衆議院

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第8号 平成25年4月11日(木曜日)

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平成二十五年四月十一日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 保岡 興治君

   理事 石原 宏高君 理事 奥野 信亮君

   理事 原田 義昭君 理事 平沢 勝栄君

   理事 ふくだ峰之君 理事 泉  健太君

   理事 山田  宏君 理事 佐藤 茂樹君

      安藤  裕君    井野 俊郎君

      石川 昭政君    大串 正樹君

      大塚  拓君    今野 智博君

      白須賀貴樹君    助田 重義君

      田所 嘉徳君    高橋ひなこ君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      鳩山 邦夫君    藤井比早之君

      宮内 秀樹君    宮川 典子君

      務台 俊介君    吉川  赳君

      岡田 克也君    奥野総一郎君

      後藤 祐一君    山井 和則君

      井上 英孝君    坂元 大輔君

      丸山 穂高君    村上 政俊君

      伊藤  渉君    國重  徹君

      井出 庸生君    佐々木憲昭君

      玉城デニー君

    …………………………………

   議員           逢沢 一郎君

   議員           橋本  岳君

   議員           泉  健太君

   議員           奥野総一郎君

   議員           田嶋  要君

   議員           浦野 靖人君

   議員           佐藤 茂樹君

   議員           遠山 清彦君

   議員           井坂 信彦君

   総務大臣         新藤 義孝君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    高綱 直良君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           米田耕一郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     安藤 友裕君

   政府参考人

   (文化庁長官官房審議官) 作花 文雄君

   参考人

   (衆議院議員選挙区画定審議会会長)        村松 岐夫君

   参考人

   (衆議院議員選挙区画定審議会会長代理)      吉田 弘正君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  井上 義久君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤  渉君     井上 義久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外五名提出、衆法第三号)

 公職選挙法の一部を改正する法律案(田嶋要君外五名提出、衆法第一号)

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件(衆議院議員選挙区画定審議会の「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告」)


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     ――――◇―――――

保岡委員長 これより会議を開きます。

 逢沢一郎君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び田嶋要君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長高綱直良君、総務省自治行政局選挙部長米田耕一郎君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長安藤友裕君及び文化庁長官官房審議官作花文雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮内秀樹君。

宮内委員 おはようございます。自民党の宮内秀樹でございます。

 私、初質問でございますので、気合いを入れてやりますから、ひとつよろしくお願いします。

 それでは、インターネット選挙運動解禁について。

 政治活動として日常に使っているものが選挙期間に入った途端に使えなくなるということについては違和感があるというのは、皆さん共有することだと思います。時代の変化に伴って、インターネット解禁は当然のことであるというふうには思っております。

 しかしながら、選挙の現場には善意もあれば悪意もあるということでありまして、私の問題意識は、今回のインターネット解禁が悪意のある方のとても便利なツールになるのではないかという心配であります。例えば、今までも怪文書の類いはたくさんあるわけでございますけれども、そのような行為が容易に数多く、人目をはばからなくて都合よくできるツールになるのではないかということが私の心配するところであるわけでございます。

 そこで、特に誹謗中傷、成り済ましに対する心配点や、そのほか具体的な事例の中で確認のための幾つかの質問をしていく中で、今回の取り組みについて、本来何が一番我々にとって大切なのかということについて議論を深めていきたいというふうに思っております。

 まず、成り済ましについてです。

 ウエブサイトには自分の電子メールアドレスを表示しなければならないことになっておりますけれども、そのような成り済ましということは、技術的には簡単に悪意によって成り済ますことができるというふうに伺っておりますけれども、そのようなことが簡単にできるというふうな認識をお持ちであるかどうかという点、それから、そのことに対する対策について、お考えのところをお聞かせいただきたいと思います。

 これは、自公案の提出者についてお尋ねしたいと思います。

橋本(岳)議員 宮内議員の初質問にお答えをいたします。

 ウエブサイトにおいて選挙運動をする場合に、自分の電子メールアドレスなどを表示してくださいということで、今回規制をかけることとさせていただいております。それは、きちんと責任を持って情報発信をしてくださいという趣旨を持ってするものであります。

 御指摘のように、そのことについて罰則をかけていないということになっておりますが、表示義務の違反については、表現を萎縮させるようなことになってもいけないよね、個人情報の保護だとか不測の被害などのおそれもあるということで、あえて罰則を設けることはしていないということでございまして、表現の自由というのもあります、ただ同時に、責任ある情報発信をしてほしい、その二つの価値観の中で、今あるような規制を設けることにしたというふうに御理解をいただければありがたいと思っております。

 ただ、プロバイダー責任制限法の特例を本改正案では設けておりますので、表示義務に違反した名誉侵害情報については、同意照会なしで削除してもプロバイダーなどの損害賠償責任が免責されるという規定を置いているところでございますので、これはもう明らかに名誉毀損に当たる、しかもそのメールアドレス等も書いていないとか、そういうものについては、プロバイダーに削除しろということを申し入れをすれば、プロバイダーはその同意照会なしでそれを削除しても責任を問われない、このようなことを本改正案で入れているところでございます。

宮内委員 ありがとうございます。

 まさにプロバイダー責任法というのが一つの対策の大きな点だというふうに思いますけれども、いわゆるそのプロバイダー責任法の概略について、政府にお尋ねしたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 プロバイダー責任制限法は、インターネット上で他人の権利を侵害する情報が流通した場合における当該情報の削除などに関するプロバイダーの免責要件などを明確化するものでございまして、具体的には、例えばインターネット上での不特定の者に向けた情報の流通により名誉などの権利を侵害されたとする者からプロバイダーに対して当該情報の削除の申し出があった場合に、プロバイダーがまず当該情報の発信者に対して削除することに同意するかどうかを照会し、発信者が照会を受けた日から七日を経過してもこれに同意しない旨の申し出がなかったときには、当該情報を削除してもプロバイダーが損害賠償責任を負わないことなどが規定されているところでございます。

宮内委員 このプロバイダー責任法の適用の中で、メールというのは対象になっていますか、対象になっていませんか、確認したいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 プロバイダー責任制限法は、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信による情報の流通による権利侵害を適用対象としているところでございます。送信先アドレスに対する一対一の通信である電子メールは、この不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信には当たらないため、プロバイダー責任制限法の対象とはならないところでございます。

宮内委員 要するにメールは対象ではないということを確認させていただきました。

 今回のプロバイダー責任特例では、プロバイダーに対する賠償免責要件を二日間にするとしていらっしゃいます。自公案及び民み案ですね。投票日直前に行われた場合に、この二日間というような期間が結局何の意味も持たないじゃないかというようなことを選挙する側は心配をすると思います。要するに、削除要求をしたとしても実際に期間中に間に合うのかというような心配、あるいは、この二日間とは、送った時間なのか届いた時間なのか、もう何時間というような部分で選挙は戦っていると思いますので、そこら辺の確認をしたいというふうに思います。

 そして、これらのことについての、いわゆる監視委員会みたいな、取り締まりについて、チェックする、そういう機関をつくるような考えはあるのかどうか、これは自公維案それから民み案、両方の提案者にお尋ねをしたいと思います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 今三つの質問をいただきましたので、三つそのまま続けて答弁をさせていただきます。

 まず、プロバイダー責任制限法で、先ほど御指摘のとおり、今回、同意照会の期間を七日から二日ということに短縮をしております。これが間に合うのかどうかという議論は、確かに、私ども自民党内の議論の際から、また、きょうこうして議員に御指摘をいただくまで、よく問われる質問であるというのは事実でございます。

 ただ、先ほど申しましたように、選挙の公正はやはり確保しないといけません。だから、誹謗中傷だとか名誉毀損に当たるようなもの、これはできるだけ排除することを設けないといけない。ということと同時に、発信をする人の表現の自由というのもあります。だから、それを阻害することになってもいけないということで、その中で二日というバランスをとった結果、そのようになっているというふうに御理解をいただきたいと思います。

 また、先ほどお答えしましたとおり、電子メールアドレスなどが正しく表現されていない場合は、同意照会なしで削除してもプロバイダーなどの損害賠償責任は免責されるという旨も、あわせて置いているところでございます。

 それから、二つ目の問いでございますけれども、二日間というのはどういう時間なのかということですけれども、これは、プロバイダーなどが名誉侵害情報を削除しても免責されることとなるのは、プロバイダーなどからの、削除するに同意するかどうかの照会が発信者に到達した日の翌日から起算して二日以内に、当該発信者から同意しない旨の申し出がない場合であります。つまり、二日間とは、発信者への照会が到達した日からその翌々日の二十四時までの間というふうにしております。

 続きまして、監視委員会みたいな第三者の組織を設けてはどうか、そのようなことを思っていないのかという御質問をいただきましたが、私どもの案では、誹謗中傷、成り済ましというものについては、何せ衆議院の総選挙、あるいは参議院の選挙というものを考えました場合に、全国で物すごくたくさんの数の候補者の方々がおられ、それぞれにやられるわけでございますから、まずはその候補者及び政党側で監視をするということでさせていただきたいというふうにしております。

 公的な監視委員会みたいなものを設けるかどうかという議論はあり得べきことだと思いますし、例えば韓国なんかにそうした類似した例があるわけでございますが、日本の場合において、それは憲法上保障された表現の自由ですとか政治活動の自由というものもございますので、そうしたものについて、私どもとしては慎重に検討すべきだと考えております。

 以上でございます。

田嶋議員 いただきました三点に関しましては、私ども、民主、みんなの案に関しましても全く同じ考え方でございます。

 以上です。

宮内委員 要するに、いろいろ危険性をはらむということが想定はできるということで、例えば、選挙中に相手候補に対しまして悪意を持ってネガティブキャンペーンをしようとする、そういう者がいた場合は、あらかじめたくさん多く集めておいたメールアドレスに、相手候補に成り済まして、私は実は、TPPは賛成だと思っていたけれども、やはり反対ですというのをぱっと流す、あるいは、私は元オウム真理教の信者でありました、実はそういうことでしたとぽっと流すとか、例えばそんなことだって考えられるわけですね。

 では、それに対してどのようなチェック体制があるのかということについては、選挙をする立場からすれば、そんなことが物理的に考えられるという前提の中で、やはり怖いという状況にあると思います。

 そういうことに対して、いわゆる警察当局につきましては、そのことに対する今の段階からの対応について、何らかの考えがあるのかということをお聞きしたいと思います。

高綱政府参考人 お答えいたします。

 公選法違反に限りませず、およそインターネット利用の犯罪に共通して言えることでありますが、コンピューターウイルスによる遠隔操作等多様な匿名化手段が利用される、あるいは容易に国境を越えて敢行されるといった特性がございます。警察としては、こうしたサイバー犯罪の特性を踏まえて、的確に対処するための捜査能力の向上を図っているところでございます。

 警察といたしましては、法改正がなされますれば、その改正の趣旨にのっとり、選挙違反の取り締まり担当部門、サイバー犯罪対策部門、そして情報通信部門との連携を強化するなどして、必要かつ適切な体制を構築して適切に取り締まりを行ってまいる所存でございます。

 以上でございます。

宮内委員 ありがとうございます。

 いずれにいたしましても、今回のインターネット解禁については、いたずらな誹謗中傷や成り済ましに影響されることがなくて、それを受けた人がちゃんと見破って、しっかり国民が取捨選択できるような成熟した社会、成熟した民主主義というのをお互いがつくり合おうじゃないかということで深化をさせるということ以外は、この問題に対してはなかなか、イタチごっこのことをどうしようといっても解決しないんだと思うんですね。そのことをやはり関係者はしっかり認識して、しっかり発信をしていくということが大切だというふうに私自身は思っております。

 それでは、少し、幾つか確認したいことを質問させていただきます。

 本改正案が成立いたしますと、いつから施行されて、どの選挙から適用されるのかということについて自公維案提出者にお伺いをしたいと思います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 本改正案は、公布日から起算をして一カ月、一月を経過した日から施行されるということにしております。

 また、本改正案は、施行日以後初めて行われる衆議院議員の総選挙または参議院議員の通常選挙の公示の日以後にその期日を公示または告示される全ての国政選挙及び地方選挙について適用されることとしております。

 以上でございます。

宮内委員 そうしますと、今度の参議院選挙の告示以降ということになるわけでありますから、そうすると、この参議院選挙と同時選挙ということで、地方における選挙なんかももちろん適用になるということでよろしいですかね。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 仮に参議院選挙でこの法律が最初に適用されることになった場合ということでお答えをいたしますが、そのような場合、同日で、あるいは、地方選挙の場合、同日の投票でももう少し期日が短い場合、告示日が遅い場合というのもございますが、そうしたものも含まれるということになります。

 以上でございます。

宮内委員 そういたしますと、何となく参議院選挙というふうなことがかなり社会的には徹底しつつあると思うんですけれども、その後の地方選挙についても適用になるということをしっかり発信していかないと、このインターネット解禁は、小さい選挙区の選挙の方がもしかしたら大きく決定的に影響を与える可能性があるというふうに思うんですね。ですから、ここのところの発信、こうですよということはしっかりとやっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それから、このたびの法律改正によって、少し勉強させていただきますと、インターネット以外の広報ツールでも改めて認められるツールがあるというふうなことをちょっとお聞きしたりするんですけれども、自公維案、それから民み案、ちょっと確認をしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

橋本(岳)議員 とりあえず、今回の改正で明示的にインターネットではなくということで言われますと、一つは、屋内の個人演説会における映写の解禁というものはございます。

 これはインターネットにつながっている、いないということには、実は関係なく、屋内で個人演説会をするときに、これまでは掲示の規制があったわけですけれども、これについて映写を認めるということにしておりますので、これはインターネットかどうかにかかわりなくそうした規定を設けているということでございます。

 以上でございます。

田嶋議員 この点も与党案と同じでございます。

宮内委員 いわゆる個人演説会場なんかで言うところのプロジェクター使用ということができるということでございますね。何となく、今までもよかったんじゃないかななんて思っていたりしたんですけれども、これはいけなかったんですね。(発言する者あり)いや、私はやっていませんけれども。

 また、そういうことも、いわゆる選挙における情報ツールというのは拡大していって、なるべくそういう内容がいろいろな形で広く伝わるということがやはり民主主義を深化させるということでありますから、基本的にはそういう方針で、与党も野党もみんなが共有しながら、民主主義を深化させるということが大切だというふうに改めて思いますので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。

 以上をもちまして、私の人生における記念すべき初質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

保岡委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 引き続きまして、公職選挙法の一部を改正する法律案、衆法第三号、自民党、公明党、日本維新の会の提出案について、これまでの質疑を踏まえまして、改めて何点か質問させていただきます。

 これまでの質疑でも繰り返してこられたように、論点の一つが、電子メールを利用した選挙運動の解禁であります。その送信主体を候補者及び政党等に限定をしていること、ここが一つの論点になっております。

 そこでまず、改めてお伺いをいたしますが、さきの質問でもございましたけれども、成り済ましは、メールのみならず、SNS、ソーシャル・ネットワーク・サービスでも発生をする可能性は十分にございます。よって、成り済ましの発生を理由にメールのみ第三者への選挙運動の解禁をしないのはいかがなものか、こういう議論がございます。

 そこで、改めて、これまでの議論も踏まえて、メールとSNSの違い及びメールのみ第三者への解禁をしない理由について、その考え方を法案提出者にお伺いをいたします。

佐藤(茂)議員 この件については、当委員会でも何回か確認があったことでございますが、もう一回、我々、自民、公明、維新案の考え方を確認の意味で述べさせていただきますと、我々、自民、公明、維新案では、電子メールを、特定電子メール法の定義を用いて、SMTP方式または電話番号方式を使用した電気通信としているわけでございます。

 類似の機能が今既にあることはもうよく承知しているんですけれども、例えば、フェイスブック等のSNSのユーザー間でやりとりするメッセージ機能というのがよく似てはいるんですけれども、しかし、この特定電子メール法の定義を用いた場合に、今回は対象から外れるという形にさせていただいております。

 一方、今、SNS、フェイスブック等のユーザー間でやりとりをするメッセージ機能というのは、大量の広告宣伝メールが送信される等の問題が現時点において顕在化していないと考えられることから、特定電子メール法の電子メールに含まれないものと私どもは承知をして立て分けをしているわけでございます。

 もう一つ言われた第三者への解禁をしない理由ということについては、もう一度確認の意味で答弁させていただきますと、選挙運動用電子メールについては、一つには、電子メールは密室性が高くて誹謗中傷や成り済ましが横行しやすいこと、二つ目には、悪質な電子メールにより有権者に過度の負担がかかるおそれがあること、こういう理由から、我々の案では、まず現段階では、候補者、政党等のみに解禁することといたしまして、第三者の解禁については、今後の検討課題とするということにしているわけでございます。

伊藤(渉)委員 次に、誹謗中傷、成り済まし対策についてお伺いをいたします。

 SNSでの選挙運動においては、罰則規定を設けておりません。しかし、繰り返しになりますが、SNSにおいても誹謗中傷や成り済ましが発生する可能性、リスクは十分ございます。

 そこで、選挙期間中という短期間に、事実に基づかないネガティブキャンペーンが発生することも想定せざるを得ませんけれども、この場合の監視、是正体制について、これも改めて法案提出者の考え方をお伺いいたします。

佐藤(茂)議員 これは、先ほど自由民主党の宮内委員の御質問にも同じような点の指摘、御質問があったと思うんですけれども、我々の今の考え方では、誹謗中傷や成り済ましについては候補者、政党側がそれぞれ責任を持って監視をするということを想定しております。

 今御指摘があった監視、是正体制、あるいは、先ほど宮内委員の言われたような監視委員会、これは、例えばお隣の韓国等ではそういうものも設けているような情報はいただいておりますけれども、こういう公的な監視委員会を設けるということについては、そういう諸外国の実情もしっかりと調査させていただきながら、ただ、懸念としては表現の自由、政治活動の自由の問題等もありますので、慎重に、今後の検討課題として我々検討させていただきたい、そのように考えております。

伊藤(渉)委員 今の問いに、さらにもう一点お伺いしますが、一般の有権者が、つまりツイッターなどで○○候補に一票入れてください、こういう応援メッセージをつぶやくことができるようになるわけでございますが、同様に落選運動も可能になるわけでございます。

 繰り返しになりますが、ただし、いずれも条件があって、みずからのメールアドレス等を表示しなければならない、それによって成り済ましや過度な誹謗中傷を防ぐ、こういう考え方だ、こういうふうに理解をしております。しかし、罰則規定はないということですので、繰り返しになりますが、この場合、では確信犯的な行為はどのように取り締まるというふうにお考えか、やはり法案提出者にお伺いをいたします。

遠山議員 お答えいたします。

 ツイッターなどウエブサイト等を利用する方法について、第三者も含めて一般の有権者の方々に幅広く解禁をしているのが自公維案ということで、その立場からお答えをいたしますが、選挙運動あるいは落選運動、ウエブサイトを利用してやっていいわけでございます。ただし、表示義務というものが課せられております。

 何を表示しなければいけないかといいますと、正確に申し上げますが、「電子メールアドレスその他のインターネット等を利用する方法によりその者に」、書き込んだ人に「連絡をする際に必要となる情報」と。そうしますと、電子メールアドレスをつけなくても、例えば、その書いた方に届くような返信用フォームのURL、あるいはツイッターのユーザー名、フェイスブックは実名で登録されているのが原則ですので実名になると思いますが、そういったもの、直接本人に連絡がとれるものを表記しながらウエブ上で選挙運動をやらなければならないということでございます。

 問題は、この表示義務に違反をして、名なしの権兵衛で選挙運動、落選運動をやった場合は、これは法律違反になるわけでございますが、罰則がございません。

 そこで、私どもの改正案では、プロバイダー責任制限法の特例によりまして、表示義務を果たしていない書き込みがあった場合には、名誉を侵害されたという候補者が、一義的には、これは表示義務違反の選挙運動用メールあるいは落選運動用メールですのですぐ削除してくださいと言った場合に、プロバイダーが、その書き込んだ人に同意の照会がなくても即削除することができる。削除したプロバイダーは、通常、書き込んだ人から、表現の自由を侵害したということで損害賠償請求を起こされる可能性があるわけでございますが、今回の場合は、その賠償責任を免ずるということもあわせて書かれているわけでございます。

 なお、そういった措置を今回とっておりますが、一〇〇%完璧かと言われると、そうではございません。これは、後々のために率直に申し上げておきますが、まず、海外のサーバーやプロバイダーを経由して、表示義務を果たさずに日本語で選挙運動や落選運動を行った方の場合は、これは、海外のサーバーやプロバイダーを経由していますので、基本的には、日本国内にあるプロバイダーに適用するプロバイダー責任制限法の特例がなかなか、完璧に適用しづらいという問題点がございます。

 それから、もう一つの問題点は、表示義務を果たさずに書き込んだ人に仮に連絡がついて、あなたの書き込んだものを削除しますよと言ったときに、私が書き込んだ内容は真実なので削除に同意しませんと明示的にプロバイダーに言ってきた場合は、正直申し上げると、これは司法の世界で決着をしなければいけない訴訟問題に発展する場合がございます。その場合、プロバイダーという民間会社は裁判官にはなれませんので、そのまま書き込みが残るという可能性も、私は個人的に小さいとは思っておりますけれども、あり得るということでございますので。

 この辺の話になりますと一定の限界がございます。ネット言論界の良識に期待せざるを得ないところもあるということは、委員に御理解をいただきたいと思います。

 以上です。

伊藤(渉)委員 明快な御答弁、ありがとうございます。まさに、老婆心ながらといいますか、ありとあらゆる可能性を確認していく段階ですので。

 もう一つ。では、ちょっと各論をお聞きしたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、メールでの選挙運動は第三者へ解禁をされておりません。では、メールに候補者のブログのQRコードやURLなどを添付して送付する、つまり、直接の選挙運動ではないけれども間接的には選挙運動のようなもの、これは第三者でもメールとして送付をできるのかどうか。QRコードとかURLですね。この点を法案提出者と政府参考人にお伺いいたします。

遠山議員 伊藤委員から大変大事な御質問をいただいたと思っております。

 まず、もう委員御承知のとおり、特定の行為、今回のように電子メールの中にURLとかQRコードを添付して第三者の方が送るというような場合はどうなのかということで、これは、一般論として申し上げれば、個別具体のケースごとに判断をしなければいけないわけでございます。

 ただし、選挙期間中に、不特定多数の方々に、ある人が電子メールに候補者のブログのQRコードやURLを添付して送付した場合に、判断が難しいのは、例えば、このメールを皆さん読んでくださいというタイトルにする、そうすると、タイトルは選挙運動性がないわけですね。メールをあけて本文を見たら、QRコードとかURLしかない。そうすると、QRコードやURLがあるだけで選挙運動用メールとみなされないわけです。

 問題は、例えばURLがあって、それをクリックしますね、あけた人が。クリックをしたらいきなり伊藤委員があらわれて、私に一票をというようなページにつながるといった場合には、飛んでいった先は選挙運動用文書図画になりますから、それを不特定多数に間接的だけれどもメールで伝えたということになりますと、これは、正確に言うと選挙用文書図画の脱法的頒布、脱法行為に当たるという評価が考えられるわけで、その場合は公選法に違反するおそれが高いというものと考えております。

 つまり、もう一回整理して申し上げれば、QRコードやURLだけが張りつけられたメールを一般の有権者が送ること自体はすぐさま公選法違反とは言えないけれども、その飛んだ先が選挙運動用文書図画であって、選挙期間中にそのようなものを大量に不特定多数の方に送りつけるという行為をすると、その一連の行為全体として見たときに選挙運動性が高いと判断された場合には、私どもの改正案に基づく公選法の違反になるということでございます。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、そういうことでございます。

米田政府参考人 ただいま法案提出者の方から詳細に御答弁いただいたとおりでございますけれども、一般論として、私どもで申し上げますと、電子メールについて、その内容が候補者のブログのQRコードやURLの添付にとどまる場合でございましても、これが選挙運動期間中に送付され、URLの飛んだ先が選挙運動ホームページであるような場合につきましては、公選法百四十六条の法定外文書図画の頒布の禁止を免れる行為に当たるおそれが高いというふうに考えられると思います。

伊藤(渉)委員 なかなか難しい内容だなと思います。

 通告の順番を一個変えて、関連することを先にお聞きしておきたいと思います。今の質問と類似ですが、もう少し簡単だと思いますので、改めて確認のために聞きます。

 普通に候補者や政党から送られてきた電子メール、文書でできている電子メールそのものを第三者が転送するのはマルですかバツですか、答弁者。

遠山議員 簡潔に申し上げます。これはバツでございます。

 候補者、政党が有権者の方々に選挙運動用メールを選挙期間中に送って、それを受け取った有権者の方が別の方々に転送した場合は、その受け取った方々が新たな送信行為を行ったというふうに評価されますので、これはバツでございます。

 ただし、国民の皆さんに申し上げておきたいのですが、候補者や政党から受け取った選挙運動用メールをコピーして、ウエブサイト上のその有権者の選挙運動としてその文書を引用して、ペーストして使う、これはマルでございます。

 以上でございます。

伊藤(渉)委員 大事な内容を答弁いただきまして、ありがとうございます。

 これは結局、ネット選挙の解禁の本質の一つは、私が思いますに、リアルなこれまでの選挙運動、リアルな世界と、いわゆるネットというバーチャルな世界、この二つの世界で選挙運動が行われるようになる、こういうことを意味しているんだろうと思います。よって、候補者の立場からいえば、いずれの世界も制しなければ選挙には勝てなくなるのだろう、こういうふうに思います。

 そうなると、既に私のところにも、どちらかというとコマーシャルベースの封書なども届き始めていて、皆さんのところにもそうだと思いますが、時を経るたびに、戦略も高度化をし、残念なことかどうかわかりませんが、費用もかさんでいく可能性も否定できないのではないか、こういうふうに思うわけであります。

 一方、当然、ネット選挙を解禁することによって、若い方々の選挙への参加の門戸が開くなど、その有用性はもちろんはかり知れないわけですから、非常に重要なことだと思うわけですが、そういう観点からしますと、例えば選挙運動費用の総額など外形的な制限というのをやはりはめておかねばならないのではないか、こういうことが重要になってくるんじゃないかと思うわけであります。

 それで、もう一度、改めて、法定選挙費用というのを見てみますと、例えば衆議院小選挙区だと、一般的には固定額が一千九百十万、プラス人数割額で有権者一人当たり十五円、参議院の比例代表選挙だと五千二百万、参議院の選挙区選挙だと二千三百七十万、プラス有権者一人当たり十三円とか、こういう決まりになっているんですが、例えば私は衆議院比例代表選挙の候補者なんですけれども、衆議院の比例代表選挙の候補者というのは、候補者の選挙という位置づけに多分なっていないので、法定限度額自体がありません。ないんです。

 よって、そういうことも考えると、もう時間なので質問しますが、何らかの外形的な制限、今言ったような選挙運動費用の総額について、これはやはり今後検討課題の一つとしていくべきではないかと思いますが、法案提出者にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。(発言する者あり)

佐藤(茂)議員 今、伊藤委員の指摘は、確かにこれからの課題として非常にいい指摘だと私も泉先生同様に思います。

 御指摘のとおり、金のかからない選挙の実現というのは公職選挙法の大きな目的でございまして、提案者としてもその方向を目指していきたいと考えておりますし、実は、このインターネット解禁に向けての各党協議会でも、インターネット選挙運動を解禁しようという趣旨は、本来、金のかからない選挙がこれでさらに進むんじゃないのかということで我々はやろうということでやっております。

 今種々御指摘がありました、各種選挙の候補者のお話がありましたけれども、現行法上も、今御指摘がありましたように、候補者については、候補者の人格、識見、政策等の争いではなくて、候補者の資金力の争いとなることを防止するために、選挙の公平公正を図るため選挙運動費用の上限が定められているのは御指摘のとおりでございます。

 他方、候補者届け出政党や名簿届け出政党については、選挙人に対して、その政策の内容を訴え、支持を求めることが中心と考えられていることから、選挙運動費用の上限は定められておりません。

 もう一つ、最後に御指摘があった衆議院比例代表選挙の単独名簿登載者については、法定選挙運動費用の制度が設けられていないんですけれども、これは、衆議院比例代表選挙においては、現行法上は、政党の選挙運動として行われるからであって、その費用は当該政党の費用とされていることによるわけでございます。

 こういう現行法上の考え方というのは、今回、インターネット選挙運動を解禁した後も今のところ変わらないと考えられるために、本改正において、現行法の構造を維持することとしております。

 ただし、その上で、本改正案の成立後、次の国政選挙で一度こういう形でやってみて、仮に、今おっしゃったような選挙運動費用の制限に関する問題が発生した場合には、検討課題として、他の選挙運動規制の見直しとあわせて、適宜この費用の問題等についても検討していきたい、そのように私ども提案者としては考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 さまざまな環境を整備して、広くこのネット選挙が公平公正に運用されるように我々も努めてまいることをお約束申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

保岡委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 きょうがこの衆議院の委員会における最終の審議ということでありまして、論点も徐々に深掘りをされてきたと思います。それぞれの答弁者の皆様には心から敬意を表したいと思います。

 今ほどの質疑の中で一点ちょっと気になったことがあって、再確認なんですが、ツイッターで、インターネット上で運動する場合には、メールアドレスの表示的なものが必要だということで、これは連絡をする際に必要な情報が正しく表示されるということでありますけれども、例えばフェイスブックなんかでいいますと、一つ一つの投稿にそれを載せなければいけないのかといえば、基本データというところに基本的な連絡先が入っているケースがあるわけですね。あるいは、本人の名前が表示されているページの中に一つ一つの投稿がある。そうなると、一つ一つの投稿には一々表示しなくてもいいという理解でよろしいですか。

遠山議員 はっきり言うと、今、泉委員がみずからお答えを述べたと私は思っておりますが、そのとおりでございます。

 あくまでも、法の趣旨は、インターネットを利用する方法で、その書き込みをした、選挙運動用の書き込みをした方に連絡がとれるものを表示ということになっております。

 フェイスブック等の場合は、フレームワークとして本人のアイデンティティーがほぼわかるという状態の中で運動ができますので、その場合は、一々、一つ一つの投稿にみずからのメールアドレスをつける必要はないと考えております。

泉委員 ありがとうございます。

 それでは、これまでの議論の中でも出てきたことではありますが、もう一度改めて確認です。要は、主体的な選挙運動云々というところが非常に難しい線引きなんだと思っております。

 まず一つは、秘書。いわゆる秘書というのにもいろいろありまして、公設秘書もあれば、政党の職員という秘書もあれば、あるいは後援会としてお金、給料が払われているという私設秘書もあれば、一概に秘書といっても、さまざまな立場の方が実はいる。そして、選挙の場合における労務者というのは割かしはっきり名簿に登録をされている人なわけなんですが、そうではない、この秘書という立場というのは、ある意味自由な活動が許容されているというのが現状ではないのかなと思います。

 その意味で、秘書というのは、例えば成り済ましの対象になるのかどうなのか。これは、特に、給与を得て候補者のために活動をしている職員というか事務所員という立場でもあると思うわけですが、その秘書が、選挙中に指示された業務として、しかも包括的な指示ですね、このメールを、この文書を送っておいてくれではなくて、選挙対策本部の会議の中でこの候補者を当選させようという方針が決まり、あとは政策資料を渡され、その中で、最善を尽くしてくれという包括的な業務としてさまざまなインターネット対策を行う。そこには、防御もあれば、あるいは攻撃もあれば、そして情報発信もあればということであろうと思いますが、これは、全てできるという解釈でよろしいでしょうか。

遠山議員 泉委員にお答えいたします。

 ちょっと通告が織りまざった形に、総合的な御質問になっていたので、誰が答弁するかで少しもめておりましたけれども、お答えさせていただきます。

 まず、いろいろな形態の秘書のお話を泉委員がされたわけでございますが、つまらない答弁としては、当然、個別具体的なケースは個々に判断せざるを得ないというものが原則としてございます。

 その上で、きょうお答えをできるのは、まずは、事務所の秘書として、通常どおり、日常的に給与が払われている方が、例えば、候補者あるいは政党等に認められている電子メールの利用も含めた選挙運動に携わるということは、これは買収には一般的にはならないというふうに解釈ができるというふうに思っております。

 また、電子メールの送信制限、送信主体者の制限というものが我々の案ではかかっているわけでございますが、候補者と使用関係にある事務所の秘書が、その候補者の指示のもとで、いわば手足として選挙運動用電子メールの送信に必要な作業をしているという場合にも、メール送信主体の制限に違反をしないというふうに考えているわけでございます。

 一方で、労務者とか業者の場合は、前回のこの倫選特の審議でも、るる私、御説明をした記憶がございますけれども、例えば、選挙運動用電子メールを作成するような作業に一定の裁量権を持って、主体的に企画をして、包括的なものも含むと思いますけれども、問題は、主体的に、裁量権を持って選挙運動用電子メールの内容等を企画し、かつ、その文案をつくり、送信をするというような作業を行った場合には、選挙運動性が高い作業でございます。そこに報酬を支払うということは、買収のおそれが高くなってくるという御理解をいただければと思っております。これは、業者とか労務者を念頭に置いた御説明でございます。

泉委員 まさに、きょうは、秘書がどうなのかということと、選挙労務者がどうなのかということと、そして業者がどうなのかということを場合分けして質問しようと思っていたわけですけれども、まさに先生がおっしゃった労務者と業者なんですね。労務者の方は割かし理解しやすいかもしれません。ただ、労務者の中でも、非常に政治的な能力にたけている方があった場合にどんどん裁量がふえていく可能性があって、その線引きが一つ難しいだろうなと思います。

 まず、ちょっと先に聞きたいのは、業者なんですね。

 業者の場合、インターネット選挙が始まれば、いろいろな業者が候補者側にアプローチもしてくるんだと思います。そこには、包括的に我々にはこういう能力があるから、こういう企画力があるから採用してくれという提案もいっぱい来る中で、いろいろなツールを編み出して提案してくる。そこには選挙運動にも似たような提案もあるかもしれませんし、もっとリアルに言うと、参考人で来ていただいた方の中で選挙プランナーという方があって、こういう方が選対の中に入ってインターネット関連の業務をすることが、今の御答弁だとだめになってしまうんじゃないのかなというふうにも思うわけです。

 ここがとても難しいところで、インターネット選挙のスキームだけを、ソフトだとか、何かそういうスキームだけを提案するのであれば業者は使っていいけれども、その中身、戦略、発言のトーン、そういうものを提案する選挙プランナー的なものは、この業者との契約の中でいうとインターネットに関してはだめになってしまうという答弁になってしまわないでしょうか。

遠山議員 業者と選挙運動の関係でございますけれども、これは実は、IT、ネットに限らずでございますけれども、原則論として、公職選挙法の規定というものは、あるいは制限というものは、選挙運動を主体的に行う者に対して報酬を払う場合には、いずれの場合も買収のおそれが高くなるということでございます。ですから、今、泉委員がおっしゃった、参考人で来られた三浦さんのことを指しておられると思いますが、選挙プランニングのプロが選挙事務所に来て、選挙運動の主体者としてその事務所、候補者にかかわっている場合に、そこに報酬を払いますと買収の可能性が高くなるわけでございます。

 一方で、候補者の指示のもとに、裁量権等を持たず、主体的に企画立案も行わず、その指示のもとに、例えばですけれども、選挙運動用電子メールの送信に必要な作業に従事をしただけの場合には、これは大丈夫ということになるわけでございます。

 もちろん、個々の事務所に出入りされてお仕事をされる方々の態様について細かい線引きをこの国会答弁でしていくことはかなり難しい面がありますので、それは実際に問題となった場合に、個別具体的な事情を勘案して総合的に評価をせざるを得ない面がありますけれども、その辺は泉委員も御承知だと思いますので、御理解を賜りたいと思います。

泉委員 私も今質問をしながら、それを答弁で明言するというのは、恐らく現時点では難しいだろうなということは認識をしております。

 確かに、候補者の指示のもとでといっても、きょうの私の質問の中でも、包括的な指示というのがあり得るのかどうかということだと思うんですね。裁量権が全くないというケースがあり得るのかといえば、当然ながら、業務を受けた側としては、報酬をいただいて、かつ、指示なり業務を受ければ、一定の裁量というのは発生せざるを得ない部分はあると思いますので、これは今後、個別具体的な事例を見ていくということであろうと思いますが、論点としてはとても重要なことではないのかなというふうに思っております。

 次の問題に移らせていただきたいと思います。

 前回、私が質問させていただいたテキストバナー広告ということについて、ネット選挙の解禁の中の一つですけれども、きょうは資料を配付させていただいております。

 絵としてのバナー広告の話はよく出るわけですが、もう少し安価で、地域ターゲティングということをした場合には、文書、テキストでのバナー広告というのが活用されるのが実際ではないかというふうに言われております。そのテキストバナー広告、きょう、この資料でも皆さんにお配りをしていますけれども、まず表題があって、そして下にはさらに説明書きがあるわけなんですね。この表題と説明書きのところに候補者名を入れることができるのかどうか、これを改めて確認したいと思います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 本改正案では、政党などにということに限りますけれども、選挙期間中においても、まず選挙運動用の有料インターネット広告は何人も禁止ということにしておりますが、政党などに関しては、選挙期間中、当該政党などの選挙運動用ウエブサイトなりに直接リンクした有料インターネット広告は掲載することができるというふうにしております。

 したがいまして、今、泉議員のお問いは、バナー広告そのものが選挙運動用バナー広告になるのか、それは禁止されていますからね、そうじゃないのか、それに支部長名が入っているとどうなのかというふうな問いだというふうに理解をいたしますが、選挙区支部長名が入っているからといって、それだけで直ちに選挙運動になるのだということは断言はしにくかろうと思いますけれども、あとは、やはりその様態などによって個別具体的に判断されるものだというふうにお答えをさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

泉委員 そこはやはり少し明確にしていかなければいけなくて、今おっしゃっていただいたような文脈からいけば、名前が入ったからイコールだめではないというような解釈だというふうに伺いました。

 候補者名というよりも総支部長名ですね。政党支部の総支部長の名前がこの説明文のところに入っていても、それそのもので、それだけでアウトではないという解釈、改めてそれでよろしいですね。

橋本(岳)議員 はい、そのとおりでございます。

泉委員 もう一点、我々が持っている一つ一つのホームページが、これが政治家のホームページなのか政党のホームページなのかという話は前回もさせていただいて、何を変えればよいのかとかどんな要件なのかというときには、それは、政党支部からこのホームページの構築費用が出ているかどうかですとか、そういったことも判断の一つになるというお話でありました。

 ここは、候補者ホームページから政党ホームページへのリニューアルということが恐らく一般的になると思いますので、その場合には、何らか、どういう要件を満たせば政党ホームページになります、政党支部ホームページになりますということを、ぜひこの線引きのガイドラインみたいなものをこの法案が成立した後におつくりいただけないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 確かに、そこのところ、現時点で支部長のサイトというのと支部のサイトというのが区別をされているようなページがあるのかなというと、余りそういう例がないようにも思われるところでございますし、ある意味で、それをはっきりさせるというようなことはあり得べきことでもあろうとも思います。

 ただ、やはり、今、現時点では、個別具体的な事例に即してというふうにお答えをせざるを得ないところでございまして、やはり、以前お答えをしたとおり、ウエブサイトの維持管理費用の負担主体でありますとか、当該ウエブサイト等に記載された事項の内容などによって判断をされるということ。逆に言えば、そういうものの中で、これは政党支部のサイトだというふうに判断できるようなものをきちんとおつくりいただくのがよろしかろうというふうには思っておりますし、また、議論の中でそうしたことを積み重ねていきたいというふうに考えております。

泉委員 ぜひ、我が党は、例えば、こういったインターネット選挙解禁ということで、かなりいろいろな事例が出てきますので、あらかじめ選管に対して質問をして、文書で回答いただけるような仕組みというものも考えられないかということも提案はしてきているわけですけれども、やはり、できる限りわかりやすくということは、いずれにせよ必要だというふうに思っておりますので、我々、党を超えて、判断に迷うことがないようにしていきたいというふうに思っております。

 続いてですけれども、余りないんじゃないかというケースでありますが、一応あり得ることとして、今も時々、選挙中の地方選挙に関して、国会議員さんなんかが過ってその方を応援するメールを皆さんに配信したりとか、こういうケースはあるわけですね。

 今後、ネット選挙が解禁をしたときに、例えば、私が同僚の他の選挙区の候補者の方を応援するようなメッセージを送ってよいかどうか、あるいは、これは党幹部なんかでもそういうことがあり得る可能性はあると思うんですね。

 そういう他の選挙区の候補者仲間を応援するというようなメールが配信なりできるかどうか、候補者として配信できるかどうか、これをぜひ確認したいと思います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 私どもの案では、選挙運動用電子メールを送ることができる送信主体として、候補者及び政党などに限るということにしておりますので、要するに、例えば衆議院選挙の場合に、ある選挙区に立候補している候補者が別の選挙区に立候補している候補者の応援をするということが、候補者になるのか第三者になるのか、そういう問いであろうというふうに理解をいたしておりますが、私どもの案で、候補者が、候補者として選挙運動用電子メールを送信することができるのは、みずからの当選を目的とする選挙運動である場合に限るということにしております。

 したがいまして、ほかの選挙区の候補者を応援するために別の選挙区の候補者が選挙運動用電子メールを送信することは、これは応援された人の選挙区の選挙からすると、仮に別の選挙区で立候補されている方であっても第三者であるという評価になりますので、これはできないというふうに御理解をいただきたいと思います。

田嶋議員 私どもは、熟議の民主主義、もう精いっぱい広げたいという思いでございますので、今御指摘のような差を設けることなく、誰でも出せるというふうに考えてございます。

泉委員 もう一つ、これもレアケースかもしれませんが、政党ですとか団体が一手に、いわゆる党の支持者からメールアドレスを収集し、そしてそれを各選挙区の候補者に還元する、こういう仕組みが可能かどうかなんですね。

 政党がメールアドレスを集め、例えば全国の党員、サポーターの皆さん、メールアドレスをくださいと政党が集め、例えば京都三区はあなたのエリアですから、あなたにこれをお渡しします、あとはこれでやりとりしてください、そういうようなことが可能なのかどうなのかということについて、お伺いしたいと思います。

橋本(岳)議員 私どもの案においてというか、これは民主党さん、みんなの党さん提案の案でも、みずから通知した者に対してという条件がかかっているということでは同じでございますが、選挙運動用電子メールの送信先要件の一つである電子メールアドレスをみずから通知した者というのを満たすには、候補者が電子メールを送信する場合には、受信者からその送信主体となる候補者に対して電子メールアドレスの通知が行われる必要があるということでございます。

 御指摘のような電子メールアドレスの収集が、どのような時期だとか、どのような目的だとか、どのような態様で行われるかということになりますので、一概に申し上げにくいところはございますが、一般論で申し上げれば、電子メールの受信者である有権者から送信者である特定の候補者に対して電子メールアドレスをみずから通知した、この候補者に対して私のメールアドレスを通知したと一般有権者の方がきちんと評価できるということが必要でございます。

 単に、全国の有権者の皆さん、メールアドレスを教えてください、今、先ほどそういう例を挙げられましたけれども、そういう形でメールアドレスを集めて、あと、来たもので候補者の方に政党が割り振るみたいな形ですと、受信者である、あるいはメールアドレスを教えた人が特定の候補者の人に教えたというふうにはなかなか認めにくいのではないかなというふうに考えております。

遠山議員 端的に補足をさせていただきます。

 政党がまずメールアドレスを集めた際に、そのメールアドレスを提供する方々が選挙運動用メールを受け取るという目的に同意をしている場合が考えられます。その政党が集めたものを、では、ある程度地域割りごとに、あなたの候補者の事務所でそのメールアドレスを使って送っていいですよと割り振る、これはあり得るお話でございます。

 そこで大事なことは、今、橋本議員からお答えがありましたように、その同意というものがどこまでの同意なのかというのが、なかなか間接的なのでわからないわけですね。

 そこで、私どもとしては、そういう形でメールアドレスを入手すること自体は違法でございません。ですから、入手していいんです。問題は、入手した際に、そのメールアドレスを持つ方々に、選挙期間中に選挙運動用メールを送っていいかどうかという事前の同意を得る目的でのメールを送って同意を得さえすれば、セーフティーネットとしては今の条件をクリアできるのではないかと私は考えておりまして、そういう形であれば選挙運動に利用することはできる、このように考えております。

泉委員 ありがとうございました。

 まだまだ残余の質問はございますけれども、他の委員にお譲りをし、そして皆様に心から敬意を表し、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

保岡委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 審議も終局に近づきまして、これまでこの委員会でもかなりやりとりされておりますので、私からは、これまでの審議を踏まえましてさらに詳しく、実務上の点も踏まえまして細かい点も含めてお伺いしたいと思います。

 まず第一に、電子メールの定義についてでございます。

 先ほども少しお話がございました。今回規制される電子メールというものと、審議の中では規制対象外というお話でございましたが、フェイスブックのメッセージといったものに関しましての違いについて少しお伺いしたいんです。

 といいますのは、前回の答弁でも、いわゆる迷惑メール防止法の規定に準拠しまして、SMS、ショートメールサービスと、プロトコルの一つであるSMTPの形式を利用した電子メールが今回規制の対象という形になっておりますけれども、いわゆる、技術的な話になりますが、第五層から第七層のセッション層やプレゼンテーション層、アプリケーション層といった意味でのプロトコル形式で規制対象内外を分けるということができるという認識でよいのかというのをお伺いしたいんですね。

 というのは、つまり、フェイスブックメッセージをお使いになっていらっしゃると思うのでわかると思うんですけれども、現在は、ユーザー名@facebook・comで、外部からメールが来たり、外部に送ることができる状態にございます。また、一方で、フェイスブックメッセージ自体が果たして本当にSMTP形式を内部で使っているのかどうかというのも現在わからない状態でございますので、もしフェイスブックがこれを内部で使っていた場合、この法に照らせば違法になってしまいますよね。

 そのときに、現在の審議では、その内容に対して正確に論拠しないままフェイスブックメッセージが要は適法であるかのような御答弁でありますので、もしその場合には、かなりまずい状況に、違法なことをされる第三者の方なり候補者がいるということになるんじゃないかなという形を考えておりまして、そういった意味で、少し技術的で難しい話にもなるかもしれませんが、この点、少し明確にしていただきたいと思います。

 本件の詳細についてお答えください。

浦野議員 電子メールとSNSの違いということですけれども、これは、今御指摘のように、電子メールは、特定電子メール法の定義、いわゆるSMTP方式または電話番号方式を使用した電気通信としております。御指摘のとおり、プロトコル形式等で区別をされております。

 一方、SNSのユーザー間でやりとりするメッセージ機能は、そのSMTP方式は用いておりません。また、大量の広告宣伝メールが送信されるなどの問題は現時点においては顕在化されていないので、特定電子メール法の電子メールに含まれないものという立場をとっております。

 また、フェイスブックのこと、今、先ほどありましたけれども、要は、フェイスブック内でやりとりしている部分に関しては電子メールには当たらないけれども、外部からSMTP方式において送信する、これはもちろん可能でありますので、その場合は電子メールに該当するということであります。

 技術上の機密もあって、フェイスブックの方からはその辺の技術的な公開はされておりませんので、そこは、どういうふうな形式を内部で使っているかというのは、現在はちょっとわからない状態です。

奥野(総)議員 委員御指摘のとおり、混然一体として、なかなかわからないんですね。中で使われているかどうか、SMTPが使われているかどうかは確かに定かではないんですが、わかりやすい例として、転送機能があるんですね。私なんかも使っているんですが、お友達から書き込みがありました、メールが来ていますということがあると、転送されて、私のメールアドレスにその中身が伝わってくるわけですね。それに対して返信をすることができます。そのやりとりは、転送の間、その返信もSMTP、電子メールで行われるわけです。

 ところが、使っている側は、フェイスブックの中にいるという認識で恐らく使ってしまう場合もあると思うんですね。その方法で、例えばお友達に対して、今度何とかというやつが出るからぜひ一票よろしくということを送ってしまう場合だってあると思うんですね。

 我々の法案であれば、第三者の、一般有権者の選挙運動は、電子メールの通知、相手方へみずから通知してきている場合はオーケーなんですね。これは個々の事例に照らさないとわかりませんけれども、フェイスブックの中でお友達の承認行為をしているということで、恐らくそれが通知に当たると解せると思うんですけれども。我々の案で行くと、それをやっても恐らく大丈夫だ、返信をしても、SMTPで送っても、違法には問われない。

 一方、自公維案だと、そこはSMTPを使った電子メール、第三者の選挙運動ということで問題が生じるんじゃないかと。

 私はできるだけわかりやすくやった方がいいと思うんですね。技術の進歩で、本当に混然一体としてきていますから、こうした形で、電子メールだけ今回認めないというのは、私はおかしな結果を招くというふうに思います。

 以上であります。

丸山委員 ありがとうございます。

 いずれにしましても、ここの答弁では時間が足りませんし、細かい話になってしまいますので、いずれの案にしても、恐らくこの後、法案がもし通過した場合には、細かい論点の、ガイドラインみたいなものをおつくりになると思いますので、きちんと、例えばフェイスブックがいいというイメージで流布してしまうと、要は、思わぬ落とし穴があったりする可能性がありますので、細かい点も含めまして、わかりやすいガイドラインをおつくりいただけますようお願いいたします。

 次に、二点目に関しましては、先ほど伊藤委員から御指摘もございましたので、少し割愛させていただきます。

 通告に関しましては三点目でございますが、お伺いします。

 メールの拒否、同意の確認頻度の詳細についてでございます。

 これも少し技術的で、特に実務的と申しますか、かなり細かい話になるんですが、もう大まかな話は過去の委員の先生から御指摘があったことでありますので、細かい点につきまして少しお伺いしたいと思います。

 例えば、公職の候補者及び政党等において、送信者側のアドレス自体を変更した場合に関しまして、メールの拒否や同意の確認が必要なのかどうか。例えば、受信者側の方がアドレスが変わった場合、もしくは同一人物の方も、今ではメールアドレスを複数お持ちの方もいらっしゃると思うんですけれども、そういった場合に、ほかのアドレス、一度確認をとった同じ方ですけれども違うアドレスに送る場合には確認が必要なのか。公職の候補者が政党を異動したり離党される場合もあると思うんですけれども、そういった政治的環境が人ベースで変わった場合に、どのように理解すればいいのか。現時点で想定されているもので構いませんので、人ベースの点を一つ、お伺いしたいということ。

 もう一つ。政党等から送る場合のお話でございます。

 政党等から送る場合に、例えば政党名や政党支部の支部長がかわった場合に、支部から送るということもあり得ると思うんですけれども、支部長がかわった場合どうなのか。また、ある支部の候補者が、そのメアドを他の候補者と同じメール内でジョイントといいますか、例えば、A選挙区で出た候補者が、隣のB選挙区の候補者もお願いいたしますという形で一緒に送った場合どうなるのか。また、ある政党が、例えば一緒に連立を組んでいるような政党や一緒に組もうとしている政党についてもジョイントで共有して利用するというような形をとった場合はどうなるのか。

 人ベースと政党ベースでの、このあたりのメール拒否、同意の確認頻度の詳細につきまして、現段階で自公維の提出の提案者から御説明をいただきたいと思います。

浦野議員 非常にたくさんの質問がありましたので、まとめて、ちょっと答弁させていただきたいと思います。間違えるといけませんので若干棒読みになりますけれども、よろしくお願いします。

 選挙運動用電子メールの送信に当たっては、電子メールの受信者から、選挙運動用電子メール送信者である特定の候補者や政党等に対しみずから通知した電子メールアドレスに限って送信することができますけれども、その電子メールアドレスの通知を受けた同一の候補者や政党等が、通知された電子メールアドレス宛てに選挙運動用電子メールを送信する限りでは、再度の確認は不要です。

 したがって、候補者について言えば、送信元の電子メールアドレスや党籍が変わった場合でも、同一の候補者である限り再度の確認は必要ではありません。

 同様に、同一政党等内の支部間で送信先の電子メールアドレスを共有することは可能です。また、政党等や政党支部長がかわった場合でも、当該政党等が同一性を保っている限り再度の確認は必要ではありません。

 一方、特定の候補者や政党等が通知を受けた送信先電子メールアドレスを他の候補者や政党等とジョイントなどにより共有することは、他の候補者や政党等については、通知を受けた電子メールアドレスとは言えないことから、認められないということです。

 また、受信者側の電子メールアドレスが変わった場合や同一人物の別の電子メールアドレスに送信する場合は、改めてそれぞれの電子メールアドレスについて通知を受ける必要があります。

 この場合でも、受信者が送信者に対して電子メールアドレスをみずから通知したという評価ができる場合でなければならないということです。

丸山委員 細かい点までお答えいただき、ありがとうございます。

 いずれにしましても、恐らく皆さん、選挙をされるときに、こういった細かい点が本当に違法にならないのか、適法なのかというところは、細かいところが気になってきますので、先ほど申し上げました細かいガイドラインに関しましても、こういった点に関しましても入れ込んでいただけると大変助かりますので、よろしくお願いいたします。

 またメール拒否、同意の頻度の話なんですけれども、一方で、受信の同意を求めるときの手続に関しましても、少し細かい点でございますが、お伺いしたく存じます。

 先日の小宮山委員が質疑されたときのやりとりの中で遠山議員が御答弁された内容で、ホームページ上に一定のフォームをつくって、そこにただし書きの形で、メールアドレスを集めるときに、選挙運動用にも使用するという旨を書けば、それは政治活動中も、選挙にかわっても、選挙活動でも使えるというお話でございました。

 例えば、名刺をいただいたとかそういった形で、そういう手続まで踏んでいない、メールアドレスを通常の形で、事前にただし書きという形で得ていない場合に関しまして、その拒否の場合に、ここに返信してくださいだとか、一文といいますか、いわゆる迷惑メール防止法で、特定電子メール等を送るときに、拒否する場合にはどこどこに送ってくださいというのが必ず書かれていると思うんですけれども、そういった記載を毎メールマガジンごとに、もしくは選挙活動中に送ったメールごとに書く必要があるのかどうか、その点に関しまして少しお伺いしたい。

 また、そういった手続の関係でもう一つなんですけれども、先ほど申し上げた、政治活動用にいわゆるメールマガジンという形で電子メールを毎回送付している状況におきまして、そこからいきなり選挙戦にあるときに突入することになると思うんですけれども、選挙戦に突入したときにいわゆる政治活動用メールから選挙運動用メールに切りかわることになると思うんですけれども、その段階には、また送信しないように求める通知をしなかった者に対してのみ送信できるというお答えがあったんです。

 そうしたものに関して、具体的にどういった、先ほどの質問に関連してなんですけれども、メール文に書く必要があるのか、それとも、例えば口頭でもよいのか。残さなければいけないということなんですけれども、口頭で許可を得たというふうに書いてもよいのかとか、メール上に書く必要があるのかとか、ある程度具体性がないと、何となく、自分が選挙戦に突入するとき、皆様が選挙戦に突入するときにイメージがつきにくいところがあると思うんですけれども、この同意や拒否の確認において、具体的にどのような手続をイメージされて法案を提出されているのか、そのあたりに関しましてお答えください。

遠山議員 丸山委員の御質問はかなり複雑な構成の御質問で、いろいろな要素が入っておりましたので、どこまで全て正確に御答弁できるか自信がありませんが、先日も議論になりましたけれども、大事な原則としては、私ども候補者や政党が選挙期間中に選挙運動用メールを送れる対象としては、先方が先方のメールアドレスをみずから通知したと評価できる態様であれば、基本的に送っていいわけでございます。

 ですから、それが口頭であっても、これは、私のところに選挙期間中あなたの選挙運動用メールを送っていいですよといって紙に書いたり、後援会の申込書に書いたり、あるいは名刺を渡しながらそういうことをする。口頭でメールアドレスを言ってそれをすぐ暗記していく人というのは余りいないと思いますから、何らかの形で、やはりメールアドレスを書いたり、書いてあるものを渡したりすると思うんですね。そこにみずから通知したと外から認定され得る態様で渡していれば、まず基本的に問題はないんです。

 ただし、後で、いや、私は、僕はあなたにメールを送っていいなんて一言も言っていないよということを言ってきてトラブルになる可能性というのは、口頭のみのやりとりでは問題が生じやすいので、ですから、私どもとしては、罰則は設けておりませんけれども、その送信に対して同意をしたあるいは拒否をしたという記録は保存をいたしましょうということにしているわけでございます。

 その上で、先ほどありました、ホームページ上にフォームをつくって、日常的な政治活動のメルマガにメールアドレスを登録してくださる際に、ただし書きとして、ここのメルマガに登録をした方々については、選挙期間中に私の選挙運動用メールを送ることを了承してくださいということを書いて登録していただいた場合には、そこで同意を得たとみなすことができるわけでございますが、これは選挙運動用電子メールを送る我々のマナーとして、常に、受け取っている方々が送信を拒否したいというふうに思った場合にどこに返信をして拒否をすればとめることができるかということは、私どもとしてはきちんとしなければならない、こういうふうに思っております。

 なお、先生の認識としてちょっと気になったところが一点ございまして、政治活動用メールが、選挙運動になったから全て選挙運動用メールに切りかわる必要はございません。政治活動用メールというのは実は今でも選挙期間中に禁止されておりませんので、そこは政治活動用メールを継続しながら選挙運動用メールを選挙期間中に新たに立ち上げて送るということも可能であるということを御理解いただきたいと思います。

丸山委員 わかりやすい御答弁、ありがとうございます。

 最後に、時間も迫ってまいりますので、政見放送のウエブ上へのアップロードについてお伺いしたいと思います。

 前回の委員会の質疑で、奥野総一郎議員の答弁で、政見放送そのものを録画してアップすることが著作権者の隣接権の問題があってできないという御答弁がございました。政見放送が、著作権法第四十条の定める公開して行われた政治上の演説または陳述という形で、いずれかの方法によるかを問わず利用することができるという認識にも当たるのではないかと思うんですけれども、このあたりに関しての解釈につきまして、政府参考人にお伺いしたいということ。

 続けまして、もし著作権があるという場合には、その著作権者が選管、選挙管理委員会なのか。

 というのは、実は、前回、第十六回の統一地方選の折に、東京都の選管が、投票期間中に、アメーバビジョンというサイトとユーチューブという動画サイトにアップロードされていた都知事選の政見放送の削除を両動画共有サイトに対し依頼したということがございます。この依頼に関しまして、それが文書図画の頒布に当たるということで削除依頼したのか、それとも著作権の問題で削除依頼したのかという件に関しまして、政府参考人の御答弁を求めます。

作花政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、政見放送につきましての著作権法上の問題でございますが、候補者の方の演説につきましては、通常の場合、著作性があると認められると思いますので、そこに著作権がまず発生します。それから、その演説を放送した場合、放送事業者に、その著作権とは別に著作隣接権という排他的な権利が発生するということがございます。

 その上で、先ほど先生が御指摘されましたように、著作権法第四十条第一項におきまして、公開された政治上の演説につきましては、いずれかの方法によるかを問わず、著作権者の許諾を得ることなく利用することができる、これは著作権の制限規定と言われているものでございますが、そういった規定がございます。したがいまして、その候補者が有している著作権に関しましては著作権法第四十条一項で制限されますので、その利用は自由であるということは御指摘のとおりだと思います。

 しかしながら、別途発生しています放送事業者の著作隣接権につきましては、この隣接権につきましても著作権と同様に幾つかの制限規定というものがあるわけでございますが、ただ、今問題になっています政見放送を録音、録画してアップロードするということにつきまして、特に著作隣接権者の権利は制限されていない。

 したがいまして、結論としましては、著作権者の許諾を得る必要はございませんけれども、著作隣接権者である放送事業者の複製権の許諾というものは得る必要があると思います。したがいまして、その政見放送を候補者の方が後日録音、録画して何らかの形で利用したい、そういう御希望がある場合には、その放送局に出演した際に、放送事業者からその旨の許諾を得ることが大切かと思います。

 以上でございます。

米田政府参考人 御質問の都選管の削除要請についてでございますが、私ども、都選管からその理由について伺いましたところ、著作権上の問題というよりは、特定の候補者の政見放送のみがサイトに掲載されているということは、他の候補者との公平性が保てず不適切と判断したためというふうに聞いたところでございます。

丸山委員 質疑時間が終わりますので終わりにいたしますけれども、いずれにしろ、この問題も有権者にとってみれば、ネット選挙解禁ということで、政見放送もホームページ上に上げてしまうとか、また動画サイトに上げやすい環境によりなってきますし、心の部分でもなりやすくなってくると思いますので、そういった意味で、公選法上の問題があるのかどうかという点を最後お伺いして終わりにしたいんですが、著作権法上の問題があるということでございますので、そういった喚起も含めまして周知いただきますようお願いいたします。

 最後に御答弁いただきまして、私の質問を終わります。

遠山議員 大変大事な御質問ありがとうございます。

 ちょっと時間がもうないようでございますので、簡潔に申し上げます。

 NHKとかテレビの民放放送で流れた政見放送を、いろいろなところに勝手に、著作隣接権者とかの同意を得ずにアップしようとするから先ほど来の問題になるわけで、ネットで、ウエブサイトで選挙運動を解禁すれば、例えば政見放送と全く同じせりふの内容を自分の事務所でビデオに撮って、それをネットに置くことは全く自由でございます。ですから、別に政見放送にこだわる必要はないということです。

 それから、もう一つ申し上げます。

 ネットメディア事業者は、法律上、放送事業者に当たりません。よって、放送法第四条の政治的に公正中立を求められておりません。よって、ネットメディアに特定の候補者や政党の代表者が出て、自分たちの宣伝をする、大いに自由にやっていただいて構わない。ネット事業者は放送事業者ではありませんので、放送法で求められる政治的中立性の義務がかかっておりません。それも今回の改正案が通れば解禁になるわけでございまして、今までの制限がかかっていないということの中で、いろいろと戦略をそれぞれ考えていただけるということになりますので、よろしくお願いいたします。

奥野(総)議員 私の名前が出ましたので。

 そのときの趣旨は今と同じでありまして、自分で撮った動画をアップロードすることは可能であります。また、政見放送、放送事業者に渡す前の動画ですね、同じものを著作権者である候補者がアップすることも可能であります。どんどん使えますので、ぜひ御活用ください。

丸山委員 ありがとうございます。もう終わります。

 時間がもう終わりますので、一言だけ。要は、有権者が気をつけるべきことという形で喚起していただけたら、我々は、我々でできることはわかっておりますので、その点、お願いいたしますということでございます。

 ありがとうございました。

保岡委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 みんなの党、信州長野の井出庸生です。よろしくお願いをいたします。

 これまで、きょう、四回目の議論ということになりますが、今回のネット選挙、公職選挙法の改正は、インターネットの選挙の解禁である、規制ではない、そういう大原則に沿って、今までいろいろな質問をしてまいりました。きょうは、その大原則をしっかりと踏まえつつ、この法改正後の、これから先の話について少し質問をしてまいります。

 まず、今法改正、改正法案が成立をした後、参議院選挙から実施をしていくという流れになっておりますが、まず総務省の方に伺いたいのですが、参議院選挙、今、七月の二十一日投開票とも言われております。法改正、成立した後に、法案の内容を周知していく時間的な余裕、そのスケジュール感についてお考えをお聞かせください。

米田政府参考人 総務省におきましては、法案成立後は、解禁された事項それから留意すべき事項等について、速やかに周知を行う必要があるというふうに認識しております。

 周知、広報、啓発に当たりまして、すぐにできるもの、それからある程度準備作業が必要なもの、いろいろあると存じます。まず、すぐにできますのは、総務省のホームページ、改正内容の掲載を行うといったこと、それから、そのほかの各種の媒体を使いました啓発を実施するということになります。それから、政府広報等を活用するという形もございます。都道府県の選管のホームページといったところも広報媒体としてあろうかと存じます。そのほかに、新聞、それから、今回、プロバイダーの方もかなり大きな関心を寄せておられますので、そういうところに対しまして特集記事の掲載等々を依頼し、できるだけ幅広い形での広報をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、改正法が適用される選挙の公示日までに、候補者、政党等にだけではございません、有権者にもこの制度改正の内容を十分に理解していただけるように、きめ細かな普及啓発を行ってまいりたいと考えております。

井出委員 かなりさまざまな具体例をお示しいただきました。今、最後に選挙部長がおっしゃられましたが、まず、周知に当たっては有権者を第一にということで、そこのところは強くお願いをしたいと思います。

 次に、これまでの議論の中で、やはりメールの扱い、第三者の選挙運動用メールの扱いについて議論をしてきましたが、先ほど答弁でも出てまいりましたが、現在の状態でも、第三者、一般有権者が政治活動をするメールは、今でも認められている。そのことをここではっきりと総務省としても周知する必要があると思うのですが、選挙部長、いかがでしょうか。

米田政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、今回のこの法律におきまして解禁された事項、それから、さらに留意すべき事項、依然として制限のかかっている事項、さまざまあると思います。そのあたりを有権者にできるだけわかりやすく周知啓発をする必要があると考えております。

 その一環といたしまして、今御質問のメールにつきましても、どこがこれまでも許されているのか、今回の改正法案でどの点が解禁されたのかといったことをわかりやすく周知してまいりたいというふうに考えております。

遠山議員 若干ちょっとわかりにくい御答弁だったので、私から補足で申し上げます。

 政治活動用メールは、これは今でも選挙期間中も含めて利用できるわけです。では、選挙運動用メールと政治活動用メールの違いは何かというところを国民の皆様に正しく御理解していただくことが大事でございまして、いわゆる特定の候補者やあるいは政党の得票をふやそうとする目的で書かれた内容がメールに含まれている場合は、選挙運動用メールとみなされる可能性が高いということでございます。

 ですから、わかりやすく言えば、何々候補に一票をとか、この政党を勝たせてください、勝たせましょう、そういうような内容のメールを送れば、それは選挙運動用メールに当たるわけでございますけれども、例えば、政党Aと政党Bの社会保障政策について比較をするような、そして自分はこっちの政党の言っていることが正しいと思うというような程度の内容のメールであれば政治活動用メールとみなされる可能性が高いと私は思いますので、そっちはオーケーなわけです。

 ですから、あくまでも、特定の候補者を当選せしめるために、あるいは落選させるために送るような内容のメールというものが現行法では禁じられているわけでございまして、そういったところの御理解をいただければいいわけでございますから、そういったことも含めて、幅広く周知の努力を政治側もしていかなければならない、このように考えております。

井出委員 今補足でいただいた答弁が、私がまさにこれからお伺いしようと思っていたところなんです。政治活動のメールと選挙運動用メールの違い。選挙運動用メールをわかりやすく定義しなければいけない。先ほど、わかりやすく周知していくということは選挙部長の方からもお話があったので、ぜひここをお伺いしたいんです。

 今の御答弁の中で、選挙運動用のメール、特定の候補者、政党の得票をふやそうとする目的、そういったメールが選挙運動用メールと言えるのではないかというお話がありましたが、まず、もう一方の、民主、みんなの提案者の方にも、選挙運動用メールの定義について特に差異がないか、ちょっと確認で伺いたいんです。

井坂議員 選挙運動用メールの定義については、同じ認識であります。差異はありません。

井出委員 やはり同じ質問を総務省選挙部長に見解をどうしてもお伺いしたいんですが、お願いいたします。

米田政府参考人 選挙運動用かどうかという点につきましては、これまでも種々議論に出ておりました。あくまでも、特定の選挙において、特定の候補者の当選を得さしめるための活動かどうかという点にかかるということでございます。

 その点、これを載せたからどうこうというのはなかなか一概には言えないわけでございますけれども、できるだけわかりやすく表示をするということが大切だと思っております。

井出委員 できるだけわかりやすくお願いをいたします。

 そして、法改正の内容、インターネットを解禁していくということで、周知広報に当たっては、特にインターネット分野での周知広報は必ずやらなければいけない、不可欠だと考えております。

 米田選挙部長も、先ほど御答弁の中で、すぐできるものとしてホームページがありますというお話をいただきました。ですから、この質問、先にお答えをいただいたので答弁は求めませんが、私たち選挙にかかわっている者としては細かいところをきっちりと法令の確認をいたしますが、やはりそれが広く有権者になってくれば、インターネットでまず検索をしてみよう、そういったところが本当に今多くなってきていると思います。

 ですから、今、選挙運動のQアンドAみたいなことを検索すると、例えば東京都の選挙管理委員会のQアンドAですとか、結構都道府県の選管のホームページが検索でひっかかってくることはあるんですが、ぜひその先頭に、総務省が新たにつくっていただけるページが来るように頑張っていただきたいとお願いを申し上げます。

 次に、参議院選挙に向けた周知ということで今伺ってきましたが、今度は、一度これで参議院選挙でやってみる、その後にまたさらなる検討を加えていかなければいけないと思っております。

 これは両提案者に伺いたいんですが、参議院選挙において両提案者の法案を実施する、そのときの検証すべきポイント、また検証を担っていくのは誰がやっていくのかというところをまずお聞かせください。お願いいたします。

遠山議員 井出委員にお答えいたします。

 きょうの質疑が終わった後に採決という運びになっているやに聞いておりますので、それを受けないと正確に話せない部分もございますが、私どもの改正案におきましても、検討条項をつけております。

 どういうポイントについて検証するかといいますと、第三者による、いわゆる一般の有権者の皆様による選挙運動用電子メールを使っていただくそのあり方について検討する。これは自公維案においては解禁しておりませんので、民主党、みんなの党の案では全面解禁となっているわけですから、そこの相違点がございますけれども、それについて検証をしましょうと。また、その他のインターネット等による選挙運動のあり方についても引き続き協議をする必要性があると私どもは考えております。

 この検証の担い手でございますけれども、ここが倫選特でございますので、倫選特というこの衆議院の、立法府の中の委員会で議論をしていただくことはもちろんのこと、井出委員も御承知のとおり、各党の合意により、現在、インターネット選挙運動解禁に関する各党協議会が設置をされているわけでございます。その場におきまして、次の参議院選挙でこのインターネット選挙運動が解禁された場合は、その検証をこの各党協議会でもやっていきたい、このように思っております。

 なお、具体的にどういう項目を検討するかということは、選挙が終わった後に決まっていくんだと思いますが、例えば、考えられ得るものとしては、誹謗中傷、成り済まし行為がどの程度行われたか、あるいは送信先規制違反の発生の状況、また、選挙運動用電子メールを候補者や政党等が送るわけでございますが、その受信者である一般の有権者の方々がどういう負担をそれについて感じられたかなどの点について、いろいろと検証していかなければならないと現時点では考えております。

 以上でございます。

井坂議員 参院選の検証のポイントということで、大きく二つあると思います。

 一つは、私どもの案は一般有権者のメール送信を解禁するという案でありますから、この委員会でもいろいろと御懸念が出た点について、選挙の公正を著しく害するような事態が本当に生じたのかどうかというのは事後の検証の一つのポイントだと思っております。

 検証の二つ目のポイントは、周知徹底が本当にどこまでできたのか、現場にかえって無用の混乱が生じなかったのかということも事後に検証すべきポイントだと考えております。

 メールの解禁がなされないと、本日も議論があったように、例えばフェイスブックメッセージはいいけれどもメールはだめだ、ではスマホに送られてきたフェイスブック転送メールに返信する形でのフェイスブックメッセージ返信はどうなのかとか、あるいは政治活動メールはいいけれども選挙運動メールはだめだ、では委員おっしゃったような選挙運動メールというのは一体具体的にどこまでの範疇なんだとか、あるいは政党、候補者のメールはいいけれども一般有権者のメールはだめだ、では、隣の選挙区の候補者の発信したメールはどうなのかとか。

 これは、メールだけを分けて考えると、非常に、伝えなければいけないところが、逆に周知するべき内容がたくさん出てきて、現場に混乱が出てくる可能性があるというふうに考えております。こういった周知徹底が本当にできたのか。そして、現場、特に一般有権者の側に無用の混乱が生じなかったのかということは、事後の検証の対象だというふうに思っております。

 検証の担い手については、一つは本委員会、もう一つはインターネット選挙運動解禁に関する各党協議会というところで事後の検証をしていくべきだと考えております。

 以上です。

    〔委員長退席、平沢委員長代理着席〕

井出委員 それともう一つ、今後、これからインターネットの技術革新がさらに進んでいくと、今回、メールとウエブというくくりで、両法案、両提案がなされましたが、そういった枠にとらわれないような新しいサービスも出てくる可能性がある。そこの対応をお伺いしようかと思ったんですが、今、これまでの御答弁でさまざまな検討課題としていただいたと思いますので、次に進ませていただきたいと思います。

 最後に、両提案者にお伺いしたいのは、やはりこの法案は、インターネットの解禁である、規制ではないと。そのときに、前回、田嶋議員の方から、両案は、方向性は一緒なんだと。しかし、自公維案は、ゴールにいつまでたってもたどり着けないんじゃないか、そういうことをがつんと申し上げられて、恐らくそれは、まずそのとき私は橋本議員の表情をちょっと注視させていただいたんですが、御意見、御反論があるかと思いますので、そこを伺いたいと思います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 井出議員と累次にわたり質疑をいただき、ありがとうございます。また、その中で、解禁法案という認識を共有していただけたのは、僕としては本当にうれしいことだなと思っておりますが、その上で、田嶋議員からの御指摘がありました。そのことにつきまして、方向性は一緒ということも同時に答えていただいておりますので、私はそれでありがたいことだなというふうに思っております。

 ただ、その上で、一〇〇%たどり着かないかもしれない、もちろん検討して、そして適切なことをするというような附則になっておりますので、可能性がゼロか一〇〇かといえば、それは一〇〇ではない、一〇〇かもしれない、どっちだ、こんがらがっておりますけれども。たどり着かない可能性があるかないかといえば、それは検討するわけですし、先ほど来、こういう検討項目をしなければという御答弁が両議員からありましたが、その検討をした結果として、やはりいろいろな混乱が起こってしまったねとか、選挙の公正を害することが起こってしまったねということは、ないことを祈っていますけれども、やはり、仮にあった場合というのは考えなければいけない。

 それこそ、選挙の公正を害する行為があったね、では直そうというと、当然ながら、その公正を害されてしまったときの、その選挙区の有権者の票はどうなるのか。あるいは、そこで当選された人はどうなるのか。そうしたことを考えなきゃいけないわけでございまして、できるだけ、やはりその選挙の公正を害するようなことは、リスクを減らしていくということも同時に考えなければならないというふうに思っております。

 そういうことで、私どものような、段階的に規制を緩和して、解禁の方向にしていこうと。ただ、第三者の電子メール利用については検討課題として残しておこう。そういうことにしたということで、御理解をいただければと思っております。

 以上でございます。

井坂議員 一つの目指しているゴールは、メールまでしっかり解禁したいということでありますが、私、この委員会、本当に答弁者として大変よい経験をさせていただきました。本当に自由闊達な議論の中で、我々も気づかない観点からの鋭い突っ込みなどがあって、両案ともにやはりいろいろ考えさせられるところがあって、やはり、インターネット選挙の解禁によって、本当にこういう自由闊達な議論が起こり、日本の政治風土が最終的には変わっていくというところが究極的な目指すところではないかと考えております。

田嶋議員 名前が出ましたので。田嶋要でございます。

 申し上げたとおりでございまして、やはりベクトルが一緒ということは大変心強い。しかし、最終はどこに行くかといったら、全部解禁なんです、これは。もう世界じゅうがそうなっているんです。日本だけできないということがおかしいのでありまして、そこはもう、最後は確実に全面解禁ということが達成されなければいけない、そういう思いで申し上げさせていただきました。よろしくお願いします。

井出委員 もう私が申し上げることは全て両提案者から申し上げていただいたと思います。さらなる政治参加、選挙参加が促されることを今後期待しまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

平沢委員長代理 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 いよいよ大詰めということでございます。きょうは基礎的なことを確認しておきたいと思います。

 ネット選挙運動を解禁するという場合、誰に対して解禁するか、これが重要であります。当然、国民に対して解禁するということだと思うんですね。

 では、国民とは何か。憲法第十五条には、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」という規定がございます。この憲法十五条で言う参政権、選挙権を持つ国民に企業が含まれるかどうか、それぞれ提案者にお聞きをしておきたいと思います。

逢沢議員 憲法十五条、公務員の選定について定められているわけでございます。憲法十五条の公務員の選定、罷免の権利、罷免権については、その権利の性格上、自然人のみが有すると解されている。つまり、自然人、国民というふうに一般的に解釈をされているというふうに理解しております。

田嶋議員 全く同じ答弁でございます。

佐々木(憲)委員 一九九三年四月二十一日の予算委員会における大出内閣法制局長官の答弁によりますと、憲法十五条で規定するところの国民は、自然人たる国民を指しており、いわゆる法人というものは含まれない、このように明確に答弁をされております。つまり、選挙権の行使は、一人一人の主権者である国民固有の権利であるということであります。

 これはあらゆる選挙の基本原則でありまして、当然、ネット選挙運動でも踏まえなければならない原理だと思いますけれども、提案者、いかがでしょうか。

逢沢議員 佐々木先生から以前の議論でもこのことについて触れられました。選挙の主役は誰か、つまり、国民そのもの、選挙権を行使する国民、被選挙権を行使する国民、そのように申し上げておきたいというふうに思います。

田嶋議員 同じでございますけれども、例えば、○○商事という会社が一票を投ずるとか、○○商事という会社が立候補することはできないという意味で、この十五条というのは、選挙権に関しては自然人だということになっていると思います。

佐々木(憲)委員 その点が非常に大事なことだというふうに思うんですね。

 企業というのは、主権者ではなく、選挙権も被選挙権も持っておりません。有権者ではないわけであります。営利を目的とする、そういう組織体ですね。その企業が組織力や資金力に物を言わせてネット選挙運動を仮に行った場合、選挙に大変大きな影響を与える。そういうことになりますと、国民の基本的権利を侵す、そういう懸念がございます。

 したがって、我々は、あくまでも有権者個人に対してウエブもメールも全面的に解禁すべきだと考えております。その立場から修正案を準備しておりまして、後で提案をしたいと思います。

 そこで、自公維案の提案者に確認をしておきたいんですけれども、ウエブは、情報を得たい人がみずからアクセスして情報を得るのが基本であります。また、衆人環視も働きやすい。SNSの場合は、参加した者の相互のやりとりが中心ですね。これに対して電子メールの場合は、情報提供者が、受け手の受信意思とは関係なく、一方的に送信することが可能であります。それから、密室性も非常に高いというのが特徴だと思うんです。

 このような実態を踏まえますと、仮に企業に対して解禁するという場合に、メールの場合とウエブの場合では違いが出てくるというふうに思うんです。その違いをどのように認識されているのか、お答えをいただきたいと思います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 ウエブと申し上げてもいろいろなサービスがありますので、個々に言えばいろいろ議論は出てまいりますが、一般論として、佐々木議員が今御指摘されましたとおり、ウエブサイトなどについては見たい人が見に行くという性質のもの、そして、電子メールというのは、情報を送りたい人が送る、逆に言えば、受け取る人は勝手に送られてくる、送られたものを受け取るしかないというような性質の違いというのはあるというふうに申し上げて差し支えなかろうというふうに思っております。

 そういう意味で、企業、団体にウエブサイト等を解禁する、あるいは電子メールを解禁する、企業、団体については私たちも認めるという法案を出しているわけでございますが、仮に両方認めるとした場合の影響力の違いという問いでございますけれども、見に行くものについては、企業、団体なのかあるいは個人なのかを問わず、注目度の高い、見たいと思わせるものを一般の方は見に行くわけですね。そういう意味で、企業だから特に有利とか団体だから特に有利、あるいは個人がというようなことではなかろうというふうに思っています。

 一方で、電子メールを解禁するとした場合、これまでの質疑などで佐々木議員からよく御指摘をいただいたように、いろいろな営業上の目的のためであることが一般的だと思いますが、電子メールなども当然たくさん収集されているということも、企業が活動としてやっているということはあろうと思いますので、その影響の差が、やはり個人よりも企業、団体の方が有利ということ。個々にはいろいろあると思いますが、一般論として申し上げられることではないかなというふうに思っております。

 以上でございます。

佐々木(憲)委員 私も、基本的には共通の認識を持っているところであります。

 次に、周知徹底の問題であります。先ほども少し議論がありました。

 先日の各党協議の中でも、ガイドラインをつくる、こういうことが議論になったわけです。これは、協議に参加している各党の意見、衆参の審議内容も踏まえて、より精緻なものにしていくべきだというふうに思っております。

 問題は、内容を国民にどう周知徹底するかということであります。それがなければ意味がないわけであります。それぞれ提案者はどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

遠山議員 お答えいたします。

 佐々木委員におかれましては、日本共産党を代表してずっと各党協議会に参加をいただきまして、さまざまな建設的な御意見をいただいてまいりましたこと、まず大変感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、本改正案が成立をした場合には、現在と比べて一般の方々が選挙運動を行う機会が増大するということは間違いないと思っております。もう委員御指摘のとおり、国民の皆様一般に、本改正案で定められたルールについては、当委員会でもるる議論をさせていただいたところでございますが、これらについて正確に御理解をいただくということは非常に重要なことであると思っております。

 よって、これまでの各党協議会で出された御意見、また、先週来、衆議院の倫選特、当委員会で行われてまいりました議論、それから、衆議院の後に参議院にこの改正案は行くわけでございますけれども、参議院においてもさまざまな御議論があろうかと思います。そういった御議論を集約して、できる限りわかりやすいガイドラインを作成いたします。

 そして、私ども法案提出者といたしましては、総務省や各選管ウエブサイトへの掲載、また新聞等のメディアを通じまして、改正案の内容やガイドラインの内容についてわかりやすく周知徹底をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

田嶋議員 佐々木委員おっしゃるとおり、法律をつくることも大事でございますが、さらにそこから周知徹底ということが極めて大事になってこようかと思います。

 わかりにくいこと、そしてグレーな状況のようなことは、今の公選法でもいろいろございますが、この機会に改めて、ネット選挙解禁というタイミングで全てを確認していかなきゃいけないというふうに考えておりますが、対象は同じでございまして、一般有権者であり、そして、候補者であり、政党であり、各種団体であり、そういうところ全体にしっかりと周知をしていかなきゃいけない。

 特に、今回はインターネット選挙だけを解禁するわけでございますので、これは現実的に公選法のほかの課題は残っている部分もございます。それによる誤解とか勘違いということも十分注意しなきゃいけない。

 そして、最後にもう一つだけ。

 ネット選挙解禁というと、これまで全面禁止だったわけですから、それが解禁となると、そこだけ言葉がひとり歩きしてしまいますので、何でもかんでもできるという勘違いが起きると、また国民が知らぬ間に法律を犯してしまうリスクもありますので、その周知をしっかりしなきゃいけないと考えております。

佐々木(憲)委員 それが非常に大事な点だと思っております。

 このガイドラインというのは、つい最近情報としていただきましたが、非常に薄っぺらくて、あれじゃまだまだ足りないと思っておりまして、きちっと充実をして対応できるようにぜひやっていきたいと思っています。

 選挙管理委員会のホームページにわかりやすい解説を載せる、こういうのは当然だと思うんですけれども、例えば候補者などが自分のホームページにリンクを張れるようにするとか、ネット上で周知徹底できるように工夫するというようなこと、いろいろ考えられると思いますので、お願いをしたいと思います。

 そこで、そのためには一定の費用がかかるわけです。

 例えば、国の予算の選挙啓発費というのがありますね。これは、この間大幅に減っているんですよ。衆議院選挙の啓発費という項目を見ますと、二〇〇九年の十一億四千九百九万円から二〇一二年の四億四千三百四万円へと、四分の一近くに減っているんですよ。それから、明るい選挙推進費というのがありますね。これは、二〇〇九年度は三億七千八百五十七万円、二〇一二年はわずか二千六百五十九万なんです。十四分の一に減っているんです。選挙制度が変わったときの一九九五年度は二十三億九千二十二万円でありましたが、これに比べると九十分の一という驚くべき減り方でございます。

 新しくネット選挙運動をやっていく、周知徹底をし啓発をしていく、そういうことをやろうというときに、こんなに予算が減ったんじゃ、これは非常に問題があると思うんです。これをどおんとふやす、そういう決意で臨んでいただきたい。どうですか。

遠山議員 佐々木委員から今教えていただいた数字を聞いてみますと、二〇〇九年の衆議院選挙から二〇一二年、昨年の選挙でどおんと減っている項目が、明るい選挙を推進する費用などがありますね。これは、民主党政権下の事業仕分けか何かにひっかかったのかなという印象を受けましたけれども、それは民主党の……(発言する者あり)ひっかかりましたという御答弁が既に席からありますので、それはいろいろな角度から検証されて減らしたんでしょう。

 私どもも、今回のネット選挙の解禁によりまして、新たなルールの周知徹底の必要性が生じるということはありますけれども、一方で、国民の皆様一般から、税金の無駄遣いになるような形での選挙運動経費の使い方ということについては、厳しい御視線もあると思います。

 そういう意味では、なるべく経費がかからないような形で選挙を行っていくということを原則としながら、必要な予算については政府においてしっかりと確保をして、特に、今回のネット選挙の解禁は新しい地平を公職選挙法の世界で開くわけでございますので、そこに必要な予算はぜひ獲得をしていかなければならないと法案提出者として考えているところでございます。

 以上です。

田嶋議員 先生、大変いい御指摘をいただいたと私は思うんですが、インターネット選挙運動を解禁するわけでございますから、まさに、その周知徹底もインターネットを使うべしというふうに思います。

 そういう意味で、まさに、お金の余りかからない道具が今いっぱい広がっているわけです。例えば若い方々は、余り新聞を読んでいないよというような方でも携帯ツールはいつも持っている。そういう方々には、お金のかからないやり方で、いろいろ工夫をして周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 事業仕分けは、我々、見ていてちょっとやり過ぎじゃないかと思う点がありました。そういう意味で、必要なところにふやすという御指摘は共通しておりますから、よく現実を見て、周知徹底という場合には、やはり国民に対してどれだけ周知し啓発するかというのが大事なのであって、そこに力点を置いた予算の配分ということを今後ぜひやっていただきたい。これを要望しまして、質問を終わりたいと思います。

平沢委員長代理 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 いよいよラストバッターになりました。この間、本当に、各委員の皆さん、提出者の皆さんとの闊達な意見、まさに先ほど遠山委員がおっしゃったように、公職選挙法で新しい地平を開いていくという意味では、より慎重に、そして、より希望のあるさまざまな議論ができたのではないかと思います。

 しかし、反面、まだまだ議論が足りないということを考え、ガイドライン等々の協議もしよう、あるいは、参議院でもっと審議を深めていただこうというその思いは共通なものがあると思います。

 そこで、私は最後に、この間、特にメールの解禁についての双方の考え方を聞かせていただきましたけれども、共通してこのこともぜひ聞いておきたいなと思うことを幾つか挙げましたので、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。

 といいますのは、インターネットというと、メールという、文章に、この間さまざまな議論が、重きが置かれていたのかなと思うんですが、やはり今の時代の選挙はビジュアルです。視覚効果です。それを考えると、インターネットやSNSが広げていくこのビジュアルの世界たるや、本当に、それこそとめどなく広がっていくのではないかという懸念すら感じるぐらいの可能性を国民に与えるということにもなると思います。

 そこで、幾つか質問をさせていただきたいと思いますので、双方からお考えをぜひ聞かせていただきたいと思います。

 まず、今回、フェイスブック、ツイッター、そしてユーチューブ、ニコニコ動画などなど、メールは制限がかかりますけれども、あらゆるインターネットの利用ができるという点において、候補者もしくは政党を応援する一般の方が選挙期間中に動画サイトに自分で撮って投稿すること、これは選挙違反に問われるかどうかをまずお聞きしたいと思います。

    〔平沢委員長代理退席、委員長着席〕

遠山議員 それは、今回の改正案が成立すれば可能でございます。合法でございます。

奥野(総)議員 同じく合法でございます。

玉城委員 では、その利便性から、たまたま通りかかった候補者や車が格好よかったので未成年がそれを動画で撮った、それをユーチューブにアップした。その場合はいかがでしょうか。

遠山議員 玉城委員、ちょっと質問の確認ですが、未成年の国民の方が選挙運動をしている車の横を通り過ぎて、格好いい車だからといってそれを動画、例えば、今スマホとかですぐ撮れますからスマホで動画を撮って、それを投稿するということなんですが、正直言うと微妙なところはありますけれども、その行為、そもそも未成年は選挙運動はしてはいけませんので、選挙運動にその行為が当たると解釈される場合、みなされた場合は、これは違法行為になるわけでございますが、しかし、公道を走っている街頭演説のための車が格好いいといって撮って、単に格好いいだけの理由で載せた場合は、選挙運動とは言い切れないと私は思いますので、その場合は何の問題もないと思います。

奥野(総)議員 同じでありまして、事例にもよりますけれども、なるべく人を陥れない、解釈、運用において自由にできるように心がけるべきだと思いますけれども、態様によっては、未成年の選挙運動ということで違法になることもあり得るということだと思います。

玉城委員 私が危惧するのはまさにこういうところです。

 つまり、わかりやすくしっかり告知をしていかないと、何がひっかかって何がひっかからないのか、大人でさえ恐らくなかなか理解できないと思います。公職選挙法はそういう性格を帯びているということは、もう私たちは言わずもがなであります。ましてや、一般の国民の方々にどういうふうにしてそれを知らせるか。そして、今、未成年、二十未満の方々のネットの利用率の方が最も高いということを考えると、そこで、故意ではないにしてもやってしまってはいけないよということは、丁寧に、それはこの審議の中でも確認をしつつ、法案の中でしっかり織り込んでいきたい。つまり、罰することではなくて、これはやってはいけないよということの、やはりそういう啓蒙啓発活動にしっかりつなげていただければという趣旨で聞かせていただいております。

 次の質問ですが、候補者もしくは政党の選挙運動として、候補者名あるいは政党名等を羅列させる表示は文書図画違反に問われるのか、これについてお聞きしたいと思います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 今の玉城議員の御質問が、インターネット上で、ウエブサイトとかでされる選挙運動についてということでお答えをさせていただきたいと思いますが、選挙運動としてされる選挙運動用文書図画については、現行法上でも、その内容について、誹謗中傷したりとか虚偽事項の記載をしてはいけないというのはありますが、それ以外は特段の制限はございません。それは本改正以降でも同様でございます。

 したがいまして、選挙運動として出される文書図画、ネット上のものであっても、それはもちろん、法定のビラで、法定の範囲内の例えば文書図画であって、そこに名前がひたすら書いてあっても、それは何ら、一般論として申し上げれば、それだけで選挙違反になるとか公職選挙法の規定に違反するものにはならないというふうに考えております。

 以上でございます。

奥野(総)議員 同じでございます。

玉城委員 では、橋本議員に伺いますが、選挙期間中、移動する車両など、つまり選挙カーだというふうに考えていただくとわかりやすいと思いますが、そこにスクリーンを置いてSNSの画面を外に見せるというふうな形、あるいは動画を放映する、この場合、インターネット選挙での選挙違反に問われるかどうかについてお伺いしたいと思います。

橋本(岳)議員 御指名ありがとうございます。

 御質問のような、車などにスクリーンを出して、要するに屋外で一般の人に見えるようにそうしたものを表示するというのは、公職選挙法で言うところの文書図画の掲示というものに含まれるということになります。それは、現行の公職選挙法でも違法な映写等の掲示として禁止をされているところでございます。

 本改正案におきまして、先日、小宮山議員に御答弁をいたしましたが、屋内の演説会場内における映写等については解禁をしておりますが、今の議員の御指摘は、屋外で車にスクリーンか何かを載せてそこに映すというようなことだと承っておりますので、これにつきましては現行と同じく引き続き禁止ということになろうと思っております。

玉城委員 いろいろ確認をさせていただいておりますが、現行法との関係をよりしっかり明確にと申しますか、解禁するということが、もう何でもオーケーなんだというふうなことが、やはり国民の皆さんにとっては本来この法案はそういうものじゃないのかというふうな基本的なことを私たちはしっかり確認しつつ、さらに審議を深めていくことを重要視したいなというふうに思います。

 さて、今度は、民主、みんなの法案提出者に伺いたいと思いますが、候補者もしくは、この場合はあえて政党と入れておきますけれども、候補者もしくは政党が運営する企業や団体からメール配信可否の通知、もしくは問い合わせがあった場合は、自分が運営している会社なり団体なりから問い合わせをするという場合は選挙違反に問われるかどうかについてお伺いしたいと思います。

奥野(総)議員 我が方の案では、第三者も含めて選挙運動ができる、電子メールについてもできるということであります。その中には企業や団体も含まれるということでありまして、そうした者から選挙運動用のメールが電子メールをあらかじめ通知した者に送られることは、適法になるということであります。

玉城委員 では、自民、公明、維新案の提案者に同じ質問をお伺いしたいと思います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 時期や態様にもよりますけれども、一般論として、選挙運動用電子メールを送信してもよいですかという確認メールを送ることは、それ自体が直ちに公職選挙法の規定に抵触するものではないと思っております。

 その上で、本改正案では、選挙の公正の確保や有権者の負担という観点から、選挙運動用電子メールの送信は候補者と政党などに限って解禁することとしておりまして、それ以外の者が行うものは、現行どおり引き続き禁止することとしております。そのため、候補者、政党などに該当しない者については、選挙運動用電子メールを送信することはできません。

 他方、候補者、政党などからの選挙運動用電子メールの送信について、企業、団体など、仮にその代表をしているとしても、企業、団体などが候補者、政党などのかわりに受信者からの同意などを確認しているような場合には、それが候補者、政党などに対する同意の通知と評価できれば、候補者、政党などがその受信者に対して選挙運動用電子メールを送信できるものと考えております。

 ですから、そういうことをきちんと評価できるように明確な形での確認が求められるというふうに御理解いただければと思います。

玉城委員 ありがとうございます。

 このメールのやりとりについてもやはりしっかりと確認をする、それを啓発していくことも必要ではないかなと思います。賛否を問いましてから、その法案に沿って、またしっかりとそういう方向性を持っていただきたいと思います。

 さて、最後の質問をさせていただきます。

 私は、この間、この委員会の質問でもるる申し上げていたことなんですが、やはり個人の持っている情報は厳格に、外に出さないというか、守らなければいけないということが前提で、今回のインターネット選挙運動を解禁していこうという方向になっていると思います。

 個人情報保護や選挙運動の法令遵守の観点から、この場合、やはり各選挙事務所ごとに、いわゆる情報管理責任者という形、きちんと法律で明記をして設置を義務づけることが必要ではないかと思いますが、最後にこの点について伺いたいと思います。

遠山議員 玉城委員から最後に大変重要な御提案をいただいたと思っております。

 委員御指摘のとおり、個人情報の保護、選挙運動関係の法令遵守、これは私ども政治家、候補者、政党関係者は最大限重要視して、適切な行動をとっていかなければならないと思っておりますし、本法改正案の成立以後は、特に、個人のメールアドレスを中心としたより多くの個人情報が候補者の陣営に入ってきて管理をされるという状況になりますので、その重要性というものはますます大きくなっていくと認識をいたしております。

 その上で、各選挙事務所ごとに、情報管理責任者とおっしゃいましたでしょうか、この設置を義務づけるかどうかということにつきましては、これは各党各会派、先ほど、前の質問で申し上げましたインターネット選挙運動に関する各党協議会等の場所できちっと議論をさせていただいて、もし、各党各会派一致して、そういう法律に明記する形で、会計責任者のように情報管理責任者というものを各選挙事務所に置いた方がいいという判断になれば、それを盛り込んだ改正案というものをまたつくっていくことが必要と考えられます。

 いずれにいたしましても、大変貴重な御指摘だと思っておりまして、ぜひまた各党各会派の協議の場で継続して議論をしていきたい、このように思っております。

奥野(総)議員 選挙運動におきましても、個人情報保護の観点は極めて重要であります。残念ながら、選挙運動については、政治活動の自由の観点から、個人情報保護法の対象にはなっておりません。ただ、個人情報保護を見ますと、そのガイドラインによって、個人情報保護管理責任者を置くということになっています。政府の方も、指針で、各課室に情報管理者を置くということが義務づけられています。

 こうした例も参考にしながら、各党会派でしっかりと議論をしてまいりたいと思います。

玉城委員 大変深い御意見をたくさんいただいたと思います。これからもしっかり、国民のための選挙運動、あるべき姿を求めて、また我々も頑張っていきたいと思います。

 ありがとうございました。

保岡委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 この際、逢沢一郎君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、ふくだ峰之君外二名から、自由民主党、日本維新の会及び公明党の三派共同提案による修正案が、また、佐々木憲昭君から、日本共産党提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者より順次趣旨の説明を聴取いたします。佐藤茂樹君。

    ―――――――――――――

 公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

佐藤(茂)委員 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案に対する自由民主党、公明党及び日本維新の会三党共同提出の修正案につきまして、提案の理由及び内容を御説明申し上げます。

 修正案はお手元にお配りしてあるとおりであります。

 原案は、衆議院比例代表選出議員の選挙においては、衆議院名簿届け出政党等のみが選挙運動用電子メールを送信できることとしておりますが、衆議院名簿登載者についてもこれを認めることが適当であるとの観点から、重複立候補者を除く衆議院名簿登載者が、電子メールを利用する方法により選挙運動のために行う文書図画の頒布は、当該衆議院名簿登載者に係る衆議院名簿届け出政党等が行う文書図画の頒布とみなすことに修正するものであります。

 また、原案附則の検討条項につきまして、本委員会における審議を踏まえ、一つ目に、候補者、政党等以外の者による選挙運動用電子メールについては、次回の国政選挙後、その実施状況の検討を踏まえ、次々回の国政選挙における解禁について適切な措置が講ぜられるものとすること、二つ目に、候補者が、選挙運動期間中、当該候補者の選挙運動用ウエブサイト等に直接リンクした有料インターネット広告を掲載させることについて、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすることに修正するものであります。

 以上が、本修正案の提案の理由及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

保岡委員長 次に、佐々木憲昭君。

    ―――――――――――――

 公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

佐々木(憲)委員 ただいま議題となりました逢沢一郎君外五名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、日本共産党を代表し、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。

 憲法第十五条は、選挙権の行使は、主権者たる国民固有の権利であり、それを侵してはならないとしています。本来、有権者個人に自由な選挙運動が保障されるべきであります。したがって、インターネットを利用した選挙運動の解禁に当たっては、有権者の投票選択の対象である候補者や政党にとどまらず、全ての有権者が、ウエブサイトでも電子メールでも選挙運動ができるようにすべきであります。また、それに伴い、選挙運動用電子メールの送信先の規制等も緩和すべきと考えております。

 一方、主権者国民ではない、いわゆる法人、企業等は、選挙権も被選挙権も持っていません。にもかかわらず、有権者ではない企業等にインターネットを利用した選挙運動を認めるならば、例えば、企業が、その顧客名簿を利用して大量の選挙運動用電子メールを送るというような事態も想定されます。営利を目的とする企業が、その組織力、資金力をもって選挙運動を行い、選挙に影響を与えることは、国民の基本的権利を侵すことになりかねません。

 また、インターネット選挙運動が解禁されても、それ以外の選挙運動には細かい規制が残ったままです。例えば、選挙期間中、選挙政策をディスプレー上で表示することは自由でも、それを印刷して配ったり張り出したりすることはできません。極めて不合理であり、整合性がとれない事態が生まれるのであります。デジタルデバイド、情報格差の面からも、法体系の整合性の面からも、インターネット利用以外の選挙運動の規制についてもそのあり方を見直し、自由化していくべきだと考え、本修正案を提出した次第であります。

 以下、修正案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、インターネット等を利用する方法による選挙運動を行うことができる主体につきまして、公職の候補者及び政党等、すなわち候補者届け出政党、名簿届け出政党等、確認団体、並びに年齢満二十年以上の者とすることとしております。

 第二に、選挙運動用電子メールの送信先につきまして、選挙運動用電子メール送信者に対しその電子メールアドレスをみずから通知した者とすることとし、記録の保存義務規定を削除し、表示すべき事項を簡素化することとしております。

 第三に、検討条項につきまして、選挙運動の規制のあり方についての検討条項とすることとしております。

 以上が、本修正案の提案の理由及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

保岡委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 これより両案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 私は、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につき、民主党・無所属クラブを代表して、民主党、みんなの党案に賛成の立場から討論を行います。

 今回の公職選挙法改正によって、私たちの生活に欠かせない社会基盤の一つであるインターネットを、ようやく民主主義の根幹である選挙において活用できることとなります。インターネット上に存在するさまざまなコミュニケーションツールを通じた候補者、政党と一般有権者の双方向のやりとりの中で、皆が熟議する新しい政治文化が醸成されるはずです。このような選挙運動のあり方がこれまで文書図画の頒布規制違反とされてきたこと自体が残念なことであり、今回、全政党が参加して協議が行われ、あるべき選挙の姿を具体化できたことは、大変大きな前進であると考えております。

 私たち民主党とみんなの党は、今回の議論を通じて、解禁の対象を、主体の面では候補者や政党に限らず主権者である一般国民を含んだものとすること、また、手段の面でも主権者である国民の自由な政治参加を最大限保障したものとして実現すべきであると主張してきました。そういった考え方に基づき起草されました本改正案においては、電子メールを用いた選挙運動を一般有権者を含む全ての人が行えるようにすることといたしました。なぜならば、有権者が議員となってほしいと思う人物をみずからの意思で知人などつながりのある他の有権者に推薦するという、選挙において当たり前の、そして欠かすことのできない重要な行為を、現代社会に広く行き渡った電子メールというコミュニケーションツールを用いて行うことは、至極当然なことであると考えるからです。ましてや、政党と候補者のみがその重要なツールを独占する形は、国民主権という原理からかけ離れたありようであると言わざるを得ません。

 各党協議会を通じて、また我々の法案への対案を提示された自民党、日本維新の会、公明党の三党共同による法案が提示された後も、法案の一本化に向けた説得と交渉を進めてまいりましたが、合意には至りませんでした。この交渉や本委員会の審議の中で示された、一般有権者を電子メール使用の主体として認めないこととする理由は、いずれも電子メールでの選挙運動を広く有権者が行うことができる自由を奪うに値する理由とは考えられないものです。

 対案の提案者は、まず政党と候補者だけ行い、第三者についてはその後考えればよいと主張します。しかし、選挙というものが、主権者である国民がみずからの代表を選ぶための制度であるということからすれば、選ぶ側の自由より選ばれる側の自由が優先されるということはあってはならないことであると考えます。

 なお、共産党からの修正案につきましては、企業、団体がインターネットを通じた選挙運動を行うことを禁止する趣旨であると思われますが、我が国の制度上、企業、団体についても政治活動の自由があり、個人情報保護法等の法令に反しない限り、それぞれの立場での選挙活動を行うことは認められると考える立場から、企業、団体に対してもインターネット選挙運動の自由を認めるべきであると考えます。

 以上に述べた理由により、国民の自由な政治参加を最大限保障したものとして実現すべきとする観点から、私たちは、有権者にも電子メールによる選挙運動の自由が認められた形でのネット選挙運動全面解禁の実現を行うべきであると考えます。

 一方で、私たちは、一刻も早くインターネット選挙運動を解禁すべきであることも主張し続けております。現在の本委員会及び衆議院の構成に鑑み、我々の、国民主権という原理に忠実であり、またインターネットの今日的利用のあり方に即した法案が皆様に受け入れられなかった場合には、次善の策として、次々回の国政選挙における一般有権者の電子メールを利用した選挙運動の解禁について適切な措置がとられる旨を加える修正が行われる自民党、日本維新の会、公明党共同提案の修正案に賛成することも検討の余地があることを付言させていただき、私の、民主党、みんなの党案に対する賛成討論といたします。(拍手)

保岡委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、インターネット選挙運動の解禁法案二案に対し、討論を行います。

 日本共産党は、有権者個人が選挙運動にインターネットを利用できるよう、全面解禁を求めてまいりました。ネット選挙運動の解禁は、有権者が候補者、政党の政策を知る機会を拡大し、国民、有権者が主体的に選挙、政治にかかわる機会をふやすことになり、民主主義の発展に資するものであります。

 重要なことは、選挙権の行使は主権者国民固有の権利であるという点であります。ネット選挙運動の解禁に当たっても、候補者や政党だけでなく、有権者個人が利用できるようにすべきであります。主権者ではなく選挙権も持たない企業等にまで解禁対象を広げると、企業等が組織力、資金力に物を言わせて選挙運動を行えます。それでは選挙に直接影響を与えることになり、国民の基本的権利を侵しかねません。

 日本共産党は、このような立場から、自公維案に対し修正案を提出しております。

 自公維案は、ウエブ利用の選挙運動を第三者に解禁するとしており、その中には、有権者個人とともに企業等が含まれております。しかし、ウエブの場合は、メールと違って、情報を得たい人がアクセスし、かつ衆人環視が働く面があります。その点を考慮し、全体としてネット選挙運動を解禁するという前進面を評価し、賛成とします。

 自公維による修正案についても賛成をいたします。

 民み案は、企業等にもメール利用の選挙運動を認めるものとなっております。そうなれば、ウエブとは違い、膨大なメールアドレスを取得している企業等が、受け手の受信意思とは関係なく、一方的にメールを送信できることになります。それを規制する有効な手だてがない限り、国民の参政権を侵害するおそれがありますので、賛成できません。

 以上で討論を終わります。

保岡委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 これより採決に入ります。

 まず、田嶋要君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

保岡委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、逢沢一郎君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、佐々木憲昭君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

保岡委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、ふくだ峰之君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

保岡委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

保岡委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 ただいま議決いたしました逢沢一郎君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、石原宏高君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。石原宏高君。

石原(宏)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    公職選挙法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  本案は、インターネット等を利用する方法による選挙運動を解禁しようとするもので、これにより、選挙運動期間における候補者に関する情報の充実、有権者の政治参加の促進等を図ろうとするものである。

 一 本委員会は、本法の施行状況を踏まえ、セキュリティ対策等新たな問題等が明らかになった場合には、その都度検証し、法改正を含めて適宜適切な措置を講ずるものとする。

 二 政府は、プロバイダ等が、選挙運動用又は落選運動用の文書図画につき、自己の名誉を侵害されたとする候補者からの申出を受けて削除する場合は、選挙の重要性に鑑み、迅速かつ適切に行われるよう必要な要請や支援を行うこと。

 三 民主主義の根幹である選挙の意義に鑑み、悪質な誹謗中傷、なりすましに対しては、警察において、迅速かつ適切な対応を行うべく最大限の努力を傾けること。

 四 本委員会は、選挙運動の規制の在り方、選挙の公正を確保するための必要な措置について、検討を行うとともに、インターネット等を利用する方法による選挙運動は、事実上制限がなく自由になることから、ファクシミリ装置を選挙運動に用いることができない等の現行公職選挙法における選挙運動用文書図画の頒布・掲示規制その他の選挙運動規制の在り方について、検討を加え、適切な措置を講ずるものとする。

 五 ウェブサイト等を利用した選挙運動については、一般有権者も解禁の対象としているが、種々の規制も設けられており、また、事前運動や未成年者の選挙運動は現行法上も禁止されており、これらの点について、政府は、速やかにかつ幅広く国民への周知啓発活動を行うとともに、有権者の適切な判断に資するよう、選挙管理委員会のホームページ等による国民への啓発の充実に努めること。

 六 インターネットを利用する投票方法を導入するとした場合に必要となる技術上及び制度上の措置並びに生じうるであろう問題については、諸外国の状況も勘案し、あらゆる角度から検討を加え、その結果に基づいて適切な措置を講ずるものとする。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

保岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

保岡委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。新藤総務大臣。

新藤国務大臣 ただいま御決議いただきました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

保岡委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

保岡委員長 次に、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 本日は、本件調査のため、参考人として衆議院議員選挙区画定審議会会長村松岐夫君及び衆議院議員選挙区画定審議会会長代理吉田弘正君に御出席をいただいております。

 両参考人には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

 それでは、衆議院議員選挙区画定審議会の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告について、村松参考人から説明を聴取いたします。

村松参考人 衆議院議員選挙区画定審議会会長村松でございます。本日は、機会をいただきまして、御説明を申し上げたいと存じます。

 当審議会は、衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律、いわゆる緊急是正法でございますが、この規定に基づきまして、去る三月二十八日に内閣総理大臣に対し、衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告を行ったところでございます。

 本日は、審議の経過と勧告の概要について、御説明申し上げます。

 まず、当審議会における審議の経過について御説明いたします。

 当審議会は、衆議院議員選挙区画定審議会設置法の定めるところにより、平成二十三年二月二十五日に平成二十二年国勢調査の結果による人口が官報で公示されたことから、衆議院小選挙区の改定案の作成作業に着手しましたが、同年三月二十三日の最高裁判所大法廷判決を受けまして、作業を中断しておりました。

 その後、昨年十一月十六日に先ほどのいわゆる緊急是正法が成立いたしまして、違憲状態とされた各選挙区間の格差を速やかに是正するために、その公布、施行と同時に、当審議会は、昨年十一月二十六日に審議を再開いたしました。

 緊急是正法では、改定対象としている選挙区を限定しておられます。また、人口最小県である鳥取県内の人口最小選挙区を基準として、各選挙区間の人口格差を、平成二十二年国勢調査人口に基づき二倍未満とすることが定められております。

 当審議会の審議は、まず、基準となる鳥取県の審議を他の都道府県よりも先行して行うことといたしまして、区割り基準素案を審議、作成し、区割り基準素案と鳥取県の具体的な区割りについて、鳥取県知事に意見照会をいたしました。その後、鳥取県知事からの回答を受け、鳥取県の区割りの審議、改定原案を作成いたしました。

 次の段階として、改定対象選挙区の範囲の確認を行い、改定対象選挙区を有する鳥取県以外の十六関係都県についての審議に入ることといたしました。

 まず、関係都県知事への区割り基準素案と具体的な区割りについての意見照会をいたしまして、回答を得ました。同時に、審議会は、関係都県の改定対象選挙区の地勢、交通等のレビュー等を行い、本年二月二十六日に緊急是正法に基づく区割りの改定案の作成方針、いわゆる区割り基準でございますが、これを取りまとめ、公表いたしました。

 さらに、その次の段階として、この区割り基準に基づいて、具体的な区割りの改定作業に入り、審議を進めたところでございます。

 緊急是正法では、各選挙区間の人口格差を緊急に是正するため、施行から六カ月以内にできるだけ速やかに勧告を行うことが規定されております。当審議会といたしましては、精力的に改定案の作成作業に取り組み、十五回にわたる審議を経まして、区割りの改定案を取りまとめ、三月二十八日に内閣総理大臣に対して勧告を行ったところでございます。

 続きまして、当審議会が具体的な区割り改定案を作成する上での指針となる緊急是正法に基づく区割りの改定案の作成方針、いわゆる区割り基準について御説明申し上げます。

 まず、緊急是正法でございますが、改定対象となる選挙区を限定されておられます。また、人口最小県である鳥取県内の人口最小選挙区を基準として、各選挙区間の人口格差を、平成二十二年国勢調査人口に基づいて二倍未満とすることを規定し、さらに、法律上、区割りの改定基準もかなり具体的に書き込んであります。これらのことによりまして、前回の平成十二年国勢調査に基づく区割り改定とは条件が異なりますので、平成十三年九月に作成した前回の区割り基準をそのまま適用するということはできないところでありました。

 したがいまして、緊急是正法で定められた内容と前回の区割り基準を踏襲する内容等を中心といたしまして、昨年十二月二十七日に、まず、区割り基準素案を作成し、十七の関係都県の知事への意見照会を行い、その意見も参考にして、当審議会において慎重に検討を行い、二月二十六日に区割り基準を取りまとめたところでございます。

 さて、今回の区割り基準の全体像でございますが、改定対象選挙区、改定対象選挙区の区割り基準、改定案作成の作業手順の三つから構成されております。

 初めに、改定対象選挙区についてでございますが、緊急是正法においては、改定対象選挙区を限定して定めております。

 まず、人口の最も少ない県、すなわち鳥取県の選挙区がございます。次に、〇増五減によりまして、選挙区の数が三から二に減少する福井県、山梨県、徳島県、高知県、佐賀県の五県の選挙区がございます。そして、鳥取県内の人口最小選挙区を基準として、平成二十二年国勢調査人口で格差二倍未満の人口基準に適合しない選挙区が出てまいります。また、そのような選挙区を格差二倍未満におさめるために必要最小限の範囲で行う改定に伴って生じる隣接選挙区がございます。これが改定対象選挙区でございます。

 次に、改定対象選挙区の区割り基準についてでございます。

 先ほど申し上げましたとおり、緊急是正法と前回までの区割り基準が基本となります。

 まず、緊急是正法で定められた内容といたしましては、人口最小県である鳥取県内の人口最小選挙区を基準として、選挙区間の人口格差を、平成二十二年国勢調査人口に基づき二倍未満とすること、鳥取県内の選挙区の改定に当たっては、各選挙区の人口の均衡を図るものとすること、人口格差を二倍未満とするための選挙区の改定に当たっては、選挙区の区域の異動は必要最小限とすること等でございます。

 次に、前回の区割り基準を踏襲した内容といたしましては、選挙区は飛び地にしないこと、市区町村や郡の区域は原則として分割しないこととし、市区の人口が人口基準の上限人口を超える場合等やむを得ない一定の場合に限り分割することができること、地勢、交通その他の自然的社会的条件を総合的に考慮すること等でございます。

 なお、今回の区割り基準の作成に当たりましては、区割り基準素案に対する関係都県知事からの意見も参考にして、当審議会において慎重に検討いたしました。その後、具体的な区割りの改定作業を行っていく上で必要であるということで、結果として、次の二つの基準を追加したところであります。ともに、市区町を分割する基準でございます。

 一つ目は、現在分割されている市区町の区域を分割しないこととすると、当該市区町以外の各選挙区の区域の異動を拡大していかざるを得なくなる場合でございます。

 この基準に基づいて、宮城県大崎市を引き続き分割しております。

 もう一つは、県内の選挙区数が三から二となる五県について、当該県の人口最大の市が単独の選挙区とすることができる規模の人口、すなわち鳥取県内の人口最小選挙区の人口以上を有する場合であり、さらに、県内の二選挙区の位置、形状、地勢、交通その他の自然的社会的条件を総合的に考慮すると、分割する方がより合理的に改定を行うことができる場合であります。

 この基準に基づいて、高知市を引き続き分割しております。

 最後に、改定案作成の作業手順についてでございます。

 これにつきましては、具体的な区割りの改定作業を行っていく際の作業の流れを示すものでございます。

 具体的には、鳥取県については、全国の人口格差二倍未満の基準となるため、他の都道府県よりも先行して審議を行い、区割り改定原案の作成の出発点となったわけでございます。そのことは申し上げました。次に、選挙区の数が三から二に減少することとなる五県については、県内の選挙区のうち、人口が最も少ないもの、すなわち、一票の価値が最も重いものを手がかりとし、これを減少する方向に持っていくという形で区割りを行っていくこと等を定めております。

 以上が、緊急是正法に基づく区割りの改定案の作成方針の概要でございます。

 次に、勧告いたしました区割りの改定案の概要について、御説明いたします。

 最初に、都道府県別定数の異動ですが、これは緊急是正法で定められているものであり、〇増五減によりまして、福井県、山梨県、徳島県、高知県、佐賀県の五県で、いずれも定数が三から二に一減となっております。

 今回の改定案で変更される選挙区の数は、十七都県で四十二選挙区となります。なお、定数が五減となりますので、改定後の選挙区数は三十七選挙区となります。

 四十二の選挙区の内訳を申し上げますと、まず、人口の最も少ない鳥取県内の選挙区として二選挙区、選挙区の数が減少することとなる県の区域内の選挙区として、先ほど申し上げました五県の十五選挙区、格差二倍未満という人口基準に適合しない選挙区の改定に伴うものとして、その一つは、人口最小選挙区である鳥取新二区の人口二十九万一千百三人を下回る選挙区とその隣接選挙区で八県十七選挙区、鳥取新二区の人口の二倍、五十八万二千二百六人以上となる選挙区とその隣接選挙区で三都県八選挙区、これで四十二選挙区となります。

 以上の結果を全体として要約的に申し上げますと、人口最小選挙区との格差が二倍以上となる選挙区の数については、前回の区割りの改定案では九選挙区、勧告前は九十七選挙区となっておりますが、公職選挙法制定以来、格差是正としては、今回初めて、国勢調査人口での人口格差二倍以上の選挙区は解消されるということになります。

 最大人口格差は、今回の改定案では、初めて二倍を切り、一・九九八倍となります。最大選挙区は東京十六区で五十八万一千六百七十七人、最小選挙区は鳥取二区で二十九万一千百三人となります。勧告前の最大格差は二・五二四倍ですので、大幅に縮減されたところでございます。

 都道府県間の議員一人当たり人口の格差は、緊急是正法で定められた各都道府県別定数により議員一人当たり人口を算出して比較した結果で、最大格差は、東京都と鳥取県の間で一・七八八倍となっております。

 最後に、御参考として、今回の改定案における分割市区町について申し上げます。

 緊急是正法では、改定対象となる選挙区を限定しており、その要件に該当しない場合には、市町村合併の影響を調整するための選挙区の改定は行われないところであります。

 今回の改定対象となる四十二選挙区における分割市区町の状況につきましては、分割が解消される市区町の数が十二市町、新たに分割される市区の数が三市区、船橋市、川崎市中原区、佐世保市でございます。分割の区域が変更される市区の数が四市区、大崎市、世田谷区、江戸川区、高知市となっておりまして、分割市区町の数は九減少するということになりました。

 私からの審議の経過と勧告の概要説明を以上で終わらせていただきますが、今回の改定案の作成に当たりまして、緊急是正法を踏まえ、各選挙区間の人口格差を、平成二十二年国勢調査人口に基づき二倍未満とする努力をいたしました。同時に、選挙区の異動を最小限とするなど、選挙区の安定性も考慮いたしました。

 最大限の努力を行い、当審議会としては最善と考える改定案を取りまとめたと考えている次第でございます。

 何とぞ、御理解のほどよろしくお願い申し上げます。

保岡委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 村松会長、吉田会長代理を初めとして、審議会の委員各位におかれましては、今般の区割り改定に向けてこれまで精力的に審議を進められ、去る三月二十八日に改定案の勧告をされたところであります。この間における御尽力に対し、委員会を代表して、深く敬意を表する次第であります。

 それでは、理事会において了承されました質疑事項について、委員会を代表して、私からお尋ねいたします。

 今回の区割り改定は、並立制導入時の区割り画定や平成十四年の前回の区割り改定と異なり、いわゆる緊急是正法において審議会の行う改定案作成の具体的な基準が定められ、見直しの対象となる選挙区も限られていたことから、改定作業にはそれほど時間を要することなく勧告が行われることも想定されておりましたが、審議会は、昨年の十一月二十六日から区割り改定作業を再開した後、どのような手順で改定作業を行い、また、審議会においてどのような議論がなされたのか、お聞かせください。

村松参考人 お尋ねがありましたように、緊急是正法においては、各選挙区間の人口格差を緊急に是正するという観点から、改定対象となる選挙区が限定されておりました。また、人口最小県である鳥取県の人口最小選挙区を基準として、選挙区間の格差を、平成二十二年国勢調査人口に基づき二倍未満とすることなど、法律上、区割りの改定基準もかなり具体的に定められておりました。

 しかしながら、勧告をごらんいただくとおわかりいただけますように、改定を要する選挙区は、定数減となる五県にとどまるわけではなく、十七都県四十二選挙区に及びました。

 また、緊急是正法では、施行から六カ月以内にできるだけ速やかに区割りの改定案の勧告を行うこととされました。迅速かつ効率的な審議が要請されていた次第でございますが、当審議会は、選挙区の設定は民主主義の土台となる選挙制度の根幹にかかわる重要な事項であるということで、厳正かつ公正な審議が要請されているということを十分に理解して審議を開始することになりました。

 こうした前提に立ちまして、昨年十一月十六日の緊急是正法の成立後、十一月二十六日に審議を再開して、それからは、審議会の審議において、まず、人口格差二倍未満の基準となる鳥取県の審議を他の都道府県に先駆けて行うことといたしまして、平成二十四年末までに区割り基準素案の審議、作成を行い、鳥取県知事に対して、区割り基準素案と具体的な区割りについての意見照会を行ったところでございます。

 本年に入ってからは、鳥取県知事からの意見回答を受け、鳥取県の区割り審議を行い、一月二十一日に、鳥取県の区割りの改定原案を公表するとともに、今回の区割りの改定対象選挙区の範囲の公表を行いました。

 また、そのほかの十六関係都県の知事に対し、区割り基準素案と具体的な区割りについての意見照会を行いました。

 その後、関係都県からの意見回答を受け、関係都県の改定対象選挙区の地勢、交通等のレビューを行い、二月二十六日に緊急是正法に基づく区割りの改定案の作成方針、いわゆる区割り基準を取りまとめ、公表いたしました。

 区割り基準の作成に際しましては、緊急是正法の趣旨や地勢、交通等の自然的社会的条件を考慮して、市区町村の分割をどこまで認め、どのように基準を設定すべきかを慎重に議論したところでございます。

 その後、区割り基準に基づいて、具体的な区割りの改定作業に入り、区割りの審議を進めました。

 具体的な区割りの改定案の審議に際しては、緊急是正法では、格差二倍未満の人口基準に適合しない選挙区の改定は、選挙区の異動は必要最小限とすることとされております。地勢、交通等の自然的社会的条件を考慮してどの区域を改定すべきか、市区の分割を行う場合に、地元の意見をしんしゃくして、どの区域で分割すべきか等の点について、密度のある議論が行われ、区割り基準に基づいて慎重に審議を行ったところでございます。

 最後でございますが、最終的にかなり厳しい日程ではございましたけれども、審議会委員の中に含まれております大学教員が、ちょうど二月、三月ということで、比較的柔軟な時間を持っておられる時期であったことが非常に幸いしたように思っておりますけれども、計十五回、約四カ月の審議を重ねて、去る三月二十八日に内閣総理大臣に対する勧告に至ったところでございます。

保岡委員長 今回の勧告で、選挙区間の最大人口格差は二・五二四倍から一・九九八倍に縮小し、並立制導入以降初めて、格差二倍を超える選挙区がなくなりました。

 しかし、二倍を切ったとはいうものの、一・九九八倍は非常に二倍に近い数字であり、また、一・九倍を超える選挙区は、二十三選挙区あります。

 一部の報道によれば、一票の格差が既に実態として二倍を超える選挙区があるとも言われており、また、地方における人口減少が顕著であるという昨今の人口動向も考えた場合、今後二倍を超える選挙区がふえることが予想されるところでありますが、審議会としては、今回の区割り改定をどのように自己評価されておられるか、お聞かせください。

村松参考人 緊急是正法は、各選挙区間の人口格差を緊急に是正するという観点から、もともと、改定対象となる選挙区を限定しておられます。また、選挙区間の格差を、平成二十二年国勢調査人口に基づき二倍未満とすることとしております。これが、私どもの基準として最後まで念頭にあったものでございます。

 当審議会としては、これらの緊急是正法の求めに応じて、各選挙区間の格差を、平成二十二年国勢調査人口に基づき二倍未満とする努力をしたということでございます。同時に、選挙区の異動を最小限とするという要請もございまして、選挙区の安定性も考慮するということだと思いますが、これについても配慮をして検討、審議をいたしました。

 そのような相異なる要請がある中で、最大限の努力を行い、当審議会としては最善を尽くしたかなというように考えている次第でございます。

 なお、お尋ねのような趣旨の報道があることは承知しております。

 いずれにしましても、緊急是正法は、平成二十三年三月の最高裁大法廷判決を踏まえまして、立法府において制定されたものと承知しております。

 なお、今回勧告した改定案について一言申し上げますと、平成二十二年国勢調査人口に基づく最大人口格差を現在の二・五二四倍から一・九九八倍に縮減し、最小選挙区との格差が二倍以上となる選挙区数を現在の九十七選挙区からゼロというようにしたものでございます。

 十年前の前回の区割りの改定案では、二倍以上の選挙区は九残ったところですが、今回は、現行の衆議院小選挙区並立制導入後の過去二回の区割り画定、改定を含めまして、公職選挙法制定以来、格差是正としては初めて、国勢調査人口での人口格差二倍以上の選挙区は解消されることになったというところでございます。

保岡委員長 具体の区割りについて、お伺いします。

 選挙区間の最大人口格差を二倍未満とするために、東京十七区と十六区の江戸川区本庁管内上一色三丁目の約千五百人を合わせて新十七区とし、十六区の江戸川区の残余の区域で新十六区としました。その結果、新十六区の人口は五十八万一千六百七十七人となり、人口最大の選挙区となりましたが、もう少し踏み込んだ改定はできなかったのかどうか、お聞かせください。

 また、青森県の場合、二区と三区の一部を合わせて新二区とし、三区の残余の区域で新三区としております。長崎県の場合、三区と四区の佐世保市の一部を合わせて新三区とし、四区の残余の区域で新四区としておりますが、いずれの選挙区の人口も、人口最小の選挙区である鳥取二区の人口をわずかに上回るものとなっております。

 いずれも各選挙区の地域性を考慮したことであると考察いたしますが、人口の小さい選挙区間で調整するよりは、近接する人口の大きな選挙区との調整を行った方が、今後二倍を超える選挙区が生じる可能性を抑制することができたのではないかと考えられますが、審議会としてはどのように考えて区割りを行ったのか、お聞かせください。

吉田参考人 お答えを申し上げます。

 東京十六区は、平成二十二年国勢調査人口で五十八万三千百四十七人であり、人口最小選挙区となる鳥取新二区の人口二十九万一千百三人の二倍、五十八万二千二百六人以上となっております。

 現行の東京十六区は、江戸川区のうち既にその一部が隣接の十七区との間で分割されている区域を除く区域で構成されている選挙区でございまして、今回の改定案の作成に当たっては、市区町村の分割基準に該当するため、分割されている区域を変更して人口の縮小を図ることといたしました。

 具体的には、緊急是正法で、選挙区の異動を必要最小限とすることを求めている中で、東京都知事及び江戸川区からの意見も聞き、東京十六区の江戸川区の本庁管内における町字の位置、投票区の再編数といった選挙の管理執行の観点などの地勢、交通その他の自然的社会的条件を総合的に考慮して、住民にわかりやすい河川と鉄道の線路で二方が区切られ、一定のまとまりのある区域である本庁管内の上一色三丁目を隣接の十七区に編入することとしたところでございます。

 この結果、改定後の東京十六区は五十八万一千六百七十七人となり、上限人口五十八万二千二百五人を五百二十八人下回ることとなり、緊急是正法が定める平成二十二年国勢調査人口で格差二倍未満という人口基準を満たすこととしたところでございます。

 なお、参考までに申し上げますと、今回の緊急是正法による改定の対象にはなりませんが、東京新十六区に次いで人口が大きいのは東京の二十四区、八王子市の五十八万五十三人であり、鳥取新二区との格差は一・九九三倍でございます。

 次に、青森県につきましては、青森二区が平成二十二年国勢調査人口で二十八万七千五百十八人であり、下限人口を下回っております。

 このため、歴史的沿革、広域行政の取り組み、通勤通学状況等の地勢、交通その他の自然的社会的条件を総合的に考慮して、三区の三戸郡五戸町を二区に編入することといたしました。

 また、長崎県については、長崎三区が平成二十二年国勢調査人口で二十五万五千七百七十八人であり、下限人口を下回っております。

 このため、歴史的沿革、三区に隣接している選挙区である長崎二区の諫早市、長崎四区の佐世保市の市街地の状況、投票区の再編数といった選挙の管理執行の観点などの地勢、交通その他の自然的社会的条件を総合的に考慮し、四区の佐世保市の区域の一部を分割して三区に編入することが適当と判断したものであります。

 なお、いずれの県の改定案においても、比較的人口の少ない選挙区間での改定といたしましたため、改定後の選挙区の人口は、それぞれ、青森二区で三十万六千二百三十人、青森三区で二十九万二千四百九十二人、長崎三区で二十九万七千二十四人、長崎四区で二十九万六千三百五十三人となり、下限人口である二十九万一千百三人に近い選挙区が生じることとなりますが、緊急是正法における人口基準には適合しており、また、同じく緊急是正法で、地勢、交通その他の自然的社会的条件を総合的に考慮することとされておりまして、これらを踏まえて、このような改定案を作成したところでございます。

保岡委員長 選挙区数が三から二となった山梨県の区割りにおいては、新一区が五十三万一千九百九十一人、新二区が三十三万一千八十四人と、県内における選挙区間の人口の差が約二十万人、福井県は同じくその差が約十三万四千人、徳島県はその差が約十二万六千人となっております。それぞれ県内で均衡に欠ける区割りとなっておりますが、なぜそのような区割りになったのか、お聞かせください。

吉田参考人 お答え申し上げます。

 選挙区数が一減となる五県につきましては、いずれも定数二となりますので、県の区域を二分する必要がありまして、人口最小選挙区を手がかりとして、行政区画、地勢、交通その他の自然的社会的条件を総合的に考慮して、合理的に選挙区の改定案の作成を行ったところであります。

 お尋ねの点につきましては、緊急是正法では、定数減少県内の選挙区の改定においては、人口の均衡を図ることは明確に求められているものではないこと、また、仮に人口の均衡を図るとしても、この場合、地域的なつながりが希薄である地域が同一の選挙区となるおそれがあること、そして、この改定案においても、他の都道府県と比較して結果的にそれほどの人口不均衡ではないこと、具体的には、改定後の県内の選挙区間の格差は、大きい順に、山梨県では一・六〇七倍で全国第十位、福井県では一・三九八倍で全国第二十六位、徳島県は一・三八二倍で全国第二十九位となっております。

 このような理由から、行政区画、地勢、交通その他の自然的社会的条件を総合的に考慮して定めた今回の案よりもより人口均衡を図るような案は、採用するには至らなかったというものでございます。

保岡委員長 ありがとうございました。

 冒頭にも申し上げましたが、村松会長を初め審議会委員の御尽力に対し、重ねて敬意を表しまして、以上で私からのお尋ねを終わります。

 村松会長、吉田会長代理には、お忙しい中、委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十三分散会


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