衆議院

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第2号 平成14年4月9日(火曜日)

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平成十四年四月九日(火曜日)
    午前九時三十分開議
 出席分科員
   主査 松崎 公昭君
      岩屋  毅君    江藤 隆美君
      谷  洋一君    谷田 武彦君
      長妻  昭君    楢崎 欣弥君
      葉山  峻君    神崎 武法君
      春名 直章君
    …………………………………
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 村井  仁君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   会計検査院事務総局事務総
   長官房審議官       千坂 正志君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   政府参考人
   (警察庁長官官房長)   石川 重明君
   政府参考人
   (警察庁交通局長)    属  憲夫君
   政府参考人
   (警察庁警備局長)    漆間  巌君
   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君
    ―――――――――――――
分科員の異動
四月九日
 辞任         補欠選任
  江藤 隆美君     谷田 武彦君
  楢崎 欣弥君     長妻  昭君
  神崎 武法君     赤羽 一嘉君
同日
 辞任         補欠選任
  谷田 武彦君     江藤 隆美君
  長妻  昭君     楢崎 欣弥君
  赤羽 一嘉君     神崎 武法君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十年度一般会計歳入歳出決算
 平成十年度特別会計歳入歳出決算
 平成十年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十年度政府関係機関決算書
 平成十年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十年度国有財産無償貸付状況総計算書
 平成十一年度一般会計歳入歳出決算
 平成十一年度特別会計歳入歳出決算
 平成十一年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十一年度政府関係機関決算書
 平成十一年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十一年度国有財産無償貸付状況総計算書
 〔総理府(警察庁)所管〕


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     ――――◇―――――
松崎主査 これより決算行政監視委員会第三分科会を開会いたします。
 平成十年度決算外二件及び平成十一年度決算外二件中、本日は、総理府所管中警察庁について審査を行います。
 これより総理府所管中警察庁について審査を行います。
 まず、概要説明を聴取いたします。村井国家公安委員会委員長。
村井国務大臣 平成十年度及び平成十一年度の警察庁関係の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、平成十年度の歳出予算現額は三千三十億七百四十六万円余でありまして、支出済み歳出額は二千九百三十五億七千九百十五万円余であります。
 この差額九十四億二千八百三十一万円余のうち、翌年度へ繰り越した額は七十二億三千三百四万円余であります。
 また、不用となった額は二十一億九千五百二十六万円余であります。
 続きまして、平成十一年度の歳出予算現額は三千億一千四百八十二万円余でありまして、支出済み歳出額は二千九百十五億二千九百八十七万円余であります。
 この差額八十四億八千四百九十五万円余のうち、翌年度へ繰り越した額は六十六億三千六百九十八万円余であります。
 また、不用となった額は十八億四千七百九十六万円余であります。
 以上、警察庁関係の歳出決算につきまして御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
松崎主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院石野第一局長。
石野会計検査院当局者 平成十年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
 平成十一年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
 これは、警備艇建造契約における一般管理費等の積算に関するものであります。警備艇建造契約の一般管理費等の積算に当たり、市販品で特段の加工等を要しない主機関の購入費にも船体の材料費や工費等と同率の一般管理費等の率を乗じるなどとしておりました。このため、一般管理費等の積算額が過大となっていると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、警察庁では、十二年十月に、船舶建造費に関する実態調査の結果を踏まえて適切な一般管理費等の率を乗じることとするなど、実態に即した予定価格の積算を行うよう改善を図り、同月以降の契約から実施する処置を講じたものであります。
 以上、簡単でございますが、説明を終わります。
松崎主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。村井国家公安委員会委員長。
村井国務大臣 平成十一年度の決算検査報告において掲記されております処置済み事項につきましては、会計検査院の御指摘に基づき、平成十二年十月に、船舶建造費に関する実態調査の結果を踏まえて適切な一般管理費等の率を乗じることとするなど、実態に即した予定価格の積算を行うよう改善を図り、同月以降の契約から実施する処置を講じたところであります。
 警察庁に対し、今後、一層の適正な会計経理に努めるよう指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。
松崎主査 この際、お諮りいたします。
 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松崎主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
松崎主査 以上をもちまして警察庁についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
松崎主査 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。
長妻分科員 時間もありませんので、端的に御答弁いただければ幸いでございます。
 村井大臣におかれましては、公式行事を押してお出ましいただきまして、ありがとうございました。
 さて、渋谷の原宿で、大規模な留置場の建設計画というのが持ち上がっております。それに関しまして、東京都議会で、ことしの三月十四日、矢部一都議会議員の質問に石原都知事がこう答えております。六百人という数字が今出ているわけでございますけれども、「六百という数字も必ずしもコンクリートなものではありません」「例えば、過剰に留置場をつくったとしても、それが無為に、要するに、何年かたって役に立たなきゃほかのことに使えるわけですし、今、せっかくあそこに大規模な移転というものが行われる限り、それを活用するということで、私は都民の安心というものを担保できると思うんです」というような答弁をされておりまして、何か六百というものは、大き過ぎたら、別にいろいろ使えるからというような、非常にあいまいもことした御答弁のような気がするのですが、この六百人という数字というのは、あるいは原宿ということはもう確定しているのでございますか。
村井国務大臣 一般論としてまず事情を申し上げたいと存じますのは、現在、警察におきましては、被逮捕者の増加でございますとか、あるいは勾留期間の長期化に伴いまして、被留置者の数が大幅に増加しておりまして、留置施設が不足する傾向にあるということは委員も十分御認識をいただいておるかと存じます。
 とりわけて都市部において非常にこれは顕著でございまして、つい最近の数字でございますが、警視庁におきまして四月八日現在で収容率九九%ということになっておりまして、これは大変厳しい数字でございます。
 現在のこういう大変厳しい犯罪情勢を踏まえました場合、また、今後とも被留置者数は増加するものと見込まれますので、これに対処するために、一般論として留置施設の増設をする必要がある。これを私ども、非常に深刻に受けとめております。
 それで、留置場の問題でございますが、考慮しなければならない問題は、これが、どう申しましょうか、一つは取り調べの都合というのがございます。そういう意味で、ある程度バランスよく留置施設がある方がよろしい。それから、家族やあるいは弁護人が被留置者に接見をするためにも、これはある意味では被疑者の人権の問題になるわけでございましょうが、都心部にもある程度バランスよく設置されているということが大切なのではないか。
 そういう観点から見てまいりますと、都心部に若干、率直に申しまして、留置施設が不足している。そういう観点から、人数の問題、規模の問題等はともかくといたしまして、今東京都で御構想になっておられるような形のものができますことは、一般論として、私どもとしましてはありがたいという思いはございます。
長妻分科員 私も、何も留置場自身が何か問題であるということではありませんで、当然、法務省の拘置所とか代用監獄の問題等はありますけれども、実際、現実的に足りないということであります。
 ただ、昨年の十一月の二日に正式表明がされた、それまでは出ていなかった話でございますけれども、原宿に六百人ということで、それで今現在、東京都等の話を聞きますと、ことしの夏に基本構想を出して正式決定する、平成十八年度に完成する。非常に速いピッチでどんどん進んでいるというような、突き進んでいる感じを受けるのですが、これに関してはいかがでございますか。
村井国務大臣 私も、今の治安情勢、特に東京を中心に大変深刻なものがあると思っておりますし、恐らく石原知事も、いろいろな機会に私、御意見を拝聴することがございますけれども、同じような危機感を持っておられる。そういう意味で、こう言ってはなんでございますけれども、留置するスペースが足りないから、だから取り締まれない、極端に言えば、そのようなことがかりそめにもあるとすれば、非常にゆゆしきことだというような問題意識をお持ちなのではないか。
 さような意味では、一見急なことのように見えるかも存じませんが、ある意味では、実は、今度の平成十四年度の予算でも、三年間で警察官一万人増員という前提の上で四千五百人の警察官の増員をお認めいただいたことでもおわかりいただけますように、現在の治安情勢につきましての危機意識というものは、これはまさに焦眉の急を告げている、そういう背景から出てきたお話ではないか、こんなふうに理解するものでございます。
長妻分科員 繰り返して申し上げますけれども、その必要性という意味は、それは私も理解できるんでございますけれども、何しろ公共事業というか、建物を建てるときのやはり手順というのが、時代背景とともに、きちんと住民の理解を得るということが必要だと思います。
 ことしの三月十九日の参議院の法務委員会で石川官房長が、留置施設そのものを取り上げて地元議会が反対をしたという例は承知をしておらないというような御答弁で、これは地元の渋谷区の区議会が全会一致で反対決議をしている。まあ留置場に関してはこういう前例がないわけでございます。あるいは、住民の方が六万人もの署名で反対をされておられる。
 それと、実は、その背景には、平成八年の一月二十四日に地元と都が交わした文書、公文書がございまして、そこには、「本件土地については今後、利用計画策定にあたり、地元住民等の意見要望について可能な限り取り入れるよう誠意をもって対応してまいります」と。こういうような文書があるにもかかわらず、正式表明からことし夏決定まで非常にスピーディーに進んでいる、こういうようなこともあるわけでございますので、その意味で、東京のど真ん中の原宿に六百、これはもう動かさないんだ、こう突き進んでいるということに関して、もうちょっと柔軟に取り組むべきではないかということでございますけれども、いかがでございましょうか。
村井国務大臣 第一義的には東京都、そしてまた東京都警察としての警視庁の問題ではありますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、ある程度の地域的なバランスというものを考えますときに、東京都心部で、確かに犯罪の数も非常に多いわけでございますし、その取り調べ等々の都合というようなものを考えますと、東京都心部に相当数の規模の留置施設が欲しいということは、これは一つのニーズとしてあるわけでございます。そのあたりにつきまして、地域的な要素を考えますと、この今の構想にかわる施設あるいは場所というようなものがそう容易に見つかるかどうか、そのあたりが一番の問題なのではなかろうか、こんなような感じがいたしております。
長妻分科員 そういうわけでもないと思うんですね、東京都等の話を聞きますと。結局、ここに大規模留置場の計画が出たというのは、たまたまその近くにある原宿警察署が建てかえのちょうどサイクルにあって、じゃ、その原宿警察署と一緒にその六百人の留置場を建てかえようと。警察署と隣接して一緒に、附属施設であれば国費が半額補助されるというようなこともあるんでしょうけれども、そういうような形で、まだ一案、そこしか検討が出ていないわけでありまして、当然いろいろな場所があるわけでありますので、その意味では複数の選択肢を検討するというようなことがなされてもいいと思うんですが、それに関してはいかがですか、複数の選択肢という意味で。
村井国務大臣 率直に申しまして、私も、この問題はやはり第一義的には東京都の問題、あるいは警視庁の問題ということだと存じますので、そこでのいろいろな御検討にまずはゆだねたい、こう思っていることでございます。
 私の理解しておりますところでは、警視庁におきましては、現在、警察署建てかえの際に留置場の拡大を図りますとか、警察署の敷地内に留置場を増築いたしますとか、それから、特に警視庁の多摩総合庁舎内に大型の留置場を整備するというような構想を持っているわけでございまして、そのバランスを考えましても、地域的要素を考えますと、原宿というのは確かに一つのニーズを満たす要素を持っているということでお話が非常に強く浮上しているのではないか、こんなような理解をいたしております。
 そこで、今委員も御指摘になられましたように、具体的にどういうふうな形になるかということは、よく私もわかりませんからなんでございますが、留置場というのを単なるいわゆる迷惑施設とお考えいただくのか、それとも警察署と併設されることによって地域の治安をかえって高めるそういう要素として御認識いただくか、このあたりは当局としても当然いろいろ御理解を得るべく努力をしなければならない問題でございますけれども、留置場というものの性格、このあたりもできれば適切な御理解をいただけるとありがたい、こんなふうに思うところでございます。
長妻分科員 確かに、自治体警察の原則で、自治体、警視庁の問題だということは思うんでございますけれども、これだけかなり大きな住民の方の話、議会の議決等々がございまして、その意味では、やはり国のレベルからもこの問題に関していろいろ取り組む必要がある。
 私も申し上げていますのは、例えば国土交通省、これは公共事業が非常になれているお役所でありまして、住民との手順というのも、アセスメントも含めて、いついつぐらいまでにこういうふうに説明をして、こうやって複数案を提示して、こう段取りを踏んでいく傾向が最近は強いというふうに思うんですが、警察の場合は、多分、これだけの反対というのは初めての御経験で、今まで余りそういう過去の御経験がないのかどうかは知りませんけれども、かなり急ピッチに説明が非常になくて進んでいるというイメージを国土交通省の公共事業に比べて非常に私も感じておりますので、そこら辺、ぜひ大臣も御認識いただきたいと思うんですが、簡単に一言。
村井国務大臣 これは私も、いずれにしましても、こういう問題につきましては地元の皆様の御理解を得てやらなければならないということはよく承知しておりまして、警視庁におきましても地元選出の都議会の先生方にこの留置場設置の必要性等につきまして御説明を申し上げた、こんなふうにも聞いておりますし、これから東京都とも連携を図りながら、留置場の性格、そしてまた、都心部にもこういうものを設けなきゃならないゆえんのところを、私どもとしましてもできるだけ御説明を丁寧にさせていただく努力をしてまいりたい、こんなふうに思うところでございます。
 一方的に何も説明なしにどんどん進めるというだけのことでは、これはもちろん済む話ではない、これはよくわかります。ただ、一方で、冒頭からるる申し上げておりますように、現在の治安情勢にかんがみまして、また、地域のバランスというものを考えますと、何とかこういうニーズを満たしていくような施設をつくらせていただきたいものだという願望を私どもとしても持っているということを御理解いただきたいと存じます。
長妻分科員 このテーマは、最後にちょっと申し上げますけれども、やはり原宿という場所で、大臣も竹下通りというのは御存じだとは思うんですけれども、そういう竹下通りの本当すぐ横のところにその大規模留置場がありまして、ラフォーレ原宿とかあそこら辺で大変にぎわうところの場所にある。ある意味では、今景気が大変悪いわけでございまして、そういう一等地に余り経済効果は生まないそういう施設ができるというような問題も確かにあるわけだと思います。
 もう一つは、大臣、警察から資料をいただきましたけれども、今お配りしている資料、一、二、三とございますけれども、やはり留置場と計画されておりますものは取り調べ室もありまして、逃走の事案というのを拝見して、やはり日本警察は優秀だなとは再認識して、逃走した方は全部捕まっているというような資料でございますが、逃走の可能性も当然ゼロじゃない。そうすると、都会のど真ん中の文教地区ということもございまして、そういうような観点もぜひ御考慮をいただきたいというふうに思います。
 この資料の四にも書いてございますけれども、六百人の収容といいますと、今まで一番大きいのがこの百二人という警察の調べでございますので、六百ということになりますと初めての経験でもありますので、その意味では、万全の安全対策上の場所、そういう観念もぜひ持っていただきたいというふうに強くお願いをして、ぜひ見直していただきたいというふうに私は要望いたします。これはこれで、次の質問に移らせてもらいます。
 もう一点でございますが、こういうような資料が平成十四年三月に出てまいりまして、非常に前向きな形での資料だということで考えております。そして、この資料をもとに私の事務所の方で、この資料六というところでございますけれども、こういう資料を作成いたしました。
 これは、今申し上げた、財団法人交通事故総合分析センターが出した「交通事故と運転者と車両の相関についての分析結果」という資料の実数をもとに私どもの事務所がこういうような形でランキング形式に並べた。これはどういう資料かといいますと、表題にもありますように、「国産乗用車の車名別の乗員死亡事故台数等ワーストランキング」ということでありまして、これは本邦初公開だと思うんですが、私も慎重にいろいろ考えながら公表したわけでございます。
 例えば、一位、シルビア九九年モデル、日産。これは、一万台当たりの乗員死亡事故台数というのが三・二三台。一万台当たり乗員の方が死亡した事故、これを起こした車の台数が三・二三台。一万台当たりの乗員死傷事故台数、これは死亡あるいはけがも含めておりますけれども、これが百十九・〇三台。一万台当たり運転者死者数、これが二・五八人。それで、車両台数は三万一千台というような形になっておりまして、これは一万台当たりの乗員死亡事故台数の多い順に並べているリストでございます。
 こういうようなリストが一〇〇%車の安全性、あるいは上位は欠陥車だ、そういうことには当然イコールではないわけでございまして、運転者の年齢、経験、飲酒の有無、あるいはシートベルトの有無、走行距離とか車の整備の問題とか、いろいろな要因に左右されるというのは十分承知でありますけれども、何で私はこういうものの必要性を感じたかといいますと、例えばアメリカでは、資料五というのがその直前にあると思うんですが、これは先日、最新のホームページからとったもので、米国の交通安全保険協会、IIHSというのが、実際の交通事故データを分析した車名別の乗員死亡率のリスト、これの最新のをインターネット上にデス・レートという形で流しておりまして、具体的な車名とメーカー名が書いてあります。
 これが消費者が車を選ぶ際の非常に大きな目安になっている。それ以上にメーカー自身も、こういうのを見て、うちが上位に来るとまずいから、余り死亡事故を起こさないようにいろいろな、教育も含めて、車の性能も含めてやっていこうというような、これで高く出ると非常に売り上げに影響するということもあります。あるいは行政も、こういう車種が死亡率が高いんだなということを認識すると対策もとりやすいということで、非常に私は、これをアメリカが公表することによって大きく安全性が高まった一つの原動力になったというふうに考えております。
 例えば、この資料六、日本の、私どもがつくった資料を見ていただきましても、確かに上位にいる車は、見ていただきますとスポーツカーがやはり多いんですね。ですから、スポーツカーそれ自身が欠陥車とか車の性能とかではありませんけれども、現実問題としてスポーツカーはやはり乗員が死傷しやすいということがあるわけでありまして、その意味では、メーカーはこういう現実をとらえて、幾らスポーツカーでもそのスピードに耐えるような安全設計、安全対策をしなきゃいけない、行政もしなきゃいけない、教育もそういう教育をしなきゃいけない、こういうような形でいろいろなことがわかってくると思うんです。
 大臣に一言お伺いしたいんですが、こういうリストに関して、当然取扱注意で、私が申し上げたような前提で公表するという、この重要性についてはいかが御感想をお持ちでございますか。
村井国務大臣 ただいまお示しになられました資料でございますけれども、これは、ここにも書いてございますように、財団法人交通事故総合分析センター作成の研究報告書の掲載データをもとにおつくりになられた、こんなふうに承知しております。また、委員まさに御指摘のように、交通事故そのもの、これはもう運転者の腕でございますとか道路環境でございますとか、いろいろな要素が複雑に絡み合って発生するものでございまして、車種別の死亡事故台数等のデータをそのまま車両の安全性の指標としてとっていいかどうかあたりにつきましては、いろいろ議論があるものだろうとは思います。
 ただ、アメリカでこういうものが公表されているのが、大変恐縮でございますけれども、どのような形でとられた統計なのかというあたりのところが、私も必ずしも今の段階でつまびらかにいたしませんけれども、私どもといたしましては、交通事故につきましていろいろ調べをいたします。それは、若干捜査資料という性格がございますので、直ちに公表するというわけにはまいらない。そういう意味で、ある程度の秘匿性を、守秘義務を課しました上で交通事故総合分析センターに渡しまして、そこである程度加工をするといいましょうか、よく勉強をさせ、その結果は何らかの形で公にして、今委員御指摘のような問題意識で、いささかでも安全の向上に役立つような方向に持っていくことができれば、こんなふうに考えているところでございます。
 なお、もう一言、恐縮でございますが、先ほど委員御指摘のございました留置場からの逃走の問題について一言だけ申し上げさせていただきたいと存じますが、過去、留置場から被留置者が逃走しましたようなケースというのは、概して申しますと、小規模の留置場において看守に当たっている人間が例えば一人であったとか、何らかの意味で非常に手薄な状態であった場合に起きているのがほとんどでございまして、逆にある程度の規模のものになりましたら、当然のことでございますけれども、相当の人数で看守に当たることにもなりますので、逃走等の可能性というものは極めて少なくなる、そういう特徴もございますことを御理解いただきたいと存じます。
長妻分科員 このリストに関して今大臣からいろいろお話がありましたけれども、時代的な情報公開の流れも含めまして、やはり今までの政府は、何か情報をある程度出すと国民が誤解していろいろ無用な混乱を起こす、だから出さない、いろいろな問題でそういう発想がこれまではあったと思うんですが、きちんと説明をつけた上でどんどん、当然安全保障の問題とか捜査情報とか、そういうものは除外はするわけでありますけれども、こういうものは出すべきだ。
 国土交通省さんにもお伺いしますが、ある意味では道路行政といいますか、車自身の安全性も含めた御担当の省庁でございますので、こういうものの重要性や今後の参考等々を含めまして、一言御答弁いただければと思います。
高木大臣政務官 今委員御指摘がございましたように、情報公開という流れがございますけれども、今回先生が事務所の方で作成されましたこのデータ、これはもともと交通事故総合分析センターのデータをもとにしてつくられたと思うんですけれども、先ほど村井大臣がお話しされておりました事故の原因というふうに見ますと、例えばシートベルトの装着等の問題点で人的な要因もありますし、また、それ以外にも道路の要因、これは国土交通省の所管にもなりますし、また、車両の構造的な問題、このデータだけで見ますと、車両が事故を起こしたのは事実なんですけれども、果たしてこれが車の問題なのか、人的要因なのか、さらには、道路等の状況の問題なのかというのがなかなかはっきりしない中でこういったデータが出ますと、さまざまな問題等もあるのかなというふうにも感じております。
 ただ、だからといってすべてを隠すということではないと思うんです。このデータにもありますように、先生がつくられた一万台当たりの車種別、これを見ますと車両台数が車種によってかなり違いがございまして、例えばこのデータのワーストワンとなっているシルビアは三万一千台、その中での事故。さらにずうっとこのデータを見ていきますと、五十七番目、ムーブ九五年は百四十万台で、かなりデータにばらつきがあるのではないかとも感じます。
 その上で、交通事故総合分析センターの方では、データの母数をふやす、そういう観点もございましたので、セダン、ミニバン、スポーツカーと八クラスに分けて、大きく分類したクラスごとの分析も行っているということであると思います。
 あと、国交省としては、とにかく交通事故とその車両の関係についても分析を進め、安全基準の拡充強化に努めるとともに、実車による衝突安全性能の試験結果、制動性能の試験結果等の自動車の安全性能に関する比較情報の提供、こういったことを行っておりまして、安全な自動車の開発普及を図る自動車アセスメント事業を推進するなどの安全対策に取り組んでおりまして、さらにこれは今後とも引き続き進めてまいりたい、そのように考えております。
長妻分科員 いろいろ御指摘ありがとうございます。
 いずれにしましても、今後研究をしていただきたいと思うのは、こういう車名別で、きちんとした有意義な形で、どんどん議論をしていただいて、情報を精査して出していただきたいと思います。
 実際問題として、このワーストランキングで、ここには出ておりませんけれども、かつてこういうようなランキング形式にしましたときに、上位にいた車が非常に短期間に製造停止になったというようなこともありまして、いろいろな問題があるんではないかということがはっきりわかるわけでございます。
 最後に一問だけ申し上げますと、税金の問題でございますけれども、全日本交通安全協会というところが脱税ということで、重加算税も受けたということがありました。これは昨年の五月十八日の直後に既に警察庁には連絡があった、で村井大臣にはなかったということが、質問主意書での答弁で来ているんですが、村井大臣、今後はこういう問題が起こったときに、やはり大臣にもちゃんと上げてくれというふうに御認識というか、御意見をお持ちでございますか。
村井国務大臣 委員が今脱税とおっしゃいましたけれども、釈迦に説法で恐縮でございますけれども、いわゆる税の世界における更正・決定というのは、課税当局と納税者との間の意見にそごが生じた場合に結果的に起こることでございます。
 脱税というのは、私は余りそういう認識は持っていないということをまず申し上げました上で、そうはいいながら、税務当局の指摘を受けて加算税等も納付をしたということで、これは報告がなかったわけでございますが、国民の多くの方々に御関心のある問題につきましては、やはり適切な内部管理の体制をとるという見地からは、報告があった方が適当だったのかな、こういう……(長妻分科員「大臣に対して」と呼ぶ)はい、大臣に対する報告があった方が適当だったのかなという感じはございますが、ただ、逆に私はまた、部内で起こります問題につきまして、子細にわたってすべて上げてこいという気は余りございませんで、ある程度つかさつかさで処理してしかるべきこともかなりあるのではないかという気持ちもございます。
長妻分科員 これで質問を終わります。ありがとうございました。
松崎主査 これにて長妻昭君の質疑は終了いたしました。
 次に、谷田武彦君。
谷田分科員 自民党の谷田武彦でございます。
 二つの問題につきまして、順次お尋ねをいたします。
 まず最初は、違法駐車対策についてであります。
 私は、名古屋市の中心、中区に住んでおります。この中区という地域は、昼間は商業活動が大変活発に行われ、たくさんの方がお集まりをいただく。そして、夜ともなりますと、これまた歓楽街がございまして、たくさんの方がお集まりをいただく。休日は、デパートを初めとした大型の施設がございますので、これまたたくさんの方がおいでをいただく。残念ながら定住人口は少のうございますが、活動人口というのは大変多い地域でございます。そんな中にあって、住む、働く、憩う、三つの要素の調和のとれた明るい町をつくっていこうということで、地域の皆さん、職域の皆さん、そして行政の皆さんが一緒になって、大変な努力を続けておられるわけであります。
 その過程でぶつかる大きい問題の一つが、違法駐車問題でございます。中区を担当いたします愛知県の中警察署、ここの昨年の駐車違反取り締まり件数は、何と一年間で約三万三千件でございました。これは決して威張れる数字じゃないんですが、全国の警察署でトップだそうでございます。それだけルールを守らないマナーの悪い人が多いということを証明する数字であり、なおかつ逆に言いますと、警察が大変な御努力をいただいておる、警察の皆さんの御苦労が大変なものであるということを証明する数字でもあるかと思うわけであります。
 言うまでもなく、違法駐車は、交通渋滞を悪化させ、歩行者の安全な通行の障害となり、緊急自動車の活動に支障を来し、交通事故の原因ともなるわけであります。今という瞬間に、東京二十三区内、そしてまた大阪市におきましては約十万台前後の違法駐車があるというふうに承っておるわけでありますが、警察も、各自治体もその解消に向けて大変な御努力を続けてきておられます。特に、都心部における違法駐車対策には、大変大きな力を注いでおられるわけであります。例えば、公共駐車場を整備する、パーク・アンド・ライド方式を徹底する、駐車場案内システムを導入する、違法駐車防止監視員を配備する、カメラやスピーカーによる駐車抑止システムを取り入れる等々、御努力をいただいておるところであります。
 ところが、人間の心理というのは不思議なものでございまして、近くにあいている駐車場があるにもかかわらず、ただでとめることができる、とめちゃいけないんですけれども、路上に違法駐車をしてしまう。この違法駐車が絶えないわけであります。道路は駐車場ではないぞと叫びたいところでありますが、何といっても違法駐車に対する国民の意識が低いということ、マナーがよくないところに根本的な問題があるように思われます。
 警察庁は、違法駐車に対しまして、今日までどのような対応をしてこられたのか、特に駐車モラル向上のためにどのような対策を講じてこられたのか、まず最初に承りたいと存じます。
属政府参考人 都市部を中心とした違法駐車の根本的な原因は、都市駐車需要と駐車容量のアンバランスや、ドライバーの意識、マナーにあるものと考えております。
 したがいまして、違法駐車を抜本的に解決するためには、駐車容量を拡大するための施策や、駐車需要を軽減するための施策、さらには駐車モラルを向上させるための施策などを着実に推進していくことが必要であると認識をしております。中でも、駐車モラルを向上させるための施策といたしまして、各種講習の機会をとらえた交通安全教育や、違法駐車防止条例制定の働きかけ等、運用の支援、さらには交通安全活動推進センターや地域交通安全活動推進員等を活用した違法駐車排除の広報啓発活動等を推進してきたところでございます。
谷田分科員 ありがとうございました。
 今御答弁をいただきました中に、駐車モラル向上のためにいろいろな広報活動あるいは啓発活動をしていくというところがございました。まさにそのとおりだと思うんですが、ところが、残念ながら、その対象となるのは、もともと意識の高い人、もともとルールを守っている人々を相手にして広報や啓発をしておるというふうに言わざるを得ないのですね。
 ここでやはり問題になるのは、意識の低い人、ちょっと失礼な言い方になるんですが、いわゆるアウトサイダーに対してどのように対応されるか、これが大きな問題なんです。このあたりをひとつお聞かせいただきたいと思います。
属政府参考人 違法駐車排除のための広報啓発活動ですけれども、更新時講習などの運転者全体を対象にしたやり方とか、あるいは地域交通安全活動推進員による地域における広報啓発活動等、さまざまな機会をとらえて実施をしているところであります。
 しかしながら、委員御指摘のとおり、すべての方々に広報啓発活動の趣旨を浸透させていくことは、必ずしも容易ではないと考えております。したがいまして、広報啓発活動にあわせまして、違反者に対する指導、警告を行うほか、悪質、危険性、迷惑性の高い駐車違反に重点を置いた取り締まりを推進することによって駐車モラルの向上に努めているところであります。
 今後も、駐車モラルを向上させるための施策を積極的に推進してまいる所存でございます。
谷田分科員 今の御答弁のとおり、広報啓発活動をやるとともに、またモラル向上を図るとともに、違法駐車の取り締まりを十分に行う必要があるわけであります。
 私の地元では、住民や警察行政の皆さんがいろいろ知恵を出し合いまして、名古屋は道が広いと言われておるんですが、その広い車道をあえて狭くしたり、あるいは、両側に違法駐車がずらりと並んでおる一方通行の道をあえてもとに戻して両側通行にしていく、そして車をとめにくくするような努力もしてきておるわけでありますが、しかし、残念ながら、取り締まりが十分でないがために違法駐車の数は減らず、かえって交通に支障を来している、こんな事例もあるわけであります。
 何といっても、警察官の絶対数が足らない、これが問題になるわけでありますが、かといって安易に警察官を増員することもできません。そこで、パーキングメーターの見回りに警察官OBの方が当たっておられるようでありますが、例えば警察官のOBの方や民間人の皆さんを活用して、警察官に準じるような権限を与え、違法駐車取り締まりに携わることができるようにすることは無理なのでしょうか。御所見を承りたいと存じます。
属政府参考人 駐車取り締まりを効率的に行うために、警察官OB等を活用することは極めて有効であるというふうに考えております。
 現在、警視庁、兵庫県におきましては、警察官OBを駐車取り締まりの支援業務を行う者として再雇用しておりますほか、十四府県におきまして、違法駐車車両に対する警告などの駐車対策事業について民間警備事業会社へ委託するなどを行っております。
 一方、駐車違反の取り締まりそのものは捜査活動に当たるために、警察官以外の第三者に直接取り締まりを行わせることについては慎重な検討が必要だというふうに考えておりますが、引き続き駐車取り締まりを支援する業務に関して警察官OB等の積極的な活用について検討してまいる考えでございます。
谷田分科員 大変前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 ところで、違法駐車の反則金がまだまだ安いのではないかという意見が一部にございます。確かに、違反をいたしましてレッカー車で運ばれて、そしてどこかの駐車場に保管をされておる。そういたしますと、この反則金と合わせて三万円近くになるというような事例もあるようではございますが、もっと反則金を高くすれば、これはもう確実に違反は減るのではないかと思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
属政府参考人 反則金の額の引き上げによりまして駐車違反に対する抑止力を強化するということも一つの方策だろうというふうには思います。しかし、反則金の額の引き上げにつきましては国民の間にさまざまな意見があるというふうに承知をしております。
 違法駐車をなくすためには、委員御指摘のとおり、国民全体の違法駐車に対する意識を変えることが大変重要でありまして、違法駐車対策として、駐車モラルの向上策、適正な駐車規制、効果的な取り締まり等を総合的に推進をして、違法駐車の排除に努めてまいりたいというふうに考えております。
谷田分科員 ありがとうございました。
 次に、交通安全施策に関する計画の中で、「画一的な駐車規制の見直しを推進する」ということが掲げられております。きめ細かな対応をされる姿勢は高く評価をするわけでありますが、残念ながら、一部では行き過ぎと思われるようなことがあると思います。
 私の地元のことで恐縮でありますが、名古屋市で、夜の歓楽街と言われる地域に近接の幹線道路で夜間駐禁が解除をされている事例がございます。夜、とめてもいいというわけですね。ところが、そこへとめていいというのは、ほとんどの方が歓楽街に働いている人、あるいは飲みに来る人の車に出会うことは当然予測をされるわけでありまして、このことが結果としては飲酒運転を助長することになるのではないか、このように思うわけでありますが、御見解を承りたいと存じます。
属政府参考人 各都道府県警察におきましては、道路の構造、地域の交通実態を勘案しまして、幹線道路等、特に交通の円滑を確保する要請が強い区間につきましては駐車禁止規制や取り締まりの強化をしております。その一方で、特定の時間帯、曜日に駐車需要が減少する、そういった地域では駐車禁止規制を時間的に解除するといったようなこと等も実施をし、各地域の交通全体のあり方を考えながら、随時見直しを行っているところでございます。
 警察庁といたしましては、今後も引き続き地域の交通実態に応じた適切な駐車規制が行われるように、都道府県警察を引き続き指導してまいる考えでございます。
谷田分科員 ありがとうございました。それでは、次の問題に移ります。
 オウム真理教、現在ではアレフと名前を変えておるわけでありますが、オウム真理教問題についてお尋ねをいたします。
 自分のところのことばかり言って恐縮でありますが、昨年の七月に、私が住んでおります名古屋市の中区千代田というところ、本当に私のうちのすぐそばでございますが、アレフの名古屋支部が移転をしてまいりました。これはなかなか借り手のつかなかった古いビルを借りて、そこにアレフが移り住んできたわけでありますが、そういった情報が入るや否や、地元の住民の皆さん方は、アレフ移転反対、アレフ追放の住民大会を開催したり、あるいはデモ行進をしたりいたしました。そしてまた、アレフは出ていけ、平和な町を守ろうと書いたポスターを張ったりのぼりを立てたりし、さらには署名運動を展開して、中区役所に対し住民票不受理の陳情をしたりいたしました。
 言うまでもなく、このオウム真理教というのは、サリンを精製し、銃器を密造し、松本サリン事件や東京での地下鉄サリン事件を引き起こし、無差別大量殺人行為を行ったテロ集団であると思います。
 しかし、私どもが間近で見るアレフというのは非常に礼儀正しく、笑顔で地元住民に接して、自分たちの施設を地域の皆さんに公開するなど、あたかもアレフは開かれた集団であり、安全な集団であるよ、こういったことをアピールしているかのようであります。来年一月末に団体規制法の観察処分の期限が切れることもありましてか、今のところ静かにしているのではないかなと思われるのでありますが、そもそも一昨年一月に教団名をオウムからアレフに改称したこと自体が偽装であると私は思います。
 そこで、まず、オウム真理教からアレフへと名前を変えたこの教団の本質は一体何であるのか、警察庁の基本的な御認識をお聞かせいただきたいと思います。
漆間政府参考人 委員御指摘のように、オウム真理教というのは、地下鉄サリン事件を初めといたしまして、大変凶悪な事件を起こしてきたというのは間違いございません。その後、委員御指摘のように、平成十二年の一月にアレフと名前を変えまして、現在は上祐史浩というのが代表となっておりまして、開かれた教団であるということを喧伝するなどの行動に出ております。
 しかしながら、教団内部におきましては、麻原彰晃こと松本智津夫が使っておりました教義というものをいまだに継承しているわけでございまして、信者はこの教義を繰り返し学習しているというのが現状でございます。学習に用いられているテキストは、ファイナルスピーチという松本が使っていた説法を使っておりますけれども、この中には、殺人をも肯定するタントラ・バジラヤーナという論理やポアの用語も依然として用いられているなど、警察といたしましては、教団の反社会的な本質は変わっていないというふうに認識しております。
谷田分科員 ありがとうございました。
 アレフの反社会的本質に変わりはないという御認識をお聞かせいただいたわけでありますが、このアレフを追放していこうという住民運動、全国各地で起きておるわけでありますが、残念ながら、地域によってかなりの温度差があると思われます。
 もともと、住民運動というのはお金と暇がかかるんですね。特に都心部では何事にも無関心な人が多いと言われておるわけでありますが、当面、アレフが静かにしていて、日常生活に特段の支障がないというような場合ですと、容認といいますか、何か安易にアレフの存在を受け入れてしまおうという雰囲気が一部に出てきておるわけであります。金も時間もかかるというと住民運動などしたくない、こういったことになるわけでございまして、息の長い住民運動を続けていくということが本当にできるのかどうか不安になってくるわけであります。
 アレフ反対の住民運動に対し、警察としてはどのようにかかわり合ってきたのか、お聞かせをいただきたいと思います。
漆間政府参考人 現在、オウム真理教は、全国十五都府県に二十八カ所の拠点施設を有しております。この施設の所在する地域で、地元住民が、今はアレフと名前を変えておりますけれども、その活動に対する不安感から、施設の撤退を求めるなどの運動が見られるわけでございまして、監視行動その他の住民運動に発展している地域もあるというふうに承知しております。
 警察におきましては、こうした住民の不安感や要望等を踏まえまして、施設周辺のパトロール等を強化するとともに、公共の安全と住民の平穏な生活を確保するため、必要に応じまして警戒警備等の所要の措置を講じているところでございます。
谷田分科員 住民の要望を受けてアレフの住民票不受理に踏み切りました自治体の職員が、アレフに好意的と思われる第三者によって、職権乱用として告発された事例があるようであります。名古屋市の中区役所に対しましてもこの告発が行われました。
 告発された以上、これは警察といたしましても当然捜査をせざるを得ないわけでございますが、そこで、区役所の担当者に事情を聞いたりあるいは反対運動をしておる住民の皆さんにお話を聞く、こんなことがあるわけでありますが、情けない話でございますけれども、警察から事情を聞かれたというそのことだけで何か、表現は適切でないかもしれませんが、アレフに対し反対をしておった人は腰が引けてしまいまして、うがった言い方になりますが、結果的には、アレフ反対運動に水を差し、アレフを利することになるといったような残念な現象が一部に見られるようであります。
 このような告発に対する警察の対応のあり方についての御所見を承りたいと存じます。
漆間政府参考人 現在、先生御指摘の告発については二件なされておりまして、そのうち一件につきましては既に検察庁に送付しておりますが、もう一件、告発が残っております。
 その関連で、先生御指摘のような、住民からいろいろ事情を聞いたりというような作業が行われております。これは、告発を受けた司法警察員の手続としまして、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなきゃならないということでございまして、犯罪が成立するのか否かも含めてきちっと調べて送付しなきゃならないという規定になっておりますので、現在その手続をしております。
 その過程で、確かに警察から事情を聞かれるということが、先生おっしゃるとおり、まさに非常に気持ちが悪いということがございますが、その結果として、犯罪は成立しないという形で検察庁に送付される場合もあるわけでございますので、その点につきましては、ぜひ住民の皆様の御協力をお願いしたいというふうに思っております。
谷田分科員 ありがとうございました。
 警察の捜査が決して不適正だとか、そんなことを言っているわけじゃございませんが、変な言い方ですが、ぜひひとつ問題の本質を見失わずに心配りをしてほしい、こういったことをお願いしておきたいと思います。
 きのうですか、免状不実記載容疑でオウムの元広報部長、これが逮捕されました。また、それに伴って都内の教団施設など八カ所を家宅捜索されたそうであります。一昨日は警視庁綾瀬署の寮に無断で立ち入ったオウム出家信者を建造物侵入現行犯で逮捕される。このようにアレフに対しまして、警察庁の皆さんが常に強い関心を持ち、厳正に対応しておられることに、まず敬意を表しておきたいと思います。
 最初にお答えいただきましたとおり、オウムからアレフへと名前を変えたにもかかわらず、反社会的な本質には何ら変わりのないこの集団、教団に対しまして住民の皆さんは、出ていってくれ、このようにしか言いようがないわけであります。出ていったところでも、次に移り住むところではまた同じ問題が、これはもうエンドレスで続くことになるわけですね。当然のことながら、オウム真理教、アレフという教団が解散しないことには、問題は解決をしないわけであります。
 一方、警察の責務というのは、これは住民の不安を除き、そして公共の安全を確保することにあると思います。私個人は、返す返すもオウム真理教に対しまして破防法が適用されなかったことが残念でならないわけでありますが、警察として、国民の期待にこたえ、アレフ問題の根本的な解決のためにどのような対策をとることができるのか、最後の質問でございますが、大臣からお答えをいただきたいと存じます。
村井国務大臣 私も、実は私の選挙区が松本を中心にする地域でございまして、松本サリン事件という大変忌まわしい事件は、昔私が住んでいたところのすぐそばで起こった事件でございまして、あの衝撃、いまだに忘れることができません。
 それ以外にも地下鉄サリン事件など、本当に忌まわしい事件を数々起こした大変な集団で、先ほど警備局長からお答え申し上げましたように、教団の反社会的な本質というものは、私ども、いささかも変わっていない、こんなふうに認識し、警察として、教団の動向には引き続いて重大な関心を持ち、また関係省庁とも緊密な連携を保ちながら、実態の解明に努めているところでございますし、また、一連の凶悪事件にかかわった信者のうちで特別手配被疑者三人が依然としてまだ逃走中でございまして、警察としてもこれを何とか検挙するべく引き続き全力を挙げているところでございます。
 そのほかに、今委員るる御指摘ございました、全国に所在する教団の施設に対する地域住民の御不安、これは本当にごもっともなことでございまして、平穏な生活を確保するために、住民の皆さんの御要望を踏まえながら、必要な警戒警備等の措置をこれからもきちんと実施してまいりたい。それからまた、教団に関係する違法行為に対しましては、これはもう、今委員たまたま御指摘くださいましたが、厳正に対処するということでこれからもきちんとやってまいりたい。違法行為につきましては厳正な取り締まりを今後とも継続して、オウムまたはアレフに対する国民の皆様の不安感をできるだけ解消するように今後とも努力を継続してまいりたいと存じます。
谷田分科員 ありがとうございました。
 少し早口でしゃべりましたので持ち時間が残りましたが、以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
松崎主査 これにて谷田武彦君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして警察庁についての質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。
 これにて散会いたします。
    午前十時二十九分散会


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