衆議院

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第2号 平成16年5月18日(火曜日)

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平成十六年五月十八日(火曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席分科員

   主査 山名 靖英君

      津島 恭一君    萩生田光一君

      松岡 利勝君    森田  一君

      山本  拓君    市村浩一郎君

      内山  晃君    五島 正規君

      西村智奈美君    山花 郁夫君

      古賀潤一郎君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   経済産業副大臣      坂本 剛二君

   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君

   会計検査院事務総局第二局長            増田 峯明君

   会計検査院事務総局第五局長            円谷 智彦君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   山木 康孝君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    人見 信男君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房参事官)           朝浦 幸男君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  辻  哲夫君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    真野  章君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            北村 俊昭君

   政府参考人

   (中小企業金融公庫総裁) 水口 弘一君

   参考人

   (中小企業総合事業団理事長)           見学 信敬君

   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君

   決算行政監視委員会専門員 熊谷 得志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  内山  晃君     市村浩一郎君

  西村智奈美君     山花 郁夫君

同日

 辞任         補欠選任

  市村浩一郎君     内山  晃君

  山花 郁夫君     西村智奈美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十四年度一般会計歳入歳出決算

 平成十四年度特別会計歳入歳出決算

 平成十四年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十四年度政府関係機関決算書

 平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (厚生労働省、経済産業省所管、中小企業金融公庫及び中小企業総合事業団)


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     ――――◇―――――

山名主査 これより決算行政監視委員会第三分科会を開会いたします。

 平成十四年度決算外二件中、本日は、経済産業省所管、中小企業金融公庫、中小企業総合事業団及び厚生労働省所管について審査を行います。

 これより経済産業省所管、中小企業金融公庫及び中小企業総合事業団について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。中川経済産業大臣。

中川国務大臣 おはようございます。

 平成十四年度経済産業省所管の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計歳入歳出決算につきまして御説明いたします。

 経済産業省主管の歳入でありますが、歳入予算額百八十七億円余に対し、収納済み歳入額は二百四十三億円余であり、差し引き五十五億円余の増加となっております。

 次に、経済産業省所管の歳出でありますが、歳出予算現額一兆九百二十億円余に対し、支出済み歳出額は九千九百二十三億円余でありまして、その差額九百九十六億円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は七百九十二億円余であり、不用となりました額は二百四億円余であります。

 次に、特別会計について申し上げます。

 まず、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計でありますが、収納済み歳入額は一兆百二十五億円余であり、支出済み歳出額は四千七百四十一億円余でありまして、その差額五千三百八十三億円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は一千二百四十四億円余であり、剰余金は四千百三十九億円余であります。

 このほか、電源開発促進対策特別会計、貿易再保険特別会計及び特許特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要につきましては、お手元の資料に掲載いたしましたとおりでございます。

 以上をもちまして、平成十四年度における経済産業省所管の一般会計及び特別会計の決算の概要に関する御説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

山名主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院円谷第五局長。

円谷会計検査院当局者 平成十四年度経済産業省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十件であります。

 検査報告番号二三七号は、調査研究に係る委託費の支払いに当たり、使用していない設備の使用日数等を含めるなどしていたため、支払い額が過大となっているものであります。

 経済産業省では、十年度から十三年度までの各年度において、高度道路交通システムの規格化事業の調査研究に関する委託契約を財団法人自動車走行電子技術協会との間で締結しております。そして、この契約では、走行試験等による各種データ収集が必要なものなどについては財団法人日本自動車研究所に再委託することとしているため、自動車走行電子技術協会では、これに基づき、日本自動車研究所との間で委託契約を締結しております。

 この委託費について、その事業実施の適否を検査いたしましたところ、日本自動車研究所では、委託業務に使用していない日数等を含めて研究設備・機器損料を算出したり、委託業務に従事していない時間数を含めて人件費を算出したりなどしていて、委託業務の実施に要した経費を水増ししておりました。このため、委託費の支払い額が過大となっていて不当と認められたものであります。

 また、同二三八号から二四六号までの九件は、戦略的情報化投資プロジェクト発掘・育成推進事業費補助金、地域活性化創造技術研究開発費補助金及び中小企業経営革新支援対策費補助金の経理が不当と認められるものであります。

 戦略的情報化投資プロジェクト発掘・育成推進事業費補助金は、地域における情報化を促進し、地域間の情報化投資格差を解消するために、全国的に戦略的な情報化投資を活性化させることを目的とし、民間企業等が行うビジネスシステム構築事業等に要する経費の一部を国が直接補助するものであります。また、地域活性化創造技術研究開発費補助金は、中小企業の技術開発を促進し、技術改善を図り、もって中小企業製品の高付加価値化等に資することを目的とし、中小企業者等が行う新製品、新技術等の研究開発等に要する経費の一部を国が都道府県を通じて補助するものであり、中小企業経営革新支援対策費補助金は、中小企業の創意ある向上発展を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とし、中小企業者等が行う経営革新のための事業に要する経費の一部を国が都道府県を通じて補助するものであります。

 これらの補助金の経理の適否について検査いたしましたところ、

(一) 補助事業期間中に購入した機械装置等を補助事業に使用していなかったりなどしていたものが二件、

(二) 補助対象事業費を補助事業期間内に支払っていなかったものが三件、

(三) 実際には給与の支払い実績がない研究者の人件費及び臨時に雇用されていて補助の対象とならない者の人件費を補助対象事業費に含めていたものが一件、

(四) 実際には借り上げの事実がない機械装置等の借用費及び構築物の据えつけ等に要する経費に該当せず補助の対象とならない経費を補助対象事業費に含めていたものが一件、

(五) 補助対象の機械装置を実際には購入していなかったものが一件、

(六) 給与体系上負担しない超過勤務時間等に係る人件費及び当該開発以外の業務に係る旅費を補助対象事業費に含めていたものが一件

ありました。

 これらは、いずれも本補助金の経理として適切を欠いており、ひいては補助の目的に沿わない結果になっていると認められたものであります。

 次に、平成十四年度中小企業金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 最後に、平成十四年度中小企業総合事業団信用保険部門の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上をもちまして概要の説明を終わります。

山名主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。中川経済産業大臣。

中川国務大臣 平成十四年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。

 これらの指摘事項につきましては、直ちにその是正の措置を講じたところであり、今後このような御指摘を受けることのないよう一層努力をいたしたいと存じます。

山名主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山名主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山名主査 以上をもちまして経済産業省所管、中小企業金融公庫及び中小企業総合事業団についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山名主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。山花郁夫君。

山花分科員 民主党・無所属クラブの山花郁夫でございます。経産省の関係については初めて質疑に立たせていただきます。副大臣、よろしくお願いいたします。

 私今、民主党の方で、枝野政調会長のもとに子ども政策調査会というのが設置をされておりますが、その事務局長をさせていただいております。どうしても、子供の問題ということになると、あるいは文科省であり、あるいは厚労省であり、その他もろもろお役所が関係してくるんですけれども、時として、大変失礼な物の言い方になるかもしれませんが、縦割り的なものが感じられるということで、トータルな政策を考えていこうではないかという趣旨でそういう調査会をつくっているんです。本日代表がかわるということで、その肩書も本日の夕刻までなのかもしれませんけれども、そういった立場で今までいろいろ調査を進めてまいりました。

 私ごとで恐縮ですが、私は今、一歳と三歳の子供がおりまして、我が家では、移動が大変だということで、自転車を購入するかどうか、私は、ちょっと前までは、あれは買えば買い物なんかも楽になるしいいんじゃないかと言っていたんですけれども、実は、子ども政策調査会の方に、墨田区議会議員の堺井ゆきさんという方から気になるレポートをいただきました。

 いわゆるママチャリというか、補助いすをつけて子供を乗せるあの形が大変危険だというレポートであります。大変驚きまして、恥ずかしながら、私もそういう役職を与えられながら認識がなかったんですけれども、副大臣、これは通告している難しい話ではないんですが、私もよく町中で、そういう補助いすに子供を乗せたお母さんだとか、何か法令によると、道路交通法及び都道府県の条例によると、大概一人までは後ろか前か乗せていいということですけれども、後ろだけじゃなくて前に乗せているようなケースというのをごらんになることは余りないでしょうか。

坂本副大臣 私どもの田舎では、余りそういうのはお目にかかりませんね。

山花分科員 では、都市部と地方とではちょっと違うのかもしれませんけれども、実は結構都市部で拝見をすることがあります。

 実は先日も、テレビ番組の「ニュースの森」だとかあるいはNHKなんかでも特集で、ちょっとしたこまですけれども使っておりまして、そこでは、やはり前後に乗せていたりとか、場合によっては、前後に乗せている上におんぶひもで、四人乗りで乗せているお母さんの映像なんかも映っておりました。

 きょう、ここでちょっとお話をさせていただきたいのは、決算行政監視ということなんですけれども、こちらからの問題提起としてぜひ受けとめていただいて、政府の方でも御検討いただきたい、こういう趣旨で質問という形をとらせていただきたいと思います。

 私が墨田区の区議会議員の方からいただいたレポートなんですけれども、堺井議員というのは、この補助いすつき自転車はちょっと危ないんじゃないかということに気がつきまして、なかなか行動的な方で、墨田区内の三カ所の公園に行って、実際にそういう補助いすつきの自転車で公園に来ていた人に聞き取りの調査をしております。

 五十六人聞き取りをしたところ、これまで子供を乗せた自転車で転倒した経験のある人が三十六人いた、転倒まで至らなくても、バランスを崩すなどひやりとした思いをしたことがある人は十六人ということで、以上、危険な体験をしたことがある人が五十二人に上ったということです。五十六人聞き取りをして五十二人、実に九三%の方が危ない思いをしたということです。

 実は、このレポートをいただいて、御本人からうちの会議の方で話を伺ったまさにその当日に、たしか四月、もう一カ月ぐらい前だったと思いますけれども、五十八だか九歳のおばあちゃんが、補助いすつきの自転車で後ろに子供を乗せていて転倒させて、そのお子さんが亡くなるという事故が起きました。これは非常に問題ではないかと思ったんです。

 そこで、墨田区に東京都立の墨東病院という病院があります。そこの――主査、もしよろしかったら副大臣にも、同じものを持っていますので、許可をいただければ、ごらんいただきながらお話しさせていただければと思うんですが、よろしいでしょうか。

山名主査 いいでしょう、どうぞ。

山花分科員 副大臣にも今お渡しをさせていただきましたけれども、「自転車補助椅子に関連した乳幼児頭部外傷」、こういう論文がございます。このトップに書いてあります宮本先生、この先生から先日お話を伺いました。

 中身については後ほど少し御紹介をさせていただきますけれども、この宮本先生は医師として墨東病院に勤務をしておられまして、実は、その先生のお話によると、自分の経験からすると、自動車に乗っていて頭部をけがした子供を診るケースよりも、自転車の補助いすに乗っていてけがをしてしまった子供を診るケースの方がはるかに多い、そういう経験に基づきまして、こういう論文を書かれたということであります。

 その「はじめに」というところにありますけれども、五行目ぐらいでしょうか、「我々は、」ということで、平成十四年十月より平成十五年六月までに既に五十例を経験している、一カ月単位で見ると数件来ているという状態のようであります。

 症例なども見ますと、大変重篤なケースがあって、症例の一、「二歳、男児。平成十四年六月二十六日、母がスタンドを立てて停車し離れた隙に自転車ごと倒れ、前部座席に乗っていた患児がコンクリートの角に右側頭部を強打し、近医を受診した。」全部は読み上げませんけれども、「CTにて右側頭部に陥没骨折を認め、当院紹介受診。」ということで、「術後経過良好で九日後に自宅退院」。

 症例二についても、女性、三歳の女の子です。母親の自転車の後部座席に乗車中、スリップして自転車ごと転倒、左側頭部を強打ということで、これはしばらく泣いていたようですが、数分後には意識消失し、緊急受診、瞳孔不同が認められたということで、左急性硬膜外血腫で、これも術後良好だったということで、これはよかったケースです。

 症例三についても、三歳の男児、母親が押して歩いていた自転車のハンドルとサドルの間の補助いすに乗っていたところ、路面が凍結していて自動車がスリップ、転倒。このケースですと、これも右急性硬膜外血腫が認められて緊急手術。大変大きな事故につながっているケースが見受けられるということです。

 このお医者さんは、御自身の経験で、こういうことが余りにもあるということで、都区内の幼稚園、公立、私立を問わずということで、百の園からアンケート調査をし、二千八百二十人の保護者から回答を得て、そのうち、集計し得た五百八十一人の回答をまとめられたということがこの論文のベースになっております。

 ところで、きょうは、政府参考人として警察庁の交通局長においでいただいておりますけれども、小さい子供ということで、六歳未満の子供が自転車乗車中、けがしたり亡くなられたりとか、そういうケースは大体どれぐらいのケースがあるんでしょうか。

人見政府参考人 私どもは交通事故という観点からとらえておりますが、まず、全体として見ますと、昨年一年間の六歳未満の子供の交通事故による死傷者数、これは二万一千七百八十五人でございます。一昨年と比較しまして、四百八十八人減少しておるところでございます。

 このうち、先生お尋ねの自転車乗用中の死傷者数は三千三百三十二人、うち死者が四人でございまして、そのうち、自転車に同乗中の死傷者数は二千三百二十九人、うち死者は二人となっております。

山花分科員 数として結構多いような気がいたします。と申しますのは、六歳未満という限られた層でこれだけいるわけですから。

 ただ、この点なんですけれども、事故という統計、今限定をされましたけれども、ここでちょっと副大臣、御理解いただきたいことがあります。先ほどお渡ししましたこの論文の、写真があるページの次のページなんですけれども、グラフがあるのがおわかりになるでしょうか。左上、「事故時の状況」なんですけれども、驚くのは、「停車中」というのが三一%あります。また、「押し歩き」というのが八%あります。

 警察の統計に載っかってくるのは事故のケースですから、恐らく、走行中の中でも限られた部分ではないかということが推測をされるわけです。つまり、統計の上では、例えば車にでも接触していれば、また賠償だ何だということで、運転者も自賠責保険の関係があるでしょうから警察に届け出たりとかしますでしょうけれども、例えばお母さんが乗せていて過って転倒させてしまったケース、恐らくその場合だと、わざわざ警察に通報するどころか、自分の子供ですから、これは大変だということで、すぐ病院に通報したりとかいう形になって、中にはあるかもしれませんけれども、その多くは統計上、上がってこないのではないか、このように考えられるわけであります。

 そのページのところなんですけれども、このお医者さんも指摘しておりますけれども、「押し歩き」というところで八%だとか、「発進時」ということで一二%、結構高い比率であって、割と緩いスピードであったり、とまっている状態のときに事故、事故という言い方が適切かどうかわかりませんけれども、そういうことが起きているわけであります。

 これは警察の方にお伺いすればいいのでしょうか、こういった統計というのは、恐らく警察で把握しようとしても、つまり、例えば自動車が絡まないようなケースで自転車に乗っていてけがをさせてしまったようなケース、統計をとろうとすると、警察というよりも、むしろ、例えば厚生労働省にお願いをして、厚生労働省がまた病院などに委託をする形で、つまり、硬膜外血腫だとかそういう現象だけじゃなくて、それが何に起因して起きたものかということまで調査をしてくださいという形で、何らかのそういう連携がないと、恐らくこの実態というのをトータルとしてつかむことは難しいんじゃないか、このように思うんですけれども、この点、何らかのそういう連携ということは警察の方で考えていただけないでしょうか。

人見政府参考人 私どもは、道路交通における事故ということで今まで統計をとっておりますのは、一般の通行の用に供する道路、したがって走行中であるからすべて道路とは限りませんけれども、逆に、押し歩きであっても、道路であればそういうものは事故と、統計としてはとっておるところでございます。ただ、全体像としては、残念ながら、私ども、つかんでおるということではございません。

山花分科員 この補助いすつき自転車なんですけれども、素人考えですと、そうした事故が起きてしまうのは、例えば天候が悪いときなんかに起こるのかな、つまり傘を差した状態で運転していたりとか、そのようにも思ったりするんですが、実は、このアンケート調査によると、意外にも晴れ、曇りが最も多い。晴れたり曇ったりしているときが二百七十四件に対して、雨のときは三十四件という話であって、恐らくは、雨が降っているとき、そんなむちゃなことはしないから件数が少ないのかなというふうにも思うわけであります。

 ところで、少なくとも私が若いころというか、私、まだ若いつもりでいるんですけれども、小さいころ、余りそういった補助いすに乗せて子供を連れているという姿は見かけたことがなかったような気がするんですけれども、このところ急速に普及をしているようであります。このお医者さんのアンケートによっても、もともと、回答者五百八十一人というのは幼稚園に通っているところを対象にしていますから、購入している率が高いのはわかるんですが、それにしても、自転車補助いすを購入したことがあると答えた人は五百六十人、実に九六・四%ということになっています。

 先ほどの墨田の区議会議員の方の調査だけではなくて、このアンケートでも、実に購入した三八・八%の親が自転車補助いすに子供を乗せてけがをさせた経験を持っていたということであります。しかも、普通、一回やったら懲りるだろうと思うんですけれども、その回数について言うと、一回けがさせた人が百二十六人、二回けがをさせた五十八人、三回二十六人、四回五人、五回、六回けがさせた人が各一人ずつと、複数いるということがこのアンケートでも上がってきております。

 これは、つまりは、危ない思いをしても実際にそういうことをしなければいけないというニーズがあるということも物語っているわけでありまして、いろいろな背景があると思います。

 一つは、もうこの場だけでの議論ではありません、本来であれば、外国もそうですし、既に国交省なんかでも、町づくりのときには自転車専用レーンを道路でつくるように、そういう指針のようなものがあるんですけれども、そういう抜本的な解決を待っていては、いつまでたってもこういった事故はなくならないと思います。

 それが一つと、たしか、これも厚労省の統計だったと思いますけれども、結婚をして、出産をして、子育てをしながら、またそれでも職場に帰っていく女性が今実に五四・六%という数字になっていますから、子育てをしながら仕事をしている女性というのは決して珍しくない世の中になってきている。こういった背景があって、例えば待機児童が今どんどん、ゼロ作戦とか政府も展開されていますけれども、なくならないという原因の一つなんです。

 そうした中で、お子さんを保育所に連れていくとき、しかも小さな子がいるときに、家に置いておけませんから、どうしても二人乗せ、あるいは、先ほど言ったように、さらにおんぶしてまでというケースが実態として出てきてしまうのが残念ながら実情なんだと思います。

 ではということで、私は余り警察の方に、それで徹底して取り締まりをしてほしいと言うつもりはないんです。つまり、取り締まって、だめなのよという話になったときに、いや、そういうことであれば別々に運ばなきゃいけないんだから、御家庭で、一人しか、警察がそういうことを言うから、パパ、会社午前中休んでよということが今現実的かという話でありまして、本来は何か罰金のようなこともペナルティーとしてはあるようですけれども、そういうことよりも、危険ですよという注意をするなり、警告と言うとちょっと言葉がきついかもしれませんけれども、それぐらいにとどめていただければなというのが希望なんです。

 その上で、ただ、リスクがあることはあるわけですから、これは外国なんかですと、ヘルメットの着用を義務づけている国があるということのようですし、またアメリカでも、州によって違うようですけれども、少なくとも子供については、諸外国のケースですと子供だけではなくてというケースもあるようですが、少なくとも子供についてはヘルメットの着用を義務づけている国があるやに聞いているんですけれども、その辺のところ、経産省として何か研究されていたりとか、あるいは資料をお持ちでしょうか。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 網羅的に把握をしておりませんけれども、二、三の調査によりますと、アメリカにおいて、それぞれの州が個別に判断をして、自転車を運転する大人というか本人はもとより、同乗する者についてもヘルメットの装着を求めるという例があると聞いております。例えば、一例を御紹介いたしますと、ニューヨーク州では、まず、一歳未満の子供を自転車に同乗させる、これは背負うことも含むようですけれども、これは禁止をされておりますし、一歳以上五歳未満の子供を同乗させる場合にはその子供にヘルメットを着用させることといったことが義務づけられております。

 ただ、一点申し上げたいと思いますのは、特にアメリカの場合は、自転車に乗る際に大人も含めてヘルメットをつけるというのがいわば習慣化している、そういう風土がありますので、そのもとでの規制になっているのではないかなというふうに考えております。

山花分科員 大人も含めてという話でしたけれども、本来的には自転車だって、スピードを出そうと思えば相当出ますから、原動機付自転車、いわゆる原チャリですけれども、あれはヘルメット着用が義務で、自転車なら安全だという話はもともとないんだと思います。

 ただ、いきなりそこまで行くかどうかというのは、またそこは多少政策判断が必要なのかなと思いますが、ただ、少なくとも、これは、宮本先生のデータぐらいの数になればある程度有意な、有意なというのは統計上意味のある数字で、かなり子供、少なくとも補助いすつきのものについてはこれだけのリスクがありますよという趣旨の報告だと思います。

 ところが、自転車の補助いすがついているケースでの安全性の問題なんですけれども、経産省の関係でいいますとSGマークだとか、TSマークだとか、そういうものがございますね。つまり、いろいろな業界等が、自主的なというか、その安全基準というものをつくって、これは安全なものですというものなんですけれども、こちら製品安全協会から、自転車用幼児座席の認定基準及び基準確認方法という資料を拝見いたしますと、補助いす単体としての安全性ですね、つまり、各部の強度、取りつけたときにちゃんと取りつくかどうかとか、何キロぐらいの子供が乗っても曲がらないとか、倒れたときに壊れないとか、そういう話ではあるんですけれども、必ずしも装着をしたときに自転車との関係でバランスがいいですという話ではない、全く別の話であります。

 恐らく、副大臣も自転車に乗られた、補助いすはつけていなくてもいいんですけれども、乗られた経験はあると思いますが、自転車というのは、そもそもスピードが出ている方が安定しているんですね。つまり、スピードが遅い方が不安定なわけで、そのことが、一つは、先ほどとまっていたりとかあるいは押して歩いていたりとかいうときに事故が結構起きているという背景なんだと思うんです。

 これが、実は、乗っている方の話だと、無謀運転をしてしまう原因でもあるんです。見ていると、かなり速いスピードでお子さんを乗せた自転車がびゅっと行ってしまって、黄色の信号で、もう赤に変わりかけのときにばっと行ったりとか、坂道をかなりなスピードで行っているのを見かけることが私は結構よくあるんですけれども、つまりは、運転している側としては、そっちの方が安定はしているんですよ。むしろ、そこでブレーキをかけちゃうことによってゆらゆらときたりしてしまうわけです。

 先ほど申し上げたことからもそうなんですけれども、あくまでも補助いすというのはつけた状態で安全ですよという基準は今のところないのが一つと、あと、補助いすにシートベルトがついているものもあるんですけれども、実は、そのシートベルトの着用がアメリカでも義務づけというか、つけるようにという形になっているようですけれども、あくまでも今の御説明のとおり、ヘルメットの着用が前提となっているわけです。

 実は、このお医者さんも指摘されているんですけれども、シートベルトがあることによって安全だとは言えないというか、むしろケースによっては、先ほど症例一、二、三と紹介しましたけれども、その二も三もシートベルトをつけていたケースなんです。

 これもちょっと頭で想像していただければわかると思いますけれども、むしろシートベルトをしていることによってヘルメットをかぶっていないとかえって危ないケースがあるんです。つまり、投げ出されれば斜めに行っていたものが、幼児ですから、自分の身長の倍以上の高さのところからまともにがつんとほぼ垂直に行くものですから、この写真でも側頭部がやられているというケースなわけです。

 ですので、私は、少なくともそういう補助いすに乗る子についてはヘルメットを義務づけた方がいいのではないかと思いますが、ただ、その話になると道交法ということで所管とは違ってまいりますので、ただ、せめて、現状はちょっとこういうことだということを御認識いただいて、例えば、義務ではないけれどもヘルメットをかぶった方が安全なんですよ、そういうポスターを張るということも一つでしょう。

 ただ、量販店あるいは町の自転車屋さんで買うとは限りません。今インターネットなどでもこうやって値段だけ見て買える、これはヘルメットですけれども。通販などで買うケースもありますから、つまり、補助いすを買った人に対して、取扱説明書のところでできるだけヘルメットをつけるように、あるいは補助いすでつけていないとそういうリスクがありますよということを告知するなど、そういった取り組みをしていただきたいと思うんです。この点について、私はぜひ取り組んでいただきたいと思うんですけれども、前向きの御答弁をいただければと思います。

坂本副大臣 さすが事務局長、いろんな広範な角度からの御検討、まことに御苦労さまでございます。

 実は、私も四歳児のときに、あのころは補助いすじゃないけれども、わき乗りでおやじの運転する自転車に乗って足が巻き込まれちゃって、いまだにその傷があるんです。そういう経験もしています。

 それから、自分自身が子育てのときに、自転車の後ろの荷台、これは自分の自転車じゃないんですが、ちょっと貸してというので、子供が疲れたと言うものですから、あれは二年生か三年生のころで、よし乗っていろなどと言って、そのままスタンドをかけて、走っていって、とめたところが平たんじゃなかったんですね、ちょっとゆがんでいたところで、そんなものだから、私がとめて離した途端、ああ、ああなんて子供が騒ぎながら転んだというケースもございまして、いろんなケースが考えられる。特にお母様方なんかが急いで買い物に行くとか何に行くなんというと、よく形状も見ないであいていたからといってとめるとかというケースもあって、いろんな事故等々が発生しているんだろうと思うんです。

 ただいまの経済産業省に対する御質問でございますが、先生のお話のとおり、大変近年事故がふえていまして、安全ということに対する課題が大変重要なものとして我が省でも認識をしております。

 経済産業省としましては、自転車の安全に向けた対策を講ずるように、自転車の生産、販売に携わる業界を指導しているところであります。これを受けて、業界としても、昨年十二月に自転車総合安全対策を取りまとめ、自転車の安全基準を策定し、その周知徹底に取り組み始めているところでございます。

 御指摘の自転車用の補助いすについても、この安全基準におきまして、取扱説明書に幼児を乗せたまま駐輪しないことなどを記載し、購入者に周知するよう求めているところであります。

 また、当省といたしましても、いろいろと実態を把握した上で、こうした安全対策の周知徹底を図るなど必要な措置を講じていきたい、こう思っておるわけでございます。今後、実態把握、それから自転車安全基準の周知徹底、ヘルメットの使用方法に係る周知等々についてやっていきたい、こう思っております。

山花分科員 時間が参りましたので終わりにいたしますけれども、最後、実態把握とおっしゃいましたけれども、先ほど申し上げたとおり、それは、全体をというのはなかなか難しいものですから、各省庁の連携が恐らく必要になってくると思いますので、政治家たる副大臣もぜひ御指導いただきますことをお願い申し上げ、また、実態ということですと、ちょっと御本人にはお断りはしていないんですけれども、ぜひこういう宮本先生のような方からもヒアリングの機会などを設けていただければなと思います。

 今、いろいろ政策的な課題では与野党で見解を異にするケースもありますけれども、こういった問題についてはぜひ協力してやっていただきたいと思いますので、そのことを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

山名主査 これにて山花郁夫君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして経済産業省所管、中小企業金融公庫及び中小企業総合事業団についての質疑は終了いたしました。

 午前十一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時十分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時開議

山名主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 昨日に引き続き厚生労働省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。市村浩一郎君。

市村分科員 民主党の市村でございます。

 まず、冒頭にちょっとお聞きしたいことがあります。実は、昨日、我が党の小沢一郎代議士がきょうの私ども民主党の代表選挙に立候補を辞退する、こういう記者会見がありまして、また新たに今、民主党の方でもこの対応をさせていただいておるところなんですが、そのときに、実は一つのうわさが出ております。事前に、小沢一郎代表代行の個人情報、すなわち年金に関する個人情報が漏えいしている、外に漏れていて、それを政府・与党筋が既につかんでいたということがうわさとしてあります。それで、そのことによって昨日の記者会見があったのではないか、こうした推測も成り立っているところであります。

 また、二日ぐらい前の新聞でございますけれども、坂口厚生労働大臣からも、どうも年金に関する個人情報が本人が知らないうちに外部に漏れていたんじゃないかというような話があったかのように思っていますが、事実関係として、そうした年金に関する個人情報が本当に外に漏れるような余地があるのか、それがまず事実かどうかですね、本当にそういった個人情報が漏えいしたことが事実なのかどうか、そして、そういったシステムになっているのかどうか、そういう余地があるシステムなのかどうかについて、きょうは社会保険庁長官、真野長官にもお出ましいただいております。その事実関係について、またシステムの問題について、御答弁賜りたいと思います。

真野政府参考人 お答えから申し上げますと、私ども、そのようなことはあり得ないと思っております。

 ちょっと小沢議員の事務所からとの関係を申し上げますと、昨日の午後四時ごろに小沢事務所から連絡室を通じまして御照会がございました。それで、業務センターで確認の上、親展、密封をいたしまして連絡室に届けまして、連絡室の方に小沢事務所の秘書の方がとりに来たということでございまして、小沢事務所からの記録の照会ということに関しては以上のとおりでございます。

 それから、記録が漏れているのではないかというお話がございましたけれども、大臣も、そういうことがあっては大変だ、社会保険の業務の適正化にいささかの疑念もあってはいけないということからより慎重に対応すべきということをおっしゃられておりました。

 私ども、年金の相談、裁定、記録の確認その他のために被保険者原簿というのを持っておりまして、それをオンラインシステムで端末機から見ることができるようになっております。しかし、それを操作いたしますのは当然公務員でございますし、カードを挿入いたしまして、だれがその記録を見、訂正をしたかということがわかる仕掛けになっております。そういう意味で、私ども、そういう細心の注意を払って記録を管理いたしておりますし、まして国家公務員でございますので、守秘義務がかかっております。万一そういうことがあれば、国家公務員法上の問題ということになります。

市村分科員 小沢代議士の例は一つの例として挙げたまででございますので、そこが本意ではありません。とにかく、そういうふうに、一般としてそういう情報漏えいが行われるような余地があるのかどうかなんですが、今の長官の御答弁からするとないということだと思いますが、もう一度だけ確認で、ないということだけお答えいただけますか。

真野政府参考人 私ども、そういうことで、データ保護管理規程その他を整備し、職員にも、いささかもそういうことが疑われることのないように注意をするように喚起をいたしております。

 私どもとしては、そういうことはないというふうに思っております。

市村分科員 職員に注意をしているというところがちょっと何となく弱いような感じがするんですけれども、とにかく、そういう事実はこれまでなかったということでよろしゅうございますね。今までいろいろうわさは出ていますが、厚生労働大臣すらがおっしゃっているようなことですから、そういうことはないんだということを、改めてここではっきりとおっしゃっていただきたいと思います。

真野政府参考人 私ども、そういうことはないと思っておりますし、重ねて職員にも、データ保護ということに関して十分な注意を払うようにという指導をいたしております。

市村分科員 最後にもう一点だけ。

 とにかく、もしそういうデータにだれかが簡単にアクセスできるような、そういう実はうわさもあるんですよ、何か年金番号さえあればだれの情報でもとれるんだというようなこともまことしやかに言われておりまして、それはないということだと思いますけれども。そうであれば、そのデータにアクセスできれば、データの改ざんすらも実は簡単にできるということで、そうすると、年金制度自体への信頼感が全くなくなってしまう。結局、何か簡単につくりかえられるんだ、もしそうなったら、だれもまともに年金のことについて、年金の掛金を払っていこうとか、世代の助け合いなんですけれども、そういうシステムの根幹が揺らぐということになりますから、きょうは、ないという話でありますので、それを私は信じてまいりたいと思います。どうぞ。

真野政府参考人 今申し上げましたように、私ども、端末機から、先生おっしゃいますように、基礎年金番号があればその方の記録へのアクセスができる、それはそのとおりでございます。

 ただ、それをできる人間は、先ほど申し上げましたようにカードを持っておりまして、そのカードがなければそこへのアクセスはできない。そのカードの保持をしているのは国家公務員でありますので、守秘義務がかかった公務員がその事務を行っているということでございまして、仕掛け上はそういうふうになっておりますが、だれでもがそういう格好でやれるわけでもございませんし、それから、そのシステムも、専用回線ということでやっておりまして一般の電話回線からのアクセスということはできませんので、私どもとしてはそういうふうに考えております。

市村分科員 済みません、もう一点だけ。

 では、そのカードを持っていらっしゃる方は何人いらっしゃるんでしょうか。

真野政府参考人 端末が一万以上ございますので、一万人以上はそのカードを持っております。それは、私ども社会保険の職員は一万七千人おりますが、そういう窓口業務、窓口装置を使用した業務がほとんどでございますので、そういう数になっております。

市村分科員 一万人となると、なかなかこれは難しいですね。ということは、これはシステムの問題になってくると思いますので、これからも、これはまた改めて、私も時間があればいろいろ質問させていただきたいと思いますが、きょうは、とにかく情報漏えいはないということを社会保険庁長官がおっしゃっていただいたので、それを了として、この件についてはここで質問をやめさせていただきます。ありがとうございました。

 それでは、残りの時間といいますか、きょう与えられた時間は、これから、私が事前に用意しておった質問に入らせていただきます。

 まず、社会保険庁にかかわることなんですが、実はサンテール千葉という有料老人ホームがあると聞いておりますが、これはどこがつくった有料老人ホームであるか、ちょっとお伺いします。

竹本大臣政務官 社会保険庁がつくった施設でございます。

市村分科員 ほかには、このサンテール千葉以外に社会保険庁さんがつくられた有料老人ホームはありますでしょうか。

竹本大臣政務官 全国で三十一カ所ございます。

市村分科員 その目的は何でございましょうか。

竹本大臣政務官 高齢者がどんどんふえますので、そういった人たちの老後の安心と安定をもたらすという意味で、社会保険庁においてもこういった施設を全国に充実する必要がある、そのように考えまして、全国で先ほど言いました数をつくったわけでございますが、千葉のこの施設は、ほかのものと少し違いまして終身用の、言ってみれば少し豪華にできている、そういう施設でございます。

市村分科員 社会保険庁さんがなぜそういう有料老人ホーム、しかもちょっと豪華な有料老人ホームをつくる必要があったのか。お答えをお願いします。

竹本大臣政務官 これができましたのは平成七年でございますが、その背景を少し申し上げますと、言うまでもなく、高齢社会の到来を控えておりますので、総合的な高齢者への施策が政府全体の大きい課題に当時なっておりました。諸外国を見ましても、特にアメリカ等では、相当高額のお金を出して終身介護ができるという施設が民間の施設として充実しております。そういったことも参考にいたしまして、ゴールドプラン、いわゆる高齢者保健福祉推進十カ年計画というものを実施したところでございます。その一環としてこれを試みにつくったということでございます。

市村分科員 民間ならわかるんです。後で議論しますが。

 その建設費用はどれぐらいかかったんでしょうか。

竹本大臣政務官 トータルで約七十五億でございます。

市村分科員 坪当たりは幾らかかっている計算になりますでしょうか。

竹本大臣政務官 建設費、概算ですが、割っていきますと、建設費は坪当たり二百三十万円です。

市村分科員 通常、こうした老人ホームをつくる、有料老人ホーム、有料だけじゃなくて特養も含めて、こうした施設をつくる場合の坪単価の平均は幾らでしょうか。

竹本大臣政務官 ちょっとそこは今手元ではないんですが、少なくとも二百三十万円という坪単価よりはずっと安いはずであります。

市村分科員 私がほかの厚生労働省関係の施設で聞いているところによると、六十万か七十万、百万のところもあるという話もありました。しかし、民間の方に聞くと、安くいくと四十万でできる可能性もあると。何か、ああいうのは割と、ホールですから、細かい仕切りとかがないという場合ですね。ただ、ある程度、これから個室になっていきますから。大体、一坪、安くいけば四十万でできる可能性もあるということで、何と五倍なんですね。

 それは七十数億かかったんですが、それはそのサンテール千葉に融資をしたんでしょうか。それとも、どうなんでしょうか、その建設費用は社会保険庁に返ってくるんでしょうか。

竹本大臣政務官 自己資金であります。

 そして、今先生お話しの施設の中身でございますが、やはり入居される方は自分の個室が欲しいという要望が非常に強うございます。安くつくっている場合は共同部屋になっております。ですから、個室をその人のために設けますとどうしてもコストが高くなる、そういうことでございます。

市村分科員 たとえ個室であっても、私の事前の調べでは、そこまでかかることはないということでございます。

 まだもうちょっと質問を続けますが、そのサンテール千葉、入居する際にはどのような条件で、どれぐらい費用がかかるんでしょうか。

竹本大臣政務官 入居一時金でございますが、このケースの場合は、一人入居の場合で二千六百三十六万円、二人入居の場合は三千七百六十九万円と高額でございます。この額は、入居者の方々が居室、共用施設の利用や生活支援、介護などの各種サービスを終身にわたり利用していただけるよう必要な費用を勘案して設定したものであります。

市村分科員 今、高額とおっしゃいましたけれども、大体、通常こうした、例えば社会保険庁関係でほかに有料老人ホームが三十一あるとおっしゃいましたが、ほかのところでは大体どれぐらいなんでしょうか。ほかの施設においては、入居の際の費用、大体幾らなんでしょうか。

朝浦政府参考人 ほかの千葉県内の同規模の施設の状況を見てまいりますと、二千万台から六千万台ということで、かなり開きがございますけれども、この千葉サンテールの一時入居金がそれよりも高いということにはならないかと思っております。(市村分科員「ならない、なる」と呼ぶ)ならないというふうに思っております。

市村分科員 今、六千万という数字も出ましたので、その施設はいかなる施設かということもまた興味があるんですが、きょうはそういう趣旨じゃありませんので、また改めてそれについてはお聞きしたいと思いますが、なぜ私がこういうことをお聞きしますかといいますと、もともと年金のいわゆる保険料というもの、これはほかの目的に、年金給付以外の目的に使っていいことになっているんでしょうか。それもちょっと確認です。お願いします。

竹本大臣政務官 先生お尋ねの趣旨はわかるんですが、要は、年金は大勢の方の拠出金で運用いたしております。そして、そういった拠出された方への福祉還元ということでこういった施設をつくるべきだという議論が当時ございまして、その流れの一環として、平成七年にこういった施設をつくったわけであります。

市村分科員 それは、福祉還元といいましても、一部の人しかそういう負担ができないもので、しかも料金も取っている有料老人ホームなんですね。これは特養とかではなくて、有料老人ホームです。だから、それは、国民の立場からすると非常にわかりにくいと思います。本来であれば年金の給付以外に使ってはいけないものを、福祉還元といったって、国民が一般に広くそのサービスを享受できるのであれば、それは皆さん、国民も納得するでしょうけれども、一部の人、しかも料金まで取って入るものに対してそれを福祉還元だと言われても、これはだれが納得するのかなと、私は非常に疑問に思います。

 この件につきましてはまた改めて、引き続き、私はこうした委員会の場を通じて質問もしていきたいと思います。ちょっとまだ議論したいことがありますので、きょうのところはこの辺にします。

 ただ、非常に今、年金が問われています。この年金のことで、我が党も大変、本当にお恥ずかしい話でございますが、国民の皆さんにも御心配をおかけしているようなところもあります。だから、非常に関心が高い状況でもありますので、特に、これから年金制度どうなるのか、実質破綻しているんじゃないかという意見もある中で、大変重要な役割を持っているのが社会保険庁だと思います。

 だから、今後はいささかでも、国民からこうした疑念が持たれないような、先ほどの情報漏えいもそうなんですけれども、やはり信頼を失うともう制度そのものが、ただでさえ行き詰まっていると言われているときに、本当に崩壊につながりかねないと思いますので、やはり年金というのは重要だという観点からでございます。だから、年金については、やはりこれから持続可能な年金制度というものをつくっていく必要がありますので、ぜひともこうした自覚をいただいて、今後とも行政の執行に当たっていただきたいというお願いをさせていただきます。

 ちょっとまた観点を変えて質問を続けさせていただきます。介護保険制度でございます。

 もともと、この介護保険制度は、非常に負担の大きい介護で苦しんでいらっしゃる方がいるということもあって、やはり介護を、家族の責任ではなくて社会の責任だ、介護というものは社会一般の責任でやろうというところからこの介護保険制度ができたんだというふうに思っています。また、社会的入院という問題が当時言われまして、どうも医療保険で介護が行われている、しかも、医療保険で介護が行われると非常にコストが高いということもありまして、できる限りそういう社会的入院を減らしていこう、こうした目的もこの介護保険にはあったんだと思います。

 その観点から、この介護保険が施行されてから数年たちますので、今、現状の中でちょっと私が疑問に思っていることを二、三、質問させていただきたいと思っています。

 それで、介護保険では施設に三つあるというふうにお伺いしていますが、なぜこうした施設というものを三つに分けているのか、それについて御答弁をお願いいたします。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険制度に基づきます介護保険施設でございますが、今御指摘のございましたように、特別養護老人ホーム、それから老人保健施設、介護療養型医療施設ということで、三つに分かれております。

 これは、介護保険以前には、それぞれ老人福祉法、老人保健法、医療保険法で規定されておりました施設でございまして、介護保険制度のもとでそれぞれの機能を負わせるということで、新たに位置づけられたということでございます。特別養護老人ホームにつきましては主に生活施設として、それから老人保健施設については在宅復帰を目指しますリハビリテーション施設として、介護療養型医療施設につきましては重医療、重介護者の長期療養施設として位置づけられたものでございます。

 三施設については、確かに、機能についてわかりにくい部分といいますか、そういったところもあるわけでございますが、それぞれ想定されている対象者像がございまして、また、利用の実態から見ましても、例えば、平均要介護度で見ますと療養病床が圧倒的に高くなっておりますし、また平均在所日数では特別養護老人ホームが長くなっている、それから、退所の理由といったようなものを見ても、特別養護老人ホームについては死亡による退所が三分の二ぐらいを占めているということで、まさについの住みかといったようなことで、それぞれ施設の特徴が反映された運営実態にもなっているのではないか、このように思っております。

市村分科員 私がきょう、もう時間が余りないので、これは本当にもっとやりたいのですが、なぜこういう質問をしているかというと、年金制度も非常にわかりにくいということが今指摘されています、わかりにくかった、今でもわかりにくいと。だから、もっとわかりやすくするために私ども民主党は一元化というものを主張しているのですが、実は、この介護制度というのも非常に私はわかりにくい制度になっているのではないかということなんです。

 例えば、有料老人ホーム、先ほどサンテール千葉の例も出ましたけれども、有料老人ホームは、これは施設でしょうか。

金子政府参考人 有料老人ホームで提供されます介護サービスにつきましては、介護保険法上は居宅サービス、在宅サービスという位置づけでございます。

市村分科員 なぜ有料老人ホームは施設ではなくて、いわゆる在宅サービス、居宅サービスに分けられるんでしょうか。もう一度説明をお願いします。

金子政府参考人 介護保険のサービスには、施設サービスといたしましては、先ほど申し上げました三つの施設がございます。こちらの施設は専ら介護のサービスを受けるということで入所する施設でございます。有料老人ホームにつきましては、食事の提供やその他日常生活上の必要な便宜を受けるための高齢者のための施設ということでございまして、その中で必要な介護サービスを受けるという場合には居宅の扱いで整理をされている、こういうものでございます。

市村分科員 それは、では、いわゆる特養、特別養護老人ホームとはどういう違いがあるんでしょうか。

金子政府参考人 特別養護老人ホームにつきましては、運営基準、施設基準等の中で示されておりますけれども、要介護者に対しまして必要な介護サービスを提供していくということを専ら行う施設でございます。

 有料老人ホームにつきましては、御案内かと思いますが、将来の介護に対する不安とか、そういったものに備えて事前に生活上の介護保険のサービスを受ける前の段階で入られる方もおられますし、それから、介護保険のサービスを受ける場合でも、介護保険法上の特定施設としていわば介護保険の適用を受けるケースもございますし、御本人が希望されれば、いわゆる外づけの形でホームヘルパーの介護保険のサービスも受けることができるというようなことでございまして、専ら住居という位置づけになっておるという点で異なっているというふうに理解しております。

市村分科員 特養も、私がいただいた資料によりますと、特養で亡くなられる方が大体六十数%ということで、ある種ついの住みかと思ってこの特養に入られる方がいらっしゃると思うし、かつ、今度制度変更をして、結局特養においてもいわゆる住居費をいただこうという方向になろうとしていますね。

 だから、では、何で、特養がもし今の御説明のような話であれば、そんな住居費をいただく必要はないのではないでしょうか。だから、住居費を取るということは、それは有料老人ホームと余り、私たち一般の考え方からすると何が違うのかな、こういう疑問になってくるんですが、いかがでしょうか。

金子政府参考人 確かに、御指摘のように、介護保険のサービスについては施設サービスと在宅サービスと二分されているわけでございますが、御指摘の有料老人ホームという施設におきます介護サービスということにつきましては、サービス体系上は施設サービスに非常に近い分野だろうということでございます。

 ただ、先ほど申し上げたようなことで、介護保険制度の見直しの中で、今介護サービスの体系そのものをどう整理していくかというのも実は一つの論点になっておりまして、そのあたりの検討も進めていきたいと思っております。

 それから、前段でお話のございました特別養護老人ホームにおけるいわゆるホテルコスト等の問題についてでございます。

 これは、現在介護保険制度の見直しにつきまして、介護保険部会におきまして検討をお願いしております、その中の大きな論点の一つとして、専ら在宅と施設における負担のバランスといいますか、そういったような問題、それからその一方で、特別養護老人ホームについて個室化を進めるべきだという議論もございまして、こういったこととの兼ね合いの中でホテルコストをどうするかということが大きな問題になっているということでございます。

市村分科員 非常にわかりにくいんですね。今、どこから聞いても、やはり特養と有料老人ホームがどう違うのかなというのが、何で一方は施設で一方は居宅でというのが非常にわかりにくいと思います。実は、このわかりにくさというのは、今後恐らく年金と同じように大きな問題をはらんでくると思います。

 それで実は、有料老人ホームにおいては介護一時金というのが取られております。大体四百万から五百万ということなんですが、この介護一時金というのは一体何のために取るものなのか、ちょっとお聞かせください。

金子政府参考人 有料老人ホームにおきます介護一時金についてでございますが、介護保険の制度ができまして、介護保険の制度の適用を受ける範囲につきましては介護保険から給付が行われることになるということで、こういった有料老人ホームにおきまして一時金を取っているというのは、専ら介護保険の給付の対象外の費用に充てるという目的で、入居される方と有料老人ホームの方で契約をして、いわば入居契約時に前払いの形で徴収をしている、そういう性質のものが多いのではないかというふうに考えております。

市村分科員 そこで、その介護一時金が、何のために介護一時金を取るのか、取られるのか非常にわかりにくいということで、景品表示法という、公正取引委員会さんの所轄で、四条三号ですかが今回改正されまして、今、十月施行を待っているところなんですが、ここで公正取引委員会さんにお尋ねしたいんですが、これは具体的にどういうふうなものとして介護一時金をとらえていらっしゃるんでしょうか。

山木政府参考人 お答えいたします。

 介護一時金については、今御答弁ありましたように、介護保険給付の対象にならない特別の手厚いサービス、それから特別のサービスのための費用ということで認識いたしております。

 私どもとしては、介護一時金を徴収すること自体について問題にすることはできないわけでございますけれども、介護一時金と称して特別のサービスのための費用ということで、きっちりその目的のための費用として徴収するということを正確に表示していただこう、それから、表示とその内容が実際に違えば景品表示法上問題があるという表示になるという考えのもとで、新たにその法体制を整備いたしまして、十月を施行の日にちといたしておりますけれども、その施行の暁には、正確に表示をしていただくように指導なり法の運用を図っていきたい、そういうふうに考えております。

市村分科員 医療保険の世界では混合診療というのは認められていないということだと思います。

 介護保険におきましては、その介護保険の対象外のものがあるということで、どうも今の御説明だと介護一時金というものがあるということなんですが、これは介護保険の制度では、そういった医療保険で認められていない混合診療みたいな、また混合介護みたいなものは認められるんでしょうか。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険におきましては、法定の給付に加えまして、あわせて、いわゆる上積みとか横出しとか言っておりますけれども、こういったことを一緒に実施することができるような形になっておりまして、そういった意味で医療保険とは異なっております。

市村分科員 では、今の御答弁でいきますと、横出し、上積みのために介護一時金を認めているということだと思いますが、さて、きょう、もう時間がなくなってしまいましたけれども、この介護一時金、非常にわかりにくいと私は思います。

 今回の景品表示法の中身で見ても、これから恐らく有料老人ホームが、今都内でも急速に有料老人ホームがふえてきているという中で、しかも、入ってみたらどうも違うということで、すぐ出ないといけないということもあるんですね。そのときに、一時金として取っておく方が確かに施設側としてはいいかもしれないけれども、サービスを買う側からすると、受ける側からすると、結局、払ったものの、どうもおかしいから出たい、けれども、一時金だから返してくれないというような問題もありまして、しかも、そのサービスの内容はわからないわけです。四百万か五百万が何のために、もっと手厚い介護だといっても、では手厚い介護とは何なのか、非常にわかりにくい。

 だから、そういった意味では、公正取引委員会さんの方には、この施行までに、この介護一時金、本当は、もともと私は介護一時金があること自体が問題だと思っていますが、しかし、少なくとも公正取引委員会としても、この四百万か五百万が何に使われるのか、何のための四百万、五百万なのか、これがもっと明確になるように努力をしていただきたいと思います。

 また、それまでの間に、私は、この介護一時金自体が本当に必要なのかどうかについてぜひとも議論を続けさせていただきたいと思います。きょうは、ちょっと時間がなくなりましたので、これにて、私、市村の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山名主査 これにて市村浩一郎君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして厚生労働省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午前十一時三十一分散会


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