衆議院

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第4号 平成22年11月26日(金曜日)

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平成二十二年十一月二十六日(金曜日)

    午前八時四十分開議

 出席委員

   委員長 松崎 公昭君

   理事 青木  愛君 理事 階   猛君

   理事 手塚 仁雄君 理事 松崎 哲久君

   理事 柚木 道義君 理事 赤澤 亮正君

   理事 西野あきら君 理事 富田 茂之君

      石井登志郎君    磯谷香代子君

      打越あかし君    大山 昌宏君

      太田 和美君    岡田 康裕君

      柿沼 正明君    笠原多見子君

      勝又恒一郎君    金子 健一君

      川口  浩君    桑原  功君

      小林 正枝君    小室 寿明君

      白石 洋一君    高井 崇志君

      高橋 英行君    中後  淳君

      橋本  勉君    畑  浩治君

      花咲 宏基君    早川久美子君

      福島 伸享君    宮崎 岳志君

      谷田川 元君    横粂 勝仁君

      あべ 俊子君    伊東 良孝君

      石田 真敏君    小里 泰弘君

      北村 茂男君    齋藤  健君

      武部  勤君    林  幹雄君

      松野 博一君    東  順治君

      佐々木憲昭君    中島 隆利君

    …………………………………

   議員           大口 善徳君

   総務大臣         片山 善博君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           田口 尚文君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十六日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     小林 正枝君

  笠原多見子君     早川久美子君

  川越 孝洋君     磯谷香代子君

  中後  淳君     金子 健一君

  橋本  勉君     打越あかし君

  宮崎 岳志君     横粂 勝仁君

  加藤 勝信君     小里 泰弘君

  二階 俊博君     林  幹雄君

  松野 博一君     石田 真敏君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     川越 孝洋君

  打越あかし君     橋本  勉君

  金子 健一君     中後  淳君

  小林 正枝君     福島 伸享君

  早川久美子君     笠原多見子君

  横粂 勝仁君     宮崎 岳志君

  石田 真敏君     松野 博一君

  小里 泰弘君     加藤 勝信君

  林  幹雄君     二階 俊博君

同日

 辞任         補欠選任

  福島 伸享君     川口  浩君

同日

 辞任         補欠選任

  川口  浩君     相原 史乃君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案(内閣提出第一一号)(参議院送付)

 政治資金規正法及び政党助成法の一部を改正する法律案(大口善徳君提出、第百七十三回国会衆法第三号)


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     ――――◇―――――

松崎委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長田口尚文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松崎委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。あべ俊子君。

あべ委員 おはようございます。自由民主党、あべ俊子でございます。

 今回の統一地方選挙特例法、四年ごとに改正されておりますけれども、今回は地方議会の議員の選挙期日を統一するという特例法案でございます。

 これに関しまして、やはり背景といたしましては、統一地方選挙の統一率の著しい低下、さらには地方選挙における投票率の著しい低下、これが挙げられているところでございますが、こういう状況の中で、今回、特例法で選挙期日を統一する意義を大臣どのようにお考えでしょうか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 今議員からお話がありました、例えば投票率の低下などについて言いますと、統一することによって関心が高まって、その結果投票率が上がるということが期待されると思います。あと、地域によっては、幾つかの選挙を同一にやるということで、財政面での節約効果もあるだろうと思います。

あべ委員 関心が高まり、投票率が上がるのではないか。

 大臣、どれぐらいの投票率に上がるとお考えでしょうか。

片山国務大臣 それは、一概には言えないと思います。他の要因、例えば政党の政策、それが有権者にどういうふうに響いているのか、候補者の魅力度合い、いろいろなことがあると思いますので、これだけでどれだけ上がるかということは申し上げられないと思います。

あべ委員 どのぐらい上がるかわからないけれども上がるだろうと大臣は思っていらっしゃるんでしょうか。

片山国務大臣 これは、言うなれば、絶対に統一しなきゃいけないというわけではありません。統一することによってやはりそれなりの効果があるだろうという一つの政策であります。何か事前に吟味をして、これだからこうだということではありません。過去そういうことでやってきているものと思います。

あべ委員 それなりの効果というのは何でしょうか。

片山国務大臣 それは、さっき申しましたけれども、数値的にどこがどうなる、何がどう上がるという検証は、私はできないと思います。

 ただ、経験則でいいますと、私も選挙をやったことがあります、まさに統一地方選挙でやったことがありますけれども、一つの選挙区といいますか県だけで知事選挙をやるよりは、全国幾つかの県で知事選挙をやります。それから、同じ日に都道府県の議会の議員の選挙もやりました。そうしますと、全国的な話題になりますので、いやが応でも有権者の皆さんの関心は高まる、これは肌で実感したところでございます。

あべ委員 先ほどおっしゃった投票率のほかに、いわゆる選挙費用の削減ということもおっしゃっておりましたが、大臣、これでどれだけ削減されますか。

片山国務大臣 これも、必ずしも数値が正確に検証できるものではありません。

 ただ、これは経験的に、実務者に聞いてみますと、大体統一したところでは二割程度節約できるのではないかという、これは経験則であります。そうしますと、今回の統一の対象となる自治体の選挙を概観しますと、大体五十億円程度節約できるのではないかという、これは予測であります。

あべ委員 予測でございますから、結果が出てみないとわかりませんが、もう一つ問題なのは、自治体で、例えば長の方が突然お亡くなりになるということが起きたときに、いわゆる長の選挙と議員の選挙が大幅にずれてしまうということがあります。そうすると、議会運営上非常に大きな問題が出てしまう。

 例えば、町会議員は、自分たちの議員選挙が近くなるとさまざまな違う動きが出てくる。また、長も、自分の選挙が近くなると動きが出てくる。すなわち、議会全体としてのアクセルとブレーキが余りうまく機能しなくなるということがありますが、大臣、こういうお話を聞かれたことはございますか。

片山国務大臣 それは、統一することに関連してでしょうか。

 特に、今議員がおっしゃったようなことの問題点でありますとか課題などを私は耳にしたことはございません。

あべ委員 ですから、今回統一することが三割ぐらいしか見込めないということになると、自治体の裁量で行うということもこれから検討が必要ではないかというふうに思っておりますが、そのことに対して、大臣、どうお考えでしょうか。

片山国務大臣 それは、法律上一定の要件が発生した場合、例えば任期が来るとか、それから、さっきおっしゃったように、何らかの事故で欠けるということはあります。そうしますと、何日以内に選挙しなきゃいけないという決まりがありますから、例えば、その法律の範囲内で統一できるということであれば、自治体の選挙管理委員会の方の判断でそれは可能だろうと思います。ただ、それを超えてまで自治体の独自の判断でやるということはできません。

 したがって、今回、そういう超えたものを統一しようということですから、国法でルールを決める、ルールを変えるということを今法案としてお願いしているわけであります。

あべ委員 わかりました。

 次に参りますが、選挙制度についてでございます。

 我が国の国会議員の女性議員の占める割合、何%か、大臣、御存じでしょうか。参考人の方でも結構です。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 衆議院議員につきましては、先般の二十一年八月三十日の選挙の当選者数四百八十人のうち、女性が五十四人で一一・二五%、参議院議員につきましては、平成二十二年七月十一日の選挙につきまして、当選者百二十一人のうち、女性が十七人で一四・〇五%となってございます。

あべ委員 大臣、この数は、大臣としては多いと思われるか、少ないと思われるか、御意見を聞かせてください。

片山国務大臣 これは有権者の皆さんが選択をした結果でありますから、それをいいの悪いのということは私としては申し上げられません。

 ただ、私の私見も交えて一般論で申し上げますと、私は自治体の首長をやっておりまして感じましたのは、自治体行政というのは住民の皆さんのために行政サービスを行うわけですけれども、その住民の皆さんというのは老若男女のバランスのとれた社会であります。そうしますと、そういう老若男女の皆さんのために行う行政サービス、その政策を決めたりチェックしたりするその議会、特に地方議会というのは、ある程度社会の実態というものを反映した、そういうバランスがとれている方が望ましいと私自身は思いました。

 ただ、それも結局は一人一人の有権者の皆さんの選択でありますから、その結果をどうこうということはありませんけれども、そういう感じを持っておりました。

あべ委員 有権者の方々が選ばれるということは確かですが、例えば、私の地元岡山、鳥取もそうだと思いますが、手を挙げる人すらいない。すなわち、非常に選挙が大変、また政治を続けることが非常に家庭に負担があるのではないかというところで、やはりどうしても全体的な住民のバランスとは違った形で政治家が出てきてしまっているということはあるわけでございまして、そうしたときに、大臣、海外でとられているクオータ制ということに関しては御存じですか。

片山国務大臣 幾つかの国でいわゆるクオータ制をとっているということは存じております。

 一般論として、このクオータ制を採用するということは一つの政策選択だろうと思います。ただ、その際に、それぞれの国の憲法に書いてある基本原則との間で抵触がないかどうかという点検は必要だろうと思います。

あべ委員 参考人の方で結構でございますので、諸外国のクオータ制の導入の数値目標なども含めて、ちょっと簡単に教えていただけますでしょうか。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 クオータ制を導入している主な国につきまして申し上げますと、法律によります強制的な意味でのクオータ制でございますが、これはフランスと韓国で、いずれも五〇%というふうになってございます。

 もう一つ、政党の内規によりまして自発的なクオータ制を導入されております国につきましては、スウェーデンが四〇%ないし五〇%、ドイツが、社会民主党が四〇%、緑の党は五〇%、こういうふうに承知をいたしてございます。

あべ委員 私、日本看護協会というところにおりましたときに、世界看護協会というのがございまして、海外の方々といわゆる女性の進出がどの程度であるかという話とかをしょっちゅうするわけでございますが、そうした中でやはりかなり日本がおくれをとっているということは事実でございます。しかしながら、これをどういう制度にするのか、では女性がもっと手挙げをしやすくするのか、さまざまな問題があるんだと思っています。

 私、前職は大学で教えておりましたが、政治家になるから大学をやめると言ったときに、みんなにあきれられた顔をされまして、何がおもしろくて政治家になりたいのだ、何でそんな世界が好きなのだと周りから非常に変人扱いをされたわけでございます。

 やはり、政治というものが生活に密着しているということを考えたときに、また、長生きするのが女性である、特に大臣の御地元でいらっしゃる鳥取県、私の地元の岡山、女性のひとり暮らしが多いということを考えたときに、そういう方々に対してどういう政策をしなければいけないのかということを、男性が積極的になるか、女性が同じ女性としてしっかり政策を立てていくかというあたりは本当に難しい部分だと思いますが、ぜひとも総務大臣、頑張っていただけたらというふうに思いますが、一言そのお志を聞かせていただきたい。

片山国務大臣 実は、私の地元もあべ議員と同じ岡山なんです、それは関係ありませんけれども。

 先ほども申しましたけれども、私は、特に地方自治の分野は、やはり議会というのは、男女のバランスもそうでありますし、老壮青という言葉がいいかどうかわかりませんけれども、そういう年齢構成もある程度バランスがとれていた方がいいと思います。老壮青でありましても、それから男女でありましても、それぞれの皆さん方にそれぞれやはり課題はあるわけでありまして、その課題をうまく自治体行政に反映させるためには、議会、議場にもそのバランスが反映された方がいいと思います。

 そこで、実は鳥取県で私が知事をやっておりましたときに、県の事業として女性の政治参画スクールというのをつくりました。

 これは、さっき議員がおっしゃったように、女性は男性に比べてやはりなかなか選挙に出にくい。実は男性も出にくいところがあるんですけれども、女性はもっと出にくい、家族の問題とかいろいろありますから。そういうことを先人から学ぶとか、経験に学ぶとか、それから選挙に関するいろいろな仕組みとか、そういうものを学んで、出やすいような環境をつくってあげましょうということを県の事業でやったんです。

 そうしましたら、かなりの方がそのスクールに参画されまして、そういうところからどんどん巣立っていくといいますか、それぞれ市町村の議会の議員になっていかれたわけであります。

 法律でにわかにクオータ制というのはなかなか難しいと思いますけれども、そういう地域の取り組みでありますとか、また、さっきもお話がありましたけれども、政党において例えば比例代表の候補者名簿をバランスをとるとか、いろいろな試みはできると思うんですね。それぞれの地域でありますとか組織でありますとか、そういうことを通じてできるだけ議会に、特に地方議会に、老若男女のバランス、均衡がとれるような努力をお互いしていくべきではないかと私は思います。

 一点つけ加えておきますと、鳥取県でそういうことを私が申しましたら、大きなお世話だと結構大勢の男性議員から言われましたけれども、あえてそういうことをしておりました。

あべ委員 ありがとうございました。

 やはり、女性がもう少し政治に興味を持っていくということが大切だと思います。

 では次に、郵政の法案に関してちょっと質問をさせていただきたいのですが、大臣が大臣におなりになる前に、六月二十日付の北日本新聞というところで、郵政改革法案が国民新党に無理やり引きずられてでき上がったので、総理が丸のみした亀井案には異論が多いだろうということも書いていらっしゃいます。

 それに対して、内閣の一員としては、当時の考えとは違う、大臣になったんだから内閣の一員としてやっているということですが、民間人であるときと大臣になったときというのは、考え方はこれぐらい変わるものなのですか、大臣。

片山国務大臣 私は、郵政民営化の法案についていろいろな考え方を持っておりましたし、今も持っておりますが、特に今御指摘になった新聞に寄稿したものは、そういう私が抱いていたというか、感想の中の懸念事項でありますとか、そういうものを中心に書きました。もちろん、評価すべき点も評価しているんです、その記事かどうかはわかりませんけれども。

 例えば、亀井案の中で一つ私が評価しましたのは、非正規社員をできるだけ正規化しようという面がありまして、これは今のような非正規化が進行している社会において一つ特筆に値することだと思いますので、それは正直に評価をしております。あとは、政策でありますから、当時私も学者をしておりましたから、できる限り懸念事項、それを摘出して、その懸念事項がないようにということで幾つか書きました。

 今日、こういう立場になりまして、内閣の一員となりまして、内閣というのはばらばらではいけませんので、内閣は連帯して国会に対して責任を負うわけでありますから、いろいろなことがありますけれども、一つの政策というものを私も遂行する立場になりましたので、個人的なことが仮にあったとしても、そこは自分の中で統一をする、そういう考え方であります。

 あとは、懸念もありましたけれども、それは自分が担当大臣になればその懸念というのはできる限り解消する、自分の努力によって解消できますので、そういうことも含めて今の立場で政策を遂行するということであります。

あべ委員 郵政に関しては、方向性が全くわからないというのは私はある意味問題であると思っておりまして、通す通すといって今国会も何か見送る形になってしまっている。この郵政法案に関しては課題があることは確かなので、大臣、やはり懸念される課題はどうしてもこの法案の中にあると私は思うんですが、大臣としては、その懸念部分を内閣の一員として法案の中身までしっかり見ていき、方向性をある程度修正するということもお考えですか。

片山国務大臣 私の立場としては、それはありません。むしろ、私は今、最近切実に感じますのは、いろいろな郵政の関係者とお会いすることもあるんですけれども、一つ、本当に私が懸念しておりますのは、会社の将来といいますか、将来の経営形態というものが宙ぶらりんといいますか、どっちつかずになっているんですね。やはり、経営者にしましても、現場の皆さんにしましても、会社の経営形態というのはこうなるんだ、それを前提にしてみんなで協力をしながら励んでいこうということが本来望ましいわけであります。

 どうなるんだろうかという状態が非常に長く続くということは、これは経営から見ましても、現場のモラルといいますか士気から見ましても、決して好ましいことではないんですね。ですから、一つの政策として打ち出しているわけでありますから、これはできるだけ早く現場や経営陣の皆さんのためにも決着をつけてあげたいと私は最近つくづく思っております。

あべ委員 本当に宙ぶらりんな形で、通す通すといいながら、選挙が近くなると、通さない方がいいんじゃないか悪いんじゃないかという何か変な判断が働くのかどうかわかりませんが、この郵政に関しましては、ちょっと世界の非常識ではないかとやはりいろいろなものを読むと思っているわけでございます。

 それに関連して、十一月九日に、TPP、環太平洋戦略的経済連携協定参加に対して閣議決定がされたわけです。この閣議決定のとき、大臣、いらっしゃいましたか。

片山国務大臣 閣議でありますから、私はこれまで一回も欠かしたことはありませんので、おりました。

あべ委員 大臣、その閣議決定に参加されていて、このTPPの協定に参加するという閣議決定が郵政の法案と矛盾するかなという思いは頭をよぎりましたか。

片山国務大臣 これは、TPPに情報収集の意味も兼ねてこの協議に加わるということでありまして、ここで何か確定したということではございません。

 それからもう一つは、これからTPPで話し合う中でいろいろなことが出てくるかもしれません。それはまだ不確定であります。現在の時点というか、閣議決定した時点で、どことどこがどうなるかなんということは到底言えないわけでありまして、これからの協議の中でこれがどうなるかということであります。

 少なくとも、この郵政の問題については、私が現時点で把握しているところでは、郵政の見直し法案自体の中に抵触するところはないと私は考えております。

あべ委員 閣議決定する際に、情報収集するところから始まるからそれは全くわからないという、小学生じゃあるまいし、閣議決定の段階でTPPがどういう影響があるかというシミュレーションぐらいは普通は出しているんじゃないですか。そこのところ、大臣、全く郵政とここのところは関係しないというふうに言い切れますか。

片山国務大臣 ですから、相手のあることですから、いろいろな国がどういうことをこれから申し出てこられるのかということは不確定要因であります。ですから、それをこれからTPPの枠組みの中で関係国などと話し合っていくということであります。その際に、ですから、相手がどうするかによってこちらもどうするかということを決めていく、これが外交ではないかと思います。

 ただ、その際に、この郵政の見直し法案の中にそういうものが現時点で何か大きく抵触するところがあるかと言われると、それはないということを先ほど申し上げたわけであります。

あべ委員 では、TPPの参加の話が出てきた十月末ぐらいに、亀井さんと福島みずほさんが何で反対だということを言われたんだと大臣は思いますか。何かよくわからないけれども反対したんだというふうに大臣はお考えですか。

片山国務大臣 それはわかりません、私はその会談の場におりませんから。

 ただ、TPPについては、いろいろなところからいろいろな意見が出ていますよね。それは、一つは例えば農業問題、我が国の農業をどうするかという問題、農業に大きく影響ありますから、それらについて懸念とか反対論があったということは私も承知をしております。

あべ委員 相手があるから、相手が何を言ってくるかわからないといった中で、このTPPの中で一番経済的に大きい国はどこだと大臣はお考えですか。

片山国務大臣 それはアメリカだと思います。

あべ委員 米国が郵政の民営化の見直しに関して、郵貯の限度額を二千万に引き上げる、簡保生命の保険金上限を二千五百万に上げるときに、この見直しに波及するというふうに、大臣、TPPと郵政の関連の中で全然お考えにならなかったんですか。

片山国務大臣 郵貯とか簡保の限度額の問題というのは、これはもう以前から仕組みができておりまして、今回何か法律をそこを大幅に変えるということではないと思います。

あべ委員 いわゆる民間との公平な競争条件を阻害するということは郵政の改正の中で言われていて、米国はこれに関してかなりいろいろな意見をさまざまな場面で出していたということは、大臣、御存じですか。

片山国務大臣 それは、例えば保険についてもっと進出を、事実上進出を広めたい、そういうふうな話は漏れ伝え聞いております。

あべ委員 大臣、十一月五日に、自民党の小野寺議員が農水委員会で森田総務政務官にこの話をしたときに、郵政民営化の見直しで、いわゆる非関税障壁として問題視する可能性が郵政に関してあるということを政務官が発言したことは、大臣、知っていらっしゃいますか。

片山国務大臣 それは存じておりません。

あべ委員 大臣、この問題に関しては、かなり大きな、TPPに参加をするということとこの郵政法案を通すということを閣議決定するということは非常に矛盾したことでございまして、閣議決定するということが情報収集する前段階だったということでは済まないぐらい、この閣議決定が相矛盾する。

 すなわち、これまで民主党が出してきた、規制緩和をし過ぎたんじゃないか、さらには、さまざまな行き過ぎたことに関していろいろ異を唱え、マニフェストを出していく中、今回、このTPPに参画するということ、この是非は別としまして、余りにも議論が未熟な中、またマニフェストの整合性が全くとれない中、出てきたことは非常に違和感を私は覚えますが、大臣として違和感は全くありませんでしたか。

片山国務大臣 私は矛盾するとは思いません。TPPの問題というのは、もう何か現在のところで確定してしまうというわけではないわけであります。これから流動的な中で、我が国がどういうポジションになるのか、どういう対応をするのかということを決めていくわけでありまして、そういう流れの中で、今の郵政の見直しが何かそれに大きな妨げになるとかというようなことは私はないと思います。

あべ委員 私は、TPPの情報収集の段階で、バイ、すなわち、今から九カ国とそれぞれやりとりしていく中で一体何が出てくるかということは、閣議決定する段階である程度わかっていなければ、それは参加する、しないことすらも言ってはならないことだと思うんです。

 これを今から情報収集するから、小学生じゃあるまいし、全くわからないけれども、どうなるかわからないから、じゃ一歩進めてみようか、そんな軽い閣議決定だったということですか、大臣。

片山国務大臣 そんな無手勝とか徒手空拳ではありません。ある程度の情報収集をした上でそれはやっているわけですけれども、これから細部になったときにどういうことになるかというのはこれからの問題であります。

 大まかなところは把握していても、どういうことがこれから本当に、我が国がきちっと参加するときの条件になるかどうかというのはこれからの詰めであります。しかも、相手の言いなりになるわけではありませんし、こちらの国益を踏まえた議論というのを当然これからしていくものであります。

あべ委員 言いなりにはならないわけですが、日本がこれまでどういうことを交渉してきたか、その交渉結果を見ると本当に私は心もとない部分もあるんじゃないかと思っております。

 特に、TPPにおける農業問題に関しては、日本農業がこれからもっと強くなるということでやっていくという意味はわかりますが、民主党のマニフェストで生産性の低い農家を戸別所得補償でやってきた仕組みと本当に相矛盾するのではないかと思います。ここのところは、大臣、鳥取県の知事でいらっしゃいましたから、農業もかなり盛んではなかったかと思いますが、矛盾するとは思いませんでしたか。

片山国務大臣 本委員会での議論になじむかどうかいささか疑問に思いますが、私も知事をやって、農業行政にも携わってきましたので、私見で申しますと、我が国の農業は、特に鳥取県なんかそうですけれども、やはり高齢化とかいろいろな問題を抱えております。ですから、このたびのTPP問題で我が国の農業の基本的な構造的な問題というのが噴出しましたけれども、実はこのTPPの問題がなくても我が国の農業というのは大きく変わらなければいけない、体質を強化しなきゃいけない、そういう時期にたまたまこの問題がぶち当たったんではないかと私は思います。

 いずれにしても、日本の農業というのはもっとたくましくといいますか、生産性が上がり、本当に若い人が農業の後継者なり参入者としてきちっと担っていける、そういう農業にしなければいけないと私はかねがね思っております。

あべ委員 鳥取産のスイカ、非常に有名でございまして、ドバイで三万円で売れたという話も聞いておりますから、強い農業の中で鳥取スイカはかなり強いのではないかと思います。

 いずれにしても、内閣における矛盾が余りにも大き過ぎる。マニフェストの検証をしながらどっちの方向にいくのか、だれが運転しているのか全くわからないような内閣でありまして、非常に低い内閣の支持率の中、片山大臣が唯一、民間人の多分希望の星なのではないかと思いますので、そこは、大臣、しっかり自覚をしていただいて、内閣に入ったから口を閉ざしてしまうのではなく、鳥取県知事であったときの元気のよさを出していただいて、国民のためにしっかりと頑張っていただく大臣として、これからもよろしくお願いいたします。

 時間になりましたので、質問を終わります。

松崎委員長 次に、東順治君。

東(順)委員 公明党の東順治でございます。

 本日は、大臣、鳥取県知事をなさっておられた現場の御経験を踏まえて、私は、選挙時における選管のあり方だとか、あるいは期日前投票、不在者投票等々につきまして、多少細かい質問になりますが、具体的に伺わせていただきますので、時間も大変短うございますので、どうぞひとつ具体的に、端的にお答えいただければと思います。

 来年春は統一地方選挙でございます。あるいはまた衆議院選挙もいつ何どき、こういうことでございますので、選挙が終わるたびにたくさんの投票所におけるミスだとか、トラブルだとか、あるいは不在者投票、期日前等々の事案が出てまいります。

 私は、手元に今、前回の衆議院選挙の際に起こったさまざまな事案の新聞記事のつづりを手にしておりますが、一回の選挙でもこんなに分厚いということでございます。また、私のところにも選挙が終わるたびに数多くそういった声が寄せられるわけでございまして、ひとつきょうはその中で象徴的な事柄につきましてお尋ねをしたいと思います。

 まず最初に、病院等における不在者投票のことでございますが、患者さんに対する施設側の投票干渉とか投票偽造等々が指摘されたりしておるわけでございまして、不在者投票時の第三者による立ち会い、この義務づけというものをそろそろ考えるときに来ているんではないだろうか。施設関係者だけで不在者投票というものに立ち会うということではなくて、責任を持って、施設とは関係ない第三者、この立ち会いの義務づけ、私は必要なことであると考えますが、大臣、いかがですか。

片山国務大臣 私も、基本的に投票の公正性を保つためには客観的な第三者がおられた方が望ましいと思います。できる限り、現在でもそういう第三者を置くようにしていただければありがたいと思います。

 ただ、これをすべて義務化するかというと、これはなかなか難しい問題があると思います。本当にすべてのところで第三者を確保できるかどうか。義務づけするということは、確保できなかったら違法ということになりますから、そういうことをちょっと現場と乖離した形で全国一律に義務づけることというのはいささか慎重にならざるを得ないと私は思います。

 ただ、自分で選挙も経験しましたので、おっしゃったことは私もよくわかります。できるだけ公正さを保つためにどうすればいいのかということは、これから考えなきゃいけないと思います。

 一つ、今私が事務当局に少し勉強してみようと言っていますのは、外国では巡回投票制度なんというのがあるんですね。選挙管理委員会が車で巡回をして、例えば高齢者とか障害者の皆さんの施設をめぐって、選管のスタッフがそこで投票をしてもらう、そういうこともやっているところがあるんですね。これも、もちろんそういう人員とかスタッフとかが確保できるかどうかなんという問題があるんですけれども、ひとつ勉強してみようじゃないかというようなことも今やっているわけでありまして、御趣旨は、私も非常によく理解できます。

東(順)委員 巡回投票制、非常にいいアイデアですね。総務省が各都道府県のさまざまなそういう取り組みの紹介をしたり、あるいは公正な管理、執行に協力するよう助言等々をされてきていることはよく知っておりますが、しかし、もうそれでは弱いという時期に間違いなく来ている。今おっしゃる具体的なアイデアみたいなことを一歩踏み出して、実現化に向けてぜひ努力していただきたい、こう思います。

 一つの事案を申し上げますが、こういうことがあるんですね。これは神奈川県の県立足柄上病院というんですか、ここで、患者さん四十九人の投票の中で十一人分の投票用紙を机の上に放置したまま送り忘れて、結局投票に間に合わなかった、こんなことが実際あるんですね。やはりこれは責任意識の欠如だと思いますよ。

 そういう意味で、強い意思を持った具体的な改革をしていかなきゃいけない、第三者がきちんと見ていくような改革をしていかなきゃいけない、こういうふうに私は強く思います。今おっしゃった巡回投票制ですか、それは一つの突破口としてぜひお考えになっていただきたいというふうに思います。

 それから二番目に、期日前投票なんですけれども、これは我が党の参議院議員が、西田議員ですか、大臣に御質問された事柄でありますが、要するに、期日前投票における宣誓書、これが各自治体でばらばらの対応になっている。ある自治体では投票用紙の裏側に期日前の宣誓書というものをそのまま宣誓できるような形で投票者のもとに送る、あるいはまた投票用紙と宣誓書を別個のものとして送る、あるいはまた投票所で宣誓書にその場で記入をさせる、さまざまな形があるようでございます。

 しかし、例えば期日前投票なんかに行って、閑散とした投票所の中で職員の人たちがみんなずらっと座っている、その中で、余りなれていない選挙投票というものでお年寄りなんかがおっかなびっくり行って、そのときに、宣誓書を書いてください、あなたは何のために投票日当日投票できないんですか、旅行ですか、仕事ですか、学業ですか、ああだこうだと厳しく詰めるような人が中にはいるんですね。

 何で投票日に来られないんですかというようなことを詰問する人がいることで大変緊張するというようなことで、投票所に行く前に事前に我が家で宣誓書というのはきちんと記入できて、そして投票用紙とともにそれを持って期日前投票に行く、こういう形を、各自治体ばらばらの対応ではなくて、全国的に統一した形でできないものなんだろうか、それがまた選挙意識の啓蒙にもなっていくんではなかろうか、もっと気楽に、もっときちんと落ちついた冷静な形で対応できるようなことで投票率をまた上げていく。投票行為というのは民主主義国家にとって極めて大事な国民の権利ですから、この辺でばらつきを、各自治体に任せるんではなくて、総務省として国として統一的なものができないかどうか、この辺をお尋ねいたします。

片山国務大臣 できるだけ有権者の投票機会を拡大するということは実に重要なことだと思います。そのために、投票日による投票から不在者投票という制度ができて、今、期日前投票ということで、これは、有権者の投票機会をできるだけ拡大して保障するということの一連の政策の変化だろうと思います。

 そこで、今議員がおっしゃったように、宣誓をして、一定の事項を書いていただくということが仮に重荷になっているとすれば、これはできるだけ軽減してあげなきゃいけないと私も思います。やはり一種独特の雰囲気があるものであることは確かであります。そういうところで幾つかの自治体で工夫をして、できるだけ有権者の皆さんの負担にならないように、事務といいますか作業を軽減するような工夫をされておりまして、これは、私は大変いいことだと思います。

 ですから、当面は、有権者の皆さんの投票機会の拡大のために創意工夫されていることを、他の自治体にもお勧めするといいますか、周知をして、助言をして、広めていきたいと思います。これを全国統一にするかどうかというのは、また、先ほど来申し上げたようないろいろな懸念事項とか課題もありますので、そこはよく検討してみたいと思います。とりあえずは、そういう法的な仕組みによらずとも、助言といいますか、ソフトなやり方で広まるように努力をしたいと思います。

東(順)委員 それから、御案内のように、衆議院選挙、参議院選挙、比例代表と選挙区制、この二票制ですね。ところが、これまで起きたトラブルで、比例と選挙区の投票用紙を取り間違えて有権者に渡す、そのまま投票して、結局無効になるみたいなことが結構多く出ているようですね。

 これは、府中で、期日前投票所で起きたことらしいんですけれども、臨時職員の方だったんですが、本来ならば、小選挙区の選挙で、候補者名を書いてくださいと言って渡すところを、政党名を書いてください、こう渡しちゃったものだから、間違えちゃって誤った投票になった、こういう事案があるようです。

 これは、ずっと私、新聞記事を読んでみますと、結構多い。これは、大変大きな問題でございまして、御本人の選挙意思が全くそこでねじ曲げられちゃうわけですから、強い注意喚起をしていただきたい。

 これは、何度も何度も事前に、こういった事柄の初歩的ミスがないようにしっかりやっていただきたい。やはり臨時職員、まあマンパワーの問題があって、どうしても人が足らないからということになるんでしょうが、事前の教育、事前の注意、そういったことをしっかりやっていただきたいと思います。

 中にはこういうのもあるんですよ。高校野球のさなかだったから、自分のワンセグのテレビで高校野球を見ながら投票用紙を渡す。これで憤慨しちゃって、これは何だ、高校野球の画面を見たまま用紙を手渡されて気分が悪かった、こういう苦情が県選管に来る。こんなことはあってはならない。結局、市選管に県選管が注意を促した。その県選管のコメントが、テレビを見ながら立ち会うといった話は聞いたことがない、投票に不正がないよう監視しているのか疑念を抱かざるを得ない行為だと。だから、あいた口がふさがらない。

 これは、やはり投票に携わる職員のモラルの問題ですよ。問題意識の問題。高校野球をテレビで見ながら、はい、どうぞなんて、こんなことが現実に起こっているんですよ。しかも、投票行為というのは非常に大事な国民の行為ですから、こういったことも含めて、しっかりとこういうことが起こらないようにもっともっと強く注意喚起をしていただきたいし、事前の具体的な訓練をやっていただきたい、こう思いますが、いかがですか。

片山国務大臣 そのとおりだと思います。これは正当な権力を生み出す作業でありますから、非常に厳粛なもので厳正でなければいけないと思います。それぞれの選挙管理委員会で、身を引き締めて、スタッフ、職員の教育をしていただきたい。そのことを各選挙管理委員会の方に私どもの方から注意喚起をしたいと思います。

東(順)委員 それと、これもまた非常に大事な問題なんですけれども、投票所に行きますと、たくさんの候補者の名前がずらっと張られていますね。世は高齢化社会がどんどん進んでいて、中には大変視力の弱いお年寄りもおられる。ただでさえ普通の日常の雰囲気と違う投票所の雰囲気、物すごい緊張感を内に持っておられる。視力が弱い。ずらっと並んでいる。それですごい戸惑っちゃって、一体私はだれに投票するんだったのかななんというのが、瞬間的に忘却したりとか、そういうことがあるんですね。

 そこで、特にお年寄りがそうなんでしょうけれども、そういったことに対して、投票するときに、あらかじめ投票しようと決めてきた候補者の正確な氏名を記載したメモ、あるいはまた法定ビラ、こういったものを投票所に携帯して持ち込んで、そしてそれを見ながら投票用紙に記載をする、こういうことはぜひ可能にしていただきたい。

 それが有権者に対する、選挙に対する意識喚起だし、投票率なんかをぐんと高めていく非常に大事なことなのではなかろうか。どんどん高齢化が進みます。また、初めて選挙権を持った新有権者、そこの戸惑いというようなことに対しても、大いなる効果が発揮されるのではなかろうかと思います。この点はいかがですか。

片山国務大臣 これは、法律上といいますか、法律の仕組みの中で一般論で申し上げますと、有権者の方が、今おっしゃったような文書といいますかメモを持ち込むことは別に妨げられてはおりません。公選法上は特段の制限はありません。

 ただ、それを、例えば他人に見せて選挙運動まがいのことになるということは、これはもちろんだめでありますけれども、みずからのメモとして持ち込まれる場合には制約はございません。

東(順)委員 メモを持ち込んでよい。法定ビラはいかがですか。

片山国務大臣 法定ビラも同じであります。

東(順)委員 わかりました。その一言だけでも大変安心感を覚えますね。

 もちろん、投票所の中で、そのメモを持って選挙運動をするわけでも何でもないわけですから、正確なる投票を落ちついてやりたい、こういう人たちにとっては、メモを持ち込んでよい、法定ビラを持ち込んでよい、私は、これは非常に安心感を覚えることであるから、ぜひそういったことも広報をしていただきたいなという思いがいたします。

 聞いてびっくりなんですね。投票所というのはいろいろなことがある。例えば、大臣、こんなこともあるんですよ。

 二十一歳の女性が子供に間違えられて、投票用紙を渡されなかった。これ、信じられますか。そうしたら、その女性は怒って帰っちゃって、それで後から、この人は選挙権があるということに気づいて、職員が追いかけて平謝りで謝ったけれども、こんな侮辱はない、幾ら背が低いからといって、私を子供扱いした、それでとうとう投票しなかった、こういうことだってあるんですよ。

 あるいはまた、十一歳の女の子に投票用紙を渡して投票させたとある。なぜか。身長が百五十センチあったから大人と間違えた。全くいろいろなことがあるんですね。

 だから、多方面からしっかりした指導、訓練、あるいはその意識、それから妙な緊張感を与えないということで、しっかりと、投票に皆さんが進んで行けるような空気というものを総務省はやはり指導性を発揮してどんどん全国に徹底するべきだと私は思います。

 それから、これもお伺いしたいんですが、視覚障害者の方、目の悪い方、この方たちの投票の方法についてお尋ねをしたいんです。

 点字投票というものが認められていますけれども、点字投票を行う方々に対してどのような便宜を図っておられますか。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 視力に障害のある有権者の方々が円滑に投票できるように投票環境を整えますことは、極めて重要と考えてございます。

 このため、国政選挙や統一地方選挙の際に、各選挙管理委員会に対しまして、視力に障害のある有権者の方々の誘導については十分な配慮を行うこと、そして点字板など選挙人がしやすいものを用意すること、そして点字による候補者等の名簿を投票所に備えつけることといったことを、国政選挙、統一選挙の際にそのたびごとに要請をいたしてございます。

東(順)委員 そういう現状ですね。

 そこで、大臣、視覚障害を持っておられる方が貴重な自分の意思を一票に託したい、こういう方たちが大勢おいでになる場合もあります。

 そこで、例えば投票所に介添え人というものの配置をきちんとして、そしてスムーズに投票できるようなお手伝いをする、あるいはまた開票時の、点字というものを解読できる開票担当者、こういう方を投票所に何とかきちんと配置できる、こういう努力はできないものでしょうか。いかがでしょうか。

片山国務大臣 これは、それぞれの自治体の選挙管理委員会でお考えいただければありがたいと思います。全国一律、例えばあらゆる投票所にということになりますと、これは到底無理であります。そうではなくて、例えば、あらかじめ、この投票所にはそういう障害を持った方が来られるということがわかっているようなところで、そこで自治体が配慮できる範囲内でそういうことをやっていただければありがたいと思っております。

東(順)委員 そういう督促方をぜひよろしくお願いしたいと思います。

 最後に、これは非常に大事な話で、大事な話というか、たくさん寄せられる話なんですが、他事記載の問題なんです。

 過去の例で、しょっちゅう選挙のたびに出てくるんですけれども、この他事記載の問題で、例えば候補者の名前の最後に点を打っている、あるいはまた政党名の冒頭に、政党名を書いてその上に丸をつけているとか、あるいは政党名をかぎ括弧でくくっているだとか、あるいは候補者名と政党名を併記している、候補者名だけでいいのに、あるいは政党名だけでもいいのに、二つ並べている、あるいは候補者名の姓は合っているんだけれども下の名前の方が間違っている、あるいは候補者名の名前の一文字違いとか、さまざまなことが出てくる。そのときに、判断基準として、これは他事記載だどうだこうだと常にもめたり、いろいろなことがあるんです。

 そこで、公正なる判断をしてもらうために、事前に各自治体に対してどのような徹底をしているのか、あるいは事例をどう示しながら訓練をしているのか。

 例えば、具体的に言うと、先ほど言った、名前の下に点をつけている、これは他事記載になるのかならないのか。あるいは名前の上に丸をつけている、これもどうなのか。かぎで囲っている、あるいは丸々囲っちゃった、あるいは一字違ったとか、さまざまな事例があります。こういうことに対して、大変細かい話になるので選挙部長でも結構でございますが、お答えいただきたい。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 公職選挙法の第六十八条の第一項第六号にいわゆる無効投票に関します規定がございまして、「公職の候補者の氏名のほか、他事を記載したもの。ただし、職業、身分、住所又は敬称の類を記入したものは、この限りでない。」というような記載がございます。

 こういった定義に基づきまして個々の投票につきましては判断をしてまいりますが、御指摘がございました、例えば名前の一番最後に丸を打ったような、あるいは点を打ったようなケースでございますけれども、その記載がいわゆる不用意な記載であって有意の他事記載でない場合には、この法律で言うところの他事記載ではないというふうに解釈される場合もございます。

 一方、例えば名前全体について大きく丸で囲うといったようなケースにつきましては、公選法で言います他事記載として無効とされるといったようになる場合でございます。

 個々の具体の事例につきましては、いずれにいたしましても、開票管理者が立会人の意見を聞いて決定をするという仕組みとなってございます。

東(順)委員 要するに、明らかにこの候補者に投票をしたいという意思が確認をされているということ、同時に、妙な他事を記載することによって、明らかにこの人に投票しましたよということをまた別の人間にサインとして送るということになったら相ならない、こういうことなんだろうと思います、基準としまして。

 そういう特定の意思みたいなもの、自分がこの人に投票しましたからねみたいなことをサインとして別の第三者に伝えるというような意思表示でない場合、明らかに間違っている、思わず流れとして点を打っちゃったなとか、何となく、好きな政党だから、政党の名前を書いたけれどもその上に丸をつけたとか、そういう他意のない事柄については他事記載に当たらないというようなことなんだろうというふうに私は思いますけれども、非常にこれは難しい判断になりますので、できるだけ具体的な事例をたくさん挙げて、この場合はなりますよ、この場合はなりませんよということを各自治体に具体的にできるだけ細かく徹底することが大事である。そして、貴重な一票ですから、そういうミスが起こらないように、そのように私は思いますが、最後に大臣の所見を伺って終わります。

片山国務大臣 本当に、貴重な一票が無駄にならないようにということ、これは非常に重要だと思います。できるだけ投票の機会を持っていただくということ、その延長線上で有権者の意思というものができるだけ反映するということ、一方では、さっきおっしゃったように、不正といいますか、不公正な手段として使われる、これは防止しなきゃいけない。でも、できるだけ投票者の意思を素直に反映させるということだと思います。

 非常に微妙な問題はあると思います。私も開票に立ち会ったことがありますけれども、いろいろなことがあります。ですから、開票の時点で紛らわしくないように、できるだけわかりやすい実例などを自治体に提供するということ、これは今でもやっておりますけれども、これからも徹底をさせたいと思います。

東(順)委員 ありがとうございました。

松崎委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、基礎的なことからお聞きをしたいと思いますが、地方自治にとって、住民の意思を自治体に反映させるということは極めて重要だと思うんです。そのために、中心的な役割を果たすのが地方議員だというふうに思います。何人の議員をどう選ぶか、あるいはどのような議会をつくるか、これは民主主義の基本だというふうに思うわけです。議会というのは、住民と密着し、住民の意思が十分に反映されるものでなければならないというふうに私は思います。

 まず、この点を大臣に確認していきたいと思います。

片山国務大臣 自治体というのは、その地域に住む住民の皆さんの便宜のために、住民の皆さんに必要な共通の仕事を行うというのが原点であります。

 したがって、当然のことながら、構成をする住民の皆さんの意思をできるだけその自治体の行政に反映しやすくする、そのための手段が首長の選挙と議会の議員の選挙でありまして、特に議会が、現行法制上も議事機関として、最終的な意思決定機関として位置づけられておりますので、議会が最も重要だと私も思います。

佐々木(憲)委員 平成の大合併というのが行われて以来、都道府県議員、市区町村議員の数がどんどん減ってきております。都道府県議員、市区町村議員の総数、一九九九年と直近の数字を示していただきたいと思います。

片山国務大臣 統計によりますと、一九九九年の十二月三十一日現在では、六万二千四百九十六人おられましたが、十年後の二〇〇九年十二月三十一日現在の統計によりますと、三万六千九百九人となっております。

佐々木(憲)委員 これは大変な減り方だと私は思うんです。合併とそれに伴う定数削減等によって、約十年間で地方議員の数が六割に減少した。四割減ったわけです。しかも、自治体の範囲というのが合併によって広がります。行政と住民が遠くなったのではないか、こういう声も聞かれるわけですね。

 こんなに議員が減ると、先ほど片山大臣がおっしゃったような地方自治の役割、住民の声を十分に反映するという点で問題があると私は思うんですけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。

片山国務大臣 これは考え方だと思います。

 私も鳥取県で知事をやっておりましたときに、人口がどんどん減って過疎化、高齢化が進行して課題は多くなるけれども、人口が減ったから議員の定数が減るということ、これで本当にいいのかなと思ったこともあります。

 ただ一方では、アメリカなどを見に行きますと、かなり人口の大きな自治体であっても、例えば十人未満で議会を構成していて非常に活気があるような議会を見たこともあります。

 ですから、一概に数だけで物は言えないのではないか、最近そう思っております。

佐々木(憲)委員 私は、活発に議員としての活動を行うというのは必要なことで、非常に大事なことだと思うんですが、同時に、一定の数があって初めて多様な意見が議会に反映できるというふうに感じております。四割減る、これは平均といいますか総計で四割も減るというのは、たった十年で大きな減り方だ、私はそのように思います。問題があると思っております。

 次に、地方選の投票日を統一する法案に入ります。

 利点として、国民の関心を高めるということが挙げられております。

 そこで、地方選の関心を高め投票率を向上させるというために、前回、二〇〇七年の統一地方選では、総務省は、内閣府、明るい選挙推進協会と連携をしまして、投票日の周知あるいは投票参加、こういう呼びかけを行っております。総務省としては、明るい選挙推進協会に委託して啓発事業を行っていたわけですが、次回の二〇一一年の統一地方選挙ではどのような計画になっているんでしょうか。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 前回の統一地方選挙につきましては、財団法人明るい選挙推進協会に常時啓発事業を委託した中で、その常時啓発事業の一環として統一地方選挙の啓発事業が実施されたところでございます。

 財団法人明るい選挙推進協会への常時啓発事業の委託につきましては、昨年十一月の事業仕分けの結果を受けまして、二十二年度予算は大幅に削減されており、また、来年度の予算要求の取り扱いについては現在検討中でございますことから、来年予定されております統一地方選挙につきまして、財団法人明るい選挙推進協会においては啓発事業を実施する予定はございません。

 いずれにしても、統一地方選挙の対象になります各地方団体におきましては、それぞれ地域の実情に応じた啓発事業が実施されるものと考えてございます。

 総務省といたしましても、統一地方選挙に関連します有権者に対する必要な情報提供につきましては、報道機関等を通じまして提供してまいりたいというふうに考えてございます。

佐々木(憲)委員 どうも、前回までやっていた啓発事業ですとか投票参加の呼びかけとか、これは非常に大事だと思うんですけれども、明るい選挙推進費というのは、明るい選挙推進協会に委託して行われてきたさまざまな事業が、事業仕分けで来年度はわからない、こういうことになっている。私は非常に問題があると思うんですね。

 それで、明るい選挙推進費というのは、この十一月十五日の再事業仕分けで、廃止とされた第一弾の評価結果の確実な実施という結論が出されたと聞いております。出席されていたのは逢坂政務官だと思いますが、これをどのようにお感じでしょうか。

逢坂大臣政務官 お答えいたします。

 仕分けにおいて廃止という言葉があったわけでございますけれども、今回の仕分け結果は、常時啓発の重要性は認める、さらにまた、全国のボランタリー的な取り組みも大事なことだということを前提として、この常時啓発のあり方は本当にいいのかどうか、あるいはその見直しをもっとスピード感を持ってやりなさい、そのことに対しての仕分け結果だったというふうに思っております。

 我々としては、今後、この常時啓発のあり方をどうやっていくのかということを多くの皆様の多様な意見を踏まえて検討していきたい。具体的には、地方の選挙管理委員会の皆さんでありますとか、あるいはNPOの皆さんでありますとか、さらにまた学識経験者の皆さんでありますとか、あるいは、選挙についていろいろと御議論いただく上で教育ということも大事だというふうに思っておりますので、そういう教育関係者の皆さんからも多様な御意見を伺った上で、この常時啓発のあり方をスピード感を持って見直していきたいなというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 見直しというのは必要なことだと思うんですけれども、ただ、いきなり廃止というのが果たして目的に合致しているのか。私は非常に問題だと思っているんです。

 例えば、非常に議論が乱暴といいますか、再事業仕分けの中で、効果測定が難しいというふうに言われるけれども、難しいということは効果がないということだ、こういう指摘があって、私はこれはとんでもない言いがかりだというふうに感じるんです。

 大体、啓発の効果を数字で示すというのはもともと困難だと思いますよ。啓発度何%、そんなことはどうやってはかるんでしょうか。政務官、どう思いますか。

逢坂大臣政務官 私自身も選挙管理委員会の事務局員を務めたこともありますし、投開票事務にも携わったことがございます。当然、明推協の活動についても、地域の皆さんにお願いをしていろいろな取り組みもさせていただいた経験もございます。

 その中で、確かに、佐々木委員御指摘のとおり、数値でどの程度その活動が上がったのか下がったのかということは簡単ではないというふうに思っております。だから、逆に言うと、数値で示せないからそれは効果がないものだと言うのは極めて乱暴だというふうに私は思っておりまして、こういうものは不断の取り組みが大事なんだろうというふうに思うんですね。特に、選挙が近づいたり選挙の直後になるとこういう話題が出てくるんですけれども、そうではなくて、日常的に、普段、選挙が身近にない時期であっても選挙の大切さをみんなで認識し合うとか、投票に行くことの重要性を確認し合うということが大切なことだというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 この再事業仕分けの議論の中で、一たん事業を廃止して、廃止してから検討すればいい、こういう指摘もされていますけれども、廃止すると空白になるわけですよ。そうすると、もう一度再構築するというのは非常に困難が伴うというふうに私は思いますけれども、政務官、どうですか。

逢坂大臣政務官 私自身も御指摘のとおりだというふうに思っております。

 私自身の経験からいいまして、選挙の啓発をいろいろなレベルでやっていくために、選管の事務局員として自分の足で回っていろいろなお願いをするんですね。会長さんと一緒に、役員の方を、どなたを選任したらいいだろうかなんということもやってきているわけですね。そういう中で、では、その活動を一回全部リセットをかけて、一回白紙にして、また再来年から考えましょうなんということになると、それは現実的ではないというふうに思っておりますので、やはり継続ということが一つ大事なポイントだというふうに思っております。

 しかしながら、それでは、これまでのやり方に問題がなかったのかといえば、それは見直す必要があるというふうに思っています。

 私の経験では、明るい選挙推進協会とか協議会と書いた傷ばんを配ったりしたこともあったんですけれども、あれが果たしてどの程度効果があったのかなとか、そういうところについては見直すということもあろうかなというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 無駄を削るというのはいろいろあると思いますけれども、目的そのものを否定する、あるいは廃止するというようなやり方は非常に問題があると私も思います。

 例えば、期日前投票の立会人なんかを確保するというのも非常に大変ではないかと思うんですね。明推協のボランティアにお願いをしているという話も聞いたことがございます。この明推協のボランティアというのは具体的にどのような活動をしているんでしょうか。

逢坂大臣政務官 明推協のボランティアの皆さんには本当にさまざまな活動をしていただいているところでございまして、私も全国の状況を必ずしもつまびらかに承知しているわけではないので事務方にもいろいろ聞いてみたところです。

 まず、全国の明推協は、自治会、婦人会、青年団体、マスコミ関係者、教育関係者などで構成されているということで、全国で八万六千人のボランティアの皆さんがおられるそうでございます。そして、選挙管理委員会といろいろ連携協力をしてさまざまな啓発活動をしている。

 具体的には、講演会でありますとか学習会の開催あるいは学校教育と連携した出前講座、最近多いのが模擬投票というのが結構多いそうですね。いろいろ選挙のモデルみたいなものをつくって、実際に投票みたいなことをしてもらっている。そういうことをしながら、啓発活動、選挙時の投票参加の呼びかけなど、地域に密着した各種の啓発事業を行っているということだそうでございます。

 それから、最近は、若者グループの活動が徐々に芽生えている。啓発CMの制作、先ほど指摘のあった投票立会人への従事、選挙管理委員会の事務補助、立候補予定者のインタビューのネット配信など、こうした動きも若者の間で広がっているというふうに聞いているところでございます。

佐々木(憲)委員 非常に多面的な活動をされているという御紹介があったわけですが、これまで、明推協の八万六千人と言われるボランティアの方々にかなりの部分を支えられてきているというふうに思います。

 この推進費を一たん廃止するとなりますと、そういう関係にどういう影響が出るとお考えでしょうか。

逢坂大臣政務官 この事業費を全部廃止してしまいますと、ボランティアのさまざまな活動に抑制がかかる、制限がかかりかねないというふうに思っておりますので、その灯を消さないようにしていくことがこれから大事ではないかなというふうに思っております。

 そこで、これまで、私の経験からいいまして、若干惰性で来ていた部分もあるのかなと思っておりますので、そこは皆さんの御意見をよく聞いて、この啓発活動の重要性といったものを再確認しながら、では、どんなことをやればいいのか、そのチャンネルをもっと広げていきたいなというふうに今思っているところであります。

佐々木(憲)委員 私は、事業仕分けというのは本来政府内の、あるいは政府・与党の問題であって、国会との関係でいいますと、政府・与党の中でああいう事業仕分けをやった上で、しっかり統一した案あるいは予算案を国会に提出する、その上で国会がそれをチェックする、つまり、政府と議会の関係というのはそういう関係でなければならぬと思うわけです。

 それを、何か政府の中の仕分け人という方々が、自分たちが決定したことがすべてであって、あとは、それに従わなかったのはけしからぬ、廃止と言ったのに廃止しなかった、だから、もう一度これは廃止すべきであるというようなことで政府内でやり合う。これは極めておかしな現象であって、それを国民に見せるのはいいですよ。いいけれども、その結果を、国会に統一した見解を出していただいて、その上で、議会の中で各議員、各会派がそれを審議する、これが本来の姿だと思うわけです。

 ちょっと、私は今のあり方を非常に疑問に思っております。大臣、その点、いかがですか。

片山国務大臣 佐々木委員がおっしゃることに私も違和感はありません。

 最終的には、先ほどちょっと申しましたけれども、内閣が連帯して国会に対して責任を負っているわけでありますから、最終的なその責任は、私を含めた閣僚の集合体であります内閣にあることになります。

佐々木(憲)委員 もともと、この事業仕分けの対象をどう選ぶかということ自体も、これこそ再検討すべきだと私は思っておりまして、こういう選挙関係のさまざまな予算というものを事業仕分けの対象にする場合には、その評価の方法というのは、単に数字が示せないからいけないとか、何%上がったとか下がったとか、そういうことで割り切れるものだろうか。やはり国民の政治に対する不信という問題はさまざまな原因があるわけであって、それをこの活動の成果があらわれていないからということでばさっと切ってしまうというやり方は、非常に単純であって、効率第一主義といいますか、そういうものに偏重していっているような感じがするわけです。

 そういう意味で、本来、例えば政党助成金のあり方、これはどうなっているんだ、こういう仕分けをやるならまだわかりますけれども、やっている対象がどうも違うんじゃないか、私はそういうふうに思います。

 次に、今回の統一地方選挙の法案ですけれども、我々の立場を申しますと、国民の選挙に対する意識を高めるということにつながる、そういう利点があるということで、私たちは賛成です。

 ただ、統一率を高めれば高めるほどよいという議論があります。しかし、我々はそうは思わないんです。

 なぜかというと、統一率を高めるということは、選挙日の前後の、本来四年たって投票するという、その期日を集めるわけですから、例えば、投票日の前後一カ月の投票の予定されているものを一定の日にちにそろえて、そこで投票する、こういうふうにするわけですね。それを高めるということになりますと、前後四カ月分を統一する、あるいは前後六カ月、半年分を統一して一本にする。こういうことになりますと、もともとあった四年間という任期、つまり住民は、この議員に四年間託そうということで投票する。ところが、統一率を高めるということが最優先されますと、六カ月分、例えば、任期四年を三年半でやめなさい、選挙だ、あるいは四年あるものを四年六カ月やらせる、その間は選挙はありません、こういうふうになりますと、本来の選挙の意味といいますか、四年間の任期というものの住民の選択から離れていくんじゃないか、こういう感じがするわけなんです。

 ですから、統一率を高めるということが経費削減とか啓発意識ということでプラスの面もありますが、行き過ぎますと、正確な投票を損ねたり、あるいは民意の否定につながりかねない、そういうマイナス面があるんじゃないかというふうに私は思うわけです。

 その点、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

片山国務大臣 これはやり方でありますけれども、委員がおっしゃったように、任期を狭めたり延ばしたりしてやるというのはちょっと強引過ぎると思います。今やっていますのは、任期は任期で守るわけですけれども、その任期で、通常の範囲内の選挙を少し先取りしたり、それから後送りしたりして、まあ後送りはないでしょうか、選挙日を統一するだけでありまして、任期は保障されているわけです。

 問題は、どうなるかというと、余りそれを長くすると、選挙が終わって次の人が決まっているのに前任者の任期がずっとあるとか、そういう違和感を感じるケースが多々出てくる可能性がある。ですから、それも、現行のやり方もほどほどのところでとどめるべきだろうと私は思います。

佐々木(憲)委員 私も今おっしゃったことが大事だと思いまして、ほどほどのところでとどめておかないと、何か統一率をどんどん高めていくことを追い求めるようになってしまいますと、これは逆に、何か効率化とか経費削減ありきみたいなことが金科玉条のごとく掲げられてやられるということになりますので、本末転倒になりかねないというふうに思うわけです。

 そういう意味で、今回の法案については、ある合理性というものが感じられる範囲ですので、我々としては賛成をしたいというふうに思っております。

 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

松崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松崎委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

松崎委員長 次に、第百七十三回国会、大口善徳君提出、政治資金規正法及び政党助成法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案につきましては、第百七十四回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 政治資金規正法及び政党助成法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松崎委員長 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長田口尚文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松崎委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。手塚仁雄君。

手塚委員 冒頭、この政治資金規正法及び政党助成法の一部を改正する法律案提出者におかれましては、前国会の経緯もございまして、趣旨説明をしていただいて、各党、質疑の御準備をいただいた中、急に総理がおやめになるという状況の中で、こうして審議のタイミングをお待たせしてしまったこと、おわびを申し上げたいというふうに思います。

 質問に入らせていただきます。

 今回のこの法案の趣旨、これまで選任及び監督双方において注意を怠ったという場合の条文で書かれていたわけでありますけれども、アンドをオアに変える、そういう趣旨だというふうに承知をしております。

 まず、この改正案がどういった趣旨で御提案だったのか、お答えをいただきたいというふうに思います。

大口議員 ただいま手塚委員から御質問ありました点について御答弁申し上げます。

 その前に、この法案は昨年の十一月十一日に提出をさせていただきました。そして、本年五月二十五日に趣旨説明をさせていただきまして、今、手塚委員から冒頭ございましたようなことがあって、ようやく、一年を越えてこういう機会を与えていただいた。委員長並びに理事、委員各位の皆さんの御努力に対して心から感謝を申し上げますとともに、ぜひとも、この法案につきましては精力的な御審議を賜りたいと思います。

 さて、今手塚委員からお話がございましたが、実はこの政治資金規正法というのは、政治資金の流れを透明化して、そして、政治団体あるいは公職の候補者により行われる政治活動を国民の不断の監視のもとに行われるようにする、そして政治活動の公明、公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与するということでございます。

 政治資金収支報告書というのは、これは政治資金の入りと出を正しく記載する、これによって、国民の前に政治活動及び公職の候補者の政治活動を明らかにする。これは、民主主義のインフラです。また、根幹です。ですから、これを毀損する虚偽記載あるいは不記載というのは、形式犯ではなくて、極めて重い犯罪だ、こういうふうに私は考えているわけであります。

 そして、今回のこの法案につきましては、虚偽記載等があった場合に、政治団体の代表者の会計責任者に対する選任、監督の責任は、選任及び監督の双方に責任がなければならない、こういうふうに厳格解釈を現行法はされていたわけであります。しかし、監督責任があったにもかかわらず、選任の責任がないから罰せられないということは、とにかくもう、あれは秘書のやったことだ、あれは秘書が独断でやったんだ、秘書任せなんだ、こういう言い逃れができてしまうということになります。

 そこで、監督責任を怠っていれば、これは選任の責任が全うされていた、あるいはその立証ができなかったとしても、責任を負うということにして、政治家の言い逃れを防止する、そして政治資金収支報告書の正確性を担保する、このために、政治団体の代表者の会計責任者に対する選任または監督の責任、これを強化したものでございます。

手塚委員 現行法において、選任及び監督について相当の注意を怠っていた場合のみに代表者、すなわち政治家の責任を問うことになっている。この選任と監督について相当の注意を怠った場合だけ政治家の責任を問われることになっている、この理由についてお知らせいただきたい。これは参考人でも結構でございます。

田口政府参考人 お答えいたします。

 現行の政治資金規正法及び政党助成法につきましては、政党、政治団体の収支については、一義的に、会計責任者に会計帳簿の記載義務あるいは収支報告書等の提出義務を課しまして、会計責任者の責任におきまして当該団体の収支を行うという仕組みになってございます。

 一方、政党、政治団体の代表者につきましては、その団体の収支について、会計責任者のような直接的な記載義務、提出義務は負ってございませんが、収支報告書等につきまして虚偽記入等があった場合において、代表者が会計責任者の選任及び監督の双方について相当の注意を怠ったようなときには、当該団体の収支の適正確保についての代表者としての責任を果たしたとは言いがたいということから、罰則の対象としているものと考えられるところでございます。

手塚委員 ありがとうございます。

 我が党も、政治改革推進本部の中で御提案のものを精力的に検討もさせていただきました。確かに提案者御指摘のように、選任について注意を怠る、会計責任者をだれにするという選任について注意を怠るというのは一体どういうことなのかな、自分自身のことにも思いをいたしながら、選任に注意を怠るというのはどういうことを言っているのかな、本当にわからない法律だなと思いましたし、その選任と監督、双方ですね、両方相当の注意を怠るというのは、ほとんどもうこの法律は、まあ言葉は適切かどうかわかりませんが、死んでしまっているというか、適用されにくいものなんじゃないかなと。その意味において、我が党としても制度の見直しが必要であろう、そこは御提案にも賛同できるところかな、こう思います。

 一方、政治家にとっては、まさに政治生命にかかわるような公民権停止ということになってくるわけでございますから、これを、選任の方は注意を怠るってよくわかりませんが、監督で注意を怠る、アンドをオアにした場合ですね、いずれか、今回の御提案の場合、かなりいろいろな影響が出てくるというふうに思いますけれども、その辺はどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

大口議員 手塚委員にお答えをいたします。

 冒頭でも申し上げましたように、とにかくこの政治資金の入りと出、これをきちっと正しく収支報告書に記載するということが民主主義のインフラ、根幹だ。ですから、虚偽記載、不記載は極めて重い罪である。こういうことが前提です。

 その上で、会計責任者がこのような虚偽記載とか不記載、こういうことがないようにするということが、やはり政治団体の代表者である政治家がこれはしっかりと選任だけではなく監督についても相当の注意を怠らないということ、これが自由な政治活動を行う上で当然の前提である、こういうふうに考えています。

 そして、今回、このアンドをオアにするということでございますけれども、本改正案を適用されますと、罰金五十万円以下となりますね。そして公民権停止が政規法の二十八条の一項、また、国会法の百九条、地方自治法百二十七条、百四十三条で議員あるいは首長が失職します。こういう政治生命にかかわることになることはおっしゃるとおりです。

 しかし、この監督責任というのは、会計責任者が故意に収支報告書の虚偽記載あるいは不記載に違反した場合のみなんです。ですから、この会計責任者が過失による場合、これは重過失も軽過失もそうでありますが、うっかりミスもそうですね、こういう場合は本改正案の対象にならない。ですから、監督責任の対象にならない。ということは、会計責任者の故意犯についてその監督責任を負う、こういう構造になっているということを御理解いただきたいと思います。これは大きな歯どめになっています。

 それから、これは政規法の二十八条の三項に、公民権停止とあるわけですが、情状によりこの公民権停止を適用しない場合、あるいは期間を短縮する、こういうことも規定されておりますので、裁判所でもこの情状ということできちっと判断をするということでございますから、多大な影響が出るということについては、相当もうこの現行法が既に歯どめがかかっている、こういうふうに考えています。

手塚委員 趣旨はよくわかりますし、御答弁、理解できるところではありますけれども、ただ、どうしても条文で書かれると、相当幅広くとれるんじゃないかというような懸念も出てまいります。

 何か問題があったときに、捜査当局の裁量というんですか、それがすごく余りに広く、政治家の側からすれば、それがうっかりミスだったのか、まあうっかりミスは大丈夫だということですけれども、何をもってうっかりミスだったのかどうか、故意だったのかどうか、非常にそこはやはり心配になるところでもございます。

 その意味で、相当の注意という、これが法律用語でよく出てくる言葉かどうか明るくありませんが、この相当の注意という定義、概念、どの程度の注意を払っていればいいのか、そこをもう少し踏み込んでお答えいただけるとありがたいなと思います。

大口議員 手塚委員にお答えします。

 まず、相当の注意を怠ったということの立証責任は検察にあります。ですから、検察はこれを立証するために、厳しく証拠を吟味してやることになります。ですから、そういう点では裁判所のチェックもありますし、厳格にこれは相当の注意ということを判断する、こういうふうに思われます。

 現行法に選任、監督ということが書かれていて、相当の注意ということも書かれています。だから構成要件は現行法にもあるんですね。ですから、今回改めて新たな構成要件をつくるということにもなるわけですけれども、ただ、既にこの選任、監督、あるいは相当の注意というものの構成要件が現行法にあるということでございますので、その点は御認識をいただきたいと思います。

 その上で、現行法の場合、選任につき相当の注意を怠ったときというのは、会計責任者を選任する際、その人柄、能力等の調査につき相当の注意、すなわち、社会通念に照らし客観的に何人もなすべき程度の注意を怠ったときと承知しております。

 それから、監督につき相当の注意を怠ったとき、これは、会計責任者の執務態度、執務の状態について、監督者として相当の注意、すなわち、社会通念に照らして客観的に何人もなすべき程度の注意を怠ったとき、こういうふうに解釈をされているわけでございます。

 そして、委員が、具体的にどのような事情がある場合に、選任または監督につき相当の注意を怠ったと言えるのかということでございます。

 これは、個々の事例ごとに異なるものと考えられます。ですから、私は裁判官ではございませんから確定的にお答えはできませんけれども、やはり人柄や能力等を全く調査しないで会計責任者を選任する、あるいは、虚偽記載とかこういう違反を繰り返ししているような人を選任する、選任についてはこういう場合が考えられると思うんですね。

 あるいは、代表者が会計責任者に対し適法な政治資金収支報告書を作成しなさいということをきちっと指示することもない、あるいは、政治資金収支報告書について報告を受けたり確認をしたりすることもないなど、会計責任者の執務態度、執務の状態についておよそ監督していないようなときには、一般的には、相当の注意を怠ったと評価されるのではないか、こういうふうに考えます。

手塚委員 最後にいたしますけれども、このたび、平成二十一年から、国会議員の関係の政治団体の政治資金収支報告書から、登録政治資金監査人によるいわゆる監査、資金監査が義務づけられておりますけれども、これとの関係について、お考えをお聞かせいただければと思います。

大口議員 手塚委員にお答えをさせていただきます。

 それこそ、今御指摘ありましたように、登録政治資金監査人による政治資金監査、これが行われているわけです。これは、この政治資金規正法改正法案のときの与党、当時は私どもは与党でありましたけれども、与党プロジェクトでやってきたことでございます。

 この登録政治資金監査人による政治資金監査というのは、まず、会計帳簿それから領収書等が保存されていること、これが一ですね。二に、会計帳簿にその年の支出の状況が記載されており、かつ、会計責任者が会計帳簿を備えていること。三番目に、収支報告書は、会計帳簿及び領収書等に基づいて支出の状況が表示されていること。四番目に、領収書等を徴しがたかった支出の明細書は、会計帳簿に基づいて記載されていること。この四点についてチェックをするということでございまして、その実質的な内容のチェックまで行うものではないということでございます。

 また、これは支出のチェックということになります。収入についてのチェックということはありません。

 そういうことで、この登録政治資金監査人による政治資金監査制度があるからといって、政治団体の代表者が会計責任者の選任または監督について相当の注意を怠ってよいというわけではないわけでございます。

 政治資金収支報告書に正しく政治資金の入りと出を記載することは、何回も言っておりますように、民主主義のインフラ、根幹でございますので、やはり政治団体の代表者としては、政治資金収支報告書の中身の正確性を担保するためにも、今回のような改正が必要である、このように考えております。

手塚委員 政治と金の問題は、国民的な関心、注目も高いものでありますし、御提案の趣旨については我々も大いに賛同できるところでございますので、今後も大いにこのテーマについても議論を重ねさせていただきたい、このように思っております。

 ありがとうございました。

松崎委員長 次に、石田真敏君。

石田(真)委員 自由民主党の石田真敏でございます。

 議題となっております改正案につきまして質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 まず、この問題、この提案をされているそもそもは、鳩山前総理の資金管理団体、友愛政経懇話会の虚偽記載、これが発端になっているということは明らかであります。

 それで、この問題について、我が党からも、本当に機会あるごとに関係者の参考人招致をお願いしておるわけですけれども、全くそれが実現していないということでございまして、そういうことから、真相が全く解明されていないというのが現状であるというふうに思います。

 そういうことからいきますと、まず、その真相解明をするということが国会として一番最初に取り組むべき問題ではないかなというふうに私は思います。

 総理は、予算委員会でしたか、答弁で、関係資料は公開しますと言われて、その資料すら出ていないわけですよ。これはちょっと考えられないわけであります。

 ですから、こういうことをきちっとやっていかなければいけないということが私の前提で、私は法律の専門家じゃありませんけれども、普通に考えて、疑問というのはありますよ。

 例えば、鳩山総理のお母さんが、政治資金ということで、政治資金ということか個人献金だったか、それはわかりませんけれども、千五百万円を出す。しかし、そのお母さんは、私はわからなかったと言っておられる。そして、鳩山総理も知らなかった。

 そのままで、両方知らないから、何とはなしにこの問題は流れているように思いますけれども、知っている人は一人いるんですよ、確実に知っている人は。

 それはだれか。秘書ですよ。資金が千五百万来た。そうすると、これは政治資金として来たんだったら、量的違反だとわかりますよね。もし、これが贈与で来たんだったら、鳩山総理は贈与税を払わないといけないということは、その人はわかっているはずなんですよ。これは法律の専門家でなくてもわかるんですよ。

 そうすると、その人は、少なくともお母さんに、これは政治資金としてはいただけませんよと言わないといけない。あるいは、鳩山総理に対して、これは贈与であれば、贈与税を払わなければ脱税になりますよと言わないといけないんですよ。

 この秘書さんは何をしていたんですかね。そういうことをやはり解明をしないといけないんですよ、実際がどうだったか。

 そういう意味で、きょうはそれが主題ではございませんので、委員長に、もう国会日程もわずかですから、決断していただいて、次の方を参考人でここの会に呼んでいただきたい。

 まず、友愛政経懇話会の会計責任者であり政策秘書でもある芳賀大輔氏、虚偽記載を行った秘書の勝場啓二氏、それから、鳩山前総理のお母さんの側近と言われております日本友愛青年協会常務理事の川手正一郎氏、そして、鳩山前首相から本件の調査を委託され、鳩山前首相とともに記者会見を行った弁護士の五百蔵洋一氏、この四名の方の国会招致をぜひお願いしたいと思います。

松崎委員長 理事会で協議をさせていただきます。

石田(真)委員 理事会で協議をいただくということなんですが、先ほども申し上げましたように、もう国会日程はわずかですから、決断をしていただきたい。逃げおおせたらいいというような、そんな態度は、民主党、やめた方がいいですよ。それが民主党に対する国民の批判になっているわけですから、やはりやるべきときはきちっとやる。小沢さんの証人喚問もやればいいんです。そのことが国民が求めていることですから、ぜひ委員長、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、法案についての質疑をさせていただきたいんですが、まず、現行法ですね。現行法、先ほど手塚さんも御質疑あったかもわかりませんが、まず、どのような趣旨でこの政治資金規正法二十五条二項及び政党助成法四十四条二項の規定が設けられたのか。それで、そのときに「及び」という言葉をどういう趣旨で入れられたのか、このあたりについて御答弁いただきたいと思います。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 政治資金規正法、政党助成法、これは、政党、政治団体の収支につきましては、一義的に、会計責任者に会計帳簿の記載義務、収支報告書あるいは使途報告書の提出義務を課してございます。そして、収支報告書あるいは使途報告書に虚偽の記入をした場合においては、罰則を設けているところでございます。

 一方、政党や政治団体の代表者についてでございますが、それぞれの政党、政治団体の収支につきまして、会計責任者が負っておるような意味での直接的な会計帳簿の記載義務、あるいは収支報告書等の提出義務は課されておりません。しかしながら、収支報告書等の虚偽記入があった場合におきまして、代表者が会計責任者の選任と監督の双方につきまして、いずれについても相当の注意を怠ったというような場合におきましては、その政治団体、政党を統括します代表者というものにつきましても、収支の適正確保の観点から責任があるというふうに考えられることから、罰則の対象とするとしたものと考えてございます。

石田(真)委員 「及び」をなぜ入れたかということについて、もう一度御説明ください。

田口政府参考人 会計責任者と代表者の立場の違いがございます。会計責任者が一義的には政党の収支あるいは政治団体の収支につきましてその記載義務、収支報告書の提出義務を負う。代表者は、そういう直接的な義務を負っていないということから、代表者につきましては会計責任者と立場は違うわけでございます。

 そうした中で、どういう場合に会計責任者の行ったことについて代表者の責任を問うかという中で、二つ、選任と監督双方について、いずれも相当の注意を怠ったというような場合には、団体の統括者でございます代表者にも責任を負わせることが適当という判断をされたものと考えてございます。

石田(真)委員 この政治資金の問題は本当に長年の課題でありまして、先ほどもちょっと御指摘ありましたけれども、平成十九年の政治資金規正法の改正、これもそういう大きな流れの中で取り組んできたわけでありまして、きょうは、委員の武部先生、それから公明党の東先生、佐々木憲昭先生、そして実務レベルで大口先生と私と、随分と議論させていただきました。本当に難しい中で、どういう形がいいのか、国民的理解が得られるのかということで、難産の末誕生したというふうに思っておるわけでございます。

 国会議員関係団体の一円以上の領収書、そして登録政治資金監査人の監査を受ける、非常に厳格化を図るということで行われまして、実際、もう二十一年から行われて、先日も新聞紙上で駐車違反がいいのか悪いのかというような、今まで議論の対象にならなかったようなことが起こっているわけでありまして、これも、いい悪いは別にして我々がこの法律をつくった成果ということになると思いますし、透明性は一段と高まっているというふうに思います。

 そういう中で、実際問題、私の事務所でもやってみると、秘書の人が言うのは、大変な労力ですよと。それからもう一つは、登録監査人に監査の費用、これも結構高いんですね。実際高いんです。

 ですから、こういうような本当に大変なコストを、費用面でも労力面でもコストをかけてこの法律を施行しているということになるわけでありまして、そうなってくると、これをもうちょっと今回の公明党さんの案の中で利用することはできないのかな。つまり、この法律案の考え方、これは政治家本人が全部チェックしなくても登録監査人という第三者が支出についてチェックをする、先ほども手塚さんのお話がありましたけれども、一応そういう形をとるわけでありますので、現行法と、そして今の、十九年の改正法、この中で不備な点はまだ残っているのかということなんです。この二つで随分と網羅されているのではないかと思いますが、その点についてお考えをお聞かせいただけたらと思います。

大口議員 石田委員にお答えをさせていただきます。

 平成十九年の政規法の改正につきましては、石田先生とも毎日のように、数カ月にわたっていろいろ議論させていただきました。武部先生、また我が党の東委員、また佐々木憲昭委員、あの事務所費の問題があって、本当に真剣な議論をして、それで、国民の信頼を何とか回復させようということでやってきたわけでございます。

 先生御指摘のとおり、一件一円以上一万円以下の支出に係る少額領収書等の写しの開示制度、これも導入をし、また、登録政治資金監査人による政治資金監査制度、これも導入をしたということでは、政治資金の透明性の向上、これは一円以上ですから非常にアップをした、こういうふうに考えるわけでございます。

 そして、登録政治資金監査人の政治資金監査制度、これもやはり第三者、これは弁護士、公認会計士、あるいは税理士の専門家にチェックをしていただくということでは、そういう点における公正性というものもアップした、こういうふうに言えると思います。

 ただ、先生もう一番実務責任者として御案内のとおり、先ほど手塚委員に挙げました四項目についてチェックするということですから、実質的に、本当にそういう支出があったかどうかについての実態調査までは登録政治資金監査人には権限がないということでございますので、やはりそこには虚偽記載とかあるいは不記載ですとか、そういうものは現行制度において封ずるということは難しいということは、委員も御案内のとおりであると思います。

 また、収入の方のチェックにつきましても、これは今回の平成十九年の政規法の改正というのは支出についてのチェックでございますので、収入についてのチェックがない。今回、収入についていろいろ巨額の虚偽記載等があったわけでございますので、そういうことも考えますと、政治資金収支報告書の適正性を担保するため、正確性を担保するためには、やはり政治団体の代表者が、第一義的には提出義務者である記載義務者である会計責任者であるわけですけれども、ただ、この会計責任者に対して、選任だけじゃなくて監督もしっかりやっていく、強化していくということが必要であろう、こういうふうに考えます。

 また、自民党の本年参議院選挙の選挙公約にも、「政治家が違法行為を秘書に責任転嫁し逃れることのないよう、政治家の監督責任を強化します。」こういうことで、自民党さんとも共通の認識を私どもも持っておる、こういうふうに考えております。

石田(真)委員 大口先生答弁されましたように、そのとおりであります。

 収入面については、十九年の改正法案では触れていないわけであります。ただ、支出面でいいますと、領収書を偽造したり虚偽のものをつくったりする、これは法律で罰せられていますから、支出面については随分担保されるのではないかなというようなことも思っておるところでございます。

 さて、公明党さんが今回提出された案についてなんですけれども、「選任又は監督」に改めるということでございます。時間がないので、ちょっとはしょって質問させていただきます。

 先ほどもありましたけれども、相当の注意を怠らないということになるわけですけれども、相当の注意ということになると、現行法のあれを見ますと、相当な注意とは、社会通念に照らし客観的に何人もなすべき程度の注意であると解されている、非常にあいまいであります。

 今回もし法改正がなされるとすると、非常に影響が大きい。例えば、恣意的な運用もなされないとは限らないわけでありまして、そういうことを防ぐために、相当の注意、それの構成の要件をもう少し厳格化する必要があるのではないか。

 あえて申し上げるとしたら、代表者の果たすべき義務を具体的に限定列挙する、そういうようなことをすることによって、より明確化を図るということが考えられるのではないかと思いますけれども、そのあたりについて提出者の御意見をお聞かせいただきたいと思います。

大口議員 石田委員にお答えします。

 確かに、これは罰金だけではなくて、公民権の停止、そしてまた失職ということでございますので、そういう点では、この相当の注意の構成要件について、厳格に捜査当局あるいは裁判所においても解釈をしていただきたい、こう思っておりますし、それは、そうなる、こういうふうに思っておるわけでございます。

 ただ、先生、手塚委員に対する答弁でも申し上げましたように、これは、会計責任者が故意に収支報告書の虚偽記載等の違反をした場合のみ代表者の責任が問われる、こういうことになっておりまして、会計責任者は、過失による場合、うっかりミスとか計算間違いとか、こういうものは監督責任を問われない、こういうことは現行法でもきちっと歯どめがかかっているわけでございます。

 先生の方からは、例えば代表者の義務を限定列挙したらどうかとか、そういう点では、もう少し構成要件を具体的に書いたらどうかとか、こういう御提案であったわけでありますけれども、ここはやはり、もう既に現行法に、この選任そして監督、あるいは相当の注意ということが構成要件として書かれているわけであります。同じ問題は現行法の中でもあるわけでございますけれども、ここは、私ども、手塚委員にお答えしたような具体例を挙げさせていただきました。それとともに、やはり、この問題、裁判所の判例等の集積もあるわけでございまして、今後、しっかりそれにつきましては注視をしていきたい、こういうふうに思います。

 ただ、限定列挙という場合は、限定列挙することがなかなか法技術的に難しいということと、それから、では、それ以外のことはやらなくてもいいのかというようなことがございまして、現行法から後退するという印象も免れないのじゃないかな、こういうふうに思います。

石田(真)委員 決して、私は、現行法から後退するということはないと思います。大変厳しくなるというふうに、まあ、その考え方は、我々もそういうふうに、問題ないわけですけれども、しかし、余りにそれがあいまいに、恣意的に運用される、そのあたりについての懸念というのがやはりあるわけなんですね。

 それと、もう一つは、公民権停止というのは、これはもう我々にとったら政治生命をほとんど失うということになるわけですね。そういうことから思いますと、一遍に公民権停止の要件になるよりも、もう少し、軽微な場合と重大な場合、こういうことを分けるというような考え方も成り立つのではないかと思いますけれども、時間が来ましたので、そのことについて最後お聞きして、質問を終わらせていただきたいと思います。

大口議員 今後いろいろ議論をしていきたいと思いますが、これにつきましては、私も先ほど申し上げましたように、情状によって公民権停止の規定が適用されない、あるいは期間を短縮するということを裁判所がきちっと判断するという規定もございます。いずれにしましても、先生の問題提起は問題提起として受けとめさせていただきたいと思います。

石田(真)委員 ありがとうございました。

松崎委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 ことしの六月一日に質疑を用意しておりまして、先ほど提案者の大口さんの方から経緯の御説明がありましたけれども、きょう、こういうふうに公明党提出の法案の審議をしていただけるということで、委員長、また手塚筆頭理事を初め、理事、委員の皆さんに本当に感謝いたします。

 先ほど来、やはり相当の注意というところに、手塚委員の方からも、また石田委員の方からも御質問がありました。社会通念というその一言でよくわからないというような御趣旨だったと思いますが、提案者の大口さんの方で、ちょっと先ほど私メモをさせてもらったんですが、相当の注意を怠ったときというのは、選任の場合は、その人柄、能力の調査などについて相当の注意、社会通念に照らし客観的に何人もなすべき程度の注意を怠ったときだというふうにされ、また、監督については、会計責任者の執務態度、執務の状態について、監督者として相当の注意を怠ったときだというようなお話がありました。

 具体例をということで、大口さんの方からは、違反を繰り返しているような人を雇う場合とか、代表者の方から適切な指示がされていない、あるいは収支報告書の確認もしない、そういうような場合にはこれに当たるのではないかということがありましたけれども、選挙部長、総務省の方の解釈としても、先ほど提案者の大口さんが言われたような形でこの相当の注意というのは解釈していいというふうにお考えでしょうか。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の方から御指摘がございましたとおり、選任につき相当の注意を怠るとは、会計責任者を選任する際に、その人柄、能力等の調査に相当の注意、すなわち、社会通念に照らし客観的に何人もなすべき程度の注意を怠ることをいうと解されておりまして、監督につきまして相当の注意を怠るとは、会計責任者の執務態度、執務状況等について監督者としての相当の注意を怠ることをいうと解されておりますが、個々の事案が今申し上げましたようなことに該当するかにつきましては、個別の事案ごとの具体的な事実関係あるいは態様によりまして、それに即して判断されるべきものと考えております。

 先ほど提案者の方から例示がございましたケースにつきましては、そういったものについて具体の事情に照らして考えた場合に、先ほど申し上げたような、選任について相当の注意を怠ったものに該当する、あるいは監督につき相当の注意を怠ったものに該当するという場合には、この罰則の対象になるというふうに考えてございます。

富田委員 提案者の大口さんの方から、最終的には裁判所が個々の事案に即して判断するので、そんなに心配することはないんじゃないかということがありました。私も大口さんと同じ弁護士出身ですから、裁判所の運用は多分そういうふうになるんだろうと思います。

 ただ、菅総理も、十一月九日の予算委員会で、我が党の佐藤委員の質問に答えてこういうふうに言われていました。

 私は、皆さんが出されている法案は本当に十分に傾聴に値すると思っておりまして、ただ、この場でも申し上げたように、いわゆる、たしか任命責任と監督責任をオアで結んで、その場合に罰則といいましょうかペナルティーが議員の資格の剥奪ということでありましたので、それは若干、私に近い法律に詳しい人に聞いたときに、果たしてそこまでの厳罰というものが本当に副作用を伴わないのかという御指摘もありましたので、そこはしっかり議論させていただいて、必要であれば、それを年内というのか年度内というのか、必ず、ちゃんとした議論をした上で、場合によってはこういう点とこういう点を少し変えていただければ賛成できる、そういうことも含めて、早速、もう既に議論も多少はしていただいていますが、我が党の中にある政治改革推進本部、これで検討させていただきたいというふうに総理は言われました。

 菅総理のこの懸念というのは、提案者から見て、どういうような御感想を抱かれますか。

大口議員 富田委員にお答えいたします。

 菅総理がどこまで現行法についての御理解があるのかちょっとわからないわけでございますけれども、先ほどから述べておりますように、選任アンド監督について相当の注意を怠る場合については、罰金だけじゃなくて、公民権停止、そして失職という厳しいペナルティーを現行法でも課されているわけでございます。

 その歯どめとして、二十五条二項で、政治団体の代表者が責任を負う場合というのは会計責任者が故意の場合に限るということで、歯どめがしっかりかかっている。それからまた、裁判所の情状の判断によって、公民権停止、失職について、この情状によって適用しないということも規定されているわけでございます。

 そういう点で、相当の注意というものの構成要件が既にあるわけでございますので、新たに構成要件をつけ加えてはいない。アンドなのかオアなのかによって、適用範囲は大きくなるわけでありますけれども、しかし、ここは、特殊な構成要件ではなくて、法の解釈によってきちっと限定的に厳格な解釈というのが行われる。政治活動の自由との関係というものがありますから、厳格な解釈が行われる、こういうふうに思います。

富田委員 先ほど手塚委員も、また石田委員も言われていましたが、やはり、かなり政治家にとって重い責任を負うようになるというところは、そのとおりだと思うんですね。政治の場から退場ということになることがあるかもしれません。

 民主党の小沢先生の方は、先日の委員会でもちょっと御紹介させていただきましたが、一九九三年五月に発表された「日本改造計画」の中で、第一部「いま、政治の改革を」という章の中に、「一億二千万人の目で政治資金を監視」という項目を立てられて、最後にこういうふうに結ばれております。「政治資金制度の改革と同時に、政治資金規正法違反者に対する罰則を強化し、政治腐敗防止制度を確立すべきである。具体的には、違反者を公民権停止処分にし、違反の言い逃れを封じるために連座制も強化する。」というふうに書かれて、その後にこんなふうにおっしゃっています。「これは、他の刑罰とのバランスからいえば、重すぎることになるが、政治家が自らの重い責任を果たすために自分自身を厳しく律する自律・自浄の措置として実施すべきだと思う。政治資金の全面公開と同様に、政治家自身が責任と倫理を明確にする制度として確立すればよい。」というふうに、もう十七年前に御提言されています。

 このとおりだと思いますので、この小沢先生が言われた趣旨を多分提案者の大口さんは生かされて今回の法案としてまとめられたと思うんですが、そこはどうでしょうか。

大口議員 富田委員にお答え申し上げます。

 まさしく、小沢民主党元代表が「日本改造計画」でこのように記述されているわけです。今御紹介があったとおりです。そして、違反の言い逃れを封じるために連座制も強化する、こういうふうにおっしゃっているんですね。

 私ども、今の政治資金規正法、今回の提案は連座制ではございません。政治団体の代表者が会計責任者の監督責任、選任または監督について相当の注意を怠ったという、みずからの相当の注意を怠るという行為についての責任なんです。ところが、小沢元代表のこの記述は、連座制ということでございますから、とにかく会計責任者が違法行為をすれば自動的にこの処分を代表者は受ける、ここまで強くおっしゃっているわけでございます。

 そういう点からいえば、今私どもが提案しているものについていえば、それほど過激なものではない、むしろ、こういう、昨今、政治と金の問題、こうやって国民の信頼を失っているわけですから、この程度の改正というのはあってしかるべきである、こういうふうに考えます。

富田委員 先ほど手塚委員の方から、十分検討に値する、民主党の政治改革推進本部でも御検討いただいているというお話をいただきました。

 先日の委員会でもちょっと御紹介しましたが、ことしの十一月十日付の朝日新聞にそのことをちょっと報道していただいていまして、「民主党の政治改革推進本部は九日の役員会で、公明党が出した政治資金収支報告書の虚偽記載で議員本人への罰則を強化する政治資金規正法改正案について「趣旨は理解できる」とし、大筋で受け入れる方針を確認した。」という報道がなされています。その後に、「ただ、単純ミスでも議員本人に責任が及ぶことへの懸念から、収支報告書に本人が確認したことを示す「サイン」を義務づけることを検討。」というような記述がありました。

 これは、我が党で検討したときも、本人がきちんと確認しているんだということで、こういったサインが必要じゃないかというような議論もありました。そうしたことを踏まえて、なぜ今回のような法案になったのか、提案者の方からちょっと御説明をいただきたいと思います。

大口議員 富田委員にお答えいたします。

 まず、単純ミスでも議員本人に責任が及ぶことへの懸念、この文言でございますけれども、今何回も申し上げていますとおり、政規法二十五条の二項の前項の場合とは、会計責任者が故意に同条一項に違反した場合と解釈されているわけでございます。会計責任者の計算の誤りのような単純ミスの場合はそもそも故意の虚偽記載に当たらないということで、政治団体の代表者が責任を問われることがないわけでございます。

 その上で、収支報告書に本人が確認したことを示すサインを義務づけることはどうなのか、こういう御提案ではないかなと思うわけですが、これにつきましては、我が党もいろいろと検討させていただきました。

 例えば、これは、今の政治資金規正法を見てみますと、収支報告書の真実性を確保するための措置として宣誓書の添付を義務づけています。この宣誓書の義務者は収支報告書の提出義務者であるということで、会計責任者が宣誓をする、署名をする、こういうことになっております。代表者は、実は毎年提出する収支報告書についての提出義務者とはされておりません。

 ただ、十七条一項及び二十九条でありますように、政治団体の解散に伴う収支報告書の提出の場合は、政治団体の代表者も会計責任者とともに収支報告書の提出義務者となっておりますので、解散の場合は宣誓書に、代表者も会計責任者も双方が記名押印、または署名をしなければならない、こうなっているわけでございます。

 現行法が、毎年提出する収支報告書については代表者を提出義務者としていないということでございますので、現行の政規法の体系との整合性を、代表者にサインを義務づけるということを考えるのであれば、その整合性を考えなきゃいけない、こう思っております。

富田委員 今の提案者大口さんの説明で経緯はわかると思いますので、ただ、現行法の体系をどう考えるかというところも含めて、十分民主党の皆さんともここは協議が可能だと思います。解散の場合にはサインさせているわけですから、そのあたりについても、できましたら実務レベルで協議ができればというふうに考えておりますので、ぜひそこは、大口さんの方でも御努力をいただきたいと思います。

 大口さんが先日、先日といっても通常国会のときに提案理由説明されましたときに、この法案の提出の経緯という中に、政治と金をめぐる問題、当時の鳩山総理や小沢幹事長の資金管理団体の虚偽記載事件により、国民の政治に対する信頼は大きく揺らいでいるというふうに指摘をされていました。

 これは、四月の二十七日に第五検察審査会の方で起訴相当の議決をしたことを受けての話だと思うんですが、その起訴相当の議決書の中にこんな記載がありました。「政治資金規正法の趣旨・目的は、政治資金の流れを広く国民に公開し、その是非についての判断を国民に任せ、これによって民主政治の健全な発展に寄与することにある。」(一)として、「「秘書に任せていた」と言えば、政治家本人の責任は問われなくて良いのか。」(二)として、「近時、「政治家とカネ」にまつわる政治不信が高まっている状況下にもあり、市民目線からは許し難い。」と。「本件事案については、被疑者を起訴して公開の場(裁判所)で真実の事実関係と責任の所在を明らかにすべきである。 これこそが善良な市民としての感覚である。」というふうに結ばれています。

 我々は、本当はこういう視線を一番大事にしなければいけないのに、ちょっとその市民の目線と離れてしまっているんじゃないか。そういうところにもう一度立ち戻るためにも、今回の大口さんが提案されている法案というのは大事だと思うんですが、この検察審査会の議決書の提言ともいうべき部分については、どんな御感想をお持ちですか。

大口議員 富田委員にお答えいたします。

 とにかく、これは、一般の世間の市民の皆様から言わせれば、秘書がやったことだ、秘書に任せている、だから自分は責任を負わない、こういうことはほとんど通用しない。民間の場合は、部下のやったことについてこれは当然責任があると。これが、今厳しい経済状況の中で、民間の世界はそういう状況になっています。

 そういう市民の目線というものを反映させるのが検査審査会の趣旨でございまして、こういう御提言をまさしく実行するために、私も、この提出させていただいた法案について、一日も早い成立に向けて努力してまいりたい、こういうふうに考えております。

富田委員 ぜひ各党間の協議が調うように期待をしております。

 実は、けさ、きょう五時過ぎに起きたんですが、新聞をあけましたら、読売新聞の社会面に、「小沢氏政党支部へ三億七千万」という大きな見出しの記事が載っておりまして、何だろうなと思ってちょっと詳しく読んだんですが、昨年の八月に行われた衆議院選直前の七月下旬、旧新生党の資金がプールされている政治団体、改革フォーラム21から三億七千万の寄附を、小沢一郎元民主党代表が代表を務める民主党岩手県第四区総支部が受けていたという指摘がされていました。

 これは、本来、旧新生党が解散する際にあった資金だというふうに指摘がされていて、本当であったら、私も大口さんも九三年七月の選挙で初当選したんですが、その後つくられた新進党に私ども公明党も合流しましたので、そのときに新生党から新進党に移すべき資金だったんじゃないのかと。それが小沢元代表が代表を務める総支部にそのまま移って選挙の資金として使われたというのは、政治資金の流れという点から見て、国民の目から見て、これはちょっと不自然じゃないのかなということでこういう記事になったと思うんです。

 今回公表されたのは要旨ですから、具体的なところまでこの記事でもわかりません。ただ、識者は、やはり政党解散時の資金の処理にきちんとしたルールが必要なんじゃないかと。そこがはっきりしていないから違った方向にお金が流れていっている。

 こういうところも、やはり国民の目線から見て、どうも政治家というのはうさん臭い金をいじっているんじゃないか、政治資金は税金がかからないわけですから、そういうお金を変に活用しているんじゃないかなというふうな目で見られてしまう。その結果、政治に対する信頼がなくなっていくということになると思います。

 こういう政党解散時あるいは総支部解散時なんかのときのきちんとしたルールづくりというのも、今回の政治資金規正法、また政党助成法の改正を提案されているわけですから、こういう議論の中で、私は各党でやっていくべきだと思いますが、最後に提案者の御意見を伺って終わりたいと思います。

大口議員 富田委員の御指摘は全くそのとおりでございます。

 本来、新生党の資金であります。新生党の趣旨に賛同されて寄附された、そういうお金も入っているわけです。あるいは、ここでは詳しく記載されていませんが、政党助成金、こういうものも入っているわけです。

 解散時に、例えば政党助成金であれば、本来国庫に返すべき、あるいは承継する政党にこれは引き継ぐべきだと思いますし、それ以外の資金につきましても、その趣旨からいって、これをこういう形の、改革フォーラム21に移す、そしてそれが今度は民主党の選挙資金のために使われるということについてはおかしい。やはり政党が解散した時点におけるルールづくり、これが非常に必要だ。これも各党に呼びかけて協議をしていきたい、こう思っております。

富田委員 終わります。ありがとうございました。

松崎委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 政治資金規正法は、政党や政治団体が国民の不信を招くようなことをすれば議会制民主主義そのものの不信につながる、このようにしているわけであります。

 小沢元代表、鳩山前総理、小林元議員の問題等々、民主党政権になってからも多くの疑惑が噴出してまいりました。小沢元代表は、国会では一言も説明をしておりません。記者会見では、私は関与していないと秘書のせいにしております。

 こういう小沢元代表のような事例は、公明党が提案しているこの案によりますと、仕組み上、どのような扱いを受けるということになるのでしょうか。

大口議員 佐々木委員にお答えをいたします。

 この小沢元代表の問題のようなケースにつきまして、これまでは、会計責任者の選任かつ監督、双方について相当の注意が必要であったわけであります。

 しかし、この改正後は、会計責任者が故意に政治資金収支報告書の虚偽記載等の違反をした場合には、政治団体の代表者が会計責任者の選任または監督のいずれか一方について相当の注意を怠ったときは、刑事責任を問われることとなり、秘書が勝手にやったという言い逃れはできない、こういうふうに考えます。

佐々木(憲)委員 疑惑を受けた政治家については、まずその真相を明らかにして、再発防止のための対策を進めるということが必要だと思うんです。

 小沢元代表の問題について言いますと、現在司直の手にゆだねられているということで、見守るだけしかないんだというような議論がありますけれども、私は違うと思うんですね。

 国会というのは政治的道義的責任を明らかにする場でありますから、我々が何も裁判所にかわって刑事責任を追及するということをやるわけではございません。

 そういう国会の役割、この点についてどのようにお考えでしょうか。

大口議員 佐々木委員にお答えいたします。

 小沢元代表が議院運営委員長として作成した政治倫理綱領の一つに、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」こういう項目があることは、皆さん御存じのとおりでございます。

 小沢元代表の問題について、国民の大多数は、小沢元代表からのさらなる説明責任を果たすよう求めている。政治倫理に反する事実があるとの疑惑が持たれていることは間違いないわけでございます。したがって、政治倫理綱領にあるとおり、小沢元代表は、このような疑惑を解明するため、みずから真摯な態度をもって説明する必要がある。

 そして、我が党も、また共産党さんもそうでございますけれども、小沢元代表に政治責任、また道義的責任があると考えて、その政治倫理に関する疑惑を解明するよう国会招致を要求しているわけでございます。

 早く民主党も自浄能力を発揮され、これに協力していただくよう、強く求めていきたいと思います。

佐々木(憲)委員 この裁判で問題になっておりますのは、虚偽記載に関して小沢元代表の関与があったのかなかったのか、こういう点に限られているわけですね。

 しかし、問題は、私はこの四億円の原資がどこから来たのかが重大な問題だと思っておりまして、小沢氏は、例えば二〇〇七年二月の記者会見では、献金してくれた皆様のお金を資産として有効に活用する、それが皆様の意思を大事にする方法だ、こういうふうに政治資金であったと述べているわけです。ところが、二〇〇九年十月、マスコミの取材で陸山会が回答したところによりますと、四億円の定期預金を担保に同額の融資を受けた、こういう説明をしているわけです。それから、二〇一〇年、ことしの一月十六日の民主党党大会では、私どもが積み立ててきた個人の資産であります、こういうふうに、政治資金だった、銀行から借り入れた、個人の資産だった、説明がくるくると変わっているわけであります。

 私は、これは一体何が真相なんだろう、原資は一体どこから来たのか、こういう疑惑がますます深まらざるを得ないわけでございます。大口さんはどのようにお考えでしょうか。

大口議員 佐々木憲昭委員にお答えいたします。

 先生御指摘のとおりでございまして、二〇〇七年、二〇〇九年、二〇一〇年と、そんな短期間の間に全く違う説明をしている。供述の変遷というのは供述者の信用性がないということなんですね。ですから、国会においてきちっと説明をしていただかなければならない。だから、国民の大多数は、その説明責任を果たすよう求めているわけでございます。

 この十月五日、野党国会対策委員長会談においても、社民党を除く野党六党間で、小沢元代表の説明の場として証人喚問が適切との意見で一致を見ているところでございまして、これをしっかり求めていくべきである、このように考えております。

佐々木(憲)委員 先ほども少し議論がありましたが、きょうの読売新聞に、小沢氏政党支部へ三億七千万、昨年の衆院解散日に旧新生党資金を寄附というふうに書かれております。

 これは、旧新生党の資金がプールされている政治団体改革フォーラム21、そこから三億七千万円の寄附を小沢元代表が代表を務める民主党岩手県第四区総支部が受け取っていた、こういう報道でありまして、解散時の新生党には立法事務費四億八千万円を含む九億二千五百万円という資金があって、これは本部、支部から集められて、それが改革フォーラム21に移された。その改革フォーラム21の実質的な支配、運営は小沢元代表によって行われている。

 そうなりますと、公的な資金が政党解散時に特定の政治団体に移されて、その政治団体から小沢さんの支部にお金が流れる。公金を私物化し、それをみずからの目的のために利用する、この姿というのは私は非常に重大な問題だというふうに思います。そういう意味で、これは徹底した究明が必要だというふうに思いますが、大口さんはどのようにお考えでしょうか。

大口議員 佐々木委員にお答えします。

 私もけさ読売新聞を見まして、びっくりしました。驚きました。本当にまた新たな疑惑が出てきたわけでございます。

 そして、改革フォーラム21でありますとか小沢元代表が実質支配している団体については、いろいろな疑惑がこれまでも指摘されているわけでございます。この点につきましても、しっかり国会において説明をしていただかなければならない、こういうふうに考えております。

佐々木(憲)委員 次に、先ほどから議論がされている政治資金規正法の関連で、使途の公開ということで、各党間の協議、私も参加して行われました。

 私は、あのとき、政党助成金の使途についても、これは税金が原資でありますから、一円以上を公開ということになれば、当然、政党助成金の方は税金なんですから、これは対象とすべきだと思っておりまして、あの協議の中ではそういう方向に一度行ったんですけれども、何か土壇場で実現しなかった、御記憶があると思うんですが。やはり、これは税金ですので、全部ちゃんと公開する、これが必要だと思うんです。それが一点。

 それから、あのときは、入りの問題は外部監査を入れても対象にしないということになっていますが、私はその入りの問題も棚上げしてはだめだと思っておりまして、あのときも主張しました。やはり政治資金という問題はクリーンに、透明にということが大事だと思いますが、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

大口議員 佐々木委員にお答えいたします。

 一つは、政党助成金というのはまさしく税金でございます。ですから、政治資金が一円以上であれば、政党助成金も一円以上でしかるべきじゃないか、こういう議論はございました。ですから、それも推進していこうということであったわけですね。これについてはしっかり努力していかなきゃいけない、こういうように思います。

 それから、入りの問題につきましても、この委員会でも御指摘いただきました。石田先生からもいただきました。この点についてもこれから検討していかなきゃいけないなと思っています。

 ただ、入りの問題も、今回の私どもの法案で、代表者がその責任を負うということは、入りの問題について適正化する非常に大事な法案でございますので、御理解いただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 入りの問題については、例えば企業・団体献金の禁止ですね。これはきちっとやっていかなければならないというふうに我々は考えております。公開と同時に、そのことが必要だと思っております。

 次に、選挙制度の問題についてお聞きしますが、やはり民意を正確に反映するという選挙制度が民主主義の基本だと私は思います。ところが、小選挙区制が導入されて、民意の集約ということが理由として挙げられたわけですけれども、しかし実態は、得票率と議席占有率に非常に大きな乖離があらわれているわけです。

 例えば、〇五年の総選挙で自民党が二百九十六議席と圧勝したわけですね。そのうち、二百十九議席が小選挙区制の当選者であります。この小選挙区の自民党の得票率は四七・八%だったんです。ところが、議席占有率は小選挙区の七三%。昨年の政権交代が起きた総選挙では、民主党は、得票率は四七・四%でありました。過半数に達しておりません。しかし、議席占有率は七三・七%。非常に大きな乖離があるわけであります。小選挙区というのは民意を集約というけれども、民意をゆがめているんじゃないかと私は思うんですね。

 やはり、得票に応じた議席占有率というのは本来の民意の反映であって、それがこのように非常に大きく乖離するというのは問題だと思っておりますが、大口さんの御意見をお聞かせいただきたい。

大口議員 今回の法案とは別の案件でございますし、私が党を代表するものではございませんけれども、ただ、今佐々木委員がおっしゃったように、現行の小選挙区比例代表並立制というのは、これは御案内のとおり、民意の集約と民意の反映という二つの考え方で成り立っているんですが、四割の得票で七割の議席というのは、余りにも民意の反映というものがゆがめられているのではないかな、こう思うわけでございます。

 やはり成熟社会において、多様な民意をしっかり反映させる、こういう抜本的な選挙制度の改革が必要であると私どもは考えております。各党協議会を設置して、議論を早く開始していく必要がある、こういうふうに考えます。

佐々木(憲)委員 民意をゆがめるという小選挙区制の比率が仮に高まっていきますと、ますます乖離が起こるわけです。

 民主党のマニフェストでは、比例定数の八十削減、こういうことが書かれております。私は、これはますます民主主義を、民主的な制度が壊されるというふうに非常に危機感を覚えております。

 比例八十が削減されると一体どういうことになるのかということで調べてみますと、小選挙区三百、比例百、今百八十ですから、これが百になりますね。そうすると、総定数に対して小選挙区の占める比重というのは、六二・五%が七五%に一気に高まって、小選挙区制オンリーにどんどん近づいていくわけです。

 仮に、昨年の総選挙が比例八十削減のもとで行われたといたしますと、民主党は、四二・四一%の得票で衆議院の議席の六八・五%、圧倒的多数を占めるわけです。三分の二以上の議席になります。自民党の占有率は比例得票率とほぼ同じでありますが、共産党、公明党、みんなの党、国民新党など、これらの得票率は三〇・八六%なんです。ところが、議席にしますと、わずか八%。つまり、三割の得票を持っている相対的に小さな政党が、比例八十削減されることによりまして、八%、一割以下に落ちちゃう。これは余りにも乱暴なものでありまして、私は、こんなことは絶対にやってはならないと思っております。

 つまり、国民の意思が議席に正確に反映される比例代表制度こそ我々は大事なものだと思っております。そのところを削って、このように民意をゆがめるというのは大問題だというふうに思いますが、大口さんはどのようにお考えでしょうか。

大口議員 佐々木委員にお答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、この小選挙区比例代表並立制自体も民意の反映という点では問題があると思うわけです。しかし、それが百八十という形で入っている。その百八十からさらに八十削減するということは、これは選挙制度の根幹にかかわる問題でありまして、我々としては反対をしたい、こう思っています。

 とにかく、民意を反映する抜本的な選挙制度の改革を各党でしっかり協議すべきであろう、こういうふうに思います。

佐々木(憲)委員 選挙制度というのは議会を構成する上での大変重要な前提であり土台である。したがいまして、各政党がきちっと、どのように民意を反映させていくかという観点からこれを見なければならぬと思っておりまして、この比例削減八十というのは絶対に許すわけにはまいりません。

 それから、金がかからない選挙制度だと言われましたけれども、もう時間がありませんのでお聞きしませんが、実態は、かえって金がかかるということをおっしゃっている方々がたくさんいるわけであります。

 週刊金曜日十一月十九日号では、公明党の幹事長代理、選対委員長の高木陽介さんが「新進党時代に小選挙区制で選挙戦をやった時、公明党時代に比べると何倍もカネがかかりました。ポスターの数も全然違いましたし、ビラやチラシも絶えず作り続け、秘書も増やしました。 九三年当時の「カネのかからない制度」というのは全くの幻想だったと今思っています。」こういうふうに答えていますけれども、最後に感想を、どういうふうにお感じですか。

大口議員 佐々木委員にお答えいたします。

 実態は、日常活動の中で、広報活動も含めて、さまざまお金がかかっている実態があると思います。そういう点では、当初の金がかからないということは幻想であったという高木議員の指摘というのは、私もそのように実感をいたします。

佐々木(憲)委員 終わります。ありがとうございました。

松崎委員長 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 提出されました政治資金規正法、政党助成法の改正案に質問する前に、法案提出者に、昨今の政治と金をめぐる問題につきまして認識をお伺いしたいと思います。

 先日も、一般質疑で総務大臣にお聞きをいたしました。国会議員の政治資金をめぐる疑惑が相変わらず取りざたされております。国民の政治不信を助長しているものと考えます。国会議員の政治と金の問題というと、一つは、政治資金規正法などでやはり抜け穴が存在をしているのではないかということ、もう一つは、疑惑を持たれた議員が国会の内外を問わず国民に疑惑を払拭する、そういう説明責任を果たしていない、この二つの問題があるように思います。

 この点を踏まえまして法案提出者にお伺いいたしますが、国会議員の政治と金にまつわる問題についてどのように認識を持たれているのか、まずお尋ねをいたします。

大口議員 中島委員にお答えをいたします。

 政治と金の問題が、本年に入りましても、鳩山前総理、そして小沢民主党元代表初め、小林元議員等と、次から次へとこういう問題が、本来からいえば国の予算をしっかり審議すべきでなければならないわけでありますけれども、疑惑を究明せよという国民の声にこたえて、やはり予算委員会でもいろいろ追及をせざるを得ない、こういう状況でございます。

 そういう点で、やはり、この政治と金の問題というものをしっかり根絶していく、そのためには絶え間ない努力が必要である。国会議員に課された、各党に課された責務であると思います。

 そういう点で、政治資金規正法、例えば一円以上の領収書についての開示制度も含めて、私もいろいろ携わらせていただきました。あるいは、登録政治資金監査人の制度、こういうものも導入させていただきました。しかし、次から次へと問題が起こってくるということで、今回は、秘書がやったことで代表者は知らない、政治家は知らない、こういうことを封ずるためにこの法案を出させていただいたわけでございます。

 とにかく、こういう問題が噴出をしていることに対して的確に、これは、国権の最高機関である、立法府である国会が国民の不信を払拭するために働いていかなきゃならない、そういう意味におきまして、今回の法案を提出させていただきました。

 また、政治倫理綱領で御紹介しましたように、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」こういうことでございますから、刑事責任は刑事責任、しかし、やはり政治的道義的責任等についての説明を国会でしっかり果たすということが大事である、こういうふうに思っております。

中島(隆)委員 政治資金規正制度は選挙の公正性、透明性を国民に示すという意味では非常に重要でありますが、その法律が、代表者である議員あるいは会計責任者等が正確にしていないと、疑惑が問われたら、代表者である議員が国会で証言をすべきだというふうに我が党も、小沢さんに含めて、政倫審等について国会で明らかにしてほしいというのを再三申し上げておるところであります。

 そこで、二〇〇九年度の政治資金収支報告書は、一円以上の領収書を添付する、一万円を超える支出の公開が義務づけられているわけであります。都道府県届け出分あるいは総務省届け分双方につきまして、十一月末までには公表されるものと承知いたしております。

 新聞報道等されておりますが、選管で公表された分につきまして、国会議員の政治団体から、先ほど来ありました駐車違反の反則金や、あるいは高級クラブでの打ち合わせ、そういう支出のケースがあるというふうに報道されております。多額の領収書を紛失しているというケースもあるわけであります。

 さきの委員会でも指摘されておりましたが、インターネットで公開すれば要旨の公報掲載の義務はなくなった、こういう問題も指摘をされておりますけれども、全部公開されたわけでありませんが、新しいルールのもとでの政治資金収支報告書の公表分について、法案提出者はどのように印象を抱かれているのか、お尋ねいたします。

大口議員 中島委員にお答えいたします。

 この平成十九年の政治資金規正法の改正案によって、一件一万円超の支出について、人件費を除いて収支報告書に明細を記載することが義務づけられたということで、今回、先生御指摘のようなことがマスコミ等で報道され、明らかになったわけでございます。さらに加えて、一件一円以上一万円以下の少額領収書の写しの開示制度も導入させていただきました。

 やはり、政治活動のお金の入りと出を透明化していくことによって、国民の皆さんに、その政治団体そして政治家の政治活動がお金の面で非常に明らかになる。それがその政治家に対する投票行動、投票する場合の大きな基準になってくるわけでございます。

 そういう点で、国民の監視に置くということにおきましては、こういう透明化をさせていただいたことが大事である、そう実感しております。

中島(隆)委員 虚偽記載あるいは今指摘しましたような記載、使途等を含めて、やはり政治資金を厳格にやる必要があると思いますので、こういう観点につきましても、今後、政治資金規正の中でさらに検討いただく必要があるのではないかというふうに思っております。

 次に、企業・団体献金の禁止について、法案提出者にまずお尋ねをいたします。

 国会議員の政治と金をめぐる疑惑では、先ほど来指摘されております法制度の不備という抜け穴があって、今回、公明党が提出されました改正案も不備を是正するものの一つと承知をいたしております。

 政治資金をめぐる法制度の問題でございますが、私ども社民党でも、根本的な問題として、政官業の癒着や、あるいは不自然な金の流れを断ち切るためにも、企業・団体献金の禁止を我々は主張いたしておりますし、早急に実施をすべきであると考えております。この点につきまして、法案提出者はどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

大口議員 中島委員にお答えいたします。

 公明党も、企業・団体献金の全面禁止をすべきだ、こういう考えでございます。

 そのためにも、各党協議機関の設置を我が党は提唱しておりまして、合意形成に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

中島(隆)委員 政治に対する信頼回復は、まずは献金を国民に透明性を持つ個人献金中心にすべきだというふうに思っております。公明党さんの協議会提案、私どもも賛成であります。ぜひそういう協議を促進していきたいというふうに思っております。

 それでは、改正案の内容についてお伺いをいたします。

 最初に、政府参考人にお聞きをいたします。

 現行法では、政治資金収支報告書への虚偽記載などの違反があった場合、政治団体の代表者が会計責任者の選任及び監督の双方で相当の注意を怠った場合に罰金や公民権の停止といった処罰がされるようになっております。これは、逆に言いますと、選任、監督のどちらか一方で相当の注意を払っていれば法に抵触しない。これをもって、虚偽記載などのケースでも、秘書が勝手にやっていたという理由で残念ながらこれまで通ってきた現状であります。

 そこで、現行法で、処罰のケースを会計責任者の選任、監督の双方で注意を怠った場合として明記されたわけでありますが、この考え方について、先ほど来御説明があっておりますが、再度、双方でという明記をされたこの位置づけ等についてお尋ねしたいと思います。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の政治資金規正法と政党助成法におきましては、会計責任者に会計帳簿の記載義務、さらには収支報告書、使途等報告書の提出義務を課しまして、政党、政治団体の収支につきましては、一義的に会計責任者の責任において行うという仕組みとなっているところでございます。

 政党、政治団体の代表者の方につきましては、当該団体の収支につきまして、会計責任者のような直接的な記載義務、提出義務は負ってございません。しかしながら、収支報告書等の虚偽記入があった場合において、代表者が会計責任者の選任と監督の双方について相当の注意を怠ったというような場合につきましては、当該団体の収支の適正確保という観点から見まして、当該団体を統括する立場にございます代表者としての責任を果たしたとは言いがたいという考え方から、そのような場合につきましては罰則の対象としているものと考えられるところでございます。

中島(隆)委員 次に、法案提出者にお聞きをいたします。

 改正案では、この双方または選任か監督のいずれか一方で問題が生じていれば政治団体の代表者も処罰されることになるわけでありますが、秘書の責任にして言い逃れることを封じることをねらいにしたものだと思います。

 改めまして、この改正のねらい、それから、例えば過去のケースや事案においてこの効果を期待できるというものがありましたら、お示しをいただきたいというふうに思います。

大口議員 中島委員にお答えをいたします。

 現行法は、選任及び監督の双方について相当の注意を怠った場合に問い得るけれども、例えば、選任について相当の注意を怠っていなければ、監督につき相当の注意を怠っていたとしても、結果として政治家の言い逃れを許すことになる。秘書に任せた、秘書が勝手にやったということを、これまでの過去の事例でも繰り返し言いわけとして言われていることでございまして、最近でいえば、小沢民主党元代表あるいは鳩山前総理もそういうことになっているわけでございます。

 今回、そういう点で、言い逃れを封ずるために、二十五条二項で、選任または監督のいずれか一方について相当の注意を怠れば政治団体の代表者を処罰できることにいたしたわけでございます。罰金だけではなくて、公民権停止、失職、政界退場となる効果が期待されると思います。

中島(隆)委員 確かに、今回の改正で国会議員の言い逃れを防ぐ効果があるというふうに思います。

 ただ、現行法では、相当の注意を怠っていた場合に問題になるわけでありまして、これを改正されたというふうに思いますが、この相当の注意といったものの具体的な中身でございますが、先ほど来それぞれ御質問があり、回答もいただいております。

 政府参考人に、もう一度、この相当の注意とはどのようなものか、少し具体的にお話をいただきたいと思います。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 相当の注意といいますのは、社会通念に照らしまして客観的に何人もなすべき程度の注意であると解されているところでございます。

 そういう中で、選任につき相当の注意を怠るとは、会計責任者を選任する際に、その人柄、能力等の調査に相当の注意を怠ることをいうと解されております。

 また、監督につき相当の注意を怠るとは、会計責任者の執務態度、執務の状況について監督者としての相当の注意を怠ることと解されているところでございます。

 現行の規正法におきましては、収支報告書に虚偽の記入をした場合等におきまして、政治団体の代表者が当該団体の会計責任者の選任と監督の双方につきまして、今申し上げました相当の注意を怠ったときに罰金に処する旨の定めがあるところでございます。

 なお、個別の事案が今申し上げましたような解釈に該当するかどうかという点につきましては、個々の事案ごとに具体の事実関係、態様に即して判断をされることになるものと考えてございます。

中島(隆)委員 選任と監督の責任、今お答えがありました。人柄とか態度とか、こういうことでありますが、問題は、記載された中身の虚偽であるかどうかという判断、この把握が非常に重要であると思いますし、この法律が施行されれば、両方の責任を問い、さらには代表者を最大の責任者として問うていくということになると思いますので、そういう位置づけで確認をしたいと思います。

 次に、相当の注意の中身について今ありました。選任と監督、それなりの注意等がありますが、虚偽記載などが発覚をした、こんなケースは想定できると考えます。この場合、法的には政治団体代表者の処罰ができなくなってしまうと思うのですが、いかがでしょうか。法案提出者にお伺いいたします。

大口議員 中島委員にお答えいたします。

 今回出させていただいた代表者の責任というのは、代表者みずからの責任ということでございまして、それは、会計責任者が故意に虚偽記載とか不記載等の政治資金規正法違反をした場合に、相当の注意を怠っていた場合は責任を負うということでございます。

 そういう点で、相当の注意を払っていた場合につきましては、これは責任を負わないということでございまして、そういうケースが想定できるかというと、会計責任者が通常では考えられないような巧妙な手段を用いて収支報告書の虚偽記載等を行ったというような場合について、政治団体の代表者が会計責任者の選任及び監督について相当の注意を払っていれば、刑事責任を問われないということでございます。

中島(隆)委員 時間が来ましたようですから。

 今回の公明党さんの法改正の提案、私ども賛同いたします。

 やはり政治資金規正法、まだまだ国民の批判を買っております。何としても政治資金規正法に基づく適正な処理と透明性、そして説明責任、これが必要だと思いますので、そういう立場でこの法案に賛成を申し上げて、私の質問を終わります。

松崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十六分散会


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