衆議院

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第2号 平成21年2月20日(金曜日)

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平成二十一年二月二十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 田野瀬良太郎君

      石原 宏高君    小野寺五典君

      鈴木 恒夫君    大畠 章宏君

      逢坂 誠二君    仙谷 由人君

      山井 和則君

   兼務 岡本 充功君 兼務 三日月大造君

   兼務 吉井 英勝君

    …………………………………

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働副大臣      渡辺 孝男君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長) 布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長) 金森 越哉君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長) 徳永  保君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長) 河村 潤子君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長) 藤木 完治君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長) 山中 伸一君

   政府参考人

   (文化庁次長)      高塩  至君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官) 中尾 昭弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官) 北村  彰君

   文部科学委員会専門員   佐久間和夫君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  井上 喜一君     石原 宏高君

  逢坂 誠二君     大畠 章宏君

  仙谷 由人君     山井 和則君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     井上 喜一君

  大畠 章宏君     逢坂 誠二君

  山井 和則君     吉田  泉君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田  泉君     仙谷 由人君

同日

 第三分科員岡本充功君、第六分科員三日月大造君及び第七分科員吉井英勝君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

田野瀬主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算及び平成二十一年度政府関係機関予算中文部科学省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石原宏高君。

石原(宏)分科員 自由民主党の石原宏高でございます。

 本日は、予算委員会第四分科会にて質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。文科大臣と文部科学省に三十分間質問をさせていただきます。

 まず初めに、私の選挙区内で、日ごろから公立、私立の幼稚園、また小学校、中学校の園長先生や校長先生と話を交わす中で、いろいろなお悩みの点とか相談を受ける点が多々あります。その中から幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 品川区に八潮という地域がございまして、そこに聾学校で明晴学園という学校があります。日本でも唯一、手話にて授業を行う学校です。特区申請を行い、文部科学省の許可をいただき、手話での授業を始めさせていただき、特別支援学校としてスタートした学校であります。

 今まで、聾唖の学校は、手話による授業を文部科学省は認めてきていなくて、口頭での授業を主軸に置かれていたのですが、その理由をお聞かせいただきたいと思います。口頭の授業では生徒の能力により習熟度に格差が生じると明晴学園の校長先生は話されていたんですけれども、そして、手話の方が平均的に理解が進むと明晴学園では考えておられるようでした。あくまで口の動き、形を見て聾唖の生徒が勉強する現在の方針を貫く根拠をお聞かせください。

金森政府参考人 従来、聾学校におきましては、御指摘ございましたように、補聴器と話し言葉の活用による聴覚口話法を基本として指導が行われてまいりました。これは、聴覚障害のある子供が国語を修得し、社会に出て障害のない人とコミュニケーションを円滑に行えるようにするためのものでございます。

 ただ、現在、文部科学省といたしましては、聴覚障害を対象とする特別支援学校では、国語の修得のための指導とともに、児童生徒の障害の状態や発達段階などを考慮いたしまして、音声、文字、手話等の多様なコミュニケーション手段を適切に活用することが必要であると考えておりまして、実際にも多くの学校で手話を活用した教育が行われている現状にございます。

 その趣旨を明確にいたしますため、特別支援学校の学習指導要領におきましては、平成十一年の改訂で、高等部について、手話も含むコミュニケーション手段の適切な活用を図るよう明記をいたしました。さらに、近日告示予定にいたしております新しい学習指導要領におきましては、小学校、中学部につきましても同趣旨の内容を盛り込むことにいたしているところでございます。

石原(宏)分科員 実は、明晴学園に関して、ちょっと地元で小さなトラブルが起こったんです。

 それは、明晴学園が、品川区立の八潮北小学校という、廃校になってしまったんですが、その廃校になった小学校の校舎、校庭を品川区から借り受けて、そこで教育を行っているんです。特別支援学校ということで、これから生徒数はふやしていくということなんです。余り財政的に余裕がないものですから、普通の小学校だと用務員さんがいていろいろな雑務をやられているんですが、その用務員さんがいないために校庭の整備が余り行き届かなくて、夏の時期に校庭が草だらけになってしまいました。週末は、その校庭は地域の高齢者の方々等がゲートボール等で利用するので、地域の町会の方から品川区の方に苦情が出まして、品川区がその後、最低限の校庭の管理をしてくださっているんですが、通常の小学校と比べると、どうしても校庭の管理が落ちてしまう、そんな問題が起こりました。

 そこで、ちょうど私の先輩で、エトワール学園という幼稚園と女子高校を経営されている先輩がいらっしゃるんですけれども、以前から品川区の小学校、廃校になった学校のグラウンドを借りられないかというような相談を受けていたものですから、だったら、この明晴学園のグラウンドというのが、聾唖学校なので昼休みにちょっと出るぐらいでほとんど使っていないということで、エトワール学園が使わせてもらって、エトワール学園も、ちょっと場所は違うところにありますから、何回か、そんなに頻繁に使わないということで、エトワール学園が借りて、お金を出して、管理だけはしっかりして、お互いに使うような形にしたらいいんじゃないかということを考えまして、品川区に相談して、今、エトワール学園と明晴学園と品川区で相談をしていただいているところなんです。

 エトワール学園は、女子高生の方々が障害者のボランティア活動なんかもしているので、友人の理事長も、明晴学園に女子高生が通ってボランティア活動をぜひともやりたいという話をしていて、そういうことも、明晴学園の校長先生も、すばらしいことですねというふうに言われています。

 エトワール学園としては二十年間程度のグラウンドの貸借契約を結びたいと言っているんですけれども、その場合は、明晴学園には、今は校舎と校庭を品川区から借りているんですが、貸借契約がなくなってしまうわけです。その結果、明晴学園が学校設置基準等からの問題が生じるようなことはあるのかないのか。また、学習指導要領上、特別支援学校において体育の授業としてグラウンドを使って授業を行わなければいけないといったようなことが決まっていて、問題は生じる可能性はあるのかないのか。

 そのほかに何か文部科学省として、今私はそういう発案をして、品川区にいろいろ考えてもらっているんですけれども、文部科学省の立場からして、こういう障害があるからそれは待てだとストップをかけるようなことがあるかないか、お聞かせいただけますでしょうか。

金森政府参考人 まず、設置基準の問題についてお答えを申し上げます。

 特別支援学校は、対象とする障害種に応じた多様な施設や設備の整備が必要とされますこと、また、幼稚部や高等部まで幅広い学校種を対象としていることなどから、各学校の状況に応じて柔軟な対応が可能となるよう、設置に当たっての基準は設けられておりません。

 したがって、グラウンドなど、学校に整備する施設設備につきましては、対象とする障害種や在籍する児童生徒の障害の状況などを踏まえつつ、当該学校の教育課程が適切に実施できるか否かという観点から、各都道府県において判断すべきことと考えているところでございます。

山中政府参考人 学習指導要領上の観点でございますけれども、特別支援学校の学習指導要領、この体育の内容といたしましては小中学校の内容に準ずるということになっておりまして、児童生徒の障害の状態、特性に十分配慮するということになっておりますけれども、体育を指導する際の場所について、特にこういうところでやるというふうな指定はございません。

 また、学習指導要領上、グラウンドを必ず所有していることを必要とするとか、そういうことはございません。

石原(宏)分科員 大変いい回答をいただいたような気がしまして、文部科学省にかかわる障害はなさそうだなというような印象を受けました。

 頻繁に明晴学園の聾唖の生徒さんたちがグラウンドを使うわけでもないですし、エトワール学園の方も、ちょっと離れたところにありますので、そんなに頻繁に使うわけではないので、うまく融通をきかせてお互いに使えるような形にすると、明晴学園も町田学園も品川区もウイン・ウインになるので、ぜひともいろいろと知恵を絞って、品川区にも相談しながら進めていきたいと思います。

 次に、やはりエトワール学園の理事長さん、私の一つ上の先輩なものですから、よく話をしているんですけれども、幼稚園も経営しているんですが、幼稚園の運営方針が大変すばらしい。例えば、四歳の年少さんでも、君が代を運動会でしっかりと歌ったりなんかして、大変、運営方針、教育方針がすぐれているので人気が高く、この少子化時代でも定員オーバーになって入園できないお子さんがいるような状況です。

 そのエトワール学園の理事長さんが、今、文部科学省の幼稚園の建物の階数制限があって、それをちょっと緩和してもらえれば、もう少し生徒を、断らなくても受け入れることができるので、何とかならないかというような話を私にされておりました。

 スペースに限りのある都市部では、安全性はもちろん確保しなければいけませんけれども、全国一律というのではなくて、地方とは別の基準を設けて対応することはできないのか、文部科学省に見解を求めます。

金森政府参考人 幼稚園の園舎につきましては、幼稚園設置基準におきまして、園舎については二階建て以下が原則であるが、特別の事情がある場合は三階建て以上とすることもできると規定されております。さらに、園舎を二階建て以上とする場合であっても、保育室、遊戯室及び便所の施設については一階に置くことが原則とされておりますが、一定の場合にはそれらの施設を二階に置くことも可能となってございます。

 ただ、こうした保育室などを置く階層の基準をさらに緩和することにつきましては、幼児の安全の確保の観点に加えまして、幼児一人一人に目が行き届かなくなるといった指導上の問題や、高い階層にいる幼児は園庭におりたがらなくなり、生活上の望ましい広がりが制限されるといった問題がございまして、慎重な対応が必要と考えているところでございます。

 なお、こうした幼稚園の園舎の階層に関する基準は、幼児の安全の確保の観点に加え教育的な観点からも規定されているものでございますので、一部の地域に限って異なる基準を設けて対応することはなかなか難しいのではないかと考えているところでございます。

石原(宏)分科員 確かに、安全性の面もあると思うんですけれども、四階、五階になると校庭におりていくのが面倒くさいと子供が思ってしまうというようなこともあるかもしれません。また、安全性だけではなくて教育上も配慮しなければいけないということがわかりました。ただ、東京は土地が高いものですから、少子化の中でこういう幼稚園というのは少ない方なので、きょうの答弁を、もう一度先輩に話をしてみたいと思います。

 次に、実は先日、二月の十四日に、文部科学省の御努力もいただいて、麻生総理が私の選挙区の品川小学校の公開授業の方に視察に来られました。品川小学校の校長先生が、麻生総理が到着されると、大変和やかに、最後、生徒さんが百五十人ぐらい総理を送られて、麻生さん、麻生さん、頑張って、頑張ってと言って、総理も大変サービスをされて、近くに行ってお子さんに握手をしたりして、非常にいい雰囲気で公開授業の視察が行われたわけです。

 総理が来られる前に品川小学校の校長先生が話をされていて、少子化の中でもことしは結構子供がたくさん集まったということで、ことしの四月から入る新入生が去年に比べてかなりふえたらしいんです。ただ、残念なことに、ちょうど八十名になってしまったと。東京は四十七都道府県で唯一四十人学級制度をやっているんですけれども、八十人だと、それを四十、四十で二クラスになってしまう。やはり一人の先生が一年生を四十人面倒を見るのはたまらぬということを言われておりまして、はてさてというふうに思ったわけですけれども、これは東京都の問題なのかもしれませんが、臨機応変に三クラスにすることはできないのか。

 私自身は、実は数少ない、どちらかというと四十人学級派で、多分国会議員の方は、地方は全部三十人学級になっていますから、三十人学級派の人がほとんどだと思うんです。なぜかというと、自分自身が小学校のころは四十人以上のクラスでしたし、かつて東京都の副知事までなられて、東京都の教育改革を一生懸命やられた横山副知事、元教育長が、大体子供は五人ぐらいのグループになる、一クラスにグループが五グループぐらいあると一番安定するんだと。そうすると、五、五、二十五名ということになります。では、三十人クラスでいいじゃないかということなんですが、ただ、そうするには、三十人学級だと、例えば三十一名だと、十五人と十六人のクラスにしなければいけない。四十人学級だと、三十一名でも十五と十六に分けなくて、三十一で五人のグループが五グループ以上になるということで、そういう説明を聞いている中で、私は、多分国会議員の中でも非常に数少ない四十人学級派だと思います。

 ただ、今みたいな八十名になってしまったケース、もう少し臨機応変に、三十人学級にせよ四十人学級にせよ、前後五人ぐらいののり代みたいなものを設けて、やはり校長先生の裁量で臨機応変に対応することを可能にした方がいいと思うんですけれども、文部科学省の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

    〔主査退席、小野寺主査代理着席〕

金森政府参考人 公立小学校、中学校などにおきます学級編制につきましては、都道府県教育委員会が定める基準に従い、市町村教育委員会が都道府県教育委員会の同意を得て行うこととなっております。私どもといたしましては、学級編制につきましては、従来から地域の実情に応じた弾力的な運用を可能にしているところでございます。

 東京都におきましては、学級編制基準を四十人としておりますので御指摘のようなことがあるわけでございますが、東京都におきましても、例えば小学校一年生から二年生への進級時など、特定の学年の進級時に児童生徒数に増減があって都の基準では学級数が変更となる場合でも、前の学年の学級数を維持するというような対応をしていると聞いておりますが、具体的にどのような学級編制とするかは東京都教育委員会の判断にゆだねられているところでございます。

 なお、学級編制に係る権限の移譲につきましては、平成十七年の中央教育審議会の答申におきまして、「学校や市区町村教育委員会の判断で学級編制が弾力的に実施できるようにすることなど現行の学級編制の仕組みを見直す必要がある。」とされておりますし、また、昨年六月の地方分権改革推進要綱におきましては、現在、都道府県の協議、同意が必要とされている学級編制についても決定方法を見直す方向で検討し、関係者の理解を得て、計画の策定までに結論を得ることとされております。

 文部科学省といたしましては、これらを踏まえ、教育委員会の関係者などにより構成されます県費負担教職員の人事権等の在り方に関する協議会におきまして、人事権や給与負担等の移譲とあわせて議論しているところでございます。今後、引き続き検討を進めてまいりたいと存じます。

石原(宏)分科員 やはり都道府県の問題かもしれませんけれども、臨機応変に、一番教えやすい、もしくは学びやすいクラス編制ができるような形になるといいのではないかというふうに思います。

 次に、いじめの問題についてお伺いしたいと思います。

 私の地元の父兄さんが中心になりまして、いじめ撲滅のNPOを立ち上げました。教育基本法や教育関連三法が国会で議論された時期は頻繁にいじめの事件がマスコミに取り上げられましたが、よく見受けられる光景として、各地域の教育委員会が、いじめはなかったと説明するケースが多かった印象です。しかし、私は、各地の教育委員会が、いじめはなかったと言うこと自体をもうやめた方がいいんじゃないかというふうに考えております。いじめがあった事実とその度合いを明確にすることが、いじめを撲滅することになるのではないでしょうか。たわいのない中傷も肉体的ないじめと同様にいじめととらえ対処した方が私はいいと思うんです。

 まず、文部科学省が、いじめをどのように定義しているのかをお聞かせいただきたいと思います。そして、文部科学省のいじめ対策の取り組みについて簡単に御説明ください。

金森政府参考人 まず、いじめの定義についてでございますけれども、文部科学省が実施しております、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査におきまして、平成十七年度までのいじめの定義は「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの。」としておりました。しかし、平成十八年度からは、このうち、一方的、継続的、深刻なといった限定的な文言を外しまして「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的・物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。」と定義をいたしております。

 これは、平成十八年に、いじめにより児童生徒がみずからその命を絶つという痛ましい事件が発生いたしまして大きな社会問題となったことをきっかけに、いじめの実態把握のあり方についてもさまざまな指摘がなされ、これを踏まえ、いじめの定義を、いじめられた児童生徒の立場に立って、より適切にいじめの実態を把握することができるよう見直したものでございます。

 次に、いじめ対策の取り組みについてでございますが、まず、いじめはどの学校でもどの子供にも起こり得るという認識のもとで、いじめの未然防止、早期発見、早期対応につながる取り組みを行う必要がございます。

 このため文部科学省では、学校だけでは解決困難ないじめ等の問題行動に対応いたしますため、外部の専門家などから成るチームの設置、派遣のあり方について調査研究を行ういじめ対策緊急支援総合事業の実施や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置や、二十四時間電話相談事業などによる教育相談体制の一層の充実などの取り組みを行っているところでございます。

 今後とも、こうした取り組みを通じて、いじめ問題の解決に向けた取り組みを推進してまいりたいと存じます。

石原(宏)分科員 前の定義が、一方的、継続的、深刻なというのがあったので、ずるいのかもしれませんけれども、継続的じゃなかったということで、ないというふうに、ああいういじめの事件が起こった教育委員会が言っていたのかもしれませんね。ですから、適切な見直しをされたんだと思います。

 私は、これを言うと怒られちゃうんですけれども、小さないじめ、たわいもない中傷とかというのは、幼い子供たちの中でなくなるというのはなかなか難しいのではないかと思うんですけれども、やはり深刻ないじめというものは絶対に撲滅していかなければいけないと思いますので、これからも文部科学省の取り組みをよろしくお願いいたします。

 続きまして、学習指導要領が見直されまして、ことしから一部、柔道、剣道等の武道が中学校で実施をされております。平成二十四年からは全国で必修化ということになっているんですけれども、設備、用具、指導者の対応が十分なのか。また、指導者の不足の中で、地域の柔道家、剣道家等との連携が今後どのように行われていくのか。現状の準備、もしくは、ことしからもう始まっていますけれども、今の現状をお聞かせいただけますでしょうか。

山中政府参考人 先生御指摘のとおり、平成二十四年から中学校で武道が必修化ということで進められていくことになっております。そのために、武道場の整備、武道の指導者の確保の問題、用具の整備の問題、この三つが大きな課題であると考えておりまして、計画的に整備を進めていこうというふうに考えております。

 武道場につきましては、その補助ということで、二分の一を補助しようというふうなことにする予算案になっておりますし、また、地域の指導者の方、武道家の方、武道場、そういうものを活用した形でモデル校を指定しまして、そういう体制の整備に努めようという形のモデル事業も計上しているところでございます。

 また、用具につきましては、これは地方交付税の中で、一校当たり、中学校は六十万円程度でございますけれども、措置して、これはそれぞれの市町村でしっかりと整備に使っていただかなければならぬと思っておりますけれども、そんな形でやっております。

 いずれにしましても、先生御指摘のとおり、指導者の方の確保というところが一番大きい課題でございますので、それぞれの地域の武道家の方、専門家の方、こういう方と連携した形で、子供がしっかりと武道を学べるような、そういう環境をつくっていきたいというふうに思っております。

石原(宏)分科員 私の地元も、柔道接骨師会の方々が、私も応援していただいているんですけれども、この必修化に対して全面的にバックアップしていくと。将来的には恐らく体育の先生が教えられるようにしていかなければいけないということで、一時的には武道家の人たちが手伝っても、将来的にはその方から体育の先生が習ってちゃんと教えられるようにしていくということだと思うんですが、せっかく日本の武道を教えることにいたしましたので、うまく二十四年からできるように、よろしくお願いいたします。

 教育関連三法の中で、学校の統治体制というか、校長先生をトップに、学校のマネジメントというものが見直されたんじゃないかと思いますけれども、東京都が先駆けて主幹制度というのを導入しておりましたが、これが教育三法の中でも、国でも補助をするということで決められました。今の主幹の制度の普及状況、そのための国の予算が幾ら引き上げられたか等をお聞かせいただきたいと思います。

 また、学校のマネジメントという中で、かつて職員会議のあり方が、職員同士の意見交換の場といったような、ちょっと甘っちょろい考え方であったわけですけれども、今そこはしっかりと校長の意思を伝達する会議となっているのかどうか、文部科学省の現状の認識をお聞かせいただけますでしょうか。

金森政府参考人 まず主幹教諭についてでございますが、主幹教諭につきましては、学校教育法の改正に基づき、教育委員会の判断により、平成二十年度から設置をされております。

 平成二十年度におきまして主幹教諭を設置しておりますのは、六十四都道府県・指定都市のうち二十都道府県市で、総計一万二千九百八人となっており、現在さらに多くの県、市が平成二十一年度からの主幹教諭の設置を検討しているところでございます。

 設置した県、市からは、主幹教諭が生徒指導などの校務を組織的に取りまとめることによって、教育現場が抱える課題に機動的かつ的確にこたえることができる体制になったとか、主幹教諭が置かれることによって、教員の負担が軽減するとともに、気軽に助言を求めることができるようになったなどの報告を受けているところでございます。

 平成二十一年度の義務教育費国庫負担金予算案におきましては、主幹教諭の本給を教諭より上位の級に位置づけるなど、主幹教諭等の処遇に要する経費として十億円を計上いたしますとともに、主幹教諭の機能が十分発揮されるよう、その担当授業時数を軽減するため、千四百四十八人の教員定数を計上してございます。

 引き続き、各教育委員会における主幹教諭を活用した学校運営の改善のための取り組みを支援してまいりたいと考えております。

 また、職員会議でございますが、職員会議につきましては、平成十二年に学校教育法施行規則を改正いたしまして、学校には設置者の定めるところにより校長の職務の円滑な執行に資するため職員会議を置くことができる、職員会議は校長が主宰するとの規定を設けたところでございまして、職員会議が、校務をつかさどる校長の職務の円滑な執行を補助するものとして位置づけられております。学校運営に関する意思決定を行う場ではないことが、法令上明確にされております。

 文部科学省といたしましては、現在ではこのような職員会議の趣旨は各学校に定着しているものと考えておりますが、仮に不適切な職員会議の運営が行われるなどの状況がある場合には、校長や職員会議が本来の役割を果たすことができるよう、適切に指導してまいりたいと考えております。

石原(宏)分科員 もう時間が来ましたので、最後に一問だけ。

 教育基本法の改正で、道徳心や、道徳心の一環かもしれませんが、郷土を愛する気持ちを教えるということが明記をされたわけですけれども、学習指導要領の中にもしっかりと書かれているわけですが、道徳心とか郷土を愛する気持ちというのを教える、その成果を今後どのように文部科学省は確認しようとしているのか。お題目として挙げるのはいいんですけれども、しっかり教えているのかどうか。せっかく書いたんですから、それをどうやって確認するのか。文部科学省の考え方を教えていただけますでしょうか。

小野寺主査代理 金森初等中等教育局長、時間が参っておりますので、手短にお願いします。

金森政府参考人 昨年改訂いたしました小中学校の学習指導要領におきましては、改正教育基本法などを踏まえ、学校における道徳教育の目標として、伝統と文化を尊重することや、我が国と郷土を愛することなどを新たに盛り込むなど、道徳教育の充実を図っておりまして、さまざまな会議を通じて改訂の趣旨の周知徹底を図っているところでございます。

 こうした道徳教育の指導の状況につきましては、従来から道徳教育推進状況調査を行っておりまして、御指摘の点につきましても、この調査を通じて適切な把握に努めますとともに、教育委員会の指導主事などを対象とした会議において各都道府県の状況をお聞きする機会を持ってまいりたいと考えているところでございます。

石原(宏)分科員 時間が参りました。

 ありがとうございました。

小野寺主査代理 これにて石原宏高君の質疑は終了しました。

 次に、吉井英勝君。

吉井分科員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは、私、奈良県桜井市の纏向遺跡群の中にあります箸墓古墳を取り上げてお聞きしたいと思います。

 箸墓古墳を含めて、宮内庁が管理する陵墓も文化財であるという国会答弁がこれまでありましたが、これに変わりがないかということと、箸墓古墳を初め宮内庁が陵墓としている古墳は文化財であるという考えは間違いないのか、宮内庁が陵墓の調査や工事をする場合には文化財保護法に基づいてどのような措置がとられているのか、このことをまず最初に政府参考人に伺います。

高塩政府参考人 陵墓の中でも、我が国にとりまして歴史上、学術上価値が高いと評価し得るものにつきましては、文化財保護法第二条第一項に規定されております文化財に該当すると考えておるわけでございます。

 宮内庁におきましては、こうした陵墓に関する工事等を行う場合には、一般の埋蔵文化財に係る手続を踏んで適正に対応されているものというふうに考えているところでございます。

吉井分科員 箸墓古墳は、宮内庁によれば、陵墓、ヤマトトトヒモモソヒメノミコトの墓とされておりますが、卑弥呼の墓という説も有力なものとして出てきていたりとか、学術的には箸墓古墳の被葬者はだれなのか、このことについて明確になっているのかどうかを伺います。

高塩政府参考人 箸墓古墳の被葬者につきまして学術的には定説がないものというふうに承知をいたしております。

吉井分科員 箸墓古墳の築造時期はいつごろと考えているのか、また歴史学上、考古学上どのような意味と価値を持っているのかについて説明いただきたいと思います。

高塩政府参考人 箸墓古墳につきましては、学術的に、この周辺部分で行われました発掘調査等によりまして、年代といたしましては、三世紀の中ごろから後半ごろというふうに考えられているわけでございます。

 その時期といいますのは、古墳が出現しました時期における最初の時期でございまして、この箸墓古墳は墳丘の長さおよそ二百八十メートルに及ぶ大変大きな古墳でございまして、この時期における最大の前方後円墳であり、重要なものであると考えられているところでございます。

吉井分科員 この纏向という地域は、当時としては、普通だったら、大規模な集落だったら、それを生きていく人たちの農業の分野から支えるものが必要ですが、田んぼとか畑とか、そういう遺跡が見つかっていなくて、主に技術者集団とかいろいろな方たち、あるいは当時の各地の勢力を張っていた人たちの屋敷とか、そういうものを中心として、いわば日本の歴史上は、最初の都市という表現は変にしても、そういう位置にあり、発掘された土器からしても、東は遠く尾張、東海の方から、それから岡山や九州からのもの、大体、東海の方が半分近く出てきたりとか。ですから、その点では、交通の要衝にあり、物流の拠点でもあり、そして当時の、古代国家が成立されていく時代の非常に重要な地域であったのが纏向というところだと思うんです。

 そういう点では、この箸墓古墳については、我が国の歴史の正しい理解のために欠くことができない、歴史上、学術上価値のあるものに該当するというふうに思うんですが、この点についてのお考えを伺っておきます。

高塩政府参考人 この古墳につきましては、今先生からお話が出ましたように、歴史上、学術上価値のあるものだというふうに考えております。

吉井分科員 箸墓古墳というのは古代国家の成立という大問題を解明するために極めて重要な文化財でありますし、箸墓古墳の墳丘の周辺では、奈良県の橿原考古学研究所や桜井市教育委員会の発掘調査などによって近年重要な事実が確認されております。それは、箸墓の墳丘の周りには、築造時には巨大な堀、すなわち周濠が確認されたというものですが、この新たに確認された知見について御説明をいただきたいと思います。

高塩政府参考人 箸墓古墳の周辺におきましては、昭和五十二年以来、奈良県の教育委員会や桜井市教育委員会などが開発行為に伴います事前の発掘調査及び遺跡の範囲を確認するための発掘調査を実施してきたところでございます。

 これまでの発掘調査によりまして、古墳の墳丘の周囲に周濠、堀でございますけれども、周濠が存在する可能性が示されておるというふうに承知をいたしておるところでございます。

 また、昨年、平成二十年に桜井市教育委員会が行いました発掘調査では、その周濠の幅が六十メートルから七十メートルに及ぶ大変大きなものである可能性があるということが示されたものというふうに承知いたしております。

吉井分科員 私も箸墓古墳の墳丘の周りを歩きながら、桜井市教育委員会の埋蔵文化財の専門家の方から御説明いただいたりしましたが、墳丘のすぐ外側に一巡する内堀があり、さらにその外側に周堤を挟んで外堀と考えられる大きな掘り込みが検出されています。その時期は箸墓古墳が築造された時期と同じ、つまり箸墓古墳には築造時から墳丘の周りには周濠があったのではないかということです。

 桜井市教育委員会から現時点で推定される周濠の範囲図を提供してもらいましたけれども、箸墓古墳の周りには馬蹄形あるいは盾形の周濠があったのではないかという、これは大きな発見だというふうに思うんですが、確認された周濠はまだ一部であって、正確な範囲はまだ不明確ですし、やはりそういう点では、より正確な実態を解明することが必要だというふうに思うんですが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。

高塩政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたように、箸墓古墳の周辺におきましては、これまで県や市の教育委員会が開発行為に伴います事前の発掘調査や遺跡の範囲を確認するための調査を実施してきたところでございまして、今後ともこれらの教育委員会が実施する調査におきましてさらに詳細な内容が判断されることを私どもは期待いたしているところでございます。

吉井分科員 箸墓古墳の周濠というのは、古墳の墳丘を築き上げるときに大量の土を集めるために、周辺の広大な土地を掘ってできたのではないかと考えられてもおりますが、後円部にはその痕跡とも考えられる地形が、現地に行くと今でも見ることができます。

 それで、これも調査しなければ正確なことはもちろん断定できないわけです。未解明なことを明らかにすることは重要な課題だと思うんですが、文化財保護の上でも、また学術的にも、箸墓古墳の周濠の範囲や規模を把握する、このことが今求められていると思うんです。

 未解明なまま、範囲がわからないままの状態では埋蔵文化財の適切な保護措置というのはできないということにもなりますし、範囲の確認、こういうことをまず行っていく上でも、より正確な実態解明のための調査が必要だと思うんですが、これにどのように取り組んでいかれるのか。国の考えというものを伺っておきます。

塩谷国務大臣 箸墓古墳の周囲に設けられた周濠については、古墳と一体をなす部分であり、箸墓古墳の周濠部分についての今後の調査を通じて、その内容、範囲が明らかになることを期待しているところでございます。

 この古墳につきましては、これまでも、奈良県教育委員会及び桜井市教育委員会が、開発行為に伴う事前の発掘調査及び遺跡の範囲を確認するための発掘調査を実施してきたところでありますが、今後とも、地元の地方公共団体が行う調査に対して、国としても財政的な支援を行ってまいりたいと考えております。

 また、今後の調査結果に基づく保存、活用についても、地元の地方公共団体と連携しながら、その状況に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。

吉井分科員 私は京都や大阪でずっと暮らしてきましたからよくわかるんですけれども、大体こういう文化財のところは、開発がどんどん進んでしまって、後から、これは大事な遺跡であったとか、あるいは三千年前の遺跡とか二千年前の遺跡とか、破壊されてしまってから幾ら慌ててみても間に合わないわけですね。しかし、特に不動産バブルの時代なんかはひどかったですけれども、それ行けどんどんで開発はどんどん進んでしまう、こういうことになりますと、本当に日本の国民的な大きな財産であるものが失われていくわけですから、そういう点では、土地の売買、住宅建設を含めた開発計画が進んで、後から慌てることのないように、今大臣が言っておられたように、保存、保護というものにぜひ力を入れていただきたいと思います。

 箸墓古墳というのは、地表に見えている巨大な墳丘の部分、それから地表の下に埋まっている大きな周濠などが一体となった古代国家成立のころの構築物で、これは初期大和政権の中枢にかかわる人物の墓であることは恐らく間違いのないことだと思います。墳丘の外側に巨大な周濠があったというそのこと自体が重要な発見なんですが、埋蔵文化財やら、それから地表に出ている墳丘部を含めて、これを国の史跡指定にすることがふさわしくないとか、余りそれは重要でない、大したことでないというふうに考える考古学的な根拠はあるのかどうか。

 私は、これは考古学的には非常に重要なものだと思うんですが、この点について伺っておきたいと思います。

高塩政府参考人 この箸墓古墳につきましては、その周辺と一体となった非常に重要な遺跡であるということは、先生おっしゃるとおりでございます。

 ただ、先生御承知のように、この箸墓古墳につきましては、今、宮内庁の陵墓として管理をされておりまして、文化財保護の観点からは、宮内庁において適切な管理が行われているというふうに考えておるところでございます。

 また、周濠を含む周辺部分につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、今後、県、地方公共団体の調査によりまして、その内容が明らかになった段階でまた検討がなされるべき問題ではないかというふうに考えておるところでございます。

吉井分科員 最後にもう一度、大臣、確認的に伺っておきたいんですけれども、最新の考古学の知見の意味するところというのは、箸墓古墳というのは周濠を持った遺跡という事実があります。箸墓古墳の周濠というのは、史跡の指定要件である、我が国の歴史の正しい理解のために欠くことができず、学術上価値の高いものというのに該当するのではないかと思うんです。

 周濠など地下に埋まっている墳丘以外の周辺遺構の範囲確認調査を、これはやはり地元任せにしないで、国も積極的に支援して大急ぎで進めて、宮内庁による大市墓という名前を使うんじゃなくて、考古学上の箸墓古墳もしくは箸中山古墳という名前で史跡指定を行って保護策をとるということが大事だと思うんです。

 大臣として、やはりそういう史跡指定を行って、開発が進む前にきちんとこれを考えていくべきではないかと思うんですが、これを伺っておきます。

塩谷国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたが、この箸墓古墳の周濠については、現在のところ、その内容が十分に把握されておりません。そのために、今後、地元の地方公共団体による調査が必要だと思っておりまして、この状況が明らかになることを期待しているところでございます。

 地方公共団体が実施する発掘調査に対しては、国としても二分の一の補助を行う制度を有しており、文部科学省として、今後、調査についてこのような支援も検討してまいりたいと思っております。

 なお、箸墓古墳の周濠の史跡指定については、こうした調査を通じて、その価値が十分に明らかになった時点で検討されるべきものと考えております。

吉井分科員 今の法体系のもとでは地方自治体がということになるんですけれども、地方財政危機が言われているもとで一番切り捨てられるのが、やはり文化財行政がその一つなんですね。そういうときですから、しかも、これは歴史上も考古学上も学術的にも非常に重要な遺跡ですから、私は、一般論の話じゃなくて、やはりここは、国のリーダーシップといいますか指導、国の姿勢が物すごく問われているところだと思うんです。そういう点では、遺跡の重要性を深く考えて対処するべきだと思っております。

 もう一言、重要性を踏まえて頑張るということだけ言うておいてほしいと思うんですが。

塩谷国務大臣 先ほど来、その重要性については国としても認識しておりますので、地方公共団体と協力して、その実態を明らかにする中で、また今後指定等考えてまいりたいと思いますので、委員のおっしゃるとおり、価値あるもの、今後それを明らかにしたいと思っております。

吉井分科員 次に、埋蔵文化財の民間開放の問題について伺います。

 実は、非常に懸念される問題が近ごろ生まれてきております。発掘調査を中心とした埋蔵文化財行政、これは以前から、自治体が行うのを、自治体といろいろかかわりのあるといいますか、定数削減のためにといいますか、財団法人をつくって、正規でやってきた行政職員、専門職員を無理やりそこへ移してしまうというやり方があったんですが、それにしても、まだ財団がやっていたんですね。それを、今、発掘調査を中心とした、そういう埋蔵文化財行政を丸ごと民間に開放してしまう、丸投げですね、こういう動きが全国的に進んでいるというふうに伺っております。

 既に以前から、業務量の多さを補完する目的ではあったんですよ。測量、写真撮影、実測など、発掘調査の一部を民間に委託して行うということはあったんですが、特に、官から民へという規制緩和が叫ばれるようになってから、近年、発掘調査を最初から最後まで営利を目的で行う会社組織、発掘調査株式会社が設立されて、発掘調査の全般を行政にかわって民間が取り仕切るというところまで来ている場合があります。

 特に、民間ディベロッパーの開発に際して、必要な発掘調査をあいまいにして早く終わらせる、つまり、ディベロッパーの建設工程に合わせて、この工程上のここから基礎ぐいを打ち込まなきゃいけないから、深く掘ってしまって完全に遺跡を破壊するわけですね。だから、それまでに発掘調査を終えなきゃいけないということで、本来、発掘調査に応じて、非常に重要なものが見つかった場合に時間がかかるんですけれども、とにかくそこそこにしてしまって、そして終わりにすると。発掘調査が利潤追求の場になれば、国民共有の財産である埋蔵文化財の保護を目的とした文化財保護行政そのものが脅かされる。

 ディベロッパーの方からすれば、開発のためのいわばアリバイづくり的に発掘というものが行われる。そこに民間の発掘調査がかかわってくるということで、現状が生まれておりますが、発掘調査というのは、行政組織、これは地方公共団体、あるいは地方公共団体の代行として設立された財団法人、やはりこういうところが主体となって実施することが望ましいと思うんですが、これは政府参考人の方で結構ですが、最初にそのことについての確認をしておきます。

高塩政府参考人 埋蔵文化財の保護を目的として実施されますさまざまな発掘調査があるわけでございますけれども、その遺跡の有無、さらには範囲、性格などを把握するために実施します分布調査、それから試掘確認調査につきましては、埋蔵文化財をどのようにするか、保存していくかという行政判断が必要であるものでございますので、地方公共団体が行うことが必要であるというふうに考えております。

 そのほか、私どもといたしましても、可能な限り、地方公共団体が主体となって埋蔵文化財の調査を行うということが望ましいと考えておりますけれども、今申し上げた行政判断を行った後に、その結果、開発事業に先立ちまして実施される、埋蔵文化財の内容を記録保存といいますが、記録をするための発掘調査につきましては、地方公共団体の管理監督のもとでございますけれども、民間の調査組織が主体となって実施することも可能であるというふうに考えているところでございます。

吉井分科員 私も、以前から行政なりあるいは財団法人のその業務の補いを民間がやっている例も知っているわけですよ。しかし、それが行き過ぎて、最初から丸投げしてしまう、安易に発掘調査を民間発掘調査株式会社にゆだねると、これは株式会社ですから、経営的視点から、今の時代ですと、株価を上げなきゃいけないとか、株主配当をふやさなきゃいけないとか、そういう発想になってしまって、発掘調査を早く終わらせる、そのことが調査の質を落としてしまう、質が確保できない、こういう懸念が出てきております。

 これは、あなたの方で進められた実態調査報告、「今後の埋蔵文化財保護体制のあり方について」という中でも、発掘会社に調査を任せた場合の行政の管理監督の実態について、現場での確認は週に数日程度が最も多く、毎日、終日あるいは特定時間に現場で確認を行っているところは合わせて三分の一程度。現場に全く行かず日報等で確認する場合や、特に監理を行わない事例もあった、市町村では現場における作業内容の確認が十分行われているとは言えないと。発掘作業において不備があった場合、対応する規定があるのかという項目では、特に対応しないという自治体が百八十件以上ある。発掘調査終了時に、調査内容が適正かどうかを評価する規定があるかという項目では、都道府県では、ないというところが一〇〇%ですね。

 現実にこういう問題がありますから、調査の質が保たれていない、このことは既にあなたの方の実態調査で出てきているわけですね。

 だから、調査の質が保たれていない、この状態を問題なしとして放置しておくのか、営利会社による発掘調査というのはそもそもなじまない、調査の質を確保するために、最初から調査株式会社がやるようなやり方では、これは文化財保護という点では、調査の質を確保する上ではふさわしくないというふうに考えておられるのか、これを伺います。

高塩政府参考人 各地方公共団体が民間の発掘調査会社に記録保存の調査についてゆだねているという面につきましては、先生も御理解いただいていますように、増加する発掘調査事業量に対応するということ、それから、行革の話が出ましたけれども、いわゆる専門職員の数といいますかそういったもの、それから、業務量の軽減という形でこういった制度を導入しているところがあるわけでございます。

 先ほども御答弁申し上げましたけれども、やはり民間調査研究組織が実施する場合でも、地方公共団体による適正な管理というものは必要でございますし、それ以前の問題として、調査組織の質の確保、それから当然、個々の調査につきましての質やその内容を公共団体としてしっかりと把握した上で、そうした民間への記録保存調査をゆだねていくということが必要だというふうに考えておりまして、昨年三月に、先生から御紹介のございました報告書をまとめたわけでございますけれども、私どもとしては、そういった報告に沿って、地方公共団体を十分に指導してまいりたいというふうに考えております。

吉井分科員 こういう場合、既に調査されたのもわかるんですけれども、文化庁の調査結果を読んでいて、やはり、発掘担当者についてもさまざまな雇用形態があるとか、この分野というのはやはり専門性とかいろいろな蓄積が大事なんですが、組織と発掘担当者の関係がかなり希薄になってきている、ここも留意する必要があるということも指摘されておりました。

 そこで、文化庁に、大臣にお聞きする前に一言お聞きしておきたいのは、やはり改めて全国での埋蔵文化財の発掘調査の実態調査を行って、会社名、数、契約件数、民と民の間の契約の実態、調査の質、雇用の形態、それが非正規雇用か正規雇用か、あるいは派遣労働かなどをつかむということがまず必要だと思うんですが、そういうことを把握されますね。これだけ、一言聞いておきます。

高塩政府参考人 民間調査の状況につきましては、これまでも一定の調査を行っているところでございますけれども、今後さらに状況を把握することについて検討してまいりたいというふうに考えております。

吉井分科員 多分、時間からするとこれが最後になるかと思うんですが、大臣に伺っておきたいんです。

 自治体によっては、今、埋蔵文化財についての知識や理解の水準とか、こういう言い方をすると失礼かもしれませんが、トップの教養の有無と言うたら語弊がありますが、それによりますが、市場化テストにより文化財業務そのものを民間に移管してしまう、丸投げすると、これまでの専門職員による財団法人組織を含む行政が行ってきた部門が解体され、文化財に対する行政の責任が完全に崩壊してしまう。これまで数十年にわたって培われてきた情報、資料の保管の責任もあいまいになる。埋蔵文化財の保護を進める上で発掘調査は必要不可欠の措置であり、極めて重大な意味を持っているんですが、埋蔵文化財行政への安易な市場化テストの導入というのは、この重大な意味を持つ行政の責任を放棄してしまう、そういう問題が出てきている地域も見られます。

 そこで、大臣、国の考えというのをお聞きしておきたいんですが、私、もともと京都生まれで、今大阪におりますけれども、これは、埋蔵文化財の宝庫として、大阪府など近畿圏だけの問題じゃないと思うんです。一たん市場化テストの風穴があけられると、全国に及ぶ大問題になってくると思うんですね。

 特に、経済危機だということで、大事ではあると一般的にはわかっているんだけれども、一番切り捨ての対象になるというところですね。軽く扱われる。国として、地方自治体における文化財行政の責任放棄につながるような動きはやめて、きちんと文化財保護行政は進めてもらいたい。国としても、必要なバックアップはするということが大事だと思うんですが、ここを、大臣にお考えを伺っておきます。

塩谷国務大臣 大阪府における埋蔵文化財行政の市場化テストの内容については、今のところ詳細は余り承知しておりませんが、埋蔵文化財の発掘調査につきましては、遺跡の有無、範囲、性格などを把握するための調査に関して、その保存に係る行政判断を伴うため、地方公共団体において実施する必要があります。

 一方、こうした調査の結果、記録とか保存を行うものとされた発掘調査については、民間導入を行うことも可能であると考えておりますが、この場合においても、地方公共団体の監督管理下のもとで実施される必要があると思います。大阪府において検討される市場化テストの内容がこうした考えに合致するものかどうか、大阪府から話を伺っていきたいと思っております。

 いずれにしましても、委員がおっしゃったように、行政がしっかりとこれを管理監督していくことがまずは大事だと思っております。

吉井分科員 あと三十秒ほどになりましたので言いっ放しで終わりますけれども、歴史というのは、私は古代国家成立の部分を言いましたけれども、十万年前あるいは五万年前とか二万五千年前とか、アフリカ北部を旅立って、ずっと日本列島へ来る間に、いろいろな時代、いろいろな地域での文化や知識や技術を身につけた私たちの祖先がやってきたわけですね。あるいは、大陸で動乱があったときに難民としてとか亡命して日本へ来た渡来人とか、そういう人たちが我々の祖先となって今の日本があるわけですけれども、やはり、そういうことを全体としてつかんでいく上で、これは営利でできるような話じゃありませんから、そこは地方自治体などが行革の論理で、あるいは、三位一体で切られた財政の問題があるからということで、財政の論理で簡単にそれを後退させることのないように、大臣として取り組んでいただきたい。この要望を申し述べまして、終わります。

 ありがとうございました。

小野寺主査代理 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。

 次に、大畠章宏君。

大畠分科員 民主党の大畠章宏でございます。

 文部科学省に関する質問をさせていただきます。きのうのうちに幾つか質問の状況については通知してございますが、それに先立ちまして、これは、事前通告云々ではなく、大臣にちょっとお伺いしたいことがございます。

 それは、中川財務大臣があのような失態を行ってしまいました。私も映像を拝見いたしましたけれども、やめれば済むというような話じゃなくて、まさに、侍の国日本が単なる酔っぱらいの国日本になってしまったという大変衝撃的な、国際的な影響を与えたわけであります。同時に、日本人一億二千万の国民に対する影響も大変大きなものがあります。同じ麻生内閣の一員として、この状況に対して、塩谷大臣はどのような決意でこの状況を打開するために行おうとされているのか、その志をお伺いしたいと思います。

塩谷国務大臣 今回の中川前大臣の放映された状況につきましては、まことに残念であり、内閣の一員として、あのようなことが二度とあってはならないというふうに思うわけでございますが、いずれにしても、私ども、今回、国際的な金融危機あるいは経済危機、そして雇用悪化の中で、国民の期待にこたえるべく、今後さらなる努力をしてまいりたいと思っております。

大畠分科員 きょうは教育問題について私は質問をしようと思っておりますが、日本人の一番の民族の誇りは、やはり自分を律する心。誘惑とかいろいろなものがありますよ。しかし、それに打ちかって、まじめに働き、正直に生きる、これが日本人のすばらしいものの一つだと私は思うんですね。それが見事に打ち砕かれてしまったんです。これは、子供たちに対する影響も甚大ですし、また、国際的な日本人あるいは日本の企業も同じように見られがちでありますから、ここのところは大臣がやめたからといって何ら解決しない、そのぐらい大きな影響を与えてしまったと私は考えます。

 そこで、この分科会で質問をさせていただきますが、子供たちに対して日本の国がどのような教育方針というものを考えて、あるいは、各学校の先生方にその方針のもとに子供たちの教育を行ってもらうということでありますが、過日、私はある小学校の運動会に行きまして、小学校の校長先生といろいろ話したことがあるんです。先生、学校教育、現場を抱えているとなかなか大変だと思いますが、今一番何にお困りですかという話をしたところ、余りにも文部省の方針が毎年と言っていいほど変わる、せっかく先生方に、こういうことをやろうということで、変更をしたその方針にのっとって学校の教育を行って、やっとなれたなと思ったら、次の年にまた方針が変わる、余り制度を変えないでくださいというのが学校の校長先生のお話でございました。

 なぜ、こんなに毎年毎年、文部省の教育方針というものが変わるのか。このことについて文部省の方から基本的な考え方を伺いたいと思います。

塩谷国務大臣 毎年変わるということは具体的にどの点か、あったらお聞かせいただきたいんですが、いずれにしましても、六十年ぶりに改正された教育基本法の理念を実現するために、その後、教育三法の改正、あるいは教育振興基本計画の策定、さらには学習指導要領の改訂等を通じて、公教育の質を高め、信頼を確立することが不可欠でありまして、既存の教育制度の仕組みの見直しに取り組んでいるところでございます。

 これら教育制度の仕組みの見直しに当たっては、学校現場に過度な負担がかからないように必要な条件整備を行う、また、本格導入前に移行措置や試行期間を設定するなど十分な事前準備をすること、また、新しい制度や仕組みに対する理解を図るため普及啓発活動を行うことなど、学校現場がその力を十分に発揮できるように配慮しているところでございます。

 今後とも、文部科学省としましては、学校が社会や保護者の期待にこたえて質の高い教育を行えるよう、教員の負担をできる限り軽減し、教員の子供と向き合う環境づくりに努めてまいりたいと考えております。

大畠分科員 私と文部大臣との間ではこういう会話で済むわけでありますが、どうも今お話しになったような状況にはないというのが去年の十月時点での運動会での話でありますから、そういうお考えでしょうけれども、私たちは、ともすると、この永田町でこういう論議をしながら、現場を見ずに、よく実態を把握せずに、机上の空論を重ねているようなところがよくあるんです。ですから、大臣におかれましても、秘書官等を連れていくんじゃなくて、連れていかざるを得ないかもしれませんが、地元の小学校とか中学校とか、秘書官を払って、じかに学校の校長先生とか何かの話を聞く場を持ってもらいたいと思いますね。

 私も、ことし、また運動会のときに行って、今大臣がおっしゃったような形に学校教育の現場というものがなっているかどうか検証をして、またそれに応じた質問をさせていただきたいと思いますが、ぜひ、そのような、大臣がおっしゃったような形に現場もなるように、よく目で見てもらいたい、現場の実態を把握してやっていただきたいということを要請しておきます。

 それから、学校現場で先生方のお話を伺うと、やたらと忙しい、業務多忙で先生方が子供たちと真剣に向き合う時間が不足している。それで、先生の数が足らないですとか、なぜこんなに報告書を書かなきゃならないんだと。これも小泉改革の一環かもしれませんが、効率、効率、無駄時間をなくせというので。

 塩谷大臣もそうかもしれませんが、私が小学校のころ、学校が終わってからよく宿直室なんかに遊びに行くと先生が相手をしてくれましたし、また、先生方も非常に裕度があって、よく遊んでくれました。遊びの中から教育を教えていただいたような感じもするんです。

 最近、私の友人の子供さんも学校の先生になっていますが、何かやたら忙しく、夜遅く帰ってくる。何でそんなに忙しいんだと言ったら、いろいろリポートは書かなきゃならないし、大変なんですと言うので、先生方の精神的な裕度が失われている感じがするんですね。

 ですから、ここにおられる文部省の官僚の皆さんも、そういう現場の先生の立場に立たないと、どんなにこの分科会でお互いにつじつまが合うような話をしたって、現場が混乱したんだったら、二〇三高地と同じ話になっちゃいますから。なぜこんなに学校の先生が忙しくなってしまったのか、どうやって先生方に裕度を与え、子供たちと向き合って話ができるような体制をつくろうとしているのか、ちょっとそこら辺の見解をお伺いしたいと思います。

金森政府参考人 学校の教員が忙しいということでございます。

 私どもでも、公立の小中学校の教職員の勤務の実態を把握するために、平成十八年に、全国の公立の小中学校約二千校、約四万六千人の校長、教頭、教諭などを対象に勤務実態の調査を実施いたしました。

 その結果を見ますと、教員の残業時間は、一日当たり平均約二時間程度、一カ月当たりでは平均約三十四時間の残業時間となっておりまして、ただいま御指摘ございましたように、事務、報告書の作成や、会議、打ち合わせといった事務的な業務などの勤務時間が増加しており、かつ、教員がそれを負担に感じているということが勤務実態調査の結果で判明したところでございます。

 私ども、こうした状況がございますものですから、例えば主幹教諭によるマネジメント機能の強化などを図るため、教職員定数の改善を行いますとともに、退職教員など外部人材を活用する事業や、また、学校支援地域本部の拡充などを通じまして、教員が子供一人一人に向き合う環境をつくるための施策に努めているところでございます。

大畠分科員 平均時間が二時間ということは、かなり残業をしている。一生懸命やっている人は四時間から五時間やっている。やらない人はやらないで、すっと五時に帰る。

 私も塩谷大臣と大体同じ年代ですが、私たちのころは、五時になったら学校には先生はいなかったね、大体。授業が終わったら、小学校であれば三時ぐらいには授業が終わったのかな、三時か四時ぐらいに終わって、みんな帰るでしょう。そうすると、五時ぐらいには宿直の先生を除いては大体いなかったような感じだね。五時ぐらいからは宿直室で夕飯の準備だ。私なんかも、行って、一緒にごちそうになったこともあるし、一生懸命七輪に火をおこすのを手伝ったりしたこともあるし、そういうところで人間的ないろいろなことを教えてもらったような感じがするんです。

 とにかく、平均残業時間二時間ということが上がってきているけれども、実際は、熱心な先生はそれ以上の実態にあるんじゃないかと思うんですね。今は、パソコンも導入されて、報告書を書け、何だというので、そういうのがたくさんあるんでしょうけれども、できるだけそういう事務的なものは事務的な処理をする方に任せるような体制をとれるように、現場で子供たちと向き合いたいというんですから、そういう時間がとれるように、さらに人員増など対策をしていただきたいと思います。

 それから、ことしの四月からですか、教員免許更新制度というのが導入されることになりました。これは、先生の中にも、先生になったけれどもやはり本来先生には向いていないなという先生もいることは事実です。それから、官僚になったけれども官僚に向いていないというのもいますし、政治家の中にも、この人は本当に政治家か、とてもじゃないけれどもこの人は政治家に向かないんじゃないかという人も出てきていることは事実ですよ。

 しかし、今回、そういうことで教員免許更新制度というのをつくりましたが、では、なぜお医者さんは免許の更新制はないんだという話もあるんです。それから、ほかの免許証もたくさんありますね。だから、何で学校の先生だけこういう免許制をつくったのかという声もございます。

 これから二年間かけて教員免許更新制度というものを、おおよそ全国で百二十万人の先生方、その方々が二年間でこれをやらなきゃならない。そうすると、その免許更新制というものを、制度を導入した経過についてはいろいろなことがあったのは事実ですが、果たして子供たちの教育という面で、これを本当にこのまま進めていいのかなという疑念が私もあるんです。

 去年の七月か八月に、夏休みの間に、試行期間といって、テストケースとしてやりましたね。そのときに、制度に応じて研修をされた方の意見が幾つか寄せられているんです。

 講座は、実技では有意義で今後の指導に生かせる内容だったが、講義ではほとんど理論のみで、実際に生かせる内容ではなかった。職場とかけ離れた内容があった、理論や解釈が大切なのはわかるが、目の前の子供たちに向き合ったときにすぐに返していける内容が乏しかった。こういう意見とか、中高の教員で部活動を指導している者は、かなり負担が大きい、講習で部活動ができない分、できる日は丸一日部活動、そのほかは講習と、休みが全くなくなり、かなり疲れがたまり、体調を崩したとか、五週連続で、休日がなくなってしまったことは仕事も滞り、思っていた以上に負担で体調を崩したとか、受講対象者への周知が不足しているんじゃないか。先着順ではなく、希望する者が希望した講座を受講できるようにしてほしいという切実な声とか、講師によっては、内容、認定試験の方法が異なり戸惑った、記述式、マル・バツ式、選択式、実技、本を見てもオーケー、見ちゃだめとか、いろいろな方式。

 これは試行的にやったのかもしれませんが、やはり実際に講習を受けた先生からはこういう戸惑いの声が上がってきているんですね。ですから、この四月からやるときには、こういう声を反映した体制が必要だと思います。

 いずれにしても、本当にこの免許更新制度というのは必要不可欠なのか、さらには、その実施においては、去年のテストケースを踏まえて再検討することが必要じゃないかという御意見が出てきているわけですけれども、この件についての文科省の見解をお伺いしたい。

塩谷国務大臣 現場の意見が大事だという先ほど来の御意見。私もほぼ毎週ぐらいどこかの学校へは地元で行っていまして、やはり現場が大切だということを実感していると同時に、文部科学行政の中でも、本当にこれはどうなっているかと見るべきだというのをいろいろ言っているんですね。ですから、その実行をしてまいりたいと思っております。

 それから、忙しいという話がさっきありましたけれども、本当にそういう状況をどう解決するかというのは、社会全体の問題であって、多分いろいろなアンケートとか記録とか、そこまで残さないと、何かあったときにいろいろ言われる、たたかれるような時代になってしまったので、そういうところをどう解決して、教員がもっと子供たちに向き合える時間をつくるかというのは非常に大事だと思っております。問題意識は私も共有しておりますので、またよろしくお願いしたいと思います。

 それから、教員免許更新制の問題ですが、これについては、さまざまな議論の中で、実行する段階になって、ことしから、四月からスタートするわけですが、基本的にはすべての教員が最新の知識、技能を習得して、自信と誇りを持って改めて教壇に立ってもらう、そして教員の資質向上のために重要であると考えて実施するわけでございます。

 昨年、試行的にやりました。そして現実、ことしからは円滑に受講できるように、土曜日や日曜日、あるいは夏休み等の長期休業期間中に開設することになっておりまして、平成二十一年度予算案につきましては、各大学等における出張講習の開設促進等のための経費も計上もしております。

 そして、講習内容につきましては、今いろいろお話あった、昨年の試行に伴っていろいろな課題も出てきたことは事実でございまして、そういったものを改善して、また一方で大変すばらしいという評価も得ている内容もありますので、そういうことを踏まえて改善をして、成果普及等の取り組みを行っているところでございまして、まずは、ことし四月からしっかりとこの更新制の円滑な実施に向けて、万全を期してまいりたいと考えております。

大畠分科員 この御意見の中には、何か、八十分の講義をいかに記憶するかで成績が変わる認定方法はおかしいんじゃないか、記憶力勝負のような修了認定の方法でよいのかと思った、自分の十数年間の経験は一体何なのかという気持ちにもなるとかいうようなお話もありますし、また、この講習を受けるために飛行機代、旅費、宿泊等の経費もかかり、非常に実態は大変だというような御意見もありました。

 私、記憶力がいい人がいい先生なのか。あるいは、何か、成績がいい人がいい先生とは限らないんだよね。これは人間性なんですよ。一番最初に申し上げたように、政治家もそうだけれども、自分を律することができないような人は、どんなにいい大学を出たって、それは人間として、私は、そういう方は政治家をやっても先生をやっても、いろいろ問題があるのかもしれません。

 いずれにしても、何のための教員免許更新制度なのかという根本を尋ねて、それが適切に現場の先生方の声を反映した形で行われるような形で私は制度を見直すべきじゃないかと思っておりますが、いろいろこの制度には問題が多いのではないかという声がありますから、それらを踏まえて文部省としては対策をとっていただきたいということを要請しておきます。

 それから、冒頭に中川元財務大臣の話を申し上げましたが、とにかく末は博士か大臣かといって、みんな昔は一つの目標にしたんですよ。その目標にした方がああいう状況を呈しては、末は博士はみんな目指すかもしれませんね。しかし、もう大臣なんか、目指すべき人物像じゃなくなっちゃった。地に落ちましたよ、これは。そこで、ではアメリカのオバマ大統領を私たち日本人は目指すのかという話になっちゃう。

 でも、日本人にもたくさんいい人がいるんです。最近では有名になった白洲次郎さんとか、新渡戸稲造さんとか、きょう朝六時のNHKの番組を見たら、二十八年間ジャングルに潜んでいた小野田少尉は、きょう、日本に戻られたそうですね。そのときにも、発見されても、私は上官の命令でここに残っております、したがって上官の命令がなければ日本に帰りませんというので、その上官の方を見つけて、上官の方に話したら、帰国しますというので、きょう、日本に戻られたという話なんだけれども。

 日本人の中にも、たくさん優秀な生き方をした人がいます。二宮金次郎さんだとか、吉田松陰先生とか、新渡戸稲造先生とか、山本五十六先生とか、白洲次郎さんとか。だから、文部省の教育の中にも、中川元財務大臣だけが日本人ではない、日本人にもすばらしい人がいるんだという、希望を持たせるような教育を日本の教育の中に入れるべきだと私は思いますが、改めて、このような文部省としての基本的なお考えを伺いたいと思います。

塩谷国務大臣 まさに教育の目指すところをお話しいただいたと思いますが、そのために、改正教育基本法や改正学校教育法において、まずは伝統、文化の尊重とか、我が国の郷土と国を愛するとか、また、思考力、判断力、表現力等をはぐくむことが規定されているわけでございます。

 そういう中で小中学校の学習指導要領を改訂いたしました。特に道徳教育について、今その準備をしておりますが、先人の伝記などの教材を活用する道徳教育、あるいは社会の時間数をふやして我が国の歴史に関する学習の内容を充実するということで、この点についても、私自身も、やはり生きる基本ということを考えまして、そういう中で、先人のいろいろな生き方、あるいは本物の文化とか伝統とか、そういったものに触れる、そういった全人的な教育が必要だということもうたって、これをいかに普及させるか、また、具体的な方策を考えてまいりたいと思っております。

 いずれにしましても、委員おっしゃったように、多分知識だけではない、もう人間の教育だということだと思いますので、そういったことについては、生きる基本として、我が国の新しい学習指導要領の中でもそういうことをうたっていますし、それをいかに実行させるかということについて、今後努力をしてまいりたいと考えております。

大畠分科員 そのとおりで、要するに、知識教育に今かなり偏重したところがありますが、私は、人間の基本的な考える力、それから自分の意見を言う力、そういうものをきちっと教育の基本に入れていかないと、中国の青年やアメリカの青年、ヨーロッパの青年と話したときに、英語はできる、中国語はできても、一体何を話をするか、コンテンツがなければ国際的にも話は進みませんから。そういう意味で、ぜひそういう人間教育というものをできるような、時間的な裕度も含めて、教育の中に含めていただくように要請をしておきます。

 最後の質問でありますが、実は私のところに太陽光発電とかいろいろな話を、これは東京工業大学の先生から話を伺いましたが、大学でも一生懸命こういう新しい分野に対する研究をしているんですが、何分にも予算が足らない。オバマさんも太陽光発電、麻生さんも太陽光発電、うちの民主党でも、小沢代表も太陽光発電と言っていますが、一つの夢があるんですね。こういうものを生かした形で雇用を拡大しよう、あるいは物づくりの分野を充実させようということですが、この分野に対する文部省の予算づけ。結局、塩谷大臣、予算なんですよ。

 学校予算を削っていくから、学校できつきつになって、先生方が忙しくなっているんです。これは、小泉改革の中で、随分教育予算を削ってきたんです、正直言って。ほかのところもそうなんだけれども、大事なところは削っちゃいけないんです。これはイギリスだってそうだし、ドイツだってフランスだって教育に非常に力を入れていますからね。ここにいる人、あと五十年後、六十年後になったら、いるかいないかわからない。次の世代の子供たちが次代を担うんですよ。その教育予算を削るということは、日本の国の力を削ることなんです。

 そういうことも含めて、予算というのは非常に大事ですが、太陽光発電の問題、あるいは原子力の使用済み燃料、高レベル廃棄物の処理、あるいは処分、あるいは保管、こういう予算が非常に今削られ始めていますので、私は、ここら辺は大事なところだから、この予算分科会として、ぜひ充実させるべきと考えますが、この件についてお話をいただいて、御答弁いただいて、私の質問を終わります。

塩谷国務大臣 教育予算について、我々としましても、充実をすべく努力をしているところでございますが、また委員の御協力もよろしくお願いしたいと思っております。

 特に、太陽光発電につきましては、学校への導入について、教育的な意義もあり、また環境負荷低減の効果もありということで、ぜひこれから積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 特に、私は、教育施設が、耐震も含めてですが、やはり希望が持てるような施設をつくるべきだと。子供たちをそういう中ではぐくむ。どちらかというと、今までそういう考え方ではなくて、一番簡素な形でやってきたような。しかしながら、これからの時代を生きていく子供たちにとって、やはりふさわしい環境づくりというのはあると思うんですね。

 ですから、太陽光発電、そして将来に向かってどういう方向で我が国が、あるいは人類が行くんだということを示唆するような、そんなような点においても太陽光発電というのは非常に有効だと思っておりますので、そういう考え方をもう少し普及して、しっかり予算を投じるように考えてまいりたいと思っております。

 現状では、耐震とあわせてエコ改修とかそういうこと、これは補正についてもあるいは来年度予算についても考えて、当面できる範囲でこのエコ改修について努力をしてまいりたいと思っております。(大畠分科員「原子力はどうなんですか、もう一問あったんです」と呼ぶ)申しわけありません。

 原子力の使用済み燃料と放射性の廃棄物について、この対策も着実に進めることが重要であります。これは経済産業省と協力して、使用済み燃料の再処理や高レベル放射性廃棄物処理のための技術開発を進めるため、また、昨年の通常国会においては、日本原子力研究開発機構を研究開発等から生じる低レベル放射性廃棄物処分の実施主体とするための体制整備を行ったところでございまして、これに向けて今準備を進めているところでございます。

 以上でございます。

    〔小野寺主査代理退席、主査着席〕

大畠分科員 予算をしっかりととってもらうように要請して、終わります。

田野瀬主査 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井分科員 これから三十分間、前半は馬場南遺跡について、そして後半は保育園の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 大臣におかれましても、貴重な時間をいただきましてまことにありがとうございます。

 さて、早速ですが、関西学園都市の中にあります木津川市の木津中央地区という開発地の中で、このたび馬場南遺跡というものが見つかったわけですね。これは奈良時代の寺院跡で、そして、この遺跡は日本書紀などの文献に登場しない奈良時代の中期から後期の未知の寺院、神雄寺の主要な建造物と推定されて、注目を集めています。寺院の前には川をせきとめた人工の池が見つかったり、建物の建造や配置はこれまで全く類型がなく、天皇や大臣クラスの人物が利用したと見られています。

 一月十七日に行われました現地説明会には千三百人が詰めかけ、文献に記載されていない、なぞに満ちた遺跡ということで、非常に今関心が高まっております。そして、一部、木津川市の市役所などでも展示をされておりますが、公開をされたように、このような多くの出土品が出てきているわけです。(パネルを示す)

 それで、当時のことを復元すると、大体こういうふうなイメージの神雄寺という寺院だったのではないかということになっております。

 木津川市の教育委員会は、大規模な燃灯供養を行う特殊な装置として神雄寺の存在は、学問中心の寺院や修業を中心とした山岳寺院とは異なり、今までの古代寺院、仏教観を一変させるとの見解を発表して、遺跡を評価しております。と同時に、国の史跡指定を目指す方針であります。

 そこで、大臣にまずお伺いをしたいんですが、この木津川市で発見された馬場南遺跡を文部科学省としてどのように評価をされているか、お伺いしたいと思います。

塩谷国務大臣 京都府木津川市の馬場南遺跡は、平成十九年及び二十年度の市教育委員会などによる発掘調査によって、奈良時代の寺院跡が見つかり、万葉集の歌を記した木簡や寺院の名称を書いた土器などが出土したものと承知をしております。

 この遺跡がどのような価値を有するものであるかについては、今後、発掘調査で得られた出土遺物などを整理し、報告書が作成された後に、考古学や歴史学の専門家により学術的評価について検討されるものと承知をしておりますが、学術上の一定の価値を評価する意見も多く見られておりますので、今後の報告書等を踏まえてしっかり検討をしていこうということでございます。

山井分科員 ぜひ、これは、文献にも出ていない、非常になぞに満ちた寺院でありまして、今までの仏教観を転換させる大きな発見だというふうに思いますので、前向きに検討していただければと思います。

 そして、そのことに関連して、木津川市教育委員会では国の史跡指定を求めていく方針でありますが、今後、国としてはどのような方針なのか、またこの報告書が、もちろんこれからまとめた上でのことになると思いますが、どのようなタイムスケジュールというものが考えられるのか。国の指定に向けての国の方針なり御見解、スケジュール観をお伺いしたいと思います。

高塩政府参考人 今大臣からお答え申し上げましたように、馬場南遺跡につきましては、今後、発掘調査の報告がなされまして、地方公共団体の方から意見具申がなされた場合に、私どもの文化審議会においてその学術的価値が検討されるものというふうに考えております。

 具体的な史跡の手続につきましては、指定につきまして地権者それから関係者の同意を得た後に、地元の市町村教育委員会から文部大臣への意見具申が行われた後に、文部科学大臣が文化審議会に諮問をいたします。そして、文化審議会で調査審議されまして、国指定史跡として価値があると判断された場合には、文部科学大臣に答申がなされまして、その後、官報告示、所有者に通知を行いまして、史跡になる、こういう手続になりますけれども、今具体的にいつということについては、まだ地元の教育委員会等、相談を受けている段階ではございません。

山井分科員 報告書が出たら、ぜひとも国の史跡指定をお願いいたしたいと思います。

 また、これに関連して、地元の河井規子木津川市長は、この遺跡は木津川市の宝であり、同時に国の宝でもある、史跡指定を受け、史跡公園として整備をしたい、ぜひURそして国の支援をお願いしたいというふうにもおっしゃっておられます。

 ついては、URも保存に向けた検討を行っていると報道されていますが、文部科学省と国交省で協議は行っているのか、またUR、自治体、文部科学省の協議がスムーズに進むように、文部科学省が積極的に協議を進めてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

高塩政府参考人 埋蔵文化財の、史跡の保存につきましては、地元の教育委員会と、この馬場南遺跡につきましては都市公団、URの方との、事業者でございますけれども、その間の協議がされるということがございまして、国としては、必要に応じまして地元の教育委員会等、助言をしておるところでございます。

 本件につきましては、既に私ども伺っておりますことにつきまして申し上げれば、京都府教育委員会と事業者URとの間で遺跡の保存のための協議が行われているというふうに聞いておりまして、本遺跡につきましてはUR側において史跡として保存していく方針であるというふうに伺っているところでございまして、私どもは必要に応じ、当然、地元の教育委員会、さらには必要があれば国土交通省とも相談をしてまいりたいというふうに考えております。

山井分科員 今までの古代寺院、仏教観を一変させる発見というふうに私たちは認識しているんですが、問題はこの調査、保存が逆に大きな課題となっているわけであります。

 ここの場所は平城京と恭仁京との中間に位置をして、当時の幹線道路に近いところだけに歴史的にグレードの高い遺跡と思われます。

 木津川市は、平成十九年三月に合併をして新しい市となりましたが、市内には、恭仁京を初め、浄瑠璃寺、海住山寺、蟄満寺などの国宝を有しており、当時の天平文化を伝える重要な地であり、折しも二〇一〇年には隣の奈良で平城遷都千三百年事業が計画されております。しかし、これらの文化財はすばらしいことなんですが、逆に、維持管理していくことは自治体の財政負担にとって非常に大変なことであります。

 この馬場南遺跡は、国の負担において調査し、保存事業を行っていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。そしてまた、その費用の総額は幾らぐらいかかると見ておられますか。

高塩政府参考人 今、この木津川市の行っております史跡の調査に対しましては、埋蔵文化財の調査に対する国の補助として、二分の一の補助をいたしております。また、史跡指定を受けた場合には、その後の整備につきまして、これも同じく二分の一の国庫補助の仕組みがございます。さらには、土地を公有化、木津川市の方で取得するということになれば、八割の補助ということが可能でございます。

 まだ、その総額その他について、私どもで積算をしているわけではございませんけれども、木津川市教育委員会、京都府教育委員会と十分相談をしてまいりたいというふうに考えております。

山井分科員 そうしたら、まさにその隣の恭仁京の史跡の話に移りたいんです。

 昨年の四月にも質問をしましたが、この恭仁京の史跡公園整備を要望し、案内施設、トイレの整備、公有地への買い上げ促進をお願いしました。国においても尽力していただいていると聞いておりますが、現在の状況と今後の見通しをお聞かせください。

高塩政府参考人 史跡、恭仁京跡の土地公有化につきましては、昭和五十五年度からいわゆる直接買い上げ並びに先行取得を行って土地の公有化を進めているわけでございまして、今、史跡指定地の三七%ほどが公有化されているということでございます。これまでに、総額約二十一億七千万円の事業費に対しまして、八割に当たります十七億四千万円の国庫補助を行ってきておるところでございます。

 昨年度につきましては、国庫補助額は、事業費六千五百九十二万円の八〇%でございます五千二百七十三万六千円という金額を補助いたしておるわけでございまして、二十一年度事業につきましても、今後、交付決定、これから市の申請が上がりましたら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

山井分科員 ぜひとも、この二つの史跡のことについて、前向きに今後もお願いをしたいと思っております。

 それでは、後半は厚生労働省にお伺いしたいと思います。

 北村審議官、お越しいただきましてありがとうございます。

 話はかわりますが、今、保育園の現場は、規制改革会議からの答申で非常に不安が広がっております。昨年十二月に出ました規制改革推進のための第三次答申、ポイントは五つですね。直接契約方式の導入。直接補助方式、バウチャー等の導入。三点目が保育に欠ける要件の見直し。四番目は株式会社等の参入促進。五番目は地域の実情に応じた施設の設置の促進、設置基準を緩和するということであります。

 そこで、このことに関して、本当にこれで子供にとっていいのかという点がございます。やはり、この問題、子供というのは国の宝でありまして、保育とは心の遺産を分けていく仕事だと思います。福祉とは幸福のことだと思います。一人一人の命を大切にすること、そして国が子供の目線に立つことが今一番必要なことだと感じておりますが、この規制改革会議の理論というのは、子供の視点というよりは、こういうことにすれば多くのビジネスが参入できるんじゃないかとか、待機児童を解消するためには多少保育の質が低下しても仕方ないんじゃないかという、主人公たるべき子供の視点がちょっと欠けているのではないか。そちらで厚生労働省の担当者の方もうなずいていただいておりますが、こういう不安が広がっているんですね。

 そこでお伺いをしたいと思いますが、この中に施設の最低基準のことが出てきているんですが、どういうふうに見直そうと考えておられますか。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 児童福祉施設最低基準のうち、面積基準は制定以来ほとんど改正されておりませんで、中には明確な科学的根拠がないまま長年適用されてしまっているものも少なくないということで、従来より規制改革会議から指摘を受けているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、こうした指摘も踏まえつつ、保育所の最低基準のうち、施設設備に係るものにつきましては、昨年七月に、建築設計の専門家、自治体関係者あるいは保育園の先生方などによりまして、機能面に着目した保育所の環境・空間に係る研究事業、この研究会を発足させて、二十年度内を目途に研究を進めているところでございまして、その成果を踏まえつつ、来年度以降、保育所の施設設備の最低基準について見直しをしていく予定としているところでございます。

 いずれにいたしましても、保育所は、先生おっしゃったとおり、将来の我が国を支えていく子供たちが、生涯にわたる人間形成の基礎を培う極めて重要な時期に、その生活期間の大半を過ごすところでございます。保育所で、子供たちが健康、安全で情緒の安定した生活ができるように、保育所の施設設備につきましても、国が、その質について責任を持って保障できるものであることが必要であるというふうに考えております。

山井分科員 後段のおっしゃった、子供たちにとって非常に重要な施設であり、国が最低限保障せねばならないというところはまさに全く同感なんですが、問題は、この規制改革会議の答申の中では、例えば「柔軟な設置基準により運営するとともに、」というようなことで、要は設置基準を、これは柔軟とは聞こえはいいですが、引き下げるんだろうなというようなことが想定されるんです。

 この最低基準の見直し。北村審議官にお伺いしたいんですが、見直しというと、一人当たりの面積、引き上げるか引き下げるか、二つに一つしかないんですよ、これは恐らく。どっちになる可能性があるんですか。もうちょっと厳しくするのか、もうちょっと低くするのか。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども申し上げましたとおり、保育所の最低基準、このうち施設設備基準、施設設備に係るものにつきましては、先ほど申し上げましたような研究会を発足させて研究を進めているところでございまして、現在、その研究を行っているところでございます。その上で、来年度以降に最低基準について見直しをしていくという予定を先ほど申し上げました。したがいまして、今申し上げました研究の成果を踏まえつつ検討していくことになるわけでございます。

 したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、研究会で今まとまったものがあるということではございませんので、今申し上げるわけにはまいりませんけれども、いずれにしても、先ほど申し上げましたとおり、国がしっかりと責任を持って保障できるような形で検討を進めていきたいというふうに思っております。

山井分科員 国がしっかりと責任を持って保障するということは、最低基準は少なくとも設けるということですか。設けないように、基準をなくすということではなくて、少なくとも最低基準は設けるということですか。

北村政府参考人 私どもとしては、最低基準をきっちり設けていきたいというふうに考えております。

山井分科員 そこで、質問は戻るんですが、今最低基準がある、今後も最低基準は設けていきたいと。そうしたら、今ある最低基準と今後の最低基準はどっちが高いのかという、二つに一つの話なんですね。研究会で議論している、それはどっちの方向で議論するんですか。今の最低基準を、面積が広い方がいいに決まっているわけですから、子供にとってよりいい方向で議論しているのか、下げる方向で議論しているのか。その方向性によって百八十度違うんですが、それはどちらですか。

北村政府参考人 規制改革会議からは、先ほどお話し申し上げましたとおり、制定以来ほとんど改正されていないということで、科学的根拠はないというふうな指摘がいろいろと出ております。

 そういう中で、私どもは、先ほど申し上げましたような、いろいろな専門家などにも入っていただきまして、子供の育ちから考えましてよりいいものにしていきたい、こういうことで研究会の御議論を進めていただいているところでございますので、その研究会の御議論を踏まえながら検討をしてまいりたいというふうに考えております。

山井分科員 今、非常に大事なことを御答弁いただきました。子供にとってよりいいものにしていきたい。私は、この答弁というのは重いと思うんですが、最低の面積基準が子供にとってよりいいものにということは、少なくとも、より面積基準が低くなるということはないと理解してよろしいですか。

北村政府参考人 重ねての御指摘でございますけれども、現在まだ、先ほど申し上げました研究会での研究の途上でございます。子供の育ちにとってよりいいものということで、科学的根拠に基づいて研究を進めていただいているところでございまして、一つ一つのことにつきまして、どういうふうな形にしていくのがいいのかというふうなところを今まさに御検討いただいているところでございますので、それを待ちたいと思っております。

山井分科員 確かに、当然、今研究会で議論していただいているところを先回りして答弁することはもちろんできないと思います。でも、非常に大事なところなので、改めて一点だけ確認したいんですが、子供にとってよりいいものに変えていきたいということでよろしいですか。答弁をお願いします。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、先ほど申し上げましたとおり、研究会の報告を受けまして、その後、来年度以降に保育所の最低基準、施設設備の最低基準を見直していくことになりますけれども、その際には、子供の育ちにとってよりいいものとなるような方向で検討を進めていきたいというふうに考えております。

山井分科員 どうもありがとうございます。ぜひ、よりいいものにしていかねばならない。これはもうある意味で、現場も厚生労働省の皆さん方の思いも、ここは一致していると思います。

 しかし、とはいえ、この規制改革、一言で言えば規制緩和ですよね、規制改革ということは、規制強化をおっしゃっているんじゃないんでしょうから。それが子供にとって悪い方向に進むんじゃないかということが一番懸念をされるわけです。

 そこでお伺いしますが、こういう改革で緩和をしていくと、営利企業が保育の世界にどんどん入ってくる。そういうことは保育制度の後退というものにはつながりませんか。いかがですか。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 保育につきましては、委員御承知のとおり、大きな潜在需要を今抱えているところでございます。そういう意味では、保育サービスの質を確保した上ででございますけれども、量の抜本的な拡充が不可欠でございます。

 多様な主体の参入を図っていくに際しては、質と安定的運営を確保しつつ行う必要があるというふうに考えております。

 現在、保育制度につきましては、社会保障審議会少子化対策特別部会におきまして、次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた検討の中で、多様な提供主体の参入の促進とともに、おっしゃったような質の担保、あるいは指導監督のあり方、こういったことも含めて検討課題を挙げて御議論いただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましては、将来の我が国を支える子供の健全な育ちが保障されるような保育制度となるよう、また、保育制度の後退につながることがないように、必要な検討を進めてまいりたいというふうに思います。

山井分科員 今、大事なことを答弁されました。要は、量をふやしていきたいけれども、質を確保した上でと。そこが一番重要なことなんですね。質より量ということで、粗製乱造になったらこれは大変なことになるわけですから、うなずいていただいておりますが。

 そこで、子供は国の宝という言葉もありますが、国の責任で、財政負担も含めて、これをよい方向に持っていく必要があると思いますが、まず問題は、質を確保した上でというんですから、今回の改革で、質はどうやって担保をするんですか。具体的にその方法をちょっと教えていただきたいんですが。口で言うのは簡単なんですね、質を確保した上で量をふやしますと。でも、大抵、規制を緩めたら、悪いものも入ってくることによって量がふえたりするわけですから。

 御存じのように、例えばシルバービジネスでも、私も老人福祉は長年携わっておりますが、コムスンとかが入ってきて、本当に、社会福祉法人ではあり得ないような、利潤最優先で、その結果、多くのお年寄りが被害を受けるというようなことも起こったわけですね、実際。今回も、保育の世界でも、エムケイグループの撤退の問題が起こりました。

 質の担保をどうして、どのような方法でやっていくんですか、具体的に。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、現在、社会保障審議会の少子化対策特別部会におきまして、新たな制度体系の設計に向けた検討の中で、保育制度のあり方につきまして議論をいただいているところでございます。

 その中では、やはり効果的な財政投入を前提に、子供の健やかな育ちを第一に考えて、質の確保された公的保育が必ず保障されて、市町村の公的責任を後退させないといったような見直し案につきましても議論をしているところでございます。

 もちろん、保育を担われる保育士の方々の質も、当然、研修などを通じて向上させていく必要がございますし、いずれにいたしましても、子供の健やかな育成は、私どもとしても、未来への投資だというふうに考えておりまして、国が責任を持って取り組むべきことだというふうに思っております。

 国が責任を持って取り組む、そのような覚悟を持ちまして、財源の確保を含め、保育制度の充実強化に努めてまいりたいというふうに考えております。

山井分科員 大事なことなのでもう一回確認したいんですが、まさにこの改革の中で、質の確保をするためには財源もしっかり確保する、要は、財源の伴わない質の確保というのは無理なわけですから、ということでよろしいですか。その財源の確保を質の担保のためにしっかりするということをお約束ください。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在、社会保障審議会少子化特別部会におきまして御議論いただいておりますけれども、その際には、効果的な財政投入を前提に新しい保育の仕組みを考えるということで御議論をいただいているところでございますので、そういう意味で、私ども、今後の制度設計に当たりましても、そういうところをしっかりと踏まえて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

山井分科員 これは現状認識が大事だと思うんですが、現状において、日本の子供の育ちというのは、身体面、例えば遊びや運動、スポーツなどの身体活動量が低下し、食生活も変化、悪化し、また、家庭全体のライフスタイルの変化に伴う朝食の欠食や運動不足、夜型の生活習慣というところでも非常に問題が出てきております。また、心理面においても、理数系学力、読解力などの言語的学力も低下し、学習意欲の低下、無気力、将来展望が持てない、活力低下の大きな要素、対人間関係能力の低下、非向上心、孤独感というふうな形で、危機的な状況にあるというふうに現場の先生方は見ておられます。

 そして、このような事態を招いたのは、残念ながら、経済優先の大人の論理であったわけです。子供の福祉増進と健全育成、生育環境の充実に向けて、基本的にはやはり現行制度を維持拡充するんだ、変えるとしてもいい方向に持っていくんだということで、保育の質を担保する国の責任ということを明確にせねばならないというふうに思っております。

 このような、現行制度を維持拡充して、保育の質を国が担保する、国が保育の質に責任を持つ、そしてそれをしっかりと財源もつけて頑張っていく、こういうふうな理解でよろしいでしょうか。北村審議官、お願いします。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 社会保障審議会の少子化対策特別部会でも御議論いただいていますように、公的な責任を後退させない、あるいは質の確保された公的保育が必ず保障される、その大前提として、子供の健やかな育ちを第一に考えていく。そういうことで、新たな保育の仕組みというものについて議論がされているところでございます。

 私どもとしても、子供の健やかな育成、これは国が責任を持って取り組むべきことである、これは当然のことでございます。そういう意味で、新たな制度体系の設計、これから具体的な検討に入っていくわけでございますけれども、税制改革の動向も踏まえつつ検討を進めているところでございまして、しっかりとした効果的な財政投入とともに、子育て支援の拡充を図ってまいりたいというふうに考えております。

山井分科員 最後に一言申し上げます。

 本来ならば、研究会に子供たちも入れるべきなんです、本来の筋を言えば。しかし、この国会を見てみても、もちろん子供たちは国会には来られないわけですね。ということは、主人公たるべき、そしてまさに保育の場で非常に影響を受ける本人たちが声を発することができないという意味において、私たち大人はすごい重い責任を負っているわけです。

 本人たちが要望や願いを届けられないということをいいことに、逆に多くの資本を持っている企業の方が行政や国会議員に多くの圧力をかけられるということを背景にして、まさに大人の論理、お金もうけの論理で子供の保育の質が低下するなんということがあったら、これはまさに日本の恥であり、先ほど北村審議官も未来への投資とおっしゃっていましたが、日本の国の未来を危うくすることになります。

 その意味では、私も、政治家になった原点が、児童福祉施設で学生時代、子供たちの世話をずっとしていた。それが私の原点であって、子供の声、お年寄りの声を代弁したいと思って厚生労働委員会に九年間所属をしておりますが、これからも厚生労働委員会に私は一生所属し続けるつもりでありますので、きょういただいた御答弁、この議論が、研究会の議論が、決して子供の質を、保育の質を低下させる方向ではなく、アップさせるようになるように私も見守っていきたいと思いますし、これが、質より量ということで、保育の質を低下させることであったら絶対私は阻止するということを最後にお誓い申し上げまして、これは厚生労働省と私たちの思い、願い、方向性は一緒だと確信しておりますので、どうかよろしくお願いします。

 きょうはありがとうございました。

田野瀬主査 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本充功君。

岡本(充)分科員 民主党の岡本でございます。

 きょうは、塩谷文部科学大臣に、文部科学行政にかかわる、特に医学教育にかかわる部分について質問をしていきたいと思っておりますが、まず冒頭、きょうの、けさの毎日新聞の朝刊の記事に、麻生総理の政務の秘書官、当時は政策秘書だった人物が、医学部への入学について依頼を受け、文書を出していたということが報道されています。

 この秘書官の説明によると、今は総理の政務秘書官であるようですけれども、「東京都北区に開業し文京区に住む歯科医は、浪人中の息子が都内の私立大医学部への進学を希望していることを相談。」その人物が「その件を手書きの文書にし、元文部審議官に郵送した。」結果はどうだったかというと、この文書は、平成二十年七月二日付の手書きの文書がやはりこの新聞に写真つきで載っておりまして、これはすべて手書きで書かれているようでありますけれども、この文書を送り、その中には、「お世話になります。 さて、過日来よりお願いいたしております○○大医学部進学希望者○○君の件につき、宜しくお取り計らいの程お願い申し上げます。」ということと、「追記、身上書等同封いたしました。」というふうになっていると聞いております。

 こういった事実が本当にあったのか、結果として、この依頼をされた、浪人をしていた学生さんは合格をされたそうでありますけれども、ここと現職の総理秘書官とのかかわりがあったのかなかったのかは、大学の入試の根幹にもかかわる問題ですから、文部科学省としても、そういった事態があったのかなかったのかは確認をする必要があるのではないかと思うわけでありますが、それについて、大臣、調査をしていただけるかどうか、御答弁をいただきたいと思います。

塩谷国務大臣 その報道につきましては、私ども、けさ知って、その内容、事実関係は、多分これは官房長官等の関係の発言だと思いますが、事実はあって、ただし進学指導だということだと聞いております。

 我が文部科学省としても、今後、そういった報道あるいは事実確認をしっかりして、どういうふうな調査ができるかどうか、検討して対応してまいりたいと思っております。

岡本(充)分科員 この私立大学に一回お聞きされたらいかがですか。

塩谷国務大臣 それも含めて、今後、状況を把握する中で検討してまいりたいと思っております。

岡本(充)分科員 いや、検討して、やらないということではやはりいけなくて、これは総理の名誉にもかかわることですから、そういう意味では、やはり内閣の一員である大臣としても、そこはきちっと、汚名をかぶせられたまま総理を続けられるというのは、私は大臣の本意とも違うんじゃないかと思いますから、ぜひそこは、そうじゃなかったと、文科省としても大学の方にヒアリングをしてみたけれども、そんな事実はなかったし、そういったアプローチは一切なかったということでありましたというふうにはっきり言われたらいいじゃないですか、調べられて。

塩谷国務大臣 もう、この報道があってから、委員会が始まっていますので、とにかく、その事実を受けて、一度私どもで何ができるかということを検討して対応していきたいと思っております。

岡本(充)分科員 非常に後ろ向きな発言であることが大変残念でなりません。

 私は、この分科会が終わりまして、恐らく主査として御報告をされると思いますけれども、その際にはぜひ、この議論があって、予算委員会でもぜひこの件について解明をするべく、この総理の秘書官である人物、またその文書を受け取ったとされる元審議官、今は別職にあるようでありますけれども、この方をぜひ呼んで予算委員会で調べるべきだ、こういう意見があったということを必ず御報告いただきたいわけでありますが、いかがでしょうか。

田野瀬主査 理事会で検討させていただきます。

 岡本君。

岡本(充)分科員 ぜひこれは明らかにしていただかなければならないことだと思っておりますので、お願いをしたいと思います。

 さて、それでは質問のまず一つ目の話に行きたいと思いますが、かねてより私が質問をしております、大学病院におけるいわゆる静脈注射の実施状況ということで、大学病院で、さまざま、若手の医師を中心に、雑務、雑用をさせられているのではないか、本来医師がやらなくてもいい仕事をやらされているのではないかという話の中で、非常に重要な医療行為の一つではありますけれども、しかしながら看護師が実施することを認められている静脈注射もしくはさまざまな形での点滴等の処置、こういったものについて、どのような実施状況かというのをかねてより伺ってまいりました。

 経年の経過はもうしゃべるのは、時間の関係で言いませんけれども、いまだに原則医師が実施をしているという大学がかなり、まだ半数近くある。もっと言えば、留置針に限って言えば六割を超える状況がまだ続いていて、一向に、本来医師がしなくてもいい業務を、その分担を公正に配分するということが行われていないという状況が続いております。

 この改善をどのようにしていくのか、これはもう既に平成十八年の三月から取り上げておりますから、かなりの時間がたっているわけでありますが、今後どのように実施をしていかれるのか、これまでの反省を含めて御答弁をいただきたいと思います。

徳永政府参考人 静脈注射に関する医師と看護師の役割分担につきましては、私どもの方で昨年十月に調査をいたしました。

 実態としてまだ改善が進んでいないというところは先生御指摘のとおりでございまして、なお一層の取り組みが必要と認識をしております。

 取り組みが進まない理由としましては、それぞれの病院における看護業務マニュアルの見直し、あるいは看護師が静脈注射を行うための必要な研修の実施、そういった環境整備が必要であるということ、あるいはまた、患者に対する影響が大きい薬剤や小児科などの診療科では医師が行う場合があるということが背景でございます。

 私どもとすれば、既に昨年六月三十日付で各大学に通知を出しまして、医師、看護師等の医療関係職種間で役割分担を推進しているわけでございます。先ほど言いましたような原因、背景を踏まえまして、二十一年度予算案におきましては、国立大学病院における研修体制の充実を図るための若手医師の処遇改善、あるいは医師等の過重労働改善のためのコメディカルスタッフの充実、あるいはまた国公私立大学病院における医師の業務負担を軽減するための看護師の技術向上、こういう看護師キャリアシステム構築プラン二億円、こういった予算を計上しているところでございます。

岡本(充)分科員 昨年も聞いたわけですけれども、そろそろ目標を示しましょうよ。もう三年もたって、研修プログラムができないからとか業務の見直しを進める時間が必要だからと言って、これは大臣、三年たっているんですね。そろそろ目標をお示しいただけてもいいんじゃないかと思うわけです。

 今、医師不足が言われている中、後ほどお話をさせていただきますが、臨床研修プログラムについても見直しをされるという方向も出てくるかもしれません。そういった中、大学病院が引き続き若手医師に雑務、雑用をお願いしていくというような状況の中、そこに若手医師を戻すのでは医師不足対策にならないという面もあるわけですね。そういう意味では、大学病院のこういった状況の改善が急務でありますし、ぜひ明確な目標を、大臣、お話しいただけませんか。大臣にお願いします。

塩谷国務大臣 確かに、前々から指摘をされてきたということで、なかなか改善がされていないということでございますので、これは今実態を、こういう実施状況を踏まえて、具体的な目標を決めて、改めて私が実行するように指示したいと思います。

岡本(充)分科員 ぜひその目標は早目にお決めをいただきたいと思います。臨床研修制度の見直しとあわさる話でありますから、ぜひお願いします。

 それともう一つ、雇用関係の話です。これも、今国会で雇用の問題が取り上げられておりますけれども、今現実に、いわゆる労災等の加入がなされておらず医療行為を行っている大学院生、どのくらいみえるんですか。二十年十月現在でいいです。

徳永政府参考人 二十年十月現在で、私ども、すべての国公私立大学につきまして調査を行いました。その調査結果によりますと、診療に従事する国公私立大学院生のうち、雇用関係を締結している者の割合が五五・一%でございます。結果、その逆数の約四五%の大学院生が雇用関係を結んでいないという状況でございます。

岡本(充)分科員 大臣、これも大問題で、毎年やっているんですけれども、要するに、医療行為というのは危険が伴うわけですね。針刺し事故を起こして感染症に感染をするリスクをしょいながら、あなたは労災には入っていない。これは、労災に入っていないというのはそもそも、厚生労働省、きょうはお越しいただいておりますけれども、そういう意味では、渡辺副大臣、労働行政としてはこれは大問題なんですね、労災に入っていないのに医療行為をさせている。

 私は、前回、労働者性も含め調査したらどうかということを提案しました。さすがに、これは一年たってもこの状況で、全部で雇用関係のない大学院生が三千七百五十七人もいるんですよ。三千七百五十七人が診療に従事しているのに、雇用関係なく診療に従事させられている。これは実態を調査されてみてはいかがですか、厚生労働省として。

渡辺副大臣 厚生労働省としても、調査というか、検討をさせていただきたいと思います。(岡本(充)分科員「検討じゃなく調査を。去年言っているんですから。調査をしていただきたい」と呼ぶ)

 ちょっと、その件知らない、その件をちょっと存じないので……

田野瀬主査 指名を受けて発言してください。

 改めて副大臣。

渡辺副大臣 今、その件についてちょっと詳細を存じておりませんので、ここで即答はできませんけれども、当然ながら、医療行為に従事している場合に労災の事故が起こるということは大変なことでありますので、十分検討して、もう一度詳細を調べてみて検討していきたいと思います。

岡本(充)分科員 私は、これはもう繰り返しお話ししているんですね。

 それで、こういったいわゆる労働者性を問う話にもなるんですが、実際に医療行為をしているのは事実でありますし、危険を伴っている実態を勘案しながら、それは調べてもらわぬと、これは遅々として進んでいないんです。昨年が五千百三十七人、ことしが三千七百五十七人、千四百人ばかり減ったということかもしれませんが、指摘当初から、これは平成十八年三月なんですけれども、遅々として進んでいないわけです。

 これはやはりもうそろそろ厚生労働省も重い腰を上げて、調べるぞということを言うだけでも現場はずっと改善するかもしれない。ここで副大臣が、調べる、調べたいと思いますと言っただけでも改善するかもしれない話なんですよ。そういう意味では、ぜひ一言ここで御答弁いただきたいと思います。

渡辺副大臣 その件、文科省とよく連携しながら検討を進めたいと思いますけれども、雇用関係がきちんとなっているのであれば、労働基準監督署等と我々も一緒になって検討を進めるということになると思いますけれども。

岡本(充)分科員 雇用関係がないんですから、労働基準監督署、もうぜひ活躍していただきたいと思うわけですが。

 それで、臨床研修制度の話に戻りたいと思います。

 臨床研修制度の、いわゆる「臨床研修制度等に関する意見のとりまとめ」という形で、二月十八日に出た資料を拝見しました。幾つかの点でなるほどなと思うところもありますが、しかしながら、気になる点があります。

 一つが、これまで二年を原則としてローテートを行ってきた医学教育のあり方、これが、内科と救急と地域医療、これに必修項目を限って、外科、小児科、産婦人科等をいわゆる必修から外すという話になってきている。その中は選択制だと言われるかもしれないけれども、しかしながら、幅広い知識とさまざまな経験を有する医師を育てるという当初の理念からは後退をしてしまった感は否めないと思います。それぞれの判断ですからと言いますけれども、それは、残念ながら、場合によっては短縮をされる医師が出てくるんではないかという懸念も生むわけでありますけれども、今回のこの「臨床研修制度等に関する意見のとりまとめ」を受けて、これは一年でもいいというような話を厚生労働省は出すつもりがあるんですか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の診療科目の見直しにつきましては、現行の臨床研修制度が、多くの診療科をローテートするという仕組みになっていることにつきまして、一定の評価もあるわけでございますけれども、それぞれ研修医の方々、将来どういう診療科目を目指していくか、いろいろな方がおられます。そういったいろいろな方がおられる中で、一律に決まった診療科を課すということにつきましては、研修医のモチベーションの低下につながるのではないか、こういう御意見もございます。

 そこで、今回の見直しの方法の中では、内科と救急につきまして、一年目にこれをそれぞれ六カ月、三カ月以上やっていく、それから、それ以外の……(岡本(充)分科員「内容はいいです、見直すのかどうか、厚生労働省は」と呼ぶ)

 それで、臨床研修自体は二年間やるということにつきましては、これは医師法上決まっておりますので、その二年間という枠そのものを今回見直すということではございませんで、その中での診療科の選択について弾力化を図ろうというものでございます。

岡本(充)分科員 昔からいろいろな診療科に行きたい人はいたわけですし、最近になって出てきた話ではない。それから、昔からスーパーローテートがいいのかストレート研修がいいのかという議論があって、それを乗り越えて厚生労働省は臨床研修方式を導入されたという、当初の理念を、もう本当に、わずか数年とは言いませんけれども、短い期間で見直すというのは余りにも拙速ではないかというふうに思っています。これからそういうスーパーローテートを経て出てきた医師がどれだけの活躍をするかをぜひ見てから考えても遅くはないのではないか。要するに、成果を見ない前にもうやめたという話になるのはおかしいんじゃないですかということ。

 あともう一つは、外科も小児科もそれから産科も、そういう意味では、地域診療をする上で、夜間救急上やはり必要な診療科ではないかと私は思っています。夜に当直をしていて、一人で当直していたら、そういう患者さんが来るわけですから、そういう人たちの診察、ある意味基礎的な部分ができない。例えば産科の、妊娠中の女性に出してはいけない薬の基礎的な把握ができていない。そういう救急病院に行きたいと思うかというと、行きたいと思われないと私は思うんですね。したがって、スーパーローテート方式をとっていくことの意義をこれまで重しと厚生労働省は思っていたわけですから、これを拙速に見直すことについての私は異議を申し立てているわけです。

 それからもう一つは、大学病院の現状についての話です。

 先ほどもお話ししましたけれども、この中で、「大学病院の若手医師が実質的に不足する状況となった。このため、大学病院が担ってきた地域の医療機関への医師の派遣機能が低下し、地域における医師不足問題が顕在化・加速するきっかけとなった。」という文言があります。私は、これについても違和感がありまして、先ほどもお話をしましたけれども、大学病院が、本来医師でなくてもできる機能をきちっとそれぞれの職能、職域に応じて分担していれば、今の医師の数でも今の人不足がかなり改善できるのではないかという思いを持っているわけなんですね。

 そういう意味で、この「募集定員や受入病院のあり方の見直し」の中で、「大学病院等の地域への医師派遣実績等も勘案した上で、当該都道府県の募集定員の上限と必要な調整を行って設定する。」つまり、大学病院にぜひ配慮をして定員を配分しましょう、こういうような考え方が示されているわけですが、大学病院の改革をきちっとやってもらってからでないと、結論として、先ほどお話をした、雑務、雑用に使う人件費の安い人物がいないから、研修医よ、戻ってこいという話になるのではいけないし、若い医師は医局の指示になかなか背けませんから、自由意思ですというけれども、これは自由意思とはかけ離れた、やはりそこに縛りがあるのも皆さん御承知のとおりですから、そこをきちっと、正しく集め、大学病院の改革ができてからこの話を進めるということをはっきりお話しいただきたいと思うわけです。

徳永政府参考人 今回の卒後臨床研修の見直しにおきましても、先ほど厚生労働省の方から御答弁ありましたように、二年間の研修ということが変わっているわけではございません。研修二年目におきまして、一カ月の地域医療の研修とともに専門の診療科の研修を行うということでございますが、医師としての人格の涵養あるいは基本的な診療能力の習得という、現行の臨床研修制度の基本理念と到達目標が維持されているわけでございます。

 したがいまして、私どもとしても、大学病院等で専門的研修を行う場合であっても、あくまでも臨床研修制度の趣旨にのっとり研修を行うものであり、御指摘のように、言葉は悪いわけでございますが、いわば雑務をさせるというようなことがあってはならないものと考えております。

 私どもとしては、こうした趣旨を踏まえまして、各大学が魅力ある研修プログラムを提供するよう強く求めていきたいと思っております。

岡本(充)分科員 この検討会の座長の高久先生は、医師不足対策として効果が出るかどうか今のところはわからないとコメントされたり、聖路加病院の院長の福井先生も、「大学病院に集まる研修医が減ったのは、大学が魅力ある研修プログラムを提供していないということではないか。」というふうに言われたりしている。

 その一方で、同じ委員でもある岩手医科大学の学長の小川先生は、「大学に多くの若手医師が集まり、二年目以降は専門科研修に専念できるようになれば、現場のマンパワーとして活用できる」、こう言っているわけですね。この「活用」が非常に気になるんですけれども、岩手医科大学は、注射とか雇用関係とか、きちっとなっているんですか。

徳永政府参考人 ちょっと今、具体的な大学の状況については確認をしております。また後ほど御答弁申します。

岡本(充)分科員 では、その間に、次の話に行きたいと思います。

 私立大学のいわゆる資産運用の件についてちょっとお尋ねしたいと思います。

 昨年来、報道等でも出ていますように、各私立大学で資産運用に大きな損失を出している。厳しい経済状況ですからなかなか資産運用がうまくいかなかったという話なんでしょうけれども、報道では、駒沢大学の事例、それから南山学園の事例、愛知大学の事例等が出ておるわけですけれども、各大学に多くの損失が発生することになると、場合によっては学業の継続が難しいというような状況になっては困るわけであります。私、昨年の国会で、質問主意書でこの点質問をさせていただきましたけれども、当時はまだ年度途中だからわからないという趣旨の答弁でありました。

 これは、来年になって、急遽学生の学業継続のために国が支援をしなきゃいけないというような話になっては大変、一大事でありますから、今どのくらいいわゆる損失を抱えているのか、百億円を超えるような損失を抱えている学校法人もあるという話でありますから、早急に調査をしていただいた方がいいのではないか。平成二十一年の予算を組むに当たって、そういう事態になって、お金がないという話になるわけにはいきませんから、ぜひ大臣、こういう事態ですから、昨年の十二月三十一日現在でも結構ですから、各学校法人がどういった損失をお抱えなのか、お調べいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

河村政府参考人 委員からお話がございましたように、本年度の資産運用の状況も含めた財務状況は、いまだ決算が行われていないという状況ですので、承知をしていないわけでございます。決算が済みますと、これは、私学振興助成法の規定によりまして、補助対象学校法人が、会計年度終了後その財務に関する書類を作成して、会計年度の翌年度の六月末までには届け出をいただくということになっているわけでございます。

 ただし、私ども、毎年度五十程度の所轄の学校法人を対象に実地に調査指導を行う、学校法人運営調査の仕組みを持っておりましたり、また、私どもや私立学校振興・共済事業団の担当部署が実施する相談を通じまして動向の把握というものには努めているところでございます。その中で、これまでに資産運用に関して学校法人から自主的に御報告を受けた事例として、学校法人駒沢大学ですとか学校法人南山学園、学校法人愛知大学などの事例がございます。

 資産運用ということ自体は、基本的には各法人の責任において行われるものでございますので、まず、個々の学校法人がみずからの責任でみずから点検してもらうことが最も重要と考えておりまして、一月に通知も出しまして、しっかり資産運用の再点検や所要の規定整備などの措置を求めたところでございます。

 私ども文部科学省としては、今年度決算終了後に、できるだけ早い機会に概況をつかめるようなことができないかということは検討したいと存じております。

岡本(充)分科員 それだと三月三十一日を越えてしまう。この予算はもう月内にも上げたいと内閣としてお考えだというふうに私は報道等で聞いておりますから。

 であれば、やはりどのくらい損失があるのかないのか。こんな百億円を超えるような損失をどの大学も次々出してきて、学業継続ができないという話になったらこれは一大事なんですから。幾つかでもいい、今のお話で五十ぐらい調べるだけでもいいですけれども、ぜひ、実態を少し、これは全部自主的に聞いた話ですから、文科省としても、大臣、ちょっと一回検討してもらえませんか。

塩谷国務大臣 かなり厳しい実態があるという話もあるようですが、いずれにしましても、実態調査は進める中で、予算と関連するかどうかはこれまた、そういうことを踏まえてどこまで予算として計上できるかというのは、なかなかこれは難しい話だと思うんです、現実は。

 ですから、調査はしっかり進めて、それに基づいてできる対応をしてみたいと思います。

岡本(充)分科員 ぜひ早急に調査をして御報告をいただきたいと思うんですが、じゃ、イエスかノーか、短くお答え、早急に調べるという方向でお願いはできるんですか。

塩谷国務大臣 各大学の財務状況がありますので、どこまで調べられるかわかりませんが、できる範囲でやってみたい。

岡本(充)分科員 それでは、先ほどの答弁をお願いしたいと思います。

徳永政府参考人 手元に詳細なデータがございません。今、簡単に手計算で積み上げただけでございますが、例えば翼状針につきましては、原則医師というものが二十五診療科のうち四診療科、原則看護師というものが二十五診療科のうち十二と、ちょっと数が、若干合わなくなっております。そういったことを詳しくきちんと調べまして、また後ほど先生の方に御報告申し上げたいと思います。

岡本(充)分科員 学長の意向がそうでないにしても、そう受け取られるような実態があるのではやはりまずいということを私は指摘しておいて、最後に一点。

 大臣、大学病院の今置かれている苦境もぜひお知りをいただきたいというか、もちろんお知りいただいているんだろうと思いますけれども、医業収益と医業支出のバランスがある程度とれている中でも、債務償還でかなり大きな足かせをはめられて、各国立大学病院が苦心をされてみえます。そういう意味で、苦戦苦闘中のそれぞれの大学病院の実態、特に建設コストがかなり高かったんじゃないかという思いも私は持ちながら、それぞれ、もちろんいい病院をつくられたということではありますけれども、今後、その建設にかかわったコストを含め、それから債務の状況を含め調べていきたいと思います。

 ぜひ、文科省としても、まだちょっと資料がきょうの段階でできなかったということで、きょうは質問にのせませんでしたけれども、私は調査を進めたいと思いますので、御協力いただけるかどうか、大臣としてもお返事をいただきたいと思います。

田野瀬主査 簡潔に。

 塩谷大臣。

塩谷国務大臣 その件については、今後、私どもとしてもしっかり対応していかなきゃならぬと思っておりますので、いずれにしても、債務の問題と、あと、運営費交付金とかいろいろなもので対応する中でどう支援できるかということも私ども必要だと思っておりますので、調査についてはまた具体的な要請をしていただければと思います。

岡本(充)分科員 ありがとうございました。

田野瀬主査 これにて岡本充功君の質疑は終了いたしました。

 次に、三日月大造君。

三日月分科員 民主党の三日月大造です。

 塩谷大臣、お疲れさまです。また、御就任おめでとうございます。国土交通委員会で一緒にやっておりましたので、大変御期待を申し上げております。子供たちの今と日本の未来がかかる文科省は大事だと思いますので、どうか頑張ってください。

 きょうは、学校図書館の充実、活用促進についてお伺いをし、御提案をし、問題提起をしたいと思います。

 もう言わずもがなですけれども、本を読むことというのは個人の人生を豊かにしますし、同時に、やはり国の富や力を高めることにもつながると思うんです。それぞれの御家庭やそれぞれの図書館で本に触れていただくということを、それぞれもうやられていると思うんですが、ちなみに大臣、文科大臣として学校図書館へ行かれたことはありますか。

塩谷国務大臣 文科大臣としてですか。(三日月分科員「はい」と呼ぶ)一回、視察で学校へはお邪魔したことはありますが、そのほか、その以前にもまだ、副大臣をやったりしていましたので、かなり現場は訪問したことがあります。

三日月分科員 時期によっても違う、地域によっても違うのかもしれませんが、学校図書館にどんな印象、そしてどんな期待をお持ちになっていらっしゃいますか。

塩谷国務大臣 やはり子供たちがいろいろな本に接するということが大事だと思っておりますので、できるだけ子供たちがいつでも入れて利用できるような雰囲気を期待しておるわけですが、場所によって大分内容の違いがあるなというような実感を持っておりますので、そういった点をまた改善していくべきだと考えております。

三日月分科員 そうなんです。私は、毎年というか極力小まめに、学校に行ったときには図書館に行こうと思って行っているんですが、地域によっても違います。端っこにあるんです、小中学校の端に、校舎の端っこの方に。かつ、かぎがかかっている図書館が多いんです。ですから、場所的なこと、後でもまたいろいろと言いますが、人的なことも含めて、文科省として、いろいろな課題、取り組みがあると思うんですけれども、一つ学校図書館に着目をして、どうしたらもっと利用してもらえるのかなということについて、期間を定めて集中的に取り組むということがあってもいいんじゃないかと思うんです。

 そういう観点で、幾つか状況についてまずお伺いをいたしますが、図書整備の状況、標準に比べての評価も含めて、どう把握されていますか。

金森政府参考人 文部科学省では、公立の小学校や中学校の蔵書につきまして、学校規模に応じた整備目標を示す学校図書館図書標準を定めているところでございます。

 私どもの調査によりますと、平成十八年度末において、学校図書館図書標準を達成している学校の割合は、小学校四二・〇%、中学校三六・八%でございまして、毎年ふえてはいますものの、学校図書館図書の整備は必ずしも十分に進んでいるとは言えない状況だと考えております。

三日月分科員 なかなか進んでいるとは言えない状況の報告をそんな、にこにことしてもらってはあれなんですけれども、大臣、私、資料でつけさせていただいて、二ページ目と三ページ目なんです。縦書きの三ページ目を見ていただく方がいいんですかね。

 おっしゃったように、小学校で四二%、中学校で三六・八%なんです。達成した学校がそれぞれ四二%、三六・八%あるんですが、実はこれは、達成しているところも、どういう状態になっているか御存じですか。冊数を調べられるから、達成せなあかんから捨てたらあかん、捨てたらあかん、ぼろぼろになっても古くなっても残しておけ、残しておけ、冊数にカウントせなあかんからということになっているんです。

 ですから、ぜひこの改善を、ちょっとずつしていただいているのかもしれませんが、進めていく必要があると思うんですけれども、大臣、これが進まない原因はどういうところにあると思っていらっしゃいますか。

 例えば、今私が配った資料の一ページ目を見ると、学校図書館関係予算が物すごい減っているんですよ。恐ろしいほどずっと減っているんです。もちろん、ほかの事業で補てんをされているのかもしれませんが、このあたりももう一回点検して、おい、どないなっとんねん、もっとふやそうやないか、財務省に立ち向かおうやないか、酒飲んでる大臣が向こうにおるのやということも含めて、びしっと見ていただきたいと思うんです。

 まず、状況について、原因についてどのようにお考えになられますか。

塩谷国務大臣 私も実感として、いろいろなデータを見ると、まことに残念な思いでありますが、基本的に五カ年計画で今までやってきまして、十八年までの五カ年計画については、毎年百三十億の総額六百五十億ということで地方財政措置を講じております。

 今お話があった、古くなったものを捨てないでそのまま冊数、それは買いかえ予算ということを考えないできたものですから、そういうことを考慮して、十九年度から新しい五カ年計画を立てて、これは、今まで百三十億だったのを年間約二百億で総額一千億ということにしまして、財政措置を講じたところでございます。

 したがって、これに伴って地方自治体がその予算措置を、計上してやっていただければいいわけですが、そこがなかなかうまくいっていないというのが現状でございますので、さっき委員がおっしゃったように、一つの期間を設けて見直すとか徹底するとかということが何か必要なのかなというのは、この現状からして私も感じているところでございますので、またそういうことも検討してまいりたいと思っております。

三日月分科員 文部科学省として、我が国日本として、小中学校の学校図書館をどうしようと思われていますか。どんな学校図書館にするべきだとお考えですか。

塩谷国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたが、やはり子供たちがいつでも使えるような、そしてもちろん、標準がありますが、できるだけ多くの図書が設置されていて、いろいろな本を使えるような、読めるような状況が望ましいと思っております。何はともあれ、そこへ行ったら子供たちが要求するような本がそろっていて、入りやすいというところが一番だと思っております。

三日月分科員 いつでも利用できるようにしよう、そして、極力多くの本に触れられるようにしようという大臣のお考えが示されて、これは物すごく大事だと思うんですけれども、そのための文科省の取り組みはどうなんですかと問うたところ、二ページの右側にある活用高度化というのが出てきたんです。活用高度化、活性化推進総合事業、二十一年度予算額一億三千四百万円。これで活用推進につながりますかね。いつでも利用できる状況になりますかね。

 もしくは、平成十九年度から五年間で図書標準の達成を目指すという左側の新しい五カ年計画。今大臣がおっしゃった、更新冊数分として百二十億円の地財措置を講じたというこの取り組みで、いつでも利用できる学校図書館になりますかね。どうでしょう。

塩谷国務大臣 すぐにとはいかないまでも、その目標に向かってまずは五カ年計画ということでございますから、やはり、先ほどお話ししたあるべき姿というものを一つしっかりと目標を決めて、そして、そこにどういうふうな形で達成できるかということを考えていかなければならないと思いますので、ちょっと私もここら辺をもう一度見直して、また今後の政策に対応していきたいと思っております。

三日月分科員 今また新しい御決意もいただいて、目標を決めてとおっしゃっていただきました。

 ですから、いつまでに、いつでも入れる学校図書館、そして多くの本に触れられる学校図書館ということを文科省として定めていって、それをゴールにいろいろな予算や手当てをしていく必要があると思うんです。

 もう一点、現状を確認しますと、人の配置です。いつでも利用できるようにしようと思ったら、かぎのかかった図書館じゃだめなんですよ。かつ、やはり図書館には人がいるという状態が望ましいと思うんですが、こういう状況になっている図書館はどれぐらいありますか。人の配置。局長で結構なので。

金森政府参考人 学校図書館における人の配置についてでございますが、まず、司書教諭に関しましては、学校図書館法の規定により、十二学級以上の学校には置かれなければならないこととされておりまして、平成十九年五月現在、十二学級以上の学校では、ほぼすべての学校において司書教諭が発令されております。ただ、十一学級以下の学校も含めた全体の状況で申し上げますと、司書教諭を発令している学校の割合は六割程度となっているところでございます。

 一方、学校図書館担当の職員につきましては、地方の実情に応じて配置がなされており、その配置の状況は、小学校で三五・七%、中学校で三七・一%となっているところでございます。

三日月分科員 そうなんです。その答弁書にも書いてあるとおりで、私の資料の四ページのところに、今御説明の基礎資料となったデータの表を入れさせていただいているんです。

 今ごらんいただいているのは担当職員さんの方です。その上の方が司書教諭の発令状況なんです。確かに、言われたように、法の定めによるところは九八%。しかし、法の定めのない十一学級以下の学校を含めると六一・五%。ただ、大臣、これは兼務なんです。ほかの例えば何年何組の担任の先生が兼務で、もしくは数学の先生が兼務でこの司書教諭をやってはるんですよ。だから、もちろんその中でも一生懸命やってくれてはる先生もいるんですよ。ところが、どうしても手薄になってしまったりしている現状があります。

 まず一つ、この人の配置を早急に、さっき大臣がおっしゃった目指すべき学校図書館に向けて、いつでもあけておける、子供たちが寄れる学校図書館にするために、おい、もっと置こうやないかと。置いてくださっている担当職員の状況を見ると、小学校で三五・七%、中学校で三七・一%しかないんですよ。非常勤の方も非常に多いという状況なので、ここをまず第一に目標を決めて、手当てしようということにしませんか。大臣、いかがですか。

塩谷国務大臣 今の配置の状況というのは、この数字のとおりで、まだまだ全体には至っていないというところと、兼務というところがありますので、何とか専門のそういう人の配置をしていくということは、今後当然考えなければならないと思っておるわけでございます。

 そういう点では、私ども、まずはいわゆる学校全体の定員の改善、こういう点については毎年努力をしておりますが、来年度は教員の定数の改善、千名、そして退職教員や外部人材の活用として一万四千人ということ、さらには、学校支援地域本部を通じた学校ボランティアの活用を促進しておりまして、こういった施策を講じることによって、図書館に対する人の配置も少しずつふやしていかなければならないと考えております。

 こういった点は、だれもがいつでもという目標からすると、これもまたある程度具体的な計画を立てて、今後人的な増員をしていかなきゃならぬと考えておりますので、そういった点に対して、先ほどの目標の中に人員のことも含めて考えてまいりたいと思います。

三日月分科員 ここは国会ですので国のことを問うていますが、しかし、この取り組みが進むか否かは、やはり地域の市町村の取り組み、教育行政も大事だと思うんです。

 そういう意味で文科省の皆さんに問うたところ、四ページの下の右側にありますように、先ほど大臣がおっしゃった、昨年度、平成十九年度からやっている、いわゆる更新のためのお金もつけたよね、毎年二百億ずつ地財措置をするよ、交付税措置をするよと言ったにもかかわらず、昨年度は七八・〇%しかその措置ができていない。要は、市町村の中でその予算計上ができていなかったという事態になっているんです。

 そうすると、これは結構異例なことで、それまでは、地方交付税の額が少なかったにもかかわらず、それを上回る額で市町村が取り組めてきたのに、さあ、額も増額、更新分もふやしたといってさらに強化した年から、地方の措置額がそれについていけていないという状態になっているんです。

 大臣、この現状は、もちろん財政難ではあるんですけれども、国として旗を振って施策をやっているのに地方がついてこれていないというこの状況、もちろん総務省の関係やいろいろな問題があるのかもしれませんが、やはりちょっとゆゆしき事態だと思うんです。どうお考えになられますか。

金森政府参考人 御指摘ございましたように、新しい五カ年計画では、単年度約二百億円の地方財政措置が講じられているところでございますが、これが実際に図書購入費に充てられるためには、各市町村で予算化を図っていただく必要がございます。

 私ども文部科学省では、市町村における平成二十一年度予算の編成作業が始まる昨年夏までに「学校図書館のチカラを子どもたちのチカラに」というタイトルのついた広報ポスターやリーフレットの作成、配布を行いまして、学校図書館の図書整備の必要性について、各自治体や国民一般に向け広報啓発を進めてきたところでございます。

 また、本年度末に向けましては、各市町村の公共施設などで配布できる広報チラシを作成いたしまして、学校図書館に対するより一層の理解の増進を図ることとしております。

 こうした取り組みを通じ、各市町村における図書整備の取り組みを促してまいりたいと考えているところでございます。

三日月分科員 現実、そうなんです、大臣。こういう状況になっていまして、それで、今局長がおっしゃったのは、こういうパンフレットとポスターをつくらはったらしいんですよ。こういう事態だから、市町村なり学校にぜひやってくれということでやられて、これは結構いいチラシなんです、読めば。

 ところが、少なくとも私が行った学校では、こんなチラシの存在は知りませんでした。要は、やはり現場で知られないと、よし、やろうという取り組みにならないと、積み上がった予算には反映してこないという状況になると思うんです。もしかしたら、読まれていて、もう覚えていらっしゃらないという状況もあるのかもしれませんが。

 ちょっとこの部分も、来年度の予算、大丈夫かと。もちろん我々は我々で、地方議会でまた仲間の議員を通じてチェックをいたしますが、国としてトータルで積み上げたときに、きちんと所要の図書購入費が計上できているかということの点検をぜひ国としてもやらなあかんと思うんですけれども、もう半分ですからね。どう思われますか。

塩谷国務大臣 国としてそういった予算をしっかりと計画しているわけでございますので、今後、地方においての予算計上もしっかりとチェックをして、実際にこの計画どおり進めるように努力をしてまいりたいと思っております。

 それから、そういうチラシとかパンフレットももう少し、今指示したのは、ポスターをつくって張っていけるように、いつでも、だれもが見られるようにした方がいいんじゃないかという指示もしたところで、もちろんそれは内容は大変よかったと思いますが、より一層そういった啓発を進めるためにまた努力をしてまいりたいと思います。

三日月分科員 これはぜひ努力しましょう。これは与党、野党ないですよ。国を挙げてぜひ本を読もうやないかという運動を、いろいろな形でやられているんだと思うんですけれども、とりわけ学校では、いつでも手にとれるでということをつくっていってやる必要があると思うんです。

 ちなみに、私が今週行った学校では、バーコードはついているんです。ところが、パソコンがないんです。そうすると、どの本がどういう状態にあるかというのはわからないんです。バーコードまでは頑張ってつけたんですよ。

 国においては、国会図書館を中心に、公共の図書館とネットワークでつながっているというようなシステムもあるんです。例えばここに学校図書館がリンクをして、頑張ってIT化、コンピューター導入といって各学校にコンピューターの設置をしているわけですから、残念ながら、そのコンピュータールームもかぎが閉まっていて、いつでも行けないという状態なんですけれども、例えば統合して、こういう公共のデータベースとつないで、学校ではいつでもどこにどんな本があるということがわかる状態をつくる。アメリカのオバマ大統領は、この図書館のネットワーク化というのも今回言っているんですね。

 国として、図書館のネットワーク機能を高めようやないか、学校の図書館を充実させようやないかということを言ってみたらどうですかね。そのための具体的な措置を進めていったらどうですかね。御感想を。

塩谷国務大臣 大事な御指摘だと思っております。

 いずれにしましても、学校の図書館に限らず、公共の図書館も含めて、例えば読書週間とか、いろいろな本に触れようということの試みが行われておりますので、そういった点で、今おっしゃったようないろいろな、インターネットで連携するとか、そういうことがまことに、やればできるようなことが行われていないと思っているんですね。ただ、どこまで必要かということも我々は判断しなきゃなりませんが、いずれにしても、学校あるいは地域の図書館等の連携、今国会の話がありましたが、そうった連携ができればもっともっと大変活用が広がると思いますので、ぜひ一度、何がどこまでできるかということを検討していきたいと思います。

三日月分科員 そういう意味で、例えば、システムの環境としてどうなんだろうか、人的な環境としてどうなんだろうか、資源である本の状態としてどうなんだろうかという観点から、これは、今ちょうど整備の五カ年計画をやって増額もしているんだから、それが半分経過しようとしている段階なので、一度、例えば、市町村の担当者を集めて、もしくは各地域に出向いていって、実態はどうなっているのかな、あと何が足りひんのやということの調査をしてみるというのはどう思われますか。

 ポスターをつくって東京から発信してぽいと、張ってくれよというだけじゃなくて、実際どうでっしゃろ、私らはこんなことを考えてやってんねやけど、現場でどうなっていますかということを、ずっと実態を調査するという取り組みがあってもいいんじゃないかなと思うんです。

塩谷国務大臣 やはり実態を把握することは一番大事だと思っておりますので、現状、その調査を進めてまいりたいと思っておりますが、二十一年度の予算について、新たに学校図書館活性化推進総合事業というものを創設して、図書館の活用高度化に向けた調査研究を進めるということで二十一年度予算に計上しておりますので、そこでまずはしっかり取り組んでまいりたいと思います。

三日月分科員 今おっしゃった予算は、十八地域ずつの合計三十六地域の活性化推進総合事業なんですね。残念ながら、全国に数十万ある小中学校の中で十八地域だけなんですね。欲を言えば、求めれば切りがないのかもしれませんが、段階的にやろうということであれば、それが本当にきちんと効果的に行われているということを私は期待したいと思うんです。

 経過はどうであれ、新しい小学校学習指導要領をつくって、今、この要領に基づく教科書なりつくられている段階だと思うんです。これはいつからでしたか。平成二十三年度から新しいこれに基づく教科書が出てくるんでしょう。

 これは大臣も読まれたと思うんですけれども、教育基本法を含め、法改正からこの要領改訂に至る経過は別としまして、例えば小学校の国語というところを見ると、「読むこと」というところに「本や文章を選んで読むこと。」三年生、四年生も「本や文章を選んで読むこと。」五年生、六年生に至っては「複数の本や文章などを選んで比べて読むこと。」と書いてあるんですよ、小学校のもの。

 これは今までの学習指導要領にはなかったんです。こういう学び方が必要だということをここで書いて、それに基づく教科書をつくったり、いろいろな教え方を、カリキュラムをつくっていくんですから、やはり、資源面、ハード面の学校図書館、当然、選んで比べて読むなんていったら、一番近いのは学校の図書館なんですよ。こういうものの充実を図るいいチャンスだと思うんですけれども、いかがですか。

塩谷国務大臣 新しい学習指導要領に今お話しいただいたような内容で明記をされておりますので、当然ながら、それに伴っていわゆる施設環境整備をしていかなきゃならぬと思っております。したがって、そのことも踏まえた調査をして、これは今、地域的にはごく限られた調査になっておりますが、できる限り今後、先ほどの目標を決めてということとあわせて、しっかりと調査をしてまいりたいと思います。

三日月分科員 いつまでに、どの状態にするために何をするということについて、来年度の活用高度化の事業も含めて取り組むということでお伺いをいたしましたので、その確認はこれからしていきたいというふうに思います。

 それで、図書館を充実させて利活用を推進していこうと思ったら、入り口になるのはやはり国語の教育じゃないかなと思うんです。いろいろなことを学校では勉強してほしいんですが、とりわけすべてのことの基礎になる国語、小中学校の国語、特に小学校低学年の国語というのは大事だと思うんです。

 時間もないので御説明すると、私の配った資料の六ページに、さっき申し上げた指導要領の改訂で国語の時間数をふやしています。他の科目についても、言語教育というものの重要性を強調し、これから取り組もうとされておりますが、この国語教育強化、私はこれよりももっと強化する必要があるんじゃないかなと。

 個人的に申し上げれば、指導の状態もまちまちになってしまうであろう外国語の教育よりも、むしろ私は日本語、国語の教育に力を注いでいくべきだと考えるんですが、この点についての認識、取り組み、お伺いできますか。

塩谷国務大臣 国際的な学力調査、PISAの状況においても、我が国の読解力が低下傾向にあるということで、その課題を認識しておりますが、新しい小中学校の学習指導要領の国語科において、今おっしゃったように、小学校の低学年あるいは中学年、中学校の第二学年で授業時数をふやすとともに、報告や批評など言語活動の充実を図っております。同時に、国語科以外、各教科においても説明や論述といった言語活動を積極的に取り入れ、学校教育全体で国語力を育成することとしております。

 今後とも、新しい小中学校学習指導要領の周知徹底を図るとともに、総合的な国語力向上に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

三日月分科員 最後に、時間もなくなりましたので提案をしたいと思うんですが、国語教育を充実させていくために、そこから例えば本を読むことだったり、生徒指導上だったり、人生が豊かになったり可能性を伸ばせたりということにつなげていくために、ぜひとも今から申し上げる三つのことをちょっと聞いておいていただければと思うんです。

 まず一つは、今つくっている教科書、この教科書で、ああ、読みたいなと思える教材が含まれるように、ぜひ目を光らせていただきたいというか、いろいろなところに呼びかけていただきたい。

 それと、今、例えば日本語の学び方とか国語の学び方、いろいろな特区でやられていますね。指導要領以上の時間数を国語に当てたりしてやられているところ、そこの成果や何かもぜひ把握をするべきだと思います。

 三つ目は、やはり小中学校で本を読もうと思ったら、幼稚園、保育園なんですよ。幼稚園、保育園でどれだけ先生に読んでもらっているか。まあ家庭も含めなんですが、そういうところの教育がどう結びついていくのか、どう改善できるのかということについても、ぜひこの調査の中で御検討いただきたいと思います。

 その点、もう答弁は求めませんが、ぜひ大臣も、そして局長も担当者の皆さんも、お含みおきをいただいて取り組んでいただくことを求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

田野瀬主査 これにて三日月大造君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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