衆議院

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第3号 平成17年4月13日(水曜日)

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平成十七年四月十三日(水曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 細川 律夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 菅  義偉君

   理事 鈴木 恒夫君 理事 津島 恭一君

   理事 長浜 博行君 理事 前田 雄吉君

   理事 山名 靖英君

      井上 喜一君    今村 雅弘君

      大野 松茂君    斉藤斗志二君

      坂本 哲志君    柴山 昌彦君

      谷川 弥一君    中山 泰秀君

      橋本龍太郎君    平沼 赳夫君

      福井  照君    藤井 孝男君

      増田 敏男君    山本  拓君

      渡辺 博道君    石田 勝之君

      内山  晃君    岡島 一正君

      岡本 充功君    加藤 尚彦君

      末松 義規君    樽床 伸二君

      本多 平直君    松崎 哲久君

      松野 頼久君    古屋 範子君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   総務副大臣        今井  宏君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   国土交通副大臣      岩井 國臣君

   会計検査院長       森下 伸昭君

   会計検査院事務総局次長  石野 秀世君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   会計検査院事務総局第三局長            高山 丈二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 齋木 昭隆君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 佐藤  悟君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際社会協力部長)        神余 隆博君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    鹿取 克章君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          西阪  昇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  田中 慶司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (国土交通省航空局監理部長)           谷山  將君

   決算行政監視委員会専門員 奥村 卓石君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     坂本 哲志君

  武藤 嘉文君     渡辺 博道君

  河村たかし君     松野 頼久君

  橋本 清仁君     本多 平直君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 哲志君     石田 真敏君

  渡辺 博道君     武藤 嘉文君

  本多 平直君     橋本 清仁君

  松野 頼久君     河村たかし君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 分科会設置に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 分科会における政府参考人出頭要求に関する件

 分科会における参考人出頭要求に関する件

 平成十五年度一般会計歳入歳出決算

 平成十五年度特別会計歳入歳出決算

 平成十五年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十五年度政府関係機関決算書

 平成十五年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十五年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――

細川委員長 これより会議を開きます。

 平成十五年度決算外二件を一括して議題といたします。

 総括質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官遠藤善久君、外務省大臣官房審議官齋木昭隆君、外務省大臣官房参事官佐藤悟君、外務省大臣官房国際社会協力部長神余隆博君、外務省領事局長鹿取克章君、財務省主計局次長松元崇君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官西阪昇君、厚生労働省健康局長田中慶司君、経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君及び国土交通省航空局監理部長谷山將君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

細川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

細川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷川弥一君。

谷川委員 自民党の谷川弥一であります。

 本論に入ります前に、現代日本の混乱、以下述べる四つの大問題の根本原因に触れたいと思います。

 この本は、一九四六年二月、GHQ労働局諮問委員会十一人のメンバーの一人として来日し、日本の労働組合法等、労働法の策定に参加したヘレン・ミアーズ作「アメリカの鏡・日本」です。この中に興味あることが多々ありますが、その中から三つ取り上げます。

 一つ。ホワイトハウス声明、ポーリー報告、マッカーサー通告等で言ったこと。断固として日本を懲罰し、拘束する。懲罰によって、野蛮な人間どもの戦争好きの性根をたたき直し、金輪際戦争できないようにする。そのために、生きていくのがやっとのものだけ与え、あとは一切をはぎ取ってしまおう。やつらを倒せ、そして倒れたままにしておけ。

 二つ。教育制度、宗教、葬式、婚姻の習慣、伝統芸能、礼儀作法からキスの仕方まで、日本の文明がアメリカの規制を受ける。日本の文明の中で戦争願望のもとになっていると判断したものはすべて打ち壊す。

 三つ。アメリカ人はぜいたくなことを考えるから、占領経費を節約しようとはしない。将校宿舎や官舎の生け花代、本国への電報、電話代、キャンプの維持費、文民専門職と秘書の給料、その他生活のお楽しみ代は日本人が負担した。

 一九四七年一月三十一日付ニューヨーク・タイムズ。日本の新年度予算で約四百億円が占領経費に充てられる。仮設宿舎と一般職員用住宅建設費八十億二千万円、占領軍用道路、飛行場など建設工事費三十五億二千万円、占領軍関係者が起こした交通事故補償金六億二千万円。政府予算は千八百四十五億円、うち占領費二一・六八%。

 ちなみに、私の通った中学校は、この五年後に百万円で建設された。

 こんな状況で戦後の日本は出発したのです。

 本論に入ります。

 以下、日経記事を使って述べます。こういう記事です。

 国民一丸となって働き、一九四〇年代後半から三十年間、所得の伸びが一人当たり年平均八%、人口の増加率が一%。所得の増加と人口の増加が合わさって、自分が納めた保険料の十三倍強の年金がもらえた。一方、人口が毎年一%減り、一人当たり所得の伸びがゼロで推移すると、三十年後の受給額は、今自分が納める保険料の七割にしかならない。

 一九七三年のオイルショック以降、高度成長に終止符が打たれた。本来なら、それが明確になった時点で年金制度を抜本改革しておくべきだったのである。小手先の手直しに終始したツケが、世代間の不公平という形で現役世代を圧迫している。

 財務省は、ことし三月二十二日の参院財政金融委員会で、二〇〇五年度末の国と地方の借金総額が千九十三兆円になるとの見通しを明らかにした。GDPの二倍の規模になる。しかも、国債発行残高は二〇〇四年九月末時点で五百八十七兆円、うち金融機関の保有残高が五百三兆円。ほとんど金融機関が保有していることになる。何らかの理由で長期金利が上がると、政府は約千百兆円の一%でも十一兆円だから大変だし、結果として、国債の下落で金融機関はおかしくなる。血の出るような努力で解決しつつある不良債権問題も振り出しに戻るのではないか。

 どうしてこうなったかというと、二つ原因があるのです。

 その一つ。一九七〇年、昭和四十五年の社会保障給付費は国の一般歳出の五八・三%ですが、平成十四年度、二〇〇二年のこの数字は一七六%です。つまり、国力以上の社会保障を続けているのです。

 その二。日本と同等の社会福祉を実施しているEU諸国、その財源である消費税を比べると、日本五%に対して、イギリス一七・五%、フランス一九・六%、ドイツ一六%、イタリア二〇%、スウェーデン二五%です。その違いは一目瞭然である。

 ここでよく考えてください。こんな要求を国民がするようにしむけたマスコミ、学者、評論家並びにそれに唯々諾々として従った当選回数の多い政治家、特に、当選するためにそれを要求した野党の政治家、天下国家のために命がけで抵抗しなかった与党の政治家の罪は大きい。なぜなら、ここで何の反省もなくまた満州事変をやっているからです。

 私たちの子や孫、今から生まれてくる赤ん坊の取り分を、国債を発行し、それをふやし続けて社会福祉増大に対応するということは、後世代への侵略以外の何物でもない。

 なぜこんな民族に成り下がったのですか。アメリカの占領政策で日本の伝統文化が破壊されたからである。

  敷島の大和心を人問はば朝日ににほふ山桜花

  花をのみ待つらん人に山里の雪間の草の春を見せばや

  あしひきの山川の瀬の響るなべに弓月が嶽に雲立ち渡る

 大臣、御所見をお伺いしたい。

谷垣国務大臣 今、谷川委員から、現在の財政状況、ここまで悪化させた責任はどこにあるのか、そして、そのことを、やはり日本人が日本人としての責任と心を忘れているのではないか、そういう趣旨の御質問であったのではないかと思っております。そして、こういう状態を放置していくことが次の世代にツケを先送りすることになるではないか、その責任をどう自覚しているのか、こういうお問いかけであったのではないかと思います。

 私は、こういう状態になってきたことについては、これはいろいろな御議論があろうかと思います。確かに、委員のおっしゃるように、そのときに国民にはっきり物を言えなかった、本当のことを言ってきちっとやってこれなかったという責任もあると思います。また、私どもが予想できないような経済状態が、予想できないというのはまた不明も恥じなければなりませんが、非常に経済の混乱があって、それを下支えするためにやむを得ず財政を出動せざるを得なかったということも私はあると思います。

 しかし、いろいろなことを申しましても、結局これだけのツケを次世代に送らなければならないことは、私ども政治に関与した者の責任であるということは間違いございませんので、何とかしてこれを少しでも整理をし、少しでも財政を立て直す方向に道筋をつけて、次世代にツケを送らないでよいような財政体質、政治体質をつくっていかなければならない、こういうふうに思っております。

 これは大変厳しい道であるというふうに思いますし、私どもも選挙をやってまいります場合に非常につらいことも多いと思いますが、少なくとも私どもの世代は、そのために、要するに自分たちの政治上の信念すべてをかけて、このような道筋を探っていかなければならないのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。

谷川委員 ほかに、先ほど言った四つの大問題の財政破綻のほかに、少子高齢化、環境破壊、家庭の崩壊があるんですが、少子高齢化についてですが、日経、ことしの二月十四日の記事によると、第一次ベビーブームの昭和二十二から四年に毎年二百七十万人、第二次ベビーブームの一九七三年に二百九万人の子供が生まれております。二〇〇三年にはそれが百十二万人しか生まれていない。子供が減れば、人口も減っていく。

 この予測によれば、二〇〇〇年に一億二千七百万人であった日本の人口は、五〇年に一億人、二一〇〇年には六千四百万人になる。しかも、単に人口が減るのではなく、若者が減って高齢者がふえる形で全体の人口が減少していくのです。六十五歳以上の人口は二〇〇〇年の二千二百万人から五〇年には三千六百万人にふえていく。そのときの社会福祉にどう対処するのか。

 例えば、四月七日の朝日新聞によると、政府の経済財政諮問会議が昨年まとめた重要政策の基本方針、骨太二〇〇四に対する民間議員による点検結果によれば、高齢者医療費の抑制や社会保障制度の見直しについて、取り組みが全く行われていないと批判し、六月にまとめる骨太方針二〇〇五で医療制度など一連の社会保障改革の見直しスケジュールを明示するように求められています。

 ここで考えていただきたいんですが、関係者の皆さんにお尋ねしますが、本当にわかっているんですかね、こんな記事を見てみて。何も手をつけていないと言っているんですからね。

 だから、私がさっき言ったように、四十五年と二〇〇二年の比較を見て、社会福祉費に対する一般歳出の比率が五八から一七六に上がっているよ、それから消費税が、世間相場、G7に出てくる人たちの国に比べて圧倒的にうちが少ないよ、そして、社会福祉だけはその国と同じようにせいと国民が言う。世論形成されていくこの日本の国情の中で、だれも本当を言っていないじゃないかと私は言っているんですよ。どこにもないじゃないですか。

 野党の先生方はこれを票をとろうという材料にする、与党の先生方もそれにおたおたする、そう攻めてこられるから。結局、百年単位で日本を見て、今ここで、こうだ、頑張ろうと言う政治家はどこにもいないじゃないかと僕は言っているんだ、きょう、ここに立って。だれが守っていくんですか、日本という国を。だれが、我々の孫子のために、こういう日本にしたいと。

 だって、僕らの親は、悪いけれども、昭和二十一年、二年、想像してみてください、食い物がないんですよ。田舎の方です、二百戸か三百戸の田舎なんです。そこで、家を建てる棟上げ式とか結婚式とかがあるんですよ。そうしたら、このくらいの二合半の升にすしを入れて固めて、一個ずつ配っているんです、机の上に。それを自分は食べないで持って帰ってきて、我々子供に五等分してくれたんですよ。自分は何にも食べない。これが人間のすることでしょう。自分が食わないでも、自分は餓死してでも、子供のために、子供の幸せのために残すというのが親の務めでしょう。

 それを、私どもは平然と子供の取り分をどんどんどんどんとって、借金をつくって、社会福祉やっていっているんでしょう。何の権利があるんだと僕は言っているんですよ。何の権利があってそんなことをするんだ、今の大人は。なぜそれに対してどこからも異議ありが出てこないのか、そのことに対して。僕は今の話を聞いておって、大変だ、よしというのが感じられません。

 その上に、なおかつ少子高齢化ですよ、環境破壊ですよ、家族の崩壊ですよ。何日か前に、仙台の商店街にトラックが突っ込んだ。あんなことは今までなかったんです、日本には。とんでもないことが次から次に起こってきているんです。その根っこには、私どもの伝統文化を占領軍によって破壊された、日本人が日本人でなくなった、ここに僕は根本原因があると言っているんです。その件について何かコメントはありませんか。

谷垣国務大臣 谷川委員の憤りは、私も共感するところがあるわけでございます。

 ただ、今のお話の中で、全く手がついていないというのも、私は、現状認識を正しくしているゆえんではないと思います。

 例えば、今、ツケ先送り、次の世代にツケを先送りということでございますけれども、やはりそれに対する対策に着手しようという動きは、このところの政治でもいろいろございます。

 例えば、昨年、年金でマクロスライドというのを入れました。これに対しては、いろいろな御意見もあるでしょう。まだまだ不十分だという御意見もある。しかし、やはりこれは、我々の社会保障制度を身の丈に合ったものにしていこうという意味では、私は意味のあったものだというふうに思います。

 ですから、私どもは、財政を再建して、それから社会保障を維持可能なものに、持続可能なものにしていくためにやらなければならない、目標を立ててやらなければならないということを、私も就任以来、相当口を酸っぱくして申し上げたつもりでございます。

 まだまだ委員の御指摘のように道は半ばということであると思いますし、それから、委員のおっしゃいますように、そうやっていろいろなこと、ここまで来た中には、見通しの足らないこともたくさんございました。委員のおっしゃる中で、これだけ人口が減っていく、少子化になっていくというのは、やはり、私どもが過去いろいろなときに議論をしたときに、十分ここまで見通せなかったことは事実でございます。

 それから、高齢化が進んできた、これは寿命が延びたということで喜ばしいことでございますけれども、少子高齢化と相まって、体力がある意味で弱ってきている面があるのは事実でございます。

 私どもが十分見通せなかったことも多々あるわけでございますが、その根本が、今委員は占領軍によって我々の魂が骨抜きにされたという意味のことをおっしゃいました。私は、そういう面もないことはないと思いますが、すべて占領軍のせいにして私どものこれからの責任を回避するわけにはいかないという気持ちも持っております。私は、どうしたらこれを立て直して道筋をつけられるかということを、この委員会でも皆さんと一緒に真剣に議論をさせていただきたい、このように思っております。

谷川委員 これでもか、これでもかと言うつもりはありませんが、私が本当に言わんとすることは、何か、当選順位が古ければ偉いというような雰囲気がありますが、古い順々に責任があるんだということも頭に入れてください。古い順々に国家に対する責任はあるんだ。そうしないと、日本の一番の大きな問題というのは、国民が自分が果たすべき役割を果たさないで要求をする、こういう風潮ですよ、一番大きな根本原因にあるのは。それが、占領政策による、自由だ、自由だということにつながってきたんだと僕は言っている。それともう一つは、日本の本当に家族を愛し、弱い者を守っていこうという温かい伝統文化も消えていったんだということを僕は言いたいのでありまして、何もしておらぬと言っているつもりはないんです。

 そうはいっても、総務省が一月二十八日に発表した労働力調査によると、二〇〇四年に六千六百四十二万人と六年連続減少し、一九九八年比で百五十万人減っているんですね。高齢化に加え、働く意欲を示さない若者がふえている、こういう記事もあるんです。

 こういうことを考えたときに、日本の、いわばおれはリーダーだと思っている人たちが各界にいるんですが、この人たちに本当に気づいてほしいというのは、根本原因に、例えば二、三日前、テレビでやっていました。カッコウは、ほかの鳥の巣に卵を産む、そして、それを知らないでその親がかえす。自分の子供を人に温めて生まれさせて、えさもやらせる。そして、そのかえったカッコウのひなが、生まれてすぐ、卵を本能的に巣からほうり出すんですね。僕は、見ておって、生きるというのはこれだけ厳しいことなんだと。そういう厳しさというものも日本には足りない。何か、人が育ててくれるのが当たり前だ、困ったら助けてくれるのが当たり前だ、そういう文化になっているということを僕は言っているので、そういうこともぜひ頭に入れてください。

 最後に、時間の許す限り、今度は全く矛盾した話をさせていただきます。

 財務省を中心に、今財政再建を、公共事業をまず切ると。これは、自分の信念じゃなくて、マスコミがどうも公共事業を切るのが非常に好きですからね。物すごく好きなんですよ、日本のマスコミというのは公共事業を切るのが。私のところの諌早干拓なんか要らぬから早くつぶせというようなことをよく言うんです。もう一つは、熊本の川辺川ダムなんてやめればというような論調でしょう。非常に好きなんです。もう一つは、今度は地方交付税を切れの大合唱で、財務省も好きですね、これを何としても切ろうとしていますね。まあ切ってください、いいでしょうよ。

 ところが、僕は質問しますが、私のところの長崎県なんか、二百二十億切られてえらい目に遭っているんです。そして、このままいったら赤字再建団体になるということで、五百億カットして何としても赤字再建団体にならないようにしようとしているんですが、結果として、年間二千三百億あった公共事業が千百億になっております。

 ここで考えていただきたい。五兆、六兆、八兆切って、公共事業はもう全部ゼロにしましょうや、七兆円あるんでしょう、ゼロにしましょう。金利が一%上がります。国債の利払い、借金が一千百兆円あるとさっき言っているんですから、一%上がったら十一兆円上がるんでしょう。

 一%上がる夢を見ませんか、大臣。副大臣、見ませんか。一%上がるかもしれませんよ。いや、当然上がりますよ、そのうちに。だって、こんな低金利が永遠に、未来永劫続くわけがないんですよ。じゃなくて、三%上がりますね。一応、関係にいる人たちは、三%上がることは当然想定しているところがある。そうすると三十三兆円上がるんでしょう。税金はほとんど全部利息で吹っ飛ぶんですよね、全部じゃありませんけれども。そうすると、私どもの公共事業を五千億、三千億切ったってどうもならぬでしょうよ、どうもならぬでしょう。

 だから、財政再建というのは、歳出カット、増税、それから景気浮揚とあるんですが、ちなみに、非常に次元の低い話でまことに申しわけありませんが、私の田舎は、公共事業はというと一番の、第一次産業なんです。二番目が農業、三番目は漁業、四番目はなし、そういう島なんです、離島というのは。そこで何の構えもなしにばさっと五割切ったら、どんなになると想像していますかね、財務省は。どんなになるか。だって仕事がないんですから。

 おまけに、山ももう飯が食えないんです。諸般の状況は触れる時間がありません。全くもう山では生活できません。米で食えというんですか。魚をとって食えというんですか。観光で食えというんですか。要するに、公共事業を切ったらもう仕事がないんです。そこで何の構えもなしに全国的にばさっばさっと切ってくる、こういうことを、全く矛盾した話をしているんです。

 私が言わんとすることは、分母の大きい福祉を薄く広く切っていって五兆、八兆、十兆という金を生み出さぬ限り、公共事業を切ったって、地方交付税を切ったって、それは物すごい劇薬、影響を与える割には、本当の財政再建にならぬのじゃないかと言いたいんです。

 何か所感があれば。

谷垣国務大臣 今の財政状況を前提にして考えますと、私どもは、ここは特別だとか、ここは聖域だとか言うわけにはまいらない、これは私の信念でございます。

 それで、今委員がおっしゃったことは、日本の過疎地等は公共事業に頼っているのに、本当にこういうようなやり方でいいのかというお問いかけだったと思います。

 財政を立て直していく上には、やはり大きなところをある程度整理していかなければ進まないということは明らかでございますから、そのときに、私どもは、どうしても社会保障というものを身の丈に合った構造にしていかないと長続きするわけにはいかない、私はそう思っておりますので、やはりそこが一丁目一番地、一番の主戦場だろう、そこをどう合理的なものにしていくのかというのは一番の主戦場だろうと思います。

 委員のおっしゃるように、今まで公共事業にやや攻撃の的、ターゲットになってきた面があることは事実でございます。それで、諸外国に比べましても、日本の公共事業関係費というのはかつて多かったことも事実でございます。それでずっと抑えてきたというのは、私はある意味ではこれはやむを得ざることであったと思います。今後もまだ、そういう傾向を直ちに緩めていいところまで来たとは思っておりません。

 ただ、一方、よくよくこれから議論をしなきゃならないことは、今おっしゃったような離島等はどうするのかという問題。あるいは、日本は昨年も随分いろいろな経験をいたしましたけれども、自然災害というものもヨーロッパ先進国等に比べまして圧倒的に多い国であるということも事実でございます。そういうこともよく頭に入れておかなければいけないという気持ちは持っております。

 それ以上に、これは役所の書いた答弁では全然ございませんで、あるいはこういうことを言うと差しさわりがあるかもしれませんが、私がよく覚えておりますのは、サッチャー政権の後メージャー政権ができまして、その後、選挙で地すべり的にイギリスの保守党は負けたことがございます。それで今のブレア政権になりました。

 ちょっと私、記憶が正確でないかもしれませんが、あのときに、では保守党がどういうところで負けたかといいますと、どこも地すべり的に負けているんですが、ウェールズとかスコットランドとか、ああいうところは保守党の議席が一つもなくなったわけでございます。

 それで、こう言うと失礼でございますが、ウェールズとかスコットランドというところへ行ってみますと、大変自然のきれいな田舎、よいところでございます。言ってみれば、日本でいえば、委員のおっしゃる離島のようなところとか、あるいは、関係者がいらしたらしかられるかもしれませんが、下北半島や津軽半島の先のようなところで保守党はすべての議席を失ったというのが、あのブレアが政権をとったときの選挙でございました。

 私は、あれを見て、サッチャーがやろうとした道は、どこかイギリスが通り抜けなければならない道だったと思います。あのかつての英国病というものを克服して、そして繁栄をつくっていくためには、サッチャーがとった道は通り抜けなければならない道だったと思います。しかし、そのサッチャーの努力の結果、努力とあえて申し上げますが努力の結果、過疎地は相当痛んだんだろうなと私は思いました。

 日本が今たどっておりますのも、サッチャーがやったのとあるいは似ていると思います。サッチャーがたどったような努力を私ども日本もどこかでやっておかなければ、先の道が開けない。それは、苦しいからといって簡単に手綱を緩めるわけにもいきません。しかし、私どもは日本全体をやはり見なきゃなりません。今おっしゃったような地域がどうなっているのかということもよくよく視野に入れながらこの道筋を進めていかなければいけないということを、このブレアが勝ったときの選挙は私どもにも教えているのではないかと思います。

 ですから、私も、そういうことをいろいろ考えながら、やはり締めるところは締めないと、余り緩めちゃ財政は再建できないなと悩みながら進めておりますので、その辺は谷川委員もよく御理解もいただき、また御教示もいただきたい、こう思っております。

谷川委員 質問しようと思ったことは大体お尋ねしたんですが、時間があるので、残して終わるのももったいないので、さらに別のことを話させていただきます。

 一番大きな問題は、これはこの間もどこかで僕は言ったんですが、マスコミが将来の日本を、先進国もしくは理想とする国に比べて、トータル的に、いい、悪いを総合的に引っ張っていこうという論調じゃない。むしろ、政権を持っている権力者をたたこう、そのことによって、権力をたたくことが自分たちの仕事だと。確かにそれはそうでしょうけれども、それだけに力が行き過ぎて、どっちかといったら受けねらいが多い、根本原因の中に。こう言ったら国民が喜ぶぞ、こう言ったら視聴率が上がるぞということでいく。

 それから評論家も、呼んでもらえないからね、それに合わせないと。大体わかりますよ、私も県会議員を十七年やっておったので。世論の動向に合わせた発言をしないとテレビに出してくれないんです。だから、私もわかるよ、出たいために言っているんだ、ある意味では。しょっちゅう出る人がいいとは限らないわけです。本当にいい人は、そっと野に置けレンゲソウですよ。余りそうでもないのが出てきて、びゃあびゃあやっているんだなということであります。

 それで、困った問題は政治家ですよ。どのくらい勉強しているのか知りません。どの程度、哲学、理念、宗教心を持っているのかも私はわからない。ただ、何か知らぬけれども、いずれにしても通ってきているんです、何らかの理由で。通ってきているのが偉いとは限らぬのですよ。むしろ通らぬ方が偉いかもしれない。だって、本当を言ったら落ちるんだから。

 私は、自慢じゃないけれども、一カ月半で虎島和夫という人の後継で選挙を戦ったんですよ。そこで二つ褒めてもらいたいことがあるんです。一つは、医師会から呼ばれまして、候補者は全部ですよ、あんたは自己負担の三割を二割にすると言え、こう言うんですよ。私は、言えない、そんなことをしたら国家が破綻する、先生、助けてくださいよと逆に言ったんです。そうしたら、相手候補は、やります、こう言うんですよね、何々党ですけれども。もう一つは郵政ですよ。長崎県で賛成と言ったのは私一人ですよ。それは袋だたきに遭いました。

 そういうことを考えたときに、落ちる覚悟で、落ちるのが、自民党は野に下るのがすばらしいことですよ。政治家は落ちるような信念で戦うのが本当ですよ。なぜそういう情熱が出てこないか、それはやはり歴史観だと僕は思いますよ。歴史観、政治哲学、それから天を恐れる宗教心、そういうもろもろのものがあって、よく言葉にすると酸いも甘いもかみ分けたというのかな、そういう、いわばいぶし銀のような政治家が少なくなった。悪いけれども、顔がつるっとしている。何でか、悩んでいないからですよ。

 ぜひこれを取り入れていただきたいんですが、どこでも言うので、またばかがと言われるんですが、いかなるかこれ仏法的々の大意。これは、仏法の真髄とは何ですか、意訳すると、人間、どんな生き方をするのが正しいのか。こういう質問に対して、いろいろなことを言っているので、きょうはもう、この間の委員会でも言ったので言いません。ただ、私は曹洞宗ですが、道元禅師が、そのとき留学していたのは中国です、帰国第一声、眼横鼻直と言っているんです。目は横に、鼻は縦についている、当たり前ですよ。当たり前のことを当たり前に言う、この強さが政治家に欠けている。

 もう時間が来たのでやめろという通知が来ましたからやめますが、とにかく、大臣、本当の真髄を政治に結集せぬとだめですよ。これだけは強くお願いしておきます。政治家は真髄を結集しないとだめだ、今までのやり方がいいとは限らない、それを強く僕はお願いして、やめます。

細川委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。きょうは、この決算委員会でお時間をいただきましたことに、心より御礼を申します。

 今、谷川先生から、財政再建のお話、また公共事業等々のお話がございました。確かに今、日本の財政は非常に苦しくなっているという状況でありますけれども、ただ、一般会計約八十兆で税収四十兆という現状と、それ以外に、実は特別会計というのが御承知のようにあるんです。今の財政をよくしていくためには、この特別会計をうまく活用していくことが財政再建の大きな道ではないかというふうに私は思いまして、今、我が党でも特別会計チームというのをつくりまして、この一つずつの特別会計の中でいかにむだがあるのか、また、これをほかの政策経費に回せる部分がないのかということを精査しているところでございます。

 そういう中で、きょうは空港特会と言われる中の、そのまた下の財団法人でありますけれども、空港環境整備協会という財団がございます。この財団について幾つか質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 ちょっとこの財団の経緯を紹介させていただきますと、昭和四十三年に設立をされて、主な業務としては、当時は航空機の騒音防止や公害等が非常に社会問題になった時期でありました。この時期に設立をされて、一つのメーンの業務が、電波障害におけるNHKの受信料の負担というのを肩がわりしているという事業がございます。そしてもう一つ、騒音調査等、要は航空障害等の調査をしているというのが、本論、一般会計の方でやっている事業でございまして、お配りをさせていただいた資料の1というのをちょっとごらんになってください。まず、これが財団の理事等の現状でございます。

 そしてもう一つ、私がこの財団で大きく問題があるなというふうに思っていますのは、全国で二十三の空港の横に隣接をしています駐車場の管理運営をしているんです。もしかしたら、昭和四十三年に財団が設立をされまして、四十四年からこの空港駐車場の管理運営をしているということですので、当時はまだ、まさかここまで飛行機を使う人が多くならないだろうという予想のもとで、空港の駐車場運営を受け入れてくれる会社がなかったのかもしれません。

 しかしながら、今、これだけ車が発達をし、また飛行場を使う人員がふえてきた中で、この駐車場収入だけで約八十三億円、こういう利益を上げています。それに対しまして、駐車場であります国有財産を借り上げる賃料が約二十億円、差し引き六十三億円、この駐車場の管理運営に関しての事業で利益を上げている財団でございます。

 そして、この財団の中にはまた一般会計と特別会計、空港の特会の下にありながら、またその財団が一般会計と特別会計を設けている、これも不思議な話なんですけれども、その中の一般会計では、公益事業会計とも言うんですが、メーン業務としてのさっきの電波障害等々のものを行うのと同時に、もう一つ、その調査をやっているわけです。そして、特別会計というのがもう一つありまして、その特別会計の中で空港の駐車場の運営をしている、また環境調査事業というのをしている。この二つのメーンの業務をやっている財団でございます。

 これがざっと財団の概要でありますけれども、ちょうどけさの読売新聞の社会面に大きく出ていますけれども、まず、これは国土交通さんに伺いたいんですが、この財団に全国の二十三の空港の国有地の使用許可を長年続けているという法的根拠があれば教えてください。

岩井副大臣 今お話しの空港環境整備協会についてでございますけれども、空港周辺の騒音対策の推進に寄与いたしまして、周辺住民の生活環境の改善を図るということで、国が行います環境対策とはまた別に、それを補完するということを目的といたしまして、民法第三十四条に基づきます財団法人として設立されたものでございます。先ほど先生のお話しになったとおりでございます。

 現在、この協会は、全国で国が直接管理しております空港が二十六空港ございますけれども、そのうち二十二空港につきまして空港の駐車場の運営を行っております。これは、協会が行います周辺環境対策事業の財源をそれで確保する、そういうことでございまして、財源確保に不可欠なものということでございます。国有財産法に基づきます行政財産の使用許可を受けまして事業の運営を現在行っている、そういうものでございます。

松野(頼)委員 ですから、この財団に独占的に使用許可をおろしているというその法的根拠はあるんでしょうか。

岩井副大臣 法的根拠はあくまでも民法第三十四条に基づきます財団法人ということでございます。

松野(頼)委員 それはその財団の設立根拠法であって、空港の駐車場をこの財団に独占的に許可をおろしているという根拠法はあるんですか。

岩井副大臣 許可の根拠につきましては、国有財産法に基づいてやっております。国有財産法に適用する形で、その範囲内で行っております。

松野(頼)委員 違うんです。ちょっと質問に答えていただきたいんですが、国有財産法は国有財産を貸して収益を上げることをただ認めているだけでありまして、国有財産である駐車場をこの財団に独占的に長年にわたって使用許可をおろしている、そこの使用許可をおろしている部分の根拠法はあるんでしょうかという質問です。

岩井副大臣 今、先生おっしゃいますように、国有財産法の中に独占的にやっていいということは特別書いてございません。

松野(頼)委員 これ以上これをやってもしようがありませんので、要は、国有財産法というよりも、国土交通省がここに、この財団に対して、独占的に駐車場の許可をおろす、これは国有財産法に基づいてやっているところなんですけれども、これに対する根拠法はないんです。そこの確認はいいでしょうか。

岩井副大臣 それで結構でございます。

松野(頼)委員 それで、これは財務副大臣に伺いたいんですが、国有財産法におきまして、長年一つの財団が、この財団に当てはめると駐車場の使用許可をおろしていますので、これも平成十六年の六月に、こういう通達を出していらっしゃいます。

 これはいわゆる蔵管一号というものなんですが、「国の庁舎等の使用又は収益を許可する場合の取扱いの基準について」という部分なんです。要は、大蔵省管財局長から各省の大臣官房会計課長に出した通達でありますが、この中に、国有財産を貸す、使用許可をおろす、「相手方の選定」という部分がありまして、その五番目にこう書いてあります。「相手方の選定に当たっては、透明性、公平性を確保するとともに、資力、信用、技能等を十分調査しなければならない。」そして、「具体的には、公募になじまないと判断される場合を除き、公募により選定するものとする。」という通達を出されているんです。

 これに関して、この財団がこれに当てはまると私は思うんですが、その辺の認識はいかがでしょうか。当てはまるのか、当てはまらないのか。

田野瀬副大臣 私の方からお答え申し上げたいと思うんですが、行政財産の使用許可につきましては、当該財産を所管する各省各庁が行うこととされております。そうすれば、財務省は何をするのかということでございますが、財務省においては、国有財産を総括する立場から、使用許可に関する通達を出しておるところでございます。

 委員おっしゃるように、平成十六年六月に通達の改正を行いましたところでございます。使用許可の相手方の選定については原則として公募を行うこと、公募を行うことなく継続して使用許可を更新できる期間については原則として五年を限度としたところである等の通達を行ったところでございます。

 そんなことで、空港の駐車場につきましては、その使用許可については国土交通省が所管しておる、こういうことに相なるわけでございまして、国土交通省の判断に基づいて今運営をされておる、こういうふうに承知しておるところでございます。

松野(頼)委員 財務副大臣、それはちょっと認識が違うと思いまして、これは国有財産法において、まず十一条に、財務大臣は、各省庁の長の所管に属する国有財産につき、その現状に関する記録を備え、常時その状況を明らかにしておかなければいけない。これは、財務省がすべて情報を管理し、見ていなければいけないというのがあります。

 そして、その前の第十条に関しては、不適当な場合には財務大臣は各省庁に対して勧告等ができるという権限を持っているわけですから、各省庁にまたがっている国有財産に関しては財務省がある程度こういう方向で示しなさいということを言える立場にありますので、その立場に基づいて発せられた通達がこの通達だと思うんですね。

 ということは、相手先を公募しなさい、独占的に一つの財団なり企業なりに選定をすることはいけませんよ、できる限り、公募になじまないこと以外の内容については公募をしなさいということを財務省が各省庁に言っているんです。

 これに伴いまして、もう一つ、会計検査院が平成十四年度の会計検査報告の中で、やはり、東京、大阪の各航空局にいわば空港の会計監査に入ったときに、空港の駐車場の使用に関して決算検査報告を出していらっしゃいます。この中でも、透明性、公平性及び競争性を向上させることが必要と認められたということと同時に、確保するために駐車場運営者選定の仕組みについて検討していなかったことは問題だというふうに会計検査院も指摘をされているわけです。

 ですから、この財務省の通達が出た後、そして会計検査院が検査をした後、この二十三の空港に関しては、本来、業者を選定する場合には公募をしなければいけなかったんです。国土交通副大臣、これに伴ってこの後、公募されましたでしょうか。

岩井副大臣 先ほど先生おっしゃいました蔵管第一号、当時大蔵省でございますけれども、昭和三十三年の通達によりますと、「相手方の選定」というところで、公募が確かに原則にはなっておりますけれども、公募になじまない事業もあるという例示が幾つかございまして、その例示の中に空港の駐車場というのは入っていないんですけれども、どれが公募になじむのか、なじまないのかということの判断につきましては、それぞれの省庁に任せられておるということでございます。

 私ども、当時は運輸省、今は国土交通省でございますけれども、この二十二の駐車場の財団による管理につきましては、公募になじまない、財団が適当であるとずっと考えてきておるわけでございます。

松野(頼)委員 駐車場の運営管理は専門性を要するんでしょうか。公募になじまない状況とは別紙には書いていないと思いますけれども。

岩井副大臣 先ほど申し上げたかと思いますけれども、周辺の騒音対策といいますか環境対策を、国が直接行う事業のほかにいろいろとありますので、それはやる必要がある。それの財源を確保するためにこの駐車場の管理を行っておるということでございまして、言うなれば、騒音対策と駐車場管理はまさに一体不可分の関係になっております。

 そういうことから、財団に駐車場の管理も含めて、一体ですから、騒音対策だけじゃなくて駐車場も含めて財団に管理せしめるのが適当であるというふうに考えておるわけでございます。

松野(頼)委員 その答弁、ちょっと違うんじゃないでしょうか。平成十五年の十月二十七日に航空局飛行場部長名で大阪、東京航空局長に対して、要は、この会計検査院の指摘を受ける前、検査に入られているときに、「今後は、新たに供用される駐車場の構内営業の承認を行うに当たっては、駐車場料金等を要素とする公募制を実施するよう、運用改善を図られたい。」ということを国土交通省自身が通知しているんですよ。

岩井副大臣 空港は現在、二十六あるわけでございます。そのうち二十二をこういう形でやっておるわけですけれども、それ以外に、今後もいろいろと新たな空港が建設されつつありますし、できていくと思います。

 この文書の中身、「新たに供用される駐車場の構内営業」云々、こうなっておりまして、二十二全部とは言いませんけれども、全国の主要な空港、これはまだ騒音対策が残っているところはいっぱいあるわけでございまして、そういうふうに全体を管理、総合的に管理するためには、現在の形態も必要ではないかな。すべてを公募にするのが適当であるのかどうか、その辺は大いに疑問があるというふうに考えております。

松野(頼)委員 これは答弁が全然矛盾しているんじゃないでしょうか。この通達、今後は公募にしますよということを言っているじゃないですか。それで……(発言する者あり)この通達、持っていませんか。(岩井副大臣「持っていますよ」と呼ぶ)持っていますか。これに書いてあるんですよ、一番下の方に。だから、今後は変えますよということを言っているし、財務省も会計検査院もこの業者の選定について、これはちょっと問題なんじゃないですかということを言っているんです。

岩井副大臣 この文書をよく読めということでございますが、ぜひ皆さん方もここでよくごらんいただきたいと思うわけであります。

 文書は、最後のところ、こうなっています。「このため、今後は、新たに供用される駐車場の構内営業の」云々、こうなっておりまして、先ほど私が申し上げました答弁で間違いはありません。

松野(頼)委員 今後はこうするというのは国土交通省が言っているだけであって、会計検査院も財務省の蔵管一号でも、今後はなんということはどこにも書いていないんですよね。それは、今後はと判断されたのは国土交通省でありますけれども、この二十三の空港は、毎年使用許可がおりているんです。そして、三年に一度更新をしなければならないんですよ。そのちょうど更新時がことしの三月三十一日だったんです。

 こういう通達が平成十五年から行われていながら、今後は変えるようにしますと。ただ、今までの二十三の空港に関しての使用許可は、ことしの三月三十一日に更新であったにもかかわらず、また無視をして更新しているんですよ、この三月三十一日に。これは明らかに蔵管一号を無視しているのと、会計検査院の指摘をまさに無視している。

 会計検査院は今後こうしなさいなんということは絶対言いませんから、過去の検査ですからね。それを、今現在のこの駐車場の独占的使用許可をおろしていることに対して、業者選定をもっと公募にしなさい、公にしなさいということを言っているんです。なぜこれを三月三十一日に再更新をするときに守らなかったんですか。

岩井副大臣 まず、会計検査院の指摘に対する私どもの対応でございますが、指摘を受けまして、先ほど先生御指摘のように、平成十五年十月付の航空局飛行場部長の文書がございます。東京航空局長、大阪航空局長に対します文書でございますが、この文書につきましては、基本的に、文書で了解をとるわけではございませんが、会計検査院の内諾を得ているものと理解しております。

 それから、蔵管一号、要するに国有財産法に基づく行政財産の使用許可との関連でございますけれども、運用基準が昨年改正されました。今後は許可の期間を一年以内とするとともに、五年間は引き続き許可を受けた事業者にその許可を更新することができるというふうに認められておるものと解釈しております。

 そういうことでございまして、環境整備協会につきましても、平成二十一年までは引き続き許可を更新することができるものと考えておる次第でございます。

松野(頼)委員 それは副大臣、全く認識が違いまして、今のおっしゃられた五年間というのは経過措置なんですよ。これが平成十六年に出された蔵管一号でありまして、これから五年の間は激変緩和。急に、いきなり次から公募にして業者に入れなくなったら、それはちょっと余りにもひどいだろうということで、激変緩和措置として今読み上げられた部分をやっているわけであって、この間はやっていてもいいんだよという認識ではないんです。この間に徐々に変えていきなさいよということを言っているわけですよ。

 今、会計検査院は過去のことについて言われたわけじゃないと言われましたけれども、会計検査院、ちょっと答弁してください、違いますでしょう。

高山会計検査院当局者 お答えいたします。

 本件の検査報告は、先生御質問の検査報告でございますけれども、国が設置した空港内駐車場について、駐車料金の審査、承認を適切に実施することというようなものでございまして、その中で、本院の指摘に対して国土交通省が講じられた改善の措置としては、二点ございます。

 まず一点は、空港内駐車場の駐車料金でございますね、これを見直しを指導するということが一点でございます。それからもう一点は、新規に供用する駐車場の運営者の選定については、公募制を導入して複数の事業者から選定することとする旨の掲記をいたしております。

松野(頼)委員 では、会計検査院はその先のことまで認められるんですか。

高山会計検査院当局者 それについて御答弁いたします。

 本件検査報告におきまして、駐車場の運営者の選定について、新規に供用する駐車場の場合というふうにしておりますのは、本来は、既存の駐車場の運営者についても複数の事業者から選定するということが望ましいわけでございますけれども、既存の駐車場では、それまでの運営者が、例えば料金収受機であるとかあるいは出入り口ゲート等をみずから設置するなどいたしまして設備投資を行っております。そういう事情もございまして、直ちに複数の事業者から選定するということが既存の駐車場の場合難しいというようなことを検査院として認めたわけでございます。

松野(頼)委員 要は、二十億の賃借料で八十三億の利潤を上げている空港駐車場の運営管理なんです。

 別にこれをどうこうということよりも、このお金で何をやっているかというと、さっき空港周辺対策だというふうにおっしゃいましたが、その空港周辺対策の中身をちょっと申し上げますが、カラオケセットを配ったり、パークゴルフをつくったり、小学校にサッカーのゴールを寄附したり、いいことかもしれませんけれども、三十五年間この空港の利益によって、地域対策だ、地域対策だということでたくさん物を配っている。ありとあらゆる、もう配り切れないぐらい、騒音対策だと言いながら和太鼓を配ったり、カラオケを配ったり、どっちが騒音対策かわからないようなものまで配っているんですよ。私は、もうこの財団の使命は終わったと思いますよ。地元の自治体に戻すとかいう何らかの改善措置を講じるとともに、それか、もっと財政再建のために使うなら、それでもそれは結構です。

 果たして、これが今この時代に、この財団が行っている事業が必要なものなのか、ものじゃないのか。そして、一晩泊めると、二晩泊めると、羽田なんか八千円、九千円という駐車料金を利用者は取られているわけです。そのお金を使って三十五年間以上もこういう事業をする必要があるのかということ。まして、独占的に契約をすることに関しましては、財務省もそして会計検査院も公募をしなさいということを言っているわけですから、どうか、公募をして、できれば料金を少しでも安く、それか、地元の自治体に戻す等々の改善措置を考えていただきたい。

 これは通告していませんけれども、目の前に財務大臣がいていただいているので、今の議論を聞いていただいて、どうでしょうか、感想をお聞かせいただければと思います。

谷垣国務大臣 先ほど、蔵管ということでおっしゃっていただきました。

 これは、いろいろなことがございますので経過措置をつけたわけですね。これは、今までずっと継続してきたものについては平成二十一年三月までの間は公募によらないこともできるという経過措置でございます。

 したがって、具体的な使用許可について各省、この場合で言えば国土交通省ですが、それぞれの空港等の駐車場の実情もあると思いますので、それは国土交通省において実情を踏まえて判断していただかなきゃならないわけですが、私は、これは公募に切りかえる時期については、蔵管一号と言われた、改訂版ですね、その通達の範囲内で、国土交通省の長が、いつ切りかえていただくか、適切に御判断をいただくべきことだと思っております。

松野(頼)委員 どうもありがとうございました。

 またこの問題は引き続きやっていきますので、どうか国民にとっていい方に改善をしていただきたいことをお願い申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。

細川委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 本日は、大変御無理申し上げまして、町村外務大臣にもお越しいただいて、今の日本を取り巻く外交状況について、ぜひ御報告そして御説明いただきたいと思いましてお願いをしたところでございます。

 多くの皆様方がもう御存じのとおり、今、日本の外交が大変厳しい状況に置かれているのも事実だと思っております。言うまでもなく、韓国、中国といった近隣諸国との関連が大変厳しい中でございますけれども、先般、先週末ですか、反日デモが起こった中国、また、韓国においても同様の日本に対する厳しい抗議の運動が出ているようでございます。

 こういった状況の中で、今、日本は、国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指しておるわけでございますが、今この現状を踏まえた上で、今後の見通しについて大臣から御説明をいただきたいと思います。

町村国務大臣 常任理事国入りの見通しというお尋ねでございました。

 もとよりこの常任理事国入り、そのための前提としての国連憲章を変えなければいけないわけでございますが、これは大変難しい作業でございます。特に安保理の関係で言うならば、国連ができて六十年のうち憲章がその関連で変えられたのはたった一回だけでございます。非常任理事国の数をふやすという改正が一回行われただけ。この一事を見ても、それでも、日本国憲法はまだ一度も変えておりませんけれども、でも憲章はまだたった一回だけということから見ても、各国の利害が錯綜する中で大変に難しい作業だ。だから、今まで過去に何度かそういう雰囲気が出て議論が盛り上がったけれども、結局何も手つかずで今日まで来ているというのが現在の姿だろうと思います。

 したがいまして、私も、もとよりそう容易なことでいくとは思っておりません。特に、三分の二の国の改正案についての批准、承認が必要で、その三分の二の中には現在の常任理事国五カ国がすべて含まれていなければいけない。その中には、したがって、中国もアメリカもロシアも、こういうことになるわけでありますから、そういう意味で、大変容易なことではないな、こう思っております。

 ただ、委員御承知のように、昨年来からずっと各方面での議論が盛り上がり、三月にはアナン事務総長の報告書も出され、今、毎月開かれております、国連総会では専ら国連改革、特にその中心である安保理改革の議論が大変活発に行われてきております。そういう状況の中で、事務総長報告は、九月に各国の首脳が集まりますが、その前までにしっかりとした結論を出すように、そういう報告をまとめておりますので、私どもとしては、そういう方向に沿って、志を同じくする国々と一緒になって今努力をしております。

 確かに、中国その他、今後しっかりと話をして理解を得なければならない国があるのも承知をいたしておりますけれども、私としては、外交努力を行うことによってこうした国々の理解を得ることは可能である、こういう判断に立って、今後引き続き努力をしてまいりたいと考えているところであります。

岡本(充)委員 昨日、私、夜のニュースを拝見しておりましたので、大臣がおっしゃられているそのニュースの内容と非常に同じことをおっしゃっていただいたわけですけれども、私が見させていただいた番組の中でも大臣が御指摘をされていた今のお話でございます。

 その道のりが大変厳しいというのもよくよく承知はしておる中でございますが、今回の中国との関係をよりよいものにしていくための取り組みというのは今後どのように行っていくのか。大臣がちょっと御予定もあるようでございますので、大臣に重ねて御質問をさせていただいて、十七日からの日中外相会談に向けての御決意を含めて、お話をいただければと思います。

町村国務大臣 来週日曜日あるいは月曜日に先方外交部長と話し合いをしよう、こう思って準備をしているところでございます。

 これは、もう委員御承知のとおり、長い長い日中間の歴史の中で、特に戦争中の不幸な歴史というものがあり、その反省というものの上に立って、さらに日中共同宣言等々、国交正常化がなされ、その後、友好の歴史を歩んできたと思っております。

 しかし、今回のこうした動きを見るにつけ、表面上確かに経済関係、人の往来、非常に大きくなってきておりますけれども、一番深層心理の部分でなかなか相通じないものがやはりあるんだなということも改めて感じるところでございます。

 しかし、考えてみると、歴史の認識といったようなものについて、国柄が違うところで同じ認識を持つということが果たして可能なんだろうか。その努力はしなきゃならないけれども、現実そう容易なことではないということで、この歴史認識の問題がある限り日中間の本当の友好はでき上がらないのかというと、もちろんそれは歴史認識が一致すればそれにこしたことはございませんが、そうでないとしても、私は、いろいろな手段を通じて、しっかりとした、違いは違いとして認めつつも、しかし多くの面で共通点もあるし共通の利益もあります。そうしたものをさらに伸ばしていく。

 今まさに経済関係は、日米貿易を超えて日中貿易の方がトータルでそれを凌駕するに至ったという一事をとっても、私は日中関係というのは非常に深いつながりができてきている、こう思っております。

 さらに、それを補完するものとして、例えば文化交流、学術交流、さまざまな交流を深めていく、あるいは環境面での協力、いろいろな形の協力があるわけでありまして、私は、今般外務大臣同士の話し合いで、そうした当面やれそうなことを幾つか、共同アクションプログラムとでもいいましょうか、共同でできる行動計画という形でまとめ上げる、一遍にまとまらないかもしれませんが努力をしていきたい、こう思っております。

 他方、例えば海底油田の問題でありますとか海洋調査船の問題でありますとか、そういうある意味では日中関係を改善するための大きな一つの争点になっている問題もあります。こうした問題につきましても、やはりしっかりと話し合いをして、お互いの理解を深めながら、対立ではなくて協調し得る道というものをお互いに探っていく努力というものをやっていきたい、こう考えております。

 なかなか奇手妙手で、これさえやれば全部うまくいくということは正直言ってないと思います。そういう意味で、なかなか難しいことではあろうかと思いますが、これは政治、外交面の努力はもとよりでございますが、それ以外の幅広い分野の方々の御努力によって日中間のよりよい関係というものをしっかりと構築する努力をしてまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 時間がありませんので、もう一つだけ聞かせてください。

 今回のそういった日中間の交渉の中で、今回中国における反日デモで在中国日本大使館に損害が出た、こういうような話が出ています。

 こういった損害についても中国に対して補償を求めていくのか。また、日本がこれまで進めてきた東シナ海におけるいわゆる海洋権益の問題でも、今回の事案にとらわれることなく前向きに推進をしていく御決意かをお聞かせいただきたいと思います。

町村国務大臣 先般の日曜日の午前中に私は王毅大使に外務省にお越しをいただきまして、その折に幾つかの点を申し上げたわけでございます。その中の一つに、在外公館に被害が発生をした、あるいは民間の企業あるいはお店等にも被害が発生をした、こうしたことについて損害の賠償を求めますよということは申し上げましたので、この週末、来週の日中外相会談ではそのことも申し上げようと思います。

 また、海洋の問題につきまして、油田開発について、今いろいろな話し合いが日中間で行われております。しかし、現実には昨年の十月、第一回の協議と銘打って行われた後、引き続きやりましょう、引き続き情報提供をしてくださいという話をしておったわけでございますが、現実に中国側の反応がこれまでございませんでした。

 そういう中で、日本側の試掘権をどうしようかという問題も実は出てきておりますが、この問題も、基本的な精神としては、これは対立の海ではなくて協調の海にしたい、こういう基本的な考え方のもとで、日中共同でこの資源開発をどこまで、どういう形でやり得るのかということについて、より具体の議論をしていきたい、かように考えているところでございます。

岡本(充)委員 今回の事案があったがために日本の外交の方針が揺らぐことなく、基本的な部分においてはぜひ前向きに進めていっていただきたいというふうに願います。どうも大臣、ありがとうございました。

 ここから先は政府参考人の方にちょっとお伺いをさせていただきたいわけですけれども、今大臣にも確認をさせていただきましたが、今回のこの中国に補償を求めるの件ですね。在外公館に損害が出た、これに対して中国に損害賠償を求めるんだと大臣はおっしゃいましたけれども、同様の例と言えるかどうかわかりませんが、米国などは、かつて中国大使館に被害が出たときに中国政府にきちっと補償をしてもらった、こういった前例があります。

 これは、一九九五年のユーゴスラビア大使館誤爆事件の後の抗議に対して、北京にあるアメリカ大使館、ここへ大量のデモ隊が押し寄せて損害が出た。大使館の建物、施設に損害が出た。こちらについては、米国は補てんをしていただいております。そういった意味で、日本もきちっと補てんをしてもらうよう申し述べなければいけないと思っております。

 ここで確認をさせていただきたいんですが、昨年夏のサッカーのアジアカップのとき、このときも大変な中国の国民からの日本に対するブーイングがあったわけですけれども、このときにたしか中国公使の車が破損をしたと記憶しております。この車については補てんをしていただいたんでしょうか。

齋木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事案につきましては、中国側に対して厳しく抗議を申し入れて、補てんをするようにということを要求しておりまして、まだこの件については先方とのやりとりが続行中であるというふうに承知しております。

岡本(充)委員 もう大分たつわけなんですけれども、これについても、額は今回ほど大きくないのかもしれませんけれども、うやむやなままになるということがあってはならないのではないか。要するに、毅然とした態度で交渉するという中において、同じことが繰り返されるということがあってはならないのではないかという観点からも、ぜひ今回はしっかりと中国にその補償を求めていただきたいというふうに思っております。

 ここで、私は会計検査院の方にちょっと視点を変えてお伺いをしたいと思うんですけれども、この中国における反日デモで大使館や総領事館がかなりの損害を受けたわけなんですけれども、この損害を受けて、この修理代をどういった形で出すかということなんです。先日、外務省の方からお伺いしたところ、修理代を修繕管理費で賄う可能性について御教唆いただきました。原因者がはっきりしているこのような事態に対して、修繕管理費からの出費ということになると科目が違うのではないかというふうに考えるわけですけれども、この修繕管理費で外務省が在外公館の修理をするということに対して、会計検査院としてはやはり不適切であるという指摘をされるわけでしょうか、お答えいただきたいと思います。

諸澤会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 大使館等の窓ガラスが破損したということなどにつきましては、会計検査院といたしましても報道により承知しているところでございます。建物等の修理代についてでございますけれども、一般論として申し上げますと、緊急に補修する必要が生じた場合に国費を支出するということはやむを得ないというふうに考えております。

 しかし、その場合でありましても、それが第三者による破損ということであれば、その者に求償する必要があるというふうに考えているところでございます。

 本件につきましては、具体的な予算の執行状況等につきまして外務省の対応が適切かどうか検討してまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。

岡本(充)委員 先ほど指摘させていただいた、昨年夏の例えば車の修繕費については、もう年度が変わっているわけですけれども、本年、検査の対象になり得るというふうに考えてよろしいわけですか。

諸澤会計検査院当局者 私ども、そのような外務省の在外におけるいろいろな予算の執行状況については把握をし検査をしているところでございますので、本件についてもそういう検査の一つとして考えているところでございます。

岡本(充)委員 私は、今回のこの件についても、そして昨年のサッカーのアジアカップのときの日本の公使車に対する損害についても、きちっと補てんを、補償を求めていかなければ、やはり会計検査院としては、不適切な税金の使用だと。国民の皆さん方の税金ですからね、それをどのように使うかということに対して、しっかりと会計検査院の目からも御指摘をしていただきたいというふうに思います。

 さて、もう一つ中国の絡みでお話をお伺いしたいんですが、中国には今たくさんの日本人が観光旅行にも行っておりますし、また在留邦人として現地で仕事をしてみえます。こういった皆様方が、今回のこの反日デモに大変恐怖を覚え、また生活に支障を来す、こういったことがあってはならないと思うわけでございますけれども、今後どういった措置をとるのか。一部のツアー会社には、早くも中国向けツアー自粛の動きがあるやにも聞いておるんですけれども、こういった在留邦人また旅行者の保護に関して、今後どのような措置をとっていかれるのか、お答えをいただきたいと思います。

鹿取政府参考人 まず、中国側への申し入れでございますけれども、九日に谷内事務次官から程永華在京中国公使に対して、また、同じく九日、阿南中国大使から喬宗淮中国外交副部長に対して、在留邦人の安全及び日系企業の正常な営業の確保のため必要な措置を講じるよう要請いたしております。また、先ほど大臣からも御答弁ございましたが、十日には大臣が王毅中国大使を招致いたしまして、在留邦人、日本企業及び日本大使館の保護のため有効な措置をとるよう要請したところでございます。

 以上の中国側への申し入れに加えまして、在中国の大使館及び総領事館では、それぞれ在留邦人それから邦人企業に対して安全に対する注意喚起を行っておりますとともに、緊密に協議をしております。

 また、外務本省では、速報としてスポット情報というものを出しておりまして、現在の中国の状況それから注意喚起、これを行っておりまして、また、スポット情報を発出するとともに、日本における邦人企業であるとかあるいは旅行者に対しても注意喚起を行っているところでございます。

岡本(充)委員 一部の報道によると、在外公館、大使館や総領事館に日本人の方は近づかないでください、こういったニュースが流れているというようなことも聞いておりますが、本来の業務は、困った日本人の方が行くのが業務の一つであるわけですね。在外邦人の保護ということが大変重要な任務であるにもかかわらず、近づけないという現状。また、もう一つ私、問題として指摘させていただきたいのは、テレビそして新聞などが大使館の被害を取材に行こうと思ったら、中国政府にその行動をとめられた、そして取材に行く者を限られた、限定された、こういった話も聞いております。

 本来、日本人の方が日本の大使館に行く、それが取材であれ何であれ、行くことに対して制限を設けられるということも、これまた一つ大きな問題じゃないかと思っておりますので、あわせてこの点についても今後しかるべき協議をお願いしたいと思います。

 さて、本当は、本日は私、決算行政監視委員会ですので、決算行政監視委員会の大きなテーマである決算検査報告、この内容について御質問をしたいと思っておりました。今回のこの中国の事態の緊急性にかんがみまして、前段で少し時間をとってしまいましたが、ここからは、話をこの平成十五年度決算検査報告の内容に切りかえていきたいと思います。

 これだけ分厚い資料と、そして、概要といえども、これだけ分厚い資料をいただくと、かなり読むのもつらい量であります。

 そういった中で、今、この検査、大変多岐にわたって調査が行われているのだなというのがお見受けしてよくわかったところでございますし、また、いただいた実地検査の現状、平成十六年次に実施した検査の施行率は以下のとおりになっておりますという資料をいただきました。調査官の延べ日数は三万八千五百日人となっていて、そして検査は総勢、本省、本庁、そして本社、また都道府県単位の地方出先機関等といったところだけでも一万三千四百六十検査箇所、実際に行ったのが二千七百五十三カ所だ、こういうような報告をいただいておるわけでございます。

 実際に調査官の方が八百人か九百人ぐらいみえるように聞いておりますが、この方々の数が、この人数であるがゆえにこの検査報告書になっているのか。もしくは、日本にはもっともっと本当は検査報告すべき不適切な税金の使用があるにもかかわらず、調査官の人数が不足しているがゆえにこの厚さしか出てこないのか。いろいろ考えておるんですけれども、会計検査院としては、この平成十五年度決算検査報告書、この厚さというのは、マンパワーの限界と感じてみえるのか、これがすべてであるというふうに考えてみえるのか、どちらかお答えいただきたいと思います。

森下会計検査院長 お答えをいたします。

 会計検査院といたしましては、膨大な予算それから多数の検査対象について、限られた人員や期間でよい検査成績を上げるために、検査対象機関の予算や事業規模、それからこれまでの検査実績などを勘案いたしまして、毎年度、検査課ごとに検査計画を策定した上で、問題の所在が見込まれる箇所から重点的に実地検査を実施しております。

 このように、重点的な検査を実施しておりますので、人員をふやしますと、それなりに報告事項はふえるという関係があろうかと思いますが、比例的にふえていくというものではないと考えているところでございます。

岡本(充)委員 私がきのうちょっと質問通告させていただいた内容でございますから、それに沿ってお答えをいただいたんですが、物事、何でも通告をして、質問に準備していただいて答えていただく、これは確かに質問の趣旨もよく反映できていいのかもしれませんが、その一方で、無通告で質問すると、それはそれで思わぬ御答弁をいただけたりする、こういった面もあります。

 同様に、この会計検査の検査も、通告をして検査に行くのか、また無通告で行くのかによって、その得られるものが大きく違うと私は思っています。実際に、この検査、例えば平成十六年次、一万三千四百六十検査箇所、実地が二千七百五十三カ所行かれている中で、無通告で検査に行かれているのは何件ぐらいあるんですか。

石野会計検査院当局者 実数のことですので、私からお答えいたします。

 今の無通告の検査の実績でございますけれども、平成十五年次におきましては九カ所、十六年次におきましては七カ所について無通告の検査を行っているという実態でございます。

岡本(充)委員 私も公務員であったことがありますし、また実際にいろいろな形で国立の機関にかかわっていた時代があるわけでございまして、実態を御説明させていただくと、私、今でも大学の客員研究員ですが、こういったところにおると、メールが回ってくるわけですね。何月何日会計検査院が来ます、さあ皆さん、身じまいを正して、身ぎれいにして待っていましょう、こういう話があって、みんなが準備をする。そして検査に行く、そしてしゃんしゃんで見て回って帰っていかれる、こういったような検査の実態。実際に私、会計検査院の方が来られる日に、来られるという通告をされた場所で横で見ていましたけれども、こうやってしゃんしゃんで本当に見て回っていかれるんですよ。

 実際の実態の調査官の方は、人数の制約もあるし、より効率的に回らなければいけないと思ってみえるかもしれませんが、こういった検査体制で本当に問題点が把握できるのか。本当は、帳簿は常に置いておかなければいけないものであるわけですから、帳簿を探しに行かなければいけないから、事前に、二週間も三週間も前にお話をしておいて、準備をしておいていただいて、それから行くということであってはまずいのではないかというふうに思うわけなんですけれども、この点については院長はどのようにお考えですか。

森下会計検査院長 会計検査院が実地検査に従事する職員は、先ほど、調査官約九百人ということでございます。これでもって多数の検査箇所を検査するためには、効率のよい検査ということを考えなければいけないということであります。

 会計検査というのは、個々の会計経理の適否にとどまらず、事業全体の効果に及ぶような広い観点からの検査を行っております。そのためには、検査上、既存の資料の上にさらに必要な説明資料などもあらかじめ作成していただくことが必要なことが、これは随分とあるわけでございます。そういった準備の期間を見るために、通告をして検査をするというのが通例となっております。

 もし、そういう場合に、仮に無通告で検査をしようといたしました場合には、会計経理の検査の対象は過去のものでございますので、経理の担当者がもう既に交代をしていたり、あるいは、過去の帳簿が今のところになかったりというようなことがございます。それで検査が能率的に進められないということがありますので、そういった支障が生じるということから、通告をするということにいたしております。

 ただし、例えば現金のあり高、あるいは物品の現在高だけを調べますという場合には、無通告で検査を行うことは効果があるというふうに考えておりまして、先ほど、毎年十件ぐらい無通告で行っているというのは、そのような内容の検査を行っているものでございます。

岡本(充)委員 それに加えて、物品の使用状況、どのくらいの頻度で使っているかというのも、これは無通告で見に行ったらよりその実態がわかるわけなんですね。ぜひ、これから無通告での検査、調査をふやしていただきたいというふうに思うわけなんですけれども、それについてはいかがお考えでしょう。

森下会計検査院長 現在の無通告の検査のあり方は、一つは今御説明したようなことでやっておるわけでございますが、そのほかに無通告で行えば効果的なものがあれば、そのような検査を試みていきたいというふうに考えます。

岡本(充)委員 そのほかに有効な検査、今お話しさせていただいたとおり、物品の使用状況というのは、これは無通告で見に行った方がよりその状況がわかりますから、ぜひふやしていただきたいということをお願いしたいと思います。

 そして、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、この中の内容を見ていきますと、どういった調査をして、検査をして、そしてどういった改善をしたか、そういったところが載っています。改善の措置を講じてどういうふうになったかということも、この概要の中に確かに載っています。また、この冊子の中を見ると、どういうふうに処置をするべきであったかということも書いてあります。しかし、それが一つ一つ改善されたとしても、私は、さいの河原の石積みじゃありませんけれども、正直言って、一部を見ているにすぎないんじゃないか、もっともっとたくさんの不適切な税金の使用があることを見逃しているのではないかという危惧を持っています。これは、恐らく院長も同じことを思ってみえると思います。

 そういった中で、今後、同様の不適切な税金使用が起こらない措置をとっていくためには、一つに対しては改善措置を一つとる、例えばその担当官に注意をする、もしくは研修を受けてもらう、こういったことはできるかもしれませんが、同じような事案を繰り返さないというためには、どのような措置をとっていかれるのか。会計検査院として再発防止という意味でどのような措置をとられているのか、御説明をいただきたいと思います。

森下会計検査院長 検査報告で、毎年多額の、そしてかつ多数の不当な事態を指摘してきております。このようなことが毎年発生しており、後を絶たないということは、会計検査院としても大変遺憾なことだというふうに考えております。

 このように、毎年不当な事態が発生する原因として考えられますのは、一つは、事務事業を執行する関係者、担当者において、必要な会計経理の知識が不足しているのではないか、それから、そういう会計事務に対する注意力が不足しているのではないか、それから、公金が国民からの血税によるものであるというその強い認識が不足しているのではないか、こういった公務員としての自覚が十分でないことによって生じているというふうに考えられるわけでございます。公金を使用しようとする者は、今日のように国の財政状況が厳しい状況のもとでは、一層、経済的、効率的あるいは有効に使用するために、そういう使命を持って事に当たっていただきたいというふうに思います。

 会計検査院といたしまして、このような事態の再発を防止するためにどのような処置あるいは措置を講じているかと申し上げますと、検査報告で指摘した事項の再発防止を図る観点から、各省の会計課長あるいは出資法人等の監事、監査役の方たちを対象とする検査報告の説明会をやっております。これによって、このような不適正な事態が、当の省庁、それから他の省庁においても行われているということを他山の石として認識をされて、みずからの会計事務あるいは監査事務に生かしていただきたいという趣旨でそのような説明会を開催しております。

 それから、各府省や都道府県等の会計事務担当職員や内部監査担当職員を対象として、会計関係の法令あるいは監査技法の講習会を会計検査院において開催をしております。それから、各省庁等で開催をされております会計事務に関する講習会には、会計検査院の職員を派遣して、講師として会計事務の適正な執行の参考になるような講義をしてきております。

 このように、いろいろな施策を講じながら、会計検査院としては、検査報告の指摘事項の再発が防止されるように努めているところでございます。

岡本(充)委員 長く答えていただきましたけれども、そのことを繰り返しても、毎年同じだけ、これだけの冊子が出てくるということをぜひ認識していただいて、改善策によりよいものを講じていただきたいと思います。

 本日は、これで終わります。ありがとうございました。

細川委員長 次に、加藤尚彦君。

加藤(尚)委員 よろしくお願いします。民主党の加藤尚彦でございます。

 きょうは、今既に開催中の愛知万博ですね、決算を一部したいと思います。それから、たばこ枠組み条約、条約についての決算について、二つ質問したいというふうに思います。

 まず、愛知万博について質問したいと思うんですけれども、九日の日に、土曜日ですけれども、目的を持って万博視察をいたしました。特に、アジア、アフリカ館をすべて見てまいったわけであります。その中で、何人かいろいろな方々と会う機会があったんですけれども、早々にメールが何本か届いております。そのメールの一部を紹介させていただきたいと思います。

 愛知県在住M・Mさんということで、名前が出ておりませんけれども、アフリカが非常に興味がある、アフリカ館中心にきょうも一日見て歩くんだということでありました。

 アフリカ館は、確かに土のにおいがする、まさにアフリカらしい、そんなイメージも感じるということも書いてありました。とはいえ、それぞれのブースで、本国からの予算がとにかくないんだ、よって、予算のない中でそれぞれ大変苦労しているというメールの中身でもあります。さらには、あわせて日本国政府の方の予算支援についても、非常に不足してるから思い切ったパビリオン運営ができないとも書いてありました。

 それから、もう一つ重要なことは、私も感じたんですけれども、メーンゲート、北ですけれども、そこから入って、アフリカ館が非常に遠いということですね。私は歩いてそこまで行ったんですけれども、やはり約二十分近くかかったような気がいたします、土曜日の話でありますけれども。遠過ぎるということが書いてあります。よって、土産品はちっとも売れないし、与えられたスペースもえらく小さいという不満があるということであります。

 このM・Mさんは、アフリカに何度も行かれたことがあって、私はインタビューをしたわけじゃなくて、相手から口をきいてきたんですけれども、要は、アフリカが好きで、そして英語がしゃべれるということで取材をしたということであります。その中身について申し上げたわけであります。

 それから、要するに、バザール、つまり出展者は、みんなそれぞれ自分たちの商売ということで来ているんですけれども、つまり実費で来ているということなんですけれども、中には、遠い日本にお金をはたいて目的を持って来たという方々もいたけれども、思いのほか売り上げが全く上がらないという強い不満と怒りを言っていらっしゃったようであります。

 それから、住宅問題もそうですけれども、ざっくばらんに言うと色が黒いということで、住居問題については物すごい苦労をしたということであります。半年間にわたることでありますからね。そういうことも言っていらっしゃいました。

 私も気がついたんですけれども、この地図でもわかるようにアフリカ館は遠い。そして、一番目立つところは日本館ですね。トヨタ館とか日立館とか、一番目立つところが日本館なんです。

 かつて、大阪万博のときは日本が売り出し中のときでしたから、やはり日本を世界に知ってもらおうということで、そのときはそのときでよかったし、また結果も出たし、経済成長の原動力の一つになったわけですけれども、今や日本は、愛と地球博という名前があるぐらいですから、その愛と地球博にふさわしいように、つまり、これからの国々に対してどれだけの愛を注げるのかということが肝心、大事だというふうに私は思います。その割には、今度の愛知万博について、このメールだけじゃないんだけれども、私の率直な感じとしても、アフリカ館については冷たい仕打ちであるというふうに強く冒頭に申し上げておきたいと思います。

 経産省の政府参考人も来ていらっしゃるから聞くんですけれども、この愛知万博は成功しそうかどうか、成功しますかということであります。既にいろいろな問題が出ているんですけれども、まずお答えをいただきたいと思います。

迎政府参考人 お答え申し上げます。

 万博が成功するかということでございますけれども、百二十を超える国、国際機関の参加をいただいた、それから、自然の叡智をテーマに、二十一世紀の人間と自然の新しい共生のあり方について情報発信をしていくということで、この点につきましては、会場づくりあるいはその準備状況について高い評価を海外からもいただいているところでございます。

 それから、入場者数につきましては、天候等の問題もございますけれども、これからは季候もよくなり、魅力が口コミで伝わっていくというふうなことも期待されますし、前売り券の売り上げ状況等も非常によろしいというふうなことでございまして、引き続き来場者の視点からいろいろな運営の改善に努めてまいって、ぜひとも成功に導きたい、こういうふうに思っております。

加藤(尚)委員 ぜひ成功するようにこれから申し上げたいと思います。

 三十五年前はアジアの参加国二十一カ国、それから二十四カ国ですね。そして、きょう私が指摘するアフリカでありますけれども、三十五年前はわずか十一カ国、ことしは三十一カ国。当初三十三カ国だったんだけれども、二カ国が辞退しております、ブースもあいていました、三十一カ国であります。それをつぶさに歩きながら、インタビューもしながらでありましたけれども、冒頭、M・Mさんが言ったように、私も同じような感じを持ったものですから御紹介をさせてもらったんです。

 もちろん、申し上げたように、愛と地球博の中でアジアとアフリカ、これは人口的にも、そしてGDPからいっても、二十一世紀はアジア、アフリカの時代だ、そういう考え方については、日本政府も、そして我々国会も、国民も同じように考えている、強くそういう認識を持っている。そういう中で、例えば四月にバンドン会議がある、あるいは七月のサミットもそうですけれども、アフリカ問題に焦点を合わそうとしているわけです。そういう国家戦略がある中で、遠いということも含めて、しかも、アフリカ諸国五十三カ国のうち三十一カ国が意気込んで参加したということでありますから、その意味合いは物すごく大きいと思います。

 そこで、この問題で余り時間をとりたくないものですから、お答えも簡単にお願い申し上げたいと思いますけれども、一つの提案としては、アフリカの我が国における留学生、あるいはアジアから来られている留学生、こういう方々に対する対応を、外務省、あるいは主催者である経産省、あるいは財務省も含めて、やはり成功させなきゃいかぬ。しかも、四月にバンドン会議があったときに、もうとてもやっていられない、それぞれのバザールというか出展国がみんな赤字である、もう引き揚げちゃうといったら、えらいことになっちゃいますよ、これは。愛知万博そのものが成功どころでなくなっちゃうという、僕はある意味で、個人的には恐怖心ぐらい持ったわけです。その対策について、経産省、そして外務省にお答えをいただきたいと思います。

迎政府参考人 アフリカ諸国の出展につきましては、途上国支援ということで、出展の費用の一部ですとか、あるいは会場の方に常駐する方二人の旅費、滞在費とかを援助するという形で私どもも支援を行っておるところでございます。

 それから、来場者の方々は、現在のところ、どちらかというと企業館の方に行かれる方が多かったりして、外国政府館に行かれる方が少ないんじゃないか、こういうふうなお話がございますけれども、これはやはり外国館の魅力というのをよくPRをする。あるいは、先生御指摘の北ゲートから遠いじゃないかというお話ですけれども、これは西ゲートからは非常に近い。やはり案内標識とかでいろいろな、ここにこういうものがあるよというようなPRは、私どもよくやっていきたい。

 アフリカ館につきましても、例えばセネガルのナショナルデーのときに、セネガル出身のデザイナーのファッションショーなんかが行われて新聞に取り上げられるとか、あるいは、日本のジャパンウイークで、セネガルの子供に来てもらって歌を歌ってもらうとか、私どもも、政府広報あるいは博覧会の広報なんかでアフリカ館の魅力というのを訴えて、できるだけ多くの方に来て見ていただくということに努めたいと思っております。

加藤(尚)委員 そう願いたいものであります。

 要は、我が国は、二十一世紀は日米を超えるぐらいの決心が当然これから重要になってくると思います。その意味で、アジア、アフリカ、そして愛知博というのは意外に大きな意味があると思います。

 それで、心配していることを申し上げました、引き揚げちゃったらどうするんだと。これは、余り悪ければ引き揚げますよということがあると思います。ですから、そういう意味では、要するにいかに人の動きがよくなるようにするかとか、西ゲートも確かに近い、だけれどもその表示は非常に悪いということで、今御指摘があったとおりであります。今後の検討課題にしていただきたいと思います。

 愛知万博は以上で終わりたいと思います。

 次に、条約のことに入りたいと思うんですけれども、条約については、戦後、国際条約は千本とか千二百本とかと言っていますけれども、この五年間だけ見ても七十二本、そして、その主なものだけでも二十三本ということ。その中で、特に僕が注目して議論し続けているのはたばこ枠組み条約でございます。それに入らせてもらいます。

 憲法の前文でも書かれていますけれども、条約というのは、国内法的効力が、法律の効力の上位にあるという点については、学説上全く異論がないというふうに書かれていますけれども、私もそう思います。

 その意味で、外務省、そういう解釈でいいかどうか、お答えください。

神余政府参考人 突然の御質問でございますけれども、私どももそのように考えております。

加藤(尚)委員 私はそう思います。

 よって、先ほども議論がありましたけれども、常任理事国になっていく、つまり国際社会の中でも日本がさらに一層その存在感を信頼として結びつくためには、やはり条約を遵守するということ、そして率先垂範するということが大事だと思うんです。

 その意味で、このたばこ枠組み条約について入りたいと思いますけれども、これについては、私も二度にわたってお会いしたんですけれども、ノルウェーの元首相、WHOの事務総長でございますけれども、青山の国連大学での講演、そしてノルウェーの大使館邸における懇親会にも私は参加させていただきました。

 そして、ドクター・グロ・ハーレム・ブルントラントさんですけれども、この女性政治家は物すごいなと思いました。私は、この人がいて初めてこの枠組み条約が一気に進んだというふうに解釈をしている一人であります。

 もう一回外務省に聞きますけれども、この条約の遵守について今後、外務省なりにどういうふうに考えているか、お答えください。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この条約につきましては、WHO、当時ブルントラント事務局長でございましたけれども、WHOのもとで作成されました保健分野で初めての多数国間条約でありまして、これまで各国が個別にとっておりましたたばこ対策について、国際協力の枠組みを与える第一歩となるものであったというふうに思っております。

 外務省としましては、この条約の発効を受けて、この条約を誠実に履行し、たばこ製品の主要な生産国かつ消費国としての立場から、たばこ対策に関する国際的な取り組みを促進していく考えでございます。

 我が国国内におきましては、たばこ対策を推進するための関係省庁連絡会議も立ち上がっておりまして、外務省としましては、関係省庁と緊密に連絡をしながら、条約上の義務の履行の確保や条約の趣旨に即した国内施策を推進してまいりたいというふうに思っております。

加藤(尚)委員 外務省、厚労省、財務省、警察庁、いろいろ関係省庁もあるわけですけれども。

 この条約が二月二十七日に公布されて以来、全国的に、禁煙運動あるいは青少年喫煙防止団体とかごまんとあるんですけれども、それが大変拍手喝采で、ある意味では、キリスト教的に言えばバイブルだ、仏教的に言えば法典ができたというふうに解釈しております。

 私も、四月十日なんですけれども、いきなり呼ばれました。そして、横浜の国連大学の附属機関というか、高等研究所が横浜にあるんですけれども、そこでシンポジウムに出席させてもらって、私もコメントを出させてもらったんですけれども、鶴見大学の病院長の瀬戸カン一さん(カンは日へんに完)であるとか、鳥取大学医学部の尾崎先生、この人はたばこのことについてはということで日本的に評価がある人ですけれども、ふじわら小児科医院院長さんの藤原先生、あるいは新中川病院の加濃正人先生、この方々は日本を代表するということであります。特に、冒頭挙げた鶴見大学病院長の瀬戸先生は、自分の大学で愛情卒煙、そういったものを開いて、そして、外来卒煙というもの、外来をつくったということでこれから大きく注目されていくだろうと思います。

 いわゆるこの枠組み条約で、私たちが思う以上に、待っていましたとばかり、これが大きく展開していくだろうというふうに思っております。その意味で、このシンポジウムは何もここだけじゃありませんけれども、全国的展開しているということを承知しておいてもらいたいと思うんです。

 ここで、一番きょう質問したいことにちょっと触れたいと思うんですけれども、要は、青少年の喫煙防止、これに全力を挙げたいと思っている一人であります。よって、それをもとに、百三十一の自治体の教育長とも面談したし、六十を超える学校長とも面談したし、いろいろなことをしながら、そして、学校敷地内の禁煙について私なりに展開いたしております。

 マッチポンプじゃありませんけれども、神戸ではもう全面禁止ですよ、静岡でもそうですよ、仙台も川崎も横浜もやりましたよということを言いながら、おたくはどうですかという形で、ある意味でのマッチポンプという言い方は悪いかもしれないけれども、そういう方向でやっております。

 驚くなかれ、政令市というのは十四あるんですけれども、大阪市を除いて十三の政令市はもう敷地内完全禁煙ということであります。さらには、県庁所在地の自治体ですけれども、これも大体半分以上はもう敷地内禁煙。

 どういうことかというと、先生が吸えなくなったということです。例えば、政令市だけでいうと、あるいは東京都も含めると公立だけで十一万人を超える先生方がいて、そのうちの大体三分の一ぐらいがたばこを吸うんですけれども、やめちゃったんです、やめさせられちゃったと言ってもいいんですけれども、それぐらい先生に物すごく負担をかけているわけです。

 その意味で言えば、このたばこ枠組み条約をきっかけとして、青少年の非行化防止、その非行の実態については、きょうは警察庁が来られていないから、いただいた資料によると、去年一年間でもやはり子供たちの補導件数が百五十万人近いわけですね。そして、そのうちの半分近い子供たちがたばこで補導されているという実態があります。もともと、たばこについては非行化の原因のトップですよ。だから半数近い子供たちがたばこで補導されるわけですから。そのあとは、夜の徘回とか飲酒とかいろいろあります。でも、やはり非行の原因のトップはたばこであるということ、これは昔も今も変わらないということであります。

 なぜならば、たばこについては、親が吸えば親のたばこを拝借しちゃう、盗むと言ってもいいんだけれども。あるいはたばこを買うために親のお金を盗むということになる。それができなくなると、今度は友達から借りる、ゆするということになると思うんです。あるいは万引きに入っていっちゃう。だから、たばこの問題は、非行化で恐ろしいほど、恐るべき実態だということを我々はお互いに認識しなくてはいけないというふうに私は強く思っているところでございます。

 その意味で、たばこが非行の入り口であるという実態なんですけれども、きょうは文科省の方も来ていただいていますので、お聞きするんですけれども、この枠組み条約の発効について、文科省としてはどういう措置というか、これからどういう取り組みをするのか、お聞かせください。

西阪政府参考人 お答えいたします。

 たばこにつきましては、ニコチンやタール等の有害物質が含まれており、体に悪影響を及ぼすこと、依存性があること、そして、先生御指摘のように、特に未成年の喫煙につきましては、身体への悪影響が強くあらわれ、依存性による身体への影響も重大であるというふうに認識しております。

 このため、学校教育におきましては、未成年の段階から、喫煙をしないという態度を育てることを目的といたしまして、具体的には保健体育の科目でございますとか特別活動を初め、学校教育活動全体を通じて喫煙防止に関する指導を行っているところでございます。

 私どもといたしましては、従来から、喫煙防止教育に関する教師用の指導参考資料を作成すること、あるいはたばこの害などをわかりやすく解説した児童生徒用のパンフレットの作成、配布などを進めてきたところでございまして、今回のことを受けまして、今後とも一層、喫煙防止教育の充実に力を入れていきたいというふうに考えているところでございます。

加藤(尚)委員 それぞれ、文科省もそうですけれども、各自治体あるいは各都道府県の警察ですね、相当な取り組みの状況にあるというのを現実に私も承知いたしております。引き続き文科省としての努力を要望していきたいと思います。

 そもそも、条約には大平三原則というのがあって、法律事項、財政事項、そして政治的重要性という大平三原則というのが条約について物すごく大きな意味があるんですけれども、その中で、今度の枠組み条約の二十六条なんですけれども、いわゆる資金の問題なんです。やはり運動を展開するためにはどうしても資金が必要であります。

 それで、財務省にお聞きするんですけれども、資金づくりについて、例えば交通違反の反則金、これは一たん国庫に納められて、そして交通違反を少なくする、反則金を取らないでいいように、警察庁がお金を入れて努力しているんですけれども、例えば青少年のたばこ、これは違法性がある。それが、人によっていろいろなんですけれども、財務省に入るお金が三百五十億と言う人もいるし、中には、違法性のたばこ税が二千億も入っている、そう言う方もいらっしゃる。これは正確にはわからない。でも、いろいろな世論調査の結果試算していくと、少なくとも最低でも三百五十億から四百億は財務省に入っているということであります。中には二千億という具体的な事例を出しているところもある。つまり、たばこの総収入の二兆円のうちの一〇%は二十歳以下の子供たちの違法によるたばこ税収である。このお金を資金として考えなくちゃいけないというふうに思うんです。

 それは財務省の方で答えにくいかもしれないけれども、やはりこれは厚労省あるいは文科省、警察庁、そして同時に、今申し上げましたそれぞれの省庁が一緒になって、そして、申し上げましたように、たばこ枠組み条約の中の特に少年の非行化、喫煙ということについて全国的取り組みをやる。国民運動、市民運動にもなっている。これはますます大きくなりますから。とどまることを知らないぐらい大きくなると思います。

 その意味で、資金について、大臣じゃなくて結構ですから、財務省もこれは政府参考人で来られていますので、財務省からその資金をどう捻出するか。あるいは交付金の考え方でもいいんですけれども、今答えられたら答えてください。

松元政府参考人 お答えいたします。

 たばこ税につきまして特定財源化をしたらどうかといったような点につきましては、たばこ税が税制全体の中で大変重要な位置も持っておりまして、一般財源として活用されておるという現状にございまして、そういった中で、受益と負担の関係をどうとらえるのか、あるいはまた、新たな特定財源を創設するということについて問題もあるのではないかといったようなこともございまして、幅広い観点からの検討が必要と考えております。

 議員御質問のWHOのたばこ規制枠組み条約第二十六条で資金についての定めがあるわけでございまして、その点につきましては、私どもも十分に認識をいたしているところでございます。

 政府といたしましても、関係省庁によるたばこ対策関係省庁連絡会議を設置いたしております。その中で、青少年対策といったようなことも含めまして、どういった具体的な対策が必要なのかということにつきましては、予算措置が必要なものがあれば、まずは関係省庁において御検討された上で概算要求をしていただくということになるのかと考えております。

 財政当局といたしましては、関係省庁から概算要求がなされましたら、予算編成過程において十分検討いたしてまいりたいと考えております。

加藤(尚)委員 財務大臣、びっくりするぐらいの前向きの答弁でありますので、今後の課題にします。

 要するに、厚労省が中心となって関係省庁連絡会議がある。そこで、例えば来年向けに、もう枠組み条約がスタートしちゃったし、国民運動は思ったより大きくなりますよ、市民運動は。そう思います。その意味で、ほっておけないことになるのは間違いないですから、だから、今のうちに、僕が言う、いわゆる違法で吸われているたばこの税収が三百五十億円ですよ、場合によっては二千億円ですよということですから、そういうことを中心に、これから課題にしていただきたいと思います。

 いずれにしても、枠組み条約を中心に、子供を非行から守るということで、学校の先生たちが、政令指定都市、東京都も含めてもう既に四万人近い先生がたばこをやめざるを得なくてやめている。あるいは、僕が知る限り、四十七都道府県の半分ぐらいの県庁所在地の学校がもうやめちゃっている、敷地内全面禁煙です。そういう方向はとどまらないんです。ですから、そういう中で、目的は健康増進からきているんだけれども、やはり子供を守ろうという決心が全国的に始まったというふうに思っています。そういう意味で、今の政府答弁のように、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 加えて、最後になりますけれども、僕も一日六十本のヘビースモーカーだった。そして、このことが始まった直前ぐらいからやめ始めて、完全にやめたんだけれども、つらい、苦しい。先生方の中にもいろいろな問題があるんですよ。ケアしなきゃならぬこともたくさんある。でも、やめたんです。やめざるを得なくてやめたんです。吸うところないんです。

 そういうことからすれば、やめた、やめざるを得ない先生方ともインタビューしましたけれども、国会議員の先生も勤務中はやめてくださいよ、こういう声が大変大きかった。議事堂の中にも吸うところたくさんあるじゃないですかという声もありました。いわば国会に限らず公官庁、そしていずれは、私は、タイ国じゃないけれども、エアコンが動いているところはたばこは当然だめになると思いますよ。

 だから、私もヘビースモーカー、やめた。後ろの先生方でもしかしたらいらっしゃるかもしれませんけれども、課題として残しながら、時間ですので、きょうの質問とさせていただきます。ありがとうございました。

細川委員長 これにて加藤尚彦君の質問は終わりました。

    ―――――――――――――

細川委員長 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。

 平成十五年度決算外二件審査のため、四つの分科会を設置することとし、区分としては

 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁)、外務省、環境省所管のほか、他の分科会所管以外の国の会計

 第二分科会は、内閣府(防衛庁・防衛施設庁)、総務省、財務省、文部科学省所管

 第三分科会は、厚生労働省、農林水産省、経済産業省所管

 第四分科会は、法務省、国土交通省所管

以上のとおりといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

細川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

細川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 なお、分科員の配置及び主査の選任につきましては、追って公報をもって御通知いたします。

 次いで、お諮りいたします。

 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合には、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

細川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、分科会審査の際、政府参考人の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

細川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、分科会審査の際、日本銀行及び公団、事業団等、いわゆる特殊法人並びに独立行政法人の役職員から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人として出席を求めることとし、その人選等諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

細川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 分科会審査は、来る四月二十五日月曜日及び二十六日火曜日の二日間行います。

 次回は、来る四月二十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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