衆議院

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第9号 平成14年5月29日(水曜日)

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平成十四年五月二十九日(水曜日)
    午後一時一分開議
 出席委員
   委員長 渡海紀三朗君
   理事 岩屋  毅君 理事 桜田 義孝君
   理事 御法川英文君 理事 持永 和見君
   理事 木下  厚君 理事 松崎 公昭君
   理事 山名 靖英君 理事 塩田  晋君
      相沢 英之君    逢沢 一郎君
      石田 真敏君    岩永 峯一君
      江藤 隆美君    小泉 龍司君
      小西  理君    橘 康太郎君
      谷  洋一君    中川 秀直君
      額賀福志郎君    馳   浩君
      武藤 嘉文君    村上誠一郎君
      森岡 正宏君    森田  一君
      山本 明彦君    井上 和雄君
      石井 紘基君    金子善次郎君
      今野  東君    手塚 仁雄君
      楢崎 欣弥君    葉山  峻君
      平野 博文君    山田 敏雅君
      神崎 武法君    大森  猛君
      穀田 恵二君    山口わか子君
      中村喜四郎君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国務大臣         石原 伸晃君
   総務副大臣        若松 謙維君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   会計検査院長       金子  晃君
   会計検査院事務総局次長  関本 匡邦君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第三局
   長            白石 博之君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房長) 風岡 典之君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            岩村  敬君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  大石 久和君
   政府参考人
   (国土交通省北海道局長) 林  延泰君
   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十九日
 辞任         補欠選任
  橘 康太郎君     山本 明彦君
  土屋 品子君     小泉 龍司君
  中村正三郎君     馳   浩君
同日
 辞任         補欠選任
  小泉 龍司君     土屋 品子君
  馳   浩君     中村正三郎君
  山本 明彦君     橘 康太郎君
同日
 理事西博義君同月二十二日委員辞任につき、その補欠として山名靖英君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十二年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百五十一回国会、内閣提出)


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     ――――◇―――――
渡海委員長 これより会議を開きます。
 まず、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴いまして、現在理事一名が欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、山名靖英君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
渡海委員長 平成十二年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)を議題といたします。
 まず、財務大臣から本件について説明を求めます。塩川財務大臣。
塩川国務大臣 ただいま議題となりました平成十二年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 平成十二年度一般会計公共事業等予備費予算額五千億円について、平成十二年七月二十五日から同年十月十七日までの間に、使用残額九千円を除き、その使用を決定いたしました。
 これは、年度内に経費の不足が見込まれるもの、景気浮揚効果が大きいもの、即効性のあるものを対象としたものであり、国民生活の改善に直結する分野、生活構造改革、経済活性化に資する分野及び有珠山等の災害復旧等に要する経費であります。
 また、事項別の内訳は、災害対策費として、河川等災害復旧事業等に必要な経費等の十三件、その他の経費として、道路整備特別会計へ繰り入れに必要な経費等の八十六件となっております。
 以上が、平成十二年度一般会計公共事業等予備費使用総調書等についての概要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
渡海委員長 これにて説明は終わりました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 この際、お諮りいたします。
 本件審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長風岡典之君、国土交通省総合政策局長岩村敬君、国土交通省道路局長大石久和君、国土交通省北海道局長林延泰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森岡正宏君。
森岡委員 私は、自由民主党の森岡正宏でございます。
 きょうは、まず、財務大臣に対しまして、カナナスキス・サミットに向かわれる御決意をお伺いしたいと思います。
 政府は、今月の月例経済報告で、景気の底打ちを発表いたしました。そして、五月十五日に、与党三党の党首会談では、一カ月後を目途に政府・与党一体となって第二次のデフレ対策を策定するということを確認したと伺っております。
 一方、大手十三行の不良債権残高は二十六兆円強、一年前より五割も急増しているということが報ぜられました。処理すれども処理すれども膨れ上がる不良債権、新規投資になかなかお金が回らない。日本経済の先行きは決して楽観できないと思います。上昇気流に乗せていくパワーが欠けておるように思います。
 最近、塩川大臣は盛んに減税を口にしておられるようですけれども、デフレ対策の目玉を何に置こうとしておられるのか。そして、先進国首脳が日本経済の行方を随分気にしておられるようでございますけれども、カナダのサミットで我が国は景気浮揚策として何を打ち出そうとしておられるのか。今の時点で塩川大臣のお気持ちをまず伺いたいと思います。
塩川国務大臣 六月の十六日、七日とサミットがカナダのハリファクスで開催されることになっております。
 私は、先般、三月でございましたか、ワシントンでG7の会合がございましたときに、日本の経済状況について御報告をいたしまして、各国の了解を得たのでございますが、そのときに、各国の首脳者の中から出ました意見としては、日本が非常に苦労して努力していることはわかるし、また非常に緻密な計画を立てておられることも理解しておるけれども、実際に景気が浮揚してきたということをやはり実態を持って示してもらうように一層の努力をしてほしい、その努力の経過は徐々にあらわれてきておるんだろうけれども、不良債権の整理一つ見ても、その割に、私が説明しておる割に進んでおらないではないか、こういう意見がございました。
 それに対しまして私は、いや、それは、改革には、あるいはまた一つの改善に向かっては、効果を出すのに時間がかかるので、もうしばらく待ってもらいたいという趣旨のことを言いまして、それは当然のことだから、鋭意努力を皆さん歓迎する、こういうことでございましたので、今回六月に参上いたしますときには、ある程度こういう面においての経過を報告して、効果があったということの報告をやはり織りまぜていたさなければならないと思っておりますので、その点についての考え方を政府で至急まとめてもらいたいと思っております。
 政府・与党首脳会議におきまして、第二次のデフレ対策というものを講ずるべきであるということに対し、小泉総理も、同感である、何とかして二次のデフレ対策を早くいたしたい、こういう趣旨の報告がございましたし、それを受けまして、六月中に、つまり総理がサミットに行きます二十日までの間に、ある程度政府としての第二次デフレ対策的な基本的な政策を公表する必要があるだろうと思っております。
 その点につきまして、現在どういう作業が進んでおるか。今は減税の問題をというより税制改正の問題を中心に議論が進んでおりまして、来月早々になりまして規制緩和とそれから先端的産業の戦略構想というものを審議したい、こういうことでございまして、六月の二十日までには取りまとめをきちっといたしたい、こう思っておるところでございます。
森岡委員 ぜひしっかりと、塩川財務大臣に、各国の首脳に日本の立場を主張していただきたいと思います。
 これから先は、国と地方のあり方について御質問をさせていただきたいと思います。
 去る五月二十一日、片山総務大臣が、経済財政諮問会議で「地方財政の構造改革と税源移譲について」という試案を出されました。
 若松副大臣、お見えでございましょうか。総務省に、まずその基本的な考え方、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
若松副大臣 ただいま御案内いただきました試案の基本的な考え方でございますが、まず、地方歳出に対する国の関与の廃止、縮減と地方税中心の歳入体系の構築、これを進めまして、地方財政運営の自立化を高めて、国、地方をあわせた歳出の効率化を図ることが重要、このような認識のもとに今回の試案をまとめた次第でありますが、具体的には、国庫支出金の整理合理化と地方税への振りかえを先行実施する、そして、地方財政収支の改善も踏まえて、地方交付税を地方税へ振りかえて、国税、地方税の比率を一対一にする、このように提案をさせていただきました。
 その際、地方交付税につきましては、現在その原資が大幅に不足しておりまして、特例地方債の発行を要請しているのが現状でございます。そういうことから、地方財源不足の圧縮を図りながら、特例地方債への依存が解消された段階におきまして、交付税の減額、地方税振りかえを行うこととして、そして国庫支出金と地方税への振りかえを先行実施させていただいた、このような内容でございます。
 今後、さらに経済財政諮問会議におきましても議論が行われるわけでありますが、総務省としては、地方分権改革推進会議における検討状況も恐らく出てまいろうかと思いますので、できるだけ早期に具体化の道筋をつけられるように、関係方面の方々との調整を図ってまいる次第でございます。
森岡委員 ありがとうございました。
 先日、私は、憲法調査会の地方自治に関する小委員会で、参考人の方から次のような事実を教えていただきました。
 一九二八年、昭和三年でございますけれども、総選挙で、時の最大会派である政友会が掲げた選挙ポスターに、「地方に財源を与ふれば 完全な発達は自然に来る 地方分権丈夫なものよ ひとりあるきで発てんす 中央集権は不自由なものよ 足をやせさし杖もらふ」と書いてあったそうです。
 つまり、地方に財源を与えれば、地方は自然によくなる、地方分権は丈夫なもので、地方はひとり歩きできる、中央集権は地方の足をやせさせて、つえをもらわないとだめになってしまう、こう訴えていたということでございました。参考人の方は、七十年以上もたっている今も通用するポスターだなということをおっしゃいました。
 今回の片山試案は、税源を国から地方に移譲し、国庫補助金を極力廃止し、国の関与を縮減して、地方の自由度を高めようとしている。今御説明のあったとおりでございます。地方分権や構造改革を進める上で、だれもが頭では思いながらも、具体策を出せなかった。
 私は、今回の片山試案、画期的なものだと高く評価しているわけでございまして、塩川大臣は、かつて、地方行政にもお若いころ携わっておられましたし、また自治大臣もお務めになった。地方行財政にも明るいし、そして今は国家財政を担当しておられる。どちらも精通しておられる方であるだけに、地方財政の構造改革が一気に進むんじゃないか、今回の片山試案が出てきたことによって私は大変期待を持つわけでございますけれども、塩川大臣はどのように受けとめておられますでしょうか。そのお気持ちを伺いたいと思います。
塩川国務大臣 地方が潤うことによって国政が発展するということは、これはもう私も全くそのとおりでございまして、やはり国政の発展の基礎は地方自治の振興にあり、そう認識いたしております。
 そこで、片山試案についてでございますが、私は、片山総務大臣の考え方、つまり、地方をいかにして自立した団体として発展させていくか。この考え方については私も賛成でございますけれども、しかし、提出された試案そのものにつきまして、五兆五千億円の税源移譲というこの案につきましては、私は、三つの大きい意見を持って述べておるところであります。
 その一つは、この問題を議論するについて、国と地方との根本的な財政問題に抵触してくることであるから、そのためには、国と地方との役割分担といいましょうか、国と地方との行政の責任はどのように分担すべきかということをまず明確にしなければならないということが一つであります。
 それからもう一つは、憲法第九十二条で、地方行政に関することは、その自治の本旨に基づきと書いてありますが、自治の本旨というものの責任が双方、国と地方についてどのようにそれを実行していくかということであります。
 三番目は、国民の、国税を移譲すると書いてございますので、移譲するということは適切ではないと私は思うのです。税源を移すとするならば、国の方の減税をして、その分を地方に増税にする、そういうやり方はあると思うのでありますけれども、国税を地方税に移譲するということは、これは税をつけかえるということでございますから、その税が設定されましたときの経過と本質というものを見きわめなければ、単純に移譲ということはできないだろう。切ってはつってこっちへつけるという性質のものではない。
 したがって、それぞれの税の設定された根源的な意義、これについての問題点があるから、地方で必要ならば、どのような財源を地方に求めるべきかということを明示し、そしてそれに相対応して、国の方は、この分については国は遠慮して、その減税分に対して地方税の方の増税をする、そういう構造を明確にすべきではないかということでございました。
 ただ、その場合にそれを、税源の配分について格差が大都市と地方とに起こってくるから、この格差是正の方法を、ぜひ地方自治体の責任においてやってもらいたい。国が関与することによって、国はいつでも財源補てんをするという責任がついてまいりますので、これはいただけるものではない。だから、地方の自主的な配分の方法を考えてもらいたいということと、それから、その税を徴収し、消化する能力が、つまり地方自治体の行政能力が均質的なものでなければならないというような条件、そういうものを兼ね合わせた上で税源の配分というものを考えてもらいたいということを、私は意見として申し上げてあります。
森岡委員 大変いろいろな貴重な御意見をいただきました。
 租税収入は国が三に対して地方が二、最終支出は国が二で地方が三、地方の歳出規模と地方税収入が乖離しています。
 今大臣は、国から地方への税源移譲は、国と地方の役割分担のあり方の議論を踏まえた上で検討されるべきだということをおっしゃいました。また、私も、国、地方を通じて、公共サービスをどこまでやるのか、そして国民負担はどこまで求めるのかという議論も必要だと思います。
 しかし、そういうことを言っておりますと、あっちが先だ、こっちが先だということで、なかなか改革は進まないと思います。住民に対する行政サービスの大半は地方団体が提供しておる。地方に事務量に見合った税源が付与されていない今の姿を少しずつ改めていくという方向がいいと思うんですが、もう一度、塩川大臣、この件はいかがでございましょうか。
塩川国務大臣 私は、地方自治の行政の中で、地方の固有事務というのがございますが、これは絶対にやはり自治体自身の財源によって賄ってもらいたいと思っております。
 そして、団体委任事務でございますけれども、これは政府が保障しております負担金、あるいは政府の持ちますところの委任、委託費というものでこれを賄っていくべきであると思っております。機関委任事務もその部類に属するのでございますけれども、それ以外に、国の事務でもなく地方の事務でもないような問題であって、地方と国とが共同でやっておるような事務がたくさんございまして、それは補助金という制度をもって運営しております。
 問題は、この補助金の中を十分に国と地方と相談をして整理することによって地方財源にも大きい影響がある。要するに、一言で言いまして、国は、こういう行政を、あるいは地方に対するサービスを国が提供するから地方の方も自主財源を用意して受け皿をつくって共同でやろうという、このことが実は、地方に対しましては非常に大きい負担にもなっておると思っております。
 したがって、その補助的事業というものは本当にシビルミニマムとして必要なのか、あるいはナショナルミニマムとして必要なのか、そこをやはり十分見定めたものでないと、私はこの補助金行政というものはそれほどの意義を、国民に感謝されておらないと思うのでございまして、そこらが最近におきましては、世の中、いわば議会等におきましても、ややもするとポピュリズムに走りまして、そういう傾向がある中で、シビルミニマムあるいはナショナルミニマムというものが膨大に膨らんで拡大されてきたと思っています。この分をやはり国と地方の財政、そして現在の窮迫した状態にあって考えるのには、ここを一回しっかりと検討する必要があるのではないか、私の意見はそういうことであります。
森岡委員 どうもありがとうございました。
 片山試案を拝見しますと、国から地方へ税源移譲いたしまして国税が減少し、そして国の財政が心配だと言う人がおりますけれども、この案では、国税が減少する分国庫補助金を削減することになっております。
 今、国庫補助金の是非につきまして塩川大臣の御意見がございましたけれども、国税が減少する分国庫補助金を削減するんだという案でございますから、国が発行する国債は変わらない。むしろ私が心配しているのは、税源移譲によって自治体間の財政力格差が大きくなるんじゃないか、それを心配するわけでございまして、今ナショナルミニマムというお話もございましたけれども、必要行政水準の確保のために財源調整策として地方交付金制度の果たしてきた役割というのは、私、非常に大きいと思いますし、これからもますます重要になってくるんじゃないかなと思うわけでございます。
 財務大臣と総務省の若松副大臣双方に、財源調整策としての地方交付金制度、これについての御感想をちょっとお教えいただけませんでしょうか。
若松副大臣 今森岡委員御指摘のとおり、今回の試案を採用していただいたとしても、税源移譲を行っても地域間の財政力格差は引き続き存在する、このように認識しております。そのために、まず地域間のいわゆる税源偏在による財政力格差を是正する、そして地方団体に適切に財源を保障することができるように適切な水準の地方交付税総額を確保していくことがどうしても必要になってまいります。
 このような観点から今回の試案を見ますと、税源移譲に際しまして必要な地方交付税原資は確保するとともに、地方交付税の地方税への振りかえは、今後の経済活性化に伴う税収回復または地方財政収支の改善、いわゆる歳出削減とか、そういった努力を行ってやっていこう、そのように考えております。
 地方交付税につきましては、これも試案で述べているところでありますが、今後その税源移譲と地方税源のあり方や地方歳出に対する国の関与の見直し等、これを順次行いながら必要な見直しを行うというふうに考えておりまして、我が国の場合、地域間で著しい税源の偏在がある一方で、各地方団体が法令によりまして一定の行政水準の維持を求められている。こういう一つのミスマッチがあるわけでありますので、今の段階では地方交付税による財源保障は必要不可欠、そのように認識しております。
塩川国務大臣 私は、地方交付税の役割というのは非常に大きかった、そして日本の復興、日本の国土の均衡ある発展というものに対して非常に大きく寄与してきた、この功績を認めるし、将来におきましてもこのような制度は必要であろうと私も思っております。
 ただし、この地方交付税が制定されまして以降、五十数年間の歴史を見ますと、国が第一次国土総合計画をやりまして、第一次、第二次と進んでまいりました。その時点から、国土の均衡ある発展というものが国土総合開発の中心議題になってまいりましたと同時に、地方交付税の役割も、単純な税源再配分の機能から、そこへ政策的なものを加味されまして、発展均衡、開発志向的になってきたということは事実であろうと思っております。そのことから、いろいろな地方交付税にいわばあってはならないような調整が働いてきておると思っておりまして、この際に、地方と国との税源を考える場合に、地方交付税を改正する必要があるとするならば、ぜひその運用について考えるべきだ。
 それは何かといいましたら、私から言わせていただくならば、まず、政治的に配慮された種地の選定、それからいろいろな調整交付金の調整の基準というものは、これはぜひ見直してもらわなければならないのではないか。このことが当然のように働いておりますので、地方交付税の配分が都会と地方との間に非常に不均衡が起こってきておる。また、行政の種類、種別によりまして、例えば建設関係のいわゆる投資的経費と福祉的経費というものの中におきましても、調整機能が非常に複雑化して偏り過ぎておるというところがございますので、そういうのも直していただいて、純粋な財源配分機能の交付税に戻していただければ私は結構だと思っています。
森岡委員 今、大臣と副大臣の方から、地方交付税についての御意見がございました。小泉総理は、江戸時代の三百の諸藩が割拠しておった時代をとらまえて、地方は競わせるのがいいんだ、そして格差があってもいいんだ、容認する、そして、余り財源調整には関心がないように私はお見受けするんですけれども、交付団体は半分ぐらいでもいいんだというような認識でおられるやに聞いております。
 そしてまた、今もお話がございましたように、私も、地方交付税には、みずから努力しなくても与えられる、モラルハザードが生じるという悪い点もあるなというふうには思うわけでございますけれども、私はやはり、税源移譲の目的というものが地方の自由度を高める点にある以上、国の関与の強い、言葉は悪いですが、ひもつきの特定財源である国庫補助金の見直しを先行させるべきだという片山試案の方に説得力があるように思うわけでございまして、地方交付税の抜本改革が先だというよりも、私は、国庫補助金の見直しを先行させるべきだというふうに思うわけでございます。国民が望んでいるのもまず補助金をなくすことだと思いますし、地方交付税の抜本改正が先だと言う人は団体間の財源調整をどのように考えておられるのかなというふうに思わざるを得ないわけでございます。
 塩川大臣は、これまでの経過から、地方交付税が果たしてきた役割というのは大変評価しているというふうにおっしゃいましたけれども、簡単に言いまして、補助金の見直しが先か、それとも地方交付税の抜本改革が先かということになりますと、大臣、いかがでしょうか。
塩川国務大臣 私は、どちらも同時に解決すれば一番いいと思いますけれども、むしろどちらを選ぶかといえば、補助金の整理合理化、これを先行させることが必要だと思っております。
 地方交付税は、やはり地方自治体が存立していきます根源的な財源になっておりますし、また、現在のように合併が進まない段階においては、地方自治体の行政能力に余りにも格差があり過ぎますので、その格差を埋める意味におきましても、地方交付税を修正することは必要であるけれども、この制度はやはり必要なのではないかと思っております。
森岡委員 大臣、どうもありがとうございました。
 税源移譲の前提として、受け皿の整備という問題があります。
 市町村合併を強力に推進して地方行政の体制強化を図ること、これが今進められておるわけでございますけれども、これと税源移譲を一体のものとして、ぜひ構造改革を進めていただきたい。今回片山試案が出たということで、これがもうかけ声倒れに終わってしまって、しぼんでしまうというふうなことにならないようにお願いしたいな、私は心からそう思うわけでございます。
 総務省の若松副大臣、御決意のほどを伺いたいと思います。
若松副大臣 先ほど塩川大臣の方から、国庫支出金削減を優先すべきである、大変心強いお言葉をいただきまして、さらに森岡委員からも、片山試案に対する力強い御理解、また御支援もいただいて、本当に深く感謝申し上げます。
 今回の試案でございますが、何といっても地方財政運営の自立性を高めて、かつ、国と地方合わせた歳出の効率化を図るということで、地方歳出に対する国の関与の廃止、縮減、これがいわゆる国庫支出金等を移すということで、さらに地方税中心の歳入体系の構築を図るという、まさに地方税財政制度改革でございます。
 市町村合併の推進でございますが、市町村の行財政基盤の強化と自立能力の向上、さらには地方行財政運営の効率化を図っていく上で、市町村合併というのは何といってもなくてはならない課題でありまして、今回の試案で提案いたしました地方税財政制度の改革とあわせて、強力にこの市町村合併の推進が必要と考えております。
 現在、全国の約七割の市町村におきまして、合併協議会や複数の市町村による研究会等が設置されているわけでありますが、平成十二年の十二月に閣議決定されました、市町村合併後の自治体数を千を目標とするという与党方針ですね、これを実現すべく、さらに合併特例法が十七年の三月に期限が切れるわけでありますので、何といっても市町村合併はことしが正念場、そのように認識しておりまして、ぜひともこの地方税財政制度改革と市町村合併を、ことし、めどをつけていきたいと決意をしているところでございます。
森岡委員 ありがとうございました。
 私は、塩川大臣と片山大臣が協力して地方の構造改革を進めていかれれば、一気に改革が進んでいくと思います。それを期待いたしまして、時間が参りましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
渡海委員長 次に、楢崎欣弥君。
楢崎委員 民主党の楢崎です。
 きょうは公務員制度改革問題についてお伺いをいたします。
 昨年の十二月二十五日、その大綱が閣議決定されました。政府はその前に、六月にILO総会で、職員団体と誠実に交渉、協議するということを言明されています。そして、公務員労働者にも誠意ある交渉、協議を行うということを約束された。それにもかかわらず、労働基本権のあり方についての回答がないままに閣議決定がなされたということは、これは国際社会に対する公約違反、公務員労働者に対する背信行為であるということを指摘した上で、きょうはこの大綱の内容についてお伺いをいたしたいと思います。
 この問題は、もう衆参予算委員会や内閣委員会等の質疑でかなり問題点が明らかになってきています。ですから、最近は、学会、マスコミ等からの批判、提言も行われています。五月二十日には、政治と行政の関係、天下りやキャリア制度のあり方等について、二十一世紀臨調の公務員制度改革に関する緊急提言が行われました。
 まず、政府はこの提言をどのように受けとめられたのか、お聞かせいただきたいと思います。
石原国務大臣 ただいま楢崎委員御指摘の公務員制度改革に関する緊急提言が、いわゆる二十一世紀臨調、ICUの西尾先生あるいは慶応大学の曽根先生等々の皆様方からなされたということは承知しておりますし、総理がそのお話を聞かれたということも承知しております。
 また私も、きょう午前中かけまして、西尾先生、曽根先生とディスカッションをさせていただいたところでもございます。
楢崎委員 そこで、昨日の質問取りとの打ち合わせとはちょっと順序が違いますが、まずキャリア制度についてお伺いしたいと思います。
 これも国民が批判する制度です。まさに特権官僚制度ですね。1種試験合格者がいわゆるキャリアとして特別扱いされて、超特急で本省の幹部職員、局長や事務次官に上り詰めていく。若いころに地方機関の幹部をやらせる。当然、幹部といっても実務経験がないわけですから、周りが面倒を見なきゃいけない。そうした特別扱いの中で、自分は偉いんだという勘違いをする。当然、国民の感覚とも遊離していく。唯我独尊の姿勢が生まれる。それが旧厚生省の血液製剤問題、そして農水省のBSE問題を引き起こしているんですよ。国民の制度批判はそこにあると私は思うんですね。キャリア制度の廃止、これが国民の求める改革であろうと思うのです。
 ところが大綱では、本府省幹部候補職員集中育成制度として制度化する提案がなされています。何ですか、これは。本末転倒、言語道断、厚かましいにもほどがある。とにかく撤回すべきだと思いますけれども、どうですか。
石原国務大臣 ただいま楢崎委員が御指摘されましたように、おごり、高ぶり、勘違いというものがいわゆるキャリアと言われる官僚の方々にさまざまな事件であったということは、私は承知をしているところでございます。その一方で、やはりこの国をマネジメントしていくという高い意欲と能力を持った幹部というものを育成していくことも、行政を円滑につかさどっていく上では重要であると考えておりますし、また、現在の公務員の採用に当たりましては、民間企業等々の優秀な人材の確保の競争というものもかなり起こってきている。そんな中で、どれだけ優秀な方を、志の高い方を公務員として国家のマネジメントに当たらせるべく採用していくのかという問題がその一方にあるわけでございます。業務経験やあるいは留学等の限られた育成機会を集中的に利用して有効な人材が育っていくということもまた指摘されているわけでございます。
 そういうことを考え合わせて、当面はこうした幹部要員の確保育成システムを維持していく必要があると公務員制度改革大綱の中では指摘をさせていただいたわけであります。
 しかし、委員が冒頭御指摘されましたように、おごり、高ぶり、思い上がり、こういうものはあってはならないということは申すまでもございませんし、公務員制度改革大綱の中では、1種職員とあわせて1種以外の職員も、選考によってピックアップして、集中育成の対象として課長補佐段階までは集中的な育成を行う一方、計画的な育成終了後は、これはイギリスでも行われていることでございますが、キャリアとして入っても審議官や局長にだれでもなれるわけではなくて、速いスピードで十年程度はいくけれども、そこから先はまさに能力主義によって人事管理の徹底を図って、それ以外の方々も本省の幹部職員へ登用できるようなシステムをつくっていく。新しい人事制度を導入する中で、キャリアのこれまでのあり方というものについても思い切った見直しを図っていかなければならないものと考えているところでございます。
楢崎委員 二十一世紀臨調でも、このキャリアシステムの廃止を目指すべきだと提言されております。今の大臣の答弁、まだ私には納得できない。撤回を強く求めておきたいと思います。
 この二十一世紀臨調の提言に、確立すべきは政治のリーダーシップである、その政治のリーダーシップとは、首相を中心とする内閣主導のことであるとありますけれども、今言いました外務省の不祥事問題、それからBSE問題についても、その根源は、一部官僚の独走といいますか、内閣のリーダーシップが明確に発揮されなかったことにあると思うのです。
 私は、この公務員制度改革が、自民党の行革推進本部、そして内閣官房の行革推進事務局にゆだねられて、そこに小泉総理や石原大臣のリーダーシップが本当に発揮されたんだろうかという疑問を持つんですね。だから、この大綱が官僚主導によるお手盛り改革と批判されるものになってきたのではないかと思うんですが、その点についてはどう思われますか。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘のような厳しい御批判をいろいろな場でちょうだいをいたしておりますが、公務員制度改革大綱は、行革事務局が中心となりまして、各府省や与党三党を初め幅広い関係者と意見交換を行った上で、内閣の行政改革推進本部で取りまとめ、閣議決定したものでございます。
 今後とも、行政改革担当大臣のもとで、法制化等の具体化作業を着実に進めてまいって、そのような御批判に当たらないものを仕上げてまいりたいと考えております。
楢崎委員 私は、政治と行政、これは、内閣がきちっと企画立案機能を発揮する、行政はその示されたリーダーシップに基づいてそれを中立、公正に執行する、そういう関係であるべきだと思うのです。
 ところが、二十一世紀臨調は、この点も実は危惧しているんですね。大綱の言う各府省大臣の人事管理権の強化、これは各府省のセクショナリズムを助長する、つまり、大綱の示す改革方向は縦割り行政を温存、強化して、政と官の癒着を強めることになるという指摘ですね。このような指摘について、どのような認識を大臣はお持ちでしょうか。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されましたような縦割り、日本の行政組織の中に見られる弊害の最たるものとして、多くの方々が御指摘をされていることだと承知をしております。
 今回の公務員制度改革大綱においては、所掌する行政の運営について責任を有する各主任大臣が所掌する行政組織の人的資源、すなわち、そこにいる人たちをどういうふうに適材適所に配置するのか、最大限活用して、機動的、効率的な行政運営を実現するために、各主任大臣等を人事管理者として位置づけたわけでございます。これは、民間企業で、社長に人事権がなくてその企業がうまくマネジメントされるのかということに照らしても合理的であると考えております。
 一方、内閣は、人事行政にかかわる企画立案機能を積極的に発揮するとともに、人事管理にかかわる総合調整機能を発揮して、人事行政の統一性を保っていかなければなりませんし、いわゆる各主任大臣等々による、ただいま委員が御指摘されましたような縦割り行政の弊害が生ずることのないようにしていかなければならないと指摘をさせていただいているところでもあります。
 さらに、大綱におきましては、複雑あるいは多様化する政策判断を有する中にありまして、戦略的な政策判断等の国政運営における内閣総理大臣の指導性を強化する観点から、これも委員の御指摘に合致していると思うんでございますが、行政内外から内閣の重要政策の企画立案、総合調整等に従事する職員を国家戦略スタッフ群として機動的かつ柔軟に任用、配置できる仕組みを導入することとしているところでございます。もちろん、キャリア、エリート集団の存在を認めないというのであれば、この国家戦略スタッフ群の考えについても意見の相違はあるものと承知しております。
 また、先ほども申し述べさせていただきましたけれども、人事行政というのは、やはり中立性、公正性というものを確保していきませんと、特に公務の特徴ということから考えても、この点には十分配慮をしてこの大綱というものを取りまとめさせていただいたと御理解賜ればと存じます。
楢崎委員 行政改革や公務員制度改革においては、政官業の癒着を断つことが最重要課題だ、これは大臣も同じ意見だと思うのです。しかし、大綱は、各大臣とキャリア官僚の癒着を強めて、天下り容認で、業との癒着も強まる方向になっていると私は思うんですよ。いわゆる、続出する政治家や官僚の不祥事です。これは、私は、そうした構造的な問題について何ら改革が行われていないことに真の原因があるんだと思いますよ。私は、あるべき政と官の関係に立ち返って、公務員制度改革を検討し直すべきだと思っているんです。
 結局のところ、この政官業の癒着というのは、一部政治家の政治倫理の喪失とともに、官僚主導の行政が行われていることにあると私は思います。これを改めるための公務員制度上の課題、これは、まず内閣の政治的リーダーシップが発揮されるシステムをどうつくるか、そして、一部政治家の介入を防止して、どのように行政の中立、公正性を確保するシステムをつくるかにかかってくると思うんですけれども、この点について、大綱はどのような提起をしてあるんですか。
石原国務大臣 ただいま委員御指摘の政官業の癒着、これはいろいろなケースがあると思うんですけれども、特に行政改革を担当している者としましては、まあ政と官の連合軍にかなりひどい目に遭っていることもあるわけでございますが、公務員制度改革大綱の中では、内閣のリーダーシップの確保について、内閣が人事行政にかかわる企画立案機能を積極的に発揮するとともに、人事管理権者に対する、すなわち所掌大臣でございますけれども、総合調整機能を発揮して、先ほども申しましたように、人事行政の統一性を保持していくというふうな考えに立っているところでございます。
 さらに、大綱の中では、公務員のあり方を初め人事制度の趣旨、枠組み、重要な基準等々は法律で明確に規定することとしており、当然のことではございますけれども、各府省の人事管理者は法律の規定を遵守して人事行政を行うことになるものと承知をしております。
 さらに、きょう中島総裁おいででございますが、第三者機関である人事院が明確な基準のもとで、人事管理権者に対し人事行政の改善に関する勧告などの事後チェックを行うことにより、人事行政の中立性あるいは公正性を図るというふうに整理をさせていただいているところでございます。
楢崎委員 大綱で言われている国家戦略スタッフや大臣スタッフというのも公務員制度というほどのものではないですし、内容が中途半端で、逆に官僚主導行政の強化、キャリア官僚の復権にしかならないのではないかという危惧を私は持つのです。
 私は、この際、各府省の局長など、政府全体の政策立案に重要な責任を持つ公務員については政治的な任用職にすべきだと考えますけれども、これは、石原大臣とともに中島総裁の見解もあわせてお伺いをしたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員御指摘の政治任用は、通称ポリティカルアポインティーと言われるものでございますが、アメリカの官僚、あるいはヨーロッパでいいますと、ドイツ、フランス等々でも見受けることができるわけでございます。
 一方、我が国は、行革の観点から府省庁の再編ということに取り組ませていただきまして、その際、これまではポリティカルな任官としての大臣と政務次官という者がいたわけでございますけれども、これに加えまして副大臣また大臣政務官というものを導入し、政治の関与の度合いを高めるというような改革が既に行われたところでございます。
 公務員制度改革大綱の中におきましては、事務次官、局長、審議官等の上級幹部職員については、内閣を構成する大臣が大胆な価値選択や政策決定を行い、各府省の公務員がこれを政策立案面や実施面で補佐するという役割分担を行わせていただき、所管行政の専門家として課長以下ほかの職員と一体となりまして、大臣等々、政治家の皆様方を直接補佐し、重要な政策の企画立案や地方支分部局等の事務管理・監督に当たることから、引き続き、基本的には、課長職の皆さんについては一般職の職員を充てるというふうに整理をさせていただいております。
 また、委員は、上級幹部職をポリティカルアポインティーにというお話ではございますけれども、もう既に政治の分野で副大臣あるいは大臣政務官と、政治の関与という度合いが高まっているわけでございますし、また、日本の過去の政治状況、まあこれからも含めてでございますけれども、政権の存続期間がここ十年間で申しましても二年に満たないということを考え合わせると、ポリティカルアポインティーの局長さん、審議官あるいは次官というものは、言ってみるならば、その大臣あるいはその内閣とかなり強い信頼関係を持ち、政策を遂行していくということになりますので、大臣がかわるあるいは内閣がかわれば、必然的に、次の大臣あるいは内閣が引き続いてお願いしますよと言わない限りは、やめるのが当然となる。そういうものが現在の日本にマッチしているのかどうか。その点も考慮に値するのではないかと考えているところでございます。
中島政府特別補佐人 各府省の事務次官とか局長を政治任用したらどうかという話は、しばらく前から、与野党の若い議員さんからそういう声をよく聞きます。そのたびに私が申し上げていることを御紹介申し上げますと、やはりこういう議論をしていくためには条件というものの整備が必要だろうというふうに思います。
 その一つは、やはり何といいましても、政と官の関係について、国民が納得していただくようなルールをつくっておく必要があるだろうというふうに思います。政と官の関係というのは、現在も問題になっておりますが、これからも問題になるだろうということで、そのルールをつくっておいていただく必要があるだろうということが一つ。
 もう一つは、政治任用する場合に人材をどこに求めるかということなんですが、残念ながら、日本は政党の歴史が浅うございまして、それぞれの政党でそういうスタッフを養成するようなシステムができていない。したがって、そういうシステムというものを各政党がおつくりになることが必要じゃないかというふうに思います。そういうシステムができますと、今石原大臣がお話しになりましたように、政権政党がかわるあるいは内閣がかわることによって退官される政治任用者の受け皿というものもできるということでございますので、そういうシステムをつくっていただく必要があるだろうということです。
 それから、そういう政治任用の方が局長とか次官で入ってこられる、仮にそういうことを考えますと、やはりそれを補佐する職業公務員の集団というのが非常に重要でございますので、その職業公務員の集団をどのようにつくっていくかということをしっかり考えておかなきゃならないということだと思います。その職業公務員の集団のトップを事務次官と呼ぶのか呼ばないのかということがございますけれども、やはり、そういう集団というものをつくっておかなければ、国の重要政策の企画立案に支障が生じるだろうというふうに思います。
 ただ、結論的に申し上げますと、差し当たって、昨年から副大臣とか大臣政務官が任命されておりますので、そういう方々の有効な活用方策というものの議論を深めていただくのが先決じゃないかという気がいたします。
楢崎委員 大体、事務次官から入省一年目の職員まで同じ一般職の国家公務員としてくくって、同じ服務規律を求めていることに無理があるのではないかと思うんですね。
 もちろん、公務員を身分で区分けすることは認められないわけですけれども、内閣を直接的に補佐する政治的任用の公務員、これを特別職として、一方、政治に対して中立公正な立場から行政を執行する職業公務員といいますか、これを一般職としてきちっと区分けをすることが、二十一世紀臨調の提言にもかなうのではないかと思うんですね。ぜひ検討していただきたいと思います。
 次に、天下り問題についてお伺いします。
 大綱ではこのように書いてあるんですね。「我が国が高齢社会を迎えている中、政府においても、専門的ノウハウの蓄積を必要とする分野などにおいて中高齢者の人材活用を図っていくことが重要であるが、」とした後で、「政策企画部門などにおいて人材の流動性を高め、機動的・弾力的な人材戦略を実現する等の観点からは、行政内部で適切な人事配置を図るほか、公務員を退職した者が適切なルールの下、自らの能力を社会で活かしていく道が開かれていることが必要となる。」と書いてあるんですね。
 これはどう読んでも、明らかに、いわゆるキャリア官僚についてはこれまでどおり天下りが必要だと強調している文言に私は思えるのですが、小泉総理の言う官僚の早期退職慣行は見直していかねばならない、つまり在職期間の長期化とは矛盾するんじゃないですか、どうですか。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されましたように、現行の公務員制度の枠の中では、早期退職慣行というものが六〇年代から行われておりまして、公務員の方々の平均退職年数というものは大体年齢で五十二、三歳と言われております。その一方で、年金改革等々が行われまして、年金の支給というものが、段階的ではございますが六十五歳支給、そういう社会がやってくるわけでございます。
 総理が御指摘されておりますように、また私も他の委員会で申し述べさせていただいておりますように、早期退職慣行制度、これは今五十二、三歳でありますが、じゃ、来年から六十歳にしようということは、物理的に在職期間を長くするということでございますのでできませんが、段階的に五十七、八歳に持っていく、そういうことが必要でございますし、その際、やはり年俸、これは御同僚の議員と違う委員会で議論になったところですけれども、六十歳定年としても、年齢と受け取る賞与、給与の合計額のピークというものは必然的に、六十歳あるいは退職年齢五十六、七歳になったとしてもそれより前に来る、そういうことが必要になってきます。
 あるいは、早期退職慣行制度を是正していくには、現在、一つの課長さんなり係長さんなりが在職する期間は平均で大体一年でございますけれども、これを仮に二年にして倍にしたとして、五年間短縮するには単純計算で十年かかる。それを一遍にやれと、乱暴なことをやれば事態は変わってまいりますけれども、公務員全体の定数の問題、あるいはそういうことを行うことによって必然的にポストの就任する期間というものは年齢が高まっていくという問題、これを是正していく上で、やはり適材適所、抜てきということが行われるシステムが確立していませんと、口で言うのは簡単ですけれども、あしたから制度を変えるということができない。
 そういうことはしっかりと大綱の中でうたわせていただいているところでございますし、私も、早期退職慣行というものは、事務方に、これはもう行革会議ができたころからこの早期退職慣行というものは見直していこうということも決めているわけでございますので、その線にのっとって、どういうふうにしたらかなり短い期間で六十歳に限りなく多くの方々が退職年齢を引き上げていくことができるのかということを今検討させているところでございます。
 いずれにいたしましても、国民の皆様方の信頼を確保し得るルールの確立というものを適切につくっていくことが、ただいま委員の御質問に答える唯一の方法ではないかと感想を持たせていただきました。
楢崎委員 時間が参ったようです。
 石原大臣は、四月二十四日の内閣委員会で、六十歳まで働けるようなシステムにすることが大事であり、大臣承認制は天下りを少なくしていくものだと発言されているわけですね。
 なぜ大臣承認制で天下りを少なくできるのか。大臣は、内閣で定める基準を厳しくするんだと言われますけれども、一体どんな基準を定めたら少なくできるのか。それを示してもらわねば議論できません。
 ですから、その基準が示されたときに改めて議論させてもらいますけれども、小泉総理の考え方というのは、今言いましたように、在職期間の長期化、天下り解消だと私は思うんですね。その考え方と矛盾する大綱は見直していただきたい。このことを申し述べまして、私の質問を終わります。
渡海委員長 次に、今野東君。
今野委員 民主党の今野東でございます。
 この決算行政監視委員会でたびたび質問をさせていただいておりまして、きょうは、夕張シューパロダム計画による移転補償の問題、三回目の質問になります。
 この問題は、再三この委員会でも申し上げておりますから、もう委員の皆さんも既に御存じのことでございますが、夕張市のシューパロダム、これの移転計画によって収用補償交渉がなされました。ここで、日北酸素という会社がありまして、ここの移転交渉であります。
 会社の周辺には、クマ出没注意という看板が出ているぐらい、つまりクマが出るようなところです。固定資産評価額は、土地はゼロ、建物それから機械類およそ五千万という補償のところに、工場の機能移転も大きく上回って四十九億という補償をしております。
 これが一体どうなのか。この疑惑についてただしているわけですが、きょうはまず会計検査院にお尋ねいたします。
 北海道夕張シューパロダム計画による移転補償のような場合、これは一般論で結構なんですが、補償内容というのはどういうふうになるのでしょうか。
白石会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 夕張シューパロダムのような工場移転の補償の問題ということでの御質問でございますが、まず、公共用地の取得等につきましては、昭和三十七年に閣議決定をされました公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というのがございまして、これに基づいて補償するということになっているわけでございまして、さらに各省におかれまして、これをもとにしてそれぞれ損失補償基準を制定しているということと承知をしております。
 工場等の移転ということでございますが、工場等の移転補償につきましても、公共事業に必要な土地の取得等に伴う損失の補償ということでございますので、いわゆる、今申し上げました損失補償基準要綱に基づいて補償がなされていくというふうに承知をいたしております。
 私ども会計検査院におきましても、これらを検査する場合には、主にこれらの損失補償基準要綱等に基づきまして適切に補償がなされているかどうかという観点で検査を行っていくというところでございます。
今野委員 つまり、工場などの場合は特にそうだと思いますけれども、今ある工場の機能をそのままに移転するということについての補償をする、それ以上でもそれ以下でもないということですね。
白石会計検査院当局者 少し損失補償基準要綱について敷衍をして申し上げますと、工場等の補償ということにつきまして、例えば用地補償につきましては、要綱では、「正常な取引価格をもつて補償する」、こういうことになっているわけでございます。したがいまして、土地の単価等につきまして、近傍類地の正常な取引価格をもって適切に算定されているかどうかということを見ていくことになると思います。
 また、建物及び機械等の移転補償ということにつきましては、損失補償基準要綱では、「当該建物等を通常妥当と認められる移転先に、通常妥当と認められる移転方法によつて移転するのに要する費用を補償する」、こういうふうになっているわけでございまして、したがいまして、移転として通常妥当と認められる適切な補償となっているかという観点から見ていくということになるものと考えているわけでございます。
 今、委員の方から、機能に関連する問題ということでの御質問でございましたけれども、御質問にございましたような機能面の問題というのも、こういった一般的な移転として通常妥当と認められる適切なものかどうかということを考える際の判断すべき一つの要素というふうに考えられるのではないかと思っているわけでございまして、工場の移転等に関しまして、その機能という面で、通常妥当と認められる補償であるかどうかということで判断をしていくことになるのかなというふうに考えているところでございます。
今野委員 この問題については会計検査院に、今多分検査中だろうと思いますけれども、簡単で結構ですが、院長、進捗状況についてちょっとお話しいただけますか。
金子会計検査院長 具体的な検査の方は検査課の方でしておりますので、現在の検査の進捗状況につきましては局長の方からお答えをさせていただきたいと思います。
今野委員 それでは、大変貴重な時間ですので結構です。しっかりと検査をしていただきたいというお願いだけで。ありがとうございます。
 それでは、扇国土交通大臣にお尋ねしますが、この間の四月十七日の私の質問のときに、大臣も私もおかしいと思って北海道局に聞いたんだ、その内容を話してくださっております。議事録を見ますと、「私も疑問を持ちました。」「企業誘致して土地がただだったのにどうして四十数億になるのですか」「そうしましたら、その建物よりも中に置いた機械、この評価をしたと。」「入った機器、工場の中の機器の値段が評価が高かったと言うから、」云々というお話をしていらっしゃいますが、それは土地に比べれば高いんですね。土地は、平成十三年度の固定資産評価額ゼロですから、それはもちろんです。建物の資産評価額は四千百六十八万二千円です。機械類の固定資産評価額は千百四十六万五千円です。合わせても五千三百十四万七千円の評価しかありません。
 大臣、国土交通省の内部でかなりいいかげんな説明をされています。仮に工場の中の機械の値段が高かったとしても、だから補償金額が高くなるということでは必ずしもないんです。要するに、この工場の機能、日北酸素の場合はガスを生産する会社ですから生産能力です。この生産能力の移転なわけですね。
 日北酸素の生産能力は、資料を皆さんのところにお配りしてありますが、酸素、月産八万二千五百立米、窒素四万九千七百五十立米、アセチレンガス十・七五トン、この生産能力を持つ工場の移転補償なんですよ。ところが、日北酸素は、これも再三説明をさせていただいているんですが、移転太りです。酸素は月産八万二千五百立米から五十万立米、六倍、窒素はこれも五十万立米になって十倍、アセチレンガスは十・七五トンから二十トン、およそ二倍、これだけでも、大臣、十分なんです。日北酸素はこの六倍も生産能力がアップした工場を得たわけです、この移転補償で。
 しかし、日北酸素は、新工場の投資に土地二億四千万円、建物・設備十六億五千万円、十八億九千万円しか使っておりません、四十九億補償を受けて。これは異常な過払い、補償のし過ぎです。背任罪です。
 大臣は、四月十七日の私の質問に対して、法律に基づいて算定していますとおっしゃるものですから、基準どおり決めたんだったら私は納得するしかないなと思ったとおっしゃっていますが、この四十九億二千二百六十万三千九百六十二円という補償した額をはじき出した基準になっている数字はお聞きになっていますか。
扇国務大臣 当委員会で、御存じのとおり、三月二十六日でした。初めてこの質疑を、夕張シューパロダムの話が出ましたときに、私はそれを調査しなさいと、皆さんのおっしゃるとおり、私も疑問に思ったから、明快な調査をしてくださいということで、私は調査をするように申し上げ、そして、国土交通省の北海道局が中心になって調査をして、四月十日に取りまとめて、委員会で御報告したとおりでございますので、これで三度目でございますから、その内容については今野議員がほとんど御存じのとおりだろうと思います。
 算定の仕方も、前回の委員会でこういうふうに算定したということをきちんと御報告申し上げてあります。ですから、その算定方法が、これは法律に違反していないということは、委員はもう既に御承知のとおりでございます。
 公共事業に係る補償の仕方というのは、きちんと、被補償者の具体的な財産内容でありますとか周辺の土地の取引事例など、あらゆる面で客観的に算定をするというのは前回の委員会で申し上げたとおりでございますから、私は、何もないところをわざわざ移動していただいて、そして、法律にのっとって補償額を決めてあるという報告を受けましたので、それが法律違反であればきちんと法律違反としてそれぞれの問題が起きてくると思いますけれども、前回今野議員に申し上げたとおり、算定方法も、近所の土地を見たとかあるいは類似のものを見たとか、あるいは機械もこうしたとかと全部御報告申し上げてあります。
 私は、それが法律違反だとは思っておりませんので堂々と御報告申し上げて、今の算定のこの方式を、配付資料をいただきましたけれども、これはこれでこういう計算の仕方があって、やはり会社は頑張って、移転したけれども頑張って利潤を上げるんだなということは、それがあってしかるべきで、法的に違反であればきちんと法的に対処されるであろうと思っております。
今野委員 私は、四十九億二千二百六十万三千九百六十二円という補償した額をはじき出した基準になっている数字は聞きましたかとお尋ねしているんですが、そのことにお答えにならないということは、聞いていらっしゃらないようですね。
 この積算項目の、積算の考え方、補償額の算定に当たって、補償額積算を補償コンサルタントに発注して、その補償額の妥当性を判断していると国土交通省の調査結果に出ております。実は、ここが非常に大事で、では、このコンサルタント会社はどこかと何度もお尋ねしておりますが、どこなのか言っていただけません。大臣は、このコンサルタント会社はどこなのか聞いていらっしゃるんですか。
扇国務大臣 これは、被補償者のために公表できることとできないことがあるのは、前回の委員会での御質疑でも、今野議員、御存じだと思います。被補償者の立場からいえば、これを公表することによって、正直な算定方法とか会社の内部事情というものを全部出していただけないということがありますので、公表できないものは公表できません。
今野委員 ですから、それがだれもが納得できる数字が出されていて、どこの会社がしたにせよ、ならば公表できるわけです。それが公表できないというのは、この疑惑についてふたをしようとしているというふうに私は考えますが、ここで改めて、林局長、おいでいただいておりますが、もう一度聞きます。これは大変大事なことなので答えてください。
 このコンサルタント会社はどこですか。
林政府参考人 ただいま大臣が答弁したとおりでございます。
今野委員 私は、林局長にここの決算行政監視委員会で何度もお尋ねをいたしました。しかし、ほとんどのことについて答えていただいておりません。今回この質問をするに当たって、どういう内容の質問なのか教えてくれというふうに、まあ質問取り、私のところに参りましたが、それは結構ですと言ったのは、わざわざ事前通告をしなくとも答えていただける内容だから結構ですと申し上げたんです。
 私、調べましたよ、補償コンサルタント会社がどこなのか。一社はズコーシャ、もう一社はドボク管理、そしてもう一社は建基コンサルタントなんです。
 この会社に補償額積算を発注したんでしょう。
林政府参考人 先ほど答弁が大臣からございましたように、用地補償の積算につきましては、被補償者との信頼関係のもとで、相手からいろいろな個人情報を出していただきながらそれに基づいて積算しているわけでございまして、そういった意味でコンサルタント……(発言する者あり)
 ですから、そういうようなことも、まさに会社の中身についてすべて表に出るというようなことに関しまして、私どもといたしましてはお答えできない、お答えを差し控えさせていただきたいということを何度も申し上げているところでございます。
今野委員 そういう説明はもう耳にたこ以上、大だこができるほど聞きましたよ、何回も何回も。局長、言いにくいから言ってあげたんです、私。ズコーシャ、ドボク管理、建基コンサルタントに補償積算を発注したんでしょう。確認です、これは。あなたに言えと言っているんじゃない、言いにくそうだから、確認です。
扇国務大臣 今野議員が御自身でお調べになって三社の名前をお出しになりました。私は、複数の会社に委託しているということは、それだけ公正を期しているということの証明だと思ってお聞き取りいただきたいと思います。
今野委員 こういうふうに出しているにもかかわらず、これは確認したいんですよ。ズコーシャ、ドボク管理、建基コンサルタント。そうです、複数です。確認をもう一度林局長にしたいんですが、あなた、これは私、質問通告しなくてもわかるでしょう、自分で調べたんだから。答えてください。(発言する者あり)
林政府参考人 いや、私どもといたしましては、一切隠し立ていたしておりませんけれども……(今野委員「隠し立てがないんだったら言えばいいじゃないか」と呼ぶ)委員がそのようなお調べをされたということであれば……(発言する者あり)
渡海委員長 御静粛に願います。
林政府参考人 そのようなことを私どもとしてはそうなのかなという感じでございます。
今野委員 そうなのかなということはそうですということですよね。そうですでしょう。もう一度ちゃんと答えてください。
林政府参考人 当委員会におきまして、私どもの答弁といたしましては、先ほど来申し上げていますように、個々のそのような会社名をこの場において公表することについては控えさせていただきたいというふうに考えております。
扇国務大臣 今野議員御存じだと思いますけれども、賠償案件というものは国土交通省関係でも本当に数多くあるものですから、今後も被賠償者の皆さん方の御心情とか、あるいはその賠償交渉が順調に運んでいくということを図る上では、現段階では、私は、当省としては、役所としては、それまでしか答えられないというのはお察しいただけると思います。
 ただ、今事例に関しましては、鈴木議員の関与があったかなかったかということが最初から、これで三度目ですけれども、今野議員の御疑義があるところですから、私は、そういう意味で、今御自身でそこまでお調べいただいて、局長も何とかという答え、それらしいことを言っていますから、私は、そういう意味では、今回に限っては、疑義があるからというその気持ちはわからなくはありません。私も申し上げたいのはここまで出ていますけれども、これはやはり今後の事例になっても困りますので、もし鈴木議員に関連してのことで何かがあるのであれば、今後私は、司直の手できちんとこれが違法であったかどうかということは出てくると思いますので、もうしばらく今野議員も、今までせっかく三回お待ちいただいたんですから、もう一回お待ちいただければ、私は、司直の手で明快になるべきものは明快になってくると思いますので、御了承いただきたいと思います。
今野委員 この場所でそうですとは言いにくいんだけれども、この会社のようですね、ということなんですね。大臣、うなずいていただきましたが。
 それで、この三社のうち二社、ズコーシャとドボク管理は、鈴木宗男議員の21世紀政策研究会あるいは自民党北海道十三選挙区支部に献金しているんです。ズコーシャは一九九六年から二〇〇〇年の間に二百二十万、ドボク管理は一九九六年から二〇〇〇年の間に百四万です。しかも、株式会社ズコーシャは、平成十三年三月期は、北海道庁の贈収賄事件に絡んで指名停止処分を受けている。鈴木宗男議員の支持者に補償積算をさせ、四十九億二千二百六十万三千九百六十二円という補償額をはじき出したんです。これは異常と言えないんですか、大臣。答えてください、大臣です。大臣と言っているんですよ。
林政府参考人 前回もその前も私の方から答弁させていただいておりますように、基準ですとかあるいは要綱等にのっとりまして、適正なプロセスで積算されているというふうに私どもは確認しております。
今野委員 林局長とのやりとりは、本当に会話にならなくて困るんですよ、何にも話してくれないから。
 さて、鈴木宗男議員の関与についてですが、平成十年十二月二十三日から平成十二年五月三十一日までの間に五回、北海道から出張に来て、鈴木議員に説明をしている。その異常さを私、指摘したところ、大臣は、一週間の間に五回だったらしつこいなということもあるかもしれませんけれども、それだけ熱心だということも言えますなんて随分鷹揚なことを言っておりますが、これはそういうことじゃなくて、問題は、その関与の内容なんじゃないんですか。大臣、接触の内容について詳しく聞いていますか。
扇国務大臣 前回も私、今野議員に申し上げたとおりでございます。何回、何日に、何をしたというのを細かく言えということですから、御報告申し上げます。
 鈴木議員から、平成十年十二月二十三日、日北酸素との補償交渉の進捗状況について照会がございました。その結果、平成十年十二月二十三日から平成十三年五月三十一日、五回。一回は、平成十年十二月二十三日、次は平成十一年二月十二日、次は平成十一年九月二十四日、次は平成十二年二月二十二日、最後は平成十二年五月三十一日、この五回において、この会話内容を申し上げます。
 その会話内容につきましては、公共事業は、コスト意識を持って早急に進める必要があり、交渉の進捗を図るようにというのが一回。次は、具体的に圧力を感じたことはないけれども、補償内容に関する具体的な要請もありませんでした。ただし、個別の交渉内容にわたる事項については、本人たちも説明を行っていない。けれども、公共事業に協力してもらえるよう、丁寧な対応をすることというのが、鈴木議員からのお話があったようでございます。
 大体は、進捗状況を聞かせてくれということのようで、何々をしろとか何々をしなければならないというようなことは、私が聞いた内容の中では、御報告の北海道の担当者からは聞いておりません。
 以上です。
今野委員 私、この北海道局の調査結果について大臣がよしと言っているから、全部詳しく知っていると思っているんですが、聞いていないこともあるんですね。
 例えば、第一回の説明です。平成十年の十二月四日、当時の鈴木官房副長官から、北海道開発局官房長、これは山本純一という人ですよ、この人は鈴木宗男議員が北海道開発庁長官だったときに官房長になった人です。この人に日北酸素の交渉の進捗状況について照会があって、十二月二十三日に出張して説明に行っています。十二月二十三日は天皇誕生日です。祝日です。どこに行って説明したんですか、山本さんは。
 大臣に聞いています。大臣が聞いているはずだから、全部これでいいと言っているんだから。大臣、聞いているんでしょう、これでいいと言っているんだから。大臣、答えてくださいよ。大臣だと言っているじゃないですか。大臣、答えてください、これ聞いているかどうか。大臣、全部これ了承しているんでしょう。(発言する者あり)
渡海委員長 林局長。答えてください。
林政府参考人 はい、わかりました。
 ただいまの御質問でございますが、ちょうどそのときは予算内示のときでございまして、その内示時に向けて現地の局から上京していろいろと対応している、その中の時間をたまたま割いてあいさつに行ったというようなことで私どもは承っております。
今野委員 しかし、山本さんは次の日の二十四日、北海道に帰っているんですよ。おかしいじゃない。大臣、これはもう一回やはり調べてもらわないとだめですよ。
 当時の山本純一北海道開発局官房長が第一回の説明に行った後、平成十一年の二月ごろ、鈴木官房副長官が、北海道開発庁事務次官新山惇という人です、この人も鈴木宗男議員が北海道開発庁長官のときに事務次官になった人。平成八年の二月十日、豊浜トンネル岩盤崩落事故のときの北海道開発局建設部長です。この人、なぜか、処分を受けたのかどうかわかりませんが、翌年九年七月には局長になっている、事務次官になっています。この人に電話しています。「丁寧な対応をするよう指摘」したとあります、今大臣がおっしゃったように。
 鈴木宗男議員から言われた新山事務次官は、北海道開発局の幹部に丁寧な対応をするようさらに指示しました。だから、平成十一年二月十二日、今度は、山角博昭という当時の北海道開発局調整官が鈴木宗男議員のところに出張に来て、「移転する相手に丁寧な対応をするよう指導」しましたと言っているんです。鈴木宗男議員から新山さんのところに、事務次官のところに丁寧な対応をするようにと言われ、それを受けた新山さんは、北海道開発局の幹部に丁寧な対応をするようにと言い、そしてこの調整官が、丁寧な対応をするように現場に指示しましたと鈴木宗男に説明をしている。
 この「丁寧な対応」というのは一体何ですか。大臣に聞いています。やはり、これでよしと大臣が言ったんだったら、このことについて全部知っていてくださいよ。
扇国務大臣 今野議員、テープをとっているわけじゃございませんで、私、今申しましたように、五回の日時も全部申し上げました。その局長が行ったり担当者が行ったときのことを全部テープにとって私は聞かせていただいたものではなくて、言ったものを、先ほど申し上げましたように、丁寧に対応しろとか、日北のことが時間がかかっていますねとか、そういう内容のことをきちんと文書で持ってきたのであって、文書で持ってきたものを信用できないからテープ出しなさいと私は申しません。私は部下を信じていますから、現時点では。
 ですから、私はその報告を見ているのであって、皆さんのように一々テープをとってどうこうということではございませんので、私は、要点だけ、我々がこれに疑義があるかないかという要点を私たちは申し上げて、鈴木議員の圧力があったかなかったかというのは、最初から今野議員がおっしゃって、これで三回目でございますから、そのことに関しては、私は、鈴木議員の関与があったかないか、また適正な補償額を出したか出さないかというその基本をしているので、その間の会話が、天気がいいとか悪いとか、そんなこと私は問題にしておりません。
今野委員 私は何もテープをとれとは言っておりません。
 ただ、ここにこの「丁寧な対応」というのが何度も何度も何度も何度も出てきます。ですから、そのことについて、大臣、この報告でいいとおっしゃるのならば、そのことを了解し、この「丁寧な対応」ということが何度も出てくることについて何にも思わなかったんですか、聞かなかったんですかということをお尋ねしているんです。
扇国務大臣 あのね、今野議員。鈴木議員のことに関しては、シューパロダムだけではなくて、北海道あらゆるところで私に御質問がございました。そして、当時の北海道局の皆さん方は、鈴木議員が北海道開発庁長官になられた後、大変威圧的なことを感じたということも、国会の中で私、きちんとうちの職員の報告を報告しておりますから、これだけではなくてあらゆることを私質問を受けております。
 そういう意味では、当時の北海道開発庁長官の就任以後は、北海道開発庁の職員が鈴木議員に威圧的な行為だなと思ったことも、感じたということを私は国会で報告しているんですから、今回の場合もそういうことがあったらいけないから、懇切丁寧にしなさいよと私、今野議員の御質問があったときも、うちの職員には丁寧に御質問に答えなさいよと。これと同じなんです。
今野委員 これだけわからないところがたくさん出ております。この委員会で、ぜひもう一度これらの点について調査をするように、出していただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
渡海委員長 後刻理事会で協議をさせていただきます。
今野委員 時間が来ましたので終わりますが、この夕張シューパロダムのパンフレットがあります。そこに、これをつくるとこれだけいいことがありますよといろいろ書いてあります。「小さな変化で大きな効果を。」なんということが書いてありますが、これは、鈴木宗男議員の小さなささやき大きな補償と書きかえた方がいいんじゃないでしょうか。
 大臣、もう一度よくお調べになってください。やはり不十分ですよ。大臣、これは不作為です、怠慢です。お願いします。
 ありがとうございました。
渡海委員長 次に、塩田晋君。
塩田委員 自由党の塩田晋です。
 本委員会でただいま議題となっております平成十二年度公共事業等予備費に関しまして、扇国土交通大臣にお伺いいたします。
 公共事業は予算全体の中で大きなウエートを占め、我が国国民の貴重な税金を有効、適切に使うべきものでありますし、国土の建設、国民の福祉に非常に貢献しているものでございます。その公共事業の施行に当たりましては、フリー、フェア、オープン、すなわち自由競争、公正、そして公開という原則のもとに、適切に国民のために支出されなければならないものだと考えます。
 もちろん、施行者としての大宗を占めます、公共事業の大きな部分を占めております、平成十二年度におきましては建設省、ただいまの国土交通省、適切に施行されているものと考えます。
 そこで、具体的にこの公共事業等の予備費の中で、平成十二年度、五千億でございます。一般予備費のその一が四百四十八億、その二が三十八億円でございますが、五千億円はほとんど全額と言っていいほど完全に支出をされております。
 これにつきまして、この五千億の中で建設省の所管のものはどのように具体的に手続をされて施行されていっておるか、その例を挙げて御説明をいただきたいのでございます。
 会計法によりますと、この関係につきましては、会計法第二十九条の三の第一項におきまして競争入札の関係、三項におきまして指名競争入札、第五項におきまして随意契約のことが定められておりまして、その詳細につきましても政令で規定されておるところでございますが、具体的に例をとって御説明をいただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕
扇国務大臣 今塩田議員から御説明ございましたように、公共工事が国民の貴重な税金で賄われておりますことは御存じのとおりで、ただ、公共工事の必要性というものを塩田議員が大変評価していただいたことに対して、まずもって見識の高さに敬意を表したいと思います。
 そういう意味で、直轄工事の入札方式について細かいことを説明してくださいというお話でございます。
 決算委員会でございますので、ちょっと細かくということで御報告申し上げたいと思いますけれども、直轄工事につきましては、工事の予定価格の金額に応じて、現在、六億六千万円以上の工事につきましては一般競争入札、二億円以上六億六千万円未満の工事につきましては公募型の指名競争入札、そして、一億円以上二億円未満の工事につきましては工事希望型の指名競争入札、一億円未満の工事につきましては通常の指名競争入札を実施しております。この段階に分かれておりますけれども、四区分と御理解いただければいいのではないかと思います。
 そして、その中身につきましては、御説明を細かくということでございますけれども、一般競争入札に関しましては、政府調達協定の適用となりますことから、競争の参加者資格としてランク制というものをとらないで、対象工事と同種の施工実績でございますとか、対象工事に配置を予定する技術者が適正であるかどうかを競争参加条件とする、このことを公告いたしまして、そして、申し込みを得た者の中から条件を満たす者すべてが競争に参加できるというのが一般競争入札の定義でございます。
 そして、二つ目の公募型指名競争入札に関しましては、工事の概要でありますとか対象ランク及び技術資料の作成ですとか提出方法等について事前に掲示することによりまして、指名を希望する者を公募して、入札参加意欲のある建設業者から提出されました技術資料を踏まえて、指名業者を十社程度選択する入札方式でございます。
 そのときには、より競争性を高めた入札を実施するために、公募した者のうち入札条件に合致する者をすべて指名する詳細条件審査型の一般競争入札を昨年の十一月から試行しておりますので、現在はその拡大を図っているというのが事実でございます。
 三つ目の工事希望型指名競争入札に関しましては、建設業者が資格審査のときに申し出た希望する工事の内容及び工事の規模でありますとかあるいは地域的な特性等を勘案して、技術資料の提出を求める者を十数社から二十数社選択をいたしまして、その中で建設業者から提出されました技術資料の審査を踏まえて指名業者を十社程度選択をいたします入札方式が三つ目でございます。
 最後の通常指名競争入札は、個々の工事発注前に、有資格業者の名簿の中から指名基準を満たしていると認められる者をなるべく十社以上出して、これで選択する入札方式でございます。
 今、入札方式は四つ申し上げましたけれども、これを分けている理由というのは、不良不適格業者の排除、これが大きな目標でございますが、一般競争入札ではその措置に限度がありますから、今言ったような工事の規模や内容によって、信頼できる建設業者の選定とか入札と契約にかかわります事務の簡素化のメリットを有する指名競争入札を実施しているというのが現状です。
 以上が四つの説明でございます。
塩田委員 会計法に従いまして公告され、また申し込みがあり、また実際の札入れの入札が行われるということでございますが、随意契約につきましてはどのように行われておりますか、お伺いいたします。
扇国務大臣 随意契約の根拠についてのお尋ねがございましたけれども、随意契約は、国の機関によります随意契約の根拠法令、これがございまして、御存じの会計法第二十九条の三第四項及び第五項でございます。これは、塩田議員が冒頭におっしゃったことであります。
 この中では、四つございます。一つは、契約の性質または目的が競争を許さない場合、二つ目は、緊急の必要により競争に付することができない場合、三つ目は、競争に付することが不利と認められる場合、四つ目は、契約に係る予定価格が少額である場合、この四つに限って例外的に随意契約を実施することができるというふうに決まっております。
 そういう意味では、国土交通省の直轄工事につきましては、随意契約の適切な運用を図りますために、随意契約ガイドラインを定めております。これもついでに例を挙げさせていただきますと、施工上の経験とか知識を特に必要とする場合については、契約の性質または目的が競争を許さない場合に該当することから、随意契約が適当であると考えて行っております。
 なお、随意契約につきましても、その執行に当たっては、内部に設置しております入札・契約手続運営委員会に諮って、その適切な執行に努めているというのが現状でございます。
塩田委員 ありがとうございました。
 先の競争入札あるいは指名入札に戻りますが、具体的に、公共事業等予備費の執行に当たって、この工事についてどの金額でどの会社にどういう手続でいつ公告をし、いつ申し込みがあり、締め切って、どういった手続を経て入札をするか、これは事務当局の方から細かく具体的に御説明をいただきたいと思います。
風岡政府参考人 十二年度の、当時建設省でございますので、建設省の公共事業予備費の執行ということで、具体的な事案で御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、入札方式。先ほど、大臣の御説明で四タイプがありますという話がありましたが、一般競争入札につきましては、これは本予算に通常計上しますので、予備費の執行という段階では一般競争入札の事例というのは採用しておりません。
 指名競争入札のうち、公募型指名競争入札制度の例として具体的なことで申し上げますと、中部地方建設局発注工事で、東海環状御船高架橋口明塚地区という下部工の工事でございますが、環状道路の下部工工事でございますが、これで申し上げますと、公募型でございますので、技術資料というものを希望者の方に出してくださいという掲示をいたします。これは平成十二年の十月二十三日に掲示をいたしました。資料の提出期限は十月三十日ということで、約一週間、間を置いて資料の提出をお願いしております。
 提出されました業者というのは二十一社ございました。これにつきまして、私ども、内部に設けておりますその適格性を判断する技術審査会というのがありまして、そこで審査をいたします。その上で、十一社に絞りまして、平成十二年の十一月十六日に指名の通知を行いました。
 この十一社に対しては、その後、十一月二十日に現場説明会を行う。さらに、入札でございますが、十一月二十九日に入札をして落札を決定するということで、もちろん一番低い価格ということで、一社落札をしたわけでございます。その会社名につきましては、株式会社フジタでございました。
 なお、金額でございますけれども、落札金額は六億八千五百万円、ちなみに予定価格は七億四百八十九万、こういうのが具体的な事例でございます。
塩田委員 詳細についてお伺いしたわけでございますが、いわゆる公共事業の入札につきましてよく業者間の談合等が言われておりまして、その弊害があって、これの是正のために建設省としても非常に努力をされて、これは是正されたものだと思いますが、諸外国からも批判が出ますのは、どうも参入しにくい、やはり日本の業者ががっちりと組んで、入札に参加してもなかなか事業がとれない、こういうことを諸外国から声を聞くわけでございます。
 そういった事態はもう完全に排除して、本当にフリーに公開して、だれもが参加できるような自由競争の状況になっておるかどうか、また、談合が行われないようにどのように工夫をして努力されたか、そのことについてお伺いいたします。
扇国務大臣 塩田議員も御存じのとおり、公共工事について談合、丸投げ、これはもう本当に情けないことだと思います。
 一昨年、私が建設大臣になって、日本では初めてでございましたけれども、今塩田議員がおっしゃいましたように、フランス、ドイツ、イタリーでは既に公共工事基本法というものがつくってございます。これによって、私どもも、日本では初めてでございましたけれども、公共工事の入札と契約に関する適正化法を皆さんの御協力で、全会一致で一昨年の暮れに臨時国会最終で通していただき、昨年の四月からこの法律が施行されております。
 その中には、今おっしゃったように、外国の皆さん方にも今までもオープンにしているところがたくさんございます。例えば、塩川大臣のお地元の関空も、これは外国にも公表いたしました。そして、今、この入札と契約に関する適正化法の中には、電子入札も書いてございます。電子入札をいたしますと、あらゆるところで、いつだれが幾らでどうしたというのが全部公開されますので、これは談合の余地がないと言えると思いますし、それも明記してございます。
 そしてまた、今回初めてでございますけれども、入札の契約金の事前公表をしよう、事前に契約金を公表してしまえば談合できないじゃないかということで、今回初めて、中部のことで公共工事の金額の事前公表をさせていただきました。これも一歩前進だと私は思いますけれども、必ずしもメリットだけではありません。
 私は、この公共工事の金額の事前公表をしたときに、それぞれの入札業者が積算努力をしなくなるのではないか、事前に公表することによって金額が高どまりになるんじゃないか、こういうデメリットがあるのではないか、そういう懸念もございますけれども、何よりも、談合と丸投げを禁止するためにはあらゆる手だてを実行してみる、そして入札と契約の適正化法にのっとって多くの市町村までこの適正化法の浸透を図るということで、事務次官以下官房長、みんな責任を持って、グループをつくりまして、地方自治団体、市町村までこの契約の適正化法を徹底するようにというのが今国土交通省として実行中でございますので、ぜひ、世の中に貴重な税金でそういうことの二度と起こらないように、私は、昨年の四月以降、この法律が施行された以後、二度とそういうことが出ないようにということを今周知徹底を図っているところでございます。
    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕
塩田委員 今はないと思うんですけれども、かつては、公共事業につきまして、いわゆる天の声というのがどこからとなくおりてきて、そして大体予定されておる業者に落ちるというのが一般的だったという時代もございました。
 これは直ってきているものだと信じますけれども、なお最近におきましても、市長あるいは助役が予定価格を何かのルートを通じて教えた、そして、それによって入札、発注が行われて、そのために刑事事件になっているということは皆さん御承知のとおりでございます。そういった事態は、国の場合はないと信じますけれども、完全にこれをシャットアウトできている体制なのかどうか、お伺いいたします。
扇国務大臣 塩田議員がおっしゃるように、一〇〇%という言葉を本当は使いたいところでございますけれども、私はそこまで言う自信はございません。法にも、あらゆるところで法の目をくぐってという言葉がございますけれども、私は、この適正化法があるから一〇〇%とは言えませんけれども、でき得る限りの今までと違った姿勢を、日本の国で初めてできた法律なんですから、こういう公共工事に対する適正化法というものが、しかも、法律の中には、電子入札等々だけではなくて、談合とか丸投げというものをいささかでも知り得た人たちは公取に通知しなければならないと法の中に書いてあるわけですから、そういう意味では、司直の手できちんと最後まで不適格業者というものを排除するというところまでいけると思っておりますので、一〇〇%に近くいきたいなと努力しております。
塩田委員 ぜひとも、そのように実施をしていただきたいと思います。
 ただ、政治家がいろいろな形でこの過程に関与している、あるいは、政治家本人でなくして政治家のいわゆる公設または私設の秘書が絡んでいる事件は、最近でも起こっておるわけでございまして、これをなくするためには、公職選挙法の改正で秘書をどこまで入れるかといった問題が、今国会あるいは今後問題になると思うんですけれども、そういったものを含めて、政治がそういった公正な競争入札を妨げることのないように、今後とも、我々も十分に監視して進めていきたいと思います。
 それから最後に、随意契約でございます。
 会計検査院も平成十年、十一年度の決算のときに指摘されまして、外務省の問題につきましては私が当委員会でも取り上げたところでございますが、競争入札にすべきものを細分化して、少額の契約にして随意契約で発注しているという例が、これは不適切だと指摘されております。しかも、それによって国費が、財務大臣もおられますが、二、三割近く支出されている、こういうむだがあるということも指摘されておるわけです。これは外務省を取り上げたわけですけれども、ほかの省庁にもかなりあるわけですね。私の知っているものについてはまだ具体的に申し上げませんけれども、かなりあります。
 これはやはり国費のかなりのむだ遣いだということになりますし、非効率であるし、問題だと思います。言うならば、かなりの裁量の範囲があるものですから、行政庁側で任意に相手を選んで、価格も見積もりのままとか、十分審査をしないでこれを発注する、契約するということがあるようでありますし、これは言うならば、官と民間との談合といいますか癒着になるわけですね。
 こういった随意契約につきまして、公正を確保するためにどのように努力をしておられるか、いろいろな配慮をしておられるか、これについてお伺いいたします。随意契約の具体的な例を挙げて説明してください。
風岡政府参考人 随意契約、十二年度の予備費の関係で申し上げますと、これもやはり中部地方建設局発注の気象関係の装置を増設する工事というので御説明をいたします。
 これは当然、一社に対して見積もりを依頼することになりますので、この工事が随契が的確かどうかということがスタートとして非常に大事でございます。
 これについては、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、私どもが随契のガイドラインというのを定めまして、こういう工事については随契ができるというおおむねの基準というのをつくっておりますので、これに適合しているかどうかを審査する。その場合は、発注機関の中の入札・契約手続運営委員会という機関で、その随契発注ができるかどうかということをまず審査をして、随契でいけると判断した場合には相手方に見積もりを依頼するということになります。
 先ほどのケースですと、平成十三年の二月五日に見積もりを依頼いたしました。これもやはり現場説明会を二月七日にやりまして、落札決定というのは二月十四日に行いました。この場合、相手方の見積もりがある場合に、落札するかどうかについては、当然発注機関の中でその工事についての予定価格というのを積算しておきます。この予定価格も、一般の入札の場合と同じように客観的な手法で予定価格を持っておりまして、それとの関係で落札できるかどうかを判断するということで、今回の場合には予定価格以下だったということで落札をしたわけでございまして、具体的な契約は二月の十九日ということにしたわけでございます。
 いずれにしましても、随契は、先生御指摘のように、競争性という意味では、特定の業者と契約をするということになりますので、まず、ガイドラインに適合するかどうかということと、それから、予定価格を適切に設定するかどうか、また、その結果を公表するということがポイントだというふうに思っておりまして、そういう努力をしているところでございます。
塩田委員 随意契約につきましては、かなり自由裁量の範囲が大きいわけでございますし、その中に、口ききとかいろいろな関係から特定の業者に継続して発注するということも間々行われておるわけでございまして、これは非常に問題のところだと思います。
 しかも、これは金額が決まってないわけですね。何億円以下とかあるいは何千万円以下の場合は随意契約ということでなくして、事の性質上、大臣が説明されましたように一社しかないとか、あるいはこのものについてはそこしかないといった問題、競争相手がないとかいろいろなことがあると思うんですけれども、そういった金額も、特に上限も何もないといったところでかなりの自由裁量の範囲があるんじゃないかと思うのです。
 これらについては、今言われました委員会で適正に行われているということでございますが、ぜひともこれが恣意的に行われないように、随意契約については、また脱法的な行為として、先ほど申し上げましたように細分化して、そして随意契約に全部持っていってしまうといったことも他のところで行われておるわけでございますが、こういったことのないように十分に運用について留意をして、適正に入札が行われますように希望いたしまして、終わります。
 ありがとうございました。
渡海委員長 次に、山口わか子君。
山口(わ)委員 社会民主党の山口わか子でございます。
 質問の最初に委員長にお願いですけれども、先ほど決算委員会が開始されるときに、委員の数が十五人しかいませんでした。少なくとも半数はやはりいてもらわなきゃいけないというふうに思うんですが、その辺はぜひこれから委員会が始まるときにチェックをしていただきたいと思いますし、あちこちできょうは委員会が開かれていますから無理もないような気もしますけれども、少なくとも半分はぜひ出席をしていただくようにお願いをしまして、質問に入らせていただきます。
 平成十二年度の公共事業予備費について御質問させていただきたいわけですが、一般会計の公共事業予備費につきまして、平成十二年度は五千億円計上されておりまして、限りなくゼロに近い九千円が不用になったという内容になっております。
 この中身をよく見てみますと、道路整備事業につきましては、特別会計へ予備費から一千五十一億九千四百万円繰り入れをしていまして、剰余金が、決算状況を見ますと、六千三百二十六億五千五百五十一万三千円も生じています。歳出だけを見ても、不用額が四百四十五億二千八百三十一万円出ているわけですから、予備費まで充用して道路整備をしても、結果として使い切れなかったのではないかというふうに思います。
 この公共事業予備費につきましては、景気回復を図るという目的で特別に設けているというふうに聞いておりますけれども、この予備費の使用状況について、本当に実態に合っているのか。予算化しても実際にはどういう状況になっているのかということが私は問題ではないかというふうに思います。こうした予備費の使い方というのは問題ではないかというふうに思っていますし、特別会計に繰り入れしてしまいますと、例えば予備費が使い切れなくても決算上はゼロということになるわけで、その辺がちょっとおかしいなというふうに思うんですが、その辺について、どういうふうにこの予備費についてお考えをしていらっしゃるのか、財務大臣にお伺いしたいと思います。
塩川国務大臣 公共事業等の予備費でございますが、この中で、予見しがたい経済情勢の見方ということもございますけれども、また、それと同じような意味におきまして、景気の回復を図る中で民間需要が予測を下回る等の状況が起きた場合はこれを発動する、そういうこともございまして、仰せのように、道路の計画というものは道路特会に所属する事業が多いものでございますので、その分の後押しをして景気をさらに一層刺激をしていこう、こういう趣旨が入っておったのでございまして、先ほどからおっしゃっている予見しがたい事業が起こってきたのか、そういうことではなしに景気回復の方に重点を置いた、こういうことで御了解いただきたいと思います。
山口(わ)委員 ちょっとこの一般会計の予備費の状況だけを見ますと、確かにほとんど使い切っているわけで、特別会計に入れてしまいますと、これは特別会計の問題だからということで、問題が別の次元に移ってしまうということもあると思いますけれども、予備費という性格上、しかも景気回復という性格上から考えますと、不用額が出るということが、やはり予備費という性格からしても問題ではないかというふうに思います。
 私は、この問題は昨年もたしか空港特別会計について御質問させていただいて、平成十三年度からは予備費の公共事業がなくなるということですので、これ以上御質問は申し上げませんけれども、やはり予算は、本当に必要な予算を使う、国民のいろいろなサービスのために使うということが目標ですので、そういう意味では、予算の使い方についてもきちっとこれからはしていただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。
 二番目に、道路整備につきましては、国民の生活にとってなくてはならない事業の一つだと私も思っていますし、年々経済状況や人口構造も変化してきている中で、当然国民の道路に対する要望も大きく変化してきていると思います。
 国民にとって最も必要な道路は何といっても生活道路だというふうに思うのですが、この生活道路の整備というのがやはり一番おくれているんではないかと思っています。
 特に、高齢者が増加する中で、安心して通れる、例えば歩道の整備とか、地方へ行くほど歩道の整備がおくれているというふうに思いますし、また道路の幅も狭く、車が通るのにすれ違いができないくらいな状況で、歩く人は道路の壁にへばりついていないと危険だという道路もたくさん出ていまして、なかなか道路の拡幅も大変な状況になってきているわけですが、私は、今までは道路というのは車優先だったわけですね。でも、やはりこれからは、歩道や、自転車とか人に優しい、障害者でも通れるような道路整備というのが非常に大事だと思っています。
 その辺について、こうした車優先が中心で本当に安心して渡れる道路の整備がおくれてきたということについて、どういうふうに総括をなさっているか、局長の方からお答えいただきたいと思います。
大石政府参考人 我が国の道路整備の重点がどのように移ってきたのかといったようなことについてのお尋ねでございます。
 もう申し上げるまでもなく、私たち、戦後モータリゼーションの爆発を迎える前は、国道さえ舗装もされていないという状況からスタートいたしました。その後急激にモータリゼーションが進行いたしまして、私たちの、車輪世界を持っていなかったこの国に車が割り込んでくるといいますか、そういう形でスタートしたところでございます。したがいまして、自動車交通を担う幹線道路の整備というものに重点を置いてきたことは事実でございます。
 現在、車の保有台数は七千万台を超えてございますが、ついこの間と言うと大げさかもわかりませんが、昭和三十年には私たちの国には九十万台の車しかありませんでした。それが、五十年には二千九百万台になり、現在の七千万台ということでございますので、こういった状況に対応するための幹線道路の整備は、それはそれで必要だったというように思います。
 しかしながら、昭和四十一年から交通安全の整備計画を進めておりますが、これも、現在は交通事故の死者数九千人を切るといったような状況にまで達しましたが、昭和四十五年には、一万六千人を超えるという大きな交通事故死者数がございまして、交通戦争と言われたような事態もございました。
 そのために、これまでに約十四万七千キロメートルの歩道整備を、交通安全施設等やあるいはバイパス整備に関しまして原則的に歩道を設置するといったような考え方にいたしまして、整備してきたところでございます。
 また、近年におきましては、平成八年からでございますが、車よりも歩行者の通行を優先して歩行者の安全を確保するコミュニティーゾーン、車の、走る側が少しカーブを切っていただいたり遠慮しながら走るという道路整備でございますが、これは大阪からスタートいたしましたが、全国的に展開してまいりました。また、平成十一年の九月には歩道の段差を解消する基準を定めまして、高齢者が歩きやすいバリアフリーな歩道整備に取り組んでございます。
 また、さらに最近でございますが、平成十三年の四月になりましてから、道路をつくる際の基準でございます道路構造令、これは道路法の政令でございますが、これを改正いたしまして、特に都市内の幹線道路につきましては、車道に附属して歩道や自転車道を考えるのではなくて、車道と歩道、自転車道あるいは緑といったようなものが、それぞれに存在を主張していただくような道路空間を構成する、こんな考え方に切りかえまして、歩行者や自転車の空間を車道から独立して位置づける、こんな考え方にもしたところでございます。
 今後とも、歩行者や自転車の安全性と自動車の移動性の両立を図りながら道路整備を進めていく、このような考え方になってきております。
山口(わ)委員 今お聞きしますと、着々と歩道整備が進んでいるというお話で、大変結構だというふうに思うんですが、地方へ行きますと、生活道路は大体市町村道なんですね。この市町村道の拡幅というのは非常に難しい。予算がないということもありまして、一つの道路を完成するのに十年もかかってしまう。たった四メートルの拡幅でもそんな状況だということが悩みの種になっています。
 確かに、市町村の財政が苦しい中で、生活道路を整備するのは大変だというふうに思いますが、やはり住んでいる人たちのことを考えれば、私の地元なんかは、車も入れないという住宅がございます。本当に、急病になったらどうなるんだろうとか、火事でも起こったらどうするんだろうという心配もございまして、道路の整備につきましては、やはり市町村の支援といいますか助成ももっともっとふやしていただくような、これは、どこに住んでいても国民は国民で住民は住民ですから、そういうことも要望だけしますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、高速道の整備について、かなり進んできていると思いますけれども、最近通行料金が高いという理由で高速道の利用が減ってきているのではないかというふうに思うのです。
 その高速道の利用状況についてお答えをいただきたいわけですが、特に、最近規制緩和で全国各地で大型トラックの台数がふえる一方で、にもかかわらず、料金の問題で高速道の利用にブレーキをかけているのではないかというふうに思われますが、高速道の現状について、どんなふうになっているのか、お答えいただきたいと思います。
大石政府参考人 大型自動車等の走行状況についてお尋ねでございます。
 私たち、道路の交通量を見まする際に、走行台キロという考え方をとることがございます。これは、十台の車が一キロ走るのと、一台の車が十キロ走るのを等価に見る、等しいというような物の見方でございますが、その走行台キロという統計でまいりますと、全国の道路の総走行台キロは、平成二年度には六千二百八十六億台キロメートルでございました。このうち、大型車が八百五十二億台キロメートルでございます。これが全体に占めるシェアは一三・六%でございましたが、平成十一年度には、全体が七千六百五十一億台キロメートルになったのに対し、大型車が一千六十三億台キロでございました。そのシェアは一三・九%にふえてございます。これが道路全体の状況でございます。
 一方、高速道路はどうかということでございますが、高速道路の総走行台キロは、平成二年度には四百九十四億台キロメートルでございまして、このうち大型車は百六十二億台キロメートルで、三二・八%のシェアでございます。平成十一年度には、全体が六百七十三億台キロメートルにふえまして、大型車につきましても百七十九億台キロメートルにふえましたが、そのシェアは二六・六%に減少してございます。走行台キロはふえましたが、全体的なシェアとしては減らしている、こういう状況でございます。
 その理由といたしまして、さまざまな要因が考えられるわけでございますが、昨今のデフレ状況といったような経済状況において料金の割高感が生じているということも一因かな、そういう認識は持ってございます。
 そのような走行状態になってきておるということでございます。
山口(わ)委員 私は長野県の出身なものですからちょっと長野県の状況をお話ししたいと思うんですが、長野県の木曽地方を縦断している唯一の国道十九号線ですけれども、年々長距離輸送トラックの通過車両が増加をしてきまして、大変悲惨な状況になっているわけです。しかも、昼夜の別なく、超大型のトラックがほとんどすき間がないくらいな状況で夜中じゅう走っているわけですけれども、大変な騒音と粉じんをまき散らして通過をしているわけです。
 この十年間を調べてみますと、二十四時間交通調査の中で、大型トラックは二千八百七台もこの十年間の間に増加をしているわけです。逆に、中央道、高速道ですが、高速道の交通量は約五百台減少しているということで、本当に木曽路は異常な状況になっているわけです。
 私も実際あそこを夜通ってみたんですが、本当に恐くて恐くてつぶされるかと思うくらいすごい大型のトレーラーが走っていて、しかもすき間がない。とても割り込むなんてことはできないので、わざわざ信号機のあるところまで回り道をしていって渡らないといけないという大変な状況になっているわけです。
 周辺の住民は、そういう中で悲惨な交通事故も多発していますし、民家ではトラックが通過するたびに家が揺れるほどの地響きを立てる、あるいは騒音や不安で睡眠不足になっているという状況が出てきていまして、私ここに、実際の苦情が出ているんですが、かなりたくさん、いろいろな苦情が出ています。
 特に、交通事故が起こりますと、木曽路というのはほかにかわる道路がございませんから、一たん交通事故が発生しますと長時間通行がとまってしまうわけです。そんな状況で、ひどい人は五時間も六時間もたたないと家に帰れない。本当にすぐそばにうちがあるのにもかかわらず帰れないという大変な状況も出ていますし、実際に、環境影響調査もしていまして、粉じんの量がやはり環境基準を超えているという、そんな状況もありまして、私は、これは大変な状況ではないかというふうに思っているんですが。
 何でこんなに木曽路はトラックの台数がふえたかということを考えてみますと、これは私の想像ですけれども、やはり高速道が高いから下を通るのではないかというふうに考えてしまうわけです。実際に、ずっとこの木曽路を通ってきまして、塩尻というところから国道二十号線に入るところに高速道があるんですが、その高速道のインターまで行ってもどのトラックも一台も高速道には乗らないんです。そのまま二十号線を走って東京へ行くんだろうというふうに思うんですが、そのすさまじいありさまに、本当にこれは大変なことだと実は思っているんです。
 どうやったらこういうことを解消できるかと、うちの田中知事なんかも一生懸命考えているようで、道路をもう一本つくろうかとか木曽川の反対側に右岸道路をつくろうかなんて考えて、今一生懸命つくってはいますけれども、非常に急峻な山道ですし、川もあって、とてもあそこに道路を全部つくるなんということは気の遠くなるくらいお金もかかるし時間もかかるというふうに思うんです。
 これを、じゃどうやって解決したらいいかということで、私は、やはり解決の道は、少なくとも夜だけでも高速道を無料化するか、そういう方法しかないと思うんですね。もう一本並行して高速道が走っているわけですから、その走っている道路を使わないでわざわざ十九号線を走るという、このことを解決する道は、やはり高速道料金にかかっているような気がしますが、無料化のお考えはあるのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
大石政府参考人 中央道に並行する十九号の交通状況が非常に厳しいという御指摘でございます。
 確かに中央道はよく使っていただいている道路ではございまして、岡谷ジャンクションから小牧ジャンクション間の平均断面交通量は、平成二年度が二万九千五百八十七台、これは一日当たりでございますが、平成十一年度には三万二千六百八十六台と増加をいたしております。しかしながら、大型車は一万二千四十七台から一万九百十五台というように減少いたしております。
 一方、十九号の中津川から塩尻間の交通量は、測定地点によって異なってはございますが、平成二年度で見ますと一万一千二百四十八台から一万三千八百五十六台に対しまして、平成十一年度には一万四千三百七十二台から一万八千七十一台というように増加をいたしておりますし、特に大型車で見てみますると、五千九百六台ないし六千二百六十七台から、八千百五十六台ないし八千九百十五台というように増加をいたしております。十九号の大型車交通量が増加している一方で、中央自動車道を利用する大型車が減少しているという状況でございます。
 また、恵那山トンネルという極めて高額の費用を要しましたトンネルがございまして、そのために若干の割高料金を設定している等々のこともございまして、高速交通のサービスの提供につきまして、料金の引き下げ等の要望があることは私どもも聞いているところでございます。
 しかしながら、高速道路は道路の利用者による料金で賄っておりまして、平成十二年度で見ましても一兆八千億という料金をいただいておりまして、これを金利、元利償還、管理費に充てておるところでございます。利用者からの料金収入によって賄っているという状況でございますので、簡単に夜間無料ということになりますと、全国の道路でそのようなことを求められるというようなこともございまして、そうなりますと、料金による償還ができないということになるわけでございます。
 簡単にはいかない問題であろうと考えてございますが、しかし、長距離を走る車の料金の逓減政策やあるいは料金別納割引等を入れることによりまして、種々の割引をこの採算性を確保しながら行っておるところでございまして、例えば、大型車のトラックでまいりますと、トラックの払っていただいているお金のうち八二・七%がもう既に別納になってございます。これは約三〇%の割引でございます。このような割引制度を入れることによって、長距離の交通ができるだけ一般国道に残らずに高速に吸収できるといったような方策もやっておるところでございます。
 いずれにいたしましても、昨今の経済情勢の中、料金に対する抵抗が大きくなってきているということは事実でございまして、今後早急に検討すべき課題と考えてございます。
 また、先生からお話がございましたが、あわせて木曽川の右岸道路の整備でありますとかあるいは現道十九号の安全対策等々についても今後進めていく必要があると考えております。
山口(わ)委員 こういうことの抜本的な解決策というのは、なかなかすぐお返事をいただけるというわけにはきっといかないんだろうと思うんですけれども。
 あそこにちょっと行ってみていただければわかると思うんですが、幾らいろいろな施策を講じても、とにかくトラックはふえる一方で、しかも大型になる一方なんですね。規制緩和がもたらした結果ではないかというふうに私は思うんですが、こういう状況をとにかく何とか解決しないと、周辺の住民はじん肺のような健康破壊も起こしかねない状況もありますし、睡眠不足等大変な精神的な不安定状況も起こすということもありまして、あそこの住民はもうたまらないんじゃないかというふうに思うのです。
 ですから、本当にこの高速道のあり方というのは、もっと、もし規制緩和でどんどんトラックの台数がふえてもいいんであれば、やはり高速道の利用についても考えていかないと、基本的な問題としてこれは木曽路に限らないと思うんですね。ほかの道路、ほかの県の皆さんも同じような悩みを持っているというふうに思いますし、これから環境基準の問題もありまして、二酸化炭素の弊害の問題もありますし、やはり高速道をつくるのであれば、もっとみんなが利用しやすい方向にしていかなければいけないというふうに私は思うのです。
 当初は、何か高速道をつくると何年か後には無料になるというお話もちらっと聞いたことがございますけれども、やはり国民の使う道路ですから、みんなが安心して走れる道路をこれからは考えてほしいというふうに思うのです。
 それと、確かにお金がかかるという問題がございましたけれども、最近私も高速を通ってみて、何かETCという施設がどうもあちこちに誕生しているようですが、その中を通ると料金を払わなくてもいいというどうもシステムらしいんですけれども……(発言する者あり)違うんですか、これは。後で料金を払うんですね。ごめんなさい。後で料金を払うというようですが、見てみると通る人がほとんどいないんですよね。
 聞きましたら、何か取りつけ料に三万円かかるんだそうです。一たん取りつけると、後、カードになっていて、そのカードの割引はあるようですが、聞きましたら、今割引のカードがございますよね、例えば五万円のカードを買えば五万八千円になるというカードとそう大して差がないわけですね。そうすると、わざわざ三万円の取りつけ料を払ってまで取りつけてあそこを通る人というのは本当にいるのかと心配になるんですが、こういうのはむだな投資ではないんでしょうか。
大石政府参考人 ETCについてお尋ねでございます。
 我が国のETCは、例えばシンガポールだとかそういうところに比べて大変おくれたではないかという御指摘をいただいておりますが、我が国のETCを採用する際に、車載器、つまり車を識別する能力と、それからカード、個人を識別する能力とをそれぞれ別途に持たせるという考え方で、国際的なISO標準に合致した世界に先駆けたシステムでございまして、これをやることによりまして、当然料金所の渋滞が解消できるとか、あるいは御利用される皆様方がノンストップでお通りいただけるだとか、そういうメリットがあるわけでございます。
 それ以外に、例えばインターチェンジのつくり方が極めて簡便になる、あるいはインターチェンジの間隔をふやすことができる、さらには種々の料金政策、例えば、先ほど先生、夜間は無料にしたらどうかというお話がございましたが、時間料金でありますとかあるいは週末料金でありますとかいったようなことが、現在のシステムではなかなか容易ではありません。しかし、ETCが入ることによってそういうことができるようになるだとか、あるいは首都高のような例ですと、これは均一料金でございますので、一たんお乗りいただきますと現在は七百円払っていただくわけですが、物すごく短い利用の場合、ランプとランプの間が短いような場合、割り引くべきだというお話もございます。首都高は入り口で料金を徴収いたしてしまうものですからそういったサービスができなかったのでありますが、現在そういう機器の設置も進めておりますけれども、ETCが入ることによってそういった方々の、短区間料金利用割引というようなことも導入できるようになるだとかというような意味でいいますと、料金政策が大きく変わるという意味で、これは画期的なシステムだと考えております。
 現在のところは、確かに二・二%程度の利用でございますので大変少ないではないかということでございますが、この立ち上がりは、例のVICSでございますね、画面を見ながら走れるあのシステムが随分普及いたしまして、もう既に数百万台、世界で最高水準のところまで来ておりますが、これの普及状況に比べてそんなに遜色があるものではありません。
 これから種々の割引制度等を入れさせていただくことによって急速に普及が進むのではないかと考えてございまして、もし普及が進めば、先ほど言いましたような料金政策だとかあるいは高速道路及びその周辺、インターチェンジ等のつくり方が変わるということになりますので、多くの方々に御利用いただけるのではないかというように考えてございます。
 また、車載器につきましても、当初売り出した際には八社十二機種しか出ていなかったのでございますが、現在は二十六社から四十七機種が販売されておりまして、本格的な価格競争の時代に入ってきておると見ておりまして、かなり安い機器が普及し始めているようでございます。
 こういった企業側の努力と私たちの割引制度の拡充によりまして早期に普及が進み、より環境に優しい料金所でありますとかそういったものに変わっていければと考えているところでございます。
山口(わ)委員 今本当にこの高速道をどうやって多くの利用者に利用してもらえるか、しかも低価格で高速道を走ってもらえるかということは、やはり地域の人にとっても大変重要な問題になってきます。地域が高速道を通らない車によってもう本当にひどい目に遭っているという状況は何とか変えていってほしいというふうに思いますし、確かにETCはいいのかもしれませんが、ほとんど通らなくて、逆に真ん中にどんと座っているものですから、両側が非常にラッシュになってしまって、並んでいる車が多いという現象も起こっていますので、いいということはわかりますけれども、本当にこの利用がどうなるのかという心配もございますから、それも含めて十分に検討していただきたいというふうに思います。
 最後に、先ほど局長さんもおっしゃいましたけれども、この国道十九号については、トラックの台数が減る予想は今の御答弁でもどうもなさそうですので、そうなりますと、やはり十九号の整備が大変重要になってまいります。特に、非常に狭いんですね、あの十九号線は。片っ方が川で片っ方が山ですから、広がる余地もないということで大変な状況もありますが、それにしましても、例えば中央分離帯の整備ですとか、非常に狭い部分の整備、あるいは交差点対策ですとか避難車線の整備ですとか、地域に暮らしている住民の安全対策をきちっとやってほしいという要望が多分地域からも上がっているというふうに思いますが、私が走ってみただけでも、本当にこれは大変だという思いがございますので、地域の人たちの安全、やはり交通対策というのは安全が第一ですが、その辺について今後どうされるのか、御答弁いただきたいと思います。
大石政府参考人 十九号現道の安全対策あるいは環境対策についてお尋ねでございます。
 私自身も、この道路はよく通らしていただいておる道路でございます。大変厳しい状況にございます。木曽谷が非常に狭いということから、なかなか面を要するような施策はやりにくい、こういうことで、現実に事務所もいろいろ苦慮しながら各種の対策を練っておるところでございます。
 例えば、平成十四年には、大桑村中山の防災対策でありますとか、あるいは山口村の八重島及び大沢、南木曽町三留野における交差点改良等の事業を実施しておりますし、また、過去にも南木曽でありますとかあるいは上松等におきまして見通しの悪い箇所で、これは二車線の道路で極めて珍しい例でございますが、中央分離帯を設置する等々の対策をやってきております。
 今後とも、現道を多くの方々に御利用いただいているわけでございますので、それの安全対策については強力に推進していきたいと考えております。
山口(わ)委員 ありがとうございました。
 時間になりました。この大型トラックは、ほとんど他県から来て、他県に走り去っていく車です。そのために地域が大変な思いをするということはやはり避けていかなければいけないと思います。せっかく高速道もできていますので、高速道を利用するような政策をぜひ考えていただいて実行していただきたいと思います。ありがとうございました。
渡海委員長 次に、大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 政治と金、今国会の最大のテーマの一つとなりました。鈴木宗男疑惑、加藤紘一元自民党幹事長、業際研、さらには井上裕前参議院議長秘書などなどありましたが、中でも、北方支援事業などを含めて公共事業が腐敗、疑惑の温床として使われる、そういう実態が今度の国会の中でも明らかになってまいりました。私も何度か当委員会などで扇大臣にもさまざま見解をただしてまいりましたが、大臣も公共事業と金の問題、これまでにも入札契約適正化法などいろいろ努力をされ、また、三月の当委員会での道路公団と加藤紘一元自民党幹事長の秘書の問題での質問に対して、大臣は、私の担当のところで少しでも正常に戻すようにと注意を喚起することは最大限努力していきたい、こういう答弁もされました。
 きょうは決算委員会で、二〇〇〇年度の公共事業予備費の審議であります。こういう審議に当たって、改めて公共事業にかかわる腐敗、疑惑一掃についての大臣の決意と御見解をまずお伺いをしたいと思います。
    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕
扇国務大臣 今、大森議員からお話しになりました今国会、まさに疑惑国会と言われるくらい、今るるお述べになりました、残念至極でございますし、我々は、法案審議よりも疑惑審議の方が時間が長いと言われるような国会にはしたくない、二度とこういうことがあってはならないということは現に私自身も感じておりますし、今席を同じくする与党とか野党を超えて、議員である以上は、少なくとも、国家、二十一世紀の初頭に、天下国家のことを論じる国会でありたい、それぞれの疑惑で毎回時間を割くことは残念至極であるということを私は冒頭に申し上げたいし、私の所感をということでございますので、改めて私は、今後二度と国会の中でこういう疑惑追及の時間が法案審議よりも長いということのないように、お互いに努力し、また、どこに原因があるかをただしていきたいと思っております。
大森委員 具体的に、大臣として四月二十六日に通達を出されたわけでありますけれども、その通達の冒頭で、「公共工事は、国民の税金により賄われているものであることから、」「いやしくも国民の疑惑を招くようなことはあってはならない。」これは現在の大臣の姿勢を示す通達だと受けとめたわけでありますけれども、この通達の具体的な内容について、どのようなものになっているでしょうか。
岩村政府参考人 御質問のございました通達でございますが、今、委員冒頭におっしゃったように、昨今の公共工事の口きき等を契機として、公共工事に対する国民の不信が高まり、一連の不祥事により建設業界の体質そのものが問われかねないという状況である、これを重く受けとめまして、公共工事の入札及び契約に係る不正行為の排除を徹底することを目的といたしまして、御指摘のように、四月二十六日付で建設業法上の届け出団体に対して発出をいたしました。
 具体的な内容でございますが、一つに、建設業者としての事業活動を行うに当たり、建設業法であるとか公共工事入札契約適正化法とかそういった関係法令を遵守し、入札及び契約に係る不正行為の再発防止に努めること、二番目として、政治活動に係る寄附については、政治資金規正法、公職選挙法等の関係法令の遵守はもとより、国民の疑惑を招くことのないようにすること、三番目として、企業倫理の徹底を図ること等につきまして、業界団体を通じまして各建設業者に周知徹底することとしたものが内容でございます。
大森委員 この通達を出された対象団体はどういうぐあいになっているでしょうか。また、周知徹底のためにどういうことをやられているのか。特に、これは当然各下部機関も下部組織もあるでしょうから、その下部組織への周知徹底はどうされるのか。あわせてお伺いをしたいと思います。
岩村政府参考人 関係の団体、百ございますが、幾つか例を申し上げますと、例えば、日本建設業団体連合会、全国建設業協会、日本土木工業協会、日本空調衛生工事業協会等々、百の団体に発出したわけでございます。
 そして、今挙げたものを含めて九つの大きな団体に対しましては、直接当方の職員が内容を説明し、その団体を通じて各傘下の事業者に徹底を図らせたわけでございます。
大森委員 ぜひ周知徹底をしていただきたいと思うわけなんです。
 この今回の通達にも言及をされているわけですが、一九九三年、平成五年、建設事務次官通達を出されていると思うんですが、その通達の趣旨、背景、これについてお聞きしたいと思います。
岩村政府参考人 平成五年の通達でございますが、平成五年には、いわゆるゼネコン汚職等公共工事の執行をめぐる不祥事が相次いで発生いたしました。建設業者の事業活動のあり方に関し、国民から厳しい批判が行われ、国民の信頼が大きく損なわれた事態にかんがみて発出したものでございます。建設事業者の事業活動の適正化について、五年の七月三十日付で発出をいたしたところでございます。
 内容でございますが、当時は策定されておりませんでした行動規範、これについて整備をするなど、企業倫理の確立についてが第一点。第二点は、政治活動に係る寄附については、政治資金規正法、公職選挙法等の関係法令の遵守はもとより、国民の疑惑を招くことのないよう十分配慮すること。三点目として、独占禁止法の遵守マニュアルの作成等違反行為の未然防止に努めること等、行動規範、マニュアルの整備、そして関係法令の遵守等を中心に、同じく業界団体を通じまして各建設業者に周知徹底をいたしたところでございます。
大森委員 前回のゼネコン汚職に対する国民の怒りも本当にこれは大きいものであったわけですが、今回の場合にも公共事業、前回の場合にも公共事業ということで、ともに公共事業に対して今問われているということになるわけなんです。
 この公共事業にかかわる疑惑については、今お話のあった企業の倫理という面と同時に、やはり二つの側面、公共事業を行う、受注する企業に対して、お金を受け取る政治家、これに群がる政治家、こういう政治家の倫理、政治と金のこういう面での関係も重要だと思うんですね。
 大臣も、先ほどの三月の同じ委員会でこういうぐあいにも答弁をされているんですね。これは、道路公団と加藤事務所秘書との癒着関係のところなんですが、「少なくとも国会の委員会の中で個人名を挙げて疑義を持たれるということ自体が大変残念なことだと思いますし、政治家が国民に不信を抱かれるということはこういうことから始まっている、」という答弁もありました。
 そこで、今回の一連の疑惑、不祥事に見られるように、政治家や秘書が公共事業を受注する企業に群がる、こうした点も問題であり、ここも抜本的に正されなければならないと思いますけれども、企業の倫理を求める、そういう通達を改めて発出された大臣の御見解をこの点でもお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 大森議員が仰せのとおり、前回でも私は申し上げたとおりでございますけれども、少なくとも、企業が政治活動に対して献金を行います場合において、政治資金規正法あるいは公職選挙法等、少なくとも関係法令に従って自主的に判断できるもの、また、これらによって適正に行うというのが必要だというのは御存じのとおりでございます。
 そして、私が通達を出しました大きな要因は、受け取る方も受け取る方だけれども、出す方も出す方だ、だから出す方にも注意を喚起したというのが今回の通達の基本でございます。
 そして、なぜその通達を出したかという根拠を、冒頭に大森議員は自由民主党系のことばかりおっしゃいましたけれども、自由民主党のみならず、あらゆる政党に対して関係の政治資金の受け口がございます。それは自由民主党の国民政治協会であったり、あらゆるところですけれども、なぜ私が通達を出したかという基本は、ちょっと一、二事例を挙げます。いいですか。
 私は、少なくとも委員会に出されました献金の中で、わかりやすいように企業の名前を挙げてしまいます。
 例えば、自由民主党の国民政治協会、株式会社フジタ、これは平成十一年三月三十一日、千二百億円の債務免除を受けております。にもかかわらず、十一年以降、十二年にも献金をしているということがある。あるいは間組、株式会社ハザマ、これは平成十二年九月二十七日、一千五十億円の債務免除を受けております。けれども、政治献金が行われた。三井建設も十三年の三月二十九日に千四百二十億円の債務免除を受けている。あるいは飛島建設、これは平成九年の七月二十八日、六千四百億円の保証債務の免除を受けております。
 だったら、平成九年以後、飛島が政治献金をしていないかというと、この債務免除をした翌年の平成十年でも一千二万円、それから平成十一年には九百四十九万八千円、平成十二年には七百六十七万円というように、債務免除を受けたところからも献金をしているということはおかしいのではないかと。こういう資料を皆さん方がお出しになったので、これを申し上げましたら、早速自由民主党の国民政治協会は、おっしゃるとおりでおかしいから金額にして約二千万を返金いたしましたという報告を受けました。
 そのように、我々は、業者自身も自分たちで自覚を持ってやっていただかなければならない、好意が悪意になる、また法に触れるということはあってはならないということから再度通達を出したというのが現状でございますので、今大森議員がお話しになりましたように、赤字会社あるいは債務免除を受けたところ、赤字会社は三年ですけれども、これはちょっと国会議員でははかり知れない、あなたのところは赤字なのと聞くわけにいきません。ちょっと難しいところはありますけれども、少なくとも債務免除をされたようなところからはおかしい、国民が見ておかしいことはやめるべきである、そういう意味でございます。
大森委員 受け取る方も受け取る方だが出す方も出す方だということで、出す方の所管としての大臣の御答弁だったと思うんですが、あえて受け取る側の問題についても先ほどお聞きをしたわけです。
 そこで、今、各ゼネコンについての具体的なお話もありましたけれども、そこに行く前にもう一つお聞きをしたいわけなんですが、私どものしんぶん赤旗の調査で、ことし三月、自民党は、大手ゼネコンの業界団体日本建設業団体連合会、先ほどお答えがありました日建連に対して献金要請を行いました。
 三月といえば、その直前にムネオハウス問題の暴露、加藤紘一議員や業際研問題などで公共事業への批判あるいは公共事業絡みの不正が次々と明るみに出て、国民の怒りが一番沸騰している、そういう時期が三月だったと思うんですね。そういうさなかに、自民党がゼネコンに献金要請を行った。要請を受けた日建連は、寄附窓口である十日会のことし三月の会合で三億円を目標に各社に割り当て、少なくないゼネコンが三月末までに国民政治協会に振り込んだというわけですね。大臣はこのことは御存じでしょうか。
    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕
扇国務大臣 存じません。
大森委員 私どもの複数の取材で、私どもの新聞にも大きく出したわけでありますけれども、今申し上げたように、三月の末に、寄附窓口である十日会、ここで三億円を目標に各社に割り当て、もう既に振り込んだところもあるというわけですね。それで、しんぶん赤旗の取材に対して、ゼネコン幹部の一人でさえも、鈴木さんや加藤さんの問題で公共事業と金の関係が厳しく問われているときに、よく献金要請できるものだと批判をしていたというわけですね。
 大臣が今も、そのお気持ちのほどはよくわかりましたけれども、いろいろと努力されている中で、こういう献金要請を行うこと、これは、発せられた通達にもあります、国民の疑惑を招くことのないように十分配慮するという通達の趣旨にも反するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 せっかくの大森議員の御質問なんですが、私、十日会というもの自体を存じませんで、十日会というのはどういうものなのかも今初めて伺いまして、十日会というもの自体も私は今の段階では理解ができませんので、内容については、残念ながら赤旗を拝読しておりませんでしたので、失礼いたしました。
大森委員 ぜひ御購読をお願いしたいと思うんですが、今申し上げましたように、これは私どもの複数の、ゼネコン幹部からも取材して確認した内容で、事実に相違ないものであります。
 国民のそういう問題での怒りが本当に沸騰している、そのさなかで、ゼネコンに対して自民党が献金要請をやったということであります。十日会というのは、申し上げましたが、日建連の寄附窓口ですね。ここでことし三月ごろの会合で各社に伝えられた、例年並みの三億円を目標に、資本金などに応じて各社に割り当てたということになっているんですね。
 おっしゃるように、今回については、金融機関から債権放棄を受けたゼネコンは割り当てから除かれているということでありますけれども、しかし、こういう一番国民の怒りが沸騰しているさなかでこういう献金要請を行う、これは十分に国民の疑惑、新たな不信を招く材料になるから、これはいわばひっそりと行われたということだと思うんですね。
 先ほど御答弁になったように、ほとんどの会社が今赤字決算という経営危機にあるゼネコンの献金、本当にこれは問題であると思うのです。大臣は債務免除のゼネコンに対しては厳しく御発言をいただいたわけですが、それだけではとどまらないと思うんですね。
 お配りをいたしました資料の一を見ていただきたいわけなんですが、これは、上場されているゼネコンが自民党の国民政治協会に寄附している表であります。この表は、株主への配当の有無、経常利益等で赤字になっている企業を中心にまとめたものであります。債務免除については注記のところで書いているわけなんですが、配当ゼロのゼネコンが自民党に献金している。
 これは、まとめますと、九八年が十四社で一億六千百六十万七千円、九九年が八社で八千三百七十一万三千円、そして二〇〇〇年が九社で七千九百七十九万円と、合計、延べ三十一社、三億二千五百十一万円。大変巨額の献金を、配当ゼロ、こういう企業が行っているわけですね。
 大成建設、九九年無配、献金額は二千二百二十七万、あるいは熊谷組、九八年からことしまで無配当、これが九八年、九九年そして二〇〇〇年と各年度一千万から二千万寄附をしている。住友建設も九九年無配、これが九九年九百四十六万円、これは先ほどのお話にもありました。
 会社を支える株主に対して一円も配当しないで、自民党には何百万、何千万も献金を行う、これはやはり国民や株主から見て、なるほどもっともだということにはならない、これは納得できないんじゃないかと思います。債務免除の企業にあわせて、こういう無配当の企業が政治献金を行うことについて、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 共産党さんの大森議員からいろいろ資料をいただいて、私も今拝見をしておりますけれども、株式会社で配当していないのに献金するのはいかがかなということですけれども、会社自体が自由主義社会で自分たちの自由経済を守ろうという意味でなすっているのか、その辺のところは私は個別に聞いておりませんからわかりませんけれども、少なくとも疑義を持たれるということは私は考慮すべきであろうと思います。
 今、自由民主党の国民政治協会とおっしゃいましたね。これのリスト、今大森議員の提出資料一というのを拝見しましたけれども、私は、自由民主党が国民政治協会というのをつくっていらっしゃいますけれども、少なくとも自由党も改革国民会議というものがございまして、これは社団法人の日本自動車工業会から二百万円お取りになっていますし、民主党さんも国民改革協議会というのがありまして、これも自動車工業会から四百五十万円、日本自動車販売協会連合会からも四百万円というふうに、それぞれ政党としては、政党活動をする上においてあらゆるところから政治献金を、法にのっとってきちんと処理していらっしゃれば私は問題がないと思います。
 今おっしゃったように不法であるというのであれば、これは法的に処理される、そのために公職選挙法があったり、きちんとあるわけですから、私は、それぞれみんな法にのっとってしていらっしゃると思いますので、今、赤字で無配だからということだけで、これが法に触れているのかどうか、今私の判断ではできませんけれども、一つの政党だけで言わなくて、公平に各政党のことを出していただきたいと私は思います。
大森委員 私は、不法だと申し上げたわけじゃありません、株主や国民から見て納得できることだろうかということを伺っているんです。
 大臣の答弁の中に、冒頭は、いろいろ問題もあろうかということもありましたけれども、こういうのを国民や株主から見て、ああ、これはいいことだと納得できることでは決してないと思うんですね。
 同時に申し上げれば、赤字企業、赤字ゼネコン。特に、今大変な戦後最悪の失業者増、三百数十万と、大変な状況になっているわけなんですけれども、ゼネコンなど建設業界、このリストラも本当に大変なものであります。ゼネコンが赤字を理由に多くの労働者をリストラしている。一方で、こういうリストラされた労働者は本当に深刻な状況になっているわけなんですが、赤字企業が労働者にはそれこそ塗炭の苦しみを与えながら、自民党には献金をがっちりしているということについても、国民の共感を得ることはできないと思います。
 これは、違法だ、不法だと言っているわけじゃありません。国民の共感あるいは納得ということで、大臣もそれはそうだということだと思いますが、念のため、聞いておきたいと思います。
扇国務大臣 念のため聞いておきたいということなんで、念を押されるまでもなく、今まで申し上げましたように、不法は不法、きちんと正していかなければいけないと私は思っております。
 ただ、少なくとも私は、これは弁明ではなくて、一つだけ申し上げておきたいと思いますのは、先ほどから、この資料をいただきました。各都道府県の社団法人の建設業協会というものは、これは各都道府県の知事さん等々の認可でございまして、そういう意味では私にその権限がないという意味ではなくて、各知事さんにもきちんとこの業界というものを指導していただきたいと私は思います。
 少なくとも、国土交通大臣の認可によります日本の社団法人の全国建設業協会は政治献金を行っておりませんので、念のために申し添えさせていただいて、今後、皆さんに疑義を持たれないように指導していきたいと思っています。
大森委員 次の質問に対する答弁もされたわけでありますけれども、答弁にありました社団法人全国建設業協会、これは国土交通省の所管であります。これは、一昨年のKSD問題でも公益法人が問題になりました。それから、昨年の当委員会でも、私、宅建業協会の問題で、同じ公益法人の政治活動について質問もいたしました。今回の決算委員会の決議の中にも、公益法人の活動について言及されるということの一つのそれは理由にもなっているわけであります。
 今回、この全国建設業協会については通達も発せられたわけでありますけれども、もともと、お話がありましたこの全国建設業協会、この公益法人の趣旨についてまず聞いておきたいと思います。
岩村政府参考人 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、全国建設業協会は国土交通大臣の所管の公益法人でございますが、ここからは政治献金をしていないわけでございます。
大森委員 大臣から、都道府県の建設業協会は都道府県の知事の所管だということで、かといって、これは大臣の責任は一切ないということではないと思うんですね。
 そういう意味で、冒頭に、通達を出した際に下部機関にはどうするのか、下部組織にはどうするのかということを伺ったわけなんですけれども、その点、御答弁はありませんでした。
 出した資料に、これは相当多くのものがありますけれども、これは合計で、九八年、県協会で二十一県であります。支部で三十五支部。九八年から三年間で九千四百七十五万三千円、大変巨額な国民政治協会への献金になっております。
 先ほど来申し上げましたように、とりわけ今日の経済不況、特に建設業が本当に大変な状況という中で、恐らくこの建設業協会に加盟する各企業も大変な状況であると思うわけなんですが、それが、こういう全国で、三年間で九千万円を超える献金を政治協会に行っているということは、やはり公共事業とのかかわり合いがあるからこうなっているんじゃないかという、当然の国民の疑義とか思いが出てくると思うのです。そういう意味では、これは単に都道府県知事の問題だからということだけではなくて、ぜひこういう面も、大臣の方からも視野に入れて正すべきは正すということをしていただきたいと思います。
 私ども日本共産党というのは、もともと企業献金そのものを禁止すべきだという立場でありますけれども、しかし、今これだけ大きな批判等が起こっている中で、少なくとも、公共事業については献金を規制すべきだということを主張しているわけであります。この点では、小泉首相も、今国会中に成立させると一時期は発言もされましたけれども、その後、ややトーンダウンしているような状況もあります。そして、そういう中で、与党三党は、三月二十八日に党首会談で、公共事業受注企業の政治献金規制の強化に向けて政治資金規正法の見直し作業に着手するということで合意したと報道されております。
 先ほどの通達の冒頭にもありますように、国民の税金で賄われている公共事業にかかわって、いささかの国民の不信やあるいは疑惑を招かない、有効な規制措置がとられるよう、特に公共事業を直接所管される大臣として、この公共事業受注企業の献金の規制について積極的に閣内で御努力をなお一層されることを要請したいと思いますが、最後にこの点で大臣の御見解を伺って、質問を終わりたいと思います。
扇国務大臣 大森議員の御要請は御要請として、みんなが感じていることでございますし、この委員会でも、皆さん与野党超えて、思いは同じであろうと思います。
 冒頭に私が申しましたように、法案審議よりも疑惑質疑の方が長いのは、これはもうあってはならないことでございますし、先日も、一昨日の参議院の予算委員会、私御一緒しておりましたけれども、小泉総理もきちんと、企業献金は全面的に悪であるとは思わないけれども、透明性を高めて、そして不正がないような処置を講ずる必要があって、与野党の中で十分に論議していただきますと総理も予算委員会で私の横でお答えになっておりました。
 それが今おっしゃった与野党の三党で合意されたものであろうと思いますので、私も、少なくとも、特に建設業ばかり目のかたきにされているような、疑惑を持たれているようなところがなきにしもあらずでございますけれども、仮にも公共工事を受注するということに関しては、姿勢を正すのは当然のことでございます。少なくとも、法律をつくっておりますので、それを遵守して、政治資金規正法でありますとかあるいは公職選挙法に触れることのないような、最大の、堂々と仕事をして、堂々と皆さんの前に公開できるという姿勢だけは保ってほしいということを再度指導し、また見守っていきたいと思っております。
大森委員 終わりますが、建設業だけを目のかたきにしているということでは決してありませんで、建設業の健全な発展、目のかたきにしているのは政治と金の醜い癒着だ、これを一掃するために私ども大いに頑張るということを申し上げて、私の質問を終わります。
渡海委員長 これにて本件についての質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。大森猛君。
大森委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました平成十二年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書について不承諾の意を表明します。
 本予備費の内容は、関西国際空港、中部国際空港など大都市圏の拠点空港の整備、東北・北陸・九州新幹線及び高規格幹線道路の整備など、国家プロジェクト推進と称する大型公共事業に千二百六十六億円を使用しています。
 本調書の説明では、「最近の経済情勢等にかんがみ、景気の下支えに万全を期すために必要な公共事業等の経費に係る予算の不足に緊急に対処するため」となっています。しかし、配分の中身は、今指摘したように大型プロジェクトが中心で、中小企業には仕事が回らず、大手ゼネコンだけが潤う仕組みになっています。
 景気対策のためというかけ声で、公共事業の積み増しを進めることは、国や地方自治体の財政破綻に拍車をかけるだけでなく、景気回復にも役立たないことは既に証明済みであります。
 しかも、本予備費の配分の大枠は、さきの衆議院選挙の解散当日、連立与党三党で決められたものであります。まさに、選挙目当てに予算を利用するものにほかなりません。
 このことは、二〇〇〇年七月二十六日付の日経新聞の社説で痛烈に批判しています。社説は、「同予備費の信用を失墜させたのは連立与党三党の政策担当責任者が露骨にも衆院解散の当日に配分の大枠を決め公表したことだ。選挙目当てのやり方が、世論の批判を浴びたのは当然だ。その大枠も、全体の二割の一千億円を沿線地域への利益誘導色が濃い整備新幹線に、無駄遣い批判の強い農業基盤整備に一割の五百億円を割り振る一方、環境対策にはわずか四%、情報基盤整備には二%しか回さず、あたかも“利益誘導予備費”とも言うべきものだった。」と述べています。
 また、同社説は、予備費のあり方についても指摘をしています。「内閣の責任で支出できる予備費は憲法で「予見し難い予算の不足に充てるため」と規定されている。」「整備新幹線や農業基盤整備が「予見し難い予算不足」とは到底言えない。当初予算に盛り込むとバラマキ批判を受けるので予備費に潜り込ませた印象もある。」と指摘しているのであります。これらの指摘は的を射たものであります。
 なお、本予備費の中には、有珠山、三宅島、神津島、新島の災害復旧、防災対策や、東海豪雨対策など承諾できる予備費も含まれています。しかし、全体として、本予備費は、利益誘導型のばらまき予備費であること、また、財政民主主義に反した予備費の使用をしていることなどの理由により、本予備費使用調書の承諾には反対であります。
 今、政府が緊急に取り組むべきことは、大型プロジェクトなどの見直しを初め歳出のむだや浪費にメスを入れること、消費税の減税、健保改悪などの福祉切り捨て計画の凍結や雇用を拡大するなど家計を温める施策が強く求められているのであります。
 最後に、このことを指摘し、私の討論を終わります。
渡海委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 これより採決に入ります。
 平成十二年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)について採決いたします。
 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
渡海委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
渡海委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十三分散会


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