衆議院

メインへスキップ



第2号 平成26年4月17日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十六年四月十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 松浪 健太君

   理事 今村 雅弘君 理事 河野 太郎君

   理事 平  将明君 理事 橘 慶一郎君

   理事 武藤 容治君 理事 柚木 道義君

   理事 桜内 文城君 理事 伊藤  渉君

      青山 周平君    秋本 真利君

      大岡 敏孝君    勝沼 栄明君

      菅野さちこ君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    小林 茂樹君

      國場幸之助君    坂本 剛二君

      笹川 博義君    島田 佳和君

      白石  徹君    瀬戸 隆一君

      田畑  毅君    高橋ひなこ君

      武井 俊輔君    武村 展英君

      辻  清人君    中谷 真一君

      福田 達夫君    村上誠一郎君

      野田 佳彦君    吉田  泉君

      河野 正美君    谷畑  孝君

      宮沢 隆仁君    石井 啓一君

      青柳陽一郎君    村上 史好君

      吉川  元君    小泉 龍司君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         谷垣 禎一君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   環境大臣         石原 伸晃君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   総務副大臣        上川 陽子君

   財務副大臣        古川 禎久君

   文部科学副大臣      櫻田 義孝君

   経済産業副大臣      松島みどり君

   環境副大臣        北川 知克君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       寺沢  剛君

   会計検査院事務総局第二局長            山本  泉君

   会計検査院事務総局第三局長            堀部  貢君

   会計検査院事務総局第四局長            平野 善昭君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  二宮 清治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  萩原 秀紀君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 戸谷 一夫君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            清水 康弘君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       塚原 太郎君

   決算行政監視委員会専門員 平川 素行君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     中谷 真一君

  菅野さちこ君     高橋ひなこ君

  福田 達夫君     青山 周平君

  馬淵 澄夫君     吉田  泉君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     福田 達夫君

  高橋ひなこ君     菅野さちこ君

  中谷 真一君     勝沼 栄明君

  吉田  泉君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年度一般会計東日本大震災復旧・復興予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 平成二十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 平成二十三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 平成二十三年度特別会計予算総則第十七条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 平成二十四年度一般会計経済危機対応・地域活性化予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 平成二十四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 平成二十四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 平成二十四年度特別会計予算総則第二十二条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 平成二十四年度特別会計予算総則第二十二条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 平成二十四年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

松浪委員長 これより会議を開きます。

 平成二十三年度一般会計東日本大震災復旧・復興予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外三件の承諾を求めるの件及び平成二十四年度一般会計経済危機対応・地域活性化予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外四件の承諾を求めるの件並びに平成二十四年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)、以上の各件を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官二宮清治君、内閣官房内閣参事官吉川徹志君、法務省人権擁護局長萩原秀紀君、文部科学省大臣官房長戸谷一夫君、環境省総合環境政策局長清水康弘君及び環境省総合環境政策局環境保健部長塚原太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松浪委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

松浪委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武井俊輔君。

武井委員 おはようございます。自民党の武井俊輔でございます。

 今回、決算行政監視委員会、質問できますことを大変ありがたく思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず冒頭に、熊本県で発生いたしました鳥インフルエンザでございますが、政府・与党、また熊本県におきましても、全力で取り組んでいただいておりますこと、感謝を申し上げます。

 宮崎県もかつて大変大きな影響を受けましたし、今回、隣接する球磨郡ということでございまして、大変、不安、心配を感じております。南九州は、御存じのとおり、大変大きな畜産王国でございます。かつては口蹄疫の大変大きな惨禍もございました。まだその記憶も冷めやらぬときでございます、ぜひとも、全力の対応、よろしくお願い申し上げます。

 さて、今回は、決算行政監視委員会ということでございまして、私、かつて宮崎の県会議員をしておりました。当時、その立場で、予算、決算に係る質問をいろいろしておりまして、それをちょっといろいろ見返しておったんですが、今回、それを踏まえて、直接国に訴える機会もいただきましたので、その思いを踏まえて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、そもそも、決算とは、予算の執行をチェックするとともに、次年度の予算に生かすという側面があるわけでございますが、普通の会社であれば、株主総会であったり、また、我々、先生方もそうかと思いますが、さまざまな団体の総会など行くことがありますけれども、大規模な法人格のある団体から、PTA、自治会、子供会、そういったようなものに至るまで、大体、予算と決算というのは同時に行われていくものであります。

 しかし、御案内のとおり、きょうのこの議案にもあるとおりですが、国や地方自治体は決算がずれておりまして、すなわち、予算と決算が連動しないというような状況になっております。

 それでも、議院内閣制の国でありましたら、与党の意向というのは、予算編成、また税制も含めて、相当程度反映されるものであるんですけれども、地方自治体の場合は、仕組み的に、首長は直接選挙で選ばれるわけでございますから、かなり異なるわけであります。

 そこで、きょうは、伊藤政務官にもお越しいただいておりますが、地方自治体においての決算がおくれることの原因、課題、またこの改善の可能性等について、どのような認識をお持ちかお伺いしたいと思います。

伊藤大臣政務官 お答えを申し上げたいと存じます。

 地方公共団体における決算の確定までの手続につきましては、まず、会計管理者が、決算を調製の上で、出納閉鎖後の三カ月以内に長に対して提出をし、提出を受けた長は、監査委員の審査を経た決算を、監査委員の意見をつけて議会の認定を付すこととされております。

 その際、長が決算を議会の認定に付する期限は、地方自治法第二百三十三条の三項で、次の通常予算を審議する議会までとされ、議会での決算審議の成果を次の予算編成及び議会審議に生かすことが期待されているところでございます。この辺はもう委員よく御存じのとおりでございます。

 各地方公共団体においては、決算をできるだけ早期に議会の認定に付し、翌々年度の予算の編成及び議会での予算審議に的確に反映できるように努められているものと承知をいたしておりまして、現行、都道府県におきましては、九月の定例会で決算認定に付す団体が、四十七団体中四十三団体、九一・五%の団体がそのようにされておられまして、次の予算編成に的確に反映されているという認識をいたしているところでございます。

武井委員 ありがとうございます。

 確かに九月議会に出てくるんですが、大体九月というと、予算というのはもう事実上組み上がっているというところがございまして、これをでき得る限り早くしっかり生かしていく、これをしていかないと、知事は四年任期、知事でも市長でも四年任期があるわけですが、前の半分はほとんど決算に反映されないというようなことにもなってしまいますので、ぜひまたこのあたりの不断の改革をお願いしたいと思っております。

 続きまして、二〇〇七年でございましたが、私ども宮崎県で、県庁を挙げての大規模な裏金、いわゆる当時は不適正な事務処理というようなことを言っておりましたが、かつては発生をいたしまして、当時、ちょうどそのころ知事選挙がありまして、新しい知事が誕生いたしました。最近までこの永田町におられた方でございますけれども、ちょっとどこへ行かれたか、今はちょっとわかりませんが。

 この方が、就任会見の冒頭で、県庁に裏金はありませんかということを強烈におっしゃいまして、それで調査が始まって発覚をしたのですが、その結果、これは宮崎県の県庁のホームページですが、大体九千万を超える金額が裏金と認定をされて、返還をされた。OBなんかの方、県の職員が、平たく言えば自腹を切って返還をしたといったようなことになったわけであります。

 もちろん、これはいろいろ話を聞くと、個人の利得にしたわけではないので、みんな非常に、平たく言えば、何か隕石が降ってきたみたいな感じで、何で俺が返さなきゃいけないんだといったような感じ、これは気持ち的には非常によくわかるところなんです。しかし、こういった慣行が是認されてきた、幹部の方ですから、そういう意味での結果責任というところはあったんだろうと思うんですが、そういったようなことがありました。

 その結果、宮崎県では、決算が何と三年連続不認定ということになったわけです。結局、裏金を含んだような決算など認定できないといったような形。ですから、東国原県政は四年あったわけですが、四年のうち三年間は決算は認定されなかったといったようなことでございました。

 首長と県議会、二元代表制でございます。それで県議会が決算を平たく言えば不認定にした、認めなかったということでございまして、これは大変なことであるはずでございました。普通、これが予算であれば、もう県政は行き詰まって、間違いなく知事の出処進退にかかわるような事態になるはずであります。

 しかし、決算不認定後の当時の知事のコメント、まことに不名誉でございます、重く受けとめます。以上終わりみたいな感じなんですね。つまり、何もなかった。とにかく不名誉でありました、だから何だという感じで終わってしまって、つまり、二元代表制の県議会、チェックをするべき県議会がその決算を否決しても、一片のコメントで終わってしまうというのが今の日本の地方自治の現状であります。地方自治、議会の現状というのは、いろいろな問われることは間々あるわけですが、私は実際議員をしていまして、まさにこれこそそのきわみじゃないかと感じざるを得ませんでした。

 そういう意味で、例えば、地方自治体がこのような決算を不認定にしたという場合の行政の責任の明確化、もちろん、お金は使ってしまっているわけですから、今からどうというのが難しいというのはわかるんですが、せめて、例えば総務大臣なりが注意をするとか、遺憾の意を示すとか、せめてそれぐらいでもいいんですけれども、できないのか。また、しっかりこの不認定にしたということの重みを、地方自治法の改正までできるかわかりませんけれども、どのようにまず国として考えているか。また、対応、対策が必要ではないかと考えますが、見解を求めます。

伊藤大臣政務官 決算の認定ということは、執行機関の予算執行の結果を決算書により議会の審査を受けて、その執行の適否について吟味をすることによって、住民に対して執行機関の事務の公正を確保するという趣旨のものでございます。

 決算は、議会の認定を経て初めて確定するものでございまして、議会が認定しない場合においては、執行機関の決算の収支について議会の確認がなかったことになるわけでございますが、基本的に、決算の効果には影響がないところでございます。しかしながら、不認定により、その長は政治的あるいは道義的な責任を負うものでもあると私どもは認識をいたしております。

 決算が不認定となれば、長は、それを十分に踏まえて次の予算編成を行って、適切な予算執行に努めるとともに、議会においては、不認定を踏まえた、予算の議決権や監視権を行使することが期待をされているところでもございます。

 すなわち、結局、使った後の話でございますので、法的には何ら問題が発生するものではないということが現状でございます。使った実績が不適切であったということが評価として残るということになるわけでございます。

 不認定となった原因となっていることが解消された予算となっているかどうか、あるいは、同じことが入っていても執行上適切に行われているかどうかを、今度はそこで議会としてなし得るかどうか。先生、三回も不認定の決算をやらなければならなかった席に議員としておられたわけですから、極めて遺憾であるということのお気持ちは私も共有するところでございますが、現下の情勢は、この不認定ということを踏まえてしっかりやってもらいたい、こういうことなんでございます。

 以上でございます。

武井委員 政務官のおっしゃることはよくわかるんですが、本当に歯がゆい思いもございますし、非常にやはり、当時見て、不名誉でございます、それで終わってしまったということの無力感というのは強烈に今覚えておりまして、ですから、また総務省としても、こういったあり方についてぜひ不断の検証を、また、過去の経緯も含めて御検討いただきたいと思います。

 続いて、監査事務局のあり方についてお伺いしたいと思います。

 一般的には、自治体には、おおむね四人監査委員がおられまして、大体、見てみますと、いわゆる議員監査、議選が二人、その自治体のOBが一人、あとは地元の金融機関などから専門家が一人といったような形がオーソドックスなパターンだというふうに思っております。

 この裏金のときもそうだったんですが、平たく言いますと、見抜けなかったということであります。横領などの事件も行政は間々あるわけですが、そういったようなことも、なかなか、監査で発覚をしたというものが多いかというと、そうではないのではないかと思うんです。

 そのうち、この監査委員の責任者、いわゆる代表監査委員というのが一人いるわけで、代表監査委員は地方議会にも出てくるんですけれども、大体、この代表監査委員というのは、自治体のOB、元部長とかそういう方が多いんです。そうしますと、どうしても、古い慣行を見抜くなんというのは一種の自己否定にもなるようなところもあって、仕組み的にやはり難しいんじゃないかと私は思っておりました。

 そういった意味でも、監査委員、少なくとも、この代表監査委員たる人物、これは、例えば会計検査院とか、それから、派遣という形がいいのかわかりませんが、例えば、監査事務局についても、結局、県の定期異動の人事の一環で、言ってみれば、身内がやって、あすは我が身ですから、なかなか厳しい。これはもう仕組み的にそうなんです。

 ですから、事務局も含めてこの監査委員の独立性を高めて、例えば、宮崎県の監査事務局から長崎県の監査事務局に異動するとか、そういう監査事務局同士での異動みたいな形で、独立性とか専門性、そういうものを高めていかないと、なかなか実効性が伴っていかないのではないかと思うんです。そのような仕組みづくりが必要ではないかと考えますが、あわせてお伺いします。

伊藤大臣政務官 お答えを申し上げたいと存じます。

 地方行政に対する住民の信頼を確保していくために、地方公共団体みずから、チェック機能である監査制度が有効に機能するかどうかという点は極めて重要なポイントでございます。

 このため、総務省においては、まさに委員が御指摘をいただきました点を重大に鑑み、学識経験者や監査実務者等による研究会を開催し、監査基準のあり方、監査委員の専門性と独立性の確保、並びに外部監査制度のあり方など、監査制度の全般にわたりまして、見直しの方向性について、平成二十五年の三月に報告をいただいたところでございます。

 このうち、監査委員事務局の独立性の確保については、任命権者である代表監査委員が事務局職員の人事を適切に行うべきことや、監査委員事務局を共同設置し職員を選任すること等が提言をされているところでございます。

 総務省といたしましても、監査機能の充実強化は大変重要なことであると考えておりまして、監査委員事務局のあり方を含め、監査制度そのものについて、見直しにつきまして、研究報告を踏まえ、地方公共団体など関係各方面の御意見をいただきながらさらに議論を深めてまいり、その意に即した形で整えてまいりたい、このように考えているところでございます。

武井委員 ありがとうございます。

 非常にいろいろな提言、報告書も出ております。ですから、そういう意味では課題として認識されているんだなということは理解しておりますので、ぜひそれが実効性あるものになるように、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、これはちょっと言い方は多分、都道府県、市町村によって違うんだろうと思うんですが、準公金の取り扱いについてお伺いしたいと思います。

 地方自治体には準公金と呼ばれるものがあるわけでございます。すなわち、県民の皆様からの税金とか国からの補助金というのは、いわゆる公金ということでございますから、会計管理者が当然各自治体にありまして、会計管理者、昔の出納長ですけれども、そこのもとで管理をされるわけですが、そうでないお金が多数あるわけです。例えば、何とか協議会とか、皆さんの地元でもあると思いますが、県道何号線整備期成同盟とか、ああいうものがあるわけですね、先生方が顧問をされているとかいうものもたくさんあると思うんですが、例えばこういったような団体。金額としては、少額のものから、中には数百万とか一千万といったようなものもあるわけであります。

 こういったものは、実態を見てみますと、担当の職員が、事務局を例えば宮崎県庁何とか課に置くとかとなると、その何とか課の職員が、大体職員のデスクに通帳とか印鑑があったりする場合というのが多く、基本的には管理というのが職員に任されているというのが現状であります。

 監査も、こういうものも監査もあるんですけれども、監査といっても、大体、例えばそういう期成同盟でしたら、町長さんとかが二人ぐらいやっていて持ち回りでという形ですから、実際的にしっかり精査をされているかというと、なかなか実態はそうじゃないというのが現状であろうかと思います。

 こういったようなものが、それこそ宮崎県でいいますと、私が県議会で質問したときで、平成二十二年二月でしたが、こういうものが千二百四十件、宮崎県だけである。ですから、各都道府県、大体似たようなものだと思います。

 それで、地方自治体職員の横領とか着服、残念ながら、宮崎県でも大体二年に一回ぐらいそういうのがあるんですけれども、大体、この準公金と呼ばれるもので起こる。宮崎の場合ですと、医師確保推進協議会の準公金とか、こういったようなもので横領が起こっているということであります。

 職員からしても、やはりこんな金額を自分で持たなきゃいけないというのは負担ですし、それはやはり、経済的な事情、いろいろあればどうしても、仕組み的にこれは抑止していくことが大事であろうと思いますが、このような職員が経費を自分で持つようなことは原則禁止をして、やはり出納吏員以外の者が現金を扱わないといったような形で、きちんと仕組みから変えていく必要があるのではないかと考えますが、見解を求めます。

伊藤大臣政務官 お答えを申し上げます。

 まず、地方公共団体の歳入歳出に属する歳計現金は、会計管理者が指定金融機関への預金等により保管をすることとされております。

 また、地方公共団体の所有に属さない現金、すなわち歳入歳出外現金については、地方自治法第二百三十五条の四において、債権の担保として保管するもののほか、法律または法令の規定によるものでなければ、これを保管することができないこととされております。

 歳入歳出外現金については、災害見舞金など地方公共団体が被災者にかわって受領し分配するまでの間保管を要するものや、遺失金など本来の所有者にかわって警察署長が保管をする必要があるものなどがあり、これらは、その保管の必要性から、法令により特に認められたものとされております。

 このように、地方公共団体が保管できる現金については地方自治法により限定されていることから、私どもといたしましても、地方公共団体においてはこれに即した取り扱いを行っていただくよう求めているところでございます。

 以上でございます。

武井委員 ぜひまたそのあたりの管理の徹底、また指導をよろしくお願いしたい。これはお互いのためになりますから、お願いしたいと思います。

 では、ちょっと時間も過ぎておりますので、先に進ませていただきまして、インターネットに係る諸問題について何点か御質問したいと思います。

 安倍政権、また、きょうは麻生副総理もお越しいただいていますが、大変インターネットの業界では人気がおありのようでございまして、最近も、見ておりましたら、麻生大臣がコンビニの前でソフトクリームを食べる姿がとても格好いいみたいなことが大きく報道されたり、話題にもなっておりましたけれども、一方で、ヘイトスピーチと言われるようなもの、そういったものが多く出てきているというのも事実であります。

 例えば、殺人事件とか、過日、「アンネの日記」という本が破られるという事件もありましたけれども、こういったようなものが起こったりすると、また、今、鳥インフルエンザの話をさっきしましたけれども、ツイッターで検索してみると、これはある国のバイオテロだみたいなことを書いた人がいて、それが多くの人にリツイートされているといって拡散されているといったようなこともあるわけであります。

 もちろん、さまざまな原因の追求というのは必要なんですが、どうもこういう特徴を見ておりますと、何か事が起こると、条件反射的に、特定の国が、この人たちがどうだというようなことを、原因を求めるような傾向があるなというふうに感じております。もちろん、さまざまな主義主張は憲法のもとで当然認められるわけですが、しかし、やはりこんなことは残念だなと思います。

 日本という国は、たとえ他国が、我が国の首相の人形をつくったり国旗を燃やしたりしても、日本という国はそういうことはしない国だ、それが日本の国柄、美しさじゃないかと思っておったんですが、どうも最近、何かその辺が変わってきているんではないかなと大変残念な思いがしております。

 このような、ネットにおける、特に外国人、特にアジアの方に対する排外的な書き込み等が横行している現状について、きょうは谷垣法務大臣にもお越しをいただいておりますが、どのような御認識をお持ちか、お伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 ヘイトスピーチと言われるようなものもいろいろなものがございまして、法律的に定義がこうというわけではありませんけれども、今委員がおっしゃったように、特定の国の人を挙げて、出ていけだとか殺せだとか、まことに聞くにたえない言論が一部で横行していることを私は大変憂慮しております。

 こういう言動が、何というんでしょうか、人種差別意識といいますかそういうものをあおり立て、人々の不快感も大きくさせる。やはり、安心して暮らせる社会、成熟した社会というのとは矛盾すると私は思います。

 それに加えまして、私が強く思いますのは、日本人は、いつの間にか、おおらかな自信がなくなってしまって、そういう、人を攻撃することによってしか自信というか自分のアイデンティティーが保てないような、そんな情けない存在になってしまったのかというようなことを私は感じます。

 もっと日本人はおおらかな自信を持たなきゃいけない。日本は、目を開いてみれば、歴史でも、今日本がやっていることでも、おおらかな自信に値することが幾らでもある。

 例えば、武井さんが、日本というか自分のふるさとでもいいですよね、宮崎牛はうまいぞと言うのは私は当然だと思います。宮崎牛ですき焼きをやったらうまい、そこに、丹波人である私が同調して、おお、秋になったら丹波のマツタケをそのすき焼きの中にぶっ込んだらうまいぞ、こういうような話は幾らやってもいいんですけれども、私は、日本人、もっと自信を持てと言いたい。

 そこで、では、ヘイトスピーチが法的に何が問題かというと、これは実はいろいろなことがありまして、一概に言いにくい。ただ、私は、こういうことが、決していろいろな人権問題というだけじゃなしに、非常に憂慮すべきものだということは、この委員会でもたびたび発言してまいりました。

 やはり、こういうことに対しては啓発活動も必要だと思います。したがいまして、私のそのような発言等々は、法務省のホームページにも掲載をいたしまして、周知を図るということも始めましたし、それから、全国の法務局やあるいは地方法務局でも、中高生を対象としたいろいろな人権教室など、さまざまな機会に、外国人の人権に関する積極的な啓発活動を実施しております。また、ネットの上でも、法務省のホームページで外国人の人権に関するホームページというのを新設いたしました。

 機会を捉えて啓発活動を法務省としても取り組んでまいりたいと思いますが、やはり根底にありますのは、日本人よ、おおらかな自信を持とうぜという呼びかけをもっともっとやってまいりたい、このように思っております。

武井委員 ありがとうございます。

 まさに、差別はいけませんとかというだけではなくて、今おっしゃったような、がつんとした強いメッセージをまたぜひ発していただく。政府としても、かえってそういうストレートなメッセージの方が日本人にも響くんじゃないかと思いますので、大変大事なことだと思います、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、忘れられる権利について、一点お伺いしたいと思います。

 先日、ある刑務所を出所した方とお話をする機会がありました。出所して、働きたいんだと。非常に真面目な、非常に不幸なことで二年ほど入られていたんですけれども、働きたいと思っていると。

 ところが、当時の事件、それはやったことですから、これは事実は事実なんですが、実名報道された記事とか、そのコピペしたブログなんかがいつまでもホームページに残っているので、なかなか就職活動に行っても、平たく言えば、名前を検索したらそれがばっと出てくるわけですね。

 そうすると受けても難しいということに加えて、保護司の方の骨折りもあって営業の仕事についた、名刺を持って御自宅を回っていろいろな案内に行ったんだけれども、そうすると会社に、おまえのところはこんな人間をうちによこしてみたいなクレームが入ったりして、結局仕事をやめざるを得なかったと。精神的にも苦しくなって、もう本当に一言衝撃的でしたのは、こんなことなら刑務所におる方がまだましじゃないかといったようなお話になりました。

 先日もありましたが、大変再犯率が高い。やはりそれには、結果として、そのような人たちが刑務所以外に生きる場所がないような、少なくともそういうふうに追い込んでしまう、そういう側面があるのではないかと改めてそのとき痛感したわけであります。

 その意味では、刑期を終えて罪を償った人、罪を償った以上は、少なくともそこからきちんと再出発できる社会にならなければいけない、そういう社会をつくっていかなければいけないというのは私は政治の役割だと思いますし、それをやらなかったら、結果として、社会不安の増大にもつながってくると思っております。

 そういった意味で、こういった方々がこのように生涯ネットに実名をさらされるということは、これは本当にもう死ぬまでということになってしまいますから、やはり望ましくないと思っております。これは誰でも起こり得る。昔は人のうわさも七十五日と言っていましたけれども、もうそういうわけにいかなくなってきている。

 例えば、そういった意味で、一定の年数が来たらこういったログを削除するとか検索できなくする、これは忘れられる権利といいまして、EUとかアメリカでは法案化も進んでいるところもあるわけです。韓国でも、情報通信網法とかそういったようなものの改正で、ユーザーが、インターネットに掲示した掲示物を削除するように、自分から削除するように求めれば、プロバイダーなりがそれを削除する、それを履行するといったような法律の改正も進んでいるようでございます。

 残念ながら、日本ではまだ具体的に検討されていることはないわけでございますが、国としても、このような忘れられる権利というものが、我々はみんな忘れたいことがそれぞれあるわけですから、政治家はしようがないにしても、一般の人たちのこういった忘れられる権利が具現化できるような施策を検討する必要があると思っておりますが、上川副大臣、見解をお願いいたします。

上川副大臣 御質問は、インターネット上の権利侵害、これに対して、プロバイダー等の対応、また法律ということでございますけれども、基本的には、インターネット上に流通する違法・有害情報につきましては、削除によりましてその流通を防止するということが基本的な対応ということでございます。その際、表現の自由の保障との関係に配慮しながら、民間事業者によりましての自主的な削除というのが基本になるということであります。

 総務省としましても、さまざまな環境整備を通しましてこれらを支援しているところでありまして、具体的には、プロバイダー責任制限法という法律にプロバイダーの責任範囲を明確化することによりまして、削除される情報が適切に削除されるような制度的な基盤を整えているというところでございます。

 実際、民間ベースで削除を行うプロバイダーにおきましては、利用者との間で契約約款モデル条項というものを策定しておりますので、プライバシーを侵害するおそれのある情報の投稿禁止事項にかかる場合には、削除によりまして対応するということであります。

 委員御指摘の、前科などの犯罪事実がインターネット上の掲示板に掲載されている場合につきましては、これがプライバシーの権利侵害に当たるか否か、犯罪の性質、軽重、犯人の特質、こうしたことを考慮して基本的には判断されるということでありますが、例えば、犯罪後の長期間を経過しまして、犯人に対する刑の執行も終わった後に、誹謗中傷を目的として犯罪事実を蒸し返すという形で情報が投稿された場合、プロバイダーがこれを削除しても損害賠償責任を問わないということでありますので、ケース・バイ・ケースではありますが、基本的にはそうしたガイドラインにのっとって対応するということであります。

 実際には、事例の積み重ね、また有識者、関係者、事業者の意見も踏まえまして、インターネットの違法・有害情報の対策に引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っております。

武井委員 ありがとうございました。

 機会の平等ということは本当に大事なことであると思っております。そういった思い、また、ぜひ今後とも不断の御検討をお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。

松浪委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。民主党の柚木道義でございます。

 きょうは、それぞれの答弁の皆さん、御多用のところ御調整をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは決算行政監視委員会の二十三年度、二十四年度の予備費等の議論でございまして、主に私の論点といたしましては、やはり、この四月から十七年ぶりに消費税が上がり、その影響等が今後いろいろな場面で、国民生活あるいは経済財政の中で出てくる、こういった視点。

 そしてまた、それに伴って、それぞれの個々の政策のいわゆる費用対効果、こういった視点がより厳しく求められてくるというふうに思われますので、そういった視点。

 そしてもう一つは、それぞれ関係することですが、消費税に関係してさまざまな、例えば逆進性対策等、施策がセットで行われる、あるいは今後行われてくるわけですが、それに関係していろいろな、きょう質問させていただくような施策も当然連動して国民生活や経済財政に影響が出てくる、こういうことでございますから、そういった観点から幾つか質問させていただきますので、それぞれ関係の御答弁の皆さん、よろしくお願いをいたします。

 まず、お手元の資料に、今回、軽自動車税の引き上げに関連して資料をつけさせていただいております。

 これは、今冒頭申し上げましたように、今回、消費税が引き上げになって、そして、いわゆる逆進性対策、生活弱者と言われるような方々に対する対策がセットで講じられていくというような中で、これはごらんいただくと、まず一枚目の資料は、軽自動車の都道府県ごとの普及台数とそれから都道府県ごとの平均年収を左右にプロットいたしますと、四角で囲んでいるのが、つまり、上位ベストテンが、平均年収でいえば低い方からのベストテンが六県入るということで、こういったパラレルの関係になっているんですね。こういう現実がある。

 それから二枚目は、今回、軽自動車税の引き上げがなされることで、今後のいわゆる販売予測でございます。それぞれ八割程度、つまり二割減というようなことも想定をされる。

 さらに三枚目、ごらんをいただきますと、やはり軽自動車というのは女性の方あるいは高齢者の方、さらに言えば、女性の中でもやはり家計を支えるために働かざるを得ない、こういうようなことがそれぞれ見てとれるデータでございます。とりわけ女性の方では、軽自動車を利用されている方の七割程度が仕事もされている。あるいは、高齢者の方は、この間、二十年間ほどで六十歳以上のユーザーが四倍にふえ、今後も、次に買いかえたい車種としては、もう九八%、ほぼ一〇〇%が軽、こういう意向を答えておられます。

 このようなそれぞれの背景に加えて、次のページもごらんをいただきますと、今般、軽自動車税が増税されるとしたときに、新車については二十七年度、既に乗られている方については、新規登録から十三年を経過した場合には、重課と書いていますが、普通以上に、二〇%、さらに増税という形になってしまうということであります。これはもちろん、環境への負荷との関係もあるわけですが、逆に言えば、買いかえる余力、財力がないからこそ乗り続けざるを得ないという側面もあるわけでございます。

 こういった状況を私は考えるときに、やはり、いわゆる弱者対策、生活弱者対策も含めて消費税への対応がなされている中で、今回、これから消費税も一〇%になっていくかもしれない、そして、他方で社会保障の充実については必ずしも十分とは国民の皆様の中で認識されていない、むしろ負担増が先行という見方もされているなども総合的に勘案をいたしまして、私としては、軽自動車増税というものは行うべきではない、あるいは、仮にそういうことを考えるにしても、今後、今消費税が上がって、さらに一〇パーに上がっていくという流れの中で、やはり国民生活全体に与える影響も含めて総合的に私は勘案をして、税率の引き上げについて再検討、あるいは見直すということをぜひお考えいただきたいと思いますが、きょう、松島経産副大臣にお越しをいただいておりますが、御所見をお願いいたします。

松島副大臣 ただいまの柚木委員の御質問の中で、軽自動車税に関する部分だけは全面的に賛成でございます。

 軽自動車は、先ほど表も見せていただきましたが、逆進性ということ。どちらかというと、平均年収が少ない、貧しい県の方がたくさん乗られている。これは、地方において、中山間地など地方において特に軽自動車が使われているということのあらわれだと思っております。

 おっしゃいましたように、地方において、二台目、三台目、車がないと生活できない。そこで、女性の方々が軽自動車に乗って工場へ勤める、あるいは保育園の送り迎えをする、お年寄りを病院に送り迎えする、そういった、まさに生活の足である。私は地元が東京の下町でございますけれども、私どもにとりましての自転車と同じ役割を地方において軽自動車が果たしているものだと考えております。

 また、営業用の車ということで考えますと、都会におきましても、このあたりを走っている大企業の車は余り軽自動車を見かけませんけれども、下町の中小・小規模事業、こういったところの配達や営業では軽が結構使われております。

 その意味におきまして、軽自動車というのがそういう非常に重要な役割を果たしているということは全く共感しております。

 このたびの平成二十六年度の税制改正におきましては、おっしゃいましたように、軽自動車の税率を一・五倍に引き上げる。そしてまた、十三年を経過した軽自動車に対しておおむね二〇%、税を重くする、重課することというふうなことに、どちらかというと決まりました。

 決まってしまいましたけれども、私ども経済産業省、何とかこの影響を軽いものにしようと、この税率の引き上げ対象につきましては、今年度からではなくて来年度、平成二十七年度以降に取得する新車に限定する、それまでの車は大丈夫だということと、もう一つは、こういった軽自動車の税率を引き上げることに当たっても、事業用の軽乗用車及び事業用の営業車の軽自動車につきましては、これは、農業をやっている方や中小企業の方への御負担ということを配慮いたしまして、引き上げ幅をほかの軽自動車の一・五倍じゃなくて一・二五倍に、そのように抑える、ここまでは何とか、かち取ったといったらおかしいんですけれども、こういうことは配慮をした次第でございます。

 さらに、おっしゃいました、十三年以上たったものが環境に悪いから税金を高くするというようなことにつきましては、環境に悪いということも言えるでしょうけれども、今まさに御指摘がありましたように、買いかえることができないから、もったいないから何とかかんとか使い続けている、そういう方も多いわけでございますので、軽自動車につきまして、その中でも環境性能の高いものにつきましては、軽減措置の導入を検討する、そういうことも考えております。

 このような具体的内容を含めまして、来年度にかけて、また軽自動車税のあり方について、経産省としては一層、同じ考えで、頑張ってまいりたいと思っております。

 以上です。

柚木委員 副大臣の御答弁、私も理解するわけですが、きのうちょっと問取りのやりとりをさせていただいていて、もうちょっと、もう一歩強い思いをお述べいただきたいというのがあるんですね。

 というのは、私が申し上げましたのは、いいんですよ、今の理屈は。ただ、やはりこれから、二十七年、二十八年、それぞれ新車、旧車と対応がされていく中で、確かに税制大綱に盛り込まれた、しかし、消費税一〇%はまだ決まっていない。つまり、まさに、社保と税の一体改革自体も、これからの経済動向、国民生活への影響を鑑みて総理が最終判断されるという中で、個別のことだけはもう決まっていて、そのままいきますよということではないと思うんですね。

 ですから、いろいろなことは決まっていますよ、決まっていますが、やはり今後の国民生活へ与える影響、そして経済財政の動向も見据えて、そこで変えると言わなくても、よくよく注視して考えていきたいと、もう一言、そこをぜひ思いを述べていただけませんか。

松島副大臣 委員がお配りになられた資料の中には、軽自動車が特に売り上げが落ち込むだろうというような表もございました。

 実際に、この四月以降の動向、軽自動車の販売に与える動向や、そしてまた地方の方々の、とても買いかえるなんて無理だというような声が上がれば、そういった動向をしっかりと見て、それに合わせて、来年度以降、軽自動車が地方の足として使い続けられるように、何とか税制面でも考えていきたい、しっかり取り組んでまいります。

柚木委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 ちなみに、私の母親も軽自動車で、仕事もしております。買いかえる余力はやはりないんですね。そういう話は本当に普通にある話でございますので、ぜひよく御勘案をいただきたいとお願い申し上げておきます。

 きょうは小泉進次郎内閣府大臣政務官にお越しいただいておりまして、ありがとうございます。

 私が今こういうことを申し上げましたのは、そもそも今回、軽自動車税の引き上げというのは、普通自動車と軽自動車の取得税の廃止ということに伴うという受けとめられ方をされていますが、説明を伺うと、普通車と軽自動車とのそういう意味での税の負担の均衡化という説明もありました。あるいは、これは当然、自動車取得税廃止に伴っての減収の部分について、やはり財政中立という観点も、これはお話がありました、一定程度年限のたつ中で。

 ただ、やはり今、松島副大臣とのやりとりをさせていただいたように、いわゆる個別の税収ごとに考えるだけの視点では、まさに、きょう御担当でお越しいただいておりますが、経済財政担当あるいは社保と税一体改革担当というお立場できょうお越しいただいているわけですが、やはり狭い部分だけではなくて、全体的な見通しの中で、私は今回の軽自動車増税の話もよくよく考えていくべきだというふうに思っております。

 これは、所管の大臣政務官として、私は改めて、ぜひ今回の軽自動車税については、全体的な国民生活に及ぼす影響も考えて、よくよく再検討していただきたいと思いますが、大臣政務官、いかがですか。

小泉大臣政務官 御指摘のありました軽自動車の関係について、また、細目ごとの税収の動向とかそういうのではなくて、全体の見合いを感じてというのは、まさに経済財政担当が持たなければいけない、そういった視点だとは思います。

 軽自動車について言えば、その役割の重要性というのは誰もが認めるところだと思います。一方で、これから自動車の、世界の中での市場の開拓とか、グローバル競争の中での日本の自動車業界をどういった形に持っていくべきなのか、そういった観点もやはり必要になると思います。

 その中で、財政も大変苦しい、そういった結果、出てきたのが今回の案だと思いますが、消費増税も決まって、国民の負担がふえる中で、慎重に国民の経済、また消費動向もしっかりと見きわめながら、今政府の方でも毎週、消費税が増税された後の消費動向というのをチェックしていますので、これからもそういったきめ細かい考えを持ってやっていきたいと思います。

 また、個別の細目だけではなくて全体にという話も、これは本当に、今回の自動車関係だけではなくて、例えば、今法人税の改革の方もありますけれども、個別の細目だけの行ってこいを考えるのではなくて、全体経済を見た中でどう考えるかという視点も非常に大切だというのは、まさに私も同感であります。

柚木委員 政務官、ありがとうございます。

 そういった視点をお持ちいただけているということで、そこは共有させていただけていると今理解をしましたので、今後の動向等をよくよく注視をいただきまして、大綱に盛り込まれていることではある中で、しかし、消費税そのものが一〇パーになるかならないかということの判断も含めて、ぜひここの部分については、私は、一〇%にやはりちゃんと引き上げて、そして、社会保障の充実あるいは適正化、持続可能性、財政再建、こういう流れが必要だと思っている中ではありますが、この軽自動車税の部分については、よくよく全体的なところでお考えいただきたいとお願い申し上げておきます。

 続きまして、田村厚生労働大臣、きょうはありがとうございます。

 資料五ページ目、あるいは六、七とごらんをいただきますと、今回、消費税が十七年ぶりに上がり、そしてまた、生活保護関連でいえば、これはもちろん自治体の関連ということで、この間大臣も御答弁されていますが、生活保護の最低基準の引き下げというような中で、これはもう本当にぎりぎりで保護を受けずに頑張っている方々の就学援助やいろいろな四十程度の制度が連動して、その補助の対象から外れて、むしろ貧困の連鎖みたいなことになりかねない状況が今徐々に起こっている中で、さらに、私も、生活保護法の改正の議論のときに、まさに政府の方とも調整をして、この修正案の答弁もさせていただいたわけですが、実は、申請における書面の扱いとか、あるいは扶養義務者への通知及び報告の求めなど、ここに「国会の議論くみ取らず」というような、こういう見出しが躍るようなことに、どうも議論として、なっているんじゃないか。

 そういう中で、次の六ページ目に、もちろん、私も、頑張っている方と保護を受けている方の所得の逆転現象、これを何とかしていかなきゃいけない、あるいは不正受給、貧困ビジネス、これは許されません。こういうのをやっていかなきゃいけませんが、本当に必要な方が、逆に、申請厳格化で受けられない。過去にもいろいろな、孤独死、餓死といったような悲惨な事例が報じられてもきていますが、そういう中で、今回、パブコメでもいろいろな意見があったという中で、「生活保護 省令案修正へ」、この見出しがどこまでこのとおりなのかというのもあるわけですが、こういった状況があります。

 七ページ目にも、先ほど申し上げましたように、生活保護に連動をして、既に幾つかの自治体で就学援助などの縮小が続出をし、家計が苦しい、そういった方、あるいは、そういう意味では何の責任もないお子様方にそのしわ寄せが出てきつつある中で、今回、この保護開始における申請時に申請書の提出を義務づけるように読まれてしまう。あるいは、申請行為は非要式行為であるとのこれまでの、私も答弁させていただいたその答弁との整合性について、今後、どういった形でしっかりと対応いただけるのか。

 また、扶養義務者に対する通知及び報告の求めについても、まさにこれは、本当に保護の必要な方の申請の妨げになるようなことにならないように、例外的な場合に限って行う旨の規定にすべきという議論がこの間あったわけですが、これはぜひしっかりと、そういう流れに沿った対応をお願いしたいと思いますが、厚生労働大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 おはようございます。

 今委員おっしゃられました就学援助に関しては、これは地方単独分でございます。地方単独事業分でありますが、これは厚生労働委員会で御議論させていただいておりますので、こちらの方はコメントを避けさせていただきます。

 今おっしゃられました生活保護法改正、この法案の改正の中において、これは与野党で修正をしていただいたわけであります。

 今般、これに関しての省令を、省令案でありますけれども、これをパブリックコメントにかけさせていただいた。そういう意味では、どういう内容かということを皆様方に開示をさせていただいて、意見をいただいたわけであります。

 この省令は、皆様方が生活保護法改正の中において御議論いただき、与野党で合意をいただいた修正、それからまた、あわせて国会の審議、こういうものも盛り込ませていただいたものではあるんですけれども、パブリックコメントにかけさせていただきましたが、まさに今委員がおっしゃられました保護の申請ですね、開始と申請、この部分と、それから扶養義務者の通知、報告、こういうところに関して、国会での政府の答弁、それから修正の趣旨、こういうものをどうも後退をさせているのではないか、つまり、保護開始の手続が厳格化されるのではないかというような御心配をいただいております。我々はそういうつもりでこの省令案を出しているわけではないんですけれども、そういうような御心配をいただいておりますので、より、国会での御審議でありますとか、また、この改正法の趣旨を色濃く反映できるような、そんな文案にしてまいりたい、このように思っております。

柚木委員 大臣、明確にお答えいただいてありがとうございます。

 ぜひそこは、私も繰り返し申し上げますが、不正受給とか貧困ビジネスとか、そういうことはもちろんあってはならないし、厳しく対応すべきだと、私も、政府側にいたときもそのような立場で仕事をさせていただきました。

 ただ、逆に、本当に厳しい方が、今回消費税も上がり、社会保障もいろいろな形で負担増先行とも言われかねない中で、本当に必要な方がしっかりと、そこはセーフティーネットで対応できる社会、これはそれぞれ、きょう御答弁いただいた方も多分共有していただけると思うんですね。しっかりとした運用がいただけるように、今の御答弁、本当に明確にお答えいただいたと思いますので、今後も注視してまいりますので、ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 大臣、もし何か御予定があったら、結構ですので。きょうはここまででございますので、大丈夫ですか、もしあれでしたら、御退席ください。ありがとうございます。

 続きまして、資料の八ページ目をごらんいただければと思います。

 きょうは小泉政務官にお越しいただいているわけですが、私、公共事業関係費の推移ということで、四月一日に衆議院の本会議で、代表質問で安倍総理にもこれはお尋ねをさせていただきました。いろいろな細かい読み方等で多少の認識の違いがあったわけですが、その認識は十分折り合いをつけた上でも、こういうことが言えるんですね。

 これはごらんをいただきますと、二十四年度当初までが民主党政権、補正からが安倍政権ということでございまして、それぞれ二十四年度以降の部分と、それぞれ単年度で比較ということで、さらにその比較の増額分ということでカウントしますと、私は、四月一日の本会議段階では、約三・五兆、これは、社会保障の充実分が、増収五兆円の中での五千億、一割に過ぎない部分が充実分ということから考えれば、七倍程度が公共事業の予算の増額分に回ったと受けとめられても仕方のないような予算の再分配が行われているのではないか、そういう意味で、国民の皆様から見て、これは間違っても、公共事業そのものは、必要なことをやるのはいいんですよ、しかし、消費税が公共事業に流用されているじゃないかというような受けとめられ方をされることは、厳にこれは慎まなければならない、こういう視点から安倍総理にも申し上げたわけです。

 これは二十三年度の補正がカウントされていないから、ある意味ちょっとフェアじゃないんじゃないかという言われ方が総理の答弁の中であったんですが、私が当時、財務当局から説明を受けていたものは、これは復興関連であって公共事業関係予算ということではないから、私はカウントをしなかったんですが、よくよく伺うと、災害等の対応が、復興以外に台風とかいろいろな部分での対応が二十三年度の補正の中にも含まれているということでありましたから、これを含めてカウントしても、約三兆一千億円、これは安倍政権になってから公共事業関係費が増額されているわけです。

 そう考えると、やはり六倍強の予算、社会保障の充実分の五千億に対して六倍強の予算が公共事業関係費に、同じ財布の中ですから消費増税を社会保障に使うのは当たり前なんです、そうじゃなくて、全体の財布の中でそういうしわ寄せが及びかねないという構図についての問題意識を私は申し上げました。

 ちなみに、これは五千億円の充実といっても、御案内のように、例えば子育て支援でいえば、先般も、政務官の御地元である神奈川県在住の方、ベビーシッターのあの事件でお子さんを亡くされております。これも、本当に公的に質の高い二十四時間夜間保育は東京都内に一カ所しかないということを、私ども視察に伺って初めて知ったわけですが、そういうような体制の中で、では子育て支援の体制整備を進めよう、三党合意で一兆一千億円の予算を確保してと。ところが、現状では、まだその一兆一千億に対して四千億円程度、予算が足りない。

 さらには、先般、四月一日にも申し上げました医療、介護の推進法、これは、今回消費税も上がって、医療、介護の分野は診療報酬、介護報酬ですから、総理が本当に賃上げしようと思えば上げられたんですけれども、実質賃下げで、介護の分野においては、要支援サービスが自治体によっては切り捨てられるというようなことも起こりかねない。あるいは、サービス単価を引き下げるということを既に言っている自治体もあって、これは、今回実質賃金減になった介護従事者の方の離職が、最大十万円ほど賃金が低いとも言われる介護従事者、さらには、従事者の問題じゃなくて、そういうサービスを利用しながら働いている方が全国三百万人、そのうち十万人は家族の介護のことを理由に仕事をやめている。

 こういうことを考えると、全世代において非常に大きな影響が出てきて、これについて我々は、介護従事者処遇改善法案というものを今国会に提出しておりますが、安倍総理の御答弁は、やはり財源の裏づけ、予算の確保ができないとそう簡単な話ではないという御答弁なんですね。

 小泉政務官、これは子育てのことについても、今介護のことを例示しました、それぞれお金が四千億円足りないとか、介護従事者に関して言えばこれは数百億円のオーダーです。来年からは介護報酬で対応することになっています。しかし、今この段階で、公共事業は三兆円以上ふえている。

 やるなというんじゃないんですよ、ふえているという事実、そして社会保障はその六分の一弱しか充実分に使われていない、こういう現実を考えたときに、まさに先ほども軽自動車税の御答弁をいただきました。全体をよく見て、そして優先順位をつけてやっていかなきゃいけない、そういう御認識をいただけたと、私は本当にここは心強く思っています。

 ぜひ今回、国民の皆さんから見て、消費税を公共事業に流用しているんじゃないかと見られるようなあり方は改めて、我々は、せめて、この八%段階で五千億の倍の一兆円程度を社会保障の充実に回すべきだと考えているんですね。

 そういう公共事業予算と社会保障の充実分、これについての関係性をぜひ見直していただきたいと思いますが、政務官、いかがですか。

小泉大臣政務官 御指摘の点ですが、社会保障にしても、公共事業にしても、教育にしても、安保にしても、真に必要なものは予算をつける、しかし、そうじゃないものはつけない、そこに尽きると思います。

 今回の公共事業の増額という点の御指摘も、今、日本の全国で七十万の橋と約一万に上るトンネルがある中で、本当にその中で、老朽化対策や長寿命化など、必要なものに対しての措置というのはやはり必要な部分があると思います。

 私は、あの笹子トンネルの事故で亡くなった一人の二十代の女の子の地元ですけれども、その子は私の初めての選挙も手伝ってくれたスタッフです。そういった中で、ああいったことが二度と起きないように、必要なところにはやはりやらなければいけないでしょう。

 ただ一方で、人口も少なくなっていく中で、行政コストも上がり、中には、もうこの橋は使わないというふうな判断があれば、その橋はもう手をつけない、そういった判断だって、厳しいけれども、やらなければいけない時代に来ていると思います。

 社会保障にしても、私も比較的若い世代の一人としては、若年世代の社会保障を、どうやってより多くの予算をつけることができるのかというのは、これはどこの政党がこれから政権を担っても、誰が総理になっても考えなければいけないことだと思いますが、現実問題として、消費税を八パーに上げようと一〇パーに上げようと、まだまだ財政再建には至らないわけです。

 そして、この五千億の充実分にしても、その充実分以上に、今の社会保障制度を支えなければいけない部分での支出が多い。これを改革するためには、今の社会保障で給付を受けている世代の理解をどう得るか。そして、これからそれを負担していく世代との助け合い、支え合いの精神を、どうやって持続可能性を持ってやっていくかという部分では、本当に複雑な方程式を解かなければいけないと思います。優先順位をつけて、つけるべきはつけ、そうではないところは切るところも間違いなく出てくると思いますが、これからそこら辺に具体的にどうやって切り込んでいけるのかというのは、やらなければいけない、そういう厳しい時代だな、そういった認識を持っています。

柚木委員 きょうは大きな方向感を議論させてくださいと通告で申し上げていますので、本来であれば、では、その優先順位の中で、私が申し上げているような子育て支援の四千億の不足分、あるいは介護従事者の処遇改善等についてもう少し議論を深めていきたいところなんですが、時間も限られておりますし、また、もっと言えば、防災、減災の中身についても、詳細を今後また決算委員会活性化の中で、これはやりとりさせてもらいます。はっきり言って、無駄と言われても仕方のない面、まだまだ入っています。

 ですから、そこも含めて、これは甘利大臣とやりとりさせていただいた中で、社会保障もそうだけれども、公共事業についてもこれは聖域なき見直しが必要だと明確に御答弁されていますから、今後またこれは議論させてください。

 これは最後の質問になりますが、まさに今、我々、私も政務官も、ある意味では、年代としては国会でいえば若手というような形で言われることが多いと思うんですね。我が党でいえば、第一世代が鳩山さんや菅さんや小沢さん、第二世代が野田さん、前原さん。それで我々は、細野さんたちと会も今回立ち上げましたけれども、第三世代と言われます。我々の世代が、本当に我々以降の世代に対してリアルに責任を負っていかなきゃいけない、そういう趣旨は、先ほどの御答弁で、私も共有させていただけたと思うんですね。

 そんな中で、最後に伺いますが、今回、社会保障と税の一体改革ということでやったわけですが、ともすれば現政権の中で社会保障というのが経済財政のお荷物的な扱いになっていないか、あるいはそう見えていないか、こういう部分が私の中ではあります。

 これは、世銀やIMFなどでもインクルーシブグロースといって、なるべく格差のない成長というものを世界は目指すべきだというような流れがあったり、我々も共生社会型成長モデルということで、ばらまきではない、本当の戦略的に、若者就労支援、あるいは教育、子育て、そういったことも含めて戦略的に充実させていくことが経済財政の好循環を生み出す、こういうことで我々も施策を進めています。

 そこで最後に伺いますが、二点です。

 一つは、企業の負担の軽減です。

 法人減税等のやり方は結構です。しかし、本当にこれが雇用増につながっていくかどうかを考えたときに、私は、例えば企業の社会保険料の負担軽減を、その社会保険料負担の一部を税控除するとか、そういった手法を用いて安定的な雇用増大につなげていくという視点をぜひ一緒にお考えいただけないかというのが一つ。

 最後に、もう一つは、二〇三〇運動。これは女性支援、安倍総理が取り組まれていますが、もう一つの二〇三〇運動があるんです。

 一つはイクメンです。二〇三〇年までに三〇%の男性が育休をとる、これによって出生率、女性の復職率も飛躍的に上がります。

 もう一点は議員クオータ制です。二〇二〇年までに三〇%の女性国会議員を誕生させよう、これは自民党さんも含めた超党派議連で今取り組みを行っています。

 こういう今の企業の社会保障の保険料の負担軽減、あるいはもう一つの二〇三〇運動、こういった取り組みを行うことで、私は、ワーク・ライフ・イノベーションをともに実現していきたい、そんな思いを持っておりますが、大臣政務官、同年代として次世代に向けた御答弁をお願いいたします。

小泉大臣政務官 次世代に向けた答弁というのがどういう答弁なのか、なかなか難しいですけれども。

 第一点目の社会保険料の増大に伴う企業の負担とか、また個々人の給与に対する圧迫とか、そういった点は、先日、別の民主党の後藤先生からも、内閣委員会でも御質問をいただきました。

 確かに、この点というのは非常に重要な点で、幾ら賃上げされても、社会保険料の負担があると、その分が相殺されてしまったら意味がないという議論というのは確かにあるのかもしれません。ただ、一方で考えなければいけないのは、先日の日経新聞の一面にも、八・八%まで上がった、そういった報道がありましたが、では、その上がっている要因は何かといえば、一つには、やはり社会保障、この高齢者の部分に当たるところというのは非常に大きいわけです。

 そうなると、企業の負担や個々人の負担と、社会保障の改革を進めていくというところも非常に大切な関係性を持っていますので、そういったところも踏まえて経済成長に若年者の雇用、これを、今の正社員と非正規と、そういった二つのルートの中で、一度正規に雇ってもらえた方はいいけれども、そうではない、最近だとよくノンストレーターと言うらしいですけれども、非正規の方から社会の入り口を歩んだ方々がなかなか正規に乗れないという現状は、やはり明らかにおかしいと思います。

 そういった環境をどう変えて、できる限り多くの方々が、日本社会を構成する構成員の一員としての誇りと働きがいとやりがいを、そういうふうに持っていただけるように、今さまざま政府の方でも、産業競争力会議、諮問会議等で議論を進めております。

 そして二点目の、女性の活躍に関することも、これは安倍政権の最重要課題の一つですので、しっかりと、女性の活躍が日本経済の活性化につながるように、さまざまな取り組みを通じて目標を達成していくように、具体的に議論を進め、形にしていくように努力してまいります。

柚木委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

松浪委員長 次に、宮沢隆仁君。

宮沢(隆)委員 よろしくお願いします。日本維新の会、宮沢隆仁です。

 本日は、三十分しかありませんので、予算の中でも、科学技術振興費にフォーカスしてお話を進めたいと思います。そして、特に昨今、理研の問題とか、いろいろ事件が起こっていますので、文部科学省に特化していきたいと思います。

 最初に、資料の解説を、主に数字の解説ですが、させていただきます。

 まず、資料一をごらんになっていただきたいと思います。

 これは、一番上の表は財務省からいただいた表ですが、全省庁の科学技術振興費というものをまとめて、左から、前年度からの繰り越し、当初予算、補正予算、予備費使用額、歳出予算現額、支出済み歳出額、翌年度繰越額、不用額という形で横に並んでおります。

 この中で私がちょっと注目しましたのは、補正予算額です。平成二十四年度は、政権が交代しまして、安倍首相の肝いりで相当額の補正予算が入ったんだろうと思うんですが、まずは、ここで一つ、私が疑問に思った点ですが、翌年度繰越額に四千百四十九億円、その補正予算とほぼ同じぐらいの額がそのまま繰り越されているということがまず一つわかります。

 そして、平成二十五年度に入りますと、その繰越額がそのまま入って、当初予算額は大体一兆三千億前後、二十五年度の補正が二千百九十八億円と、若干減っております。半分ぐらいになっています。この後のデータはまだないんですが。

 その中で、文部科学省のデータが真ん中にあります。実は、科学技術振興費の中で文部科学省が占めている割合が相当あります。総額一兆二千九百億円程度なんですが、平成二十四年度だけ見ましても、当初予算だけで八千六百八十億円、六七%ほどを占めております。補正予算も、二千八百五十六億円で、六九%。繰越金も、二千四百二十三億円で、全体の五八%を占めるということで、文部科学省だけで六割か七割ぐらい、さまざまな部分で占めているということですね。

 では、補正予算とそれから翌年度繰越額の関係をちょっと見ていただくと、例えば一番下の厚生労働省の方では、平成二十四年度を見ますと、意外に少ないのでびっくりしたんですけれども、補正予算が四億円しかないんですね。決算の方を見ますと、翌年度繰り越しが八億円、これも補正予算よりちょっと多いというデータであります。

 これは、ほんの二、三年のデータなんですが、もう一つおもしろいデータがありまして、資料四を見ていただきたいと思います。

 これは、文部科学省に頼んで、二、三年じゃなくて、できたら十年ぐらいとお願いしたんですが、平成二十年度からの、今のと似たような表をつくっていただきました。

 まず一つ、これを見て、感想ですが、一生懸命こういう表をつくっていただいたんですが、文部科学省はこういう時系列、経時的変化を追うということが余りなかったようで、相当時間がかかったようです。数時間かけてこの表をつくっていただきました。

 それで、この表の中で何が注目に値するかといいますと、やはり補正予算なんですね。平成二十年度、二百二十一億円。二十一年度、それがいきなり二千九百十一億円、これも恐らく政権交代の影響だろうと思います。そのあと、三百三十八、六百十六と続いて、平成二十四年度は二千八百五十六、これも政権交代の影響ですね。いかに補正予算額というものが政治的な意向に左右されるかというのがこれで一つわかると思います。

 一方で、当初予算額というのは、文科省に関しては、八千六百前後でずっと推移しております。結局、予算の総額というのは補正予算にほとんど左右されているということがこれでわかります。

 先ほども見てみました翌年度繰越額、右から二番目ですけれども、これも二十年度から見てみますと、二十年度はやはり補正予算額より多いですね。二十一年度はさすがに減っている。しかし、二十二年度以降は補正予算よりも多いということです。二十四年度は先ほど申し上げたとおりですね。

 今のデータの解説から私の頭の中に浮かんだ疑問は、まずは、なぜこんなに、繰越額というものがこれだけあって、しかも、それがほぼ補正予算と同じような額になるという、この現象はなぜなのかという理由をちょっと財務大臣に教えていただきたいと思います。

麻生国務大臣 政権交代と言われたところが一番のポイントなんだと思うんですが、平成二十四年度の補正予算、これは政権交代が前年の十二月の二十六日に起きておりますので、予算編成はそこから私どもはやりました。普通ですと、そのころにはもう予算編成が終わっている時期です、十二月二十六日。我々は、そのときから予算編成を開始するということになりました、政権がそこでかわっておりますので。

 したがいまして、本予算も補正予算もということになったんですが、本予算をそれからやりますと、これはどう考えても成立するのがずっとおくれる。普通はでき上がっているのを、そこからスタートいたしますので、おくれます。したがって、四月、五月というところは間違いなく執行は全然できないということになる可能性が極めて大きいということになります、予算の成立がおくれますので。

 したがいまして、四月、五月分を想定して補正予算をあらかじめ組んでおかないと大きく経済に影響を与えるというのが、私どもが補正予算を本予算の前に二十四年度分として組まざるを得なかった大きな理由が一つあります。

 それから、科学技術を特に言われましたので、この補正予算というのは、日本経済再生に向けた緊急経済対策というのを、これは二十五年、翌年の一月の十一日の閣議決定において、政権交代がなされた中で、まず、残りの三カ月分の二十五年度の景気の下支えをしつつ経済対策を実行するという点と、その際には、持続的な成長に資する分野や日本を支える将来性のある分野に重点を置こうではないかということで、お尋ねの科学技術振興費につきましても、四千二百五十九億円という大胆な予算計上を行ったところであります。これは文部省以外にもございますよ。

 したがって、例えば、地域イノベーション拠点施設の整備に係りますものとして三百七十億とか、また海洋資源確保に関する海洋広域研究船の建造というのに二百六十五億円等々の予算を計上させていただいております。

 実際の予算の執行につきましては、先ほど申し上げましたように、前の年の二十四年度の補正予算が大幅におくれておりますので、二月の二十六日、ほぼ残り一月というところででき上がっておりますので、平成二十四年度の補正予算と平成二十五年度の予算というものは、これはほぼ一体というもので考えねばいかぬ、いわゆる十五カ月予算、そういう考え方で編成をいたしております。

 例年より補正予算の成立がおくれたことから、その多くが翌年に繰り越されざるを得なかったというので、普通ですと数カ月あるものが、もう一月ちょっとしかなかったというのが、こういった数字が大きくずれた背景だと存じます。

宮沢(隆)委員 一カ月しかなければそう使い切れるものじゃないというのは、私にもよくわかります。

 私がちょっと懸念しているのは、例えば、資料の四を見ると、これは文部科学省だけのデータなんですが、繰越額がそのまま翌年に繰り越されて、それがそのまま予算として、歳出予算となるわけですね。そうすると、決算の中の歳出予算現額のところを見ればわかるんですが、補正予算を大量に入れた分だけ、どんどんふえていっていますね。もしこのまま補正予算が一千億、二千億という感じで大量に入っていったら、歳出予算がどんどんふえる一方で、五年先、十年先を考える場合に、いわゆる補正予算を組むときの考え方というんですか、その辺をちょっとお教えいただきたいんです。

 なぜかといいますと、やはり今、財政危機にありますし、社会保障費はふえていきますし、科学技術だけに予算を投入できるものでもないだろうと思うんですが、その辺のバランスというんですか、そういうのをどうとっていくかということ、将来予測を含めて教えていただきたいと思います。

麻生国務大臣 平成二十五年度におけるいわゆる科学技術振興費につきましては、いわゆる景気の好循環実現のための経済対策ということで、これは平成二十五年の十二月の五日に閣議決定をさせていただいております。これに基づいて、必要かつ実施可能な施策というのを計上した結果、二千百九十八億円となっております。例えば、その中には、先ほど建造船の話を申し上げましたけれども、ITERという核融合炉、あれがたしか五百億ぐらいだったと記憶しますが、そういったものに係る経費を出させていただきました。

 私どもとしては、今、考え方の話をされましたので、補正予算においては、基本的には、その時々の経済状況というのもございますので、私ども、最初に総理をやらせていただいた九年ぐらい、五年前のときには、リーマン・ショックというのがございましたので、その対策に補正予算をぼんと積まざるを得なかったという背景とか、民主党内閣のときには、あれはたしか、三・一一のときにどんと補正を積まれたとかいうようなこともあろうと思いますので、その時々の状況に応じて、緊急とか、かつ、必要、実施可能というようなことを考えて計上するものですから、あらかじめ計上金額というものの考え方を示すというのは、これはちょっと困難であります。何が起きるかわかりませんので。

 しかし、今後とも、補正予算というものを含めて、こういったものというのは、何が起きるかわかりませんけれども、この科学技術のことに関しては、特に、我々としては、ITERとかImPACTとかいろいろありましたけれども、こういった科学技術というものが、国の将来において、我々はこういったものをきちんとやっていかないと、この日本が何で食っていくんだということを考えたときに、やはり科学技術とか物づくりとかいうものが非常に大切なものだと考えております。

 そういったものを考えますと、こういったものをきちんと、あらかじめ頭に入れながら考えておかねばならぬのであって、本予算に入れられるように、きちんとしたものであれば本予算ですけれども、研究費となると、なかなか、何がどうなるかというのは、もう商売柄というか、お医者さんをやっておられましたのでいろいろその種のことは、なかなかわからぬものがいっぱいありますので、そういった意味では、補正予算で基金とかいうような形でやらせていただいて、将来のシーズ、種をきちんとその中にまいておきたいというような考え方が基本的にございます。

宮沢(隆)委員 麻生大臣のその考え方というのは、私、非常に受け入れられると思います。やはり、スピード感とバランス感覚だろうと思いますので、これからも、予算を組む上で、よろしくお願いいたします。

 ちょっと予算のことは離れます。

 文部科学省の話に入るんですが、なぜ文部科学省だけにきょうは特化したかといいますと、けさも理研からお話を聞いてきましたが、一つは、やはりSTAP細胞事件ですね。理研には相当な額の研究費が入っております。

 それから、もう一つは、もう二、三年前から騒がれておりますディオバン事件、薬の名前はバルサルタンというんですが、降圧剤としてノバルティスファーマ社から販売されていましたが、降圧剤としてはちゃんとした薬なんですけれども、それが脳卒中も予防する、心筋梗塞も予防するというようなことを有名な雑誌に出して、それを使って宣伝していたら、実はそのデータはうそだったという事件で、今、厚労省は刑事事件にまで持っていっていますね。

 私も、医師として、その事件、それから今回のSTAP細胞事件を見ていて、これはちょっと、日本の科学界は根本から構造改革しないといけないなと思いました。

 私も、研究は五年ほどやっていましたので、研究者の気持ちはよくわかります。例えば、二十五年ほど前に、私、西ドイツのマックス・プランク研究所というところで二年ほど研究していたんですが、その研究所に行くなり、ドイツ人の上司から、パソロジカルライアーに気をつけろと言われたんですね。

 パソロジカルライアーとは何かというと、病的うそつきという意味で、研究の世界には、うそをついて論文を書いて、要するに出世しようというやからがかなりの確率でいると。もちろん、君もそうなっちゃいけないし、そういう研究者と共同研究するときは気をつけなさいと言われたんですね。だから、ヨーロッパでもアメリカでも、もう昔から当たり前のようにそういう認識があったんだろうと思います。

 翻って、では、日本を見ますと、資料二をちょっと見ていただきたいんですが、私と同じように整形外科医として医の倫理の崩壊を憂えている人の論文をちょっと読みまして、きのう抜粋したんですが、一番上から読みますと、不正論文数が二〇〇〇年から二〇一二年の間に十倍に増加。その原因として、競争的資金の倍増、量的な資金投入、若年者研究者の地位獲得競争が激化等があるだろうと。

 それから二番目、日本での研究不正の実行責任者。自然科学系では若手研究者が多いが、学部長、教授、准教授の比率も高い。ところが、米国では、研究不正で黒と判定された比率が最も低かったのは教授。要するに、教授は信用がある程度できるということですね。オーサーシップに対する考え方の違い、オーサーシップというのは、論文にどの人を著者として載せるかということですね。今回の理研の事件でも問題になっていました。それから、あと、日本の場合は、研究費を獲得する人が教授に多いということも、不正が教授にどうしても多くなってしまう理由だということですね。

 もう一つの参考文献で、三番目ですが、科学者は一般の人々と特に異なるわけではなく、研究室で白衣を着てはいても、彼らもほかの職業の人々を駆り立てている情熱や希望、失敗といったものから免れることはできない。現代の科学は職業なのである。出世の足がかりは科学論文として公表された論文となるということですね。

 以上から、この論文の結論は、研究者の良識に訴えるだけの精神論では、百年河清を待つにすぎない。これは、待っていたって永遠に黄河の濁りは取れないというような意味合いらしいんですが、要するに、何らかの縛りを入れないとだめでしょうということを言っているんですね。私も、最近の事件を見るにつけ、やはりどうしてもそれは必要かなという思いに至っています。

 もう一つおもしろいデータがあるんです。おもしろいというか、嘆かわしいデータがあるんです。

 二〇一三年に製薬会社全体から医師に、あるいは医療機関、研究所に渡ったお金が四千八百二十七億円ですね。これは毎日新聞のデータなんですが、国の医療研究補助金千九百五十五億円の二・五倍ということを言っております。先ほど申し上げたバルサルタンあるいはディオバンという薬の事件では、奨学寄附金として医師側に三百四十六億円が渡っておりまして、これはもう、ある意味、使途不明、証明する必要がないお金なんですね。

 一つ、私、このデータを見て思ったんですが、四千八百二十七億円も自分の会社の薬のために配っているんだったら、どこか第三者機関のようなところにプールして、それを、ある意味国家予算のような形で優秀な研究者、医師に分配したらどうかなというようなことをちょっと考えました。実際、そういう動きも製薬会社、業界の方であるようです。

 ずっとしゃべり続けましたが、文科省の参考人の方が来ていただいていると思うんですが、今後、このような論文不正あるいは研究者の倫理教育というようなことに関して、どのような対策を練っていかれる予定なのかというのをお聞きしたいと思います。

櫻田副大臣 お答えさせていただきます。

 我が国の将来を担う若手研究者が公正な研究活動を行い、その能力を発揮し、すぐれた研究成果を上げていくためには、研究倫理の醸成を含め、自立して研究を行うことができるよう十分に支援し、育成していくことが重要であると考えております。

 現在、文部科学省では、本年二月に決定された協力者会議の審議のまとめを踏まえ、研究活動の不正行為への対応のガイドラインの見直しにかかわる具体的な検討を進めているところでございます。

 これまで、不正行為への対応は個々の研究者の自己責任のみに委ねられている面が強かったことを踏まえ、今後は、各研究機関が責任を持ってこの問題に取り組むよう求めているところであり、特に若手研究者への研究倫理教育の強化など、不正を事前に予防する取り組みを推進していくところでございます。

 また、文部科学省では、従来より、若手研究者がみずからの研究を推進するために、研究費を獲得する機会の確保や、研究に専念できる環境の整備などの取り組みを講じてきたところであり、今後もこれらの取り組みを引き続き推進するとともに、平成二十六年度予算においては、新たに、研究者の流動性を高めつつ、安定的な雇用を確保しながらキャリアアップを図る取り組みとして、科学技術人材育成のコンソーシアムの構築を実施することとしているところでございます。

 このような取り組みを通じ、若手研究者の倫理観を高めつつ、その育成や活躍促進に努めてまいりたいと思っております。

宮沢(隆)委員 ありがとうございました。

 私の個人的見解を言いますと、このような状況になると、研究所の上層部だけの責任というわけにはもういかないと思うんですね。各研究所、大学の自浄作用に任せていたら、恐らく何も改善しないだろうと思います。

 したがって、私は、ある程度、全国共通、一律の倫理教育とか、あるいは論文を書く技術的な指導とかというのをもうやっていかなきゃならぬ時代だと思います。そして、そこまでやって、それでも不正が出るんだったら、それはもうペナルティーなり罰則なりをつけなきゃ抑止力にならないと思います。よろしくお願いします。

 実は、本当は、私が理想とする研究所ということで資料三を読もうと思ったんですが、ちょっと時間がないので、後ほどごらんになっていただければと思います。

 最後に、きょう一番聞きたかった質問なんですが、実は、今回のSTAP細胞事件とか、今、原子力の問題とかについて、地元の有権者から、科学界というのは、研究者なり、若手研究者も含めて、倫理、哲学教育はちゃんとやっているんですかという質問を受けたんですね。

 それで、私ももっともな質問だと思いまして、例えばなんですが、iPS細胞というのを文部科学省は行け行けでどんどん推進しようということで進めております。僕はそれは非常に結構なことだと思うんですが、一方で、厚労省はここにいませんが、長寿社会がこれから来ることにまずは困っている。iPS細胞等で、例えば臓器がパーツで提供できるなんということになると、さらに平均寿命が上がる。健康寿命をどんどん延ばそうということではいいと思うんですが、その先の社会について、どのような社会が来るかということを頭の中で想定して研究推進を進めているのかということですね。

 例えば、もっと単純な質問をしますと、長寿、長寿とおっしゃっていますが、何歳までの長寿を目指そうとされているのかということでもありますね。非常に難しい質問だろうと思うんですが、ちょっとその辺の長期展望をお聞きしたいと思います。これは櫻田副大臣でよろしいですか。

櫻田副大臣 我が国では、これまで、平均寿命が着実に延伸してきた一方、高齢者の要介護数が上昇するなど、国民の平均寿命と健康寿命との差を短縮することが課題であると認識しているところでございます。

 このような状況を踏まえ、政府の健康・医療戦略では、単なる平均寿命の延伸ではなくて、健康寿命を延伸し、活力ある健康長寿社会を実現することを基本的理念としているところでございます。

 文部科学省においては、これまで、iPS細胞を用いた再生医療研究を初め、日常生活に支障を来す目の難病である加齢黄斑変性の患者に対する細胞移植がことしの夏ごろにも世界で初めて開始される予定であるなど、革新的な医療技術の実現に向けて研究開発を推進しているところであり、今後とも、科学技術と社会との関連に留意しつつ、関係省庁と密接に連携の上、医療分野の研究開発を推進していきたいと考えておるところでございます。

宮沢(隆)委員 申しわけありませんが、私の質問の答えはほとんどなかったですね。

 きのう、文科省の官僚たちにこの質問をぶつけたら、皆さん絶句していまして、絶句する理由は、一つは、とにかく行け行けでいけば僕たちの仕事は終わりです、そういう感覚だろうと思うんですね。

 ですが、政治家も官僚も、十年先、五十年先、百年先に対して責任があるはずなので、その先、今推進している科学技術が五十年、百年先の社会にどのような影響を及ぼすかということを常に考えながら推進していく、それで、その方法を考えるというのが僕は本道だろうと思うんです。

 ですので、具体的対策としては、地元の有権者も言っていたんですが、哲学者を必ず審議会なりなんなりに加える……

松浪委員長 宮沢君、申し合わせの時間が経過をしておりますので、短くお願いいたします。

宮沢(隆)委員 済みません。

 普通は、その道の専門家、有識者、官僚、政治家でとまっちゃうと思うんですが、ぜひそこに哲学者を入れて、お願いしたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

松浪委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 結いの党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、質問の機会を二十二分いただきまして、ありがとうございます。

 せっかくの機会なので、これまで国会で議論があったことも含めまして、関心のあることについて伺っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まずは、麻生大臣の今の我が国の財政に関する御認識を伺いたいと思っております。

 麻生大臣は、消費税引き上げ八%時の会見で、財政健全化の道筋を示す、そして財政の信認を得る、そして無駄な歳出を行ったり予算措置の優先順位を誤ったりしないよう緊張感を持って予算編成に取り組んでいるということを述べられております。

 しかし、実際に行われていることは、厳しい財政状況と言いつつも、平成二十六年度予算は過去最大の総額九十五兆八千八百二十三億円、これだけの大きい予算が戦後三番目の速さで成立したということ。また、実際、安倍政権になってから、今もるるお話のありましたとおり、補正予算あるいは公共事業の未執行、基金、ファンド、こういったものが増大しているわけでございまして、本当に緊張感を持って取り組んでいるのかということについては疑問を持っているところであります。

 最近、安倍総理も麻生大臣も、またその他の閣僚も、国会の答弁でも記者会見の場でも好んで使っている言葉として、PDCAサイクルを回していきますということもおっしゃられております。麻生大臣も委員会の答弁でおっしゃられておりますが、このPDCAサイクルを回すというのは、麻生大臣はどういう意味で使われているのかということもお伺いしたいと思います。

 整理して伺いますと、まず一問目は、今の財政の御認識を改めて伺いたいということと、麻生大臣が使っておられるPDCAサイクルを回していくというのはどういう意味なのか、改めて伺いたいと思います。

麻生国務大臣 まず、日本の財政ですけれども、これは何といっても、一般債務というか、一般の政府債務の対GDP比が二二七%、これが一番、日本の財政というものの厳しい状況を示しております。フランスで一一三%、イタリアで一四五%ですから、そういった意味では、日本のGDP比の二倍というものは、これは極めて厳しい財政状況にあると言わざるを得ないと思っております。

 私どもとしては、この財政というものを考えますときに、これがほかのイタリアとかフランスとかと大きく違うのは、イタリアとフランスは外債でやっていますけれども、日本の場合は日本円でやっておりますので、そこのところは全く違うところだとは思いますけれども、いずれにいたしましても、こういうような状況をこのまま続けていくということは、これは日本の国債また国家というものに対する信用がなくなりますので、金利が上がるとか、国債が売れなくなってさらにまた金利が上がるとかいうことになってまいりますので、そういったことを十分に考えておかねばならぬ状況にある。

 したがって、私どもとしては、消費税というものはきちんとして、日本という国は、財政再建、財政をきちんとするという意欲なり気持ちが政府としてあるんだということを世界にきっちり発信しておく必要があろうと存じます。

 その意味で、昨年の二月でしたか、私どもは、おたくら、おたくらというのはアメリカとかイギリスとか、フランスもできませんでしたので、イタリアなんか全然できませんでしたけれども、うちはちゃんと与野党突っ込みで税金を上げるということをやってのけているのであって、おたくらよりうちの方がはるかに民主主義の成熟度合いが違う、だから、そのことで文句を言われる覚えなどないと。以来、言われたことは一回もありませんけれども、きちんとそういった対応は、我々はやる気があるということを言っているおかげで、金利もそこそこおさまっておるというような状況になっていると思っております。

 ただし、私ども、そのとき、去年のG20、IMF等々、四、五回のそういった国際会議で、経済成長と財政再建は日本では両立させるということを言って、私どもは、四月、九月、十月とずっとその話をさせていただいて、十月の総会においては、日本とほぼ同じ、財政再建と経済成長は両立させるという方向でG20の、蔵相・中央銀行総裁会議の結論になっておりますので、ことしもこの四月に行きましたけれども、ほぼ昨年と同じ方向で事が進んでおると存じます。

 したがって、日本としては、経済成長ということを考えますと、きちんとしたデフレ不況というものの脱却からまずはスタートしなきゃなりませんので、ほかの国はインフレ、日本だけがデフレですから、デフレ不況をやった経験というのは世界じゅうに日本しかありませんから、そういった意味では、我々がその先鞭をつけることになるんですが、私どもとしては、それをきっちりやってみせるという意味においては、この方法ですというのが、ことしなり昨年なりの予算編成を組ませていただいた最大の背景であります。

青柳委員 済みません、PDCAサイクルという言葉については。

麻生国務大臣 いわゆるプラン・ドゥー・チェック・アンド・アクションでしたかね、PDCAは。その中で、どのような成果を上げたか、評価サイクルというのは、これは物すごく大事なんだと思っているんです。

 たしか、商売をしておられたんでしたよね、あなたは。したがって、決算というのは、会社では予算より決算ですよ。ところが、この永田町というところに来ると途端に予算になって、決算はどこかに忘れられるということになる。不思議に思いませんでしたか。僕は、当選したときに、何て不思議なところだろうと思って、非常に不思議に思っていましたよ。民主党なんか、三年間、決算をやらなかったんですからね、あのときは。だから、私はちょっと信じられぬと思って見ていましたけれども。事実だったでしょう、三年やらなかっただろう。

 だから、そういった意味では、私どもとしては、どうしてもこれはおかしいと思っておりました。もう全部これはやらないかぬということで、今回も、三年分、しゃにむにということで、お願いをいろいろさせていただいております。

 いずれにしても、予算の使途とか資金の流れをチェックするという意味で行政事業というものをレビューさせてくださいということで、私ども、秋の、少なくとももう一回、民主党の使う単語と違って、レビューというフランス語でちょっと品よく御説明してやりますけれども、やっていることは同じですよ。もう一回、おかしいじゃないかということでレビューするわけですから。

 そういったものをきちんとやって予算の執行調査というのをやらないと、これはおかしな話になりかねぬのであって、先ほどのお医者の方が言っておられましたけれども、あれは何も医者に限った話じゃないのであって、科学技術なんかでもどこでも幾らでもあの種の話は聞かれますので、私どもとしては、きちんとここのところはやっていかねばならぬところだと思っております。

青柳委員 大変すばらしい御答弁だったと思います。ということは、決算委員会、時間のある限り開催するということを今述べられたんだと思いますし、行政事業レビューを重視しているということだと思うんです。

 そして、ちょっと戻りますが、一つ目の回答については、消費税の部分については我々の党の見解とは違いますが、成長と財政再建をやっていく、デフレ脱却を行うということ、そして厳しい財政状況だという認識については全く同じ考えであります。

 であればこそ、お伺いしますが、安倍政権誕生後の補正予算の組み方であるとか、今、麻生大臣が答弁された行政事業レビューで仕分けされた事業がまさに復活している、名前を変えてほとんど同じ事業が復活しているというのが散見されているわけであります。例えば、防災・安全交付金、社会資本整備総合交付金、農地中間管理機構による集約化、事業仕分けで廃止されたものとしては、ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金、東南アジア青年の船など、補正予算で平気で復活しているというか、再支出がされているわけであります。

 さらに、二〇〇八年のリーマン・ショック以降の景気対策として、これは麻生大臣が総理大臣時代に好んで量産した基金ですとか、これも、会計検査院から効果や期限が終わったということで指摘されているにもかかわらず、まだいっぱい残っているわけであります。あるいは、これも麻生総理大臣時代から始まった、後ほど詳しく伺いますが、経済危機対応の予備費という、経済対策を最初から予備費として積んでおくやり方。さらに、これは安倍内閣になって量産されている官民ファンド。

 こうしたものは、まさに麻生総理大臣の知恵といえば知恵なのかもしれませんが、今の麻生大臣の答弁からすると、その答弁とは違ったことが実際には行われているんじゃないか、予算の切り込み不足、規律の緩みというのがあるんじゃないかというのは、我々、多くの同僚議員も指摘しているところであります。

 そこで、具体的に、今申し上げた中で、経済危機対応・地域活性化予備費の活用について伺っていきたいと思います。

 今申し上げましたとおり、この経済危機対応・地域活性化予算を予備費として予算計上する、こういうやり方について伺いたいと思いますが、この経済危機対応というのを予備費で積むやり方というのは麻生総理時代の平成二十一年から始まって、二十一年は一兆円の予算、二十二年も一兆円、二十三年度は八千百億円、二十四年度で九千百億円と続いてきております。二十五年度はなくなったということであります。

 リーマン・ショックや東日本大震災という不測の事態が起こったということに対応するというのは当然必要なんですが、こういうやり方、予算を組んで、補正も組めるのにもかかわらず、予備費で最初からこれだけの大きい額を積んでおくというやり方、あり方について、現在でも適当だと思われているかどうか、現在の御認識を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 まず、よく御存じの上で聞いておられるんだと思いますが、二十二年度、二十三年度、二十四年度、これは御存じのように民主党政権で、私に聞いていただいても、野田さんに聞いてもらうのが一番正しいので、私に聞かれてもちょっとあれなので。

 最初の、まず二十一年のところだけ。

 まず、予備費ですけれども、これは、御存じのように、憲法八十七条第一項において「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。」とされておりますので、こういった意味で、予備費を計上することは、まず法律上は問題ないということだけははっきりしておかないと、いかにも、おまえ法律違反をやっているんじゃないかというような言い方をされると、少々ひっかかりますので。

 過去に設定をされました緊急のいわゆる経済対応予備費につきましては、これは予備費の金額が大きいといった面も確かにあるんですが、あのときのリーマン・ショックというのが一番大きかったと私どもは思っております。あれをやらせていただきましたおかげで、少なくとも、私どもとしては、日本の中で、ほかの国に比べて銀行がばたばた倒れることもありませんでしたし、いろいろな意味でそれなりの効果があったんだと思っております。

 いずれにいたしましても、一定の範囲に使途を限定して、そして国会の議決を経て計上するということにさせていただいておりますので、その使用に当たりましては、後には国会の承諾も得るということになっております。

 いずれにいたしましても、今の状況では、今の状況というのは、今年度で言わせていただければ、この経済予備費というものに関しましては、少なくとも、今、補正予算も組ませていただきましたし、また、通常予算の前倒し等々もやらせていただけますので、私どもとしては、消費税を上げた後とはいえ、こういったものを緊急に要する必要はないであろうという予算を組んでいると思っておりますので、今年度は経済予備費というのは計上していないというのが背景です。

青柳委員 ありがとうございます。

 今の答弁を聞いていますと、きょう採決があるのかもしれませんが、二十三年、二十四年の経済の予備費は承認しないという答弁に聞こえましたが、そういう御認識でしょうか。

麻生国務大臣 この予備費というのは、私どもが国会承認を求めておる立場でありますので、私どもとしては、本日というか本委員会というかに承認をしていただきたいと思っております。

青柳委員 この予備費について、特に問題があるというふうに指摘したいのは、平成二十四年度の経済危機対応予備費についてであります。これは民主党政権時代のことでありますし、今ちょうど席にいらっしゃいませんが、本委員会の委員でもあります野田元総理時代にやられたことでありますが、これは指摘しておかなければならないと思います。

 平成二十四年の十一月十六日に、当時の総理大臣の指示に基づいて八千八百億円の予算措置を実行している。この平成二十四年十一月十六日、これは、特に我々新人議員は忘れもしない日でありますが、衆議院が解散された日です。衆議院を解散したまさにその日に、総理の指示で八千八百億円を使うんです。こういうやり方なんですね。

 しかも、何に使ったかといえば、特に新しいもの、特に緊急性のあるものではなくて、グリーン、ライフ、農林漁業、中小企業対策、雇用対策などに使われている、八千八百億円使われているわけです。

 こういうやり方は、経済対策というより選挙対策費じゃないかと言ってもいいんじゃないかと思います。最近、八億円の熊手の話もありましたが、この八千八百億円だと千百本も八億円の熊手が買える、こういう選挙対策費になっているんじゃないかと思います。

 ただ、これは、当時の野田総理が悪いということではなくて、こういうことができてしまう制度、システムに問題があるということだと思いますし、これを発明した麻生財務大臣にも責任の一端があるのではないかと思いますが、こうした使い方、この八千八百億円について、改めて大臣の御見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘の予備費の使用は、今おっしゃいましたように、間違いなく民主党政権の判断だったんだと思いますが、当時におけるお気持ちの中に、それは選挙とかいろいろなものが間近に迫っていたことは確かでしょうけれども、やはり、いろいろその前の一年間ぐらいの答弁を伺っていても、デフレからというか、正確には資産デフレ不況からの早期脱却というものに非常に強い御関心がおありでしたし、経済活性化を通じて日本の経済の再生を図るべきなんだということもよく言っておられましたので、やはり、最後の最後にこれだけはというお気持ちもおありになったんだろう、そういった意味で、喫緊の課題というものを切れ目なくきっちりやらねばならぬのが総理大臣として最後の務めだろうというように思われたんだろうと、私どもは極めて好意的に解釈をしておるんですけれども。

 いずれにいたしましても、その時々の情勢というのは、経済ばかりは、これは、先生、生き物みたいなものでして、とにかく、ぱたっとよくなってみたり、急に世の中が変わったり、外で何か紛争が起きたり、いろいろな意味で、私どもとしては、常にきちんと考えておかねばならぬというのを超えたところから話が来たりするというのはよくある話なんです。

 少なくとも、日本よりはるかに財政指数がよかったアイスランド、アイルランドなんていうところは、対GDP比二〇%を切っていたと思いますけれども、それらのところが、リーマン・ショックが終わってみれば、銀行がたしか六つあったと思いますけれども、六つとも全部倒産、国家としては財政破綻しております。日本は全然逆の状態であったにもかかわらず、こちらはそんなことはなかった。

 何が起きるかわからぬところなんだ、私どもはそう思っておりますので、こういったものをきちんとできるような準備だけは、用意だけはシステムとして持っておかないと、いざというときに緊急に対応できないという点はあろうと存じます。

青柳委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間の関係で最後になりますが、一点、質問させていただきたいと思います。法人税の実効税率引き下げについて最後に伺っておきたいと思います。

 麻生大臣は、法人税実効税率引き下げについては、みずからを慎重派とおっしゃられておりますが、この法人税減税は最大の景気対策であり、最大の成長戦略であるということは、今、経済界あるいは学者の間でも多く聞かれておりますし、企業が政府に求める対策の多くは法人税減税。安倍総理も、世界で一番ビジネスがしやすい環境をつくる、国際会議でも法人税改革について言及しており、国際公約にもなっています。

 この法人税減税について、私は、二月十八日の予算委員会で同じように麻生大臣に質問させていただきました。その答弁では、繰越控除制度について、法人税減税の財源確保に向けて制度の縮小を検討するという考えをその二月十八日の委員会で初めて披瀝されたわけでございます。

 その後、政府税調に法人税のディスカッショングループを設置され、今具体的な検討を開始しているというふうに伺っておりますが、今の大臣のお考えとして、この法人税減税と課税ベースの見直しについて、今もそういうお考えで進められているのかについて最後にお伺いして、終わりたいと思います。

麻生国務大臣 法人の実効税率というものを引き下げるという御意見というのは、いろいろ多方面からというより、主に経済界から来ているのは事実です。

 しかし、日本で法人税を納めておられる企業は全企業の三割しかないわけですから、残りの七割は法人税を全く払っておられない、しかも、繰越欠損という制度を民主党のときに九年まで延ばしておられますものですから、あのトヨタでも去年まで払っていないとか、それは、いろいろ私どもから見て、九年ってちょっとという感じが率直な実感です。

 いずれにいたしましても、こういったような状況になってきておりますので、法人実効税率の引き下げというのは世界的には切り下げ競争みたいになってきているところがあるので、他の国の財務大臣が、そんなもの、繰り下げて競争をやっているなら、そっちの国はもつかという話は、私どもは、率直なところ、財務大臣同士ではそういう話はよくするんですけれども、これは、どこか一つだけ安いとそこに行くということになりますので、ケイマン諸島やら何やらにいきなりというのは極端な例ですけれども、そういったことを考えて、きちんとやるべきではないかというのが一点。

 もう一点は、今申し上げたように、仮に引き下げるということになったときには、これは一番最初の財政再建の御質問に関係するんですけれども、それの再建する分の原資を減らすことになりますので、その分だけ他の税目で課税をふやす、例えば繰り越しが一つの例ですけれども、課税ベースの対象をふやすということを考えておかないと整合性がないであろうと思っておりますので、きちんとそういったところの話を、目下、私一人というわけじゃないので、きちんとした形で、税制調査会等々でいろいろ検討させていただいておるというのが現状でございます。

青柳委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

松浪委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 きょうは、決算行政監視委員会に所属をさせていただいて初めての質問となります。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 そして、きょうは、平成二十四年度の経済危機対応・地域活性化予備費を中心に、政府の緊急経済対策についてお伺いをしたいと思います。

 質問に入る前に、一年前を振り返ってみたいと思います。

 昨年の一月十一日には、総事業費二十兆円の、日本経済再生に向けた緊急経済対策が閣議決定をされております。そして、それを受けて、大型の二十四年度の補正予算が組まれ、そして二十五年度の本予算とあわせて十五カ月予算を編成されて、切れ目のない経済対策をということでアベノミクスがスタートしたということでございます。

 ちょうどそのころ、私は予算委員会に所属をいたしておりまして、質疑をさせていただきましたけれども、確かに、あのころの安倍政権の経済対策に対する期待値というものは大きくはね上がっていたということを記憶いたしております。その中で、安倍総理とはウナギのかば焼きの話をしまして、かば焼きを焼くおいしそうなにおいが全国民に今行き渡っていく、でも、本当にかば焼きが食えるのかどうか、いつごろになるのか、そういうお話をさせていただきました。

 この一年間を振り返りますと、確かに一部には、輸出関連企業、あるいは株高によって、かば焼きをたらふく食べた方もいらっしゃれば、いや、まだ食べていないよと、国民の中では不満を述べられる勤労者、生活者がおります。そういう面では、まだまだ行き渡っていない状況だ、経済が隅々まで行き渡っていない状況だと思います。

 そういう中で、当時は諸外国からも期待を持って見られておりましたけれども、ここに来て、諸外国、内外を問わずですけれども、日本の経済そして経済成長に行き先の懸念を表明する意見が相次いでおりますし、日銀も、経済成長の下方修正を余儀なくされるという状況になっているとも聞いております。

 この一年間を振り返りまして、麻生大臣、進捗状況、そして現状をどのように分析されておられるか、まずお伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 これは村上先生、去年というお話でしたけれども、一月に再スタートをさせていただいておりますけれども、あれから約十五カ月ぐらいたっておることになるんですが、少なくとも五四半期、GDPは連続でプラスということになっております。GDPが連続でプラス、それから有効求人倍率というものも、一番ひどいときは〇・四幾つまで下がったと思いますけれども、それが今、一・六ぐらいとか三ぐらいとか上がってきておりますし、いろいろな形で今回の、きのうも連合の会長やら何やらと一緒でしたけれども、給料は間違いなく、連合傘下に限らず中小企業の方でも、給料の数字は昨年までとは全く違った状況になってきたという話が出てきたりしております。

 私どもとしては、間違いなく、数値を見ればはっきりした答えが出ているとは思っておりますけれども、これは、地域差があったり世代間があってみたり、いろいろなものによって違いがありますので、全国津々浦々という言葉がよく使われますけれども、確実に全世帯、一億二千七百万全員というような状況になっているわけではないとは思いますけれども、少なくとも一年前に比べて状況は大きく改善しつつある、そのように考えております。

村上(史)委員 これも毎度毎度繰り返されるんですけれども、確かに、いい指標というものは出ていることは承知をいたしております。ただ、いわゆる生活の実感からいえば、まだまだだというのが国民の偽らざる気持ちだということも頭の中に入れておかなければならないと思います。

 現実に、株価が上がった上がったといいながらも、昨年の十二月に一万六千円台で最高値を記録しましたけれども、昨日は少し上がりましたけれども、結局、昨年の今ごろとほとんど株価も同水準の状態にありますし、いわゆる金融の異次元の緩和によって円安誘導をして、そして、その円安によって日本の経済を底上げしていくんだ、輸出を伸ばしていくんだといいながらも、その輸出は伸びていないという実態もあるわけでございます。

 そういうことも、マイナスの要因も含めながら、最近では、IMFを中心に成長率の下方修正という声も出てきているということは、謙虚に受けとめるべきだと思います。

 そういう中で、四月から消費税が上がりました。当初より我々は、消費税を今上げるときではないということは繰り返し申し上げております。

 いわゆる反動減の問題、もちろん政府におかれましても、経済の腰折れを防ぐために補正予算また本予算を含めての対応をお聞きはいたしてはおります。現実に、自動車販売が、消費税後、昨年比マイナス二〇%、年率で予想しても恐らくプラスにはならないだろうという予測がきょうのニュースでも流れておりました。OECDでの予測値でも、消費税によるマイナス要素、そして経済対策のプラス要素、それを両方比較しても結局マイナスの方が強いのではないかということで、四―六期をマイナス二・九の成長率を予測している、こういう状況でございます。

 やはり、景気を回復、国民生活を守るという意味で、腰折れ対策は大変重要だと思いますけれども、そういう今の経済環境を踏まえて、政府はどのように今考えておられるか、お尋ねします。

麻生国務大臣 OECDのグリア、グリアというのは、済みません、OECDの委員長ですけれども、OECDにおけますGDPの成長率の予測というのが出されております。あれは、補正予算を組みました、我々、五・五兆円というものを組ませていただいておりますけれども、これをどの程度の規模で、どの程度の期間にわたって加味したのかというのは、聞いてみたんですけれども、全くこれは加味しておりませんので、明らかではありません。

 これに基づいて、今の対策で十分なのかどうかという議論は、ちょっとこの点に関しては、向こうが入れていないというのがはっきりしておりますので、入れているかどうかよくわからないみたいな話をしておりましたので、そういった意味では、私どもとしては、ちょっとその点に関しては、今の段階でそれに対してコメントは差し控えさせていただきます。

 それから、五・五兆円の補正予算プラス一兆円の投資減税というのをやらせていただいておりますので、これは、企業が設備投資を国内でしてもらえれば一括償却、即時償却ができるとか、いろいろ、これをしてもらえさえすればこういった償却をしますとか、いろいろなことを認めております分がありますので、こういったものをやる。

 それから、二十五年度の補正予算の前倒しの実行ということで、四月までに四割とか、六月までに七割とか、また本予算につきましても、六月までに四割、九月までには九割とか、いろいろなことをずっと言っておりますので、そういったようなものが、いわゆるGDPでいくと、四月―六月で下がるのが一・八兆円ぐらい、民間の機関は約四十社の加重平均でマイナス一・五兆円という話が出ておりました。それが今、自動車は確かにそういうことはありますけれども、例えば大きな買い物でいう住宅等々はそれほど、予想よりは落ちが少なかったと存じます。

 いろいろな面で、私どもとしては、どれくらいのものかというのは、今の段階では、四月はまだ二週間しかたっておりませんので、まだ何とも、今この段階で安易なお答えを申し上げるのは無責任なことになると存じますが、総じて、私どもが最初もっとどんと落ちることを覚悟して組んでおったほど、今の段階としては、それほど、住宅等々、その他の消費財、また町の飲食店等々のあれを見ますと、そういった反応は思っていたよりは少なかったかなというふうに思っているんです。少々期待値もありますので、少しは入っているかもしれませんけれども。

村上(史)委員 もちろん、まだ一カ月も経過をいたしておりませんので、その分析をして、即断をしてどうだこうだということは今の時点ではもちろん大臣もおっしゃれないと思いますけれども、しかし、基本的には、四―六期は反動減があるだろう、これはもう一致した見方だと思います。その割合がどうかというのは、今後、推移を見なければなりませんけれども。

 ただ、政府は、七月―九月期には回復をして、そして、ことしの秋のいわゆる一〇%の消費税再増税の決定をするかどうか、その指標は、その七月―九月期の動向を踏まえ、各種指標を総合的に勘案して決定するというふうには聞いてはおります。ただ、まだ今の時点でどうこう見通しは聞きませんけれども、なかなか経済成長が、あるいは国民生活の実態がよくなっていくかという保証もない状況でございます。

 そこでお聞きしたいのですけれども、この一〇%再増税をする場合、最も重視すべき指標は何なのか、大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 今言われましたように、四―六、七―九、十―十二ということで四半期ごとに分かれていくわけですけれども、七―九のものがというのがよく出る最大の理由は、予算編成をする、これは技術的な話ではあろうかと存じますが、来年の十月から一〇%ということが法律で決められております。したがいまして、それをする場合には、予算を編成するときになりますと、一〇%になるという前提で下期の予算を組むのか、上がらないという前提で予算を組むのかでは全く意味が違いますので、そういたしますと、私どもとしては、予算の技術上、ことしの十二月には予算を決めねばなりませんので、そういった意味でまいりますと、数字はことしじゅうで判断をするということになろうと存じます。

 そうすると、これまた第十八条三項とよく言われる例のあのルールによって、経済指標というものがいろいろ言われますけれども、その経済指標の内容が、何で決めるかというところが一番御質問のところのポイントなんだと思いますが、GDPもありましょうし、有効求人倍率もありましょうし、これは先生、もう全て経済指標というのを考えませんと、何となく、役人がつくった資料だけ見て今景気がええやないかというような話とは少し、景気というのは気分の問題もかなりございますので、そういったものも十分に加味して考えて決断をおろすのが、この十二月までには、やるにしてもやらないにしても、きちんとそこの判断をせなきゃいかぬということになっておりますけれども、背景は、その十八条の三項というものの内容が全てだと存じます。

村上(史)委員 わかったようなわからぬような話ですけれども、これだという決め手はもちろんないと思います。

 ただ、やはり私どもから見れば、国民生活の実態がどうなのかどうか。確かに、数値はよくても、引き合いに出して恐縮でございますけれども、小泉内閣のとき、数値は全てよかったわけです。ところが、デフレでもあり、そして国民の賃金は上がっていなかった、厳しい状況だったということは言える。いわゆる数値と生活実態の乖離が大きくて国民生活が大変だったということもございましたので、数値がよければ全てよしというわけではないということを指摘させていただきたいと思います。

 消費税の関連は以上でございますが、実は私、内閣委員会にも所属をしておりまして、甘利大臣に、六月に出されると言われている成長戦略のことで何度かやりとりをいたしました。きょうは甘利大臣はアメリカに行っておられますので、やりとりはできませんけれども、少なくとも、今後の経済を支えていく、日本の景気を回復させていくためには、第三の矢の成長戦略、それが実のある規制改革、構造改革を含めて、きっちりとした内外での評価をいただくようなものにならなければならないとは思っております。

 しかし、現実には、六月に成長戦略を立てたとしてもタイムラグがあるということも御指摘をされておられました。その間、いかに日本の経済を支えるかということになると、やはり第一の矢、第二の矢、これの運用、運営といいますか、対応が重要になってくると思います。

 ただ、財政出動も、また、それによって裏づけられている公共事業投資も、その効果は限定的ではないか、いずれ息切れするのではないかという懸念がありますけれども、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘がありましたように、第三の矢、それに先立ちます第一の矢がいわゆる日銀の金融の緩和、そして第二が財務省等々による財政の出動というか、機動的運用ということになって、その二つを主にして、約一年間、ここまで来られたんだと思っております。

 第三の矢は、景気の一番の基本は民間によります経済成長ということなんですが、こればかりは、政府やら役人やら政治家が笛や太鼓をたたいても、民間が踊らなければ全然効果がないということになります。

 そういった意味では、今後、財政で、今金融が緩んでおりまして、確かにマネタリーベースがどんとふえてきておりますけれども、マネタリーファイナンスの方は、竹中平蔵先生のころに比べればいいですよ、あれも三十兆ぐらいやっていますけれども、ほとんど伸びなかったんだから。あれに比べれば間違いなく、市中金融によって貸し出しはふえてきておりますから。

 ただ、もう少しふえていくという形にいかないと、経済が成長しているかといえば、設備投資減税をやってみたり、一括償却を認めたり、いろいろな形でやっておりますのは財政でやっているのであって、これは第三の矢じゃなくて第二の矢の部分なんだ、私どもはそう思っております。

 したがって、第三の矢で規制の緩和とか、そういったようなものが、海外から見ていると、最も日本の経済構造が改革したなと思わせるのはそれだと思っておりますので、私どもとしては、この第三の矢を、六月末ぐらいにでき上がってくる予定と伺っておりますけれども、そういったものがきちんとでき上がりますまでの間、これはかなりの部分、財政でやっていかなきゃいかぬ部分もあろうと思います。

 おかげさまで今のところはそこそこ、ここまで来ておりますので、政府としては、姿勢はこういう姿勢なんだということがはっきり、民間、いわゆる設備投資をする側、物を消費する側の方々に、政府としての姿勢がきっちり伝わり続けていくということが肝心なことだろうかと思っております。

村上(史)委員 確かに、民間の活力を取り戻すために金融政策というものも大事です、財政出動ももちろん重要ではありますけれども。

 ただ、異次元の金融の緩和をしておりましたけれども、市中に流れるお金というのは思ったほどなくて、いわゆる日銀の当座預金、これは倍以上たまっております、膨れ上がっております。結局、お金が回っていないのではないかという懸念もあります。それは、いわゆる貸出先がないということにもつながっていく。

 そういう面では、民間の需要の喚起のための成長戦略というものがいかに重要かということは、IMFでも指摘をしている。これからは、やはり民需を中心とした経済、景気対策を打つべきではないか、今まで以上にやるべきではないかということをお尋ねして、一言お答えいただけませんでしょうか。

麻生国務大臣 そのとおりだと存じます。

村上(史)委員 ありがとうございました。

松浪委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、水俣病関連でお聞きをしたいというふうに思います。

 まず、水俣病特措法に基づく被害者救済の補助経費として、二〇一一年度は予備費から九十二・五億円、これは当初予算の五・四倍です。それから、二〇一二年度は百四十・七億円、当初予算の四・五倍、これが予備費から執行されております。

 なぜ当初予算ではなく、予備費で執行せざるを得なかったのか。先ほど、今は席を外されておりますが、麻生大臣の方から、憲法八十七条を引いて、予備費というのは予見しがたい予算の不足ということがその理由なんだというふうに言われておりますが、なぜ予備費で執行せざるを得なかったのかについて尋ねます。

 それから、現時点で特措法に基づく救済費用の補助として国から支出した総額をお示しください。

塚原政府参考人 お答えします。

 水俣病特措法に基づく救済措置の実施に当たりましては、原因企業が被害者に一時金を滞りなく支給することができるよう、国費で補助金を支出しております。

 一時金の支給を開始いたしました平成二十二年度に四百億円、これは一時金にいたしますと二万人分に相当いたしますが、四百億円の予算を措置しておりまして、二十三年度以降に、申請者数の伸びに合わせまして、不足が生じることのないよう、各年度の当初予算及び予備費によって必要かつ適切な措置を講じてきているものと考えております。

 なお、早期にあたう限りの救済を果たす見地から、制度の周知広報の徹底を図った結果といたしまして、申請者が当初の見込みよりも多くなったという経過でございます。

 一時金の支給に関する国費補助金の累積額でございますが、七百八億円となっております。

吉川(元)委員 続きまして、水俣病の現状に対する認識について、石原環境大臣にお聞きをいたします。

 昨年十月九日、水俣条約採択のための外交会議の場で、安倍総理がビデオメッセージを送りました。その中で、水銀による被害とその克服を経た我々だからこそ、水銀をなくすために先頭に立つ責任があるというような発言が行われました。水俣病被害を克服した、すなわち、水俣病は終息したかのような発言に対しては、患者や被害者の方々が大変激怒されたということも聞いております。

 先日も、水俣病第二世代の方々の訴訟の地裁判決がありました。特措法で救済が認められなかった方々による大規模な訴訟も起きております。

 水俣病は終わっていないばかりか、解決からほど遠い状態にある。何よりも、今なお被害に苦しんでいる方々が大勢いらっしゃる中で、このようなメッセージがなぜ発せられたのか、真意が全くわかりません。

 石原大臣もこの会議には出られていらっしゃったということですけれども、総理と同じような認識をお持ちなのか、お答えください。

石原国務大臣 私といたしましては、現地を何度か訪ねさせていただき、また、親子二代でこのような職責を全うさせていただいている中で、委員の御指摘のとおり、この問題は過去の問題とは思っておりません。現に多くの方々が苦しんでいられるということは事実でございますし、私の役所としての仕事というものは、こういう方々が安心して暮らせる社会を実現していく、そのことに尽きるのではないかと思っております。

 なお、総理の御発言に言及がございました。総理御自身も、水俣病の発生後に我が国が水銀リスクを大きく減らしてきた、水俣の人々がみずから環境先進地域を目指し、努力してきたことを踏まえてこの表現を使った、そういうふうに予算委員会等々で述べられていたと思います。

吉川(元)委員 関連してお聞きをしますが、報道によりますと、チッソの事業清算に向けて、子会社の売却を容易にする法案、これは議員立法ということですので、政府ということではありませんが、そういうようなものが準備をされているというふうにも聞いております。

 先ほども述べましたけれども、水俣病というのはまだ全容が明らかになっておりませんし、補償問題も解決したとはとても言いがたい状況です。そんなときに、原因企業のチッソの清算、これはちょっとあり得ないというふうに考えます。

 特措法によれば、子会社株の売却ということについては、救済の終了と市況の好転、そうしたものが条件として付されており、また、環境大臣の承認が必要だというふうにもなっております。

 大臣に伺いますが、今現在、株式売却を行える環境にあるというふうにお考えでしょうか。お答えください。

石原国務大臣 吉川委員は、ただいま、特措法の十三条についてお話をされたわけでございますが、今の状態がどうかということでありますけれども、私は、株式譲渡できるような環境にはないのではないか、こんなふうに認識しております。

吉川(元)委員 私も全く同じ認識であります。

 これまで環境省というのは、水俣病の認定に際し、手足の感覚障害に加え、複数の症状がなければ患者認定をしないという、一九七七年の認定基準、五十二年判断条件というふうに言われるそうですけれども、それに固執をし、多くの被害者を切り捨ててまいりました。

 これに対して、昨年四月、最高裁判決は、手足の感覚障害だけでも水俣病と認められないとする科学的根拠はないとして、患者認定に新たな道を開きました。これを受けて、三月七日、認定審査基準の新たな運用指針が発出をされましたが、その内容を見ますと、大変驚かされる内容でありました。

 時間がありませんので、かいつまんで言いますけれども、感覚障害だけでも患者認定を可能とする一方、問題なのは、その際に、感覚障害と有機水銀摂取の因果関係の立証というものを被害者側に求めている点です。

 因果関係を立証しなければならないのは、これまで不知火海岸沿岸の一斉健康調査などを取り組まず、水俣病の全容解明に後ろ向きだった国や県、そして加害企業のチッソのはずです。

 これでは、昨年の最高裁判決を利用して、認定基準を逆に厳しくしているとしか思えませんが、この新指針によって患者認定の幅というものは広がるというふうにお考えでしょうか。

北川副大臣 ただいま委員御指摘の、この三月七日付で発出をいたしました水俣病認定審査の新たな運用指針についてでありますが、今、昨年の四月の水俣病の認定についての最高裁判決のお話もありました。

 この判決は、「患者の原因物質に対するばく露歴や生活歴及び種々の疫学的な知見や調査の結果等の十分な考慮をした上で総合的に行われる必要がある」、こう判示をされたものでありまして、総合的な検討を行うことの重要性が改めて指摘をされたものと我々は理解をし、この総合的検討について、現行の認定基準である昭和五十二年に示された判断条件、これにおきまして、水俣病であることを判断するに当たっては総合的に検討する必要がある、こういうことも指摘をされており、総合的検討が含まれているわけであります。

 ただし、昭和五十二年判断条件には、水俣病であることを判断するに当たっては総合的に検討する必要がある、こう書かれており、暴露歴や症状といった、総合的検討を行うための項目が簡潔に示されるにとどまっているところでもあります。

 このため、環境省におきましても、これまでの認定審査の蓄積等を踏まえ、認定基準における総合的検討のあり方を具体化する作業を行い、その結論を三月七日付で環境保健部長名で、関係の県また市に通知をしたものであります。

 今後、本通知に基づいて、国と県とで協力して丁寧に認定審査を行っていき、その結果として認定申請に対する処分がどのようなものになるか、予断を持っていないわけでありますので、御理解をいただきたいと存じます。

吉川(元)委員 最高裁の判決というのは何を判示したかというと、五十二年判断条件ではだめなんだ、それだけでは救えないんだということを判示したというふうに私自身は認識します。これは、普通の人が判決文を読めば、そういうふうに認識をするわけです。

 それに関連して一点お聞きいたしますけれども、この通知でありますけれども、一番最後に留意事項というものがございます。そこにはどういうふうに書いてあるかというと、過去に行った処分、つまり五十二年判断条件に基づいて認定をされなかった案件というものについて、過去に行った処分について再度審査をする必要はないというような留意事項がついております。

 これは明らかに、最高裁が判断をしたことと真っ向から対立をする。逆に言えば、最高裁では、五十二年判断条件によって認定されなかった方が、実はこれは水俣病なんだということが最高裁によって判示されたわけです。ところが、過去に行った処分については再度審査する必要はない、こういうことを書いている。

 なぜ入り口から排除する必要があるのか、この点についてお答えください。

塚原政府参考人 お答えします。

 昨年四月の最高裁の判決に判示されている中に、昭和五十二年の今御指摘ありました判断条件についての判示がございますが、その判示の中身は、決して五十二年の判断条件について否定するような内容ではございませんで、ただいま副大臣の方からも御答弁申し上げましたように、症状の組み合わせによらない場合にあっても、種々の状況を総合的に勘案して個別に丁寧に審査をすべきであるという御指摘をいただいたということでございますので、それを踏まえまして、今回、通知を出させていただいたということでございます。

吉川(元)委員 五十二年判断条件で認定されなかった方が認定をされたわけですよ、最高裁によって。ということは、五十二年判断条件というのはだめなんだというふうに普通は受け取るべきだろうというふうに思います。

 もう一点、それに関連してお聞きしますが、新指針では、申請者である方に対して、水銀に暴露した時期の食生活、例えば摂取した魚介類の種類や量、また、その入手方法を明らかにすることを求めております。さらには、汚染当時の頭髪、血液、尿、あと臍帯、へその緒ですけれども、などにより有機水銀濃度が認定できる場合は、その値を明らかにしろというふうに通知されております。

 水俣病の公式確認から約六十年過ぎております。因果関係を立証するための客観的な資料、六十年前の資料をそろえるなんてことはできるわけがない。大臣はまだ六十が来られていないと思いますけれども、六十年近く前の領収書を持ってこいと言われて、果たして出せるんですか。

 なぜこういう高いハードルを設けるのか、お答えください。

塚原政府参考人 お答えします。

 公健法の法律に基づきまして行政が認定の判断をする以上、公正さを確保するためには、できる限り客観的資料による裏づけを求めることが必要であると考えておりまして、この点につきましては御理解をいただきたいというように考えております。

 ただ、一方、被害発生から、御指摘のように、長期間が経過していることは理解しており、硬直的に過ぎる運用にならないよう努力してまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 六十年。例えば十年前の領収書だって、持っている方は恐らくなかなかいないと思います。そういう点もしっかり踏まえた上で、しっかりと全ての被害者の方を救済していく、そして認定をしていく、そういう基本的な姿勢でもって臨んでいただかなければならないというふうに思います。

 それとあわせて、今回のこの通知の中で、一点あります。申請者の暴露時期と発症時期の関係についてということです。

 この中で言いますと、相も変わらず、一年を過ぎればもう水俣病ではないんだというようなことが、時間がないので読み上げませんが、書かれております。

 しかし、これは、関西訴訟の最高裁判決で、除斥期間ということを使いながらではありますけれども、四年間は見なきゃいけないんだというふうに最高裁で判決されているわけです。また、これは地裁判決ですから、まだ確定したということでありませんけれども、熊本地裁では二十年というふうにも言われているわけです。

 そういうふうに、最高裁でもう既に確定した判決もあるにもかかわらず、なぜここでまた一年ということを書いているんですか。

塚原政府参考人 暴露が終わってから発症までの期間が一年という、今御指摘でございますけれども、これは中毒学のいろいろなさまざまな議論を踏まえて、平成三年の中央公害対策審議会の答申の中で、専門家の御議論を踏まえた形で提示をしていただいたものでございます。

 ただ、御指摘ありましたように、平成十六年の関西訴訟におきましては、暴露が終わってから四年ぐらい後に発症することもあるというようなことを判示されておりますので、今回の三月に発出をさせていただきました通知の中でも、一カ月から一年の間に発症することが多いというふうに書いてございますが、それよりも長く発症までにかかった例もあるということについても記述をしてございますので、御指摘のような、一年でもう厳密に線を引くという考え方で通知をしておりませんので、そこは御理解をいただきたいというふうに思います。

吉川(元)委員 先ほどの五十二年判断条件もそうですし、それから平成三年の答申、これはいずれも最高裁で、これではだめなんだというふうに言われているわけです。

 こうした最高裁で判示をされた判断条件あるいは答申について、見直すべきだ、白紙から見直すべきだというふうに考えますが、この点について、大臣、いかがですか。

石原国務大臣 吉川委員の御指摘のとおり、公式に認めてから六十年間の歳月が流れ、その間さまざまな経緯もあり、公健法等々で救われない方々に対しては平成七年の政治決着、我が党の大島先生が環境大臣のときだったと思います。また、平成二十一年の特措法、北川副大臣もこの問題には取り組んでいただきましたが、いずれも、今委員の御指摘のとおり、問題の解決を目指して、被害者の方々あるいはチッソ、原因企業または国会あるいは環境省等々の役所、県、市、関係者の皆さん方が努力を重ねてきた結果だと私は思っております。

 こういう事実を全て、私は、最高裁の判決が否定したわけではない。ですから、私どもとしては、先ほども申しましたとおり、苦しんでいる方がいる以上、しっかりと地域の方々が安心して暮らせる社会を続けていくという認識のもと、被害への救済、補償はもとより、地域の医療や福祉の充実です。病院も見てまいりました。あるいは、町は本当によみがえっております。地域の再生、振興、これからも省を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

松浪委員長 吉川君、時間が過ぎておりますので、簡潔に。

吉川(元)委員 時間が来ましたので、終わります。

松浪委員長 これにて各件についての質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松浪委員長 これより平成二十三年度一般会計東日本大震災復旧・復興予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外八件の承諾を求めるの件について、一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 私は、日本維新の会を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成二十三年度一般会計東日本大震災復旧・復興予備費外九件について、平成二十四年度一般会計経済危機対応・地域活性化予備費に反対、その他の九件に賛成の立場から討論を行います。

 まず、平成二十四年度一般会計経済危機対応・地域活性化予備費についてでありますが、第一に、巨額の予備費は財政民主主義に反するという問題があります。この予備費の規模は九千億円余ですが、このような巨額の予備費が設けられることは、政府の支出に係る裁量を大幅に拡大させ、その結果として税金の無駄遣いを招くこととなりかねません。

 第二に、その内容が経済対策の財源であるという問題があります。憲法第八十七条第一項は、予備費を予見しがたい予算の不足に充てるためのものであると規定しております。この予備費は、当時の民主党政権のもとで、経済対策を打つ際の財源として閣議決定され、使用されたものであり、そもそも憲法の規定の趣旨に反するものであります。

 また、平成二十三年度の一般会計東日本大震災復旧・復興予備費のように、真にやむを得ない理由がある場合であればともかくとして、本来であれば、政府において補正予算を組み、国会において経済対策の内容の妥当性、金額の適正性についてさまざまな観点から審議を行い、議決を経た上で実施すべきものであります。こうした巨額の予備費を経済対策の財源として使用することは、国会の審議権を不当に侵害したものであり、大いに問題がある対応であると言わざるを得ません。

 このため、我が党としては、承諾することに反対するものであります。

 次に、平成二十三年度一般会計東日本大震災復旧・復興予備費等、予備費等に関する残りの八件につきましては、おおむね妥当であると認め、承諾することに賛成いたします。

 また、平成二十四年度国庫債務負担行為につきましても、妥当であると認め、異議がないと議決することに賛成いたします。

 以上をもちまして、各件に対する私の討論といたします。

松浪委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松浪委員長 これより採決に入ります。

 まず、平成二十三年度一般会計東日本大震災復旧・復興予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、平成二十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、平成二十三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、平成二十三年度特別会計予算総則第十七条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)、平成二十四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成二十四年度特別会計予算総則第二十二条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)、平成二十四年度特別会計予算総則第二十二条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)、以上各件について採決いたします。

 各件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松浪委員長 起立総員。よって、各件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 次に、平成二十四年度一般会計経済危機対応・地域活性化予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)について採決いたします。

 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松浪委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 次に、平成二十四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)について採決いたします。

 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松浪委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 次に、平成二十四年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 平成二十四年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)について採決いたします。

 本件は異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松浪委員長 起立多数。よって、本件は異議がないと決定いたしました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松浪委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

松浪委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.