衆議院

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第3号 平成19年12月19日(水曜日)

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平成十九年十二月十九日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 棚橋 泰文君

   理事 井上 喜一君 理事 今井  宏君

   理事 倉田 雅年君 理事 谷畑  孝君

   理事 船田  元君 理事 篠原  孝君

   理事 福田 昭夫君 理事 井上 義久君

      石原 宏高君    稲田 朋美君

      浮島 敏男君    近江屋信広君

      大塚  拓君    木原 誠二君

      木原  稔君    篠田 陽介君

      中馬 弘毅君    土井  亨君

      土井 真樹君    永岡 桂子君

      萩原 誠司君    福田 峰之君

      藤野真紀子君    松本 文明君

      矢野 隆司君    山口 俊一君

      山口 泰明君    吉野 正芳君

      石関 貴史君    大串 博志君

      階   猛君    中井  洽君

      野田 佳彦君    松本  龍君

      横山 北斗君    上田  勇君

      大口 善徳君    高木 陽介君

      佐々木憲昭君    菅野 哲雄君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十九日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     矢野 隆司君

  越智 隆雄君     石原 宏高君

  菅  義偉君     吉野 正芳君

  前田 雄吉君     野田 佳彦君

  上田  勇君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     越智 隆雄君

  矢野 隆司君     土井 真樹君

  吉野 正芳君     菅  義偉君

  野田 佳彦君     前田 雄吉君

  大口 善徳君     上田  勇君

同日

 辞任         補欠選任

  土井 真樹君     小里 泰弘君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件

 政治資金規正法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

棚橋委員長 これより会議を開きます。

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長久元喜造君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 政治資金規正法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明いたします。

 本案は、政治団体の支出に係る収支報告の適正の確保及び透明性の向上のため、国会議員関係政治団体に係る収支報告等について、登録政治資金監査人による政治資金監査の義務づけ、支出の明細を記載する金額の引き下げ、少額領収書の公開等に関する特例制度を設けるとともに、総務省に政治資金適正化委員会を設置しようとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、国会議員関係政治団体の定義についてであります。

 国会議員関係政治団体とは、政党、政治資金団体及び政策研究団体以外の政治団体で、

 一 国会議員または国会議員になろうとする者が代表者であるもの

 二 租税特別措置法に規定する寄附金控除適用政治団体のうち、国会議員もしくは国会議員になろうとする者を推薦し、または支持することを本来の目的とするもの

であります。

 なお、政党の支部であって、国会議員に係る選挙区の区域を単位として設けられるもののうち、国会議員または国会議員になろうとする者が代表者であるものは、国会議員関係政治団体とみなすこととしております。

 また、これらの国会議員関係政治団体は、総務大臣または都道府県の選挙管理委員会に届け出るものとしております。

 第二に、国会議員関係政治団体に係る領収書等の徴収、収支報告書の記載、提出等の特例の創設であります。

 国会議員関係政治団体は、すべての支出について領収書等を徴収しなければならないこととしております。また、人件費を除く経費で一件一万円を超える支出について、収支報告書に支出の明細を記載し、領収書等の写しを添付しなければならないこととしております。

 また、収支報告書の提出に際し、登録政治資金監査人の監査を受け、政治資金監査報告書をあわせて提出しなければならないこととしております。

 第三に、登録政治資金監査人制度の創設であります。

 弁護士、公認会計士または税理士は、登録を受け録政治資金監査人となることができることとし、研修を修了した後、政治資金監査の業務ができることとしております。なお、登録政治資金監査人による監査報告書の虚偽記載に対しては、罰則を設けることとしております。

 第四に、政治資金適正化委員会の設置であります。

 学識経験者の中から国会の議決による指名に基づいて任命する委員五人によって構成する政治資金適正化委員会を総務省に設置し、収支報告書の記載方法に係る基本方針の策定、収支報告書の政治資金監査マニュアルの作成、登録政治資金監査人の登録、研修等の業務を行わせることとしております。

 第五に、一万円以下の少額領収書等についての新たな公開制度についてであります。

 国会議員関係政治団体について、収支報告書を受理した総務大臣または都道府県の選挙管理委員会に対し、当該報告書に係る人件費を除く支出のうち、一件一万円以下の支出に係る領収書等の写しの開示を請求することができるものとしております。

 開示請求を受けた総務大臣または都道府県の選挙管理委員会は、当該開示請求が権利の濫用または公序良俗に反すると認められる場合を除き、国会議員関係政治団体に対し、当該請求に係る少額領収書等の写しの提出を命ずることとしております。

 第六に、収支報告書の写しの交付請求等についてであります。

 現行では収支報告書は閲覧のみが認められていますが、これに加えて写しの交付を認めることとしております。また、収支報告書にあわせて提出された領収書等の写しについて、総務大臣及び都道府県の選挙管理委員会に保存義務を課すこととしております。なお、収支報告書の要旨の公表またはインターネット等による収支報告書の公表を、毎年十一月三十日までに行うこととしております。

 第七に、施行期日等であります。

 この法律は平成二十年一月一日から施行することとしております。

 なお、政治資金適正化委員会の設置については平成二十年四月一日から、国会議員関係政治団体の届け出については平成二十年十月一日から施行し、国会議員関係政治団体が提出する収支報告書の記載事項、政治資金監査の義務づけ及び少額領収書等の写しの開示に関する規定は平成二十一年分の収支報告書及び少額領収書等から適用することとしております。

 また、国会議員関係政治団体に係る特例制度の実施後三年を目途として、対象政治団体の範囲の拡大等について検討を加えることとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 政治資金規正法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

棚橋委員長 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。質問をさせていただきます。

 政治と金の問題は、我々政治に携わる者としてみずからをいかに律することができるか、そして、携わる者として永遠の課題であると思います。今回、各党の皆様方の御協力によってこの法案が提出をされました。まさに、政治と金をめぐる問題についての政治に対する信頼をいかに高めていくか、こういう意味では画期的な法案である、私はこのように認識をしている次第であります。

 私たちは情報化の社会に生きています。情報を発信する者は真実な情報を発信しようとしています。でも、受け取る側が信頼できる情報に変換できなければ、受け取る側の心には入ってきません。幾ら発信者が真実な情報だといって発信しても伝わらないわけであります。

 では、どうすれば真実な情報から信頼できる情報へ変わるか。これは、独立性のある第三者がチェックをすることで信頼できる情報に変わることができる、こう私は思います。そういう意味で、今度のこの法案は、まさに第三者がチェックをする、ここに大きな意味があると思います。

 そこで、私は、政治資金監査にかかる監査料について心配をしております。この監査料、まさに適正化委員会が監査マニュアルを定めた後でなければ決まらないと思うのでありますけれども、基本的には相対で契約をしていくことになると思います。でも、登録監査人には罰則規定がございます。この罰則規定を重く受けとめれば、当然、詳細なる監査をする、そういう意味では監査料が高額になる、そんなおそれを持っております。

 そういう意味でも、適正化委員会で監査マニュアルを定めるときには、弁護士、公認会計士、また税理士さん等々の方々とよく相談をして、合理的でシンプルな監査方法ができるように総務省として努力をしていただきたいことを、まず第一点、御要望申し上げたいと思います。

 第二点の要望は、対象団体であります。

 与野党協議において、対象団体には、政党の都道府県支部、そしてその他の市町村支部、職域支部は含まれないと規定をされております。政党支部の持ち方は政党独自の判断によるものでありますが、一般的に、行政区単位の基幹組織として置いているような支部は、国会議員の選挙区を単位として置くいわゆる選挙区支部とはみなされないので対象外であると認識をしております。法律の適用の際には拡大解釈がされないよう、これも総務省に要望をしたいと思います。

 次に、質問でございます。

 我が党は、行政コストの肥大化を懸念して各党協議に臨んだところでございます。この法案の中に、必要経費は約十三億と積算をされておりますけれども、十三億の積算根拠は委員の手当とか事務局の人件費そして事務費というふうに言われておりますけれども、総務省においては今後どのようなコスト削減をしていくのか、お尋ねをしたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 先生方の政治活動の大変重要な仕事を私どもお預かりすることになりますので、万全を期したいというふうに思っておりますが、それにいたしましても、収支報告書の記載事項が膨大にふえましたり、領収書の写しが添付されて公開請求もいっぱい出てくるであろうということで、今委員お話のございましたとおりのコストが積算をされております。

 一方で、今回の法律の中で収支報告書等のオンラインによる提出の努力義務というのがございます。したがいまして、オンラインシステムの改修を私ども行っていく予定でございます。その利用が普及していけば、もちろん御利用される政治団体側の負担軽減が図られるということになりますが、私どももこうしたことになりますと行政コストの削減に大分寄与できるであろうと。まだオンラインが都道府県選管も含めて整備されていないわけでございますけれども、そこをきちんと全部整備しますと、行政コストの削減にも効果がある。

 先ほどの十三億円という積算にいかほどのものが出てくるか、これはこれからよく精査をしたいというふうに考えてございますけれども、いずれにしても、今先生のお話にございましたとおり、適正な職務執行の上でコスト削減を最大限図っていきたい、このように考えております。

吉野委員 諸外国で領収書を公開しているような例はございますか。

久元政府参考人 国立国会図書館作成の資料に基づきまして申し上げますと、まず、イギリスでは、団体としては政党だけに選挙運動費用収支報告書の提出が義務づけられておりまして、一件二百ポンドを超える支出には領収書を添付することとされているところであります。アメリカでは、政治委員会は選挙運動費用収支報告書に一件二百ドルを超える支出を記載することとされておりますが、領収書の添付は求められていないところであります。またフランスでは、団体としては政党だけが年次会計報告書を提出することとされておりますが、支出明細の記載、報告書の添付は求められていないところであります。ドイツでは、団体としては政党だけが会計報告書を提出することとされておりますが、支出明細の記載及び領収書の添付は求められていないところでございます。

吉野委員 この法案が原案どおりに通った場合に、総務省としては今後の運営をどのように考えておるのでしょうか。

増田国務大臣 お答えを申し上げます。

 今、現時点で考えておりますことを申し上げますと、まず、政治資金適正化委員会でございますが、これは来年四月一日に設置ということになります。そして、委員会が、その後数カ月の間に政治資金監査マニュアルを作成して、登録政治資金監査人制度の周知それから研修、こういったものを実施していく、こういうことがございます。

 それから、今回の法案で、国会議員関係政治団体について、先ほど申し上げましたオンラインによる提出の努力義務ということがございますので、まず、すべての団体がオンラインシステムを利用することができるよう平成二十一年末までにシステム改修というものを実施する、こういう仕事もございます。

 それから、収支報告書の記載基準の引き下げ等に伴う政治団体側の事務量の負担軽減ということで、これは平成二十年中、来年いっぱいの間にソフト開発を行いまして、会計帳簿と連動して自動的に収支報告書を作成できるようにしていきたい。また、せっかく開発しても周知しないといけませんので、その周知も図っていきたいというふうに思います。

 それからさらに、最後でございますが、既にある国会議員の関係政治団体につきまして、来年の十月一日から十二月末までにその旨の届け出をして、そして再来年の一月一日から一円以上のすべての支出について領収書等の徴収義務というものが発生をしてまいります。

 こういうスケジュールになっておりますので、都道府県選管の方の協力も得ながら、来年の十月までを一つの目標として、制度全体の周知徹底、関係団体だけではなくて一般の皆さん方にも周知しないと大変なことになりますので、広く国民に周知を徹底する、これをしっかりと行っていきたいと考えております。

吉野委員 最後に、これは委員長にお願いでございます。

 我が党は、税金を原資とする政党助成金については一円から公開すべきであるというふうに主張をしてまいりました。来年の通常国会ではぜひこれを法制化できるようにお願いを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

棚橋委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 おはようございます。民主党の野田佳彦でございます。

 昨年のちょうど今ごろだったと思いますけれども、佐田玄一郎元行革担当大臣が政治と金にまつわる不祥事で辞任をされるという事態にスタートして、ことしに入ってから、事務所費であるとか光熱水費であるとか、政治と金にまつわる不祥事が続発をいたしました。さきの通常国会で政治資金規正法改正が行われたわけでありますが、残念ながら、政治資金の透明化が大きく進んだかというと中途半端な形に終わりまして、その仕切り直しとしてこの臨時国会でこういう起草案が出てきたわけであります。

 私も六党の実務者協議のメンバーの一人でございましたが、十一回にわたる協議を経てようやく成案を得ることができました。ことし一年間のいよいよ最後というところでこういう成案を得ることができたということは、ある意味ほっとすることができたわけでありますけれども、これからその運用をしっかりとしていただかなければなりませんし、ここで確認をしておかなければならない点が幾つかありますので、きょうはそれを中心に質問をさせていただきたいと思います。

 私ども民主党は、基本的には、すべての政治団体で人件費を除いて一円以上のすべての支出の公開を原則として交渉に臨んでまいりました。いろいろと御意見があるし、いわゆるコストの問題とか事務負担の問題等があって、すべての政治団体というところのスタートではなくて、委員長が読み上げていただいたような、国会議員関係政治団体というところからスタートすることになったわけでありますけれども、なおそこでも若干グレーゾーンがあるんですよね。

 例えば、政党支部にかかわるところでありますけれども、政党の支部であって国会議員に係る選挙区の区域を単位として設けられるもののうち国会議員候補者が代表者であるものは国会議員関係政治団体とみなすと規定があるんですが、では、例えば、県連は基本的には外れるということなんですが、参議院議員で選挙区から選出をされている方が県連の代表を務めているようなケースというのもあるわけで、この場合には、いわゆる選挙区の区域を単位として設けられるものに入るのかというと、多分違うんだと思うんですね。立法趣旨からいうと範囲には入らないんです。

 そういうグレーゾーンのものを含めて、隠れみの的なものがこれからも生まれる可能性は私はあると思っていますし、今回、不祥事が続いたのは国会議員関係だったものですから、首長とか地方議員は今回は入っていません、その政治団体は入っていません。

 これはいずれは対象を拡大していかなければならないと思うんですが、特に私は、実務者協議の場で、知事は許認可権、予算権、人事権を持って、地域の大統領でありますから、多くの政治資金を国会議員以上に集めている人もいるし、その不適切な支出ということもあり得るわけで、せめて知事は入れた方がいいという主張をさせていただきました。

 これは、増田大臣は岩手県の知事も務めていらっしゃいますので、知事さんの政治資金についてもある程度御存じだと思います。私は、地方にも拡大をしていくべき、特に知事はすぐにも対象にしていくべきだという主張をしましたが、大臣はどういうお考えでしょうか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 私も、今先生お話ございましたとおり、やはり知事というのは大変大きな力を持ってございますし、国会議員の先生方がこういう形で透明化のために努力をされている中で知事だけを別に扱うというのは、やはり国民の気持ちからすると少し奇異に感じる部分があるのではないかというふうに思います。

 まだまだこれからの中で、そこの点は議論されるということですし、今私が申し上げましたのも、総務省というよりは私個人の考え方ということでございますが、今後に向けては、そういった地方、特に知事についてはやはりきちんと考えて、透明性を向上させるための措置というものは必要になってくるんではないか、こんなふうに考えております。

野田(佳)委員 今の知事も含めて、あるいは、次は例えば行政区支部であるとか、国会議員が直接ではなくても例えば親族であるとか秘書が中心となっている政治団体とか、よく見ていくとやはり国会議員が非常にかかわりの深い政治団体というのはまだあるはずでして、そのことを、今回は六党が合意をした今の対象範囲からスタートするとしても、見直し規定の中で対象政治団体を拡大していくということが基本的には六党の合意だったと思います。そのことは議事録にきちんと残させていただきたいと思います。

 では、次の質問に入らせていただきますけれども、領収書等の徴収についてでございます。

 領収書等を徴しがたい事情があるときは、いわゆる徴難明細書を作成することが規定をされています。今回の法案ですべての支出、一円以上の領収書をとらなければならないということにはなっていますが、どうしても徴しがたいものというのは確かにあるだろうと。自動販売機でお茶やジュースを買う場合とか、電車の切符であるとか、いろいろなケースが考えられると思いますけれども、その領収書を徴しがたい場合として認められるものはどういうものか、またそれを具体的に決めるのは総務省になるのか来春に発足をする政治資金適正化委員会になるのか、この辺のお考えを総務大臣にお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 いわゆる徴難領収書と呼ばれるものの取り扱いでございますが、これは現行の規定でもこうしたものがございますので、基本的には社会通念、すなわちこの徴難、徴しがたい事情に該当するか否かについては、政治団体の会計責任者が社会通念に照らして適切に判断ということですが、大変判断が難しいところについては、これから設けられます政治資金適正化委員会というのがございますので、その委員さん方の御判断ですけれども、そうした基準の明確化が求められるという場合におきましては、この委員会において今後検討されることもあり得るもの、こんなふうに想定してございます。

野田(佳)委員 次の質問でありますけれども、これまでは、開示請求があった場合には、五万円以上の支出、領収書については公開をするということになっておりました。原則として一万円以下についても領収書等の公開が行われるということが今回の一番前進をしたポイントだと思いますけれども、その具体的な手続、運用について御質問をしたいと思います。

 一万円以下の領収書等の写しの開示、これは法案を見ますと、「閲覧又は写しの交付により行う。」と規定をされています。また、開示請求をする者、または領収書等の開示の実施を受ける者に対して、実費の範囲内において手数料を納めることを義務づけていますが、閲覧と写しの交付、この二つによって公開がされるというわけですが、閲覧した後に閲覧した領収書の中から特定のものを指定して写しの交付を受けるということは認められるのかどうか。なぜかというと、やはり公開を求める人のコストの問題もあるので、閲覧をした後に特定の領収書を指定してその公開を求める、こういう手順は認められるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

棚橋委員長 これは、野田委員、どちらに御質問ですか。(野田(佳)委員「提案者は委員長になっていますから委員長で」と呼ぶ)

 では、発議者の私の方からお答え申し上げます。

 野田委員御指摘のとおり、一万円以下の領収書等につきましては、いわゆる少額領収書等の写しの開示の請求ということで、国会議員関係政治団体を特定して、支出がなされた年を単位として、かつ、経費の項目ごとに区分して行うこととしております。また、開示の方法としては、今お話にございましたように、閲覧または写しの交付により行うということとしております。

 御指摘のような方法でこれを認めるかどうかにつきましては、開示の実施に関して、法の趣旨を踏まえた上で、総務省令で適切に定められるものと理解しておりますので、そのように御理解をいただければと思っております。

野田(佳)委員 今質問をした趣旨は、委員長が御説明をされたように、一万円以下の領収書等の写しの開示を請求する際に指定できるのは、例えば、二〇〇七年の、あるいは二〇〇六年の光熱水費という、年と、いわゆる経費の項目なんですね。これをしゃくし定規にやりますと、膨大なお金がかかる可能性も出てくるわけです、開示請求者にとって。

 だから、閲覧をした後に、もっと特定したものに絞って請求をすれば、その請求したことで発生するコストは少なく済むということですから、今回の立法趣旨というのは政治資金の透明化で、基本的には公開、それで公開の敷居を低くするということが立法趣旨だと思いますので、そのことを踏まえて総務大臣には御対応をいただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。

増田国務大臣 今のお話の趣旨を踏まえて検討したいというふうに思います。

野田(佳)委員 幾つか、法案に係る、また詰めなければいけないところをもう少し具体的にお聞きしたいと思います。

 今度は、開示に要する期間の問題であります。

 国会議員関係政治団体の会計責任者は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、総務大臣または都道府県の選挙管理委員会に対し、五の期間を、五の期間というのは会計責任者が提出の命令を受けてから提出するまでの期間、総務省令で定める相当の期間延長するよう、延長を求める期間、その理由等を記載した書面で求めることができるという規定がございます。

 ほかに、総務大臣または都道府県の選挙管理委員会は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、九の期間を、九の期間というのは政治団体の会計責任者から領収書の提出があった日から、総務大臣または都道府県の選挙管理委員会がその旨を開示請求者に通知するまでの期間、一定の期間延長することができるという規定があります。

 ここで出てくる「その他正当な理由」というのはどのようなケースなのか。「総務省令で定める相当の期間」「一定の期間」、これはどの程度の期間を想定しているのか。これは総務大臣にお尋ねをしたいと思います。

棚橋委員長 総務大臣でよろしいですか。私の方からお答えしましょうか。(野田(佳)委員「委員長にお答えいただければ結構です」と呼ぶ)

 それでは、私の方からお答えをいたします。

 まず、「事務処理上の困難その他正当な理由」としては、開示請求に係る少額領収書等の写しが大量である場合、あるいは開示請求の時期が選挙期間と重なり、政治団体側の事務負担が大きい場合などが想定されるというふうに考えております。

 それから、「総務省令で定める相当の期間」につきましては、少額領収書等の写しの提出を延期できる正当な理由に応じて総務省令において所要の期間が定められるものというふうに理解しております。

 特に、事務処理上の困難その他正当な理由があるときに、総務大臣または都道府県選管が開示請求者への開示を延期できる期間は三十日以内となっておりますが、少額領収書等の写しが著しく大量であり、事務の遂行に著しい支障が生じるおそれがある場合には、さらに相当の期間内に開示決定をすることとなっております。

 この考え方につきましては、情報公開法においてとられている考え方と同様の仕組みだというふうに理解しております。

野田(佳)委員 総務省令にかかわることですから、この法案は基本的には与野党合意で、委員長提案ということでございましたから、恐らくもう総務省も成立を前提にいろいろなお考えをまとめつつあるのかと思って総務大臣にお尋ねをしましたが、委員長の方から立法の趣旨を踏まえての御答弁をいただきましたので、了とさせていただきたいと思います。

 続きまして、政治資金監査についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 登録政治資金監査人が政治資金監査の際に、収支報告書の虚偽記載など政治資金規正法に違反する事案を認識した場合、同監査人がどのように対応すべきかということがまだこの法案では規定をされていないわけでございまして、監査人の方にとってはその対応の仕方というのは大変大きな問題だろうと。

 少なくとも、この法案の中では、虚偽記載があった場合に、その監査人はペナルティーを科せられる、罰金を科せられる、登録の取り消しを受けて事実上社会的な制裁も受けるというような重たい措置もあるわけでございますので、虚偽とかこういう違反を認識した場合への対応というようなものをきちっと事前につくっておくべきだと思うんです。

 これも恐らく、来年の四月一日に設置される政治資金に関する適正化委員会で具体的に方針を定めるのかもしれません、これはちょっと私の予測でありますが。これについてはどういうお考えを持っていらっしゃるのか、委員長、法案提出者としてお願いしたいと思います。

棚橋委員長 野田委員の御指摘のとおり、これはまず、その点も含めて、政治資金監査の具体的方法については政治資金適正化委員会で検討されるものと理解しております。

 ただ、登録政治資金監査人が政治資金監査の結果、収支報告書に誤りを発見した場合の実務上の対応としては、当然のことながら、まず、その政治団体に収支報告書の記載の修正を求める。それでも修正されない場合には、政治資金監査報告書にその旨を記載するというようなことになるのではないかと思っておりますが、この点も含めて、先ほど申し上げましたように、政治資金監査の具体的な方法についてでございますから、政治資金適正化委員会で検討されるものというふうに理解しております。

野田(佳)委員 ありがとうございます。

 引き続き監査についてでありますけれども、先ほど吉野委員からも手数料のお話が出ていました。監査人の監査を受ける際に、同監査人に支払う報酬のあり方に関する規定がございません。これは、報酬の金額を一律に設定するのか、実務者間ではこれは自由料金という議論をさせていただいておりましたが、例えば自由料金とした場合に報酬なしということもあり得るのかどうかを含めて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

棚橋委員長 お答えをいたします。

 政治資金監査の報酬は、今、野田委員が御指摘なさいましたように、具体的には政治団体と登録政治資金監査人との間の契約によって決めるものですので、料金を一律に設定するということを本法律案ではしておりません。

 ただ、政治資金監査の報酬のあり方について、政治資金適正化委員会が定める政治資金監査に関する具体的な指針、これを踏まえた上で関係者間で議論されていくものと理解しておりますが、今御指摘があったような趣旨を当然踏まえた上でというふうに私も理解しております。

野田(佳)委員 聞くところによりますと、こういう登録をされた監査人については、例えば登録免許税が発生して、登録免許税が例えば六万とか三万とか一万五千とか、そういうところから金額的な負担も出てくる中で、例えば、膨大な収支報告書とか膨大な領収書をチェックする中で、ある程度の手数料が発生するということはやむを得ないだろうと思うんですが、ただ、これはまだやってみたこともないので、相場感がないんですよね。だから、早くその相場感が出てくることを期待しておきたいというふうに思います。

 続いてでありますけれども、対象団体の政治資金監査に必要な登録政治資金監査人を置くことになっています。政治団体自体は七万を超えていますが、今回の国会議員関係政治団体は恐らく数千の単位なんだろうと思います。その数千の単位の団体の政治資金の監査をしっかりと実効性あるべくやるためには、ある程度の登録監査人のボリューム、人数が必要だと思うんです。

 必要な人数が確保できなかった場合、これは来年以降の話で、必要な人数を集めるべく努力をするということが前提でありますけれども、必要な人数を確保できなかった場合、どのように対応するのか。これは、ちょっとみんなで考えなければいけないかもしれませんが、委員長、法案提出者としてのお考えをお聞かせください。

棚橋委員長 これは、野田委員御指摘のように、想定される対象団体の数が数千になるという点は私も同様の理解でございまして、当然、必要な数の登録政治資金監査人は確保しなきゃいけない。

 まずこれは、弁護士、公認会計士あるいは税理士の方々、とにかく御協力が必要ですから、いただいて、さらに、各党間で御協議の過程において、これらの団体からも意見を聞いた上でこの登録政治資金監査人の仕組みを設けるものとしたというふうに聞いております。

 基本的には、必要な数の登録政治資金監査人が確保できるのではないかと私は思っておりますが、当然のことながら、今、野田委員が御指摘のようなことになってしまえば非常に問題が生ずるわけですので、政府においても必要な周知、広報活動を行っていただくと同時に、登録政治資金監査人に対する研修の回数あるいは方法、こういったものを工夫していくことによってこの懸念を晴らしていきたいというふうに考えております。

野田(佳)委員 委員長のおまとめのように、これはやはり周知徹底というのが大事だと思いますし、政治資金登録監査人というのは弁護士、公認会計士、税理士ということでありますが、そういう団体に、こういう制度が発足をする、その趣旨とスケジュール等を含めて、きちんとした周知徹底をお願いしたいと思います。

 加えて、一月一日から施行ということでありますが、関係する政治団体についてもきちんと周知を徹底するようにお願い申し上げて、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 今回、政治資金規正法の改正案がこの委員会で起草されまして審議をされる、大変感慨無量な思いがいたします。

 参議院選挙がありまして、国民からやはり政治と金についてしっかりすべきである、こういう審判を真摯に受けとめさせていただきまして、我が党といたしまして、八月の七日、党の政治改革本部におきまして、政治資金につきましては一円以上すべての支出の領収書を公開すべき、こういう方針を立てさせていただいたわけでございます。

 そして、九月の二十五日、自公連立政権の合意、この中におきまして、「政治資金については、一円以上の全ての支出に領収書等添付を義務付け、その公開のあり方については、」「内外の意見を十分に勘案して具体的な成案を得るべく政党間において協議し、今国会で成案を得ることを目指す。」こういう文言を盛り込ませていただいたわけでございます。

 それを受けまして、十月一日から、武部自民党党改革実行本部長、そして我が党の東公明党政治改革本部長を中心にいたしまして政治資金の透明化に資するプロジェクトチームを発足させていただいたわけでございます。ここで六日間、七回議論をさせていただきまして、あるときは三時間、あるいは五時間に及ぶこともあったわけでございますけれども、本当に自公で真剣な議論をさせていただきました結果、十月の十二日、すべての支出の領収書等を公開する、こういう基本方針が合意をされ、そして、自公でそれぞれ骨子案をつくりまして、やはりこの政治と金という問題はすべての国会議員自身の問題である、こういう共通認識に立ちまして各党国会対策委員長に働きかけをして、そして、各党国会対策委員長のもとに政治資金規正法に関するワーキングチームを発足したわけでございます。

 そして、ただいま御質問されました野田佳彦党の政治改革推進本部事務局長、武部党改革実行本部長、我が党の東政治改革本部長が三座長となりまして、六党で議論を精力的にしたわけでございます。八回議論をさせていただきまして、二時間半に及ぶこともございました。国対委員長会談も三回いたしまして、その結果、本日の委員会における起草、そして審議となった次第でございます。

 私も、この自公のプロジェクトチーム、あるいは六党のワーキングチームのメンバーとして議論をさせていただいた次第でございます。

 その中で、今回、何といいましても、一万円超につきましては通常の情報公開請求に基づいてすべてを公開する、そして、一万円以下につきましても情報公開法に準じてすべて原則として公開する、こういう仕組みができたというのは大きな前進であろう、こう思うわけでございます。また、弁護士、公認会計士、そして税理士が政治資金適正化委員会に登録されて、研修も受けて、そして領収書の原本も含めてしっかりチェックする、こういう外部監査の仕組みができたということも大きいことであると思います。そしてさらに、インターネットにより収支報告書を公開する、プリントアウトもできるという形で、国民の監視、アクセスというものが本当に容易になるように今回改革させていただいたということも特筆すべきことだ、こう考えておるわけでございます。

 そういう中で、来年一月一日から施行ということになりますと、まず、来年、通常国会でこの適正化委員会の委員を国会の議決による指名に基づいて総務大臣が任命していただくことになります。そして、二十年の四月一日から適正化委員会が立ち上がる、こういうことになるわけでございますけれども、その後の法実施のためにスケジュールが間に合わなくなるおそれがあるということを考えますと、この政治資金適正化委員会の体制整備の見通しはどうかということをまず大臣にお伺いしたい。これが一点。

 それから、今回の法改正によって政治資金適正化委員会には十五人規模の事務局が、収支報告書の審査、それから情報公開の、これは墨塗りも含めて、こういうことをやっていかなきゃいけない、それには百人規模の定員と予算が必要となると見込まれております。また、提出される収支報告書や領収書の写しなどを保管するスペース、そして執務等の部屋なども確保する必要がある。これらについて、政治の信頼回復のためにどうしても必要ないわば民主主義のコストである、こういうふうに考えておって、国対委員長からも申し出があったというふうに伺っておりますけれども、他の業務執行に支障が生じないように別枠でこの措置もすべきである、こういうふうに考えておるわけでございます。

 この大きく二つの問いにつきまして、大臣より御所見をお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、大変重要な役割を果たします政治資金適正化委員会の体制整備の関係でございますが、これは来年の四月から直ちにその任務を的確に全うすることができるように早急に体制整備を図る必要があると考えておりまして、委員の方々の関係については国会の方での議決による指名ということですので、それを待ちたいと思いますが、特にお話がございました事務局体制、これについては、実は、この法案は成立するであろうということで、今、内々に中で検討してございます。また、そういった事務局体制をきちんと整備いたしまして直ちに活動できるようにしていきたい、このように考えております。

 それから、あと、そのほかさまざまな仕事が、この政治団体の方もそうですし、私どもの方にも新たに出てくるわけでございますが、これはしかし、政治の信頼回復のための今回の重要な法律ということでございまして、まさに通常の行政コストとは異なる特殊なもの、今先生の方からございました民主主義のコストと言いかえてもいいかと思います、そのことであろうと思います。

 ですから、体制、人の問題、それからスペースの問題、いろいろございますが、一方でそのところについてはコストをできるだけ削減する、合理化するといったような努力は最大限講じつつ、しかし、人的、物的体制をしっかりと整備して今後の準備に遺漏のないようにしていきたい、こういうことで、まず順番としては、委員会の事務局等、それからその次に全体のいろいろな審査をする体制の整備等、順番をきちんと決めまして確実に実施をしていきたい、このように考えております。

大口委員 今回の法改正で、国会議員の関係政治団体として、国会議員の被推薦書で租特による寄附金控除を受けている政治団体を対象としているわけでありますが、国会議員自身が必ずしもそのような政治団体を把握しているとは限らないのが現状であります。ある方は百五十団体あると言われて、そんなにあるのかなと言う方もいらっしゃいます。

 今回、寄附金控除という税の優遇を受けている団体を国会議員関係政治団体とすることとしたことから、国会議員自身が認識しているものに限って対象とする必要があり、そのために国会議員自身からの政治団体に対する通知という仕組みを入れることとしていますが、今後、国会議員自身の認識と現在寄附金控除を受けている政治団体とのギャップをどう埋めていくのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 確かに、お話のとおり、国会議員の先生方が全部を把握していない場合もあるわけでございますので、ギャップが生じられるというのは十分考えられます。そこで、従来の被推薦書に記載はございますが、あれにかえて今回通知ということになってございますので、まず国会議員の皆さん方やあるいは各政治団体にこうした改正の趣旨を徹底的に周知徹底をするということが必要でございます。

 私どもも、これについては政令を改正してきちんと措置をするということは検討したいというふうに思っておりまして、あと周知ですね、こういうやり方に変わりますという周知を徹底したい、こういうことで考えてございます。

大口委員 時間が参りましたので、これからまたさらに対象政治団体を拡大する、あるいは政党交付金の問題等議論がございます、とにかく政治と金につきましては引き続き絶え間ない改革をしてまいることをお誓いして、質問を終了させていただきます。

 本当にありがとうございました。

棚橋委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 政治資金規正法の改正に関する各党の協議が行われまして合意事項というのがまとめられたわけですが、私もこれに参加しておりました。ただ、この内容については、私ども日本共産党としては同意できないという立場を表明しております。

 先ほど委員長がこの法案の発議を行われましたけれども、全党が一致しているのであればこの法案は委員長が提案し委員長がお答えになるというのはいいと思いますが、しかし、そうではないわけで、この法案をつくった方々が議員提案をして質問にも答えるというのが筋だと思うんです。私は、一番詳しいのは武部さんだと思いますので、武部さんに来てもらって御答弁をいただくというのが一番いいと思っていますけれども。

 まず、このやり方について、委員長の見解をお聞きしておきたいと思います。

棚橋委員長 これは委員長提案ということについてでございますか。(佐々木(憲)委員「はい」と呼ぶ)

 この法律改正につきましては、今佐々木委員がまさにおっしゃったように、これまで各党間で大変長く、しかも熱心な御協議をしていただいておりましたというふうに理解しております。その上で今般の内容にまとまったものと伺っておりますが、それを踏まえた上で先ほどの理事会におきまして委員長提案とするように決せられたというふうに理解しておりますので、どうかその点御理解をいただければと思います。

佐々木(憲)委員 私は、やり方としては、全党一致の場合はそれでよろしいと思いますが、異論を持っておりますので、その旨表明しておきたいと思います。

 さて、そこで内容ですけれども、この合意文書に入っていないものが法案要綱として出されて法案化されているところがあります。例えば、収支報告書の公開の仕方や要旨の扱いなどについて新しい内容が盛り込まれているわけです。これは総務省がいろいろ言われたというふうに言われていますけれども、事実ですか。

久元政府参考人 今回の法律改正につきましては、これは各党間で合意されて今提案されているところでございますが、私どもも、実務者の間の協議には担当者が出席をさせていただきまして、実務的観点からの、つまり、現在の収支報告の状況、あるいは公表の関係がどういうふうになっているのかという実務の観点から現状なりを説明させていただいたという事実はございます。

佐々木(憲)委員 具体的にお聞きしますけれども、法案では収支報告書の公表期限を十一月三十日までに行うとなっているわけですね。これまでは九月三十日までとなっていたわけです。なぜ二カ月もおくらせるのかという問題があります。

 要旨公表のかわりにインターネット公表ができるとされていますし、要旨の作成の手間もかからない、監査人のチェックも済んでいる、こういう状況であれば、たとえ五月に提出されても、それを公表するのは直ちにできるはずだと私は思うんです、やる気になれば六月でも七月でも。その点、どうして十一月になったのか、総務大臣の見解をお聞きしたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 確かに今回の法案でインターネット利用等が規定もされているわけでございますけれども、やはりこの提出された収支報告書につきましては収支公開の正確性が大変重要でございますので、そうした正確性が損なわれないように、これまでどおり形式審査というものを尽くす必要があるというふうに考えております。こうした形式審査ということをさせていただきますためには、報告書の提出から公表までにやはり一定の時間というものが必要でございますので、この点についてお考えいただきたい、御理解いただきたいというふうに思います。

 それから、その際でございますが、一件一万円を超える支出に関して明細を記載することとされておりますので、これによりまして具体的な記載項目というのも大幅に増加をしてございます。そういったこともございますので、形式審査でございますけれども、これにも相当の時間がかかってくるであろう、このように見込まれておりますので、この点につきましても御考慮いただく必要があるというふうに考えてございます。

佐々木(憲)委員 正確性が損なわれないようにと言いますけれども、登録監査人の監査は終わっているわけですからね。正確なものを出すということで登録監査人が監査をするわけでありまして、その上に形式審査というのはほとんど必要ないじゃないかという議論がこの間の各党協議の中で行われたわけです。

 そういうことをぜひ踏まえて、この公表は十一月にとらわれず、その前にも公表できると。十一月までにですから、前に公表しても別に構わないわけでありますが、そういうことで検討していただきたいというふうに思います。大臣、いかがですか。

増田国務大臣 こちらの方も、きちんと法律を執行するという意味で心配な点もございまして、正確性についても、形式審査でございますけれども、きちんとその内容を審査したいという考えもございまして、いろいろございますが、ただ、スピーディーに公表するという、この一般の要請もあることは十分踏まえておきたいというふうに思います。

佐々木(憲)委員 もう一つは、報告書の保存ですけれども、これは三年にすぎないわけですね。例えば十年前にさかのぼって知りたいという場合、官報に要旨が載っていれば、今は載っているわけですけれども、それは可能となるわけですね。その意味でも、官報への要旨の公表というのはやはり必要ではないかと思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 この公表については、まだ法律が成立しましてからその段階に行くまでに少し時間がございますので、こういった、現在の官報による要旨の公表、それが持っている意義ということもあると思いますし、それがなくなった場合の影響、それから我々の方の事情でいえば事務量というものも勘案する必要がございますが、そうしたことを勘案しながらこの点について検討したいというふうに思ってございます。

佐々木(憲)委員 次に、登録監査人という制度をつくって収支報告書の監査をするということになりますが、私たちは、国民の前への収支の提示、そして国民がそれを監視するというのが基本だと思っているんです。したがって、何か途中で監査をするようなことは必要ない、そのまま公表すればいいというふうに思いますが、監査というのは何のために必要なのか、この点、委員長に確認したいと思いますが。

棚橋委員長 佐々木委員御指摘のように、政治活動の公明と公正を確保するためには、政治団体の収支を広く公開し、国民の不断の監視のもとに置くことの重要性、これは全く御指摘のとおりだと思います。

 ただ、同様に、登録政治資金監査人という、今回新たに設ける第三者による政治資金監査を受けることによって政治資金の収支報告の適正化を図ることも重要なものだということを今回各党間の御協議の中で議論していただいて、それを経た上で国会議員関係政治団体の支出については登録政治資金監査人による政治資金監査を行うこととしたというふうに思っておりまして、そのような考え方によるものだというふうに私は承知しております。

佐々木(憲)委員 適正な報告書と言うんですけれども、そもそも、一円から領収書が公表されるわけですね。監査の内容といいますと、会計帳簿と領収書を突き合わせる。だから、それほど高度な専門的知識が必要なわけではないわけですね。そういう監査をわざわざ弁護士ですとか公認会計士にやらせる必要があるのかどうかという問題があるわけです。しかも、新しい制度までつくって、予算もかなりかける。これは、行革からいうと、行革に反するんじゃないか、無駄遣いになるんじゃないか、結局お墨つきを与えるだけになるんじゃないかというふうに私は思うんです。チェックが甘いとなると、ではもっと厳しくしろ。そうなると、政治活動に対する介入というようなことにもなりかねない。

 やはり、今委員長もおっしゃいましたように、政治資金規正法の趣旨というのは、収支を国民に公表することだというふうに思うんですね。そういう点からいうと、入りの面の企業献金、あるいは政党助成金、そういうやり方が問題になってくるわけでありまして、やはり入りの面を問題にすることが必要だと思うんですけれども、今回なぜそれを問題にしなかったか、お聞きしたいと思います。

棚橋委員長 これにつきましては、各党間の御協議をいただいた結果、今般の政治資金規正法改正に当たっては、支出の面に限って法改正を行うことで合意されたというふうに承知しております。

佐々木(憲)委員 私は、一番大事なことは、入りの面で国民のチェックがきちっと行われるかどうか、そこが一番大事だというふうに思っております。

 もう一つ、政党助成金の問題ですけれども、先ほども自民党の側から指摘がありましたが、一円以上の支出の公開、これは最初は自民党も公明党もやると言っていたわけです。それが協議の中で、何か一致しないというような話が自民党側から最終的に突然言われまして、これは先送りというふうになったんです。私は、こんなことはすぐやるべきじゃないのかと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。

棚橋委員長 政党助成法の関係でございますか。(佐々木(憲)委員「はい」と呼ぶ)

 これもまた佐々木委員御承知のとおり、各党間の御協議の結果で、政党助成法の改正については、今国会中という御意見もあったと伺っておりますが、次国会以降検討するということになったというふうに承知しております。

佐々木(憲)委員 終わりますが、本来、公表して国民の監視のもとに置くというのが基本だということであります。法案では、適正化委員会を設置して、登録監査人をつけて収支報告書をチェックすると。これは、人も金もかけて異質なものを持ち込むことになると私は思います。また、本来やるべき入りの面での規制も先送りされております。政党助成金の公開の問題もまだ問題点があります。こういう点で、私ども日本共産党としては、この法案には賛成できない、反対だという立場を表明しておきたいと思います。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。

 この間、政治資金規正法改正について六党の協議が重ねられてきました。私もワーキングチームのメンバーとして協議に参加させていただきましたが、取りまとめに当たった各党担当者の皆さんには私からも敬意を表しておきたいと思います。

 いわゆる事務所経費をめぐる問題は、国民の政治に対する信頼を大きく損ねました。今回の法改正、必ずしも私ども社民党の考え方と全部一致しているわけではありません。しかしながら、この国会で何らかの対応を決めなければますます国民の信頼を失うと考え、政治資金の透明化が一歩前進するという立場で賛成するものといたしました。

 そこで、今回の政治資金規正法改正案について大臣の御意見を伺っていきたいというふうに思います。

 今回の法改正案で、国会議員が関係する政治団体は、すべての支出について領収書を三年間保存することが明記されました。刑事訴訟法の時効に合わせれば三年ということになりますが、この間の事務所経費でいえば、長期間にわたる不明朗な会計が後で発覚するケースがほとんどなわけですから、刑事訴訟法ではなく刑法の時効期間に合わせて五年間程度領収書を保存すべきだと私どもは主張してまいりました。

 今回、三年間ということになりますが、議員は国民にきちんと説明を果たせるよう在職期間中の領収書を保存するくらいの覚悟が必要だと思いますが、総務省の考え方をお聞かせください。

久元政府参考人 現行の政治資金規正法では、領収書等の原本については、会計帳簿などとあわせて、政治団体の会計責任者において収支報告書の要旨が公表された日から三年間保存することとされているところであります。これは、収支報告書が閲覧に供される期間は、その収支報告書の基礎となる会計帳簿や領収書等をその政治団体の会計責任者において保存していただくことによりまして、収支報告書の誤りなどの発見に伴う遡及調査を可能にすることが政治資金の真実性の確保につながると考えられるためであると存じます。

 今回の法改正に向けた六党間の協議の過程におきましては、御指摘のような御意見はあったというふうに承知しておりますけれども、結果としては、現行の三年間に据え置かれたと承知をしております。

 いずれにいたしましても、国会議員関係政治団体等の領収書等の保存期間、この問題につきましては、政党その他の政治団体の活動のあり方と密接に関連する事柄でありますので、各党各会派におきまして御論議いただくべき問題かというふうに考えております。

菅野委員 次にお伺いしますけれども、政治家が一人で幾つもの政治団体を抱えているケースが見受けられます。その一つ一つが適正に情報公開したとしても、国民にはどの政治団体がどの国会議員に関係しているのかわからないわけです。したがって、社民党は政治家が関係する政治団体について資金の流れの全体像が明らかになるよう連結一括公開するよう求めてまいりましたが、この考え方について総務省の見解をお聞かせください。

久元政府参考人 政治資金規正法上、収支報告書の提出先は、その政治団体の活動範囲によりまして都道府県の選挙管理委員会と総務大臣に分かれているところであります。

 今回の法改正に向けた六党間の協議の過程におきましては、国会議員関係政治団体については提出先を総務大臣に一元化すべきである、こういう御意見があったと承知しておりますけれども、結果として、これまでどおり都道府県選管または総務大臣に提出することとされたものと承知をしております。

 いずれにいたしましても、今回の改正は、国会議員関係政治団体の政治資金の透明性の向上に資するものでありまして、総務省といたしましては、先ほど来大臣からの答弁がありますように、その確実な施行をきちんと図ってまいりたいと存じております。

菅野委員 都道府県選管と総務大臣という二通りの方法があるということなんですが、私は、都道府県選管に提出されたものも総務省に集めて、そして都道府県選管と総務省が両方で公開するという仕組みはできるというふうに思っています。いずれこのことは議論されて、今回は今の法律案にまとまったわけでありますから、その経過というものは私も知っているつもりです。ただ、連結一括公開という道は私は追求していきたいと思いますし、三年後の見直し規定もあるわけでございますから、ぜひその部分に向かって総務省としても私は鋭意検討を加えていただきたい、強く要求しておきたいというふうに思います。

 そして、今回の改正は、いわゆる政治資金の出の部分に限定して議論されてきました。しかし、防衛商社の山田洋行が公表義務のない二十万円以下のパーティー券を購入し続け便宜供与を求めてきたように、政治資金の入りの部分の透明化が求められているのは明らかです。パーティー券の公開基準の引き下げ、献金を受領できる政党支部数の制限、公共事業受注企業からの献金の禁止など、早急に私は着手すべきだと思いますが、大臣、この考えをお聞かせください。

増田国務大臣 いわゆる入りの部分についての先生のお話かというふうに理解をしてございますが、今回、六党の各会派で真摯にこのような形で議論をされて、大変詳細な改正項目をまとめられたということでございます。そして、その六党の皆さん方の議論の過程で、今議員のお話にございましたような点につきましては、また今後さらにいろいろ御検討されるということも私ども伺っております。したがいまして、こうしたいわゆる入りの部分に対しての見直しについては、政党あるいは政治団体の活動のあり方と大変密接に関連することでございますので、ぜひこの点についてはやはりまず各党各会派の話でお決めいただければというふうに思っておりますけれども、そうした経緯ということも私ども十分尊重したいと思いますし、まずはこの改正法のしっかりとした施行ということに万全を期したいと考えております。

菅野委員 大臣、各政党、各会派の議論にゆだねるということも一つの手法だというふうに思います。ただし、総務省が所管している政治資金規正法の趣旨からして、矛盾点が生じてきたときには総務省がリーダーシップを発揮して改正に向かっていくという一つの流れもつくるべきだ、私はこのことを主張しておきたいというふうに思います。

 最後になりますけれども、今回、政治資金適正化委員会を設置して、登録政治資金監査人が対象になっている政治団体を監査することになりました。第三者機関が政治資金をチェックすることに真っ向から反対するわけではないんですが、政治活動や組織のあり方について過度に介入したりすることは政治活動の自由という観点から防止しなければならないと私どもは考えています。

 改正案では守秘義務が課せられていますが、情報流出や介入を防止する厳格な手だてが必要だというふうに思うんですが、政治資金適正化委員会がこれから基本方針なり登録政治資金監査人に関する事項を決めていくわけでありますから、政治活動の自由ということと監査のあり方、適正化委員会に過度の権限を与えるということは避けなければならないと私どもも考えているわけです。

 このことについて見解があれば示していただきたいというふうに思いますし、今後の適正化委員会の議論の中でしっかり政治活動の自由という観点も議論していただきたいと思うんですが、コメントがあれば答弁願いたいと思います。

増田国務大臣 お話の御趣旨、十分わかりました、受けとめさせていただきたいと思います。適正化委員会の方にもこうした議論をお伝えしておきたいと思いますし、それから、何といいましても、今回、こういう委員会を設置する、それから登録政治資金監査人制度を設けるという、この制度の趣旨を関係者みんなに十分周知徹底をする、理解していただくということは大変大事でございますので、このことに相努めたいと考えております。

菅野委員 終わります。

棚橋委員長 これにて発言は終了いたしました。

 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。増田総務大臣。

増田国務大臣 衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長提出の政治資金規正法の一部を改正する法律案につきましては、政府としては特に異議はございません。

棚橋委員長 お諮りいたします。

 政治資金規正法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

棚橋委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十四分散会


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