衆議院

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第2号 平成21年7月2日(木曜日)

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平成二十一年七月二日(木曜日)

    午後一時三十九分開議

 出席委員

   委員長 河本 三郎君

   理事 下村 博文君 理事 菅  義偉君

   理事 中馬 弘毅君 理事 原田 義昭君

   理事 井上 義久君

      井脇ノブ子君    伊藤 忠彦君

      猪口 邦子君    浮島 敏男君

      江渡 聡徳君    小里 泰弘君

      小野 次郎君    越智 隆雄君

      大高 松男君    大塚  拓君

      木原  稔君    北村 茂男君

      菅原 一秀君    土井  亨君

      土井 真樹君    永岡 桂子君

      西本 勝子君    萩原 誠司君

      福田 峰之君    藤野真紀子君

      船田  元君    松本 文明君

      村田 吉隆君    安井潤一郎君

      山内 康一君    渡部  篤君

      大口 善徳君    佐藤 茂樹君

      佐々木憲昭君    菅野 哲雄君

    …………………………………

   議員           近江屋信広君

   議員           後藤田正純君

   議員           土井 真樹君

   議員           葉梨 康弘君

   議員           村田 吉隆君

   議員           大口 善徳君

   議員           佐藤 茂樹君

   総務大臣         佐藤  勉君

   衆議院庶務部長      向大野新治君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           門山 泰明君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 甲斐 行夫君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    荒井 英夫君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     菅原 一秀君

  稲田 朋美君     西本 勝子君

  浮島 敏男君     大高 松男君

  小里 泰弘君     江渡 聡徳君

  木原 誠二君     安井潤一郎君

  棚橋 泰文君     山内 康一君

  土井  亨君     北村 茂男君

  藤野真紀子君     井脇ノブ子君

  高木 陽介君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     藤野真紀子君

  江渡 聡徳君     小里 泰弘君

  大高 松男君     浮島 敏男君

  北村 茂男君     土井  亨君

  菅原 一秀君     伊藤 忠彦君

  西本 勝子君     稲田 朋美君

  安井潤一郎君     小野 次郎君

  山内 康一君     棚橋 泰文君

  大口 善徳君     高木 陽介君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     猪口 邦子君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     木原 誠二君

    ―――――――――――――

六月二十五日

 政治資金規正法等の一部を改正する法律案(岡田克也君外五名提出、衆法第三四号)

七月二日

 政党助成法の一部を改正する法律案(葉梨康弘君外二名提出、衆法第二七号)

は本委員会に付託された。

三月三十日

 公職選挙法の一部を改正する法律案(第百七十回国会衆法第三号)の提出者「村田吉隆君外五名」は「村田吉隆君外四名」に訂正された。

六月三日

 永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権の付与に関する法律案(第百六十三回国会衆法第一四号)の提出者「井上義久君外一名」は「冬柴鐵三君外二名」に訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法の一部を改正する法律案(村田吉隆君外四名提出、第百七十回国会衆法第三号)

 政党助成法の一部を改正する法律案(葉梨康弘君外二名提出、衆法第二七号)


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     ――――◇―――――

河本委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ち、民主党・無所属クラブ及び国民新党・大地・無所属の会所属委員に出席を要請いたしましたが、出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請させますので、しばらくの間お待ちをいただきたいと思います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河本委員長 速記を起こしてください。

 再度御出席を要請いたしましたが、民主党・無所属クラブ及び国民新党・大地・無所属の会所属委員の出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。総務大臣佐藤勉君。

佐藤国務大臣 総務大臣を拝命いたしました佐藤勉でございます。

 当委員会の皆様方には、かねてから格別の御高配にあずかっていることに対しまして、この機会に厚く御礼を申し上げます。

 選挙が民主政治の基盤をなすものであることを考えますとき、選挙制度や政治資金制度を所管する総務省の大臣として、その責任の重大さを痛感しております。

 私といたしましては、今後とも、公正かつ明るい選挙の実現に向けて最大限の努力を重ねていく所存でありますので、何とぞ御指導のほどよろしくお願いを申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

河本委員長 次に、第百七十回国会、村田吉隆君外四名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び本日付託になりました葉梨康弘君外二名提出、政党助成法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 提出者より順次趣旨の説明を聴取いたします。村田吉隆君。

    ―――――――――――――

 公職選挙法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

村田議員 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党並びに公明党を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本文に入る前に、本日この倫選特におきまして、民主党並びに国民新党の委員が欠席をされたということは、私ども大変に遺憾に思っております。みずから提出された政治資金規正法の改正案について、答弁者が出席せず、かつまた委員が出席しないというのは、みずからの提出した法律案について説明する機会を返上するのみか、今最大の問題となっている鳩山献金問題を中心にこの委員会で質疑をしなければいけない時期にあるときに、私どもとしては大変遺憾な思いでこの審議に入りたいと思っております。

 公職選挙法は昭和二十五年に制定され、その後累次の改正を経て今日に至っていることは、各位御高承のとおりでございます。

 しかしながら、その骨格部分は、大正十四年の男子普通選挙導入時の枠組みを維持しており、今日の社会経済情勢、国民意識の成熟、候補者意識の変化などを十分に反映しているとは言いがたいことから、選挙運動規制のあり方を見直す必要があるとの声が強いように思われます。

 今回の改正は、このような考え方を基本としつつ、近年における選挙の実情にかんがみ、選挙運動用自動車の規格制限の緩和及び簡素化等、候補者の選挙運動用ポスターの規格の統一、選挙運動費用収支報告書の提出期限の延長等、供託金の額及び没収点の引き下げ並びに投票した旨を証する書面の交付の禁止を図ろうとするものであります。

 本法律案の主な内容は、第一に、選挙運動用自動車の規格制限の緩和及び簡素化等についてでありますが、公職の候補者が選挙運動のために使用することができる自動車については、現行公選法上、複雑な車種制限、構造制限があり、規制の緩和と簡素化を図る観点から、その規格を、すべての選挙について、乗車定員十人以下で車両総重量五トン未満とすることといたしております。

 また、選挙運動のために使用される自動車または船舶に取りつけて使用することができる文書図画についても、現行法上、ポスター、立て札及び看板の類並びにちょうちんの類一個に限られており、規格の制限も設けられていますが、その規制を撤廃することといたしております。ただし、ネオンサイン、電光による表示など、映写等の類を掲示することは引き続き禁止することといたしております。

 第二に、候補者の選挙運動用ポスターの規格の統一についてでありますが、公職の候補者の選挙運動用ポスターについては、現行法上、衆議院小選挙区、参議院選挙区及び都道府県知事の選挙において、公職の候補者が公営掲示場に掲示することができる選挙運動用ポスターは、長さ四十二センチ、幅四十センチ以内、このうち長さ四十二センチ、幅十センチは個人演説会告知用ポスターとされている一方、参議院名簿登載者、都道府県議会議員や市町村の選挙における選挙運動用ポスターは、長さ四十二センチ、幅三十センチ以内とされ、規格が異なっています。

 そこで、公職の候補者が使用する選挙運動用ポスターの規格を、個人演説会の告知の記載の有無にかかわらず、長さ四十二センチ、幅四十センチ以内に統一することといたしております。これに伴い、個人演説会告知用ポスターを廃止することといたしております。

 第三に、選挙運動費用収支報告書の提出期限の延長等についてでありますが、現行法上、出納責任者は、選挙の期日から十五日以内に第一回目の選挙運動費用収支報告書を選挙管理委員会に提出しなければならないとされています。しかし、会計帳簿の整理や領収書の整理等に相当の時間を要しているのが実態であり、また、光熱水費など期間内に請求書が送付されない場合もあります。

 そこで、正確な報告書の提出、公表の観点から、この提出期限を、選挙の期日から三十日以内に延長することといたしております。

 また、平成十九年の政治資金規正法改正により、政治資金収支報告書に添付すべき領収書等の写しが「複写機により複写したものに限る」とされたことを踏まえ、選挙運動費用収支報告書に添付すべき領収書等の写しについても、複写機により複写したものに限ることといたしております。

 第四に、供託金の額及び没収点の引き下げについてでありますが、現行法上、選挙に立候補する場合には、町村の議員の選挙を除き、法定の額の供託金を供託しなければならないこととされており、選挙の結果一定の得票数を得られなかった候補者や政党は供託金を没収されることとなっております。このような供託金制度には、選挙公営による候補者に対する公費投入がある以上、単なる売名目的の候補者の乱立を防ぐという合理性がありますが、近年における国政選挙の実態を見ると、公職選挙法、政治資金規正法における政党要件を満たす政党の届け出候補者であっても、多くの候補者が供託金を没収されているという実態があります。

 そこで、こうした実態と制度の趣旨を踏まえ、国政選挙における供託金の額及び没収点を引き下げることといたしております。

 まず、供託金の額の引き下げについてでありますが、衆議院小選挙区選出議員選挙の供託金の額を、候補者一人につき、現行三百万円から二百万円に引き下げるとともに、衆議院比例代表選出議員選挙の供託金の額を、衆議院名簿登載者一人につき、現行六百万円から四百万円、重複立候補者については、現行三百万円から二百万円に引き下げることとしております。また、参議院選挙区選出議員選挙の供託金の額を、候補者一人につき、現行三百万円から二百万円に引き下げるとともに、参議院比例代表選出議員選挙の供託金の額を、参議院名簿登載者一人につき、現行六百万円から四百万円に引き下げることとしています。

 次に、供託金の没収点の引き下げについてでありますが、衆議院小選挙区選出議員選挙の供託金の没収点を、現行の有効投票総数の十分の一から二十分の一に引き下げるとともに、参議院選挙区選出議員選挙の供託金の没収点を、現行の通常選挙における当該選挙区内の議員定数をもって有効投票総数を除して得た数の八分の一から十六分の一に引き下げることとしています。

 第五に、投票した旨を証する書面の交付の禁止等についてでありますが、現在、市町村において、投票者に対して投票したことを証する投票済証、投票済証明書等の書面を交付しているところがあり、特定の団体等によっては、構成員等に対して当該書面の提示を求めるなど、いわゆる駆り出し投票の手段として使用したりするなど、当該書面が悪用されているとの意見があります。

 そこで、投票した旨を証する書面の悪用を未然に防止する観点から、市町村の選挙管理委員会及び投票を管理すべき者は、投票した選挙人に対し、当該選挙人が投票した旨を証する書面を交付してはならないこととするとともに、市町村の選挙管理委員会及び投票を管理すべき者は、選挙人に対し当該書面以外のものを交付する場合においては、これが当該選挙人が投票した旨を明らかにするものとなることがないようにしなければならないことといたしております。

 第六に、施行期日等についてでありますが、この法律は、公布の日から施行することといたしております。ただし、第一及び第二につきましては、一定の周知期間を置く必要があるため、公布の日から一月を経過した日から施行することとしています。

 また、新法の規定は、それぞれ施行日以後に公示または告示される選挙から適用することといたしております。

 以上が、本法律案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ、慎重にかつ早期に審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。

河本委員長 次に、葉梨康弘君。

    ―――――――――――――

 政党助成法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

葉梨議員 ただいま議題となりました政党助成法の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党及び公明党を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 現行政党助成法では、政党の解散時に政党交付金の残額があった場合には、合併等による解散のケースで後継政党に引き継ぐ場合を除き、その残額を国庫に返納することとなっております。これは、政党交付金が国民の税金を原資とするものであることから、当然のことであります。

 しかしながら、政党が解散の直前に政党交付金の残額を他の政治団体等に寄附することにより、いわば返納逃れをするという、法の趣旨を没却する事態が現実に起こったとの指摘があります。こうした返納逃れのような脱法行為を防止するためには、政党が解散を決定した日後は、政党交付金による支出として寄附をすることができないこととする必要があります。

 以上が、この法律案を提出した理由であります。

 この法律案は、去る四月三十日本院に提出、早期の審議入りを求めてまいりましたが、民主党の反対により委員会付託の合意が調わず、ようやく本日、議院運営委員会での採決により本委員会に付託されました。

 政治家が税金を原資とする政党交付金のいわゆる返納逃れ行為を行うことは、政治に対する国民の信頼を著しく損なうものであり、我々としては一刻も早い審議入りを望んでおりました。法案提出後二月以上もこの法案をたなざらしにし、政治への信頼回復の議論を拒んできた民主党の諸氏に対しては、おりませんが、法案提出者として、猛省を促したいと考えます。

 そして、本委員会付託が実現した以上、法案の成立を期すため、法案提出者としては、本委員会の求めに応じ、積極的に法案についての説明を行う義務があり、私としてもその義務を全うしてまいりたいと考えております。

 一方、民主党からは、政治と金に関する法案が提出され、既に本委員会に付託されていると仄聞しておりますが、民主党の法案提出者自体が委員会での審議を拒否し、法案についての説明をなされないことは、民主主義政治の常識から見ると異常であり、民主党はみずから提出した法案を成立させる意思があるのか否か、疑念を挟まれてもいたし方ないものと考えます。

 私としては、一刻も早く民主党の方々が法案や民主党幹部の政治と金の問題について国会の場における説明責任を果たすことを望むものであります。

 次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。

 この法律案では、政党またはその支部は、政党が解散等を決定した日後は、政党交付金による支出または支部政党交付金による支出として寄附をすることは、国会議員の選挙に関し、候補者または候補者の後援団体に対して行われるものを除き、することができないものとしております。

 施行期日については、この法律は公布の日から施行することとしております。

 また、過去の寄附についてでありますが、政党またはその支部から改正後の政党助成法で制限されることとなる寄附を施行日前に受けた者が、当該寄附の金額に相当する金額の全部または一部を国庫に寄附する場合には、公職選挙法の寄附の禁止の規定を適用しないこととしております。

 以上が、本法律案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ慎重にかつ早期に御審議の上、御賛同賜りますようお願いを申し上げます。

河本委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

河本委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長門山泰明君、法務省大臣官房審議官甲斐行夫君及び国税庁課税部長荒井英夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江渡聡徳君。

江渡委員 自由民主党の江渡聡徳でございます。

 ただいま議題に上がりました法案へ質問する前に、どうしてもただしておきたいことがございます。

 今日、巨額な政治資金問題あるいは政治家のあり方を疑わせる行為など、まさに国民の視点と離れたところで政治と金の問題が生じております。このような時期に、民主党は、政治と金をめぐる不祥事の続発に対して、三年後の企業献金を廃止するということを打ち出し、法案を国会に提出されました。

 我々政治家が政治資金の透明化について議論をしていくということは大変意義のあること、そのように思っておりました。しかし、今まさに政治の自浄力を発揮しなければならないときにあって、民主党委員が本委員会に出席しないのは一体どういうことなのでしょうか。極めて遺憾なことであります。ましてや、民主党は、政治資金規正法の改正案を提案されているにもかかわらず、審議をボイコットするということはどういうことなのでしょうか。国民の政治への信頼を失わせる、大変悲しむべき行為であると厳重に抗議をしたいと思っております。

 そこで、質問通告をしておりませんけれども、本日、民主党さんのこのような行為に対して、大臣がおいでになっておりますものですから、大臣、いかなる御感想をお持ちでしょうか。

佐藤国務大臣 大変恐縮でございますけれども、まことに残念であろうというふうに申し上げたいと思います。政治資金の透明性を確保するための制度を議論することは重要であると考えておりまして、各党各会派で十分御論議をいただきたいというふうに思っております。

江渡委員 大臣もそのような思いを持っておられる。まさに、きょうここにおいでの各党委員の方々、同じ思いではないのかなというふうに思っております。ですからこそ、民主党の方々には一刻も早く出ていただきたい、そしてしっかりとした審議をしていただきたい、そのように思っております。

 このように民主党党首が相次いで政治と金の疑惑にまみれ、そして、こうした姿勢というものが、果たして、民主党の提出法案のように、真に透明化を図る目的で出された法案と言えるのかな、そのように私自身は疑問を持っているところであります。

 特に、今回の鳩山代表の政治資金管理団体、友愛政経懇話会の収支報告書の虚偽記載というものは、大変大きな問題と言えるわけであります。民主党の鳩山代表の資金管理団体が収支報告書を訂正したというふうに言われております。しかし、そもそも、この報告書というものは虚偽記載に該当するのではないのかな、そのように考えますけれども、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 総務省として個別の事案について具体的事実関係を承知する立場にはないので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、なお、政治資金規正法においては、故意または重大な過失によりまして収支報告書に記載すべき事項を記載しなかった者または虚偽の記入をした者については、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金に処する旨の定めがございます。

江渡委員 今大臣の方からお答えがあったように、政治資金報告書の虚偽記載を犯した者につきましては、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金に処するとされております。さらに、重大な過失によって虚偽記載の罪を犯した者についてもこれを処罰する規定が設けられておりまして、政治資金規正法の中でも大変重いものであるわけであります。

 長期間にわたって事実と異なる記載を放置してきた鳩山代表の責任というものは非常に重いものでありまして、また、言わずもがなのことでありますけれども、資金管理団体そしてまた政党支部の代表というものは政治家本人であるわけであります。領収書の多重使用は事務的なミスということで割り切れるものではないわけであります。秘書が独断でやったことと鳩山代表はおっしゃられておりますけれども、このことを私は素直に信じるわけにはいかないのであります。ましてや、党の問題ではなく個人の問題とおっしゃられていました。しかし、法案を出している政党の代表としての責任というものは非常に重いものではないのかな、このように私は考えています。

 特に、事実でない献金額が、調べの中でわかったものとして、鳩山代表が報告していますけれども、四年間で二千百万を超え、名義が使われた人は約九十人、そして百九十三件に上るわけであります。鳩山代表は、個人献金を多く見せるために経理担当秘書が操作をした、そのように説明をしているわけでありますけれども、なぜ、これだけ大がかりに、しかも構造的に虚偽記載をしなければならなかったのでしょうか。疑問は深まるばかりであります。

 鳩山代表は、虚偽の個人献金につきまして、経理担当者に任せていた、その任せていた普通預金から埋め合わせに使われた、原資はすべて鳩山氏個人の資金で、やみ献金ではないというふうにしているわけでありますけれども、では、普通預金から毎年四百万から七百万も勝手に秘書に使わせておいて、鳩山代表は、自分の個人通帳にもかかわらずチェックをしなかったのでしょうか。また、普通預金の金の入りというのは一体どうなっていたのでしょうか。幾らの預金が入っていたのか、本当にはっきりしないわけであります。疑惑はますます増すばかりであります。

 また、私自身、鳩山代表の個人献金を調べさせていただきました。

 平成十五年から平成十九年の五年間で総額約三億七千万に上り、国会議員の中でも突出して多いわけであります。修正前の平成十五年から平成十九年の収支報告書によれば、鳩山代表が集める個人献金は年間約五千五百万円から約一億一千万円で、与野党の代表クラスの政治家の資金管理団体と比較しても突出しているわけであります。また、匿名の小口献金である五万円以下のその他の献金は、平成十五年は約八千万、平成十六年は約四千六百万、平成十七年は約四千万、平成十八年は約三千七百万、平成十九年は約二千八百万と、平均しますと年約四千六百万に上るわけであります。

 そこで、私は総務省にお聞きしたいと思うんですけれども、民主党鳩山代表の資金管理団体の収支報告書で寄附者が明らかになっていない五万円以下の献金額は非常に多い、そしてまた大きいと考えるわけでありますけれども、その金額と個人献金全体に占める割合をお聞かせいただければありがたいと思います。またあわせて、与党の麻生総理、そしてまた公明党の太田代表の資金管理団体についていかがかということもお聞かせいただければありがたいと思っております。

門山政府参考人 お答えいたします。

 鳩山代表の資金管理団体であります友愛政経懇話会の平成十九年分の収支報告書を確認いたしましたところ、個人からの寄附金額でございますが、これが四千九百九十二万六千円でございます。そのうち、御指摘のございました五万円以下の寄附金額の合計額は二千七百七十九万一千円でありまして、割合といたしましては五五・七%でございます。

 あわせてお尋ねのございました麻生総理の資金管理団体でございますが、素淮会の平成十九年分の収支報告書を確認いたしましたところ、個人からの寄附金額は九千六百六十万円でございまして、そのうち五万円以下の寄附金額の合計は四百六十万円、割合にいたしますと四・八%でございました。

 さらに、公明党の太田代表の資金管理団体でございますビジョン21につきましては、これは東京都選挙管理委員会所管の政治団体でございますために、平成十九年分につきまして東京都選挙管理委員会に確認いたしましたところ、個人からの寄附金額は六千四百八十万円でありまして、そのうち五万円以下の寄附金額の合計は三百八十万円、その割合は五・九%との回答があったところでございます。

 なお、政治資金規正法上、政治団体が同一の者から年間五万円を超えて寄附を受けていた場合につきましては、寄附した者の氏名等につきまして当該政治団体の収支報告書に記載するとされているところでございます。

江渡委員 もしよろしければ、その前の年の平成十八年度、また前々年の平成十七年のことについてもお聞かせいただければありがたいなと思います。

門山政府参考人 お答えいたします。

 鳩山代表の資金管理団体であります友愛政経懇話会の平成十七年分及び平成十八年分の収支報告書を確認いたしましたところ、個人からの寄附金額でございますが、平成十七年分は六千六十九万八千円、平成十八年分は五千六百九十三万三千円でございまして、そのうち五万円以下の寄附金額の合計でございますが、平成十七年分が三千九百六十九万三千円、平成十八年分は三千六百八十二万五千円であります。割合につきましては、それぞれ、平成十七年分は六五・四%、平成十八年分は六四・七%でございます。

 それから、麻生総理の資金管理団体であります素淮会につきましては、平成十七年分、十八年分の収支報告書を確認いたしましたところでは、個人からの寄附金額、平成十七年分は七千百九十万円、平成十八年分は二千万円であります。そのうち五万円以下の寄附金額の合計は、平成十七年分は四百九十万円、平成十八年分はゼロ円となっております。割合につきましては、平成十七年分は六・八%、平成十八年分は、ゼロ円でございますので、ゼロ%でございます。

 さらに、太田代表の資金管理団体でありますビジョン21につきまして、東京都選挙管理委員会に確認いたしましたところ、個人からの寄附金額は、平成十七年は七千五十五万円、平成十八年分は五千七百二十万円であります。そのうち五万円以下の寄附金額の合計でありますが、平成十七年分は三百五十五万円、平成十八年分は二百九十万円でありまして、その割合といたしましては、平成十八年分は五・〇%、平成十八年分は五・一%という回答があったところでございます。

江渡委員 今お答えをいただいたわけでございますけれども、五万円以下ということで氏名がわからない、そういう寄附者のパーセンテージ、余りにも鳩山代表のパーセンテージというのは極端に違い過ぎるのではないのかなと思っております。個人献金全体の五五%から六五%も占めている。もしこの割合の方々の中身というものが虚偽のような場合であったらどうなのか、いろいろなことを考えさせられてしまうわけであります。

 そこで、民主党は、今後三年間で企業・団体献金を禁止し、個人献金を中心とするというような考えであるみたいですけれども、その民主党の鳩山代表みずからの個人献金に関してこのように国民が疑惑を抱いている状況、そういう中で、今後個人献金が果たして増加するのでしょうか。総務省はいかがお考えでしょうか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 済みません、その前に、一点訂正でございます。

 太田代表の個人献金のうち、五万円以下の金額の割合につきまして、十七年分五・〇%、十八年分五・一%と申し上げるべきところを、十八年、十八年と申し上げたようでございます。大変失礼いたしました。訂正をさせていただきます。

 ただいまお尋ねのございました、今後の個人献金の増加についてどう考えるかということでございますが、今後の見通しについてはなかなか難しいわけでございますけれども、直近三カ年の全政治団体に対します個人献金の推移というものを見てみますと、平成十七年分で約四百八億円、十八年分で三百六十九億円、平成十九年分で四百四十三億円というのがおおよその数字でございます。これをどう見るかということでございますが、直近ではこんな動きになっているということ。

 それからまた、制度といたしまして個人献金を奨励するために、個人が拠出する政治活動に関する寄附につきましては所得税の優遇措置が設けられているということで、基本的には増加のための措置がとられているということかと存じます。

江渡委員 今そのようなお答えをいただきましたけれども、やはりこのような形で国民に疑惑を持たれているような状況で果たして、私は、素直にふえていくような形はあり得ないだろうというふうに思っているところでございます。

 鳩山代表がこれだけ個人献金でいろいろ集められたということは、ある意味、鳩山代表の努力であり、また鳩山事務所の秘書の方々の努力によって多額に上ったというふうにも言えるわけでございますけれども、先ほど御指摘させていただいたように、どうしても納得がいかないというところがございます。

 また、鳩山代表が政治資金管理団体に毎年約九百万円の寄附、あるいは一千万円ぐらいの寄附をしておりますけれども、これらの事実ということも考えていきますと、どうしても、寄附の上限制限逃れとか、あるいは何らかの意図があって虚偽記載したのではないのかなというふうにも考えてしまいます。

 なぜならば、鳩山代表の所得等報告書によりますと、平成十五年五千七百三十五万円、平成十六年二千三百六十万円、平成十七年三千五百六十四万円、平成十八年三千十万円、平成十九年二千九百四十五万円となっており、その中から毎年九百万円の寄附、そしてまた、虚偽記載分の個人献金を四百万から七百万入れているということがあるわけであります。このような状況の中で、一体鳩山代表はどんな生活をしていたのかなと疑問に思ってしまうわけであります。

 今、鳩山代表のことについてこれだけいろいろな疑問があるわけでございますので、委員長、お願いがございます。民主党の鳩山代表の参考人招致、これを求めるものであります。政党代表者としてしっかり説明責任を果たしていただきたい、かように存じておりますけれども、委員長、お願いします。

河本委員長 後で理事会で協議します。

江渡委員 しっかりと理事会で協議していただいて、出ていただければありがたいなと思います。

 さて、一九八九年の十二月に「永田町下級武士たちの決起」という本が講談社から出版されております。この中で、編者であります鳩山代表はこのように書いておられます。

 私は個人献金をふやそうという考え方もいいと思いますが、企業献金と同じような感じの献金もかなりあるのではないか、特に中小企業の方々ですと、企業と個人が一体化しておりますから、その中での個人献金が純粋であるという結論を下していいのかというのはまさに疑問であります、そうなったときに、果たしてそれで理想的なものに本当に近づいたのかということは検証しなければならないことであって、早急に結論は出せないと思います、このようなことも本に書かれているんです。

 果たして、今回民主党が出された法案、このことと鳩山代表は考え方が変わってしまったのかなと。

 さらに、私自身、企業もある意味で一つの社会的存在であると思っています。ですからこそ政治活動の自由を有するというふうにされているわけでありますけれども、法的に、強制的に企業・団体献金を禁止することに問題はないのでしょうか。特に地方議員については私はかなり影響が大きいと思うんですけれども、総務省、御見解を聞かせていただきたいと思います。

門山政府参考人 企業・団体献金についてのお尋ねでございます。

 企業・団体献金につきましては、昭和四十五年の最高裁判所の判決におきましても、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を有するということが認められているものと承知いたしております。

 いずれにいたしましても、国政及び地方政治におきます政治資金のあり方といいますのは、民主主義のコストをどのように国民に負担していただくかという観点からの大きな問題でございますので、各党各会派におかれまして御議論いただくべき問題だというふうに考えているところでございます。

江渡委員 総務省ではそのような見解しか出せないんだろうなというふうに思っていますけれども、やはりこの場において民主党の方々に出ていただきながらしっかりとこの辺のところを議論していかなければよりよい形にならないのではないのかな、そのように考えております。

 本来、民主党さんが出ていただければ、民主党提出法案についてしっかりと質問させていただきたいと思っておりますけれども、本日は、悲しいかな、出席を拒んでおるわけでありまして、ですからこそ、与党の提出法案に移らせていただいて、質問させていただきたいと思うわけでございます。

 まず最初に、時間の関係もあるものですから、公職選挙法の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと思うわけでございます。

 今回、改正を行うということを決めたわけでありますけれども、その概要をもう一度教えていただければありがたいと思います。

村田議員 今回の改正のポイントでございますが、大まかに分けて五ポイントあります。

 一つは、選挙運動に使う自動車に関する規制の緩和でございます。もう一つは、選挙運動用ポスターの規格を統一するということ。三つ目は、選挙運動費用の収支報告書の提出期限を延長すること。それから、供託金の引き下げと並びまして供託金の没収点の引き下げでございます。最後に、投票済証の交付を選管が行うことを禁止する。こういう内容になっているわけでございます。

江渡委員 今五つのポイントについてお聞かせいただいたわけでございますけれども、そのポイントの中で、今回ある意味目玉になるのではないのかなと思っていますのは、供託金の額及び没収点の引き下げの部分ではないかなと思っています。

 ですからこそ、ここの部分においての改正概要、どのようなものでしょうか。もう少し詳しく教えていただければありがたいと思います。

村田議員 供託金の額と没収点の引き下げについてでございますが、我が国の選挙は、公営選挙をやるということで費用もかなり国が支弁する、こういう形になっております。そういう意味で、それと裏腹にありますが、立候補者から一定の額の供託金をちょうだいする、かつまた、供託金をいただく場合の没収点、そういうものが設けられております。

 一方、選挙の費用を公営選挙として差し上げることのない町村会議員の場合の選挙につきましては、供託金は存在しない、こういう形になっているわけです。

 今回、そういう供託金の制度の中で、国の衆参の立候補者の供託金についての額及び没収点の引き下げを行いたい、こういうものでございます。

 まず、衆議院の小選挙区選挙につきまして、現行三百万円供託金がございますが、それを百万円下げて二百万円にする。比例選挙については、名簿登載者一人ごとの供託金額を、現在六百万円、ただし重複立候補者については半分の三百万円でございますが、これを四百万円に引き下げる。重複立候補者についても、三百万円を二百万円に引き下げるというものでございます。

 参議院選挙の選挙区選挙につきましては、現行の三百万円を二百万円に引き下げる。参議院の比例選挙については、名簿登載者一人ごとの供託金額を六百万円から四百万円に引き下げたい、こういうこととするものであります。

 それから、供託金の没収点についてでございますが、衆議院の小選挙区選挙については、現行の有効投票の総数の十分の一から二十分の一に引き下げる。参議院選挙区選挙については、現行の有効投票の総数を当該選挙区内の議員の定数で除した数の八分の一から十六分の一に引き下げたい、こういうことでございます。

 そういうことでございますので、よろしく御審議いただきたいと思います。

江渡委員 供託金を下げる、あるいは没収点も引き下げるということ、私は非常にいいことではないのかなと思っております。というのは、国民の多くの方々が選挙に出る機会が広がるという形になるわけでございますからこそ、そしてその場において、多くの方々が自分の考えを国民の方々に訴えながら選挙を戦うということは大変すばらしいことであろうと思っております。

 続きまして、この法案におきまして、投票した旨を証する書面、いわゆる投票済証でありますけれども、このことの禁止ということがうたってあるわけであります。この投票済証につきましては、いわゆる駆り出し投票の手段として使用されている、そういう悪用されている問題というものも今まで何度も何度も指摘されてきたわけでありますけれども、ここの部分について、この改正の概要というものもお聞かせいただければありがたいなと思っています。

土井(真)議員 現在、市町村においては、投票所において投票を終えた選挙人に対して、市町村選管等がいわゆる投票済証を交付することが行われているところがございます。この投票済証については、今お話がございました、いわゆる駆り出し投票の手段として使用されるなど、悪用されているという意見もございます。

 このため、投票済証の悪用を未然に防止する観点から、この投票済証の交付を禁止し、市町村選管等は、投票をした選挙人に対して、当該選挙人が投票をした旨を証する書面、いわゆる投票済証を交付してはならないこととしています。

 なお、投票済証を交付しない場合でも、例えばポケットティッシュ等の啓発グッズを投票所に限って交付している、それが投票済証のかわり、代用となってしまうおそれがございます。

 そこで、本改正案では、市町村選管等は、投票所で投票をした選挙人に対し啓発グッズ等を交付する場合には、例えば同じものを投票所以外の場所でも配付する等により、その啓発グッズを持っていることによってその選挙人が投票をしたことが明らかになることがないようにしなければならないこととしています。

江渡委員 この投票済証、いろいろな形で問題があるわけでありますから、しっかりと禁止していただければありがたいなというふうに思っています。

 続きまして、政党助成法の一部を改正する法律案についてお伺いしたいと思います。

 まず、本改正法案の提出理由はどのようなものでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。

近江屋議員 政党助成法の一部を改正する法律案の提出者の一人として、お答えいたします。

 現行政党助成法では、政党の解散時に政党交付金の残額があった場合には、合併等による解散のケースで後継政党に引き継ぐといった場合を除きまして、その残額を国庫に返納するということとなっております。

 政党交付金というものは、政党の政治活動に充てるために国民の貴重な税金を原資として政党に対して交付されたものであります。したがって、政党が解散する、すなわちその活動を終える際に、残額があればこれを国庫に返納すべきなのは余りにも当然のことであります。

 しかし、過去の事例といたしまして、政党が解散の直前に政党交付金の残額を他の政治団体等に寄附することによりまして、いわば返納逃れをするという、法の趣旨を没却する事態が現実に起こったという指摘がございます。

 もちろん、現行法のもとではこのような寄附は法律に違反するものではありません。ありませんが、しかし、およそ法が想定すらしていない脱法行為であることは明白であります。仮にこのような指摘が事実であるとするならば、政党助成制度ひいては政党政治に対する国民の信頼を揺るがしかねない、看過しがたい重大な事態であると言わざるを得ません。

 したがって、我々与党といたしましては、こうした返納逃れのような脱法行為を防止いたしまして、政党助成制度に対する国民の信頼を回復するために、早急に法改正を行うべきものと判断いたしました。そして、その具体的な方策といたしまして、現行法を改正して、政党が解散を決定した日後は政党交付金による支出として寄附をすることができないこととする必要があると考えました。

 このような理由でこの法律案を提出することとした次第であります。

 以上です。

江渡委員 続きまして、本法案におきまして、解散決定後の寄附を禁止するということにしているわけでございますけれども、その理由はどのようなものでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。

近江屋議員 解散決定後は政党交付金による支出として寄附はすることができない。解散決定はすなわちそれぞれの政党の意思決定機関で決定する、自民党だったら総務会ですが、その決定した日後、翌日以降は政党交付金による支出として寄附をすることができないというものであります。政党助成金は国民の貴重な税金であります。それを原資としているものでありますから、残金があったら国庫に返す、これは当然のこととして、そういう政党の解散を決定するという対外的な表示があった日の翌日以降は国庫に返すということは当然のことではないかと思っております。

 以上です。

江渡委員 以上で私の質問を終わらせていただきたいと思いますけれども、再度、重ねて委員長にお願いがございます。

 やはりこの場に、この委員会に民主党の鳩山代表を参考人招致、よろしくお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

河本委員長 この際、総務省自治行政局選挙部長門山君から発言を求められているので、これを許します。

門山政府参考人 先ほど御説明いたしました重要な数字で、けた間違いがございましたので、申しわけございません、訂正させていただきます。

 麻生総理と太田代表の資金管理団体それぞれに対します個人献金の額並びに五万円以下の寄附金額について御説明申し上げたわけでございますが、その際、数字を一けた多く御説明してしまいました。大変失礼いたしました。それぞれもう一度確認させていただきます。

 十九年分、麻生総理の個人寄附の金額は九百六十六万円で、五万円以下が四十六万円でございました。太田代表につきましては、六百四十八万円の個人寄附のうち三十八万円が五万円以下ということでございます。同様に、麻生総理の場合、十七年分につきましては七百十九万円、十八年が二百万円、そのうち五万円以下が四十九万円とゼロ円。それから、太田代表につきましては、十七年が七百五万円、十八年が五百七十万円、そのうち五万円以下が、十七年が三十五万円、十八年が二十九万円でございました。

 大変失礼いたしました。訂正をさせていただきます。

河本委員長 次に、菅原一秀君。

菅原委員 きょうこの倫選特委で質問をさせていただくことを大変にありがたく思います。

 通称倫選特、倫選特と言いますが、正式名称は政治倫理及び選挙制度に関する特別委員会、まさに国民が今最も政治倫理の確立を求めている、その当委員会に、先ほど来お話がありますように、民主党が全員、また国民新党が全員欠席をしている。ましてや、民主党さん御自身が企業・団体献金禁止法案、この法律をみずから出しているにもかかわらず、その審議をしようとしない。ある意味では大変自分勝手な御都合主義政党、こういう指摘も今巷間あるわけでございまして、自分が大変なときはほおかぶりをして出てこない、そして人の非は徹底して責める。こういうことで果たしていいんだろうか、この点をまず冒頭申し上げておきたいと思っております。

 去る五月十二日の予算委員会におきまして、民主党の岡田現幹事長は、企業・団体献金について、我々も法案を出すからぜひ賛成をしていただきたい、議論しましょう、こうおっしゃったわけであります。そういう意味で、せっかくこの貴重な時間があるにもかかわらず出てこないということは、極めてその説明責任がつかないのではないかな、こう率直に思うわけであります。

 ましてや、政権交代、政権交代、こうした声がかまびすしい中で、これが本当に政権を担おうとしている、あるいはそう思っている政党のやることなのかなと。総選挙も控えている中で、国民の皆様に、まさにこの問題についてしっかりと赤裸々にすべてをオープンにして、その上で政権を選んでいただく、そういう次の総選挙になることが望ましいと私は思っております。

 ましてや、民主党は、税金の無駄を省く、いろいろとおっしゃっています。今、一日に、衆参合わせてこの国会は三億円もの人件費を含む経費が連日かかっている。その状況において、税金の無駄を省くというのであれば、まずこの委員会に出てくることが当然のことでありまして、国会に出てこないで朝から晩までテレビに出てパフォーマンスをしている方も一部いらっしゃいます、自民党にも一部おりますが。

 いずれにしましても、そういうことではなく、しっかりこの委員会に出てきて審議をしていくことが大事ではないか、こう思っているわけであります。あした以降は早くこの審議に戻っていただきたい、こう重ねて申し上げる次第でございます。

 さて、二つの法案が与党から出されておりますが、政党助成法改正案、このことについてお尋ねをしたいと思います。

 政党助成金は、言うまでもなく、国民一人当たり二百五十円、そして、その税金を原資として、いわば、それゆえに国民から疑念を持たれないようにしなければいけない。そういう意味では、自民党においても、党内で一つのきっちりとした規約をつくりながらこれまで対応してきたわけでありますが、この法案が、政党が解散する際の政党助成金の返金逃れを防止するというふうに、先ほどの江渡委員からの質問にもございました。

 そこでお尋ねをしたいのは、過去に解散直前に政党交付金をほかの政治団体に寄附をした事例があるのかどうか、この点を把握していれば、与党案提案者にお伺いをしたいと思います。

近江屋議員 今ほど菅原議員から、政党助成金、これは自民党としては規約をつくって非常にきちんとやっているというお話でした。自民党としては、政党助成金は国民の貴重な税金を原資にしておりますから、その使途については非常に厳格にしている、厳格の上にも厳格を期しているというのはそのとおりでございます。

 御質問の、過去の事例についてであります。

 平成十五年九月二十六日、自由党の解党ですが、これは小沢一郎さんが党首だったんですが、自由党の解党当日に約五億六千万の政党交付金が、当時自由党の政治資金団体でありました改革国民会議に対しまして寄附されたとの報道がなされていると承知いたしております。

 なお、この改革国民会議は現在、小沢一郎氏の関連団体となっているものと伝えられておりまして、仮に事実が報道のとおりであるとするならば、本来国庫に返納されるはずのお金が一議員の団体の資産となっていると言えるのであります。また、官報を調べてみると、同種の行為が複数ある可能性があります。本来国庫に返さなければならない政党交付金を他の政治団体に移しかえるということは、政党助成制度の趣旨を没却したものではないかとの指摘を受けているところであります。

 仮にこのような事実があるとするならば、政党助成制度に対する国民の信頼を揺るがしかねない、看過しがたい重大な事態であると言わざるを得ません。そのことをお答えいたします。

 以上です。

菅原委員 今提案者から御説明がありましたように、平成十五年に五億六千万、こうした多額のお金が、その党が解散したにもかかわらず、一人の政治家の方、今小沢さんとおっしゃいましたが、その団体に寄附をされたということであります。いわば法律の抜け穴ともいうべきでしょうが、それを通して助成金をみずからの政治団体に私物化したという指摘もあるやに聞いております、これは報道ベースでございますが。

 問題は、こういったことを今後なくしていこう、つまり、国民の税金、一人二百五十円、コーヒー一杯と言われていますが、その額のお金を投じた助成金、そこがマネロン的な動きをとっているということは、この点がやはり今回与党の提案者の皆さんの法改正の趣旨なのではないかと思いますが、この点、附則の三条の趣旨について御説明をいただきたいと思います。

大口議員 菅原委員にお答えをいたします。

 本改正により、今後、解散時の返納逃れのような脱法行為は、マネロンのようなこういうものは禁止されることになるわけであります。ただ、残念ながら、この改正後の法律の規定を、法改正前になされた寄附について、さかのぼって遡及的に適用するということは、これは不利益の遡及ということで、できないわけでございます。これは法律の原則でございます。

 しかし、政党交付金が国民の貴重な税金を原資とするものであるということにかんがみますと、本改正により禁止されることとなる、この返納逃れの脱法行為と言わざるを得ないような寄附を過去に受けた者の中には、政治家の良心に基づいて、おくればせながら国庫に返納したい、こういうふうに考えられる方もいらっしゃると思います。

 とりわけ、現在の厳しい財政状況に思いをいたすならば、そしてまた、税金の使い道を厳格にしろ、無駄遣いを省け、こういうふうに強く強く主張されているわけでございます。与野党、党派を超えてそういう状況にあるわけでございます。そういうことからいきますと、財政再建にも資すべく、かつて脱法行為により受け、まだ手元に残っているお金を国庫に返したいと考える者があらわれるだろうと容易に想定できるところでございます。

 ただ、現行公職選挙法のもとでは、その際、その寄附を受けた者が政治家や後援団体であった場合には、このような国庫への返納もまた公職選挙法の寄附の禁止規定に違反することになってしまい、結果として国庫への寄附ができないこととなってしまうのであります。

 そこで、附則三条を設け、おくればせながら過去に受けた寄附についても返納したいという良心的な方については、これが違反とならないように、公職選挙法の寄附を禁止する規定を適用しないということにしたわけでございます。この規定を活用し、自主的に国庫への返納をしてくれる良心的な方があらわれることを強く強く期待するものでございます。

菅原委員 まだまだ論点があるように思えてなりません。この改正を機に、さらに深掘りをしていただいて、今後、国民から見てわかりやすい形に是正をしていただきたい、こう考えております。

 さて、政党助成金の返還問題、そしてまた、この政治資金の問題で毎日毎日報道がされている。小沢さんの問題がある意味ではワンクール終わったかと思ったら、今度はまた鳩山さんかと。きのうも夜遅くまで私は街頭に立っておりました。おまえら自民党もだめだけれども民主党はもっとだめだなと。私に言わないでくださいと言って、その方にはお引き取りをいただいたわけでございますが。

 まさに今回、亡くなった方からの寄附、また架空の名前を勝手に使って虚偽記載をする、こうした行為というものはやはり違法行為である。民主党が言っている企業・団体献金禁止、企業献金から個人献金に、そのコジンのコというのは故郷の故であったと言われても仕方がないわけでありまして、この点はやはり徹底して究明をしていかなければいけない。

 ましてや、この鳩山さんの虚偽記載問題が発覚をしたのが六月十六日の朝日新聞の朝刊に出ておったわけでございますが、一人二人であったらば、何らかの事務的なミス、こう考えられないわけではないわけです。また、鳩山代表も、当初の会見では、事務的なミスである、よくチェックをすると説明をしておられました。ところが、その後、亡くなった方だけではなく、次々と、寄附をしていないのに勝手に名前を使われた、こう言って怒りをあらわにする方々が大変ふえてまいりました。

 これが事実だとすれば、まさに明白な政治資金規正法の虚偽記載に当たるわけでありまして、鳩山代表は一昨日会見をされたわけでございますが、まさに政権交代をし、総理を目指そうとしているその方が、秘書のせいにし、そしてまた言い逃れをしようとしている。そのときの会見の目は大変うつろでありましたし、先般のあの党首討論のときのような勢いはなかった、これはだれが見ても明らかでありました。

 それはそれといたしまして、この姿に、ある意味では国民の皆様も大変落胆をしていらっしゃるのではないか、こう思えてなりません。

 二年前の九月に、鳩山代表が当時民主党の幹事長であったときに、我が党の政治収支報告書の問題が起きて、そしてその際、政治家が、事務的なミス、あるいは職員がやったと言うのはまさに言い逃れであって、責任をとるべきは政治家本人だと、公の場で当時、鳩山幹事長はおっしゃっていたわけであります。

 ましてや、中央公論の五月号、鳩山代表と田原さんの対談の中で、鳩山さんはこう述べています。「かつて私たちが新党さきがけをつくって自民党を出たのは、党にはびこる金権腐敗政治と決別するためでした。権力闘争の末に袂を分かった新生党とは、本当は出自が違う。」つまり、これは小沢さんと違うんですと言っているんですね。「そういう意味でも、「クリーンな民主党」の再構築に向けて中心的な役割を担う」、その責任を痛感しておりますと。まさにクリーンな政治を目指しておるということを明言している。

 そういう方が、まさに問題が起きれば、いわば秘書のせい、こういう言葉は非常に残念であります。

 先ほど江渡委員のお話にもありましたように、毎年四百万円から七百万円、四年間で二千百七十七万円を超える個人寄附の虚偽記載があった、これはみずから会見で述べておられます。トータル百九十三件、人数にして約九十人、多数で多額、しかも毎年繰り返し行われてきた。そして、そこに一緒にいた鳩山さんの弁護士によれば、これはまだ調査中、途中でございますので、まだふえるかもしれない、こういう趣旨のお話もされておりました。

 先ほどお話あったように、この虚偽記載は、政治資金規正法の中でも最も罪の重い、禁錮五年、罰金百万円以下に処せられるとなっているわけでありまして、まさに重大な犯罪行為である。これを明らかにするかどうかは、やはり司直の手にゆだねることも一つですが、まずはその前に国会で、国民の皆様の前でしっかりと議論をしていくことが大切ではないかと思っています。

 そのときの鳩山さんの説明によりますと、このような法律に抵触する行為を行った会計事務の担当者、この公設秘書を解雇したと、きのうの報道にも出ておりました。まさに何か起こるとすぐ解雇してしまう。つまり、問題点を明らかにしなければいけないその途上にあるにもかかわらず、解雇してしまった。この問題は一つの大変な問題であると思いますし、まさに国民から見てトカゲのしっぽ切りと言われないようにすることが定めなのではないかな、こう思っております。

 そして、その会見のときに、経理の事務担当者が独断でやったと。これはきのうの産経新聞ですが、鳩山氏は、秘書の独断、こう会見で述べております。問題は、この経理の担当者、いわゆる事務方が独断でやった、ということは、会計責任者は知らなかったとも説明をしているんですね。

 この収支報告書を見ますと、会計責任者の名前があって、そしてその下に事務担当者の名前があって、判こが押されている。いわゆる友愛政経懇話会、この宣誓書のところには実は会計責任者の押印があったわけでありますが、この点、担当部局からその確認をしたいと思います。

門山政府参考人 政治資金規正法第二十九条におきましては、収支報告を提出する者に対しまして、真実の記載がされていることを誓う旨の文書、今おっしゃいました宣誓書の添付が義務づけられております。その宣誓書には、会計責任者が署名し、または記名押印するとされているところでございます。

 友愛政経懇話会の平成十七年分から平成十九年分の政治資金収支報告書を確認いたしましたところ、宣誓書には会計責任者の押印がされております。

菅原委員 ということは、鳩山さんが会見で、事務責任者が独断でやったことだ、会計責任者なるものは知らないと述べた、ところが、今の総務省さんの御答弁でいえば、収支報告書には、最終のところに宣誓書として会計責任者の名前で押印がされている。ここにはやはりそごが出てくる。これについて、総務省どうだという質問をしても答えられないでしょうから、後でこれをまた徹底して究明したいと思っておりますが、言ってみれば、会計責任者がその中身を知らないというのは、やはりこれはうそにしか思えない。

 また、仮に、鳩山代表がそのときに説明されたとおりに、会計責任者がこの虚偽記載あるいは偽装献金を知らなかったということであれば、そのような、ある意味では名義だけ貸しているというか、会計責任者として責任を果たさない者を選任したこと自体、これは鳩山代表そのものの責任になるのではないか、こういう指摘をしてもおかしくはない、こう思っております。

 そこで、総務省にお尋ねをします。

 政治資金規正法は、その団体の代表者の会計責任者に対する選任と監督責任を定めていると思いますけれども、このような有名無実の会計責任者を選任すること自体、その代表者が責任を負うべきではないかと私は率直に考えますが、この点、どのように御認識をされていらっしゃいますか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 総務省といたしましては、個別の事案につきましては、具体的な事実関係を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

 なお、政治資金規正法の規定でございますが、政治資金規正法におきましては、収支報告書等の記載義務違反あるいは虚偽記入などがあった場合において、政治団体の代表者が会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠ったときは、五十万円以下の罰金に処する旨の定めがあるところでございます。

菅原委員 ということは、法を素直に理解すれば、その代表者は責任がある。しかも、最後に、五十万の罰金刑がある、こういう答弁でありました。

 もし、その五十万円の罰金刑が確定した場合、これは、例えばその代表者なり議員なり、その公民権の停止ということはあるんでしょうか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 個別の具体的な事案につきましては、事実関係を承知する立場にございませんのでお答えは差し控えさせていただきますが、政治資金規正法におきましては、同法第二十五条第二項に違反いたしまして罰金の刑に処せられた者は、同法第二十八条第一項の規定により、「その裁判が確定した日から五年間、公職選挙法に規定する選挙権及び被選挙権を有しない。」というふうにされているところでございます。

菅原委員 今の確認ですが、選挙権を有しない、被選挙権、つまり選挙に出ることもだめだと。つまり、その場合、確定したら、議員がもし現職だったらやめなければいけない、こう理解してよろしいんでしょうか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 選挙権及び被選挙権を有しないということは、いわゆる公民権停止になるということでございまして、これは公職選挙法ではございませんが、国会法の規定で、公民権が停止された場合には失職されるという規定があるものと承知いたしております。

菅原委員 そのやみが本当であれば、まさに議員をやめなければいけないくらいの大きな問題であるということを私どもは認識しなければいけない、こう考えております。

 ちょっと視点を変えます。

 この虚偽記載をした秘書の動機について、会見で答弁をされておりました。鳩山代表は、私に対して個人献金が余りにも少ないものですから、そのことがわかったら大変だ、つまり、秘書からすれば、おやじさんに怒られる、こう思ってそういう行為に及んだのではないかと、そうカバーするような発言もされていらっしゃいます。

 でも、皆さん、先ほど来お話があるように、個人献金が余りにも少ないという、その感覚がどうなのかな。つまり、鳩山代表の集めているお金は、先ほどお話があったように、五年間で三億を超えて、十年間でたしか五億六千万。そして、個人献金だけでいっても、一年間で六千万から一億も集めているんですよ。これは相当な額ですよ。

 我々二回生、一回生、陣がさ議員は、選挙におっこって浪人をすれば、それこそ多額な借財を背負って、次の選挙で当選しても、二回、三回当選してもまだ追いつかない、この状況。

 いろいろと世襲議員の、あるいは世襲の問題がありました。私は、むしろ世襲は、おやじさんの地盤、看板、かばんを受け継いで、ある意味ではお金の苦労をしなくてもいい、その分、政治の王道や帝王学を学んで物事を真っすぐに見る、クリーンな部分は確保できる、だから一つの形なのではないかなと、いい面は見ていた点もあります。しかしながら、その方がこうした問題を起こすとするならば、しかも、その秘書が数百万の虚偽記載をふやさなければいけないという理由は全くないわけであります。

 今ボーナスが、あのトヨタ自動車でさえ、役員一〇〇%カット、課長クラス以上も三割、四割カット。あのトヨタ自動車がボーナスカットされたんだから、うちの会社もちょっと我慢してくれといって、中小企業の方々がボーナスカットされる。ところが、ボーナス時、住宅ローンの支払い金額は毎月の額よりも大きい。その住宅ローンを払い切れないで、先月一カ月間だけでも、東京都内で六百件近い競売件数、全国で七千件の競売件数。こうしてサラリーマンがせっかく手にしたマイホームを手放さざるを得ない。こういう塗炭の苦しみの中で、この鳩山さんの言っている感覚は果たしていかがなものかなと。

 また、当該団体の収入の不足額に充てるために御本人の個人資産から収入を得たと言いわけをしておりますが、そこで総務省にお尋ねをします。鳩山代表の資金管理団体の平成十七年から十九年までの繰越金はあるんでしょうか、ないんでしょうか。あった場合、幾らなんでしょうか。教えてください。

門山政府参考人 お答えいたします。

 鳩山代表の資金管理団体であります友愛政経懇話会の平成十七年分から平成十九年分までの収支報告書を確認いたしましたところ、平成十七年分の前年からの繰越額は千二百十三万四千八百六十三円、平成十八年分の前年からの繰越額は三百三万二千七百六十二円、平成十九年分の前年からの繰越額は八百三十九万五千百四十五円及び十九年から翌年への繰越額は四千九百三万九千八百二十三円と記載されているところでございます。

菅原委員 繰越金があるわけですよね。おかしいですよ。つまり、繰越金があるのに、年によって多寡はあったとしても、だから秘書が自己努力をしてやったんだろうというその解釈、果たしてこの辺のつじつまが合わない。この点も今後しっかり議論あるいは究明をしていかなければならないのかな、こう思っております。

 また、先ほどお話があった、五万円以下の匿名の寄附が何でこんなに多いんだろうか。与党の代表と比べましても、まさに多過ぎて不自然きわまりない。鳩山事務所は、個人名がわかっている五万円を超える寄附だけでも虚偽記載をしましたとはっきり公にお話をしたわけでありますから、明細を明らかにしていない五万円以下の個人献金を正しく記載する理由が考えられないというのが普通の感覚ではないかと思います。

 だから、全部が虚偽ということは申しません。ただ、個人の資金で補てんをしたという、その話自体もいかがなものかな。例えば親族だとか、周りにはいろいろとグループがある。つまり、お金の入り、何でこんなことをしたのか。その過程を、どう工作をしたかもきちっと究明しなければいけないけれども、何でこんなことをしなければいけなかったのか、この点をやはり議論していかなければいけない。

 日本大学の岩井教授が新聞で述べておりましたが、大口の献金を受けたけれども、法定の上限額、つまり、個人が自分の資金管理団体に入れられるお金は年間一千万と上限は決まっている、毎年鳩山代表が自分の団体に九百万前後入れている、そのオーバーした分について、それを小口に分けて分散させたのではないか、こういう岩井教授の見方も載っております。

 また、その一千万を超えた小口のお金の出入りについても、もっとチェックをして説明責任を果たしてもらわなければいけない。そういう意味では、この問題は、五万円を超える部分と五万円以下の部分について徹底した究明をすると同時に、今回、修正をされているんですね。つまり、平成十七年、五十二件だったのを十八件に修正して、十八年に二十六件だったのを十三件に修正して、十九年は三十八件だったのを十六件に修正しているんですね。全部そうやって精査してみたら、個人の寄附で残っているのは、本人と家族と秘書、身内だけなんですよ。それ以外の個人寄附は全部架空だった。こんな話が許されていいんだろうか。

 それで、この会見をされた後に、岡田幹事長はインタビューで、鳩山さんの会見はどうでしたかと。そうしたら岡田幹事長は、きっちり説明責任を果たしていましたと。また、次の日、役員会があったそうで、そこでも全員、民主党の執行部は鳩山さんの会見を了承した、それを参議院の総会でもお述べになっていらっしゃる。果たしてこれで幕引きするつもりなのかどうか。

 よく民主党の方々は友愛、友愛と言います。友愛というのは友への愛と書きますが、友へのそういういわば間違った愛があるとするならば、これは友愛ではなく有害になってしまう、私はこう感じているわけであります。

 話をかえますが、鳩山代表の資金管理団体の寄附者で税制上の優遇措置の書類交付を受けている件数を総務省は把握していますか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 友愛政経懇話会への寄附者に係ります寄附金控除のための書類の確認枚数のお尋ねでございますが、平成十七年分は五十二枚、平成十八年分は二十六枚、平成十九年分は三十五枚となっております。

菅原委員 今の御説明にもありましたように、つまり、寄附金控除の交付というのは総務省なり都道府県なりで判こを押して出すわけですよ。平成十七年度に五十二枚出していて、ところが、御本人が修正したその寄附の数は十八、これだけでも大変な差がある。つまり、修正した後に残った実際の個人の寄附者よりも税の優遇措置をした書類交付の方が多い、この点はやはりおかしいですよね。つまり、架空の寄附で税の優遇措置を受けている可能性がある、こう指摘せざるを得ないわけなんですね。

 虚偽記載も大変な罪だけれども、もしこれが事実だとするならば、二番目の大きな犯罪行為になるかもしれない。この点もきっちりと究明しなければいけませんが、この点は鳩山さんの会見では全く触れられなかった。やはりこの点どうなのか。

 そこでちょっと、きょうは国税庁もおいでだと思いますが、実際に寄附していないのに偽装して税制上の優遇措置を受けた場合にはどうなるんでしょうか。また、あわせて、国税庁の調査で、その不正な手続で税の優遇措置が行われたことが判明した場合、国税庁としてどのような手続をおとりになるのか。この点、教えてください。

荒井政府参考人 お答えさせていただきます。

 個別にわたる事柄につきましてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと考えておりますが、一般論として申し上げれば、国税当局としましては、あらゆる機会を通じまして課税上有効な資料情報の収集に努めまして、これらの資料と納税者から提出された申告書等を総合検討し、課税上問題があると認められる場合には、税務調査を行うなどして、法令等に照らして適正に取り扱うこととなります。

 そして、こちらも一般論でございますけれども、納税者の申告額が過少であることが判明した場合には、修正申告書を提出していただくなど、適正に是正することとなります。

菅原委員 今、国税庁からの説明は極めて一般論でありますが、それはそれとして受けとめたいと思います。

 ただ、政治と金の問題、政治倫理を、国会議員としてみずからが、また国会全体がしっかり推し進めていかなければいけないこの一番大事な時期に、このように資金管理団体の寄附自体が、その税制上の優遇措置を受けるために、それが、目的が先だったのか、結果的にそうなったのか、実際に寄附をした人なのか、寄附をしていないのに架空でした、あるいは名前を貸した、あるいは勝手に使われた人なのか、いろいろなケースがあります。この点もやはり赤裸々にオープンに、明らかにしていく必要があるのではないかな、こんなふうに思っております。

 あわせて、その会見に出ていた弁護士が、その弁護士自体は、まだ調査が途中であります、つまり、これからまだ幾つか出てくるかもしれないというニュアンスの発言をされていらっしゃる。ところが、鳩山代表御本人と岡田幹事長のお二人は、もう説明責任は果たしました、こう言っているわけでありますが、この点もやはり、こういう質問をし、議論をしたいがゆえに、出てきていただきたい。

 民主党の企業・団体献金禁止の法律、いわゆる政治資金規正法改正法案、これを出す方に質問するのもどうなのかなと思いながらも、やはりそういう意味では、このまま黙っておったのでは国民の疑念はぬぐい去れないと思います。

 今、日本の政治が本当に変わっていかなければいけない。巷間、政権交代、政権交代と言われる。しかし、私は、政権交代よりも人材の交代ではないかと。古い体質を持った、旧来の金権体質を持った方々には、自民党も民主党も含めて、この際リタイアをしていただいて、本当の意味でこの国の政治を変えていく、そのスタートである日本の政治にしていくことが必要ではないかな、私はこう思っております。

 政権交代よりも、人の交代、人材交代。古い体質を持った方々にはリタイアをしていただいて、国民の皆様の痛みがわかる、あすの生活、月末の支払い、その苦しい思いに立った政治をやっていく必要があるのではないか。

 ここは衆議院でございますから、衆議院議員の衆は大衆の衆、民衆の衆である。とするならば、その国民の大衆感覚、民衆の思いに立った政治をやるために、まずは、その起点である政治と金の問題、政治倫理の問題、きっちりと片をつけていく必要があると思っておりますので、今後また、この問題は自民党の方でも取り組ませていただきたいと思います。

 最後になりますが、もろもろの疑念を御本人に晴らしていただくために、鳩山代表の参考人招致、あわせまして、秘書の方と、また、勝手に名前を使われた方、あわせて、亡くなった方の遺族の方、この問題でさまざま被害をこうむっている方々がいらっしゃる、その方々に、ぜひ参考人としておいでをいただくか、ぜひまた委員会としてもよくヒアリングをしていただく、そういう機会をお与えいただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

河本委員長 理事会で協議します。

菅原委員 よろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

河本委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 まず、やはり、この委員会に民主党あるいは国民新党の委員の方が出席をされていない。また、私は、政治資金規正法、企業・団体献金の禁止という内容の法案を民主党さんは提案されているわけでありますから、本当は、ここに提案者の方に来ていただいて、そして質問をさせていただきたいと思っていたわけです。政治と金の問題が今国民の最大の関心事であるわけでございますから、提案者としてきっちりとこれは答弁をしていただきたい。ところが、来られない。これは一体どういうことなのか。私はこれは極めて不審に思い、また不愉快な思いをしておるところでございます。私だけじゃなくて、国民の皆さんがこれは不審に思っておられる、このように考える次第でございます。

 また、もしかしたら、民主党さん、この政治資金規正法案を本気で成立させようとする気がないのかもしれないですね。要するにパフォーマンスであったのかな、民主党さんのこの規正法に対するやる気がないということが今回のこの対応で証明されたのかな、こう思うわけでございます。

 また、やはり鳩山献金の問題、そしてまた小沢献金の問題、二代続けて民主党のトップがこのような偽装献金で問題になっているわけであります。そして、このことについて、特に鳩山献金については、普通の感覚では考えられないわけですね。普通の我々政治家の意識、水準とけた違いの金銭感覚なんです。そのことは民主党提案者も恐らくは同じだと思うんです。だから、もしここで聞かれた場合、自分たちの感覚と違う鳩山さんのことをどう答弁するかというと、答弁に窮するんじゃないか、そういうことできょう来られないのかもしれないな、こう推測をするわけでございます。

 さて、きょうは、まず法案につきまして質問をさせていただきたいと思います。ただ、私、政党助成法改正法案の提案者でございますので、公選法の改正について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、供託金あるいは没収点の引き下げにつきまして、これは国政選挙に限って供託金の額を、そしてまた没収点を引き下げているということでございます。これはどういう理由かということと、供託金について諸外国ではどうなっているのか、お伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、下村委員長代理着席〕

村田議員 ただいまの御質問にお答えをいたしたいと思います。

 与党におきまして、この問題について長いこと議論をしてまいりました。一部には、選挙を目の前にいたしましてにわかに、ある党が立候補者の数を絞ったから、それをふやすために、選挙を有利にさせるためなのではないかという邪推で批判されたりもしたわけでございますが、私たちは、長い間、この供託金の問題についてだけではなくて、公職選挙法について、すべての条文について、自由民主党の選挙制度調査会で一条一条議論してきたその結果の中で、やはり我が国の供託金というのは諸外国と比べて極めて高い、そういうことは、いろいろな方々あるいは政党の自由な立候補の阻害要因になっているんじゃないかというふうに思い至りました。

 しかし、また一方、供託金制度のない国もあるわけでございますが、この供託金をむやみに低めた場合において、売名行為だけを目的とした泡沫候補が輩出してくる、また、むしろ公平な選挙に対します阻害要因となるということも懸念をされましたので、そういうもろもろの観点から、私どもは、とりあえず国政選挙に絞って供託金の額と没収点の額を引き下げようと。

 地方の選挙については、今後の推移を見てから、例えば、地方の議会なんかでは、最近立候補者が非常に数が少なくなっていて、無投票ということもありますから、この供託金だけではなくてあらゆることを、立候補の阻害要因になっていることを、ひいては我が国の民主主義の障害になっていることについてやはり研究しなければいけないと思っているわけでございます。地方の選挙については、今後の推移を見て、バランスを見て、やはり見直しをするなりしていきたいと思っております。

 ところで、御質問にありました諸外国の供託金の額でございますが、我が国は今まで六百万円とか三百万円という額であったわけでございますが、主要国で見ますと、平成十九年十一月現在の資料でございますが、小選挙区制を採用しているイギリスでは五百ポンドでございます。つまり、今のレートで日本円にして七万四千四百円。日本が三百万円であると、物すごく低いわけですね。

 それからカナダ。これも小選挙区制を採用しておりますが、カナダ・ドルで千ドルでございます。日本円にして約八万三千四百円。

 ニュージーランドでは、小選挙区が三百ドル、日本円にして約一万七千三百円、比例区が千ドル、日本円にして約五万七千八百円。

 一番高いところでは、お隣の韓国でございますが、それでも小選挙区、比例区ともに千五百万ウォン、日本円にいたしまして約百十四万六千円でございますから、我が国の六百万円とか三百万円とかいう供託金の額がいかに高いか。

 こういうことでありますので、我々は、民主主義の観点から低めなければいけない、かつまた、没収点についても下げていかなければいけないというふうに考えた次第でございます。

    〔下村委員長代理退席、委員長着席〕

大口委員 次に、投票済証の交付の禁止についてお伺いします。

 市町村選管等がいわゆる投票済証を交付するその法的な根拠は何か、どういう法律に基づいているのかいないのか、そして、市町村選管等が投票済証を交付している理由についてお伺いしたいと思います。

門山政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる投票済証につきましては、公職選挙法を含めまして、具体的に規定している法律はございません。したがいまして、あえて根拠というふうになりますと、地方自治法二条二項の「地域における事務」というのが根拠になるかと存じます。

大口委員 法的根拠といっても、地方自治にゆだねるというようなことなわけでありますが、そういう点で、この交付している理由、これはどういうものがあるのか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる投票済証につきましては、御指摘ありましたように、有権者の求めに対応いたしまして、市区町村の選挙管理委員会が独自に交付しているものでございまして、例えば、労働者が選挙に行った場合に、それを事後的に証明するものが要るんだといったようなこともお聞きするところでございますが、総務省として具体的な理由までは承知いたしておりません。

大口委員 この投票済証を交付することで具体的にいろいろな問題も生じているというふうに今言われておりますが、その実例についても、総務省で把握しているものをお教え願いたいと思います。

門山政府参考人 お答えいたします。

 総務省といたしまして、具体的な不正事案につきましてはこれまで把握しておりませんけれども、選挙犯罪に利用される可能性があるという御指摘はこれまでもあったところでございます。

大口委員 今回、そういうことで、禁止をするということにこの法案ではなっておる。私も賛成をしたいと思う次第でございます。

 さて、これから鳩山献金について。鳩山代表の収支報告書の問題について、鳩山民主党代表が六月三十日に記者会見をされました。ただ、いろいろと疑問点がある、そして、いろいろな報道でさらに疑問点が出てきている、こういうふうに思うわけであります。

 一つは、今回、六月三十日に、鳩山代表の資金管理団体の友愛懇でございますか、これの修正が行われた。しかし、この修正は、件数でいくと八割方修正ということで、修正というような生易しいものじゃないんですね。もう真っ黒なわけであります。こういうことがある。

 それから二番目に、五万円以下のものであって、その他の寄附というのがあります。これが、例えば〇三年であれば八千万円ですよね。八千万円ですから、これを例えば五万で割ると本当に大変な人数になるわけでございます。こういうことがきちっと管理がされているのかということであります。これは、例えば毎日三万円寄附があったとしても、一年間で一千万円ですよね。ですから、八千万というのはすごい金額なわけでございます。

 三番目に、公設の第一秘書の動機が、鳩山代表が説明していることが、また弁護士の説明していることが、これが理解しがたいということが、これは新聞各社でもいろいろ議論されているわけです。例えば、多分、私に対して、というのは鳩山代表に対して、個人献金が余りにも少ないものですから、そのことがわかったら大変だという思いが一部にあったのではないかというふうに推察しておりますと。

 鳩山代表は、御自分が幾ら個人献金をもらっているのか御存じないんじゃないですかね。今、各委員からありましたように、与野党の代表クラスに比べても突出している個人献金なんです。それを、個人献金が余りにも少ないものと、こういうふうに認識しているということであるならば、この金銭感覚たるや、これは民主党の議員さんたちも理解できないんじゃないかなと思うわけでございます。

 では、そうしますと、ノルマを課しているのか。鳩山事務所では、個人献金の一定の額を目標額と決めて、そしてそれが少ないと心理的な圧迫を加える、こういうようなことがこの鳩山代表の説明の前提としてあるわけです。

 ところが、それに対しては、鳩山代表は、はい、基本的に全くノータッチでありました、事務所ごとに目標額みたいなものは一切設けておりませんで、そのいわゆる会計を担当している男一人にすべて経理を預けておりましたので、彼の判断ですべて行っていることでありますということなので、これは、献金が余りにも少ないのでわかったら大変だと思うというようなことは、全く鳩山代表の説明で矛盾をしている、根拠になっていないということが明らかなわけでございます。

 そして、弁護士の説明では、秘書が言っているところ、直接これらの方々、というのは名前を使われた方々ですね、に寄附をお願いすれば、恐らく相当の方は寄附していただけた方である、むしろそのような仕事を自分が怠っていた、それを隠すと言ったら失礼で言い過ぎかもしれないが、まあそういうことが原因であったと。

 これも、プレッシャーはなかったわけですし、名前を使われた人は大変憤慨しています。寄附をするわけがないんだ、こういうことですので、この弁護士さんのおっしゃっていることもおかしいなと。

 そして、当該団体の収入の不足を、預かっていた鳩山さんの個人資金からの借り入れ、こういう合法的な形でやればよかったのではないか、こういうふうに弁護士がこの秘書に言ったら、ちょっとはっとしたようになりましたということなんですね。

 この第一秘書というのは、皆さん、二十数年のベテランなわけですね。そして、実は鳩山代表がもう八千万円貸しているわけで、要するに、借り入れという処理も既に経験済みなわけであります。だからはっとするわけがないわけでありまして、合法的なやり方を知っているにもかかわらず、なぜそういうことをやらなかったのかな、こういうことで、ますます疑問が出てくるわけでございます。

 またさらに、最近、これは鳩山代表が代表をしております北海道の第九区総支部でありますが、これは、平成十五年から十九年まで五年間、選挙区内の市町議会議員四十二名から総額約一千六百五十万円の個人献金を、地方議員さんから受けた、こういうことなんですね。これは本当に、苫小牧の市会議員さんなんて四十万そこそこでしょう。それで二十六万の献金をこの総支部にしている。私も調べましたけれども、十二月の二十五日、ちょうどクリスマスの日に、クリスマス献金ですよね、こういうことをやっているということでございます。

 こういうことについても、普通の常識から考えると、むしろ、道会議員さん、市会議員さん、町会議員さん、本当に御苦労さまでございますということじゃないですか。それを、献金を鳩山さんのようなたくさん収入のある方が受け取っているのは、これも不思議だな、ここら辺もやはり明らかにしていただかなきゃいけない、こういうことで、疑問点がいっぱいであるわけでございます。

 そういう中で、まず総務省に、政治資金規正法の虚偽記載の罰則はどうなっているのか、代表者、会計責任者、それから担当の事務者についてお伺いしたいと思います。

門山政府参考人 政治資金規正法におきましては、故意または重大な過失により収支報告書に記載すべき事項を記載しなかった者または虚偽の記入をした者については、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金に処するという規定がございます。これは、基本的には会計責任者の方が義務者になるものでございます。

 それ以外に、代表者につきましては、会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠ったときに五十万円以下の罰金に処するという規定がございます。

大口委員 それで、今回、六月三十日に、鳩山代表が代表をされておられる友愛政経懇話会の収支報告書、これが修正されたわけなんですね。このことについてはまだ確認されていませんので、私、総務省に確認します。

 平成十七年は、修正前は七十人、修正後は十八人、うち、鳩山代表の関係者の方六人です。それから平成十八年は、修正前は五十一人、修正後は十三人、これは関係者が六人。それから平成十九年が、修正前は六十四人、修正後は十六人、関係者が六人、内数ですが。こうなっていますが、これについて、正しいかどうか確認をいたします。

門山政府参考人 鳩山代表の資金管理団体であります友愛政経懇話会の平成十七年から十九年分までの収支報告書のうち、訂正前でございますが、平成十七年の場合、訂正前の個人寄附者が七十人、そのうち訂正された人数、つまり削られた人数が五十二人でございます。十八年分の訂正前の個人の寄附者は五十一人、そのうち訂正されました人数が三十八人でございます。それから平成十九年分の訂正前の個人の寄附者は六十四人でございますが、そのうち訂正された人数は四十八人となっておるところでございます。

大口委員 ですから、私の今言った形を訂正数でやったわけですけれども、それで正しいということでよろしいですね。これはほとんど、八割方訂正している、こういうことなわけですね。

 私、この収支報告書を訂正したものを取り寄せてみましたが、例えば十七年でありますけれども、とにかくほとんど消されているんですよ。だから、私が真っ黒と言ったのはそういうことなんです。消されているわけです。それで、中には、バッテン、一ページそのものを消してあるわけです。これはもう修正なんという生易しいものじゃないんです。それから十八年も、こうやってもうほとんど修正されているわけですね、跡が残らないように。そしてまた平成十九年分、これもバッテンがありました。

 こういうことで、個人献金分について、本当に跡形も残らないような、丸ごとの偽装を行っていた。私はもう極めて悪質だと思うんですね。そしてまた、この個人献金額総額でも、鳩山代表本人、母親、姉を除いた場合、その個人献金の総額の四割が偽装していた、こういうことであります。

 そこで、これは記者会見でも認められましたけれども、鳩山代表の政治資金団体、友愛政経懇話会、これが平成十七年から二十年、四年間で、亡くなった方や実際に献金していない方約九十名から、百九十三件、合計二千百七十七万円の寄附がなされたという記載があるわけでありますし、鳩山代表も弁護士もそしてまた党の担当者も、これは虚偽であったということを認めているわけでございます。

 この件につきましては、もちろん鳩山代表の監督責任ということ、これは公民権停止にもつながるような嫌疑もあります。そしてまた会計責任者も、これは宣誓書を出しているわけであります。そういう中で、公設第一秘書、これは実務担当者でありますが、二十五条一項三号の虚偽記入罪が成立するのではないか。それから、鳩山代表や弁護士がおっしゃるのであれば、この公設第一秘書というのは、鳩山代表から預かったお金を勝手に友愛政経懇話会への寄附金という形で使った。背任、横領になる可能性がある。であれば、刑事告訴も本当はしなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。ただ、そういうことはあいまいになっているということでございますが、こういうことについて法務当局の見解をお伺いしたいと思います。

甲斐政府参考人 犯罪の成否につきましては、捜査機関が収集した証拠に基づき個別に判断されるべき事柄でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 あくまで一般論として申し上げれば、政治資金規正法第十二条第一項の収支報告書に虚偽の記入をしたと認められる場合には、同法二十五条第一項第三号の虚偽記入罪が成立し得るものと承知をいたしております。

 また、背任罪あるいは横領罪について御指摘がありましたが、これにつきましても、一般論として申し上げますと、他人のために事務を処理する者が、自己もしくは第三者の利益を図りまたは本人に損害を加える目的で任務に背いた行為をして本人に財産上の損害を加えたときには背任罪が、また、自己が占有する他人のものを横領したときには横領罪が、それぞれ成立し得るものと承知をいたしております。

大口委員 また、報道によって明らかになったように、今回問題となった故人等の名義での寄附に加えて、今回、今も前の委員の方々からもありましたけれども、五万円以下の明細が公表されていない献金額が個人献金全体の六割を占める。〇三年から〇七年で、大体、三億七千万円の個人献金のうち二億三千万。それから、これは新聞報道によりますが、九八年から〇七年の十年間、五・九億円のうち三・四億円がこういう匿名のものであって、これは、麻生総理や太田代表の割合が紹介されましたが、それの十倍以上なわけであります。

 こういうことで、私は、この収支報告書の虚偽記入というのは、こういう匿名の部分にもこれはあるのではないか、こういうふうに思っておるわけであります。

 そういう点で、この収支報告書自体が私に言わせれば真っ黒ということでありまして、非常にその罪は重い、悪質である。こういう場合、検察当局として対応をするということは、普通、国民の目から見ても当たり前のことなのかな、私はこういうふうに考えるわけでありますが、どうでございましょうか。

甲斐政府参考人 捜査機関の活動内容にかかわる事柄につきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、一般論として申し上げれば、検察当局においては、常に法と証拠に基づき、厳正公平、不偏不党を旨として、刑事事件として取り上げるべきものがあればこれに適切に対処するものと承知をいたしております。

大口委員 この虚偽記載罪というのは、禁錮五年以下あるいは百万円以下の罰金ということで、政治資金規正法で最も重い犯罪なんですね。そしてこれは、政治家が政治資金について透明性を確保することによって政治の信頼を確保するということであるとともに、国民の皆さんにきちっと政治活動を見ていただく、こういうことで、民主主義の根本中の根本なんです。これを侵害することは、形式犯ではなくて民主主義の根幹を揺るがす重罪だ、私はこういうふうに考えておる次第でございます。

 さて、平成十七年から十九年にかけて、友愛政経懇話会に鳩山由紀夫氏個人からの献金額はそれぞれ幾らだったのか、お伺いしたいと思います。

門山政府参考人 お答えいたします。

 平成十七年から平成十九年にかけての鳩山代表の資金管理団体であります友愛政経懇話会の収支報告書を確認いたしましたところ、鳩山由紀夫氏個人からの寄附の金額でございますが、平成十七年分は九百万円、十八年分は九百万円、十九年分は九百万円というふうに記載されておるところでございます。

大口委員 それでは、鳩山由紀夫氏の届け出されている国会議員関係の政治団体はどうですか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 鳩山由紀夫代表が関係しておられる国会議員関係政治団体についてのお尋ねかと存じます。

 平成二十年十二月三十一日までに国会議員関係政治団体として届け出がなされまして、二十一年三月三十一日までに官報または都道府県公報で公表されたものということで見てまいりますと、総務大臣届け出団体といたしましては、友愛政経懇話会一つでございます。それから、北海道選挙管理委員会届け出団体といたしましては、民主党北海道第九区総支部、それから鳩山由紀夫後援会連合会、それから北海道友愛政経懇話会、さらに四番目に燃える会という会でございまして、合計で五団体となっておるところでございます。

大口委員 この五団体の政治団体に対する同じ時期の鳩山由紀夫氏個人からの献金額はそれぞれ幾らとなっているのか。政治資金規正法上、個人献金の一年間の上限は一千万であるわけですね。鳩山氏の場合、あとどれくらいの献金が可能であったのか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 総務大臣届け出でございます友愛政経懇話会以外の鳩山代表の国会議員関係政治団体、先ほど申し述べました民主党北海道第九区総支部、それから北海道友愛政経懇話会、燃える会、鳩山由紀夫後援会連合会につきましては、北海道選挙管理委員会所管の団体でございますので、北海道選挙管理委員会に確認いたしましたところ、収支報告書の寄附者の欄に鳩山由紀夫氏のお名前の記載はないという回答があったところでございます。

 なお、政治資金規正法上で、個人は、年間二千万円の総枠の範囲内で、政党または政治資金団体に対して政治活動に関する寄附をすることができるとされております。さらに、個人は、年間一千万円の総額の範囲内で、政党及び政治資金団体以外の同一の者に対して年間百五十万円以内で政治活動に関する寄附をすることができるものとされているというところでございます。

 したがいまして、鳩山代表の国会議員関係政治団体以外に鳩山由紀夫氏個人からの寄附がなかったとした場合には、政党及び政治資金団体以外の政治団体への総枠制限、年間一千万円、それから友愛政経懇話会の収支報告書に記載されました鳩山由紀夫氏個人からの寄附、これとの差額ということがお尋ねになろうかと思いますが、その差額を見ますと、平成十七年分は百万円、十八年分は百万円、十九年分も同じく百万円ということになろうかと存じます。

大口委員 それで、今回、友愛政経懇話会の収支報告で借入金があるわけですね。今回、六月三十日に訂正されたわけでもありますが、訂正前と訂正後の金額をお伺いします。

門山政府参考人 お答えいたします。

 友愛政経懇話会の平成十七年分から平成十九年分の収支報告書を確認いたしましたところ、鳩山由紀夫氏個人からの借入金といたしまして、まず、平成十七年分でございますが、訂正前の残高は八千万円でございました。これが、訂正後の残高といたしましては八千七百八万円でございます。それから、平成十八年分でございますが、訂正前の残高は八千万円でございましたが、訂正後は九千二百四十九万二千円となっております。さらに、平成十九年分でございますが、訂正前の残高は八千万円、訂正後の残高は九千七百七十一万二千円となっているところでございます。

大口委員 一千万円という枠があるわけですね。それで、政治家個人がお金を持っているかどうかということが政治活動に影響を及ぼすわけですね。そういうこともあって、こういう上限が設けられたと私は思うんですね。

 鳩山代表の場合、八千万円とか九千万円とか貸し付けをしても、ずっと平成十四年から八千万円なんですね。だから、返済してもらう予定もないわけです。ですから、形は貸し出しであるわけですが、事実上自然債務みたいなものなのかな、こう思うわけであります。

 こういうふうに、貸し出し、借り入れという形の処理でやることと、個人寄附の上限を設けている法の趣旨との関係からいってどうなのか、お伺いしたいと思います。

門山政府参考人 お答えいたします。

 まず、個人寄附に上限が設けられている趣旨ということでございますけれども、これは、先ほど申し上げましたように、一定の金額で上限があるわけでございますが、こういった量的制限といいますのは、大きな金額の政治資金の授受というのが政治の腐敗を招きやすく、癒着現象を引き起こしやすいということから、寄附の総枠制限のほかに個別にも制限を設けるというふうにされたと承知いたしております。

 これと借入金との関係というお尋ねでございますが、借入金の金額につきましては、特段上限などは設けられていないというふうになっております。

大口委員 それで、これは衆議院の事務局にお伺いしたいんですが、このように、借入金が平成十七年は八千万から八千七百八万円、それから十八年は八千万から九千二百四十九万二千円、平成十九年は八千万から九千七百七十一万二千円と訂正されているわけですね。

 そこで、これは衆議院の事務局で資産等の報告書があるわけで、これに対する修正申告があったのか、お伺いしたいと思います。

向大野参事 お答えさせていただきます。

 現在のところ、訂正はなされておりません。

大口委員 ひどいですね。衆議院の資産報告書の制度があるのに、いまだこれを届け出していない。おかしいなと思います。

 そして、政治資金規正法上、会計帳簿には、五万円以下の個人献金についても氏名、住所等、明細を記載しなきゃいけない、こうなっているわけですが、確認します。

門山政府参考人 お答えいたします。

 政治資金規正法上、政治団体の会計責任者は、会計帳簿というものを備えていただきまして、これに当該政治団体に係るすべての収入、支出を記載しなければならない、これが九条で定められているところでございます。

 お尋ねにあります寄附につきましては、会計帳簿ということで見ますと、会計帳簿には、寄附の金額にかかわらず、政党、政治資金団体が対象になります政党匿名寄附を除きまして、すべての寄附につきまして、その寄附をした者の氏名、住所及び職業、当該寄附の金額及び年月日などを記載するというふうに定められているところでございます。

大口委員 これは、鳩山代表の記者会見の中で、弁護士もこれから調査すると言っています。会計帳簿を見れば、本当に亡くなった方なのか、あるいは架空なのか、また承諾を受けていないのかということは全部調べられるわけですね。だから、これを早急に、五万円以下についても調べるべきであると私は思っているわけでございます。

 そこが問われるわけでありまして、岡田幹事長あるいは菅代表代行、簗瀬国対委員長も、納得したとか、役員会で了承されたとか、説明責任は果たしているとか、これはとんでもないことであると思う次第でございます。会計帳簿でしっかりとこれは調査をしていただきたいことを強く求める次第でございます。

 さて、最後でございますけれども、平成十七年から平成二十年の間に、鳩山代表の政治資金収支報告で二千百七十七万円が架空の献金に流用された。本日の朝日新聞の社説には、「流用された金額は年に四百万〜七百万円にのぼる。資産家として知られる鳩山氏だが、一昨日公表された年間所得は三千万円弱である。普段から一千万円を超える金を秘書に預け、鳩山氏の私的な支出にあてさせていたというが、本当に鳩山氏個人の金だけだったのか。出所を明かせない裏献金は入っていなかったか。他にも疑惑はいくつもある。」ということでございます。

 私は、国税当局が関心を持つべきだと思いますが、いかがでございましょうか。

荒井政府参考人 お答えいたします。

 個別にわたる事柄につきましては、お答えすることは差し控えさせていただきたいと考えております。

 一般論として申し上げれば、国税当局はあらゆる機会を通じまして、課税上有効な資料情報の収集に努め、これらの資料と納税者から提出されました申告書等を総合検討し、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正公平な課税の実現に努めているところでございます。

大口委員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

河本委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 見たところ、定足数に達していないんじゃないですか。委員長、確認してください。

河本委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

河本委員長 速記を起こして。

 佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 きょうは、与党側がこの質疑を強力にやってくれということで、いわば本会議の趣旨説明をせず、議運でこの委員会にきょう付託をした。しかも、議決をして付託しているわけです。その上で、質疑をしたら定足数に達しない。もちろん、民主党の態度に問題があると私は思うけれども、しかし、それでもやるというんだったら、ちゃんとそろえないと質疑にならぬじゃないですか。やる気があるのかどうかという問題も問われるわけですよ。私は、この点、与党の姿勢は非常に疑わしいと思う。

 そこで、佐藤総務大臣にまずお聞きをしたいと思いますが、六月二十五日の参議院の総務委員会で日本共産党の山下参議院議員が指摘をした、建設工事で談合して排除勧告を受けた企業からの献金問題、この点についてお聞きしたいと思います。

 佐藤大臣は、談合事件で排除勧告を受けた企業から、大臣が支部長を務める自民党栃木県第四選挙区支部への献金、あるいはパーティー券の購入があったということで、談合中に六社、排除勧告や指名停止処分を受けた二社から献金を受けておりますが、この指摘を受けまして、大臣は調査すると答えたようですが、その後どうされたでしょうか。

佐藤国務大臣 御指摘の自由民主党栃木県第四選挙区支部について調べましたところ、談合事件で公正取引委員会から排除勧告を受けた企業からの献金があったことが確認をされました。政治献金については政治資金規正法にのっとって適切に処理してきたところでもございまして、今回の献金も違法なものではないと認識をしております。

 しかしながら、公正取引委員会から排除勧告を受けたということを重く受けとめまして、勧告以降の関係企業からの献金について返還するように支部に指示をいたしました。

佐々木(憲)委員 それはいつ返したんですか。返した企業は何社で、幾らなんですか。

佐藤国務大臣 指示をしておりまして、精査をしてからということになっておりますので、今、整理中でございます。

佐々木(憲)委員 まだ返していないということですね。

佐藤国務大臣 そういうことでございます。

佐々木(憲)委員 返すと言いながら、精査をしてからと。違法ではないと先ほど言いましたけれども、しかし、こういう企業から献金を受けること自体非常に重大な問題でありまして、これまでも大臣が今まで何人も、こういうたぐいの献金を返還しているわけであります。

 ところが、まだ返していないというわけですけれども、一体なぜ、どこが悪かったから返すというつもりになったんでしょうか。何が悪かったと思っているんですか。

佐藤国務大臣 道義的責任を感じたということでございます。

佐々木(憲)委員 国民から誤解を招かないようにというようなことで答弁をされていたようですけれども、政治資金規正法を所管する総務大臣が、こういう形で献金を受けて、しかも返さざるを得ない、こういう状況は非常に私は問題だと思いますね。これは、大臣としての資格も問われかねないと思うわけです。

 大臣、企業・団体献金はもう受け取らないというふうに言ったらどうですか。

佐藤国務大臣 したがいまして、不正のないようにこれから気をつけてまいりたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 受け取るんですか、受け取らないんですか。

佐藤国務大臣 正当な献金については決して法に違反するものではないというふうに思いますので、受け取らせていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 では、こういう事件に関連をした企業をどのようにチェックされるのか、その体制というのは大臣はどのようにとられているんですか。

佐藤国務大臣 目の届くという面では、先生おっしゃるように非常に難しい面もございますが、しっかりとこれから目を通して、こういうことのないように気をつけてまいりたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 私は、企業・団体献金そのものに問題があると思っているわけです。これは後でも具体的に申しますけれども、企業・団体献金をめぐりまして、さまざまな不祥事件が発生してまいりました。佐藤大臣以外にも閣僚の間で、指名停止になった企業から献金を受けて返却したという過去の事例があります。

 今回の西松建設からの献金問題、これは民主党の小沢前代表に限らず、二階経済産業大臣への違法献金事件あるいは与謝野馨財務・金融担当大臣にかかわる商品先物取引会社からの迂回献金疑惑、しかも今回の鳩山由紀夫民主党代表にかかわる個人献金疑惑と、次々と大きな問題が今国会でも噴出してきているわけであります。

 私は、いずれにしても、これはすべて解明されたというふうには思いません。全部説明責任が果たされていないというふうに思うわけです。

 この政治資金規正法を所管している佐藤大臣、それから自民党の提案者、公明党の提案者、それぞれ認識をお聞きしたいと思います。

佐藤国務大臣 総務大臣としてでございますけれども、個別の事案について具体的事実関係を承知する立場におらないので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

葉梨議員 今回の公選法の改正それから政党助成法の改正、この問題については、小沢さんの問題、二階さんの問題、それから鳩山さんの問題、与謝野さんの問題、これとは直にかかわらないものですから、改正案の答弁ということではちょっと有権的な答弁を行うことはできません。

 ただ、非常に役者不足ではございますけれども、個人的な見解として、党の見解ではない、個人的な見解として申し上げさせていただきますと、説明責任というのは大変難しい言葉でございまして、どこまで説明すれば足りるんだというのは、人によっていろいろな考え方はあり得る話だと思います。しかしながら、それを説明するときに、内輪だけでやっている、内輪だけでその説明を聞いて満足するというのは余りよろしくないのかなという感じもいたします。

 与謝野大臣にしても、それから二階大臣にしても、財務行政あるいは経済産業行政と全然違うことについて聞かれても、民主党あるいは共産党それから社民党の方々からの鋭い質問を受けても、その場でやはり真摯に答弁するように、説明する努力はしっかり尽くされてきたんだというふうに私は思います。

 ところが、小沢前代表ですとか鳩山代表については、反対派といいますか、考え方を異にする方々の前でしっかりと言葉を尽くして説明する努力をやはり尽くしていただきたいというような思いから、先ほどの提案理由の説明において、民主党の幹部の方々には説明責任を果たしていただきたい、ぜひとも、この国会で私どもからの質問にも答えていただけるような、そういう努力を尽くしていただきたいというふうに思っております。

大口議員 この政治と金の問題につきましては、これも私の個人的な見解でございますけれども、やはり大臣の場合は、委員会等で答弁席に立って、そして皆さんからいろいろな質問を受ける、それに対して国民に向けてきちっと説明をするという努力をしていかなきゃいけないと思いますし、それはそれぞれの政治家がもっと努力をしていくべきだと思います。

 ただ、小沢前代表、今の代行にしましても、鳩山代表にしましても、一方的な記者会見で終わっている。また、第三者委員会を西松建設の場合はつくられたようでありますが、非常に内輪の第三者委員会になっている、こういう感じがいたします。そういう点で、やはりさらに説明責任を果たしていただきたい、こう思っております。

佐々木(憲)委員 内輪のと言いますけれども、裁判で検察側の冒頭陳述というのがありまして、そこでも具体的な指摘があるわけです。しかも、何か大臣と民主党側が違うかのように言いますけれども、何が違うんですか。小沢代表の場合も二階大臣の場合も、政治団体、これを通じて、いわばダミーですよね、その決定権は西松建設がやっているということを西松側がみずから調査をして発表しているわけです。

 ですから、どの政治家に幾ら献金するか、これは企業が決めて相手と相談をしてやっていた、こういうことを当事者が言っているわけだし、また検察側の冒頭陳述の中でも、よりリアルにそれが指摘をされている。これは小沢さんの場合も二階さんの場合も全く同じですよ。説明責任が果たされていたと、二階さんはそう言えるんですか。一方ばかり攻撃するけれども、両方まともな説明をされていないんじゃないですか。私は、その問題を非常に、いわば真相解明というよりも政争の具にしているとしか思えない。本当に真相を解明するなら、きちっとやったらどうですか。

 それからもう一つ、与謝野大臣の問題。この問題でも、これは渡辺喜美元行革担当大臣も名前が挙がっておりますけれども、総務省に後援団体として届けていた政治団体ですよ、その政治団体が、商品先物取引会社などのグループ五社から企業献金するためのダミー団体だった、この後援団体が。五社は団体を通じて、与謝野氏に五千五百三十万円、これは九二年から〇五年までですね、それから九五年から〇五年まで渡辺氏に三千五百四十万円、迂回献金をしていた。これは、五社は毎年、幹部社員ら約二百五十人の給与から計約四千万円を天引きして、団体に寄附させた、そして寄附金控除を受けさせていたというんですよ。これは明らかに、これが明確な事実であれば、まさに違法ですね。これは所得税法にも違反するかもしれない。極めて重大な事件であります。

 これがまともに説明されたというように、自民党も公明党もそのように思っておられるんですか。

村田議員 私は、公職選挙法の提案者として、本日ここに出席をいたしております。そして、二人は、政党助成法改正案の提案者の立場で出席をしております。

 本来であれば、政治資金規正法の改正案の審議がきょう行われる予定なはずでございますので、民主党、国民新党さんも加わって、この倫選特で、今先生がおっしゃるようなことも含めて、全党でこの政治とお金の問題についてもここで議論をされるということが望ましいと私は思っております。

 そして、我が党は、予算委員会でこの政治と金の問題について、筆頭間でございますが、開くよう要求しているわけでございまして、国会の場でそれぞれ、問題のある人が、場合によっては、これはマスコミのうわさとかそういう記事だけで御本人を呼ぶというのは問題がある場合もありますので、だれもが認めるようなケースにおいて、その犯した問題の重大性に応じて、あるいはこの委員会で、あるいは予算委員会で議論することは、私どもも全くやぶさかではありません。

大口議員 私も、政党助成法の法案提案者としてここに立っておるわけでございます。

 今、予算委員会で政治と金の問題の集中を申し入れておるということでございますので、そこでしっかりやっていただきたい、こう思っております。

佐々木(憲)委員 呼ぶなら全部呼んだらどうですか、何か先ほどからある党だけが特別に呼べ呼べと、対象を絞って言われているようですけれども。

 だから、与謝野大臣にしろ、あるいは二階大臣にしろ、この問題についてはっきりとした説明責任を果たしてもらう、場合によっては参考人ではなく証人喚問もあり得る、こういう立場で真相を徹底的に究明するというのがまず出発点じゃないんですか。その点の考え方を聞かせていただきたい。

村田議員 これは、私個人がオーケーと言うわけにはいかない問題でありますけれども、各党がしかるべき場において合意がなされれば、それはそれで結構なんじゃないかと私は思います。

佐々木(憲)委員 何か、各党が合意されればなんということを言って、結局今までもそういう形で逃げてきたわけですよ。ちゃんと言ったらどうですか。やるべきだと言うなら、やったらどうですか。

 私は、こういう問題が起こってくる背景には、企業・団体献金をもらって当たり前だというところに大きな問題があると思っております。個人献金と企業献金というのは、性格が根本的に違う。その点で、きょう私が具体的にお聞きをしておきたいのは、日本経団連がやっている新しい献金方式であります。

 日本経団連は、二〇〇四年からこの新しいやり方を始めまして、そのとき「政策本位の政治に向けた企業・団体寄付の促進について」という声明を出しているんです。この声明を見ますと、こう書いてあります。企業も、政策や政治のあり方について積極的に発言するとともに、政党活動に要するコストの負担を社会貢献の柱の一つとして位置づけ、応分の支援を行うべきである。つまり、企業は、政策あるいは政治のあり方、こういう問題について積極的に発言をして、政党にお金を渡し、その実現を図る。

 つまり、お金でこういう政策をやりなさいということを、いわばひもをつけるような話ですよね。これを日本経団連の新しい方式の中心として据えて、そのやり方は、二大政党に通信簿をつけるやり方をしているわけです。献金のガイドラインをつくりまして、通信簿でいい成績をとれば、その政党に対して企業献金を大いにふやしましょう、こういうことを呼びかけているわけです。私に言わせれば、金が欲しければいい成績をとりなさい、こういうことですね。

 経団連の献金あっせんは、それまで十年間は禁止されておりました、いろいろな不祥事がありまして。ところが、それをこういう形で再開したわけです。

 私は、金の力で有利な政策をつくらせようとする行為、この行為について提案者はどう受けとめているかをお聞きしたいと思うんです。自民党と公明党、それぞれ答えていただきたい。

村田議員 経団連がどういう献金をされるのか、どういう評価をされるのかについては、私が答弁するより経団連にお聞きになるのがいいかと思います。しかし、このような経済団体がどういう政治活動をするのか、あるいは、労働組合も含めまして、そうした団体が政治との関係をどういうふうに処していくのかについては、この民主主義の世の中では各団体が自由に判断して決められる、こういうことではないかと思っております。

大口議員 私は党を代表する立場でも何でもございませんので、ただ、公明党は日本経団連から献金をいただいておりませんので、日本経団連がどういうお考えなのかということも、この献金については聞いておりません。

佐々木(憲)委員 日本経団連がどう言っているかというと、経団連は政治に対して、経済の現場の声を反映した明確で具体的な主張を展開し、積極的かつ組織的に働きかけることによって必要な政策を実現していくと言っているわけです。

 自分たちが働きかけて、経団連の掲げる政策を実行させていく、実現させていく、これが経団連のこのやり方の考え方なんです。そのために企業献金を行うわけだから、まさに金の力で政策を買い取る、政策買収と同じ宣言ではありませんか。何かどこかの団体がやっている話じゃないんですよ、自民党は自分で受け取っているんですよ、こういう形で。公明党はもらっていないんですよ。これは二大政党ですから、自民党と民主党しかやっていない。

 具体的な手法としては、各政党の政策評価を行って、A、B、C、D、E、五段階の評価をつけるわけです。我々はこれを通信簿だと思っているわけですが、ここで重要なことは、日本経団連として模範解答をつくっているということなんですよ。その模範解答とは、優先政策事項ということで毎年発表している、こういう政策を実行しなさい、経団連はこれを要望しますと。その上で、自民党と民主党がそれぞれに沿った政策を出しているかどうか、そしてどう実現に寄与しているか、これが評価の基準になっているわけですね。

 それに、二〇〇五年から、自民党、民主党と経団連が政策を語る会というのを開催している、我々に言わせれば、これは口頭試問だと思っているんですけれども。そういう形で、この口頭試問の際には、自民党、民主党みずから、例えば二〇〇九年優先政策事項と党の政策・取り組み、こういうことを回答しているわけです。その回答を見て、経団連は、ああ、よくできた、A、Bとつけるわけですね。こういうやり方をしている。

 自民党にお聞きしますけれども、これは事実ですね。

    〔委員長退席、下村委員長代理着席〕

葉梨議員 私も、自民党の中で責任を持ってこれを担当している立場でもございませんので、私は、不勉強ではありますけれども、知りません。

村田議員 私も存じません。

佐々木(憲)委員 そんなでたらめなことを言っておりますけれども、自民党が毎年毎年ここに出ているじゃないですか、党の幹部が。民主党だってそうだ。そういうやり方をして、いわば口頭試問を受けて回答して、そして点数をつけてもらって、Aが多ければ献金がふえますよ、こういうことをやっているわけです。

 日本経団連の副会長の、住友商事の宮原会長は、二〇〇四年七月の論座という雑誌のインタビューでこう言っているんです。

 一番わかりやすい例で言えば法人税を下げてくださいということは個別政策じゃないか、それは個別かもわかりません、しかし、我々に言わせれば、企業活動のインフラ整備は、個々の企業ではなく、全体の企業のインタレスト、企業活動を活発にする政策です、こう言っているんです。

 要するに、法人税を下げてください、これは全体の企業にとってはプラスになるのでやってほしいんだと。さらに、法人税を下げてくれというのは、例えば個人なんかは言わない、だから、企業が政治に対して関与しない方がいい、その方が楽だということでは困ると逆に言っているわけです。

 政党は、民意を吸い上げることによって、それだけのファンドが入ってくることになれば、やっぱりそれだけ努力もするでしょうと、金の力で政治を動かすということを公然と言っているわけですね。自民党は、こういう形で大変な献金を受けてきているわけであります。

 経団連は、巨大企業の共同の利益のために政治に働きかける、こういうことを毎年毎年やってきております。

 例えば、二〇〇八年、昨年の九月十七日の共同通信社のきさらぎ会、ここで日本経団連会長の御手洗さんが講演をしております。そこでこういうことを言っているんです。「経団連は政策をめぐり政治と対話し、政策で政治と関係を築くのであります。こうしたことから、経団連は政策本位、国益重視の政治が徹底されるようこれからも働きかけてまいります。その成果はしっかりとあらわれてきております。先週公表された政治資金収支報告によれば、企業・団体による政治寄付は、着実に増加しております。」と。

 つまり、働きかけはお金の力でやるんです、その成果は着実にふえている、こう言っているわけですね。これは事実ですね。

村田議員 寡聞にして全く存じません。

佐々木(憲)委員 具体的な数字は皆さんのお手元にあります。

 自民党、民主党への日本経団連からの献金は、そこにありますように、二〇〇三年から二〇〇七年、これを見ていただければわかりますけれども、自民党は大変忠実に経団連の言うことを聞いておりまして、しかも実行している、こういうことでAの数がどんどんふえておりまして、二〇〇三年には十八・二億円だったのが二〇〇七年には二十九・一億円、約三十億円、献金がこれだけふえているわけです。そして、評価は、Aという評価が二〇〇四年が三個、二〇〇五年四個、二〇〇六年九個、二〇〇七年九個、二〇〇八年十個と、毎年ふえているわけですよ。

 要するに、自民党の通信簿のAの数がふえた、それにつれて献金もふえた。これだけ経団連から太いパイプがついて、経団連の言いなりになっている、こういう証拠ですよ、これは。

 民主党の場合も、Aはないんですが、Bの数が七個、六個、九個、六個、五個、こういう形になっておりまして、これも八千三百二十万円、これは二〇〇七年度ですけれども、自民党よりはかなり少ないけれども同じようなパターンで献金を受けている。ですから、これは、例えば優先政策事項を実行していけばいくほど点数が上がるという仕掛けになっているわけです。

 こういうやり方は当然のやり方だと思いますか、知っているか知っていないかは別として。どうですか。自民党と公明党にお伺いします。

葉梨議員 あくまで個人的な見解で申し上げますが、このように書かれておりまして、果たしてこの通信簿の例えばBの数と民主党の献金ですとかに相関関係があるというふうに断定できるのかどうか。これは必ずしも有意ではないというふうに思います。

 といいますのは、これは二〇〇八年、二〇〇九年も見てみなきゃいけないんですが、多分、二〇〇八年、二〇〇九年においてAの数が二十個になったとしましても、献金は相当減るんじゃないかと思います、景気が悪いですから。二〇〇七年ぐらいまでは、景気が徐々によくなってきたということで献金が増加している、これは民主党も同様ですけれども。

 そういうような要素ももしかしたらあるかもわかりませんので、これが相関関係があるということを前提にした感想ということは述べることはできないと思います。

大口議員 私も、個人的な感想といたしましては、やはり献金の額というのは、ただ単にAの数、Bの数だけではなくて、いろいろな景気の状況でありますとか日本経団連の中のコンセンサスの問題でありますとか、さまざまな要素があるんじゃないかな、こういうふうに思います。

佐々木(憲)委員 公明党までそういうことを言うのは、自民党と全く一緒だなと思いますね。

 大体、景気が悪くなっても献金はふえているんですよ。二〇〇三年、二〇〇四年、二〇〇五年なんというのは、景気が悪かったのにふえているじゃないですか。点数が上がったから献金がふえているんですよ。経団連自身が、我々が働きかけた、成果が上がったと言っているわけです。

 具体的に何をやったかといえば、例えば優先政策事項で、税・財政改革で法人税の引き下げということを要求している。その反面、消費税率の引き上げを要求しているわけです。法人税については三〇%を目標に引き下げるとしている、一方で消費税の引き上げを求めているわけですね。法人税の引き下げ、その分をいわば庶民がカバーする形になるじゃないですか。

 法人税の引き下げ、この間、政府・自民党はやってきたんじゃありませんか。(発言する者あり)

下村委員長代理 ちょっと質問の内容と対象者が違いますので、どなたに質問しているのか明確にしていただいて、対象者に合った質問をお願いします。

佐々木(憲)委員 はい。

 では、佐藤大臣に聞きましょう。

 総務大臣、国の閣僚として、麻生内閣の閣僚として、今まで法人税の引き下げというのを過去ずっとやってまいりました。これは事実ですねと聞いているわけです。

佐藤国務大臣 経団連が申し入れをしてというのは、企業としての当たり前な政策としてお話をしていただいている。それを受けて、党側がすべてそれにのっとってという話ではないのではないかなというふうに思いますし、当然、日本国民である以上いろいろな権利を持っているわけでございますから、そういう中での権利を党側に主張し、それをある程度党側がそんたくするというのは当然のことではないかなというふうに私は思っております。

    〔下村委員長代理退席、委員長着席〕

佐々木(憲)委員 法人税率は、以前は表面税率四二%だったのに、今は三〇%に下がっている。これは事実ですね。

佐藤国務大臣 そのとおりだと思います。

佐々木(憲)委員 要するに、経団連が主張したとおり実行しているわけですよ。だからAがふえているんですよ。そうでしょう。

 消費税率の引き上げというのを今度出しましたね。今度は国税法案、その中に、三年後、二〇一一年、この中で消費税率の引き上げの法案を出しますと麻生総理も答弁している。法案の中にもそれを書いている。経団連の言うとおりじゃないですか。経団連の言うとおりやっているんじゃないですか。だから、二〇〇八年には十個になり、さらにその後ふえるかもしれない。そうすれば、献金はどんどん入ってくるわけです。

 経団連としては、まさに政治の丸ごと買収ですよ、これは。こんな大規模な政策買収はございません。そういうやり方をして、今までそれが何か当たり前であるかのような、根本問題はそこにあるんですよ。

 日本経団連は、その具体的な政策として、例えば住宅投資減税制度の創設、住宅ローン減税制度の拡充、自動車重量税・取得税の減税措置、省エネ・研究開発などの投資促進に関する税制措置の拡充、中低所得者層・子育て世帯への経済的支援、上場株式に係る優遇税制の延長、確定拠出年金に係る税制措置の見直し等々、優先政策事項をずらっと並べているんです。ほとんどこれを予算の中に具体化してきたのではありませんか。そういう形で借金をどんどんふやして、そのツケを結局国民に回しているわけですよ。

 要するに、経団連というのは日本の政治を金で動かし、その金で動かされた政治が、国民に対してさまざまな増税、社会保障の切り捨て、そういう形で圧迫を国民に回している。その根本原因がまさに企業・団体献金であると言わざるを得ませんね。私は、この構造そのものを根本的に変えなければならない、やはり企業・団体献金というものは根本的に政治にとっては賄賂に当たる、そういう性格を持つものだと思うわけです。

 政治資金規正法における政治資金というのは、国民の浄財、まさに個人献金、国民の政治参加の手段、国民の権利というのを国民の浄財という形で位置づけているわけですね。そして、政党や政治団体が国民の不信を招くようなことをすれば、議会制民主主義政治そのものの不信にもつながるということで、支持する政党に政治献金を行うことは、これは個人にとっては憲法で保障された国民の参政権の一つである。国民の代表を選ぶ選挙権、投票権と結びついたものであるというふうに現行の政治資金規正法というのは位置づけられているわけであります。

 これが一貫して変わらない原則だと私は思いますけれども、総務大臣、この原則はそのとおりだと思いますが、いかがですか。

佐藤国務大臣 政治活動に関する寄附については、政党、政治団体の政治活動の自由と密接に関連しておりまして、各党各会派において御議論をいただくべき問題だというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 いや、私が聞いたのは、政治資金規正法の基本精神を聞いたわけです。

佐藤国務大臣 憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を持つことは認められているというふうに思いますし、そういう観点からということではないかなというふうに思います。

佐々木(憲)委員 企業、団体というのは、国民個人個人と同様の主権者ではありません。これは、もちろん選挙権を持っていませんし、企業、団体というのは経済力が大きい。大きな会社になるほど大きな力を持っている。だから、個々の国民とは比べ物にならぬ力を持っているわけですね。したがって、企業、団体が金の力によって政治に影響を与えるということになりますと、主権者である国民の基本的権利を侵害することにつながる。したがって、私は、企業・団体献金というものの性格は国民主権と相入れない存在だというふうに思うわけでございます。

 やはり企業の側からいいますと、営利を目的としているわけですから、営利を目的としている企業が献金を行うということは、当然見返りをもらわないと、何のために投資をしたかわからない、こうなるわけです。もし見返りがないのにどんどんどんどん投資をした、こうなりますと、これは背任罪になるわけですよ。見返りがあったら、これは賄賂になるわけですよ。

 そういう意味で、企業・団体献金というものは、本来、国民の主権ということを考えていけば、これはやってはならないものであり、禁止すべきである。私は、民主党が三年後に禁止というのは、なぜ今すぐ禁止を出さないのかなと思うけれども、いずれにしましても、企業・団体献金の禁止、そういうことを明確に政治は掲げていかなきゃならぬ。

 私は、今、この二つの法案の根本にある問題についてお尋ねをいたしました。政党助成金の問題についてもきょうはやろうと思っておりましたが、もう時間ですので、次回、この問題についてはしっかりやらせていただきたいと思います。

 いずれにしても、日本共産党としては、今政治に求められている企業・団体献金の禁止ということをはっきりとここで打ち出すべきだ、この主張をして、質問を終わりたいと思います。

河本委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。

 最初に、本日の委員会の運営についてですが、法案のつるしをおろして、お経読みをして審議開始までを一日でやってしまうというやり方は余りにも乱暴だということを申し上げておきたいと思います。会期末も迫る中、野党第一党の民主党が欠席の中で審議しなければならないことも正常な事態とは言えません。やはり、委員会の運営は民主的に行うべきだということを強く要請しておきたいというふうに思います。

 まず指摘しておかなければならないことは、久しぶりに委員会が開かれると、またぞろ国会議員の政治と金の問題が中心になるのは、国権の最高機関の名をおとしめるゆゆしき事態だと申し上げなければなりません。

 事務所経費の問題に際しても指摘してきたのですが、政治倫理綱領には、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」と明記されています。国民の政治不信を増幅させることのないよう、まずは疑惑を招くような行為は慎み、そして、疑惑が指摘された議員は、政治資金の処理は適切にやっている、だから何も話すことはないという無責任な姿勢ではなく、国民が注視している点についてしっかりと説明責任を果たすべきだということを申し上げておきたいというふうに思います。

 本来、政治資金規正法改正案が審議されるのであれば民主党の提案者にお聞きしたかったのですが、民主党の委員がいらっしゃいませんので指摘するだけにとどめておきますが、西松建設が関連する政治団体から小沢前代表に対する献金のあり方、そして、鳩山代表の資金管理団体に対する、亡くなった方などからの個人献金が問題視されています。

 小沢前代表の案件に関しては、国民の関心事は、なぜ巨額の献金が続けられてきたのか、公共工事の受注との関係はあったのかどうかにあります。司法の手にゆだねられている問題とはいえ、国民の疑問に答えるという意味では、小沢前代表の説明も民主党の調査報告書も十分とは言えないように思います。同様に、鳩山代表の一昨日の会見も、調査途中ということでありますが、今後も説明していただきたい点は確かにあります。この点、機会がありましたら、率直に私はお伺いしていきたいと考えています。

 ただし、政治と金の疑惑は民主党の議員にとどまっているわけではありません。西松建設関連の政治団体からの献金、パーティー券購入では、むしろ自民党関係者の方が多いわけです。とりわけ、二階経済産業大臣の派閥パーティー券の購入や事務所費用の補てん疑惑については、真相が全くわかりません。検察審査会が二階大臣以下の派閥関係者の不起訴処分を不起訴不当とする判断を下したわけですが、市民から選ばれた十一人が、不起訴はだめだ、捜査も不十分だと指摘した意味合いは、まさに国民の声を率直に反映した大変に大きな意味を持っています。

 また、与謝野財務・金融担当大臣をめぐる迂回献金疑惑では、金融商品取引法の審議で商品先物取引を規制対象から除外した担当大臣がまさに与謝野さんであっただけに、商品先物取引会社のダミー団体からの献金が便宜供与であったのではないかと疑問が生じるのは当然です。

 しかし、お二人からは、違法という認識はない、適切な処理をしているという話は聞こえてくるんですが、献金元との関係がどのようなものであったのか、丁寧な説明がされたとは少なくとも私は思っていません。考えようによっては、調査を行って発表した民主党のお二人よりも不誠実ではないでしょうか。献金を行った政治団体がダミーであるとは知らなかったで果たして済まされる問題なのでしょうか、疑問です。

 この点、同じ自民党に所属する総務大臣、率直に言って、二階、与謝野両大臣が誠実に説明責任を果たしていると考えているかどうか、お聞かせ願いたいと思います。

佐藤国務大臣 大変恐縮でございますけれども、総務大臣としては、個別の事案について具体的事実関係を承知する立場にございません。お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

菅野委員 総務大臣、私はずっと言っていたんですが、個別の案件で質問しているんじゃないんですね。今の経過の中をずっと言いました。お二人の両大臣が今行っている説明責任を十分果たしたと思っているかということを聞いているわけですから、率直に総務大臣としての考え方をお聞きしておきたいと思います。

佐藤国務大臣 一般論としては、説明責任をしっかり果たしていただくということが基本にあるのではないかなというふうに思います。

菅野委員 先ほどずっと言ったように、私は、説明責任を全然果たしていない、逆に、先ほども議論になっていますけれども、お二人にこの場に来て説明をしていただきたいという強い思いを持っているということを申し上げておきます。

 そして、西松建設は関西国際空港二期工事で毎年数十億円の受注実績を上げてきました。また、二〇〇二年以降、西松建設が和歌山で受注した公共工事の約八割が二階大臣の選挙区に集中している、これが献金の見返りでなかったのかと示唆する報道もありました。私は、これらの疑問に丁寧に答える義務があると思います。二階大臣は大臣なのですから、なおさらだというふうに思っています。

 さて、佐藤総務大臣も、談合で排除勧告や指名停止の処分を受けていた企業から献金を受領していたことが明らかになりました。返金を指示したと言われておりますが、その経緯などについて触れるつもりはありません。

 ただ、企業献金をもらった経験のない私にはよくわからないのですが、献金する企業の実情、例えば受領すると問題になる企業ではないかなど、みずから資金管理団体の会計責任者に調べさせるようなことはしないのでしょうか。献金イコール善意として、とりあえず素通りで受領しているのか、お聞かせいただければ幸いです。

佐藤国務大臣 御指摘もございましたので、会計責任者には、会計責任者として政治資金規正法にのっとって政治資金を適切に処理するように指示をしております。私には、その際、適宜報告あるいは相談をするようにということを申し上げて、しっかりとした管理をしていくようにということも、私自身もあわせて見直しているところでございます。

菅野委員 指摘されたからそういう対応をとるというのじゃなくて、日常的にすべての情報を把握して事前に備えるというのが政治家としてごく当たり前のことじゃないかというふうに私は思います。私は企業献金をもらった経験がないから、そこをしっかりと対応していただきたいというふうに思っています。

 先ほども議論になっているんですが、企業・団体献金をする側は、やはり献金によって何らかの利益を引き出したいと考えているのだと思います。企業にも献金の自由があるといっても、それが政策を金で買っているように国民の目には映るわけです。そうであれば、この際、企業、団体はきっぱり禁止する、そして企業や団体をダミーにした政治団体による献金についても規制が必要だと考えている、このことを主張しておきたいというふうに思っています。

 次に、公職選挙法改正について提出者に質問いたします。

 率直に言って、現行の供託金の額そして供託金没収点は、少数政党、小規模政党にとって大きな負担になっていると私は思っています。候補者擁立の高いハードルにもなっているわけです。今回、与党の皆さんから供託金の額、没収点の引き下げが提案されたわけですが、この点については率直に歓迎したいと思います。ただし、背後には変な思惑がないことを信じたいわけでありますが。

 今回このような提案をしたのは、少数政党や小規模政党にとどまらず、国民の参政権、国政への立候補権を拡大するためのものだと率直に受けとめて間違いないのかどうか、お答え願いたいというふうに思います。

村田議員 菅野委員の御質問にお答えする前に、政党助成法そして公職選挙法の本委員会への付託それから審議入りについて、大変無理やりにやった、一日でやるのは何だ、こういう御指摘がございました。

 こういうことは、社民党さんも含めまして、いつも参議院では行われているわけでございまして、せんだっても生活保護法の一部改正法案、あの母子加算の問題でも、委員会付託について、参議院の議院運営委員会では可否同数でありましたのに、委員長が賛成に回って委員会付託になって、そして与党が反対するにもかかわらず強硬に委員会の審議入りをしたという直近の事例もございますし、参議院ではこのようなことが数あまた行われてきた事例がありますから、菅野先生のお言葉はそっくりお返しをさせていただきたいと思います。

 ところで、今の御質問は、私ども、先ほども御答弁申し上げましたが、我が国の供託金の額が、近隣で一番高いのは韓国でございますが、それと比べても相当に高い、こういう状況にある。欧米諸国と比べた場合には本当に高いレベルにある。

 このことを真摯に考えたときに、やはりこれはちょっと高過ぎる、泡沫候補の立候補を制限するのにはちょっと水準を超えているのではないかという考えがございまして、そういう意味で我々は、民主主義という観点から、多くの人が自由に、参政権の意味でもハードルを低くすることが必要じゃないかということで、今回の供託金の額並びに没収点の引き下げという改正案を提案させていただいた次第でございます。その意味で、どうぞ皆さん方に御賛成をいただきたいと思います。

菅野委員 提出者に再度お聞きしますけれども、やはり、先ほどの答弁でも、欧米諸国、諸外国と比べて日本の供託金制度というものが非常に高い、これは共通認識に立てるんだろうというふうに私は思います。例えば一つの例ですが、衆議院小選挙区の候補者は、供託金が三百万から二百万に下がり、没収点も有効投票数の一〇%から五%と法案では明記されています。

 この三百万、二百万、あるいは一〇%、五%という引き下げ額の根拠、先ほどの答弁においても十倍以上の差があるわけですけれども、この根拠について、今まで議論してきた中身についてお伺いすると同時に、やはり少数政党を大事にしていくというのは民主主義の基本だというふうに私は思いますから、この額についても今後継続して議論していく余地があるのかどうか、提出者にお伺いしておきたいというふうに思います。

村田議員 絶対的な引き下げの基準といいますか、それを見出すのは非常に困難であるわけでありますが、しかし、絶対的に高いというところから、とりあえず三百万円を二百万円、小選挙区の場合にはそういうふうに引き下げさせてもらったわけでございます。

 それから没収点も、これは前回の選挙でもって、各党がどれぐらい供託金の没収が具体的になされたのかということはやはり見させてもらいました。一番供託金の没収に激しく影響されたというのは、具体名を言ってまことに申しわけないんですが、御党であったのではないかというふうに思います。しかし、そういうところを目安にしたというわけじゃなくて、やはり少数政党あるいは立候補を今よりもさらに容易化する。しかし、そうはいっても、泡沫候補が乱立するという事態もかつてあったような気もするし、そのバランスというものを大まかに考えて、例えばこれぐらいはどうかという御提案なんでございます。

 今後は、いろいろ経験を積んで、各国の例も参考にしながら、供託金制度以外のもっといい制度があればそれも参考にしつつ、今後とも研究してまいりたいというふうに考えております。

菅野委員 やはり私は、民主主義の徹底ということを含めて、だれもが自由に、被選挙権を有する者が立候補できる環境というものをつくっていくべきだ、ずっと私どもはそういう考えで一貫しているということを申し上げて、これは一つの通過点であるというふうにとらえて、今後ともしっかりと議論していきたいというふうに考えております。

 最後になりますが、改正案とは関係ないんですが、政党助成の交付金のあり方についてお聞きしたいというふうに思います。

 現行制度は、一定の期間に行われた国政選挙で得た議席数、獲得票を根拠にして各政党に交付金を交付しているわけですが、ドイツや欧州議会では、小規模政党の政党活動を保障する観点から、要件を満たした政党には一定の割合を均等割で交付する仕組みになっています。例えば欧州議会では、一五%が均等割、残りの八五%が選挙結果の成績に応じて交付されます。

 このような仕組みを検討していくことについてどう考えておられるのか、政党助成法改正案の提出者にお聞きしておきたいと思います。

葉梨議員 改正案とは直に関係がないので、個人的な意見として述べさせていただきますが、確かに諸外国の政党に対する国庫補助制度の中には、先生言われましたように、均等割を一部にして、あとは得票で割るというようなものもあるということも私も仄聞しております。

 ただ、我が国の場合、現状においては政党法みたいなものの制度がないんです。政党というのはやはり民主主義の、非常に大きな国民の声を吸い上げるチャンネルであるし、私も個人的には、我が自民党においても、政党の重要性というのを認識しながら、例えば新憲法草案を議論する過程で、これは憲法じゃないけれども、政党を重視するということを打ち出していこうということを自民党としても出させていただいた。

 ですから、各党いろいろ持ち寄りまして、今、政党法がない状況では、一人二百五十円と言われる政党助成金が議席割、得票数割で分配されるというのはそれなりの合理性を私は持っていると思いますけれども、やはり、その政党がどういう役割を果たすのか、またどういう要件の政党についてしっかりと支援、支援というよりも公的な補助をしていくのかということを今後各党で幅広く議論していくことが非常に大事なことじゃないかというふうに思っております。

菅野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

河本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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