衆議院

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第2号 平成16年8月4日(水曜日)

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平成十六年八月四日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 増田 敏男君

   理事 岩崎 忠夫君 理事 江渡 聡徳君

   理事 中馬 弘毅君 理事 町村 信孝君

   理事 井上 和雄君 理事 辻   惠君

   理事 中井  洽君 理事 井上 義久君

      赤城 徳彦君    岩永 峯一君

      宇野  治君    奥野 信亮君

      木村  勉君    後藤田正純君

      櫻田 義孝君    下村 博文君

      西野あきら君    早川 忠孝君

      古川 禎久君    三ッ矢憲生君

      水野 賢一君    森山  裕君

      山本 明彦君    阿久津幸彦君

      岩國 哲人君    宇佐美 登君

      佐藤謙一郎君    田島 一成君

      高井 美穂君    津川 祥吾君

      中山 義活君    永田 寿康君

      堀込 征雄君    松崎 哲久君

      松野 信夫君    村越 祐民君

      長沢 広明君    山名 靖英君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)   関戸 秀明君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    栗本 英雄君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)   高部 正男君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (国税庁次長)      村上 喜堂君

   衆議院調査局第二特別調査室長   大竹 邦実君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月四日

 辞任         補欠選任

  岩國 哲人君     高井 美穂君

  吉井 英勝君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 美穂君     岩國 哲人君

  穀田 恵二君     吉井 英勝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件


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     ――――◇―――――

増田委員長 これより会議を開きます。

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局長関戸秀明君、警察庁刑事局長栗本英雄君、総務省自治行政局選挙部長高部正男君、法務省刑事局長大林宏君及び国税庁次長村上喜堂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

増田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

増田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村勉君。

木村(勉)委員 私は、自由民主党の木村勉でございます。

 まず最初に、公職選挙法第二百三十五条、虚偽事項の公表罪違反に関してお聞きしたいと思っております。

 昨年の十一月の総選挙で福岡県第二区から立候補し当選した古賀潤一郎君は、総選挙の前に、報道機関等の調査紙や、また選挙公報の学歴欄に米ペパーダイン大学と記入しておりました。しかし、報道機関の調査によれば、同大学に在籍はしていたが学位は取得しておらず、卒業にも単位が不足していたことが判明しました。

 古賀議員は、同大学を卒業したとして選挙運動を行い、当選をしてきました。卒業していないことを議員本人が認識しながら選挙運動を行っていたとすれば、公職選挙法二百三十五条の虚偽事項の公表罪で禁じている行為であり、公職選挙法違反であるとの疑惑は払拭できないわけであります。また、古賀議員の選挙公報に、経歴として、UCLA、カリフォルニア大ロサンゼルス校の名を記載しておりますが、この大学にも在籍記録がないと報道されております。

 福岡県警と福岡地検は、古賀議員の米大学での在籍状況などを確認するため、七月二十九日にも捜査員と検事らを米国に派遣する方針を決めたと報道されておりますけれども、その捜査状況、どのようになっているか、御説明をいただきたいと思います。

栗本政府参考人 ただいまのお尋ねの件につきましては、福岡県警察におきまして、本年二月、公職選挙法の虚偽事項の公表罪容疑の告発を受理いたしました。

 現在、関係機関とも連携をいたしまして捜査中でございますが、今後、所要の捜査を遂げた後、検察官に送付することになると承知をいたしております。

大林政府参考人 お尋ねの事件につきましては、福岡地方検察庁において、関係機関とも連携の上、捜査中であると承知しております。

 今、捜査員がアメリカへ派遣された旨の報道について言及されましたけれども、これらも含めまして現在捜査中でございまして、捜査機関の具体的活動内容にかかわる事柄でございますので、お答えを差し控えさせていただきたい、このように思っております。

木村(勉)委員 アメリカに捜査官が行って捜査中と、こう私は理解しておりますので、しっかりと捜査をしていただきたい、こう思っております。

 また、古賀議員に関しまして、政治資金規正法二十二条の五、日本国籍を有しない者からの寄附の禁止ということに関して御質問したいと思います。

 古賀潤一郎議員は、日本国籍を有しない、韓国籍社長から違法な献金を受けたという報道がなされております。事実であれば、政治資金規正法第二十二条の五で禁止されている行為に該当すると考えられます。

 この件に関して、八月の二日、福岡地検は不起訴処分だとして報じられておりますけれども、不起訴処分となった理由をわかりやすく御説明をいただきたい。

大林政府参考人 お尋ねの件につきましては、所要の捜査を遂げたものの、犯罪の成立を認定すべき証拠が十分でなかったことから、七月三十日、福岡地方検察庁において嫌疑不十分により不起訴処分としたと承知しております。

 なお、その理由の詳細につきましては、不起訴とされた具体的事件の捜査内容にかかわる事柄でございますので、お答えを差し控えさせていただきたい、このように存じます。

木村(勉)委員 これはなかなか答えにくいことでございますから、これ以上は無理して答弁を求めませんけれども、古賀議員の一連の動きを見ておりますと、大変納得のいかない、政治不信のきわみを演出していると言わざるを得ないわけであります。最初、この問題が発覚したとき、卒業が確認できなければ辞職をするということをコメントに出しました。しかし、辞職もしませんし、居続けております。

 また、先ほども申し上げましたUCLAが間違っていたら、それはCSULA、カリフォルニア州立大学のロサンゼルス校だということで言いわけをしましたけれども、そこにも在籍の実績がないと言いましたら、今度はまたもとに戻って、夏期講習に先ほどのカリフォルニア大学のロサンゼルス校に入っていたんだというように、くるりくるりと自分の言葉を変えているわけであります。うそをついてきたわけであります。

 そして、街頭演説で、自分の議員歳費は受け取らないということをマスコミを通じて発言したわけではありますけれども、現実には、衆議院の私は会計課に問い合わせましたところ、ちゃんと古賀議員は歳費をもらっている、取りに来ているという話を聞きまして、これも本当に格好つけのパフォーマンスだけで、実際はそれと全く裏腹の、歳費も返上していないということがわかったわけであります。

 このように、有権者を裏切る行為、そして有権者の不信を買っているということは、これは本人が一番わかっているはずであります。我々としては、今捜査員やまた地検の方々がアメリカへ行って調査している、それをしっかり調査していただいて、その結果を我々はしっかりと見守り注視していきたい。そして、その結論に従っていかなきゃならないと思うと同時に、本人は、その結論が出る前に、こういう政治不信を招いたことを一番みずからわかっているわけでしたら、自分から議員を辞職してけじめをつけるべきだと私は考えているわけであります。

 次に、宮城一区の今野東君、宮城二区の鎌田さゆり君、比例代表東海ブロックの都築譲君の公職選挙法違反についてお尋ねをしたいと思います。

 これらの違反に関して、第二審にて有罪判決が下されておりますね。この判決が、どういう判決が下されたのか、お聞かせいただきたいと思います。

大林政府参考人 御指摘の都築議員の関係につきましては、その出納責任者を含む選挙運動者二名が、電話による選挙運動を行うことの報酬の支払いを約束したなどの事実により、平成十五年十二月十七日起訴され、本年三月十七日に、名古屋地方裁判所豊橋支部で両名を懲役一年六月に処する執行猶予つきの有罪判決が言い渡され、本年八月二日には、控訴審の名古屋高等裁判所でもこの判決が維持され、現在、上告の提起期間中であるものと承知しております。

 また、今野議員の関係につきましては、選挙運動者である労働組合関係者二名が、人材派遣会社関係者に対して、電話による選挙運動を行う要員を確保、派遣することの報酬として同会社に現金を支払う旨の意思表示をしたなどの事実により、平成十五年十二月十一日起訴され、本年三月三十一日に、仙台地方裁判所で両名を懲役二年ないし一年二月に処する執行猶予つきの有罪判決が言い渡され、本年七月二十六日には、控訴審の仙台高等裁判所でもこの判決が維持され、現在、上告の提起期間中であるものと承知しております。

 さらに、鎌田議員の関係につきましては、選挙運動者である労働組合関係者四名が、人材派遣会社関係者に対して、電話による選挙運動を行うことの報酬として同会社に現金を支払う旨の意思表示をしたなどの事実により、平成十五年十二月三十日起訴され、本年三月三十一日に、仙台地方裁判所で四名を懲役二年ないし一年二月に処する執行猶予つきの有罪判決が言い渡され、本年七月二十六日には、控訴審の仙台高等裁判所でもこの判決が維持され、現在、上告の提起期間中であると承知しております。

木村(勉)委員 この件はかなり早く二審まで進んできたわけですけれども、ここで、百日裁判というのが決定されてこういう展開をされているというんですけれども、この百日裁判というのはどういうものなのか、どういう要件で成り立っているのか、ちょっと後学のためにお聞かせいただければありがたいと。

大林政府参考人 公職選挙法二百五十三条の二第一項により、当選人や連座対象者の一定の選挙犯罪につきましては、選挙の結果を速やかに安定させ、または当選無効等の制裁の実効性を確保するため、いわゆる百日裁判の手続で審理することが求められ、このような事件については、裁判長は、同条第二項により、公判期日を一括して定めることなどが義務づけられているものと承知しております。

木村(勉)委員 この三名の選挙にかかわる違反というものは、これは国民がみんな注視しているわけでございまして、今の説明にありましたように、実効性を伴うためにも、早く最終的な結論が出ることを期待しているわけでございまして、いつごろ出るかはここでは答えられないと思いますから質問しませんけれども、ぜひひとつ、抗告の問題もございますけれども、できるだけ早く最終結論を出すように、ひとつ関係機関で努力していただきたいと、こう思っております。

 次に、公務員の兼職についてお尋ねをいたします。

 国家公務員が企業の社員、役職につくことは、国家公務員法百三条に触れると規定されておりますが、どのような罰則があるのか、また、その時効はどのぐらいの期限なのか、お答えをいただきたいと思っております。

関戸政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、一般職の国家公務員が営利企業の役員を兼ねることにつきましては、国公法の百三条で原則として禁止をされております。また、人事院の承認を得た場合は、その三項でできることになっておりますけれども、実際には、人事院は、研究公務員等で一定の要件を満たす場合を限り、今まで承認をしておりません。

 それで、承認を得ないで兼業していた場合ということになりますけれども、在職中であれば、国家公務員法に違反ということになりますので、懲戒処分の対象となり得るということになります。また、国家公務員法百九条の第十三号の規定に該当するということになりまして、刑事罰の対象ともなり得るというところでございます。

木村(勉)委員 それは、国家公務員在職中であるとそういう罰になるけれども、やめちゃって、今議員になっちゃった場合はその罰は適用されるのか。

 それで、私が聞きたかったのは、時効がどのくらいなのかということに対してはちょっとお答えがなかったようでございますけれども。

関戸政府参考人 今申し上げましたのは、在職中というのは懲戒処分でございまして、刑事罰については、当然公訴時効ということになります。

 直接答える立場にあるかどうかというのはありますけれども、三年の時効に係るということだと承知しております。

木村(勉)委員 時効は三年ですか。だけれども、刑事罰は残るということですね。わかりました。

 では次に、役職に就任している間にその企業の所有するマンションの一室を借り受けることが、国家公務員法との関係でどのような問題があるのか、お聞かせいただきたい。

関戸政府参考人 お尋ねのような事案でございますが、具体的ケースについて具体的事情に応じて判断する必要があるかと思いますけれども、一般論としてということでお答えさせていただきたいと思いますが、承認を得ないで役員との兼業をすることについては、報酬の有無とか財産上の利益の供与があるかどうかということにかかわらず、違法ということになります。

 それで、そういう職員がマンションを借り受けたり無償で賃貸をするというようなケースでございますけれども、国家公務員法上、直接抵触するという規定はございません。

 ただ、それが、特定の企業から過剰な便宜供与などを受けまして国民の疑惑とか不信を招くというようなことになりますと、信用失墜行為に該当するかどうかということが問題になろうかと思います。

 ただ、もう一つ、十二年から倫理法ができましたけれども、利害関係者に当たる場合、利害関係者から無償貸与なされる場合ということでございますけれども、倫理規程では、利害関係者から無償による不動産の貸与を受けるということは禁止されておりまして、利害関係者の場合は懲戒処分の対象になり得るということになろうかと思います。

木村(勉)委員 時効の壁はありますけれども、この想定される人は、法律違反を一つ二つ重ねてきたということをここで指摘しておきたいと思います。

 次に、公務員がそのマンションの賃貸費用を払っていない場合はどのような罰則があるのか。また、仮に払っていたとしても、関係企業から賃貸を受けることが国家公務員としての問題はないのか。もう一度お尋ねいたします。

関戸政府参考人 今お答え申し上げたとおりでございまして、国家公務員法上、直接抵触するような規定はございません。倫理法に基づく倫理規程に該当するかどうかということがあり得るかどうかということになろうかと思います。

木村(勉)委員 では、これをもちまして私の質問を終わらせていただきます。

増田委員長 長沢広明君。

長沢委員 公明党の長沢広明でございます。

 きょうは、参議院選挙が終了して最初の公選法改正特別委員会ですので、この参議院選挙で新しく導入された制度について幾つか御認識をお伺いしたいというふうに思っております。

 まず、今回、本格的に新しく創設をされて導入をされました郵便等による不在者投票制度についてでございますが、百五十六国会で成立をしまして、ことしの三月一日から施行となって、今回の参議院通常選挙で初めて実施をされました。

 これまで、在宅で外出もままならないという方に対して、特に郵便投票は拡大をしたということで、これは、投票の機会を広げるという意味では大変価値ある制度であるというふうに思いますし、私どももいろいろな形で周知するよう努力をしてまいりましたが、周知方がやはりいま一歩足りなかった。もちろん時間が少なかったということもありますけれども、地域においては、対象者とか選挙管理委員会に対する周知徹底は十分であったのかというふうに感じております。実感としては、やや周知が不足していた、知られないまま今回の参議院選挙は終わったというふうに思っております。

 今後の取り組みを含めまして、この周知の仕方、どのように行われて、今どのようにとらえているか、この点、まずお願いしたいと思います。

高部政府参考人 御指摘ございました郵便等投票制度の改正に絡む周知の問題でございますが、私どもといたしましては、このようなチラシを五十六万部ほどつくらせていただきまして、一般的な講習、啓発に努めるということをやってまいったところではございますが、特にこの関係、周知が大変大事だという認識のもとに、二点、いろいろ御協力をお願いしてやったものがございます。

 一つは、やはり住民の方々に身近な市町村の広報の御協力ということで、市町村の広報紙等は世帯配布もされておるところでございますので、こういうところに載せていただいて、できるだけ周知を図るという取り組みが一つでございます。

 それからもう一つは、障害者の方々を対象とする、あるいは在宅の寝たきりの老人の方々を対象とするということでもございますので、福祉部局の連携が非常に重要ではないかというふうな認識のもとに、私どもも、選挙管理委員会サイドの流れの中で周知に努めますとともに、厚生労働省の御協力もいただきながら、福祉部局と連携をとりながら、あるいは福祉の関係団体等の協力をいただきながら、地方自治体の方においていろいろな工夫をしながら周知に努めたというふうに認識しているところでございます。

 ただいま、若干周知が不足だったのではないかというような御指摘もいただきましたけれども、選挙が終わったところでございますので、今後、今回の選挙における状況をよく踏まえまして、今後ともこの制度改正の趣旨が生かされますように、私どもいろいろ工夫をしてまいりたいと考えているところでございます。

長沢委員 選挙が終わった直後で、代理記載とか郵便投票の拡大によって実際どのような投票が行われたかという具体的なデータはまだ集まっていないということでございますので、また、その具体的なデータが集まった段階で、さらにきちんと次へ向けての取り組みが必要だというふうに思います。

 今回、あの郵便投票が拡大をされまして、特に、視覚障害者、上肢障害一級の方には代理記載制度が創設をされました。視覚障害者の投票機会が拡大されたということは、非常に視覚障害者の方からも喜びの声を私も聞きましたけれども、ただ、視覚障害の方から、以前から選挙に関する情報が大変不足している、政見放送等耳から入る情報もありますが、じっくりとやはり自分が判断できるように、選挙公報の点字化、特に点字公報の内容を充実してほしいと、こういう声を聞いております。

 これまでも点字公報については取り組みをされているというふうに思いますが、視覚障害者に向けた情報提供の拡大という意味でより充実すべきだというふうに考えますので、その点、ひとつお願いいたします。

高部政府参考人 御指摘いただきました視覚障害者の方々への情報提供、大変重要な課題だというふうに認識しているところでございます。

 それで、現行制度でございますけれども、点字用の選挙公報につきましては、限られた期間内に間違いなく点字訳を調製することができるか、あるいは公平に配布することができるかといったような技術的な課題もありまして、制度化されていないところでございますが、視力に障害のある有権者の方が投票しやすいように、都道府県の選挙管理委員会におきましては、候補者の氏名や経歴等を点字で掲載した選挙のお知らせ版を配布しているところでございまして、国政選挙に際しましては、すべての都道府県で発行しているところでございます。

 なお、今回の参議院選挙で若干充実がございましたのは、先ほど申しましたように、これまで氏名とか経歴等の点字訳でございましたけれども、全団体ではございませんけれども、比例の選挙公報の要約したようなものを点字訳したというような取り組みを新たに進めている団体も出てきているところでございます。

 いずれにいたしましても、障害者の方々が投票しやすい環境をつくることができますように今後ともいろいろ工夫を凝らしてまいりたい、かように考えているところでございます。

長沢委員 時間がない中での点字化というのは非常に大変だというふうに思いますが、ぜひ中身の充実をお願いしたいというふうに思います。

 今回、このように新しい制度が導入をされまして投票範囲がかなり広がったというふうに思いますが、特にこの郵便投票の場合は、以前から、手続が煩雑で使い勝手が悪いと。確かに、本人の確認、それから、誤りなき選挙事務の実施ということを考えますと、きちんと手続が必要なことはよくわかるんですが、今回の郵便投票を拡大された部分についても、パンフレットで周知されたというふうには承知をしておりますが、そのパンフレットを見てもわからないと。逆に、パンフレットをもとにこういう投票ができますよという説明をすると、いや、そんな面倒だったらやめますわと、こういうような声も上がるぐらい煩雑でわかりにくい、やりにくいと。

 せっかくつくった制度ですから、できるだけ利用者がふえるような改善を試みていただきたいというふうに思いますし、その意味で、今後の課題、できればその改善策、どのように取り組もうとされるか、お考えをお聞きしたいというふうに思います。

高部政府参考人 御指摘ございましたこのような制度の課題というのは、有権者の利便と選挙の公正の確保といったものをどの点で調和させるかというところにあるのかというふうに考えているところでございます。

 それで、この郵便による不在者投票につきましては、かつての経緯がございまして、戦後、幅広い、郵便による在宅の投票制度がございましたけれども、昭和二十年代、不正が横行いたしまして、一たんすべて廃止されたという経緯があるわけでございます。それが昭和四十年代になって復活して、今のような、対象者を限定し、厳正な手続のもとに行われるというような形で復活したというような経緯がございまして、煩雑だという面はございますが、一方では、厳格な手続が選挙の公正を確保するために重要な役割を果たしているものだというふうに考えているところでございます。

 いずれにしても、先ほども言いましたように、選挙の公正確保との調和をどのように図るかという観点でございます。郵便投票の仕組みも変わりました。こういったような状況を見ながら、今後とも慎重な検討をしてまいりたいと考えているところでございます。

長沢委員 在宅の方がふえている中でのやはり在宅での投票の仕方という意味では、この郵便投票は非常に大事な制度だと思いますので、使い勝手をよくしていただくように、改めて要望しておきたいというふうに思います。

 それから次に、期日前投票についてですが、今回の参議院選挙は、国政選挙、しかも、全国一斉の選挙という形では初めてこの期日前投票が全国一斉に行われるようになりました。これまでの投票日投票主義から、いわゆる選挙期間中投票できるという仕組みに変わったわけで、投票日当日に投票に行けない人が行けるようになったということ、それから、今までの不在者投票よりも投票しやすくなったということで今回の期日前投票を実施されましたが、この期日前投票が導入をされて、率直に言って、この変更によってどのような効果が生まれたか、特に投票率の関係についてどのように見られているか、認識をお聞きしたいと思います。

高部政府参考人 期日前投票制度につきましては、従前の名簿登録地の不在者投票の仕組みを改めまして、公示、告示日の翌日から投票箱に直接入れられるような仕組みとさせていただいたところでありまして、私どもとしては、全般的な受けとめ方としては、やりやすくなったというような受けとめをしていただいているのではないかというふうな認識をしているところでございます。

 そこで、御指摘ございました投票率等との関係でございますが、今回の参議院通常選挙におきます期日前投票者の数は約七百十七万人でございまして、前回の通常選挙におきます名簿登録地市町村における不在者投票数が約五百七十七万人でございましたので、約百四十万人、二四・三ポイントと、大幅にふえたものというふうに認識しておるところでございます。

 それで、御指摘ございました投票率との関連で見ますと、投票率に換算するといいますか、ただいま申し上げました数字を有権者数で割りますと、約七百十七万人というのは七・〇%に当たるということになります。前回に比べて百四十万人ふえているというのは、投票率に換算しますと、一・三%の増加の寄与度ということになるところでございます。

 それで、トータルの投票率が五六・五七%で、前回の五六・四四%をわずかでございますが上回るという結果になったわけでございますが、期日前投票制度が一・三%のある意味での押し上げとなっているというようなことも見られるわけでございまして、一定の効果があったのではないかというふうに考えているところでございます。

長沢委員 一定の効果があったというふうな御認識でございます。

 この期日前投票について、一方で今までの不在者投票も随分改善されて、今回、期日前投票でさらに投票がしやすくなったということで、いいと思うんですが、選挙期間中それから選挙期間後、この期日前投票所に行きましたら、投票用紙を比例区と選挙区と二枚同時に渡されて、投票に大変戸惑いを感じたと、こういうようなところもあったようでございます。

 何でそういうことが起きるかということをちょっと聞いてみましたら、選挙課の方から、理想的には、投票日当日と同じようにその会場がセッティングできればいいんですが、部屋が狭い場合にはそういうふうに二つに分けられないので、二枚一緒に渡すというような場合も考えられます、このようなお答えをいただきました。

 これは、場所の問題等、非常に探すのは大変だというふうに思います。苦労されていることだと思いますが、できる限り投票日投票所と同じ投票ができるようにすることが制度の趣旨を生かすことになるというふうに思いますので、この期日前投票の今後の課題という観点からこういう改善点についてどのように考えているか、お伺いをしたいと思います。

高部政府参考人 比例の投票用紙と選挙区の投票用紙を間違えますと選挙は無効となるということにもなりますので、私どもといたしましては、それぞれの投票用紙を別々に交付するように、各種会議あるいは通知で選管に対してはお願いしているところでございます。

 御指摘ございましたように、基本的にはこういうことをお願いしているところではございますが、会場、施設の物理的な制約といったようなことから、現実的にやむを得ず同時に交付したというところもあるというふうに承知しておりまして、そういう場合にも、できるだけ選挙人が投票用紙を取り違えることがないように、投票用紙を手渡す際に口頭でいろいろ注意をしていただくように通知をしているところでございます。

 特に、期間中そのような御指摘がございましたので、私ども、別途通知して、そういう注意を徹底を図るように努めたところでございます。

 それで、できるだけ別々に交付できるようにというスタンスで今後とも臨みたいと思っておりますが、一方で、スペースの関係、あるいはもう一つ、できるだけ選挙人の便宜のために期日前投票所の増設等々もお願いしておるところでございまして、そういうことの兼ね合いを見ながら、できる限り別々な交付ができますように努力してまいりたいと考えているところでございます。

長沢委員 あとはインターネットの問題とかもう少しやりたかったんですが、時間がなくなりましたので、最後に一言だけ、この委員会に付託をされております、永住外国人に対する地方参政権の付与法案についてひとつ話をさせていただきたいというふうに思います。

 我が党は既にこの法案を国会に提出しておりまして、六十三万人とも言われる、日本に永住権を持つ外国人の方々、日本に住む、日本人と同じように納税もし、さまざまに地域で活動もしている、にもかかわらず、地域コミュニティーに参加の権利、これが与えられていないと。このような方々に一日も早く地方での参政権、特に選挙権、投票権を与えるべきであるという立場を我が党もずっと貫いてきております。

 地方議会におきましては、定住外国人に対する地方参政権を求める決議が相次いで行われておりまして、地方自治体からの決議、意見書の数をお聞きしようと思っていますが、こちらで調べたもので、都道府県では三十二の自治体、政令指定都市で十二、そして、それ以外の市町村からも千百八十二、合計で千二百二十六もの決議が総務省に寄せられております。一方、反対する決議は、都道府県からはわずか一、指定都市以外の市区町村では四、全国でわずか五件にとどまっておりまして、このような地方の声にも真摯に耳を傾けて、地方の要請に誠実にこたえていくべきであるというふうに考えております。

 我が党が出した国会は、平成十二年の百四十八国会から昨年の衆議院解散まで実に十の国会、ずうっと継続審議になって、昨年の衆議院解散で廃案になり、ことしの通常国会でまた改めて提出をさせていただいたと。もう十数回の国会にわたってずうっと提出をされ続けている法案でございまして、一刻も早く実質的な審議を行われることを期待したいというふうに思っておりますし、次の本格的な国会でしっかり審議をし、そして採決をするべきであると、こういうふうに考えております。

 その期待をしっかり申し上げさせていただいて、私の質問を終わりますが、一言、もし大臣に御感想をお聞かせいただければ幸いでございます。

麻生国務大臣 永住外国人の地方参政権の問題が御党から出されておりますということはよう承知しておりますが、もう過去の国会なり、また、各党間の御意見聴取の中でいろいろ意見が分かれておりますのも御存じのとおりでありまして、総務省としてこれをどうこうと言う立場にありませんので、そういった意味におきましては、これはそれこそ選挙の土俵にかかわる大きな話だとも思いますので、各党各会派において慎重な議論というものがさらにされるものだと思っております。

長沢委員 終わります。

増田委員長 次に、永田寿康君。

永田委員 民主党の永田寿康でございます。

 大臣におかれましては、メーンフィールドの総務委員会から倫選特の方にお出ましいただきまして、ぜひ充実した審議をしたいと思いますので、おつき合いをよろしくお願いいたしたいと思います。

 まず冒頭、本題に入る前に、一言ちょっと自民党というか与党に申し上げたいと思います。

 この国会、余りに会期が短過ぎる。たった八日間。あれほどけんけんがくがくの政策論争をしながら戦った参議院選挙、その結果を受けて、まさに民主主義の聖なる判断が下された直後の国会にしては、総理がオリンピックを観戦して応援をするのが忙しいのかもしれませんけれども、八日間で一体何ができるのかというふうに思いますね。

 やはり、これは政治の私物化だというふうに私は思います。国民がさまざまな意見を持っている、それで、その意見を持ち寄るために国民の代表として我々議員が国会に集っているのに、会期を短くして議論を封じようとするのは、これは、私は政治の私物化、国会の私物化だと思います。

 よく似たようなことが実はプロ野球界でも起こっています。本来ならば選手あるいはファンのためにプロ野球というものはあるべきなのに、まるで、馬主が自分の馬を走らせて、勝負をしているのは実は自分なんだというふうに思っているがごとくプロ野球の球団を自由に動かそうとする、あるいはリーグ制について自分の意見を通そうとする。こういう、本当は公共的なものであるはずなのに、それを私物化しようとする姿勢が国民から非常に強い批判を受けているんだというふうに私は思っています。

 そういう意味で、政治の私物化というのが同じような強い批判を浴びる可能性があるというふうに私は指摘をしたいと思いますが、大臣はこの考え方についていかがお考えですか。

麻生国務大臣 あなたの御意見として拝聴はさせていただきますが、プロ野球と衆議院を一緒に考えたことはありません。

永田委員 そういう、政治を私物化していることに思いを至らせない与党の姿勢がいかなる批判を受けるのか、これから私も楽しみにしております。

 もう一つ国民の怒りを届けたいと思います。

 実は、きょうこれから日本歯科医師連盟の疑惑について大臣にるる御質問をしたいと思っておるわけですが、しかし、このことについて、私が大変頼っているある歯医者さんから、これはもちろん歯科医師連盟の元幹部の方です、この方から怒りの電話がありました。

 冒頭、先生、私はもう税金を払うのが嫌になったよと。何かといったら、今、立件されそうになっている、問題になっているのは、この日本歯科医師連盟が吉田幸弘さんという自民党の元衆議院議員の方、この方に献金をしたことにして、それを臼田被告が還流させて手元に置いて、およそ三千万円と言われています、これを日本歯科医師連盟の会長選挙あるいは日本歯科医師会の会長選挙の際に、簡単に言えば買収をする、つまり、選挙で投票する権利を持っている代議員に対して、三十万円ずつ、およそ百人に対して現金をばらまいたというようなことが一部報道されておるわけでございますが、この電話をくれた歯医者さん、何と、自分で三十万円もらったことを認めています。私にそう言いました。

 そして、そのことについて警察から話を聞かせてくれと言われたから、だから、えっちらおっちら出て行って、前日の夜に自腹でホテルに泊まって、翌日の朝九時四十五分に取り調べ室に入って、夕方の五時まで一歩も取り調べ室を出ずに、一千五十円のお弁当をお昼御飯に自腹で食べながら取り調べに応じてきたと。三十万円で七時間余りの取り調べを受けたんです。一億円だったら三百日ですよ。それが妥当だと思う。しかし、いまだに、これから問題になる元総理大臣、先日私が告発をしてまいりましたが、橋本龍太郎さんは、取り調べも受けずにおてんとうさまの下を堂々と歩いている、腹の虫がおさまらない、おれたちが税金を払って支えている検察制度というものはこんなに不公平なものなのか、おれはもう税金を払うのが嫌になった。これが、納税者の、国民の怒りの声です。

 大臣は内閣の一員であります。私は、この公開の、議事録も残る国会の討論の場で大臣に正式に申し入れます。このような不公平な検察制度は絶対に改めるべきだ、内閣にそう申し入れますので、ぜひ担当部署にお伝えいただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 ちょっと今の質問の意味がよくわからないんですが、収賄は受けられたんですね。三十万円の収賄を受けたということを認めたわけですね。(永田委員「会長選挙のです」と呼ぶ)受けたわけね、本人は。

 となると、罪はある程度認めたわけで、片方の方はまだ取り調べ中ということになりますと、それは、扱いについてはかなり差が出て普通なんだと思いますけれどもね。

永田委員 そういう問題意識だから違うんですよ。これは、日歯連の中でプールされた裏金、これがどこへ渡ったかというルートを解明する上で三十万円はどこに行ったんですかという話を聞きに行ったんですよ。もらった方が問題なんじゃないんですよ。わかりますか。これは歯医者さんですよ、しかも普通の。もらった方が問題なんじゃなくて、その日歯連の裏金がどういうルートでだれにいつ渡ったのか、どういう趣旨だったのかということを解明するためにこの歯医者さんに話を聞いたんです。だったら、かの人も聞かれるのが普通じゃないですか。なぜ聞こうとしない、検察は。おかしいと思いませんか。そういう問題意識なんです。

 ぜひ、これは国会の場で私は申し入れますから、内閣のしかるべき部署にお伝えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お約束いただきたいと思います。

麻生国務大臣 正式に文書が出された段階で検討させていただきます。

永田委員 文書じゃないでしょう。これ以上の場所がありますか。公開の場で、国会で国民の代表が内閣に対して申し入れているんです。これ以上の正式なものがありますか。文書がなければできないなんて、そんなばかな話はない。ぜひあしたにでもやってください。きょうでもいい。

麻生国務大臣 問題の趣旨がよくわかりませんので、文書で出された方が後々残ると思います。

永田委員 議事録に残っているでしょう。それが文書だ。それ以上の正式な文書がありますか。ぜひ議事録を読んで、正式に申し入れておきますので、善処していただきたいと思います。

 さて、政治と金の問題、相変わらず繰り返されています。ロッキードからリクルートからさまざまありました。坂井隆憲さんも逮捕されてしまいました。鈴木宗男さんも立件されています。こうしたことが繰り返されている中で、またもや日本歯科医師連盟の問題。これは、一部、贈収賄で逮捕された人もいるわけですが、こうした問題が繰り返される背景にはどのような原因があると。つまり、政治と金の問題が常々起こるその原因は一体どこにあると大臣は御認識でしょうか。

麻生国務大臣 個別の案件についてのコメントとしては差し控えさせていただきますが、制度の問題と個々人の資質の問題と二つあると思っております。

永田委員 もう少し具体的にお話しください。制度についてはどういう問題があり、個々人の資質についてはどういう問題があると、そういうふうにお答えください。

麻生国務大臣 平成六年に法律が成立したと記憶しますけれども、これによりまして、少なくとも政治資金につきましては政党中心にお金を集められるようになり、いわゆる小選挙区制による政党中心の選挙制度に変わっていったというようなことを含めまして、制度としては、以後、規正法は強化されておりますし、いろいろな形で制度としては随分強化されたと思っていますし、透明性も随分前に比べれば確保されてきたと思っております。

 ただやはり、一人一人の個人、政治家の個人というものに関しては、これは政治家個人の倫理がきちんとしていないとどうにもならぬところなのであって、幾ら規制がしっかりしたって、個人が倫理観が欠如していたり、矜持としてはいかがなものかということがあった場合は、これは幾ら規則を厳しくしても、それでもやるという人はいる。しかし、そういう人は捕まるということなんだと思いますので、個人と制度というものは二つ分けて考えないといかぬのではないかと申し上げております。

永田委員 言いかえれば、多分、制度の部分は、厳罰化をして何とか歯どめにしようという考え方もあるでしょうし、あるいは政治資金を公開する、収支報告書を公開することによって世間のチェックを受けるというような仕組み、アイデアでもって事件の防止を図るというか、身を律してくださいというふうに、政治家に対して、圧力をかけるというのも変ですが、そういう仕組みをつくるというのが一つの考え方だと思います。

 一方でもう一つ、個々人の資質の問題というのがありますけれども、これについては、やはり個人個人の倫理観というものでありましょうけれども、結局は、我々政治家が、一人一人がもちろん自分を律すると同時に、国会全体として、こういうことが起こらないように一人一人倫理観を高めていこうと。おれもしっかりやるから、おまえもしっかりやれよと。おまえ、何か悪いことをやったとうわさされているけれども、本当は何をやったの、ちょっと教えてよと。僕ら、国会の自浄作用というものを国民から期待されているわけであって、どうしても捨てておけないんだよと。君のスキャンダルは僕たちほかの政治家の信頼の失墜にもつながるんだという意味で、国会の自浄作用という部分が、それが個人の資質に対する対応策だと思うんですね。

 ついては、僕は、橋本龍太郎元総理大臣の参考人招致、証人喚問をお願いしたいと思うんですが、委員長、どのようにお取り計らいいただけますでしょうか。

増田委員長 本件につきましては、両筆頭間で、委員会で証人、参考人要求をしないというようなことを聞いておりました。(発言する者あり)いや、聞いておりました。

 そこで、御発言の趣旨、理解しますので、各党の意見を聞いた上で相談させていただきます。(発言する者あり)

永田委員 与党の理事から、君は告発をしているということを踏まえて話さなきゃいけないというお話がありましたので、それに対して私はちょっと説明したいと思います。

 改めて求めます。現在逮捕されている臼田被告それから内田被告、そして橋本龍太郎元総理大臣、もちろんこの方はまだ逮捕されていませんが。それから平成研の滝川会計責任者、この四名に対してまずは参考人招致を求めたいと思います。

 それについて、君は告発をしているから橋本さんについては言うに当たらないんではないかというお話がありますけれども、それは違うと思います。やはり、告発をするということは、これは、法と正義にのっとって、司直の手によって事件の解明を図り適正に対処される、そういう仕組みでありますけれども、それはまさに、先ほど大臣がおっしゃった制度の問題なんですよ。個人の資質の問題はやはり国会で議論しなければいけないことだと思うんですね。それは、国会の自浄能力を発揮しようという話なんです。

 それで、告発をしているから、それはもう司直の手にお任せしちゃって、おれたちは何もやることがないんです、政治家が本当にそういうふうにお考えになるならば、それは国会の自浄能力を否定することにつながるんですよ。それが国民から不信を招いているということがなぜわからないんです。そのことをしっかり勉強してください。

 そして、加えて制度の話を始めたいんですけれども、今回、平成研は、マスコミの報道などを受けて、一億円の収入があったということを認めて、政治資金収支報告書を訂正いたしました。加えて、収入部分で一億円の収入があったということを記載するとともに、その後、二年間にわたってそのお金は繰越金として処理されてきたという、繰越金の部分の増額修正もしております。これは、少なくともこの二年間、つまり、受け取ってから現在に至るまでの間、この修正がされるまでの間は、この献金は裏扱いされていたというふうに解するのが正しい解釈だと思っております。

 それで、この裏献金が相変わらず行われているということは、これは制度の運用がうまくいっていないんではないかと私は思っています。これは、もう少し制度を改正する、あるいは制度の運用を改善することによってこうしたことを防止していきたいと私は思っておるわけですが、大臣、その点についてのお考えはいかがですか。

高部政府参考人 委員、御案内かもしれませんが、現行制度の考え方について御説明をさせていただきたいと思いますが、政治資金規正法では、政治団体は、そのすべての収入、支出を収支報告書に適切に記載することとされておりまして、その記載義務違反については、罰則、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金で担保されるという仕組みになっているわけでございます。

 また、この政治資金規正法は、行政庁に対して形式審査権のみを認めて、実質調査権を付与していないわけでございますけれども、これは、国民の基本的権利であります政治活動の自由を尊重し、本来自由であるべき政治活動に対する行政庁の関与を必要最小限にとどめるべきであるという考え方のもとにできているものだというふうに理解しているところでございます。

 このような現行制度につきましてさまざまな見解があるものと承知しておるところでございますが、御指摘の点につきましては、このような現行法の趣旨を踏まえまして、各党各会派において御議論いただければというふうに考えているところでございます。

永田委員 役所の職員の方はそれでいいんです。現行の法制度に従って、今、法制度はこうなっています、それを運用すれば基本的にはうまくいくはずなんです、罰則もありますという制度の説明をすればそれで済むかもしれませんけれども、大臣、政治家はそれでは済みません。今ある制度を改正して、あるいは罰則を強化する、新しい仕組みを導入する、新しいアイデアを法律に盛り込んでいく、そうしたことで、不断の努力によってより実効性のある制度をつくっていこうという意思が、それがまさに政治判断、政治の意思であります。

 だから、お役所の方が答弁すればああいう形になるのはしようがないと思いますけれども、ぜひ、大臣の政治家としての意見ですね、これはもう少し制度上改善する余地がある、あるいは、もうこれが限界だというような所感をぜひお述べいただきたいと思います。

麻生国務大臣 先ほど申し上げましたように、政党本位の政治制度に変わって、小選挙区制に変わって、規制が厳しくなって、十年前、中井さんを初め、長くこの業界におられる方々は、結構昔に比べれば変わったということは理解しておられると思いますね。

 そういった意味では、今スタートしたところでもありますので、私どもとしては、これは、制度を厳しくすれば厳しくするほど、逆に言えば、確実にそういったものが減るかといえば、それをさらに裏をくぐろう、裏をくぐろう、そのまた裏をくぐろうという人も出てくるわけなんじゃないんでしょうか。

 常に、交通規則が厳しくなれば厳しくなるほど、またといろいろな話が出てくるのと同じような話だと思いますので、やはり、幾ら法律が緩くても厳しくてもきちんとして、個々人の資質とか個々人の倫理観というものがきちんとしない限りは、この種の話は、問題が起きれば規則だけ厳しくすればいいというだけではおのずと限度があると、私自身はそう思っております。

永田委員 しかし、僕は、先ほどから制度と運用と両方とも言及しています。制度については、確かに、制度だけで担保しようと思ってもある程度限界があるのは私も知っています。それはそうだと思います。仮にそんな万能の制度があれば、人類二千年の歴史の中で既にそういうものが開発されて、世界じゅうに普及していると思いますね。それができていないということは、すなわち、制度だけでこれを担保することはできないということの証明でもあると私は正直思っています。

 だけれども、運用面で努力をすることによって、より事態を改善する方法は僕はあると思います。

 つまり、単に形式的にこの政治資金収支報告書を総務省が受け取ってそれをオープンにするという作業だけではなくて、やはり、一たび明らかな記載漏れ、記載違反等があったときには、それを積極的に、やはり公務員は告発義務があるわけですから、積極的に司直の手に回していくというような考え方も私はあると思うんですね。それは一つの例です。

 ほかにも、運用面で努力をする。すなわち、今なし得ることを、本当はなし得るんだけれども、手が足りないからできていない、それをもっとより一生懸命やることによってこういうような問題が起こることを防いでいく、そういうことは僕はあり得ると思うんですね。

 大臣、何かその辺でいいアイデアはありませんか。

麻生国務大臣 今、内容としてどういう手口があるか、運用方法としてあるかと言われれば、人をたくさんふやす、いかがなものかと思っておりますし、結構忙しいところでもありますので、私どもとしては、役所の国家公務員の総数は減らす方向で今私どもはやらせておるところでもありますし、その数を管轄、所管業務を私ども持っておるところでもありますので、一概にふやせばいいとも思いませんし、私ども、運用の方法というのはいろいろ研究しなくちゃならぬとは思いますが、今すぐアイデアがあるかといえば、私自身、この場ですぐアイデアがあるわけではありません。

永田委員 つまり、私からの指摘に対しては全くゼロ回答だというわけですね。制度はもうこれ以上は限界だ、そして運用面もこれ以上やるつもりはない、全くゼロ回答だ、これ以上やる気はないと、そういう意思の表明だというふうに私は受けとめています。

 しかし、先ほど来、政治活動の自由を阻害するじゃないかという声がこの辺から聞こえてきていますけれども、政治活動の自由、確かに私も大事だと思っています。それは非常に大事なことです。だけれども、それに対して制度が厳しくなろうとするそのきっかけは何かといったら、まさに先ほど大臣おっしゃられた、個人の資質の問題だと。個人の資質の部分で、どうしても制度の限界を超えて悪いことをするやからが出てくるというお話であります。こういうのを愚かな民に辛き政府ありと言うんですよ。つまり、政府が規制を厳しくする、それは政府が悪いんじゃなくて、そうしなければ世の中の秩序が保てないほど倫理観が崩れている民の方に問題があるんだという考え方ですね。

 ですから、そういうように政治活動の自由を謳歌したいと言うならば、皆さん、ぜひもう少しまじめに政治倫理というものを考えていただいて、そして、橋本龍太郎さんという、本当に重大な発言力を持つ方がどうやらよからぬことをしたらしいと。みずからの判断で政治資金収支報告書を訂正なさった。自分は記憶はしていないと言うけれども、訂正したという行為は公のことですから、これは、記憶がなくても、そっちの方が事実になっちゃうんですね。そういうようなことが起こったということを受けて、国会の場でこれはぜひ話し合っていかなきゃならないと重ねて申し上げます。

 加えて、総務省にも非常に大きな問題があるんですよ。例えばこれは、日本歯科医師連盟の政治資金収支報告書を私たちが調べたんですね。どうやって調べたかといったら、日歯連から別の団体に対して寄附がされている。では、この渡った方の収支報告書を見たときにちゃんと収入の記載があるかということを調べると、もうはっきり言ってぼろぼろです。

 一番ひどいのは、各都道府県の歯科医師連盟に対する寄附です。中央から地方に対して配っている。これを見てみると、支出をしたという記述がない。つまり、日歯連の本体の方に支出をしたという記述がないのに、反対側、つまり都道府県の支部の方には収入があるという記載が実はほとんどなんです。全体で見ると、そうですね、突合していないケースという単純にそういう色分けで申し上げれば、全体の件数のうち、ほとんどです。九〇%とは言いませんが、八〇%以上多分数字が違っていると思いますね。こういうでたらめな政治資金収支報告書を公開しているわけです。

 例えば神奈川県。平成十三年には、四百九十七万三千二百五十円、日歯連から支出したことになっておりますが、対象団体の方は、実は四百四十四万円収入があったことになっている。これは、要するに支出の方が収入よりも多いという、わけのわからない裏金が渡ったのではないかと、そういうようなことになるわけです。こういうでたらめな政治資金収支報告書をどちらかが提出しているわけです。両方かもしれない。これでは、政治資金収支報告書を公開するという制度の意義はまるっきり薄れてしまうんですね。

 だから、これをしっかり突合させて、それで、ここはおかしいんじゃないかという指摘をし世間に公開するだけでいいんだと大臣はおっしゃるかもしれないけれども、公開した後、私たちがちゃんと調べて、こういうふうに問題があるというふうに申し上げているわけですから、それは総務省の人が、ああなるほど、よくわかったと、だったら、これは公務員として自分はこの事実を知ったんだから、しかるべき司直の手の方に回しておこうというような話をするのが誠実な制度の運用だと思いますけれども、大臣、そのようにしていただけませんか。

麻生国務大臣 これは、やり方としていろいろな方法もその一つの方法だと思いますが、これは、基本的には、政治というものに関して自由な活動を、極めて政治団体間同士の活動というものはなるべく自由が確保されるようにするのが当然のことだと思いますので、そういった意味では、基本的に、私ども総務省に与えられている捜査権というのは形式捜査権というのしかないのは御存じのとおりでありまして、警察と同様な実質捜査権を持っているわけではありませんので、私どもは、それを、公開されているのが事実だというのは、それは当然皆わかっておられる話だと思いますので、それに基づいてという実質捜査権まで期待されておられると言うんであれば、それはちょっと全然別の次元の話だと存じます。

永田委員 そういうわけではなくて、これは、いや、不突合されているということがもう既に指摘されたわけですから、だから、なるほど、自分たちがもう持っている書類ですから、それを見ればわかりますねと、だから、では、これはしかるべきところに教えてあげようと、それぐらいの連絡ぐらいはしてあげるのが親切というものではないかと思うんですけれども、それすらもやっていただけないということですか。

高部政府参考人 技術的な面もございますので私からお答えさせていただきたいと思いますが、当然のことながら、収支報告書を窓口に持ってきていただいて、その時点で明らかにわかるようなものがある場合に御指摘することはございますが、いずれにしても、不突合というのは、ただいま御指摘いただいたものにつきましては、総務大臣所管分、都道府県選管所管分、それぞれ分かれているところでございますし、あるいは政治団体の数も、総務大臣の所管団体が約五千、都道府県の所管も約七万ということで、これをすべて網羅的に突合して指摘するというのはなかなか困難な状況でもありますし、なおかつまた、不突合の場合に、どちらが正しいかということになってきますと、それは、実質的にどちらがどうかということにもかかわってくる部分がございまして、なかなか難しいというのが実情だというふうに認識しているところでございます。

永田委員 簡単ですよ。政治団体に納税者番号のように番号を付して、電磁的な記録方式によって提出をしてもらえば、コンピューターで突合させるのは一瞬でできます。そういうようなことをすれば、何も総務省の役人の方々の手を煩わすことなくやることができると思いますので、ここで一つ提案をしておきたいと思います。

 そしてまた、公開をすれば、公開することそのものが一つの効果を持っているはずだというふうにどうも総務省の方々は信じておられるようですけれども、例えば、でたらめな政治資金収支報告書を公開することは、これは政治団体の側がですね、それを公開するのはやめにして、とりあえず公開しない、もう一切提出しない、報告しない、こういう態度を決めた場合にはどのような効果が発生しますか。

高部政府参考人 収支報告書は提出をしていただく義務がかかっておりますので、この提出すべき収支報告書を提出しないということにつきましては、罰則をもって提出が義務づけられているというふうに認識しているところでございます。

永田委員 政治団体も同じかどうかわかりませんが、たしかこれ、政党支部なんかは、二年間にわたって提出をしないと消滅するという話だった。政治団体も同じなんですかね。ちょっと確認したいんですが、普通の政治団体はどういう扱いになっていますか。

高部政府参考人 御指摘ございましたように、収支報告書につきましては、連続して収支報告書の提出をされませんと政治団体の設立届がないような状態になりますので、もともと、政治団体そのものの届け出自身、届け出をしていただかないとお金のやりとりができないというような格好で政治資金規正法が組まれているというふうに認識しているところでございます。

永田委員 そう、政治団体は一定期間政治資金収支報告書を提出しないと消滅するんですよ。設立要件を満たさないという言い方になると思いますが。

 それでこれ、政治団体の方としてみれば、ちょっとちぐはぐな制度になっているんですよ。つまり、でたらめなものでも何でもいいからとにかく出せば生き残れるし、指摘を受けなければ、公開をするだけです。総務省の方から特におとがめを受けることもない。だけれども、出さなかったら二年間で消滅しちゃうんですね。だったら、でたらめなものでも何でもとりあえず出しておけという話になってしまう。そうなると、公開をする趣旨は著しく損なわれるんですね。意義がない。その政策的な効果は全く失われてしまうんですよ。

 だから僕は、こういうでたらめな政治資金収支報告書を提出して、ほら、公開したからいいだろうと居直っているような政治団体には容赦なく消滅の命令を出すべきだというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。

高部政府参考人 委員から、でたらめな報告書を提出しておけばよいという御指摘がございましたが、当然のことでございますが、政治資金規正法におきましては、記載すべきものを記載しないあるいは虚偽の事項を記載すれば、罰則をもって担保される、正確な報告をしていただけるような仕組みになっているところでございます。

永田委員 だから、きのう質問取りに来た役所の方にも申し上げたんですけれども、そういうのが押しつけだというんですよ。要は、実効性のない制度を役所の方が机上の空論でつくり上げて、それを国民に押しつける。それで、これで世の中はうまくいくはずだ、うまくいかないのは世の中が悪いんだと、こういう話ですよ。これじゃ世の中はよくならないんですよ。

 年金もそうなんです。わかりにくくて制度が複雑で、間違いなく払い続けることが難しい、大臣もそうでしたけれども、そういう制度を役人がつくって国民に押しつけたんですよ。だから国民の側がうまくのみ込めない、消化できないようになっているんですよ。

 そうじゃなくて、みんなが自動的にその制度に従いたくなってしまうようなそういう制度にするのがやはりいいんですよ。すなわち、でたらめなものを提出していては、これは自分たちの政治団体が消滅する運命になるんだというような制度にしておけば、みんなちゃんとしたものを出そうという気持ちになるわけですね。それがないと、どうしても、でたらめなものでも公開しておこうというような話になっちゃう。

 それはさておき、もう一つ、今回の一億円の授受で見逃せない報道がありました。これは、三年前に当選をした自民党参議院議員中原爽さんの選挙の活動に関する応援依頼の見返りであるというお話であります。

 新聞報道が正しければというお話ですが、これは、まず、三年前に非拘束名簿方式が導入されまして、歯科医師会の力だけでは中原爽さんの非拘束名簿方式における比例区の当選はおぼつかない、ついては橋本派の派閥の力で票を出してくれないかと、こういう依頼の見返りに一億円を渡したんだというお話があります。

 これは、私、この文言どおりにとらえると、公職選挙法の買収に当たるんではないかというふうに思っているんですが、買収の構成要件はどんなものがありますか。

高部政府参考人 買収罪は公職選挙法二百二十一条に規定されておりまして、幾つか各号列記されているところでございますが、態様を申し上げますと、一つは、当選を得る目的をもって選挙人あるいは選挙運動者に対して金銭、物品その他財産上の利益の供与等を行うことを言うものだと解しているところでございます。

 無論、個別の事案について私どもがとかくコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

永田委員 つまり、当選を得るまたは得させない目的で金銭の授受をすると。こういう、組織選挙を展開するときによく見られる構図ではありますけれども、よく見られちゃいけないんですけれどもね、本当は。だけれども、これが本当に事実だとしたら、私は、明確にこれは公職選挙法の禁止する買収罪を構成するものだというふうに感じております。

 これは、仮に、これは一般論です、もちろん。参議院の比例区の名簿で買収罪が成立をして、それで本当に議員が失職をすると、どのような効果がほかに波及することと解されていますか。

高部政府参考人 ちょっと包括的なお尋ねですので、すべてお答えをし切れるかどうかわかりませんが、議員本人が買収罪で捕まれば、公選法の罪で罰せられたということで、被選挙権、選挙権等を失うというふうなことになりますし、それから、罰せられた方の立場によりまして、例えば出納責任者でありますとか組織的選挙運動管理者というと連座の問題が起こりまして、この連座の規定が適用されますと、一定期間の立候補禁止といったような措置が適用される事態も考えられるところでございます。

永田委員 実は、法学者によっても若干判断が分かれるところがあるんですけれども、僕が聞いた話では、参議院の非拘束名簿方式の比例区で買収が成立をすると、それは比例区全体で買収が行われたと解されて、比例区の名簿が無効になると。すなわち、自民党の三年前に当選をした比例区の議員は全員失職をして、しかも繰り上げ当選もできないというのが正しい解釈であるというふうに聞いたことがあります。

 人によってちょっと言うことが違うんですけれども、そういうような重大な事件につながる可能性をはらんだ事件でありますから、ぜひ適正、厳正に捜査をして処分をしていただきたいなと。これが、本当に一罰百戒と申しましょうか、政治の浄化につながることになればいいと思うし、また加えて、我々政治家がさらに倫理観を高めて、国民の信頼を回復するようなそんなところにつながっていけばいいなと思っています。

 一方で、この日本歯科医師連盟の政治資金の使い方というか、収支報告書を見てみると、お中元とかお歳暮とか車代とかマスコミ対策費とか、そんな費目が出てくるんですね。こういうことというのは政治活動として認められるんですか。ぜひお答えを率直にお願いします。

高部政府参考人 政治資金規正法におきましては、政治団体の政治活動の自由を最大限に尊重するという立場から、政治団体の支出につきまして、その使途等について政治資金規正法で特段の規制は設けていないということになっているところでございます。

 この法律では、支出のうち政治活動費については、一件当たりの金額が五万円以上のものについては、その支出を受けた者の氏名、住所、支出の目的、金額及び年月日を記載する、その公開によって国民の監視のもとに置かれるという考え方に立っていると思います。

 なお、お中元、歳暮というものをどう考えるかということでございますけれども、政治団体においても社会的儀礼としての支出はあり得るものというふうには考えられるところでありまして、公職選挙法等の法令に違反するようなおそれがあるようなケースはともかくといたしまして、お中元等が直ちに政治団体の支出として不適当だと言い切ることはなかなか難しいのかなというふうに感じるところでございます。

永田委員 しかしどうなんですかね、僕の知っている、少なくとも民主党の同僚議員だったらこんなことは絶対許されないというか、即買収の疑いがかかってくる話ですから。実際、お中元、お歳暮で買収で立件されたケースというのは過去にもありますよね。それを考えると、こういうものが政治資金収支報告書の使途に堂々と載っているというのは極めて奇異な感じがするんですよ。

 つまり、政治団体のトップが政治家であったら、もう一発で買収罪で立件される、それは自白に等しいような記述であるにもかかわらず、トップがたまたまこの団体は政治家じゃないために、一切おとがめなしで、自由な政治活動ですという話になる。そんなばかなことがあろうかということなんですね。これはやはり、こういうことは政治活動としては認めにくいというふうな見解を出すのがやはり正しいことじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

高部政府参考人 ちょっと、委員御理解されていることを申し上げて失礼かもしれませんが、まず当然のことながら、選挙に関連しての財産的な利益の供与ということになれば買収という問題が起こりますが、選挙に関連しない、日ごろの日常の政治活動の範疇内での財産的な利益の供与というのが直ちに禁止されているわけではないというのが一点ございます。

 それからもう一つ、公職の候補者となろうとする方あるいは現在公職にある方につきましては、公職選挙法の別の規定で寄附の禁止の規定がございますので、選挙区内への、例えば先生ですと、先生の選挙区にある者に対する寄附の規制がありますので、そういう形で一定の規制はあることではございますけれども、先ほど申し上げましたように、こういう規制があるものとは別に、一般的な形で政治活動の一環あるいは社会的儀礼としてやられることが、直ちに不適切だ、不適当だというふうには断定し切れないものではないかなというふうに考えているところでございます。

永田委員 しかし、日歯連は中原爽さんの選挙を一生懸命やったわけですよ。全国比例区ですよ。全国の有権者が中原爽さんに投票する権利を持っているんです。そこでお中元を、恐らく日本国民でしょう、相手は。有権者である可能性が高いと思いますよ、これだけの数をやっているんだから。まさか二十以下の子供ばかりじゃないでしょう。そうするとこれは、もちろん日歯連と中原爽さんというのは別個の存在ではありますけれども、やはり寄附に該当する可能性も排除できないというふうに考えるのが僕は正しいと思うし、むしろ、こういう買収に係る可能性が、買収というのは本当に重大な罪ですからね。これは民主主義を根底からひっくり返すような重大な罪なんで、金額にかかわらず厳しく僕は制限していくべきだと思っているんですよ。

 だからやはり、こういうふうなことは本当は望ましくないんですよというようなことを一言言うのはそんなに問題があることだと思えないんですけれども、もう一回だけお答えください。

高部政府参考人 先ほど言いましたように、選挙に関連しての財産的な利益の供与というのは、買収罪の問題が起こってきますのでできないわけでございますけれども、それとは関連しない形でのものについて特段規制がないということを先ほど来申し上げているところでありまして、もう一点、やはり刑罰というのは、個別法律に構成要件が定められて、それに従って適用されていくというものになるわけでありまして、寄附禁止につきましても公選法の百九十九条の二以降に幾つかパターンを分けて規定されておりまして、候補者個人の問題、あるいは候補者が構成員である組織の問題、それから候補者の氏名を冠する団体、それから後援団体というような規制になっておりまして、それぞれの規定で一定の当然枠組みはあるところでございますが、これに係らないものについての寄附の禁止というのは、特段法律上の制限があるわけではないというふうに理解しているところでございます。

永田委員 時間がだんだんなくなってきたので、最後に自民党の体質について言及をしておきたいんですけれども、先ほどは、日本歯科医師連盟、中央の歯科医師連盟から地方の支部に対してお金を移すときに、そのときに不突合があるというお話をしましたけれども、自民党の各都道府県の歯科医師支部に対して日本歯科医師連盟から献金があるときにも不突合がたくさん見られるんです。一体、これは自民党の体質だと言っていいと思いますよ。だって、平成十二年、十三年、十四年の私は献金を調べましたけれども、突合している方が圧倒的に数が少ないんです。

 例えば自民党福島県歯科医師支部、日本歯科医師連盟からの支出は記載されていないのに、なぜか収入だけが平成十二年一月十三日に百十二万三千七百五十円、十一月二十一日に百十万円。埼玉県では、自民党埼玉県歯科医師支部に対して平成十二年二月十日に五百二十三万三千二百五十円、収入があったとは計上されていますが、日本歯科医師連盟の方から支出の記載がないと。

 逆のケースもあります。自民党佐賀県歯科医師支部、平成十四年度、十二月二十六日に九十九万九百円、日本歯科医師連盟から支出があったことになっていますが、収入の方は記載がありません。これは自民党の体質ですよ。

 そしてもう一つ、今回問題になっている平成研、これは、パーティーをやってお金を集めて、これを年に一回、同じ日ですよ、たった一日で平成研のメンバーに対して一律に二百万円、ないしは例外的に百万円の方もいらっしゃる。こうやって配る。これが政治資金収支報告書のほぼすべてであります。いつまでこういうことをやっているんですか。先日は、熊代さんという方が、こういうことをやっていたらだめになると言って派閥を抜けたという話もありますけれども、これは、自民党の派閥政治の問題。

 それから、職域からお金をかすめ取ると言ったら失礼ですけれども、そういうつもりではありませんが、こういう公金に等しいお金、つまりこれは、国民から健康保険制度として集めたお金を、準公金として扱われているお金が歯医者さんの所得になって、診療報酬として所得になって、それをそこから天引きされる形で日本歯科医師連盟に集められて、それが自民党の支部に渡って、末端までお金が行き渡って、しかも収支報告書はでたらめだ。

 こんなことをいつまで続けるんだということを指摘をしておきたいと思いますが、大臣、自民党の改革、急務であります。日本の政治をよくするためにぜひ御尽力をいただきたいと思いますが、最後に、この自民党の体質についてお考えをお聞かせください。

麻生国務大臣 これは私の答弁ですかね。何となくだれに向かってしゃべられたのかよくわからなかったので、私に対する質問と思っていなかったので御意見だと思って拝聴しておりましたが、自民党の体質と歯科医師連盟の体質と同じと言うんだったら、それは、歯科医師連盟も迷惑、自民党も迷惑。

 以上であります。

永田委員 国民が一番大迷惑だということを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

増田委員長 次に、辻惠君。

辻委員 民主党の辻惠でございます。

 昨年十一月の総選挙で比較第一党は民主党でありました。二百万票の差を自民党につけました。この七月十一日の参議院選挙で、実に四百三十万票の差をつけて民主党が比較一党の地位を再確認をした。政権交代が今まさに実現しようとしているときであるというふうに考えております。これは、旧態然とした政治のあり方に対して国民が清新な政治を求めていることの証左であります。

 そして、まさにこのような国民の審判が下された直後に、旧態然とした政治のあり方、金と政治の流れについての重大な疑惑が発生した。それが、平成研に対する日歯連の一億円の小切手を渡した、こういう事実が明らかになっております。まさに、この問題についてきちっと解明できなければ、国民の政治に対する信頼感が損なわれる、不信感がますます醸成するであろうと思われます。まさにこの問題を解決することが、ある意味では自民党を浄化する道でもある、このように考えるものであります。

 このような観点に立って、きょうは、麻生総務大臣、この政治資金規正法のあり方についてはどのようにお考えなのか、さらにまた、法務当局等につきまして、この平成研の一億円の献金問題についてどのような問題点があり、どのようにしていこうとされているのか、この点について伺っていきたい、このように思います。

 先ほどの永田議員の質問の中で麻生大臣は、この政治資金規正法は形式的審査権があるだけである、そして、政治活動の自由を尊重するという観点からこうなっているんだ、平成六年以降、政党中心の金の制度ということで、また、小選挙区制が加味されて前進しているんだ、透明性は確保されているんだ、このようにおっしゃっている。しかしそれは、全く木を見て森を見ない暴論であるというふうに私は考えざるを得ません。

 永田議員も指摘されたと思いますが、例えば政治資金収支報告書を民主党の側でいろいろ突き合わせてみたところ、例えば、日本歯科医師連盟から東京都歯科医師連盟に、二〇〇〇年、二〇〇一年、二〇〇二年、例えば二〇〇〇年は、五千七百九十万、歯科医師連盟は支出したことになっている。ところが、東京都歯科医師連盟は千二百万しかもらっていない。四千五百万の差がある。二〇〇一年も四千六百万の差がある。二〇〇二年も四千六百万の差がある。

 また、日本歯科医師連盟と各県の歯科医師連盟においても、やはり、出した側と受け取った側の収支報告書を突き合わせれば、かなりの、一千万単位の、例えば静岡県歯科医師連盟と日本歯科医師連盟との間では、二〇〇〇年は一千万、二〇〇一年は二千万、二〇〇二年もやはり一千万近い、そのような差がある。

 そしてまた問題なのは、日本歯科医師連盟と地区の自民党歯科医師支部、これは、例えば青森県、宮城県、山形県、福島県、埼玉県、いろいろなところがあります。例えば埼玉県を見れば、二〇〇〇年は、これは日歯連の支出はゼロになっているんだけれども、自民党の埼玉県歯科医師支部は一千五十万受け取ったことになっている。逆の例もあります。

 つまり、政党本位の選挙制度なんだと、政治資金についても、個人からのもの、団体からのものは団体献金を廃止したんだというふうに言われている。しかし、政治団体と政治団体の間には、それは全然規制が及んでいないわけであります。

 そして、このようなことが、これはことしの石原国交大臣に対しての質問のときに作成された資料でありますけれども、例えば、二〇〇〇年七月十一日に日本歯科医師連盟から財団法人国民政治協会に一千万円が渡り、そして、そこから自民党本部に、二〇〇〇年七月十二日、十九日、二十六日と三回に分けて渡り、それが自民党東京都第八区選挙区支部、石原支部に渡っている。つまり、四つの政治団体を介在させて、お金の流れが見えなくなっているわけなんですよね。

 だからつまり、団体献金が廃止された、そして個人についても百五十万までで、その辺は厳格にするんだと言われながら、実は、政治団体を使ってお金の流れがさらに不透明になっている。このような事実があります。

 このような立法事実に照らして、今の政治資金規正法が、先ほど麻生大臣が言われたように、透明性が前進していると言えるのか。この点はいかがですか。

麻生国務大臣 昔の政治資金法に比べて比較するという場合は、どうしても前回の方に比較するということになりますから、今までのものに比べて前進したことは確かだと思っております。

 さらに検討すべきところはあろうかと思います。その点は皆同じような御気分でしょうが、どこをどうされるかにつきましては、これはなかなか簡単にはいかないところだと思っております。

 先ほどもありましたように、私のいただいている資料の中だけでも、総務大臣届け出の政治団体だけで五千団体、都道府県選出の政治団体七万三千五百団体、私どもにいただいております収支報告書本体、十センチメートルのファイルで八十冊、十センチメートルのファイルで四十一冊、これを全部突合するというのは、かなりな手間と暇のかかる話でもありますのが第一点。

 二つ目は、御存じのように、これは整合性を行わせるために全部やろうということになりますと、これは各政治団体の事務所に立ち入りをさせるという、いわゆる会計帳簿の検査などを行わせるという、いわゆる実質審査権ですかね、こういうお言葉は弁護士の方が詳しいんだと思いますが、実質審査権というものを行政庁に与えるという話なんだと思いますが、私は、あの政治資金規正法というものは、本来、基本的には民主主義下の中において、個人のいわゆる倫理、個人の資質、そういったものの上に成り立っている部分というのがかなり多くて、それを全部きちんとある程度期待を含めて、おかしけりゃ次は落選するというルールになっていますから、そういった意味では、私どもは、実質審査権が付与されていない段階で、いろいろな点、御指摘の点はきっとあるんだとは思いますけれども、それが間違っていると言うつもりはありませんけれども、ただ、それをやろうとした場合は、実質審査権がないと公平さを欠くということになりゃせぬかなという感じはしますし、実質審査権を総務省に与えるなり選挙管理委員会に与えるということに関しては、実質審査権というのは、これは警察の問題等もありますので、簡単にはいかぬのじゃないかなという感じはいたします。

辻委員 先走って答弁されると非常に困ります。私は、実質的審査権を与えよなんということは言っておりません。むしろ、現在の政治資金規正法が本来の趣旨、目的としている現実が実現されていない、そういう立法事実があるんじゃないか、この点についての認識をしっかり持っていただきたい、本当に持っておられるのか、このことを聞いているんであります。

 政治資金規正法については、例えばその第一条で、政治団体の届け出とか政治資金の収支の公開とか、政治資金の授受の規正その他「政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。」ということが一条にうたわれていて、そのために、第二条で、「基本理念」として「政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、その収支の状況を明らかにすることを旨とし、」云々と書いてあるわけですよ。

 だから、国民の浄財、例えば、この今問題になっている日歯連は、六万数千人の歯医者さんが毎年三万円、ですから十八億円の、ある意味ではこれは浄財と言うべきかどうか、一方では歯科医師診療報酬の問題についての政治献金として出されていて、それが歯医者さんの収入の確保につながって、そこから出ているのがこの三万円であるという意味で、しかし、任意に自分が政治参加をするという趣旨で出されているから、国民の浄財の一種だとも言えなくはない。だから、そういう国民の浄財で出された政治資金が、本当に透明性を確保するためにということで、収支報告書が、三年間ですか、これは閲覧が可能になっている。

 ところが、現実に、先ほど申し上げたように、幾つかの政治団体をスルーさせて、先ほどの石原支部の例では、わずか八日間から二十日間の間に、二〇〇〇年、二〇〇一年、二〇〇二年、四千万、五千万という数が四団体をすうっとスルーしているわけですよ。これでは、政治資金収支報告書が閲覧されていても、国民はチェックできないわけですよ。

 つまり、政治資金規正法の一条なり二条なりで言っている立法目的が現実には全く機能していない、果たされていない現状がある。このことについて、本当に真剣に、深刻に大臣がお考えになっているかどうかと。その上で具体的にどうするのかということについては、実質審査権を与えるとかいうようなことについては、私はそういうのは意見としては持っておりません。それは、お互い工夫し合って進めるべき問題であろうというように思います。

 しかし、現実をそのように深刻な事実として認識されなければ一歩も前へ進めないんではないですか。今は前進しているんだというふうな先ほどのお答えがあった。透明性が確保されているんだというお答えがあった。まさにこれは事実を見ていないんですよ。木を見て森を見ていない誤りを犯している。この点について真剣にどのように事実を認識されるのか、お答えください。

麻生国務大臣 迂回献金の話なんだというぐあいに理解して、その定義も余りよく明確じゃありませんけれども、政治団体間の寄附ということでありますから、政治団体の政治活動の自由というのをこれは最大限尊重するという前提でなっておりますでしょう。だからそれは、特段の制限が設けられていないのは、もともと設けられていないわけで、それをどうやって運用するかという話が、運用の仕方が卑劣ではないかと、多分そうおっしゃりたいんだと、卑劣という言葉を使われたわけじゃありませんけれども。

 そういったようなことなんだと思いますけれども、これは、申し上げましたように、少なくとも、先生はそれをきちんと解明をして今ここで問うておられるわけでありまして、少なくとも国民の監視の下に置かれておられることは、少なくとも国民の代表なんですから、国民の一人としてそれをきっちりこの場で言っておられるということは、国民の監視下に置かれているという事実は間違いないんじゃないでしょうか。

辻委員 当然、政党の役割、議員の役割ということは、そういうことを本当に、問題意識を本当に先鋭に持ってきちっとやっていかなきゃいけないというのは当然ですよ。

 ただ、制度論、一般論として、現在、政治資金収支報告書が閲覧されているけれども、それが、国民の浄財が本当に適正に政治に使われているかどうかということをチェックするものとして働いていないような状況がある。それは迂回融資とかいろいろなことであるわけですよ。だから要は、それに対してどのような工夫を凝らして、そのような本来の趣旨にもとるような諸行動というか諸現象を抑止していくのか、そのことを、一政治家として、また総務省の大臣として、やはりそれは真剣に本当に考えるべき姿勢をお持ちになっているかどうかなんですよ。

 先ほどからのお答えを聞いていると、姿勢をお持ちになっていない。現在は別にいいんですよ、問題はないんですよ、何年か前より進んでいるじゃないですかと。そうじゃないでしょう。だからこそ今回も、この橋本派に対する一億円の政治献金の問題だって、二〇〇一年の七月二日に料亭で渡されている、それが政治資金収支報告書に記載されてなかったということが問題なんですよ。

 だから、平成六年以降起こっている問題なんですよ。現実にこのような不祥事が起こっているじゃないですか。こういうことについての本当に真剣な認識を持って対処するという姿勢を表明していただくのかどうなのか、その点をお答えください。

麻生国務大臣 基本的に、今の御指摘のとおり、これは、法律は幾ら厳しくしても、後から後からいろいろ問題が出てきておるというのは事実だと思いますから、私どもとしては、そういう問題が引き続き起こっているということに関しましては十分に認識をいたしております。もし、認識していないというような意味にとられましたとしたら、これは私どもの説明が不足かと思いますが、基本的にはそういう問題はあると認識しております。

 ただ、申し上げておりますのは、前にあって、これでもうというときになってもやはり出てきた。さらにどこをどうするか知りませんけれども、厳しくして、運用をやって、何とか、実質捜査権は与えないというお話ですから、形式だけでやろうとした場合どういう方法があるのかは存じませんが、それでもまた個人の倫理観等々から考えると、またぞろ下をくぐる人が出てくるということは、常にいろいろな法律、何もこれに限らず、弁護士をしておられますからいろいろな職業の事件を御存じなんだと思いますが、そういった意味では出てきます。

 やはり基本的には、法律をきちんとすることも大変大切。しかし、個人の資質というものも、同時に倫理観というようなところもあわせて考えていただかないと、何となく、一番肝心の政治における自由裁量の部分というものが著しく阻害されることにも十分配慮しつつ、きちんと対応していかなきゃいかぬところだと思っております。

辻委員 これは国会の場であり委員会の場であります。麻生総務大臣は公職選挙法や政治資金規正法を所轄する大臣でいらっしゃるわけであります。だから、国会の場で議論すべきことは制度なりシステムをどのように考えていくのかということであって、国民に倫理を説くような場ではないんですよ。だから、そこを履き違えてもらっては困るんです。だから、真剣に、本当にそういう危機感と問題意識を持ってどのようにしていくのかというのを考えていただきたい。今のお答えでは、到底そのような姿勢をお持ちだとはうかがえない。非常に疑問があります。

 この改善策等については、別の機会に私の方はいろいろ御提案申し上げていきたいというふうに考えております。

 きょうは、そのような問題意識に立って、日歯連から平成研究会に一億円の献金がなされたという新聞報道があります。これにつきまして、まず、七月二十八日の朝日新聞朝刊によりますと、二〇〇一年の七月二日に東京都港区の料亭で、臼田日歯連、今からいえば前会長、また日歯連の前常務理事の内田裕丈さん、そして橋本元首相、野中元幹事長、青木参議院幹事長、今は会長になられたんでしょうか、五人が会合したと。この席で、臼田被告が小切手を野中元幹事長に手渡し、青木参議院幹事長、橋本元首相が順に額面を確認したという。また、臼田被告は、中原をよろしくお願いしますと橋本元首相らに依頼したというような記事が出ております。

 また、七月二十六日付の読売新聞の朝刊――失礼しました。先ほど紹介したのは七月二十六日付読売新聞の朝刊です。これから紹介するのが七月二十八日付朝日新聞の朝刊ですが、これによると、橋本元首相は臼田前会長から封筒を渡され、あけたところ、一億円の小切手が入っていたと。元首相は、受け取った後、平成研事務局に小切手を渡し、同事務局が銀行に入金したと。当時、元日本歯科医師会会長で橋本派に所属していた中原爽参院議員が比例区での再選を目指していたため、橋本派の全面的な協力を得るために資金提供がなされたと見られている。このような報道がなされております。

 このような報道、さらに、七月十五日付の朝日新聞の夕刊によれば、この一億円の小切手について、これは、橋本派は、この一億円は現在も口座にあって使っていないというふうに言っている。一方で七月二十八日付の読売新聞の夕刊では、津島雄二事務総長が、未記載の一億円について支出の部分がどうなっているか特定できていないというふうに言っている。矛盾したことを言っております。

 それで、このようなケースは、これは総務省というよりは法務省にお聞きした方がいいのかもしれないけれども、政治資金規正法上どのような問題が生じるのか、お答えいただきたいと思います。

大林政府参考人 お尋ねは、一定の状況を前提に、今おっしゃられている報道の内容を前提におっしゃられているんだと思いますけれども、犯罪の成否は、委員御指摘のとおり、個別の事案ごとに、収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄でございまして、今の件につきましては、お答えしかねるということで御理解いただきたいと思います。

辻委員 この問題について、では、捜査の状況はどうなっているんですか。橋本元首相を事情聴取する予定があるんですか、どうなんですか。

大林政府参考人 お尋ねは、個別の事案についての捜査機関の活動にかかわるお尋ねですので、お答えしかねるということで御理解願いたいと思います。

辻委員 これは政治資金規正法の二十五条の一項の二号、三号の問題になると思うんでありますが、この政治資金規正法に関連して平成研究会は、七月十四日に二〇〇一年と二〇〇二年の収支報告書を訂正したというふうになっているんですね。訂正したということは、二〇〇一年の収支報告書は誤りだったということを認めたことになるわけだから、これは、一般論としてですよ、政治資金の収入が漏れていた、それを三年後に収支報告書をさかのぼって訂正する、それは確かに漏らしたんだということを認めるということだとすれば、それは政治資金規正法二十五条の一項二号ないし三号に当たるということの理解でいいんですか、一般論として。

大林政府参考人 今、一般論としておっしゃられたものでございますので、私の方も一般論として申し上げれば、検察当局においては、事件として認められるものにつきましては、厳正、公平に捜査を行い、法と証拠に基づいて適宜適切に対処するものと、こういうふうに承知しております。

辻委員 いや、そんな一般的姿勢を聞いているんじゃないんですよ。二十五条一項二号、三号に、つまり、政治資金報告書の収入を漏らした、後から三年後にそれを修正する、訂正をするという行為は、構成要件的に言えば、政治資金規正法の二十五条の一項の二号ないし三号に当たるんでしょうと。

 まず、この構成要件該当性の有無についてはどうなんですか。どういう理解を持たれるんですか。お答えください。

大林政府参考人 今おっしゃられる二十五条の問題でございますけれども、先ほどから申し上げておりますけれども、二十五条に当たるかどうかということにつきましては証拠次第でございますので、それに当たれば成立するし、それは収集してみなきゃわからないと言わざるを得ないというふうに思います。

辻委員 まず、では具体的に、その二〇〇一年の七月二日に受け取った小切手が預金小切手であって、一週間後にそれが換金されて平成研の預金口座に振り込まれたということが新聞報道で出ております。一方で、新聞報道では、それが口座でそのまま残っているというふうに平成研の人が言っているという報道がなされる一方で、津島事務総長は、それはどこに行ったかわからない、確認できないんだというふうに言っているわけですね。多分そっちの方が本当だろうと私は思うわけであります。

 ですから、要するに、一億円が現金で入って、それが預金口座から引き出されて、それがどこに行ったかわからない、こういう事実を前提にした場合に、これは政治資金規正法二十五条一項の二号、三号との関係でどういう問題が生ずるんですか。一般論としてお答えください。

大林政府参考人 何度も恐縮でございますけれども、具体的な犯罪の成否というのは、事実関係それから証拠の収集の内容によりますので、今の仮定の論議として……(辻委員「構成要件ですよ、構成要件に該当すると言っているんだよ」と呼ぶ)それはおっしゃる意味はわかりますけれども……(辻委員「外形的事実を言っているんですよ」と呼ぶ)ただ、今のようにおっしゃられるのは、やはり一つの、一定の仮定を前提にしておりますので、それについて成立するかしないかということについては、今のように証拠次第であると言わざるを得ません。

辻委員 極めて不誠実な答弁です。前の樋渡刑事局長はもう少し前向きな、真剣な姿勢で、だから今回事務次官になられたんじゃないか、このように私は思うものであります。

 少なくとも今の御回答は、政治資金規正法の二十五条一項二号、三号に当たらないとは言えないということを言っているんですね。つまり、事情いかんによっては当たるということをおっしゃっている。全く無関係なこういう行動ではないと。だから、一応嫌疑をかけようと思えばかけられるものなんだということをおっしゃっているというふうに理解できると思います。反論があったら後で言ってください。

 それで、仮に二〇〇一年の収支報告書が、仮に収支報告書の漏れが政治資金規正法二十五条の一項の二号なのか、に該当するとして、ですから、二〇〇一年度の政治資金収支報告書が二十五条一項の二号ないし三号に該当するとして、同時に、二〇〇二年の収支報告書もこれは訂正したと言っているんですね。そうすると、二〇〇二年の収支報告書についても同様に犯罪が成立するという理解でいいんですか。行為は二つあるわけじゃないですか。

高部政府参考人 二〇〇二年の分についての構成要件該当性がどうかということでございますが、それは、二〇〇二年の報告書の分について、構成要件に指定されている虚偽の事項を記載したかどうかというのが事実に基づいて判断されるべき事柄ではないかというふうに考えるところでございます。

辻委員 そうすると、二〇〇一年の収支報告書の収入漏れを、二〇〇一年の収支報告書を訂正したと。それで、当然、先ほどから形式的審査権は政治資金規正法の三十一条であるというふうにお答えになっているわけだから、そうすると、積算したら数字が合わないわけですね。ですから二〇〇二年も自動的に変えなければいけない、だから二〇〇二年も訂正をした。これは、今の高部選挙部長のお言葉によったら、やはりこれは構成要件該当性はあり得るということをお答えになっている。

 橋本派は、これは二〇〇一年と二〇〇二年を訂正したと言っているんですけれども、ことしは二〇〇四年なんですね。だから、二〇〇三年を訂正していない。つまりそうすると、二〇〇一年、二〇〇二年は訂正したけれども、二〇〇三年は訂正されていない。これは明らかに数字が合わないじゃないですか。つまり、形式的審査権の、三十一条の――二〇〇三年は二〇〇四年にあれすべきなんじゃないんですか。

 ですから、二〇〇三年もやっていないということになれば、当然、二〇〇一年、二〇〇二年とはそれぞれ別個の政治資金収支報告書だけれども、当然、総務省なり受け取る側としては、整合性が問題になる。だから、形式的審査権の問題だからそれはいいんだというお答えなんだろうと思うけれども、二〇〇三年も訂正していないというのは問題があるんじゃないですか。いかがですか。

高部政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇三年の収支報告書につきましては、本年三月までに提出いただくことになっておりまして、現在、その個別具体の事案の資料を持っておりませんのでお答えできませんが、一般論として申し上げますと、提出いただいた分について現在形式審査を行っているという段階でございます。

辻委員 そうすると、まだ訂正していない、提出していないということとして理解できますけれども、それは極めて問題、つまり、平成研として問題状況をよく理解していないなという感じがしますね。この点は意見として申し上げておきます。

増田委員長 高部選挙部長。(辻委員「いいです、いいです」と呼ぶ)今、指名しました。高部選挙部長。

高部政府参考人 ちょっと、ただいまのお答えで提出していないというふうにお受け取りになられましたけれども、私、個別のものについて今情報を持っておりませんので、一般的に、二〇〇三年の分については、現在提出いただいて、形式審査中だということを申し上げたわけであります。

辻委員 この一億円、繰越金として処理されたというふうに新聞報道ではなっていますけれども、繰越金として処理されたということになると、その一億円はどういう形状で保管されていたのかということが、これは構成要件該当性を判断するに当たって重要な事実だというふうに思います。

 ですからそれは、口座で保管されていたのか現金だったのか、それ以外の態様なのかということが問題になりますけれども、まさにこの一億円、仮に一般論として、二〇〇一年の七月二日にある政治団体に一億円の収入があった、それについて二〇〇四年の七月十四日付で訂正を行ったと。その間の一億円の保管状況のあり方ということは、二十五条一項二号ないし三号の構成要件該当性及び犯罪の成否を判断するに当たって重要な事実である、これは捜査当局としては当然関心を持つ重要な事実だ、こういう理解でいいんでしょうか。

大林政府参考人 一般論として申し上げれば、検察当局においては、犯罪と認められるものがあれば厳正、公正に捜査を行うということで、必要な情報についてはそれなりに収集しているというふうに思います。

辻委員 一般論として聞いているんだから、一般論として回答しなければ、これは質問と答弁にならないんですよ、具体的な一般論を聞いているんだからね。(発言する者あり)いやいや、具体的というのは、特定性を持ったということではなくて、ある措定された事実として具体的に聞いているわけですから、それについてやはり具体的な一般論としてお答えにならないと、それは誠実な答弁じゃないですよ。強く抗議しておきます。

 それで、もう時間がないですね。ちょっと待ってください。そうすると飛ばします。

 この件については、鈴木宗男さん、約一億円の寄附を除外したということで、政治資金収支報告書に記載していなかったということで、虚偽記載罪で公判請求をされている。坂井隆憲さん、一億六千八百万円のこれは記載をしなかったということで、虚偽記載罪でこれも公判請求されている。

 そして問題なのは、これは本当に他山の石とすべきであるというふうに私は思いますけれども、九二年から九三年の金丸信さんの問題をめぐって、佐川急便からの五億円について検察庁特捜部は、本人を、身柄も拘束しないで取り調べもしないで、二十万円の略式でこれは一たん矛をおさめようとした。これに対して世論が大きく盛り上がって、三万一千通も告発状が検察庁に寄せられて、その五億だけじゃなくて、十億円のお金の配付先を捜査し直した。そのことの中から所得税法違反ということで立件をした。これについては、ちょっと国税局の方が来ておられるんだけれども、時間がないから、これは、所得税法二百三十八条一項違反の問題になるということであります。

 ですから、検察当局としては、厳正に国民の目は本当にシビアに光っているんだ。金丸事件のときにいいかげんなことで略式でおさめた。だから、それが結局のところは、所得税法違反で逮捕、公判請求せざるを得ないところまで検察は威信が揺らいだわけじゃないですか。今回の問題も、一会計責任者を略式で処罰するというようなことで終わらせるような問題ではないということを本当に心して考えておいていただきたいと思います。

 そして、この問題については、七月二日の料亭でのやりとりで、野中広務さんと青木幹雄さんが、橋本龍太郎さんと同様にこの一億円の小切手を回し読みをしているわけであります。そのときに、この小切手をどうしようか、ちょっと置いておこうかというような話があれば、これは共謀共同正犯で、三人とも政治資金規正法違反の問題になるし、そのお金を中原爽さんの運動絡みで使えば、これは公職選挙法違反になると。まさにこれは、今仙台とかで問題になっている利害誘導罪に私は具体的に該当する行為であると。一方で利害誘導罪を立件しておきながら他方でそれを看過するというようなことは、検察庁法四条で検察庁には客観義務ということがある。公益の代表者としてやるべきことはきちんとやはり踏まえてやるべきだろうというふうに思います。

 私は、最後に、先ほど永田議員が要請された四名の参考人に加えて、野中広務さん、そして、これは参議院の方だからどうなのかは、今まで例があるかわかりませんけれども、青木幹雄さん、これを参考人招致をしていただきたい、このことを訴えて、質問を終わりたいと思います。

 以上です。

増田委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日歯連マネーの広がりと深さは想像を絶するものです。

 私どもは、二〇〇〇年から二〇〇二年の日歯連と各都道府県の歯科医師連盟の収支報告書を調査してまいりました。広く深く汚染されていることが明らかとなっています。寄附金、パーティー券、選挙の際の陣中見舞いなどの支出の記載を見ると、驚いたことに、献金を受けた自民党の現職衆議院議員は百八十九名、実に七七%の自民党衆議院議員が日歯連マネーに汚染されています。公明党も九人、二三・五%。現職議員や政党、派閥を合わせると、総額二十二億九千万円という巨額な金が政界に流れたというものです。

 この点について法務省に聞きます。このような事実を把握していますか。

大林政府参考人 お尋ねは、個別の事案について検察当局における捜査内容を問うものだと考えられますので、お答えについては差し控えさせていただきたいと思います。

穀田委員 それでは総務大臣に聞きます。

 今指摘した事実、これほど大がかりで広く汚染されている、深い、この問題についての感想を聞きます。

麻生国務大臣 感想ですか。感想、重大なことだと思っております。

穀田委員 重大だということはお認めになったと。

 それで私は、今度、橋本派、いわゆる平成研の一億円のマネーというのは、やみからやみへのものだと。日歯連は、この三年間の橋本首相への表の献金は四百五十万円、そして橋本派への二百万円の献金はきちんと届けている。ところが一億円は報告していない。報道によれば、一億円の献金を十分に認識していながら、領収書を発行しなかった上、収支報告書にも記載しなかった可能性が強い、こうあります。平成研の会計責任者は、大体一億円も収支が合わないということに気づかないはずはない。それは常識として国民みんなが思っていることだと思うんです。両者が報告しなかったのは明らかに故意としか考えられない。

 政治資金規正法の虚偽記載で逮捕、起訴された坂井隆憲元衆議院議員や、前埼玉県知事の長女土屋桃子事件と同じケースではないのか。このことについて聞きたい。

大林政府参考人 今、一億円の問題が問われているわけでございますけれども、これはまだ事実関係が確定されたというふうな状況にはないと、こういうふうに承知しております。したがいまして、今御指摘の他の事案と同じかどうかということは、ちょっとこの場でお答えはいたしかねる、こういうふうに考えます。

穀田委員 同じく、ちょっと別な問題について聞きたいと思いますけれども、やみ献金の一億円が渡った当時、一つは、新聞でも報道されているように、構造改革の一環で医療費削減を掲げる小泉首相の誕生、診療報酬引き上げが最大目標の日歯を取り巻く環境が厳しさを増していたため、臼田前会長は、最大派閥の橋本派と接近し日歯の要求実現に役立てようとしていた、こう報道されています。臼田会長は、事実、野中、橋本、青木三氏を日歯連の顧問に迎えて、診療報酬改定に関する要望を伝えています。これ自体まさしくわいろではないか。

 さらに、既に報道されているように、日歯連の元会長中原氏再選のために橋本派に支援をお願いしていることは明らかとなっている。

 その点はいかがですか。お答えください。

大林政府参考人 あくまでも一般論として申し上げますと、検察当局は、捜査において犯罪の成否の判断や適切な処分の決定のために必要な証拠を収集するというふうに考えておりますし、今の点につきましては、今、捜査に関する事柄ですので、ここでは答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

穀田委員 国民から見れば、これはだれが考えても、現実に、その状況そして選挙との関係、二つ合わせればわいろ性は明らかだと私は思います。

 それで、日歯から〇一年七月二日の一億円をめぐって、橋本氏は記憶がない、同席したと言われる青木、野中両氏も記憶にないと証言している。ところが一方、平成研の会計責任者は、その〇一年七月三日に一億円受領したとして、三年もたったことしの七月十四日に政治資金報告書を訂正する。訂正した以上は、それは根拠があるわけですね。だから、両者の食い違いは最低限明らかにする必要がある。食い違っているわけだから、最低限明らかにする必要がある。

 したがって私は、何の目的で日歯連から献金を受け、なぜ政治資金の届け出をしなかったのか。そして、献金の使途はどうだったのか。橋本元首相と平成研の会計責任者を参考人に呼んで、最低限真相をただす必要がこの本委員会として私はあると思います。そのことを委員長に要求します。

増田委員長 先ほど申し上げました件と回答は同じで、相談をしたいと思います。

穀田委員 終わります。

増田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十九分散会


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