこの制度をいいなというふうに思っています。

 さらにまた、私自身も、自治体で仕事をしておりました折には、やはりよそからいろいろな人が地域へ来る、出入りをするということが大変大事だと思っておりまして、例えば私がやったのは、情報通信会社の社員を役所の職員として採用する、六カ月とか二年とかであります。あるいは、新聞記者の方に研修の一環で一年二年働いてもらう。あるいは、私どもの職員もまた、よその観光協会へ出したり、いろいろなことをやる。それでやはり地域の元気に非常に多くつながっていくわけです。

 したがいまして、この地域おこし協力隊はこれからも一生懸命やってもらいたいというふうに思うんですが、これからまたさらに人数をふやしていきたいというふうに伺っておりますけれども、大臣、現時点で、課題といいましょうか、何か問題点のようなことはないのか、そのことについてまず御所見をお伺いいたします。

高市国務大臣 地域おこし協力隊について、まず課題として認識しておりますのは、一つは、今後三年間で隊員数を三千人にするということで、昨年六月に島根県に安倍総理が行かれて地域おこし協力隊の活動に感動して、ぜひともということで、こういう御指示があります。

 二十一年度に創設されたときには、人数は八十九人でございました。二十五年度末で九百七十八人、恐らく今年度末、二十六年度末で千五百人を超えるかなという見込みになっているんですが、二十八年度末までに三千人にするということ、これはかなり積極的な広報も必要ですし、取り組みとしては、困難を乗り越えなきゃいけない部分はたくさんあると思います。

 もう一つは、やはり隊員の活動の円滑化のための受け入れ体制の整備と、それから研修交流機会の拡充だと思っております。OBの隊員が困ってきたこと、それからまた成功されたこと、いろいろな事例を、現役の隊員もしくはこれから協力隊に参加される方が、情報を共有したり教えていただいたりしながら勉強する。それから、現役の隊員同士の情報交換というのも大変いいと思いますね。

 それから三つ目の課題は、やはり任期終了後、三年間終了後にその地域に定住していただいている、そこで就労していただいている、こういった方が今でも六割ですけれども、もっともっとふやしていけるように、就業機会の確保ということに力を入れなきゃいけないと思っております。

逢坂分科員 確かに、今大臣言われたような課題があるというふうに私も思います。

 実は、複数の地域おこし協力隊の皆さんと意見交換をするというか、私もいろいろ地元を歩いている、それから以前の仕事の関係もありまして、全国の地域おこし協力隊の皆さんと接する機会も多いわけであります。

 そういう中で聞こえてくる声は、非常にやりがいがあるとか、来てよかったという声がある一方で、やはり今大臣がおっしゃられたとおり、全国に派遣されている、あるいは同じ地域に派遣されている地域おこし協力隊の皆さん同士で意見交換ができたり、横の交流の場があったらいいなというような話。あるいは、将来は定住ということも頭に入れて来ているんだけれども、必ずしもそのことに対して積極的な支援というかサポートがないんじゃないかなといったような話。あるいはまた、派遣された先と若干、うまく意思疎通ができなくなって、心を病むまではいくかいかないか、ちょっとそういうことは直接的には聞いていませんけれども、そんな雰囲気になりそうだというような話とか、こういうことも課題として私自身も聞いているわけであります。

 さらに、一部の隊員さんから聞こえてくる話は、派遣されたら派遣されっ放しみたいな感じがあると。何となく突き放されているような感じがあって、確かに途中途中で何かはあるのかもしれないけれども、どうも派遣したらしっ放しというような感じもあるので、もう少し日ごろから寄り添ってくれるような、ともに寄り添いながら仕事をしていくような仕組みみたいなものがつくれないかということがある。

 そんな要望があるんですけれども、このあたり、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 たくさんの御指摘をいただきました。私も大体認識は同じですね。

 まず、隊員の地域への定住、定着を促進するという点では、二十六年度から、地域での起業に要する経費を新たに特別交付税措置する、そういう政策を行っております。

 それから、やはり受け入れ体制の整備ということですね。これも二十七年度の予算案において、受け入れ体制・サポート体制整備モデル事業を計上しております。研修については、初任者研修会、ステップアップ研修の開催などの充実を図ることとしております。やはり受け入れ体制、サポート体制をしっかりと各自治体に学んでいただく、この事業はぜひとも活用していただきたいと思っております。

 また、実際に、派遣されっ放し、それから、本当に困って、地域に溶け込めなくてつらい思いをされている方がいらっしゃるとしたら、これは本当に残念なことでございます。もしも総務省に隊員さんから直接相談があった場合には、ちゃんと、できるだけ丁寧に対応したいと考えておりますけれども、やはり受け入れ自治体において、今回、先ほど申し上げました新規の予算措置も活用いただきながら、モデル事業などを行っていただきながら、しっかりと対応していただく、きめ細やかに対応していただく。せっかくのすばらしい人材でございますので、それが必要かと思っております。

 それから、やはり隊員同士の情報交換。一緒に行動していく、活動していくことによって大分悩みも吹っ切れる、そしてまた新たに活力が出てくるということもありますので。

 三月八日に、この週末でしたけれども、地域おこし協力隊全国サミットを二十六年度の補正予算事業として開催させていただきました。ここで、トークセッションそれから活動報告など、各地の先進事例を情報共有するような機会もいただきましたし、隊員同士の交流も非常に活発に行われました。非常に皆さんの熱気も感じましたし、これからも継続していきたいと思います。

 特に、OBからのアドバイスを受けたり、それから、隊員同士が抱える悩みを解決するために隊員同士のワークショップをするなど、この研修の充実、交流機会の充実を図ってまいります。

逢坂分科員 ありがとうございました。ぜひ、地域おこし協力隊、この制度をよりよいものにして、それぞれの地域でどんどん活用されるようにというふうに思っておりますので、大臣、よろしくお願いいたします。

 それで、次の話題に移りたいと思うんですが、地方交付税の話なんです。

 自治体の現場におりますと、地方交付税、当然これは重要な話でありますけれども、自治体の首長の思いは、やはり予見可能性のある財源をどれほど確保できるかということだと思っております。そんなに十年も二十年もということではないかもしれないけれども、せめて三年ぐらい先まで財源がどの程度確保されるのかと見通すことができれば、相当計画的に仕事をやっていけるんだというふうに思います。

 その一方で、最近の交付税制度を見ておりますと、地方自治体が事業を行ったら何か交付税をふやすとか、ある一定の国の望むことをやったら交付税をふやすとか、やらなかったら減らすというかそこを交付しないとかということ、そういうところが交付税制度の中で見受けられるんですけれども、こういうことを安易に行うことは交付税法の趣旨に反する、交付税制度を壊しかねないというふうに私は思っているんですが、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 まず、予見可能性というお話でございますけれども、地方交付税の算定に当たりましては、基準財政需要額の算定要素となる単位費用の金額、測定単位の種類、各算定項目に適用すべき補正の種類、基準財政収入額における対象税目や、その算定に用いるための納税義務者数や課税実績などの基礎的な指標の種類などについて、法律事項として地方交付税法に定めております。また一方で、測定単位や基準税額の具体的な算定方式ですとか補正係数の具体的な内容については、総務省令に委任しております。これで私は一定の予見可能性はあると思っております。

 つまり、補正係数等毎年度定めているものについては、各団体の交付税額が定まる段階において、全て法律の範囲内で省令に規定するということになっていて、対外的に明らかにしているものであるからでございます。

 それから、先ほど、地方自治体が事業を行ったら交付税をふやすというようなことを安易に行うというのはどんなものだろうかという御指摘ですけれども、二十七年度から創設することとしております人口減少等特別対策事業費の算定におきましては、これはまち・ひと・しごと創生に係る取り組みがこれから行われるということも踏まえて、取り組みの必要度を重視した算定を行います。

 それと同時に、これまでも人口減少対策に取り組んできたよ、成果を上げているよという団体では、人口減少対策などに全国標準より多く取り組んでいると考えられること、それから、現に地方団体側からも、自分たちの取り組みの成果も評価してほしい、そういう御意見をいただいているということも踏まえて、同時に取り組みの成果も反映させることといたしております。

逢坂分科員 自治体の首長さんから、頑張った自治体も頑張らない自治体も同じなのはちょっと不公平ではないかというような話をよく聞くことがあるんですが、交付税制度においてそういう考え方を入れるのは、私は、必ずしも適切ではないだろうと。頑張る、頑張らないにかかわらず、ある一定の外形標準によって客観的に配られる、それが交付税制度の本質だと思いますので、頑張った、頑張らないで何か国として手当てをしたいというのであるならば、交付税の枠の外でそういうことをやるのが私は妥当なのではないかと思っております。

 首長を務めているとそういう言葉を言いたくなる気持ちは私もわかるんですけれども、それに安易に乗っていると交付税制度が壊れかねないというふうに思いますので、この点は改めて指摘をさせていただきます。

 それからもう一点ですが、交付税はとかくわかりにくいとか、算定にブラックボックスがあるんじゃないかといったような言われ方をして、簡素にすべきだという意見がよく聞かれます。これも通常よくあるんですが、私は、交付税制度というのは、簡素にすると地域の実態の捕捉が必ずしもできなくなるので、やはり測定単位というのは緻密にやった方がいいと思います。そうしなければ、地域の差異が交付税に的確に反映できなくなるわけです。

 しかしながら、不透明だということの原因の一つは何かというと、法律規定事項よりも政省令で規定する事項が非常に多いわけですね。したがいまして、政省令で規定する事項をなるべく多く法律で規定するような方向へとこれから少しずつ変えていく必要があるのではないか。

 法律で規定するようになると、国会の場で国会議員が議論していても、その中身についても政省令で決めているときよりはわかりやすくなるのではないかと思うので、法律規定事項を少しでも多くしていく方向に流れを変えていくべきではないかと思っているんですけれども、大臣の所見をお伺いいたします。

高市国務大臣 先ほど少し触れましたが、測定単位や基準税額の具体的な算定方法や、補正係数の具体的な内容につきましては、総務省令に委任しております。

 これは、地方交付税法において、算定の基本的主要事項は法律に定め、算定技術上の具体的細目事項は法律の委ねる範囲において省令に規定するということとしております。このことは、ほかの法律と政省令の体系とまず同様であります。

 それからもう一つ、現実問題として、各算定年度の基準財政需要額ですとか基準財政収入額を的確に捕捉するためには、なるべく最新の数値を用いて補正係数や基準税額などを算定するということが必要になるんですが、これらは算定年度に入って初めて把握されるものですから、あらかじめ、現時点のような法案提出や審議の段階で設定するということは技術上困難であるということを踏まえたものでございます。

逢坂分科員 そのことは私も理解はしつつも、基本姿勢として、少しでも法律事項を多くしていく、そして透明度を高めていく。今の政省令だから透明度が低いということでは必ずしもないんですけれども、だがしかし、法律事項にして、少しでもわかりやすいということに心がけていくべきではないかと思いますので、またこの点は後日議論させていただきたいと思います。

 では、三点目ですが、NHKの会長の選出方法、これは放送法に決まっているわけでありますけれども、これについて大臣にお伺いをいたします。

 籾井会長を目の前にして大変恐縮なんですけれども、今回の籾井会長の選任に当たって、私は、会長を選任する経営委員会が籾井会長の資質を的確に判断できていたのかどうかというところに疑問がある、適切に判断できていなかったのではないかというふうに思うわけです。この一年間、経営委員会から幾度かにわたって注意ということも受けるわけでありまして、現在も、先般の籾井会長のさまざまな発言について、国会でもいろいろ議論になっているわけであります。

 そこで、会長の選任方法を少し見直す必要があるのではないかなというふうに思っているんですが、例えば、私は、こうしろと言っているわけではないんですけれども、複数の候補者をあらかじめ第三者委員会などによって選んでいただいて、そこで事前チェックを行った上で経営委員会が判断するとか、これは例えばですよ、これをやってくれと言っているわけではなくて、選出方法に工夫、さらに何か資質を的確に判断するための手だてが必要なのではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 NHK会長の選任につきましては、これは放送法上、経営委員会が会長の任命の権限を有しているということと、それから、経営委員の方々十二名のうち九名以上の多数によって議決すべきということになっております。しかも、会長を選ぶ、そういう手順に入る前に、どういったことを会長に求めるかということで、選任手続も含めて経営委員会が自律的に定められるということになっております。

 そして、会長を選出される経営委員というのは、これは国会での御承認、議決をいただいた上で、御賛同いただいた上で、内閣総理大臣が任命する。それも、さまざまな分野の知見を持った方々、経験を持たれた方が経営委員として選ばれて任命を受けて、そしてその方々が会長を選ばれるわけでございますので、私は、屋上屋を重ねるような形でまた別途何か事前審査をするような組織を設けるということについては、余り適切ではないように感じております。

 籾井会長を選出されました段取りにつきましては、これまでも国会で何度か答弁があったようでございますけれども、経営委員会が公開している議事録の概要などでもおおむね推察はつきますが、複数の候補者がいらっしゃった中で、投票を重ねながらずっと絞り込んでこられて、最後は全会一致で籾井会長を最適任とされた、そのように理解をしておりますので、私は現在のシステムそのものについて問題があるとは考えておりません。

逢坂分科員 システムそのものに問題があるとは考えておらないという現時点での大臣の発言でありますけれども、こうしたことについては、やはり継続して、システムそのものが適切であるかというのは不断にチェックをしておくという姿勢も私は一方で必要だと思いますので、現時点では大丈夫だと思っていても、それは本当に大丈夫なものであるかどうかということについては、常に神経をそこに回しておく必要があるのではないかということは指摘をさせていただきます。

 さて、そこで、籾井会長にきょうもまたお越しをいただいたんですが、籾井会長、お手元に資料を配付しましたけれども、NHKのホームページに「二月二十三日付けの新聞報道について」ということで、NHK関連の報道に関する見解というものが載っているわけですが、二月二十三日付の新聞報道、この見解を載せるということを決めた、あるいは発案したのはどなたでしょうか。

籾井参考人 これは広報の方で全部仕切っております。広報の方でございます。

逢坂分科員 そこで、昨日の委員会でも若干お話をさせていただいたんですが、私はこの「二十三日付けの新聞報道について」という見解について、従軍慰安婦のところだけを特出しして「「慎重に検討すべき」だということを述べたに過ぎず、」というふうに書いたこの全体のパラグラフは、本当に、なぜここだけを特出ししたのかというのは意味がわからないんですよね。

 ここだけを抜き出しするということは、この問題に対して局内では特に慎重姿勢が蔓延する、そういうことになるのではないかと思うんですが、会長、いかがでしょうか。

籾井参考人 特出ししているということですが、これは、いわゆる戦後七十年を期してどういう放送をするんだという質問がありましたのでその中で答えて、そして、従軍慰安婦の問題だけに特に質問がありましたので、これについてあえてここで述べているということでございます。

 特に私がそれを積極的に述べたわけでもなくて、本当は、戦後七十年の放送をどうするかという御質問だったというふうに私は思っております。

逢坂分科員 それはそのときの記者とのやりとりの話でありまして、ホームページは別の話です。後にこれはNHKとして書くものでありますから、そこのところをあえて特出ししなくても、もしNHKが誤解を受けているということを表明したいのであれば、ここまで書き切ることはなかったのではないかと私は思うんですね。

 例えば、前段の「放送法に則って現在も、これまでも運営されており、いささかもこの姿勢が揺らいでいることはありません。」ここで区切ったって十分意図は伝わるわけですね。それをあえて、「実際、昨年十二月」というくだり以降、これは私は不要だったなというふうに思っております。

 それで、次の話にちょっと移らせていただきたいんですが、きのうの総務委員会で籾井会長に、外交問題になりそうな案件についてというやりとりを幾つかさせていただいたんですが、その中で私から、政府と対立するような意見、そういったことについても、NHKとしてきちっと発信するということでよろしいんでしょうかと聞かせていただいたんですね。そうしたら、そのときに籾井会長はこうおっしゃったんですよ。個人的な意見はちょっと別としまして、今申しましたように、NHKは放送法に基づいてちゃんとやるというような発言をしているんです。

 個人的な意見はちょっと別としましてという、ここが籾井会長のこれまでのさまざまな対応のときの問題を惹起する要因なんですね。個人的な意見をお持ちになっているということをあえてここで表明してしまう、これは私は決してよいことだとは思われないんですね。

 先般の予算委員会で、私どもの同僚の階猛議員がこういう話をしました。野球の審判があらかじめ、私は巨人ファンですよ、巨人ファンだけれども、審判をやるときには公平にやりますので皆さんよろしくねと言って、それで信じてもらえるでしょうかという話を階議員がされたんですけれども、多分会長も御記憶だと思います。

 そうした指摘、私が今言ったこと、あるいは階議員が言ったこと、このことについてどう思われますか。

籾井参考人 階委員が、まさしく審判が私はジャイアンツのファンだとかなんとか、そうおっしゃっていましたけれども、確かにそうです、世の中の審判が皆さん野球のチームのことをおっしゃっているかどうか、おっしゃっていないかどうか知りませんけれども。

 ただ、問題は、やはり実績をきちんと見ていただきたいということでございます。私が何を言っても、実績で、ではNHKが政府寄りの番組をつくっているのかというところをしっかりと見ていただきたいと思うわけです。

 私自身は、過去一年の間にNHKが放送した番組が政府にすごく偏ったという実績はないと確信いたしております。

逢坂分科員 会長、実績を見てくれとおっしゃいますけれども、実績というのは、局内でさまざまなプロセスがあった後のアウトプットなんですよ。問題になるのは、番組をどうつくるか、あるいはどの番組をどのタイミングで出すかというようなことも、実はNHKの公平公正という中には含まれるわけですね。

 例えば、従軍慰安婦のテレビ番組について局員の中からいろいろ企画がある、それを出すか出さざるべきか。あるいは、昨年の十二月の時点で、アベノミクス経済政策について、それを問う企画番組をやろう、そうしてそれをやろうとしたけれども、うまくいったのかいかなかったのか。これは例えの話ですよ、そういう事実があったということを私が言っているわけではなくて。

 そういうところについても、もし、いやいや、今はやはりこういう時期だから番組はやめましょうかとか、以前だったらそんな議論もなくてするすると企画が通ったのに、そういうことが場合によってはあり得る。だから、アウトプットだけ見て、実績を見てくれでは、問題の本質は整理できないわけですよ。

 そういうところについても、会長の発言がそんたくの文化を生んだりいろいろするんじゃないかということを私は指摘をしているわけです。会長、いかがですか。

籾井参考人 委員御承知と思いますけれども、NHKの番組というのは、もちろん会長が一番トップで権限を持っているわけですが、それが分掌されておりまして、放送総局の下にいろいろな局がありまして、ここで全部つくられております。

 何回も私は申し上げておりますが、私の考えを放送に反映させるようなことは一切しておりませんし、今後もするつもりはない。放送法にのっとって、粛々とやらせていただいているということでございます。

逢坂分科員 会長、私がしゃべっていないことを会長みずからお話しになるんですが、私は、会長の考えが番組に反映されているとか反映されていないということは一言も言っていないんですよね。

 ただ、慎重にというふうにここで個別明示的にやったりしていること、あるいは会長御自身が、個人的意見はあるけれども放送法にのっとってやっているんだと言うことで、会長の考えをどう反映させるかなどということを私が言っているのではなくて、そのことによって番組制作の現場を萎縮させたり、必要以上にいろいろなところに神経を使うような風潮が生まれたり、そういうことになりはしないのかということを指摘しているんです。

 そこについては、それを番組を見て判断してくれというのは、会長、それは幾ら何でも、NHKのトップとしてひど過ぎると思いますよ、そういう発言は。

籾井参考人 私が先ほどから言っていますように、私のことでいろいろ指図していることはございません。粛々と現場は、それに沿ってやっております。

 そして、私が何かいろいろ言ったことを新聞等々に書き立てられても、現場は、私のことをいわゆるそんたくしたり萎縮したりということは、現実には全くないと私は思っております。現場は元気よく、下手すると会長の言うことにも、言っても聞かないかもしれません、それはよくわかりませんが。現場では、本当に一人一人が責任を持って、放送法を遵守して業務に当たってくれております。

 私は、結果を見てくださいというのは、資質が私にあるかどうか知りませんが、そんなこともさることながら、やはり最終的には、結果として現場がどういうふうなスタンスで仕事をしてくれたか。そのアウトプットが、本当に放送法に基づいた公平公正、不偏不党、こういうふうなスタンスで番組ができてくれるかということをぜひ委員にも見ていただきたいと思っているんですよ。

 私は、強がりとかそういうことで言っているわけじゃなくて、過去一年間、きのうも私の気持ちを申し上げましたけれども、本当に気持ちよく仕事をしましたし、今も充実した気持ちで放送に携わっております。これは私の切実なるお願いでございます。

逢坂分科員 会長、私は会長の気持ちもわからなくもないんですけれども、だがしかし、会長がこれまで、さまざまな個人的な見解も含めて発言をされ、片や一方で、就任当初は、理事の皆さんの日付を入れない辞表までとっているわけですよ。そうなったときに、私の言っていることなんかそんたくするはずがないなんということになるでしょうか。

 私も役所の中で職員として十年以上勤めさせていただきました。そのときに上司が、逢坂君、日付を入れない辞表を出しておいてくれなと言われたら、どういうことが起こるか。そして、その上で個人的見解をいろいろなところで言われていたら、制作の現場は萎縮しませんか。いかがですか。これで終わりますけれども。

籾井参考人 いろいろ私も発言しまして、これが非常にうまくなかったということについては十分認識しておりますし、今委員が御指摘されたことについては、本当に今後とも肝に銘じて、そういうことが起こらないようにしていきたいというふうに思っております。

 けれども、一つだけ言わせていただきたいのは、NHKで、会長をそんたくしながら萎縮して仕事をしているという現実はございません。

逢坂分科員 終わります。ありがとうございます。

土井主査 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 次に、松田直久君。

松田分科員 維新の党の松田直久でございます。

 きょうは朝八時からの長丁場で大変御苦労さまでございますけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。

 一人前に、先ほど我が党の木内議員が少し質問させていただきまして、重複をしておるところがございますので、少し割愛をさせていただいて御質問をさせていただきたいと思います。

 地域創生から御質問させていただきますけれども、この事業が、発表といいましょうか、いろいろな形で私らの耳にするようになってから、また報道で知り得るようになってから、非常に私は、日本の国にとってこれはいいことだな、これによって日本の国が変わるのかな、そんな思いで、非常に注視をさせていただきました。

 地方創生といいましょうか地方分権、そして地方を生き返らせるために、いろいろな内閣が今まで取り組んできたんです。これとは多分違うだろうな、そういう目でずっと見せていただいたんですけれども、今までの取り組みをもとにしているのか、また、それをいろいろ見聞した上でのお取り組みだとは思いますけれども、今までの取り組みとの違い、それは一体どういうものであるかというのをまず教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

小泉大臣政務官 松田委員におかれましては、市長経験もおありですから、本当に地方に対しては大変な思い入れがあると思います。

 その上で地方創生に対する御質問をいただいて、今までと何が違うのかというお問いでありますけれども、まず一つわかりやすく言えるのは、人口減少克服というのを正面に据えて取り組むというのは今までなかったことだと思います。それに加えて、全ての政策において目標を立ててそれに取り組んでいこう、その上で、その目標が達成できたかどうか、PDCAサイクルという形でしっかりと検証しようと。こういった形で検証を伴っていくという、これも今までにない、いわゆる異次元だと言われていることの一つであると思います。

 これからもこういった形で、今までと違うということの理解が深まらなければ、これは息の長い取り組みですから、最終的に成功しないと思うので、そういった周知も含めて、しっかり伝えていきたいと思っております。

松田分科員 異次元の取り組みだということでございまして、非常に我々としても、いいものはいいもので協力をさせていただいて、めり張りをつけてやっていきたいな、こう思っています。

 今、少し、今までの反省とか、いろいろな取り組みによっての反省材料をやはりもとにして新しいものをつくっていくという、スクラップ・アンド・ビルドではないんですけれども、そういうことが非常に私は求められていることだ、こう思うんです。

 きょうは政務官にもお越しをいただいて答弁をいただいておるわけですけれども、今までの反省というものを、例えばこういうところがだめだったんだ、また、こういうことがもう本当に一番多いんだとか、自分が今まで、これが一番大きいんじゃないかというような反省点がもしありましたら、教えていただきたいと思うんです。よろしくお願いいたします。

小泉大臣政務官 これは私の思いということでの御質問だと思いますけれども、今回、地方創生担当、また復興担当としても兼任をしている中で、東北地方のみならず日本全国のさまざまな自治体に伺う機会を多く持たせていただいております。その中で特に印象的なのは、小さな自治体ほど危機感と覚悟を持ってこの地方創生に取り組んでいるということは印象的な出来事です。

 例えば、先日も予算委員会で答弁しましたけれども、島根県の海士町の山内町長は、昨年十一月、私も現地でお会いをした際に、小泉さんのお父さんには大変な思いをさせられたよ、地方交付税を相当カットされて、あのときは本当に大変だったんだ、だけれども、今思えば、あれから変わったんだよ、あのときに交付税を相当切られて、もうこれはだめだ、そう思ったときに、役場に指示してシミュレーションさせた、そうしたら、恐らく五年後ぐらいに財政再建団体に転落するだろうな、そういった見通しが大体ついたから、もうここで変わらなきゃいかぬということで、自分の給料を五〇%カットして、そして、役場の幹部の皆さんには求めなかったけれども、自主的に呼応する形で、自分たちもカットしますという動きが生まれて、それを見た町民の皆さんが、私たちも頑張るからということで、バスに対する補助金などもカットしてということが自分たちから生まれてきたと。

 こういったことを考えたときに、山内町長のおっしゃるような地方の本気度というのはこれから問われるだろうし、今までそれがなかなか問われない形であったということも事実だろうし、まさにそれが、検証がなかったわけですから、そういったことなく、ばらまきをせずやらなければいけない、そういうふうに思っております。

松田分科員 我々も、大先生の三位一体の改革では非常に勉強をさせていただいたわけでございます。

 今回の地方創生というのは、どうしてもやはり東京集中といいましょうか、一極集中ということとの、セットではないですが、やはりそれをきちっと考えていって、地方分権、地方主権、そして地方創生ということになっていく、こう思うんですけれども、東京一極集中がなぜ悪いんだ、どこが一体悪いんだ、考え方によったらこれは非常にいいスタイルかわからないというところで意見を言われる方もいらっしゃるんです。

 きょうは政務官がいらっしゃっているんですけれども、大臣がいらっしゃるものですから、なぜ東京一極集中が悪いのかというのは、何か御所見がありましたら教えていただきたいと思います。

高市国務大臣 東京は東京で発展していただかなければなりません。二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会も控え、やはり東京も、名古屋などもそうですけれども、大都市圏のパワーが周辺によい効果をもたらす、こういった一面もあるかと思います。

 ただ、余り一極に集中し過ぎますと、やはりかなり大きな災害なども予想されております。リスクの分散ということもできませんし、そして、私ぐらいの年齢になりますと、田舎で親がひとり暮らしになってしまっている、毎日心配でたまらない、では、家族を連れて田舎に帰ろうかというときに、果たしてそこで子供たちが質の高い教育を受けられるのかとか、それからしっかりした行政サービスがあるのかとか、自分自身が仕事をやめて帰って働く場所があるのか、さまざまな心配がありますよ。

 ですから、どこに戻っても、ある程度安心して生活ができ、質の高い教育を子供に受けさせることができて働く場所がある、日本全国にそういう地方がたくさんふえていくことで、自然にリスクの分散もできるし、東京が何かのことで大きなダメージをこうむったときにも、地方が自立してしっかりと日本の経済を支えていく、人がそこで暮らしていける、そういう一つの効果というのがあると考えております。

松田分科員 東京一極集中というか、東京には地方の人が集まってきますから、そして、地方の人が集まってこられて、お正月かお盆になったらふるさとへ帰って、そして山を見て海を見て川を見て、ええなと思って英気を養ってまた戻る、そういう意味合いでも、地方というのは私は非常に大きな役割をしていると思うんです。

 一極集中の弊害というのは、今ちょっと大臣がおっしゃられましたけれども、僕もあると思うんです。四、五%のわずかな関東平野に全部集中しているわけですから、何かやはり震災があったりとかすると日本の国の機能が麻痺してしまう、これは何とかやらなあかんと。首都機能移転なんということで昔やらせていただきましたけれども、いろいろな試みがありました。

 確かに一極集中はだめなんよ、地方にもう一回分散しなくてはいけないよということなんですけれども、例えば、今、リニアがこれから走ろうとしている、新幹線も金沢から福井へ行こうとしている、そういう大きなビッグプロジェクトを見ますと、おっしゃられておることはよくわかるんですけれども、ハードの面とかいろいろな面では、私は、またこの一極集中を何か後押ししているような気がしてならないんですけれども、小泉政務官、いかがでしょうか。

小泉大臣政務官 先ほど大臣が御答弁されたとおり、地方創生というのは東京弱体化政策ではありませんので、東京は東京で魅力を高めて、世界のグローバルシティーとして魅力ある町をつくらなければいけないと思っています。

 ただ一方で、先ほど松田委員がおっしゃったように、東京に全てが集中していることの、災害やパンデミックなど、さまざまなリスクがあるのも事実であって、東京や横浜というのは世界の中でも最も災害のリスクの高い町の一つですから、これをどうするかというのはやはり考えなければいけないと思います。

 私も最近学びましたけれども、まちづくりや都市づくりなどの専門の分野では、まちづくりのマネジメント、都市のマネジメントというのは、一千万までがある程度限界だろうと言われているらしく、だけれども、東京というのはその三倍近くあるわけですよね。だけれども、なぜここまで機能的な、秩序の守られるような都市の計画、マネジメントができたんだろうというのは、世界でも珍しい例だそうです。

 アメリカを見れば、例えば、金融や経済はニューヨーク、政治はワシントン、エンターテインメントはロサンゼルス、ハリウッド、そういった形でさまざま分散している中で、日本は全てが東京なんですよね。

 だから、このあり方をやはりもう一度問い直さなければ、今、地方の若者が大学進学や就職で東京に来て、その結果、東京が出生率も最低となっている現状で、地方も東京も出生率が低く、人口が減っていって、よく増田レポートなどでも言われる東京がブラックホールのようになっているんじゃないか、こういった分析もありますから、どうやったら、新たに東京の魅力と地方の魅力、これを両立して彩りのある日本をつくっていけるかというのは、やはり取り組んでいかなければいけないことではないかな、そう思っております。

松田分科員 何が言いたいかといいますと、地方創生、これから事業を進めていただくのに、やはり昔の感覚で、例えば、歩いて旅行したり、電車はありましょうけれども、高速道路ができてリニアが走る、新幹線も福井まで行ってしまうというような、要するにそういう時代の中で、これから地方を考えていく、地方を生き生きさせていくというところは、今までの時代背景で考えていていいんでしょうかね、こう思うんですね。

 例えば、リニアでもできて、新幹線でも、大臣は奈良県御出身でございますけれども、金沢から福井に行ってしまった、福井の人なんか、今まで、大阪、奈良とかいう関西圏へいろいろな面で行っていたのが、新幹線ができることによって、ますますまた東京に行ってしまうんじゃないかなというような気がするんですね。

 リニアにおいても、本当にこれで首都機能がある程度移転されるというか、そういうスピードがあって、例えば大阪へ出とか名古屋へ出、そういうのが分散されるということを言われていますけれども、結局、今まで見ていますと、全部それが東京へ東京へと一極集中につながってきたというのが事実だと思うんですよ。

 その辺のところはやはりしっかり考えていただかなあかんと思うんですけれども、再度ちょっと御意見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 災害上のリスク管理、リスクの分散ということを考えますと、私はむしろ日本海国土軸というような考え方も念頭に置きながら、北陸新幹線も含めて、現在の東海道新幹線も当然活用するということで、二つのルートがあるというのはいいことだと思います。

 リニアにつきましては、今の計画では私が八十過ぎないと大阪まで乗っていかれへんのですけれども、それでも、リニアが実際に開通しますと、もう東京は日帰り圏の通勤圏になるかと思います。むしろ、地方に住んで、稼ぎに行くところは、中部地方かもしれないし、東京かもしれないし、また自分が住んでいるふるさとかもしれないし、いろいろな選択肢ができてくると思います。

 北陸新幹線にしましても、やはりコマツの働き方、コマツという会社の方針というのは非常に参考になりました。向こうで住んで快適に生活をしながら、また働きながら、必要があるときにはまた東京に、仕事があったらやってくるというようなことで、働く場所、それから住む場所、地方の方がいいよという発信もしていける、そんな可能性も開けてきているんじゃないかと思います。何もかも悪いということではないと思います。

松田分科員 この議論は、またチャンスがあったらひとつゆっくりとしたいと思います。

 まち・ひと・しごと創生の事業なんですけれども、少し細かく見せていただきました。やはりどうしても地方の目から私も見てしまいますので、その辺のところは御理解をいただきたいなと思っているんです。

 地方にお任せをしますよ、地方の主体を生かしていきますよ、そういう思いというのは総理のお言葉でも石破大臣のお言葉でも聞き取れるんですけれども、実は、事業に当たって、さあ地方の皆さん、いろいろ考えなさいよというようなところを細かく見ますと、例えば、施策ごとのKPI、こういったものを出して、きちっと数字ではかっていくよということなんです。

 例えば、地方における安定した雇用というところなんですけれども、認定した新規創業者に対する経営アドバイスや融資等の支援、そして、支援件数、何件か、こういうふうに書いてあるところがあるんですけれども、やはりこれが今までの国のやり方じゃないかなと思うんです。本来でいけば、支援件数ではなくて、それによってどう成果が上がったかというところを見ていかないと、これはやはり、果たしてどうなのかなというふうに思います。

 太陽光にしたって、大陽光をどんどん導入しなさい、大規模の太陽光を導入しなさい、こう言っても、大規模だったら、今の状況、大企業しか取り組むことはできませんから、そういった面でも、中小企業じゃなくて大企業だけが利益を上げていくのではないかな、そんなことも思います。

 また、例えば地元の大学。地元の高校から地元の大学へ行きましょう、なるべく地元の大学へ行って、そして地元に就職しましょうというようなことなんですけれども、例えば、今、グローバルの人間といいましょうか、人材を求めているときに、地元だけで推しはかって本当にその人のためなんだろうかな、日本のためなんだろうかな、こう思ったとき、自県の大学進学者の割合はとか、県内高等教育機関の志願倍率はとか、地元就職率はと、いろいろあります。

 そういって、今、地元だと言われるけれども、例えば大学でも、地方の大学と東京の大学は、ハードの面でも人的なものでもいろいろな大きな差があります。ですから、いきなり、地元で、大学で、完結、こう言われても、なかなかその辺のところは、本当にやれるのかな、こう思うんですけれども、もし、御所見があるんでしたら、政務官、よろしくお願いいたします。

小泉大臣政務官 ただいま御指摘をいただいた地方版総合戦略におけるKPI、重要業績評価指標と言われるものですけれども、今松田委員に御指摘いただいた、地方に対して例えばこうやってKPIをつくりなさいよというのは、あくまでもこれは参考であって、地方によって全然変えていただいて構わないものです。ですので、今御指摘のあった、例えば支援件数とかも、その支援件数の上の方には、まさに雇用の創出の数も参考としては書いてあります。

 ですので、これは地域に合った形でKPIを出していただいて、KPIをなぜ出していただきたいかといえば、その後にPDCAをしっかり回すために、これぐらいの目標を立てて、だけれども結果はどうなったかということを検証するためにも必要なので、これから地域独自でどんな数値目標を出してくるのか、しっかりとこれは見ていきたいと思いますが、全体として、もちろん、これは地域の皆さんが考えていただきたいと思います。

 そして、今御指摘のあった大学とか、また人材が、その地域だけで人生を完結するような形で本当にそれが地方創生なのかというのは私も全く同感であります。世界を見たり、また、外の地域を見て、だからこそ自分たちの地域の魅力がわかることもありますし、今、東北の被災地の復興状況を見ても、魅力あるまちづくりにかかわっている多くのよそ者がいます。

 このまちづくりの中では、よそ者、若者、ばか者が必要だと言われますが、本当にこのよそ者の力というのは大変大きいと思っていますので、あくまでもこれは、その土地で生まれて一生その土地で終えることが地方創生なんだというのは全く違うわけです。

 ただ一方で、地方で、その地域に生まれ、その地域に育ち、その地域を愛して、そこで働き、人生を過ごしたいと思っている方々にとって魅力ある地域をつくっていくことがやはり不可欠であろうということで、さまざま、その地域の魅力を高めていくという方向で物事を考えていきたい、そういった考えであります。

松田分科員 私もまさしくそう思うんですね。

 国を愛せというよりも先に、自分の生まれたところとか自分の住んでいるところを愛するということが国を愛することにつながっていく、僕はこう思うんです。

 今政務官がおっしゃられました、地方でゆっくり考えなさいよ、柔軟を持ってやっても結構ですよということでしたら、ぜひ柔軟に取り組んでいただくように、地方の情勢に合わせたように、いろいろこれから上がってくると思うんですよ。それはやはりしっかりとその辺を見ていただきたいな、こう思うんです。

 やはり地方というのは、国、県、例えば市町村、来ます。わかってはいても、やはり百年間中央集権が続いていて、いや、ひょっとして江戸時代から、ずっとお江戸という町を見てきて、急に、地方はもう一回あんたのところだけで考えろ、自分のところで考えろという。なかなか今までの癖がとれない。だから、そういった面も、どうぞ勘案というか加味していただいて、柔軟にぜひとも取り組んでいただきたいな、こう思っています。

 最後はやはり一人一人の幸福感ですから、事業がどうだとか何がどうだとかいうことじゃなくて、本当にそれで幸せになったのかな、本当にそれが、例えば家族円満になったのかなというところまで見ていかないと、この事業というのは、僕は成功をしたと言えないというふうに思いますので、そこのところをひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。

 少し時間がなくなってきましたので飛ばしていきたいと思います。

 私は、自分の苦労話じゃないんですけれども、十カ町村の合併をしました三重県の津市というところの初代の市長をさせていただきました。十カ町村合併はやはり非常にえらかったですね。そういうことは、いろいろな文化が一つになるということです。百六十六人の議員を三十八人にしました。それで、特別職三十人を三人にしました。職員を、三千二百人を二千五百人に今やっとなって、二千六百人ぐらいですか、やりました。そして、水道料金も上がったり、市民の皆さんに本当にいろいろな御負担をかけて新しい町が完成をいたしました。

 ここで、この新しい創生事業なんですけれども、今御説明をいただきました。異次元だ、いろいろなことを言われていますけれども、私は今回、津市の苦労話、私ごとで申しわけないですけれども、成功したのは、私が力があったわけでもないし、議会の方にも怒られるけれども、議会の方が力があったというふうにも思っていません。何が一番の原因だったか。できた原因というのは、市民がみんな、一体感の醸成をやらなくてはいけない、こう思ったんです。

 大きな津市になって、いや、少々公共料金が上がってもしゃあないな、ここは上がってもしようがないな、水道代が上がってもしようがないな、済みませんということで、謝って謝ってきたんですけれども、市民の皆さんが、やはり一つの津市を守っていかなあかんという形の思いがこの合併を、そして一体感の醸成が、今もやっていますけれども、僕はできたんだと思うんです。

 実は、この創生事業なんですけれども、今いろいろとお取り組み、本当にありがたいとは思いますけれども、国と県とそして市町村がやっています、こう言っていますけれども、そこにいわゆる国民が抜けているんですね。こんな大きな事業をやろうと思うと国民の理解がなければだめだし、国民にきちっとしたメッセージを送らなければ、絶対僕は、申しわけないですけれども、道半ばで終わってしまうというふうに思うんです。

 国のメッセージと言われても、すぐにはどんなのかは言えないよとか、いろいろなことを言われますけれども、僕は絶対そこは外してはいけないと思います。国民にメッセージをきちっと、どんな国をつくるんだということを一遍、少し御所見をいただければと思います。

 大臣、政務官、それぞれのお考えがあるんだったら、時間がなくて恐縮なんですけれども、教えていただきたいと思います。

高市国務大臣 国民にメッセージということでございますけれども、私は、今回の地方創生、この事業を通じて、先ほども申し上げましたけれども、日本全国にたくさん、安心して生活ができて、そして働く場所があり、質の高い教育を受けさせることができ、しっかりとした福祉サービスも確保される、そういう地域がたくさんできていくということ、そのために一緒に力を合わせていきましょう。

 そして、消滅市町村というので去年随分みんな危機感を感じましたけれども、何にも手を打たなかった場合の話です、今なら十分に間に合いますということで、ともに取り組んでいこうということを呼びかけたいと思います。

小泉大臣政務官 一言で言えば、自分の町は自分でつくるということだと思います。

 今までであれば、例えば、町が何かやる、行政が何かやる、政治が何をしてくれるのかと。そういったものではなくて、まちづくりというのは、一人一人が自分たちの町は自分たちの力でつくるんだという思いをどこまで広げていけるかというのが、結局は最後、鍵となると思います。

 もともと日本というのはそういった思いが強い国だと私は思いますし、いろいろな、日本青年会議所や商工会議所青年部、また商工会青年部など、もともとそういうふうに自分たちで町をつくるという思いを持っている若手の皆さんもいらっしゃいますし、まさに今回、国がやるとか役所がやるんじゃなくて、石破大臣がよく、地方創生の総合戦略をつくる過程の中に必ず産官学金労言というセクターの皆さんを交えてつくってほしいと言っていることも、やはり国民一人一人が、息の長い、まさに国民運動的にこの地方創生をやっていくという必要性を実感しているからだ、そう思っております。

松田分科員 少し僕の質問の仕方が悪かったかわかりません。

 メッセージと言いましたけれども、どんな国をつくっていくんですという情報をきちっと、我々は、国は、政府は、こういう国をつくっていくから国民の皆さん協力してね、そして我慢もしてね、こういうことの要するにグランドデザインがなければ、国民の皆さんは、何を言っているんだろうな、国が、県が、行政が、勝手にやっておるだけで、我々は何をやっておるかわからない。

 今私は、自分の津市の合併の話をさせていただいて、市民の皆さんの理解があったからできたんですよ、こんな苦しい十カ町村の合併ができたんですよ、こう申し上げましたが、僕はやはり、国の形をある程度、こんな国をつくるんですよ、国民の皆さん、応援してくださいよというメッセージ、また、そういうことを示さなければ、この事業というのは大変苦しいんと違うかという思いで申し上げたんですが、政務官、もし何かありましたら、よろしくお願いいたします。

小泉大臣政務官 一言言えば、モデルチェンジをやるということだと思います。

 今までのあり方とは違う、新しい人の流れを東京から地方へもつくっていかなきゃいけませんし、全てが東京だというのではない。その地方、地方で魅力があって、その地域の魅力を、みずから自覚を持って、そして誇りを持ってつくっていけるような地方が北海道から沖縄までしっかりとある。

 東京は東京で、世界の中の主要都市と肩を並べて、またそれ以上突き抜けて、東京のよさは光り輝かせて、一方で、東京の魅力とは違う魅力を欲している人がいるのも事実ですから、そういったときにその地方がどうあるか、それぞれ自分たちの町の魅力を、よその力と中の力と合わせながらつくり上げていく、そんな日本の国づくりというのが不可欠だと思っています。

松田分科員 済みません、通告にも至らず、えらい途中で終わってしまうんですけれども、くどいようですけれども、私は、一つ、こういう国をつくるんだということはやはり国民の皆さんにしっかり示していくということであると思いますし、リニアやら車の高速道路ができて、行政の形も本当に変わってきましたから、道州制も含めてしっかりと考えていく。やはり、今までの現状で物をつくっていくんじゃなくて、本当に未来を見て国民にきちっとしたメッセージを送らなくては、この大きな事業というのは進まないのかな、僕はこう思います。

 維新の党としては、いいことにはどんどん応援をさせていただいて、本当に頑張っていただきたい、そのように思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 ありがとうございました。

土井主査 これにて松田直久君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

土井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。簗和生君。

簗分科員 自由民主党の簗和生でございます。

 質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。

 本日は、地方創生に関して、国の認識及び取り組みについてお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、私の問題意識を申し上げます。

 今回のこの地方創生の取り組みに関しましては、法律の制定も含めまして、地方の創意工夫、そして意欲というものが最大限に発揮される環境をつくるということで、一連の制度の提供については、国民の皆さんを含めて非常に高い期待が寄せられているというふうに思っております。

 ただし、ここで、国と地方の関係についてですけれども、国は地方の取り組みを支援するという部分のみが強調されて、国は最大限の支援をするけれども、うまくいくかどうかは自治体次第ですよ、地方次第ですよ、そういう発想がもし仮に少しでもあるとしたら、それは、国を挙げたこの取り組み、結果としては大変厳しいものが待っているんじゃないか、私はそういう厳しい問題意識を持っております。

 と申しますのは、例えば東京の一極集中にしましても、これを解消していくのは、地方の力だけでは当然できないわけであります。まず国が率先して行動を起こす、こうした取り組みが重要になるという意味でも、国の役割というものは非常に重要だというふうに思っております。

 国と地方それぞれがなすべき役割というものをしっかりと認識をして、ここまではまず国が基礎的な条件を整備しなきゃいけない、そしてここから先は地方にお願いします、やってくださいということで、双方の役割、領分というものをしっかりと認識して、それぞれが責任を持ってやるべきことを全うしていく、そういう発想と関係づくりが必要であるというふうに考えております。

 地方の創意工夫が自由に発揮される環境をつくる、その前提をなすものとして、やはり国と地方の役割分担をしっかりと明確にしようじゃないか、これは連携作業なんだ、どちらかがやるべきことをやらない場合はうまくいかないんだ、そういう危機感、緊張感というものを共有することが重要だというふうに思っております。

 そして、その役割分担を定める作業においてリーダーシップをとれるのは、地方ではなく国だというふうに考えております。国はそれをしっかりと意識して、この地方創生という取り組みを進めていただきたいというふうに思っております。国が終始地方の今後の発展に責任を持つ、そういう発想を持つことが重要だというふうに思っております。

 それでは、各分野ごとに順次質問してまいりたいと思います。国と地方の役割分担、連携、そしてその中で国がやるべきことを意識して御回答いただければというふうに思っております。

 まず、地方創生に関係する国の財政措置についてお伺いをしたいというふうに思います。

 地方自治体も、五年間の総合戦略というものをつくって、中長期的なビジョンを描いて取り組みを進めていくことになります。国からの財政措置がしっかりと確保されるかどうかということは地方側の大きな関心事でありますので、地方創生に係る今後の地方財政措置及び交付金についての国としての見解をお伺いしたいと思います。

 まず、高市大臣にお伺いします。よろしくお願いします。

高市国務大臣 平成二十七年度におきましては、地方団体が自主性それから主体性を最大限発揮して地方創生に取り組んでいただく、地域の実情に応じたきめ細やかな施策を可能にするという観点から、地方財政計画の歳出に新たにまち・ひと・しごと創生事業費を一兆円計上することといたしております。

 やはり地方創生というのは、実際に取り組みを始めてからその成果が生じるまでには一定の期間が必要です。本当に息の長い取り組みが必要でございますから、今後も、これは国の役割、責任の部分だと思うんですが、地方法人課税の偏在是正をさらに進めることによって恒久財源を確保して、しっかりと安定的な事業費の確保に努めてまいるつもりでございます。

若井政府参考人 地方創生に係る交付金につきましてお答えを申し上げます。

 まず、先ほど委員御指摘のとおり、国と地方の役割分担、そして連携という前提のもとでございますけれども、やはり地方創生に当たりましては、地方が地域の実情を真剣に考えまして、それぞれの実情に応じて取り組みを進めていただく、これが非常に重要であるというふうに考えておるわけでございます。

 こうした地方創生の取り組みを進めていただくという観点から、平成二十六年度の補正予算におきまして、地域住民生活等緊急支援交付金の内枠といたしまして、地方創生先行型の交付金一千七百億円を措置いたしたところでございます。この交付金におきましては、客観的な指標の設定でございますとか、PDCAの体制整備を求めるということとともに、地方が自主的、主体的に創意工夫を生かして事業設定を行うこととしていただいてございます。

簗分科員 ありがとうございました。

 地方創生は息の長い取り組みだと思います。すぐに結果を求めるのではなくて、やはり中長期的スパンで取り組まなければいけないので、財源そして財政措置、こういうところをしっかりと確保されるようにお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 それでは、続けて、地方の雇用の創出についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 何をもっても、地方での定住、そして地方への人の回帰、そういうことを進める上では雇用が必要であります。そうした中で、国としての地方の雇用の創出に関する考え方、地方との間での役割分担、そして国として具体的に何をやっていくか、これについてお伺いをさせていただきます。

若井政府参考人 地方で仕事をつくるということについての御質問でございます。

 政府といたしまして、昨年末に取りまとめましたまち・ひと・しごと総合戦略では、地域の産業競争力を強化するさまざまな施策を盛り込んでおりまして、これを強力に推進いたしますことで、若い世代の安定した雇用を創出することを目指してございます。

 具体的には、地域における起業の促進で約三万人、地域を支える中核的企業の支援で約八万人、サービス産業の活性化、付加価値向上で約六万人、農林水産業の成長産業化で約五万人、地域観光の振興で約八万人の雇用の創出を見込んでございまして、こうしたさまざまな施策を推進することで、まず、仕事と人の好循環というものを確立したいというふうに考えてございます。そして、この地方創生、まち・ひと・しごと創生総合戦略の中で、二〇二〇年までに、累計いたしますと三十万人の若い世代の安定した雇用を地方につくっていきたい、このように考えているわけであります。

 国としての取り組みも当然でございますけれども、このために、先ほど答弁をさせていただきました交付金によって、地方においてもさまざまな対応をお願いしたいというふうに考えてございます。国が地方を変えるということではなく、地方みずからが、地方の実情に応じた処方箋を示し、実行する。そのことで、地方みずから変わっていただくことが非常に重要であるというふうに考えてございます。地方公共団体に対しては、地方版の総合戦略の策定をお願いしているところでございます。

 国は、やる気とアイデアのある地方公共団体に情報支援、人的支援、財政支援などを実施してまいるということでございまして、こういったことを通じまして、地方創生の流れが逆戻りすることなく、そして自立的に動き始めるということを期待しておるわけでありまして、先ほど委員御指摘のとおり、国と地方が連携をして進めてまいりたいと考えてございます。

簗分科員 ありがとうございます。目標の数字が出ましたので、しっかりとそれの達成に向けて取り組みを鋭意進めていただきたいというふうに思っております。

 今、地方の雇用の創出においては、一つの施策として、企業、事業所の地方への移転というものも一つの大きな有効な策であるというふうに考えておりますけれども、それについて、国の今回の取り組み、具体的にどんなことをやろうと考えているのか、お伺いをさせていただきます。

若井政府参考人 企業の地方移転でございますけれども、企業の地方移転を促進するために、今次通常国会に地域再生法の改正法を提出いたしまして、各地域で計画をおつくりになって戦略的に企業誘致をされる取り組みとあわせて、企業の支援をする枠組みを整備する予定でございます。

 その一つの大きな具体的方策といたしまして、平成二十七年度税制改正において、地方拠点強化税制を創設することといたしております。これは、自治体が認定する企業の地方拠点強化に係る計画に基づきまして、事務所、研修施設といいました本社機能の移転、新増設を行う事業者に対して、設備に関する設備投資減税でございますとか、雇用促進税制の特例等の措置を講じることとしているところであります。

簗分科員 具体的に、そういった税制措置を通じて、どの程度の効果が見込まれるのか、その目標値等もお知らせいただければと思います。

若井政府参考人 企業の本社機能の地方移転拡充を促進するということについては、税制だけで対応できるものではございませんで、当然、受け入れをされる地方公共団体の側にも、計画的、戦略的な取り組みをお願いしなければならないところでございます。

 したがいまして、そうしたものとあわせまして目標を考えておるわけでございますが、昨年十二月に閣議決定をいたしましたまち・ひと・しごと創生総合戦略におきましては、企業の地方拠点強化に関する今後五年間の目標といたしまして、拠点の強化の件数として七千五百件、それによります雇用者数について四万人の増ということを掲げてございます。

 いずれにしましても、この税制措置によって、企業の東京からの移転、地方における拡大を促す契機といたしたいと思ってございますし、それにより、東京一極集中を是正し、東京から地方への新しい人の流れを生み出すことを目指してまいりたいと考えてございます。

簗分科員 ありがとうございます。

 これまでも、地方への企業の移転という取り組みは、国としても、それから各地方自治体としてもやってきたというふうに思います。今回、地方創生ということで新たにまた取り組みをするわけでありますから、これまでの取り組みにおいて、どんなことが支援として必要になるのか、そこを明確にしていただきたい。

 特に、企業と地方自治体との結びつき、マッチングというんでしょうかね、そういうところで具体的にどんな支援ができるのか。やはり話を聞くと、地方自治体も、興味を持っている企業を探したりするのがなかなか難しいという話も聞きますので、国としてその辺でどんな支援ができるのか、お伺いをしたいと思います。

若井政府参考人 企業誘致に関しまして、従来、国といたしましては、工場等の生産設備の地方移転を図る企業立地促進法という法律を実施してございました。この法律におきましては、都道府県と市町村が作成をする基本計画に基づいて、企業立地等を行う事業者に対しまして、規制の特例や金融面等での支援を講じてまいりました。その際、地域の企業誘致に関する方針を自治体が基本計画として具体的にお示しいただく、このことによりまして、企業立地を行う事業者とのつながりを持つきっかけができてきたというふうに感じているところでございます。

 こうしたつながりがきっかけとなるわけでございますけれども、実際の企業立地の促進ということにつきましては、やはり地方自治体が企業にアピールしていく、その発信力が重要であると認識をしております。

 それに加えまして、地方に移転をする従業員、そしてその御家族の方、この生活面に配慮をしたいろいろな意味での環境の整備が重要であるということを認識しておるところでございます。

 例えば、建設機械製造大手の株式会社コマツさんが、本社機能の一部でございます購買本部でありますとか従業員の研修施設を東京から石川県に移され、それに合わせて新工場を石川に建設し、現地採用を増加させたという事例があるわけでございますけれども、これによりまして、地域での雇用の増加と経営の効率化が実現した。これだけではなくて、コマツさんの女性社員の結婚、出産、子育てなども非常によい環境のもとで行うことができたという事例がございます。

 こういったことを考えますと、企業の移転に伴いまして地方に転勤をされる方あるいはその御家族にとっては、教育、医療、介護という観点が極めて重要であるということであります。

 したがいまして、国として、先ほどお答え申し上げました税制上の優遇措置を講じるということではございますが、自治体においても、今申し上げましたような環境の整備ということについてしっかりとした対応をしていただくということを考えてございますし、これを計画の中にも盛り込んでいただくことを予定してございます。

簗分科員 ありがとうございます。

 今、成功事例の紹介をいただきましたけれども、やはり国としてはそういうものを多く把握しているわけですから、そういうものをどんどん国全体で共有できるような、そういう体制づくりにぜひ国として尽力をいただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 では、次の質問ですけれども、今、企業の地方移転のお話をお伺いさせていただきました。それは一つ有効な、移転が成功すれば即効性がある、ある一定程度の雇用創出にはつながるということで期待のある政策ですけれども、やはり地場の、もともとある中小企業、小規模事業者、こういうところがその地域の社会、経済をこれまで支えてきて、そしてこれからもそうであるということに鑑みた場合に、そこにダイレクトに支援できる、そこで雇用を創出できる、そういう政策をしっかり打っていくことがまず最優先に必要だというふうに私は思っております。

 今、人口減少、都市圏への人口流出ということで総量として需要が先細りをしている、そして経営者の高齢化によって、商店街を初め活力も減退をしているという状況があります。

 実際、お話を聞くと、代々引き継いできた家業とも言えるそうした事業を自分の代でやめざるを得ない、本当に先祖に申しわけない、悔しい思いをしている事業者さんがいっぱいいます。ここはもう政治が何とか皆さんの思いに応えられるように頑張らなきゃいけないというふうに思っております。

 そこでお伺いをしますけれども、地方創生の取り組みの中で、中小企業、小規模事業者、そして地場産業の振興支援というところにおいて、国はどのような考えを持っているのかということを改めてお伺いするとともに、国と地方の役割分担、そして国としてはどんなことをやっていくのか、具体的なところを教えていただければと思います。

丸山(進)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の中小企業、小規模事業者でございますけれども、全国で三百八十五万、これは企業数で全体の九九%、それから従業員数で申しますと約三千二百万人ということで、これは全体の七〇%を占めるということで、我が国の経済や雇用を支える大変重要な存在であろうというふうに考えてございます。

 特に、中小企業の約九割に当たりますけれども、三百三十四万、これが小規模事業者の方々でございます。この雇用について申し上げますと、例えば東京都ですと、従業員の雇用の一〇%ということになりますが、実は、多くの県で見ますと、これはおおむね三〇から四〇%の雇用を支えておられるということで、地方では、小規模事業者は雇用の非常に重要な担い手になっておられるということかと認識をしてございます。

 こうしたことを踏まえまして、昨年の通常国会で小規模企業振興基本法を制定していただきました。地域で雇用を維持して頑張っておられる小規模事業者の方に光を当てて、伸びゆく、成長発展ということだけではなくて、事業を継続して持続的に発展させていかれる、こういう方を正面から支援をするということにさせていただいているところでございます。

 平成二十六年度の補正予算におきましても、この小規模事業者の販路拡大、販路の開拓の支援ということを小規模事業者持続化補助金ということで公募させていただきますが、総計で二百五十二億の小規模事業者支援予算というものを計上させていただいております。

 また、各地に存在をしております地域資源を生かしたふるさと名物の開発や販路開拓ということも重要だと考えてございまして、この国会に地域資源法の改正もお願いするということにさせていただいているところでございます。

 こうした中小企業、小規模事業者の方の支援ということを進めていくに当たりましては、地方自治体が、みずからの地域で盛んな産業ですとか、あるいは魅力的な地域資源といったものを踏まえまして、地域ぐるみで産業振興をしていくということが必要であるというふうに考えてございます。国といたしましても、そのような自治体と積極的に連携をしてまいりたいというふうに考えてございます。

 このために、例えば、地方自治体が施策を検討するという際に、各県市町村ごとに企業間の取引や人の流れあるいは人口動態の変化などをわかりやすく見える化をする地域経済分析システムというものを整備いたしておりまして、これを本年の四月から提供させていただきたいと考えてございます。

 それから、経済産業省を含めました各省庁でございますけれども、各地域に愛着あるいは関心を持つ職員というものを地方創生コンシェルジュということで選任をいたしまして、自治体の窓口として相談に応ずる体制も講じたところでございます。

 このような取り組みを通じまして、地方とも十分に連携をして、政府として、中小企業、小規模事業者の支援、あるいは地域の活性化ということに向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。

簗分科員 ありがとうございます。

 今お話しいただきましたけれども、地域の経済を回して地方の雇用を支えているのは、紛れもなく中小企業、小規模事業者であります。地場の事業者が存続できる、そういった環境をつくることができなければ、地方創生どころの話ではなくなると私は思っております。

 アベノミクスが目標とする、景気の好循環を全国津々浦々に届ける、そういう意味でも、この中小企業、小規模事業者振興政策というものをしっかりと地方創生の中で中核に位置づけて取り組みを進めていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 質問の時間の関係がありますので、事前にお話をした順序をちょっと変えさせていただきたいと思います。

 農業の振興のお話についてお伺いをさせていただきます。

 都市圏から地方に行けば行くほど、御案内のように、農業従事者の割合が非常にふえてくるという事情があります。したがいまして、農業従事者の所得というものを安定的に確保することができなければ、地方における経済の好循環というものをつくっていくことはできないんだというふうに思っております。

 特に、先般の米価の下落の問題、これはやはり私の地域においても非常に大きな問題になっておりまして、地域経済への影響というものは大変懸念される、そういった実情があります。

 ある農家の方は、私の事務所にお運びをいただいて、大規模にやっているんですけれども、今回の米価の下落で非常に大きな損失が出た、もう一回同じような状況が続いた場合にはもう農業はやめざるを得ないだろうということをはっきりと私の前でおっしゃられました。

 そういうことも踏まえて、今の農家の皆さん、特に稲作農家の皆さんが置かれている窮状というものをしっかりと認識をして、そこに応えていくということ、これをまずやらないと、我々が目指している新しい農政、水田フル活用ビジョンというものがありますけれども、これに向けた取り組みもやはり途中で難しくなる、そういう厳しい実情もあると思います。

 しっかりと水田を守る、食料安全保障上も水田を守る、そういった基本的な方針で我々は進めているわけでありますから、今の窮状についてはしっかりと国としても把握をして、そして、今後の営農継続意欲が今どんな状況にあるのか、それを把握することが重要だというふうに思っております。

 今般の米価の下落による農村社会への影響、そして、国として現状をどのように把握して、これまでどのような取り組みをして、今後どのような対応をしていくのか、これについてもう一度改めてお伺いをさせていただきます。

柄澤政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたように、二十六年産米の米価水準につきましては、相対取引価格で見ますと一万二千円台前半ということで、前年産に比べまして、おおむね二千円程度低い水準で推移しております。このことによりまして、生産者や農村地域において不安が生じているということにつきましては、私どもも承知しております。

 こういった状況に対しまして、国としましては、まず、いわゆるナラシ対策によりまして、過去五年中、中庸三年平均の、いわゆる標準的収入との差額の九割を補填するという措置を講じております。そして、緊急対策としまして、農林漁業セーフティーネット資金の当初一年間実質無利子化、また、米の直接支払交付金につきまして、希望者に対しまして二十六年中に支払いを完了する、さらに、先般の二十六年度補正予算におきまして、新しい米の生産コスト低減対策を実施するというようなことで、私ども全力で各般の対策を講じてきております。

 今後、二十七年産に対する対応といたしましては、今御指摘ございましたように、農業者の経営を継続しようという意欲を十分踏まえることは当然でございます。その上で、やはり二十七年産米の需給の安定を図るということが一番肝要だと思っております。

 そのために、まず、二十七年産の生産数量目標の設定につきまして、前年産より十四万トン少ない水準に設定し、さらにそれを下回る自主的取り組み参考値を付記した上で、主食用米から需要のある非主食用米に転換を進めるということが最重要の課題だと思っております。

 その中で、やはり中心となります飼料用米につきまして、リースの導入等、全力で支援してまいりたいと思います。特に、六十万トンの生産目標を設定して、みずから買い取って販売をするという全農の構想が発表されておりますので、この仕組みを全力で後押ししてまいりたいと思います。

 なお、二十七年産からは、ナラシ対策の面積規模要件がなくなりまして、意欲と能力のある農業者であれば幅広く加入できるということでございます。この点、私ども、いろいろなルートで周知を徹底しまして、できるだけ多くの加入者にお入りいただくということで農業経営の安定を図ってまいりたいと考えております。

簗分科員 ありがとうございます。

 やはり国として一番配慮をしなければいけないのは、農家の皆さんの営農継続の意欲です。これからも安定的に所得が確保できるのか、これが一番大きいですから、中長期的なそういったビジョンというものを国が見せていくことが重要だと思います。そこを意識して、引き続き取り組みを進めていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 次ですけれども、震災復興に関してお伺いをさせていただきます。

 地方創生の取り組みを進める前段として、震災復興がまだ十分になし遂げられていない、そういった状況もあります。

 私の地元の大田原市においては、震災によって本庁舎が損壊をしました。その結果として、仮設庁舎と、そして他の公共施設に分散させる形で行政機能というものを維持してまいりました。震災後は、市民生活の安定、そして被災した公共施設の復旧、建築物の耐震化等を最優先にしてきたために、庁舎の再建は後回しになったという事情があります。

 こうした事情がありまして、震災からの復旧復興において、市民の生活再建を第一にした結果として、庁舎等被災した施設の建てかえが後回しになっている、そういう実情があるわけですけれども、集中復興期間における財政支援措置というものを十分に受けられていない状況について、しっかりとした考えを持ってこれからも取り組みを進めていただきたいと思っています。

 集中復興期間後においても復旧復興支援措置を必要としているものに対する復興庁の御見解をお伺いさせていただきます。長島副大臣、どうぞよろしくお願いします。

長島副大臣 私の方からお答えをさせていただきます。

 復興庁は、今まで、被災者の生活再建、なりわい、そしてインフラ整備ということを最重点に掲げてやってまいりました。今おっしゃられたような状況の中で、もろもろの事情で後回しになった事業があるということは承知をしております。

 そこで、集中復興期間、二十七年度で一応区切りとなるわけでありますけれども、我々は、この二十七年度予算で再加速をさせて、どの程度の事業がその段階でできるのか、あるいは取り残しになるのか、あるいは必要な事業がどれだけ求められてくるのかを、きちんと二十七年度中に検証しながら、本当に必要な、復旧復興に資する、後回しにされた事業については、総務省さんともやりとりをしながら、今までの制度の中でやれるように取り計らってまいりたいと思います。

 何となく、集中復興期間が終わったらとめるんじゃないか、やめるんじゃないかという世論、風潮がありますけれども、決して復興庁は復興をとめるつもりもやめるつもりもございませんので、御理解を賜りたいと思います。

簗分科員 心強い御答弁を賜りまして、本当にありがとうございました。ぜひ特段の配慮をお願いしたいというふうに思っております。

 続けてですけれども、高市総務大臣にも、大変恐縮でございますけれども、この集中復興期間後も支援を必要としているというものについて、どのように総務省としてお応えをいただくのかというところで、大臣の御所見をお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。

高市国務大臣 二十八年度以降につきましては、復興庁を中心に、しかし政府を挙げて、やはりこれまでの進捗状況も見きわめ、そして事業のレビューも行い、財源の措置も含めて、そのあり方をきちっと検討してまいります。

 その検討の議論に当たりましては、地方公共団体に一番近い場所におりますと自負をしております総務省から積極的に議論に参加して、本当に復旧のために真に必要な事業の実施に悪い影響が出ないように頑張ってまいります。

簗分科員 心強い御答弁ありがとうございます。

 やはり被災地域においては、地方創生を始めるに当たって、復旧復興を完了させるということがまず第一の条件になると思いますので、何とぞ特段の御配慮をお願い申し上げる次第でございます。

 時間がまだ残っておるんですけれども、ここで私の質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

土井主査 これにて簗和生君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川康洋君。

中川(康)分科員 公明党の中川康洋でございます。

 私は、この国会で初質問でございますので、大変に緊張をしておりますが、大臣初め答弁をいただく皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 私は、昨年の十一月まで、実は、地元の四日市の市議会議員、さらには三重県の県議会議員を十二年務めさせていただきました。ゆえに、今回、総務省の関連ということで、特に地方の問題、課題について質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 既に、前の委員の方々の御質問と重複する部分がございましたら、そこはお許しをいただきながら、今回、端的に五つほど質問をさせていただきたいというふうに思っておりますので、ぜひとも、歯切れのよい御答弁を賜りますようお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 最初に、地方創生に関連をいたしまして、まち・ひと・しごと創生事業費についてお伺いをさせていただきたいと思っております。

 平成二十七年度の地方財政計画には、地域の実情に応じたきめ細かな施策を可能とする観点から、このまち・ひと・しごと創生事業費約一兆円が計上をされております。この一兆円、今回、総務省の方においても大変な御努力をいただいて確保をしていただいたものだというふうに認識をしております。

 また今回、地方財政計画の歳出にこの事業費を計上していただき、一般財源総額としても相当な規模を確保していただいたために、来年度の地方財政、いつも厳しい厳しいというお話をいただくんですけれども、幾分かは楽になったのではないかなというふうに私も評価をしておるところでございまして、高市大臣、大変にありがとうございました。

 現在、安倍政権が強力に推進をしております地方創生については、今申し上げたまち・ひと・しごと創生事業費とは別に、既に成立をいたしました補正予算にある交付金が内閣府予算として計上されておりますが、この地方創生事業については、間違っても単年度で終わらせる性格のものではなくて、これから息長く続けていくところに意味があるために、特に、今回二十七年度の予算に入っておりますまち・ひと・しごと創生事業費については、これが今後どのように継続さらには展開されていくのかが、各地方自治体の責任者さらには関係者にとっては大変に気になるところでございます。

 そこで初めに、総務大臣にお伺いをしたいと思います。

 このまち・ひと・しごと創生事業費については、地方における事業の継続性、さらには予見可能性の意味からも、今後も継続的に続けていくところに重要また大切さがあると考えておりますが、この事業費の、二十八年度以降今後の予算の見込み、さらには事業の継続性についてどのように考えられているのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 二十七年度の一兆円につきましては、財源は、既存の歳出の振りかえ〇・五兆円及び地方の努力による新規の財源確保〇・五兆円によって確保しております。

 新規の財源確保分の中には、臨時の財源であります地方公共団体金融機構の準備金の活用三千億円が含まれておりますけれども、地方創生というのは、実際に取り組みを始めてから成果が出てくるまでに非常に息の長い取り組みが必要でございます。

 必ず、一定の期間がかかるものでございますので、二十八年度以降の取り組みも、地方法人課税の偏在是正をさらに進めることなどによって恒久財源を確保して、まち・ひと・しごと創生事業費の安定的な確保に努めてまいりたいと考えております。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 私も地方が長かったわけですけれども、政策的な事業も含めて、いかに財源を確保していくのか、これが常に地方にとっては大変な問題でありました。

 そういった中で、今回、地方創生というところで光を当てていただきまして、そして、恒久的な財源をというお話を今いただいたわけですけれども、それが継続的に続いていく、そうすると、やはり政策的に息の長い事業が、または政策が地方において打てるのではないかなというふうに思っております。

 総務省として、本当に地方の立場にお立ちいただいて、今後も、恒久的な財源、さまざま工夫をしていく必要はあるというふうに思いますけれども、そこのところをぜひともよろしくお願いをし、今の政権だけが地方創生というのではなくて、やはり国の施策として長く続いていくような形でお取り組みをいただきたいというふうに思っておりますので、今後も、政権全体として、地方創生のお取り組みに力点を入れていただきますようにお願いを申し上げさせていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、税の問題について少しお伺いをさせていただきたいというふうに思います。具体的には、固定資産税の償却資産課税についてお伺いをいたします。

 この固定資産税の償却資産課税につきましては、平成二十六年度の税制改正要望におきまして、日本再興戦略に基づく設備投資促進施策の一環として、償却資産のうちの機械及び装置に関しまして、新規の設備投資分を非課税とする、さらには長期保有分の評価額の最低限度額、具体的には五%分を段階的に廃止するというところの、いわゆる償却資産課税の抜本的見直しという要望が出されたところでございます。

 しかし、与党の方の税制改正大綱におきましては、二十六年度、さらには二十七年度の大綱において、この問題については、引き続き検討するというふうにされているところでございます。引き続き検討ということですので、いわゆる結論が出されたわけではございません。

 この地方税収の主要な税目であります固定資産税ですけれども、特に、その中の償却資産課税につきましては、地方の自治体における行政運営や施策展開のための重要な財源となっておりまして、仮に、この要望どおりの税制措置がとられた場合、地方財政に対する影響というのは甚大でありまして、それこそ、地方創生でお金が来たとしても、やはり基幹税がなくなってしまうと安定的な財政運営が行えなくなる、こんなような状況があります。

 ちなみに、私の地元は三重県の四日市市でありますけれども、この四日市市の場合、数字を見ますと、平成二十六年度の予算で、固定資産税における償却資産課税の総額、これは百十四億円でございます。そして、そのうちの機械及び装置の分というのは八十一億円ございまして、率にすると、固定資産税償却資産の中で機械及び装置が実に七一%に上る、こういう非常に大きなウエートを占めております。

 そして仮に、この要望どおりの制度見直しが行われた場合、新規の設備投資の非課税分で三十二億減る、さらには最低限度分の五%、これが廃止となりますと二億ということで、私どもの地元四日市では合計三十四億円の減収というふうになりまして、物づくり産業の立地する本市四日市にとっては、実に四二%もの税収が入らなくなる、こういった状況がございます。

 そこで、お伺いをいたします。

 この固定資産税の償却資産課税については、地方の自主財源の確保、さらには地方の自主性、自立性という観点から、制度の根幹を揺るがすような見直し、これについては私は慎重であるべきであり、さらには行うべきではないというふうに考えますが、改めての総務省の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

高市国務大臣 今、四日市市の例を挙げてくださいましたが、固定資産税、全体で見ますと約八・六兆円の税収規模です。これは市町村税収全体の四割超に当たります。うち、償却資産分が約一・五兆円ということですから、地域に密着した産業振興施策ですとか公共事業など、地域経済の活性化を担っている市町村にとりましては、安定した重要な基幹税源となっております。

 このため、償却資産課税の見直しの議論に対しましては、全国知事会、全国市長会、全国町村会を初め多くの地方団体から現行制度堅持の意見をいただいております。

 そんなこともありまして、二十七年度の与党税制改正大綱、自民党、公明党で随分議論をしていただいたと思うんですが、この中では、これらを踏まえて、引き続き検討するという表現になったと承知しております。

 今後も引き続き、地方団体の意見を十分に踏まえながら、また与党大綱の中でさまざまな観点、論点が示されましたので、これらも考えながら、総合的な議論を行うことが必要だと思っております。

中川(康)分科員 大臣から非常に力強い御答弁をいただいたかというふうに思っております。

 これは税の問題でございますので、最終的には、今、大臣も御答弁いただいたとおり、与党の税制改正大綱、十二月の議論の中で決定をしていくということでございますが、やはり総務省の側として、さまざまな資料でありますとか意見を強く述べていっていただきたい。

 やはり、それを述べていただくことによって、さまざま、改正の中では、経済政策また経済の活性化というところで、この部分を減額したり廃止するというような議論があるわけですけれども、地方にとってみますと重要な基幹税でありまして、そして、いかに企業を呼び込むかとか、企業の活性化を図るというのは、基幹税をいただく中で、その町が独自の対策というか施策を打っていけば私はいいんだというふうに思います。

 税そのものの中で、例えば非課税にする、廃止するということで経済が活性化したりとか企業が推進しやすくなるというのではなくて、やはり基幹税の中で、それぞれの自治体がさまざま競争をする中で独自の施策を打って企業を呼び込む、そして企業において経済活動を頑張っていただく、そういう方向性を常に持っていっていただければというふうに思います。

 これは与党税制改正大綱の中で決まっていく話ではありますが、総務省のお立場として今後もさまざまな御意見を述べていただきますよう、大臣から非常に力強いお言葉をいただいたなというふうに思っておりますし、私は比例区の東海ブロックで三重県、大臣は奈良県ということで、あそこの経済をこれからどう活性化していくかというところは、滋賀県を含めてすごく大事だというふうに思っておりますので、またぜひともよろしくお願いをしたいなというふうに思っております。

 三点目の御質問に入らせていただきます。マイナンバー制度についてお伺いをいたします。

 マイナンバー制度につきましては、きょう報道等で、閣議決定がされたというようなお話もあったところでありますが、やはりこの中身について、まだまだ国民の皆様に周知がおくれているのではないか。しかし、制度のスタートは目の前に来ているというところで、少し危惧するところ、また確認をしておきたいところ等、御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 少しおさらいになりますが、この制度は、日本に住民票がある全員に十二桁の番号を割り振りまして、いわゆる社会保障や税など行政にかかわる個人情報を一つの番号でつなぐ制度でございまして、来年の一月にはマイナンバーの利用開始が、さらには一七年七月には制度の本格稼働が予定をされておるところでございます。

 しかし、このマイナンバー制度につきましては、現在、総務省とNECが開発中の中間サーバーの設計が、入力する年金関連の情報などが想定よりも非常に多かったということで、追加改修が必要になったために予定よりもおくれているとの一部報道がなされたところであります。

 現場では、この中間サーバーの仕様書がおくれると自治体のシステム改修もおくれる状況になっていくのではないか、このような心配をする声が上がってきておりますが、この中間サーバーの設計、さらには仕様書が各自治体にどう出されていくか、このあたり、まず大丈夫かどうか、この辺のところの総務省の御見解をお伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバー制度のシステム開発に関しましては、中間サーバーの開発も織り込みました全体的スケジュールに沿いまして準備を進めておりまして、平成二十九年七月の情報連携の本格的な開始に影響はないものと考えているところでございます。

 総務省におきましては、この中間サーバーと接続する地方公共団体の既存システムの改修に必要なインターフェース仕様書、主要な二十四の特定個人情報を対象としたものを先月、二月二十七日に地方にお示ししたところでございます。さらに、三月末には、全特定個人情報を対象といたしました仕様書をお示しする予定でございます。これらに基づきまして、着実にシステム改修を進めていただくこととしているところでございます。

 私どもといたしましては、平成二十九年七月の情報連携の本格開始に向け、地方公共団体におけるシステム整備が着実に進みますよう、その進捗状況の把握に努めますとともに、必要に応じて支援を行ってまいりたいと考えております。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 今、少し心配されるところを確認的にお伺いさせていただいて、着実に進めていっております、さらには地方における整備状況も把握をしながらという御答弁をいただいたところでございます。

 各地方によっても、差が出ているところとか、さまざまな状況はあるかというふうに思いますので、限られた人材だと思いますけれども、現場現場にお入りいただく中でそれぞれの状況を把握していただいて、遅滞のないスタートというんでしょうか、そういったところをお進めいただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 もう一点、お伺いをいたします。

 マイナンバー制度につきましては、各自治体のシステム改修をこれからお願いしていく、さらにはそれが進んでおるわけでございますけれども、都市部ならともかく、例えば私、地元は三重県ですけれども、三重県などで対応できる業者というのは数社しかないというような状況がありまして、その結果、改修費用が高どまりしているといった現状もあって、これは聞いた話の範囲ですが、自治体によっては持ち出しが発生しているというようなところも聞いているところでございます。

 私は、今回のマイナンバー制度、基本的には、この制度は国家的な社会基盤整備でございますので、今回の必要経費につきましては原則やはり国が負担をしていく、こういった方向性が大事じゃないかなというふうに思っておるわけでございます。

 この制度導入に伴う地方への予算措置、これは幾分増してきていただいているというふうに聞いておりますが、この予算措置につきましては、地方の声を反映した形で措置が十分にとられてきているのかどうか、さらには、その方向性で今後も大丈夫かどうか、ここの部分、やはり地方の立場としては、この段階であえてお伺いをしておきたいというふうに思います。

佐々木政府参考人 マイナンバー制度の導入に必要となります地方公共団体のシステム整備に対します支援といたしまして、平成二十六年度当初予算におきまして、国庫補助金を約三百十一億円計上したところでございます。

 この補助金に対しまして、先ほど委員の方から御指摘ございましたように、地方公共団体から増額の要望がございましたところでございます。総務省といたしましては、要望額の内容等について精査を行いまして、システムエンジニアの人件費等の経費の増嵩でありますとかシステムの機能追加、こういった状況の変化を反映しまして、必要な額の確保のため補助金の増額を行ったところでございます。

 具体的には、今般、平成二十六年度補正予算において約四百九億円を計上し、加えて、平成二十七年度当初予算案におきまして約百二十一億円を計上しております。

 これは、当初予定をしておりました補助金の額から約二百四十億円の増額となっているところでございまして、地方公共団体におけるシステム整備に必要となる額を計上させていただいたものと考えております。これによりまして、各地方公共団体において着実に準備を進めていただきたいと考えております。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 具体的な額もお示しをいただきながら、地方の声に応える形で、補正対応等も含めて予算措置をしてきたというような御答弁をいただいたかというふうに思っております。

 先ほども申し上げたとおり、これは国家的な社会基盤制度でして、各地方においては、さまざまな状況はありますけれども、やはり着実に進め、遅滞なくスタートをするということが大事だと思います。

 ほぼ、制度開始に近づいてきておりますので、ここから新たなる予算措置が必要かどうかというところはありますけれども、特に業者なんかでも、町場はたくさん業者がおりまして、いわゆる競争原理が働くわけですけれども、地方におきますと、対応できる業者そのものが少なくて、その結果、いわゆる高どまりしている、こんな状況もあったりするわけでございます。

 最初にも申し上げたとおり、やはり現場の状況を把握していただきながら、今後も、いわゆる間違いのないようなスタートをしていくことが大事だと思いますので、ぜひともまたよろしくお願いをいたします。

 もう一点、確認をいたしますと、このマイナンバー制度、明年一月には利用開始が始まるということですが、きょうの閣議決定における報道等でも最後に書かれておったんですが、やはり国民の皆さんの理解とか意識が決して高い状況にないということで、きょうの報道なんかを見ていますと、まだ七割の方がこのマイナンバー制度を知らない、こんな状況もあります。

 もうスタートの時期は切られておりまして、これをいかにこれから周知、PRをしていくか、さらには、国民の皆様にこの番号を有機的に活用いただくには、やはり中身も含めて御理解いただくというところが大事だと思いますが、この周知、PRについての総務省のお考えを改めて確認したいと思います。よろしくお願いいたします。

佐々木政府参考人 今、委員御指摘いただきましたように、マイナンバー制度につきましては、国民の皆様の御理解をいただくことが大変重要だと思っております。

 したがいまして、昨年からも、内閣官房等とも協力をいたしまして、さまざまな形で周知を図ってきておりますけれども、さらに国民への広報を強めていくということで、三月、今月には、テレビでありますとか新聞も含めましてさまざまな形で広報を展開してまいりたいというふうに考えております。

 今後とも、各関係省庁、それと地方公共団体と協力しまして、国民への周知の徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 テレビ等も含めてPRに努めていきたいというお話がありまして、これは大分前の話になりますけれども、地デジを推進したときに、地デジカというようなキャラクターをつくってぐっとやったりとか、あと、いわゆる一般的に有名な方を御活用いただいてPRに努めたというようなこともあります。

 限られた予算ではあると思いますし、地デジの政策とマイナンバーの政策、ちょっと性格が異なるかもしれませんが、やはり国民の皆さんに理解をいただかないと、幾ら制度を構築してお金をかけても意味がないということもあるかと思いますので、その点も含めて、さまざまな御努力、よろしくお願いをしたいなというふうに思います。

 四点目に入らせていただきます。

 少し視点を変えまして、情報通信関連の問題といたしまして、海上及び船上におけるデジタルデバイドの解消についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 私、国土交通委員会にも所属をしておりまして、やはり、この海上ないしは船におけるデジタルデバイドの問題、意識をしております。

 そして、この質問につきましては、これまでも我が公明党の伊藤渉議員が、昨年の予算委員会のまさしくこの第二分科会、さらには国土交通委員会などで何度か質問をさせていただいておりますが、海上における安全、安心の確保や、いわゆる船で働く方々の生活環境の向上というのは、今後の船員の後継者の確保や育成に不可欠な問題でございます。そのためにも、海上や船上におけるデジタルデバイドの解消というのは、私は、今や大変重要な課題の一つであるというふうに認識をいたしております。

 総務省におきましては、今年度及び来年度に向けて、このデジタルデバイドの解消策として、例えば海上通信システムの利用実態の調査や普及啓発、さらには、船上における通信速度の高速化の一環として、次世代移動衛星通信システムの技術実証及び制度整備などを行っておりますけれども、私は、これらの調査や整備推進につきましてはまだまだ緒についたばかりであり、今後さらに、この課題の解消については加速度的に整備を進めていただく必要があるのではないかなというふうに考えております。

 そこで、改めてお伺いをいたしますけれども、海上及び船上におけるデジタルデバイドの解消につきましては、担当省庁といたしましてどのような御認識を持っておられるのか、さらには、今後の取り組みの方向性についてお答えを願いたいと思います。よろしくお願いいたします。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、船上で長期間活動する船員と家族とのコミュニケーションの確保だとか、あるいは緊急時の通信の確保というようなことで、海上においても陸上と同等のICT利用環境の実現を求めるニーズが高まっているというようなことから、海上におけるデジタルデバイドの解消は重要な課題というふうに認識しております。

 海上におけるデジタルデバイドを解消するためには、広域なサービスエリアを確保できて、しかも災害に強いという特性を有します衛星通信システムについて、民間事業者のサービスを活用することが重要というふうに認識しております。

 これまで、総務省としましては、例えば、世界的なサービスエリアで小型端末による通信を可能としますイリジウムシステムの導入だとか、インマルサットシステムの通信速度の高速化や端末の小型化、それから、船舶において高速ブロードバンドサービスを利用可能とするための新たな周波数の利用について、他の無線設備との共用を可能にするための技術実証や技術基準の策定、これは制度整備でございますが、行ってきております。

 二十七年度以降から三カ年計画で、より高い周波数帯でありますKaバンドを活用しまして、海上において現行の十倍以上の通信速度を実現するというようなことで、周波数有効利用に資する技術実証や無線設備の技術基準の策定等の制度整備を実施することにしております。

 総務省といたしましては、国土交通省等の関係府省と連携し、今後も技術の進展に対応した新たな無線システムの導入、それから既存システムの高度化のための制度整備などの取り組みを進めることによりまして、海上におけるデジタルデバイドの解消に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 今、方向性としては、予算の措置も含めて非常に前向きな方向性をいただいたのかなというふうに思っております。通信事業は総務省の所管ということで、海事事業については国土交通省ということで、より連携を図っていただきながらこの問題を進めていただきたい。

 なぜかといいますと、今、船員の後継者をどう確保、育成していくかということが非常に大事な問題で、ただでさえ、アジア、諸外国にこの海事政策というのは押されているところがあるわけですね。

 そこで、やはり船員をどう確保していくか。若い方を確保していくという意味においては、通信事業がしっかりしているかどうかということもすごく大事でして、かつ、今お話がありましたけれども、家族とのやりとりということも大事ですし、さらに、やはり緊急時、外湾なんかへ出たらもう何カ月もというところもあるわけですね。その辺の連絡、連携、こういった問題。

 さらには、日本は離島が非常に多いですので、島の緊急事態にどう対応していくかというところにおいては、船のデジタルデバイドの解消、こういった問題もすごく大事でありまして、ここは、限られた予算ではあるけれども、いろいろな要素を考えると、やはり非常に大事な問題であるというふうに思っております。

 二十七年度からの三カ年ということでありましたが、実際に船の上でお仕事をされている皆さんのお声等もぜひとも聞いていただきながら、やはりこの部分の問題のしっかりとした解消に努めていっていただきたい。

 そして、それが結果的に、日本の海事行政、海事政策が前に進んできた、さらには船員さんも有能な船員がふえてきた、こういった方向につながるようにお願いをしたいというふうに思っておりますので、ここの部分もまた引き続き御努力を願いたいというふうに思っております。

 最後、消防行政の問題についてお伺いをしたいと思います。具体的には、国から貸与されております消防特殊車両の今後の車両更新に向けての財政措置、この部分の御見解をお伺いします。

 現在、私の地元、四日市ということで、四日市の話ばかりするのは恐縮なんですが、地元の四日市市の消防本部を初め各都道府県の主たる消防本部には、大規模災害に対応する緊急消防援助隊の充実強化のために、例えば大型後方支援車でありますとか燃料補給車、さらには人員の搬送車など、いわゆる消防特殊車両というのが国の無償使用制度を活用して配備をされております。

 この維持管理経費につきましては、これは国の交付税で措置をされているわけでございますが、将来、車両が老朽化した場合の更新につきましては、この財政措置については、現状においてはまだ明確にその内容を示されていない状況でございます。

 確かに、これら消防特殊車両につきましては、その配備が平成二十年から二十四年度というところで行われたために、まだ耐用年数、そんなに過ぎているわけではないんですが、無償貸与を受けている各消防本部や自治体の立場からすると、この車両の必要性、これは今後も当然認められますし、しかし、それぞれの車両の費用は決して安くはないということで、今から、これら消防特殊車両の車両更新に向けての国の考え方及び財政措置の考え方を示してほしい、こういった声があるわけでございます。

 そこで、消防庁にお伺いをいたします。

 これら消防特殊車両の将来における車両更新について、十年とか十五年先になるかもしれませんが、私は、基本的に、今後も国がその財政措置を行うことがやはり望ましいのではないかというふうに思いますが、この車両更新に向けた消防庁としてのお考えを、現在においてあればお教え願いたいと思います。よろしくお願いいたします。

高尾政府参考人 大規模地震やコンビナート火災あるいはNBC災害など、高度かつ特殊な災害に対応する車両につきましては、委員御指摘のとおり、国の責任において調達をするということで、緊急消防援助隊に無償使用という形で全国配備を進めております。平成十七年度から始まっておりまして、今年度末、二十六年度末で全国で四百十七台という見込みでございます。

 これらの車両の耐用年数は、車種によっても違ってまいりますけれども、おおむね十五年から二十年程度と見込んでおりまして、近い将来、更新時期が到達するという認識でおります。

 このため、想定される災害に即した車両の必要性でありますとか有効性、また各車両の耐用年数等も考慮しながら、更新車両、新規車両、それぞれバランスをとりながら、無償使用車両の計画的な整備を行ってまいりたいと思います。

 あわせて、そのために必要な財源確保、現在は国費で予算をとっております、当初予算、補正予算等々をタイミングで活用しておりますので、必要な財源確保に努めてまいりたいと思います。

中川(康)分科員 大変にありがとうございました。

 耐用年数、私は十年から十五年と言って、今、御答弁は十五年から二十年と。あえて、私は少し少な目に、向こうは多目に言ったわけでございますが、やはり、局地災害が起きる中で各地域を超えた対策というのは大事でして、そういった意味においては、こういった配備がされることはすごく大事です。しかし、短期でやるのはなかなか大変なものですから、今からこの部分、現場の声も聞きながら、どう対応していくのか、そこの部分を御検討いただければと思います。

 きょうは、私、地方の問題を中心にさまざまな課題を御質問させていただき、前向きに、また力強い御答弁もいただいたというふうに思っております。

 以上で質問を終わります。大変にありがとうございました。

土井主査 これにて中川康洋君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立分科員 維新の党の足立康史でございます。

 高市大臣におかれましては、予算委員会一般質疑でも時間を頂戴しまして、本当にありがとうございました。

 引き続き、予算委員会で取り上げさせていただいた大阪の事例にかかわる話をこの分科会でも改めてお伺いさせていただきたいと存じます。お手間をとりますが、よろしくお願いします。

 まず一点目は、いわゆる調整会議でございます。

 昨年の自治法で法令に規定されましたいわゆる知事と政令市長との調整会議に係る大阪の条例、これはまだ、今ちょうど開会中の大阪府議会に上程をされて継続審議になっておる、大阪戦略調整会議の設置に関する条例案というものがございます。

 これは改めて、高市大臣、地方自治法上の評価、もう簡潔で結構ですので、御紹介をいただきたいと思います。

高市国務大臣 今審議をされている個別の条例案について、その詳細についてお答えすることは差し控えたいんですけれども、一般論としては、地域の実情に応じて、条例等で独自に会議体を置き、指定都市と都道府県の間の二重行政の解消のために協議をしていただくということについては、特段問題がございません。

 もう少し具体的に何か、例えば、こういうことが地方自治法上どうなのかと聞いていただいた方がいいかもしれません。

足立分科員 既に予算委員会の場で大きく二、三挙げさせていただいております。最大の問題、いわゆる知事の議案提出権を侵害しているのではないかということは、既に予算委員会で申し上げたとおりであります。また、いわゆる会議の設置主体が議会になっているのもおかしいとか、いろいろ挙げれば切りがないんですが、この条例案については多々問題があるという部分。大臣、これはもちろん、それぞれのテーマについてここで改めてもう議論する必要もないと私は思っています。

 実は、きのう、大阪府議会で、ちょうど議会でこれが議論になりました。橋下徹大阪市長から、大阪市長の認識として、この条例案は地方自治法上違法であるというふうに自分は考えている、こういう答弁がきのうありました。

 総務大臣も同じお考えではないかと私は推察をいたすわけでありますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 府議会での議論で市長の御答弁があったんでしょうか。ちょっと、ごめんなさい。(足立分科員「そうです、そうです」と呼ぶ)そうですか。

 首長の議案提出権、先般予算委員会でお尋ねいただいたことについてでしたら、ある程度明確にお答えできると思います。

 地方自治法第百四十九条の規定により、首長には、地方公共団体の議会の議決を経るべき事件につきその議案を提出する権限があるとされております。条例において仮に当該権限を侵害する規定がありましたら、その規定は法に反することになると考えます。何らかの条例を定めていただく場合には、法令の規定との関係をしっかりと検討していただく必要があります。

足立分科員 大阪の条例は、まさにその会議で決した内容について知事に議案提出義務が発生する内容になっていますから、今大臣が一般論としておっしゃったことをそのまま適用すれば、大阪戦略調整会議については地方自治法に反する、違法であるということになります。

 これは、こだわるようですが、もちろん、大臣は総務大臣でいらっしゃいますから、ある意味で、地域の自治、地方公共団体の状況についてできるだけ、余り干渉しないというか、自治を尊重するというお立場にあるのは承知をしていますが、私は、国会議員であります。この国会において、地方自治法の運用について確認させていただいているわけです。

 大臣のお立場はわかりますが、既に大阪には条例が上程されていて、その条文はもう何度も総務省としても確認をいただいているわけであります。さらに、大阪府議会において、きのう、橋下大阪市長から、その条例案については地方自治法上違法であるという答弁がなされている。その状況において、私は、総務省としても、大阪で上程されているこの条例案について、やはりそれは地方自治法上違法であると明確におっしゃっていただくべきと。

 もちろん、先ほどの御答弁で論理的にはもう帰結をしている、完結をしているわけでありますが、改めて明確に、地方自治法上の規範、地方自治法、法令で定めている、その地方自治法を遵守いただく必要があるわけですから、この国政の場で、地方自治法の運用について、今既に大阪で上程されている、自民党大阪府連が上程した大阪戦略調整会議は地方自治法上違法である、そのことをやはりきっちりと、国会議員が衆議院の予算委員会で質問しているわけですから、ぜひ御答弁をお願いしたいと思います。

高市国務大臣 地方自治法第十四条第一項の規定により、普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、同法第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができるとされております。ですから、条例において首長の議案提出権を侵害する規定があれば、その規定は法に反する、つまり違法であると考えております。

 ただ、こうしてかなり明確に私は答弁をしているつもりでございますけれども、地方自治体の条例制定に関することについては、まさに自治立法権の範囲でありまして、現在審議中の個別の地方自治体の条例案について、現時点で総務省としてコメントをするということは慎むべきだと考えております。しっかり地方において御議論をいただきたい、今はそういう段階だと考えます。

足立分科員 先ほど私からも申し上げたように、今、高市大臣がおっしゃった御趣旨は一定理解をできるところであります。

 では、さらに問いますが、実は、今開会中の議会は十三日で一旦閉会をいたします。結論からいえば、そこまでに審議に付されなければ廃案となるし、審議に付され決すれば、その決する状況になるということでありまして、ほぼ今の、大阪府議会の予定では、三月十三日に一旦閉めることになっております。

 先ほど大臣おっしゃったように、今大阪府議会に上程されているものについて、その違法性について高市大臣が明言をする、それは既に論理的には明言をされているわけでありますが、直接、自民党大阪府連が上程をしている大阪戦略調整会議の設置に関する条例は違法である、こうは言いにくいというのは一定程度理解いたしますが、十四日以降、当方が照会をいたしましたら、国会議員として総務省に照会をしましたら、明確にその違法性について御見解を表明いただけると考えてよろしいでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、自治法がございますので、仮に、条例におきまして首長の議案提出権を侵害する規定があれば、その規定は法に反するということは、大臣からも明確に御答弁申し上げたところでございます。

 現在、議会の方で審議をされているというふうに聞いておりますけれども、条例を審議する過程においてこういった法令に反するということがないように、先ほど大臣が申し上げました、慎重に検討していただく必要があるということでございますので、そういった議会での審議を期待するところでございます。

足立分科員 いやいや、もうわかっていらっしゃると思うけれども、とにかく、私が聞いているのは、府議会で審議中だから明言はしない、こうおっしゃっているわけで、では審議が終われば明言してくださいねと言っているんです。答えてください。

佐々木政府参考人 私どもとしては、先ほど申し上げましたように、条例において首長の議案提出権を侵害する規定があれば、その規定は法に反すると考えるわけでございますが、その条例の、いろいろなケースがあると思いますけれども、それぞれの規定が法に反するかどうかというものは、それは個々具体に検討を要することであるというふうに考えております。

足立分科員 全然答えになっていないんですね。

 既に大阪の条例案はお手元にあるわけです。というか、この日本の、日本のというか、大阪府議会に上程されているわけです。個々個別と言うけれども、そこにもう条例案があるわけです。御存じですね。

 その大阪の条例案は、首長の、知事の議案提出権を侵害していますね。まずその確認を。これは事実確認です。もう御存じのはずです。

佐々木政府参考人 私ども、府議会の審議をしている当事者ではございませんので、個々の規定が法律に反するかどうかについてコメントすることは差し控えたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、首長の議案提出権を侵害する規定であれば、その規定は法に反するということが私どもの法の解釈でございます。

足立分科員 よくわからないですね。

 だから、もうお手元にお持ちなわけですよ。それについて、侵害しているかどうか、それは条文があるわけですから、その条文を国会議員がこうやって聞いても答えられないんですか、局長。ちょっと答えてください。

佐々木政府参考人 恐縮でございますけれども、条例の規定について、首長の議案提出権を侵害する規定であるかどうかということについては、慎重な判断が必要であるというふうに考えております。

足立分科員 いや、だから、その慎重な判断はいつするんですか。

佐々木政府参考人 条例を審議いたしますのは議会でございますので、議会において慎重な審議を行い、判断をしていただくということになると考えております。

足立分科員 すると、条例が成立するまでは、総務省というのは条例について言及することは一切ないんですね。これが一般ルールなんですね。そうであれば、そうであるその根拠を教えてください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からもお話がございましたように、地方公共団体の条例制定に関することは、まさに自治立法権の範囲でございまして、当該地方自治体の判断に委ねられているものでございます。したがいまして、どのような条例を審議して制定するかということにつきましては、地方公共団体において十分審議の上、議決していただくものでございます。

足立分科員 だから言っているんです。だから、申し上げているのは、そういう自治体の自治立法権にかかわるものだということをもし尊重するとしたら、それが終わり、十三日に終わるわけです、終わった後、十四日に総務省に対して、過去の遺物となったところの、廃案になったところの、なるかどうか知りませんよ、仮に廃案となったら、その廃案となったところの当該条例の地方自治法上の評価、適法性、違法性について、私は見解をお伺いすることができますねと言っているんです。

 イエスであれば、この話は終わります。

佐々木政府参考人 私ども、いろいろな自治体から御相談を受けることもございます。そういったときに、地方自治法との関係についてどのような論点があるのかという御相談があれば御助言をいたすということにいたしております。

足立分科員 もう既に大阪市長が公の場で違法だと言っているんですよ。それについて今、国会で議論しているんです。答弁してください。

佐々木政府参考人 先ほど申し上げましたように、地方自治体からいろいろな御相談をいただいたときに、私ども、法律を所管しておりますので、法律を所管している立場で、法の解釈としてどういったことに留意をしていただく必要があるのか、あるいはどういうふうに考えていただく必要があるのかといったことを助言してまいってきておりますので、今後ともそういった観点で対応してまいりたいというふうに思います。

足立分科員 これは、聞かれている方はもうやめろということかもしれませんが、大事なことなんですよ。

 条例案があります。だから、私が今申し上げたように、出口は三つあるわけです。

 そもそも、総務省という役所、国は、地方自治の枠組みの中で、一般論として、条例というものについて、成立するまでは一切その法律上の位置づけについて意見を述べることはないんだということなら、それできょうは終わりです。それは、そうですかと。あるいは、そうでない、意見を述べるのであれば、特段本件について意見を述べない理由がほかにないのであれば、どっちかですよね。

 もう論理的には違法だと言っているんですから、それは明確にこの場で、国政の場で言ってください。もしそれが、仮に今審議中だからだめだというなら十四日にお願いしますと言っているんです。

 どこかに出口があるでしょう。総務省としての立場は、私が今言った集合の中でどこに該当するんですか。

高市国務大臣 今審議中だからということを私は先ほどから、申し上げました。

 地方議会にあっても、国会でもよくあることですが、審議を尽くして、途中で、例えばここは国の法律に抵触するんじゃないかという指摘があったり、それからまた修正などが行われる可能性もございますので、現時点において、具体的に、大阪府の条例案を知っているだろうということで、その一つ一つについて違法だとか違法じゃないとかいうことを総務省が申し上げるというのは、これはやはり地方自治の観点から好ましくないと思っております。

 ただ、仮に違法状態の条例が可決をしたというようなことがありましたら、その後は、地方自治法に基づいて、一般再議とか違法再議とかありますし、また、もしもそれがまた再度可決して成立したというときに、知事が総務大臣に、また市長が知事に審査の申し出をすることも可能ですし、裁定に不服があったりすると、裁判所に出訴することも可能ですし、きっちりとやはり合法的に条例を定めていただくための道が定められていると思っております。

足立分科員 これぐらいにしますが、あと一点だけ。

 先ほど御紹介したように、きのう、大阪市長が、地方自治法に照らし違法である、こう議会で答弁されました。御確認いただいていないかもしれませんが、これは事実であります。

 御所感がありましたら、教えてください。地方自治法に言及しているわけですからね。

高市国務大臣 ただ、大阪市長から私どもの方に何も御相談はございません。何か具体的に御相談があったら、総務省として、一般論については、また法の解釈についてはお答えをするところであります。

足立分科員 一連の御答弁の中で、もちろん一般質疑を含めて、いわゆる地方自治法、特に知事の議案提出権を侵害するような条例は違法である、これは一般論として明確に御答弁をいただいております。実際、自民党大阪府連が上程をした、今継続審議になっている、十三日には廃案になるかどうかが決するこの大阪の条例案は、大阪戦略調整会議で決定した内容については知事に議案提出義務が発生するという構成になっておりますので、これは明確に違法であるということを、改めて、一般質疑に引き続いて、この分科会でも確認をさせていただいたということでございます。

 あと、残る時間、これも大阪の事案でございますが、ABC、朝日放送が、京大の藤井教授をレギュラーコメンテーターとして採用しているという件についてであります。

 御承知のとおり、今、統一選を控えている、さらに言えば、その統一選の後に、五月にはいわゆる住民投票が控え、議会で決すれば住民投票が見込まれるという状況の中で、政治的に活動している人物がレギュラーコメンテーターとして常に大阪の視聴者の目に触れる、これは放送法に言ういわゆる放送の不偏不党、ここにいろいろ課題があるんじゃないか、こういう問題提起を今我が党の松野幹事長の方から朝日放送を含む放送局に提示しているところであります。

 そこで、お伺いをしたいんですが、いわゆる選挙に立候補する者、これは藤井教授が立候補するわけではありません、されるかもしれませんが、表明をされておられるわけではありませんが、いわゆる、大阪の政治において、政治的主張を展開されておられるわけでありますので、その前提としてお聞きするわけです。

 その前提として、立候補者、選挙の立候補予定者、一般に、我々テレビを拝見していても、放送を拝見していましても、そうした者の出演については控えるないしは制限するということが行われてきたし、行われていると承知していますが、そういった規範、ルール、これは今、我が国においてはどうなっているか、御紹介いただけますか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 放送法では、放送番組につきまして、放送事業者がみずからの責任において編集することとし、放送法に基づき放送事業者が自主自律で対応していくというふうになっておるところでございます。

 その放送法の規定の中では、みずからが放送番組の基準を定め、放送番組審議機関を設置し、これを定期的に開催するなどの放送の自主自律の原則の中で対応することになっておりまして、今委員が御指摘のような点につきましては、放送法そのものの中に規定があるわけではなくて、放送事業者の自主的な取り組み、放送番組編集の基準等の中において、それぞれの判断において的確なる対応をしていくということで、定めながら、放送の政治的公平、こういったものを担保すべく対応しているというふうに承知しているところでございます。

足立分科員 放送法、ここで改めて繰り返す必要はありませんが、大変重要な法体系、重要なことが規定されておるわけであります。今御紹介があったように、もちろん放送番組の編集の自由、これは放送法の三条に明確に規定をされているし、また一方で、四条には、放送番組の編集等に当たって政治的に公平であることが、法令上、法律上、求められているわけであります。

 この二つのバランスにおいて放送事業というのは営まれている、これは、こういうことでいいですね。

安藤政府参考人 基本的にはそういうことでございます。

 放送法の規律に基づき放送番組を編集するということでございますが、基本的には放送事業者の編集の自由のもとでそこが担保されるということでございます。

足立分科員 放送法の一条の一項二号に、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」これが法律の目的であると。したがって、この法律をしっかりと守っていくためにも、放送の自由、放送番組の編集の自由、これを確保していくためにも、放送の不偏不党を保障していくことが必要不可欠なんですね。逆に言えば、それだけ大変もろいバランスの中で、しっかりと放送局が自律的に、みずからを律することによって初めて保障されるのが放送番組の編集の自由である。当然のことでありますが、確認をさせていただきました。

 今回問題になっているのは、まさに、統一地方選挙、そして住民投票、大変重要な選挙が近づいているわけであります。これは今、私たち、松野幹事長が、放送局に対していろいろと質問、問い合わせをしているところであります。

 これは幹事長に成りかわって私から申し上げますが、決して、今申し上げた放送の編集の自由に何か政治的圧力を加えたい、そんなことでは毛頭ない。むしろ、日本において、我が国における放送番組の編集の自由を、放送法の趣旨を守っていくためにも、今ここで放送の不偏不党というものが侵害されることがあったら、これはもう大変なことになるので、放送法自体が揺らいでいくので、ぜひそこは自律的に、みずから律する形で、そこをちゃんと自己規律していっていただく必要がありますねということでの質問を放送サイドに党としてお投げしている。

 これは、放送法上、全く懸念ないと私は思いますが、局長、問題ないですね、こういう取り組み自体については。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 放送事業者は、みずからの編集責任において、自主自律のもとで放送番組を編集しております。そういう中で、各方面からいろいろな御指摘とか御要望があることは、一般論として当然あり得ることでございます。

 放送事業者は、みずからを律するべく、そういった御意見も踏まえながら、しかし、自主自律で、放送法の規定にのっとって番組を編集していくということでございまして、何かあれば、それはまず当事者間での取り組みということになろうかと思います。

足立分科員 当然、今申し上げた、我々の意図はそういう趣旨でありますので、放送サイドが自主自律でやっていただければそれでいいわけでありまして、そこはぜひ誤解のないように改めて申し上げておきます。

 何かありますか。

安藤政府参考人 答弁をちょっと補足させていただきますと、御党が申し入れられた事案について、個別の事案について今コメントしたわけではなく、一般論として申し上げれば、いろいろな意味で、視聴者なり、いろいろな方々から御要望があるということはあり得ることだと申し上げたということです。

足立分科員 個別の事案については、私の方からきょうは申し上げたということであります。いわゆる圧力を加えて番組をゆがめるとか、そういうつもりは全くない。むしろ、今申し上げたように、大変重要な選挙が近づいている中で、今、放送の不偏不党性、中立性が保たれているかどうかについてしっかりと当事者が、放送局、番組サイドがやはり注意をしていただく必要があるということを申し上げているわけであります。

 ぜひ、総務省にお聞きしたいのは、今、選挙が近づいています。選挙が近いということは、きょう議論している放送法の議論に何か影響がありますか。

 私たちは、一般論として、やはり選挙が近づけば、その選挙にかかわっている方々が放送に、顔が出るということは一般に避ける傾向にあると視聴者としてふだん承知をしていますが、これは総務省サイドから見ればどういうふうになりますか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 選挙期間中や選挙直前であるか否かにかかわらず、放送事業者は、放送法の四条一項に規定しております政治的に公平であることを初め、常に放送法の規定に従って放送番組の編集を行うこととなっているということでございます。

足立分科員 時間がないのでちょっと確認ですが、すると、総務省としては、いわゆる選挙に近いとか近くないとかいうことは放送法サイドからいえば関係ないんだ、こういうことであるし、さらに言うと、先ほど質問したような、いわゆる立候補者の出演を控えるないし制限するようなルールについても、これは放送局がつくっているものであって、総務省として、何かそこに一定の関与はない、こういうことですか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 放送法上は、そこのところについては、まさに先ほど申し上げたとおりでございます。もちろん、公職選挙法とか別法に基づくいろいろな規定はございますので、それにかかわるところを総合的に判断するということは、放送事業者として、法令全般を遵守するという意味からは、いろいろあり得るところだとは思います。

足立分科員 きょうは放送法の観点からだけ伺いましたが、まさに局長おっしゃったように、公職選挙法も含めた法令全体の中で総合的に判断される部分が多々ございますので、改めて、場所を変えて確認をさせていただきたいと存じます。

 きょうは一旦終わります。ありがとうございます。

土井主査 これにて足立康史君の質疑は終了いたしました。

 次に、堀内照文君。

堀内(照)分科員 日本共産党の堀内照文です。

 臨時的任用の教員にかかわって質問をしたいと思います。

 各地の学校で、産休、育休や病休などの教員の代替配置ができないという事態が生まれております。先生がいないために、生徒に自習をさせたり、定期テストが行えないなど、子供の学習権を保障する点から見ても放置できません。

 全日本教職員組合の調査では、例えば、香川県内の中学校で理科の教員が病休になるも、講師が県内に一人もおらず、ある学校では体育の教員を配置し自習で対応したとか、静岡市内の小学校では病休のかわりに家庭科の教員が担任に入ったことで担当学級の家庭科の授業ができなかったですとか、大阪では代替講師の配置がおくれ、特別支援学級の生徒が教室に入れなくなり、給食を食べられなくなった、そういったことなども報告されております。自習で対応した、授業ができなくなった、特別支援学級の生徒が教室に入れないなど、まさに教育に穴があく事態であります。

 中には、山口県では高校の理科と工業で欠員が出たまま新年度がスタートをするですとか、高知県の小学校では介護休暇の代替がおらず校長が担任として授業をしたなど、年度初めから先生がいない事態が生まれている例も報告されております。

 こういう代替教員の未配置が起こっている実態について把握しているかどうか、文部科学省に確認したいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 産休、育休代替教員などの配置に関します全国的な実態については、私ども、把握はしておりません。

堀内(照)分科員 これはぜひすべきだと思います。

 先ほどの全日本教職員組合の調査では、山口県では一カ月以上代替が配置されなかったケースが高校で七例、特別支援学校で五例、小学校で四例、中学校で五例、事務職員関係で二例、栄養職員で三例と報告されております。広島でも代替二週間以上の未配置が小中で五十五件、最大九十日もの未配置があったそうです。あらかじめ休暇に入ることがわかっている産休の代替、産休初日での未配置も十七件ある。体育の先生の産休代替が四カ月未配置で授業ができなかったということも報告をされております。ほかにも、青森、山形、埼玉、神奈川、和歌山、福岡などで同様の報告が多数寄せられているわけであります。

 この調査をした全日本教職員組合の先生がおっしゃっておりました。教育の現場は物づくりの現場とは違って、二十人いた部署で一人が抜けて、十九人で仕事を割り振って作業をする、そういうものはできないんだと。先生が一人抜けると、まさにそこで教育に穴があくということでありまして、こんなことがあっていいのかと思うわけですが、その点、文科省の認識を伺いたいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、子供たちに適切な教育を行う観点から、そのような状況におきまして、適切に代替措置が行われることが重要であると考えております。

 教育委員会に聞いたところによりましては、代替教員が配置されるまでに時間を要する場合もあるということでございまして、その場合においては、例えば校内での時間割り調整や、管理職や教務主任がかわりに授業に入るなど、教育に穴をあけないために取り組みが行われていると承知しております。

 一方で、任命権者である教育委員会におきましては、代替教員が未配置とならない工夫といたしましては、例えば大量退職を迎える中での多くの退職者への幅広い呼びかけや、あるいは代替教員として任用できる者を事前に募集して登録しておくという講師人材バンクなどの取り組みを通じまして、代替教員の人材確保に取り組んでいると承知しておりますけれども、任命権者であります各教育委員会がその権限と責任におきまして適切に対応するように、各教育委員会と情報を共有しながら、必要な指導に努めてまいりたいと考えております。

堀内(照)分科員 こういう事態が起こっている背景に、本来代替に配置されるべき臨時的任用教員の任用のあり方に問題があるからだと考えております。

 適切にということでありますけれども、以下、ちょっと実態を見ていきたいと思っています。

 総務省に伺います。

 そもそも、臨時的任用教員というのはどういう場合に任用するものであるか、そのあり方について地方公務員法でどう規定されているか、お答えください。

丸山(淑)政府参考人 お答えをいたします。

 地方公務員法第二十二条におきまして、臨時的任用を行うことができる場合について定めているところでございます。

 具体的に申し上げますと、任命権者は、一つ、緊急の場合、二つ、臨時の職に関する場合、これに加えまして、人事委員会を置く地方公共団体におきましては、任用候補者名簿がない場合に臨時的任用を行うことができると規定されております。

 このうち、臨時の職に関する場合でございますけれども、おおむね一年以内の存続期間を有する職に任命する場合であり、その都度、その年度ごとに業務の必要性を判断して設置する職に充てるという場合が想定されているところでございます。

 その場合、臨時的任用の任期でございますけれども、法律の定めにより、六月を超えない期間であり、更新は、六月を超えない期間で一回に限り更新することができる、つまり、最長で一年以内ということで規定されているところでございます。

堀内(照)分科員 今お答えいただきましたように、臨時的任用というのは本来限定的なものであるはずであります。

 昨年七月四日付で、総務省自治行政局公務員部長名で各都道府県知事などに「臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等について」という通知が出されております。そこで、臨時的任用の職の位置づけについて、任用根拠ごとの留意点が明らかにされていると思いますけれども、臨時的任用の職員についてどういう点に留意すべきと書かれているのか、総務省、お答えください。

丸山(淑)政府参考人 お答えいたします。

 総務省が昨年七月に発出した通知におきまして、臨時、非常勤の職の位置づけに関し任用根拠ごとの留意点を示しておりまして、その中で、臨時的任用職員につきましては、任用可能な場合や任期に係る要件が地公法第二十二条に明確に定められているところであり、任用に当たっては、こうした制度上の要件を再度確認し、特にフルタイムの臨時的任用を繰り返すことによって、事実上任期の定めのない常勤職員と同様の勤務形態を適用させるようなことは避けるべきとの助言を行っているところでございます。

堀内(照)分科員 先ほど来答弁がありましたように、臨時的任用というのは、緊急、そして臨時の職に関する場合、そして、任用候補者の名簿がない場合、人事委員会の承認を得て一年以内での任用だ、本来限定的なものだと。しかも、特にフルタイムの臨時的任用を繰り返すことによって、事実上任期の定めのない常勤職員と同様の勤務形態を適用させるようなことは避けるべきだということも言われているわけであります。しかし、実態はどうなのかということであります。

 公立小中教員の教員定数の標準に占める正規教員それから臨時的教員の割合について、文科省、お答えください。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年度の公立小中学校における義務標準法の教員定数に占める正規教員の割合は九三・一%でございます。臨時的任用教員は七・一%、非常勤講師は一・二%でございます。

堀内(照)分科員 今お答えいただきましたように、正規教員というのは、本来必要な標準の定数にも満たないわけです、九三・一%だと。

 これは資料、ペーパーを一枚配付させていただいております。この資料は「公立小・中学校の教員定数の標準に占める正規教員の割合」ということでありますが、これは都道府県別の数字も出されております。

 ごらんいただいたらわかりますように、正規教員が標準定数から一割とか一五%も、大幅に割り込んでしまっている県が、昨年八県もあります。埼玉、大阪、奈良、和歌山、岡山、福岡、沖縄ということです。これは二〇〇八年と比べましても、二〇〇八年は三県だったわけで、広がっております。それから、一割まで割り込んでいないとはいえ、九〇・一%とか九〇・何%という県も五県ありますので、そういう比較をしましても、二〇〇八年はそういう県は一県だけでしたので、合わせましたら四県から十三県ということで、やはり大幅に広がっているというふうに思います。

 高等学校でも、昨年五月一日現在の数字で、正規教員十五万九千二百七十八人に対して、臨時的任用、期限つき採用一万五千八十五人で、小中より少し非正規の比率が高いわけです。

 特別支援学校は、正規教員六万三千五百九十四人、臨時的任用、期限つき採用一万三千八百八十五人。実におよそ六人に一人が臨時もしくは期限つきとなっております。

 地公法二十二条で言う緊急で臨時の職が定数の一割を超えるとか、六人に一人にも及ぶということが果たしてあるのだろうか。実際には、産休などのような臨時的な代替にとどまらず、それ以外の通常の担任を持つような教員をも臨時的任用で埋め合わせているのが実態で、まさに先ほど、七月四日付の通知で避けるべきだとしている、フルタイムの臨時的任用を繰り返すことによって、事実上任期の定めのない常勤職員と同様の勤務形態そのものではないか。国がこんな脱法行為を黙認していいのかと思います。

 産休など本当に臨時的に必要になる代替を除き、担任までも持つような教員というのは当然正規で任用していくべきではないかと思いますけれども、文科省、いかがでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる非正規教員は、さまざまな教育課題への対応などに重要な役割を担っている一方で、勤務時間や任用期間の都合によりまして、児童生徒への継続的な指導が制約されたり、教職員間、あるいは地域や保護者との連携が困難になることなどの課題もあると考えております。

 具体の教員配置は、任命権者でございます教育委員会が適切に行うものではございますが、教育の機会均等や教育水準の維持向上等を図る観点から、国といたしましても、可能な限り正規の教員が配置されることが望ましいと考えております。

 このため、文部科学省といたしましては、これまでも非正規教員の配置実績について公表をし、各種会議においてその改善を促してきておりますが、各県の教員の年齢構成等の実情を踏まえつつ、正規教員への配置改善がなされますよう、各県へのヒアリングなどを通じて助言を行うなど、よりきめ細やかな対応に努めてまいりたいと考えております。

堀内(照)分科員 各都道府県において適正にということで、正規が望ましいということなんですが、年度初めから、担任など本来正規がする仕事を臨時的任用の教員が担うために、産休や病休など本当に臨時的に代替が必要になっても、それを担う臨時的任用の教員が足りなくなっているというのが実際のところです。適正に配置したくとも配置できない事態。ですから、教育に穴があくという事態が生まれているのではないか。これは各都道府県の努力ということでは済まないと思っています。

 この予算に向けて取りまとめられました、教育再生の実行に向けた教職員等指導体制の在り方等に関する検討会議の提言では、こう指摘をされています。「近年、教員数に占める臨時的任用教員や非常勤講師など非正規教員の割合が増加傾向にあるが、その要因として」、「国の教職員定数改善計画が策定されていないことから、都道府県教育委員会等が将来にわたる教職員定数の予見可能性を持てず、正規教員の計画的・安定的な採用等を行いづらいといったことも指摘されている。」そして、「加配定数の改善だけで対応することでは」「都道府県、市町村等の対応を困難にする」、「計画的な基礎定数の拡充を行うことが必要である。」と指摘されているわけであります。まさに国の責任が問われていると思います。

 冒頭、把握していないということでありましたけれども、少なくとも、教育に穴があくような実態、代替教員の未配置についての実態をつかむべきではないでしょうか。文科省、いかがですか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、適切に代替措置が行われるということが重要であるということでございます。

 任命権を持っておりますのは教育委員会でございますので、教育委員会が、まさに日々変化する状況の中で、先ほど来申し上げましたけれども、例えば講師人材バンクだとかそういったものを工夫しながら確保に努めているというところでございますけれども、私どもといたしましては、各教育委員会とも情報を共有しながら、必要な指導に努めたいというふうに考えております。

堀内(照)分科員 従来どおりではなかなかいかないと思うんですよね。ぜひ、実態をまずはつかむ、最低限そこから出発するということが大事だと思います。

 検討会議の提言も指摘するように、この間、国が基礎定数を据え置いてきたこと、そして、義務教育費国庫負担制度に総額裁量制を導入してきた中で、自治体の裁量がふえたんだとはいいながら、低賃金の臨時、非常勤教員の配置が拡大されてきた。それが、本来の産休などの代替ではなくて、むしろ通常の担任などに充てられて、本当に必要になったときに臨時が足りないということになっているわけであります。

 貧困の広がりや虐待など、困難を抱える子供たちもふえています。教育の質の点から、子供たちと向き合い、学校外の生活も含めて支えることが今必要になっている中で、教員がこれだけ多数、不安定な身分でいいのか、一年、数カ月単位でかわる臨時的任用でいいのかと思います。

 今言いましたように、実態をまずはしっかりつかむとともに、基礎定数の拡充を行って、せめて産休、育休などの代替を除く担任を持つような先生、本当に必要とされている先生については正規で任用を進められるようにすることを強く求めたいというふうに思います。

 一方で、臨時的任用教員の処遇の改善も待たれております。多くの臨時的任用の教員は、学校で正規教員と同様の職務を担い、同じ責任を担っております。にもかかわらず、臨時であるがために、正規では許されない労働条件等の処遇がまかり通っております。

 これは、いわゆる空白の一日によって任用が遮断されることで起こっているわけであります。

 地方公務員法は、臨時的任用について、これは先ほどお答えいただきましたように、最長一年だとしています。しかし、都道府県は、再度任用をする際に、その一年と次の新たな一年との間に一日以上の間を置く、県によっては数日ですとか三十日という場合もあるわけですけれども、間を置くことによって継続した任用ではないんだとして、繰り返しの臨時任用をしているわけであります。

 先ほど指摘しました去年の七月四日付の通知で、再度任用に当たって一定の期間を置くこと、間を置くことについてどのように指摘をしているのか、総務省、お答えください。

丸山(淑)政府参考人 お答えいたします。

 まず、臨時的任用職員の再度の任用についてでございますが、臨時的任用職員の任期終了後、その職の必要性が改めて吟味され、同一の職務内容の職が改めて設置された場合におきましては、臨時的任用職員であった者が、能力の実証を経て、その職に改めて任用されることはあり得るものでございます。

 その上で、臨時的任用職員を再度任用する場合、前の任期との間に一定の空白期間を置くことにつきましては、臨時的任用職員の任期をどのように設定すべきかという問題にかかわるものと考えております。

 この点につきましては、通知において、臨時的任用職員の任期について、業務の遂行に必要な期間を考慮して適切に定めることが必要であると助言しているところでございます。

 言いかえますと、業務の遂行に必要のない期間につきましては任期とする必要がありませんので、そのような期間がある場合には、当該期間に任期の設定をしない、いわゆる空白の期間が生ずることはあり得るものと考えております。

 こうしたことから、通知におきましては、再度の任用の場合であっても、新たな任期と前の任期との間に一定の期間を置くことを直接求める規定は地方公務員法を初めとした関係法令において存在しないとしておりまして、任期については、あくまで業務の遂行に必要な期間を考慮して適切に定めることが必要であると考えております。

堀内(照)分科員 業務の必要性ということなんですけれども、多くの都道府県が年度末もしくは年度初めにこういう空白期間を置いているわけなんですよ。学校の年間サイクルからいいましたら、学級編制等一番忙しい時期であって、本来は、休んでください、仕事はありませんということはないわけなんですね。

 今お答えをいただきましたように、関係法令においては、そういう一定の期間を置くことを直接求める規定はないということであります。しかし、関係法令において根拠のない空白の一日によって、臨時的任用の教員は大きな不利益を受けているわけであります。

 特にこの間、社会保険が中断する問題については、我が党もたびたび取り上げて、先ほどの去年七月四日付通知なども出され、就労の実態から事実上の使用関係が中断することなく存続していると判断される場合には、被保険者資格を喪失させることなく取り扱うと改善が図られてきました。

 しかし一方で、県内でいろいろ配置がえをさせられるのに、同じ県内であっても教育事務所が変われば社会保険の事業主が変わるということで、空白の一日によって保険が中断するという事態がまだ残されております。

 そのほかにも、取得した年次有給休暇が繰り越されない、これはまだ三十以上の県でそういう実態があります。夏季一時金の算定に十二月から三月分の勤務実績が加えられないことや、加えられたとしてもその空白期間分は差し引かれますので、八割程度の支給にとどまる。また、空白の一日を置いた月の住居、扶養手当がつかないなど、さまざまな不利益が多く残されています。

 こういった不利益が残されていることについて、こういうことがあっていいのかということ、総務大臣の認識を伺いたいと思います。

高市国務大臣 空白期間を置いているけれども勤務の実態に照らして事実上の使用関係が継続していると判断される場合の社会保険の適用ですとか有給休暇の扱いについて、制度の理解が不十分と考えられる事例があったために、平成二十六年七月に公務員部長の通知を出しております。

 ですから、社会保険の適用や有給休暇の扱いなどについては、関係法令の運用上、就労の実態が継続している場合にはそれに応じた取り扱いが認められているということで、この点をこの通知の中で助言しているわけです。

 ですから、総務省としましては、臨時的任用職員の任期について、制度の趣旨に沿った適切なものとなるように、通知の内容を周知してまいりたいと考えます。

堀内(照)分科員 ありがとうございます。

 昨年七月四日の通知で、臨時、非常勤職員の勤務条件について、労働基準法上の労働者に該当する者には、最低労働基準である労基法の規定を踏まえるべきであるとしています。

 同一事業者のもとで、たとえ次の任用の間に数日の間があっても、再度任用される場合は事実上雇用継続、勤務継続となり、年次有給休暇の付与条件を満たしている、繰り越しも可能だということだと思うんですが、この点、厚労省に確認したいと思います。

大西政府参考人 今委員御指摘の有期労働契約の労働者でございますけれども、直ちに更新せず、間隔を置いて契約を更新している場合において、年次有給休暇の付与に関します継続勤務の要件に該当するか否かについては、一般的に勤務の実態に即して判断することとされておりまして、引き続き使用されているというぐあいに認められる場合には、実質的に労働関係が継続しているものということで、年次有給休暇に関する勤務年数を通算するということになると考えております。

堀内(照)分科員 就労の実態から実質継続だということで、社会保険の方はそういう扱いをしていますけれども、しかし、そうであっても、有休の方はそうなっていないという事例がまだ多く残されています。ぜひ是正を図るべきだと総務省と文科省、双方に求めたいと思います。

 最後に、有給休暇の取得のみならず、今指摘しましたような諸手当、夏季一時金の算定などの不利益も含めて、法的に根拠がないものをわざわざ置くことでさまざまな不利益を生んでいるのが、この空白の一日であります。これを置くことで任用が遮断されるようなこと、そういう運用をやめるべきではないかと思うんですけれども、総務大臣、御見解、よろしくお願いします。

高市国務大臣 そもそも、臨時的任用は、地方公務員法第二十二条の定めるところにより、臨時の職、すなわち、その都度、その年度ごとに業務の必要性を判断して設置する職について行うべきものでありまして、その都度必要性を判断する業務ではないような恒久的な業務について、漫然と臨時的任用を行うということは不適切であります。

 空白期間につきましても、やはり通知の内容をしっかりと周知して、地方公共団体の理解が進むように努めていくということが肝要ですので、会議の場などさまざまな場を通じ、また、個別に相談があれば地方公共団体から状況を聞くなどしながら、制度の適切な運用がなされるように、引き続き必要な助言を行ってまいります。

堀内(照)分科員 先ほども少し言いましたけれども、多くは年度末に空白を置いているわけで、本来、仕事がないよ、休んでいいよという期間じゃないはずなんですね。ですから、この通知の立場に立てば、法的にも直接そういう規定がないわけでありますので、こういう運用はやはりやめるべきだというふうに私は思っております。

 子供たちに行き届いた教育を進めるためにも、教員の処遇改善というのは欠かせません。少人数学級に対応する必要な教員数を初め教員の基礎定数をふやして、本来必要な教員の正規任用をしっかり進めるとともに、こういった、法的にも根拠がなく、それを置くことによってさまざまな不利益を生む空白の一日を置くような運用をやめさせること、せめて、空白を置いたとしても、事実上継続した任用であるなら、それに伴うさまざまな不利益を生まないような措置をとることを求めて、私の質問を終わりたいと思います。

土井主査 これにて堀内照文君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西宏幸君。

大西(宏)分科員 ただいま御紹介をいただきました、自由民主党の大西宏幸でございます。

 私自身、平成七年に大阪市会議員に初当選をいたしまして、ことしでちょうど二十年たちます。

 平成七年ということは、結局、阪神・淡路大震災の年でございまして、本日は東京大空襲から七十年、そして、あしたは東日本大震災から四年がたつということでございまして、改めて哀悼の意を表する次第でございます。

 私自身、大阪市会議員のときに、俗に言われる単純労務者、二号職の闇専従問題、多々指摘をしてきました。その根本というのは、地公法、第二百六十一号ですね、昭和二十五年に出されましたが、平等取り扱いの原則というものが実は大きくかかわってきておりまして、それに対しての次官通達が全国に広がって現業職がふえていったということでございまして、これは、また時間がありましたら後ほど質疑もさせていただきたいと思うんですけれども、なくなったら次の機会に質疑させていただきたいと思います。

 そのときに、我々は、関改革という、その当時の関市長のもとにいろいろ大きな改革をしてきまして、市職員や、民間でできることも官が行うなどの無駄を私は大阪市会議員時代に、先ほど言いましたように、闇専従とかながらというものを大きく、マスコミの協力をいただきまして明らかにしていきました。

 こういうイメージからでございますけれども、市職員というのは高給取りであるとか、無駄に市職員が多く採用されている等々のイメージが先行しまして、経済状況の閉塞感にもさいなまれまして、今般のいわゆる大阪市廃止分割構想へとつながった一面もあるのかなと今思っておる次第でございます。

 本日は、関西広域に大きな影響を及ぼします政令指定都市の初の廃止という重大な問題、一歩間違えば大変危険な問題でございます、いわゆる大阪都構想、我々は大阪市廃止分割構想ということで質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは二之湯副大臣にもお越しいただきまして、後ほど御答弁していただきたいと思っておる次第でございます。

 それでは、まず冒頭に、住民投票について何点か確認をさせていただきたいと思います。

 住民投票につきましてはおおよそ二種類があります。すなわち、拘束型の住民投票と諮問型の住民投票でございます。

 諮問型の住民投票は、最近では、埼玉県所沢市の市立中学校へのエアコン設置の是非、また、沖縄県の与那国町の陸上自衛隊沿岸監視部隊の配備の是非ということでニュースなどになりました。これは首長に対して尊重義務を課す住民投票が多いんですけれども、住民の意見がどちらに多数があるのかということで、首長の諮問ということが行われるものであります。

 実は、今回、大阪市の住民投票につきましては拘束的住民投票ということでございまして、その地方公共団体の意思となる議会または首長などの行動を拘束するという、法律に根拠のある場合のみ実施されるものです。

 お手元に総務省からいただきました資料をお配りしておりますとおりでございまして、現状、拘束的住民投票には四種類がありまして、どれも最低投票率に関する規定はありません。しかしながら、概要欄をごらんいただきましたらわかりますとおり、有権者の六分の一以上の直接請求、また、有権者の総数の三分の一以上の連署など、いずれかの段階に何らかの住民の意思の確認が絶対的に必要であるということでございます。

 ここで、特別区の設置に関する住民投票においては、こういうことがあるんでしょうか、最低投票率の縛りもなく、どのように住民全体の意思の確認をするのか、総務省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

    〔主査退席、田所主査代理着席〕

二之湯副大臣 大西議員の質問にお答えしたいと思います。

 今、いわゆる大阪市の特別行政区設置法、これに関しましては、最低投票率を特段に設定されているということはないわけでございますから、もし住民投票に付された場合は、過半数をもって、いわゆるその意思が決定される、こういうことですね。

 ただ、ただいま大阪市議会、府議会でも協定書が付議されまして、議論されているわけでございますけれども、もしこれが両議会で承認され、そして、それに基づいて住民投票に付された場合、過半数をもってこれが有効である、こういうことであります。

大西(宏)分科員 副大臣がおっしゃいましたように、過半数ということで、粗い物の言い方をさせていただくと、ほとんど投票に行かない、一人だけ投票に行って、それが賛成である、それで二百六十五万人の運命が決まってしまうような住民投票でございます。これはやはり考えなきゃいけないことでございます。

 また、特別区設置協定書では、大阪市長、つまり、橋下市長が住民に対して協定書の中身について説明しなければならないということになっております。言うまでもなく、橋下市長は大阪市の解体、向こう側はいわゆる都構想と言っていますけれども、市長が住民に対して、みずからの政治的主張を現在繰り返しております。

 例えば、都構想を進めた結果、土地の値段が上がりましたとか、求人倍率が上がったとか、全く協定書と関係ないような話、政治的主張を現在繰り返しております。その説明には大いに疑問があると私は思います。大阪府民、市民には、誤解を与える結果となっているということも、まずこれは指摘をしなければなりません。

 特別区設置協定書と彼らの言う都構想は、全く中身が異なるにもかかわらず、橋下市長や維新の会は、市民に対して誠意ある説明ができていないんじゃないのかなと思います。

 橋下市長、松井知事に対して、大阪府議会や大阪市議会でも、我々自民党の仲間が、行政の長としての立場、すなわち公正公平な立場で、政治家としての立場と混同しないように強く要請してきましたが、全く聞き入れていただけません。しかし、前述のように、これでは公正公平な住民投票はできないと私自身も考えます。

 まず、総務省に確認したいんですけれども、住民に対する説明とは、どのようなことを説明しておるんでしょうか。さらに、この説明の内容に虚偽があった場合、どうなるんでしょうか。何か罰則規定とかはあるんでしょうか。お聞かせいただけますでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えをいたします。

 大都市地域特別区設置法七条二項におきましては、関係市町村の長は、特別区の設置についての住民投票に際し、選挙人の理解を促進するよう、特別区設置協定書の内容についてわかりやすい説明をしなければならない、このように規定をされているところでございます。

 また、関係市町村の長が同法七条二項に基づき行いましたわかりやすい説明において虚偽の内容を説明した場合における罰則というようなものは、特段定められていないところでございます。

大西(宏)分科員 ありがとうございます。今おっしゃったように、何ぼうそをついても大丈夫やというような状況であるんですよね。

 前述のように、橋下市長は、大阪市の解体、いわゆる都構想を推進している立場でございます。この協定書が、府議会、市議会で可決された場合、行政である大阪市は、住民に対して協定書についての説明をしなければなりません。ですけれども、先ほど申し上げたとおり、ここで問題が生じます。

 例えば、公費を投入しているような住民説明会で、橋下市長が特別区設置協定書について、みずからの政治主張である都構想の説明をすることは、政治活動や選挙活動にもなるということもあり得ると思うんです。こうした投票活動は可能なんでしょうか、違法ではないのでしょうか。お答えください。

佐々木政府参考人 関係市町村の長が、大都市地域特別区設置法七条二項に基づき行うものとされておりますわかりやすい説明の方法につきましては、法令に違反しない限りで地方公共団体の判断に委ねられているものでございます。

 一般論として申し上げれば、例えば同法に基づく住民投票におきましては、公職選挙法第百三十六条の二第一項が準用されております。これは、職務上の地位を利用した投票運動を禁止いたしております。

 こういったように一定の投票運動が制限されているところでございまして、こういったことには留意する必要があると考えております。

大西(宏)分科員 おっしゃったように、一定の投票行動には制限がなされているけれども、本当にノーズロという言葉が当てはまるのかどうか、ちょっとわからないんですけれども。

 橋下市長は、行政の長として、当然ながら中立な立場で住民に特別区設置協定書を説明するのが当たり前でございますけれども、政治家としての立場、すなわち推進する立場であるならば、住民に対する説明会には出席してはならないと私は思います。

 また、住民投票は、通常の選挙とは異なり、その運動に大きな制限が事実ありません。粗く申し上げると、お金を提供するとか食べ物を提供するとか戸別訪問をしないとか、それら以外のおおよそ、大概何でもしていいようなことに、今市長からもらっていますけれども、そういう状況であるということでございます。

 大阪市を解体し特別区を設置することを推進する立場の方々は、今でも、住民投票の是非を問う、選挙運動に近い活動を事実しております。

 住民投票の運動は、いつから投票行動とみなすんでしょうか。また、住民投票の投票運動について、できること、できないこととあると思うんですけれども、お聞かせください。よろしくお願いします。

佐々木政府参考人 大都市地域特別区設置法に基づきます住民投票の投票運動期間につきましては、公職選挙法の選挙運動期間に関する規定を準用はしておりませんが、投票運動とみなされる時点は、社会通念上どの投票であるかを客観的に認識できるようになった時点を指すものと考えられているところでございます。

 また、特別区の設置に係る住民投票につきましては、公職選挙法における選挙運動の規制に関する規定を、投票の自由公正を確保するために必要最小限の範囲で準用いたしております。

 具体的に、当該住民投票において制限されているものといたしましては、例えば、特定公務員の投票運動の禁止、戸別訪問、署名運動、人気投票の公表、飲食物の提供、気勢を張る行為、連呼行為、夜間の街頭演説等の禁止、こういったものが挙げられるところでございます。

大西(宏)分科員 今おっしゃったように、例えば街宣車が百台でも千台でも一万台でも大阪市内を回ってしまうと、これは住民にとってすごく迷惑この上ない話になってくる可能性があるんですよね。両陣営、いろいろな政党、政治活動、民間団体も含めて、いろいろなところが出してくると思うんです。そういうことも一回ちょっと考えていかなきゃいけないですよね。

 住民投票の性質に鑑みて、できる限り自由公正を確保すべく、公職選挙法における選挙運動の規定のうち、最小限度のものが準用されています。これは本当に必要だと思うんですけれども、運動期間にも、広告、またビラの配布なども規制がないということです。これは逆に、費用を多くかける陣営の方が有利になる、むしろ不公平な状況になっているのかなと私自身は思っています。

 総務省のお考えはどうでしょうか。

佐々木政府参考人 委員御指摘のとおり、大都市地域特別区設置法に基づく特別区の設置についての住民投票におきましては、公選法における選挙運動の規制に関する規定を、投票の自由公正を確保するために必要最小限の範囲で準用しております。

 広告やビラの配布につきましては、公職の者を選ぶ選挙におきましては、金のかからない選挙を実現し、選挙の公正を確保する観点から、一定の制限がかけられております。

 一方で、特別区の設置に係る住民投票におきましては、幅広い議論を求める観点から、法律に基づくほかの住民投票と同様に、特段の制限を設けていないものと認識しております。

大西(宏)分科員 先ほど公選法の精神、公正公平、金銭をかけないということをおっしゃっておられましたけれども、住民投票はそれに抵触しないということなんでしょうかね。

 今回、住民投票では、実は選挙活動が今でも激化してきていまして、激化が過激になっていって、例えば傷害事件とかも起こる可能性も出てくるかもわからない。それぐらいやはり白熱してきておるということを、総務省、ちょっと、認識だけはしておいてくださいね。

 大都市地域特別区設置法に基づく拘束的住民投票ということであるならば、今回は初めてのケースにもなります。我々自身そう思いたくはないんですけれども、これはパイロットケースとか、試験みたいなものですよねとマスコミも言います。ということは、二百六十万市民、私も生野区という地域に住んでいるんですけれども、我々は何かモルモットになったような、嫌な思いがすごくしてくるんですよね。

 この拘束型住民投票の法律についても、そのスピリッツというか内容については反対する意識はないんですけれども、やはり、設置するに当たって、いろいろな不備とかが生じてきます。それに対して、やはり補足やそして補完、そのために一部改正とか附則というものがありますので、これは大阪市の住民投票にはかかわってきませんけれども、次にこういうことがあった場合には、もう一度問題点は総務省で議論していかなきゃいけないんじゃないのかなと思うんです。これは改めて指摘をさせていただきます。

 きょうは、参考人として森永日本放送協会理事にお越しいただいておりますけれども、NHKの報道につきましてもあわせて質問をさせていただくわけでございます。

 いわゆる、大阪市を解体する、特別区を設置するくだんにつきまして、各マスコミはこれを都構想と言うんですけれども、住民投票が可決された場合、本当に大阪府は新しく都になるんでしょうか。

 これは、多くの市民から同じ質問をよくいただくわけでございますが、新聞もテレビも、いろいろな報道機関が同じ報道をしておるんですけれども、この協定書が住民投票で可決された場合、本当にこれは都になるんでしょうか。お答えください。

二之湯副大臣 大都市地域特別区設置法に基づいて特別区が設置された場合は、その道府県を都とみなす、こういうことになっているわけでございます。

 ただ、都といいましても、これは行政の仕組みでありまして、呼称につきましては、またこれは地方自治法第三条により、従来の大阪府という名前を使う、こういうふうになっています。

 ただ、大西先生、実は今、かつては助役といいましたけれども、京都市のかつての市長が副市長という名前を使い始めたんですね。これは通称名であったわけでございますけれども、当時の自治省は、通称名で、副市長として、あるいは副町長として、副村長として名前を使ってもよろしいと。しかし、なかなか語呂がいいので、地方自治法が改正されまして、今や法律で、副市長、副町長、副村長を置くことができる、こういうことになったわけでございますから、もし、大阪府という名前じゃなくて、市長とか知事が都、都と言い始めて、ああ、これはなかなか語呂がいいな、こういうことになって、地方自治法が改正されるかもわかりません。

 以上でございます。

大西(宏)分科員 元京都市会議員の二之湯副大臣のこと、私も十五年ほど市会議員をやっておりましたので、よく存じ上げておる次第でございます。

 今の状態では大阪都にはならないという答弁でございますね。

 無論、大阪都になる手法というのは、複数の法改正が必要で、国会の承認というのが必要であります。それを経て、初めて都ということを使えるんでしょう。

 しかし、前述のように、多くの市民がいまだに大阪都になると思い込んでおりまして、恐らく、住民投票においても、大阪市廃止分割構想、推進派は大阪都構想という言葉をずっと使い続けていかれると思います。市民に対して、有権者に対して誤解を与えることであるということを指摘せざるを得ません。

 仮にマスコミが現在のような報道を続けると、特別区設置協定書の住民投票であると説明しても、これは都構想の賛否を問う住民投票と勘違いする可能性がすごく高いんですよね。

 その理由は、マスコミの垂れ流し報道が原因です。

 あくまでも都構想という表現は、維新の会の、一政治団体の政治的主張であり、住民投票に問われるのは、まず、大阪市を廃止し特別区を設置する協定書なんですね。府議会とか市議会で議論されてきたものは、都構想の協定書ではありません。

 にもかかわらず、NHKを初めテレビ局、新聞に至るまで、いまだに都構想という言葉を使い続けております。府民、市民に大きな誤解を与え続けていますけれども、このような状況では、市民は冷静で正しい判断ができません。

 さて、ここでNHKに確認いたしますけれども、さきの総務省の答弁では、この協定書が可決されても、大阪府が大阪都にならないことがはっきりしております。今後、放送法の公正公平、不偏不党に照らして、住民に大きな誤解を与えるような表現は慎んで、事実を報道すべきだと考えます。今後は都構想という表現を使うべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

森永参考人 御指摘の問題につきましては、大阪市の橋下市長や大阪府の松井知事が、大阪都構想の是非を住民投票で問うと発言しています。一方、御質問のように、問われているのは、大阪市を廃止し特別区を設置するという協定書の是非だという主張もございます。

 このため、NHKでは、さまざまな主張を踏まえ、総合的に判断いたしまして、今の大阪市を廃止して五つの特別区を設ける、いわゆる大阪都構想などと表現しているところでございます。

大西(宏)分科員 NHKさんも、この間の、いわゆるイスラム国というのを、言葉を変えていただいて、説明というのがやはり必要だなと思うわけでございます。

 行政的には、大阪市を廃止して特別区を設置する協定書という表現でございますけれども、前述のように、住民投票の選挙運動の期間の範囲は決まっておりません。現在も選挙運動の期間とみなしても過言ではないんですね。

 総務省に確認して、いつから期間ですかと言ったら、今現在、期間といえば期間だ、今この瞬間からでも運動ができますよ、そういう答えでした。

 都構想という表現が住民投票に与える影響は本当に大きいんです。協定書が可決された場合、必ず住民投票が実施されるわけですけれども、五月十七日ということは目の前に来ております。

 再度確認いたしますけれども、今後、都構想という表現を今すぐ改めなけりゃならないと思いますけれども、もう一度聞かせてください。どうでしょうか。

 さらに、住民投票における投票運動には、期間の定義がありません。今回の住民投票のような重大な内容を決定する住民投票にあって、放送法の公平公正、不偏不党にのっとって、国会議員や地方議員の選挙のときのような丁寧な対応が絶対的に必要だと私自身思うんです。

 例えば、今月とも言われています協定書の大阪市会の承認、十三日にあるんでしょうか、その決定、議決をもとに、投票運動開始とみなす放送に切りかえるなどの配慮はどうでしょうか、考えられませんでしょうか。

森永参考人 放送やガイドラインの規定にもございますけれども、NHKは、政治上の諸問題の扱いは公平公正、それから視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝えることにしております。

 御指摘の、大阪市を廃止して五つの特別区を設けることなどが盛り込まれました協定書をめぐる今後の動きにつきましては、丁寧に伝え、節目節目でさまざまな主張や争点などを公平公正、多角的に報道していく所存でございます。

大西(宏)分科員 最終的な総括の話になっていくんですけれども、本当に大先輩の、政令指定都市の二之湯副大臣にお越しいただきまして、意外と家族づき合いもあったりして、もう二十年近いつき合いもあるんですけれども、副大臣が担当副大臣になっていただいているのも何か運命かなと思いつつ、この場に立たせていただいております。

 私自身、四年半、傘張りをやっておりまして、こういうふうに質疑するのも久しぶりなもので、意外とどきどきしながら、いつの間にか高市大臣も座っておられるので、高市大臣の目の前でしゃべっていると余計どきどきする次第でございますけれども。

 二之湯副大臣に、私見で構いませんので、この大阪市廃止分割構想について、いい御意見がありましたらお聞かせいただいて、悪い御意見だったら要らないです。お願いします。

二之湯副大臣 大阪市が、あるいは大阪府が特別区を設置するかどうかということは、例の設置協定書を住民代表である議会が可決するかしないかということにかかっているわけでございます。

 ただ、今、私は、個人的には、いわゆる政令市と道府県の二重行政、特に旧五大都市と府県との二重行政は非常に甚だしいものがある、これは何とかしなきゃならぬという問題意識を持っているのと、一方、関西の雄である大阪がもっと頑張ってもらわなきゃいかぬ、この地盤沈下は非常に甚だしい、そういうことで橋下さんは、善意に解釈すれば何とかしなきゃならぬということで、この都構想も彼の大阪活性化の一つの手段ではないのかな、こう思ったりするわけです。ただ、間違いならばごめんなさい。

 そういうことで、いずれにいたしましても、私たち隣県の京都としても非常に注目してこの行方を見守っておる、こういうことでございます。

大西(宏)分科員 京都と大阪の違いというのは、先ほどもちょっとカフェスタで話をさせてもらったんですけれども、三十人のおっちゃん、おばちゃんにおもちゃの刀を振りかざすと、二十八人ぐらいは倒れてくれる。ああと言って倒れてくれる。京都の人はほとんど、何やっているのと言って乗ってくれない。きょうの答弁も、やはりさすが二之湯先輩、乗ってくれません、おおよそ予測はついておりましたけれども。

 ともかくとして、実は、我々は、先ほどから言っているように、やはりモルモットの感が強いんですよね。今回初めて拘束型の住民投票を、システムが変わる、大都市が変わる。明治以降、大都市が分割されたことはまずないわけでございますけれども、二百六十万の住民のチップを赤か黒かにかけるようなリスキーなかけというのは本当にいいのかどうかというのはわかりませんけれども、実際に住民投票は五月十七日になるんでしょう。

 そのときに我々が考えなきゃいけないのは、やじを飛ばしておられた大先輩もいらっしゃいますけれども、本当に僕からしたら大先輩なんですけれども、衆議院選挙のときの応援もさせていただいたことを思い出します。

 そのときに我々が考えなきゃいけないのは、その結果、その原因で、一社でも倒産して、一家族でも不幸になって、一人でも首をくくって死んだら、我々政治家もマスコミも、全員が背中に十字架を背負って生きていかなあかんということです。これだけはわかってください。そういうつもりで我々はちゃんと議論していきたいと思っております。やらなきゃこういうことにならなかったということにならないように、いい判断を我々はしていきたいと思っております。

 以上、終わります。

田所主査代理 これにて大西宏幸君の質疑は終了いたしました。

 次に、落合貴之君。

落合分科員 このたび衆議院選挙で当選いたしました、維新の党の落合貴之でございます。

 本日は、まず、若年層、若い方々の政治参加についてお伺いをいたします。この問題はさまざまな分野、省庁にまたがっておりますので、重要な問題ですので、なるべく総務省の関連するところに絞ってここで取り上げさせていただきたいと考えております。

 まず、先日、選挙に投票できる年齢を十八歳に引き下げる法案が出されました。

 一方で、これまで若年層の投票率が低いことがずっと問題になってきましたが、今まで、若年層の投票率向上に向けて具体的な対策は行われてきましたでしょうか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 投票率につきましては、いろいろな事情が影響するものと考えておりますけれども、最近の国政選挙等につきまして、特に若い世代について投票率が低いといったことについては、大変憂慮すべきことであると認識をいたしております。

 若い世代の方が投票しなかった理由、これは平成二十五年の参議院選挙後のアンケートでございますが、そもそも選挙に関心がないといったようなことを挙げた割合が他の世代に比べて高いといったような調査結果もあるところでございます。

 総務省におきましては、二十三年の十二月に、常時啓発のあり方等の研究会を設けまして最終報告を出していただいております。その中で、若者の政治意識の向上や将来の有権者である子供たちの意識の醸成などを柱といたしまして、主権者教育を推進してきたところでございます。

 具体的には、例えば、大学生等を対象としたフォーラムの開催でございますとか、地方公共団体に対しまして、学校での選挙に関する出前授業、あるいは大学生を中心とした政治に関する意見交換会の開催等の取り組みを支援することなどを行ってきたところでございます。

 また、本年四月に統一地方選挙が予定されておりますので、これに向けまして、各地で自主的に啓発活動を行う若者啓発グループとも連携いたしまして、特に若い世代に対して重点的な啓発活動を行ってまいりたいというふうに考えております。

落合分科員 大臣、平成二十三年から具体的にいろいろなことが行われているということですが、大学のフォーラムですとか出前の授業をやっても、今のところ目立った成果は出ていないということです。

 今後、政治家の立場としても、大臣として、役所を後押しする、若年層の投票率を促す政策を行う意思はございますでしょうか。

高市国務大臣 平成二十七年度の予算案におきましても、新たに、文部科学省と連携して高校生向けの副教材及び指導用のテキストを作成します。それから、地域の啓発ボランティア団体であります明るい選挙推進協議会が、学校現場で副教材を活用した出前授業を実施するための経費も計上しております。

 先般、改正法案が国会に提出されましたことを踏まえて、副教材の作成と、それを活用した参加、実践型の授業実施に向けて、必要な準備を早急に進めてまいりたいと思っております。

 それから、今話が出ましたけれども、全国各地の若者啓発グループ、大学祭で模擬投票していただいたり、また、大学生が首長さんや地方議員と政策に関して意見を交換する場を設定していただくなど、非常によい活動に取り組んでいただいていますので、これらの若者グループとも連携をしてまいりたいと思っております。

 とにかく、選挙権年齢の引き下げというのは、若い方の声を政治に反映するという非常に大きな意義があります。しかしながら、選挙制度の改革の中で非常に大きな改革でもございますので、国会での御審議を踏まえまして、しっかりと実が上がっていくように取り組んでまいりたいと思っております。

落合分科員 若年層の投票率が低いことの一因に、自分の周りの人で選挙に出ている人が少ないということも考えられます。いろいろな大学生のアンケートですとか意見を聞きますと、同級生が選挙に出れば選挙に関心を持つというような数字も出ております。

 国政は、若年者層の議員は低いですが、地方選挙においても、人口構成に比べて半分以下しか二十代、三十代の立候補者がいないという状況で、若年層の、特に被選挙権の行使をふやすこと、これは大変有効なことだと思いますが、この被選挙権の行使をふやすために何か施策は検討されていますでしょうか。

高市国務大臣 被選挙権というのは、公務員になることができる権利と一般的に定義されておりますけれども、この被選挙権年齢については、過去に現在の法定の年齢になった事情を見てみますと、社会的経験に基づく思慮と分別を踏まえて設定されているものと考えられておりまして、だから、職務内容ですとか選挙権年齢とのバランスを考慮しながら検討されるべき事柄であると思います。

 この被選挙権年齢の取り扱いにつきましても、まさに民主主義の土台であります選挙制度の根幹にかかわる事柄でありますから、これはやはり国民の代表である立法府における各党各会派において御議論いただくべきだと考えます。

落合分科員 まだ、被選挙権の年齢のことの質問は次にしようと思っていたもので。

 今、世界で半数以上の国が、二十一歳までに被選挙権が認められている。OECDの加盟国三十四カ国に絞って見ても、半数以上が十八歳までに、八割近くが二十一歳までに被選挙権が与えられているという状況です。ですので、被選挙権の年齢を下げていくということは大変重要なことであると思いますので、私からも要望を出させていただきたいと考えております。

 そして、やる気のある若い人が、資産がないけれどもやる気や能力がある、そういう人が選挙に出られるようにするためには、寄附金税制の整備も重要だと思います。

 政治活動を始める際は、どんな人も政治団体を設立して、国政を目指す人は国会議員関係団体の登録をするわけですが、現状、現職の国会議員の団体でないところは、応援している人が寄附をしても、選挙のあった年かその前年しか寄附金控除を受けることができません。

 有権者にとっては現職もそれに挑む新人も平等であるはずですが、なぜ、現職に寄附すれば寄附金控除が受けられて、新人だと受けられないんでしょうか。競争条件を平等にしないと、適正な人材が国会議員になることを妨げる、参入障壁を上げることになってしまいます。

 政治資金規正法は総務省の管轄ですが、控除が規定されているのは特措法で、議員立法ですので、解決するには役所だけの力ではできませんが、この国会議員とそうでない人とで寄附の点などで競争条件に差があることについて、どうお考えでしょうか。

宮下副大臣 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、個人の政治献金に係る所得控除につきましては、昭和五十年の制度創設の当初から、国会議員等の候補者の政治団体に対する政治献金については、候補者として届け出があった年とその前年にされたものに限られる。これに対して、国会議員等の現職の政治団体に対する政治献金については、そのような制限はないということになっております。

 これは、先生もお話しのように、政治の世界で議論の上決められた制度でありまして、選挙制度にもかかわるこうした政治献金のあり方については、やはり公党間で御議論されるのが適当な課題なのではないかと考えておりますし、そこに関連する税制上の措置につきましても、政治献金のあり方の御議論の中で扱われるものと承知しております。

落合分科員 ありがとうございます。

 年齢問わず、適正な人材の政界への参入を促進することは、投票率を上げるためにも重要ですし、この国にとっても意義あることですので、あらゆる省庁をまたいでしまいますが、今後もさまざまな角度から精査をさせていただきたいと考えております。

 それでは次に、総務省の行政評価局についてお伺いします。

 総務省行政評価局は、政策の評価ですとか、行政評価、監視ですとか、行政相談を業務の柱としていまして、いずれもその目的は、行政を適正に働かせる、そして無駄の排除や行政サービスの質を向上させる。これは、各省庁のやっていることをこの総務省の局が第三者的にチェックするということですから、大変重要な役割を担っていると思います。

 そこで質問ですが、行政の無駄の排除という目的については、財政の健全化にとっても不可欠ですし、国民、納税者の立場からすると関心の高いところですが、この局自体が余り知られていないところでもあると思います。この行政評価局が無駄排除をしっかりやっている、しっかりチェックをしている、この点で、この局がどのように機能を持って、どう働いているのか、御説明をいただければと思います。

高市国務大臣 まず、政策評価制度のもとで、各府省がみずからその政策を評価し、その結果を踏まえて、政策効果の最大化の実現を図っております。

 そして、今御指摘の無駄の排除につきましても、各府省が、評価結果に基づき政策効果の最大化を図る際に、予算を初めとする政策資源を適切に配分することを通じて実現すると考えております。

 総務省としては、評価結果の適切な活用が行われるように、政策評価の質の向上に引き続き取り組んでまいります。

 無駄の排除と関連して、やはり政策評価と行政事業レビュー、この相互の関連性について参照を容易にするために、平成二十五年度から、政策評価の事前分析表と行政事業レビューシートの間での事業名と事業番号の統一化、実施プロセスの相互連携などに取り組んでおります。

 これからも、しっかりと取り組みを進めてまいります。

落合分科員 政策評価や行政評価、監視の実施、これは、各省庁がしっかり仕事をしているのか、各部局がしっかり仕事をしているのか、チェックをするに当たりまして、チェックする側とされる側にいわゆるなれ合いがあってはいけません。民間企業でも、情報の壁、いわゆるファイアウオールをしっかり築いていますが、この点、どのような仕組みになっていますでしょうか。

 例えば、調べたところ、年十本ぐらい、この省はここを直すべきだという勧告を出されています。勧告を出されていますが、それを出すに当たり、事前に相手先と文言の調整をしたりとか、そういうことはしていないですよね。それを確認させてください。

武藤大臣政務官 落合先生におかれましては、行政評価に関心をいただきまして、本当にありがとうございます。なかなか、議事録を見ても、過去こういう質問があったと余りお聞きしていないんです。

 この行政評価の調査でありますけれども、総務省が有識者の御意見あるいはパブリックコメントでテーマを決めさせていただきます。したがって、いわゆるパブコメを通じての話ですから、公的な要素が非常に強い中での決定の中での調査でありまして、そういう意味でいうと、この調査を設計、実施して、調査結果を踏まえて課題の指摘や勧告を行っております。

 その際、調査で把握した事例など行政実態の事実確認及びその評価について、関係府省と、おっしゃられるように徹底的な議論はいたします。ですから、お話にございましたようななれ合いとかいうものではなくて、あくまで非常に威厳のある形での勧告という形で、大臣から、閣議で、各大臣そのものに報告をさせていただくという形のものであります。

落合分科員 ありがとうございます。

 実際、この局の機能をもっと強化していくためには、今のお話からさらに踏み込んで、独立性ですとか実効性、強制性、こういうものがより強化されていくことが、国民全体にもメリットがあることですし、重要なことだと思います。

 これが日本の行政全体にも大きな影響を与えると思うんですが、先ほどの質問から踏み込んで、より独立性、実効性を高めていく、そういう予定といいますか、努力する予定はございますでしょうか。

武藤大臣政務官 返す返すお話を申し上げますけれども、ある意味でそういう公的なパブコメ等の中での進め方をさせていただいて、勧告をさせていただいていますので、あくまで、そういうなれ合い等々のものはございません。

 省内でもその気概を持って、パブリックコメントの背景を持ちながらしっかりやっておりますので、今後の対応と言われても、現状の形の中でしっかり対応させていただくということになろうと思います。

落合分科員 これは、先ほども申し上げたとおり、重要な局であって、より権限を増させていく必要があると思いますので、私もこれからしっかりとウオッチさせていただきたいと考えております。

 次に、今国会、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案が出されていますが、これはいわゆる官民ファンドをもう一個つくるということだと思います。

 我が国の通信・放送事業等の海外展開を支援していくという、この政策自体は大変重要なことだと考えますが、これまでも官民ファンドにつきましてはいろいろな懸念が投げかけられてまいりました。一般的には、民間の邪魔をしてしまう、それからまた、甘い審査で回収の見込みのない案件に投融資をしてしまって、税金が毀損してしまうというような可能性がよく指摘をされております。

 今国会、法案が提出されておりますので、いわゆる民業圧迫につながるということをいろいろな面から言われるとは思うんですが、このファンドが民業圧迫にはならないという点について御説明をいただければと思います。

西銘副大臣 落合委員の御質問にお答えをしたいと思います。

 まず最初に、我が国を取り巻く環境といたしまして、少子高齢化社会あるいは人口減少社会という大きな環境変化があります。その中で、国内の市場、需要が見込めない。

 一方、先生御案内のように、アジアの地域は非常に今ダイナミズムがあります。先般、私もベトナムを訪問する機会がありましたが、我が国がアジアのダイナミズムを取り込んで、成長していこうという大きな環境があると考えております。

 その中で、通信、放送、郵便、これらの事業は特に政府とかかわってくる、政治的な影響を受けやすいという点があろうかと思います。

 民間が民間のみで事業を展開していこうとすると、この辺のリスクがあるものですから、このリスク等を考えると、政府と政府の関係をありながら、これを支援していこうという流れであります。

 今回、設立を予定しております機構は、我が国民間事業者の積極的な海外への展開を、公的資金を呼び水としながら、民間資金も誘発をしながら、支援をしていこうということで設立をするもので、期間を限定して設立するものであります。民業圧迫にはならないと考えております。

 御理解を賜りたいと思います。

    〔田所主査代理退席、主査着席〕

落合分科員 民業圧迫には当たらない、公的な側面も大きいので公がかかわるべきだということでした。

 こういった、ある意味でのインフラ事業ですので、かなり大きな金額がかかる、そういう大きな事業になると思います。このファンドが立ち上がったときに、よくあるのは、結局、ファンドが立ち上がったけれども投資先が見つからないというような問題もあると思います。

 これはちょっと事務的な話になりますが、具体的に、まだ法案が通っていませんが、案件の候補はあるんでしょうか。どれぐらいあるか、いろいろ言えないかもしれませんが、その規模も教えていただければと思います。

鈴木政府参考人 お答えさせていただきます。

 産業界からはいろいろなニーズ、需要を聞いてございまして、例えば、ASEAN等のアジアの国などに対しまして光ファイバー通信網の整備であるとか光のケーブルテレビ網の整備、整備だけではなくて運営及び維持管理といったニーズであるとか、あるいは、地上デジタル放送を世界に広げるという努力をしてまいりましたけれども、これのための番組を伝送するような中継網の整備、それの運営、維持といったような案件を具体的にも聞いてございます。

 今のところまだ、ではどれくらいという金額は、なかなか全体はわからないんですが、発展していきますアジアを中心とする新興国、こういったところにおきます情報通信投資のマーケットは非常に大きいというふうに認識してございます。そういったものを取り込んでまいりたいと思っています。

落合分科員 具体的にどれぐらいの事業規模になるかですとか、そういう数字というのは。あと、件数が大体どれぐらいというのは集計されているんでしょうか。

鈴木政府参考人 私ども、この法案の前提になります予算要求をする段階でいろいろ聞いた中では、全体として三百億を超えるようなお話がありましたので、それで財政当局ともお話をして、とりあえず来年度予算では二百億の出資の予算をいただいてございます。

落合分科員 三百億、ことし二百億ということで、件数というのはどんな感じでしょうか。

鈴木政府参考人 まだ商談の早い段階のものがあるものですから、すごくつかみのもので、件数としてもはっきり何件とまで言えませんが、大体数十件といいますか、そんな感じでやっています。

落合分科員 数十件。大体、割り算して一事業当たりを知りたいんですが、五、六十件と考えていいのか、三十件前後と考えていいのか、お聞かせください。

鈴木政府参考人 具体的な算定でどこまでのものを入れるかというところがちょっとあって、まだ非常に早い段階のものということですが、そんなに、五、六十もあるとかというところではまだありませんで、支援のスキームなんかが出てきますと、また各民間企業さんなんかから、実はこういうのもあるんですというお話が出てこようかと思っています。

落合分科員 これで案件が上がってきた後に、実際に投資をするかどうかというのはこの機構が十分判断しなきゃいけないことと思います。

 これは、国境を越えて、日本の案件ではありませんので、法律の専門家もかなり専門的な方が必要である。それから、金融の知識、それから金融の分野の法的な知識も必要であり、かなり難しい専門的な知識を持った人材を入れなければならないファンドの種類だと思います。

 こういうファンドを成功させるには、民間のファンドと比べてもかなり高度な人材を数多く集めなければならないと思いますが、この人材の面で、大丈夫ですと言い切れるんでしょうか、約束できるんでしょうか。お答えください。

鈴木政府参考人 まずは法案の御審議をいただいて成立させていただくというところから始まりますけれども、成立の暁には、まさに、投資決定に関する金融のプロであるとか、通信事業あるいは放送事業、そういった事業そのものに対する専門家をお願いして、成功するような人材に機構に入っていただければというふうに、最大限努力するつもりでございます。

落合分科員 税金が多数投入されるわけですので、努力だけで失敗しましたとなっては大きな問題ですので。

 それで、ファンドというのは、この件もそうですが、二十年というスパンをとっています。二十年となるとかなり長いですし、また、海外に投資をすることでチェックがききにくい。ここで、ことしこのファンドを設立しますと決めてから二十年後までも責任を持たなければならない問題ですので、私も、こういった件はしっかりチェックをしてまいります。また、途中経過も質問することもあると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

土井主査 これにて落合貴之君の質疑は終了いたしました。

 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)分科員 質問の機会をいただき、ありがとうございました。

 大臣、そして籾井会長、連日お疲れさまでございます。お世話になっております。

 先日の予算委員会で要求いたしましたNHK関連団体ガバナンス調査委員会の報告書、小林弁護士が調査されたものでありますが、先ほど、別冊の部分と本体の部分、個人情報の部分は塗り潰されておりますけれども、全体をいただいたということでありまして、まずはありがとうございました。これは、内容を精査いたしまして、また予算の審議の際にきちんと質問したいと思います。

 あのときも会長はおっしゃっておられましたが、それなりの費用がかかっているんだということで、週刊誌で数千万、あるいは聞いたところによると六千万という数字を私は申し上げて、お答えいただけませんでしたが、それなりにかかっておられると。恐らくそのぐらいのオーダーということだと思うんですが、それにふさわしいものかどうかということをまず見させていただきたいということ。

 それから、まず三月と去年はおっしゃっておられたんですが、この三月までに何をやり、あるいはこの中期経営計画でどうやってこれを実行していくかということを検証させていただきたいんですが、この答申、特に子会社の関係の部分については、このとおりしっかりやられるということでよろしいんでしょうか。

籾井参考人 その別冊の方を今おっしゃっているんですか。(奥野(総)分科員「はい」と呼ぶ)それは、前にも言いましたけれども、小林弁護士の個人的なサジェスチョンでありまして、今回の一連の調査とは直接はかかわりのないものでございます。

 御承知のとおり、小林弁護士は、前にNHKの経営委員をやっておられた方でございますので、そういうことも踏まえて、個人的なアドバイスをいただいたものと私は了解いたしております。

奥野(総)分科員 今の、もう一度質問ですが、別冊の部分については、では、全くやらないということなんですか。

籾井参考人 別冊の方は、基本的に関連会社のガバナンスについて小林弁護士の御意見が書かれているわけですが、我々としましては、関連企業のガバナンスについては、当然のことながら、認識もしておりますし、やらねばならないということ、これは私、着任当時から申し上げていることです。

 基本的に、NHKの関連企業というのは、NHKと一体という考え方にはなっておりませんでした。関連企業といえども、仮に一〇〇%という会社でなくても、九十何%といっても、これは別会社という整理がなされておりましたので、この状況の中では、世の中では、やはり関連企業というのはNHKと一体であるということで、そういう考えに基づいて今後ガバナンスも見直すし、それからいろいろな仕事のやり方ももう一度よく見直していこうということで、これは四月からの、別に四月からである必要もないんですが、新三カ年計画の中で見直していこうというふうに思っております。

奥野(総)分科員 これをやっていると三十分ぐらいたってしまいますので、また別途読ませていただいてから具体的にお話をしていきたいと思います。

 こうやって出していただけると、議論が少しずつ前に進むわけであります。そこはまず感謝をいたしますが、まだ出していただけていないものがございます。きのう要求した国際放送番組審議会の一月の議事録です。

 会長はこうおっしゃっていますね、定かには覚えてございませんけれども、要するに、河野談話は政府の公式見解ではない、こういうことを言ったかどうかということについて、定かには覚えてございませんけれども、断定的にこう言うことはないと思います、こう答えておりますね。

 ということは、何らかの発言をしたということでしょうか。

籾井参考人 先日も申し上げましたように、一応言及したということですが、私がそこでこの問題を断定的に申し上げたということではございません。

 ちょっといろいろ疑問もありましたので、私がそのことについてちょっと触れたというだけのことでございますが、公式的には、もう委員よく御存じのとおり、民主党の部門会で私ははっきりとスタンスを申しております。要するに、河野談話はNHKの国際番組基準が言うところの我が国の国際問題に対する公的見解に当たる、こういうことでございます。

奥野(総)分科員 でも、新聞報道によれば、河野談話というのは国の政策かというと、そうではないわけですと言ったという報道もございますね。会長の今おっしゃったことと食い違っているということなんですよ。

 どうすれば手っ取り早くわかるかといえば、これは議事録を出していただけばよくわかるわけですね。今回も出していただきましたけれども、詳細な議事録について提出いただきたいとお願いいたしますけれども、いかがでしょうか。

籾井参考人 まず、新聞報道と私が言っていることが違うと言われても、新聞報道というのは全く別次元で書かれますので、私はそれについて言及しません。

 御承知のとおり、きのうから何回も御説明しておりますけれども、国際放送番組審議会の審議状況については、放送法第六条第六項の規定に基づき、議事の概要を公表するということでございまして、この内容は、委員の皆様の御了解のもとで作成し、確定しております。

 いわゆる外に出しているものといいましょうか、外に出していると言うとちょっと語弊がありますけれども、公式的ないわゆる議事録的なものはこれが全てであり、これ以外の議事録は存在しないということでございます。

奥野(総)分科員 放送法を読むと、議事概要を公表しろと書いてあるわけですね。議事概要の公表義務を書いているわけでありまして、詳細版の議事録をつくるなとも、詳細版の議事録を出すなとも、一言も書いてないわけですね。現に、会長会見録についても、要求すれば去年は出てきたわけです。

 ですから、放送法の話とは別なんですね。放送法が何らかの理由によってそれを禁じているというならば別段、しかし、そうではないわけですから、ぜひここは出していただきたいと思います。いかがでしょうか。

籾井参考人 確かに禁じるとは書いてないんですが、放送法には本当に、放送法第六条第六項の規定に基づき、議事の概要を公表するというふうにありますので、我々としましても、今の議事概要で法に違反しているとか約束を守っていないとか、そういうことではないと思います。きっちりと放送法を遵守して、長い間それでやってきている、いつものとおりの形でございますので、御了解いただきたいと思います。

奥野(総)分科員 しかし、記事と会長の言っていることの内容が明らかに食い違うわけですね。

 会長はいつも信念に基づいておっしゃっておられると。先日も、記者会見の中身、とうとう取り消しをされませんでした。政府の対応が決まるまで慎重にということについて、とうとう取り消しをされなかったということであります。もし自分が言っていることが正しいと思うならば、きちんとこれは公表すべきじゃないですか。

 審議の活性化のために、委員の方の個別の発言を公表しないというのはわかります。しかし、会長御自身の発言ですから、会長御自身の発言について公表できない理由というのは何なんでしょうか。

籾井参考人 今も申しておりますように、いわゆる放送法に基づいて議事の概要を公表するというのが我々の義務でございますので、それに基づいて公表しているわけでございます。

 番組審議会における審議というのは、NHKの個々の番組の編集にかかわるものでございますので、議事の概要以外は公表しないことになっておるわけでございます。

奥野(総)分科員 法律では、決めたことはやらなきゃいけないんですが、では、決めていないことをやっちゃいかぬかというと、そうではないわけですね。これは、公表しなさいと言っている、概要を公表しなさいと。では、議事録をつくっちゃいかぬか、議事録を国会に出しちゃいかぬか、そうじゃないわけですよ。禁止されていないわけです。そして、まさに国会を通じて我々は求めているわけですから、出さないと言うにはそれなりの理由が要ると思います。

 過去の委員の発言について了解をとるというならわかりますが、これは会長自身の発言ですね。この部分について出せない理由というのは、今、会長、ここで言えますか。

籾井参考人 何度も御説明しておりますけれども、我々は、放送法で決まった規則に基づき、議事録といいますか概要を出しているわけです。それで……(奥野(総)分科員「答えていない」と呼ぶ)いや、答えていますよ。

 我々は、放送法に基づいて、第六条第六項の規定に基づき議事の概要を公表している、これが我々の義務でございます。書いていないから、おまえ、そうしろというのは、ちょっと理屈としてはおかしいんじゃないかと私は思います。放送法に書いてあることを我々はきちっと守っております。

奥野(総)分科員 これは、事によっては外交問題に発展しかねないような重要な話ですよ。この話について、国会の側から出してほしいと言っているのに対して、それは言えない、出せないというのは何なんですか。出してしまうと外交問題に発展するからですか。逆にそうとられますよね。

 なぜ出せないんでしょうか。

籾井参考人 出さない理由は、今申したとおりでございます。

 さらに、この放送番組審議会の議事録は、もう委員長のサインももらって、公式にこれで発行されております。これ以外にはございません。

奥野(総)分科員 それは、議事概要であって、議事録ではないでしょう。

籾井参考人 そのとおり、議事概要でございます。これは繰り返し申しているとおりでございます。

奥野(総)分科員 議事録あるんじゃないですか、ちゃんとしたものが。もし、後から出てきて、それが公表されたら、会長どうするんですか。ないとおっしゃいましたね、今。

籾井参考人 議事録はございません。議事概要はございます。

奥野(総)分科員 中でつくった議事録というのはないんですか。

籾井参考人 何回も言っておりますが、ございません。

奥野(総)分科員 なければつくっていただく、録音されているんでしょうし。

 実際、もし出てきた場合、これは国会の場で違うことを言ったということになります。

 この前、理事会でも求めておりますけれども、これを出せない理由というのをきちんと総務委員会の理事会の方でもう一度伺いたいと思います。

 それから、こうした答弁が、本当に全会一致に向けた努力、最大限の努力と言えるかどうかというのは極めて疑問だと思います。

籾井参考人 私は、本当にいろいろな、放送法についても、我々の今までやってきたことについても、委員の質問に対して丁寧に答えているつもりでございます。これをもって我々の予算に対する全会一致に向けた努力が足りないと言われるのは、多少私としても残念でございますが、本当にないのでございますから、それは本当に御理解していただきたいというふうに思います。

奥野(総)分科員 では、聞き方を変えます。

 会長、断定はされていないとおっしゃったけれども、では、どういうふうな発言をされたんですか。

籾井参考人 今となっては、概要に述べていること以外は存在しないということになるわけでございます。

奥野(総)分科員 でも、断定的にこう言うことはないということは、何か言ったということでしょう。どういうふうに言ったと御記憶ですか。

籾井参考人 何回も申しておりますが、議事概要というのが番組審議会のいわゆる内容にかかわる唯一のものでございます。

奥野(総)分科員 今の答えでは、どういうふうにおっしゃったか、では、全く御記憶にないということですか。

籾井参考人 申しわけございませんけれども、最初に申しましたように、最初というのはきょうじゃないですが、私の記憶は定かでないんですが、断定的に物を言ったことはないと思います、こういうふうに答えております。

 ですから、委員の御指摘される外交問題にかかわるような大問題ではなかったということでございます。しかも、議事概要の中にも入らないぐらいの話ですから、これが議事の本筋にかかわり合ったものではないということでございます。

奥野(総)分科員 でも、これは新聞で記事になっているわけですね。もし、それを本当におっしゃっていないんだったら、それはちゃんと反論すべきじゃないですか、こういうふうに言ったと。

 少なくとも、新聞の記事にそういうふうに出たわけですよね、某新聞社の記事に。そういうふうにおっしゃったというふうに出ているわけですよ。もし事実と異なるんなら、ここできちんと反論すべきじゃないですか。あるいは議事録を出して、反論すべきじゃないですか。

籾井参考人 新聞の報道の内容についてはあえて触れませんけれども、我々はやはり議事概要が全てである、こういうふうに私は申し上げているわけでございます。

 新聞がどういうふうに書いたかというのは、ちょっと僕、よく覚えていませんが、これについてはコメントを避けたいと思います。

奥野(総)分科員 これ以上やっても水かけ論ですが、しかし、この問題は、もう一回総務委員会の理事会できちんと取り上げさせていただきますし、なければ詳細版をつくるべきだと私は思います。少なくとも、法律が禁じていない以上、そして国会が求めている以上、これだけの問題ですから書いていただく、これだって出てきたわけですよね、この問題についても。きちんと出していただきたいと思います。

 それで、次に移りますけれども、受信料の義務化の話を伺いたいと思います。

 義務化については賛意を表されたと思います、委員会でも。受信料徴収の義務化については、具体的にはどのような仕組みを考えておられるんでしょうか。

籾井参考人 今のところ、全く考えておりません。

奥野(総)分科員 記者会見で、すばらしい、こうおっしゃったわけですね。

 会長、義務化というのはどういうものなんですか。

籾井参考人 少なくとも、あそこで申し上げたことは、我々、やはり受信料の公平化といいましょうか、これを今非常に大きな問題としているわけです。それに向かって我々は一生懸命、お客様に同意していただくべく、契約をふやしていっているわけです。現実に、今日まで七五、六%まで来て、今度の三カ年計画で八〇%にしようとしているんですが、八〇に達しても、まだ二〇%の人が払っていただいていないということになるわけです。

 したがって、公平化を進めるためには、この二〇%の人に払ってもらわなきゃいけないわけです。そういう意味で、我々の立場からいきますと、これが義務化されますと、必要ない努力といいましょうか、そういうことが必要なくなってくるんですから、そういう意味において、皆さんにいつも言われておりますように、コストも下がってきますし、そうなってくるといろいろなことが可能になってくる、こういう意味で申し上げたわけでございます。

 ただ、本当に義務化をやるということになりますと、これは相当の問題があるということもある程度想像がつきます。それから、やはり受信料については、国民の皆さん、それから視聴者の皆さん、まずこの辺のコンセンサスをいただくというのが非常に重要だと思っております。

 したがって、それ以降の内容については、まだまだ我々としては考えていないわけでございます。

 よろしくお願いします。

奥野(総)分科員 義務化といってもいろいろありまして、実際に実効性を上げるのは、例えば強制徴収、税金のように強制徴収規定を伴うものというのがあるんですが、恐らくこうしないと会長のおっしゃるような徴収率の向上につながらないと思うんですが、強制徴収も含めて、あるいは延滞金なども含めた、税金のような仕組みを考えておられるんでしょうか。

籾井参考人 先ほどの御質問にちょっと答えておりませんでしたので、支払い義務化についての見解といいましょうか意見を申しますと、受信料につきましては、放送法第六十四条に「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、」「その放送の受信についての契約をしなければならない。」と定められておることは、言うまでもないことでございます。これに基づき、総務大臣の認可を受けて定めたNHKの放送受信規約第五条には、「放送受信料を支払わなければならない。」と規定しております。

 現状でも受信料の支払いを義務づけているわけでございますが、いわゆる支払い義務化は、放送法に受信料支払いの義務を明文化することで、現在の放送法と放送受信規約という二段構えの構造を放送法に一本化するもの、こういうふうに認識いたしております。

奥野(総)分科員 ということは、強制徴収ではないということですね。

籾井参考人 そのとおりでございます。

奥野(総)分科員 それから、対象については、これはパソコンの同時再送信の議論とも重なりますけれども、同時再送信を始めることになった場合、こういったパソコンやあるいはスマホのユーザー、こういった方も対象になるという理解でよろしいでしょうか。

籾井参考人 現実に、今度の次期三カ年計画の中で、我々としては同時再送信というのを一応視野に入れております。現在のところはまだいろいろな規則の関係で同時常時再送信とまではいっていませんが、いずれこういう時代が来るんだろうというふうに予想しております。

 そういう意味で、我々としては、今から料金体系について我々が主体的に検討をし、それから、やはり専門家の御意見も聴取しながら、いろいろ今度のパソコンユーザーに対するものも含めてやっていくつもりでおります。ただ、とりあえずは今のところはそこまでで、義務化の問題についてはその先の問題と私は理解しております。

奥野(総)分科員 そうすると、まず受信料の見直しをし、それをやって、その後に義務化の話も検討していくということですね。

籾井参考人 もちろん、我々としては支払い率の向上というのを目指すのが第一でございます。

 ただ、本当に、今回の三カ年計画においても、目標値を一〇〇%と置くというのが理屈としては正しいのでございますが、やはり予算との関係で、予算との関係というのは、収入をある程度予想して予算をつくらなきゃいけませんので、八〇%と置かせていただいたということでございます。

奥野(総)分科員 受信料の見直しもそうなんですけれども、過去ずっと難しい問題、手がついてこなかった問題であります。これをやるには、やはり会長としての信頼というのがないと、なかなかできない。

 強制徴収に至っては、過去二回廃案になっており、また前回も、平成十九年のときも、結局、議論はあったけれども日の目を見なかったということであります。

 国民の信頼を得るということであれば、まず会長が信頼を得て、少なくとも今回、この予算について全会一致を目指していくということが大事だと思いますが、いかがですか。

籾井参考人 本当に、心から我々は全会一致を希望しておるわけでございまして、ぜひ奥野委員にもそのように御協力いただければありがたいと思いますし、今から先も我々は全会一致に向けて最大限の努力をするつもりでございます。

 この点について、いろいろ籾井はどうだこうだと言われていますが、私の気持ちは、最初から最後まで全会一致でやっていただくということを目指してみんなで汗をかいているところでございます。

奥野(総)分科員 しかし、年明けからの一連の発言とか国会での対応を見ると、なかなか全会一致は、今ここで結論を出すわけではありませんけれども、例えば先ほどの議事録について出していただくとか、何か変化がないと最大限努力しているとは言いがたいと我々は認識しております。

 そのあたり、経営委員長はいかがですか。これまでの会長の対応を見られて、最大限努力をしているというふうにお感じでしょうか。

浜田参考人 全会一致につきましては、去る一月十五日の経営委員会で、平成二十七年度予算の議決に当たり、私から、全会一致の承認を目指して全力で取り組んでいただきたいと申し上げました。

 今は、皆様の御理解を賜るための最大限の努力を行っていただきたいと思いますし、経営委員会としても、そのための監督はしっかり行っていきたいというふうに思っております。

奥野(総)分科員 先ほど来私が聞いてきた放送番組審議会の発言について、経営委員長は何かお聞き及びでしょうか。そして、もし仮に何かそういう発言があったとした場合に、経営委員会として、先日申し入れもしているわけでありますけれども、そういった中どういった対処をされるおつもりでしょうか。

浜田参考人 新聞に報道されているのは承知しておりますけれども、それ以上ございませんので、今、仮定の話についてはコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

奥野(総)分科員 先日の会見のときは、会長から話を聞かれるということがあったと思いますが、今回の件について、会長から事実関係について経営委員会として話を聞く予定はないんでしょうか。

浜田参考人 先日の会長会見につきましては、確かに会長から真意をお聞きしました。

 本件につきましては、新聞報道以上のことは私承知しておりませんので、今のところ予定はありません。

奥野(総)分科員 でも、新聞報道が事実とすればかなり大きな問題だと思うんですが、それでもなお事実関係について聞かないんでしょうか。

浜田参考人 仮定の御質問でございますので、コメントを差し控えさせていただきたいというふうに思います。

奥野(総)分科員 仮定ではなくて、報道されたという事実はあるわけですね。ですから、そういう報道があった場合に、事実とすれば、かなりNHKについてダメージが大きいと思われる問題です。

 これについて、経営委員会としてヒアリングをすべきだと私は思いますけれども、仮定じゃないですよ、報道されたという事実がありますから、それについて真偽を確かめるということは経営委員会のチェック機能としてやるべきだと思いますが、いかがですか。

浜田参考人 経営委員会は、総合的に、自律的に、合議の上、判断したいというふうに思っております。

奥野(総)分科員 まさにそこは、我々が言う話じゃないかもしれませんけれども、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 最後になりますけれども、先日、放送総局長とそんたくの発言についてお話をさせていただきまして、時間が来てしまったんですが、もう一度、正確に何とおっしゃったか。NHKの職員といえどもサラリーマン、そんたくは企業や組織には普遍的に存在していると述べた。このこと自体については述べたんだとおっしゃっておられました。ただ、結論から言うと否定した、こうおっしゃっていましたけれども、前後、どういう趣旨でこれを申されたんでしょうか。

板野参考人 お答えいたします。

 会見では、最近になってそうしたことが出てきているのかという趣旨の御質問でございました。それについては、そうしたことはないというふうに申し上げております。

 さらに、記者の方から確認の質問がございましたので、重ねて、そういうことはないというふうに申し上げております。

奥野(総)分科員 どういう文脈でこの発言をされたんですか。

板野参考人 正確な記憶はございませんけれども、籾井会長になってからそうしたことが出てきているのか、そういう御質問だったと思います。

 それについては、私は、最初のところでそういうことはないというふうに申し上げ、その後で、一般論として、そういうことが組織体の中で行われているのかもしれないということは申し上げましたけれども、さらにその後、最後のところでもう一回そういうお尋ねがあったものですから、番組制作にかかわることについてそうしたことはないというふうに重ねて申し上げております。

奥野(総)分科員 NHKの職員といえどもサラリーマン、こういうふうに結果おっしゃって、その文脈だとNHKにもそういうことはあるんだというふうにとれますよね。

 例えば、実際に、これは元NHKの永田さんの日刊ゲンダイのインタビューに出ていますけれども、集団的自衛権のニュースで、与党側の主張時間が百十四分、反論が七十七秒、百対一だ、こういうデータを出しておられます。あるいは、去年の総選挙について、政府の文書、これは出ていないとおっしゃっていますが、それが出たとされる時期から見ると、前回よりも一割NHKの選挙報道が減っている、こういうデータもございます。

 これは事実なんでしょうか。

板野参考人 そのようなことは承知しておりません。その数字が事実かどうかも私は把握しておりません。

 いずれにしましても、私どもNHKは、公平、公正、中立に報道しているというふうに考えております。

奥野(総)分科員 これ、事実かどうかというのは調べればわかるわけでありますけれども、やはりそんたくという発言をしている以上、編集権は報道局長にあるわけですから、どうしてもそんたくというのが出てくると思うんですね。それが私はこういう数字につながっているというふうに思います。

 ですから、こういう発言はぜひ気をつけていただきたい。そんたくを認めるというのは、私はあり得ないというふうに思います。

 最後になりますけれども、会長にもう一度伺いたいんですが、NHKというのは受信料でできています。その受信料を今、引き上げよう、あるいは場合によっては義務化をしようということをおっしゃっておられるわけですね。義務化をしようとしておられるわけです。

 これは、過去なかなかできなかった。義務化はするとおっしゃいましたよね。すばらしいとおっしゃったわけですね。ですから、そういう中で、会長の信頼なくしては私はこういった大改革はできないと思います。

 そういう意味で、先ほどの発言もそうですけれども、ぜひ会長発言についてはつまびらかに、もう一度求めますけれども、これは総務委員会の方でも求めますが、そういった疑義のあることについては議事録をしっかり出していただきたいと重ねて求めて、私の質問を終わらせていただきます。

土井主査 これにて奥野総一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、小倉將信君。

小倉分科員 自由民主党の小倉將信です。

 貴重な質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 また、高市大臣、朝から本当にお疲れさまでございます。

 まず、地方創生についてお伺いをしたいと思います。

 言うまでもなく、地方創生は、増田寛也元総務大臣のいわゆる極点社会のレポート、二〇四〇年までに消滅をする都市が八百九十六自治体、全体の半数を上回るという衝撃的なレポートを出発点といたしまして地方創生の取り組みが本格的に動き出し、そして大きな目標として、二〇六〇年までに日本の人口一億人を維持するというようなことがあろうかと思います。

 それで、その手段についてなんですけれども、この日本で人口が急にふえていくのもまた難しい。かといって、外から急に人が流入してくるかというと、その可能性も非常に薄い。となると、当然、人が多いところから人の少ないところへの移動を促していくということになるんだろうと思います。その手段の一つが東京一極集中の是正ということだと私は理解をいたしております。

 東京一極集中の是正なんですけれども、私は選挙区が東京でございまして、東京の人間からすれば、やや複雑な思いもございます。もちろん、私が住んでおります町田市も、もとをただせば、都外から来ている、上京されている方が多数おりますので、それぞれの御地元の状況もよく理解をしておりますし、恐らく多くの方は、自分たちが上京してきたときのあの豊かで活気あふれた地方を取り戻してほしい、そのような地方創生にかける思いは地方の方々と共有をしているんだろうと思います。

 ただ、一方で、では、東京が豊かな生活、QOLの高い生活を送っているのかというと、そうでもありませんで、満員電車による通勤通学、そして交通渋滞、高い生活費、こういった状況がある中で、私の選挙区の一つであります多摩市においては、ニュータウンの老朽化、高齢化という問題もございます。実際に、区画によっては六十五歳以上人口が八割を超えているということで、まさに地方と同様にこれから高齢化社会を本格的に迎える。社会保障費も相当ふえてくるだろう。

 そういった中にあって、この地方創生の取り組みが、東京から財源と人と企業を一方的に奪うような取り組みではかなわぬ、そのような思いもあるわけであります。

 そういった意味では、地方創生の取り組みが本格的に国民運動として成立をしていくためには、地方の方はもとより、東京の人たち、なかんずく、東京であって東京でないような、いわゆるグレーター東京と言われているような、辺縁に住んでいらっしゃるような方々の理解も得ていかなければ、本格的に地方創生を国民一丸となって取り組んでいくことはできないんだろうというふうに思います。

 そういった意味では、地方がどうやって活性化をするかということももちろん重要なんですけれども、地方が活性化した結果、東京を中心とする、あるいは大阪、名古屋、福岡、こういった大都市も含まれるかもしれませんけれども、地方創生によってこういった大都市がどのようにまた新しい豊かな地域として生まれ変わるかというようなグランドビジョンも政府として示していかなければいけないんじゃないのかというふうに考えております。

 それと同時に、やはり東京の人間からすれば、地方創生というのが大義名分になって、お金のばらまきには決してしてはいけない、しないでくれというような思いもあろうかと思います。

 常々、石破担当大臣は、今回の地方創生は異次元の地方創生であるということをおっしゃっております。そして、何が異次元かというふうに問われた際に、石破担当大臣は、全ての自治体にいわゆる地方版総合戦略を立てていただいて、その中には当然KPI、成果目標もつくっていただいて、単にやりっ放しではなくて、PDCAサイクルをしっかり回していくことが今までの地方創生の取り組みとは大きく違うんだ、このようなことをお答えになっていたというふうに記憶をいたしております。

 そこで、まずお尋ねをしたいと思います。

 このPDCAのプラン、そしてドゥー、これは当然地方自治体が中心になって策定をすると思うんですけれども、残りのチェック・アンド・アクション、このC、Aの部分の主体はどこになるのか、まずお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 今回の総合戦略、委員御指摘のように、地方版総合戦略におきましても、成果目標を定めてPDCAを回していただくということでございますが、その主体は、言うまでもなく、地方公共団体がみずから主体的に取り組んでいただきたいと考えております。

小倉分科員 どうもありがとうございます。お答えは、PDCA全て自治体でやっていただくということだろうと思います。

 ただ、私が懸念いたしますのは、自治体に全部任せていて、果たしてお手盛りにならないのかという点でございます。

 私、自民党の無駄撲滅プロジェクトチームで仕事をさせていただいて、一歩先行しております中央政府の行政事業レビュー、これをもとに、各官庁の方々と議論をさせていただきました。やはり行政事業レビューも、御案内のとおり、ほぼ全ての事業について成果目標、KPIが示されていて、それが達成されたかどうかというのもお示しをいただいております。

 ただ、それをつぶさに見ますと、中には、本当にこのKPIでいいのかどうかと。

 例えば、ある英語の教師を海外に研修に行かせます、日本に戻ってきた際にその地域のリーダーの英語教師になってもらう、このような事業がございました。その成果指標は、戻ってきた英語教師がその地域で研修を行ったかどうか、自分主催の研修を行ったかどうか、一〇〇%という目標が立てられておりましたけれども、それが成果指標となっておりました。

 当然、国費で海外に行かせるわけですから、戻ってきて研修をやらないわけはありません。本来であるならば、その地域において生徒の英語力が高まったかどうかを成果指標とすべきなのに、ある意味、必ず達成できるような低い目標が立てられているわけでございます。

 中には、そもそも、国の事業もそうですけれども、地方公共団体の事業もそうです、企業と違って、なかなか定量的な目標に合わないというような事業もたくさんございます。恐らく、これをやると、これは公共性に鑑みて目標は立てられないというような、そのようなものもいっぱい出てくるんじゃないのかなというふうに思っております。

 こういったものを、ノウハウのない地方自治体に全て丸投げしていいのかどうかというのが私の問題意識でありまして、PDCAが重要であるならば、やはりC、Aの部分は、地方自治体に丸投げするのではなくて、第三者機関を設けて地方自治体以外の方にチェックをしてもらう、このような枠組みづくりも必要だと思いますし、なかなかKPIを立てられない自治体に対しては、横串で、この事業であればこういった成果目標がぴったりくるのではないかというようなアドバイスを国としてもしていいんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点についてお考えをお伺いできればと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 まず、KPIの設定の仕方についてでございますが、これにつきまして、委員御指摘のように、私ども、アウトカム指標ということで、実現すべき成果、行政活動ということでなく、できるだけ成果を目標に設定してくださいということを申し上げているところでございまして、その際に、これまでも地方向けの通知等におきまして、地方公共団体も、優良事例とかもございます、そういう実例も混ぜた形でのKPIの設定の仕方についていろいろな情報提供を行っているところでございます。

 また、チェックについて重要だということはもうそのとおりでございまして、内部だけでなくて、第三者を交えた形のチェックということが非常に大事だと考えておりまして、その点につきましても、できるだけ外部有識者を含めた形の検証機関を設けてくださいというようなことも申し上げていますし、これは石破大臣も再三申し上げているところでございますが、そういったKPIの設定ないしは検証の段階において、産業界あるいは行政機関、教育機関、金融機関、労働団体、言論界、産官学金労言と申しておりますけれども、そういった幅広い方々、さらには地方議会の方々にも参画していただきながら、そういう成果目標の設定、それからチェックの仕方についていろいろな助言を行っているところでございます。

小倉分科員 どうも御回答ありがとうございました。まさに、これから手探りで、試行錯誤でベストプラクティスを見つけていくというような段階だろうと思っておりますので、ぜひ、この問題意識を踏まえて進めていただければというふうに思っております。

 私、先週、予算委員会の地方公聴会で石川県の金沢市に伺いました。三月十四日なのでもうすぐですけれども、北陸新幹線が開業するということで非常に熱気にあふれておりましたけれども、その場で私は谷本石川県知事に御質問をさせていただきました。

 石川県は、皆様御案内のとおり、女性の就業率が全国一位ということで、その背景にあるのは、保育施設の整備率がたしか全国二位ということもあったんだろうと思います。

 事前に私が同僚議員に聞きましたところ、石川県は二世帯同居が多い、嫁しゅうとめの話があって、しゅうとめと長い時間一緒にいたくないから嫁さんは働きに出るんだということを言った方もおりましたけれども、どこが真実であるにせよ、子育て施設が石川県で充実をしていることは確かなんだろうと思います。

 谷本知事がおっしゃっていたのが、国の地方創生の取り組みに先行して県政の総点検をしたということをおっしゃっておりました。

 総点検をする中でエアポケットが見つかった。つまりは、三歳未満の子供を持つ御家庭、そして保育園に子供を預けていない御家庭にとってみれば、なかなか子供同士の交流を図る場所がない。そして、お母さん同士で同じ悩みを共有する場所がなかったというようなことが見つかったそうであります。そこで、ことしの四月から、三歳未満の乳幼児を通園に準じて預けられる、そのような保育サービスを石川県で始めるということをおっしゃっておりました。

 ぜひこの事業自体はうまくいってほしいなと私自身は思っているんですけれども、あわせて、谷本知事は、せっかく見つかったエアポケットだから、これを成功させて、成功させるだけではなくて国全体の取り組みへと広げていきたいというようなこともおっしゃっておりました。

 そこでお伺いしたいんですけれども、今回の地方創生は、異次元の地方創生であります。千八百近い自治体が全部自分たちの、それぞれの自治体の行政を総点検するわけですから、中には、これを国全体に広げてもいいんじゃないかなというような改善点も見つかるんじゃないかというふうに思っております。まさに、国から地方へフィードバックするだけじゃなくて、地方のベストプラクティスを国にフィードバックする、そのようなルートもつくっていく必要があるんじゃないかというふうに思っておりますけれども、この点、今回の地方創生の中で何か枠組みがあれば教えていただきたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 今回の国の総合戦略の策定に当たりましても、石破大臣と六団体の長との意見交換会ですとか、あるいは、政策立案過程におきましても、事務局内に基本政策検討チームというのを設けていたんですが、その中で、地方団体からも、七回にわたりまして首長さん方を初めいろいろな御意見をお伺いした上で戦略を策定したという経緯がございます。

 さきの国会で成立したまち・ひと・しごと創生法の中にも、第八条で、地方団体の意見を反映させるために必要な措置を講ずるということが書かれておりまして、内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部事務局自体において、そういった地方の御意見、御提案を承る体制をとっているところでございます。

小倉分科員 どうもありがとうございます。ぜひ、そういった取り組みを続けていただきたいというふうに思います。

 話をかえて、高市大臣にお伺いをしたいと思います。

 二〇二〇年までにプライマリーバランスの黒字化というのが政府の目標です。これは、国だけではなくて、国、地方を合わせてのプライマリーバランスの黒字化だというふうに思っております。

 そういう意味では、国だけが一生懸命財政削減の努力をして、歳入拡大の努力をして、何とか健全化を図ろうとしても、地方がこれについてこなければ政府目標は達成できないわけでございます。そういう意味では、国と地方両方が車の両輪となってプライマリーバランスの黒字化目標に向けて頑張っていかなければいけないというふうに考えております。

 まず、地方においては、リーマン・ショック以降、恐らく三分の一にまで減ってしまった不交付団体をふやす取り組みをしていかなければいけないというふうに思っております。

 私の地元の多摩市は、昭和六十二年からずっと不交付団体であり続けておりますけれども、残念ながら、もう一つの町田市は、平成二十二年に交付団体となっております。そういう意味では、今はもう五十ぐらいですけれども、それを昔のように百を超えるような不交付団体にまでふやしていくような努力が必要だというふうに思っておりますけれども、これについての大臣の思いをお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 地方財政の健全化のためには、歳出歳入両面の見直しが必要だと思います。

 先ほどお話があったとおり、リーマン・ショックの影響もあって、地方税収が大きく減少いたしました。しかし、アベノミクスの効果も出てきて、税収はふえつつあります。

 ですから、歳出面では、無駄撲滅のプロジェクトもしていただいております、そういった知見も生かし、あと、行政評価、また政策評価などの取り組みも発展させながら、しっかりめり張りをつけて歳出構造を見直す。だから、財務体質を強化するということがまず大事ですね。

 それから、歳入面においては、やはりちゃんとローカルアベノミクスを成功させて、地方税収の増を図るということだと思います。この地方税収の増を図る努力を続けていくと、結果的に不交付団体も増加することになると考えております。

 先ほど来、委員もこちらの関東の方でいらっしゃいますので、いろいろなお話がありましたけれども、何か地方創生を進めると東京圏が沈むというのではなくて、東京はやはり日本国の首都でございますから、世界の真ん中で咲き誇る日本の首都として、東京ももっともっと元気に成長していっていただかなきゃなりません。

 ただ、他方、やはり地方の経済をよくする、地方を再生させることによりまして、東京の方々が稼いだお金をまた地方で使わせていただくという状況から抜け出ていくことにもなる。共存共栄が成り立っていくんだろうと思っております。しっかりと取り組ませていただきます。

小倉分科員 力強いお言葉、どうもありがとうございました。

 国もそうでありますけれども、地方の財政健全化については、やはりローカルアベノミクスをいかに成功させていけるかということがキーになるんじゃないかと思います。

 きのうございました中央公聴会で大和総研の鈴木さんという研究員が、財政健全化と経済の成長、これは、二兎を追う者は一兎をも得ずじゃなくて、そもそも二兎を追わなければいけないんだ、このようなことをおっしゃっておりました。

 なぜならば、これまで日本経済は、企業がお金を使わない、個人もなかなか、世帯が高齢化をしていく中でお金を使えない、かわりに誰かがお金を使わなければ誰かの給料にならないわけでございまして、国が積極的に財政を支出せざるを得なかった、これが、企業が自律的にお金を使うようになれば、それに応じて政府も不要なお金というか経済を支えるようなお金の使い方をせずに済むようになる、このような意味で、二兎を追わなきゃいけないんだということをおっしゃっておりまして、私もそのとおりだなというふうに思っております。

 東京よりも地方はまさにそういう状況でございまして、なかなか公共事業等々がなければ雇用を支えられないような状況が続いている、そういう地域もあろうかと思います。

 そういった地域も、実際に産業がしっかりと根づいて、そこで雇用が生まれれば、政府も財政健全化をしながらその地域もしっかりと経済発展をしていく、そのような好循環が生まれるんじゃないのかなというふうに思っております。

 大臣がおっしゃいました歳出削減について、私も、まず歳出削減をしっかりとしなければいけないと、同時に思っております。

 歳出削減、行政評価の第一歩は、私は公会計制度にあるんじゃないかと思っております。まずは、それぞれの自治体の負債と資産をチェックすると同時に、それぞれのプロジェクトについてどれぐらいのコストパフォーマンスがあるのか、こういったものを把握していくことこそが、一つ一つの自治体にとって、行政改革、財政削減をより効率的、効果的に進めていく方策の一つなんじゃないのかなと思っております。

 そういう意味では、私の地元の町田市は、先進的な会計制度、会計の仕組みを二〇一二年からスタートいたしております。

 先般、総務省が、比較考量のために、統一的な総務省モデル、これに合わせてくれというようなお願いを各自治体にしたと思います。そうなると、町田市のような先進的な取り組みをしている自治体にとってみれば二重の負担になるのではないか、そのような懸念の声も聞かれております。

 例えば、固定資産台帳に記載する取得価格について、町田市の方式と総務省の方式が異なっているために二度手間になってしまうのではないか、このような具体的な不安の声も聞かれたわけでございます。

 実際に一生懸命やって先進的な取り組みをしている自治体が、かえって二度手間になって足を引っ張られてしまっては元も子もないわけでございますから、そこら辺、何かしらの配慮が必要なんじゃないかなというふうに思っておりますが、この点について、何かあるのか、お伺いをしたいと思います。

佐藤政府参考人 去る一月二十三日に総務大臣から各地方団体宛てに統一的な基準による財務書類の作成について要請を行っております。

 その主な内容は、固定資産台帳の整備と複式簿記の導入を前提とした統一的な基準によってつくってくださいということ、それから、原則として平成二十九年度までの三年間で全ての団体でつくってほしいということ、これらを予算編成などに積極的に活用してほしいということであります。

 これをやりましたのは比較可能性を確保するということでありますので、全ての団体が同じ基準で財務書類を作成するということが重要であることは御指摘のとおりなんです。

 ただし、既に固定資産台帳の整備などに取り組んでいる団体があります。お話にありました町田市も、先進的な事例として我々は敬意を表しているところでございます。こうした団体が、改めて、もう一回例えば資産の評価などをやり直すということになりますと、これは大変事務負担がかさむものですから、こういったことについては配慮が必要だと考えております。

 そこで、合理的かつ客観的な基準によって資産の評価をしたということであれば、新しい基準で再評価をしなくても結構だというような取り扱いも示しているところでございます。

小倉分科員 どうもありがとうございます。ぜひ御配慮いただければなというふうに思います。

 この町田市モデルは、私自身もいろいろとお伺いをしたところ、かなり先進的な取り組みでございまして、単に市全体の財務諸表をつくるだけではなくて、もう御案内のとおり、部課ごとあるいはそれぞれの事業ごとの財務諸表もあわせてつくる。財務諸表をつくるだけではなくて、それぞれの事業ごとのKPIも設定をしてもらって、当然、決算、予算編成の際に、そのKPIを基準としてまた反映をさせる、このような仕組みにしております。

 さらには、部課あるいは事業ごとの財務諸表、計算書類を月次で更新をして、それを見ることによってPDCAサイクルを適時適切に、年度ごととかではなくて月単位で見ていくというような、実際にパブリックマネジメントに生かせるような、そのような取り組みをしております。

 そこで、ちょっとお伺いをしたいんですけれども、単に比較考量のために統一的な基準に合わせるだけではなくて、これから、先ほど申し上げたように地方創生の取り組みの中でも、やはりよりPDCAサイクルをしっかりと回していかなければいけない。これは、幾ら上が音頭をとっても、それぞれの自治体の担当課であったり担当官にしみついていなければ、PDCAサイクルを回すことはできません。

 ですので、こういった先進的な取り組みであれば、それを積極的にほかの自治体、全部の自治体とは言いませんけれども、ある程度大きな自治体には見習ってもらうべきなんじゃないのかなというふうに思いますし、総務省も積極的に旗振り役を務めてもらいたいと思うんですけれども、この点、いかがお考えでしょうか。お聞かせください。

佐藤政府参考人 この種のことを地方団体に要請しておりますのは、財政のマネジメントを強化しようということの一環でございます。したがって、つくった上に、さらに、例えば、事業別、施設別のセグメント分析などを行って予算編成などに積極的に活用するということが重要でありまして、こうしたことによって、限られた財源を賢く使うということを行っていくことだと思います。

 本年一月に公表しました統一的な基準による地方公会計マニュアルというのをつくっているんですが、このマニュアルは、財務諸表のつくり方ですとか固定資産台帳のつくり方だけではなくて、これを予算編成などにどう生かすかという点からも、ここに記載を織り込んでおります。今おっしゃいました町田市など、先進的な事例を紹介するということを行っております。

 今後、こうしたノウハウをいろいろな機会を通じて広く研修などで普及をしていきたいと考えております。

小倉分科員 どうもありがとうございます。さらに取り組みを加速させていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、話題を若干かえまして、税についてお伺いしたいと思います。

 まず、地方税の一つであります固定資産税の課税基準について、土地と家屋、建屋ですね、それぞれについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

平嶋政府参考人 現在の固定資産税の評価額の算定方法ですが、土地は売買実例価額方式、家屋は再建築価格方式に経年減点補正をするという方法で算出しております。

小倉分科員 どうもありがとうございます。

 税は、なかなか、どんどん払ってもいいというような納税者は少ないと思います。できる限り取られたくないというふうに思う納税者の方が大半だと思います。

 そういったときに、できる限り快く税金を払ってもらうためには、やはり税というものは、よく言われているように、公平であって、中立であって、簡素でなければいけないと思います。

 そこで、固定資産税の場合、今おっしゃったように、土地は売買実例による。一方で、家屋は、再建築価格掛ける経年減点補正率ですから、例えば家屋については、御案内のとおり、もう二十年過ぎれば、建物の価格はほとんどなくなってしまいます。一方で、実際に固定資産税の基準となるのはこの基準でございますから、二十年過ぎても、まだ家屋としての価値はあるという基準の中で課税されてしまう。

 そのような意味では、土地と同じように、家屋についても売買実例に合わせて課税すべきなんじゃないかなというふうに私は思うんですけれども、それについてお考えをお聞かせ願いたいと思います。

平嶋政府参考人 この点につきましては、まず、土地につきましては、委員御案内のとおり、路線価というのもありますように、横に同じような条件の土地が必ずあって、その中に売買価額実例があれば非常に参考にしやすいということですとか、もう一点は、今おっしゃられましたとおり、経年で減価しないというポイントもございます。そういったことから、売買実例価額をもとにした評価に非常になじみやすいということだと思います。

 一方、家屋、特に中古の売買価格につきましては、家屋の床面積、デザイン、間取り、使用している部材、設備等への趣向、あるいは経過年数、管理の状況、土地の需給動向等によりまして、当初の建築価格等に対して売買価格がどの程度変化するかということが、個別事例によって幅が大きく、固定資産税の課税に中古の売買実例価額を反映させることには技術的な課題が相当程度あるというふうに認識をしております。

 それともう一つ、経過年数を過ぎましても、家屋の場合は、法人税とかと違いまして、二〇%のところで価格をとめることになっております。これは、家屋を使用している以上、やはり家屋を使用していることに伴う行政サービスを受けているので、それに対して一定程度税を払っていただくという考え方からとられているのだと思っております。

 このようなことで、現在、家屋の評価基準については、今申し上げました再建築価格に経年減点補正を掛けるという手法をとっているわけでございます。

 ただ、その一方で、今委員御指摘のように、家屋については、売買実例価額で比準しているということではありませんが、中古売買があったものについては、売買価格に基づく課税を行っている外国の例があるということも承知をいたしております。そういうときは、逆に、改良しておりますと値段が上がることもあるわけです。

 また、国土交通省で中古住宅の建物評価に対する指針等も作成されるなど、大分状況が変わってきておりますので、そういったことも含め、議員の問題意識も念頭に、今後も幅広く研究を続けていきたいというふうに思っております。

小倉分科員 どうも御回答ありがとうございました。

 我が国としても、これまで余り手をつけてこられなかった中古住宅事情についても、例えばインスペクションを入れるとかデータベースを充実させるとか、あるいは専門家を育成するとかで、ちゃんとした住宅に関してはちゃんとした評価をしよう、そのような取り組みもございますので、それとあわせて、家屋の課税基準についてのプラクティスも検討していただければなというふうに思っております。

 時間が来ましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

土井主査 これにて小倉將信君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)分科員 民主党の後藤祐一でございます。

 まず、昨年、アパートで白骨化した遺体が見つかった斎藤理玖君の事件がございました。神奈川県厚木市の事件でございます。私はそこの選出なんでございますけれども、これは当の厚木市役所から伺ったことをもとに質問をさせていただきます。これは大臣に伺いたいと思います。

 厚木市役所としても、こういったことを二度と起こさないために最善を尽くしたいということなんですが、やはり一市役所としてなかなか限界がある部分もあるということで、居所不明児童対策については、一自治体が収集できる情報は限定されますということで、自治体内の縦割りをどうするのか、あるいは自治体同士、自治体間の情報共有、これを可能とするような全国的な仕組みが必要ではないか、特に、個人情報の提供を加味した統一した情報共有のルール化が必要ではないかというふうに考えます。これについてどうお考えでしょうか。

 またあわせて、居所不明児童対策については、児童福祉法において要保護児童対策地域協議会という組織が位置づけられているのでございますが、近年問題となっております徘回高齢者対策、徘回されるお年寄りについては、各自治体で独自の対策を講じておられます。

 そこで、十九歳以上の市民の居所不明に対する調査、情報共有等に関する組織、こういったものも明確化していくような制度を構築すべきではないか、必要であれば法整備も検討すべきではないかというふうに考えますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。

高市国務大臣 居所不明児童対策も、それから身元不明高齢者対策につきましても、やはり自治体の庁内及び自治体間で情報共有、それから連携した対応が必要だと考えます。

 身元不明の高齢者対策につきましては、関係省庁が連携して検討を進めまして、各都道府県のホームページ上で公開されている身元不明の認知症高齢者等の情報を閲覧できる特設サイトを平成二十六年八月に設置しました。これは、厚生労働省のホームページ内でございます。都道府県域を越えた捜索活動に資するようにしております。

 それから、居所不明児童対策ですけれども、平成二十六年十二月二十六日に開催されました児童虐待防止対策に関する副大臣等会議において、自治体の庁内及び自治体間で居所不明児童の情報の共有などの取り組みを行うことにいたしました。

 近々、自治体の庁内及び自治体間での情報共有、それから連携の詳細を示した通知を、厚生労働省、文部科学省、総務省の連名で発出する予定になっております。

 今、委員からは、法整備も含めてというお話もありましたけれども、まず、関係省庁と連携した取り組みを行いながら、総務省としては、自治体に対しての助言をしっかりと行ってまいりたいと思います。

後藤(祐)分科員 ぜひ、各市町村から見ると、できること、できないこと、いろいろ限界がある中で、その立場から、総務省としては、各省の対応をよくチェックいただいて、実効性のあるものをつくっていただくようお願いしたいと思います。

 次に、地方交付税の不交付団体における国庫補助金、これが非常に不公平ではないかというお話をしたいと思います。

 税源の偏在による財政力格差、これは交付税によってかなり解消される部分があるわけでございますけれども、交付税以外の特定の目的とした国庫補助金、国庫補助金に限らずさまざまな補助事業、これについては、不交付団体が非常に不利益をこうむっております。

 例えば、学校のトイレの改修などに使われます学校施設環境改善交付金というのがございますが、この補助率は、通常、通常というか、交付団体の場合は三分の一なんですが、不交付団体の場合は七分の二に補助率が下がります。また、がんばる地域交付金というものは、通常は算定基準額の三〇%となっておりますが、不交付団体の場合は補助率ゼロであります。

 このように、不交付団体では、各種事業が交付税措置されたとしても、結局、交付税をいただけないということで多大な財政負担を強いられているということがございます。

 この不交付団体における国庫補助金等の補助率の格差、これを解消すべきだと考えますが、これは二之湯副大臣に御見解をいただきたいと思います。

二之湯副大臣 国庫補助金等につきましては、法律に基づく、例えば義務教育、生活保護等の国庫負担金や、国の事務に関係する、いわゆる選挙などの国庫委託金、あるいは特定の施策を奨励する国庫補助金などさまざまなものがありますけれども、その補助率のあり方については一概に申し上げられませんが、例えば、国庫負担金については、国の責任として国と地方の負担を定めているものでございますし、個別の地方団体の財政事情によって国の負担割合を変更することは適当でない、このように思うわけです。

 また、地方団体間の財政力格差の是正は、偏在性の小さな税体系の構築や地方交付税の運用等に基づき行われるものでありまして、個々の国庫補助金等を通じて地方団体間の財源調整を行うことは、金のやりくりは非常に少ないと思いますので、本来の趣旨とは異なるものではないかと思います。

 こうした点を踏まえて、所管省庁において、個別の国庫補助金等の趣旨や目的に応じて適切に対応していただくことが望ましいと思います。

後藤(祐)分科員 事実上の義務づけになっちゃっているようなものがあるんですね。

 例えば不妊治療、できる回数を五回から十四回にたしかふやしたと思うんです。ふやした分というのはたしか交付税対応になっていて、では、不交付団体だけやらないわけにいくかというと、いかないわけですよね。

 国で事実上の義務づけを各市町村にしてしまうときに、不交付団体が強制的に自腹を切るというのは、やはり制度としていかがなものかなと思いますので、これは総務省からぜひ各省に、できるだけ補助事業でやるようにという働きかけをしていただきたいと思います。

 これに似た話なんですが、消防団の関係でもございます。

 消防団員の安全確保装備の充実、情報収集及び情報伝達装備の充実、また大規模災害に対応するための救助活動用資機材の充実、このために、消防団装備の基準というものが二十六年二月七日に改定されています。

 これに伴って、各自治体では多額の費用が見込まれているわけでございますが、これについては、消防団を中核とした地域力の充実強化に関する法律第十五条によって、国が財政上の措置を講ずるよう努めるものとして、トランシーバー、安全靴、ライフジャケット、防じんマスク、AED、チェーンソー、油圧ジャッキなど、こういったものが挙げられているわけですけれども、現場で実際にこういったものが装備されるよう財政支援をすべきではないでしょうか。

 一部、地方交付税措置によって増額されたというふうにも聞いておりますけれども、先ほどと同じように、不交付団体だけこういったものがなくていいということではないと思いますので、不交付団体が不利にならないように、補助措置としてやるべきではないでしょうか。総務大臣、お願いします。

高市国務大臣 消防団の装備に係る財政措置につきましては、いわゆる過去の三位一体改革によりまして、地方の自主性を尊重するという観点から補助金が廃止されて、一般財源化されました。これを踏まえて、所要の地方交付税措置を講じております。委員御指摘のとおり、確かに、不交付団体にとってはなかなか大変だということでございます。

 一昨年、国会で制定されました消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律を踏まえまして、防火衣やライフジャケットなどの安全装備品等の充実を図るために、昨年二月に装備基準を改正し、あわせて、地方交付税措置について、十万人の標準団体で一千万円から一千六百万円に引き上げたところであります。

 これを踏まえて、市町村に対して、集中的、計画的に整備を進めるよう強力に働きかけております。

 補助金化すべきという御意見も今伺いましたけれども、やはり過去の経緯を考えますと、補助金を新たに創設するということはなかなか難しいと考えております。

後藤(祐)分科員 消防庁というのは、総務省がまさに自分の担当部局でございますので、先ほどの、不交付団体が不公平ではないかということの問題解決が自分でできる部分でございますので、大した額でもないので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 続きまして、同じ消防なんですが、消防の広域化について伺いたいと思います。

 私の地元、厚木市の横に清川村というのがございまして、不交付団体でございますが、今、消防については厚木の消防で清川村までカバーしております。このたび、分署を開設して、清川村の職員数は村役場に七十四名しかいないんですが、この分署の開設で新たに十一名の職員を雇うという大決断をされました。大変な決断だと思います。

 こういった消防の広域化ということについては、市町村の消防の広域化に関する基本指針というのが平成二十五年四月に改正されて、消防広域化重点地域という枠組みが設けられました。

 この基本指針では、「平成二十六年度以降、消防広域化重点地域に対するものに重点化するとともに、必要に応じて見直すものとする。」となっておりますが、これは相当お金がかかるんですね。ぜひ、財政面できちんと支援してあげられないものでしょうか。

 ハード面を中心にある程度のものはあるというふうに聞いておりますけれども、やはり、大変なのは人件費なんですね。特に、新たに必要となる、先ほどの人数を聞けばその負担の重さというのはお感じいただけると思うんですけれども、補充される人件費に相当する額、これに対する補助、これも含めて財政面での支援について御検討をいただきたいと思いますが、二之湯副大臣の答弁を求めます。

二之湯副大臣 平成二十五年の四月に市町村の消防の広域化に関する基本指針を改正いたしまして、都道府県が広域化を先行して重点的に取り組む必要がある地域を重点地域として指定する枠組みを設けまして、消防庁としても当該地域に重点化して、ハード、ソフト両面から財政支援をしているところであります。

 具体的には、広域化する市町村が広域消防運営計画の達成のため財政運営に支障が生じないようにする観点から、広域化に伴い臨時的に必要となる消防署所の再編や、あるいは消防車両等のハード整備を緊急防災・減災事業債の対象にするとともに、業務の統一に必要な財務会計等のシステム変更や計画策定等に要するソフト経費に特別交付税措置を講じているところでございます。

 広域化後に経常的に負担することになる人件費等につきましては、普通交付税において適切に措置が講じられている、このように思っているところであります。

後藤(祐)分科員 確かに、きのう説明を伺いました計画作成の準備に要する経費ですとか無線の関係ですとか広報啓発経費とかいうものは出るそうなんですが、これは圧倒的に人件費が厳しいんですね。

 清川村はダムのお金があって、比較的財政面のゆとりがあるところで決断できたんですが、村とか小さい町だとかが対象だと思うんです。なかなか、苦しい財政の中でこれを進めるというのは非現実的なところがあると思うんですね。しかし、これは大変大事なことでございますから、もう少し人件費面での御検討をいただけるよう御要望申し上げたいと思います。

 続きまして、西銘副大臣にお伺いしたいと思いますが、防災行政無線に関してでございます。

 防災行政無線については、警察や自衛隊の無線、あるいは消防組織法、水防法、こういったものに規定する無線局と違って、電波利用料が全額免除になっておりません。平成二十六年四月の電波法改正で、平成二十六年十月以降の利用料、これはかなり下がっているというふうに伺っています。私の地元のある市では百八十万程度の負担が二十万程度の負担に下がったというお話を伺っておりますけれども、防災行政無線、ぜひ、この電波利用料については、他の公的な無線と同じように全額免除にすることを御検討いただけないでしょうか。

西銘副大臣 電波利用料制度につきましては、電波の適正な利用の確保に関し、無線局全体の受益を直接の目的として行う事務、電波利用共益事務の処理に要する費用を、受益者である無線局の免許人の方々に公平に負担していただく制度であり、原則全ての無線局に御負担いただくものであります。

 一方、委員御指摘のように、専ら非常時における国民の安全、安心の確保を直接の目的とする無線局、専ら治安、秩序の維持を直接の目的とする無線局については、高度の公共性を有していることから、電波利用料を免除しているところであります。

 御指摘の防災行政無線の無線局につきましては、自然現象や火事等の被害から国民を保護するという高度の公共性を有しますが、一方で、地方行政一般にも使用されることを考慮し、電波法の規定に基づき、電波利用料を半額負担としているところであります。

後藤(祐)分科員 公的なことに使うわけですから、ぜひそこは御検討いただきたいと思います。

 続きまして、二之湯副大臣にお伺いしますが、消防関係の補助金について、政令市の場合の扱い、これが非常に苦しい扱いになっていることについて御指摘申し上げたいと思います。

 消防防災施設整備費補助金というものと緊急消防援助隊設備整備費補助金というものがございます。これらについては、政令市の場合、補助金の交付額が九千五百万円に満たない場合は交付が受けられないという規定になっています。政令指定都市以外は九百五十万円、十分の一というのが採択基準になっておりますが、この十倍差があるというのは大変不公平ではないでしょうか。特に、私の地元の相模原市というのは、つい最近政令市になったばかりで、びっくりしているわけでございます。

 そういった指摘もあって、これは浜松市なんかからも指摘があったというふうに伺っておりますけれども、今言った二つのうち、緊急消防援助隊設備整備費補助金については、九千五百万円から五千万円に引き下げることになったというふうに伺っております。

 ぜひ、政令指定都市についても、今申し上げた二つの補助金、具体的には耐震性貯水槽ですとか消防ポンプ自動車ですとか、非常に重要なものに使う補助金でございます。この両方の補助金とも、指定都市以外の採択基準である九百五十万円に引き下げるべきではないでしょうか。仮に、いきなりそこまでできないにしても、残った方の消防防災施設整備費補助金の基準額を、緊急消防援助隊設備整備費補助金、九千五百から五千万円に下がった方ですね、これと同じような、同等への引き下げはせめて行うべきではないでしょうか。二之湯副大臣、お願いします。

二之湯副大臣 今、先生御指摘のように、例えば相模原市だとか浜松市とか熊本市とか、一般市から政令市になって大変財政負担が厳しい、こういうことによりまして、今、その基準額を下げるべきではないか、こういうことでございます。

 これもひとつ、緩和することについては、地方分権改革に関する提案があった場合には、関係機関と調整を図りながら適切に対処していく、こういうことで御了解をいただきたい、このように思います。

後藤(祐)分科員 これは政令市自体が考えることでございますが、提案があった場合にはぜひ応援団になっていただいて、ちょっと差が大き過ぎるんですね、この十倍というのは。今うなずいておられますけれども、副大臣、温かい心で応援をいただきたいと思います。

 続きまして、基地交付金等の拡充について、これは、あかま政務官、お越しになられています。

 お隣の同じ相模原市の選挙区、私は、あかま政務官とは隣の選挙区なんでございますが、この相模原市に三カ所の米軍基地が所在しておりまして、四百四十六ヘクタールの広大な場所を占有しておられます。これは、計画的なまちづくりに支障を来すとともに、市の財政にも著しい影響を及ぼしております。

 基地交付金については、対象資産に応じた固定資産税相当額が交付されるようにすべきだと思いますし、また、もう一つの調整交付金についても、地位協定の実施に伴う地方税の非課税措置等による自治体の損失というものがございます。この損失分全額を補填すべきだと思いますが、あかま政務官、ぜひ、地元でもございます、この全額補填、いかがでございましょうか。

あかま大臣政務官 お答えいたします。

 相模原市にあっても、まちづくり等々に影響、また財政面においても影響があることは十分に理解をし、またある種共感をするところでございますけれども、そもそも、この基地交付金または調整交付金というものが、今御指摘があったとおり、米軍施設や自衛隊施設の固定資産税や米軍の軍人や軍属に係る市町村民税が非課税になっていること、これらによる税財政上の影響を考慮して、予算の範囲内で施設等の所在市町村に交付される財政補給金というような意味合いで創設されたものでございます。

 このような財政補給金としての性格から、非課税措置による影響を完全に補填する制度とはなっていないということ、またその一方、地方交付税の基準財政収入額には算入をされていないということになっておりますので、ぜひ御理解をと思っております。

 なお、総務省としては、所在市町村の実情等に鑑み、厳しい財政状況下の中にあっても、これまで所要額の確保に最大限の努力をしてきたところでございます。平成二十七年度予算案においても、前年度同額の合計三百四十五・四億円を計上しておるところでございます。

 今後とも、基地交付金、調整交付金の有する性格、これら市町村の置かれている事情等を十分考慮しながら、所要額の確保、これに最大限努めること、これが総務省の立場でございます。よろしくお願いします。

後藤(祐)分科員 今まで、三年に一度、固定資産税の評価がえのタイミングに合わせて少しずつ改善しているのでございますが、ぜひ、あかま政務官、その同じペースでやったら役所のペースなんですね。少しでもその上を行くように、ぜひ政治家として頑張っていただきたいと思います。

 続きまして、ゴルフ場利用税の堅持について申し上げたいと思います。

 今の相模原市に限らず、厚木市ですとか愛川町、清川村、伊勢原市、私の選挙区は全てゴルフ場が大変多い選挙区でございますが、ゴルフ場が所在する市町村は、開設時の周辺道路をつくったり、あるいはその維持管理、ゴルフ場から排出されるごみの処理ですとか、あるいは利用者がけがをした場合の救急サービス、あるいは消防ですとか一定の需要、要は市町村がしなければいけない仕事が発生します。

 また、他のスポーツ施設に比べて、非常に広い土地を利用されて、里山を開発して造成された施設であるという意味で、地すべり対策ですとか洪水対策ですとか農薬、水質調査ですとか、いろいろお金がかかっているわけでございます。

 ゴルフ場利用税というのは、そういった経緯も含めて設けられたものだと思いますが、ゴルフ場利用税、現状のまま堅持すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。これも、あかま政務官、お願いします。

あかま大臣政務官 後藤委員の御指摘ございましたゴルフ場利用税についての見地、私ども総務省としても同様の立場でございます。

 御案内のとおり、ゴルフ場利用税については、税収の七割がゴルフ場所在市町村に交付されております。とりわけ、財源に乏しい山林原野の多い市町村にとっては、地域振興を図る上での貴重な財源というふうになっております。

 またあわせて、全国の知事会、また市長会、全国の町村会等からも、現行制度をできる限り、またぜひとも堅持するよう要望がなされており、平成二十七年度税制改正においては、市町村の貴重な財源であること等を踏まえ、現行制度が維持されるということになったところでございます。

 今後とも、地方行財政を所管する立場として、地方からの声、要望はしっかり賜りながら対応してまいりたいと思っております。

後藤(祐)分科員 ぜひ堅持をお願いします。

 続きまして、新たな大都市制度について高市大臣に伺いたいと思います。

 現行の指定都市制度、これは一九五六年にできた制度ですが、それから政令指定都市がたくさんできて、神奈川県では人口の約三分の二が政令指定都市です。いろいろな限界を迎えています。

 この政令指定都市が、広域自治体あるいは周辺自治体、こういったところと連携をするですとかいろいろな創意工夫をしていく上で、今の県と政令市の事務分担ということにやはり限界があるのではないか。

 県の事務、これを政令市に全て移すいわゆる特別自治市の創設、これについては地制調でも議論がされて、引き続き、次の三十一次の地制調でも議論することになっているというふうに伺っておりますが、ぜひ、これは地制調でじっくり議論をしていただいて、この特別自治市の実現に向けて、総務省としても積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、御見解はいかがでしょうか。

高市国務大臣 いわゆる特別市、仮称ではありますけれども、第三十次の地方制度調査会の答申において、その意義は認めながらも、住民代表機能のある区の必要性ですとか、あと警察事務の分割によって広域犯罪対応に懸念があるなど、そういう課題が指摘されて、そのために、まずは都道府県から指定都市への事務と税財源の移譲により実質的に特別市に近づけることを目指すとされ、また、これらの課題は引き続き検討を進めていく必要がある、こうなりました。

 この答申を受けて、指定都市へのさらなる権限移譲を図る第四次一括法と、それから指定都市と都道府県の間の二重行政を解消するための指定都市都道府県調整会議の設置、それから総合区制度の創設などを内容とする地方自治法の一部改正が成立したところでございます。

 改正地方自治法の施行が二十八年四月ということでございますので、総務省は、この法改正の運用状況を踏まえながら、特別市、いわゆる特別市でございますが、こういったものの必要性についても考えていくべき課題であると思っております。

 今後また、あるべき地方行政体制については活発な議論が行われていく、そういう時期に入ってきていると思います。

後藤(祐)分科員 ぜひ、三十一次の地制調でも御検討いただきたいと思います。

 続きまして、ちょっと一つ飛ばしまして、環境省から廃棄物・リサイクル課長、お越しいただいていると思います。

 容器包装リサイクル法について、現在、自治体のごみ処理の際に、指定された袋というものがよく使われておりますけれども、これがプラスチック製容器包装の品質基準というものにおいて異物の扱いになっている。自治体の指定袋などについては、通常のプラスチック製容器包装と同一素材であれば分別基準の適合品として扱うように、これを定めているのが公益財団法人日本容器包装リサイクル協会だというふうに伺っておりますけれども、そこに働きかけを行うべきではないでしょうか。

 まさに、リサイクルを進める一番の当事者でもあると思います自治体の、まさにそれを進めるためのツールである指定の袋が異物になってしまっているのは大変残念です。物理的に同一素材なのであればという条件でも結構ですので、ぜひこれは、容器包装リサイクル協会に働きかけを行っていただきたいと思います。いかがでしょうか。

鎌形政府参考人 御指摘のプラのごみ指定袋についてでございますけれども、現在、容器包装リサイクル法のリサイクル義務の対象とは当たらないということでございまして、自治体が分別収集したプラスチック製容器包装の品質検査におきまして、同じプラスチックでも異物としての取り扱いを受けている、これが現状でございます。

 現在の容器包装リサイクル制度そのものにつきまして、産業構造審議会及び中央環境審議会の合同審議会におきまして制度の点検、見直しを行っている最中でございます。その中で、指定袋に関しましても、再商品化の対象となる容器包装の収集に必要な指定ごみ袋の資源としての有効利用方策をどのように考えるかということが論点、課題として掲げられているところでございます。

 こうしたことから、プラスチックのさらなるリサイクルの推進、そういう観点から合同審議会での議論を深めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

後藤(祐)分科員 私、実は、経済産業省、当時通産省、入省二年目、環境政策課でまさにこういった仕事をやっておりまして、産構審と中環審の合同部会といったもののロジをやっていたりしたものでございます。

 ぜひ、環境省、これはリーダーシップをとっていただいて、経済産業省もそれほど、製造者責任とかそういう細かいことを言い出すと切りがないので、ぜひ環境省が頑張っていただいて、この合同部会で、これはやはりおかしいですよ、リサイクルを進めるためにやっている袋が対象でないというのはいかがなものかなと思いますので、ぜひ頑張って、この検討の中で実現していただくようお願い申し上げたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

土井主査 これにて後藤祐一君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川分科員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、地方自治体にも深くかかわる、地域におきます中小企業の果たす役割について、国の施策がどうか、こういう観点で質問したいと思います。直接は国交省あるいは経済産業省にかかわるところが多いんですけれども、高市大臣もお話をお聞きいただいて、ぜひ、受けとめ、決意などを最後にお聞かせいただければと思っております。

 最初に、官公需法についてお尋ねいたします。

 中小企業の受注機会の確保を図る官公需法においては、契約比率の目標を持つということになっております。全体の官公需の契約実績を分母とすれば、中小企業の契約実績を分子とする、この比率を高めていこうということを目指しているものです。最初に、そのいわゆる分子の方の話をお尋ねしたいと思っています。

 官公需法の契約実績の中に、中小企業と言えないような大企業の子会社、いわゆるみなし大企業、こういうのが含まれている事例があるのではないかと思いますが、この点について、中小企業庁からお答えいただきたいと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律、いわゆる官公需法の第五条におきましては、各省庁の長から契約の実績を経産大臣に通知するというふうになっております。

 これに基づきまして集計するわけでございますが、この中で、いわゆるみなし大企業であるかどうかにつきましては明示的に通知の対象としておりませんでしたものですから、みなし大企業との契約については正確な状況は把握されておりません。今後把握に努めてまいりたいと考えております。

塩川分科員 把握をしていないということです。

 一つ紹介したいのですが、衆議院が契約の主体となりました衆議院の赤坂議員宿舎、これは非常に大きな金額での契約だったわけです。PFI契約だったわけですが、実際その契約をした企業がどういうところかといいますと、SPCで契約するわけですけれども、その出資者、つまり株主がどこかといいますと、一番大きいのが、鹿島建設が三八%、東急コミュニティーが三六%、セコムが一五%、東京瓦斯が一〇%と、いわば運営している主体というのは大企業となっている。つまり、大企業の子会社が衆議院の赤坂議員宿舎の契約をとっている。しかし、それが、残念ながら、衆議院における実績においては中小企業の契約実績の中に含まれていた。

 こういう事例があるということは御存じないですか。

北川政府参考人 その事例については承知しております。

塩川分科員 このように、実際には、大企業の子会社、PFIにおけるSPC、特定目的会社が契約の主体となっているものも、中小企業の契約ということで、官公需の実績として上がっている。

 こういう例というのはほかにもたくさんあるんじゃないかなと思うんですけれども、そういうことについて、改めて一度調べるという考えはありませんか。

北川政府参考人 今の、みなし大企業につきましては、今後把握してまいりたいと思います。その点につきまして、関係省庁にも周知していきたいと考えております。

塩川分科員 これまでの実績でみなし大企業が入っているんじゃないのか、大企業の子会社などが入っているんじゃないのかということなので、ぜひ調査していただきたいと思います。

 その上で、大企業の子会社、いわゆるみなし大企業は官公需法の支援対象となる中小企業から除くように、中小企業の範囲に明確な基準を設けるべきだと考えますが、この点についてお答えください。

北川政府参考人 いわゆる中小企業をどう見るかということでございます。

 中小企業基本法というのがございまして、そこの第二条に、中小企業者の範囲、これは各施策ごとに定めるとなっておりますけれども、同じく、同法第三条の基本理念におきまして、独立した中小企業者の自主的な努力が助長されることを旨とすると定められておりまして、中小企業基本法では、基本的には独立した中小企業者というものを対象に、念頭に置いておるわけでございます。

 こうした考え方を踏まえまして、個別法でございます先ほどの官公需法におきましても、一般的な考え方に準じまして、例えば発行済み株式の二分の一以上を同一企業が所有していない、あるいはその総数の三分の二以上を大企業が所有していない、あるいは大企業の役員または職員を兼ねている者が役員数の二分の一を占めていない、こういったものを中小企業と考えておりますので、先ほどの、これに当たらないみなし大企業につきましては、基本的な考え方としては官公需法の想定している範囲ではないと考えております。

 これは徹底されていないという御指摘もございますので、今後、官公需実績の取りまとめ方針をまとめていきますけれども、その際に、官公需契約見込み額・実績等取りまとめ要領に明記いたしまして、各省庁に対して周知していきたいと考えております。

塩川分科員 官公需の中小企業契約の実績に大企業の子会社が入っていた、これらの中小企業の受注機会の確保を正確に把握することができないということであります。

 今答弁のありましたように、大企業の子会社、いわゆるみなし大企業については、官公需法の支援対象となる中小企業から除くような明確な基準として、今お話しいただいたような中小企業基本法第三条にある独立した中小企業者という規定を踏まえて、発行済み株式の総数または出資価額の総額の二分の一以上が同一の大企業の所有に属していない、あるいは三分の二以上が複数の大企業の所有に属していない、また役員構成においてその二分の一以上を占めていない、こういう規定を設けるということ。これは、従来、経済産業省、中小企業庁において、いわゆるみなし大企業を除くという、独立した中小企業者という考え方の定義として一般的に使われているものということでよろしいんでしょうか。

北川政府参考人 これは、一般的に、我々、それに即してやってきたつもりでございまして、さまざまな補助金交付要綱などにもこのようなものを書いているところでございます。

塩川分科員 中小企業への補助金の交付要綱などに記載をされているもの、それを援用してということだと思います。

 こういう点で、中小企業庁は、官公需法における中小企業の範囲として、このような中小企業補助事業におけるみなし大企業を除く規定を援用し、大企業の子会社を排除し、独立した中小企業者を支援の対象とすることを明確にするということであります。

 この趣旨を、関係府省のみならず、地方公共団体やその他の政府機関、これらに対してもしかるべく周知を図ることが必要だと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

北川政府参考人 この官公需法に基づくさまざまな考え方については、毎年、関係省庁のみならず、地方自治体にもお知らせをして周知を図っていくということでございますので、同じようにしてまいりたいと思います。

塩川分科員 わかりました。

 次に、官公需契約実績の中小企業向けの比率を高めていくという点で、今、分子の話をしたわけですが、分母の方についてお尋ねをいたします。

 これは、先週の金曜日に予算委員会でお尋ねをした件でもありますが、官公需契約実績額の取りまとめに当たって、二〇〇九年度以降、予定価格が政府調達協定の適用基準額以上のものは官公需契約の対象範囲の対象外とするよう措置をしてきた、このことを先週の予算委員会でも取り上げたところであります。

 これは、実際には、WTOの政府調達協定の適用基準額ということですから、国の場合であれば物品で千三百万円とか、地方では二千七百万円、建設工事であれば国で六億円、地方では二十億円、一般サービスでは国が千三百万円、地方は二千七百万円ということです。国等の基準でいえば中小企業者は十分契約が可能なような、そういう規模の金額にもなっているわけであります。

 そこで、中小企業庁にお尋ねします。

 こういった契約額がこのWTO政府調達協定の適用基準額以上ということになれば、一律に中小企業の受注機会の確保を図る対象から外すことになるんじゃないのか、各府省が中小企業や小規模事業者が受注しやすい発注とする工夫を怠ることになりはしないか、この点を強く懸念するわけですが、この点についてはどのように受けとめておられますか。

北川政府参考人 官公需法に基づきまして各府省の実績を取りまとめているわけでございますけれども、平成二十一年度実績を取りまとめる際に、特に大型の契約については官公需法の対象から除外して集計していくということと一旦いたしました。その際、一つの基準として、委員御指摘のWTO政府調達協定の適用基準を示したことも事実でございます。

 このときは、中小企業にとりましてより受注の可能性が高い調達範囲というものを想定いたしまして、その中において受注割合を確実に高めていこう、こういうことを念頭に置いて絞り込んだものと考えているわけでございます。

 なお、この際、実際の受注金額は、平成二十年度の四兆一千六百五十二億円から平成二十一年度には四兆一千九百三十二億円となっておりまして、受注額自体は向上しているということでございます。

 しかしながら、もとより、WTO政府調達協定の適用基準額以上の調達につきましても、この協定あるいは会計法令との整合性を確保しながら、中小企業、小規模事業者の受注機会の増大に努めることは重要と考えておりまして、こうした趣旨、すなわち、今後、政府調達協定の適用基準額以上の調達につきましても、官公需法の趣旨、また中小企業、小規模事業者の受注の機会の確保というものが適切に反映されるように、平成二十六年度実績の取りまとめ要領を見直しまして、各府省の事務契約に反映するように周知を図ってまいりたいと考えております。

塩川分科員 先ほども紹介しましたように、中小企業者であっても、例えばWTO政府調達協定の建設工事、国の場合は六億以上という線がありますけれども、六億ぐらいの規模、五階建て、八階建てぐらいの建物であれば、大体そのぐらいの金額に行くわけですよ。中小の建設業者でも当然受注、契約が可能な規模であります。ましてや、物品やサービスで千三百万円となれば、これは十分中小企業者の仕事に入るわけですから、それを、その基準額以上だったら分母から外しちゃったら、中小企業者への受注の機会を確保するという官公需法をそもそも空洞化することになるじゃないかということであります。

 見直しということであれば、もともと取りまとめの要領のところに表書きをつけていたわけですよね。この表書きのところに、官公需契約の対象範囲から除いていいよという例示として、例えば、予定価格が政府調達協定の適用基準額以上のものなどと書いてあるわけです。ですから、ここには別に、建設工事という限定、つまり大規模という限定もなければ、そういう意味では、物品やサービスの千三百万円以上だって、この書き方であれば含まれるわけです。

 ということは、今後その実績を取りまとめるに当たっては、この括弧にあるような、政府調達協定の適用基準額以上のものは対象範囲として除いてもいいよ、この部分はもう削るということでいいんですか。

北川政府参考人 済みません。そこはちょっと技術的なことになりますので、よく検討して、いずれにいたしましても、まず分子がふえていくということも念頭に置きながら、中小企業、小規模事業者の受注の拡大に資するように見直してまいりたいと思います。

塩川分科員 もう一回お尋ねしますけれども、要するに、WTOの政府調達協定の運用基準額という線引きで、各府省が実績を取りまとめるときに、その線引きを気にしなくていいよということでいいんですか。

北川政府参考人 調達に当たっては、そのような趣旨でございます。

塩川分科員 適用基準額以上でも十分中小企業が受注可能なんだと。

 そういう意味では、官公需法、あるいはその具体化の契約の方針においても、合理的な形での分離分割の発注の工夫ということがうたわれているわけですから、そういった規模にすることも含めて中小企業者の受注機会の確保を図る、こういう取り組みということで、しっかりとした対応を改めて求めておくものであります。

 次に、建設産業の問題について国土交通省にお聞きいたします。

 今、建設産業が抱える大きな二つの問題、危機があるんじゃないのかと私は思っております。

 一つは、やはり地域に根差す建設・住宅業者が大変疲弊をしている。大手のゼネコンや大手のハウスメーカーや、こういうところが収益を伸ばしたとしても、実態とすれば、重層下請構造のもとで現場の中小業者の皆さんが大変苦労しておられる。そもそも、建設工事というのは地域性のあるものですから、そういった地域の中小建設業者をしっかりと支えることが必要なのに、そこが大変疲弊しているという問題があるということと、もう一つが、若年者がこの業界に入ってくることを避ける、入職を回避する、こういう事態があるということが言えると思います。

 この点で、私がここでお尋ねしたいのが、こういう若い世代の方、若年者が建設産業に入職し、安心して一生働き続けることができる仕組みづくりが必要だということであります。

 この間、国交省は、公共工事の設計労務単価の引き上げを行ってまいりました。しかし、現場はどうか。

 例えば、この二月にも設計労務単価の引き上げが行われましたけれども、そのとき、建設労働者、技能労働者の労働組合であります全建総連がコメントも出しております。この全建総連のコメントでは、全建総連の賃金調査結果や全国の県連、組合での組合員からの聞き取りから、賃金の上昇傾向は確かに見られるものの、職種や現場、地域による偏りも大きく、比較的上昇幅が高いゼネコン、野丁場、鉄筋コンクリートのような建物をつくる現場でも、設計労務単価の水準には及ばず、組合員もその実感を得られていない、これが現場の実感、実態であります。

 そこで、国交省にお尋ねします。

 公共工事設計労務単価を引き上げているけれども、現場の建設労働者がそれに見合うような賃上げを実感できていない。設計労務単価を引き上げたにもかかわらず、なぜ現場の建設労働者の賃上げに反映されないのか、この点についてはどのように受けとめておられますか。

吉田(光)政府参考人 お答え申し上げます。

 公共工事の設計労務単価につきましては、平成二十五年四月の一五・一%、また、昨年二月の七・一%に続きまして、委員御指摘のとおり、ことしの二月、またさらに四・二%の引き上げを行わせていただいたところでございます。

 この三度にわたる労務単価の引き上げが現場の技能労働者の賃金水準の上昇という好循環につながるよう、私どもも、建設業者団体に対し、繰り返し、適正な賃金水準の確保を要請してきたところでございます。こうした取り組みもございまして、現場の技能労働者の賃金は上昇傾向にあるというふうに理解してございます。

 先般発表になりました厚生労働省の平成二十六年の賃金構造基本統計調査によりますと、職別工事業、建設業の大工、型枠、とび等でございますけれども、これの男性生産労働者の年間賃金総支給額は、対前年比で八・九%伸びているということでございます。同様の製造業の三・七%と比較しましても高い伸びになっているというふうに考えてございます。

 引き続き、適切な賃金支払いの要請等を通じまして、賃金上昇の動きが下請も含めた技能労働者にも確実に行き届くよう努めてまいる考えでございます。

塩川分科員 もともと、建設労働者、技能労働者の方の賃金自身が、製造業の労働者よりも極めて低いわけですよ。二五%、四分の一ぐらい低いという実態ですからね。多少は上がったといっても、もともと土台が低いということを前提に考えなくちゃいけません。

 同時に、設計労務単価そのものは大きく引き上げたわけですから、さらに、国交省も、民間の団体、大手ゼネコンを含めて、事業者の方に対して、民間の仕事についてもしっかりと賃上げを図れるような、技能労働者の確保が可能となるような、そういう要請も行っているわけですから、そういう意味でも、トータルで、公共、民間合わせて全体として底上げを図っていくということが、実際に、低い賃金が大幅に上がった、こういう実感が得られるようなところにしていくことこそ必要なわけで、そうなっていないのはなぜなのかというところをもう一回聞きたいんです。

吉田(光)政府参考人 建設業は、五十万弱の業者がございますけれども、大変裾野の広い産業でございます。発注者と元請の関係、また元請と下請の関係というようなこともございます。

 まず、受注者において、発注者からダンピングというようなことをなくして、適正な価格で受注をする。賃金も、適正な形で下請に、また最後、建設労働者の方に行き渡るようなことが必要だというふうに考えてございます。

 そういった取り組みを、私ども、いろいろな角度から取り組んでいるというところでございます。

塩川分科員 発注者、元請の関係、元請、下請の関係というお話がありました。要するに、重層下請構造のもとにありますから、そういう意味では、発注者がこうしましょう、元請がこうしましょうと言っても、単純に、末端の、最先端の現場で働いている労働者の方の賃上げに行き届いていないという構造的な問題があるんだという前提で、これをどうするのかということが問われているんですよ。

 私の地元の埼玉で、埼玉土建一般労働組合、全建総連加盟の労働組合の建設労働者のアンケートを拝見いたしました。二十代の方なども、賃金が低い、低過ぎる、ガソリン代も出ないし生活が大変だ、こういう声とか、三十代の方なども、賃金が安く結婚できない、工程重視で休日作業を迫られる、またベテランの方の中にも、若い人が新しく始める仕事として建設業に魅力がなさ過ぎる、金がよいようには見えないし、三K職場としか見えていない。こういった声にどう応えるのか。

 その点でも、重層下請構造のもとで、末端の、現場の最先端の労働者の賃上げをどのように実現していくのか、そこでの踏み込んだ対応策というのはあるんですか。

吉田(光)政府参考人 建設業を取り巻く厳しい環境は、この十数年続いてきたわけでございます。こういった厳しい環境の中で、なかなか各企業、人ですとか資機材をみずから抱えることが難しくて、これを外部化し、アウトソーシングしてきた。このことが重層構造をより促進したといったようなことがあろうかと思っております。

 まず、各企業においてしっかりと若者を雇用していただく、採用していただく、そういった環境を整えることが重層構造の是正にもつながるというふうに考えてございます。

 そういった観点から、まずは、民間発注を含めまして、元請さんのところでしっかりとダンピング受注を防止していただく。また、労務単価がございましたが、そういった単価を引き上げていく。また、社会保険の未加入の問題といったようなこともございます。こういった環境を整えていく。

 また、各企業が雇用していく、そういった新たな投資をする上に当たっては、やはり仕事の将来の見通しを確保していくというようなことも必要でございます。そういった意味では、一定の事業量を確保していく、そんな総合的な取り組みをこれからもしっかりと続けていく。

 そういった、若者に入っていただけるような就労環境を整えていく取り組みを進めていきたいというふうに考えているところでございます。

塩川分科員 その点で、昨年六月に担い手三法が成立いたしまして、その後施行もされました。この中で、いわゆる品確法におきまして、担い手の中長期的な育成、確保のための適正な利潤が確保されるようにする、こういうことが明記をされたということは極めて重要だと思います。

 それを本当に現場で、つまり働く皆さんのしっかりとした賃金を前提にして、積み上げで必要な金額を確保していく、こういう対応こそ必要なわけで、そういう意味でも、実際に現場で働く皆さんが、賃上げが可能だ、あるいは社会保険料の改善を含めて福利厚生などにおいても安心して入ってくることができるという、改善策を図るという点での踏み込んだ対応というのはどうですか。

吉田(光)政府参考人 委員御指摘のとおり、昨年の通常国会におきまして、公共工事の品質確保とその担い手の中長期的な育成、確保を図ることを目的といたしまして、品確法、入契法、建設業法のいわゆる担い手三法の改正が行われたところでございます。

 この改正品確法におきまして、その基本理念において、下請契約を含む請負契約の適正化ですとか、また、賃金その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境が改善されるように配慮されなければならない、こういったことが規定されたわけでございます。このことは大変重要な意味があるというふうに受けとめておるところでございます。

 これを受けまして、先ほども申し上げましたけれども、まずは、発注者におきましてはダンピング受注を防止していただく、また、公共発注でしばしば見られます歩切りといったようなものを根絶していく、そしてまた、市場ですとか施工の実態を的確に反映した積算に基づきまして、適正な利潤が確保できるような予定価格を設定していただく、こういったことが求められると思っております。

 また、受注者の方におきましても、適正な額の請負代金での下請契約を締結していただいて、さらに、賃金その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境の改善に努めていただくといったようなことが求められると思っております。

 品確法の改正を受けまして、その運用の共通の指針となる運用指針を先般取りまとめたところでございます。こういった運用指針の徹底等を通じまして、建設業における担い手の確保、育成にしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

塩川分科員 ぜひ、しっかりとした対応を求めるものです。

 関連して、大臣にお尋ねします。

 特に、地方、過疎地などにおきましては、農林水産業と同時に建設産業が雇用、地域の経済を支える大きな力となっております。冒頭お話ししましたように、建設産業というのは、本来、その地域の木材、材木などを活用して、その地域に根差した建築、建設などを行っていく、そういうものであったわけであります。その意味でも、地域を担う上でも、また、そもそも地域に根差した産業である建設産業の振興をしっかりと図っていくということが地方の地域おこしにもつながっていく道だと思います。

 大手ゼネコンが外から仕事をとるような、そういうことではなくて、地場の建設業者の皆さんがしっかりと仕事を確保できるような、官公需の面でも地元優先の受注、中小企業への優遇策、こういった自治体の独自の取り組みというのをしっかりと支援することが重要だと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

高市国務大臣 私も、所信表明で、為替変動に強い地方の経済構造をつくっていきたいという旨を述べました。まさに地産地消というものがそのベースに来ると思います。地元の材料を使って、木材もそうです、それを使って家を建てていきましょう、そしてまた地元の食材を地元でしっかりと消費していきましょう、こういった足腰の強い経済構造をつくっていくということは、委員御指摘のとおり、とても大切なことだと思います。

塩川分科員 まさにその地域資源の活用という観点で、そこで働く皆さん、そして中小企業の力を引き出していく、こういう取り組みということが今大いに求められることだと思います。

 その点で、やはりTPPの問題というのが、大きく言ってもさまざま、農林水産業に対しての影響も重大ですし、政府調達の関係でも、今、地方の団体にしますと、国の政府調達協定に関する運用基準額が地方にも適用されるんじゃないのか、こういう心配の声というのがあるわけです。

 そういう点で、最後に大臣にお尋ねします。

 今、例えば北海道などは、政府調達の見直しにより、地元優先等の政策的優遇ができなくなるなど影響が生じた場合は、雇用面に影響を与えるおそれがある。つまり、政府調達協定で地方の運用基準額が国の基準に引き下げられてしまう、建設工事でいえば二十億円が六億円に引き下げられるんじゃないのか、こういう懸念があるわけですね。そうしますと、地方の中小企業を優遇する自治体の独自策がとれなくなるんじゃないのか、こういう心配の声があります。

 長野県も、WTO政府調達に比べて調達の範囲が拡大した場合に、地元中小企業に優先的に発注する政策、官公需とか障害者関連事業所などへの政策を維持することができないのではないのかという懸念を表明されておられます。

 そこで、大臣にお尋ねします。

 TPPの交渉によって、今言ったように、地方の基準額が引き下げられる、地元中小の優先策がとれなくなるのではないのか、自治体の地元中小優先の政策への障害となるのがTPPではないのか、この点についてぜひ伺いたいと思います。

高市国務大臣 TPPの交渉の具体的内容については、TPPの秘密保持契約がございますから、詳細についてここで述べるようなことはできません。

 しかし、私は、政府調達の分野というのは日本にとってかなり強みがある分野でもあると思っております。既にWTOの政府調達協定に加盟している国、TPP交渉参加国の十二カ国中四カ国でございますから、非常に新興国市場に向けて日本が攻め込んでいける、そういう分野でもあるかと思います。その場合、パッケージ型のインフラシステム輸出などを行っていけば、これは、地方の企業にも、また中小企業にもメリットがある可能性はあると思います。TPPの内容にかかわらず、日本にとって必ずしもデメリットばかりの分野ではない、むしろ攻めの分野ではあると思います。

 それから、内閣官房において、かなり、これまで地方六団体を含む関係団体に対しての説明会の開催もしていただき、また、意見提出の機会の提供も行ってきており、また、地方公共団体の議会から提出される意見書を通じて地方の意見を聞いてきておりますから、国益また国民益の最大化に向けて、地方の意見も踏まえながらの交渉が必ず行われることと私は確信いたしております。

塩川分科員 攻め込んでいくのは、大手の企業が地方の中小企業の仕事の分野へ攻め込んでいくんだ、こういうことが問題となると改めて指摘し、地方を壊すTPPはきっぱりとやめよということを申し上げて、質問を終わります。

土井主査 これにて塩川鉄也君の質疑は終了いたしました。

 次に、真山祐一君。

真山分科員 公明党の真山祐一と申します。

 昨年十二月の衆院選におきまして、比例東北ブロックで初当選をさせていただきました。本日は、質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、あす三月十一日は、東日本大震災から四年の節目を迎えます。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様に対しまして、心より哀悼の意を表したいと思います。また、被災された皆様に対し、心よりお見舞い申し上げる次第でございます。

 公明党は、三月七日、公明党東日本大震災復興加速化会議を被災地、仙台で開催しました。山口代表を初め、被災地担当国会議員、そして、被災三県のみならず東北六県の地方議員の代表が一堂に会しまして、今現在の復興の状況と、また、その課題について意見交換をした次第でございます。

 その復興加速化会議の中で、復興五年目を迎えるに当たり、公明党復興加速化決議として、被災者一人一人の声に耳を傾けること、最後の一人が立ち上がるその日まで寄り添うこと、このことを改めて誓い合った次第でございます。

 政府におかれましては、現在、集中復興期間について議論がなされております。被災地の復興はまだまだ道半ばでございまして、ぜひ今後とも国において支えていただきたい、また、支えるべきであると考えておりますけれども、集中復興期間以降の総務省としての考え方、また、取り組みについてどのようにお考えになられているか、総務大臣にお伺いいたします。

高市国務大臣 あすで本当に東日本大震災発生から四年を迎え、まだ約二十三万人の方々が避難生活を余儀なくされておられます。それからまた、御家族を亡くされた方の深い悲しみもなかなか癒えるものではないと承知しています。

 この間、自公連立政権で、力強く復興への歩みを進めてまいりました。とにかく、今の安倍内閣、全員が復興大臣だという覚悟のもとで取り組みを進めていこうと誓い合っております。

 総務省としてできることですけれども、とにかく被災自治体のマンパワーと財源の確保、これは復興を加速するためには非常に大事なことですので、地方公務員の派遣を全国の自治体に対して要請したりいたしまして、人的支援のより一層の充実を図ります。それから、復興復旧事業に係る財政負担を解消するために、地方交付税の別枠の措置として、震災復興特別交付税を確保してまいりました。

 今後、集中期間以降のということでございますけれども、復興庁を中心にしまして政府全体の中で、これまでの事業についてもしっかりと検証しながら、進捗の状況も見ながら、財源のあり方も含めて検討するんですけれども、総務省といたしましては、真に必要な事業がしっかりと進められるように対応してまいりたい、こう考えております。

真山分科員 ただいま人的支援の点に関してもお話がございました。被災自治体、通常業務に加えて復旧復興業務、さらには先般来議論がされております地方創生、こういったさまざまな課題の中で御奮闘なされている、これが実態でなかろうかというふうに思っております。そういった自治体を支える上でも、総務省におかれまして、さらなる被災自治体の支援、バックアップをお願いしたいというふうに思います。

 それでは、続きまして、地方創生に関しまして、特に若者の定住、地方における仕事の創出について質問をさせていただきます。

 地方創生が今現在議論されておりまして、特に総務省の取り組みといたしまして、経済成長の成果を全国津々浦々まで行き渡らせるために、総務大臣を本部長とする地域の元気創造本部を設置しまして、地域発の成長戦略である地域の元気創造プランを推進されております。

 地方創生を考える上で、私も三十三歳でございますけれども、若い世代がその地域で定住できる産業、なりわいの創出が欠かせないことは言うまでもないことだと思っておりますけれども、その意味で、地域の元気創造プランの推進に当たりましてはかなり大きな期待が寄せられるところではないかというふうに私は捉えております。

 さて、この地域の元気創造プランの中に、地域イノベーションサイクルという第一の柱があります。その中で、ローカル一万プロジェクトということで、産業競争力強化法に基づいて地域の新産業を育成していく、掘り起こしていく、こういったプロジェクトがございますけれども、これは、地方創生を進める、また仕事づくりという観点でも非常に重要な取り組みだというふうに思っております。

 新産業をどうやって育成していくか、発掘していくかということでございますけれども、このローカル一万プロジェクトは、単純に自治体数で割りますと、一自治体で五、六程度の新事業を生み出す計算になるわけでございます。そう単純にならないのは重々承知でございますけれども、そういった意味でも大いに期待されているというところでございます。

 また、もう一つの柱であります分散型エネルギーインフラプロジェクトは、電力の自由化も見据えまして、地場産業として育成していく、発展させていける、そういった可能性があり、これも、地元に地域雇用をつくる上で、多くの自治体、また多くの民間企業が先駆け的に取り組んでいるところでございます。

 地方に新産業を育成するこの取り組みの進捗状況及び具体的事例について、総務省にお伺いしたいと思います。

あかま大臣政務官 委員御指摘のとおり、地域での若者の定着は、まず地域での雇用、産業の創出が重要な点でございます。

 そのことを踏まえて、総務省とすれば、御案内のとおり、ローカル一万プロジェクトや分散型エネルギーインフラプロジェクト、これらを活用してまいりたいというふうに考えております。

 ローカル一万プロジェクトというものは、既に御案内だと思いますが、自治体が核となって、農産物や木材、さらには地場産品や景観等の地域資源と地域の金融機関の資金を結びつける地域経済循環創造事業や、電力システム改革を背景に、間伐材などを活用した地域のエネルギー関連企業を立ち上げていく、地産地消型の分散型エネルギーインフラプロジェクトなどを推進しておるところでございます。

 地域経済循環創造事業では、地元の原材料をどの程度使って、また地元に資金をどう循環させるのかの地元産業への直接効果、さらには地元人材をどの程度雇用するのか、こういった地元雇用創出効果などなどを支援事業の選択の重要な項目としておるところでございます。雇用にどれだけ波及をするのだということをしっかり見定めていかなきゃならないというふうに思っております。

 同様に、分散型エネルギーインフラプロジェクトも、現在、十四の自治体でマスタープラン、地域の特性を生かしたエネルギー事業導入計画を策定しておるところでございます。エネルギー源である木材等の収集、さらには、地域での熱や電力の供給事業等での相当程度の具体的な雇用の可能性を確認しておるところでございます。

 いずれにせよ、地域にある豊富な資源と地域金融機関の豊富な資金を結びつけて、いわゆる地域のイノベーションというんでしょうか、これを拡大するプロセスをできる限り働かせて雇用を生んでまいりたい、そう思っております。

 なお、今委員の方から具体的なという話もございましたので、自治体主導の分散型エネルギーインフラプロジェクトについて、具体的に期待できる雇用はどうなんだという話でございますけれども、手元の資料では、それぞれ、エネルギー事業のみならず、その他の関連事業、例えば森林資源管理であるとかチップ製造工場だとか、さらに言えば廃棄物の資源化施設等々、そうしたものを踏まえながらやれば、恐らく、ミニマムで五十人ぐらいは見込めるんだろうな。さらには、これらに関しての土木や設備設置などの初期投資、これは一日に二十人ぐらい見込めるんだろうというふうな見込みでおります。

 以上でございます。

真山分科員 今も御答弁いただきましたけれども、一つの事業で、プロジェクトで雇用の波及効果が見込まれるわけでございまして、ぜひとも力強い推進をお願いしたいところでありますし、また、期待したいところでございます。

 本事業は、二十四年度補正予算が第一回の交付ということでスタートしておりまして、約三年間の実施と考えれば、約二百件程度がその事例として生み出されているというふうに認識しております。しかし、単純にそうとは言えないと思いますけれども、例えばこの三年で二百件というふうに考えますと、一万プロジェクトにたどり着くまでに百五十年かかってしまう計算になっております。

 その上で、私としては期待しているわけでございまして、さらなる推進の加速をしていただきたいわけでございますけれども、この推進に当たってはやはり人材が求められておりまして、国の総合戦略でも、人的支援ということで、例えばシティーマネジャー制度または地方創生コンシェルジュ、こういったことが打ち出されているわけでございます。

 しかし、シティーマネジャーに関しましては、地元の自治体負担ということになっております。地方自治体の方からお聞きしましたところ、ぜひそういった人材を自治体にも呼び込みたい、しかし、やはりその財政負担を考えるとなかなか厳しいということがあります。

 このシティーマネジャーに期待されるところとして、まさに先ほどの地域の元気創造プランの推進、こういったところに自治体としてはまた期待を持つところではないかというふうに私は捉えておりますし、また、そこで得た経験が今後の国政の政策に生かされていくことを思えば、何かしらの財源措置を検討してもよいのではないかというふうに考えておりますけれども、これについては地方創生推進室にお聞きいたします。

末宗政府参考人 地方創生人材支援制度と呼んでおりますけれども、これは、地方創生に積極的に取り組む市町村に対しまして、意欲と能力のある国家公務員、大学研究者、民間人材を市町村長の補佐役として派遣し、地域に溶け込んでいただいて、地方版総合戦略の策定、あるいは今おっしゃったような各種のプロジェクトに取り組んでいただくという趣旨でございます。

 したがいまして、地域に溶け込んでいただくということでございますので、派遣される国家公務員等は、身分を地方公務員に切りかえまして、市町村の職員として採用されるものでございます。そのようなことから、ほかの一般の市町村職員と同様に、派遣者の給料、手当等は派遣市町村に負担していただくこととしてございます。

 派遣者本人にとりましても、みずからの給料がその市町村の税金で賄われているということを意識することが大事でありまして、市町村への帰属意識が高まり、ひいては地域への貢献意欲も高まるのではないかというふうに考えているところでございます。

 また、今回、応募に当たりましても、いろいろお話をお伺いしますと、既存の定数あるいは組織体制のスクラップ・アンド・ビルドとか、いろいろな工夫をしながら応募をしているというふうに理解をしているところでございます。

真山分科員 なかなか難しい御答弁だったかと思いますけれども、ぜひ今後の検討課題に挙げていただければというふうに思いまして、御指摘させていただきました。

 続きまして、地方における幼保施設の整備についてお伺いをさせていただきます。

 先ほど来お話ししておりますとおり、地方創生のために若者が定住できる地域社会づくりを考えておる中で、仕事の質問に続きまして、次はやはり子ども・子育て支援の観点でお聞きしたいと思います。

 新年度から子ども・子育て支援新制度がスタートいたします。新制度により、これまで設置できなかった十九人以下の保育施設も、小規模保育として新たな類型が設けられました。都市部では、ビル等のテナントを活用して小規模保育施設を整備することによって待機児童の解消を図ることが可能になり、また、中山間地域で子供が少なくなっているところでも、商店街の空き店舗等を活用してコンパクトな形で保育を実施することができる、このように制度がなるわけでございます。

 しかし、中山間地域、私は福島県に住んでおりますけれども、私が住む福島県にもたくさんこういう地域がございますが、こういった中山間地域ではなかなか民間事業者の参入が難しく、公立の施設が必要と考えている地方公共団体も多く、公立で幼保の受け皿をどう整備していくか、それが若者の定住を整備していく上で一つ大事な観点になっているところでございます。

 公立保育所の施設整備費は過去に一般財源化され、国庫補助がないという現状でございます。過疎自治体にあっては過疎債を活用するという手もあるわけでございますが、発行できない自治体についても、新制度の実施に当たり、公立の小規模保育事業の運営のための改修等に対する財政措置が必要と考えているわけでございますけれども、この点についてお聞きしたいと思います。

 重ねて、新たに設置する場合以外にも、幼稚園や保育所の耐震工事を行い長寿命化を図ることも考えられますが、こうした事業に対する地方財政措置が必要と考えておりますが、この点について総務省にお聞きいたします。

佐藤政府参考人 御指摘のとおり、本年四月から子ども・子育て支援新制度がスタートするということで、市町村が重要な役割を担うことになります。

 まず第一点目の小規模保育事業の運営のための改修ということでございますが、これは公立分も含めて、厚生労働省の補助事業の対象となると聞いております。その裏負担があるわけでございますけれども、これについては、地方財政計画に計上してマクロの財源確保をした上で、地方交付税の基準財政需要額の算定を通じて、個々の団体に財源を付与するといいますか、保障するということにしております。

 それから、第二点目の耐震化工事の件ですが、公立保育所の耐震化工事は既に一般財源化されておりまして、地方団体が行います場合には単独事業として行うことになります。この場合に、地域防災計画上、それが必要だとされた事業については、緊急防災・減災事業債という地方債を充てることにしています。この地方債は、充当率が一〇〇%で、後年度、その元利償還金の七〇%を交付税で見るという大変有利な起債になっております。

 それから幼稚園の方ですが、この耐震化工事に要する経費については、二十七年度から新しく、保育所と同様にしたい、つまり緊急防災・減災事業債の対象とするということにしたいと考えております。これによって必要な事業が進むものだと考えております。

真山分科員 ぜひとも、地方創生の観点からさらに支えていただきたい、そのように思います。

 あわせまして、地方創生として、地方の雇用創出を例えば事業誘致であるとかそういった形で進めていくわけでございますけれども、そうやって事業が誘致される、また新産業が起きる、その場合に、若者、特に子育て世代の就業環境整備が重要になるというふうに思っております。

 子育て世代が働き続けやすくするために、進出した企業が事業所内保育を行う場合の事業所内保育施設の整備を進めるべきと考えますし、また、そういった企業をサポートしていくことが一つこの地方創生の大きな弾みにもなる、そのように考えておりますけれども、この点に関しましては厚生労働省にお伺いいたします。

木下政府参考人 お答え申し上げます。

 地方に住みながら安心して就労ができるためには、仕事と家庭が両立できる職場環境づくりが重要と考えております。先生御指摘の事業所内保育施設もまさにその一つだろうと思っております。

 この支援のために、従前から、事業所内保育施設設置あるいは運営費等の支援助成金というものの支給を行っておりまして、また、本助成金につきましては、待機児童解消加速化プランに基づきまして、昨年の一月から、自社労働者の子が半数以上いることという支給要件を、自社労働者の子が一人以上いることと緩和をいたしまして、助成金を受給しやすくするなどの拡充を行ってきたところでございます。

 こうした中で、先ほど先生おっしゃいました、四月に施行される子ども・子育て支援新制度におきまして、一定の質を満たし、市町村の認可を受け、地域の子供を受け入れる事業所内保育施設につきまして、一般会計の財源を活用して、地域型保育給付による運営費の財政支援をすることとしております。

 今後とも、子ども・子育て新制度の着実な実施を図りながら、こうした事業所内保育施設の整備につきましても取り組んでまいりたいと考えております。

真山分科員 ぜひ、地方において若者の定住を進める上で、子供、子育て環境の整備、大変重要な観点であると思いますので、さらなる整備促進をお願いしたいところでございます。

 続きまして、地方団体の除排雪経費に対する財政措置についてお伺いいたします。

 今シーズンの冬は、十二月から一月にかけまして特に異常な降雪がございまして、地方自治体は多額の追加除排雪経費を余儀なくされております。

 私も訪問いたしましたが、例えば山形県尾花沢市におきましては、十二月、一月分の市道における除排雪経費は、既に前年度の一・五倍の三億五千万を超えております。また、平成二十五年、二十六年の公共工事設計労務単価等の引き上げに伴い、除排雪作業の委託単価も上昇しております。さらに、雪おろし事故、特に高齢者でございますけれども、そういった痛ましい事故もありまして、そういったことを防ぐ対策措置、こういったことも必要であると認識しております。

 地方公共団体の除排雪経費に対する財政措置はどのように現在検討されているのか、こちらは総務大臣にお伺いいたします。

高市国務大臣 地方団体の除排雪経費でございますけれども、普通交付税の標準財政需要額の算定におきまして標準的な所要額を措置するんですけれども、結局、所要見込み額が普通交付税の措置額を超える場合には、三月分の特別交付税によって措置をするということにしております。

 委員がおっしゃいましたとおり、ことしの冬はかなり雪が多くて、先月の二十五日には、平年を大きく上回る大雪に見舞われた団体で御希望があった百二十一市町村に対して、当面の資金繰りを円滑にするために、三月に交付すべき特別交付税の一部を繰り上げて交付いたしました。先ほど委員が訪問されたと言われる山形県にもそう対応しましたし、福島県内、今お住まいと伺いましたが、二十一市町村に繰り上げで交付をいたしました。

 あと、除排雪経費につきまして、できるだけ実態を反映した所要見込み額を把握して、余りにも除排雪経費が多額に上る地方団体の財政運営に支障が生じないように、三月分の特別交付税においてしっかりと対処をしてまいります。

 あと、高齢者の雪おろし中の痛ましい事故が大変ふえておりましたので、これに対応するために、今年度から新しく高齢者等の雪おろし支援という算定項目を創設しまして、支援を拡充することにしたところであります。

 以上でございます。

真山分科員 ありがとうございます。

 ぜひ前向きに、さらなる支援をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、最後の質問になります。これは消防団の詰所の整備に関する質問でございます。

 各地で消防団が組織されておりまして、多くの若者がその中で活動しております。

 その消防団の詰所についての質問でございますけれども、例えば、私が住む福島県のいわき市というところがございます。いわき市には、市内に三百四十八カ所ある詰所、この詰所が三十年、四十年たっておるわけでございまして、築二十五年以上を改修対象としているわけでございますけれども、多数が二十五年を超えて今も使用されているということがございます。しかし、詰所の改修に関しては、予算もそれほどあるわけではございませんで、年で一、二カ所程度の改築しかできていない、そういう実態でございまして、このペースでいきますと、一巡するのに七十年かかる計算になります。

 詰所の建築後、経年劣化、あとは東日本大震災の影響も実はございまして、地震の地形、そういった影響もあるんですが、人の移住、人の流れが変わったことによりまして、道路の交通量も非常にふえている路線もあります。そういった道路状況や、また交通状況の変化によって、車両の入出が大変危険になっているという地域もあるそうでございます。そういった観点も含めて、詰所を移築したいという要望も受けているところでございます。

 消防団の詰所の設備に対して何らかの財政支援を検討できないかというふうに考えておるところでございますけれども、消防庁の御見解をお伺いいたします。

高尾政府参考人 消防団の詰所でございますけれども、消防車両や資機材の収納場所であり、災害時は団員の参集場所や活動の拠点となり、また、平常時におきましても、教育訓練の場や各種会議の場所として活用されておりまして、消防団活動にとりまして大変重要な役割を果たしていると認識しております。

 消防庁では、各市町村がこのような拠点施設を整備するに当たりまして参考となりますように、必要な面積や標準的な設備等の考え方をお示ししております。

 あわせて、財源措置といたしまして、平成二十五年度から、先ほど財政局長からも答弁がありましたが、財政的に有利な地方債であります緊急防災・減災事業債の対象とすることといたしました。

 また、あわせて、平成二十六年度、今年度からでございますけれども、消防団の活動拠点としての機能を備えた備蓄倉庫の整備事業、備蓄倉庫を備えた形でありましたならば、新たに消防防災施設整備費補助金の対象とすることにいたしました。

 こういう形で順次財政措置の充実を図ってきておりますので、こういったことを地方団体にも周知し、詰所の整備や機能強化が進むように努力をしてまいりたいと思います。

真山分科員 ぜひとも、詰所の整備にさらなる支援をお願いしたいと思います。

 さまざま御質問させていただきましたけれども、やはり地方創生においてこれから若い世代をどう支えていくか、また、若者の定住をどう図っていくか、ここが一番の肝であると私も思っておりまして、その推進のために私も微力ながら力を注いでいくことをお誓い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

土井主査 これにて真山祐一君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木憲和君。

鈴木(憲)分科員 自由民主党、山形二区の鈴木憲和です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 また、高市大臣、そして長谷川政務官、役所の皆様におかれましては、朝の八時から今この時間までということで、大変お疲れだというふうに思いますので、てきぱきとやらせていただきたいというふうに思います。

 まず、ことしは安倍政権の地方創生の元年だというふうに思います。きょうは、地域が将来いかに持続可能であるか、そのために国として何ができるのかという観点から、幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、本年の大雪への対応であります。

 今、真山委員からもありましたが、まさに私の地元が、先ほどあった山形県の尾花沢市であります。ここは、雪の尾花沢というふうに言われるぐらい、毎年毎年かなりな量の積雪がある地域なんですが、ことしは、一月一日に、女性の方が雪かき中に自分の除雪機に巻き込まれて亡くなるという痛ましい事故も起きたところなんです。特に、ここ五年は、連続して降雪がすごい量になっているというのが常態化、当たり前のことになってきました。

 市道や公共施設を初め、市の除雪経費をもともと六億円、補正も含めて用意しているところなんですが、もう現時点で五億円以上使い切っていまして、これから例えば積み上がってしまった雪を排雪するための経費であったり、あとは、実は今週も雪がずっと続くという予報になっておりまして、そういった意味で、まだまだ除雪の経費、排雪の経費がかさむというふうに予想されております。

 さらに、今、高齢者の世帯がふえているので、単に道を掃けばいいんだということだけではなくて、道から家の入り口までの玄関も少しぐらい自治体の方で除雪の面倒を見るという、間口除雪というふうに言うんですけれども、それもやらないと、本当に大雪のときに高齢者の世帯は外に出られないという事態も生じているところで、これから県も市もそういったことも含めて除雪体制を整備していきたいというふうに考えているところです。

 やはり、雪国で暮らす者にとって、しっかりとした除雪がされるかどうかというのは、本当に地域で将来安心をして生きていけるかどうかということの一番の課題だというふうに思います。先ほどもありましたように、例年少ないところは、前倒しで既に対応していただいたというふうに思いますが、毎年毎年多いところは前倒しでの対応がされておりませんので、本当にしっかりと対応していただけるんだろうかという不安もあるところですので、ぜひ高市大臣の方から、自治体の方への強いメッセージも含めて、特別交付税でのしっかりとした対応をするという旨の御発言をいただければというふうに思います。

高市国務大臣 できる限り実態を反映した所要見込み額というのを把握しまして、除排雪経費が多額に上る地方団体の財政運営には支障が生じないように、三月分の特別交付税でしっかりと対処をしてまいります。

 それから、高齢者の雪おろし中の事故についても触れていただきました。やはり、これは総務省としても、新たに独立した枠を設けて措置をするというわけですから、まず、実態が地域によって違うんだろう、いろいろな事情があるんだろうということで、全ての市町村に対して調査をいたしました。

 確かに、民間事業者は結構高いですね。民間事業者に頼まれたおうちに対して補助をしているという市町村もあるんですけれども、六万円とか八万円とか取られるものを負担し続けるというのも、全ての御家庭に対しては無理ですし、そうすると、高齢者世帯といっても、非課税世帯であったり、所得制限の対象になる、でも、例えば六万円だったら、相当所得のあるおうちでも、これは考えますね。それだったら自分でやってしまおうということで、残念ながら事故に遭われたりする。

 それから、意外に思ったのは、啓発活動が余りなされていないということでした。だから、命綱をつける、ヘルメットをつける、二人一組でやるとか、それからママダンプの使い方、それが滑り出したら手を放すとか、そういったコツなども含めて、そういう啓発活動をしていただける経費。

 それから、民間事業者に委託するだけじゃなくて、自治会、地域での助け合い、ボランティアによる活動に対して、やはり実際にかかる経費を見ていく。

 こういうことから、新たな算定項目というものを創設して、高齢者等の雪おろし支援ということで応援できるようにいたしました。しっかりと各自治体で、この新しい制度も御活用いただきたいと思います。

鈴木(憲)分科員 どうもありがとうございました。ぜひしっかりとやっていただきたいというふうに思います。

 次に、消防団について伺います。

 私の地元の話で恐縮なんですが、山形県の南陽市というところですが、昨年とおととしと、二年連続で豪雨災害がありました。大変な思いを地元の皆さんはされて、今復旧を、皆さんのおかげで十分やれているところなんです。そのときに私も、自分の家も避難をさせられまして思ったのが、やはり最後は地域で安心して暮らせるかどうかという意味でいうと、本当に消防団の皆さんが、水防活動であったり、火災のときは当然、その周辺の対応をしてくださっているから、我々農村集落も安心してやっていけるという現実があることを身をもって実感させていただきました。

 ただ一方で、やはり人口が減少していますので、消防団のなり手がなかなかふえないという現実もあります。特に通勤形態が、昔は農家だったので、その場にいる皆さんだったのでよかったんですが、車で工業団地まで通うと、片道一時間ぐらいかかってしまうという方もふえていますし、また同時に、装備が十分でないという現場の声も相当あるところです。

 昨年は、消防団を支援するための議員立法を施行いたしましたが、これも踏まえて、ぜひ、平成二十七年度予算等で前向きに消防団の活動を支援していただきたいと思いますが、これについての総務省の取り組み、消防庁の取り組みを伺います。

高尾政府参考人 一昨年十二月、議員立法によりまして、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律を制定していただきました。

 法律を踏まえた消防庁の取り組みでございますが、まず、加入促進につきましては、本年二月に、高市総務大臣から全地方公共団体の首長宛てに書簡を発出していただきまして、女性や若者、また役場職員や県庁職員など地方公務員の加入、そしてまた、委員御指摘の、勤務形態が変わっておりますので、居住地だけではなく勤務先での入団、こういったことができるようにということなどを働きかけをしたところでございます。

 また、サラリーマン団員が増加しておりますことを踏まえて、事業所の理解を得ることが必要だということで、主要な経済団体に対しましても大臣から書簡を発出していただきまして、従業員の方々の入団促進を初め、消防団での活動がそれぞれの企業でプラスに評価される仕組み、あるいは職員を採用するときに評価をしていただけるような仕組みの導入、こういったことをお願いしております。

 加えまして、平成二十七年度の予算では、若者や女性を初めとした先進的な消防団加入促進の取り組みをモデル事業として実施いたしまして、こういった効果を全国に波及させたいというふうに思っております。

 また、装備についてでございますけれども、トランシーバーやライフジャケットなど安全装備品の充実を図るために、昨年二月に装備基準を改正いたしまして、あわせて地方交付税措置を大幅に引き上げさせていただきました。これを踏まえて、各市町村に対しまして集中的、計画的な整備をお願いしております。

 また、車両関係では、二十六年度の補正予算、それから二十七年度の予算案で、訓練のために、救助資機材を搭載した消防ポンプ自動車を消防団それから消防学校、こういったところに無償貸し付けをするという予算もお願いしているところでございます。

 今後とも、消防団員の確保を初め、消防団の充実強化に全力で取り組んでまいります。

鈴木(憲)分科員 どうもありがとうございました。

 私の事務所の秘書も消防団の活動をすごく一生懸命やっておりますので、ぜひ、政治家の皆さんの地元の秘書の方、あと東京の秘書の方も、東京でも消防団はありますので、みんなで一生懸命盛り上げていければなというふうに思っております。

 次に、地域おこし協力隊についてお伺いをいたします。

 安倍政権の地方創生の中で、二〇二〇年までに東京圏への一極集中を、今は年間十万人が流入をしているわけですが、これを是正していくということが総合戦略で位置づけられております。当然、若い世代、特に子育て世代が地方に移住をしてもらうというのは大変大切な要素であると思いますが、そのときに、今ある地域おこし協力隊は、地元でもすごく評価の高い、期待を寄せるところが多いものになっています。

 まずお伺いをしたいのは、今まで何人の方が地域おこし協力隊として派遣をされていて、そのうち、任期終了後にどのぐらいの程度の方が定着をしてその地域に引き続きいるのかということについて、お伺いいたします。

原田政府参考人 お答えいたします。

 地域おこし協力隊の人数でございますけれども、設立当初、平成二十一年は八十九名でございましたが、平成二十五年度は九百七十八名ということになっております。調査を行いましたところ、二十五年度の調査におきましては、そのうち、隊員の約八割は二十歳代から三十歳代、また隊員の約四割は女性ということでございまして、女性の活躍も非常に目覚ましいところでございます。

 任期は一応、一年から三年という中での任期になりますけれども、任期の終了した隊員の約六割は、起業、就業、就農するなどしまして引き続き同じ地域に定住、またはさまざまな活動を継続しておられると聞いております。

 このように、地域の定住、定着にも寄与をして着実に成果を上げているものと考えております。

鈴木(憲)分科員 ありがとうございました。今、かなりの率の、思ったよりも多い方が定住をしていただいているということですが、まだまだ残されている方がたくさんいるというふうに思います。

 私も、地域おこし協力隊の方、何人も地元でお話をしたことがありますが、やはり中には、雪国に一、二年いると、雪は大体飽きたから今度は暖かいところに行きたいとかと言っている方がいたり、いろいろな方がいるんだなということはよくわかっておるのですが、地元としては、やはり一、二年集落に根づいて頑張っていただいた方は、できれば引き続きいていただきたい、公費の補助がなくても自分で生計が立てていけるようにということが大変な要望としてありますので、これについて、よりさらに定着率が上がるように、そして、もっと言うと、隊員の数自体ももっとふやしていただけるように、これからの取り組みについて、ぜひ前向きにお願いいたします。

原田政府参考人 お答えいたします。

 地域おこし協力隊の拡充というものについて、我々も積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

 その一つとしまして、三月八日、先日の日曜日には全国サミットを都内で開催しまして、地域おこし協力隊について情報発信を強力に行ったところでございます。首都圏の住民の方や自治体の関係者にも、制度のPRを広くしたところでございます。

 また、サミットの開催に合わせまして、この制度について、若者に対して効果的なウエブメディア、それと交通広告、雑誌広告なども活用しまして、一斉に強力な広報を行ったところでございます。そういうことで、隊員となり得る人材の掘り起こしを行うための広報もやっているところでございます。

 平成二十七年度予算案におきましても、制度説明会を開催し広く制度を周知するとともに、このようなサミットも引き続き開催したいと思っております。

 加えまして、地域への定住、定着を促進するために、やはり起業をするためにさまざまな経費もかかりますので、そのようなものに対しまして新たに地方財政措置を講ずることとしたところでございます。

 また、二十七年度予算案におきましても、任期終了後に地域に定住し、起業を目指す隊員を対象としました起業、事業化研修など隊員への研修を充実させるほか、地域との連携による活動内容の充実、それと隊員の起業支援を行う自治体を支援するモデル事業を実施しまして、また、そのような成果を広く広報することによりまして、全国的な取り組みにつなげていきたいと思っております。

鈴木(憲)分科員 どうもありがとうございました。

 全国サミット、報道にも大変出ておりましたので、大臣も御出席だったと思いますが、本当にいいことだと思いますので、どんどんPRをお願いいたしたいと思います。

 また、先ほどの地域おこし協力隊とちょっと似ている制度として、実は集落支援員という制度があります。

 これは、私、先月、熊本県の、具体的に言うと、球磨という地域がありまして、その多良木町というところの槻木地区という、これは、町中から大体車で一時間ぐらいかかるような、本当に山の中にある集落に伺ってきました。

 実は、この集落支援員の制度を利用して、これはたまたま福岡からだったというふうに思いますが、世帯ごとその地域に移住をされて、子供も一緒に移住をしてきたものですから、今まで小学校は、子供がその地区はもういなくて閉校になっていたところが再開をされて、それで、その方の第二子もまたその小学校にということで、さらにすばらしいなと思ったのは、おかげさまで小学校が再開をされたので、そこが地域の高齢者の皆さんの集まる場になっていて、私も伺ったときに、皆さんでグラウンドゴルフを例えば体育館でしていて、教室では子供が勉強している、高齢者の方と地域の方とお子さんがそこでもいろいろ、社会勉強も含めてできているということで、すごく前向きな動きが見られたところです。

 この制度を利用して、Uターンの方がかなり利用されているということも伺っています。

 一方で、これは、いろいろなところでこの話を自治体の方としますと、知らない。せっかくいい制度なのに、地域おこし協力隊はもうこのぐらい報道されていますから大変有名なんですけれども、集落支援員の制度はちょっと知らなかったというリアクションが結構見られまして、せっかくこれはいい制度ですので、特に山間部を抱えているような、高齢者が多い世帯を抱えている集落を抱える自治体に対しては、ぜひ総務省の方から周知徹底をしていただきたいというふうに思いますが、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。

原田政府参考人 お答えいたします。

 集落支援員は、実は地域おこし協力隊よりも一年前に制度化されたものでございます。

 集落支援員は、集落の実情に詳しく、集落対策の推進に関しましてノウハウとか知見を有した人材が、自治体からの委嘱を受けて、市町村の職員と連携をして、集落への目配りとして集落の巡回、状況把握等に従事するものでございます。具体的には、集落を点検することによってどこにどんな問題があってどう直すのかというカルテを作成したり、広報誌等の作成を通じたコミュニティー支援等を行うことによりまして、集落の生活基盤の維持や活性化に大きな役割を果たしているところでございます。

 平成二十五年度には、集落支援員は、全国で百九十六団体において設置されておりまして、そのうち専任の方が七百四十一名、それと、自治会長などが兼務する集落支援員もいらっしゃいますので、その方が三千七百六十四名いらっしゃいます。その数は順次増加しているところでございます。

 総務省は、集落支援員を設置する自治体に対しまして、専任の支援員の場合には一人当たり三百五十万円、兼任の場合には四十万円を上限に、その設置に要する費用等々に関しまして、特別交付税措置を講ずることにより支援をしているところでございます。

 先生御指摘のように、まだまだ周知が足りないというようなことでございますので、総務省としても、地方自治体に対しまして、活動事例の情報提供などを通じまして、この制度の周知徹底を一層図ってまいりたいと考えております。

鈴木(憲)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 長谷川政務官、お待たせをいたして、済みません。最後の質問になります。

 今までの話は、今ある地域をいかに支えていくかというお話を質問させていただいたんですが、これから前に向けて、将来、この地域が持続可能であるかどうかという観点で、やはり新しい技術を、人口が減る中でも、地域が生きていけるかどうかという点で、ICTをしっかりと活用していくべきだというふうに私は思っております。

 ことしは、例えば国勢調査にスマートフォンなんかを使っていただけるという大臣の所信表明もありましたが、将来は、農業の分野で、例えばGPSを使ってトラクターもしくはコンバインを動かすことによって、今までよりも大きい面積を一人の方がやれることが可能になるとか、また、圃場の管理をICTを使ってしっかりとやることで、付加価値が農業全体で高まってコストも削減になるとか、いい取り組みが必ずできるというふうに思います。ぜひ、地域の人口が減る中で、広い地域、特に農村部は広い面積の農地がありますので、将来いかにこれを維持していくかという観点でも大変大切なことだというふうに思いますので、農林水産省と連携をして総務省としても前向きな取り組みを、これは、農業県というか北海道の長谷川政務官に強い決意を伺いまして、私からの最後の質問にさせていただきます。

長谷川大臣政務官 党の農林部会で一緒に勉強させていただきました鈴木憲和先生の方から御指名をいただきまして、ありがとうございます。

 情報通信技術を活用したスマート農業というのは、特に労働負担の軽減あるいは生産コストを下げるとか、効率化、高付加価値化など、農業分野における新たなイノベーションを生み出すものとして、大きな期待を集めているということで認識をしています。

 特に、総務省においても、今オーストラリアで実証実験をしているんですが、準天頂衛星を活用したトラクターの、これは誤差五センチ以内になっておりますが、自動運転システムの実証。あるいは家電の物づくり技術を活用した低廉な植物工場モデルの構築、これは新潟でトライをしております。あるいは、たくみのわざとも言える熟練農家の栽培技術をクラウド活用によって継承していく。あるいは、生産者から消費者までの食の安全、安心をつなぐ生産・流通情報の追跡、いわゆるトレーサビリティーシステムの構築などのプロジェクトを推進してまいりました。

 今後は、こうした先進的な取り組みに加えて、より簡易な、中山間地版スマート農業といった、地域の実情に合わせた取り組みを進めていきたいというふうに考えております。

 また、この取り組みを進める上で、やはり現場の声を聞くことが一番重要だというふうに思っておりまして、昨年の十一月に、農水省と連携をして、JAの青年部、全青協の皆さんに御協力いただきまして、若手農業者を対象としたスマート農業に関するシンポジウムを開催いたしました。

 また、私自身、福島県あるいは北海道を視察しておりまして、地域住民と意見交換を行う中で、農業と地域の観光とか、そのマッチング、あるいはICTと酪農といった新しい可能性を見出していきたいというふうに思います。

 今後とも、関係府庁と連携しながらプロジェクトを推進することで、成長戦略に掲げられている、二〇二〇年に日本の農林水産物、食品の輸出額一兆円を達成するという目標と同時に、我々と同世代のモチベーションが上がって、やはり農業を続けたいなと思うような環境づくりをしていきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

鈴木(憲)分科員 ありがとうございました。

 ぜひ、将来は、多様な農業と、そして若い方も、これは若くなくても、わくわくできるような、いろいろな環境整備を国の方でもしっかりとやるということをお願いいたしたいと思います。

 少し早いですが、これで終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

土井主査 これにて鈴木憲和君の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後六時五十五分散会


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