衆議院

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第3号 平成13年6月11日(月曜日)

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平成十三年六月十一日(月曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 中馬 弘毅君

   理事 鈴木 宗男君 理事 原田 義昭君

   理事 細田 博之君 理事 望月 義夫君

   理事 中野 寛成君 理事 長浜 博行君

   理事 井上 義久君 理事 東  祥三君

      逢沢 一郎君    臼井日出男君

      小泉 龍司君    後藤田正純君

      七条  明君    高鳥  修君

      滝   実君    竹下  亘君

      谷本 龍哉君    馳   浩君

      平井 卓也君    松野 博一君

      水野 賢一君    阿久津幸彦君

      玄葉光一郎君    佐々木秀典君

      田並 胤明君    長妻  昭君

      山谷えり子君    山村  健君

      福島  豊君    中塚 一宏君

      大森  猛君    吉井 英勝君

      今川 正美君    北川れん子君

      井上 喜一君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 中川 雅量君

   政府参考人

   (警察庁刑事局暴力団対策

   部長)          岡田  薫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部

   長)           大竹 邦実君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君

   政府参考人

   (外務省経済協力局参事官

   )            黒木 雅文君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    溝口善兵衛君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議

   官)           上原  哲君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊藤 雅治君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長

   )            日比  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局

   長)           真野  章君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局計

   画部長)         百足 芳徳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・

   ガス事業部長)      大井  篤君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長

   )            風岡 典之君

   政府参考人

   (国際協力銀行理事)   岩田 満泰君

   衆議院調査局第二特別調査

   室長           牧之内隆久君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十一日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     七条  明君

  熊谷 市雄君     滝   実君

  小西  哲君     後藤田正純君

  山口  壯君     山谷えり子君

  中井  洽君     中塚 一宏君

  大幡 基夫君     大森  猛君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     小西  哲君

  七条  明君     臼井日出男君

  滝   実君     熊谷 市雄君

  山谷えり子君     山口  壯君

  中塚 一宏君     中井  洽君

  大森  猛君     大幡 基夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件




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     ――――◇―――――

中馬委員長 これより会議を開きます。

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官中川雅量君、警察庁刑事局暴力団対策部長岡田薫君、総務省自治行政局長芳山達郎君、総務省自治行政局選挙部長大竹邦実君、法務省刑事局長古田佑紀君、外務省経済協力局参事官黒木雅文君、財務省国際局長溝口善兵衛君、文部科学省大臣官房審議官上原哲君、厚生労働省医政局長伊藤雅治君、厚生労働省労働基準局長日比徹君、厚生労働省社会・援護局長真野章君、農林水産省農村振興局計画部長百足芳徳君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長大井篤君、国土交通省総合政策局長風岡典之君、国際協力銀行理事岩田満泰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

中馬委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田義昭君。

原田(義)委員 月曜日でございますが、こうして委員会を開いていただきました。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私は、きょう、二つのテーマを議論したいと思っておりましたけれども、その前に、先週の金曜日に起こりました大阪教育大学附属小学校の事件、これは本当に私どもも耳を疑うような、目を覆うような事件だったわけであります。これからといういたいけな小学生が八人亡くなられたということ、本当に表現するすべもないような悲しい思いでございます。この子供たちの霊が安かれということをまずもってお祈りしたいと思いますし、またあわせて、御家族、関係者の御心痛、いかばかりかと思います。心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 それに関連いたしまして、もう既に報道等で私ども相当お話は聞いておりますけれども、またこれに対して、政府も今きちっとした対応を急がれているというふうに聞いております。私ども自由民主党も早速に対策本部を立ち上げました。山崎拓幹事長をヘッドといたしまして、きょうも午後からそのための対応をするということでございます。

 いずれにしましても、きょうは、役所の関係者も、急のお願いですが呼んでおりますので、お忙しい、また十分対応までは行っていないと思いますが、現在までどういうふうな状況か、さらには、今の時点で、これからどういう対応、対策をするのか、言える範囲で結構ですからお願いをしたい、こういうふうに思っております。

岡田政府参考人 警察庁でございます。私の方から、事件概要についてお尋ねでございますので、その概要について御説明を申し上げたいと存じます。

 本事件につきましては、六月八日の午前十時十分ごろから二十分ころまでの間、大阪府池田市内の小学校において、包丁を持った男が教室内に侵入、児童や教員を切りつけるなどして、八名がお亡くなりになり、十五名が負傷したというもので、男は現場において同小学校の先生によって逮捕されております。

 大阪府警察では、池田警察署に捜査本部を設置いたしまして、被疑者の取り調べ、犯行現場の見分、利害関係者からの事情聴取等、事件の全容解明のため、徹底した捜査を行っているものと承知をいたしております。

原田(義)委員 それで、今の事案について、いろいろ対応しなきゃならないことはあるんですけれども、警察の方で今後どういうことを考えておるか。さらには、これは教育機関、一番大事な小学校の施設内で行われたということでありますが、文部科学省、これについて差し当たりの対応ぶりを教えていただきたい、こういうふうに思います。

中川政府参考人 警察としての対応策ということでございますけれども、私ども、かねてより、子供を犯罪から守るための対策に関する生活安全局長通達というものに基づきまして、警察、学校関係者等で構成された学校警察連絡協議会等による緊密な連携のもとで、各種対策の実施に努めてきたというところでございますが、今般の事件を踏まえまして、警察庁では、事件発生日の六月八日、改めて通達を発出いたしまして、子供を犯罪から守るための対策の強化、推進ということで、各都道府県警察に対し、その徹底を指示しているところでございます。

 また、同日、文部科学省に対し、警察等関係機関、近隣住民等との連携の強化ということ、それから正当な理由なく学校等に出入りする者の排除等、それから児童生徒に対する防犯意識高揚のための防犯教育の実施、この三点について徹底を要請し、警察と教育現場との連携の確保によるこの種事件の再発防止に努めているというところでございます。

 なお、今後、この種事案の発生の防止のために、政府、関係者等が一体となった総合的な対策の検討ということが必要ではないかと考えております。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 教育機関で極めて痛ましい事件が起きたわけでございまして、文部科学省といたしましても非常に重大に受けとめているわけでございます。

 そして、事件発生後直ちに岸田文部科学副大臣を長といたします対策本部を設けまして、直ちに池坊政務官を現地に派遣すると同時に、六月九日には岸田副大臣にも保護者の説明会に御出席いただくなどの措置を講じまして、現在においても職員が二名常駐している段階でございます。

 それから、学校に対する対応でございますが、亡くなった児童御遺族との連絡体制の整備、家庭訪問実施体制の整備、それから心のケアの問題も重要でございますので、そういうメンタルホットラインの整備、それから、警察庁からも御説明がありましたが、そういう警察との連携強化を含めまして、警備体制の強化を図っているところでございます。

 それと同時に、こういう問題でございますので、全国の学校に対する注意喚起という観点から、発生後直ちに、大臣談話という形で、学校の安全管理の緊急再点検をしていただくような御要請をいたしておる段階でございまして、こういう広範な措置を講ずるとともに、これらの措置につきましては、六月十五日、今週の金曜日までにきちんとした実施状況がわかるような取りまとめも行うことといたしてございます。

 非常に不幸な事件でございますが、心のケアの問題につきましては非常に長い時間かかる可能性もございますので、その辺につきましての万全の対策を講ずるとともに、学校の安全管理についても十分再検討を行いまして、今後、再発防止に向けて万全を尽くしていきたいと考えている次第でございます。

 簡単でございますけれども、以上でございます。

原田(義)委員 今お話がありましたように、学校の施設、教育施設におけるこういう事故を万が一にも再発をさせないように、対策をきちっとやっていただきたいと思います。また、具体的には今お話はありませんでしたけれども、この事案では、報ぜられるところによると、加害者が精神障害者だということでございまして、そのことについてもきちっとした対応、対策が必要かな、これから非常に難しい問題もはらんでおると思いますけれども、どうぞ、政府挙げてこの問題にきちっと対応していただきたい、こういうふうに思っておりますが、副大臣、何かこの件でひとつ決意を表明してください。

遠藤(和)副大臣 本当に痛ましい事件が起こりまして、小泉総理みずから、現行法制上に問題点があればそれをきちっと整理して考えなければいけない問題であるし、また、こうした痛ましい事故が二度と起こらないような社会の仕組みというものをつくり上げていかなければいけない、このように考えておりまして、内閣といたしましても全力で対応を考えていきたい、このように考えているところでございます。

原田(義)委員 それでは、本件はこれまでにしたいと思います。どうぞ皆さん、お引き取りいただいて結構です。

 次の議題でありますけれども、私は、ここで住民投票条例のことについてちょっとお聞きをしたいと思っております。

 先月二十七日でございますが、もう既に報じられておるところでございますけれども、原子力発電の関係で、プルサーマル計画が新潟県刈羽村のいわゆる住民投票で否決された、こういうことがございました。それに対応する形で、事業者である東京電力はとりあえず実施を繰り延べるというふうに理解をしておるところであります。

 住民投票条例につきましては、私の理解では、比較的新しい制度というか、新しい手法かな。昨年の四月から地方分権一括法が施行されまして、世紀ももちろん変わりました。地方自治、地方分権のあり方もだんだん変わってきておるわけでありまして、いよいよ地方自治体といいますか、地方に権限、実質的な責任が移っていくという過程で、住民の参加のあり方は当然のことながら議論されなきゃいけないわけであります。

 同時に、本件、プルサーマルの案件につきまして、エネルギー政策というか原子力政策、これは国の一番大事な政策であるわけです。国策と言っても必ずしも過言ではない。それをいろいろな工夫をしながら、今日、国を挙げて推進しておるところでありますけれども、ただ、その国策とも呼べる政策を、決して小さいとは言いませんけれども、刈羽村という五千人ぐらいの住民の皆さんの賛否によって、国策の議論自体がとんざするというか、否決されるというようなことからすると、多少割り切れないところも覚えるわけであります。そういう意味では、国策と地方自治との関係が、いみじくもこの投票条例で表になってきた。

 勉強してみますと、住民投票条例は、この数年の間に、私の手元では、十一件条例ができて、そして投票が行われた、そういうふうに報告いただいていますけれども、いずれにしましても、状況は今申し上げましたようなことではないかな。全体の政策的な必要性と、それと住民の自治というか、住民参加による意思決定とが、うまくいくときはいいけれども、ぶつかるときにはこういう形になるわけであります。

 そういうことで、その辺の調整がどう図られるのだろうか。そもそも別な話なんだから、それぞれ判断が違ったってしようがないといえばしようがないかもしれませんけれども、しかし、エネルギー政策にしろ、大体今までの事例でいくと、防衛施設とかエネルギー施設さらには廃棄物処理施設、いずれも概念としては迷惑施設的なもの、これをやはり住民の側のあれで否決したのが大部分でありますね。そういうことで、投票条例という形式がどこまで許されるのか、どうあるのが望ましいのかということはいろいろ議論があるところだろうと思います。

 最近、社会経済生産性本部というちゃんとした団体でありますけれども、ここがこのことをこの一年ぐらいしっかり勉強して報告をしていただいていますけれども、これも結論から言うと、悩ましいというか、どんどん住民が意思決定に参加するというのは望ましいことだ、住民投票という形で参加するのも決して反対はできないが、例えばそれに法的な効力とかなんとかを与えたり、法律でそれを位置づけたりするというのについては、むしろ賛成する人が少ないわけであります。七〇%ぐらいが反対だ。これはみんな、市町村長やら議員に聞いたアンケートでございます。

 いずれにしましても、この住民投票の問題、これを乗り越えて国の政策というのは進めなきゃいけぬわけであります。そういう、千々に乱れるというか、大きな価値が二つぶつかるときの調整というのは常に政治が判断を求められるわけでありますけれども、この住民投票ないし住民投票条例について、今日までの総務省としての御意見なり認識があれば、お答えいただきたいと思います。

遠藤(和)副大臣 近年、幾つかの地方公共団体におきまして、それぞれの個別の条例等に基づきまして住民の意思を問う、こういう形で住民投票を実施されているということは、承知をいたしております。

 現行制度上、一般的な住民投票について、法律の規定はございません。しかしながら、地方公共団体が、住民の関心が高くて、地域においても影響が大きい事業等につきまして、その意向を伺うために任意に住民投票を行うということについては、法律上は禁止されていない。

 しかしながら、いろいろ議論がございまして、住民投票について、住民投票する対象をいろいろ限定すべきではないかとか、あるいは選挙で選ばれた長や議会の立場と矛盾するのではないか、代議制を否定するのではないかとか、そういう議論がございますことも事実です。それから、投票結果に拘束力があるのかないのかとか、こういうふうな議論がございまして、地方制度調査会等でもさまざまな議論があるわけでございます。

 住民投票を一般的な、制度化するということについては、これはそういった意味で大変大きな問題を抱えておりますものですから、慎重に対応していかなければいけない、このように思っているところでございます。

原田(義)委員 なかなか難しい問題というか、それぞれ理由があるわけでありますけれども、特に具体的な事例を見ていますと、もちろん、条例で基本的には何をつくってもいい、町民としての判断を示すのは許されているわけでありますけれども、実際には反対運動の手段としてこれが使われているような傾向もあるような気がいたしまして、これはまたそれぞれの自治体の判断にゆだねられるかと思いますけれども、しかし、住民の自治というのはこれからますます大事になりますので、その辺、それを乗り越えて、いろいろな国策を実現していかなければいけないのだろうと思います。

 特に今回は、原子力政策という非常に大事な原子力サイクルの重要な位置を占めるプルサーマルのことが案件になったわけでありますけれども、きょうは資源エネルギー庁からも担当者が来ておると思いますが、恐らく、これからエネルギー施設を推進していく上において、この問題というのはこれからも出てこようかと思います。十分地元と話し合っていくことは必要だろうと思いますけれども、今の段階でどういうふうに考えておるか。特にエネルギー政策はいささかも後退を許されない、こう私は思っております。

大井政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省といたしましては、平沼大臣が先月二十七日の住民投票後におきまして談話を発表いたしまして、地元住民のプルサーマルへの十分な理解を得るためには事業者も国もさらなる努力が必要である、こういう認識を示しながら、電気事業者に対しましてはプルサーマルを推進するさらなる取り組みを促す、また国としてもプルサーマルに関する国民の理解を深めるための体制、こういうものを整備することを検討することとしたい、こう申し上げておるところであります。

 このうち、電気事業者との関係につきましては、六月一日に電力業界の代表者に大臣のところへ来ていただきまして、一つには電力業界、それから各電気事業者のプルサーマル推進の全社的な取り組み体制の整備、それからもう一つとしては、最近の状況をも踏まえた各社のプルサーマル実現のための取り組み強化、こういったことを早急に検討し、実施状況について大臣まで報告するよう、こういう指示をしたところでございます。

 また、政府部内の体制につきましては、プルサーマル連絡協議会を設けまして、六月五日に古川内閣官房副長官主宰で関係局長クラスによります第一回会合を開催しております。その協議会におきましては、プルサーマルを含む核燃料サイクルの重要性についての政府内の認識の再確認、それから地元理解に向けた取り組み強化についての各府省の意思疎通強化等を図っていただくということになりました。

 今後とも、プルサーマルの実現に向けて、これら官民により、プルサーマルの必要性及び安全性について地元住民の方々の理解を得るための一層の取り組み強化を行い、できる限りの努力をしていく所存でございます。

原田(義)委員 いずれにしても、地元の心からなる信頼、同意を得なければ、特にこういう必要だけれども迷惑というか心配な施設というのは、つくるわけにいきません。そういう意味では、急がば回れというような言葉がありますけれども、やはり粘り強くその辺の理解を得るように努力していただくことが必要だろうと思っております。

 時間がもうほとんどございませんので、もう一つの問題でありますが、国勢調査が行われまして、それを踏まえて、いよいよ選挙法の改正といいますか、選挙区画定審議会の作業が今始まったというふうに聞いております。そのことについて、先週も大体の答えはありましたけれども、簡単にそのポイントだけ御報告いただきたいと思います。

大竹政府参考人 衆議院選挙区画定審議会の審議状況についてお尋ねでございますけれども、衆議院議員選挙区画定審議会におきましては、昨年の十二月に平成十二年国勢調査人口が官報で公示されたことを受けまして、これまで十回にわたり審議会が開催されております。

 まず、各選挙区の現在の人口状況等につきまして、各都道府県ごとにレビューが行われてございます。次いで、四十七都道府県知事からそれぞれ意見聴取をして、現在は、これらを踏まえ、区割りの見直しに当たっての基準をどのようにすべきかということで議論が行われている状況でございます。

 今後、さらに区割りの調査審議が進められまして、勧告期限が平成十三年十二月二十二日でございますので、これまでに勧告が行われることになるものと承知しております。

 以上でございます。

原田(義)委員 今、現行の制度による区割りの見直しというか、これは今御報告をいただいたとおりでありますけれども、いずれにしましても、それだけにとどまらず、これから選挙制度そのものの改革の議論が行われるというふうに認識をしております。ここから先は、逆に、政府というよりも政党間で、政治の側で恐らく決めることになるのではないかと思います。一つは、選挙制度そのものを見直したらどうかという意見もあるやに聞いておりますし、もう一つは、定数の是正といいますか、小泉総理も非常に歯切れよく、最近の報道でもまたいろいろな場で、一対二の間におさめる、そういうふうに努力すると発言しておるようでございます。

 時間が来ましたので、結論から言いますと、私は、選挙制度というのは絶対のものはないと思っているのですよ。要するに、この制度になれば問題点がない、この制度にすればすべていいというものはないと思っています。

 そういう意味では、私は、中選挙区から小選挙区に変わったその間をずっと政治家としておりまして、中選挙区を直すときに、何か全部悪い、小選挙区になれば全部バラ色になるみたいな、そういう論調の中で、平成何年ですか、新しい法律ができたわけですね。しかし、今になったら、また小選挙区が問題があり過ぎるというような言い方をしていますけれども、私は、選挙制度というのはルールなんだから、それはいい面も悪い面もある。それ自体が理想的ですべて完璧無比というのでもないのであって、要するに使い方だ。それの活用の仕方であって、ルールなんだから、そのルールに基づいて自分たちも選挙をやり、またそのベースに政党ができ上がって、その政党が政治をつかさどるということだろうと思うんです。

 ですから、そういう意味では、今の選挙制度をまた一からやり直して全く違う制度に変えるということには、結論から言うと、私は絶対反対なんです。このルールを見直すのに、それだけのまたすさまじいエネルギーとコストといろいろなのがあって、その間のいろいろな混乱を考えますと、今の小選挙区制度の悪いところはもちろん直さなきゃいけないけれども、私はそういうような立場を持っておりまして、また何かの議論のときにやりたいと思っております。

 それからもう一つ、定数の件ですけれども、小泉さんはさっき言ったように非常に歯切れよく一対二以内と言っていますけれども、これは現行の法律でもそうですし、平成八年の最高裁大法廷判決でもそういう書き方になっているんですが、まずは一対二というのが基本であることは間違いないにしても、その数字だけが唯一の基準ではなくて、やはりそれ以外の政策目標、目的、そういうものを十分加味しながらこれを判断すべきである、こういうトーンになっております。

 諸外国の例を幾つか引いてきておりますけれども、アメリカもイギリスもフランスも、これを見る限りは、例えば州とか、日本の恐らく県に当たるんでしょうか、そこについてはある程度のでこぼこがあってもしようがない、しかし、その県内、その州内ではできるだけ平等なあれが維持される、大体こういうような規則になっておるようであります。決して、都市部と地方というか、それは対立する必要も全然ないし、しかし、ただ人口だけでそれを削っていけば、それこそ、田舎の県とは言いませんけれども、もうほとんど国会に発言権を失ってしまうという心配も出てきます。そこをバランスとるのがやはり私は定数の配分だろうと思っております。

 この現行の法律でも、一名ずつをまず配分した上で、その上で人口比をうまくつけ加える、加味するというような形になっておりますけれども、そういうのがやはり私は妥当なというか、英知を集めた結論ではないかなと思いますが、いずれにしても、この問題はこれから、特に参議院選挙が終わってから、大議論になろうかと思います。

 私は、平成二年に当選しまして、三年半、一期を務めました。それから落選したんですけれども、その約五年ぐらいの間というのは、これは恐らく選挙制度の議論一色なんだよね。その間はもうそれ以外のことは耳に入らぬぐらい、やはりみんなが当然のことながらこれは関心事になるわけでございます。それによって得たのが今日の選挙制度であるわけですから、やはりそれはそれで大事にしていかなければいけないなというのを、個人的な意見も含めて披瀝させていただきました。

 時間が来ましたので、少しお話ししたいこともありますけれども、またの機会にさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

中馬委員長 福島豊君。

福島委員 本日、私は、選挙制度とITという課題、そしてまた選挙制度におけるバリアフリーといいますか、寝たきり老人の問題ですとか、これからどういうふうに対応していくのかということについてお尋ねをしたいと思っております。

 いずれも、二十一世紀に日本が入りまして、社会そのものが大変大きく変化をしている。それは、一つはITでございますし、そしてまた高齢化といったような人口構造の変化もあるわけでございます。そういう社会の変化に適切に対応するような選挙制度でなければならないと思いますし、そのためには不断の見直しというものを我々は進めていかなきゃいかぬ、そのように思っております。

 まず初めに、インターネットの活用ということでございます。

 インターネットの利用者というのは年々増大の一途をたどっているわけでございまして、政治家も、インターネット上でホームページを開設し、さまざまな情報提供というものをしている、最近はメールマガジンというようなものを出される方もふえているように聞いております。こうしたインターネット上での政治活動というものが選挙とどのように結びついていくのか、そしてまたそれを選挙そのものに利用することはできないのかというようなことについてお尋ねをしたいと思っております。

 まず第一点でございますが、現状の把握ということでございますけれども、現行の公選法におきまして、パソコン、そしてまた最近は携帯電話でもさまざまな情報の提供ができるわけでございますが、携帯電話の画面に表示された文書というものはどのように位置づけられているのか、このことが一点目でございます。

 そしてまた、二点目は、先ほども申しましたように、政治家が、国会議員だけではありません、地方議員も含めまして、ホームページ上でさまざまな活動報告をしたり、また有権者との意見交換を行っているわけでございますが、この活動の中で、選挙運動というふうになるのはどのような場合なのか。ここのところの政府としての見解というものを、まず最初にお尋ねしたいと思います。

大竹政府参考人 公選法の文書図画についてのお尋ねでございますけれども、公職選挙法におきましては、およそ人の視覚に訴えかけるもの、これはすべて文書図画というふうにとらえてございます。したがいまして、パソコンでございますとかあるいは携帯電話、こういったもののディスプレーに表示されます画面につきましても公職選挙法上の文書図画に当たる、このように解されているところでございます。

 次に、選挙運動のために使用することができます文書図画につきましては、法で定める一定のものに限り認めるというのが現行法の仕組みでございます。したがいまして、現行法上、インターネットのホームページでございますとか、あるいはこれを使用しまして選挙運動を行いますことにつきましては、選挙運動のための電子メール、こういったものを含めまして、法で認められた文書図画以外の選挙運動の文書図画の頒布に当たる、このように解釈されているところでございますので、現行法上は、インターネットあるいはメールはこういったものに伴いまして選挙に使うことはできない、このように解釈されているところでございます。

 次に、現在ホームページ等を各議員の先生方展開されているわけでございますけれども、これについてのお尋ねでございますが、公職選挙法におきましては、選挙運動とは、特定の選挙につき特定の候補者の当選を目的として投票を得、また得させるために直接または間接に必要かつ有利な行為、このように解されているところでございます。したがいまして、投票依頼等を行います場合には典型的な選挙運動に該当する、このようなものでございます。

 なお、個人が選挙運動にわたらない政治活動のためにホームページを開設したりあるいは書きかえすることは、これはできるのは当然でございます。こういったものについては特段の規制はございません。

 しかしながら、選挙運動期間中におきましては、公職選挙法第百四十六条第一項の規定がございまして、選挙運動用文書図画の頒布の禁止を免れる行為に当たる、こういった行為に該当する場合もあり得るわけでございますので、候補者等の氏名でございますとかあるいは政党の名称等を表示します文書図画を頒布することができないというわけでございますので、選挙の期間中におきましてはこの書きかえ等についても禁止される、このようになってございます。

福島委員 私は、これは大変おもしろいなと思っておりまして、例えば医療法では医療機関の広告規制というものがありますが、インターネット上で展開されるホームページ等は実は広告に当たらないわけでございまして、その規制を免れておる。同じ政府の中で、インターネット上で提供される情報というものが、片っ方では、文書図画に当たるから選挙活動におきましても規制される、片っ方では、医療機関の広告はインターネットでは何を書いてもいいということになっているわけでございます。このあたりは、インターネットという新しい技術が導入されて、その上で提供される情報提供というものをどう扱うのか、政府の中で横並びになるようなきちっとした議論が本当にあったのかしら、そのような思いがいたしております。

 それはさておきまして、インターネットを活用した選挙ということで、片山総務大臣が参議院の総務委員会におきまして、選挙運動もインターネット時代にふさわしいものにすべきだという発言がございました。そしてまた、その大臣の御発言というものを受けまして、総務省が近く有識者会議を発足させるというようにも伺っております。

 この見直しに当たりましては、単に公職選挙法の解釈の見直しということではなくて、法改正を基本に検討を進めると伺っておりますけれども、いつごろを目途としまして検討結果をまとめ、そしてまた法改正の準備に入るのか、この点についての見通しというものをお尋ねしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 選挙の規制緩和という話でもございますし、インターネットという新しい技術が大量に情報を伝達する大変有益な手段でありまして、安価に情報を伝達できる、これは選挙活動に使えないかという議論は、当然の議論としてあると思います。特に、在外邦人にも衆参の比例代表選挙に選挙権を認めたわけですから、世界じゅうを相手に自分の政見を述べるというのは、こういうツールがないと無理だと思うんですね。

 したがいまして、総務省といたしましても、この参議院選挙が終わったら直ちに研究会を立ち上げたい、そして早急に議論をお願いして、法律といたしまして、成案を得て、国会にも御審議をいただければありがたい、こう思っています。

 有益なところもあるんですが、無秩序にこれが解禁されますと、匿名性がございまして、悪質な他候補の攻撃だとかあるいは無差別に大量のメールを出すとか、そういう心配もございますものですから、どういうふうに秩序を、ルールをつくっていくかということは大切な問題ですから、それは早急に詰めたい、このように思っている次第でございます。

福島委員 今までの選挙制度、規制緩和というお話が副大臣からございましたけれども、画一化された様式の中で情報提供を行う、それは公平ということからそういう考え方だったかと思うんですけれども、現在の有権者の思いというのは、できるだけさまざまな情報が欲しいということなんだろうと私は思います。

 情報提供を受けることによって判断をしたい、それを狭い枠の中に閉じ込めておいて本当にいいのだろうか。ただいまお話がございましたように、悪質な中傷ですとか、そしてまた迷惑メールですとか、こういうものはきちっと取り締まる必要があると思うんですけれども、基本的には、正確な情報を伝えるものであればできる限り幅広く認めていくというような取り組みが必要なのではないかと私自身は思っております。

 次に、投票の制度でございますけれども、電子投票ということについての検討の状況、そしてまたお考えをお尋ねしたいと思っております。

 諸外国では十年前から電子投票というものが導入をされて、十二カ国で既に導入をされていると伺っております。そしてまた、四十二カ国では導入に向けての整備を進めておる、このような情報もあるわけでございます。

 電子投票自体には、メリット、デメリット、両方あると思います。疑問票や浮動票が大幅に減る、投票率が上がるというようなメリット、そしてまた、一方では、本人の確認やセキュリティーといった面での難しさ、デメリットというものもあろうかと思います。

 昨年の八月に、電子機器利用による選挙システム研究会が中間報告を出しましたけれども、これは三段階で導入すべきであるというような意見であったと伺っております。そしてまた、自治体におきましても、広島市ですとか杉並区などから電子投票制度を創設すべきである、そのような要請がなされているということも認識をいたしております。

 現在、総務省の内部で検討を進められているという報道もございますが、そしてまた小泉総理大臣も、電子投票に関心がある、そうなるように持っていきたいというような発言もあったようでございます。電子投票の制度は、二十一世紀の選挙制度をどうするかを考えるときには極めて大切な一つの要素であろうというふうに思っておりますが、今後の進め方、この点についてのお考えというものをお聞かせいただきたいと思います。

遠藤(和)副大臣 私自身も中馬委員長と一緒に先進の電子投票をやっている国を訪問いたしまして、ベルギーとかオランダあるいはスペインに参りまして、現地を見てきた記憶があります。確かに有益で、開票時間がゼロということでございますから、大変よい制度だと思います。また、電子地方自治体に対する国民の要望という意味からも、投票の電子化ということを要望する人が大変多いんですね。

 ですから、これはぜひ立ち上げていきたいと思っておりまして、総務省の中でも、トライアルとしてまず地方選挙からやって、手を挙げていただいた自治体に対してはこれをできるような制度を、法律を考えまして、今九九%でき上がっているんですけれども、国会が大変、総務省の出している法律でまだ成立していない法律がたくさんございますものですから、ちょっとこの国会は提出が難しいかなという印象を持っているわけです。できるだけ早期に我が国におきましてもこうした制度が導入できるように、最初はトライアルですけれども、それを全国選挙でできるようになれば大変よいのではないか、このように考えております。

福島委員 ぜひ精力的に進めていただきたいと思います。

 次に、選挙制度におけるバリアフリーの問題についてお尋ねをしたいと思います。

 まず初めは、在宅の寝たきり老人の投票をどのように行うのか、郵便投票を促進してほしいという要請でございます。

 現行法におきましては、重度身障者または戦傷者のうち歩行移動が困難な者については郵便投票が公職選挙法第四十九条第二項において認められているわけでございます。しかしながら、これに該当しない在宅の寝たきり老人などは通常の不在者投票になるわけでございまして、投票所まで移動が困難なこれらの人たちは、実質上投票する権利を奪われている状況になっていると言っても過言ではないわけでございます。

 現在、二千二百万人の高齢者人口のうち約一割が介護が必要な者であるという現状でございます。そしてまた、将来はこの数はさらにふえていくだろうというふうに考えているわけでございます。こうした寝たきりの高齢者の方に対して、どのようにして投票権を保障するのかということについては、現時点で制度の見直しを真剣に考え、検討し、そして着実にそれを進めていかなきゃいかぬ、そのように思うわけでございますが、政府の御認識をお聞きしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 これは大変大きな問題でありまして、在宅の寝たきりの方の投票機会をどのように拡大するか、郵便制度も含めて検討してまいりました。

 昨年、介護保険制度が導入されましたときに、当時の厚生省と一緒に議論をいたしまして、介護保険制度という公的な制度ができるわけですから、その認定の等級が郵便投票の制度になじまないかという議論をしたんですけれども、結論的には、介護保険の等級が直ちに投票所に行くことが困難であるとかいう認定とは結びつかないというふうな形で、今その話が中断をしております。

 したがいまして、今後、在宅の寝たきりの方が投票所に行けないという社会的認定をどのようにしていくかが大変大事なわけでございまして、障害者の等級とは別の仕組みでそうした認定制度ができないかどうか、もう一度厚生労働省とも協議をやり直してみたい、こんな気持ちでございます。ぜひ、在宅の方々がせっかくの投票機会を行使できるようなことも精力的に考えていきたいと考えております。

福島委員 介護保険におきましては、一次判定におきましても極めて精密な調査をするわけでございます。ですから、その中で、自力では移動困難であるという判断は私は簡単にできる話なのではないかと思っております。要介護認定ということについてもこれから見直しも進むわけでございますから、ぜひその中で、省の壁というものを越えて、お一人お一人の高齢者の権利を包括的に確保するのだ、そういう観点から、政府として連携を緊密にして取り組んでいただきたい、そのように要請をいたします。

 次に、高齢者の問題だけではありません。神経難病と言われる患者さんもたくさんおるわけでございます。本日は、その中でALS、筋萎縮性側索硬化症の患者さんの郵便投票についてもお尋ねをしたいと思います。

 郵便投票は、自書ということに限定をされているわけでございます。しかしながら、ALSの患者さんなどは、実際のところ、自分で書くということはできません。書けないものは仕方がないのだということではなかろうと私は思っております。これらの方々がどういうふうにすれば投票ができるのか。それは障害者の権利ということにもつながるわけでございます。

 社会というものは、障害者がみずからの権利を確保するために必要なサポートをしなければいかぬ、そういう責務があるのだろうと私は思っております。諸外国では、巡回投票ですとか、また委託投票といった権利を確保するような仕組みがあるわけでございます。我が国においても、惰性といいますか、現実の状況を再検討することなく従来の郵便投票を続けるということでなくて、いま一度、どうしたら投票できるようになるのかということについて検討していただきたい、そのように思うわけでございますが、御見解をお聞きしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 確かに、郵便による不在者投票について、一時期、代理投票等が認められたことがあるのです。けれども、そのときにたくさんの乱用が行われまして、本人以外の人が無断で代理投票と称して詐偽投票をしたという事例がたくさん出てきまして、これが現在では行われないことになっています。

 ただ、今おっしゃるように、ALS患者の皆さんの病状というものを考えますと、とても自筆することはできないことはよくわかりますし、何らかの投票機会の拡大というものを考えていかなければいけないと思っています。

 現在でも、例えばその方が在宅ではなくて病院に入院していると、入院しているところが五十床以上ある病院等であれば、そこで不在者投票ができますし、そのときに、例えばベッドの上で自分の意思を伝えることができれば、その選挙管理責任者が代筆して投票するということは可能です。あるいは、投票所に直接行っていただいて、そこで自分の意思を伝えていただくということはできるわけですけれども、在宅でそうした形での郵便投票がどのぐらい拡大できるのかということも議論をしていきたい、こういうふうに思っている次第でございます。

 とにかく、国民に与えられた選挙権を行使する機会を拡大していくということは大変大事なことでございますから、IT技術の進展に合わせて、例えばインターネット投票なんかができればかなりその実現性が高いわけですけれども、技術の向上に合わせて、そういう人の投票機会を拡大できるようなことを考えていきたいと思っております。

福島委員 次は、点字による選挙公報の発行等についてでございます。

 先般、社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の皆様から御要請をいただきました。それは、選挙において中途失聴者、難聴者に向けての情報を確保するということを主眼とする要請でございます。

 具体的には、政見放送に字幕をつける、そしてまた候補者の街頭演説などでの文字通訳行為を公職選挙法で認めてほしい、そしてさらにリアルタイム字幕配信に係る費用を負担していただきたい、そしてCS障害者放送で選挙に係る放送の著作権を制限してほしい、そして最後に、総務省内にこうした諸課題について検討するための政見放送研究会を再度設けていただきたいというような御要請をいただきました。

 政見放送において手話通訳ということで、なかなか中途の失聴者は手話を理解しにくいというようなこともございます。政見放送において字幕放送をぜひとも導入していただきたい、技術の進歩があるわけでございますので、この点について、絞って御見解をお聞きしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 現行制度では、参議院の比例代表選挙は平成七年から政見放送の手話通訳が導入されています。それから、衆議院議員選挙におきましても、平成八年からいわゆる持ち込みビデオ方式が取り入れられましたから、その中で手話通訳つきの持ち込みビデオを放送していただくということは可能でございます。

 ただ、一般的に、すべての参議院選挙、衆議院選挙の政見放送に手話通訳を取り入れるということは、手話通訳者の数が地域に偏在をしておりまして、一方で取り入れられるけれども一方ではできないということになると不公平でございますから、それをどうするかという問題があります。

 ただ、最近は、お尋ねのように、技術が進んでいまして、動画で、アニメーションビデオのような形で手話ができるようなことも開発されていますから、そうしたことであれば全国的に導入することも可能だと思うのです。ただ、動画のものが候補者の言っていることを全部表現できるかどうかというものもあるようですけれども、それは技術をよく見ながら、導入の方向でいろいろと検討していきたいと思います。

 それから、字幕放送につきましても、これはデジタル放送が進みますと字幕放送は簡単にできるわけでございまして、そうした放送技術の進展とともに合わせて、障害者の皆さんにも選挙の政見放送がきちっと伝わるような方向で検討を重ねていきたいと思っております。

福島委員 一点、ちょっと前後しまして、副大臣、大変恐縮でございますが、ただいまのが中途難聴者、失聴者についてお尋ねしましたが、視覚障害、これも中途視覚障害等も含めまして、点字での選挙公報の発行ということについて、つけ加えてお尋ねをしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 選挙公報を点字でというお話でございますけれども、現行ではなかなか難しい問題があるわけですね。限られた期間内に点字訳を全部調製するというのは、物理的にマンパワーの方から考えても難しいということでございますが、特に都道府県の選挙管理委員会ではいろいろ工夫をしていただいておりまして、直ちに選挙公報ではないのですけれども、選挙の候補者の氏名とかあるいは略歴等を点字で掲載した文章を選挙のお知らせという形で配付していたり、あるいは投票所の中に掲示をしたり、こういうふうな努力をしていただいているところもございまして、そうした努力をさらに進められるようにお願いをしていきたいと思っております。

福島委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、先ほど副大臣から若干触れていただきました、病院や福祉施設における不在者投票ということで伺います。

 これは、都道府県の選管が指定する病院または福祉施設に入院・入所している人は、一定の条件のもとでベッド上で投票ができることになっているという制度でございます。しかしながら、基準があるわけでございまして、この指定に該当しない病院等に入院・入所している患者さんは通常の不在者投票の方法によらざるを得ない。したがって、なかなか投票することが困難であるという実態があるわけでございます。

 こうした指定に当たって、基準をもう少し緩和していただいて、できるだけ幅広く投票していただくことはできないかということが一つのお尋ねでございます。

 そしてまた、こうした不在者投票におきまして、その管理者が選挙人に対して、投票行為に対して干渉するのではないかというような懸念もあるわけでございます。そういう懸念を踏まえると、投票管理者は第三者に委託した方がいいんじゃないかという指摘もございます。

 この二点についてお尋ねをしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 通常は、おおむね五十人程度以上のベッドを有するところは不在者投票ができる施設にするということでございますが、この五十人というのも、例えば二つ施設があって共同の管理者であるという場合には、共同の管理者がきちっと両方ともの施設を十分に監督し管理できるというものであれば、二十五と二十五であっても、それは投票できるようにするとか、弾力的な運営は可能だと思いますね。実態に即しまして、そこの施設長が選挙の管理責任者としてきちっと執行ができるというものであればできる、こういうふうに考えております。

 それから、今、第三者の立会を置いた方がいいという意見は、昨年でしたか、選挙でいろいろな不正があった報道がございましたけれども、確かに第三者が入ると選挙の公正が一層担保できるのではないかという御意見には私も賛成ですけれども、具体的に第三者の方をすべての不在者投票できる施設に派遣するということは、これは人的にもお金の上でも大変なことになりますし、すべて置けるのかという問題もございますので、これは今後の検討課題にさせていただきたいと思っております。

福島委員 ただいま御説明ございましたが、十分さまざまな工夫をして弾力的なお取り扱いがなされていることを施設の管理者等に周知をしていただきたいということが一点でございます。

 そしてまた、二点目は、すべて置かなくてもいいんではないか、その選挙の時々に置くこともあるしということで、言ってみれば、そういう抜き打ち的に置くことができるという規定にするだけで、随分そういうことは変わるんじゃないかというような思いがいたします。

 最後の質問でございますが、国民審査制度のあり方についてお尋ねをしたいと思います。

 司法制度改革審議会の答申案によりますと、「国民審査制度について、国民による実質的な判断が可能となるよう審査対象裁判官に係る情報開示の充実に努めるなど、制度の実効化を図るための措置を検討すべきである。」このようになっております。実際に有権者の方々から、こういう国民審査についても、だれがどういう判断をしているのか、丸をつけていいのかバツをつけていいのか、全くわからないという声はよく耳にするわけでございます。

 かつて、国民審査法の改正案というものが出された経緯もあるようでございます。司法制度改革審議会の最終答申も出るわけでございます。この国民審査制度についても、もう二十一世紀に入ったわけでございますから、どうするのかということについて政治的な御決断をして、方向性をぜひとも示していただきたいと思います。御見解をお聞きいたします。

遠藤(和)副大臣 いわゆる最高裁判所裁判官の国民審査ですけれども、これは憲法に規定されておることでございまして、大変重要な話なんですね。憲法が要請している趣旨にきちっと合った形で行われているかどうかということは、絶えず検証していく必要があると思うのですね。

 問題は、審査公報が非常に難しくて、国民の皆さんにわかりにくいというような話があります。これは裁判官から提出された掲載文をそのまま載っけているわけです。ですから、出される掲載文そのものを国民の皆さんにわかりやすい表現にしてくださいということを絶えずお願いしているところでございます。

 それから、やはり日常的に国民の皆さんが司法についていつもよく見ていただくといいますか、最高裁判所の裁判官の動向、言動等について日常的に関心を持っていただくような、そうした広報活動というか、そういうものをぜひしていただく必要があるのではないか。日常的に余り縁がなくて選挙のときだけというふうになると関心も薄らいできますし、もう一回きちっと憲法の要請している趣旨が生かされるようなことを考えていかなければいけないと思っております。

福島委員 以上で質疑を終わります。ありがとうございました。

中馬委員長 東祥三君。

東(祥)委員 まず初めに、KSD疑惑事件について質問させていただきたいと思うのです。

 この事件は、大きく世間を騒がせ、またある意味で政治家に対しての不信を高めた大きな問題だったと思うのです。この疑惑事件においては、国会議員としては、自民党の村上元参議院議員また自民党の小山元参議院議員の両名が逮捕されたわけであります。

 そこで、捜査当局に現在の捜査状況を確認したいと思うのですけれども、KSD疑惑事件の捜査は既にもう終了してしまっているのか、それとも引き続き継続して捜査をしているのか、この点についてまずお答えをいただきたいと思うのです。

古田政府参考人 お尋ねのKSD事件につきましては、東京地方検察庁におきまして、刑事事件として取り上げるべきものについては、所要の捜査を遂げまして、ただいま委員御指摘のとおり、小山前参議院議員及び村上前参議院議員それから古関忠男理事長等につきまして公訴を提起し、現在、その公判の維持に当たっている、そういうことでございます。

 端的に申し上げますと、刑事事件として取り上げるべきものについては、それぞれ捜査を遂げて処理をしたということでございます。

東(祥)委員 報道関係しか私はわからないのですけれども、この事件が発覚してから、今申し上げました両名以外で数多くの政治家が金銭の授受、あるいはまた秘書と称して人間を派遣しているという事実が報道を通じて報告されていたと思うのですけれども、今の刑事局長のお話ですと、もうこの二件で、このKSD疑惑事件について他の政治家の問題は終わってしまったかのような印象を受けたのですけれども、この点については、現在どういうふうになっているんでしょうか。

古田政府参考人 さまざまな報道がなされているということは私も承知しておりますが、個々のいろいろなことについてお答えすることは、これは捜査の内容にかかわることでございますので、御容赦いただきたいわけでございます。

 しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、検察当局におきましては、刑事事件として取り上げるべきものにつきましてはそれぞれ法と証拠に基づいて処理をしたというふうに承知しております。

東(祥)委員 刑事事件に限らず、例えば所得税法違反あるいはまたその他のもの、収支報告記載漏れだとか、いろいろな問題があると思うんですけれども、この点についてはいかがなんでしょうか。

古田政府参考人 繰り返しの御答弁になりまして大変恐縮でございますが、ただいま御指摘のようなものの中で、これも刑事事件として取り上げるべきものがあれば、それについては必要な捜査を行い処理をしたということで御理解いただきたいと存じます。

東(祥)委員 個々の問題について聞いているんじゃないんですけれども、一般論として、KSD事件というのは、あれほど世間を騒がし、また政治に対しての不信感を極めて大きなものにした、そういう認識を持っております。

 そういう意味で、今、刑事局長が個々の問題について言及することはできないのかわかりませんけれども、基本的に、二名の国民から選ばれた政治家が逮捕されるという状況になっている。それ以外でも多くの政治家が報道され、そしてそこには、刑事事件に至らないのかわかりませんけれども、現実の問題として金銭の授受があったという報道がなされているんであって、それが政治家としてちゃんとした報告、また道義上の責任を感じない形でもってちゃんとなっているとするならば、それはそれでいいわけでありますけれども、最近ではほとんど報道もされませんし、またその状況についても報告されていない。ただ、一時期そういう政治家の名前がぼんと挙がってきて、それでもう終わっちゃっているのかどうなのかという極めて素朴な、また国民の目線から見たときに、あれは一体どうなっちゃったのかしら、そういう疑惑が出ても当然のことなんだと思いますが、それに対して、我々としてもちゃんとした形でもって国民にこたえていく義務があるんだろうと思います。

 その意味で、再度お聞きいたしますけれども、そういった問題がもうすべて終わっちゃっているのか、それとも、そういうことも含めた上で今捜査を続けておられるのか、その点について明確にお答えしていただかないと進まないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

古田政府参考人 さまざまな報道などがあったということは、これは事実でございます。

 ただ、検察当局といたしましては、要するに、刑事事件として取り上げるべきもの以外のものについて、これをどうこうするということには相ならないわけでございまして、したがいまして、一連のいろいろな経過の中で、刑事事件として取り上げるべきものについては、それぞれ所要の捜査を遂げて適正な処理をしたということで御理解いただきたいと存じます。

東(祥)委員 これは刑事局長に聞いていいのかどうかわかりませんが、そうすると、刑事事件に当たらない問題に関しては、今どこで捜査されているなり、どこで調べられているんでしょう。いかがですか。

古田政府参考人 刑事事件として取り上げるべきものでないことについては、これは捜査ということは基本的にはないわけでございます。それは私の立場から、どこでどういうことをすべきかとか、そういうことを申し上げるというのは適当ではないと考えております。

東(祥)委員 片山大臣、このKSD疑惑の背景には自民党内の仕組みに根差したものがあると当時言われておりました。小泉総理も、我が党の中井議員の去る五月十日の本会議におけるKSD疑惑事件に関する質問に対しまして、次のように言っているわけですね。

 つまり、KSDに加入する中小企業経営者の方々に対して不安と疑惑を与えた道義的責任があると認識しておりまして、調査の結果も踏まえて、信頼回復のための具体的措置をとると答えていらっしゃいます。つまり、政党内の仕組みに根差したものとしてこのKSD疑惑事件が発覚した、そういう認識を総理自身もお持ちになっているわけですが、党内における調査結果を踏まえた上で、調査結果を出して、そして具体的な措置をとる、こういうふうに言っているんです。

 この点について、大臣として当然、直接これにかかわっていないと思うんですけれども、一応自民党の大臣として、どのようにお考えになっておられますか。

片山国務大臣 過日、総理がお答えになったのは、私も聞いておりまして、これは総理というより自民党総裁としての今後のいろいろなお考え、どうやるかということのお答えであった、こういうふうに思います。

 私は内閣の選挙制度等を担当している大臣でございますが、昨年の臨時国会で変わりましたけれども、今までの拘束名簿式比例代表制度は、党名を書いていただいて、党の得票で議席を配分して、党の中でだれが当選するかは党で決める、こういうことが制度的な中身なんですね。したがいまして、答弁申し上げたこともありますけれども、党で決めるということに対して不透明さを含めていろいろな議論があって、それが非拘束式の現在の制度につながったということは、各党の議論あるいは国会の中での議論において大いにあったのかな、こういうふうには私は思っております。

東(祥)委員 そうすると、何か拘束名簿方式のときに自民党のみならず他の政党においても同じようなことがあったのではないのかという、他の政党に対して失礼じゃないのか。つまり、自民党だけの問題だと私は理解しておりまして、それは自民党内で起こった問題でありますから、総理自身も、大臣おっしゃられるとおり、総裁としてこの問題に対しての責任を強く感じていて、調査をし、その結果を公表し、それでしかるべき適切な措置をとる、こういうふうに言われているわけです。

 僕は、議院内閣制の内閣というのは、よく与党の皆さん方は政府と与党というのをうまく論理をすりかえながらおっしゃるわけですけれども、片山大臣でも自民党でなければ大臣になっていないわけでありまして、あくまでも与党と政府というのは基本的に一体でなければならないので、それを言葉の問題でいえば、総理大臣は自民党の総裁であります、おっしゃるとおりです。しかし、内閣の最高責任者であることも間違いありませんし、また、この問題に関して直接担当されているかどうかわかりませんけれども、自民党から出ている大臣として、極めてこの問題に深くかかわり合いを持って、調査もされ、またその結果に対しても鋭く政党の一員として責任を感じられているんだろう、僕はそういうふうに当然のごとく思って質問させていただいているわけであります。

 総裁が幹事長に、この問題に対してちゃんと調査するようにという御指摘だったと思いますけれども、当然そこに、幹事長一人だけではできませんので、片山大臣はこの問題に対してかかわっているんですか、かかわっていないんですか。一切別のところで行われているんですか。

片山国務大臣 総理が自民党総裁としてお答えになったことについては、私も自民党の一員としてそのとおりだと思いますし、総理の考えに従いたい、こういうふうに思っておりますが、調査その他は今党の執行部である幹事長のところに指示して総理がいろいろ調べてもらっている、こういう話でございますから、それはそのとおりだと思います。私は、今閣僚の一員でございますから、その点につきましては何らかかわっておりません。

東(祥)委員 それでは、次に進めさせていただきます。

 今回の小泉内閣が誕生する前の自民党における総裁予備選などに際して、本当かどうかわかりませんが、報道では幽霊党員が続々発覚と報ぜられたように、総裁選を通じてまた同じような問題が明らかになってきたんじゃないのか、そういうふうに私は思っています。

 しかし、これは自民党の内部問題にとどまらずに、やはり政治に対しての国民の信頼にかかわる問題が含まれているんじゃないのか、そういう意味で極めて重要な問題であると思っているわけでありますが、これら自民党のKSD問題に代表されるような政官業癒着体質を改善して政治に対する国民の信頼を回復するためには、あっせん利得処罰法の改正と特殊法人改革及び天下り規制を実施しなくてはならない、このように思っているんですが、この点について、まず一般論として、大臣、どのようにお考えでしょうか。

片山国務大臣 今お話しのあっせん利得処罰法案は、これは今お話しのように、政治に対します国民の信頼を回復するということで、昨年の十一月二十二日に議員立法として成立しまして、本年三月一日から施行されたところである、そういうことはもう十分承知いたしておりますが、この法案につきましては、私どもの所管ではございませんし、総務大臣としての立場での答弁は差し控えたいわけでありますけれども、いずれにせよ、これは大変重要な問題だとは認識しておりまして、各党各会派において十分な御議論をいただいて、しかるべく引き続いて御結論を得る問題ではなかろうかと考えております。

東(祥)委員 特殊法人改革及び天下り規制について、我が党は、先日、内閣委員会に特殊法人の整理及び合理化に関する法律案を提出いたしました。これは、法律案施行後三年のうちに特殊法人を原則廃止、統合、民営化することと、特殊法人の役員及び職員を削減することを目的としております。

 特殊法人の原則廃止、統合、民営化の議論は別といたしまして、この自由党案が成立することになれば、特殊法人に対する天下り等は若干でも規制されると考えているんですけれども、大臣の御見解を承りたいと思います。

片山国務大臣 特殊法人改革につきましては、昨年十二月に閣議決定されました行政改革大綱にのっとって思い切った見直しを進めていくということで、これは行革担当大臣が任命されまして、最初は橋本担当大臣がやっておりましたが、小泉内閣で石原担当大臣にかわりまして、現在、鋭意作業中でございますが、その中で天下り問題への対応もしかるべくやっていく、縮減を含めてこの問題を整理していく、こういうことで現在取りまとめておりまして、特殊法人をどうするかについての基準的なものを近々にまとめるのではなかろうかと私は聞いております。

 いずれにせよ、総務省も特殊法人の調整の任務もございますので、石原改革大臣に全面的に協力して、連携をとりながら問題の処理を進めていきたい、こういうふうに思っております。

東(祥)委員 与党の中で議論をされているところによれば、特殊法人を原則廃止という形になっていないわけですね。まだ五年以内の間にどういうふうにするかという、日本の与党の政治の得意わざですけれども、とにかくやるんだ、言葉だけでやるんだということで、基本的な中身を詰めていない。ぜひ短い間に原則廃止というちゃんとした原則を詰めていただいて、そしてやっていただくことを心から望んでおきます。

 直接総務大臣の所轄ではないわけでありますけれども、あっせん利得処罰法の改正について若干言及させていただきたいというふうに思っているんですけれども、この現行のあっせん利得処罰法の対象者について、そもそも現行法及び旧野党案に共通する法案の趣旨というのは、国会議員を初めとする政治家等の道徳性及びこれに対する国民の信頼を得るとともに、被あっせん公務員が行う公務の公正性に対する国民の信頼を確立することにあった、このように私は理解いたしているわけですが、旧野党案では、処罰対象者は国会議員それから首長、地方議員、国会議員の公設秘書及び私設秘書としているわけでありますけれども、現行法では、国会議員、首長、地方議員、公設秘書となっていて、いわゆる私設秘書が対象外となっているわけであります。これでは、極端なことを言えば、あっせん行為はすべて私設秘書にやらせればよい、ばれたとしても、秘書が勝手にやったことです、私の監督不行き届きでしたと謝ればよいということになる。

 そういう意味で、あっせん利得処罰法には決定的な欠陥があるのではないのか。旧野党案で定義した私設秘書も含めるべきである、このように私どもは主張させていただいているんですけれども、総務大臣のこの点についての考え方を教えていただければと思うんです。

片山国務大臣 この問題は、先ほども御答弁させていただきましたが、各党各会派において相当議論をして詰められて、最終的には国会の御判断で現在のような範囲になったわけでありまして、私は、先ほども申し上げましたが、特に法律を所管しているわけでもありませんし、そういう意味では、各党の最終的な国会での御判断が、それはそれで適正なのかな、こういうふうに思っております。

東(祥)委員 大臣、個人としてはどのように思われますか。別に僕は揚げ足をとるつもりはありませんから、いかがですか。

片山国務大臣 個人としての意見というのは、私は両論あるのかな、こういうふうに思いまして、それぞれの考え方に一長一短がございますので、今の案の方が、現行法の方が、これはこれでいいのかな、こういうふうに思っております。

東(祥)委員 両案あるならば、ちょっと両案の考え方を聞かせてください。政治家の先輩ですから、いろいろと、私設秘書を入れればこういう問題があるんじゃないのか、私設秘書を入れなかったとしても別に我々が危惧しているそういう問題にならないんじゃないのか、そういう意味ですね、両案あるというのは。どうぞ。

片山国務大臣 私は、この問題を深く研究いたしてもおりません、見識もありませんけれども、私設秘書というのはあくまでも私設でございまして、そういう私設のものを公のいろいろな仕組みの中に組み込んで、それを例えば処罰するとかなんとかというのは、法律の建前、あるいはそういうことを処罰する構成要件、その他いろいろな問題から見て、うまくいくのかな、こういう感じを持っております。

東(祥)委員 でも、現実に、例えば自分自身の例でいけば、公設の秘書三人と、あと数人私設秘書を抱えているわけですね。アメリカの上院みたいな形で二十数人の公設の秘書を雇える、そういう形であるとすればそれはいいわけですけれども、日本の政治というのはそういうふうになっていないわけでありまして、日々の地元のいろいろな諸問題に対して対応していくためには、私設も公設もなく、当然、それに対して対応していかなくちゃいけない。つまり、私設であろうが公設であろうが、一つの、私でいえば東事務所の仕組みの中でみんなが一体となって動いていく、こういう形になっているわけですね。

 そうしたときに、私設、公設も別に区別する必要はないのではないのかというふうに私は個人的には思っているわけですけれども、そこへ何で私設というのを入れていないのか、こういうふうに素朴に思うんですけれども、人生の先輩であり、政治家の先輩ですから、この点についていかがですか。

片山国務大臣 この問題で委員と私がいろいろ問答を重ねてやりとりをするのもいかがかと思いますけれども、公設秘書というのは、法律で認知されて、それ相応の待遇もあり、責任もあるものでございまして、範囲も確定いたしておりますけれども、私設秘書というのは、どういう形で何人お雇いになろうが、伸縮自在ですね。しかも、法律の根拠もございません。こういう私設秘書を対象に刑罰を与えるということの、法律の刑罰としての構成要件、その他のいろいろな問題がクリアできるのかな、これは素人ながら素朴に考えているわけでございまして、それ以上の深い考えがあるわけではありません。

東(祥)委員 法務省に伺いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、現行法では私設秘書が対象外、つまりあっせん利得処罰法の対象外となっているわけですけれども、これはある意味で、あっせん行為というものが行われたとしても、すべて私設秘書にやらせておけば、まさにこのあっせん利得処罰法にひっかからない形で運営されていってしまうのではないのか、このように私は危惧いたしているのですけれども、法務省として、この点について、いかがお考えでありましょうか。

古田政府参考人 ある罰則の構成要件をどのように定めるかという点につきましては、これはその罰則を設ける趣旨から、おのずといろいろなお考えがあって、それに従って決められるものだと考えるわけでございます。法務当局といたしましては、実際には捜査当局でございますけれども、そのようにして定められた罰則について、その趣旨に従ってこれを運用していくというのが責務でございます。

 そういう点から、私どもの立場から申し上げますれば、いろいろな御議論があって、やはり法律の趣旨からしてこのような形にされている、その趣旨を踏まえて、その罰則を適切に運用していくということでございます。

東(祥)委員 刑事局長というのは極めて頭がよくて、あくまでも立法されたものに従って、私たちはそれを踏まえた上で行動しますということだけを長々とあのように言われたのだろうというふうに思うんです。

 刑事局長がお答えにくいかもわかりませんが、副大臣でも構いません。

 要するに、ここに私設秘書を入れていない。それは国民から見れば、法的な体系だとかそういうことはよくわからない。東事務所で全部動いているとするならば、公設であろうが私設であろうが、それは全然わからないわけですね。そうすると、ここに私設秘書が対象外になっているということは、国民から見るならば、またあしき意図を持った政治家がいるならば、私設秘書に任せておけばいい、そしてまた私設秘書が表に出ていたとして、そしてその中身に関して東事務所がかかわらないような形でやっておけば、この罪から免れる、こういうことに当然なるだろうと素朴に私は思っているのですね。この点についてどうですか。

遠藤(和)副大臣 私も同じような考え方がありまして、この席で、そのときは質問者でしたが、質問をいたしまして、そのときの答弁が、会議録がございますので、若干申し上げたいと思います。

 要するに、このあっせん利得処罰法という法律は公務員に対する法律である、そういうふうに整理をいたしまして、私設秘書は公務員ではないので除外した、そういう答弁者の答弁でございました。そして、なお私が、議員の意を体して私設秘書が行為を行った場合はどうなるんだと聞きましたら、それは議員自身が処罰の対象でございます、こういうことでした。それから、議員と共同正犯で行為をした場合はどうなるんだといった場合は、その場合も共同正犯として、刑法六十五条でございましたか、私設秘書自身も罰せられます、こういう答弁があったと記憶しております。

東(祥)委員 そういう答弁はあったのですけれども、遠藤副大臣はどのように思われますか。つまり、私設秘書を対象外にしているのですけれども、こうなると、ある意味で逃げられる要素というのが出てきている。ただ単に、国民からどのように見られるかということのみならず、国会議員に、本来ならば見識とまた道徳性が高い政治家がその地位についていなくちゃいけないわけですけれども、日本の政治を見たときに、必ずしもそういうふうに言えないという側面が多々ある。であるとするならば、まさに政治家みずからが、その政治家の道というものを追求していく上で、ちゃんとした法律を我々自身でつくり上げていかなくちゃいけないわけですね。

 だから、そうしたときに、どうして私設秘書を入れることに関してそれほど抵抗されるのか。与党の中にいらっしゃるわけですから、公明党の立場として、まさに現行法を改正してこういう私設秘書を入れたらいいじゃないか、こういうふうに言うことに対してなぜ反対されるのですかということを僕は聞いているのです。

遠藤(和)副大臣 私は、そのときの質問で答弁者の答弁に納得いたしましたものですから、賛成をしたわけでございます。

 その状況はどういう状況かといいますと、まず、私設秘書が国会議員と意思を通じてやった場合は、国会議員が処罰されますということですね。そしてまた、共同正犯ということもありまして、私設秘書自身も処罰の対象になる。この私設秘書が単独で自分の意思でやった場合のみ、これは処罰の対象になっていませんね。私設秘書であるということでやったことはこのあっせん利得処罰法の範疇には入っていないわけでございまして、その御議論はあろうかと思いますけれども、事は、要するに国会議員自身のあっせん利得を処罰するという意味でつくった法律でございますから、その大きな趣旨というのは貫かれている、このように理解をしているところでございます。

東(祥)委員 では、そうであるとすれば、別に公設秘書を入れなくたっていいじゃないですか。

遠藤(和)副大臣 公設秘書は、国民の税金を報酬という形でいただいている国家公務員でございますから、これは国会議員と関係なく、自己の利益のために行っても、これは公務員としてあるまじき行為をしたということでございますから、処罰の対象にする、これは当然のことでございます。

東(祥)委員 一見正しいように聞こえますけれども、国家公務員というのは基本的に試験を通過して採用されています。残念ながら、幸か不幸かは別として、国会議員の秘書というのは、例えば遠藤副大臣がだれかからこの人を入れてくださいと言われたとしても、最終的にそれを雇う方はだれかといえば、遠藤副大臣個人ではありませんか。したがって、通常言われているそういう国家公務員とは全く別の次元にいるわけですよ。給与それ自体は税金から流れてくる問題でありますけれども、まさに雇用者は遠藤副大臣それ自体じゃありませんか。

 そういう意味においては、全く私設秘書と同じだと思うんですけれども、いかがですか。

遠藤(和)副大臣 公設秘書の皆さんもきちっとした特別職の公務員でございまして、その採用につきましては、確かに議員個人の判断ということがあるわけでございますけれども、身分といたしましては、きちっとした特別職の公務員でございます。

東(祥)委員 いや、それはそのとおりであって、ただし、僕が申し上げているのは、公設秘書と普通の国家公務員とは違うでしょう、特別国家公務員であることはそれはそのとおりですと。したがって、だれが任用しているのか、だれが雇用しているのか、採用しているのか、それはその国会議員自身が決めていることでしょうと。

 だから、そういう意味においては、まさに公設秘書であろうが私設秘書であろうが、例えば東事務所でいくならば、それぞれに役割分担を与えて、公設であろうが私設であろうが、そこには関係ないではありませんか。

 例えば、遠藤副大臣のところでは、公設秘書と私設秘書というのは仕事を分けているのですか。いかがですか。

遠藤(和)副大臣 公設秘書のお給料は国民の税金からいただいているわけでございまして、私設秘書はそうではございません。全く、国民に対して奉仕をするというのが公務員の仕事でございまして、大きく違っていると思います。

東(祥)委員 何が違うんですか。お金が出てくるところが違うという、それだけでしょう。やっていることは、役割分担というのは違うんですか。

 例えば、副大臣のところは私設秘書はいらっしゃいますか。

遠藤(和)副大臣 おります。

東(祥)委員 公設秘書と私設秘書というのは、仕事の内容が違うんですか。

遠藤(和)副大臣 私のところは、私設秘書は大変少なくて、女性一人でございますから、当然、ほとんどの仕事は公設秘書の人にしていただいているということでございます。

東(祥)委員 そうしますと、要するに、私のところというのは何人か私設秘書がいます。公設とほとんど区別ない、そういう形でもってやっています。当然、副大臣言われるとおり、これは、私が国民のためにちゃんと仕事をしている、そういう前提で公設秘書にやるべき仕事をしてもらっています。同じように、それだけでは足りないので、私設の秘書をちゃんと雇って仕事をさせているわけです。基本的に、そこには違いがありません。

 そうしたときに、まず、東事務所として仕事をしていった場合、万が一、うちの事務所に限ってそういうことはないと思いますけれども、もしうちの秘書が地位を利用して何か陳情事を解決してあげて、それの報酬として利を得るとするならば、これは罰せられる。それは、公設の秘書がやったから罰せられるというのみならず、私設の秘書がやったとしても同じように罰せられなくちゃいけない。当然の理だと私は思うんですよ。

 これに対して、今副大臣は、前のこの議論をしているときに、私設秘書が対象外となることに対して十分説得されたということは、僕には全くよく理解できないんですけれども、それはおかしいんじゃないのかというふうに思うんですが、いかがですか。

遠藤(和)副大臣 何度も繰り返しますけれども、この法律の主たる目的は、公職にある国会議員並びに公務員たる公設秘書に対してあっせん利得を処罰するという法律でございます。したがいまして、その他の私設秘書の皆さんを対象にしていないけれども、国会議員が私設秘書に命じて違法な行為をさせた場合は国会議員みずからが処罰される、あるいは国会議員と同意して正犯で犯罪を起こした場合は共同正犯として私設秘書も処罰される、こういう法律の仕組みになっておりますから、今回、このあっせん利得処罰法というのは正しい選択であると私は賛成した次第でございます。

東(祥)委員 いつまで議論していてもよく理解してもらえていないんだろう、理解していても理解したくないのかわかりませんけれども、国会議員あるいは公務員だけじゃないんですよ。国会議員が動くということは、国会議員を頭にする一つの事務所全体でもって動くんですよ。そのときに、特別公務員である公設秘書と、そして税金からいただいていないわけでありますけれども私設秘書、そこには区別がないとするならば、あくまでも国会議員を頭にして、公設であろうが私設であろうが、そこには線引きというのは引けませんね。今副大臣が言われるような枠組みからいかれるならば、それはそのとおりです。しかし、そこからは離れてしまいますね。同じ仕事をしている人間がいたとしても、そのような前提をつくることによって全体像をカバーできなくなってしまいますねということを申し上げているのであって、それが理解できないとなるならば、もうそれは一つの、この問題に対しての見方が違うというふうにとらえなくちゃいけないんだろうと僕は思います。

 では、その上で、さらにお聞きさせていただきますけれども、請託の有無及び地位利用の有無について、現行の刑法百九十七条の四、あっせん収賄罪では請託を受けることを犯罪の構成要件としているため、実際問題上、通常は密室で行われる請託を立証することは、何度か立証されているわけですけれども、極めて困難、難しい。その結果、あっせん収賄罪が適用されることはほとんどなかったのではないのか。そういう意味で、この現状及び問題点を踏まえた上で、旧野党案は、このようなあっせん収賄の犯罪行為を立証しやすいように、犯罪の構成要件から請託を外しているわけであります。

 あっせん利得処罰法における犯罪の構成要件から請託を外すべきである、このように私は思っているんですけれども、この点について、大臣あるいは副大臣、いかがお考えですか。

遠藤(和)副大臣 法律を審議したときは非常にクリアカットに議論をさせていただきまして、今突然のお尋ねでございますから、そのクリアカットの部分が十分に出てこないかもわかりませんけれども、請託というものを条件にしたというのは、やはりきちっと請託があってあっせんが始まるわけですから、請託がないものについてあっせんのしようがない。ですから、あっせんの出発点として請託があったということをきちっと立証しなければ、これは刑事訴追としても大変難しい問題になる、こういうことで請託というものを明文化して、それを条文の中に入れた、こういう記憶をしております。

東(祥)委員 そうすると、今は、自分たちが言っていた請託を構成要件から外すことはおかしいというふうになっているんですか、副大臣になられてから。

遠藤(和)副大臣 誤解がないように申し上げますけれども、その当時、私どもは法案を出していた方でございますから、法案に対して私は与党質問をしておるわけでございますね。ですから、当然、私自身としても、あっせん利得処罰法については請託というものを条件にすべきである、こういうふうな認識は持っているんですが、この法案に反対している方々の中には、そういうことは外すべきであるという議論があるけれども、そういう議論に対して提案者はどういたしますかということを質問として聞いていると思います。

東(祥)委員 法務省に伺います。

 要するに、法務省という法を執行する、また法に基づいて捜査する、そういう立場に置かれる人々にとってみれば、やはり立法の内容それ自体が、あるいはまた基準それ自体が明確でないと動きづらいということを十分承知の上で申し上げますが、請託というものを外した上で、例えば国会議員がその地位を利用して金銭の授受を受ける、あるいはまた物品の授受を受ける、接待の授受を受ける、あるいはまた条項等のそういうものを受けるとする。そうしたときに、別に、請託というものを外したとしても、そういうものが行われた時点でもってあっせん収賄罪が確定するんですよということにしておけば、捜査上問題はなくなるのではないのかと私は単純に思うんですけれども、いかがでしょうか。

古田政府参考人 構成要件をどのように定めるかということは、先ほども申し上げましたとおり、罰則を設ける趣旨から、おのずと定まってくるわけでございます。

 ここで請託ということを要件としておりますけれども、これは現行刑法上も請託を要件としているわいろ罪は相当数ございます。これにつきましても、それぞれ相応数の検挙はされているわけでございます。もちろん、請託というのが一般的に、それがあることによって立証事項がふえるということは事実と思いますが、個々の事件で実際にそれがどうなるかということは、その事件ごとに違ってくるわけでございます。

 ただいま御指摘のようなお考えにつきましても、やはりそれは同じようなことになろうかと思う次第でございます。

東(祥)委員 次に、第三者に対する供賄について、政治家等の場合には、個人以外にも、資金管理団体、政治団体、政党支部などの寄附を受けることが可能な団体を持っており、いわばわいろなどを合法的に見せかけて受け入れることが可能な第三者が存在しているわけであります。そのために、第三者に利益供与の要求、約束をしたときも、本人がわいろを受けたときと同様に処罰する規定を置く必要があり、旧野党案では、第三者の対象を、法人、法人格のない社団、財団、公職者等の親族、公職者等が所属する政党本部及び支部、資金管理団体、後援会等も原則として含まれると明快に定義していたわけであります。

 しかし、なぜか現行法では第三者供賄処罰を法律に明記していない。かくも重要な第三者の定義を解釈として含ませるだけで法律上明記しないということは、立法の原則に照らし合わせても大きな問題があると思われるんです。

 この第三者の定義を現行法に明記すべきであると私は思っているんですが、遠藤副大臣、いかがでしょうか。

遠藤(和)副大臣 平成十二年ころのことを思い出しながら、今記憶を鮮明にしているんですけれども、この第三者供与を明文しなかった理由といたしましては、当時の答弁者、これは公明党の久保さんなんですけれども、私の質問に対して答えているんですね。それは、実質的に政治家が支配をしている団体等に供与があった場合は、第三者という明文規定を置かなくても政治家自身が財産上の利益を得たと認定することができる、こういうことでございまして、特別に第三者としての規定を明文しておりません、こういう答弁があったように記憶をいたしておりまして、私はそれで納得をいたしております。

東(祥)委員 次に、対象者の行為についてでありますけれども、現行法では、対象となる行為については契約の締結と行政処分に限定しているため、行政計画や予算案の作成それから各種の制度改正の検討過程などにおけるあっせん行為は対象外となっているわけであります。

 しかし、現実には、あっせん行為は先ほど述べた行政計画や予算案、制度改正等の作成過程に行われることも少なくないため、法の趣旨、目的を明確にするためには、対象者の行為を契約の締結や行政処分に限定せず、想定されるあらゆる場面での行為、すなわち職務に関する行為全般に拡大する必要があるんではないか、このように思うんですが、総務大臣いかがですか。

片山国務大臣 議会が中心で、国会が中心でおつくりいただいて、この法案の所管は法務省でございますので、私が私見を交えていろいろなことを言うのはいかがかなと本当に思いながらあれいたしておりますが、基本的には、契約や行政処分というのははっきり形をとるわけでありますが、予算をどうするとか計画をどうするかというのは、いわば統治行為ですね、高度の政治的な。こういうものにかかわるからということで司法が乗り出すことはいかがかな、こういう感じを持っております。一般論でございます。

遠藤(和)副大臣 契約と行政処分に限定した理由は、政治家というのは政治活動の自由があって政治家の役割が果たせるわけですから、その政治活動の自由をこの法律で束縛するのは本末転倒するわけでございます。政治活動の自由を保障した上で、かつあっせん利得の処罰を厳格にする、そういう意味で、行政の中でも処分とか契約とかいう形に限定をした、こういうことでございます。

東(祥)委員 だから、おっしゃられるとおり、本当に政治家が政治家としての仕事をやっていく限りにおいてはそのような問題が起きないはずなんですが、現実においては、それほど理想的な政治家が日本にはいない。したがって、枠をはめていかない限り無理だ。

 したがって、この場合でも、ただ単に、契約の締結あるいはまた行政処分というふうに限定することなく、職務に関する行為全般、こういうふうにやっていたとしても、本来の政治をやっている人であるならば全然問題ないでありませんか。であるとするならば、そのように職務全般というふうに書いたとしても問題ないのではないのかと私は思うんですが、いかがですか。

遠藤(和)副大臣 法律というのは、一回制定をしますと、自分で歩くことができます。したがいまして、やはりそうした東さんの、政治家は本来善意に基づく行為を行うべきであるという認定のもとにすべての行為をその対象とできるような法律にすると、今度は逆に、捜査当局が強権、大きな権力を持ちますと、当然恣意的な法の運用ということが考えられるわけでございますから、法律は限定的にかつ客観的にそれをきちっと担保できるような仕組みにした、こういうことでございます。

東(祥)委員 次の問題に行きます。

 自公保の三党合意では、衆議院の選挙制度について、平成十二年国勢調査を踏まえ、衆議院の現行選挙制度の見直しについて早急に結論を得るとなっているが、これほど怪しい合意はない、このように私は思います。

 つまり、現在、衆議院選挙区画定審議会が、昨年の国勢調査人口に基づいて、衆議院小選挙区の区割り画定案について検討を進めております。言うまでもなく、一票の格差是正は民主主義の根幹にかかわるものでありまして、厳正に改正することが重要でありますが、三党合意では、格差是正についてではなくて、衆議院の現行制度の見直しについて早急に結論を得るとしている。三党合意の際に、現行の衆議院小選挙区比例代表並立制度を廃止し中選挙区を基本にした選挙制度に戻すという話し合いがあったともうわさされておりますけれども、これが事実であるとすれば、ゆゆしき事態であると私は思っております。

 これは、総務大臣あるいは副大臣、もしこの点について私の理解が間違っているとすれば、そんなことはありません、あくまでも一票の格差を是正することがこの三党合意で盛られているんですということであるならば、私の懸念は吹っ飛ぶんですけれども、この点についていかがですか。私の理解は間違っているんでしょうか。

片山国務大臣 私どもの方の選挙区画定審議会は、御承知のように、昨年出ました国調の結果によって、ことし一年をかけまして法律に基づく区割りの見直しをやるということで、今粛々と作業をいたしております。

 中選挙区から現在の小選挙区比例代表制度になりましたのは、各党各会派の大変な議論を経てできたものでございまして、今の結論になったわけでありますが、選挙制度については百点満点のものはございませんので、常によりよき選挙制度ということで各党が大いに議論をされる、こういうことは私は一向に構わないと思います。

 いずれにせよ、各党各会派の議論の上で国会において適正な結論を出して、国会によって最終的に決めていただく、こういうことでございまして、私どもの方は決まったものについての管理、執行を適正に行うというのが任務でございますので、我々は、現行の制度を建前にすべてをやっていく、こういうことであります。

東(祥)委員 副大臣、何かありますか。

遠藤(和)副大臣 私どもは、現実の選挙制度に則してそれを実行するという役割を担っているわけでございまして、今総務大臣がおっしゃったとおりでございます。

 今後の選挙制度をどうするかというのは、これは各党各会派が御議論をいただく問題であると認識をしております。

東(祥)委員 衆議院の定数を決定しているのが人口基準である以上、四十七都道府県に自動的に一議席配分されるという基礎配分は廃止すべきと考えております。さきに、この点についても総理大臣が明確に言及されていたかのように理解しておりますけれども、この点については、総務大臣、いかがお考えですか。

片山国務大臣 現在の小選挙区比例代表並立制導入の際に、小選挙区の各都道府県の定数配分については、これも大議論があって、国土の均衡ある発展という観点もあるんでしょう、定数一を基礎定数として各都道府県に配分した後、人口に比例配分する、こういう案になったように私は承知いたしておりまして、この問題、これまた皆さんそれぞれの御意見があると思いますが、最終的には、各党各会派によって十分御議論の上、結論を出していただく問題ではなかろうか、こういうように思っております。

東(祥)委員 総務大臣個人のお考えは、どういうふうに思われているのですか。

片山国務大臣 これまた所管の大臣でございまして、私は、この場合は個人としての意見はございません。公人としての総務大臣の意見しかございませんので、私の意見を言うことは差し控えたいと思っております。

東(祥)委員 これは一般論ですけれども、もちろんおっしゃられるとおり、大臣というのは広く万機公論に決すべしなんですが、他方において、やはり自分自身はこういうふうに思っている、これからの日本の政治はそういうふうにしていかなくちゃいけないのじゃないですか。私はこういうふうに思います、しかし皆さん方の意見はちゃんと尊重します、それはちゃんと多数決でやりましょうということなんじゃないでしょうか。

 そういう意味で、いかがですか、大臣のお考えとして。

片山国務大臣 先ほども言いましたが、この問題は両方の考え方があるのですね。常に私は両方の考え方があると思っておりまして、持論なんですけれども、真理は中間にありというのが私の基本的な考え方でございまして、この問題も、こっちが正しいという、皆さんのいろいろな議論の過程で意見を集約されるのが私はベターではなかろうか、こういうふうに思っております。

 それぞれのおられるところの自分の背景、立場ということについての配慮も当然あるでしょうし、その点、先ほども言いましたが、所管の大臣でございますので、ひとつ、私の個人的見解と言われましても、それは御遠慮させていただきたいと思います。

東(祥)委員 時間前でございますが、終わります。どうもありがとうございました。

中馬委員長 吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 この委員会は、名前のとおり、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会ですから、政治倫理の確立という点で、何といっても、まず今問題になってくるのはKSD汚職の問題ですね。これはきちんとしていく。

 KSD汚職の核心というのは、一つは、中小企業経営者の共済掛金を食い物にしたという問題であること。二つ目には、幽霊党員をつくり、党費名目で自民党に多額の金が流れたということ。それから三つ目に、村上正邦元議員らが金で質問をつくったり圧力をかけたということや、監督官庁からはKSDが天下り先に行っておったり、KSDは自民党に金を出し、選挙をやる、まさに政官業癒着の典型的パターンを示したというところに問題の核心があると思うんですね。だから、KSD問題の徹底解明と、KSD型の政官業癒着を根絶することが今の一番大事な課題だというふうに思うわけです。

 片山大臣の担当していらっしゃる分野でいっても、政治資金規正法に基づく自治省、現総務省への届け出がされた書類の中身が今度問題になってくると思うんですよ。自民党において、幽霊党員と幽霊の党費収入を調べられて、それをKSDに返却するというのは、これは当然の話なんですが、同時に、大臣の担当しておられる書類上の問題ですね、幽霊の党費をKSDへ返却して届け出党費の収入額を減らすという書類修正の問題。あるいは、返却しないつもりであれば、それを政治献金として、政治資金扱いにしての届け出書類の修正を図るということでいくのかとか、やはり既に届け出ている書類についての扱いをはっきりさせていかなきゃいけない問題も、担当をしていらっしゃるところであると思うんです。

 ですから、まず大臣、自民党の幹部でもいらっしゃるわけですから、自民党として幽霊を解明されたのかどうか、それから総務省への届け出の修正などは既に行われているのか、これを最初に伺いたいと思います。

片山国務大臣 あと、選挙部長、専門家がおりますから、いろいろと答えていただきたいと思いますが、党の方の問題は、党の総裁としての総理が何度もお答えになっておりますように、党の執行部に命じて調査してしかるべき対応をとる、こういうことを答弁されておりますから、私はそういうことになると思っております。

 それから、我々の任務は、事実認定をする権限は実はないわけでありまして、こういうことでこうなりましたという届け出を受理するわけでありますが、事実認定をする権限がありませんし、実質審査の権限もありませんので、これは形式的ないろいろな書類の書き方その他を審査して受領しまして、あとは、それを一定の手続で公表して、公表することによって社会的ないろいろな審判、評価を受ける、こういうのが現在の政治資金規正法になっておりまして、我々がチェックするとか直すとか指示するとか、そういうことになっていないことをぜひ御理解賜りたいと思います。

 詳しい説明は選挙部長にしていただきます。

大竹政府参考人 自由民主党からの収支報告の訂正は、今のところまだあってございません。

吉井委員 この問題が明らかになって、国会でも随分議論されて、もう半年になるわけですね。幽霊をつくった人は既に保釈で出てきているわけですから、だから、幽霊を捕まえるのは難しくても、幽霊をつくった人に、出てきているわけだから、まず実情をきちんと聞く、そういうことは当然やれるわけですから、もう半年たっておって、まだ調査していることと思うというだけでは、これだけの大問題について本当にまじめに解明していこうという立場に立っていらっしゃるのか、こういうところが問題になってくると思うんですよ。

 ですから、実情を聞いているのかどうか、まずこれを伺いたいと思います。

片山国務大臣 先ほども言いましたように、我々が実情を聞く立場にもありませんし、これは総裁である総理がこの委員会その他で、予算委員会を中心に、あるいは本会議等で何度もお答えになっているように、そうする、こういうことでございますので、我々は、そうなるもの、こう受け取っている次第であります。

吉井委員 片山さんもずっと自民党の幹部でいらっしゃったし、参議院の大幹部でもいらっしゃったし、私もよく存じ上げております。ですから、それだけに、せめて幽霊をつくった人ぐらいとっ捕まえて、幽霊をどういうふうにしてつくったのかとか、幾らぐらいの党員を幽霊としてつくって、幾らの党費を入れたのかとか、一人一人チェックするのは書類上チェックしなきゃいけないですから、これはまた少し時間がかかるかもしれないけれども、しかし、半年間かかっているのですから、幽霊の解明ぐらいはやるのは当たり前だと思いますよ。

 その上に立って、やはりまだ届け出書類はないということですが、旧自治省、今の総務省に届け出ている書類を、いずれにしても、幽霊だということはこれだけ明らかになってきているわけですから、修正しなきゃいけないです。しかし、その修正は一切ないということですから、私は、この点では、本当に小泉内閣にKSDの解明を行う意思があるのか、中小企業家の皆さんに金を返す気があるのかということが、今本当に国民的に問われてくる問題だということをまず指摘しておいて、少し厚生労働省の方に伺っておきたいと思うんです。

 KSD問題からどんな教訓を学んでいるかという問題なんですが、KSDが豊明会や豊明会政治連盟などいろいろな関係団体、ダミー団体、ペーパー団体をつくって、そこから政党や政治家に金が流れてきた、それで政官業癒着が生まれたわけですから、監督官庁の監督がちゃんとできていなかったということははっきりしているわけです。官僚の天下りでKSDの監督は甘くなる、KSDに補助金を出すなど便宜は図るという形での癒着が生まれてきたというところが問題だと思うんです。

 厚生労働省の方で、厚生労働省が管轄している他の公益法人についても、KSDと類似の形の政官業癒着という問題、これ以上これを続けさせてはいけませんから、このKSD類似型の政官業癒着を断ち切る、こういう立場できちっと今取り組んでいるのかどうか、これを伺っておきたいと思います。

日比政府参考人 KSDの問題につきましては、今御指摘ございましたように、私ども、こういう事態を招いたというのは、結果として当時の労働省の公益法人の指導監督が十分でなかったという反省に立っております。

 そこで、これは既に私どもの大臣からも他の機会にも申し上げておりますが、公益法人の指導監督をきちんとした体制でやっていこうということの覚悟を決めておりまして、具体的に私の所管します労働基準局で申し上げますと、公益法人九十四ございますが、実は、従来は立入検査等もほとんどやっていなかったじゃないかというような御批判も受けております。その中で、十三年度にはその三分の二程度は少なくとも立入検査をする、それから、これは形ばかりのことではなくて、公益法人の経理面を含めた指導を行うためには、やはり職員の一定の研修も行って能力も身につけようということで、今年度から研修にもう入っております。また、現在、既に四月、五月で立入検査を数件ずつ実施しておりますが、今後におきましては、マニュアル化にも努めまして、きちんとした指導監督ができるようにやっていこうということでございます。

 なお、厚生労働省全体といたしましても、マニュアルといいますか、公益法人の把握すべき事項等をマニュアル化したものを用意するなどして、今後に向けて万全の体制をとろうということで、今年度、進め始めておるところでございます。

吉井委員 片山大臣の場合、所管としては総務省の分になるわけですが、ただそれだけじゃなしに、公益法人について扱っていらっしゃるところですから、KSD類似型の政官業癒着を断ち切る、こういう立場で、具体的に相当厳しい通達を出すとか指導を徹底するとかして、まずこの癒着を断ち切る具体的な行動というものが大臣の立場で求められていると私は思うんですが、その点、大臣に伺っておきたいと思います。

片山国務大臣 御承知のように、中央省庁再編の中で、公益法人の指導監督権は各大臣にあるわけですね。その指導監督の取りまとめ、調整を私どもの方がやるようになっておりまして、御指摘のように、KSDの問題等がございますので、本年の二月九日に、指導監督の責任体制の確立と、今お話がありましたが、立入検査の確実な実施、一定規模以上の公益法人に対しましては外部監査をやれ、こういうことの通達を出したわけでありまして、しかも、それは最終的には各省庁の申し合わせにいたしました。

 そういうことをやりながら、今御指摘のような点をきっちりやっていくとともに、これは行政改革担当大臣の方で、国所管、政府所管の公益法人について総点検をやる、こういうことで総点検をやりまして、そのうち幾つかの公益法人については、さらに各担当の大臣がそれぞれ、総点検の結果をこれからのあれにどういうふうに生かすかということで、現在検討されているというふうに聞いております。

吉井委員 政官業癒着という問題については、断固とした立場で臨みますね。重ねて伺っておきます。

片山国務大臣 よく政官財癒着ということが言われますが、私、実態は必ずしも定かでありませんが、それぞれの公益法人はそれぞれの公益法人としての設立目的があるわけでありますから、それに従ってしっかりやっていただく、こういうことでございます。

吉井委員 KSD型の癒着、こういう政官業癒着については本当に断固として排除するということをやっていく、この基本姿勢が今まず一番大事だと思っているんです。

 それで、KSDは法律上はもちろん公益法人で、その活動は、民法上の規定やら定款とか、それに基づく出資など、きちっとしているわけなんですが、同事業団の会員の利益の増進のために建議をすることとか、あるいは政府や国会に、もちろん、国会を構成する自民党から民主党から自由党から日本共産党からと、ずっと各党に陳情に来られる、請願に来られる、そういう政治活動の自由は当然のことなんですよ。

 ただ、そこでよく混同があるんですが、その政治活動の自由の問題と、しかし、特定の政党や候補者の選挙活動のために政治献金をすることとか、まして、国の補助金を得て事業を行う法人が特定の政党へ政治献金やったり、幽霊党員をつくって党費名目で献金するなどといったことは、これはできないんですよ。

 だから、その政治活動の中身をきちっとしなきゃいけないわけで、どうも、最近の議論を聞いていますと、一緒くたにしてしまって、公益法人も政治活動の自由ありということで済まそうとするんですが、そうじゃないんですね。定款等に基づいてできる政治活動の部分、それからそれはできないという部分、そこがあるので、KSDでいえば、KSD本体と別に政治団体をつくって、そのKSDがKSDのその政治団体に政治献金する、これはできないんですよ。

 そういうことをきちっと仕分けをするということが、この今回のKSDの問題から、やはりはっきりさせておかなきゃいけない大事な点の一つだと思うんですが、大臣、これはそういうことでいいですね。

    〔委員長退席、細田委員長代理着席〕

片山国務大臣 これは委員自身も言われましたように、公益法人の政治活動につきましては、公益法人であること自体により禁止されるものではないわけですね。これをどうするか、議論はあるんですよ。議論はありますけれども、例えば企業や労働組合や公益法人その他の団体についてどう扱うかという問題とも全部絡んでおりまして、これは現在のところは、その辺の十分な考慮の必要があるということで、公益法人は政治活動ができる、政治活動ができる中には政治献金もできる、こういうことになっておるわけでありますけれども、先ほども言いましたように、公益法人はそれぞれの設立目的がある、適正な業務の範囲というものがありますから、そういうことに沿った運営でなければならない、これが基本的な考え方であります。

吉井委員 公益法人で国等から補助金を得ているところが、そこがそれぞれの政党に、自分のところの設立目的、定款に定める目的に基づいて建議をする、陳情、請願をする、それは当然の政治活動の分野なんですよ。しかし、その働きかけに対して、政治献金という形で金を渡すとなりますと、これは全く違う話になるんですよ。これは政治買収と同じ問題が出てきますから、そこはきちんとしなきゃとんでもない話であって、まさにそこをあいまいにしてやってきたことがこのKSD汚職の最大の問題なんです。だから、そういう点で、この政官業癒着を断ち切る、そうきちっとやっていくということであれば、政治活動の範囲というのはそういう範囲なのであって、目的達成のために政党その他に政治献金をする、金を渡して、いわば政治買収をするというふうなことになったら、これはとんでもない話なんです。

 だから、そこをきちっとしなきゃいけないということが、私は、今回の、KSDが政治資金のトンネル団体としてKSD豊明会をつくる、豊明会中小企業政治連盟をつくって、会員にそれらの団体に入会を強制することも、会費の徴収をすることも、もちろん、幽霊会員をつくって、本人の意思に反して、本人が知らない間にKSDが会費を支払うなどということは、これはできないんですよ。そこのところをきちんと仕分けをしておかないと、これはだめですよ。

片山国務大臣 言われるように、補助を受けますと、その受けた年度は献金できませんし、出資を受けている間は、その期間できない、これはこういうように法律上なっております。

 それから、幽霊党員につきましては、私どもは、先ほども言いましたように、幽霊党員そのものの事実認定をする権限が一切ありませんから、何が、どういうのが幽霊的なのか定かでありませんけれども、ただ、党員になるべき人の全く承諾も得ずに党員として届け出て党費を払う、こういうことがよろしくないということは、私も予算委員会その他で何度も申し上げております。

吉井委員 次に、公益法人と政治連盟の関係です。

 これは、牛島税理士訴訟最高裁判決などで割ときちっとしたあるべき姿はもう示されておるわけですよ。公益法人は、今も言いました陳情、請願、建議、こういう政治活動の自由は当然あるわけですが、特定政党への政治献金の自由というのはないんです。その政治献金のために、会員の意思に反して税理士政治連盟の特別会費を徴収することはできない。公益法人についての基本というのは、このとおりですね。

大竹政府参考人 先ほどからお話にございますように、公益法人であるからこそ、それについての特段の法律の規制を置いていないわけでございますけれども、ただいま御指摘ございました税理士政治連盟の問題につきましては、裁判の中で、税理士会との関係におきまして強制にわたってはいけないという規定が入っているわけでございます。これにつきまして、法律の規定ではございませんけれども、税理士会あるいは税理士政治連盟、そういったもの相互の関係における判断のもとにそれぞれの判断がされているもの、このように考えております。

吉井委員 要するに、建議、陳情、請願を団体として行うことは、税理士会としてもともと可能な政治活動なんですよ。だから、別に政治連盟などの組織をつくる必然性はない。それなのに政治連盟をつくって、そこへ会費徴収を強制するというのは誤りだ。この会費の徴収に反対した牛島税理士に対して、税理士会選挙などでの選挙権、被選挙権を認めないというのは不当なことだ。これは牛島最高裁判決の最も中心的なところだと思いますが、これはこのとおりですね。

大竹政府参考人 ただいま平成八年の判決の関係であろうと思いますけれども、税理士会につきましては設立が義務づけられておりまして、かつ強制加入の団体でございます税理士会でございますことから、これは政治団体に対する政治献金につきまして、税理士会の目的の範囲外の行為である旨判決された最高裁の判決であると承知しております。

吉井委員 要するに、私の言ったとおりなんですよ。

 それで、次に伺っておきますが、日本医師会と日本医師連盟について、特別徴収四億円、開業医一人当たり一万円相当の徴収、これはマスコミ等でも紹介されておりますが、個別に見ていきますと、広島県医師会、富山県医師会の自民党費特別徴収問題など報道されたりもしておりますが、まず、この事実について、厚生労働省から報告を求めたいと思います。

伊藤政府参考人 六月七日付の朝日新聞の記事のことだと思いますが、この記事は、政治団体である日本医師連盟が会員から選挙資金を徴収している、こういう記事でございます。

 厚生労働省といたしましては、公益法人である日本医師会につきまして公益法人の所管官庁としての指導監督を行っているところでございますが、御指摘の新聞記事につきましては、政治団体である日本医師連盟の活動に関するものでございまして、厚生労働省としては本件新聞記事の事実関係を把握する立場にございませんので、事実関係は把握しておりません。

吉井委員 さっき、政官業癒着については断固として臨むというお立場も示されたのかなと思ったんですが、えらい変な話ですね。

 広島県医師会の速報というのがありますが、広島県医師会長真田幸三さんが「参議院選挙対策のための特別会費納入のお願いとお知らせ」というのを出しておられます。「かつての全国区方式に似て、候補者の名前を書いていただく為に大量の資料作成や全国的な選挙活動の展開を必要とし、選挙費用の増加が予測されます。」そこで、比例区の武見さん初め地方区の日医会員の立候補も予定されているからということで、特別会費の納入についてお願い申し上げることになった。一人当たり一万円以上、会費ですね。「尚、平成十三年二月分診療報酬より各一万円引き去りで納入させて頂きますことをお許し願います。」

 こういう文書がいっぱい出ているじゃないですか。関知しないで済むんですか。

伊藤政府参考人 御指摘の点につきましては、三月十五日に共産党の小池晃議員の御質問がございまして、その指摘を受けまして、私ども厚生労働省といたしましては、広島県に対しまして、広島県医師会に対しまして指導を行ったところでございます。

 御指摘のように、広島県の医師会報に「参議院選挙対策のための特別会費納入のお願いとお知らせ」、そういうものを出したものでございますが、医師会の活動と政治連盟の活動はそれぞれ峻別して行われるべきであって、誤解を招くような対応の仕方はよろしくないということで、厚生労働省の指摘を受けまして、広島県におきましては、広島県医師会に対して、今後、公益法人としての活動と政治連盟の活動についてきちっと峻別するようにという指導を行ったところでございまして、その点につきましては、広島県医師会もそのようなことは今後しないというふうに報告を受けているところでございます。

吉井委員 私は、これは誤解を受けるやり方の、そういうやり方の問題じゃないと思うんですね。根本がやはり問題だと思うんです。

 富山県医師会も同様の文書を出していて、自民党に九百五万円支出したというのが、これは決算報告などでも出てくるわけですが、本来、医師会あるいは日本医師会は公益法人ですから、自民党の党費を負担するとか特定候補の選挙活動というのはできない、こういうことじゃないんですか。

伊藤政府参考人 御指摘のとおりでございます。

 公益法人たる医師会が、本来であれば政治連盟が行うような支出はしてはいけないというふうに考えております。そのとおりでございます。

吉井委員 それで、そのとおりということだけれども、広島県などではこういう指導をしたとかいうんですけれども、問題は、会長名で文書の発出で済む話じゃないですね。一人一人のお医者さんに確認をする作業をきちんと行っているのかどうか。これはどうなんですか。

伊藤政府参考人 医師会と政治連盟たる日本医師政治連盟の入会、退会、それから会費の徴収等、これは峻別して行うべきだという指導をしているところでございます。

吉井委員 一人一人の開業医にきちっとそのことを説明するということをやらないと、一片の文書を出して、そしてこれからきちんと峻別するようにしますとか、そんな話では全然だめだと私は思うんですよ。そういう話は本当に全国いっぱいあるんですよ。石川県医師会の総務課が扱っているもので、自由民主党入党申込書、こういう医師会の方でお配りになっているものとかあるんですね。

 医師会の役員さんであれ、あるいは医師会の事務局の幹部であれ、そして一般の会員医師であれ、事務局員であれ、みんな個人として政党に入党する自由もあれば、政治活動の自由もあるのは、当然なんですよ。私は、それは当然だと思っているんですよ。

 問題は、医師会長名とか医師連盟会長名を使って、医師会事務局を使い、文書の発送、金の徴収、選挙活動などを行う、こういったこと、やはり公益法人の組織を使って、あるいは利益誘導などを伴ってのそういう行為はやっちゃならない、そのことだけははっきりさせなきゃいけないと思うんですよ。これは大臣、そのとおりなんでしょう。

片山国務大臣 公益法人が政治活動をやるということは許されているんですよ。だから、特定の党を入れてくれとか、だれを応援するとかあってもいいんですよ。ただ、私が言っているのは、公益法人にはそれぞれの設立目的があって、その範囲で適正に業務をやるということが本来の建前だから、それから見て適当かどうかという議論はありますよ。やれないということじゃないんですよ。

 そこで、公益法人が政治連盟をつくって、政治団体をつくって、政治の方の関係はそっちではっきりやります、こういうことをやっているわけでありまして、そこのところを、今関係の局長が言っているように、きっちり峻別してやれ、こういうことだと思いますよ。

吉井委員 だから、大臣の話もちょっと混同しているんですよ。大臣の言っているのは、政治活動は政治連盟の方でやれるという話をあなたはしているわけで、そうじゃなくて……(片山国務大臣「いやいや、公益法人もやれる」と呼ぶ)公益法人は、あなたがさっきおっしゃったように、国から補助金をもらったりとか、そういうところは政治献金したりとかできないということをあなたも言っているわけだから。

 それで、要するに、私も言っているように、公益法人であれ、政治連盟であれ、その役員さんであれ、事務局の役員であれ、事務局員であれ、あるいは個々の会員さんであれ、みんなどの党を支持しようと構わないんですよ。私は、例えばあなたの党を支持しちゃいかぬ、そんなあほなことを言っているんじゃないんですよ。みんなそれは内心の自由の問題なんですよ。それは構わないんだ。だけれども、公益法人が国から補助金あるいは県から補助金とか受けながら特定の政党に献金をするとか、そういう活動をやっちゃならない。そのことははっきりしているわけで、それを何か、あたかもそれも全部できるかのようなことを言い出してしまうと、それはとんでもない話なんだから、そこをきっちりしないと、まさにKSD汚職のあの教訓は一体どこへ飛んでしまったんだ。政官業癒着のあの問題というのは、こういうことをきっちりしないで、そしてもうむちゃくちゃなことをやってああいう事態になっているんですから、そこをはっきりしなきゃいかぬということを私は言っているんです。

 次に、日本歯科医師会の方で日本歯科医師連盟をつくり、自民党員を獲得したという数字に見合う党費を自民党に支払うために、二十万人、八億円の借り入れをして立てかえたという問題がありますが、厚生省に報告を求めたいと思います。

伊藤政府参考人 日本歯科医師会の件でございますが、厚生労働省といたしましては、日本歯科医師会におきましては、公益法人としての活動は適切に行われているものと承知をしております。

 いずれにいたしましても、日本歯科医師会と日本歯科医師政治連盟が一体であるかのような誤解を与える行為は望ましくないと考えておりまして、こうした行為が確認されれば、私どもとしては必要な指導を行うべきと考えているところでございます。

吉井委員 日歯広報というのがありますが、日歯広報のナンバー千百十八号、これにはこういうふうになっているんですね。「日本歯科医師連盟に関するQ&A」というのがありまして、連盟を退会しようとするときどんな手続が必要ですか。これに対して答えは、日歯にとって日歯連盟は不可欠な存在であります。入会は強制していませんが、任意加入というわけでもありません。退会の条項規定はありません。あえて退会ということには、日本歯科医師会を退会することによって自動的に退会するほか方途はないと考えております。

 これはどういうことでしょうか。つまり、公益法人のその政治連盟が、今自民党の党費を出すとか選挙をするとかいう場合に、公益法人はだめだが政治連盟だったらいいというふうなことで成り立つのか。つまり、公益法人と政治連盟は不可分一体の関係にあるということがこの日歯の広報ではっきり示されているんですが、これはどういうことなんですか。

伊藤政府参考人 以前におきましては、政治連盟への加入につきまして、歯科医師会への加入と一体であるかのような運営がございまして、それで、そのこと自体が現在訴訟になっているということも承知しております。

 先般、それらの点につきまして御質問がございまして、私どもといたしましては、日本歯科医師会に対しまして、歯科医師政治連盟と日本歯科医師会の加入、退会の手続はそれぞれ別個のものであるという指導を行っているところでございまして、その点につきましては、現在におきましては、議員御指摘のような、公益法人と政治団体の入会、退会が一体のものである、そういう実態はもう解消されたものと理解をしております。

吉井委員 今もお話ありましたが、これは今鹿児島地裁で争われている内容でもあるんですね。つまり、歯医者さんも、どの党を支持しようと、あるいはどの党も嫌いという立場にお立ちになろうと、みんな自由なんです。内心の自由なんですね。これは大臣もお認めになると思うんですよ。その歯医者さんが、実は今度、日本歯科医師連盟の選挙活動、政治資金の徴収問題で、自分の意にそぐわない、それで拒否をされると、いやだめだということになるから、では、歯科医師会は退会しないけれども歯科医師連盟の方の退会をしたい、こういう話になったら、それはだめだということになってきて、歯科医師連盟退会だったら歯科医師会も退会しろ、こういうふうなことになってきて、今訴訟になってきているんです。

 鹿児島県のこの中で、歯科医師連盟の方の準備書面を見ていると、今おっしゃったように、同時入退会の原則を直接的に規定はしていないが、しかし同時入退会なんだということがちゃんと示されて、そして日歯と日歯連盟は法律上は別組織だが、いわば車の両輪、密接不可分の関係だと準備書面で言っているわけですね。だから、同時入退会の原則を受け入れればということで退会して、その結果日歯をやめさせられることになって不利益を受けても当然だということなんですが、日歯の会員であれば、低金利の融資制度の利用、医院経営、労務管理の応援、税務署問題のアドバイス、最新の医療知識の提供、保険診療情報の提供、医療トラブルに対するアドバイス、各種共済制度の提供、有利な年金制度の提供等々、数々の便宜を享受できる。

 しかし、これらは全部、厚生労働省やらあるいは県の衛生部の補助金などを含めた、まさに制度そのものなんですよ。それを、日歯の方を出ろと言われたら、厚生省とか県のそういう利益を受けられなくなる。そういう不利益処分を受けることになりますね。しかし、これが主張なんですね。

 鹿児島県歯科医師連盟への入会はもとより退会についても、県歯科医師会への入退会と同時でなければこれを行うことはできないということなども示されまして、これでいきますと、本当に、公益法人は補助金を受けている間は政治資金を出すことができない、大臣もさっきちゃんとおっしゃったとおりなんですが、しかし、まさに車の両輪、密接不可分の関係にあるこの連盟の名において、政治団体の名において同じことがやられて、嫌だと言ったらほうり出されてしまう、不利益を受ける。

 こういうふうなことはやっちゃならないというのが、牛島判決以来、公益法人というものについての考え方できちんとしているところであって、この点についても、この鹿児島での扱い、やはりこういうことをやっちゃならないとはっきりさせなきゃいけないんじゃないですか。

    〔細田委員長代理退席、委員長着席〕

伊藤政府参考人 公益法人である日本歯科医師会と政治連盟である日本歯科医師連盟は、入会、退会についてはそれぞれ別個のものであるということでございまして、そのようなことを十分指導いたしまして、その二つの団体の活動が混同されることのないよう指導してまいりたいと考えております。

吉井委員 さてそれで、問題は、歯科医師会と歯科医師連盟という政治連盟のこの関係、実態においてこれは不可分一体、そういう関係にあるということを見ておかなきゃいけないと思うんです。

 例えば学校保健医、休日当番医などになるには、医師会に入っている必要があるんですね。現場の医師会には自治体からの健康診断活動などの補助金が入っている、医師会に入っていないと個々の医師にはさまざまな不利益がある。厚生労働省は医師会を通じてさまざまな情報を伝えているという関係ですから、医師にとって医師会、歯科医師会に入らないことは非常に大きな不利益を覚悟するということになります。

 だから、実質において、この医師会、歯科医師会に入ることは、強制加入の組織と同じ実質を持っているわけですよ。任意加入の組織とは言えるような状態じゃないわけです。だから、この不可分一体の関係にある医師連盟とか歯科医師連盟とか、こういう政治組織への加入とか金の徴収、選挙の支援の強制が一般の医師に重荷になってかかってきているというのが今の問題なんですよ。

 ですから、政治連盟に入るのが嫌なら医師会、歯科医師会から退会せよとか、そういうふうなことは絶対やっちゃならない。医師会、歯科医師会に加入しないと不利益があるのはもう明らかなんですから、こういうことは絶対やっちゃならない。

 つまり、任意加入であれ強制加入であれ、公益法人は政治活動をやっちゃならないわけなんですから、その公益法人が、やっちゃならないそこが形を変えた政治団体をつくって、政治連盟をつくって、そこへ政党の会費、党費を支払う、そういう形をとることは、そのことによって会員の医師が強制されたりあるいは損なわれるということは、それをやっちゃならないというのが牛島判決の中から酌み取るべき大事な課題であるし、そこをきちっと貫いていくならば、そもそもKSD汚職のような政官業癒着なんということを規制することができるんですよ。そこをあいまいにするから問題が出てくるのです。

 私は、こういう点で、ここをきちんと、公益法人、そして不可分一体の関係にある政治連盟に対して、そういう特定政党への選挙活動をやらせるとか、入党を勧誘し党費を納めさせるとか、そういうことはやらないように、やっちゃならないんだということをやはり徹底すること、これが非常に大事なことだと思うんですが、これは大臣、どうですか。

片山国務大臣 何度も申し上げますけれども、公益法人は政治活動の自由を持っておりますし、政治献金の自由もあります。ただ、補助をもらったり出資を受けている間はできない、これは法律でそれを禁止しているわけであります。そこの基本のところは、しっかりと委員も御理解を賜りたい。

 ただ、何度も言いますけれども、公益法人はそれぞれの目的があり業務があるので、それから見て極めて不適切ということはぐあいが悪いな。こういうことを各省は恐らく指導していると思います。政治団体をそれぞれがおつくりになる、これもまた自由ですよ、それは別の手続、別の法律で政治団体ができるわけでありますから。そこは混同しないような運営をしていただければ十分だと我々は思っております。

吉井委員 補助金を受け、やっている公益法人というのは、政治活動とか規制を受けるわけなんです。そして、私が言っているのは、その公益法人の個々の構成員がどの党を支持しようと、どの党に入党しようと何しようと、これは内心の自由なんです。その内心の自由をきちっと尊重するというのが民主主義社会の原則ですから。しかし、それから外れて、本来の公益法人が、例えば請願であれ陳情であれ、何も政治連盟をつくらなくても、それはちゃんとできるわけなんですから、政治連盟という名前を使って、そこで入党とか資金集めとか、そういうことをやっていくことによってKSDのようなゆがみが出てきたのだから、これを正さなきゃならぬというのが一番大事な点であります。こういう問題がなぜ繰り返し繰り返し出てくるかといったら、やはりここをあいまいにしているからなんですよ。

 九二年の衆議院で我が党の木島議員が質問し、取り上げた問題に、南野さんという参議院の比例区候補、日本看護協会が南野候補支援後援会への入会の呼びかけというのを行って、看護協会の財政から会費相当分を支払わせていたという問題がありました。

 公益法人が特定政党や特定候補の運動を行うことは許されないということは間違いないと思うんですが、そのことの確認と、そういうことはやめさせるようにきちっと指導してきたのかどうか、これを伺いたいと思います。

伊藤政府参考人 日本看護協会に対しましては、厚生労働省としまして、公益法人としての適切な活動を行うよう指導しておりまして、現在におきましては、今御指摘のような公益法人たる看護協会と政治連盟である看護連盟との活動は峻別されているものと理解をしているところでございます。

吉井委員 これは最近の問題なんですが、秋田県が調査すると、看護連盟秋田県支部と社団法人秋田県看護協会が、九四年から二〇〇〇年の間にわたって、これが問題になったのは九二年なんですけれども、協力金要請、後援会名簿作成、協会・連盟合同研修会案内など九回にわたって連盟の文書を発送しているということがわかりました。秋田県の医務薬事課は、県の看護協会に対して猛省を促す等、重点指導をやっているんです。

 だから、結局、姿形さえ適当にしておけば、ちょっと峻別したということで適当にやっておけばいんだよ、これでやっているから繰り返し繰り返しこういう問題が出てくるんじゃないですか。これはどうなんですか。

伊藤政府参考人 私ども厚生労働省医政局といたしましては、日本医師会、歯科医師会、看護協会等医療関連職種の非常に多くの団体を所管しておりますが、特に大臣からの強い御指示もございまして、御指摘のような公益法人たる社団法人の活動と政治連盟の活動を峻別するように、特に最近強く指導しているところでございまして、今後におきましては、今御指摘の秋田県のような事例につきましては起きないものと理解をしております。

吉井委員 同じ厚生労働省で公益法人日本遺族会、直接その担当ですが、これは年間八億七百三十万円の委託費、補助金を受けているところですが、それが自民党の特定候補を公益法人として支援し、党員拡大をやらせるし、選挙での電話かけもやらせ、投票動員まで行っているという実態、自民党費まで遺族会組織が集めているということについて、これは既に参議院で取り上げておりますが、その後、どのように調査して把握していらっしゃるか、伺いたいと思います。

真野政府参考人 財団法人日本遺族会でございますが、同会の活動と日本遺族政治連盟との活動が混同されることのないように活動を行っているというふうに承知をいたしておりますが、先生御指摘のとおり、先日、これは都道府県の遺族会、知事認可の別法人でございますけれども、都道府県の遺族会の支部と思われる町村の遺族会が会費の徴収にあわせまして支持政党の党費を徴収しているという事例が明らかになりました。

 これに対しまして、ことしの四月二十六日、都道府県の遺族会を所管いたします都道府県に対しまして、所管の公益法人の活動が政治団体の政治活動であると誤解されることのないように指導を行いますとともに、日本遺族会に対しましても、この指導内容を伝えております。

吉井委員 何か都道府県のお話だけなんですけれども、日本遺族通信、これは財団法人日本遺族会、全国組織が出しているんですね。これのことしの二月十五日号では「二十一世紀最初の年 活動方針・事業計画固まる」という中で、ことし夏に行われる参議院通常選挙において、尾辻秀久本会副会長を三たび国政の場に送ることが不可欠であり、必勝を期さねばならない、選挙を中心に頑張るんだということが事業活動の中で冒頭にうたわれている。

 それから、昨年六月の壮年部の幹部研修会の中では、要するに、目前に迫った参議院選挙最後の取り組みとしてということで、やはり、本会副会長で壮年部長の尾辻秀久参院議員は、今回の参議院比例区では森田次夫候補を何としても高順位で当選させなければならない、残された期間壮年部の奮闘を願いたいということで、研修は、一つは参議院選挙対策、棄権防止に壮年部が投票所へのお年寄りの送迎など一役を担うことなど、非常に具体的な研修なんですね。

 それから、九八年七月のものでは、婦人部の代表者会議でもやはり同様に、中井澄子会長・婦人部長さんが、間近に迫った参議院選挙については新規党員初め後援会員の獲得等婦人部の皆さんには大変な御苦労をおかけいたしました、今後は名簿の高位登載を期待したいというごあいさつなど、これは単に県連段階の話じゃなくて、やはり全国組織としてこういうことをやっているわけです。

 遺族会というのは、海外墓参団を実現する唯一の公益法人なんですね。ですから、任意加入といっても、事実上入らざるを得ないようになっているのです。政治連盟といっても本体の遺族会と不可分一体というのがこの日本遺族通信でも出ておりますし、それから、県連での党費集めの話も紹介したとおりなんです、調べられたとおりなんです。ですから、本体の遺族会と不可分一体の状態であるわけなんです。

 だから、不可分一体、つまり海外墓参団実現という問題でそこに頼らなきゃいけないこととか、だからこそ、ここには遺骨収集等派遣費補助金が一億五千二百七十一万円とか、さまざまな補助金が合計八億円余り出ているわけなんです。これは最近の七年間でも四十一億八千二百七十万円出ているんですね。そういうところなのに、遺族会はやっちゃならないが政治連盟をつくったら構わないとか、一体不可分の関係なんです。

 そういうふうな仕分けをすればいいんだという発想でいろいろな団体がずっとやってきて、その到達点がKSD汚職の典型的な政官業癒着なんですよ。これを本当に断ち切ろうというときに、やはり利益誘導とか、あるいは官僚組織、国家権力、そういうものを背景にして本来政治活動などあっちゃならない。

 個人だれにも内心の自由があるのです。私は、それは当たり前だと思っているんですよ。だから、そういう点で、公益法人の個々の方が何をされようと、それは自由なんですよ。それはいかぬなんというのを一言も言ってない。しかし、組織を使って、あるいは権力を背景に利益誘導をやって、これで組織的な政治活動をやっちゃならない、この原則だけはきちんと確立しないと、幾らKSDの反省だ何だと言ってみたって、それは本当の反省にはならないということを私は申し上げているのです。

 ですから、遺族会の話、事細かい話はいいですから、やはり大臣、私は、大臣がKSDの教訓を酌み取って本当にきちっと日本の政治を正す、政官業癒着を断ち切るんだという断固とした決意を持っていらっしゃるならば、そういう姿勢をきちんとお示しになる必要があると思いますよ。どうですか。

片山国務大臣 今の法律で許された範囲で政治団体をつくっていろいろな政治活動をやるというのは、当然認められたことでございますので、これは大いにやってもらえばいいと私は思うんです。

 ただ、委員が何度も言われますように、公益法人と政治団体が全く一体のもので、しかも、それが混同していろいろなことをやっているというようなことがあるとすれば、それは厳に慎んで混同がないようにすべきだ、私はこういうふうに考えておりますが、何度も言いますけれども、公益法人は政治活動の自由があるんですよ。政治献金の自由もあるのです。補助や出資を受けていればできない、これが法律の禁止事項でございますから、その点ははっきりと徹底をするように公益法人を指導いたします。

吉井委員 補助金も受ければ、さまざまな利益も受けている、やっちゃならないところがやっちゃならないことをやっている。混同しているからの問題じゃなしに、一番の基本は、例えば官僚のトップの方が候補者になったっていいんですよ。なっていいんだけれども、その人は、一切その官僚組織は使わない、その官僚組織にかかわる組織、公益法人その他は一切使わない、政治連盟という名前をつけたにしてもそれは使わない。その人が自分の努力、その人を応援する人の努力で、ある政党をつくられようと何しようと、それはその人の自由なんですよ。そんなことをいかぬと言っているんじゃないのです。

 本来の政治活動というのは、個々人の内心の自由から出発して、個々人のみずからの意思で政治活動をやるものなんですから、それを組織を使って、そういうやり方をしてはいかぬということを私は言っているわけなのです。

 次に、土地改良区の話が前回も取り上げられましたが、土地改良区が自民党費を支払っていたということは報告もありました。党員を割り当て、その党費を改良区の財政から支出するということは、公益法人として違法ですから、扱いとしては、党費の立てかえということにして、個人から返金させるという形をとっているんですね。

 私は、たしか改良区の会計は単年度ごとに歳入歳出をきちんと決算していると思うんですね。国からの補助金もありますから、ある時期が来れば出納閉鎖をやって、これで単年度ごとに歳入歳出をきちんと決算していると思うんですが、この点はどうなんですか。

百足政府参考人 お答えいたします。

 土地改良区、御指摘のとおり、毎年度、収入支出の決算を行っていると承知しております。

吉井委員 それで、四年前、五年前にも立てかえたお金のことがこの間も報告されておりました。つまり、四年前、五年前に立てかえた金を、問題になるまで立てかえてもらっておったが、返金していなかった、これは決算がもう終わっちゃっているんですね。四年前、五年前の決算では返金しないまま終わっているんですが、これはもっと前の六年前、七年前となってくれば当然時効になったものもあると思うんですが、この立てかえ分で時効になったものは返さない、こういうことですか。

百足政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の土地改良区の党費の立てかえにつきましては、早急にかつ的確に把握をするということで、私どもは過去五年間について調査をいたしたわけでございますが、土地改良区の指導監督は都道府県の事務でございますので、この結果等を踏まえながら、都道府県において的確な指導が行われるものと理解してございます。

吉井委員 問題が起こるまで、一切調べなかったんですよ。調べたときには、随分多くのものがもう時効にかかっているんでしょう。だから、立てかえという表現は当たらないと思うんですね、正確じゃない。そもそも、立てかえというならば、これは決算前に返金される。決算前に返金されて、これできちっとしておってこそ、立てかえという言葉が通用するんで、これはそれがなされていないんですから、そもそもこれは立てかえという表現が正しくない。自民党費として改良区会計から支払った、すなわち国のお金の一部も政党に入ったという事実があったわけですから、これについては、立てかえという表現じゃなしに、どういう形できちんとするのか。

 大臣、それは農水省の話やと言わはるかもしれぬけれども、しかし、これはもうちょっときちんとせなあかんのと違いますか。どうですか。

片山国務大臣 今の土地改良区は、法律に基づく団体ですし、その監督権はしっかり農林水産大臣にあるわけでありますから、しかも、今の答弁を聞くと、実態を調べて対応しているようでございますので、それはもう農林大臣の責任においてしっかりやってもらいたい、こう思っております。

吉井委員 今しっかり調べてみたところで、過去の時効になっている分の処理というのは、これはなかなか大変なんです。

 そもそも、やはり公益法人と、改良区自体は公益法人になってきますが、それと別に政治連盟をつくっておけば何をやってもいいんだというこの発想が誤りを犯すもとだったと思うんですよ。これがKSD型の政官業癒着の誤りを引き起こして、法人構成員の思想、信条の自由とか政党支持の自由を抑圧するという最悪のものになってしまったわけですから、個人としての政治活動の自由、内心の自由は当然ですが、しかし、官僚組織、国家権力、公益法人の組織を使って、利益誘導や不利益扱いの強迫的手法などで組織的、権力的、利益誘導的選挙や政治活動をやっちゃならない、大臣、そのことを内閣として徹底して取り組んでいくことが本当にこのKSD型の政官業癒着の誤りを正すことにつながると私は思うんです。

 もしそれをしないということであるならば、小泉内閣は、これまでどおりの、古い自民党の体質と小泉さんが言っておられたのと何も変わっていないということを言わざるを得ないと思うんですが、最後にこの点だけ大臣に伺って、終わりにしたいと思います。

片山国務大臣 政治倫理をしっかりと尊重していくこと、法律の範囲でいろいろなことはやってもらうこと、公益法人はその目的に従った運営をすること、これは我々としても徹底してまいります。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

中馬委員長 今川正美君。

今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。

 私も、きょうはいわゆる政官業癒着にかかわる問題に関して質問いたしますが、その前に、前回の委員会の質問のときに積み残しておいた問題が若干ございますので、総務省にお尋ねをしたいと思うんですが、いわゆる衆議院の定数是正問題に関してであります。

 前回二点ほど選挙部長にお尋ねをしたんですが、三点目に、いわゆる定数是正をめぐる昨年の最高裁判決でも、少数意見ではあるんですが、可能な限り一対一に近接しなければならないとするのが文明社会の常識というふうに明記をされております。特に、小選挙区の定数配分について、例えば昨年民主党が提案した完全比例方式、あるいは格差二倍未満を図り二十三県九十五選挙区を是正する方法であるとか、いわゆる五増五減であるとか、いろいろな方法が言われていますが、具体的にどういう方向で検討をしていかれるのか、総務大臣にお尋ねをしたいと思います。

片山国務大臣 先ほどの質問にもお答えいたしましたが、昨年、国勢調査が行われて、その数字も出てまいっておりますので、法律に基づいて、選挙区画定審議会において、二倍未満、こういう区割りの結論を年内に出していただきたいとお願いして、今粛々と作業をしていただいていると理解しております。

 これは現行制度を前提にいたしておりますから、基礎配分の一の定数は全都道府県に配分した後に、人口に比例して定数を割り振っている、こういう中で二倍未満ということで作業をやる、こういうふうに私の方は承知いたしております。

今川委員 そこで、現行制度を前提にした場合に、いろいろ難しい問題がたくさんあるんですけれども、やや技術的な話にもなるんですが、人口に比例した配分について、どういう方法でやるのか。

 我が国で用いられている配分方式は、四十七都道府県に一議席をまず指定して、その残った部分を人口比例配分という、いわゆる最大剰余法という、ちょっと難しい言葉になっていますが、これでやる限りどうしてもやはり二倍を超えてしまわざるを得ないという、重大な欠陥があるんじゃないかと思うんですね。

 それで、ちょっと立ち入った質問になりますが、人口が減少したのに配分議席がふえるとかいうアラバマ・パラドックスというものについて、どういうことなのか、まず少し説明をしてください。

大竹政府参考人 アラバマのパラドックスについての御質問でございますけれども、アラバマのパラドックスと言われておりますのは、最大剰余法に基づきまして比例配分しようとします場合でございますけれども、配分の基礎となります総定数、これを順次増加させた場合におきまして配分されます定数は、通常は増加または現状維持というのが普通でございますけれども、まれに、配分されます定数が、総定数が増加しましても、逆に減るという場合がございます。こういったことがアラバマのパラドックスと言われているものでございます。

 これにつきましては、アメリカ合衆国におきまして、一八八〇年に、国勢調査に基づきまして下院議員定数の再配分が行われました際に、アラバマ州に配分されます議席数が、総定数が二百九十九のときには八でありましたけれども、総定数を三百と仮定いたしますと、これが七に減ってしまうという現象が生じたわけでございます。このことから、こういった現象をアラバマのパラドックスと呼んでいるものでございます。

 これはどのようにして生じるのか、非常に難しい、説明しにくいものでございますけれども、一般的に考えますと、最大剰余法で比例配分いたします場合におきましては、小数点以下の剰余の数が大きい方から順次に繰り上げて一つずつ配分されるわけでございますけれども、総定数を順次増加させていきます場合におきまして、小数点以下の剰余の数値もいろいろと変動してまいるわけでございます。この場合に、小数点以下の剰余の数値が変動します場合におきましてまれに逆転現象が生じる、そういったことから定数の増減が生じることがあり得るということになっているものでございます。

今川委員 そこで、ほかにもっと方法があるのだろうかと思うんですが、例えば一議席当たりの人口の格差を最小にするというアメリカの下院方式についても、できるだけ簡潔に御説明をお願いします。

大竹政府参考人 アメリカ下院の定数配分の方式でございますけれども、アメリカ下院におきましては、総定数の四百三十五、これを各州五十州で配分するわけでございますけれども、アメリカの人口を見てまいりますと、人口が三千四百万人のカリフォルニアから四十九万人のワイオミングというふうに、人口の幅が非常に広うございます。

 そういった中で、各州に対しまして最低一議席を保障した上で、各州間の一議席当たりの人口の相対差をできるだけ小さくするということで工夫されたものがこのアメリカ下院方式と承知しております。

今川委員 この問題で幾つかのホームページをのぞいてみましたら、実は非常に興味深いものが出てきまして、「小選挙区定数の県別分配方式」これは一九九七年九月二十五日というふうに打ってあるんです。これは、今問題になっています最大剰余法というのは非常にくせ者だ、先進国の中ではほとんどもう採用されていないということで、このホームページに記載された方によると、現行制度を前提にする限り、従来のような四十七都道府県にまず一議席を配分することを認めた上で、残る配分の仕方をいわゆるドント方式にする。その方は、自称一プラス・ドント方式というのだと、大体一・四倍ぐらいにおさまるのではないかということと、現行方式で一応理由とされている地方に配慮をするということもそこに含まれるということがそのホームページであったんです。

 そのかかわりにおいて、現在の最大剰余法と称するものをこれからの検討の中で変更するというおつもりがあるのかどうか、そこをちょっと聞かせてください。

大竹政府参考人 衆議院の選挙区画定審議会設置法第三条に定数配分についての規定があるわけでございますけれども、この規定によりますと、各都道府県にまず一人を配当し、残余の二百五十三を比例配分すると書いてあるわけでございます。

 この比例配分という解釈の問題でございますけれども、これにつきまして、従来から我が国では、例えば大正十四年あるいは昭和二十二年、こういったときに衆議院議員の定数の再配分が行われている例がございますし、それからまた各都道府県におきます定数配分等もあるわけでございますけれども、これらの我が国で伝統的に比例配分します場合の手法といたしまして最大剰余法を採用しているところでございます。このようなことから、現行の衆議院議員選挙区画定審議会設置法第三条の人口に比例し配分する規定も、この最大剰余法によるべきもの、こういうように考えている次第でございます。

今川委員 この定数の是正問題というのは、やはり非常に大切な問題であります。

 同時に、ここ二回、小選挙区制度で選挙を実際にやってみて、少なからず国民の間に、有権者の皆さんの間に、民意の反映という意味で、余りにも死に票が多過ぎるじゃないかという、現行の選挙制度そのものに対する批判なり疑問なりが出てきていることも事実だと思うんですね。

 そういった現在の選挙制度そのものも、もう一度根本的に見直してみたらどうかと思うんですが、ここは大臣、いかがですか。

片山国務大臣 民意の反映という意味では、比例代表が鏡のように反映する。しかし、これは大変不安定になるんですね。今の小選挙区は、政権が大変安定するとか、二大政党制を志向して、これは死に票の問題あるけれども、これはこれで政治的な効果は大変大きい、こういう議論がありまして、各党各会派で相当な議論をした結果、現在の、私は折衷的な案だと思いますけれども、小選挙区プラス・ブロック比例の並立制が採用されたわけであります。

 先ほども言いましたが、選挙制度に満点はないんですね。どんな制度でも、私は次善ないしは三善だと思いますよ。だから、各党各会派で大いに議論していただいて、さらなるいい選挙制度を模索していくということは必要だと思っておりますが、現在、委員が提起された問題の人口比例という法律上の文言は、今まで我が国において行われてきた人口比例を念頭に置いてあの文言が入ったと私も理解しております。しかし、すべてそういうことを含めて立法政策の問題なので、私は、国会において決めていただく問題ではなかろうか、こう思っております。

今川委員 定数問題はこれほどにしまして、いま一つは、先ほど共産党の議員からも、医師会、政治連盟との、業界との癒着問題の質問がございましたし、前回の委員会では、民主党の委員から、土地改良区にかかわる癒着問題というのが具体的に質問があったと思います。

 そもそも、この百五十一国会の冒頭から、何度も言われていますように、KSD汚職というのは一つの大きな政治的な争点でもあったと思うんですね。もう繰り返しませんけれども、今度の小泉内閣は、少なくとも改革断行内閣ということを大きく看板として掲げられているわけですから、そういった意味では、幾つかの改革の柱は示されておりますけれども、有権者、国民の側からしますと、よく言われるところの政官業の癒着をどう断ち切って、国民の皆さんの政治に対する信頼を取り戻せるのかどうかということがやはり一番大きな課題だろうと思うんです。

 そういった意味で、私は、きょう、ここでは全国の宅地建物業界、要するに宅建協会、保証協会あるいは政治連盟との関係で少し質問させていただきたいと思っています。

 この点に関しては、今月四日に参議院の行政監視委員会で我が党の福島瑞穂議員が幾つかの点について質問をいたしておりますので、再度何点かについて確認をしておきたいと思います。

 実は、この問題に関しまして、私は、各都道府県の宅建協会のホームページにある入会案内を見てみました。そうしますと、宅建協会と保証協会及び政治連盟の三団体同時加入を明示している、あるいは示唆しているのが十六件あるんです。十六道県ですね。

 例えば、北海道の宅建協会では、冒頭に次のようにあります。「三団体は三位一体の活動を行っており、同時入会が原則となります。」と明示をして、必要書類も宅建協会、保証協会、政治連盟の三種類。「入会時の必要経費」にも、宅建協会六十万円、保証協会入会金二十万円、政治連盟入会金十万円、同年会費六千円、その他を含め合計百五十九万一千六百円と明示してあります。また、香川県宅建協会の場合もほぼ同様なんですね。

 これと別に、政治連盟には触れていませんが、宅建協会と保証協会の入会手続のみを案内しているホームページが十件ございます。

 そこで、このように宅建協会への入会条件に、保証協会と政治連盟の三つ同時に申し込まないと入会できない、あるいは保証協会に入るためには宅建協会に入ることを事実上義務づけるといいますか、いわば強制加入といったようなことで問題はないのかどうか、その点を伺います。

風岡政府参考人 まず、基本的な考え方でございますけれども、宅建協会と保証協会の入会に当たりまして政治連盟への加入を義務づけることにつきましては、それぞれの団体の業務の性格からしまして、基本的に問題があるというふうに私どもも思っております。

 それからもう一点、先生御指摘なされました宅建協会と保証協会の関係につきましては、業務の内容として、両者が協力をして、例えば研修業務を実施するだとか、あるいは苦情処理を受け付けるとかいうようなことで、お互いに協力関係を持ってやっていくというやり方はあるわけでございまして、そういった方法をとることは一概に問題ではない、このように考えております。

今川委員 今おっしゃったそれは参議院でも、福島議員に対しても同様の御回答があっていて、宅建協会と保証協会が共同で研修をしたり、資質を高めるためにいろいろなものをやるということを私も否定しようとは思いません。

 そこで、福島議員の質問の場合には、案内のパンフレットとかこういう件に関しては、少なくとも、各都道府県と連携をとりながら改善を行いたいであるとか、あるいは精査をしてきっちりと整理をしたいという御答弁があっておりますが、私が今指摘しましたホームページの場合も、これはまた新たな問題でもありますので、政治連盟を含むここの問題はきっちりと指導をなさるのかどうか、御回答ください。

風岡政府参考人 先生御指摘のように、不動産政治連盟への同時加入ということが、残念ながらいろいろなところに出てきておりまして、先日お答えしましたように、定款とか施行規則とか、あるいは入会申込書とか誓約書とかパンフレットとか、そういったところに出てくるものにつきましては、今一生懸命チェックをしておるわけでございますが、先生が御指摘をされましたように、ホームページのところにも同様な記述があるということでありますので、これも含めて全体について、今どういうような記述がなされているのかということを調べているところでありまして、私どもとしましては、できるだけ早目に実態の取りまとめをしまして、その上で、先ほど申し上げました基本方針にのっとって、県協会の方は都道府県がいろいろと指導していますので、そことも連携をとりながら指導してまいりたい、このように思っております。

今川委員 実は私ここに、福島議員あてに手紙が来ているのですね。福島議員が参議院で質問をなさったことが朝日新聞の記事に出まして、これは六月六日付で、このようにして手紙が来ているのです。東京都宅地建物取引業協会の一会員さんなんですね。その中にはこのようにあるのです。

 東京都区内で不動産業を営む業者です。

 六月五日の朝日新聞を読みましてお便りします。

 宅建業界は選挙が近づき各地区の役員を動員して会員への働きかけを始めています。

 最近、小野清子氏のポスターと扇大臣後援会の入会申込書を会員店舗へ持参しております。

 監督官庁の大臣がこのような事をしてよいのでしょうか。

 本人は知らなかったとしらばっくれるのでしょうが。

 参考に入会申込書を同封します。

 各不動産業者に届いてるはずです。

というワープロで打った手紙が来ていまして、このように、こんなものが入っているわけですね、扇千景ということで。

 ですから、先ほど風岡政策局長の方から御答弁があったんですが、保証協会、宅建協会、そして政治連盟というのが実態面としてはやはり三位一体的に、なっている県もあるだろうじゃなくて、先ほど申し上げたホームページでも、若干の違いはあるんだけれども、実態面としてはやはりそういった癒着したようなものがあるじゃないかということをこの手紙の主は語っているのですね。そこに有権者の皆さんの側から政治不信が起こっている。

 ですから、他の議員も先ほどおっしゃったように、KSDというのは大変な事件だったんだけれども、二度も三度もそういうことを繰り返さないという意味では、医師会だけじゃなくて、この宅建業界だけじゃなくて、いろいろな業界筋のところに、きちっとした反省に基づいたものがなければならないというふうに思うのです。

 それで、次はこの保証協会と宅建協会についてなんですが、まず、こういうことなんですね。宅建協会の定款、いわばその法人の憲法ですね。宅建協会同時加入ということを定款には定めずに、いわばその下位規定といいますか施行規則に定めるということはいささかおかしいんじゃないかと思うのですが、本来任意に加入すべきそういう同業組合に加入を事実上強制するということは許されるのかなと思うのだけれども、その点いかがですか。

風岡政府参考人 定款においてあるいはその他の措置におきまして会員資格を定める、正直言いまして、いろいろなケースがあります。定款で明記をする、あるいは施行規則で明記をする、あるいは審査基準を設けているとか、いろいろなケースがあります。基本は、できるだけ定款等で明らかにするというのは、先生御指摘のとおりだと思います。

 ただ、現実問題として、この全国保証協会、これは昭和四十八年に最初の許可を受けているわけですけれども、許可に当たりましては、設立総会におきまして、定款だけではなくて、施行規則等も含めて、その施行規則の中に入会要件が書いてあるわけですけれども、それも含めて総会で決議をされております。また、その時点で私ども審査をしておりますけれども、そのときにも、定款だけではなくて、関連のもの全部提出をしていただいて審査をしておりますので、許可を受けた後、勝手に資格を決めたということではない。したがいまして、内容的においては、それについては必ずしも不適切ではない。

 どういうレベルでそういった資格要件を書くことが望ましいのかということについては、いろいろなケースもありますので、十分議論をしていきたい、このように思っております。

今川委員 ここに、実は全く別のファクスを一枚、私は手にしているのですが、東京都宅地建物取引業協会世田谷区支部財務委員会委員・中央地区担当吉木健という方から、あて先はちょっと匿名で伏せたいと思うのですが、要するに、自分は宅建協会だけに入っておきたいということがあって、宅建協会の協会費を納めておるわけですね。それに対して、今申し上げた吉木さんなる者が、「宅建協会関連諸会費支払方督促の件」ということで、いただいた協会費は現在一時預かりとして扱っております、別途、これは東政連年会費であるとか慶弔会年会費であるとか桜新町班年会費であるとか、要するにそういう保証協会に関するような諸会費が未納だからだめですよということを、結構厳しい文面で、督促いたします、こうなっているわけですね。

 これはもう一回、再確認なんですが、保証協会に入っておきたい、その会費も当然払います、ところが宅建協会に入っていなければだめだということになるんですか、これは。

風岡政府参考人 先ほどちょっとお答えしたことと重複して申しわけございませんけれども、全国保証協会は、業者の一部の人が集まって集団的な保証をしようという考え方で、特に事故が起きた場合には他の人がその弁済の責任を負わなければならない、業務の性格上、そういうような一定の要件をつける、すなわち宅建協会の会員であるということを前提に事業活動をするということでありまして、先ほど申し上げましたように、それは特に研修だとか、あるいは業者がその後も適正な活動をできるような研修とか、あるいは苦情処理についての事務を共同でやる、こういうことでありますので、私は、このやり方自身は当然合理的なもので許されるというふうに思っております。

 ただ、こういう保証協会の指定というものが必ずそういう連携型のものでなければならないかどうかにつきましては、例えばですけれども、新たな保証協会が独立的にそういった業務をやっていく、宅建協会の協力を借りないというようなものがもしあれば、それが法律の指定要件に該当するものであれば、もちろんこれは指定をすることができます。とはいえ、最初に申し上げましたような形のものが絶対的に否定されるというものではない、このように考えております。

今川委員 ところで、宅建協会、保証協会、そして政治連盟、最初に入るときには、そう促されたものだから入ったんだけれども、その後、保証協会以外の団体の資格を失いながら、保証協会のみに、言ってみると残留しているというのですか、一応残っているという現実があるようなんですけれども、これは認められるわけですか。

風岡政府参考人 ただいま先生御指摘いただきましたように、最初は両方に入っておりまして、その後、宅建協会の資格を失った、すなわち保証協会のみに在籍をしている、そういうケースでございます。現実には、数は私も細かく承知しておりませんけれども、やはり幾分あるように聞いております。

 ただ、前提としまして、その場合には退会の届け出をしなければならないというのが定款等に基づくルールでございます。それにもかかわらず退会の手続がとられていないという意味で、ある意味では暫定的な形で残っているということで、保証協会自身がそのことを積極的に容認しているわけではない、このように考えております。

今川委員 だから、積極的にそれは容認していないのかもしれませんが、片一方では、少なくとも宅建協会に入ることが事実上義務づけられるといいますか、半ば強制加入というような、今いろいろ理由は説明があったわけですが、その側面と、実態上保証協会のみに残っているというところの矛盾が明らかにあるんじゃないかなと思うんです。

 ところで、もう一つは、余り時間がないんですけれども、保証協会と宅建協会の同時加入を定款に盛るように保証協会の総会で一回決議したんだけれども、当時の建設省が定款の変更を認めなかった。これは昭和五十一年十月二十二日というふうになっているんですけれども、そこはなぜなんですか。

風岡政府参考人 これは、先生に御指摘をいただきましたので、私どもちょっと調べてまいりました。

 これは五十一年に、全国保証協会から定款の一部変更の申請が確かになされております。その内容は、変更案におきましては、入会要件は従来どおり施行規則にする、退会要件を定款にする、実はこういうような内容であったわけでございます。

 したがいまして、ちょっと詳細はそのときの者でないのでよくわかりませんが、多分、入会要件と資格喪失要件の規定が、片っ方は施行規則、片っ方は定款というようなややばらばらな形になっておりましたので、そういう意味で技術的に適当ではない、規定上適当ではないということでお断りをした、こういうように私どもは理解をしております。

今川委員 もう一点、ちょっと確認をしたいんですが、当時の建設省が、宅建協会に籍を持たずに保証協会のみに資格を持つ人たちを、できるだけ宅建協会に加入をしなさいということで、積極的に勧誘するように内部通達みたいなものを出したのではないかということをちょっと私の方では聞き及んでいるんですが、その点を確認したいんです。

風岡政府参考人 これは平成五年当時、全国保証協会の会員ではあるんですけれども、宅建協会を結果的に退会する方が見られたというような状況がありました。そのときに、全国保証協会は、あくまでも集団的な保証として宅建協会の会員ということを前提にして、先ほど申し上げていますように、両団体が協力をして業務を実施するという体制であったわけでございますので、したがいまして、途中で宅建協会を抜けた場合には、その前提が狂っているという意味で、保証協会に対して、最初の前提どおり、抜けた宅建協会への加入ということをやることが望ましいのではないか、そういうような趣旨で申し上げたわけでございます。

 したがいまして、そのときの保証協会の業務の遂行を前提としてやっておりますので、先ほど申し上げましたように、別のやり方があるということは、もちろん、それはそれで認められることだと思います。

今川委員 もう一点、これは平成六年十一月八日付の保証協会の文面なんですが、「全宅保証会員除名手続きについて」ということで、一々を読み上げる時間はありませんが、「法人格が異なる業協会の会員権要件を全宅保証会員権の要件とすることには法律上の疑義があり、」云々ということで、「下記により当面、除名手続細則第七条及び第八条第二項に基づく「簡便法」による全宅保証除名手続きを停止することとした。」それで、これは各地方本部長に対して承知されたいというふうな文章があるんですけれども、この点、どうなんですか。

風岡政府参考人 先生ただいま御指摘の点につきましては、ちょっと私ども承知をしておりませんので、また内容を教えていただきまして、御報告をさせていただきたいというふうに思います。

今川委員 もう時間が参りました。これで終わりたいと思いますが、先ほども申し上げたように、この種の医師会であれ、あるいは土地改良区であれ、この宅建協会であれ、非常に似たような構造がございます。それに対して参議院、衆議院を問わず委員会でいろいろな質問があったときに、それにかかわっておられる会員の皆さんとかから、電話だとかファクスだとかEメールだとか、さまざまな形でやはり反応が結構あるんです。それだけ関心が高うございます。

 そういった意味で、これは長年、今は連立内閣でありますが、四十年近くに及ぶ自民党の単独政権時代を含めまして、ある県の医師会の幹部が言ったように、診療報酬が上がるのはだれの力か、政権政党に頼らないと事は決まらないということで、開業医の任意団体をどなりつけたというある新聞記事がありましたけれども、少なくとも私が申し上げたいのは、実態面としてそういうものが全然改革されていない。

 そういった意味では、改革断行を掲げる小泉内閣のことですから、今申し上げた政官業癒着、きちっとそこを打開していく、それができないようであれば、改革断行内閣というのは看板倒れに終わるということを申し上げて、私の質問を終わります。

中馬委員長 北川れん子君。

北川委員 社民党・市民連合の北川れん子といいます。

 私は、永住外国人の地方選挙権の問題について、状況の整理という意味から質問してみたいと思います。

 私は、定住外国人は地方自治体の住民であり、地方参政権、被選挙権も含めてなんですけれども、推進していきたいという立場をとっています。

 それはなぜかというと、日本国憲法の前文はもとより、各条文を皆さんも御存じだろうと思うんですけれども、釈迦に説法かもわかりませんが、第九十三条には「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」「住民」と掲げてあります。そして、第十一条、第九十七条では「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」将来生まれてくる子、子孫、そして「将来の国民」という概念の中に、永住市民という概念を近年は憲法学者も持ち出して、この参政権問題を論じています。

 その立場からしまして、五月二十一日の小泉純一郎首相の予算委員会での御答弁は、「私は、極めてその問題については慎重であります。」というふうに言われました。そうしたところ、五月二十二日の公明新聞におきましては、「永住外国人地方選挙権 今国会での実現に全力」、そしてまた冬柴幹事長は、この問題は民主主義にとって重要だとされています。

 そこで、副大臣にお尋ねしますが、現在もこの立場は変わっていらっしゃらないんでしょうか。

遠藤(和)副大臣 永住外国人の皆さんに地方選挙権を付与するこの法案には、長い経緯がございます。

 私は、今現在はこういう立場でございますけれども、私の所属する公明党といたしましては、これを最初から、人権に関する大変大切なものでございまして、また、日本が開かれた人権大国である、こういうことを高く外国にも表明するという意味からも大切な問題ととらえておりまして、本日、この委員会に御出席の中野寛成議員とともに、一緒になりまして民主党の皆さんと議会に提案をしているところでございまして、この成立を期す気持ちは一貫して変わっておりません。

北川委員 今国会で頑張るということを御発言いただいたと思うのです。

 ところが、五月二十九日とか三十日、続けていろいろ新聞が書かれているのですが、外国人参政権継続審議確定という見出しがついているのですが、これは真実の報道でしょうか。

遠藤(和)副大臣 これは政党間で、与党の中でそういうふうなお話し合いがされたということを、私は、新聞で聞いている立場でございまして、真実かどうかを検証する立場ではございません。

北川委員 閣僚の一員であられるので検証できない、野党は蚊帳の外ということになると思うのです。

 そこで、副大臣にお尋ねいたしますが、外国人の地方参政権の重要性はどこにあると思っていらっしゃるのでしょうか。

遠藤(和)副大臣 先ほど北川議員、憲法の中の地方自治の関連のところでお話しになりましたか、住民というものをどう理解するかという長い憲法解釈上の問題があったわけです。住民というのは、単なる住民なのか、日本国民たる住民なのかという話があったわけですけれども、最高裁判所の判例が出ました中で、地方の住民である永住外国人の皆さんに地方の選挙権を付与する問題は立法府の中の裁量権の範囲であるというふうなお話があったものですから、私ども、それをきっかけにして法律をつくってきた経緯がございます。

 確かに、地方自治体の皆さんの中からもたくさんの請願書等が国の方にも寄せられておりまして、恐らく、その請願書のところにお住まいである日本国民の数は、全国民の七割ぐらいになっているんじゃないかと思うのです。そういうふうな地方自治体の皆さんも、永住外国人を地方の住民の一員として考えていらっしゃいまして、ぜひ自分たちの仲間として地方選挙権を付与することを国として考えてほしいという要請もございます。

 また、私どもといたしまして、永住外国人の中には一世、二世、三世、四世と日本に永住されている方も多くいらっしゃいまして、もう日本語しか話すことができないという方もたくさんいるわけでございまして、そういう方については、限りなく日本の国民に近い権利を付与するのが妥当だろう、このように考えている次第でございます。

北川委員 経過を御説明いただいたし、世論の状況も把握していらっしゃるということがわかりました。

 でも、私の方は、なぜ重要かというところは、民族差別をなくす環境整備が急テンポに進むということ、なぜなら、有権者となった外国人に対する政策に対して政治家が目を向けるからです。ここがポイントで、ほかの国の参政権問題も、これが促進をする一番の課題に盛り込まれているわけです。そしてもう一つは、やはりナショナリズムの台頭というものに対して監視、チェックができるというところだろうと思うのです。

 そうしましたら、先ほど副大臣も言ってくださったのですが、今度は大臣にお伺いしたいと思います。

 日本の世論では地方選挙権付与に対する賛成者が多数いると副大臣も言ってくださいました。それは、毎日新聞が二〇〇〇年十月二日に賛成五八、反対三二、JNNの調査でも賛成六六、反対三二。この間、二年半ですか、連立を組まれてきている。そして、小渕首相と金大中大統領のパートナーシップの発言もございました。森首相も小渕政権を引き継ぐと言われた。

 けれども、ここに来て小泉内閣は、聖域なき構造改革というところで、先ほどの、私は慎重に論じたいというふうに変わってきていますが、ここにおいて今、片山大臣はどういう立場で状況、推移を眺めていらっしゃるのか、観察していらっしゃるのか。条件整備はすべてできていると思うのですが、なぜ進まないのでしょうか。

片山国務大臣 今、委員と遠藤副大臣のやりとりを聞いておりましたが、この問題については、現在、公明党さんと保守党さんの案と、民主党さんの案の二法案がこの委員会に付託されていると承知いたしております。

 この問題は、いろいろな経緯もあります、今委員が言われましたように。それから、本当に賛成から反対まで熱心な議論があります。地方団体でも意見書を提出したり、これもいろいろな動きがある。

 そういう中で、今の遠藤副大臣の大変真摯な気持ちも、私は貴重なものとして承っておりまして、最終的には国会において各党各会派で決めていただくわけでありますけれども、私の属する自民党におきましては、執行部が意見集約のための最大限の努力を今行っておるわけでありまして、私は、閣僚の一員とし、自民党の一員として、その意見集約の結果を見守っている段階でございます。

北川委員 去年ですか、私がお伺いしたときも同じようなことを言っていらっしゃって、半年たってしまったということで、先ほどの決議なども、もう千二百三件のうち四件しか反対していない、各都道府県とか市町村とかやっているのです、もう御存じなわけですよ。

 そこで、お伺いしたいのですけれども、時間がたってしまっていくことについてもう少し敏感であっていいのではないのか、早くということがだんだん収れんされていっているわけです。

 もしかしますと、各条例で外国人に選挙権を与えることができるかという論争は、もう十年ほど前から始まっているわけですね。そうしたら、各地方自治体、もう自分のところは、もちろん国勢調査の人数で地方議員の定数というのは決まっていって、外国籍の方も人数の頭数に入れられているわけです。私の尼崎という立候補地も、とてもたくさんのニューカマー、新しく来られた方も含めて住んでいらっしゃるところなんです。それで議員定数は決まっている。

 ということで、条例で外国人に選挙権を与えることはできる、今の御見解はいかがなんでしょうか。できるのでしょうか。

大竹政府参考人 現行法におきましては、公職選挙法の第九条におきまして各選挙権を定めております。したがいまして、法律に定める以上は、法律改正がない限り、内容の異なる条例を定めることはできないものと解釈しております。

北川委員 今、すっと何かできないとかというふうに言われたのですけれども、そんなことはないわけですね。法学セミナーの一九九三年七月の筑波大学の戸波教授の論文等々からも、憲法改正をしなくても条例の中に付与できるというふうな見解を出していらっしゃるのです。ということで、この点も、もう促進したいという意思を持った自治体はできるのかなというところを私は皆さんにお伝えしていきたいと思います。

 それから、国籍条項の緩和というのがどういうわけか出ている。国会には上程されていませんけれども、新聞でこれも先走って報道がありました。外国を見てみますと、外国人の地方参政権を導入した国は帰化要件の緩和も一緒に取り組んでいるのですね。背中合わせなんです。だから、二つとも取り入れているわけです。

 そこで、日本は、今民法改正が棚上げになっています。夫婦別姓の韓国人夫婦という方たちは、どちらかの名前を変えなきゃいけない、帰化した場合、今の戸籍法にのっとらなければいけない、それだったら嫌だな。私もそうです。私も婚姻届を出していません。事実婚をやっていますが、自分の名前は自分で決めたいという意思を持った者同士が、では国籍条項の緩和を幾らされても、今の民法改正が進まないんなら乗らないという意見、若い世代、特に多いと思いますが、この点に関してはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。民法改正についての小泉首相の御見解をお伺いになっているんでしたら、ちょっと御披露していただきたいということも含めて、お伺いします。

片山国務大臣 この夫婦別姓問題も、御承知のように、これも賛成論から反対論まで大変幅広い議論が続いておりまして、我が党の中でも、自民党の中でも今大変な議論をやっているわけであります。そういうことの中で、国籍取得緩和法というものが本当に出るのかどうか、私は知りませんけれども、なるほど、今委員が言われたような、そういう関連もあるなということは今認識いたしました。

 どちらにつきましても、夫婦別姓の方はこれから党としての態度を決めていくということになりましょうし、国籍要件緩和法につきましても、まだ私どもの方としては十分承知いたしておりませんので、その関連について今直ちに、おまえコメントをと言われても、ちょっとこれはなかなかそうはいかないということを御理解賜りたいと思います。

北川委員 いや、ですから、もう世の中の状況の方が先行していっているわけですよ。みんな、自分の選択肢の幅を広げたい、そのためには、この国で生きていくのならどうすればいいかを考えていっているということを御披露したかったということ。自民党の皆さんが多いので、自民党の中の見解をまとめるのに時間がかかる、戦後五十年間かかってきたというところから見ても、この三年間のテンポは、九五年の最高裁判決を受けて急展開しているわけですよ。なのに、ここに来て、連立政権がありながらストップ状況、これは新聞が先走って報道したということなので、本当かどうかは、この特別委員会としても議論の俎上にのせていないわけですから、どうなのかなというところなんですけれども。

 ですから、国籍条項の緩和ではなくて、出生地主義の二重国籍、それを要求する声ももう出ているわけです。なぜか時代の流れに自民党の皆さんがついていけないのではないかという気がするんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

片山国務大臣 大変な国際化時代で、グローバリゼーションという言葉ももう定着いたしましたけれども、やはり二十一世紀ですし、委員の言われる指摘は、私も、なるほどというのは多々ありますので、今後とも、世界のいろいろな状況あるいは二十一世紀のあるべき方向を踏まえて、前向きの議論を我々もしていきたい、こういうふうに思っております。

北川委員 では、その前向きの議論の中に野党も入れていただけるということだろうというふうに思うんです。

 そこで、もう一度念押しなんですが、片山大臣は、森首相の時代も総務省の大臣だったわけですね。今、小泉政権になって何が違うかといえば、人気度が違うわけですね、小泉さんは慎重論者であったということなんですが。そして、継続性がある大臣として今その席に座っていらっしゃるんですが、そのところでは、この件についてのもう少し具体的な見解を言っていただきたいなというふうに思うんです。

片山国務大臣 森内閣と小泉内閣、いろいろ違いますけれども、やはり一番大きなのは支持率の違いでしょうね。それからあとは、やはり改革断行内閣と言われていますから、構造改革の意欲がこの内閣は大変強いということで一貫していると思います。それから、今までは景気回復最優先でございましたが、今回は、景気回復と構造改革は一体だ、構造改革がなければ景気回復はないんだ、景気回復をやるやり方も構造改革にプラスになるような、両方並び立つやり方があるんだ、この辺が一番大きな違いだ、こう私は思っております。

 そこで、今委員の言われる永住外国人の地方参政権の問題は、森総理も小泉総理もそれぞれお考えになっていると思いますよ。お考えになっているんだけれども、幾らかニュアンスが違うかなと私も思っておりますが、これは党としてはやはりしっかりとして党内の意見の集約をしなきゃなりませんから、そういう意味で、今大変執行部が汗を流されていると私は思う。その結果のしかるべき方向をぜひ見守りたい、こういうふうに思っておりますので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。

北川委員 しつこくなるんですが、集約が長いということと、連立を組んでいらっしゃる、自民党単独政権で今のお答えが出るんでしたら、私もうなずくかもわかりません。けれども、連立政権でいらっしゃって、重要なポストを副大臣は担っていらっしゃるということがあるわけですから、新聞の先走った報道に対してはぜひきっちりとメスを入れていただきたいということを含めて、ここはまだ継続になったということはないと理解をしていいのではないかと私は思っています。

 それで、次の質問なんですけれども、実は、政治倫理というところもここは審議をするところでありますので、ODAの問題、これは外務委員会とか外交防衛委員会とか、そちらの方でも取り上げられた問題なんですが、ケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電事業についての見直しをめぐってということで、やはり政治家の関与とか、そういう部分が何らかにおってくるような報道もされているものですから、少しお伺いをしてみたいと思うんです。

 五月三十日の朝日新聞によれば、「ケニア円借款 外務大臣見直しも ダム建設の環境問題」、問題があるよということで、田中外務大臣が見直しもあり得るという答弁をされたわけですね。それを受けましてかどうかわかりませんが、六月一日の記者会見で、在ケニアの青木大使は、NGOが根拠もなく余りに騒ぎ立てたために事業への融資がとまってしまったと。これは、第二期分の円借款百六億円というのを今検討しているんですね、一九九九年から。今まだ結論が出ていないのが、どういうわけか、田中外務大臣の言葉を受けてかどうかわかりませんが、青木大使が発表された。そうしましたら、六月八日にまた、モイ大統領の方から発言があって、NGOが事業に問題があるということを世界じゅうでふれ回ったとかというふうなかけ合いになってしまっているんですが、これは御存じであるかということ。

 もう一つは、NGOが根拠もなく余りに騒ぎ立てたために事業への融資がとまってしまった。そこで、JBIC、開発銀行の方にもきょう来ていただいているんですが、融資が、今検討中だということなので、ストップしているというふうに認識していいのかどうかわかりませんが、この青木大使の記者会見の内容は事実に即しているんでしょうかということをお伺いしたいと思います。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御質問のありましたケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電計画につきましては、委員御指摘のとおり、第二次分に関する円借款供与につきまして、現地におきまして環境、社会面の諸問題が指摘されたこともありまして、現在、慎重に検討を行っているところでございます。

 なお、本計画の環境、社会面の問題につきましては、田中外務大臣からも、ケニア側とよく相談しつつ本計画を再検討するようにという指示がございましたので、これを受けまして、在ケニア大使館、具体的には青木大使より、ケニア側の政府関係者に対して、ケニア側として至急かつ誠実な対応を行うようにという申し入れを行っております。これに対しても、ケニア側からも、可能な限りとり得る対策をまとめたいということになっております。

 いずれにしましても、本件につきましては、環境問題に十分配慮して、ケニア側と協議しつつ、慎重に検討するという立場でございます。

 なお、青木大使の六月一日の記者会見における発言につきましては、我々としては、委員御指摘のような発言があったというふうには理解しておりません。

北川委員 理解していないというのと、青木大使が六月一日に記者会見を行った事実を知っているかどうかということでは違うんでしょうか。では、六月一日の青木大使はこういう記者会見をしなかったと理解されているんでしょうか。

黒木政府参考人 六月一日付で青木大使が現地で記者会見をやっておりますけれども、その際、青木大使よりは、本件計画につきまして、日本の国内で、国会等でいろいろ問題として取り上げられておるのでケニア側として適切な対応が必要であるという発言をされたと理解しております。

北川委員 だから、それは国際政治同士というか国同士の問題であるということで、NGOというのは昨今、非政府機関として実力を示してきておりまして、なぜこの問題を出したかといいますと、モイ大統領が六月八日には、NGOが事業に問題があるということを世界じゅうでふれ回ったと、やはり青木大使の記者会見の内容と同じようなことを言っていらっしゃるわけですね。それで、六月六日にNGOの方が記者会見を開いて、命の危険を感じているということを訴えた。私も、このケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電所の事業の内容を以前にNGOの方に聞かせていただきまして、日本が関与しているODAでありながらなかなか問題が深いなというふうに思っていたので、関心を持っていたわけです。そこで、NGOが命の危険を感じているという、現実にけん銃を発砲されたと言われている方もいらっしゃいますし、これは六月七日付のネーションできっちり発表されています。

 こういう問題があって、またケニアは多重債務国、リセットしたということなんですけれども、財務省の方も、この水力発電の第二期工事分に対しての円借款については、このままストレートに百六億円出しても、不良債権じゃないですけれども、回収が可能なんだろうかという意見を財務省から外務省へ言われているというふうに聞いているんですが、それは本当でしょうか。

溝口政府参考人 円借款を供与いたしますときは、プロジェクトの内容でございますとか、あるいは相手国の経済の状況とか、いろいろなことを政府内で検討するわけでございまして、御指摘のように、ケニアにおきまして、経済状況は、干ばつなんかがございまして状況は必ずしもよくないということはございますが、現在、過去に供与した円借款の延滞の問題が生じているという状況ではないわけでございます。

 いずれにしましても、御指摘のように、その国の財政状況等もよく検討の上、こういう問題は決定していくのが通例でございます。

北川委員 案件の審査が長引いているということがなぜかNGOの責任に転嫁されてしまったような発言をされているのは、問題が深いと思います。そして、命の危機まで感じながら活動していらっしゃるメンバー、それは多分に、移転の補償の問題やそこが聖地であるという問題、環境への汚染等々がもう既に出ているというところでも、NGOは頑張って踏ん張っているわけです。

 今の御答弁からすると、これはもう国が第二期分を執行するかどうかを決める段階、今十分に検討しているということなんですが、それは現実に透明性の高いものにする必要があると思いますし、パブリックコメントや、そして今回のNGOの人たち、それぞれこの間の見えてこなかった点を提言しているわけですから、開発銀行の方もこのコメントを踏まえないといけないと思うんですけれども、先ほどの御答弁とあわせて、その点は今どういうふうに思っていらっしゃるか。そして、透明性を図るときにおいて、政治家の関与というものの廃絶、それは強い意思を持っていらっしゃるのかどうかをお伺いしたいと思います。

岩田政府参考人 お答え申し上げます。

 本件のプロジェクトにつきましては、計画の段階から、ケニア側の実施機関で関係者への説明でございますとか意見交換なども行われたということを、私どもの現地調査などを通じまして確認いたしてきておりまして、また、その後、事業の実施段階におきましても、その方法などに関して地域住民との対話集会が累次にわたって開催をされてきておるわけでございますが、昨年の暮れに至りまして、現地において環境、社会面に対する指摘がなされたということで、本年一月にさらにNGOなどの参加を得て地域住民との対話集会が開かれたところでございまして、その結果、先生も御存じのことと存じますが、この事業の実施上の諸問題とその解決策について、技術委員会というような場を設定して、そのための議論をするという場が設定をされたわけでございます。

 私どもも、こうした場における協議内容をフォローいたしまして対応してまいりたい、このように考えております。

北川委員 まとめて発言していただいたんですけれども、審議のときに透明性を高くする、そしてNGOが何かふれ回ったからというような言い方をしている青木大使に対して、この記者会見が本当になされたということを確認されて以降なんですけれども、そうではなくて、今ストップしているのは、財務省、外務省、そして田中外務大臣ともどもが慎重に検討しているからなんだということを進言するべきではないかと思うんです。

 先ほどの御答弁の中から抜けていました政治家の関与を絶対廃絶するんだという意思の表明、では透明性の確保を何でするんだというところとあわせて、この青木大使の記者会見のコメントは確認されていないということなんですが、確認された段階では、私が先ほど申しましたように進言をしていただきたい、すべからく、今は国内の政治的な状況の中で第二期分円借款するかどうかを検討しているんだということを青木大使に進言していただきたいと思うんですが、この二点について御答弁をいただきたいと思うんです。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 本件につきまして、日本の国内で環境問題も含めて慎重に検討するということになっているので、ケニア側としても適切な措置をとるようにということで、青木大使の方からケニア政府側に対しては既に伝えてございます。

 それから、政治家の関与につきましては、既にこの国会におきましても田中外務大臣からも答弁しておりますけれども、特定の政治家の関与ないし影響力の行使があったという事実は一切ございません。

北川委員 ありがとうございました。

中馬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時八分散会




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