衆議院

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第5号 平成18年12月1日(金曜日)

会議録本文へ
平成十八年十二月一日(金曜日)

    午前九時五十四分開議

 出席委員

   委員長 今井  宏君

   理事 井上 喜一君 理事 鈴木 淳司君

   理事 棚橋 泰文君 理事 鳩山 邦夫君

   理事 林  幹雄君 理事 吉良 州司君

   理事 細川 律夫君 理事 井上 義久君

      稲田 朋美君    浮島 敏男君

      遠藤 武彦君    小里 泰弘君

      越智 隆雄君    近江屋信広君

      大塚  拓君    亀岡 偉民君

      木原 誠二君    木原  稔君

      倉田 雅年君    谷畑  孝君

      中馬 弘毅君    冨岡  勉君

      中森ふくよ君    長崎幸太郎君

      西村 明宏君    萩原 誠司君

      福田 峰之君    松本 文明君

      矢野 隆司君    大串 博志君

      岡本 充功君    田村 謙治君

      寺田  学君    中井  洽君

      長島 昭久君    野田 佳彦君

      渡辺  周君    大口 善徳君

      高木 陽介君    佐々木憲昭君

      菅野 哲雄君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           近江屋信広君

   議員           加藤 勝信君

   議員           早川 忠孝君

   総務大臣         菅  義偉君

   総務副大臣        大野 松茂君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 中田  睦君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月一日

 辞任         補欠選任

  西村 明宏君     越智 隆雄君

  萩原 誠司君     長崎幸太郎君

  福田 峰之君     冨岡  勉君

  藤野真紀子君     矢野 隆司君

  船田  元君     亀岡 偉民君

  近藤 洋介君     岡本 充功君

  野田 佳彦君     田村 謙治君

  松本 大輔君     長島 昭久君

  赤羽 一嘉君     高木 陽介君

  石井 啓一君     大口 善徳君

  吉井 英勝君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     西村 明宏君

  亀岡 偉民君     船田  元君

  冨岡  勉君     福田 峰之君

  長崎幸太郎君     萩原 誠司君

  矢野 隆司君     藤野真紀子君

  岡本 充功君     近藤 洋介君

  田村 謙治君     野田 佳彦君

  長島 昭久君     松本 大輔君

  大口 善徳君     石井 啓一君

  高木 陽介君     赤羽 一嘉君

  佐々木憲昭君     吉井 英勝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 政治資金規正法等の一部を改正する法律案(加藤勝信君外二名提出、第百六十四回国会衆法第二〇号)


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     ――――◇―――――

今井委員長 これより会議を開きます。

 第百六十四回国会、加藤勝信君外二名提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官中田睦君及び自治行政局選挙部長久元喜造君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淳司君。

鈴木(淳)委員 おはようございます。

 いよいよ今臨時国会も会期は残すところあとわずかとなりました。折しもきょうは師走でありますが、大変慌ただしい日程ではありますけれども、ぜひとも残された期間しっかりと審議を進めてまいりたいと思います。

 それでは、時間も限られておりますので、早速質問に入りたいと思います。

 今回の政治資金規正法改正案では、主たる構成員が外国人または外国法人である日本法人のうち上場会社であるものからの寄附の受領に係る現行の規制の撤廃、収支報告公表の期日の明文化、収支報告手続の簡素化、以上三点が盛り込まれたわけでありますけれども、まず、事務的な項目からお尋ねをいたします。

 これまで収支報告書の要旨の公表時期については明文規定がなかったわけでありますが、その理由は一体何か。また、今回の法改正により九月三十日までの公表となりますけれども、果たして事務作業的には可能でありましょうか。実際には、多くの都道府県で十月以降の公表がなされているのが実態であるとの報告もありますけれども、果たしてこのあたりは大丈夫か、お尋ねいたします。

久元政府参考人 現行の政治資金規正法におきましては、収支報告書を受理したときは、総務大臣または都道府県の選挙管理委員会はその要旨を公表しなければならないというふうにされておりますが、委員御指摘のとおり、具体的な公表時期については規定されていないところであります。これは、各都道府県で所管しております政治団体の数が非常に大きく異なっております。また、選挙などが入ることになりますと非常に繁忙である。そういうことで、公表の期日につきましては、公表事務を担当する各都道府県の選挙管理委員会がそれぞれの実情に応じて定めるというふうにされてきたところでございます。

 そこで、今回の改正案では九月三十日までに要旨の公表をするということになるわけですけれども、これが事務作業的に可能かどうか、そういう御質問であります。

 まず、総務大臣の届け出の政治団体につきましては例年九月上旬に行っておりまして、ことしも九月八日に公表させていただきましたので、これは十分可能だと思っております。

 御指摘のとおり、都道府県の選挙管理委員会におきましての公表時期は、ことしは七月下旬から十一月下旬にかけて行われております。そこで、九月三十日までに公表することが可能かどうかということを各都道府県の選挙管理委員から聞き取りをいたしました。これは、選挙のある年においてはなかなか難しいというような声も一部にはありましたけれども、そういう選挙がある場合を除きますと期限までに公表することは可能だという意見が大半でありまして、法改正が行われますと、それに沿った対応をさせていただくことは可能であるというふうに考えております。

鈴木(淳)委員 ありがとうございました。

 それでは次に、今回の改正のポイントでもあります政治資金規正法第二十二条の五の規定について、改めて確認の意味でその趣旨を述べていただきたいと思います。

久元政府参考人 政治資金規正法第二十二条の五の規定は、選挙に関すると否とを問わず、外国人等から政治活動に関する寄附を受けることを禁止するということでありますが、これは、我が国の政治や選挙が外国人や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止しようという趣旨から設けられたものであると理解をしております。

鈴木(淳)委員 さて、この際問題となりますのは、「主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織」であり、その意味するところは、株式会社において、発行済み株式の過半数、五〇%超を外国人または外国法人が保有する株式会社からは政治活動に関する寄附を受けることができないこととなります。それは有限会社も同様であります。また、この二十二条の五の規定に違反して寄附を受ければ、罰則が科されることになるわけであります。

 しかしながら、経済のグローバル化の中で我が国企業の国際化も進み、また、株式市場における我が国法人への外国人の積極的な投資もあり、外国人等からの寄附の受領の禁止を定める政治資金規正法の規定がグローバル化した証券市場の実態と合致していないのではないか、こういう指摘がなされてまいりました。加えて、五〇%規定違反が罰則を伴う中、外国人持ち株比率が五〇%前後で推移する会社は、その時点での寄附の受領が違反か否か、極めて微妙な状況にあるのも事実であります。

 調べてみますと、昭和から平成に入った当初の段階では我が国の証券市場において外国人の持ち株比率は一けた台であったものが、今日では優に二〇%を超える状況にありますし、平成十八年三月末現在での東京証券取引所の資料によれば、外国人持ち株比率の上位には、例えば中外製薬あるいは日産自動車、ヤマダ電機等がランクをされ、また、五〇%前後のラインには、今何かと話題に上りますキヤノンを初め、幾つもの会社の名前が連なっているのも事実であります。

 そこで、お尋ねをいたします。

 今回の法改正では、主たる構成員が外国人または外国法人である日本法人のうち上場会社であるものからの寄附の受領に係る現行の規制を撤廃し、日本法人であって証券取引所に上場されている法人であれば寄附が受領できることとするものでありますけれども、寄附を受け取る対象として上場会社を条件とした理由、すなわち、上場会社と非上場会社の差異、並びに、上場会社であるというこの一点で本来の法の趣旨であるところの外国勢力による政治への影響のおそれが防ぎ得るものかどうかについて、御認識をお尋ねしたいと思います。

加藤(勝)議員 お答えをさせていただきたいと思います。

 今委員御指摘のように、現行法、昭和五十年以降、我が国の、特に証券市場のグローバル化、国際化が随分進捗をしているわけでありまして、御指摘のように、かなりの日本法人、現在では外国投資家が発行済み株式の過半数を所有している。したがって、政治資金規正法でいえば、当然寄附は禁止されている。それから他方で、上場ということでありますから、株主の構成が日々変動している。そういう中で、過半数を超えた会社から寄附をもらった場合に対する罰則規定、今委員御指摘のとおりであります。

 こういう状況の中で、他方で、現行の法律において、我が国の政治や選挙が外国の勢力に影響を受けることを未然に防止するという一方の趣旨があるわけでありまして、その辺をどう調整していくかということで、党内でいろいろ議論をさせていただきました。

 諸外国もそれぞれ事情は違いますけれども、ドイツ、イギリス、アメリカなどにおいては、自国内の企業であれば、外資比率によって一律に政治資金の提供が禁止されるという形はとっていない。こういうこともありまして、今回の法案においては、日本法人である上場会社の寄附に限っては現行の制限を緩和しよう、こういう結論に至ったところであります。

 こうした結論に至った理由といたしまして、上場会社については、所有と経営が完全に分離をしているということ、二点目として、少数特定者持ち株数や株主等に関し厳しい上場審査基準が課せられていること、さらには、有価証券報告書や株式大量保有報告書の提出義務が課せられておりまして、株主の状況等について市場による監視が徹底されている、こういったことをかんがみまして、日本法人である上場会社から政治活動に関する寄附を受領しても、我が国の政治や選挙が外国勢力からの影響を受けて国益を損ねるということにはならないのではないか、このように判断したところでございます。

鈴木(淳)委員 今、丁寧な御答弁をいただいたわけでありますけれども、理論上の理解はできるものであります。

 しかし、日本法人で上場会社であれば、仮定の話、どことは言わないまでも、もし我が国との間に重大な懸念がある国が関与する企業があったとして、その企業からの寄附は受領可能となるわけでありますけれども、それは法の本来の趣旨と矛盾をしないのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

加藤(勝)議員 先ほどの答弁と重複するような形になるわけでありますけれども、上場会社における先ほどのような理由といいましょうか背景からそうした懸念は当たらないのではないかということを考えているわけであります。したがって、もともとの法の趣旨とも矛盾しない形で運用がなされ得るのではないか、かように考えているところでございます。

鈴木(淳)委員 もう一点お尋ねします。

 外国企業の子会社で親会社の実質的な支配下にある企業にあっても、日本法人として株式上場されていれば政治資金の提供が可能となるわけでありますけれども、それでももともとの立法趣旨にかなうものかどうか、それについての御認識をお尋ねいたします。

加藤(勝)議員 外国法人の子会社であっても、いわゆる上場会社であるということであれば、先ほどのような理由から政治活動を認めよう、今回こういう考え方でありますけれども、そういう意味では、外国子会社でも上場会社としての行動が当然要求されるわけでありますから、そういう中で、政治資金規正法でうたわれている、我が国の政治や選挙が外国の勢力によって影響を受けるというようなことにはならないのではないか、かように考えております。

鈴木(淳)委員 それでは、観点を変えまして、諸外国の事例で確認をしてみたいと思います。

 先ほども提出者から一部御答弁がありましたけれども、どこの国も、我が国と同様の趣旨で、外国人や外国組織からの影響を防止するための政治献金の制限があるものかと思いますけれども、先進国の例においてはいかなるものがあるかについてお尋ねをいたします。

久元政府参考人 私ども諸外国の事例を実地に調査したわけではありませんけれども、国立国会図書館作成の資料等によりますと、おおむね次のとおりであると承知しております。

 まず、外国人からの寄附でありますが、イギリスとアメリカでは全面的に禁止されておりまして、ドイツでも、国外からの外国人による千ユーロを超えるものは禁止されている。フランスでは特段の制限はないと承知をしております。

 次に、外国法人からの寄附でありますが、アメリカとフランスでは全面的に禁止され、イギリスでも、一定の例外を除きまして原則禁止されている。ドイツでは、域外から原則禁止でありますけれども、これも一定の企業からの寄附が例外的に認められているというふうに承知をしております。

 それから、いわゆる外資系企業からの寄附でありますが、アメリカでは、企業からの寄附は政治活動委員会を通じて行うことになりますが、実質的に外国企業の子会社であっても、これも一定の例外を除きまして認められているということであります。それから、イギリスでは、外国の子会社であっても、イギリスで登録され国内で事業を行っている実態がある会社については献金可能である。ドイツでは、外資系企業であることを理由とした特段の規定はなく、フランスではそもそも企業からの献金が禁止されている。こういうふうに承知をいたしております。

鈴木(淳)委員 幾つかの事例紹介、ありがとうございました。

 政治活動に関する企業、団体からの寄附につきましては、従来は、規制を強化する、いわゆる制限する方向での改正がなされてきたものと承知をいたしております。今回は、限定的にせよ、規制の緩和の方向での法改正となるわけでありますが、また、第三者ではなくて寄附を受ける側の我々自身が審議をするわけでありますから、そこにはおよそ、自己抑制といいますか、審議に当たって謙虚な姿勢が必要であるというふうに思うのであります。

 証券市場のグローバル化、経済のグローバル化という背景があるにせよ、今回の法改正により、主たる構成員が外国人もしくは外国法人である日本法人のうち上場会社であるものからという限定で寄附の受領に係る現行の規制撤廃がなされるわけでありますが、本改正で国民、有権者の十分な納得が得られるものとお考えかどうか、また、この先、国民、有権者の信頼を得るにはいかにあるべきとお考えかについて、その認識をお尋ねいたしまして、質問を終えたいと思います。

近江屋議員 自由民主党の近江屋信広であります。

 お答えいたします。

 これまでの改正では、確かに、政治資金の調達を政党中心とするということのために、また、近年における政治と金をめぐる国民世論の動向等にかんがみまして、会社、労働組合等の団体がする寄附について制限を設け、また、政党及び政治資金団体以外の者に対しては政治活動に関する寄附をしてはならないものとされてきたところであります。

 本改正案は、会社、労働組合等からの政治活動に関する寄附の受領者の範囲につきまして、政党及び政治資金団体に限るという現行法の制限を緩和するものではありません。今回は、政党及び政治資金団体が外国人等から政治活動に関する寄附を受けることが禁止されている現行の規制について、我が国の政治や選挙が外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止するという現行の趣旨に反しないように、日本法人である上場会社に限って寄附を認めるものでありまして、これまでの改正の経緯に照らしても妥当なものであり、国民の納得が得られるものと考えております。

 委員が御指摘のとおり、政治の側は自己抑制と謙虚さが必要だということはまさにそのとおりでありまして、これまでの政治資金改革の流れは常に政治の側が謙虚に念頭に置いて対処していかなければならない、また、特に政治献金を受け取る側が自己抑制と謙虚さを十分心していく、そういうことを通じて、国民の納得が得られていくような努力をしていかなければならないと存じております。

鈴木(淳)委員 丁寧な御答弁ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

今井委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日、政治資金規正法の改正に関する質疑をさせていただきますけれども、まず、今回の政治資金規正法の改正、これまで政治資金規正法は何度も何度も改正されてまいりましたけれども、有権者が求めているのは、やはり透明性、さらには公平性といった部分であると思います。そういった中で、我が党も、この問題に関しては積極的にその透明性、公平性を求めるということで主張してまいりました。

 その上で、今回の改正という問題、特に主たる問題というのは、外国人または外国法人、その日本法人のうち上場会社であるものからの寄附の受領に係る現行の規制の撤廃というのが大きな柱であると思うんですけれども、まず最初に質問をしたいのは、現行法二十二条の五において、外国人、外国法人または構成員の過半数を外国人、外国法人が占めている団体から寄附が禁止されている、これまでのこの法律の趣旨、その理由、これをまず最初にお答えいただきたいと思います。

近江屋議員 現行の政治資金規正法二十二条の五、その条文の趣旨ということでありますが、それは、我が国の政治や選挙が外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止しようという趣旨から、外国人、外国法人、そしてその主たる構成員が外国人、外国法人である団体が行う政治活動に関する寄附の受領を禁止するものである、そのような趣旨であると承知いたしております。

高木(陽)委員 ということは、いわゆる外国人の勢力を排除していく、こういうような観点であると思うんですね。その問題をさらにお伺いしたいと思うんですが、その前に、これは総務省の方に確認をしたいんです。

 昨今、株式会社、特に上場会社というのは、常に株主の構成が変動しておりますね。発行済みの株式の過半数を外国人、外国法人が占めているかどうかの判断というのは、日々株というのは売買をされているわけですから、これは難しいかと思うんですね。現行法の二十二条の五においては、外国系の団体かどうかの判断をする基準日はどのようになっているか、伺いたいと思います。

久元政府参考人 現行の政治資金規正法第二十二条五における寄附制限につきましては、寄附時点において団体の主たる構成員が外国人または外国法人であるかどうかによって判断するとされているところであります。

 外資系企業につきましては、寄附時点の株主名簿、または実質株主名簿に記載された外国人または外国法人の保有株数が発行済み株式の過半数を超えるかどうかということで判断することになるというふうにこれまで運用してきております。

高木(陽)委員 今度は提案者の方にお伺いしたいと思いますが、今回、外国人、外国法人等による政治活動に関する寄附の規制、これを一部緩和するわけですね。今までも不都合はなかったと思うんです。なぜ、今回このような寄附の規制の緩和をする必要があるのかどうか、この点について伺いたいと思います。

近江屋議員 現行の政治資金規正法は、外国勢力による政治への影響を排除する目的から、外国人、外国法人またはその主たる構成員が外国人、外国法人である団体その他の組織が行う政治活動に関する寄附の受領を禁止しております。それは、昭和五十年の改正によるものであります。

 しかし、その後、昨今の証券市場のグローバル化の進展に伴いまして、経営支配を目的としない外国投資家、投資目的中心の外国投資家による株式の所有が急速に増加しておりまして、その結果、日本法人の上場会社であるにもかかわらず、外国投資家が発行済み株式の過半数を所有していることによって、結果的に政治活動に関する寄附を禁止されてしまう、そのような事態が生じておるわけであります。

 また、株取引の活発化によりまして、上場会社の株主構成は常に変動する流動的なものとなっておりまして、発行済み株式の過半数を基準に判断することは、寄附の受領者を非常に不安定な地位に置くことになりかねない、そのような事態にあるわけでありまして、それに伴って、そのようなことを総合的に勘案して、今回の改正を提案している次第でございます。

高木(陽)委員 この問題は与党でも議論を重ねさせていただきまして、今回、当初自民党が提案をされるという形となりました。通常国会のとき、この議論がスタートしていたときに、いろいろなマスコミも報道し始めて、そのときに岩井奉信日大法学部教授が新聞にコメントを出しておりまして、「外資規制は政治の独立性の問題。資本や経営母体は日本で、本社が外国の企業もある。外資の定義や、政治と金の問題での企業献金の位置づけを議論しないままの改正はご都合主義」、これは結構厳しい御批判だなと思ったんですね。

 その上で、今お答えをいただいているんですけれども、経済のグローバル化ということで、政治活動の自由は企業にも認められている、まさにそのとおりであって、そういうような中で今回の改正になるという趣旨だと思うんですが、外国人または外国法人等による政治活動に関する寄附の規制、この一部緩和ということが、今回は上場会社に限って外国人等の寄附禁止の対象から除外している。これはなぜなのか。企業というのはいっぱいあるわけですから。この点について、これによって外国勢力の影響が防止できるんだ、こういう観点があるのかどうか、この点を含めてお伺いをしたいと思います。

近江屋議員 なぜ上場会社にということでありますが、上場会社については、先ほど提案者からも説明がありましたとおり、一つには、所有と経営が完全に分離している。すなわち、会社を所有する株主と経営に携わる取締役の立場が分離している。寄附の観点からいいますと、株主の中には外国人が含まれているとしても、寄附するか否かの意思決定は取締役が行う。そういう立場と意思決定との分離というか、そういう所有と経営が完全に分離しているということがまず基本的に存在すると存じます。

 そして二つ目には、少数特定者持ち株数や株主数等に関して厳しい上場審査基準が課せられております。少数特定者持ち株数は七〇%以下でなければならない。株主数は、いろいろなレベルがあるんですが、約三千人でなければならない。そういう上場基準が課せられているということ。

 三つ目には、有価証券報告書や株式大量保有報告書の提出義務を課せられているということ。有価証券報告書によって、外国人保有者がいるかどうかもきちんと盛り込まれているわけでありますし、また、株式大量保有報告書、五%以上の大量保有者が存在するとすれば、それが外国人であるならば、どういう外国人であるのか、この報告書の中できちんとわかるわけでありますので、そういう義務が課せられて、株主の状況等について市場による監視が徹底しているということがあろうかと存じます。

 また、先ほど申し上げましたとおり、株主構成が非常に流動的でありますから、発行済み株式の過半数を基準に判断することは、寄附の受領者を非常に不安定な地位に置くことになりかねない。そのような理由によって、発行済み株式の過半数を外国人等が保有している会社からの寄附を許容できるものと判断いたした次第であります。

高木(陽)委員 今、理由をいろいろとお伺いしましたけれども、ただ、株式市場というのは本当に流動的で、例えば今、裁判で村上ファンドの問題だとかライブドアの問題とかありますけれども、ファンドというのがあって、結構一気に株の買い占めだとかそういった動きもある。こういった問題もしっかりと考慮していかなければいけないんだろうなと。

 そういう意味では、今、提案者の方から、市場がチェックすると。まさにこれからの日本の株式市場というのはそういった意味でのオープンな状態をしっかりと担保しなければいけないので、これは政治資金規正法の問題だけではなくて、そういう証券市場の問題も絡んでくると思うんです。そういう部分では、冒頭に私が申し上げました、政治資金というのはやはり公開性が求められているというような中で、だれがどういう形で寄附されているのか、また、その会社、企業、法人はどういうものなのか、これがいつもさらされているということが必要であるな、こういうことを申し添えたいと思います。

 その上で、この政治資金規正法の規制撤廃の方の問題なんですが、いわゆる今回の改正、これは、だれもが心配をしているのが、外国勢力の政治介入を招いて、政党の政治姿勢あるいは政策決定に重大な影響を及ぼして国益を損ねる懸念はないのか、ここが一番重要な問題だと思うんです。

 冒頭の質問では、なぜそういう規制がこれまであったのかということを尋ねましたけれども、再度お伺いをしますけれども、逆にこれによって、政治自体、国会でも私たちがさまざまな政策を決め、また予算を決め、そういう活動をしているんですけれども、そういうのに外国勢力からの影響が及ぼされて国益を損ねることはないのかどうか、この点を確認させていただきたいと思います。

近江屋議員 まさに、外国人からの寄附の受領の禁止に関する昭和五十年改正、外国勢力が日本の政治に介入して国益を損ねるのではないか、損ねないための予防措置として設定されたということを踏まえて、委員の御心配は全くもっともなことであります。

 しかしながら、今回の改正案については、日本法人である上場会社から政治活動に関する寄附を受領しても、上場会社であって日本法人であるという厳しい要件を課すことによって、我が国の政治や選挙が外国の勢力から影響を受けて国益を損ねることはないというふうに私どもは判断をいたして、この改正案を提案している次第でございます。

 また、先ほど委員から御指摘のありました透明性、公開性については十分注意する必要があるという点につきましては、まさに最近のファンドが一気にそういう株を買い占める等のこともあることを踏まえながら、十分注意をしながら、公開性、透明性を担保しながら、この政治資金に関する制度運営をしていかなければならないという御指摘はもっともなことであると存じております。

高木(陽)委員 今回の改正のもう一つの柱である収支報告の要旨の公表の期限、これの明文化のことについて伺いたいと思います。

 政府にまず最初に伺いたいのは、政治資金の収支報告、これは公開しているんですけれども、総務大臣分、総務省が発表するものと、各都道府県の選管が発表する、それぞれ時期が微妙にずれているということですが、最も早い時期、そして最も遅い時期、これはどうなっているのか、この現状について伺いたいと思います。

久元政府参考人 収支報告書の要旨の公表でございますが、総務大臣の届け出分の収支報告書の要旨の公表につきましては、例年九月上旬に行っているところでありまして、ことしは九月の八日に公表させていただきました。

 各都道府県の選挙管理委員会の公表でありますが、ことしは七月下旬から十一月下旬にかけて行われております。一番早かったのが七月二十八日、一番遅かったのは十一月二十九日でございました。

高木(陽)委員 総務省の方は九月上旬ということで、一方、都道府県、これは選管の職員の状況だとか体制によって大分変わってくると思うんですね、その中で、七月から十一月まで、ある意味で幅広い。これはよく新聞などのマスコミにも、これが公表されますと、メディアを通じて多くの国民も知るところになるんですが、そういった部分では、総務省分または各都道府県分ということで、リンクしているのもありますけれども、どうなっているのかわからない、こういう部分もあると思うんですね。

 そういった観点もあると思うんですが、立法者の方にお伺いをしたいのは、この収支報告書の要旨の公表の期限を法定することとした根源的な理由、これを伺いたいと思います。

近江屋議員 先ほど選挙部長から御説明したように、現状では、毎年提出される収支報告書の要旨の公表、これは総務大臣においては大体九月に、各都道府県選管においては、先ほど説明があったとおり七月下旬から十一月下旬、これは十八年度分だと思いますが、そのような時期にかけて行われているところであると承知いたしております。

 それを踏まえまして、今回の改正は、報告書の要旨の公表時期につきまして九月三十日という期限を法定することによりまして、現状の都道府県の公表時期の前倒しを図る。都道府県は一番遅いのが十一月下旬ということでありますから、それを九月に前倒しする。また、総務大臣及び各都道府県選管における要旨の公表がほぼ同時期に行われるようにするという趣旨でありまして、委員御指摘の、総務大臣分と都道府県分がどういうふうにリンクしているかわからないという点も確かにあろうかと存じますので、総務大臣分から都道府県選管分へ資金が移動したこともあり得ますでしょうから、そこが、九月三十日という同時期にすることによって一層透明性が高まるのではないか、よくわかりやすくなるということもあろうかと存じます。

 いずれにいたしましても、より一層の政治資金の収支公開を強化するという観点に立った改正でありますので、そのように御理解いただければと存じます。

 以上です。

高木(陽)委員 この政治資金規正法の問題、これは何度もお話しさせていただいたように、政治活動でさまざまな経費がかかる、これは当然だと思うんです。それについていい悪いということではなくて、大切なことは、これを多くの国民、有権者がしっかりと見ることができる、やはり透明性と公開性というのは第一義であると思うんですね。そういった意味では、今回の改正で、特に今の公表の期限を明文化することによりまして、都道府県分と総務省分というのがある意味では一致をして、これを閲覧することもできる。

 そういう形の中で、政治資金問題というのは、もう長年、いろいろと不祥事が起きるたびごとにいろいろと指摘をされて改正してきたという歴史があると思います。古くはロッキード事件があり、そしてリクルート事件があり、またはそのほかのいろいろな政治にまつわる政治と金の問題、そういう不祥事が起きるたびに多くの国民が政治不信を募らせてきたという、この歴史を踏まえた上で、今回の改正で一歩、こういう明文化をすることによって一つ、透明性、公開性へさらに近づいていく。これですべていいということではないんですね。政治資金の問題というのは、あらゆる角度から絶えずチェックをしながらやっていく、これが必要であるし、まさにそれは私たち立法府に課せられた使命でもあると思います。

 そういう意味では、我が党も、この政治と金の問題、政治資金の問題というのは、厳密に、さらに透明性を求めながら、公開性を求めながら取り組むということをお話し申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

今井委員長 次に、細川律夫君。

細川委員 民主党の細川律夫でございます。

 外資規制の一部を撤廃する改正案につきまして、まず、提案者に御質問をしたいと思います。

 まず、一般に、企業・団体献金についてでありますけれども、この議論につきましては長い歴史がございます。特に、個別の企業から個人の政治家に対する寄附についてはかねてから問題点が指摘をされておりまして、おおむねこれを制限していく、もしくは禁止する方向で法律改正が行われてきました。

 特に、平成六年、細川内閣当時の政治改革関連法案の一環として提出をされまして修正後可決された政治資金規正法の改正によりまして、企業・団体献金は政党及び政治資金管理団体以外は一切寄附が禁止をされまして、さらに、平成十一年の改正では、政治資金管理団体に対しても禁止をされたわけでございます。

 このことは、これまで歴史的にいろいろな疑獄事件が起こりました。ロッキード事件あるいはダグラス・グラマン事件あるいはリクルート事件、その他たくさんの政治献金をめぐります疑獄事件がありまして、その間、国民の間では、政治と金の問題が大変大きな批判として噴出をしておったところでございます。

 そして、政治資金の流れを透明化して国民の疑惑を晴らしていくということについては、我々政治家にとりましても大変大きな課題でございまして、現在でも、常にこのことについては襟を正さなければならない点でございます。

 そこで、提案者にお聞きをいたしますが、こうした企業・団体献金を制限していこう、こういう歴史的な流れについては提案者はどのようにお考えなのか、お聞きをいたします。

近江屋議員 細川委員御指摘のとおり、政治と金をめぐる不祥事が多々ございまして、それに対しまして襟を正すという観点から政治資金改革を随時行ってきたという歴史の流れであろうかと存じます。

 これまでの改正では、政治と金をめぐる国民世論の動向等にかんがみまして、政治資金の調達を政党中心とするために、会社、労働組合等の団体がする寄附について制限を設け、また、政党及び政治資金団体以外の者に対しては政治活動の寄附をしてはならないものとされてきたところであります。

 まさに、政治資金改革、透明化、そして疑惑が生じないようにしていく、政治の側としても、大変大きな課題である、襟を正さねばならないという委員の御指摘はもっともでございまして、その考え方に我々も立っているものと思っております。

 以上です。

細川委員 そもそも、同じ平成六年には、政治改革関連法案が成立いたしまして、政党助成法というものが一方で成立をいたしました。これは、政治資金の一定割合を国民の税金によって賄おうということになったわけでございます。このことは、政治家が政治資金を企業や団体に依存することの弊害が、当時、大変強く指摘をされました。そこで、国民一人当たり二百五十円、コーヒー一杯分負担をしていただくというような、そういう政党助成法が成立をいたしました。そして、ことしでいいますと、総額三百十七億三千百万円という大きな金額が税金で政党に交付をされているところでございます。

 しかし、いまだ多くの政治家が企業、団体から政治献金を受けている、このようにも言えると思います。なぜそれができるのか。それは、政党支部という、いわば政治家のもう一つの財布になっている、そういう実情があるからでございます。私は、今の制度はそういう意味では非常に生ぬるいと思っております。政治改革が議論された当初、将来の政治資金については、政党交付金以外はできる限り個人献金で賄うべきではないかというのが当時の意見の大勢だったというふうに私は思っております。

 そこで、こういう今の現状、政党交付金がありながら、一方で政党支部があって、いわば個人の政治家に政治資金が行っているというような状況を一体どういうふうに提案者は考えておるのか。つまり、政党支部という形で際限なく企業・団体献金を受けている現状を提案者はどういうふうに認識されているのか、お答えいただきたいと思います。

近江屋議員 政党支部についての言及がございましたが、政党支部は政党の組織の一部でありまして、政党の政策のPR、また党員獲得といった党勢拡大のための政治活動を行っております。したがって、政党支部と政治家個人とは異なるものでありまして、何か政治家個人の別の財布という御指摘がありましたが、その御指摘は当たらないのではないかと考えております。

 また、先ほど細川委員から、当初、個人献金に力点を置くべきではないかということがございまして、個人献金へ力点を置くということは正しい方向ではあると存じますが、ただ、政治資金については、個人献金のほか、政党助成金、寄附、事業収入などバランスよく集めることが望ましいと存じますので、私どもはそのような考え方に立っているということでございます。

 以上です。

細川委員 私の指摘に対して明快な回答がないので不満ですけれども、続けて質問をいたします。

 そこで、今回の改正でありますけれども、証券市場のグローバル化という背景や日本法人に限っているという点などを見ますと、こういう規制撤廃も理解できないわけではありませんけれども、寄附の受け入れ先については私は考慮すべきではないかというふうに思います。

 従来は、外国人あるいは外国の組織、外国の政府などの外国の勢力によって影響を受ける可能性がある、こういうふうに考えられて規制がされてきたところでございますから、政党支部を含めた政党すべてに認めるということでいいのか、大変疑問がございます。恐らく今回の法改正の対象は大企業に限られるということを考えに含めますと、私は、寄附の受け入れ先というのは政党の本部とその資金管理団体に限定をすべきであるというふうに考えますけれども、この点について提案者はどのようにお考えですか。

近江屋議員 政党は法人格を有しておりますが、それは党本部と支部の一体のものとして認められているということがまず前提としてあるわけであります。

 そして、寄附の受け手の問題でございますが、寄附の受け手のいかんにかかわらず、このことは、政党については、寄附の受け手という観点ではあえて本部と支部を区別する必要はないのではないかと考えております。

細川委員 政党の本部ということになれば、これは党としての中央に寄附をするわけですから、党全体が外国の影響を受ける、こういうことにはなかなかなりにくいことも考えられますけれども、支部となりますと、政治家個人が代表として、いわば個人と同じようにみなされているのが現状なわけです。

 そうしますと、支部に外資系の法人から寄附がされるということは、その個人が強くそれに影響をされるということは必然じゃないか、政治家が影響を受けやすいというのは必然だというふうに思いますけれども、この点についてはいかがお考えですか。

近江屋議員 先ほども申し上げましたとおり、支部は政党の組織の一部でありまして、政党の法人格は、党本部と支部は一体でございます。支部の支部長個人に対する献金云々ということを想定しておっしゃっておられると思いますが、その政党全体ということを前提といたしまして、外資系企業につきまして、上場会社で、しかも日本法人であるという要件のもとに、このような発行済み株式数の過半数を外国人等が保有している会社から寄附を認めても、我が国の政治や選挙が外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止するという現行法の趣旨に反することはないものと判断して、今回の改正を提案している次第でございます。

細川委員 私の質問に端的にお答えになっていないような気がいたしますけれども。

 次に、では本当に外国の勢力によって影響を受ける可能性がないかという点についてちょっと考えてみたいと思います。

 よく話題になりますけれども、アメリカ政府は、毎年、日本政府に対して規制改革要望書というものを出しております。これから紹介いたしますのは、前回の選挙で郵政改革に反対をして自民党の公認がもらえず、落選をいたしました小泉龍司議員が郵政特で質問をした、その一部でございます。質問をそのままちょっと御紹介いたします。

  もう一つ、アメリカの圧力ということもしばしば取りざたをされます。

  日米の間に年次改革要望書というものがございまして、毎年秋にアメリカから日本国政府にこれが渡されます。九百人の中央省庁の課長さんにこれが切り分けられまして、一年後のフォローアップに向けてちょっとずつ譲っていく。だるまさんが転んだみたいな形でちょっとずつ譲っていく、数多く。気がつくと、この年次改革要望書の項目はほとんど実現されているわけでございます。

  日本の近未来を見るには、将来投資のために株を買うならこの年次改革要望書を見ろというふうに言われているぐらい、きちっとこれが反映されている。ここに、保険アジェンダから始まって、今は郵政民営化がきめ細かく、内政干渉と思われるぐらいきめ細かく、米国の要望として書かれているわけでございます。

  こういうアメリカの圧力、そして十年後に責任を持てるのか、アメリカで起こった事実、最後に、官から民へ。

こういうような質問を小泉龍司議員はされております。

 こういうふうに、自民党の議員で、しかも財務省出身の議員から見ても、この要望書の中には内政干渉や圧力が感じられると言っております。

 私の手元にも二〇〇一年の十月に出された要望がございますけれども、これなども、私は法曹の経験もありますので、例えば法制度改革などについては、司法制度改革審議会による意見書の実施というのに始まって、法曹人口の拡大、民事訴訟の迅速化というような項目があって、そのかなりの部分がそのとおり実現をされております。

 圧力があったかどうかということは、これは検証は非常に難しいと思いますけれども、小泉改革と言われるもののかなりの部分がこの要望の実現だという指摘もございます。この要望書は、確かに政府間で確認をされた文書でありますので、一般に言う圧力とは異なるかもしれませんけれども、私は、こうした要望のあり方に大いに疑問を持っているところでございます。

 仮に、こういう圧力が、政府間でなくて、それぞれの企業を経由して寄附をもらっている個々の議員に及ぶんではないか、こういうことも考えられるわけでございます。主権の侵害のおそれがないとは言い切れない。こういうような点についてどのように提案者はお考えになっているか、お伺いしたいと思います。

近江屋議員 本改正案の問題提起につきましては、国内のさまざまな意見を踏まえながら、我が自由民主党の問題意識、問題提起として本改正案を作成いたしております。

 また、我が国の政治や選挙が外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止するという現行法の趣旨に反することのないように、日本法人である上場会社からの寄附に限って現行の制限を緩和することにいたしております。それは、先ほど申し上げましたように、上場会社については市場による監視が徹底しているということによりまして、日本法人である上場会社から政治活動の寄附を受領しても、我が国の政治や選挙が外国の勢力から影響を受けて国益を損ねることはないものと判断したためであります。

 先ほど細川委員から御指摘がありましたアメリカの要望、その要望のあり方に疑問があるという点は承りましたが、その要望のあり方云々は別といたしまして、今回のこの改正案につきましては、外国の圧力みたいなもので問題提起、また策定をされたものではないということは申し上げておきたいと存じます。

 以上です。

細川委員 いや、私が質問したのは、アメリカの圧力によってこういう改正がなされたのか、あったんではないか、こういう質問ではないんです。

 アメリカから年次改革要望書が出て、それで日本ではそのとおり実施していっているじゃないか、そういうのを実現していっているじゃないかと。それが、これは政府間ですけれども、今度は民間企業を通してそういうことがなされるんではないかという心配があるので、その点についてはどう考えておるのか、こうお聞きをしたわけでございます。

近江屋議員 まさに外国の要望が、政府においてもそのとおり、主体性なくその要望を受け入れて政策になっていくことは問題でありますし、まさに細川委員がおっしゃるとおり、政府以外の民間会社、そういうものが外国の圧力によって何か方向を決められていくということは、我々の主体性からいって看過できないところであるということは全くそのとおりであります。

細川委員 それでは、ちょっと逆の立場から考えてみたいと思いますが、外国人の投資家は、国内の投資家に比べまして非常に合理的に企業行動を判断するというふうに言われております。そうした投資家は、今回の規制の緩和によって当該の企業が政治献金をした場合、どんな利益があるのか、政治献金をしたそのことがどういう利益があるのか、こういうことを求めることになるだろうと思います。

 具体的に、それで利益があるという答弁ならば、これは政治倫理の点から見まして大変好ましくないことでございます。しかし一方、利益が明確でない、政治献金をしたそのことについてどういう利益があるか、いや、利益はそんなはっきり言えませんというような、明確でなかったならばこれはまた株主の利益に反する、こういうことになるだろうと思います。

 この法律について外国人投資家に対して納得のいく説明ができないならば、外国人投資家は当該の企業価値に疑問を持つかもしれないというふうにも思います。そうしますと、提案者は、今回の法改正について外国人投資家に対して一体どういうふうに説明されるのか、御説明をいただきたいと思います。

加藤(勝)議員 企業が、寄附も含めてでありますけれども、さまざまな活動をすることに対して、それは日本の株主であろうと外国の株主であろうと、株主のチェックあるいは社会的なチェックが当然されてしかるべきだというふうに思うわけでありますけれども、そういう中で、ではその企業が個々の寄附をどうされるかというのは、まさにその企業の御判断であり、それに対しては今申し上げた株主等に対してしっかりと説明されるべきものでありまして、一つ一つの行動について、今回の改正がいいとか悪いとかいうものとはちょっと違うのではないかな。個々に、むしろ会社が株主に対する説明責任がまず第一にあるんではないか。

 その上で、私どもとしては、今回の改正は、当初の趣旨説明でも申し上げましたような、こういう時代の変遷の中で、また我が国が持っている政治資金規制のあり方をある意味では安定化していくための措置であるということを説明していかなければならないなというふうに思っております。

細川委員 次に、先ほども質問に出ておりましたので、ちょっと通告の方ははっきりとしていなかった点ですけれども、外資系と言われる会社はたくさんある中で、今回、上場会社については解禁をするということになったわけなんですけれども、もう一度、上場だったらいいということの説明をちょっとお願いできますか。

加藤(勝)議員 今回、上場会社について制限を緩和したということは、一つは、所有と経営が完全に分離をされていること、少数特定者持ち株数や株主等に関し厳しい上場審査基準が課せられていること、有価証券報告書や株式大量保有報告書の提出義務を課せられ、株主の状況について市場による監視が徹底している、こういうような観点を総合的に勘案いたしまして緩和をしたところでありますし、他方でいえば、上場しているがゆえに株主の構成が変動するということの蓋然性が高いということも当然こうした判断の背景にはあるわけでございます。

細川委員 上場会社といいましても、証券取引所というのはいろいろあるわけでございます。東京、大阪、名古屋、札幌、福岡それからジャスダック証券取引所ということで、六つの証券取引所で行われておりまして、東証などには第一部と第二部がございますが、平成十一年度以降は順次新興企業向けの新市場がつくられております。マザーズだとか、それから名古屋はセントレックス、札幌はアンビシャスとか、いろいろそういうベンチャー企業向けなどに対しての証券市場。

 そうしますと、証券市場に上場したということだけで解禁をするというのは、ちょっと今御説明がありましたけれども、本来の法の趣旨からいえば、上場してからその会社がどういう活動をしているのか、もっとそういうのを見る期間といいますか、それが私は必要じゃないかと思うんですけれども、これはちょっと通告してないんですけれども、どうお考えですか。

加藤(勝)議員 御指摘のように、我が国の証券市場というんでしょうか上場市場、東京、大阪、名古屋、それぞれ一部、二部、マザーズ、ヘラクレス等々、いろいろな上場する場というんでしょうか、そういうのがあるわけでありますし、また、それぞれにおいて求められている要件がそれぞれ違っているというのは御指摘のとおりでありますけれども、しかし、総じて、それぞれの要件の中で、先ほど申し上げた市場における監視等々の部分について、ではここで線を引くというようなことではなくて、やはり上場という切り口でいいんではないかなというふうな判断をしたわけでございます。

 それから、委員御指摘の、そうはいっても新人と長くいる人とどうなんだろうというような御議論になろうかというふうに思うわけでありまして、その辺も、では何年たったからという切り口ができるのかできないのか、この辺は御議論があるところではないかなというふうに思っております。

細川委員 上場したばかりでは法の趣旨からすると心配だから、ある一定期間様子を見よう、監視をしていくというようなことで期限を定める。例えば五年とか十年というのを定めて、そこで監視にたえた上場会社から解禁をする、こういうことは、当然、基準も設けられると思うんですけれども、その点はどうお考えですか。

加藤(勝)議員 今御指摘のような考え方というのは当然とり得るというふうには思いますけれども、私どもの議論の中では、その辺を、では何年で切るんだろうか、どこで切るんだろうか、そういうような議論もありまして、提案の中では、上場をしている、上場審査をクリアしているというところで一応の線引きをさせていただいた、こういうことでございます。

細川委員 私は、一定期間、そういう猶予期間といいますか、様子を見る、監視をする期間をぜひ設けるべきだというふうに考えております。

 そこで、別の質問になりますけれども、それでは、主たる構成員が外国人または外国法人である団体等というのは、発行済み株式数の過半数を外国人または外国法人が保有する、こういうふうに聞いておりますけれども、この過半数ということを判断することについては現行法はどういうふうになっておるでしょうか。

久元政府参考人 現行法の解釈でありますので、私の方から答弁させていただきたいと思いますが、現行法で、発行済み株式の過半数を外国人、外国法人が保有しているかどうかは、寄附を受ける時点での株主構成によって判断されるものと承知をしております。

 上場会社につきましては、事業年度ごとに提出される有価証券報告書の中に株主の構成割合が記載をされております。この有価証券報告書をもとにいたしましたさまざまな刊行物も発行されておりますので、そういうものを見ながら判断することになると思いますが、それを見て過半数前後になっているような会社につきましては、実際に会社に照会なりをして、実際に超えているかどうかということを判断をされているのではないかというふうに思います。そして、会社の側におきましては、株主名簿及び実質株主名簿の記載に基づいて、外国人、外国法人が保有している割合ということを、会社みずからは判断、確認されているというふうに承知をしております。

細川委員 上場会社というのは、日々、株式の取引がされますし、その株式の数量も、少ないものから大変多い株式数の場合もあるわけです。そうしますと、寄附をしたときに株式数が過半数かどうかということは、株式が日々取引をされますから、ボーダーラインのいわば微妙な割合のときには判断が私は不可能じゃないかというような気もするんですけれども、これはいかがですか。提案者の方はどのように考えておりますか、この点については。

加藤(勝)議員 まさに今の御指摘のようなことがあるゆえに、今回、こうした改正を提案させていただいた。要するに、市場においていろいろな売買が行われて、一体その時点において外国人あるいは外国法人等々がどのぐらい持っているかというのは、リアルタイムでなかなか把握もできないわけでありますし、そして、逆に、これに違反をすれば、先ほど御指摘がありましたように、かなり重たい刑罰も科せられる、こういう関係になっているので、そういう意味も含めて、今回の改正を提案させていただいた背景、まさにおっしゃるところにございます。

細川委員 そうしますと、今回の改正では、過半数の基準日というのが法案の中に盛り込まれているということですか。

加藤(勝)議員 今回の法案では、上場会社であれば今言った現行法二十二条の五の規定に該当しない、入らない、こういう措置をとったということでございます。

細川委員 ちょっと質問のあれが悪いのかもしれません。

 そうしますと、とったから基準日が要らないということになるということなんですか。

加藤(勝)議員 おっしゃるとおりでございます。

 多分委員の御指摘は、解除しました、今回五〇%を超えている会社からも寄附を受け入れることにはなりました、それが日本法人で上場されていれば。しかし、実際、ある時点でいえば五〇%を超えている会社も中にはあるかもしれない、しかし、それからもらっているかもらっていないかよくわからないじゃないかという御指摘であるとすれば、私どもの中では、逆に、そういう寄附をもらっているときに、一々会社に対して、今どうなっていますか、どうなっていますかと聞くのも大変難しい問題がありますし、コスト的にも難しいのではないかということで、どっちかといえば、今五〇%を超えていますよということを例えば収支報告書等に書くというようなことは想定はしておりません。

 したがって、今申し上げた、どこの時点で五〇%を超えたか超えないか、上場企業の部分に関してはこの法案上は何の規定も設けていないということでございます。

細川委員 政党あるいは政党支部が外資の上場法人から寄附を受ける場合、そういうことがわかって受ける場合と、全くそういうことは関係なく受ける場合とで違うと思うんです。

 私は、寄附をする場合には、きちっと、自分の会社は外資の法人だということを相手にしっかり知らせなきゃいけないと思いますが、その点についてはいかがですか。

加藤(勝)議員 今の御指摘、それから今までお話を申し上げてきたように、寄附の時点でどうかというと、これは非常に難しい判断になるのではないか。きょう寄附をいただいた、そのいただいた時点の会社の株主構成がどうであるかということを会社側も逐一確認しているわけではないというふうに思うわけでありまして、したがって、そういうことをもし調査しろといっても、逆にまた多くのコストもかかっていく。そういう意味から、今申し上げた点を寄附の時点でということであれば、それを知り、その部分を政治資金報告書に書くのはなかなか難しいのではないかなというふうに私ども考えたわけであります。

 ただ、委員御指摘のように、では、それを違うような状況で、何かほかの方法があるのかないのか、その辺は、私ども、もし御指摘いただければ、この御検討をいただければというふうに思います。

細川委員 私が申し上げているのは、寄附をする場合に、寄附をする会社が、自分の会社は外資の法人です、こういうことを相手先に伝えて、それで寄附をすべきではないか、このことについてはいかがですかということなんです。

加藤(勝)議員 会社が例えば外資構成五〇%を超えていますよという、その時点をどこでとらえるかというのが一つのポイントだというふうに思います。

 現行は寄附をしたときということですから、刻々と流れが変わっていく。他方で、例えば決算書というのでありましょうか、そういう法定の書類を出したときにそれがわかってくるという、都度都度報告をするという時点も別途あるわけでありまして、その辺、どの時点をもって五〇%を超えているということを認識して書き込むのか、この辺ももう一つあるのではないかなというふうに思っておりまして、私どもは、今までの政治資金規正法が寄附の時点でということになっておるものですから、なかなかそれで書き込むというのは難しいのではないか、こういうふうに考えたところでございます。

細川委員 そうしますと、五〇%を超えるかどうかを判断する基準日というのを、例えば直近の定時の株主総会の株主名簿によって決定する、そこを基準日とすれば通知もすることができる、こういうことになるかと思いますが、こういうことはどういうふうにお考えでしょうか。

加藤(勝)議員 その点は、先ほどから申し上げた、今の考え方が寄附をもらったときということでございますので、私どもはそれにのっとってこういう改正案を出させていただいたというわけでありますから、おっしゃるように、決算書というのでしょうか、有価証券報告書を提出した時点で、あるいは有価証券報告書の締めの時点でということで、議事的に考えるという考え方もなくはないのではないかというふうには思います。

細川委員 私は、外資が過半数を超えている上場企業が寄附をするという場合、そもそもの政治資金規正法の趣旨からいいましても、これはやはり透明化しなければいけないというふうに思っております。

 そうしますと、透明化するためには、収支報告書あるいはまた会計帳簿、こういうものにきちんと外資の企業からの寄附なんだということを明記する、そのことが、外国からの支配を受けない、そういう作用をきちっとできるのではないか、そういうふうにも思っております。

 したがって、外資からの寄附を透明化して、国民に開示をしていくということについてはどのようにお考えでしょうか。

加藤(勝)議員 こうした寄附の問題を含めて透明性を高めていくということは当然求められていることでありますし、また、それを確保していくということは当然必要だというふうに思います。問題は、それをどう現実的な手段の中で確保していくかということでございまして、委員の御指摘のような方法も一つの方策ではないかなというふうには思います。

細川委員 それでは、ちょっと質問をかえまして、春の統一地方選挙がございますので、ちょっとそちらの方のことについて質問をいたします。

 地方議員、特に市会議員候補者などから聞かれますのは、何で国会議員とか県会議員、あるいは首長、こういう選挙では政策ビラが配布できるのに、市会議員あるいは町会議員などはできないのはおかしいのではないかというようなことを聞かれます。実際に、市会議員なんかの選挙で選挙運動をやるというのは、街頭演説とか演説、選挙公報、こういうことしかできない。まあ、電話もありますけれども。

 これは、本来、選挙ですから、候補者が政策をしっかりと主張、訴えるということができなければいけないと思いますけれども、なぜ市町村議員はこんな運動しにくいようになっているのか、ちょっとお聞かせください。

久元政府参考人 まず、候補者が配布をいたします選挙運動用ビラにつきましては、市町村議会議員も含めまして、すべての地方選挙については今認められていないという状況になっております。

 これは、昭和五十年の公職選挙法の改正におきまして、議員修正で、国会議員につきましては選挙運動用ビラの配布が国会審議の過程で修正によって入ったわけですけれども、その中に、地方議会議員、地方選挙については入っていなかったということでございます。

 そのときの議論などを見ますと、地方の場合には、国会議員に比べまして、みずからの政見などを有権者に浸透しやすいという環境が相対的にあるのではないかといったようなことが説明されているところでございます。

細川委員 それで今、市町村議員の選挙では、実態はこういうふうになっているわけですね。

 一つは、政策、経歴などを宣伝するのは選挙の前にやるしかない、そういうことで、もう本当に事前運動すれすれの文書を選挙前にどんどん出す。それから、選挙中には、本来は組織内部でしか出せないようなビラを町の中に出すというようなことにもなっております。法律を守ってやっておりますと、逆に、支持者なんかからは、法律に違反してどんどんやっている人の、一体なぜうちの支援する候補者もやらないのか、やり得がまかり通っているんじゃないかというような、そういう批判もたくさん出てきております。結局、政策の選挙ができないものだから、地縁、血縁に頼ったお願いの選挙だけになっております。これはやはり民主主義的な国家ではないというふうにも思います。

 そこで、市町村議員のときにも候補者が政策を記載したビラを配布できるように私はすべきだというふうに思いますけれども、こういうことはどうですか、副大臣。

大野副大臣 お答えいたします。

 地方選挙における選挙運動の方法などにつきましては、これまでの国会における審議や各党間の議論の積み重ねの中から現在のようなルールが設けられてきたところであります。

 地方選挙につきまして、市町村議会議員選挙を含めて、候補者が選挙運動のためにビラの頒布をすることは認められていないところでございまして、御指摘のとおりでございます。

 地方選挙においてどのような文書図画の頒布を認めるかにつきましては、選挙運動あるいは選挙時における政治活動のあり方にかかわる重要な問題であります。これらの問題につきましては、各党各派において十分御議論をいただくようなテーマであろう、このように思っているところであります。

細川委員 国会議員の場合はいろいろな政策を訴えることができます。ビラなんかでも、制限されてはいますけれどもできますし、確認団体という制度がありまして、県会議員とか首長さんなんかの選挙のときには、その確認団体での政策を発表して、そのビラを配る、こういうこともできるわけなんです。市町村議員だけそういうのがないというのは、これはちょっと私は、選挙というものは非常に大事な民意を反映する場ですから、きちんと候補者も政策を訴えることができるように制度を変えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。

 だから、市町村議員の場合も確認団体というのをつくって、その確認団体で政策のビラということもできるような、そんな確認団体の制度というのを、首長選挙や県会議員と同じようにしたらどうかというふうに私は思っていますけれども、大臣、そういう点はいかがでしょうか。ぜひ導入していただきたいと思います。

大野副大臣 現実に、市町村議会議員の選挙になりますと、そういうお話もしばしば耳にしているところでもございますが、市町村議会議員の選挙と町村長の選挙については確認団体制度がありません。選挙の自由、公正を確保する見地からも、政党その他の政治活動を行う団体の政治活動が強力に展開される選挙に限って選挙期間中の政治活動規制と確認団体制度を設けたところによるのが基でございます。

 確認団体制度を導入することは、選挙期間中の一般的な政治活動の規制の強化を伴うこととなるものでありまして、本来自由であるべき政治活動の規制とも絡む問題であると思っております。今後、慎重な検討が必要と考えておりますが、これらも各党各派で御議論いただくことではないか、こう思っております。

細川委員 最後になりますけれども、今の市町村会議員の選挙を見ていますと、選挙が告示で始まった、始まる前はなかなかにぎやかに文書とかいろいろ出るんですけれども、始まった途端に何か制限されて、やっと宣伝カーが回るかあるいは駅で立つとか、そんなような選挙になって、非常に選挙そのものが逆に静かになるような感じにもなりますので、これはちょっと本末転倒になっているような気がいたします。

 選挙期間になればきちっと選挙ができる、政策を訴えて、市民の皆さんに候補者がそれをいろいろ訴えることができるような制度をぜひつくっていただきたいと思いますし、これは各党もぜひ検討していかなければならないことだと思いますので、よろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

今井委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 こんな重要な法案を審議しているのに、委員会には半数いないんじゃありませんか。委員長、確認してください。

今井委員長 理事及び事務局をして出席の連絡をさせますので、質問をお続けください。至急連絡します。

佐々木(憲)委員 では、そろうまで待ちます。(発言する者あり)

今井委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

今井委員長 速記を起こしてください。

 質疑を続行いたします。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 この法案は大変重大な法案で、今までの原則を根本的に変える内容を含むものであります。その審議に過半数がいないというのは極めて重大でありまして、今ようやくそろったわけであります。

 内容に入りますが、まず、総務大臣に確認をしたいと思います。

 これまで外国人、外国法人からの政治献金を禁止してきた理由、それをきちっと説明してください。

菅国務大臣 政治資金規正法第二十二条の五の規定は、選挙に関すると否とを問わず、外国人等から政治活動に関する寄附を受けることを禁止するものであります。これは、我が国の政治や選挙が外国人や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止しようという趣旨から設けられたものであります。

佐々木(憲)委員 今説明がありましたように、その場合の基準として、企業の株式の五〇%以上を外資が保有している法人の場合は、外国の勢力によって影響を受ける、こういう理由でこれまでは政治献金を受けることを禁止されてきたわけであります。ところが、今回の法案は、そのような外資系企業からの献金を受けてもよいという方向に変えられているわけであります。

 これまで外国の影響を受けていた外資五〇%以上の会社が、なぜ外国の影響を受けない会社に変わったと言えるのか。その会社の実態は、特に変わっているわけじゃありません。それなのに、影響を受けない会社に変わったと。この理由は何ですか。

早川議員 まず、本改正案では、我が国の政治や選挙が外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止するという現行法の趣旨に反することがないように、日本法人である上場会社からの寄附に限って現行の制限を緩和することとしているものであります。

 これは、上場会社については、所有と経営が完全に分離している、少数特定者持ち株数や株主数等に関し厳しい上場審査基準が課せられている、さらには、有価証券報告書や株式大量保有報告書の提出義務を課せられ、株主の状況等について市場による監視が徹底している、そういった理由によりまして、日本法人である上場会社から政治活動に関する寄附を受領しても、我が国の政治や選挙が外国の勢力から影響を受けて国益を損ねることはないものと判断したためであります。

 したがって、御指摘のような懸念は当てはまらないものと存じておりますけれども、特に、現在は投資目的での外国人の株式の保有がふえているといったような社会情勢の変化を考慮したものであります。

佐々木(憲)委員 その説明は私は納得できないんですね。つまり、経営支配を受けている会社もあるわけです、現実に。外国の経営支配を直接受けている五〇%を超えている会社はあるわけです。

 しかも、市場による監視と言いますけれども、これは基準が全然違うんですよ。しかも、株式保有を目的としているだけだと言いますが、そういう場合も、ある状況によってはいつでも支配可能に転じることができる。そういう状況ですので、私は、この緩和というのは極めて重大である、問題であるというふうに思います。

 外国から影響を受けている会社が、その性格が突然変わるということではないわけでありまして、五〇%を超えている会社から献金を受けてもいいだろうという立場に変わったのは提案者の側じゃありませんか。しかも、上場している会社は献金額が大きいわけです。政治的な影響力が非常に重大であります。上場企業だから健全な企業とは言えません。これまでも上場企業は、いろいろな不祥事、事故を多発させているわけであります。

 そこでお聞きしますが、法案では、外国系の団体からの献金は禁止のままであります。上場するような大きな会社の献金を認めて、小さな会社あるいは団体からの献金は認めない、その理由は何ですか。

早川議員 御承知のとおりでありますけれども、株式会社が上場するためには、少数特定者持ち株数が一定比率以下であること、すなわち、大株主上位十人とかあるいは役員等の特別利害関係者等の持ち株の合計が例えば七〇%以下とか、こういった一つの制限が課せられる。あるいは、株主数が一定数以上である、こういった、証券取引所がそれぞれ設けております審査基準をクリアする必要があるところであります。

 この審査基準の内容を検討いたしますと、言ってみれば、非合法な活動をするような、そういう会社の上場というのは認められない。これは、監査法人等の監査等の報告に基づいて、最終的には証券取引所が上場を認めるかどうかを決定するということになっております。

 上場会社には、投資家保護の観点から、有価証券報告書や株式大量保有報告書の提出など、企業情報開示のためのさまざまな義務が課せられております。それらを通じて、先ほども御説明を申し上げましたけれども、市場による監視が恒常的に行われております。

 さらに、上場会社の株主構成が非常に流動的であります。外国人あるいは外国法人の持ち株比率が五〇%を超えるかどうかは、偶然に左右される面も大きいわけであります。

 したがいまして、上場会社と非上場会社やその他の団体では、これらの点において異なるものと承知をしているところであります。

佐々木(憲)委員 今の説明は私は全く納得できません。大きな会社ほど影響力が大きい。しかも、その性格はそんなに急に変わったわけじゃありません。外国の影響力がある会社、そこから献金を受ければ、当然影響を受けるわけです。

 総務省にお聞きしますが、ドイツ、イギリス、アメリカ、これは自国の企業であれば外資比率によって一律の政治資金の提供が禁止されていないというふうに説明をされているわけですけれども、具体的に聞きますが、アメリカの連邦レベルでは企業献金の規定はどのようになっているか、また、政党への献金の上限は幾らですか。

久元政府参考人 まず、ドイツでありますが、ドイツにおきましては、国外からの外国法人による寄附は原則として禁止されておりますが、出資持ち分の過半数をドイツ人、EU市民が保有している企業からの寄附、またEU加盟国内に本拠を置く企業からの寄附は、例外的に認められているところであります。また、ドイツ国内からの寄附については、外国法人であっても制限されていないところであります。

 また、イギリスにおきましては、外国法人からの寄附は原則として禁止されておりますけれども、EU加盟国内で設立され、国内で事業を行っている登録会社については、例外的に認められているところであります。

 次に、アメリカでありますが、アメリカにおきましては企業献金は禁止されておりますが、企業が、政治活動委員会、ポリティカル・アクション・コミッティー、PACというふうに呼ばれておりますが、このPACを設立して寄附を集め、政党に対して政治献金を行うことは可能とされております。

 このPACが政党に対して行う政治献金でありますけれども、政党の連邦選挙運動に関するもの、いわゆるハードマネーに関しましては、これは平成十六年の国立国会図書館の調査によりますと、以下のとおりとなっております。

 まず、全国政党委員会に対するものは、年間二万五千ドル、百十六円で換算いたしますと約二百九十万円ということになろうかと思います。それから、州・地域政党委員会に対するものは、年間一万ドル、約百十六万円ということで制限されているところでございます。

佐々木(憲)委員 今説明がありましたけれども、ドイツ、イギリスなどヨーロッパの場合は、EU域内にある会社からの献金のみでありまして、それ以外からの献金は禁止されているわけでございます。EUの場合も、フランスはもともと政治献金は禁止ですよね。それから、アメリカの場合も、企業、労働組合の献金は禁止であります。PACを通じてやる場合も、外資系企業の場合、親会社であろうが子会社であろうが、完全にこれは禁止されているわけですね。しかも、上限がある。ですから、日本の今提案されているこの法案のように無制限ではないわけです。むしろ、国際的な流れは企業献金の禁止の方向であります。外国からの献金規制を強化しているわけですね。大体、上場基準というのも、これは証券取引所によって違うわけであります、先ほども若干質問がありましたけれども。そういうように、今回の法案というのは、結局、これまでの外国人、外資系企業からの献金の禁止に穴をあけるものだと私は思わざるを得ません。

 なぜこんな法案が出てきたのかということでありますが、結局、日本経団連の会長がトヨタ自動車の奥田氏から今度はキヤノンの御手洗氏に交代した、それがきっかけじゃありませんか。金の力で政治に影響を与える、そういう経団連の思惑があり、政治献金をもらえるということで、だんだん先細りになってきた、では、この際、外資系企業からでもいいやということで、外資系企業からの献金も認めていこうと。いわば自民党と民主党の思惑が一致して、こういう形で行われている。

 私は、こんなやり方は絶対に認めるわけにはいきません。今必要なのは、企業・団体献金の禁止であります。このことを指摘して、質問は終わらせていただきます。

今井委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。

 冒頭申し上げておきたいことは、政治と金、あるいは政官業癒着問題で言えば真相が不明確なままの日歯連事件、最近では防衛施設庁をめぐる談合、さらには福島、和歌山、宮崎などでも知事が逮捕されたりあるいは知事の関与が取りざたされている談合事件が起きるなど、国民の政治不信が助長されるような出来事がいまだに続いております。

 この中で、政治資金規正法を強化するのではなく緩和する法案が、たった二時間十分の審議で成立させられようとしています。しかも、国民不在で、政治献金の受け手である政党だけで勝手に決めようとしているわけですから、このような審議のあり方に強く抗議いたします。

 そこで、本日、本委員会に修正案が配付されました。本来は、提出した法案を取り下げて再提出すべきものと私は考えるものであります。中身以前に、手続上から、修正案を私は認めるわけにはいきません。委員長は公正中立を貫いていただきたいというふうに思います。

 そこで、冒頭、委員長に見解をお伺いいたしますが、私の質問以降に採決の手続が行われるわけですが、本委員会で行おうとしている手続に瑕疵がないと言えますか。見解をお聞きします。

今井委員長 ないと思っております。

菅野委員 きょう配付された修正案というものは、これから提案されて趣旨説明が行われて、そして即採決という流れになっております。ここに、この手続が配られておりますけれども。それでは、修正案に対する質疑はどの機会で、どのような形で行うんですか。

今井委員長 理事会で協議していただいた結果です。御理解いただきたいと思います。

菅野委員 この手続の流れについては理事会で議論されました。ただし、理事会の中では、修正案というものは提案されておりません。理事会で修正案は認めていないんじゃないですか。この手続の瑕疵はどう説明できるんですか。委員長の見解をお聞きします。

今井委員長 さきの理事会におきまして、この問題は議論されまして、理事の御理解をいただいたものと判断しております。

菅野委員 平行線をたどっていますけれども、先ほど私は委員長に申し上げました。委員長は、この委員会を中立公正の立場で運営していただきたいと思うんです。そのときに、まだ提案もされていない、一回も審議されていないこの修正案というものを委員長として認めることはできないんじゃないですか。このことの説明をどうつけるんですか。

今井委員長 理事間協議を行って、私も報告をいただいております。私は理解しております。

菅野委員 私は、この国会運営が数の横暴によって運営されていると言うしかないというふうに思っています。少数意見というものも委員長は尊重して、手続上に瑕疵があるのかどうかというのをしっかり見きわめて議会運営を行っていただきたいと申し上げておきたいというふうに思います。

 委員長、修正案に対していつ質疑を行えるんですか。こんなに……(発言する者あり)修正案はまだ提案されていませんよ。どこで……(発言する者あり)質疑を省略して採決するというんですか。(発言する者あり)

今井委員長 質疑を続行してください。

菅野委員 できません。

 私、見解をやっているのは、きょう、この委員会に修正案が提出されて、趣旨説明が行われる予定になっています、その趣旨説明を受けて、どのような議論の機会を委員長として考えているんですかと。中立公正に議会を運営するという立場からは、そのことに対して、理事会で決定したことということで、その一言だけでこの場を乗り切ろうとするんですか。委員長としての見解をお聞きしておきたいという意味。

今井委員長 各党各会派の御理解をいただいているものと判断しております。

菅野委員 これ以上、委員長とやり合っても前に進まないというのはわかりました。

 ただ、もう一回言います、質疑して問題点が生じて、それで与野党で協議して、質疑で問題点が明らかになった点を修正していくという手続は私はあり得ると思うんです。そのときには、与野党間協議ですから、質疑はなくてもいいんです。そのことが、一回も質疑もされていないで、それで修正案が出てきて……(発言する者あり)いや、野党も提案者になっているんですよ。(発言する者あり)いや、質疑がされて問題点が明らかになっていない中でです。(発言する者あり)いや、手続上、問題点があるということだけは指摘しておきます。

 まず、上場企業であれば外資比率に関係なく政治献金を可能とする改正について質問いたします。

 提案者に率直にお伺いします。この点で、経済諸団体から直接間接に改正の依頼があったのでしょうか。さらに、今回の改正は、日本経団連会長出身企業の外資比率が五〇%を超えているために外資規制撤廃を呼びかけたのではないかという指摘がありますが、この点、どのようにお考えか、お答え願いたいと思います。

加藤(勝)議員 先ほどからもお話しさせていただいておりますけれども、この法律、現法律は昭和五十年からでございますけれども、この間、日本の経済はいわゆるグローバル化が進展してまいりました。そして、それに伴って、外国の個人あるいは機関投資家が、投資目的を含めて、急激に株式保有が増加してきている、こういうような実態。さらには、特に上場企業の場合には、市場において株式の売買が行われて、そこにおける構成も日々日々変更していく。そして、その結果として、政治資金規正法上、五〇%という今の規定があるわけでありますけれども、それを超えた場合には、当然、この政治資金規正法上の厳しい罰則がある。

 こういうような状況の中で、今の現状に合わせて制度を見直していくべきではないかということが、かねてから私ども党内で議論をしてきたところでございまして、そうしていろいろ議論した結果、本改正案提出に至ったという経緯でございます。

菅野委員 大変に不思議なのは、先ほども議論になったんですが、外国人または外国法人からの寄附を原則禁止するという現行規定はそのままにして、上場企業に限って外資比率による規制は受けないという例外を今回設けたということですね。なぜ上場企業に限って外資の規制を撤廃できるのか、私には理解できません。上場企業に限って規制を撤廃する合理的理由を示していただきたいと思います。

近江屋議員 上場会社、上場企業につきましては、まず、所有と経営が完全に分離しているということがございます。会社を所有している株主と経営に携わる取締役が分離された立場にある。企業の寄附に関して言うならば、今回の問題について言うならば、株主の中に外国人がいたとしても、寄附をするか否かの意思決定をするのは取締役であるという意味で、所有と経営が完全に分離している。

 また、少数特定者持ち株数や株主数等に関して厳しい上場審査基準が課せられているということがございます。さらには、有価証券報告書や株式大量保有報告書の提出義務を課せられております。有価証券報告書におきましては、外国人の保有があるならばきちんとそこに盛り込まれるわけでありますし、また、株式大量保有報告書、少数の外国人が大量に保有した場合もそこにきちんと報告されるわけでありますから、そういう提出義務を課せられて、そういう仕組みになっておる。そういう中で、株主の状況等について、市場による監視が徹底しているということがあると存じます。

 さらには、実態面としては、株主構成が非常に流動的でありますから、発行済み株式の過半数を基準に判断することは寄附の受領者を非常に不安定な地位に置くことになりかねない。発行済み株式数が過半数になるかならないかによって寄附が許されるか許されないかが左右されてしまうという、非常に不安定な地位に置かれることになりかねないこと、そういったことを総合的に勘案いたしまして、発行済み株式の過半数を外国人等が保有している会社からの寄附を許容できるものと判断したところであります。

 そのような考え方に立って、今回の改正案を提案いたしておるところでございます。

菅野委員 今回の法案の最も問題点というのはこの点だというふうに思うんですね。何で昭和五十年からこういう規制を設けてきたのかというところで、今なぜこれを改正しなきゃならないのかというこの問題点が、今で説明されたというふうには思いません。

 それで、昨年の百六十三特別国会で、放送関係で外資参入を規制する電波法及び放送法の改正がなされました。放送関係では外資規制の強化、政治献金では外資規制の緩和では私は筋が通らないというふうに思います。電波法及び放送法の改正と今回の法改正との整合性についてどのようにお考えですか。提案者並びに総務省の答弁をお願いします。

中田政府参考人 昨年の電波法及び放送法の改正について御説明申し上げます。

 放送局に関します外資規制につきましては、まず、電波の周波数が今、有限、希少な資源である、その利用は基本的に自国民の利益を優先して確保することが必要であるという観点、また、放送は言論報道機関としての性格を有しておりまして、その社会的影響力が大きいことによるものでございます。このように、放送に関します外資規制については、諸外国においても同様な規制が行われているところでございます。

 昨年の電波法及び放送法の改正は、間接出資規制を導入するものでございまして、近年におきます対内投資の増加、あるいは我が国におきます株式保有の急激な変化等の事態を踏まえまして、地上放送につきまして外資規制の実効性を確保するために行われたものでございます。

 このように、昨年の改正は、放送の果たす社会的役割を担保するという観点から行われたものでございます。

加藤(勝)議員 今回私どもの提案した理由は先ほどからるる御説明させていただいていますから簡単にさせていただきますけれども、この間の経済の国際化等々、こうした変化に対応する中で、今の法律というものをどう的確に対応させていくか、その中で出したものでございまして、御指摘の電波法改正法は、それぞれ今御説明があったような趣旨、また私どもは、当初趣旨説明で申し上げた、そういった観点から、今回の法案の改正を提案させていただいているところでございます。

菅野委員 質問項目を用意したんですが、時間等の関係で省略させていただきますが、委員長にお願い申し上げたいと思います。この重要な法案を二時間十分の質疑でもって質疑を打ち切る、こういう姿勢だけは今後改めていただきたい、このことを強く申し上げて、質問を終わります。

今井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

今井委員長 この際、本案に対し、鈴木淳司君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び国民新党・無所属の会の四派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。鈴木淳司君。

    ―――――――――――――

 政治資金規正法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木(淳)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その提案の趣旨を御説明いたします。

 本修正案は、まず、主たる構成員が外国人または外国法人である日本法人のうち上場会社であるものからの寄附の受領に係る現行の規制の撤廃は、五年以上継続して上場している会社からの寄附に限ることとするものであります。この際、寄附をするときは、主たる構成員が外国人または外国法人である日本法人であって五年以上継続して上場している会社である旨を文書で寄附を受ける者に通知しなければならないものとするとともに、寄附を受けた者は、会計帳簿及び収支報告書にその旨を記載し、当該通知に係る文書を収支報告書の要旨が公表された日から三年を経過する日まで保存しなければならないこととしております。

 また、上場会社にあっては、主たる構成員が外国人または外国法人であるか否かの判定は、直近の定時株主総会に係る株主名簿の基準日における発行済み株式の保有比率により行うものとしております。

 さらに、附則に、新政治資金規正法第二十二条の五の規定については、この法律の施行後三年を目途として、新政治資金規正法の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする旨の規定を加えるものであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

今井委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

今井委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、政治資金規正法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。

 まず、この重大な法改悪をわずか二時間の質疑で採択することに厳しく抗議するものであります。

 政治資金規正法は、政治資金を国民の浄財と規定し、国民の政治参加の手段、参政権の一つとして位置づけております。また、その目的において、政治資金の収支の公開と授受の規制によって、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発展に寄与するとしております。この原則は制定以来一貫して変わらないものであり、このもとで、量的規制や罰則など政治資金規制の強化を図ってきたのであります。

 今回の法案は、この流れに逆行し、政治資金規正法の二大柱である政治資金の質的規制と公開の両面から後退させるものであります。

 外国人等からの献金禁止規定は、質的規制の根幹をなすものであります。これまで外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止するとしてきた国家主権にかかわる原則を百八十度転換するものであります。日本経団連会長が外資企業キヤノンの御手洗氏に交代したことを受け、その献金を期待し根本原則を変えることは、断じて許されません。

 財務諸表などを公開し上場基準を満たした企業であるから外国からの影響を受けることにはならないと説明しますが、献金の是非という国民の参政権にかかわる問題を上場基準にゆだねること自体重大であります。上場基準は、免許を受けた民間企業である証券取引所が市場運営の観点から定めたものにすぎず、外国からの影響力排除にとって何の担保にもなりません。上場期間を五年以上に修正したからといって、影響力排除の観点からは意味を持ちません。

 また、提案者は、外資献金規制の撤廃は欧米諸国の趨勢であるかのように言いますが、アメリカは企業献金そのものを禁止しており、ドイツ、イギリスもEU圏内に限定しているのであり、このような理屈は成り立ちません。企業献金禁止こそが世界の王道であります。

 また、情報公開法の開示期間の限定を法定化することは、公開によって不当な資金の授受を未然に防止するという法の目的を狭めるものであり、認められません。

 企業が政党や政治家に金を出し政治に影響を与えることは、主権者である国民の基本的権利を侵すということであります。今必要なのは企業・団体献金の禁止であるということを強調し、私の反対討論を終わります。

今井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

今井委員長 これより採決に入ります。

 第百六十四回国会、加藤勝信君外二名提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、鈴木淳司君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

今井委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

今井委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

今井委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、井上喜一君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び国民新党・無所属の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。細川律夫君。

細川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    政治資金規正法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  今回の政治資金規正法の外資規制に関する改正は、昨今の証券市場のグローバル化の進展を踏まえ、政治活動に関する寄附についての外資規制を見直し、証券取引所に上場されている株式を発行している日本法人からの寄附については、主たる構成員が外国人又は外国法人である団体等からの寄附の受領を禁止している現行の規制を撤廃するものである。

  政治資金規正法第二十二条の五の規定の趣旨は、我が国の政治や選挙が外国人や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止しようというものであるが、今回の改正はこの規定の趣旨を損なうものでないよう配慮したものであるとはいえ、各政党は、今後とも、この規定の趣旨を踏まえ、いやしくも国民の政治に対する信頼を損なうことがないよう努めなければならない。

  本委員会は、この規定の趣旨を尊重する立場から、新法の施行状況を十分検討した上、必要があれば、会社が寄附をするために要する上場期間、寄附をする会社がこの規定に該当するかどうかの判断の基準時、政党支部における寄附の受領のあり方などに関し、見直しを含め、適切な措置を講ずるものとする。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

今井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

今井委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

今井委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

今井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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