衆議院

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第3号 平成22年5月20日(木曜日)

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平成二十二年五月二十日(木曜日)

    午後三時開議

 出席分科員

   主査 中川  治君

      網屋 信介君    笹木 竜三君

      玉木 朝子君    あべ 俊子君

      坂本 哲志君    中村喜四郎君

      東  順治君    鳩山 邦夫君

   兼務 高木美智代君

    …………………………………

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   農林水産副大臣      郡司  彰君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   会計検査院事務総局第二局長            小武山智安君

   会計検査院事務総局第四局長            金刺  保君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

   決算行政監視委員会専門員 尾本 哲朗君

    ―――――――――――――

分科員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  石原 伸晃君     坂本 哲志君

  中村喜四郎君     あべ 俊子君

同日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     中村喜四郎君

  坂本 哲志君     石原 伸晃君

同日

 第一分科員高木美智代君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十年度政府関係機関決算書

 平成二十年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (厚生労働省、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫)


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     ――――◇―――――

中川主査 これより決算行政監視委員会第三分科会を開会いたします。

 平成二十年度決算外二件中、本日は、農林水産省所管、農林漁業金融公庫及び厚生労働省所管について審査を行います。

 引き続き農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂本哲志君。

坂本分科員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 連日、口蹄疫問題で、宮崎、そして九州全県を含めて大変なことになっております。このことについては、現在、自由民主党の方でも新たな対策をとっているところでございますので、きょうは口蹄疫以外の問題についてお伺いをいたしたいと思います。

 まず、ガット・ウルグアイ・ラウンドによります農業合意関連事業についてお伺いをいたします。

 ウルグアイ・ラウンドの農業合意によりまして、国内農業への影響を緩和するために、平成六年度補正から十三年度補正までに、関連対策事業費として六兆百億円が拠出をされました。これは、ミニマムアクセス米を含める米の一部輸入に対する農家、農民向けの代償措置というふうにも当時受け取られました。使途に当たりましては、農業農村整備事業、そして農業構造改善事業、さらに土地改良負担金対策などが行われたところであります。

 その中に、農業構造改善事業で、都市農村交流施設と称しまして、農産物の直売所、体験農園などがつくられました。さらに、温泉施設もつくられました。温泉施設は、平成十一年度の時点で全国で二十六施設、このウルグアイ・ラウンド対策でつくられました。私の選挙区があります熊本県でも四施設がつくられました。ガット・ウルグアイ・ラウンドと温泉がどう結びつくのか、私には今もってよくわかりませんけれども、農村と都市の交流を温泉を通してその促進を図る、そして、地元農産物をその温泉で直売すれば地域の経済効果が出るというような発想だったんだろうというふうに思います。

 急場しのぎということもあったかもしれませんけれども、私は、発想の安易さ、そして、巨額な投資そのものに対する感覚のなさ、こういったものを強く批判しておりました。それは、グリーンピアなど、公的年金施設や厚生年金施設と発想は一緒でありました。その後、これら農政関連の施設は、自治体の直営あるいは第三セクターによる運営となりまして、お定まりのごとく、ほとんどが赤字となりました。

 私は、こういう農業の実態あるいはこういう予算のつけ方を批判して、平成十五年に無所属で出馬をいたしました。相手は自民党、民主党でございました。六兆百億円の農政に対する投資効果が、土地改良やあるいは農業用水路、ため池事業、また農村の整備事業、こういったものを除いて、私はその経済効果というのは極めて薄かったというふうに思います。

 そして、今、問題点を改めてこの時点で指摘をさせていただいて、これからカバーできるものは、あるいは修正できるものはいろいろな形で修正していただきたいなというふうに思うわけであります。

 まず、これはいろいろな直売所とか温泉施設でございますが、事業完了後三カ年は、目標達成の状況がどうなっているかというような報告義務が課せられております。しかし、それ以降につきましては、国は特段の状況を把握しておりませんし、最終的な報告義務もありません。投下された予算は数兆円に及ぶ大変な予算であります。その後、事実上公営でスタートしたこれらの交流施設は、各自治体のお荷物になっているところがかなりあります。一般会計からの繰り入れも常態化しているというようなところもあります。

 平成十二年七月に、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の中間評価というのが行われました。平成十二年です。そして、そこではこういうふうに報告されております。「その開始時において、事業の目標に対する達成度合により事後的に評価を行うこととされていなかった」とし、そして、「施策自体の効果とその他の要因による影響とを分離することが技術的に困難」というふうな記述がしてあるわけであります。私は、まさにこれは農林水産省の我田引水的な記述であり、そして責任回避のための理屈でしかないというふうに思います。

 そこで、こういった各施設の経営の形態と経営状況をその後どのように把握されているのか、また、もし把握されていなかったら、再度、この六兆百億円の投入の経済効果、これを調査するお考えはないか、このことについてお伺いをいたします。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 ウルグアイ・ラウンドにおける六兆百億円の達成評価等についての御質問をいただきました。

 政策評価法が平成十四年四月に決定をしてございますが、農林水産省はそれに先んじて、行政分野全般について政策分野ごとにあらかじめ可能な限り定量的な目標を定めて、毎年度、その目標に対する実績を測定する政策評価、農水省としては平成十二年度から導入をしているところでございますが、UR合意関連対策の評価については、今委員からも御指摘がありましたし、ただいま申し上げましたように、その開始時において、あらかじめ事前に評価の基準となる定量的な目標を定めていないというようなことがあって、同対策と同様の一般施策を引き続き実施している中で、同対策の効果と、それからそれ以外の影響を分離して評価することが極めて困難な状態にあります。

 そうした問題があることから、毎年行っている政策全般の評価の中で評価をして公表させていただいているところでございます。

 今委員からも御指摘がございましたが、二十一年三月の農政改革関係閣僚会合特命チームにおいても、担い手への農地の集積、新規就農者、稲作労働時間、麦、大豆の作付率の動向を検証して公表したところでございますが、その中においても、UR関連対策のみの把握ということは実施しておらず、政策評価全般において評価を実施しているというような状態にあるということでございます。

坂本分科員 確かに、政策評価、それぞれさまざまな作付もあります、作目もあります、難しいと思いますけれども、私もあのころ県会議員をやっていて、本当にびっくりするほど予算がついたんです。前倒しでどんどん農業土木がついていきました。そして、温泉あるいはその他の交流施設がどんどんできてきました。

 私は、こういう箱物についてだけでも、それは何カ年間というようなことでありますけれども、やはり、税を六兆百億円投入したわけでありますので、この税の使い方がどうなっているのか、六兆百億円といえば今の農業予算の倍以上でありますね、子ども手当よりも多いというようなことでありますので、もう十年以上経過をいたしますので、政権もかわったことでもありますし、これは何らかの形で、どこかで何かの対応策あるいは報告が必要じゃないかと思うんですけれども、こういうことになりますと、これは大臣かな。

赤松国務大臣 坂本委員の御指摘も、まさに当たっている面があるなと思いました。

 このガット・ウルグアイ・ラウンドをやったとき、私はちょうど一期目、二期目ぐらいのときで、この施策が打ち出されたのはちょうど二期目だったと思いますが、もちろん、当時はまだ若い議員だったものですからそれほど中身についてよく熟知をしてやっておったわけではありませんが、当時見ていた私の感想で言えば、農業団体や農業者の皆さんを納得させるために、いわば、その対策費でこれだけ金を用意するから、輸入農産品が来ても大丈夫だから、また、それに対する対策もちゃんとやればいいんだからという形で、本当に今言われるような約六兆円ですから、今の農水省の予算が二兆四千億円ですから、二年以上のそれぐらいのが、つかみ金とは言いませんけれども、そういう形で手当てをされたということです。

 当時は当時でいろいろな事情があったと思いますけれども、委員が御指摘のように、確かに、少なくとも温泉二十六施設が果たして本当にこの農業振興のためにどれだけ役に立ってきたのか、あるいはそれが、農業と言わずとも、地域の活性化に大きく貢献をしてきたならまだその効果はあったということになるわけですけれども、せっかく坂本委員の御指摘もあるわけですから、なくなったものも中にはあるかもしれませんけれども、そういう既存の、明確にこれはガット・ウルグアイ・ラウンドのときの金でつくったものだというものがあれば、それについてどれほどの効果があったのかなかったのかということについては、現在の農水省として一度検証してみたいというふうに思います。

坂本分科員 それはぜひお願いいたしたいと思います。

 その中の具体例の一つとして、熊本県の阿蘇市にはな阿蘇美というのがあります。当時は阿蘇郡阿蘇町と言っておりました。「はな」はお花の花、「阿蘇美」は阿蘇の美しいと遊ぶ方をかけた施設でありまして、花の栽培や花の観賞を通して、都市の住民を呼んで、そこでいろいろ即売会もするというようなことでございました。

 これに十四億二千五百万円かけました。国そして地元、二分の一ずつであります。もちろん、県、市につきましては、交付税の裏負担がありますので地元にとっては微々たるものでありますが、事業費そのものは十四億以上でありますので、大変なものであります。運営は第三セクターでありまして、平成十年にスタートをいたしました。資本金が千百五十万、株主は七割が阿蘇市であります。残り三割が農協そして商工会であります。

 設立以来十年間ずっと赤字であります。花を見るためだけに阿蘇に来る人なんかいません。そういうことで、二十年度にその支配人というのを公募いたしました。そして、旅館を経営する方がそこの支配人と所長ということになりまして、そのなりました後に、平成二十一年に初めて、単年度でございますけれども、四千万円の黒字を出したんです。

 この黒字転換は、やはり地道な経営努力、そしてPR活動、そして店内あるいは案内板の改装、こういった、お客様が関心のあるものをとにかく前面に出すということで、例えば、官の発想で豆腐づくりの体験室なんかできていたんですけれども、こういうのはなかなかみんな来て楽しむわけじゃない、子供は何人か遠足で来るかもしれないけれどもということで、そういうのは後方にずらして、そして、皆さんたちがやはり楽しいもの、そして売れるもの、こういったものをやった結果、四千万円の黒字なんです。

 さらに黒字を継続させるためには、もっともっとこういった日常の改装、日常の改築、こういったものが必要なわけです。それはどんどんやっていかないと、お客さん、消費者というのはすぐ飽きてしまいますので次々変えていく必要があるわけでありますが、減価償却の対象となる部分があるために、国庫補助がやはり現在もそれは継続中であります。それは補助金の適正化法のもとにやはり置かれております。そのために、増改築を一つやろうとしても、計画書の提出、市との協議、図面の提出など、手続をまず市とそのはな阿蘇美が行って、そしてその後、県そして国と、次々とはな阿蘇美の事業者の方が、上級官庁といいますか県や国とやっていかなければいけない。そうこうしている間に一年、二年たって、やはり経営チャンスを逃してしまうということになるわけです。

 つきましては、出資者である市と運営者の間でいろいろなこれからの増改築や手法というものが一致した場合には、市を中心にして、市が運営者にかわって県や国に代理申請できる、こういった簡略的なものがやはり必要である。でないと、せっかく出た黒字がまた赤字に戻ってしまう。もっと柔軟な対応が必要と思うんです。

 確かに、これは財務省からいいますと、補助金の適正化法下にありますので、額面どおりにいくとなかなかできませんけれども、せっかくこうやって盛り上がったところに水を差すということになります。もう少し弾力的に農林水産省の方からいろいろな形で対応できないものなのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。

佐々木大臣政務官 補助金の適正化法についての御質問をいただきました。

 補助事業によって取得した財産の処分ですが、原則的には、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律ということ、その法律によって、各省庁の長の承認が必要ということになってございます。今委員の御指摘のとおりでございます。

 しかしながら、今委員の御指摘のように、そういう問題もあるものですから、直近では、平成二十年五月に政府全体の統一的な措置によって、地方公共団体が保有する補助対象財産のうちおおむね十年を経過したものについては、補助目的を達成したものとみなして、原則として、国への報告をもって国の承認があったものみなすなど、承認基準の緩和措置を講じてきたところでございます。

 先ほど委員からも御指摘がございましたが、確かに安易なものも中にはあるんだというふうに思いますが、地域振興のために切なる思いで設立された箱物もあるというふうに思ってございますので、今後とも、承認基準の緩和措置について、より一層の周知徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。

赤松国務大臣 今政務官からお話を申し上げたとおりで、二十年度以降、こうした見直しの規定で、委員が御指摘よりも若干緩和の措置がとられてきているということでございます。

 しかし、今のはな阿蘇美というところの例でおっしゃったように、そういう公募で応募してきてくれた、しかも能力のある方がどんどんとこれからも恒常的に黒字経営をしていくということの手かせ足かせになっては何にもなりませんので、ぜひそんなところも引き続いて、こうした緩和措置についての周知徹底を図ってまいりたいと思いますし、委員もお近くにおられるわけですから、もしそれで何か支障がある、おかしいじゃないかというようなことがあれば、具体的に御指摘をいただければ対応させていただきたいというふうに思っております。

坂本分科員 具体的、個別的にやはりきめ細かにやっていただきたいと思いますので、はな阿蘇美の問題については、これは私の方からもぜひまた御要望を個別的にいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、これも阿蘇の問題でありますけれども、水がたまらないダムと言われます、阿蘇郡産山村に建設されました大蘇ダム、大分県の大と阿蘇郡の蘇をとりまして大蘇ダムという名前がつけられているわけでありますけれども、その問題について御質問をいたします。

 このダムは、一九七九年、今から三十年前に事業着手されました。農業用の利水ダムであります。事業費は、当初は百三十億円と言われていたんですけれども、最終的には五百九十三億円、約六百億円になりまして、ほぼ完成をしたわけですけれども、試験湛水をしてみた結果、二〇〇八年二月に、想定された二倍から十六倍の水が浸透しているということが発覚をいたしました。

 今年度から地域の給水が行われる一方で、三カ年で八億四千万円かけて補修をするということでありますけれども、全体が溶岩質なんですね。それで、どこから漏れているかわからない。最終的には私は幾らかかるかわからないと思いますけれども、この大蘇ダムの問題についてはいろいろな問題が多岐にわたっておりますので、少し整理しながらお伺いしたいと思います。

 まず、漏水の原因究明と改修であります。先ほど言いましたように、ダムサイト全体が阿蘇の溶岩質でありまして、全体が浸透性が高いわけでありますので、漏水は全域から行われていると思っております。ですから、果たしてこれが原因究明が可能なのかどうなのか。これはもう底なし沼と似たような状況ではないだろうかというふうに思います。三カ年かけて三カ所の改修をして、その漏水防止に対してある程度の効果の見込みがあるのかどうか、その辺をまずお伺いをいたしたいと思います。

 それから、漏水の完全防止をしようとするならば、果たして最終的にどのくらいの事業費が予測されるのか。これは大変なことだとは思いますけれども、もし予測されるならば、どの規模ぐらいになるのかだけお聞かせいただけたらというふうに思います。

 それともう一つは、この漏水防止改修工事が行われている間は、ダムは完成していないというような認識でよろしいわけですね。

 そのことを三点、お伺いいたしたいと思います。

郡司副大臣 大蘇ダムについては、委員が既に記者の時代から大変このことに関心を抱いていたというふうにお聞きをしております。

 大変長い間かかりまして、形の上ではでき上がったという形になりましたけれども、試験湛水をする中で、先ほど御指摘をいただいたような量がどうも漏れているのではないか、たまらないのではないか、このようなことが起こったわけであります。

 したがいまして、ことしからその対策に対する調査というものを行っていこうということで、今御指摘がありましたような、具体的には三カ所、一つは左岸の尾根部でございます。それから、先ほどいろいろ言われましたけれども、こちらの方で池の底敷等の関係を調べましたところ、今のところ、おおよそ三十数ポイントのところでもって大きな水が吸収をされるような、逆に言うと、漏水が起こっているような場所があるだろう、このようになっているわけでありますけれども、今回二カ所行うところについて、両方で、その三十数ポイントのうちの約十ポイントを超える部分が対象の部分として含まれるということになっているわけであります。

 したがいまして、ここのところを行うことによりましてどの程度の効果があるのかというのを、一年ごとに地元の方々と話し合いをしながら続けていくということを行っているわけでありまして、何リットル、何万リットルという確たる形で今のところ申し上げるわけにはいかないわけであります。

 そして、これまでもなぜ設計の段階でそれがわからなかったのかといえば、まさに水の圧の問題というものが計算上なかなか理解ができなかった、そうしたことがあったろうというふうに思いますので、私どものこの三年間のものについても、一年ごとに検証結果を地元の方々と調整しながら行っていくということをやらせていただいているつもりでございます。

 二番目の、最初の機能どおりのダムにするためにはどのぐらいのものが必要なんだ、こういうようなことであろうというふうに思いますけれども、これは、その形によって大変に違いが出るだろうというふうに思っております。

 例えば、すべての部分をコンクリートで覆うとか、あるいはそれ以外のもので覆うとか、想定をされる部分についてコンクリートを注入するとか、いろいろな形があるわけでございまして一概には言えませんけれども、最大の形というものをとろうとすれば、おおよそのところでございますけれども、少なくても、これまでかかったところの八割程度のものを最大限考えなければいけないのではないかなというふうにも考えているところでございます。

 それから三番目の、完了をしたのかどうかということでありますけれども、このことにつきましては、完了をすれば移管をし、さらにまた当たり前のことでございますけれども、維持管理の関係も出てくるということになっております。したがいまして、私どもは、この三年間の工事が終わった段階で、その効果を見ながら地元の方々と話し合いをするということでございますから、今現在、完了をしたということではございません。

坂本分科員 八割というと、約六百億として四百八十億ですか。自民党政権時代につくられたわけですので私も余りやかましくは言えませんけれども、この種のものを今後どうしていくかというようなことは、やはり非常に難しい問題だな、いかに税金を安く上げていくか、そして対応していくかというふうなことは本当に難しいなということをつくづく感じます。

 それから、大分県側と熊本県側の問題について、二つあります。

 熊本県側と大分県の問題は全く違います。熊本県は、もうこの水を利用する人がいません。いるにはいるんですけれども、わずかであります。当初、二百六ヘクタールの受益面積の用地だったんですけれども、最終的には十ヘクタール、二十分の一であります。しかし、受益面積は二百六ヘクタールでありますので、その残りの百九十六ヘクタール分の受益面積は、これは市が払わなければいけないというふうになるわけですね。こういう計算でいけば、毎年毎年七百万円を払い続けることになります。非常にやはりこれは、市にとって負担であります。

 三月に郡司副大臣が地元を訪問された際には、このことについては今後検討していきたいというようなことを言われましたので、その後の検討状況がどうなっているのか、お伺いをいたします。

 それからもう一つは、大型団地をつくりました、これは国の一〇〇%ということで。トマト、アスパラ、トルコギキョウ、里芋、こういったものをハウス栽培するということで、十一人の方が入植されて今やられております。この種のものは往々にして失敗する場合が散見されるわけですね。ダム建設によるところの大型団地でありますので、こういったところの支援策をぜひよろしくお願いいたしたいというふうに思います。

 それから竹田市の方ですけれども、竹田市の方は、両議員も、この前行かれておわかりだと思いますけれども、受益面積が二千百五十八ヘクタール、相当広うございます。そして、農家数も千四百四十五人であります。地元の方々は、熊本県側の県営の大谷ダムというのがありますが、そこから水をとられているわけですけれども、なかなかその水で足りるものではありません。そして、大蘇ダムの方も、玉来川というところから新たな取水をして、貯水を少し満たして大分県側に流すというふうになっておりますけれども、これもなかなか水が足りるようなものではありません。

 竹田市の方と九州農政局の方とのいろいろな不信感というのが非常に高まっております。それは、農政局から次々といろいろなこれで大丈夫ですよというような数値が出されるわけですけれども、その数値がどうしても机上のものだけに地元としては感じられて、確かに、それでは大谷ダムと大蘇ダムの水で足りる計算にはなるけれども、現実に、田植え時期になると足りないというようなことになるんですね。ですから、こういうところの不信感の解消、これをどういうふうにやっていくのか。

 それから、九州農政局の方から出されているさまざまなデータ、これに対して地元というのは、どういう視点でこのデータを出したんだというような思いがありますので、不信解消のために何ができるのか。これから何回も何回も副大臣に行っていただくことが私は大切だと思いますけれども、その不信解消のための方策、それと、データをもう一度やはり洗い直す必要があるのではないかというふうにも思いますが、いかがでしょうか。

郡司副大臣 今、委員から御指摘をいただいた後半の部分のところに、不信感があるというお話がございました。

 実は、きょう午前中に大分の知事がお見えになりまして、また幾つか、このダムに関する要請をいただきました。そこでも同じような話が出たのでありますけれども、長い間に糸が絡まったり、あるいは不信の度が大きくなっているということを私も感じました。

 したがいまして、先ほどの対策でございますけれども、そのことに関しましても、一年ごとにちゃんと地元と話し合いをしながら、二年目の対策を、そして三年目の対策を、終わった段階でも、これからのことについてはきちんと話し合いをしましょうということを前提に行いたいなというふうに思っております。

 その上でございますから、それぞれのことについて幾つか御指摘をいただきましたけれども、例えば、既にもう採択をされている受益地の関係については、今御指摘があったように、今後その負担というものをどうするかということは、先ほど申し上げたように、三年後に改めて相談をさせていただきたいなというふうに思っております。

 その際に、今団地化をして行っているトマト農家の方のところにも私自身も伺ってまいりました。そういうような形の中で今後どのような支援策がとれるのか。つまり、その地域で夢に描いてきたことが、随分時間はかかったけれどもこれからも行えるかどうかについては、まさに真剣に相談に乗らせていただきたいなというふうに思っております。

 それからさらに、二期工事のこれからの部分については、熊本の皆様方について大変厳しい御指摘をいただいております。場合によりましては、これからのことについては改めて相談をしたいということも発言をされておりますので、このことも重く受けとめまして、地元関係者とも調整の上、新しい工期についてはやらせていただきたいなというふうに思っております。

 竹田の関係も、番水、時間水などという、大変にその地域の土壌に合った水の使い方、工夫をされております。そうした関係から私どもも、供給を行っていこう、そのことを申し入れております。たまたまことしは雨が多くて足りているようでありますけれども、これからも、地元の方と、不信感を取り除くようなことを前提にきちんと行っていきたいというふうに思っております。

中川主査 坂本哲志君、もう時間が過ぎております。

坂本分科員 はい。

 時間水という非常に大変な作業をやっておりますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思いますし、最後に、ダムの安全性、これも地元産山村では非常に心配をしておりますので、要望としてよろしくお願いをいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中川主査 これにて坂本哲志君の質疑は終了いたしました。

 次に、あべ俊子君。

あべ分科員 自由民主党、あべ俊子でございます。

 本日は、口蹄疫に関しまして、また、時間がございましたら、戸別所得補償に関して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 大臣におかれましては、連日、口蹄疫対策で大変な思いを今していらっしゃるのではないかというふうに思います。

 そうした中におきまして、さまざまな対策が出てくる中、特に今回、半径十キロ内の全頭を殺処分ということの御決断、さらにはワクチンの使用、これは、本当に最後までやらないでいただきたいという方と、やるべきであるという方と、大きな分かれ目でございましたが、今回、これを使用するということになりました。しかしながら、やはりまだまだ将来不安が残っているというのは事実でございます。

 そうした中におきまして、特に二十キロメートル圏内の農家に対して、生産団体などを通して、いわゆる早期出荷を促すというふうに今回出されておりますが、早期出荷といったときに、その早期出荷をする畜、いわゆる豚と牛が本当に罹患をしていないかという判別の問題、さらには、それを屠畜するという段階、さらには運ぶ段階での蔓延の危険性、さらには、肉として保存をしていくわけでありますが、いつまで保存するかもよくわからない中、この対策に対しましての早期出荷ということをもう少し具体的に教えていただけたらと思います。

赤松国務大臣 委員御指摘のとおりですが、少し誤解があるのは、十キロから二十キロの間というのは、現在でも清浄性が確認されている地域なんです。その中に屠畜場もあります。現に今も屠畜しているんです。

 そして、別に一切病気がないところですからそこから出されてはいるんですけれども、ただ、今後、今の十キロ以内の移動制限区域内から菌が出て、そっちへ蔓延する可能性があるものですから、私どもの考え方としては、その十キロから二十キロ内にいる牛や豚を、例えば極端なことを言えば、全頭出荷をしていただければ全く緩衝地帯みたいになりますので、これは病気にかかっているわけじゃないものですから強制はできませんが、ぜひそれを協力してやっていただけないかと。

 そうすると、例えば、まだ大人になっていない、ちょっと小さい、本来、大人になって売れたらもっと高く売れたのにということについては、その差額分はちゃんと見ますので、ぜひそれをお願いしたい。

 それからもう一つは、出荷してもらって、また新しい子豚や子牛を入れたら何にもなりませんので、それは落ちつくまで入れないでください、ここはあくまでも緩衝帯として十キロ圏をつくりたいんですということを今お願いをしているということでございまして、これはストックするわけでも何でもありません。肉にしてどんどんとそれは出していただくということが基本でございます。

あべ分科員 では、今大臣がおっしゃった意味は、清浄性が既に確認できている、これ以上判別をする必要がない、確実に清浄であるから、それはできればきちんと運んで屠畜をしてほしいという意味でしょうか。

赤松国務大臣 ただ、搬出制限区域ですから、これは何が制限がかかっているかというと、生きたままほかへ連れていって、例えば熊本県で屠殺してやるということはだめですよと。その搬出制限区域内にある屠畜場もありますから、そこで肉にしてくださいと。それで、肉になってからはもうどこへでも出られますので、出せるということなんです。ですからそういうことですね。

 専門家だから医学的なことや疫学的なことも御存じだと思いますが、それをすることによって、私どもとしては、何としてもその中の十キロ以内のところに病気を押しとどめたいということがねらいでございます。

あべ分科員 そうした中におきまして、今回、ワクチンを使うという御判断もされたみたいでございますが、これに関してもさまざま議論が行われたわけでございます。

 大臣、最後の御決断でこのワクチンを使うという御決断はどういうふうにされたのか。また、そのワクチンに対して否定的な考えもある中、非常に厳しい御判断であったと思いますが、特に、海外からの評価が下がってしまうということが畜産家にとっては一番大きなところだったと思いますが、これに関して御答弁をお願いいたします。

赤松国務大臣 二つ理由があると思います。

 一つは、今の農水省の中に四月二十日の時点でつくりました対策本部のもとに、大学の先生だとか獣医の専門家だとか、そういう専門の小委員会をつくっております。そういう先生方は、初期の段階、まだ一件、二件とかそういう出ている段階では、ワクチンを使わずに、そこまでいかずに、消毒薬を全部それをしてやった方がいいんじゃないかという御意見でしたが、つい最近の直近の小委員会では、もうこれだけ数が多くなってくれば、ワクチンで全体の病気の広がりを抑えるしかないというところまでその先生方の御意見がなったということが一つ。

 それからもう一つは、地元の東国原知事を初めそういう人たちが、ぜひそこまで踏み切ってほしいという御要望があったということで、現地も、知事以下それは了解してもらえるんだ、それから専門家の皆さんも、今までは違ったけれども、今度はもうこの段階ではそれをやった方がいいということです。

 ただ、ワクチンを打つということは、今も委員も御指摘がありましたけれども、菌が死ぬわけじゃないものですから、むしろそのまま抗体として残るわけですから、それは食用に適さないので、殺処分を前提としたワクチンの接種ということを最初から申し上げているということでございます。

あべ分科員 今回の殺処分に関しましては、牛、豚を飼われていた方々の御心痛は本当にはかり知れないものが私はあると思っています。特に、本当に家畜に申しわけないと皆さんが思いながら、殺処分をされる当日までえさを上げて、申しわけないと牛や豚に向かって本当につらい思いをしながら、また、これから先どうなるんだとおつらい思いをしていらっしゃる方が本当に多いんだと思います。

 そうした中におきまして、私、次の質問ですが、大臣の外遊に関して質問させていただきたいというふうに思います。

 皆様に資料が出ていると思いますが、今回の外遊に関しましてでございますが、外遊前に口蹄疫が発生していたということは、大臣は御承知だと思います。また、自民党も含めました何人かの議員から行くのはやめた方がいいのではないかというふうに引きとめもあったと聞いておりますが、大臣、そのときにどうして外遊をされるという御決断をされましたか。

赤松国務大臣 これにつきましては、三カ国ともそれぞれ、これはもう何カ月も前からの実は約束でございまして、しかも、コロンビアでは現地で大統領に会う、それからメキシコでは、二月、三月、EPAの交渉でマジョルカ大臣ともずっと交渉を重ねてきて、とにかくもうこれで決着をつけようというようなことの中で、この四月の連休中に話し合おうじゃないかと強い要請があったということ。

 それからまた、これは自民党の議員さんたちと私どもが一緒に超党派でつくっているキューバ議連というのがあるんですけれども、キューバについては古屋さんが会長さんですが、古屋議員からも強い要請があって、今、民間債権がキューバに物すごくあるんですね。それがある限り、もうみんなが困っている。これを何とかしてほしいということで、通称リスケと言っていますが、この処理についても、もう向こうのそれこそトップに会って話してこないと、社会主義の国ですから、幾ら下の窓口ではどうこうだと言っても、こっちは民間だと言っても向こうは国になっちゃうものですから、そういうことで、ぜひこの決着もしてほしいというお話があったり、あるいはキューバでは、今までJICAを通じまして農業指導をやっているんです。ただ、これは九月で終わるんです。これを延長するかどうか、これも決めなければいけない。あるいは、水産の指導もJICAを通じてやっていますけれども、これも、例の台風の関係でもう全部養殖施設が壊れてしまった。それを今後やるのかやらないのか。それも私の担当分野としてきちっと決着をつけてこなければいけないというようなこと。

 それから、GRULACといって、今、中南米の代表選手をコロンビアの大使がやられているんですが、コロンビアの大使からも、ぜひ、ペルーの後はコロンビアなので、EPA、FTAの交渉、五月三十日が大統領選挙で、それで多分大統領がかわることになる、後継者はいるけれども、任期がその後切れてしまうので、在任中に大統領はぜひ赤松さんに会いたいと言っているということで、そういうお約束も実はあったものですから、私自身は、もう二十日時点で口蹄疫は発生しておりましたけれども、その対策をきちっとやっていく。申し入れも、自民党の第一回目の申し入れも私自身が受けていますから、そういうこともきちっとやりながら、あと、代理大臣を立て、そして三役とは、こうした場合はこういう対応をしよう、こうした場合はこれでいこうねというようなこともいろいろ対策を練りながら、そして、連日、連絡もとってやっていこうということでやってきたというのが本当のところの姿であります。

あべ分科員 大臣は、そのゴールデンウイーク中、御自分がいらっしゃらなくても、すなわち、ほかの三役の方がしっかりと初動態勢をしてくれるから、自分がいなくても大丈夫だというふうに御判断されたのでしょうか。

赤松国務大臣 初動態勢は私もうやっているんです、二十日の日に。そして、その後、山田副大臣、これは畜産家で、自分でもずっと畜産農家をやっていましたから、そういう専門家にも行ってもらった方がいいということで、副大臣も派遣しています。

 ですから、何もやってこなかったということじゃないんです。自民党の申し入れも受けて、ああ、これはできるね、これはできないね、あるいは知事さんとも会ったり、そういうこともやってきているんです。

 委員が御指摘のこの資料でもわかるように、こういう中で幸いにしてその発生戸数も、そういう一、一、一、一みたいな形で推移していた。という中で、しかし、これは急激に広がることもあり得るということで、その場合はこういう対応をしよう、個々にいろいろなことがありますのでむしろ言わない方がいいと思いますが、こういう場合はこういう対応をしよう、こういう場合は直ちにこういう会議を開いてこういうことをやっていこう、ここはこうしようとか、そういうシミュレーションもきちっとやって、そして、政務三役はそれぞれ考え方を皆共有して、そして、必ず農水省の責任者として、私がいなくても副大臣なりがきちっと東京にいて対応できるという対応もやってきたということでございます。

あべ分科員 では、ゴールデンウイーク期間中、副大臣がしっかり執務室に毎日いらしたということでよろしいんでしょうか。

赤松国務大臣 危機対応というのは、別に、大臣室にいるとかいうことではないと思います。緊急なことがあったときに常に連絡がとれる、これは、私自身も常に世界どこでも通じる緊急電話を持っていますから、それは連絡はつきますし、ただ、どこどこに行かなければいけないというときに、宿舎にいたか本省にいたか、主に山田副大臣がやってくれていましたのでこれはわかりませんけれども、ずっと二十四時間大臣室のそこに座っていたということではないということは、ぜひそれは理解してください。

あべ分科員 大臣に対して、いわゆる外遊期間中、さまざまな形で報告が入ったということが、今資料になって皆様のお手元に渡っていると思いますが、例えば五月一日の段階でいわゆる殺処分部分が牛一千五十頭、このとき、ちょっと時差があるにいたしましても、途中でやはり帰った方がいいのではないかということはお思いになりませんでしたか。

赤松国務大臣 これは、牛と違って豚の場合は、一軒で千頭ぐらい抱えていらっしゃるところは間々あるんですね。ですから、症例で言うと、症例一例でもそこに出たら、そこにいる豚舎の豚は全部殺処分しちゃうわけです、元気な、健康な豚についても。ですから、頭数としてはどんとふえますけれども、症例というか、発生例としてはそれは一という形で数えるということでございまして、私が直ちに戻って何か指揮しないととんでもない大混乱に東京がなっちゃうとかいう状況であれば別ですけれども、私はそういうふうに判断しなかったということでございます。

あべ分科員 私は発生件数の問題を言っているのではなくて、こういう畜産の方々が、自分たちが発生を蔓延させてはならないといって殺処分の処理をしなければいけない、そういう方々のお気持ちを大臣はこの場にいたときにどうお感じかということを私は聞いているわけでございます。すなわち、発生件数だから、大臣が戻ってきたから何とかなるとかならないとか、そういう話ではないわけです。

 例えば、この五月四日にキューバに行っていらっしゃいます。カストロさんに会われましたか。

赤松国務大臣 委員の言われているのがフィデル・カストロという意味であれば、会っていません。もう彼は引退していますから、弟の今の議長さんには、キューバにいた最終日だったと思いますが、キューバの大使と一緒にお会いしました。

あべ分科員 このときに、どなたにお会いするかというよりも、農林水産大臣であるということを考えたら、本当に殺処分をしなければいけない、そういう方々のお気持ちを酌んだら、もういち早く日本に帰って、そういう方々に、僕たちは君たちと一緒に闘うんだという気持ちを見せるのが大臣の役割ではないですか。

 そのときに、外遊から帰られて、僕がいてもいなくても変わらないみたいな御発言はされましたか。

赤松国務大臣 それは全く誤解でございまして、私は、もう二十日時点でそれぞれの対策本部を立ち上げて、そしてその後、知事さんばかりじゃなくて、関係の地域の皆さん、それから農業団体の皆さん、最近よくテレビに出られるあの全中の会長さんもお見えになって、そういう方たちと、今何を望んでいるのか、今どういう状況なのか、そういうことを聞きながら、二十三日それから三十日、そういう対策を、第一弾はこれ、三十日では第二弾はこれということを自分で指示をしてやってきた。知事さんあたりもよく言われますけれども、本当に、あの時点ではですよ、これだけやっていただければもう万全です、ありがとうございますというようなことをおっしゃっていた。

 それから、よく、なぜ川南町に行かなかったか云々と言われるんですけれども、当時の私どもの判断は、マスコミの皆さんにもお願いしていましたけれども、一番恐れているのは、人や車を介して感染が広がることを一番恐れているんです、ですから、ぜひ皆さん方も中へ行って取材したいでしょうけれども、申しわけないが、我々だって遠慮しているんだから、そこの中に入って取材をすることは遠慮していただきたい、いろいろな情報については私どもが積極的に出していくので、ぜひそれは理解をしていただきたいということで申し上げてきたということでございます。

あべ分科員 私の質問に大臣は答えていただきたい。外遊の後に、お帰りになったときに、私一人いないとてという御発言をされましたか。イエス・オア・ノーでお答えください。

赤松国務大臣 だから、私がどなたの御質問だったか申し上げたのは、私どもは三役できちっと認識を共通しています、組織で仕事をしているんです、これは委員会の議事録を見てもらえばわかるんですから、組織できちっと仕事をしているんです、私が例えばある時期いなくても、それでもう農水省は何も進まない、あるいは対策本部は何も進まない、そういうことではないんですよ、しかも、直接大臣に意思を確認したいとか連絡をとりたいと言えば、常に二十四時間フルタイムで連絡できる体制になっているんですということで、そういうことを申し上げた。

 あなたがいなきゃ何も進まないんだと言われるから、そうじゃないでしょうと。これは対策本部でもやっているし、農水省全体でも、あるいは、場合によっては私よりも優秀かもしれません、副大臣や政務官の人たちがきちっと残って、しかも同じ認識の中で事を進めているということを申し上げているということなんです。

あべ分科員 大臣、私、今回の初動態勢に関しましては政治主導があだになったというふうに思っておりまして、やはり、官僚がある程度経験上わかっていることを、三役が言わなければ、それを恐れて動きもできないような形にしてしまったことが裏目に出たんじゃないかと私は思っております。

 特に、十年前に行われた対応のときには、百二十億の予算を直ちにつけて、政府・自民党、現地一体となって迅速かつ的確な対応をした中で、宮崎では三例三十五頭の段階で封じ込めができているわけです。今こんなに蔓延した形で、大臣、改めて聞きますが、本当に初動態勢は大臣として問題はなかったと思っていらっしゃいますか。

赤松国務大臣 私は、大臣として与えられた職務の中で、その時点その時点で考えられるすべてのことをきちっとやり切ってきたということ、ただ、そのやり方が、皆さん方から見て間違っている、ここが足りない、もしそういうところがあればぜひそれは御指摘をくださいということを、これは最初から言っているんです。

 具体的に、では、このとき薬をまけと言ったのにこれはまかなかったじゃないかとか、あるいは、この薬を使うなと言ったのにこっちの薬を使って間違っていたじゃないか、そういうことがもしあるのなら、そういうことを言ってください。別に僕は居直って言っているわけではなくて、謙虚に御批判は御批判として聞きますよと。

 ただ、単に何か旅行に絡めて、初動調査をやっていない、何かそんなのをほうり投げて物見遊山で遊びに行っていたんだみたいな言い方をされると、これはもう私としては非常に心外だし、誠心誠意やってきましたし、畜産農家の皆さん方のことを本当に思い、それから、ある意味でいえば、牛や豚だって今の場合は、病気じゃなくたって、その同じ厩舎にいたら全部殺されちゃうんですから、そういうことを考えると、非常にそれはつらい、悲しい思いも人間ですから持ちますよ。しかし、そういうことと、ためにするような議論だけはやめていただきたいと僕は思います。

あべ分科員 大臣がそういうおっしゃり方をするのであれば、自民党が大臣のところに申し入れを何度もしているわけです。殺処分をすべきではないかという申し入れもしているところでございますが、言ってくださいと今言いながら、最初の段階の発動のところで、自民党が出してきたこの意見、申し入れに関してちゃんと行わなかった理由は何ですか。それは、大臣のいわゆるそれを受け入れる能力の問題ですか。

赤松国務大臣 あべさんもあの三十三項目を見られましたか。内容を全部わかっていますか。例えば生活支援を全部あれしろとか、過去十年前には、江藤さんのお父さんの時代ですけれども、百二十億あって、みんな百万ずつこうやって配ったんだ、直ちにそうやってやればみんな安心するというような話ですけれども、いやしくも税金を使ってやるときに、必要なところにお金を出すのはいいんです。ただ、つかみ金みたいな形でとにかくばらまけば安心するんだということは、少し私どもと考え方が違いますねと。

 ただ、今一番この病気にとって必要なのは、早くそれを発見して、そして早くそれを殺処分して、しかも埋め込んでしまうということが必要なので、それは同じ認識なんです。だからそれを早くやれというふうにあそこの三十三項目の一つに書いていますから、そういうことは私自身も同じ認識なので、それはもう一生懸命やります、人手が足りなければ、自衛隊にも要請して今お願いしていますというようなことを言いながらやってきたということなんです。

 ですから、三十三全部自民党の言うことを聞かなかったからけしからぬというようなことを言われても、できること、できないこと、私どもがよしとすること、これは考え方が違うというもの、それはあるんですよ。そういうことは理解してください。

あべ分科員 私はその項目すべてをやれと言っているのではなくて、その中にきちんと感染予防としての蔓延を防止する方法が入っていたわけでございまして、それすらも、すべての項目ができないからできなかったと今大臣はおっしゃるわけですか。

 そういうことではなくて、例えば、消毒液も自分たちで駆けずり回ってやらなければいけなかった、政府がしっかりと対応できなかった部分もできなかったというふうに宮崎県の方が怒っていらっしゃることに対して、初動態勢が本当にしっかりとできていたのかということを私は申し上げているわけでございます。

 大臣が一人いないからといって、いわゆる外遊に行ってもいいと言うのであれば、大臣は、今回のここまで口蹄疫が蔓延したことに対して、責任をおとりになっておやめになったらいかがですか。

赤松国務大臣 少し認識が違うので、よく調べられて発言された方がいいと思うんですが、家畜伝染予防法の業務というのは、法定受託で県がやるんです、基本的には。県がやるんですよ。ですけれども、そうはいっても、これだけ大きくなったときに、それは県がやるんだから国は知らないなんということを言うつもりは全くありません。

 ですから、昔で言う機関委任事務、今で言う法定受託事務ですけれども、そういうことがあったとしても、それはなかなか宮崎県だけで対応するのは大変でしょうということで、これが発生したときに、きょうの答弁、本会議でも言いましたけれども、直ちに優先的にその薬を確保してほしい、製薬会社にみんなそういう要請を国からしたり、あるいはそういう確保に努めたり、そういうことをやりながら、これは全量国の負担でやりますから、だからまず、まいていただくのは県とか町を通じてまかなきゃまけませんから、だからそれをお願いしたということなんです。

 ですから、何か、さも二十八日しか薬剤が来なかったというのとは全然違う。二十三日にもう行ってるんですよ、現地へ。現地へ行っているんです。ただ、現地には人がいないから、たまたま全部にまくのが多少おくれるところもあったとか、そういうことは現実問題としてあると思いますけれども、だから、そういうのが、その初動対応がおくれたんだ、それは大臣が何もやってなかったんだということだというと、それはちょっと事実関係と違いますねということでございます。

あべ分科員 大臣、今、国会で話しているときに、宮崎県に問題があったやもしれないということを例えば報道でされたとしても、大臣は大臣のやるべきことをまず言うべきでありまして、特に、韓国で四月に被害が拡大していたことに対して水際に対する措置をどうするかということを農林水産省がしっかりと立てるということは、大臣命令でできるんではないですか。都道府県が動くまで大臣が動かないなんということがあっていいんでしょうか。

赤松国務大臣 私は、宮崎県のせいだなんということは、余計気をつけていますから、一言も言っていません。だから、言わないことを言ったように言うのはやめてください。

 私は、もともと家畜伝染予防法の実施主体は法定受託事務で県にあるんですよということを申し上げただけで、しかも、それは県にあるから知らないなんということは言いませんよということもちゃんと言っているじゃないですか。だから、ちゃんと言ったとおりのことで言ってくれないと、あなたは県に責任があると言った、けしからぬなんて言われたって、言っていないのにそれを問われても私は困る。

 それから、今の海外の話ですけれども、それも事実関係をちゃんと調べてから発言してください。もう去年の香港、二月に出ているんです。それは自民党時代なんです。自民党時代から、もうそれは出ているから注意してくださいよ。

 そして、今度は年が明けて韓国に出た。しかも、どうも中国、韓国も同じ種類の型だということで、それについては、もちろん、単に都道府県に注意してくださいだけじゃなくて、そういう防疫措置もきちっとやりましょう。例えば、港それから空港、そういうところについても、とにかく靴の裏から感染するということもあるので、そういう防疫対策もとってくださいという要請は、これは私どもの省からそれぞれお願いをしています。

 だから、さも今何もやっていないようなことを言われますが、ちゃんと調べてから言ってください。やっているんです。文書も出ているんです。

あべ分科員 私は、やはり宮崎県の方が怒っていらっしゃるように、初動態勢は確実にまずかった、さらには、この口蹄疫の問題が発生しているにもかかわらず大臣は外遊をされるということは、大臣の大臣としての心構えが大きな問題であるというふうに思っております。民主党が国民の生活第一と言いながら国民の生活を全く考えないような、さらには、大臣が今農林水産大臣として農家の方々のお心も全く察しないような発言ばかりをされている。私は、その大臣のあり方としての態度の問題を申し上げているわけでございます。

 大臣、ここはしっかりといわゆる口蹄疫対策をお立てになる、しかしながら、初動態勢に不備があったことは御自分でお認めになって、この対策が終わったらおやめになるというお覚悟もあるぐらい今回はしっかりと取り組んでいただけますか。

赤松国務大臣 だから、そこは全くあべ委員と認識が違うところで、私どもは、今後、農家、農民のためにしっかりとこの口蹄疫対策をやっていく、これはもう当たり前のことですし、県、市町村と一緒になって、また関係団体と一緒になって、死に物狂いでこれをやっていこうという決意でございます。

 ただ、そのことと、だから終わったらあなたやめなさいよというような話と、それは自民党の皆さんはそうお思いになっていらっしゃるかもしれません。それは、それぞれの政党、それぞれの議員の認識ですから、それはどういうお考えをお持ちになっても私がとやかく言うことではありませんけれども、私自身は、誠心誠意、この農林水産大臣としての職務を全うしていこうというふうに思っております。

あべ分科員 大臣のその答弁に誠心も誠意も感じられないから私は申し上げているんです。本当におつらい、いつ始められるかわからない、例えば開始に対してのいわゆる補助金が出ているにしても、再開がいつできるかよくわからない、この間をどう過ごすべきかということで本当に毎日毎日苦しい思いをされている方々のお気持ちが本当にわかっているようなそういう答弁には、私には全く聞こえませんでした。

 また、変ないわゆるネットなどで流れている、ゴルフを外遊中に大臣がされたなんということは、私はないと思っておりますが、ないというお答えをぜひいただきたいと思います。

赤松国務大臣 そういうことを平気で言う、そこまで落ちたかと本当に残念でたまりません。それを最初に聞いたときには私は身が震えるような怒りでいっぱいでございまして、直ちに抗議しました。

 そうしたら、TBSについては、きょう十一時四十分、これは間違いでしたということで、謝罪の報道をしてくれました。

 あと、フジテレビもやっているものですから、これは小倉さんが悪いとかどうこうではなくて、そういうことよりも、もっと口蹄疫対策を一生懸命やりましょう。しかし、何かそれはもう既定事実のように言われていますので、あしたの番組の中で、それはそうじゃなかった、違うんだという、間違ったと言うかどうかわかりませんが、とにかく事実じゃなかったんだということは小倉さんの口から言っていただけるというふうに聞いております。

 なお、TBSの報道局長と政治部長が、ぜひおわびに、謝罪にお伺いしたいということで、この委員会の後、農林省にお見えになるというふうに聞いておりますけれども、全くそういうことはかけらもありません。

 だから、そういうことを無責任に言うんだったら、いつ、おまえはこうやってやったじゃないか、そういうことでむしろ本当に私が辞任を迫られるなら悪うございましたと言いますが、そういう全く根も葉もないことを、しかも何の根拠もなく言われるというのは、本当に心外です。

 それで、あなたも政治家だからわかると思いますが、一たんテレビでばっと言っちゃうと、それがもう本当のようになっちゃうんです。後で、テロップであれは違いましたとか次の日に否定しても、それを見ている人だって見ていない人だっていますから、何かあれやっていたらしいなみたいなことで言うと、本当に私自身の、一生懸命こうやってやっているのに、やっていることとあれとは違いますが、とにかく、真実ではないことを言われて、本当に極端なことを言えば、こういうことで政治生命を絶たれた人というのはいっぱいいるんです。後でうそだったとか、あれは本当じゃなかったらしいようだけれども、そういうことがあったら、それで選挙を落ちたりしたら、もうそれでその人は終わっちゃうんですね。

 ですからこれは、自民党だからとか民主党だからとかそういう意味じゃなくて、やはり人を批判する場合は、ちゃんと根拠を持って批判してもらう。ぜひそういうふうで、お互いにこれは気をつけなきゃいけないことだと思いますが、お願いしたいというふうに思います。

中川主査 あべ俊子君、時間が過ぎておりますので。

あべ分科員 今回の、大臣がゴルフした、しないに関しては与党の執行部の方から出てきたみたいでございますので、ぜひとも、与党の中でも人間関係をしっかり頑張っていただきながら、口蹄疫対策もしていただきたいというふうに思います。

 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。

中川主査 これにてあべ俊子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中川主査 引き続き厚生労働省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。高木美智代さん。

高木(美)分科員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、お時間をいただき感謝申し上げます。

 私は、てんかんにつきまして、新規抗てんかん薬、そしてまた、てんかん学会の医師の皆様からの御要望、そしてまた支援につきまして、大臣そして足立政務官に質問をさせていただきます。

 まず、てんかんの患者数でございますが、総人口の約一%と言われており、我が国には約百万から百二十万人の患者が存在すると推察されます。てんかんは神経疾患の中でも治療法が確立しているものの一つでありまして、七割から八割の方が適切な薬物治療により発作が抑制できます。また、発作を抑制すると同時に、副作用面で生活に与える影響が少ない薬物治療が普及するということが、患者の方たちの生活を高める上には不可欠でございます。

 こうした観点から、欧米では積極的に新薬の開発が進められてまいりました。しかし、我が国では、患者数が少なく市場規模が小さいことによりまして、その開発はおくれてきたと言っても過言ではありません。

 これに対しまして、日本てんかん学会、また日本小児神経学会等関係団体の要望によりまして、事態は少しずつ改善をされてまいりました。

 具体的には、二〇〇六年にガバペンチン承認が行われ、九月二十五日に発売をされました。アメリカは一九九三年に承認をしましたので、比較しますと十三年おくれと言えます。アメリカでは一九九六年に発売されておりまして、十一年おくれという状況があります。二〇〇八年にはラモトリギンが承認されましたが、アメリカでは一九九四年に承認されておりまして、十四年おくれという状況でございます。

 現在でも新たな抗てんかん薬の開発は続けられておりまして、クロラゼブ酸二カリウム、メンドンや、オクスカルバゼピン、またフォスフェニトインの開発が進められております。

 そこで、まず最初の質問でございますが、日本てんかん学会、また日本小児神経学会は一昨年十二月十五日に、政府に対して、レベチラセタムの早期承認、特に成人部分発作への適用と、小児を含めた国内臨床試験の推進を求め、ユーシービージャパン株式会社に対しても、小児を対象として臨床開発試験を進めることを求めました。

 難治性のてんかんを有する患者、またその家族にとりましては、治療の選択肢がふえることが最も重要な課題であり、政府として、近年の努力の延長線上にさらに努力を重ねる必要があると考えております。

 現状につきまして、どのようになっているのか、また今後の取り組みはいかなる方針か、見解をお聞きしたいと思います。

足立大臣政務官 レベチラセタムにつきまして、これは成人の部分と小児の部分で分けて御説明をいたします。

 現在、成人のてんかん患者の部分発作について、医薬品医療機器総合機構、PMDAで審査が行われておりまして、これは、その審査の結果を踏まえて、六月三日開催の薬事・食品衛生審議会において、有効性、安全性について審議される予定になっております。ですから再来週ですね。

 それから、小児につきましては、今現在、もう臨床試験が実施されております。厚生労働省としては、その臨床試験の際に、関係企業に対して迅速にやっていただくような指導を行うとともに、承認申請がなされた場合には、適正に承認審査を進めてまいりたい、そのように思っております。

高木(美)分科員 速やかな結論が得られますよう、よろしくお願いいたします。

 また、難治性のてんかんの患者を抱える家族にとりましては、てんかんを抑制するため、我が国では海外から未承認の抗てんかん薬を輸入し、利用せざるを得ない状況があります。少し前までは混合診療によって規制されておりましたが、これは政府の英断によりまして改善をされております。

 しかしながら、こうした未承認薬の利用に当たりましては、血中濃度の測定を国内で行うことは困難でございます。例えば、治験を終えた後、続けて使用を望む場合、タイムラグが承認までの間、また、さらには保険適用までの間、それぞれに生じてまいります。治験から承認、また保険適用までの迅速化はもとより、新薬の開発に係る研究事業の一環としてでも、こうした血中濃度を国内で測定する体制を構築できないかと考えます。

 政府の積極的な取り組みをお願いしたいと思いますが、お考えはいかがでしょうか。

足立大臣政務官 血中濃度の測定を国内で行わなくても利用できる、国内で行えるようにという趣旨だったかと。

 血中濃度の測定、恐らくそれは審査の期間を縮めるということとともに、保険外適用ではない、つまり、保険と併用できる期間をしっかり確保してほしい、そういう趣旨での御質問でしょうか。ちょっとそこの確認、血中濃度だけのことでしょうか。

高木(美)分科員 これは二つございまして、本来であれば、例えば治験の場合、製薬会社が治験が終わっても、そのまま延長して長期にわたって使用したい場合、そのまま長期の治験も兼ねて支援をするという審査のサポートの仕方もあります。しかし今、大半は、治験が終わりましたら、ほとんど、その薬を使用したい場合についても、血中濃度の測定というのが国内では今できないと私は承知しております。

 そのことを、さらに今後、国内におきましても測定できる体制を整えられないかということでございますが、ここは大変難しい問題と承知をしております。

足立大臣政務官 私も、その分野につきましてはある程度、今恐らくこういう意味でおっしゃっているんだろうなという考えはあるんですが、ちょっと今のことについては正確を期したいと思います。恐らくそれは、血中濃度の測定がある意味義務化されていて、それができなければ認められないというような話ではなかろうかと推察はいたしますけれども、ちょっと今の事柄につきましてはもう少し、事務方を通じて、正確性を期したいと思いますので、直接の答弁は今はできない状況であります。

高木(美)分科員 恐らく、今この血中濃度を国内で測定したい場合、いわゆる自己負担で、裕福な方は御自分で申請をしてできるという体制と確認させていただいてよろしいでしょうか。

足立大臣政務官 ちょっと整理をしてお答えしたいと思います。

 まず、スキームがどうなっているか。直接な答えでなくて大変申しわけないかもしれませんが、今現在、治験が終了して、そしてそれが承認、薬価収載されるまでの間は使えなくなるのではなかろうかという御質問の趣旨もあったと思うんですね。この制度についてどうなっているかという説明をまずいたしたいと思います。

 今現在、保険外併用療養費として、保険適用の部分と、そうではない保険外の併用療法が認められているのは、御案内のように、評価療養と選定療養というのがあります。その中で、評価療養は七種類ありまして、その中に、二項目めと四項目めを申しますが、医薬品の治験に係る診療は、評価療養として保険外併用療法が認められております。そしてさらに、薬事法承認後で保険収載前の医薬品の使用も認められております。

 ですから、これは制度的に、一貫して保険外併用療法として保険との併用を認められているという前提をまずお答えいたします。

高木(美)分科員 それでは、その他の先ほど政務官からお話ありました内容につきましては、後ほど、やはり正確性も大事でございますので、事務方を通じてお願いを申し上げます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 そこで、三十年ぐらい前に承認されたのでしょうか、古い薬は点数が低く、大変安い価格になっております。しかし、今も残っているということは、医療の前線で役に立つということで残っているわけであると思っております。

 例えばアレビアチン、これはつくればつくるほど反対にコストがかさみまして、採算がとれず、生産レーンを確保できなくなるというおそれもあります。また、臭化カリウム・ナトリウムも、薬価は低いのですが、同様の傾向にあります。医師の方たちからは、このままでは日本に必要な薬がなくなってしまうという危惧が伝えられておりまして、要するに、数十年前安かったころに設定された薬価が今はもうほとんど据え置き状態であり、驚くほどの低価格で使われている。そこで、日本てんかん学会等が要望を提出いたしまして、少し薬価が上がったと聞いております。

 しかし、毎回要望を出して薬価を維持していくということはシステム的におかしいのではないか。やはりこうしたことに対するシステムづくりが求められると思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

足立大臣政務官 委員が御指摘の、古くていい薬というものは長く残っている、それが価値が下がっていくということはある意味おかしいのではないか、私自身もそのように考えるところもございます。新しくかつ高価なものばかりが認められて、古くからあるいいものが廃れていくようなことがあってはいけないと私は思います。

 そんな中で、今、そういう古いものに対してはどういう評価をされているかということなんですが、実勢価格と公定価格で差がどうしても生じてまいります。しかし、それができるだけならないように調整幅というのを設けているんですが、それでも下がっていく薬に対して、中医協で、保険医療上の必要性が高いものは不採算品再算定ということをやっておりまして、ここの条件が、保険医療上の必要性が非常に高いものであること、かつ、低額であるため製造販売業者が製造販売を継続することが困難である、そういうものについては不採算品再算定ということで、原価計算方式によって算定される額に近くやるというような方式も今はあります。

 このことが現実でございまして、しかし、それに対して、これでは足りないということに対しましては、今後また大臣の方から答弁があると思われます。

高木(美)分科員 ただいま政務官から答弁いただきました不採算品再算定、これはどういうシステムで、どのような時期で行われるのでしょうか。

足立大臣政務官 薬価につきましては、市場実勢価格を基本に、二年に一度、薬価改定の際に見直しをしています。

 医療上の必要性が高くて、薬価が原価を下回っている医薬品、これは不採算品ということですが、薬価の引き上げを行っている、それが先ほど申し上げた不採算品の再算定ということでございます。ですから、二年に一度の薬価改定の際に、中医協で議論をしてということが仕組みでありまして、そこで原価を下回っているという医薬品についてやるわけですから、その薬価の引き上げを行うという仕組みになっているということです。

高木(美)分科員 それでは、政務官、これはお願いでございますが、私が申し上げましたシステムづくり、今御答弁いただきました、二年に一度の薬価改定のときにそうした点が中医協で検討される、この流れに乗るという話でございますが、恐らく、例えば風邪薬のPLとか、古いけれどもこれは絶対なくしてはいけないという、現場で活用されている薬というのがそれぞれの分野で何種類かあると薬剤関係者、そしてまた医師の方たちから私も伺っております。

 そうしたことを少し、情報としてどのように吸い上げていくのか、また、そうしたデータといいますか、これは本当に現場の感覚の部分もありますので難しいとは思いますけれども、こうした声をどのように吸い上げてこれを反映させていくか、ここのシステムづくりのところを再度御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

足立大臣政務官 今、実際のところをどうやって情報を集めるかということがございました。その一つの要素として重要なことは、学会等の要望というのは、先ほど例を挙げられたように、やはり必要なことだと思います。これをどのように反映させていくか、二年に一回、そういうふうに機械的に待たないでというお話だと思いますので、その情報の集め方、そして検討の仕組みについては私自身も考えていきたいと思います。

高木(美)分科員 よろしくお願いいたします。

 続きまして、小児用医薬品のオフラベル使用につきまして質問いたします。

 薬事行政におきまして、特に小児の適用が認められていない薬が多くございます。七割が除外されているとも聞いております。現場の医師は、必要があるので、やむを得ず処方をしております。しかしながら、このオフラベル使用につきましては、副作用や事故が起きた場合、一〇〇%ドクターの責任となってしまいます。リスクを冒しながら処方するというのはいかがなものかと思います。

 小児の薬がつくられないため、大人用の薬を年齢で増減したり、カプセルは中身をほぐしてサイズを直して使用したりされているわけですが、それでは適正な効果が得られるかどうか不明でございます。薬理学的影響もあります。小児の適用があれば、シロップやタブレットもつくることができます。早急に対応を検討すべきと考えますが、この課題解決への取り組みはいかがでしょうか。

長妻国務大臣 今、オフラベル、適応外薬についてのお話だと思いますけれども、大人向けにはあるけれども小児向けには使えないというものについて、有効な部分については、一定の要件を課して小児適応薬にしたらどうかというお話であります。

 これは、ことしの二月から、抗てんかん薬に関する要望は十二件いただいておりまして、これを検討してほしいということで、私どもとしても、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議というのがございまして、そこで今検討中ということであります。これについて、医療上の必要性ありというふうに評価されたものについては関係企業に開発要請を行うというふうにしておりますので、今鋭意検討して、結果が出ましたら速やかに公表するという手はずになっております。

高木(美)分科員 積極的なお取り組みをお願いいたします。

 続きまして、専門医につきまして伺わせていただきます。

 きょうは資料を用意いたしました。ごらんいただければと思います。

 これは、てんかん専門医の都道府県別分布でございます。日本てんかん学会がまとめた内容でございます。ごらんいただきまして、ここにございますように、東京都は五十三名、圧倒的に多いのですが、福井、三重、佐賀の三県には専門医は不在でございます。やはり、身近なところで適切な医療が受けられるという医療体制の整備が急務であると思っております。

 特に、二枚目をあけていただきまして、私は、実は当初、このてんかんというのは、小児期に発症する、小児からずっと続く病気であるというふうに思っておりました。しかし、近年、高齢化に伴いまして、この下の、横の線が年齢でございます。当然、ゼロ歳、この年齢の発症が一番高いわけで、一たん、三十代、四十代、五十代、ここで低くなりまして、今度はまた八十代になるとぐっと高くなるというのが、これがアメリカ、そしてまたアイスランド等の事例でございます。

 このことを考えましたときに、さらにまた次の一枚をあけていただきまして、これは日本の現状でございます。ボリュームでごらんいただきたいと思うのですが、これは男性、女性のグラフになっております。左が男性、右が女性のグラフです。

 ゼロ歳から四歳、大体こういうボリュームで移行しているのですが、ボリューム的には小児というのは大変小さなボリュームで、恐らく全体から見たら十分の一程度ではないかと思います。ところが、二十、成人期からその以降というのが圧倒的に多い。しかも、先ほどU字形カーブをごらんいただきましたとおり、高齢化に伴って、さらに発症される方がふえている。恐らく、それは当然、糖尿病であるとかまた高血圧等の、まさに生活習慣病また成人病と言われる、そういう病気に併発をするというケースが今ふえていると思っております。

 こういう今の傾向性を考えますと、やはりこの専門医制度、患者さんが例えばてんかんの発作が起きたときに、どこの医療機関に行けばいいのか、果たしてそれが精神科なのか神経内科なのか脳神経外科なのか、そのところがなかなか受診する先が見えないという状況がございます。したがいまして、例えばてんかん専門医というような呼称が表示されていればわかりやすいと思います。

 ことしの四月から、東北大学では全国で初めて、てんかん科をスタートさせました。専門医を育成するとともに、専門医の資格を取った場合、それを看板にきちっと標榜できるように配慮をすべきだと考えております。お考えをお伺いいたします。

長妻国務大臣 今、てんかんのお話が、専門医の育成、あるいはその広告というか、そういうことも重要になってくるのではないかというお尋ねがありました。

 これについて、今現在も、広告をできる専門医の数というのがございまして、これは五十五ございます。その中にはてんかん専門医は入っておりません。これはそういう仕組みはございまして、関係学会が、あるいは日本てんかん学会から専門医の広告に関する届け出や相談があれば、我々としても適切に対応していきたいというふうに思います。

 これは一定の基準というのもありますので、それを満たしているか否かというものも見させていただくわけでございますけれども、まだてんかんの専門医というのはございませんので、もし御相談いただければ対応いたします。

高木(美)分科員 それでは、そのようにこちらも働きかけてまいりたいと思いますので、御対応をよろしくお願いいたします。

 最後の質問でございますが、私も、今回、この質問をさせていただくに当たりまして、患者数の実態についていろいろ伺いました。しかしながら、日本におきましては、てんかんの患者数の正確な把握がない、実態が明らかになっていないという状況があります。

 今、厚生労働省におかれましては、患者調査を昭和二十八年から三年ごとに実施をされております。しかし、選抜された病院また診療所に調査票を送る、そして特定の日時に把握された患者数となっておりまして、外来患者は特定の一日の受診患者の傷病名で集計をするため、例えば基礎疾患にてんかんを合併する、例えば脳梗塞にてんかんを合併するというような場合は、項目が一つという書きぶりになっておりますので、てんかんが主病名として上がってこない、したがって数に換算されないという事情のようでございます。

 先ほど申し上げましたとおり、高齢化に伴いまして脳血管障害等による高齢発症が増加しております。これは、きょう出席をされている皆様方も、また私自身も、てんかんというのは何も小さなお子さんだけの疾病というのではなく、また、そういう血管障害から、いつ御自分がなるかわからない、今こういう病気になってきております。

 したがいまして、壮年期から老年期の患者の適切な人数の掌握、また適切な診療がそこで実施されれば社会参加も可能になると思います。今後、高齢発症のてんかんの実態を明らかにしていただきまして、適切な対策を講じることが重要と考えております。この実態調査と今後の対策につきましてお伺いをいたします。

足立大臣政務官 もう高木委員は御案内のことだと思いますが、てんかんと一言で言いますけれども、これは今大きく分けると症候性てんかんと特発性てんかん。特発性というのは、医学の分野では原因がよくわからない、いろいろ検査してもわからないというものを特発性というわけですけれども、脳梗塞あるいは脳血管疾患等で高齢者に対して症候性のてんかんが実際にかなりの方がいらっしゃるというのは、もうおっしゃるとおりだと思います。

 先ほどの専門医の話と連動する話ではございますが、傷病名のところが主病名だけに限られてくると、やはり昨今のヘリカルCTやMRIの進歩によって原因がはっきりしたものは、そちらの病名を書かれる。ですから、てんかんというものが、症候性てんかんの部分が抜け落ちるという部分が確かにあるんだと思います。ということで、実態調査の中でも、主病名だけではないほかの分野も、例えば併存疾患とか、そういうことも把握できるような取り組みが一つあるかな、そのように思いました。

 また、障害者施策全般については、これも委員の御案内のように、障がい者制度改革推進会議のもとに総合福祉部会というものを設置いたしました。これは五十五名から成る、そのように認識しておりますが、てんかんの関係者の方もメンバーに入っていただいております。議論も踏まえながら、この支援策の推進ということを図っていきたい、そのように思っております。

高木(美)分科員 どうぞよろしくお願いいたします。

 やはり実態の把握がすべての根拠であると思っております。先ほど私も百万から百二十万と申し上げさせていただきましたが、これは岡山大学大学院発達神経病態学の方たちが岡山県の小児を対象とした疫学調査、一九七五年と一九九九年、二回行われまして、そのデータと、それからアメリカの調査を参考に日本の患者数を推計した、こういう数字でございます。したがいまして、まず適切な実態、そして傾向性の掌握を重ねてお願い申し上げます。

 そこで、これは質疑通告はしていないのですが、大臣に最後にお願いをさせていただきます。

 私は、精神障害の方たちからいつも要望を受けますのは、自立支援法になりまして、三障害一体化ということで手帳を取得するようになった。そしてまた、当然、三障害一元化と言われるので、何らかの特典が当然そこに生まれると思っていた。しかし、その手帳を取得しても、実は何も特典が生まれない。

 例えば、身体、知的の方たちには、既に交通運賃の割引制度、これはもう事業者が努力によりまして継続をしてくださっている。やはり国鉄が、昔国鉄だったころから既にそうした支援をしていた、それをそのままJRになっても継続をしている部分がありますけれども、やはりそれは身体に特化されるものが多くありまして、なかなか精神の方たちまでそうした恩恵が行かない。

 その部分を、例えば東京都は、都営交通については、手帳を持っていれば精神の方も全額無料というようにやっているようでございますが、私はぜひ、私どもも国土交通大臣の方にまた、これからも重ねて何度も要請をさせていただきたいと思っているのですが、そうした大きな課題があるということを長妻大臣には御承知をいただきまして、また、大臣の方からも、こうした精神障害の方たちが地域で安心して暮らせるために、国土交通関係の大臣等に要請をしていただければと思っております。

 大変恐縮でございますが、大臣のお考えを伺わせていただきます。

中川主査 時間もありますから、お願いします。

長妻国務大臣 うつ病、認知症なども含めて、精神疾患というのは今やもう国民病であるというふうに考えておりまして、一度、そういう優遇措置が、どういうものが身体、知的の方あるいは精神疾患の方、差があるのかというのを調べてみまして、そしてそれについて国土交通省に、我々も必要があれば、差があり過ぎると考えれば、それを申し上げていこうと思っております。

高木(美)分科員 どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

中川主査 これにて高木美智代さんの質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして厚生労働省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の格段の御協力を賜りまして、何度か分かれて審議をさせていただきましたが、本分科会の議事を無事終了することができました。厚くここにお礼を申し上げます。ありがとうございます。

 これにて散会いたします。

    午後四時三十六分散会


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