衆議院

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第3号 平成18年11月15日(水曜日)

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平成十八年十一月十五日(水曜日)

    午前九時五十五分開議

 出席委員

   委員長 今井  宏君

   理事 井上 喜一君 理事 鈴木 淳司君

   理事 棚橋 泰文君 理事 鳩山 邦夫君

   理事 吉良 州司君 理事 細川 律夫君

   理事 井上 義久君

      稲田 朋美君    浮島 敏男君

      遠藤 武彦君    小里 泰弘君

      小野 次郎君    近江屋信広君

      大塚  拓君    木原  稔君

      倉田 雅年君    平  将明君

      中馬 弘毅君    冨岡  勉君

      西村 明宏君    馳   浩君

      福田 峰之君    藤井 勇治君

      藤野真紀子君    船田  元君

      松本 文明君   山本ともひろ君

      大串 博志君    太田 和美君

      笹木 竜三君    中川 正春君

      野田 佳彦君    古川 元久君

      松本 大輔君    村井 宗明君

      伊藤  渉君    石井 啓一君

      大口 善徳君    佐々木憲昭君

      日森 文尋君    糸川 正晃君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          上田 紘士君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     小野 次郎君

  木原 誠二君     平  将明君

  谷畑  孝君     馳   浩君

  中森ふくよ君     山本ともひろ君

  萩原 誠司君     冨岡  勉君

  近藤 洋介君     太田 和美君

  寺田  学君     村井 宗明君

  中井  洽君     中川 正春君

  渡辺  周君     古川 元久君

  赤羽 一嘉君     大口 善徳君

  吉井 英勝君     佐々木憲昭君

  菅野 哲雄君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     近江屋信広君

  平  将明君     木原 誠二君

  冨岡  勉君     藤井 勇治君

  馳   浩君     谷畑  孝君

  山本ともひろ君    中森ふくよ君

  太田 和美君     近藤 洋介君

  中川 正春君     中井  洽君

  古川 元久君     渡辺  周君

  村井 宗明君     寺田  学君

  大口 善徳君     伊藤  渉君

  佐々木憲昭君     吉井 英勝君

  日森 文尋君     菅野 哲雄君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井 勇治君     萩原 誠司君

  伊藤  渉君     赤羽 一嘉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案(内閣提出第一一号)

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件


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     ――――◇―――――

今井委員長 これより会議を開きます。

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局公務員部長上田紘士君、自治行政局選挙部長久元喜造君及び法務省大臣官房審議官深山卓也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今井委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。福田峰之君。

福田(峰)委員 おはようございます。自由民主党の福田峰之でございます。こうした席を授けていただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速でございますけれども、まず、今回の議案となっております地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案、これを提案した理由を改めて大臣にお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 この法律案は、全国多数の地方公共団体の議会の議員または長の任期が来年の三月から五月までの間に満了するというのが実情であります。そういう中で、平成十九年三月から五月までの間に満了する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の期日を、都道府県、指定都市の選挙にあっては平成十九年四月八日、指定都市以外の市町村及び特別区の選挙にあっては二十二日に統一するということが主たる内容であります。

 その趣旨は、この間に行われる選挙期日を統一することによって、選挙に対する国民の関心を高めると同時に、選挙の円滑な、そしてまた効率的な執行を図ろうとするものであります。

 また、去る十月二十四日、新潟市と浜松市を指定都市とする政令を制定しました。そして、両市はやはり明年四月一日に政令指定都市になることが決定しておりますので、両市については指定都市と同じような選挙を実施できるよう、必要な措置を講じるものであります。

福田(峰)委員 こうした中で、今趣旨のところに国民の地方選挙に対する関心を高めるとともにという言葉がありましたが、私は、きょうはここの部分をちょっとテーマにさせていただきたいと思っています。

 この選挙の関心、確かに、ある意味では著しく投票率が低下をしていくという現実の中で、特に大臣も私も横浜市会議員、大臣も経験をしていただいておりますから、都心部の投票率、特に地方議会の選挙というのは投票率が低くなっているという現状の中で、今各地域で明るい選挙推進運動というのを、全国でも、あるいはそれぞれの都道府県、あるいは市町村段階でさまざまな御苦労をされて、そしてそれは各地域の方々がボランティアでいろいろな活動に御協力をいただいているわけです。

 しかし、こうした中でなかなか投票率のアップにつながらない、こうした問題があると私は思うんです。明るい選挙とは何かということのレクチャーを事前に受けまして、この中に、私たち国民が買収や供応といった選挙犯罪や、義理人情などによるゆがんだ選挙を排し、こうした言葉が入っていまして、そうした点からこれを考えていったときに、もともと、投票率が高まるというのはある意味では私たち政治家の努力ということが一番大きな論点だと思いますが、制度上の問題も若干あるのではないかなというふうに私は思います。

 こうした中で各地域でさまざまな啓発活動が行われていると思うんですけれども、まず、この各地域の明るい選挙推進協議会での啓発行為について、どんな活動がなされているのかということについてお伺いをしたいと思います。

久元政府参考人 委員御指摘のとおり、都道府県また市区町村単位で明るい選挙推進協議会、いわゆる明推協と呼ばれておりますけれども、この団体が設立をされております。これは例えば地元の学識経験者、各種団体の代表者、教育関係者など幅広い方々から構成される民間団体でありまして、選挙管理委員会と協力連携しながらいろいろな事業を行っております。例えば、地域で開催される選挙についての話し合い学習会、あるいは研修会を利用した常時啓発、またポスターの募集、選挙時における投票の参加の呼びかけなど、いろいろな地域に密着した啓発活動を実施いたしまして、明るい選挙の推進のための原動力となる活動やいろいろな事業を行っているところでございます。

福田(峰)委員 こうした各地域の活動を、私も資料をいただきまして見させていただきますと、本当にいろいろなことをやっています。あるところでは、沖縄では一日選挙管理委員長制度というものがあったり、あるいは七夕に合わせて短冊にいろいろな願いを込める運動があったり、本当に各地域でさまざまな努力がなされていて、これが選挙の投票率アップに結びつかないのは非常に残念なことだなというふうに思っています。

 こうした中で、啓発活動と同時に、これもいろいろ調べさせていただいたんですが、啓発活動のグッズを、実は選挙の投票をアップしていくためにいろいろな形で配布をしているものがあります。例えば、私は横浜の市会議員でありましたので、横浜市はどんなものを当時配っていたかといいますと、例えばコーヒー豆だったり、あるいはまたポケットティッシュだったり、ばんそうこうだったり、あるときは花の種だったり。そうしたものを選挙のときに、地元の方々が駅でたすきをかけて、選挙へ行ってください、選挙へ行ってくださいと配布や何かをして啓発活動をしています。

 これは、各地域の中で、さまざまな取り組みの中で行われると聞きました。いただいた資料によりますと、例えば和歌山県のある村ではモップを千五百個用意して選挙公報とともに各家庭に配るとか、いろいろな努力をされているんです。

 そこで、ぜひお考えをお聞きしたいのは、先ほどの明推協の活動の中に買収、供応といったことはやってはいけないということをうたっているにもかかわらず、確かに、だれに入れてくださいという投票依頼はしていないかもしれないけれども、そもそも選挙というのは物をもらって何かをやるということから発していることではないわけです。本来であれば、チラシや配布物はいいのかもしれませんが、値段の問題ではないと思うんですが、ばんそうこうを配ったり、そうしたことで啓発行為をしていくというのは、そもそもの考え方に逸脱をしているのではないかなというふうに私は思っています。

 実は、私が横浜市会議員の時代に、同僚の我が党の横山正人市会議員が当時の横浜市の明るい選挙推進の中でも議会の中でいろいろな質問をしている経緯もあります。私は、きょうは、こうした点を含めて、果たして啓発グッズを配って選挙の投票率を高めるということがそもそもの考え方に本当に適合をしているのか、あるいはこうした行為を総務省としては一体どういうとらえ方をしているのかということをぜひお聞きしたいと思いますので、考えを教えていただきたいと思います。

菅国務大臣 私も、市会議員当時、そして今もこの明るい選挙運動の皆さんが街頭でティッシュなどを配っているのを目の当たりにしたこともあります。そういう中で、啓発資材を活用した街頭の啓発というのは、選挙日の周知だとか、あるいは投票の呼びかけに対しては、ある意味で有効な手段である、そういうことで従来から行われてきました。

 しかし、今委員御指摘のとおり、やはりそうした手法にも節度というのは当然求められるべきであるというふうに思っています。そういう中で、適切な選挙啓発活動を行っていく、そのことが極めて大事だというふうに考えています。

福田(峰)委員 非常に難しいのは、どこまでが適切なのか、例えばこの物はいいけれどもこの物はいけないということは実は非常に難しいのかなというふうに思っています。例えば、私自身がばんそうこうを選挙の期間中に何も言わないで投票に行ってくださいねと渡したら、投票依頼、福田峰之に入れてくださいと言わなくても多分買収として捕まるわけです。

 物を配るということについては、どこまでがいいのか、あるいは悪いのか、今すぐに決めるわけではないと思いますが、法の趣旨からしても、物を配って啓発をするという以外の手法も、各地域でさまざまな御努力もあるわけですから、そうしたものをさらにいい知恵を出し合って考えて、できるだけ物を配ってというようなことについては控えるようなことを、ぜひ、各都道府県や市町村について、総務省の見解等も言っていただきたいな、御検討していただきたいなというふうに私は思っております。

 こうした中で、啓発の問題の一つなんですが、先ほども言いましたように、そもそも投票率が下がるということは、啓発というシステム上の問題とともに、我々政治家がいかに有権者の皆さんに政策をアピールし御理解いただくか。そして、大切なのは、そもそもだれかに入れようと思わない限り投票に行こうとは思いませんので、それは何党でもいいんでしょうけれども、この人に投票しようと思う人を有権者が見つけられるような手法をしっかりと確立していくということがより大切なことかなというふうに思っています。

 こうした中で、選挙というのは、私も今回初めて衆議院に挑戦させていただきまして、地方議会の選挙と衆議院の国政選挙の違いというものも肌身で感じさせていただきました。実はここにはいろいろな違いがありました。

 資料をいただきますと、選挙公営の仕組みという中に、例えば、衆議院小選挙区あるいは比例代表、参議院の比例代表、知事、市町村長、市町村議会議員等、それぞれの区分けがある中で、これは選挙公営としてやっていいよというものとやってはいけないよというものとの区分けがあるわけですね。一覧表を見てみますと、例えばビラの作成ということについて言えば、都道府県の知事の選挙とか、市町村長あるいは県議会、市町村議会議員、こういう議会の選挙では政策を書いたビラというものを公営では行うことができない、そもそも論、配ってはいけないということになっているわけですね。

 この配ってはいけないとか、こういう区分けの中には幾つかございまして、そもそも公営で行ってはいけないものという区分けと、あるいは都道府県または市町村の条例によって公営を行うことができるものと、そもそも論、選挙運動として認められないものという三つの区分けが実はあることがわかったんですね。これがなぜこういう形で区分けをされているのかというのは、それぞれ理由があると思うんですが、こうした中で、例えば政策ビラとか、そういうものは区分けが選挙運動としては認められていないということになるわけですね。

 例えば、地方分権、特に今大臣は地方分権を積極的に推し進めていこうという考えの強い方だということは私も承知しておりますし、それはすばらしいことだと思うんですが、地方分権になればなるほど、私たちの認識としては、例えば地方議会あるいは首長の果たすべき役割というのは当然大きなものになるし、それはある意味では有権者の皆さんからもさまざまなチェックがなければならないことになると思うんです。

 こうした中で、地方議会あるいは首長の果たすべき役割というのは地方分権化の中でどういうふうに変わっていくのか、ぜひ大臣にお考えをお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 今、国会で地方分権改革推進法案というものを審議していただいています。とにかく国と地方の役割を分担して、地方でできるものは地方に、権限、財源、税源も移譲したい、そういう形で今論議をされておるわけでありますけれども、委員指摘のように、これからというのは、当然、地方がますます重視された時代になっていくというふうに思っていますし、私もそうしたいというふうに思います。

 そうなればなるほど、やはり地方議員そして首長の果たす役割というのは極めて重要になってくるというふうに思っています。議会と長は車の両輪である、私も市会当時から、よくそういうことが言われているわけでありますけれども、さらに同時に、やはり緊張感を持って取り組んでいくことも極めて大事なことであるというふうに思っております。

 いずれにしろ、それぞれの行政の長、そして議員も、住民福祉の向上のためにさらに活躍する場がふえると思います。また、責任も重くなる、このように考えています。

福田(峰)委員 今、大臣の御答弁にもありましたように、本当にこれは、例えば行政長に対する議会のチェック機能であったり、あるいは行政長そのものが果たすべき役割も当然大きくなるということは、この中でどういう選挙が求められるのかなと考えると、例えば先ほど言いましたように地方選挙の中にはなかなか政策を伝えづらい要件というのがたくさんあると思うんですね。

 先ほど言いましたように、選挙期間中に、例えば個々の政策を書いたビラというものは地方議会の選挙ではなかなか配ることができないという現実があると思うんですけれども、先ほど言いました幾つかの区分がある中で、国政選挙で認められているものと地方選挙では認められていないものとがあると思うんですけれども、なぜ地方選挙で認められないというものがこうした中に入ってきたのか、お答えいただきたいと思います。

菅国務大臣 選挙運動の方法については、これまでの国会での審議あるいは政党間の議論の積み重ねの中から現在のようなルールが設けられてまいりました。私も、よく地方議員の皆さんから、なぜマニフェストを配れないんだ、そういうことも伺っています。地方選挙においてどのような文書あるいは図画の頒布を認めるかについても、各党会派で十分議論していただくべき問題であるというふうにも思っています。

福田(峰)委員 こうした各党会派の議論は当然大切なことでありますし、これは各政党で、私たちは自由民主党でやるべきことだと思うんですが、その中で、どうしても地方議会の選挙というものは、衆議院あるいは参議院の直接的な選挙ではないものですから、なかなか議論というものが煮詰まらない部分があると思いますので、そうした意味では、特に両方とも知っている大臣であるからこそ、こうした点、どういうことがいいのかということを、ぜひ御議論にも参加していただきたいなというふうに思います。

 最後に、特にこの区分けの中で、今まで市町村議会議員というものは一つの区分けになっているんですね。これはさまざまな過去の議論の中で、市町村議会議員の選挙は、例えば有権者の数が少ないからとか、伝達が伝わりやすいから、そういう理由でさまざまな制限が加えられていると思うんですが、市町村議会議員と一言でくくりますと、実は政令指定都市や中核都市など余りにも差が大きくて、村会議員の選挙と例えば政令指定都市の議員の選挙というのは、明らかに、同じ地方議会の選挙でも、違うやり方であり、違う悩みが私はあると思うんです。

 将来的にはこれも各党会派の議論になるのかもしれませんが、この市町村議会議員の選挙の区分、あるいは市町村長選挙の区分というものを、例えば政令指定都市だとか中核都市とか、一定の規模、こうしたものの区分けをして、その中で、もうちょっと細かいやり方についての議論というのもあった方がいいのではないかなというふうに思うんですが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

菅国務大臣 確かに、人口が、横浜のように三百六十万を超えているところもあれば、数千人の村も正直言って存在をするわけであります。

 現在の公職選挙法においては、指定都市と一般市そして町村では、人口と面積が今申し上げましたように非常に異なるものでありますから、議会議員選挙の選挙区、各選挙における選挙運動期間や選挙運動用の文書図画として頒布できる通常はがきの枚数等には区分を設けて異なる扱いをしているということは御存じだというふうに思っています。

 いずれにしましても、今までの経過からしまして、選挙制度のあり方、また選挙運動のあり方というのは、各党会派で今日まで積み上げてきたものであります。とはいえ、議員の御指摘も踏まえながら、私ども総務省としても検討はしていきたいというふうに思います。

福田(峰)委員 ぜひ、先ほど申し上げましたように、地方分権になればなるほど、各地方議会の役回りというのは当然大きくなるわけですから、そうした論を含めて、ぜひ地方分権を推進していただきたいし、そうした思いの中で、役割はどういうことかなということも、私たちも考えていきたいと思いますし、大臣も御発信をしていただけたらなと思います。

 以上で終わらせていただきます。

今井委員長 次に、大串博志君。

大串委員 ありがとうございます。

 きょうは、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会に質問の機会をいただきました。

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案が審議にかかっているわけでございますけれども、これに関連しまして、今般、選挙をめぐっていろいろな事件あるいは事案が世の中で起こってきております。こういうものを引き合いにしながら、現在の選挙、政治のあり方、そして政治倫理のあり方といった側面の問題について、私なりに議論を深めさせていただければと思います。

 まず第一番目に、今般、地方の首長等々で、多選との絡みでいろいろな事案が起きているわけでございます。岐阜県あるいは福島県、和歌山県の各県においては、知事が関与する事件、あるいはまた、元知事という方々が関与する事件、こういうものが続発しているわけでございます。この辺の事例について、もちろん捜査当局でないのは理解した上で、どういう事案と御理解されているか、そこの点について簡潔に御説明願いたいと思います。

上田政府参考人 お答えいたします。

 岐阜県の事案につきましては、長年にわたりまして、県組織ほぼ全体で不正資金づくりが行われ、公金を本来の目的を逸脱して処理してきた事案というふうに承知をしております。

 それから、福島県、和歌山県の事案につきましては、先生御指摘のとおり、現在、起訴され、あるいは捜査中の案件でございますので詳細をお答えいたしかねますけれども、案件としては県発注の公共工事をめぐる不祥事であると認識をしております。

大串委員 ありがとうございます。

 今御説明になったような事案が耳目を騒がせているわけでございますけれども、それらの事案においては、それぞれ知事のかかわりというのが大きくクローズアップされております。

 それらの中で関係する知事は、いずれも五期あるいは四期あるいは一人は二期と、すべて二期以上の連続当選の経験者でありまして、首長の多選との関連での問題が言われているわけでございますが、今回、地方自治体をめぐって今般このような問題が連続して起こっているわけですけれども、これに関して、大臣の所感をお伺いさせていただきたいと思います。

菅国務大臣 地方分権が声高に叫ばれているときにこうした不祥事が次から次へと続発することは、地方自治の信頼の根幹を揺るがすゆゆしきことであって、まことに遺憾であるというふうに思っております。

 そういう中で、今月の七日の日に私から、地方行政及び地方公務員に対する信頼回復についてという通達を出させていただいたところであります。こうした通達も踏まえて、不祥事を起こすような土壌がなかったか、それぞれの地方公共団体においても厳しく見直していくことが必要であるというふうに思っています。

大串委員 今ありました信頼回復に関する通達というのを出していただいているということを私も聞いております。ぜひ信頼回復という意味での取り組みを各自治体でも行っていっていただきたいと思います。

 この事案においては、先ほど申しましたように、かかわっている知事の方々が皆さん多選であった、あるいは、先ほど述べはしませんでしたけれども、ほかの県でもいろいろな多選の知事が絡む事案なども散見されます。こういう中で、首長の多選がこういうふうな不祥事を生む温床になっているんではないかというふうな指摘もありますけれども、大臣におかれては、首長、そして多選、そしてこういう不祥事のかかわりに関してどのような所見をお持ちか、御意見を聞かせていただければと思います。

菅国務大臣 連日新聞で多選問題についてさまざまな意見が報道もされております。地方公共団体の首長の多選については、政治の独裁化や人事等行政の偏向化を招くなど、種々の弊害を指摘する声がそういう中でも多いところであります。

 最近の不祥事の詳細の事実関係については、今捜査中でありまして、承知はしておりませんけれども、それぞれのケースによってさまざまな要因、背景があるものと考えております。ケースによっては多選もそれらの背景の一つの要因ではなかったかなという思いもしているところであります。

大串委員 ありがとうございます。

 もちろん、その一つ一つの事例、いろいろ複合的な要因があるとは思います。それぞれ県の事情もあったでしょうし、個人のそれぞれの事由もあったと思いますけれども、ここで首長の多選という問題が浮かび上がってきてもおりますので、この点についてやはり考えを及ぼしてみる契機に今回ならざるを得ないんじゃないかという気がします。

 ここでちょっと事実関係を確認したいんですが、ちなみに、現在、知事で四期以上、あえて四期というふうに切ってみましょう。四期十六年以上ですね。市町村長で例えば七期以上、七期というと三十年近くということになりますけれども、この期以上の多選の方々は今全国で何名ぐらいいらっしゃるんでしょうか。

久元政府参考人 きょう現在、連続して四期以上都道府県知事の職におられる方は八名であります。また、連続して七期以上市町村長の職にある方ですけれども、私ども、昨年末時点で調査を行っておりまして、その時点では二十一名でありました。ただ、その後、合併によりまして九人の方が失職をしておられますので、現時点では最低十二名、十二名以上の方が七期以上務めておられるのではないかと承知をしております。

大串委員 もしお答えになれれば、例えば、先ほどおっしゃいました市町村長の中で十二名の方が残っていらっしゃるということでしたけれども、この中で最も多い期の多選の方、これは何期ぐらいになられるんでしょうか。もし資料をお持ちでしたら、お願いします。

久元政府参考人 先ほど申し上げました時点で十期の方が一名おられます。

大串委員 四期以上の知事で八名、七期以上の市町村長で十二名と。その十二名のうち、これは昨年末での調査ですけれども、一番長い方は十期、十期ですから四十年、相当な長い期間の、途中でいろいろなことがあったかもしれませんけれども、単純に計算すると四十年というような非常に長い期間、首長を務めていらっしゃるということです。

 これがいろいろな、プラスもあるとは思いますけれども、弊害があることもむべなるかなという思いが私はするんですが、こういうことを受けて、政府の方でもいろいろな研究を今までなさっています。平成十一年に、当時の自治省で首長の多選見直し問題に関する調査研究会というのを開いて、報告書を出していらっしゃるということをお伺いしております。この報告書、概要はどういうものだったでしょうか、御説明いただければと思います。

久元政府参考人 御指摘のとおり、平成十一年の七月に首長の多選の見直し問題に関する調査研究会の報告書が公表されております。この報告書は、基本的には多選を禁止すべきとする立場、それからこれに反対する立場の双方から、その理由あるいは制度上の論点というものを対比いたしまして整理をしたものでございます。そして、憲法上の論点ということも含めて検討したわけでありますが、多選禁止が仮に憲法上許容されるとした場合には個別にどういうような制限の方法があるだろうかということを並列的に列挙いたしまして、その内容を紹介させていただいたものでございます。

大串委員 そうすると、確認ですけれども、先ほどの首長の多選見直し問題に関する調査研究会の報告書に関しては、多選を禁止する場合、そして禁止しない場合、どういう論点があるか、そして、もし仮に憲法上それが許されるとした場合には個別的にどういうふうな問題点があるかということを並列列挙、比較考量するというところでとどまっていて、結局のところ、最終的に、多選禁止あるいは多選禁止しない、どちらかの立場を明確にしているものではないという理解でよろしゅうございますでしょうか。

久元政府参考人 そのとおりでございます。

大串委員 多選を禁止する法律案につきましては、これまでも過去数度国会に提出されて、結局日の目を見ないで終わっているわけでございます。その都度その都度いろいろな背景があって、多選を禁止することを法律で考えていくべきじゃないかということで国会内でもしてきたんですけれども、いろいろな事由、当時の状況の中で、最終的には成果とならなかったわけでありますけれども、物の考え方としては、多選を法律である程度規制していこうというふうな考え方はあり得るんだと思うんですね。

 そこで、ここでちょっと考え方を少しお伺いしておきたいんですけれども、多選を法律で規制する場合に、いろいろなプラス・マイナス、メリット・デメリット、そして問題あるいは問題にならない点、憲法上の問題も含めてあるんだろうと思いますけれども、これをどのように考えるかということに関してお答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 まず、多選を法律で禁止した場合のメリットでありますけれども、政治の独裁化や人事等行政の偏向化等の多選の弊害をまず除去ができること、国民の権利、自由を保障するための権力の巨大化を制限するという立憲主義、民主主義の理念に適合するものである、こういうことがメリットとして言われています。

 また、デメリットとしては、重要政策を長期的な計画のもとに一貫した方針で実施することが困難になる。多選を禁止すると次の選挙での選出の可能性がなくなってしまいますので、いわゆる行政の長の政治的影響力の低下、そういうことがあるというふうに思います。

大串委員 可能な範囲で結構ですけれども、例えば、多選を法律で禁止するあるいは禁止しないという問題を考えるときに、憲法上の論点としてはどういう問題があるか、簡単で結構ですので御説明いただけたらと思います。

久元政府参考人 幾つかの論点があり得ようかと思いますけれども、基本的には、憲法十五条の国民が固有に持っている公務員を選定罷免する権利、あるいは職業選択の自由、それから憲法九十二条の地方自治の本旨、また九十三条で地方公共団体の長は国民の直接公選ということを規定しておりますので、そういうような個別の条項が問題になってくる。また、憲法が定めております立憲主義また間接民主主義の基本原理、基本的な考え方から見てどうかといったようなことが論点ではないかというふうに考えております。

大串委員 今まさに大臣がおっしゃったように、メリット・デメリット、メリットとしては権力の肥大化を抑えていくことができるというところが一つ大きくあるんだろうと思います。デメリットとしては、長期的な視野から、あるいはしっかりとした権限を行政の長として持ちながらやっていくことができにくくなるという点などがあろうかと思います。

 憲法上の論点に関して言うと、憲法に保障する公務員の選定権あるいは職業選択の自由というもの、あるいは、地方自治の観点からして法律で縛るのはどうかという問題が一つある。逆に、立憲主義という観点からすると、あるいは国民の主権という観点からすると、法律で多選を縛るということも、国民の皆さんの政治参加の力をより強くするという面もあろうから、それは憲法上許されるのではないか、そういう考え方もいろいろある。

 そういうふうに、プラス・マイナス、メリット・デメリット、そして可能だとする論点、それから難しいとする論点、いろいろあろうかと思いますけれども、そういういろいろ難しい問題のある中で、各地方自治体において今いろいろな、自主的なといいますか自発的なといいますか、取り組みが行われてきているというふうに存じております。

 各地方独自でどのような取り組みが行われてきているか、概要をちょっと御説明いただけたらと思います。

久元政府参考人 多選自粛条例につきましては、網羅的に私ども調べているわけではありませんが、承知している範囲で申しますと、都道府県では埼玉県、指定都市では川崎市、それから市町村では大分県の中津市、神奈川県の綾瀬市、埼玉県の松伏町、そして特別区におきましては杉並区と中野区が、これまで多選自粛条例を制定していると承知しております。

大串委員 今御説明ありましたように、国の法律で規制していくということに関して議論がなかなか進まないわけでありますけれども、その中で、地方自治体自身が多選を自粛するという形での条例をこういうふうに出してきているわけでございます。これも一つの地方の創意工夫の中での取り組みではないかと思いますけれども、こういうふうな取り組みに関して、大臣、どのような所感をお持ちか、お聞かせ願えればと思います。

菅国務大臣 それぞれの自治体でさまざまな判断を下していますし、あるいはまた、選挙に立候補する時点から二選だとか三選ということを公約して立候補している人で現に当選をした方もいらっしゃいますから、それは国民のさまざまな声にこたえている一つの方法かなと思います。

大串委員 今、多選をめぐる法規制の現状は大体議論させていただいたとおりでございまして、国の方では何度か法律案が出ているんだけれども、それについてはそれぞれプラス・マイナス、可能、不可能とする論拠もあって進んでいない。ところが、地方自治体においては、少しずつではありますけれども、多選を自粛するという形の条例で地方としての取り組みをしていこう、こういうふうな動きが出てきているということでございます。

 そして、今まさに、この数カ月の間でございますけれども、多選知事が関与するような事件が続発している。そういう中で、多選の問題をよりしっかり見直していかなければならないのではないかという機運がかなり盛り上がってきているのではないかと思いますし、実際、相当真剣に考えていかなければならないのではないかというふうな気がしております。

 この件について、新聞記事等でも大臣が多選についてこれから法規制のあり方を考えていくというような発言をされているというような報道も見られますけれども、これについて、大臣はどのようにお考えか、そして、今後どういうふうな取り組みをしていくお考えか、お伺いさせていただければと思います。

菅国務大臣 大串委員、先ほど来の議論の中で、多選禁止という声が非常に高まってきている、それぞれの政党も三選だとか考え方も示してきている中で、やはり私ども国としても、基本的な考え方、客観的に対応できるものが私はもう必要であろう、そういう時期に来ているというふうに実は思っております。

 そういう中で、基本的には、多選制限の法制化というのは賛否両論の意見があって、各党会派の皆さんに幅広い観点から御議論いただく問題であるというふうに思っていますけれども、総務省としましては、選挙制度あるいは地方自治制度を所管する立場から、こうした皆さんの考え方の中で、多選問題に対して、憲法上の論点、あるいは多選の制限に関する考え方、多選を制限することとした場合その内容、そういうことについて調査研究を憲法や行政学の、これは学者の先生だけにいたしましたけれども、そうした学識経験者五、六人の方から、検討していただいて、方向性というものを受けたい、このように思っております。

大串委員 ありがとうございます。

 今、総務省として主体的に研究を、いろいろな識者の方々の意見も踏まえてやっていきたいというふうな御説明でございましたけれども、私自身は、多選の禁止あるいは規制に関して何がしかの法律の枠組みをつくっていく、いろいろなやり方があると思うんですね。国が一律にストレートな規制をしていくという方法もありましょうし、あるいは、各地方においてこうこうこういうふうな規制のあり方を定めてよいんだよということを法律に明定するということもあるでしょうし、それは各段階いろいろあると思うんです。

 私自身まだ考え方がはっきり固まっているわけではありませんけれども、今の段階で、この多選の状況を見て、かつ、先ほどお話を聞きましたように、多選の方々がまだまだやはり多い、お一人の方などは、それだけで悪いということではございませんけれども、十期を務めていらっしゃるという現実もかんがみれば、それがどれだけかたい方法か、あるいはその中間的な方法とかいろいろあると思いますけれども、どこかバランスをとりながら、ある一定の規制をかけていくことが私は必要なんじゃないかな、そういう時期に来ているんじゃないかなという気がしております。

 大臣、いま一度、先ほど議論をこれからしていくということでしたけれども、議論の方向性に関して大臣なりのお考え、もしあれば少しお聞かせいただければと思います。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、多選禁止、先ほど来憲法上のいろいろな問題もあるということでありましたので、本当に憲法上抵触するのかどうか、そういうことを客観的に方向性としては打ち出してほしい。そして、もし可能であれば、果たして何期がふさわしいのか、こんな客観的な問題を学識経験者の方からいただきたい。そしてまた、それが県知事から市町村長まで同じでいいのかどうか、こういう問題も実はありますから、そうしたものを幅広く、私どもとすれば学識経験者と言われる人たちから答申を受けたい、そして、そうしたものの中で、各党会派のさまざまな議論の中でこれは決まっていく、そういうふうに思っています。

大串委員 ありがとうございます。

 まさに今おっしゃったような論点を踏まえながら検討していただいて、しっかりとした方向性を見出していただければと思いますし、また、我々もこういう国会の場で、各党会派の議論の中で、国の民主主義をより発展、育成、かつ健全に推進していくにはどのような仕組みがよいのかというのを、我々自身も議論していかなければならないというふうに思う次第でございます。

 さて、残りの時間を使って、ちょっと駆け足になるかもしれませんけれども、違う問題を議論させていただければというふうに思います。

 これまでも議論の続いておりましたインターネットを使った選挙運動に関する問題等々でございますけれども、インターネットを使った選挙運動に関しては、これまでは基本的に文書図画に関する規制の中で厳しく規制されていたわけでございますけれども、インターネットというものの現在の普及状況を踏まえて、選挙運動の中で解禁していくべきではないかというふうな意見が多く出てきております。

 インターネット等を使った選挙運動を解禁した場合の、いろいろな議論があるわけでございますけれども、これも先ほどの多選禁止と同じで、メリット・デメリット、問題点、問題でない点、いろいろあるわけでございますけれども、メリット・デメリット等についてどういうふうにお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

菅国務大臣 総務省としましては、IT時代の選挙運動に関する研究会というのを実は平成十四年に立ち上げまして、八月にその報告を実はいただいています。

 その報告書によれば、メリットとしては、有権者の政治参加の促進、二つ目は候補者情報の充実、三つ目は有権者と候補者との直接対話の実現、四つ目は金のかからない選挙の実現。デメリットとしては、誹謗中傷、成り済ましなどインターネットの悪用、二つ目はデジタルデバイドの存在、そして三つ目はインターネットに付随する費用の増加。そういうものがこの研究会の報告によればメリットとデメリットである、こういう報告を受けています。

大串委員 ありがとうございます。

 ネットを使った選挙運動に関してはいろいろ各党においても議論が進んでおって、我々民主党においても案を出させていただいているところでございます。

 今、メリット・デメリット、それぞれおっしゃいました。確かに両方ともいろいろな角度からのメリット・デメリットがあるわけでございますけれども、今やはりこれだけネットというものの普及が進んできており、かつ、先ほどメリットのところでおっしゃいました参加の促進という観点、先ほどの質問の中でも選挙への参加、投票率の向上のことがありましたけれども、これも考えていけば、例えばいろいろなデメリットを最小限化していくというような努力を通じて、できる限りインターネットも用いた選挙運動というのができるような方向でやはり考えていくべきなんじゃないかなというふうに私は思うんですね。

 この辺について大臣としてどのようにお考えなのか、御所見をお聞かせいただければと思います。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたメリット・デメリット、そのデメリットをできるだけ解消する中で、インターネットがこれだけ非常に普及をしてきておりますので、それぞれ各党会派でそうしたものを含めて十分検討していくべき問題であるというふうに思っております。

大串委員 ありがとうございます。

 今おっしゃったように、選挙をめぐる環境というのはインターネットの普及でかなり変わってきているというふうに思います。普及率の一般的に低い、私の出身する地方部においても、相当な利用率になってきている。これを考えると、こういうものを通じて選挙への参加を促進しながらよりよく活用していくという態度が重要なんだろうと思いますし、そういう観点から、この委員会においても我々各党会派でしっかりとした議論をしていきたいというふうに思っております。

 最後に、先ほど政治に関する参加ということを述べましたけれども、先ほど来議論にもございました我が国の選挙に関する投票率でございますけれども、年々低下してきているということが言われております。

 国によっていろいろな違いがあるようでございますけれども、投票率ができるだけ向上してほしいという思いはやはり万国共通にある、そうやって民主主義のより大きな発展を確保していきたいという思いはやはりどこの国にもあるんだろうというふうに思います。

 投票率は国によって随分違うようでありまして、日本の投票率は大体先進国では平均値的なところだというふうに見ておりますけれども、国によっては、例えば義務化をすることによって高い投票率を達成していたり、あるいは、非常に創造的な取り組みのようですけれども、例えばパスポートや運転免許証の更新などとリンクさせることによって投票率を促進するというふうな工夫をしている国もあるようでございます。

 このような創造性のある方策もできるだけ使いながら投票率の向上をしていく必要があるんだろうと思いますけれども、こういうふうないろいろな策を用いて投票率を向上させていくこと、そして、それも含めてより広く投票率を上げていくことに関しての大臣のお考え、御方針をお聞かせいただければと思います。

菅国務大臣 選挙というのは、国民が政治に参加する最も重要であり、かつ基本的な機会で、投票参加は民主主義の健全な発展のために欠かすことのできないものであります。

 そういう中で、投票率が年々低下していることは極めて遺憾なことであると思っています。そして、投票率の向上のためには、先ほど来さまざまな議論がありますけれども、啓発運動だとかあるいはインターネットの利用だとか、さまざまなことを最大限駆使して、やはり投票率が上がるように私どもは努めていきたい、こう思っています。

大串委員 選挙をめぐる情勢は、インターネットも含めて相当変わってきています。ですから、そういう変わった世界においては、これまでの考え方をより大きく超えて、創造的な方法も含めて投票率の向上をぜひ御検討いただきたいというふうに申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

今井委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 民主党の吉良州司でございます。

 きょうは時間が三十分に限られておりますので、まず冒頭、当該法案にかかわる提出の意義、目的を、いま一度大臣から簡潔にお答えいただきたいと思います。

菅国務大臣 十九年の三月から五月までの間に任期が満了する地方公共団体の議会の議員及び長の期日を、都道府県または指定都市の選挙に当たっては十九年の四月八日、それ以外の市町村及び特別区の選挙にあっては二十二日、こういうことに今回統一するということであります。

 その意義ということでありますけれども、やはり選挙期日を統一することによって、選挙に対する国民の関心を高めるとともに、さらにまた選挙の円滑そして効率的な執行を図ろう、そういうことから行っております。

 また、ことしの十月の二十四日だったと思いますけれども、新潟と浜松を政令指定都市に指定しました。この両市は来年の四月一日に政令指定となることが決まっていますので、せっかくなるんですから、やはりこれに合わせる形でこの選挙を実施できるようにしたい、そういうことでこの法案を出させていただいたということであります。

吉良委員 ありがとうございます。いま一度、意義について大臣から答弁をいただきました。

 私はきょう民主党という立場で質問をしておりますけれども、今大臣がおっしゃった選挙自体への関心を高める、それから効率性を高めていく。効率性を高めるということは、いわゆる実務的な効率と同時に、やはりコスト削減というような意味合いも含まれているというふうに思っています。その意味で、党の見解がまとまったというような形ではありませんけれども、私は、一議員として自分の提案を踏まえながら、大臣に今後の地方分権に向けたいろいろな御見解を承りたい、このように思っております。

 まず、菅大臣は、安倍首相の信頼厚く、この地方分権、私は地域主権とあえて一歩踏み込んで言っておりますけれども、地域分権に対する相当な熱意をお持ちだというふうに伺っておりますが、これも簡潔にそのところを伺えればなというふうに思っております。

菅国務大臣 私、横浜の市会議員を二期八年務めました。出身は私は実は秋田県の、平成の大合併で市になったところでありますけれども、もともとは大変な過疎地でありました。しかし、国を眺めたときに、やはりこれからの時代というのは、地域主権と吉良議員は言われましたけれども、私は、まさに住民に最も近いのが地域ですから、地域重視、地域がやはり住民に関係するものは責任を持って自分で決めて行うことができるような、そうした分権を何としても行いたいし、そしてやはりこのことが少子高齢化社会、そしてまた合併が進んでいる中で、日本の国の活力を引き出すことができる極めて大事なことである、このように考えて、今度の国会にも地方分権改革推進法案を提出させていただいて、今議論をさせていただいているところであります。

吉良委員 地域主権に対する熱意も伺ったところでありますが、私自身も大分、一区ではありますけれども決して都会ではない、地元出身でございまして、常日ごろ、地域が元気であれ、活力あれ、このように思っておるわけでありますが、ただ一方で、現実面を見ますと、やはり地方公共団体、首長から議員から、正直言って依存体質がしみ込んでしまっている。

 これは地方のせいだけではなくて、明治以来、貧しかった明治、そしてまた戦後の廃墟ということを考えて、殖産興業、古くは富国強兵、戦後は軽武装の経済大国化、こういうような中で、効率的に日本全体を底上げしながら豊かにしていくという意味で、ある意味で国家経営の資源を中央に集中させた。地方は、いろいろな意味で人材の供給源であったり、土地なりいろいろな環境の供給源ではあるけれども、意思決定は中央でする、その配分にあずかれ、こういう仕組みを国がつくってきた。

 これは短期の間に効率よく、今言った国を豊かにするという、方向としては間違っていなかったと思うんですけれども、結果として、現在を見る限り、地域は国からの予算、国からの補助金を口をぱくぱくあけて待っているところが非常に多い。もちろん、名リーダーといいますかすばらしい首長さん、またいろいろ議会のトップの方々が出てすばらしい地域をつくっておられるところもありますけれども、総体としていいますならば、今言いましたように中央に依存をするということが常態化してしまっている。これが今の日本の状況じゃないかというふうに思っています。

 その結果、それぞれ地域をバックに選出されてくる議員は、地域が元気であれというその手段が、国から地方に予算を持っていく、補助金を持っていくしかないということで、どんどん予算需要、財政需要が膨らんで、現在の借金漬けになっている。ある意味で地方公共団体は国をラストリゾート、最後の駆け込み寺というふうに思って、これをやりたい、あれをやりたいとなると最後は国だと。国は、あるときまで踏ん張っていたんだけれども、これもまた駆け込み寺ということで国債発行というところに逃げ込んで、もう収拾がつかなくなってしまっている。これが今の日本の状態じゃないかというふうに私は思っています。

 これを解決するには、地域主権の重要性というのはいろいろな側面があると思っております。今、大臣おっしゃったように、自立していくという観点、私はそこが実は非常に重要なことだと思っていまして、国全体の財政規律を正常化していくということも踏まえて、地域が自立していく。

 そういう意味で、私が地域主権というのを唱えておりますのは、日本はもう一度、江戸時代、産業基盤とかその辺は別ですよ、だけれども、ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカじゃないけれども、ユナイテッド・藩ズ・オブ・ジャパンにするぐらい、それぞれの地域地域が独立性を持った国になっていかなければいけない、このように思っているところであります。そうやって、自立した個人の集まりである地域、そして自立した地域の集まりである国ができて初めて国が、国力が充実していく、このように思っております。

 ちょっとおのれの演説のようになりましたけれども、菅大臣として、私の今申し上げたことについての感想、御見解をまた簡潔にお伺いできればと思っております。

菅国務大臣 我が国の中央集権体制、この体制もできてまだ百数十年しかたっていないんですよね。ですから、この体制が国のすべてだという考え方をまず私は払拭する必要があるというふうに思っています。

 そういう中で、今委員言われましたけれども、やはり私も、国の果たす役割、地方の果たす役割、このことを明快に分担をすべきだというふうに思っています。そして、地方に権限、財源そして税源も移譲して、地方が自分の考え方、自分で行動する、そういう仕組みをぜひつくりたい。しかし、責任も当然地方にとってもらう。これが私は国のあるべき姿かなと今思っています。

 さらに踏み込ませていただきますと、こうした分権を推進し、その先にやはり道州制、そういうものがこれからの日本が活力を得て発展をする姿かなというふうに思っていますので、そういう意味では委員とほとんど一緒かなと思っています。

吉良委員 方向性を同じくした見解を持っていただいているということで、私自身としても非常に心強い限りなんですが、まず、先ほど冒頭に、当該法案の一つの意義として、効率性を高めるということと関心を高めると。私は、地方自治体の選挙においてもこの目的を、こういう形で投票日を、選挙期間を統一するというだけではないやり方があると思っております。

 こういうところが先ほど言いました個人的見解になるんですけれども、それは思い切って地方の議員定数を減らすということであります。

 なぜそういうことを申し上げるかといいますと、まず一つは、今いろいろな改革が進んでいる中で、よく言われているように、国民に痛みを強いているという中で、やはりまず隗より始めよということで、後で国会についても時間があれば触れたいと思っておりますけれども、やはり社会のリーダー的役割を果たしている議員がみずからコストを削減していく、そしてみずから意識を変えて、みずから意識を変えることによって有権者にも意識を変えていってもらう、このようなことが大事なんだろうというふうに思っております。

 例えば、私の出身、私の選挙区であります大分市は人口が大体四十六万人であります。それで市議会議員の数は四十六名、ほぼ一万人に一人おります。

 皆さん方のお手元にお配りした、英米系、ちょっとこれは時間の関係で、すべて正確に調べるために英語で引っ張り出せるところに限定してしまって、その意味では多少の偏りがあるんですが、お手元にお配りした資料を見ていただきたいと思うんですけれども、カナダの一部等々で有権者の数が非常に少ない都市がございますけれども、大方のところは信じられないぐらいの少ない議員数で大きな町の代表となっているのが現実であります。右の一番下に書きました私の大分は、四十六万人のところに四十六人の市議会議員がいる。私は、あえて自分の地元で出させていただきますと、七、八人でいいと思っています、ずばり。

 なぜそういうことを申し上げるかというと、まず、先ほど言いました当該法案に対する意義もありますが、効率化そしてコスト削減という意味で大幅にコスト削減できるということがありますし、選挙民に対する関心も高めていくことができる。それと、私、一番大事なことは、今言いました、これまで中央に依存してきたそういう地域地域に、これからはもう依存できないんだ、依存しないんだ、これからの時代は地域の経営なんだ、ラストリゾートとしての国はもうないんだというような感覚を持ってもらうこと、それを形にあらわしていくことが大事なんだろうというふうに思っております。

 その意味で、今までは、それこそまだ物を運ぶときにリヤカーで運んでいた、どこどこへ移動するときに馬で行っていた、徒歩で行っていた、大分市という小さな町ででもまだいまだに小さな地域地域の代表というような形で出てきているんです。または、ある一部の業界だったり団体だったり、組織の代表として出てきているんです。

 私は、そうではなくて、今後は地域を一つの経営体企業というふうにみなした場合に、議員そのものが一つのボードメンバーなんだ、役員なんだ、首長がその中の代表取締役社長なんだ。もちろん、選ばれ方は現在の仕組みでは違います、企業とは違います。ただし、一つの企業経営に対して国民といいますかその地域の有権者が見た場合には経営者なんだ、と同時に、取締役会の中で代表取締役をきちんとチェックする機能を持ち合わせているんだ、こういう地域の経営という考え方、哲学に変えていかなければいけない、このように思っているんですね。

 実は、大分市も四十八人いたのを四十六人と、二名定数削減したんです。これはもう見せかけ以外の何物でもないんです、おれたちもやっているぞという。実質的には何の影響もない。よくメーカーあたりが、ではコスト削減しなきゃいけないというときに、一〇%コスト削減しろ、これはなかなかできないんです。ところが、五〇%、半分にしろといったら結構できることがある。

 これは、大臣おわかりだと思うんですが、一〇%減らせといったときには、今までの仕組みとか哲学とかこれまでの経験を一切変えずに、一〇〇かかっていたものを何とか頑張って九〇にしよう、一〇減らそう、こういう発想でしかない。けれども、五〇にしろといったら、これは今までの哲学だとか感覚、意識の中ではできない。まるっきり哲学、意識を変えざるを得ない。だから、変えたらできる、こういうことなんですね。

 そういう意味で、私、今申し上げましたように、四十八を四十六にするというレベルの話ではなくて、これからは地域経営なんだということで、経営者を選ぶという選挙に変えていくべきだ、その意味で今言った四十六人いるというのを七、八人に減らすんだ、これは日本全国そうすべきなんだ、このように私は思っているわけなんです。

 地方自治法九十一条で、定数は条例で定めていいけれどもその上限というのを決めておりますけれども、今私が申し上げたような考え方にのっとって、今後、地域主権、地方分権の流れ、地域経営という時代にならなければいけないときに、そういうふうに大幅に地方議員の数を減らしていけというような考え方を、総務省として、また菅大臣としてお持ちかどうか、またその辺についての感想でも結構ですけれども、お伺いできればと思います。

菅国務大臣 委員は海外生活も長く、海外でそういう形で行っている自治体というのを当然ごらんになっての意見であるというふうに思っています。これからの地方自治というのは、改良ではだめだ、改革しなければならない、そういう御意見であろうというふうに実は拝聴いたしておりました。

 地方議会の議員定数におきましては、御案内のとおり、一定の上限数の範囲内を条例で定めており、それぞれ各地方公共団体において自主的に決定をされる、こういう形になっておりまして、どのような定数にするかというのは地方公共団体の判断である、そのように考えております。

 なお、実際どうなっているかといえば、ほとんどの地方公共団体においては法定上限数を下回る定数を条例で定めております。平成十五年七月時点で、都道府県では、全国の上限定数三千百八に対して条例定数は二千八百七十七になっています。市町村については、上限七万三百七十に対して条例定数は五万六千八百十四。特に市町村合併によりまして、市町村議会の議員数は、平成十五年の約五万七千人から、在任特例が終了しますと三万九千人に大幅に削減をされる、そういう方向になっております。

吉良委員 実際、今の御答弁でもありましたように、自治体で上限目いっぱいというのではない、それから平成の合併によってそれなりに少なくなっている、こういうこと自体は私も認識しておりますし、現在進行形だというふうに思っておるんです。

 私が前段で申し上げましたように、一〇〇のコストを九〇じゃだめなんだ、一〇〇を五〇にするんだ、四〇にするんだ、こういう発想に基づく、今申し上げました地域経営の時代なんだ、国を頼るなと。もちろん、私は、ちょっとお断りしておきますけれども、きょう、あしたすぐにできると思っていません。当然ながら、これは東京都と大分市、大分の中の千歳村ではこんなに財政格差があるわけですから。

 私なりに考えておりますのは、一番短くて四十年の歳月を通して、長ければ明治時代と同じように百四十年の歳月を費やして、徐々に財政調整機能を減らしていく。最後は、もう本当に限られた、半島だ、離島だ、そういう不利益地域にきちんとやはり財政的な配分が行くような目配りはした上で、あとはそれぞれの地域すべてに自立を促していくということが大事だというふうに思っています。

 現時点で見ると、そんなのは無理だとだれもが言います。当たり前の話です。余りにも差があります。だけれども、百四十年後には自立するんだ、または短くて四十年後には自立するんだということであれば、それなりの準備ができるというふうに思っています。そういう意味で、一〇〇のコストを九〇にするではなくて、一〇〇を五〇にしていく、国全体の財政規律を高めていく、そしてより国力を高めていく、日本人の人間力を高めていくという意味でも、今言った自立を促す。その自立を促すための背中を押す、今言った大幅な改革、議員定数の大幅な削減を、総務省として、また政府として強力に推し進めていく気があるのか、いま一度御見解を承りたいと思います。

菅国務大臣 よく言われていることですけれども、我が国は開国そして戦後、その改革に次ぐ第三の改革が必要だと。極端な人は、この改革なくして国の将来はない、そういうことを言われる方もおります。

 そういうさまざまな議論の中で、委員の意見は参考として拝聴させていただきたいと思っています。

吉良委員 私も、先ほど言いましたように、まだ党を代表して言っているわけではないんですけれども、私の持論でもあるし、本当に、地域であり、地域の集まりである国の力を高めていく、これ以外にないと思っております。だから、そういう意味で、拝聴ではなくて、ぜひ省内部でも、それから我々国会内部でも、そのようなことの声を大きく上げていきたいというふうに思っております。

 いま一度、拝聴ではなくて、私が冒頭、地方分権、地域主権に対する熱意をお聞きしたいと言ったのは実はここにつながってきているわけでありまして、菅大臣、改革志向、地域分権を推し進めたいという熱意を持っておられる大臣に、いま一度その辺についての御見解を承りたいと思います。

菅国務大臣 先ほど私は、今の中央集権の体制、これがたった百数十年のものである、ある意味では歴史の一こまであろうというふうに私は思っておりますので、それで十分私の意を酌んでいただけるのかなと思います。

吉良委員 これもくどいようですが、個人的見解と再度お断りした上で、先ほど私は、やはり国民に痛みを強いるような改革、私は改革は必要だと思っています。ただ、隗より始めよだということで、今、地方議員についての定数を大幅に削減しよう、地域経営という哲学変更も伴って変更しろということを申し上げました。ただ、同時に、やはり我々国会議員の定数を大幅に削減していかなければいけないんだろう、このように私は個人的に思っております。衆議院の比例部分の見直しが必要だろうというふうに思っておりますし、同時に、参議院のあり方について見直しが必要だろうというふうに思っております。

 昭和六十三年の十月二十一日の、一票格差についての訴訟に対する最高裁の判決として、憲法が要請しているものは法のもとの平等、投票価値の平等ということを要請していると。ただし、投票価値の平等は、憲法上、選挙制度の決定のための唯一絶対の基準となるものではなく、国会が正当に考慮することのできる他の政策目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものと解さなければならない、こういうふうに判決では言っております。この判決は、一票の格差の議論が出るときには必ず引用されるものだというふうに了解をしております。

 私は、地域主権という時代と、先ほど大臣の方は道州制というふうに言いましたけれども、道州制が先にありきというよりも、さっき言った地域地域、もうちょっと小さな単位の藩が独立していく過程の中で、より大きな広域連合が必要になったときに州が生まれてくるというふうに私は理解をしておるんです。参議院も、今言いました地域主権という考え方に基づいていった場合に、米国の上院と、権限、権能についてはちょっとこちらに置いておきまして、地域主権下の地域の代表だという位置づけで、都道府県代表というようなものにしていくべきなんではないかというふうに思っております。

 もうちょっと突っ込んで言うならば、したがって、定数も四十七掛ける二、東京都も二、鳥取県も二というような考え方を持っておりますけれども、この点について大臣の、難しい答弁だと思いますよ、それはわかっていますけれども、その上であえてお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 国会議員の選挙制度や定数については、まさに議会の根幹にかかわる問題でありますので、今日までも各党会派の議論によって進んできているところでありますので、そういう事柄である、そのように御理解をいただきたいと思います。

吉良委員 これは事務局といいますか政府委員の方の答弁にもしかするとなるかもしれませんが、今言いましたように、地域代表なんだ、選ばれ方自体は米国の上院型なんだと仮にした場合に、先ほど言いました現時点の選挙制度における格差是正というものは、衆議院が二倍だとか参議院が五倍だ、何・何倍ならいいというようなことが出てきておりますが、先ほど言いました最高裁の判決における一つの価値判断、国会が正当に考慮することのできる他の政策目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものというふうになっておりまして、今言った参議院というものの性格を例えば地域代表なんだというように位置づけた場合に、一票格差が五倍からはるかに、鳥取、島根と東京都では、それはもう下手すると二けた単位で開くかもしれませんけれども、それは、この最高裁の判断がある中で、国会の方でそういう議論がなされ、そういう方向が出たときには問題ないのかどうか、その辺についての見解を伺いたいと思います。

久元政府参考人 国会の論議に対しましての総務省の基本的な考え方は、先ほどの大臣の答弁のとおりであろうと思います。

 ただ、先ほど委員が紹介されました最高裁の判例から直ちにそのような立法的な解決ということが憲法上許されるのかどうかにつきましては、さまざまな御論議が学者の間からはあるというふうに承知しております。

吉良委員 もう時間がなくなってまいりました。きょうの問題提起は、私はいつも、いろいろな委員会でもそうなんです、かなり極端に思い切ったことを言わせてもらうんですけれども、本当に日本の今後を思ったときに、繰り返しになりますが、やはり地域主権の国、ユナイテッド・藩ズ・オブ・ジャパン、これこそが、今の喫緊の財政規律の正常化を含めて、そして将来的な国力を増していく、民力を増していくという唯一の解決方法だと。そういう中で、この選挙制度、国会議員のあり方、地方議員のあり方、そういうものをまずみずから改革していくことで、有権者の意識も変え、そして結果的には、本当に国力というか、堂々たる先進国として、国際社会の中で尊敬を集められる国になる。

 その意味で、今後も菅大臣の御健闘を期待したいと思いますし、このような場を含めて国会で議論をしていただきたい、また私は声高に叫んでいきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

今井委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 きょうは、菅大臣、安倍内閣の有力な大臣として改革を大いに進めていただいておるわけでございますけれども、大臣を含めて御答弁を賜りたいと思っております。

 まず、今回の統一地方選挙臨時特例法において、平成十九年四月一日に政令指定都市に移行する新潟市と浜松市の選挙について、告示日時点では指定都市ではないが指定都市として選挙を実施できるよう措置を講ずることとし、さらに、両市の区域における新潟県と静岡県の県議会議員選挙についても行政区を選挙区として選挙を実施できるように特例措置を講ずることとした理由が一点。

 それからもう一つ、この統一地方選挙については、近年、四月の第二日曜日に前半戦として都道府県と指定都市の選挙、第四日曜日に後半戦として一般の市区町村の選挙が行われることが定着しておりますが、今回の特例法案も同様の考え方に立っているわけであります。一方、選挙経費の節減等の観点から、この前半戦と後半戦の選挙期日を統一してはどうかとの意見もあるやに聞いております。

 私としては、都道府県の選挙と市区町村の選挙期日を統一した場合は、それぞれの首長と議員合わせて最大四つの選挙が重なることになり、有権者の投票行動に混乱を来すおそれがある、こういう観点から統一については消極的な立場でありますが、総務省のお考えをお伺いしたいと思います。

久元政府参考人 今回お願いしております法案では、指定都市の選挙期日は四月八日としております。そこで、来年四月一日に政令指定都市に移行いたします浜松市と新潟市につきまして、仮に指定都市としての選挙を行おうとした場合には、委員御指摘のとおり、市長選挙にあっては三月二十五日が、市議会議員の選挙にあっては三月三十日が告示日になるところでございます。

 この点についてどういうふうに考えるのか、幾つかの選択肢があるわけでありますけれども、私どもは、この両市、また両県の議会も含めまして御意向をお伺いいたしましたところ、いずれの団体からも、三月中の告示日であってもぜひ指定都市として選挙を執行したい、こういうような強い要望がなされたところでありますので、委員先ほど御指摘いただきましたような内容の特例措置、特例法案のさらに特例措置になるわけですけれども、そういう形でお願いをしているところでございます。

 それから、選挙期日を二回に分けて実施することにしている一番大きな理由は、若干の制度の経緯はありますけれども、統一地方選挙が昭和二十二年から今のような形でずっと長く続いてきておりまして、基本的には国民の間に定着しているのではないか。

 ただ、最近、この統一率が低下しているということ等からさまざまな御論議があるわけですけれども、例えばこれを一回に統一するということになりますと、すべての団体で不可能であるというところまでは申せないかもわかりませんけれども、委員御指摘のとおり最大四つの選挙が重なる。そうした場合には投票所やポスター掲示場の確保が困難となるといった管理、執行上の支障を来すおそれがあるというふうに私どもも考えておりまして、今回の特例法案におきましても、こういう事情を考慮し、従来どおりのやり方で二回に分けて選挙を執行するということの方が適当ではないかと考えてこの法案を提出させていただいたところでございます。

大口委員 次に、統一地方選挙の対象選挙数の全体の選挙数に対する割合、いわゆる統一率は低下傾向にあります。平成十九年度の統一見込み率は三〇・五〇%になるようでありますが、そういう中で地方選挙を年一回ないし二回に再統一すべきだとの意見というものも以前からもあったわけであります。ただ、一方、地方分権の時代と言われている昨今、地方選挙の実施は地方公共団体の判断に任せればよい、こういう考えもあるわけですね。このようなさまざまな意見があるわけでありますが、地方選挙を年一回ないし二回に統一することについて、総務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 委員御案内のとおり、地方公共団体の議員及び長の選挙については、昭和二十二年四月に全国で統一されて実施した。しかし、その間に四年ごとの四月に選挙が行われてきたんですけれども、途中で議会の解散あるいは市長が死亡するなど、統一をされて行われる選挙が年々減少してきていることは事実であります。

 こうした状況を踏まえて、国民の地方選挙への関心を高めるとともに、選挙の円滑な執行と、選挙執行のための効率化等によって、地方選挙の再統一に向けた議論がなされてきています。ただ、もしこれをやるとした場合に、年に一回とか二回にする場合には、任期の特例、延長等という措置が必要になってきますし、また、長年にわたって定着してきた地方選挙の仕組みを変える、こういうことにもなろうというふうに思っています。

 実は、委員御記憶にあると思います、たしか五、六年前だったと思いますけれども、二回にしようという議論がかなり煮詰まってきたときがありました。しかし、党内の議論も、私ども自民党内でも最終的には二分をしてしまいました。これは、都市と地方によって、あるいはそれぞれの政策による考え方によっても、最終的議論の中で党内が二分をしてしまいましたので、それだけ各方面に極めて重大な影響を与えるということであるというふうに思っていますので、このことは当時の経験からすれば非常に難しいなというのが私の今の実感であります。いずれにしろ、この問題については、やはりそれぞれの各党会派の議論にゆだねるべき問題であるというふうに思っています。

大口委員 次に、公選法で禁止されております戸別訪問についてお伺いをしたいと思います。

 私は、戸別訪問は全面的に解禁をすべきだ、こう考えております。その理由でございますが、第一に、戸別訪問は選挙運動の中で最も基本的なものであり、欧米諸国で戸別訪問を禁止する国は存在せず自由な選挙運動が担保されている。第二に、戸別訪問は金銭的負担の少ない選挙運動方法であり、解禁は金のかからない選挙の実現にもつながる。第三に、戸別訪問の解禁により有権者と候補者の距離が近くなるために、国民の意識の喚起につながり、投票率の向上にも資すると考えられる。第四に、実情では、例えば商店街において候補者が戸別訪問に該当するような選挙運動を行っている場合も考えられるため、実情に合わせた法改正が望ましい。こういうことが挙げられるわけでございます。

 戸別訪問の全面的解禁の主な懸念として、一つに、買収、利害誘導等の選挙の自由、公正を害する犯罪の温床になる。二つに、戸別訪問で次々に自宅や勤務先に来られたら生活の平穏が害される。こういうことを指摘されているわけでありますけれども、これについても、国民の政治に対する意識も成熟しており、戸別訪問を解禁しても買収の温床となることは考えにくいこと。そして、選挙人に迷惑をかけること自体が候補者に不利となるため、実際には選挙人の私生活の平穏を害してまで候補者が戸別訪問を行うことは考えにくい、こう思うわけでございます。

 私は、いつまでも戸別訪問迷惑論とか買収問題とか、こういったことで禁止する時代ではない。少なくとも、一対一で候補者あるいは運動員の皆さんが有権者の皆さんと対話しながら、さらに政策論議をし質を高めていく。これは有権者の政治参加への意識を変えることになり、日本の議会制民主主義の向上に大きく寄与することになると思います。そういう意味で、早急に戸別訪問の全面的な解禁を目指して取り組む必要があると考えるわけでございます。

 昨年の二月の八日、小泉前内閣総理大臣が、衆議院の予算委員会におきまして、我が公明党の山名靖英議員の質問に対して次のように答弁しております。「戸別訪問は、私も前から、戸別訪問をやるというのは、選挙に立候補しようと思えば、また応援する人の立場から立ってみれば、できるだけ多くの人に支援を依頼するんだから自然な行為ではないかなと思って、当選以来、かなり議論を重ねてまいりました。」「こういう新しい時代になって、選挙制度も変わりました、議論して、私は方向性としては認めてもいいのではないかなと思っているんですが、より慎重論もありますから、よく議論をしていただきたいと思います。」そう答弁されています。

 実は、小泉前総理は、二十七年前、昭和五十四年二月九日の朝日新聞の論壇に「戸別訪問を解禁せよ カゲでコソコソが腐敗を生む」というタイトルで戸別訪問の全面解禁をすべきとの論を展開して、そういう点でも一貫して大したものだな、こう思っておるわけでございます。

 この戸別訪問の全面的解禁について、菅総務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 そもそも戸別訪問というのはいつから始まったのかということを調べてみました。戸別訪問の禁止について、買収などの温床になりやすいこと、候補者、選挙人にとって大変煩わしいことなどの理由によって、これは大正十四年なんですね、男子の普通選挙の際に禁止された、そういうことであります。

 時代もこれだけ変わってきていまして、戸別訪問の解禁についてはいろいろ議論もされてきています。そして、平成五年に政府が提案をした政治改革関連法案の中で、戸別訪問は候補者と有権者がじかに触れ合える有力な選挙運動の手法であるから、これを自由化することといたしたものでありますけれども、当時の国会における議論の中で、従来どおりこれを禁止する、こういうことになった経緯も実はあります。

 この問題につきましては、選挙の土俵づくりという極めて大事な問題でありますので、先ほど総理の答弁について委員からも御指摘がありましたけれども、総理は前向きだけれども議論してほしい、そういう答弁だったということであります。いずれにしろ、やはり私は、それぞれの政党、各会派で議論を詰めていただきたい、こう思います。

大口委員 私は、今、衆議院の憲法調査特別委員会のメンバーでもございまして、国民投票権者の範囲について、十八歳以上か二十歳以上か、大きな争点になっているわけです。最近、自民党の委員からも、十八歳以上に拡大すべし、こういう意見も出ているわけですね。このような議論は選挙権の年齢と非常に密接な関係がございまして、そういうことから選挙権の年齢についてお伺いをしたいと思うんです。

 憲法十五条三項は公務員の選挙については成年者による普通選挙を保障するとあり、公選法九条一項は選挙権を二十歳以上の者に定めているわけでございます。世界の各国の選挙権の年齢は、国会図書館の調査資料によりますと、調査した百八十二カ国・地域のうち、十八歳以上、これは十五歳から十七歳以上も含みますが、百五十九カ国、八七・三六%となっているわけですね。このように、選挙権を十八歳以上とするのは世界の大勢となっております。

 公明党でもマニフェストで十八歳選挙権を実現します、こう掲げておるわけです。民法や少年法等の法体系の見直しともかなうわけでございますけれども、選挙権年齢を十八歳以上とすべきだと考えております。

 菅総務大臣は非常に世界を展望しながら改革を進めておられるわけでございますので、前向きな御答弁を賜りたいと思います。

菅国務大臣 委員御指摘のとおり、世界百八十二カ国の中で百五十九カ国が十八歳ということであります。この選挙権年齢の問題というのは、民法上の成人年齢や刑事法での取り扱いなど法律体系全般とも関連をしておりますので、十分配慮しながら検討する必要があるというふうに私は思っています。

 我が党の中にも、今御指摘ありましたように、そうした意見がかなり出てきているということも事実であります。選挙年齢のあり方については、先ほどと同じように、やはり選挙の土俵づくりの中で極めて大事な問題でありますので、これもやはりそれぞれの政党が、各党会派でしっかりと議論をしてほしい、こう思います。

大口委員 若い人の投票率が、特に二十歳から二十四歳までですか、男性の場合三十数%というふうなことで非常に低いわけですね。投票率を上げるということのためにも、本当に、高校を卒業して、もう若いうちから選挙権を得ることによって意識が高まってくると思うんですね。ですから、十八歳以上にすべきということは、本当に大臣も、やはり総理にもお話をしていただきまして、リーダーシップをぜひとも発揮していただきたい、こういうふうに思っております。

 次に、最近の福島県知事を五期務めた佐藤前知事が逮捕された汚職事件や岐阜県の裏金づくりに見られますように、地方自治体の首長の不祥事が明らかになるたびに、首長の多選の弊害が指摘されているわけであります。

 地方自治体の首長は、議会の招集権、予算の執行権そして人事権等を握っており、議院内閣制の首相と違って大統領並みに権力が集中しているということでございます。それだけに長期政権になればなるほど利権構造ができやすく、庁内に物を言える空気がだんだんなくなってくる。知事の顔色を見ながら、本当に思い切ったことが言えなくなる。そして、しっかりと議会のチェック機能を働かせていかなきゃいけないと思います。これは議会にも責任があると思うんですが、こういうチェック機能が働かないと、腐敗の危険性もさらに増す可能性がある。

 我が公明党は、平成十年、一九九八年の十一月に首長の多選問題について原則三選までと決めておりますし、最近でも十一月一日の選対委員会、また十一月二日の中央幹事会でこの原則三選までを確認しておるわけでございます。一方、自民党でも、この間の十一月の九日、党改革実行本部で、来年の一月一日から都道府県知事と政令市長についての推薦、公認を三選までとすることを決めたということも報道で聞いておりますし、また民主党も同様の原則がある、こういうふうに報道されているわけでございます。

 過去三たびにわたって、いわゆる多選禁止法案が議員立法で国会に提出されていたわけでありますけれども、いずれも審査未了で廃案となっている、こういうことです。

 ただ、今、地方自治体も動きが出ています。埼玉県、あるいは神奈川県の川崎市、あるいは神奈川県の城山町、それから大分県の中津市、東京都の杉並区等で首長の多選自粛条例が制定されております。また、最近は、神奈川県の松沢知事が、知事の任期を三期十二年までに恒久的に制限する多選禁止条例を十二月の県議会に提出すると記者会見をしている、こういうことでございます。

 本日の朝日新聞にも出ておりました。諸外国も見てみますと、例えば米国の州知事の場合、五十州のうち三十六州が条件つきを含め任期を二期八年か一期四年までに限っている。イタリアの広域自治体の首長は、一期五年で、二期連続で務めると三期は原則立候補できない。こういう例もあるわけでございます。

 多選禁止について、各政党が内規で決めるだけでなく、多選禁止の法制化まで行うか、その場合、一、憲法で保障された参政権や職業選択の自由の点に抵触するおそれはないか、二、法律により全国一律に多選を禁止するのか、三、地方自治体がみずからの判断で条例による多選禁止が可能となるよう制度改正するのか、四、知事や政令市長と他の首長との区別が可能かなどの論点があるわけでございます。

 この知事などの首長の多選禁止について、法的な規制が可能かどうかを検討する有識者の研究会を月内に設置する方針を菅総務大臣は出されておるわけでございますけれども、総務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 ここに来て多選の弊害がかなり出て、今さまざまな汚職事件につながったり、そういう中で多選禁止の問題が、今、大口委員に言われましたけれども、公明党さん、そして民主党、私ども自民党も、三選というのは大体そろってきたのかなと実は思っています。

 しかし、これについては、先ほど来議論の中にありますように、立候補の自由や職業選択の自由などの憲法との問題、あるいは、多選を制限する場合にはその期数あるいは対象とする地方公共団体の長の範囲、また全国一律なのか、あるいは地域の自主性は認められるのか、さまざまな実は問題があります。

 そういう中で、総務省は今まで踏み込んだ議論はしておりませんでした。私は、そうした議論の高まりを踏まえまして、今月中に憲法学者、あるいは行政の方の学者、そうしたいわゆる有識者と言われる先生方から、今私が申し上げました点についての基本的な考え方というものを審議して、幅広く研究をして、私ども答申を受けたい。そういう形で、この問題に対して国の考え方というんですか、そういうものを明らかにできる仕組みをつくっていきたいと思っています。

大口委員 時間が来ましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

今井委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、法務省に民事再生法について伺いたいと思います。

 赤字が続いている会社が破産しそうだということで民事再生法の申請をしたとします。しかし、その前に特定の債権者だけが財産を確保したといたします。それは民事再生法に違反すると思いますが、民事再生法の何に違反するのでしょうか、簡潔にお答えください。

深山政府参考人 御指摘の事案につきまして、民事再生法上問題となる点は、まず第一に、民事的に、会社の財産を回復するための否認の問題と、刑事的に、会社あるいは弁済を実際に行った代表者、使用者等、それから相手方の債権者の罰則の適用の問題、この二つが生ずると思います。

 最初の否認の方ですけれども、債務の弁済行為につきましては、会社が支払い不能の状態になった後にしたもので、債権者がその行為の当時会社が支払い不能であったことを知っていた場合等には、裁判所によって選任された監督員等がその弁済行為を否認することができます。弁済行為が否認された場合には、債権者は会社に対して、受領した金銭、あるいは代物弁済の場合であればその目的物を返還する義務を負うことになります。

 次に、罰則の関係ですが、これは実は二つの刑罰が問題になり得ます。

 一つ目は、特定の債権者に対する担保の供与等の罪というものです。これは、会社が特定の債権者に対する債務について、他の債権者を害する目的で債権者に有利な方法または時期に弁済等を行って、しかも再生手続開始の決定がされた場合には、その特定の債権者に対する担保供与等の罪に当たりまして、五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金、これを併科することもありますが、ということになりますし、さらに詐欺再生罪が問題になります。

 これは、再生手続の前後を問いませんけれども、債権者を害する目的で会社の財産を債権者に不利益に処分する行為をした者、例えば債権者と結託をして債務額を上回る価値のものを弁済として代物弁済をしたというような場合ですけれども、こういうものは会社について再生手続開始の決定があった場合には詐欺再生罪に当たりまして、十年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金、またこの併科ということもありますが、科されることになります。さらに、この詐欺再生罪につきましては、結託した場合には債権者も同じ犯罪が成立します。

佐々木(憲)委員 渡辺博道経済産業副大臣が一九九五年まで社長を務めていました渡辺交通という会社が、ことし七月、約二十四億円の負債を抱えて民事再生法の適用を東京地裁に申請しました。

 私が入手した資料によりますと、渡辺交通は、二〇〇三年三月期決算時から四期にわたって、少なくとも約七億円の欠損、損失を出しております。資料を見てわかりますように、赤字経営の中で、渡辺交通は、渡辺副大臣に対して六千八百七十万円を借金返済名目で二〇〇四年中に全額返済しております。それを含めて、その資料にあるように、二〇〇六年三月までに副大臣とその親族へ約一億七千万円が支払われております。赤字経営の中、どのように金を工面したかというと、渡辺交通が保有していた有価証券を売却して、この一部が副大臣らに返済されたと見られます。しかも、この経理は簿外処理されております。この行為は民事再生法に違反していると思いますが、いかがですか。

深山政府参考人 今お示しのあった個別具体的事件につきまして、民事再生法上の違法行為があったかどうかをお答えするというのはなかなか難しいということを御理解いただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 これは具体的に調査をするということが私は必要だというふうに思います。私が把握している事実では、明確にこれは違反していると思います。

 総務省にお聞きします。

 政治資金規正法では欠損会社からの献金は禁止されると思いますが、どのようになっていますか。

久元政府参考人 政治資金規正法第二十二条の四第一項の規定によりまして、三事業年度以上にわたり継続して欠損金を生じている会社は、当該欠損が埋められるまでの間、政治活動に関する寄附をしてはならないとされているところであります。また、同条の第二項でありますが、何人もこの規定に違反してされる寄附であることを知りながらこれを受けてはならないものとされているところであります。

佐々木(憲)委員 渡辺副大臣が支部長を務める自民党千葉県第六選挙区支部が、二〇〇二年から二〇〇五年までの間に渡辺交通から四百二十万円の献金を受けております。この渡辺交通は二〇〇三年三月期決算から資本の部に欠損を記載しております。渡辺副大臣は、報道によると、欠損があるとは知らなかったと言っております。

 八日、私は財務金融委員会で質問をいたしました。渡辺副大臣は、献金は返却の手続をしたと答えました。しかし、副大臣自身も社長を務め、妻や実父、長男、長女まで一緒に、一族でやってきた会社であります。渡辺副大臣が会社の株の六五%を所有しております。地元事務所と渡辺交通の住所が全く同じでありまして、同じ建物の中にあります。渡辺交通の経営がどんな状態か知らないはずはないわけです。

 総務大臣、これは政治資金規正法に違反するんじゃありませんか。自民党は二期連続無配当かつ赤字の法人からも寄附を自粛するという方針があるというふうに私は小泉前総理から答弁をいただいておりますが、それにも違反している。大臣の見解を伺いたいと思います。

久元政府参考人 私どもといたしましては、個別の事案につきまして承知する立場ではありませんので、お答えは控えさせていただきたいと存じます。

佐々木(憲)委員 私が提出した資料、それから政治資金規正法の条文、さらに自民党の献金自粛の方針、これに照らして明確に違反していると思いますが、大臣はどのようにお感じですか。

菅国務大臣 今答弁しましたとおりに、個別の事案については具体の事実に即して判断されるものというふうに考えています。

佐々木(憲)委員 具体的な事実を私は提出いたしました。したがいまして、この点について具体的に調査をするということは当然だと思いますが、大臣、いかがでしょう。

菅国務大臣 総務省には、実質、調査権というものがありませんので、お答えを差し控えたいと思います。

佐々木(憲)委員 これは、内閣の一員であります副大臣が、このようなことを、明白に私は法違反だと思いますが、やっているという事実を提起しているわけです。したがいまして、これは内閣として、あるいは政治資金規正法を担当される大臣として、情報をきちっと把握して対応を考えるというのは当然じゃありませんか。

菅国務大臣 国民に信頼される政治を行うためにも、政治家一人一人が襟を正すのは当然なことであるというふうに思っています。政治資金については、政治資金規正法にのっとり適切に処理されることが肝要であると私は思いますし、今後も、政治資金の透明性を確保し、政治に対する国民の信頼を裏切らないようにしていくことが大事なことであると思います。

佐々木(憲)委員 時間が来ましたので終わりますが、閣議では決められたものがあります。大臣、副大臣、政務官規範というのがありまして、「清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する」とあります。こういう疑惑を抱かせるような人物は副大臣にふさわしくない、このことを指摘して、終わります。

今井委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 最初に大臣に政治献金について、これは倫理上の問題ということになりますので、お伺いをしたいと思います。

 最近、特に政治と金をめぐる不祥事ということが全国で起きていまして、防衛施設庁の談合問題、あるいは福島、今度は和歌山ですか、知事が逮捕される、こんな問題が起きています。政治と金という問題で言えば、安倍内閣の発足直後に、農水大臣が政治資金収支報告書の記載漏れがあったなどという、事件と言っていいかわかりませんが、ありました。依然として、何度も何度も強調されてきたにもかかわらず国民の政治不信を助長するような出来事が続いている、こう言わざるを得ないわけです。

 こうした状況について、大臣自身がどのように認識しておられるのか。特に政治資金等については、それをつかさどるトップの大臣がどのような認識をお持ちなのか。政治と金の問題、あるいは政官業の癒着の問題というのが、これだけ国会の中でも議論されてきたけれども一体改善の方向に向かっているんですかという、これは私だけじゃなくて国民全体からそういう疑問があると思うんですよ。これについて、最初に大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 国民に信頼をされる政治を行っていくためにも、政治家一人一人が襟を正すとともに、政治活動の公正と政治資金の透明性を確保するための明確なルールが必要であるというふうに思っております。

 政治資金規正法におきましては、これまでも政治改革の中で、政党本位、政策本位の政治を目指して数次にわたり法改正が行われてきました。制度を所管する総務省としては、その円滑な実施に向けて適切に対応していきたいというふうに思っています。

日森委員 適切に対応していただかねばならないのですが、数次にわたってこの法律が改善をされてきたにもかかわらず、私どもの認識で言うと、あるいは国民も同一の認識を持っていると思いますが、少しも改善、解決の方向に向かっていないのではないかという思いがあるわけですよ。

 これについては、大臣、いやいや、着実に成果が上がっている、政治資金、金の透明性はまさに確保されて、国民に信頼を得るような体制になってきたよという御認識なんですか。努力するだったら、努力するにはまだまだそうなっていないからだということだと思うんですが、どうなんですか。

菅国務大臣 今日でも、政治と金をめぐってさまざまな報道がされているということも私自身も承知をいたしています。今後とも、政治資金の適正な処理と透明性を確保して、政治に対して国民の信頼を裏切らないような、こうしたことに努めていくということが必要であるというふうに思います。

日森委員 私ども、企業・団体献金、これは全面的に禁止した方がいいのではないかということを再三提起しております。そういう制度をもっときっちりしていかないと、実は倫理だけでは解決できないような、そういう事態が今あるということだけ申し上げておきたいと思います。

 それから、続いて、日本経団連が全国銀行協会に献金を再開するよう要請したという話が出ています。

 これは、九月に総務省が発表した昨年度分の政治資金収支報告によると、企業・団体献金というのは前年に比較して確かに減少はしています。しかし、政治献金の再開を決定した日本経団連の会員企業で見ると、二〇〇五年の政治献金が、額でいうと前年比一〇%増の二十四億八千万円だということなんです。献金企業でも、前年から百五十三社ふえているという結果が出されているわけです。その日本経団連が、今度は全国銀行協会、全銀協に対して政治献金の再開を要請したという報道がなされておりました。

 もちろん、全銀協に加盟している大手銀行、これは公的資金の注入を受けて一九九八年から政治献金を自粛してきたという経過があると思うんです。確かに、そのうち大手の三行ですか、公的資金を完済して、ことしの三月期の決算でも過去最高益を記録したということになっています。しかし、金融業界全体で見ると、一九九八年以降に注入された公的資金の総額は約十二兆四千億円というふうになっています。これは半分ぐらいは、半分以上ですか、返済されたと言われているわけですが、しかし、それでも残額は五兆円もあるという状況ですよ。

 さらに、和歌山やあるいは大分の銀行が新たに公的資金の注入を申請するというような状況があって、金融業界全体が健全化された、金融機能全体が健全化されたとはなかなか言いがたい状況に、金融危機は乗り切ったという話がありますが、そんな状況であると思うんですよ。しかも、大手の銀行が空前の利益を計上したといっても、不良債権を処理する過程で発生した欠損金については税務上は繰り越されていまして、したがって法人税も納税していないという実態があるわけです。

 国民のいわば税金で公的資金を受けて、それを返しましたと言っても、法人税も納めていないような状態で政党への献金を再開するということになれば、これはなかなか国民の納得が得られないんじゃないかという思いがあります。

 したがって、報道の範囲で話をしているんですが、銀行側の献金再開というのは問題が多いんじゃないかという思いが私どもにありますし、仮に政党がそれを受けるということになると、これもまた問題だというふうに思っているんですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

菅国務大臣 企業や民間団体が政党や政治資金団体に対して寄附を行うかどうかというのは、それぞれの企業や団体が決めることであるというふうに思っています。

 いずれにしろ、政治資金については政治資金規正法にのっとって厳正に処理することによって、公明で公正な政治活動を確保していかなきゃならない、このように考えています。

日森委員 制度上は確かにそうなんですよ。

 私が聞いているのは、国民の税金で十二兆数千億円も公的資金を注入して、その結果として確かに史上空前の利益を上げるようになった、しかし、そうはいってもまだ法人税も払っていない、そういう企業が献金を再開すること、しかも、その献金を受け取ること、これについて大臣はどんな思いをお持ちですかということで、制度上問題ありませんというだけじゃ何かちょっと寂しい感じがするんですね。もうちょっと突っ込んでお答えいただけますか。

菅国務大臣 政党に対する企業・団体献金に対しましては、最高裁の判決でも、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を持つことが実は認められております。

 いずれにしろ、政治資金のあり方については、民主主義のコストをどのように国民に負担していただくのか、そういう観点が大事かなというふうに実は思います。

日森委員 時間です。終わります。

     ――――◇―――――

今井委員長 次に、内閣提出、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案を議題といたします。

 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

今井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

今井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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