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第1号 平成20年2月27日(水曜日)

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本分科会は平成二十年二月二十五日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      逢沢 一郎君    斉藤斗志二君

      坂本 剛二君    山本 幸三君

二月二十六日

 山本幸三君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十年二月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 山本 幸三君

      逢沢 一郎君    斉藤斗志二君

      坂本 剛二君    安井潤一郎君

   兼務 平  将明君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   経済産業副大臣      中野 正志君

   経済産業大臣政務官    山本 香苗君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 高橋 正樹君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           平尾 豊徳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     勝野 龍平君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           鈴木 英夫君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    福水 健文君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  斉藤斗志二君     安井潤一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  安井潤一郎君     斉藤斗志二君

同日

 第五分科員平将明君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計予算

 平成二十年度特別会計予算

 平成二十年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

山本主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしくお願いいたします。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算及び平成二十年度政府関係機関予算中経済産業省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。甘利経済産業大臣。

甘利国務大臣 平成二十年度の経済産業省関係予算等について御説明を申し上げます。

 今、日本の経済は、戦後最長の景気回復を続けておりますが、一方で、中小企業や一部の業種、地域については回復状況におくれが見られ、また、株価や原油価格の変動、海外経済の動向が景気に与える影響について十分な注視が必要です。また、人口減少、国際競争の激化、厳しいエネルギー・環境制約など、構造的で早急な対応を迫られる課題を抱えております。

 こうした課題に対応するため、平成二十年度予算は、厳しい財政制約のもと、以下の柱を中心に、めり張りのある予算編成を行っております。これらには、福田内閣としての新たな経済成長戦略の芽となる施策を盛り込んでおります。

 第一の柱は、地域・中小企業の潜在力発揮による成長の底上げであります。

 地域や企業規模によって業況にばらつきが見られる中、成長の果実が地域や中小企業に広く行き渡るようにすることが不可欠です。大企業と中小企業、都市と地方、製造業と農林水産業やサービス業のつながり力の強化のためにも、農林水産業と商工業との連携を支援するとともに、団塊世代の大企業人材を地域中小企業につなぐ新現役チャレンジプランの推進や、ITを活用した中小企業の経営力向上支援、地域連携拠点の整備、事業承継への支援を行います。また、地域の技術力を結集、融合したイノベーションの創出や産学連携による人材育成にも取り組みます。さらに、中小企業の資金調達の円滑化や、下請適正取引等の推進、事業再生支援の強化に取り組みます。

 なお、現在中小企業が原油高や建築着工のおくれ等の影響を受ける中、中小企業の年度末の資金繰りに万全を期すため、金融面での対策や下請適正取引等を柱とする、年度末に向けた中小企業対策の実施に全力を尽くします。

 第二の柱は、安全、安心の確立と高信頼性産業の創出であります。

 新たな経済成長戦略の柱として、安全、安心、信頼といった日本の持つ強みをさらに突出させ、イノベーションの加速を図ってまいりますが、こうした観点からも、来年度予算においては、次世代環境航空機や次世代軽水炉、医療機器といった高信頼性産業群の創出に向け、研究開発に取り組んでまいります。加えて、知的財産制度の国際調和の推進や国際標準化の推進等に取り組みます。

 また、国民の安全、安心の確保については、製品安全情報の分析や悪質商法に対する消費者保護の体制の強化、原子力発電所等の安全対策を強化してまいります。

 第三の柱は、地球環境と成長の両立に向けた我が国のリーダーシップの発揮であります。

 本年は地球温暖化対策のかぎとなる年です。京都議定書の目標達成に向け、中小企業等の温室効果ガス排出削減支援、省エネルギーや新エネルギー、原子力等の一層の促進を図ります。

 また、北海道洞爺湖サミットなどを通じて、京都議定書後の新たな枠組みを、すべての主要排出国が参加する実効あるものとするよう我が国が主導的役割を発揮し、国際的な議論をリードするとともに、二〇五〇年までに世界全体の温室効果ガス排出量を半減させるとの長期目標を達成するための革新的技術開発に取り組みます。

 対外政策については、WTOドーハ・ラウンドの年内妥結や、東アジア包括的経済連携構想の実現に向けた取り組みを推進します。また、アジアの英知を結集する東アジア・アセアン経済研究センターの本格的立ち上げを支援し、アジア経済・環境共同体構想の実現を目指します。米国、EUを含めた大市場国、投資先国とのEPAについても、将来の課題として検討し、可能な国、地域から準備を進めます。さらに、模倣品・海賊版拡散防止条約構想の早期実現に向けた取り組みも推進します。

 資源・エネルギーの戦略的展開にも積極的に取り組んでまいります。資源の少ない我が国にとって、エネルギーの安定供給確保は国民生活に直結する重大な問題です。資源外交の戦略的展開やレアメタル等の鉱物資源の安定供給確保、省エネ、新エネ対策の一層の推進に取り組みます。加えて、地元を初めとする国民の理解を得つつ、安全確保を大前提に、核燃料サイクルを含む原子力を推進するなど、総合的なエネルギー政策を遂行します。

 以上の施策を中心に、平成二十年度の経済産業政策の実施に向け、当省予算として、一般会計で総額一兆二百五十八億円を計上しております。このうち、中小企業対策費は対前年三・五%増となる千三百四億円、科学技術振興費は対前年一・一%増となる千四百七十七億円を計上しております。

 特別会計につきましては、エネルギー対策特別会計に七千二百十六億円、貿易再保険特別会計に二千百二十一億円、特許特別会計に千二百二十八億円を計上しております。

 なお、経済産業省の平成二十年度予算及び財政投融資計画の詳細につきましては、お手元に資料をお配りしてありますので、説明を省略させていただきたいと存じます。

 何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。

山本主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま甘利経済産業大臣から申し出がありました経済産業省の平成二十年度予算及び財政投融資計画の詳細な説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本主査 以上をもちまして経済産業省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山本主査 この際、質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井潤一郎君。

安井分科員 おはようございます。ただいま御紹介賜りました安井でございます。

 二〇〇五年の九月の総選挙で、東京ブロック比例候補ということで国会に送っていただきました。二年五カ月の間、国会で感じたこと、そして、私は昨年の四月まで地元早稲田の商店会長を十五年務めさせていただき、今も現職で新宿区商店会連合会、四千三百店舗が加盟しておりますが、この副会長、そして東京都食肉事業協同組合、いわば東京のお肉屋さんの集まり、ここの常務理事を務めさせていただいている。いわば現場の皆さんのお声をこの国会に反映させるのが私の仕事だというふうに感じております。

 今、甘利大臣から、平成二十年度の経済産業省の全体の概要を御説明いただきました。中でも、中小企業対策としては、付加価値の創造、農商工連携の促進、地域資源活用プログラムの推進、人材能力の向上、そして事業環境の整備ということでは、資金調達の円滑化、下請適正取引等の推進、地域中小企業の再生支援、そして経営力の向上、頑張る小規模企業応援プランの推進、事業承継の円滑化、まちづくりの推進、商店街の活性化等々、お話をいただきました。この部分、現場の声を交えて質問をさせていただきたいと思います。

 私は、国会議員にさせていただいて、一番最初に出たのは実は農林部会であります。米一粒もつくったことはありませんし、魚一匹釣ったこともございません。ただ、私のところは小さな小さな食料品スーパーでしたので、野菜も肉も魚も売っておりました。その産地から選出された先生方がどんなことをお話しされているのか。ちょうどそのときの農林部会のテーマが健全な農業経営、それがテーマでありました。

 行ってびっくりしました。何がびっくりしたかというと、日本の農業は疲弊しているとか、これ以上補助金がなくなるとつぶれる等々、私どもは小なりといえども事業者、経営者でありますので、お金くれなんて言ったことは一度もありません。低利の使いやすい融資制度をつくってくださいとお願いしたことはあったとしても、金くれなんて一言も言っていない。もっと言うと、金が出ると知恵が引っ込むという、そんな思いを持っていた私が、国会の農林部会というところに行ったら、みんな、お金くれと、こういう話であります。

 それと同時に、経営という言葉を使いながら、いわばお客であります消費者の話が全く出なかった。新人議員ですから少しは静かにしていろと言われたのですが、おずおずと手を挙げて発言させていただきました。経営経営と言いながら、お客のことを考えないというのはいかがなものですかというふうに言ったら、そのときの部会長が、全く新しい切り口からの御発言ありがとうございましたと。いいから座れということだったんだと思いますが。

 今回、農商工連携、初めてこれを看板として打ち出していただいた、大変すばらしいことだと思っております。農商工連携には、やはり生産現場である第一次産業だけではなくて、つくったものをどう売るかというところの方も、もっと農林水産省の方では目を開いていただきたいな、目を向けていただきたいなという思いが前からありました。

 今の現状出ております農商工連携というのは、産地に企業誘致等々の部分ですが、私どもは、第一次産業でできたもの、そのすばらしいものをどう販売していくか、こちら側にも若干のサポートを、具体的に言えば補助事業等々、八百屋、肉屋、魚屋さんにもっと補助があってもいいのではないかと。

 ただ、今の現状の八百屋、肉屋、魚屋がそのまま残るとは思っていません。よく、商店街はがたがただとか、八百屋、肉屋、魚屋がなくなったと言いますが、その御近所に住まわれている方は、野菜を食べていないのか、肉を食べていないのか、魚を食べたことがないのか。一人もいらっしゃいません、皆さん召し上がっています。ということは何かというと、八百屋、肉屋、魚屋は必要なかったんです。必要がないから淘汰されたのであります。だったら必要のある商売にしていったらどうだということで、モデル事業の構築というのをやはり大事な一つの側面に持つべきではないだろうか。

 具体的に言うと、肉屋であれば、ヨーロッパの肉屋の売り上げの八割は、自家製のハム、ソーセージ、ベーコンであります。一割がデリカテッセンで一割が生肉であります。食文化が違いますから、全く日本で同じようになるとは思いませんが、もしここの部分体にサポートをしていただければ、おれも肉屋になるよ、私も食肉業界に入りますよということになれば、新しい血が入るのではないかということであります。そして、八百屋さんにとってみれば、すばらしいものは、確実にお客さんはまないたも包丁も取り出してきて料理をされるということであります。

 モデル事業の構築に対して、経済産業省そして農林水産省はどうお考えになっているのか。そのモデル事業の中の一つとして、実は昨年十月の十四日に、私どもの地元でアンテナショップというのを立ち上げました。これは、農林水産省の広域連携交付金が栃木県の茂木町におりた、この部分体を私どもの地元で、約二十坪のスペースなんですが、アンテナショップとしてやりました。大変評判がいいのであります。何かといいますと、ここのお店のコンセプトは、いわば町の役に立つということであります。ですから、やっている内容はもちろん地域間交流でありますし、都市と農山漁村の共生・対流、そして環境活動、障害者の就労支援の場ということであります。

 この春からは紙を集めようということになりました。日本の紙が全部中国に行っちゃうということで、紙を集めてほしい。そして、私ども新宿区、基礎的自治体新宿区は、一カ月間に二回の資源ごみ回収であります。ですから、半月間、古新聞、古雑誌を家の中に置いておくのは嫌だという、そんなお客様の声を聞いて、だったらこのアンテナショップで集めよう。集めた紙を雑誌、チラシ、新聞紙に仕分けする。だれが仕分けするか。障害者であります。知的障害、精神障害の皆さんに仕分けしていただいて、仕分けし終わったこの紙を全国製紙原料商工組合連合会さんが買いに来てくれます。そして、お渡しして、この代金を障害者の方たちのいわばお給料に、サラリーにする。我々は、障害者の就労の場の提供、こういうことをこの四月からは始めよう。いわば、アンテナショップ事業で、環境活動で、そして障害者の就労の場でという形ができております。

 国としても、このようなモデル事業、また八百屋、肉屋、魚屋に対しての格段のサポート等々について、もしお考えがございましたらお聞かせいただきたいと思います。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 地域住民の生活を支える商店街の中でも、生鮮三品、肉、野菜、魚、非常に日常生活にとって欠かすことのできない大事なお店、店舗だというふうに認識いたしております。

 私ども中小企業庁といたしましては、これまでも、地域住民のニーズを踏まえて、先生御指摘の生鮮三品を含めまして商店街に不足している業種を補うということ、チャレンジショップをしたり、空き店舗対策をしたり、そういうふうなことをやっておりまして、そういう事業につきましては補助制度を持ってございます。

 また、先ほど大臣が申し述べましたように、今通常国会に農商工等連携促進法という法律を出しております。中小企業者、いわゆる商工業者と、農林水産業者、一次産業の方々が相連携して新しい事業とか新しいサービスをつくっていこうというふうなところで私どもはいろいろな支援策を考えているわけですが、その中にも、商店街活性化事業というのも農商工等連携事業の中で考えているところでございます。

 さらに、従来から商店街の活性化という点でいろいろな支援事業をやっておりますが、特に、来年度からは、先生のところの御意見もよく聞いた上で、支援内容を大幅に拡充したいというふうな予算案にしてございます。具体的に申し上げますと、まず、新たに任意の商店街組織の民間事業者を支援対象に加えていこうというのが一つ目でございます。それから二つ目は、農商工連携をさらに促進していこうというふうな観点で、御指摘の生鮮三品を初め全国の特産品を地元の消費者に提供するようなアンテナショップ事業につきましても積極的な支援をしていきたい。

 そういう予算措置を盛り込んでおりまして、来年度から積極的に進めていきたいというふうに考えております。

安井分科員 ありがとうございます。

 具体的なアンテナショップ、もう動いているところが何店舗かありますので、ぜひそれをごらんになっていただければと思います。

 金目の話の部分で言いますと、私どもが考えているのは、全国四十七都道府県、初年度十都道府県の中で十カ所ぐらいを指定して、なおかつその十カ所で十店舗ぐらい、新しい肉屋、新しい八百屋、新しい魚屋という形の中で、二分の一の補助等々をやっていったときに、それほどの状況ではないだろう、そんな大きな金額にはならないのではないかというふうに考えております。ぜひ形になるようにと。

 ただ、これをやってみて、空き店舗対策というのですが、皆さんは、シャッターが閉まって商売をやめたところをかわいそうだというふうにお思いになられるのですね。これは大きな間違いでありまして、シャッターを閉めているところは余裕があるのであります、仕事をしなくても食っていけるわけですから。ですから、余裕があるのですね。閉められなくて商売をしているところが実は大変なのですが。シャッターを閉めて、せがれもサラリーマンになった、娘も嫁に行った、もうおれは年だから商売をやめるんだ、人に貸す、いや面倒くさくてという、そういうところが実は多いのであります。どうにか貸してくださいと言うと、余裕がありますから、べらぼうな数字を出してくる。ここが実は大変な問題になっております。

 商店会の中で、シャッターを閉めて人に貸さない。この土地はあなたの土地かもしれない、この家もあなたの家かもしれない、でも、この地域はあんたの地域じゃないよということで、この人たちに、要するに商売をやめてシャッターを閉めて人に貸さないところに対しては出ていっていただく、または人に貸せるような形にする。

 空き店舗でシャッターをおろして人に貸さない大家さんに対して、何かしらアプローチできる方策、方針を何かお考えになられているようでしたらお聞かせいただきたいと思います。

平尾政府参考人 先ほどの御質問にお答え申し上げます。

 農林省としましても、委員御指摘の生鮮三品を取り扱う食品小売業につきましては、地域住民への日常必要な食料の供給や、あるいは御指摘いただきました地域のさまざまな取り組みについての活性化に非常に重要な役割を果たしておると思っておりまして、特に、私ども農林水産省といたしましては、農林水産業との連携を強化するというふうなことなどによって、これらの生鮮三品を取り扱われる食品小売業の活性化が非常に重要だと認識しているわけでございます。

 こういう観点から、生鮮三品を取り扱われる食品小売業を初めとするいろいろな小売業さんの経営コストの削減、あるいは対面販売という特色を生かされた情報提供力の強化などを支援するとか、あるいは御指摘をちょうだいしました地域の農林水産物を使った新しいブランドの形成などを支援させていただいているわけでございます。

 また、来年度からは、新たに、いろいろな空き店舗を活用して地域農産物を効率的に販売していただくというモデル事業を御支援させていただこうというふうに考えております。

 また、これも御指摘をちょうだいいたしましたけれども、広域連携というのも重要だと思っておりまして、さまざまな農林水産業の生産地と商店街が直接連携をされて、それで間近に商品を売っていただく、その中で地域の活性化をしていただくというふうな取り組みもさせていただいております。

 いずれにしましても、これらの取り組みを今後とも引き続き支援いたしまして、地域の生鮮食品を取り扱われる小売業がますます活性化して事業の振興を図られるよう支援していきたいと思っております。

福水政府参考人 お答えいたします。

 中小企業にとりまして、金融をどうしていくかというのは中小企業の生命線であるというふうに考えておりまして、特に、私ども、新たな事業活動を空き店舗などを利用してされる方々にどういう資金供給をしていくかというのは、非常に重要なことだというふうに認識しております。

 例えば、政府系金融機関に国民生活金融公庫というのがありますが、そこで無担保無保証で融資を行う制度をつくっておりまして、平成十九年度では一千万円まで、そういう制度をつくっております。また、来年度も制度の拡充を行いたいというようなことも考えているところでございまして、このほかにも、経営の多角化でございますとか事業転換とか、我々から申し上げますといわゆる第二創業のような格好で必要な融資制度もつくっておるという次第でございます。

 委員の御指摘にございました、既存事業をやめるときのその債務をどうしていくかという転業資金につきましては先ほどのような状況でございますが、廃業資金の方につきましては、今後、中小企業の実態把握を図りながら見きわめていきたいと思っております。

 特に、商店街の空き店舗につきましては、経営と所有の分離、そういう考え方が出ておりまして、私が拝見した商店街の中でも、そういうようなことをやりながら成功されている商店街もあるようでございます。

 この辺は今勉強中でございまして、資金の円滑化を図りながら、そういうことも考えてまいりたいというふうに思っております。

安井分科員 それでは、空き店舗対策、この部分で大家さんに対して、どのようなアプローチがあるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。

高橋政府参考人 空き店舗対策に関しまして、固定資産税についての御関心が先生にはおありと伺っております。

 それについてお答えを申し上げたいと思いますけれども、固定資産税は、資産そのものの客観的状況に基づいて課税するものとされてございます。したがいまして、使用状況によって税負担を増減するような仕組みにはなっていないために、例えばシャッターをおろして、営業していない商店について課税を強化するとか、あるいは、逆に、他人に貸している商店について税を軽減するなどといった、個別の事情によりまして税の取り扱いを変えるといったことはできないところでございます。

 一方、各市町村におきまして、公益上の必要がある場合には、条例の定めるところによりまして、税を軽減する仕組みはございますが、その場合にも、課税の公平などの観点がございますので、税制を活用することにつきましては慎重に検討していただくことが必要であろうかというふうに考えてございます。

 以上でございます。

安井分科員 今御答弁いただきましたが、実は問題点があるからここをどうにか変えていかなきゃならぬと。これは最終的には政治の出番なのかなというふうに思っております。

 現実、日本じゅうの商店街、シャッター閉めてもう人に貸さないところというのは商店街の中では有力者でありますので、その人たちに出ていけと言うのは、なかなか小選挙区の先生方では言いづらい部分であります。運よく私は、今比例という立場でございますので、現状の思ったところをどんどん言わせていただいて。

 なおかつ、その方は機嫌が悪くなるかもしれませんが、商店会のその他の全員は、やはり店をあけてもらいたいんですね。そこで新しい、真に地域の消費者の皆さんが喜ぶようなお仕事をしていただきたいということであります。

 先ほど福水長官が転業、廃業の話をされました。申し上げましたように、やめられないんですね、商売というのは。今、私がもし商売をやめると、取引先業者さんは私のところに集金に来ます。それはそうですね。今まで仕入れした分をお返しください、返済してください、こう来ます。ぐあいが悪いからやめるのであって、現金の持ち合わせがない。済みませんけれども三回に分けてくださいとか六回に分けてくださいと言うと、今の問屋、メーカー、取引先は何と答えるか、つぶれてくださいと言います、倒産してくださいと言います。つぶれてくれれば、倒産してくれれば、貸倒引当金を充当して税金の軽減があるからつぶれてください、こう言われるわけであります。

 この国では、会社をつぶしたら、店をつぶしたら、人間性まで否定するんですね。だから、やり続けなければならぬ。

 そこで、転業融資。もう呉服屋さんは厳しいからやめる。でも、いい場所だから、ここをきれいにして、次にこういう商売に貸したいんだというところの、その転廃業の、廃業という部分体はちょっと耳ざわりが悪ければ、転業というのに特化した、今でも現状ではあるんですが、その部分体でいうと、今までの借金、いわば仕入れ代金等々に関しては、これの態容、内容に入っておりませんので、このあたりのところも、今後に関してはお考えいただければと思います。

 また、福水長官から今お話しいただいた小規模零細に対しての融資、マル経融資という融資制度、これは私も存じ上げております。

 昨年の秋口に、お仲間から呼ばれました。店を少し直そうということで、マル経融資は商工会議所が窓口でありますので、商工会議所に行って何と言われるかおまえは知っているかと言われました。六カ月間の指導をして、六カ月たったら審査会を開いて貸すか貸さないか決める。半年先の資金繰りがわかる八百屋、肉屋、魚屋がいるんだったら、おれの前に連れてこい、こう言われました。

 言われっ放しじゃくやしいので、私も同じように中小企業庁さんに言わせていただきました。ありがたいことに、本年から、このマル経融資、六カ月間が短縮。どのぐらい短縮になったかというと、審査会が省略、もちろん、行ってすぐ、だれでも貸してくれるわけではありません。どう使いますか、どう返しますかということでありますが、これができるようになりました。今まで、五百五十万、特例四百五十で一千万だったのが、最初から一千万。

 我々のような八百屋、肉屋、魚屋は環境衛生同業組合員で、環衛公庫が設備、そして国民生活金融公庫が運転資金ということだったんですが、同じ店をやるのに、こっちとこっちに行かなきゃならなかったのが、今回、ありがたいことに、これを一本化していただきました。国民生活金融公庫でも設備融資を受けられる、そして、返済期間も長くできるということになりました。

 ただ、今後お考えいただきたいのは、この部分、無担保無保証ということですが、現場の声であれば、私どもは無担保無保証にこだわってはおりません。これは何かといいますと、自分の家は担保に入れない、住んでいる家もさわらない、乗っている車もさわらない、現預金も一千万までだったらさわらないということであれば、それ以外の、乗っていない車、住んでいない家、そして現預金も一千万以上、こういう部分体を返済ペナルティーとして出すということであるならば、十分今後の構築ができると思います。一層のお考えをいただきたいというふうに思っております。

 最後に、マル経融資、本来起業間もない、会社を起こして間もないところに対してのマル経融資、これはつくったときにはその状況であったと思います。しかし、今マル経融資に申し込みに行くと、マル経融資に対して何と言われているか。現場では、泥棒に追い銭と言われております。にっちもさっちもいかないところが、最後の最後、苦し紛れにマル経融資に行っていると言われているのであります。これは本来のマル経融資創設のときの意味合いと違うんですね。そんなような状況ですから、マル経融資は、人様にお金を借りるときの最初の第一歩、登竜門というようなテーマでもっとアピールをしていただきたい。

 それともう一点、このマル経融資で、商工会、商工会議所さんのところで、事故率という言葉があります。要するに、商売しくじって返せなくなったという事故率。ただ、この事故率を余りメーンにしますと、本来の起業で頑張っていけと言っているところで、おたくの商工会は事故率どのぐらいだ、おたくはどのぐらいだと言うのはいかがなものかなというふうに感じておりますが、この点についてどうお考えか、お知らせください。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 マル経融資につきましては、毎年二千億円ぐらい、五万社の方々が大体御利用されているということで、現在、残高を見ましても、二十二万社ぐらいの方々が全国でマル経制度をお使いいただいている。制度の改変については、もう先生の方から全部言っていただきましたので、思い切った制度改正ができたと思っております。特に、中小企業の生産性を向上したいというふうなことで、私ども、中小企業の方々にITを活用して記帳していただくとか、経理をしっかりしていただくとか、そういうことを考えておりまして、そういうことと相まって、手続に六カ月かかるというのを迅速化していきたいな、そんなふうに思っております。

 それから、二つ目におっしゃいました事故率の件でございますが、金融というのは生命線でございまして、先ほど申しましたように、マル経というのは二十二万社の方々が現に御利用されているので、やはり持続的な制度にしていく。事故も抑えながら、あるいはそういう新しいニーズを持った方々にちゃんとお貸しできるように、その両方を考えていかぬといかぬというふうに思っております。

 現在、商工会あるいは商工会議所の経営指導員というのがやっておるわけですが、まず第一に、彼らの目きき能力、事故率だけじゃなくて、新しい小規模企業者の方々の意欲とか、事業内容とか、それが目ききできるような能力を高めるとともに、先ほど大臣の冒頭のあいさつにございましたように、新現役チャレンジプランというようなもので、これからOBになられる方々をそういうふうなことにも活用していくような、コーディネーターのような方を拡充していって、事故率と、それから利用促進と両方相まって、こういう立派なマル経制度が長く続いていくように、そんなふうに運用していきたいというふうに考えてございます。

安井分科員 ありがとうございます。

 事故率という言葉自体に何かしら耳ざわりの悪い部分体もありますので、またお考えをいただければと思います。

 実は、中小企業診断士の先生から、基礎的自治体が、どうしてもうちの地域が苦しいから融資をしたい、ただ、基礎的自治体本体が担保をするわけにいかないから、中小企業診断士の先生が判こを押してくれということで、やられたそうであります。現実に来た決算書等々を見ても、これは無理だ、でも目をつぶって、役所が押せというから判こを押したと。結論から言うと、事故率は一〇%だった。確かに、今の現状のマル経の六%、ただ、新しく商売を、事業を始めてこれからだといっているところで、果たして六が高どまりであるかどうか、これは、私はちょっと違うんじゃないのかなというふうに考えております。

 どうか、官民一体となって、中小企業の活性化、今まで強いところが勝って弱いところが負ける、これが当たり前だということだったんですけれども、これによって生活保護がふえ、社会保障がふえというこの現実を見たときに、やはり若干ハンドルの切り方も変わってくるのではないかなというふうに感じていることを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山本主査 これにて安井潤一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、平将明君。

平分科員 おはようございます。衆議院議員平将明でございます。東京四区選出でございます。

 今、安井先生がお肉屋さんで、私が八百屋といいうことで、あと魚屋がいると生鮮三品そろうということでありますけれども、残念ながら魚屋さんの代表はいないようでありますけれども。

 きょうは平成二十年度予算、特に中小企業関連について質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、大分景況感、景気が悪くなってきたというような話を聞きますし、そのような実感、また選挙区を回っているとそういう話をよく聞くわけでありますけれども、帝国データバンクの二〇〇七年度の年報を見ると、倒産件数は一万九百五十九件、前年対比一七・二%増加をいたしました。そして、その主な原因が、中小零細企業の倒産の増加、そして業種別に見ると、建設業、そして小売業、小売業は前年対比で二九・一%増加、そしてサービス業、サービス業は前年対比で二三・三%倒産が増加ということで、大幅に増加をしているわけでありますけれども、その原因をどのように分析されているか、まずお伺いをしたいと思います。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども中小企業庁でも、小規模企業を含めました約一万九千社を対象に、四半期ごとに中小企業景況調査というものを行っております。この業況判断DIによりますと、七四半期連続で景況が悪くなっているというふうなことでございますし、政府系中小企業金融機関の商中、中公、国金それぞれのデータを見ても、この半年から一年ぐらい業況感は悪くなってきている、そんなふうに認識いたしております。

 また、中小企業の資金繰りDIにつきましても、三四半期連続で低下しておりまして、中小企業の資金繰りも弱含んでいる、そういう認識でございます。

 その背景といたしましては、原油・原材料価格の高騰というのが収益を圧迫している、価格転嫁もなかなか進められないというふうな状況にございまして、こうした中で、倒産件数、今次の景気回復で減少しておりましたが、今年度は増加に転じておる、先生御指摘のとおりでございます。

 業種別に見た原因でございますが、まず、建設業につきましては、公共工事が全国各地域で減少しているということに加えまして、昨年の六月に施行になりました改正建築基準法の関係で着工件数が減少している、この二つが大きな理由で、建設業は全国どこを見ても非常に厳しい状況になってございます。

 また、小売業あるいは飲食・宿泊業、クリーニング業、こういうサービス業でございますが、家計部門の消費の需要がおおむね横ばいで、いま一つ力強さに欠けるということで、売り上げ自身が弱含んでいる中で、例えばクリーニング業などにつきましては、原油価格の高騰が直に影響を受けているというふうなことと認識いたしております。

平分科員 そこで、お手元の資料を見ていただきたいんですが、建設業は、公共事業が減っている、また、建築基準法の改正、運用強化、これがもろにきいてきているのはわかるんですが、サービス業や小売業も非常にふえてきている、しかも零細である。企業は何でつぶれるかというと、売り上げが少しぐらい減ってもなかなかつぶれないんですよ。金が詰まるとすぐつぶれてしまうというのが企業であります。

 福水長官、またかと思われると思いますが、この我が国の金融構造というのをちょっと見ていただきたいと思います。

 私は、一昨年末にやったグレーゾーン金利の廃止に向けての取り組み、法改正、これが大変大きな影響を与えていると思います。これは縦軸が金利、横軸が信用リスクということで、一番金利の低いところ、リスクの低いところに銀行があって、そしてミドルがあって、商工ローン、消費者金融となるわけですね。

 ここに私、マジックで斜めの線を引かせていただきましたけれども、この斜めの線から上、商工ローン、消費者金融が、ある日突然違法になる、そういう法律であります。まだ施行されていませんが、法律が決まれば世の中全体が動き出していくということになっていくわけであります。

 ちょっと誤解を受けやすいのは、ミドル市場というのは、これはでかい丸で書いてありますが、実際ここはほとんどありません。担い手はいませんし、今、大手銀行が一時このミドルをやろうといって取り組みましたけれども、御承知のとおり、今はほとんど撤収をしている、うまくいっていない、石原銀行も残念ながら現時点では失敗という状態になっております。

 そういった中で、このミドルがない中で、事業向けの資金を供給するのは、これは銀行と商工ローンしかないですね。でも、商工ローンは、これはそのうち廃止になりますから、それが決まった時点で、この商工ローンに対して銀行はお金を貸さない。貸し渋り、貸しはがしというのが起きているわけであります。

 そして、実際のビジネスモデルもこれは崩壊でありますので、結果、何が起きたかというと、この商工ローンのところから、例えば外資系のGEは撤退、クレディアは倒産、その他の大手商工ローン業者は、いわゆる銀行の貸し渋り、貸しはがしが起きていますから、資金繰りがつかないということで貸出債権を売却しています。

 そのような中で、ミドルの、ある銀行があるわけでありますけれども、私はそこの社外取締役をやって経営を見ておりますけれども、どういうことが起きてくるかというと、案の定、申し込みが急増してきました、これは予想どおりであります。

 その次に何が起きてきたか。融資ができる割合が物すごく減っていったんですね。謝絶の割合が物すごいふえていった。これはどういうことかというと、銀行からお金が借りられなくてミドルに来たんであれば貸せるんですよ。でも、商工ローンからお金が借りられなくなってミドルに来るとなると、これは全部が全部貸せませんよという話ですね。

 ですから、そのミドルリスクを担う銀行の実際に融資ができる割合が五割から四割、四割から三割と落ちていくわけですね。場所によっては、北海道なんか悲惨なことになっていまして、五十社に一社しか貸せない、そういう状態になってきているわけであります。さらにはデフォルトの急増であります。ですから、そういうデフォルトはふえてきますから、さらに審査を厳しくしなければいけない。

 実際問題、銀行がお金を貸してくれなければ、ミドル市場はほとんどないわけですから、商工ローンに行きます。ミドル市場があったとしても、実際は商工ローンで借りている人たちを経済合理性で救えるのは三割です。であるならば、この七割はどこに行くのかという話だと思います。

 そういった中で、案の定、帝国データバンクの結果を見れば、中小零細企業が倒産が増加をしている。建設業は公共事業や改正建築法で説明はつきますけれども、小売業、サービス業のこの急激な増加は、原材料高騰というよりも金が詰まってしまったというふうに分析するのが私は正しい分析だと思います。

 そんな中で、政府は、今景気が悪い、中小企業が倒産をしているという中で、建築基準法であったり原材料の高騰、そういったことを挙げているわけでありますけれども、このグレーゾーンの廃止に伴う、いきなりお金が詰まってしまったということに対して、私は現実を直視して手当てをすべきだと思います。

 今、正規雇用、非正規雇用とかネットカフェ難民だとか、働いても働いても報われない、こういう人たちに光を当ててあげようと言いますけれども、やはり個人事業主こそ、働いても働いても報われない、それでも頑張り続けている人たちだと私は思うんです。消費者金融の多重債務者、自殺者を減らそう、それは非常にすばらしいことだし、やらなければいけないことでありますが、それと同時に、そういった法律改正、自分たちのあずかり知らないところの法律改正で、ある日突然、お金が厳しいながらも回っていたのがストップをしてしまった、そういったことに対しては手を打っていかなければいけないと思います。

 今回の予算措置の中で、資金調達の円滑化として二百七億円の予算が計上されておりまして、セーフティーネット融資が挙げられていますけれども、そういった流れの中で、原油高や原材料高、建築着工の減少に対応するだけではなくて、このグレーゾーンの関連に対してもその対象とすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 原油あるいは建築確認関係のセーフティーネットにつきましては、先生の御指摘ございましたが、相談窓口で、原油でございますと八千五百件、建築でございますと六千七百件が全国から相談に来ております。特に建築関係につきましては、ほんの数カ月、四カ月で六千七百件で、現在の保証あるいは貸し付けの実績でもう一千億円を超えている、そういう意味では非常に緊急の対応ができているんじゃないかというふうに思っております。

 いわゆるグレーゾーン金利廃止等の貸金業法の改正に当たりましては、昨年四月に多重債務者対策本部、先生もおっしゃいましたが、それでもってプログラムがつくられておりまして、これを着実に進めていくというのが、我々必要じゃないかというふうに考えているところでございます。

 中小企業向けのセーフティーネットという観点からすれば、経営が既に悪化しているにもかかわらず、無理に事業継続を図ったために、高金利の融資に頼らざるを得なくなった、こういう方がおられることを踏まえまして、私どもとしては、早期再生とか再チャレンジに取り組む中小企業への支援が重要じゃないかというふうに考えてございます。

 このため、私どもといたしましては、政府系金融機関や信用保証協会において本年度から再生と再チャレンジを支援するための融資制度、保証制度を新たに創設するとともに、全国三百六十三カ所の相談窓口で相談を受け付けているということで、事業者の再生と再チャレンジの支援に取り組んでいるところでございまして、さらに積極的にこういう動きを支援してまいりたいというふうに考えてございます。

平分科員 ミドル市場がない中で、いわゆる斜線より上をいきなりなくすということのインパクトですよね。

 それで、よく、自分で商売をしたことのない人であったり、大変恵まれた家に育って、いい大学を出て、いい就職をされた方はなかなか想像がつかないかもしれませんけれども、私の知っているところで、二十年間日掛け屋でお金を借りて、それでも焼き肉屋を二十年間やっていたというところがあります。つぶれないんですよ。そんな高金利じゃマイクロソフトだって倒産するよというのは、ある意味説得力を持つ話ですが、実はそういうのと違う世の中というのが存在しているんですね。

 では、何で信金、信組からお金を借りなかったのか。どうやって借りていいかもわからないし、営業に来たこともない。そういうリアルな社会というのはあるんですね。それは飲食業もそうだと思います。利益率高いんでしょうね。高いと思いますよ、飲みに行ったら、ただみたい、ただみたいって怒られちゃうけれども、柿の種で何千円も取るわけですから。そういった意味では、そういうリアルにやっている人たちが、それが詰まると、下手すればいわゆる生活保護に行ったり、下手したら自殺ということにもなりかねませんから、想像力を働かせていただきたい。これは全部ないですからね。商工ローン、ミドルもないんですよ。銀行貸すか、絶対貸さないですよ。ですから、その事の重大性というものをよく理解をしていただきたいと思います。

 政府はこれをなかなか認めてくれないんですけれども、大臣、御感想をいただければと思います。

甘利国務大臣 先生の御主張は以前から伺っておりまして、ある面、説得力があるということで伺っておりました。今まであった仕組みが突然消滅をしてしまう、それに頼って業を営んでいた人たちに代替策がないということになりますと、かなりのマグニチュードが来るわけであります。

 ですから、では代替策をどうするかということはなかなかお答えしづらいんでありますが、ただ、中小企業、小規模企業にとって、金融が命綱であることは間違いないことでございますから、今私どもがしておりますことは、年度末の資金繁忙期にどう対処するかということが当面の第一でありまして、これにつきましては、私や財務大臣、金融担当相を初めとする五閣僚が、政府系それから民間、信金、信組を含めまして、代表者に集まっていただきまして、できるだけ柔軟に対応してもらいたいという要請をいたしました。

 あるいは、国金には第三者保証不要の融資制度というものがありますが、これは保証を要する枠が四千八百万で、そのうち要しない枠は二千万でありましたけれども、もちろんその審査は当然ありますけれども、それによって限度まで引き上げていこうという措置を講じたわけであります。

 今持っているツールの中で最大限フレキシブルに対応するということしか現状ではできないわけでありますが、最大限許される範囲で柔軟に対応していきたいというふうに思っております。

平分科員 今大臣から、信金、信組に対してもそういう要望をするという話がありました。

 ちょっとこれは話がそれますけれども、信金、信組の方から、金融庁の検査で検査官の態度が物すごく悪いという話をよく聞きますので、検査はしっかりとやっていただかなければいけないんですが、そういう権力をかさに着てやるということは政府の信頼を失いますので、きょうは金融庁の方はいらっしゃらないと思いますけれども、一言申し添えておきたいと思います。

 続きまして、中小企業関連予算を見ますと、いわゆるつながり力、連携というのが一つのキーワードになっているというふうに思いますが、その中でも今回一つの目玉となり得るのが農商工連携の促進であると思います。新規に百三億円の予算がついているところでありますが、この辺について具体的にどのような支援を行っていくのか、教えていただきたいと思います。

山本(香)大臣政務官 答弁させていただきます。

 先ほど来もお話がございましたけれども、農商工連携は、第一次、第二次、第三次という産業間の壁を取っ払って、農林水産業と商業、工業等を川上から川下までをつなげることによりまして、地域に付加価値の高い産業を育て、地域経済の活性化を図っていくことを目的としております。

 このため、平成二十年度予算案におきまして、農商工連携関連予算といたしまして百三億円を計上しておりまして、その具体的な内容といたしましては、農林水産品を活用いたしました新商品開発支援や地域産品の内外マーケットへの販路開拓支援、IT活用による生産性向上、地域の人材育成などなど農商工連携に資する企業立地促進に対する支援など、農商工連携に対する取り組みを幅広く支援するものとなっております。

 また、平成二十年度予算案におきましては、農水省におきましても農商工連携関連予算といたしまして約百億円を計上しておりまして、両省が一層密接かつ有機的に連携をとりながら支援を行っていくこととしております。

 さらに、農林漁業者と中小企業者が連携して行う新商品の開発、販売促進等の取り組みを支援することを内容といたします農商工等連携関係二法案を今国会に提出したところでございまして、予算措置とあわせまして農商工連携を積極的に支援してまいりたいと考えております。

平分科員 この農商工連携は非常に意欲的な取り組みだと思いますし、ぜひ成功させていただきたいと思っております。

 そんな中で幾つか指摘をさせていただきたいのは、先ほどは銀行の経営者の経験の立場からお話をさせていただきましたが、もともと私の家業は八百屋でありまして、大田市場の仲卸をしておりました。実際にいろいろな取引をしました。産地と、いわゆる株式会社、大手の外食産業であったり加工業者であったり、そういうところとやりました。

 この農商工連携で非常に問題になるのは、やはりなかなかうまくいかないですよ。うまくいかないから今までできていなかったということです。

 私の経験から言わせてもらうと、なぜいかないかというと、まず時間軸のとり方、それと文化、これが全く違います。農家は、種を植えてからそれを収穫するまで三カ月、半年、一年かけてやっていくわけですね。植えたものはできてしまう。片や商売をやっている方は、売れなければその瞬間要らないわけですよ。売れればもっともっと欲しいわけですよね。こちらは一年単位でぐるぐる回っていく。こちらの商売をやっている方は一日単位で動いているわけですね。ですから、まず時間軸がまるで違う。

 もう一つは、農家もしくは農業法人もある程度そうですけれども、どちらかというとやはり共同体社会なんですね。片や商売をやっている方は、完全な営利追求の株式会社なんですよ。ですから、その辺での意思の疎通というか意思決定の仕方が違うんです。

 さらには、農産物には相場というものがありまして、市場の流通がありますから、たまたま、農産物をつくるところとある会社が連携をとりました、幾ら幾らで売る計画を立てました、それよりも市場の値段が安ければそれはハッピーな話なんですけれども、市場の値段が高ければ、生産者の方は、何でこんなに安く売るんだという話になるんですね。人によっては市場に出しちゃう人も出てくるわけであります。私の経験からいくと、市場の相場が、三年やって二勝一敗、一勝二敗、どちらかが負け越した時点で大体そのスキームは壊れます。そういうものなんです。

 ですから、そういった意味では、時間軸のとり方や文化、カルチャーというのが全然違うんですよ。それをどう調整するか。これは契約書で調整するのはめちゃくちゃ難しいんですよ。ですから、そういうところをしっかり念頭に入れておかないと、頭で考えている分にはうまくいきそうだなと思うかもしれませんが、これは並み大抵なことではありませんから、ぜひそういう視点というものをこの仕組み自体に落とし込んでいかないと、絵にかいたもちに終わる可能性が大だと思いますので、指摘をさせていただきます。

 あわせて、農商工連携もそうですが、経済産業省は、つながり力ということで、新連携という政策にも取り組んでこられたと思います。私も、これは大変意味のある政策だと思いますが、実際にビジネスをやる人間から見ると、連携をします、新たな事業に取り組みます、新規事業ですから当然リスクは高いですね。この新連携また農商工連携も、いわゆるつなぎ資金とか融資はしてくれるんでしょうが、最初のいわゆる資本、エクイティー、これを集める工夫というのが今まで欠けていて、なかなかうまく進まなかったと思います。

 そういう中で、昨年の十二月、自民党の中で、エンジェル税制というものの大幅拡充という極めて画期的なプランを出しました。これが四月に通るんだと思います。これは本当に今までなかったぐらい画期的なもので、本当にリスクをとってお金を出しやすくなった、いわゆるエンジェルのすそ野を非常に広げやすくなった。さらには、企業間同士が、新しいリスクの高いビジネスをやるときにお互いが資金を出し合うと、それは所得控除ができるわけですから、物すごくお金が出しやすくなったんですね。

 ですから、そういったことで、このエンジェル税制というものがまさに経産省が進めてきた新連携だとか農商工連携のいわゆる起爆剤もしくは強力なエンジンになり得ると思うんですけれども、その辺はどのような御見解を持たれているか、お尋ねいたします。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のエンジェル税制の大幅拡充につきましては、政府といたしましても、現在国会で御審議いただいております租税特別措置法改正案におきまして、ベンチャー企業への投資をさらに促進するため、投資時点で幅広い個人投資家が投資インセンティブを実感できる所得控除制度の創設をお願いしております。

 先生御指摘のとおり、この投資時点での所得控除制度が実施されますと、農商工連携などに取り組まれる方々が例えば新会社を設立したり、新しい事業に対する必要な増資を行ったりする際にも本制度を御活用いただけるものと考えております。

 例えば、仮に農林漁業を営んでおられる方と商工業を営んでおられる方が十人集まって、一人百万円ずつ出資をして資本金一千万円で新しい会社を起こす、その起こした会社で新商品開発を行う場合に、出資をされた十名の方々については投資額分について所得税の所得控除を受けられるというようなケースが考えられるというふうに考えております。

 したがいまして、エンジェル税制の所得控除制度は農商工連携の推進にも非常に重要な支援策になるものと考えておりますので、当省といたしましては、本税制の活用を通じて、創業間もない中小企業やベンチャー企業の創出、成長を期待しているところでございますので、ぜひとも本制度の実現をお願いしたいと思っております。

平分科員 これは所得税が、このエンジェル税制が成立をするのが前提でありますけれども、まずは連携について、政策を展開するときに、このエンジェル税制というのをビルトインしていただいて展開をしていただきたいと思います。

 あわせて、中小企業が、私は大田区選出でありますけれども、地元のメーカーが海外に進出をするんだというときにもリスクが高いし、みんなでお金を出し合ってこのエンジェル税制を活用してリスクをとっていくというやり方もあるでしょうし、もう一つは、業態転換、業種転換、さっき安井さんも言いましたけれども、もうこの家業は時代に合っていないんだ、では新しいのに転換するといっても、今やっていることをすべてやめて新しい業種に転換するというのはなかなか難しいわけですから、そこでも、このエンジェル税制を使って新たに会社を立ち上げる、それで、そちらが軌道に乗ってくればこちらを閉めていくということもできると思いますので、中小企業のいろいろな政策について活用できると思います。ぜひその辺は念頭に入れていただきたいと思います。

 時間もないので、ちょっと一個飛ばして、最後に、甘利大臣がいらっしゃるので、ぜひお話をさせていただきたいことがあります。

 農商工連携の中にも地域産品の輸出促進というのがありましたけれども、私は、今後、日本の農産物、農業の活性化を考えたときに、農産物を積極的に海外に売っていくことが大事だと思います。

 実際、私も市場で仕事をしていましたけれども、果物を食べないですね。昔はミカン一ケースずつ買っていったんですけれども、最近はゼリーとかを子供たちが食べるので、ミカンも袋でしか持っていかない。

 その反面、アジアは大変急成長していまして、高所得者がふえてきて、アジアでは高い値段で果物が売れるケースもぱらぱらと出始めているというところだと思います。

 そういった中で、日本の農業を活性化するには、多様な買い手をつくっていかなければいけないというふうに思っております。自民党の中でも、今、農業版ジェトロというようなことも議論をしているところです。

 そこで、一つ御提案をさせていただきたいんですけれども、私の選挙区、東京四区には羽田空港があります。これは二〇一〇年度国際化ということになっていますけれども、当然、これは急成長著しいアジアに開いていくべき空港だと私は思っています。ですから、まずは羽田をアジアに開いていく、アジア・ゲートウェイ空港にしていくということが一つ。

 そして、そんな中から、ちょっと添付の資料の一番下を見ていただきたいんですが、地図を添付させていただいております。

 これは私の選挙区の海側でありますけれども、下に羽田空港がありまして、その上に、私が働いていた大田市場があります。大田市場というのはアジア最大の市場でありまして、世界でも、オランダに次ぐ規模の市場であります。また、実は、一番高付加価値の農産物が集まる市場でもあります。これは徳川家康の時代から、徳川家康を助けた人たちに利権として神田市場が開かれたということで、そういう歴史の中で、高付加価値農産物、一番おいしい果物と言ったら築地の人に怒られますけれども、築地と並んで高付加価値農産物が集積をしているところなんですね。

 見ていただくと、羽田と大田市場、これだけ近いんです。大田市場、これを見るとちっちゃく見えるかもしれませんが、東京ドームの六倍ぐらいあります。羽田空港までは、直線距離にして二キロ弱、車で五分ぐらいのところにあるわけであります。

 今後、高付加価値農産物を海外に売っていくという戦略の中で、高付加価値の農産物、果物がもともとここに集まっているんですから、ここをアジアに開いたら、この人たちをまずここに持ってきて果物を持って帰らせる、要は、見本市のようなもの、場外市場みたいなものをつくっていく。そうすると、アジアの所得の高い人たちはそれを持って帰って、それが習慣になると、今度、地元のスーパーの人間が、では日本の農産物を扱おうということで、バイヤーとして大田市場へ来るわけであります。

 さらには、ここの二キロでありますけれども、農産物の検疫が羽田空港はちょっと弱くて、コールドチェーンができていないんですよ。せっかく大田市場までコールドチェーンで低温で来たのに、この羽田の検疫で二時間も三時間も常温で置かれちゃうんですね。その間に汗をかいちゃって品質が劣化をする。そういうこともありますから、例えば大田市場に農業の検疫所をつくるとか、一気通貫で羽田につなげていく、そういうことをやられたらいいんじゃないかと思います。

 そして、この農産物を売り込むという政策は、単体でやるのではなくて、アジア・ゲートウェイ構想、さらにはビジット・ジャパン、そういったものと連携をして、国家戦略としてやっていただく。さらには、その中で、既存インフラ、羽田空港、大田市場というものを、決して選挙区だからということではなくて、最大限生かしてやっていただくのが重要だと思います。

 この政策を実現するには、国土交通省、経済産業省、農林水産省の連携が必要だと思いますし、政治のリーダーシップが必要かと思います。アイデアとしてちょっとお話をさせていただきましたけれども、ぜひ大臣、一言御感想をいただければと思います。

甘利国務大臣 私が農商工連携を仕掛けたのは、仕掛けた理由がありまして、前々から、つくる人はつくってそこでおしまい、後は自分の仕事ではありません、責任ではありませんと。しかし、農業者でも、経営という感覚で農業をやっている人は、いろいろな戦略と仕掛けを持っているんですね。市場に対してどう仕掛けていくかとか、市場の声をどう生産につなげていって、市場が求めるようなものをつくっていくか、あるいは、むしろニッチマーケット、日本の優秀性をどう市場に広げていくか。つまり、価格で勝負している別の世界がある。品質、おいしさ、安全性、これを見える化して市場に仕掛ける必要があるんじゃないか。そこには、ITの投入とか商業との連携、工業との連携、一次から三次までをつなげて総合戦略でやっていく必要があるんじゃないかということで、仕掛けをしたわけです。

 今、先生の御指摘、大田市場、まさに日本最大の高品質、高安全性のものが集う。そこが、今のお話ですと、ショールームになるわけですよね。羽田に来る海外のお客様がそこで実際に触れて見て食べて、次はこれを商売につなげていくこと、これはそういう壮大な戦略を展開する重要な構成要因になるんだと思っております。

 ゲートウェイ構想とつなげていく等々、国交省と我が省と農水省、あるいは外務省との連携も必要だと思いますが、私のもともとの農商工連携の仕掛けというのは、各省をまたにかけて、壮大な構想で国内外の市場に向けた仕掛けをしていくということであります。

 そこには、今までもジェトロは輸出振興でかんできましたけれども、私は、農協にも、地元の中央会には、これからは農産物の商社になるぐらいの発想を持たないと、いいものをつくるという指導でなくて、市場にどういう仕掛けをしていくかということも農協は考えていかないと生き残れませんよという話も含めてしているのでありまして、これは壮大な構想ですが、今のお話はとても参考になる話であります。どう具現化できるか、少し勉強させていただきたいと思います。

平分科員 終わります。ありがとうございました。

山本主査 これにて平将明君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日木曜日午前九時より開会し、引き続き経済産業省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時八分散会


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