衆議院

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第1号 平成13年3月1日(木曜日)

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本分科会は平成十三年二月二十六日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

三月一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      奥野 誠亮君    田中眞紀子君

      細田 博之君    池田 元久君

      城島 正光君    山口 富男君

三月一日

 細田博之君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十三年三月一日(木曜日)

    午後一時開議

 出席分科員

   主査 細田 博之君

      奥野 誠亮君    田中眞紀子君

      石毛えい子君    大谷 信盛君

      大畠 章宏君    城島 正光君

      田中 慶秋君    中山 義活君

      松本 剛明君    山口 富男君

      吉井 英勝君

   兼務 後藤田正純君 兼務 森岡 正宏君

   兼務 井上 和雄君 兼務 大島  敦君

   兼務 楢崎 欣弥君 兼務 田端 正広君

   兼務 石井 郁子君

    …………………………………

   文部科学大臣       町村 信孝君

   文部科学副大臣      大野 功統君

   文部科学副大臣      河村 建夫君

   政府参考人

   (警察庁刑事局暴力団対策

   部暴力団対策第一課長)  小野 次郎君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策

   局長)          近藤 信司君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育

   局長)          矢野 重典君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学

   術政策局長)       大熊 健司君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長

   )            遠藤 昭雄君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長

   )            今村  努君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青

   少年局長)        遠藤純一郎君

   政府参考人

   (文化庁次長)      銭谷 眞美君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局施設課

   長)           山下 廣行君

   文部科学委員会専門員   高橋 徳光君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  池田 元久君     石毛えい子君

  城島 正光君     中山 義活君

  山口 富男君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  石毛えい子君     松本 剛明君

  中山 義活君     大畠 章宏君

  赤嶺 政賢君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  大畠 章宏君     田中 慶秋君

  松本 剛明君     池田 元久君

  塩川 鉄也君     瀬古由起子君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 慶秋君     大谷 信盛君

  瀬古由起子君     中林よし子君

同日

 辞任         補欠選任

  大谷 信盛君     城島 正光君

  中林よし子君     小沢 和秋君

同日

 辞任         補欠選任

  小沢 和秋君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  吉井 英勝君     児玉 健次君

同日

 辞任         補欠選任

  児玉 健次君     山口 富男君

同日

 第二分科員後藤田正純君、井上和雄君、大島敦君、第五分科員田端正広君、第六分科員楢崎欣弥君、石井郁子君及び第八分科員森岡正宏君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十三年度一般会計予算

 平成十三年度特別会計予算

 平成十三年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)




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     ――――◇―――――

細田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました細田博之でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うこととなっております。

 なお、所管事項の説明は、審査の冒頭に聴取いたします。

 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算及び平成十三年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。町村文部科学大臣。

町村国務大臣 平成十三年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 二十一世紀の幕あけを迎えた今日、地球規模での社会変動が展開される中で、我が国が今後とも豊かで活力に富む国家として発展していくためには、我が国の発展基盤となる創造的な人材の育成や世界最高水準の研究成果の確保を目指した科学技術・学術の振興などを重点的に推進していくことが不可欠であります。

 このため、平成十三年度予算の編成に当たりましては、厳しい財政状況のもとではありますが、基礎、基本の確実な習得や生きる力をはぐくむことを目指した教育改革の推進、二十一世紀の我が国を担う人材の育成、科学技術創造立国の実現を目指した科学技術・学術の振興、ゆとりある文化・スポーツの振興など、大きな時代の変化に柔軟かつ的確に対応する施策を積極的に推進することができる予算の確保に努めるとともに、省庁統合を踏まえた融合、連携施策の展開を図ったところであります。

 文部科学省所管の一般会計予算額は六兆五千七百八十三億九千四百万円、国立学校特別会計予算額は二兆七千四百二十七億七千二百万円、電源開発促進対策特別会計予算額は一千五百十億五千三百万円となっております。

 以上、何とぞよろしく御審議くださいますようお願いを申し上げます。

 なお、これらの具体の内容につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれまして、会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

 どうもありがとうございました。

細田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申し出がありました文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

細田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

細田主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

細田主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石毛えい子君。

石毛分科員 民主党の石毛えい子でございます。

 本日は、日ごろ所属をしております委員会とは違った文部科学の分科会で質問をさせていただきますことを、ありがたく思います。

 私は、きょうは、「二十一世紀の特殊教育の在り方について (最終報告)」と題しまして、ことし一月十五日に、二十一世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議から報告書が出されております、主として、この内容をめぐりまして質問をいたしたいと存じます。

 国際的に、障害を持つ子の教育の動向も変化をしてきている、こういう時代が続いておりますし、それからまた、私たちのこの国の二十一世紀の障害を持つ子供の教育のあり方をどのような方向に定めていくかという意味でも、この最終報告は大変重要な意味を持っているかと思います。具体的な作業の段階は、今この報告書に基づいて検討している過程であるとは存じますけれども、でき得る限り内容に触れながらお答えをいただければというふうに要望を申し上げます。

 この報告の中身に入ります前に、まず最初にお尋ねしたいと思いますけれども、現時点で、普通学校の普通学級に入学している障害を持っている児童生徒数、どのぐらいの人数に上っておりますでしょうか、それをお教えください。

矢野政府参考人 現在、通常の学級に在籍しております言語障害、情緒障害あるいは弱視、難聴等の軽度の障害のある児童生徒につきましては、ほとんどの授業を通常の学級で受けながら、障害の状態に応じた特別の指導を特別の場において行います通級による指導が行われているところでございまして、通級による指導の対象となっておる小中学校の児童生徒は、平成十二年度に約二万八千人でございます。

 また、保護者が子供を自宅近くの学校に通わせたいという強い要望があることなどによりまして、盲・聾・養護学校に就学すべき障害の程度の児童生徒を市町村教育委員会の判断で小中学校に受け入れている場合があるわけでございますけれども、国としては、その具体的な数は把握しておりません。

石毛分科員 ただいまの御答弁で確認をさせていただきたいと存じます。

 この報告書の最後の方にデータが紹介されております。そのデータの五十九ページの下の方の表ですけれども、「参考」といたしまして、「義務教育段階における特殊教育を受けている児童生徒の就学状況」ということで、真ん中ぐらいの仕切りのところに、「通常学級(通級による指導)」〇・二二%という数字が記載されてございます。

 ただいま、言葉ですとかあるいは視力等々に障害をお持ちのお子さんで通級によって特別の指導を受けている子供さん二・八万人というふうにお答えいただきましたけれども、この表の〇・二二%に該当するお子さんという理解でよろしいのでしょうか。

矢野政府参考人 そのとおりでございます。

石毛分科員 それではもう一点、今の御答弁に関してです。

 後半の御答弁で、文部省の基準で判断すれば盲・聾・養護学校に入学すべき子供さんで地域の普通学校、普通学級に行っている人数はわからないというふうにお答えいただきましたけれども、お入りになっている子供さんがスタートを切られたのは、それこそ十数年前から現実として入学なさっていらっしゃるわけですけれども、お調べになったという経緯は全くございませんのでしょうか。トータルとして、全体的なデータとしてはまだ持っていないけれども、事実の把握あるいは実例の把握という意味では、文部省としても、今まで把握をされていらっしゃる、そういう経緯はございませんでしょうか。

矢野政府参考人 ある県における事情を把握する必要があるという観点から、そういう特別の必要がある状況の中で、幾つかの県についての状況を把握したことはございますけれども、それはある特定の必要があってのことでございます。全国的な実態という意味では、調査したことはございません。

石毛分科員 それでは、質問の角度を変えさせていただきます。

 まず最初に教えていただきたいと思いますが、ただいま、例えば車いす御利用のお子さんが地域の普通学校、普通学級に入る場合に、段差をなくすとか場合によってはエレベーターをつけるとか、そういう設備、建物の改善が、これは奨励補助だと思いますけれども、施策化されていると思いますけれども、その事実はそういう確認でよろしいでしょうか。

矢野政府参考人 障害のある児童生徒を小中学校に受け入れるに当たりましては、各学校の設置者は実情に応じて必要な施設の整備を進めているところでございまして、公立の小中学校につきましては施設の大規模改造事業というのがございますけれども、その大規模改造事業を行う際に、先ほどお話がございましたエレベーター、スロープあるいは障害者トイレ等を国庫補助の対象としているところでございまして、平成十三年度予算案について見ますと、これらの整備を図りますための大規模改造事業予算といたしまして約百十四億円を計上いたしているところでございまして、先ほど御指摘のような経費につきましてはその中で整備できるようにしているところでございます。

石毛分科員 その百十四億円という予算規模は、学校数に直しますと、おおよそ何校ぐらいというふうに想定をされておられる予算規模でございましょうか。

矢野政府参考人 これは学校数ということではなくて事業量でございますので、事業費によっては千差万別でございますので、それを学校数にカウントしてという形で計上しているものではございません。

石毛分科員 そういたしますと、事業量という形では、例えばエレベーターの設置を何基分見込むとか、そういうふうに事業量は個別の種目別にございますんでしょうか。

矢野政府参考人 これは、今申し上げましたように、大規模改造事業としての予算の計上でございますので、エレベーターあるいはスロープを何基というふうな積算ではないわけでございます。その大規模改造事業の中で、各県あるいは各自治体の事業の計画があればそれに応じて予算を配分できる仕組みでございますので、積算としてエレベーター何基あるいはスロープ何基というふうな積算にはなっておりません。

石毛分科員 それでは、後ほどその予算の内訳をお教えいただくことにいたしまして、もう一点、この件に関しまして関連の質問でございますけれども、今養護学校等ではなくて地域の普通学校、普通学級に介助が必要なお子さんが入られる場合に、介助者、何といいますかしら、この呼び方はいろいろあると思います、自治体によって違っているところもあると思いますけれども、介助者の方は全国的に何人ぐらい今入っているという実態はお調べでいらっしゃいますでしょうか。あるいは、介助者がついているということにつきまして、文部省としてどのような御認識をお持ちでしょうか。

矢野政府参考人 障害のございます子供に対する教育につきましては、その可能性を最大限に伸ばし、自立し、社会参加するために必要な力を培うために、障害の種類と程度に応じ、盲・聾・養護学校や特殊学級等において、特別な配慮のもとにより手厚くきめ細かな教育を行う必要があるわけでございます。

 そこで、御指摘の介助を必要とする障害の重い児童生徒につきましては、基本的には盲・聾・養護学校におきまして教育を行うことが適切であり、このため、これらの学校には介助員が配置され、そのための経費が地方交付税で措置されているところでございまして、一般の小中学校に介助員を配置するための財政措置は現在講じられていないところでございます。

 そういう意味で、現在、一部の小中学校におきまして、介助を必要とする児童生徒が現に在籍し、学校の設置者である教育委員会の判断で介助員の配置等が行われていることは私どもも承知しているわけでございますけれども、その人数等につきましては、これはまさにそういうさまざまな地域の事情の中で教育委員会の判断で配置されているものでございますので、そういう意味の中で、私どもとしてはその人数等については把握をいたしていないところでございます。

石毛分科員 私は、これから質問をさせていただきます障害の程度に関する基準ですとか、就学手続の見直しの方向をどのように定めていくかということと関連いたしまして、文部省といたしましては、今現実に障害を持つお子さんが地域の学校でどのように介助者が入って教育を受けている実情があるかという、その事実は把握をされておられるものと考えておりましたけれども、そうではないというお答えでした。私はでも把握をされておられるのではないかというふうに思っているのですけれども、これは私がそう思っているということなのかもしれません。けれども、これから御質問申し上げます内容にかかわれば、当然把握をされていてしかるべきだというふうに私は考えます。

 そこで、次の質問ですけれども、この最終報告の中では十三ページに、「障害の程度に関する基準及び就学手続きの見直しについて」という項がございます。ここに、先ほど来何度も御答弁の中で触れられておりました、盲・聾・養護学校に就学すべき子供さんであるか、そうではない子供さんであるかということを判断する基準といたしまして、これまで学校教育法施行令第二十二条の三が機能してきたことは周知の制度的な事実でございますけれども、ここに「見直すこと。」という文章がございます。

 つまり、学校教育法施行令第二十二条の三は見直すことというふうにこの報告書で方向性が出されているわけですけれども、この点につきまして、どのような方向で見直すという御論議が今なされているかということをお尋ねしたいと思います。

矢野政府参考人 委員御指摘の、二十一世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議の最終報告では、就学基準や就学手続についての見直しが提言されているところでございます。

 そこで、その具体的な内容でございますが、一つには、盲・聾・養護学校に就学すべき児童生徒の就学基準や手続につきましては、医学、科学技術の進歩等を踏まえまして、盲・聾・養護学校に就学すべき児童生徒の障害の程度に関する基準、これを見直すことでございます。

 また、市町村教育委員会が学校の施設の状況や保護者の意見等を総合的に判断して、小中学校において適切な教育を行うことができる特別な場合には、小中学校に就学できるよう、そういった観点で就学手続を見直すことがその二つでございます。

 後者の内容について少し申し上げますれば、小中学校において適切に教育を行うことができる合理的な理由があると考えられるそうした特別な場合につきましては、例えば車いすを利用する児童生徒がエレベーター、スロープが整備されている学校に就学するといったような場合、あるいはコンピューター等を活用して意思表示が可能な児童生徒がそのような情報機器を整備している学校に就学する場合等が考えられるわけでございます。

 また、もう一つの見直しのポイントは、特殊学級において教育すべき児童生徒や通常の学級において留意して教育すべき児童生徒の取り扱いの基準につきましては、昭和五十三年の文部省初中局長通達において定められていたわけでございますが、先般国の機関委任事務が廃止されましたことから、これは失効をいたしているわけでございます。このため、国として、全国的に一定の教育水準を維持する、そういう観点に立ちまして、その対象範囲について法令に規定すること等について、より明確にする必要があるわけでございます。そういう意味での見直しを行う必要がございます。

 文部科学省といたしましては、現在、教育委員会や学校、あるいは特殊教育関係者の意見を聞きながら、先ほど申し上げました、障害種別にどのような基準とすべきかということ、また小中学校において適切な教育を行うことができる特別な場合の内容はどうであるかといったようなことについて検討を進めているところでございまして、こうした検討を踏まえて、就学に関する必要な制度の見直し及び施策の改善充実を図ってまいりたい、かように考えているところでございます。

石毛分科員 今の局長の御答弁は、ここに書かれていることとほとんど変わらない御答弁で、私は、これは一月に出ているわけでございますから、これを踏まえて現段階でどの程度まで議論が進んでいるのかをきょうはお尋ねしたいというふうに質問をいたしました。

 そこで、今の御答弁につきまして少し具体的にお尋ねしたいと思いますけれども、学校教育法施行令第二十二条の三といいますのは、私が申し上げるまでもありませんが、別表がついておりまして、盲者につきましては、「両眼の視力が〇・一未満のもの」等々という、まさに基準というようなものがおおよそ数値ではかられるようなスケールで示されております。

 こういう基準の立て方というのは、もう少し、意味論的にと言ったらいいんでしょうか、例えば、車いすを利用して移動が円滑にできればとか、視力を出すために補助具を使えるとか、あるいは、知的に理解力が弱い方でもサポーターがつけば理解ができるというような、そうした介助のあり方もサポートの仕方の一つだというふうに私は考えるわけでございますけれども、数値的なスケールで物事を決めてしまうのと、意味といいましょうか、目的に沿って、どういう中身であったらいいかというその基準の立て方とは違うと思いますけれども、どんなような議論が今されておりますかというその一点を教えていただきたいということ。

 もう一つ、今の御答弁に関しまして、私は気になったのですが、全国的な水準を保つために対象範囲をより明確にする必要があるというふうにおっしゃいましたけれども、このより明確にする必要ということの中身はどんなことを含意されているのでありましょうかということ。

 それともう一点、これに関連しまして、最後の質問は実務的な話でございますけれども、新しい政令を今の第二十二条の三とは違ってつくり直すというふうに理解をしてよろしいのでしょうか。以上三点、御答弁をお願いいたします。

矢野政府参考人 先ほど申し上げてございますように、基準の見直しを進めているわけでございますが、その見直しの趣旨は最終報告に示されているわけでございまして、大変恐縮でございますが、申し上げますと、国において「医学、科学技術の進歩等を踏まえ、」……(石毛分科員「そこは先ほどいただきましたので」と呼ぶ)はい、わかりました。そういう趣旨を踏まえて検討を進めているところでございまして、現段階でその基準の見直しのあり方でございますが、基本的には、現行の基準をベースにしながら、今申し上げたような実態に合致するような観点で見直しを進めているということでございますが、率直に申し上げて、具体的にその辺どう見直しの中身を決めるかということについては現在まだ検討中でございます。

 それから、政令でやるのかどうかというお話でございますけれども、私どもとしては、今後、関係者の意見を聞きながら、基本的には、現在ございます政令改正など必要な制度の見直しを図るという形での改正を考えているところでございます。

 それから、三点目は……(石毛分科員「より明確にする必要ということの中身」と呼ぶ)失礼しました。特殊学級、それから普通学級のあり方についてでございますけれども、特殊学級、それから通常の学級に通学するという場合の基準でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、機関委任事務が廃止されたことによりまして通達が失効されました。そういう中で、その対象範囲について、その辺の線引きがより客観的になるように、そういう観点での見直しを進めたいということでございます。

石毛分科員 客観的という表現が何を意味しているのか大変問題だというふうに私は思います。教育における客観性というのは、社会性を含意しておっしゃられているのかどうか、この辺は論議のあるところだと思いますが、時間もございませんので、また改めて機会を別の場にいただきたいと思います。

 文部大臣、最後にお尋ねしたいと思いますけれども、サラマンカ宣言をお目通しいただいておりますでしょうか。教育に関しまして、ユネスコの会議でサラマンカ宣言が、一九九四年でしたでしょうか、出されておりまして、この宣言は、特別な教育ニーズを有する人々は、そのニーズに見合った教育を行えるように子供中心の普通学校にアクセスしなければならない、そういう趣旨の宣言でございますし、そうしたことを称してインクルーシブな教育、インクルーシブな学校というその方向性が国際的に目指されているようになっております。

 今大臣お目通しいただいていますこの資料にもほんの少し触れられておりますけれども、私は、教育の点でも国際化というような観点は非常に重要だというふうに思っておりますし、今の日本の文部教育における障害を持つ子の教育というのは、分離教育から脱するということの方向性をなかなか明らかにしていないというふうに私は思っているわけでございます。

 大臣、このサラマンカ宣言、普通学校へのアクセスということに関しましてどのような御感想をお持ちでいらっしゃいますでしょうか、一言お伺いしたいと思います。

町村国務大臣 できるだけ可能な限り通常の学級で教育を受ける、そうした国際的な流れがある。また同時に、児童生徒の障害の状況に応じて、特別な学校、学級における指導を行うということで、私は、今日本でやっていること、今特にこれからやろうとしておることが国際的な流れとそんなに違っているとも思っておりません。また、障害のある子供たちと障害のない子供たちが大いに交流を図っていくということも、大変お互いによく理解をするという意味で重要なことなんだろう、こう思っております。

 ただ、いずれにしても、先ほど委員お触れいただいております、ことしの一月に出されました最終報告を踏まえまして、必要な制度の見直しとか、施策の充実でありますとか、一月に出たばかりですから、私どももその後の検討が御報告できるほどまだ十分に煮詰まっておりませんけれども、いずれにしても、一人一人の特別なニーズに対応した教育的施策の充実には努めていく必要がある、かように考えております。

石毛分科員 障害を持つ子供さんの教育のあり方につきましては、国民教育会議ですか、その報告書の中にも触れられていなかったというふうに私は了解をしております。そして、この報告書につきましてもなかなか大きな議論に至っていないのではないか。そしてまた、やはり国際的に、コミュニティーという観点からインクルーシブな教育を推進する、その中で特別な子供に対してどういうサポートをとるかという、その基本的な骨格が今大きな流れになってきているというふうに私は理解をしております。今後とも、この中身につきましてまた議論をさせていただく機会をいただきたいと思います。

 それでは、終わります。ありがとうございました。

細田主査 これにて石毛えい子君の質疑は終了いたしました。

 次に、中山義活君。

    〔主査退席、田中(眞)主査代理着席〕

中山(義)分科員 私は、スポーツの振興について、大臣に理念と哲学をちょっと聞かせていただきたいのですが、スポーツというのはどうやって振興させていくか、二つの方法があると思うのですね。一つは、底辺をしっかりつくっていく、もう一つは、何かすばらしいスターをつくって、それにあこがれてスポーツをやっていく。大臣も昔野球をやったころ、私と大体同年代だから、恐らく川上の赤バットまたは大下の青バット、古過ぎますか、そんなことはないと思うのですね、または長嶋とか王にあこがれて野球をやっていたわけですね。私も実は器械体操をやっておりまして、教育大の体育学部なんです。体育系ゆえに、もうちょっと体育というものをしっかり教育の中に取り入れてもらいたい、こういう趣旨できょうはお話をしたいと思うわけでございます。

 実は、日本の最近のオリンピックの活躍を見ると、非常に情けない状況なんですね。私は、長野オリンピックの後に、文教委員会で長野へ視察に行きました。そのときに、長野オリンピックがなぜ盛り上がったか。それは、清水選手が五百メーターで優勝した。彼には、大きくなるまでに、お父さんのことや家族のこと、いろいろな物語があったわけですね。それによってスケート人口はどんどん上がっていったし、あのオリンピックを盛り上げたのは競技者なんですね。決して施設がすばらしいからあのオリンピックが盛り上がったわけじゃありません。そういう面では、施設には相当お金がかかっていますが、選手にお金がかかってないというのが日本の現状だと思うのですよ。

 やはり、金メダルをとって、日の丸が上がって君が代を歌う、これが自然に日の丸・君が代というものが国民に定着する一番いい方法なんですね。無理やりに日の丸・君が代と学校教育でやるよりも、やはり日本の国の先頭に立って、オリンピック選手が日の丸を上げて、そして君が代を歌って、本当に日本の国全体が喜ぶ、それによってまたスポーツも盛んになっていくのですね。

 今、ジョギングをやっている人がうんといます。これも、駅伝であるとかマラソンであるとか、ああいうものを見ながら、そういうものを想像しながらスポーツをやっているのです。そういう面では、余りにも日本のオリンピックというのは最近金メダルが少ない。これは文部省にも絶対責任があると思うのですよ。その辺はいかがでしょうか。

町村国務大臣 スポーツのよさ、今議員がいろいろ御指摘のとおりかなと私も思っております。今、川上やら青田の話が出ましたけれども、私も、小学校に通っていく途中に川上選手の家がありまして、大変赤バットにあこがれた記憶を今思い出したところでございますが、いずれにしても、昨今でいえばオリンピックでございます。私もちょうど三年前、文部大臣のときに長野オリンピックを担当させていただきまして、開会式、閉会式初め何度か応援に行ったり、また競技の様子なども拝見をしてまいりましたが、本当にすばらしい日本選手の活躍には胸を打たれたものでございます。

 文部省のやり方が不十分であるから金メダルのとり方が少ない、全くそれが当たっているとも思いませんが、完全に否定できるかというと、それもそうでもないのかもしれない。一つには、施設整備にお金がかかり過ぎているという御指摘もありました。大規模な施設については確かに文部省も補助をしておりますけれども、それ以外の面では、結構自治体もそれぞれ頑張っていただいているというものもあります。

 私どもとしては、従来からJOCを通じまして、オリンピック選手の育成強化にかかわる補助というものをやっております。ただ、これではなかなかお金がまだ足りないということで、平成二年にスポーツ振興基金というものをつくりまして、これは、かなり優秀な選手が安心して日常の強化活動に参加できるようにということでやりました。ただ、これだけでもなかなか、昨今のこの低金利だと基金の運用益も少のうございます。そんなこともあって、いよいよ近々スポーツ振興くじというものが発売になりまして、これはいろいろな目的に活用したいと思っておりますが、一つには、そうした選手強化ということにも役立てられるのではなかろうかな。

 いずれにいたしましても、こうした多様な財源の中からスポーツの振興を図っていくということを考えておりまして、委員御承知だと思いますけれども、スポーツ振興計画というものをつくりました。この中で、メダルの獲得率を大いに高めていこうという具体的な目標も実はつくっているところでありまして、そんなことで、日本の底辺の競技者そしてトップレベルの競技者、それぞれがいろいろな意味で活躍できるような基礎づくりをやっていきたいな、かように思っております。

中山(義)分科員 今金メダルの数とかそういうのは、それをやっている反映だと思うのですね。一時、技能オリンピックですごく金メダルやなんかとりましたね。そのころは、日本の物づくりは大変優秀な、本当に日本人の器用さ、そしてまた日本人の繊細さを利用したすばらしい物づくりをやっていたわけですよ。物づくりがどうもおかしくなってきたなと思うと、やはり金メダルや銀メダルの数が少なくなってくる。

 スポーツも全く一緒だと思うのですね。スポーツの全体の量が小さくなっている。例えば、徒競走をやったときに、何か差別が出るから競争をやめる、全部同じ賞だ、一等賞、二等賞、三等賞をつけない、こういうような話があるのですね。私は、算数ができる子と駆けっこの速い子と、同じレベルで物を考えていいと思うのですよ。私はずっとスポーツをやっていたからそういうことを言うわけではありません。学校の成績が悪くて、スポーツをやっていたから中山はそんなことを言っているのだろう、そういうのじゃなくて、スポーツをやっているということには、生活といいますかそういう態度で、将来必ず役に立つことがうんとあるのですね。必ずしも金メダルとか銀メダル、それだけではなくて、その過程もすごく大事なんです。

 しかし、社会がスポーツというものを文化として認めている以上は、やはり日本が金メダルや銀メダルをとらないということは、日本の文化性が低い、経済ではGDPが世界の二番目でも、金メダルからいけばずっと下じゃないか、ということは、文化や伝統や歴史やいろいろな分野のそういう方に力を入れないで経済ばかりやっているのだろう、こういうふうに見られるわけなんですね。ですから、スポーツの振興というのはすごく大事なんです。

 それと同時に、最近のサラリーマンの持っている新聞を見てください。ほとんどスポーツ紙ですよ。巨人が負けると飯が食えないなんという人がいるのですから。そのくらいやはりスポーツというのは生活にしみついているわけですね。そういう面でも、今日本が元気ないのは、そういうスポーツであるとかもっと明るいところにお金を使って、もっと外国に日本人の存在感を示すような気持ちがなければいけないと私は思うのです。そういう面では、オリンピックの施設がどんなに立派でも、やはり金メダルをとる選手がいなければその国はだんだん力を失ってくると思うのですよ。

 私は、いつも体操だとかほかのスポーツの現場にいますから。実は体操教室をやっていまして、自分で子供の体操を教えていたのです。それで、私は、朝日生命に選手を連れていって鍛えてもらったり、または朝日生命に選手を送ったりしていたのです。やはり強くなるかならないかというのは、いいコーチなんですよ。朝日生命になぜ連れていくかというと、そこにアンドリアノフという選手がソ連から来ているのですね。そこの会社がコーチ代を払っているわけですよ。本来であれば、もし体操を強くしようと思えば、そういう費用やなんかも――優秀なコーチを連れてくるとか、それは絶対に必要なことだと思うのですね。そういう面では、もうちょっとスポーツというものに文部省が本当に目を開いてもらいたい、このように思うのです。

 特に、プロじゃなくてアマチュアのスポーツ、これは本当にだんだん今疲弊していますよ。これは、学校の中でだんだんスポーツができなくなっている状況があるのです。ちょっとけがさせれば親がすごいうるさいとか、それから先生がまずスポーツを教えられない。いろいろな要素があると思うのですが、学校教育の中でスポーツ教育をやる環境をつくるためには、やはりそういうコーチを学校の中に押し込んでいく必要があると思うのですね。

 そういう面でも、スポーツ教育に関してもうちょっと熱意のある御答弁をいただいて、もっとスポーツをこの国の中でやって、元気のある日本にしよう、こういう意気込みをちょっと示していただきたいのです。

河村副大臣 私も、今中山委員のおっしゃることに一々うなずきながら伺っておりました。

 おっしゃるように、日本の経済力とか人口とかいろいろなことを考えてみても、例えばオリンピックにおける成績、日本の位置に合っているかと言われると、私は低いと思います。東京オリンピックのときからあれを超えていないのですから、もっと努力する必要がある。高橋選手がああいうようなことで優勝しますと、大変やはりみんなが燃えていくわけです。おかげで女子のマラソン界は非常にレベルが高くなったし、それにつられて男子も強くなるというようなことも起きました。

 そういうようなことで、やはりもっと力を入れる必要があると私は思いますし、総理からも、教育改革国民会議の提案もいろいろあると。しかし、スポーツという面をもっと、あれが落ちているのではないかという議論もございまして、教育改革という面にマッチするかどうかは別としても、スポーツ振興ということをもっと重点的にやっていく必要があるというふうに思っております。

 そうはいっても、急に天才があらわれるわけじゃありません。やはり底辺をいかに広げるか、だからアマチュアあたりにもっと力を入れるということだろうと思いますが、そのことにもっと努力をする。指導員なんかも手弁当で行ったりしておりますが、そういう方々にももうちょっとそういう心配なきようにやれるような仕組みというものを、幸い、今大臣も御答弁なさいましたが、スポーツ振興くじあたりにも実は私は期待をしておりまして、そういうものからもっと手厚いことができていかないだろうか、このように思っておりまして、一応振興計画というのはございますが、これを踏まえてもっと積極的に進めていく。

 それから、国際レベルの選手をつくろうと思えば、やはりナショナルトレーニングセンター的なものが要るわけです。フランスやなんかを見てもかなりそういうものがしっかりしております。あらゆる面で日本がまだおくれている面がスポーツについてあると認識しておりますので、さらにスポーツ振興にはやはり大臣のリーダーシップを発揮していただいて頑張っていかなきゃ、私もそう考えておるところであります。

中山(義)分科員 私は、スポーツというものがいろいろな意味で、教育としてこれを手段に使うことがすごくいい方向に出てくると思うのですね。野球であるとか、またはバスケットであるとかバレーであるとか、チームプレーはやはりフォー・ザ・チームといいますか、みんなで協力して一つのことをやろう、こういうことですよね。それから剣道とか柔道というのは礼に始まって礼に終わる。ところが、これを小中学校の先生方ができるかというと、なかなかできないのです。

 ですから、野球であれば少年野球、そういうチームの皆さんが一生懸命やっているわけですね。これはすばらしいですよ。学校の先生の言うことは聞かなくたって、自分のチームの監督とコーチの言うことは、帽子をとって、選挙前の政治家と同じように頭を下げて、はいと聞くのです。ところが、いざ自分のお父さん、お母さんにそういうようなことをやるかといったら、やらない。だけれども、だんだんそれをやっているうちに、そのコーチや監督も、お父さん、お母さんがこうやってお弁当をつくって来てくれたから野球ができるのだと。それからまた、お父さん、お母さんにも実際に車を運転してもらって、遠くで試合があるときには連れていってもらったり、家族の協力なんかもすごくやっているのですよ。

 しかし、果たして学校教育でそういうことができるかというと、なかなかできないのです。そういうコーチの方、社会体育、いわゆる社会でやっている人たちを学校の中にコーチとして、または教育者として導入できないか、これはすごく大事な問題だと思うのです。

 実は、文部省に寺脇さんという方がいましたね、一回あの方の講演を聞いたのですよ。そうしたら、近くのパン屋さんだとかなんとかに実際子供たちを行かせて、パンをつくる過程であるとか商売というものまで全部学ばせることも大事だとか、いろいろなことを言っていましたよ。それからまた、そういう社会経験のある方に逆に学校に来てもらって講演してもらう。

 ですから、やはり、サッカーを教えている少年サッカーチームとか、または少年野球とか、こういう人たちを抽出して学校教育に結びつけるような方法論というのはもっと考えてもらいたいのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

河村副大臣 私は、そういうことも大いに取り入れてやることは非常に大事なことだというふうに思います。そういうことができるようにということで特別非常勤講師制度というのをつくりまして、免許がなくても教壇に立って授業をやって、そして実技をやってみせることができるようになりましたので、やはりそれぞれの地域が盛り上がって、先生方と一緒になって、コーチはこの方にお願いしようということであれば、それを申請すれば、そのための予算も実は組んでございますので、大いにひとつやっていただきたいものだというふうに思います。

中山(義)分科員 いいスポーツマンになるためには、やはりいいスポーツを見なきゃいけないのですね。自分の大学では、昔、運動会がありますと、私ら学生が全部、器械体操の模範演技をして、ランニングシャツに体操の格好をして運動会に教えに行ったのですよ。それで実際に見せるわけですね。そうすると、子供たちが自然にそれにあこがれて運動をやりたくなる、ここがすごく大事なところなんですね。

 今の学校教育の中で、体操のすばらしい選手が出る国際試合に連れていってちゃんと見せるとか、またはスポーツというものに対して子供に関心を持たせる、インセンティブを引くような、そういう教育が余り見られないのですけれども、そういうところもすごく大事な点だと思いますが、この辺はいかがですか。

河村副大臣 おっしゃるとおりで、スポーツにはいろいろな種類がございますけれども、子供たちを大きな試合なんかに積極的に連れていって見せることによって、刺激を受けて自分はやってみたいと思うようになるだろうというふうに思います。あらゆる機会をとらえてスポーツになじませるということは、教育的観点からいっても非常に意義のあることだと私もかねがね思っております。

 私自身も子供をスポーツ少年団にみんな入れたりして、やはりそこに入っていくということは随分違うのですね。特に、最近は、少子化傾向で兄弟も少なくなって、兄弟間の上下関係なんというのを学ぶ機会がないのです。あそこに入りますと、やはり先輩後輩という人間関係を非常に学びますから、それだけでも私は非常に意義があると思っているのです。だから、本当はスポーツ少年団にみんな入ったらいい、こう思っているのですが、全部はそういきません。

 だから、スポーツが持つ効用というものは委員の言われるようにはかり知れないものがあると私は思います。子供たちをそのように導いていく手だてというのは、あらゆる教育の機会において可能なように、我々も細心の、最大の注意を払って、関心を持っていかなきゃいかぬ、このように認識いたします。

中山(義)分科員 私らのころは、いい映画がありますと、よく学校単位でその映画を見に行ったりなんかしたのですけれども、やはり学校の外へ出て子供たちが何かを学ぶということはすごく大事だと私は思うのですね。

 競技というのはやはり勝負なんですね。勝たなきゃいけないのです。この勝たなきゃいけないというところにすごく意味があると思うのですね。やはり人に勝つためには人の倍努力しなきゃいけないとか。または、オリンピック選手の筋肉なんというのは、本当に近くで見ると感動しますよ。すごい体をしているのですよ。一般の人とは全然違うのですね。これなんかも、実際に競技場に行って見たことによって、そのスポーツに対するあこがれというのは、すごく思いが深くなるのです。

 実は私が器械体操をやったのは、たまたま学校で連れていってもらって、目の前で、ローマ・オリンピックかなんか、もっと前ですかね、ヘルシンキじゃないでしょう、メルボルンぐらいですかね、ちょっと古い話になって申しわけないのですが、その辺のときなんですが、一回小野選手やなんかの鉄棒を見たのです。それで、私は、人間がこんなことができるのかということを考えて、おれもやろうという気になったわけです。そういう面では、すばらしい競技を見せる、そういうことが基本的にはやはり大事だと思うのですね。

 やはりサッカーなんかでもそうらしいですね。足でボールをけっていくだけじゃなくて、練習のときにボールをぽうんと上げたらいつまでも、三十分ぐらい落とさないでやっているのを見て、すごいなと、その技術を自然に体で感じるわけですね。

 そういう面では、ぜひスポーツを見せるということも教育の中にもっと取り入れなきゃいけない、こう思いますが、何かその辺の手だてはあるのですか。

河村副大臣 スポーツを見せるということを教育の中でやるかやらないかについては、映画なんか昔はどんどん連れていったのですが、最近、社会の中が外に出ることに、交通事故はどうとか非常にやかましくなりまして、なかなかそういうことができなくなっております。しかし、私は、スポーツ競技なんというのは積極的に先生が指導の中で連れていってやったらいいと思うのです。

 ただ、スポーツにもいろいろ好みがありましょうが、できるだけゆとりのある教育、そういうことができるようにということで総合学習の時間というものをつくりまして、その先生の感じ方によって、やり方によっていろいろなことができるような授業体系もとりましたから、その中でぜひそういうものを活用してもらいたい、このように思いますので、今委員の御指摘の点については、今後総合学習の時間の中でこういうものが考えられる、一つの例にして例示していったらどうだろうか、このように思います。

中山(義)分科員 ぜひそれをお願いしたいと思うのです。

 あともう一つ、スポーツにはけががつきものなんです。これは教える側にとってもすごく大きな問題なんですよ。腕を折った、足を折った、うちの息子をどうしてくれる、これをやられたら、コーチはそれでもうやる意欲を失っちゃうのです。この責任をどこがとるのか。これは学校がとるのか、それともコーチがとるのか、それとも保険や何かを掛けてあげるとか、何かそういうすごく安全に、しかも教える方も安心して教えられる、しかも高度なわざ、難しいわざについてはやはり安全な器具を備えるとか、この辺が大事なのですが、こういうけがについて、責任の所在というのは、これはちょっと確認をしたいのですが、学校なんですか、教育委員会なんですか、それともそのコーチ、教えている本人なんでしょうか。または子供が例えば課外で、クラブでやった場合には本人なんでしょうか。その辺ちょっと。

河村副大臣 責任ということになりますといろいろありましょうが、授業中の問題については、これは学校といいますか、教育委員会の中でやっていることでございますから、でありますけれども、これについては保険制度を持っておりまして、学校の授業の中である部分については、まさに体育・学校健康センターですか、あそこの保険がございます。

 それから、一般については、学校安全会というのがございまして、課外活動や部活や何かのようなときにはその保険を掛けるようにしております。スポーツ少年団あたりは全部それに入っておるわけでありまして、スポーツ安全協会の方の管轄でやっておるわけでございます。

中山(義)分科員 スポーツというのは、やはり教える側が安心して教えられる立場をつくってあげる、そこが必要だと思うのです。確かにスポーツセンター、そういうものも大事なんですが、どちらかといえば、人間が人間を教える、ここがすごくスポーツのいいところでございます、師弟関係ができていくとか。だから、教える側が安心して教えられる立場をつくってあげると同時に、けがをしたときには責任をとってあげるということがないと、やはりコーチは一生懸命教えられない、こういうことだと思うのですね。

 それから、最近地域でいろいろなスポーツをやっている社会体育があります。こういう中でも結構優秀な方もうんといらっしゃるのですよ。だけれども、そういう人たちが子供たちに教える機会というのはなかなかないのですね。何かそういう接点をどこかでつくれないのかなという気もするのです。昔器械体操をやっていたとか、昔高校野球で甲子園に出たけれども、その地域にただいるというだけで教える機会がないとか、積極的に教育委員会の方から地域に、高校野球をやっていた方はいませんか、ぜひそういうものを教えてもらいたいとか、昔学校で体操を教えていた方はいませんかとか、そういう方にボランティアで来てもらうとか、そういう接点はぜひつくれないものか、こう思うのですが、いかがでしょうか。

河村副大臣 いい御指摘だというふうに思います。

 さっきちょっと御答弁の中で申し上げました特別非常勤講師制度というのはまさにそれでございまして、スポーツだけとは限りませんけれども、今おっしゃるようなスポーツを中心として、そういう方がいらっしゃれば、ぜひ教室へ来ていただく、あるいは体育館でやっていただく、そういうことは積極的にやっていただきたいと思いますし、さっき申し上げた総合学習の時間もございますから活用ができるわけでございます。積極的に取り入れることについては私も賛成でございます。

中山(義)分科員 私は、そういう面では市とか区市町村、この辺でも、昔高校野球をやっていた人とか昔社交ダンスをやっていた人とか、こういうスポーツをやっていた人というのは、ある意味ではすごく活用の仕方があると思うのですよ。

 今、社交ダンスなんといったら、昔は年配の方というとみんなゲートボールをやっていたでしょう、今はダンスですよ。私なんか、ダンスの会へ行くと、もう女性ばかりで、一人踊ったのじゃだめだ、みんな私に踊ってくれと言うのですよ。私はダンスがうまいわけでも何でもない。そのくらい男の踊り手が少ないということがあるわけですよ。だから、やはり社会体育の中で、実際ダンスを教えられるとかスポーツをやっていたとか、こういう人をうまく活用する必要がすごくあると思うのです。

 ですから、むしろ逆に言えば、積極的に運動のできる人を区市町村で採るとか、だから、教育委員会では体育ということをいつも頭に入れていて、知育ばかりじゃなくて、やはり徳育、体育というのはすごく大事だと。特に体育の中には徳育が十分に含まれているということですね。剣道なんかを見ていてもそうなんですが、やはり礼に始まって礼に終わっていますよね。これも初めのうちは形でやっているのです。しかし、自然に自分の心にだんだんそれがしみついてきて、心と体が一緒になってくる、こういうことでございますから、もうちょっとスポーツというものを頭に入れていただきたい。

 先ほどから言っているように、百メーター十二、三秒ぐらいで走る小学生がもしいたとすれば、片方数学で百点をとる、こっちは走る方で一番だ、こっちは算数で一番だ、これが同じように評価されない限りは、運動をやっていても、そんなばかなことばかりやっていないで、それではいい中学へ入れないよとかいって、どうしても勉強の方へ、塾の方へ行っちゃうわけですよ。そこが問題がある。やはり人間というのは、体を鍛えてそこにすばらしい精神が宿るわけでございまして、そういうことがあれば証人喚問なんかに呼ばれないわけですよ。

 ですから、スポーツをしっかりまず学校教育の中に取り入れていくということを考えていただくと同時に、小学校から今言ったようなことを教えるためにも、ぜひ外部から、さっき言った制度、こういう制度がありますというだけじゃなくて、ちゃんとした指導方針、それが本当に動くように、やれるように指導してもらいたいのですが、その辺はどういう妙案がありますか。大臣、ひとつ見識を。

町村国務大臣 体徳知という言葉があります、今委員からお触れになりました。私は、従前、知徳体と言っていたのですが、最近は体徳知というふうに変えました。なぜかといいますと、これは森総理の持論でありまして、あの体を見て、なるほど体徳知だなという感じもいたしますが、やはり健康な体がなければ、幾ら頭がよくたって何したって、社会に出て体が弱ければなかなか十二分の活躍ができない。そういう意味でまず体力だということは、我々選挙をやる身からしてもよく理解できるわけでございます。したがって、健康、食べることとか体を鍛えること、もろもろ含めて、やはりまず体ということの重要性をみんなが認識することが大切だろうと思います。

 そして、特に学校教育の中でということを今御指摘がありました。先ほど来副大臣申し上げておりますように、特別非常勤講師制度は今非常にふえております。全国津々浦々で、これはスポーツばかりじゃございませんけれども、地域で一芸に秀でた方、大変指導力のある方、いろいろな分野でそういう方々に学校に入ってきてもらって子供たちの直接指導に当たる。従前は特定の分野になっていたのですが、前回私が文部大臣を務めさせていただいた折に、すべての分野でもいいですよといって対象を広げたのです。多分そのせいではないかと勝手に自賛をしているのでありますが、この特別非常勤講師につく方の数が非常にふえてまいりました。

 こんなことで、今委員が言われたような趣旨をも体して、さらに学校における体育活動、スポーツ活動が活発になるように一生懸命努めていきたい、かように考えております。

中山(義)分科員 今お話しのとおりで、体力があれば勉強に対する粘りも出てくるわけですよ。森総理がこうやって粘れるのも体力があるからでございまして、恐らくそういうふうに私は理解をしているのですけれども、体力があるからだけじゃなくて、スポーツというのは、技術であるとか、先ほど言いましたように、その間の礼儀とかそういうことがすごく大事なんです。うちの大畠議員がいますが、剣道をやっておりますので、ぜひお使いをいただきたい。学校へでも呼んで剣道を教えるということは、そういう技術と人間としての心得をそこで教わるわけでございます。

 いろいろな意味で、我々は、スポーツ教育というものをもうちょっとしっかり取り入れてもらいたいし、最後になりますが、百メーター走るのと、算数、国語、理科、社会、これと同じだということをしっかり理解してもらいたいのです。ですから、運動会はちゃんと百メーターをみんな競走させてくださいよ。走ることでしか威張れないという子がもしいるとすれば、それはそれで勲章なんです。そういう面では、ぜひ体育をもうちょっとしっかり考えていただきたい、これを申し上げまして、終わります。

田中(眞)主査代理 これにて中山義活さんの質疑は終了いたしました。

 次に、大畠章宏さん。

大畠分科員 民主党の大畠章宏でございます。

 民主党の体育会系の議員がちょっと連続しているかもしれませんが、私も剣道をやっておりまして、今の中山議員の後半のくだりを聞かせていただきましたが、まさに最近の社会は理屈が先行して、あるいは利害損得というのが先行して、心というものあるいは理念というものが追いついていないというところからさまざまなトラブル等が発生しているんじゃないかという感じを持つところであります。

 きょうは、そういうことで、私は今回の分科会で二つ質問をさせていただきたいと思います。一つは、ジェー・シー・オー事故に関する質問、もう一つは、今ちょうど受験シーズンの後半戦に入っておりますが、日本の受験制度の問題、この二つを取り上げて質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、ジェー・シー・オー事故の問題であります。

 町村文部科学大臣におかれましては二度目の大臣就任ということでありますが、前回の文部省の管轄に加えて、科学技術の分野の御担当も加わったことでありまして、そういうことで、このジェー・シー・オーの事故については……(発言する者あり)事件という御指摘もありますが、このジェー・シー・オーのさまざまなトラブルが二人のとうとい人命を失うことにつながりまして、私も茨城県選出の国会議員として大変心を痛め、そして、二度とこのような事故が起こらないように対応すべきということをお二人の告別式のときに誓った一人であります。そういうことも含めて御質問をさせていただきたいと思います。

 このジェー・シー・オー事故の教訓、あるいは原子力安全委員会のあり方等々についても論議を呼んだところでありますが、現在、政府は原子力安全対策というものに対してどのような改革をし、そして具体的な防災対策、特にあの当時、千三百億の補正予算を組んだところでありますが、その予算がどのように有効に使われているのか。

 そしてまた、事故を起こした東海村の周辺等々では、いわゆる事故時の避難道の整備等々、今までは、事故は起こらないという前提のもとにいろいろな施策があったのですが、今度は、事故が起こったときにでも対応できるようにというようなことで避難道の整備等々を求めています。

 また、東海村の核燃料サイクル機構の中に保管されています四百八十立米の高レベル液体廃棄物の問題についても、いまだその処理方法といいますか、どのように対策をするのかというのが全く見えていないというのが実態であります。

 まず、今申し上げました四点について、まとめてお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 大畠議員の地元の、大変重大な事故が起きたわけでございまして、私も去る一月二十四日、現地を訪問いたしまして、ジェー・シー・オーの事故の現場も含めていろいろ拝見をさせていただき、また、知事さんあるいは村長さん等々ともお目にかかりまして、いろいろな地元における状況、さらには御要請なども承らせていただきました。また、大畠議員からも適切なる御指導をいただいたところでございました。

 このジェー・シー・オーの事故の、その後の政府の取り組みについては、もう委員詳細に御承知のとおりでありますから余り重複は避けたいと思いますけれども、まず、何といっても運転管理における安全規制の強化という側面につきましては、一昨年の臨時国会で原子炉等規制法の改正を行いまして、特に現場の日常監視体制を強化するということを中心に強化を図っております。また、原子力防災対策につきましても、同じく一昨年の臨時国会で成立をいたしました原子力災害対策特別措置法に基づきまして、防災体制の強化に取り組むということに全力を尽くしているところであります。

 引き続き、関係者一同気を引き締めて、二度とこういう事故が起きないように、もし不幸にして万が一起きた場合に、その後の対応がきっちりできるようにということで、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。

 なお、その他の点につきましては、大野副大臣からの御答弁とさせていただきます。

大野副大臣 まず第一点は、千三百億円の補正予算が有効に使われたかどうか、こういう点でございます。

 今、町村大臣からも御答弁ありましたように、まず事故を起こさないこと、これが一番でございますけれども、起こった場合どうするか、このことはやはり十分に対応しておかなければいけない、備えあれば憂いなしでございます。

 それで、平成十一年九月のジェー・シー・オーの事故の後、御存じのとおり、補正予算で千三百億円計上されたわけでございますけれども、当時の科学技術庁それから文部省、両方合わせまして五百五十九億円でございました。この五百五十九億円をハードとソフト、この両面で使っているわけでございます。

 まず、ハードでございますけれども、先生のお地元でもいわゆるオフサイトセンター、これは全国に二十一カ所ありますけれども、文部科学省の担当は七カ所でございます。あとの十四カ所が産経省の担当ということでございまして、一たん事あれば政府の関係者、国の関係者、地方の関係者、原子力関係の施設の関係者、みんなそこで一堂に集まって総合的に監督、指揮する、こういう体制でございまして、先生のお地元でも近々着工されて十三年度中には完成する。文部科学省の担当でございますから、いざ事故が起こりますと私が本部長として赴く、こういうマニュアルもちゃんとできているわけでございます。

 それから、自治体が行う放射線の監視ということもハードできちっとやろう。それから、防災資材のことについても財政支援をやっていきましょう、交付金等を使っていきましょう、こういうことでございます。

 それから、ソフトの面でいいますと、消防等の関係防災機関の職員に対する研修あるいは訓練、あるいは原子力防災専門官が地元の消防関係者、防災関係者と一緒になって勉強しよう、こういうような情報交換をやる場もつくっていきましょうということで、ソフトの面でも十分に対応しているところでございます。

 まずまず、こういう事故が絶対に起こってはいけないということが一番でございますが、現状で考えられるベストの対応をしている、我々はそのように思っております。

 次に、防災避難道路の問題でございます。

 これは今も文部科学大臣がおっしゃいました。一月二十四日に、私、大臣のお供で東海村に参りまして、村上村長さんからお話を伺いました。確かに、久慈川にかかっている榊橋、その橋に至るまでは両方向四車線であるのに橋だけ二車線とは何事か、こういう御注文もちょうだいしたところでございます。

 原子力の問題を考える場合には、一番にはもちろん平和利用でございますが、二番目にやはり安全が一番、そして三番目に、御協力いただく地元の皆様のお声を十分聞いていかなければいけない、こういう問題がございます。その村長さんのお話は、知事にお目にかかったときに十分知事さんにお伝え申し上げまして、県庁から、県の方から正式に御要請があれば、我々としては最大限の努力をしていく、関係各省に伝えていく、お願いする、こういうことにいたしております。

 三段式ロケットで申しわけございませんが、あと一つは政府参考人から答えることをお許しください。お願いします。

大熊政府参考人 高レベルの液体廃棄物の処分の今後の計画ということだろうと思うわけでございますが、御説明をさせていただきます。

 サイクル機構で発生する高レベルの廃棄物でございますけれども、順次ガラス固化技術開発施設において保管を進めております。現在、固化されていないような液体放射性廃棄物につきましては、廃液貯槽において安全に管理をされているということは御案内のところだろうと思っております。現在、東海再処理施設とあわせて、先ほど申し上げたガラス固化技術開発施設を運転しまして、このガラス固化も進めてまいる、こういうふうに承知しております。

 このような格好で計画を適切に進めてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。

大畠分科員 町村文部科学大臣、そしてまた大野副大臣におかれましては、御足労を賜りまして東海村まで行っていただきまして、大変ありがとうございました。情報通信の時代とはいいながら、やはりじかに現地に足を運んでいただいていろいろな方のお話を伺うというのは大変重要だし、特に政治家にとってはやはり大変基本とすべきことだと思いますし、そういう意味では、いろいろとお話を聞いていただきまして、ありがとうございました。

 今お話がありましたとおりでありまして、これから、県の方でもいろいろ動いておりますが、大変な精神的な被害を村民が受けたわけであります。避難といいますか、うちから出ないようにという範囲に入った住民が三十二万人ということでありますから、精神的にも大変厳しい経験をしているわけでありまして、ぜひ、そういう方々に科学技術あるいは原子力に対して信頼感を持っていただけるために、なお一層の御尽力をお願いしたいと思います。

 今、高レベル液体廃棄物の処分というものについてお話がありました。私自身、この十一年間、原子力問題についても取り組んでまいりましたが、核燃料サイクル開発機構というふうに動燃の事業団が今度変わりましたけれども、一体だれが責任を持ってこの問題に対応するのかというのが、どうも私は見えないのですね。いまだかつて、この四百八十立米をどういう形で固化して保管しますという全体計画を示していただいたことはありません。サイクル機構の方でも、「もんじゅ」の事故あるいは東海村の爆発事故等々を経ながら、ジェー・シー・オー事故に対しても一生懸命対応していただいたところでありますが、だれが中心になってこのサイクル機構内にある諸問題を解決しようとしているのか、見えないのですね。

 私は、細かいことを申し上げることは控えたいと思いますが、どうも機構内部の士気というのが、今さまざまな事故等々を経験して、何となく求心力というものが失われているんじゃないか。やはりどんなに組織体の名前を変えても、それから組織体を変えても、そこに働く人が、よし、やろう、そういう気にならなければ、なかなかいい仕事ができないのですね。

 したがって、このサイクル開発機構さんの内部についてもさらに、これは旧科学技術庁が責任省庁でございましたけれども、私はさらに内部改革というものを進めていただきたいと思うし、そこに働いている従業員等々も、さまざまな社会的な批判等もあり、いま一つ元気が出ていないんじゃないか。ここら辺、今度、サイクル機構の内部も経済産業省といわゆる文部科学省と二つに分かれているという話もありましたが、ちょっと私自身もそういう形でいいのかなという感じもするのです。

 というのは、これは経済産業省、これは文部科学省ということで、サイクル機構内部が二つに管轄省庁が分かれちゃっているのですね。そこら辺をちょっと私は、何となく、これで本当に士気が高まって、いい仕事をしよう、まさに仕事の内容は非常に優秀なことをやっているわけですから、従業員の方は大変優秀な方がたくさんいるのですが、気持ちを引き締めて、よし、これをやろう、そういう動きになるようにさらに改革が必要じゃないかと思いますが、この件について、現在の文部科学省としてのお考えを伺いたいと思います。

町村国務大臣 大変に重要な点だと私も思っております。

 一月二十四日、茨城県を訪問した折に、私も核燃料サイクル開発機構の東海事業所に行ってまいりました。東海の再処理施設も拝見をし、また役職員の皆さん方ともお目にかかって、若干お話もさせていただきました。

 何といっても、日本の原子力の有力な一端を担っているというその使命感、誇りというものを私は感ずることができました。ただ、いろいろなことがあったものですから、今委員が御指摘のようなことも実際にはあるのかもしれません。

 御承知のとおり、平成十二年の四月一日に理事長から、行動憲章というのをつくって、安全に徹するサイクル機構、信頼されるサイクル機構、創造性を発揮して社会に役立つサイクル機構、働きがいのあるサイクル機構という四つの指針を示して、これに基づいて皆さんが今一生懸命やっていただいている、こう思っております。

 ただ、それだけでは十分ではなかろうということで、かなり頻繁に研修を行ったり、またあるいは文部科学省の幹部が訪問して、現場で皆さん方によくお話をしたりというようなことを絶えずやっているつもりでありますが、さらに至らぬ点もあるかもしれません、お気づきの点をどんどんまた教えていただきまして、立派に、本当に社会に役立つ、意味のある仕事をしていると私も確信をしておりますから、今後とも先生からのまた御指摘もいただきながら、立派な活動ができるように努めてまいりたいと考えております。

大畠分科員 今町村大臣がおっしゃったことは大変重要なことだと思います。それをぜひ実行していただきたいと思うのですが、一番の士気を高める方法というのは、例えば、ある民間会社があって、社長さんがいる、あるいは副社長さんがいる、あるいは重役連中がいる、そういうところに入社した社員が、どうも上の方を見たら、社長さんは別なところから来た人だとか、副社長も大体こっちから来た人だとか、あるいは重役さんも大体別なところから来た人だというと、余り、どっちみちあそこら辺までかなということで、士気も薄れるのですね。やはり会社に入って、よし、おれは頑張って課長になるぞとか部長になるぞ、そしてチャンスがあれば社長になるぞということで、だんだん年代とともに意欲が薄れてくるのは、これは民間企業もちょっと同じところがありますが、いずれにしても、そういうふうな道がきちっと見えているということが重要だと思うのですね。

 確かに、重役といいますか、幹部の皆さんの中にももちろんプロパーの方がおられますが、少しその割合が少ないような感じが私はするのですね。

 ですから、本当に、だれが責任をとるんだというときに、どうもわからない。よし、これは私が責任をとりますと。よく、いろいろな事件が起こったり事故が起こったりするとき、そうですよね。そういうものを起こすところというのは、大体責任者がはっきりしていないというところが多いのですよ。いや、これはおれの責任じゃない、おれは目いっぱいやっているんだといって、結局、だれが責任をとったかわからないような構造になっているところに問題がある。

 これは大臣の方から、じゃ、そうしましょうという答えはなかなかすぐ出せないのはわかりますが、大臣、これは構造問題、日本もいろいろ社会構造とか経済構造を改革しなさいというふうに言われているのですが、まさにサイクル機構さんについても、やはりそこら辺の構造を変えていくことが必要なんじゃないかと私は思うのですよ。

 このサイクル機構の総責任者というのはだれなんだというと、これはまたわからないんだね。さっき言ったように、経済産業省の部分もあるし、今度は文部科学省というところもあるし、これもまたちょっとあいまいなんですが、ここら辺、大臣、この際、構造改革もきちっとやってもらいたいと思う。というのは、先ほどお話があったように、「もんじゅ」の事故、そして東海村の爆発事故、これで日本の稼働中の原子力発電所の関係者がえらい迷惑しているわけですよ。

 だから、そういう意味においても、いろいろ機構も変わったから、もうそういうことはないのかもしれませんが、さらに大臣、文部省は教育問題についても大変かもしれませんが、今度科学省とつかれたんですから、科学問題、科学に関する分野の一つの中核的なといいますか、中心の大臣だと私は思います。そこら辺、さらにサイクル機構の改革を進めていただきたいと思いますが、その点についてもう一度お考えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 内部登用の問題等、人事とかあるいは組織とか所管の問題、いろいろ確かにあろうと思います。もっとも、だんだん終身雇用でもなくなってきておりますから、そこに入ってずっと最後まで上り詰めるのが今やいい人生かどうかということについても、いろいろ変化もあるのかもしれません。ただ、おっしゃるような面もやはり日本人のメンタリティーからするとよくわかるところでもありましょう。

 所管の問題は、これは経済産業省、文部科学省、さらには原子力の関係は、もう一つは原子力委員会、安全委員会といろいろ分かれていまして、これが本当に一本でいいのかという問題もまた実はあるわけでありまして、中央においては今のような権限、割り振りになっております。しかし、それを受けるのは、やはり一番は何といっても理事長以下役職員ということになりましょうから、いろいろな、中央の方は分かれていたとしても、省庁は分かれていたとしても、やはり組織としては理事長を中心にしっかりとした運営をしていくということは、これは原理原則としては当然のことだろう、こう思っております。

 ただ、本当に今の体制で十分かどうか、もし士気が余り高くないというのであればどの辺に一体問題があるのか、先生の御指摘もございますので、もう一度よくその辺を精査して、しっかりと皆さん方が生きがいと誇りを持ってこれから貴重な仕事に取り組めるようなことに心がけてまいりたいと考えております。

大畠分科員 原子力発電の建設、生産、技術をどのように伝承するかという質問をしようとしたんですが、これはどちらかというと経済産業省の分野かなという感じもしましたので、大変恐縮ですが、割愛をしたいと思います。

 二番目に、教育の問題、受験制度のことでありますが、日本の大学が、東京大学といえども世界のトップツーハンドレッドにも入らなくなった。これは、どういう基準の二百番目なんですかという質問が来たんですが、私もよくわからないんですが、ある雑誌に、どういう基準なんですかね、何か世界の二百優秀校を選んだ中に東京大学が入らなかったというんですね。これは、なぜこういうふうになったかという話ですが、結局、私は、競争がないところには進歩がないというのは事実なんだろうと思うんです、人間ですからね。

 そうすると、例えばイギリスにしてもアメリカにしても、ナンバーワンの大学というんじゃなくて、二つか三つ必ず競争校というのがあるんですね。日本国内でいえば、私立大学でも慶応大学と早稲田大学とか、必ず競争するところがある。日本の場合には、じゃ、東京大学に並ぶ大学があるのかというと、ちょっとないんですよね。

 したがって、東京大学に入ってしまえば、官僚になればもうエスカレーター、最近はいろいろ障害物が出てきているかもしれませんが、エスカレーターがあったり、エレベーターがあったり、とにかく入ってしまえばいい。十八歳までは必死になって今勉強するんだけれども、入ってしまうともう大体卒業というのは保証されるというような話で、大学に入った時点で勉強しなくなるんじゃないかと思うんですよ。これが、私も何回も言っていますが、よくレジャーランド化しているという話なんですが、そんなところに税金投入したってむだだろうという声もあるんですよ。

 何とか私はこの日本の大学を再生したい。一つの改革論がありますが、東京大学をつぶしてしまえというのが、前、学生運動のときにありましたよね、安田講堂が占領されたときに。いずれにしても、つぶしてしまうのは一つの方法かもしれませんが、並ぶ大学を育てるというのも一つあるかもしれません。だから、何となく日本の大学のレベル、質がどんどん落ちてきてしまっているという感じがするんですが、ここら辺どういうふうに考えておられるのか。

 特に、義務教育、高等教育、大学教育、あるいは日本の受験制度そのものに問題があるんじゃないか。入りにくくて出やすいという大学じゃだめだ、やはり入りやすくて出にくいという大学にすべきじゃないかという話もありますし、そこら辺、文部省として、ずっと河村さんが副大臣として頑張ってこられましたので、河村さんのお考えをお伺いしたいと思います。

河村副大臣 大畠委員の御指摘は、私も同じように感じている面が多分にあります。今から大学をやる後輩の諸君に、我々の時代に比べて勉強していないかというと、内心じくじたるものがあるんですけれども、確かにおっしゃるように、総体的な考え方として、やはりもっと今の日本の大学をつくり直していかなきゃいかぬ、こういう思いですね。おっしゃるように、入りやすく出にくい大学にしていこうという方向を今からつくっていかなきゃなりません。

 ただ、はっきり言えることは、少子化時代を迎えまして、今の大学を維持していけば、入学者定数と大学の受け入れ定数というのが大体一致してくるんですね。したがいまして、入る、入らないは本人の意思によって、競争というのはそこでなくなっていく。そうすると、もっと別の、大学に対する考え方を変えていかなきゃいかぬだろうというふうに私は一点思っております。

 今の競争の問題ですが、私は、教育に競争原理というのは必要だと思いますね。そこで、国立大学についていえば、お聞きになっているとおり、今度独立行政法人の問題がございます。これによって、それぞれの大学を、今までのように文部省の統括のもとに、いわゆる護送船団方式といいますか、そういう形の中にあった大学を一つ一つ独立させて競争させるという方向に持っていく、これが私はこれからの大きな大学の活性化につながっていくだろう。

 この方針は、この十三年度前半に方向が出ます。平成十五年には一つの方向をきちっと打ち出したいと思っておりますが、それによって、それぞれの大学はそれぞれの特色を出しながら、競争関係の中で切磋琢磨する関係、もちろんその教育も、評価も厳しくやりますから、それに合わない大学は事によってはつぶれていく、こういうことがあってもしかるべきだ、このぐらいの覚悟でこの大学の独立行政法人の問題に取り組んでいく。これは文部省の強い姿勢でございますので、それによって私は大学の活性化につながる。

 また、それはある意味では大学が私学化という方向に向かいますから、私学側も非常に刺激を受けるわけであります。この競争概念を取り入れるということが日本の大学のレベルを上げることにつながっていくだろう。

 時間もありませんから、まだ申し上げたいことはいろいろありますが、端的に申し上げて、そういう方向であります。

大畠分科員 私も河村さんと同じ考えを持っていますが、なかなか制度を改革するのは難しい。特に一番の改革は、文部省をなくしたら一番いいんじゃないかという声もあるくらいなんですね。要するに、定数で縛ってみたり、いろいろな基準を出して、その基準にそぐわないときは補助金引き揚げますよという、非常に文部省が全部コントロールしようとしているんじゃないか。要するに、明治のころはそれでいいかもしれません、いわゆる開発途上国といいますか、発展途上国でありましたから。しかし、ここまで来れば、そんなに文部省がはしの上げ下げから全部コントロールする必要はないんじゃないかという声もあるんですね。

 その問題を言っても、なかなか、わかりましたという話にならないと思うんですが、一つ提案をするのは、例えば、高校の卒業試験というのは全国一律にして、今、大検というのがあるんですか、大学入試を受けるときには、高校を卒業してもうこれだったらいいですよというよりも、すべての高等学校はこのくらいの学力は持ってなきゃだめ、それを突破しない人は高校を卒業させないとか、大学だってそうですよ、このくらいの学力が全部なければ大学の卒業はさせませんとか、こういうくらいの改革案を出してもいいんじゃないかという感じが私はするんですが、どうでしょうか。

河村副大臣 先ほど入試制度のこともおっしゃったわけでありますが、学力偏重、暗記力だけ試すような試験では、本当の優秀な学生は採れないということでございます。最近は大学側もいろいろ苦労しておりまして、アドミッションオフィスとか、入試のときに試験だけじゃなくてその人物を見るようにするとか、面接をしっかりやるとか、論文を書かせるとか、いろいろな角度から採用するという、特別に採用のための組織をつくってやるような方向が出てまいりました。しかし、中には試験問題を予備校に頼むというけしからぬ大学もあるぐらいでありますが、そういう大学はいずれ消えていくだろう、こういうふうに思うわけであります。

 そこで私は、一つは、高校の資格は、これは今はもうほとんど大学進学率がふえてまいりましたが、ある程度きちっと勉強をさせる、高校時代からさせる。それから、大学も、経済学部を卒業すれば経済学士、あるいは商学部を出れば商学士とかいう学士号をもらいますが、これもきちっと資格として見ていくという方向づけをしないと、今のままでは、おっしゃるような、入りさえすれば後はところてん式。しかし、今社会はだんだんそういうふうに甘くなってきておりませんから。今企業側も大学卒業の名前だけで採る方向から、まさに、何を勉強してきたか、何の資格を持っているかということが問われてまいりましたから、相当変わっていくとは思いますが、それにつれたこれからの新しい時代に合った大学の方向を打ち出すべきだろうと私は思います。おっしゃるとおり、今まではこれでやってきた、しかしこれからはこれでは済まなくなっている、これが現実だと思います。

大畠分科員 終わります。ありがとうございました。

田中(眞)主査代理 これにて大畠章宏さんの質疑は終了いたしました。

 次に、田中慶秋さん。

田中(慶)分科員 民主党の田中慶秋です。

 文部科学大臣に質問をさせていただきますが、二十一世紀教育新生プランというものが出されているわけでありますけれども、今の現状、少子高齢化によってあらゆる仕組みが変化しているわけであります。特に教育改革は、二十一世紀、避けて通れない重要な課題だと認識しております。その中で、幾つかにわたって質問をしてみたいと思っております。

 まず、言い尽くされたことでありますけれども、三つ子の魂百までもということがありますけれども、今の幼児教育の重要性をどのようにお考えになっているのか。現在、例えば現場は、幼稚園は文部科学省、保育所は厚生労働省になられているわけであります。これが一元化と言われていながらも、なぜ今日一元化できないのか。私は、役所の縄張り争いみたいなことであって、現場の認識を全然されていない、このことに、どう考え、どう取り組んでいくのか、まず大臣の考え方をお伺いします。

町村国務大臣 幼児教育の重要性にまずお触れをいただきました。

 特に、家庭の教育が私はまず何にもまして重要だ、こう考えております。ただ、家庭の中の教育、三つ子、ゼロ歳、一歳、二歳、三歳、それこそ幼稚園あるいは保育所に入る前の段階ですね、ここをどうするのかというのが私は一番、前回も文部大臣のときに考えましたし、今も非常に悩んでいるといいましょうか。というのは、ある意味では一番、家庭の中、プライベートな部分ですから、どこまで政府というか行政が、あるいは政治が入っていけるか、そこにはやはりおのずと一定の節度というものがなければならないのであろうとは思っているのです。

 ただ、さはさりながら、何もやってこなかったと言っても過言ではないわけであります。そこで一つ考えまして、家庭教育手帳とか家庭教育ノートというのをつくって、女性が妊娠をすると母子手帳を保健所からもらいますが、そのときに一緒にその家庭教育手帳を渡して、そのときかあるいは一歳半、三歳、就学前健診、こうした折にそれを渡して、それをよく読んでもらって、あるいは家庭でお父さん、お母さんに議論をしてもらって、我が家はこういうことをやはり気をつけてやっていこう、そんなことも今実は始めております。さらに、今年度の予算では、ただ紙を渡すだけではぽいと捨てられてしまうかもしれないのでということで、子育て講座というものを全国の市町村で展開していこう、こういうようなことを今考えているところでございます。

 さて、三歳を過ぎて、もっとも保育所はもうちょっと低くてもいいわけですが、この幼稚園と保育園のあり方、これも実は大変に、委員御指摘のように前から言われていることであります。

 私は前、文部大臣のときに当時の小泉厚生大臣と話をして、文部省と当時の厚生省、今で言うと文部科学省と厚生労働省と協議の場をつくりまして、なかなか正直言って一遍に合体というわけにもいかないから、お互いに共通している部分が相当あるではないか、その共通点をできるだけふやしていくことによって、将来スムーズな一元化という方向性を見出すために、施設面で若干基準が違っていたりするものですから、それをまず共用化していくとか、あるいは幼稚園の先生と保育士、これの求められる資質といったようなものも、学校で習うことが少しずつ違っていたのですね、これをできるだけ共同にしていこうというようなこと。そして、保育所における教育機能と幼稚園における保育機能というものをお互いにそれぞれ高めていく。そんなことを今実はやっている最中でありまして、これらのことがある程度進んでくると、今委員御指摘のような将来的な幼保一元化ということも可能になってくるのではないだろうかな、こんな展望を持ちながら、今努力をしているところでございます。

田中(慶)分科員 二十一世紀は、大臣はどのように考えているのか。少なくともある面ではスピードが要求されている、時代の変化が激しいわけでありますから。

 もう既に幼保一元化が言われて二十年たっているわけであります。あなたが大臣のときにこのことを、具体的にいつまでにやるぐらいの気持ちがなければ、また十年、二十年たつでしょう。これが今の実態なんです。役所任せでこの幼保一元化はできませんよ。大臣の、リーダーシップをとってやるぐらいの気持ちがなければ、幼保一元化は絶対に永久の課題になります。役所の縄張りなんですから。規制緩和をする、いろいろなことをやられていながらも、それぞれの縄張りでこうなっているわけですから。私は、昭和五十八年に、このことを一番最初に指摘をしました。しかし、現実にいまだに続いているのです。ですから、それは大臣のリーダーシップで、最も具体的に、最もできるだけ早くやるように、あなたの考え方を聞かせていただきたい。

町村国務大臣 長い課題であることもよく承知をしております。そういう言い方をしてはなんですが、特に詳しい橋本龍太郎先生ともこの件について議論をしたこともございます。

 ただ、申し上げましたように、一遍に、さああしたから一緒になるといっても、それはできません。そこで、そうした展望を持ちながら、連携、お互いに共用ができるもの、そうしたことで今努力をしているわけでございますから、その辺の進みぐあいを見ながら、いずれの機会には、それは一元化ということになっていくであろうし、またそうすべきである、私もそう思っております。

田中(慶)分科員 大臣がそのように考えておられることはよくわかりますけれども、物事というのは、目的を持って、そして具体的な日限を持ってやらなければ、これは笛吹けども踊らずということがあるように、なかなか進んでいかない。ということでありますから、やはりこのことはしっかりと、あなたが大臣であるときぐらい、一つぐらい、二つぐらい明確にそのことを仕上げてほしい、このことを要望しておきます。

 次に、中高一貫教育についてでありますけれども、中高一貫教育も、これも非常に長い間検討され、言われているわけであります。入試地獄の問題等々含めて、ゆとりのある教育とか、あるいはまた詰め込み教育をなくすとか、こういうことを言われながら、私立では中高一貫教育をほとんど導入されているわけであります。公立でも一部導入されておりますけれども、その成果と今後の課題をどのように考えられているのか、大臣の考え方をお伺いします。

町村国務大臣 特に、公立の中高一貫につきましては、これも私が前回大臣を務めさせていただいた折に法律改正をいたしました。平成十一年度から制度化をされております。あちこちに大分できたと言いたいところでありますが、正直言ってまだまだでございます。全国で五百程度、高等学校の通学範囲ぐらいに一校ずつは、こういう目標を持ってやっておりますが、現実の話をいたしますと、それはいろいろなところに抵抗がございます。委員御承知のように、なかなか教育関係者というのは、口では革新的なことを言いつつ非常に保守的な人たちの集まりだという思いを私は強くしておりまして、今ある仕組みを変えることに非常に抵抗が多うございます。

 しかし、せっかく法律まで変え、ゆとりのある教育を実現する、一貫したカリキュラムでいい教育ができるようにするということで、この中高一貫教育の仕組みを公立でもやれるようにしようということにしたわけでございますから、今後これをさらに進めていこう。大分真剣に検討したり、あるいは具体的な詰めに入っているところもふえてきておりますので、これも一年二年というわけにはいかないかもしれませんけれども、着々とこれが広がるように、さらに各都道府県、教育委員会等をしりをたたいていこう、こう思って現にやっているところであります。

田中(慶)分科員 大臣はこのことに精通されているわけですから、少なくとも二十一世紀の日本がスタートしたんですから、そういう点では、五年後ぐらいには全部中高一貫教育になるぐらいにしないと、それでも半分もできないと思います、そのぐらいの気持ちがないと、高校一校ぐらいにというこんな考え方でいると、私ははっきり申し上げて全国で五百校も進まないと思います。

 義務教育の機関、あるいはまた高校も含めて、全体的に少なくとも半分以上このようにしていくということをやらない限り、これも私ははっきり申し上げて、なかなか学校の先生方にお任せしていたのでは進みません。政治がリーダーシップをとらなければいけない。何も教育内容に突っ込むわけじゃないのですから、そのゆとりのある教育をいかに実現させるかということなんですから、あるいは子供たちに詰め込み教育とか等々をなくすためにやっているわけでありますから、いいことであれば、私はもっと勇気を持って進めるべきだと思います。大臣、もう一度答弁ください。

町村国務大臣 勇気を持って進めているつもりでありますが、しかし、それは幾ら政治のリーダーシップだといっても、田中先生、個々の高等学校、中学校に全部文部省にいらっしゃいと言って命令するわけにはまいりません。それは個々の都道府県の教育委員会、そしてそこには当然議会というものも絡んでまいります。そうした方々のすべての理解がなければこれは進まないわけであります。

 かつ、地方分権の時代、こう言って、基本的には都道府県教育委員会、さらには市町村教育委員会、そして学校の現場、この人たちのサポーターとして文部科学省があるということでありますから、必要なことは私どもいろいろな支援措置も講じてやっているわけでありますが、最終的な判断、決断というのは、それはやはり個々の地域地域の御判断にゆだねざるを得ない構造になっているということぐらいは、当然釈迦に説法でありますが、おわかりのことだろうと思います。

田中(慶)分科員 そのことは承知しておりますけれども、やはり物事というものは、少なくともこうあるべきだという想定を明確にする、そのことがやはり流れをつくっていくんだ、私はそう思っているのです。

 現実に、法律まで変えて五百校つくるというときに、まだそこまでできていない、それではちゃんと責任を明確にさせればいいじゃないですか。そのぐらいやはり目的を持ってやる、ちゃんとしないとこういうものは進んでいかない、こういうふうに私は思っているわけでありますので、それを時と場合によって使い分けしちゃいかぬと思います。

 確かに、地方分権の時代でありますけれども、法律をそこまでつくってやっているわけですから、それだったら設置基準その他を含めて、時と場合によって全部口を出しているのが今の文部省じゃないですか。ですから、ある面では、そういう地方分権の時代だから地方に任せるということではなくして、やはり率先して、今の子供たちのいろいろな問題が起きている、精神的な問題もあるいは少子化の中での悩みの問題も、こういうことを含めて起きているわけですから、やはりより教育の充実を深める意味でも、大臣、そういう地方分権の時代だから地方にゆだねる、その精神はよかろうと思いますけれども、実態が上がるように、サポーターはサポーターとしてのやり方が幾らでもあると思いますよ、はっきり申し上げて。

 官僚のやり方に全部お任せしていたのではできないと思います。だからこそ政治がリーダーシップをとってほしいということを私は申し上げているわけで、そのことをしっかりとあなた自身が、やはり認識をしておられると思いますけれども、そんな方向をしっかりと定めることが一番大切だと思いますよ。これは私の意見として申し上げておきます。

 次に、学校崩壊の現場をどのようにあなたは認識されておりますか。

 例えば、今現在、中学校等々において、私もびっくりしているわけですけれども、学校の現場において、廊下を自転車が走ってみたりあるいはバイクが走る、こんなことまで聞いているんですよ。このような崩壊している問題、あるいは凶悪な少年犯罪が最近起きているわけでありますけれども、このことに対して、現実に先生方が、本当に体を張ってやっている先生もあれば、あるいは管理職の皆さん方はそうではなくして、自分たちは自分のことしか考えていない、もうすぐ定年になるから余り騒ぎを立てないでほしい、こんなことを言われて、本当に心ある先生方が自信を喪失している、こういうことを先般聞かせていただきました。

 これらについてどれだけ認識をし、どれだけどういう形で対応しているんですか。これも地方自治体、分権だから都道府県に任せているんですか。そうじゃないと思いますよ、このことは。しっかりとその認識や、実態についてどう把握をし、そしてこの対策をどう立てているのか、明確に答弁ください。

町村国務大臣 今委員御指摘のさまざまな問題とあえて一括して申し上げますけれども、そうした問題が、大変難しく、かつ困難な状況になっているということは、私どもも非常に頭も痛めておりますし、また深刻な状態にもなっているということであります。

 だからこそ、私どもは、二十一世紀教育新生プランというものを、改めて、もちろん従前からもそうしたことは教育改革プログラム等でやってまいりました、まだまだ十分ではなかろうという現在の危機的な状況というものを認識した上で、今お手元に持っておられるような教育新生プランというものをつくりました。その基本的な認識を、お手元のその基本的な考え方という形で書いてございますが、いずれにしても、大変な危機的な状況にあるという認識を私どもも持っているから、こうした新生プランをつくらせていただきました。

 では、具体的にどうするのか。それは、いろいろな要請、要素がありますから、いろいろな要素に応じた形で、例えば、やはり人間性の問題だ、心の問題だという部分もありますから、そこに対しては、道徳教育の充実等々いろいろな対策をさらに充実をしていこうという面もあります。

 それから、やはり学校ですから、授業がわからないということが子供たちにとっては大変なストレスの原因になるというようなこともあるでしょう。したがって、わかりやすい授業を実現していくというようなことから、教科によっては二十人学級にしようとか、あるいは習熟度別学習も入れていこうというような形で、できるだけその子供に合った教育というものが実現できるような、そういうような中身も考えていこう。

 ただ、いろいろやってもどうしようもないケースもあるかもしれない、もう学校の中だけではどうしても解決できない問題があるかもしれない。そういう場合には、児童相談所等、場合によっては警察とも連携をしながらそうした問題行動に対応をしていく。

 ただ、これは最後の手段であろうと思いますから、そこにいく前に、まず学校の中で心の悩みが開けるように、子供の心が開けるように、スクールカウンセラーを増員していったり、あるいは心の教室相談員をつくり、心の相談員を置いて、そして子供たちが担任の先生以外の人に心を開いて話せるような、そんな環境もつくっていこうというようなことなどなど、いろいろな形で、今複雑な要素で絡み合って発生しているさまざまな問題に対応していこうということで取り組みをしている、その一つの答えがこの二十一世紀教育新生プランである、かように御理解をいただければありがたいかなと思っております。

田中(慶)分科員 この二十一世紀教育新生プラン、よく見させていただきました。七つの重点戦略も見させていただきました。大変立派なことでありますけれども、お題目だけでなく中身をちゃんとしないといけないわけであります。先ほどあなたが道徳教育の話もしました。さきの本会議場で自民党の古賀幹事長が、自分の人生観を述べられました。あのときの、少年時代の思い出を述べられたと思うんです。それぞれの過程でいろいろな思い出があろうと思いますけれども、やはり教育というのはもっともっと現場が自信を持って子供たちに接することだと思います。

 あなたの少年時代、私の少年時代もありました。しかし、そこでは、やはり尊敬される先生方や先輩方、そして、特に道徳というものが今世の中で教育の中にも非常に欠けている。人を思いやる心等々含めて、もっともっと全体のカリキュラムの中に道徳教育の占める割合をふやしてはどうなんだろう、私はそんなふうに思います。二度とない人生の中の、その義務教育の中における一ページ、そして、そこにおける道徳教育というのを、やはりこの小学生時代、中学生時代、あるいは高校時代、それぞれのとき、節目節目でもっとしっかりとそのことを入れていたならば、今のような十七歳犯罪なんというのは私は起きてこないような気がするわけであります。

 我々もいろいろなことを経験しておりますし、いろいろなことを見ておりますが、やはり一番大切なのは、何といっても、先輩方から時には注意をされたり、あるいは学校の先生方が本当に親身になってともに悩んでくれる、こういう先生方が今どれだけいますか。やはりそれは、本当に道徳教育というものが学校のカリキュラムの中に、この新生プランが実現するためには、基本が私はそこのような気がいたします。そのことを大臣はどうお考えですか。

町村国務大臣 道徳教育の重要性、委員の御指摘のとおりであると私も思っております。

 昭和三十年代の前半に道徳の時間というのができました。しかし、残念ながら、そのころから、特に教職員組合の皆さん方が、これは戦前の修身の復活であるという形で強い批判をし、この道徳の時間というものを、一言で言うならば、平たい言葉で言うならば、つまらない時間にしようということで、教材の開発から、あるいは授業の活用の仕方から非常に、だから、現実につまらない時間になってしまった。それは、先生たちが一致協力すればそうなりますよ。ですから、子供たちに聞くと、これは一番無意味な時間だというふうに子供たちさえ思っている。

 ですから、私は、もう一度改めてこの道徳の時間というものをより有効に活用できるように、先ほど大畠委員あるいはその前の中山委員からも、例えば体育の時間で、これはまさにある意味じゃ道徳と共通する面もあります。そうした各科目の中でも、そういう道徳という面を加味した教え方というものも十二分にあると思いますので、より一層充実したいし、平成十三年度予算の中でも、心のノートというものをすべての子供たちに配って、そして人間として持つべき心をいかに涵養していくのか、そんなことの一助になれば、こう思ったりもしているところでございます。

田中(慶)分科員 ぜひそのことに心していただきたいと思います。

 先ほど、大臣がそれぞれ学級編制について述べられておりました。二十人学級の問題も話されたわけでありますが、今の法律では四十人学級になっているわけでありますけれども、私どもは今、現場に合わせた形で三十人学級、これを法制化すべきであろう、このように考えております。

 四十人以上のクラスになりますと、そこで二分の一になりますから、もう既に三十人学級が始まっているわけでありまして、そんなことを考えた場合、よりゆとりのある教育、個性化教育、子供の感性を生かすということにおいては、三十人学級というのをもっと具体的に法律で検討すべきではないか、このように私は考えております。

 大臣はもう既に、科目によっては二十人学級、こういうことを述べられております。また、体育のような場合においてはフレキシブルに、大勢であってもいいと思うんです。そんなことを含めながら、この二十人学級、大臣は言われておりますけれども、せめてその前段として三十人学級を私たちは今具体的に、もし文部科学省が余り積極的でなければ、今国会に私たちは議員立法として出させていただこう、このように考えておりますけれども、いかがでございましょう。

町村国務大臣 かねてより、民主党の皆さんあるいは他の党の皆さん方も、三十人学級ということについて大変熱心な御主張をしておられることをよく承知しております。

 私どもとしては、全国一律に三十人学級にする、そのこと自体の是非は余り申し上げませんが、しかし、やはり一定の人数の中で切磋琢磨をするということの必要性、それから、三十人になるとその教育効果がどうかということはなかなか実証すべくもない部分もございます。したがいまして、今委員御指摘のとおり、教科の特色に応じて二十人にしてもいいですよ、あるいは、特に指導が難しい小学校一年とか二年とか、そういう低学年では二十人でもいいですよと、その辺のクラス編制は弾力的にやれるようにしよう、そのための教員の定数も確保しようということで、今回、予算あるいは法律という形で私どもの考え方を述べさせていただいているところでございます。

 そこは学校の現場、例えば、荒れた学校だからここはもう少し少ない人数にしたいというふうに校長先生が判断をすれば、それを受けた教育委員会がそういうことでオーケーといえば、そういうことも可能にできるというフレキシブルな考え方でやっていこうということに、私どもは、とりあえず今、現時点ではそういう考えでいるわけであります。

田中(慶)分科員 いずれにしても、少なくとも、今の少子化の中で、子供に集団生活そのものに対するいろいろな変化が起きているわけであります。大体、一人っ子というのはじっとしていられるのがせいぜい二十分、こういうデータが出ているわけですから、やはりそういう中で、大勢の中で、その勉強の環境ということが余計おかしくなってくると思いますので、私たちはこれからも三十人学級というものをしっかりと法律で、ある面では実現できるようにしていきたいと思っております。

 さて、最後の質問になりますが、教育現場にIT革命ということで、さんざんこれは目玉商品になっておりますけれども、現場はどうでしょう。

 学校の現場にパソコンが一台、そしてなおかつ光ファイバーもまだ現実問題として取りつけていない、こういう状態であります。そして、子供たちはむしろ、それぞれいろいろなゲームやソフトを含めてキーボードをたたいたり、いろいろなことが非常に、ところが指導者の先生方はキーボードすらたたけない、これが実態なんです。

 こんなことを考えたときに、IT革命という形の中で指導者の研修もあるでしょうし、総理は、今IT後進国と言われている日本が五年後にはアメリカに追いつき追い越せというこんな国にしたい、こういうことであります。それは言葉ではなくして、本当に学校現場にどのようなタイムスケジュールで、どのような形で、一つの学校に何台ぐらい設置をする、どういう指導者を配置する等々含めてやらない限り、本当の意味でのIT革命になっていかないだろうと。

 学校の中で一番大切なこと、家庭の中で一番大切なこと、子供がその気になっていくと家庭全体も恐らくそういう話題になるでしょうし、おじいちゃん、おばあちゃんもキーボードをたたけるように、ある面では孫の顔を見ながらやっている。こんな話題がやはり家庭の中で出るようにするためにも、学校現場でもっともっとそのことを予算化していかない限り、そして、五年というんですから、もう日にちがないんですよ。そういうことを含めて、具体的な取り組みと具体的なカリキュラムを含めて、大臣の考え方を述べていただきたいと思います。

町村国務大臣 この点につきましては、今、国全体のIT戦略本部、今度名称が変わりましたけれども、森総理のイニシアチブで精力的に進めているところでありますし、既に文部省の方でも随分やってまいりました。

 現在の整備状況についてお問い合わせがございましたけれども、平成十二年の三月三十一日現在で、小学校から高等学校まで含めて目標に対して大体九二%、この目標というのは、各小学校に二十二台、中学校に四十二台、高等学校四十二台という形でパソコンが配置をされるということになって、大体これは目標どおりいっております。さらにこれを、平成十二年から十七年の新しい五カ年計画というのをつくって、小学校には二十二台にしたのを四十二台にしよう。それから、インターネットの接続ですけれども、現在約半分強が接続されているという状態でございますけれども、大変回線のあれが細くて時間がかかったりするものですから、これをさらにISDNの回線が確実に全部つくようにして、いずれにしても、あと四、五年のうちに、すべての学校にしっかりとインターネットが利用しやすい形で大容量のものが使えるようになる、こんなようなことでやっております。

 あと先生の方がどうかというと、現在、指導にそれを十分活用できる人がどれだけいるかというと、多分三分の一程度なんですね。これではだめだということで、まず、すべての教員がパソコンを使えるようにするということで今大車輪で研修を実施しておりますから、大体十三年度じゅうにはすべての教員がまずパソコンを使える、そしてそのうち半分の教師は、半分というのはいささか情けないかもしれませんが、教育そのものにパソコンを使えるようにする、こんな目標を立てて今やっているところでございまして、急速にこの面では今充実してきつつある状態かな、こんなふうに思っております。

田中(慶)分科員 時間が参りましたので終わりますが、いずれにしても、現場をもう少し重要視して視察をされた方がよろしいかと思います。終わります。

田中(眞)主査代理 これにて田中慶秋さんの質疑は終了いたしました。

 次に、大谷信盛さん。

大谷分科員 民主党、大谷信盛、大阪からの選出でございます。

 二十一世紀が始まりまして、大臣がおられますが、僕は、特に町村大臣が一番重要な席に座っているんではないかな、そんな思いでいますので、ぜひとも教育の課題をしっかりと頑張っていただきたいし、また、野党ではございますが、同じこの国の教育を高めていく立場にある議員として、ぜひとも建設的な意見、また御質問をさせていただきたく思います。

 少し個別の課題に入りたいんですが、僕からは一つは、障害等のある児童生徒の教育の向上についてお聞きしたい。そしてもう一つが、近代文化遺跡ということで今文部省の方で頑張っていただいておるんですが、そのことについて後半で質問をさせていただきたいと思います。

 障害、特に人工呼吸器をつけた子供が今、養護学校ではありません、普通学級、学校の中にふえてきています。僕は大阪でございますので、大阪は去年の五月の段階でいいますと、約百九十人の人工呼吸器をつけたお子さんが今普通学校で、養護も含めてですけれども学んでおられる。まさに教育のノーマライゼーション、また子供の人権とかという大切な理念がどんどん行き渡っていく中、特別じゃないんだ、学校というのは、クラスというのは社会の多様性というものをしっかりと反映しているところだし、また、それに対応できる教育現場、教育方針というものが必要なんだ、そんな考えが普及してきたと思う。そして、何よりも医療技術の発展において、本来ならば寿命が短い、本来ならば病院で過ごさなければいけない、しかしながら、技術の発展において、在宅でそして学校でも学べるぐらいになってきたというのが今の現状だと思うんです。

 しかしながら、国、府、自治体の教育委員会も学校現場も含めて、なかなかそのことへの対応、方針というものがしっかりと出し切れていないんじゃないかなというふうに思っています。これは十年前では考えられないようなことだった、それが今日、大阪において百九十人、これはまだまだ僕はふえていくと思うんです。ここのところは、どんな方針があるのかしっかり考えていかなければいけないと思うんです。

 僕は今こう見えても実は三十八歳なんですけれども、私と同い年の方のお子さんで、私の地元池田市に折田涼君という今五年生の子がおられるんですが、この子の病気はいわゆるウェルドニッヒ・ホフマン病、日本語で言うと乳幼児型進行性脊髄性筋萎縮症、要は、生まれてだんだん筋肉が動かなくなっていく。動くのは、今指先がほんの少し動くのと、目がぎょろぎょろとこういうふうに動かされるだけ。でも、この子は、僕が国政報告会をやったら、お母さんと一緒にベッド型の車に乗って見に来てくれる。一時間半の国政報告会の中で途中ばぐばぐばぐと音がするんですが、それは人工吸引器を使って、お母さんがたんを取ったりしているんです。

 その子が今、小学校五年生の普通の教室に通って授業を受けている。最初のうちは、親の付き添いじゃないと絶対にだめだよということで、学校に来たときは親が必ず付き添って行っていた。最初はなかなか、来てくれるなみたいな言い方をしたんですけれども、頑張って学校が入れてくれた。そして今は、地元の市長さんが、何とか親の付き添いがなくても学校で一人の人間として、一人の生徒として学べるようにしたいという気持ちから、教育の行政のお金は使えないけれども、福祉のお金でいわゆる介助員さんを派遣して、たんを吸うという行為をしてもらうことによって、親の付き添いなしで通えるようになっています。

 また、ほかの地域においては、全くだめだ、養護学校に行ってくれという地域、学校もあります。そんな中、ある意味、学校現場だって困惑をしてしまう。たんを取らなきゃ死んでしまうんだから、学校の先生として取ってあげるのが当たり前だと言う人もいれば、医師法十七条、要するにお医者さんしか医療はやってはだめだとなっていますから、これは医療じゃないか、できないじゃないかということで、先生はできない、学校に来ないでくれという地域もあります。

 そんな中、どんな方針でもってやっていくのか。九八年、文部省時代から都道府県を三つ四つ絞って研究ということを重ねているというふうに聞いたんですが、方針が出たのかどうなのか。

 また、医療ケアの必要な子供たちに対して、文部行政、教育、学校ということのかかわり方、方針について、ばくっとしたものをまず最初に大臣にお伺いしたいというふうに思っております。

河村副大臣 大谷委員が今御指摘の点でございますが、結論から申し上げますと、まだ結論に至っていないというのが現状でございます。

 確かに、こういう萎縮症、いわゆるホフマン病の方がたんを取らなきゃいけないということで、今の大谷委員の御紹介では、介助員といいますか、恐らく看護婦さんで一応医師の指示を得たという形にしてやっておられるんだろうと思います。

 特にそういうことが可能になるのは、病院を隣接、併設している養護学校等ですと医師がそばにおられる、看護婦がおられるというようなことで、受け入れが易しいということもありまして、医療的ケアを受けながら通学をしていただく。あるいは入院や在宅療養の方については、養護学校等の教員が直接訪問教育も実施できる、こういうこともあるわけでございます。

 今御指摘のようなケースでは、医師法十七条ですか、無資格者による医療行為はできないということがございます。そこで、どこまでこれが許されるか。もう現実にそういうことが起きておるわけでございますから、そのことについては我々文部科学省が、学校関係者、厚生労働省を初めとする医師会、それから看護協会、関係団体と協議をして、この方向がどこまで進められるかということを検討する必要があろう、こう思っておるわけでございます。

 その検討を一部そういう実際に進んでいる地域ではしておるのでありますが、まだ結論に至っておりません。現実に、そういうところについては今、保護者、まあ保護者については保護観察といいますか子供を養育する責任がございますので、保護者がおやりになることについては医者も認める、こういうことだけに今縛りがかかっております。これをどこまでとることができるか、さらに慎重に検討を進めていかなきゃいかぬ、このように考えております。

大谷分科員 僕としては、ぜひとも文部科学省の方から率先して、一人の子供として、人間としてしっかりと面倒を見ていくというか、教育を受けさせる責任を果たすんだという姿勢を出していただきたいなと思うんです。

 糖尿病の方はインシュリンの注射をされますよね。あれはその昔は、注射を打つということは医療行為ですから、自分でやっちゃだめだ、奥さんに、またお父さん、お母さんにやってもらっちゃだめだということで、仕事の時間をつぶして病院通いをしなきゃいけなかった。これじゃ大変じゃないかということで、自分で打ってもいいよ、だれかに打ってもらってもいいよということになりましたよね。

 僕は、たんをちゅちゅっと吸うぐらいは、これは医療というよりか医療的ケアであって、それはしっかり文部科学省の方で先に現状を把握して、これぐらいだったらできるじゃないかということを厚生の方にしっかりと言っていただいたらいいんじゃないかなというお願いをしたいと思っているんですが、どうでしょうか。

河村副大臣 おっしゃるとおり、文部科学省としても、障害を持っておられる児童生徒のいわゆる教育機会といいますか、これを確保する、そして適切な教育をしていくということは非常に大事なことで、そういう基本的な認識の上に立って、今の御指摘を踏まえて、さらに医療機関あるいは福祉関係機関との連携、具体的な方策について検討に入りたい、このように思います。

大谷分科員 いつぐらいに出すのかというのをお聞きしたいんですが、その前に、本当に出すのか出さないかということをお聞きせざるを得ないと思うんです。

 大阪府の方では、これは去年の九月の読売新聞の記事なんですけれども、このことに関して大阪府自身が独自の方針を出す、頑張っていこうということで、じゃ何ができるんだということを府の中で、実際、このホフマン病の親御さんたちも含め、学校教育現場の職員さんも含め、今議論をされている途中なんです。もう府に、また学校現場にこのことは任すよということなのか、しっかりと文部科学省、国の方から方針を出すよということなのか、まずそれが一つ。それで、二つ目が、やるんだったらいつまでに出すのかということをお聞きしたいと思います。

河村副大臣 実は、先ほど一部進めているんだというお話をいたしましたが、平成十年度から十県に対して委嘱をしておりまして、養護学校と医療機関との連携のあり方という形で、今の御指摘の問題も含めて開始をしたわけでございますが、今いよいよ具体的に検討に入ると申し上げましたが、平成十三年度、ですから年度でいえば来年度になるわけでありますが、具体的に、教員、それから医師、看護婦、養護教諭、それから保護者等による具体的な対応のあり方について調査研究を開始するということでございます。

 これは、できるだけ早いにこしたことはございませんが、一年ぐらいきちっとやって、どういう状況ならどこまでできる、医療として認められるかどうか、これはどうだ、あれはどうだという具体的な問題について検討に入りまして、一年間きちっと調査をいたしまして、平成十四年度にはきちっとした方針を出すということで進めてまいりたいというふうに思います。

大谷分科員 心強い御返事で安心をいたしましたが、ぜひとも確認を一つだけしておきたいことは、一人一人が、たとえ障害があったとしても、人工呼吸器をつけて生きていたとしても、それは人間ですよね、当然。その人間が、義務教育という過程の中で、学校、それはしゃべれないじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、自分自身の生きがいとして、友達、同じような世代の子たちと一緒に交わるということが、特に、これは障害のある子ですから、普通私たちが思う以上にそのことが幸せ感を与える大きな大きな要因になっているんです。

 この方針の中で、ぜひとも、養護学校があるから、こっちの方がしっかりとその子のためになるよなんというような選択のない方針ではなくして、しっかりと、普通学校に行って勉強できるんだということも踏まえて今方針を議論されているというふうに理解させていただいておいてよろしいんでしょうか。

河村副大臣 私は、基本的には、そういう流れの中で検討していくと思います。

 ただ、私も、この前養護学校等にも行ってみました。今、そういう障害者教育も非常に進んでおりまして、障害を持つ方でも、言葉はしゃべれなくても、息がすっと吐けるだけでもコンピューターが動かせるような機械もできておるんですね。だからやはり、そういう特別な支援教育というのも必要になってまいりますから、その人その人にとって、こういう教育を受けた方がこの人のためになると思えば、これはいわゆる就学のあり方の根幹に触れる問題であろうと思いますけれども、基本的には、しかし、教育の機会均等、できるだけみんなと平等に教育を受けさせてやりたい、その中で就学のあり方についてしっかり考えていく。

 また、方向づけも今からいたしますが、今おっしゃったことは非常に大事な指摘でもございますが、本人の幸せはどういう形が一番幸せなのかということは、やはり真剣に考えて決めていかなきゃいけない問題だろう、このように思っております。

大谷分科員 私も全く副大臣と同じですが、ぜひとも選択肢というものだけは平等にどんな子であったとしても広げていただくということで、しっかりお願いをしたいというふうに思います。

 もう一つ次の質問に移りたいんですが、平成八年から、近代遺跡調査についてということで、文部省、文化庁の方で作業が進められています。そんな中、全国でいろいろなエネルギー産業や重工業、また社会や農林水産業にかかわる、大体分類して、その他も入れて十一個のランクづけで、一体我が国にはどんな遺跡が、歴史を理解する上で欠くことのできない重要な遺跡としてあるのかということで調査が始まっているんですが、私が特に質問したいのは、政治というものに関する遺跡の重要な意味は何なのかということなんです。

 これまた個別のケースでお伝えさせていただきますと、大阪の茨木市安威地区というところに、当時の日本帝国海軍が掘ったトンネルが三本、約四百メーター、五百メーターぐらいでございますが、それは、新興住宅地のちょうどふもと、山を削ってつくった新興住宅地の下あたりにあるんですけれども、いわゆる朝鮮半島から人を強制連行で連れてきて、その方に掘っていただいた。その方がまだ何人か地域におられて、おれ、あれ掘ったんだよというようなことになっているんです。

 どうも、この前、文化庁の方に来ていただいて、調査官の方だったと思うんですが、聞きますと、調べ方は、文化庁が調べる、都道府県にそんなものがあるかないかお伺いをする、都道府県がまたそれを地方自治体に下請をして調べる。これはすごいですよね。何がすごいかというと、何が重要かどうかというのは、市の職員さん、この場合教育委員会ですけれども、その方のある意味個人的な価値判断によって、歴史的な重要なものもそうでないものも非常に濃淡がつく。これでは正当にできないんじゃないかなという心配があるんですが、その辺は僕の今の理解で正しいのか、それとも、いや、そんなことはなく、こういうふうにやっているというのか、一回ちょっとその辺のところをお教えいただけますか。

銭谷政府参考人 ただいま先生お尋ねがございましたように、文化庁では、我が国の近代の歴史を理解する上で欠くことのできない、幕末開国のころから第二次大戦の終結ごろまでの重要な遺跡について、平成八年度から調査をしております。

 このやり方は大きく二種類ございまして、一つが、こういう遺跡が全国的にどのように所在をしているかを把握するための所在調査と、その遺跡の歴史的な意義等についての詳細調査、この二つの内容から成り立っております。今先生お尋ねの件は所在調査の方でございまして、これは都道府県の教育委員会に依頼をいたしまして実施をして、都道府県の教育委員会がA、B、Cの三段階の評価を付して、私ども文化庁の方に調査票を送り返していただく、こういうものでございます。

 その場合、都道府県の教育委員会でA、B、Cを判断する場合には、例えば日本の近代史を理解する上で不可欠な遺跡であるとか、近代史の各分野で学術研究上貴重な意義を持つものであるとか、あるいは各地域での近代史の特徴をよく示すものであるといったようなことを判断基準にしながらA、B、Cをつけるわけでございます。

 具体的には、Aというのは、日本の近代史を理解する上で不可欠な遺跡、それからBは、各地域の近代史を理解する上で特に重要な遺跡、Cはその他の遺跡、こういう評価を下していただきまして、これを私どもの方へ今提出をしていただいている段階でございます。

 その上で、今度は文化庁の方で詳細調査というのを行います。これについては、対象とすべき遺跡を文化庁の方でまた送ってもらったものの中から選びまして、専門家による現地調査などを実施して最終的な判断をしていくということになります。その場合にはもちろん、専門家の方々の委員会などを開きながら御判断をしていただくということに相なります。

大谷分科員 この専門家というのがちょっとくせ者だなというふうに思っておるんです。ここにあります歴史を理解する上で重要な遺跡なんですけれども、例えば、それは何か歴史上教科書で学ぶことがあったような場といえば、歴史を理解する上で間違いなく重要なものということになるんだと思うんですが、専門家というのはそれがそういうものかどうかを判断する専門家ですよね。

 僕が何を言いたいかというと、例えば、ただの洞窟、トンネルであったとしても、地域の人が市民団体までつくってそれを教材にして、子供たちに、また近くに移り住んできた大人たちに、こんなことがあったんだよ、戦争というのは本当にろくでもないものなんだよ、平和が大事なんだよ、そんな教育の教材に使っているとした場合、これだって歴史を理解する上で欠くことのできない重要遺跡じゃないかと僕は思うんですよ。

 専門官の方が自分の学んだ歴史の知識でもってこれは重要だと言うのはわかる。しかしながら、ただの洞窟であったとしても今どんなふうに使われているのか、これは歴史上大切だと専門官が言われても、村の人が、地域の人が全く無視をしているものだってあるわけでしょう。それよりかは、たとえ穴ぼこであったとしてもそうやって教材として周りの地域の人が使っていることの方が、ある見方からすれば重要じゃないか。そんな見方はそこの中には入っていないのか、入れる気があるんでしょうかということを質問させていただきたいと思います。

銭谷政府参考人 先生御指摘のように、文化財というのは、やはり、その地域にとって、地域の歴史を明らかにするだけでなくて、それを適切に保存し活用していくということが大事なことは言うまでもないと存じます。近代遺跡につきましては、特に政治の分野はこれから詳細調査に入るわけでございますけれども、大学の近代史の先生方を中心にこれから御検討いただくわけでございますが、その地域においてその文化財が十分に保存、活用されているかどうかということも一つの判断の要素にはもちろんなってくると思います。

 ただ、あくまでも、やはり、我が国国民の共有財産とも言うべきものを史跡として指定していくという作業でございますので、その遺跡の歴史的な意味合いというものも十分に考えなければいけないというふうに思う次第でございます。

大谷分科員 もちろんです。Aランクとつけられているものは、それはもう大切なものだというふうに思います。

 ですから、今いただいた御答弁の中で、現在活用されている、地域での活用のされ方においてはBに値するということも入るということですよね。そこだけもう一回確認させていただいてよろしいですか。

銭谷政府参考人 これから近代遺跡の指定をする際に、現在県の教育委員会の方からいただいておりますA、B、Cというのは、もちろん参考にはさせていただきますけれども、先ほど来申し上げておりますように、この詳細調査をもとにして私どもの方で決定をしていくということになりますので、その点は御理解をいただきたいというふうに思います。

 それともう一つ。やはり文化財というのは、その管理について、所有者あるいは市町村の教育委員会なりが適切に行っていただく必要がございますので、その点も加味していかなければいけないのではないかと思っております。

大谷分科員 何か、悪いうわさですけれども、その遺跡が個人のものになっていたり市や国の土地になっていたりすることによってランクが左右されているんじゃないかみたいなことも聞いたりするんですが、そんなことがうわさになって出ていますので、そういうことがないようにしっかりと、今合意できたと思っておるんですが、そんな新しい価値判断もぜひとも踏まえてやっていただけたらというふうに思います。

 最後の最後になるんですが、町村大臣にお伺いさせていただきたいんです。

 僕は思うんですけれども、この国のお金の使い方なんですけれども、どうも教育にお金の使われ方が少ないんじゃないかなというふうに思うんです。諸外国に比べたってシステムが違うんだから余り当てにならないよと専門家、プロの方はおっしゃるかもしれませんが、大臣として、政治家として、この国はやはりもっともっとお金を教育に、はっきりと予算が出てきたときの額ということで、使っていく、ドラスチックにお金の使い方を移動していくようなそんな仕掛けというものが要るんじゃないかなというふうに思うんです。

 今、コンピューターを一個ずつ入れる、先生の全員がコンピューターを使えるようにする、そのためにお金を使っていくわけですけれども、そんなに大きくは予算配分の中で変わらないですよね。先生方が全員コンピューターを使えるようになろうと思ったら、一年間相当インテンシブなトレーニングを、どこでもって使えるようになったかによると思うんですけれども、クリックするぐらいだったらだれでもできるわけでありまして、ある意味で、ソフトの組み方というものの初歩的なものぐらいを子供たちに教えられるようになろうと思ったら、そんなもの一年でできるわけでもなく、一年でやろうと思ったら相当お金がかかると思うんですよ。

 これは政治家として政治家にお聞きをしたいんですが、皮膚感覚で結構でございます、もっともっとお金を使うべきだというふうに思われませんか。ドラスチックに予算の組み替えをするぐらいの気持ちはございませんか。

町村国務大臣 それは、国の財政制約がないのならもうどんどん使いたいですよね。

 ただ、そこはやはり国全体の財政の兼ね合いというものもありましょうし、もっとも、いろいろな統計を見ますと、初等中等教育段階では比較的日本の、例えば財政全体に占める教育予算の比率ではそう変わらない、むしろ、高等教育段階になってくるとこれはやや手薄かな、そういう統計もあります。

 したがいまして、その辺を大いに考えて今後やっていかなければならないし、例えば科学技術関係も、今度、私ども文部科学省で担当しているわけでありますけれども、新しい科学技術振興の基本計画を三月いっぱいにつくるんです。これもかなり思い切ってふやしていきたいな、こう思っております。しかし、財政の制約があるから、本当に相当な努力をしないといけないと思っておりますけれども、これもやはり重要なことだろう、こう思っております。

 例えば、科学技術関係を膨らますといいましょうか、その予算を充実するということは、とりもなおさずその一定割合は大学の研究に持ってくることができるわけでありますから、そのことは先ほど申し上げた高等教育段階での支出というものがいささか寂しいなというところの充実強化には間違いなく寄与するであろう、こんな感じを持っております。

大谷分科員 高等教育、間違いないと思いますし、僕自身、学校の先生という方の集まりに参加をさせていただくと、非常に高齢化されていますよね。学校の先生方が何か社会を反映していないようなところがあるんですね、僕は小学校、中学校の話をしているんですけれども。高等教育はもちろんのことですけれども、初等も含めて、ぜひとも、先生の数がふえれば、僕は大分変わると思うんですけれどもね。

 そんな安易なものじゃないよ、今この行政の長となっておやりになっておられる大臣からしたら、ばかやろうと言われるかもしれませんけれども、僕は先生を見ていると、本当に、朝から始まって夕方終わって、その後庶務をして、それで家に帰って自分の家庭をやって、次の朝出てくる。なかなか、子供にゆとり教育なんて言っているんだけれども、先生にゆとりがなかったら、ゆとり教育の実現というものはできないような気がするんですけれども、大臣は政治家としてその辺をどんなふうにお感じになられていますか。

町村国務大臣 先生の高齢化問題といいましょうか、確かに若い方が、全体の生徒の数が減っていますから、それにつれて先生の数も若干減ってきているわけですね。したがって、新規採用の数が非常に少なくなってきている、そのことが全体としての平均年齢を押し上げているということは先生御指摘のとおりでございます。ただ、そうすると、体育の時間とか、そういうときに元気いっぱい走れる若い先生が少なくて、ややおなかの出っ張ったような先生ばかりが多いということになると、やはりそこは問題なんだろうと思いまして、今度の新しい定数改善計画ではその辺を採用数を減らさないように大いにやっていこう、こう思っております。

 初等中等教育のレベルでもやるべきことは本当に多々あると思っておりますので、今後ともまたお力添えをいただきながら、できる限り充実強化を図っていきたいとは思っております。

大谷分科員 少子高齢化だから先生の数は少なくて済むのではないかみたいなことを、ちまたでたまに聞くときがあるのですが、ぜひとも大臣におかれましては、そうではなくて、教育の質というものが変わってきたのだ、そんな思いを持っていただけたらというふうに思っております。

 最初に言いましたように、私にとっては本当に、内閣の中でも二十一世紀のかけ橋となる大臣として一番大切な役が、文部科学省、大臣だと思いますので、大臣また副大臣、野党の立場からではございますが、頑張ってくださいとお伝えをし、終わりたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

田中(眞)主査代理 これにて大谷信盛さんの質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦さん。

    〔田中(眞)主査代理退席、主査着席〕

大島(敦)分科員 民主党の大島でございます。

 先ほどの大谷信盛さんと同じ、昨年当選させていただきました一年生の議員でございます。

 きょうは、主に幼児教育について御質問させてください。

 私の父が幼稚園の理事長をやっておりまして、あと園長もやっておりまして、もうすぐ五十年を迎える幼稚園でございます。子供のころからずっとその子供を間近に見て育ってまいりました。特に、子供と一緒に写真を撮ったりすると、一人一人本当にいい表情をするのです。三歳から六歳までの子供たちが、一人一人本当に個性的ないい表情をしている。

 今私も、お金のない政治家なものですから、毎朝駅に立って通勤されるサラリーマンの顔を見ると、皆さん余り元気がない。暗い顔をして通勤されている。どうして、これだけ個性のある子供たちが、大人になると非常に暗くなってしまうのかなといつも疑問に思いながら生活してまいりました。それで、できるだけ子供のときの生き生きした感情とか感じを一生涯持っていただきたいなと思って政治家になった次第でございます。

 特に、幼児教育というのは非常に大切だと思います。三つ子の魂百までと言われております。私も会社生活を十九年やってまいりまして、そのときに部下が何人かいまして、非常に象徴的な部下が二人おりまして、一人が、生まれてから小学校に入るまでがアメリカのロサンゼルスで過ごされて、小学校から大学を卒業するまでが日本の教育課程を踏まれた方。もう一人の方が、逆に、生まれてから小学校に入るまでが日本で、小学校から中学校、高校を卒業されるまでが今度アメリカのニューヨークの学校に行かれて、大学だけ日本だった。

 この二人を部下として見てみますと、子供のとき日本で、小学校、中学校、高校とアメリカで、大学は日本で入ってきた部下は、日本語の四文字熟語は余り知らないのですけれども、メンタリティーは日本人なのです。逆に、子供のころ、小学校に入るまでがロサンゼルスの幼稚園に行かれて、小学校、中学校、高校、大学と経て、入って部下になりまして、最初はごく普通の会社員だったのですけれども、一回MBAを取りにアメリカに行って、帰ってくると、先祖返りして、日本人のメンタリティーよりもアメリカ人のメンタリティーになっていたということで、幼児教育というのが非常に大切だと思います。

 特に、今塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読みますと、ゼロ歳から始まって、三歳、四歳、五歳、子供のころに母親の愛情を一身に受けた子供というのが、自信を持って社会の中でもリーダーになれるというお話がございました。

 町村文部大臣、幼児教育に関して、御自身の経験も踏まえて、どのように考えていらっしゃるのか、まずお聞かせいただければ幸いでございます。

町村国務大臣 若干個人的なことも含めて申し上げますと、私は六人兄弟の末っ子でございました。したがって、大分年をとった母親から生まれたわけでありますけれども、末っ子ということもあり、えらく甘やかされて育ったのかなという気がしております。その分、親からいっぱいの愛情をもらったとも言えるかと思います。

 私は幼稚園に入りまして、二年間通いました。今でも覚えておりますけれども、年長組のときの担任の先生から物すごい勢いで怒られたことを今でも私は覚えております。何で怒られたか、理由はちょっともう覚えておりませんけれども、多分時間が始まったのにブランコに乗っていたのではないかなと思いますけれども。しかし、平素物すごく優しい先生があんなに怒るのはなぜなのだろうかということで、やはりいけないことはいけないのだということを、改めてそのとき気づかされたといいましょうか、そんな記憶を今でもその先生の顔とともに思い出すわけであります。

 したがって、そういうことが今日の私自身とどうつながっているのか、それはよくわかりませんけれども、しかし、やはり幼児教育の重要性、特に幼稚園もそうですけれども、やはりゼロ歳から一歳、二歳、三歳というそのあたりの家庭での教育というものの重要性というのは、人間の人格形成にとっては非常に大きな大きな影響がある。ですから、家庭の教育というのが、多分、戦前とか戦後間もなくは、ある種の一つの常識みたいなのがあったんだろうと思いますけれども、戦後、もしかすると、だんだん家庭のしつけというもののイメージが崩れてきて、どうやって子育てをしていいかわからない、育児書はいっぱいあるのですけれども、将来の人格形成、大人、立派な人間になるための基礎を家庭でどう築いたらいいかということについて、若いお父さん、お母さんに相当迷いがあるような気がします。

 そういうことを考えまして、ちょっと長い答弁でどうも済みませんけれども、それぞれの御家庭、若いお父さん、お母さんに考えてもらう材料を提供したいなと思って家庭教育手帳とか、家庭教育ノートというのを、私三年前に文部大臣のときにすべての若いお父さんやお母さんに配って、考えてみてくださいと、そんな難しいことは書いていないのですけれども、そんなことをやった。

 今度、十三年度予算の中には、それをただ渡すだけじゃなくて、子育て講座みたいな形で、人生のしかるべき先輩が若いお父さんやお母さんに少ししゃべる、一緒に考えてみよう、そんなようなことをやって、今お願いをしているところでございます。

 いずれにしても、幼児期の教育というのは非常に重要だという委員の御指摘には、私は全く同感でございます。

大島(敦)分科員 やはり幼児期の教育というのは非常に大切でございまして、昨今の非常に悲しい青少年の事件を見ますと、どうしてしまったのかなという思いでいっぱいでございます。

 特に、やはり家庭内での子育てに関する、要は暗黙知の部分、本来であれば家庭内で受け継がれた部分というのが、今は非常に薄くなってしまっているのかなと。それで、町村文部大臣が、前回は手帳ということで、新しいお父さん、お母さんに配ることによって、その辺の知識の伝承を図るという意思でやったかと思います。

 今、幼稚園の環境を見ますと、非常に子供が少なくなってしまっておりまして、社会のニーズというのも大きく変わってきております。これまでですと、幼稚園ともう一つ保育所というのがありました。

 保育所というのは、保育に欠ける子供たち、ですから、経済的な理由で御両親がなかなか面倒を見られないというお子さんが保育所に行っていらっしゃった。幼稚園というのは、全く教育機関として、先ほど町村文部大臣の方から御指摘のありましたとおり、しつけとか教育という面が非常に目的になっておるところでございます。

 今、社会の要請としては、保育に欠ける子供たちというもののほかに、もう一つ、男女共同参画社会、男性と女性がお互いに助け合って社会の中で生きていこうという価値観とか、あるいは女性の方が一生涯勤めようとかいう考え方もございます。

 特に、日本の人口を考えてみますと、江戸時代は三千万人でした。ちょうど百年前が四千二百万人でした。一九四五年がたしか七千五百万でした。昨年が、国勢調査して、一億二千六百九十万で、人口がずっとふえてきた過程がございます。二〇〇七年から、人口は減り始めます。ですから、子供のところというのが非常に大切になってきております。

 文部科学大臣の方にお尋ねしたいのですけれども、幼稚園のあり方というのは、これまでどおりでいいとお考えでしょうか。

町村国務大臣 なかなか難しい御指摘でございますけれども、実は、つい先日、幼児教育、なかんずく幼稚園教育のあり方について、専門家の皆さん方にお集まりをいただいて、御提言をいただきました。いろいろな中身のある御提言で、今それを一つずつそしゃくしながら、どうやって政策に結びつけていくのかな、こう思ったりしているところであります。

 例えば、これからの幼稚園に求められる機能として、今預かり保育というのを随分多くの幼稚園が始めております。これは、ある意味では園児の確保という現実的な要請もあるのだろうけれども、やはり、午前中、お昼だけではなくて、夕方まで預かっておいてもらうと働きやすい、ある意味では保育の機能を求めるというような面が新しい機能としてあるし、しかし、当然、そのためには人もより多く必要としたり、その分、ある意味では幼稚園の経営も大変になる。では、その分どう助成を充実していくかというようなこと、それは多分これからの社会にとって必要な機能なんだろうなと思っております。

 それから、幼稚園に行く子供よりもまだもうちょっと小さい子供で、地域に幼稚園がある、そこが、ある種、子育ての相談センターのような役割を果たしてもらうとありがたいなという若いお父さん、お母さんのお声が随分あるようでありますから、そういう相談機能といったようなもの、地域における子育てセンターといったような機能も幼稚園にこれからは求められるのかもしれない。それもまた一定のコストがかかるわけですから、それに対してどうするのかな。

 そういうようなことで、ほかにも幾つか貴重な御提言をいただいておりましたので、そうしたものをしっかり受けとめながら、これからの幼稚園、大変重要な役割を担う、しかし少子化という中で、それぞれ幼稚園の経営は大変難しくなってくるという、それは幼稚園の理事長さんとして大変御苦労――お父様がですか、御苦労しておられる部分だろうと思いますけれども、これからも幼稚園の重要性というものは、ますますふえることがあっても減ることはない、こう思っておりますので、いろいろな施策の充実をこれから図っていきたい、こう思っております。

大島(敦)分科員 特に幼稚園の先生あるいは理事長の方とお話ししますと、今町村文部大臣の方から御指摘のありました預かり保育、延長保育というのが非常に求められておるように聞いております。

 幼稚園というところは四時間の保育が原則でございまして、あさ九時にお預かりするとすれば、大体一時とか二時ぐらいまでのお預かりで、それから御家庭の方に、また皆さんに引き取ってもらうというのが原則でございます。

 幼稚園に通っていただいている御父兄、全員じゃないのですけれども、一部の方は、会社が終わる、あるいはパートが終わる五時とか六時ぐらいまで預かってくれたらなという要望が強くて、その辺のところがまだ今のところ、旧厚生省さん、現厚生労働省さんの方が非常に強く保育所の方の設立とか拡充を図っている割には、もう少し文部科学省さんにも頑張っていただいた方がいいのかなと思うのですけれども、その辺はいかがお考えでしょうか。

町村国務大臣 預かり保育、非常に対象の人数もふえてきております。そんなこともあって、十三年度予算では、前年の予算の倍、十二億四千八百万ということで、対象人員も二万人台から三万人台へというようなことで、強化をしているところでございます。

 今後、どこまでこれをやっていくのかということでありますが、できるだけ長くというお声もあることもよく承知をしておりますので、そうしたニーズにできる限りこたえるように努力をしていきたい、かように思っております。

大島(敦)分科員 今の預かり保育、延長保育の件なんですけれども、幼稚園というところは、保育所と違って、夏休み、冬休み、春休みという長期間の休みがございます。今の御父兄の方に伺いますと、本当は幼稚園に預けたいんだけれども、夏休み、冬休み、春休みに預かっていただけないので、どうしても幼稚園じゃなくて保育所の方に子供を預けなくちゃいけないんだなという声もあるものですから、その辺の、長期間の休みにおける預かり保育、延長保育の充実ということを町村文部科学大臣の方にはお願いしたいのですけれども、いかがお考えでしょうか。

河村副大臣 では、私からもお答えします。

 先ほど来お話しのように、これから幼稚園に保育機能といいますか、それを持たしていこうという方向は、私は、決して間違っていないし、その方向でやってもらいたい、こう思っております。

 ただ、今のように夏休みということになりますと、これはやはりその間を教育する、保育する教諭を一時的にふやすという方向が打ち出せないとなかなか難しいだろうと思いますね。今後、恐らく、本格的にこの問題に取り組んでいけば、そういうことが必要になってまいります。ことし、預かり保育の予算を大幅に伸ばしたのですが、この予算の確保という方向で検討していけば、人員の増ということで考えていけば、私は、それは切り抜けられるのではないか。

 もちろん、幼稚園としても自助努力をしていただかなきゃなりませんから、交代で出ていただく、足らない分はパートを雇ってでもやるぐらいの覚悟で取り組んでもらうということを、具体的にどういうふうにやったらできるかということを真剣に検討いただいて、少なくともこれだけは増員すれば可能だということであれば、先ほど、預かり保育という形でかなりの思い切った予算を伸ばしましたが、その中でまた考えていけば、実現可能な課題ではないかな、私はこのように思います。

大島(敦)分科員 今幼稚園というのは、数はどんどん減っているかと思います。特に首都圏では、少子高齢化が非常に激しいものですから、幼稚園も閉園されるところが多い。逆に、保育所の方は非常に拡充が今図られておりまして、これまでですと社会福祉法人しか設置できなかったものが、株式会社でもいいよ、あるいはNPOでもいいよ、もちろん学校法人でもいいよ、農協さんでもいいよということになっております。

 そして、これまで、幼稚園も、学校法人に認可するときには、すべて寄附行為を行って、国の所属になる。保育所に関しても、社会福祉法人の場合には土地建物もすべて寄附していたところが、賃貸方式でも可能になっておりまして、保育所に対する参入障壁が非常に少なくなってきている。幼稚園というのがこれまでどおりですと、すぐ隣に保育所ができてしまったりして、その辺のバランスというのが非常にとれていない感じがするのです。

 税金の使い方として、一つ保育所をつくるために一億円ぐらいかかるでしょう。そのうち半分が国とか地方公共団体が持って、もう半分が設置者が持つようになっている。それでも、一億円使って新しいものをつくるよりも、今現行ある施設、あるいは幼稚園が持っている建物、土地を生かせば、延長保育ということでの方が、例えば今の予算、保育所を百個つくれば百億円かかるとすれば、その予算で延長保育をやったら、結構今のニーズにはこたえられるかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。

河村副大臣 大島分科員御指摘の点は、私もそういう形の方がむしろスムーズにいくのじゃないかと思います。

 最近、行財政改革といいますか、そっちの方面からいろいろ指摘がありまして、保育所で非常に自由化の方向が打ち出されたわけです。

 駅前保育なんというような話が出ました。確かに便利かもしれないけれども、それは余りにも親中心ではないか、本当に子供の保育、子供の教育を考えたときに、そんな駅前の騒然としたところが子供の保育に本当にふさわしいところなんだろうかということも考えてみなきゃいかぬ、こう私は思っていまして、幼稚園が持っている機能を保育に広げていく、もし保育所が自由化して簡単にやれるようになるなら、幼稚園のその場所を使ってやるということも全く同じことなんですから、しっかり幼稚園側もそういうことでウイングを伸ばして、幼保園化といいますか、そういう形で経営のことも考えながら進めていかれることは、わざわざ今から株式会社をつくってやるとかなんとかじゃなくて、むしろそういうノウハウを持っている幼稚園が保育にも手を伸ばしていく方向というのは間違っていない、こう私は思っています。

大島(敦)分科員 河村副大臣の方から本当に貴重な御発言をいただきまして、ありがとうございます。私も本当にそう思うのです。

 私も民間企業に十九年間勤めておりまして、民間企業人から直接この職業、政治家になりまして、やはり民間企業ですとどうしてもコスト意識とか、もうかるかという意識になります。

 私もせんだって、私立の保育所を経営されている御婦人の方とお話し合いを持ちました。そのときに、その方は非常に立派な方でして、御両親を面接するんですって、自分の保育所に預けるときに。なぜかというと、ただ単に働きたいから預けるとか、今仕事がピークだから預けるとか、そういうんじゃ困るよって彼女は言うんです。そういう気持ちで預けられると、子供としては、あっち行ったりこっち行ったりという意識がどうしてもついてしまって、なかなか落ちつかなくなってしまう、本当に預けるんだったら、一年間とか二年間とか、しっかりした気持ちで預けてほしい。そういう立派な方もいらっしゃることも確かなんですけれども、また、民間企業でやった場合、今御指摘のあったような長所もあれば短所もあるかと思います。

 今の要請の中で、いろいろお話し合いを持ちますと、例えば今回、厚生労働省の方で、駅前の保育の話とか、駅前でそういう預かるところを設けて、一たんそこに、駅に通勤途上でお子さんを預けて、そこから保育所の方にもう一回預けて、また帰るときに駅前でピックアップしていくというようなアイデアもあるかに、僕はちょっとまだ記憶が定かではないのですが、聞いております。

 そうしますと、幼稚園のそういうリクエストがあるとすれば、例えば、お父さん、お母さんもバスでお迎えをする、あるいは幼稚園まで連れてきていただけるという手間がございまして、そのような駅とかで、よしあしは別として、もしもそういうニーズがあるとすれば、幼稚園の設置者が何人か集まってグループをつくってそういう送迎をしたりしてもいいのかなとか、あるいは、今厚生労働省さんがそういうことをやられるとすれば、保育所じゃなくて幼稚園に関してもそこで預けるように認めてくれないかとか、そちらの方が何か制度としてはお互いにスムーズに利益を享受できるかと思うのですけれども、いかがお考えすればよろしいでしょうか。

河村副大臣 最近、幼保一元化という話も随分ございます。それに向けて、幼稚園側、保育所側、両方が今いろいろな協議をしております。

 先生方の研修を一緒にやるとか、私は、せっかく研修をやるのなら、保育所の保母さんも、今は保育士というのを男もやるそうですが、それが幼稚園に行って経験をして、逆に幼稚園の教諭も保育所に行って経験をするぐらいの相互乗り入れをやったらどうか、こう言っているのですが、そういうことで今それに向けて動いているわけです。それは地域によってしっかりとした話し合いのもとでできればいいんじゃないかと私は思うのですね。そういうことは、やはりそれぞれの地域によって地域性もありましょうから、しっかり話し合いのもとでその方向がきちっと打ち出されればいい。

 しかし、余りにも便利になって、それになれ切って、最近私も聞いたのですが、一時預かり、延長保育もいいが、そこの園長が言ったのですが、最近の親にはひどいのがおって、仕事をして帰って家でゆっくりして、一回風呂に入ってまた子供を迎えに来るのがいる、何をさておいても子供を迎えに来るのが先じゃないか、こう言っておられるのを聞きまして、余りにも世の中が便利になって全部預かるようになると、そんなことを、今のも、まず途中で預けて、また寄っていく、本当にそれでいいのかということも含めながら、やはり子供本位で、いっぱい愛情をかけるにはどうしたらいいかということを絶えず頭の中に置きながらやっていただかないと、親の便利だけでいろいろなことをやってしまうことになってしまわないかという一縷の心配を持ちながら、しかし、男女共同参画、女性も働きたいし、やはりそのことが必要ですから、できるだけ便宜を図っていく方向は、それは一つの流れだと思いますけれども、その辺だけはやはり考えながらやっていただかなきゃ、こう思っております。

大島(敦)分科員 河村副大臣の方からの御答弁で、私も、非常にドライに、要は物じゃありませんので、これからの日本を担っていく本当に大切な子供たちですから、愛情を注ぐという観点は非常に必要かと思うのと同時に、今度は逆に、御婦人の方から見ると、一生涯勤めたいということと、人口が減ってくると御婦人の方も働かなければいけないという時代の要請もこれから出てくるかと思います、五年後、十年後には。

 ですから、そういうところをうまくマッチングさせるためには、ある程度行政サイドの方で、こっちの方向ですよという、例えば先ほどの預かり保育、延長保育は長期の休みの期間もやってもいいですよとか、あるいは通園の利便性に関しても、こういうふうなところで一緒に厚生労働省さんとやっていくとか、そのようなやはり大きな流れをつくっていくのが今文部科学省の方に求められるとは思うのですけれども、その辺の政策誘導の方をしていただけるかどうかというところを伺えればと思います。

河村副大臣 今両省で具体的にその問題については話し合いをしているところです。直接連携をしようということで、施設を共用しようとか、いろいろな形で今話し合いを進めておるわけです。しかし、やはり子供中心にということでやっていかなきゃなりませんから、文部科学省がリーダーシップをとってやる形が望ましい、こう思っておりますが、やはり行政が違いますと厚い壁がそこにあります。その壁をどういうふうにして今から取り払うかというのは、一つの大きな課題です。これまでも随分言われてきたことですが、一つの方向を出さなきゃいかぬ。

 保育所が措置費ということでかなりのしっかりした予算を持っている。それに引きかえ幼稚園は八割、私学の中で、この格差もあるわけですね。しかし、本当に教育をやっているのは幼稚園だという幼稚園側の気持ちもある。しかし、今日、今さっき言った、労働力の問題、人口が減る問題でいわゆる保育所が持つ役割というのはまだ大きいんだ、こういう意見もありますから、その意見の調整も図りながら、いずれこれは一本化していく方向を打ち出していかなきゃいかぬときが必ず来ると私は思っておりますが、今それに向けてまさに検討に入っている、こういうことだと思います。

大島(敦)分科員 今の御指摘の中で、特に、預かり保育、延長保育の話と、あと利便性の問題については、なかなか幼保一体化というのは非常に先の長い議論かと思います。

 厚生労働省さんに伺っても、なかなか保育園は保育園だという意識が強くて、文部科学省さんは意外とその辺の考え方はやや柔軟なのか、保育園も幼稚園もという考え方があったりして、やはり幼保育、厚生労働省さんも教育という観点は非常に見ていらっしゃいますし、幼稚園行政も教育という観点を得ている。

 ですから、その辺の時代のニーズをやはり先導するような形で、ぜひ町村文部科学大臣の方にはそのような施策を早急に立てていただいて、特に民間企業でのコストパフォーマンスというところを見ますと、新しく保育所をつくった方がメリットがあるのか、あるいはその金額で延長保育とかその利便性を整備した方がメリットがあるか、その辺のコストの問題というのも検討していただければありがたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

町村国務大臣 幼稚園、保育所、基本論を言うと、こちらは教育施設、こっちは児童福祉施設というのですが、現実に果たしている機能は、先ほど来大島委員御指摘のとおり、非常に似通ったものになってきている。だけれども、やはり制度はもともと違うんだからということで、先ほど河村副大臣御説明のように、幼稚園の方は、特に私立幼稚園の方はわずかな国のお金で、他方、保育所の方は相当手厚い国のお金が出ている、国というか、市町村も含めてですけれども。そこのところでなかなか制度を一緒にするといっても難しい面がある。

 先ほど、お二人前に言われた田中慶秋委員からも、早く政治決断をしなさいという非常に厳しい御指摘もいただいたところでございますが、これはなかなか一遍に進む話でもないかなと思いますので、先ほど来御説明のように、できるだけ共通する部分は共通して、だんだん融合化できるような形で持っていくのが現実的なんじゃなかろうかと思ったりもしております。

 いずれにしても、要は、いい子供が育つように、そしてまた同時に働く人が働きやすく、また子育ても同時にできるようにという幾つかの政策目標をどうやって実現していくのかということだろうと思いますから、その辺の兼ね合いをとりながら、バランスをとりながら政策を進めていきたい、こう思っております。

大島(敦)分科員 きょうは、短い時間でしたけれども、貴重な御答弁をいただき、ありがとうございました。

 特にこういう政策論はぜひ、今のところ私は厚生労働の担当でございまして、なかなか今幾つかの委員会には所属できないものですから、この場をおかりして質問させていただきました。

 今後とも幼稚園に対しては、いろいろと、そういう時代のニーズに合った形と、あと、子供をつくるというこの両輪を担っていきたいということのために、行政が音頭をとっていただくというのですか、ある程度時代の方向を示していただきたいということで、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

細田主査 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、楢崎欣弥君。

楢崎分科員 民主党の楢崎欣弥です。

 きょう、スポーツ・青少年局長の遠藤さんはお見えになっていますか。まず、御足労いただきました遠藤局長にお伺いをいたします。

 きょう、私は、プロ野球にかかわる問題で質問をさせていただきますけれども、昨年十一月に、プロ野球ヤクルトの元主戦投手でありました高野光さんの自殺が報ぜられました。自殺の原因は、球界を離れた後、仕事探しで悩んでおられたということが報道されています。

 これは高野選手のみならず、プロ野球選手が球界を去ったときに一番悩まれるのが就職問題なんです。私は、プロ野球OBクラブの事務局長で我が党の江本孟紀さん、この方にお話を伺いました。

 プロ野球出身者、つまりそのOBは今は約四千人おられるそうです。やはり野球一筋に生きてきた人間が、その技術を生かすために例えば出身母校の指導に当たろうと思っても、まず教員免状を取らなければならない、その上で二年間教壇に立って、初めて母校の指導ができる。このように、プロとアマの交流はこれ一つとっても壁が高い。

 プロの日本野球機構とアマの日本野球連盟、この交流を阻む壁の高さといいますか厚さといいますか、このことについて局長の見解をお伺いしたいと思います。

遠藤(純)政府参考人 プロ選手の高度な競技技術は、国際競技力の向上や国民へのスポーツの普及の促進等に大きな役割を果たしておりまして、全般的に見れば、プロとアマの適切な連携が重要である、こう思っております。

 野球界では、今御指摘ございましたように、いろいろプロとアマとの交流に関する規制がございます。社会人野球あるいは大学野球、高校野球、それぞれあるわけでございますが、大きく見れば、御案内だと思いますけれども徐々に緩和の措置が講じられてきておりまして、今御指摘ございましたように、例えばプロの経験者が高校野球の監督等に就任する場合の教職経験、これも以前は五年ということでございましたけれども、平成九年から二年に緩和がされた、こういったような経緯があるというふうに承知しておるわけでございます。

 私どもも、今後とも、プロスポーツ関係者とアマチュアのスポーツ関係者の交流が一層促進されるよう、そういう機運の醸成に努めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。

楢崎分科員 昨年のオリンピック、プロとアマが合同チームをつくって戦ったあの野球の試合は私たちに感動というものを与えてくれました。また、選手自身にも、野球界全体の発展のためにプロとアマが協力しなければいけないという機運が芽生えてきたと思うんです。

 しかし、難しいんですね。現実問題として、アマチュアの中でも、例えば全日本アマチュア野球連盟、それと日本学生野球協会、同じアマチュアであっても意見の対立が見られる。やはりプロ、アマ交流の壁をどうするか、野球界発展のために関係者がこれからも議論を深めていく必要があろうと私は思います。

 局長、せんだって質問ができなかったものですから、きょうはありがとうございました。

 そこで、町村大臣にお聞きいたします。

 大臣は、プロ野球に興味がおありでしょうか。

町村国務大臣 私は、中学校のころ、中学の野球の選手でありまして、才能があればプロ野球選手になりたいなとさえ思ったことがありますが、残念ながらそれほどの才能がなかったので、その道は断念をいたしました。

楢崎分科員 家族で応援されておられるようなチームはありますか。

町村国務大臣 私は、物心ついてからジャイアンツファンでございます。家内は、必ずしもジャイアンツファンではございません。

楢崎分科員 私の地元博多では今ダイエーホークスフィーバーでして、一昨年は日本一になり、昨年はまた連続してパ・リーグを制覇したところなんです。

 そこで、私は、古い話ですが、昭和四十五年、当時衆議院の文教委員会でも取り上げられましたプロ野球界のある事件にかかわった一人の人物を紹介しながら、人権という観点から質問をさせていただきたいと思います。本来ならやはりプロ野球機構の方をお招きして質問すべきところなんですが、それは後日に回したいと思います。

 事件の概要を知っていただくために、若干私の説明部分が長くなりますことを御寛恕いただきたいと思います。

 言うまでもなく、我が国の憲法の理念の一つは基本的人権、そしてこれは何人にも保障されたものであります。そして、今、法務省を中心に人権救済機関を設置するという話も出てきております。

 本日御出席の委員の方々にも御記憶にお残りの方があると思います。私の少年時代から青春時代にかけて博多っ子の血を沸かせたのが、野武士軍団と言われ、あの水原さん率いる大臣のひいきチームであります巨人軍を破って三年連続日本一になった西鉄ライオンズでした。

 そして今、プロ野球機構の事なかれ主義の犠牲となった一人の人物がおります。元西鉄ライオンズのエース、池永正明といいます。彼は、河村副大臣の地元、山口県の下関商業高等学校時代に甲子園で優勝して、多くの人の期待を担って、昭和四十年、西鉄ライオンズに入団をいたしました。うわさにたがわず、池永氏は入団の年から五年で九十九勝を上げまして、西鉄ライオンズの救世主と言われたところです。当時は、やはり三百勝投手間違いないなと言われたぐらいの、プロ野球界が誇る逸材でした。

 そして、池永氏にとって入団五年目、昭和四十四年の秋、あのプロ野球界を震撼させた黒い霧事件の幕があきました。この事件は、八百長賭博をもくろんだ人物に複数球団の現役選手が八百長を依頼された事件で、プロ野球ファンの信頼を裏切る事件でした。その八百長を依頼されたとされる選手の中に、池永氏の名前も挙がりました。先ほども言いましたように、この事件は昭和四十五年五月八日、当時の文教委員会でも取り上げられました。これはそのときの模様を伝える五月九日付の報道記事です。

 このときは、当時のコミッショナーがやはり管理能力、責任能力を厳しく追及されたわけなんですが、きょうは、私は池永氏に絞って問題提起をしたいと思います。

 そこで、昭和四十四年の秋、この八百長賭博をもくろんだ人物から依頼を受けた池永氏の先輩、これまた著名な野球人ですけれども、この先輩が池永氏に百万円を渡して八百長試合をやるように依頼しました。一昔前、ある事件を起こした業者からお金をいただいた政治家が、私は善意の保管者であるという発言をしたことを思い出しますけれども、しかし、池永氏は、八百長などはできない、先輩、それだけは勘弁してください、そして、このように懇願する池永氏の前に現金だけが残された、これが一つの事実であります。だから、池永氏は、事情聴取のときも、八百長はやっていない、現金は一時的に預からざるを得ない状況であったという発言をしています。

 しかし、結局、昭和四十五年の五月、この年、一カ月で四勝を上げまして、彼は通算百三勝を上げて、その池永氏の球界からの永久追放が決定をされました。この永久追放の根拠となりました敗退行為、つまり八百長行為については、池永氏は当時から今日に至るまでも否定し続けておられます。この事件では、当然、複数の野球人関係者がおりましたので、東京地検、警視庁、それと関係の各県警も動きました。しかし、池永氏については略式起訴すらされなかった。これもまた一つの事実であります。

 あれから三十年たちました。長いです。池永氏は、永久追放になった翌年の昭和四十六年から、行かれた方もおられるかもしれませんが、福岡市の繁華街、東中洲でバーを開いておられて現在に至っておるわけなんです。私は思うのです。このように人前に顔をさらけ出す仕事をあえて選んだのも、八百長など決してやっていないというその潔白を証明したい、そういう気持ちのあらわれであったろうし、世間の目から逃げないという池永氏の信念のあらわれでもあったと思います。

 そこで私は、何も三十年前にさかのぼって、この黒い霧事件、そして当時の裁定が正しかったかどうか、これを今言うつもりはありません。しかし、無期懲役となるような罪を犯した人でも、二十年から二十五年の間に釈放されて社会復帰を果たしておられる。このように、罰を与えるということは、やはり、一定期間刑に服させることによって反省をさせ、そしてまた社会へ復帰させるということを目的としておるわけですね。

 そしてまた、今日における物の考え方、それから価値観でもって検証するのは当たり前のことであろうと私は思います。ですから、それによって歴史上の人物でさえ名誉を回復したりしてきたわけです。

 だから、私は訴えたいのです。もういいのじゃないですか、永久追放という四文字の重い鎖から解き放たれても。

 私は、もうこれは人権問題だと思います。これは政府に問うべき筋合いの問題ではないとわかっていますけれども、大臣、人間としてこの話をどう思われますか、御感想をお聞かせ願いたいと思います。

町村国務大臣 楢崎委員がこの問題にこれまでも発言をして、あるいは委員会などで御主張しておられることを承知しております。また、この池永選手が永久追放処分を受けたということも、もちろん楢崎委員ほど詳しくはありませんが、私も若干プロ野球に関心を持つ者として、そういう事件があった、そういう処分があったのだなということは承知をしております。

 確かに大分長い時間がたったという印象はあります。ありますけれども、しかしこれは、大臣という立場で、この処分がどうであったかとか、あるいは、永久追放をもうそろそろ名誉回復したらどうか、これはそれぞれの分野の方々、この場合でしたらプロ野球界がやはり自主的に判断をするべき話であって、そこについて、行政機関の長である文部大臣が、これは適当であるとかないとか言うべき筋合いの話ではないのではなかろうかなと、私はそう思います。

楢崎分科員 池永氏の出身である、同じ山口県出身の河村副大臣はどのような感想をお持ちですか。

河村副大臣 当時の池永投手のあの英姿を思い出しますと、あの事件は非常に残念なことであったと今思っております。池永さんを何とか復権させてあげたいという多数の署名も集まったと聞いておるわけでございます。

 一義的には、やはりプロ野球内部でお考えをいただいた一つの結論であろうと思いますが、私も、副大臣という立場を外れたら、何とかこれ、方法はないのかという思いがあるわけでございます。

 しかし、野球界は、確かにアマにしても、スポーツ選手としてのいろいろな非常に厳しい規律をかぶせて、校内で問題があれば甲子園に行く予定だって全部取り消すというような厳しい仕方で今日やってきたものでありますから、確かに私は、池永さんの場合はたまたまそういう運の悪かった、そこへ預かられたということだったと思うし、本人も、やっていられないということを私は信じたいと思います。

 しかし、余りにも池永さんがああいうことで有名であったし、その影響力が大きかっただけに、本当にぬれぎぬであったと私は信じておるのでありますが、結果としてああいう形になっているということを非常に残念に思っておるわけでございます。

 それ以上のことは私としても言われないのでありますが。

楢崎分科員 先ほども申しましたように、池永氏は、その後も世間に背を向けないで生きてきた。そういう池永氏の姿勢に、やがて池永氏の復権を願う自然発生的な機運も高まってきたのです。

 平成十年、年が明けて間もなくでしたけれども、池永氏の地元下関を中心に、復権を願う十万人を目標とした署名運動が行われました。一カ月余りで十八万七千二百十八人という市民の署名が集まりました。確かに同情心もあったと思いますけれども、しかし、やはりプロ野球機構の姿勢に対する批判、そして人権という問題を真剣にとらえた一般市民の方々の良識の結果であったろうと思います。

 この復権の願いを込めた署名はコミッショナーに届けられました。しかし、その署名は受領拒否、そして池永氏の復権は認められないという答えを、その年の六月、ファクスで送ってまいりました。これがそうであります。私は、一人の人間の運命を左右する重大な回答であるなら、やはりプロ野球機構の公式文書でもって郵送すべき、回答すべきではなかったかと思います。プロ野球機構はこのように非常識の世界なんだろうかと私は思いました。

 それで、この中身につきましては、私は厳しく反論できる材料も持っていますし、白々しいうそをついておられることも指摘することができます。それから、これは公式文書ですので、名前も挙がっていますので申し上げますけれども、この結論を出すに当たって、つまり解除できないという結論を出すに当たって、プロ野球コミッショナーの川島氏が意見を徴されたとされる有識者が四人おられるのです。プロ野球出身者である広岡達朗さん、劇団四季の浅利慶太さん、弁護士の中村稔さん、評論家の五代利矢子さん、この方々がなぜ池永氏の処分解除に反対されたのか、今後の事の次第では、この四人の方々にもそれを明らかにしていただかなくてはいけない、このように思っています。

 しかし、それにしても私は思うのです。池永氏追放以降、御承知の方もおられると思いますが、今日に至るまでいろいろなプロ野球人が事件を起こしてきている。覚せい剤事件、少女に対するわいせつ事件、その他もろもろの刑事事件が起こってきましたけれども、その方々はプロ野球界に復帰されておる。刑務所にも入られて、出てきた後復帰されておる。池永氏の処分とのこの落差、これは何なのか。私は、結局、ネームバリューのあった池永氏を追放することによってこの黒い霧事件の収拾を図ったプロ野球機構の政治的な犠牲になったのではないか、そういう疑念が捨て切れません。そしてまた池永氏も、私自身も、もっと深い政治的な理由があったのかもしれないということを今思っているところです。

 しかし、これで池永氏の復権運動がストップしたわけではありませんでした。この非常識で無礼なコミッショナー見解に悲憤された著名な方々が、直木賞作家の笹倉明さんやタレントの小野ヤスシさんたちを中心に、池永氏の復権と名誉回復を心から願う人々の会というのが平成十年発足されました。そして笹倉さんや小野さんたちは、池永氏の名誉回復と人権擁護の観点から、今、法的手段も視野に入れた運動を続けておられるところです。昨年十二月十四日には福岡で、今月、三月十六日にはこの東京で池永氏の復権を願う会が催されます。

 こういう運動に対して、昨年十一月十日の文教委員会における私の質問に対して大島文部大臣は、そういう皆さん方の運動が、この池永さんの問題に対する一つの答えになっているのじゃないかと私は思うというようなことを言われました。

 先ほども言いましたように、池永氏も、三十年たった今も一貫して八百長行為はやっていないと訴え続けておられる。この切実な願い、これを無視して放置し続けているプロ野球機構の姿勢というものは、やはり一人の人間に対する冒涜であろうと思います。そして極めて非人間的なやり口であろうと思います。そしてまた、人権上も大いに問題があると言わざるを得ない。このことについて大臣、どう思われますでしょうか。

町村国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、プロ野球機構の処分、あるいはその後の対応、正確な事実関係も私もよくわかりませんし、また、本質的にそれはそれぞれの団体の自治に関することでありましょうから、それに関して一つ一つ文部省として、文部大臣としてコメントをする立場にはないと思います。

 ただ、また別の角度から考えてみると、そういう八百長があったかないかわかりません、プロ野球機構はあったと判断したのでしょうね。そういうことが今後あってはならない、プロ野球というものが健全な発展をしていくためには、厳しいかもしれないけれどもそういう措置が必要であるという姿勢をとったからこそ、また逆に言えば今日のプロ野球の繁栄があるということも言えるのかもしれません。ですから、一概にこうしたプロ野球機構の措置が、極めて一面的に不当であったとかなんとかということになるのかな。逆に、もしこれを放置しておいて、八百長とかそういう不正行為がプロ野球界にその後ももし起きていたならば、多分、プロ野球の今日の繁栄はなかったのだろうと私は思いますから、そういう意味で、なかなか一概に、どういう対応がよかったか悪かったかというのは、判断するのは正直言って難しいテーマであるような気がいたします。

 いずれにしても、ちょっと、大臣という立場であれこれ申し上げるのには不適切なテーマではなかろうかな、私はそう思います。

楢崎分科員 結果から見て八百長をやった節が見られない、それは今言った結果が物語っている。この永久追放を受けた五月までの一カ月の間にも既に四勝を上げている。

 実は大臣、こういうことがあったのです。

 今から四年前、一九九七年六月五日、当時の吉国一郎プロ野球コミッショナーとセ・パ両リーグ会長による三者会談が行われ、元西鉄ライオンズの池永正明氏の名誉回復について話し合いが持たれた。三者は、コミッショナーの諮問機関、復権審査会を設置することで合意した。次回の実行委員会の承認を経て発足される。こういう日付も入れた風評が流れました。私たちは期待しました。しかし、結局風評にすぎなかった。ここにも何か別の力が動いたのではないか、このように私は思います。

 私は、プロ野球機構は少なくとも、池永氏に自己弁護の機会を与えて再検証すべきだと考えるのです。今、池永氏は、本人だけではなくて、奥さん、それから結婚適齢期を迎えられた娘さんたちを含む家族一緒になって、この永久追放という四文字の重い十字架を背負って生きておられるわけです。私は、この池永氏の復権問題を、人権上も人道上も看過できない、そういう問題という認識を持って、先ほど言いましたプロアマの交流問題も含めまして、機会あるごとにこの政治の場で究明していきたいと思います。どうか、大臣という立場を離れて、副大臣という立場を離れて、御支援、御協力のほどをお願いして、私の質問を終わります。

細田主査 これにて楢崎欣弥君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井郁子君。

石井(郁)分科員 日本共産党の石井郁子です。

 この三月からサッカーくじがいよいよ本格実施、全国実施されます。どうしても問題点をただしておきたいという思いで、町村文部科学大臣には、一昨日に続きまして、どうかよろしくお願いをいたします。

 きのう、国会にも、このサッカーくじに反対する十三団体の皆さんが請願署名を持ってこられまして、やはり実施計画の再検討をしてほしいと強い要望をされておりました。

 この十三団体と申しますのは、あいうえお順に言いますけれども、子どもの権利・教育・文化センター、主婦連合会、消費科学連合会、新日本スポーツ連盟、全国消費者団体連絡会、全国地域婦人団体連絡協議会、東京消費者団体連絡センター、東京都生活協同組合連合会、東京都地域消費者団体連絡会、東京都地域婦人団体連盟、日本消費者連盟、日本青年団協議会、日本婦人有権者同盟という団体でございます。

 私どもも、プロサッカー、Jリーグの試合の勝ち負けを予想して金銭をかけるというのがサッカーくじですから、青少年の健やかな成長に悪影響をもたらす、スポーツをギャンブルでゆがめるという懸念があるとして、こうした方々とともに、その問題点を明らかにして、実施しないように求めてまいりました。そういう国民の不安や批判が大変あるわけでありまして、多くの問題点を抱えたままでサッカーくじが実施されることに、まず強く抗議を申し上げておきたいと思います。

 そこで、質問ですけれども、この間、静岡でのテスト販売がございました。また、全国的実施に向けて、準備過程も通していろいろな問題が浮かび上がっているわけであります。

 第一ですけれども、サッカーくじは当たる確率も当せん金額も高い、射幸心をあおるものになっているということが問題だと思うのですね。昨年秋に行われた二回のテスト販売での一等の当せん確率なんですけれども、やはりサッカーくじがいたずらに射幸心をあおる、ギャンブルそのものだということを証明したというふうに私は思うわけです。

 そこで、お伺いいたしますが、このテスト販売での一回目の当せん確率は幾らだったでしょうか、また、第二回目の確率はどうだったでしょうか、お答えください。

遠藤(純)政府参考人 当せん確率ということでございますが、当せんした数を購入された全部の数で割った率、こういうことであろうと思います。静岡でのテスト販売での第一回の一等のそういう率でございますが、約二十五万分の一という数字でございます。それから第二回は、約一万分の一という数字だったかと思います。

石井(郁)分科員 私どももそのように聞いております。

 二十五万分の一で、一口百円で六百万円の当せん金になるわけですね。これはなかなか高率、高額ではないでしょうか。今お話しのように、二回目の場合が一万分の一でしょう。だから、百円で二十四万円の当せん金がもらえる。三等に至っては、二回目で六十六分の一ですよ。これはなかなか、くじとしては高い確率です。だから、これというのはやはりギャンブルそのものではないのかということですね。

 では、この問題で国会はどういう説明をしてきたでしょうか。このサッカーくじ法案は、衆議院から参議院、また衆議院に回り、何度も提出をされ、またそれは廃案になったりして、繰り返してきたわけですけれども、最終段階でも、この確率についていうと百六十万分の一、こういう説明だったのですね。だからこれは宝くじと同じようなものだ、富くじを買うのと同じだ、こういう説明が提案者の側から繰り返しなされてきたのです。

 しかし、全然事実と違うじゃないですか。これは政府を責めるような話ではないかもしれないのだけれども、だから、極めて確率の高い公営ギャンブルそのものだということなんですね。この点の認識はいかがですか。

遠藤(純)政府参考人 百六十万分の一という数字でございますが、これは十三試合の結果が勝ちと負けと引き分けがございますので、それを数学的に計算すると百六十万通りの組み合わせができる、そのうちの一等、全部的中というのはそのうちの一つである、こういう意味での百六十万分の一という意味だったというふうに理解しておるわけでございます。

石井(郁)分科員 そういう説明なんですけれども、とにかく、百六十万分の一だ、だからこれは富くじだ、宝くじのようなものだという説明だったのですよ。しかし、実際、これはいろいろなかけ方、計算の仕方もあるようで、だからこういう形になっているんだというふうに思うのですけれども、私は、こういう点でも、改めて、国会の審議というのは何だったかということを今思いますし、やはり国会ではこういうことで導入をしたということになりますと、非常に国民を欺いたというふうにまでも言っていいような気が今しているわけであります。

 さて、子供たちがどうかという問題なんですね。子供自身はやはりこういう結果を敏感に見ているのじゃないかということで、二十人の高校生に聞いてみたという調査がございます。買ってみたいという生徒は十名です。絶対買うと答えた生徒も三名です。魅力があり過ぎてやりたくなっちゃうよ、百円でこれだけもらえるなら結構いいというふうに述べているのですね。そういう意味で、子供は本当に敏感です。

 そういう子供たちの姿を見て、これは東京都の公立高校PTA連合会の清水会長です、はっきりとお名前を出しておっしゃっているわけですけれども、こんなに確率が高ければ、子供たちは何らかの手段で買おうとするだろう、行き着く先は、家の金を持ち出したり恐喝したり、心配だと述べておられます。

 だから、くじというのは大人たちのものだということですけれども、大人のみならず青少年にまでこうした射幸心をあおるサッカーくじが実施されたら大変ではないのかという声が、今、教育関係者、いろいろな関係者の方々から起こっているわけであります。私は、当然だというふうに思うのですね。

 まず、こうした声に文部科学省はどうお答えになるでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

遠藤(純)政府参考人 スポーツ振興くじは、これも御案内でございますが、スポーツ環境の整備を目的としてございまして、また、このくじによりまして、宝くじのように夢を楽しむというような要素もございますし、推理という知的なゲームの要素もございます。こういったようなことを国民の方々に御理解をいただきたい、こう思っておるわけでございまして、そのためにも、法律で禁止されている十九歳未満の者に対する購入禁止の徹底を図りまして、この制度が円滑に実施されるよう努めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。

石井(郁)分科員 大臣の御所見はいかがでしょうか。今の段階で、こういう子供たちの声、また教育関係者の声が広く起きているわけでございますが、いかがでございますか。

町村国務大臣 経緯は、私も当時大臣で、これは議員立法で行われたわけで、いろいろなやりとりがあったことは私も陪席をしながら聞いておりました。御懸念の声があることを私も承知はいたしております。

 ただ、結局、確かに確率のようなものは、多少それはちぐはぐにはなるのかもしれませんが、しかし、いずれにしても基本的性格は宝くじだということで、宝くじは別に年齢制限はないですね。たしか、お金があれば小さい子供でも買えるんじゃないのかな。ですから、今ほど局長が申し上げましたように、いろいろな要素があるこのスポーツ振興くじでございますから、じゃ、百円で一億円当ててみようかといって、そこから何かすごい非行が始まるという性格とはちょっと違うのではないのかなと私は今の時点では思っております。

 むしろ、十九歳未満はいけませんということになっておるわけで、法律でそうなっているわけでありますから、これをやはり徹底することが非常に重要だろうと思っておりまして、実は二月の下旬に全国の販売店が集まる会がありまして、むしろ集まってもらいまして、私の方から直接、きっちりそこをやってくださいと。

 静岡県のケースを見ても、一回目がたしか四割台だったか、二回目が七割台ということで、何かある種おとり調査といったら変ですけれども、どれだけきちんと年齢確認をやっているか。やはりきちんとすれば四割台のものが確かに七割台ぐらいまで上がるわけですから、これをとにかく一〇〇%に持っていくようにそれぞれの販売店の皆さん方が十二分の注意をしてもらう、そのことによって、この健全性といいましょうか、そうした十八歳以下の人がこれを買わないという法律の趣旨を満たし、今学校関係者の御懸念というものがあるということも承知をした上で、そうした懸念にこたえる道ではないだろうか、こう思っているわけであります。

石井(郁)分科員 十九歳未満は買っちゃいけないという、ここがやはり徹底されないということが第一の問題なんですが、今お話しのように、テスト販売での年齢確認の実施率というのは、一回目で約四割から五割、二回目でも七割強という状況ですよね。実際に十九歳未満でくじを買ったという方々も随分あるということであります。

 さて、今大臣お話しのように、この年齢チェックをきちんした体制で行うあるいは徹底するという問題なんですけれども、では、全国実施に当たってどのようにこういう事前チェックなどが行われたんでしょうか。その点を伺いたいと思います。

遠藤(純)政府参考人 十九歳未満の者への販売禁止措置ということで、テスト販売の際には対面販売を徹底しまして、その際、十九歳以上であるということがどうもよくわからないというような人につきましては、写真つきの身分証明書の提示を求めたわけでございます。

 このほか、販売員に対する研修を実施しまして、研修を受けた者だけが販売をする、あるいはシャドーバイヤーにより販売店の対応をチェックする、それから各販売店本部の監督者、スーパーバイザーと言われる人が販売店を巡回して指導をする。あるいは、マークシートに十九歳以上であることの自己申告欄を設けまして、未記入の場合は発券できないようなシステムにした。それから、十九歳未満購入禁止のシンボルマークを決めまして、テレビコマーシャルや広告物等に表示をしたということもございます。それから、払い戻しのときにおきましても、写真つきの証明書により年齢確認を実施したわけでございます。

 さらに、今度の全国販売に向けましては、以上のような点に加えまして、一つは、十九歳未満購入禁止と広告物やコマーシャルに書いていても隅の方で小さいじゃないかという御指摘もあったわけでございますが、これをより目立つように表示するということを徹底しようということ。それから、販売店に対しまして、十九歳未満購入禁止用の研修用のビデオ教材を新たに作成しまして、すべての販売店に送付をしまして、販売員に対する研修を確実に実施してもらうということもしてございます。それから、すべての販売店にこれも掲示をしてもらっているわけですが、年齢確認のための身分証明書の提示を求めますよ、そういうことを書いたステッカーを新しくつくりまして、全部配って販売店には張るというようなことも今回やろう、こういうことでございます。

 それから、私どもの方も、都道府県の教育委員会あるいは学校関係者の各種の会議、先日も教育長協議会がございまして、私もあそこで強くお願いをしましたけれども、十九歳未満購入禁止ということにつきまして学校できちんと周知を図ってほしいということもお願いをしておりますし、先ほど大臣の方から御発言がございましたように、二月の二十三日に、大臣からの指示によりまして、販売店本部の連絡会議というものを開催してもらいまして、そこで、一〇〇%ということで大臣からお話をいただいたということもございます。

石井(郁)分科員 私はどうも伺っていまして、これは静岡でテスト販売のときにも私ども参りまして、そういうような十九歳未満購入禁止のいろいろな措置がとられているという話を聞きました。何かそれと大して変わっていないんですよね。静岡の場合でそういうことをしても、先ほど、一回目で約四割から五割、二回目で七六%ということにとどまっているわけですから、やはり問題があるんじゃないかなということをちょっと言わざるを得ません。

 それで伺いますけれども、これは実際にはスポーツ振興くじ株式会社が進めていくだろうと思うんですが、文部省として、十九歳未満の購入をチェックするということでの何かガイドラインとかあるいはマニュアル的なものとか文章になっていると思うんですよね、していらっしゃると思うんですよ。それはぜひ公にというか、私ども見せてほしいと思いますが、いかがですか。

遠藤(純)政府参考人 この販売の実施主体が日本体育・学校健康センターになっておりまして、そちらの方に私ども強く要請していまして、そちらの方でそういったようなものについて決めまして各販売店に今指導している、こういう状況でございます。

石井(郁)分科員 そうじゃなくて、そのセンターに対してやはり文部省がきちんと指導するわけでしょう。その文部省の姿勢が問われるわけでしょう。センターはやっているだろうで終わらせたら困ると思うんですよ。

 だから、文部省はセンターに対して、この問題での、今るる述べられましたから、そういうものをきちんとやはり文章化したりして指導しているんでしょうねということです。それを重ねて。そして、ガイドラインみたいなものをちゃんと指導しているのか、どういう形で指導しているのか、それがあったらお示しいただきたいということです。

遠藤(純)政府参考人 日本体育・学校健康センターは特殊法人でございまして、いろいろな面で私ども常々連絡をとっておりますので、そういう場面を通じながら指導しているということでございます。

石井(郁)分科員 どうもまだその辺があいまいだ。だから、こういう体制では私は非常に不安だということを何かますます思うところであります。大変不徹底な状況だなというふうに感じざるを得ません。

 次の問題なんですけれども、サッカーくじの大量配布、これをだれかれなしに配布しているという問題です。

 広告に表示は入れているかどうかというお話も今ありましたけれども、もう本当にすごい宣伝状況なんですよ。ですから、この点は国会でまさに附帯決議で厳しく言われたところで、販売場所、販売方法などについて青少年が入手しがたい方法をとるということですが、これを本当に踏みにじる、反するような事態が静岡ではありましたし、今、実施を目前にしてというか、もうすぐ始まるわけですが、各地でやはり起きているんじゃないですか。だから、この大量配布、無差別配布。マークシート自身はもうどこでも手に入る、どんどんまかれている。これを券にするときだけ百円かかるというだけであって、これはもう大量にまかれているわけです。こういう点で、これは新聞折り込みなど行わないときちんと約束すべきだというふうに思うわけです。

 それから、十九歳未満の青少年にくじが渡らないように。販売店からの自由な持ち帰りなどもあるわけですから、こういうこともやめるべきだというふうに思いますが、この点ではいかがですか。

遠藤(純)政府参考人 くじがスポーツの振興を図る、こういうこと、また、先ほど申し上げましたようないろいろな要素があるということで、くじに関心を持ったり購入したいという方々の便宜を図るため、くじの販売店の店頭あるいは街頭などでマークシートを配布するという予定にしておるわけでございます。

 店頭につきましては、静岡県でのテスト販売の際には、これは最初ということもございまして、販売店以外のお店の店頭でも配布をしたということがございましたが、これからは販売店だけの店頭での配布ということに限るということにしておるわけでございます。もちろん店頭の場合につきましても、先ほど申し上げましたように十九歳未満購入禁止のステッカーを必ず張ると同時に、街頭での配布につきましては、配布する人に対しまして、私ども聞いておりますのは、先週から今週にかけまして全員に半日の研修会をやりまして、十九歳未満に見えるというような人には絶対渡さない、マニュアルをつくりながらそういう周知を図っている、こう聞いておる次第でございます。

石井(郁)分科員 いろいろ強調されますけれども、実態は非常に危険な状況にあるんですよ。

 私、ここに例を持ってまいりましたけれども、全国百六十八カ所で販売に当たるアイ信という会社なんですね。このチラシが、「toto(トト)“スポーツ振興くじ”始動! 百円で最高一億円のチャンス!!」と。こういうのを大量にまくんでしょう。どこを見ても、十九歳未満は買えませんと一言もありません。おかしいでしょう、これは。こういうことが堂々とまかり通っているんですよ、今。あなた方、口をきわめて、禁止をしている、徹底すると言っても、堂々とこういうものが飛び回っているわけですよ。お母さん方は皆さんが、これは一体何だと思うのは当然じゃないですか。

 だから、こういうことについては、少なくともこのチラシについては、これはもう直ちにやめるというような措置をとるべきだと思いますが、まず、いかがですか。

遠藤(純)政府参考人 したがいまして、これは必ずそういうことを書いていただくということでお願いをしておるわけでございますので。きちんとしたいと思います。

石井(郁)分科員 さて、全国実施に当たりまして、このサッカーくじは六千二百店で販売されるわけですね。その販売店は、本屋、カラオケボックス、チケットショップなど、青少年が出入りしやすい、出入りしなきゃいけないというか、そういうところでも販売される。

 それからもう一つ問題は、中学校、高校が近くにある販売店、だから学校区というところで堂々と売られるという問題があります。私どももずっと言ってきましたけれども、Jリーグというのは子供が関心を持つわけですから、本当に子供の夢のスポーツですから、買いたいとか、買えるかなというふうに足が向くわけですよね。これは東京都の文京区の例でございますけれども、ここでは十カ所で販売されるので、そのほとんどが学校の近くだ。JR水道橋駅前の販売店では、近辺に六つの高校がひしめいているわけですね。

 だから、学校に近いところ、子供の生活圏での販売はやはりやめる、青少年が出入りするところでは販売店としては認めない、私はこういうことがルールとして要るんじゃないかなというふうに思うんですね。大変でしょう、これは。この点では、大臣、いかがでしょうか。先ほど、子供への影響ということを私申し上げましたけれども。

町村国務大臣 たしか、コンビニでこれを売っていいかどうかという御議論が随分あったことを今思い出しております。確かにコンビニは青少年が集まりやすい場所になっているという実態もありますので、今回の販売場所としてはコンビニエンスストアは対象にしておりません。そんなことで、今委員御指摘のような御心配はできるだけないようにしたつもりではございます。

石井(郁)分科員 その程度で大臣の御答弁を終わっていただいたら、これはもうお母さん方は、とてもじゃないけれども、サッカーくじに不安が一層募りますよ。文部科学省として、これは大変責任を負わない立場かなというふうに言わざるを得ないと思うんですね。コンビニで売らなかったら済むという話、それはコンビニというのは一つの例であって、子供たちが立ち入る場所で売っちゃいけないということだと思うんですが、実際そうなっていないという現状を言っているわけですから、私は、もっとしっかりしていただきたいというふうに思います。

 時間もあれなのですけれども、きょうはちょっと警察庁にも来ていただいたのは、こういう新聞を見たわけであります。これは日刊スポーツで、Jリーガーに緊張が走った、マル暴の指南というか対策を警察庁がチームや選手団に対して行ったという記事、各スポーツ紙に発表されました。

 この点で、やはりサッカーくじに絡んで八百長の強要とか暴力団の介在が懸念される、だからtoto導入で標的にされかねないということで、接近したり、利用されたり、おどかされるというような問題で説明をしたということでございます。警察庁の講師は、ターゲットにされて、のみ行為に利用される可能性は十分にある、また選手やチームに圧力がかかることがあるかもしれないと述べたと報道されておりますので、実際そのような指導を行ったのかどうか、ちょっと簡潔に、時間がございません。

小野政府参考人 お尋ねの講演は、本年一月、スポーツ振興くじ導入に伴う暴力団排除の啓発のために、私がJリーガーなどを対象に行ったものでございます。その内容は、最近における暴力団の資金獲得、特に民事介入暴力の手口及び暴力団が関与した賭博、のみ行為等の暴力団情勢を述べるとともに、暴力団がプロスポーツ選手へ接近する手口とその対処方法等について講演、また指導したものでございます。

石井(郁)分科員 新聞で報道されているような内容かなというふうに思いますけれども、やはりそういう心配がある。これはJリーグの選手やチームに対して大変危機感を持たせている、あるいはプレッシャーにもなっているということだというふうに思うんですね。

 このようにして、子供と一緒に家族で楽しめるというサッカーの観戦の場が、そうした心ない行為で今後汚されていくかもしれない、あるいは選手たちが不正や犯罪に巻き込まれることがあるかもしれないという点は、危惧や杞憂であったらいいんですけれども、済まないかもしれないということを私は心配するわけです。現に、ヨーロッパなどでは、サッカー場は安心して子供が行けない場所になっているということもあるわけですから。

 私はやはり、文部科学省として、文部科学大臣として、この問題、今深刻な問題がいろいろ起きているんだという立場でしっかりと指導していただきたいというふうに思うわけです。

 さて、あと残りの時間で、同じサッカー関係で、二〇〇二年に日本と韓国が共催でワールドカップが開かれます。もう一年余りとなりました。

 ところが、昨年、このチケットの売り出しをめぐってFIFAと日本組織委員会の間でトラブルがあった。ことしになっては、大会の呼称をめぐって、二〇〇二年ワールドカップ日本・韓国か韓国・日本かというトラブルが起きているわけでございます。二月十四日にチケットの受け付けが開始されましたが、コンピューターのアクセスがストップするとか、申込用紙が郵便局へ行ってもないということが起きています。本当にこれで大丈夫なのかという声もサッカーファンからあるわけでございまして、ワールドカップの準備状況についてどう考えているか、これもちょっと、短くで結構ですから、お聞かせください。

遠藤(純)政府参考人 チケットのトラブルの件でございますが、ワールドカップの国内一般向けのチケット販売につきましては、JAWOCで、郵送とインターネットの二通りにより行う、こういう予定でございましたが、インターネット分につきまして、国際サッカー連盟、FIFAでございますが、ここで開設しておりますホームページにふぐあいが生じた、こういうことで延期をされたものでございます。現時点では、インターネットによる受け付けについても、何か申し込みが多くてなかなかつながりにくいということはあるようでございますが、実施されているということでございます。

 そして、郵送分が、用意したものが全部なくなったということで、郵送の申し込みに対する対応も十分行うために、二百万部の申込書の増刷を行ったというふうに聞いております。

 それから、そのほかの全体の準備状況でございますが、スタジアムの整備、円滑な出入国システムの確立、警備体制の整備など、大会を円滑に開催するために必要な準備作業につきまして、JAWOCが中心となり、開催自治体あるいは関係省庁と連携しつつ進めている、こう理解しているところでございます。

石井(郁)分科員 これは最後に大臣にもお伺いしたいのですけれども、二十一世紀初めて開かれるこの二〇〇二年のワールドカップですから、日韓共催というワールドカップ史上歴史的な大会になるわけであります。世界的なスポーツ大会を共同で成功させるということは、日韓関係、両国民の交流、友好の発展にとって極めて重要な意味を持っているというふうに思います。大臣、その点での御認識を伺いまして、質問を終わりたいと思います。

町村国務大臣 大変重要な一大イベントだと思っておりますし、これが成功するということによって、青少年に対しても大変すばらしい成果があるだろうし、また、日韓両国関係もこれによってより一層つながりが深まるという意味を含めて、ぜひとも成功させるように、これまでもやってまいりましたけれども、さらに今後とも努力をしたいと思っております。

石井(郁)分科員 きょうサッカーくじの問題で質問いたしまして、私ども日本共産党は、改めて、この実施に当たって、その廃止を強く求めたい、サッカーくじ自身の実態を調査、監視して、このことによって生まれる青少年への悪影響を防ぎ、スポーツをギャンブルでゆがめないために全力を挙げたいということも申し上げまして、終わりにいたします。

 どうもありがとうございました。

細田主査 これにて石井郁子君の質疑は終了いたしました。

 次に、松本剛明君。

松本(剛)分科員 町村大臣、大野副大臣、連日の審議で大変お忙しいところを、三十分お時間をいただきまして、大変ありがとうございます。限られた三十分という時間でございますので、三つの点について、分けて御見解を伺ってまいりたい、このように思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず一つ目は、この国の科学技術の振興、そして、これは私どもの地域、お隣の地域になるのですが、同じ兵庫県の中にある大型放射光施設SPring8の活用についてということでお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、この国にとっては、まさに文部科学省が御担当いただいている部分になるわけでありますが、人をはぐくんでいく、育てていく、人材の教育、そしてその人材の中からはぐくまれてくる財産である科学技術、これが大変重要であろうというふうに考えるわけでありますが、残念ながら、いろいろな情報を総合いたしますと、我が国の現在の科学技術、決して最先端を行っていると言い切れないところもあるんではなかろうか、こういうふうな感じがしておるわけであります。

 この点を踏まえまして、現在、政府としてどういった形で科学技術の振興をお進めいただくのか、御所見を伺いたい、このように思います。

大野副大臣 ただいま松本先生から科学技術の重要性について御発言がございました。大変お励ましと受け取らせていただいておるところでございます。

 今、例えば日本の国際競争力、経済の分野でございますけれども、かつて日本は競争力で世界で一、二位を争っていた。それが、今十七番になってしまっているという説もあります。医療の進歩した中で、やはり健康で長生きする、これはもうライフサイエンスの研究に一生懸命取り組むということでございます。

 したがいまして、まず第一に、我々は科学技術基本計画というのをつくっております。これは、金額で見ましても、過去五年間の基本計画は十七兆円でございました。今から始まろうとしている基本計画は、これは総合科学技術会議で三月に決定されるものの関連でございますけれども、二十四兆円、驚くなかれ四〇%の増を見ている。これぐらい私どもは力を入れているんだということを申し上げたいと思います。

 そこで、まず組織面でございますが、先生も十分御存じのことでございますけれども、省庁再編成に伴って、科学技術会議を総合科学技術会議といたしました。専任の大臣もいらっしゃる。それから事務局も拡大した。委員の数も十人から十四人にふやしている。常任の委員も二人から四人にしている、現在は三人でございますけれども。そういうふうに、非常に組織の力を強めております。

 今後の課題として特に先生にお訴え申し上げたいと思いますのは、まず、科学技術研究のシステムのあり方、このシステムをうんと変えていかなきゃいけないんじゃないか。それは何かといいますと、研究の分野においては、往々にして学者の長老支配とか、どうも研究費の使い方が透明でないとか、必要なところに行っていないじゃないか、こういうところがありますし、研究の結果を評価するその評価の仕方をどうしたらいいんだろうか、こういうこともあろうかと思います。場合によっては評価する人も評価しなきゃいけない、こういうことになろうかとも思いますけれども、そのシステムの問題に十分取り組んでいかなきゃいけない。

 一、二の例で挙げますと、競争的資金の拡充、あるいは間接経費、研究補助員ですね、そういう間接経費も考えていかなきゃいけない。あるいは若手研究者、ポスドクの養成もやっていかなきゃいけない。施設もどうも老朽化しているじゃないか。一説によりますと一千百万平米の施設が老朽化している、こういう問題。さらに、産業と社会と研究と、産学官の連携問題、これにも取り組んでいかなきゃいけない。こういう問題。いずれにしましても、透明な中で競争してきちっとやっていく、透明化という課題、透明化に照らして競争ができるシステムをつくっていかなきゃいけない。これが第一の課題だと思います。

 第二の課題は、やはり研究分野を重点化していかなきゃいけない。この重点化については、くどくど申しませんけれども、ライフサイエンスの分野あるいはナノテクノロジーの分野、情報通信の分野、医療などいろいろあると思います。

 この基本計画の中で特に我々がうたっておりますのは、ライフサイエンス、それから材料研究、ナノテクノロジーでございますし、また情報通信、環境問題、こういうところに力を入れてまいりまして、とにかく科学技術、学術の振興によって新しい日本を開いていかなきゃいけない、こういう決意で頑張ってまいります。

松本(剛)分科員 ありがとうございます。システムに課題があるという御認識をいただいておるということで、ぜひお取り組みをお願い申し上げたいと思います。

 私はかつて銀行員をしておりましたが、日本の金融業界というのが今大変厳しい状態である。率直に申し上げて、ここ数年のうちに、ひょっとすると純日本資本の銀行が競争に打ち勝って残っていくことができないのではないかというような危機感を持っておるわけでありますが、その根幹は、見てみますと、やはりシステム、銀行の場合は人の人事ということになろうかというふうに思います。年功序列という形を銀行の中で残している限り生き残り得ないのではないのかな、こんな思いがしておるわけであります。

 また、もう一つ、限られた資源でありますので、今お話がありましたように、ぜひめり張りをつけた形でお進めをいただきたい。

 先日、私も、国会の皆さんも改革を進める、こうおっしゃるわけであるけれども、改革をしようと思えば、今座っておるいすを皆さんに立っていただかなきゃいけないということを国会の先生方にも御自覚をいただきたいという御指摘をいただきました。私たち自身、そしてまた、ここにおられる政府をお預かりいただいている皆さんも同じことではなかろうか、このように思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 さて、具体的な話で申しますと、今申し上げました大型放射光施設SPring8というのが私たちの播磨の国にあるわけでありますが、これは、平成三年から一千億以上の巨額の資金をつぎ込んでつくられたというふうに理解をしております。そして、この施設にかかわる技術というのは、まさに今お話があったライフサイエンス、医療、ナノテクノロジーにかかわってくるものでありまして、多くの訪れる大学の先生方も、大変すばらしい施設だ、このようにおっしゃっておるわけでありますが、若干言い過ぎかもしれませんが、残念ながら、今のところ道具がそこにあるというだけでありまして、たまに皆さんが道具を使いに来るといった状況にとどまっているような感が否めないわけであります。皆さんも御存じの和歌山のカレーの砒素事件の分析をしたということで有名になったわけでありますけれども、これも、わざわざやってこられて分析をして帰られたということであります。

 現在、兵庫県の方で県立の粒子線治療センターということで、医療の分野の研究所を設けようということになっておりますが、これもベッド数にしてわずか五十床ということで、やはり最先端の科学にかかわるということであれば、ぜひ国としてお取り組みをいただきたい。一千億の巨額の資金をつぎ込んだものでも、やはり実際に有効に活用していただいてこそ全体としてこれが生きてくるのではなかろうかな、このように考えるわけであります。

 財政厳しい折から、どこにもここにもつぎ込むというわけにはいかないこともよく承知をしておるわけでありますが、今お話を伺った中でも大きなポイントとなる施設ではなかろうかということで、ぜひ研究施設その他の、設置まで含めて御検討を願いたいということを申し上げたいと思います。御所見を伺いたいと思います。

大野副大臣 全く同じ思いでございますけれども、私どもは、このSPring8はもっともっと活用されている、利用されている、このように認識しております。

 このSPring8、先生も十分御存じのことでございますけれども、まず第一は、世界最高のものである。グルノーブルにあるものはGeV六であるし、それからアメリカ、シカゴのものはGeV七である。これはGeV八という、もう世界最高のものであるということを我々は誇りにしているわけでございます。それから、もう一つの誇りは、割合オープンな研究ができる。オープンな研究ができるというよりも、研究者にオープンに開放されている、こういうことでございます。この二つの特色をまず申し上げたいと思います。

 それから、ビームラインは六十二とれるということは御存じのとおりでございますけれども、この中で、現在活用されているのが三十二、それから近い将来活用されるであろうというのが十四ございます。三十二の中で、オープンに研究者に提供されているものが二十ある、それから専用ビームラインが五つある。こういうことでございまして、七本は、日本原子力研究所それから理化研、理化学研究所でそれぞれ三本ずつ使っている、あと一本は、先生御存じのとおり、財団法人高輝度光科学研究センターで全体の運営をウオッチするために使っている。こういうことで、大変有効に利用されているのじゃないか。そういう意味で、細かくなりますけれども数字で御説明いたしますと、共用利用はこれまで一万人が千六百の課題をこなしております。それから、専用ラインの方は二千三百人が三百の課題をこなしている、こういうことだと思います。

 今後、さらに十四の計画があるわけでございますけれども、有効に利用していかなければいけない。もし六十二本としますと未定のものがあと十六本あります。これは、先生と私どもの思いは同じで、なるべくこの十六本も近い将来に利用して、世界に誇るSPring8を活用していきたい、このように思っておりますので、有効利用の点だけはどうぞ御理解をちょうだいしたい、このように思います。

松本(剛)分科員 もうお答えは結構でございますが、ここにSPring8のホームページがあるわけでありますが、周辺に、県立の先端科学技術センター、姫路工大、西播磨コンピュータ・カレッジ、そして建設中の県立粒子線治療センター、及び民間企業の研究所などと書いてあるわけでありますが、民間企業の研究所も残念ながらまだほとんどないという状況でありますし、西播磨コンピュータ・カレッジというのは、これはコンピューターの専門学校でありまして、研究所の周辺の施設としてこういったものまで入れないと文章にならないということは、率直に申し上げて寂しい状況だということをぜひ御理解を賜りたい、このように思います。

 それからもう一点、これも御回答いただくものではないというふうに思うのですが、あえて国としてとお願いを申し上げましたのは、確かに研究者に対してオープンにということになっておるようでありますが、どうしても現段階では高輝度財団を含めて兵庫県中心ということで、例えば京都大学や大阪大学の先生方も、神戸大学を通さないとどうも入りにくいというような話も時々聞こえてきたりするようでありますので、この点、やはりこれだけの国の財産でありますから、国としてぜひ前向きにお取り組みいただきたいということをお願い申し上げて、次へ進ませていただきたい、このように思います。

 二点目は不登校の問題について、これも全部取り上げていきますと、本当に何日も議論ができるような課題になってくる、このように思うわけであります。

 私も小学生の子供を持つ一人の親でありまして、この問題が大変大きな問題である。同時に、不登校が皆さんの御尽力にもかかわらず引き続き増加傾向をたどっている。これを何とかしていかなければいけないということは共通の認識であろう、このように思うわけであります。

 実は、これも兵庫県になるわけでありますが、兵庫県には生野学園という、不登校の子供たちを集めて、学校法人として正式に高校卒業資格を与える学校、日本で初めてつくられた学校があります。私もそこの評議員をさせていただいておりまして、授業に行かせていただいたり、節目節目で文化祭や卒業式に参加をさせてもらったりするわけでありまして、不登校であった子供たちがもう一度学校へ通い、そしてまた人と交わっていく楽しさを思い出していく過程を見るにつけて、非常に感動を覚えるわけでありますけれども、そこの先生方、指導をされている方々とお話をする中で出てきた課題であります。

 不登校に対する対応、これは既に文部省の方でもさまざまな形で御尽力をいただいているということは承知をしておるわけでありますが、これも言い過ぎの部分があったらお許しをいただきたいと思いますが、スポーツにおいても練習をしなければいけない。これは共通の認識になると思うわけでありますが、やはり科学的な研究をした上に立ったトレーニングをするということによって非常にスポーツの能力も伸びてくるものであろうかというふうに思います。

 不登校についても、児童精神医学、そしてまた教育学の面からきちんとした研究をしながら、当然研究成果を待つというわけにはいかないと思いますが、根幹の部分の研究をしながら、この根本の問題に取り組んでいく、やり方についても研究をしていくことが必要ではなかろうかというふうに思っております。

 既に有志の方々がこういった動きを見せておるわけでありますが、ぜひこういった拠点づくりに文部省として御支援をいただく、一緒にお取り組みをいただくという形をお願い申し上げたいと思うのですが、御所見を伺いたいと思います。

町村国務大臣 不登校の原因、いろいろなケースがあると思います。ことし一月から、生徒指導に関する専門的な研究調査機能、それから学校や教員に対する助言、支援等の充実、こうした目的で、国立教育政策研究所に生徒指導研究センターというものを設置いたしました。

 この生徒指導研究センターを中心にしまして、各地域にあります教育センターとか教育相談室、あるいは大学におきます教育学とか心理学とか精神医学とか、こうしたさまざまな学問分野の研究室と連携を図りまして、今御指摘のような不登校の問題に関するまず科学的な研究、それに基づいてさらに具体的な対応策、あとは個々の生徒一人一人に合った具体的な対応ということをやっていくことが必要であろう、こう思っております。

    〔主査退席、田中(眞)主査代理着席〕

松本(剛)分科員 今大臣がおっしゃられた方向でお進めをいただいていること、大変心強く思うわけでありますけれども、あえて先ほど生野学園という固有名詞を出しましたのも、現場でそれぞれいろいろな形で御尽力をいただいており、またそれがフィードバックをされるという形があるわけであります。当然、今のセンターでもそういった形でお進めをいただこうというふうに思いますけれども、本件に関しては、ぜひ多様な形で、またいろいろな意見が酌み取れるような形をおとりいただきたい、このようにお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、最後、三番目の問題に行かせていただきたいと思います。

 今、情報教育の重要性が大変問われているということは、これも共通の御認識であろうというふうに思います。先日、アメリカのネットユーザーの調査結果というのを拝見させていただきましたが、アメリカでは十二歳から十八歳の子供は七三%がネットユーザーである、こういう話がありました。しかし一方で、いわゆるデジタルデバイドは一層拡大をしつつある。これも、手元にあるのはアメリカの例しかありませんが、年収三万ドル以下であれば三八%しか利用していないのであるが、七万五千ドル以上は八二%が利用している。また、学歴も、高校卒以下であれば、くしくもほぼ同じ数字でありますが三七%であり、大学卒以上であれば八二%である。こういう形になっているわけでありますが、これから大変情報化が進んでいく中で、こういったものを利用できる力を備えておくことが重要であるということは、もう論をまたないところであろうかというふうに思います。

 そして、こういった格差が出てこないようにするためには、初等中等の段階から利用できるような形をぜひとっていただきたいと思うわけでありますが、現在の我が国の情報教育の現状をどのように御認識されておられるのか、この点をお伺いさせていただきたいと思っております。

 今申しましたように、私のところにも小学生の子供がおりまして、立派なパソコン教室をつくっていただいておりますが、残念ながら二十台しかない。一クラスが半分ずつしか使えない。しかも、もう一つは先生の対応の問題がありまして、あの先生はどうも余り好きではないから一学期に一回だけしかやらない、こういう現実があるわけであります。よく利用されている方とそうでないところと出てきているというのが、残念ながら事実としてあるわけであります。

 そういったハード面での整備、パソコン、そしてまたインターネット環境を整えていただくこと。さらに加えて、今お話をさせていただいたような先生。そして先生に何もかもさせるというのが無理であれば、地域なり、開かれた学校という意味からも、情報の部分に限っては、情報のそういった技術もしくは指導力のある方を導入していくということをお考えいただけないのかということについて、お伺いをしたいと思います。

矢野政府参考人 我が国の情報教育の基本的な考え方でございますけれども、これはすべての児童生徒にいわゆる情報活用能力を育成するということを情報教育の目標としているわけでございまして、このため、まず教育内容につきましては、平成十四年度から実施されます新しい学習指導要領では、情報教育の充実を図ったところでございます。

 また、ハード面でございますけれども、ハード面の整備につきましては、公立小中高等学校の教育用コンピューターの整備につきまして、平成十七年度を目標にいたしまして新しい整備計画を策定いたしまして、各小中高等学校のコンピューター教室に、児童生徒一人当たり一台のコンピューターを整備するとともに、新たに各普通教室に二台、特別教室に学校ごとに六台のコンピューターを整備することといたしておりまして、平成十二年三月現在の公立学校におけるコンピューターの設置状況は、小中高全体で見ますと、一校当たり二十八・四台となっている、そういう状況になってございます。

 また、公立学校のインターネットの整備でございますが、これにつきましては、平成十三年度を目標に、すべての小中高等学校がインターネットに接続できるようにすることといたしておりまして、平成十二年三月現在の接続率は、これも小中高全体を通して見ますと、五七・四%となっているような状況にございます。

 文部科学省といたしましては、これらの整備状況につきまして、全体としてハード面では着実に整備が進んでいると考えているわけでございまして、今後とも、関係省庁と連携しながら計画的な整備を進めてまいりたいと思っております。

 それからもう一点、情報教育を充実するためのポイントの一つは、教員の指導力の向上の問題があるわけでございます。極めて大事な課題であるわけでございます。このため、教員の指導力の問題につきましては、先ほど申し上げました新しい教育課程の本格的な実施は平成十四年度からでございますので、その前年度でございます平成十三年度までに、公立学校の全教員がコンピューターを操作でき、そのうち半数はコンピューターを用いて指導できるようにするということを目標といたしまして、現在、鋭意研修事業の充実を図っているところでございます。

 また、教員の指導力向上とあわせまして、御指摘のように、コンピューターに関してすぐれた知識や技術を持っている社会人を、ボランティア等々を活用していくことも大変大事なことであると考えているわけでございまして、こうした専門的な方々をより積極的に活用するために、民間のシステムエンジニアを授業の補助あるいは教育研修などに活用いたしますとともに、コンピューターの専門家を、特別非常勤講師という制度があるわけでございまして、特別非常勤講師として活用いたしているところでございまして、これにつきましては、平成十三年度におきましては、IT関連の社会人を積極的に学校現場に迎え入れるということで、全国で千人程度のIT関連特別非常勤講師を配置することといたしてございまして、そのための必要な予算を計上しているところでございます。

 私どもといたしましては、今後とも、このような施策を通じて情報教育のために必要な人材の確保に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。

松本(剛)分科員 一つ確認させていただきたいのですが、今五七・四%の接続率という話でしたけれども、学校に一台とりあえず接続されているのを含めて学校単位で五七・四ということなのでしょうか。

矢野政府参考人 インターネットの接続率はそういうことでございます。

松本(剛)分科員 今平均して二十八・四台というお話があったわけでありまして、そのうちの一台だけがつながっているとしても、本当に子供の活用というのにはつながらないというふうに思います。きちんと校内LANを張っていただくなりでぜひつないでいただきたい、このように思うわけであります。

 それからもう一つ、民間の方々を生かしていただくというお話が入っておったわけでありますけれども、これからお願いを申し上げることと重なってまいりますが、開かれた学校という意味で、特別非常勤講師というような重々しい役職をつけるのではなく、もっと地域の方々が入れるような形をぜひお考えいただくというのが一つの方向ではなかろうかな、このように考えておるところであります。

 特に、パソコンに関しては、私の家でもそうでありますけれども、子供は非常に進歩が速いわけでありまして、先生が常にパソコンのことで子供の優位に立とうということを努力しようと思うとかなりつらいものがあるのではなかろうかなというふうに思います。先生はほかの部分できちっと子供の尊敬を集めていただければいいわけでありまして、パソコンに関しては、もっと柔軟な考え方を持っていただいた方が早く進むのではなかろうか、このように思いますので、御要望申し上げて、最後にもう一点御質問をさせていただきたい、このように思います。

 大臣は、ネットデイ運動というのを御存じでしょうか。――ありがとうございます。実は、私どものふるさとの姫路で大変熱心に取り組んでいる方がおられて、この動きが始まったわけであります。御存じであれば詳しく申し上げることはなかろうかというふうに思いますけれども、子供、保護者、学校の関係者、そして情報関係の専門家が一体となって、学校へ出かけていって、先ほどお話しさせていただいたような、学校の校内にLANを張って、校内じゅうにインターネット環境を整えていこう、こういう運動であるわけであります。

 三年ほど前に姫路の地域でぜひやろうということで取り組みをスタートさせたところでありますけれども、一番最初はその小学校の校長先生に御決断をいただいたので前に行くことができましたが、実は、教育委員会からは、勝手に学校の施設をさわることはまかりならぬ、親といえどもまかりならぬということでストップがかかりました。校長先生が、私が責任を持つからぜひやってくれということで、一つ前に行きましたら、大変有効であるということで前に進むようになったわけであります。

 こういった民間の力を生かしていただくという意味で、そしてまた、これはもともとアメリカのシリコンバレーから起こった運動でありますけれども、地域での実践を全国で生かしていただくという意味、そしてまた、実際に姫路市では今五十七の小学校のうち既に十ほどがこういった形でインターネット環境が整うようになってきたわけでありますけれども、特に、一日父親が行くことによって、日曜大工をすることによって、子供にもう一遍存在感を植えつけることができるという効果も上がっているようであります。ここがうちのお父さんが配線をしたところだということによって、改めて、子供にとっても父親の存在というのを確認できるという形にもなっているようでありまして、ぜひこの運動を前にお進めをいただきたい、このように思います。

 既に、文部科学省の方におかれても、日本教育工学振興会という形で委員会を御設置いただいて、どんな形でサポートいただけるか御検討いただいておるように理解をしております。ある意味では、公式に、いいことだから前に進めなさいというお墨つきはいただきつつあるのではなかろうかな、このように感じておるわけでありますので、ぜひ引き続き御支援をお願いしたいわけでありますが、やはりお願いを申し上げたいのは、お金の問題になってまいります。

 人、そしてまた技術的なことはすべてボランティアで賄えるわけでありますが、最終的には、やはり配線をする資材、工具というのはどうしても必要になってまいります。一つの学校、大きさにもよりますし、見積もりにもよるわけでありますけれども、電気工事の業者の方々がされたら何千万というお金がかかるわけでありますが、資材だけであれば数百万単位、場合によっては本当に百万、二百万単位で済むわけであります。しかし、保護者と地域の情報技術者が集まっただけでは、何百万というお金でも、ひねり出そうとすればなかなか大変な部分があるわけでありまして、先ほどお話をさせていただいたように、親が学校へ入っていくきっかけにもなるという地域運動という意義もあることもお考えをいただいて、ぜひ御支援をいただきたい。

 これに対してのお取り組みの方針を伺わせていただきたい、このように思います。

町村国務大臣 大変すばらしい活動を始めていただいたなと思って、喜んでいるところであります。開かれた学校、あるいは親と子のまた新しい結びつき、さらには校内LANの整備ということで、先ほどお話のあったインターネットを含めての情報教育が進むという、いろいろないい面があると思います。

 最後はお金の話、こういうことになる。どんな形で私どもが資金的な援助ができるかちょっと検討をさせていただきたい、こう思っておりますが、いずれにしても、大変いい試みだということで、今年度中にこうした広報用のパンフレットをつくって全国の学校にもこれを広めていきたいな、こんなふうに思っているところでございます。

松本(剛)分科員 ありがとうございます。

 多分時間が来ておる、このように思いますが、今おっしゃっていただいたように、パンフレットの御配布まで御検討いただいているというふうにお聞きをしておりますが、先ほどお話をさせていただいたように、改めて財政的な支援――ただ、このネットデイ運動というのをどういう形で政府として御支援をいただくかという意味では、今回も、私たちの地域でも、できるところからやるという形で取り組んだから逆に前へ進んだ。政府が全面的に御支援をいただくという意味では一律公平にやらなきゃいけないという面があろうかというふうに思うわけでありますので、そこのところの兼ね合いが難しいところかというふうに思いますが、御理解をいただいていますように、これが新しい学校の形の一つのきっかけになる、このように考えておりますので、工夫をいただいて、財政的な支援もいただけるように御検討に着手をいただくことをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

田中(眞)主査代理 これにて松本剛明さんの質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝さん。

吉井分科員 日本共産党の吉井英勝です。私は、きょうは、ITERの日本誘致と言われている問題がいろいろなところで今話題となってきておりますので、その問題について伺いたいというふうに思います。

 まず最初に、トカマクタイプのITERなどについては、エネルギーレベルの高い高速中性子によって格子欠陥が生じたり、材料の脆性劣化などをもたらすという大きな問題が一つあります。

 ITERの炉壁、ブランケットは、かつて科学技術庁の方から伺ったところでは、二十年間の実験期間中に交換は必要ないように設計されている、そういう説明でした。そのような材料の開発はもう済んでいて、五年なり十年なり実際にこれを使用して高速中性子の照射を受けて、それでも何も問題が起こらなかったという実験データがきちんとあるのか。それとも、部分的にわずかに得られた実験データを、大体よく実際にやってきた人間がやるわけですけれども、理論式なり経験式の係数等に使って、それでコンピューター解析などを行ってグラフをつくって、このグラフからすると大丈夫だ、そういうふうなことを言っても、これは実験によって実証されたということになりませんから、五年とか十年とか、そういうきちんとした実際のものでの実験をやって実証されたデータがあるのか、この点を最初に伺っておきたいと思います。

今村政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御質問は、ITERの炉壁材料の技術的完成度についての御質問であると存じますが、ITERにつきましては、我が国、それからEU、ロシア、それぞれ関係諸国がそれぞれのパートについて工学的な研究開発を分担しながら実施してまいったわけでございます。

 今の御質問は、炉壁、いわゆるブランケットと呼ばれるところでございますが、これは、主としてヨーロッパ、EUが取りまとめるもの……(吉井分科員「いやいや、そんなのわかっているんですよ。実験データがあるかどうかなんです」と呼ぶ)申しわけございません。研究開発が国際協力で進められまして、その開発は成功裏に実施されたというふうに承知しております。

 具体的には、ただいまのお話の、中性子に対する、どれくらいもつかという問題でございますけれども、これは、主としてそのデータベースは、アメリカのオークリッジ、ここにHFIR/ORRという研究炉がございますが、ここのを使ったデータ及び一般的な中性子の原子炉での損傷等のデータをあわせまして全体的な評価が行われたということでございます。

 多少申し上げますと、この中性子の炉壁の損傷については……(吉井分科員「簡潔でいいですよ。実験をちゃんとしたのかどうかということです」と呼ぶ)実験を行っております。

 この実験は二つございますが、今申し上げましたオークリッジでの実験は、中性子エネルギー十四MeVのエネルギーに対するヘリウム発生等に基づく炉心損傷の模擬実験を行ったわけでございます。実験は数年間にわたって行われまして、その照射量が実際にITERで使われる二十年にわたる期間を大幅に超える照射量となるデータを蓄積いたしました結果に基づきまして、ITERの設計が行われました。

 したがいまして、最初先生お話がございましたように、ITERのブランケット、炉心は二十年間の実験期間中に交換する必要はないという形で設計されております。一方、ITERの炉壁につきましては、これは交換することもできる設計になっておりまして、万一当初の設計と違う形で炉心に損傷が生じた場合には、部分的にそれを交換するという柔軟な設計にもなっております。

 以上で終わります。

吉井分科員 随分長くお話しされたんだけれども、ずっと休むことなくやった実験じゃないんですよ。ぽつぽつぽつといろいろ動かしたりとめたりしながら、そういう中でのあるときの実験データをぶち込んだりしての経験式、そういう形での係数には入れても、それをコンピューターではじいて、こういうグラフが出てきますから、そのグラフに照らして大丈夫だ大丈夫だといったって、それは、実際に十年なり二十年、きちんと非常に高いレベルの中での中性子照射を浴びてのデータを得られたということにならないんだから、そのことをきちんと答えてもらったらいいだけの話なんです。長々とおっしゃったが、そこがない。

 炉の材料問題というのは、実は技術的に完成はされているわけじゃありません。ましてITER後の実際の原型炉を展望しての話じゃないとこれはなかなか実用につながらないんですが、その場合の炉材料というのは全くなくて、これからの研究開発にかかっているんだということは、実は文部科学省の皆さん自身がきちんと認めていらっしゃるところだから。そして、今、二十年ずっと大丈夫だというお話だけれども、実際には三年に一回ぐらいの炉壁の交換が必要になってくるということは、これはいろいろなところで皆さんおっしゃっておられるので、実は六カ月に一回ぐらいの交換が必要じゃないかという話だって専門家の間ではあるわけで、そうすると、交換のたびに維持その他で物すごいコストのかかる実験装置なんだということも指摘しておきたいと思います。

 次に、建設費を当初考えていたよりも半分の約五千億にするという話ですが、その場合、トカマク型の核融合炉の主半径は幾らから幾らになるのか。

 そのときに、主半径が八・一から七・一ないし七・二にすると建設費の低減割合は何%かとか、六・一から六・二だったら何%、五・一から五・二だったら建設費の低減割合が何%になるかとか、きちんとしたデータがないと、それが国会の場でもきちんと示すことができないことには、建設費が安くなったというふうに簡単な話にはなりませんから、一言でいいですからそれを答えてください。

今村政府参考人 ITERについては、当初設計が約一兆円ということでございますが、現在の見直された低コストITERにつきましては約五千億円ということでございます。

 その主半径は六・二メートルでございまして、当初八・一メートルのものが六・二メートルになっております。こうした設計の変更全体を評価いたしまして、この五千億円という見積もりがなされたところでございます。

吉井分科員 それはきちんとしたデータをやはり出してもらう必要があると私は思うのです。

 これは、八・一のときの建設費低減割合をゼロとして、今の六・一から六・二メートルだったら、専門家の話では、大体三六から四〇%ぐらいの低減率だと。本当に建設費を五〇%に下げようとすると、五・一から五・二メートルぐらいの主半径に、小さなものにしないと五千億というのは成り立たない、こういう指摘もあるわけです。ですから、きょうは時間がありませんから、改めて私のところへ建設費低減割合というものをきちんと出していただきたいと思います。

 次に、主半径を小さくすると、プラズマ密度、持続時間を初めとして、当初実験目的、一兆円で考えた目的が達せられるのかという問題があります。

 九二年六月の原子力委員会の第三段階核融合研究開発基本計画の目標では、自己点火条件がエネルギー増倍率二〇程度を達成となっていますね。長時間燃焼では長パルス運転一千秒程度以上。しかし、今度小さくすることによって、増倍率は大体一〇を超えるぐらい、長パルス運転は三割から五割ぐらいのところで考えているというのが実情ではありませんか。

 これは一言で結構です。

今村政府参考人 今回の低コストのITERで設計の目標値が変わりました。この目標値が変わった内容につきましては、原子力委員会の核融合会議で評価をいたしまして、今お話のありました第三段階の核融合研究開発基本計画に基づく実験炉の要件を満たすということが確認されております。

 今お話しのエネルギー増倍率につきましては、Qが一〇以上、Q二〇も達成可能な設計になっているということでございます。それから、定常運転につきましては、Qが五以上の段階において燃焼時間約千秒以上という形で設計目標が立てられているところでございます。

 以上です。

吉井分科員 さまざまな当初の目標をうんといっぱい切り捨てているのですよ。それだったら、おっしゃるように小さくてもできるというのだったら、最初からその計画をやっているのですよ。私は、そういうことを、多くの国会議員の皆さん方が、これからITER誘致どうするかという議論に入っていくときに、きちんとしたことを知らされなきゃいけないと思いますよ。

 それで、四極の中で、ITER誘致に声を上げている国は今余りありません。それで、日本誘致となると、今おっしゃった五千億にしても、大体七、八割以上は日本の負担。さらに、外国研究者と家族の施設その他バックアップする施設などを含めると、それから当初考えた建設費、幾ら小さくしたって実際はもっとかかってきますから、最終的に大体一兆円は最低かかることになるだろうと思うのです。

 このITER誘致に向けて、ITER懇談会で誘致の方向へまとめていこうとのお考えでやっていらっしゃるようだが、そうするとそれなりの試算というものをやっておられると思うのですが、実際のところは全部で幾ら日本が負担をするということで考えているのか、これを伺いたいと思います。

今村政府参考人 あくまで現在の試算でございますけれども、現時点におきまして、建設費その他それに付随するインフラでホスト国が負担すべきもの、合わせまして約四千億という数字でございます。そういう数字についてはITER計画懇談会等において御説明をいたしております。

 なお、ITER計画懇談会はすべて公開で行っておりますし、こうした設計データにつきましてもすべて公表しているところでございます。

吉井分科員 私、九六年に超党派でアメリカへ行って、向こうの科学技術委員会の方たちと議論したり、DOEのクレブス局長なんかとも議論してまいりましたが、やはりアメリカでは随分時間をかけて国会できちんと議論しているのですね。

 これはインターネットでも紹介されておりますから、どれぐらいアメリカ議会でやっているかというのは、議会評価局なんかがいっぱいデータを出したりとかDOEがデータを出して議論をしているのですが、日本では、国会議員が余り知らないところで、幾ら公開しているとおっしゃっても、きちんとした政治の舞台で議論がないままに進んでいるわけです。

 それでは、アメリカの方では一体どんな議論がされたかという中で、やはりコストの問題がありますが、もともとITERというのは、一億度水準のプラズマの閉じ込めと、高速中性子からの熱の取り出しという原理からして、超高真空の領域に入るような真空容器とか、ブランケットとか、それから多数の大型コイル、冷却系やその配管とか、この冷却系というのは液体ヘリウムを使ったり、その液体ヘリウムをつくるための施設とか、さまざまなもの、コンポーネントが非常に多いわけですよ。

 その配管の管理、維持、保守、それぞれが非常に大変なことで、問題を三つぐらいに整理すると、一つは、重量が非常に大きくて、形状が複雑。そのために、熱膨張したり熱収縮とか電磁力に耐える構造にするというところから相互に剛構造にせざるを得ない。だから重量は大体軽水炉の十倍ぐらいかかる。それから、システムが複雑に絡み合うものですから、相互に独立性がないために設計が非常に複雑になる。これは、設計、製作、据えつけ、保守などの費用が非常に高くなるというものなんですね。三つ目に、プラントを構成するシステムの種類が、軽水炉に比べて約二倍も多い。さっき言った特性を持っておりますから。

 そうすると、これらは、しかも火力や原発にはないさまざまなものをくっつけてやらなきゃいけませんから、コストの問題ではこういうところが問題になってきて、実際実用に近づけられるものとか汎用技術の転用でうんとコストを安くいけるものになるかとか、そこのところを、実際のところをアメリカは随分議論しているのでしょう。

 財政上の理由でコストがかかるからというふうな、そんな単純な理由でITER計画については四極から抜けてとか、そういう議論じゃないので、やはり日本でも、たくさんの動力炉、軽水炉を設計した専門の技術屋さんなどもいるわけですから、そういう動力炉設計の専門家なども含めたきちんとした議論をやって、そして国民にも国会にもきちんとしたことが示されて、実際にコスト面でどうなのかとか、それから材料、技術その他の面でどうなのかということが、私はそこははっきりしていかなきゃいけないと思うのです。

 これも一言で結構ですが、アメリカ議会で、コスト問題で今私が述べた三点は、そういうことを含めてよく議論されたと私は思っているのですが、この点、どうなんですか。

今村政府参考人 ちょっとお時間をちょうだいして申し上げたいと思います。

 今から三年前でございます一九九八年の夏に、アメリカの下院のセンセンブレナー委員長が日本にお見えになりまして、日本の状況等も調べ、私どもとの議論もさせていただきました。

 その中で、アメリカの……(吉井分科員「その記録はちゃんともらって読んでいますからいいですよ」と呼ぶ)はい。アメリカでは、建設コストが大きくて実現性に危惧があること、あるいは、建設計画が不透明であって、いつまでも計画が実現しないままに設計だけが続くということについての危惧があるというような点について危惧があり、議会としてはこれを継続することに非常にネガティブな考え方に立たざるを得ないというような御説明をいただいたことはございます。

吉井分科員 今の話は私も、ちょうどそのとき私は御案内がなかったか何かで参加しなかったのですが、センセンブレナーさんと国会の方の議員が会った、その記録もいただいて読ませていただきましたから、全部それは知っているのです。

 問題は、なぜコストが高くなるのかということについてアメリカでどれだけきちんとした議論が行われたのか、そこをつかんでいないと、そんな表面的な財政だ、コストだという議論だけで撤退とかいうことじゃないのですから、そこをやはりきちんと説明するということが必要だと私は思うのですよ。

 次に伺っておきたいのですが、DOEの考え方も、やはりさまざまなタイプの核融合炉についての基礎研究を重視する。それから、時間をかけて、先ほど言いました、何しろレベルの高い高速中性子が壁面に当たるわけですから、炉材料の問題など周辺技術分野の研究開発を重視していくんだ、その積み上げが大事なんだということを、これは私が超党派で行った九六年の夏も、DOEのクレブス局長もその点についてはやはりきっちり言っているんですね。

 そういう中には、レーザー核融合がコスト的にも、現在の汎用技術を中心にして進めていく上でも、その延長線上の応用や技術開発の容易性からして、これはなかなか有力だという考えを持っているのも、私もそれは理解しましたが、ただ、どうも説明を聞くと、いや、アメリカは軍事技術の転用でレーザー核融合を考えているんだという説明がありますが、そんな単純なものじゃないんですね。確かにレーザーを使った軍事ということもありますが、それを言い出したら、今の原発だってもともと軍事からの転用ですから。

 そうじゃなくて、汎用技術のその延長線上でやっていくならばコスト的にも安くもなるし、しかも汎用技術というところからいけば、ほかのいろいろな分野への応用、転用も進んでいくんだ、一般国民の商品としてそれが利用されていくならばさらにコストが下がっていくという、かなりいろいろな点から見通して言っているので、これは単純に、アメリカは軍事技術からやっているからレーザー核融合を重視しているとか、そういうふうに見てはならない問題だと私は思います。

 今日本で表に出てきた議論というのは、どうもITER誘致、ITER誘致、これが先に走ってしまって、それをむつ小川原開発の失敗したところに持っていくか、あるいは苫小牧東部開発の失敗したところに持っていくか、ある程度インフラの整っている茨城県那珂へ持っていくかという話で、実際各自治体、ここにもありますが、立派なパンフレットで誘致合戦をやっておりますが、私は、こういうときに、宇宙物理学者で名古屋大学教授の池内了氏が一年前に新聞か雑誌か何かに書いておられたのを思い出すんですが、「エネルギー問題の解決という美名に隠れた、巨大公共事業の継続としか思えない。」という専門の学者の指摘もあります。

 私は、科学技術というものはそういうふうになっちゃいかぬと思うんですね。この点は大臣に伺っておきたいと思うんですが、やはりITERを誘致するかどうかという議論に先立って、日本が核融合というものを本当にまじめに真剣に考えていくときに、どういうふうに基礎研究を蓄積し、そしてそれが本当に将来を見通して発展していくにはどんなステップを歩んでいくか、その過程で求められる、実際、炉材料というのはなかなか大変な技術的な問題があるんです、そういうものを技術的にもどういうふうに着実に進めていくのか。

 私は、そういう点では、アメリカが単純な理由でやめているということだけじゃなしに、基礎から時間をかけて着実にやろうというその発想は、日本もやはり大事なところだと私は思っているんですが、この点は大臣に聞いておきたいと思います。

町村国務大臣 この分野は大変御専門の吉井先生からの御質問でございますから、私のプリミティブな意見をちょっと申させていただいて、若干レベルが違うかもしれませんが、お聞き取りをいただければと思います。

 ITER計画あるいは核融合、エネルギー対策といいましょうか、究極のエネルギー、こう言われているわけでありますから、そういう面から、日本としてはどうしてもこれは重要なものとして、さまざまな研究がこれまでも行われてきたわけでございます。しかも、先端技術を総合した巨大システムであるというようなことから、この分野以外にも非常に幅広く科学技術の波及効果というものもまた期待できる、こんなふうに考えているわけでございます。

 昨年の十一月に原子力委員会が策定をいたしました原子力長期計画の中で、未来のエネルギー選択肢の幅を広げて、その実現可能性を高める観点から、核融合の研究開発をまず推進するということを決め、さらに、この核融合燃焼状態の実現とか核融合炉工学の総合試験等の観点から、ITER計画は大変重要である、その推進に当たっては、ITER計画懇談会の評価を踏まえるべきである、三番目は、核融合科学を広げる研究については、適切なバランスを考慮しながら進めることが必要である、こういう指摘があるわけでございます。

 そんな方針に基づいて、今政府部内においても議論しているわけでございますが、先ほど来先生御指摘のように、これは幅広い議論が必要だという点はまことにごもっともでございまして、特に国会での議論というものが大切である、こう私も思っております。

 私も実は不勉強で知らなかったんですが、このITER計画については、平成三年に、工学設計活動を開始するに当たって、国会で御議論いただいて決議までいただいている、こんなこともあるようでございますから、今後とも、この国会において十二分に御議論をいただければありがたい、かように思っております。

吉井分科員 国会決議に基づいて設計をする、そこからさらに進むかどうかというところは、これは実際にその後の技術的蓄積とか、あるいはどういうバランスを、まさに今おっしゃったバランスをとって進めていくか。要は、核融合というものについての研究を進めるということは、私はこれは非常に大事なことだと思っているんです。

 そのときに、名古屋のヘリカルとか阪大のレーザーとかさまざまなものについて、実は今、この基礎研究分野とそれを実際に進めていく上での材料その他の周辺技術の開発なしにはうまく進んでいかないというところに来ているわけですね。そのときに、途中をすっ飛ばして背伸びしてしまうと大失敗になりますから、しかもそれが、先ほども申しましたように、汎用技術を活用もしながら前進することによってコストダウンを図れるとか、やはりそのことも本当によく考えてやっていかないと、これはまずいことになると私は思うんです。

 せんだって、さまざまなタイプ、それぞれ見てまいりましたが、一番最後になる、見ていなかったレーザー核融合を見ておきたいということで阪大にも行ってまいりましたが、阪大のレーザー技術、アメリカの方でそれを活用して、二〇一〇年には実際のレーザー核融合点火・燃焼施設をつくって実験を進めるということに進んでいて、実は日本の技術でアメリカの方が先に行ってしまっている。

 それは、人類全体の発展ということで考えれば、どこの国が先をとったとしても、全体のレベルが上がって進めば、それは余りこだわらなくてもいいのかもしれませんが、日本がITERだと叫んでいる間に、レーザー核融合の分野で、阪大の水準と比べてみても決して進んでいなかったアメリカの方が実は今先に進んでいくとか。私は、こういう点では、一遍ITERに進んで、四千億というお話が先ほどありましたが、実際はもっとかかるだろうと思うんですが、それで、他の分野が予算的にこの財政の中ですから圧迫されてしまって、それがおくれをとるということになると、これは本当に大変な問題でもあると思うんです。

 実はそれは、最近さまざまな学者の皆さん方その他の方がマスコミその他でも議論をしておられて、例えば、東大のウォルフ賞を受賞された小柴先生という方と京大の香山さんとの論争があったりとか、いろいろしておりますが、要は、やはり出発のところで基礎研究と周辺技術の開発などを着実に進めながら、本当に前進できる方向というものをどう切り開くかというところで、私は、この点では日本は一ついい経験を持っていると思うんです。

 それは、日本の原発の出発が、実は日本原研へ事実上アメリカから原研一号炉をただ同然でもらったんですね、戦後日本の財政も大変なときだったんですが。しかし、これが軽水炉タイプに決まっちゃったんですね。そして今、使用済み核燃料の問題だとか、再処理してプルトニウム循環に走ってしまう、しかし高レベル廃棄物をどうするかとか、さまざまな問題で、いろいろな分野で行き詰まりを来したり、問題に直面しているんですよ。一遍どこかのレールを敷いて、巨大な予算を投じ出したからということで走り出してしまって、そこからの路線変更が難しくなると、これは本当に将来に禍根を残す問題にもなると私は思うのです。

 それだけに、ITER懇などで昨年末にもまとめようと急がれて、いろいろ異論があって十二月が一月になり、今また延びているようですが、私は、そういうところで結論を急ぐのじゃなくて、日本の核融合全体としてどういう進め方をするのかという、その基本のところが問われているときだし、そういう基本をしっかり踏まえた学問研究と技術を結びつけた取り組みというのが大事だと思うのです。

 そういう点では、大学と国立研究機関の役割は非常に大事だと思っているのですが、今度は両方とも担当しておられるので、町村大臣の方から、私は、そういう基礎と技術の着実な積み上げの中で、将来的にひょっとしたらITERを誘致しようということになるか、あるいは、いやこれはヨーロッパでやってもらうということになるかわかりませんが、余り結論を急がないで、やはり今の時代に合った着実な進め方というものをきちんと今考えるべきだと思うのですが、このことを伺いたいと思います。

町村国務大臣 大変貴重な御指摘をいただきましたこと、感謝をいたします。

 国際的な流れの中では、ことしの夏ごろまでにそれぞれの国がどうするのかということを態度表明しなければならないというようなこともあって、昨年年末というような動きもあったようでございます。

 ただ、いろいろな御意見があることは私どもも承知をしておりますし、二週間ほど前でしたでしょうか、国内の核融合のかなり幅広い方々が二、三百名集まって、二日間にわたってかなり真剣な御議論をざっくばらんにしていただいたということも聞いております。私ども今、そうした議論なども十分踏まえながらやっていきたいと思います。

 確かに国内三地域からの誘致活動がございますが、ちょっと見ておりますと、やや他のプロジェクトと似たような、地域おこし的観点が少し走り過ぎているなという感じがしておりまして、もう少し、今お話があったような、長い将来にかけての研究活動というものがどう行われるべきかといったような議論がやはりなければならないだろう、こう思っております。

 ただ、非常に重要な、また、でき得れば、それは進めることが可能であれば進めるに足るだけの魅力ある重要なプロジェクトだとも思いますので、その辺をよく見きわめ、また、先ほど申し上げましたが、国会での御議論なども本当にこれから活発にしていただいて、きちんとした御理解を得ながら、私どもも情報公開は、事原子力あるいは核融合、これは別に包み隠したりなんかしているつもりは全くありません、非常にオープンにして情報公開をしながら進めておりますので、そうした公開された情報をもとにして専門の方々の御議論も十分いただき、国会での御議論もいただいて、きちんとした結論を出すようにしていきたいなと考えております。

吉井分科員 時間が参りましたので、終わります。

田中(眞)主査代理 これにて吉井英勝さんの質疑は終了いたしました。

 次に、井上和雄さん。

    〔田中(眞)主査代理退席、主査着席〕

井上(和)分科員 民主党の井上和雄でございます。

 本日は、十一番目の質問者でございます。大臣、副大臣の皆様、そして政務官の皆様、大変お疲れとは存じますが、何とぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、障害児の教育に関してお伺いしたいと思います。

 実は私、この一月、私の地元、東京の墨田区なんですけれども、成人式に出席いたしました。成人式といえば、荒れるということで昨今余り出席したくないものなんですけれども、私が出席した成人式というのは非常に心の温まる成人式でございました。成人されたのが十名の知的障害の方々で、御両親とともに演壇に上がってそれぞれの抱負を述べられたということなんですね。本当にこの成人された方々それぞれが無限の可能性を秘めておられるのだなということを私は強く感じたのです。

 そこで、まず、現在の養護学校、特に高等部での教育に関してちょっとお伺いしたいのですけれども、どうも高等部での教育が、自立を促進したいという教育の目的があるのかもしれませんが、どうも作業中心だということを私は聞いたものですから、現在、養護教育に関して大臣はどのようにお考えなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 知的障害養護学校高等部におきましては、今委員御指摘のように、生徒が自立して社会参加できるように、必要な知識や技能、態度を身につけるということで指導を行っているわけであります。したがいまして、余り抽象的な内容よりは、むしろ実際的、具体的な内容の指導が効果的である、こういうふうに考えております。

 そんなことから、職業教育についても、作業活動を学習の中心に据えて、総合的に学習し、生徒の働く意欲を培い、将来の職業生活や社会自立を目指して、生活する力を高めることを意図する作業学習が行われているところでございます。

 平成十一年三月に改訂しました盲・聾・養護学校の新しい学習指導要領におきましては、社会の変化等に適切に対応するように、知的障害養護学校の高等部の職業に関する各教科について、従来の家政、農業、工業に加えまして、教科の情報でありますとか流通・サービスを新設いたしまして、改善を図ったところでございます。

井上(和)分科員 自立を促すということで、作業を中心としてやっているという御答弁だったのですけれども、現場の方の話を聞きますと、例えば芸術とか音楽とか絵とか、そういう分野ももっとやった方が子供たちが幸せになるのじゃないかという意見も聞いています。ぜひそういう観点からももう一度こういった教育内容を検討していただければなと思うのです。

 それと関連いたしまして、高等部修了後に作業所などに勤められる方もいますし、また、特にやることがなくて自宅にいるという方もいるようなんですね。今、一般的に言えば、大学の進学率が五〇%になっているのですが、そういう高等部卒業後の障害児の進路というものに関して、現状をどのようにお考えになっていますでしょうか。よろしくお願いいたします。

河村副大臣 前段、音楽、芸術等もというお話でございましたが、どうしても職業教育という観点からその辺の観点が抜け落ちているかと思いますが、現実には、私の知っている知的障害者でも、切り絵なんかで天才的な技能を持っておられる方もいますから、そういう広い視野も必要かなと思います。また、総合的な障害の方の中にはそういう方もいらっしゃる、複合とか、そういうところにはそういうこともあると思います。

 それで、今、現実の就職の現状でございますが、御案内のような景気でございまして、それも影響するのだろうと思いますが、最近ずっと落ち込んでおります。平成十二年三月に高等部の本科を卒業して就職した者の割合は、全体で二三・二、知的障害養護学校は二七%ということでございまして、これは、昭和五十五年ごろは五七・九を記録しておりますし、その後もずっと四〇%前後で来ておったわけでありますが、平成十年に三〇%に落ちまして、ついに十二年には二七%、こういう状況でございます。盲・聾・養護学校の職業教育、進路指導の充実を高める必要があるというふうに感じております。

 先ほど大臣からも御答弁がありましたように、少しでもそういう職業教育の改善、充実の上から、現代に合った情報教科とか流通・サービス、そういうものもふやして、就職の窓口を広げようという努力もいたしておるところでございまして、平成十三年度に入りまして、労働関係機関あるいは教育委員会あるいは特殊教育関係団体等の協力を得て、教育と労働が一体となった就業支援の充実方策についてさらに調査研究を実施しよう、こういうことで考えておるところでございます。

 今後とも、こうした政策を通じながら高等部の職業教育等の充実に努めていかなければいけない、このように思っております。

井上(和)分科員 普通一般にももう大学進学率が五〇%になっているわけですよね。だから、高等部を修了した方も、ただ単に就職するしか選択がないという状況じゃなくて、やはり大学部というのを日本にもつくって、少し教育期間を延長する必要があると思うし、現実に、親御さんなんかの話を聞くと、ぜひそういうものをやっていただきたいという声があるのですね。

 具体的にどういうことをやるかといいますと、先ほど申し上げたような多角的な一般教養とか、そういうものと、あと職業訓練に関しても、ただ単に単純的なことじゃなくて、例えば老人の介護とか、やはりそういう分野にも適応性のあるお子さんもいらっしゃると私は思うのですね。そういうそれぞれのお子さんのニーズに合ったある程度の高度な教育、例えばあとは、余暇の、先ほど副大臣がおっしゃったような、何か特技があったらそういうことを教えるとか、そういう多角的な選択の幅を広げるためにも、ぜひもう少し高度な大学部というようなものを、例えば小学校の空き教室とかそういうものを使ってやる必要があると思うのです。私、逆に大臣にぜひ考えていただきたいと思うのですけれども、大臣はいかがでしょうか。

町村国務大臣 まず、現状、この養護学校の高等部とか高等養護学校がどのくらい整備されているのかなというと、大分進んできたとはいいますけれども、まだまだ十分ではないという面もありますので、まずこの辺をしっかりやることが当面重要なのではなかろうか。

 大学部というお話もございました。今お話を聞いて、なるほどな、そういう考えもあるのかなと思っていたのですが、ただ、まあかたいことを申すようですが、学校教育法第五十二条、大学の目的というのがありまして、「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させること」、自分がこういう大学の目的にかなっていたか、我が身を振り返るといささかじくじたるものがございますが、こういうような目的だとすると、なかなか今委員御指摘のような事柄というのはちょっと難しいのかなという感じも率直に言ってするわけであります。

井上(和)分科員 私も大学に通っていましたけれども、果たしてどれだけ学校教育法の理念に沿ってやってきたかということを考えますと、決して知的障害の方々の大学をつくるのは無理じゃないと思うので、ぜひぜひそういう声があるということだけでも御理解していただいて、検討していただければと思います。

 その次にお伺いしたいのですが、私は、この政治の世界に入る前に長らくアメリカに住んでいたのですね。大学院はアメリカに留学いたしまして、その後、国連の職員をやっておりましてニューヨークに四年ほど住んでいたのです。特にニューヨークでは、子供たちが、夏になりますと、一カ月とか二カ月、かなり長期にキャンプに行くのですね。これは、YMCAとか、準公的な団体がやっている場合もありますし、また民間の団体がやっている場合もあるのですが、費用もいろいろで、高いところもあるし、逆に、低所得者の子供も行けるようなものをYMCAとかそういうところでやっているものがあるのですね。日本の場合は、臨海学校とかそういうものもありますが、三泊とか四泊とか、そういう学校教育の延長線上にすぎないものですね。

 私は、やはり今の日本の子供たち、少子社会で兄弟がいないし、特に異なった年齢の子供と一緒に過ごすことが非常に少ないし、やはり対人関係のスキルというものが非常に欠けているというふうに思うし、いじめなんかの原因というのもやはりその辺にあるのではないかと思うのですね。

 そういった意味で、日本でも、かなり長期のこういった本格的なキャンプというものを真剣に考えて、どんどん普及させるようにすべきじゃないかと思うのですね。奉仕活動というのも大事だと思うのですけれども、特に小さいうち、小学校の一年とか二年とか、そういう段階からこういう共同生活をやらせた方が、私はやはり人間形成という面からも非常にいいのじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

河村副大臣 井上委員御指摘の点は、私も全く同感でございます。

 集団が集まるということになりますと、それぞれの上下関係もありますし、そういう中で、組織的な活動をしていく、子供の社会性を高める、あるいは協調性を高める、非常に効果があるし、絶好の機会でございます。

 文部科学省も、全国子どもプランというものを持っておりまして、農林水産省とも連携して、子ども長期自然体験村、こういうことを平成十一年から実施をしておりまして、十二年度は全国七十地域でございます。十三年度予算も同じぐらい持っておるわけでございます。これは、夏休みに、親と離れて、農家等で二週間程度の長期間宿泊をしながら、自然の中でいろいろな体験をする、あるいは農業体験をする、それから地元の子供たちとも交流させる、こういうようなこともやっておるわけで、これも非常に効果が高いと言われております。

 さらにこうしたものをふやしてまいりたいと思いますし、実は、教育改革国民会議の方からの提言の例の奉仕活動の問題も、合宿とかそういうものを入れたもので考えよう、こういう指摘もありますので、その方向でさらに進めてまいりたい、このように思っています。

井上(和)分科員 私は、文部省の資料をちょっと拝見いたしまして、参加した子供さんが、参加した後チームワークが非常によくなったというようなことを言っておられるのを見まして、やはりこれは本当に大事だと思うのです。

 ただ、行政に頼っていてはなかなか普及しませんし、こういう財政赤字の時代ですから、やはり民間の活力を利用する、NPOとか、それこそ逆に営利企業でもいいと思うのです、こういうことをやりたいところにやらせるような制度、例えば、事故があった際にどういう保険制度みたいなものをつくるとか、あと、特に指導者の養成なんか非常に大事だと思うのです。

 アメリカでは、キャンプカウンセラーということで、大学生とか大学院生が非常に活躍しているのですけれども、日本でも、逆に、国としてはこういう指導者を養成するけれども、実際に運営するのは民間でやる、そのためにそういういろいろな制度を整備しよう、こういうふうにした方がいいと思うのですが、この指導者の養成なんかはどうでしょうか。

河村副大臣 こういう自然体験をする場合には、指導者がいなければ不可能でございます。そういうことで、こういう長期自然体験村のような場合にもボランティア等にも入っていただいておるわけでございますが、御指摘のように、アメリカあたりではそういうカウンセラーみたいなものが非常に積極的に出ておられると聞いております。

 日本においても、これはそれぞれのグループによって違う。例えば、ボーイスカウト、ガールスカウト、こういうときは指導者がきちっとおられるわけですね。それから、地方では町内会あたりが子供を連れてまいります。それは、親御さんを初めとして、時には先生を交えてやるとか、そういうことでおります。これから青少年の健全育成あたりのNPOなんかも育ってくるだろう、こう思っておりますし、そういう方々の御協力もいただくということであろうと思います。

 昨年五月に自然体験活動推進協議会というのが文部省のプログラムを中心にして設立されまして、現在、自然体験活動リーダー、これを登録していただくということで、そのための準備を今進めておりまして、そういう方々を広く登録しておいて、いざというときにそういう方々に御協力をいただくということも考えておるわけでございます。

 今、その協議会には百十六団体が既に加入をいただいているそうでございまして、こういうことを進めてまいりたいと思っておりますし、いろいろな各種団体がございます。体験活動等をやっておられる団体にも広く呼びかけて、いざというときに御協力できる方のネットワークをつくっていくことはどうであろうか、このようにも思っているわけでございます。

井上(和)分科員 私、ぜひ町村大臣に、アメリカのキャンプを実際に見ていただいて、もしお孫さんでもいらっしゃったら送っていただいて、ぜひ視察していただいて、感じて、ぜひ日本でもこういうものを普及させていただきたいと思います。

町村国務大臣 まだ孫が残念ながらおりませんし、娘も結婚しておりませんので、それはなかなか実現が難しいかと思いますが。

 たまたま私も、今から何年前でしょうか、二十数年前になりましょうか、ニューヨークで勤務をしておりまして、うちの子供たちもかなり長期間キャンプに行っておりました。そこで大変いい成果が上がったなと今でも思っております。

 今河村副大臣が言われたように、いろいろな方法でこうした長期間の自然体験活動といいましょうか、サマーキャンプといったようなものが、普通大体アメリカで普及すると日本でもよく普及するものなのに、何で日本で逆にこんなに普及しないのかなとむしろ不思議に思うほどでありまして、ぜひぜひこうしたものが広く広がることを私も期待しております。

井上(和)分科員 ぜひ、大臣のリーダーシップをお願いいたします。

 最後に、外国人の子女教育に関してお伺いしたいと思います。

 個人的なことで恐縮ですが、実は私の家内は外国人でありまして、母国語がスペイン語なものですから、私の一人娘、まだ四歳ですけれども、家内とはスペイン語で、私とは日本語で話しております。家内の友人の中にも、日本に家族そろって働きに来ているブラジルの日系人の方なんかもいるのですけれども、そういった方々の関心事は、何といっても子供の教育問題が非常に大きいと思います。最近は、我が国でも外国人の方が大変ふえてきて、何か平成九年の調査によりますと、日本語の指導が必要な子女が約一万四千人に上っているということです。

 大臣として、我が国の外国人子女の教育の現状に関してどのような見解をお持ちでしょうか。ちょっとお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 率直に言って、日本語を外人に教えるというのは、今まで余りうまくやってこれなかったと思うのですよ。それは多分、例えばフランス語であれば、たしかアリアンスフランセーズという機関があって、これはもう百年以上前から、世界にフランス語を普及しようという目的で、文化的な世界普及ということのシンボルとしてフランス語の普及をやってきた。

 日本語はどうかというと、多分第二次大戦の敗戦という結果、余り日本語を普及するなんというのはもうやめておこう、ろくなことは考えないで、もうじっとしていようということが背景にあったのではないかという説をなす人もいますが、多分そうだろうと私は思うのです。日本語を海外に普及する、あるいは日本語を外国の人に教えるということに、極めて後ろ向きであった、慎重であった。だから、教え方とか、教える指導者を育成するとか、あるいは教材をつくるということが非常に手薄であったと私は思うのです。

 そういう中で、今先生御指摘のように、非常にむしろ日本に来る人がふえてきた。それから、実は日本語を学びたいという外国にいる人が物すごく多いのですね。そういうニーズにうまくこたえられていないという問題があると思いまして、この問題は、私も随分個人的にも政治家として取り組んできたテーマであります。文部科学省、文化庁、あるいは外務省、さらには国際交流基金、あるいは国語研究所、こうしたところも含んでともどもで、今総合的に進め始めているところであります。

 特に、今委員御指摘の、日本にいる外国人児童に対する日本語指導という面につきまして、担当教員の資質向上のために、教育内容や方法の改善についての研究協議会を開いたり、日本語指導に関する実践的な研修会を開くというようなことをやっております。

 さらに、教材をつくったり、教師用の指導書をつくったり、こうしたものを各学校に配付したり、平成十三年度からは、新たに教科学習に対応した日本語カリキュラムを作成するために、学校教育におけるJSL、ジャパニーズ・アズ・ア・セカンドランゲージ・カリキュラム開発をするというようなことをやっております。

 いずれにしても、正直言って手薄でございましたから、一層この面では強化をしていきたいな、こう思っているところであります。

井上(和)分科員 大臣も手薄だということをおっしゃっているのですけれども、私は、こういう分野こそ、逆に日本はぜひ積極的にやるべきだと思うのですよ。どうしてかというと、やはり日本はどうも社会が内向きだというふうによく言われている国ですから、やはり政治家として、逆に日本はマイノリティーになるかもしれませんが、そういう外国人の子弟をちゃんと面倒を見るんだ、そういう国であるということをやはり世界に評価してもらうことによって、ああ、ちゃんと立派な品格のある国だ、そういうふうに思われるべきではないかと私は思うのです。

 こういうグローバル化の時代で、日本の社会が本当に外国人に開かれた社会になってもらいたいと私は切に思いますので、大臣がまだやり足りないというふうに思っていらっしゃるようなので、こういう分野にこそ光を当ててぜひ充実させていただきたいというふうにお願いします。

 それから、学校教育という場だけではなく、例えばNPOとかそういうものを利用して、この問題に柔軟に対応した方が私はうまくいくと思うのです。どうしてかというと、アメリカの場合は、最初はバイリンガルエデュケーションなんかは、どちらかというと、もう南米、要するにスペイン語を母国語とする人が中心だったわけですね。最近では、かなりいろいろな国の人が来ています。

 日本の場合は、ちょっとアメリカと違うのは、もういろいろな国から来ている。ポルトガル、スペイン、それからあと、イランとかバングラデシュ、いろいろな方が来ている。そういう点で非常に分散して住んでいるということで、非常に難しい面があると思うのです。だから、そういう面で地域のNPOなんかをうまく利用してやっていった方がいいと思うのですが、これは副大臣、もし御意見ございましたら、特にこの問題は質問通告していなかったのですけれども、お願いいたします。

河村副大臣 委員御指摘のとおりで、もっとそういう点、日本の受け入れ態勢、そしてそれを進めていく。今地域、学校が連携して帰国外国人児童生徒とその他の児童生徒の相互啓発による国際理解教育、こういうことで地域内の公立小中学校等に帰国外国児童生徒が多数、五人以上おられるようなところですと、そういうところを特に調査研究地域と指定して、そういうことをもっと進めようということも今いたしておるわけでございまして、確かに、日本の場合には各地域に偏在をしておりまして、外国人子女等がおられる、日本語を指導する必要がある、そこには先生を加配してありますが、そういうところは五人以上のところに指定をしておるのですが、圧倒的に一人とか二人とかいうところが多いものでありますから、そういう方々にどういうふうに対応したらいいだろうかということも含めながら、こういう国際化時代に日本が立ちおくれないようにしなければいかぬ、最終的には留学生の受け入れとかいろいろな問題にもずっとつながっていく課題だろう、このように考えております。

井上(和)分科員 例えば、ボランティアの人をうまく活用するとか、学校に入れて使うとか、そういうふうに柔軟にやっていく必要があると思うので、ぜひその辺もよろしくお願いいたします。

 最後に大臣に、質問通告をしていないのですが、ちょっとお伺いをしたいのですけれども、私、旧東京教育大附属、現在の筑波大学附属の小学校、中学校、高校と卒業してまいりまして、今は国立大学の附属高校はどうもエリート化しておりまして、何かお受験競争をあおっているという面も見られます。私、こういった外国人子女教育のテストというのですか、実験的なことに国立大学の附属学校をもっと積極的に使っていくべきではないかと思うのです。

 つまり、こういった教育的な課題があるなら、当然実験するのはやはり国立大学の附属学校ですから、そういう面で、大臣、いかがでしょうか。ことしはもう間に合いませんが、来年あたりから少しそういう外国人の子女を入れてみて、バイリンガルエデュケーションとかいろいろな面でやってみるというようなことについて御意見をいただけますでしょうか。

町村国務大臣 国立大学の附属の小学校から高校まで、本来的には、今言われたようなさまざまな実験をする場所、あるいは教育実習を大量に受け入れて、そこで教員免許を取るための事前のいろいろなトレーニングをする、そういう特色があるはずなんですが、後者の受け入れの方はよくやっていると思いますけれども、ややもすると、今委員御指摘のように、何々附属高校から何々大学に何人入った、一位、二位、三位とか、何かそういう関心ばかりに目が向いてしまって、教育面、研究面の実験をするという本来の趣旨が見失われているような気が私もしております。

 私も、実は東京学芸大学の附属の小学校、中学校に通っていたのでありますが、驚くべきことに、昭和三十年、三十一年、三十二年、ですから私が小学校四年、五年、六年のときに、実はネーティブイングリッシュスピーカーがいまして、英語の授業をやっていたんですね。ところが、それがずっといなくなって、最近になってまた小学校のうちから英語をやったらどうかという議論が出てきたので、多分、それはよほど実験結果が悪かったのでそれが続かなかったのかなと思ったりします。

 しかし、申し上げたいことは、そういう実験をやったということなわけですよね。ですから、今委員御指摘のような、そうした外国人の子弟を入れてみて、どういう教育体系を組み、どういう教材をつくり、どういう教え方をするかというようなさまざまな試みをする場としては、国立大学附属というのはある意味では本来的な機能の一つではなかろうかと思いますので、ちょっと、御指摘のように、もうすぐ四月ですからこれは間に合いませんけれども、その後、十四年度以降にそういうことが可能かどうか、鋭意検討をさせていただきたいと思います。

井上(和)分科員 ぜひ、実力者の大臣ですので、よろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

細田主査 これにて井上和雄君の質疑は終了いたしました。

 次に、森岡正宏君。

森岡分科員 大臣も副大臣も政府参考人の皆さん方も、さぞかし長時間でお疲れでございましょうけれども、おつき合いをいただきたいと思います。

 私は、高邁な教育論とはちょっと違いまして、きょうは二点ほどお尋ねをさせていただきたいと思います。

 一つは、学校給食の現場で起きた事故の問題でございます。

 コレールという耐熱性強化ガラス製の食器が破損をいたしまして、そしてその破片が眼球の角膜を突き破って、そして水晶体が壊れるというような事件が平成八年から二件発生しております。二件とも、ただいま損害賠償請求の訴えが起こされているわけでございます。

 一つは、平成八年の七月、足立区立の中川小学校というところで、二年生の今川麻由美ちゃん、もう一つは、平成十一年二月の国立奈良教育大附属小学校三年生の後藤田奈央ちゃん。こういう二人の小学生が、床に耐熱性の強化ガラスの食器を落としたことによって、その破片が飛び散って傷害を受けたという事件でございます。一生眼科医とつき合っていかなければならない、また、大人になってから水晶体を取りかえなきゃいかぬというような問題もあるようでございます。

 この件につきまして、文部科学省としてどう対応されているのか、大臣、まずちょっとお答えをいただけますでしょうか。

町村国務大臣 御指摘のような重大な事故が二件発生したということは大変残念なことだな、こう思っております。

 どんな食器を使うかということは、通常ですと、一般的に使用されている中から学校給食の実施者が選定をするということになっているわけでございます。委員御指摘の耐熱性強化ガラス製食器、これは、一月十七日に経済産業省から調査結果の連絡を受けまして、それによりますと、当該食器は、強度が強く破損しにくいものだけれども、万が一破損した場合には破片が非常に広く飛散するという特徴がある。まさに、それでお二人の方が大きなけがをされたということなんだろうと思います。

 これを受けまして、文部科学省といたしましては、できるだけ早く食器を交換するように、そして児童生徒の安全について一層の配慮をするように求めまして、これは、各国立大学に対してそういうことを言うと同時に、各都道府県に対しましても、この調査結果について注意を周知いたしまして、十分に注意してくださいといった指導をしたところでございます。

森岡分科員 今、経済産業省という言葉が出ましたので、経済産業省の方、お見えでございましょうか。

細田主査 国土交通省は呼んでいますが。

森岡分科員 いや、経済産業省の方もこの件ではお願いしておったんですが。――そうですか。お見えにならなかったら残念でございますけれども。

 私は、こういう事故が起こっている平成八年から十一年、この間どういう対応をしておられたのか、文部科学省は最近になって対応されただけじゃないか、多くの消費者団体の皆さん方とかいろいろな方々が動かれた、それによってやっと腰を上げられたんじゃないかなという気がしてならないわけでございまして、なぜ、製造をやめさせられないものか、また、使用禁止にさせることができないものかということを不思議に思ってお尋ねしているわけでございます。

 今、大臣が御答弁なさったように、一月三十日に、文部省では、主管課長会議で、当製品の特性等を踏まえた上で十分注意するよう各市町村へ周知されたいという指導を行われたということを聞きました。そして、一月ほど前でございますが、二月一日には、国立の附属学校については早く食器を交換するようにという通知を出された。国立に対しては交換しろと、そして、公立の方に対しては注意するようと、随分トーンが違うわけですね。

 私は、設置者が違うとはいえ、これだけの障害を受ける事故が起こっている。それなのに、どうして公立にも、予算措置をするから交換しなさいとか、してほしいとかいう、もう少し強いトーンで指導することができないのか。もしもう一度同じような事故が起こったら、だれが責任をとるのか、それを私は問いたいわけでございまして、危険があるということを知りながら使わせておるということは放置できないじゃないか、私はそんなふうに思うわけでございます。

 この点についてどう考えておられるのか、お答えいただけますか。

遠藤(純)政府参考人 学校給食で具体的にどういったような食器を使用するか、これはまさに学校給食の実施者が選ぶ、こういうことになっておるわけでございます。

 そういうこともございまして、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、経済産業省の方から、この製品の落下検査などの調査結果について情報提供を受けたというところでございますが、経済産業省、これはこういう事実を知っているわけなんですけれども、まだ一般的に家庭などにおいての使用まで禁止ということまでいっていないと聞いております。

 そういう状況でございますので、その使用を全面的に禁止する、そういうところまではまだなかなか指導し切れないというところがあるわけでございまして、使い方について十分徹底して指導していきたい、こう思っておるわけでございます。

森岡分科員 再度同じことを言わせていただきますけれども、今も公立で、千六百校でこのコレールという耐熱性強化ガラス製の食器が使われているということでございます。

 私は、被害に遭われた後藤田奈央ちゃんのお父さんから手紙をいただきました。こういうことこそ政治家が取り上げて、危険をなくす、これをぜひやってほしいんだ、うちの娘のような犠牲者が二度と出ないようにしてほしいんだという悲痛なお手紙をちょうだいいたしました。

 私は、文部科学省としてもう少し、公立の学校でも千六百校もの学校で使われているという事実を知っているならば、これは使うべきじゃありませんよ、できるならば予算措置をこういうふうにしたらどうでしょうかと、そこまで踏み込むべきじゃないかなと思うわけでございます。もう一度答弁をお願いします。

遠藤(純)政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、そういうことで、安全に子供たちが使うように、調査結果を踏まえてそういう指導をしてほしいということで、再度私ども、各都道府県を通じまして市町村に周知を図っていきたい、こう思っておりますけれども、その使われ方の状況をまたいずれかの時点で調べまして、その結果、またいろいろ対応について考えていきたいと思っております。

森岡分科員 ぜひこの問題、ただ主管課長会議でお願いをするということだけじゃなしに、後どういうふうに変わっていっているかということをフォローしていただきたいと思います。あすにもまた同じような事故が起こるかもしれないということを踏まえた上で対応していただきたいなと思うわけでございます。

 それから、この事故に遭った児童の補償の問題でございます。今は日本体育・学校健康センターというところで、治療費は長くて七年間しか支払われないというふうに聞いておりますが、今のこの二件の事故のように、生涯お医者さんとつき合っていかなければいかぬ。そういう場合、やはり長期にわたってその治療費が必要ならば国がある程度面倒を見てあげるということが必要なんじゃないでしょうか。それについて文部科学省としてはどういうふうにお考えになっているのか、それも伺いたいと思います。

遠藤(純)政府参考人 御指摘のように、この災害共済給付につきましては、障害見舞金の支給を除きまして、医療費につきましては最長七年間の支給を行う仕組み、こうなっておりまして、学校の設置者が保護者の同意を得て同センターとの間に締結する災害共済給付契約により行うことになっているわけでございます。

 この給付期限につきましては、これまで給付金額の改善等とあわせて逐次延長を図ってきておるわけでございまして、平成十一年度からは、それまでの五年間から二年間延長して七年間としたところでございます。これをさらに延長するということにつきましては、児童生徒の負傷等の治療の実態等も踏まえながら、給付金額や掛金の額なども含めた制度全体の問題の一つとして研究していきたい、こう考えております。

森岡分科員 今の御答弁では私はちょっと不満でございますけれども、大臣にもう一度、二度と、二度とというより三度目の事故をもう起こしてはならないと私は本当に強く思うわけでございまして、総括して、もっと強くこれから指導していくということの御決意をもう一度お答えいただけないでしょうか。

町村国務大臣 局長の答弁は、設置者の違いによりということなんですが、これはどう考えても、こちらは使ってはだめよ、こちらは注意しなさいよという、何かそういう違いがあるというのは、委員御指摘のとおり、これはおかしいなと私も思いますよ。

 ただ、お金がどうなるかとか、いろいろな問題もあるかもしれませんが、できるだけ早く周知徹底するように、使用している各学校には強く指導を徹底したいと思いますし、できるだけ早く別の安全なものに交換するように心がけるようにやっていきたいな、こう思っております。

森岡分科員 どうもありがとうございます。大臣になかなか心強い御答弁をいただきまして、ありがたいと思っております。

 次に、ちょっと話題を変えますけれども、私の郷里奈良は文化財の宝庫、また、二十一世紀は文化の時代などと言われておりまして、たくさんの古いものがあるわけでございます。

 その中で、今、国土交通省の補助金をもらって奈良県で進めております、JR奈良駅周辺の連続立体交差事業というのがございます。奈良の遷都千三百年祭、これは二〇一〇年でございますが、それまでに完成させるんだということで、駅舎を新しく設けて、そして奈良駅周辺の軌道敷を二階にする、そういう工事がこれからどんどん急ピッチで行われようとしているわけでございます。奈良の発展にとりましては、この事業は欠かせない大事な事業だと思っております。

 ところが、その陰で、昭和九年に建てられたそうでございますけれども、JRの今使われている奈良駅舎が壊されようとしているわけでございます。行かれた方は御存じかもしれませんけれども、相輪といいまして、五重塔の一番上にありますようなああいうのがございまして、その相輪と四方かわら屋根になっております、なかなか見事な建物でございまして、昭和九年に建てられたものでございますけれども、奈良市民にとりましては奈良市のシンボルだ、また、旅行者にとりましては大変愛着を持てるいい駅だ、こういうふうに評価されているわけでございます。ところが、奈良県が進めている連続立体交差事業のために壊されんとしている。

 私は、これは大変だと思っておったら、奈良市民及びその周辺の皆さん方、有識者の方々、また、元奈良駅の駅長を務めておられたような方々、そういう人たちが立ち上がって、何とかしてこのJRの奈良駅を残そう、そういう運動を始めておられるわけでございまして、ただいま一万三千名ほどの署名を集められた、こう聞いております。私も、ぜひ残すべきだというふうに思っておるわけでございますけれども、文化庁は、文化財保護法に基づく文化財登録制度というのを持っておられると思います。JR奈良駅は登録有形文化財としての価値があるのだというふうに伺っておりますけれども、県に対して、いつどのように指導されたのか、河村副大臣、できたらお答え願えますでしょうか。

河村副大臣 お答えいたします。

 森岡委員御指摘のとおり、JR奈良駅駅舎は昭和九年にできたもので、もう築後六十七年を経過いたしております。寺院建築風の相輪を上げた外観あるいは伝統的紋様の装飾、これは古都奈良のまさに象徴的な建物で、和洋折衷の意匠がございます非常に特徴のある建物でありまして、これは建築学界においても非常に注目をされている建物だと伺っております。

 先ほど御指摘の登録有形文化財制度でございます。これは、駅を保存しながら、使いながら、文化財としての価値を認めながらやることが可能でございますので、まさに奈良駅舎の場合にはこの登録有形文化財制度の趣旨に合致するものだというふうに考えておりまして、実は文化庁におきましては、この登録文化財は、こちらから可能ですということは言えますが、所有者の承認のもとに、同意を得なければいかぬ、こういうことになっております。

 そこで、文化庁は、JR西日本に対して直接これをいたしておりませんで、平成八年、この制度が発足をした時点で、緊急に登録を要する建物だということで奈良県の教育委員会の方へ、JRの奈良駅舎はこういう非常に価値のある建物であります、新しくできた登録文化財制度に合致いたします、こういう報告をしたところでございます。その結果、そのリストに掲載されておったわけですね。

 教育委員会の方は、恐らく所有者の了解を得てということでお進めになったと思うのでありますが、現時点でJR西日本から正式な回答を得ていないんじゃないか、このように思っております。

森岡分科員 先日、この問題につきまして、日本建築学会もぜひ残してほしいということを知事や奈良市の市長に要望書を出したようでございまして、今河村副大臣にお答えいただきましたように、文化庁もこの建物は価値があるんだ、残すべきだと言っておられる、そして日本建築学会も残すべきだと言っている、それなのにただいま壊されようとしている。私はそんなことになったら大変だと思って、一生懸命この運動をやっておるわけでございます。

 国土交通省の方、お見えでございましょうか。きょうは私、この所有者であるJR西日本の方、また事業の当事者である奈良県の人にぜひ答弁に立ってもらいたいな、こう思っておったんですが、どうもそれはかなわないということでございますので、国土交通省の参考人の方にお願いをしたいなというふうに思うわけでございます。

 私は、いろいろ経緯を聞いておりますと、これから始められようとする工事の仮線がJR奈良駅の駅舎に裏の方で引っかかるんだ、だからその引っかかった部分、仮線ですから工事を終えたらその部分だけ補修をしてきれいにすることができるんだ、それは可能だというふうに伺っているわけでございます。それを前提にぜひ工事を進めていただきたいなというふうに思います。

 もう一つは、JR西日本と奈良県の間でどういう相談をしておられるのかわからないわけでございますけれども、奈良県が昨年七月にJR奈良駅付近連続立体景観・デザイン検討委員会というのをつくりまして、いろいろな各界の有識者に集まってもらって提言をもらっているわけですね。その中で、駅舎についての欄を見ますと、当委員会の大勢として、全面保存ではなく、新しくつくる駅のデザインに配慮すればよい、そういう結論を出しているんですね。

 私は、初めから奈良県は、この建物はもう不要だ、だから壊すことを前提にこのデザイン検討委員会にそういう諮問をしておられるんじゃないかな、そういう意図的なものを感じるわけでございまして、文化の時代と言われている今日、奈良には千年以上の建造物がごろごろしているわけでございますが、昭和のものはお粗末に扱っていいんだというようなことであってはならないと思うわけでございまして、ぜひこの駅舎を残して――駅舎として活用することは無理だと思います、しかし、私は、奈良のシンボルとして、例えばFM放送の基地に使うとか観光の拠点に使うとかいろいろな生かし方があると思うわけでございまして、JR西日本だって、もともとは国鉄でございますから、国の税金をたくさん使ってこの建物を建てているわけでございます。

 今聞くところによりますと、JR西日本は、地価の高いところだから高く県へ売りつけるんだ、だから、そんな高いものをしょわされたら県はかなわぬ、そんなことからもう壊してしまえというような思いを持っておられる方がいらっしゃるというふうなことを聞くものですから、私は、国土交通省の方からぜひ、JR西日本そして奈良県に対して、この建物を生かしながら事業をやっていく、そういう指導を強くやってもらいたいなということをお願いしたいと思うわけでございますが、政府参考人の方、いかがでございましょうか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、JRの奈良駅につきましては連続立体交差化事業が着工してございまして、現在の計画では、この駅を高架化するために先生御指摘のとおり仮線を振る必要がございまして、その工事の関係で、現在の今御指摘の駅舎が支障をするので、撤去もしくは移設をする必要があるという計画になってございます。

 奈良駅の保存につきましては、連続立体交差事業の事業主体であります奈良県と、それから鉄道事業者でありますJR西日本とございますが、それと御地元の奈良市と、やはり御地元で十分協議をしていただくことが一番肝要かと考えてございますが、御指摘のように支障しないところを残して活用するというような方法もあろうかと思いますので、保存をする方向で検討する必要があると先生からも御指摘をいただいたということを、関係の機関に十分お伝えをしたいと考えてございます。

森岡分科員 今お答えをいただきましたように、ぜひ私はこの駅舎を残す方向で事業を進めてもらいたいと思うわけでございます。

 政府である文化庁がこの建物には価値があるんだ、ぜひ残すべきだということを言っているわけでございます。それに対していまだJR西日本は回答を出していないということでございますから、私は所有者であるJR西日本は奈良県と相談をして早く回答を出すべきだと思うわけでございまして、再度このことを強くお願いしておきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと時間がまだあるようでございますので、きょうは質問の通告をしていなかったんですけれども、一つだけ大臣にお願いをしておきたいなと思います。

 私は、日本の教育の中で私学が果たしている役割、私立学校が果たしている役割というのは非常に大きいと思うわけでございまして、それだけに私は私学の振興を、国会議員の秘書を務めているときから、これは大事な仕事だなと思って一生懸命取り組んでまいったつもりでございます。

 この間、実は奈良県の中高連の会長から電話をいただきまして、ここは中学校、高等学校は経営しているんですけれども小学校がないんだと。それで、小学校をぜひつくりたいんだということで今予定しておられるようでございます。

 ところが、小学校をつくる、これは御承知のとおり、自前でつくっていかなきゃいけませんね。建設は、文部省からお決めいただいたとおり建築基準に基づいてつくっていく。そして、何か設備をしたい、例えばITの関連の機材をそろえたい、そんなときに補助金をもらいたいと思うんだけれども、いつになったらもらえるんだろうかというような御質問がございました。それで私、文部省の事務方に伺いましたら、小学校ですから、小学校六年生が卒業するまで結局その学校は完成したものとみなされないということで、小学校一年生が入っただけじゃだめなんだ、六年生が卒業するまで補助金の対象にはならないんだということを聞きました。

 しかし今、森総理を初め町村大臣も、IT、ITということで学校のIT化も進めていただいておる。私は、私学の果たしている機能は非常に大きいと思います。それでありますだけに、これは法律で定められているものじゃないようでございまして、運用でできるんだというふうに聞いております。それならば、町村大臣のような実力者が大臣になっておられるわけですから、ぜひこのことに私は道を開いていただきたいなと。一年生が入学した時点でもう認めていいじゃないかと私は思うわけでございます。

 この間から、ものつくり大学のことで私学助成では揺れているわけでございますけれども、あれに比べましたら、実にちっぽけな問題だと思います。だけれども、本当にこれは大事な問題、いろいろな学校に波及していく問題だと思いますので、ぜひ勇断をもってその運用を改めていただきたいなと思いますので、大臣の御答弁をお願いしたいと思うわけでございます。

町村国務大臣 これは、小学校であれあるいは大学であれ、ものつくり大学の折に随分先生も予算委員会でお聞きになっておられたとおり、大学ができてすぐ経常費助成は出ませんよ、四年生の卒業生が出て初めてそこから、必要があれば経常費を、申請があれば出すことが可能だ、こういうことになっておりますので、したがって、そういう意味では、ある意味では一般ルールになっているわけですね。

 ただ、今お話しのように、特にITということで何か特別の方法はないのかというお話でございますから、そこはちょっと考えさせてください。全くだめなものかどうか、私も今直ちにお答えするだけの知識がございませんものですから、ちょっと考えさせていただいて、また一年後に申し上げます。

森岡分科員 ありがとうございました。本当に期待しておりますので、よろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

細田主査 これにて森岡正宏君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤田正純君。

後藤田分科員 町村大臣、そして河村副大臣、本当にお疲れさまでございます。

 冒頭に、予算委員会の文部科学所管の質問の前に、これは国会運営に関係するのかなと思いますけれども、閣僚の一人としての御意見を聞きたいと思います。そしてまた、前に国対委員長を大臣はやられていたということでございます。

 まさにきょうも一時から、九時間ですか、これは休憩なしにやられているんだと思います。そのように九時間ずっとやる、健全な思考回路、思考能力の中でこの国の大事なテーマを本当に考えられるのかなということを、私いろいろな分科会、予算委員会を見ていても感じます。まさに国会改革というところから根本的に変えないと、予算委員会がいわゆる政局の道具に、政争の道具にされているような気が私すごくするわけでございます。

 KSD疑惑、そしてまた外交機密費、いろいろと諸問題が出ております。これは解決しなくてはいけない問題でございますけれども、いわゆる決算委員会また政倫審というほかの委員会があるわけでございまして、予算委員会というのは、これからの十三年度予算、そしてまたその先の前向きな議論をしていくべきところであって、いわゆる過去のいろいろな問題につきましては決算委員会でやるような、そんな仕組みを国対の方もしくは国会改革の方でつくっていかないと、予算委員会の異常な審議を国民の皆さんが見たら大変不信があると私は思います。

 その点につきまして、閣僚の一人としての御意見をまず冒頭お聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

町村国務大臣 予算委員会のあり方につきましては、私ども内閣の方から予算を提出し、国会の方で御議論、御審議をいただいている立場でございますから、特に細田主査は、今予算委員会理事として予算委員会の運営全般について責任を負って、いろいろ切り盛りをしておられるところでございますから、余り閣僚の立場で予算委員会のあり方についてあれこれ申し上げるのはやはり差し控えるべきだろう、こう思っておりますが、せっかくのお尋ねで、あえて理事の細田さんには失礼も省みず、若干の感想を述べさせていただきますと、委員先ほどお話のあったように、国会改革ということで随分いろいろなことを決めたわけですね。

 例えば、いろいろ批判する方いらっしゃるけれども、従前ですと、総理大臣がかなり長期間予算委員会に拘束をされる。これでは、総理大臣として海外に行かなきゃならないとき、あるいは緊急案件があったとき、身動きがとれないではないかということで、例えば総理大臣の出席回数を少し制限しようということで実はある種のルールができた、国会対策委員長同士で、すべての政党が合意をしたわけじゃないけれども。できたんですけれども、どうもちょっとこの国会あたりから、そのルールが大分また何かもとに戻りつつあるなという率直な印象も受けたり、あるいは、全大臣拘束するのは、たしか立ち上がりの総括的な審議と締めくくり総括、それとあと必要があれば集中審議ということであったはずなのに、およそ質問は絶対出ないんだけれども、とにかく全大臣座っていなさいという要求が野党の皆さん方からあったりして、あれあれ、せっかく決めたルールが何かもとに戻ってきてしまっているのかなという感じも、率直に言って受けたりしております。

 この辺はいろいろな状況があって、きっと理事の皆さん方が御苦労の結果お決めになったことでしょうから、これ以上のことは申し上げませんけれども、でき得べくんば、せっかくできた、それもつい二年前ですか、できたばかりのルールでございますから、ぜひそれを遵守していただければありがたいなという個人的な希望は持っておることを、大変僣越ではございますが、ちょっと申し上げさせていただきました。

後藤田分科員 大変参考になる御意見をいただきまして、ありがとうございます。私どももぜひ、国会改革の方、微力ですが、また先輩方のお知恵をかりましてやらせていただきたいと思います。

 そして、今回の文部科学省の方に対しての質問でございます。

 まず第一点目でございますが、教育課程にいわゆる奉仕というような言葉が、最近いろいろなところで飛び交っております。私は、日本の教育につきまして、日本古来のいわゆる社会貢献、そしてまた自己犠牲、そういったスタイルから、戦後、個人の尊重、個人の尊厳というような考え方が取り入れられて、それがまた日本の教育に根っこからいろいろな、いい意味でも悪い意味でも影響を与えてきたというふうに思います。

 私は、政府に対しまして、自己犠牲そしてまた奉仕という考え方を植えつけさせる、もしくは子供に人間としてその考えを持ってもらうためにはどういうことをしたらいいのかということをお尋ねしたいと思います。今の教育議論というのは、着眼大局着手小局という言葉が私好きなんでございますが、着眼の大局の議論はよくされるのでございますが、実態、いわゆる着手小局という点で少しどうかなと思う点がございます。

 例えば、私なんかが考えますのは、日本の国防という問題をカリキュラムに取り上げていただきたいと思っております。いわゆる社会性を身につけるために、十三年度予算にしましても、いろいろな案を出されて予算化もされておりますが、そんな中では課外学習だとか工場見学等々の社会性、これも大変大事だと思っております、大切だと思っております。しかし、それとはまた違った視点で、いわゆる日本国民である、そして日本国家を命をかけて守っている自衛隊、そういった国防という問題を、若い、小さいころから知ってもらうべきだと私は思うんですね。こういう体験をするとかさせるという前に、まず見せる、まずそういうものがあるということを知らせる、現場を見せることがすごく必要だと私は思っております。

 今の大学生でも、自衛隊がどういう仕事をしているかということを知らない学生が多々あるわけでございます。いわゆる日本国民であるというその誇りを、そしてまた、その国で我々が安心して暮らしているのはどうしてなのか、やはり自衛隊があるからなんだというような思いを、教育課程で、私は義務とは言いませんけれども、ある程度それを見せる、知らせるということをぜひカリキュラムの中に加えていただきたいのでございますが、今現在はどういうふうになっておるでしょうか。

河村副大臣 後藤田委員御指摘の点でございます。確かに、日本の戦後の教育といいますか、また日本人がと言ったらいいと思いますが、日本の国防とか安全とかいうことはどちらかというと隅の方にあって、例えば経済的豊かさだけを求めてひた走りに走ったという面は、私は御指摘のとおりだろうと思うのですね。

 そういうことから考えると、日本の子供たちは国を守る気概についてどうかと言われたときに、世界のレベルからいうと一番低い国だと。実際にそういう数字も出ているわけであります。日本の国の安全、自分の国はみずから守る、そういう気概というのはやはり持つ必要がある、私もそう考えております。

 学校教育においては、憲法あるいは教育基本法等の、平和的な国家及び社会の形成者としての必要な資質を養う、こういう観点に立って、児童生徒の発達段階を踏まえて、中学校の社会科とか高等学校の公民において我が国の安全と防衛の問題については取り扱っておるわけでありますが、やはりこの問題の重要性を踏まえながら適切な指導が行われる必要がある、私もそういうふうに思っておるわけでございます。

 体験活動の中で、自衛隊あたりの見学とかそういうことの御指摘もございました。基地等がある地域とか何かでは比較的やりやすい、チャンスもあろうかというふうに思いますが、地域の中でやはりその方々の御協力も得ながらやっていかなきゃいけないことだろう、こう思っております。いずれにしても、そうした体験活動を通して国防に対する知識を高めていくということも必要なことであろう、このように私も感じておるところでございます。

後藤田分科員 ありがとうございます。

 徴兵制を導入するというようなことではなくて、まさしくそういう社会学習の中でも、国防、本当に命をかけて日本を守っていらっしゃる自衛隊の存在を、学校の先生初め文部科学省挙げて宣伝、そしてまた子供たちに現場を見せるということを私は改めてお願いいたしたいと思います。

 それに関連するわけでございますが、二番目に、いわゆる日本の国家とは何かということを考える、そんなときというのは、痛ましい戦争だとか何かの侵害を受けたときが一つでございますが、全く反対のケースで、四年に一度のオリンピック、そしてまたワールドカップのサッカー等々で、日本の国歌がそして国旗が表彰台に上って、そのときに、四年に一度でも何年に一度でも日本国民であるという自覚をするものだと私自身思っておりますし、まさしく皆様方もその傾向、この前も、高橋尚子さんがオリンピックマラソンで優勝したときも、やはり日本人にとって日本国の誇りを持ったと私は思います。

 しかしながら、そんな中で、一番わかりやすい、そしてまた結果の出やすいそういうスポーツの育成につきまして、私は、今の文部科学省の政策そしてまた財源、これにつきまして少し疑問に思うところがございます。

 いわゆる助成といいますと、海外遠征等々の旅費だとか滞在費だとか、そういったお話がよく出てきますけれども、プロの養成、そしてまた人材発掘、育成、そしてまた元プロの選手、サッカーでもテニスでも、テニスでも今、伊達公子さんがキッズテニス等々いろいろやっていらっしゃいます。セルジオ越後さんもサッカーのいろいろな活動をしております。しかし、これは個人でできるようなことではない。やはり文部科学省がこういうものをどんどん助成すべきだと私は考えております。

 この十三年度予算案の中に、いわゆる先進的な「世界的レベルの研究者・技術者の養成・確保」という項目がございます。それは約三百億円使われておるわけですね。しかし、スポーツ振興と青少年育成という項目になりますと約二百億円。そして、その中でスポーツの振興というのは六十億円ぐらいしか使われていないやに思います。

 そのお考え、技術者、研究者等々につきましては世界レベルだという構想をちゃんと挙げている。しかし、スポーツ選手についてはスポーツ振興だけ、そしておまけに青少年教育と一緒の項目にしておりますね。海外ではスポーツ大臣というものもあるところもあります。

 その点につきまして、私はもっともっと一般財源として予算を厚くすべきだと思います。totoの収益金の何割かをそれに乗せる、それだったらtotoの売り上げ、収益が悪いときはどうするんですか。そんな安直なやり方では、私はスポーツというものは育たないと思っております。

 それにつきまして、私の要望も含めまして、ぜひ、世界に通用するようなスポーツ選手の育成、そしてまたそういう施設につきましての文部科学省の今後の助成をお願いしたいと思います。それにつきまして、御答弁をお願いいたしたいと思います。では、大臣、お願いします。

町村国務大臣 オリンピックその他国際競技大会の場で日本の選手が優勝する、メダルをいただく、本当に日本人としての誇りといったようなものを痛感できる絶好のチャンスであるというふうに私自身も思っております。

 いろいろなチャンネルで、一般会計で、例えば、JOCなどを通じて国際大会に行くそのトップの部分に助成をしたり、あるいは、スポーツ振興のための基金がございまして、これの運用益、今ちょっと金利が下がって困っておりますけれども、それで特にジュニアのころから養成をして、そこから一流選手が育つようにするといったようなこと、あるいはその施設整備でありますとか、さらには、今度、西が丘の方にスポーツ科学センターといったような、ちょっと正式な名称はあれですけれども、そうしたものをつくる、あるいは、まだ決まっておりませんけれども、そんな遠くないうちにナショナルトレーニングセンターをつくるといったようなことなどをやる。

 しかし、どうしてもお金が不足がちでございますから、確かに売れ行きが落ちたらどうするかという御指摘もよくわかるのでありますが、スポーツ振興くじの売り上げの一定割合をそうしたものに使っていくというようなことで、スポーツ振興、特に底辺からトップまで含めてできる限りのスポーツ予算を組んでいきたいな、こう思っております。

 ちなみに、文部科学大臣というのは、英語で言いますと、ミニスター・オブ・エデュケーション・カルチャー・サイエンス・テクノロジー・アンド・スポーツ、ちょっと英語の順序は忘れましたが、英語になるとちゃんとスポーツと書いてあるんですが、日本語になると文部科学大臣というふうになりまして、スポーツのスの字も出てこなくなってしまうのであります。

 いずれにしましても、重要なスポーツ振興のためにこれからも一生懸命努力をしてまいりたいと考えております。

後藤田分科員 お願いします。これは、町村大臣の本当に生涯残る売りになると僕は思います。スポーツに対して理解を示した大臣というのは、私はいないと思います。これは絶対一番早い、手っ取り早いと言ったら失礼ですけれども、愛国心をはぐくむ、そしてまた日本が一つになる、そして子供に夢を与えるものだと私は確信しておりますので、どうか御考慮いただきたいと思います。

 次に、今、行政改革の流れの中で、私は一つ疑問に思ったことがございます。今回、子どもゆめ基金というものを創設されるとのことでございます。もとの厚生省、今厚生労働省で、こども未来財団というのがあるわけですね。

 子どもゆめ基金というのは独立行政法人。こども未来財団というのは財団法人。子どもゆめ基金というのは、百億円のイニシアルコスト、そして二十億円のランニングコストでやられるということであります。でも、厚生省管轄のこども未来財団、これは基金がたしか三百十二億円ぐらいだったと思うんですね。昨年度の予算ですが、約五十億円ぐらいの運営費でやられている。

 私は、この性格というのはどこが違うのかなと。もともと同じような性格のものであれば、わざわざ何でこういうものをつくったのかということがございます。読んでみると、これは両方とも子供の健全育成というテーマなんです。多分御回答あると思いますが、こども未来財団の方は、育児、保育、いわゆる幼保の区別があるのだと思います。子どもゆめ基金の方は、体験活動支援というようなことでの大きな違いがあるかと思うのですが、こういうものというのは、すべての省庁の間で統一できないものなのかな。要は、これにすごく関係してくるのですが、同時に幼保一元化の問題なんかも、これは当然、根底の議論としてかかわってくると思います。育児と保育と体験学習というのは違う、そのために分かれているのだと多分御回答があるのだと思いましたので。

 しかしながら、この三、四年、保育園と幼稚園の一元化の協議をずっとしておるのですが、なかなか前に進まないという状態がございます。私の地元でも、やはり男女共働きの若い女性がいっぱいいらっしゃいます。少子高齢化の中で幾らいっぱい子供を産んでくださいといっても、保育園だけある程度の時間が保障されていて、幼稚園というのは教育の分野だから時間は区切ってしまいますよというのはどうかなと思います。幼稚園におきましても、そこで預かっていただく時間の延長とかそういったものも含めて、では、もう最初から幼保一元化して、厚生労働省と文部科学省と二つに分けないで、一つの考え方でいわゆる初等教育というものを考えるべき時代が来ているのではないかと思っております。

 目が合いましたので、河村副大臣、お願いします。

河村副大臣 まず、前段の子どもゆめ基金の設置の問題でございますが、確かに、御指摘のような問題点、子どもゆめ基金をつくるに当たっては、いろいろな角度から検討いたしたことも事実でございます。確かに、厚生労働省の方は子育て支援基金という基金があるわけでございまして、青少年非行防止という方もいわゆる社会福祉の観点からやろうという基金でございます。

 子どもゆめ基金については、体験活動あるいはさらに読書活動とか、その方面にウエートを置いてありますし、子供が目を輝かせて夢を抱くような、そういう事業にもっと金をつぎ込むことを考えようということで、ゆめ基金という名前をつけたわけでございます。ただ、確かに御指摘のような点もございますから、先々ではそういうことも一緒に考えていくことも出てくるかと思いますが、当面はそういうことでやってまいりたいと思っております。

 ただ、オリンピックセンターに置いた場合にどうなるだろうかということも御指摘があったかと思いますが、このゆめ基金をつくるについて新しい法人をつくるということになりますと、今の行革時代、これは難しい問題でございますので、あらゆる角度から考えて、ここにお願いすることが、基金として置くことが一番今後の運営上いいだろうということで、ここに置くことにしたようなわけでございます。これは独立行政法人でございますので、あとは法律の改正ということで、今回提案もさせていただいているところでございます。

 それから、幼保一元化の問題は、確かにこれは古くて新しい問題と言ってもいいと思います。あらゆる角度からこの一元化に向けていろいろな努力がされていることも事実でございます。もともと幼稚園と保育所というのは異なる目的、基盤が全然違ったところからスタートしております。そういうことでありまして、それぞれの形で整備を進めてきた。

 ただ、これは一緒にしようとしますと、まさに日本の縦割り行政という一つ大きな壁もございます。これを取っ払うための努力としては、両施設の連携を深めていこうということで、今具体的には、施設を共用化するとか、あるいは教育内容、保育内容の整合性を確保しようということで保母あるいは幼稚園教諭合同研修をやるとか、そういうこともやっておるわけでございます。また、子育て支援事業についても連携をしようということで、幼保園化という言葉も最近出てまいりました。幼稚園が子育て預かり事業をやる中で保育事業もやっていこうという動き、これも出てまいったわけでございます。特に今回の予算でも、預かり保育の予算を大幅に増やしたりいたしております。

 そういうことで、流れとしては、行革という大きな視点も一つはあるのであります。措置費でやる保育所、それから私学で苦労されて効率的な経営をしておられる幼稚園、そういうものが一つの方向に行くということは、国の行革の観点からも幼保一元化という視点を持つ必要があろうというふうに私は思っておりますが、まずは両方の整合性を目指していこうということで、両省ともに今協議をいたしておるようなわけでございます。

 そのような中で、文部科学省としては幼稚園を管轄しておるわけでございまして、まずは幼稚園側としても、預かり保育機能を持たせながら幼稚園が子育て支援センター的な役割を持って、子供と、それから同時に親も一緒に育つような、また親も一緒に学ぶような地域の子育て支援センターといいますか、子供を育成する、または教育する支援センターになってもらいたい、このように思っておるわけであります。

後藤田分科員 ありがとうございます。少子化対策、そしてまた働く女性のために、ぜひともそういった課題を処理していただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってまいりました。私、予算案の数字を見ていまして、項目を見ていまして、またちょっと一つ思ったのは、先ほども申し上げましたが、子供の社会性を育てるというテーマが、「学校教育における体験的活動等推進事業」、これは「「心の教育」の充実」というところで倍増しておりますね。十三年度、三億九千四百万。十二年度は一億八千三百万。同じ社会性を育てるという項目が、先ほどの「スポーツの振興と青少年健全育成のための総合的な推進」の「青少年健全育成の総合的な推進」というところでもまた、「青少年の「社会性」を育むための体験活動総合推進事業(新規)」一億四千八百万出ております。これは何で二つに分けているのかな、わざわざ項目をつくって予算をおとりになっているのか、もっと合理的にやったらいかがなのかなというふうに思うのがまず一点。

 もう一つは、項目として「未来を拓く学術研究の振興」というところで約四千五百億ぐらいのお金が使われております。これは基礎研究だと私は理解しました。そして次に「経済・社会ニーズに対応した先端科学技術の研究開発」には大体七千五百億円ぐらい使われているようでございます。それにつきましては、ニーズに対応した基礎研究から派生したものだと思います。そういうふうに理解します。そしてまた一方で、世界的レベルの研究者、技術者の育成というふうに、これは三つに分かれているのですけれども、技術者、研究者の養成というのも学術研究振興だとか先端科学技術の研究に当然含まれてしかるべきなのに、その人材育成のところだけが分かれてまた新たに予算化されている、これは三百億円されています。この項目の分け方というか、頭の整理の仕方が、どうも理解に苦しむ。

 そしてまた、基礎研究は文部科学省でやって僕はしかるべきだと思います。しかし、ニーズに応じた先端技術というものの研究開発、これはライフサイエンスとか宇宙工学とかいろいろな問題が出てきます。これはほかの省庁でやったっていいわけですね。国立環境研究所なんというのは環境省の管轄ですね。そういうのも厳然としてあるわけでございまして、なぜここで重複するものがあるのかなということにつきましての御所見をいただきたい。

 あと、時間がないのでもう一点。先ほど森岡先生からも、コレールの問題がありました。これにつきまして、やはりこれはもう本当に、あした起こって三度目どうなるのと、私どもTBSのテレビを拝見させていただきまして、思いました。これは本当に迅速な対応が必要です。そして、先ほども文部科学省から伝達をされたということでございますが、末端の教師さんに、きょうこの時間もしくはあしたの朝聞いたら、伝わっておりますでしょうか。

 私は、文部科学省さんの情報の収集と、そしてまた伝達の管理、ちゃんと伝達されているのか。これを、教育委員会とどういう連携で、どういうふうにちゃんとチェックをされているのかというのが大変心配でございます。学校の先生に電話して聞きましょうか、あした。知らなかったということになりますと、これは大問題ですね。これを皆様方はどのように管理監督されているのかという問題。

 この二点をお答えいただいたらもう時間だと思いますので、最後の質問とさせていただきたいと思います。

河村副大臣 今のコレール食器の問題について私から答弁させていただいて、あと、予算の問題を局長から。

 先ほど、大臣みずから、この問題についてはやはり早急に対応して、通知についてももっと敏速にやるべきだと。それで、国立大学の方は行ったが、ほかの公立は行っていないというのはおかしいという指摘もございました。これはまさに、学校というのは子供が健康で安全でなければいけない、一番大事な場所でそういうことが起きたわけでありますから、私は敏速な対応が必要である、こう思っております。

 そういう意味で、今回、本件の事故のようなケースについては、すぐに各都道府県の主管課長会議ですか、これを開きまして周知徹底するようにすべきである、こう思っておりますので、少なくとも私は、委員御指摘のように、これまでの周知徹底が必ずしも十分でなかったという観点がございますので、早急にこれは対応を図らせてまいりたい、このように考えております。

遠藤(純)政府参考人 予算のことで、ちょっと代表して説明させていただきますけれども、体験活動が二つ出ている、おっしゃるとおりでございます。

 一つは、実はこれは、学校教育、学校の中の教育の一環として行う体験活動に対する助成の問題と、それから学校の外、いわば地域と青少年団体、学校とちょっと離れたところで土日あるいは夏休み等にいろいろやっていただく、そういうところの体験活動への助成ということで仕切りをさせていただいているものですから、そこでそれぞれの場所に出てくる、こういう仕切りになってございます。

後藤田分科員 予算のほかの説明は、どなたかできますでしょうか。大きな範囲でのいわゆる基礎研究、そしてまたニーズに応じた問題、そしてもう一つは世界レベルの人の育成というもの、これは重なるものがあるのと違うのかなと思っておりますが、それができる方はいらっしゃいますか。大臣にお願いいたします。

町村国務大臣 私も、正確に詳しく今委員の御疑問に答えるだけ、緻密に予算項目ごとに頭に入っているわけじゃございませんが、一つには、ありていに言いますと、文部省と科学省が統合したわけでございますけれども、そこのところでうまく予算がきちんと項目的に仕分けができているかというと、いささか過去を引きずっていた部分もあるのだろうと。もっとも、全部完全に並立のまま残したわけじゃなくて、融合できるものは随分したりしましたけれども、予算項目的には、そんな形で残っている部分があるのも事実かと思います。

 それから、どうしても主要な分野については、それは文部科学省もやりますし、あるいは農林水産省もやるだろうし、あるいは経済産業省もやるというようなことで、そういう各省横並びで、特定の分野について行政目的に直接関係する研究開発をやるという部分と、それから文部科学省の場合はもう一つ、例えば大学もあるし国立研究所もあるという、横断的に研究をやる部分もあるという意味から、ちょっと似たような柱立てになっているという、そうした役所の持っている特性からして、ちょっと似たような名称が上がっているという両方の面があるかと思いますので、またいずれ、その辺を少し詳しく担当者から御説明をさせたいと思います。

後藤田分科員 ありがとうございました。以上でございます。

細田主査 これにて後藤田正純君の質疑は終了いたしました。

 次に、田端正広君。

田端分科員 大臣初め皆さん、大変遅くまで御苦労さまでございます。私は、きょう非常に大事な問題を御提案させていただきたい、こう思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 実は、私は大阪ですから、六年前の阪神・淡路大震災を経験した人間でありますが、先般、淡路島の野島断層、そこが記念公園になっておりますが、そこへ行ってまいりました。この野島断層記念公園は、つまり断層をそのまま百メートルぐらい、何といいますか、ビニールハウスのように天井をかぶせて、ビニールハウスじゃありませんが、ずっと断層ができておるそこに屋根をかぶせて、そのままそこを記念公園にして、そして今、連日すごい見学者といいますか、また大臣も機会があったら行っていただきたいと思います。そして、断層の真上に、延長線上に民家がありますが、民家がそのまま残っておりまして、これは鉄筋コンクリートの立派なお宅でございますが、それが例えば一メートル半ほどずれたとか、それが明確にわかるようにそのまま保存されている。大変貴重な記念公園になっていると私は思っております。

 私は、大阪で震度五、それを体験した人間として、例えば新幹線に乗っていても、はっとそのときのことを思い出すと、ここで地震が起こったらどうなるのだろうという思いが出てきます。そうすると、物すごく不安といいますか、だから、この地震を体験された人は大なり小なり、いろいろな意味で大きな衝撃を受けていると思います。そういう意味で、私は、地震に対する学問、これをもっと発展させるということが、今の科学の力からすればできるのではないかという思いがしております。

 そこで、大臣、ちょっとお伺いしますが、ケン・フォレットという作家の最新作、これは非常におもしろい作家ですが、「針の眼」というのは映画にもなったぐらいすごい、国際的な話題作であります。このケン・フォレットの最新作に「ハンマー・オブ・エデン」という本があります。これが今日本で話題になっておりますが、これを読みますと、本当に地震に対するまた別の思いが出てくるわけです。

 それは、この小説では、アメリカの西海岸の自然保護のコミューンの人たちが、社会を捨てて、グループで山の中で生活している、自活をしている。ところが、そこが電力開発のために水没することになった。それで、このメンバーが知事に対して、許せないということで、言うことを聞かなければ地震を起こすぞ、こういう脅迫を送るわけです。どういうことかといいますと、サイスミックバイブレーターという、石油会社等が石油を探索するために使う大きなトラックがあります。それで大地をたたきつけますと、その振動波で、下の岩盤といいますか、地中にどういうものがあってということが、はね返ってくる形で検査できるといいますか調べられる、そういうものがあるわけですが、これを使えば地震を人工的に起こせるというのがこの小説の設定なのです。

 そして、事実、この西海岸にずっと沿ってオーエンズバレー断層というのがありますが、その断層を刺激しまして地震を起こすのです。一回目は小さいのですが、二回目はちょっと大きい地震。サンフランシスコの市街に被害をもたらす、また犠牲者が出るぐらいの地震を起こすことに成功する、こういうことでございます。

 これは、単に小説だからそんなのはうそだろう、こう思われるかもわかりません。しかし、これは非常に学問的に立証されながら物語を進めていっている。だから、その犯人グループとFBIとの戦いを小説にしているわけですが、時間を争う形であるのですが、犯人の方が実際に地震を起こしてしまう、こういうことになるわけです。

 それで、私が言いたいのは、阪神・淡路大震災のときに、実は私はいろいろなところで声を聞きましたが、明石海峡大橋の工事中にあの地震が起こりました。明石海峡大橋は、こういうすばらしいでき上がりですが、神戸側と淡路島側で岩盤をたたきつけるようなすごい基礎工事をやったと思いますが、これが地震を引き起こしたのではないか、そのぐらいすさまじい工事であったということが、地元の人ですよ、当時言われました。

 だから、さっき申し上げたサイスミックバイブレーターという車ですら地震波を起こせるということならば、そういう大きな工事をやれば、活断層に刺激を与えるということになって地震が起こるということも、まんざら非科学的な論拠ではないなということを前々から私は思っていたのです。

 それで、淡路島の震源地があって、そこが野島断層というところ、今さっき申し上げた記念公園になっているところでありますが、野島断層にだっと行くわけですね。野島断層が今度神戸側に移って、芦屋断層とか五助橋断層とか六甲断層とかというところにばっと行くわけです。そして有馬―高槻構造線というところに行く。だから、あの地震で検証されていることは、震源地があって、野島断層があって、神戸の地下の断層に移って、そして高槻方面にまで波及した。三つの段階が五秒ごとの差であって連続して起こった、こう言われております。

 だから、どこかで起こったことが飛び火して断層に移っていくということは事実なのですから、そういう意味では、当時までは余り問題になっていなかったのが、活断層というのは非常に大事なことだということになってきているわけであります。

 そういう意味で、阪神大震災のときも、実は淡路島側の一番のもとの橋脚が一・四メートルずれました。あのときにも、危険はないかということで問題になったのです。しかし、それは三千九百十メートルが三千九百十一・一メートルになった程度だから大丈夫だ、こういうことだったのです。しかし、大地が動くといいますか、そういうことになるわけでありますから、私は、そういった意味で、地震に関する学問をもっと集約して、そしてできるだけ地震の予知ができるような地震予知学にまで発展させることはできないのだろうかという思いをいたしているわけであります。

 だから、文部科学省として、ぜひこれから活断層の研究等、つまり、やはり大地にもストレスがたまるそうですから、そのストレスのたまったところを刺激すると地震が起こる、こういうことでありますので、今富士山がどうのこうのということも話題になっておりまして、三宅島の噴火で東京に避難されて、あしたで半年になるそうですが、そういったこともこれあり、我が国で地震の研究というのはなくてはならないことだと思いますので、ぜひひとつ大きく前向きに御検討いただけないか、こんな思いをいたしておりますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 私は、田端委員ほど地震に詳しい者ではございませんけれども、今まで聞いている範囲では、阪神・淡路大震災の発生原因、これについては、現在の地球科学の知見からは、プレート運動に伴って発生をしたと言われているようでございまして、これまでのところ、明石海峡大橋の建設が野島断層に影響を与えたという報告はまだ聞いていないところでございます。

 また、御指摘の小説でございます。大変大部なもので、まだ私も読んでおりませんけれども、バイブロサイスという技術が実用化されているということは聞いております。ただ、今ある技術は、非常に弱い弾性波の信号を地下に送って、それが戻ってきてその地下の構造を解析するというものだ、こういうことですから、断層の大きな変化を起こすというほど強い衝撃を与えるものではないのではないのかな、こう認識をしております。

 なお、富士山につきましては、先般も地震の防災会議が総理大臣出席のもとでございまして、静岡の知事からも、ぜひ観測体制を強化してくれと。なぜならば、昨年の十月以降、微弱な、微小な低周波地震がふえてきた。最近また少し減ってきているようでございますが、そんなことから、富士山の観測研究、これは東大の地震研究所とか防災科学技術研究所などが行っているわけでございますけれども、これについては強化をしようということで、先般の官邸での会議で、どういうふうにこれを進めていくかということの検討が今始まったところでございます。

田端分科員 今大臣、いみじくも、プレートによる地殻変動が地震の大きな原因である、こうおっしゃっております。プレートというのが非常に大事だと私は思うのです。

 実は、けさもアメリカで地震があったというニュースが入っておりますが、最近、非常に世界的に大きな地震が多いと思います。ここ数年見ても、トルコの大地震とか、台湾の大地震とか、あるいはこの間のインドの西部の大地震、インドの西部のは今までにない、死者、不明三万という大変なことですから、マグニチュード六・九ですが、しかし被害規模は物すごいものだ、私はこう思います。

 これは実は、ちょっと見にくいかもわかりませんが、これは仮説ですが、聞いてください。

 つまり、インドとパキスタンの核開発の、地下核実験の競争がプレートの異変を起こしたのではないか、そういう思いをしているのです。それで、地図を調べてみましたら、インドの西部で起こっていますが、インド側のポカランというところで核実験をやっています。パキスタンはチャガイというところでやっています。今回地震の起こった場所とはちょうど三角形になります。グジャラート州のブージというところで起こった地震は、ちょうど四百八十キロと八百四十キロの頂点になるといいますか、だから、四百キロとか八百キロというのは、東京―大阪が五百キロですから、大陸ではプレートというのは大きいプレートがありますから、決して無関係ではない、関係している、こう思うわけです。

 そういう意味で、大臣のおっしゃるように、プレートが地震の原因であるということは考えられるわけですが、やはりどこかで刺激を与えてどこかで起こるというのが四百キロや五百キロ離れていても可能であるということが、理論的にといいますか、想像として成り立つわけです。

 一九九四年一月十七日、つまり神戸の一年前に起こったカリフォルニアのノースリッジ地震は、これはマグニチュード六・六ですが、オークリッジ断層の活動によって起こったと言われておりますが、そのちょっと先にネバダの核実験場があるのです。ネバダの地下核実験は、これまで何百回とやっているわけですね。地理的には物すごい近い。だから、私は、そういう意味で、地下核実験というものが、今世界で地震が起こっている大きな一つの引き金になっているんじゃないかということを心配して申し上げているわけです。

 南太平洋でフランスがよくやりますが、これもまた大きな問題を残しています。それから、ロシアが旧ソ連の時代に、プレートのどこかをつついて、例えば五百キロ、一千キロ先のところに地殻変動を起こす地殻変動器を開発しようということで、実際に研究を進めたということが言われているのですね。だから、そういう一つの武器という形ですら考えている嫌いがあるということであります。

 そういう意味で、私は、ぜひそこのところもまた大臣にも御研究いただいて、日本が地震に対する学問、研究を深めるとともに、地下核実験なんというのは、そういった意味で非常に好ましくないんだということを世界に向けて発していただくようなこともやっていただきたいな、こう思うわけですが、感想も含めてお尋ねしたいと思います。

大野副大臣 ただいまの田端先生の、まず「ハンマー・オブ・エデン」の話、大変興味深く聞かせていただきました。

 また、明石大橋のお話、私は香川県でございますけれども、瀬戸大橋が一九七八年から一九八八年までかけてつくられたのですが、その十年間で大きな地震がなかったことを大変幸せに思っております。

 先生の地下核実験と地震の関係、本当に興味深く聞かせていただいたのでありますが、私ども知っている限り、つまり、これまでの地球研究の成果といたしますと、やはりプレート説なんですね。もうこれは先生に言うまでもない話ですけれども、十数個のプレートが表面を覆っていて、近づき合ったり離れ合ったりすれ違ったりして、そして近づいたときに地震を起こすんだ、この説しかどうも聞いておりませんので、先生のお話はぜひとも専門家に伝えていきたい、このように思います。

 いずれにしましても、CTBTがある現在において、核実験とかそういうものは一日も早くやめてもらいたい、この気持ちは同じでございますし、地震のない安全なふるさとをつくっていきたい、地震のない安全な地球をつくっていきたい、これも同じ思いでございます。

 大変興味深く聞かせていただきまして、ありがとうございました。

田端分科員 いやいや、プレートはそうなんですよ。だけれども、活断層というものが神戸の地震までは注目されていなかった。この活断層というのは大変なことですから、日本じゅうそこらじゅうにあるわけですから、これが大きく影響しているわけですから、活断層の研究はしっかりやっていただかないと地震の本当の研究にならないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、全然話は変わりますが、私は、循環型社会という二十一世紀のあり方については非常にそうあるべきだと思っておりまして、いかにしてこの地球の環境を守るか、自然を守るかといったこと、これは日本を挙げて取り組まなきゃならない大きなテーマだと思っております。

 学校ビオトープという言葉を大臣、御存じかどうかわかりませんが、ビオトープというのはギリシャ語です。つまり、さまざまな生き物の姿、お互いに関係を持って動物、植物が生きているわけですが、生きている森とか山とか川とか、そういったものがそのままある場所をビオトープと言っているわけです。

 それで、小学校、中学校の中に学校ビオトープをつくっていくことが大事ではないか。つまり、今の子供たちが、情操教育といいますか、あるいは自然と接する機会といいますか、日本が非常に都会化されて、運動場までコンクリートにしている学校がいっぱいあるわけですから、そういった意味で、どれだけ学校ビオトープをこれからつくっていくかということが、子供たちの教育、また環境を考える、あるいは今言う切れるとか、校内暴力とか、そういったことにもこれは非常にいい問題ではないかと思っております。だから、ぜひ御研究いただきたいと思います。

 例えば、この近くの皇居には、動物は三千六百種いるのだそうです。そして植物は千三百六十六種あるのだそうですが、皇居があるということが東京には物すごくいい影響をもたらして、また、その近辺の公園とか、ビオトープといいますか、そういうところとの行き来をしているわけですから、そういった意味で、学校ビオトープというものをこれからぜひお考えいただきたいと思うわけです。

 実は、日本生態系協会というところが学校ビオトープコンクールというのをやっておりますが、昨年の優秀校に西宮市立甲陽園小学校というのが入っています。これは、阪神・淡路大震災のときに、ここのコンクリートでつくった池が壊れてしまってどうしようもなくなった、それで、それをそのまま整理をして自然の池に戻してやったことが今回表彰されたのです。つまり、ここにかいてあるこういう絵のように、自然のままにやっていくと、去年五年たって、自然が見事によみがえって、いろいろな植物が生え、そして池の中に魚が泳ぐようになった、こういうことであります。

 今はもう、春の小川ではないけれども、メダカがいなくなるような日本列島になってしまったわけですから、そういった意味でぜひ環境教育ということも考えて、このビオトープというものを発展させていただきたい、こう思っております。

 それで、ドイツではこれが非常に成功しておりまして、ドイツの学校での校内暴力が減ったことの一つのいい原因としてこのビオトープということが言われているわけでありまして、そういったことでぜひお考え願いたいと思います。

 文部科学省では、屋外教育環境整備事業の中で、これらの観察の森とか自然体験広場とかということに対して三分の一の補助をつけるということになっているのですが、この学校ビオトープもその対象に入っているのかどうか、そこのところ、ちょっと確認させていただきたいと思います。

河村副大臣 学校ビオトープで校内暴力が減る、大変興味深い、またこれから大いに進めたらと思う御提案がございました。

 既に学校ビオトープを進めておるわけです。今の学校ビオトープが教育環境整備事業に入っているかということでございますが、これは補助対象に入っておるわけでございます。委員が先ほど御指摘のありました観察の森とか自然体験広場、エコスクール促進ということで、ビオトープの整備を今行っております。これは、生き物と触れ合うことによって、子供たちの心のいやしといいますか、そういうものにつながっていくんだろう、こう思っておりまして、これはもっと進める必要があると思います。

 先日、総理から一緒についていってくれと言われまして、横浜市の三ツ沢小学校へ行きました。小此木先生の恩師がおられました。そこは、学校のすぐそばに小川が流れておりまして、それを活用して蛍を生かす運動をしておられました。ちなみに、その小学校は八百人ぐらいおられましたが、不登校児は一人もいない、こう言って胸を張っておられました。今お話を聞きながら、ひょっとしてあの学校もこの成果があるんじゃないか、こんなふうに思ったわけでございますので、大いにこの学校ビオトープを進めていきたい、こういうふうに考えます。

田端分科員 ぜひお願いしたいと思いますが、考え方として、例えば、環境省が自然共生型地域づくり事業というのも行っておりますが、こういったこととも連携をとっていけばもっともっと効果が出るんじゃないか、こういう思いがします。

 それで、例えば、一つの学校とその近所にまた学校がある、このそれぞれの学校にビオトープがあって、学校と学校の間の通路がまたビオトープになっている、こういうふうにしていけばネットワーク化していくわけですね。例えば、その学校にはそういう場所はない、けれども少し離れたところに河川敷がある、だからその河川敷にその学校のビオトープをつくろう、こういうことになれば、それはそれでまた、自然をそのまま使った学校ビオトープができるんだろう、こう思います。

 だから、点と点をつなぎ合わせて面にするといいますか、できるだけそういう広がりを持つように、あるいはほかの省庁とも関連性を持たせてやっていただくと、こういうものはもっともっとできるんじゃないかと思います。

 そういう意味で、それぞれの地域あるいは社会に合ったようなそういうモデル事業を行っていただいてはどうかな、こんな思いをしておりますが、その辺のところはいかがでしょうか。

河村副大臣 今御指摘のように、環境省が自然共生型地域づくり事業を進めております。こうしたものとの連携、それから、建設省も河川局が川を活用したものがございます、農水省の構造改善局あたりもこういうことをやっておりますので、そういうこととの連携をとりながら、今御指摘のございました連携をしっかり持たせて、ぜひモデル的なものをつくりながら大いに奨励をしていったらいかがであろうか、このように考えます。

田端分科員 大臣、二十六日、二十八日と大阪に行っていただきまして、ありがとうございました。二〇〇八年大阪オリンピックということで、私たちも一生懸命やっておりますが、所管の大臣として、IOCの評価委員の皆さんを歓迎していただいて、これは成果が大きく期待できると思います。

 七月の開催地決定に向けて国内で世論をやはり高めていく必要があると思います。どうぞ大臣、先頭を切って、総理にも行っていただいたわけですが、所管の大臣として、ぜひ二〇〇八年大阪オリンピック招致を応援していただきたいし、また先頭に立っていただきたい、こんな思いですので、その辺の御感想をひとつよろしくお願いしたいと思います。

町村国務大臣 月曜日また昨日と大阪に参りまして、フェアブリュッゲン委員長さん初めお目にかかり、私どもの熱意を伝え、また昨日は総理あるいは麻生大臣も行かれ、日曜日に関空にお着きになったときは河野大臣も出迎える。きのう、総理は非常にすばらしいスピーチをして、日本の熱意を伝えることができたと思います。国内の皆さん方にもぜひとも理解をいただきたい。

 ちょっとびっくりしたのは、大阪オリンピックは要らないという運動をなさっている方々が委員会一行に会われたという新聞報道を見まして、ちょっと残念なことだなと思ったりもいたしましたが、ぜひ国内は一致して、みんなで招致を成功させたい。

 また、海外におきまして諸外国のIOCの委員にも公明な形で働きかけをするということで、在外公館初め、これから機会を得て努力をしていきたい、かように思っておりまして、なかなか最近明るい話題が、元気の出る話題が少ないわけですから、元気の出る大阪になるように努力をさせていただきたいと思っております。

田端分科員 では、以上、どうもありがとうございました。

 大臣、元気の出る大阪に頑張りたいと思いますので、大臣の方もよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

細田主査 これにて田端正広君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後八時五分散会




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