衆議院

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第1号 平成14年3月1日(金曜日)

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本分科会は平成十四年二月二十六日(火曜日)委員会において、設置することに決した。
二月二十八日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
      伊吹 文明君    大原 一三君
      北村 直人君    中沢 健次君
      青山 二三君    山口 富男君
二月二十八日
 北村直人君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成十四年三月一日(金曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主査 北村 直人君
      伊吹 文明君    大原 一三君
      小西  理君    西川 京子君
      青山 二三君    遠藤 和良君
   兼務 赤羽 一嘉君 兼務 赤松 正雄君
    …………………………………
   農林水産大臣       武部  勤君
   環境大臣         大木  浩君
   農林水産副大臣      遠藤 武彦君
   環境副大臣        山下 栄一君
   環境大臣政務官      奥谷  通君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局食品保
   健部企画課長)      吉岡荘太郎君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房長) 田原 文夫君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長
   )            西藤 久三君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君
   政府参考人
   (農林水産省経営局長)  川村秀三郎君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局長
   )            太田 信介君
   政府参考人
   (食糧庁長官)      石原  葵君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   政府参考人
   (環境省自然環境局長)  小林  光君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
   環境委員会専門員     飽田 賢一君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月一日
 辞任         補欠選任
  伊吹 文明君     小西  理君
  青山 二三君     山名 靖英君
同日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     西川 京子君
  山名 靖英君     遠藤 和良君
同日
 辞任         補欠選任
  西川 京子君     伊吹 文明君
  遠藤 和良君     青山 二三君
同日
 辞任         補欠選任
  青山 二三君     遠藤 和良君
同日
 辞任         補欠選任
  遠藤 和良君     石井 啓一君
同日
 辞任         補欠選任
  石井 啓一君     福島  豊君
同日
 辞任         補欠選任
  福島  豊君     青山 二三君
同日
 第一分科員赤羽一嘉君及び赤松正雄君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十四年度一般会計予算
 平成十四年度特別会計予算
 平成十四年度政府関係機関予算
 (農林水産省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――
北村主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。
 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ及び日本共産党所属の本務員に御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。
 再度事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
北村主査 速記を起こしてください。
 御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。
 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。
 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。
 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算及び平成十四年度政府関係機関予算中農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。武部農林水産大臣。
武部国務大臣 平成十四年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。
 初めに、私の所信の一端を申し上げます。
 昨年四月に農林水産大臣に就任して以来、聖域なき構造改革に取り組む改革断行内閣の一員として、いわゆる武部私案の発表や食料の安定供給と美しい国づくりに向けた重点プランの取りまとめなど、常に先頭に立って農林水産業の構造改革に取り組んでまいった所存であります。今後とも、全力でその任務を遂行すべく、決意を新たにしているところでございます。
 次に、予算の基礎となっている農林水産施策の基本方針について御説明いたします。
 我が国農林水産業と農山漁村は、人の生命、健康にかかわる良質な環境や、新鮮でおいしい、安心できる水と食料などの確保を図るヒューマンセキュリティー、安全な国土を確保し、安心して暮らせる社会を保障するとともに、地域に密着した産業の活性化を図る上で極めて重要な役割を果たしております。
 このような観点から、喫緊の課題である消費者の信頼確保を図るために、生産者と消費者の間に立ち、食と農の一体化の推進を図るとともに、農林水産業の構造改革を進めてまいります。また、地域社会の健全な維持発展が重要であることから、都市と農山漁村の共生と対流を進め、農山漁村の新たなる可能性を切り開き、もって循環型社会の実現を目指すことが重要であると考えております。
 このため、農林水産行政の改革を強力に推進し、当面する各般の課題に積極果敢に取り組んでまいります。
 次に、平成十四年度農林水産予算について、その枠組みから御説明いたします。
 平成十四年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係府省計上分を含めて三兆一千九百五億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆五千五十六億円、非公共事業費が一兆六千八百四十九億円となっております。
 平成十四年度の農林水産予算は、農林水産業の構造改革、都市と農山漁村の共生、対流を推進するとともに、新しい森林・林業基本法及び水産基本法を踏まえた林野、水産政策を推進するとの観点から、重点施策に思い切った予算配分を行うなど、新たな政策展開が図られるよう編成いたしました。この中で、昨年十二月に閣議決定された平成十四年度予算編成の基本方針等に即し、公共事業から非公共事業への転換を行い、地域農業の構造改革対策等の強化を図ることとしたところであります。
 以下、農林水産予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しを得まして、御説明を省略させていただきたいと存じます。
 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
北村主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま武部農林水産大臣から申し出がありました農林水産省関係予算の主要事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
北村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
北村主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
北村主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。
 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小西理君。
小西分科員 おはようございます。自由民主党の小西でございます。農林水産省並びに食糧庁の皆様方には、昼夜分かたず御努力賜っておりますことを心から感謝申し上げますとともに、また敬意を表する次第でございます。
 しかしながら、農政に関しましては、我々にとりまして非常に関心の高い問題で、まだまだ解決していかなきゃいけない問題が幾つかあろうかというような認識をしております。中でも、大変大きな課題として、きょうは二つの点につきまして質疑をさせていただきたいと思っております。大分出尽くしておるテーマでございますけれども、事が重要でございますので、再度基本に立ち返って御質問させていただきたいと思っております。
 まず一点目がBSEの問題、それから二つ目に、農村の将来像といいますか、どういう形で農村が日本で生きていけるのか、こういう点について質問をさせていただきたいと思います。
 まず一点目に、BSEでございます。
 さまざまな対策、これまで農水省の方で打ってきていただいておるわけなんですけれども、まだ大きなテーマ、原因ルートの解明を除きまして、あと乳廃牛に対する対応と牛肉の消費拡大策という、この二つが大きな関心事ではないかというように思っております。ちょっとこれは基本的なことに戻りますけれども、まず乳廃牛対策について現状をいま一度ちょっとレビューをしていただきますとともに、それに対して酪農家は現在の対応についてどういう反応をしているのか、私の知る範囲では大変、こんなものではやっていけないという非常に落胆の色、その声を私も聞いておるわけでございますけれども、この点をお伺いしたいと思います。
須賀田政府参考人 お話しの乳廃牛の状況でございます。
 昨年の十二月二十四日に乳廃牛の滞留頭数、私どもの推定では約四万四千頭でございました。そして、その後、一月末の状況、私どもの推定では五万四千頭と、残念ながら一万頭ふえているという状況でございます。やはり先生が申されましたとおり、自分の飼養牛からBSE感染牛が発生することを非常に懸念しているということでございます。
 私ども、これまで三段階にわたる対策を打ってまいりました。
 一つ目が、昨年の末に打ったわけでございますけれども、出荷が滞っているということで、更新がなかなかできないということがございましたので、一時的集約管理施設を確保いたしまして、そこでの保管経費について支援をするという対策を打ちました。
 その後、本年に入りまして、やはり買い上げ希望というのが強くございましたので、乳廃牛につきましては一頭当たり四万円で買い上げる、さらに、販売が不可能なものにつきましては、焼却する場合にその費用も支援するという対策を打ってまいりました。
 それでもなおBSEが発生した場合に、経営が破綻して再建が困難になるという深刻な懸念がございましたので、大臣からは、国がここまでやってくれるのかと言われるような対策を打てという御指示がございまして、生産者団体とも相談いたしまして、生産者団体が互助システムとして自分らが共補償をして、発生農家が経営を再開するに当たりまして、新しい牛を導入するという場合に一頭当たり五十万、そして経営継続をする場合に一頭当たり十万、計一頭当たり六十万でございますけれども、これを支援するような事業に対しまして、国がその四分の三を支援するというような事業を現在講じようとしているところでございます。これら三段階の対策を総計いたしまして、酪農家が乳廃牛を出荷するという気持ちを固めてもらいたいというふうに思っている次第でございます。
小西分科員 今御説明いただいたわけなんですけれども、実際、今政府の方で行っていただいている対策というのは金銭面ですね。こういう形で、実際のハンドリングというのは県なり生産者団体なりにゆだねるという形で政策を出させていただいているわけなんですけれども、これが現実的にはなかなか機能していないというのが、正直言って私の聞いている現場の声なんです。実際、滞っている、乳廃牛が滞って新しい牛が入れられないというような状況になっているわけなんです。これは国が直接持っていって処分する、そういう、国がもう直接物流に手を出していく、こういうこともやられないのはどういう理由によるか、また将来そういうことをされる予定というのは考えられるのか、お伺いしたいと思います。
須賀田政府参考人 国が直接に買い上げろという要望があるということは承知をしておりますけれども、現実問題として、国が買い上げるということになりますと、例えば特別会計を設置しないといけない、そのために法律改正が要る、あるいは職員をふやさなくてはならない、そのために定員が要る等々、対応するのに非常に難しい問題がありまして、また、早急な対応ということもできないわけでございまして、柔軟かつ迅速な対応ということで、農協が買い上げる場合に支援をするという現実的対策をとらせていただいたわけでございます。
 確かにこの問題、農家の心理面によるところが大変大きいということは私どもも承知をしているわけでございますけれども、先ほど申し上げました手厚い対策によりまして、何とか出荷をするという気持ちを固めていただきたい。
 そして、検査を受けて感染牛とされるのが嫌だという気持ちがあるわけでございますが、これはまた一方におきましては、牛肉の消費、検査を受けて陰性になった安全なものしか食卓には来ないんだという、消費側からするとそういう安心を与える問題でもございますので、そこのところは得心をいただいて、何とか出荷の方の気持ちを固めていただきたいと思っている次第でございます。
小西分科員 今お話を伺いましたけれども、現場の声というのは、もっとドラスチックに対応を望んでいるということを申し添えまして、ちょっと時間がありませんので、先に進ませていただきたいと思います。
 このBSEに関しまして私が考えるところでは、農家、流通業者、飲食店含めて、この問題には全く予見可能性がなかった。したがって、私も保険会社におりましたけれども、そういうリスクというのはやはり国全体の負担である、国民全体の負担で国がしっかりと完全に、これは逸失利益をどこまで持つかという難しい問題はあると思いますけれども、実施すべきだということをきっちりとこれらの方々に理解してもらうことがとても重要だと思いますけれども、大臣、その辺の御決意、何かいただければと思います。
武部国務大臣 BSEの関連対策については、十月に一千五百五十四億円の対策を取りまとめて必要な措置を講じてきているところでございますが、一番大きい問題は、今委員御指摘のように、消費が戻らないということでございます。
 どこに原因があるのかということは、全頭検査で屠畜場からは安全を証明した牛肉以外は市場に出回らないことにはなっているのでありますが、しかし、安全ということが即安心につながらないという消費者心理というところに問題がありまして、牛肉の需要回復というところに至らないということで、私ども、正確に科学的な情報を的確に国民の皆様方に伝えていくということが喫緊の課題である、このように思っているわけでございます。
 国の責任で強力にということでございますが、川上の対策といいますか、生産者サイドの対策は、今現地では相当まだ抵抗感があるということでありますが、ここのところはお互いに腹を固めなきゃならないと思うんです。つまり、廃用牛は、生産者サイドでは、やみに葬ってもらいたい、こういう声が強いんですね。だけれども、それはできません。これは、OIEの基準に照らしてしっかりとしたことをやって、一日も早く清浄国にしなきゃいけませんし、それから同時に、消費者のことを考えますと、そういうやみに葬るなどというようなやり方は断じてできないわけでありまして、きちっと全頭検査をやっているわけでありますので、この乳廃牛についても、その手続を踏むということが大事であります。
 そのためには、万が一出たときにどうするかということからの不安が広がって、それが原因になっているわけでありますから、今、互助制度のことを申し上げました、一頭六十万、つまり五十頭であれば三千万。従来の対策にそれを上乗せしてやる。国はここまでやるのかということをわかっていただくということが大事でありまして、そういう努力をしたいと思います。
 それから、川下といいますか、焼き肉屋、小売店のことにつきましてもきょう発表させていただきました。従来、これは御批判があったかと思います、経済産業省、中小企業庁任せではなかったのかということで。農林水産省の施策として、食肉小売業や飲食業者等、関係業者の方々の経営の維持、支援を図っていくために、特に中堅外食事業者の運転資金の円滑化のための新たな信用保証事業を今月十一日から実施することを、本日発表した次第でございます。
 今後とも、生産現場の皆様方や消費者の皆様方の御意見等をしっかり受けとめて、関係省庁とも連携を図りながら、牛肉消費の回復や経営安定対策など必要な対策に万全を期してまいりたい、かように考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
小西分科員 わかりました。
 今いろいろな施策を農水省で打っていただいているわけなんですけれども、これは一番最初につなぎ資金で一年間という期限が出されましたが、これは借りかえができる、後で来て説明してもらって借りかえができるんだということでいたんですけれども、現場の方にはそれが一年ぽっきりだというふうに伝わっていまして、なかなか今の、事が起こってから、言われて新たに説明するというような形では、何か現場の不安感というのがなかなかぬぐい去られていない。農水省はどうも小出しにしているんじゃないかとか、また逆に、スピード感というのが現場の方で感じられていなくて、これが、いい施策が打たれていても余計な不安を与えているというように思うんですけれども、これはちょっと質問というよりは要望として、もっと現場への説明をきっちりとやって、スピード感を持って展開していただきたいというように思います。
 それから、今大臣の方もおっしゃっていただきましたけれども、重要なのは消費増対策ということで、これは大変なテーマだと思うんです。どこかで、僕は新聞の記事で見たんですけれども、神戸で、学校給食で牛肉を使わなかったらコストが浮いちゃった、これはよかったとかいうような記事をちょっと見たこともありまして、自然な流通に任せていってどこまで消費が回復してくるのか、これは私どもも大変不安に思うわけなんですけれども、この点、どうお考えになるか。
武部国務大臣 借りかえ、延長等については、必要なことはきょうはっきり申し上げます。延長して、必要な対策は延長いたしますので、このことを都道府県をも通じて徹底させます。今委員御指摘のことは、非常に大事なことだと思っております。
 それから、学校給食の問題もそうなんですけれども、これは地域によって、学校によって非常に大きなばらつきがございます。まだ七〇%ぐらい自粛しているところもあれば、もう全く学校給食で自粛していないところもあるわけでございます。
 このことについては、地域農政局長等、直接出向いて説明をしているわけでございますけれども、私は、ここに至って、まことに残念なことながら、行政不信ということから、とにかく牛肉は食べないようにしようというような、そんなような風潮がなきにしもあらずではないか、こういうふうに思っているわけでございます。
 もう、まず全頭検査によって、人の命や健康に影響を与えない体制をつくりました。それから、関連諸対策をどんどん手を打って、川下に至るまで今やろうとしております。相当なことをやっております。あと、感染源、感染ルートの究明です。これもチームをふやして、専任職員を置いて、きょうから専門家を一名増員いたします。そういうようなこと等でやるべきことはやりますので、あとは国民的な運動だ、このように思っているわけでございます。
 これは、他にもいろいろな問題はありましょうけれども、BSEの問題については、政府挙げて、国民運動というようなことで対応する必要があるのではないのかな、こう思って、今その仕組みをどうやったらいいかというようなことについて検討中でございますので、委員の方から何かいい提案があれば、ぜひお寄せいただければありがたいと思います。
小西分科員 私はこのBSEの問題を見て、国民がこれだけ騒いで不安がっている、僕は逆に、そうであれば、牛肉を救え的なキャンペーン、国民的なキャンペーンが出てきたっておかしくないんじゃないかと。第三者的に見ているというのは、僕はちょっと何となく、国民としてもよそよそし過ぎるんじゃないか、この問題に。僕はそのように思うので、今お言葉をいただきましたように、ぜひそういうことも御検討をお願いできたらと思います。
 それと、マスメディアの利用という点で、この間も、地元の方で一時間番組物の、BSE対策といいますか、番組をつくっておったわけですけれども、私は正直言って、なかなかそんなものは一般の人は見てくれないというように思うんですね。
 うちに帰りますと、いつも子供というのは「どっちの料理ショー」とか「スマスマ」とか、こういうものを見ておるわけなんですけれども、こういうところで食材として取り上げるようなことというのは何かうまく図れないのか、それくらい協力してくれてもいいんじゃないか、ああいう映像をマスコミが流してあえて事を大きくした一因もあるわけでございますので、ぜひ協力してもらえないか、この辺はどう考えていただけるか、お願い申し上げます。
武部国務大臣 そのようなアイデアを、私は、国民から公募してでもどんどんやるべきだ、このように思っておりまして、今、三月中旬を目途に「お母さんのBSE安心レポート」というようなことを予定しております。
 私も、けさほども、役人の発想ではだめだということで、この席で発言していいのかどうかわかりませんが、長島元巨人軍監督あたりを国民運動のキャンペーンの委員長にでも就任していただいてと。どうも、そういう有名人なんかに参加してもらおうと思うと、お金がかかるという発想ばっかりなんです。私は、そういうふうに考えるべきでない、みんなが一人一人の善意でこういう状況を打開していこう、そういう機運をつくらなければだめだと。
 私は、総理にもそのことを強くお話しいたしまして、委員から今お話がありましたようなこと等もどんどんどんどん国民から上げていただいて、これからは大キャンペーンを展開していきたい、ことしはワールドカップがもう三カ月後にございますし、そういうようなこと等にあわせて勢いをつけていきたい、こう思っているわけでございまして、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。
小西分科員 ありがとうございます。まだいろいろ質問したいんですけれども、時間が参りまして、次の方に進ませていただきたいと思います。
 農村の将来像についてでございますけれども、私のおるところも非常に兼業農家が多くて、将来どういうふうになっていくのか、ふだんから、自分の村に対して不安の声が非常に高くございます。
 現在、主たる収入が農業以外の兼業農家、これが物すごく多いです。この方々の不安というのが今一番強いと思いますし、同時にまた、高齢化されまして、後継者、みんな都市に息子さんたちが出ていまして、後継者がいないという農家も非常に多くなっておるわけでございます。この辺を含めて、どのように将来の農村ビジョンといいますか、その辺を今考えておられるのか、非常に基本的な話でございますけれども、ちょっと最初にお伺いしたいと思います。
川村政府参考人 お答えいたします。
 将来にわたりまして農業の持続的な発展を図りまして、国民的重要な課題でございます食料の自給率の向上を図っていく、そういったものには、農業の構造改革、これが肝心でございます。効率的で安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を実現するということが重要だと思っております。
 平成十二年三月に、平成二十二年の展望をしてございます。「農業構造の展望」ということで姿を示しているわけでございますが、その中では、効率的かつ安定的な農業経営を、一つは、家族農業経営で三十三から三十七万経営体、また、法人経営、それから、今先生もおっしゃいましたような、地元でかなり集落営農的なことも行われておりますが、そういった生産組織、そういうものが三から四万経営体というふうに展望をしてございます。
 こういう望ましい農業構造の実現に向けまして、意欲と能力のある育成すべき農業経営に対しまして、農地の利用集積でございますとか低利資金の融通、あるいは経営管理能力、技術の向上の支援等の施策を集中化または重点化していく必要があると考えております。
 ただ、先生がおっしゃいましたように、兼業農家、あるいはこういった担い手以外の農家が数多くおられまして、これもまた農村部を支えていることは事実でございます。担い手農家との役割分担ということが重要でございます。地域の農業資源の維持管理ということでも重要な役割を果たしておられますし、豊かな自然環境の中で、健康なりあるいは生きがいのための農業、あるいは人と自然の共生といった役割も果たしておられますので、その役割に応じた施策を展開していくことが必要だ、こういうふうに考えておるところでございます。
小西分科員 今のお話を伺いまして、この中心になるのは担い手農家である、こういう理解でよろしいのですか。
 また、その中で、担い手農家というのは、我々が見ると、どれくらいのところを目標に自分たちはこの農業の経営をやっていかなきゃいけないのか、特に我々のところは米作が多いわけですけれども、米作を基準にそういうものを、もし案としてあるのであればちょっとお聞かせいただければというふうに思います。例えば、これくらいの面積を耕作して、これくらいの家族で、これくらいの収入があるとか、そんな形でちょっとお伺いできればと思うんです。
田原政府参考人 お答えいたします。
 稲作を例示にとられましたけれども、先ほど経営局長がお答えいたしました意欲と能力ある経営体、こういった効率的経営体、十年後の姿ということで、農業・農村基本計画が定められましたときに、あわせまして経営展望というのを行っておりますが、姿といたしましては、水田作であれば、家族経営で十ないし二十ヘクタール程度の経営規模、こういったものがなければ、農業で飯を食っていくという格好にはならないのではないか。
 現状でございますと、例えば経営規模が五ヘクタールぐらいでございますと、粗収益に占めます稲作収入は五ないし六割程度にしかすぎないということでございまして、やはりその程度の経営規模というものを実現しませんと、先ほどの効率的かつ安定的な経営体というふうな姿にはならないのではないかという展望を示しているところでございます。
小西分科員 今、そういう一定の姿というのをちょっとモデルとしてお聞きしたわけなんですけれども、これに対して、もちろん収入が一定しなきゃいけないわけで、そういう意味では、米価というのが基本的にある一定の水準といいますか、動いていかないと、これは絵にかいたもちに終わってしまうわけなんですけれども、この米価に対して、これは水準を保つため、保つのがいいのかどうかという別の問題はございますけれども、どういうような手だてでその辺の収入を確保するということを考えておられるか、お伺いしたいと思います。
石原政府参考人 お答え申し上げます。
 稲作農家が安定的な経営を維持していくためには、何といいましても米価の安定が重要でございます。米価が安定するには何が必要か。あくまで、価格というのは需給で決まりますので、供給をどうするかというのが一番重要でございます。そういうこともございまして、特に近年は豊作基調が続いているということもございまして、我々は、何といいましても生産調整をきちっとやることだ、これが重要だということで取り組んでいるところでございます。
 あくまでも需要に見合った生産を推進する、そしてまた銘柄別の需要動向に即した生産の誘導、そしてたくさんできた場合にはそれを調整保管ということで供給を制限する、そういうような方策が米価の安定のため重要であろうということで取り組んでいるところでございます。
小西分科員 いろいろお伺いしたいんですが、ちょっと時間がありませんので、今のお話を伺って、三点ばかり要望をさせていただきたいと思います。
 まず一番目は、耕地といいますか農地の集積が、意欲ある経営体にうまく集中するような施策をぜひ強力に打っていっていただきたいし、また、兼業農家が、耕地を貸したり、また株の持ち合いにしたり、いろいろな形態で個々に負担なく参加できるような形、これも十分に配慮いただきたいというのが一点。
 今度、実際の減反から、生産調整で数量調整の方に移るということになっていますけれども、ここのところを本当にしっかりとできるような対策をきっちりと打っていただきたい、このように思っています。この辺ができないと、この辺が絵にかいたもちになって農村そのものが崩れていく、このように思っております。
 ちょっと次の質問に移らせていただきます。
 今、都市と農村の間の交流ということが非常に強く言われておりまして、我々のところでもあるわけなんですけれども、うまくいっているところは一部ございますけれども、まだまだ多くのところでこれからというような課題であるかと思います。都市の生活者の中にも、構造改革の中で、農村志向型の方もこれから非常にふえてくるかと思うんですけれども、今、都市生活者の受け入れ態勢とか教育というのはどういうふうになっているのか、御説明いただければと思います。
川村政府参考人 お答えいたします。
 最近、農業を職業として選ばれる方もかなりふえております。まだ絶対数は低うございますけれども、急増をしてございます。
 都市に生活されておりまして農業とはこれまで無縁であった方々も、そういうふうに農村を志向されておるという実態がございますので、我々としましては、そういった方々への情報提供、相談活動、そういうこともやっておりますし、また、まだ職業につかれたままでいろいろな準備をされる、基礎的な知識、技術を習得できます就農準備校、そういうものもしてございます。また、いざ農業を始めたいというときには、就農支援の資金でありますとか農地の確保についていろいろあっせんをするといったようなこともしてございます。そういうことで、農村に都市の方ができるだけ円滑に入ってこられるように、我々として努力したいと思います。
 そういう意味で、先般でございますが、就農に関する情報を幅広く提供したいということで、農林水産省のホームページのトップページに「農業を始めたい人を応援します」というホームページを開設いたしました。まだ二十日足らずでございますけれども、既に二千件を超えるアクセスがございます。一日百件を超えるアクセスということで、その関心の高さに改めて驚いておりますけれども、こういう方々を我々も力強く支援をしてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
小西分科員 時間もなくなりましたけれども、今、都市から農村への移動ということで言っていただきました。これは全体的な話になりますけれども、いろいろな姿が、ここで聞きますと、ありますという答えが出てくるのですね。一方で、こっちに探している人がいるわけなんですけれども、ここの橋渡しというのが今どうも弱いのじゃないかというように思えてなりません。だから、つくってあるというのじゃなくて、そういう欲しい人の周りにもっといろいろ欲しい情報をちりばめてあげる、また、極端なことを言うと、外資系の証券会社がやるように、ヘッドハンティングとか、そんなものを出ていってやってもいいと思うんですよ。だから、待ちの姿勢ではなくて、施策を積極的に進めるような形、こういうことをもっとやっていただきたいと思います。
 それと、今いろいろな施策、BSEを含めてこれは共通の課題ですけれども、末端の農家の方にどうやってそれをわかってもらうかというここの努力、この努力を怠れば、十をやっても末端に一しか届かなければ一しか効果がない、そこを五でも、五届けば五効果がある、こういうところをぜひともお願いしたいというように思います。
 ちょっと長くなりましたけれども、まだありますけれども、ここら辺で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
北村主査 これにて小西理君の質疑は終了いたしました。
 次に、遠藤和良君。
遠藤(和)分科員 公明党の遠藤和良でございます。きょうは、BSE問題に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 この問題は大変重大でかつ深刻な問題でございますけれども、基本的には、この問題に対して国が全責任を負って取り組んでいく、この姿勢が一番肝要だと思います。
 まず、根本的な原因の究明というものをやはり積極的に進めていく必要があると思うのですけれども、これは今どの程度まで根本的な原因究明がされているのか、ここからお聞きしたいと思います。
武部国務大臣 原因の究明は、私ども農林水産省、最もエネルギーを費やしていると言って過言でありませんが、現時点では、残念ながら感染経路を解明するに至っておりません。その見通しについて明言することは困難でありますが、あり得ないことが起こり得るという前提で徹底的に再調査させている次第でございます。今後も、迷宮入りにはさせないという覚悟を持って、引き続き想定される原因に関する調査を全力を挙げて行ってまいる所存でございます。
 なお、今も申し上げましたが、二月から原因究明のためのチームに専任の室長を配置するとともに、人員を九名から十一名に強化いたしまして、さらに本日付で専任の専門家を一名増員したところでございます。
 そこで、どういう状況に今至っているかということについて、多少時間がかかるかもしれませんが、申し上げさせていただきます。
 感染経路の調査については、十一月三十日の中間発表以降も引き続き川上からの調査、また川下に至るまでの調査を行っているわけでございますが、二例目及び三例目の農家に飼料を供給していた飼料工場六工場のうち、鶏、豚用飼料に使われていた肉骨粉の混入の可能性を完全には否定できない工場が新たに一工場判明いたしました。
 しかし、調査の結果、一例目に関する工場も含め、これらの工場が使用していた肉骨粉は、一部が豪州、ニュージーランド産の原料であることを除き、国産であることが確認されているわけでございます。
 次に、魚粉等でございます。
 三例目に関係する飼料工場で使用されていた魚粉等への肉骨粉の混入の可能性について、エライザ法、PCR法等による検査を行っているところでありますが、三工場の魚粉から哺乳動物のたんぱく質が検出されたことから、念のため、肥飼料検査所が当該工場に再度立入調査を実施いたしまして、水産加工残渣や食品残渣等の内容、製造過程等の確認を行っているところでございます。
 この確認調査は、三工場の収集先が極めて多数であります、魚市場、水産加工場、量販店等々数百カ所ございまして、確認に時間を要しているところでございます。
 イタリア産肉骨粉について次に申し上げますが、イタリアからの輸入肉骨粉に関しましては、昨年十月の現地調査によりまして、一九九八年六月以前に輸出された肉骨粉は、湿熱百三十六度、三十分の加熱処理基準を満たしていなかった可能性があることが判明いたしました。
 イタリア政府は、今まで我が国が要求している加熱温度、時間を満たしていたと回答、主張しておりましたが、二月九日早朝、三気圧の加圧がなされていなかった旨の回答がございました。このため、今までのイタリア政府からの回答、検査証明書の記載内容と今回の回答とのそご等について、イタリア政府に照会いたしまして、先般回答を得たわけでありますが、内容に不明な部分がありまして、さらに照会を行っているところでございます。
 オランダ産の油脂について次に申し上げます。
 一例目から三例目までの農家において、同一の銘柄ではありませんが、共通の成分が含まれている代用乳が使用されておりまして、その原料として、BSE発生国であるオランダから輸入された動物性油脂が使用されていたということが判明いたしました。
 担当官をオランダに派遣し、調査を行ったところでございますが、現地調査において持ち帰った調査書類について分析を行った結果、三例の感染牛に関連があると思われる九六年五月以前に輸入された粉末油脂の原料である動物性油脂は、一社で製造されているということ、また、その原料は牛の脂身等である可能性が高いと考えられること、当該原料は純度の高いものであった可能性が高いと考えられること等が判明いたしまして、オランダ産油脂が感染源となった可能性は低いというふうにも考えられますが、しかしながら、代用乳は三例に共通する飼料であります。その原料であるオランダ産の油脂について、さらに慎重に検討する必要があると考えております。
 以上、申し上げましたように、感染源、感染ルートの解明に至っておりませんけれども、迷宮入りはさせないという決意で、さらに想定される原因に関する調査を全力を挙げて行ってまいりたい、かように考えているところでございます。
遠藤(和)分科員 今、三例について肉骨粉との関係を中心にお話があったわけですけれども、この肉骨粉とBSEとの因果関係、これはもう立証されている、こういうふうに推定をしているのですか。今、根本原因が明らかではないと言っていたにもかかわらず、これは因果関係ありと推定して作業を進めているようですけれども、この二つの点について論理矛盾はないのでしょうか。
須賀田政府参考人 BSEの感染原因でございます。
 BSEの初発国におきますイギリスにおきまして、最初、さまざまな仮説を立てました。動物用医薬品とか化学物質でございますとか、あるいは毒物の中毒ではないか、あるいは遺伝的要因ではないか、可能性のあると考えられた幾つかの原因とこのBSEの発症の関係についてさまざまな研究が行われました。
 その結果といたしまして、一九八七年から八八年にかけまして、イギリスの研究者によって実施されました疫学調査の結果、肉骨粉入りの飼料がBSEの発生原因として最も確からしいという結論が得られたところでございます。
 その後、数々の実証面におきまして、イギリスにおいて、反すう動物の肉骨粉の反すう動物への給与を禁止した結果、数年後にBSEの発生数が減少した、あるいは肉骨粉を余り与えていない肉用牛よりも与えていた乳用牛の方に発生が多かった。それから、イギリス産とは知らずに、汚染された肉骨粉を輸入して与えたスイスでは、BSEの発生が多かった。動物実験でも、病原体の経口摂取でBSEが発生した。こういうことが重なりまして、BSEの原因として、汚染された肉骨粉による感染がさらに確かなものではないかというふうにされたわけでございます。
 若干不明な部分もあるわけでございますけれども、現在におきましては、国際基準におきまして、BSEの病原体である異常プリオンに汚染された肉骨粉を含む飼料を摂取することにより感染するというふうに考えられているところでございます。
遠藤(和)分科員 はい、わかりました。疑わしいと推定されるということですから、これは食の安全を確保する意味で、肉骨粉の生産、流通を禁止する、こういう措置をとられたことは賢明だと思うんですね。
 ところで、実際に肉骨粉を、これは本当は流通してはならないものですから生産もできないんですけれども、環境の負荷を最小にするという意味で生産してもらって、それを買い取って焼却する、そういう手法をとっていると聞いているんですが、これは現在大分在庫があると聞いていますけれども、実際、今、全国の在庫の状況というのはどういうふうになっていますか。
 それからさらに、それがどういうふうに焼却されているかという状況ですね。毎日新しく生産されるものがあるわけですけれども、それに対してどの程度焼却されている、あるいは在庫と合わせて焼却できないものがどのぐらい毎日ふえているのか、この辺の数字を教えてもらいたいと思います。
須賀田政府参考人 肉骨粉、先生言われたとおり、買い上げて焼却をしているわけでございます。
 一日当たりで申し上げますと、現在、肉骨粉の生産量が一日九百トンでございます。これに対して、二月十五日現在で、全国十八県、五十六のレンダリング工場で肉骨粉が焼却されているわけでございますけれども、生産量九百トンに対しまして焼却量が五百三十トンということでございまして、毎日三百七十トンずつ在庫が積み上がっている。マクロで見ますと、これまでに二万五千トン焼却をいたしまして、保管量、在庫量は一万八百トンというような数値になっているところでございます。(発言する者あり)
 失礼しました。十万八千トンでございます。申しわけございません。
遠藤(和)分科員 ですから、今、十万八千トンある。その上に、毎日三百七十トン、これだけふえ続けているということですね。ですから、焼却ができなくて、滞って、在庫がたまる一方だ、こういう状況なんですけれども、しかも、これ、都道府県によって随分差がありますね。それは広域的に処理するとか、もっと処理の能力を高めるとか、そういう工夫をしていかないと、これは倉庫代ばかりかかりますね。これの焼却を迅速にする工夫、これをどういうふうに考えているんですか。
須賀田政府参考人 先生おっしゃるとおり、まず、レンダリング工場のない県が十二県ございますし、レンダリング工場の近隣に必ずしも製造能力に見合った一般焼却施設があるとは限らないわけでございまして、やはりその焼却を推進するためには広域的な処理が必要というふうに考えております。
 ということで、現在、県域を超えた一般焼却施設の確保ということを要請しておりますとともに、セメント工場での焼却ということをお願いしているわけでございまして、これまで、セメント工場、全部で三十六工場ございますけれども、環境省の方に、肉骨粉の焼却に必要な認定という申請が三十六のうち二十七工場からございまして、このうち十六工場が認定をされているということでございます。
 既にセメント工場では、これまで四工場におきまして試験焼却が実施をされております。我々の推定では、一般焼却施設におきまして、将来的には一日当たり六百五十トン、セメント工場において四百五十トンということで、合わせまして千百トン焼却が進むようになれば、今の在庫量も円滑にはけていくんではないかというふうなことを考えているところでございます。
遠藤(和)分科員 ですから、日々生産される肉骨粉、肉骨粉は牛と豚と鶏があるんですけれども、BSEと関係するというのは牛の肉骨粉というふうに推定されるわけですね。そうすると、これをきちっと分離、選別して処理をすれば、牛の肉骨粉は全体の二〇%と聞いていますから、処理しなければならない肉骨粉の量は十分の二に減るわけですよね。そういうことを積極的にすべきだ、こういうふうに考えているんですが、そうした生産ラインの整備、これは助成していると思いますが、それがどの程度進んでいるのか。
 そして、処理しなければならない肉骨粉の生産量を減らしていく、そしてきちっと在庫をなくしていく、こういう工夫が必要だと思うんですけれども、それをもっと積極的に取り組むべきだと思いますが、どう思いますか。
須賀田政府参考人 この問題、科学的根拠に基づいて対応する必要がございます。私ども、学識経験者、生産者、消費者の人たちから構成されるBSE対策検討委員会というものをつくっておりまして、そこで御検討していただいた結果に基づいて対応を考えております。
 先生も御承知のように、昨年の十一月一日、牛の肉骨粉等が混入しないよう工程を分離するということで、鶏を原料とするチキンミールの豚、鶏用の飼料とかペットフードへの利用停止を解除いたしましたし、また鶏、豚を原料とする肉骨粉の肥料としての利用停止の解除を行ってきたところでございます。
 現在、その区分、その工程を分離する状況でございます。都道府県の調べによりますと、月間製造量が約三万三千トンございますけれども、まだ未区分のもの、焼却の対象となります牛と未区分のものの肉骨粉がこのうち二万一千トンということで、全体の六四%、肥料としての利用が可能な豚の肉骨粉、これが千五百トン、これは四%でございます。豚、鶏への飼料利用や肥料利用が可能な鶏の肉骨粉が約一万五百トン、三二%でございますので、合わせまして三六%程度が区分処理ができるようになったということでございます。
 私どもとしては、先生御指摘のように、原料段階で牛の副生物と他の副産物を区分するというラインの分離につきまして助成をしているところでございまして、これは畜産副産物の適切なリサイクルということで、極めて貴重な対応でございますので、この事業の適切な実施というものに努めていきたいというふうに考えているところでございます。
遠藤(和)分科員 それから、生産から消費、流通、その全体にわたって被害者がかなり多くいらっしゃるわけですね。ですから、これに対する補償をきちっとする、補償といいますか救済ですね、これをやる。農水省は、とかく生産者に対する救済というのは熱心に取り組んでいるような気がするのですが、いわゆる流通関係、ここに対しても、やはり農水省の主導できちっとした救済措置をとるべきだ、こう思います。
 特に、信用保証協会の債務保証制度が受けられない焼き肉店だとかステーキハウスですか、そうしたところに対して何か知恵はないのか、こう思いますけれども、具体的に、今実施したい、こういうことがあったらお話しいただきたいと思います。
武部国務大臣 今の問題は、与党の中でも、とりわけ公明党の先生方から、強く何度もいろいろ検討するようにという御指示がございまして、私ども、確かに、農林水産省というと生産者サイド、こういうふうに言われても否定し得ない部分があったと反省しています。また、焼き肉屋さんは中小企業者じゃないか、それは経済産業省の所管だ、こういうふうに考えがちでありましたけれども、原因をたどると農林水産省の責任も重いということで、鋭意、公明党の皆さん方の強い御指導もございまして、検討してまいりまして、実は、中堅外食事業者に対し、経営安定に必要な運転資金の円滑な融通を支援する新たな信用保証事業というものを今月十一日から実施するということに踏み切った次第でございます。
 いろいろ御指導いただきましたことに、この機会に敬意を表したいと思いますが、具体的には、焼き肉店など牛肉を主な食材として扱う中堅外食事業者、資本金が五千万を超え、かつ従業員が五十人を超える事業者が銀行等の金融機関から融資を受ける際に、事業実施主体である民間団体により、融資額の八割、八千万円まで無担保保証を受けることができるように考えているわけでございます。
 国は、この民間団体の行う債務保証のための基金造成に対して財政支援を行うというものでございまして、これにより、中堅外食事業者は、運転資金を円滑に調達できるものと考えている次第でございます。
 実は、私、きょうこれは正式に記者会見で発表させていただいた次第でございまして、先ほども申し上げましたように、ようやくいろいろ知恵を出してここまで至ったということでございまして、御指導に改めて感謝したいと思います。
遠藤(和)分科員 三月十一日からということだと、平成十三年度の予算の中から対応できるということで理解してよろしいですね。
 これは、周知徹底というのはどういうふうなルートで徹底しますか。
西藤政府参考人 お答えいたします。
 今回の保証制度につきましては、事業実施主体が社団法人日本フードサービス協会、これは外食関係の事業者の総括的な団体でございます、ここが事業実施主体になります。ここから、傘下の会員はもちろん、関係団体に対しても周知徹底を図ることによって、この新たな保証事業の円滑な施行ということに努めていきたいというふうに思っております。
遠藤(和)分科員 食の安全の問題について聞きたいのですけれども、大臣も、安全と安心の間に乖離がある、差がある、そこをどう埋めるかということに苦労されていると思います。
 確かに、今流通しているお肉は、全頭全部検査して、安全なものしか流通していないわけですけれども、それが消費者の安心というところに落ちついていない、これをどうするかという問題ですけれども、基本的に、この差を埋めていく、そして安心を持っていただいて、牛肉の消費を拡大していく、あるいは前の線に返るぐらいの努力をしていく、こういうことが大変重要な問題だと思いますが、それに対する基本的な認識をお聞きします。
武部国務大臣 委員御指摘のように、食の安全と安心の確保は農政の基本だ、私はこう考えまして、生産者と消費者の間に立った農林水産行政の展開あるいは生産者と消費者が相互に顔の見える関係の構築、食と農との一体化の推進ということで、就任以来このことを強調してまいったのでありますけれども、国民の皆様方や消費者の皆さん方の間には、農林水産省というと生産者サイドの役所、そういう先入観といいますか、思いが強いということに、私ども、改めて認識をして、その上で、今後どうするかということを考えていかなきゃならない、このように思っております。
 BSE問題や雪印事件に関連いたしまして、食に関するさまざまな課題が顕在化している今こそ、農林水産省挙げてといいますか、また農林水産省挙げてということがかえってまずいのかもしれませんが、政府として、国民や消費者の安心と信頼の回復に向けてしっかりした取り組みが必要だ、このように思っております。
 具体的には、二月八日に、農林水産省としては、表示に関する消費者の信頼確保のための食品表示制度対策本部を設置いたしました。また、食の安全の確保のために、動植物検疫・輸入食品安全対策本部も設置し、私が総括本部長として先頭に立って取り組んでいるところでございます。
 今後、食の安全と安心の間に距離があったという反省のもとに、農林水産省自体の組織も大幅に消費者サイドに軸足を置いていく、そういう体制にしていかなきゃならないと思っております。
 また、厚生労働大臣との諮問機関でありますBSE問題に関する調査検討委員会の報告なども得て、畜産・食品衛生行政の一元的な改革を目指して、総合的な行政組織の問題、食品安全問題というものについてのシステムづくりに真剣に取り組んでいく必要がある、このように認識して、今努力中であることを御理解いただきたいと思います。
遠藤(和)分科員 今二つの問題を述べられたように思いますね。一つは、厚生労働省との間で、研究会の結論を待って、食の安全に対する行政機構を再構築する、こういう話と、それから、やはり食の安心、安全ということから、本当に消費者の信頼を損ねたのは雪印の問題だったと思うのですね。
 それから、ラベルの偽装、これはもう本当にとんでもない話なわけですけれども、これに対してやはりもう少し、農水省が所管する、あれはJAS法でしたか、偽装ラベルに対する指導をして、それで聞かなかった場合は公表して、それで聞かなかった場合は命令して、命令にも背いた場合だけ初めて罰則というふうな話になっているのですけれども、ほかの方の法律、例えば公取の不当表示の方あるいは経済産業省の不正競争防止法、これは、あったら直ちに排除命令が出せる仕組みになっているのです。やはりそうした不当表示に対する指導が、農水省の場合は少し手ぬるいのじゃないかな、こういうふうな印象を持つわけですけれども、それをもっと積極的に変えていく、こういうお考えはありますか。
西藤政府参考人 状況を御説明させていただきます。
 先生御指摘のとおり、JAS法に基づきます品質表示制度は、消費者の商品選択に資するという観点で情報を提供していく、そういう点で、原産地なり原材料名を提供するという枠組みでございます。一方、先生、今、御指摘ございました、例えば食品衛生法の表示は、衛生上の危害の防止の見地からなされているという状況で、それぞれがそれぞれの法目的で対応してきているという状況でございます。
 私ども、JAS法を平成十一年に改正させていただきまして、すべての生鮮食料品に原産地等の表示をお願いするということでその制度の運用を図ってきているところでございます。
 先生御指摘のとおり、今般いろいろな状況がございます。私ども、そういう状況の中で、食品表示一一〇番の設置、あるいは昨日から、全国の大規模な事業所を中心に、全国で調査の統一的な実施、あるいはこの四月から、消費者の方に食品表示ウオッチャーになっていただきまして、定期的にいろいろ御意見をいただくというような体制の強化を図ってきております。
 いずれにせよ、先生今御指摘のような点も踏まえ、一方で本部を設置いたしております。表示制度の実効性確保の充実という点で、幅広い観点で検討を行っているところでございますが、関係者の方の御意見をしっかり受けとめて、どういうことができるか、全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。それが状況でございます。
武部国務大臣 一言で申し上げまして、消費者保護最優先で取り組む必要がある、こう私は思っておりますので、そういう意味では、役所側の説明はただいまのようなことでありますけれども、我々の決意といたしましては、消費者保護優先のためにどういう取り組みが必要かということで、今、野間副大臣を本部長にして、食品表示制度対策本部をつくっております。この点については、また御相談させていただきながら、しっかりした取り組みをしようと思っておりますので、御理解いただきたいと思います。
遠藤(和)分科員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
北村主査 これにて遠藤和良君の質疑は終了いたしました。
 次に、赤羽一嘉君。
赤羽分科員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 私も、昨年の秋の臨時国会の農水委員会で質疑させていただきましたが、きょうも、この場をおかりいたしまして、BSEの関連について御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、大臣もよく御承知いただいていると思いますが、私は神戸市の選出でございまして、まさに神戸の地場産業というのは神戸ビーフ、実は兵庫県自体も、随分生産県でございますが、本当に消費拡大が全然できない、消費回復が全然できない、こういうことで大変大打撃でございまして、秋の十月、十一月、質問する際に、小売店を一軒一軒回りましたが、売上高は、委員会でも申し上げましたように、前年比七割から八割減、こういった状況でございました。
 年末のお歳暮、贈答品、これはゼロ。今この時期に、神戸ビーフといえども、贈答としてプレゼントに贈るということ自体が大変ややこしい話になってくるというような、まさに、今回この一連の問題を通して、神戸ビーフだけではなくて国産和牛の、安全神話であり、世界で一番おいしい牛肉だ、こういうブランドが大きく傷ついてしまった、こう大変憂慮しているところでございます。
 ただ、勘違いしないでいただきたいのは、何か、公明党とか私が神戸市だとか、我々が都市部選出だから、消費を拡大せい、こう言っているんだとか、うちも地方選出の議員が生産者はと、こういう話じゃ実はなくて、私は、畜産というのは、まさに先ほど大臣の御答弁にもあったかと思いますが、やはりサイクルしている。乳廃牛を幾ら処理してもとか、いろいろなことを手を打たれてきたと思いますが、結局、出口の、川下の消費が回復しない限り、根本的な解決はできないんではないか。そういった観点から、この消費拡大についてどれだけの知恵を出し、どれだけの対策費を打つかということが最重要の課題である、私はそう認識をしておるんですが、その点について、議論を細かく進める前提として、そういう認識でいることに対して大臣の御所見をまず伺えればと思います。
武部国務大臣 委員御指摘のとおりだ、こう思っております。
 何よりも優先すべき現時点の喫緊の課題は、やはり牛肉消費の回復、国民や消費者の皆さん方に本当に安心して牛肉を召し上がっていただく、一言で言うと信頼回復だ、このように心得て、努力をしてまいらなきゃならない、このように考えております。
赤羽分科員 それで、これまでいろいろな対策をとられ、大臣も最先端に立たれていろいろなことを、批判を受けながら、またこれまでの役所の対応のまずさを率直に認めながら、これからどうするべきかということにトライしてきたというのは、私は大変理解もしておりますが、どうも農水省は生産者に重点的だというようなことを、我々公明党もよく言っていると思いますが、余り言いがかりで言っていてもしようがないものですから、ちょっとこういう、農水省がつくったBSE関連対策についてというこのポンチ絵、よくできている絵ですが、これで見ておりますと、確かにちょっと生産者重点じゃないかな、こう思わざるを得ないんです。それが悪いと言っているのではないんですがね。
 例えば肉牛、乳牛の繁殖農家、子牛の繁殖農家に対しては、子牛生産拡大奨励事業、子牛価格が三十五万円を下回った場合には奨励金を交付する、こういったもの、これはまさに補てんですよね、支給されている。廃用牛の流通にしても、一頭四万円とか五万円という形で、二百億円ぐらいが投じられた。
 またこれは、BSEマル緊事業ですか、私、マル緊というのは初めて知ったんですが、だれが考えたか知らないんですが大変な知恵だなと、非常に感動というか驚嘆をするような、このスキームに驚いたんですけれども、これも、ちょっとよく見ますと、農水事業では常識なのかもしれませんが、私は余り詳しくないものですから、見ますと、通常の生産費のブレークダウンが、要するに生産費用プラス家族労働費というのが入れられている。ここが生産費のコストの計算になっているということは、私は、これはちょっと大変、理解できないとは申しませんが、非常に独特の考え方だな、こう思いました。そこの利益を、そこもベースにして利益が削られた場合は所得補償をしている。これは別に善悪を言うのではなくて、ここも間違いなく所得補償的な公金が入っている、こういったことであります。
 また、あと、出荷繰り延べへの助成、これの中にトータル入っているかどうかわかりませんが、総称して農家経営対策として四百八十億円ぐらいの金が投入されているんですね。これ以外に、つなぎ資金とか融資制度が今回特例的に、これは川下も川上も関係ありませんが、資金制度として用意された。
 一方で、ちょっと川下に対する対策はどういうものがとられたかというと、このBSE関連つなぎ資金の特例融資という制度のほかに、生産者サイドにとられたような支援金というか補給金というか、個人補償的なところというのは何がとられているのか、私ちょっとつまびらかにしていないので、そこについて、政府参考人の方で結構ですけれども、御説明いただければと思います。
須賀田政府参考人 御指摘の、川下対策としてどのようなものがあるかということでございます。
 なかなか、川上、川下と単純に二分することが難しい面がございます。その効果がどこに及ぶかということで難しい面がございますけれども、生産者以外に対する対策ということでとらえますならば、一つは、食肉センターとか、レンダリング施設等の整備、それからBSEに関する知識の普及、いわゆる消費拡大、それから、十月十七日全頭検査以前に屠畜された牛肉の焼却処分、こういうようなものを生産者以外に対する対策として位置づけるといたしますれば、私どもの計算におきましては、これまでに約七百五十億円の予算措置をしており、これより……(赤羽分科員「委員長、ちょっといいですか」と呼ぶ)
北村主査 赤羽一嘉君。
赤羽分科員 局長、そういうことを言っているから役所に対する不信感とかになるんですよ。私はそういうことを聞いているんじゃないんですよ。難しい話じゃないんですよ。もらい手として支援金をどこがもらったかという額ですよ。聞いていますか、局長。生産農家、肥育農家、子牛農家、流通、そして食肉店、焼き肉店がどのような補給金、個人補償的なものがもらえているのかどうかということを聞いているんですよ。難しく答えられるとわからなくなるんで、わかりやすく答えてください。ありのままでいいんですよ、その実態を確認しているだけなんだから。
須賀田政府参考人 その川下のそういう飲食業者、先生言われました飲食業者あるいは焼き肉屋さん等に対する直接の政策といたしましては、食肉処理販売等特別資金、これは三億円でございます。
 それから、先ほど大臣が言いました中堅の外食事業者の運転資金の円滑化のための信用保証、これは本日記者発表したところでございますけれども、これが十億八千万ということでございます。
 このほか、直接的ではないんですが、消費拡大という面では、一次、二次としてそれぞれ十一億円ずつ計二十二億円というものが講じられているところでございます。
赤羽分科員 要するに、前半のお答えはまさに特例融資の延長ですね。後半はPR費用ですね、これ十一億円というのは。
 ということで、これは現状として、比較するのがどうかということはあるかもしれませんが、生産農家に対しては現実に所得補償的ないろいろなメニューが用意されているんですよ。現実にやりにくいかもしれないけれども、川下、まさに販売現場には直接的な支給金は――売り上げが七割も八割も減ったという事実があるわけですよ。贈答品がゼロという、これはまあ神戸の特性かもしれませんが、具体的な現状があり、そこが、出口が詰まっている以上、サイクル的な、根本的な解決にならない。
 冒頭に大臣も御答弁いただいたように、消費回復がこのBSEの本当に根本的な解決になるという問題認識でありながら、具体的な所得補償なりなんなりということが、そこがすべてとは私申しません、安心回復とかいろいろなことをやらなければいけないけれども、現実は、苦しんでいるのは、生産農家も大変だと思いますけれども、同じぐらい、やはり町の食肉屋さんというのはもう大変な苦しみですよ。
 大体、きょう認めていただいた焼き肉店の中堅焼き肉店、これはまさにチェーン店ですよね。中小企業に入らない焼き肉店に対しての融資対策というのはとられたけれども、現実はもっと、お父さんとお母さんでやっているような個別の焼き肉店、ここは、そんな融資制度といっても、なかなか融資を受けられるような実態ではないんですね。これはセーフティーネット保証といいながら、やはりそんな簡単に受けられない。ここについて所得補償的なことというのは確かに難しいと思いますよ、これまでの慣例では。だけれども、ここについてどう考えられるのか。
 例えば、ある地域では、焼き肉のサービスクーポン券みたいなものを出されているところもあると聞いています。イトーヨーカ堂が三割ディスカウントのセールを行った、そうしたら、私聞いてみたら、売られた量は、この問題発生以前と同じだけ出たというんですよ。安ければやはり消費される、そういうデータはつかまれていると思うんですね、農水省として。
 ですから、そういう意味でいけば、対策の一つとしては、この今の牛肉の状態から、高値感があるところにどれだけそういった販売促進の具体的なプロモーションができるのかどうか、これについてはどうお考えなのでしょうか。具体的に焼き肉のクーポン券みたいなことをやられているようなことも踏まえて、御答弁をいただけますか。
須賀田政府参考人 焼き肉屋さんの経営が大変苦しい状況になっているということについては私どもも承知をしておりまして、心を痛めておるところでございます。
 ただ、支援の手法をといった側面から考えますと、やはり、売り上げも落ちておるんですけれども、仕入れ原価も恐らく低下しておるということだろうと思いますので、いま一つ我慢してつないでいただければということで、このつなぎ資金が円滑にいくという手法を資金の面と保証の面で考えていったわけでございます。
 そして、やはり消費の回復というのが基本にあろうかと思います。こういうことで今までやっておりましたのは、お肉のギフト券、これは二千円分でございますけれども、これを抽せんで五万名にプレゼントする、あるいは焼き肉キャンペーンで焼き肉屋さんに来店した人に抽せんで一万円分の焼き肉食事券をプレゼントする、あるいはホテルで牛肉料理を注文した方に国産牛肉を先着順にプレゼントする、ありとあらゆる考えられることを講じまして、消費拡大に努めているわけでございます。
 私どもが承知しているところでは、量販店でのPOSによる売り上げの状況、抽出の検査でございますけれども、確かに先生先ほど言われましたように、昨年の十月、十一月は七割減といったような状況でございましたけれども、この二月の第二週、第三週になりまして、三割減というところまで回復をしてきております。
 私どもとしては、消費の回復ということを念頭に置いて、より効果的なキャンペーン方法についても検討していきたいというふうに考えている次第でございます。
赤羽分科員 局長、今の答弁、ちょっと大変問題な発言があったと思いますよ。七割減だという状況を認識しながら、仕入れも安くなっているから何とかしのいでいけるだろうと。これはちょっと大変な問題認識、現状認識の錯誤じゃないですか。私、こんなこと言えませんよ、少なくとも地元の食肉関係の人たちに。そんな現状じゃないですよ。
 あなた、そういう認識でいるから、今言いましたよね、二千円の五万人で幾らだと思います、精いっぱいやっているって、一億円じゃないですか。一億円で何、だから、そういう程度の認識だから、一億円程度の販売促進のキャンペーンしか打たないんじゃないんですか。こういうことをやっているから、いつまでたっても生産者重視だと言われるんじゃないんですか。これは決して言いがかりじゃないと思いますよ。二千円の五万人、どれだけ効果があるのか。
 効果があるんだったら、先ほど僕が言いました、イトーヨーカ堂が三割引きで同じだけの分量が出ている、そういったことを、僕は個人的にはかつてやった地域振興券というのは余り好きではないんだけれども、そういったような知恵というのが、農水省挙げてやろうという判断というのはないんですか、あるんですか。これはやはり大臣に、局長というより大臣に答えていただかないとまずいと思います。
武部国務大臣 何がやり得るかということなんですが、私どもは事務方にも、川上の対策については、打つべき対策、さらにこれから講じなければならない対策、それから肉骨粉の処理の問題を含めてさらにフォローアップしなければならない、総点検しなければならない問題、大体見えてきているのではないか、このように思っております。
 問題は、先ほども申し上げましたように、消費の回復でございます。消費が回復するための対応策というのは、今委員御指摘のような、まあ牛肉クーポン券みたいなことも一つのアイデアとしてあるかもしれません。しかし、これをどのように実施していくか、どのように徹底させるかというようなことは、なかなか私は難しい問題もあるんじゃないかというふうに思いますが、総務大臣とも私お話をしまして、相当、地方のBSE対策、特交で見てもらうというようなこと等もやっております。
 委員、先ほど、国の責任でというお話がありましたが、これは、いろいろな団体でありますとか、あるいは業界の皆さん方の知恵でありますとか、そういった方々から、こういうふうにやりたい、こういうことをやってみたいというようなことについて国が支援するというようなことが、ワーカブルといいますか、実現性のある現実的な方策ではないのかな、こう思っております。
 私ども、今財務省に向けて、今委員がおっしゃったように、川上対策じゃなくて川下対策にもっと重点を置かなきゃならないんだと。私も、先日も総理のところに、消費回復について総理も先頭に立って協力してくれ、何だかんだいっても予算が必要だというようなことを申し上げておりまして、今委員がさまざま御指摘、御意見等ございましたが、そういったことも含めて何ができるかということを幅広く、これは農林水産省だけではなかなか知恵が出ない、正直申し上げましてそういう感じもいたしますので、先ほども小西委員からの指摘もありましたが、国民的なキャンペーンというような形で私は取り組んでいきたい、こう思っておりまして、御理解をお願いしたいと思います。
赤羽分科員 小西委員の質問も私はテレビで聞いておりまして、知恵を出してくれ、アイデアを出してくれ、こういった御答弁もありました。それを踏まえて私も質問させていただいておりまして、畜産振興事業団という財布もあるわけですから、そういうものを有効に使って、ぜひ川下へ。クーポン券を五万人なんて、一億二千万人いる国で五万人やったって知られないです。だれも知らないですよ、ここに座っている人は。そんなことをやっていたのかと。そんなことをやっているからだめなんだと、僕は。もうこれはオーダーを変えてやる、これが一つです。
 もう一つ、やはり安心回復ということ、これがもう大変なんですね。万全な検査でと、僕はもうむきになってやっていて、夫婦げんかするぐらいです。うちの女房がこう聞いてきた、検査なんていいかげんなものらしいよと。医者の奥さんが言っていたとか言って。何ばかなこと言ってんだ、こういうことを言っても、いや、役所の言うことは信じられないみたいなことを平気で言うような世界なんですよ、今は。どこをどう見ても、外務省等の問題を見ても。
 だから、そこをどうするかというと、私のアイデアは、NPOでもいいですが、情報公開を求めるようなグループ、これは厚生労働省の管轄なのかもしれないけれども、例えば、屠畜現場とか全品検査体制のところを全部見せたらどうですか、あえて。安全だ安全だと言っていても、信用されないんですよ、現実は。だから、そういったことは全部見せるべきだと思います。それが一つです。これは後で答弁いただければいいです。
 もう一つ、ちょっと質問したいんですけれども、三頭目でとまっているというのは何でなんですかね。どう分析しているんですか。四頭目が出てこないですよね。これは、現状どうなんですか。どういうふうに推測しているんですか。いや、局長で結構ですよ。
遠藤副大臣 まず御承知おきいただきたいのは、イギリスBBC放送による、例のぱたぱたころんという、牛が苦しんで倒れる姿、ああいう症状を起こして死んだ牛は我が国にはおりません。
 それで、東大の吉川教授の試算によれば、我が国が輸入した肉骨粉の量から見て、おおむね我が国での発生率は七頭から十頭であろう、こういうふうなことを言われております。ですから、恐らく四頭目、決して出ないわけではないと私は思っていますけれども、確率はその程度だということを聞いて、むしろ私自身の方が何となくほっとしているということであります。
赤羽分科員 私も、十頭以内だろうという、そういう説はよく認識をしておりますが、多分出ないのは、やはりもう危ないのは見えているわけですよ。ホルスタインの、乳牛の、要するに四歳以下五歳以上、大体危ないのはもう決まっているわけですが、多分そこの屠畜がとまっているんでしょう。だから出ないと考えるのが、別にいい悪いじゃなくて、そういう現実があるんではないんですかと。これは、局長の方がいいかな。
須賀田政府参考人 乳廃牛が出荷が手控えられているという事実はございますけれども、私どもの推計では、この一月にも、例えば乳用雌牛は、一万七千頭だったと思いますけれども、屠畜をされておりますので、全く出てないわけではないというふうに認識をしております。
 陽性牛が出ないというのは、事実を事実として受けとめる以外にないのではないかというふうに私どもは思っている次第でございます。
赤羽分科員 品川の屠畜場では、乳牛は受けていませんよね。そういった現実があるわけですよ。それは危ないからだと思っているわけですよ。出た場合の派生が広がると思っているからだと思います。
 私は全然違うことを、川下川下と言っている私がこういうことを言うのも何なんですけれども、例えば四歳以上の危ないと思われている乳牛を全部キリングする、処理する発想というのを検討されたことはあるのですか。それをやると、ある意味では、悪性プリオンを保有している可能性のある牛を日本から全部除去する。そのぐらいのことをやらないと、なかなかこの安心の回復というのができないのではないか、そういうようにも思うのですが、その点についての検討、先ほどのことも踏まえてお答えをいただければと思います。
武部国務大臣 まず、我が国において、輸入肉骨粉も、製造、出荷も肉骨粉についてはストップして、感染経路を断っているわけでございます。そして、健全な今の牛は、もうBSEの感染には至らないという体制をとっているわけですし、また、屠畜場では全頭検査体制をとっているわけですね。ですから、安全を証明した肉以外流通しない、そこまできました。あとは、やはりきちっとした科学的な知見を、データを早く得ることが必要だ、私はこう思っておりまして、乳廃牛の買い上げ等もそういう考え方でございます。
 先ほども、別などなたかからも質問がありましたけれども、乳廃牛をそのまま処分してしまう、検査もしないで処分するということは、私は、かえって国際的にも批判を受けることになることは間違いないと思いますし、消費者は認めません。私はそう思います。きちっと検査するということが今一番必要なんで、ですから、そのことについて生産者にも覚悟を決めてもらう。であればこそ、四頭目が出ても、互助制度をつくって、これまで国はやるのかということで覚悟を決めてもらうそういう仕組みをつくったわけでありますし、もう一つ、生産者の方々はもとより消費者の皆さん方にも、こういう屠畜体制をやっていますと。だから、屠畜日をきちっと決めるとか、屠場を特定するとか、そういうことで今滞留している高齢牛といいますか、乳廃牛を早く処理することだ、こう思っております。
 そして、消費者や国民の皆様方にも、今後も出る可能性はありますよということをきちっと知っていただく。その上で、流通する牛肉は大丈夫なんだ、そういう科学的な正確な情報というものを国民の皆さん方にわかってもらうという努力が必要でありまして、そのためのPRでありますとか、私どもが出向くのではなくて、説得力のある専門家でありますとか、そういった方々にお話をしていただくというようなこともこれから検討したいと思っておりますし、最初に提言のありました、オーダーを変えて、正確な情報を伝える、PRに努める、消費が戻る、そういう対策に全力を挙げたい、こう思っております。
赤羽分科員 ぜひ、先ほど言いました情報公開を求めるようなグループの活用をよろしくお願いしたいと思います。
 それで、あともう時間もないのですが、肉骨粉の焼却、先ほど遠藤議員からもるる質問があったわけでありますが、九百トン毎日出る、こういうあれですけれども、キリングが戻ってくればここはふえるわけですし、これ自体大変な国のお金が入っている。保管料も全部面倒を見ている。こういうことをずっと続けている一方で、肉骨粉というのは、多分夏場になってくると腐敗もしてくるでしょうし、また別の問題というものがすごく出てくると思うのですね。
 一つ確認したいのは、例えばレンダリング工場がない県に、一般の焼却場がある、そこにお願いしたいということでお願いをする、しかしそこは、そんな肉骨粉なんて怖いもの燃やすことはできないといって拒否をしたとする、その県が。その拒否をされた場合に、現状のルールの中ではどうすることもできないのかどうか、それをちょっと確認いただけますか。
須賀田政府参考人 今のところ、受け入れをお願いするということで対応しているわけでございます。
 私も廃掃法は詳しくないんですけれども、たしか、廃掃法によりますれば、最終的には命令みたいなものができるというような規定はあることはあるわけでございますけれども、これはやはり肉骨粉の処理でございますので、国がお願いをして、何とか県域を越えてまで焼却をしていただくという基本的考え方で対応せざるを得ないと今は思っております。
 ただ、これは保管場所が屋外のものも一部ございまして、今後、暖かくなり、梅雨になったときにどうなるかという大変心配な面がございまして、どういう対応があり得るかというのを早急に真剣に検討していきたいというふうに思っております。
 今お答えできるのはこういうことでございます。
赤羽分科員 やはり、無理にというか、強制力がないからなかなか進まないんです。
 毎週僕はデータをもらっているんですけれども、焼却能力というのは、実態能力というのは大体毎週十五トンから二十トンぐらいですね。十五トンから二十トンぐらいしか上がっていない。
 だから、ここは大臣に私提案なんですけれども、やはりセメントのところに、ヨーロッパなんかでは熱エネルギーを持っている肉骨粉を原材料としてすごく前向きに使っているんですよ、手伝ってくれという態度じゃなくて、ビジネスとしてちゃんと使えるように、ロングタームの、半年だなんていうお願いをするから、セメント工場にしたって、半年のためにそんなラインの訂正なんかできませんよと。今ばかみたいに、五百キロの、バルクであるものを十キロの小袋にわざわざかえていって、その費用だって出されているわけですよね。そんなことじゃなくて、もっと経済の実態として使えるように、セメント工場に、しっかりしたものを前向きに取り組んでくれ、商売ベースでやってくれ、こういうことをしっかり申し入れることが現実的な選択です。
 これ、ずるずる、まだ検討していると言って、もう半年以上たっているのにまだ検討って、いつまで検討するのかということを思うと、この辺は本当にセメントの業界と、腹を据えて、経済産業省の大臣とともに取り組んでいただきたいということを、その決意だけ聞かせていただき、終わりたいと思います。
武部国務大臣 実はきょう、閣議の前に、環境大臣ともこのことを話をさせていただきました。きちっとした工程表を明確にして進めてまいりたい、このように思います。
 なおまた、屠畜場の問題についても、これはやはりやらなきゃならないことはやらなきゃならぬわけでありまして、きちっとした補償のことも前提に、もう少し強制力のあるやり方を私はやっていく必要がある、こう思いまして、厚生労働大臣ともこのことについてはよく話してみたい、また都道府県とも話してみたい。
 なお、この機会に申し上げておきますが、来週からになりますか、副大臣、政務官、全国四十七都道府県全国行脚、ごく短期間の間に出張をいたしまして、そして都道府県知事とも相談し、細かいことについての、これまでの協力に対するお礼とそれから今後の協力要請ということに出向いてまいりたい、そのように考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
赤羽分科員 ありがとうございました。終わります。
北村主査 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。
 次に、西川京子君。
西川(京)分科員 おはようございます。質問の機会をちょうだいいたしまして、感謝申し上げます。
 きのうから集中的にBSEの問題あるいは中国野菜の問題、それぞれ大変細かくそれぞれの委員からの質問も出て、大臣、副大臣、同じような質問が続かれて大変お疲れのことと思います。
 私は、もちろんその質問もさせていただきますが、その前にちょっと、日本の農政の今までのこの何十年間の一つの流れのようなものについての問題を精査してみたいなという思いで、先にその問題をちょっと御質問させていただきたいと思います。
 私、衆議院議員にさせていただきまして一年八カ月がたちました。その間に、議員になった直後にあの雪印の中毒問題が起きました。それからずっと拾ってみますと、その雪印乳業中毒事件、あるいは水産の分野では、夏の異常気象による赤潮のすごい発生、有明海のノリの不作問題、そして、あの例のイグサ、シイタケ、ネギの三品目の暫定セーフガード発令の問題、その後のこのBSEの発生、雪印の偽装工作事件、そしてこのJAS法違反のさまざまな問題と、この一年八カ月の間、この農林水産の分野で社会面をにぎわすような事件が次々次々と起こってまいりまして、私も本当に、この国の農政、農林水産、第一次産業はどうなるんだろう、そういう思いを持ちました。
 そして、これは翻って私考えてみますと、全部いわゆる地方で起きている問題なんですね。私は、この問題を考えるに当たって、日本の今の食の、第一次産業の置かれている厳しい現実をまさにこのそれぞれの事件がみんな含んでいるんだ、そういう思いを持ちました。
 そうした中で中山間地、この地域、実はこの問題が全部その地域の問題だということを感じております。ある意味で、日本の高度成長期から、経済優先というのでしょうか、自由貿易というにしきの御旗のもとに日本の貿易立国としての自由貿易がどんどん発展した、その一つの片側の対極に位置したこの農林水産の分野、中山間地というものが常にどんどんどんどん社会の隅に押しやられていく、そういう現実があって、その現実とともに日本の農林水産の分野が一緒に、ある意味では衰退していった、そういう背景があったと思います。
 そういう中で、この中山間地のいわゆる環境に対する効果というか、あるいは国土保全とかそういうさまざまな、その地域で農業をきちんと営むことが実は環境に一番大事なんだよという、そういうスタンスが、京都議定書あたりを大きな一つの動きとして出てまいりました。そういう中で新しい、新農業基本法あるいは林業基本法なりが制定された中で見直しが図られていくわけですけれども、この中山間地に対する農林水産省の総合地域対策というか、そういう一つの事業、その辺について、ちょっと具体的に、簡単にで結構ですので、お知らせいただけたらと思います。
太田政府参考人 お答え申し上げます。
 中山間地域、先生が申し上げられたとおり、耕地面積、農業生産額、農業人口、それぞれ全国の約四割を占めております。食料供給の場であることはもとより、河川の上流域に位置しまして、農業生産活動を通じた国土、環境の保全、水源の涵養、あるいは都市住民のゆとりと安らぎの場などの多面的な機能を発揮しており、国民の生活にとって重要な役割を果たしておりますので、この地域の特性に応じた振興を図る必要があるというように承知しております。
 このため、この地域の農業生産性の向上とあわせて、暮らしやすく魅力ある環境をつくるということを目的に、生産基盤の整備と生活環境の整備などを一体的に行う中山間地域総合整備事業を、農家負担の軽減にも配慮しながら実施している状況にございます。
 この事業につきましては、平成十四年度予算案におきまして、人、物、情報の循環が可能となる新たな村づくり、いわゆるむらづくり維新を進める上での中心的事業の一つに位置づけまして、農業農村整備事業費全体が対前年比で八五・八%という厳しい予算の中で、この事業につきましては対前年比九二・五%と、金額にいたしまして六百三十七億円というような重点化を図っておるところでございます。
 今後とも、本事業を積極的に推進しながら、地元の要望にもこたえ、中山間地域の活性化に取り組んでまいりたい、このように考えております。
西川(京)分科員 ありがとうございます。
 今の一つの社会の流れとして公共事業批判というものが強い中で、この中山間地農業総合対策事業ですか、ある意味で地方の小さな山間地にとって公共事業というものがその社会の大きな支えになっているのは厳然たる事実なわけですね。ですから、これを真っ向から全く否定してしまうということは、要するに地方は死ねということになるわけですから、そこに、いわゆるハード物だけでなくて、非公共という部門が入っておりますけれども、それを本当に地域のニーズに即した、そして地域社会の再構築、そういうものに寄与するような対策に徐々に変換しながら、本当に中山間地が元気になる対策にぜひぜひ今後これをつなげていっていただきたい、そういう思いがあります。
 ある意味では日本の中山間地というのはまさに日本のふるさと、この二十一世紀、今いわゆるITがどんどん進んでいく、機械的な社会の進む中で、本当に人間の心の問題あるいは日本人の魂のふるさととして、中山間地域というのは、単に農業生産の場という以上に日本人の心の癒しの場としても、都市と農村の交流ということから、ある意味では人間の生き方も、日本人の生き方も変えていくような場になると思うんですね。
 ですから、そういう中で、この事業、大いに活用し、積極的に進めていっていただきたいな、そういう思いでおります。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 その中で一つ、細かいことなんですが、この中山間地の直接支払い制度、例えば棚田保全なんかに直接の補助金が出るわけですが、その補助金をいただいた地域には大変お年寄りが多いわけですね。そうしますと、非常にこれは、当然税金をもらうわけですから、みんなでグループで草取りをするとか、常にそういう写真を添付したり、書類を出したり、あるいは納税申告をしなければいけないとか、さまざまなあれがついているわけです。それは当然のことなんですが、そうすると、大変もう使いづらく、ほんのわずかなお金をもらってそんな面倒くさいことはしたくないよと。
 これがこの事業が進まない大きな理由になっておりますので、ぜひこの辺は各自治体にコーディネーターのような、そういうものをちょっと面倒を見る若手の職員なりを張りつけて、そういうことは一切してあげるよ、皆さんは気持ちよく草取りしたり、そこに付加価値の高い作物をつくってその棚田を保全してほしいという、そういう人たちを育成するような一つの指導というんでしょうか、そんなこともしていただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
太田政府参考人 コーディネーターというお話でございますが、直接それのお答えになるかわかりませんが、ちょうどこの中山間地直接支払いについては、平成十四年になりますと三年目に入ります。その中でさまざまなチェックといいますか検証といいますか、そういう作業に入りますので、そういう中でどのようなことができるか。委員御指摘のとおり、透明性といいますか、税金を使うという観点も片方でございます。そしてまた、使いやすさを進めていくという観点もございます。これをどう調和させていくかという観点から検討してまいりたいと思います。
西川(京)分科員 ありがとうございました。
 要するに、この中山間地の言うなれば疲弊という問題、この問題と日本の経済活動が密接に関係しているというようなことを私も先ほど申し上げましたが、ここにおいて、例えば日本の林業にしろ、あるいはお米の問題にしろ、今度のいわゆる中国野菜の問題にしろ、すべてが、結局この経済活動のツケが回ってきていると。それが、自由経済の中ではそれは当然な商行為であるし、経済活動だと言われてしまえばそれまでなのですが、やはりその中に、経済のグローバリゼーションの中で、日本という国に対する経済界の思いというのでしょうか、そういうものに私はちょっと疑問を感じる気持ちがあります。それはあくまでも自由ではあるが、でも激しく言えば、あなたはやはり日本人でしょう、そういう思いが正直言うとあるんですね。
 そういう中で、今回のBSEの問題、肉骨粉が原因だろうと言われておりますけれども、その中で当然、これを早目に禁止措置をとらなかった政府の責任、本当に大臣も厳しい思いをされたと思いますが、政府の責任ということはもう当然そのとおりだと私は思います、小泉総理も演説の中でおっしゃっていらっしゃいましたけれども。
 それともう一つ、やはりジャーナリズムを通してですが、全く触れられていないのが、経済界の問題ということに対してほとんど社会的な一つの目が向いていないというそのことを、私はやはりこの場で一言言いたいなという思いがあります。
 このBSEの肉骨粉の輸入禁止は、禁止措置は出ていませんが、九六年に警告を発しているわけですね、少なくとも農水省は。この警告を無視してやはり輸入し続けた商社の責任はどうなるんだと。この肉骨粉というのは非常に安くて飼料にいいということ、その経済性だけでどんどん輸入し続けた商社の責任というか、そういうことに対する御認識は、副大臣、いかがでございましょうか。
遠藤副大臣 歴史にもしもというような仮定は許されないと思いますが、しかし、今にして思えば、行政指導にとどめておったという行政の手法がよかったかどうかといえば、やはり顧みて反省すべき点があったんではなかろうかと思います。
 ただ、当時の常識的判断として、牛由来のものを牛に、いわば共食いというようなことは全然考えられなかったと思いますね。そんなことで、例えば九七年の衆参両院の農水委員会でも、家伝法改正のときには、牛由来の肉骨粉を牛に食わせてはならぬように厳しく指導しろという全会一致の決議までいただいておるんです。
 そうした中で、ごくごく一部でありますが、業者の中に、牛由来の肉骨粉を畜産農家に販売していたと。非常に残念だと思っておりますし、ある意味では、農家が一々その成分や何かを判断して、認識してえさとしているわけじゃなくて、勧められるままにえさとして与えているわけですから、ある意味では生産者も被害者、ひいては、おなかの中に入る消費者も被害者だったんだなと。
 そういう意味では、商売道というものが失せてしまったという感じがしてならぬのでありまして、のれんを守っていくというふうなそういうものがなくなって、売れればいい、安けりゃいい、ばれなきゃいいというふうな風潮は、厳に慎んでいかなきゃならぬ、大きな問題じゃなかろうかと認識しておるところであります。
西川(京)分科員 私も同感でございます。
 ある意味で、世界の、例えば森林に目を向けると、もう全くの利潤追求だけで熱帯雨林を大量に伐採してきた日本の商社の責任というのは、私は絶対に問われるべきだと思いますね。特にこれから、消費者の方、日本の国民の皆様が環境というものに目を向け出した、そして日本の食料というものもそういう国全体の環境を考えた中で考えなければいけないという時代になって、当然、この商行為、経済活動というものが利潤追求、市場絶対主義だけでいいんだという時代は終わりつつあると私は思っています。
 当然、消費者の皆さんも賢くなっています。やはりおのずから人間の品性として、きちんとした仕事、商売をして、きちんとして当たり前の利潤を上げて、それが皆さんの消費者に役にも立つ、それが日本の古来の伝統であるわけですから、やはりその当たり前の道徳というものを基本に置いた経済活動、これはぜひ日本の経済人にお願いしたい、私はそういうふうに思っております。
 そういう中でまた同じような、JAS法違反という問題が出てまいりました。これも、もうまさに企業人のモラルが問われる問題なんですが、実は私の地元では、例の北海道産の肉を熊本産とラベリングされたり、あるいは今度は、日本一のトマト産地の八代トマトというのが、韓国産のミニトマトがその箱に入って出てきた、そういう問題が発生して、本当に足元からこの問題が出てまいりました。
 ですから、常に被害者であり加害者であり、もう国民全体がその渦の中に巻き込まれているような状況の中で、本当にこの企業モラルをどうするのか、商道徳をどうするのかという問題の中から、このJAS法という問題が今クローズアップされております。
 その中で、先ほど赤羽先生もおっしゃっていましたが、このJAS法違反の、要するに行政の対応が甘いのではないか、そういうあれが出ておりました。私もこのJAS法の冊子をいただきまして見ましたら、四段階に指示をして、指示に従えば、そこで回収すれば、悪いことをしても別に公表もされない、あるいはそういう中で、最終的には五十万円の罰金と。ある意味で、企業にとって五十万円ぐらいの罰金はもう必要経費の中だというような感覚もあるかもしれませんが、これはやはり、きのうの委員会の中でも言われておりましたが、基本的に、これをつくった最初の段階では性善説に立っていると思うんですね。商道徳にのっとって、そんなことまではしないだろうという中でできた法律だと思います。
 ですが、やはり、こういう厳しい状況の中では、この見直しということは消費者の大きな一つの意見でもありますので、JAS法の強化というか、その辺についてどうお考えでしょうか。
西藤政府参考人 今西川先生御指摘のとおり、牛肉の虚偽表示等によりまして食品の表示に関する消費者の信頼が大きく揺らいでいる状況、私ども大変遺憾であり、残念でございます。
 こういう状況の中で、大臣の御指示により、省内に、食に関する消費者の信頼確保を図るということで、二月八日に、大臣を総括本部長、野間副大臣を本部長として、食品表示制度対策本部を設置いたしまして、検討を開始いたしております。この本部におきまして、現在の品質表示制度について、違反を監視するための体制の強化、それと、制度の実効性確保措置の充実ということで表示制度の改善、強化という具体的方策について検討を進めております。
 さらに、消費者の方々や生産現場の皆様など関係者の方々の御意見を十分受けとめて、食品の表示に対する信頼性回復ということで、大臣、副大臣の御指導のもと、省を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っております。
西川(京)分科員 このJAS法、昨年改定したようでございますけれども、改定したがために基準が緩くなってしまったという現実もあるわけですね。WTOの基準に沿って改定したら、結局、食品の製造年月日は必要なくなって期限だけの表示になったとか、この辺はやはり私もちょっと理解に苦しむようなところがあります。
 今、消費者は、今回のBSEの問題でも、欧州連合並みに、店頭から誕生地まで追跡できる体制を早急につくるべきだというような意見もあります。確かに、生産地から店頭に並ぶまで明確にきちんと表示できるシステムの構築、これは大変な人手と大勢の労力の要ることではございますけれども、そういう方向に向けて、ぜひこのJAS法のきちんとした整備をよろしくお願いしたいと思いますが、もう一言。
西藤政府参考人 先生今御指摘の、いわば、それぞれの農産物、食品の履歴といいますか、いわれを含めて消費者に情報提供をし、選択をしていただく、私ども、トレーサビリティーシステムという形で現在検討いたしておりますが、私ども、既に実験事業という形では、牛肉を初め、野菜その他で十三年度に取り組んでおります。
 ただ、農産物、生産から消費に至る過程でいろいろな、形態の変化等、あるいは流通現場をいろいろな形で通っていくというような状況の中で、いかに正確に履歴を消費者まで伝達するかという点で解決するべき課題も種々ございます。しかし、現在の情報技術の活用等をしながら、できるだけ早期に、現在実験事業で取り組んでいる中で課題を摘出しながら、消費者に信頼できる仕組みとして構築していきたいというふうに思っております。
西川(京)分科員 このJAS法の一つの農水省の取り組みとして、食品一一〇番というようなものも設置して、広く一般の国民とともにこの安全性を一緒に監視していこうというようなシステムもできたようでございます。済みません、質問のお願いをしていたと思いますが、時間がなくなりましたので御紹介だけで終わらせていただきますけれども、こういうシステムを大いに活用して、農水省だけでとにかくかたくやるのではない、国民とともにみんなで、NPOの方々も一緒になって、この食品一一〇番あたりを通じて、トレーサビリティーというんですか、その整備をよろしくお願いしたいと思います。
 そしてもう一つ。要するに、偽装表示という問題と、もう一つ食に対して一番大事なのが、安全性という問題でございます。十二月の時点で、例の、中国大使からの打電で発覚した、中国の、危険な農薬を使って十万人からが死んでいるという事件の発覚で、農水のお勉強をしている私たちにとっても、本当に驚くべき事件だというセンセーショナルな思いを持ちました。
 その中で、輸入野菜の検疫という問題が非常にクローズアップされてまいりました。昨日も宮路副大臣が、今、厚生省の方で輸入野菜についてのきちんとした検疫をやっていらっしゃるということでございますけれども、私は、実は、いつでしたか、一週間ぐらい前ですか、五人ほどで、江藤先生を団長として、横浜の検疫に、現地に研修に行ってまいりました。
 その中で、本当にこれで大丈夫なのかというような体制、少人数の方々で、一日あの寒い中で鳥肉のあれをきちんと調べている。それも、若い女性でした。聞くところによりますと、八名いらっしゃって、一人が所長さんで、一人はまだ入ったばかりで物にならない、一人は妊娠中で休んでいる、五人の中で四カ所ローテーションしている。ということは、一人でほとんど一日あの寒いところでやっていらっしゃるということです。
 今、この行革の中で人数増員ということはなかなか厳しいとは思いますが、しかし、私たち党の部会でも、日本の農林水産分野は、国民の安全な食料、健康と一緒に安全な食料を提供するというスタンスに変わりつつあるわけです。その中で、本当にこの検疫の問題、非常に大事な分野になってくると思います。ある意味では非常に地味なお仕事だったと思いますが、そういう中で、今の体制でいいのか、そういう思いがありますが、いかがでございましょうか。
武部国務大臣 動植物検疫・輸入食品安全性対策本部も、遠藤副大臣を本部長にいたしまして設置して、今委員御指摘のような問題について、工程表をつくって、今検討をいたしております。また、専門家を中国にも派遣して、上辺だけの調査じゃない、農村の深いところまで入って調査をするということにも取り組んでおります。
 今委員お話のありましたように、検疫等の要員のお話もございましたが、私は、農林水産省のあり方、やはり消費者に軸足を大きく移すということになりますれば、体制も当然そういうふうに、配分も変えなくちゃいけない、農林水産省の職員の資源配分も変えなきゃならぬと思っています。そういう考え方を前提に、食の安全確保の問題について真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
 とりわけ、私ども、今回、BSEの問題を契機に、今がある意味では、ピンチはチャンスだ、こう思って、縦割り行政の問題でありますとか、食品の安全問題に関する行政組織をどうすべきか、そういったことについての、単なる一元的なことじゃなくて、欧米でいろいろやっておりますように、食品に由来する危害のリスクを最小化するための取り組み、すなわちリスク分析、そういったものについて真剣に取り組む必要があると思うんです。リスク評価、リスク管理、そして、国民みんなで知恵を出し合う、賢く対応するというリスクコミュニケーションということが必要だ、こう思っておりまして、今、これらの問題についてしっかり取り組んでまいりたいと思います。
 厚生労働大臣と私の私的諮問機関でありますBSE問題に関する調査検討委員会も、今大詰めの御論議をいただいているところでございますので、その報告を待って、与党での御論議なども得て、今申し上げましたような畜産・食品衛生行政、食の安全に関する一元的な改革ということに全力を挙げてまいりたい、かように存じます。
西川(京)分科員 ありがとうございます。
 それとともに、現場の方とちょっと意見交換してまいりましたが、きょう来ていただいていますので、厚生省の方からもちょっと御意見をいただきたいと思います。
 要するに検査も、通常の検査なら今の体制で何とかなる、ただし、一朝事あるとき、今回のBSEのような大きな問題があるときはもうそれは大変ですと。人をかき集めてきて毎日、聞くところによりますと、新しい検査技法なんかが出てくるのでその研修も含めて、毎日十一時ごろまでみんな残業して頑張っていますという話でございました。
 ですから、ぜひ厚生省の方のこの問題に関する人員配置なりなんなり積極的な御意見を、できれば新しい体制にぜひ対応したいと私たちは思っているわけですから、積極的に意見を出していただきたいと思いますので、御意見をぜひお聞かせください。
吉岡政府参考人 食品の安全を確保いたしますために、厚生労働省では、今先生が御指摘の輸入時の検査、あるいはBSEに関しましても、これは各都道府県で検査等をいたしております。
 こうした食をめぐる状況の変化に伴いまして、いろいろ、例えば中国野菜でございますとか、そういうものに対する検査体制の確保をどうするかということは極めて重要な問題でございまして、私ども、毎年、定員管理が大変厳しい中で増員を図ってきてはおります。例えばこの十年間で申し上げますと、各検疫所におきます食品の検査に従事いたします食品衛生監視員の数につきましては、この十年間で九十九名増員いたしまして、現在二百六十四名の体制になっております。
 ただ、今後ともこれで十分かどうかということにつきましてはいろいろと御議論があると思いますが、まず、各検疫所におきましても、他の業務の可能な限りの合理化を図る等によりまして、限られた人数の最大限の活用ということを図っておりまして、今後とも食の安全の確保のために、検査を中心に努力をしてまいりたい、かように考えております。
西川(京)分科員 ありがとうございます。
 要するに、組織を有機的にもう一回精査して、ある程度余っていると言うと失礼ですが、そういう分野からきちんと、先ほども大臣もおっしゃっていましたが、組織の再編、見直しということが非常に大事なんだろうと思います。
 その中で、今、この問題に対する調査検討委員会ですか、今大臣がおっしゃっていらっしゃいましたが、この問題の中から、今このBSEの問題、そして中国野菜の問題、こういうものを含めて食糧安全庁のような新しい組織をつくらないといけないという話は当然もうずっと出てきているわけです。
 この中で、私は、ある新聞でちょっと見たんですが、消費者保護庁のような新案も浮上しているという、その名称ですね、私は、当然消費者を保護するための食料であるということ、これは十分わかります。そして、先ほど大臣も、消費者のための農水ですからということをおっしゃいました。ただ、私は、この消費者保護庁という名称だとちょっと違うのではないかなという思いを持っています。やはり生産者も消費者も一体となって、日本のこの食料需給の問題、安全な食料をどうするか、そういう一緒になった視点が大事だと思いますので、消費者保護庁というのは、私は、これは個人の意見ですが、ちょっとどうかなと思います。やはり食糧安全庁なりなんなりという、安全な日本の食料を今後どうするか、そういうネーミングにして、ぜひ一緒に新しい組織の構築に御努力いただきたいと思いますが、最後に大臣の御所見をお願い申し上げます。
武部国務大臣 私が農林水産省に、生産者サイドから消費者サイドに軸足を大きく移して仕事をすべきだ、こう申し上げておりますのは、やはり生産者の皆さん方が、より安全でよりおいしい新鮮な農産物を供給してこそ、初めて消費者の皆さん方が安心して召し上がっていただけるわけでありますから、消費者保護ということは、生産者の向こうに消費者がいるんだ、消費者が求めるものをつくらないと、供給しないと、自給率も上がらないし生産者も成り立たない、そういう意味で、消費者と生産者がしっかり顔の見える関係を構築する、食と農の一体化ということに向けて今後の行政のあり方、仕組みづくりということを考えていく必要がある、かように考えておりまして、委員と私の考え方は同じだ、こう思っております。
西川(京)分科員 ありがとうございました。
 最後にちょっと、食の安全シンポジウムというのが都内で開かれた記事の報告を申し上げて終わりたいと思います。
 「循環の世紀―地域・くらし・食の再生」というテーマでこれが行われたんですが、私は、ある意味でこれからの一つの食料生産の象徴的な言葉だと思うんですね。大量生産、流通の大きな企業より、小さな生産者がつくるものを大切にしたい、環境保全を通じて農業の役割を見直すべきだ、あるいは、農業や食べ物に対する市場主義的な考え方を見直す必要があるとの意見があちこちで出されたと。
 私は、この今の大量消費、大量な消費をするために均一的な商品が欲しいから、ああいう人為的な、外国にまで行って大量に同じ品物をそろえて輸入するというような生産方式、市場主義方式というのは、やはり人間の食べる物に似つかわしくないと思うんですね。やはり、その地域でつくったものをその地域で、ある程度の単位の中で消費するというような、そして顔の見える、個別の商品をみんなが安心して、お互いに知っている人のつくったものを食べるというような、そういう一つの食の生産の形が将来的に見えてくるような気がいたします。ぜひ、私たちが思う、本当に人間的な、安全な地域社会のつながりの中で、安心して食物を食べていきたいな、そういう思いをいたしました。
 これで質問を終わらせていただきます。
北村主査 これにて西川京子さんの質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
北村主査 次に、環境省所管について政府から説明を聴取いたします。大木環境大臣。
大木国務大臣 平成十四年度環境省所管一般会計予算について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、予算の基礎となっております環境政策の基本的な考え方について御説明申し上げます。
 環境の世紀と言われる二十一世紀において、我々に課された課題は多岐にわたります。
 まず、地球温暖化は、将来にわたって地球規模で多大な影響を及ぼすおそれがあり、人類の存続基盤にかかわる最も深刻な問題の一つであります。世界各国が共通の課題として取り組むことが不可欠であり、そのためにも、まずは京都議定書を早期に発効させることが重要であります。
 足元の国内問題に目を向けましても、大量の廃棄物の発生、最終処分場の残余容量の逼迫、不法投棄の多発など、身近な廃棄物の問題への取り組みが喫緊の課題となっております。
 また、自然と共生する社会を実現することも重要な課題の一つであります。生態系を適切に保全するとともに、減少する自然林や干潟、里山などの残された自然を保全、再生することが必要となっております。
 土壌汚染問題については、国民が安心して暮らすことのできる土壌の環境を確保するために、新たなルールの確立を求める社会的要請が高まっております。
 さらに、大都市を中心とした自動車排出ガスに起因する大気汚染問題、ダイオキシン等化学物質問題に取り組み、国民の安全と安心を確保しなければなりません。
 こうした種々の課題に対応するため、昨年、総理大臣が主宰した二十一世紀「環(わ)の国」づくり会議において、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄の社会から、持続可能な簡素で質を重視する社会への転換を図り、「地球と共生する「環(わ)の国」日本」を実現するための施策を検討いたしました。
 環境省は、この「環(わ)の国」の実現に向け、企業活動、国民生活を含めた社会全体の構造改革を図るべく、市民、企業、自治体、NPOさらには諸外国等とのパートナーシップを強めつつ、政府全体の先頭に立って環境政策をリードしてまいります。
 平成十四年度環境省一般会計予算につきましては、以上のような基本的な考え方に立って取りまとめており、その予算総額は二千六百四十三億五千六百万円であり、これを前年度の当初予算額二千七百六十九億六千七百万円と比較すると、百二十六億一千百万円、四・六%の減となっております。
 なお、委員各位のお手元に資料が配付されておりますが、環境省所管一般会計予算の主要経費別概要につきましては、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。
 よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。
北村主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま大木環境大臣から申し出がありました環境省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
北村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
北村主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
北村主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。
 質問時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤松正雄君。
赤松(正)分科員 公明党の赤松正雄でございます。
 きょうは、十四年度の政府予算の、環境省予算のいわば質疑の分科会でございますけれども、私は、ちょっと直接予算には関係ございませんが、環境省の行政のありようというものについて御質問をしたいと思います。
 まず、三年前にいわゆる鳥獣保護法の改正案が大論議の末、主に参議院を主たる舞台にしたようでありますけれども、行われました。その際に、公明党は、自民党あるいは自由党とともに、附帯決議をつけた上で、修正をし、賛成をいたしました。
 法律のその中身は、法律の施行後三年をめどに施行状況を検討し、自然と人間との共生を確保する観点から必要に応じ適切な措置を講ずる旨の規定を加える、こういう修正を提案した上で、さらに、衆参それぞれで附帯決議をつけておりますが、衆議院の場合は十項目にも及ぶ、異例というほど長い附帯決議をつけました。これについては、各方面の自然保護団体の意見もしっかり踏まえた上で附帯決議をつけたと承知いたしております。当時の大臣は、その趣旨を十分尊重し、努力をいたす所存でございます、こう答えておられます。
 ことしは、文字どおりその三年目に当たるわけで、この国会で適切な措置が講じられるものと私は確信をいたしておる次第でございますけれども、これから環境委員会等で議論が展開されると思いますけれども、きょう私はその先駆けをなす質問をしたい、こんなふうに思っております。
 まず、衆議院の附帯決議の一番目にある緑の国勢調査、そのほか自然環境に関する調査を徹底、さらに国全体の鳥獣、鳥やけものの生息状況を適切に把握するとありますけれども、実際にどのように行われたんでしょうか。そのことについて、大臣の御見解を聞きたいと思います。
大木国務大臣 今いろいろと前回の法律、それからまた、実は環境省でまた今見直しておりまして、いろいろと新しい改正も考えておりますが、今いろいろのおっしゃった附帯決議等々、特に公明党の方からいろいろ御意見もありましたし、ただ、私は今、この三年ほど、ちょっと自分自身としては直接の担当でございませんでしたけれども、これは私自身の体験から申し上げさせていただくのでございますけれども、鳥獣保護、当然環境省でございますから鳥獣の保護ということを考えるんですが、一方において、やはりいろいろな理由で、例えば、いろいろなけものが人間社会の方へ出てくるという、そこのところの接点がなかなか問題がありまして、問題が起こっておるというようなことですから、この二つをどういうふうに調整するかということが非常に難しいということだったと思います。
 今申し上げましたように、基本的には、鳥獣の保護を考える役所として、私どもとしてはいろいろな勉強を続けていかなきゃいかぬわけですけれども、現実にはそういういろいろな被害というものも出てくるということになりますと、その接点のところでどういうふうに仕分けをしていくかということが難しいのではないかと思います。
 大変抽象的なお話でございますが、現実に今またいろいろと検討しておりますので、もし必要がありましたら、大変申しわけないんですが、私も個々の問題について検討がまだ進んでおりませんので、もしお許しをいただければ政府参考人からお話をさせていただきたいと思います。
赤松(正)分科員 要するに、今大臣がおっしゃったのは、自分は承知していないという話ですね。
 私も、当然のことながらここにいらっしゃる委員の皆さんも、両方からさまざまな、つまり鳥獣の被害を受ける側から、あるいはまた自然保護団体からも、いろいろな陳情、お話を聞いておられると思うんですが、私もそれは十分承知をしておりまして、どこにどうその接点を求めるか、ここが非常に大事だろうと思うんですね。
 どういうふうに具体的に調査をしたのかというお話を今投げかけたので、じゃ、手短に局長の方からお答えいただけますか。
小林政府参考人 衆参の附帯決議を踏まえまして、私どもは、おおむね五年ごとに、緑の国勢調査と言っておりますけれども、自然環境保全基礎調査というのを継続してやってございまして、その中で、動物の種類ごとに、個体数のカウントも含めまして調査に努めているところでございます。
 それから、先般の改正、平成十一年の改正におきまして、特定鳥獣の保護管理制度というのを創設させていただきましたけれども、その計画を策定する過程におきまして、計画策定者である都道府県知事が鳥獣の生息実態を把握するという状況に努めているところでございまして、現在、二十一道府県、二十二地域において、その保護管理計画が立てられているところでございます。さらに、五十地域につきまして、今後、保護管理計画を策定する、そういう計画策定の過程の中で、特にふえ過ぎている動物、減り方が著しい動物についての調査を実施しているところでございます。
赤松(正)分科員 要するに、今継続、続行中、途中であるというお話だったと思うんですけれども、さきの改正では、有害獣駆除の権限を要求の声の高い地元市町村におろして、野生動物の人間による個体群ごとの科学的、計画的な頭数管理、つまり、有害獣駆除や狩猟の強化による個体数のコントロールというのをねらいにしていたと思うんですね。
 それは、野生の動物、とりわけクマなんかがその主たるものであろうと思うんですが、シカもありますけれども、人里におりてきていろいろな人間生活に危害を加える、さっき大臣もおっしゃっておりましたけれども、そういったことのために何とかせよという声が非常に強い。それに対応するというもの、そういう側面が非常に強い法律だったろうと思うんですね。それを防除するには、さまざまな手だてが一方で必要だろうと思うんですね。特に補償制度、これは農水省の担当になるんでしょうけれども、そういった補償制度が充実されねばならないということはあります。
 しかし、いずれにしても、動物が人里、山里におりてくる、山からおりてくる、こういう事態は、要するに十数年前にはなかったことで、ここ十数年ぐらいの間の中で大変にそういう状況がふえてきているということが非常に大事なポイントだろうと思うんですね。そのことについて、野生動物が人里におりてくるという、このことの根本的な原因というのはどこにあるというふうに、大臣は、詳しくないと言われないで、もう環境庁長官を既にやっておられるんだから教えていただきたいと思います。
大木国務大臣 大変一般的なお答えになるんですが、先ほども申し上げましたように、私も自分の、自分自身としての、選挙区等々で話を聞きますと、結局は、鳥獣、獣は直接今御監視になっておりますけれども、やはり当該の獣が生息する環境が、えさの問題が一番大きいと思いますけれども、環境がやはり非常に荒れておるということから、そこに住みつかないと申しますか、人家の方まで出てくる、こういう状況になっておると思います。
 ですから、それはやはり、当該の鳥獣の生活環境と申しますか、生息環境と申しますか、それが非常に荒れているというところが、そしてその結果、特に一番中心となりますのはえさが不足しておるということではないかと思っております。
赤松(正)分科員 大臣、要するにその御認識は私が実はかつて持っていた程度の認識でございまして、大変失礼な言い方ですけれども、環境大臣の認識としては非常に浅いと私は思いますね、偉そうな言い方をして申し訳ありませんが。
 実は、去年、私、私の住まいの近くであります兵庫県の宍粟郡の千種町というところにあります森、これは、地元の町議会議員、あるいは後でも申し上げますが、日本熊森協会という自然保護団体の皆さんと一緒に一日かけてずっと見てまいりました。その町は、実に人工林率が八〇%にも及ぶ、そういうところなんですね。
 戦後、どこでもそうなんでしょうけれども、地域の発展、繁栄を願って必死になって杉やヒノキを日本国じゅういろいろな森に植えたという経緯があるわけですけれども、その後の日本の高度経済成長の流れの中で、外国から安い材木もどんどんその後輸入されるようになって、そういったものが当初のもくろみとは違って全く売れなくなってしまったということがあります。
 人工林は手入れをし続けないと荒廃をしてしまうということになります。手入れをすればするほど人件費がかさんでしまうということで赤字になるため、今やほとんどの人工林が手入れをしないという状況が続いているわけですね。
 私も行った千種町の奥地の、岡山県との境のところなんですけれども、荒廃ぶりというのは大変著しいものがありました。明るい昼間でも、実際に密集している杉やヒノキのところには光が全く入りませんから、非常に暗い状態で、中に光が入らないために地面にはほかの草や木が一切生えない、そういうふうな状況があって、やはり死んだ森、地元の町長は、森の砂漠だ、こういう言い方をしていましたけれども、そういう状態がある。
 実は、かつての日本の森は、広葉樹の中で、クマがいわば自由にえさをそういう中で求めて遊んでいたという状況があった。さっきおっしゃいましたように、自然のえさがいっぱいあった。それが、先ほど申し上げたように森の荒廃化という状況の中でえさがないということで、そしてやむなく人里におりてくる。
 もちろんそれだけが原因ではなくて、地域によってはそういう森の部分の開発ということも、道路等の問題もあるでしょうし、あるいはまた観光に訪れた人たちがさまざまな食べ物を置いている、それをクマが食べに来る、その味を覚えてしまったら二度と再び山の中には戻らないというようなこともあるようですけれども、さまざまなそういう状況がある。つまり、そういったいわば生態系そのものが壊れてきているということが大きな根本的な原因で山の中から動物がおりてきている、こういうことが原因なんだ。
 だから、それを駆除のみに、もちろんのみとは申し上げませんけれども、いろいろなことも考えておられると思いますけれども、そういうことを考えているだけでは、駆除のみに焦点を当てた行き方では、結局野生動物が絶滅をしていくだけで、そしてまた豊富な水の源泉になる森も荒廃をしてしまうという、一石二鳥どころか、一石二鳥の反対ですから二損というのですか、いずれにしても、そういうまずい事態になってしまう。
 こういうふうに、実は、私もこんな偉そうなことを言っていますが、実際に足を運んで、そういう問題に困っている町長も、自治体の町長として大変に苦労をいたしておりました。また、自然保護団体の皆さんも一生懸命、若い人も一緒になって、そういった事態をどう変えていくのかということに懸命になって取り組んでいる人たちの意見を聞いて、これは何とか応援しなくちゃいけないなという気分になったわけですけれども、今の話に対して、大臣はどう思われるでしょうか。
大木国務大臣 先ほどから私のお答えの中で、何となく、人対獣といいますか、そこのところだけでお話をしておりますけれども、もちろん今先生言われるように、基本的には、そういった鳥獣が生息しておる森といいますか、山といいますか、そこの生態系が植物というか、樹木を含めて非常に荒廃しておるというところに、実は非常な基本的な問題があると思います。
 今、町長さんの方でいろいろと御苦労しておられるというお話も、ですから、対鳥獣ばかりじゃなくて、むしろ森林をどうやってこれから維持していくかというような問題で、これはなかなか、私どもだけじゃなくて、またこれは農水省等とも御相談しながら、基本的には中長期的な問題として考えなきゃならぬと思いますけれども、そういったことも十分視野に入れてこれからひとつ勉強してまいりたいし、また必要に応じて対策も検討したいというふうに考えております。
赤松(正)分科員 大臣が次々かわると困りますね、なんということを言ってはいけません。
 大臣、この附帯決議の二番目に、「特定鳥獣保護管理計画の策定のための指針等を定めるに当たっては、野生鳥獣保護の専門家及び自然保護団体等の意見を広く聴く」、こういう項目が入っておりますね。ぜひとも、そういったいろいろ現場で自然保護という部分で苦労しておられる皆さんの意見を聞いていただきたい、そういう努力をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
大木国務大臣 私が今回改めて大臣になる前も、環境省で、私の前任者を含めて、また各担当官がいろいろとお話は聞いていると思います。
 そういうことでございますので、私も新しく大臣としてもう一遍現状をしっかりと勉強した上で、またそういった現地の方々の、いろいろな団体の御意見も私としても聞く機会を設けたいと思っております。
赤松(正)分科員 大臣は、さまざまなお仕事がおありですから、大気汚染等の問題、もっと優先度の高い問題がおありだから、なかなかすべてに対して目配りをしづらいということかもしれませんけれども、ぜひともこの問題、短期的にというか近視眼的にというか、今すぐにどうこうという問題ではなくても、長い日本のこれからというものを考えた場合に非常に重要なテーマであろうと私は思っております。
 さっき大臣も関係各省と相談の上とおっしゃっていましたけれども、一点、この有害獣駆除の許可権者というものを前回の法律の改正において各自治体にゆだねるという格好にしたわけですが、実際に野生動物の生息地というのは府県をまたがっているというケースが多いわけですし、自治体が単独でそういう駆除申請の審査を行うと地域の個体群を絶滅させる危険があるということもありますし、今まで駆除申請はほとんど一〇〇%許可はされている、こういうこともある。
 したがって、原則的に一遍市町村に渡したものをまた戻せというのは非常に難しい注文かもしれませんが、環境大臣のところにそういう有害獣駆除の許可権というものを戻すという主張に対しては、どういうふうに今考えておられるでしょうか。
大木国務大臣 これも、まだ新任の大臣として、どういうふうに行われてきたかということを十分には勉強していませんけれども、私の感じでは、今の駆除というのは、駆除が常に原則で、駆除のためにいろいろとどんどんやるということではなくて、やはり問題が起こって残念ながら駆除せざるを得ないという措置が行われているというふうに理解しておりますので、これはやはり現場をよく知っている都道府県の方々がまず第一義的には責任を持って判断していただくというのがいいのじゃないか。
 ただ、これからまた全国的にそういう問題が非常にたくさん出てまいりまして、例えば場所によっていろいろな扱いが違うとか、そういうような問題があれば、あるいは、全国的に非常にそういったものがたくさん出てきて、これはやはり国として何か総体的にとらえなきゃいかぬというようなことが出てくれば、それはまた一つ環境省として権限をどうということは出てくると思いますが、今の段階ではちょっとまだそこまで、すぐに取り上げるとか、自分の方で全部責任を持ってやるとかいうのは多少早いんじゃないかということを、私はこれはまだ新米なのでそういうことを申し上げますが、とりあえずの私の感触としてはそういうふうにお答えさせていただきます。
赤松(正)分科員 大変に、そういう大臣の答弁を聞くと、多くの皆さんが失望するような感じがいたしますね。
 人工林の行き過ぎ、さっき申し上げましたけれども、そういう環境省だけの問題でないということはよくわかります。ただし、だからこそ省を超えた政府全体の取り組みというものが必要になってくる。今大変なデフレで、デフレスパイラルに入るかもしれないというふうな状況の中で、クマの安全保障どころじゃないだろう、こういうふうに私も少し思わないでもありませんけれども、しかし同時に、やはり奥地の動物のすめる森復元に向けて、だれかがどこかで一生懸命考えなくちゃいけない、こういうふうに思うわけですね。
 そういった意味で、ぜひとも、今建設労働者の人工林の手入れ作業ですか、そういったものを、建設業界の不況状況の中で、なかなか仕事がないという人たちをそちら方向に回していこうじゃないか、そういう提案が与党三党の中で行われて、今回の予算の中にも反映されていると承知いたしておりますけれども、やはりそういうトータルな角度でぜひとも森の復元、そして、結果としてクマが出てきた、それで人間が被害を受ける、だから当座それをやっつけちゃえ、そういうふうなことじゃなくて、もっと根元的な部分をきっちりするという思想というものがやはり政府全体にないといけない、そう思うわけでございます。
 これは大変、大臣に聞いていると、大臣、また不勉強だと言われるかもしれない、局長、じゃ、この点についてお答えください。
小林政府参考人 先生の御指摘、生息環境の保全、整備、非常にもっともだと思います。この問題につきましては、個別の地域ごとにいろいろな問題を解決していくということが大切だと思いまして、先ほど申し上げましたように、平成十一年の特定鳥獣の保護管理計画、これが科学的に対応する、そういう制度でございますので、そういう中で、捕獲数をどうしたらいいか、生息環境をどうしたらいいか、そういうことを進めていく必要があろうかと思っています。
 兵庫県の場合も、現在いろいろ検討しておりまして、近々特定鳥獣、クマの保護管理計画を策定するということで調査もしております。林務関係部局とも相談して、クマの保全が図られ、また人身への被害も防除できるような、そういう計画をぜひとも実現していきたいと思っております。
赤松(正)分科員 今も兵庫県のクマの話が出ましたけれども、兵庫、岡山、鳥取、この東中国山地、西中国の山地もそうでしょうけれども、ツキノワグマが絶滅の危機に瀕している、そういうふうな危機意識を持っているわけですけれども、そういうことに対する緊急の対応措置も必要であろうか、そういうふうに思います。
 またその一方で、和歌山におけるタイワンザルの問題、いわゆるタイワンザルとニホンザルが混血をして、結局、移入種、外国から移入されたそういう動物が混血を起こして、たくさんふえて、そして人間に被害を与えるというようなことから、和歌山ではそれを全部捕獲しちゃえというような話になっているようですけれども、それもやはり大変に、原因と結果というものを取り違えた、そういうその場対応のやり方ではないのかなという気がいたします。
 時間がありませんので、この二つについても対応を聞きたかったんですが、その辺のことについての対応措置というものをしっかりしていただきたいということがまずあります。
 あわせて、冒頭にも申し上げましたけれども、この国会で、三年たった上でのいわばこの鳥獣保護法の改正という問題が起きてくるわけですけれども、これから、現在その保護法の改正に向けての検討が行われていると思いますけれども、どういった観点で今考えられているのか、それについて、じゃ、局長の方からお願いいたします。
小林政府参考人 鳥獣保護法の改正について御説明申し上げます。
 現在法制局で審査をいただいておりますけれども、この法律、大正七年の非常に古い法律で、口語体ではなく、片仮名書きの文語体の法律で、大変読みにくくなっています。これを平仮名書きにして、国民の方々にわかりやすい形で出したいと思っています。
 ポイントは、どうしてもやらなきゃいけないことは、狩猟免許を取るに当たって欠格事由が公正じゃないんじゃないかということもありまして、これは政府全体の方針ですけれども、欠格事由の見直しをします。それから、鉛製散弾の使用を禁止する区域制度を創設しよう、こういうふうなことを中心に法改正の準備を進めているところでございます。
 ただいま先生から御指摘いただきましたいろいろな課題がまだたくさん残っております。鳥獣保護をめぐっての課題については、非常にいろいろな両側の意見がまだ十分集約できていない状況でございまして、現在、自然環境局に学識経験者、NGOを含めまして、行政担当者も含めました検討会を設置して検討してございます。
 特定鳥獣保護管理計画につきましても、実態が、まだ十分制度見直しの実態まで把握できておりませんものですから、そういう実態を踏まえまして、次の機会にでもまた、必要があれば法律を改正するということも念頭に置いて検討を進めているところでございます。
赤松(正)分科員 今のお話を聞いていると、うん、これはまたなかなか難しいというか、そういう自然保護団体の皆さんの要求を満たすような改正には至らないなという感じを抱きました。さらに三年後の見直しというふうになるんじゃないかということを恐れるんですけれども、ぜひともそんなことを……(発言する者あり)悠長なことを言うなという今応援団があらわれましたので、ぜひともしっかりとやっていただきたいと思います。
 そして最後に、大臣、ぜひとも、私が少し勉強しましたと同じように、お忙しい身で恐縮でございますが、日本熊森協会の皆さんに会ってやっていただきたい。これは陳情を申し上げて、お答えいただいて、終わりたいと思います。
大木国務大臣 私、さっきから勉強不足のことばかり申し上げておりますが、私も三年半ぐらい、ちょっと途中でブランクがあったんですけれども、戻ってまいりまして、なかなか各地の御要望とそれから政府がやる施策について、やはり何か時間差というか、少し遅いなというものもありますから、これはひとつ私も新しい大臣として懸命に勉強させていただきたいと思います。
 それから、いろいろな方との面会の話につきましても、もちろん時間があればできるだけお目にかかりたいと思っております。
赤松(正)分科員 ありがとうございました。
北村主査 これにて赤松正雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、赤羽一嘉君。
赤羽分科員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 大木大臣、このたびの環境省大臣御就任、本当におめでとうございます。京都会議の名議長であられた大木大臣が、今回、京都議定書の削減目標にどういうプロセスをとっていくのかと、一番大変大事なこの時期に環境省の大臣に御就任されたこと、大変喜ばしいことだというふうに思っております。
 ちょっと順番は逆になりますが、大きな問題でもございますので、この京都議定書の削減目標についてまず最初に触れさせていただければと思います。
 このCO2排出量世界一位のアメリカが、なかなか京都プロセスに入ってこない中で、去る二月十四日、米国ブッシュ大統領が、気候変動政策に関する談話、こういったものを出されました。いろいろな、環境省からも談話が出ておりますが、ヨーロッパの中では、一歩前進ではあるけれどもまだ京都議定書の外に入っているという厳しい評価をされている国もございます。
 この点につきまして、ちょっと具体的な通告はしておりませんが、大きな問題でもございますので、環境大臣に改めて御見解、また今後アメリカとのかかわりについて御見解をいただければと思います。
大木国務大臣 アメリカが、先般ブッシュ大統領が訪日しましたが、その直前にアメリカ案なるものを出してきた。アメリカもさすがに、これが京都議定書にかわるもので、それを中心にしてみんなでやってくれとまでは言っておりませんけれども、とりあえず京都議定書には参加できないので、自分は自分でやるといいますか、そういう案を出してきたわけであります。
 これに対する各国の評価ですが、ヨーロッパの各国、EUメンバーの各国は、やはりこれは非常に不満であるということで、それは将来的にはアメリカはもっと前向きのものを出してもらいたいと言っておりますけれども、とりあえずは、EU各国としては、自分たちがまずは京都議定書の批准に向けて、できるだけ早くそれをやりたいと言っております。
 また、私も大臣就任以降、アメリカはもちろんでありますけれども、ヨーロッパの各国の環境大臣等と電話会談等でいろいろと意見を交換しておりますが、ヨーロッパとしては、とにかく京都議定書の批准をできるだけ、ことしは御存じのようにヨハネスブルクの会議もありますから、その前に何とかして発効できるように、少なくとも各国としては自分自身の批准を進めるということで努力をしておりますので、そういった中で日本としても一生懸命やりたい。
 ただ、アメリカと全く話をしないということではございませんので、今申し上げましたように、ブッシュの提案の中にも一緒に勉強できるものはあるわけですから、例えば科学技術の検討とか、あるいは開発途上国に対する協力とか、そういったものは十分できるわけですから、これについてはまたいろいろと、大臣レベルを含めまして、これからも日米協議も続けてまいりたいと考えております。
赤羽分科員 ありがとうございます。
 ブッシュ大統領が訪日されたときに、もう少しこの点は総理からも踏み込んでもよかったのではないかなというふうに私は思っております。何より、世界一位の排出量の国がそのスキームの中に入ってこないとそのスキームは機能しないというのはやはり自明の理だと思いますので、アメリカ抜きの話ではなくて、常にアメリカにも働きかけ、実質的に削減目標の達成が進むような方向に御努力をいただけるようによろしくお願いをしたいと思います。
 また、小泉総理のこの通常国会所信表明演説でも、これまでになくというか、ページ数にして二ページにわたって環境政策について触れられている。まさに二十一世紀、環境問題抜きにして語ることはできないあらわれの一つだというふうに思っております。
 しかし、大事なのは、アメリカがどうのこうのとかいろいろ言っておりますが、その一方で日本の削減目標が達成できるのかどうか、大変私はシビアな目で見ておるんです。一九九〇年を基準年にして、目標期間二〇〇八年から二〇一二年まで、数値目標は一九九〇年の基準年の六%減ということでありますが、もう既に二〇〇〇年度では、これは環境省の資料でありますけれども、大ざっぱな数字としてもプラス一〇%になっている。このままで行くと、二〇一〇年にはさらにプラス一〇%になる、最終的に実質マイナス二六%の削減をしなければいけない、こういう実態ではあります。
 その中で、三つの原則、国内対策に関しての三つの基本原則のところを読みますと、過度な負担の回避、二つ目が負担の公平性、三つ目は経済合理性と柔軟性の確保、こう出ておりまして、本当にこれを達成する気があるのかなと。もちろん、経済と相反するような削減をしても余り意味がないのは当たり前でありますが、私思うんですけれども、環境省がとにかく強気なまでに旗を振らない限り、なかなか実効が伴わないのではないか、こういうふうにすごく思っております。
 内閣府が取りまとめていろいろな資料をつくられても、どうも排出削減の方は具体的なものが出てこないというか、出てきてもすごく小さな話。書かれているのは、森林をふやして吸収源を、だれもが反対しないようなことは堂々と活字にもなるんですが、排出源の方を具体的に切り込むというのはなかなか書かれていない。
 今、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部改正も検討されていると思いますが、ここでどれだけ強制力というか、結果としての強制力を持つことができるかどうかということが大変重要なのではないか。強制力と言うと、マイナスの、後ろ向きのような話に聞こえますけれども、これは環境省もよく言われておりますが、環境に優しいという角度で新しい産業の需要効果、需要を創出するということはできるわけでありまして、その発想の切りかえをどうさせていくかということで、環境省の役割というのは大変大きな役割があると思います。
 どうしても何となく、調整官庁で財布がなくてやりにくいというこれまでの流れはあるかもしれませんが、しかし、ここは私、二十一世紀、環境問題は国民の当たり前のこととして大啓蒙運動だというふうなぐらい重い問題だと思いますので、テーマだと思いますので、このテーマ設定をしっかりして、この新しい法律でも、少し強く書き込んで、経済産業省、国土交通省といったところが嫌々従わなきゃいけないような、そういう具体的なものを持たないと、世界がどうだとかアメリカがどうだとかと言っている前に、日本のこの削減目標が達成できなければ全く私は茶番になってしまうと思いますので、その点についてのお考えをお聞かせいただければと思います。
大木国務大臣 叱咤激励を含めての御質問をいただいたわけでございますが、確かになかなかまだ見えてこない面もあると思いますが、いつも言っておることですけれども、六%削減、その数字を達成するためにいろいろなものを積み上げていかなきゃいかぬわけです。
 これは先生もよく御承知のことを私も繰り返して恐縮ですけれども、例えばCO2の排出源を大別しますと、産業、それから輸送交通、それと民生ということになりますと、日本の産業界は大変努力して、特に二度にわたるオイルショックなどを経験しておりますから、省エネという面では非常にまた一生懸命やっておる。これ以上なかなかやる余地が少ないなということは事実だと思うんです。
 しかし、いろいろと科学技術も発展してきておりますから、実はきのうもちょうど官邸で燃料電池の説明をしていただいたんですが、これも、例えば今の京都議定書の一応の対象年次が二〇一二年までですから、一二年までには相当なものができてくるんじゃないかというような感じを持っております。
 だから、あらゆるものを、今言いましたように、産業界だけではなくて、交通輸送の面でも、あるいは民生でも、特に民生の方はそういうことで国民お一人お一人がやはり京都議定書の目的達成のために御努力いただかなきゃならぬ、協力していただかなきゃならぬということで、先ほどもちょっと申し上げましたが、環(わ)の国くらし会議というようなものもやり始めまして、いろいろなところから、それこそ本当に国民のお一人お一人が毎日の生活の中で、自分は一体、京都の六%の数字にどういうふうにして関与できるかというようなお気持ちで生活していただくというようなところまで持っていかなきゃならぬというふうに思っております。
 もちろん、各省にも大変に御努力いただいておりますし、総理を長といたします会議にも、これは全大臣が参加していただいて、そういう体制もつくっておりますので、ひとつまたどうぞ国会の方からも御支援をお願い申し上げたいと思います。
赤羽分科員 民生の部門でのというのは、まさに私は啓蒙運動だ、少々窮屈を感じても、これは二十一世紀というのはしようがないんだな、こういうライフスタイルをどう浸透させていくか、啓蒙していくかだというふうに思っております。
 部会でちょっとこの前同じ発言をしたんですが、例えば今、シンガポールのホテルなんかに行きますと、かごが置いてあって、そこにバスタオルを置かないとそれはかえてくれないんですね。ベッドの上なんかに置いておくと、そのままになっている。えらい五つ星のいいホテルのはずなのにという思いはあるんですが、いや、そうじゃないんだなと。シンガポールというのは、そのくらいすごくシビアに、環境ということのかかわりは自己責任なんだと。
 これは、大変窮屈な感じなんですけれども、非常に学習もさせられて、そういったことというのは、やろうと思えばすぐできるんですね。ホテルがどうのこうのとかすぐ日本は言うんだけれども、そうじゃないんだと。私は、すべての大義名分は、環境問題というのは大義名分になると思いますので、そういったことは一つ一つ、細かいようなことですけれども、具体的に強制力を持って進めていくことが大事だと思います。
 それは環境省が一生懸命、主管がこれは国土交通省だからとかいって球を投げられた瞬間に、剛速球もスローボールになってしまうので、ぜひ環境省は旗を振っていただきたいなと。旗を振れば振っただけ、そのとおり決着しないですから、多分ブレーキは絶対かかると思いますので、その点だけぜひ、重ねてですがよろしくお願いしたいと思います。
 次は、自動車のNOx法の施行について、ちょっと確認をしたいんです。
 この自動車のNOx法について、PMもあるんですけれども、要するに、NOxとかPMの排出量の密度が一つと、もう一つは自動車の保有台数の密度、三つ目が走行量の密度。
 これは、どこをNOx法の対象地域にするかという選定要件というのを全国で環境省がお調べになられていて、NOxの排出量の密度かつ自動車保有台数の密度、そして走行量の密度といったところで全国、首都圏ですとか阪神圏ですとか、まあまあ人口集中度が高いところというか自動車が高いところ、結局、選定要件が三倍から四倍のところが網かけになっているわけです。これは、ちょっと見えないかもしれませんが、関西圏ではこういう網がかかっている。その網がかかっているところを指定して、ここの例えばNOxの密度、あとは浮遊物質、PMの密度を下げることをやっていこうというのがこの法律の趣旨であると思うんですね。
 その趣旨の具体策として二つある。一つの柱は、車の性能を低公害型というか、大気汚染防止法に準じた、NOx法に基づいての性能のいい車にかえていく努力。もう一つの柱が、その地域の走行量を減少させる努力。この二つをもってNOx法というのを機能させていこうというふうに説明も受けて、私もそう理解をしておるのですが、そういったことでこのNOx法については実施される、そう考えてよろしいですか。政府参考人で結構でございます。
西尾政府参考人 自動車NOx・PM法につきましては、先生御指摘のとおり、これは、大都市地域におきます自動車による大気汚染を解決するということでございますので、大都市地域を限定いたしまして、今の車種の規制をやっていく、車種を低公害のものにしていくこと、それから、事業者にいろいろ努力していただいたり、あるいは関係自治体、国が努力いたしまして総合的な対策を講じていく、二つの柱でやるわけでございます。
 今御指摘になりましたように、その対策地域をどこでやるのかということでございますけれども、これは、自動車の交通が集中していまして、大気汚染防止法等の施策のみでは、この窒素酸化物あるいは粒子状物質の環境基準の確保は困難な地域でやるんだということで、具体的には、今御指摘になりましたように、走行量の密度、それから自動車の保有台数の密度、それから自動車から出ます汚染物質の排出密度というものを指標にいたしまして、全国の平均の三倍から四倍といったような高密度の連担した地域ということを対象地域とするということでございまして、今回は、そういう地域につきまして、首都圏の方の地域、それから中部の方の地域、大阪、兵庫の地域ということで、関係府県の意見も聞いて地域を選定いたしまして、昨年の十二月に指定したところでございます。
 今後、細目を詰めまして、本年の五月、それから車種規制につきましては本年の十月から施行したいというふうに考えているところでございます。
赤羽分科員 関西圏でいいますと、大阪府と阪神間の尼崎、神戸という、この兵庫県の沿海部ですね、瀬戸内海のところがかかっているわけなんですが、この考え方はいいんです、地域を設定して、その地域の濃度を下げていこうと。ですけれども、その手法に、私はかねがね言っているんですが、一つ大きな欠陥があると。
 それは、この地域の密度、濃度を下げるために、その地域の所属の例えばトラック業界、トラック業者に対して規制がかかるわけです。しかし、その前提は、その地域を走るトラックはその地域所属のトラック業界だけだったら、それは非常によくわかるんですよ。しかし、そんな話じゃないのはもう明々白々であります。
 阪神間というと、それは大阪が大消費地です。中国道にしても山陽道にしても、よく見ていただければわかりますが、大型トラックというのは、他府県のナンバーが物すごく多いんですね。岡山県なんというのは、ある意味では四国との物流の結節点ですから、福山運送という有名な会社もあるように、あれは広島ですけれども、そういった他府県の車がこの対象地域の中をやはり走っているのが事実なんですよ。
 そうすると、何が問題かというと、他府県の所属の運送業者に対しては、この性能転換、車種の転換の規制は実はかからない。しかし、兵庫県の神戸市だとか尼崎だとかというこの地域の中の所属のトラック業者についてだけは規制がかかる。
 ですから、地元の業者は一生懸命、このやりくりの大変な、トラック業界というのは大変なんですね、今は物すごい値段の指し合いで。本当にそこから、過積載の問題とか、二十四時間労働の過剰労働とかという大変な問題が出ている中で、さらにコストを下げなければ、努力をしなければいけないという別の問題が出てくる。競争相手は規制を受けない。自分たちはこの地域のために規制を受けて頑張っているのに、実は、自分たちが頑張って濃度は下がっても、隣接県の、例えば岡山県の業者は規制を受けずにばんばん走る、これはどう考えてもおかしいんですよ。
 きょう、奥谷政務官もいらっしゃっていますが、地元のトラック業界はこの問題を物すごく厳しく言われていまして、私も大臣政務官も同じようなことを言われて、少なくとも合理的な説明ができないんですね。もともと、環境省的な発想でこうされたんじゃないか、こう推測しますが、この物流の問題も考えないと何かおかしな環境行政になって、私は、やはり中国道の走行の実態にかんがみて、岡山県がいいのかどうか、そこの線の引き方はテクニカルには難しいと思いますが、今の発想、その地域の密度がどうのこうのということだけじゃなくて、ぜひ、もうちょっと物流実態に合わせた対象地域の書き方をするべきだと思いますが、その点について、まずどう理解をいたしますか。
西尾政府参考人 対策地域の選び方でございますが、先ほどのような基準で選んでおりますけれども、こういう形で、一つの連担をした大きな大都市地域という区域を囲い込みますと、当該区域内の車両、これにつきましていろいろな統計のとり方があると思いますが、私どもの手持ちの統計では、やはり当該地域内の車両が大体九割方以上の交通量を有しているというふうに考えておるところでございます。
 ただしながら、この地域内の事業者の方々には、車を切りかえていただくということで大変な負担をするわけでございます。私どものところにも、運送業界、各方面の方々もいろいろお話に来ておられます。そういうこともございまして、この円滑な施行、事業者の方々が円滑に施行できるということから、実際にやります場合の準備期間も、都合二、三年の準備期間を設けていこうというような事柄、あるいは、こういう切りかえに際しましての自動車取得税の減免といったような税制上の優遇措置なども講じていこうというような努力はしているところでございます。
 この自動車対策はなかなか難しゅうございますので、いろいろ検討の上、今のような施策をとっているところでございます。
赤羽分科員 今の施策をとっていただいて、ソフトランディングしていこうということはよくわかりますが、今、西尾さんが答弁で言われた、多分この兵庫県における交通量の内訳という資料だと思うけれども、こんなのはうそっぱちなんですよ。
 何がうそっぱちかというと、これは別に、トラック業者だけの数字じゃないんですよ。自家用車も入った数字ですよね。自家用車を入れちゃったら、圧倒的に自家用車の方が多いんですよ、この数字が。トラック業者の、要するにどういう競合関係になっているのか知りたいと言っているのに、結果として人の目をごまかすようなこういう資料を出したらあきませんよ。(発言する者あり)伊吹先生にも言っていただいたので、大臣政務官、同じ悩みを抱えている議員として答弁を、もしあれば。
奥谷大臣政務官 私、政務官で初答弁の機会を与えていただきまして、その同じ選挙区内の議員として感謝を申し上げる次第でございます。
 この法律につきましては、私も、地元からも同じ趣旨の陳情を受けまして実は悩んでおったところであります。人の健康、大気汚染防止、こういったこと、それからその地域内の業者あるいはそれ以外の業者、いろいろなところからいろいろな御意見を伺いまして、しかしながら、どこかでそれを線引きしないといけない、何か一つの制度をつくらないといけないというぎりぎりのせめぎ合いの中で今回の法律に至ったと私は考えております。
 その資料につきましては、私も詳しく存じ上げておりませんので、しっかりとまた調査をしたいと思っております。
赤羽分科員 環境省の説明の根拠がこのような表であるならば、その説明は成り立たないわけですから、ぜひ実態を調査するように、兵庫県に命じるような形でもいいと思いますから、これは兵庫県の問題でもありますし、一つのルールとして施行するのはいいけれども、現場の業界の人たちがまじめにそういう声を上げているのでありますから、ぜひお願いしたいと思います。
 これは、岡山県とかその沿道の業界に規制を求めることは大変だという話にはならないわけですよ。環境省的な立場でいったら、私は、それは全国にかけろとは言いませんけれども、基本的にそういう規制をかけるのが、そういう時代になっているんだということをまず環境省は旗を振るべきだというふうに思いますので、ぜひ、まず物流実態を踏まえた上で、この制度をよりよきシステムにするように取り組んでいただきたいと思いますが、大臣、短く御所見をいただけたらと思います。
大木国務大臣 いずれにいたしましても、適切な行政というのは実態に即応した施策ということでございますので、その資料の整備を含めて、これからも努力をしてまいりたいと考えます。
赤羽分科員 それでは最後に、これは農水省の所轄ではあるんですが、肉骨粉の焼却についてちょっと確認したいと思います。
 実は、肉骨粉、先ほど農水大臣の方からもありましたが、二月十五日現在で、保管というか、焼却ができずにいるのは十万八千トン、焼却したのは約二割、二万数千トン、こういった状況なんですね。
 現在、毎日毎日肉骨粉というのは九百トン製造される。現状で焼却ができるのは五百三十トン。実に十万トン以上の在庫があって、大変心配しているのは、夏になるとやはり腐敗して、においも物すごくきついものですから、そういったものが出てくるとより焼却しにくいんじゃないか。現状は、毎日毎日四百トンの在庫がふえていく、こういう実態なんですね。
 先ほど農水省にも、それは本当に厳しく取り組むべきだということはただしたんですが、現状は、全国の焼却炉に持っていくわけですよね。肉骨粉を製造しているレンダラーの工場とすぐその同じ県内に一般の焼却場というのがなかなかないものですから、他府県、県を越えての話になる。そうすると、県を越えると、ほかの県にしてみればある意味じゃ迷惑な話だということで断る。
 ここに一覧表、これは環境省の廃棄物・リサイクル対策部からいただいた資料ですけれども、全国に施設数が千五百七十七あるんですけれども、実際、受け入れ可能な施設は百三十五しかない。一割に満たないんですね。一方では、毎日四百トンずつ肉骨粉が保管されていく、保管というか野積みになっているところも実はあって。
 こういったこと、制度的には強制できないんですよ、ひたすらお願いするだけ。お願いするだけの話で、このままでいいのかということなんですね。農水省の問題だといえばそれまでなんですが、ぜひ環境省としても、この部分については何とかもうちょっと具体的な取り組み方、セメントの方も期待はされておりますが、セメントも、毎日の焼却量というのは目標としても四百五十トンぐらいで、一般焼却施設として六百五十トンを何とか焼却できるようにしたい、このように農水省としては計算を立てていますけれども、なかなか今のままでは、制度もないわけですから、具体的な進捗が出ない。
 そういった中で、環境省、この問題についての取り組みに対する考え方を聞きたいんですけれども。
大木国務大臣 もし細かいあれが必要でございましたら、また後で参考人から御説明いたしますけれども、きょうもちょうど朝、農水大臣とも話をしたんですけれども、とりあえず環境省としては、今お話のございましたセメント工場、これの活用を含めて、できるだけ早く処理ができるようにということで努力をしております。
 乳廃牛の処理の問題、それから骨粉の話、これは二つつながっておる話ですから、これを上手に処理していきたいということで懸命に努力しておりますが、まだ、おっしゃるとおりになかなか強制的にできないという面もありますから、これは今後の問題としてまた十分に検討してまいりたいと思います。
 とりあえずは、農水省とも十分に協議をしながら、できるだけ早く処理できるようにということで頑張っておりますので、よろしくお願いします。
赤羽分科員 今、大臣の御答弁の中にありました死亡牛、へい死牛というのですか、死亡牛の焼却も施設が圧倒的に足りない。その中で、これは環境省の補助政策というか、補助プログラムの中でやろうとされているように聞いておりますが、この点について、政府参考人から御答弁いただけますか。
飯島政府参考人 死亡牛の焼却処理の件でございますが、先生御指摘のとおり、農林水産省から要請を受けまして、環境省の施設補助のスキームを使って、これは時間はかかりますが、これから施設を整備するわけですけれども、環境省の補助のスキームを使って整備をしていこうということで準備を進めているところでございます。
 なお、肉骨粉につきましては、まさに先ほど大臣が申し上げたとおりでございますが、現在、市町村に対してたび重なる要請をいたしまして、先ほど日量でおっしゃいましたが、年間で十二万トンの受け入れ能力がございます。
 それに加えまして、それを上回るセメントでの処理について現在認定作業をしておりまして、何と、全国三十六工場あるうち二十七の工場から申請があって、既に十六の認定をしております。これが間もなく始まるというふうに期待しているところでございます。
赤羽分科員 最後に、公明党の先輩でもあります山下副大臣に。この問題は農水省の問題ではない、国民全般にかかわる問題であるがゆえに、環境省としてもぜひ主体的に取り組んでいただきたい、私はそう切望しておりますが、その点について御決意と御見解をいただいて、質問を終わりにします。
山下副大臣 一月に副大臣の任命を受けました山下でございます。
 今もお話ございましたように、この肉骨粉の焼却処理、また廃牛の焼却処理の問題ですけれども、私は、全体の処理数、そして一廃、またセメント工場の処理能力がどれだけあるのか、そういう観点をきちっと計画を立ててやっていくということは当然であると思うけれども、一方で、それ以外の廃棄物もあふれておるわけでございまして、その処理もせないかぬ、そういう根本的な問題があるということを忘れてはならないと思うんです。
 焼却した後にはもちろん焼却灰も出てくるわけで、それを最終処分する埋め立ての場所も逼迫しているという状況の中で、これからもこのような問題が突発的に起こってきて、焼却をする必要があるというふうなこと、起こってはならないわけですけれども。そんなふうに考えていきますと、循環型社会形成推進基本法ができましたけれども、これに対する認識を厳しくしていかないと根本的には解決に結びついていかないというふうに私は思います。
 ただ、目前に迫った、今おっしゃいましたように夏が来たらどうするんだというふうなことがありますので、環境省の取り組みがもちろん問われているわけですけれども、国挙げてこれをどうするのかということを、農水省、環境省だけの問題ではなくて、自覚してやっていかないと、恐ろしい話だなということを今改めて赤羽議員の質問を聞きながら感じた次第でございます。
 しっかりと厳しい認識の上に立って、何ができるかということを真剣に模索し、また環境省ができる提言をしてまいりたいというふうに決意を新たにしたところでございます。
 以上です。
赤羽分科員 ありがとうございました。
北村主査 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二十分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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