衆議院

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第2号 平成22年11月16日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十二年十一月十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大村 秀章君

   理事 太田 和美君 理事 中塚 一宏君

   理事 平山 泰朗君 理事 三日月大造君

   理事 柚木 道義君 理事 河野 太郎君

   理事 平  将明君 理事 東  順治君

      緒方林太郎君    岡田 康裕君

      加藤  学君    笠原多見子君

      斉藤  進君    柴橋 正直君

      田中美絵子君    高橋 英行君

      玉木 朝子君    中野渡詔子君

      中屋 大介君    長島 一由君

      畑  浩治君    花咲 宏基君

      福田衣里子君    藤田 大助君

      松岡 広隆君    三輪 信昭君

      向山 好一君    本村賢太郎君

      森本 和義君    森山 浩行君

      矢崎 公二君    谷田川 元君

      吉田 統彦君    逢沢 一郎君

      秋葉 賢也君    伊吹 文明君

      小野寺五典君    古賀  誠君

      中村喜四郎君    細田 博之君

      石井 啓一君    与謝野 馨君

      小泉 龍司君    鳩山 邦夫君

    …………………………………

   法務大臣         柳田  稔君

   外務大臣         前原 誠司君

   財務大臣         野田 佳彦君

   国土交通大臣       馬淵 澄夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     仙谷 由人君

   国務大臣

   (郵政改革担当)

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     蓮   舫君

   内閣官房副長官      古川 元久君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   防衛大臣政務官      広田  一君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   会計検査院事務総局第二局長            小武山智安君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   決算行政監視委員会専門員 尾本 哲朗君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十六日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     中屋 大介君

  近藤 和也君     緒方林太郎君

  高橋 英行君     本村賢太郎君

  中野渡詔子君     笠原多見子君

  谷田川 元君     森山 浩行君

  伊吹 文明君     小野寺五典君

  村上誠一郎君     秋葉 賢也君

同日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     近藤 和也君

  笠原多見子君     中野渡詔子君

  中屋 大介君     石原洋三郎君

  本村賢太郎君     松岡 広隆君

  森山 浩行君     花咲 宏基君

  秋葉 賢也君     村上誠一郎君

  小野寺五典君     伊吹 文明君

同日

 辞任         補欠選任

  花咲 宏基君     谷田川 元君

  松岡 広隆君     高橋 英行君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百七十三回国会、内閣提出)

 平成二十年度特別会計予算総則第七条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)(第百七十三回国会、内閣提出)

 平成二十年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書(承諾を求めるの件)(第百七十三回国会、内閣提出)


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     ――――◇―――――

大村委員長 これより会議を開きます。

 平成二十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)及び平成二十年度特別会計予算総則第七条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)並びに平成二十年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書(承諾を求めるの件)、以上の各件を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件につきましては、第百七十四回国会におきまして既に説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

大村委員長 引き続き、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として海上保安庁長官鈴木久泰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

大村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。

小野寺委員 おはようございます。自由民主党の小野寺五典です。

 きょうは、質問の機会をありがとうございます。

 まず、冒頭お伺いをしたいのは、海上保安官の逮捕見送りということが昨日決まったと報道をされております。まずこのことについてお伺いをしたいんですが、これは、政府を初め、きょういらっしゃる仙谷官房長官を初め、このビデオの漏えい事件以降、大変この問題については強い憤慨をされ、そして、事件発生時から断固たる対応をとるというような発言をされておりました。今回は司法は司法の判断ということで今後着々と進むんだと思っておりますが、これとは別に、政府として、特に国土交通省としての懲戒などの処分、このことについては、これは内部でもう既に検討されているんだと思っております。

 まず、馬淵大臣にお伺いいたします。

 今回のこの事案、ビデオ漏出をしたと言われているこの海上保安官に対して、司法の判断とは別に、これは国土交通省として厳正な判断を、処分をされるとお考えでしょうか。教えてください。

馬淵国務大臣 この海上保安官の逮捕の見送りという報道がなされております。また、昨日は、本人からのコメントも出たと承知しております。

 ただ一方で、その事実関係については今まさに捜査機関によって究明中でございますので、今、処分についての何か検討を行っているかという質問に対しましては、私どもとしてもまず事実を具体的に明らかにされて以降のことだと思っておりますので、現時点においてこの処分の内容等々というものに関しましては、役所としての検討ということではございません。

 今後も、この事実の解明というものに協力をしながら、その結果を踏まえての判断ということになるかと承知をしております。

小野寺委員 仮にの話ですが、さまざまな意見があると思いますが、逮捕ができないということ、そして、これから恐らくさまざまな司法の判断があると思いますが、例えば起訴猶予とか、こういう形で司法当局では責任を問わないという状況にもしなった場合、この場合でも海上保安庁としては何らかの懲戒を含めた行政的な処分を行う、そのようなお考えはございますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 当該海上保安官についてもし処分を行うということになれば、私ども海上保安庁として処分をいたしますのでお答えさせていただきますが、今大臣がお答えいたしましたように、捜査中の事案でありまして、その事態の進展に応じて検討を進めていくべき問題だと考えております。

小野寺委員 いずれにしても、今回このビデオが当所から流出したということに関しては、これは海上保安庁そして国土交通省の責任というのは大変重いと思いますが、この責任について馬淵国土交通大臣はどのような責任をとられるおつもりがございますか。

馬淵国務大臣 これも昨日も予算委員会でも御説明させていただきましたが、まずは事実の徹底究明ということでございます。先ほど来、委員からはこの保安官の処分ということをお尋ねございましたが、まずは事実を明らかにしてということになります。そして、その上での再発防止策、これが私の責務であると考えております。

 まずは事実を明らかにすること、このことに全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

小野寺委員 事実はこれから明らかになるんですが、現時点でわかっている事実というのは、少なくてもこれは外に出してはいけない、仙谷官房長官が意見書という形で出されて、保秘をしっかりしろということを含めて指示をしたにもかかわらず漏れてしまったということになっています。このことを見ても、これは捜査のいかんにかかわらず国土交通省の責任があると思いますが、馬淵大臣に改めてお伺いいたします。

 仙谷官房長官は今回の責任について、政治職、執行職の責任のとり方では違いがあるということで、どうもこれは馬淵大臣をかばって、鈴木長官にすべてこれは執行職だからということで押しつけるような印象を私ども持っておりますが、もちろんそんなことは私はないと思っております。

 馬淵大臣が今回この問題についてどのような責任を感じていらっしゃるか、もう一度お伺いしたいと思っております。

仙谷国務大臣 今、馬淵大臣の感じ方を御質問されているわけでありますが、それは、政治家は政治家としてあらゆることについて対処しなければいけないという意味では、馬淵大臣の感じ方をお聞きになるのも、それは別にあえてそれが不適当だとは申しませんけれども……(小野寺委員「委員長、指名していないのに出てきて違うことを話しているので、ちょっと端的にお願いします」と呼ぶ)私が申し上げた政治職と執行職のトップの責任のあり方は違うという点を今お聞きになられたので、私、答弁席に立ちました。

 一般論として、これは第一事件とでもいいましょうか、第一事件の訴訟関係書類が、要するに、少なくとも司法警察員の……(小野寺委員「委員長、ちょっと注意してください、また時間の引き延ばしばかりやっていますから」と呼ぶ)

大村委員長 官房長官、簡潔に、簡潔にお願いします、それが質問者の趣旨ですから。

仙谷国務大臣 司法警察員の地位を持った人によって、その組織によって漏出をさせられたというのが現在の第二事件でございます。(発言する者あり)説明しないとわからないんじゃないんでしょうか。

 そこで、国土交通大臣は、司法警察員の固まりである海上保安庁、捜査機関としての海上保安庁に対しては、個別の事件にかかわる指揮監督権は全く国土交通大臣はないわけであります。これは、ある意味で、国土交通大臣からは独立して公正に中立的に事件処理をするというのがこういう場合の海上保安庁の長官以下の全体の役目でございます。したがいまして、私が政治職と執行職の責任のあり方が違うと言うのは、そういうことを指しているわけであります。

 つまり、国土交通大臣の管理責任というのは、極めて一般的な海上保安庁長官に対する指揮監督権ということでございまして、個々の職員の行為は、あるいは個々の職員のあり方については、国土交通大臣は直接的な指揮監督をする権限はないということ、これを前提に、国土交通大臣の責任のあり方というのも当然そういうことを前提に考えなければならない。

 あるいは、海上保安庁長官は職員を指揮監督することができますけれども、そういう責任がありますけれども、国土交通大臣にはそういう個々の職員に対する指揮監督権はない、こういうことを前提にしてお考えいただきたいということです。

小野寺委員 ということは、国土交通大臣は今回のこのビデオを流出したと言われる保安庁の職員に対して一切責任を負わない、この責任はすべて海上保安庁長官にある、そういうお話をしましたが、では、国土交通大臣にお伺いをいたします。

 海上保安庁長官の任命責任はどなたにありますか。海上保安庁長官が、今回、鈴木さん申しわけないんですが、このような大変な失態を犯した。この海上保安庁長官を任命したのはだれか、その責任を国土交通大臣は有していないか。これは私は明確だと思っています。馬淵大臣、お答えください。

馬淵国務大臣 任命責任はと問われれば、国土交通大臣でございます。

 今お尋ねの件が、鈴木長官を任命したのがだれかと問われれば、申しわけございませんが、今手元にその年月日含めての確認がとれておりませんが、前々大臣となるのかもしれませんが、ちょっと手元にございません。恐縮でございます。

 先ほど仙谷長官がお話しされましたように、私に感想をと問われれば、まさに私も昨日答弁させていただきましたが、国土交通省、そして海上保安庁、これは明確に捜査機関としての権限が区分されております。私国土交通大臣は、この長官に対して一般的な指揮監督、これができるということであり、個別の捜査あるいは個別の案件に対する指揮監督権というのはこれは掌理しておりませんので、したがって私どもとしては、まずは、この一般的な監督権限の中で、具体的な事案、事実が明らかになった上での今後私どもが判断をしていかねばならないということがあると考えております。

 責務を果たすためには、まず徹底して事実究明、そして再発防止ということが一義的にある、このように考えておる次第であります。

小野寺委員 大臣、個別の捜査の問題を聞いているんじゃないですよ。こういうビデオが漏出したという、これは国土交通省、海上保安庁全体の問題、その監督責任をあなたに聞いているのであって、これ、別に司法捜査の内容について監督しろ、しないじゃないですよ。その管理責任が十分あるでしょう。多分、自分で答弁しておかしいと、そうお感じになると思います。

 さて、もう一つお伺いします。今回、この事件が発生した直後も現在も、当然、馬淵大臣はこの衝突のビデオということを見ていると思います。これは見ていますね。見ている中で、この映像の中でこの中国の船長は、これはもう故意に衝突をさせたというのは明確、そして、これはもうとっさにとった行動ではないとそう私ども思いますが、大臣はどう思われますか。

馬淵国務大臣 済みません、お尋ねの主語を明らかにしていただきたいのですが。とっさにとった行動ではないということの主語を明らかにしていただけますか。

小野寺委員 中国の船長が今回海上保安庁の「みずき」に衝突したということについては、とっさにとった行動ではないというふうに大臣は思われますか。

大村委員長 中国の船長がということですね。

小野寺委員 そうです。

馬淵国務大臣 これは、検察当局、こちらがこれにつきましては、「みずき」の追跡を逃れるためにとっさにとった行為と認められと、検察当局の判断が示されております。

小野寺委員 私は大臣に聞いているんです。あのビデオを見た印象として、大臣はこれはあの船長がとっさにとった行動だと思われますか、どうですか。

馬淵国務大臣 まさにこれも捜査の過程の中でございますので、コメントする立場にはございません。

小野寺委員 ちょっと大臣、あなた、自分で何を言っているかわかりますか。あなたはあのビデオを見て、ではこの船長は、あなたの印象として、これは非常に悪質か、計画的か、そして、とっさにとった行動で今回ぶつかったというそういう判断に立つのか、どの印象を持ちますか。あなたの判断です。あなたの、政治家としてこのビデオを見てどんな印象を持ちますか。教えてください。

馬淵国務大臣 これも私はこれまでの委員会でも申し上げてまいりました。私のどのように受けとめるかという感情あるいは私の思惑をお話しすることは適切でない、このように申し上げてまいりました。

小野寺委員 皆さん、今のを聞きましたか。馬淵大臣は今回の船長は悪くないと言っているんですよ。船長は悪くない。

 では、もう一回聞きます。馬淵大臣、もう一回お答えください。今回のこの中国人船長がとった行動というのは、とっさの行動ですか、どうですか。

馬淵国務大臣 随分とお話を飛躍されるようでありますが、私は私の心象風景を申し上げることは適切でないと繰り返し申し上げております。

 委員がこの私の答弁を受けて船長が悪くないと言っているという質問をされることに対しては、私は、いささか発言に飛躍があるのではないか、このように感じております。

小野寺委員 では、前原大臣にお伺いいたします。

 この直後、大臣は、このビデオを見れば、だれが見ても、中国の船長、これが悪質であるということが明らかであるというような趣旨の発言をされましたが、このビデオを見た直後、大臣はどのようにお感じになりましたか。そして、これがとっさの行動だというふうに判断されますか、船長が。

前原国務大臣 外務委員会でも委員とは何度もこの議論はしておりますし、今まで答弁をさせていただいたとおりでありますし、計画性はないのではないかと。しかし、とっさでも、明らかに故意であったというふうに私は思っております。

小野寺委員 明らかに故意である、とっさでもないということですが、法務大臣にお伺いします。

 法務大臣も、このビデオ、映像でも当然今は報道されていますから見ていると思いますが、これがとっさの行為である、そういうふうな印象を持ちましたか。

柳田国務大臣 故意にぶつけたということで公務執行妨害で逮捕され、送致したものと承知しております。

 なお、とっさの判断だったかということにつきましては、地検がコメントしているとおりだと私は承知いたしております。

小野寺委員 なぜこの問題でここまで、今までこれは悪質だということをさんざん言っておきながら、きょうもしテレビカメラを見た人、これを映してくださいよ。急にトーンが変わったでしょう。

 仙谷官房長官にお伺いします。

 この中国の船長は、今回、巡視船の「みずき」、ここに衝突した映像、これはたくさん流れています。日本国民はみんな見ています。そして、あの船長がぶつかったというのは、これは巡視船を逃れるための船長のとっさな判断で行ったというふうに思われますか。

仙谷国務大臣 もうたびたび記者会見でもそれから国会の委員会でもお答えをしているわけでありますが、私の立場で私が、裁判所あるいは刑事司法当局の判断をいいとか悪いとか、それは違うとか同じだとか、そういうことを言う立場ではないという、そういうことがまず第一点であります。

 そして、私は、そういう意味では、公務執行妨害の罪となるべき事実、それを海上保安庁あるいは検察が認定をされて刑事司法手続を進めた、こういうふうに考えております。

小野寺委員 法務大臣にお伺いします。

 九月二十四日、これは那覇地検が、この船長を処分保留のまま釈放いたしました。釈放した理由、これを端的にお答えください。

柳田国務大臣 まず一つは、先ほども申し上げましたように、故意に衝突させたことは明白であるということで、公務執行妨害で逮捕し送致されました。

 その上で、「みずき」の損傷は直ちに航行に支障が生じる程度のものではない、これが一つです。もう一つが、乗組員が負傷するなどの被害の発生がない。もう一つが、計画性等は認められない。そして、被疑者には我が国における前科等がない。それでもう一つが、我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮して、総合的な判断の上で、処分保留の上、釈放したと承知いたしております。

小野寺委員 今、捏造しましたね、答弁を。正確に、九月二十四日、これは我が党の議員が先週那覇地検に行きまして地検の検事正、次長からいただいたその資料、そこをもう一度読みます。

 一部内容は合っていますが、「被疑者は、トロール漁船の一船長で、本件は、海上保安庁の巡視船「みずき」の追跡を免れるため咄嗟にとった行為と認められ、計画性等は認められず、かつ、被疑者には、わが国における前科等もないなど」の事由、これですよ。今、法務大臣がこれは一行抜かしましたよね。「本件は、海上保安庁の巡視船「みずき」の追跡を免れるため咄嗟にとった行為と認められ、」これを抜かしました。

 これは那覇地検の会見に入っていましたか。確認してください。

柳田国務大臣 済みませんでした。先ほど触れたと思ってちょっと省きましたけれども、入っております。

小野寺委員 これなんですよ。さっきから、国土交通大臣に聞いても、仙谷官房長官に聞いても、法務大臣に聞いても、みんなこのとっさということを避けている、とっさという表現を避けている。なぜ急にとっさという言葉を避け始めたか。

 これは、実はこの那覇地検の記者会見、処分保留の釈放の記者会見のときにこの次席検事が言った内容、これを実は私たちは映像を見るまではわからなかったんです。映像を見たら、あの船長が「みずき」の追跡を免れるためとっさにとった行為でぶつかった、二回もぶつかった。那覇地検の判断は、「みずき」を免れるためにとっさでぶつかった、悪いのはむしろ「みずき」だ、こういう判断で今回この保釈の決定をいたしました。この内容について法務大臣、どう思われますか。

柳田国務大臣 先ほど来申していますとおり、公務執行妨害で逮捕したというのは事実であります。

 それで、処分保留、釈放の中にいろいろるる何点か述べていますけれども、その中で一つが、「追跡を免れるため咄嗟にとった行為と認められ、」さらには、「計画性等は認められず、かつ、被疑者には、わが国における前科等もない」、その前にもありますけれども、そういうふうに従来から述べているところであります。

小野寺委員 これ、映像が出るまではみんなこの記者会見について、ほおと右から左へ流したと思います。でも、映像が出て多くの国民が見ました。きょうこちらにいる委員の皆さんもみんな見たはずです。あの映像を見て、この船長が「みずき」の追跡を免れるためにとっさにとった行動で二回もごん、ごんと日本の巡視船にぶつかった。しかも、映像を見たら、ぶつかるときにみんな乗組員の人は、今からぶつかるぞと身構えているじゃないですか。あれは計画性以外の何物でもないと私は思っています。

 そして何より、仙谷官房長官にお伺いします。あなたが何度も何度も、ビデオを出さない、ビデオを出さない、今でもこのビデオを出したくないこの理由というのは、実は、この那覇地検の釈放のこの判断が、映像を見ればおかしいと多くの国民がわかるからじゃないですか。

 そして仙谷官房長官、もう一度お伺いします。あなたはこの釈放の前の二十三日、那覇地検に外務省の中国課長をあなたの指示で派遣をしています。この中国課長にあなたは那覇地検に対して何を言わせたか、もう一度お答えください。

仙谷国務大臣 小野寺先生のお話ですけれども、これは私の推測になりますので余り申し上げたらまずいかもわかりませんが、とっさがどうのこうのというこの那覇地検の九月二十四日の記者会見時のペーパーというか文言でありますが、これは私の理解ですと、このビデオもさることながら、それから船長以下の供述、あるいは「みずき」の海上保安官それぞれの供述、あるいは、あのビデオでも見られますけれども、航跡とか、あるいは海自におけるいろいろなルール、そういうことをすべて総合的に判断して、ここに「他方、」以下の計画性は認められずという判断がされているんだろうと私は思います。

 したがいまして、私も、裁判官のポジションでもなければ刑事司法のその個別事件を処理する立場でもありませんので、官房長官の立場にある身としては、とっさであるのかどうなのか、私がビデオを見てどう感じたのかというふうなことは、私なりに感じても、それを申し上げることは控えなければならないというふうに考えております。それが第一点。

 第二点、二十三日の話でありますが、私は一切外務省の職員に指示をしておりません。私が聞いておりますのは、那覇地検から外務省の方に事情を聞きたいという連絡があって那覇地検の方に行ったという、この外形的な事実だけを私は後に報告を受けております。

小野寺委員 それは予算委員会では全然違う答弁をされました。それは間違っていますよ。議事録を見てください。あれは、外務省が官邸に確認し、仙谷官房長官の了承をとって中国課長を派遣した、これが事実です。これは、後で議事録を見ればこの今回の答弁のうそというのがわかると思いますので、議事録を確認させていただきたい、そのように思っています。

 そして何より私ども思うのは、ビデオ、私ども何回もこれを公開しろ、恐らく皆さんも公開して見たいと思ったと思います。なぜここまでしなかったのか。公開しても中国が怒ったわけじゃないじゃないですか。胡錦濤はちゃんと日本の総理と会ったじゃないですか。なぜ公開しなかったか。

 私は、公開しなかった理由というのはここだと思っています。この那覇地検の判断、「みずき」の追跡を免れるためとっさにとった行為、だから釈放した。これ、映像を見たら、どう見たって不自然なんですよ。

 この間、那覇地検に我が党の議員が行って確認をしました。検事正、この次席、この判断はどうして行いましたか、上からの協議としてこの判断が行われました、こう言いました。上からというのは、最高検なのか仙谷さんなのか私はわかりませんが、少なくても、那覇地検のこの判断というのは、司法関係者だれが見てもこれはおかしい、あるいは国民が見てもおかしい。とっさということではないんではないか。

 それをぜひこれからも、参議院、これから予算委員会へ行きますので、その場でしっかりと追及して、これが明確になった段階では仙谷さんのやはり責任ということも今後問われることになるんではないかと、そう思っております。

 それでは、もう一つ質問を移りたいと思います。ちょっとTPPの問題についてかわりたいと思います。

 実は、先月、私はアメリカのUSTRに行ってまいりました。そこで、このTPPの問題でアメリカ側から出た考え方というのは、一つは、牛肉、これの月齢撤廃をしっかりしてくれということ。もう一つ、唐突に郵政の問題が向こうから出されました。

 現在、政府としては郵政民営化の改革法案を出していると思いますが、自見大臣にお伺いします。今後のこの郵政改革法案の方向について、いつ提出をし、いつ審議をするか、その見通しについて教えてください。

自見国務大臣 小野寺議員から、TPPと郵政の改革についての御質問だ、こう思いますけれども、我が国の郵政改革に関しまして米国が関心を有していることは承知をしております。

 私自身も、八月にアメリカに行きまして、財務省のブレナード財務次官とお会いをいたしました。そのときも彼女から郵政についての懸念が表明されましたので、私はきちっと、これはもうまさに経営の自主性と競争原理の公平性というのを、先生御存じのように、WTOあるいはガットの金融の自由化に関するところでございますから、そこに抵触しないように非常に気を使ってこの法律を実はつくっておりますし、そういうことをしっかりブレナード財務次官にも私、二十分ぐらい時間がかかりましたけれども、きちっと論理的に説明をしてきたところでございます。

 そういったことで、米国が関心を寄せていることもよく知っておりますけれども、今度は環太平洋パートナーシップ、いわゆるTPP協定に関する、今後、協定の過程における米国等関係国の関心事項や要望については、現時点では公式には不明でございますけれども、いずれにいたしましても、今私が申し上げましたように、郵政改革については、今国会に提出している郵政改革法案十二条において、郵政事業が同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性に配慮するものとすることも基本としておりまして、今申し上げまして、ちょっと繰り返しで恐縮でございますけれども、基本方針のもと、経営の自主性あるいは競争条件の公平性、これはもう第三者委員会をつくってきちっと公平性を確保しておりますが、バランスのとれた設計としておりまして、郵政改革法案はWTO協定を初めとする国際約束の基本的精神に反するものではないというふうに考えておりまして、この国際約束との整合性を確保していく、運営としても確保する約束でございまして、一日も早く閣議決定させていただけるように、各党各会派の御理解をいただきまして審議の俎上に上らせていただきたいというふうに思っています。

小野寺委員 自見さん、それはうそを言わないでくださいよ。五月二十四日、これはジュネーブで、日本の大使がEUとそれからアメリカの通商関係の大使から明確に言われています。今回の国会に提出された郵政改革法案は、これは、日本の民間企業に対して優遇措置を享受するという米国、EUの懸念に対処するものではないことに対し失意を表明した、そして、この問題に対して強い日本に対しての抗議を行う、このような状況があると伺っております。

 したがって、もし今回、このTPPの交渉に前向きになるということになりましたら、これは間違いなくこの郵政改革の問題については、申しわけありませんが、自見大臣、あなたの国民新党は大変大きな決断を迫られることになる。その大きな決断に閣僚の一人として署名をするあるいは賛成をする、そのお考えがあるかどうか、お伺いしたいと思います。

大村委員長 自見大臣、時間が来ておりますので簡潔に御答弁を願います。

自見国務大臣 先生がアメリカに行きましてUSTRの方とお会いしたという情報は得ておりますけれども、それに対して日本国政府もきちっと反論をしたというふうにも私聞いておりました。想像力を豊かにいろいろ将来のことを御心配していただいておりますけれども、私は、郵政民営化の法律、やはり三事業一体で、なおかつ、どんな過疎地でも離島でもきちっと明治以来の郵政三事業を国民が受けられる。そして、郵政民営化しまして経営基盤が極めて脆弱になってきていますので、早くきちっと決着をつけていただくことが国益にかなうことだというふうに確信をいたしております。

小野寺委員 時間になりましたが一つだけ。

 十四日、前原外務大臣とUSTRの代表との話の中で、牛肉の問題、そして保険の問題、この保険は簡易保険も含まれる保険の問題、この問題が提起されたと伺っております。

 自見さん、うそはだめです。今回、TPPに進むということは、郵政改革、民主党がマニフェストで参議院で約束したことに関しては、改革法案は審議できないということになります。

 そのことをぜひ深く思って、今回のTPPについて国民新党としての判断をしっかりしていただきたい、そのように思います。

 終わります。

大村委員長 次に、藤田大助君。

藤田(大)委員 おはようございます。民主党の藤田大助でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思いますが、平成二十年度の予備費の使用、そもそも論でいけば、予備費の使用については厳格に定められていると思います。それは、国会の事前承諾の重大な例外に当たるわけで、極めて限定的になっているわけであります。

 平成二十年度の予備費の中には、イラクでの活動、インド洋での補給支援活動に関するものが含まれています。約八十六億円。自衛隊が厳しい環境の中で一件の事故もなく任務を果たし、各国から評価されて活動を終了できたことに対しましては、敬意を表するところでございます。

 その上で、その予備費の中にある補給支援特措法について少し議論させていただきたいのですが、民主党は、法案審査当時、政府の説明責任が果たされていないこと、そして自衛隊派遣の国会承認規定がないことを理由に反対した経緯がございます。自衛隊の活動は評価し、敬意を表する一方で、過去の議論を見ても、法案審査時にはいろいろな議論があり、また手続の問題もあったかと思います。

 そこでまず、説明責任が果たされていないという点に関して言えば、本年の四月に政府から国会に提出された補給支援活動が終了した際の報告で、旧テロ特措法における国会報告と比べ、予算の執行状況等についてはかなり詳細に説明がされております。政権交代後の説明責任ということに関して言えば、前進しているのかなというふうに理解しています。また、いろいろ議論はあったとしても、一たん成立した法律で、それに適正に執行された予備費の支出だということも理解します。

 これは、これからの時代の予備費、もっと広く言えば、決算、予算審議にも通じることかもしれませんけれども、この予備費の支出については、その根拠法や政策を問題とするのではなく、違法な支出や極端な無駄遣い、不当な支出が認められない限りは承諾、そういうふうに位置づけていくことにもなるのではないかと感じております。これらについても、今後、立法府として、やはり認識というものを与党、野党を超えて共有していく必要があるのではないかと思います。

 一方で、できる限り本予算に計上すべきだという考え方もありました。今後、このあたりは整理していく必要があるとは思いますけれども、自衛隊を動かす費用、それも結果的に毎年継続的に支出される費用であるということが予備費本来の趣旨と乖離がある、そのような話はこの委員会でも過去に出てきておりますので、もちろん、技術的な部分があって難しい部分もあると思うんですけれども、そういうような意見が実際にあったということを踏まえて、近年、自衛隊による国際協力は一層重要性を増してきております。新安防懇の報告書でも指摘され、来月の防衛大綱でも今後の方向性が示されてくることになるというふうに思います。こういう環境下にあって、自衛隊の活動あるいはその費用について、国会における承認のあり方をしっかり議論する必要があります。

 そこで、自衛隊を海外に派遣する際の国会承認のあり方について、現段階で政府がどのようにお考えなのかということを質問させていただきます。よろしくお願いします。

広田大臣政務官 藤田委員の御質問に御答弁を申し上げます。

 まず、国会承認といいますのは、自衛隊という実力部隊を派遣する際のシビリアンコントロールの象徴的なものであり、大変重要なことだというふうに認識をいたしております。

 その上で、自衛隊の海外派遣に当たっての国会の関与のあり方につきましては、委員も御承知のとおり、各法律において、それぞれの活動の趣旨、目的などに応じて、個別の法律において規定されてきたわけでございます。それらの課題等々の問題点につきましては、先ほどお話があったとおりでございます。

 その上で、具体的に申し上げますと、国際平和協力法におきましては、PKFの本体業務を実施する場合については、原則として事前の国会承認を得ることが必要とされております。また、旧テロ対策特措法やイラク特措法におきましては、国会の事後承認を得ることとされております。こういったところが主な国会承認の事例でございます。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 いろいろな形でシビリアンコントロールというか、我々がしっかりそこを注視していくという視点は必要だと思いますけれども、新安防懇の報告書で、新たな事態に合わせて毎回この特別措置法制定を繰り返すことは、法秩序の安定といった点から見ても好ましいことではない、あるいは、日本が、国際協力活動に関する基本法的な性格を持つ、包括的かつ恒久的な法律を持つことが極めて重要であるとして、一般法を制定する必要性が新安防懇では指摘されているわけであります。

 この指摘のように、特措法制定を繰り返すという対応は、どういうふうに我々はこれから位置づけていくのか。それともう一つは、安防懇の指摘にありますように、一つの方策として一般法の制定、そういうことを議論していく必要があるのではないか。

 また、そうであれば、私は、一般法制定については、自衛隊を海外に派遣する際、派遣形態ごとの国会承認をどのようにしていくのかということを議論していく必要がこれからあるのではないかなというふうに思います。それは、結果として説明責任や透明性の確保につながることにもなるのかなというふうに理解しておりますので、そのあたりの見解をお伺いしたいと思います。

広田大臣政務官 御答弁申し上げます。

 委員御指摘のとおり、新安防懇の報告書におきまして、一般法についての提言なりがあることは十分承知をいたしているところでございます。

 その上で、現時点におきまして、一般法の整備については政府としては具体的な作業に着手をしているわけではございませんが、日本が国際社会の平和と安定のために積極的な協力を行うに際し、どのような活動を行うべきなのか、こういったことも含めて、今現在、東内閣府副大臣のもとで例えばPKOの在り方に関する懇談会などが開催され、さまざまな課題につき研究をしていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 同時に、先ほど藤田委員の方から、一般法の議論については、国会の場においても積極的に行っていかなければならないというふうなお話がございました。これからの国際平和協力のあり方に関する課題につきましては、委員のお話のように、活発に議論をされることは私たちも大変意義あることではないかなというふうに思っております。

 今後とも、防衛省・自衛隊といたしましては、国際平和協力活動など、自衛隊を海外に派遣する場合には、十分な説明責任を果たすと同時に、委員御指摘のように、予算執行を含めて透明性を図ることが必要であるというふうに認識をしているところでございます。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 この予備費にかかわって我々がこれから意義ある議論をしていかなければならないというのは、やはり説明責任であるとか執行のいわゆる透明性を確保する、そのことを通じて一つ一つ丁寧な作業が要るとは思うんですけれども、そういったことが必要であるというふうに思いますので、またぜひ、そのあたりの具体的な作業には着手していないということでありますけれども、情報提供やそういったことをお願いしたいというふうに思います。

 もう少しこれに関連して質問させていただきたいと思いますけれども、自衛隊の国際平和協力活動は、従来は付随的任務であったが、自衛隊法改正によって、平成十九年から本来任務とされました。しかし、その自衛隊法第三条は、従来から、自衛隊の主たる任務は、第一項で規定されている我が国の防衛であり、国際平和協力活動は、第二項の従たる任務とされ、主たる任務の遂行に支障を生じない限度において実施されるということになっております。

 つまりは、自衛隊による国際協力も必要なんですが、近年の安全保障環境は複雑で不確実なものになってきていますし、もちろん財政状況も非常に厳しい状況にありますので、いかに日本の防衛体制をこのようなさまざまな課題がある中で整えていくかということは、おろそかにできない、しっかり確認していかなければならないことではないかなというふうに思いますので、そのあたりのことについて御見解をお伺いしたいと思います。

広田大臣政務官 御答弁申し上げます。

 委員の御指摘のとおり、本来任務の中での主たる任務、また従たる任務の整理、そういった中でさまざまな国際貢献活動等に対する必要性、重要性というものは近年増しているところでございます。

 そしてまた、冷戦が終わった後も、日本周辺地域においては依然として、核戦力を含めて大規模な軍事力が存在をしていることも御承知のとおりでありまして、特に近年は、中国を初めとして、多くの国が軍事力の近代化に力を注いでいるところでございます。

 特に、朝鮮半島であるとか台湾環境をめぐる問題などは、依然、不透明、不確実性が増しているというふうに言っていいと思います。特に、尖閣諸島の問題であるとか、またロシア大統領の北方領土訪問などについて、国民の皆さんも近年以上に防衛とか我が国周辺地域のあり方について関心を持っているわけでございます。と同時に、あわせて、財政も大変厳しいのが現実でございますし、今私たちも野田財務大臣から厳しい査定を受けている現状でございます。

 そういった中ではございますが、しかしながら、私たちは、着実に我が国の防衛といったものは進めていかなければなりません。特に多くの島嶼が存在する地理的特性、これは我が国の安全保障の脆弱性を示しているというふうにも指摘をされておりますので、こういったところにも考慮しながらも、今のこの財政状況であるとかこういったものを踏まえて適切な防衛を進めていきたいというふうに思っております。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。

 自衛隊には、非常にいろいろなニーズというか役割が求められてきていると思います。そういうような中で、さまざまな機能が求められる中にあって、やはり日本の防衛体制をしっかり整備していく、その役割を担っていくということに御尽力いただければなというふうに思いますし、政務官おっしゃいましたように、我々としましても、やはり意義ある議論というものをこれから積み重ねて、こういった問題に一つ一つ取り組んでいかなければならないのかなというふうに思っています。

 いずれにしましても、財政面も含めた手続という観点、こういったものも含めてルールづくりというものを議論していく必要があるのかなというふうに思っていますので、よろしくお願い申し上げます。

 時間もまだ少しありますので、ほかにも質問をさせていただきたいと思います。独禁法、公正取引委員会に関連して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今、地域経済が非常に厳しい状況になってきていることは私から申し上げるまでもございませんけれども、一番大きな問題としては、そのことによって商業機能が地域で低下することによって、地域の住民の生活が本当にしにくくなっているというような状況が生まれていると思います。

 地域の中小企業者さん、特に小規模事業者さんなんかは、地域のまちづくりや地域の経済の担い手だけではなしに、いろいろな地域づくりの担い手として活動してもらっています。そういう意味では、地域社会でそういう小規模事業所がなくなっていくというような状況は深刻な状況じゃないのかなというふうに思っています。

 例えば、最近よく地域で耳にするのは、買い物がすごくしにくくなったと。地域のおばあさんたちに聞くと、豆腐が買えないとか、あるいは遠くまで行かないと買い物ができないという買い物難民的なそういう話も多く聞くんですけれども、そのことが、結果として過疎化を進めたり、地域の衰退を進めてしまっているというここの部分をどうしていくかということは、本当に非常に大事なことではないかというふうに思っております。

 そこで、質問をさせていただきたいのですけれども、不当廉売というか、小売業なんかの衰退、酒屋さんであるとか八百屋さんとかが、小さな事業体ですけれども、不当廉売とかそういった問題にもかかわっています。また、中小企業であれば下請いじめとか、これは地域経済にとっても深刻な重要な問題だと思います。中小企業が公正な取引というか競争をしていく上で、しっかり対処していただきたい。

 例えば、そのことについて、予算を使って公正取引委員会は書面の調査もされていると思います。回収率の問題なんかは議論もされているとは思いますけれども、そのあたりも含めて、委員長のお話をお伺いしたいと思います。

竹島政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 不当廉売、優越的地位の濫用といったことを含めて、公正取引委員会がきちんと調査して、違反行為は厳正に取り締まれという御趣旨かと思いますが、特に下請につきましては、これはなかなか、下請の方々が被害に遭われても、公正取引委員会に自主的に、こういうことがあったということをおっしゃっていらっしゃらないわけですね。

 そこで、私どもは、毎年、定期的に調査をかけております。これは積極的に、親事業者それからそれと関係している下請事業者の方々に、全部で二十四万通以上、二十四万八千二百十二通というのを二十二年度において実施しているんですが、これだけのものを発送して、それで回答をいただいています。

 ただ、これは強制調査ではございませんので、回収率は確かに悪いわけでございまして、二〇%をちょっと割り込むぐらいです。ただ、二〇%を切っておりますけれども、私どもは、この中に、特に問題ありませんという方は回答してこなくてもいいということであります。したがって、催促もしていませんので、そういう中で任意の御協力をいただく。

 そのときに、公正取引委員会に書面調査に対する回答をすることによって、そのことが親事業者に漏れる、よって、事後、親事業者から何らかの報復と言ってはなんですが、そういうことをされるおそれがあるということを皆さん危惧しておられるようなので、そういうことは決してありません、情報管理はちゃんとやりますので、親事業者にわからないようにやりますと。

 それから、これに御協力していただいて、きちんと下請法を施行されますと、例えば典型的な違反行為であります代金の減額、事後的に値引きをするということがよく行われておりますが、こういったことについてもちゃんと返還命令をして、こういう、何億円というものが戻っておりますよというようなことも含めて、よってもって御協力くださいという努力をしております。

 それから、あわせて体制の整備についても、厳しい定員事情のもとでありますけれども、下請それから不当廉売等の審査に当たる部門については増員をさせていただいております。

 たまたま、この十一月は下請取引適正化推進月間でございまして、全国各地でもって、下請事業者並びに親事業者に対して、講習会、それから個別の相談を今集中的にやっている月でもあります。

 そういうことをいろいろやりまして、下請法についてのまず認識をきちんとしていただくということと、それから情報提供を粘り強くお願いしていくということをやっていきたい、これからも体制整備を含めて努力してまいりたいと思っております。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 種々取り組んでいただいているというのは理解しております。ただ、その二〇%を割る状況が八・二%みたいなときもあったりとか、あるいは、この運用を改善していくというようなところは必要かと思いますけれども、予算の適正な執行として本当に効果的かどうかというのをもう一度このあたりで議論をして、今後の実態調査のあり方については、例えば直接職員を派遣するとか、いろいろな工夫は必要ではないのかなというふうに思っています。

 それで、体制の強化について、実際、国民からいろいろな申告があると思います、不当廉売を初め。その申告件数がかなりふえてきていまして、平成二十年度ですと一万三千三百五十三件でしたか、年々増加しているというような状態だと思います。先ほども申し上げましたけれども、小規模事業者や、特に小売なんかはかなり深刻な部分があると思います。小売業にかかわる申告については、平成二十年度で九千六百六十八件というふうに思います。

 先ほど委員長がおっしゃられました体制の強化であるとか人の問題とかもあると思うんですけれども、かなり少ない人員で審査とか監視をしているというような状況です。それで、増員というような方向ですけれども、公正取引委員会においては、必要なところに必要な人員を配置できているのか、あるいはこれからどう考えていくのかということをお伺いできればというふうに思います。

竹島政府特別補佐人 体制の整備については二つあって、量的な問題と質的な問題があろうかと思います。

 量的な問題は、まさにこの厳しい定員事情の中で、公正取引委員会は数少ない純増官庁ということで、そんな大した数ではございませんが、毎年、プラスマイナスでネット増の役所でございます。私どもは、何といっても大事なのは、独禁法並びに下請法の厳正な執行というふうに考えておりますので、審査部門、具体的には審査局とか、地方事務所においても下請を含めて審査を担当する、そういった部門を強化する。それから、最近、国際的な事件がありますので、そういった方面の体制も増強したいというふうに考えております。

 質的な面では、法曹資格者、弁護士の方々、それから学位を持ったようなエコノミスト、こういった人たちが必要でございますので、現在、裁判官、検事の方々は出向していただいていますけれども、それ以外に、民間から弁護士、今十六名の方に任期つきということで、一定期間、二年とか三年とかということですが、それを順繰りに来ていただくというようなこともやっていますし、エコノミストも同じようにやっています。

 そういうことで、質量ともに余りその人数を多くできない状況でございますけれども、なるべく生産性が上がるようなことを考えてやっているつもりでございます。これからも努力したいと思っております。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。

 地方で、その現場でやられている人の数というのは結構少ないと思います。今のお話にもありましたように、かなりの数の申告件数がある中で、五名、六名とかで、実際、それでできるのかというような疑問も持ちます。

 いたずらに人をふやせというわけではなしに、やはり地域で中小企業とかそういったところの経済環境というか競争環境というものをつくり上げていくというのは非常に重要だというような思いを持っておりますので、その意識もぜひ、そういった国際的な競争の中での監視というのにも目を光らせなければならないというのは、これはもう当然なんですけれども、一方で、地域のそういう中小企業の皆さんが公正に競争できるような、その環境に対してしっかりとした監視の強化をしていただきたいと思います。

 量と質があるということですので、量の面、そして質の面についてもお答えいただいたと思います。独禁法に基づく取り締まり機関である公正取引委員会ですので、いろいろな、先ほどおっしゃいましたような捜査関係者や学識経験者や司法関係者、こういった人との人材交流というものもかなりこれから重要になってくるというふうに思います。

 いずれにしましても、地域の中でもう一度、これまでは、昔は、小規模事業者は弱者、その後は考え方を変えて、元気な、あるいは創意工夫を持った小規模事業者、中小企業が社会を引っ張っていく、経済を引っ張っていく、こういう考え方は大事ですけれども、一方で、地域を支えて、生活を支えるためにも、そういう環境整備というのはしっかりしていかなければならないのではないかなというふうに私自身は考えておりますので、ぜひ公正取引委員会におかれましても、いろいろ課題というのはあるとは思うんですけれども、その視点もしっかり取り組んでいただきますことを要望させていただきまして、質問を終わりにしたいと思います。

 ありがとうございます。

大村委員長 次に、平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いいたします。

 決算行政監視委員会ということで、財政が大変厳しい折、これからまさに決算もしくは行政監視というのは、その機能を強めていかなければならないんだと思います。また、事業仕分けなど新たな手法も加わってきましたので、政府や議会がこういった決算や行政監視についてどのようなことができるのか、これはもう与野党を超えて議論していかなければいけないと思いますので、そういう観点から御質問をさせていただきたいと思います。

 また、きょうは蓮舫大臣また野田大臣中心に議論させていただきたいと思いますが、私は、野田大臣と初めて議論をさせていただいたのが、二〇〇三年、東京青年会議所理事長をやっているときに野田先生と、ちょうどそのとき河野さんもいましたけれども、議論をさせていただいて、それから何回かいろいろな場面で議論をさせていただきました。きょうは初めて委員会でお話をさせていただきます。

 私は、野田大臣は大変誠実な政治家だと思っております。私、本業が、本業といってももうやめましたけれども、大田市場の仲卸なんですが、船橋にもうちの会社がありまして、船橋の市場は野田先生のまさに地元のど真ん中にあるんですが、政治家になって、その市場の連中に自民党の候補を応援してくれと言ってもなかなか応援してくれないんですよ。やはり野田さんがいいと言う人がかなりいました。ですから、やはりこれはお人柄なんだろうなというふうに思っております。きょうは、ぜひ誠実な議論をさせていただきたいと思っております。

 まずは、平成二十年度の予備費に関連をして質問をさせていただきますが、平成二十年度の一般会計予備費使用調書には、年金記録確認地方第三者委員会の運営に必要な経費として六十五億六千万円が計上されているわけであります。これは年金記録問題がありまして、年金記録確認第三者委員会は、自公政権のときに年金問題の具体的な対応策として総務省に設置をしました。その役割は、年金の記録の確認について、国側に記録がない、御本人も領収書などの物的証拠を持っていない、こういったときに国民の立場に立って申し立てを十分に酌み取るということで、さまざまな対応をし、公正な判断を下すことを任務としてきたものであります。これはこれまでの年金記録問題について大きく貢献をしてきたものだと感じております。

 今、民主党政権になりまして、年金記録問題については、現在、長妻前厚労大臣が始められました紙台帳とコンピューター記録との突き合わせが実施をされています。これに関しては、平成二十二年度当初予算額で四百二十七億円、平成二十三年度概算要求額で八百七十六億円という、結構大きな額が計上をされているわけであります。

 そのような中で、政府の行政刷新会議の事業仕分けで、この紙台帳とコンピューター記録の突き合わせの事業仕分けがされたと聞いておりますが、これはどのような仕分け結果になったのか、まずは蓮舫大臣にお伺いをいたします。

蓮舫国務大臣 お答えいたします。

 先月二十八日に行われました特別会計仕分けにおきまして、年金特別会計で行われている、今、平委員の御指摘になられました紙台帳等とコンピューター記録との突き合わせについて、評価結果としては、総合評価方式を見直しまして、価格競争を重視した入札、調達に変えることによって予算要求を二割程度圧縮する、このような評価結果にさせていただいております。

    〔委員長退席、三日月委員長代理着席〕

平(将)委員 私は自民党ですけれども、事業仕分けは大いにやるべきだ、賛成の立場だというのは大臣も了解をいただいておりますが、これは民主党政権で始めた事業でもありますけれども、こういう事業仕分けを受けて、厚労省の方はどのようにお考えか。岡本大臣政務官が来られておりますので、岡本さん、よろしくお願いします。

岡本大臣政務官 今、平議員から御指摘のありました紙台帳とコンピューター記録との突合につきましては、御本人がお気づきでないコンピューター記録の漏れや誤りを国の側で見つけよう、そして年金記録の回復につなげていこうという大変重要な取り組みと理解をしておりまして、先日、十月二十八日の事業仕分けの議論において、本事業の重要性について御理解をいただいたと考えております。

 しかしながら、その効率性について徹底的な努力が必要だという観点から、予算要求は圧縮との評価結果が出されたものと承知をしておりまして、我々としましても、事業の正確性を保ちつつ、さらなる効率化を図っていくという具体的な方策についてよく検討し、民主党のマニフェストに沿った取り組みを進めていく考えでございます。

平(将)委員 今、蓮舫大臣から、この事業に対して経費の二割程度削減という事業仕分け結果が出たということであります。

 我々も事業仕分けを構想日本とやってきて、きのうもちょうどニコニコ動画で慶応の土居先生と議論をさせてもらいました。我々も事業仕分けをやりましたが、よく二割削減とか半分程度削減とか出てきますが、この根拠というのは何なんですか。ちょっとよくわからないので土居先生にも聞いてみたけれども、土居先生は土居先生なりのことを言っていましたが、大臣、御見解を。

蓮舫国務大臣 まさに仕分けの作業というのは、事業の理念や目的は否定しておりませんで、手段をどのように効率化できるか、費用対効果を少ない予算で実現することができるか。その割に、めどとして何割削減を評価結果としてまとめさせていただくことが多いんですが。

 今回の紙台帳とコンピューター記録の突合の作業なんですが、ここにおいて細かな議論をした評価結果を見ておりますと、例えば総合評価方式というのが契約の手法としてとられている。これを純粋に一般競争入札にすればいいものではないとは思っているんです。もちろん突合作業自体が非常に大切な重要な役割ですから、クオリティーといいますか質というのが大切なのは、我々は否定をしておりません。

 ただ、この総合評価方式の評価点数なんですけれども、突合作業の場所が大都市を要件とすると高くつくとか、あるいは、これまでの実績、過去にも社会保険庁から、今は日本年金機構ですけれども、社会保険庁から類似の突合作業の受注を受けた企業に点数が高くつくようになっているとか、全体的に見てやはり一割から二割程度は、かさ上げされているという表現が正しいのかどうかわかりませんが、絞ることが可能であるというのが評価者の一致した意見、それを重立った評価結果にまとめさせていただいているところでございます。

平(将)委員 今の説明も合理的とは思いますが、なぜそれが何割削減に直接つながるのかというのはちょっとよくわかりません。

 今回議論になったのは、別に都心でやることはないじゃないか、地方でやれば人件費も安いでしょう、家賃も安いでしょうということかと思いますが、逆に言えば、私はいろいろな会社の経営とかやってきましたけれども、地方に置くときに、紙台帳と突き合わせをするわけですから、紙台帳を運ばなきゃいけないですよね。そこでまた粗相をして、台帳をなくしちゃいましたなんということになったら目も当てられないので、その辺のリスクをどう考えるかということもあるんだと思います。土居先生は費目ごとに全部見ていると言っていましたけれども、やはりその程度の精度、あと全体のリスク、そういったものが必要なんだと思います。

 厚労省にお伺いをしますが、二割削れと言われたわけですが、これは今後大きな予算もかかりますし、膨大な作業が見込まれているんだと思います。これは、そもそもどのぐらいの時間とお金をかけてやる予定だったのか。そしてさらには、今回、二割削減という結果が出ましたけれども、今後の展開に影響はないんでしょうか。

岡本大臣政務官 今回の紙台帳とコンピューター記録の突き合わせについては、この四年間、衆議院の任期の中で全件突合を目指していくという中でありますが、特にこの二年間に集中的にその解決を図っていきたいというふうには考えています。

 先ほど平委員の方から御指摘がありました、例えば場所の問題についても、紙台帳自体はもうコンピューターの中に入っていますので持って歩くということではないんですが、ただ、地方でこの事業をやった場合には、そこで人が本当に集まるのか、山の中でやって人が集まるのかといったら、それについての問題点があるでしょうし、また評価方法、例えば場所を変えていく、その変更することのコスト、もう始まっちゃいましたから、今度、別のところにしましょうといったらそのときにコストがかかるとか、いろいろあると思います。

 しかしながら、先ほどからお話をしておりますように、事業の正確性を保ちつつ効率化を図るということは大変重要だと考えていますし、また、今回の指摘を受けていることもありまして、我々としても、この議論の結果を踏まえて本当に真剣に考えなければいけないというふうに考えていますし、けさもその話をしたところでございます。

平(将)委員 事業仕分けは、この間、予算委員会で蓮舫大臣とも議論させていただきましたが、かなり有効な手段、手法だと思います。その反面、発展途上にあって、これからどう進化をさせていくのか、さまざまな課題がありますから、解決をしていかなければならないと思います。

 あわせて、大事なのは、自民党だ民主党だとか、与党だとか野党だということではなくて、やはり、これから民主党政権、僕は続かないと思いますが、続くのを前提に考えれば、これからは民主党の皆さんがつくった予算に対して事業仕分けをやっていく。そうすると、一部評論家やマスコミから、何だ自作自演じゃないか、パフォーマンスじゃないかと言われますが、私は、そうじゃないと思うんですよ。

 予算をつけろというベクトルは当然政党や政治家にあって、その反面、この予算は削れという力がやはり全般的に弱いわけでありますから、この事業仕分けが本当にこの国に定着するためには、民主党がやっている政策、民主党がマニフェストで約束をしたものなども含めて、やはりしっかり事業仕分けをしていく必要があると思います。

 今回のこの紙台帳とコンピューターも、やり方だけが仕分けになったようでありますが、そもそもこれだけの膨大な作業、片や年金記録という非常に重要な記録が不整備、整備が不十分だという状態もあり、どこでバランスをとっていくのかといった議論も本来していただければよかったのかなと思いますけれども、次に行きたいと思います。

 それでは、事業仕分けについてお話をしたいと思います。

 事業仕分けとあわせて、この国では、決算については、まずは会計検査院がさまざまな事業をやっています。会計検査院の視点、観点というものがありまして、まずは正確性、正確に決算がされているか、財務諸表がつくられているか。二つ目は合規性、法令に従って適切に処理をされているか。これだけじゃないんですね、会計検査院は。経済性というものもあり、また効率性、もしくは政策の有効性、こういうところまで実は会計検査院が見ることになっています。ですから、事業仕分けとはかなりダブってくるところは多いと思います。その反面、会計検査院は、政府からは少し独立をした組織形態になっていると思います。

 あわせて、総務省の行政評価ですよね。この行政評価も、やはりここ数年、物すごく進化をしていて、かなりチェックをするようになってきていますし、定量的にも定性的にもかなり広範にわたって評価を、総務省もやりますし、各省庁もやるようになっています。これは行政刷新会議の事業仕分けとかなりダブってくるところが多いと思うんです。

 これはやはり、二重に同じことをやっても逆に税金が無駄なので、この辺との連携をどう考えていくかというのも一つの視点だと思いますが、蓮舫大臣の御見解を伺います。

    〔三日月委員長代理退席、委員長着席〕

蓮舫国務大臣 御指摘、全くそのとおりだと思っております。

 私どもの行政刷新会議による事業仕分けは、オープンな場所で情報を公開して、国民の皆様方に見ていただく形で、税金の使われ方がどのようにあるべきなのか、正すべきところはどこなのかという部分で有益と考えております。

 他方、御指摘の総務省の行政評価におかれましては、ここは政策目標を定めて、その達成度を図ることによって、各府省みずからが政策の効果を把握、分析することを基本としている。

 御指摘の、独立した機関の会計検査院の場合には、まさに挙げられたさまざまな視点において、私どもの政府のお金の使われ方を、改善も含めて指摘をしていただいている。

 また他方で、財務省においても、査定という機能であったり予算執行調査という形で、また一方で、このように国会においても、衆議院、参議院でも御議論をいただいて、本来、税金の使われ方は、二重、三重、四重、多角的な面を持って国民の皆様方に納得のいただく使われ方ができる、そのような組織があるんですけれども、残念ながら、いま一つ機能していないのではないか。

 これは会計検査院のまとめもそうですけれども、なかなか省庁が指摘された事項を守っていない面もあるし、事業仕分けにおいても、今再仕分けを行わせていただいておりますけれども、何度も何度も議論をすることによって、どこが本当に国民の皆様方に納得いただけるお金の使われ方になるのか、これは追い続けていって、本来、理想としては、仕分けも再仕分けもない政府の予算編成というのが最適だと私は思っている。

 そのためにも、連携の仕組みというのは一層議論をしなければいけませんし、今回の事業仕分けの最終日に特別セッションとして、会計検査院、総務大臣、あるいは関係の方たちを呼んで、どうやったらこの連携を深めることができるのか、議論を深めたいと考えています。

平(将)委員 そのとおりだと思います。多角的にやるというのは大事なんだけれども、連携をするというのも大事です。

 会計検査院なんというのは、ちょっとおれたちは独立していると思っているものだから、何か言われても、はい、聞いておきますという形で、実際それを参考にしても参考にしたとは言わないような体質があるわけであります。しかしながら、税金で運営をされていて、目的はかなり近い。

 総務省の行政評価も、各省庁はその政策について効果を把握し、必要性、有効性、効率性等の観点から評価を行うと。必要性まで判断に入っているわけですから、前から提案しているとおり、事業仕分けをちゃんとやって、その後ちゃんと予算に反映させる仕組みと、さらには、やはりこういうところの連携を定期的にする。

 連絡会議でも何でもいいですから、やはり連携をして、ダブらない、もしくは問題を共有するということが重要だと思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 今大臣から、再仕分けの件が出ました。私が文句を言う前にもう先に言いましたけれども、本来、再仕分けというのはおかしいんですよ。事業仕分けをやって評価が出ました、それは行政刷新会議と各省庁の政務三役がしっかりと連携をとって、やらせるのかやらせないのか政治判断をし、その上で、それが結果どうだったのかということを国民の前に明らかにすればいいので、一回仕分けたものをまた引っ張り出してきてどうのこうのというと、パフォーマンスと言われかねない。

 私がなぜこういうことを言うかというと、事業仕分けは、私は賛成ですけれども、反対の人もいるんです。あれはパフォーマンスだと言う人もいるんです。だからこそ、質実剛健でやっていかなきゃいけないので、やはりパフォーマンスじゃないかと言われるようなことはできるだけ避けるべきだと私は思います。

 ですから、きのうも慶応の土居さんに言ったら、いやいや、平さん、そうじゃないんだ、役人のロジックというのは物すごくて、やはりまだまだ政務三役じゃ無理だとは言われませんでしたが、政治家とやるというとまだだめなんだ、だから、一回はやる、ただ、再々仕分けは当然やらないという話をしていました。

 私は、その中で感じたのは、やはり政務三役なり行政刷新会議の政治家が、その仕分けをした省庁に対して、やはりもっと情熱を持って説得しなきゃだめだと思うんですよね。こういう仕分け結果は、こういう理由でこうなったんだ、だからそれをしっかりやれと。どうも役所の人を呼んで聞くと、これはどうしてこうなったのと言ったら、何か上から決まったんです、事業仕分けでばっさりやられちゃいましたみたいな感じになっているんですよ。ここは、やはり政治のガバナンスとして、しっかりと説得をする、役人を説得して動かしていくということが重要だと思いますので、よろしくお願いします。

 続いて、次の質問に行きたいと思います。

 お手元に資料を配らせてもらいましたが、内閣府が作成をした経済財政の中長期試算というのを配らせていただきました。ちょっと使い回ししていて、字がつぶれていて恐縮ですが、これは内閣府が試算をしたものでありまして、下に数字、縦軸にパーセント、これはGDP比であります。このグラフを見ていただくと、二〇一〇年がマイナス六・四、三十・八兆とあります。これは国と地方の基礎的財政収支をGDP比であらわしたものであります。

 恐らく、政府の目標は、聞いているところによりますと、二〇一〇年度比に対して、五年後にプライマリーバランスの赤字幅を半分、十年後にとんとんに持っていく、そしてその後、黒字化をして、債務を減らしていくという目標を持っていると聞いております。

 この黒い実線が慎重シナリオ、いわゆる成長戦略シナリオではなくて慎重なシナリオを書いている。財政の議論をするときは、楽観的な議論を戒めるために慎重シナリオを使うのが当然だと思います。この赤い点々で示されたところが政府の財政健全化目標です。その下に矢印とそのギャップを書いておりますけれども、五年後には二十一・八兆、四・二%マイナスです。このときは半減目標ですから、半減目標を達成するには五・二兆円足りません。二〇二〇年には三・八%、二十一・七兆円足りません。

 これは国と地方を合わせての基礎的財政収支でありますので、国だけを見るともっと深刻な状態になっておりまして、ちなみに国も同じ財政目標を持っております。二〇一〇年、マイナス六・八、三十二・九兆円ですが、二〇一五年でも二十五・七兆円足りない、二〇二〇年度では二十六・四兆円足りない。これはかなり深刻な数字だと思います。

 財政再建については、これはもう与野党問わず、国家の一大事でありますから、しっかり議論して対応していかなければならないと思いますが、慎重シナリオに基づいたこの試算、かなり大きな額のギャップが二〇二〇年度はあるわけでありますが、これに対する財務大臣の御見解を短くいただければと思います。

野田国務大臣 平委員とは、冒頭の御指摘のとおり、二〇〇三年がファーストコンタクトでありまして、以来、何回か議論をしてきました。

 先ほどの蓮舫大臣との御議論も聞いていて、大変かみ合った議論ができていた。なぜそちら側に行ったのかなということを今さらながら思っている次第でございますが、簡便に答弁をするということでございます。

 確かに、御指摘のとおり、内閣府の試算と財政健全化目標、我々の財政運営戦略、このままいくと乖離が出てくることは事実でございます。特にこの慎重シナリオでいった場合にはその差が大きいということで、改善の幅が大きいんです。

 だからこそでありますけれども、まず大事なことは、スタートラインである、財政運営戦略は向こう十年の計画ですが、とりあえずの三年間、中期財政フレームを決めました。その中身は、歳出を七十一兆、そして国債の発行はとりあえずは四十四兆以下に抑えるということに全力を尽くしながら、この中期財政フレームは、毎年、年の半ばに、ローリングをしながら次の三年をつくっていくということでございますので、そのシナリオどおりにきちっといくように、慎重シナリオにしろ、あるいは、できれば成長シナリオまで進んでほしいんですが、その乖離を埋めるべく、毎年の中期財政フレームづくりの際に軌道修正をしながら、二〇一五年の目標、二〇二〇年の目標、達成できるように全力を尽くしていきたいと思います。

平(将)委員 野田大臣、これからの議論が、なぜ私がこっちにいるかという議論になってきますので。

 まず、このシナリオ。このシナリオを見てもギャップはかなり大きい。これを埋めるためには、歳出削減、もしくは増税もしなければいけないかもしれません。経済成長だけでは多分埋め切れる話ではないと思います。

 昨年の衆議院選挙、まさに民主党が誕生したあの熱狂の中の衆議院選挙で、皆さんはマニフェストを示されました。子ども手当や農家の戸別補償など、その政策経費は十六・八兆と言われております。大変巨額だと思います。これはこの試算に入っていますか、財務大臣。

野田国務大臣 内閣府の試算は、ことしの六月の、決まっている政策、定まっている政策をもとにしてつくっているということであります。

平(将)委員 そうすると、子ども手当の第一弾分は入っているのかもしれません。

 ただ、ここで議論をしたいのは、民主党のマニフェストには、国の総予算二百七兆円を全面組み替えする、税金の無駄遣いと天下りの根絶をします、そして財源を出していきますと。その中で、専ら大きな要因になる、原動力になるのは事業仕分けであったと思います。

 ここにマニフェストがありますけれども、例えば人件費、人件費は公務員制度改革もありますが、庁費、委託費、施設費、補助金や埋蔵金など、また政府資産の計画的売却なども、これは事業仕分けにかかわってくるものだと思います。第一弾、第二弾はやりました。各省庁の事業のレビューもやりました。第三弾の前半、大きな部分の特別会計も終わりました。

 前回、予算委員会は、ちょうど終わった翌日ぐらいだったので、蓮舫大臣は手元に数字がなかったと言いますけれども、結果、フローとストックで幾ら出ましたか。

蓮舫国務大臣 特別会計の仕分け評価結果におきましては、まさに今予算編成が行われておりますので、最大限、予算編成に反映できるべく努力をしておりますが、数字は、この予算編成が政府案として、原案として確定したときに初めてお示しすることになると思います。

平(将)委員 きのう、慶応の土居先生と議論をしていましたら、私の認識では、事業仕分けでこうなったという部分と、皆さんが削減をしました、例えば、当初予算から一兆円だとか、基金など、もしくは埋蔵金などの返納で一兆円とか、ここは多分一対一対応になっていないのかなと思っていましたら、いやいや、事業仕分けの結果は、何がどこに反映されたか財務省はまとめているよというお話を土居先生はしていましたけれども、そういうのはあるんですか、野田大臣。

野田国務大臣 事業仕分けの結果がストレートに、例えばこれぐらい予算に反映できるというものはまだありません。精査をしています。

 ただし、例えば、春の仕分けで、ストックベースですが、独立行政法人の鉄運機構で一兆円を超える利益剰余金が出た、それをどれぐらい国に返してもらえるか、これも今精査中ですが、大体、規模感で、春までのものは出てきているものはあると思いますが、まさに今、特会と再仕分けをやっている最中で、今やっているものについてはこれから精査をするということでございます。

平(将)委員 事業仕分けは、予算編成過程だとか決算について、本当にちゃんとやっているのかといったところをオープンに議論する、透明性を高めるというのが大事ということで、それは私も同じ考えですが、結果も大事だと思うんです。

 それで、事業仕分けは財源捻出ではないような議論も一時ありましたが、いや、そうではない、財源捻出機能も当然あるということですから、結局、国民は民主党を信じているわけですよ、四年間で十六・八兆出しますと言ったんだから。野田さんみたいな誠実な政策通の政治家もいるから、できるんだろうと思っているわけです。

 そういった中で、公務員制度改革とかさまざまな改革があると思いますが、額が額ですから。一・六兆じゃありませんからね、十六・八兆ですから。今回、事業仕分け、一通り大どころは終わりました。結果として幾ら出てきたのかということ、もしくは、事業仕分けというのは枠がありますから、どのぐらい出そうなのかというのは、数字にして出していただきたいと思います。

 もう時間が来ましたから終わりますけれども、また続きはここの委員会でやらせていただきたいと思いますが、マニフェストの財源の一覧表を見ましたけれども、では、これに対して、なるほどそうかという具体的な方策が今の時点で出ていなければ、四年間でやるということを信用することはできないですよ。

 そろそろ現実を直視して、政権をとって一年二カ月になりました、事業仕分けもやりました、結果、自民党時代にできなかったことでこれだけのことはできましたけれども、しかしながら、去年国民の皆さんと約束したことに比べたらどうだったのかということをしっかりそろそろ示していただかないと、これから、この中長期試算に基づいて、与野党で歳入歳出、特に歳入の議論をしていかなければいけないので、十六・八兆、やるのかやらないのかもわからない、財源もどうだかわからない、これはやるんですみたいな精神論だけでここで棚上げされて、それで歳入の、消費税の議論だけやりましょうと言っても、やはり我々はなかなかできませんから、そろそろ現実を直視して、合理性のある解決策を示すなり、もしくは方向転換するなりしていただきたいと思います。

 続きはまたやらせていただきます。ありがとうございました。

大村委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。きょうはお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 決算委員会ということでございますけれども、土日とAPECの会議等も行われ、国民が今最大の関心を示している日中関係あるいは日ロ関係について、さきの首脳会談等の成果を、冒頭、伺っておきたいと存じます。

 それぞれ首脳会談が行われたこと自体はよかったなというふうには思っておりますが、今回、首脳会談が果たして実現できるんだろうかどうか、特に日中の間では、まさに記者発表が十分前、会談がセットできたのが四十分前という直前の直前でございました。こういったプロセス自体が、現在の日中関係の複雑さ、異常さというものを雄弁に物語っているんじゃないかと思います。

 きのう外務省の方から、その会談の概要について説明を伺ったわけでございますけれども、日中関係、特にこの尖閣をめぐる問題については、我が国の確固たる立場を述べたということ以上のものは差し控えたいというものの一辺倒でございました。首脳会談の後は外相会談も行われたわけでございますけれども、当然、前原外務大臣も首脳会談に同席したと伺っております。

 まず冒頭、伺いたいのは、この席で、そもそもこの急ごしらえの会談、やらなかったよりは、こぎつけたということは一定の評価はできますけれども、従来どおりの内容を進展させることが事実上できなかったんじゃないかというふうに思っておりますけれども、率直な感想をまず伺っておきたいと思います。

前原国務大臣 発表したのは確かに十分前でございますが、さまざま外交ルートで話し合いをしていて、とにかく、お互いが日中首脳会談をやろうという前提の中で、スロット等の問題があり、余り細かくロジ的なことを申し上げるのは差し控えたいと思いますけれども、野党の皆さん方もマスコミも、ともすれば、なかなかセットできていないのではないかという話がありましたけれども、私はそのようには思っておりません。

 今回、日中の首脳会談が行われたということは私はよかったというふうに思っておりますし、私は、自分自身が同席をしていて若干はらはらするぐらい、菅さんは日本の立場をはっきりおっしゃった。私が言うのもなんですけれども、菅さんがはっきりおっしゃったというふうに思っております。

 そしてまた、中国側も我々も、日中関係を、関係改善をしていこうという共通認識の中で、やはり大局に立った方向性というものを確認し、特に日中の首脳会談ではそういう確認をいたしましたし、また外相会談では、それを再確認するとともに、それをどのように実現していくのかということの中で、人的交流の活性化の話であるとか、あるいは、お互いの諸懸案の問題についてしっかりと意見を述べ合って、そしてそのことについてお互いが意見交換をする、こういうことでございました。

 秋葉委員におかれましても、余りマスコミの色眼鏡、あるいはいろいろ公表されていることにも、公表というか、マスコミで報道されていることには事実もあれば事実でないことも結構ありますので、ぜひ直接私どもに聞いていただいて、お話しできることはしっかりお話をしたいと思いますので、我々としては、皆さん方の議論に資するようなベースをしっかりと出させていただきたいと思っております。

秋葉委員 言えないこともあるかとは思いますけれども、きのう外務省にさんざんいろいろな内容について伺ったんですけれども、何一つ回答が示されていないような現状でございます。

 お互いにそういう約束があったというような報道もございますけれども、少なくともここで確認したいのは、この尖閣の問題については、日中間に領土問題はないんだということの一辺倒で来ているわけでございますけれども、そこに今回の漁船問題が起こったわけでございますから、このことについては、首脳会談、外相会談の中でしっかりと指摘をして、抗議をしたんでしょうか。事実として確認をさせていただきたいと思います。

前原国務大臣 従来から申し上げておりますように、東シナ海においては領有権問題は存在をいたしませんし、尖閣諸島は我が国固有の領土であるということであります。

 今回、あの事案以来、胡錦濤国家主席とは菅首相は初めてお会いになられましたので、日本の確固とした立場をお伝えになられました。今回、外相会談は、あの事案以降、二度目でございましたので、一度目、ハノイでヨウケツチ外相にお会いしたときには、私はその立場を明確に申し上げておりますので、申し上げている以上、そしてまた、我が国固有の領土であり、領土問題は存在しないという我が国の立場からすれば、わざわざ私から、二度目、三度目にお会いをしたときに、こちらから言う話ではない、そう思っております。

秋葉委員 では、領土問題は存在しないということは言及したんでしょうけれども、確固たることを述べたということで非常にあいまいなわけでございまして、端的にお答えいただきたいんです。

 この尖閣の問題について、領土問題がないんだということを前提にしながらも、中国側に、首脳に抗議したんですか、しなかったんですか。

前原国務大臣 細かなやりとりというのは、これは首脳間で行われたこと、外相間で行われたことについて、細かにどういう言葉で言ったのかということについて申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、先ほど答弁をさせていただいたように、私が若干はらはらするぐらい、菅総理は日本の確固とした立場をお話しされておりました。

秋葉委員 これ以上は平行線になると思いますけれども、やはり日本側の立場というものをなめられないように、私は堂々と主張していくべきだと思うんです。

 今回、報道では二十二分、外務省の発表では二十三分ということの会談時間でございましたが、実質は十分少々でございました。立ち話の好きな菅さんもようやく会談にこぎつけたこと自体は本当に有意義なことだったと思うんですけれども、御案内のとおり、中国側の報道では会談という位置づけじゃなくて、何かその一歩下の会晤だとかというような位置づけで報道されているというようなこともございます。形式はともかく、やはり実をとる交渉事を進めていっていただきたいと思うわけでございます。

 さて、日中の首脳会談に続いて、メドベージェフ大統領との会談も行われたわけでございます。こちらの方はあらかじめ決まっていたわけでございますけれども。

 この会談では、北方四島の帰属の問題を最終的に解決して平和条約を締結すべく、両首脳でも議論されたということでございますけれども、従来の路線が確認されただけではないかというふうに、これも思わざるを得ないわけでございます。

 総理大臣からは、感情から受け入れられないと抗議したということを聞いておりますけれども、今後、歯舞あるいは色丹島への再訪の予定があるということが言われているわけでございますが、今後の大統領のこうした北方四島への訪問についてもぜひ差し控えるべきだという言及はされたんでしょうか、されなかったんでしょうか。伺わせていただきたいと思います。

前原国務大臣 まず、中国とは違って、外相会談から先にやりました。会談が一時間、そしてワーキングランチが一時間余りということで、二時間以上、ラブロフ外相とは話をいたしましたし、冒頭、メドベージェフ大統領の国後訪問に対して遺憾の意をあらわすとともに、抗議をした。

 そして総理も、メドベージェフ大統領と会われたときに、この領土問題に対する我が国の立場、つまりは北方四島についての、日本の固有の領土ということを前提としながら、その日本の領土に、国後島に行かれたことに対して、遺憾であるということを伝えられると同時に、抗議をされたところであります。

 つまりは、それにもあらわれておりますように、今後もそういったことがないようなことも含めて、我が国の北方四島のあり方、つまりは日本固有の領土であり、四島の帰属を確定した上で平和条約を締結するということについて我々の考え方をしっかりと述べたところでございますし、そして、そういうことも含めて、日ロの関係強化もそういった文脈の中ではやっていきたいというメッセージも、総理や私の方からも伝えたところでございます。

秋葉委員 外相会談は三分の二が領土問題であったということも伺っておりますから、恐らく外務大臣からはかなり細かい話もされたんじゃないかなということが推察できるんですが、どうも首脳会談については余り、遺憾の意が表明されて抗議したということ以上のものが公表されておりませんので、やはり二度三度、近年は閣僚級の訪問が相次いでいるわけでございますから、こうした事実が積み上がることのないように、首脳みずからくぎを刺していくということが私は大変重要なことだと思っております。

 同席されていた大臣からそういった話もあったというふうに理解されるような発言でございましたので、今後、来年以降ロシアに招待したいというような話もあったようでございますから、そういった機会をとらえて、しっかりと日本の立場というものを、形式論や原則論にとどまらないで、現状の変化を受けて、個別のものにも言及をしながら示していくこと、これが非常に大事だと思います。原則論だけでやってきたから、なかなかスムーズな進展というものが図られていないという面が私はあるのではないかなというふうに思っております。

 さて、大統領の方からは、平和条約の締結に向けたアプローチよりも、むしろ経済関係の方を強めようと。つまりは、この発言というのは、北方四島問題はお互いに棚上げして経済協力関係を強めていこうじゃないか、こういう提案があったと報じられておりますが、これは事実なのかどうか。そして、これに対して日本側はどんなスタンスで切り返したのか、伺わせていただきたいと存じます。

前原国務大臣 どのような資料に基づいて秋葉委員が今の御質問をされたのかわかりませんが、領土問題、そして経済協力関係、これは日ロ間を今後進めていく上での車の両輪でございまして、領土問題についても話し合っていくことは首脳間でも外相間でも確認をされております。

秋葉委員 いずれにしても概要しか、私どもにはペーパー二枚紙しか外務省からいただいておりませんので、細かい詳細についてはこうして伺うしかないわけでございますけれども、大事なことは、よく外交というのは武器を用いない戦争だとも言われております。やはり交渉事でございますから、戦略的互恵関係というのは、やはりお互い一歩一歩譲り合うところからウイン・ウインの関係を構築しようということでありまして、これまでの日中間の外交というのは譲りっ放しじゃありませんか。多くの国民の皆さんは、こうした日本の姿勢に対して大変な不満、そして不安感を抱いているんだと思います。ですから、こうした大きな会談、なかなか日本で三首脳と続けてやれるような会談というのはないわけでございますので、しっかりと日本の立場というものを伝えながら、しっかり国益を実現していくということが大事だと思っております。

 大臣、この後、モンゴルの大統領がおいでになっているということでございますので、あとは仙谷官房長官にお伺いをしたいと思いますので、どうぞ、中座していただいて結構でございます。

 さて次に、海保のビデオの流出問題でございますけれども、結局、逮捕が見送りになりました。多くの国民世論も、国を憂えての行動だという支持論が大半なわけでございますが、今回の逮捕見送りという結果を長官はどのようにお受けとめになられているでしょうか。

仙谷国務大臣 捜査の過程で、捜査当局が現時点で逮捕という手続をとって捜査をしないということのようでありますが、私の方にも捜査当局から何らかの連絡があるわけではありませんので、私の立場で捜査の現状について何らかの感想めいたことを述べるのは差し控えたいと存じます。

秋葉委員 今回の一連の、この大きな、まさに国家の屋台骨を揺るがすような機密情報が、あらゆるところでと言っては大げさかもしれませんけれども、第十一管区以外にもいろいろな場所で見られる、そういった実態にあったわけでございますけれども、ここに来て、なぜいまだにこのビデオを公開しようとしないのか。前原大臣も明快に以前述べておりました、あのビデオを見れば、明らかに中国の故意であることが明白だと。これは国内にとっても、あるいは国際世論に向けて日本の立場というものをしっかりと位置づけていくためにも重要なことだと思います。

 長官も委員会ごとにこの質問はたびたびお受けになってこられたと思いますけれども、逮捕見送りという新しい事態を受けて、内閣として、公開のあり方というのはいろいろなレベルがあるかと思いますけれども、いわゆる予算委員会だけではなくて、国民にこのビデオを全面公開するお考えがないのでしょうか。イエス、ノーでお答えをいただきたいと思います。

仙谷国務大臣 いつも申し上げておるのでありますが、私どもの方は、内閣としては、いわゆる訴訟に関する書類の公開というふうなことについては、これを公にすることについてはしかるべき手続と時期というものがある、こう申し上げておるわけであります。未来永劫……(発言する者あり)

大村委員長 お静かに願います。

仙谷国務大臣 未来永劫これを公にしないということを申し上げているわけではありません。

 それと……(発言する者あり)

大村委員長 ちょっとお静かに願います。

 御答弁を続けてください。

仙谷国務大臣 いや、あれだけ言われたら答弁できないじゃないですか。(発言する者あり)

大村委員長 御静粛に願います。

 仙谷長官、答弁を続けてください。

仙谷国務大臣 そして、この質問をいただくときにも、第一事件、第二事件とでもいいましょうか、この第二の、海上保安官が流出させて、私どもが、私どもというか海上保安庁が刑事告発をして捜査が始まっているという刑事事件、この事件については、今、参議院の予算委員会等々でも指摘されております、いわゆる流出させたものとほぼ同一の四十四分物のテープというのは、まさに犯罪組成物そのものであります。

 犯罪組成物そのものを、これを捜査期間中に、捜査のプロセスが現在なされているときに、政府が自主的にそのものを公開せよと言われても、それは、もししかるべき手続、つまり国会で、国会法百四条に基づいてそのような手続がとられた段階で、私どもも、もちろん捜査機関に、捜査の現段階において犯罪を組成するそのものを一般に公開していいかどうか、できるかどうかというのは問い合わせなければならないと思います。

 捜査が、公判請求をするという段階になれば、これは公判廷で公開をされるものでありますから、その場合にはしかるべき手続が、つまり、一般の方々にもごらんいただく手続があるのかもわかりません。

 もしこれが公判請求をしないということになったときに、国会法百四条との関係で、今度は刑事訴訟法四十七条のただし書きを適用すべき場合なのかどうなのか。それは、現在もう既にユーチューブの中で公開をされているというふうな事情も含めて、総合的に捜査機関の方でまずは判断されることだと私は思っております。

 したがって、手続と時期ということを、犯罪捜査の過程であるということを含めてお考えいただきたいと思っております。

秋葉委員 今の長官のお答えというのは、従来お答えになっていたことと何一つ変わっていないと私は思うんですね。今は、逮捕が見送りになって、さっき外野からも発言があったように、公判に持ち込まれることはあり得ないでしょう。

 では、逆に聞きますけれども、今までこういったケースで、処分保留で釈放して起訴された例というのはあるんですか。

仙谷国務大臣 お言葉を返すようですけれども、処分保留で釈放という手続はとられていません。

 そもそも最初から任意の捜査が始まって、普通は任意の捜査の過程で、罪証隠滅のおそれと逃亡のおそれがあれば逮捕をするという手続に入っていくわけでありますけれども、むしろそちらの状況で、これは任意捜査でいいんだという判断をされたのかもわからないなと、ここは私、推測ですけれども。

 つまり、捜査当局の、身柄をとるかどうかという判断をどのような事情に基づいてしたのかというのは、私のところへ来ていません。現時点でそうしていないという客観的な事実が見えているだけであります。当然のことながら、私のところへそういう情報が入ってくるような仕組みに日本の刑事司法制度というのはなっていない、こういうことを申し上げているわけであります。

秋葉委員 長官はちょっと勘違いされている。私が今申し上げたのは、中国の船長の問題ですね。船長の問題を、処分保留で釈放したのに起訴に持ち込まれていない、そういうことを申し上げたのであって、今回の保安官の件ではありません。もう一度お答えください。

大村委員長 仙谷長官、簡潔に答弁願います。

仙谷国務大臣 この議論をするときには、さっき第一事件、第二事件と申し上げましたけれども、公務執行妨害事件なのか、国家公務員法事件なのかを分けて議論していただかないとわかりません。

 したがいまして、私どもは、まずは国会がしかるべき手続をとれば、国会に提出をするということで、提出をしてもいいという判断を那覇地検の方でも、多分これは最高検でも相談されたんでしょう、ここは推測ですけれども。だから、私どもの方も国会に提出をしたということなわけであります。

 提出するについては、それは内部的な判断だと思いますけれども、ああいう七分物をつくったのか、あったのか知りませんけれども、それを提出してきた。

 私の立場としては、ただ、これの調べ方といいましょうか、これを衆議院の予算委員会で審査対象にする際には、あそこに書きましたような諸事情をどうぞ勘案してほしいという要望をつけたわけであります。この要望に対して、予算委員会の方が、いや、そうじゃないんだ、これは全面的に、つまり大衆に公開するんだ、衆議院の例えば国会テレビとかそういうメディアがありますから、それにアップするんだという判断をされれば、それはそれで我々の方としてはいたし方ない、こういうふうに考えております。

秋葉委員 ちょっと短くお答えください、あと五分しかありませんので。

 私が今問うたのは、中国の船長の釈放問題のように、処分保留で釈放した後に、起訴された例があるんですかという質問をしたんです。端的にお答えください。

大村委員長 仙谷長官、時間も限られております、簡潔にお答えください。

仙谷国務大臣 身柄が釈放された後、在宅起訴される場合も十二分に、私は一般論としてはあると思います。

秋葉委員 それは犯罪性が希薄であったり、証拠が不十分であったりした場合にはあり得るけれども、今回のように、明らかな証拠がある、映像として動かぬ証拠がある場合には、あり得ない話なんですよ。そして、保安官の問題についても逮捕が見送られたわけですから、大きな状況の変化があったわけですね。

 予算委員会には、確かに国会法百四条、国政調査権の発動に基づいてこれを公開されました。これは平成になってから四回目ですよ。私は、もっともっと国民に対して、知る権利に資していくべきだというふうに思っております。

 一連の状況の変化を受けて、内閣として、これは四十四分物、七分物、五分物、そういうことにこだわらず、全面的な公開をすべきだというふうに訴えておきたいと存じます。

 さて、時間もございませんので、次に移りたいと思います。

 官房長官はさきの発言で、海保の長官の責任に言及して、政治職と執行職のトップの責任のあり方は違うという発言がございました。あたかも責任のすべてを官僚に丸投げして、政治家が責任を果たそうとしない。これが民主党政権が掲げる政治主導なんですか。

仙谷国務大臣 過去の例をごらんになっても、全部それはレベルの違う責任のとり方じゃないんでしょうか。特に、捜査機関の長たる執行職と、さらにそれを一般的に管理する政治任用で政治職、つまり、現在でいえば大臣、副大臣、政務官、これは責任のとり方は全然違ってくるんじゃないですか。過去の来歴をずっと見ましても、全部違いますよ。

 例えば、つい最近の例で言えば、大阪地検の例の前田事件、これは、最高検の検事総長から始まって、検察庁という強力な捜査機関の中で起こったことについて、それはそれでしかるべき責任のとり方があって、先般、みずから、それぞれに行政処分をされておりましたけれども、これに対して法務大臣がどう責任をとるか。

 私は、とらなくていいと言っているわけではないんですよ。とらなくていいと言っているわけじゃないんだけれども、おのずから、それは責任のとり方、あるいは、これは行政処分とか懲戒処分ということはありませんから、そういうふうに違いがあるということを言っているわけです。

秋葉委員 答弁は簡潔にお願いいたします。

 今、長官からそういうお話がありましたけれども、いずれにしても、海上保安庁の直接の上司は国交大臣であり、やはり内閣の頂点に立っているのは政治家たる国会議員なわけですから、最終的な責任は国会議員がとるんだ、こういう思いで職責を全うしていただかないことには、現場で御苦労をされている人たちの士気というものが下がる一方だと思います。やはり、内閣のかなめである長官として、不用意な発言、あるいはそうした一つの不見識だということを私は指摘しておきたいと存じます。

 さて、中国側に対して、我が国の「みずき」「よなくに」が明らかに被害を受けたわけでございます。「みずき」については、既に修理も終えております。「よなくに」についても、十二月中旬までに修理を終え、第三者機関に依頼をして被害額を確定するという手続になっております。

 「みずき」については今月中にも被害額が確定すると、この間、海上保安庁長官は申しておりましたが、被害額が確定したら、この被害額を公表する考えがあるのでしょうか。イエス、ノー、この言葉だけでお答えください。

仙谷国務大臣 これは一義的に海上保安庁がそのようにされるかどうかということでありますが、私のところにもし相談に参りましたら、その際に適切なアドバイスを私どもからやりたいと思っております。

秋葉委員 海上保安庁長官は関係機関と協議をして結論を出したいということでございます。その関係機関のかなめになっているのが長官のお立場だ、現状ではそう言わざるを得ませんので、ぜひ相談があったら直ちにこの被害額を公表していただくように、私から強く要望しておきたいと存じます。

 その上で、この被害額を公表する、しないにかかわらず、中国に対して、とりわけ今回のケースでは、中国政府に対してはなかなか実行できないでしょうけれども、少なくてもこの民間漁船の責任者あるいは使用者に対して、損害賠償請求をするんですか、しないんですか、これも明快にお答えいただきたいと思います。

仙谷国務大臣 損害額が確定した段階で、関係省庁において協議をして適切に対応をしたいと考えております。

秋葉委員 海保の鈴木長官の話を伺っておりますと、どうもやはり関係省庁の中でも仙谷大臣なんかに気兼ねして、なぜか請求するのかどうかためらっているような、大変後ろ向きの姿勢なわけでございますけれども、やはり内閣としてどう判断するのかということをここで伺っておきたいと思います。

 ぜひ中国に対して、この民間漁船の責任者、所有者に対して、被害額が確定次第、速やかに賠償請求を行うべきと考えますが、いかがですか。

仙谷国務大臣 どこにどのような方法で請求するのか、これは法的な検討も必要だというふうに私は感じておりまして、この事件が起こったときにも記者会見でも述べておりますように、適切に対応していくということは、具体的な方法があれば請求するということは当たり前であります。

秋葉委員 では、今の答弁は、請求をする方向で対応するということで理解してよろしいですか。

仙谷国務大臣 そう受け取っていただいて結構でございます。

秋葉委員 期待をしておりますので、ぜひ、そういう行動の積み重ねの中で日本の立場というものを主張していく、それが外交上非常に大事なことだと思っておりますので、今の答弁をよしとさせていただきたいと存じます。

 次に、この尖閣諸島が、残念ながら、もともと国有地だったわけでございますけれども、いろいろな御案内のとおりの事情がありまして、昭和七年以降、民間に払い下げになりました。このいきさつを私が質問主意書で問うたところ、承知していないという回答が示されました。

 一九七二年に外務省情報文化局が「尖閣諸島について」という冊子をつくって公表しております。この冊子の中に明確に、尖閣諸島がもともと国有地であったけれども事情があって民有地に払い下げたんだといういきさつが詳細に書かれているじゃありませんか。なぜ内閣としてこれを承知していないという答弁になったんですか。

仙谷国務大臣 まことに申しわけないのでありますが、そういう答弁書の記載をしたということを今ちょっと確認できませんので、改めて確認してお答え申し上げます。

秋葉委員 これは本当に人をばかにした答弁ですよ、内閣で閣議決定して出しているわけですからね。これらの魚釣島、北小島、南小島及び久場島については、昭和七年に私有地となったと承知しているが、そのいきさつについては承知していない。こんな人をばかにしたような答弁をしておいて、これはインターネットでも入手できるんですよ、この冊子は。このことについてどう受けとめていらっしゃいますか、長官。

仙谷国務大臣 改めて事実を確定してからお答え申し上げます。

秋葉委員 ぜひそうした事実関係を確認して誠実に対応していただきたいと思います。

 この尖閣の問題は、日中間に領有問題がないということを前提にしながらも、今極めて大事な問題なわけでございまして、日本側の立場というものをしっかりとアピールするプロセスの中でこういった事実関係をないがしろにすること自体、私は大変信じがたいわけであります。

 さて、時間もございませんので簡単に伺っておきたいと存じますが、一言で言えば、これを今回、諸般の状況の変化、また今後の日中関係ということにかんがみて、これらの民間に払い下げた四島を政府として改めて国有地として買い戻す考えがあるのかどうか、長官にお伺いをしたいと存じます。

仙谷国務大臣 国が購入するかどうかというのは、所有者の御意思もございますが、私どもといたしましては、その必要性あるいは所有者の御意向を踏まえながら検討をしているということでございます。

秋葉委員 また、もう一つお尋ねをしたいのは、総務省が所管をしている三つの島については賃貸料が公表されているところでございますが、防衛省が管理している久場島については賃貸料の公表を差し控えたいということですが、全く整合性がとれていないし、これを非公開にする理由は全く私は見当たらないと思うわけでございます。

 内閣として、長官として、この久場島の賃貸料についても国民に公表すべきと考えますが、いかがですか。

大村委員長 仙谷長官、簡潔に御答弁願います。

仙谷国務大臣 これは米軍の射爆場として使っているということのようでございますので、防衛省の方に明らかにできるかどうか問い合わせてみたいと思います。

秋葉委員 ぜひ問い合わせをして、内閣としてもしっかり検討していただいて、やはり、尖閣諸島は我が国固有の領土であるという実効性を担保していく、そういう取り組みが大事だと思っております。そのほかにも、現地のさまざまな自然調査、地籍調査、そうしたこともゼロベースで今後取り組んでいっていただきたいと思います。

 まだまだ申し上げたいことはたくさんございますが、きょうは長官から、被害に遭った我が国の巡視船「みずき」「よなくに」、これらの被害額が確定次第、中国に対してしっかりと賠償請求をする、こういう明快な答弁があったことをよしとさせていただき、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大村委員長 これにて各件についての質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大村委員長 これより平成二十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)外一件及び平成二十年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書(承諾を求めるの件)について、一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。太田和美君。

太田委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました平成二十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、平成二十年度特別会計予算総則第七条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書、平成二十年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書に承諾の立場から討論を行います。

 平成二十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書のうち、補欠選挙の経費、訴訟における和解の履行に必要な経費等は、予見しがたく、かつ速やかに支出を行わなければならない経費であり、予備費として支出することが適正であったと認められるものであります。

 イラクに係る経費につきましては、当時、民主党は、戦争の大義の欠如、非戦闘地域の概念の虚構性、航空自衛隊の活動がイラク復興目的にかなっているか等の問題点を指摘しました。しかし、当時の政府は、自衛隊の活動状況についての説明責任を全く果たさぬまま、派遣計画の延長を閣議決定しました。アフガニスタンに係る補給支援活動についても同様であり、一定の疑義を差し挟むものであります。

 しかし、違法な支出ではないこと、また、現政権が決算をもとに誠実かつ着実に予算を適正化していく姿勢を示していることから、本調書を含む四件の調書について承諾するものであります。

 以上、申し述べ、討論を終わります。

大村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大村委員長 これより採決に入ります。

 まず、平成二十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、平成二十年度特別会計予算総則第七条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)の両件について採決いたします。

 両件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大村委員長 起立総員。よって、両件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 次に、平成二十年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書(承諾を求めるの件)について採決いたします。

 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大村委員長 起立総員。よって、本件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

大村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十一分散会


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