衆議院

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第1号 平成25年4月12日(金曜日)

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本分科会は平成二十五年四月九日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

四月十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      伊藤信太郎君    伊藤 達也君

      中山 泰秀君    保岡 興治君

      前原 誠司君    山田  宏君

四月十一日

 伊藤達也君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十五年四月十二日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席分科員

   主査 伊藤 達也君

      安藤  裕君    中山 泰秀君

      村井 英樹君    保岡 興治君

      後藤  斎君    中根 康浩君

      山田  宏君

   兼務 林  宙紀君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   財務副大臣        山口 俊一君

   財務大臣政務官      竹内  譲君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   衆議院事務次長      向大野新治君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            小野  尚君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   西田 安範君

   政府参考人

   (国税庁次長)      西村 善嗣君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 刀祢 俊哉君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  香川 謙二君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       山崎 篤男君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     村井 英樹君

  保岡 興治君     瀬戸 隆一君

  前原 誠司君     中根 康浩君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     保岡 興治君

  村井 英樹君     安藤  裕君

  中根 康浩君     後藤  斎君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     伊藤信太郎君

  後藤  斎君     前原 誠司君

同日

 第二分科員林宙紀君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十五年度一般会計予算

 平成二十五年度特別会計予算

 平成二十五年度政府関係機関予算

 (財務省所管)


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     ――――◇―――――

伊藤主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、何とぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 平成二十五年度一般会計予算、平成二十五年度特別会計予算及び平成二十五年度政府関係機関予算中財務省所管について、政府から説明を聴取いたします。麻生財務大臣。

麻生国務大臣 平成二十五年度一般会計歳入予算並びに財務省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明をさせていただきます。

 まず、一般会計歳入予算額は、九十二兆六千百十五億円余となっております。

 この内訳について申し上げますと、租税及び印紙収入は四十三兆九百六十億円、その他収入は四兆五百三十四億円余、公債金は四十二兆八千五百十億円、年金特例公債金は二兆六千百十億円余となっております。

 次に、当省所管一般会計歳出予算額は、二十四兆八千四十三億円余となっております。

 このうち主な事項について申し上げますと、国債費は二十二兆二千四百十四億円余、復興事業費等東日本大震災復興特別会計へ繰り入れは一兆三百八十四億円余、予備費は三千五百億円となっております。

 次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算について申し上げさせていただきます。

 国債整理基金特別会計におきましては、歳入二百十六兆四千四百十三億円余、歳出百九十六兆四千四百十三億円余となっております。

 このほか、地震再保険等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。

 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算について申し上げさせていただきます。

 株式会社日本政策金融公庫国民一般向け業務におきましては、収入一千八百七十億円余、支出一千百十二億円余となっております。

 このほか、同公庫の農林水産業者向け業務等の各業務及び沖縄振興開発金融公庫等の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。

 以上、財務省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。

 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付をいたしております印刷物をもちまして詳細な御説明にかえさせていただきますので、記録にとどめてくださいますようよろしくお願いを申し上げます。

 以上であります。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

伊藤主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま麻生財務大臣から申し出がありましたとおり、財務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 以上をもちまして財務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村井英樹君。

村井分科員 自由民主党の村井英樹です。

 麻生大臣、山口副大臣、そして財務省の事務方の皆さん、連日の国会審議への対応、お疲れさまでございます。

 私にとりましては、きょうが初めての国会質問ということでありまして、若輩者でございますし、また大変緊張しているわけでありますけれども、諸先輩方の胸をかりるつもりで、全力投球、直球勝負で率直に質問させていただきたいと思っております。

 私が地元を回っておりますと、最近よく話題になるのが、消費税の引き上げに伴う軽減税率の話でございます。

 私が申すまでもなく、消費税の引き上げに伴って低所得者の負担が増大をする、また、その緩和策として軽減税率がこれまで議論されてまいりました。そしてまた、平成二十五年度の与党の税制改正大綱におきましては、消費税を一〇%に引き上げるときに軽減税率制度の導入を目指すとされているところでありまして、また現在、与党に調査会を設けて議論が行われております。

 この軽減税率なんですけれども、私、これは、政治家にとっては極めて都合がいい、使い勝手がいい仕組みだと思っているんです。

 例えば、消費税の引き上げの話を一般有権者、主婦の方に説明しなければならない、そのときにどういうふうに説明をするのか。

 例えば、持続可能な社会保障制度のためには消費税の引き上げはやむを得ないんです、しかしながら、皆様方がふだん購入をされているような生活必需品については、軽減税率を導入して、しっかりと皆様方の暮らしを守ってまいりますといったようなことですとか、あとは、特定の業界の会合に呼ばれた際に、消費税の引き上げはやむを得ないものですけれども、皆様方の業界の社会における公益性に鑑み、皆様方の負担が過重なものとならないように、しっかりと軽減税率を導入してまいりますといったようなことを言うと、大変地元では受けがよくて、そしてまた、いわば妥当なことを言っているようで、目の前の方には負担を求めていないわけでありますから当然なんですけれども、政治家にとっては、ある種、極めて使い勝手がいい制度なんだろうと思っているわけであります。

 しかし、さはさりながら、そうでありますけれども、私は、あえてこれから軽減税率が持つ問題点を指摘させていただいて、そして、一たび導入をしてしまうと、この特例部分、特例として認めた軽減税率の部分がどんどん際限なく拡大をしてしまうといったような点を指摘させていただいて、軽減税率の導入に対しては否定的な立場から質問させていただこうと思っているわけであります。

 本題に入る前に、まず、なぜ、今般の税と社会保障の一体改革に当たって、その財源の多くを消費税の引き上げに求めることとしたのか、なぜ、ほかの税目ではなくて消費税であったのかというそもそも論について、御見解を伺いたいと思います。

山口副大臣 村井先生の御質問にお答えをさせていただきます。

 もう先生おわかりの上で御質問をなさっておられると思いますが、今もお話がございましたように、今回の社会保障と税の一体改革、これは、少子高齢化が急激に進展をしていく中で、消費税によって幅広く国民各層に社会保障財源確保のための負担を求めるということによって、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指す、持続的な社会保障制度の確立云々というふうなことでございます。

 この財源となる税収につきましては、高い財源調達力を有し、同時に、経済の動向とか人口構成の変化に左右されにくく安定をしておるというふうなことが求められると思います。また、高齢化が進む中で、勤労世代など特定の者への負担が集中をしないというふうなことも必要であろうか。

 そういった中で、消費税はこれらの特徴を有しておるというふうなことで、高齢化社会における社会保障の安定財源として適切であろうというふうなことでございます。

村井分科員 まさに、山口副大臣がおっしゃったとおり、これから急速に少子高齢化が進んでいく中で、現役世代の数は急速に減っていくわけです。そうした現役世代など特定の者に負担が集中することがないように、若者から高齢者に至るまで、広く薄く公平に負担を求めることができる消費税というものが、少子高齢化社会における社会保障の財源として適切である、こういったようなことだろうと思います。

 私、広く薄く公平に負担を求めることができる、この点が極めて重要だと思うんですけれども、この点をしっかりと踏まえた上で、幾つか軽減税率の導入の問題点について触れさせていただきたいと思います。

 まず、何より私が申し上げたいことは、軽減税率を導入した際に、何が軽減税率なのかという線引きの難しさについてであります。

 軽減税率の代表例として挙げられるのは生活必需品であろうかと思いますけれども、何が生活必需品で、何が生活必需品でないのか、我々は本当に合理的な基準で区分をすることができるんでしょうか。

 例えば、生活必需品の代表例は恐らく米なんだろうと思いますけれども、米が軽減税率であるならば、同様に、主食と言っていいであろうパン、食パンなどは恐らく軽減税率になるんでしょう。食パンがそうだとすると、恐らく菓子パンもそうなんでしょう。菓子パンがそうだとすると、恐らくハンバーガーもそうなんだろうし、そうすると、牛丼もそうだろうし、では、高級な肉を使った牛丼もそうなんだろうし、すしもそうなんだろうといったような形で、どこの部分で合理的な基準で生活必需品は何かといったような線引きをするのかというのは、現実問題としてはかなり困難なんだろうと私は思っているわけであります。

 それでも、あえてなお、えいやといったような形で線引きをした場合、その線引きの基準というのは、恐らく、決して合理的なものとは言えないはずでしょうから、それは政治的な判断として決めるという形になって、つまり、線引きを行うということ自体が新たな利益誘導の温床となってしまうのではないか、こういったような危機感を私は感じるわけであります。

 米、しょうゆ、みそ、新聞などを軽減税率とすべきだとよく主張されている一部新聞業界の方をやゆするつもりもないんですけれども、誰しも、みずからが関連をしている商品、サービスを安く提供したいというのは当たり前でありますから、もしも軽減税率が導入されるということになれば、各業界が、業界の数だけ、うちのこの商品、サービスは生活必需品です、あるいは、極めて社会において公益性が高いんですといったようなロジックで要望、要求をしてくるというのは、火を見るよりも明らかなんだろうと思います。

 特に、我が国においては、毎年、税制改正要望に基づく税制改正プロセスというのがございます。もし、ある年にある業界の要望を受け入れて軽減税率を導入するということになれば、必ず、次の年はそのお隣の業界から、今度はうちのこの品目を軽減税率にしてくださいと要望が出て、認めざるを得なくなる。そういうような形で、最初は小さかった、特例として認めた軽減税率が、毎年毎年際限なく広がっていってしまう、これが大きな問題なんだろうと思います。

 まさに、ダムが小さな穴から決壊をするように、一たび特例を認めてしまうと大きな問題となる。事実、英国においては、既に課税ベースの四〇%が軽減税率等によって削られてしまっているというような問題がございます。

 私自身、こういったような、一たび認めてしまうと特例範囲が際限なく広がる軽減税率について、かなり問題であると思っておりますが、この点について山口副大臣の御見解を伺いたいと思います。

山口副大臣 村井先生、とりわけヨーロッパ等の付加価値税にお詳しいというふうなお話も聞いております。

 これもちょっと触れておられましたが、消費税の複数税率、これは、先般の三党合意を踏まえた税制抜本改革法におきまして、給付つき税額控除とか簡素な給付措置と並んで、低所得者に配慮する観点からの検討課題というふうにされておりまして、財源の問題とか対象範囲の限定、あるいは中小事業者の事務負担など、さまざまな角度から総合的に検討するというふうになっておるのはもう先生御案内のとおりであります。

 また、御指摘の複数税率、確かに対象品目につきまして非常に難しい問題があろうかと思います。私も、かつて、一期生、二期生のころ、自民党の税制調査会、各団体が玄関から何から押しかけてきて、とりわけ租特の議論はもう大変な騒ぎであったわけで、先生のお話のとおりだろうな、こう思うわけであります。

 しかし、いずれにしても、対象品目につきましては、国民の皆様方の御理解が得られる合理的な線引きが可能かどうかといった点も含めながら、与党税制改正大綱とか与党における御議論を踏まえながら検討を行っていくというふうなことになろうかと思います。

村井分科員 ありがとうございます。

 次に、軽減税率が低所得者の負担を緩和する逆進性対策として本当に有効なのかといったような観点から質問をさせていただきたいと思います。

 例えば、仮に、今、我が国の消費税は五%ですけれども、食品についてはこれをゼロ%にしますといった場合に何が起きるかということなんです。

 例えば、高所得者の方が牛肉を買いに行きます。高所得者の方が買うのは、恐らく松阪牛なんでしょう。一万円の松阪牛を買った際に、消費税は本来五百円払わなきゃいけなかったわけですけれども、それは払わなくていい。つまり、五百円分得をするといったような形になる。他方で、低所得者の方はオージービーフを買わざるを得ない。オージービーフ、千円でした。ここで得をするのは、千円掛ける五%の五十円です。そういうふうに考えると、直観的には高所得者の方の方がこの軽減税率によって優遇されてしまうのではないかといったような気がするわけでございます。

 実は、今お手元に資料を配付しておりますけれども、これが今直観的に申し上げたことを少しデータ化したといったようなものなんでございますけれども、これは、英国の付加価値税の制度を我が国に導入した場合、どの所得の方がどれだけ得をするのかといったような資料になってございます。

 これを見ていただくとわかるとおり、ある意味で、一番所得が低い第一分位の方につきましては、一月当たり五千九百七十六円、この軽減税率によって得をする。その一方で、一番最高所得、一千万円以上の方については、一月当たり一万七千六百九十八円の得をするといったような形となるわけでございます。

 これは、税制で考えると、何となくそういうことでもいいのかなという気もするんですけれども、これを給付措置として考えると大変なことだと私は思うんですね。低所得者対策ですといって低所得者に六千円配って、その一方で、一千万円以上の所得がある方に一万七千六百円配る、こんなことをやっていては、これこそまさに最大のばらまき政策だと私は思うんですね。

 そういう意味で、この軽減税率というのは、本当に低所得者対策また逆進性対策という意味で有効性があるのかどうか疑問があると私は思うのでございますけれども、副大臣の見解を伺いたいと思います。

山口副大臣 お話しのように、軽減税率の適用というのは、絶対額に関しては確かに高所得者の方の方が有利になるというふうな考え方は当然ございます。ですから、御指摘のように、高所得者ほど負担軽減額が大きくなる点についてどう考えるか、あるいはさらに、導入に伴って生ずる減収分ですね、下げますから、それを賄う代替財源の確保、これをどう考えるかというふうなこと等、いろいろな問題点があろうかと思います。

 いずれにしても、複数税率を含む低所得者対策につきましては、これは、与党税制改正大綱とか与党における御議論を踏まえながら、国民の皆様方の御理解が得られるようなものになるように検討を重ねていくということであろうかと思っております。

村井分科員 ありがとうございます。

 山口副大臣がまさにおっしゃったとおりでございますけれども、仮にそれでも軽減税率を導入するというふうになった場合、世の中にありとあらゆる商品、サービスがあるわけでありますけれども、これについて全て、何%の税率が適用されるのかということを確認せざるを得ない、まさに執行の問題が生じるわけであります。課税当局はもちろんですけれども、事業者にとってはかなりの負担になるのではないかと危惧をするわけでありまして、その観点から一つ事例を御紹介したいと思います。

 今お手元に、こういったような形で、「イギリスで販売されているジャファケーキ」という、よくわからないお菓子の写真が配付されているかと思いますが、これはイギリスではなかなか人気のあるお菓子だそうなんですけれども、何に見えますでしょうか。これがケーキと見えるか、もしくはチョコでコーティングされたビスケットと見えるか、これが極めて大問題なんですね。まあ、おいしければどちらでもいいじゃないかと私は思うわけでありますけれども。

 実は、英国においては、ケーキは軽減税率、チョコでコーティングされたビスケットは標準税率が適用されるということになっておりまして、それがどちらなのかということをめぐって課税当局と事業者の間で長年にわたって裁判が起きたといったような、笑い話のような話なんですけれども、現実問題としてこういう話が起きているわけであります。

 その結果、英国においては、実は、大企業はかなりの数の付加価値税のコンプライアンス担当の職員を置くといったような状態が起きていたり、また、そういったような者を置けない中小企業者はかなりの事務負担を強いられているといったような現状があるわけでございます。

 こういったようなことを踏まえて、実際に軽減税率を導入することになった場合、課税当局はもちろん、事業者、特に中小事業者にかなりの負担を強いることになると私は思いますけれども、その点について副大臣の御見解を伺いたいと思います。

山口副大臣 これは結局、ケーキなんですかね。(村井分科員「はい、一応」と呼ぶ)

 確かに御指摘のような点があろうかと思いますし、同時に、さまざまな声が私どもの方にも聞こえてきております。

 複数税率のもとでの事業者の事務負担については、軽減税率が適用される商品を販売する事業者につきましては、適用税率ごとに商品を抽出、分類する手間。あるいは、複数税率に対応したレジとか経理システムへの変更ということが必要になる。さらには、その商品を仕入れる事業者、仕入れる方にしても、商品ごとに適用税率の確認、判断を行って、適用税率ごとに仕入れ税額の積み上げの計算というのが必要になってまいります。等々のお声をいただいておるわけでございます。

 複数税率の検討に当たりましては、関係者の理解を得ていくというふうなことが何よりも必要でありますので、こういった声にもしっかりと耳を傾けながら、重ねて申し上げますが、与党税制改正大綱とか与党における御議論を踏まえながら検討するということになろうかと思います。

村井分科員 ありがとうございます。

 さて、これまで軽減税率を導入することの問題点について幾つか指摘をさせていただきましたけれども、ここで、最初に確認をした、広く薄く公平に負担をしていただけるという消費税の原点にもう一度立ち返る必要が私はあるんだろうと思います。

 世間ではお題目のように逆進性対策としての軽減税率といったようなことが述べられているわけでありますけれども、なぜ消費税という政策手段の中だけでそういった問題に対処しなければならないのでしょうか。まさにタックスミックスという言葉がございますけれども、我々は、税制全体の中で最適なシステムをつくることを追求するべきであって、本当に逆進性対策が必要であるということであれば所得税も含めて考える、そういったようなことが必要になるんだろうと思います。

 まさに、子供からお年寄りまで、広く薄く公平に負担をしていただける消費税を選んだという原点をしっかりと踏まえながら、そしてまた、軽減税率という、効果も不明確で、実際導入するとなるとその執行コストが大きくなるといったようなものについては、極めて慎重に考えていく必要がある。また、一度導入してしまうと、私のような若者世代からすると、本当に大きな負担になってしまうのではないかといったようなことを申し上げたいと思います。

 時間もそろそろでございますので、最後に一言申し上げて、そしてまた、通告していませんけれども、麻生大臣に御感想を伺って、終わりたいと思います。

 私がなぜこの軽減税率の問題にこだわるのかというと、この論点が我が国の政治が乗り越えなければならない問題点の象徴であると思うからであります。

 高度経済成長が終わって、果実の分配の時代から負担の分配の時代に入ったわけであります。政治家は、不都合な真実であっても有権者の前で語る勇気が求められる。しかしながら、今の選挙制度のもとではいつ落ちるかもわからないわけでありますから、どうしてもそこから逃げたくなる。しかしながら、我々政治家に今求められていることは、たとえ痛みを伴う政策であっても有権者の前で正々堂々と語って、そして納得を得るといったような民主主義の原点に立ち返るということなんだろうと思います。

 私のような新人議員で、そしてまた選挙地盤も脆弱な者は、一たび風が吹くと吹き飛ばされてしまうわけであります。毎朝駅前に立って、そしてまた新年会に二百件以上出て、地元活動も全力で取り組んでいるわけでありますけれども、率直に言って、逆風が吹けば生き残るのはなかなか難しいんだろうと思います。しかしながら、本当に必要な政策が実行に移される、そのために私自身が討ち死にをするということであれば、これは全く不幸なことだとは思いません。そしてまた、その場合は、私自身が本当に必要な政策を説明する能力が足りなかったんだろうと納得することもできるわけであります。

 大臣、副大臣、そして財務省の皆さん、まさに今、不都合な真実であっても全てを有権者、国民の前にさらして必要な政策を前に推し進めていく、そういうようなときなんだろうと思います。そしてまた、歴史に対して責任をとる政治、行政を実現する、これが今必要なことだと思います。

 私自身、微力ではありますけれども、そうした戦いの最前線に立って、三十年、四十年、これから頑張っていくという決意表明をさせていただきまして、私からの初めての国会質問にさせていただきます。

 大臣、最後にお願いします。

    〔主査退席、中山(泰)主査代理着席〕

麻生国務大臣 私は当選したとき三十八だったんだけれども、似たような年齢なんだと思いますが、今と全然時代が違うときに当選をしました。

 当時大蔵委員会というのがありまして、私はその大蔵委員会に配属になって、平沼先生等々と一緒だった記憶があるんですけれども、そのときに、今のあなたのような話で、当時は一般消費税という名前でしたか、そういう名前でいろいろ税制の話が、初めてこういった消費税が入るというときに大いにいろいろ偉い方が議論されていたのを私は記憶にあるんですけれども、そのときにはもちろんこういった低所得者別にするとかいうようなレベルの話じゃない、当時は三%だったせいもあるんですが。

 私は、イギリスやらアメリカに長くいたものですから、何となく、消費税とか、払ったお金のほかに何%というのは州によって違うとかいうのに結構なれていたものですから、余りそれに抵抗がなかったんですけれども、まあ、すごくて、初めて出た選挙は大平先生の選挙だったんですが、私は通りましたけれども、かなりの方が賛成したためにその選挙に落選という事態が起きたんです。ただ、その当時は、必ずこれはいい税金ですからと言ったんだけれども、受けませんでしたね。全く受けなかった記憶が僕にはあるんです。

 基本的には、消費税というのは広く薄くというのを負担していくことにならないと、高齢化していく時代、高齢化の比率が高くなってきますと、これはどうしてもこういった税金形態にしないと、税体系が、少なくとも一部の高所得者とか勤労所得者に税が偏るという形は国の体系としてはもたないと思っていますから、こういった形をやるのは私は全然間違っていないと思っています。

 ただ、今言われたように、これはいろいろ品目によって分けるというのでジャファケーキが例に出ましたけれども、私もちょうどいるときにこの種の話があって、あれは当時一二%から一五%へ上がるときでしたか、結構、酒は何とかがよくて、ジンはいいけれどもビールはだめとか、ウイスキーはいいけれども何とかはだめとか、わけのわからぬことをやっておられる時代だったので、こんな手間暇かけたことをイギリス人がやれるのかねと思って僕は見ていた記憶があるんです。

 すごい手間ですし、今でも我々、外国では、その分だけ引くために、そのための税金の書類やらインボイスみたいなものを書かされる手間というのは、とても日本人にはというのが私は正直な実感なので、これは今からいろいろ議論のあるところだと思いますけれども、これをやることによって逆進性が解消されるのかねということに関しても、私も同様にかなりの疑問があるということだけお答えさせていただきます。

村井分科員 ありがとうございます。

中山(泰)主査代理 これにて村井英樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、林宙紀君。

林(宙)分科員 みんなの党の林宙紀です。

 ただいまの村井議員の質疑を興味深く拝聴させていただきました。

 三月十三日の予算委員会では、私も予算委員会の方で初めて麻生大臣にも御質問をさせていただきまして、そのとき、大変貴重というか厳しい御指導もいただきまして、地元では、やはり麻生大臣はすごいと。林の評判よりも麻生大臣の評判が上がってしまったというような、そんな状況にもなっておりまして、しかしながら、見ている人間が納得するような御答弁を本当にいただいたということで、これは私も今後の勉強の大変貴重な材料にぜひさせていただきたいなというふうに思っております。

 今、村井委員が本日初めてということだったんですが、私は少数野党の一年生議員ということもありまして、きょうが十回目ということで、記念すべき十回目というところで、再び、御指導いただいた麻生大臣所管の、財務省所管の問題についていろいろと御質問をさせていただきたいなというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、本日、最初は、おととい農林水産委員会で質疑と採決がございました、法案の名前が非常に長いので、略称いわゆる米債権免除法案というものについて、財務省としての視点からの御答弁をいただきたいと思いまして質問させていただきます。

 まず、この法案の概略はもう皆さん御存じのとおりだと思うんですが、そもそもが、平成十一年、十四年前のケルン・サミットで、重債務貧困国に対しまして先進国が有しているODA債権、これを完全免除いたしましょうとG7で合意されたものに基づいております。

 我が国に関しましては、米債権というものについて、重債務貧困国の五カ国につきまして免除をしましょうと。それを受けて、十四年たって今回の法案提出にこぎつけたという経緯があるわけなんですが、もちろん、国際協力、国際協調、そういった趣旨がありますので、賛同は私たちもいたしました。ただ、その国内手続については、いろいろとお話を伺っていたら、これはどうなんだろうか、国民目線で、これを聞いたら納得してもらえるのかどうかという点がかなり多くありましたので、農林水産委員会でもその点は幾つか質問させていただいたんです。

 つまるところ、これに関しては、共管している農林水産省と外務省、こちらの国内での手続が進まずに、結果的に、十四年間、この免除というものを裏づける法案ができずに、手つかずで来てしまったような側面がございます。

 何が問題かというと、その間に利子というものが当然ついてきたわけで、それが積もり積もって百四十四億円になってしまった。私も宮城の出身でございますから、被災地というところを背負って考えますと、百四十四億円というのは大変大きな額だなと。これを被災地のために幾分かでも使えるんだったら、ああいうこともやりたい、こういうこともやりたいなんて思いながらやはり予算というものを見てしまうわけです。

 結局、税金という形で国民が負担をするという構図になってしまいますわけで、いろいろと私も財務省の方にもお話を聞きました。財務省としては、こういう言い方をしていいのかどうかわかりませんけれども、とばっちりのような形ということも、ある意味はそうなのかもしれません。

 しかしながら、それはそれとて、政府という立場がございますから、それは財務省としてはどのようにその立場からこの問題についてお考えなのかというのを、まず改めてお伺いしたいなというふうに思います。では、副大臣お願いします。

山口副大臣 先生御指摘のとおりで、とばっちりとまでは言いませんが、御案内のとおり、農水、外務との調整がなかなかうまくいかなかったというふうなことが背景にあろうかと思います。

 改めて、この米債権、もう御案内と思いますけれども、昭和五十四年から五十八年、当時、過剰米の問題もあったりしたときで、しかも、これは外交上というふうなことでこういう形になったわけでありますが、この米債権の免除に当たりましては、法律で手当てをするのか、あるいは条約で手当てをするのか等々、そういった点についてなかなか調整ができなかった。結果的には、ケルン・サミットの合意から何と十年以上が経過をしてしまって、御案内のとおり、利息が百四十四億円というふうになってしまったわけでありまして、もちろん財務省としてもこれをしっかりと受けとめる必要があるというふうに考えております。

 ともあれ、今後とも、こういうことがないように、一層関係省庁が連携をしてやれるように、当然、財務省としてもしっかり役割を果たしていきたいということでございます。

林(宙)分科員 こういうことが今後ないようにということをやっていくのが、これはもう政府だけではなくて、我々国会議員としても一人一人認識をしなければいけないことだと思うんです。

 これは財務所管だからこそ聞ける質問だと思うので、あえてここでお伺いしたいんですけれども、今回の米債権の免除に必要な金額というのは、合計で五百七十七億円ということになっております。この手当てが、実は平成二十四年度の補正予算で賄われている。具体的に言いますと、一般会計から四百三十三億円を農林水産の食料特会というところに繰り入れてお支払いをすることになっている。かつ、もともとの食料特会のお金で利子分の、先ほど申し上げた百四十四億円を手当てするという、こんな形になっているわけですね。

 ここで一つ疑問に思ったのが、たしか財政法の八条になると思いますが、簡単に言うと、債権免除をするにもこれは法律の裏づけが必要だということを言っている法律なんじゃないかと思うんですね。

 つまり、その背景というか、何でこういうことがあるかというと、債権免除というのが行政府限りで勝手に行われてしまう、そういう状況が出てきてしまうと、可能性として、国民に不当なしわ寄せが行ったり負担が課せられる、そういうことが起きかねないということで、この債権免除ということについても国会の監視下に置きましょうというような、そういう趣旨があるんだと思うんです。

 何が問題かというと、実はこの法案は、たしか、きょうの衆議院本会議、午後ありますが、ここにかけられることになっております。まだ法案としては未成立の状態なんですね。しかしながら、既に予算の手当てはついてしまっている。しかも、これは前年度の予算です、形としては。

 そうすると、財政法八条の趣旨を踏まえると、所管の財務省、あるいは財務所管の大臣や副大臣としてはどのようにこれをお考えなのかというのをぜひお伺いしたいなと思います。お願いします。

山口副大臣 御指摘いただいたとおり、本来、これは五百七十七億円というふうなことであったわけでありますが、当初の見通しに比べまして、食料特会の損益の改善というのが見込まれることから、一般会計からの繰り入れというのは四百三十三億円、結果としてそうなったというふうなことであります。

 今御指摘の点でありますが、このたび、ですから二十五年一月上旬に、ようやく、農水、外務両省で、米債権の免除のために新法を策定するというふうなこと、あるいはその内容等、具体的な処理方策について合意が固まりました。このために、食料特会に発生をすることが見込まれる損失補填のための金額を同会計に繰り入れる必要が生じたというふうなことが一つ背景にございます。

 しかも、本件については、その発端になったケルン・サミットの合意から余りに長期間が経過をしておるということと、実は、ことし六月には第五回アフリカ開発会議が横浜で開催をされるというふうな事情等も踏まえて、できるだけ速やかに、確実に債権免除を行うことが必要であるということで、二十四年度補正予算において予算計上させていただきました。

 同時に、財政法第八条、これは、政府が債権免除を行うことに関して、新法の策定等、法律の根拠を必要とするということを実は想定しておるものでありまして、既に合意して、成立することが見込まれるというふうなことで、米債権の免除法案の成立の前に損失補填に備えるべく財源を手当てさせていただいたわけで、このことが同条との関係で問題になることはないというふうに思っております。

林(宙)分科員 いろいろと問題があるなと思いながらも、ひもといてお話を伺っていくと、納得できないことばかりだというわけではないんですよ、かなりなるほどと思うところもたくさんありましたので。

 ただ、実は私、きょう質問するのに、この法案についてあと四つくらい質問を用意していたわけです。ただ、事前に財務省の方といろいろとお話をしていきながら、問題が何が核心なのかというのをひもといていくと、結局最初のところに戻ってくる。

 いろいろあったんです。利子を、もともと、日本がもうなかったことにしましょうとか言えないんですかねとか、そういう甘いことから始まって、そうすると、発生した利子は資産とみなされて、それを当て込んで、今度また負債サイドで米を買うとか、そういう処理が、一応会計上はそうなっていますということもあるものですから、利子をなかったことにするということはできないんですよとか、では、それを最初から引当金を充てられないのかとか、いろいろな議論をしたんです。

 だけれども、結局、問題として、最初に戻ってくると、やはりすぐに免除する法案をつくればよかったんですよねと。そこが全てだということなので、農林水産の委員会の方でも、こういうケースはほかにもあるんですかと質問しましたら、ないとお答えでした。

 ということは、今回の米債権免除法案、ここに関してだけが問題として残ってきてしまったのかなということで、これは今回十四年もかかりましたけれども、よくよくお話を聞いていれば、ことしの六月に横浜でアフリカ開発会議があって、それには何とか間に合わせなければいけない、急ピッチで進めてきた、できるじゃないですかというのが、何も知らないと言われればそれまでなんでしょうけれども、私たちの至極一般的な視点でいったら、そういうことになってしまうんですよ。

 というと、最初に、ちょっと口が悪いですが、とばっちりというようなことを申し上げました。財務省側としては大変歯がゆい思いというのもあったかもしれません。ただ、さはさりとて、国として一体として見られてしまうので、こういうことをやってしまうと、だんだん国への信頼というのが失われてしまうんじゃないかな。これはやはり私としても本意ではない。

 ちょっとおこがましいようですが、麻生大臣もかつての政権では外務大臣をされていたときもあるわけでして、そういう連綿とした政権運営の中でこういうことが起こってしまって、今これをどうしようかと問題になっている。やはり、もとを断つということが大変必要なんじゃないかなというふうに私は思います。私もこういった立場にならせていただいた一人としては、そこもやはり私も責任を感じながら、しっかりと今後はやらせていただきたいなというふうに思います。

 ということで、今後、米債権免除法案については質問に入れることはないと思いますので、以上で解決ということにさせていただきたいと思います。

 さて、ちょっと質問の内容を変えまして、今度、税務について少々お伺いしたいところがございます。

 実は、独立行政法人になりますが、新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOという独法がございます。こことの共同研究という形で、企業が太陽光発電設備を設ける、研究の一環としてということになるわけなんです。要は、発電効率が上がったのかどうかとか、低コスト化ができたのかどうかとか、その後、何年間にわたってデータをとってNEDOに提供するという、共同研究というシステムがあるんですね。

 これは、共同研究なので、設置する発電システムについては、四年間で償却できるということになっているんだそうです。ところが、これは私、たまたまわかったんですけれども、一部の税務署では、どうも、ことしになってからなんでしょうけれども、十七年で償却するようにというようなことを話された。四年償却でいいよと言われていたものが、いや、ちゃんと考えてみたら、十七年というか、共同研究ではないというようなことを言われたということを言っているんですね。ちょっと、この十七年という数字が正確かどうかというのは、申しわけございません、たしかそのようにお伺いしているんですけれども。

 これは、経済産業省の方々に実態を聞いてみたら、同じ事業が全国で大体百八十ぐらいあるというふうに聞きました。初めてそういうケースを聞きましたというようなことをおっしゃるわけですね。ということは、ほかのケースについては、共同研究として行っている、問題なくやっている。なぜここだけがそうなっているんでしょうかと経産省の方も頭を悩ませている。

 そこで気づいたんですが、これは、事業としては同じスキームでありますよ、なのに、税務署によって判断が違ってくる。個々の事情によって税務署さんが柔軟に判断する、そういう側面は私はあると思います。しかしながら、根本的に大きく前提が違ってきてしまうような判断をされるというのはかなり問題なんじゃないかと思うんですが、こういった形で差異が発生してしまう。国税庁としては、やはり大もとの処理の統一というのを図るべきなんじゃないかなと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 個別にわたる事柄につきましては、守秘義務の関係上、お答えすることを差し控えさせていただきたいと思います。

 国税庁におきましては、一般的な税法の解釈や取り扱いにつきまして、法令解釈通達や質疑応答事例集等を公表することによりまして、税法の解釈、取り扱いの統一を図っているところであります。

 ただいま御指摘のありました研究開発用減価償却資産に関する解釈、取り扱いにつきましても、国税庁で定めております耐用年数の適用等に関する取扱通達の中におきまして、研究開発の意義、研究開発用減価償却資産の意義、研究開発用減価償却資産の範囲につきまして、おのおの具体的に定めまして、解釈の統一を図っているところでございます。

林(宙)分科員 それに関連してお伺いしますと、例えば、今回のように、国税に関する問題で、個々の税務署管内でいろいろともめごとが起きてしまったというときに、国側で把握する体制というか、そういうシステムというのはあるんでしょうか。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の取引等に関する税務上の取り扱いにつきまして、納税者の方や顧問の税理士などから税務署に照会、相談が寄せられました場合には、照会者から示されました事実関係を前提として、個別の取引等に係る税務上の取り扱いなど、税法の適用全般につきましては回答しているところであります。

 なお、法令の解釈、通達の適用に疑義があるものや事実関係が複雑な事案などは、相談者へ回答するに当たり、事前に国税局や国税庁へ指示を仰ぐ旨を国税庁から指示いたしまして、回答の統一性を図ることとしております。

林(宙)分科員 今回何が問題かというと、こういう状況になってしまって、法人側としては、税務署に何度も相談に行っているんだけれども、やはりなかなか態度が変わらない、このまま言われたとおりにするしかないのかなという状況だったんですね。

 国側に聞いても、いや、そういう状況があるとはちょっと把握できていませんでしたというお答えもあったので、それ自体が悪いと言っているわけではなくて、税務署からの処分に対して、納得がいかないなと個々の企業あるいは事業対象が思った場合に、法人を救済できるある意味の第三者機関みたいなものは存在するんでしょうか。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 納税者の正当な権利利益の救済を図るという観点から、国税庁長官が持つ権限から裁決権を分離独立させた機関として、国税不服審判所が公正な第三者的立場で審査請求事案を審理し、裁決を行っておるものと承知しております。

 納税者が税務署長等の行いました処分に不服がある場合には、まず、行政部内でこれを再審理する異議申し立てに加えまして、さらに、執行機関である国税局や税務署とは別個の機関である国税不服審判所に対する審査請求により、救済を求めることができます。

 なお、不服がある場合には、裁判所に対しまして訴訟を提起することができるということになっておるところでございます。

林(宙)分科員 今のお話というのは、多分余り知られていないんじゃないかなと思うんです。そんなに宣伝をしていくというものでもないのかもしれないんですが、やはりこういうことがあったらここに問い合わせ、あるいは相談をしましょうというのは非常に大事なのかなと思いまして、例えば、税務署側も、何度も相談に来られても私たちはこう答えるしかないですという状況になったら、では、ひとまずここに相談しましょうか、何かこんなようなシステムがもしかしたらあってもいいのかなというふうに個人的には思います。

 いずれにしても、国の方で、救済というわけではないかもしれませんが、こういった相談のできる第三者機関がありますよということであれば、それはできる限り周知徹底をするというところもぜひ御検討願いたいなというふうに思っております。

 続きまして、復興に関しての質問を一つさせていただきたいんです。

 政権がかわりまして、地元も前よりは大分期待感が増している、これはもう本当に正直そのとおりなんです。大臣も一月に視察に入られましたし、地元としては期待感が物すごくあのとき高まっていた。今ももちろん継続しているんですけれども。

 ちょっと、地元で少し問題というか、多少もめごとの種になっているというのが、津波で浸水した土地、ここを公共というか国、自治体が買い上げますとなった場合に、道路なんかの公共事業を後で適用する予定地になっている場所とそれ以外の区域というのは、当然、税の控除額が違うわけです。公共事業の適用のところは五千万円だ、それ以外のところは二千万円ですよということで、しようがないとは言いつつも、何となくねと、隣近所の方々の間ではやはり多少出てきてしまうわけです。

 これについて、いろいろと前向きな手続をしていただいているというのも、私はいろいろと省庁の方からお伺いしていますけれども、公共事業が適用されない場所についても、ある程度、今までとちょっと条件が緩和されたり、いい感じになっていますよというのを、ぜひ改めてお伺いしたいんですが、大臣、お願いします。

麻生国務大臣 今お話がありましたように、ちょっとその前の質問、不服審判所。

 あれは面倒くさいんだ。持っていった人はどれくらいいるか知らないけれども、面倒くさい、ごちゃごちゃ。だから、面倒くさいから、みんな、鹿児島だったら保岡代議士のところに頼みに行くわけよ。それで、保岡さんが何だこれはと言っていくと、話がぱっといったりするものだから、代議士の使い方教えますという本でも書こうかと言ったことがあるんですけれども。

 これは、正直言って、不服があるなら、さっさと行った方がいい、不服審判所に。ということはぜひ我々としても、これは、現場にいる人はそれしか言えない。ただ、こういうやり方もありますというのは、不服がある場合がないわけじゃないので、国税庁次長みたいな、すれたのがいっぱいいるところ、取り締まるおじさんたちがいっぱいいるところがあって、それはこういうのがあるとかいうのは、確かにいろいろあることは確かです。したがって、そういったことがあった場合はぜひ不服審判所に行かれるというのは、一つの物すごく大事な、これはちゃんと法律で決まっているわけですから、ぜひ御利用していただければと思っております。

 ところで、今御質問のあった点ですけれども、これは、例えば住民が高台移転等々にした場合、下に通っているところは税額控除の方がでかくて、上の方を売ってみんなのためにとやった人の方の税金が高い、ちょっとおかしいんじゃないかという話というのは、これは間違いなく存在をしておりますので、これはどう考えても何か考えないかぬということで、ある程度の要件を満たしておりますいわゆる防災集団移転、防災のための集団移転の促進事業ということで、土地の買い取りに関する譲渡所得に関しましては、特別控除は従来二千万ということになっていたんですけれども、今言われましたように、道路と同じ五千万円の特別控除ということを可能とする制度を創設したところであります。

 したがいまして、今御質問がありましたように、税制上の支援について、これは被災地というところを考えて、十分な対応を今後ともやってまいりたいと思っております。

    〔中山(泰)主査代理退席、主査着席〕

林(宙)分科員 これは、私は個人的にかなり思い切った対応をしていただいたなというふうに思っております。本当に、被災地代表、まあ、みんなの党としては一人しかいないんですが、改めて、これに関しては本当にぜひ進めていっていただきたいなというふうに思っております。

 時間が大分少なくなってきましたので、最後に、この三月三十一日で期限切れとなりました中小企業金融円滑化法、これについてちょっとお伺いしたいなと思います。

 これが期限切れとなりましたということで、地元でも結構心配する声というのはやはり大きかったんです。

 さはさりながら、私もみんなの党という立場から考えますと、今回これは期限切れで、この次に進むべきだというような考え方を持っていたのでいいんですがと思っていたら、先般、報道で、金融機関がこの法案が切れたということによって融資姿勢をちょっと厳しくしてしまうんじゃないか、融資の回収なんかに走ったりしないように、中小企業に対する資金繰りとか経営再生に向けた、民間金融機関の企業への支援状況というのを五月とか六月に一回調査をするんだというような報道があったわけです。

 まあ、必要なことなんだろうなと思うんですが、一方で、では法案を延長しても同じだったんじゃないのかなとやはり思ってしまうところがあるんですね。事実、地元でも、それだったら何かあんなに混乱しなくてもよかったなみたいなお話があったぐらいなので、法案がなくなったにもかかわらず、今後も対応としては変わりませんということなのであれば、やはり打ち切った理由というのを一度明確に知りたいなというふうに思っております。ぜひそのあたりをお願いします。

麻生国務大臣 これは、今後とも林先生がこの業界で長いことやっていかれると、できた法律をどこで切るか、どこで変えるかというのは常にぶつかられる問題だと思っております。

 一番長く再々々々でやったもので、石炭というのを、私は地元があなたと違って南の方なので、石炭関係六法案の再々々延長というのをやらされる担当を二回したものですから、この種の話はどこで切るかが一番難しいんだと思っておるんですけれども。

 これを切ることになった一番大きなものは、何だかんだ言っても、これはこのまま続けていくと、何となく、どなたか、これを徳政令にするのかとかいうような、徳政令なんて久しぶりに、中学校の教科書以来聞いた言葉だったんですけれども、そういった声もあったんですけれども、これはどこかで切らないと、延々とそれになっていくと、これは私のように経営者をやってきた人間から見ると、どこかでこれはだめということになったら、それはその時点で諦めて次の仕事に変わっていく、また、事業を全く種目を変える。まあ、やり方はいろいろありますけれども、そういったものにする区切りをつけるというのをしないと、常にこれが出てくるとなると、経営改善努力をみずからしないで、たらたらずっと、何となく、手形のジャンプをどんどんさせていくようなことだけになりますと、これは基本的には自助の精神に全く反することになるので、どこかで切らせてもらわないかぬと思っております。

 今回、私がその担当になりましたものだから、これはもう再々々なんというのはやめた方がいいです、前にもやったことがあるのでこれはもうやめた方がいいですということで、今調べてみましたら、数はもう御存じのとおりで、何万社のうち、実際は数万社ということになりますので、それでいきますと、そこらの方々は個別のところまでは、霞が関に行って個別の事業の一つ一つなんというのは、中山興業の会社の内容なんて我々は全然わかるわけがありませんので、現場の大阪の金融機関が中山興業に行っていろいろ話をして、これならいけるというところは引き続きこれは融資しましょう、そのかわりというような、もうこれは、あんたは後継ぎもいないし、もうあんたも八十幾つにもなってそれは無理でしょうがと言ってやめてもらわないかぬとか、やめた方がいいですよ、この際、手じまった方がいいんじゃありませんかと、個別の話を聞いていったら切りがありませんので、それはぜひ信用金庫とか信用組合とかいう地元の金融機関で判断をしてもらう。ただし、そのときに当たっては、今こういった厳しい状況でありますので、ちょっと望みがあるんだったらこっちの方向にとか、いろいろな融資の方向をするのも個別の金融機関にやってもらった方がいい。

 したがって、金融庁としては、個別の金融機関に対して指導をするに当たって、法案が切れた、はい、ばっと引き揚げるのはだめよ、そういうのはきちんとやりますからねと言って、うちは大量の人を出し、それから、窓口相談を各理財局、国税局等々出先官庁、商工会、商工会議所等々にもつくらせていただいて指導をさせていただいておるというのが現状で、今のところ極端な話になっていないとは思っているんですけれども、ある程度、激変緩和みたいな形でやらせていただいているというのが現状であります。

林(宙)分科員 ソフトランディングという意味なのかなというふうに思います。

 最後になるんですが、とはいえ、これは被災地では結構心強い法律だったことも確かでして、直接被災をしていない企業も、東北のバリューチェーンという中においてはやはりいろいろと影響を受けている面もございました。

 そういう意味でいくと、被災地ではもうちょっと延長するけれどもという、ある意味では被災地特例のような形で延ばすということも一つ選択肢としてはあったのかなと思うんですが、今回、一律に廃止をされた。このあたりについての理由をお伺いして、最後とさせていただきたいと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 円滑化法につきましては、貸し付け条件の変更等の取り組みは被災地も含めまして定着しております一方で、条件変更を繰り返し行っている借り手が最近では約八割に上っております。また、貸し付けの変更等を受けたものの経営改善計画が策定できない借り手が増加していることなどを踏まえまして、再々延長は行わないこととしたところでございます。

 一方、東日本大震災の対応につきましては、国の資本参加を通じまして、金融機関の金融仲介機能を強化する枠組みでございます金融機能強化法を改正いたしまして、震災の特例を設けることで、金融機関が被災者の方々の事業や生活の再建に向けた支援に積極的かつ継続的に取り組めるような環境を整備しているところでございます。

 さらに加えまして、被災者の方々に対する支援策といたしまして、東日本大震災事業者再生支援機構及び産業復興機構によります被災事業者の方々に対する支援、さらには、個人版私的整理ガイドラインによります住宅ローン等の債務整理の支援を初めといたしましたさまざまな施策を推進しているところでございます。

 金融庁といたしましては、被災地の復興に向けまして、このような各種施策を着実に推進することによりまして、円滑化法期限到来後の被災地域の中小企業等に対する支援に万全を期してまいりたいと考えております。

麻生国務大臣 林さんに今言いました各地の理財局、理財局は本省にしかないので、各地にあるのは財務局です。済みません、訂正します。

林(宙)分科員 では、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

伊藤主査 これにて林宙紀君の質疑は終了いたしました。

 次に、安藤裕君。

安藤分科員 おはようございます。自民党の安藤裕でございます。

 本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 そしてまた、麻生大臣は、私が候補者のときに決起大会に来ていただきまして、御講演をいただきました。おかげさまで初当選をさせていただきまして、感謝をしております。本当にありがとうございます。

 本日は、山口副大臣そして竹内政務官、どうぞよろしくお願いします。竹内政務官も京都が地元ということで大変お世話になっておりますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 きょうは、相続税について質問をさせていただきます。

 今年度の税制改正の中で、相続税の基礎控除の縮小など、課税ベースの拡大ということが提案をされておりますけれども、これが今回どのような趣旨で行われるのか、その趣旨についてまず御説明をいただきたいと思います。

竹内大臣政務官 安藤先生は税理士の先生でいらっしゃいますので、よく御承知のことと存じますが、今回、相続税につきましては、地価がバブル期の三分の一まで下がったにもかかわらず基礎控除額が据え置かれたままとなっておりまして、足元の課税割合が百人中四件程度にまで低下し、それに伴って相続税の再分配機能も低下していたところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、自公政権下の二十一年度税制改正法附則百四条で、格差固定化防止の観点などから相続税の見直しが規定され、昨年、三党協議におきまして成立した税制抜本改革法附則二十一条においても、同趣旨の規定が盛り込まれたところでございます。

 以上の経緯を経まして、先般、税制抜本改革法に基づく三党協議の結果、格差固定化の防止を目的とした相続税、贈与税の見直しを盛り込んだ二十五年度税制改正法が成立したところでございます。

安藤分科員 ありがとうございました。

 ここでひとつ、資料を見ていただきたいと思います。お手元に資料をお配りしていると思いますけれども、昭和三十三年からの相続税の課税割合の推移の資料、行っておりますでしょうか。

 死亡者のうち、相続税の課税対象になった人の割合ですね。昭和三十三年が〇・八%、それから徐々に増加をしていきまして、昭和六十二年にはピークの七・九%になりますけれども、その後、今お話にもありましたが、基礎控除が拡大をされたということもありまして低下をして、最近十年間では四%程度で推移をしているということです。

 つまり、相続税というのは、基本的には、ほとんどの人に余り関係のない税金であるということが言えると思います。

 それで、今回、基礎控除を縮小することによって、納税をする人の割合が四%から六%程度になるということが想定をされているというわけですけれども、この推移を見ていただいてもわかるとおり、この割合が六%以上になっているという時期は、昭和三十三年以降でも六年間しかないわけでございます。ここ五十年余りの間で、たった六年間しか六%以上になっている時期はない。

 バブル期に基礎控除の拡大をしたというのは、まさに課税対象が多くなり過ぎて、少し課税される人の割合を減らさなくてはならないという意図があったのではないかと思うんです。今回、基礎控除が縮小されまして、課税対象の割合が四%から六%にふえるということがこの日本の社会にどのような影響を与えていくのかということは、よく注意をしていく必要があると思います。

 これは、ごく普通の暮らしをしている人が相続税が何できついかというと、普通の所得税とか法人税の場合には、お金の流れがあって、利益があってお金がふえていったところに課税をされるから納税ができるということがあるんですけれども、相続税というのは、お金の流れがないところに、財産に課税がされる。納税の請求書が来ても、そこに納付するための現金がないから払えないということが多々あるわけですね。そうすると、自分の生活している財産を売って納税資金をつくらなくてはならないということが多々発生をしてくる。四%から六%に課税対象がふえるということが日々の普通の生活をしている人にどのような影響を与えていくかということは、ちょっとよく注意をして見ていかなくてはならないのではないかなというふうに思っております。

 次の論点に移りたいと思いますけれども、今回、相続税の課税ベースをふやすということで、格差社会を是正するために相続税の増税をするんだというふうな説明の仕方もよくされるわけです。

 相続税の課税対象を拡大するという話は、民主党が政権を担当したときから具体的に基礎控除の縮小をするという話が税制改正大綱に出てきて、これが民主党政権のときには実現がされなかったわけですけれども、例えば、平成二十一年の政府税調の税制改正大綱には、こういう文言が最初にあるわけですね。相続税というのは格差是正の観点から、非常に重要な税ですと。しかし、私は、格差社会を是正するために相続税の課税を強化するべきであるという論調には、ちょっと疑問を投げかけなくてはならないのではないかと思っています。

 もう一枚資料をお配りしておりますけれども、厚生労働省の国民生活基礎調査、これをお配りしておりますが、右の欄に所得の中央値というところがあると思いますけれども、その数字の推移を見ていっていただきたいと思います。

 昭和六十年には所得の中央値が四百十八万円、そこからずっと上昇していって、平成七年には五百五十万円と最高になりました。それからまただんだん低下をしていきまして、平成二十二年には昭和六十年とほぼ同じ金額の四百二十七万円になっているということです。

 つまり、普通に働く人たちの所得が、バブル期を過ぎてもしばらくは上がっていったけれども、その後はまた下がり続けて、三十年前とほぼ同じ水準になってしまったということですね。

 安倍内閣でも働く人たちの給料アップに取り組んでおりますけれども、格差社会というのは、働く人たちの給料が下がり続けている、上の人たちは、所得が高い人の所得は上で高どまりをしていると思いますけれども、普通に働いている人たちの給料が下がり続けてしまっている、これがいわゆる格差というものに結びついているのではないかと思うんですね。

 そう考えると、今回、相続税を増税するということは格差社会の是正に寄与するということにはつながらないのではないかというふうに思います。格差の固定化を是正するために相続税が大切であるということも言われますけれども、相続税を増税してお金持ちの人から税金をたくさん取っても、働く人たちの給料が上がるわけではありません。したがって、格差問題を本質的に是正する、解決するということにはつながらないと思うんですね。

 そこで、麻生大臣にお伺いをしたいと思いますが、麻生大臣は、今世間で問題になっている格差社会とはどのあたりに問題があるとお考えでしょうか。

麻生国務大臣 基本的に、私どもから見て一番のところは、大きなことからまず言わせていただければ、グローバリズムというのがざあっと出てきますと、この二十年ぐらい、これはいい、善であるということでわあっと進めたんですけれども、グローバライゼーションという言葉を進めると格差が広がってくる、これは世界じゅうみんな同じなんだと思っていますね。

 したがって、これは、グローバライゼーションが進むといわゆる民主主義のところとぶつかってくるところが基本なんだと思うので、民主主義が行き過ぎて何となく社会主義、共産主義みたいなことになってくると活力がどんとなくなって、どの辺の中間でやるかとなるんです。今後とも悩まないかぬ、政治家に限らず、これは社会として悩まないかぬ一番原点なんだと思っています。

 どれくらいの比率がいいかと言われると、これはなかなか個人的な面も出てくるんだと思いますけれども、少なくとも、相続税というのは一回税金を払った残りの金ですから、死んだらまた金を取るという話ですから、かなりふざけた話じゃないかということになって、アングロサクソンなんかは税金をゼロにしたんですからね、相続税は。

 いずれにしても、相続税の課税割合がピーク時に百人中八件ぐらいあったものが、あれを落として四件ぐらいまでに低下していたところではあると思っているんですけれども、いずれも、何となく、このところの一般社会のあれを見ると、みんなが平均給与が下がってきて、ジニ係数でいえば上がってきたとかいうことになりますので、そういった意味では、格差が拡大傾向にあるということはこの数字から見てもある程度言えるんだと思いますけれども、では、アメリカほどひどいかとか、どこどこほどひどいかというと、そんなにひどくは絶対ありませんから。

 そういった意味では、私どもとしては、相続税を払えるほど高い方々からある程度いただいて、それを何らかの形で低所得者に分配するというのが必要であるというのは、ある程度、何となくわからぬわけではありませんけれども、ただ、払わせられる方から言わせると、これは一回税金を払った金だから、俺がこれを出すのはいいが、俺が貧しいと思う人に払わせろ、役所が勝手に決めるな、俺がそういったところに配っていくというようなことをやらせてくれと。

 何かいろいろちょっと考えないと、いかにも取られる方は、おまえらは払うのが当たり前じゃないかみたいなことを言われると、払う人の方も何となく納得しにくいというようなところもあるんだろうなというものがありますので、まあ、喜んで税金を払う人もなかなかおられぬのだとは思いますけれども、何となく納得しやすいような形にしないと、今言われたように、この数字を見ると、ほう、こんなになっていたのかと、ちょっと正直参考になる数字でしたけれども、私の感想と言われれば、そういうところが私の率直な実感です。

竹内大臣政務官 先生の御指摘、理解できるところもあるわけでございます。

 このところの日本社会の構造を見ますと、今大臣からもお話もありましたジニ係数が上昇している、資産格差が拡大傾向にあるということもまた事実でございます。

 先ほどの資料では所得格差ということでございますが、所得格差それから資産格差等がございます。結局は社会全体の公平感をどう保つかということであろうというふうに思うわけでございまして、資産をそのまま譲り受けた場合には、やはり相当な資産である場合には有利になるわけでございますので、全くの無税でいいかどうか、その辺、この再分配機能を働かせる必要も一部あるのではないか。社会全体の公平感をどう保つかということの総合的な観点の中で相続税というものがあるのではないか、同様のことは贈与税にもあるのではないかというのが私の考えでございます。

 いずれにいたしましても、今般、相続税の持つ再分配機能の回復を一定図るべく見直しを行ったものであるということでございます。

安藤分科員 ありがとうございます。

 たしかイギリスのサッチャー首相だったと思いますけれども、こういった議論があったときに、金持ちを貧乏人にしても貧乏人が金持ちになるわけではないということを言ったというふうなことを聞いておりますが……(麻生国務大臣「野党の党首のときね」と呼ぶ)はい。なので、そういった論点をちょっと考えながら、この相続税というものは存在を考えていかなくてはならないと思っております。

 次の論点に移りたいと思いますけれども、日本の地方経済は、本当に、大変今、疲弊をしています。そして、日本の経済を支えている、特に地方経済を支えているのは中小企業の皆様でございます。中小企業というのは、本当に家族経営が基本的な経営のスタイルだと思っておりますが、この中小企業の事業を引き継ぐに当たって、この相続税というものがかなり大きな障害になっているのではないかというふうに思います。

 これは、企業の経営、麻生大臣よく御存じだと思いますけれども、この相続税というものが、中小企業の経営に対して、またあるいは事業の承継に対してどのように影響を与えているとお考えか、その問題意識について、ちょっと大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 詳細は竹内政務官の方から答弁をいたしますけれども、基本的に、これは家族できちっと仕事が受け継がれていくような企業で、十人とか五人とかいう人数とはいえ、きちっと仕事をしていっている企業というもので、おやじが死んだ後、息子が後を継いできちんとしていけるところはある程度できるんだと思うんですが、この承継税制等々は効果があると思うんです。

 問題は、世の中、変革していきますと、おやじの息子はもう全然、どこか会社か何かに入って、たまたま勉強ができて、あとのことは余りできないというのは世の中にいっぱいいますから、そういうのは仕事には向かないというので、自分の会社にいたやつに、おまえ、跡をとれといったときにどうなるかというと、地方にとっては、その企業がそこで存続してくれることが、そこに雇用が確保され、地域の経済に影響します。それが、承継していくときには全部出せということになると、もう仕事が成り立ちませんから、そこで企業が存続しませんから雇用も確保できないというような状況になると、地域経済に与える影響は極めて大きいと思います。

 僕は、少なくとも、小なりとはいえ、そこに商店街が存在し続けることによって地域のコミュニティーが成り立つのであって、その小さな小さな店がなくなると生活ができないということになります。

 そういったようなことを考えたときには、これをいかに残すかというためにどうするかという観点は、別の観点から考えないかぬ問題だと思っております。

竹内大臣政務官 先生御指摘のとおり、中小企業は我が国経済成長の原動力でございまして、その活性化を図ることは重要な課題でございます。相続税の負担によって、地域経済にとって重要な中小企業の事業継続が困難とならないように配慮することが大事であると考えております。

 こうした観点から、二十一年度税制改正におきましては、中小企業の事業承継の円滑化を通じた雇用の確保や、地域経済活力の維持を図るために、非上場株式等に係る相続税の納税猶予の制度、いわゆる事業承継税制を創設したところでございまして、さらに、今年度の税制改正におきまして、本制度の一層の利用促進を図る観点から、相続税等の見直しにあわせ、要件の緩和、負担の軽減、手続の簡素化と、抜本的に見直しを行ったところでございます。

 よろしくお願いします。

安藤分科員 ありがとうございます。

 本当にこの中小企業の事業の承継というのは大きな問題だと思いますし、これによって地方の企業が継続できなくなるということもあるわけですね。今までも事業承継税制というのはありましたけれども、大変に使い勝手が悪いということで、今回かなり改善がされたと思っております。

 そういった意味で、これをもっと周知をしていただきまして、中小企業の皆様にぜひとも活用していただきますように、政府の方でも周知徹底をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 いよいよ時間もあと少しですので、最後の論点に移っていきたいと思います。

 上智大学の名誉教授の渡部昇一先生の著書にこういう本があるんですね。「税高くして国亡ぶ」という本があるんですけれども、その冒頭に相続税の話が出てまいりますので、少し読ませていただきたいと思います。

 すみ分け理論や猿の研究者として専門外の人たちにも広く知られる今西錦司氏は、日本が世界に誇る生物学者であった。その庭には、ケヤキやエノキやクスやイチョウなどの木が茂っていた。今西氏はこうした自宅の庭の木を見ながら読書し、思索し、独創的な著述をした。大木の多いこの庭のことを、近所の子供たちは今西の森と呼んでいたという。

 ところが、この今西の森の約半分が、氏の一周忌の前に切られてしまったというのである。理由は相続税のためである。

 当主が死ねばその家から、強盗団が定期券を持って通っても盗み切れないほどの財産を税務署が奪っていく。今西家でも、相続税を払うために土地を物納せざるを得なかった。今西の森の巨木のあるところが物納されることになった。ところが、税務署は、木の生えた土地ではなく更地にして提供せよと指示をしてきた。かくて今西の森は、当主が死亡しただけの理由のために、国の命令で切り払われることになった。これは、今から十年ほども前、平成五年の話なのであるが、私には殊のほか印象が深い。

 ということですね。

 今西の森のようなことは、日本じゅうで毎日起こっている。消えていくのは森だけではない。何代も続いた蔵も、当主が死んだだけのことで、昔ならば反逆でも起こさなければ科せられなかったような懲罰を受けて、つまり、残酷な税を割り当てられて姿を消していく。古い日本の文化、民間に残った文化、これが本当の国民文化であるのだが、これは、近い将来、きれいさっぱり日本から消えるであろう。アメリカの無差別じゅうたん爆撃からも原子力爆弾からも免れたものが、税金のために根こそぎ消え続けている。

 こういった文章があります。

 私の選挙区は、京都府の第六選挙区というところで、京都の一番南のところなんですけれども、宇治の平等院で有名なところでございます。この平等院というのは藤原頼通が別荘として建造したものでございますけれども、この当時に、平安時代に相続税があったら、平等院というのは今残っているんだろうかということを思うんです。

 ことしの一月十五日の京都新聞に、こういった社説が載っています。

 相続税の課税拡大を政府・与党が検討している。低所得者層ほど負担感が強い消費増税を控え、富裕層への課税強化で格差是正を図る狙いだが、消え行く京都の伝統的な町並みに追い打ちをかけないだろうか。建造物保全にも目配りをしてほしい。

 瓦屋根や格子が美しく、暮らしの文化と結びついた京町家が年々、失われている。家主が住み続けたくても町家を壊さざるを得ない一因が、高額な相続税の支払いである。

 京都市が二〇一〇年に発表した京町家約四万七千戸の実態調査では、回答者の約四割が、相続にかかる負担を懸念していた。居住者の高齢化も進んでおり、事態は切迫をしている。

 町家は、維持修理費の負担も重いが、都市部で地価が高いだけに、資産課税が古都の景観保全の上で長く課題になってきた。

 門川大作京都市長は、全国一律の相続税では、どんどん売らざるを得ないと危機感を口にする。京都市と京都府は昨年、適切な管理を条件とした京町家に対する相続税の納税猶予措置や、市民が残したい建物や庭園は文化財に準じて相続税や固定資産税を優遇するように国に要望した。

 京町家は年二%ずつ減少しているとされています。相続対策で町家取り壊しを急いだ人もおり、納付した人は少ないようでも相続問題が強く影響しているとの指摘もある。個人やNPO、自治体の努力、工夫で町家を守るのは限界がある。

 都市部にある京都の歴史的な町並みは、市民だけでなく、日本の共通財産。相続税の課税の裾野を広げるならば、国はあわせて景観保全の施策を真剣に検討し、配慮が求められる。

 ということなんですね。

 税制改正の話をしているときに、文化の話というのは余り出てこないように思います。財政再建とか格差社会を是正するとか、またプライマリーバランスを保つのが大事ということがキーワードになっておりますけれども、本当は、税は国家なりと言われるように、税制の考え方というのは国家観というものが強く反映をされなくてはならないと思います。

 日本はどのような文化を育んでいくべきなのか、こういった文化や民間の活力をどうやって引き出していくか、これがやはり税制には求められると思います。

 自民党は、保守政党として伝統文化を大切にする政党でございますが、これは麻生大臣にぜひともお伺いをしたいと思いますけれども、文化を守って、そして育てていく税制のあり方というのはどうあるべきか、大臣にちょっと御見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 いろいろ質問を伺いましたけれども、最も格調高い質問の一つですね。大したもの。京都に生まれ育ったんじゃないから、特に外から京都に行って選挙に出たから、もっとよく実感されるのかなと今その話を聞きながら思いました。

 いずれにしても、こういったようなものというのは、多分世界じゅう同じような問題を抱えているんだと思いますが、きちっとした文化を残すという意味においては、例えば、農業の話でよく出ますけれども、南フランスの田舎の方へ行くと、きれいな丘の中にぽつんと農家が建っている。ああ、きれいだなと思いますけれども、あれは全部補助金でやっているなんということを知っている人はほとんどいない。あれは農林省の予算ではなくて、実は環境省が、景観を維持するために、外は絶対さわるな、住んでくれればサンキュー、維持してくれるから、中は変えてもいい、今の時代に合うように中は電化してもいいよと。

 やはり、そこに電柱なんか張られると景観が壊れるからといって、地下で全部、電線は公の機関の方で引きます。外は道路から見ていると全く同じ昔のフランスのうちというふうにしているというのをやっていることによって、観光客がふえているんですよね。

 だから、そういった意味では、波及効果というのか、どういった相乗効果が出てくるかと十分に考えてやっている一つの例で、住んでいるときに、これは補助金がこうなっているのかと思ったんですけれども。

 よく話題になる、日本でいえば、棚田にしても、あれは農林省にあるが、あれは保水しているんだから河川局の予算でやってもいいんじゃないのとか、いろいろ考え方はあるんだと思います。

 ぜひ、そういった意味で、町並みに限らず、日本の美しい風景というのを維持する、それは、国にとって保守というものを考えたときには、やはり変えるべきものと絶対に変えちゃいかぬものというのを見きわめる目が一番大事なんだと思います。変えちゃいかぬものというのは断固守らないかぬというところが保守の一番大事なところだと思いますので、今言われたようなことを、町並みに限らず、日本の文化、伝統というものを考えていく上で大事な視点だと思いますので、今後とも参考にさせていただきたいと存じます。

安藤分科員 ありがとうございます。

 京都の場合は、特に伝統文化の保存ということで、大変にわかりやすい土地柄はあると思うんですけれども、これは事京都に限った話ではないと思うんですね。日本全国どこでも共通の話だろうと思います。

 そして、特に私が強調したいのは、こういう伝統文化を守るというのは、これが文化財だから守らなくてはいけないとかそういうことではなくて、文化というのは、今この平成の世の中でも、日ごろの生活の中から生まれてきていると思うんです。ごく普通の人は、こういう建物が好きだとか、こういう絵が好きだとか、こういう音楽が好きだ、そういったことをごく普通に自然にやっている。そんな中から文化というものは生まれてきて、それがずっと残っていって、これが伝統的な価値につながっていくんだろうと思うんです。

 そういったものを育むために、今、相続税というものの存在が、それを果たしてちゃんと育めるんだろうか。今、東京の都内なんかは特に顕著だと思いますけれども、相続税対策で本当に家が壊されてビルになっていく。借金をして建物に変えていくと、相続税対策になるわけですよね。

 今回も、相続税の課税ベースが拡大をされるということによって相続ビジネスが活況を呈しているということが言われていますけれども、それが本当に、この日本の町並みが、私たちが特に今思っていないけれども、百年後、二百年後の子孫は、これはすばらしい文化だと思ってくれるかもしれない。そういったものを果たして今私たちが残していけるんだろうかということは考えていかなくてはならないと思いますし、私も、今まで税理士をしてきておりまして、この相続税の存在というものは本当に日本の社会に大きな影響を与える税制だなということを感じています。

 先ほども言いましたけれども、金持ちを貧乏人にしても普通の人が所得が上がっていくわけではない。そして、これが、格差社会の是正と言うと少し聞こえがいいんですけれども、決してねたみを制度にするようにしてはいけないと思うんです。

 普通の人が、自由というのはやはり、頑張って、自分が豊かになる自由はあるけれども、そうじゃない、あの金持ちからもっと金を取れよみたいな税制にしてはいけないと思いますし、やはり、こういったところにも国家観というものをきちんと反映させた税制にしていかなくてはいけないのではないかと少し御意見を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

伊藤主査 これにて安藤裕君の質疑は終了いたしました。

 次に、中根康浩君。

中根(康)分科員 民主党の中根康浩でございます。

 第三分科会で三十分お時間をいただきまして、議論をしてまいりたいと思います。

 第三分科会ではございますけれども、国交省や水産庁にもお出ましをいただくということで、大変お忙しいところ、感謝を申し上げたいと思います。

 まず、麻生財務大臣にお尋ねをしたいと思います。

 自動車取得税あるいは自動車重量税、こういったいわゆる自動車関係税制でありますが、このたびの税制改正で、将来的には軽減あるいは廃止という方向を打ち出していただいております。

 本来ならば、消費税が八%に上がる段階で、取得税は二重課税の解消ということも含めて一度に廃止ということで私どもは求めさせていただいておりましたが、二段階でというようなことが大綱の中には盛り込まれておるということではございます。

 その自動車取得税でございますけれども、これはあくまでもまだ風評といいますか、うわさというか、こういう段階ではございますが、自動車取得税を軽減あるいは廃止をすることに伴って、地方財政に与える影響をここで穴埋めする意味で自動車税の引き上げを行うのではないかということがささやかれているわけでございます。自動車取得税のかわりに自動車税の引き上げを行う、こういうことはユーザー負担の軽減ということには全く逆行をすることにもなります。

 私は、日本の物づくりあるいは製造業を支えていく上では、やはり基幹産業である自動車産業を税制面からも支援していくということが必要だと思いますし、車を売りやすく、あるいは買いやすくするということが、デフレ脱却、あるいは景気回復、雇用確保ということにおいても極めて重要なことであるというふうに思っております。

 そういった意味合いで、この自動車取得税を軽減、廃止するかわりに、その減収分を自動車税の引き上げで穴埋めするということは決してあってはならない、地方財政については、また別途、財源の確保は考えるべきであるというように思っております。

 また、自動車重量税についても、道路特定財源が温存されるというような形で残されるというようなことにもなっております。自動車重量税も、これは課税根拠が、本来、道路特定財源はもう既に廃止をされているわけでありますので、自動車重量税も廃止をする、これが、先ほども申し上げましたように、ユーザー負担の軽減、製造業、物づくりを支えていく、雇用を守っていくということにつながるというように思っております。

 まず麻生財務大臣からお答えをいただきたいのは、自動車取得税の穴埋めとして自動車税の引き上げは将来にわたって行わないということをぜひ明言していただきたいというように思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは中根先生から基本的には二問いただいている形になるんだと思うんですが、たしか、出身地が岡崎だったな、だから、トヨタやら何やら、三河に近いところなんで、非常に御関心のおありになるところなんだと思います。

 与党の税制調査会というところで車体課税等々の話があったときに、これは負担軽減を図るべきだという中根先生等々の意見の反対側に、では、穴が、なくなった分だけ、安定税源はどうするのとか、また、これは主に地方税ですから、地方税への影響はどうなるのかということになっておりますのと、もう一個は、一律にやった場合は、これは、エコカーのような減税の対象になっている車とそうじゃない車というと、そうじゃない車の方が有利になる等々の話で、さまざまな議論があっておりました。

 御存じのように、重量税の方は地方税だけで二千六百億円ぐらい、それから、自動車の取得税の方で二千億弱、一千九百億ぐらいあったと思いますので、その結果、とにかく税制改正大綱では、いわゆる財源を確保してとか、また、グリーン化の観点から見直しを行う等々の方向が示されているところなんです。いずれにしても、税制抜本改革法第七条の規定を踏まえて、今後とも平成二十六年度の税制改正に向けて検討していこうということになっています。

 いずれにしても、まず、最初の質問の最後にありました自動車重量税というのは、これは一般財源であって、これを道路特定財源に復活されるのではないかという話をあなたはしましたけれども、御記憶かと思いますが、あれは麻生内閣のときにやめたんだからね。それを財務大臣が自分でまた復活するわけないでしょうが。基本的にはそう思っておいていただいて結構だと思っております。

 また、もう一点の方の話ですけれども、これは、民主党政権下において平成二十四年の八月にできました、安定的な財源を確保した上で車体課税の見直しを行うとされたのが税制抜本改革法の第七条ということなんですが、この点で一番問題なのは、民主党が提出されたことしの三月の法案については財源の確保というところが何ら盛り込まれていません。

 少なくとも、自動車取得税、これは地方税の分で、廃止で先ほど申し上げました約一千九百億円、それから、自動車重量税の当分の間の税率の廃止で約二千四百億円と、これは大幅にどんと財源が減りますので、そういった減税を行ったときに、問題は、先ほど抜本改革法第七条の中で、しかるべき財源をという言葉と全然整合性がないということになろうかと思いますので、この部分をきちんとしない限りは地方に与える影響が余りにも大きい、基本的にはそう思っております。

中根(康)分科員 確かに、地方に与える税収減の影響というのは考慮しなければならない。その一方で、損して得とれというような考え方もありますので、このことによって景気がよくなればまた地方税収が上がるということもありますし、あるいは、重量税のことでいえば、実質的に道路特定財源的に温存されるというような見方もあるわけでありますので、ぜひ、国民のユーザー負担軽減という観点からのさらなる税制改正、こういったものを思い切ってやっていただきたいと思います。

 財務大臣に対する質問はここまででございますので、御退席いただいたり御休憩いただいたりして結構でございます。

 次に、国交省に、いわゆるサービスつき高齢者住宅のことについてお尋ねをいたします。

 都道府県が高齢者居住安定確保計画を定める、そして、安否確認や生活相談を必須として、家賃の額あるいは支払い方、床面積、バリアフリー構造などの基準によって、この計画に照らし、適切なものが登録をされる。これまでの登録件数は、全国で三千二百余りの件数にわたって、戸数にして十万戸以上ということになっております。

 今年度も、四月十日から、新築や改修の募集が国交省により始められております。今年度は、住宅の新築には一戸当たり百万円を上限として、新築には十分の一、改修には三分の一の補助があるということでございます。デイサービスや訪問介護事業所、居宅介護支援事業所、診療所、訪問看護事業所等を併設する場合は、限度額が一千万円にかさ上げをされるなど手厚くなるということでございます。

 高齢者が安心して住める場所がふえるのはよいことではございますが、他方、そのことで介護保険サービスの需要が高まって、市町村の介護保険財政を圧迫する、ひいては保険料引き上げにつながる懸念を持つ市町村もあると聞いております。実際に私もそのことを聞いております。住宅の登録は都道府県で、介護保険は市町村である、そのことがミスマッチを起こしているということかもしれないと指摘もされております。

 そこで、このサービスつき高齢者住宅に住まいする方については、介護保険の住所地特例をこれまでの枠を広げて適用してもらうというようなことを検討してもらえないか。そしてまた、サービスつき高齢者住宅の増加や偏在に対しての推進をする。これをふやしていくという推進だけではなくて、偏在ということについての対策を今のうちから考えておくべきではないか。また、補助金目当てで低質な物件が供給されるということがないように、あるいは、そのために悪質な地上げが行われるというようなことがないように国交省として配慮をしていただきたい。こういったことについての国交省の考えをお尋ねいたします。

原政府参考人 まず、私の方から住所地特例の問題について御説明を申し上げます。

 御指摘のように、サービスつき高齢者向け住宅に他市町村からの入居が増加した場合には、介護保険の財政面への影響があることは否定できないわけであります。ただ、地域の消費の拡大でありますとか施設の職員の雇用、こういったものの増加というものにつながるというメリットも一方であることもまた事実でございます。

 御指摘の住所地特例でございますが、これは、高齢者を、入居後も引き続きそれまでその高齢者が住んでおられた市町村での介護保険の被保険者とするという措置でございますけれども、これについては、現在、サービスつき高齢者向け住宅についてはその措置の対象となっておりません。ただ、このサービスつき高齢者向け住宅が増加している自治体からは、この住所地特例を適用してほしい、こういう要望があることも承知しております。

 このような状況にございますので、サービスつき高齢者向け住宅に住所地特例を適用することについては、次期介護保険制度の見直しにおいて検討していく課題の一つであると認識をしているところでございます。

中根(康)分科員 そのほかにも質問を申し上げたとは思いますが、通告をしていなかったかもしれませんが、お願いします。

原政府参考人 サービスつき高齢者向け住宅の整備の問題でございますけれども、これについては国土交通省と共管ということでやらせていただいておりますが、高齢者住まい法で、都道府県が市町村と協議をした上で高齢者居住安定確保計画を策定し、サービスつき高齢者向け住宅の的確な供給を進めることができるという仕組みになっておりますので、厚生労働省としては、国土交通省とも十分連携をしまして、この仕組みについて活用を促していきたいと考えております。

中根(康)分科員 私の地元でも、例えば岡崎市のような中核市は、計画も中核市がつくる、そしてまた実際に介護保険サービスの提供も市が行う、これはある意味マッチしやすい。しかし、同じ選挙区の中にある西尾市というところは、これは人口十七万ぐらいなものですから、計画は県がつくって、介護保険サービスは西尾市が行う、ここでミスマッチが起こるかもしれない。

 こういったことにも配慮してもらいたいし、あるいは、これは要望にとどめておきますけれども、特に西尾なんかの場合は、どうもほかの周辺市町村に比べてこの住宅がふえている、それについては、悪質な地上げが行われているのではないかといううわさが結構実は出ているんですね。こういったことについても、補助金目当てで行われて、良質なサービスが結果的に行われるのであれば、それはそれでいいことなんですけれども、そうではない場合がこれから出てくるかもしれないということについては、ぜひきめ細かく注意を払っていただきたいというように思います。

 次に、いわゆる名浜道路でございますけれども、このことについてお尋ねをいたします。

 この名浜道路というものは、愛知県南部、三河湾に近いところに計画をされている。愛知県地方は、もう御案内のとおり、製造業も農業も漁業も盛んで、三河港や衣浦港が車の輸出基地になっております。人口も産業集積もあるいは物流も、あらゆる観点からこの名浜道路というものの早期建設というものが望まれております。

 さらに、近年では、南海トラフ大地震の発生時には、大きな津波もこの地域で心配されております。高台とかあるいは高い建物がほとんどないゼロメートル地帯が広がっているような地域でもございますので、これは防災対策としても、逃げ込む場所あるいは津波を食いとめる場所として必要性がさらに高まっております。

 地元としては、事業の早期の進捗というものを切望しているわけでありますが、国交省のお考えといいますか見通しをお聞かせいただければと思います。

坂井大臣政務官 東日本大震災におきましても、住民の避難場所や救援、救助活動、そして物資の輸送などにも高速道路ネットワークが大変大きな役割を果たした、また、防潮堤として副次的な効果も見られたところで、この大事な役割を再認識されていると思います。

 釜石の奇跡と言われた、子供たちが逃げたといったところも、最終的には道路にまで逃げてきて、ほっと一息つき、そこで救助を待つ、こういう形だったわけでございまして、まさしくその認識をいたしております。

 御指摘の名浜道路は、愛知県常滑市と蒲郡市を結ぶ約四十キロの地域高規格道路でありまして、委員御指摘のように、海抜ゼロメートル地帯という非常に災害に脆弱な地域も含んでおりますから、同路線は物流の効率化に資するとともに、災害時の輸送道路、輸送経路としても重要な路線であると認識をいたしております。

 現在、愛知県にて整備方針等の検討をしている、こういうことでございまして、国といたしましても、引き続き、愛知県が整備方針を決めていく、それに関しましての必要な支援をしてまいりたいと思っております。

中根(康)分科員 南海トラフ地震はいつ起きてもおかしくない、今にも起きるかもしれないということで、ここでこの地域が大津波に襲われれば、これは日本経済にとっても大きな打撃をこうむるということにもつながりかねない極めて重要な地域でございます。

 繰り返しになりますけれども、とかく愛知県の場合は製造業が、さっき麻生大臣もおっしゃっていただきましたけれども、車産業が盛んだというイメージがありますけれども、実は愛知県というのは大農業地帯でもあるわけでありまして、いろいろな日本一の農産品があるんですが、こういったものの供給がとまるということになれば、これは全国に相当大きな影響を及ぼすということになります。

 これは物流面や交通面ということだけではなく、むしろ防災面、何か津波避難タワーをあちこちにつくっても、これはピンポイントな話になってしまうわけでありまして、かといって、防潮堤、防波堤も、それだけをつくるということも、予算の確保あるいは景観の確保ということからいっても賛否両論あるわけであります。

 この名浜道路というもので物流と交通と防災とを一遍に行うということは、このことについては、もちろん、地権者の方というか、そういった方々にとってはさまざまな思いはあるんでしょうが、おおむねコンセンサスを得られる事業であるわけでありますので、これはぜひ国交省としても愛知県とよく協議をいただいて、その必要性を御認識いただいて、事業の推進にお取り組みをいただきたいと心からお願いを申し上げるところでございます。

 次に、この愛知県地方のど真ん中を南北に流れる、私どもにとっては母なる川という位置づけの一級河川矢作川についてお尋ねをしたいと思います。

 矢作川については、平成二十一年に策定をされた矢作川水系河川整備計画に基づいて、河道掘削や樹木伐採などによって流下能力の保持が行われるということが明記をされておりますが、これが三十年という長大な長期計画でありまして、もちろん、大きな川でありますので、長期的に、計画的に、段階的に整備を行っていくということはもっともな話ではございますが、既に、今現在、樹木が巨大化をしておりまして、ジャングルのような状態になっておりまして、また、中州の山は高く積もっているわけでございます。そのことによって漂流物がたまり、不法投棄の原因にもなっていると、地元から大変危機感を持った声が聞こえてくるわけでございます。

 いつ豪雨があるともわからない。この地方は、平成二十年八月末豪雨といいまして、今まさに、床上浸水対策事業が国交省の支援によって愛知県を中心に行われているわけでありますが、豪雨災害に対しては極めて繊細な思いを持った地域でございます。三十年という計画は、これは粛々と進めていただくとして、緊急性の高いところについては速やかに、いわゆる特出しのような形で河道掘削や樹木の伐採を実施していただきたい。これはまさに地元住民の切望、悲願であるわけでございますが、なかなかこれが実現されない。

 また、川の状態を監視するために、あるいは河川の利用度を高めるために、岡崎市内の美矢井橋から矢作橋の間の右岸に遊歩道の設置ということも要望されているわけでございますが、この樹木の伐採、河道掘削を、緊急性の高いものから長期計画とは別に速やかに実施していただきたいということと、遊歩道のことについて、国交省の考えをお聞かせいただきたいと思います。

坂井大臣政務官 矢作川に関しましては、国土保全上、国民経済上からも特に重要な一級河川の一つであると認識をいたしておりまして、委員御指摘のように、矢作川水系河川整備計画、これに沿ってしっかりと行っていく。この中には、御指摘いただきましたような樹木の伐採でありますとか河道掘削、そしてごみの不法投棄等々の項目もちゃんと書き込まれているものでございますので、それらの目的がしっかり果たせるように、そしてまた、委員御指摘のように現状をしっかり鑑みて、それに対応する形で維持管理を行っていきたいと思っております。

 また同様に、矢作橋と美矢井橋の間に遊歩道をということでございますが、一部区間が未整備の状況にあるということを聞いておりますので、これに関しましても関係機関と調整、連携をしてまいりたい、こう思っております。

 より詳細を事務方から説明させたいと思いますが、よろしいでしょうか。

山崎政府参考人 河川の整備や維持管理に当たりましては、先ほど政務官から説明がありました矢作川水系河川整備計画に沿いまして、河道断面が不足している区間について、流量を安全に流下させるための河道掘削を順次実施してきております。また、河道内の樹木の繁茂による河積の阻害などを防止するために、樹木伐採についても順次実施してきているところでございます。平成二十四年度の補正予算におきましても、岡崎市の美矢井橋上流域において河道掘削それから樹木伐採を実施してまいっております。

 不法投棄につきましては、日常の河川巡視などによりまして早期発見に努めるとともに、投棄者や所有者が特定できるものについては速やかに撤去処分を指導しております。不法投棄が集中して見られる場所には警告看板や監視カメラを設置し、監視体制の強化を図っております。

 それから、遊歩道の件についてお尋ねがありました。

 御指摘いただきました箇所につきましては、平成十一年度から平成十五年度にかけて、国が親水護岸や高水敷などの水辺整備を行いまして、岡崎市が高水敷の上に遊歩道を整備する、そういう役割分担で実施してきております。しかしながら、先ほど政務官からありましたように、遊歩道につきましては一部区間が未整備というふうな状況でございます。国土交通省としても、河川空間と町の空間の融合ということで良好な空間形成を図ってまいりたいというふうに考えておりますので、引き続き関係機関と調整、連携してまいりたいというふうに考えております。

中根(康)分科員 ありがとうございます。

 ということは、例えば今、実施する計画があるところは速やかにというか順調に行っていただきたいということでございますけれども、改めて地元から、ここも大変な状況だからやってほしいという御要望が出てきた場合には、例えば豊橋の河川事務所などに御相談をすれば、そして必要性があるということであれば、柔軟に御対応いただくということになると考えてよろしいでしょうか。これは通告していない質問で、追加の質問ですが、お答えいただければ。

山崎政府参考人 そのような状況があれば、御相談いただければ柔軟に対応してまいりたいというふうに考えております。

中根(康)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、また地元からの声についてはしっかりと届けさせていただきますので、その節にはどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、水産庁にもお越しをいただいております。

 これは、先ほど申し上げましたように、車だけではないということでございますが、愛知県南部地方、今は西尾市に合併をいたしましたけれども、一色町、一色のウナギということで、日本有数の、日本一と言ってもいいと思います、養鰻業のメッカであるわけでございますが、シラスウナギというもの、シラスが激減をして、日本のウナギ業者には今大変な打撃が与えられて、危機感を持たざるを得ないというような状況になっているのは御案内のとおりであります。

 ウナギというものは我が国の、日本人の大好きな食べ物でありまして、日本を代表する食文化であるわけでもございます。ウナギの生態を解明する、そのことによって養殖の技術を確立する、大量生産につなげる。

 また、昨年度は、緊急対策ということで養鰻業者に対する資金繰りの支援をおつくりいただいた、これは本当に関係者は大変歓迎をする、喜んでおるわけでございますが、ウナギのシラスが激減をしているということの状況は改善をされるどころか、さらに一層悪化をしているようなことでございまして、環境省から絶滅危惧種ということにも指定をされた。密漁とかいうようなことも絶えないというような、さまざまなウナギを取り巻く状況が不安要因ばかりでございます。

 ウナギ、シラスの激減対策、こういったものにさらに水産庁として力を込めて取り組んでいただきたいと思いますが、これからの見通しをお聞かせいただきたいと思います。

伊藤主査 時間が来ていますので、簡潔に御答弁をお願いいたします。

香川政府参考人 近年、シラスウナギの漁獲の低迷を背景としまして、シラスウナギそれから親ウナギの価格が高騰しているというのはそのとおりでございます。

 このため、農林水産省の方では、平成二十四年六月に公表いたしましたウナギ緊急事業に基づきまして、御指摘ありました養殖業者向けの金融支援、あるいは中国、台湾との資源管理協力、あるいは資源管理対策に向けた地域ごとの話し合いの促進といった対策を進めております。

 また、二十五年度予算案では、増殖のための放流、調査研究など、ウナギ資源の回復と安定供給のための予算を増額したところでございます。

 さらに、人工種苗を用いたウナギ養殖の実用化につきましては、シラスウナギの大量生産技術の開発を引き続き推進するために、昨年七月、水産総合研究センターにおいて、増養殖、資源、生態などの分野横断的なプロジェクトチームを立ち上げ、総合的に試験研究体制を強化したところでございます。

 今後とも、ウナギの安定供給に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

中根(康)分科員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

伊藤主査 これにて中根康浩君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)分科員 大臣、連日お疲れさまでございます。どうぞよろしくお願いします。

 まず、公務員宿舎の問題についてちょっとお尋ねをしていきたいと思います。

 平成二十三年の十二月一日に、公務員宿舎の削減計画というのを当時の安住大臣のもとで策定をし、総理に報告し、公表をされています。それ以降、当院の決算行政監視委員会も含めて、累次の決議をしながらその削減計画が進んできたと思いますけれども、この削減計画、一年半たった今、どのように実施状況がなっているのか、まず冒頭、お尋ねをしたいというふうに思います。

山口副大臣 お答えをいたします。

 一昨年、平成二十三年十二月に取りまとめられました国家公務員宿舎の削減計画におきまして、二十八年度末までに、国家公務員宿舎の戸数について、約二十一・八万戸から必要戸数の十六・三万戸まで五・六万戸程度の削減を行うというふうなことになっております。

 その後、各省とも調整を行いながら、具体的な廃止宿舎等について検討を行いまして、昨年十一月に、五・六万戸程度の削減のため、全国約一万住宅のうち約五千住宅を廃止することとして、廃止対象宿舎を公表させていただきました。

 現在、廃止対象となりました宿舎につきまして、順次、入居者の退去あるいは宿舎の廃止、さらには宿舎跡地の処分等を進めておるところでありまして、今後とも着実に宿舎削減の取り組みを進めてまいりたいということでございます。

後藤(斎)分科員 大臣、一方で、東日本大震災から二年がたちまして、昨年災害対策基本法の改正が一次の部分が行われ、きょうですか、二次の災害対策基本法の抜本改正が閣法として国会に提出されるというふうにもお聞きしています。

 そういう中で、私も内閣府にいたとき防災担当をやらせていただいたんですが、中央省庁業務継続計画の充実強化に向けた当面の取り組みというのが、多分、唯一公表されている資料だと思っているんですが、昨年の五月二十九日、局長級申し合わせという資料がございます。

 この前後に、いろいろな部分で、各省庁が、本当に人材が、大規模災害、特に東京だと首都直下、直下地震ということになると思うんですが、その際に、いろいろな統計をとった中で、発災後三時間から十二時間で参集できる人数はまず極めて限られているというふうな指摘と、発災後四十八時間後、二日たった後でも全職員のうち三割しか霞が関全体で集まれないというふうなことを実はまとめました。

 今、中央区、港区、千代田区という、この地域の主要な首都機能を維持している役所の部分で、今副大臣からのお話があったように、多分、特に高く売れるところは早く処分しちゃおうということも当時の時代背景であったのではないかなと。それは必ずしも否定するものではありませんけれども、当時の記憶ですと、中央区、千代田区、港区の中で、いわゆる危機管理要員の部分で、多分、千人強しか宿舎にお住まいになっていないという記憶があります。

 大臣、副大臣、後でお聞きをしますが、私たち、私も赤坂宿舎に住んでおりますが、少なくとも、どんな大規模な混乱があっても、宿舎が存在をすれば夜中であっても多分十五分くらいで歩いてこれるし、そういう議員が多いと思うんです。ただ、幾ら大臣、副大臣、政務官が集まれても、スタッフ、職員の方がきちっと大臣、副大臣をサポートする体制にないと、やはり絵に描いた餅になってしまいます。

 そういう意味で、私、個人的にというか、ぜひ大臣にお尋ねしたいのは、やはりそういう大規模災害が起こったときの参集要員というのは、本当に限られた内閣危機管理監や内閣府の防災担当の職員だけではなくて、それぞれの省庁にある程度決められた職員は対応するものの、その下というと失礼な言い方ですけれども、一般の職員の課長や課長補佐の人たちもきちっと集まれる体制にしないと、幾ら法のフレームを充実していってもだめだというのが、私は非常に強く思っています。

 また改めて総務大臣にもお聞きをしたいと思っているんですけれども、私も山梨ですけれども、例えば県庁に通勤する人というのは、市町村の職員よりもはるかにやはり広域性があって、霞が関の職員の方もみんなそうだと思うんです。

 そういうものを念頭に置きながら、国家公務員宿舎の削減計画というのは、もう一度大臣の目で見て、そしていろいろな職員の方の話も聞いて、霞が関総意の中で、本当に首都直下地震や大規模災害が起こったときに、土日も含めて、夜中も含め、どういう体制で職員確保を宿舎という部分も含めてしていくのかということがやはり私は非常に大切だと思うんですけれども、大臣、どのようにお考えになりますか。

麻生国務大臣 これは、非常時のときの緊急に参集させるための体制の構築というのは、物すごく重要なことだと思っております。

 大規模な地震というのは、東北でああいうことになりましたおかげで、これはいつの日か東京で起きた場合とか、いろいろなことを考えさせられることになったんだと思います。

 いずれにしても、国家公務員宿舎の削減計画というのは、平成二十三年度、十二月に公表されたところにおいても、これは宿舎の削減を今言われましたように二十一万八千戸から十六万三千戸に減らすということになっておりますけれども、他方、東京二十三区内の緊急に参集する要員が入居する宿舎というので、約八万三千戸は存在いたしておりますので、全国で約八万三千戸ありますので、緊急参集体制の構築のための必要な宿舎というのは、これは確保しておかぬと今先生言われたようなことになりかねぬということだと思っておりますので、私どもとしては、今後とも、全体の防災に関する議論も踏まえながら、この国家公務員宿舎の整備とかいうのは、何となく員数だけ、数だけ合わせておきゃいいというものじゃありませんからね、これは。

 だから、そういった意味では、その維持管理等々につきましては、そこに住んでいく人は、悪いけれども、高齢者が緊急に集まっても余り意味がないので、若くて生きのいいのを引き抜いてそこに集めておくぐらいのことまで考えぬと、現実問題としては実効性が上がらぬと思っております。

後藤(斎)分科員 大臣に御指摘をいただいたように、私も、例えば、新宿にたしか大久保住宅というのがあると思うんですけれども、多分、本当に首都直下が起きたときに、まず徒歩で歩くというのが大前提になりますから、その混乱の中で、通常一時間であっても、その二倍、三倍かかっていく。特に、若い人たちというのは、千葉や埼玉や神奈川の電車でも一時間以上かかるところに多分ほとんどお住まいになっているんです。

 ですから、そういうものも含めて、大臣、私はやはり、国会待機や予算の部分というのも別掲をして必要な類型というのを定めていて、これはこれで、ある一定の部分、正しいと思うんです、今でもそうだと思うんですけれども、やはりもう一度、これだけ法体系をいろいろな部分で整理し、新しい二年前の教訓を踏まえて、検証の結果やっていくということですね。

 フレームができても、仕組みができても、やはりそこにいる人材というものをきちっと確保しなければいけないと思いますので、ぜひそういう視点でもう一度、全面見直しをしろとは言いませんけれども、そういう視点で削減計画をもう一度大臣の目で確認いただきたいと思いますけれども、簡単で結構ですから、大臣の御見解をお願いします。

麻生国務大臣 検討させていただきます。

後藤(斎)分科員 次に、この国家公務員の宿舎の使用料についてお尋ねをします。

 昨年、公務員の人件費を復興の財源に充てるということで、平均七・八%削減をされました。それが来年の三月三十一日までの緊急措置ということで、その部分が、その期間が終わったら大きくまた値上がりをするというお話をお伺いしました。

 まず、この国家公務員の宿舎の使用料の算定というものがどのようになっているのか、さらに、まとめて、今後どのような形で引き上げがされていくのか、その見通しも含めて、あわせてお尋ねをしたいというふうに思います。

山口副大臣 お答えをさせていただきます。

 国家公務員宿舎の使用料につきましては、国家公務員宿舎法第十五条におきまして、標準的な建設費用の償却額、修繕費、地代及び火災保険料に相当する金額を基礎として、かつ、同項に定める宿舎の明け渡しに関する条件その他の事情を考慮して決定というふうなことになっております。

 また、平成二十三年十二月の国家公務員宿舎の削減計画、先ほどお答えをしたわけでありますが、「厳しい財政状況等を踏まえ、宿舎の建設、維持管理等に係る歳出に概ね見合う歳入を得る水準まで引上げを行う。」というふうなことにされております。

 これを踏まえまして、宿舎の建設、維持管理等に係る費用を勘案して宿舎使用料を試算いたしました。全体として、宿舎使用料を、段階的にではありますが、おおむね二倍弱引き上げるというふうな方針を昨年十一月に公表いたしておるところでございます。

 同時に、もう一点お尋ねがございました、この国家公務員宿舎の使用料の引き上げについての見通しということでありますが、この使用料につきましては、先ほど申し上げました、宿舎の建設、維持管理等に係る歳出におおむね見合う歳入を得られるようというふうなことで、二倍弱というふうなことでありますが、この宿舎使用料の引き上げにつきましては、国家公務員給与の減額支給終了後の平成二十六年の四月から、二年ごとに三段階で引き上げを実施することといたしておりまして、今後、準備を進めていきたいというふうなところでございます。

後藤(斎)分科員 段階的であっても二倍くらいになってしまうということは、やはり今の、麻生大臣もその主要なメンバーとして、デフレ脱却ということと日本経済を強くするということの趣旨について私は全く異論はないんですが、やはり今の公務員の皆さん方の環境を見ると、遠くて安い宿舎と近くて高い宿舎、いろいろなバリエーションはあるにしても、やはりきちっとした給与に見合った部分、要するに、いわゆる修繕費、いろいろなこの法律の根拠というのは副大臣が御指摘いただいたようにあるものの、やはり給与に見合った部分というものは、宿舎の使用料というものを考えるときに必要だと私は思うんです。

 その点について、副大臣、確かに法律はそういう根拠が、平米当たり何百円みたいなものも細かく本当にあって、私も初めて知りましたけれども、ここまできちきちにする必要が、税金を使うからあるといえばあるんですけれども、もう少しやはり公務員の皆さん方の給与実態にきちっと見合ったような形で、一挙じゃないけれども、徐々にだけれども倍にするよという宣言というのは何か酷だなというふうに国民というか人間として思うんですけれども、副大臣、どういうふうにお考えになりますか。

山口副大臣 実は、私もそういうふうな問題点は問題意識としては持っておりますが、これは、平成二十三年の十二月ということで、前政権下のさまざまな、いろいろな問題点の整理の中で出てきた話でもございまして、公務員の給与の引き下げ等もありますので、そこら辺はまた慎重に検討していく必要があるんだろうと思っております。

後藤(斎)分科員 私も、個人として、本当に人間として、安住大臣のもとでやったというのは私もよく承知をしておるんですが、やはり公務員の皆さん方の生活環境というか勤務環境も含めて、そこは、よくやる手として、期間を少し先延ばしを、緩やかにするとか、いろいろな手法があると私は思うんです。

 公務員は、基本的には争議権とかそういうのはありませんけれども、公務員は公務員としていろいろな御意見がそれぞれ個人としてあるものを、職責で働かれている方、大臣の後ろ、副大臣の後ろの秘書官の皆さんもそうですけれども、腹で思ってもなかなか口頭で言えないというのが大人の世界でもあるんですが、やはり公務員の皆さん方の立場に立った部分も私は配慮の部分としてあってしかるべきですし、特に先ほど大臣にもお尋ねをしたように、緊急時の対応をどうするかというときに、首都に近い、中心に近いところは多分非常に上がり幅が多い。特に十数万円、十五万円くらいになってしまうということもお聞きをしていますので、それはちょっと酷だよなというのも私あるので、今、慎重にという部分もありましたけれども、きちっとした検討や、また若い公務員の皆さん方からもぜひ意見を聞きながら対応していっていただきたいというふうに思います。

 続いて、衆議院の事務次長、いらっしゃいますね。赤坂宿舎も同じように、青山宿舎も上がるような話を聞いています。衆議院の宿舎の使用料というものはどのように決められているのか、まずお尋ねをしたいというふうに思います。

向大野事務次長 お答えさせていただきます。

 議員宿舎の使用料は、国家公務員宿舎の使用料に準じて算定した額に五%を加算するという形で決めさせていただいております。

後藤(斎)分科員 誰がどこで、法律か何かあるんですか。ちょっとそこの根拠、誰が決めているのか、どのような仕組みで決めているのか、それを教えてください。

向大野事務次長 お答えさせていただきます。

 現在では、国家公務員宿舎の使用料が改定された折に、議院運営委員会で御決定いただいている。これにつきましては、特に根拠というのはございません。

 以上です。

後藤(斎)分科員 次長、赤坂宿舎は、私の記憶が正しければPFI方式でやられたということだと思います。少なくとも、国家公務員の宿舎に準拠するというのは考え方としてわかるんですが、なぜPFIという単体でやった部分で、総合的にもうその使用料が決められていたはずなのに、そこで上下をするというのは、よっぽどの事情変更がない限りは何か変だなというふうに思うんですけれども、その点についてはいかがですか。

向大野事務次長 PFIにつきましては、恐らく国家公務員宿舎という形では一番最初だったんだと思うんですね。

 当然でしたら、民間から利益を得て、それを反映させるという形だったんですが、恐らく最初のパイロットケースだったので、そのあたりはそういう形ではなく、やはり国家公務員、御存じのとおり、あそこは非常に地価が高いところですので、余りそれを反映させていくと高いというのもあったんじゃないか。このあたりの経緯につきましては、もう私ども、ちょっとよくわからないんですけれども。

後藤(斎)分科員 赤坂宿舎は国の所有地だと思うんです。ですから、国の部分ですから、そこは地価云々というのは、当然そういう議論が、古い宿舎から建てかえるとき、また入居するときに、いろいろな御指摘がメディアの皆さんからもありましたけれども、そこは明確に違うということで、私も今、赤坂宿舎に入居させてもらっていますけれども、そこの根拠は、いや、議運で決めたからそれでいいやということではなくて、やはり何らかのきちっとした根拠と、そしてその準拠、先ほど山口副大臣がおっしゃられたように、これから二倍くらいになっていくというふうな中で、これからきちっとした根拠を持つ、議運で決めたからそれでいいやということも一つの理屈かもしれませんけれども、PFIのあり方も含めて、もっときちっと事務局的にも検討すべきだと私は思うんですよ。

 その点について、次長、いかがですか。

向大野事務次長 お答えさせていただきます。

 今の先生の御提案をいただいて、庶務小の方で検討させていただくという形になろうかと思います。

 特に、改定時期になりますと、恐らく額が大きくなりますので、そのときにやはりもう一度議運で、果たしてそういう形でいいのかという形になっていこうかと思います。

 ですから、そのあたりで一回御検討をさせていただくということになろうかと思います。

後藤(斎)分科員 次長、ちなみに、先ほど山口副大臣がおっしゃられた、倍近くという、国家公務員に準拠プラス五%をやるとき、赤坂宿舎はどの程度上がるんですか。

向大野事務次長 東京二十三区で国家公務員の宿舎が十四万七千円に上がるという形になりますので、これの五%掛けですから、約十五万程度と。現在が八万四千円ですか。それぐらい上がるという形になろうかと思います。

後藤(斎)分科員 先ほど、少なくとも国家公務員の皆さんは段階的にということも当然あるので、議運の庶務小でということは、後で私も戻って我が党の議運の方にも話をしておきますけれども、やはりもう少し丁寧にやらないと、多分ほとんどの議員の方はそんなことは知らないと思うんです。多分そうだったと思うんですけれども。

 どんな形かは別としても、やはりきちっと周知をして知らしめるということでないと、いろいろなことを考えて対応を、それだったら、ではマンションを買おうかな、そうすれば景気はよくなるでしょうし。まあ、そんなお金はありませんけれども。

 いずれにしても、やはりきちっとした議論をして、そして、この国家公務員の宿舎の使用料の算定基礎が法律にも書いてありますけれども、目安はありますけれども、こういうものの基準で、今のPFI方式でやったものが正しいのかどうかということもきちっと事務局の中で詰めて、庶務小できちっと時間をかけて検討をさせないと、来年の四月一日から、一週間前に、倍になります、十六万近くになりますといっても、みんなちょっと腰を抜かしてしまうと思うので、あえてきょう取り上げさせてもらったんです。

 事務総長は、きょう、今、議運の理事会で来られないということですが、ぜひ、それは事務総長ともよく事務局の中で相談をして、きちっと議運の庶務小の中に提案をしていただきたいと思いますけれども、もう一度確認をします。

向大野事務次長 今おっしゃったようにやらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

後藤(斎)分科員 大臣、済みません、最後の項目について。

 今、TPP、アメリカと基本的な合意ができたということで、幾つかの分野、特に農業分野や保険の分野、自動車の分野も含めて非常に際立っているんですが、税理士の皆さん方はむしろ、今、税理士法の改正ということで、弁護士や公認会計士の皆さん方が、税理士法の三条の規定ですと資格がすぐ付与できるというものから、外国人弁護士や外国人公認会計士の方が資格の相互乗り入れをされると非常に困ってしまうというふうなことが言われています。

 これは副大臣でもちろん結構なんですが、TPPの交渉が本格的に六月か七月からされて、年内なのか、年をずれるのかは別としても、そうなったとき、情報というのが非常に錯綜していて、非常に心配する声と、いやいや、そんなのは、士の相互乗り入れなんてありませんよということが言われているんですが、その点について、今どのような状況になっているんでしょうか。

山口副大臣 今、TPPの、日米でとりあえず交渉中でありますが、その件について、これは税理士法上、日本の弁護士、公認会計士につきましては、「税理士となる資格を有する。」というふうになっておりますが、このTPP交渉に関連をして、外国の弁護士、公認会計士の資格を有する者が自動的に日本の弁護士、公認会計士となれば、結果的に日本で税理士業務ができるのではないかというふうな御懸念は、各方面からいただいております。

 他方、TPP交渉におきまして、本件について議論をなされておるというふうなことは、私どもとしては承知をしておりません。現時点で、今御指摘いただいたような問題があるとは実は考えておらないところでございます。

 いずれにしても、しっかりと今後の経緯を見守りたいというふうに思っております。

後藤(斎)分科員 大臣、そういう中でも、税理士の方々から見れば、今の税理士法の第三条の改正というのは、かなり長い期間、弁護士や公認会計士とが資格を取ったらすぐ税理士の試験合格者と同じようなスタンスだというのはおかしいと。おかしいかどうかというのはいろいろな議論があるのであえて触れませんけれども、特に税理士の皆さん方から見れば、副大臣にお答えをいただいたように、今はそうなっていなくても、まだ、議事録というか今まで合意したものの開示というのも当然されていないわけですから、それらしいことが六月か七月以降、何千ページというものが開示をされたときに、そのときには、判断しろというよりも、そういうことも含めて、山口副大臣、やはり検討はしておくべきだと思うんです。

 国内の中で、私もよく知らなかったんですけれども、税理士の資格は、世界的に見ても、ドイツが発祥で、日本、韓国、台湾と本当に限られた国しか税理士という資格を法律で担保しながらお仕事をされているというのはない。ほかの国ではないということもこれあり、いろいろな相互乗り入れが、では税理士の資格を取ったら弁護士もできるかというと、そうではないわけなので、何かその辺は一定の整理というものが、それぞれ主管官庁が違いますけれども、公認会計士は麻生大臣も金融担当で同一でありますけれども、いろいろな整理というものを、これだけ士というのが国家試験も含めてたくさん出ている中で、やはり考えていかなければいけない視点だなというふうに思っています。

 税理士の皆さん方から、税理士法の改正をしてくれということも含めて、大臣、この税理士の問題というのは、供給過剰であるかどうかというのは見方によって違いますけれども、どのようにこの士の問題というものを考えていくべきなのかというのを、今後の大臣が検討するに当たっての御見解をお尋ねしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 これは先生、税理士、弁理士、弁護士、ほかに調理師もありますから、実にいろいろな士がついているのがあるので、最近は運転士とも言うし、なかなかこの士のつけ方というのに関しては、昔からいろいろ御議論があるところなんです。

 今、税理士の話をされました。これは簡単に言えば、ドイツとか日本とか韓国とか言われましたけれども、もう気がついておられると思いますが、これは大体さきの戦争で負けた方が税なんですよね。勝った方がみんな公認会計士。

 これは何でそうなったかといえば、向こうは資産があって、おい、会社をやるので、後藤、俺に出資しろとアメリカとかイギリスとかフランスは言うんですよ。ところが、ドイツとか日本とか、こっちは、余り金がない方は、おい、後藤、俺は会社をやるから金を貸せと言うんですよ。これは全く違った発想で、資本がある方とない方のスタートなんですけれども、これが結果として、日本とかドイツの方には税理士が発達し、あちら側には公認会計士が発達したということの違いだけでこうなったんだと思います。

 いずれにしても、税理士というのは、御記憶のように、金さえ借りておく分には、金利さえ払えばずっと会社は赤字でもいいと。公認会計士は、ちょっと待て、おまえ、黒字じゃないかというのを言う立場が公認会計士ですから。そうすると、公認会計士の立場から見れば、貸した金とか投資した金が返ってくるのは配当しかありませんので、そこらのところで多分生い立ちが違って、形として、税理士が強くなった国と公認会計士が強くなった国、違いが生まれたんだとは思いますけれども、だからといって、これは一緒の資格でいいじゃないかという、そんな簡単にはいかぬのじゃないか、その背景、生い立ちが違っている、私は基本的にそう思っております。

 いずれにしても、これは、今後、TPPというものの中で問題になってくるところだとは思いますけれども、日本で税理士の相手をするのは国税庁ですから、アメリカが来ようと何が来ようと、それは国税庁が対応することは間違いありませんので、その意味ではさしたる影響はないだろうなとは思いますよ。思いますけれども、一応、今言われたように、何となくそうしたことを頭に入れておかないといかぬという御指摘は正しいと存じます。

後藤(斎)分科員 時間が来たので、これで終わります。大臣、どうぞよろしく御検討をお願いします。

伊藤主査 これにて後藤斎君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして財務省所管についての質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十五日月曜日午前九時三十分より開会し、法務省及び外務省所管についての審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十七分散会


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