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第2号 平成24年4月12日(木曜日)

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平成二十四年四月十二日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 新藤 義孝君

   理事 岡島 一正君 理事 階   猛君

   理事 玉木 朝子君 理事 向山 好一君

   理事 森岡洋一郎君 理事 木村 太郎君

   理事 平  将明君 理事 遠山 清彦君

      井戸まさえ君    石井登志郎君

      石原洋三郎君    稲富 修二君

      江端 貴子君    大西 健介君

      金森  正君    神山 洋介君

      熊谷 貞俊君    熊田 篤嗣君

      黒田  雄君    近藤 和也君

      斉木 武志君    阪口 直人君

      田中美絵子君    平  智之君

      高橋 英行君    中野渡詔子君

      松岡 広隆君    村井 宗明君

      本村賢太郎君    森本 和義君

      矢崎 公二君    柳田 和己君

      吉田 統彦君    伊吹 文明君

      小泉 龍司君    下村 博文君

      中村喜四郎君    細田 博之君

      村上誠一郎君    鳩山 邦夫君

    …………………………………

   国務大臣

   (行政改革担当)     岡田 克也君

   法務大臣         小川 敏夫君

   財務大臣         安住  淳君

   国土交通大臣       前田 武志君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   内閣官房副長官      齋藤  勁君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   財務副大臣        藤田 幸久君

   国土交通大臣政務官    室井 邦彦君

   防衛大臣政務官      下条 みつ君

   会計検査院事務総局第一局長            鈴木 繁治君

   会計検査院事務総局第三局長            小林 誠治君

   政府参考人

   (国税庁次長)      岡本 榮一君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 中田  徹君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  山縣 宣彦君

   政府参考人

   (海上保安庁総務部長)  岸本 邦夫君

   決算行政監視委員会専門員 平川 素行君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     矢崎 公二君

  小野塚勝俊君     中野渡詔子君

  岡田 康裕君     石井登志郎君

  奥野総一郎君     江端 貴子君

  平  智之君     近藤 和也君

  野木  実君     金森  正君

  初鹿 明博君     井戸まさえ君

  松岡 広隆君     熊田 篤嗣君

  坂本 哲志君     下村 博文君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     初鹿 明博君

  石井登志郎君     岡田 康裕君

  江端 貴子君     大西 健介君

  金森  正君     野木  実君

  熊田 篤嗣君     松岡 広隆君

  近藤 和也君     平  智之君

  中野渡詔子君     本村賢太郎君

  矢崎 公二君     稲富 修二君

  下村 博文君     坂本 哲志君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 健介君     奥野総一郎君

  本村賢太郎君     小野塚勝俊君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 歳入歳出の実況に関する件

 行政監視に関する件


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     ――――◇―――――

新藤委員長 これより会議を開きます。

 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として国税庁次長岡本榮一君、国土交通省自動車局長中田徹君、国土交通省港湾局長山縣宣彦君及び海上保安庁総務部長岸本邦夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

新藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

新藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、昨年の七月十四日に一度この決算行政監視委員会で議論させていただいたんですが、貸金業法の改正とその完全施行による影響と対策について、もう一度議論させていただきたいと思います。

 まず、この貸金業法改正でありますが、その背景は、多重債務者問題というものが社会問題化をいたしまして、多重債務者がたくさん発生をし、そしてその中から闇金に手を出すようなことにもなり、最終的には自殺という悲惨なことになるというような事例が多く見られまして、その対策として貸金業法の改正がなされ、また完全施行がされたと思うんですが、そろそろ二年になりますけれども、現時点で、この完全施行後、金融庁としてこの貸金業法改正、完全施行をどのように評価されているのか、大臣にお伺いをいたします。

自見国務大臣 平議員にお答えをいたさせていただきます。

 先生今御指摘になったように、これは平成十九年のデータでございますが、多重債務問題が非常に大きな社会問題になったということでございまして、このときの統計によりますと、五件以上の貸金業者を利用している方が百八十万人、これらの平均借り入れ総額が二百四十万円だと。貸金業から借りている人が全部で千百七十万人、国民十人に一人がいわゆる消費者金融の利用者だということで、十三・八兆円というふうに推計されているわけでございますが、そういった社会問題も大変大きくなりまして、それを受けて、先生御存じのように、全党一致でこの法律をつくらせていただいたわけでございます。

 今先生が言われましたように、施行からちょうど四年半、完全施行から二年たちまして、公布が平成十八年十二月、施行が平成十九年十二月ということでございますが、こういう問題ですから、完全施行までかなり時間を置きまして、平成二十二年の六月十八日に、実は、先生今御指摘のように、完全施行させていただいたわけでございます。

 一昨年の六月から、制度につきまして、私、この前も先生に申し上げたと思いますが、明治以来、これは議員立法でなくてやはり閣法ですから、内閣というのは絶対間違いを犯さないというのが、ある意味で無謬性というのが基本でしたから、施行のすぐ後にこんな、また、我々としては、いろいろ各党の御意見を聞きながら、有識者の意見を聞きながら最善の法律をつくらせていただいたという気持ちは当然ありましたが、私は選挙で選ばれた長でございますから、やはりそこは、非常に一人一人のまさに財布の問題、生活の問題ですから、こんな問題は、大きな社会問題も起こした問題でございますから、完全施行の数日後に実はフォローアップチームというのをつくらせていただきました。金融副大臣を筆頭に、関係の消費者庁だとか警察庁の御理解をいただく、あるいは業界団体、あるいはいろいろな方のメンバーを入れた実はフォローアップチームというのをつくらせていただいたわけでございます。

 そんなことをさせていただいたわけでございますが、我々は、こんな法律が絶対正しいと思ってつくりましたけれども、やはり人の世界、人の営みというのはいろいろあるわけですから、その辺を、私は、今の政治というのは、よらしむべしというふうなことでなくて、特に経済法でございますから、そういった態度が必要だろうと思って、実は、僣越でございますけれども、フォローアップチームを、完全施行した数日後につくらせていただいたわけでございます。

 そういった中で、直ちに見直すべき点はないとの認識をお示ししましたが、その後も多重債務問題を含む貸金業法または闇金に関する相談は落ちつきを見せておりまして、日本信用情報機構によれば、貸金業から五件以上、無担保無保証借り入れの残高がある人数は、多重債務問題が問題となった平成十九年に比べて減少しているというデータをいただいております。

平(将)委員 要は、評価は、見直す点はない。ちょっと済みません、大臣、短く、ポイントだけお願いします。何を答えたんだか、ちょっと私はよくわからなかったですけれども。

 まず問題は、多重債務者が闇金に手を出してしまって、それが自殺まで追い込まれるようなことがあるということが問題ですよね。本来、私は、これは社会保障なり福祉の政策でやるべきだと思うんですけれども、その問題に対処するために、なぜ金利を制限する、なぜ総量規制をするという処方箋をとられたんですか。短くお願いします。

自見国務大臣 これは、先生、全党一致でこの法律をつくらせていただいたわけでございます。(平(将)委員「理由だけお願いします」と呼ぶ)

 理由は、やはり、もう先生の方が御専門であると思いますが、当時、利息については日本は二つの法律がございまして、利子については、先生御存じのように、利息法上限金利というのが二〇%ございました。それから、任意性、書面性を満たす場合に限り有効ということで出資法上の上限金利があるんですね。これは二九・二%あったわけでございます。そういった任意性ということが、いろいろ最高裁の判決なんかも出ましたが、そういったことで、刑事罰対象が出資法上の上限金利にはありましたので、その辺が、後から最高裁の判例が出たり、過払い金の問題なんかにも発展をしたわけでございます。

 少なくとも、各党各会派、いろいろ意見も違ったという話も、私は当時は金融を預かっておりませんでしたけれども、各党各会派でいろいろ、もう少しやはり、何とかかんとか言っても、江戸時代から二重金利があったんだと大変強く言う人もおりましたし、しかし、こういう厳しい社会状況だからやはり二〇%に制限すべきだ、こういう意見も、国会あるいは金融関係、特に御熱心にしておられる先生からも大変強い意見が出た。それから、何よりも世論が、きちっと二〇%に制限すべきだ、大変強い勢いがあったということを私は後から聞かせていただいたわけでございますけれども、そういった中で、結局、落ちつくところに落ちついて、二〇%になったというふうにお聞きをいたしております。

平(将)委員 質問だけに答えていただきたいと思うんですが、社会問題を解決するために金利制限をした、総量規制をしたと。それは社会問題を解決するために正しい処方箋だったのかということをお伺いしているんですが、なかなか的を射た答えはいただけそうもないので、あれですけれども。

 それでは、その金利制限、金額によりますけれども、上限二〇%にしました、これは世界と比べてどうなんですか。厳しいんですか、厳しくないんですか。

自見国務大臣 利用者の金利負担を軽減するということが立法の趣旨でございましたが、ちょっと世界の全部の比較を、質問通告をいただければきちっと御用意させていただいておりましたが、本当に恐縮でございますが、今、私は完全に答弁できるような記憶を持っておりません。

平(将)委員 世界で類を見ないぐらい厳しい金利なんです。お金を借りられれば、金利は安いにこしたことはないですよね。しかし、ビジネスなんですから、金利が取れないとその分リスクがとれないんですから、今度は貸せないという話になるんです。

 自見大臣と討論すると、こっちがしゃべる時間が、どうしても説明が長くなるので、こらえるんですが、要は、多重債務者問題があって、闇金に行って自殺者がふえたという社会問題に対する解決の手法は、本来、福祉政策とか社会保障政策でやるべきところを、上限金利を制限する、総量規制をする。

 自見大臣、この上限金利は世界で類を見ません。こんなに厳しい規制をしているところはありません。金融庁はよくヨーロッパでは当たり前だと言いますけれども、金利の算定の仕方が違うんです。我が国では、保証料とか手数料とか、全て金利の計算に入れるんです。ヨーロッパは、それはまた別途、上限金利の外で取れるようになっているんです。そういうことを平気で、この法律をやるとき、金融庁はしらっとそういう情報を出してきたんですよ。金利も世界で多分一番厳しいと思います。そして、その上で総量規制。これは世界にないです。日本だけです。

 要は、大きなお世話なんですよ。本当に困った人たちだけを助ければいいのに、実際に問題債権は全体のマーケットの一割から二割しかなくて、八割は自由な金融サービスを享受していたにもかかわらず、お上が、だめだ、これ以上借りたらだめだ、この金利以上はだめだといって制限をしてしまったんですよ。

 経済官庁というお言葉が大臣からありましたけれども、では、多重債務者問題、社会問題を解決する手法として金利を制限してしまった、総量規制をしてしまった、このことによってマクロ経済にどれだけマイナスの影響を与えたかということを、法律をつくる前もしくは完全施行前に金融庁は試算されたんですか。これは質問通告してありますよ。

自見国務大臣 改正貸金業法は、上限金利の引き下げによる金利負担の軽減や、総量規制の導入による借り過ぎの抑止等により多重債務問題の解決に向けた対策を講じるものであります。

 一方、改正貸金業法の完全施行により、貸金業者の貸出残高や収益が減少することによる経済全体への影響を問題視する向きもあることは承知いたしておりますが、過払い金の返済による影響、それから上限金利の引き下げによる支払い利息の減少による影響は、当然、消費の方に、ふえる方に向くわけでございますから、当の借り手の所得へのプラス面も効果に入れる必要があるということでございまして、貸金業法の改正がマクロ経済に及ぼした影響を定量的に分析することは困難であるというふうに思っております。

平(将)委員 安住財務大臣が後ろで笑っていますよ。マクロ経済への影響をはからずしてこういう、経済官庁なんでしょう、厚生労働省じゃないですよね。しかも、過払いが戻ってくるから消費をしますみたいな。

 では、こちらの業界としての、グレーゾーンはおおむね二十兆円の業界があったと思います。それを法律がある日禁止したんですから、当然マクロ経済への影響は大ですよね。そこには雇用もあるわけですから。

 そういう分析をしたか、しないのかという話で、それは困難だと言いますけれども、例えば大阪大学大学院の筒井教授が試算しています。これは、上限金利の規制と総量規制で、GDPに対してマイナス約〇・八%の影響がある、雇用に対してもおおむね五十万人の雇用が失われているということがあるんです。こういうことを試算もせずに、全くこの貸金業法改正は今のところ問題ありません、見直す点はありませんということ自体が、私は正直言って信じられないと思います。

 さらに、よく、こういう貸金業法の改正の論点として、自殺者が減ったとか、こういう規制をすると闇金に行くんじゃないかと言ったら、いやいや、闇金には行かないんです、ふえていないんですということで、そのフォローアップチームでも言われた資料が、お渡した資料を見ていただきたいんですが、AとBという資料をお渡ししています。貸金業利用者に関する調査結果概要というものですね。

 まず、Aというのを見ていただきたいんですが、Aの二番。要は、貸金業法を改正しました、そうすると金利をがんと下げられた、総量規制もかけられた、そんなことを言ったら闇金に行くじゃないかといったら、金融庁は、いやいや、闇金には行っていませんよということで、論拠として出してきたのがこの資料です。

 二番のところの一番下の箱、闇金からの借り入れはということで、二十二年三月の時点では三%、お金を借りられなかった人は闇金に行った。しかしながら、六月に完全施行した後に、二十二年十一月には、闇金に行った人は〇・三%だ、その四月にも二・一%だ、減っているじゃないですかという説明を金融庁はしました。

 もう一枚、Bという方を見ていただきたいと思います。これは同じ資料です。実は、私が指摘をしたのは、こういう資料を平気で金融庁は出してくる。自見大臣、この間、言いましたよね、この三・〇%というのは過去三年間、二十二年十一月実施の〇・三%というのは完全施行後の五カ月間、二十三年四月実施というのは十カ月間。ですから、過去三年と完全施行後五カ月と十カ月と並べてしらっと出してきて、減ったというのはおかしな話で、本来これを見るのであれば、三・〇から足していかなきゃいけないですね。三年もしくは三年五カ月、三年十カ月でこうなりましたと。

 これは、きのう資料を要求したら、このBの方を持ってきて、注なんというのが入っていますけれども、こういう、無謬性というか、今現実に起きていることに目を伏せて、今の貸金業法の改正は間違いなかった、直ちに改正する点はないということを補強するためのような資料を出してきているわけですよ。大臣として、こういう資料の出し方をどう思いますか。

自見国務大臣 平議員にお答えをいたします。

 先生から前回御指摘をいただきました、平成二十二年の三月、これは三年分でございます、今先生御指摘のように。それから、二十二年十一月は五カ月分、二十三年四月分は十カ月分でございます。

 私も、本職は医者でございまして、四十一年間、医学をやってまいりました。公衆衛生を四年、大学院へ行かせていただきまして、衛生統計というのが少しはわかっているつもりでございますが、人間の場合、母集団からいかにランダムネスを確保しつつ、母集団からセレクトされた集団をつくるのは非常に難しいんですよ。非常にバイアスが、特に人間の場合、強制できませんから。その辺を私は少しは勉強しておりましたので、これは先生の言うとおり、やはりきちっと条件を、条件によって非常に生物統計というのは変わってきますから、そういった意味で、これは先生の御指摘を受けて、今、先生、二枚目に出されましたけれども、ちゃんとそこは実は明記を、やはりこれは条件が違えばきちっと正直に、政府の統計ですから、条件が変わったということで、二十三年等々の条件を入れさせていただいたわけでございます。

 確かに、先生が言われるように、いろいろな、こういった統計のみならず、金融庁として闇金の利用に関しては、アンケート調査の結果だけでなくて、財務局あるいは都道府県の相談件数や、警察による金融事犯の摘発の状況を見て、総合的に、これは本当に正確な統計はなかなかとりにくいものですから、そういった意味で、改正貸金業法の完全施行後、いろいろな御意見があるのは私も知っております、闇金が、特にソフト闇金が今流行しているという話も耳に挟むこともあるわけでございますけれども、全体のいろいろなマルチプルの情報源から総合的に判断して、私は、闇金が急増しているような状況にはないのではないかというふうに今考えております。

平(将)委員 世界では当たり前のマーケット、先ほど、十三兆というのは消費者金融だと思いますが、いわゆるグレーゾーンのマーケットは二十兆円ぐらいあったんです。それは世界で当たり前の金利。とにかく、少額とか短期は高い金利じゃないと対応できませんから。そうすると、そういう金利を、ある日突然、お上がだめだと。国民はそういうマネジメント能力がないんだからお上が規制をしてやるという非常に傲慢な法律なんですよ、これ自体が。しかも、金融庁は、経済官庁といいながらマクロに対する影響も、していない。それで、この法律は正しかったという補完するような資料は、今大臣の答弁があったけれども、私が指摘しなかったらこのままですよ、この資料は。闇金に接触は減っているという資料として使われていたんですから。ですから、もうちょっと物事の本質に目をやっていただかなければいけないと思います。

 ちょっと、時間もありませんので。

 結果、二十兆円という、世界では当たり前の金利帯のマーケットが非合法化されたんですよ。これは闇の勢力にビジネスチャンスを与えたんです。

 その一方で、個人事業主みたいな人、植木屋さんとか、個人で学習塾をやっているとか、町の電器屋さんとか、夏、暑そうだからエアコンを仕入れようとか、学習塾は四月までに新入生をいっぱい入れなきゃいけないから新聞の折り込みチラシをたくさんやろうとか、植木屋さんは、メンテナンスじゃなくて、石や植木を入れて、そして庭をつくってお金をもらう。こういう人たちは、みんなこういうマーケットでやっていたんですよ。

 そういう人たちのビジネスチャンスを潰して、闇の勢力にビジネスチャンスを与えて、さらに何が起きたかというと、過払い請求の問題をやりましたけれども、五年間で三兆円、過払い、行っていますね。それで、弁護士さん等は大体三割ぐらい取りますから、わずか短いこの期間の間で、一兆円のお金が弁護士、司法書士業界に流れているんですよ。

 それで、もう時間がないので、さらに次の質問をさせていただきたいと思いますが、まずは、二〇〇九年六月、財務省、国税が、過払い請求の代理を行った弁護士、司法書士八百人を調べたら、七百人が申告漏れだったというんですよ。これはゆゆしき事態です。関心事項だから財務省はこれをやりました、継続的にどの業種をどうやって、時系列で発表する予定はありませんと。それは確かにそのとおりだけれども、この発表を受けて、さらに僕は社会的関心が高まったと思うんですよ。だから、引き続きこれをやれということを言っています。

 財務大臣、国家財政が逼迫している折、こういう一兆円もの金が入って八百人中七百人が申告漏れのような業界は、しっかりと監視をする、しっかりと調査する必要があると思いますけれども、どうですか。

安住国務大臣 今お話を聞いていて、いわゆる金利政策の中で社会問題が当時起きて、これを、いわば平さんの御指摘だとモラルの問題で二〇%にしたけれども、それは本当に正しかったのか、もう少し検証が必要なんじゃないかという御指摘だと思うんですね。

 ただ、私も、あの当時のことを考えると、非常にそういういわば世論も強くて、やはり総額抑制をすべきだという意見だったと思うんです。ですから、それから何年かたっていますから、本当にそういう闇の方に、いわばイタチごっこのような状態になっているかどうか、そういうことに対するいわばフォローアップをちゃんとしなさいということは、私としてはそういうふうに理解いたしましたので、重く受けとめたいと思います。

 それで、今御指摘のように、昨年の七月にも御提言がありましたが、私どもがやった調査というのは、内部でやはりそういう問題意識を持ってやったら、結果的には、八百四件をやったら今御指摘のような件数になって、また、一件当たりの額も、これは一千万円近かったわけです。ですから、そういう点では、非常にこれはインパクトのある調査ではなかったかと思います。御指摘もいただきました。一罰百戒ということもあると思います。

 では、今後、この後のフォローアップということですが、これは、国税庁の仕事としては、その調査実績等について、なかなかそれは公表はできませんけれども、こうした問題意識は持ち続けながら、しっかり対応したいというふうに思います。

平(将)委員 これは弁護士業界、司法書士業界のためにも、もう一回やって、改善したと、やってあげないといけないと思います。

 法務大臣にお伺いしますが、前回七月にこういう指摘をしたときに、当時の江田法務大臣が結構わなわな声を震わせながらこう言いました。

 そういう状況にある、これは事実だと思います。まことにこういうことはあってはならぬことだ、強くそう思っております。

  法務省は、弁護士さん方の弁護士法というものを所管しておりますが、監督する立場にはありませんが、監督する立場の弁護士会あるいは日弁連とよく協議をしながら、必要な助言等はしっかり行っていきたいと思っております。

というふうにお答えをいただきました。

 それでは、いつ、誰に会って、どういう協議をして、どういう助言を与えたのかを教えてください。

小川国務大臣 結論から申し上げますと、協議はいたしておりません。

 その事情を申し上げますと、やはり弁護士会、大変独立性が高いところでございますので、法務省といたしましては、先方から何らかの申し出があればという、いわば待ちの姿勢でございましたので、まことに申しわけございません、まだやっておりませんでした。

 今後、きょう委員から質問をいただきましたことも踏まえまして、早急に、委員からそうした問題点の指摘があったことを弁護士会、日弁連の方に伝えて、先方の方で協議する気があるかどうか、これを確認してみたいと思っております。

平(将)委員 これは、法務大臣がここまで答弁して、私は一応国民の代表として選ばれてここで質問しているんです、それで法務大臣が答弁されたら、信じますよね。これだって一緒じゃないですか。私がここでフォローアップで質問していなかったら、結局、その場しのぎで言っただけになるじゃないですか。今、法務大臣の言うことだって、信用できないということになりますよ。これはもう委員会をやる意味がないじゃないですか、それだったら。ですよね。どうですか、法務大臣。

小川国務大臣 委員の御指摘をいただきまして、本当に早急に、きょうでもあしたでも日弁連の方に、委員から質問があった趣旨を伝えまして、ただ、独立性が高い機関でございますので、先方に協議する気があるのかどうか、これを確認して、協議したいということであれば協議いたしたいと思っております。

平(将)委員 弁護士自治の原則はよくわかります。国家権力と対峙をしなければいけないので、そういうのは認められている。しかしながら、今、過払いバブルが起きていて、コールセンターみたいなところが設けられていて、ほとんどビジネスとしてやっていて、しかも、そこで申告漏れがこれほど高い割合で認められる。これはなかなかないですよ、こんな業界は。

 何が問題かというと、司法に対する信頼性が傷つきますよ。検察もだめ、弁護士もだめなんていったら、司法は崩壊しますよ。本来であれば、言われる前に弁護士会なり日弁連なりが自浄作用を働かせて、そして、こういう指摘を受けましたけれども、もう一回その意識を徹底させて、結果こうなりましたという、定性的ではなくて定量的なことをしっかりと示すべきだと私は思いますよ。弁護士会、自治の原則を盾にとって、全く自浄作用がないということじゃないですか。司法は崩壊しますよ。いいんですか、法務大臣。

小川国務大臣 やはり司法はさまざまな分野の社会の骨格をなしているものというふうに自負いたしております。

 委員の指摘、大変重要な指摘でございますので、日弁連の方にもきちんとその趣旨を踏まえた対応をするように、私ども、自治ですので指示はできませんが、そうした委員の御指摘があったことを伝えて、先ほど申し上げましたように、先方の方で協議する気が、意思があれば協議いたしたいと思いますが、委員の御質問の趣旨は必ずお伝えさせていただきます。

平(将)委員 それはもうわかっているんですが、監督する立場の弁護士会、日弁連と協議をしながら、必要な助言等はしっかり行っていきたいと思いますと、江田法務大臣は声を震わせながらそう言ったんです。ですから、それを重く受けとめてください。

 もう時間がないので終わりますが、要は、多重債務者の問題が社会問題としてありました。本来、社会保障政策とか、あとカウンセリングですよね。この多重債務者というのは、所得が減ったから返せない、だったら業界がちゃんと、カウンセリングに乗ってリスケをしてあげればいい。もしくは、性癖なり依存症だったらメンタルなカウンセリングをしなければいけない。これは両方やっていないです。

 結果として、金利を抑えて、総量規制をやって、二十兆円の、本来当たり前のマーケットを非合法化して、個人でビジネスをやっている人のビジネスチャンスを奪い、闇の勢力にビジネスチャンスを与え、GDPでマイナス〇・八%、経済の成長をマイナスさせて、さらには、一兆円のお金が、貸金業者から弁護士、司法書士の業界に行って、そのうち、サンプル調査をしてみたら、八百名のうち七百名が申告漏れだった。そして、いまだ弁護士会は、今のお話だと、法務省も何もできない、自治の原則を盾にとって何もできない、みずから自浄作用も働かせようともしていない。しかし、この法律は間違っていなかったというのを、一兆円をもらっている業界の人たちが現実を見ずに声高に叫んでいるというのが、今、現状だと思います。国民から選ばれた政治家がこの問題を直視して対応するのは当然のことだと思いますので、引き続き議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

新藤委員長 平将明君の質疑は終了いたしました。

 続きまして、下村博文君。

下村委員 おはようございます。自民党の下村博文です。

 昨年の七月の十四日、当委員会で尖閣諸島の問題を取り上げました。再びこの問題を取り上げさせていただきたいと思いまして、きょうは、内閣官房長官、防衛大臣また国交大臣、お願いしたんですが、今、厳戒態勢に入っているということでございます。かわりに、副長官、政務官、よろしくお願いいたします。

 まず、質問通告にはありませんが、この時間にでも北朝鮮の人工衛星と称する長距離弾道ミサイル発射がされるかもしれないという状況でございます。政府は、ミサイル本体や部品が日本領域に落下する緊急事態に備えて、今、態勢をつくっているということでございますが、これについて万全の態勢がとられているのか、ちょっと確認で、まずお聞きしたいと思います。

齋藤内閣官房副長官 おはようございます。

 けさ、御承知のとおり、七時までには官邸にということで、私自身も、七条におけますメンバーでございますけれども、緊張した思いの中で、今も官邸の中におりました。

 万全な態勢で臨む準備をしてまいりましたし、そして、万が一にも、我が国土そして国民に危害があってはならないということで、それなりの対応をしてきたつもりでございます。何回となく危機管理センターの方から状況について、私も官邸の中で電話を受けておりますが、御質問にはなかったんですが、現時点での、まだ発射ということに関しての情報は入っていないところであります。

 万が一にもと今答弁させていただきましたけれども、我が国土、そして領海、そして国民にとりまして危害を与えないような、万が一の態勢を寸分の狂いなく行うように、引き続き厳戒態勢をとっていきたいというふうに思います。

下村委員 一部マスコミで過剰配備ではないかというような報道もありましたが、これは国民の安心、安全を考えれば、きちっとした態勢をとることはもう当然のことでありまして、万が一起きたときに日本がベストとしてどういう態勢がとれるかということについて、国内外に周知をするということも当然、必要なことだというふうに思います。

 北朝鮮だけでなく、この東シナ海周辺については、以前にも増していろいろな緊急状況が生まれようとしているわけでございます。その中の一つが尖閣問題で、これは御承知のように、平成二十二年の九月、尖閣事件が起きてから、この周囲の状況が、特に中国との関係でございますけれども、緊迫をしております。

 この中で、ことしの三月三十日、「尖閣を守れ!領海警備の強化を求める国民集会」というのが開かれました。全国各地でこの尖閣、領土を守るための署名運動、わずか一年ぐらいで実に二百十万を超える請願署名が集まり、紹介国会議員二百五十四名に達しております。また、政府は認めておりませんが、石垣市長の尖閣諸島上陸視察を支持する地方議員署名、これも三千三百名を上回っている状況があるわけでございます。

 この国民集会の中で、三つの決議がされました。

 一つは、既に二月の二十八日、閣議決定されておりますが、領海警備を強化する法案を今国会において速やかに成立させること。これは当委員会ではなくて、国土交通委員会に近々にかかるかと思いますので、こちらの方で改めて質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 それから二つ目が、石垣市長による上陸調査の実現を図るとともに、灯台や避難港の建設に着手すること。三つ目が、自衛隊が平時から国際法に基づいて領海警備をできるよう、法整備を早急に進めること。この三点が決議をされたわけでございます。

 先ほどの、北朝鮮の弾道ミサイル発射の、日本領海における、場合によっては落下するかもしれないという、これについての対処をするということでございますが、これは前回からも質問させていただいているというふうに思いますが、以前の中国戦略、特に海外、東シナ海戦略と、現在の中国の状況とは違ってきているわけです。

 ですから、今の民主党政権を非難するわけではありませんが、しかし、自民党政権のときと今のときとでは、国際状況、それから尖閣諸島を取り巻く状況は違っているわけです。ですから、以前がこうだったから今もこうであればいいということは、答弁としては、これは認められない。国際感覚をきちっと把握した上で、きちっとした対応をしていただきたいというふうに思うわけであります。

 まず、自衛隊が平時から国際法に基づいて領海警備をできるよう法整備を早急に進める、このことについて、今防衛省ではどのように検討されておられるか、お考えなのか、お聞きしたいと思います。

下条大臣政務官 先生、お答えさせていただきます。

 現在、領域、領海の治安の維持については、先生御承知のように、一義的には海上保安庁が対応するということでございますが、警察機関によって対処することが不可能、著しく困難な場合においては、治安出動、海上警備行動を発令し、警察機関と綿密に連携して対応していくということでございます。

 また、領域警備についてのいろいろな御意見が今出ておりますけれども、御党の中でもいろいろ検討なさっている中で、もし具体的にお答えをいただければ、私どもとしても検討してまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

下村委員 野党の自民党が提案するのを待っているというんだったら、それは民主党の答弁だったらいいですよ。これは政府の答弁ですからね。政府の、政務官としての答弁ですから、それは認められないと思います。前回、一年前も同様の答弁だったですね。

 この一年でどう変わったか。特に中国の海洋政策ですけれども、先ほどもちょっと指摘をいたしましたが、この一年で、中国漁船監視船の尖閣沖領海や接続水域内への侵犯、侵入事件が増加をしております。また、尖閣海域での海上保安庁による調査活動の中止を要請する事件が相次いでいる。そして、中国政府は、尖閣周辺の島々は中国領土だとして七十一の無人島に名称をつけ、ホームページで公開をしている。さらに、中国共産党機関紙、人民日報は、尖閣諸島を中国の核心的利益と位置づけ、報道している。また、中国の東シナ海管轄当局者は、尖閣沖の巡視は日本の実効支配打破のためと明言している。さらに、中国海軍少将は、中国の九部門の海上法執行機関を統合して国家海岸警備隊を創設し、海軍を後ろ盾とする海上警備強化策を提言している。これはことしになってからの動向でありますが、こういう状況があるわけですね。

 これに備えて、これは前から提案もされていたし、また、国土交通省、海上保安庁もみずから力を入れて、今回、海上保安庁としての領海警備を強化する法律案も国会に提出するという中で、防衛省がどう対処するのかということが私は問われてくるというふうに思います。

 この中国の漁業監視船が接続水域を含む海域に平成二十二年で五回、平成二十三年で六回も来ている中で、緊張感が高まっている。先ほど中国は尖閣を核心的利益だというふうに人民日報が報道しているということをお話ししましたが、この核心的利益というのは、それを害することによって彼らの国家の存立にかかわる大きな問題だ、そういう認識がこの核心的利益ということなわけですね。ですから、このわずか数年の中で中国の海域政策というのは大きく方向転換といいますか、覇権的な視野の中で活動をしているわけです。そのときに日本政府が何もしていないということであってはならないわけです。

 昨年の六月の十七日にもともとの計画では尖閣諸島周辺を千隻の中国漁船が取り囲むという話がありました。これは、三・一一が起きたことによってとりあえずは中止をしました。しかし、もしかしたらことし同じような状況が起きるかもしれないという中で、この何百という、千隻、そういう漁船が来て、そして民間やあるいは民間を装った軍人が尖閣にもし上陸をする、そういう計画が事実あったわけです。それで、もし上陸したとしたら、日本の法制で今対処できますか。お聞きしたいと思います。

下条大臣政務官 先生、お答えさせていただきます。

 その状況にさまざまな状況がございまして、一概にはちょっとお答えするのが困難というふうに思いますが、自衛隊として、一般論としては、武力攻撃に該当すると判断した場合は、先生御承知のとおり、七十六条で防衛出動になるということでございますが、一般の警察をもって治安を維持することができないという緊急事態については、自衛隊法七十八条に基づき、治安出動によって対処するということになります。

 以上であります。

岸本政府参考人 現在、海上保安庁では、一年半前の尖閣事案を教訓といたしまして、いわゆる領海に近づけない警備を強化しておるところでございます。また、先ほど御指摘いただきましたように、法案を今国会に出させていただいておりまして、その法案では、我が国の情勢の変化に対応して、遠方離島で発生した犯罪に海上保安官が陸上で犯罪対処できるような内容としたものを用意しております。

 この法案が通りますれば、まだ具体的な遠方離島をどの範囲とするかについては関係省庁と調整中でございますが、この対象の島につきましては、仮に外国人が不法上陸した場合には、海上保安庁が全力を挙げて当該外国人を逮捕、捜査する所存でございます。

下村委員 これは、下条政務官から最初にお答えがありましたが、いろいろな想定じゃなくて、私は具体的なことを申し上げているんですよ。

 今の答弁の中で、尖閣諸島に何百という漁船が来て、民間や民間を装った人が何百人か尖閣に上陸した、今までの法律では対処できないけれども、今度出される法律では対処できるということでよろしいんですね。確認です。

岸本政府参考人 今先生御指摘のように、何百というものが具体的にどういう対応になるかは、実は一概には申し上げにくいところかと思いますけれども、一般的に申し上げまして、不法上陸ということでございますので、これは犯罪を構成いたしますので、先ほど申し上げました法律の成立後は、海上保安官が島において犯罪対処、捜査、逮捕、そういったものを行うということでございます。

下村委員 ところが、それだけでは済まないというのが、南シナ海の中国の状況であらわれているわけですね。同じようなパターンなわけですよ。

 尖閣が初めてではなくて、ほかのところでも同じような、つまり、中国の漁民が他国の無人島等に実際に上陸をして、しかし、中国はそこを自分の領土だというふうに主張して、そして、漁民を守るために中国の軍隊が来て、漁民を保護するという名目で軍隊もそこに居座る。結果的に、そのことによって南シナ海の島々をどんどん取り上げていったという事例があるんですね。ですから、同じことが起こり得る。私は近々に起こると思います、このままですと。

 これについては、まず海上保安庁ですけれども、新しい今度の法律で対処、これはできませんよね。それに対して、防衛省としてどうですか。対応できますか。

下条大臣政務官 先生、先ほどお答えさせていただきましたけれども、一般論としては、やはり防衛出動及び治安出動の範囲内で対応させていただきたいというふうに思っております。(下村委員「いや、対応できるかと聞いているんです、具体的に。具体的に聞いているんです」と呼ぶ)その範囲内で対応させていただきたいと思います。

下村委員 何か、わかって答弁されているのか、わからなくて答弁されているのか、私はよくわかりませんけれども、私は具体的な話を申し上げているので、具体的に答えていただきたいんですね。

 そういう意味で、冒頭申し上げたように、常時、自衛隊が平時から国際法に基づいた領海警備ができるような法整備が必要ではないか。実際のところ、できないと思いますよ、今の我が国の法整備の中で。それはできないというふうに言えないのかもしれませんが。

 そういう意味で、余り政務官をいじめてもといいますか、いじめるつもりじゃないんですけれども、やはり我が国における法整備の不作為の作為だと思いますから、尖閣に自衛隊を常駐させることによって、事実上の実効支配をきちっとする。抑止力ですね。このことによって、逆に、中国漁民が尖閣に上陸できないということを名実化させることが必要なんじゃないですか。もうそういう段階に来ているのではないかというふうに思いますが、防衛省にお聞きしたいと思います。

下条大臣政務官 先生、この警戒監視活動においては、御指摘のとおり、P3C等で警戒監視活動をさせていただくと同時に、大綱の中でも、島嶼部分についての、南西部分の防衛態勢の充実ということで、それぞれ潜水艦を含めて、また、与那国島への沿岸監視部隊の配置を含めて、大変重厚にさせていただいているというふうに認識しております。その中で万全を期して対応していきたいというふうに思っております。

下村委員 これが大臣の答弁だったら私は認めませんけれども、政務官ですから優しく対応します。今のは全く答弁になっていませんよ、申し上げますけれども。

 時間の関係で、上陸問題。

 石垣市長が、平成二十三年の六月十日に、尖閣諸島での慰霊祭実施のための上陸許可を求めました。もちろん、それ以前から、ここは石垣市の施政下にありますので、固定資産税等の調査、それから、尖閣諸島には絶滅危惧種二十四種類、そのうち十種類は尖閣諸島にしかいないという絶滅危惧種、動植物がおります。今、野生化したヤギによって絶滅危惧化しつつある、こういう状況の中で尖閣に上陸をして視察したい、こういう要望をしているわけですが、今、政府は認めないという状況なわけですね。

 ただ、この中で、まず、慰霊祭ですね。これは御承知の方も多いと思いますが、確認の意味でちょっと申し上げたいと思うんですけれども、戦争中に尖閣諸島で亡くなった方々に対して、昭和四十四年に、当時の石垣市長が尖閣諸島の一つである魚釣島に行って、台湾疎開石垣町民遭難慰霊之碑を建立いたしました。つまり、石垣島から台湾に疎開する、そのときにアメリカ軍によって攻撃をされ、難破をし、そして尖閣諸島に上陸をした、避難したという方々ですね。しかし、そこで亡くなった。その方々の慰霊を昭和四十四年に行った。しかし、現地の尖閣諸島での慰霊祭が、その後できなくなってしまった。現在は、石垣島の石垣市内にある新川というところに尖閣諸島戦時遭難死没者慰霊の碑を建立して、毎年慰霊祭を実施しております。

 私も、新藤委員長も、昨年そこに行きました。地元の方々から、もともと昭和四十四年に、石垣ではなくて尖閣で遭難した、そこに慰霊碑をつくったのだから、一年に一回は、遺族の方々も相当高齢でもう行ける人もほとんど少なくなっている、ラストチャンスかもしれない、ぜひ行って、尖閣で上陸をして慰霊したい、これは切実なる思いだと思うんですね。

 この程度のことを認めるのは、これは我が国の領土ですから、当然のことだというふうに思うんですが、いかがですか。

齋藤内閣官房副長官 先生の御指摘の件につきましては、昨年六月十日に石垣市長から慰霊祭の実施を、ぜひ国に上陸の許可を求めたいという御要望が当時の官房長官宛てに提出されているということについては、私も存じ上げております。

 改めて、今るるお述べいただいたことについても、私も、きょう御質問いただくということで承りまして、痛恨の思いであるということについて、私も、そのところについては全く気持ちは同じでございます。

 一方、この間の政府の考え方、そして現時点での考え方について述べさせていただきますと、国の機関を除き上陸等を認めないという所有者の意向を踏まえ、また、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理のためという政府の賃借の目的に照らして、政府として、従来より、原則として政府関係者を除き何人も尖閣諸島への上陸を認めないという方針を現在もとっているところであります。

 その上で、御指摘の慰霊祭を魚釣島で行いたいという石垣市長の御要請につきましては、御遺族の方々の御要望を重く受けとめつつ、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理のためという政府の賃借の目的を踏まえ、現在、政府部内で検討を行っているところでございます。

新藤委員長 ちょっと済みません、事実確認だけしておきますけれども、今、所有者の意向で国の機関等を除き上陸を認めないというふうに御答弁されましたけれども、それでよろしいんですか。所有者の意向ではなくて、それは政府の考えではないんですか。

 事実だけ、ごめんなさい。どうぞ。

齋藤内閣官房副長官 委員長からの御指摘がございましたが、それは所有者の方に御相談させていただいて、そしてまた、政府の方のということで、政府自身の判断も含めて実はあることは事実でございます。

 石垣市長からの上陸要請を受けまして、既に所有者の意向を確認していて、総合的に実は御答弁したつもりだったんですけれども、所有者におかれましては、一般的には国の機関を除き上陸等を認めないという意向を従来から政府に伝えてきた経緯はあるものの、今般の上陸要請の対応については、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理のためという政府の賃借目的を踏まえつつ政府の責任において判断してほしいという意向であったと聞いているところであります。

下村委員 齋藤副長官はこのことについては初めてなのかもしれませんので、ここで追及してもしようがないんですけれども、それは全くうそですよ。

 これは、新藤さんの地元の埼玉県の方なんです、所有者は。栗原さんという方なんですけれどもね。そういうふうに本当に言っているのかどうかというのは、我々は確認しているんですよ。それは政府が方便で言っています。では、いついかなる形でどういうふうに確認しましたかということについて答えられないと思いますよ。

 それで、大義名分のように、昨年から検討中ということで、思考停止したままなんですが、平穏かつ安定的な維持及び管理という必要性といっても、先ほど申し上げましたように、私は特に、地元の市長からは三つの要望があるけれども、その中の一つとして、慰霊に行きたいということについて、これがなぜ平穏かつ安定的な維持及び管理ということにひっかかるのかどうかということについては、全くひっかからないと思いますよ。全く政府が、そこで思考停止しちゃっている。所有者の意向というよりは、近隣諸国に配慮して、みずからそういうふうに定めているとしか思えないんですね。そこから一歩も進んでいませんよ。

 しかし、先ほど冒頭申し上げたように、国際情勢はそんなのんびりした状況を許すような状況じゃないわけですよ。だから、そんなことで政府はいいんですかということを申し上げたいと思うんですね。

 少なくとも、七月の十日というのは、年に一度で、もう間近に迫っているわけですから、それは、ことしぐらいは、少なくとも一回ぐらいは慰霊を認めるべきだというふうに思いますが、副長官、いかがですか。

齋藤内閣官房副長官 先生も十分経緯を御承知の上で、そして私も、率直に申し上げまして、官邸に入りまして、経緯、そしてきょうの御質問に備えさせていただきまして、十分いろいろな私なりの調査をさせていただいたつもりであります。

 答弁で舌足らずあるいは不行き届きの点があったら率直におわびを申し上げたいと思いますが、現時点で、政府内で、回答時期も含めまして、検討の内容についてまだお答えするものが用意をされていないというのは事実でございます。

 そして、先ほど私自身の、昨年の六月十日の石垣市長から政府宛ての宛先ですが、場合によると官房長官というふうに言ったかもわかりませんが、そのときの宛先は内閣府特命担当大臣、沖縄及び北方対策、枝野幸男宛てであったことを訂正させていただきたいと思います。

下村委員 いや、それであれば調べていただきたいと思うんですけれどもね。総理にも出しているはずですよ。総理、関係大臣、全てに対して。皆さん全てに対して出しているはずですよ。

 委員長、提案なんですが、前回も、この決算行政特別委員会で、私は二つお願いしました。一つは、答弁を求めませんでしたが、絶滅危惧種、野生のヤギが三百頭近く発生していることによって、本当に今、根絶するかもしれないということを自然学者の方々が危惧されております。前回も申し上げましたが、尖閣の実態について、ぜひ専門の方に来ていただいて、話を聞いていただきたいというのが一点。

 それからもう一つは、当委員会でも、今まで何度も尖閣の上空視察は行っていると思います。また、ほかの委員会でも、国会として国政調査権を使って行っていると思います。しかし、今の状況は、上空から見てわかるようなことではない、先ほどの絶滅危惧種の問題を含めて。それから、そういう意味では自然環境も相当変わってきておりますので、これは当委員会として、国政調査権を使って、上陸してきちっと調査すべきであるということを改めて委員会に提案したいと思いますが、いかがですか。

新藤委員長 その件につきましては、昨年の下村委員からの御質問、御提案もございます。そして、この決算行政監視委員会において理事会で協議をし、今、現状でも引き続き協議中ということになっております。

 既に理事間においては必要性、重要性は認識している、しかし最終的な政党間の調整を今さらに進めている、こういう状態でございまして、またきょうの御意見を踏まえまして、理事会で諮らせていただきたい、このように思います。

下村委員 これは、中国漁船の問題が起きて、自民党でも調査をすべきであるということが議論されたんですが、やはり国会議員ですから、正々堂々と、国政調査権を使って、国会として行くべきである、こういうことを自民党としても決議をし、そして関係委員会にこれを提案しているところでございます。

 ぜひ、民主党の皆さんも、理事の皆さんもそうですが、今政府がなかなか対応しようにもできない、いろいろな政治状況があるのかもしれません、好意的におもんぱかっていえば。この中で、やはり国会がみずから日本の国土、領土、主権、それから国民を守るという姿勢の中、国政調査権を使って、我が国の固有の領土なんですから、これについて何の気兼ねもなく行けるというのが当たり前のことであって、これはぜひ、国会の独自性として、民主党の理事の方、委員の方々にも御賛同いただいて、当委員会として、尖閣諸島をきちっと、調査権を使って上陸をお願いしたいということを再度申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

新藤委員長 御苦労さまでした。

 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛です。

 本日は、行政改革について、岡田大臣、中塚副大臣にお尋ねしたいと思います。

 まず、その行政改革ということですが、消費税の引き上げの議論の中で、党内でもそうですけれども、国民の皆さんも、消費税をいずれは上げなくてはいけないのはわかるけれども、その前にやるべきことがある、すなわち行政改革をまずやるべきだというお話をよくされます。ところが、果たして、行政改革というのは何なのか、また行政改革というのはどこまでやったらいいのか、これについて明確な認識の共有というのがないのではないかという問題意識があります。

 私もきのういろいろ調べてみたんですけれども、行政改革の定義、有斐閣の法律学小辞典という権威のある書物で調べました。そうすると、「行政の制度上・運営上の問題点を解決するために行われる施策。主として行政学上の概念であるが、必ずしもその意味は明確ではない。」こういうふうに書いてあるんですね。

 一方、きょうお配りしております資料一、これは、与党の皆さんであれば御存じの社会保障・税一体改革大綱の三十一ページの文章です。「政治改革・行政改革への取組」ということでいろいろ書いてありますけれども、二つ目の段落で「具体的には、消費税率引上げまでに、国民の納得と信頼を得るため、以下の通り、政治改革・行政改革を期す。」とありまして、その後の「衆議院議員定数」という一文は、これは政治改革の話でしょう。その後いろいろなことが書いてあります。「独立行政法人改革、公益法人改革、特別会計改革、国有資産見直し等の行政構造改革」というところとか、次の段落に行くと、「更に、給与臨時特例法案及び国家公務員制度関連法案の早期成立を図る。」という文言もありますし、その下には、「公共調達改革等の不断の行政改革」あるいは「予算の組替えの活用等による徹底的な歳出の無駄の排除」、いろいろなことが書いてあります。これらひっくるめて行政改革なのかどうか、文言上は明らかではありません。

 そこで、お尋ねしますけれども、政府が今進めている行政改革はどのように定義されるのか、岡田大臣からお願いいたします。

岡田国務大臣 まず、階委員には、党において行政改革調査会の事務局長として大変御尽力いただいておりますこと、感謝申し上げたいと思います。

 その上で、行政改革ということをどういうふうに考えているかということでありますけれども、やはりこれからの時代にふさわしい我が国の行政のあるべき姿をつくり上げていくために、一方で、行政の無駄、非効率を排除する、他方で、行政能率の、行政の機能を高めていく、その両面があると思います。そのために必要な取り組みが行政改革であるというふうに考えているところでございます。

 消費税等の負担増との兼ね合いでは、国民感情として、まずその前にしっかり政府が無駄を省いて、その上で、そういうお気持ちがあることは当然であります。したがって、そういった国民の期待にもしっかり応えていかなければならないと思いますが、単にそういった削減とかいうことだけではなくて、やはりよりよく行政が機能するようにする、そういう視点も同時に重要ではないかというふうに考えております。

階委員 何をやるかということのほかに、どこまでやるのかというところもはっきりしていないと思っています。

 何をどこまでやるかというときに、私は、指針となるのは、我々のやっている行政改革の目的をどこに置くかということが大事だと思っています。

 そこで、先ほどの資料一を見ますと、先ほども読み上げましたが、「具体的には、消費税率引上げまでに、国民の納得と信頼を得るため、以下の通り、政治改革・行政改革を期す。」とありますので、ここを読むと、行政改革の目的は、消費税率引き上げまでに国民の納得と信頼を得ることというふうに読めるわけでございますが、今回の行政改革の目的はそのように理解してよろしいでしょうか。

岡田国務大臣 一義的にはそういうことだと思います。そして、具体的メニューとして、ここに書かれたような、大綱の中に書かれたことが具体的なやるべきことだということだと思います。

 ただ、もう少し行革というのを大きく捉えますと、これにとどまるものでは必ずしもない。例えば、省庁再編成とか、特に全体の行政の監視機能を強化するとか、そういったことも含めて考えていいのではないか、そういうふうに考えております。

 いずれにしても、消費税が二〇一五年に一〇%になるということであれば、それまでの間、集中的にいろいろな課題をやっていくということが非常に重要かと思います。

階委員 大分、何をやるか、どこまでやるかということが絞られてきたと思っています。

 何をやるかについては、この三十一ページに書かれてあるメニューをやるんだ、そして目的は、一義的には、消費税率引き上げまでの期間に国民の納得と信頼を得ることを目的としてやるわけですから、消費税率引き上げまでの間に国民の納得と信頼を得られるレベルまで行政改革、すなわち、ここに書かれてあるメニューを進めていかなくてはいけないということでよろしいのかと思います。

 それでは、果たして、国民の納得と信頼を得られるレベル、それをどのようにイメージされているのか。なかなかここも精緻なお話はできにくいところかもしれませんが、岡田大臣の持たれているイメージといいますか、お考えをお聞かせください。

岡田国務大臣 なかなか定量化は難しい部分がございます。しかし、例えば、人件費二割削減を目指してやっていくということは、我々はマニフェストでもお約束したことだし、ぜひ、目標として二割ということを念頭にしっかりやっていきたいと思います。

 先般、新規採用の削減についていろいろ御意見をいただきました。御批判も随分いただいたわけですが、私の思いとしては、二割削減に向けてやれることはすべてやる、そういうことの一環として新規採用についても例外扱いはしない、こういう気持ちで取り組んだわけでございます。

 順番がかなり、採用試験との関係で、必ずしも最初ではないんですが、二番目、三番目ぐらいに来たものですから、そこのみが強調されておりますが、もちろん、新規採用の抑制だけで終えるものではなくて、総人件費抑制のために、もう既に、例えば定年延長ということをせずに、六十歳定年、そこで一旦切って、その上で再任用するということは方針として決めましたし、今後、希望退職を募って四、五十代を中心にスリム化するとか、その他さまざまな考えられる施策について、総人件費の抑制ということに関していえばやっていく、その姿を国民の皆さんから見ていただくということだと思います。

階委員 今、行政改革の中でも、特に総人件費削減について踏み込んだお話でございましたが、それ以外にもいろいろやることはあるわけで、これから各論に入ります。

 行政改革の各論に入っていきますけれども、まず、先ほどもお話ししたように、消費税率引き上げまで、最初に八%という政府案ですけれども、それは再来年の四月です、もう二年ぐらいしか残された期間はありません。したがって、この三十一ページにも書いてあります、資料一の三十一ページの文章、「閣議決定ベースで可能な改革は直ちに実行に移す。」というふうにありまして、その前のところから読むと、私が事務局長をしておる党の行政改革調査会で出した行政構造改革実行法案が成立する前から閣議決定ベースで可能な改革は直ちに実行に移していくんだ、そして、ここに書いてあるメニューは進めていくんだというふうに理解していいかどうか、御確認させてください。

岡田国務大臣 まず、党の方で御検討いただいた行政改革実行法案は、これは議員立法ということですが、ぜひ、各党の御理解を得て成立に向けて御努力いただきたいというふうに考えております。

 しかし、それまでの間といいますか、にもかかわらず、できることはどんどん進めていくということは、第三回の行政改革実行本部、これは全ての大臣から成る組織として政府の中に設けたものでありますが、その第三回の本部会合においても、各閣僚に対して御確認をいただいたところでございます。

 それから、幾つかのことは既に着手をしております。

 法案の二十二条に独法の資産の売却について言及されておりますが、例えば独法の宿舎の見直し、これは国家公務員の宿舎の見直しに準じてやるということを先般決めまして、今、各独法ごとの具体的計画をつくってもらっているということでございます。

 それから、実行本部をつくるということも、これも、ある意味では、法案に書いていただいているわけですが、既に実行させていただいたということでございます。その他、独立行政法人の不適切な会費支出の見直しとか、あるいは先ほどの採用抑制なども、法案の中にも指摘をしていただいたこと、できることから進めているということでございます。

 これからもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

階委員 法案をつくった立場からすると、もちろん法律の成立に国会でも全力を尽くしますけれども、それを先取りした形でどんどん進めていっていただいて、それで国民の皆さんの納得と信頼を得るよう努力していただくというのは望むところでございますので、ぜひ、閣議決定ベースでやれるものからどんどんやっていただければと思います。

 そこで、国家公務員人件費二割削減というお話、先ほども出ておりました。マニフェストにも書いてあることだが、なかなか進んでいないという御批判をよく受けます。この点について、国民の皆様にわかりやすく、進捗状況はどうなっているのか、そして今後どのようにこれを達成していくために対応するのか、この点について教えてください。

岡田国務大臣 先ほどもちょっと申し上げたんですが、まず、今までに実現していることとして、定員の純減を進めてまいりました。あるいは、人事院の勧告に従って、給与を民間準拠ということで引き下げもしてまいりました。そういったことに加えて、二月二十九日に、国家公務員給与の平均七・八%の削減、これは期限つき、二年間ということではありますが、そのこともお決めいただいたわけでございます。これは、全体を合わせますと約五千億円ということになりまして、国家公務員人件費の約一割の削減になります。

 しかし、二割にはまだ距離があるということで、あらゆることを進めていかなければいけない。もちろん、そのことによって効率が落ちたり、やる気がなくなるということであってはならないので、より意欲を持って取り組んでいただくということも同時に考えながら進めていかなければならないことは事実であります。

 先ほどの採用試験の抑制につきましては、五六%減ということであります。これは単年度でいいますと、それほど大きな額、たしか百数十億の削減ということでありますが、もし、今回採用抑制した人数の方々が、大体二十五、六年在職されるのが平均でありますので、そして平均賃金ということになりますと、全体で一兆円を超える、そういった金額になるわけであります。これは仮定を置いた上での金額ですが、決して少ないものではないということであります。

 それに加えて、さらなる公務員の計画的な削減の推進や人事給与制度改革の推進ということを順次進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

階委員 あと、天下り対策についてもお聞きしたいんですが、政権交代直後に、独法については今後は天下りはしないで公募制で役員を決めますということで、これでかなり公務員OBの数が減ったと思うんですね。そういう天下り対策についての進捗状況をお聞きしたいと思います。

 しかし、一方で、そういう面で進展はあるけれども、また新たに最近、問題が発覚していますね。AIJの関係で、総合型厚生年金基金にたくさんの厚労省OBが行っていた。しかも、その厚労省OBが行ったのは、長妻当時大臣が、今後は公募で人を雇ってください、役員を決めてくださいと言ったにもかかわらず、公募をせずに、大臣の指示を無視してOBを引き続き雇っていた。あるいは、最近の新聞記事などでは、JAEAという独立行政法人が、そのファミリー企業、いわゆる行政法人の下にぶら下がっている企業にたくさん天下りの役員を入れて、そこに随意契約でお金を流していた。あるいは、前から言われていますが、電力会社にもたくさんOBがいる。ある意味、このあたりは我々の天下り対策の盲点になっていたと思うんです。

 質問をもう一回繰り返しますけれども、今までの進捗状況、それから今後に向けての対応、これについて、大臣でも副大臣でも結構です、お願いします。

中塚副大臣 お答えいたします。

 天下りの根絶は、私ども、政権にとって最大の課題でありますし、政権交代後、真っ先に取り組んでまいりました。

 政権交代直後ですけれども、各府省によるあっせんの天下り、これは全面的に禁止をいたしましたし、今お話のありました独立行政法人の役員公募の実施でございますが、数字を挙げて申し上げれば、平成二十年の十月一日時点では、独立行政法人の役員のうち三割以上が、三三・五%ですけれども、公務員のOBであった。それが、二十三年の十月一日時点においては八・七%、一割を切るというところにまで落とすことができました。

 独法だけではございません。あと、特殊会社の役員人事の公平性、透明性でありますとか、そういったことに取り組んでおりまして、全体として数は減ってきております。

 またさらに、先月ですけれども、再就職等監視委員会も国会でお認めをいただきました。

 ただ、御指摘のとおり、やはりまだまだこの天下りの問題については国民の理解と納得を得られるというところまではいっておらない、そういうふうに私自身も思っております。党での御議論また国会での御議論を踏まえまして、監視機能を一層強化してまいりたい、そう考えております。

階委員 今回の実行法案、資料二の方に大体の概要は書いていますけれども、天下り対策ということで、独法の方は公募制ということをちゃんと明文化しましょうということを入れていますし、また、政府系公益法人についても、公募をやっていないで役員を雇っていたり、内部留保が過剰であったり、あるいは役員の待遇が余りにも厚遇であったり、さらに不適切な資金の使途があったり、こういったところには、そういうところに今まで使っていた予算や補助金などはカットするというようなことで間接的に天下りをなくそうということも盛り込んでいます。

 ただ、中塚副大臣と私が議論する中で、最後までやはり難しいねといってペンディングしていたのが、先ほど私が申し上げた、例えば電力会社のような、役所と密接な関係があって、そこに役員などで天下りされると行政が不当にゆがめられるのではないか、そういう懸念があるところとか、あるいは、独法のファミリー企業、これも電力会社と同じ民間企業です。民間企業は国では人事のやり方、採用のやり方についてはなかなか縛れないということで、今回は法律にはなかなか盛り込めなかったわけですけれども、ぜひこういうことについても、やはりこれだけ問題が起きると、一歩進めていかなくてはと思っていますので、引き続き、ちょっとこの点については早急な手当てをしたいと思っています。よろしくお願いします。

 もう一つ、各論で、行政監視機能の強化、これも、我が政権になって、仕分けを何回にもわたってやりました。さらに、国会でも、決算行政監視委員会でも行政監視をやりましょうということで、憲政史上初、新藤委員長のリーダーシップのもとで、昨年の秋に行政監視をやりました。こういうことで、行政監視については、我々の政権になって、物すごい勢いがついてきた、流れができてきた、この流れをとめないでさらに強化していくということが大事かなと思っています。

 そこでお聞きしたいのは、仕分けでも仕分けの成果でもいいんですが、行政監視機能の強化をすることによってどういう成果が得られたか、進捗状況はどうなのかということと、今後どのようにさらなる強化を進めていくのか、この点について御答弁をお願いします。

中塚副大臣 行政監視機能の強化でありますけれども、行政の無駄そして非効率を排除し行政機能を高めていくという意味において行政監視機能を強化する、本当に大切なことでございます。

 それこそ、事業仕分け、特徴は外部性、公開性ということでありまして、今までオープンになっていなかったプロセスを公開し、さらには外部の方の意見も取り入れていくというやり方、これを実行いたしました。その事業仕分けを各省ごとに自分自身でやっていただくという目的で、行政事業レビューも開始をいたしました。また、レビューシートを使って、今お話しのとおり、この委員会でも事業仕分けをしていただいたということでございます。

 さらには、先生が総務省で大変に御努力をされた、そういうふうに伺っております。行政評価監視を所掌する総務省においても、抜本的機能強化という結論を受けて、機動的に対応し得る態様の整備、常時監視活動の展開等に取り組んでこられた、そういうふうにも伺っておるところであります。

 ぜひ今後、事務事業レベルまで含めた政策の体系化、あるいは一覧性の確保等、もう取り組んでいるわけでありますが、一層強化をしていきたい、そう思っています。

 また、先ほど御披瀝のありました実行法案の中で、行政監視機能の集約化、一層の強化といったようなことも盛り込まれている、そういうふうに伺っておるわけなのでありますが、そういった党の提言あるいは法案の中身を重く受けとめまして、さらに充実強化させていきたい、そう考えております。

階委員 次に、調達改革ということについてお聞きしたいと思っています。

 党の中でも、行政改革調査会の下にワーキングチームが置かれていまして、三月末にかけて大変な御尽力をされて、調達改善計画というのを各省に立てさせて、それでいろいろな角度から評価をして、だめなところにはさらに計画を出し直させて、各省庁にプレッシャーをかけて改善計画というのをつくらせていった、こういう調達改革というのも進めているわけです。

 調達改革の中には、公共工事もあれば、普通の物品もあれば、あるいは大どころとして、今まで無駄が多いと言われていたシステムなどもあると思います。そういう調達改革全般について、進捗状況と、今後どのように対応していくかということについてもお聞かせ願えますでしょうか。

中塚副大臣 それこそ、今、本当に限られた財源であります。その中で最適な調達を行うということは、先ほど副総理からもありました、公共サービスを効率的に提供するという意味において大変に重要な課題でございます。

 政府でやっております調達計画なんですけれども、年度末に党の方で子細に点検をいただきまして、その結果、拝見をさせていただきました。本当にありがとうございました。

 今やっている、例えば競り下げでありますとか共同調達でありますけれども、これをぜひ今後拡大させていきたい、そういうふうに思っていますし、また、今年度からですけれども、各府省で、調達に関する目標の設定、それから結果の検証、評価、そういったPDCAサイクルを回していかなきゃなりません。

 調達改善計画を策定し、ぜひ各省が自律的にやっていただけるような、そういう枠組みを整えてまいりたい、また、さらにそれをフォローアップするような、そういう仕組みを整えていきたい、そう考えております。

階委員 あと、国有資産の売却というのも我々の法案にも盛り込みました。これは具体的に、五年間で五千億以上を目指して売却していくんだということです。これについて、進捗状況、それから今後の方針などについてお聞かせください。

中塚副大臣 国有資産でありますが、未利用国有資産、本当に、売れるものはどんどんと売っていきたい、そういうふうに思っています。国有だけじゃなく、独立行政法人の保有する資産についても同様であります。

 国家公務員の宿舎は、昨年十二月に取りまとめをいたしまして、今後五年をめどに、二五・五%、五・六万戸程度の宿舎を削減するということを決めております。また、廃止が決定している宿舎の跡地の売却等を進める、これに加えて、さらに廃止する宿舎を追加するということで財源の上積みを図っていきたい、そう思っております。

 さらに、独法についても同様です。独法は、今まで、事務事業の見直しによって大体二兆円ぐらい不要資産が国庫に納付をされたということでありますけれども、これについても引き続き進めてまいりたい、そういうふうに考えております。

 その職員宿舎も、四月の三日ですけれども、行革実行本部において、独法の職員宿舎の見直し計画というものを取りまとめをいたしました。国家公務員宿舎と同様に、年内をめどに具体的な実施計画を取りまとめまして、廃止する宿舎の選定等を行いたい、そういうふうに思っております。

階委員 資料二をごらんになっていただきたいんですが、今一部取り上げましたけれども、行政改革の総合的かつ集中的な実行に関する法律案という、党の方でつくった議員立法です。その中で、やるべきことを左側に書いております。左側に書いているものが、行政改革として、我々としては、やるべきことを可能な限り挙げたと思っています。

 ただ、既に政府の方で着手していた独立行政法人の改革、それから特別会計の改革については、行革調査会としても意見は出しました。岡島筆頭にも特別会計の方で御尽力いただきましたけれども、それについては政府の方で別途法案が出るということなので、この法律には盛り込んでおりません。

 そうした中で、これから行政改革実行本部、それから有識者会議のところでいろいろ考えていただいて、工程表をつくるということになります。この工程表、行政改革実行本部と同じように三年間の工程表になりますが、冒頭お話ししたように、消費税を上げるのは再来年の四月ですから、三年間の工程表をつくるとしても、当初の二年間、何をどこまでやるのかというのをきっちり決める、それが大事だと思います。それを早く決めて皆さんにお示しして、実行に着手する。

 また、今後のことも大事ですけれども、今までやってきたことも意外に国民の皆さんには知られていません。政権交代後、行政改革については、私も政務官の当時、一生懸命やったつもりですけれども、意外に、やってきたことも知られておりません。

 そういうことも含めて、工程表並びに実績の状況がわかるような一覧表、これをつくった上で、自信を持ってそれをやっていく。これを、二年後でありましょうか、消費税を上げるタイミングで、ここまでやったんですと。それで国民の信頼と納得が得られるのであれば、自信を持って消費税を上げるということもあるでしょう。しかしながら、それができなかったというのであれば、やはり国民の皆さんとの約束は果たせなかったということになりますから、そこは考え直さなくてはいけない。

 いずれにしましても、そういう工程表を早く示して、そして、そのもとで国民の信頼と納得を得られるような行政改革を進めていくということが大事だと思います。最後に、その点について、岡田大臣、御答弁をお願いします。

岡田国務大臣 全体の行政改革を進めていく上で、工程表を作成して、しっかりと工程管理を進めながらわかりやすくやっていくということは非常に重要なことだと思います。

 我々は、内々では三カ月ぐらい先までの工程表はつくりながらいろいろな作業はしております。ただ、法案の中にその工程表の作成が書いてありますので、私としては、法案の成立を待って正式なものはつくらなければならないというふうに思っております。しかし、それと並行して、なるべく国民の皆さんにわかりやすく、何を我々がしようとしているのかということをお示しする、そういったことのための作業は並行して進めていきたいというふうに考えております。

階委員 これで終わります。ありがとうございました。

新藤委員長 御苦労さまでした。

 それでは、続きまして、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 本日は、決算行政監視委員会の一般質疑ということで、どちらかというと行政監視的な質問を、自動車の安全性を確保するための点検整備及び検査登録、いわゆる車検のあり方について、大臣とそれから政府参考人と意見交換をさせていただきたいと思ってまいりました。

 私、実は三年ほど前、まだ自公政権のときに、福岡の自動車整備をやっておられる業界の代表の方々から大変強い要望を受けまして、それ以来、この業界のさまざまな問題点について勉強してまいりました。

 実は、私が聞きたい質問というのは二十項目以上ありまして、きょうは三十分ですから第一弾ということでお伺いするんですが、例えば大臣、きょうは伺いませんけれども、私、調べていてびっくりしたことの一つが、自動車税の滞納額、これが毎年巨額なんですね。例えば、平成二十二年度は五百六十四億九千万円余り分の自動車税が滞納になっております。

 大臣御承知のとおり、自動車税というのは、自動車整備工場の方々が車検に持っていくときに徴税を代理でやっているんですね。約五百六十五億円も一年間で滞納されているということは、それだけ車検を通っていない車があるということなんです。

 ですから、これはきょう聞きません、聞きませんけれども、こういう問題があったりとか、それから、私は驚いたんですが、きょうは警察庁を呼んでいませんけれども、警察の方に聞いたら、車検をとっていないで路上を走行している車を警察が発見しても、うっかり無車検、つまり故意ではない無車検の場合は無罪放免なんですね。

 ですから、大臣も警察にお聞きになると、車検をとっていないで路上を走っている車は違法ですね、そういう車というのは年間何件あるんですかと聞くと、非常に少ない数の台数しか出てこないんです。よくよく聞いてみると、車検がない車で道路を運転していても、うっかり車検をとりませんでしたと言うと、捕まらないんですね。それは件数に入っていないんですよ。

 ということとか、実は、深掘りしていろいろ調査をしますと、日本の車がどんどん性能がよくなって、整備を少々怠っていたりとか車検をとっていなくても走るからいいという面があるのかもしれませんが、私は、きょうこれから議論させていただく道路運送車両法という法律の精神からかなり逸脱した実態に、今、なっているのではないかということを感じておりまして、そういった観点からいろいろと議論させていただきたいと思っております。

 最初に大臣、もう言わずもがなのことですが、確認をしておきたいことがございます。それは、道路運送車両法第四十七条、ちょっと引用させていただきますが、「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。」と規定をしております。これは義務規定でございます。それから、同法第四十七条の二では日常点検整備を義務づけております。四十八条では定期点検整備が義務づけられております。

 ところが、先ほども私、若干申し上げたように、これら法定されている点検整備を怠る自動車ユーザーやあるいは事業者も含めて、おりまして、その結果、整備不良の車両が、かなりの数、路上を走行しているのではないかという問題点がしばしば指摘をされております。

 そこで、まず、政府参考人で結構ですが、数字を伺いたいんですが、トラック、バス、タクシーなどの事業用自動車の定期点検整備を受けている割合、また自家用の乗用車についても同じ数字を示していただきたいと思います。

中田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生御指摘のように、道路運送車両法では、自動車の種別ごとに定めた一定期間ごとに定期点検整備を義務づけてございますが、それは、いわゆる車検の時期に行われるものと、車検と車検の間の中間に行われるもの、点検基準の違いによって二つに分かれると思います。

 そのうち、車検と車検の中間に行われるものにつきまして、私ども国土交通省が整備事業者の協力を得て実施しました調査によりますと、平成二十年度のデータでございますが、事業用自動車のうち、バスが九〇%、タクシーが八七%、トラックが五三%でございます。自家用乗用車につきましては四三%でございます。

 なお、点検整備のうち車検の時期に行われるものにつきましては、年間二千二百万件の車検を受けていただいておりますが、そのうち、いわゆる前検査と称する、車検のときに点検整備をしないで車検に来た車両につきましては、三十四万件ということでございまして、平成二十年度、全受検車両の約一・五%でございますので、車検時に行われる点検整備につきましてはほとんどの車両が点検整備を実施していただいているというふうに認識しております。

遠山委員 ありがとうございます。

 そうしますと、大臣にちょっとお伺いしたいんですが、車検のときには整備しているのは九九%近い、これはある意味当たり前だと思いますが、問題はその中間ですね。法律上は、車検が二年後であっても、その中間点であっても、定期点検整備を義務づけているわけですが、低い割合のところを見ると、事業用ではトラックが五三%しか点検していない。自家用車については四三%、半分以下の車しか点検整備をしていないということなんですね。

 そうしますと、先ほど引用した道路運送車両法の第一条の「目的」に照らし合わせますと、この「目的」というのは、「安全性の確保及び公害の防止」それから「自動車の整備事業の健全な発達に資することにより、公共の福祉を増進することを目的とする。」こういう目的規定になっているわけでございます。

 ただ、この中間点の点検率の数字を見ると、極めて、トラックと自家用車については特にですが、低いということでございまして、この法律の目的が達成されていない、こういうふうに私は認識をしておりますが、大臣の御認識はいかがでしょうか。

前田国務大臣 委員の御指摘のように、平成五、六年ごろですか、私、そのころも、もともと整備関係というのは随分と地元では親しくしていたものですから、その問題点というのは、あの当時よく存じていました。性能がよくなって、当時はまだまだ日本も若い人たちが多くて、車社会にどんどんなっていって、規制緩和というような中でそういうことになったかなと思いますね。

 私自身は東京でも、好きな方ですから運転するんですけれども、地元ではしませんけれども、自分の車は親しい整備屋さんにお願いしております。そうすると、毎年定期点検をやってくれるんですが、もちろん自動車税もそのときに払いますし、それから各種保険もそのときに払いますから、かなり高いものにはなるんですが、これで安心だなというふうに思っているわけです。

 きょう改めて、遠山委員のこの御質疑ということで勉強させてもらったら、中間の点検率がえらく落ちているんだなということを改めて確認した次第でございます。委員がおっしゃるように、法の精神でもあります安全、環境に加えて、これだけ高齢化してきて、高齢者があの当時と違って、みんなというか、ほとんどがドライバーであるわけですし、そして移動のことを考えると、高齢者の車の運転は、当時の家族のあり方等と違って、本当に必要な車であり運転であると思うだけに、ここは非常に公共的な意味合いが大きいわけですから、ここをしっかりと点検を受けるようにしていかないといかぬと思っております。

 そのための周知の徹底であったり、あるいは意識を高めるための実施施策をいろいろやっておりまして、特にトラックやバス等については立入調査だとか行政処分を行うなど、強力な実施を励行するように推進してまいりたい、このように思います。

遠山委員 大臣、また後ほど、もう少し具体的な大事なポイントについて伺いたいと思います。

 事務方に伺いますけれども、定期点検整備を受けていない車両の所有者に対する当局の対応について、簡潔にお述べいただきたいと思います。

中田政府参考人 お答えいたします。

 定期点検整備の実施率が必ずしも高くないということに対しまして、私ども、まず一般的には、使用者に対しまして、通年、自動車点検整備推進運動等、あらゆる機会を捉えて、その確実な実施を促しております。

 加えまして、街頭検査等を行っておりまして、そのときに、点検整備が行われていないという使用者に対しましてその周知を図るとともに、基準に適合しない車に対しましては整備命令の交付を実施しております。

 一方、継続検査を受検するその段階で点検整備を実施しない使用者、わずかでございますけれども、それでも一・五%おりまして、その受検者に対しましては、国土交通省より、自動車の点検整備の励行を求める文書を送付いたしております。

 さらに、運送事業者に対しましては、別途、この検査を徹底的に行うよう、実施状況について立入調査を行い、確実な実施を指導いたしているところでございます。

遠山委員 一・五%といっても三十四万件なんですが、三十四万の整備をしていない人たちにはがきを送っているという、今お答えだったんですが、整備をしなさいというはがきを無視して、そのまま整備しなかった自動車の所有者については、何か罰則やペナルティーはあるんでしょうか。つまり、無視して、そのまま次の車検まで整備しないでいけるというふうに私は理解をしているんですが、そこはどうですか。

中田政府参考人 道路運送車両法におきましては、自動車の使用者は一定期間ごとに自動車を点検し必要な整備をすることを義務づけております。いわゆる点検整備は義務でございます。

 ただ、これは使用者の自己責任ということでございまして、この点検義務を果たしていないことに対して、特に法律上罰則等の措置は講じていないところでございます。

遠山委員 ですから、大臣、実は整備というのは、法律で義務とされていながら、罰則とかペナルティーは何もないものですから、結局は、大臣はさっき、きちんと点検整備されているとおっしゃっていましたけれども、しないで、かつ、当局から手紙をもらっても、無視しても、そのまま車検の時期まで行けてしまうというところに一つ大きな問題があるということをちょっと大臣に認識をしていただいて、それからもう一つ、はがき以外に、街頭検査を実施して、整備不良、保安基準に適合していない車両を見つけるということをやっていると思うんですが、この街頭検査の頻度と、また、整備不良の車両を見つけたときには、法令上は整備命令という命令を場合によっては出せるというふうに理解をしておりますが、街頭検査の頻度と整備命令の発令数、一番最新のデータを示していただけますか。

中田政府参考人 私ども、毎年、全国各地で街頭検査を実施しております。

 平成二十二年度の実施回数は、全国で三千九百十六回でございます。この街頭検査におきまして検査した車両数は、十四万二千六百十二台でございました。このうち、基準不適合が発見され、整備をするように整備命令を発令した件数は、二千六百十二件でございます。

遠山委員 次の質問を大臣に伺いますが、今ありましたように、三千九百回の街頭検査をして、十四万台ぐらいチェックをしていると言っておりますが、その努力は多としますけれども、ただ、日本全国に今、車というのは七、八千万台、自家用車と事業車で走っていますから、そのうちの十四万台のチェックにすぎませんので、極めて氷山の一角だということでございます。かつ、本質的にいえば、罰則、ペナルティーがありませんから、街頭検査でひっかからなければそれでいいという状態だということでございます。

 そこで、私がきょう大臣に伺いたい柱の問題点がありまして、それは平成七年、これは調べましたら自社さ政権で、我々公明党は与党じゃなくてよかったなと思っているんですが、平成七年に政府が出した改正案がありまして、道路運送車両法改正がありました。そこで、先ほど大臣もちょっと言及しておりましたけれども、ユーザーの自己責任というところを強調して、そして、それまで若いユーザーから苦情が多かった、過剰整備が多いんじゃないかということを受けて、車検を、前検査後整備というものを容認するようになったんですね。

 つまり、必要最低限のことだけやって、先に車検を通して、通したときに、後で必要な整備をしてくださいねといって車検を通してしまう。ですから、わかりやすく言うと、前検査後整備。従来は当然、前整備後検査だったわけですね。整備をきちんと工場でしてから、ブレーキパッドをかえたりとか、安全性を高めてから車検を通すということを、いろいろ当時の議論があって、車検を通ってから、後で整備してくださいよということを容認するという改正が行われました。

 問題は、先ほど来私が示唆しているとおりなんですけれども、車検で合格した車両に実施すべき事後の点検整備を、制度上確実に担保されていないということなんですね。つまり、車検さえ通っちゃえば、その後はもう次の車検まで整備しなくていいやというふうなユーザーがいて、それを発見した場合でも、ちゃんとしなさいよという担保ができない仕組みになっていて、私は、これは法制度上の穴になってしまっているんではないかというふうに思うんです。

 大臣、もし政府としてこの前検査後整備という制度を維持したいのであれば、この後整備のところを確実に担保するような是正措置を少しとった方がいいんではないかというふうに私は考えておりますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

前田国務大臣 今のところ、二回連続して車検時の点検整備を行わずに車検を受検した場合には、より強く書面を送付して、点検整備を確実に実施するような指導も行っている、こういうふうに聞いておるわけですが、今の議員のお話を聞きながら、先ほど申し上げたように、高齢層のほとんどが、特に地方においては車なくして生活が成り立ちませんから、だから、そういう面では、この法をつくったときに想定していた車社会と大きく変化してきているんだろうと思うんですね。だから、その実態に合うようなあり方というのは、これは研究すべきだ、このように思います。

遠山委員 大臣、大変前向きな御発言、ありがとうございます。ぜひこれは研究していただきたいと思うんですね。

 というのは、例えば、悪質な若いユーザーを想定した場合に、車検だけ通して、後整備はいいかげんにして、そして次の車検までもたせればいいというふうな想定もできるわけです。

 今の大臣の御観点というのは、高齢化社会になって、悪意はないんだけれども、車検さえ通れば、その後の整備というのは、高齢者ですから、面倒だとか、あるいは年金生活者でちょっと負担が生じるとか、いろいろな要素があって、いずれにしても、結論は、本来この法律で義務として課されている整備がきちんとできていないということなんですね。

 大臣、私は、ちょっときつ目の提案で、例えば、前検査をして後整備をするといった場合でも、その後整備の記録簿がないような車両が次の車検のときに車検場に持ち込まれた場合は、それは整備をしてからじゃないと前検査が受けられませんよというふうに、前検査拒否というか、つまり、前検査後整備で車検を前回通ったんだけれども、その後、整備をきちんとしないで、もう一度前検査でお願いしますといった車両については、台数は、はっきり言って、先ほどの自動車局長のデータから見ると、そういう車両自体は、全体から見たら少ないと思います。少ないけれども、万単位であるんじゃないかと私は思っていますので、そうした場合は前検査拒否をしますよという警告をするだけでも、きちんと整備をして次の車検を受けようという意識が高まるのではないかというふうに思うんです。

 ですから、平成七年には規制緩和をやったんだけれども、今の時代状況に応じて少し規制を強化するということによって、整備の実施率というのを高めていくということが必要なんではないかと思いますが、いかがでしょうか。

前田国務大臣 非常に専門的な分野でありますし、遠山先生は随分と調査もされているようなんで、感じとしては、そういうことにならないようにせにゃいかぬですし、何かちょっと、拒否をするというのは、法律の一番の前提といいますか、考え方からすると、どうかなという感じもいたします。そういったことも含めて、研究をすべきだろう、こう思います。

遠山委員 確かに、前検査拒否、拒否という表現を使うと、なかなか難しい面があるのかもしれません。

 いずれにしても、私の本質的な観点は、とにかく前検査後整備の、この後整備を担保する。要するに、法律でその整備というのが義務づけられているのに、それが義務として履行しなくても許されるという緩い、穴があるというところが問題でございますので、ぜひそういった観点で国交省内で検討をしていただいて、運用面でも結構ですから、必要な措置をしていただきたいというふうに思っております。

 きょうの最後の話題でございますが、この平成七年の改正以降、自動車整備業界の指摘によりますと、いわゆる車検代行業者、別名、未認証工場の数がふえたと言われております。全部の業者がやっているわけではないと思いますが、この業者の中には、自動車ユーザーに整備記録簿を発行しなくてもよいことを悪用して、本当に必要最小限の分解整備を違法に実施して、違法ですから表に出ないわけですね、そして前検査受検をさせたり、あるいはもっと悪質なケースですと、ユーザー名で整備記録簿を偽造して、前整備後検査、まあこの場合は偽造ですから、整備をしたように見せかけて検査を受けさせるというような違法行為をしているところもあるということなんですね。

 大臣は大臣でお忙しいでしょうから、余りお気づきかどうかわかりませんが、私の地元の九州、沖縄でも、例えば、車を田舎で運転していて、非常に安い料金で車検を通しますという、何かユーザー車検代行みたいな業者の看板とか、あるいは地元紙に入ってくるチラシですとか、あるいはインターネットで検索しても幾つか出てきます。

 恐らく自動車局の方も、悪質な業者については抜き打ち、立ち入りの調査ができる権限があるようでございますので、やっていると思いますが、正直、私が市民レベルでお話を伺いますと、結構周りで使っている。

 私が、つい最近、これは沖縄ですけれども、沖縄の地元の市会議員に聞いた話では、安い車検代行業者にお願いをすると、さらにその車検代行業者とつながっている未認証工場があって、闇の整備工場があって、そこに車をおろして、車検をとるための必要最小限のことをやって、戻して通している実態がある。みんな、安いから使っているというんですね。

 ただ、これは安かろう悪かろうで危ないと私は思っておりまして、これはもう完全な違法行為ですから、ぜひ、この未認証工場への対応ということも当局として強化すべきではないか。つまり、こういう工場がふえると、真面目にやっている整備工場が潰れていくわけですね。正規料金で真面目にやっている町の整備工場が潰れていきます。

 この自動車の整備工場の方々というのは国に物すごく貢献しているんですね。無償で自動車税の徴税をやっていただいている。彼らがいなければ、これをもし国が専従の徴税職員を雇って事務行為としてやったら、莫大なお金が国や地方自治体にかかるわけですね。それを全部、自動車整備業界が、ある意味無償で、ボランティアで集めて、そして納めていただいているということです。ですから、法律の目的の中にもこの業界の健全な発展が書かれているわけですね。

 そういった観点で、ぜひ大臣のリーダーシップで未認証工場への対応策を強化していただきたいと思いますが、御答弁をお願いします。

前田国務大臣 お話を聞いておりまして、私も地元でそういったケースを何度か聞いております。

 要するに、指定工場でなければできない検査をやっているということだと思うんですね。そういう違法行為でありますから、違法行為というものに対しては、そういうことがないようにしっかりと対策を検討していく必要がある、こう思っております。

遠山委員 きょうは、もう持ち時間がありませんので、これで終わりますが、第二弾もあります。

 そのときは警察の方も呼んで、無車検車の実態とかを含めて、また大臣と議論をさせていただいて、またそこで私なりの具体的な提案もさせていただきながら、この法制度上の穴があることによって、いろいろと自動車整備業界の弱体化につながり、そして違法な状態あるいは整備不良な状態で走っている車がふえていく、それがまた、高齢化、過疎化で、地域で起こりますと、交通事故の数がふえるということにもつながりかねないと思っております。

 きょうは大臣、非常に前向きなお話が多かったので、ぜひそれを、大臣の指示のもとに、必要な研究をして、必要な新しい措置をとっていただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

新藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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