衆議院

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第2号 平成21年2月20日(金曜日)

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平成二十一年二月二十日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席分科員

   主査 山本  拓君

      赤池 誠章君    坂本 剛二君

      深谷 隆司君    安井潤一郎君

      高山 智司君    笠井  亮君

   兼務 片山さつき君 兼務 大畠 章宏君

   兼務 村井 宗明君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   政府参考人

   (内閣府地域活性化推進担当室室長代理)      上西 康文君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   中島 秀夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   田中 順一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           門山 泰明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           大槻 勝啓君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 安達 健祐君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     桑山 信也君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          松永 和夫君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           立岡 恒良君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          近藤 賢二君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      西山 英彦君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  岩永 峯一君     赤池 誠章君

  深谷 隆司君     安井潤一郎君

  中川 正春君     高山 智司君

  笠井  亮君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     岩永 峯一君

  安井潤一郎君     深谷 隆司君

  高山 智司君     中川 正春君

  吉井 英勝君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  赤嶺 政賢君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋千鶴子君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  塩川 鉄也君     笠井  亮君

同日

 第四分科員大畠章宏君、第八分科員片山さつき君及び村井宗明君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

山本主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算及び平成二十一年度政府関係機関予算中経済産業省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片山さつきさん。

片山分科員 委員長、ありがとうございます。

 きょう、トップバッターで御質問の機会を与えていただいて、ありがとうございます。こういう状況でございますので、世界同時不況の中での、特に製造業の対策についてお伺いしたいと思います。

 マイナス一二・七%は大変なショックだったわけでございますが、私の選挙区の浜松近郊は、まさにその非常に典型的な、大手自動車はすべて系列工場がたくさんございますし、製造業従業の割合が三割、自動車関連が五人に一人、いずれも日本全国平均の倍以上でございます。

 というところで、地元を歩いておりますと、この三カ月のマイナス度合いは恐らくマイナス二〇%ぐらい行っているかなという皮膚感覚がございます。過去の不況のときでもずっと勝ち組だった産業でございますから、まさに地元を歩いていると、ああ、もうオール産業界で勝ち組会社はいなくなったなという実感を強めております。非常にすそ野が広い産業なわけでございまして、中小零細、個人業者、たくさん連なっております。

 そういったところが打撃を受けていることについて、この二十一年度予算でも、あるいは補正予算も含めて切れ目のない対策をたくさん打ってきているわけで、特に融資やその条件緩和その他について取り組んできておられるわけですが、まずはその取り組み状況についてお伺いいたしたいと思います。

二階国務大臣 委員御指摘の、浜松方面の状況についてお話がありましたが、私どももこの実態を大変憂慮いたしております。しかし、この国際的な景況悪化の状況でありますので、特に、日本経済を今日まで先頭に立って牽引していただいた日本の自動車業界あるいは電機産業というふうな企業が急速に悪化の状況を呈しておりまして、関連する中小企業の皆さんにも大変な影響を及ぼしておる。また外国人の労働者の方々も、国に帰るに帰れない、これから先どういうふうな雇用状況が取り戻せるかというふうなことに不安を示しておるようでございまして、私も、いつか機会を見て現地の状況等をつぶさに調査したいというふうに思っております。

 先般、WTOの会議でブラジルのアモリン外務大臣とバイ会談の機会がありましたから、浜松の話を持ち出しまして、お話し合いをいたしました。せっかく日本に働きに来ていただいた方々ですから、しかも日本とブラジルの関係を思うと、このことは大切にしていかなきゃいけないので、我々は全力を挙げてこの人たちが路頭に迷うことのないように努力をしたいと思うが、ブラジルへもしお帰りになった人たちに対しては、当然のことではあるがブラジル国挙げて温かく迎えてあげていただきたいという話をしましたら、よく理解しました、大統領とも話をして、日本から帰ってこられる人たちに対しては十分対応するということをおっしゃっていただいておりました。

 金融の問題でありますが、昨年の秋からですが、金融で緊急保証制度、ちょうど六兆四千億円になります。セーフティーネット貸し付けが八千億円の実績を上げております。製造業について申し上げれば、各業種の業況の把握に努めると同時に、今日まで、保証の業種指定をだんだんと追加してまいりました。今既に製造業の八割強がこの緊急保証制度の対象業種となっておりまして、この一月には保証実績の約二割が製造業関連というふうになっております。

 第二次補正予算により、緊急保証、セーフティーネットを、御承知のとおり、規模を三十兆円まで拡大し、あわせて、業況の悪い方々に関しては、一月三十日よりセーフティーネット貸し付けで金利〇・三%の引き下げを行っております。

 また、既に借り入れをしておる資金の返済期限の延長などにより、毎月の返済額を減らし、資金繰りを支援すること、これが重要であります。そこで、信用保証協会において緊急保証などを利用した借りかえを行いやすくするとともに、日本政策金融公庫においては、複数の債務の一本化、借りかえを促進する制度を導入しております。

 また、日本経済を牽引してまいりました大企業、中堅企業についても、産業全体の資金繰りを円滑化すべく、昨年末から中堅、大企業向けの危機対応業務も開始しております。

 引き続き、全力を挙げて、各産業の資金繰りの支援に経済産業省を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。

片山分科員 ありがとうございます。

 あらゆる省庁の中で、最も対応が早く、現場の声を聞いていただいているということはもう本当に日本じゅうに浸透していると思いますが、実は私、この保証枠ができるときの議論にも参加させていただきましたし、広げてくるときに、中小企業庁と逐次いろいろなお話をさせていただいて、例えば、自動車部品が対象になっていたけれども部品の設計が入っていなかったとか、さらに、運送はいいけれどもこん包はだめだったとか、大体それらを同時にやっている会社の業務が多いものですから、その辺を申し上げていったところ、いずれもしんしゃくしていただいて、広げたり、広げる方向を打ち出していただいたりしていることに大変感謝をしております。

 ただ、この不況のマグニチュードはそれを上回っておりまして、恐らく、十数年前の金融不況の特別融資のときよりももっと悪いんですね。しかも速さが速いものですから、私は、三月を乗り越えるということもあるんですが、恐らく、それが終わった後にまた仕事が来ない現場が多いので、そこで資金がどうしてもつじつまが合わなくなってくると。

 その大量の駆け込みに、今のようにきちっと業種を指定し、一つ一つの審査を上げていったら、市町村の窓口や保証協会が全く対応できなくなると思います。現状でもそうなりつつありますので、その状況を見て、特別融資的なことをぜひ御検討いただきたいと思いますが、その点についてのお考えをお聞かせください。

二階国務大臣 年末ということに大変力を注いでまいりましたが、その山を越えれば、今度はいよいよ年度末に向けて、今御質問にありましたような点について我々は対応してまいらなくてはならないと思っております。

 先ほども申し上げましたが、三十兆円の保証・貸付枠を十二分に活用してまいるとともに、七百六十業種に及ぶ緊急保証や、原則として全業種が利用可能であるセーフティーネット貸し付けの運用に、経済産業省は公庫、信用保証協会、関係団体、これら一体となって対応していきたいと思っております。

 そして、売り上げが落ち込んで資金繰りが厳しくなっている中で、中小企業が抱えるいわゆる在庫、それから売り掛け債権、手形を担保とした貸し付けや保証の推進、これに窓口を開いたことは、関係者に大変喜んで御活用いただいておるというふうに伺っております。

 長期安定的ないわゆる劣後ローンの貸し付けを拡大し、中小・小規模企業の再建支援の強化等を推進していく考えであります。

 こうした点を含めて、信用保証協会や金融機関に対し、年度末対応をしっかりやっていただくように、同時に、各地の中小・小規模企業の声をできるだけお伺いし、制度の運営に反映させてまいりたいと思っております。

 御指摘の特別保証でありますが、十年前に実施した金融安定化特別保証では、破産や粉飾決算など一定の外形的な事由に該当しない場合は、原則保証を承認する方式を採用しました。いわゆる何でも保証するということをやってきたわけでありますが、これによって多くの優良な中小・小規模企業が倒産の危機を免れましたが、一方で、旧債振りかえや不正利用などの弊害も生じてきたことも事実であります。

 こうした過去の教訓も踏まえながら、今般のいわゆる緊急保証においては、金融審査を実施し、より効果的な対応をすることといたしております。

 みんな無審査でやれとか、同時に、保証の業種を全業種に拡大するようにというふうな御意見をしばしばちょうだいするわけでありますが、これは私は一つの考え方であって、現下の状況を見て、国会議員の皆さんがそういう声をいろいろなところからお聞きになるということは十分私も理解できるわけでありますが、国民の皆さんの税金を活用させていただいて行っている業務でありますから、それなりの責任をやはり厳格に果たしてまいらなくてはならない。

 この中間点といいますか、我々の負っておりますこの両方の責任をどう果たしていくかでありますが、できるだけ多くの皆さんの声をお聞きしながら事態に対処してまいりたい、このように思っております。

片山分科員 大変柔軟かつ今の現状の展開の可能性を全部視野に入れたお答えをいただいて、ありがとうございます。

 あの当時もそういった議論がございまして、実は私はあの当時の議論をしたときの銀行局側の担当官でございますが、結果的に、よその国でやったらそうはならなかっただろうというぐらい貸し倒れ比率が低かったんですね。ですから、日本人の金融の貸し借りのモラルあるいは常識というものが今でも同じであれば、ほかの対策に比べてコストが高いということはないと思いますが、あとは、非常事態と緊急性の判断を政府と政治がいつやるかということだというふうに考えております。

 それで、私どもは、危機と戦うセーフティーネット議員連盟というのをつくっておりまして、党の方では経済産業部会長にも入っていただいて、派遣の話から始めているんですが、それだけではなくて、企業自体の救済もセーフティーネットがさらに必要という観点で議論しております。

 そういう議論の中で、銀行ではなくて事業会社にもセーフティーネットとして融資、出資を広げようというお話をしていましたところ、ほぼそれと時期を同じゅういたしまして、産業再生法で出資を使えるようにしていただくと。つまり、多分、自己資本が毀損する大手の企業が多いので、それが地域に重大な雇用の影響を与えるというようなことになれば優先出資をしていただけるということになった。これは非常にありがたいお話で、早速、成立する法律を待たずに手を挙げていらっしゃる会社もあるようで、それもなかなかすごいなと思うんですが。

 これは私、一昨年ぐらいから党の方でも国会の方でも申し上げているんですが、結局、このところずっと、今回の危機に陥る前から、家計の手取りがふえない現象というのが、GDPの最大構成項目である消費が伸び悩んで、いまいち内需が拡大しないということになっている原因で、日本人のほとんどがサラリーマンであることを考えると、企業がどのぐらい人件費に配分してくれるか。これが、分配率も上がらない、だけれども、それを上げていくことによって先行きの不安がぬぐえないから企業もできない。ずっとその平行線になっているわけです。

 ここで、資本増強を仮に受けるという条件として、雇用の維持とともに、給与水準というか、いわゆる労働分配率をある程度確保していただかないと、全体として経済効果が余りないんじゃないかということが考えられます。

 というのは、私、五十から百事業所を週末ぐらいにはいつも回ってしまうんですが、平均して、いい方で週休は三日か四日ですよ。残業は当然全然ないんですね。夜勤もないんですね。それでいろいろと計算していきますと、収入は、よくて三割減ベースですよ。これがことしになってから始まっていて、一月、二月は、奥さんが見てわあっと言う。でも、これはいつまでも続かないんでしょうねと思っているのがもう二、三カ月続いたら、もう全く物買わないですよ。今でも街頭インタビューなんかで見られるように、当面我慢しようねですが、もう全く買わないですよ、これが数カ月続けば。それで貯金の取り崩し等も当然やっていくことになります。

 こういう状況が見えていて、消費がこれ以上落ち込んだら、会社の方をある程度、破綻はしないということで救っても、そこからプラスの効果が出てこないので、最悪は防いでも、そこから先がないので、ぜひこの辺をうまく活用していただきたいなと思うわけですね。

 ですから、三年以内の事業のV字回復とかの絵をかくんですが、その上で大幅なリストラとか給与のどんと引き下げをやってしまうと余り意味がない。この辺のバランスについてのお考えも伺いたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の産業活力再生特別措置法の一部改正案の中で、危機対応業務の一環といたしまして、企業への指定金融機関からの出資を円滑化するための措置を講じているところでございまして、現在、詳細な制度設計を進めているところでございます。

 その対象企業でございますけれども、いわゆる産活法の認定企業ということでございますので、その産活法の認定要件の一環といたしまして雇用への配慮を求めておりますが、具体的には、企業から提出をしていただきます事業計画の中で、労働組合等との必要な協議を行うことなど、労使間で十分に話し合いを行いますとともに、認定企業は、事業計画の実施に際しましては、雇用の安定等に十分な配慮を行うということにさせていただいております。

 したがいまして、御指摘のとおり、出資円滑化策を講じる場合に当たりましては、雇用面での十分な対応が図られますよう適切に対応をしてまいりたいというふうに考えております。

片山分科員 ありがとうございます。

 この物を買うのに立ちすくむ現象は全く顕著でございまして、私の近くにあります最大の日本全国チェーン店のショッピングモール街で、バレンタインのチョコレートが昨年に比べて二割売れなかった。そういったものまでもう既に全部売れておりません。お正月は市場でマグロも売れない。これはどんどんどんどん全分野に広がっていくわけでございますが、自動車については、今般、大変な思いをして、ハイブリッド、省エネ車の税金を大幅に下げる、事実上、政府の力で販売ディスカウントをやる、販売インセンティブを与えるということをやったわけですが、これだけではちょっと足りないのかなと。つまり、需要家に直接インセンティブを与えるということも、減税ということが今すぐに、この減税法案を通した後のさらに減税法案というと一年後になってしまうわけですから、できないということを前提とすると、需要家に直接的なインセンティブを与えないとなかなか難しいかなと。

 省エネ家電、新エネ家電については、投資の方では大胆な減税をしておりますが、買う方にも、今、自民党の党内で、地デジについてはお金を出そうか、これは政府の方針で変えるんだからということをやっている以上は、もう新エネ、省エネの機材等にもある程度支援をしなければ仕方ないんじゃないのかなということも考えられるわけでございますが、その辺について、いかがでございましょうか。

二階国務大臣 省エネ、新エネの関連設備や省エネ家電等の導入促進は、低炭素社会の実現の観点から重要な課題でありますが、同時に、今議員御指摘のとおり、景気後退局面である現在において、経済の下支えの観点からも極めて意義の大きいものだというふうに認識をしております。

 このため、経済産業省としては、既に本年度補正予算において手当てをさせていただいた住宅用太陽光発電への補助制度、これは御案内のとおり一月十三日からスタートをさせました。今既に九千五百件を超える申し込みをいただいておりまして、大変好調なスタートをさせていただいておる。また、次世代の自動車への購入支援を行うとともに、世界に先駆けて一般販売される家庭用燃料電池への購入支援も行うこととしております。

 さらに、省エネ型の家電の買いかえを促進するために、省エネ効果を見える形にするなど、生産者、消費者及び販売者が買いかえの効果を実感でき、買いかえを促進させる仕組みの設計も検討しているところであります。

 こうした施策を着実に実行し、引き続き、省エネ、新エネ関連製品の導入促進に努めてまいりたいと考えております。

片山分科員 ありがとうございます。

 これに加えまして、きのうの日経の夕刊でしたか、ベトナムが全域に、古い言葉で言うファイバー・ツー・ザ・ホームですか、もっと新しく、日本発の、さらに一段階進んだファイバーなんですけれども、ベトナム全域に工業、産業目的で引く投資をすると。もちろん景気対策もあるんですけれども。日本におきましても、重点投資を行う意味で、太陽光発電ですとか風力発電といったグリーンエネルギーへの発電基地ですとか、あるいは既存の、あるいは将来予定がされる工業集積地に、この際、すべて公共投資の形でインフラファイバー網を整備してしまうということを、今後さらに、この予算が成立した後に、必要ならば、考えていく上に非常に重要な玉として、ぜひお考えいただきたいと思います。

 次に、派遣労働について伺わせていただきます。

 今、野党の方から製造業派遣の全面禁止が出されておりますが、これも、毎日現場を回らせていただきますと、とんでもない、派遣と研修生なくして成り立つ製造現場は中小以下ではあり得ない、どういうことだという御意見が多くて、非常に意を強くしているわけでございます。現在、この派遣について、当然見直しはたくさんすべきでございます、セーフティーネットも足りません、悪質派遣業者も排除しなくてはいけません、ただ、原理原則として、どういう形でお考えかということについて、まず経産省のお考えを伺いたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 製造業務への派遣労働でございますけれども、景気拡大期には、雇用の受け皿を広げまして失業率を低く抑えるのに貢献をした、また、人材確保が困難な中小・中堅企業が必要な労働力を確保する上で役に立ってきた、こういう面がございます。

 最近の統計を見ますと、製造業務への派遣で約四十六万人の方が働いておられるとされております。仮に製造業務への派遣を禁止いたしますと、現在厳しい情勢の中、こうした方々の雇用の場を奪うおそれがありますほか、将来、景気拡大時におきましても、雇用の受け皿の提供あるいは中小・中堅企業の労働力確保が困難になるおそれがございます。

 このため、製造業務への労働派遣のあり方につきましては、中長期的に見まして、どうすれば働く方々にとって最もプラスになるのか、幅広く検討することによりまして、国民経済によい影響を及ぼすように考えていく必要があるのではないか、このように考えております。

片山分科員 ありがとうございます。

 きょうは職業安定局にも来ていただいておりますが、派遣団体の予測だと、三月末までに四十万人の規模で派遣の一たんストップが行われる、つまり、一たん失職すると予測されております。まず、大規模な事業所については、それが予測されたときに正直に申告してもらって、まだ働いていらっしゃるときに出張ハローワークをやっていただいて、あなた方にはこういう手段、こういう融資、こういう支援がありますよと、お一人お一人について、雇用保険がどのぐらい出ますよというような、御自身の把握ができるような状況の相談をその場所でつくるというサービスをやっていただいたところが何カ所かあって、それは非常によかったと聞いておりますので、これを全面的に展開していただきたいということ。

 それから、これは私どもが議連でヒアリングしてまいりまして、私、この間、「もやい」という、いわゆる派遣村をやっていた人たちの現場にも行ったんですけれども、統計にも出ているんですけれども、今こうやって失業していく場合に、雇用保険の新規受給者の半分以上が自己都合というふうに区分されているんですよ。これは我々もびっくりするんですけれども。今の景気状況で、半分が自己都合でやめているのかというふうに思われますよね。ただ、日本の慣行として、自己都合と書く方が次の就職先にいいとか、いろいろあるんですが、制度上、自己都合にしちゃうと、今回非常に評判のいい就職安定融資、つまり、家がなくなっちゃった場合に百七十万円まで借りられる、あれは非常にいい制度ですが、自己都合だと、建前上は出ないねと。これではせっかくの意味がないわけです。

 だから、自己都合にしちゃう現象はもうやめましょうと。この際本音で、私たち、申しわけないけれども、この状況ですと正規雇用も守らなきゃいけないから、派遣は期間どおりでやめさせてくださいということで、期間どおり、あるいは期間前で補償は払いますということでやった場合は、全部そうしていただいて、すぐに通知も出していただいて、つなげるようにしていただく。そこまでのセットを、ぜひやっていただきたいと思いますが、その辺についてどうお考えでしょうか。ぜひお願いします。

大槻政府参考人 二点お尋ねがございました。

 一つは、大量の離職者が発生しているような状況の中での再就職支援ということだと思います。

 企業の大量解雇等の情報をできるだけ早く把握いたしまして、これに対して、迅速かつ的確に再就職支援をやっていくということは非常に重要でございます。そのためのツールといたしまして、現状におきましても、雇用対策法に基づきまして、企業が従業員を大量解雇する場合に、ハローワークに対して事前に届け出をする。一定の場合、再就職の援助の計画をも出していただく。また、それでない場合におきましても、大量雇用変動の届け出をやっていただくということが義務づけられているところでございます。

 こういったものをさらに徹底いたしまして、できるだけアンテナを広げまして、早目にそういった情報を把握いたしまして、事業主とも連携しつつ、できるだけ早く再就職ができますように、また、先ほど御指摘ありました、企業に出向いていって離職前にいろいろな支援をするという、アシストハローワークと言っておりますが、そういった取り組みも、引き続き一生懸命頑張っていきたいと考えております。

 それから、自己都合で離職される方が多いじゃないか、自己都合であろうと、積極的にさまざまな支援をやるべきではないかというようなお尋ねでございます。

 雇用保険などにおきましては、離職理由によりまして、その受給資格を得る要件でありますとか、あるいは給付日数でありますとか、あるいはまた、給付制限の対象になるかどうかというような点が異なるところでございまして、離職理由の判定というのは、私ども職業安定機関として慎重にやっているところでございます。

 事業主が離職理由はこういうことですという証明書をハローワークに出されるわけでございますけれども、その場合に、離職証明書と申しておりますけれども、その中には、離職者が同意をして署名捺印をするという欄がございます。ただ、仮にその署名捺印があったとしても、事後に離職者が、いや、事情が違いますということで異議を唱えられたといった場合もあるわけでございまして、そういった場合は、ハローワークにおきまして、離職者と事業主双方の主張を聴取する、また、いろいろな客観的な事実関係も調べまして、実態を見て個別に自己都合なのか事業主都合なのかといった点を的確に判定するようにいたしておるところでございます。

 今後とも、こういった、今の大量の離職が出ているような状況でございますので、そういった点をよりきめ細かく的確にやっていきたい。それによって、自己都合であろうとそうでなかろうと、事業主都合であろうと、再就職支援には引き続き全力を尽くしてまいりたいと考えております。

片山分科員 ここは経済産業局長と地元の労働局長がしっかりとタイアップして、大幅な解雇というんですか整理が行われるときは、事前によく打ち合わせて、すべての制度が使われるような形に、出すようにしていただきたいと思います。

 最後に一問だけですが、こういった雇用対策のためにいろいろな予算を今回入れているんですね。二次補正での六千億円の地域の活性化交付金もありますし、二十一年度予算では一兆円の交付税の増額もあります。予備費もあります。

 ところが、今のルールだと、これらはすべて財政指数で不交付団体には行きませんが、見ていただければわかります、不交付市町村のほとんどは工場集積地帯だけです。ですから不交付になっているわけですよ、やっていけるから。そこが、今回、二、三割、経済がぼんと落ちて大量解雇の原点になっています。交付になるまでに一年から二年のタイムラグがあります。ここを何とか手当てしないと非常に現場での対策はきつくなりますが、その点について最後にお伺いいたします。

上西政府参考人 内閣府よりお答えを申し上げます。

 今お話ございましたように、私ども、二次補正予算におきまして地域活性化・生活対策臨時交付金というものをお願いしているところでございます。この交付金は、昨年十月の末に決定されました生活対策におきまして、都市部との格差に悩んでいる、窮状にある地方に手を差し伸べ、地域経済の活性化等を図るため、きめ細やかなインフラ整備などを進めるものとして交付するということで、今回、二次補正で創設されたものでございます。

 このため、生活対策の趣旨にのっとりまして、この交付金につきましては、各地方公共団体への交付限度額、財政力指数のほか、道府県にあっては有効求人倍率等、あるいは市町村におきましては離島や過疎等の地域条件、こういったものも加味をいたしまして、より条件が厳しい地方公共団体に手厚く配分をされるように、そういうような仕組みになっているところでございます。

 したがいまして、先ほど来、委員から御指摘ございますような、経済情勢の足元の急激な変化にこれが十二分に対応できるものになっているかというところ、これは御議論のあるところかと存じますけれども、きょう、経済産業大臣からも企業向けの御支援、あるいは厚労省からも雇用対策、ございました。私どもも、地域活性化に向けたさまざまな取り組み全体の中で、御指摘の観点にも留意しつつ、取り組んでまいりたいと存じます。

片山分科員 ありがとうございました。

 本当にきょうは皆さんたくさん来ていただいてありがとうございました。大臣には近々に浜松に実情視察に来ていただくという御予定を組んでいただいておりますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

山本主査 これにて片山さつきさんの質疑は終了いたしました。

 次に、赤池誠章君。

赤池分科員 自由民主党の赤池誠章でございます。

 本日は、大変厳しい中での経済産業省の中小企業などの活性化策についてお伺いをいたしたいと思います。

 私たちが生きていくためには、大まかに分けて次の三点が必要ではないかと思っております。第一番目は、家族でありそして地域でありまた国家、そういう共同体という視点だと思っております。第二番目は、当然、生きていくためには食料を確保して、物などの生産、流通をさせる、個人でいえば職業、全体でいえば経済活動という視点が大事だと思っています。それから三つ目は、やはりそれらを支える心の部分、精神、そんな魂というような部分も必要ではないかと思っています。

 そういう面では、私どもの政治の大きな役割というものは、人間活動に必要なこの三つの要素である、家族、地域、国家の共同体をどう守っていくのか、安全保障の視点、第二番目は個人の職業、つまり全体でいえば産業振興というものの視点、そしてそれらを支える教育、当然、さまざまな行政、政治の分野はあるにしても、この三つが柱ではないかというふうに感じております。

 きょうは、その中での個人における職業、全体でいえば産業振興、いわゆる経済について質問をさせていただきたいと思います。

 経済とは、改めて定義するまでもなく、お金や物、サービスの流れということであります。その物やサービスを生産そして流通させていく主体が企業であるということであります。その企業というのは、御承知のとおり、九九・七%、大半が中小企業ということであります。その振興というのは、先ほど述べさせていただいたとおり、政治の重要な役割であり、大企業のほとんどない各地方にとっては、中小企業振興というのは地域にとって死活問題につながっていくというふうに思います。

 地方を支える中小企業というのは、地域の格差が広がる中で、昨年の冒頭は原油や材料の高騰など、特に建設業や小売・サービス業が非常に厳しい状況を抱えておりました。そしてさらに、昨年の後半では世界的な金融危機によって輸出が急激に減少して、個人消費も落ち込むということで、経済成長率マイナス一〇%以上、雇用情勢も急速に悪化をしているということでありまして、特に、好調でありました輸出が急減しましたので中小の製造業に大きく影響しておりまして、それでなくても厳しい地方経済がますます危機的な状況になっているということではないかと思っております。

 資金繰りの悪化を踏まえて、政府はいち早く、三十兆円規模の資金繰り対策、下請取引の適正化など、対策に全力で対応しております。緊急保証の実績は、大臣の方からも国会に御報告がありました、最新の数字でいえば二十八万件以上、六兆円以上となって、それなりの実績というものが十分示されているのかなというふうに感じておりますが、中小企業庁の中小企業景況調査によると、時間のずれはあるとはいえ、昨年末までで、まだまだ中小企業にとっては借り入れは難しい、借り入れ難易度というのは残念ながらずっと一貫して悪化を続けている。多分そのトレンドというのは、ことしに入ってもますます変わっていないんじゃないかということを危惧いたしております。

 地元を歩いていてさまざまな中小企業の方々からよく聞くのは、緊急融資は本当にありがたいんだけれども、やはり資金繰り対策として、今まで当然、企業活動をしている上にあってはもう既に何本かの融資を、借り入れをしているわけですね。それらを一本にまとめて、借りかえることがもっとできれば非常にいいのではないかという声をたくさんいただいております。

 当然それによって、同じ融資残高でも返済金が減りますから手元に現金が残るということでありまして、資金繰りに余裕が出てくるということであって、政府の対策としても、借りかえ融資というものをもっともっと充実拡大するのは、原資が少なく、大変有効な対策につながっていくのではないかということを感じております。借りかえ融資の拡大充実について、当局の見解をお伺いしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、赤池先生からお話がございましたように、この国の経済そして雇用、暮らしを中小企業が支えているということで、私ども、大変重い職責を担っているわけでございます。中小企業の活動にとりまして資金繰り、資金というものは、ちょうど我々の命を支えます血液のようなものだというふうに思っておりますので、少しでも円滑に、そして存分にこれが流れるということは大変重要だと思っております。

 御指摘がございましたように、中小企業が直面する今の苦難というのはいろいろな状況がございますので、お話がございました資金繰り対策として、手持ちの資金を少しでも大事に大事にとって使っていただくというために、既にお借りいただいている方々の返済負担の軽減のためのさまざまな工夫というのは大変重要な政策課題だと思っております。

 実績で申し上げますと、私ども、昨年秋から、今回の緊急対策ということで、貸し出しそれから保証ということで二本柱でやっておりますけれども、日本政策金融公庫の方では、昨年の十一月、十二月のデータがまとまっておりますが、約千六百億円程度の条件変更、この中に、既存の借入金の借りかえ、一本化、こういったようなことが行われているところでございます。

 加えまして、これは先生方の御承認をいただきましてさきに成立いたしました第二次補正予算で、業況の厳しい方への金利をさらに引き下げるということも開始しておりますので、御活用をぜひお願いしたい、あるいは促すようにということを公庫の方に、大臣のお力もかりまして指導しているところでございます。

 また、二本目の柱の信用保証でございます。これにつきましても、その保証がついております借入金の借りかえ、一本化に保証協会として対応するようにということでございまして、先ほどお話がございました六兆を超える昨日までの実績の中で、私どもといたしまして、おおむね三割程度はこうした借りかえや一本化をされました債務についての保証ということで承諾をしているというのが実情でございます。

赤池分科員 三割が借りかえという形で既に取り組みがなされているということでありますが、そういう面では、ケース・バイ・ケースの場合が多いわけでありますが、さらにそういった形でできますよという告知、周知を徹底していただきたいというふうに思っております。

 それから、今のは当然国の制度融資ということなんですが、それぞれ地方に戻ると、都道府県は都道府県で同じような制度融資を持っていたり、また市町村は市町村で小口の部分であったりということで、そういったものを持っているんですね。やはり小さいところというのは、国だけではなくて県の、または市のということでそれぞれの制度融資を活用している場合が多いということを聞いておりまして、県も市も、それぞれの県の部分、市の部分は借りかえできますよと。ただし、県、市、国を越えるとなると、特に県と市の場合は民間の地元の金融機関を使っていますから、これはなかなか簡単にはいかないということは聞いてはいるんです。

 ただし、中小企業にとっては、国であろうが県であろうが市であろうが、行政の機関がやっていることであって、民間金融機関が後ろについていようが、そういうことも含めて、県、市、国を越えて、改めてそこを一本化してまとめるということができれば、これはさらに利便性が上がるのではないかということを感じております。

 これは簡単にはいかないにしても、そういう視点でも、本予算を初め今後新たなる各種施策を展開する上に当たっては、ぜひ大臣、検討していただきたいというふうに思っておりますし、中小企業庁の方もよろしくお願いをしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からお話がございましたように、各自治体も、それぞれの発意でいわゆる制度融資というものをやっております。

 この制度融資ですけれども、多くの場合は、仕組みとしまして、どうしても、残念ながら何割かの確率で貸し倒れというのがございますので、その場合には、国の信用保険、間に入ります信用保証協会を通じまして信用保険に入っていただいているというのが実態は大宗でございます。

 したがいまして、最終的には、貸し倒れということで焦げつきという、言葉はいいかどうかわかりませんけれども、当初のお貸ししたものが返ってこない場合には、国の信用保険制度というところに最後はリスクが顕在化しまして、それで処理をするというのが多くの場合は実態でございます。

 したがいまして、今お話がございましたように、保証協会ないしは関係の自治体とよく連携をとりまして、こういった自治体ベースの融資でも、この保証というものが実態にふさわしい形で引き続き機能していきますように留意をしてまいるつもりでございます。

赤池分科員 ぜひ、中小企業の視点に立ってどうなのかということは既に考えていらっしゃるとは思いますが、より柔軟で、そして使いやすい制度融資というものを構築していただきたいと思います。

 続きまして、地域や国全体にとって人口動態というのは、その地域であったり国の活力を見る上で大事な指標だと思っております。同様に、経済活動にとっては企業の開業率と廃業率、これはまさに経済の活性化の大事な指標だと思っております。

 そういう面では、白書などでそれぞれ取りまとめられたり、また調査の方法も、タウンページを活用したりとかいろいろな形でなさっていると思うのですが、その辺の日本の現状と、さらに、政府にとっては、開業率向上、廃業率を開業率が上回るということは非常に大事な政策目標だと思うわけであります。その辺がどういう位置づけで、どういう認識を持っておられるのか、また、具体的に開業率アップのためということでさまざま、各種政策が既にとり行われているわけでありますが、その辺の柱が何で、どういう効果なのかということをかいつまんでお伺いしたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、開業率というのは非常に注目すべきデータであるというふうに考えております。我が国経済の活性化にとりまして、とりわけ中小・ベンチャー企業等の開業や成長を促進していくということが大事だというふうに考えております。

 しかしながら、我が国の現状を見ますと、このところ開業率が廃業率を下回る、こういう状況が続いておりまして、政府といたしましてもさまざまな施策を展開しているところでございます。例えば創業を志す方を対象とした研修事業といたしまして、全国の商工会、商工会議所による創業塾の実施、また創業二年以内の方に対しまして無担保、無保証人で融資ができます、日本政策金融公庫による新創業融資制度の創設、また個人投資家からの資金調達を円滑にするためのいわゆるエンジェル税制の創設、拡充といったような、各種の開業促進策というのを講じてまいりました。

 このような施策の効果もございまして、最近の開業率を見ますと、平成十六年から十八年の平均でございますけれども、それまでの三・五%から五・一%というふうに増加をいたしまして、廃業率とやや接近をしてきた、こんな状況でございます。

 経済産業省といたしましても、今後とも、こうした開業の拡大を図るための取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。

赤池分科員 政府・与党一体となった施策の展開の効果が出ているということで、数字も上がっているということなんですが、まだ残念ながら廃業率を上回るところまで行っていないということだということを聞かせていただきました。

 そういう面では、引き続きぜひ、こういう不況だからこそ失業率が当然、残念ながらふえているということでありまして、ただ、その中には本当に優秀な方々もたくさんいらっしゃる。いわゆる失業なさる方が、単に行政の保護する対象というネガティブな発想だけではなくて、そういう方々の持っている優秀な能力を最大限に活用して、こういった時代だからこそピンチをチャンスに変えて開業していく、創業していく、そういったものを政府がバックアップしていくということも大事な視点ではないかと思っております。

 とりわけ、さまざまなお金も必要、知識も必要、税制も必要なわけなんですが、やはり一番根幹になるのは、起業家精神みたいなマインドだと思うのですね。やはりやる気がなければ能力があってもできないということでありますから、このマインドをどう上げていくかということが大事なポイントだというふうに私は感じております。

 そういう面では、先ほどの創業塾、全国各地で展開をなさっているというのはもちろん大事なポイントだと思うのですが、その前の、小さいころから、創業というものが大事だ、やはり能力そしてやる気のある人はどんどん創業していくんだ、そういう子供のころからの夢を実現していくみたいな視点をぜひとり続けていただきたいなと思っています。

 聞きましたら、以前、文科省と提携して子供対象の事業もやっていたということでありますが、現在は行われていないということであれば、ぜひそういった視点で、トータルなライフステージとして、子供のころから、成人、また女性、高齢者を含めて、各段階に合わせた経営者の創業マインドを上げていくような各種施策を、経済産業省は各省と連携して取り組んでいただきたいと思います。

 三つ目の質問に移らせていただきたいと思います。

 中小企業活性化という中で、地域の商店街というのは一番私どもの身近な部分だと思うのですね。そして、それは地域の共同体そのものを担っているという部分ではないかと思っています。単に商売をするという視点だけではなくて、消防団を初め自主防災組織であったり、さまざまな地域の共同体、コミュニティー活動の中核を担っているのが地域商店街ではないかなというふうに考えております。そういう面では、共同体再生の重要なポイントは地域商店街の活性化である、そういう言い方もできると思うんですね。

 近年、中心市街地活性化策や、また都市計画による大規模店舗の立地規制ということで各種施策が行われてきているんですが、ただ、残念ながらまだまだ、私、現地、現場を歩かせていただく中では、十分という形には効果を出していないのではないかということも現実ではないかと思っています。そういう面では、地域の商店街を元気にしていく、その商店街を元気にするということが、これもまた大事な政策課題ではないかと思います。

 そういう面で、地域の商店街といっても、当然ケース・バイ・ケース、いろいろな商店街がある中で、考えてみると、やはり地域の商店街で元気な個店、一つの店があるかないかというのは重要な活性化のきっかけづくりになるのかな。一つの店が元気になれば、その波及効果で周りも何とかしなければという、一つのそういったものが出てくるのではないかなというふうに考えています。

 そういう面では、地域商店街の活性化策、特に個店、一つ一つの店をどう支援していくか。当然個店というのは、個人資産に直結してなかなか行政としては入りにくいところではあるとはいえ、やはりそこに一つのモデルなり元気な店をつくらないと全体には波及しないのではないかというふうに思っております。そういう面での当局の御見解をお伺いしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話がございましたように、私どもの暮らしがあるところに必ず交易というのがございまして、そういう意味で、商店街というのが私どもの暮らしを支え、また逆に、私どもが購買者として商店の魅力を上げるために商店主にいろいろな刺激を与える。こういったような非常に濃密な関係があって、そして中心市街地の施策の対象となっていないといいますか、そこのいわば外側においても、人々が暮らす以上、そこに商店街というのはぜひ活躍してもらいたいというふうに思っております。

 商店街につきましては、さまざまな商店街が直面いたしますいろいろな苦境を受けまして、既に、先生が属されます党も含めまして、御提言あるいは御指摘をいただいております。

 特に、物の売り買いというようなことにとどまらず、地域社会を支え、また役に立つというような、そういった考え方のもとに商店街の活動をぜひ支援するということで、既に経済産業省といたしましては、自由民主党には昨日、経済産業部会にお諮りをさせていただきましたけれども、地域コミュニティーの担い手としての商店街の役割を前面に出した支援法、この支援を受けて商店街の方にも商店主の方にもぜひ、元気を出すといいますか、もっと担い手としての意識を強めていただいて、それで一緒に我々の暮らしを支える、こういったような法案を準備中でございます。

 特に、御指摘がございました個店でございますけれども、幾つかの切り口から支援策というのをその法案の中に盛り込みたいと思っておりまして、まず、一番よく問題になります空き店舗でございます。その空き店舗というものがある種の病巣になり、放置しておきますと商店街全体にマイナスの影響を与えるものですから、これにつきましては、与党の税調で御決定をいただきまして、空き店舗の敷地、本当にその敷地を利用して店舗ができるような方への譲渡を容易にするような、そういった措置をぜひこの法律案を成立させて実現すべしというのが一つございます。

 二つ目は、商店主の方々の設備面でございまして、お魚屋さんの冷凍庫とか和菓子屋さんのお菓子の包装機とか、こういったような製造になる機械の無利子融資の枠組みを今度の法案の中で強化したいというのがございます。

 そして三番目は、何と申しましても、個店を支える最大の資源といいますか、それは商店主でございます。したがいまして、商店主の方が最新の情報、そして身近な人々の模様、それからどういったような役割が単なる物の売り買いのプラスアルファとして地域のお役に立つのか、こういったようなことを再度情報交換し学んでいただくような、こういった機能を持つ組織体を商店街自身の組織でできるようにぜひ支援をしたいということで予算を措置いたしまして、この法案の成立によりまして実現したいというのが現在の私どもの考え方でございます。

赤池分科員 新たに地域商店街を活性化させる新法ということであります。そういう面では、速やかに新法を審議した上で成立させて、ともすると手おくれ感がある商店街はたくさん全国にあります。そういう面では、速やかに新法を成立して、地域商店街の活性化に向けて、政府そして私ども一体となって全力を尽くしてまいりたいと存じます。

 最後に、私は、経営の神様であります松下幸之助翁が、昭和四年の経済恐慌のときに、まだ大阪の中小企業、三百人ぐらいのまだまだ町工場だった時代に、松下電器製作所という名前だったときに、その経済不況のときに、綱領、信条というものを制定したということを聞きました。

 当時の綱領がどうなっているかというと、営利と社会正義の調和に念慮し、国家産業の発展を図り社会生活の改善と向上を期すというものであります。若干その文言は変わったんですが、パナソニックという名前に変わっても、現在でも精神は生き続けていると聞いておりますし、その後、昭和八年には、全従業員の行動指針となる遵奉すべき五精神、その後二精神が加わりまして、綱領、信条、そして遵奉すべき七精神ということで、毎朝、朝会という形で現在でもパナソニックの中で行われているということであります。

 七精神というのは一体何かといいますと、一つ目が産業報国の精神、公明正大の精神、和親一致の精神、力闘向上の精神、礼節謙譲の精神、順応同化の精神、感謝報恩の精神ということであります。

 これらの昭和の初期に制定されたものが、戦中戦後、そして松下幸之助翁が逝去された後も脈々と続いているということであります。そういう面では、この精神というのは、会社は社会からの預かりものである、公器である、産業というものは、単に個人のものではなくて、まさに国家のためにある、そういう公の精神みたいなものがあったのかなというふうに感じております。

 それは、松下のみならず、戦前から戦後、そして長く企業活動を続けたトヨタを初め、そういった企業にはそういった精神があればこそ、現在もさまざまな苦難の中で成長し、そして発展をしていくのかなということを感じています。

 残念ながら、そういった精神そのものが忘れ去られている一面もあるのかなということを感じておりまして、昭和初期の世界経済恐慌と現在の世界的なアメリカ発の同時不況を比べてみる中で、改めて国家にとっての中小企業支援の理念というものをしっかり明確にしていく。同時に、企業や企業家の方々にとっても、単に営利追求ではなく、公の精神であったり、日本国家や世界というものに貢献するという理念が改めて求められているのではないかということを感じております。

 そういう面では、最後に大臣の方から、理念であったり、中小企業振興への決意をお伺いさせていただきたいと思います。

二階国務大臣 今、松下幸之助翁の言葉を引いて、赤池議員からるるお話がございました。

 私も大変感銘深く聞いておりましたし、松下幸之助は私の出身地の和歌山県の生まれでもありますので、私どもも常日ごろ、松下翁のお考えを拳々服膺しているところであります。

 中小企業の問題について大変情熱のあるお話を伺いまして、感謝をいたしております。議員が御指摘のとおり、中小企業というのは日本の産業の中の大宗を占めるものであって、しかも四百二十万社の中小企業で、九九%以上がこの中小企業であって、従業員の皆さんの数は約七割を占めておるわけでありますから、産業、雇用、暮らしを支える重要な存在であることは申すまでもありません。

 特に、最近においては、経済財政諮問会議等におきましても、経済界の皆様の中からも、この中小企業の存在そして農業の存在、このことが大変重要だという指摘がなされるようになってまいりました。

 私は、地方におきまして中小企業というものの存在は、全国各地にあまねく存在しておる産業でありますから、それだけにこの活動拠点を活発に動かしていくことによって日本の景気回復にもつながるわけでありますから、我々はこの際、こういうときだからこそ中小企業対策ということを念入りにやっていかなきゃいけないというふうに思っております。

 中小・小規模企業対策を政府全体の対策の柱として、二次にわたる補正予算と二十一年度の予算で一兆一千億円の計上をいたしております。

 倒産を一件でも少なくしようという合い言葉のもとに、私どもは、三十兆円規模の保証・融資から成る資金繰り対策をやっておるところであります。

 また、下請関係については、下請代金支払遅延防止法を活用し、下請中小企業に対する不都合な対応については立入検査を強化する、また相談体制も拡充する。

 委員御指摘のとおり、こうした状況だからこそ、このピンチをチャンスに変えて頑張っていきたい。そして、ようやく農商工連携という言葉が人々の間で理解をされるようになってまいりました。これを中心にして、農商工の連携によって中小企業の発展にも力を注いでまいりたい。

 いずれにしましても、中小企業というのは多くの国民の皆さんが所属しておる産業でありますし、多くの国会議員の皆さんも非常に身近に感じておっていただくわけでありますから、これらの皆さんの御協力をいただきながら、経済産業省としても最重点政策として今後取り組んでいきたいと思っております。

赤池分科員 大臣、ありがとうございました。

 今後も、二階大臣そして高市副大臣、また関係各位の皆様方の活躍を期待しておりますし、私も、微力ではありますが、全力で中小企業振興のために頑張ってまいりたいと存じます。

 きょうは、ありがとうございました。

山本主査 これにて赤池誠章君の質疑は終了いたしました。

 次に、安井潤一郎君。

安井分科員 おかげさまで、衆議院議員というお立場をいただき丸三年がたちました。三年前、いわば生まれて初めてこの国会の場で質問させていただいたときにお答えをいただいたのも、実は二階経済産業大臣であります。身体的にはいまだに育ち盛りという体形ではございますが、この三年間、果たして議員として育ったのかどうなのか、内省を込めながら一生懸命質問をさせていただきます。

 その三年前、まだ議員にさせていただく前、今大臣のお話の中にもありました経済財政諮問会議、それぞれの方の読み方、見方はあるのかもしれませんが、私には、この国の方向性をあらわす経済財政諮問会議、強いやつが勝って弱いやつが負けてどこがおかしい、中小企業庁が変な補助金を出すから負けた弱いやつが市場に残っている、だからこの国は変わらないんだというふうに私には読めました。

 強い者が勝って弱い者が負ける、当然だと思います。しかし、この十年間何が起こってきたのか。無秩序な対策で地域商業がずたずたにされ、もちろん自助努力の不足も大きな要因だったかもしれません。しかし、現実として雇用の場が減り、生活保護は激増し、商店街組織がなくなったところでは地域コミュニティーが崩壊し、治安の悪化も起こっておることを正確に総括すると、商店街は物を売ったり買ったりサービスを提供するだけでなく、地域コミュニティーづくり、地域住民の安全、安心も担保する重要な役目も負っていることが見えると思っております。

 そのような中、今まさに麻生内閣は、中小零細事業、地域商業の活性化に向かって大きくかじを切られました。方向を示しただけでなく、農商工連携という具体的なテーマも掲げられております。

 その商店街活性化対策の中で、特に人材育成を中心に、地域コミュニティーの担い手としての商店街活動支援を行うことが重要であるのではないかと考えますが、いかがでしょうか、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。

二階国務大臣 ただいま安井議員から、初当選のころ、そして初質問のことについて言及されました。私も、安井議員を自民党の公認候補として御推挙する際に党の総務局長をしておりましたので、御経歴から御活躍の背景をすべて承知いたしておりますが、当時幹事長でありました武部代議士が早稲田大学の同級生ということで、安井先生のことを高く評価されておりました。私は、その評価どおりであり、しかも、今、育っているか育っていないかということでありますが、一期生の議員はたくさんいらっしゃいますが、これほど存在感のある一年生議員、一年生議員と申し上げるのは失礼かと思うんですが、一回生議員、自民党の中では本当にみんなが異口同音に高く評価をするところであります。

 しかも、あきんど議員連盟などというものをつくった。これも、普通の人があきんど議員なんと言うと怒られちゃうわけでありますが、安井先生が発案で、あきんど議員連盟ということをみずから名乗るわけでありますから、だれも異議の申しようがなくて、みんな大賛成ということであります。

 商店街というものは極めて重要なものである、しかも、人材を育成しなきゃならぬということ、これはもう私も十分承知しております。

 私は小さい町の出身でありますが、私の生まれたうちといいますか育ったうちは商店街にありました。したがって、商売人の皆さんのことは、朝な夕なにその活動ぶりというものは承知をしておるわけであります。寒い日にも朝の早いときから自分のうちのウインドーをぞうきんで一生懸命きれいにふいておる我々の同級生のお父さんの姿など、学校へ行くときに見て行きました。

 そうした商店街の皆さんが本当に真剣な取り組みをしておられるわけでありますが、大きな時代の流れとともに商店街の存在というものに対して大変御苦労されておるわけでありまして、ぜひ、このあきんど議員連盟を中心にして、いろいろな御意見をちょうだいし、人材育成を含め、ハード、ソフトの両面から積極的な支援をしてまいりたいと思っております。

 地域商店街活性化法案にも大変な期待を込めていただいておりますが、これに対しても、十分この名にふさわしいような内容になるように、資金面、人材、ノウハウの面におきまして支援をさらに拡充してまいりたい、このように思っております。一層の御支援、また御指導をお願いしたいと思っております。

    〔主査退席、坂本(剛)主査代理着席〕

安井分科員 過分な御評価を賜りましてありがとうございます。私も、まさか五十真ん中を過ぎてからチルドレンと呼ばれるとは思わなかった、そんなことを思い出しております。

 ただいま、商店街の支援ということで、ただ、今までつくられてきました社団法人コミュニティ・マートセンター、株式会社商業ソフトクリエイション、TMO推進協議会等は、現場感覚が希薄で、ただつくっただけ、いわばアリバイづくりのような感が否めません。ぜひ今後は現場感覚を色濃く打ち出す組織づくりをお考えいただければというふうに思っております。

 地域住民の安全、安心を担保する、これも商店街の仕事だと申し上げましたが、地域の安全、安心に資する取り組みを行う商店街への支援を充実すべきと言うが、法人格のない商店街に対してどのような取り組みを行っているのか、お知らせいただきたいと思います。

高市副大臣 安井委員とは、私もあきんど議員連盟のメンバーの一人で、さまざま御指導いただいてまいりましたし、また、現在、補正予算にしましても来年度の予算にしましても、安井委員の御指摘というものがさまざま反映されていると思います。使い勝手のいいものにすべく、私たちも頑張ってまいります。

 商店街が地域の安全、安心に資する空間であってほしいということは、住民からの御要望の中でも非常に大きな部分だと思います。第二次補正予算の中では、AED、それから防犯カメラ、防犯灯の設置などに対する支援措置が盛り込まれているわけなんですけれども、この支援事業というのは、任意団体であっても、またNPO法人などであっても使えるということで、旧来型の、組合組織じゃなかったら絶対だめというものにはなっておりません。御利用いただけるようになっております。

安井分科員 ありがとうございます。

 今、高市副大臣からもお話しいただきましたあきんど議連、私は、一昨年の四月まで地元早稲田の商店会長を十五年務めさせていただいております。その商店会、商店街振興組合が組織しております新宿区商店会連合会、四千三百店舗と言われておりますが、ここの副会長は現職でやらせていただいております。

 その現職の立場から言わせていただければ、商店街施策というのは、究極の私権の制限だと私は感じております。この土地はあなたのもの、この建物もあなたのもの、でも、この町はあなたのものではありませんよということであります。元気で商いを続けることができないなら出ていってください、かわってくださいということであります。地域のコミュニティーを維持し、地域住民の安全、安心を担保するという役目を負っているなら、いつまでも元気でなければいけないということであります。

 そのために重要なのは、新しい血を入れる、商店街とは何の関係がなくても、親が商人でなくても、自分で商売を始めたいと思っている人に入りやすいシステムの構築も重要なのではないでしょうか。

 新たに商店を始めたいと思っている人に対してどのような創業者対策を御用意されているのか、お聞かせいただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 商店街を問わず、創業それ自体は大変意義が高い、先ほどのこの委員会でも御審議があったところでございます。

 特に、それに加えまして、商店会というところで、その商店街の魅力、力を高めるためにもう一歩意識をしたそういった創業支援策ということで、私どもといたしましては、まず何よりも、今先生がおっしゃったお考えを私が正しく理解したとすれば、空き店舗になったところが主体がかわって、そしてそれによってそこがまた生き生きとし、新しい発想と新しい息吹が入る、こういうようなことでございまして、チャレンジショップといったようなことで、まあ名前はどうでもいいんですけれども、新しい方が入って新規の試みをする、こういったものに対する補助、これは、先ほど来申し上げました今回の法案を御成立いただければ、さらにその補助率を少しかさ上げしたいと思っております。

 また同時に、空き店舗を営まれる方が、建物だけをお使いになる場合もありますし、場合によっては敷地までというようなこともあると思います。その場合には、既に与党の税制調査会で御承認いただいております、敷地の譲渡を容易にする税制でございますとか、それから二つ目は、創業を志す方に対します研修事業でございまして、商工会、商工会議所で展開されております創業塾等がございます。

 また、自治体によりましては、特に商店の創業ということを意識して、東京のある区などでは、むしろ商店あるいは商店街に御造詣が深い方が率先をして、商店街あるいは商店に特に特化した創業塾といったものも展開されているように伺っております。

 それから、創業間もない方は何かと資金面が脆弱だというのが実態でございますので、新創業の融資制度、さらには、これは商店街だけではございませんけれども、商店を始めまして往々にしてありますのは、大変すばらしいアイデアで第一期目は大変お客さんが来てもうかるのですけれども、第二期目はライバルがふえた、あるいは経済状況全体がよろしくないということで、往々にしまして損が出る、こういったような場合に、税制で欠損金の繰り戻し還付という制度がございます。これにつきましては、創業段階の方につきましてはかなり長い間この適用をしている、このようなことでございます。

 加えまして、今次二次補正の予算を利用させていただきまして、これはまだ現在残念ながら使える段階になっておりませんけれども、これが使えるようになりましたならば、商店街で創業を目指す方を対象にいたしました研修を、商店街の関係の団体ともよく連携をし、そしてまた、そこに全力を挙げていただいて実施して展開したいというふうに考えております。

安井分科員 昨年四月から、無担保無保証の小規模事業者経営改善資金融資、いわゆるマル経融資が大きく変わりました。融資の上限が五百五十万から一千万に、六カ月間の指導期間が短縮され、審査会が省略になりました。

 一昨年の九月に、当時の中小企業庁の金融課長さんにおいでいただいて、六カ月間の指導期間、半年先の資金繰りがわかる八百屋、肉屋、魚屋がいるんだったら私の前に連れてきてみてくださいと申し上げました。八百屋、肉屋、魚屋は環境衛生、ですから設備投資は環衛公庫、運転資金は国民生活金融公庫、同じ店一軒直すのに、一カ所直すのになぜ二カ所にも行かなきゃならないんですか、こういうお話をさせていただいたところ、この四月から一千万になり、そして、どちらに行っても、今は日本政策金融公庫になりましたので十分なんですが、大変ありがたくできております。大変使いやすいシステムに変えていただき、皆さん大変喜んでおられます。

 小規模事業者経営改善資金融資、マル経融資の一層の拡充を考えられているのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるマル経融資、御指摘の点でございます。

 私ども、そういったような先生方の御指摘を受けた制度改善ということで、本年一月末時点では、貸付金額ベースで対前年比約二割の増でございます。また同時に、昨年のお話があった時点から今日までの間に、小規模企業も含めまして、最もインパクトといいますか影響を受けておりますのは、御案内のとおり今の経済不調といいますか冷え込みでございます。

 そういう意味で、マル経融資に限らず、小規模企業の皆さんの資金繰りという点で少しでも御支援をする、お守りをしたいということで、先ほど来御審議がございますような緊急総合対策、生活対策におきましてのセーフティーネット貸し付け、これは比較的小規模の、昨年の九月三十日以前は国民生活公庫というところが担当したものでございますけれども、こちらのセーフティーネット貸し付けも枠を拡大いたしまして、これまで貸付金額で対前年比五割増ということでございます。

 ただ、この五割増で十分だとは私ども思っておりませんので、ぜひ、これにつきましても、きめ細かく、さらに運用の万全を期してまいりたいと思います。

 マル経でございますけれども、引き続き、商工会、商工会議所を通じまして、積極的な活用を図ってまいりたいと思っております。そういう意味で、お使いいただいている皆さんの御意見、あるいは経営指導に当たっておる商工会、商工会議所の御意見も聞きながら、御利用面でさらにどういったような改善ができるかできないかということにつきましては、ふだんより関心を払って、いろいろと広く意見を聴取していきたいというふうに思っています。

安井分科員 ありがとうございました。

 昨年夏前、まだリーマン・ショックが起こる前でしたが、党の中小企業調査会席上で、金融庁に対して、このような不景気にしたのは金融庁の責任だと言ったことがあります。親の代から続いてきた商売、時代が違うから、時代が変わったから変えていこう、一年目は前の借金があるから赤字、二年目はどうにか手ごたえを感じた。三年目はいけるぞと思っていても、金融機関は融資しませんよ、なぜだかおわかりですか、それは金融庁さんが二期続いた赤字の会社に対して破綻懸念先と言うからだ、こう申し上げました。金融庁さんは即座に、先生、お言葉ではございますが、破綻懸念先ではございません、要注意先と申し上げますと。こういうふうに、何かけんかを売られたような気がしたんですが。

 時代に合わなくなって事業の継続が困難になっている中小企業者等に対して、経済産業省の転廃業向け融資の取り組みをお聞かせいただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業の実態に即しました金融というものが実施されなければいけませんので、今お話ございましたような、中小企業の金融審査をいたしますときの形式的な扱いというのは厳に慎むということで、これは先生方の大変強い御指摘を受けまして、少しずつでございますけれども、私どもは、その弾力化ということを不断に注意させていただいております。

 今のお話でございますけれども、例えば政府系の金融機関におきましては、新たな事業を始める方に無担保無保証で融資を行います新創業融資制度の充実ということを図っておりまして、昨年の四月から本年一月までで、一万三千件、四百三十億円の実績がございます。それから、経営多角化や事業転換、いわゆる第二創業というような試みをされる方のために必要な融資制度というのも用意をしております。

 さらに、この新年度からは、第二創業のための融資を拡充するつもりでございまして、既存の事業に係ります債務の手当ても含めた転廃業資金も対象といたしたいというふうに考えております。例えば、第二創業を行います場合には、従来の事業所の原状回復費用や修繕費用といった事業の廃止に必要な資金についても融資を受けられることにしたいというふうに思っております。

 また、既に私どもの方から国会の方に御審議をお願いしております産業活力再生特別措置法、いわゆる産活法の中でも、中小企業の方が第二創業をしやすいように、行政手続面の円滑化、それから、第二創業ですから、新しく法人をつくりますときにかかります登録免許税等々の税制面での軽減、こういったことも御審議をお願いしておりますので、よろしくお願い申し上げます。

安井分科員 私は、この十五年間の間、全国で十人のお仲間が命を縮められております。この国では、会社をつぶしたり店をしくじったりしますと、人間性まで否定します。ですから、親戚、友人から金を借り、そして同業者の親の代からの友人は互いに連帯保証人になっており、最後には自分で自分の命を絶つということであります。

 担保として、住んでいる家はさわらない、乗っている車もさわらない、そして現預金も五百万まではさわらない、そのかわり金利は七%というような、いわゆるやめられる融資制度を政府の金融機関の立場として政府融資の中でぜひお考えいただけますようお願いをしたいと思っております。

 またマル経に話を戻しますけれども、マル経融資は、小規模事業者にとっては事業資金調達の登竜門だというふうに考えております。また、そうしなければいけないと思っています。

 従前、マル経融資を我々地元は何と言っていたか。泥棒に追い銭と言っていたんですね。最後の最後、どうにもならなくてマル経に駆け込む、一千万頼んだけれども、それは無理だ、三百万で消えてくれ、こういうのが現場でありました。しかし、これからは、マル経融資こそが、他人様から、人からお金を借りる登竜門、いわば財務諸表を自分たちで書き自分たちで読むような、そういう登竜門になる。

 マル経制度が小規模事業者のためになるよう、経営指導と一体となった制度改革をお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 これから創業する、あるいは第二創業される、さまざまな困難に直面される事業者の方にとりまして、この方はしっかり経営指導を受けた、この方はこの制度を使っているから信用もついたというのは、このマル経制度のブランドといいますか、そういうものが上がって、そして逆に、その制度で御利用いただいているから他の面の、社会的というと大げさかもしれませんけれども、経済的、社会的、さまざまな信用がさらに信用をつくっていくというのが本来この制度としてふさわしいあり方ではないかというふうに思います。

 幸いという言葉が適切かどうかわかりませんけれども、この厳しい経営状況、経済状況の中で、マル経融資につきましての事故率というのは、昨年の年末のデータでございますけれども、五%弱ということでございます。そして、逆に申し上げれば、それ以外の方々は、融資を受けた小規模事業者の方がほとんどきちんと返済をしていただいたということで、先ほどございましたように、経営指導も最小限のもの、しかし非常に効果的なものということで、制度を運用するサイドも、この確立しつつあるマル経融資というブランドを、今、安井委員のお言葉では登竜門ということでございましたけれども、私ども、本日の指摘、お言葉を受けまして、この制度の充実、さらにはブランド化ということに努めてまいりたいと思います。

安井分科員 ありがとうございます。

 ただ、今、事故率という言葉が長官からありました。商工会、商工会議所の経営指導員の皆さんが全国で頑張られております。その全国で頑張られている経営指導員の皆様、事故率という項目がこの方たちの切っ先を鈍らさないようにお願いを申し上げたいと思います。

 本日、こういうふうに場をつくって発言の機会を与えていただき、本当にありがとうございます。二階大臣には大変御尽力をいただいた緊急保証制度、現場では、干天の慈雨とはまさにこれだと、日本じゅうのお仲間が喜んでおられます。しかし、高名な大学教授は、商店街対策は社会保障、福祉予算で対応するべきだという発言をされておりました。まさにここに問題があると私には思えます。きめ細やかな優しい行政を提唱されている、標榜されている地域首長もいらっしゃいますが、現場上がりの私から見ると、国家国民を元気にすることは大切ですが、優しくするなんていうのは行政の思い上がりだというふうに感じております。

 昨年三月二十五日、大臣から、また副大臣からお話しいただいた、商店街を蘇らせる行動政策研究会、通称あきんど議員連盟は、二階大臣のお力添え、高市副大臣のお力添えもいただきながら、百十四名という三けたの大議員連盟になることができました。

 ただ、新しいことにはリスクがつきます。そのリスクを受けるのが政治、政治家の役目なのではないかということで、あきんど議員連盟プロデュース事業というのを立ち上げ、その第一号案件として、北九州の苅田町の活性化事業を取り上げさせていただきました。第二号案件として現在検討中なのが北海道の南幌町であります。福祉と環境を切り口にした活性化事業を承認しようと思っております。その事業の柱には、経済産業省別館一階につくられました水耕栽培を位置させようと考えております。二階大臣には、格段のお力添えを賜れますようお願い申し上げたいと思います。

 また、各省庁にまたがった、現場をベースにした、今までの仕組みとは違う施策が次から次に出てくる、まさに農商工連携、農林水産省と経済産業省、このほかに地域の高齢者のコミュニティーの場、障害者の就労支援等々、各省庁にまたがった部分、今までと違う周知、啓蒙の手段をとることが必要なのではないでしょうか。具体的に言えば、新しく出てきた補助事業の内容を、ビデオ、DVD、漫画等を利用して、地域での勉強会だとか説明会に使わせていただきたいと思います。これが御検討されますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

坂本(剛)主査代理 これにて安井潤一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、高山智司君。

高山分科員 民主党の高山智司でございます。

 ちょっといろいろと大勢さん呼んでいるので、準備が整う前に、中川大臣の辞任の問題について率直なところを伺いたいんです。

 今いらっしゃる政治家の方にということで、まず二階大臣、そして高市副大臣に、飲酒でああいう記者会見をやってしまって、そしてまたやめるまでの経緯、こういうのを同じ内閣の閣僚としてごらんになっていて、またかなり仲もいいと聞いておりますので、実際一緒に飲食をしたときの様子ですとか中川大臣の今までの経緯、どのようにお感じになっているか、経産大臣の二階先生、そして高市先生の順番でお答えください。

二階国務大臣 私は、小泉内閣で経済産業大臣を承ったときに、WTOの交渉が頻繁にある時期でありました。中川大臣はちょうど農林水産大臣を担当されておりました関係で、よく二人で同じ時刻に海外に出張するということもございました。厳しい日程でございますが、特にヨーロッパのああいう人たちと話し合いをするわけでありますから、徹夜の会議もございました。そういう際に、お互いに励まし合いながら頑張ってきたという思い出はあります。残念ながら、一緒に食事をしながら云々ということは、国際会議に出てそういう余裕は全くなくて、二人で酒を飲んで町を歩いたというような記憶はありません。

 ただ、私は、中川大臣とは同期の当選の仲でございますから、古くからよく承知をしております。大変有能な政治家でありますが、今回このようなことで大臣の座を去られたことは大変残念に思っておりますが、我々お互いに、政治家たるもの、あらゆる場面で日本国を代表しているわけでありますから、そういう意味での自己規制についてはしっかりやっていかなきゃいけないと、みずからを戒めておるところであります。

高市副大臣 私自身はまだ中川大臣とお食事を一緒にしたことはないのでございますけれども、ただ、とても大切な国際会議の後に、日本国政府としての姿勢、そしてまた会議の内容について国民に、また世界にアピールすべき場所で十分な対応ができなかったということにつきましては、大変不適切なことであったと思います。

 ただ、私自身も、実は去年、地元でございますけれども、予防のために風邪薬を飲んだのを忘れて、その後、新年会でビールをコップにほんの半分ぐらいいただいたら意識がなくなってしまったことがございました。ですから、もしも昼食等で軽くお酒を含まれて風邪薬と併用されていたとしたら、意識がなくなるぐらいの状態に急になってしまうということは想像がつきます。

 しかしながら、やはりあの場では何とか根性を入れて頑張っていただきたかったな、もしくは記者会見の時間の変更などができなかったのかな、そんなふうに残念に思っております。

 やめ方等につきましては、人事は総理が行われるものですから、その過程においていろいろなお考えがあったんだろうと思っております。

高山分科員 あと、ついでにもう一つ伺いたいんですけれども、私も、まず中川大臣個人の問題ということももちろんあると思うんですけれども、それ以上に、たとえ風邪薬を飲んで意識がもうろうとしていたとしても、周りでついていった人たち、秘書官だとか随行の職員、また記者会見をセットする係の外務省の方だとか、大勢いらっしゃるわけですね。こういうチームでリーダーの広報体制を支えるということに関して、全くなってないなということを私は感じたんです。

 せっかくですから、大臣、副大臣に、まさに周りの人の問題、中川先生本人の体調管理、飲酒の問題でもありましょうけれども、周りの人が、先生、もう飲むのはやめてくださいとか、あるいは記者会見を延期しましょうですとか、何とでも対処をとれたと思うんですね。この周りの対処に関しまして、またチームをつくる体制について、今どのような危機感と、今回の中川先生の事例を見てどのような感想をお持ちか、大臣、副大臣、教えてください。

二階国務大臣 現場にいなかったものですから、我々が想像であれこれ申し上げるのはいかがかと思いますが、今議員が御指摘になっているような点について、私は、役所が一緒になって行って、行動しておるわけですし、スケジュールも組んでおるわけでありますから、今議員が御指摘になったことは至極ごもっともなことだと思っています。

高山分科員 済みません、副大臣、お願いします。

高市副大臣 私も、もしも記者会見の途中であっても、非常に様子がおかしいなということに気づかれた場合の対処の仕方は事務方としてもあったんじゃないかと思いますし、大臣御自身も、自分でこれはちょっと様子がおかしいと思った場合に、体調不良を理由に会見の時間の変更などもできたんじゃないかと、これもその場にいませんでしたから想像の範囲ですが、そう思います。

 急に意識がなくなるというような症状になりますので、私自身の経験からいいますと、その直前まではしっかりされていて、なかなか周りも対応できなかったということも想像できるんじゃないかと思います。

 でも、どっちにしても、大臣も役所の職員も、緊張感を持って、悪い事態になったとしても、最も適切な対応をとるべきであったんではないかと考えます。

高山分科員 私も、経歴を見ていただければ、秘書出身なんですね。議員の秘書出身なんですけれども、ただ指示待ちで言われたことだけやるというのではなくて、あ、これは先生にとってよくないな、あるいは、この場でこういうような態度や発言をしてしまっては党全体あるいは国のためにまずいぞというときには、僣越だなと思いながらも、いろいろ言ったこともありますし、行動したこともあります。

 そういう点で、今回、一緒に同行の秘書官の方ですとか、それは、大臣がワインを注文しちゃったらちょっとなかなかというのではなくて、大臣、お酒はやめてくださいとか、私は、こういうことは言ってもよかったんじゃないのかな、いや、言うべきだったというふうに思っているんです。

 経済産業大臣も務められた中川大臣ですので、ちょっと当時のことも伺おうと思ってきのうからお願いしてあったんですけれども、週刊誌の報道や新聞の報道によれば、中川大臣は、経産大臣の時代もそうですし、とにかくお酒の問題が多かったというような、週刊誌報道ですけれども、いろいろあります。

 ですから、これはぜひ確認しておきたいんですけれども、経産大臣当時の中川大臣、お酒の問題というのは何かあったのか、そしてまた秘書官が特に何か気をつけていたのかどうか、お答えください。これは事務方で、確認ですのでお願いします。

安達政府参考人 お答え申し上げます。

 中川元経済産業大臣は、平成十五年九月から十七年十月まで二年余り在任されましたが、その間、数多くの海外出張、合計で二十五回、百二十八日間に及びます。そういった海外出張や国会答弁を初め、その職務は多忙をきわめておられましたが、常に我々経済産業省の職員を陣頭指揮し、その職責を十二分に果たされたと認識してございます。

 今御指摘のような事実があったのかどうかということでございますけれども、当時の秘書官にも私直接確認いたしましたが、そのような事実はなかったということでございます。

高山分科員 国会の答弁ですから、このような形でもしようがないのかなと思いますけれども、私は、これは本当に、あら探しとかだれの責任だということではなくて、例えばお酒に弱い大臣がいたんだったら、それはチーム力でカバーできる話ですから、そこはきちんとカバーしなきゃいけないんだと私は思っております。

 ちょっとその点、先ほどから周りの秘書官の話もいろいろしましたけれども、まず、そもそも、経済産業省において、職務中に飲酒をしたり、あるいはどこかで飲んでお酒が入った状態で仕事をする、こういうことというのは日常的に行われているんですか。それとも、何か内規のようなもので禁止をされているんでしょうか。教えてください。

安達政府参考人 お答え申し上げます。

 飲酒に伴う職員の処分については、国家公務員法上の職務専念義務または信用失墜行為の観点から判断することとなってございます。

 具体的には、勤務時間内にもかかわらず、飲酒に伴い職務専念義務を果たせない場合には、処分の対象となります。また、飲酒運転または酒気帯び運転については、信用失墜行為に当たるものとして、処分の対象となり得ます。

 職員が、社会常識を踏まえ、節度ある行動をとることは当然のことと理解してございます。

高山分科員 そうしますと、確認なんですけれども、経済産業省においては、職員の飲酒に関して何か特別の規定はないというようなことなんでしょうか。

安達政府参考人 飲酒に伴う問題につきましては、国家公務員法上の信用失墜行為または職務専念義務の観点から判断するということとなってございます。それで具体的に処分等が行われてございまして、特にそれ以外に内規というものはございません。

高山分科員 これは私、実は三十分前に第一分科会で随分質問したんですけれども、国会議員の場合は、議院運営委員会の申し合わせで、議場内には酒気帯びの人は入れませんという申し合わせがあります。そして、国会の傍聴者、こういう後ろの一般の国民の方、開かれた国会で議論の場を見てもらおうというにもかかわらず、衆議院、参議院それぞれの規則、二百二十五条でしたかな、決まりがありまして、酒気を帯びている人は入れないというような規定もあります。また、裁判所でも、騒いだりなんなりする、傍聴の心得とか、一般の国民に対してもあるんですけれども、肝心の国家公務員というのは、省舎内でも仕事中でも、飲み放題とまでは言いませんが、信頼失墜行為がなければ多少は飲んでもいいんだというふうに逆に解釈されかねませんし、今現在は特に規定がないわけなんですね。規定がないからといって、もちろん飲んではいけないと思うんです。

 これもまた確認で伺いますけれども、事務方でももちろん結構ですけれども、経済産業省では、今まで、職員が飲みながら仕事をしたりだとか省舎内に酒気を帯びて入ったりとか、こういう事例はありませんね。

安達政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどから重ねて恐縮でございますが、勤務時間内にもかかわらず、飲酒に伴い職務専念義務を果たせない場合には、処分の対象となるということでございます。

 ただ、勤務時間外において飲酒している際に、急遽職場に戻り仕事をせざるを得なくなった場合、そういった場合には、飲酒しているからといって仕事をしてはならないという特段の取り決めはございません。

高山分科員 きのう伺ったときには文書で回答をいただいていますけれども、警備上、本人確認をすることはあるけれども、飲酒の確認はしていないよというようないろいろな話もありました。

 これは改めて伺いたいんですけれども、国家公務員の信用失墜行為ですか、こういうのに当たったり、あるいは、これに当たらないまでも、とにかく、省舎内で飲んでいる、あるいは飲んだ状態で帰ってきてまた仕事をしている、こういう職員は経産省はいませんね。ちょっと確認させてください。これはきのうから聞いていますから。

安達政府参考人 お答えを申し上げます。

 そのような信用失墜行為はないというふうに思ってございます。(高山分科員「飲酒、酒気帯びは」と呼ぶ)

 平成十八年以降、勤務時間外に酒気帯び運転を行った職員を処分した事例が三件ございます。

高山分科員 結局、公務員が、こういう一般法で信用失墜行為をしてはいけないとか職務専念義務なんて、これは何も言っていないのとはっきり言って同じようなものなんですよ。

 それで、私、ちょっときょう、さっきの委員会で国土交通省の人からも話を聞きましたけれども、トラックあるいはタクシーあるいは航空業界ですか、こういうのに対して、八時間前にはもう飲んではいけないとか、乗る前には、はあっと呼気の検査をしなさいだとか、一般の方に対してはいろいろな取り決めをしているんですね。それに比べて、公務員に関しては、防衛省ぐらいで、あとは一般公務員は、ほとんど省内でも、あるいは酒気を帯びた状態でも、お酒飲み放題。

 こういう規律の緩みといいますか、それが特に海外に行った場合なんかには、イタリアだからワインも注文しちゃえというようなことにつながりかねないなというふうに私は非常に懸念をしているんですね。

 運転の職員の方は、今、経産省も呼気検査をちゃんとやっていますよね。他省では一応そうだというふうに伺っていますけれども。

安達政府参考人 お答え申し上げます。

 確認はしてございます。

高山分科員 これは二階大臣に伺いたいんですけれども、経産省だけでやれという話じゃありませんけれども、飲酒運転というのはもう明らかな違法行為です。しかも、昔は、ビール一杯ぐらいはなんという人もいましたよ、そういうふざけた人もいました。だけれども、これだけ悪質な飲酒運転で被害もふえてきてということで、刑法の厳罰化や何やらもあって、最近は本当にもう飲まないですね。みんなとにかく、飲めません、飲めませんと、みんなちゃんとやっています。

 それと同じで、やはり今までは、一杯ぐらい飲んだって、天下国家をやっているんだから仕事になるよという人もいたかもしれませんけれども、やはり国際会議の場で、あるいはその後の記者会見でまともに受け答えもできないということを見たり、あるいは今の現状、そして、私は去年、居酒屋タクシーの問題を随分聞きましたけれども、あれも結局、随分中抜けしているんですよね。中抜けして、夜帰ってきて、それで深夜に居酒屋タクシーで帰るというような、そういう話も聞きました。

 なので、そこまでは別にいいんですけれども、私が言いたいのは、こういう問題を機に、二階大臣が、公務員の飲酒の問題について何か内規のようなものをつくる必要性は感じませんか。

二階国務大臣 これは何でもがんじがらめに厳しくすることがいいという説も当然あるでしょうし、常識ある大人の集団ですから、国家公務員である人はかくあるべしというものが国家公務員法にあるわけですから、それで十分だという考えもあるでしょう。

 しかし、きょう改めて高山委員からこういう御指摘をいただいて、我々の省としては今後どうすることがいいか、中で検討してみたいと思います。

高山分科員 確かに、今大臣がおっしゃるように、余り何でもがんじがらめにして、何時間前にはどうだとか、一々、職場の前で呼気はどうだとかやり出すと、それこそ日本だけパーティーのときにも水を飲んでいるみたいなことになりますのでおかしいなと思いますが、何でもがんじがらめということで、ぜひちょっと次の質問に移りたいんです。

 今、インターネットというのが随分利用されていますし、各先生方もホームページを持って、我々なんかもふだんメールマガジンを発行したり、インターネットまたはEメールだとか、新しいコミュニケーション技術をふだんの政治活動にも使わせていただいているんですけれども、選挙活動のときも、ぜひインターネットを用いていろいろな方に広報をしていきたいな。

 今、限られた枚数のポスターしか張れないし、何かチラシも、証紙というんですか、切手みたいなものをどんどん張っていかなきゃいけないし、どうなっているのかなと思うんです。

 まず、現在、インターネットを利用した選挙活動についてどういう規制があるのか、教えてください。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 インターネットを用いました選挙運動につきましてのお尋ねでございますが、現在の規制といたしましては、公職選挙法の百四十二条第一項という規定がございまして、選挙運動のために使用します文書図画、これにつきましては、この条文に規定してあります通常はがき、またはビラのほかは頒布することができない、こういう規定になっております。

 コンピューターのディスプレーに表示されます文字などの意識の表示、これにつきましても文書図画に当たるというものでございますので、この規定によりまして、選挙運動のために頒布することができる文書図画にコンピューターのディスプレーは当たらないということで、インターネットによる選挙運動はできないというのが現状でございます。

高山分科員 公職選挙法の百四十二条でしたか、この規制をしている趣旨、文書図画の数を制限したり種類を制限したり、なぜですか。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 文書図画の使用を公職選挙法で規制している理由でございますが、選挙運動といいますのは、候補者の政策ですとか人物などを含めまして、有権者がだれを選択するかの判断材料を提供するという趣旨があるわけでございますけれども、それを無制限に認めた場合には、財力ですとかあるいは権力といったようなもので選挙がゆがめられるおそれがあるということが言われているところでございます。

 このため、選挙の公平公正を確保するためには、選挙運動というものについては一定のルールを設けることが必要だということでございまして、特に、選挙運動のために使用します文書図画、これを無制限に頒布できるということになりますときは、不当の競争あるいは選挙の自由公正を害する、あるいはまたお金のかかる選挙になってしまう、こういったようなことから、現在の公職選挙法におきましては、一定のものは認めるけれどもそれ以外のものはだめだ、こういうふうになっているというふうに承知いたしております。

高山分科員 今、選挙はお金や権力によってゆがめられてはいけないというような話がありましたけれども、もちろんそのとおりだと思います。

 だけれども、インターネットでメールを送ったり、あるいはホームページをどんどん更新したりするというのは、むしろ一番お金がかからないなというふうに私なんかは思うんですね。電話代だとかそういうのに比べてもはるかに安いですし。ですから、そうしたら、インターネットによる選挙を制限する理由というのは、少なくとも今のお金とか権力ということからいえば当たらないなというふうに感じましたけれども。

 念のため、テレビの政見放送というのがありますね、あれはどのぐらいお金がかかっているんでしょうか、教えてください。埼玉か東京の例でということで、たしか以前聞いていると思います。

門山政府参考人 平成十七年執行の衆議院選挙のケースについて御説明申し上げます。

 政見放送の経費といたしまして、政見放送と経歴放送合わせてでございますが、総額十四億三千四百万円でございます。このうち、NHK、日本放送協会に対します経費が二億一千万、民間放送事業者の場合二億九千百万、それぞれ支払われているところでございます。これに加えまして、差額の九億余りございますが、これは、衆議院小選挙区選挙の場合には、政党によります持ち込みビデオというものがつくられまして、その分の公費分がございますので、制作会社に支払われたものがございます。

 以上でございます。

高山分科員 そのぐらいのお金をかけた政見放送なんですけれども、これも時間とか回数がいろいろ制限をされているわけなんですね。

 今、御案内だと思いますけれども、動画を自分で自由に上げられる「YouTube」とかそういうものがありますけれども、これを政見放送に使うということは、今のところ、公職選挙法百四十二条の規制に当たるんでしょうか。

 自分でいろいろな意見を言ってそれを上げていくことが当たるのかということと、事実上、今、二〇〇五年の選挙もそうでしたけれども、いろいろな政見放送を勝手にどんどん「YouTube」に上げている人がいるんですよ。それでおもしろい政見放送なんかが見られていたりして、そういうことに関して削除要求とか出されているんでしょうか。そうしないと規制が無意味になりますので、どういう状況に今なっているのかを教えてください。

門山政府参考人 まず、放送の選挙運動への利用につきましては、政見放送、経歴放送以外はできないということになっております。

 お尋ねの「YouTube」でございますが、「YouTube」が放送に当たるかという問題が一つございまして、放送といいますのは、一般的には、利用者からのリクエストを受けることがなく、一斉に同時に送信する行為というふうに解されておりますところから、「YouTube」のように、個々の利用者からの個々のリクエストに応じて個別に画像情報を送るというものは、公職選挙法上の放送には含まれないというふうに解釈されているところでございます。

 ただ、「YouTube」につきましてどういう指摘が具体的に個々の選管からされているかということにつきましては、ちょっと承知いたしておりません。

高山分科員 とにかく、この公職選挙法でインターネット利用に関して私は伺いましたが、これは、平成十四年、総務省の研究会で研究されていますけれども、もう随分たっているんですよね。この平成十四年から今までの間に、Eコマースだとかあるいはモバイルの携帯電話の普及率だとか、もう全然、十倍以上変わっちゃっていますよね。ですから、そろそろこのインターネット選挙というものの解禁を真剣に議論するべき時期なんじゃないかな。特に、オバマ米国大統領は、こういうIT技術、最新のものを使って、非常にきめ細やかな選挙もやり、また、少額の献金をいっぱい集めてということもあったようですので、ぜひそういうことを日本でも検討していただきたいなと思います。

 そして、今のオバマさんの話にもありましたけれども、今度は献金についても伺いたいんですけれども、まず総務省に伺いますが、インターネット経由で政治家や政党に献金することというのは何か規制がありますか。

門山政府参考人 インターネットを通じまして、クレジットカード決済の方式になると思いますが、政治献金を集めるということにつきましては、政治資金規正法上は、寄附の授受に関します量的制限ですとか質的制限、こういったものを守っていただくことが当然前提でございますけれども、その制限の範囲内でありますれば、政治活動に関する寄附をインターネットを通じてクレジットカード決済で集めるということ自体について特段の制限はございません。

高山分科員 クレジットカードを所管しているのは経産省なので経産省に伺いたいんですが、クレジットカード業界を監督する立場から、例えば、そういう政治家や政党、あるいはユニセフとか慈善団体もありますね、ああいうところにクレジットカードを使って寄附をする、あるいは献金をする、これはどのような問題点があり、規制をされているのか、教えてください。

安達政府参考人 お答え申し上げます。

 クレジットカードによる献金につきましては、当省が所管してございます割賦販売上の規制は特段ございません。

高山分科員 そうしますと、例えば、クレジットカードを使って慈善団体みたいなところに寄附したりとかあるいは宗教団体に寄附したり、こういうことは規制があるんですか。また、現実に行われているんでしょうか。

安達政府参考人 クレジットによる献金を規制する法律はございません。本問題は、クレジット会社のビジネスとして取り組むかどうかということで決定されるものと承知してございます。

高山分科員 そのクレジットカードを使った献金だとか、今いろいろなお金の決済方法がありますので、その点について総務省に幾つか、要するに、選挙法上あるいは政治資金規正法上の問題点について伺いたいんです。

 そもそも、人にお金を寄附する、あるいは寄附をいただくときに、名前を公表したりだとか、その額が幾らだとか目的だとかそういうことを公表していると思うんですけれども、匿名で、ある政治家に巨額に寄附したりだとか、あるいはその寄附をいただいた人の名前を公表しないということも別にあってもいいと思うんですけれども、なぜこれは公表させるということになっているんでしょうか。

門山政府参考人 政治資金の寄附でございますけれども、匿名の寄附につきましては、極めて例外的な場合以外は現在禁止されております。これは、政党に対して、たしか千円未満の少額の寄附を一定の場所に限って行うときだけ匿名で可ということで、それ以外はだめとなっております。

 その理由は、やはり政治資金につきましては、収支を国民の皆様に公開して、そして国民の判断をきちっと仰ぐということで、できる限り内容をオープンにしていくというのが政治資金規正法の思想でございますので、そういう考え方から、現行の制度のようになっているというふうに理解いたしております。

高山分科員 その昔は、いろいろな派閥ですとか、もち代とか米代とかいうんですか、僕はもらったことがないのでよくわからないんですけれども、そういうのを現金でやりとりしていたと聞きますけれども、最近は銀行振り込みでやっているというふうに聞きます。

 これは選挙部長に聞きたいんですけれども、やはり現金でやりとり、どういうやりとりでももちろんいいんですけれども、銀行振り込みだったら残りますよね、何々銀行からだれだれの口座に幾ら振り込んだと。やはりこういう形の方が望ましいというようなことはあるんでしょうか。

門山政府参考人 その点は従来からいろいろ御議論があったところでございまして、最近の改正でございましたが、政治資金団体に関します寄附につきましては口座を通じた寄附に限るというようなことが決定されておりますが、それ以外の団体についての規制は今のところないという状況でございます。

坂本(剛)主査代理 高山君、時間が来ました。

高山分科員 済みません。

 時間も来たということですが、今言いましたように、銀行の振り込みも証拠が残って非常にいいと思いますし、また、クレジットカードも、だれだれさんのクレジットカードから、いつ、幾ら決済したという証拠が一番残る、最も透明な資金の決済方法だと思いますので、ぜひこれから政治資金がクレジットカード献金、またインターネット等で広く薄くしがらみのないお金を集められるように、ぜひまた検討を政府の方でもしていただきたいし、私もしたいと思います。

 終わります。

坂本(剛)主査代理 これにて高山智司君の質疑は終了いたしました。

 次に、大畠章宏君。

大畠分科員 民主党の大畠章宏でございます。久しぶりで経済産業省管轄の課題について質問をさせていただきます。

 事前に質問の内容についてはお話をしておりますが、冒頭に、今、高山委員からも酔っぱらい運転の話ですとか飲酒の話についていろいろ御議論がございました。私も、今回、中川元財務大臣の飲酒の問題については、限度を超え、かつ、国際会議の場であのような醜態を見せたことは、大臣をやめればそれで済むというようなものではない。まさに、侍の国から単なる酔っぱらいの国になってしまった、こういう国際的な日本の評価を下げるという重大な罪を犯したわけでありまして、御本人はもちろんのこと、一億二千万の国民のいわゆる日本人としての誇り、あるいは日本人としてこれまで二千年を経て培ってきたそういうものが非常に損なわれたということについては、大変私も残念に思います。

 大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、麻生内閣の一員として、今回の日本の国の損なわれた信頼というものを、大臣は麻生内閣の一員でありますから、どのような決意でこの失った信頼というものを取り戻すべく行動されようとしているのか、決意をお伺いしたいと思います。

    〔坂本(剛)主査代理退席、主査着席〕

二階国務大臣 ただいま議員から御指摘のありました点、我々は、御病気といいますか、薬を飲んだとかというようなことは、実際のところは我々は一々確認したわけじゃないですからわかっておりませんが、全体の印象からしますと、我々、この内閣におる者の一員として、ともに反省をし、この状況に対して名誉挽回、また同時に、今日の経済の状況を一日も早く脱却して、国民の皆さんに明るい希望、期待を持っていただけるような状況にしていかなくてはならない。

 もう一つは対外的な問題がありますが、それぞれの国の皆さんに御理解をいただき、日本国が、今までと同じように我々の主張が海外にもずっと正確に届いていくような、そういう状況をつくっていかなきゃいけないと思っております。

 私も、けさほど、ちょうど七時ごろであったかと思いますが、アメリカのエネルギー庁長官と電話の会談をさせていただきましたが、そうしたことを一つ一つしっかりと積み重ねて、麻生内閣がしっかり頑張っておるという姿勢を内外に見せていくことが大事だというふうに思っております。

大畠分科員 いろいろ理由はあったのかもしれませんが、少なくとも、侍の国日本であれば結果責任なんです、これは。我々政治家もそうなんです、結果責任なんです。結果がこういうことになれば、どんな理屈をつけたってそれはむなしい理屈なんですね。ですから、今回、辞任する、いや延長する、予算が通ったら辞任する、やはり結果的には辞任するという話になりましたが、何か、日本の国の、あるいは日本人の物の見方、考え方というのを、非常に評価を下げましたね。信頼を失墜するのは一瞬、信頼を回復するのは長い時間がかかります。

 だから、まさに日本国の経済の中枢の経済産業大臣として、これから国際交渉等についても、バックがぐらついていたんじゃ、やはりどんなに強弁を吐いてもその言葉の力というのは非常に弱まっているんじゃないかと思うんですが、ぜひ、大臣におかれましては、心して、国際交渉、非常に難しい状況でありますが、頑張っていただきますように要請をしておきます。

 さて、実は、きょうはいろいろな課題について、主に二つぐらいに絞って質問をさせていただきます。

 今を去ること十三年ぐらい前になりますか、平成八年に渋谷の公会堂に私は呼ばれまして、各党が全部行きましたけれども、全国電機商業組合連合会の緊急決起集会というものに出席をさせていただき、そのときに、もう亡くなられましたけれども、当時、福田会長という方がおられまして、その方の演説を聞いて、私は、これは何とか政治が解決させなきゃいかぬなという思いを強く持ったのがスタートでありまして、それ以来ずっと取り組んできました家電品の量販店と小売店との関係について、経済産業省と公正取引委員会の皆さんにお伺いしたいと思うんです。

 当時の主張は何かというと、同じ商品でも、製品でも、量販店には安く卸し、小売店にはメーカーの方針によって入れる。当時は量販店で買った方が小売店がメーカーから仕入れるよりも安い値段で売っているという実態があって、この福田会長のお話によれば、私たち小売店は決して目こぼししてくれとかおまけしてくれとは言わない、せめて同じ競争ルールに従って商売ができるようにしてほしい、我々小売店がどんなに頑張ったって、こんなに差をつけられていたんじゃ、とてもじゃないけれども小売店が競争に負けてしまうのは当たり前じゃないかと。例えば、百メーター競走のときに、よし、きょうは競走に勝つぞと頑張っても、もう相手の量販店の方は四十メーターぐらい前にいて、あと六十メーター駆ければいい、こっちは百メーター、こんな現状を放置しているとすれば、一体何が政治ですか、何が国会議員ですか、何が日本国ですか、こういう演説を私は聞いたんです。

 そのときに、ああ、これは政治家が公正な競争ルールをつくるということについては力を入れなきゃならないなと思って、それ以来取り組んできたものでありますが、当時の公正取引委員会も、それから当時の通産省の電器流通課も、この問題については正直言って余り関心を持っていなかったんです。

 そこで、私は、公正取引委員会と通産省の電器の流通課の方にも、これは余りにも日本の国内でおかしなルールがまかり通っている、自由競争、自由競争と言うけれども、アンフェアな自由競争であってはならないということで、いろいろと是正を要請してきたところでありますが、公正取引委員会も大分頑張って、一つの基準を設けたり、経済産業省も努力されていますが、こういう時代ですから、本当に生き馬の目を抜くように、法の網の目をくぐっては、次々と新たな問題点というのが出てきているんですね。

 この量販店と小売店との問題について経済産業省は現在どのような認識を持っているのか、最初に伺いたいと思います。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 家電量販店の問題につきましては、これまでも、メーカーに対しまして、いわゆるヘルパーと呼ばれるような販売員の派遣を、必要な費用を負担することなく強要しているような場合があること、それから、家電量販店とメーカーとの取引価格が地域の電器店とメーカーとの取引価格と比較して差別的に安価になっているのではないかということ、あるいは、メーカーとの間で一たん取引価格を決めた後、販売促進費などの名目で別途リベートをメーカー側から家電量販店に対して供与するように家電量販店側から求めるといったような場合がある、こういったものが実質的な差別対価になっているのではないか、こういうような指摘が地域の電器店などから行われているところは先生の御指摘のとおりでございます。

 経済産業省といたしましては、家電の取引の実態についての実情を把握するために、メーカーとの意見交換会に加えまして、中小の電器店の集まりでございます全国電機商業組合連合会、これは、当時、平成八年のころに今先生おっしゃった福田さんでございました。私も、当時小売商業課長をしておりましたので、福田さんとも何度もこの話をしたことを今はっきりとよく覚えております。こういう電機商業組合連合会の方々との話を通じた地域の電器店の方々との会話、あるいはまた、大手家電流通懇談会などを通じまして大手量販店の方々とさまざまな情報交換を行っているところでございます。

 こういう場を通じまして、家電産業にかかわるメーカー、流通業者、販売業者の方々が公正な競争を行っていくことの重要性を認識され、その認識に従って実際に行動していただくことが家電産業全体の発展にとって不可欠である、このように考えておるところでございます。

大畠分科員 今お話しのような認識だと思いますが、現状は、かなり激しい、ルールの網の目をくぐるような状況が呈されておりまして、例えば、これは公正取引委員会も是正に向けて一部取り組まれて対策がとられたところでありますが、ポイント制というのがありまして、例えば十八万円程度の商品の場合には十八ポイントを引きますよとか、いろいろな商法があります。そのポイントというのは次に買うときに割り引くことができるということですが、実際の値段からもう既にポイント分だけ引いた値段を大書きして、いかにも安く買うことができるような、消費者にとっては誤解を招くような表現で商業を行ったりという実態もございました。

 これについては既に事実を指摘しまして是正されたところでありますけれども、最近では、話を聞くと、展示処分品、在庫処分品を店頭価格よりもさらに一〇%、一五%、二〇%割り引きますよというような形で消費者の歓心を買うという、大臣も、新聞の中に折り込まれているこういうのをよく見られると思うんですが、とにかく、報道番組で、この会社の社長さんが広告紙は全部社長が目を通すと。どういう形で表現をさせるか、広告ですべてが決まるということでやっているんですが、関係者の話を聞くと、そんなに展示処分品とか在庫品があるわけがないと。しかし、処分、展示品、在庫品一〇%、一五%、二〇%、五〇%引きまであるんですからね。でも、どうも、それに従った形でメーカーから無理やり安い値段で仕入れさせているんじゃないかと。

 だから、今答弁がございましたが、とにかく表面だけは全部ルールに従ってやっていますよということでつじつま合わせはしているんですが、実態は、法律すれすれといいますか、かなり異なった形で、すなわち競争ルールを逸脱したような形で行われているんじゃないかという指摘を受けています。

 アメリカの金融破綻、これは、言ってみますと、市場原理主義、小泉改革の源流であります市場原理主義というものが崩壊した一つの現象でございますけれども、この電器量販店の問題については、今メーカーがというお話がありましたが、メーカー側も正直言って強要されている。私の知っている限り、それに協力しないメーカーの商品は安売りをしてしまって、そして手数料だけを引いて、あと残ったものをメーカーに渡すということで、メーカーの方も正直なところかなり困っているという話を聞いています。

 同時に、今、家電品関係の七割は量販店で売られていますから、この量販店と事を起こすと大変だというので量販店の指示に従った形でやっていますけれども、物をつくっている人の立場にも立ってください。自分たちがつくったものが本当に安く売られて、買う人はそれでいいのかもしれぬ。でも、買う人の、消費者のお父さんはそれをつくっている会社の従業員かもしれない。まさにこれはぐるぐる回っているんだけれども、日本人の消費者の安ければいいという発想もありますけれども、それをだれがつくってどういう形で流通しているのか、この流通経路が非常に私は不透明なところがあると思うんです。

 そこで、この問題、ルールを無視しているんじゃないか、あるいは製造現場とか小売店を結果的には衰退化させるような過激な安売りの状態にあるんじゃないかという指摘を受けておりますが、経済産業省と公正取引委員会からそれぞれ現在の御認識を伺います。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 過激な安売りでございますとかルールを逸脱した行き過ぎた競争というものは、多くの関係者、家電産業全体にとってマイナスであると私どもも認識をしております。

 言うまでもなく、我が国の家電産業は、最先端の技術をいち早く導入した物づくりの力を基盤といたしまして、これまで世界市場をリードしてまいりました。その中では、製造のコストを安く抑えるためにさまざまな工夫をし、販売、流通を含めそれぞれの当事者がさまざまな努力をしながら適正な収益や利潤を確保しつつ取引を行って、世界での厳しい競争に必要な設備投資や研究開発、人材の育成、こういったことをやってきたことによって実現してきたものでございます。

 それが今御指摘のような過激な安売りとかルールを逸脱した行き過ぎた競争といったことによって確保できないことになりますと、これは非常に大きな問題がございます。こういう当事者がそれぞれの場所で適正な利潤を確保しながら努力を続けるということが、家電産業を安定的、継続的に発展させていくためには不可欠なことであると私どもは考えております。そうした観点から、不当廉売の取り締まり等によりまして適正な競争環境を実現することが極めて重要であると考えているところでございます。

 あるいは、後ほど公正取引委員会から御説明があるのかもしれませんけれども、例えば、公正取引委員会の方で、平成十八年の六月に、「家庭用電気製品の流通における不当廉売、差別対価等への対応について」、いわゆる家電ガイドラインというのを策定、公表していただきました。また、その後、個々の案件に応じた調査を厳正に行っていただいております。私ども、これは非常に感謝をしておりますし、大変重要な有意義なことであると考えておるわけでございます。

 経済産業省といたしましては、産業の実態を踏まえながら、関係当局と連携しながら、適正な競争環境のもとでそれぞれの当事者が活動していただくことができるように努めてまいりたいと思っております。

 特に、今御指摘の地域の電器店の方々の生き残りをどうやっていくのかということで、今年度の調査研究事業といたしまして、地域電器店の経営力向上のための研究会というのを今やらせていただいております。この研究会では、地域の電器店が直面するさまざまな問題を明らかにしつつ、これらの問題への解決策を検討し、また、適正な競争環境のもとで経営力を向上させていくことにより、小売店の弱体化といった事態を招くことがないように努めてまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会といたしましては、中小企業がその持っている能力を十分に発揮することができる公正な競争環境を整備することが競争政策の観点から何よりも重要であるとの観点から、中小企業に不当な不利益を与える不当廉売、それから優越的地位の濫用などの不公正取引に対する独占禁止法の考え方を明らかにするとともに、独占禁止法上問題のある事案に対しては迅速かつ厳正に対処してきたところでございます。

 先生既に御案内のとおり、家電の流通分野におきましても、平成十六年に家電製品の流通実態に関する調査報告書を公表、その後、今お話がありました不当廉売ガイドラインというものを策定、公表させていただいております。

 あわせて、執行の分野におきましては、家電分野におきまして不当廉売事案について迅速な処理に努めてきておりまして、最近数年間では合計千数百件の注意を行ってきているところでございます。

 あわせて、家電量販店における優越的地位の濫用につきましても、昨年六月には、最大大手の家電量販店であるヤマダ電機が納入業者に対して不当な従業員派遣をさせた行為が独占禁止法に違反するものであるとしまして、同社に対して排除命令を行ったところであります。

 公正取引委員会といたしましては、現下の経済状況のもとで中小企業がさらに厳しい競争環境に置かれているものと認識しておりまして、今後とも、家電分野も含め、量販店と小売店との取引におきまして、公正な競争の確保に努めていくべく最大限の努力をしていきたいと考えております。

 以上でございます。

大畠分科員 小泉改革によって規制緩和というのが行われました。確かに日本の国は一部規制がきついところがあったのかなと思うんですが、規制緩和するのであれば、それをルールに従って取り締まるというところがなければジャングル化してしまうというのは当たり前でありますから、公正取引委員会もあっちにもこっちにもやらなきゃならないのがあって大変かもしらぬけれども、しっかりと目を見開いて、私の聞くところでは、かなりの、数千件にわたる不当廉売があるんじゃないかという申告があるにもかかわらず、なかなかそれに対する適切な対応がとれていないんじゃないか、こういう指摘もありますし、そして、先ほど申し上げたように、次々と新たなすれすれの広告を出しては商圏を拡大している、こういう実態にもあるわけです。

 ですから、公正取引委員会は、それから経済産業省の方にも、もう一度、家電流通現場の徹底調査、メーカーが量販店から表に出ないような複雑なリベートや役務を要求されているその実態調査、それから、量販店と地域店との仕入れの価格調査は三%から一四%という話が一応出ていますが、そんなものではないんじゃないかということで再調査を求める声が出ておりますが、それぞれについて、経済産業省と公正取引委員会からこれらの指摘に対するお考えを伺いたいと思います。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 家電産業の発展に向けまして、家電の販売、流通などの取引の実態を常に把握していくことは、非常に重要だと私どもも考えてございます。

 経済産業省といたしましては、今後とも、全国電機商業組合連合会あるいは大手家電流通懇談会、メーカー等との情報交換を通じて実態の把握に努めてまいりたいと思っております。

 また、メーカー、地域の電器店の代表者、家電量販店が集まる組織といたしまして、全国家庭電気製品公正取引協議会、家電公取協と略称しておりますけれども、こういう組織がございます。もう設立以来三十年を超える組織でございますが、この団体の各種委員会に経済産業省もオブザーバーとして参加をしておるところでございます。こういったところを通じまして、公正取引委員会とともに、メーカー、地域の電器店、量販店、こういったところの取引や流通の実態の把握をさらに進めてまいりたいと思っております。

 それから、これらに加えまして、先ほども触れさせていただきましたが、中小の地域電器店につきまして、今年度の調査研究費として実施している地域電器店の経営力向上のための研究会、こういったところでいろいろ調査研究をしておりますので、特に入念に地域電器店の直面する困難等についての声をしっかりと把握をして、適切な対応をとってまいりたい、このように考えているところでございます。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、家電の流通分野における実態調査の話でございますけれども、先生御案内のとおり、平成十五年から十六年にかけて公正取引委員会はこの実態調査を行って、十六年九月にその結果を公表いたしまして、メーカーによるリベート等や家電量販店の優越的地位の濫用に関する考え方を示したところでございます。さらに、平成十七年には、その実態調査結果で指摘した問題点に関する関係事業者の対応状況を把握するためのフォローアップ調査を行ったところでございます。

 今後のことでございますけれども、家電量販店を含めた大規模小売業者と納入業者との間の取引につきましては、これまでも定期的に実態調査を実施してきたところでございますが、先生御指摘のとおり、現下の経済状況のもとで中小企業をめぐる公正な競争環境を確保する必要性が高まっていると私ども認識しておりますので、家電量販店を含む大規模小売業者向けの納入取引の実態調査を早急に実施することについて検討してまいりたいと考えております。

 それからもう一点、差別対価のお話がございました。

 これは、御案内のとおり、平成十八年六月、いわゆる家電ガイドラインを公表して以来、公正取引委員会に対しまして、家電メーカーの地域電器店向け取引価格と量販店向け取引価格との間の価格差に関しまして、差別対価ではないかとの申告が多数寄せられたことから、公正取引委員会では、家電ガイドライン公表後、平成十九年度末までの申告が寄せられた事案、合計で二千件ございますけれども、このうち当該価格差が大きいと見られる家電の機種を複数抽出いたしまして、地域電器店と家電量販店との取引価格差に関して調査を行ったところでございます。

 かかる調査の結果、現時点におきましては、取引価格差について、取引量の相違等を反映した合理的な範囲を超えた不当なものであると言えず、差別対価として独禁法に違反する疑いがあるとは認められなかったことから、本件調査につきましてはこれを終了することとし、昨年十二月に調査の概要を公表したところでございます。

 公正取引委員会といたしましては、今後とも、家電の差別対価ではないかとして寄せられる申告の内容等を踏まえ、独占禁止法上問題となるような行為が生じていないか監視を継続するとともに、独占禁止法上問題となるおそれがあると認められる場合には、必要な調査を行っていく所存でございます。

 以上でございます。

大畠分科員 ぜひ、仁義なき戦いの国日本なんてならないように、ルールがあればやはりそれをきちっと守らせる、やはり侍の国日本であってほしいと私は思う。

 それが、どうもここ二十年来、そこら辺が競争、競争ということで野方図になっている可能性がありますから、特に家電のメーカーは今大赤字であります。量販店だけが黒字で、つくっているところは赤字みたいな、つくれどつくれどなかなか利益が上がらないみたいな形の構造になってしまったのではつくる人も意欲を失いますから、経済産業省も公正取引委員会も心してこの問題に当たっていただきたいということを指摘しておきたいと思います。

 最後になりますけれども、中小企業の金融の課題について質問をしようと思いましたが、きょうは長谷川中小企業庁長官にも来ていただいていますけれども、時間がどうもなくなってしまいまして、十分な資金が中小企業にも行き渡るような、さらに監視の目を強めていただきたいということを、これは要望しておきます。恐縮です。

 それから、雇用の場の創出というのが非常に大事なわけでありますが、太陽光発電、風力発電などに政府の方も力を入れるということでありますけれども、これを普及させると同時に、今の電力に対する買い入れの目標値というのがありますが、このノルマがあるとなかなか難しいところもございます。それよりも、ヨーロッパ方式で、買い入れ価格を高くして目標値を外して、そしてその分、電力会社が負担すべきものについては電力料金に転嫁するというヨーロッパ方式で風力も太陽光も力を入れていくべきだと私は思いますが、この件について簡単にお話をいただいて、私の質問を終わります。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、電気事業者に対しまして長期間にわたって高価格での買い取りを義務づける、いわゆる固定価格買い取り制度ということがドイツなどにおいて導入をされております。ただ、この制度におきましては、非常に高額な固定価格で買い取りをされるということなものですから、電気料金が非常に上がってしまう、恒常的にこれは値上げにつながるという要因があるという点、あるいは発電事業者のコストの削減インセンティブが働きにくい、こういった側面を有しておることもまた事実だと思っております。

 このような観点を踏まえまして、我が国では、委員御指摘のとおり、こういったドイツのような高価格での買い取りを義務づけるという制度ではなく、電気事業者に対して一定量の新エネルギーの利用を義務づけるRPS法ということに基づく導入促進を図っておるところでございます。まずはRPS法の着実な実施が重要でありますが、諸外国の例や、あるいは委員御指摘の点なども踏まえまして参考にしながら、新エネルギーの導入拡大策のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。

大畠分科員 終わります。

山本主査 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。

 次に、村井宗明君。

村井分科員 民主党の村井宗明です。

 今の大畠さんの最後の質問に引き続き、電力の、特に新エネルギーについてのお話をさせていただけたらと思うんです。

 私は、世界経済というのは成長に限界があると思っています。それは、今の石油それから原油というものをエネルギーにしていく限り必ず限界があるし、生産量によって、例えば中国やインドなども日本と同じぐらい発展するかといえば、石油を頼っている限り、この限界となるエネルギーが足かせになるんじゃないかというふうに思うんです。でも、世界経済全体が発展していくためには、エネルギーを転換すれば、まだまだその足かせはないと思います。

 足かせは二重にあります。それは、原油の埋蔵量という足かせと、もう一つは環境という足かせです。環境という足かせを取り除き、そして無限のエネルギーを人類が手にすることによって、必ず経済はどんどんどんどん発展できるんじゃないかと思うんです。

 エネルギーを持っている人は常に栄えます。今、中東の国々がエネルギーを持っているためにそこにお金が集まるのと同じように、二十一世紀、エネルギー転換をしていく中で、その新しいエネルギーを日本が持っていれば、日本の経済も必ず発展できるものだと私は確信しています。そういった認識で、今ちょっと質問をさせていただけたらと思います。

 新エネルギーを開発していくことが必要だと思っています。今、主に政府は、大量につくればだんだんコストが安くなるというんですが、太陽電池にもいろいろな種類があります。普通の今のシリコン型、薄膜型、それから有機系もあれば化合物系もある。そういったさまざまな太陽電池の種類の中で、今現在、どこが一番価格優位性を持っているのか、製造コストと価格優位性の比較で見て教えていただけますでしょうか。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 太陽電池、確かにいろいろな材料という点での種類がございます。シリコンを使う、あるいは化合物系と言われておりますけれども、銅、インジウム、セレンなどを原料として使う、さらには酸化チタンについては、色素などを使った有機系と言われているようなものもございます。

 現時点で、これらの材料の中で実用化されているもの、あるいは市場に普及をしておるものという観点で見ますと、これは何といいましてもシリコン系が中心でございまして、一部化合物を用いたものもございます。

 そして、シリコンでございますけれども、これも、つくり方、製法として、例えばそれを結晶で使うのかあるいは薄膜で使うのか、こういったようなことがございまして、それもまた単結晶なのか多結晶なのかということがこれまでございます。

 太陽電池の実用化、当初普及をいたしましたのは、何と申しましても、委員御案内のとおり多結晶でございます。これは、確かにコスト的にも、今の段階でも量産をしますと大分安くなるといったような点もございますし、また、いわゆる太陽の熱をエネルギーに変えていくという意味での変換効率でございますけれども、これも、例えばシリコンを薄膜で使う場合に比べますと、この変換効率も大体一五%あるいは二〇%近いものもあるということで、かなりな変換効率での優位性というものが見られるところではございます。

 問題は、こういった現時点で実用化されているもの、市場化されているものを例えばどのような場面で使うのか。屋根で使うということになりますと、必ずしも広い面積を必要としないということがあります。また、メガソーラーと言われておりますけれども、大規模な発電所のような形で用いるということになりますと、これが広い敷地の中ということになりますれば、おのずと、これらをどういう場面で使うかによっても、またいわゆる優位性というものにおいての差が出てこようとは思っております。

 ただ、御指摘のとおり、コスト、それからモジュールの変換効率と言っておりますけれども、こういうものでは、現時点ではいわゆるシリコン系、そして一部、薄膜のシリコン系がそういう意味でのコスト的な優位性を持っているというふうな現状にあろうと認識しております。

村井分科員 ありがとうございます。

 今なぜこういう話をしたかというと、太陽光発電にどんどんどんどん投資をしてくれという。投資をして何年でペイしますというふうにいろいろ宣伝していますが、私は、実はそれにちょっと疑問を持っています。なぜかというと、数年後には、よりいい、より変換効率の高い太陽光発電が出てくるんじゃないかというふうに思っているからです。そして、だとするならば、今、この技術革新のスピードを国が総力を挙げてやる方が、はるかによりいいものをつくっていける、そしてより効率的な太陽光発電ができるんじゃないかと思うんです。

 今おっしゃられたように何種類もの太陽電池がある、そんな中で、国が力を入れてやっていって、今後さらに技術が革新しそうな種類があるのか、そしてそれは何なのかということについてお教えいただけますでしょうか。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 技術革新が働くその対象といたしましては、一つには、新しい材料を用いるということがありますし、それからもう一つは、同じ材料でもそれを有効に活用する、こういう二つの側面があろうと思っております。

 そして、太陽電池につきましても、先ほど申しましたように、いろいろな種類があるわけであります。

 まず、新しい材料を用いるということでの技術開発と、それからさらには、将来的には量子ドットということであります。現在の太陽発電は、太陽の光を受けるわけでありますけれども、太陽の光の波長にもいろいろ、御案内のとおり紫外線から赤外線までありまして、現在の技術においては、あるいは現在の商品においては、そのうちの一部の波長をとらえて、それをエネルギーに変換するということでありますけれども、将来的には、いろいろな波長を包含しながらエネルギーに変えていく、こういったようなこともできるように、いわば材料をうまく使いながらそういう新しい革新的な電池にしていく、こういった取り組みがございます。

 こういう中で、私どももこれまで、例えば新エネルギー・産業技術開発機構においてNEDO・PV二〇三〇検討委員会といった報告書がまとめられておりますけれども、そういう形で将来の研究開発目標などを定めまして取り組んでおりますけれども、現在、革新型の太陽光の電池について、国際拠点をつくる、あるいは未来技術研究開発をするといったようなことに取り組んでおるところでございます。

村井分科員 今、新しい太陽電池の話が出てきました。こういったもののことをちょっと考えてみると、今あるものを大量生産して、大体物事というのは、十倍つくれば価格は半分になるというのが一般的な話なんですが、待てよと。どんどんどんどん新しい技術革新が進んでいく中で、大量生産を進めて、それによって低コスト化を図るというのも非常に大事な話なんですが、さらにその技術革新に国が集中投資をすることによって、より効率的なものをつくれる可能性があるんじゃないかと思うんです。

 今政府として、そういったところに投資をして低コスト化が図れると考えておられるのかどうか、お答えいただけますでしょうか。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 確かに、委員御指摘のとおり、一般論といたしましても、いわゆる製造業において、量産するとコストが下がるという点、それは事実だと思いますし、それからいわゆるディストラクティブテクノロジー、破壊的な技術革新と称されるように、創造的な技術が入ってくることによって新しい局面で飛躍的に下がるといったこともあることでありまして、太陽光の電池につきましてもそのような側面がうかがわれるというふうには認識をしております。

 実際、我が国の国内市場を例に挙げてみましても、二〇〇三年から二〇〇七年まで、太陽電池の導入量、これは累積でございますけれども、当初二万五千キロワットぐらいであったものが現在では百九十万キロワットというふうに、八十倍に伸びている。こういった八十倍に量が伸びている中で、先ほど申しましたようなシリコンの使い方などにも工夫があって、実用化、商品化されてきていることによって、キロワットアワー当たりのいわゆる発電コストでありますけれども、これも、九三年当時は二百六十円かかったものが現在では四十八円ということで、大体五分の一から六分の一ぐらいの水準に落ちているということがあります。

 こういう形で、技術革新を進めながら量をふやす、あるいは新しい技術のもとで市場を広げていく、こういった視点は非常に大事なんであろうというふうに考えております。

 こういった観点から、私どもといたしましても、革新型太陽電池国際研究拠点整備事業あるいは太陽光発電システム未来技術研究開発ということでこれまでも予算を計上させていただいて、研究開発を中心に取り組んでおるところでございます。

村井分科員 そこで、今おっしゃられた発言をちょっとまとめて、大臣に所感を伺いたいと思います。

 世界は今、どんどん変わっていると思うんです。石炭が経済、エネルギーの中心だったころはイギリスが中心でした。そして、石油がエネルギーの中心になったらアメリカが経済の中心になって、では次は多分、太陽などのエネルギーが世界を動かすエネルギーになるだろう。そのときに、日本が世界の中心になることは可能だと思うんです。それだけ日本の技術は優位性を持っているからです。しっかりと新しい技術を開発して投資をしていくことによって、日本は二十一世紀中盤に最も優秀な資源大国、エネルギー大国になる可能性もあるぐらい、日本の技術はすぐれているんじゃないかと私は思うんです。

 今ある技術でどんどん大量生産して、もっと太陽電池をふやすという今の予算ももちろんいいんです。その上で、太陽光世界一奪還計画なんと言うんだとしたら、私はむしろ、ちょっと先を考えて、今のものを大量生産するよりも、技術革新に投資をするべきだと思うんです。

 ことしの予算でいけば、今のところ二十一年度は十五億円となっていますが、もっともっとこういうところに力を入れて技術革新を進め、ほかの世界よりもはるかに効率のいい太陽電池を開発するのに投資するべきだと思うんですが、大臣はどうお考えでしょうか。

二階国務大臣 先ほど来、村井議員の御発言を伺っておりましたが、私も、今後日本が、エネルギーの世界で他の国々に優位性を譲っておる、このままの状態を続けておくということは許されない。ですから、私ども、あらゆる機会をとらえて、資源外交という言葉も、これに真剣に取り組んで、あらゆる国とも対応しよう。

 先般、各国の日本に駐在しておられます大使の方々にもお集まりを願ったわけでございますが、みんな、自分の国にはこんな資源があるということをあいさつがわりにずっとおっしゃるんですね。私はそれを伺いながら、資源外交という問題をもっと深掘りして、真剣な対応と同時に、重層的に当たっていくということが大事だというふうに思いました。

 そして、今おっしゃる太陽光発電に対する技術開発あるいは蓄電の問題等については、議員が御指摘のとおりであります。

 私も、小泉内閣の当時でございますから今から三年ぐらい前になりますか、アメリカのニューメキシコ州にありますロスアラモス研究所、ここと私どものNEDOとの間に技術協力の調印を行いまして、お互いに相互乗り入れで研究の知見を共有していこうという話し合いを行ったところでございます。

 ちょうどけさでございますが、朝の七時ごろ、アメリカの新エネルギー庁長官と電話会談をさせていただきましたが、議員も御承知のとおり、オバマ政権というのはかなりエネルギーの分野に力を注ごうとしております。そして、エネルギー庁長官もそういう面で、この面に予算を投入していく、この面に力を注いでいくということをきょうは具体的に述べておられました。

 私はそれを伺いながら、我々の方でお互いに協力し合えるところは協力し合っていこう、そして今申し上げたような研究所、他にもアメリカには立派な研究所がたくさんあります。同時に、アメリカも、議員が先ほど来御指摘のように、太陽光発電の問題あるいは環境問題等にすぐれた知見を持っておるということは、既に先方も十分承知をしておられます。恐らく、私は、今度のオバマ・麻生会談におきましてもこのテーマは必ず取り上げられるであろうと思います。

 ですから、日米で協力できるところは協力する、他の国とも協力できるところは協力する、しかし、日本独自のものを開発していくというためには真剣な努力を注いでいかなくてはならない。

 今、村井議員から、来年度、二十一年度の予算においてはまだまだこんな程度では少ないという御指摘であったろうかと思いますが、私自身もそう感じております。機会あるごとに我々は、太陽光発電を中心とするいわゆる新エネルギーというものを開発していく努力をしていかなきゃいけない。

 一方、そういう技術者や学者、専門家の皆さんの奮起を促すと同時に、一般の国民の皆さんにも新しいエネルギーの時代に入ったんだという認識が必要であって、小学校、中学校、高等学校から大人に至るまで、新エネルギーを体験していただく、体感していただく、これが大事だろうと思いまして、今、全国で十三カ所に新エネルギーパークというのを建設途上でありますが、私は、できれば一県に一つぐらいこれを配置して、新エネルギーという問題に対して国民挙げて取り組んでいく、そういう決意がやはり大事だと思います。

 村井議員のただいままでの御指摘、私は十分理解できるところであって、御一緒に取り組んでいきたい、このように思っております。

村井分科員 大臣から熱意こもった御意見いただいて、本当にありがとうございます。私も全く同じ思いです。

 その上で、資源エネルギー庁そして経産省の方にもお聞きしたいんですが、資源外交の時代と言いました。大臣がおっしゃられた資源外交の時代という中で、ちょっと昔と違うなと思う点があるんです。今までは、存在している資源をどうやって高く売るかという時代だったんですが、今後、新しい技術革新がされていくと、資源というのは、もともとある分だけじゃなくて著作権、つまりパテントを押さえていくことによって、ある国に新エネルギーそして資源があるようになったり、またなければ新エネルギーがなかったりというふうになると思うんです。

 そんな中で、技術革新したものをしっかりと著作権で押さえていく必要があると思うんですが、どうお考えでしょうか。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この新エネルギーの分野は、太陽電池はもとより、蓄電池あるいは燃料電池、こういったものを社会にどのように使っていくのかということを考えていきますと、その特性、技術面のみならず、使い方も含めて、さまざまなイノベーション、創造、アイデアというものが生かされていくものであるのではないか、そういうふうに思っております。

 特に、需要を喚起していくという観点からは、需要家サイドからこれらの技術が根づいていくことを支援していくということが必要でしょうし、また供給サイドからいいますと、そういったものが使いやすくなるように提供されていく、そのためには技術開発が必要であるということで、供給サイドにおいても、その技術力を高めていくという観点から御指摘の知的財産権、あるいは需要サイドからそれをどのように使うのかということは、またそれを提供するサービスやビジネスモデルの知的財産権、こういったことがそれぞれ、供給サイド、需要サイドにあるのではないかと思っております。

 いずれにいたしましても、この新エネルギー、あるいは省エネルギーも含めてでありますけれども、技術革新を促していく、そのために適切な知的財産権が保護されていくということが非常に重要な課題ではないかというふうに考えております。

村井分科員 その上で、もう一つお聞きしたいのが、蓄電池の部分です。

 今、発電の技術革新の話ばかりさせていただいたんですが、どうしても太陽光発電というのは、夜発電できなかったり、また天気が悪かったら発電できなかったりといって、発電量の安定性に欠ける部分があるはずです。当然、蓄電池の技術革新も同時に行っていかなければ、これを主要なエネルギーとして使うのは非常に電力会社にとって困ったことになると思うんです。

 こういった意味で、今、蓄電池の技術開発がどのぐらい進んでいるのか、そしてどのぐらい予算を投入し開発しようとしているのかについて教えていただけますか。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、太陽光発電を初めといたしまして新エネルギーの導入の拡大、あるいは携帯電話などに代表されますような個人の電子機器の利用、こういったものが普及をしていく、そういう観点からも、蓄電池の技術開発というものは非常に重要な課題であると考えております。

 経済産業省におきましては、蓄電池の容量あるいはコスト、安全性といったものをより高めていく、あるいはコストを引き下げていく、こういう課題を解決するために、平成二十一年度の予算要求におきましても、革新型蓄電池先端科学基礎研究事業として三十億円、次世代蓄電システム実用化戦略的技術開発事業として五十八億円を要求いたしております。

 そして、こういった事業を通じまして、例えば電気自動車の航続距離を約五百キロメートルに延ばす、そしてコスト面でも約四十分の一を目指す、こういった高性能で低コストの革新型蓄電池の実現に向け取り組んでおります。

 御案内のとおり、日本の蓄電池の技術というものは世界の中でも競争優位を持っておるものでありまして、今後とも、この技術優位を維持して高めていくという観点から、蓄電池の技術開発には積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

村井分科員 今おっしゃられたような蓄電池の技術開発もそうで、さらにもう一つあり得るのは、天気によって、こっちが発電しこっちがだめだったり、逆にこっちの天気がよくなってこっちが雨が降ったりというときに、電力の双方向性、つまり、こっちからこっちへ流れるだけじゃなくて、逆の流れもある。例えば、原子力だと一方方向が多いんですが、まさに太陽光発電の場合、柔軟な、そして太い電力網をインフラ整備しないと、余り大量につくったら逆潮流が起こってしまう可能性があると私は思うんです。

 そんな中で、では、電力会社だけにその負担を押しつけるわけにはいかないと思うんです。将来的なことを考えたら、国としてそのインフラ整備にも投資をしなければならないと考えるんですが、経産省の方ではどうお考えでしょうか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員がおっしゃるように、太陽光発電などの大量導入に伴いまして必要となる送配電対策がございます。例えば、末端の配電網における電圧上昇対策、あるいはネットワーク全体での余剰電力対策などが挙げられます。

 具体的には、配電網における変圧器の増設や、余剰電力を蓄電するための揚水配電所の建設、あるいは先生御指摘の蓄電池の設置といった対策が必要となります。

 これまで、長期エネルギー需給見通しにおけます最大導入ケースというものがありますけれども、二〇三〇年に太陽光発電が五千三百万キロワット導入されるという試算を前提といたしまして、経済産業省の研究会において送配電対策に要する費用の検討を行ってきております。この結果、約六兆円の費用が必要であるという試算がまとまっているところであります。

 それらの費用の負担のあり方をどうしたらいいかということを含めまして、総合資源エネルギー調査会などの場で議論をいただいているところでございまして、経済産業省としては、そういった議論を踏まえながら、適切な制度の構築に努めてまいりたいと考えております。

村井分科員 今その議論をしている最中だとおっしゃられましたが、国が責任を持ってやるために、太陽光世界一奪還計画と言ったぐらいですから、インフラ整備は国の負担でやっていかなければならない。まさに今、アメリカ政府が、オバマさんになって、グリーン・ニューディール政策ということで、どんどんどんどん進めていき、国がリーダーシップをとっていく。ところが、日本は民間のインフラ整備に任せるというのでは、残念ながら厳しいことになるんじゃないのか。実際のことを考えたら、国が、費用負担を含めながら、ぜひ送配電網の整備をやっていただけたらと思います。

 そして、最後にもう一つお聞きしたいのが、電気自動車の話です。

 電気自動車がどんどんどんどん普及していかなきゃならない。その中で一個可能性をお聞きしたいのは、エンジンを中心とした今の車、ガソリンを中心とした車よりも、場合によっては、今のモーターカーの方が部品数が少ないわけですから、同じ量を生産する、つまり、お互い大量生産をしたら価格が逆転をするんじゃないかというふうに私は思うんです。その辺はどうお考えでしょうか、お聞かせください。

立岡政府参考人 お答え申し上げます。

 電気自動車の将来の可能性、コスト面、性能面というふうに承りましたけれども、孫子の時代を考えれば、エンジンで動く車からモーターで動く車にかわっていくというのは、これは大きな流れだろうというように思っております。

 翻ってみますと、電気自動車の機運が盛り上がったことは過去二回ございまして、一度は、七〇年代後半、これは石油危機で油が高騰した時期。それからもう一回は、九〇年代後半に、これはどちらかというと環境問題で、アメリカを中心にゼロエミッションビークルというような機運が高まった時代だったわけでございますけれども、残念ながら、やはり電池の性能面がネックになってその機運は途絶えたというふうに思っています。

 そういう意味では、今回の置かれている状況といいますのは、資源制約面あるいは人類の環境意識の高まりを考えますと前二回とは違うと思うんですけれども、ただ、やはり車といいますのは、どうしても自分でエネルギーを抱えて動かなきゃいけない。そういたしますと、小さい体積、小さい重量で多くのエネルギーを積めるということでなければ機能しない、効率が上がらないわけでありまして、そういった意味では、これまではどうしても液体燃料の方が効率がいいということで、電池がなかなかフライしなかったわけでございます。

 そういった意味で、今エネルギー庁から答弁ございましたように、やはり電池の力を上げていくということにまず注力をする、そうすれば、効用面、価格面においても、今の内燃機の車がモーターサイクルの車にかわっていくという時代をより早く手前に引き寄せることができるということで、私ども今、そこに一生懸命注力をしているということでございます。

村井分科員 次に、ちょっと通告の意味がわかりづらいことをあえて通告していたんですが、私は、電気自動車を普及していく中で、やり方は二種類あると思っているんです。

 一個は、急速充電器をあちこちのガソリンスタンドに普及していくやり方。もう一つあると思ったんです。それは何でかといったら、では二十分も待っておれるかというと、そこで待っているのはしんどいだろう。そうしたら、その充電をするバッテリーパックをそこで取りかえていく、全部の車、全部のメーカーを同じ仕様にして、そしてそれを取りかえていくという方式にすれば、あっという間に、充電器じゃなくて、充電をしよう、あっ、切れそうだというときに交換をしていく方式が可能なんじゃないかなと思うんです。そういった可能性はあり得ますでしょうか、どうでしょうか。

立岡政府参考人 お答え申し上げます。

 なかなか難しい御質問なんですけれども、これはまさに車の使い方にもかかわってくると思います。例えば、昼間ちょっと乗って夜使わない場合にはむしろ家庭のプラグで充電するパターンもあるでしょうけれども、確かに今の車でしているように、いろいろなところに、どこでも行くということになると、早いタイミングで急速充電ないしはバッテリー交換方式というのが議論に上っていることは承知しております。

 実は、前回、九〇年代後半ぐらいのバッテリー自動車の議論があった際にもそういう議論を私は聞いたことがございますけれども、ただ、やはり何といってもネックは、まず電池の性能ということ。それと、当然、バッテリーの在庫を持つわけですから、車の台数以上にバッテリーが流通しなきゃいけないということの問題とか、それからより大きな問題は、標準化がされなければ意味がない。ところが、今電池自体の開発が競って行われているという状況でございますので、将来の可能性としてはあるというふうにもそこはかとなく思っておりますし、一部そういうような取り組みを提言された方もおられることを承知してございますけれども、今具体的にそれが確実に見えているかというと、そういうスコープにはまだ入っていないという段階でございます。

村井分科員 しっかりと、今おっしゃられたような部分、確かに電池の技術革新というのがまだ途上だと思うのです。途上の中で、すべてのメーカーが同じ、共通なものでつくって、これで取りかえていけるようにせいというのは厳しいかもしれませんが、すべてのメーカーが共通してやるというときには、やはり国がリーダーシップをとってやらなければなりません。また、それぞれの民間が独自にそれぞれで開発するだけじゃなくて、ここはこの国の自動車産業の命運をかける一番大きな部分ですから、国がリーダーシップをとって、オール・ジャパンで電気自動車の電池の部分の開発を、技術革新の開発をしていただければと思います。

 以上です。ありがとうございました。

山本主査 これにて村井宗明君の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の御協力により、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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