衆議院

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第2号 平成27年5月27日(水曜日)

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平成二十七年五月二十七日(水曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 山本  拓君

   理事 大串 正樹君 理事 坂本 哲志君

   理事 白須賀貴樹君 理事 田中 良生君

   理事 盛山 正仁君 理事 黒岩 宇洋君

   理事 浦野 靖人君 理事 佐藤 茂樹君

      青山 周平君    井野 俊郎君

      伊藤 忠彦君    今枝宗一郎君

      小田原 潔君    門山 宏哲君

      神田 憲次君    小林 鷹之君

      坂井  学君    助田 重義君

      中川 俊直君    中村 裕之君

      長尾  敬君    藤井比早之君

      古川  康君    古田 圭一君

      三ッ林裕巳君    宮崎 政久君

      武藤 貴也君    務台 俊介君

      山下 貴司君    若狭  勝君

      玉木雄一郎君    福島 伸享君

      宮崎 岳志君    山尾志桜里君

      井出 庸生君    木下 智彦君

      牧  義夫君    國重  徹君

      角田 秀穂君    穀田 恵二君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   議員           逢沢 一郎君

   議員           船田  元君

   議員           逢坂 誠二君

   議員           黒岩 宇洋君

   議員           武正 公一君

   議員           井上 英孝君

   議員           重徳 和彦君

   議員           北側 一雄君

   議員           穀田 恵二君

   議員           野間  健君

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        二之湯 智君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    三浦 正充君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            安藤 友裕君

   衆議院調査局第二特別調査室長           細谷 芳郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月六日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     宮崎 政久君

同月三十一日

 辞任         補欠選任

  ふくだ峰之君     今枝宗一郎君

五月二十七日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     小林 鷹之君

  神田 憲次君     古田 圭一君

  長坂 康正君     青山 周平君

  宮内 秀樹君     中村 裕之君

  後藤 祐一君     山尾志桜里君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     長坂 康正君

  小林 鷹之君     小田原 潔君

  中村 裕之君     務台 俊介君

  古田 圭一君     神田 憲次君

  山尾志桜里君     後藤 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     宮内 秀樹君

同日

 理事ふくだ峰之君三月三十一日委員辞任につき、その補欠として大串正樹君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

四月十六日

 政党助成法を廃止する法律案(穀田恵二君提出、衆法第一号)

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(江田憲司君外四名提出、衆法第三号)

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(穀田恵二君提出、衆法第一七号)

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(黒岩宇洋君外三名提出、衆法第一八号)

五月二十六日

 公職選挙法等の一部を改正する法律案(船田元君外七名提出、衆法第五号)

三月二日

 小選挙区制廃止、消費税増税と結びつけた比例定数削減反対、抜本的な選挙制度改革に関する請願(穀田恵二君紹介)(第四七号)

同月十九日

 政党助成金を直ちに廃止することに関する請願(畑野君枝君紹介)(第四二〇号)

 同(畠山和也君紹介)(第四二一号)

 同(藤野保史君紹介)(第四二二号)

 同(堀内照文君紹介)(第四二三号)

五月二十一日

 政党助成金の廃止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一〇五二号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一〇八三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法等の一部を改正する法律案(船田元君外七名提出、衆法第五号)

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(黒岩宇洋君外三名提出、衆法第一八号)

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(江田憲司君外四名提出、衆法第三号)

 政党助成法を廃止する法律案(穀田恵二君提出、衆法第一号)

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(穀田恵二君提出、衆法第一七号)

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に大串正樹君を指名いたします。

     ――――◇―――――

山本委員長 この際、総務大臣、総務副大臣及び総務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。高市総務大臣。

高市国務大臣 引き続き総務大臣を拝命いたしました高市早苗でございます。

 今後とも、公正かつ明るい選挙の実現に向けまして、副大臣、大臣政務官、職員とともに全力で働いてまいりますので、山本委員長、理事、委員の皆様方の御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

山本委員長 次に、二之湯総務副大臣。

二之湯副大臣 引き続き総務副大臣を拝命いたしました二之湯智でございます。

 高市大臣を補佐し、全力を尽くしてまいりますので、山本委員長初め理事、委員の皆さん方の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。(拍手)

山本委員長 次に、あかま総務大臣政務官。

あかま大臣政務官 引き続き総務大臣政務官を拝命いたしましたあかま二郎でございます。

 高市総務大臣を補佐し、二之湯副大臣とともに全力で当たってまいりたいと思っております。委員各先生の御指導をどうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

山本委員長 次に、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長三浦正充君、総務省自治行政局選挙部長稲山博司君、総務省情報流通行政局長安藤友裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 昨年十二月に行われました第四十七回衆議院議員総選挙及び第二十三回最高裁判所裁判官国民審査の結果の概要について、政府から説明を求めます。高市総務大臣。

高市国務大臣 この機会に、第四十七回衆議院議員総選挙及び第二十三回最高裁判所裁判官国民審査の結果の概要について御報告申し上げます。

 平成二十六年十二月十四日に執行されました第四十七回衆議院議員総選挙は、同年十一月二十一日に衆議院が解散されたことによる総選挙で、選挙すべき議員の数は、平成二十四年の公職選挙法改正により小選挙区で五人減となり、小選挙区選挙で二百九十五人、比例代表選挙で百八十人、合計四百七十五人でした。

 選挙当日の有権者数は約一億三百九十六万人で、前回の総選挙に比べ約三千人増加し、衆議院議員総選挙では過去最高となっております。

 次に、投票の状況について申し上げます。

 平成二十六年十二月十四日の投票日の天候は、全国的に厳しい寒さとなり、日本海側は雪となった地域もありました。

 投票率は、小選挙区選挙で五二・六六%、比例代表選挙で五二・六五%で、これは前回に比べ、いずれも六・六六ポイント下回り、戦後最低となっております。

 次に、立候補の状況について申し上げます。

 小選挙区選挙については、候補者数は九百五十九人で、競争率は三・二五倍でした。

 比例代表選挙については、名簿を届け出た政党は十一選挙区で十一政党、その届け出名簿に登載された候補者数は八百四十一人で、競争率は四・六七倍でした。このうち、小選挙区選挙に届け出がなされた重複立候補者は六百九人でした。

 この結果、小選挙区選挙及び比例代表選挙の合計の候補者数は千百九十一人で、前回の千五百四人に比べ三百十三人の減少となりました。

 次に、当選人の状況について申し上げます。

 党派別に申し上げますと、自由民主党は小選挙区選挙で二百二十二人、比例代表選挙で六十八人、合計二百九十人、民主党は小選挙区選挙で三十八人、比例代表選挙で三十五人、合計七十三人、維新の党は小選挙区選挙で十一人、比例代表選挙で三十人、合計四十一人、公明党は小選挙区選挙で九人、比例代表選挙で二十六人、合計三十五人、日本共産党は小選挙区選挙で一人、比例代表選挙で二十人、合計二十一人、次世代の党は小選挙区選挙で二人、社会民主党は小選挙区選挙で一人、比例代表選挙で一人、合計二人、生活の党は小選挙区選挙で二人、無所属は小選挙区選挙で九人となっております。

 なお、女性の当選人は四十五人で、前回に比べ七人増加しております。

 次に、党派別の得票率の状況について申し上げます。

 小選挙区選挙では、自由民主党四八・一〇%、民主党二二・五一%、維新の党八・一六%、公明党一・四五%、日本共産党一三・三〇%、次世代の党一・七九%、社会民主党〇・七九%、生活の党〇・九七%、その他無所属を含め二・九三%となっております。

 また、比例代表選挙では、自由民主党三三・一一%、民主党一八・三三%、維新の党一五・七二%、公明党一三・七一%、日本共産党一一・三七%、次世代の党二・六五%、社会民主党二・四六%、生活の党一・九三%、その他の三政党合わせて〇・七二%となっております。

 最後に、最高裁判所裁判官の国民審査の状況について申し上げます。

 今回の国民審査は、前回の国民審査以降に任命された五人の裁判官について行われたものです。

 国民審査の結果は、罷免を可とする投票が有効投票の九・五七%ないし八・四二%で、罷免を可としない投票の数より少なく、したがって、審査に付された全裁判官が国民の信任を受けました。

 以上をもちまして、今回の衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査の結果の概要についての御報告を終わります。

山本委員長 次に、第四十七回衆議院議員総選挙違反検挙・警告状況について説明を求めます。警察庁三浦刑事局長。

三浦政府参考人 平成二十六年十二月十四日に行われた第四十七回衆議院議員総選挙における違反行為の取り締まり状況について御報告いたします。

 選挙期日後九十日の平成二十七年三月十四日現在で集計しました数字は、お手元に資料としてお配りしてあります表に示したとおりでございます。

 検挙状況は、総数で八十七件、百五人となっておりまして、前回の総選挙における同時期の百八件、百四十一人と比べますと、件数は二十一件減少し、人員も三十六人減少しております。

 罪種別に申しますと、買収が五十七件、七十二人、自由妨害が十四件、十一人、文書違反が一件、二人、詐偽投票が五件、五人、投票干渉が四件、十人、その他六件、五人となっておりまして、買収が検挙事件のうち、件数で六五・五%、人員で六八・六%を占め、最も多くなっております。

 なお、インターネット等を利用した選挙運動に対する検挙はありません。

 次に、警告状況を申し上げますと、総数が千六百九十二件でございまして、前回の二千九百三十八件と比べ、千二百四十六件減少しております。

 警告事案のほとんどは文書関係についてのものでありまして、総件数の九四・〇%を占めております。

 また、インターネット等を利用した選挙運動に対する警告は八件となっております。

 以上、御報告申し上げます。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黒岩宇洋君。

黒岩委員 民主党の黒岩宇洋でございます。

 きょうは、ようやく高市早苗倫選特担当大臣の所信的挨拶に対する質疑を行うことができます。

 そもそも当委員会は、名のとおり、政治倫理の確立及び公選法改正に関して質疑をする委員会でございます。

 昨年からことしにかけまして、政治倫理に関しては、残念なことに、政治資金規正法に関し、特に補助金受給企業からの制限される寄附、すなわち政治献金についての疑惑があったり、中には、規正法に関して違法性を問われ事件化したことなど、国民からの関心も、これは幸か不幸か大変高まっている状況であります。

 また、公選法に関しては、先般提出されましたけれども、十八歳選挙権、すなわち選挙権の年齢が引き下げられるということが予定をされておりましたので、これも大変国民の関心が高いという状況の中で、国民の声の代弁者として、当委員会で、担当大臣に、やはり大臣の政治倫理及び公選法改正に対する考え方や方向性をお聞きしたいと再三再四要請をしておったんですけれども、常会が開幕されまして、今、もう五月の半ばでございます。この時期までなかなか質疑ができなかったことは正直残念な思いでありますが、大臣にここでお聞きをいたしたいと思います。

 今申し上げた状況の中で、大臣、政治倫理の確立及び公選法改正について、今後、担当大臣として説明責任を積極的に果たしていっていただきたいと思っておりますし、また、今後予定されます公選法改正そして資金規正法改正の質疑に対し政府答弁を求められたときに、担当大臣として積極的にお立ちいただきたいと考えております。この点について、大臣の前向きな姿勢を表明していただきたいと思います。御答弁、よろしくお願いいたします。

高市国務大臣 本委員会に伺うのが大変遅くなりまして、申しわけございませんでした。

 今通常国会が始まりましてから、予算委員会、決算委員会、そして総務委員会、衆参でございます。そんな中で、今週も、この委員会を入れますと、月、火、水、木、毎日衆参両院で質疑を受けているような状況でございました。なかなか日程調整が難しくて、申しわけなかったことだと思っております。

 やはり、政治倫理、そしてまた選挙に係るさまざまな法制ということにつきましては、民主主義の根幹にかかわる大変重要な問題でございます。法律を所管する省といたしまして説明責任を果たさなければならないと思っておりますので、もしも私に対する御質問をいただけますようでしたら、またそのときには応じさせていただきたいと思っております。

黒岩委員 根幹的な部分については、当然、大臣、我々委員とも共有しているということを今よく理解させていただきましたし、大臣答弁についても前向きに応じるという、まさに積極的な御答弁をいただいたことについてはありがたく思っております。

 そこで、ちょっと政治倫理について、これも大変残念なことであるんですけれども、昨年十月、当時の小渕優子経済産業大臣が、みずからの政治団体の政治資金の使途の不透明さを理由に辞任をされました。その際に、政治家として今後説明責任を果たしてまいりたいという御説明をされていらっしゃいます。

 当委員会は、何度も申し上げますけれども、政治倫理の確立を責務とする委員会でございますので、説明をいただくにはふさわしい委員会だと思っておりますので、これは委員長にお願いをさせていただきますが、小渕優子衆議院議員を参考人として当委員会にお呼びいただくようお願いをいたします。

山本委員長 理事会で協議させていただきたいと思います。

黒岩委員 それでは、政治資金規正法のあり方について、特に先ほど申し上げた、二十二条の三、補助金受給企業からの寄附の制限、このことを中心にこれから質問をしていきたいと思っております。

 この条文は、残念ながら、非常に不明確でわかりづらいんですよね。制限される寄附なのかどうか、この点について疑惑をかけられた国会議員、これは与野党合わせて多数いるわけです。安倍内閣においては六閣僚がこの疑惑をかけられました。

 例えば、法をつかさどる法務大臣もこの疑惑が報道され、すなわち、補助金を受給している企業からの政治献金というものが認識された。しかし、そのことに対して、法をつかさどる法務大臣が説明をするまでに二週間かかりました。しかも、法律の専門家チームを法をつかさどる法務大臣のもとに置いて、二週間かけて、三月になってから、それこそ法務委員会での大臣の所信表明の後にわざわざ時間を割いて、一定の時間の猶予をいただき、今般、調査検討を終え、この場で説明をさせていただきますといって説明をされたんですね。

 結果、説明としては、寄附の制限のかからない補助金だったということを説明するんですけれども、それまでに二週間かかる。しかも、法をつかさどる法務大臣がここまでしなければこの条文と整合性をとれるかどうかがわからない。

 この二十二条の三の条文というのは一体どういう代物なんだ、そして、国民にとって、特に法律の専門家でない方たちにとっては余りにもこの二十二条の三というのはわかりづらい条文である、そのようにお感じになりませんか。大臣、御答弁ください。

高市国務大臣 総務省では、お問い合わせがありました場合には、二十二条の三の趣旨について、解釈については丁寧にお答えをしているつもりでございます。

 国から補助金の交付を受けた法人が行う政治活動に関する寄附については、政治資金規正法第二十二条の三により寄附制限と適用除外要件が定められております。

 一方で、国から補助金を受けて寄附を行うか否かということについては、補助金等の交付を受けた当該法人等の判断に委ねられております。

 今通常国会において、政治資金に関する質疑の一環として、法人からの政治活動に関する寄附が政治資金規正法違反となるか否かについてもたび重なる質疑が行われたということですから、こうしたことを踏まえますと、より趣旨の明確化を図っていく必要があると考えております。

黒岩委員 大臣は、予算委員会において、一体どの補助金がこの寄附制限がかかるのかという質問に対して、こう答弁されていますね。当該企業が寄附をする事前に十分な時間をかけて総務省に補助金を所管する各省が問い合わせをした場合、総務省として考えを示しておりますと。これから示すんじゃないですよ、もう示しておりますと。あわせて、その後に、個別具体的な各省からの相談については総務省はしっかりと答えさせていただいている、こう答えているんですよ。

 そこで、お聞きしたいんです。

 十分な時間をかけてと。では、一年としましょう。まさか二年も三年も前から、補助金が出るか出ないかもわからないのに各省が総務省に、この補助金、制限がかかるの、どうなのなどと問い合わせるわけはありませんから、一年としましょう。

 では、昨年度、すなわち平成二十六年度に、大臣のおっしゃる各省、内閣府も含めてもいいです、総務省は除きますけれども、各府省、十一府省からの問い合わせは何件あったのか、それについてお答えください。

高市国務大臣 具体的な数字を申し上げる場合につきましては御通告をいただかないと、ちょっと今手元に持っておりません。承知をいたしておりません。

黒岩委員 残念ながら、ちょっとその答弁は腑に落ちないのは、三月十二日の予算委員会で、今申し上げたとおりに、各省からの問い合わせに総務省としてはしっかりと考えを示しております、答えておりますと言っているわけですから、その時点で、どういうような問い合わせがあったとか、どういう補助金について問い合わせがあったとか、そういったことは大臣は御認識している。そういう意味で、では、何件かと言いませんけれども、あったのか、なかったのか、お答えください。

高市国務大臣 ございました。

 質問に対して予算委員会で答弁をいたしましたときには、私もきちっと、省内でこういう問い合わせがさまざまな役所からあったとき、そしてまた議員からある場合もございます、ちゃんとお答えしているんですねということを確認いたしております。実際に問い合わせがあって、それに対してきちっとお答えをしているということでございます。

黒岩委員 非常に不思議なんです。ここに十一枚のペーパーがあります。内閣府とそれ以外の、総務省を除く十一省に全て、二十六年度のこの一年間、担当所管省庁である総務省に、自分たちが出している補助金等、負担金等も含めて、これについて、寄附制限を受けるかどうか相談をしたことがあるのか、合議をかけたことがあるのかと問うたところ、全ての府省庁から、一件もありませんとちゃんと文書でいただいています。全部文書でいただいています。そうなると、今の答弁とは食い違うじゃありませんか。

 大臣、この食い違いについて御説明いただきたいと思います。

高市国務大臣 今委員がお調べになったのは二十六年度ということでございますか。二十六年度以前にはございます。

黒岩委員 大臣、十分な事前の時間をかけてといったときに、当面、一年というところで、では、一年間はなかったということはお認めになるんですね。いや、後ろに聞いているんだが、後ろはのぞかなくていいから。(高市国務大臣「誰に、政府委員ですか」と呼ぶ)いや、大臣ですよ。

 大臣、いいですか。一年間なかったんですよ。今まで総務省に直近でもあるのかどうかと聞いても、いやいや、ありますよと言っていた。結局、相談をする相手側に確認をとったら、一年間相談は一回もしていない、こういうことが明らかになったんですよ。

 それで、私が申し上げたいのは、結局、所管省庁に問い合わせすら一年間もない、このような状況なんですね。この条文が追加されたのは昭和五十年です。まさに今から四十年前、当時の三木内閣です。しかも、これは議員立法ではありません。閣法として出され、内閣として、政府として責任を持ってこの二十二条の三という条項を追加した。にもかかわらず、今申し上げた、所管省庁に一年間も何の問い合わせもない。

 そして、この四十年間で、この二十二条の三で違法性を問われ、罰則を加えられた人間は一人もいない。これは法務省に確認しましたから事実です。そう考えると、この二十二条の三というものが当時追加された、閣法によって条文が制定されたときの思いとは裏腹に、今現在、空文化していると言えるのではないでしょうか。大臣、どうお考えですか。

高市国務大臣 二十六年度に問い合わせがなかったということを確認された。二十六年度、二十六年の四月から二十七年の三月までの間に各省から問い合わせがなかった。それは、各省において判断ができたということだと思います。それ以前には問い合わせがあって、あった問い合わせに対しては、総務省としてはきちっとお答えしているということでございます。

 空文化しているんじゃないかということでございますけれども、しかしながら、やはり趣旨として、国から補助金なり助成金を受ける、国との関係をさらに強固にするために、そういった意図を持って政治献金をするというようなことがあってはいけない、これを防ぐために、そういう趣旨を持って設けられた条文でございます。

 その中で、先ほども申し上げましたけれども、確かに、ことしの通常国会において、判断がつきにくい、この条文だけ読んでも、逐条解説を読まれる方もいらっしゃるでしょうけれども、判断がつきにくい、総務省にお問い合わせいただいたらいいんですけれども、個々の案件について判断がつきにくいというお声がありましたものですから、今、改善のための措置を講じようとしております。

 特に、衆議院の予算委員会、三月三日の予算委員会で、総理から、現行法制のもとでこうした問題が生じないように何ができるのかという御発言がございました。

 このため、政府といたしまして、政治資金規正法の趣旨にのっとり、国から補助金等の交付を受けた法人に対する寄附制限に係る適用除外要件について、ガイドラインを定めて明確化するということなど、現行法制下での運用改善を速やかに行うこととしました。

 総務省におきまして、政治資金規正法の趣旨にのっとって、可能な限り明確化したガイドラインを作成して、これに沿って補助金などを分類の上、その結果を交付先に通知するといった形で現行法制下での運用改善を速やかに行うこととして、現在、各府省で分類作業を行っております。

 今後は、こうした取り組みで、会社その他の法人が政治活動に関する寄附をするに当たって、政治資金規正法の趣旨がより明確になっていくと考えております。

黒岩委員 私は、四十年間この規定に触れた人がいなかったことを悪しとは言わないんですよ。それは法律を遵守してきたという、そのことは当然評価することです。

 ただ、この後、結局は、疑惑が出ても、今言ったように、曖昧で、結果的には寄附制限を受けないという結論になってしまうんだったら、何のためにこの規制の網をかけたのか、そういう意味でこれが空文化している。

 まさに、今国民が思っている、この条文があったって、結局は知らなかったで済まされる、そして他の団体を通せば済まされる、そして例外規定、その他、性質を伴わないものだったら許されちゃう、結局、みんなその例外規定に該当しちゃって、何にもこの網にかからない、まさにざる条文だという意味で空文化だと申し上げたんですよ。それは御理解いただけると思います。

 それで、今大臣が先んじておっしゃられましたけれども、運用で今のこの状況を、政治家たるもの誰もが疑惑をかけられてしまうこの条文の不明確さを何とか改善しようという趣旨でガイドラインというものができたということなんですけれども、これを皆さんもちょっとごらんになってください。皆様のもとに、これは私が資料として出しております、黒岩宇洋事務所資料作成と。

 ただ、これは誤解なきようにですけれども、右側についている「資料一」というのは、これは私がつけた文字ではありませんからね。これはもともとついていた。二ページはぐっていただくと「資料二」というものが出てきます。これも私がつくった文言ではございません。

 そこで、この二つの資料に大きな違いがあることにお気づきになられると思います、見ていただくと。資料二、すなわち、ここで言うところの、はぐって三枚目のこのガイドラインには「総務省」というクレジットが入っていますね。しかし、一枚目、資料一、これにはクレジットが入っていませんね。

 この資料一を一枚はぐっていただきますと、「(3)補助金等の分類及び通知」とあります。ここに書いてあるように、補助金等を所管する各府省庁は、当該補助金等の交付要綱等を踏まえ、補助金等の分類作業をする。分類作業というのは、これが寄附制限、すなわち二十二条の三の寄附制限に当たりますよ、これは当たりませんよという分類作業を行うとともに、交付決定通知、すなわち、各企業に補助金を交付するときに、その交付先に、これは寄附制限を受けるから、一年間はあなたは寄附すると法律違反ですよ、この補助金は制限を受けませんよと通知するものとする。これは、どう読んでも指示命令書ですよね。

 いいですか。各府省庁に対して、このクレジットのない二枚の紙は指示、命令をしているんです。

 そして、私、総務省に聞いたんです、まずはこのクレジット、差出人というのは誰なんだ、誰がこれを書いたんだと。そうしたら、答えはこういうことでした。非常に日本語としてはわかりづらい概念でした。政府としての取り組みについて、総務省が事務局としてつくった文書ですと。ですから、書いたのは総務省です。

 そこで聞きたいのは、では、指示、命令をする主体は一体誰なんですか。大臣、教えてください。

高市国務大臣 そもそも、この運用改善についてという資料でございますけれども、総理の御発言を受けて、政府として現行法制下での運用改善を速やかに行うということになりましたので、この運用改善についてという資料は、政府として、その取り組みに係る経緯ですとか趣旨ですとか分類作業の進め方、そこから進めていきますよということで、会議において、事務方である総務省が作成して、各府省庁に会議資料として示したものでございます。ガイドラインとは別のものでございます。

黒岩委員 ですから、省庁間を超えて指示、命令なんてできないでしょう。ですから、主体は何なのか。政府なのか、政府がなのか。

 では、この二枚の文書の法的な根拠、法的ではないにしても、これを権威づけることができる何らかの根拠はあるんですか。大臣、お答えください。

高市国務大臣 ですから、この運用改善についての紙は、会議の配付資料です。これからどのように進めていくかということで、各府省で打ち合わせをするための配付資料です。この紙がオーソライズされて、最終的な決定事項であって、法的根拠があるというようなものではなくて、改善のためにつくられた。

 完成版はこのガイドラインです。このガイドラインに従って、今、各府省が具体的な今年度の補助金を分類しているということです。

黒岩委員 ガイドラインは五枚もあるので、ここで説明しませんよ。ただ、ここには、何々するものとか、指示、命令は何にも入っていないんです、ガイドラインは。逆に、この宛名のない紙二枚には、幾つか指示、命令が書き込まれているんですね。

 今言ったように、クレジットがない文書というのは、ともすれば、内容、趣旨は違いますけれども、昨今問題になった厚労省のあの一〇・一文書、出どころがわからぬと。これはマスコミは怪文書と呼んでいましたよ、非常に失礼な言い方かもしれませんけれども。

 ですから、大臣、私は、そんなクレジットのない文書で、運用で、今申し上げた二十二条の三、補助金からの、制限された寄附を受けた企業からの献金について、ここにいる誰もが疑惑を抱かれる可能性がある、こういったものを改善するにおいて、こんなクレジットのない文書で、運用によって改善する、こんなことができるのか。ならば、法改正で堂々と改善すればいいじゃないですか。いかがですか。

高市国務大臣 総理が予算委員会の答弁で、現行法制下でできることをということでおっしゃいましたので、政府として、現行法制下でできる改善策を皆で話し合って、総務省が事務方として、最初の段階は会議でこの資料をお配りして今後の進め方を決めた上で、このガイドラインを、「資料二」と書いた方ですが、このガイドラインを固めました。

 ということで、委員がなぜ、クレジットのない紙だから物すごく大問題だと……(黒岩委員「当たり前でしょう。クレジットがなきゃ、各省庁に命令できないでしょう」と呼ぶ)これは会議の配付資料ですから、事務方としての。

黒岩委員 大臣、大体、差出人のない文書というのは、みんな痛くもない腹を探られるんですよ。

 資料一、資料二で、資料二にはクレジットがあって資料一にはない。よくこんな不可思議な対応で、あれだけ問題になった資金規正法に対する疑念を、この二十二条の三の明確化を図ろうという、私はどうもその意図というものが、本当に、逆にはかりかねる。

 では、ここにあるように、各府省庁に対して、交付決定前に、この補助金は寄附制限がかかりますよ、かかりませんよということを法文に落とし込めばいいだけじゃないですか。何でそれをためらうんですか。その方が明らかに厳格化されるわけですし、何度も申し上げますけれども、これは、補助金を受給して献金する企業だけでなく、受け取る側の我々国会議員誰もが、この不明確な状況を本来なら防ぐべきでしょう。そのために法改正でより一層厳格化することをなぜためらうんですか。そのことが私は不思議でなりません。お答えいただけませんか。

高市国務大臣 民主党から、政治資金規正法改正案が当委員会に提出されていると承知いたしておりますので、その中に入っているものについて私がコメントするというのは適切でないかもしれませんが、今、法文にそれぞれの補助金が合法か違法か落とし込めないかという話ですよね。もしそういうお話でしたら、年度によってさまざまな政策があります。さまざまな新規の補助金ですとか助成金が出てまいりますよね。それを一回ずつ法改正して条文に落とし込むということが現実的かどうかということでございます。

 先ほど、クレジットがない書類だからとおっしゃいましたけれども、これは事務次官会議で使ったものなんですね。これは各府省とも了解しております。たまたま法律を所管するのが総務省ですから、事務方として、今後の進め方の相談について、上二枚の紙を配らせていただきました。

 ガイドラインですけれども、これも、各府省がしっかり、これは二十二条の三第一項に規定するものに該当するか否かというのを分類するに当たっての指針、目安となる解釈を、総務省が法律を所管する役所として責任を持って取りまとめたものです。

 各府省において、今、分類作業をそれぞれの補助金について、今年度分のですよ、それぞれの補助金についてしていただいておりますので、これはしっかりと進んでいく、近いうちにお示しできる状況になっております。

黒岩委員 出どころのわからぬペーパーで次官会議が開催されているというのはびっくりしました。そんなことがあり得るのかと、本当に、ただただあきれましたけれども。すごいことですよ。すごい事実が今わかりましたよ。どこの省庁が出したかもわからぬペーパーで、我が国の事務次官会議が開かれている。びっくりしました。

 それで、もっと大きな観点から聞きますけれども、いいですか、規正法というのは刑罰がかけられているわけですから、我が国憲法三十一条が要請する手続の適正化、すなわち罪刑法定主義に照らし合わせても、これは運用ではなく、当然、法律によって明確化していく、このことが憲法の要請だと思いますが、大臣、いかがお考えですか。

高市国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、民主党から法律案がこの委員会に提出されていると聞いておりますので、これに対して、政府として、その内容にかかわることについていいとか悪いとか発言するのが適切だとは思いません。

 どうか、この委員会において、各党各会派において御議論をいただきたいと思っております。

黒岩委員 私どもの改正案を議論しているんじゃなくて、規正法という大臣が所管している法律について、どうあるべきかということを議論しているんですよ。私は今、個別具体的なことは申し上げていませんからね。

 時間に制限があるので。

 大臣、我々、この国会というところに属する議員の身分に直結する法律なんですね、資金規正法というのは。しかも、今言ったように刑罰が科されるわけですから、まさに我々の身分に直結するものですよ。だからもともと議員立法で出されているわけですね。それを、今国民から大きな疑念が抱かれた、二十二条の三に対しても大きな疑念を抱かれた、このことに対して、明確化していく、この条文を明確化していくことを、行政府の総務省という一省庁のガイドライン、運用なるものに任せるなどということは、大臣も立法府にいる一人の政治家であるという立場からして、そんなことは私からいえば立法府の自殺行為ですよ。

 立法府が立法府として責任を持って、議員立法でも、またそれは議院内閣制ですから行政府としても、先ほどの昭和五十年の閣法もそうでした、政治家として、みずからの身分にかかわることはみずからの手で法律に落とし込んでいこう、こういうことが私は筋論だと思っているんですね。大臣、そのことはどうか御理解をいただきたいと思います。

 時間が限られてしまいました。

 先ほど私は触れていません、きょう、この後に、私どもとして改正案を提案いたします。私の今の議論の中でも、やはりこれは運用よりもきちんと法律を見直していくことがいいのではないかとお考えになった方も多いと思いますよ。

 ですから、この改正案の議論についてどうか大臣も御理解いただき、そして当委員会の委員の皆様にも強く強く御理解を求めまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 維新の党、信州長野の井出庸生です。きょうはよろしくお願いいたします。

 冒頭、昨年の選挙結果の御報告をいただきまして、もう少し早くこの場で御報告をという思いは黒岩委員と同じなのですが、やはり、小選挙区で投票率が五二・六六、戦後最低と改めて聞かされますと、私としてはいささか残念だったなという思いがあります。

 きょうは、投票率にもかかわり合いのあることだと思うんですが、選挙の報道、特にテレビ局の選挙報道について伺いたいと思います。

 まず、公職選挙法を見ますと、この法律の目的、第一条の最後のところに、「民主政治の健全な発達を期することを目的とする。」そういう一言で締められております。また、放送法を見ますと、放送法の方も第一条、目的の最後のところなんですが、「放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」と書かれております。どちらも民主政治、民主主義の発展という意味で、公職選挙法と放送法、重なり合うところが私はあるなと思いました。

 そして、現実的にどうかといっても、やはり、テレビの放送の中での選挙報道、いろいろな角度から盛んな報道がなされて、国民に問題提起がなされて選挙の当日を迎えるということにおいて、テレビの選挙報道と選挙というものは、もはや密接なかかわりが現実としてもあると思うんですが、まず、そのあたりのざっくばらんな大臣の思いを伺いたいと思います。

高市国務大臣 今、井出委員が御紹介くださいました放送法の第一条も、健全な民主主義の発達を法の目的の一つとして掲げておりますし、公職選挙法の第一条も、民主政治の健全な発達を期することを法の目的として掲げております。

 いずれの法律も、我が国の民主主義において極めて重要な役割を担うと思っておりますので、それらの法律を所管する大臣として、その職責の大きさを十分に踏まえながら、しっかりと働かせていただきます。

井出委員 もう少し、繰り返し重ねるような聞き方で恐縮なんですが、かつての小泉純一郎総理の政権、郵政解散ですとか、あと民主党の政権交代の際もそうだったと思いますけれども、選挙が盛り上がっているときに、その一助となるテレビの選挙報道というものがあって、私は、政治をやっている立場からすれば、何とか一人でも多くの方に投票していただきたいですし、それに資する選挙報道というものをテレビ局にも積極的にやっていただきたいと思いますが、その思いは共有していただけるかどうか、伺いたいと思います。

高市国務大臣 共有いたします。

井出委員 ありがとうございます。

 これから伺うのは、私は前に予算委員会でも伺ったんですが、きょうお配りをしております資料の一枚目、新聞記事を幾つか見出しがわかるように並べているんです。

 昨年の総選挙、先ほど、戦後最低の投票率となったという話もありましたが、そのテレビの放送、選挙報道に対して、このような新聞報道がされて、見出しが出ている。「テレビ選挙報道 自民文書に恐々」「自民の中立要請 選挙報道に影響」「争点の政策扱いに偏り 政治家の資料映像激減」など、ここに紹介し切れないものもたくさんあって、これはほんの一例にすぎないのです。

 この全ての記事が指摘をしているのが、私が前にも予算委員会で伺った、昨年の十一月二十日に自由民主党が各テレビ放送局の政治取材のしかるべき立場の方にお願いという形で渡した文書でございます。

 選挙が行われるまでの期間においては、さらに一層の公平中立、公正な報道姿勢に御留意をいただきと。具体的に、出演者の発言回数ですとかゲストの出演者、テーマについて特定性と出演者への意見の集中がないなど、四つの項目が挙げられているんです。

 私は、この問題を予算委員会で取り上げたときに、総理から、選挙の前に間違った事実を提供された場合、多くの議員が議席を失う、それは取り返しがつかない、後で謝られても、もし意図的にやられたのであればこれは大変な問題になるわけであって、意図的でないとしても、やはり対立する事実についてはちゃんとやってもらいたいし、事実についてちゃんとやってもらいたいということを選挙の前にお願いするのは、私は当然のことではないかと、そういう御答弁を総理からいただきました。

 私は、公平中立、公正というものは、自民党が求める公平中立、公正と、また各テレビ局やそれを見る視聴者が感じる公平中立、公正というものは、それぞれ違いがあるものだ、主観が入り込むものだと思っております。

 改めて伺いたいのですが、この文書が、放送法の三条に定められております「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」これに抵触するのではないかと私は考えますが、改めてその御見解をいただきたいと思います。

高市国務大臣 このお配りいただいている資料のような、選挙時期における選挙報道の公平中立を求める文書、あとは公正と書いてありますね、昨年末、自民党及び複数の野党から在京の放送事業者に届いたということは、私も報道で知りました。

 その後、この文書を取り寄せたんです。自民党分のみをまず取り寄せたんですけれども、放送法にのっとった内容で報道していただきますようお願い申し上げる次第ですという形の丁寧な依頼文であって、これで何か圧力を相手が感じるような内容とも思えないとの感想を持ちました。

 いずれにしましても、こういった依頼文、これは与野党から発出されておりますけれども、こういうものが届いたとしても、放送事業者においては、放送法四条の規定にあるとおり、政治的に公平、報道は事実を曲げない、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにするといった原則に従って放送番組を編集するということになっておりますし、放送事業者におかれましても、この放送法の規定に基づいて自律的に放送番組を編集しておられる、このように認識をしております。

井出委員 先ほど申し上げましたが、公正中立というものは、自由民主党の考える公正中立とテレビ局が報道に際して考える公正中立、また視聴者が感じる公正中立は、私は違うと思うんですよ。

 その公正中立というものが、私は、それぞれの受けとめ手の違いであって、テレビの放送の公正中立というものは最終的には視聴者の御判断だと思いますし、お願いとはいえ、自民党の考える公正中立と視聴者の考える公正中立というものは一致しないと考えれば、やはりこれは干渉としか言いようがないと思うんですよ。

 干渉というのは、他人のことに立ち入り、自分の意思に従わせようとすることであって、公正中立という文言の意味の広さを考えれば、やはりこうした要請というものは干渉に当たると言わざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 自分の意思に従わせようとすることだと今委員は解釈をされましたけれども、それであれば、干渉には当たらないと思います。

 非常に丁寧な依頼文で、最後に「ご無礼の段、ご容赦賜り、何とぞよろしくお願い申し上げます。」とまで書いてありますし、何か放送法に書かれてある規定を逸脱した、無理なことをしろとか、そうしてもらわなきゃ困るとか、そういうことを書いてある文書でもなく、干渉に当たるものとは思いません。

 例えば、私どもの役所から行政指導なるものを行うことがありますが、そういったものも助言の域を出ておりません。相手がそれに従う必要はないわけです、そういう義務は課しておりませんので。

 ただの依頼文だと思います。

井出委員 テレビ各局の電波の免許、その交付というものを政府が行っている。その政権を担当している政党がこういうお願いをするというのは、私はお願い自体をやはり控えるべきだと思いますが、そうはお感じになりませんでしょうか。

高市国務大臣 政党が判断をしてなされている行動でございますから、政府として、これに対してこうするべきだとかこうするべきではないとお答えするような立場ではないと思います。

 先ほどは、あくまでも委員のお問いに対して、この文書を見ての私の感想は申し上げました。いわゆる干渉に当たるというものではないと思われるという旨も申し上げましたが、こういった依頼文を出しちゃいけないかどうかということについては、これは政党の御判断でございます。政府としての答弁は差し控えます。

井出委員 私は、出す出さないの判断を、政党の判断を大臣に伺っているのではなくて、それが放送法の干渉に当たるのではないか、そういうことをお伺いしているんです。明確な見解をいただきたいと思います。

高市国務大臣 先ほど答弁申し上げましたが、相手を自分の意思に従わせようとすることが干渉であるのであれば、それは当たらないと思っております。

井出委員 きょうお配りをしております資料の一枚目の新聞記事、私が御紹介するまでもなく、このことは大臣も既に御存じだと思いますが、政権が、そういうつもりはない、そういう言葉を言いながらも、テレビの政治取材のしかるべき方に党本部に来てもらって、それを渡すと。

 総務省が各放送局に、通知だか連絡だかわかりませんけれども、その中身も、私、選挙のものは伺って資料の三枚目につけてありますし、あとはせいぜい天気の、気象災害に関する中央防災会議の何か連絡を情報伝達する、その程度の話だと聞いております。

 政権側にその意図がなくても、こういう報道がされて、この新聞記事を詳細に見ていきますと、実際に選挙の報道が、その前の二〇一二年の選挙と比べて三分の二に減っているという数字もあるわけですね。この事実をやはり重く受けとめなければいけない、私はそう思っておりますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 私は、与党であれ野党であれ、こういう依頼文が放送事業者に渡された、それによって、放送事業者が報道の内容を放送法を逸脱するような、政治的に公平でもないものにしたり、事実を曲げて報道したり、意見が対立している問題について、例えば自民党の言い分だけを報道したり、そういうことをなされたとしたら、それは大変問題だと思います。

 しかしながら、放送事業者においては、しっかりと放送法第四条を遵守して、矜持を持って報道されていたものと思っております。

井出委員 私は、テレビの放送が、放送法の公正中立がなくて、新聞社のように自由な報道が認められているのであれば、政党が、要請をしたり、抗議をしたり、訂正を求めたりしてもいいと思います。

 しかし、放送法の公正中立と自民党の考える公正中立とテレビ局やそれを見る視聴者の考える公正中立、私は三者三様だと思うんです。だから、この公正中立という放送法の概念があるから、私はこういう問題が起こる一つの要因でもあるのかなと思います。

 こういうことが干渉に当たらないとおっしゃるのであれば、私も、では、いっそのこと、放送法の公正中立を取っ払って、テレビも自由にやってもらおう、インターネットが普及しているし、テレビが世の中全体に占める情報のウエートも下がってきていますし、もう放送法の公正中立というものを取っ払ってやっていこうというのであれば、干渉にも当たらないと思いますし、どんどんやっていただいていいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 放送法第四条第一項第二号に規定されている「政治的に公平であること。」という番組準則ですが、これはもう放送法の根幹をなす原則の一つでありますから、NHK、民間放送を含めて全ての放送事業者に適用されるものであります。

 やはり、有限希少な電波の一部を独占的に使用し、不特定多数の者に対して紙媒体以上に同時に安価に情報提供が可能であるという物理的な特性を有し、社会に与える影響力も依然として非常に大きなものであるということから、この「政治的に公平であること。」という規定の適用が必要だと考えております。

 これを取っ払ってということについては、私どもは考えておりません。

井出委員 放送法の公正中立の部分が根幹で、大事である、そういうお考えであるならば、放送法の法律、ルールを守るのは、まず基本的には、放送、テレビ局ですね、テレビ、ラジオの事業者に一義的な責任がある。ただ、それを所管しているのは総務省であり、大臣である。ですから、私は、公正中立というものが守られるように殊さら目配りをしていただくのは、やはり大臣のお役目だと思います。

 ルールという意味で話をしますと、人が横断歩道を信号が青に変わるのを待っていて渡ろうとしたときに、その横断歩道の前を車が、車の信号が黄色だったと思って、スピードを上げて突っ込んでくれば、信号が青でも歩行者はちゅうちょしなければいけないんですよ。ルールを守るというのは、一義的な人間にまずその責任がありますけれども、その周りの環境、周りでかかわっている人もルールを守るということは非常に大切なことだと思います。

 そういう意味できょう問題提起をさせていただいておりますし、もう少しこの私の思いを大臣に重く受けとめていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 憲法は、表現の自由、そして言論の自由、これを保障しており、最大限これは尊重すべきものであります。ただ、公共の福祉によって一定の制限も受けるものであります。ですから、放送番組が政治的に公平であるということについては、こういった観点から、現在においても、NHK、民放を問わず遵守することが求められております。

 そして、憲法というのは、授権規範でもあり制限規範でもあると考えます。つまり、国に対して権力を与える、また、みんなの権利を守るために権力の行使を制限する、そういった両面を持つものだと思っております。

 憲法に従って、放送法を含め、さまざまな法律がございます。恐らく放送事業者には多くの意見が寄せられているでしょう。視聴者からも、それからスポンサー企業からも、そして今般のように政党から意見が寄せられることもあるかと思いますが、少なくとも、所管官庁である総務省が権力をもって放送事業者の法に認められている権利を何か制限するということのないように、法にのっとった指導をやることはありますけれども、そういったことは大切にしてまいりたいと思います。

 ただ、それは政党であれ、また政治家であれ、与党であれ、野党であれ、放送事業者に対して圧力ではなくて意見を申し上げる、依頼を申し上げるということは、これは否定されているものではないと思います。それが実際に政治的な何か圧力となって、放送事業者がそれによって放送法を破らなきゃいけない、守れない状況ができたら、これは明らかに三条違反ということになりましょうけれども、現実的には、放送事業者は、しっかりと放送法の趣旨にのっとって自律的に放送を行っていた、昨年の選挙ということに関して言いましたら、そのように私は認識をいたしております。

井出委員 きょう資料でお配りをしております新聞の、テレビ局の自粛という問題を重く受けとめなければいけないと思いますし、今回の選挙、戦後最低の投票率で、大臣に冒頭、テレビ局の選挙報道に対する、いろいろな角度からいろいろ放送していただいて健全な選挙のために資するという思いは共有をしていただいたと思うので、私の思いは伝わっているとは思うんです。

 今、憲法のお話もありましたし、放送法、公職選挙法で民主政治、民主主義という話もありますけれども、私は、憲法や民主主義、民主政治というものは、決して、どなたかが言うように、王政時代のものだったとか、あのときは権力を縛るものだったというようなものではなくて、常にその時代時代において不断のチェックをかけていかなければいけない。その役割を報道、テレビの放送機関というものは負っている。その放送の自由、表現の自由、公正中立というところを大臣がまさに御担当されているわけですから、ぜひきょうの質問をよく覚えておいていただければ、そのように思います。

 残り一分ですので、一点だけ別件を伺います。

 さきの選挙で、インターネット選挙、二回目ということでいろいろやりましたが、有権者の方がパソコンの電子メールを使ってはいけないというところ、フェイスブックやツイッターのメッセージ機能、そういうものがよくて電子メールがいけないというところはどうしても説明がし切れず、ぜひこれも解禁をしていくということが必要であり、大臣にも、大臣のお立場でなくても、党内でも結構ですから、その後押しをしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 平成二十五年に成立しましたインターネット選挙運動に係る公職選挙法の改正ですが、これは各党各会派により御議論いただいて成立したものです。

 この改正法の附則において、今、委員がおっしゃった一般有権者への電子メール解禁については、インターネット選挙運動の実施状況の検討を踏まえ、適切な措置を講じられるものとするとされております。

 この解禁後の諸課題の検討を行うために、検討の場として各党協議会が設置されて、議論がなされていると思いますので、またその議論の状況を見守りながら、総務省として必要な措置をとるべき結論が出ましたら対応させていただきます。

井出委員 終わります。どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、有権者の投票機会の確保、選挙の公正性、公平性の確保を求める立場から、選挙の現状認識と政府の施策についてただしたいと思います。

 最初に、幾つか数字で教えていただきたいんですが、国政選挙の投票所数の推移について、二〇〇〇年と二〇〇五年、それから二〇一四年の各衆院選における投票所の総数がどうなっているのかについて、まずお答えください。

あかま大臣政務官 お答えいたします。

 国政選挙、二〇〇〇年、二〇〇五年、二〇一四年の投票所数というお尋ねでございます。

 二〇〇〇年、平成十二年が五万三千四百三十四カ所、二〇〇五年、平成十七年が五万三千二十一カ所、二〇一四年、平成二十六年が四万八千六百十七カ所となっております。

塩川委員 二〇一四年の総選挙の投票所総数というのは、十年前の二〇〇五年に比べても、一割も減少しているわけであります。

 次に、午後八時となっております投票所の閉鎖時刻を繰り上げた投票所数の推移についてですが、同様に、二〇〇〇年、二〇〇五年、二〇一四年の各衆院選における閉鎖時刻を繰り上げた投票所数と、その全投票所に占める割合についてお答えをお願いします。

あかま大臣政務官 お答えをいたします。

 それぞれの年における閉鎖時刻を繰り上げた投票所ということでございます。

 二〇〇〇年、平成十二年が四千六百四十四カ所、二〇〇五年、平成十七年が一万二千九百五十七カ所、二〇一四年、平成二十六年が一万七千百八カ所となっております。

 その投票所総数に占める割合でございますが、二〇〇〇年が八・六九%、二〇〇五年が二四・四四%、二〇一四年が三五・一九%となっております。

塩川委員 今お答えいただきましたように、投票所が八時となっているものを早める、七時になったり六時になったり、そういった投票所というのが、二〇〇〇年のときに八・六九%、それが、昨年の二〇一四年では三五・一九%と、三分の一を超えるという大きな割合に今至っております。大幅に増加をしたわけであります。

 昨年の総選挙、例えば群馬県などでは、繰り上げ率が九九%とお聞きをしております。人口三十万人を抱える前橋市や高崎市のような大都市部でも、全投票所で閉鎖時刻が繰り上げられているということであります。

 そこで、大臣にお尋ねいたしますが、このように、都市部を含めて三分の一を超える投票所で投票時間が短縮されるというのは、国民の基本的な権利である選挙権、投票権の行使を大きく制約することになっているのではないのか、この点についての御認識をお尋ねいたします。

高市国務大臣 まず、投票時間の繰り上げ、投票所閉鎖時刻の繰り上げでございますけれども、これも地域住民の生活パターンから、早朝から昼にかけて投票が集中しているという理由、それから、都市部も含めてという委員の御質問でしたけれども、特に中山間地では、夕方から夜間にかけて投票に危険が伴うことというのが主な理由として挙げられております。背景は、やはり高齢化や過疎化など人口減少の影響もあるかと思います。

 しかし、投票の権利というのは、これは民主主義の基礎的な部分でありますから、各選挙管理委員会には、投票所の設置や投票時間の設定に当たって、投票人の投票機会の確保に十分配慮するように、これまでも累次にわたってお願いの文書を発出いたしております。

塩川委員 山間地域ですとか高齢者が多いとかそういうお話もありますけれども、今紹介しましたように、高崎市、前橋市、そういった大都市部でも、全投票所が繰り上げているわけです。それというのは、やはり投票機会を失うことになりはしないのか、損ねることになりはしないのか。そこはいかがですか。

高市国務大臣 この繰り上げも、よほど特別な理由があるときには仕方がございませんけれども、実際に八時まで投票していても、その間人が来ないとか、その時間帯の交通事情が悪いとか、そういった特別な事情がある場合には仕方がありませんけれども、都市部でそういった理由がない場合に投票所の閉鎖時刻をむやみに繰り上げてしまうということになりますと、これは投票人の投票の機会を奪うことになります。

 各選挙管理委員会には、地域の実情にきちっと応じて対応していただくこともお願いしておりますし、そして、仮に、実際に八時まであけておくニーズがないような地域であっても繰り上げをする場合には、きちっとそれが有権者の皆様に徹底できるように、投票券、入場する券にちゃんと書いておいてもらうなどの対策をとってほしいということも要請をいたしております。

 都市部について、むやみな繰り上げというのは決して好ましいことではありません。

塩川委員 都市部において、むやみな繰り上げというのはやはり好ましくないというお話でございました。

 確かに、例えば、財団法人の明るい選挙推進協会、明推協がアンケート調査を行っております。この数字を見ますと、例えば直近ですと、国政選挙では二〇一〇年の参議院選挙ですが、午後六時以降の投票者は全体の九%。また、そのうち二十代、三十代というのが、一五・二%の方が六時以降に投票しておられるんですね。全体の八割の方が午後八時までの投票を希望している。

 また、二〇一一年の統一地方選挙に、やはり明推協が行ったアンケートを見ても、六時以降に投票している人の割合というのは、二十歳代が一三・三%、三十歳代が二三・三%、四十歳代が一八・四%ですから、若年世代において午後六時以降の投票者が非常に多い。

 若年者の投票機会の確保のためには、繰り上げというのは逆行しているということも指摘をしなければなりませんし、投票時間の繰り上げについては、今のままでよいという方が、有権者のアンケートでも八割を超えているというのも出ております。繰り上げというのが有権者の要求にも反するものだということも言えると思います。

 その点で、例えば、二〇一五年三月号の選挙時報で、総務省選挙部管理課選挙管理官による総選挙の総括が書かれておりました。昨年末の総選挙ですけれども。

 その中では、投票所閉鎖時刻について、閉鎖時刻繰り上げは、選挙人の投票の機会を奪うことにもなりかねず、極めて慎重に判断する必要がある、一部には、閉鎖時刻繰り上げが投票率の低下の一因ではないかとの声もある、現在繰り上げを行っている団体にあっては、次回の選挙に向けて、いま一度検討をお願いしますとあります。

 この総務省の選挙管理官の総選挙総括ですけれども、ぜひこの点で大臣の方から、それぞれ地方団体、選挙管理委員会にそういう訴えをお願いしたいと思っているんですが、投票所閉鎖時刻の繰り上げを行っている自治体に対して、繰り上げの見直しを働きかける、そういうお考えはありませんか。

高市国務大臣 私の名前で発出することについてはやぶさかではございません。

 二十六年十一月二十五日も、選挙部長の名前でございましたけれども、やはり、投票所の開閉時間の繰り上げまたは繰り下げについて、特別の事情がある場合に限られているところでありということで、選挙の行われる時期や地域の実情を精査し十分な検討を行って厳正に対応する、必要に応じて十分に説明するよう努めることといったこと、それからまた、各種広報媒体の活用により、あらかじめ十分な周知を行うことも書いてあります。

 選挙人の混乱も起きてはなりませんし、その時間帯が危険だとか、ほとんど投票人が来られないとか、特別な事情がない限りは、むやみに繰り上げをする、これは決して好ましいことではありませんので、さまざまな機会に周知はしてまいりますけれども、やはり問題があると考えましたら、大臣名での通知も行わせていただいていいかと考えております。

塩川委員 国政選挙ですから、全国一斉、一律に行われます。それで投票時間に大きな差があるということが、本来、国民の投票機会の確保という点では、これはあるべき方向ではないのかなと思っております。

 そういう点でも、こういった投票時間について、今、市区町村が決めることができるという地方分権一括法のスキームもあるということですから、そういう点でのあり方について、少なくとも国政選挙ではしっかりと投票機会を確保する、大都市部で繰り上げたようなところについてはしっかりと見直しをしてもらう、こういうことについては、やはり国政選挙の執行に当たっても責任を持つ大臣としての通知などを改めてお願いしたいと思います。

 それと、投票機会の確保が重要ということを考えたときに、こういった国会議員選挙執行に当たって国が負担する選挙経費の削減というのをこの機会に見直すべきではないのか。

 二〇一三年に選挙執行経費の基準法が改定をされて、投票所経費、開票所経費が減少いたしました。その前回改定時からの減少について、減少率がどうなっているかについて御説明をいただけますか。

あかま大臣政務官 執行経費基準法の平成二十五年改正の前と後での伸び率をということでございます。

 執行経費基準法の平成二十五年改正前後の伸び率については、投票所経費については、市の投票区で選挙人数が二千人以上三千人未満であるものの基準額で見ますと、衆議院選挙が二〇・四%の減、参議院選挙が二〇・九%の減となっておるところでございます。

 また、開票所経費については、市の開票区で選挙人数が三万人以上四万人未満であるものの基準額で見ると、衆議院選挙が二七・〇%の減、参議院選挙が同じく二七・〇%の減となっておるところでございます。

塩川委員 今お答えいただきましたように、投票所経費というのは二割以上削減がされ、開票所経費は三割近くが減らされているという点では、選挙経費が大幅に減少しております。

 大臣にお尋ねしますが、こういった選挙経費の削減というのが、投票所数の減少ですとか、また閉鎖時刻の繰り上げに拍車をかけているんじゃないのか。そういった点でも、しっかりと投票機会の確保、繰り上げについても見直しをするというのであれば、こういった予算の削減そのものの見直しが必要なんじゃないのかと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 投票所に係る経費につきましては、これは執行経費基準法において、投票所数に応じて交付するなどの財政措置が講じられております。

 近年、投票所数が減少しているということもございますけれども、これはむしろ経費面からの影響というよりは、過疎化による選挙人数の減少ですとか、あと、市町村合併などを契機とした投票区の見直しなどによるものだと思っております。

 しかし、投票区の見直しによってまたなかなか投票に行きにくくなっちゃったという声も聞いておりますので、これも、しっかりと各選挙管理委員会に対して、有権者にとって一番投票に行きやすい環境をつくっていただくように改善をお願いしております。

 それから、選挙の管理執行をしっかりしていただくために、必要な予算ですとか、あと選挙事務に従事していただく人員、これを確保することは重要であります。

 他方で、効率的な経費の支出、ここにも努めていく必要がございますので、事務の効率化に向けた取り組みもまた重要だと考えております。

 ですから、例えば、備品購入を一時借り上げで対応できないかということを検討するですとか、各投票所の時間帯ごとの投票者数を踏まえた機動的な人員の配置を行うなど、さまざまなコスト削減の努力もしていただきながら、必要な予算、人員の確保に努めてまいりたいと思っております。

塩川委員 衆院選における選挙経費の予算額というのが、引き下げ前に実施された二〇〇五年総選挙時は七百六十四億円、それが二〇一四年は六百二十八億円に激減をしております。

 こういったものが、少なからず、現場での作業の効率化など合理化という名目で、実際にその投票機会を制約するような事態につながっているんじゃないのか。そういう事態も生まれているわけですから、そういう点でも、必要な予算額を確保する、減らしたものは戻していく、こういうことを今改めて求めていくときだと思います。

 こういった投票時間について、先ほど群馬県の例を紹介しました。毎日新聞が報道しておりましたが、群馬県では唯一、午後八時まで投票を受け付けているのが、みなかみ町の月夜野地区だということです。九投票所で行っているそうですが、地区の関係者の方が、たとえ一人でも有権者の権利を奪ってはいけないと述べていたということが紹介をされております。

 国が、この立場で選挙事務を行う選挙管理委員会などを支援すべきであり、選挙経費削減を見直して、有権者の投票機会確保のために力を尽くすことを強く求めておくものです。

 もう一つ、選挙の開票作業など、選挙事務のミスがふえている問題についてお尋ねをいたします。

 二〇〇五年と二〇一四年の衆院選において、管理執行上問題となった件数、いわゆる選挙事務のミスの件数を教えていただきたい。

 また、二〇一四年衆院選における選挙事務ミスのあった都道府県の数についてもあわせてお願いをいたします。

あかま大臣政務官 お答えいたします。

 国政選挙の都度、各選管より、管理執行上問題となった事項について報告をいただいているところであります。これは、各選管において、今後の事務の参考として利用してもらうために取りまとめております。

 二〇〇五年及び二〇一四年の衆議院選挙において報告のあった件数でございますが、二〇〇五年、平成十七年が六十四件、二〇一四年、平成二十六年が百九十四件でございます。

 また、報告があった都道府県数ということでお尋ねでございますけれども、二〇一四年の衆議院選挙に際して、都道府県または当該都道府県内の市町村における管理執行上問題となった事項について報告のあった都道府県は、四十一都道府県となっております。

塩川委員 二〇〇五年が六十四、二〇一四年が百九十四ということで、この十年近くで三倍に増加をし、ほとんどの都道府県内で選挙事務ミスがあったということは極めて重大であります。選挙の公正を損なうことにもつながりかねません。

 この間、例えば二〇一三年の参議院選挙のときに、高松市の選管での不正開票事件がありました。昨年末の総選挙では、仙台市の選挙管理委員会においても不正事件がありました。選挙への信頼を揺るがす不祥事事件が相次いだことは極めて重大で、こういった事件の背景に、私は、開票時間の短縮を求める、そういうプレッシャーがあったことは明らかではないかと思うんです。

 その点でも、開票事務に要する時間が、二〇〇四年の参院選で六・五時間、二〇〇五年の衆院選で六時間、二〇〇七年の参院選、二〇〇九年の衆院選以降は五時間、二〇一三年の参院選以降は四時間ということで、このように開票事務に要する時間がどんどん短縮される、それに伴った予算措置も減らされていく、そういったことが、結果として、開票時間の短縮のプレッシャーの中でミスをふやしているということにつながっているんじゃないのか。この点について大臣はどのように受けとめておられますか。

高市国務大臣 最近の一番とんでもないのは、先ほど委員がおっしゃった高松市や仙台市の事例のように、単なるミスじゃなくて、選挙事務に携わった職員が不正を行うという事案が発生したことで、これは、選挙への信頼を揺るがしかねない、ゆゆしきことだと思います。

 個別のミスの原因でございますけれども、多くは、事務従事者の確認誤りですとか思い込みであったということでございます。

 管理執行上問題となった事項については、現在、全国の選管で情報共有を図っておりますので、各選管で、これら他団体でどういう状況、どういう思い込みがあったか、どういう確認誤りがあってミスが発生したか、そういった事例を参考にしながら、適切な管理執行に努めていただきたいと思っております。

 総務省としましても、報告件数が多かったミスについては重点的に注意喚起をしておりますので、引き続き、あらゆる機会を捉えて、各選挙管理委員会に選挙の厳正な管理執行を要請してまいります。

 開票の効率化ということについては、これはしっかりとなされるべきであると思っております。しっかりと開票は効率的に、最近は昔と違って随分機械などもよくなっておりますので、きっちりと効率的にやっていただきつつ、思い込みですとか単純な事務連絡ミスによる選挙の管理執行の公正性や厳正な手続が損なわれるということがないように、しっかりと注意喚起をしてまいります。

塩川委員 開票事務に要する時間がどんどん短縮をされるという中で、開票作業の正確さよりも速さを優先するようなことが、こういった事態につながっているんじゃないのかという重大な懸念があるわけであります。これを是正する必要がある。

 この間、インターネット選挙の利用も始まり、十八歳選挙権もきょうから議題となります。選挙事務を担う選挙管理委員会などの役割が重要で、有権者の投票機会の確保、確実、正確な事務の実施のための十分な予算と人員の確保というのを求めたい。執行経費の大幅な削減というのが、民主主義の根幹である選挙の公平性、公正性を担保できなくなるおそれがあってはならない。

 私たちは、政党助成法の廃止法案も提出をしております。この後、審議入りをすることにもなります。この程度の予算というのは、政党助成金を廃止すれば十分に賄うこともできるわけで、こういった点でのしっかりとした予算の確保を改めて求めて、質問を終わります。

山本委員長 これにて質疑は終了いたしました。

 大臣及び大臣政務官には御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

山本委員長 次に、船田元君外七名提出、公職選挙法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。船田元君。

    ―――――――――――――

 公職選挙法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

船田議員 ただいま議題となりました公職選挙法等の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。

 まず、本法律案の趣旨について御説明申し上げます。

 本法律案は、昨年六月に超党派の議員立法として成立いたしました日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律の附則に定められた選挙権年齢等の引き下げの措置を講ずるとともに、あわせて、当分の間の特例措置として、少年法等の適用の特例を設けようとするものであります。

 次に、本法律案の主な内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、選挙権年齢等の十八歳への引き下げについて、公職選挙法、地方自治法、漁業法及び農業委員会等に関する法律に規定する選挙権年齢等を十八歳以上に引き下げることとしております。

 第二に、施行期日について、この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行し、施行日後初めて行われる衆議院議員の総選挙または参議院議員の通常選挙の公示日以後にその期日を公示され、または告示される選挙から適用することとしております。

 第三に、選挙犯罪等についての少年法の特例等について定めております。

 まず、選挙権が十八歳以上の者に付与されることとなる一方で、少年法の適用対象年齢は現行の二十歳以上のままとされていることから、選挙の公正確保と少年保護との均衡を図る必要があります。そこで、本法律案では、十八歳以上二十歳未満の者が犯した連座制の対象となる選挙犯罪の事件について、その罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼすと認める場合には、家庭裁判所は、原則として、検察官への送致の決定をしなければならないこととしております。

 また、十八歳以上二十歳未満の者が犯した連座制の対象とならない公職選挙法及び政治資金規正法に規定する罪の事件について、家庭裁判所が検察官への送致を決定するに当たっては、選挙の公正の確保等を考慮して行わなければならないこととしております。

 さらに、選挙権年齢の引き下げにより、選挙権年齢をその要件とする資格に関する年齢も連動して十八歳に引き下がることとなりますが、特例として、当分の間、十八歳以上二十歳未満の者は検察審査員及び裁判員の職務につくことができないこととするとともに、成人に達した者でなければ民生委員及び人権擁護委員の委嘱をすることができないことといたしております。

 第四に、民法の成年年齢等の引き下げに関する検討については、国は、国民投票の投票権を有する者の年齢及び選挙権を有する者の年齢が十八歳以上とされたことを踏まえ、選挙の公正その他の観点における十八歳以上二十歳未満の者と二十歳以上の者との均衡等を勘案しつつ、民法、少年法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする旨の規定を設けております。

 以上が、本法律案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同賜りますようお願い申し上げます。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十九日金曜日午前九時三十分、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 提出者の皆様は御退室していただいて結構であります。

     ――――◇―――――

山本委員長 次に、黒岩宇洋君外三名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案、江田憲司君外四名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案、穀田恵二君提出、政党助成法を廃止する法律案及び政治資金規正法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 提出者より順次趣旨の説明を聴取いたします。黒岩宇洋君。

    ―――――――――――――

 政治資金規正法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

黒岩議員 民主党・無所属クラブ提出の政治資金規正法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。

 いまだ後を絶たない政治と金をめぐる不祥事が国民の政治不信の温床となっていることを重く受けとめ、いわゆる企業・団体献金を初めとする政治資金調達について、国民の理解を得られるものとする必要があります。

 しかしながら、企業・団体献金のあり方の抜本的議論は各党で大きな隔たりがあり、早急には結論を紡ぎ出せないことも現実であります。ついては、国民から急ぎ改正が求められている課題に対処し、補助金を受ける企業による献金規制の厳格化、すなわち、現行法制の寄附制限規定の曖昧さを排し、禁止事項を明確化すること、また、罰則の強化により、政治資金調達の適正化を促進する必要があると考えます。

 以上が、この法律案を提出した理由であります。

 次に、法律案の内容の概略について御説明申し上げます。

 まず、補助金等を受けた会社等が行う政治活動に関する寄附の規制強化であります。

 第一に、寄附制限の対象とされない例外的な補助金等について、現行法では、政党交付金のほか、試験研究、調査または災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないものも含まれることとしておりますが、この要件では曖昧です。そこで、政党交付金以外の例外については、今後、個々に法律で明確に定めることとしております。

 第二に、国からの補助金等を財源とする間接補助金を受けた会社等についても、政治活動に関する寄附を一年間できないこととしております。

 次に、補助金等を受けた会社等に係る規制の実効性確保であります。

 第一に、政党及び政治資金団体は、会社等から寄附を受けようとするときは、あらかじめ、その会社等に対し、規正法に定める寄附制限の内容を書面により告知しなければならないこととしております。

 第二に、補助金等の交付をしようとする者は、交付決定の通知または交付に係る契約の締結に当たり、会社等に対し、規正法に定める寄附の制限の内容を通知しなければならないこととしております。

 そして、罰則の強化であります。

 補助金等を受けた会社等が行う政治活動に関する寄附の規制に違反した場合の罰則を、三年以下の禁錮または百万円以下の罰金としております。

 また、補助金等を受けた会社等からの寄附の受領を禁止する規定から、違反した寄附であることを知りながらとする部分を削除することといたしました。

 最後に、施行期日でありますが、この法律は、平成二十八年一月一日から施行することとしております。

 何とぞ、慎重御審議の上、各党会派の御賛同のもと、御可決あらんことをお願い申し上げます。

 以上でございます。

山本委員長 次に、重徳和彦君。

    ―――――――――――――

 政治資金規正法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

重徳議員 ただいま議題となりました維新の党から提出いたしました政治資金規正法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 国会では、昨年来、政治と金にまつわる問題が頻発し、閣僚が相次いで辞任に至る事態となっておりました。今国会でも、国から補助金等を受けた会社等から閣僚が支部長を務める政党の支部へ寄附が行われていたことが政治資金規正法の寄附の制限に抵触するのではないかなどの政治と金にまつわる問題が相次ぎ、衆参の本会議や委員会においても、企業・団体献金の是非について多くの議論が交わされました。

 我が党は、既に党の規約で、党所属議員が企業、団体から献金を受け取ることを禁止することとしており、また、昨年十二月に行われた衆議院総選挙のマニフェストにおいても、政治と金に終止符を打つために、政治における企業・団体献金の全面禁止を掲げ、その身を切る改革の姿勢は多くの有権者の支持を得たところであります。

 我が党は、政治に対する国民の信頼を取り戻すためには、政治と金についての疑惑を払拭することが喫緊の課題であり、まずは、マニフェストで掲げた企業・団体献金の全面禁止を実現する必要があると考え、政治資金規正法の改正を行うことといたしました。

 その主な内容は、法人その他の団体は政治活動に関する寄附をしてはならないこととするとともに、何人も、法人その他の団体に対して、政治活動に関する寄附をすることを勧誘し、または要求してはならないこととし、これらの規定に違反した者は、一年以下の禁錮または五十万円以下の罰金に処することとするものであります。

 なお、本改正案は、平成二十八年一月一日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同いただきますようお願い申し上げ、提案理由の説明を終わります。

山本委員長 次に、穀田恵二君。

    ―――――――――――――

 政党助成法を廃止する法律案

 政治資金規正法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

穀田議員 私は、日本共産党を代表して、政党助成法を廃止する法律案について、提案理由及びその内容について説明します。

 政党助成制度は、一九九五年、政治改革の名のもとに、小選挙区比例代表並立制とともに導入、施行されました。この制度は、国民に一人当たり二百五十円を負担させ、毎年約三百二十億円もの税金を各党に配分する仕組みであり、この二十年間の政党助成金の総額は、約六千三百十一億円にも上ります。

 そもそも、国民は、みずからの思想、政治信条に従い支持政党に寄附する自由と権利を持っており、政治資金の拠出は国民の政治参加の権利そのものです。ところが、税金を政党に配分する政党助成の仕組みによって、国民は、みずから支持しない政党に対しても強制的に寄附させられることになります。日本共産党は、このような制度は、思想、信条の自由や政党支持の自由を侵す憲法違反の制度であると指摘し、その創設に反対するとともに、一貫して政党助成金の受け取りを拒否してきました。

 重大なことは、政党助成制度が極めて深刻な形で政党の堕落を招いていることです。

 政党助成金を受け取っている各党の本部収入に占める割合は、自民党が約六割、民主党が約八割、当時の日本維新の会が約七割です。この制度の導入の際には、提案者から、税金に過度に依存しないことが必要との議論がありましたが、今や政党助成金を受け取っている多くの党が、その運営資金の大半を税金に依存しているのが実態です。また、五人以上の国会議員を集めれば政党助成金をもらえることから、理念も政策も抜きに、政党助成金目当てにおびただしい数の新党の設立と解散が繰り返されてきました。

 政党は、何よりも、国民の中で活動し、国民の支持を得てその活動資金をつくるというのが基本です。政党が、国民、有権者から浄財を集める努力をしないで税金頼みになっていることから、金への感覚が麻痺し、腐敗政治をつくり出す一つの根源になっていることも重大です。

 また、この制度は、もともと金権政治の一掃を求める国民の声を受け、企業・団体献金を禁止するからという口実で導入されました。しかし、実際には、政党本部、支部に対する企業・団体献金が温存され、政党助成金との二重取りが続けられています。

 このように、政党助成金頼みの政党をつくり出す制度は、虚構の多数をつくり出す小選挙区制と相まって、政党の劣化や堕落を生み出しています。民主主義を壊す極めて有害な制度を続けていいのかが厳しく問われています。

 以上の理由から、政党助成法を廃止するものであります。

 続きまして、日本共産党が提出しております政治資金規正法の一部を改正する法律案、すなわち企業・団体献金全面禁止法案について、提案理由及びその内容について説明します。

 この間、安倍政権のもとで、国の補助金を受けている企業から閣僚への献金を初め、政治と金が問題になりました。このような問題が浮上するたびに、国民に疑惑を持たれてはならないとの議論が起こりますが、今こそ、金権腐敗政治の根源である企業・団体献金の全面禁止に踏み出すべきであります。

 二十数年前、リクルート事件、ゼネコン汚職など、自民党の金権腐敗政治に国民の厳しい批判が向けられました。当時、細川内閣のもとで提案された政治改革法案は、企業・団体献金については廃止の方向に踏み切ると言いながら、実際には、政党支部への献金は認める、政治資金パーティーは残すという二つの抜け道をつくり、企業・団体献金を温存してきました。

 直近二〇一三年分の総務大臣届け出分と、都道府県選管届け出分の合計を見ると、政界全体への企業・団体献金総額は八十七億六千三百万円に上り、政治資金パーティー収入の総額は百七十六億四千三百万円となっています。パーティー券は、その大半を企業、団体が購入しているのが実態であり、形を変えた企業・団体献金にほかなりません。この巨額の政治資金パーティー収入が透明化されていないことも問題です。

 そもそも、企業の政治献金は、本質的に賄賂性を持つものです。

 国民一人一人が、みずから支持する政党に寄附することは、主権者として政治に参加する権利そのものです。企業も社会的存在であるなどといって企業の献金を正当化しますが、参政権を持たない企業が政治献金をすることは、国民の参政権を侵害するものです。

 営利を目的とする企業が、個人をはるかに超える強大な財力で政治的影響力を行使するなら、政治は大企業、財界に向けたものになってしまうことは明らかです。

 こうした状況が、腐敗政治を生み出す温床となり、政治の劣化と政党の堕落をつくり出しています。政党は、何よりも、国民の中で活動し、国民の支持を得てその活動資金をつくるということが基本でなければなりません。

 この際、企業・団体献金の全面禁止と政党助成制度の廃止を一体として行うことは、企業腐敗、金権腐敗政治を根絶する上で不可欠の道であります。

 以上が、企業・団体献金の全面禁止を提案する理由です。

 次に、法案の内容を御説明申し上げます。

 第一に、企業、団体の政治活動に関する寄附の禁止及び企業、団体によるパーティー券購入の禁止であります。

 政治団体を除く企業その他の団体は、政党であれ政治家個人に対してであれ、政治活動に関する寄附及び寄附のあっせんを一切してはならないものとします。また、何人も、政治団体を除く企業その他の団体に対して、政治活動に関する寄附をすること、または寄附のあっせんをすることを勧誘し、要求してはならないものとしております。

 同時に、政治資金パーティーの対価の支払いは政治活動に関する寄附とみなすものとすることにより、企業その他の団体によるパーティー券購入を禁止するものです。これにより、パーティー収入の公開の対象は、五万円超となります。

 第二に、政治団体の代表者に対して、当該政治団体及びその会計責任者が政治資金規正法の規定に違反することのないように、監督する責任を課すこととします。

 第三に、収支報告書の公表についてです。

 総務大臣または都道府県の選挙管理委員会による収支報告書の要旨の公表の期限を、報告書が提出された年の九月三十日までとすること、収支報告書要旨の公表を義務化すること、情報公開開示の迅速化を図ることなど、二〇〇六年法改正及び〇七年法改正によって後退させられた規定をもとに戻します。

 第四に、政治活動に関する寄附の量的制限の強化です。

 個人のする政党、政治資金団体への寄附総額の上限を一千万円とし、政党、政治資金団体以外の者に対してする寄附総額の上限は五百万円としています。

 また、収支報告書への記載を免れる目的で分散寄附することを禁止します。

 公職の候補者が政党から受けた政治活動に関する寄附をみずからの資金管理団体に対してする特定寄附の規定を削除します。

 第五に、罰則の強化です。

 政治資金規正法に定める法定刑を全体的に引き上げます。

 政治資金規正法に違反の罪を犯し、刑に処せられた者は、裁判が確定した日から五年間の公民権停止とします。

 以上、政治資金規正法の一部を改正する法律案の提案理由及びその概要を御説明いたしました。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

山本委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明二十八日木曜日午後一時二十分理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十九分散会


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