衆議院

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第1号 平成23年2月25日(金曜日)

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本分科会は平成二十三年二月二十三日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      石毛えい子君    泉  健太君

      郡  和子君    中根 康浩君

      菅原 一秀君    下地 幹郎君

二月二十四日

 泉健太君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十三年二月二十五日(金曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 泉  健太君

      網屋 信介君    石毛えい子君

      磯谷香代子君    郡  和子君

      中後  淳君    中根 康浩君

      福島 伸享君    藤田 憲彦君

      山口 和之君    山崎  誠君

      湯原 俊二君    加藤 勝信君

      菅原 一秀君    下地 幹郎君

   兼務 柴山 昌彦君 兼務 橘 慶一郎君

   兼務 福井  照君 兼務 佐々木憲昭君

   兼務 照屋 寛徳君

    …………………………………

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   内閣府副大臣       平野 達男君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   総務大臣政務官      森田  高君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 高倉 信行君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       福岡  徹君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    川田  司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           加藤 重治君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            磯田 文雄君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            倉持 隆雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       石井 信芳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森岡 雅人君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  外山 千也君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  宮島 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  榮畑  潤君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 香取 照幸君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 佐々木 基君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 原  徳壽君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  石毛えい子君     湯原 俊二君

  中根 康浩君     磯谷香代子君

  菅原 一秀君     加藤 勝信君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     平  智之君

  湯原 俊二君     福島 伸享君

  加藤 勝信君     菅原 一秀君

同日

 辞任         補欠選任

  平  智之君     藤田 憲彦君

  福島 伸享君     加藤  学君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤  学君     山口 和之君

  藤田 憲彦君     中後  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  中後  淳君     山崎  誠君

  山口 和之君     網屋 信介君

同日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     石毛えい子君

  山崎  誠君     中根 康浩君

同日

 第一分科員橘慶一郎君、照屋寛徳君、第三分科員柴山昌彦君、第八分科員福井照君及び佐々木憲昭君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十三年度一般会計予算

 平成二十三年度特別会計予算

 平成二十三年度政府関係機関予算

 (厚生労働省所管)


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     ――――◇―――――

泉主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、厚生労働省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算及び平成二十三年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、政府から説明を聴取いたします。細川厚生労働大臣。

細川国務大臣 おはようございます。

 平成二十三年度厚生労働省所管一般会計及び特別会計予算の概要について説明をいたします。

 平成二十三年度厚生労働省所管一般会計予算の総額は二十八兆九千六百三十八億円であり、平成二十二年度当初予算額と比較いたしますと一兆四千七十七億円、五・一%の増加となっています。

 以下、主要施策について説明いたします。

 第一に、これからの社会を担う子供の健やかな育ちを社会全体で支援するため、子育てに関する支援策を充実させるなど、総合的な子ども・子育て支援を推進していきます。

 第二に、公的年金制度は国民の老後の安定した生活を支えるセーフティーネットであり、安心、納得できる年金制度の構築に向け、基礎年金国庫負担二分の一を維持するとともに、年金制度改革への取り組みを進めていきます。

 また、年金記録問題については、国家プロジェクトとして、平成二十二年度に引き続き、解決に向けた集中的な取り組みを進めていきます。

 第三に、現在の雇用情勢は依然として厳しい状況にあり、ハローワークの職業紹介、雇用保険、雇用管理指導等の充実強化に向け、求職者支援制度の創設など積極的な就労・生活支援対策、非正規労働者の正社員化の推進、職業能力開発の充実強化を図っていきます。

 また、若者、女性、高齢者、障害者等の就業実現や地域対策等、ニーズに応じたきめ細やかな支援策を実施し、雇用の量の拡大を図っていきます。

 第四に、各医療保険制度に関する必要な経費を確保し、国民皆保険制度を堅持していきます。

 また、医師等の人材確保対策、救急医療、周産期医療の体制整備、革新的な医薬品、医療機器の開発促進等を通じ、質の高い医療サービスを安定的に提供していきます。

 第五に、働き盛り世代へのがん予防対策を強化するなど、がん対策を総合的かつ計画的に推進するとともに、肝炎治療や肝炎ウイルス検査を促進するなど肝炎対策を推進していきます。

 また、難病などの各種疾病対策、移植対策や生活習慣病対策を推進するとともに、新型インフルエンザ等感染症対策や健康危機管理対策の強化、医薬品、医療機器の安全対策の推進等を図っていきます。

 さらに、国民の健康被害防止のために、輸入食品の安全対策、残留農薬、食品汚染物質、容器包装等の安全性の確保など食品安全対策を推進していきます。

 第六に、高齢者が要介護状態になっても住みなれた地域で安心して過ごすことができる環境を整備するため、地域包括ケアを推進するとともに、安定的な介護保険制度運営の確保や地域の介護基盤整備等を通じて、安心で質の高いサービスの確保を図っていきます。

 第七に、障害があっても当たり前に地域で暮らし、地域の一員としてともに生活できる社会を実現するため、良質な障害福祉サービスの確保や地域生活支援事業の着実な実施、精神障害者や発達障害者等への支援施策の推進等を図っていきます。

 第八に、国民が未来に対し希望を持って安心して働くことができる社会の実現のため、最低賃金の引き上げ、ワーク・ライフ・バランスの推進、労働者の心身の健康確保のための対策等を実施していきます。

 第九に、被保護者の自立支援に向けた生活保護制度の適正な実施、住居、生活相談などが一体となった貧困・困窮者への支援、住宅手当の支給や自殺・うつ病対策の推進等により暮らしの安心を確保していきます。

 以上のほか、世界保健機関や国際労働機関等を通じた国際協力の推進、外国人労働問題等への適切な対応、戦傷病者、戦没者遺族、中国残留邦人の援護、原爆被爆者対策等の諸施策を推進していきます。

 なお、委員各位のお手元に資料が配付されておりますが、一般会計予算の主要経費別の概要及び特別会計予算については、お許しを得て、説明を省略させていただきます。

 今後とも、国民生活の保障、向上と雇用の安定を図るため、厚生労働行政の推進に一層努力してまいりますので、皆様のなお一層の御理解と御協力をお願いいたします。

泉主査 以上をもちまして説明は終わりました。

    ―――――――――――――

泉主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑時間はこれを厳守され、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局には、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湯原俊二君。

湯原分科員 おはようございます。民主党の湯原俊二です。

 質問に早速入らせていただきます。きょう、私、児童虐待について時間の許す限り質問できたらなというふうに思っているところであります。

 児童虐待の相談件数は、厚生労働省の数字をいただきますと、平成二年度、相談件数として千百一件でありました。これが急増しまして、平成二十一年度では四万四千二百十一件。実に、十九年間で約四十倍相談件数が急増している、こういう状況であります。また、児童虐待の事件の検挙数は三百三十五件、これが一番直近のデータであります。もちろん、潜在化している、表に出ていないものもこれ以外にも当然考えられると私は考えております。

 また、大変痛ましいことでありますけれども、児童虐待によって子供たちが殺された、死亡した児童数でありますけれども、平成十六年が年間で五十一人の子供が殺されている。平成十七年では三十八人、平成十八年では五十九人、平成十九年では三十七人、平成二十年では四十五人、平成二十一年では二十七人、もう毎週のように子供たちが殺されていっているという残念な実態であります。その子供たちは、その加害者である親しか知らずに、そして逃げることもできずに、最終的にはその親に殺されていっている、こういう状況であります。

 私、以前から考えておりますのは、持論として、社会のストレスというものが非常にたまってきている、その社会のストレスというのは弱い方に弱い方に流れていっているのではないかなというふうに考えております。例えば、職場でもそうでありますし、学校でもそうである。家庭でも、弱い方に弱い方にそのストレスが流されていっている。最終的に、児童虐待で大変痛ましい状況になっている子供たちに社会のストレスがはけ口のように流されていっているのではないかなというふうに思っているところであります。

 なぜ児童虐待が急増していくのか、そして、それを食いとめることができないのか。もっともっと施策を打つべきというふうに私は考えているところであります。

 さて、その食いとめるための対策でありますけれども、まず一つ目として、子育て支援、養育の過程の親御さんへの支援のところからまず考えていかなければいけないんじゃないかなというふうに思っております。

 今、地方自治体では、乳児家庭全戸訪問事業、いわゆるこんにちは赤ちゃん事業によって、母親の子育て支援、そして同時に、何か児童虐待とかといった異常がそこに見受けられないかといった訪問事業をされております。児童虐待というものの大部分が親のネグレクト、つまりは養育拒否でありますので、子育てサークルやファミリーサポートセンターなど、子育てにストレスをためさせないための対策が今行われようとしておりますけれども、一方で、もう一つは、出産した母親の十人に一人が産後のうつ病と言われておりますので、その辺の対策もぜひしていかなきゃいけない。

 つまり、子育ての分野での予防策について、より推進していかなければいけないんじゃないかなと思いますけれども、その点についてお聞かせ願いたいと思います。

高井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、児童虐待に至る前に早目に家庭に支援をするということによりまして、育児不安や孤立化を防ぐことが児童虐待の予防につながると考えております。

 このために、子育て中の親子が気軽に集い、交流、相談ができる地域子育て支援拠点事業の推進、また、地域において子供の預かり等の援助を行いたい人と援助を受けたい人との相互援助活動の連絡調整を行うファミリーサポートセンター事業の推進、先生御指摘の乳児家庭全戸訪問事業、いわゆるこんにちは赤ちゃん事業でありますけれども、生後四カ月までの乳児がいるすべての家庭を訪問する事業、これを推進する、さらに、乳児家庭全戸訪問事業によりまして把握した支援が必要な家庭に保健師等が継続的に訪問して育児の支援を行う養育支援訪問事業の推進、こういったいろいろな取り組みによりまして、子育てしやすい環境の整備を進めているというところであります。

 またもう一つ、産後うつの御指摘がございましたけれども、こちらの方も、二十一世紀の母子保健分野の国民運動として進めております健やか親子21の目標に産後うつの減少を設定している、さらに、女性健康支援センターにおきます、産後うつを含めた女性の健康相談への対応、また、産科医も含めたかかりつけ医のうつ病の対応力向上の研修、こういった取り組みを行っているところでありまして、こういういろいろな取り組みを進めることによりまして、児童虐待の発生予防に努めてまいりたいと考えております。

湯原分科員 局長に御答弁いただきましたけれども、今やっていらっしゃるメニューは御説明いただいたんですけれども、最初に申し上げたように、今どうして児童虐待がふえていっているのか、潜在化しているという部分もありますので、ぜひそれを、やっているだけではなく、それが本当に実効力あるようにしていただきたいなと思っています。

 特に、以前と家族のあり方が大分変わってきていまして、周りにおじいちゃん、おばあちゃんがいたり、あるいは周囲に、地域に子育てを応援する人たちが核家族化の中で希薄になっている実態もありますので、地方自治体の責任もあると思いますけれども、ぜひ、より一層の御尽力をいただきたいなというふうに思っております。

 次に、各機関の情報の共有化についてちょっと聞きたいと思っております。

 児童虐待の発見のためには、医療現場、あるいは福祉、教育、警察、それぞれの機関が早期発見に努力しなきゃいけないと思っております。そして、近年いろいろな痛ましい事件がありましたので、そこには当然マニュアルが整備されてきていると思いますけれども、私は、マニュアルを整備していただいて各機関が対応していく、しかしながら、近年の事例を見ますと、情報の共有化というのが図られずに、なかなか発見がおくれてしまったということがあるんじゃないか。後々になって、ああ、もっと早く対応していたらな、あるいは、ほかの機関がもっと知っていたらなという、こういった事例が見受けられるのでありまして、この辺の情報の共有化についてどういう考えを持っていらっしゃるのか。自治体の責任という分野はあろうかと思いますけれども、厚生労働省の考え方を聞きたいと思っております。

高井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたように、児童虐待への対応につきまして、やはり情報の共有化、これは、日ごろから関係機関が連携して子供や家庭の支援に当たる体制を整備していくことが重要と考えております。

 現在は、市町村におきまして、学校、保育所、保健センター、医療機関、警察、児童委員など、さまざまな関係機関が情報を共有して虐待を早期に発見して支援をする、このための子どもを守る地域ネットワーク、児童福祉法上では要保護児童対策地域協議会と位置づけられておりますけれども、この設置を進めておりまして、昨年四月一日現在では全国の市町村の九五・六%でこれが設置されているということであります。

 さらに、この協議会を有効に機能させないといけないということでございまして、職員の専門性強化のための質的向上を図らないといけないということで、来年度予算におきましても、この協議会の機関の、あるいは職員に対するいろいろな資格を取得するための研修、特に児童福祉司任用資格取得のための研修でありますとか専門性強化を図るための研修などを引き続き盛り込んでおりまして、この機能強化を図りたいと考えておるところであります。

湯原分科員 ありがとうございます。

 局長も御答弁があったように、実効あるものにぜひしていただいて、先ほど申し上げたように、もう絶対、各機関の連携のもとに、情報の共有化のもとに児童虐待を早期発見して、手だてや対応をちゃんとしていくんだということでしていただきたいなと思っています。

 次に、児童相談所の性格と司法の積極参加についてちょっとお伺いしたいと思っています。

 児童虐待防止法は、御案内のように、議員立法で制定がなされ、そして改正が幾度となくされてまいりました。

 議員立法ということでありますので、私が議員の一人としてこうやって政府側に聞くのもいかがなものかと思うんですけれども、現在の議員立法の制度の中では、裁判所の許可を得て児童相談所が強制立入調査をする、そして、その際に警察に一緒にということで援助要請をする、こういう制度になっているわけであります。こういう役割分担になっております。

 このたびの法改正、これからされるわけでありますけれども、親権の二年間停止は、行政というよりも司法当局の出番はこの二年間停止とかというジャッジの点で以前よりはふえてくると私は認識をしておりますけれども、現在のシステムの中では、児童虐待があるんじゃないかという通報があって、そして児童相談所がその家庭に入っていく。そうなると、どちらかというと、児童相談所職員個人対親というバーサスの、相対するような図式になっているんじゃないかなというふうに思っております。

 私は、どちらかというと、裁判所や警察など司法当局、行政機関ではなくて司法の関係のところがもっと前に出ていって、司法当局対親という図式にしていくべきじゃないかなと。そういうことによって児童相談所等の職員の負担の軽減を図る。また一方で、こうすることによって、児童相談所という行政機関が、親にとってみれば招かざる人、敵という図式から、どちらかというと、加害者である親の更生という一種のパートナーシップを持てる関係になっていくんじゃないかなというふうに考えておりますけれども、この点について所見をお伺いします。

高井政府参考人 相談件数が増加する中で、児童虐待への対応につきましては、先生の御指摘がございましたように、児童の保護、親子分離を行う、そういう仕事と、一方で親子の再統合に向けた保護者の支援とか指導を行うという両方の役割を児童相談所が担うということになっておりまして、現場の負担感があると認識しております。

 今お話がありました、今回、法務省においては、親権の停止制度を民法に新たに設ける、また、厚生労働省では、これに合わせて、児童相談所長の親権の停止等に係る申し立て権を児童福祉法に盛り込むということを検討しておりまして、法務省と共同して民法と児童福祉法の改正法律案を提出したいと考えておるところであります。

 この改正法が成立いたしました場合には、こうした司法手続の仕組みを必要に応じて適切に利用されるように、運用の仕方を示したり、必要な研修をするというようなことで、児童相談所の現場が対応しやすいように万全を期してまいりたいと思います。

 そういう中で、御指摘のありました、児童相談所が行う親子再統合に向けた保護者への支援、指導は大変重要でございまして、私どもでは、この保護者指導の基本的な方法を示したガイドラインがありますけれども、この周知徹底を図りますほかに、いろいろなプログラムについての研究を行ったり、保護者指導を行う民間団体への支援、こういうものを進めております。

 こういうようなことで、現場の負担にも配慮して、保護者への支援、指導の実効性を確保していきたいというふうに考えております。

湯原分科員 議員立法ということで、政府側、役所側もなかなかというところはあろうかと思いますけれども、例えばドメスティック・バイオレンス、男性から女性が主だと思いますけれども、加害者もある意味で被害者だと僕は思っているんですね。ですから、先ほど申し上げたように、社会のストレスが弱い方に弱い方に流れていって、最終的なところに行って、そこから暴力という形へ、あるいは児童虐待であれば虐待という形へ流れていく。

 つまり、ドメスティック・バイオレンスでいえば、簡単に言うと、大部分が夫でありますけれども、その夫も加害者であり被害者である、児童虐待について言えば、親もある意味では被害者の一人であろうかなという認識を私は持っておりまして、先ほど再統合というお話もありましたけれども、加害者であり被害者である親御さんが更生するためには、やはり児童相談所とは、相対する敵対関係というのが、できることならば一緒になって更生をしていくパートナーシップで働けるような立場になったら私はいいんじゃないかなということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 次に、いろいろな児童虐待に対する通報があって、虐待の認識があった後に、いろいろ子供たちに対する施設について若干お伺いしたいなと思っています。児童養護施設等の支援についてであります。

 現在、児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会が設置されている。虐待を受けた子供への対応や保護者への対応で職員の負担が、これらについて検討がなされているところでありますが、児童養護施設等においては、虐待を受けた子供への対応、保護者への対応で職員の負担が過重となっていると考えます。きめ細かい支援をするためにも、負担の軽減を図るべきであります。職員の負担が重く、燃え尽き症候群になって、専門性が身につく前に職員が退職を求めたりする事例も見受けられております。

 地域主権の義務づけ、枠づけの絡みもありますので、一概に基準を設けることも考えなければなりませんけれども、しかしながら一方で、児童養護施設等の職員配置基準は昭和五十四年、三十年ぐらい前から見直しがなされていない状況であります。先ほど申し上げたように、データ的には非常に急増していることも見受けられますし、今日の実態に即してこうした基準を見直し、底上げすべきと考えます。

 被虐待児童六人に一人という職員の配置基準の見直しと、そして、それに伴う財源措置についてどのように考えていらっしゃるか、答弁願いたいと思います。

高井政府参考人 児童養護施設の最低基準でございますけれども、今御指摘のように、新たに設置した児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会において検討を行っております。ここでは、まず、新たな予算措置を必要としないものは早急に改正するということにいたしておりまして、職員配置の中で、家庭支援専門相談員でありますとか個別対応職員などの配置をまず義務化しようというふうな方向で検討いたしております。

 また、もう一つ御指摘のありました児童指導員等、六対一の人員配置が決まっているものがございます。この児童指導員等につきましては、交代勤務の中で、職員一人が十五人以上の児童に対応する体制になっておりまして、十分なケアができないという現場からの声も聞いているところでございます。

 この配置を引き上げるということにつきましては、相当な予算の増額が伴うというようなことでございますので、現在、子ども・子育て新システムの検討が政府で進められております、この検討とあわせて検討して、社会的養護の拡充を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

湯原分科員 私も政府・与党の議員の一人ですので、皆さん方に予算措置を予算措置をと言うのも若干あれなんですけれども、ただ、冒頭申し上げたように、やはりストレスというものは子供たちに虐待という形で押しつけられていっている。結局、虐待を受けた子供たちがこうした児童養護施設に入ってくる。当然、正常な親子関係でない子供たちであります。愛着障害があったりとか、いろいろな厳しい家庭環境の中に置かれてきた子供たちでありますので、特に以前とは違う事例も見受けられます。こうしたものに対しては、やはり予算措置を、政府・与党の議員の一人が言うのもおかしい話なんですけれども、ぜひ頑張っていただきたいなというふうに思っております。

 同様に、これから、今の児童養護施設から、今度は自立、ステップアップのいろいろな施設があります。それについての考え方を求めたいと思います。

 地域の小規模児童養護施設や小規模グループホーム、グループケアというものがありますけれども、こうした充足が、正直申し上げて現状ではなかなか足りていない現状にあろうかと私は思っております。この辺についての予算措置をあわせて聞きたいと思いますし、もう一つ、同様に、十八歳から二十歳までの児童自立援助ホーム、これはその先でありますけれども、この運営費の充実についても重ねて聞きたいと思っています。

 児童自立援助ホームの運営措置については、運営に必要な最低限の職員が確保できるように、現在、現員払い、つまり、実際その施設に子供が何人いるか、それに伴ってやっているんですけれども、逆に言うと、子供が減っていったら一時的にはまた金額が減っていく、支援措置が減っていく状況もあります。現在の現員払いから定員払いにすべきと私は考えておりますけれども、こうした積算根拠を見直す必要について、あわせて質問したいと思います。

高井政府参考人 児童養護施設、現状では二十人以上の大きな単位で養育を行います大舎制の施設が七割以上を占めているということでございますけれども、できる限り家庭的な環境のもとで育てることが必要ということでございます。

 御指摘ございましたように、できるだけ小規模化しようということで、地域小規模児童養護施設あるいは小規模グループケアの推進を進めているところでございまして、来年度、二十三年度予算案におきましては、この地域小規模児童養護施設を二百十カ所、小規模グループケア七百十三カ所の予算を計上して、その推進を図ることとしておりますし、また、この小規模グループケアの設置要件を緩和する。具体的には、一施設原則二カ所までとしておりますのを一施設六カ所まで、こういうふうな実施要綱の改正を行うようなことも考えているところでございます。

 また、次に自立援助ホームでございますけれども、これは御指摘ございましたように、児童の自立を支援するということから、年度途中いつでも児童の退所があり得るというようなことで、入所児童数の変動が大きいという状況でございます。

 先ほども申し上げた、新たに設置しました児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会において検討をいただいておりまして、自立援助ホームの運営の安定化のために、平成二十三年度から、措置費の支払い方法につきまして、今先生御指摘ございました入所児童数に基づく計算方法から定員に基づく計算方法に改める、こういう方向となっているところでございまして、この方向で進めていきたいというふうに考えているところでございます。

湯原分科員 ありがとうございます。方向性としては前向きということで了解させていただきます。

 次に、再統合の話も先ほどありましたけれども、なかなかすべてが再統合、親御さんとの関係が復元できるというものでもありませんで、中には復元できないものもある。

 それで、里親制度についてであります。

 再び親子関係を持てないときは、やはり里親制度へ移行するのも選択の一つでありますけれども、残念ながら、日本においては、なかなか里親というものが普及できていない。東京都等は一生懸命やっていらっしゃる事例も見受けられますけれども、全国的にはなかなかこの里親制度が普及促進できていないというふうに考えておりますけれども、この普及促進策について今後どのように考えていらっしゃるか、答弁を求めたいと思います。

高井政府参考人 里親制度でございます。社会的養護が必要な子供を家庭的な環境のもとで養育を行うことができるということで、重要な制度と認識いたしておりまして、この里親委託を促進するために、平成二十一年四月から、里親手当の引き上げ、具体的には、一人目一月当たり三万四千円を一人目一月当たり七万二千円に引き上げるということを行っておりますし、新規の里親の掘り起こし、あるいは里親支援を行う、そういう業務を里親会や施設等に委託して実施いたします里親支援機関事業を平成二十一年度から実施しております。これらの効果的な推進を図ってまいりたいと思っております。

 さらに、里親委託率、子ども・子育てビジョン、昨年一月に閣議決定したビジョンにおきましては、平成二十六年度に目標値を一六%まで引き上げようということにしておりますけれども、この委託率について、自治体間の取り組みの格差が大変大きいという状況にございますので、里親委託のガイドラインを新たに作成して取り組みの促進を図りたいというふうに考えておりますし、またさらに、児童家庭支援センターの役割に里親支援を位置づけるでありますとか、児童養護施設等の施設機能の地域分散化を図る中で施設による里親支援を推進するというようなことを位置づけまして、里親の支援をするというようなことで里親委託を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。

湯原分科員 もう時間が来ますので、最後に改めて一言だけ申し上げて質問を終わりたいと思います。

 先ほども申し上げたように、何回も申し上げていますけれども、やはり社会のストレスというのが弱い方に弱い方に流されていっている。私の持論でありますけれども、それが最終的には、職場あるいは学校、家庭の中に流されていって、子供たちにそれが虐待という形でストレスが押しつけられていっているのではないかなというふうに思っております。

 先ほど件数をいろいろ申し上げましたけれども、いろいろな対応策で検討されているものは一刻も早く実施に移していただいて、児童虐待が起こらないような、そういう社会にしていただきたいなというふうに申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

泉主査 これにて湯原俊二君の質疑は終了いたしました。

 次に、磯谷香代子君。

磯谷分科員 民主党の磯谷香代子です。

 本日は質問の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。

 きょうは、年金の積立金の運用などについてお伺いしたいと思っております。

 まず、私たちは、申し上げるまでもないことですが、今まで経験したことがない超高齢化社会を迎えようとしていますし、あわせて同時に、財政危機という大きな問題も抱えております。このような中で、産業や雇用構造の変化に合わせて社会保障の仕組みの再構築が急がれております。

 私たちが緊急の課題として社会保障と税制の議論を進めていく、これは当然のことであります。特に、老後の人生設計に欠かせない年金制度への信頼回復が急がれるところになっております。この年金改革について、一刻も早く本当に必要な改革に着手して、国民の生活への安心感を取り戻す必要があるのではないかと考えております。

 昨年の十二月二十二日に、年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方に関する検討会報告が出されました。この検討会は、その一年前の平成二十一年十一月に当時の長妻厚生労働大臣のもとに設置され、年金積立金管理運用独立行政法人の、これは以下GPIFと呼びますが、今後の運営のあり方について検討することを目的としておりました。この報告書と、平成二十一年度の年金積立金運用報告書をもとに質問をさせていただきます。

 昨日、質問通告をさせていただいたときと順番が前後するんですが、まず最初に、運用の方針について伺いたいと思っています。

 平成二十一年度の時点で、国民年金と厚生年金を合わせた年金の積立金は、時価ベースで約百二十八兆円となっております。これは、世界の公的年金積立金の中でも有数の規模であるということですね。

 この資金の運用についてですが、内閣府が去年の十二月十一日付で発表した年金積立金の運用に関する世論調査によると、長期的、安定的な収益確保を目指す現在の公的年金の運用方針、なるべく安全、安心でお願いしたい、こういった方針に賛成する人は、「どちらかといえば賛成」を含めると六九・四%で、大体七割の方が安心、安全な運用方針でということに賛成されています。

 GPIFの検討会報告によりますと、今までの現状ですが、運用目標の設定のあり方については、賃金上昇率を一定程度上回る利回りの確保を目標とすべきとか、長期金利を一定程度上回る利回りの確保を目標とすべきという意見がございます。

 ただ一方で、一年前ぐらいから、もっと成長を重視するべきではないかという意見も、当時は原口前総務大臣ですね、少し話題になっておりましたが、中国やインドなどの新興国の上場企業に投資対象を拡大するべきではないかという意見もありまして、ことしの夏、平成二十三年の夏をめどに、新興国株にも投資を拡大していくといった方針が発表されております。

 この方針といっても、現在の外国株式投資というのは基本ポートフォリオの中では九%ということで、この九%の範囲内ということでの投資なんですけれども、こういった安定投資と新興国、成長国への投資といったことが協議されておりましたが、現在の国としての運用方針、これについてまずお示しいただけますでしょうか。

榮畑政府参考人 年金積立金でございますが、先生今御指摘いただきました年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方に関する検討会の取りまとめの中でも、年金積立金は老後の給付に充てるために一時的に国が預かっているものであることから、安全運用が基本であるというふうに書かれておるところでございます。また、先ほど御紹介いただきました内閣府が行われた世論調査の結果も、そういうことを示唆しているところだろうと思っております。

 そういう意味で、私どもは、やはり安全、効率的かつ確実ということが資金運用の基本だろうと思っておりまして、現在の資金運用目標でございますが、厚生労働大臣から、年金積立金管理運用独立行政法人、いわゆるGPIFでございますが、平成二十二年三月に、安全、効率的かつ確実な資産構成割合を定めてほしいとか、市場に急激な影響を与えないこと等を内容とする指針を中期目標という形でGPIFに定めたところでございます。

 GPIFでは、これに基づきまして、資金運用目標を達成できるような資産配分割合というのを策定しているところでございまして、私どもといたしましても、まさに安全運用というのを基本にして、適正な資金運用というのを図ってまいりたいと思っておるところでございます。

磯谷分科員 ありがとうございました。

 そうなりますと、当然、大前提として安心、安全という方針であるということはわかったんですけれども、きのう通告のときに、新興国株に投資の件についてお伝えをしていなかったものですから、その辺について、もしかしたらちょっと御検討いただいていなかったかなと思うんですが、私自身の考え方を申し上げますと、新興国株の投資は、やはり将来の給付拡大に備えるためには、こういった成長株への投資も大事だと思います。

 ただ、本当に、今の新興国への資金の流入、この勢いというのは少しバブルになっているのではないかという指摘もありまして、そう言われて結構久しいですし、中国なんかは、例えば五年前の時点ですと、二〇一〇年に中国で万博がありますが、上海万博が過ぎると公共投資が減って、中国の景気は減速するのではないかと言われていたこともございます。現状ではまだそこまで景気減速はしていないのかなと思いますが、ただ、世界的にも資金の流れが非常に早くなっておりますので、この新興国株についての投資も、本当に慎重に、また一年、二年とかのタイミングを区切って、これでいいのかどうかの検証をする時期なども決めておく必要があるのではないかと思っております。

 政府として、一応、ことしの夏に新興国株にも投資をしていくという方針で、そういった検証などについて、もしおわかりのところがありましたらお示しいただけるとありがたいんですが、きのうこの話をしていないので、もしおわかりになればで結構です。

榮畑政府参考人 新興国の株式投資につきましては、世界の株式市場で、新興国の株式が既に一定規模、大体一四%ぐらいあるかなというふうに思っておりますが、そういう拡大基調にございます。

 そういう中で、GPIFにおきまして、収益機会の拡大というような視点で、新興国の株式投資の拡大という中で検討をされまして、昨年、そういうような方針が固まったところでございますが、そうはいいましても、やはり先生おっしゃられたように、先ほどのGPIFの検討会の中でも新興国への投資を大規模にやることにつきまして両論ございまして、必ずしもそっちの方向でやるべきというようなことでの検討会の結論になっておるところではございません。

 一方で、ただ、収益機会の拡大という視点もございますから、少しずつ慎重に慎重に、新興国の株式投資の拡大につきましても、いわば限られた範囲内でございまして、そういう中で慎重に、運用受託機関選定なんかも含めまして一歩一歩進めていくことが必要かなと思っておりまして、私ども、新興国の株につきまして、一気に買え買えとかそういうようなことではなくて、あくまで慎重に慎重にやっていくけれども、収益機会の拡大という点では、現実に世界株式市場の中で一定程度の規模を占めておられるところについても、やはりそれは検討の対象とさせていただこうというつもりでございます。

磯谷分科員 ありがとうございます。

 やはり慎重の上にも慎重にというのが国民としては当然安心なんですけれども、株式市場の常として、慎重にやっている間に収益機会を逃し、最終的には落ちたということがよくございます。

 そういった点で、次にリスクヘッジについてお聞きしたいんですが、金融市場につきまとうリスクについて、これは直近の二十五年間を考えて、特に私自身が社会人になってからですけれども、まず、バブルがはじけました。次、一九九七年の夏はアジアの通貨危機。次の年、九八年の夏には、ロシアのデフォルトに始まるアメリカのヘッジファンドの破綻などの金融危機がございました。

 余談なんですけれども、このロシアのデフォルトのときに、私は、夏にちょうど百四十円前後でドルを買っていたんですね。買っていて、半月ほどで二十円ぐらい円高になったんです。もう大変ショックを受けた覚えがありますので、非常にこの九八年、またその前の九七年、これは七月からタイで通貨危機が始まっていますけれども、五月にタイに旅行に行っていたものですから、少し金融の、一週間いない間にレートが若干変わっていたという記憶なんかもございますので、非常に大きな印象を持って金融危機のことについては覚えております。そのときに受けた日本の損失、投資家の損失というのも大変大きかった記憶がございます。

 その後も、二〇〇〇年にはITバブルがありました。そして、二〇〇八年には本当に大きなリーマン・ショックということで、よく十年サイクルとも言われますし、定期的にこういった市場の危機というのはやってまいりますので、株式市場への投資というのは、非常に大きな、リターンも期待はできますが、リスクもあるということが言えます。

 ただ、では安定運用ということで、今、国債での安定運用が圧倒的に大きいんですけれども、この国債にしても、最近、市場ウオッチャーの中では、日本国債もいつ落ちてもおかしくないのではないか、暴落するのではないかと主張する人たちがかなり存在しておりますね。

 株式市場もそうですが、いずれにしても金融市場には常にリスクがありますので、こういったリスクに対してどのようなヘッジを行っているのか。もちろん、一般的な市場と違うリスクヘッジというのは考えづらいかなとは思うんですけれども、政府としての方針がございましたら、まさかないということはないと思いますので、ぜひお答えいただける範囲でお答えいただければと思います。

榮畑政府参考人 GPIFでございますが、長期的な観点から安全かつ効率的な資金運用を行うということがまさに年金積立金運用のそもそもの基本的な考え方でございますから、そういう考え方にのっとりまして、株式や債券、それも国内、海外双方でございますが、各資産のリターン、リスク特性に配慮しながら、それぞれの各資産ごとに投資を行っているというところでございます。

 その際にはやはり金融市場の動向等も注視しなければなりませんし、また先生御指摘の適切なリスク管理、これも当然必要になっているところでございまして、その際に、GPIFの中に金融、経済の専門家から成る資金運用委員会という専門家の組織がございまして、そういうところにいつも御意見を伺いながら、適切なリスク管理、適切な対応を進めているところでございます。

 それこそ先年の金融危機の際にもやはりいろいろな経験を積みましたから、急激な市場変動があった場合に、GPIFの中期目標期間中であっても、必要に応じて基本的な資産配分について変えていくことも検討することにしておるところでございますから、私ども、適切なリスク管理を行いながら、市場動向には絶えず気を配って、安全かつ効率的な資金運用を進めていくというつもりでございます。

磯谷分科員 ありがとうございます。

 では次に、GPIFについて、この独立行政法人自体というよりは、運用を受託している機関についてお聞きしたいと思います。

 巨額な積立金の運用について、民間の運用機関を活用しているわけですけれども、この運用機関はまずどのような基準で選ばれたのか、それについてちょっとお聞きしたいと思います。

榮畑政府参考人 資金運用の受託機関の選定に際しましては、まず、インターネットなどを通じまして広く募るということを基本としておりまして、そして手を挙げられたところにつきまして書類審査とか個別に事情をお伺いするみたいなことをずっとGPIFの中で作業を積み重ねまして、投資方針だとか組織、人材だとか運用手数料などの定性的な事項、それから運用実績などの定量的な事項という両方の側面から評価を行って、どの運用受託機関を選定するかというのを決定しておる、そういうふうな作業を進めておるところでございます。

磯谷分科員 ありがとうございます。

 この運用機関は入れかえられることがあるかどうかというのと、あわせて、定期的に入れかえられるルールは決まっているのかということと、どうしても受託機関の中では業績、利回りが常に悪いというところも出てしまうのではないか、受託機関の能力の問題なんですが、そういった業績が悪い、継続してちょっと悪いんじゃないのというところがあるのではないかと思いますが、こういったところに関して、解約する、そういったルールは決められていますでしょうか。

榮畑政府参考人 株式、債券、それぞれの各資産ごとの運用受託機関につきましては、各資産ごとに、原則として三年ごとに入れかえというのをしているところでございまして、その際でも、先ほど申しました定性的な事項なり定量的な事項なり両方から評価をして、運用能力が低いと判断されたところは解約する、そしてよりすぐれた運用受託機関を採用するということを積み重ねておりまして、そういうことを通じて成績の向上を図っておりますし、過去、最近でも、例えば、毎年、幾つかのところを解約して新規に入れるというようなことを繰り返しておるところでございます。

磯谷分科員 ありがとうございます。

 この受託機関に払われる手数料なんですけれども、これは、それぞれのファンドの手数料、先ほど定性的な判断基準の一つというお話でしたが、これは固定制なのか、例えば利益連動をとっているファンドもありますし、そういったルールというのは、これはGPIF側が指定するのではなくて、それぞれのファンドの方針ということになるんでしょうか。

榮畑政府参考人 運用委託手数料につきましては、各運用受託機関にお願いしています運用資産に対する比率で算定しておるところでございまして、具体的には、資産規模ごとに一定率というのを掛けて算出しておるというようなところでございます。

 そういったことで、いわば資産額というのを基準にして算定するというようなことで、GPIFの方でそういうことでやっておりますが、ただ、これにつきましては、GPIFと運用受託機関との価格交渉ということの中で、GPIFの方針を御理解いただきながらやっているというところでございます。

磯谷分科員 ありがとうございます。

 ということは、ちょっと繰り返しの質問になってしまうかもしれませんが、基本的に固定制ということでよかったですか。

榮畑政府参考人 各運用受託機関にお願いしている運用資産額に対する比率ということで、その運用資産額が例えば一千億までだったら何%とか、それを超えればそれよりちょっと低い額だとか、そういうような形で、お願いする運用資産額に対する一定率というので積み上げて出しているというふうに御理解いただければと思います。

磯谷分科員 ありがとうございます。

 規模に対しての固定制かなと思うと、そうすると、マイナスになったときでも当然、一定程度の手数料を払うということで、これは個人的な感想ですけれども、多少利益と連動する部分、固定費と利益連動があってもよいのではないかなと個人的には考えております。

 これはちょっとお答えいただけるかどうかはわからないんですが、今のGPIFになったのは平成十三年からということで、旧組織からこのGPIFに移行しているんですけれども、移行する前の運用の実態というのは明確になっているのかどうかを伺いたいと思っております。

 といいますのは、昨年の十一月十七日に、厚生労働委員会で、みんなの党の柿澤委員が、年金の債務超過は計算すると五百五十兆ぐらいになるのではないかという指摘がございました。これに対しての見解というのはございますでしょうか。

榮畑政府参考人 今御指摘の、昨年の十一月十七日の衆議院厚生労働委員会において、年金債務が五百五十兆あるというような御質問がございました。

 ただ、これは、あくまでも公的年金制度をいわば積立方式という考え方で考えたときに出てくる金額でございますが、実際、今、年金の財政方式は世代間扶養という方式でやっておるところでございますから、財政方式が違うということがまずございます。

 そういう前提に立ちまして、あえて積立方式の考え方に当てはめて、いわゆる積み立て不足というものに相当する金額が御指摘ございましたし、その考え方のもとに立ってのものでございますから、財政方式が世代間扶養でやっているというところでございますから、そこの前提が違うというふうに御理解いただければと思っておるところでございます。

磯谷分科員 了解いたしました。

 その算定の根拠というのがちょっと私にはよくわからなかった部分もございましたので聞いたんですけれども、こういった金額が、数字が出ると非常に不安になったりすることもありますので、そういった点については今の御説明で了解いたしました。

 最後の質問といいますか、この検討会の報告によりますと、GPIFにおける意思決定プロセスは、基本ポートフォリオの策定などの重要事項については、厚生労働大臣の任命による経済、金融の専門家から成る運用委員会の議を経ることとなっておりますが、やはり独立行政法人共通の枠組みとして、最終的な意思決定権限が法人の長である理事長にあるということになっております。

 現在の理事長は、どういった経歴の方でいらっしゃいますでしょうか。

榮畑政府参考人 現在のGPIFの理事長は、昨年の四月に御就任いただきましたが、日本銀行でずっと勤務してこられて、日銀を退職されて企業の顧問とかやってこられて、その後、昨年の四月に年金積立金管理運用独立行政法人GPIFの理事長に就任していただいたということでございます。

磯谷分科員 ありがとうございます。

 もちろん、国の方針に基づいての判断をされることだと思いますけれども、密な情報交換をお願いできればと思っております。

 最後、私の意見でございますが、内閣府調査によりますと、年金積立金の運用に関して、知らなかったとか余り知らなかったという方の合計が八二・五%ということになっております。

 年金というのは、国民にとって大切な老後の生活費ですので、情報の公開はやはりわかりやすくして、安心できる将来をつくっていければ、もちろん未来に対する希望を持てると思います。

 ただし、運用をするということは、先ほども少し私の経験も申し上げましたが、時によって損失も出ますので、国民の多くの方は、余り損が出たときというのを経験されていない方も多いわけですね。こういったときには、大変、情報公開で正確に発表するときに、例えば先日のリーマン・ショックのときのようなマイナスがあったりすると、非常に大きな不安を感じることになるとも思いますので、そういったマイナスの情報の発表のときというのは、いかに細心の注意を払うかということが大事だと思います。

 余り淡々と数字だけ挙げると、後で不安をあおることになってしまいますので、こういったマイナス時の発表の仕方を特に注意を払っていただいて、いずれにしても、やはり年金の運用というのは安心が第一ですということを強く言っていただくことが大事ではないかなと思っております。そういった視点で国民に伝えていただければと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 本日は、ありがとうございました。

泉主査 これにて磯谷香代子君の質疑は終了いたしました。

 次に、福井照君。

福井分科員 おはようございます。

 昨日も野党にいじめられてお疲れのところ恐縮でございますけれども、我が尊敬する高知県出身の人徳の塊、細川大大臣にぜひ質問させていただきたいということで御来臨を賜りました。

 まず、キャリアコンサルタントということで、きのう役所に伺いましたら、まだ大臣には詳しくはレクしていなかったということで、実は、定点観測で毎年一回はこのキャリアコンサルタントのことについて質問させていただいているんです。予算本委員会でも質問させていただいたことがございまして、このキャリアコンサルタントということについて予算委員会で質問した人は後にも先にも私一人ということで、非常に悲しい思いをしておりますので、ぜひ大臣に、この分野は大事だということをきょう思っていただいて、人員、組織、そして中身について御指導いただきたいということです。

 ちょっと打ち明け話といいましょうか、なぜかということでお話をさせていただきますと、二〇〇〇年が初当選というか、初の選挙だったんです。出自がありますから、当然、町づくりをしましょうとか、道路の予算を持ってきますとか、そうやって活動し始めたんですけれども、さすが高知県ですね、そんな金は要らぬと。

 そういう反骨、反権力の土地なんだから、歯を食いしばって貧しくとも生きていくんだということで、考えに考え抜いて、心の自由民権、人生主義というんですけれども、当時、オランダ・モデルというのが日本でも紹介され始めて、オランダ・モデルというのは、日本でいうと、国と経団連みたいな組織が協定を結びまして、いつからでも、どこからでも、何回でもやり直せる人生を国も社会も経済界も支援しましょうということで、例えば、子育てで一年、二年休む、そのときの手当ももちろんだけれども、その会社に必ず復帰させなければならないということを国と経団連が協定を結んだわけです。

 休んでもいいけれども、必ず復帰させなければならないと。だから、なおかつですね。そしてなおかつ、ずっと働いていた人と休んでいた人に給料の差をつくってはいけない。すごいモデルをオランダは当時、今でもやっていますけれども、やっていました。

 そういうことをヒントに、人生、波があるんだから、いつからでも、どこからでも、何回でもやり直せる人生を社会全体が支援するような、そんな社会をつくりましょうということで、それでやっと当選したということで、自来四回ありました。

 それで、当時はなかったんですね。アメリカにキャリアカウンセラーという制度がありまして、巷間、五十万人いるんだということで、キンダーガーテンから十八歳まで、とにかく職業教育をアメリカはしているんだということ。そして、公民館とかいろいろな社会の装置の中にそのキャリアカウンセラーがいて、キャリアカウンセラーというのは臨床心理士で、とにかく大学院まで出て、まさに臨床心理を実地も、そして理論的にも非常にプロフェッショナルとしてわかっている人が、私は何になったらいいのか、私は職業をどういうふうに選んだらいいのかということについて助けてあげるということですね。

 ですから、心のカウンセラー、悩み、死にたいとかそういう心のカウンセラーもいるし、そして、数学や理科がわからない、アカデミックカウンセラーもいるし、そしてもう一つ、キャリアカウンセラーがいるということで、特にカリフォルニアを中心に、高校では本当に完璧な制度があるということが二〇〇〇年の状態でした。

 そこで、選挙が終わりまして、労働省を呼んで、職業教育は大事だと。職業教育、それは厚生省ですねと労働省に言われ、そして厚生省を呼んだら、いや、そんな、私たちのスコープ・オブ・ワークに入っていませんと言われ、全くけんもほろろの状態だったのが二〇〇〇年。たった十一年前なんですね。

 それで、小泉構造改革で、五年で五万人つくりましょうということで、本当に小さく小さく始まった。キャリア形成室も、厚生労働省の中もまだ本当に数人で、専門官はつくっていただきましたけれども、今、人数も減っている状態。ですけれども、各ハローワークにも、そして職業教育をする各県の実験的な高校にも、日本でいうとキャリアコンサルタントがいるということで、やっと卵を割って世の中に広まってきたということなんです。

 そういう時代認識をまず持っていただいて、それで、この政権は雇用、雇用、雇用ということで、ブレアは教育、教育。鳩山、菅両プライムミニスターは、雇用、雇用ということの割には、まだミスマッチがずっと続いている。

 ちょうど自民党が与党のときの最後のときも、やはりミスマッチをどうしようかということで、いや、そんなのは農業と介護でぱくっとマーケットが口をあけて待っているじゃないかというんですけれども、それは理論はそうかもしれないけれども、では、農業で一生土をいじり、そして農産物価格と格闘するということを今から一生の仕事として選ぶというのも、これはかなりの心理的なインピーダンスがあるんですね。これはなかなか難しい。

 ましてや、介護ヘルパー、これも本当に回転が激しいです。二、三カ月しかもたないというのが、今、平均的な介護ヘルパーの状態ですね。それはどうしてか。それは、とにかく人間の汚物の中で暮らすということなんですよね、早い話が、簡単に言うと。その汚物のにおいだったり、そのものだったり、そこでお昼の弁当を食べられるかどうかということなんですね。

 そういう現場の実態を見ると、では農業に行こうと思うときに、もちろん畑で、田んぼでやる時間、そういう面もあるでしょう。しかし、たまには自分たち、あるいはその地域の農業会社の販売と営業の担当になって、そしてネクタイを締めて、まさにホワイトカラーとしてインド、中国を飛び回って売りに行くんだ、農作物の輸出を担当するんだ。また、たまには自分の田んぼと畑に戻ってきて、そして自然と一体となってその人生を享受する。また営業に行く。そういうキャリアパス、農家というか農業を自分の生業としたときのキャリアパス、二十代、三十代、四十代、五十代、死ぬまで農業をするときのキャリアパスをつくるというところまでまだいっていないんですよ。

 キャリアカウンセラーというのは、今ある職場の、幾らの給料で、どうやったら手に職がつくかというアドバイスはできるけれども、新しい生き方というのをつくるところまではまだいっていないんですね。その辺がまだ解けていない今後の課題だと思います。

 それから介護も、ヘルパーからもちろん始めるんだけれども、介護の仕事はいろいろな資格があります。そして、最後は有料老人ホームの施設長になり、お金を借りて自分で特養をつくっていく、そういう階段を描けるようなところまでまだいっていないんですね。それは大塚さんが得意なところでしょうけれども。

 何かイノベーションがあって、生産性が高まって、GDPが突然上がっていくという歴史を資本主義社会でずっと繰り返してきた。今は、この数十年間、日本の生産活動、物をつくる現場において、飛躍的なイノベーションがないのですね。日本経済を引っ張るようなイノベーションがないので、今困っている。だけれども、一方でサービス産業の生産性という課題がある。

 だから、解き方が違うと思うんですよ。つまり、人生の段階、段階において、キャリアパスにおいて新しい雇用の形態を生み出すイノベーションというのが今必要で、それをつくるのがこのキャリアコンサルタントということで、今、こんな一つの小さな部屋でやっているような場合やないというのが青年の私の主張なわけですね。なので、毎年毎年一回は分科会でも予算委員会でも質問させていただいているということです。

 ちょっと前置きが長くなりましたが、細川大臣にあられましては、三号問題で疲れているところ大変恐縮ですけれども、キャリアコンサルタントについて今どういう現状把握をされているか、ちょっと御紹介いただきたいと思います。

小林大臣政務官 大臣の方からは、今後のキャリアコンサルタントの進め方について後ほどお答えをしていただきます。私の方からは、現状どうなっているか、こういう点について報告をさせていただきます。

 キャリアコンサルタントは、平成十四年度から平成二十一年度末までに約六万二千人が養成をされております。これらのキャリアコンサルタントは、ハローワークや民間就職支援機関、あるいは企業の人事教育部門などでのキャリアコンサルティングのほか、学校でのキャリア教育においても活用されております。

 彼らが活動されている分野は、ハローワークなどで約三〇%の方、そして民間就職支援機関などで一八%の皆さん、それと企業で約二四%の皆さん、そして学校という関係では一六%の皆さんが、こういうところで現在活躍をされているということでございます。

 以下、今後については大臣の方から答弁をしていただくことにいたします。

細川国務大臣 福井委員の方からいろいろとお話を聞かせていただいて、大変参考になりました。

 きょうは、郷里の方の事業の具体的な問題についていろいろ言われるのかなというふうに思っていたんですけれども、そうではなくて、広い観点から、これからの人が人生をどういうふうに生きていくか、そのときにやはり大事なのは仕事だと。仕事をするにもキャリアが非常に大事であって、そのキャリアパスの問題でキャリアコンサルタントが大きな役割を果たしていくというような観点で、ずっと定点観測のような形でキャリアコンサルタントの拡大なりあるいは質の向上、そういうところに熱心に取り組んでおられる福井委員のお姿を見まして、大変敬意を表する次第でございます。

 そこで、これからのあれですけれども、具体的には、一つは、ジョブカードを活用できるキャリアコンサルタントを養成する研修を拡大していくというのが一点でございます。これは、平成二十三年度の計画では九千人にふやしていく、こういうことで計画を立てております。

 それから、キャリアコンサルタントの技能検定、今はキャリアコンサルタントという一つの検定制度があるんですけれども、それを、階級をつくるといいますか、そういうのをやっていこうというのが一つでございます。これは、二十年度に創設をいたしました二級試験に加えて、来年度は一級試験というのをつくって、よりグレードアップする資格をつくる、こういうことでございます。

 それから次に、三点目としましては、人材ニーズに即しましたマッチング、今先生が言われたマッチングなどの専門的な支援ができるキャリアコンサルタントを養成するためのカリキュラムを見直して、特にマッチングをやっていくというようなカリキュラムをつくって養成をしていく、こういうような取り組みをしっかりやっていきたいというふうに思っております。

 福井委員がこれまで取り組んでこられたことをさらに充実をさせていくためには、これからも積極的にどんどん要望なり要求なりしていただいて、それにこたえて、厚生労働省としてもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

福井分科員 ありがとうございました。

 今、決意を表明していただきましたけれども、臨床心理士は、コツがあって、とにかく鏡のようになるんだと。今目の前にいる人、つまり、職業を探している人、悩んでいる人の、目の前にいる人の言っていることをそのままオウム返しに言うんですね。これが臨床心理学のコツなんです。

 つまり、臨床心理の方、キャリアコンサルタントの方はまさに立派で、そういう職業も選んでということなんですけれども、やはり受け身が得意なので、攻めるというか、全体として六万二千人が集まって、六万二千人もいたら立派なプレッシャーグループになるわけですよね。ですから、全体が集まって、農水省に乗り込んで、ホワイトカラーの職場をつくりなさいとか、厚生労働省の中でも介護のところに行って、ホワイトカラー的なキャリアパスの新しい仕事をつくりなさいとか、そういう一段進歩、進化したプレッシャーグループとしてのキャリアコンサルタント全体としての動きというのは、これはちょっと一人一人ではできないので、ここがだから役所のお仕事になるわけです。

 それからもう一つは、せっかく今、技能検定の話をしていただいて、もう一段ということでプロフェッショナルをつくるということなんですけれども、もともとアメリカの方は、大学じゃなくて大学院を出た人しかなれなかったんです。最初からそこから始まっている。

 日本は、別に学歴のことを言っているわけじゃないんですが、一週間、二週間とか、かなり短期間で教育を受けた人がまずなれて、その方々が六万二千人の中核をなしているので、実は、プロ度といいましょうか、臨床心理学の世界での深さといいましょうか、それが圧倒的に違うんですよ。そこもちょっと役所から、指導行政というのはもうなくなったかもしれませんけれども、ここはもう一回復活してもらって、指導していただきたいなということをお願いさせていただきたいと思います。

 それから次に、きのうの予告の時点から三号と言っていたんですけれども、余りにも勘がよ過ぎて、きょうはもう三号はやめましょう、後の人もやるでしょうから。

 一般的なお答えで結構ですけれども、前の大臣の肝いりで、消えた年金、年金機構、組織も変えて、税金を投入して、原本まで戻ってという作業をされているはずでございます。もうそろそろ、そろそろという時点が今年度末なのか来年度末なのかと具体的に聞きたいわけです。

 そこまで言えなくても、今現在で、飽和する、要するに、投入する税金、投入する人員の毎日毎日の努力と、消えた年金を発見し、抹消し、そして年金を復活する度合いが、どう考えたって飽和曲線になるわけですね。今は、飽和曲線の立ち上がりの部分は大体終わって、そろそろ限界効用が出てきている状態であると推察されるので、国会答弁上はなかなか言いづらいんですけれども、いつごろ飽和するという見通しを立て、そしていつごろ、投入する税金と消えた年金の発見件数というんでしょうか、いわばそういう意味ではBバイCになりますけれども、どういうふうに、どういう物差しで、いつ見きわめを厚生労働省としてされるのか。

 その辺の基本的方針といいましょうか、三役でお話しされているんでしたら、基本的な疑念がいろいろな人にありますので、ぜひその辺のところを御紹介いただきたいと思います。

細川国務大臣 年金記録の回復につきましては、これは委員も御承知のように、五千万件の消えた年金の問題から始まっておりまして、これを徹底的に回復しなきゃいかぬということでやっております。

 平成二十二年度、二十三年度は集中的にやるということに決めておりまして、今、特に力を入れてやっておりますのは、紙台帳とそれから電算の記録、これの突き合わせを始めたところでございます。これについては、特に不整合があるというか記録が異なるというような確率が高い高年齢者の人たちの記録を優先的にやっていくとか、いろいろな工夫をしながら今始めたところでございます。

 二十二年、二十三年、集中的にやっていきまして、途中でもいろいろ御報告もしたいというふうに思っておりますけれども、それを見て、どういうような効果があるか、費用対効果の面からも見まして、どういうふうにやっていくかということも考えていきたいというふうに思っておりまして、二十二年、二十三年は徹底的にそれをやらせていただきたいというふうに思っております。

福井分科員 ですから、国会答弁上はそうなんでしょうけれども、ぜひ早目にその見きわめをしていただいて、税金のそれこそ無駄遣いといいましょうか、無駄とは言いませんけれども、比較的効用の少なくなっている税金の投入というのを早目に発見し、そして早目に手を打つというのは必要だと思いますので、ぜひ今の政権のうちに、さきの大臣の方針を修正していただきたいなということでございます。

 それから、次はTPPで、二十四項目ありまして、これは宮沢政権のときから始まった、はっきり言いましてアメリカとの経済戦争です。実際のバンバンの戦争は終わっていますけれども、六十年間、とにかく西海岸の小麦粉を受け入れて、給食でパンを我々も食べさせられ、脱脂粉乳を飲まされ、そして、オレゴン州とかの農協といいましょうか、そういう協会が万歳していたとか、米を食ったらばかになるとか、まるでエージェントみたいな学者がおっしゃったりとか、そういうところから始まり、そして日米構造協議が始まり、そして年次改革のいわば強制的な要求書を突きつけられというのがずっとあった。

 それで、鳩山政権のときにそのチャンネルをみずから絶ったのか、その辺がちょっとわかりませんけれども、アメリカとしても失い、そして強制されてきた我々としても、我々というか日本政府としてもなくなりということで、だれが見たってこの二十四項目、これはUSTRであるし、アメリカの要求書であるというのがわかるという前提で、国会答弁上はそうじゃないと言うんでしょうけれども、それが前提です。

 そして、今、厚生労働省を預かる、厚生労働行政を全般的に総攬する細川大臣とされては、では、このTPPでどういう行政分野がカバーされているのか。今までは、医薬品の承認の期間を短くしろとかありました。アメリカの商工会議所の陳情も、大体ジョンソン・エンド・ジョンソンの人が筆頭で、それをばっと言いに来られたりとかというのが現実でしたよね。それから、BSEの問題もありました。

 今までそういう年次改革、今までのTPP以前の日米の問題について、厚生労働省としては、よく頑張ったと評価されるのか、そして、これからTPPでどう厚生労働省として頑張っていくのかということを伺いつつ、基本的には個人的な見解で結構ですので、このTPP参加というのは正しいのかどうか、何党政権であっても、それは日本国として正しいかどうかというのは、やはり政治家細川律夫大先生として、ここは正しいのか正しくないのかということをおっしゃっていただきたいなということでございます。

 たまたま、さきの農水大臣も、TPPに参加したら、農業もしかりながら、地方の建設業も壊滅的な打撃を受けるとおっしゃっているというぐらい、民主党政権としては、このTPPについて必ずしも一〇〇%賛成していらっしゃる方ばかりじゃない。しかも、それが大臣であり、副大臣、政務官でいらっしゃったということですので、そのTPPの今までの歴史、そしてそういうとらえ方が正しいのかどうか、参加するべし、あるいは参加せざるべしということについての個人的な見解をぜひ御披瀝いただけましたらありがたいわけでございます。

細川国務大臣 TPPの問題については、これに参加するかどうかはまだ決めていないところであって、その参加するかどうかについての情報を集めている、今はそういう段階です。

 そこで、情報を集めたところの中では、二十四の作業部会が立ち上がっておりまして、その中で厚生労働省に関連するものとしては、衛生植物の検疫、人の移動が含まれるサービス、それから労働というようなところが関連するというふうに聞いておりますけれども、しかし、具体的な内容についてはまだ把握をしていないので、何とも言えません。

 私、厚生労働省としては、これまでも厚生労働省の先輩の行政というのは、やはり人の命と健康を守っていくという点では、その点ではしっかりやってきた、アメリカの圧力にも決して屈せずにやってきたというふうに思っておりまして、これからの厚生労働省の行政といたしましても、どういうような形でTPPに参加するにいたしましても、そういう基本的な姿勢は貫徹していかなければいけないというふうに思っております。

福井分科員 ありがとうございました。

 では最後に、あと三分ございますので、税と社会保障の一体改革ということで、これは、さっきの三号もそうなんですけれども、何で総務大臣に相談せなあかんのやと僕なんかは思いますけれども、年金の問題について、どうして、税と社会保障一体だからということで与謝野大臣がいわばしゃしゃり出てくるのかと。年金はもう細川さんに日本人としては任せているわけですから、ぜひお願いしたいなと本当に思いますよ。

 自民党時代も厚生労働省が試算したのがありますね。デットの総額、十年後の年金の支給額、二十年後の支給額、そして介護、医療の必要な国費、だから消費税を何%にすべしということで、それはもう別に計算しなくたってあるけれども、もう一回計算しろと言われれば計算して、それはすぐ、作業としては一日でできるわけですよね、何も六月まで待たなくたって。もちろん大臣はもうごらんになっていると思いますけれども。

 そこで、今、ダボス会議で一番人気があった政治家というのはキャメロンで、二〇%だ、国家公務員は三割削減だといってワイシャツをまくり上げて、原稿なしで、とにかく財政再建、財政再建でしゃべりまくっている人が一番ダボス会議で人気があって、世界一のリーダーというふうになっている。

 そこで、今、税と社会保障一体、六月、九月、そういう道行きもある。消費税はもう当然のことだと思っているんですね。ミニ集会をしても、週末いろいろな人と話しても、いろいろなところへ旅行をしている、海外旅行をしている。最近は多いですから。中国へ行っても、韓国へ行っても、ヨーロッパなんかは、スウェーデン、二五%。

 ですから、一〇%というのはもう覚悟しています、はっきり言いましてね。一〇%はしようがないし、ぜひやってくださいと思っている。それはどうしてかというと、年金が絶対確実だという、国家をもう一回信用できる体制を一〇%でつくってくれるから、ぜひお願いしますと。自分の支出はふえるわけですけれども、年金が絶対大丈夫になるだろうから、もちろん医療も介護もあるんだけれども、だけれども年金なんですよね。年金が一番心配、年金が絶対大丈夫だから一〇%、ぜひお願いしますと逆に言っている。

 なので、与謝野さんはぽろっとおっしゃいましたけれども、六十五歳を、絶対、支給開始年齢を引き上げることがない、これがポイントなんです、これがみそなんですよ。六十五を六十七とか、カナダみたいに七十とか、こんなものは国民は絶対許さないですよ。消費税一〇%はむしろ簡単なんですよ。その次に来る、もし支給開始年齢を引き上げるというのがあれば、これはもう大連立でも解けない課題になるぐらい、国民と国家との信頼関係が今崩れつつある。でも、もう一回、一〇%で結ぼうとしている。そのときに、一番肝は、年金は絶対大丈夫です、六十五歳から大丈夫ですと。もっと言うと、七万円とか、統合とか一元化とかですね。

泉主査 質疑時間が超過しておりますので、簡潔にお願いします。

福井分科員 ごめんなさい、二分過ぎました。

 まあ、それはちょっとあきらめて、とにかく一〇%を先にして、年金は今の体制でも大丈夫ですということを言わないと、今の政治がますます劣化するという状況に追い込まれていくと思いますので、国会答弁ののりを越えて、細川律夫、政治家として、年金は絶対大丈夫ですから消費税の議論に加わってくださいということをぜひおっしゃっていただきたいと思います。

泉主査 細川厚生労働大臣、簡潔にお願いいたします。

細川国務大臣 現在の社会保障については、委員が言われる年金を含めて、これは改革をしなければいけない。その社会保障のいわば改革案、理想像というものをまずやります。そして、それにかかる金は幾らかということをまず出して、それではその財源をどのようにして調達するか、こういうことで、税の方と一体的にこれをやっていかなければいけない、こういうことで改革と税の一体の改革を進めていくということであります。

 年金の方は、これはしっかりした年金制度をやりまして、国民の皆さんに信頼していただく。先ほどの六十五歳の支給開始年齢の問題がありますけれども、それについては、今の段階で六十五歳支給について、これからそれをやっていこうという、今その途中の段階でありますから、これは六十五歳ということで、それを変えるつもりはありません。

 それは、ずっと長期的なあれではそういうことも検討しなければいけないときも来るかと思いますけれども、今はとにかく六十五歳ということでやっていきたいというふうに思っております。

福井分科員 終わります。ありがとうございました。

泉主査 これにて福井照君の質疑は終了いたしました。

 次に、柴山昌彦君。

柴山分科員 自由民主党の柴山昌彦でございます。

 ニュージーランドの震災被害者の救助状況が大変気がかりなんですけれども、今、日本では地域医療の連携の必要性が叫ばれる中で、これをどのように考えたらいいんでしょうか。

 細川大臣にお伺いします。国策として、中規模以上の災害や感染症が発生した場合の地域医療連携について、どのように充実させようとしているんですか。また、テロについては考えておられるんでしょうか。

岡本大臣政務官 まず、災害時やテロが起こった場合の医療については、被災した地域における医療機関や被災地外の医療機関が十分に連携を図っていくということが重要だと考えています。

 このため、災害発生時等の医療の拠点となる災害拠点病院の整備や、災害時での活動に特化して訓練を受けた災害医療派遣チームの養成等、これはDMATでありますけれども、これを進めております。ちなみに、災害拠点病院は、二十三年一月一日現在で六百九カ所を指定しておりますし、また災害医療派遣チームは、二十三年一月一日現在で八百一チームが養成済みとなっています。

 また、都道府県が定める医療計画では、災害拠点病院における診療など、災害時やテロが起こった場合における医療提供体制の確保に関する事項を記載するよう求めております。

 さらに、新型インフルエンザ発生時の地域医療体制の整備については、新型インフルエンザ対策行動計画に基づき、都道府県に対し、新型インフルエンザ発生時に外来、入院を担う医療機関の整備を進めるよう要請するとともに、原則として、二次医療圏を単位として、地域医師会等の関係機関から成る対策会議を設置して、地域の実情に応じた医療体制の整備を推進するための支援等を行っています。

 いずれにいたしましても、都道府県や関係府省としっかり連携しながら、災害医療体制等の確保に取り組んでいく必要があるというふうに認識をしております。

柴山分科員 体制を整備しても、実際に一たび事が起きたときにきちんと機能しなければ、絵にかいたもちに終わってしまうわけですよ。

 ですので、お伺いしたいのは、実際にそういった災害や感染症が発生した場合の訓練、これがどのような状況になっているのか、また課題がどのような形で認識をされているのか、ぜひお伺いしたいと思います。また、今、訓練が夜できていないというような御指摘を地元で受けるんですけれども、これについてもぜひ実情を紹介していただけたらと思うんですが。

岡本大臣政務官 災害時の医療に関する訓練といたしましては、災害派遣医療チームが参加して、毎年九月一日に実施される政府総合防災訓練において、被災した患者を被災地外の医療機関に搬送する訓練のほか、全国八つの地方ブロックごとに、これも年一回でありますけれども、訓練を実施しております。

 また、各自治体においても、災害派遣医療チームや地域の医療機関が参加して、災害時の医療に関する訓練が適宜実施されていると承知はしておりますけれども、今委員御指摘の、夜間に行っているかということを問われますと、各自治体が行っているところについては承知をしていませんし、先ほどの政府が行っているいわゆる訓練においては、残念ながら、夜間に実施をしているということではありません。

 災害時への対応を高めていくためには、こうした訓練を通じて対応能力を不断に高めていくことが課題と考えておりまして、引き続き、災害派遣医療チームの養成に取り組むほか、災害時の医療に関する訓練の充実、委員がおっしゃるような点も、我々としてしっかり受けとめながら図っていく必要があろうというふうに考えております。

柴山分科員 阪神・淡路大震災というのは未明に起きたわけですよ。みんなが寝静まっているときに、あるいは火を多くの世帯が使っているときにどういうことが起きるかということは、きちんとシミュレーションをしていかないといけないと私は思うんです。ぜひ、御検討いただきたいと思います。

 私の地元には防衛医科大学校また入間基地がありまして、こういった災害医療の問題については大変意識の高いエリアだとは思うんですけれども、防衛医大や入間基地を中心とした訓練の実態及び課題ということは一体どのようになっているのか、また自治体の役割が一体どうなっているのかについて、ぜひお伺いしたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 防衛医科大学校病院は、御承知のように、昭和五十二年に開設をされまして、今現在までに、埼玉県における地域医療にも貢献をしているところでございます。

 先ほどお話がございましたように、災害拠点病院としても指定をされておりまして、近年でいいますと、例えば平成二十一年度、関東の八都県市の合同防災訓練でありますとか、あるいは今年度の埼玉県の特別機動援助隊応用研修であるとか、県の特別機動援助隊合同訓練などに参加しているところでございます。

 また、入間基地でございますけれども、こちらの方は、県内というよりももう少し広域的な観点からの役割を期待しているところでございまして、例えば、首都直下型の地震対処でありますとか、あるいは東海地震対処などにおいての広域的な患者搬送拠点として考えているところでございます。

 毎年九月に政府全体で実施しております防災訓練の一環としましても、今年度あるいは十九年度等々、最近も広域医療搬送拠点としての訓練を実施してきたところでございます。

柴山分科員 ぜひ、しっかりと今後とも検討を続けていただきたいと思います。

 続きまして、看護職員の問題について伺います。

 今私の手元にあるのが第七次の埼玉県看護職員需給見通しというペーパーなんです。平成二十三年でいいますと、病院や診療所など需要側の数ということで、常勤で換算すると四万九千八百四十七名、一方、供給側は、同じく常勤換算をすると四万八千九百十七名、差し引きで九百二十九名の人手不足ということになっております。

 そして、これが平成二十七年の見通しということになりますと、需要数が常勤換算で五万五千六百二十六名、そして供給側が五万四千五百三十六名で、差し引き千八十九名の人手不足ということでありまして、かなり需給が逼迫しているという実態がおわかりいただけるかと思います。

 こういった需給のアンバランスと、それから医療機関や地域による看護職員の偏在、こういった問題について、原因が一体どういうところにあるのか、そしてどのように今後の見通しというものを立てておられるんでしょうか。

岡本大臣政務官 昨年十二月に公表した第七次看護職員需給見通しによれば、供給見通しの需要見通しに対する割合が、平成二十三年には九六%、平成二十七年には九九%となっております。委員御指摘の同様の数字を見ますと、平成二十三年ですと、全国は、百四十万四千三百人の需要数に対して供給が百三十四万八千三百人、これで九六%でありますが、また、二十七年は百五十万九百人の需要数に対して供給数が百四十八万六千人、これで九九%、こういうような見通しになっておりまして、全国規模ではかなりの程度満たされる見通しとなっているところであります。

 しかし、個々の地域や施設類型ごとに見れば、看護職員が偏在し、なお不足感のある医療現場があるなど、こういった指摘もありまして、その原因といたしましては、就労条件や勤務環境など、さまざまな要因が複合的に影響していると考えられます。

 今後、医療現場の特性に応じた確保対策のためのデータ集積を図るとともに、国、地方公共団体、病院開設者等の関係者が協力をいたしまして、地域や施設類型に応じたきめの細かい確保対策を講じていく必要があると考えています。

 また、そういった看護職員の確保対策といたしましては、看護師等学校養成所の運営費補助等のいわゆる養成促進、また、子育て中の看護師等の離職を防止するための院内保育所への支援や、新人看護職員の早期離職を防ぐための新人看護職員研修への支援等、定着促進とともに、ナースバンクにおける求人・求職情報の提供、就職あっせんなどの再就職支援などのさまざまな施策に取り組んでいく必要があろうかと思っております。

 今後とも、こうした対策を総合的に実施しつつ、引き続き看護職員の養成確保のために対策を強化していく、こういったことが必要であろうというふうに考えております。

柴山分科員 今、厚労省の方から、看護職員のいわゆる供給をふやすための方策として、養成システムの充実、そして公費の投入ですとか、あるいは今おっしゃったような離職防止などの待遇の改善ということは、これはぜひ進めていただきたいと思います。

 ただ、今、看護職員を養成しているのは、厚労省所管の専門学校等の機関だけじゃなくて、文科省でも、大学等を設置して、そこで看護師を養成しているわけですよ。ですので、これは文科省の方でも、大学における看護養成の拡充ということについて、何らかの手だてというものは講じていただいていないんでしょうか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 文部科学省におきましては、平成四年の看護師等の人材確保の促進に関する法律の施行を受けまして、看護師養成に取り組む大学の拡充を図ってきてございます。平成三年には十一大学で入学定員五百五十八名であったものが、平成二十三年度には百九十四大学で入学定員が一万五千九百四十九人というふうになる予定でございます。

 一方、最近、医療の技術の高度化などが非常に速いテンポで進んでおりまして、離職する看護師が多いという調査も職能団体の調査などでございます。したがいまして、今後は、長期にわたって働き続けられるよう、大学において質の高い看護師を養成することが重要であると認識してございます。

 文科省におきましては、厚生労働省様の協力も得て、大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会というものを開催いたしまして、このたび、学士課程修了時に看護専門職者として修得すべきコアとなる能力、また、その修得に必要な教育内容というものを示しました学士課程版看護実践能力と到達目標といったものを策定していただいたり、また、看護実践能力の教授に必要な教員の能力開発などの取り組みの方向性といったものもまとめていただいたところでございます。

 こういったものを受けまして、文科省といたしましては、各大学における取り組みを促すなど、引き続き、厚生労働省とも連携して、社会の要請にこたえられるよう看護師の養成に努めてまいりたいと思っております。

柴山分科員 ぜひ、役所の縦割りとならないように、今御説明いただいたように、連携をしっかりと厚生労働省ととって進めていっていただきたいと思います。

 ただ、例えば養成所の充実一つとっても、実際にこれを実習する機関がしっかりと確保されていないと、絵にかいたもちというか、うまく養成が進んでいかないということもあると思うんですけれども、その受け入れ機関ということについてはどのように考えておられるんでしょうか。

岡本大臣政務官 今御指摘がありました看護師養成所の設置に当たっては、あわせて、病院や訪問看護ステーションなど、学生の実習場所を確保することが必要だと考えています。講義そして学内演習とあわせて必要な実習場所でありますけれども、近年、看護職員の養成数が増加しており、実習施設の確保は重要な課題の一つとなっております。

 厚生労働省といたしましては、看護学生の実習に協力していただける施設がふえますよう、看護師等養成所の運営に対する支援において、実習施設への謝金等を盛り込むとともに、患者やその家族など、看護学生の実習に対する理解や、また、協力を求めるためのパンフレットによる啓発など、実習を受け入れる施設の確保に取り組んでいるところでございます。

 いわゆる数がどうなのかということについては承知をしていないということになっております。

柴山分科員 厚労省、文科省と聞いたんですけれども、先ほど申し上げたように、私の地元には防衛医大がございまして、防衛医大では、看護師養成課程について、平成二十六年度から四年制のカリキュラムがスタートするということで、これ自体、私は、コメディカルの充実という観点では望ましいというように思っているんですけれども、四年制に切りかわると、一瞬、卒業生が空白の一年というものが生じてしまうことになるんじゃないかなというふうに思っているんです。この対策はどのようにとられているでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、平成二十六年度から四年制に移行したいというふうに考えております。現在、自衛隊におきましては、中央病院附属の高等看護学院と御地元の防衛医科大学校の高等看護学院、二つございます。教育体制のこともございますし、同時にその両方を募集するという点での受験者の質の問題等もございます。そういうことから計算していきますと、ちょうど平成二十八年度末は空白になるということになっております。

 ただ、その中で、現在も防衛医科大学校の附属病院の看護師は、必ずしも卒業生だけではございませんで、一般の公募からもかなりの数を採っております。そういう意味では、その公募枠の拡大でありますとか、あるいはまた、自衛隊そのものとしては千人を超える看護師をもちろん持っておりますので、そういう方々の活用であるとか、そのあたりの検討を医療の質に差しさわりのないように進めていきたいというふうに考えております。

柴山分科員 あと、今、介護と医療の境目という問題が大変、療養病床の問題とか、いろいろあるんですけれども、ホームヘルパーなどの介護従事者が医療的行為をどこまでできるんだということがこの人手不足解消について大きなポイントとなってくるのかなというように私は思うんですけれども、これについて一体どういう検討がなされているのか。また、そういった介護従事者に対する医療サイドからの研修の充実、こういうことについて一体どういう対策が打たれているのか、お聞かせいただきたいと思います。

岡本大臣政務官 ホームヘルパー等介護職員によるたんの吸引や経管栄養の取り扱いについては、在宅や特別養護老人ホーム、特別支援学校において、当面のやむを得ず必要な措置として、運用によって認めてきたところでございます。

 しかしながら、こうした運用については、そもそも法律において位置づけるべきではないか、また、グループホーム、有料老人ホームや障害者施設等においては対応できていないのではないか等の課題が指摘をされてまいりました。

 このため、今般の介護保険法改正とあわせて、介護福祉士及び研修を受けた介護職員等が医療職との連携のもとにたんの吸引等の行為を実施できるよう、法律の改正案を今国会に提出する予定でございます。

 その際、教育、研修の具体的内容については、現在実施している試行事業の検証結果等を踏まえて検討していくということになろうかというふうに考えております。

柴山分科員 これもやはりしっかりとデータをもとにした検証をやらないと、現場が回っていかないということになりかねませんから、ぜひそこはしっかりとやっていただきたいと思います。

 続いて、いろいろと問題が指摘されている特定健診、メタボ健診についてお伺いしたいと思います。

 私は、これからは予防医学の充実ということが大きなテーマとなってくるということで、その意義自体はよく理解をするんですけれども、巷間指摘されているような低い受診率、あるいは、事務処理が非常に煩雑で、代行機関を雇ったりするということが促進されているというようには聞いているんですけれども、改善点が多々あるというように考えていますけれども、どのように把握されているんでしょうか。

細川国務大臣 柴山委員の御指摘のとおり、特定健診については、目標値は七〇%、こういうふうに設定しているんですけれども、残念ながら、まだ四〇%ぐらいなんです。したがって、これをぜひ向上させなきゃいかぬということで、これまでもいろいろと取り組んでまいりました。

 それは、県単位で複数の医療保険者と医療機関等が契約をするときに集合的に契約をして円滑に進めるようにというような取り組みとか、また、特定健康診査とがん検診等の同時実施というようなことを推進しよう、そういうようなことで推進をしてきたところなんですけれども、まだまだ足りないということで、もっともっとやっていかなければというふうに思っております。

 これらの取り組みに加えまして、この三月に取りまとめをしようとしております、全国医療費適正化計画というものの中間報告というのをすることになっておりまして、そこでその実施率の向上に有効な取り組みというのをやりたいというふうに思っておりまして、これまでの取り組みに加えて、委員が言われるような、向上に向けてしっかりやっていきたいというふうに思っております。

柴山分科員 特定健診は保険者が実施をするんですよね。それで、これまでの都道府県の基本健診の場合には、今大臣がおっしゃったように、がん検診と一緒にやらせるということもできるわけですけれども、今御指摘のように、それがうまくできない、レントゲンを撮らないということになると、そもそも、サービスが落ちて、当初の予定である予防医学のしっかりとしたスクリーニングということに逆行する結果が出てきてしまいかねないと私は思うんですよ。それをぜひしっかりとした形で改善をしていただきたい。

 それと、今、実施率の話もありましたけれども、きちんと受診勧奨を行っていただかなければいけないというように思っているんですけれども、どうですか。何か補足することがあれば。

岡本大臣政務官 御指摘のように、保険者の種別ごとに特定健診の受診率に差があるというのは事実でございまして、組合健保が六三・三、共済組合が六五・四、市町村国保が三一・四%、それぞれこのような実施率になっております。

 そういった中、いわゆる被用者については、特定健診と同じ項目の事業主健診を職場で受診できる、こういったことが一つパーセンテージが高い理由としても考えられるわけでありますけれども、いわゆる市町村国保における課題についても、委員からもまた御意見をいただきながら取り組んでいかなければならないというふうに思っております。

 また、いわゆる市町村との連携、先ほどお話がありましたが、レントゲンの例もそうでありますけれども、基本健康診査とレントゲンを項目として含むがん検診は、ともに市町村が実施主体となっていたため、両者の同時実施がかつては行われやすかったということでありました。

 平成二十年度より、特定健診は医療保険者が、また、がん検診は市町村が実施主体となり、地域住民のがん検診と特定健診の受診の利便性の向上と受診促進のために、都道府県、市町村、医療保険者等で連携、連絡調整を図り、がん検診と特定健診の同時実施を推進していくというようなところでございまして、そういった意味でも、委員のいろいろな御指摘もまたいただきたいというふうに思います。

柴山分科員 時間がなくなってまいりましたので、次の質問に移ります。

 一般用医薬品のインターネット等の販売の規制についてお伺いしたいと思います。

 私は、改革は積極的に進めていくべきだという立場でありますけれども、それが要するに実際にどのような効果を生むかということは、きちんと現場の声を聞かなければいけないというように思っています。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、行政刷新会議の規制・制度改革分科会ライフイノベーションワーキンググループのこの問題に関する検討状況はどうなっているのか、内閣府から伺いたいと思います。

平野副大臣 規制・制度改革に関する分科会につきましては、昨年十月から調査審議を開始したところでございまして、具体的には、分科会の下に設けられているライフイノベーションワーキンググループにおいて議論を行い、ことし一月二十六日の分科会で中間取りまとめを行いました。今御指摘の件については、その中の一項ということでございます。

 具体的には、販売履歴の管理、購入量の制限など、一定の安全性を確保しながらインターネット等で医薬品を販売するためのルールを設定する、こういったことについての検討をすべきだ、こういう旨の提案をいただいております。

 現在、この提案につきましては、三月の閣議決定を目指しまして厚生労働省と協議を行っている、こういう状況でございます。

柴山分科員 当然、これを促進すると利便性が増すということだと思うんですけれども、ただ、これを進めることによって、既存の薬局の経営に対する影響というものは、やはり少なからざるインパクトというものが私はあるんだと思うんですね。そうなると、薬局の廃業リスクによる、地域の薬剤がすぐ買えるという利便性、これのマイナスということはきちんと考慮に入れて検討されているんでしょうか。

 それと、薬局の今の機能としては、セルフメディケーションということで、お薬についてのさまざまな情報を地域の方々に提供するという機能が私は無視できないというように思っていまして、そうなると、やはり郵便局と同じように、ユニバーサルサービスということがある程度必要になってくるのかなというふうにも思うんですね。

 ですので、これについて、内閣府サイドと厚労省サイドと、それぞれぜひ意見をお伺いしたいなというように思っています。

平野副大臣 この分科会の議論におきましては、今御指摘にあったような、既存の薬局の経営に関する影響等々についての定量的な分析まで行っているわけではございません。

 いずれにせよ、この提案につきましては、今の制度に対して、インターネット販売の解禁というのがどういう便利性があるのか、またどういう問題があるのか、こういったことを総合的に判断して、この取り扱いにつきましては、先ほど申しましたように、厚生労働省と私どもとの協議の中でその方向性が打ち出されるものだ、そのように思っております。

 なお、かかりつけの薬剤師を決め、店舗で相談しながら医薬品を購入したいというニーズは大きいと考えておりまして、セルフメディケーションの拠点としての地域の薬局は、今後も重要であると私どもも認識をしております。

岡本大臣政務官 今委員御指摘のような、既存薬局の経営に与える影響ももちろんインターネット販売を解禁することで考えられるわけでありますが、厚生労働省といたしましては、国民の健康と安全を守る観点から、一般用医薬品の販売に関し、リスクの程度に応じて専門家が関与し、適切な情報提供等がなされる仕組みを定着させることが重要だというふうに考えています。

 また、ユニバーサルサービスが崩壊するおそれはないのかということでありますけれども、これも、厚生労働省といたしましては、今後とも、国民が一般用医薬品を適切に選択し、適正に使用されていくように努めていかなければならないというふうに考えているところでございます。

柴山分科員 とにかく、ぜひ現場の実態をきちんと踏まえた形で調整をしていただきたいなというように思っています。

 続きまして、同じく規制・制度改革分科会の検討対象となりました調剤基本料の一元化についてお伺いしたいと思います。

 この問題についての検討状況はどうなっているんでしょうか。

平野副大臣 中間取りまとめの概要についてだけ御報告を申し上げたいと思います。

 今、保険薬局の調剤基本料は原則四十点であるのに対し、受け付け回数四千回超、特定医療機関からの集中率七〇%超の薬局は二十四点となっておりますけれども、患者にとってその質的な差は認められないため、次期診療報酬改定では調剤基本料を二十四点に一元化することを検討すべきである、こういう御提言をいただいております。

柴山分科員 今、四十点と二十四点というお話があったんですけれども、では、四十点の薬局の全体における比率は何%なんですか。

外口政府参考人 現在、約九九%の保険薬局が、原則である四十点の調剤基本料を算定しております。

柴山分科員 要は、九九%を占める四十点の点数を、大規模な特定の医療機関の処方をばっとたくさんやっているようなところの二十四点に引き下げよう、そういうお話だと思うんですね。

 とすると、さっきも薬局の経営というお話をしたんですけれども、薬局が今後は特定の医療機関のそういった処方せんを大量に扱うことでしか生き残れないということになって、経済的に独立の薬局としてそういった処方せんのチェックをするという機能が果たせなくなっちゃうんじゃないですか。また、かかりつけ薬局の育成ですとか、複数医療機関が発行する処方せんの重複や相互の飲み合わせとか、そういうものをチェックするということもできなくなってしまうんじゃないか。

 それについて、内閣府、厚労省、一体どのように考えているんでしょうか。

平野副大臣 この点に関しましても、最終的には三月の閣議決定を目指しまして、今厚生労働省と協議中でございます。今委員が御指摘されたような点も含めまして、この取り扱いについては検討することになると思います。

 ただ一方で、こういう一物二価という状況がありますと、消費者が自己負担の低い薬局に誘導される可能性が将来的には否定できない。確かに今、二十四点の薬局は全体的には非常に小さいんですが、その安い、自己負担の低い薬局に誘導される可能性は将来的に否定できず、むしろ結果的に町じゅうの薬局から顧客を奪う懸念も生じるため、中間取りまとめでは、公的価格設定のあり方として一物二価は改めることを検討すべきとの提案になっているというふうに理解をしております。

泉主査 岡本厚生労働大臣政務官、簡潔にお願いします。

岡本大臣政務官 通常の保険薬局においても、先ほど割合が低いと言われました、二十四点の調剤基本料にまで引き下げるということにすると、その経営を継続することができるのかどうか、また、複数の医療機関を受診している患者の処方の一元的管理を適切に行えるかどうかなどについて、慎重な検討を行う必要があるというふうに考えております。

柴山分科員 以上、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

泉主査 これにて柴山昌彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、橘慶一郎君。

    〔主査退席、郡主査代理着席〕

橘(慶)分科員 三十分、限られた時間でありますので、簡潔に参りたいと思いますが、四月上旬並みの陽気のきょうと言われておりますので、万葉集で始めさせていただきます。巻八、一千四百二十四番、山部赤人であります。

  春の野にすみれ摘みにと来し我れぞ野をなつかしみ一夜寝にける

 ということで、少し春めいてまいりましたのでさわやかにいきたいんですが、ニュージーランドで今、私の富山県の方々もまだ救助を待っているという状況でございます。被災に遭われた方にお見舞い申し上げながら、一刻も早い救助をということを願いながら、早速質問に入らせていただきます。

 子ども手当、せんだっても予算委員会で聞かせていただきましたが、少し残っている部分から始めさせていただきたいと思います。

 政府は、今回の予算につきましては、三段構えの経済対策のステップスリーとも位置づけられております。もちろん、予算というのは、それぞれの予算の費目によっていろいろな言ってみれば期待すべき効果はあるわけですが、一面、やはり今回、雇用あるいは成長、そういったことに重点を置きながら、経済対策の色も濃い予算ということになっておりますので、厚生労働省所管予算全体といたしまして、それもやはり国の一部でありますから、市中経済でお金が循環する、そういう実になる歳出というのが非常に大事ではないか。

 この辺を、お心がけになったことを含めてお答えいただきたいと思います。

小宮山副大臣 厚生労働省予算は、御承知のように、年金、医療、介護、雇用、福祉など国民生活に密接にかかわる予算が中心でして、国民にサービスや現金を提供することを通じまして、おっしゃったようにお金の循環が生まれてくる、生きたお金になると考えております。

橘(慶)分科員 そこで、この子ども手当についてですけれども、昨年末、厚生労働省さんで、子ども手当の使途等に関する調査というのを行っておられます。これによれば、支給を受けた方の四一・六%の方が貯金あるいは将来のための保険料に充てられた、こういう結果も出ておるわけであります。

 もちろん、支給を受けた方々は子供さんのためにいろいろなことを考えられるということは、それはよく家計としてはわかることであります。しかし、今非常に財政も逼迫している、そしてまた、できるだけ、今副大臣もお答えになったように、やはりせっかく国から出ていったお金がいい意味で使われて、よりお金がお金を生むという循環をしてもらった方がそれはなおいいであろう。

 そうなってまいりますと、よく言われる話ですが、現金給付、現物給付ということからすれば、やはりできるだけ現物給付ということを考えていく。もちろん、国が非常に豊か、今の国家財政が豊かで、もう少し将来のことも先に今手当てできるという国の財政ならそれはよろしいわけですけれども、今そうではない国の財政だとすれば、この辺、もう少しやはり現物給付ということの拡大ということは考えられるべきではないかということなんですが、いかがでしょうか。

小宮山副大臣 子ども手当は、御承知のように、一人一人の子供の育ちを社会が応援するということなので、あくまで経済対策を目的としてつくったものではございません。

 その上で、子育て支援策にはもちろん現金給付とともに現物給付が大事だということは、私どもも、総合的にパッケージで政策をつくっておりますので、よく認識をしております。

 現物サービスにつきましては、保育所受け入れ児童数をおよそ五万人毎年ふやすための保育所の運営費の拡充、それから、子ども手当法の中で地域の実情に応じた現物サービスを拡充するため、今回、五百億の交付金を創設したこと、また、二十二年度の補正予算で、子宮頸がん予防ワクチンなどの接種事業への財政支援、これは千八十五億円、そして、安心こども基金の拡充もおよそ一千億円しております。

 さらに、地方財政計画に子供の現物サービスのための特別枠を新たに設けまして、地方交付税に一千億円を加算しています。

 こうした対応を通じまして、私どもも、現金給付と現物給付、それはバランスよくやりたいと思っております。

 御指摘の、四一%の方が貯金や保険料に充てたということですが、これは複数回答であるということですので、子ども手当をすべて貯蓄している人が四割を超えているということではないということと、調査項目にありますように「子どもの将来のための貯蓄・保険料」ということで、これは子ども手当の趣旨にも合っていると考えております。

橘(慶)分科員 趣旨には合っているんですが、最初に申し上げたように、今非常に世の中、国家が厳しいといいますか財政が厳しいという中で、何に重点化していくか。

 あと幾つか聞いていく中で、きょうは、言ってみれば、ある意味で、こういう分科会ですから、今後、将来に向けて考えていただくということも含めて、実は、現物給付を待っている分野というのは、いろいろなところにまだまだあるわけです。それを、社会が子供を育てるという理念でおっしゃいますけれども、その理念に立ったとしても、もっともっと社会としてやっていかなきゃいけない、そしてまた光が当たらなきゃいけないところがあると思います。そういうことを順次質問の中で申し上げますので、またよくそこを反復、研究していただければ幸いであります。

 三番、四番と分けていますが、きのうも本会議の方でありましたので、まとめてお伺いいたします。

 今回、保育料、学校給食費に充当することが可能になるわけですが、保育料は市町村、自治体で直接徴収できる、学校給食費や幼稚園授業料は本人の同意を必要とする、そこはそれぞれのお金の債権としての性格が違う、ここまでは教えていただきました。そこを乗り越えるにはどうするんだという議論もいたしますと、それは制度改正なり法律改正をすればいいんだ、ここまでお話もいただきました。

 では、せっかくそういう地方との協議の場でこういうことになって、それを受けとめられたとすれば、なぜ今回、制度改正まで踏み込まなかったのか、ここをもう一歩踏み込んでお答えいただきたいと思います。

小宮山副大臣 おっしゃいましたように、学校給食費も本人の同意なしに徴収できないか、厚生労働省としても一生懸命検討してまいりました。しかし、おっしゃいましたように、保育料とは異なって、学校給食費については強制徴収可能な公債権ではないということもありまして、今回は本人の同意による仕組みにしたところなんですね。

 これは文部科学省の方で法改正をする必要もございますので、今回は、とにかくまずは、文部科学省とも連携をしながら、実効性が上がる運用面での工夫。例えば、学校に入るときにいろいろ同意をする文書なんかを出す中にこれを入れるとか、なるべく同意をしていただけるような仕組みを文部科学省とも十分検討して対応を、ことしは運用面でやらせていただきたいと思っております。

橘(慶)分科員 たまたま逢坂誠二元ニセコ町長さんもいらっしゃっていますが、実は、そうすると地方の方で、やはりそこはある意味で一つの義務を負わなきゃいけないということなんですよね。親御さん方、いろいろな立場、いろいろな考え方がある方々に、実は、できるといってもそこは聞かなきゃいけない。初めから決まっているのであれば、それは割と簡単。地方の事務という意味では、それを実行するために複雑になっちゃう。今たまたま副大臣もおっしゃったように、文部科学省さんの法律であると。

 しかし、ここは、私も自治体をやった経験からすると、いや、省あって国なしではない、国は一つ、そういうふうに考えたときに、そこはやはり連携をされて、もっと積極的でもよかったんじゃないか。

 さっきから大臣の手が何度も挙がっておりますので、せんだって夕食をともにした大臣さんであります。どうぞお願いいたします。

細川国務大臣 今、小宮山副大臣がお答えをしましたように、いろいろと法制局の方とはさんざん練って、何とか徴収できるようにということでやったんだけれども、法制的には無理だったということで、これはやはり債権の内容を変えるような法律を変えなきゃいかぬということで、そうしますと、これは文科さんの所管でありますから、今回は間に合わなかったんですけれども、文科さんの方の大臣を通じて、こういう問題があるからぜひ検討してほしい、こういうことは申し上げておりまして、ぜひ将来的にはそういう形でやっていきたいというふうに思っております。

橘(慶)分科員 こちら側の立場でいえば、そういうことをまず調整してしまえばいいんじゃないかとも言いたくなりますが、ぜひよろしくお願いしたい。

 そして、こういったことをやっていくためには、昨年も子ども手当を入れるということでのシステム変更があった。それについては補正予算での対応等もあったわけですが、こうなると、ことしもまた春先からシステム変更云々ということにもなってまいります。この手当てはどうなっているのか、お伺いいたします。

高井政府参考人 保育料、学校給食費を子ども手当から徴収する場合に市町村でのシステム改修が必要と聞いておるところでございまして、ただ、この徴収あるいは納付を子ども手当から行うかどうかは市町村の方で、あるいは、いつから行うかについても市町村が判断するということでございます。

 システム改修の準備を進めている市町村もあると聞いているところでございますので、厚生労働省としても、その円滑な施行に向けて、QアンドAをつくるなどして周知に努めてまいりたいと考えております。

橘(慶)分科員 そこは、後からまた困らないようによろしくお願いしたいと思います。

 そこで、あと、この子ども手当の現物給付的な、もう少し御検討いただきたい部分ということで二つお聞きしていくわけですが、それはそれぞれ、実は私も現場で大変心配をさせられた、地方として心配をさせられたテーマであります。

 妊婦健康診査、これは前政権で五回から十四回まで支援をするという形に変わりましたが、実は、補正予算対応で基金を都道府県に積んでいただいて、そしてそこからやっていく。非常に将来が見通せない不安定な状況の中で、二十二年度の経済対策の中では、また一年、多分一年、もう少しかもしれませんが、一応ほっと一息ついたということであります。こういったものはぜひ当初予算から、補正予算は今厳しいときでありますが、こういったものこそやはり当初予算の枠の中に組み込んでいくべきではないか、ビルトインすべきではないか、このように思うわけであります。

 せんだって、これは大臣から、今いろいろシステムのところでも頑張っていますと、私の質問時間の最後で、ちょっとそこがすっきりしなかったんですが、私は、そのこと自体は非常にいいことだと思うんですが、ぜひここは、そういったことを含めて、現物給付の部分で先ほど五百億とおっしゃいましたが、二兆ウン千億ということとすればかなり隔たりもあるわけであります。ぜひ、そういったものをいろいろ掘り出して対応いただきたいと思いますが、この妊婦健康診査のことの決意も含めて、もう一度お答えいただきたいと思います。

小宮山副大臣 おっしゃるように、大変大事な視点だと私どもも認識をしております。

 御承知のように、平成二十二年度の補正予算案で妊婦健康診査支援基金を積み増しまして、二十三年度についても公費助成を継続するとともに、妊婦健康診査の標準的な検査項目の充実を図りまして、妊婦一人当たりの補助単価上限額を引き上げることにしております。二十四年度以降につきましても、市町村での実施状況を踏まえながら、しっかりと検討していきたい。

 それで、おっしゃいましたように、今、子ども・子育て新システム、これを新たに子供に、ただでさえ少ない子供の予算を一つにまとめて、今までからすると画期的に、現物の方を中心ですけれども、やるような仕組みを検討しておりまして、その中で妊婦の健診についても位置づけるという考え方をとっておりますので、またそこにも御意見をいただきながら、ぜひいいシステムに、二十五年度スタートを予定しておりますので、御協力をいただければと思っております。

橘(慶)分科員 そこまでおっしゃっていただくと、こちらも少し油を引いておきたくなるわけですが、そういったものをやるときに、この二兆ウン千億、それ以上だんだん予算を膨らませていくということもなかなか国家財政でできないとすれば、やはりその中で、現物、現金というものの切り分けということをもう少しいろいろ考えられる。

 というのは、質問しませんでしたが、保育料を実は今回、要するに天引きと言ったら変ですけれども、引くということができるようになりますと、多分、ある所得以上の方からすれば、全額保育料を引きますと、保育料というのは階層になっていますから、第一階層から第八階層までありますので、ある階層から上の方は全部、結局保育料で消えちゃうということになるんですね。ある意味で、一面、現金給付なんだけれども、もう既に現物給付化した部分も実は出てきているわけですよ。そういったことを全部総合してきたときに、何かもう少し、こういう制度を新しい形に持っていくということも含めて考えられたらどうですかというのが一番申し上げたいことになるわけです。

 そこで、もう一つ大事な、市町村で心配している日本脳炎の予防接種の再開の問題であります。

 一歩一歩、審議会等されて丁寧に進められているわけですが、第一期の年齢から外れてしまった児童がどっと出てまいりまして、これはやはり接種しなきゃいけない。それはぜひ定期接種と位置づけて財政措置をということが市長会等から要請が出されていると思いますが、現状、どのように検討されてきたか、お答えをお願いします。

小宮山副大臣 日本脳炎のワクチンにつきましては、接種後に健康被害を発症した事例があったことから、平成十七年の五月より積極的推奨を差し控えてまいりました。その後、新たなワクチンが薬事承認されたことから、平成二十二年の四月から、三歳児の積極的勧奨を再開しました。

 この間、積極的勧奨を行わなかったために、接種機会を逃した方々については、専門家の御意見によりまして、順次、積極的勧奨を実施することにしております。その財政措置につきましては、地方交付税による措置が講じられることになっております。

 今後また、ワクチンの供給量を踏まえながら、できるだけ早く接種が受けられるよう精いっぱい努めていきたいと思っております。

橘(慶)分科員 そこで、自治体とすれば、交付税措置もありがたいんですが、ぜひ交付金措置で厚生労働省さんとして主体的にやっていただいた方が本当はありがたいということがあります。

 この質問には入れませんでしたが、また機会があればお聞きしますが、もう一つ、全国で今非常に問題になっているのは、子供の医療費の助成措置が自治体によって非常にばらついているということであります。多分、東京都と千葉県でも違うんだと思います。川一つ渡って何で違うの、こういうことについて自治体は非常にお答えが出しにくい。厚生労働省さんのお答えは非常にまたはっきりしていまして、それは地方の自主性に任せていますとおっしゃる。おかしいですよね。子ども手当は国が全部統一基準、子供の医療費の助成措置は地方の自主性、それは本当かなということなんですよね。そういうことも含めて、ぜひまた機会があればお尋ねしたい。

 きょうは時間が限られておりますので、ねんきんネットに入らせていただきます。

 これは、年金通帳の問題、いろいろあった末、こういう形に変わってきまして、お金の使い回しとしてはよく検討された形なんですが、ただ、何となく、最初の考え方に引きずられちゃったのかなという私なりの心配、そして、そのことで御苦労がなければいいなと思っております。

 市区町村の窓口で年金記録の提供を行うサービス、いわゆるインターネットに対応しづらい方々を想定されて、お尋ねになればお答えしますと。ただ、これを郵便局でも試行的にやるということになっております。郵便局のネットワークも利用される理由をお伺いします。

大塚副大臣 御質問ありがとうございます。

 昨年のこの時期、ちょうど私は郵政改革の方の担当をさせていただいておりまして、当時、厚生労働省の皆さんともいろいろとお話をさせていただきました。そのときには、せっかく郵便局のネットワークが全国に二万四千あり、公共的な機能も果たし得る中で、どういうお役に立ち得るかという立場で、郵政改革の担当から厚生労働省の皆さんに御相談をした経緯があります。恐らく、そういうことも踏まえて、郵便局でまず試行的にねんきんネットの情報の確認をさせていただくという展開になっているものというふうに理解をいたしております。

 市町村の役場というのは、先生御承知のとおり、あちこちにあるわけじゃありませんので、一つの自治体の遠隔地の方が役場まで行かないとお年寄りが自分の年金のデータを聞けないというときに、近くの郵便局でちょっと頼めればそれにこしたことはないというふうには思っております。

橘(慶)分科員 そこの問題意識で、何度か実は事務方の方とも話を聞いているんですが、次の質問でそこがポイントになってくるんです。

 何か、遠隔地というイメージだと、いわゆる簡易郵便局とか、山間部のそういうものかと思ったら、実はこれは、試行的にやるものですから、二百カ所で二月末からスタートというんですが、そういうやり方ではない。そこはどういうやり方をされるのかということのお答えとあわせて、そういったことのPRはどうなっているのかということでお答えいただきたいと思います。

石井政府参考人 まずは、来週二月二十八日から、ねんきんネットのサービスをスタートさせていただきます。

 このスタートに当たりましては、御協力いただける郵便局の数、全国で二百四ということでございます。できればもう少し多数の郵便局から始めたいなという気持ちも正直ございましたが、まずは、スタートとしては二百四から始めさせていただいておるということでございます。

 PRという点のお尋ねがございましたけれども、本日なんでございますけれども、本日の午後、私ども厚生労働省の中で記者発表させていただきまして、今申し上げました、具体的に、まずは、来週二十八日からこのサービスを御利用いただける郵便局のお名前を記者さんの方にお知らせしよう。また同時に、日本年金機構それから郵便局株式会社さんにも御協力をいただきまして、それぞれのホームページ上で具体的な郵便局名を御案内する。また、それぞれの二百四の郵便局の窓口でも利用案内のポスターなども掲示していただける。こういった形で、まずは、スタートをさせていただくPRを始めることといたしております。

橘(慶)分科員 これはやはり、ちょっと前回の予算委員会に戻りますが、どうしてもこうしなければいけない、どうしてもこうしなければいけないからそれをやり切らなきゃいけないということがいい場合と、そうでもない場合もあると思うんです。

 例えば、二十八日からやることですよね。それをきょうにならないとPRできないというのは、これは理由があって、その事業を届け出しなきゃいけないとか、いろいろ準備しなきゃいけない。だったら、別に年度がかわって四月から始めてもいいんだけれども、いろいろ前からの流れで、やります、やりますと言うから、でも、もう少しそこは柔軟にされてもいいんじゃないか。これはお答えは要らないので。

 それともう一つ、これはもう確認しているんですが、二百四カ所と言われたじゃないですか。皆さんに勉強してもらえればなおいいんですが、二百四カ所というのはどうするんだろうと思いませんか。全国にこんなにたくさんネットワークがある。そうすると、それは例えば、北陸なら北陸ブロックで一カ所だけやってみるということです。北陸の場合、間違えていれば訂正していただければいいんですが、石川県の輪島市というところの郵便局全部でやるんですよ。簡易郵便局は入らないんです。

 そうすると、例えば輪島なら輪島の中央局なんて、市役所の横にあったりするかもしれないじゃないですか。そうすると、最初に言われた、市役所の窓口でできないものをいろいろなところでやるというイメージと、おわかりでしょう、そういうことって何か不思議じゃないですか。

 そして、大塚さんもいらっしゃっているけれども、郵便局って大変なんです。御苦労されている。きょう逢坂さんもいらっしゃっているけれども、総務省の方でも郵便局を何とかしなきゃいけないというときに、しかもこれは、もっと言いますと、この一件一件について対価を払うわけですね、これはお仕事ですから。本当は、郵便局は株式会社なんです。だけれども、この対価は何と実費なんですよ。要するに、利益はないんです。利益なしで契約されちゃったんですよ。その辺がどうも、本当にこれでいいのかなと。

 では、それは結局、最初にある人が、年金手帳をつくります、これはどこでもわかるようにしますと言ったことが、最後は、郵便局の職員の方がみんな研修を受けて、下手したら、研修を受けた方が今度は四月に輪島から金沢へ転勤したら、また違う人が研修を受けなきゃいけないんですよ。そして、そのことは実費でしかお金を出さないんですよ。何か変じゃないですかというのが私の問題意識なんです。

 もちろん、げんこつ答弁で返るかもしれませんが、これが郵便局にとって本当にメリットがあるのかということを、まあ、一応教科書的にお答えください。

大塚副大臣 郵便局にとってメリットがあるかどうかというのは郵政の担当の方からお答えをいただきたいと思いますが、一つ御理解をいただきたいのは、去年、郵政改革を検討している最中に、今、法案は、まだ御賛同いただけていませんので滞っておりますけれども、せっかくあるネットワークを国民の皆さんのために有効活用するにはどうしたらいいかということと、おっしゃるように株式会社になっておられましたので、今私は厚生労働省の立場で、じゃ、厚生労働省の立場で、株式会社になった郵政をいわば利益も出ない形で使わせていただいていいのかという御下問を受けると、厚生労働省としては申しわけないなという気持ちもあります。

 さりながら、なぜ郵政改革を今お出ししているような法案の内容にしているかというと、つくった当事者ですので答弁させていただくことをお許しいただきたいと思います。やはり、ある程度国民の皆さんにパブリックな機能を果たし得るからこそ今の法案の内容になっているわけでありまして、そのパブリックな内容というのは一体どういうことかということから出てきた結論であります。

 あわせて、実は、年金通帳の方は、一番最初に厚生労働省の方から逆に私の方に話があったんですね、年金通帳を郵便局のATMでできないかと。しかし、これはシステム対応が大変なことでございまして、その中から、今度は逆に郵政担当の私から投げ返した球が、ねんきんネットならどうですか、そういう脈絡であったということだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。

福岡政府参考人 お答え申し上げます。

 郵便局におきまして、今回の年金加入記録を交付するという事務を行うことによりまして、もとより地域住民の方々の利便の増進につながることになるわけでございますが、郵便局にとりまして、あるいは郵便局を運営しております郵便局会社のメリットといたしましても、お客様に対しますいろいろな行政サービスを今でもやっておるわけでございますが、これのメニューがふえることになりまして、お客様が郵便局に足を運んでいただける機会がふえるというようなことによって郵便局への集客効果が高まる、あるいはそれによって郵便局のサービスを利用していただけるというようなメリットがあるということを判断いたしまして、新たな業務として、試行ではございますが、実施するということを判断したというふうに聞いておるところでございます。

橘(慶)分科員 そう聞いているんですが、いみじくもおっしゃったとおりなんです。年金通帳という、その通帳という言葉は、ATMというところから引っ張ってここまでたどり着いているという問題だと思うんですよ。それで、さっき言ったとおり、別にそんなに、最初そうだからねばならないで頑張ることないじゃないですかというのが言いたいことなんです。

 そこはお答えはいいんですが、一つだけ、あと、何とか逢坂政務官まで順番にお願いしていきますけれども、まず年金通帳ですが、そうなれば、これをネットでやるということになってくれば、二つを追っかけることもなくて、もうネットならネットでやるということで割り切られたら、別にこれは、六千万ぐらいかけて調査をまたされるというんですけれども、もうそろそろいいんじゃないですかというのは、どうお考えになります。これは大臣でお願いします。

細川国務大臣 年金通帳のことにつきましては、今年度、インターネットの方でこれからやりますから、それも見て、そして、年金通帳については、どういう内容、どういう形がいいのか、これはやはり国民的ないろいろな調査をして、そういうニーズがあるのかどうかとか、いろいろな観点からちょっと調査をさせていただいて、その結果、このことの結論も出していきたいというふうに思っておりまして、まずは調査をさせていただきたいというふうに思っています。

橘(慶)分科員 ぜひ、お話をしたことをかみ砕いて考えていただいて、よろしくお願いしたいなと思います。

 そしてもう一つ、大塚さん、これはお答えはいいんですが、お考えいただきたいのは、これがネットの方に移ると、ねんきん定期便を最後はなくしたいんですよ。だから、郵便局へお願いしている郵便物を減らしたいという思いがあるので、何か郵便の方向とちょっと、実は利害は必ずしも一致していないということを一つ指摘させていただきたいと思います。

 最後の質問で、済みません、光をそそぐまで参りませんで、ごめんなさい。逢坂政務官に来ていただいています。

 実は、年金番号と違ったIDをつけて、言ってみれば、マイレージクラブみたいに別の番号をまたつけるんですよ。そうすると、何か今、税、社会保障、いろいろな一体化で番号をまとめていこうというときに、実は、ここでは年金番号と違う番号をまたみんな年金者の方に振っていくということをある意味で積極的に進めるということに思想的にはなってしまう。

 そんな形で、今基本方針をつくって進められていく中で、新しい番号ができてくるというのはどうなんだろうかと疑問を持つんですが、最後にこれをお答えいただきたいと思います。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、社会保障・税にかかわる番号制度の基本方針では、社会保障・税にかかわる番号制度が導入された場合、国民が自己の情報を確認し、行政機関等からのサービスを受けられるよう、インターネット上にマイポータルを設置することとしてございます。このマイポータルは、ねんきんネットサービスの全部または一部を包含し得る可能性がございます。したがいまして、矛盾が生じないよう、また二重投資とならないよう、関係省庁とも連携して検討を進めてまいりたいと考えてございます。

橘(慶)分科員 済みません、私の理解が悪くて申しわけありませんでした。時間も何とか、最後の紙が来ていませんので。住民生活に光をそそぐ交付金でありました。失礼しました。

 これが、補正予算案で一千億円計上されたわけであります。やはり自治体で心配になるのは、これが一過性だと、例えば図書館で図書を買ってもいい、そういうのはいいんですよね、それは一過性ですから。

 ただ、例えばDV対策で相談所をつくりたいとか、あるいは児童相談所をよくしていきたい、職員もふやしたいなんということになると、一過性で施設はできても、後はそこにランニングコストがかかる。ですから、やはり自治体とすれば、そのランニングコストを見てもらえないと一歩を踏み出せないという心配をするんですが、そこの手当てというのは政府全体としてどうお考えになっているか、お答えをお願いします。

逢坂大臣政務官 お答えいたします。

 光をそそぐ交付金については、今まで何とかしなきゃならないという分野があっても、予算の都合上なかなか配慮ができなかったというところで、今回、手当てをさせていただきました。それによって、随分多くの方から感謝もいただきましたし、多くの気づきも与えることができたかなというふうに思っております。

 しかしながら、橘委員御指摘のとおり、私も現場の首長の立場だったら同じような心配をしたというふうに思っています。そこで、今回、二つのポイントで対応しております。

 一つは、後年度に人件費負担が継続的に発生する事業にも取り組めるように、地域の雇用拡大につながる事業の財源とする場合は、平成二十四年度まで基金に積み立てることを可能にしようというのが一つのポイントです。

 それからもう一つのポイントが、光をそそぐ交付金に呼応した取り組みや、その趣旨を踏まえた単独事業をやる場合、例えば婦人相談所の職員や児童福祉司などを配置する、こういう場合には、継続的に展開できるように、平成二十三年度に普通交付税措置を講ずることとしているところでございます。

 以上でございます。

橘(慶)分科員 これは総合的な手当てをお願いしたいということと、最後に出てまいりました幾つかの分野は厚生労働省さん分野であります。内閣府、今本当に仕事が多過ぎて、私、気の毒であります。ぜひ仕事を厚生労働省さんの方に引き取っていただいて、もう少し軽やかな内閣府にしていただきたい、そのことをお願い申し上げて、終わります。

郡主査代理 これにて橘慶一郎さんの質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳さん。

照屋分科員 社会民主党の照屋寛徳です。

 大臣、大変お疲れさんでございます。きょうは、弁護士界の大先輩でもあられる大臣に質問できる機会を得て、大変うれしく思っております。

 大臣は、副大臣時代を含めて、就任後今日まで、全国のハンセン病療養所施設を御視察したことがあられるでしょうか。

細川国務大臣 ハンセン病の療養所は、昨年十月二十七日でありましたけれども、多磨全生園の方に訪問をいたしました。私、初めての機会だったんですけれども、そこで、入所されている方々と懇談をしたり、それから、あそこには納骨堂、不自由者棟、それから、私、びっくりしたんですけれども、全生園の中に保育所をつくって近所の方々の子供たちとも接触ができるような、そういう保育所の設置の始まりというか、それの準備がされておりまして、非常にいいことができるなというふうに喜んだところでございます。

 私も、訪問いたしまして、経験を聞かせていただいたり、あるいはまたいろいろな御意見などをお聞きもいたしまして、ハンセンの問題には誠心誠意取り組んでいかなければ、そういう決意も新たにしたところでございます。

照屋分科員 沖縄愛楽園が四月から保険入院医療機関として指定をされるようであります。この間、愛楽園は、より地域に開かれた施設として発展するため、当面、四床程度を保険入院医療機関として指定するよう求めてまいりました。指定の実現は、入所者や退所者の生活環境の維持向上につながるものとして、大変喜ばしく思っております。

 本件については、私も一昨年の十二月、当時の長浜副大臣に申し入れ、また昨年の厚労委員会でも取り上げてまいりました。

 厚労省が愛楽園の四月からの保険入院医療機関指定を正式決定し、同園に通知したのはいつごろでしょうか。指定される病床数とあわせて伺います。同時に、今度の指定実現は、退所者の社会復帰にとって具体的にどのような利便性をもたらすものでしょうか。

大谷政府参考人 今お話しいただきました沖縄愛楽園の保険医療機関の指定でございます。これにつきましては、今先生からお話がありましたように、入院ができるように、入所者の皆さんの要望を踏まえまして、四床分の必要経費を既に二十三年度予算にも計上して、今、四月からの開始に向けて着実に準備を進めているところでございます。指定の通知はまだ行っておりませんが、四月から確実にスタートできるように準備しておるということでございます。

 この取り組みによりまして、退所した後も安心して入院治療が受けられる、こういった社会復帰にお役に立てるものというふうに考えておりますし、入所者の方々の生活環境が地域社会から孤立することのないように、安心して豊かな生活を営むことができる、そういうことで、引き続き、こういうことを通じて配慮していきたいと思います。

照屋分科員 大臣も視察をされてお気づきだと思いますが、全国のハンセン病療養所の入所者は非常に高齢化しておるんですね。私もたびたび、沖縄愛楽園、宮古南静園に足を運ばせてもらっておりますが、沖縄愛楽園の保険入院医療機関の指定は、恐らく全国のハンセン病療養所施設で初めてのことと理解をいたしますが、厚生労働省は、同指定を全国の療養所施設に拡大していくお考えでしょうか、伺います。

大谷政府参考人 このたびの、今進捗しております沖縄愛楽園での入院保険診療の取り組みでありますが、これは、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律に定められました地域開放の取り組みの一つとして、他の国立ハンセン病療養所においても大いに参考になるものだというふうに認識しております。

 入所者の生活環境が地域社会から孤立することのないように、他の国立ハンセン病療養所におきましても、それぞれ事情とか御意向があるということで一様ではないというふうには踏まえておりますけれども、入所者や地域の方々の御意見を踏まえて、地域開放の一つとして取り組んでいきたいと思います。

照屋分科員 大臣、沖縄には、愛楽園のほかに、宮古島に南静園がございます。復帰前、米軍支配下にあった沖縄の両施設には、本土の同様の施設とは異なる苦難の歴史がございました。特に愛楽園は、あの悲惨な沖縄戦で施設そのものが米軍の攻撃にさらされて、入所者が甚大な被害を受けた、こういう歴史もございました。

 自公政権時代の厚労大臣も、同園を視察して、入所者の皆さんを激励しております。私は、信頼し尊敬する細川大臣にも、一日も早く沖縄の両施設を視察していただきたい。そして、入所者を激励していただきたい。

 と申しますのは、愛楽園にも、後遺症で視力を失って両目が見えない、もう九十を超えたんでしょうかね、里山るつさんというおばあさんもおりまして、私も非常に懇意にしておりますが、お元気で今でも短歌を詠んだりして頑張っております。

 そのほかにも、隔離政策があり、そして沖縄戦があり、米軍支配時代を経て、ヤマトと違う横社会の中で、本当に大変な目に遭ってこられた。私は、ぜひ、予算委員会等が終わりましたら、細川大臣には御視察をいただきたいと願っておりますが、御決意をお聞かせください。

細川国務大臣 先ほどもお話をしましたように、私、頭の中ではハンセン病のこともわかっているつもりでありましたけれども、せんだって、多磨全生園の方を訪問いたしまして、その入所者の方々とも懇談をいたしまして、新たに、いろいろな御苦労をなさったことなどについてもお聞きもいたして、再認識をさせていただいたところです。

 今、委員が言われるように、沖縄の療養所に入っておられる特にお年寄りの方は、大変な御苦労をされてきたというふうに思います。世間からは差別と偏見で見られて大変苦労され、言われたような沖縄戦、そしてまた米軍の支配下という、本当に二重三重に苦労されてきたお年寄りから体験をお聞きする、あるいはまた、苦労されたからこそ、世の中がこうあってほしいというような、そういういろいろなお気持ちも持たれていると思いますので、ぜひ機会をつくりましてお伺いできたらというふうに思っておりますから、そういう機会があったときには先生に御案内をしていただこうというふうに思います。

照屋分科員 細川大臣、先日、沖縄戦で激戦地となった那覇市真嘉比で、二〇〇九年十一月に発見された旧日本兵の遺骨が厚生労働省のDNA鑑定によって身元確認に至ったとの報道がございました。近々、御遺族に遺骨が引き渡されるようであります。非常によかったなと私は思います。

 同様に、二〇〇九年九月に西原町で発見された五柱の日本兵の遺骨についても、関係者から、厚労省によるDNA鑑定の強い要望がございます。大臣、ぜひ実施をしていただきたいと思います。

 きのう、レクの際に、写真も大臣にお見せするように伝えてございましたが、私も行きましたけれども、奇跡的というか、その五柱の遺体、ほぼ完全な形で見つかっているんです。そして、所持品の万年筆も五本見つかった。私は、一刻も早くDNA鑑定を実施してもらいたい。そして、その場所で戦闘行為に従事をした部隊名、兵隊もみんなわかっている。御遺族も全部わかっている。そういうことで、DNA鑑定は、非常に条件的にすぐれていると私は思いますが、大臣の決意をお聞かせください。

細川国務大臣 戦没者の御遺骨が遺族のもとに御帰還になられるということは、これは国としても、当然、そのことについての援助といいますか、助力をしていかなければというふうに思って、しっかりやっていきたいというふうに思っています。

 DNA鑑定につきましては、これは一応、国として、どういう場合にDNA鑑定をするかということでございますけれども、一つは、死亡者名簿等の記録資料から戦没者及び遺族を推定できること、それから、遺族から適切な検体が提供されること、それからもう一つは、遺骨から鑑定に有効なDNAが抽出できる、こういうような場合には全額国で費用を出す、こういうことになっております。

 今委員が言われました五柱の遺骨につきましては、条件が整うというふうにも思いますので、それはぜひDNA鑑定をやらせていただきたいというふうに思います。

照屋分科員 大臣の力強い御答弁をいただいて、御遺族の皆さんも大変喜ぶと思います。この場所は、私が見た翌日には岡田幹事長もここを訪れて見ておりますし、岡田幹事長にも、関係者から、早期のDNA鑑定の実施を要請しております。

 さて、今度は政府参考人に伺います。

 沖縄の遺骨収集ボランティア、ガマフヤーは、ガマフヤーというのは、ガマはごうのこと、フヤーというのは沖縄の方言で掘るという意味でございますが、発見された遺骨が確実かつ迅速に御遺族のもとに返せるよう、遺骨や遺族のDNAをデータベース化すべきだと提案しております。

 ところが、沖縄県や厚労省の援護課は、ガマフヤーが相談を持ちかけても、データベース化は膨大な作業量と費用を要するとして、真摯に受けとめていないようであります。戦死者の遺骨を一日も早く御遺族に返してあげることは国の責務であります。私は、多少時間と金がかかろうが、DNAのデータベース化を実現して、遺骨が見つかった場合に、大臣がおっしゃるDNA鑑定の要件に合致した場合に迅速な作業ができるよう、データベース化すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

森岡政府参考人 お答え申し上げます。

 戦没者遺骨、御遺骨のDNA鑑定につきましては、DNA鑑定の有効性などの技術的な問題点、またプライバシーの保護などの倫理的な問題点があるところでございます。

 厚生労働省におきましては、専門家を構成員とします戦没者遺骨のDNA鑑定に関する検討会におきまして、こういった観点を踏まえまして平成十五年三月に取りまとめられた報告書を踏まえまして、平成十五年度から、先ほど大臣も申し上げました、死亡者名簿等の記録資料から戦没者及び遺族が推定でき、遺族から適切な検体が提供され、遺骨から鑑定に有効なDNAが抽出できる、こういった場合には、希望する御遺族に対しまして、全額国庫負担でDNA鑑定を実施しているところでございます。

 このため、御遺骨からDNAデータが得られまして、かつ、身元特定に至る手がかりがあるケースにつきましては、関係遺族に対しまして、DNA鑑定の申請を積極的に行うよう呼びかけているところでございます。

 また、こういうことによりまして得られましたDNAデータにつきましては、国が指定しました各鑑定機関におきまして、データベースとして厳重に整理、保管しているところでございまして、迅速かつ適正なDNA鑑定の実施に努めているところでございます。

照屋分科員 せっかく、大臣がおっしゃったようなDNA鑑定の要件を政府で定めても、御遺族は本当に高齢化して、残り少ないんだよね。だから、そういう意味でも僕はデータベース化を急ぐべきだと思いますので、よろしくお願いをします。

 さて、大臣、政府は、硫黄島や海外での遺骨収集作業への取り組みをこれまで以上に強化する方針のようでございます。菅総理も年頭にそのようなことを申しておりましたし、特別法の制定も検討しているようでございますが、特に硫黄島での遺骨収集、私も硫黄島へ行きました、遺骨収集現場も見ました、自衛隊からの説明を受けました、その上で、私は、硫黄島などでの遺骨収集作業の際、遺骨収集に豊富な経験とノウハウを持つ沖縄のホームレス自立支援NPO法人プロミスキーパーズや、遺骨収集ボランティア、ガマフヤーの皆さんへ業務委託するように提案をいたします。

 大臣、従来のように、民間企業に丸投げをして重機などで掘り返すと、遺骨の尊厳を損なうおそれがございます。プロミスキーパーズやガマフヤーであれば、手作業による丁寧かつ迅速な収骨作業が可能であります。また、そのことは、沖縄における失業対策やホームレスの就労支援にも大いに役立つと思いますが、細川大臣の決意をお聞かせください。

細川国務大臣 委員が言われるように、遺骨の収集作業というのは、これは丁寧にやっていかなければというふうに思います。そういう意味で、重機などを使うのは、遺体がどこにあるかよくわからないような場合に重機を使ってまずはその作業をするというようなことで使う。もちろん、その御遺体の近くは、本当の周辺は、それはもう当然手作業で丁寧に丁寧にやらなければというふうに思います。

 そこで、硫黄島の件でありますけれども、これは二十三年度以降、自衛隊もありますので、自衛隊の協力、それから若者、ボランティア等の協力を得て、政府一体となって三年程度で集中的に遺骨帰還事業を実施するということになっておりまして、その事業の参加者というのも、これもボランティアを含め募集をする、こういうことになっておりますので、そういう募集をいたしますので、そこへ応募していただいて、御参加がいただけるかどうか、そういうことを決めていただけたらというふうに思っております。

照屋分科員 細川大臣は、恐らく、きょうは照屋寛徳らしくないな、どうして基地ではなく遺骨にそんなにこだわるのかなとお思いでしょうが、実は、私の妻のおやじも沖縄戦で戦死をしました。ところが、戸籍を見ると、首里方面で死亡と書いてあって、どこでいつ死んだのか、もちろん遺骨など見つかりようもありません。そういう人というのは沖縄にはごまんとおる。それで、私もこだわっておるわけでございます。

 私は、戦争には時効はない、やはり戦争を引き起こしたのも当時の日本政府であるし、それは、政府の責任で一刻も早く、そして最後の一柱まで御遺族に返すような心構えを持って当たるべきだ、このように思っております。

 最後に、沖縄県浦添市の米軍牧港補給地区、いわゆるキャンプ・キンザーやその周辺地域には沖縄戦の激戦地が点在しております。例えば、当時米軍がアイテムポケットと呼んだ一帯は、今なお未開発で、多くの遺骨が眠っている可能性が極めて高いと関係者から指摘をされております。アイテムポケットの一部はキャンプ・キンザー区域内にかかりますが、米軍基地の中であっても、きちんと収骨されるべきであります。

 厚労省は、埋没遺骨の調査、収骨作業のため、関係省庁と連携して、米軍に基地内立ち入りと作業実施許可を求めていく考えがおありでしょうか。

森岡政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍基地の御遺骨につきましても、海外の米軍基地におきましても米軍からの情報提供また米軍からの遺骨の提供ということによりまして、過去に収容した実績もございます。

 お尋ねの沖縄県におきます米軍基地につきましては、確たる遺骨情報がある場合には、沖縄県また関係省庁等とも連携しまして、御遺骨の調査、収容を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

照屋分科員 時間がありませんが、大臣、旧日本軍の兵隊あるいは民間人の遺骨は物は言いません。言わないけれども、その遺骨は、あの悲惨な戦争の実相を私たちに語りかけておるんです。ぜひ大臣のお力で、一刻も早く、沖縄含めて、硫黄島も遺骨収集の作業が進むように要望しておきます。

 終わります。

郡主査代理 これにて照屋寛徳さんの質疑は終了いたしました。

 次に、福島伸享さん。

福島(伸)分科員 民主党・無所属クラブの福島伸享でございます。

 本日、予算委員会の分科会に質疑の機会を与えていただきました。予算委員長を初めとする理事の皆さん、同僚議員の皆様方にまずもって感謝をしたいと思います。

 きょうは、長丁場の分科会の一日のはざまの与党議員の仲間の質問でございますので、ぜひ気楽な気持ちで、しかしながら、心を込めた、地元の皆さん方の思いを込めた質問をさせていただきたいと思っておりますので、真摯な御答弁をお願いしたいと思っております。

 先週末、私の地元であります茨城県筑西市、筑波山の裏のあたりの広大な農村地帯でございますけれども、そこにおきまして、前の筑西市民病院の院長先生である古谷政一先生の送る会というものが開かれました。十二月一日に六十一歳の若さで古谷先生はお亡くなりになったわけでございますけれども、昭和六十年以降二十七年間、合併前はこの町は下館市といったんですけれども、旧下館市民病院に勤められ、平成十年以降十二年間、院長先生として貴重なこの地域の二次医療機関である市民病院を支えてこられた先生でありまして、六十一歳という若き生涯を閉じたことに大勢の市民が涙をもって惜しんだ、そうしたお別れ会でございました。

 この茨城県の筑西地区というのは、茨城県自身、人口当たりの医師数は常に全国ワーストワンかワーストツー。全国平均が人口十万人当たり二百十七・五人に対して、この筑西・下妻医療圏は、そのワーストワンの茨城県の中でも九十五・八人。全国平均二百十七・五に対して九十五・八ですから、医師数が半分以下という大変な医療過疎にある地域でございます。特に、県内で、心疾患、脳血管疾患と言われる急性期の脳梗塞、心筋梗塞という患者さんが亡くなられるワーストワンの地域でございまして、これは救急医療が崩壊しているという現状によるものでございます。

 この地域には、地域のそうした救急医療を受け入れる病院というのは、民間の病院二つと、この筑西市民病院そして県西病院という二つの公立病院の四つが中核的医療機関でありますけれども、前政権のもとの相次ぐ医療制度の改革あるいは地方自治制度の改革によりまして、こうした中核病院が衰退をしている状況にございます。

 隣に栃木県がありまして、そちらの方には自治医大の病院や独協医大の病院というものがございますので、救急車が大挙して県境を越えて栃木に行くというような状況になっておりまして、既にもう自治医大病院の二二%の救急の患者は茨城県から来ているという現状にございます。栃木の地元紙では、栃木の地元の患者さんが入れない、茨城県から来るなというような記事すら出るような、医療崩壊にあると言ってもいいような地域におきまして、古谷先生は、二十七年間この市民病院を守り続け、特に十二年間は病院長として御苦労されてきたわけであります。

 この市民病院は、平成十四年、常勤のお医者さんが二十三人いました。ところが、平成二十一年には七人、これは臨床研修医制度の見直しなどによる医師の引き揚げがあったわけでございますが、七人に減ってしまい、病床数も百七十三床あったのが六十床に減ってしまった、三分の一になってしまった。産科は休診、小児科や脳神経外科は非常勤のお医者さんが週一回来るだけでございますから、到底、緊急の手術などを受けられる状況にないという状況でございます。

 一方、経営の方は、累積赤字が大体三十億円、毎年七億円ずつを一般会計から繰り入れるということで、市の行政当局から見ればお荷物だということで、民間移譲というのが検討されました。しかし、これが民間移譲されると二次医療機関としての役割をこの地域で果たす病院がなくなるということで、市民の反対も盛り上がり、市長選で民間移譲を掲げた自民党推薦の候補が破れ、市長が交代することによって今辛うじて守られているということであります。

 決してこれは、院長先生が怠けていたからこのように経営の状況が悪化したというわけではありません。この市民病院は、地方公営企業法の全部適用でなく一部適用でございますから、院長先生には人事権も経営権の大部分もないという状況の中で、私自身、よく携帯でお話をしたり、時には酒を酌み交わしながらいろいろなお話をお伺いしてきましたけれども、週休一日もない状況、院長みずからが宿直に立つという状況、さらに、新しいお医者さんのリクルートのために全国を駆け回るという状況でありまして、同僚のお医者さんの弔辞で、まさに先生は戦死であったというような表現もされるほど働いていたという状況でございます。

 まず、この地域のそうした医療崩壊というのは、まさにプロである岡本政務官、どのようなところに原因があるとお考えになっているかというのをお聞きしたいとともに、地方自治のプロであります逢坂政務官に、この自治体病院の衰退の原因はどこにあると認識されているのか、それぞれお答えいただけますとありがたく思います。

岡本大臣政務官 今、茨城県の筑西・下妻医療圏の状況、また筑西市民病院で院長先生が大変御尽力されたお話を伺っておりました。

 本当に、私自身も病院で働いていて、まさに、日々どのように患者さんに満足していただき、そしてしっかり医療をするかということ、奮闘したことを思い出したわけでありますけれども、そういった地域医療をしっかり支えていく中核病院というもの、これがなかなか今機能しないということが各地で見られます。

 理由は幾つもあるとは思いますが、それぞれの地域独特の事情もあると思います。医師の数が足りない、また偏在をしている、こういった指摘もありますし、看護師も同様の指摘もあります。また、患者さんが求めるニーズも年々高くなってくるということもありまして、すべての病院ですべての医療が完結するというのがなかなか難しいというのも実情としてあるわけであります。

 そういった中で、厚生労働省、また後ほど総務省も答えられると思いますけれども、やはり政府が一丸となってこういった課題に取り組んでいくということは非常に重要だというふうに認識をしておりますし、この二十三年度予算でも、また既に成立をさせていただきました二十二年度補正予算におきましても、こういった地域の医療をしっかり支えていく、こういったものを盛り込んでおりますので、ぜひそういった御理解を国民の皆様にも持っていただきたい。そして、希望を持って地域医療に取り組む、こういった皆さん方にしっかりメッセージを届けていく、政権交代をした意義を感じていただけるようにしていかなければならないというふうに考えております。

逢坂大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 自治体病院がなぜこういう苦しい状況になったかという所見を伺うという質問というふうに承りましたが、私自身も、かつてニセコ町長をしていたときに、地域の医療を守るということで相当のエネルギーを割いてまいりました。この分野における自治体の苦労というのは並々ならぬものがあるというふうに理解をいたしております。加えて、今私の選挙区の中に幾つかの二次医療圏がございますけれども、その二次医療圏の一つが北海道で初めて産科のお医者さんがいない地域になってしまいまして、そこではもうお産ができないというような現状になっているわけであります。

 こうした中で、自治体病院がなぜこういう苦しい状況になったのかというところ。かつては随分、自治体病院の経営そのものが放漫ではないかというふうに言われていたわけであります。しかしながら、それも自治体それぞれ、あるいは病院設置者、管理者の努力によって、今はもう相当程度改善をされているだろうというふうに思っています。

 その一方で、自治体病院がそもそも持っている宿命というのがあるのではないかと思っています。それは、民間病院であれば採算の合う部分をやっていればいい。しかしながら、自治体病院は、採算が合わなくても地域に必要なものを何とか提供しなければいけない。例えば、民間が担えないような救急部門をやらなければいけない。先ほど私が言った、子供を産むということに対するサポートも、民間ができないのなら、採算が合わなくてもこれは自治体がやらなきゃいけないというようなこと。あるいはまた、都市においては、症例数が少なくても、高度専門治療をいわゆる公的な病院が担うということもあるだろうというふうに思っております。

 そういう点から、どうしても自治体病院というのは、基本的に赤字にならざるを得ない体質を抱えているのではないかというふうに個人的には思っているところです。

福島(伸)分科員 ありがとうございます。

 ちょっと話がずれますけれども、こうやって国会で、本当に現場の感覚のある、政府に入っている政務三役とこういう議論ができるということは、これまでの政権にはなかったことであり、本当に私は幸せを感じながら質問をさせていただいております。

 今、逢坂政務官がおっしゃいますように、前政権のときでありますけれども、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の施行を受けて、公立病院改革ガイドラインというものを作成して、それぞれの公立病院において改革プランというのを策定して、それを実施している途中だと思うんですけれども、その具体的な効果というものはいかなるものなのかということと、このプランによる自治体病院の再生の支援の策というのは具体的にどのようなものになるのかというものを御説明いただければと思います。

高倉政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました公立病院改革プランの実施状況などでございますけれども、平成十九年十二月にこの公立病院改革ガイドラインを通知いたしまして、改革プランの策定をした上で、病院事業の経営改革に総合的に取り組んでいただきたいという要請をいたしたところでございます。

 実施状況といたしましては、平成二十二年九月末現在、直近の調査でございますけれども、ほぼすべての関係地方公共団体におきまして改革プランが策定され、現在改革に取り組んでいただいております。その結果、例えば平成二十一年度の決算を拝見させていただきますと、全公立病院数に占める赤字の病院数の割合は約六〇%でございまして、その前年度に比べますと一〇ポイント程度改善をしておるところでございます。

 また、その他の局面では、経営形態の見直しの関係でございますと、これは平成二十一年四月から二十二年の九月までの間の数字でございますが、地方公営企業法の一部適用から全部適用に移行されたというところが七十四病院あるといったような形で、それぞれのお取り組みを進めておられるところと承知をしております。

 一方で、いまだに六割の病院は赤字であるという厳しい状況にあることは否定できないところでございまして、今後とも引き続きこの改革を進めて、地域において必要な医療提供体制を確保していただきたい、このように考えておるわけでございますけれども、その支援措置の関係のお尋ねにつきましては、総務省といたしましては、この公立病院改革プランに基づく取り組みに対しての、細かいことは省略させていただきますが、幾つかの地方交付税の措置、地方財政措置を講じさせていただいておるという状況でございます。

福島(伸)分科員 ありがとうございます。

 赤字の割合が減ったり、経営形態の見直しが進んでいるということで、私は、その見かけ上の数値上は確かに改善の方向に向かっていることは評価したいと思っております。

 しかしながら、医療現場から見ると実際に崩壊は進んでいるのが現状でありまして、先ほどの筑西の市民病院の例で見ましたように、ベッド数の削減とか診療科目の削減、不採算な医療の撤退ということをやることによっても、経営というのは見かけは改善するんです。

 でも、先ほど逢坂政務官がおっしゃったように、公立病院、二次医療機関の役割、あるいは三次医療機関の役割というのは、それだけで済まないという面があるわけでございますし、地方交付税の措置というのも、これは非常に手厚く、しかもこの政権になってからさらに手厚くなっていることはありがたいことでありますが、これも実際は、一律と言ったら失礼ですが、機械的に算定されるものでありまして、実際のその地域の医療圏の医療レベルの向上という点から見たら、私は、まだまだ不十分、あるいは視点が欠けているのだと思います。それは、総務省が悪いということじゃなくて、総務省はまさに自治体病院の経営の観点という外形的なものから支援をし、かつ、厚生労働省は地域の医療提供のシステムの問題から支援するという、視点の違いによるものだというふうに私は理解をいたします。

 そうした中、厚生省の方でも、平成二十一年度補正予算で地域医療再生基金というものを創設しまして、この筑西・下妻医療圏も一カ所二十五億円の対象となっております。しかしながら、この二十五億円というお金ではなかなか、例えば、二つある公立病院を統合して、新しい、もっと機能的な、お医者さんが来たくなるような病院を建てるということになれば、まだまだ不十分でございます。

 平成二十二年度の補正予算では、地域医療再生臨時特例交付金というのが創設をされまして、ベースで十五億円に加えて、加算措置を含めて最大百二十億円交付するということでございますので、このぐらいの措置があればかなりその地域の医療圏の医療再生には大きな助けになるものであると思っておりますけれども、平成二十一年度で基金をつくり、二十二年で交付金をつくり、これは一体何が違うのでしょうか。

岡本大臣政務官 二十一年度の補正予算における地域医療再生基金の方は、特定の二次医療圏を対象として、地域の医師確保、救急医療の確保など、その地域における医療の課題を解決するという意味で、まさに今言われました筑西・下妻医療圏においても、二十五億のお金で、先ほどの筑西市民病院、県西総合病院を含む、それ以外の協和中央病院、また城西病院ですか、この病院と連携をしていく、いわゆる地域医療の再構築に支援をしているところであります。

 一方、今回、二十二年度の補正予算におきまして、これから実施をしていこうと思います地域医療再生基金は、都道府県全域をカバーする高度専門医療機関の整備拡充のみならず、これらの医療機関と連携をする地域の医療機関の機能強化を図ることにより、地域の医療の底上げを図るということを目的としています。したがって、茨城県の場合には、二十一年度の場合にはもう一カ所、茨城県地域医療再生計画の中では、水戸、日立、常陸太田・ひたちなか医療圏におけますいわゆる地域医療体制の整備についても二十五億円のお金が出ている。

 県全体でのネットワークと、こういった地域ごとの重点的な課題というのはまた違ってくるんだろうというふうに理解をしています。

福島(伸)分科員 これは、二十一年度補正の基金の方で対象になった事業というのは、今年度の補正予算の特例交付金は対象にならないと考えてよろしいのでしょうか。

岡本大臣政務官 基本的には、二十一年度補正による地域医療再生基金を活用する際の都道府県等の負担分の軽減を図ることにこういった例えば二十二年度補正予算の基金を用いるということになりますと、単なる負担のつけかえということになって、これはちょっと不適当だということになります。

 しかしながら、いわゆるこれにまた機能を加えて充実を図るようなものにしていくというふうにしていただければ、この充実分というところには交付の対象になるというふうに理解をしていただきたいと思います。

福島(伸)分科員 前向きな答弁、ありがとうございます。

 一方、この地域医療再生臨時特例交付金の方には、例えば交付の要件として、基金を交付する施設整備・設備整備事業については、基金交付額に加えて都道府県や事業者が二分の一を目途に負担することが望ましいという条件があるとか、あるいは、五十億円超の申請の場合には、二億円以上の基金が交付される医療機関全体で原則として一〇%以上の病床削減を行うというようなさまざまな条件が加えられておるんですけれども、これはなぜでしょうか。

岡本大臣政務官 基金をどういうところに交付するかというのは非常に難しくて、交付要件を決めるというのは、どうしても、漏れるところが出てくると、特に際どかったりすると、何でおれのところはだめなんだという声が出てくるというのは、どういった基金でも同じであります。

 したがって、できるだけやはり地域の医療の再生計画を充実したものをつくってもらいたいという思いもありますし、また、それに当たっては、やはりいわゆる医療機関の機能分化と連携を促進するという観点が重要だというふうに考えていますし、各都道府県において医療機関の統合再編を伴う整備などの場合には、そういった努力に対しての評価をしていこうというふうに考えております。

 いろいろ御意見はあろうかとは思いますが、ぜひ、こういった条件を踏まえた上で、それぞれの都道府県においてすばらしい計画をつくっていただきたいというふうに考えています。

福島(伸)分科員 いろいろ財務省との協議もあるでしょうし、こうした交付金や基金の交付の要綱を決めるのは難しいというのは、かつて行政にいた私も理解はするんですが、ただ、二十一年のときには二十二年にこういう交付金ができるというのもわからなかったわけですね。我が政権では、まさに一括交付金という議論も行っていて、なるべくそうしたお金の使い道というのは地方の自主性に任せようというようなことを言っております。あるいは、ベッド数を一〇%削減するのが原則ですよということになると、例えば地域の中核医療機関で、先ほど逢坂政務官がおっしゃったように、不採算な医療こそ公立病院がやるんだ、それを確立することによって地域医療圏をしっかりさせていくんだというような計画を立てることに、やはりそこは矛盾する面も出てくると思うんです。

 我々の政権は、今までの政権とは違うのは、まさに政治主導というのは、血の通ったお金の使い道をするという意味では、先ほど岡本政務官から前向きな答弁をいただきましたけれども、いろいろな要件はあると思いますけれども、地域がどのような思いでその計画をつくっているかということをしっかり見て、柔軟な対応をぜひともお願いしたいと思います。

 どうしても役所の窓口のレベルになると細かいことを言いがちです。はじくためだとあら探しのようになって、おまえら、ちゃんとやっていないじゃないかということは言いがちです。ただ、地元も、例えば複数公立病院があるのであれば、その経営を一つにまとめるとか、あるいは人件費などの見直しを行うとか、さまざまな経営努力は必要であると思います。プロの経営者を連れてくるとか。さまざまな努力を見た上で、ぜひとも柔軟な措置を行っていただきたいと思っております。

岡本大臣政務官 そういう意味でいいますと、これまでのいわゆる施設整備、それから設備の整備事業にかかわる事業者等の負担については、大体一律三分の二とか二分の一とかいうのがあって、これがある意味官僚がつくる要綱なんですね。

 これに対して、最初これもそういう話がありました。それで、いろいろ政務三役で相談をする中で、今回は、基金の交付額に加えて、都道府県経費、事業者負担を上乗せした事業規模とすることが望ましいと考えているというところまで、ある意味丸くなっているということも御理解をいただいた上で、ぜひ地元で、こういったこれまでの交付要件をまさに見直しているということも御理解をいただきたいというふうに思っています。

福島(伸)分科員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 また、医師不足の問題に対応しまして、今年度予算案では、臨床研修指導医確保事業というものが新規事業として要求をされております。この事業は、医師不足の中小病院と都市部の中核病院に対して指導医の手当等について助成をすることによりまして医師不足地域での臨床研修を促進するということでありますけれども、中核病院というのは全国で百六十一あるというふうに伺っておりますけれども、例えば茨城県では、霞ケ浦のそばにある東京医科大学茨城医療センターの一カ所しかございません。実際に、例えば先ほどの筑西市民病院ということになりますと、中核病院を探すのが非常に困難である。その医師確保というのが自治体の首長や院長にすべてのしかかっているわけでございますけれども、そうした地域の人たちだけの努力ではどうしようもないというところもございます。

 ぜひ、私はここは、都道府県や自治体あるいは現場の病院の院長先生にお任せするだけではなく、もうちょっと心のこもった、国がある程度、一歩前に出た、丁寧な医師のマッチングというか、そういったシステムをつくっていただきたいと考えるのですが、いかがでしょうか。

岡本大臣政務官 二十三年度予算、地域医療の拡充に向けて幾つかの事業を盛り込んでおりますが、今御指摘の、例えばいわゆる臨床研修指導医確保事業の補助対象となる病院についても、今御指摘の茨城県などの実情などを見ますと、医師不足地域の中小病院でも大学病院や中核病院と連携しておれば補助の対象となり得るというふうに解釈をしておりまして、茨城県内の中小病院も補助の対象となる可能性があります。

 具体的には、公私立十七病院のうち十三病院が補助の対象となるところでありまして、筑波大学附属病院と連携をしている十二病院ということでありまして、御質問の時間の関係もありましょうから資料は後ほど届けさせますけれども、そういったところで、十二病院が対象になってくるわけでありますし、また、先ほどお話がありました筑西市民病院と県西総合病院を新しく新中核病院としていくわけでありますから、こういった病院もそういった連携をとっていただくなどの方策をとれば当然こういったものに入ってくるというふうな理解をいただければと思います。

福島(伸)分科員 コンクリートから人へというキャッチフレーズはいろいろな議論がありますけれども、私は、これは国民に対して響くキャッチフレーズであったというふうに思っております。

 かつ、もう忘れかけてしまったかもしれない政治主導の意味というのは、いたずらに総理大臣が軽い言葉を繰り広げられることだけではなく、これまでお役所仕事のように縦割りでやっていたことを壊すこと、あるいは、しゃくし定規だったことを現場の実態に合わせて政務三役の皆さん方に柔軟に判断していただくことが本当の意味での政治主導であるというふうに私は思っております。

 そうしたときに当たって、地域医療の再生に当たっては、公立病院の再生というのはやはり核だと思うんですね。公立病院になるとどうしても、総務省と厚労省、あるいは大学が絡むと文部科学省という、いろいろな役所が絡む話となっております。

 現場は、やむにやまれず、亡くなった古谷先生のように、まさに戦死と表現されるほど不眠不休で働くことによって地域の医療を支えている方が大勢いらっしゃるわけです。また、自治体も、改革を怠っているわけではなく、何とか経営形態を変え、整理統合を行って経営改善をしようと努力をしようとしております。

 いろいろな人がいろいろな思いを持っているんですけれども、それが結びつかないという現状があると思いますので、私は、ぜひとも、地域の医療の崩壊につきましては、いろいろな役所が連携をすることによって、個々の補助金をばらばらばらばら交付するのではなく、総合的な対策を国が一歩前に出て講じるような体制をとっていただくことをお願いしたいと思っておりますので、最後に、二人の政務官の方から御答弁をお願いしたいと思います。

岡本大臣政務官 まさに医療崩壊と言われて久しい中、医療にかけるお金をふやそう、そして、疲弊をした社会保障、とりわけ医療、介護にしっかりとしたメッセージを伝えていこうというのが一つの我々の任務だったと思っています。

 二十二年度の診療報酬改定を踏まえて、かなりの病院においてその経営環境が変わったという御評価もいただいています。十年ぶりのプラス改定でありました。また、全般的に言えば、きょうは介護のことは問われておりませんけれども、介護職員のいわゆる給与も、二十一年の政権交代前と政権交代後を比較すると、一万六千円程度上がっているというデータも出ています。

 そうしたさまざまな事実をしっかり皆様にもお知りをいただきつつ、とりわけ、最後に、国民の皆様方が期待をする医療、介護がしっかりと各地域で、どの地域でもその確立、またはネットワーク、こういったものが維持されるようにしていくということは大変重要だろうというふうに思っておりますし、きょう御質問いただきましたことをしっかり踏まえて私も任に当たっていきたいというふうに考えております。

逢坂大臣政務官 福島委員の思い、痛いほどよくわかります。

 それで、総務省で公立病院改革プラン、これをやっておりますけれども、これは、どちらかといえば公営企業的な視点で経営をどうやって改善していくかということをやってきていることが基本だというふうに思います。

 その結果、ある一定程度、経営の改善がされてきたのは現実ではありますけれども、経営が改善されたことと、そのことと、地域の医療のサービス、質、それが確保されているかどうかということは、必ずしも十分に検証されているとは言いがたいというふうに思っています。すなわち、外形的、客観的基準でいろいろなことに対処していくことは大事だけれども、そこから先、さらに一歩踏み込めるかがこれからの我々の課題ではないかなと思っております。

 その意味で、厚生労働省とも文部科学省とも、それと自治体ともこれから連携をして、より血の通ったことをやっていくのが大事だというふうに考えております。

福島(伸)分科員 どうもありがとうございました。

郡主査代理 これにて福島伸享さんの質疑は終了いたしました。

 次に、加藤勝信さん。

加藤(勝)分科員 自由民主党の加藤勝信でございます。

 それでは、まず最初に、脱退手当金の関係で先日予算委員会でお話をさせていただいて、大臣あるいは総務大臣から迅速な対応とおっしゃっていただいたんですが、現時点でたしか四千近く申し立て書があったというふうに記憶をしておりますけれども、第三者委員会にはどのぐらい転送されておられるんですか。

大塚副大臣 お答え申し上げます。

 お尋ねの転送件数でございますが、昨年九月の下旬からことしの一月末までの間に、年金事務所に、今先生お話しいただきましたような四千百九十三件の申し立てが行われ、そのうち調整が完了いたしました二百九十六件が第三者委員会に転送されております。

加藤(勝)分科員 そもそもこういうこと自体がということを問題視いたしましたけれども、昨年の十一月には、送付に向けて事前準備をしなさいと指示が出ているわけですね。指示が出ていてもまだ二百何十件しか行けないんですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 年金事務所から第三者委員会への転送の御指摘でございました。先ほどの数字、二百九十六というのが少ないぞという御指摘かと思います。

 その主な理由なんでございますけれども、今般の、私ども厚生労働省と総務省と、両省間の調整の結果、年金事務所から第三者委員会に転送するに当たり、新たに添付する資料というものを定めたものがございます。実は、その新たに添付することといたしました資料の中に、事業所への確認を行った、そういう結果を添付するということにいたしました。

 事業所さんに確認をするものですから、その調査に一定の期間が必要でございます。転送を開始する指示をいたしましたのが一月十二日でございます。先ほどの二百九十六件の数字が一月末ということで、転送開始からまだ半月程度の段階の数字でございましたので、事業所調査にまだ期間を要しておる最中の数字ということで、御理解賜りたいと思います。

加藤(勝)分科員 先般の予算委員会で、丁寧な対応をしていただけるということだったんですが、当然、申し立てをしながら、私の地元の新聞にも、地元の方が、第三者委員会に言っても知らぬと言われ、年金機構の事務所に言ったら何も指示がないと言われたというような人には、当然、こういうふうになっていますという連絡は入れていただいているんでしょうね。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 第三者委員会への年金事務所からの転送がおくれた方々に対しましては、できる限り丁寧に経緯を御説明して、御理解を賜るような努力が必要と考えております。具体的には、ホームページにおきましてこの間の経緯の御説明をごらんいただけるようにする。それから、年金事務所が申し立てを第三者委員会に転送いたしました際に、御本人に文書をお送りすることになっておりますので、その文書での御説明をする。こういったことを今考えておりまして、具体的なことの検討を進めておるところでございます。

加藤(勝)分科員 今のは、物が進んでいったらば連絡があるわけですから、物が進んでいなければ全く連絡がないということですよね、大臣。件数もそんなにあるわけじゃないので、この機会にきちんとこの間の経緯を、申し立てをされた方は住所がわかるわけですから、きちっとお出しになりませんか。

細川国務大臣 事務方には、この間の委員会でも答弁いたしましたように、丁寧にやるようにという指示をしておりますので、丁寧にやらせたいと思います。

加藤(勝)分科員 ということは、おやりいただけるということでいいですね。

大塚副大臣 今大臣から御答弁もございましたので、丁寧にどういうふうにしたらできるかということをしっかり検討して、可能な限りのことはさせていただきたいと思います。

加藤(勝)分科員 はがきを出すことは可能だと思いますけれどもね。しっかり対応していただきたいと思います。

 いわゆる運用三号問題についてお伺いしたいと思います。

 きのうの予算委員会で大臣は、今回の取り扱い、いわゆる救済措置と言わせていただきますが、留保するという御決断をされたんですが、何で留保されたんですか。

細川国務大臣 それは、昨日の予算委員会におきまして、総務省の年金業務監視委員会、そちらの方で議論が出て、その議論の中で、いわゆる運用三号についていろいろ批判が出ている、そういうことで質問がございまして、総務省の方にもいろいろと質問がされまして、そこで私としましては、総務省の方の意見も伺って、このことについてどうするかということも判断しなければということで、一たん立ちどまって考えなければというふうに思いましたので、とりあえず手続を留保する、こういうことをさせていただきました。

加藤(勝)分科員 若干、いろいろな経緯を教えていただきたいと思うんですけれども、まず、年金記録回復委員会、これは大臣の私的諮問機関というか、いろいろアドバイスを受けるような、そういう機関だろうと思いますけれども、そこに意見を聞くという形でされておりますが、その経緯を簡単に。それで、どういう結論をもらったのか教えていただけますか。

大塚副大臣 御下問の件につきましては、まず、なぜこういう状況が発生しているのかということが判明した経緯は、政権交代後に、旧社会保険庁の職員の皆さんに、過去、どのような問題が今の年金記録や年金行政の中に内包されている可能性があるかということで、長妻前大臣の時代にアンケートをとったところ、さまざまな申告がなされたということがございます。

 その中に、本来は一号被保険者である方々が三号被保険者のままになっているという申告があり、調査をしてみると、どうもこれがかなりの人数に及んでいるということが徐々にわかってまいりました。

 そこで、厚生労働省の大臣伺い定めという形で設置をされました年金記録回復委員会、この委員会は大臣に助言をさせていただくことを任務といたしておりますが、この年金記録回復委員会で、この問題を昨年の三月から御検討いただいた結果、やはり相当大勢の国民の皆さんに影響の出る問題であり、救済も考えなければならない一方、国民の皆さんの公平性の観点にも配慮しなければならないといういろいろな観点から御検討いただいた結果、今回のような対応もあり得るだろうということで、運用三号の仕組みについて大臣に助言があり、それに基づいて昨年の十二月に運用が始まったものでございます。

加藤(勝)分科員 今のお話の中で、調査をしてみるとかなりの人数とおっしゃいましたが、どのぐらいの人数なんですか、一点。

 それから、回復委員会の今のような結論というんですか助言、これはいつ確定して出されているんですか。

大塚副大臣 まず、人数でございますが、昨年のある一時点のコンピューターの記録から不整合の方々を抽出した結果、まだ推量の域を出ませんが、数十万人から百万人程度に及ぶ可能性があるということで、正確には特定はできておりません。

 それから、いつ、この件について助言があったかということでございますが、この問題が正式にこの委員会で議論されたのは、最初は第十回の、昨年の三月十日の会合でございます。それ以前に、一昨年の十月にこういう問題があるというまず事実関係の報告があり、去年の三月十日の第十回会合でまず検討がなされ、その後、非公式の、少数の委員の方が集まった検討等々を経まして、最終的に、昨年十二月十四日の第十九回の会合で、今回の運用三号の内容についてコンファームしていただき、そして、それに基づいて翌十二月十五日に厚生労働省からの年金機構への通知という形で運用が始まったものでございます。

加藤(勝)分科員 問題といったときに、不整合の人がおられるという問題と、不整合にもかかわらず既に裁定が始まってしまっているという問題、これはちょっと別だと思うんですね。

 本来、裁定主義ですから、手前にいろいろあったとしても、基本的には裁定時に突合していくということでこれまでやってきた。それがいろいろな問題があったのは事実ですが、しかし原則はそうだったわけですから。

 そうすると、問題は、既に裁定されている方において、裁定時において、情報があれば当然、不整合期間というものが、今でいえば年金機構、当時でいえば社会保険庁が認識をしていれば、当然、裁定の内容は、その不整合のところは一号期間であるということで裁定されていたわけですね。ということですから、問題があると言っているところが一体どこなのか、ちょっと、もう一回。

大塚副大臣 これは、問題があるというのはどこかという御質問にお答えするとすると、三点あると思います。

 まず一点目は、そういう三号の方が、例えば御主人が二号から一号に変わられたときに、配偶者の方が一号に変わらなければならないというそのこと自身を、旧社会保険庁が周知徹底できていたかどうか、これが一点目であります。

 ただし、これは、残念ながら周知徹底をするということの法的義務はありませんが、行政としての当然の善管注意義務はあったと思います。

 二点目に、おっしゃいますように、これは裁定の請求が出たときに、旧社会保険庁の窓口でそれを受け付けた方々が、三号被保険者の裁定が出てきたときには、果たして本当にそうであるかどうかということを配偶者の方の記録と突合する、そういう事務的な動作、作業があるべきであるというのが、これが二点目であります。

 しかし、三点目は、これは、国民年金法の定めによれば、国民の皆さん御自身が届け出をするということになっておりますので、届け出をしていなかった国民の方が大変多数に及んでいる、このことも影響しておりますので、以上、申し上げました三点ほどの要因が相互に関係し合って、大変大きな今回の問題につながっているものと考えております。

加藤(勝)分科員 今のに納得したわけじゃありませんけれども、また月曜日にやらせていただけそうでありますから、しっかり議論したいと思いますけれども、ちょっと事実確認を続けてやらせていただきたいと思います。

 本件について、最終的には今回の救済策を御判断したのは細川大臣ですか。

細川国務大臣 最終的に、年金回復委員会が十二月十四日に開かれて、そこで、従来どおり年金回復委員会で決めていたとおり実行する、こういうことになった、そこで決定、こういうことになろうと思います。

加藤(勝)分科員 いや、さっき副大臣がおっしゃったように助言機関ですから、諮問機関じゃありませんからね、基本的には。あくまでも助言を受けて、決めるのは大臣でしょう。だから、大臣が決められた。しかし、実態の通達は課長通知で行われた、こういう認識でよろしいですか。だから、今のは大臣が判断された、あるいは政務三役で御判断された、こういうふうに認識していいですか。いや、大臣に聞いているんです。

大塚副大臣 事実関係でございますので、恐縮ですが、私からお答えをさせていただきます。

 委員も大蔵省御出身でよく御承知のことと思いますが、所管の事項についての行政決定権限は当然大臣がお持ちでございますので、その大臣が決定したことについてどのような形で通知をするかということについては、さまざまな手段がありますので、今回は課長通知であったということだと思います。そして、通知の相手方は日本年金機構でありますので、課長通知が適切というふうに判断したということだと思います。

加藤(勝)分科員 いや、聞いているのはそこを言っているんじゃないんですよ。大臣が判断された、あるいは大臣が御了解された、いろいろな言葉がありますが、最終的には大臣が決裁された、これにこの救済措置がつくられた、そうでしょう。

細川国務大臣 それは、当然、厚生労働大臣として最終的な責任は私にありますから、そういうことになります。

加藤(勝)分科員 通常、自民党の場合には、本件ぐらいの話であれば大体部会で議論があったりするというのはあるんですが、これは民主党中で議論をされたんですか。ちょっと政府に聞くのも変でありますけれども、知っていたらお答えいただきたいと思います。

大塚副大臣 恐縮ですが、厚生労働部門会議というのに私はついこの間まで余り出ておりませんので、事実関係は存じ上げません。

加藤(勝)分科員 それから、これは非常に、後で聞きますが、法律上どうなるかということでありますから、私が役所にいた経験からすると、内閣法制局にこういう措置が、要するに、法文上、明確に書いてあれば全く聞く必要はありませんが、法文上、明確になっていない措置でありますから、当然、事前に相談をして了解をとるなり、あるいは内閣法制局の感触を伺うなり、一般的にはするのでありますけれども、本件については内閣法制局に対して、これは事務方ベースだと思いますけれども、御相談をしたりした経緯はありますか。

石井政府参考人 私どもといたしましては、制度運用の範囲内と考えまして、事前に内閣法制局への御相談はいたしておりません。

加藤(勝)分科員 そうしますと、本件の運用の中で一点確認したいんですけれども、例えば、直近十年間がこのまさに不整合の期間でありました。その方が、一応、通常は年金をそろそろもらえるという裁定時期に来られました。今回の措置では、二年間分は未納期間ですから払ってください、八年分は運用三号ですねということになるんですが、運用三号になるための条件として、この直近二年間の支払いが要件ですか。それとも、全く関係ないんですか。

石井政府参考人 運用三号を適用するか否かという判断の際に、直近の二年間の保険料納付を関連づけているということではございません。

加藤(勝)分科員 先ほど数十万から百万人とおっしゃった方が多分今回の救済策の対象者になるんだろうと思うんですけれども、この対象者について、いろいろ事務方からお話を聞くと、平成十七年度以降については、いろいろな情報が入ってきているので、基本的に職権で種別変更、すなわち三号から一号にしております、しかし、健保組合あるいは住所未定者、こういった者は落ちていますということになると、百万人の中身は、その対象じゃない十六年以前からというんでしょうかね。十七年以降の人がそのとき発生したのか、継続していた人がどうしているのか、私はちょっとわかりませんが、考え方としては、十六年以前の方と十七年以前に漏れた方というのが基本的な対象者になるというふうに想定されるんですが、その想定で間違いないですか。

大塚副大臣 先ほどの数字は、昨年のある一時点の定点調査から出てきておりますので、今先生が御説明いただいた内容との整合性の観点からいうと、先生がお話しいただいたような動作が行われるようになった後は、比較的発生が少ないと思います。

 したがって、定点観測から推量されるその人数の中に含まれている割合は、平成十六年、十七年以前にそういう状態になった方々が多いのではないかというふうに推量されます。

加藤(勝)分科員 今回の救済措置によって、年金記録上は将来払われるというふうにカウントしていますから、ざくっと言えば、今の年金試算においては将来の支払い対象、こういうことになるわけですが、本来の運用をすれば、その方は年金が支給されない、場合によっては無年金になる方もいらっしゃるかもしれない。その金額、保険料から支払われる分、あるいは、当然、今でいえば二分の一、過去の分でいえば三分の一が税金から入るわけですから、大体、その方がどれだけ年金をもらうかとか、いろいろな要件がありますけれども、ざくっとして、十億円規模なのか、一千億規模なのか、兆円単位ぐらいに将来なるのか。

 これはやはりイメージの問題なんですが、その辺、どういうふうに見ておられるんですか。

大塚副大臣 大変恐縮ですが、今まさしく委員御自身でお話しいただいたように、いろいろなケースがありまして、大変短い方から長い期間そうである方もいると思われますので、大体どのぐらいの規模になるかということは、現時点では全く申し上げることができません。

加藤(勝)分科員 きょうはそれでいいですけれども、正直言って、この話は二十三年度予算にも絡む話ですから、当然、年金支給が出てきますからね。だから、ある程度の数字、イメージは当然出していただかないと、この措置の影響がどのぐらいかというのは我々峻別できませんので、そのことを出していただきたいと、きょうは要望だけにしておきます。

大塚副大臣 重要な御指摘をいただいているんですが、予算との関係で申し上げますと、旧政権前に生じた状態で今年金給付が行われておりますので、ということは、予算上はもう措置されているわけであります。

 したがって、今回の運用三号は、本来であれば、気がつかずにそのまま給付が行われていた年金財政に対して、二年分だけでも保険料をお支払いくださいという形で、年金財政にかかる負荷を軽減する方向に働く面があるということはぜひ御理解いただきたいと思います。

加藤(勝)分科員 いや、さっきお聞きしましたが、裁定時においては、記録がある方は、原則、これまでの扱いでは、やはり全部外すんでしょう。違うじゃないですか、言っていることが。

 だから、それを入れるということになれば、その直近二年は別ですよ、例えば十年の方の八年分、その分について、ことし年金裁定をし、ことしからもらう方については、明らかに税の負担は今年度予算で発生するんでしょう。

大塚副大臣 今、二つの論点があったと思います。

 一つは、正しい状態に戻せば、年金財政、つまり、予算も含めた年金財政への負荷が下がるというのは先生の御指摘のとおりであります。

 しかし、来年度の予算に影響があるかどうかという観点でいうと、既に政権交代前に発生した状況に基づいて今給付が行われておりますので、その面での予算的な、あるいは年金財政の一年間のキャッシュフローを考える上での外形上の影響は出てこないということを申し上げております。

加藤(勝)分科員 ちょっとよくわからないんですけれどもね。

 だから、最後、精算したときのイメージでもいいんですけれども、要するに、二十三年度に、私がもし来年度からもらう立場だとすれば、私がその期間があるかないか、そしてその扱いがどうかで、私がもらう年金額は違いますよね、当然。そうすれば、基礎年金の部分について言えば、当然、税金の部分も変わってきますよね。その部分は二十三年度予算で担保されているわけでしょう。違うんですか。

大塚副大臣 きっちり話は、御質問と私の認識もすり合っていると思います。

 つまり、年金財政は、もう随分前からそういう記録のそごがある状態で今も給付が行われておりますし、今回の対応を行わなければ、今の先生の事例を引用させていただきますと、もし先生の記録に間違いがあって、平成二十三年から裁定を求めた場合には、間違った状態で、いわば過大に給付が行われるということになりますので、それを正しい状態に直せば、もちろん負荷は下がります。そのこと自身は事実でありますが、今回、こういう事態が判明したことによって、少しでも保険料をお払いいただくということは、結果として、年金財政上は負荷を軽減するという面もあるということを申し上げております。

加藤(勝)分科員 いや、違いますよ。保険料が幾ら入るかというのと、今年度の税の負担額というのは全く別の話でしょう。一緒にしちゃだめですよ、それは。

 それから、今申し上げているのは、間違っていないんです、もう皆さんがデータを持っているから。不整合があるというデータを持っている私が行けば、当然その分は減った金額になるでしょう。いや、もういいですわ。そういうあたりをまたしっかり議論させていただきたいと思います。

 それから、この間、例えば、そうはいっても窓口で訂正をされている方、あるいは私が今申し上げた形で裁定の申請を、多分二千何百人も、この措置があるから手を挙げたという方よりは、通常のように窓口に裁定申請に来られて、たまたまあなたはこちらに該当しますというのが多分二千何百人だと私は思いますけれども、そうすると、一月はいいですけれども、例えば去年の一年間で、実際に窓口に来られて、そして皆さん方が、今でいえば年金機構が、不整合だという記録を持っていた人については当然、運用三号ではなくて一号という形で処理をされていたわけですね。その人の割合、人数というのはどのくらいですか。

石井政府参考人 委員お尋ねの数字については把握をいたしておりません。

加藤(勝)分科員 あるいは、これまでやってこられた中で、十七年以降は逐次、不整合がありますよという通知をされていますね。それに基づいて訂正をされた方はどのぐらいおられるんですか。

石井政府参考人 平成十七年度から二十一年度に、届け出の勧奨、職権による種別変更ではないのでありますが、その前段階の届け出の勧奨を行いました件数が、十七年度から二十一年度までの五年間で約九十八万件でございます。

加藤(勝)分科員 ちょっと事実関係をいろいろ教えていただきまして、ありがとうございました。踏まえて、また議論をさせていただきたいと思います。

 もう時間がないので一点だけお聞きしたいんですが、産業保健推進センターについて今回も見直しをされて、たしか六県だったですかね、廃止されて、統合という言い方がいいのかどうかわかりませんが、大変、私も聞いておりますと、やはり県のレベルで、県の医師会とこのセンターとが車の両輪でやってきている。この片一方の両輪がなくなって、例えばなくなった県が違う県の、Aというところで今までありました。しかし、Aがなくなって、そのAの産業保健推進センターの機能が基本的に管理上はB県に移りました。しかし医師会はA県の医師会なんですからというのは、非常にやりにくいじゃないかと。その辺、もっとしっかり、規模で無駄があるところ、事務上の効率を図るのはともかくとして、仕組みとしてはしっかり残していただくことが、両輪として産業医という仕組み。

 それからさらに、今の政権でもメンタルヘルス対策をしっかりやっていかなきゃいけない。そして、メンタルヘルス支援センターは既にこの推進センターの中に二十一年度から設置をされている。どこまで機能しているかはこれからの話ですが、そういうことをしていこうとすれば、せっかくみんながまとまってやっていくところを、一部だけ切り取ってどこか違う県にくっつけてしまうというようなイメージで多くの方は受けとめておられるんですが、やはりこれはおやめになった方がいいと思いますけれども、いかがお考えなんですか。

小林大臣政務官 加藤先生御指摘のとおり、昨年の事業仕分けにおいて、独立行政法人の効率化、組織のスリム化という観点から、今年度末に六センターを廃止する、このようになりました。

 産業保健推進センターが廃止される六県については、その地域の産業保健活動が後退することのないように、駐在員を置くなど、地元の医師会と連絡調整が行える体制をこれからもとりながら、これまでと同様に、産業保健スタッフを対象とした専門、実践的な研修を実施していく、このように考えております。御理解をいただければと思います。

郡主査代理 質疑時間が経過しておりますので、御協力願います。

加藤(勝)分科員 機能が低下しないようにというのは、必ず言う言葉です。でも、するんですよ。

 それから、やはり形というのは結構大事でして、駐在員がいるからいいですよ、そうじゃなくて、それぞれきちんとした機能を持っている、それがみんなでやっていくというのは私は大事だと思いますから、そこはいろいろな流れがあって、渋々やっているところもあるのかもしれませんけれども、実際にやはり、産業医、さらにヘルスケア等、本当にこれからしっかり取り組むべき課題だと私は思いますから、それが後退しないような体制をしっかりしていただきたいと思います。我々も引き続き注視しながら、また議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

郡主査代理 これにて加藤勝信さんの質疑は終了いたしました。

 この際、お諮りいたします。

 厚生労働省所管予算の主要経費別概要につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

郡主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

郡主査代理 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十六分開議

郡主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 主査が所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。

 質疑を続行いたします。

 ただいまのところ、質疑予定者の出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

郡主査代理 速記を起こしてください。

 質疑予定者の出席が得られませんので、やむを得ず議事を進めます。

 次の質疑者の質疑に入りますが、質疑予定者の出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

郡主査代理 速記を起こしてください。

 質疑予定者の出席が得られませんので、やむを得ず議事を進めます。

 次の質疑者の質疑に入りますが、質疑予定者の出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

郡主査代理 速記を起こしてください。

 質疑予定者の出席が得られませんので、やむを得ず議事を進めます。

 次の質疑者の質疑に入りますが、質疑予定者の出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

郡主査代理 速記を起こしてください。

 質疑予定者の出席が得られませんので、やむを得ず議事を進めます。

 次の質疑者の質疑に入りますが、質疑予定者の出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

郡主査代理 速記を起こしてください。

 質疑予定者の出席が得られませんので、やむを得ず議事を進めます。

 次の質疑者の質疑に入りますが、質疑予定者の出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

郡主査代理 速記を起こしてください。

 質疑予定者の出席が得られませんので、やむを得ず議事を進めます。

 次に、質疑順序を変更して、藤田憲彦さんの質疑に入ります。藤田憲彦さん。

藤田(憲)分科員 藤田憲彦でございます。

 本日、分科会で質疑の機会をお与えいただきまして、委員長初め皆様に感謝を申し上げます。

 本日、この分科会でお伺いしたいことに関しましては、都市部における医療の状況、それから、今医療崩壊が懸念されている点であります。

 御存じのとおり、これは全国で起きていることでありますが、全国で医療機関、特に病院の数の減少は顕著でありますけれども、都市部においてこの現象がさらに顕著になっているという傾向があります。私の地元の大田区におきましては、この十年間で病院の数が三割減ってしまったという実績もありますし、昨年も大きな病院が二つ閉鎖するなど、まさに地域の医療の支えとなっている病院の数が減少していることに、地元の住民の方々も大いなる不安を抱えているところであります。

 その減少の理由を一つ一つ伺ってまいりますと、その多くは、やはり経済的な経営難の問題があるというふうに伺っております。東京、そして私の大田区のような都心部でありますと、土地代でありますとか人件費、その他もろもろ、病院を運営する主に固定費の部分が非常に重いということがありまして、現在の診療報酬体系の中では継続するのが非常に難しいという現場の声を、私は日ごろ、率直に伺っております。

 この点でありますが、例えば国家公務員の給与でありますと、いわゆる地域間格差を配慮して、地域手当というものがあると伺っております。この地域手当という地域加算に関しましては、私の調べたところによりますと、一般職の職員の給与に関する法律第十一条の三、人事院規則九―四九、地域手当の項目の第二条及び第三条におきまして、東京都の特別区におきましては標準の報酬に対して一八%の加算が支給率とされております。

 そうしますと、国家公務員に関してはこういった地域加算ということが行われておりますけれども、医療に関しては、同じサービスであったとして、これは提供する地域において価格を変えてはいけないということが現在の前提かと思いますが、しかし、それがために都市部における病院の経営難を引き起こし、そしてこれが医療崩壊につながるという実態があるのであれば、これは私の率直な質問でありますけれども、まず第一点目といたしまして、現在の診療報酬体系におきまして、現実の物価格差あるいは地域の格差を考慮した地域加算体系ということを行うべきではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

岡本大臣政務官 今、藤田委員から御質問いただきました。公務員の給与には地域間の格差があるんだと。実際、そこに暮らしてみえる方の給与水準や、また、さまざまな意味での差というのは、これは現に存在するんだろうと思います。一方、地方においては、都市部と違って交通費等が余分にかかるだとか、場合によっては、さまざまな地方ならではの余分な出費というのもまたあるんだろうと思います。

 そういった地域の差をどのように埋めていくかというのは難しいところがありますが、現行の診療報酬においては、医業経費における地域差に配慮し、人事院規則で定める地域ごとに入院基本料等に加算を行う、いわゆる地域加算を行っています。先生の御地元の東京都特別区の場合でありますと十八点、これが一級地でありますけれども、そこから六級地の例えば北海道札幌市、長野県長野市等の三点というところまで、六段階に分けて加算をしているところでございます。

 また、医師の人員配置基準を大幅に下回る保険医療機関には入院基本料を減算する措置を、僻地等では減算の程度を抑える特例を設けて、地域間格差に一定の配慮を行っています。

 地域の特性を踏まえた診療報酬の設定については、各地の医療機関の経営状態を把握する中で、中央社会保険医療協議会において適切に御検討いただきたい、そのように考えているところでございます。

藤田(憲)分科員 ありがとうございます。

 入院基本料に関しまして、地域加算があるところに関しましては了解いたしました。

 しかしながら、同時に、今、都市部に限らず病院で行われていることは、やはり入院の日数を削減するべしという診療報酬体系になっているのもまた事実かと思います。したがって、入院基本料における地域加算においては、なかなか、それで病院の経営を賄うことが難しいという状況にありますので、やはりここが一つの要点なんだろうと私自身は考えております。

 一方で、入院基本料だけではなくて、例えば、介護報酬の体系でいえば、東京都特別区に関しましては七%の地域加算ということで、診療報酬全体、あるいは介護報酬全体に対する地域加算という考え方そのものは否定されていないというふうに理解しております。

 そうしますと、診療報酬において、一部の部分、入院基本料において地域加算というものが設定されているということに関しましては理解したんですが、全体の診療報酬体系の中で、これはまさに中医協等々を含めて、こういった考え方をなるべく取り入れていただけるよう、私としては政治主導でぜひ御検討いただきたいと思いますが、この点、いかがでしょうか。

岡本大臣政務官 先ほどもお話をしました、地域の特性を踏まえて診療報酬設定をしているところはあるわけでありますが、各地の医療機関の経営状態というものをやはり見ていかなきゃいけないんだろうと思います。

 御指摘のように、大田区は物価が高いという一方、例えば人の確保、看護職員また医師等の確保が比較的、僻地、離島に比べると、しやすいというメリットもあると思います。そういう意味では、例えば、いわゆる病院の医師、看護師の配置基準を満たすということが、地方の僻地に比べると、よりたやすいということになろうかと。だから、そういったことも勘案しながら、最終的に経営状態がどうなっているかということを把握していく、こういったことの中で、本当に大きな、とても看過しがたい差があるのかどうかということを見ながら判断をしていくということになろうかと思います。

 先生からそういう御意見をいただいたこと、私もしっかり受けとめて、これからのこういった医療経営のあり方についての注目点にしていきたいと思っています。

藤田(憲)分科員 岡本政務官、ありがとうございます。ぜひ、そういった気持ちをお酌み取りいただいて、御検討いただければというふうに思います。

 といいますのは、やはり、都市部において医療機関たる病院が減少していくということは、とりもなおさず入院病床の病床数が減少していくということにつながります。特に今、都市部において、もちろん入院病床数といっても、これも一概に物事を言うことはできませんで、急性期もあれば介護療養の病床もあるという中で、さまざまな病床があります。とりわけ、今、大田区におきまして、介護療養に関しても一つ大きなテーマとなっております。

 もちろん、介護療養病床の削減というものが打ち出されたのは前政権下での話であります。現在三十八万病床あるうちの介護療養、医療二十五万床、介護十三万床と伺っておりますが、これを、私たち民主党政権を打ち立ててから、この削減計画というものに関しては凍結をする、いわゆる廃止を凍結するというところ、これは我々の政権の一つの成果として決定した大きな前進だと思っております。

 しかし、現場で従事している、介護療養の病院を経営している先生方にお伺いいたしますと、廃止という方針を凍結したところまではいいんだけれども、しかしながら、では、これから恒久的措置としてどのような方向に向かっていくのかということについての方針のめどが立っていないのではないか、先が見えていないのではないかという懸念の声を大きく伺います。

 といいますのも、現在、実際に病院を経営されている方々は、先が見えないのであれば、やはり移行にも一定の期間もかかりますし、コストもかかるということから、あらかじめ、では今のうちに介護療養病床から一般病床の病床に変えてしまおうかというような形で、廃止の方針が凍結されているにもかかわらず、現実としては療養病床が減少しているということを私自身、目の当たりにしております。

 そうしますと、我々がせっかく廃止の方針というものを凍結したことの結果が伴わないというようなことになっては、我々としては目的が達成できないということを懸念しているわけであります。

 したがって、私といたしましては、やはり、療養病床従事者に対して継続を促す強いメッセージが政府から必要ではないかと考えております。すなわち、療養病床確保のため、療養病床の廃止というものを凍結した上で、どのような恒久的制度設計をするのかについての具体的な方針の明示がそろそろ求められているのではないかと考えますが、この点、いかがでしょうか。

岡本大臣政務官 私も、療養病床の廃止が医療制度改革の中で打ち出されたときには、やや唐突感を持って受けとめたことは事実であります。しかしながら、いわゆる介護療養病床の中で、真に医療が必要な方、また介護が必要な方、そして、どういうサービスが必要な方が見えるのかということを少し把握していく必要はあるんだろうなというところは感じておりまして、今回、我々といたしましては、いわゆる転換期限を六年延長するということを考えているところなわけです。

 この六年というのは、ある意味、いろいろ議論はありました。介護療養病床については、介護保険の改定が三年ごとですから、三年でもいいんじゃないかという声、また、医療のいわゆる診療報酬の方は二年ごとの改定でありますから、四年でいいんじゃないかという声、こういった声もあるわけでありますね。

 しかし、医療も介護もまた同時改定になるのは六年先ということもあり、また、その間に、今お話をしました介護報酬の改定が一回来る、また医療の方の診療報酬の改定は二回来る、こういうようなことでありますと、その間に段階を踏んで少しずつそのあり方を見ていくこともできるのではないかという観点もあり、今回、六年という数字をお示しをさせていただこうと。

 近々、国会に提出をさせていただく予定でございますけれども、こういったいわゆる介護療養病床のあり方については、ぜひ与党の方でも御議論をいただいて、国民の皆様方に真に必要な医療、介護提供体制のあり方、それは在宅も含め、そしてもちろん病院、介護施設も含め、どういうような体系がいいのか、ぜひ皆さんで、この六年という期間をしっかり使ってビジョンを描いていただきたい。そういった意味で、どうか藤田委員にもこの議論に御参加をいただきたいと思っております。

藤田(憲)分科員 ありがとうございます。

 私もこういった議論には積極的にかかわってまいりたいと思いますし、介護療養に関しましては、やはり介護という観点と医療という観点の両方がありますので、それぞれの、どちらかの制度設計をいじるだけでは解決できない、ある意味、非常に複雑な問題であるという点については私も理解をしております。

 その意味で、介護と医療の両方の見直しの期間ということを含めて六年の転換期間を設けるということ、その道筋自体には私自身、理解を示したいというふうに思いますが、今せっかく、政権といたしましては税と社会保障の一体改革ということを総理も強く打ち出しておられまして、まさに今、これはもう介護療養の問題だけではないと思っております。

 さまざま、年金に関してもそうでありますし、医療全体に関してもそうでありますが、この社会保障がどういう道筋になっていくのかということは、我々がはっきりとしたメッセージ、そして成案を得るということは、国民に対しての新たな大きなメッセージだと思いますし、これがいかに具体的な内容になっているかということが、実際の医療の現場で働いている人たちにとっては非常に大きなメッセージになってくるかと思います。

 そこで一点、私として確認いたしたいのは、六月に税と社会保障の一体改革の中で新たな案を示すということを総理自身が非常に強調して訴えておられるわけであります。先ほどの介護療養病床の方針についても、これは先ほど岡本政務官が国会でなるべく早い段階でということをおっしゃいました。これもこの六月の税と社会保障の一体改革の中に当然入ってくるのであろうと思いますが、この点が入ってくるのかどうかについて確認をしたいと思います。

岡本大臣政務官 病床のあり方ということは、当然検討していかなければいけないテーマだろうと思っています。

 病院、病床の役割分担を進める中で、急性期医療の機能を強化して、リハビリ、在宅医療などの充実、連携を図ることにより、継ぎ目のない医療提供体制を構築していくという観点を重視する中で、社会保障と税の一体改革という大きな枠組みの議論の中でこういった介護療養病床のあり方についても議論はなされるものと思いますが、いずれにしましても、六年という、新たな法律で皆様にお願いをする期限をしっかりと踏まえた上で結論を出していかなければいけないんだろうと思っています。

藤田(憲)分科員 ありがとうございます。ぜひお願い申し上げます。

 というのは、これはもう言わずもがなの話でありますが、やはり慢性期医療に関しての病床の削減というのが進んでしまいますと、結果的に、これは全体の入院医療の中でバランスを欠いてしまうことになります。そういたしますと、結果的には、一般病床の中で、これは慢性期医療も含めて、どんどんどんどん病床の奪い合いという現象がやはり起きてきてしまう。そうしますと、本当に必要な急性期の入院患者に対して、必要なベッド数が確保できない。

 これは医療全体の系を破壊してしまうことになると思いますので、やはり今求められているのは出口医療の充実であり、そうすることによって、急性期、回復期、そして慢性期の医療へと、まさに岡本政務官がおっしゃいましたとおり、継ぎ目のない医療体系をバランスよく構築していくこと、これは都市に限らず全地域において必要と考えておりますので、この点の充実をお願いする次第であります。

 これに関連してでありますが、まさに急性期、回復期、慢性期と、今現在の入院の病床でいいますと、急性期にどうしても滞留しがちである。高齢者が急性期で運び込まれてしまうと慢性期につながりやすくなる。これはこういう場ではなかなか言いにくいですけれども、そうすると、なかなか急性期の入院病床があかなくなるという問題が生じます。

 それがために、今、都市部において救急車のたらい回しの問題が起きておりまして、例えば、いわゆる産婦人科における急性期のたらい回しの痛ましい事件が都立墨東病院等々でありましたが、現実のたらい回しは、これは産科の問題、周産期の問題だけではなくて、こういったいわゆる高齢者の急性期の受け入れの問題もその根っこにはあると私は理解をしており、この問題については早急な手だてが必要であろうと思っております。

 ここで一つ、これは私からの一つの提案であるのですが、やはり急性期というものは一つの入院医療の中ですべての医療の入り口になっているわけでありますけれども、特に高齢者に関する急性期であれば、例えば認知症を併発している患者さんが、いわゆる嚥下、飲み込む上において間違って飲み込んでしまう、誤嚥が発生する。こういったものに関しては、単純に急性期医療だけで解決するかというとそうではなくて、介護も伴った形の回復期につなげていく機能を伴った病院でなければ、しっかりとした医療、回復措置がとれないのではないかという問題意識を私は持っております。

 したがって、高齢者向けの介護機能を伴った救急病院というものを、自治体の取り組みであれどこの取り組みであれ、何とか実現できないか。これは、逆に私が医療の専門家ではないがゆえに、率直な発想として考える次第であります。

 こういった高齢者向けの、例えば介護機能を伴った救急病院というものを制度設計するのは可能なのかどうか。すなわち、こういった取り組みを行うことは可能かどうかということを私自身、ぜひ考えてみたいというふうに思いますし、特に高齢者に多い認知症と併発した場合において、これがきちんと適切にできるような病院の充実というものが図られれば、これは新たな急性期の患者の受け入れ口として非常に重宝されるのではないかと思うのですが、こういった取り組みが可能かどうかについて教えていただければと思います。

岡本大臣政務官 どういった疾患で急性期の病気になられるかということにもよりましょうし、先ほどお話になった、合併症はどういったものがあるのかということにもよると思います。一概には言えませんけれども、合併症の中には、受け入れ可能病院が限られるという合併症もあると思います。今話題にはなりませんでしたけれども、例えば、透析が定期的に必要な患者さんがほかの合併症で入院を求められる場合には透析が可能な病院を必然的に探すということになるでしょう。

 そういう意味で、合併症がある場合には、受け入れに少し複雑な、また困難な事例が出てくるものもあるかとは思いますが、今、介護という観点でお話をしますと、一般的な介護、例えば食事や排せつといったような介護等であれば、病院においては看護職員が、こういったさまざまな診療補助とあわせて日常の看護も行っているわけでありまして、介護がなければ病院において入院療養ができないかというと、必ずしもそうではないというふうに考えます。

 したがって、委員が今御提案をいただきましたお話は、今この場で初めて伺いましたので、もう少し、看護では無理で介護でなければいけない、そういったポイントがあるのかないのかも含め、また改めて御提示をいただけると、より具体的な議論に入れるのかなというふうに思っております。

藤田(憲)分科員 ありがとうございます。

 まさにこういったところを出発点として議論を深めていきたいというふうに思いますし、看護、介護の切り分けに関しても、資格制度の切り分けの問題もあれば、実際に介護の必要性あるいは介護の専門性の問題も当然出てくるかと思います。そういう意味では、これは正解がまだない分野かもしれません。しかし、こういった、ある意味どんどんどんどん医療が機能分化をしてきた歴史を持っている中で、これから求められている医療というものは、逆にこの機能分化したものを統合していく働きも必要になってくるのではないか。

 それにおいての取り組みということに関しましては、地域的なさまざまな事情もあるでしょうし、さまざまな病院の受け入れの体制の問題もあると思っています。しかし、私としては、まず何といっても、この取り組みに関しては、例えば先進的な自治体があった場合に、こういった取り組みを行うことができるのであれば、それを妨げないような制度になっていることが大事かと思います。

 といいますのも、我々の医療に関する政策も、例えば平成二十二年度補正予算あるいは平成二十三年度予算を見ても、自治体における支援となっている医療に関する政策が多いという点に私自身、気がつきました。そうしますと、国政において医療をどのようによくしようと考えているかということについてメッセージを発したとしても、これを自治体側がきちんと受けとめていただいて、そして自治体の中でそういった取り組みをきちんと行っていただかないと、最終的に必要な人に必要な施策が投じられる結果を伴わないのではないかというところを私は問題意識として持っております。

 その点に関連してでありますが、平成二十二年度補正予算、これはさきの臨時国会で成立したものでありますけれども、この中の厚生労働省所管予算におきまして、高度専門医療、救急医療等の整備拡充等を目的として、各都道府県の地域医療再生基金に二千百億円の交付金措置を講じているということがあります。これはまさに、いわゆる医療の充実を、自治体における交付金措置をもってこれを拡充していくということを求めているわけであろうと思いますが、ここにおきまして、地域医療再生計画というものを各自治体がつくっていく。

 ということであれば、これはもう本当に確認事項でありますが、まさに看護、介護、これはさまざまな制度の切り分けの問題もありますけれども、例えば急性期の医療においても、介護を伴うようなもの、看護を伴うようなものという付加的なもの、プラスアルファをしていくものに関しても、どんどんどんどん各自治体が地域医療再生計画の中で対象として、積極的に打ち出してもらうということで方針としてよいかどうか、この点だけ確認できればと思います。

岡本大臣政務官 今回の地域医療再生交付金には、交付要件というものを決め、既に都道府県あてにお知らせをしております。したがって、その要件をごらんいただいて、合致するようなものであれば、当然、今回の平成二十二年度補正予算の地域医療再生基金の対象になってくるんだということであります。

 救急救命センターの整備拡充やこれに連携する医療機関の機能強化などを目的としているのがこの基金でありまして、各都道府県が地域の医療課題に対応するために必要と認めた場合には、それぞれのケースにもよりますけれども、地域医療再生交付金、適用がなされる要件を満たしていれば対象となるということであります。

 ぜひ、そういった地域の医療をどうしていくのかということに自治体も積極的にアイデアを絞り、また、そういう意味では、国政でまさにじかにそういった情報を得た各議員の先生が地元での地域医療再生のあり方に提言を発していく、こういった姿も私はあり得るんじゃないかというふうには考えています。

藤田(憲)分科員 ありがとうございます。

 まさに医療政策を実施する上において自治体の働きが極めて大きいというところ、これは我々もしっかりと認識をしていかなければならないと思っております。

 先ほど岡本政務官に御参考までという形でお渡しをいたしましたが、実は、自治体の取り組みという中で、簡単な紹介でありますけれども、これは大田区自身が発行している「おおた医療BOOK」という本でありまして、無料、フリーとして、大田区内の各医療機関に、患者さんが自由に持って帰れるような形でつくってあります。

 もともとは、これの起こりを言いますと、蒲田医師会において医師会の負担でつくった医療ブックを、大田区の三医師会、あるいは歯科医師会、薬剤師会も含めて全体の取り組みとして大田区の行政がこれを認識して、今度は行政の費用としてこれをしっかりとつくって各大田区民に配布をする、医療機関で受け取れるようにしている。これも一つの自治体の医療に関する大きな取り組みだというふうに私は理解しています。

 といいますのは、自治体における医療政策の取り組みということでいいますと、当然のことながら、大田区も含め、市町村国保の運営、すなわち保険者であります。そうしますと、やはり自治体がこれからどういう取り組みをしていくかということについては、我々もしっかり、これは地域主権とも絡めて考えていかなければいけない問題だと思うのです。

 ちなみに御紹介いたしますと、大田区の市町村国保の場合、大田区の人口は約六十九万五千人でありますが、そのうち、市町村国保の加入者は約三五%、おおむね三五%の方が加入している。したがって、大田区民にとっては、この市町村国保の存在というのは非常に大きいものであります。二十三区全体の中で見ても、高いところでいえば四割を超えるところもありまして、やはり自治体が保険者としても住民の医療政策に深くかかわっているということはよく理解できるわけであります。

 ただ、国保は、その性質上、収入に応じて支出を抑制することができない、これは当然のことであります。国保でありますから、支出というものがまず当然伴ってくる。収入を上げようとしても、保険料を上げるのにも限界がありますので、結果的に今、これは二十三区に限らず、多くの自治体が行っていることは、国保の運営に関しましては特別会計で行うということが法律上定められておりますので、一般会計からの繰り入れで行われている。

 そうしますと、大田区の一般会計の予算規模でいいますと、大体二千三百億と言われておりますけれども、繰入額も百億円を超えているという状況がありまして、大田区の一般会計のかなりの割合の部分が一部の国保の被保険者の方に使われているということで、これを不公平だと訴える人もおります。そうしますと、私としては、都市部における市町村国保の効率的かつ健全な運営というのはやはり必要不可欠ではないかと考えております。

 その点に関しまして、もちろん大田区に関してはこういう取り組みもやっているわけでありますけれども、これは最後になってまいりますが、医療の質を向上するためにこの市町村国保というものをどういうふうに効率的に運営をしていくかという点において、私自身、昔システム設計もやっていたITの会社を経営していた者としてはどうしてもこういう発想になるんですけれども、例えば、大田区自身が保険者としてシステム設計を行って、被保険者と地域医療機関を結ぶ独自のシステム設計を行ってはどうか。

 そうしますと、何がいいかといいますと、これはもちろん保険者たる大田区が実施をするわけですから、被保険者である国保のカードを持っている人は、個人情報の許諾が必要であることは言うまでもありませんけれども、例えば、大田区であれば、幾つかの医療機関において、一人の患者さんが風邪を引いたということでAクリニック、B診療所、C病院、こういうものに何回も行って、たくさん診察を受けて、そして投薬を受けているというような例がないとは限りません。純粋に医療の効率化という観点でいうと、こういった事態はできるだけ避けていくべきだと私は思います。

 その点でいいますと、例えば、大田区が保険者となってシステム設計を行って、そして地域医療機関と連携することによって、ある患者さんが来ても、そのカードがあれば患者さんの基本情報であったり既往歴であったりカルテであったりを医療機関で閲覧することができる仕組みができないか。もしそれができるのであれば、初めての患者さんであってもわざわざ問診からスタートすることなく、こういった医療の効率化が図られると思います。

 こういったことをシステム化する上において制度上問題がないか、この点だけ最後にお伺いしたいと思います。

郡主査代理 質疑時間が経過しておりますので、御協力を願いたいと思います。

岡本大臣政務官 今御提案の話でありますが、いわゆるデータの閲覧の仕組みについては、その目的や活用するデータの内容等の具体的な制度設計に即して制度上問題があるか否かを考えていく必要があります。

 一般論としましては、保険者が被保険者と地域医療を結ぶ独自のシステム設計を行い、被保険者サービスの向上の観点から問診や既往歴、診療録等のデータを各医療機関が閲覧できる仕組みをつくることについては、個人情報等の法制上の課題をクリアできれば、国民健康保険法上、特段の問題はない。また、地域の医療機関間において個人の了解を得た上で診療録等の閲覧を行えるようにすることは、医療機関間の連携の促進や患者への適切な医療提供体制の整備に資するものであり、制度上、特段の問題はないと考えられます。

藤田(憲)分科員 ありがとうございました。以上で質疑を終わります。

郡主査代理 これにて藤田憲彦さんの質疑は終了いたしました。

 次に、質疑順序を変更して、山口和之さんの質疑に入ります。山口和之さん。

山口(和)分科員 民主党の山口和之と申します。どうぞよろしくお願いします。

 初めに、ニュージーランドの地震につきましては、ぜひとも我が国は全力でニュージーランドの地震に対して対応していただけるよう、よろしくお願い申し上げます。

 そこで、事前通告がない話なんですけれども、もしお答えできたらなんですが、ニュージーランドの地震もそうですが、我が国も地震の国であります。そういったときに、病院がかなり老朽化していて、耐震構造の問題はかなり大きな問題で、現状では、改築しようと思ってもなかなかできないところがあると思います。

 そういったときに、これから、先ほど来質問が出ている医療のあり方、病床数のあり方もあるでしょうし、病院の形態も変わってくると思うんですけれども、そういったビジョンを踏まえた上に、もちろん医療提供体制を踏まえた上でいろいろなものが進んでいくんだと思いますけれども、耐震構造の問題も同時に並行してあるものですから、それについて、もし何かございましたら教えていただければと思います。よろしくお願いします。

    〔郡主査代理退席、主査着席〕

岡本大臣政務官 具体的ないろいろなアイデアがもしおありであれば、また厚生労働省の方にお問い合わせをいただければと思いますが、一般論からいえば、二十二年度の補正予算で成立をしました地域医療再生交付金は、そういった老朽化した病院であったとしても、その病院が統合をして、地域医療で新しいネットワークを持つ三次医療圏の位置づけを持ってやっていっていただく、こういうような話になってくれば、そのほかの交付要件等を満たすということになってくればその対象になってくるでしょうし、個別の事例においてどういったことが考えられ得るかというのは具体的なケースによると思いますので、それにつきましては、また追って御連絡をいただければと思います。

山口(和)分科員 ありがとうございます。

 前よりもお金が借りやすくなった関係もあって、改築、増築しやすいような環境にはなっていますので、さらにしっかりとした見きわめをして、投資的な効果、あるいは安全面から必要であるところに対するお金の貸し出しもできたらいいなと思います。

 それでは、配付している資料を見ていただきながらということでお願いしたいんです。

 一枚目のところは、介護保険費用が年々増大してくるというスライドになるんですけれども、医療費についても年々増大していく。

 次のページをめくっていただくと、日本の将来推計人口ではもう肩車になっていくんだよとよく言われておりますけれども、ここで重要になってくるのは、健康寿命をいかに延ばすか、それで不健康寿命をいかに短くするかということが重要になってくると思います。

 もちろん高齢者の健康寿命もそうですけれども、働く側の健康的な生活も極めて重要になってくると思います。

 それで、高齢者からさかのぼって考えていくのが一番いいと思いますが、その下を見ていただくと、要介護状態になった原因をグラフでお示ししていますが、次のページを見ていただくと、高齢者の要介護の原因は脳卒中、運動器、認知症、これが大体大きなところの問題でございます。そうすると、脳卒中で考えてみますと、やはり生活習慣病が極めて重要になってきて、このメタボリックドミノというものは以前からお示しされていたところだと思います。

 次のページをめくっていただくと、まずは生活習慣病への対応が重要となりますと。そういったときに、今まではどうだったのかということでちょっと振り返ってみたいと思いますが、まず特定健診、特定保健指導の平成二十年でいきますと、約三八%ぐらいしか受診されていない。平成二十一年で四〇%。このことについて、不十分と思うんですけれども、今までの対策について、あるいはこれからどうしていく方針なのかということをぜひともお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

外口政府参考人 生活習慣病対策、いろいろなアプローチがあると思いますけれども、その中の特定健診、特定保健指導の取り組み状況、それから今後の方針についてお答えさせていただきます。

 まず、実績でございますけれども、平成二十一年の速報値が直近の数字でございますが、特定健診の実施率は四〇・五%、特定保健指導の終了率が一三・〇%となっております。これは、御承知のように、目標から比べるとまだまだ低い数字でございます。

 これまで、実施率向上のための取り組みとしては、一つには、企業の従業員の御家族等が地元の市町村で健診を受けられるよう、県単位で保険者と医療機関等とが契約を締結できる集合契約の円滑な締結の促進、これを一つ進めております。

 それからもう一つは、がん検診等との同時実施。これが新しい仕組みになってやりにくくなったということがございましたので、都道府県、市町村、そして各保険者との情報をよく連携いたしまして、同時実施の推進といった取り組みを行っているところでございます。

 これらの取り組みに加えまして、現在、三月に取りまとめる予定でございますが、全国医療費適正化計画中間評価、これに向けまして、実施率向上に有効と考えられる各保険者さんの取り組み内容等の検討を今行っております。

 こういったことを踏まえまして、特定健診、特定保健指導につきましては、より一層実施率を向上させるための取り組みを進めてまいりたいと考えております。

山口(和)分科員 どうもありがとうございます。

 少し肥満が少なくなってきたとはいえ、やはり我が国においては重要な疾患でありますし、脳卒中基本法という話も最近少しずつ出てきております。そう考えたときに、大切な疾患ですので、ぜひとも取り組みをお願いしたいと思います。

 次のページのところの、生活習慣病管理料というのがございまして、これは二百床未満の病院、診療所で生活習慣の指導、重度化予防対策ということになっていると思います。今回の予算の中にも出てきておりますが。

 糖尿病の患者さんというのは、平成二十年には二百三十七万人いると言われています。患者さんですから何らかの治療を受けた人たちですが、生活習慣病管理料というものを見ますと、重度化予防を六月期で見ますと、運動処方ありで三万五千八百人程度と、糖尿病に対してほとんどなしていない。実際現場に自分もおりましたので、ほとんどこれは使えないというか、ただ運動してくださいで終わっている世界がずっと続いているわけですね。もうこれは変えていかないと、ちょっとどうなんですかね、このまま放置するのか、本気でいくのかというところなんですけれども、ぜひともお答え願います。

外口政府参考人 糖尿病対策につきましては、もちろん食事と運動という一番の基本がございますけれども、そういった中で、どうしてもうまく管理できない方について、その次のステップとして投薬治療とかインシュリン治療とか、いろいろなステップがあるわけでございます。

 御指摘のように、やはりこの糖尿病、これから非常に大事な疾患でもございます。それから、腎臓を悪くしますとまた透析ということにもつながりますので、これの予防、それからその知識の普及等を進めていくことは、これは一つ医療だけじゃなくて、予防も含めて全体的に取り組まなければいけないことと考えております。

 それで、診療報酬の効果的なあり方については、中医協でも今検証し、それぞれの項目について議論を行っておりますので、またそういった中でも、有効な項目はどういうことかということについてもよく議論をしていただきたいと思っております。

山口(和)分科員 ありがとうございました。

 自分は理学療法士がベースなものですから、運動療法をずっと続けておりまして、ひざが悪い方であったり腰が悪い方であったり、あるいは脳卒中の方であっても糖尿病を持っていらっしゃる方ももちろんいらっしゃいますし、高血圧であったり高脂血症であったり、さまざまな疾患が絡み合っておりますので、ぜひともこれは重要視していただいて、重要課題として持っていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 次のページを見ていただきますと、WHOの健康寿命の定義があるんですが、日常的に介護を必要としないで自立した生活ができる生存期間のことと定義しているというふうにWHOでは言われているんですけれども、我が国においては、できれば、先ほどのグラフ、医療費のグラフあるいは介護保険費用のグラフのように上がらずに、高齢者が二倍になっても要介護者が二倍にならない社会を実現すべきであって、そのことが周辺諸国へのお手本になるはずです。あるいは、障害を持ったとしても、それが重度化されずに、健康寿命をできるだけ長くしていただくことが、我が国に課せられた重要なことだと思います。

 そこで、次のページを見ていただきますと、スライドでいうと十三番になるんですけれども、介護予防事業の予算額の推移なんですが、平成二十一年度までは結構しっかり上がってきていまして、二十二年、二十三年と下がっております。下がったから悪いとか、上がったからよいというわけではないですけれども、果たしてこれはいいのかなと思います。

 そこで、もう一つ、その下の厚生労働科学研究費補助金、長寿科学総合研究事業ということの事業費なんですけれども、研究の事業費ですね、これも見ていくと、二十年からどんどんどんと下がっております。

 その次のページを見ていただきますと、長寿・障害総合研究事業費削減ですね。いろいろな分野があるんですが、ア、イ、ウ、エとあるんですけれども、各分野一演題程度に絞るというところまで削減なんですね。その中ですごく大事なことが、介護予防プログラム開発に関する研究費自体も一演題。介護予防といったら、普通、いろいろな意味で多岐にわたって、生活までいく。プログラムを開発するのに一演題程度というふうに規制され、まあ規制ではないですけれども、その程度の予算ということなんですね、早い話が。

 この予算額でいってしまうと、これではどうしても、近々のちょっとした、早急に結論を出すような研究しかできなくて、長期的な、あるいは多角的、多面的な研究というのができない。日本がお手本になるというふうに考えたときに、ちょっとどうなのかなと。事業仕分けのこともあったんでしょうけれども、事業仕分けがあったならば、さらに、ではどうするかということはやっていかなきゃいけないんだと思います。それについてお答え願います。

宮島政府参考人 今御指摘いただきました、事業仕分けの中では、介護予防を否定されたわけじゃなくて、事業仕分けのコメントは、介護予防は今後ますます重要になってくる施策である、科学的根拠に基づく調査研究を行い、エビデンスを集め、費用対効果を計算し、政策評価を行った上で、事業を継続すべきかどうか、さらに伸ばしていくかどうかについて検討するという姿が望ましい、こういう結論をいただいております。

 したがって、私ども、この仕分けを受けて予算の見直しを行いましたが、参加者をふやす、それから二次予防をもっと盛んにするということで、地域のニーズ調査に合わせて、対象者をより効果的、効率的に把握する仕組みに見直しを行いました。また、研究につきましても、高齢者のニーズに合った効果的なプログラム、認知症予防のプログラム、あるいは複合プログラムの開発研究を行うというようなことでの組みかえも実施しているところです。

 介護予防事業は今後ますます重要になってくると思いますので、一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。

山口(和)分科員 どうもありがとうございました。優しいお答えをありがとうございます。自分は民主党にいながら、この予防費用が削られたことはすごいショックで、自分は地域の介護予防をかなり一生懸命やってきた方だと思っておりますので、党内でしっかりとどういう方向性なのかということをもう一度検討して、どういうふうなあるべき姿というところを、しっかり納得のいくようなものもこちらの方としても検討していきたいと思っています。

 その下の方を見ていただくと、これは以前から出されています介護予防重視システムの全体像というのがありますけれども、地域支援事業、介護予防給付、水際作戦というふうに、一歩手前でストップと。これはかなりの人が恩恵はあったと思います。一年間ずらす、二年間ずらす、三年間ずらす、これは非常に大切なことで、これを続けなければ、このままいったら先ほどのグラフのようになってしまうということです。介護予防は極めて重要ですし、介護保険になっても重度化しないような、要介護状態になっても重度化しないような体制が必要です。

 次のページを見ていただくと、十七番の要支援者がどういうサービスを受けているかという表なんですけれども、ほとんどが生活援助なんですね。家事援助、調理、下膳、配膳ですね。その下の総括調査票というのを見ていただくとわかるんですが、ほとんどが何か予防給付というよりもお手伝い給付のような形になっています。九割引きサービスのお手伝いサービス、これがずっと延々と続いていいのかということが極めて重要なことになってくるんだと思います。

 次のページを見ていただくと、原点に返るということではないですけれども、昔つくると、少し時間がたつと忘れてくるんですけれども、介護保険法第四条というところなんですが、「国民は、自ら要介護状態になることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。」本来こうなっているはずなんですけれども、少しずつ、ちょっとどこかに行っているところもあるのかなというふうに思います。

 それから、民主党マニフェスト二〇一〇の方ですけれども、在宅リハビリテーションの推進ということがあるんですけれども、実際はどうかというと、次のページ、二十一を見ていただけるとわかるんですが、これは昔から言われていることですが、真ん中の訪問リハビリテーションというところがございます。この訪問リハビリテーションはほとんど伸びていないということであります。今後利用したいかというアンケートには使いたいとあるのにもかかわらず、伸びていないということがあります。このことについて御意見を伺いたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

宮島政府参考人 確かに、予防給付については生活援助が中心だということで、十分にリハビリテーションの提供がなされていないという御指摘がございます。それは、実態を見ればそういうことになっております。

 リハビリテーションに関しましては、昨年の社会保障審議会の介護保険部会におきまして、まず、高齢者の心身の低下のときは自立をより高めるリハビリ前置の考え方が大事だと。それから、通所介護類似の通所リハビリもあるとか、リハビリの提供の利用率が低い地域もある、この辺については、質の向上とサービスの効率化ということで、リハビリテーション専門職の果たすべき役割や他職種とのかかわり方についても検討していく必要があるというような指摘もあります。さらに、在宅復帰支援機能を有する老健施設などの活用も含めて、訪問、通所、短期入所、入所によるリハビリテーションを包括的に提供できる地域のリハビリテーション拠点の整備を推進し、さらにその充実を図っていくことが求められているというような御指摘を受けました。

 ことしの末に、来年二十四年の四月からの介護報酬改定に向けて、介護給付費分科会の方でこういった点を踏まえて御議論を進めてもらいたいと考えているところです。

山口(和)分科員 どうもありがとうございます。運よくいいリハビリテーションに当たった方は寝たきりにならずにということもあったりします。それじゃやはり話にならないので、日本じゅうどこにいてもそういうサービスが提供できるようなことは極めて重要ですので、ぜひとも検討していただきたいし、検討していきたいと思っております。

 次のページを見ていただきたいと思いますが、高齢者向けの住宅についてなんですが、先ほど来から療養病床群であったり急性期病院のベッドの問題とかが出ておりましたけれども、結局は受け皿の問題が非常に大きくて、在宅に帰れない方もいらっしゃいます。ただし、在宅復帰プログラムがあるかというと、そうも見受けられなく、それ自体がまず足りない、やっていないということが多いと思います。

 そのほかに、どうしても帰れない人というのは確かにいらっしゃいます。そのどうしても帰れない方は、居住サービスということで、高齢者住宅であったりいろいろ住むところはあるんでしょうけれども、いわゆる病院にいたらお金が多くかかったらばこれ以上は払わなくていいよというサービスもありますし、あるいは、施設にいると補足給付費があって、施設の方が安心で安いんです。そうしたら、病院にもいますし、施設にもいます。在宅に行ってくださいといっても、なかなか行ける状況ではないですよ。

 これは、受け皿のことをしっかりやらない限りは何とも先に進まない。今までどうしても厚生労働省だけで考えるから先に進まないんだと思うんですけれども、ぜひとも在宅に行っても安心できるようなシステムをつくらなきゃいけないと思うんですが、いかがでしょうか。

宮島政府参考人 今の御指摘ですが、食費とか居住費というのは、在宅の方でも要介護状態であるか否かにかかわらず必要ですので、自宅を持っている方というのはそれは自分で負担してもらっているということで、介護の補足給付について言いますと、十七年の制度改正で、そういう在宅の方との均衡で食費、居住費を保険対象外とした、ただ、その利用で困らないために低所得者のための補足給付を創設したというような構成になっておりまして、補足給付自体はサービスに伴うものという位置づけでございます。

 今の山口委員の御指摘は、在宅での低所得とかそういった問題で、その辺で家庭復帰ができないということをどういうふうに考えるかという問題で、今般の通常国会にも国交省の方と在宅での高齢者ケア住宅の新しい法律改正を予定しておりますが、それとあわせて、低所得者のための住宅、軽費老人ホームですとか養護老人ホームとか、そういった施策などあわせて考えていかなければならない、そういう話ではないかというふうに受けとめさせていただいております。

山口(和)分科員 ありがとうございます。

 その下の方に在宅復帰についてと書いてあるんですけれども、二十四ページになりますが、在宅復帰のプログラムというのはやはりなかなかなくて、これはしっかりとつくっていかなきゃいけないと思います。

 それから、フランスの在宅入院というのがあるんですけれども、フランスの在宅入院は、在宅においても入院していたときと同じような機能を地域で持ちましょうということなんですね。それによって、入院の重装備のところについてはしっかりとした治療を行い、その継続として地域で行うということ、これはいいシステムだなというふうに思うんです。

 岡本政務官さんはお医者さんですのでおわかりだと思いますけれども、例えば、入院されている方が遠くから来ているものですから、通うのが大変だからもうちょっと入院していましょうなんという、こういうのは結構たくさんあると思うんですね。必要な資源を必要なだけ有効に活用するというふうに考えたときには、やはりいろいろな受け皿のシステムを考えていかなきゃいけないと思うんですが、いかがでしょうか。

岡本大臣政務官 今の御指摘は、いわゆる病床をどのようにこれから考えていくか、一般病床それから療養病床をどう考えていくかということにもなると思います。

 医療、介護にわたって継ぎ目なくサービスが提供していけるようにしていくということは必要ですし、今御指摘のように、さまざまな事情で、社会的入院と言われていたものでありますけれども、こういった形で入院を継続するというようなことではなくて、その人にふさわしい介護のサービス、また、先ほどからお話があります重度化しないための取り組み等を通じて、やはり個人個人に適したサービスを提供していく環境を整えるというのが重要だと思います。

 今般、我々が国会に御審議をお願いしようと思っております介護保険法の一部改正の中でも、介護療養型病床の転換期限を六年延長するということ、そしてその中で議論をしていこうというふうに考えておりますので、ぜひそういった場でも、先ほどお話がありましたけれども、先生の御持論をしっかり展開していただいて、それを御期待されている方もたくさん見えると思いますから、この六年間というのを有効に使っていく、そんなふうにしたいというふうに思っています。

山口(和)分科員 どうもありがとうございます。

 地域で安心して暮らせる、生活の場所に医療が持っていける、そんな社会ができたら安心できる地域ができていくんだと思います。

 かかりつけ医の機能。後期高齢者医療制度の中でかかりつけ医というのは十分動き始めたような感じもしていたんですけれども、最近ちょっと見られなくなって、地域の中の弁護士さんじゃないですけれども、かかりつけ医の先生が自分の病気に対する担当者のような形でいるのも非常によくて、予防あるいはその後の再発予防、地域での生活、あるいは入院したときの助言者等々になり得る可能性もあります。

 かかりつけ医機能をもう一度検討することと同時に、何でもかんでも急性期病院の大きな病院に行くのではなくて、介護老人保健施設あるいは有床診療所等々の地域資源ということをもう一度考えていく必要があるのではないかと思います。

 もう一点、介護保険のことでちょっとお聞きしたいんですけれども、特養、特別養護老人ホーム、あるいは特定施設と言われているところにいらっしゃる方々は、機能訓練ということはされるんですけれども、リハビリテーションが受けられないんですね。在宅にいらっしゃる方々は、在宅リハビリテーション、訪問リハビリテーションであったり通所リハビリテーション、あるいはショートステイを受けながらリハビリテーションを受けたりといういろいろなことができるんですけれども、施設に入るとそれができなくなってしまう。これは差別、区別ではないかというふうに考えますけれども、ちょっとだけお答え願えればと思います。

宮島政府参考人 今の御質問は、リハビリテーションの提供のあり方として、施設の中で備えるのか、それとも外から訪問リハビリテーションのような形で入っていくか、そういうお話なんだろうというふうに思っております。

 今御指摘のありました特別養護老人ホームや特定施設では、機能訓練の指導員の配置が義務づけられておりますので、その人たちが機能訓練をするということで、外からは入ってこない、そういう枠組みになっているということなわけです。

 これをどういうふうに今後持っていくかという話は、それぞれの施設機能とか役割の観点を踏まえて、関係者の御意見を伺いながら、二十四年度介護報酬改定に向けて幅広く検討してまいりたいというふうに思っております。

山口(和)分科員 どうもありがとうございました。

 最後に、提案ですけれども、いろいろな可能性を秘めて、最後のページになりますけれども、訪問リハビリステーション。訪問看護ステーションと同様に、地域の中でリハビリテーションを提供できる。病院のベッド、施設のベッドではなく、地域全体が安心できるシステムになれるように提案したいと思います。

 どうもありがとうございました。

泉主査 これにて山口和之君の質疑は終了いたしました。

 次に、質疑順序を変更して、中後淳君の質疑に入ります。中後淳君。

中後分科員 民主党の中後淳です。

 まず、質問の機会を与えていただいたことに感謝申し上げます。

 今回、厚生労働関係所管の質問ということなんですけれども、まず、通告もいたしましたが、総合特区の質問から入りたいと思います。

 ただ、この質問をする背景として、つい先日、二月二十日と二十一日、私の地元の千葉日報という新聞で、看護師不足で医療崩壊が安房地域で始まっているということが取り上げられました。この点を受けての質問になりますことを申し上げておきます。

 まず、総合特区制度についてお尋ねするんですが、小泉政権時、目玉政策でもありました構造改革特区というのがあります。この構造改革特区制度と、新成長戦略によって今回法案提出が予定されている総合特区区域法案による総合特区制度、この違いについて、恐らく混同されている方がたくさんいらっしゃると思いますので、ごく簡単に御説明いただけたらと思います。よろしくお願いします。

    〔主査退席、郡主査代理着席〕

逢坂大臣政務官 中後先生の今の御質問にお答えいたします。

 まず最初、構造改革特区でございますけれども、これは、広く一般に提案を募る、そして、主として個別の規制の特例措置を講ずるものでございます。税ですとか財政の措置などは対象としていない。主に規制の措置を講ずるというのが構造改革特区の特徴でございます。

 これに対して、総合特区制度ですが、政策課題の解決の突破口となる地域に限定をして、規制の特例措置とあわせて、税制、財政、金融上の支援措置等を総合的かつ集中的に実施をすることとするということ、それからもう一つ、地域の責任ある戦略を国と地方の協議会を通じて、国と地方の共同プロジェクトとしてやるというところに大きな違いがございます。

 以上でございます。

中後分科員 ありがとうございました。

 まだまだ本当はこの総合特区制度についてたくさん質問したいところもあるんですが、厚労の質問の場ということですので、もう一問だけにさせていただきます。

 この総合特区制度、いろいろと資料を見させていただくと、国際戦略総合特区というのと地域活性化総合特区ということで分けられているようですけれども、それぞれ、二十三年度、今回の予算においてどういう措置がなされていて、指定についてどういう考え方でいらっしゃるのかということについて、大枠を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

逢坂大臣政務官 まず、総合特区制度における財政支援措置でございますけれども、これは各省の予算制度を最初に、まず重点的に活用してもらうということを考えております。その上でなお不足する場合に、各省の予算制度の対応が可能となるまでの間、機動的に補完する予算として、平成二十三年度政府予算案において、総合特区推進調整費百五十一億円を内閣府に計上いたしております。

 現在、総合特区の指定件数はまだ決めておりませんけれども、国際戦略総合特区の指定件数は少数に限定したいというふうに思っているところでございます。

 以上です。

中後分科員 ありがとうございました。

 この総合特区制度から質問に入ったというのは、看護師不足に対して、医療で地域を活性化していこうという取り組みが安房地域で始まっておりまして、その中で総合特区制度の申請をしようということで、国際戦略総合特区にも地域活性化総合特区にも両方とも申請をなされる予定であります。

 片方、一つ、国際戦略総合特区は、安房ライフ・イノベーション国際戦略総合特区、提案主体は医療法人鉄蕉会、学校法人鉄蕉館、社会福祉法人太陽会、それと自治体である鴨川市の連名になっております。それとあわせて、鴨川市において地域活性化総合特区というのが申請される予定になっているということがありまして、これはいずれも、鴨川市にあります亀田総合病院を主体にしまして、医療、介護、健康をキーワードに、日本の成長戦略モデルの先駆けになれないかという点と、地域活性化対策として取り入れられないかという趣旨で提案される予定と聞いております。

 ただ、これを実現するにはさまざまな医療体制等を整備していかなければならないという中で、今一番の課題は、冒頭にも申し上げましたとおり、看護師不足ということになっております。

 先日、お聞きしましたら、医師の数は十分いるんだ、看護師がいなくて、ワンフロア丸々病床をあけているというような状況になっているというようなことまでお聞きしました。

 今、千葉県というのは、全国でも看護師数、人口十万人当たりでいう看護師の数、全国平均が五百九十五人となっているわけですけれども、千葉県が四百十一人、埼玉県に次いで下から二番目の位置づけになります。この中で、安房、夷隅、君津地域、いわゆる房総半島に限定すると、千葉全体で四百十一人で全国ワーストツー、今言った房総半島に限定すると三百四十七人という数になってしまいます。大変看護師不足が深刻な地域であるということになります。

 また、こういう背景があるにもかかわらず、つい最近、去年、おととしと続いて、地域の看護師養成機関が閉校されて、これから看護師不足がますます深刻になるだろうということを受けて、今回いろいろな質問をさせていただくわけですが、御存じのとおり、千葉も北総部については人口過密地域でありますが、房総半島に行きますと少子高齢化、過疎化が進んでいる地域であります。高齢化率が千葉県は一九・九%に対して、安房、夷隅というところになると三二・二%になります。

 これから医療の需要がどんどんふえていく中で、何とかしたいというところで、地域における看護師不足を解消しようということで、亀田総合病院さん、鉄蕉会が主体となって、自治体である鴨川市と連携して、看護師養成のための医療大学を設置しようということで、今さまざまな動きをしているんですが、まず冒頭に、地域、地方において看護師不足が深刻な状況になっているということについて、厚生労働省の見解というのをお聞きしたいと思います。

大谷政府参考人 お答え申し上げます。

 地域の医療体制を維持して質の高い医療を提供していく上で、看護職員を確保していくということは極めて重要な課題であるというふうに考えております。

 現状について申し上げますが、詳細に実態を把握していく必要があるわけでありますが、全国の概況を申し上げますと、平成二十二年のハローワークによる一般職業紹介状況によりますと、全国での保健師、助産師、看護師の有効求人倍率は三・〇三倍ということでございます。

 また、各都道府県別の数字は公表されておらないんですけれども、ただいま御指摘になりましたような数字、あるいは我々の持っております関係数字も合わせて推察いたしますと、おっしゃったように千葉県、また委員がおっしゃった地域について、なかなか厳しい看護師不足の状況があるのではなかろうかというふうに考えております。

中後分科員 今お話ししました亀田総合病院さんの方で、ここは三次救急まで受け持っている病院になるわけですが、看護師不足がネックで、つい先日、一月三十一日に、救急医療の自粛を記者会見で呼びかけていたりするような状況に陥っているということなんです。

 看護師というのは、これは医師についてもある程度関係があるのかもしれませんが、地元で養成、育成していかないと、例えば東京で看護師の勉強、資格を取りましたという方が、館山、鴨川、南房総に来てくださいといって、はい、わかりましたということになかなかならないという背景があるようで、地元での看護学校二校が閉校になったということが、これから本当に深刻になるという中で、この医療大学設立について、地元の自治体、鴨川市を含めて、安房地域の自治体すべてが一体となって、この大学設置についても要請を今しているところですので、国、政府、厚生労働省としてもぜひ御支援をいただきたいという思いで質問させていただきます。

 この学校法人鉄蕉館ということになるわけですが、医療大学は、この四月からもう建設を予定しております。設立の申請も三月に行う予定なんですが、大学新設申請までに必要な経費として、当初二十三億円、二十三億円で看護大学、医療大学をつくるということ自体が非常にローコストで、恐らく行政、県なり国がつくるといったら、多分ゼロを一個つけても届かないし、足りないんじゃないかというぐらいのレベルなんですが、民間と自治体が協働して、この金額で、定員八十人の医療大学、看護師養成機関をつくろうということで計画をされておりました。

 ただ、銀行からの借り入れ等で学校をつくるというわけにいかないということなので、地元での寄附等を大変募って設立の準備をしていたわけですが、一般からの寄附が大体八億円集まったそうです。それと医療法人鉄蕉会から五億円、合計で十三億円。ただし、うち二億円は来年度に入ってくる寄附金だということなので、計画規模を二十三億円から十一・四億円に縮小して申請をすることになるということです。

 また、これは地元の鴨川市というところが、中学校を統廃合する過程で、今まで使っていた中学校の敷地、駅に一番近い中学校になるわけですが、敷地を無償貸与するということで計画が進んでおります。今建っている学校を市がみずから取り壊しをして更地にして引き渡すというようなことなので、地元の自治体としては精いっぱい、相当な財政負担をしながらこの運動をしているということになるわけですけれども、現段階では、それ以外の公的な助成というか、資金計画の中に入っておりません。国も県も、今のところは全く、そういうところでは民間であるこの鉄蕉館と鴨川市の敷地提供にとどまっているところであります。

 鴨川市については、来年度の予算の中で補助を考えているということになりますけれども、この背景とか必要性とかを考えますと、看護師養成ということについて、これだけのローコストな計画の中で、一生懸命地域医療崩壊を防ごうとしていることに対して、一民間病院に頼っているというような姿というのは、私は、ちょっと違うんじゃないのかなという気がしております。もう少し民間と手を組んで、地元の自治体もそうなんですけれども、県もそして厚生労働省も、その地域の背景をしっかりと把握した上で取り組みをされたらどうなのかと思っているんですが、その点についての見解を伺いたいと思います。

大谷政府参考人 看護師の養成についてでありますけれども、地域医療の体制を維持し、また質の高い医療を提供していくということで極めて重要でありますが、これについて、厚生労働省としては、看護師の養成所を設置するための予算を確保し、支援を行ってきたところでありますけれども、今御指摘にあるような大学については、この看護師養成所の対象としては入っていないということで、今後、地域医療の中でどういう工夫があるか、また関係省庁とも連携して検討していかなければならないと考えております。

中後分科員 今答弁のあったとおりの状況であるわけですが、そういう中で、何とかして今の十一億円の計画を二十三億円に近づけられないかということで、いろいろと手を尽くしているところです。

 そこで、先ほども少し話題に出ていましたけれども、地域医療再生臨時特例交付金についてお尋ねしたいと思います。

 これも新成長戦略の一環で、地域医療再生を行うために二十一億円、補正予算で計上されていると思うんですが、二十一年度の補正予算分については、これは執行停止をした背景があったはずです。

 そして、この二十一年度分については、医師確保対策、そして救急医療の強化等という表現がなされていました。それが、今回、二十二年度については、もう少し弾力的な運用ができるのではないのかなという表現に変わっております。ニーズに合わせた弾力的な支援措置を講じるものということになっておるわけですが、この地域医療再生臨時特例交付金、県が取りまとめて厚生労働省に申請をするという形になると思います。

 これは、県が、先ほども出ていましたけれども、看護師養成ですとか、その他、二十一年度に書いてあるような医師不足、救急医療とかということに限らずに、地域の本当に重要な課題と思われるような医療再生について県側が厚生労働省に申請してきた場合には、厚労省としては、これはしっかりと取り上げていただけるのかということについて、確認をさせていただきたいと思います。

大谷政府参考人 御指摘にありましたように、二十一年度の補正予算で入りました地域医療再生基金については今言ったような形でありますが、今年度の補正で実現しましたこの地域医療再生基金の新しいやり方につきましては、これは、個別の判断は必要でありますけれども、地域地域の医療課題の解決を図るために都道府県が必要と判断した場合には、この基金を活用することは可能ではなかろうかというふうに考えております。

 ただし、この基金を活用するために、地域医療再生計画の策定というものが必要でありますから、その際は、各都道府県で、これは官民問わず、幅広く医療関係者の御意見等も聴取していただいて、計画を立てていただければというふうに考えております。

中後分科員 これは千葉県が判断することですので、千葉県からそういう申請があった場合にはよろしくお願いしたいというところにとどめておきたいと思いますが、これは学校建設という話になります。

 先ほども申し上げましたけれども、十一億円で今計画、設立申請されているんですが、当初、二十三億円が、必要な規模としては、コストとしてかかるということだったわけです。そこに向けて、いろいろな形で寄附等でお金が集まってきた場合、公的な補助も含めてなんですが、これは文科省に質問になると思うんですけれども、設立申請、計画変更された場合の対応というのはどのようになるのかということについてお聞かせいただければと思います。

磯田政府参考人 認可後でございましても計画の変更は可能でございまして、例えば、新たな資金の増額、それに伴うその計画の充実ということについては対応できるということでございます。

中後分科員 先ほどから、冒頭から申し上げましたとおり、地域にとっては、本当に看護師をどうやって確保していくかというのは非常に重要な課題になっておりますので、この例だけではないんですけれども、私も、できる限り地元の地域医療の崩壊を防ぐためにも、いろいろとこれからお話しさせていただくことがあると思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、その看護大学、これが、先ほどから言いました医療総合特区を進める上での最初の突破口になってくると思うんですが、そのほかにもたくさんの課題があるわけです。

 進める上での課題なんですが、その前に、鴨川市を中心にした安房地域というのは、この亀田総合病院というのが非常に大きな病院になっていて、ある意味、一極集中的な面があります。

 ただ、この亀田総合病院というのは、鴨川市は人口三万七千人ぐらいの規模であるわけですが、この病院関係で働いている方が三千五百人を超えているような状況。千葉県南部地域では最大の雇用の場にもなっているわけです。

 そして、これは、行かれた方がいらっしゃったらわかると思うんですが、本当に太平洋に面したオーシャンビューのすばらしいロケーションであって、さまざまな著名な方なんかも入院等をされていたりするところであります。本当にすばらしいロケーションでありますので、ぜひ行かれてみるとよいのかなと思いますけれども。

 また、社会保障カードの実証実験なども昨年から鴨川市と組んでやっているところであって、先進的な取り組みをどんどん以前から取り組まれている病院であって、日本で唯一、医療の国際認証、JCIを取得している病院でもある。

 そしてまた、羽田から車で行けば一時間、成田からは一時間半で、このオーシャンビューの先端医療が受けられる環境に届くということなので、メディカルツーリズムなどを考えた場合にも、国際医療交流に最適な条件が最も整っている病院の一つではないのかなというふうには思っておるところです。

 そこで、質問時間の関係もありますので、少しはしょってお聞きしますけれども、医療滞在ビザがことし一月から運用が開始されていますけれども、この概要についてひとつ説明していただければと思います。

川田政府参考人 お答えいたします。

 外務省は、新成長戦略に基づき、外国人患者が治療を受ける目的で我が国を訪問しやすくするため、医療滞在ビザを創設し、本年一月から運用を開始いたしました。

 このビザは、人道的観点を踏まえ、治療目的で来日する外国の方々の必要に応じて、極力利用しやすいものにいたしました。

 具体的には、高度医療から人間ドックまで、さまざまな医療サービスを受けることが可能ですし、家族や付き添いも同伴できることになっております。また、一回の滞在期間が九十日以内の場合には、数次のビザを発給し、最長三年間の有効期間内に何度でも治療目的で来日できます。また、長期の治療が必要な場合には、最長六カ月まで滞在できるということになっております。

 このビザにつきましては、本日までに一人の方に発給しておりますが、現在、四件の申請を受け付けて、審査中であります。

 今後は、このビザにより、一人でも多くの外国の方が我が国を訪れ、先進的な医療サービスを受け、健康になられることを期待いたしております。

中後分科員 この医療滞在ビザ等のことについても、周辺、韓国ですとかその他の国と比べて日本が出おくれているような部分も相当報道などもされておりますので、ぜひ幅広い形で、まあ、一年間は見直しを行わないということが明記されておりましたけれども、運用をしっかりと行った上で、どのような形が最適なのかということについては、しっかりと推移を見守って考えていただきたいなと思います。

 それと、先ほど藤田議員も少しお話しされていたのかなと思ったんですが、医療、介護スタッフの不足について、業務の見直しなんかが必要なんじゃないかなということも指摘をされているところです。

 これで、具体的な事例はどういうものがありますかということを地元で少しヒアリングをさせてもらったんですけれども、高齢化が進む中で、急性期病棟でリハビリ、介護職の職員の増員が求められるというような中で、将来の病院体制をもとにリハビリ、介護職の業務範囲の見直しですとか、それに基づいた診療報酬の改定なんかも考えていかなければいけないタイミングなのかということも言われております。そういう点ですとか、もう少し違う例ですと、麻酔医が不足しているという中で、簡易な人体への麻酔については歯科麻酔医で対応できるようにしたらどうかなんという話もされていました。

 そういった業務改善について、私も専門ではありませんので細かいことはなかなかわからないところがありますが、厚労省としてどのように考えているのかということをお聞かせいただきたいと思います。

大谷政府参考人 患者それから家族を中心とした質の高い医療を実現するために、医療関係職種の方々の専門性を高めるとともに、その業務範囲というものを拡大していくということは大変重要でございます。

 このため、例えば、昨年四月には、薬剤師、リハビリ関係職種、管理栄養士等、医療関係職種の役割や業務範囲を拡大しようというような通知を発出したりしております。

 また、今の状況でありますが、医師、看護師等、教育関係者、あるいは市民、法学者等、さまざまな立場の有識者から構成されますチーム医療推進会議というものを設けまして、特定看護師の導入、これは仮称でありますが、そういったものも含め、看護師の業務拡大等々、具体的な業務内容や研修のあり方も現在検討しているわけであります。

 また、予算面で申し上げますと、チーム医療実証事業というものを計上いたしまして、さまざまな医療関係職種の連携や協働によるチーム医療の取り組みについて、医療現場において安全性や効果等を実証、確認していくというような事業、また、特定看護師、仮称でありますが、この業務の安全性等に対する評価を試行してみよう、こんなことをしているわけであります。

 それから、今御指摘の中にありましたけれども、介護職員につきましても、厚生労働省におきまして開催している有識者の検討会における検討結果や総理の指示等を踏まえまして、たんの吸引等の医行為を実施できるような所要の法整備も進めたいというふうに考えております。

 それからもう一点、例えば麻酔の話もございました。これにつきましても、歯科医師の麻酔業務について、これはかつてから御議論があるところでありますけれども、関係団体からの強い反対の意見もありますが、医学的専門性や教育課程の違い等も考えまして、いましばらく慎重に検討する必要があるのかなというふうに考えております。

 さまざまなテーマがございますけれども、この医療関係職種の業務範囲の拡大について、今後もさらに検討なり試行を進めていきたいと考えています。

中後分科員 医療現場での状況をしっかりと把握されて、また、それぞれ地域地域で異なる環境等もあると思いますので、都心部の医療の問題、少子高齢化、過疎化が進んでいるような地域での医療の問題というのは、やはり別の角度でとらえなければならないところがあると思いますので、その辺をしっかりと、現場の声を聞いた上で対応されていかれることを望みます。

 ほかにもたくさんあるんですけれども、総合特区の申請等がされたときに改めてまた個別にお話を聞くこととしまして、先ほど言いましたメディカルツーリズム等を実現していこうと思ったときに、この鴨川市を中心とした安房地域というのは、もともと半島ということもあって、本来整備されていて当然であろう社会的なインフラがなかなか整っていない場所であります。一つはコンクリートの道、一つは光の道ということになると思うんですが、まず、ICTインフラの整備について伺います。

 南房総というのは、もともと、情報に関しては非常に整備がおくれている場所でありました。なかなか、ADSLですとかブロードバンド環境も整わなかった場所であります。今回でいうと、地デジについても、もう千件単位でBSの暫定的な方向で措置をしなければならないという方向にかじが切られております。

 これから五年間でどうやって整備していくかということについてもお聞きしたいところなんですが、地域活性化のための基礎的なインフラ、医療等で地域を活性化していこうと思ったときにも、この光の道のインフラが整っていないという条件で随分と厳しい環境になってしまいますので、そこをあわせて、ICT環境整備についてどのように進めていくのか、二〇一五年までに一〇〇%を目指しているということですので、その決意というか覚悟も含めて、地方についてのこの状況、インフラの整備についてお聞かせいただければと思います。

森田大臣政務官 お答えいたします。

 委員の御指摘のとおり、ICTインフラと医療の関係はもうまさに一体不可分となっておりまして、電子カルテあるいは画像診断、あるいは遠隔医療、そしてその先にあります遠隔手術等々に、光ファイバー網を中心とした高速インターネット環境は不可欠なものであります。

 私も、せんだって能登半島に公務出張させてもらった際に、とにかく高齢化、過疎化が進んで医師不足もあるという半島地域の特性は全国共通だろうと思っておりますが、IT化を進めたいという思いは医療関係者あるいは首長さん方にあるわけですが、そもそも基盤網がありませんから使いようがない。ですから、鶏が先か卵が先かという話もありますが、これはもう一体的にできるようにしてほしいという思いを受けとめて帰りまして、ぜひそのようにやっていきたい、まずそのことは申し上げたいと思います。

 そして具体的には、二〇一五年を目途に、すべての世帯でブロードバンドを利用できる環境をつくるという大きな国家目標があるわけですから、そこに向けてインフラ整備を促進するための政策もとらせてもらっております。今年度、二十三年度予算におきましては、二十四億円を医療あるいは教育に利活用することを前提とした基盤整備事業として予算計上もさせてもらっております。

 そして、もう一つありました地デジに関しましては、昨年十二月末時点で、九五%の世帯で既に目途が立っている。残り五%を残り半年間で追い込んでいきたいという思いでありますが、御指摘のように南房総地域はなかなか厳しいところがありまして、八千世帯ほどの方々には、暫定衛星という、そういったある意味では不便な思いもしてもらっているというところでありますが、その解消に向けても一刻も早く取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、七月二十四日、刻々と迫っておりますので、その期日に向けて総務省全力で取り組んでまいりたいと思っております。

中後分科員 今、政務官からもありましたとおり、この医療、医療に限らないんですけれども、何かで今地域おこしをしていこうと思ったときに、この情報通信のインフラというのは、本当に必要最低限整っていないとなかなか仕掛けができていかないというところがありますので、ぜひよろしくお願いします。

 それとあわせまして、道路交通網、コンクリートの道も、半島というところはなかなか整備が進まないという特性があるわけです。今、圏央道という道路で、羽田からアクアラインを通りまして圏央道から成田というルートが二十四年までに恐らく整備されることなると思います。圏央道はまだまだ一部ちょっと未開通になるところがありそうなんですけれども、おおむねそういう工程で進んでいると思います。

 まず、アクアラインが八百円ということがこれから三年間、社会実験が継続されるということが決定しました。このアクアラインの八百円化というので、地域、千葉県の試算で三百五十八億円、国、県、十五億円ずつで三十億円の投資をして三百五十八億円の効果が出たという試算がなされております。

 また、この試算の中には人口の増加だとか地価の上昇ということは含まれておりません。今もう確実に、あの地域では、いろいろな今までの行き詰まっていたところを突破するための突破口が開けているところですので、ぜひとも、半島における道路ですね、建設促進等、利用しやすい高速道路、有料道路の料金体系について御理解をいただいて、政策を進めていただきたいと思います。

 国土交通省の見解を伺って、私の質問とさせていただきます。

郡主査代理 質疑時間が経過しておりますので、答弁を簡潔に願います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず圏央道についてでございますが、ただいま先生お話がありましたように、例えば東金―木更津東間につきましては、用地取得、橋梁工事等、順次進めているところでございまして、お話がありましたように、平成二十四年度の開通に向けて着実に事業を実施してまいる所存でございます。

 それから、アクアラインあるいは館山道等、房総をめぐる高速道路があるわけでございますけれども、こういった使いやすい料金というお話がありましたけれども、この話につきましては、高速道路の整備のあり方、管理のあり方、あるいは負担のあり方、こういったものにつきまして、あわせて社会実験、今やっております社会実験、あるいはこれからやる社会実験、こういったものの効果検証、あるいは財政状況、あるいは地域からの意見、こういったものを勘案して、国土交通省の中で検討の場を設置しまして、検討を進めてまいる所存でございます。

 よろしくお願いいたします。

中後分科員 ありがとうございました。

郡主査代理 これにて中後淳さんの質疑は終了いたしました。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

郡主査代理 速記を起こしてください。

 現在のところ、ただいまの時間の質疑予定者の御出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

郡主査代理 速記を起こしてください。

 質疑予定者の出席が得られませんので、やむを得ず議事を進めます。

 質疑順序を変更して、網屋信介さんの質疑に入ります。網屋信介さん。

網屋分科員 御苦労さまでございます。民主党・無所属クラブを代表しまして質問させていただきます網屋信介でございます。

 現在、委員会としては農水それから財金に所属しておりますが、なかなかこういった形で厚生労働の御質問をする機会がなかったので、大変光栄に、そしてまた期待をしてきょうは参上させていただいております。

 二つの課題について御質問させていただきます。

 まず一つは、生活保護と公的年金のあり方ということなんでございます。

 実は、なぜこういう話をしているかというと、そもそも、生活保護と公的年金というのは、もちろん役割そのものがおのずから違うということではございます。しかしながら、現実問題として、我々政治の側もしくは行政の側からは、法的な根拠、いろいろな根拠は違うかもしれない。しかし、実際にこういった給付を受けられる方の側から見ると、どんな形であろうと、自分たちの生活の糧としてそれを給付されているという意味では、非常に不公平感を感じている部分があると言わざるを得ない。

 いわゆる勤労世帯、子供さんがいて、自分たちが働いてという世代、もしくは、例えば医療ですとか、いろいろな意味で生活保護を受けなくてはならない、こういったところではなくて、私が取り上げたいのは、いわゆる年金をお受け取りになられる御高齢の方々のところでございます。

 資料をお渡ししてあると思いますが、一般的な話ですが、基礎年金の月額というのは、ここに、基礎年金月額六万六千八円、夫婦合計で十三万二千十六円。これは実は、六十五歳で四十年間国民年金をお支払いになられた方の標準的な受取額でございます。

 それに対して、この下に生活扶助基準額、これはいわゆる生活保護と言われるものの基準額でございまして、六十五歳であれば六万二千円から八万円強、場所によって違いますけれども。それから、夫婦で御一緒の場合には九万四千円から十二万一千円ということで、もちろん生活扶助基準額の方が小さいわけでございますが、現実は、次のページをちょっとごらんいただきますと、この生活扶助以外に、住宅扶助、まあ六十五歳、七十歳で教育扶助は余りないのかもしれませんけれども、その他、医療、まあ出産もないかもしれません、生業、それから葬祭とか、こういった扶助が、いろいろなものがついてくる。特に、医療関係はほとんど無償になっているという状況にあります。

 それそのものをいいとか悪いとかと言う気は全くございません。ところが、実際に受け取る側からすると、よく言われるのは、私たちは四十年間、一生懸命苦労して年金を払ってきた、それでも一人六万幾らで、奥さんも入れて十万円ちょっと、これはまだいい方なんですね、六十五歳ですから。特に農家の方とかいわゆる自営業の方というのは、六十歳から受け取られている方はもっと全然小さいわけです。

 ところが、その方から見ると、隣のおばあちゃんは、それはいい悪いという言い方は悪いけれども、年金も払わなかったのに、生活ができないということで我々よりもたくさん現実的にはもらっているという不公平感を非常に感じているとおっしゃられる方が、地元でいろいろなところで話をすると多いということでございます。

 こういった、年金を払わなかった人の方が手厚く保護されるという言い方は非常に誤解を生む言い方なので気をつけなきゃいけませんが、ただ、先ほど言いましたように、おのずから役割が違うとはいえ、受け取る側からすると、どちらも生活をするために受け取る側、我々は年金を払ってきたのに何で向こうの方がたくさんもらえるのというような状況が起きている。

 これについて、この矛盾といいますか、これにつきまして政府の三役のお考えといいますか、どういうふうに感じるのか。すぐにこうできるよということではないのかもしれない。ですけれども、御認識も含めてお答えをちょうだいしたいなというのが最初の質問でございます。

大塚副大臣 御質問ありがとうございます。

 御指摘の問題意識は全く同感でございます。私も党側で仕事をさせていただいているときには、同様の意見を部門会議で述べたりもしているわけでございますが、今回、厚生労働省でこうして仕事をさせていただいて、省内でいろいろ議論をしていますと、やはり厚生労働省の中でも、そういう問題意識は当然皆さんお持ちでありましたので、ある意味でほっといたしたわけでございます。

 ただ、では、その問題をすぐ、何かシームレスに、生活保護から年金に徐々に上がっていく形に直せるかといいますと、これはもう、今網屋さん御自身が言ってくださいましたように、双方役割が違うということやら過去の経緯やらいろいろありまして、すぐには改善できないというのが現状だと思います。

 さりながら、繰り返しになりますが、役割は違うとはいえ、そういう国民の皆さんの声が大変大きいということは踏まえて、今度四月に厚生労働省としての社会保障制度の改革の原案をという総理からの御指示でもありますし、この問題についても、今後の方向感等について考え方をお示しすることができればいいなと思いつつ、今検討をしている最中だというふうに御理解をいただければと思います。

 ただ、繰り返しになりますが、容易ではありません。一番いいのは、経済状況もよくなって、年金額が上がって、シームレスになるというのが、シームレスといいますか、なだらかになるというのがいいことではないかというふうには考えております。

網屋分科員 ありがとうございます。

 社会保障制度の改革の中で、いろいろな議論をする中で、こういう現実を踏まえて改革をしていただくというのは非常に大事なことだと思います。

 ちょっとそれに加えて言いますと、生活保護については、先日、一万人以上の方が不正受給をしていたという問題も出てまいりました。政府は、今、子ども手当、いろいろな給付制度というのがありますが、これはやはり税金の使い方ですから、とにかく不公平感がないようにこれをつくっていくということが一番大事なことなんじゃないか。

 特に、子ども手当の場合は、子供がいるかいないかですぐあれもできるんですが、この生活保護の場合は、認定の仕方とかいろいろなところを、厳密さといいますか、逆に、余り振り子が振れ過ぎると本来もらえる人がもらえなくなるという危険もあるので、そこは気をつけなきゃいけないことではございますが、それについては今後とも政府の方でしっかりと御議論いただいて、ちゃんとした形で給付を行うようにしていただきたいというふうに思っております。

 次の質問をさせていただきたいと思います。

 もう一つは、老人介護の問題でございます。

 特に、一つ取り上げたのはグループホームでございますが、実は、一つの例でここに資料を添付させていただきました。これは、私の地元の鹿児島県の肝属郡というところに錦江町というところがございます。去年の段階で高齢化比率がもう四〇%弱、要するに、五人のうち二人は六十五歳以上の方々が実は過ごしていらっしゃるという、非常に高齢化の進んだところでございます。

 この資料でごらんいただくと、第一号被保険者数が、いわゆる介護保険事業状況報告から出てきたものですけれども、六十五歳以上、七十五歳以上で、合計で三千五百四十三人。ここの総人口は九千二百人ですから、実は物すごい高齢化の進んだところであるわけです。

 どういう問題が起こっているかというと、一番問題なのは、いわゆる認知症の方が例えば特老みたいなところに行くにもなかなか場所がない。でも、そこで、ではグループホームを少しふやして、金銭的なあれも含めてグループホームをふやして、御高齢の方で面倒見なきゃいけない人を何とかしようじゃないかという意欲のある事業者等々も結構いらっしゃるんですが、どういうことが起こっているかというと、実際、社会福祉法人としてグループホームを新設すると、国や県、いろいろなところから補助金が出ます。私も細かいことは知りませんけれども、地域介護福祉何とか補助金とかいろいろなものが出るんですけれども、これが出るときに、やはり町の負担というのも結構大きくなります。最終的には、その財源としての保険料が上がっていく、いわゆる介護保険料が上がっていく。

 これがこの数字でございます。真ん中のところに、要介護一の方が四人、要介護二の方が五人利用されたときに、サービス総額は、要介護一が全部で、十二カ月で千百万円、それから、要介護二の方が五人いたら千五百万、合計で二千七百万円の増加になります。

 それで、二十二年の保険給付見込み額が十億ちょっとなんですが、増床分を入れると、この十億八千八百万ぐらいになります。これを、今住んでいる人の、三千五百人の今の高齢者で二〇%を負担することになっていますから、割ると六万二千円の負担になる。これの現在の保険料が、基準額は四万八千円ですから、年額で一万三千五百円、月額で千百三十円増額になってしまうというのがこの町の現状なんですね。

 では、今この町の現状の中でどうかというと、被保険者が大体毎年百人減っています。要するに、お金を払える人がどんどんどんどん百人減っていくという中でこれをつくると、また上がるのかと。しかも、ごらんのように、かなりの数が、ほとんどが年金で生活をされている方だ、こういう状況にあるわけです。したがって、この御高齢者には、既にもう介護保険の負担には耐えられないという方も多い。しかしながら、高齢化比率が高いところほどこういった施設の需要が高くなる。

 では、どうしているかというと、現実は、ここの人たちが近くのもうちょっと大きい市町村のグループホームに行っちゃうわけですよ。そうすると、この市が給付したものは、実はその町には落ちないで別の市にお金が落ちる、こういう形になっているわけですね。ですから、地方の高齢化の進んだこういう過疎地域になればなるほど、逆に、現在の介護保険制度では供給と需要のバランスが崩れてきつつあるという現実、こういった現実がある。

 実際に、何とか自分たちもこういった施設をつくろうとしても、ほとんどつくれないのが今の現状になっている。逆にまた、民間で、自分でやりましょうといった方もいらっしゃいます。こういう方々が、いわゆる補助とか何もなしでつくった場合、大体月額でやはり十数万円の負担をお願いしなきゃいけない。そうすると、払える人はもう限られているわけですよね。

 こういう状況について、今後どういうふうに対処していくべきか、御意見なり、少しお考えをお聞きしたいというのが次の質問でございます。

大塚副大臣 同様の問題は、先生のお地元以外でも同じように起きていると思います。

 まずは、現在の制度を前提とする限り、そういう問題に対してどう対処するかといえば、国としても、財政調整交付金などの制度によって、所得の低い高齢者や七十五歳以上の高齢者の割合が多い市町村の保険料が高額にならないように配慮はしておりますので、そういう対応を今後とも続けていくということが一つあります。

 それから、足元の対応としては、介護保険制度が平成十二年に始まって今度は第五期に入りますけれども、その保険料については、大分制度も安定してきましたので、安定というよりも定着をしてきましたので、各都道府県の財政安定化基金を取り崩して保険料の軽減に活用していただくというような介護保険法の改正案も今回提出します。

 したがって、そういう財政調整あるいは財政負担の軽減ということは念頭に置いて対応しているわけでございますが、しかし、今先生が御指摘になったような傾向がずっと続けば、いつまでもこの財政的調整だけで対応できない面があるというふうに私も懸念をしております。

 今の事例で考えさせていただくと、そうやって他の町に行く方がふえるということは、果たして介護保険制度の運営単位が今の市町村単位でいいのか、あるいは、見方を変えれば、その市町村、自治体が今のままの自治体のくくりでいいのか、市町村合併が必要とまでは言いませんけれども、つまり、基礎自治体や社会保障制度の基本単位が今のままでいいのかということをやがてしっかりと考えなくてはいけないのではないか、これは個人的にはそのように考えております。もちろん、省内で今そういう議論を正式に行っているわけではありません。

 もう一つだけつけ加えさせていただくと、しかし、その対応でも傾向が変わらなければ、どんどん影響範囲が大きくなっていくだけですから、なぜ我が国は地方のコミュニティーあるいは自治体が高齢化がどんどん進むということになっているのか、つまり、バランスのいい人口構成で全国各地の自治体が構成されない理由は何なのかということにしっかり対処をして、そのことを解決しないと根本的な解決にはならないということも感じております。

網屋分科員 最後の部分というのは、ちょっと哲学的な部分も含めて、今後の都市のあり方とか国のあり方の問題というのは大きくなると思うんですが、さっきの基本単位のことについては、健康保険で、今、広域化をするだの、後期高齢者医療制度の代替でという議論がいろいろあると思いますが、これはなかなか、場所にもよるんですが、今の町から隣のちょっと大きな十万人ぐらいのところに行っても、実はここも同じ状況です。

 この人口構成、何が起こっているかといいますと、こういう過疎化がどんどん進んでいるところからこっちに人が移っている。移っているんだけれども、現実は何かというと、子供さんが親を呼び寄せているんですよ。だから、人口はちょっとぐらいふえているんだけれども、いわゆる人口構成はやはり同じで、若い人がふえているわけじゃないんです。ですから、実は、ここがだんだんだんだん今度はつらくなってきて、そろそろほかの市町村から来る人はもう勘弁してくれというような形になりつつあるのが現状なわけです。

 ですから、これをもう少し根本的に、基本単位をどうしますかというのは御議論いただくのが必要かなと。それと、やはり、短期的にある程度解消する部分と、おっしゃるように、中長期的にどういうふうに対処するかというのは、これはまた別の単位としてお考えいただくことが必要なんじゃないか。

 恐らく、今のペースでいくと、この老齢化比率というのは、私に言わせれば、ほとんどの日本の十年後の姿だと思っています、今の少子化率からすると。本当に人口の集中している都市部を除いては、やがて十年、十五年たつと、どこも四割近い人がこういうふうに入ってくるというのは統計的にも恐らくわかると思いますし、若い人が特に都市部に集中すればこういうことがますます起こってくる。そうなる前に、どういうふうに対処するかというのはぜひとも御議論をいただきたいなというふうに思っているところでございます。

 ちなみに、この後ろのページにちょっと入れましたけれども、皆さんが納める保険料で介護は成っているんですよというこれを見ると、えっ、またふえるのというような、さっきの年金の議論じゃないですけれども、そんなに国民年金で、特に田舎の方に行けば六十歳からもらっている方が多いので、月額で四万とか五万とかというのがやはり多いわけで、非常に重い負担になっているということを御認識いただきたいと思います。

 短期的に言えば、今おっしゃるように、今おっしゃっていた財政調整交付金なり、もしくは、三つしかないんですよね、若い人からもらうか、そういう形で国庫の問題はいろいろあるけれども負担をふやすか、もしくは利用者の負担をふやすか、この三つしかチョイスは実はないわけで、その負担のあり方をどういうふうに皆さんの御理解を得ながら調整していくかということにぜひ御尽力をいただきたいなというのがこの趣旨でございます。

 いずれにしましても、六十五歳以上の高齢化比率が四〇%に及ぼうとしているこの町が、近い将来、決して特殊な例ではなくなるんだということをぜひとも御認識いただいて、対処をいただきたいと思います。

 それから、さっきの質問の中で一つ言い忘れたことがございますので、ちょっと戻りますけれども、生活保護と公的年金の問題。

 実際にもらっている方々のそういう不公平感は先ほど申し上げたとおりなんですが、実は、いろいろなところで会合をしていると、これが何に結びついているかというと、若年層の年金加入を阻害しているというところに物すごく問題が波及している。つまり、じいさん、ばあさんを見たら、うちのじいさん、ばあさんは一生懸命年金を払っていたけれども、隣のばあちゃん、何にもせぬ方が、おまえ、結構楽な生活しとるやんか、医療費もただやし、おれらが年金を払ったってしようがないだろうというようなことを言う方が、実はこういうことを目の前にしてふえてきているという感触を地元に帰るたびに実は持ってきている。

 もともと、今、雇用の問題とかいろいろな問題があって、年金の毎月の支払いはなかなか大変だという方が多い中で、やはりこういう不公平感が出るのは非常によくないのではないかというふうに感じていますので、今後の年金制度改革、税方式がいいのか、どんな方式がいいのか、いろいろ議論がある中でございますけれども、そこを踏まえて今後の議論をぜひやっていただきたいなというのが私のお願いときょうの質問でございます。

 きょうは、大塚副大臣、お忙しいところ本当にありがとうございました。質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

郡主査代理 これにて網屋信介さんの質疑は終了いたしました。

 次に、質疑順序を変更して、山崎誠さんの質疑に入ります。山崎誠さん。

山崎(誠)分科員 こんにちは。民主党の山崎誠でございます。長時間にわたりましてお疲れさまでございます。

 私も、本日は、本当に今危機的な状況にある日本の社会保障について抜本的に考え直さなきゃいけない、そういう視点で、少し私の日ごろ考えていることを交えて皆様と御議論をさせていただきたいと思っています。

 大きなテーマとしては、在宅における医療と介護の連携、包括的な地域のケアシステムというお話がありますので、それに関するテーマ。それからもう一つが、私はこれをずっと追いかけているんですけれども、介護予防について御質問してまいりたいと思います。

 まず、その前提として、やはり福祉に対する考え方、これを抜本的に大きく切りかえていく時期にある。これは、民主党の中でも調査会が立ち上がって、抜本的な改革について議論しようと。私もそのメンバーとして今議論をさせていただいていますけれども、本当に考え方、意識、思想を変えていかなければいけないんだろうなと思っております。

 最近、私が参加している勉強会で、公共福祉というテーマで勉強している市民グループ、これは東京基督教大学の稲垣久和先生の本で「公共福祉という試み」という本を、今、本当に熟議で、読みまして議論をしているグループにおりまして、いろいろと学んでおります。

 これまでの国が主導の福祉国家論ではなくて、市民主導の福祉社会論をとにかく議論していくべきだ、二〇〇〇年に社会福祉の基礎構造改革によって措置制度から契約制度に大きく福祉の考え方が変わった、しかしながら、その意味が社会に十分に今は行き渡っていない、そういう問題意識で議論しています。今までのいわゆる国に頼る福祉ではなくて、契約に基づく地域主権であるとか身近な生活者の主権、そういったことをベースにして市民と行政が共同で公共福祉、公共というのは行政でもない、市民でもない、その間の位置づけとして公共福祉、そういったものを概念としてしっかりと据えて福祉を再構築すべきだ、そういうことでいろいろと議論をしております。

 まさに新しい公共だとか、そういったところと直結する考え方でございますけれども、非常に重要な議論だろう、ぜひ私はそういう根本的な思想のところ、あるいは哲学のところからいま一度しっかりと見直して、そこから福祉の制度論を議論していくべきだろうと思っております。この後そういう続きになるかどうか、ちょっと自信はないんですが、そういった思いを込めて質問をさせていただきます。

 まず、在宅あるいは地域、そういったものを基礎にした医療、介護連携の仕組みについてお伺いしてまいります。

 いろいろなアンケート調査でも、いつまでも住みなれた我が家で暮らしたい、そういう思いは当然強くございます。特にお年寄りの方々はそういう思いを強く持っている。しかしながら、例えば介護が必要になってくる、さまざまな病気を複数併発するようになる、訪問看護だとかさまざまな、多様なサービスも必要になってくる、結局お年寄りは家族の負担にも耐え切れず施設に入ってしまう、そういうような悪循環がある。

 その中で、今、在宅にいながら日常の生活圏でさまざまな福祉サービスを包括的に提供する地域包括ケアシステム、これを構築しようとしている、大変期待しているところでございます。在宅で生活する高齢者を支えるための医療ニーズへの対応も含めた地域包括ケアシステム、これを実現すること、これをどのように進めていくのか、副大臣にまずお伺いしたいと思います。

大塚副大臣 御質問ありがとうございます。

 まず、御指摘いただいた今後の福祉の大きな方向性ということについては全く同感でございます。また、私も厚生労働省でこうやって厚生労働行政を担っている事務方の皆さんと一緒に仕事をさせていただくようになってこれで一カ月強でありますけれども、省内も基本的な考え方は今先生がおっしゃったような方向感を共有しております。できる限り在宅で、できる限り住みなれた地域でということにはなっております。

 ただ、問題はそれが本当に今のさまざまな施策で実現できるのかということでありますので、至らざる部分は改善をしていかなくてはいけないということで、例えば今国会にも介護保険法改正案を提出させていただく予定なんですが、その中でも今先生が引用されました地域包括ケアシステム、これは五つから構成されているということで、医療、介護、そして予防、生活支援、住まい、この五つの視点でしっかりと取り組みができるような内容に変えていきたいということを、これからもし法律を可決していただければ取り組ませていただきたいということであります。

 また、その法案の中には二十四時間しっかり地域で見守りや介護ができるような仕組みを導入するということになっておりますので、これらの施策を通じて、先生御指摘のような方向に何とか一刻も早く近づけられるようにしたいというふうに思っております。

山崎(誠)分科員 ありがとうございます。

 今お話のありました二十四時間の定期巡回サービスとか、こういったものというのは本当に重要だと思うんですけれども、実際に福祉を実践している方々を見ますと、とてもとても無理だと。例えば主婦のような方が資格を持って介護の仕事をしている、夜中に回ることはできないとか、担い手の問題から越えなければいけない壁はたくさんあると思います。いろいろな諸国で先進事例もありますので、ぜひチームでローテーションとかがしっかり組める体制をつくっていただきたいと思います。大変期待をしているところでございます。

 次なんですが、医療と介護の連携というテーマで、医療機関の診断をしっかりと介護につなげていく、それがベースになって地域の今お話があったシステムの中での介護が回っていくという仕組みが非常に重要だと思います。例えば、認知症と一言で言ってもさまざまなタイプがあって、レビー小体型の認知症であると妄想が出たり幻覚が出たり、それに家族が非常に戸惑ってどうしていいかわからない、でもそれをしっかりと見きわめることができる専門医が足りない、そんなような実態があると聞いております。

 こういった点を踏まえて、認知症対策として、まず適切に診断が下されて、その結果に基づいて必要な医療とか介護が連携した形で患者に提供される、そういう仕組みをつくらなければいけないと思いますが、こういう体制づくりについて今後どのように充実させていくか、お伺いいたします。

宮島政府参考人 認知症の方への体制づくりのお話です。

 今のお話、とても大事な点で、早期診断の促進ということがまず大事だということで、現在、地域のかかりつけ医に対して認知症に関する研修を行っているということでございます。かかりつけ医によって認知症と疑われる方が発見された場合は専門医療機関による早期の確定診断ということが大事ですので、認知症疾患医療センター、現在、全国百五十カ所の整備を目指しております。今、九十八カ所です。

 それから、地域の介護につなげるということを次に考えなければいけないということで、認知症疾患医療センター等の専門医療機関や介護サービスの事業所、それから地域の支援機関をつなぐコーディネーター、地域のコーディネーター、認知症地域支援推進員と言っておりますが、これを地域包括支援センターや市町村本庁に配置して医療と介護の連携体制の強化を図ってまいりたいというように考えているところでございます。

山崎(誠)分科員 今の認知症疾患医療センター、これは早急に整備を進めていただきたいと思っております。例えば地元を見ても、横浜市とかはまだ立ち上がっていないんですね。政令指定都市がなかなか整備が進まない。これは県と市との関係があるとか、いろいろ事情があるんだと思うんですけれども、私は、こういった整備がないと、地域包括のケアシステムができ上がっても結局その中でさまざまな問題が解決できないで残ってしまうと思っています。やはりこういう連携を並行してつくっていっていただきたいと思いますので、ぜひ力を入れていただきたいと思います。

 それから次ですが、在宅のお年寄りあるいは病気の方々に対する薬の問題について触れさせていただきたいと思います。

 地元の薬剤師会の皆さん、もう本当に一生懸命在宅での薬剤の問題について取り組んでいらっしゃいます。在宅患者における薬剤の問題、例えば薬剤の保管状況が悪いとか、飲み忘れとか飲み残しとか、あるいは服用している薬剤への理解不足だとか、さまざまな問題がある。こういったものに対して、今在宅医療における薬剤師の方々の役割は非常に重大になっている。しかしながら、全国五万軒ですか、保険薬局があるにもかかわらず、約七割が在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定、この届け出を行っているけれども、実際に在宅医療に取り組んでいる薬局はまだ一割にも満たないというデータがございます。

 これを何とかもっと広げていく必要があるんではないかと思うんですが、この実績が上がっていない理由、そして実際に薬剤管理指導をやっている薬剤師の皆様から上がっている要望等、どういう対応なのか、お聞きしたいと思います。

外口政府参考人 御指摘のとおり、患者さんのお宅に訪問して薬剤管理指導を行える薬局として届け出ている薬局の数は、平成二十一年度の数字では、全保険薬局五万一千九百二十八軒中三万八千七百三十六軒と届け出ているところは多いんですけれども、実際にこの指導料を算定している保険薬局の数になりますと、五万一千九百二十八軒中の四千五十一軒、七・八%という状況でございます。

 この理由といたしましては、患者さんのお宅に訪問できる薬局に関する情報がほかの医療福祉関係者に周知されていないということが一つあります。それから、保険薬局の多くが、薬剤師の数が少ないなど、その規模が小さくて、調剤業務を行いながら患者さんのお宅に訪問することの負担が大きい、こういうことが考えられております。

 ただ一方で、実際にかなり頑張っておられる薬剤師さんの工夫としては、例えば、複数の薬剤師の方がシフトを組んで担当する、しかも、各薬剤師の方が患者さんの受け持ち制をとっている、こういった現場の工夫もございます。

 こういったことも踏まえまして、薬剤師さんによる在宅医療を進める上での診療報酬上の課題等についても、中医協において御議論いただいております。薬剤師さんによる在宅医療が適切に進むよう、中医協においても適切に議論をしていただきたいと考えております。

山崎(誠)分科員 ありがとうございました。

 現場では、やはりさまざま声が上がっているようです。例えば、聞いたところだと、薬局で支給できる注射薬の範囲が狭い、思ったような医療ができないんじゃないか、あるいは、特定保険医療材料の材料価格が低くて採算に合わないとか、やはり制度上の修正で直るところはあると思いますので、議論の中でぜひ、在宅の医療を支える薬剤師の皆さんの活躍、活動、これを支えるような改正を、議論を重ねていただきたいと思います。

 それと関連しまして、やはり、在宅医療の現場で薬剤師の皆様の役割は重要だと今お話ししました。例えば、介護者の皆さんあるいは医師の皆さん、こういうのを薬を媒介してつないでいく、情報をいろいろと提供するという意味でも非常に大きな役割を担っている。ですから、私は、こういう方々に一生懸命いい仕事をしていただきたい、そのためのベースはきちっと保障してあげなければいけないと思っております。

 そういう中で、薬剤師の皆さんの本当に基盤になってきます調剤基本料について、今、一律値下げ、引き下げというようなお話が持ち上がっている。これは、民主党の進めている行政刷新会議の規制・制度に関する分科会の中間取りまとめ案というところで、調剤基本料、四十点あるものを、例外的な点数であります二十四点にまで引き下げるということで議論がされているということ。

 今申し上げました、そういう保険薬局の皆さんの機能、これを維持拡大していく、そのためには、先ほどもありました、やはり経営がしっかりとしなければいけない、薬剤師の方々を複数抱えて機動性を持たせなきゃいけない。そういったところからも、やはり、ベースを大幅に下げてしまうというのはどうかと思うんですが、これは副大臣でしょうか、御見解をお聞きしたいと思います。

大塚副大臣 まず、保険薬局の調剤基本料が今先生の御指摘のような四十点、二十四点という二つになっているというのはそのとおりでありまして、その理由というのは、二十四点の方になっているのは、例えば、取扱量の大変多い門前薬局とか、そういうところは取扱量も多く効率もいいので低くていいのではないかということからスタートしたこの点数の違いだと理解しております。ただ、今、そういう薬局は全体の一%程度にすぎないわけでありまして、わずか一%程度にすぎないそうした薬局を基準に全体の議論をするのはなかなか難しいことであるなというふうに思っております。

 もちろん、規制・制度改革分科会については、あの分科会の役割というのは、それぞれの規制や制度がその規制や制度が目指している目的に対して合理的な手段となっているかという観点から議論をしていただく分科会だというふうに思っておりますので、医療にかかわる、この薬剤の問題もそうでございますが、政策的判断というのは厚生労働省が担っているわけでありますので、国民の皆さんに適切に薬剤をお届けするというその役割が損なわれることのないように、しっかりと判断をさせていただきたいと思っております。

山崎(誠)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、やはり厚生労働省としてのお立場、視点で議論していただきたい。もちろん、行政刷新会議のときに私は支持をいたしましたし、応援をしております。無駄の削減はどうしてもやらなきゃいけない。でも、その基準になるのは、やはり価値観があって、コンクリートから人へ、例えばそれが私たち民主党の大きな価値観であって、人という意味では、この薬剤師の皆様の活躍を応援するというのは人ですし、それは医療という人の幸せに直結する部分につながっているコストということですから、これはやはり、私たちとしてはそういう価値観で物を見ていっていただきたいというふうに願う次第です。ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは次、歯科について。これも、やはり在宅のお年寄り、お年寄りには限りませんけれども、歯科の問題というのも非常に、これからはもっともっと重視すべきではないか、そういう視点から御質問をさせていただきたいと思います。

 高齢者については、誤嚥性肺炎の予防だとかあるいは口腔ケア、こういったものの重要性というのは本当に高くなっている。そして、実際に要介護者の方に口腔ケアを実践させていただくと、発熱発生率だとか肺炎の発症率だとか、そういったものが具体的に下がる、そういうデータも実際に出ております。にもかかわらずなんですが、在宅で歯科医療を実施する医療機関というのは約一〇%強と聞いており、まだまだ充実にはほど遠い状態と思います。

 高齢社会を迎えて、とりわけ在宅歯科医療に対応するために歯科医師の人材確保、あるいは、医療や介護等、他の分野との連携が重要であると考えますけれども、在宅歯科医療の充実にどのように取り組んでいくのか、お聞きいたします。

大谷政府参考人 ただいま御指摘ありましたように、高齢化の進展の中で、例えば全身の健康維持や増進のために口腔ケアが非常に効果的だと今御指摘いただいたわけでありますが、このように在宅高齢者への歯科医療の重要性というのが増しております。

 これに対応できる歯科医師等の人材の確保、あるいは他分野との連携というのは大変重要だということで、例えば、平成二十年から、在宅歯科医療や口腔ケアに対応できる歯科医師等を養成するための講習会というものも実施しております。また、平成二十二年度からでありますが、歯科医師が病院や介護サービス事業者など他分野との連携を図るために、都道府県レベルで、その窓口となる在宅歯科医療連携室というものの整備を進めております。まだ全国ではございませんけれども、何とか広げようということで、そういったことを進めております。

 このような取り組みを通じまして、今後一層、在宅の歯科医療に対応できる歯科医師の方々の人材確保、また、医療や介護等の他分野との連携に努めていきたいと思います。

山崎(誠)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ講習会の実績等もお聞きしたいんですが、時間がありませんので省略いたしますけれども、本当に現場の声をしっかり聞いていただいて、歯科医師の皆さん、本当に現場で、やはり高齢者の場合、さまざまなリスクもあるとお聞きしています。そういったものを感じながらやっている現場の声をしっかりとお聞きいただいて、いい制度、運用、お願いをしたいと思います。

 今もお話がありました、歯の健康というのは本当に体全体の健康に通ずると。そういう意味でも、高齢者だけではありませんけれども、特に高齢者の皆様が口腔ケアを大事にして元気で長生きしていただく、その必要性というのは私は本当に高いものだと思います。

 そういった意味で、私は、ケアマネジメントの段階で口腔ケアに関するサービス、これを例えば必須のメニューにするような積極的な取り組みが必要であると考えますが、副大臣、いかがでしょうか。

大塚副大臣 口腔の健康に関しても、今先生の御指摘の認識と私どもも全く一致をしております。

 何しろ、食べられるということが健康の大前提でありますので、口腔内の健康を維持するために、口腔のケアを必要とする要介護者にも、必要とされるサービスを提供しているところであります。例えば、詳細は割愛をさせていただきますが、居宅療養管理指導費とかあるいは口腔機能向上加算とか、こういったものを報酬体系の中に盛り込んでいるというようなこともあります。

 いずれにいたしましても、口腔ケアの重要性への理解も含めて、ケアマネジャーほか介護にかかわる方々の資質や知識やスキルの向上にも努めたいと思っております。

 と同時に、医科歯科連携ということは私も大変興味があるんですが、果たして、本当にそのことがしっかり行われて、口腔内の健康が維持されて、食べられるから医科の方の病にもならずに本当に健康で長生きができる、そういう医療政策になっているかどうかということについては、これからしっかり仕事の上で確認をしつつ、対応していきたいというふうに思っております。

山崎(誠)分科員 ありがとうございます。

 私は、もう一回繰り返しになりますけれども、本当に歯の健康というのは体全体の健康と密接につながっている。それを実証していただければもっといいのかもしれませんけれども、ぜひ前向きに、恐らく歯科医師の皆さんは、例えば自分の病院を半日閉めて出ていかれなきゃいけない。さまざまな、いろいろな思いがやはりあると思います。あるいは、専用の器材を、補助だとかもあるらしいですけれども、買って、そういったものを持って出かけなければいけない。やはり、通常の歯科診療とは違う面でのさまざまな御苦労を買って出るようなことがなければこういった分野は進まないと思いますので、ぜひそういった観点からも力強い御支援を心からお願いしたいと思います。

 駆け足でございましたけれども、医療と介護の連携、あと、薬剤師の皆さん、そして歯科の皆さんとお話をさせていただきました。ぜひ、こういった専門家の皆様、そして市民の皆様、そういったものが本当に公共福祉という理念で支え合うんだ、支え合って福祉をやっていくんだ、そういう理念でつながっていくような包括的なケアのシステムをつくっていただきたいと思います。

 では、続きまして、残り時間が少なくなってまいりましたけれども、介護予防についてお聞きをしてまいりたいと思います。

 私は、社会保障制度を支えるための切り札はこれしかないというぐらい強く思っているので、ぜひお聞きしたいんですが、平成十八年度からスタートした介護予防事業、これまでの実績、そしてまた現状をどのように把握されているのか、また、成功事例などがあったら手短に御紹介いただきたいと思います。

宮島政府参考人 介護予防でございます。平成十八年度スタートですが、平成二十一年度までで、事業の参加者数延べ一千万人に達しました。また、アンケート調査でも、介護予防事業を知っている方が約八割、参加した感想では、約七割が予防効果があったという評価がございます。

 また、介護予防効果の事例でございますが、例えば、埼玉県和光市では、要介護の認定率、これは全国平均一六・四%ですが、この市は一〇・二%ということで、第四期の保険料、普通は保険料は上がっていくんですが、この市は〇・五%引き下がったというような実績もございます。また、東京都練馬区では、地域の介護予防のボランティアを積極活用し、要介護認定率の減少を実現したといったようなことで、こういった事例で着実に浸透してきているというふうに考えております。

山崎(誠)分科員 ありがとうございます。

 今の事例、やはりすばらしい事例があるんですね。実際に数字にもなっているということ、これは私はすごく重要な意味があると思っています。

 しかしながら、参加者はやはり伸びていないというのが全体の傾向ではないでしょうか。いただいた資料はちょっと古いのかもしれませんけれども、高齢者の五%が目標だというところ、まだ〇・五%ですかね、そんなデータもありました。まだまだ伸びていない。

 予算面からいっても、平成二十一年は二百六十億円で最高額だったんですが、平成二十三年は百五十五億円と減っています。もちろん、財政状況が厳しいですから減るというのは仕方ないかもしれませんけれども、大幅に減らしている。

 私は、とにかく、介護予防で、元気で長生きをして、介護保険にお世話になる年齢を、例えば平均年齢があるとしたならば、それを一歳でも〇・五歳でも引き上げていかなければいけない。

 そういう観点で見たときに、ここにある意味集中投資をしても、必ず見返りがあるのではないか。御提案としては、ぜひひとつ、介護予防の経済効果を徹底的に分析していただいて、まだ例が少ないかもしれませんけれども、この介護予防にどのぐらいの投資をして力を入れると実際にその先の介護にかかる費用等を削減できるのかというのを出していただきたい。私は、必ずや、この介護予防にしっかりと投資をすることでプラスになる、そういう効果が期待できるものと思っています。

 それからもう一つ、介護予防が伸びていない理由。この介護予防という名前からして、非常にやはり後ろ向きな響きがございますよね。やはり元気な方が介護予防に入っていっていただかなければいけないですから、元気で長生きなお年寄りづくり。それから、福祉の担い手づくりにもなります。お年寄りが福祉の担い手にもなる。それから、笑顔があふれる地域社会づくりにつなげる。そんなコンセプトで、やはり名前も変えていってはどうかと思っています。

 思いつきですけれども、例えば、第二の人生充実プログラムとか、あるいは市民による助け合いプログラムだとか、そういうもっと広い視野の中で介護予防を組み込んでいく。今のプログラムを見ると、身体機能の維持ですとか健康管理なんですよね。そういうようなものももちろん大事ですけれども、もっと広く、社会の接触関係だとか、広い社会での活躍の場だとか、そういったものを提供していくことが本当の介護予防だと私は思うんです。ぜひそういう視点でこの介護予防を広げていただきたい、進めていただきたいと思います。

 介護予防を中心とした高齢者を支える総合的な取り組み、今後重要と思いますけれども、副大臣の見解をお聞きいたします。

郡主査代理 質疑時間が経過しましたので、答弁を簡潔に願います。

大塚副大臣 御指摘の介護予防への取り組みは、御本人の能力を最大限引き出す、そしてその自立を目指すという趣旨で創設されたものでありまして、介護保険制度の根幹をなすものであると思っておりますので、今の御指摘の御意見に沿うような形でしっかり施策を講じてまいりたいというふうに思っております。

山崎(誠)分科員 ありがとうございました。

郡主査代理 これにて山崎誠さんの質疑は終了いたしました。

 午後六時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後四時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後六時三十分開議

泉主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)分科員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 PCBの処理問題、このことについてきょうは聞きたいと思います。

 PCB、ポリ塩化ビフェニル、これは毒性が極めて強く、慢性的な摂取で体内に徐々に蓄積され、さまざまな症状を引き起こすものでございます。今、国の監督下で、日本環境安全事業株式会社、JESCOが全国五カ所にこのPCB廃棄物処理施設を設置しまして、PCBの処理を行っております。

 まず、環境省に確認しますが、このPCBの無害化処理はいつまでに完了する予定か、全体の処理目標に対する現在の到達率、今後の見通し、お聞きをしておきたいと思います。

樋高大臣政務官 お答えさせていただきます。

 PCB特別措置法におきましては、もう先生御案内のとおりでありますけれども、PCB廃棄物の保管事業者が平成二十八年七月までの期間内に適正処分しなければならないとされているところでございます。

 PCB廃棄物におきましては、大きく三つに分かれるわけでありますけれども、PCBを使用した高圧のトランスなど、そして、その他安定器や感圧複写紙などの汚染物質、そして三点目といたしまして、PCB特措法施行後にその存在が明らかになりましたケーブルなどの微量PCB汚染廃電気機器などと大別をされるわけでありますけれども、安全性に十分配慮した上で、それぞれのPCB廃棄物の特性に応じた最適な処理体制の整備、処理の推進を図るための取り組みを進めているところであります。

 このうちの高圧トランスなどにおきましては、今先生おっしゃいましたとおり、日本環境安全事業株式会社、JESCOでございますけれども、全国に五カ所の拠点的広域処理施設で処理が行われておりまして、年々処理実績を増加させているというところでございます。

 平成二十一年度末までの累積処理台数は、トランス類が約四千四百台、コンデンサー類が約一万三千七百台となっておりまして、JESCOの登録台数に占める割合はそれぞれ、トランス類が約二五%、そしてコンデンサー類が約二〇%となっているところでございます。

 JESCOでは、周辺地域の安全、安心の確保を大前提とさせていただきまして、地域の方々の理解をしっかりと得ながら、処理効率の維持向上を図ることにより、できるだけ早期に処理が完了できるよう、全社を挙げて最大限の取り組みを行っているというところでございます。

 環境省といたしましても、まず安全性を十分に配慮した上で、PCB廃棄物の処理の推進を図ることにより、期限内処理に向けて全力を尽くしてまいりたい、このように考えています。

佐々木(憲)分科員 この危険な物質を処理するわけですから、細川大臣に確認しておきますが、それに携わっている労働者の労働実態、これをよく把握するということ、それから労働者の健康、安全、ここに十分に注意を払うということは当然だと思いますが、いかがでしょう。

細川国務大臣 今、佐々木委員が御指摘になりましたように、こういう有害物質を取り扱う事業場、ここで働いている人たちの健康というものは最も重視されなければいけないというふうに思っております。そういう意味では、労働者が特殊健康診断を受診しているかどうかということについては、厚生労働省としては、重点的にしっかり確認をいたしまして、不適切な事案がございましたら厳正に対処したいというふうに思っております。

佐々木(憲)分科員 そこで、PCB廃棄物対策推進費補助金、PCB処理基金とでもいいますか、こういうものが設置されております。この基金は現在幾ら積み立てられているか、それを確認したいのと、それから、昨年の秋の事業仕分けで積み立てが減らされたというふうに聞いておりますが、その理由はどこにあるのか、お聞きしたいと思います。

伊藤政府参考人 PCBの廃棄物処理基金につきましては、全体五百六十億円を目標に基金を積み立てているところでございまして、現在までのところ四百億円、国と県の両方で積み立てているところでございます。

園田大臣政務官 私の方から、昨年の十一月に行われました事業仕分けの第三弾におけるこのPCBの補助金について、見送りになった理由はいかんということでお尋ねがございました。

 これについては、先ほども少しお話がありましたけれども、本補助金は、独立行政法人環境再生保全機構のPCB廃棄物処理基金に積み立てを行うために、毎年度、国庫からは二十億円を支出するものでございまして、同基金には、先ほどちょっと、二十二年度末なのかちょっとわかりませんけれども、私どもは、二十一年度末ということで、残高については三百四十一億円というふうに伺っているところでございます。このことを昨年、その残高を踏まえて、当面、基金に対する支出をどうするのかという問題意識から議論がなされたということでございます。

 評価者からは、例えばPCB処理を予定どおり処理することは当然であると。先ほど環境省樋高政務官からも御答弁がありましたように、この安全性をしっかりと担保していかなければいけないということでございますので、これはもう当然である。その一方で、毎年二十億円を積み立てるべき今日時点での合理性というものが果たしてあるのかということの御指摘や、あるいは、中小企業におけるPCB廃棄物処理を加速化しなければいけないんだということでございますけれども、その方策がなかなか見えてこないというところでございましたので、そういったところでの基金の積み立てというものは停止すべきではないかとか、あるいは、国が出す分については、国債の利息でございますので、これが必要になってまいります。必要なときに手当てすればよいのではないかというようなコメントがあったことは確かでございます。

 その上ででございますけれども、このPCB廃棄物処理と対策は当然必要であるというところではございますけれども、中小企業におけるPCB廃棄物処理の加速化が見られないままでの漫然とした積み立てについては、予算計上は見送りとの評価結果が出されたということでございます。

佐々木(憲)分科員 大体、その処理をするのに必要な基金、それを積み立てていたのに、漫然とという理由で減らすというのは、私は理解できません。なぜかといいますと、中小企業が保有しているPCBの量というのは大変な量がございます。なぜ進まないのか。それは、中小企業にとっては、JESCOに持ち込む、持ち込んだときに費用がかかるわけですね。それを七割国が補てんをする。三割負担しなきゃならないんです。したがって、この三割の負担が今の不況の中で大変だと。したがって、それが停滞して、なかなか前に進まないわけです。

 そういうところが一番の進まない理由なのであって、そうなると何が必要かというと、ここの事業仕分けでもコメントが評価者から出ておりますけれども、補助率が現行の七割、これを特別に九割になるように期限を設けて受け付けるといったような対策が必要ではないのかと。私は、非常に積極的な提案だと思うんですね。つまり、負担が重いから進まないわけであって、基金はたまっている。その現状を放置というかそのままにしておいて、お金は国から入れないんですと。一体、PCBの処理はどうなるんだという話なんですね。

 だから、加速するためには、有効にその基金を利用して、中小企業の負担を軽減して促進させる。これはいいコメントが出ているわけだから、ちゃんと検討してそういう方向に進むというのが必要なんじゃないんですか。

園田大臣政務官 まさしく委員の御指摘のとおりであろうというふうに思っております。

 したがって、そういった加速化をする方策を少し環境省さんが中心となって考えるべきであるということをこの事業仕分けの中で、いわば予算計上見送りというのは大変厳しい評価でありましたけれども、しかしながら、それによってきちっと、方策を今のままでいいのかというところを問題の指摘という形で私どもからさせていただいたというふうに御理解いただきたいと存じます。

佐々木(憲)分科員 前に処理が進むように、これは目標があって、その目標が今のままだと到達できない、達成できないんじゃないか、大方の見方はそういうふうに見られているわけです。ほかの世界の国々はもう達成したとか、ほぼ完了というところに進んでいるのに、日本だけが進まないというのでは、これはやはりネックをちゃんと改善して、加速するようなそういう方策をきちっとやっていただく。今、そういう前向きの答弁ですので、ぜひそういうことでやっていただきたいというふうに思います。

 それから、私は、このJESCOの五つの事業所のうちの一つであります豊田の事業所にも伺いまして、実情を聞きました。

 ここで実は、去年の十一月に、PCBを含んだ液体が床に滴り落ちるという事件がありまして、十二月になってようやくそれが明らかになって、それを契機にそれ以前のものも、設備の誤動作というような事件も明らかになる。こういうことで、PCBを含んだ液体が容器から床にあふれ出る事故がさらにまた発生する。そういうことで、この会社は一月から操業停止という事態になっているわけです。

 これは非常にゆゆしき事態でありまして、要するに、この事業というものをだれが運営しているのか、実態はどういうところにあるのか。

 これは、聞いてみますと、非正規労働者の数が非常に多いんです。入れかえが非常に激しいものですから、技術の蓄積あるいは知識の蓄積というものが十分行われないまま人がかわっていくということがあります。

 それで、私がこの豊田の事業所で聞いたところによりますと、大体定時で正規社員の方はみんな帰ってしまうわけです。後は、操業は派遣社員がやっている。しかも、その派遣社員が、こういう事故が起きたときにそれを指揮するのも派遣社員で、実際にこの液体が漏れて、非常に少量ですけれども、後でPCBも含まれているということがわかる。それをその事故が起こった直後にバケツで受けて、あるいはぞうきんでふく、こういう作業をやるわけですね。ですから、これは大変ゆゆしき事態なんです。

 そこで、私はこの実態というものを、先ほど細川大臣は、正確に実態を把握して、安全第一でやらなければならぬと。私もそれはそのとおりだと思うんですが、現実にこういうことが起こっているときに、やはり正規のしっかりした指揮系統がないといけないというふうに思うわけです。

 環境省に伺いますが、現在、非正規労働者というのは全体の中でどのくらいの比率なのか、それから派遣社員はどうなっているのか、数字をお答えいただきたい。

樋高大臣政務官 日本環境安全事業株式会社、JESCOでございますけれども、これは、旧環境事業団で実施してまいりましたPCB廃棄物処理事業を特殊会社化することによりまして発足をした会社でございます。その趣旨にかんがみますれば、JESCOの各事業所に勤務する従業員構成に関しましては、JESCOの自律的な対応にゆだねるべきものであるというふうに考えているところでございます。

 そのため、環境省といたしましては、お尋ねの従業員構成については把握をしていないというのが状況でございます。

佐々木(憲)分科員 国の、いわば国策の監督下のもとで会社がつくられ、それでその労働の実態がどうなのか、労働者のうち非正規が何人かということも把握していない。大体、それはおかしいんじゃないですか。そういうものを把握して、どういう訓練が行われ、どういう教育が行われているのか、安全はどうなのか、こういうことをきちっと指導しながらPCBの処理の加速を行う、これが基本だと思うんですけれどもね。

 大臣、この点について、やはりしっかり把握して対応するというのが当然だと思いますが、どうですか。

細川国務大臣 厚生労働省としては、労働者が安全に仕事ができるということ、これはしっかり取り組んでいかなければいけないというふうに思います。

 先ほども申し上げたように、有害物質を扱うそういう事業所では、その従業員が健康を害さないようにということで、厚生労働省としては、安全衛生の立場から、きちっと基準局の方でそういう指導をさせていただいておりますので、そういう意味で、その実態も把握していると思いますし、もしそういう健康に関しての落ち度があれば、しっかりそこは私どもは厳正に対処していく、こういうことを申し上げたところです。

佐々木(憲)分科員 環境大臣政務官の樋高さんは、今こういう状況の中で、実態を正確に把握して適切な指導を行うというのは当然なんです。把握しないのが当たり前みたいな、それはまずいんじゃないですか。少なくとも、労働実態がどうなのか、安全性、それから処理の管理体制、こういうものを把握する、これは当然だと思いますけれども、いかがですか。

樋高大臣政務官 繰り返しで恐縮でございますけれども、今先生お尋ねなのは、JESCOに聞けば把握できるのではないかというお尋ねではないかというふうに思うわけでありますけれども、私どもといたしましては、あくまでもこれは民間会社であります。国出資とはいえども、株式会社である以上、その自律性にゆだねるべきものである、このように考えております。

佐々木(憲)分科員 だめだ、そんな答弁では。

 大体、国が計画をつくり、処理の目標を決め、そして国が出資して会社をつくっているんですから。そういう会社がどういう労働者を雇って、どういう管理をやっているのか、そういうものを把握できないなんというような環境省は何をやっているんだ、こういうことになりますよ。私は、徹底してこれは是正を求めたい。

 それから、細川大臣には、以前に参議院で紙智子参議院議員が、北海道の事業所について当時長妻大臣に、試運転のときから働いている派遣労働者のことについて、特殊健診というのは一度も受けたことがないとか、血液検査の回数も正社員より少ない、そういう声を聞いたのでただしたところ、現場で適切に健診が実施されているのかいないか、実態を一度把握してみたい、その結果、適切な指導がなされていないということになれば、そういう指導をしていきたい、こういうふうにお答えになっているんです。

 これは、実際には結果はどうなったんでしょうか。

小林大臣政務官 事実、結果についてですので、私の方からお答えいたします。

 佐々木委員御指摘の事業所については、昨年五月の紙智子議員からの御指導を踏まえまして調査をいたしました。その結果、特殊健康診断を実施していないような適切な事案は把握していない、こういうことでございます。

佐々木(憲)分科員 把握していないというのは、どこからのお話ですか。

小林大臣政務官 失礼しました。

 先ほど、特殊健康診断を実施していないような不適切な事案は把握していない、こういう結果でございました。

佐々木(憲)分科員 これは、実際に労働者の話を聞いておるんです。ですから、その労働者はもう派遣労働者でやめちゃったのかもしれませんけれども。そういう実態をやはり国として正確に把握する、そういう体制が必要なんですよ。何人いるか、どういう人がいるかわからぬというんじゃ、それは健康の実態だってわからないことになっちゃう。つながっていくわけですからね。ですから、そこはちゃんと正確に実態を把握して適切な対応をする、これは基本だと思うんですけれどもね。どうですか。

細川国務大臣 有害物質を扱っている事業所というのは、それは当然、労働者の健康被害ということを考えれば、これは優先して、その安全衛生指導というのは厚生労働省としては当然やっていかなければいけないというふうに思いますので、そういうところで特殊健康診断がなされていないということであれば、それはもう厳正に対処しなきゃいかぬと思いますし、そういう情報があれば、これは基準局の方で調査もさせていきたいというふうに思います。

佐々木(憲)分科員 次に、雇用促進住宅の問題についてお聞きをしたいと思います。

 雇用促進住宅は、全国で十三万戸、大変な数でございますし、入居中の戸数でいうと七万一千戸というふうに聞いておりますが、その中で、廃止するということを決めて、そこに住んでいる方々に出ていってもらいたいと、こんなことをやっていたので、我々は、これはまずいんじゃないかと。現に住んでいる人を追い出すというのは、これはまずいということで、お話もいろいろ聞いてまいりました。

 この雇用促進住宅というのは、派遣労働者が派遣切りに遭って、それで住むところがないという方々を、このところ受け入れてまいりましたね。ですから、そういう意味では大変重要な役割を果たしているというふうに私は思うわけです。この点では、位置づけとしては、廃止どころか、ますます必要になってきているというふうに私は思うんですね。そういう位置づけは、大臣、お持ちですか。

細川国務大臣 リーマン・ショックの後で派遣切りなどに遭われた方が、住むところがないというようなことで、この雇用促進住宅を、廃止が決まっているところも利用して、そこに入居できるような、そういう措置をとったわけですね。したがって、そういうところが廃止は決定していても、そこに住んでおられる方に退去の要請をするとかいうようなことは、今はしていないところでございます。そこは、そこに住んでおられる方のことを考えれば、そういう措置をしなければということでやっているところでございます。

佐々木(憲)分科員 これはいつまでに廃止するかということになると、あと十年だというんですね。これは政府の方針で、以前の自民党内閣のときに勝手に決めたわけで、我々はとんでもないといって怒ったんですけれども。

 住んでいる方は、こう言っているんですよ。転居と言われたって行く場所がないと。せめて子供が卒業するまではここにいたい。それから、高齢者の場合は、年金で暮らしている、そこに住んでおられるわけです。そういう方が、民間のところに移れと言われても、家賃が高くてとても無理だと。だから、この住宅、廃止になると言われても、では私はどこに行けばいいのか、こういうふうに訴えているわけです。

 時間がありませんから、世帯の収入などについても、政府の調査もありますね。この中で、例えば二百万から三百万未満の収入の方は二六%もいる。それから、二百万未満の方々が一八%と、非常に低所得の方が四割五割という、そういう形で住んでおられるわけですね。それを出ていけというのは余りにも酷ではないかと。

 以前、舛添厚労大臣のときに、この問題で私、質問したんです。そうしましたら、一方で派遣労働者、派遣切りに遭った方を受け入れながら、他方で出ていけ、これはとても整合性がないと自分で認めていました。したがって、閣議決定の見直しも含めて検討したいというふうにおっしゃって、そういう答弁がありました。

 私は、今こういう状況の中で、前政権が決めたものであっても、ただそれを引き継ぐというのではなくて、新しい政権になったんですから、ここは住民の方々の生活を第一に考えるということであるなら、これはやはり無理がありますよ。せっかく実際にどんどん入ってくださいと言っているのに廃止ですなんというのは。ですから、廃止というのはもう一回再検討して、それを直すということをしないと問題解決しないと思いますけれども、いかがですか。

小林大臣政務官 佐々木委員おっしゃるように、平成三十三年度までに譲渡、廃止を完了する、こういう閣議決定のもとに今行っているわけですけれども、就職に伴い、住居の移転が必要な方のための宿舎の整備という従来の役割は終わった、こういうことから、この廃止ということが決定されたわけでございます。

 中長期的には、譲渡、廃止を行っていくべきものと考えておりますので、現時点で、この閣議決定を延長することは考えておりません。しかしながら、現に入居者が居住していることを踏まえて、譲渡、廃止を進めていくに当たっては丁寧に対応していかなきゃいけない、この気持ちは持っておりますので、御理解いただければと思います。

佐々木(憲)分科員 大臣、今は、転居しなさいということを求めてはいないんでしょう。これからずっと求めていかないとなると、十年後には廃止というのは、そんなものは無理ですよ。だって、現に住んでいるんだから。現に住んでいるのに、あしたからここは廃止です、壊して更地にしますから、そんなことは無理です。

 何を優先するかといえば、先ほどおっしゃったとおり、住んでいる人の居住権というのはやはり最優先でなきゃならない。それはもう、血も涙もある行政ということであるならずっと住み続けられるようにする、これがやはり基本だと思うんですけれども、どうですか。これは大臣の考えを聞きたい。

細川国務大臣 佐々木委員が言われるように、それは私も、住んでいる方の安全、安心というのを当然考えていかなければならない、こういうふうに思っております。したがって、廃止、譲渡といっても、基本的には丁寧に丁寧にやっていかなければというふうに思っております。

 だから、そういう意味では、住んでいる方がそこから退去して別の住居に住む、こういうのはなかなか、それは経済的なものもあって大変だ、そういうことも十分考えられますので、例えば住宅ごと市の方に譲渡をするとかいうようなことをすれば、転居することはないわけですよね。だから、そういうことに私どもとしては全力でやっていきたいということで、今努力もしているところでございます。

佐々木(憲)分科員 これは、自治体に何とか頼みますといっても、余りそれは進んでいないんです、数字を見ていただければすぐわかりますが。自治体だって、それぞれ財政事情もありますし、なかなか大変なんです。そういうことであるなら、これはいつまでも丁寧に丁寧にといったって、そんな簡単に出ていかないんだから、丁寧にやったって。行けないんだから。したがって、それは住んでいる方の生活あるいは権利を優先する。

 何が問題かといったら、使えるのに廃止の決定をした方が問題なんであって、現にまた使っているわけだし、新しく居住者を迎え入れているわけですから。そういう根本的な矛盾があるということを頭に入れて、矛盾解決のためには、閣議決定を直すということで解決するしか道はありません。今すぐ回答はできないかもしれませんけれども、これは念頭に置いて、いろいろなことを検討しなきゃいかぬと思います。ぎりぎりになって本当に強権的に追い出すなんということになったら社会問題ですよ。また、裁判になったらどんな事態になるか。

 こういうことがありますので、最後に細川大臣、こういう問題は、丁寧にやるというだけじゃなくて、少なくとも、私が言ったことも念頭に入れて検討していただく、そういうふうにお答えいただければありがたいと思います。

泉主査 細川厚生労働大臣、簡潔にお願いいたします。

細川国務大臣 先ほども申し上げたように、住宅に住んでおられる方の安心、安全ということは当然考えていかなければならないというふうに思っております。

佐々木(憲)分科員 終わります。ありがとうございました。

泉主査 これにて佐々木憲昭君の質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後七時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後七時三十分開議

泉主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後七時三十一分散会


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