衆議院

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第4号 平成21年7月7日(火曜日)

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平成二十一年七月七日(火曜日)

    午前十時三分開議

 出席委員

   委員長 河本 三郎君

   理事 下村 博文君 理事 菅  義偉君

   理事 中馬 弘毅君 理事 原田 義昭君

   理事 山口 泰明君 理事 篠原  孝君

   理事 福田 昭夫君 理事 井上 義久君

      飯島 夕雁君    稲田 朋美君

      猪口 邦子君    浮島 敏男君

      越智 隆雄君    大高 松男君

      大塚  拓君    木原  稔君

      清水鴻一郎君    棚橋 泰文君

      土井  亨君    土井 真樹君

      福田 峰之君    藤野真紀子君

      船田  元君    松本 文明君

      村田 吉隆君    矢野 隆司君

      渡部  篤君    石関 貴史君

      枝野 幸男君    大串 博志君

      奥村 展三君    階   猛君

      中井  洽君    三日月大造君

      横山 北斗君    佐藤 茂樹君

      高木 陽介君    佐々木憲昭君

      菅野 哲雄君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           近江屋信広君

   議員           後藤田正純君

   議員           葉梨 康弘君

   議員           村田 吉隆君

   議員           大口 善徳君

   総務大臣         佐藤  勉君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           門山 泰明君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           大下 政司君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月七日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     飯島 夕雁君

  小里 泰弘君     猪口 邦子君

  木原 誠二君     清水鴻一郎君

  永岡 桂子君     大高 松男君

  萩原 誠司君     矢野 隆司君

  中井  洽君     三日月大造君

  松本  龍君     枝野 幸男君

  下地 幹郎君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     伊藤 忠彦君

  猪口 邦子君     小里 泰弘君

  大高 松男君     永岡 桂子君

  清水鴻一郎君     木原 誠二君

  矢野 隆司君     萩原 誠司君

  枝野 幸男君     松本  龍君

  三日月大造君     中井  洽君

  糸川 正晃君     下地 幹郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法の一部を改正する法律案(村田吉隆君外四名提出、第百七十回国会衆法第三号)

 政党助成法の一部を改正する法律案(葉梨康弘君外二名提出、衆法第二七号)


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     ――――◇―――――

河本委員長 これより会議を開きます。

 第百七十回国会、村田吉隆君外四名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び葉梨康弘君外二名提出、政党助成法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長門山泰明君、法務省刑事局長大野恒太郎君及び経済産業省大臣官房審議官大下政司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石関貴史君。

石関委員 おはようございます。民主党の石関貴史です。

 今回提出の法案に関連をいたしまして、質問をさせていただきます。

 まず、先月、六月二十四日水曜日、毎日新聞の朝刊に「与謝野氏に迂回献金」「先物会社、ダミー通じ」こういう見出しの記事が載りまして、私は大変驚きました。与謝野さんのような、堂々たる政治とか大変御立派なことをおっしゃっている方がこんなことを報道されると。ただ、これは報道ベースですので、必ずしも私は新聞や雑誌等に書いてあることがすべて事実だと思ったことはございません。しかし、この記事をもとに私なりにいろいろ調査をいたしましたら、この記事というのは確度の大変高いものであり、大変な問題だというふうに私自身は気づいたところでございます。

 そこで、この問題についてまず質問をさせていただきたいと思います。

 この記事によると、先物会社オリエント貿易とそのグループ会社は、企業献金をするためにダミー団体をつくり、これは与謝野さんを推薦するという団体に登録をしていたので、この団体に対する寄附者には所得税の一部を控除される優遇制度まで適用されていた、この五社について、毎年、幹部社員ら約二百五十人、こんな大勢の方々の給与から計約四千万円を天引きして団体に寄附させ、控除を受けていた、この団体の名称は政経政策研究会というふうに報道をされております。

 そこで、この記事それからこの問題に関して、この政経政策研究会という団体がどういうもので、いつ設立をされて、その寄附等が、この記事によると与謝野さんにお金が渡っていた、献金をされていたということでありますが、こういった事実関係について、総務省の方に事実関係を正確にそして端的に短く御答弁をお願いします。

門山政府参考人 お答えいたします。

 政経政策研究会の届け出状況を確認いたしましたところ、設立届け出年月日は昭和五十六年八月二十九日でございます。代表者は加藤幸男氏。課税上の優遇措置の適用関係といたしましては、設立時から平成二十年九月三十日まではあり、平成二十年十月一日からはなしとなっております。

 それから、推薦を受けたという意味での被推薦書でございますが、設立時におきましては与謝野馨議員から、それから、平成十三年の十二月十四日に渡辺喜美議員から提出をされております。

 また、会則の目的におきます推薦、支持する者といたしましては、設立時から平成十三年十二月十三日までの間は与謝野馨議員、平成十三年十二月十四日から平成二十年九月三十日までは渡辺喜美議員となっているところでございます。

 あわせまして、政経政策研究会から与謝野議員の資金管理団体への寄附の状況のお尋ねでございました。

 与謝野馨議員の資金管理団体でございます駿山会の平成四年分から平成十七年分までの収支報告書の要旨を官報で確認いたしましたところでは、政経政策研究会から寄附として記載されました金額の合計は四千五百五十万円。政治資金パーティーの対価に係る収入として記載された金額の合計は九百八十万円となっているところでございます。

石関委員 これは何年間にわたってこのような寄附が行われたんですか。毎年、幾ら幾らということで寄附をされていると思いますが、何年、寄附を与謝野さん側に渡していますか。

門山政府参考人 失礼いたしました。

 駿山会の収支報告書の要旨、これは官報で確認いたしました範囲でしか承知いたしておりませんが、今申し上げましたのは、平成四年から平成十七年までの間の分でございます。

石関委員 平成四年から平成十七年というと相当な長い期間ですよね。これは相当政治的には長い期間だというふうに皆さん認識を共通にされると思いますが、こういう形で推薦団体になっている、与謝野さんはこの被推薦の届け出を出しているということですね、総務省さん。はい。うなずけばいいです、確認ですから。

 ということでありますので、これは、被推薦届を出して推薦されている方というのは、この団体からこういうふうにお金をいただいていて、何か責任というのは生じることになっているんですか。この団体との関係に何か責任というのは、法的な責任あるいは政治的な責任というのはどんなものが生じるんですか。総務大臣、お答えください。

門山政府参考人 制度の仕組みでございますので、私から御説明申し上げます。

 政治資金の寄附金の控除を受けます場合には、その適格な団体であることが必要でございますけれども、その団体になりますためには、一つの類型といたしまして、特定の国会議員を推薦または支持しているということが必要でございます。その場合に、国会議員の側からは、この団体から推薦をしてもらっていますということを認識しているということを書面で届けるということになっておりまして、それが被推薦届ということでございます。

石関委員 そんなことは全然聞いていないんですね。

 そうしたら、この団体の中核になっているオリエント貿易という会社については後で経済産業省等にお尋ねをいたしますが、これは不祥事を起こして処分も受けているという会社ですが、こういった会社が母体になっている政治団体からお金をいただいて長きにわたって緊密な関係を続けていて推薦をされているということについて、政治的な責任については総務大臣はどうお考えですか。お答えください。

佐藤国務大臣 政治資金についてさまざまな報道そして批判があるというのは承知しておりますが、一般論として、国民に信頼される政治を行うために政治家一人一人が襟を正すということが大切だと思いますし、また、政治資金については法律にのっとり適正に処理されることが肝要だというふうに思います。

石関委員 済みません。言っていることがよくわからないので、的確に答えてください。

 こういう緊密な関係、お金をいただいている団体に推薦をされていて、この団体が、不適切な会社が中核になっていたり、そういった場合には、一般論で結構ですが、大臣、政治家として政治的責任はあると思いませんか。

佐藤国務大臣 法律的にどうのこうのということではなくて、一般的に道義的な責任というのは当然出てくるのではないかなというふうに私は思います。

石関委員 今の話をまとめると、後でまた御質問申し上げますけれども、この団体それから中核になる会社等に大変な問題があった場合には、一般論として、与謝野さんに問題がある、責任があるというふうに理解しますけれども、これでよろしいですね。

 次の質問に移ります。

 これは役所で結構です。法律の解釈をお尋ねいたします。

 政治資金規正法の第二十二条の七第二項、寄附のあっせんに関する制限についての条項でありますが、この中で、「政治活動に関する寄附に係る寄附のあつせんをする者は、いかなる方法をもつてするを問わず、寄附をしようとする者の意思に反して、その者の賃金、工賃、下請代金その他性質上これらに類するものからの控除による方法で、当該寄附を集めてはならない。」とあります。

 特にこの中で、「寄附をしようとする者の意思に反して、」というところと、それから「控除」というものについてどのように解釈をされているのか、お尋ねをいたします。

門山政府参考人 お答えいたします。

 政治資金規正法二十二条の七の寄附者の意思に反してということの意味についてのお尋ねでございますが、寄附といいますのは、本来、寄附者の自発的な意思に基づいてされるべき性質のものでございます。特に、政治活動に関する寄附は、政治的自由と関連いたしまして、寄附者の自発的な意思に基づいてされることが強く要請されるというものでございます。したがいまして、寄附者の自発的な意思に反して行われる、このことを寄附者の意思に反してというふうに解釈されております。

 それから、控除といいますのは、給与等を支払う者がそれを支払う時点で差し引くという意味で控除ということでございます。

石関委員 差し引くというのは、いわゆる世間で言う天引きというふうに理解してよろしいですか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 通常、天引きとかチェックオフというような言い方をされているものに相当することかと存じます。

石関委員 わかりました。

 だとすると、これも毎日新聞がスクープでやった記事ですから、ほかの新聞社、テレビ等の報道もされておりますが、毎日新聞さんをベースに引き続き申し上げると、六月二十五日木曜日、毎日新聞朝刊の続報によると、社員の方が天引きされていたということを証言されているということでありまして、私もできる範囲でこういった関係者のヒアリングを行いましたが、同じようなことを私も聞いております。

 そこで、今御説明のあった、意思に反して控除、天引きをされていたということになると、天引きをしていた団体ですか、天引きをしていた者については、この法律に違反するとどんなことになってしまうんですか。教えてください。

門山政府参考人 お答えいたします。

 政治資金規正法第二十二条の七第二項につきましては、今先生から御説明がありました規定がございます。この規定に違反して寄附を集めた者につきましては、二十万円以下の罰金に処するという規定が政治資金規正法の二十六条の五にございます。

石関委員 罰金ということでございますが、私の手元に、この会社の元社員だった方からの資料をいただいております。

 その方の証言といいますか、その方がおっしゃったことだと、個人は口座を貸しているだけで、給料で乗せて引くんだとか、次長職以上だとこういうふうにいわゆる天引きをされているということとか、いろいろ詳細に語ってくださっています。さらに、五千円を寄附でとられて、逆に手当として五千円別のところで入ってきて、こういう寄附を天引きされていたと。とんでもない会社だ。

 とんでもない会社でもあるけれども、その会社の社員の立場に立って考えてみると、このようにもおっしゃっています。それは拒否するのは無理、その会社におったら、それは無理でしょうと。これも普通に考えれば、ああ、そうだな、かわいそうだなというふうに思えるんじゃないですかね。やめれば昇格はなしになるのかといろいろ考えれば、反対できないでしょう、無言の圧力ですよと。

 もし、これが事実だとすれば、これは意思に反して天引きをされたというふうに私は思いますけれども、総務大臣はどうとらえますか。一般論で。

佐藤国務大臣 事実関係を承知する立場にはないわけでございますが、今先生がおっしゃられた一般論とすれば、そういうことになるかなというふうに私も思います。

石関委員 普通、そう思いますよね。大臣も良識ある方だと思いますから、普通にそういうふうに考えるのは当然だと思います。

 それで、別の方から、同じ元社員の方なんですが、私も、役所に勤め、地方議員をやり、給与等もらっていましたけれども、非常にまじめな方で、こんなに給与明細をまじめにとっていた方がいるんですね。大したものですよ、非常にきちょうめんな方で。

 これを私全部入手させていただいて、これを見ると、このオリエント貿易という会社は、買収されて途中でなくなって、経営者がかわるなりして、いわゆる天引きは途中からなくなっているんですけれども、その前、今ここで私が申し上げたような証言等で、いわゆる天引きをされていた時期を見ると、例えば二〇〇一年四月の分を見ると、「他控除」という項目で五千円引かれ、そして、振り込みの部分では「固定支給」で五千円入っているんですね。五千円天引きをしながら、五千円また会社が払って補てんをしていたということですね。

 総務省さんからさっき御説明ありましたけれども、この団体は登録されていますから、寄附の控除も受けられるんですね。この方々が、我々はこういうふうに寄附しているとかいうことで名乗り出れば、寄附の控除が得られることもあるかもしれないということであり、受けたという方もいらっしゃるというふうに私は聞いております。

 これはおもしろい明細書でして、私が入手しているのは二〇〇〇年以降のものですけれども、明細書の中に、金額は空欄なんですけれども、「政研会」という項目が残っているんですね。推測するに、その前はもっと正直に、この与謝野さん関連の団体に、政経政策研究会ですか、ここに、天引きしてここから寄附してくれと。正直にこんな明細にも載せてお金を取っていたんですよ。これは何ですか。

 いわゆる西松事件とか、今裁判になっていますけれども、このこととこの構図というのはどういうふうに考えたらいいんですか。事実だとすれば、同じですか、それともこちらの方が悪質なのか。総務大臣、どう考えますか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 総務省といたしましては、個別の事案につきましては具体的な事実関係を承知する立場にはございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じますが、この二十二条の七の第二項の趣旨といいますのは、本来、政治活動に関する寄附は、寄附者の政治活動の一環として自発的な意思に基づいて行われるべきである、その寄附の任意性を確保するという規定でございます。そういうことで規定が置かれているものかと存じております。

石関委員 役所はそう答弁しますわな。これは、こんなにあるので、見ると非常におもしろいというか、まじめな意味でですよ、インタレスティングという意味で非常におもしろいんですね。

 これは途中から、先ほど申し上げた「固定支給」というのはやめて、この天引きの部分を「役職手当」で補給しているんですね、どういうことだかわかりませんけれども。

 非常におもしろいのはこの変わり目で、「役職手当」にして、二〇〇五年から二〇〇六年にかけてこのことを会社が変えてきたんですね。間違って「役職手当」に五千円乗せてしまって、九万円だったものを九万五千円にした。先ほど申し上げたように、この時期から会社の体制が変わりまして、この寄附、天引きをやめようということになったんだけれども、間違って「役職手当」だけ上げちゃったんですね。だから、会社が五千円損した。天引きはやめたんだけれども、五千円払っちゃったじゃないかということで、二〇〇六年を区切りに、これはある意味まじめな会社なんですかね、二〇〇六年の一月分の支払い明細を見ると、「役職手当」を九万五千円払っちゃったので、同じ紙の中で五千円減額しているんですよ、会社が五千円損したなと。

 こういう、ある意味まじめな会社ですから、また、これは御本人からいただいている資料なので非常に信憑性が高いということなので、今後、大臣を筆頭にこういったものをしっかり正していかないと、政治資金規正法もへったくれもないですよ。これをしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 そして、この研究会という団体ですけれども、この中核になっているオリエント貿易社という会社です。この会社はいろいろ問題のある会社ということで過去に報道もされておりますが、二〇〇七年九月から十一月、トラブルの頻発や隠ぺいで、経産、農水省から営業停止処分を受けているということですが、このことについて、経産省、説明してください。

大下政府参考人 お答え申し上げます。

 旧オリエント貿易、現在のエイチ・エス・フューチャーズという会社でございますが、この会社に対しましては、これまで、平成十九年九月と平成二十年十二月の二回にわたりまして処分を行っております。

 まず、平成十九年九月の処分でございますが、委託者とのトラブルにつきまして同社が虚偽の報告を行っていたということを理由に、同年九月十八日から三十四営業日の業務の停止等を命じております。

 また、平成二十年十二月の処分につきましては、同社の顧客に対する勧誘について法令違反が認められたことから、同年十二月十五日から四十三営業日の業務の停止等を命じております。

 経済産業省といたしましては、今後とも、厳格な法執行を行ってまいります。

石関委員 問題のある会社が中核になっている団体だということはおわかりだと思いますが、大臣、そういう認識は共有されますか。

佐藤国務大臣 個別の事案についてお答えは差し控えたいと思いますが、今お話を聞く限りでの話ということになれば、そうであるというふうに思います。

石関委員 詳細について大臣は御存じなのかどうかはわかりませんけれども、これはおっしゃるとおりですね。これが事実だとすればというか、今説明を立派な役所にしてもらいましたから、これは事実だということで、この問題のあった会社が中核になっている、そしてその社員の皆さんからの証言等によると天引きをされていると。これは給与明細を見ても明らかで、この会社が中核になっていて、問題のある政治団体だと言えないですかね。

 こんな政治団体をこのままに、こういうふうにしておいたということについて、総務省は何か責任はないんですか。いいんですか、こういう団体が存在していたということについては。どうですか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 政治団体につきましては、そもそも結社の自由から始まるわけでございますが、行政が過剰な関与をしないということから、政治団体の設立につきましては基本的に届け出によって行われるというふうになっているところでございます。

石関委員 届け出の内容が虚偽だったらどうなっているんですか。

門山政府参考人 政治団体の設立の届け出に関しましては、総務省、都道府県選挙管理委員会がそれぞれ窓口になるわけでございますが、形式的な審査権のみを有しているところでございます。

石関委員 この問題に関して、与謝野さんは、資金集め、手法は知らないと。これだけ密接な関係にあって多額のお金をいただいてきた団体ですけれども、記者会見でも、業界やその会社に何か便宜を図ったことは一切ない、おかしいと言われることはない、手法も知らなかったというふうに言っているんです。

 さっき大臣は、政治的な責任はあるやに御答弁されていましたけれども、これはあるんじゃないですか、普通に考えたら。知らないということで通るんですか。しかも、立派な大臣が、内閣の中枢である大臣が、手法も知らないし、端的に言えば関係ないというようなことを言っていますけれども、これはいいんですか。

佐藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、道義的責任については、その具体的な、それぞれの政治家が判断すべきというふうに思いますので、そういうお答えしかありません。

石関委員 しかし、知らないとか大臣はおっしゃっているんですけれども、これは密接な関係であることを証明する一つ。

 まず、六月二十四日の与謝野さんの記者会見、財務省で午後五時四十分から行われたものについては、平成十年七月に通産大臣に就任しまして、一年数カ月通産大臣をしたが、その間は、長い間続いた自然な献金なのでそのまま献金をしていたということ。しかしながら、通産大臣時代は、役所でも役所外でも、加藤さん初め、これはこの会社のオーナーですね。役所でも役所外でも、加藤さん初め業界の方とは一度もお目にかかったことはない、このように発言をされていて、参議院の委員会でも同じ答弁をされているんですね。しかし、その後の記者会見でこれを覆しているんです。

 そこで、経済産業省の大下大臣官房審議官に伺いますが、これは通告のときに申し上げてありますけれども、大臣室に出入りして、大臣室の様子がわかり、大臣等にそこでレクをしたことのある方ということで私はお願いをしてあるので、配付の資料、皆さんのところに行っていますよね。「祝辞」と書いてあって、ここでは「前通商産業大臣・衆議院議員」となっていますが、左側に祝辞が書いてあって、右側、これは与謝野馨前通産大臣に社史編さんの報告をする社長と書いてありますけれども、この部屋はどこですか。教えてください。見覚えあるんじゃないですか。

大下政府参考人 この写真がどこで撮られたものかということにつきましては、私にはわかりません。

石関委員 大臣室に何度も行っているんじゃないですか。これをもう一回見てください。もう一回。はい、答弁。

大下政府参考人 私自身、大臣室には何度も入っておりますけれども、これが大臣室であるかどうかということにつきましては、この場で確認することはできません。

石関委員 それでは、役所に帰ったら、この写真を見て、大臣室に行ってよく見せてもらってくださいよ。多分こういう配置になっているんじゃないの、わからないけれども。

 いいですよ。今わからないのであれば、帰って報告してください。よろしいですか。はい、答弁。そのくらいできるでしょう。

大下政府参考人 帰って大臣室を確認いたします。

石関委員 では、電話を待っていますから、私の議員室でも理事でも結構ですから。行って、見て、こういうものが、大臣室かどうかということは後で教えてください。

 ということでございまして、「堂々たる政治」とかいって本を書いたり、堂々たる政治家は消費税を上げるんだ、こういう立派そうなことを言っている与謝野さんが、何ですか、これ。うそをついたかどうかはわかりませんけれども、記者会見という公式の場で、堂々とこういう間違いを発言し、そしてまた、しようがない訂正をしたのか、あるいは堂々たる錯誤なのかわかりませんけれども、こんな者を内閣の中枢に置かれたら国民は困りますよ。それで消費税だとかなんとか言って。

 まず、皆さん方から、与党の皆さん、そして閣僚になるんなら、身をしっかり清くしてから堂々とした政治を行ってもらいたい。私は、このことを本当に心から皆さんにもお願いをしたいし、我々もしっかりこのことを、この委員会、いろいろな場面を通じて、ただしていかなければいけないというふうに思っております。

 そして、きょうは大臣として御答弁をいただきましたが、私は余りこういう役回りは好きではありませんけれども、党の方にもいろいろ、佐藤さんのことについてもこういうことを調べてくれ、こういう声が多数寄せられているそうでございます。ですから、大臣初め先生方も、そのこともしっかりやっていただいて、そして法案とかこういったものに取り組んでいただくということをまず前提に、この先やっていただきたいというふうに思います。

 御進言申し上げまして、私の質問を終わります。(発言する者あり)

河本委員長 静粛に願います。お静かにしてください。

 次に、階猛君。

階委員 おはようございます。民主党の階猛です。

 私の方からも、政治と金の問題について少しお尋ねさせていただきます。

 まず、私の方からは、政治資金問題に関して説明責任が云々されているわけでございますけれども、考えてみれば、この説明責任、どういう意味なのかはっきりしないわけであります。

 この点について、前回のこの委員会の質疑におきまして、佐藤大臣にお尋ねがありました。私どもの鳩山代表が説明責任を果たしているかどうかということに関してなんですけれども、大臣がおっしゃられた答弁では、政治資金規正法におきましては、政治資金の収支の状況を明らかにすることを旨といたしまして、これに対する判断は国民にゆだねるということを述べられていたようでございます。

 政治資金規正法で要請されている情報公開、収支報告書を初めとする情報公開を適切に行えば一義的には説明責任を果たしたというふうにおっしゃったという理解でよろしいでしょうか。

佐藤国務大臣 お答え申し上げます。

 前回の答弁におきまして、政治資金規正法の基本理念を述べたところでございます。政治資金に関する説明責任がどこまでかということは、先生おっしゃるとおり、大変難しい問題だと思います。

 政治資金規正法は、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにするために、政治資金の収支の公開等の措置を講ずることによりまして、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的としているところでございまして、いずれにいたしましても、国民に信頼される政治を行うために、政治家一人一人が襟を正すとともに、政治資金については、政治資金規正法にのっとり適切に処理されることが肝要というふうに思っております。

階委員 そのすぐ後に、同じく大臣の御答弁で、鳩山代表が説明責任を果たしているかどうかという点に関しては、国民の皆さんがどう思うかということが非常に大事だろうと答弁されているわけであります。

 これは、国民が説明責任を果たしていないというふうに思えば、政治資金規正法は、先ほどるるおっしゃられたとおり、国民の判断にゆだねて、公開すべきものを公開すればよしとしているわけでありますけれども、それが、国民がなお説明責任を果たしていないというふうに思うかどうかによって、さらに法で要請される情報公開を超えて政治家は説明責任を果たさなくてはいけないということになるんでしょうか。

 私が思いますに、こういう場当たり的に判断していくというか、国民の意思というのも、正直言って何が国民の意思かというのもわかりかねるわけであります。個々の事案において、あるときは説明責任の程度が厳しく、あるときは説明責任の程度が緩くというのであると、私どもとしても、明確な基準がない中で、何を指針にして政治家が説明責任を果たしていけばいいのかというのがはっきりしないわけであります。

 この点について、もしそのように国民の皆さんがどう思うかということが非常に大事だというふうにおっしゃられるのであれば、国民が説明責任を果たしていないというふうに判断されたときに、どのような責任を果たすべきだというふうにお考えになっているのか。引き続き大臣、お願いします。

佐藤国務大臣 総務省として個別の事案について具体的に事実関係を承知する立場にはございませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 政治資金に関する説明責任がどこまでというのは、先ほど申し上げましたように、大変難しい問題でございます。政治資金規正法は、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにするため、政治資金の収支の公開等の措置を講ずることによりまして、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主主義の健全な発展に寄与することを目的としているところでございまして、一般論として申し上げれば、国民に信頼される政治を行うために、政治家一人一人が襟を正すことが大切というふうに考えております。

階委員 要するに、説明責任というものがはっきりとはしないわけであります。

 そういった中で、マスコミがよく、だれだれが説明責任を果たしたと思うかなんという世論調査などもするわけですね。マスコミの報道のやり方いかんで、説明責任を果たしたか果たしていないかとか、そういうのが左右されるわけであります。

 先ほど、同僚の石関議員からもお話がありましたけれども、今回、鳩山代表とほぼ同じ時期に、与謝野大臣の方も、先物取引会社からの迂回献金と言われているものが報じられたわけでありますけれども、この与謝野大臣については、マスコミが説明責任を問うというものは余りないわけですね。報道が著しくバランスを欠いているように思うんですけれども、放送法を所管されている総務大臣として、このような報道のあり方についてどう思われるか、お答え願えますか。

佐藤国務大臣 個別の事案について具体的に事実関係を承知する立場にはございませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

階委員 もう一点だけ、説明責任について思っていることをお話ししますけれども、小沢前代表の秘書の問題、西松建設の関連の問題についてもそうだったんですけれども、マスコミがよく世論調査で、説明責任を果たしていると思うかという尋ねをするわけです。ところが、説明責任とはいかなるものかという前提がなく、単に、説明責任を果たしていると思うかという聞き方をするわけですね。そうすると、それを尋ねられた方としては、そもそも説明責任が何かをわからないわけで、何かわからないものについて果たしているも何もわからないわけで、果たしていないというふうに答えざるを得ないと思うんです。この設問自体が世論をミスリーディングすると思っているんです。

 こういう設問をして、その結果が、説明責任を果たしていないからといって、説明責任自体がわからない人たちが、わからないというか、説明責任自体の定義がはっきりしない中でそういう答えがたくさんあったからといって、それが説明責任を果たしていないことに必ずしもつながらないのではないか、国民の意見は必ずしもそういうことではないんじゃないかというふうにも思うわけです。

 こういう世論調査のあり方自体も問題があると思いますし、また、もしそういう設問が正しいとするのであれば、これは民主党の代表だけではなくて、こういう問題が起きた都度、与謝野さんでも二階さんでも、そういう人たちについても説明責任を果たしたと思うかという問いをすればいいのに、そういうのはまずないわけですね。

 こういう説明責任に関する議論があいまいな中で世論調査をして、そして世論調査の結果によって実際にそれが世論を動かしていく、こういうあり方について私は非常に危惧を覚えるわけでありますけれども、大臣、その点について御所見はいかがでしょうか。

佐藤国務大臣 繰り返しの答弁で大変恐縮でございますけれども、個別の事案について具体的事実を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

階委員 今、事案について聞いているわけじゃないんですよ。世論調査のあり方というか、説明責任の意味がはっきりしない中で、説明責任を果たしていると思うかどうかということを聞くこと自体どうなのか、しかも、それが一部の政治家、民主党の代表についてだけそういうことを聞くことについて、おかしいんじゃないかと思うんですが、その点について御見解はいかがでしょうか。

佐藤国務大臣 大変恐縮でございますけれども、総務省として実質調査権を有しておりませんで、具体的な事実関係を承知する立場にはなく、そのお答えは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

階委員 私は、放送法について特に詳しいわけでもありませんけれども、放送法では公平中立な放送が義務づけられていると思うんですけれども、今言ったような世論調査のやり方というのは問題ないんでしょうか。大臣、お願いします。

佐藤国務大臣 いろいろ個人的なお考えはもちろんあると思います。そういう中で、個別具体的なお話になりまして、私が御答弁するというのは大変いろいろ問題があると思いますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

階委員 総務大臣ですから、放送法を所管されているわけで、その放送法を所管している立場から、このような世論調査は放送法に照らして問題ないのかどうか、その点について答えてください。

佐藤国務大臣 先生おっしゃられるとおり、放送法は公平公正を旨としてつくられております。したがいまして、個別具体的な話について聞かれましても、公平公正にやっていただくということで私どもはやっていきたいというふうに思っております。

階委員 世論調査というのが最近いろいろ問題視されています。世論調査をマスコミがして、それを大々的に報道することで世論調査が実際に世論をつくってしまう。本来であれば、世論がまずあってそれを調査するはずなのに、世論調査の結果で世論が動いてしまう、こういう問題が今あると思いますので、ぜひ今後、その点については問題意識を持って取り組んでいただきたいと思っております。別にこの政治資金の問題に限らず、いろいろな世論調査について同じようなことはあるはずですから、ぜひそれは真剣に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 次の質問に移ります。

 きょうは法務省にいらしていただいているんですが、西松事件関連でいいますと、ちょっと疑問に思うことが何点かあります。

 今回、西松建設の元社長の国沢さんという方が起訴されていますけれども、当初起訴された段階では、小沢前代表への献金のみが他人名義の寄附の禁止に抵触するということで国沢さんが訴追されたわけです。しかしながら、同様な形態で献金を行ったにもかかわらず、自民党の藤井孝男先生、藤野公孝先生でよろしいんでしょうか、あと、先日国家公安委員長になられた林新大臣、こういった方たちへの献金は同じスキームでやられているにもかかわらず訴追対象になっていない、これはおかしいなというふうに思うわけです。これはなぜなんでしょうか。

大野政府参考人 お尋ねの、西松建設前社長に対する起訴の関係でございます。

 まず、三月二十四日、政治資金規正法違反、今御指摘のありました、いわゆる他人名義の寄附禁止事件ということで、平成十八年十月ころに陸山会に新政治問題研究会名義で百万円を送金した、岩手県第四区総支部に、今の新政治問題研究会と未来産業研究会、この二つの団体の名義でそれぞれ百万円を振り込み送金した、さらに、岩手県総支部連合会に二つの政治団体の名義でそれぞれ百万円を振り込み送金したという事実で起訴が行われたわけでございます。

 その後、本年の六月二十六日にも、新しい波が開催する政治資金パーティーに関しまして、今申し上げました二つの政治団体の名義で平成十八年六月から七月にかけて合計三百四十万円の対価を支払った、こういう事実で起訴が行われているわけでございます。

 その上で、ただいまのお尋ねは、西松建設前社長が自民党の藤井議員、藤野氏、それから林幹雄国家公安委員長に同じ方法で献金を行ったのではないか、こういう前提での御質問というように承りました。ただ、そうした事実関係の有無につきましては、法務当局として答えるべき立場にはござません。したがいまして、そうした事実を前提とした質問については答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。

 いずれにいたしましても、一般論でございますけれども、捜査機関、検察当局におきましては、常に法と証拠に基づき、厳正公平、不偏不党を旨として、刑事事件として取り上げるべきものがあればこれに適切に対処していくというように承知しておるところでございます。

階委員 今、事実関係がわからないのでというお話なんですが、それでは、仮に、同じように国沢さんが二つの政治団体を使って献金していたということになると、これは当然、小沢前代表の秘書と同じように訴追対象になるということでよろしいわけですか。

大野政府参考人 仮定の質問でございますので、その点についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 検察当局は、法と証拠に基づきまして、諸般の事情、事実関係、犯情そのほかのことを考慮して、事件として取り上げるべきものがあれば取り上げ、起訴すべきものがあれば起訴するというように承知しているところでございます。

階委員 私どもが調べている限りだと、全く同じ行為態様でやっているわけですから、これは当然訴追対象になるべきだと考えていますし、仄聞するところによると、一般の方がこれを告発されているというふうにも聞いていますので、ぜひその告発を真摯に受けとめて、訴追すべきは訴追していただくということをお願いしたいと思います。

 それから、我々民主党では、この西松献金事件を発端として、政治資金問題に関する第三者委員会というのを立ち上げて、有識者の方にいろいろ検討をしていただいたわけです。

 その中でわかってきたこととして、政治資金規正法違反事件のような政治的影響の大きい重大事件については、捜査の着手あるいは起訴といった処分について、検事総長から法務大臣に対して請訓というものが行われて、これにこたえて法務大臣が指揮をすることになっているというふうに報告書には書かれておりました。

 今、第三者委員会の報告の中で法務大臣の指揮権発動をもっと積極的にやるべきだという部分がけしからぬというような御指摘もあるようなんですけれども、今の話が事実だとすれば、これはもう請訓そして指揮という形で、ごく普通のこととして法務大臣が指揮権を発動しているんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、今の請訓と指揮の関係というのは、実際に普通に行われていることという理解でよろしいでしょうか。

大野政府参考人 検事総長が法務大臣の指揮を受けるべき事件につきましては、法務大臣訓令に処分請訓規程というのがございまして、ここで定められているわけでございます。そして、あらかじめ検事総長が法務大臣の指揮を受けるべき事件としては、内乱罪、外患罪、国交に関する罪等がこれに当たるとされているところでございます。今お尋ねの政治資金規正法違反等は、この請訓の対象にならないわけでございます。

 一方で、法務大臣は、法務行政の最高責任者でありますし、また、国会の場で検察の活動について説明すべき立場にあるわけでございます。したがいまして、刑事関係報告規程等に基づきまして事件の報告を受けているほか、職責上当然承知しておくべき事柄については、検察当局から法務当局を通じまして適時適切に法務大臣に報告をしているわけであります。

 先ほども申し上げましたけれども、お尋ねは政治資金規正法違反のように政治的影響の大きな重大事件ということでございましたけれども、捜査の着手あるいは起訴の処分について、事前に検事総長から法務大臣に対して請訓が行われ、これに基づいて法務大臣が指揮をするというような規定はありませんし、そのような運用は行われていないわけでございます。

階委員 そうすると、今回の小沢前代表の秘書の逮捕、起訴に関しては、請訓や指揮、そういったものは一切行われていなかった、あくまでも検察が全部自分たちの判断で、また、法務大臣にも特にそれを知らしめることなく行われたという理解でよろしいでしょうか。

河本委員長 大野局長、答弁は簡潔にお願いします。

大野政府参考人 本来、捜査機関の活動内容にかかわる事柄につきましては答弁を差し控えるべきものだというふうに考えておりますけれども、さまざまな憶測等が流布された状況にかんがみまして、あえてお答えいたしますと、小沢代表代行の秘書を逮捕した件につきましては、衆議院法務委員会で法務大臣からも答弁申し上げているところでありますけれども、逮捕当日である三月三日、逮捕の直前に、刑事局を通じて検察当局から、逮捕する旨を法務大臣に報告しているわけでございます。また、起訴につきましては、起訴当日である三月二十四日、起訴に係る事実の概要等とともに大臣に報告をしているということでございます。

 いずれにいたしましても、法務大臣が検察庁法に規定されるいわゆる指揮権を行使した事実はございません。

階委員 そうすると、今回は報告だけで、今議論になっているのは、今まで、検察官が公訴提起をしなかったケースについては、検察審査会がチェックをして、公訴提起をしなさいという、今回制度が強化されて、二回そういう起訴相当の決議があれば起訴が義務づけられるというふうになったわけですけれども、それとは反対に、検察官が不当に起訴した場合に、それを民意でチェックするという仕組みが余りないわけです。

 今回、第三者委員会で御指摘があったのは、そういう不当な起訴に対しても、民意あるいは国民の代表である政治家がチェックすべきではないかということが指摘されたわけでありますけれども、現行制度では、こういう政治資金の問題、政治に大きな影響を与えかねないわけですけれども、そういったものについて、仮に不当な起訴だというふうに国民ないしはその代表である政治家が判断する場合に、チェックする仕組みはないという理解でよろしいでしょうか。済みません、通告していませんが、お考えをお願いします。

大野政府参考人 まず、起訴の前の段階で、捜査活動につきましてももちろん、検察が強制捜査を行う際には裁判所の令状審査を経ている。その意味で司法的なチェックを受けているということをまず申し上げたいというふうに思います。

 次に、起訴、不起訴の判断であります。

 不起訴につきましては、検察審査会の審査を受けるわけでございます。御指摘のとおりでございます。

 起訴された事件につきましては、これは公開の法廷で、その起訴が正しかったかどうか、証拠上裏づけられるかどうかというようなことが争われ、確定されるわけでございます。したがいまして、起訴が適正だったかあるいは不当だったか、これはまさにこれからの司法手続の中で、裁判所によって判断されるというように私どもは理解しているところでございます。

階委員 それでは不十分ではないかという問題意識があるわけです。

 つまり、殺人とか強盗のような伝統的な犯罪では、そういうふうに公判で白黒をはっきりさせればいいということだと思うんですが、今問題としている政治関係の犯罪については、強制捜査とか起訴自体が極めて問題なわけでして、それを公判の結論が出る前にチェックしないと意味がないということが問題意識としてあるわけです。

 そのことをちょっと指摘させていただいて、そして、今後、もし検察の不当な起訴があるというふうに国民が判断する場合に、民意を反映するような仕組みを我々国政の場でも考えていかなくてはならないだろうなということをお伝えさせていただいております。(発言する者あり)

河本委員長 静粛に願います。

階委員 次の質問は、収支報告書虚偽記載罪についてまた法務省に聞くつもりでしたが、時間の関係で少し飛ばします。

 最後の項目ですけれども、個人献金と企業・団体献金の区別ということが多分これから問題になるだろうと思っております。

 きょうは、ちょっと審議の対象にしていませんけれども、これから企業・団体献金をなくしていこうというのが我々の方針で、その場合、適正な個人献金がダミーとして利用されないようにする、そういうことも考えていかなくてはならない、その点の法解釈を明確にしておかなくてはいけない、こういう問題意識があるわけです。

 例えば、政治団体が個人から寄附を受ける。しかし、その原資は当該個人の勤務先の企業が給料に上乗せする形で提供して、当然、給料が上乗せされて所得がふえるわけですから、上乗せ分に関する税金が発生するわけです。その税金については従業員が負担しているという場合、献金者は個人と見るべきか、それとも原資を出している企業と見るべきか、この点について、総務省、お願いします。

門山政府参考人 お答えいたします。

 総務省といたしましては、個別の事案につきましては、具体的な事実関係を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

 なお、政治資金規正法第四条第三項におきまして、寄附につきましては、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。」こういうふうに定義されているわけでございます。

 お尋ねにつきましては、個々の事案におきます具体的な事情に基づいて判断されるべきものでございまして、一概にお答えすることは困難でございますけれども、一般論として申し上げますと、政治団体それから公職の候補者により行われます政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにするために、政治団体に係ります政治資金の収支の公開などの措置を講ずる、こういう政治資金規正法の目的に照らしまして、財産上の利益を相手方に提供、付与する行為を行ったと認められる者、この方が収支報告書に記載すべき寄附をした者というふうに考えられるところでございます。

階委員 その提供というところがポイントなわけです、あいまいなわけです。

 今のように勤務先の企業が給料に上乗せするという形でやったケースは、西松建設からその関連の二団体にやったケースでございますけれども、先ほど石関議員が指摘したのはさらにもっと進んだケースです。

 それは、政治団体が個人から寄附を受けたが、その原資は、当該個人の勤務先企業が給料に上乗せする形で提供し、なおかつ、上乗せ分に関して当然税金が発生します。ここまでは同じなんですが、この点について寄附金控除が可能となっていて、従業員の側には先ほどと異なって全く実質的な負担が発生しない。この場合については先ほどよりも企業が献金している可能性がより高いと思うんですが、これについて、献金者は個人か企業かということについて見解をお聞かせいただけますか。

門山政府参考人 個別の事案につきましては、具体的な事実関係を承知いたしておりませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じますが、だれが寄附をした者に該当するかということかと存じます。

 それは、寄附の上乗せなどの経緯ですとか背景、それから、それに関与した者の状況など、諸般の事情を勘案いたしまして個別具体的な事案に応じて判断されるべき事柄でございまして、一概にお答えするというのは難しいと考えております。

階委員 大臣、最後にお尋ねします。

 今御答弁を聞いていればわかると思うんですが、はっきり言って、どこまでが企業の献金で、どこまでが個人の献金かというその区別のメルクマールがはっきりしないわけですね。このメルクマールがはっきりしないと、政治家としては、危なくて、幾ら個人献金はオーケーだよと言われても個人献金を受けるわけにもいかない、そういうことがあり得るわけです。

 この個人と企業・団体献金とを分けるメルクマールについて、どういうふうに考えていけばいいと思われますか。大臣、最後にお願いします。

佐藤国務大臣 しっかりとしたお答えができるかどうか大変疑問でございますけれども、政治資金規正法上、「「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。」というふうに第四条第三項で規定をされております。

 政治団体に対して寄附をした者が個人であれば個人からの寄附でございまして、会社、労働組合、職員団体、その他の団体であれば企業、団体からの寄附という位置づけになるのではないかなというふうに思います。

階委員 これで終わります。ありがとうございました。

河本委員長 次に、大串博志君。

大串委員 民主党の大串博志です。

 きょうは、倫選特で質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 公職選挙法の一部改正、政党助成法の一部改正、そういうことでございますけれども、これに関連して私も質問をさせていただきたいというふうに思います。

 特に、政党助成法の一部改正に関する法律案、これは解散の際の政党助成のあり方をどうするかということですけれども、これは政党助成金あるいは政党交付金にかかわることのみならず、より一般に、政治資金規正法上、政党あるいは政党支部というものが解散するときに、あるいは解散せざるを得なくなるような状況になったときに、どのような資金関係あるいはその公表関係があるべきかという広い論点の方がより大事なんだろうと私は思っています。

 政治資金規正法の精神は、私たち政治家は、いろいろな形での浄財を受け、それをもとに政治活動をし、それを政治資金収支報告という形で国民の皆さんに開示をして、よく見てもらって、それによって政治活動を明らかにし、説明責任、アカウンタビリティーを保っていく、国民の目にさらすというところに意義があるんだろうというふうに思っています。

 ですから、収支報告書は、年が終わったときに遅滞なく、三カ月以内にまとめて提出しなければならない、こういうふうに法上も義務づけられているわけでございます。ところが、往々にして、この収支報告書の提出がなされないケースがあるということが明らかになってきています。

 事務方にお尋ねしますけれども、収支報告書の提出を怠った場合に、あるいは連続で怠った場合にどのような帰結となるのか、取り扱いとなるのか、これに関して御答弁ください。

門山政府参考人 お答えいたします。

 二年連続で収支報告書を提出しなかった場合の取り扱いということでございます。

 政治資金規正法上、収支報告書を二年連続して提出していない政治団体は、その提出期限を経過した日以降、政治団体の設立届を提出していないものとみなされます。その結果、「政治活動のために、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附を受け、又は支出をすることができない。」というふうにされているところでございます。これは十七条の二項と第八条にございます。

 それで、この規定に違反いたしまして寄附を受け、または支出をしましたときは、当該政治団体の役職員または構成員として違反行為をした者は、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金に処するという罰則の規定が二十三条にございます。

 それから、同法第十二条または第十七条の規定に違反しまして、収支報告書、それからこれにあわせて提出すべき書面を故意または重過失により提出しなかった者につきましては、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金に処する旨の定めが、二十五条、二十七条でございますが、ございます。

 さらに、政治団体が設立届を提出しないものとみなされるということになりました場合には、都道府県の選挙管理委員会または総務大臣は、遅滞なくその旨を都道府県の公報あるいは官報への掲載などの方法によりまして公表しなければならないということが十七条の三項に定められております。

大串委員 今御答弁のあったとおり、収支報告書はきちんと出さなければならない。これを怠ると、禁錮または罰金という形での科罰の対象となり、さらには公民権停止なんかにもつながるような重大な帰結に行くわけであります。

 さらに、二年連続して提出をしない場合には、政治団体としての届け出をしなかったというような位置づけになり、これは十七条の第二項だと思いますけれども、それによって寄附、支出ができなくなる。すなわち、その段階をもってしてこの政治団体は活動が事実上できなくなる。みなし解散というような言われ方をしているようでありますけれども、そういうふうな状況に置かれ、それに対して非常に重い罰則も科されているということであります。

 そういう中で、今回、いろいろな報道等もありますけれども、私が注目していたのは、この政治資金規正法上の十七条の第二項による、二年連続で収支報告書を出さなかった、よって、寄附を受ける、支出を行うということができない、みなし解散という立場に置かれてしまったいわゆる政党支部、これが、自民党の政党支部が、過去五年間、これは十六年から二十年ということですけれども、過去五年間で何と二百三十二もの自民党政党支部が政治資金収支報告書を二年間全く出さず、みなし解散という形になってしまっている。ほかの党ももちろんありますけれども、極めて数は少ない。三とか二とか、ほかの党はそんな感じです。ところが、自民党だけが二百三十二もの団体がみなし解散になってしまっている。それで、そういうふうになったがゆえに、その政治団体にあるお金が、一体どこに消えたのかわからなくなってしまったお金が一億一千六百万円もあるというような報道がことしの一月になされました。

 こういう報道があったわけですけれども、当局としてこの事実関係を確認されていますか、その点をお答えください。

門山政府参考人 お答えいたします。

 政治団体、政党の支部もそうでございますが、政治団体の場合の収支報告書の届け出先は総務大臣であるケースと都道府県選挙管理委員会であるケースがございます。

 まず、総務大臣届け出の政党支部で申しますと、過去五年間において収支報告書を二年連続して提出していない自由民主党の政党支部は、自由民主党東京都参議院比例区第五十支部一支部のみとなっているところでございます。

 なお、収支報告書の提出先で、一の都道府県の区域において主としてその活動を行う政治団体につきましては、その主たる事務所の所在地の都道府県の選挙管理委員会に届け出るということとされておりますが、都道府県選管届け出の政治団体につきましては総務省として具体的な事実関係は承知いたしておりません。

大串委員 二百三十二もの団体がみなし解散になっていて、しかも、それだけならまだしも、そこで一体どこに行ったかわからなくなっている資金が一億一千六百万円もある、調べたらそういうことらしいです。私もいろいろ調べました。

 にもかかわらず、一応法律を所管している総務省として、総務省所管の団体に関しては一つあったので調べました、しかし、地方のものに関しては調べておりませんということで本当にいいのかということは申し上げさせていただきたいと思います。

 すなわち、先ほど申し上げたように、この政治資金収支報告書、あるいは政治資金規正法というものの考え方の根幹は、適切な公開を行うことによって、それによっていわゆるセルフコントロール、アカウンタビリティーを高めるというところにあると思います。これが法律の趣旨どおりいっているかどうかということを確認するためには、このようなきちんとした報告がなされているかということの事実関係を確認する必要があるのではないか。

 すなわち、みなし解散、あるいはそれによる資金がどこに行ったかわからないというような状況がなぜ生じていて、どれだけ生じていて、そして一体どういうふうになっているのかということを調べる義務は、責任は、所管省庁として総務省にあるんじゃないですか、いかがですか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 総務省といたしましては、いわゆる総務大臣所管団体につきましては、各政治団体に対しまして、期限までに収支報告書を提出するように促しているところでございますし、提出期限後において未提出の政治団体についても提出を促しているところでございます。

 また、都道府県の選挙管理委員会に対しましても、特に二年連続して収支報告書を提出しないおそれがある政治団体につきましては、期限までに提出するように文書により督促を行うことを求めているところでございますが、政治資金規正法第十七条の第二項に該当する団体について総務大臣に報告する義務を課す、こういう仕組みにはなっておりません。

 いずれにいたしましても、政治資金の収支につきましては、公開を通じて国民の監視のもとに置かれており、判断は国民にゆだねられるべきものでございますので、法律の趣旨に沿ってきちっと出していただくということを期待しているところでございます。

大串委員 法律がしっかり履行されているかどうかという点が非常に重要なわけであります。

 ですから、今答弁がありましたように、総務省も、二年連続で収支報告書を出さないおそれがあるなと思われるところに対しては、出しなさいよという指示といいますか、連絡、通達も出している。にもかかわらず、結局、では幾つの団体が二年連続で出さなくて、みなし解散となってしまっており、どれだけのお金が行方不明になっているかということに関しては見ていない。それが結局は報道でこういう形で出てくるということであれば、これは法律自体が、あるいは法律を執行するところ自体のあり方が問われざるを得ないんじゃないかというふうに私は思います。ですから、このところは論点としてあるんじゃないかというふうに私は思うんですね。

 一つお尋ねしますけれども、この記事を見ると、過去五年間でみなし解散に追い込まれ、それで資金が一億一千六百万、どこに行ったかわからなくなった。これは自民党支部二百三十二ですけれども、ほかの党に比べてやたらと自民党だけが多いんですね。なぜこういうふうな状況になっていると思われますか。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 新聞記事は拝見しておりますが、自由民主党が突出しているのかどうかということ、あるいは突出しているとした場合に、その理由がどうかということにつきましては総務省としては把握はいたしておりません。

 いずれにいたしましても、政治資金の収支につきましてはきちっと報告していただくという法律の趣旨に沿った対応を政治団体に期待しているという立場でございます。

大串委員 一言、取り扱いがずさんだからでしょう、恐らく。そういうことじゃないかと私は見ている。何せ一つの党だけで二百三十二。ほかの党はちょびちょびとあって、一けたなんですよ、あっても。残金もほとんどない。この違いは、私は、そういう問題が、事務のずさんさがやはりあると言わざるを得ない。

 ちなみに、自民党の元参議院議員でいらっしゃった石井道子参議院議員、この方も同じようにみなし解散という形になり、ところが、みなし解散になった後、そのときに政党支部にたまっていたお金が五千万円、これがどこに行ったかわからなくなっているというような状況にあるというふうに言われています。それで、御本人はこれを適切な対応をしたいというふうにおっしゃっているというふうになっておりますけれども、これは適切な対応がなされているか、総務省は確認していますか。

門山政府参考人 お尋ねの自由民主党埼玉県道友会支部につきましては、平成十七年四月二十二日付の埼玉県公報によりまして、平成十七年四月一日から政治資金規正法第十七条第二項が適用されたという告示がされている団体でございます。つまり、十五年分と十六年分の収支報告書が未提出であったという団体でございますが、その状況につきまして埼玉県選挙管理委員会に確認いたしましたところ、これまでのところ、解散届及び解散に伴います収支報告書の提出はされていないという回答がございました。

大串委員 すなわち、適切な対応をするというふうに言われていたにもかかわらず、十四年、十五年という時代の話であるにもかかわらず、その後、適切な解散届も出されていない、五千万円が当時どこに行ったかわからない金額であったにもかかわらず、これが一向に、政治資金収支報告上、まだつかめない形になってしまっているというこの現状。

 さらに、この二百三十二支部に関して、自民党の幹事長室の方が発言されておりまして、指摘の事実があるとすれば、直ちに事実関係を精査して、党本部としても適切な対応をとりたいというふうにされています。

 この二百三十二支部に関して、適切な対応はとられたんでしょうか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 自由民主党におかれて、どのような対応をとられたかということにつきまして、総務省としては具体的な内容は承知いたしておりません。

大串委員 二百三十二支部、みなし解散になって、一億一千六百万、どこに行ったかわからないお金になってしまった。

 この中で解散届が出されているのは百三十余りということだそうです。残りの百は解散届も出していない。すなわち、どこに行ったかわからなくなったお金がそのままになってしまっているということなんですね。これで本当に政治資金規正法というものが機能しているのか。すなわち、収支報告書を出して、それで国民の皆さんに見てもらうというのがうまく機能しているのかということは、私は制度としてもう一回見直すべきときに来ているんじゃないかという気がするんですね。

 このように、みなし解散という手続があります。みなし解散という手続があるにもかかわらず、みなし解散になったときに残余財産をどうするのかということに関しては何らルールがない。これは、そもそも法律上何がしかの問題を抱えていると言わざるを得ないんじゃないでしょうか。どう思われますか。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 政治団体の解散等につきましては、その代表者及び会計責任者であった者が、解散等の日から三十日以内に、解散した旨及びその年月日、それとあわせまして、解散日当日現在での収入、支出及び資産に関する事項を記載した収支報告書の提出が義務づけられているところでございます。三十日と申しましたのは、国会議員関係政治団体にあっては六十日以内ということでございます。この場合の解散時の残余財産の処理に関しましては、現行の政治資金規正法上は特段の規定は設けられていないところでございます。

 いずれにいたしましても、解散時、それからその後の収支報告のあり方につきましては、さまざまな考え方、御意見があろうかと存じますが、その法規制のあり方につきましては、各党各会派で十分御議論いただきたいと存じます。

大串委員 私、もうちょっと詰めさせていただきたいのは、解散時のあり方というふうな議論でしたけれども、今この法律の中にみなし解散という特別な解散のあり方があるわけですよ。かつ、その方がより問題が大きいわけですね。

 すなわち、収支報告書を出さなかったがゆえに、みなしになってしまって、事実上、解散という状況に追い込まれてしまった。そういうふうに、ある意味非常にたがが緩んだ、外れた状況になっているにもかかわらず、恐らくそういう状況ですから残余財産があるわけですね。にもかかわらず、みなし解散の状況においての残余財産をどうするかということがこの法律上全く明らかになっていないというところの問題点があるんじゃないかということを、より突っ込んでさっき申したわけです。

 その点に関してはいかがでしょうか。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃいましたように、みなし解散という言い方は、よく報道等でも使われる表現でございますけれども、政治資金規正法におきましては、収支報告書を二年連続して提出していない政治団体は政治団体の設立届を提出していないものとみなされるというのが法律の規定でございます。

 つまり、そうなりますと第十七条第二項の適用団体になるわけでございますけれども、それは、みなし解散といいますよりは、政治団体の設立届を提出していないものとみなされまして、結果的にお金の出し入れができないということで、実質的に政治活動ができない状態になるということから、こういった団体がもう一度政治活動をしようとする場合には、正式に解散の手続をとっていただくということが必要になるところでございます。

 解散時の残余財産の処理について、こういった団体の場合どうかというお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたとおり、解散時の残余財産の処理に関しましては、現行の政治資金規正法におきましては特段の規定が設けられていないところでございまして、この点につきましては、各党各会派の御議論ということになろうかと存じます。

大串委員 みなし解散という言葉が適当かどうかというところはあるかもしれません。確かに、公報の内容は、みなし解散なんということは言わなくて、政治資金規正法のために寄附を受け、または支出することができない団体となったので同条三項の規定に基づき告示するということが書かれているだけです。

 ですから、おっしゃったとおり、寄附を受け付け、支出をできない立場になりましたということが告示、公開されるということではありますが、今話のあったように、その段階でこの政治団体はもう活動することができないわけです。ですから、今まさにおっしゃったように、解散届をしかるべく速やかに出してもらわなきゃならない団体になるわけですね。

 ところが、この自民党二百三十二支部の中で解散届を出しているのが百三十数、ある段階においてはそういうふうに言われているような状況下で、これで本当に法律が機能しているのかということを問われなきゃならないということを申し上げているわけであります。

 政党交付金との関係を少し議論させていただきますと、この二百三十二団体、浮いたお金が、浮いたお金といいますか、そこがみなし解散になったときにどこに行ったかわからなくなったお金が一億一千六百万というふうに言われていますけれども、この金額の中で、政党交付金が入っているという可能性はないのかという点についてはどうでしょうか。

門山政府参考人 政党交付金に関しますお尋ねでございます。

 各政党から提出されます政党交付金の使途等報告書におきましては、その年におきます政党交付金の収入と政党交付金を充てた支出を記載していただく、こういう仕組みになっているところでございます。

 総務省といたしましては、この使途報告書をチェックいたしまして、まず一番目に、国が交付した政党交付金が正しく政党本部の収入欄に記載されておりますとともに、政党本部の収入と支出が合致しているということ、それから二点目としましては、その年の各政党本部の使途等報告書の支出欄に記載されました各政党の支部への支部交付金、この支出額と各支部の支部報告書の収入欄に記載されました政党本部からの支部政党交付金の収入額が合致していること、さらに三つ目といたしまして、各支部の支部報告書におきまして、支部政党交付金に係る収入と支出が合致していることということを毎年確認しているところでございます。

 このため、こういった確認をいたしましたところで、政党交付金につきまして、御指摘のように使途や所在が不明となったケースというのは生じていないというふうに認識しているところでございます。

大串委員 説明は今のとおりです。政党交付金には使途報告書というものを出さなきゃならないということになっています。私の事務所も使途報告書を出しています。それにきちっと報告をしています。これだけの額の政党交付金を受けて、それに対して支出は、人件費幾ら、光熱費幾ら、備品幾ら、事務所費幾ら、こういうふうな活動の内容を報告しております。こういうふうに支出しております。

 しかし、私が申し上げているのは、資金にはいわゆる色目がありません。ある政党支部がみなし解散になったときに、これだけの残余財産が宙に浮いてどこかわからなくなってしまった。それが、なぜ残余財産が発生しているかというところを問いただせば、その政党支部は政党交付金を受けていたかもしれない、それによってある一定の支出が肩がわりされる、資金に色目はありませんから、それによってある一定の残余財産が生まれているということは否定できる話じゃないんですね。

 そうすると、使途報告書をつくっているにもかかわらず、実は、それがみなし解散的なものになって残余財産の取り扱いが非常に不分明になっていく中で、国民の税金を使った政党交付金による効果も相まって、この一億一千六百万のお金もどこに行ったかわからなくなってしまっているということがあり得るわけです。

 それであるがゆえに、さらに一段と、この政治資金収支報告書のあり方もいま一度見直すべきではないかということを申し上げているんですけれども、どうでしょうか。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げますと、政党支部の政治資金といいますのは、政党交付金とその他の一般の政治資金、この両方から成り立っているというふうに想定されるところでございますが、その各資金をどのような支出に充てるかということは、基本的には政治活動の自由ということで、各政党支部の責任において御判断いただくべき事項というふうに理解をいたしております。

 いずれにいたしましても、制度といたしましては、政党支部の各支出につきましては、法令に基づき、一方は政治資金の収支報告書として、もう一つは政党交付金の支部報告書の記載事項として御報告をいただき、その公開を通じまして国民の監視のもとに置く、こういう仕組みになっているというふうに理解いたしているところでございます。

大串委員 政治資金収支報告書によって政治活動を外に向けて資金面からさらすということは、極めて重い政治資金規正法上の課題であり、責任であり、目的でもあります。ですから、それに対しては、先ほど来話があったように、禁錮刑あるいは罰金刑あるいは公民権停止といった非常に重い措置がとられ、さらには、二年間の収支報告書が出されない場合にはその政治団体は事実上活動ができなくなるというところまでの規制が行われております。

 一方、今お話がありましたように、政党交付金に関して、あるいはそれ以外の収入を得て政治団体が政治活動を行う、政治活動の自由がありまして、どのような資金をどのような活動に充てるか、これは、法の許す範囲の中で、各政治家の判断あるいは各政治団体の判断に任されています。

 そういう中で、お金に色目がないということから、国民の税金を原資としている政党交付金においても、それが一つの、ある意味で玉突き要因という形になって、自民党における二百三十二のみなし解散支部、どこに行ったかわからなくなっている資金一億一千六百万のうち、政党交付金による効果がどれだけあるのかということも、ある程度わからなくなってしまっているわけですね。

 これで本当にいいだろうか、こういう広い論点も含めて、政党助成法を考えるのであれば、あり方を見直すのであれば、私たちは考えるべきであり、今回提案されているような内容のみをもってして今議論するというのは妥当ではないんじゃないかということを申し上げさせていただきまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河本委員長 次に、横山北斗君。

横山委員 私は、供託金の制度についてお聞きします。

 供託金制度はイギリスでスタートして、立候補者を抑制する、それは、選挙妨害で多数立候補したり売名行為で立候補したり、そういう人が出るといけないからということで始まったんですが、日本ではいつどういう目的で始められたのか、まずそこからお伺いいたします。

門山政府参考人 お答えいたします。

 公職選挙法におきます供託金制度につきましてのお尋ねでございます。

 我が国におきます供託金の制度は、男子普通選挙を導入いたしました大正十四年の衆議院議員選挙法の改正によりまして、それまでと異なりまして立候補制度が採用されたわけでございますけれども、その立候補制度の採用とともに導入されたものでございます。

 その際の提案理由におきましては、立候補をして最も慎重ならしめ、いわゆる泡沫候補者の輩出を防止せんとするの趣旨にほかならないという旨の説明がなされているところでございます。

横山委員 それでは、今回、今よく報道されているのでは、供託金三百万、お金を下げる、それから没収点も下げるという点で、ポイントはどうなっていて、どこをどう変えようとしているんでしょうか。

後藤田議員 お答え申し上げます。

 今委員もおっしゃったように、このたびは供託金の額と、供託金の没収点を下げるというのが大きなポイントでございます。

 まず、衆議院の小選挙区選挙につきましては現行の三百万から二百万、次に、衆議院の比例代表選挙につきましては、名簿登載者一人ごとの供託金額を現行の六百万から四百万、重複立候補につきましては三百万から二百万に、それぞれ引き下げております。

 また、参議院の選挙区選挙におきましては、現行の三百万から二百万、さらに参議院比例代表選挙につきましては、名簿登載者一人ごとの供託金額を現行の六百万から四百万でございます。

 次に、没収点でございますけれども、衆議院の小選挙区選挙につきましては、今までは有効投票の総数の十分の一でございましたけれども、二十分の一に引き下げております。また、参議院の選挙区選挙につきましては、現行の有効投票の総数を当該選挙区内の議員の定数で除して得た数の八分の一から十六分の一に引き下げております。

横山委員 それでは、わかる人で結構です、どなたがお答えになっても構いませんが、この供託金、最初、日本では三万円ぐらいからスタートしたと聞いていますけれども、その後、今日三百万になるまで、お金というのは、何度ぐらいの制度改定を経て、どうやって上がってきたんですか。下がった時期もあったんですか。

門山政府参考人 供託金の額の変遷についてのお尋ねでございます。

 衆議院、参議院、地方選挙、それぞれございますが、衆議院選挙で御説明をさせていただきたいと存じます。

 昭和二十五年に公職選挙法が制定されました時点では三万円でございました。それが、二十七年に十万円になり、昭和三十七年に十五万円、昭和四十四年に三十万円、昭和五十年に百万円、昭和五十七年に二百万円、平成四年に三百万円、平成六年には、三百万円でございますが、このときに比例代表制度が導入されておりますので、比例代表の六百万円というのができております。

 ということで、これまでは下がったという経緯はないと承知いたしております。

横山委員 何度かの改定を経て今日の三百万になっているということなんですけれども、そもそも、そういう制度改定をこの間ずっとしてきたこと、それから上がってきたことについて、何か基準みたいなものはあるんでしょうか。例えば物価の上昇とか有権者数の変化とか議員定数の変化とか、そういうものを考えた上で変わってきたのか、あるいはほかに何かその時々の事情があったのか。これもわかる人で結構ですので、お答え願えますでしょうか。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 改正につきましては、今申し上げましたようなそれぞれの改正時点ごとに御説明がされているわけでございますが、三百万に上がりました平成四年時点の御説明を引用させていただきますと、選挙における供託金については、昭和五十七年に改正されて以来、約十年据え置かれており、この間、物価なども上昇しており、過去の改定率等を参考にすれば、一般的には一・五倍程度の額に引き上げることが適当であるとの判断から、今回の改正により、次のとおり供託金の額は引き上げが行われたところであるという説明になっております。

 それ以前の説明等におきましては、経済事情、貨幣価値の変動といったようなことですとか、あるいは、例えば昭和三十一年あたりですと、ポスターの増加、無料はがきの増加といった公営制度、これが充実されてきたといったようなことも理由に挙げられておりますが、その都度、その時点の御判断として幾つかの理由が挙げられているものと承知いたしております。

横山委員 そうすると、今、物価の上昇とか選挙の公営費用という話をされましたが、では、今回それを引き下げることで公営費用とのバランスというのはとれるんでしょうか。お答え願います。

後藤田議員 お答えいたします。

 今までの変遷における理由は、今のような理由も一つの判断理由であったと思います。

 ただ、昨今におきまして、今度は先進国、諸外国との比較において言いますと、イギリスの場合は供託金が五百ポンド、約十一万円、そしてまたオーストラリアは、下院は五百ドル、五万円、上院は千ドルの十万円、カナダにおきましても十一万円。そういうことで、先進国の主要国と比べてもいささかやはり高いのではないかということと、もう一つは、他の少数政党の皆様方から、これは今回に始まったわけではございませんが、以前より、より多く出したいというような意見につきましても、我々はこれは広く対応しなくてはいけないという思いでつくらせていただきました。

 供託金について今御質問いただいておりますが、本来、公選法の多くの条項を我々は政治家として改正するべきところはたくさんございまして、しかしながら、これは議員の身分を決めるものでございますから、できれば全会一致で決めなくてはいけない点が多いと思います。そういう意味では全部というわけにはいかずに絞られていって、それが今回、供託金もその大きなポイントの一つとなりました。

 ちなみに、現行の没収点から今回の我々が改正する没収点に変えた場合に、例えば平成十七年、第四十四回の衆議院の選挙を考えた場合に、供託金の没収金額が八億四千九百万円でございます。内訳は、共産党さんが六億六千九百万、社民党さんが六千六百万でございまして、国民新党さんが千二百万、その他が九千万。そういう意味で、大変お金がおありになる政党なのかもしれませんが、御負担も下げていかなくてはいけないと思います。

 今回、没収点を一〇%から五%に下げますと、これが、四十四回の部分で比較しますと、没収金額が二億五千五百万、没収人数も八十五人となりまして、差し引き百九十八名、そして五億九千四百万円の費用が少数政党の方々にまた戻されるということでございます。その点については、我々は、二大政党とかいろいろ言いますが、多くの政党に政治にかかわっていただく機会を与えるのが政治家として当然だと思っておりますので、こういう内容にさせていただいております。

横山委員 今三百万で昭和五十七年に二百万だという答弁がありました。私は、何か物価とかさまざまな水準が昭和五十七年に近づいているからこういうことにしたのかなと思ったりしましたけれども、今、諸外国との比較をしたときにも我が国の場合はかなり高いからというようなことも考えてということが、それも一つの政治判断だと思うんですけれども、新しく加わったということで理解いたします。

 実は、この供託金を下げることや没収点を下げることについては、まだ民主党の内部ではそういうことを検討したものではありませんので、今私どもが、賛成ですとか反対ですとか、そういうことをここで申し上げるものではありませんが、自民党の内部でそういう検討がなされ始めた時期というのは、いつぐらいからなんでしょうか。大体で結構でございます。

後藤田議員 村田議員が選挙制度調査会長、私が事務局長でございますが、その前の鳩山邦夫選挙制度調査会長時代からでございます。お二人にお仕えした事務局長でございますが、もう二年以上ですか、私がかかわった範囲では、前からこの問題については、先ほど申し上げたように、供託金を含む公選法のあらゆる条項について、もう古いのではないかと。

 先ほど委員がおっしゃったように、物価の問題とか、選挙の公営費用だとか、そしてまた、今申し上げました諸外国との問題とかもそうでございますけれども、また、いろいろな環境変化も加味しなきゃいけないということで、公選法はそもそも、自由に選挙をやろうということと、しかし一方では、金のかかる選挙はよろしくないのではないかということで、その両方の考え方の折衷案をどうとっていくかということで、大変難しいテーマだと思っておりますので、ぜひともこれは全会一致で御議論を深めていただきたいと思っております。

横山委員 そうすると、今のお話ですと、選挙制度そのものについて不断に検討していかなきゃいけない、今の小選挙区、比例代表がいいかどうかも含めて検討していかなきゃいけない、そういう検討の中で、二年前、二〇〇七年の六月、七月ぐらいにはこういう考え方が出てきていたという理解でよろしいでしょうか。それでよろしいですか。

 では、そうすると、今、供託金と得票数の二つに特化しているように思うんですけれども、ほかのことと切り離してこのことを出してきた理由というのは何かありますか。

村田議員 自由民主党の選挙制度調査会では、公職選挙法の第一条からすべて見直しをさせていただきました。その中に、インターネット選挙をどうするかとか、それから、公職選挙法は本当に細かいところまで規定がなされておりまして、こんな規定は要らないんじゃないかというような議論もありました。慶弔電報とか、あるいはそれに対するお祝いとか、そういうことまで含めて、あらゆることについて議論をしたのでございます。

 党内でも、さまざまな賛成、反対、いろいろございました。しかし、そういう中でも、党内で、かつまた党の外に出ても、恐らく皆さん方に賛同いただけるのではないかということをつまみまして提出させていただいたんです。

 特にこの供託金制度については、二大政党制ということも喧伝されますが、しかし、国民各位にいろいろ聞いてみた場合において、多様な意見を国政に反映させるという観点から、二大政党制ということだけではなくて、少数政党についても、国会に代表権を持ちやすくする、その前提段階として選挙に多く立候補していただくということがやはり必要じゃないか。かつまた、今、後藤田委員も御答弁させていただきましたが、諸外国と比較して余りにも高過ぎる、お隣の韓国と比べても三倍ぐらいの水準であることにかんがみれば、この点は直ちに皆さん方に御提案申し上げて引き下げることがいいのではないかということで今回の提案になった次第でございます。

横山委員 少数政党に対しての配慮というのは民主政治にとって必要なことはわかるんですが、それが何で供託金なのかなというのがわからないんですね。そういうところが立候補するためであれば、すべて比例代表の選挙制度にした方が少数政党にとってより有利だという議論もあるのに、どうして供託金を取り上げるのかがいま一つ……。

 ちょっと、もう一度説明していただけますか。

村田議員 今申し上げましたのは、党内でもかんかんがくがくの議論があった中で、与党として、賛同が得られたもの、報告書の中からも取り出して御提案したものでありまして、選挙制度を変えるということについては、もっと多くの時間と議論が必要であるわけでありますから、今委員のおっしゃるようなことももちろんあるわけでございますけれども、我々としては、当面の選挙を前にして、とりあえずこういう提案をさせていただいて、少数政党が出やすくするという措置を講じたいと考えた、こういうわけでございます。

横山委員 そうすると、この制度の点で、先ほど衆議院、参議院について説明がありましたけれども、地方選挙についての、首長選挙等についての検討状況というのは自民党の選挙制度調査会の中では今どの程度進んでいるのか、もし教えていただけるなら教えていただきたいと思います。

村田議員 供託金のことについてでございますか。これは、例えば町会議員とか村会議員につきましては、数は少なくなりましたけれども、まだ選挙の公営がなされていないということでもありますし、そういう意味で供託金というものはないのでございます。

 それも議論いたしました。しかし、最近、地方議会への立候補者が非常に少なくなっているという現状にかんがみますと、本当はこっちの方も手をつけたいという気持ちはございましたが、これは地方自治の問題にもかかわる問題でございますので、我々としては、この問題について地方の意見を聞く時間が非常に不足しているということで、とりあえず国政レベルの改正にとどめたということでございます。

横山委員 先ほどの発言の中で、選挙を前にという言葉がどうしても私は気になります。例えば、国民がすごく不思議に思っているようなことというのは、今選挙制度調査会の中でもやっていると言われましたけれども、たくさんあると思うんですね。

 例えば、私の場合ですと、青森市というところが選挙区ですが、数年前、五年前かな、市町村合併で隣町と合併をする。合併をして青森市長選が行われたときにはその合併したところは含むけれども、今度の衆議院議員選挙では、合併した町は、前は別の選挙区だったからそのままで選挙をやるというようなことに関して、以前は町で、新たに市民になった人は今度はどっちに投票するのとか、やはりまだまだそういう理解なんですね。何でそれがそのままなんだといったときに、それは国勢調査を経て云々とかいっても、国民が納得しない部分というのはたくさんあると思うんですよ。

 それを、今回この二つの点について突然挙げてきたことに対して、御承知と思いますけれども、二〇〇七年の九月八日に日本共産党の大会があり、そのときに候補者を絞り込むんだという決定がなされて、新聞、週刊誌なんかを中心にさまざまに報じられてきました。

 そういう選挙直前に候補者を絞り込んだものに対して、そうでなくてもいいよというような雰囲気をつくるんだというようなことがさまざまに、それは誹謗中傷だとお答えになればそれまでなんですけれども、なされてきたと思います。

 その点について、そういう報道がなされてきているなということの御認識はありますか。

村田議員 それは当然ございましたので、私もこの法案を提出する際に記者会見で、この供託金の問題についてはいろいろな邪推がありますけれども、我々は、その邪推、憶測を乗り越えて、やはり民主主義の原点に返って、幅広い参政、政治に参加する権利を確保したい、そのための改正案であるということを強調して御説明した次第でございます。

 もとより、先ほど来申し上げている選挙制度調査会というのは、大変長い間でたくさんの議論をしてまいりまして、今後も引き続き、まとまり次第、逐次、できたら提案をしたいということでございますので、そういういろいろな憶測がございますが、それは全く関係ないというふうに考えていただいたら結構と思います。

横山委員 もちろん、今のお話はお話として構わないので、それで結構でございます。

 ただ、国民がそれをどう感じるかということになったときに、少なくとも、これまでの選挙制度調査会の長い議論というものがあって、しっかりとした法案として出してきたものであると、もちろん説明として今伺ったわけですけれども、国民の理解として、先ほどの、今度青森市民になったのに何で古い選挙区のまま投票しなきゃいけないのみたいな、そういうごくごく素直に考えるところの考えでいったときに、日本共産党の候補者絞り込み以降、メディアを通じて、この供託金の問題や没収点を下げるというようなことが国民の前に報じられるようになって、そこに諸外国のケースも含めて勘案した。これも、日本共産党が昔から高い高いと言っていたことですよ。前々から言っていたことですよね。そういったことが今ここにぽこっと出てきた。

 それで、地方選挙に関しては検討しているけれどもまだ表に出す段階じゃないといったときに、それも選挙の直前になってやるといったときに、これは国民の多くが、例えば自民党に有利な選挙制度の改定をやっているんじゃないかなというふうに思った場合、それがそうであるならば、これはどこの国でもそうですけれども、各国の選挙制度の歴史を見ても、選挙直前に変えるというのは国民に極めて評判のよろしくない政治家たちがやってきたことだし、その国の民主主義の発展にとって大きなマイナスだったというのがこれまでの歴史だと思うんです。

 この法案を出してきた自民党として、国民の側から、あるいは先ほど言われているような批判に耐えられますか。その点の御発言をぜひ、余った時間、どうぞ好きにお話しください。

村田議員 要するに、共産党さんが、具体名を挙げて大変恐縮でございますが、次回の選挙に際して立候補者を減らす、そういうニュースも我々にとりまして大変ショッキングであったことは事実でございます。

 そして、かねてより共産党が長い間、高過ぎるという御主張をたしかされていたのも私も承知しているわけでありますが、しかし、そこまでこれが重たい負担かというのは、はたと私どもも真剣に考えるに至ったということも事実でございます。

 それをいけないとおっしゃる今の御指摘なのかどうか、私はよくわかりませんが、それでもなおかつ、この際、大きな変化が出たわけでございますから、それが障害になっているならば、皆さんが御賛同できる範囲内でこういう改正を提案させていただくというのは、自民党だけでこの法律が成立するわけでもありませんし、また選挙のルールとして、我が党が強行採決をやるべきものでもありませんし、そういう意味で、我々が与党として出した提案について、どうぞよろしく御検討いただきたいという趣旨でございます。

後藤田議員 委員おっしゃるとおりで、公選法の課題というのはたくさんございまして、実は御党の議員の先生方にも与党でまとまったものをお出しさせていただいて、早く超党派で、まさにこの委員会もしっかり活性化させて、さまざまな議論をしましょうということも実は一年前から申し上げております。

 それを裏で支えていただいている団体もありまして、例えば二十一世紀臨調という場面で、公選法の問題、選挙制度の問題をさまざまな観点から意見具申をしていただいたりしています。

 臓器移植の問題もそうでございます。十年間なかなか国会で議論がされなかった、これはやはり我々、いわゆる立法府の怠慢ということを指摘されてもやむを得ない。だから、公選法につきましても、例えば統一地方選挙という言葉ですら、もうこれは形骸化しています。統一率というのは五割を切っているわけでございますね。

 こういった問題なんかも含めて、早くこの問題は、いわゆる選挙とかそういうものに関係なく、この委員会があるわけですから、しっかりと議論すべきでありますし、今回の供託金の問題、没収点引き下げ、金額引き下げによって、共産党さん、社民党さんを初めとした皆様がどういうふうにされるか、それはもう政党の自由でございますので、皆様が野党共闘というものを大事にされるのか、それ以前の政党政治というもの、民主政治というものを大事にするのかというのは、やはり我々政党そして政治家の意識が見られているということだと思います。

横山委員 最後は国民がどう判断するかということだと思いますので、私の質問はこれで終わりにいたします。

河本委員長 近江屋君、簡潔にお願いします。

近江屋議員 自由民主党の近江屋信広であります。

 先ほどの大串議員の御質問に関してであります。

 一月八日の報道におきまして、自民党の二百三十二支部が収支報告を怠って解散をしたという報道がありました。大串議員からもその点についての御指摘がありました。この御指摘に関しましては、当時、新聞報道があった後に自由民主党において直ちに事実関係を精査いたしまして、順次適切な対応を行っているというところであります。

 また、大串議員の質問、政党支部の残金に政党助成金が入っているのではないかという質問について確認をいたしましたので、御発言させていただきます。

 自由民主党は、政党助成金の使途、使い道については非常に厳格な基準を持っておりますので、それの政党助成法に基づく監査を適正かつ適法に行っているところでありまして、みなし解散となっていた政党支部の残金には政党助成金は含まれていないということを確認いたしましたので、申し添えさせていただきます。

 以上であります。

河本委員長 次回は、明八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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