衆議院

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第3号 平成27年5月28日(木曜日)

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平成二十七年五月二十八日(木曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 山本  拓君

   理事 大串 正樹君 理事 坂本 哲志君

   理事 白須賀貴樹君 理事 田中 良生君

   理事 盛山 正仁君 理事 黒岩 宇洋君

   理事 浦野 靖人君 理事 佐藤 茂樹君

      井野 俊郎君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君    小田原 潔君

      門山 宏哲君    神田 憲次君

      木村 弥生君    坂井  学君

      助田 重義君    谷川 とむ君

      中川 俊直君    長尾  敬君

      長坂 康正君    藤井比早之君

      古川  康君    三ッ林裕巳君

      宮内 秀樹君    宮崎 政久君

      山下 貴司君    若狭  勝君

      大西 健介君    玉木雄一郎君

      中島 克仁君    福島 伸享君

      宮崎 岳志君    本村賢太郎君

      井出 庸生君    木下 智彦君

      牧  義夫君    國重  徹君

      角田 秀穂君    斉藤 和子君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   議員           船田  元君

   議員           武正 公一君

   議員           井上 英孝君

   議員           北側 一雄君

   議員           玉城デニー君

   議員           野間  健君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 島根  悟君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳田 正一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          白間竜一郎君

   衆議院調査局第二特別調査室長           細谷 芳郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     木村 弥生君

  若狭  勝君     谷川 とむ君

  岸本 周平君     大西 健介君

  後藤 祐一君     中島 克仁君

  穀田 恵二君     斉藤 和子君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     小田原 潔君

  谷川 とむ君     若狭  勝君

  大西 健介君     岸本 周平君

  中島 克仁君     本村賢太郎君

  斉藤 和子君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  本村賢太郎君     後藤 祐一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法等の一部を改正する法律案(船田元君外七名提出、衆法第五号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 船田元君外七名提出、公職選挙法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官島根悟君、文部科学省大臣官房審議官徳田正一君、文部科学省大臣官房審議官伯井美徳君、文部科学省高等教育局私学部長藤原誠君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官白間竜一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井野俊郎君。

井野委員 自由民主党群馬二区選出の衆議院議員、井野でございます。

 本日は、議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案、投票年齢の十八歳への引き下げに関する法律案について質問をさせていただきたいと思います。

 私も、今三十五歳でございまして、比較的若い層に入るのかなと個人的には思っております。そういう中での今回の十八歳への引き下げということでありますので、若者の考えていることを少しでもこの場で議論ができればというふうに思っております。

 まず初めに、今まで二十以上であった投票年齢を、今回、十八歳以上という形で引き下げることになりました。この改正の趣旨をまずお伺いさせていただきたいと思います。

 それと、十八歳まで引き下げることにより投票人口というものはどれくらいふえることが予想されるのか、その点もあわせてお聞かせいただければと思います。

船田議員 井野委員にお答えいたしたいと思います。

 今回、私ども、公職選挙法の改正案、議員立法ということで提出をさせていただきました。その肝となる部分はやはり、投票権年齢、選挙権年齢を二十から十八に引き下げる、これが最大のものでございます。

 これにつきましては若干の経緯がございまして、過去におきまして、憲法改正国民投票法、これが全然整備されておりませんでしたので、今から七、八年前に、この国民投票法を整備しようではないか、こういう議論が国会内で持ち上がりました。その際も、幾つかの党と一緒になって国民投票法案を編んできたわけでありますが、その中で、諸外国のいろいろな例を見ると、やはり十八から投票する、そういう国がほとんどの国でございました。

 それからまた、我々としては、まず憲法改正という話になりますと、できるだけ多くの人々、とりわけ将来を担う若い人々にもできるだけ参加をしていただいて、若い人の意見をどんどん反映させるべきだ、こういうことで国民投票年齢を十八にしようというふうにしたわけであります。

 もちろん、その後、曲折はありましたけれども、一方で、同じ投票行為を行う選挙権の年齢、これも、現在の二十のままでありますと、片や十八、片や二十、こういうことになりまして非常に複雑である、あるいは整合性がとれないではないか、こういった議論もありまして、その後私どもは、いわゆる選挙権年齢も十八に下げようということで議論を始めたわけであります。

 昨年の秋、七党二会派ですか、これが合意をいたしまして、ようやく十八歳に引き下げるための公選法改正の原案が合意をいたしました。昨年の秋、臨時国会の最後のところで共同提出をいたしましたが、解散・総選挙で廃案となりまして、改めて、この通常国会の三月五日に再提出ということにしたわけでございます。

 選挙権年齢を十八歳に引き下げるということで、できるだけ多くの若い人々も政治に参加をする、このことが民主主義そのものの価値を高めるということにもつながるでしょうし、また特に、若い人々の考え方、そういったものが政治に反映しやすくなって、我々の政党もそうなんですけれども、シルバーデモクラシー、そういう名前もあるわけでございまして、高齢者の皆様の対応あるいは政策というものが、これまではどちらかというと多かったのではないか。

 もちろん、それも大事ではございますけれども、若い人々のさまざまな、生活とか就職とか、そういったものに資するような、そういう政策に少しずつまた政党が目を向けていくということにもつながっていくのではないか、さまざまな効果が与えられるんじゃないかということで、今回提出に至った次第でございます。

井野委員 過去、歴史等をひもとくと、まあ私が偉そうなことを言えるわけではございませんけれども、参政権というものは、当初、明治維新から始まり、いわゆる議会設立建白書等により、国民の側から参政権を求めてさまざまな活動がありました。議会が設立され、その後、選挙は行われましたけれども、普通選挙というものは行われなかった。そういう中で、国民の側から普通選挙実施等の要求、そして、戦後においては女性の参政権、そういう歴史的な経緯がございます。

 それはいずれも国民の側から、いわゆる参政権というものを欲しいんだ、政治に参画したいんだという多くの国民のそういう盛り上がりから、過去の参政権、現在の普通選挙権の歴史があるわけでございます。

 しかしながら、私が思いますに、現時点で、では、若い人からのそういう声が上がっているのかなというと、ちょっと、実のところどうなのかなというふうに思うところはございます。

 きょう、まず、日経新聞の記事をお持ちさせていただきました。

 これによると、選挙権、十八歳からということですと、十代は投票に行くか、そんな世論調査の結果、八割は、投票には行かないんじゃないか、こういう結果が実はもう出ているということでございます。このように、八〇%の方が、現時点で行くのかな、そうは思わない、行かないと思うという世論調査の結果があるわけであります。

 投票率の低下が大変懸念されるところでありますが、若年層、十代に対する投票率向上について、先ほど船田先生が、国民に幅広く信を問うといいましょうか、参政権というものを行使してもらい、政治に参画してもらうということが重要なんだと改正の趣旨でおっしゃっていましたけれども、この投票率の低下についてどう考えていらっしゃるのか、対策についてもあわせてお聞かせいただければと思います。

船田議員 お答えいたします。

 先ほどちょっと申し漏れましたけれども、今回の十八歳に選挙権を引き下げる効果としまして、現在進行形ではございませんが、平成二十二、三年当時のこれまでの人口からしますと、約二百四十万人新たに有権者がふえる、こういうことに計算上なるというふうに言われております。

 それから、今御指摘の、まさに国民からの盛り上がりで投票権あるいは選挙権年齢が下がってきた過去の経緯が確かにございました。大正デモクラシーのときには普通選挙をやれという声が上がり、それから、戦後の混乱期でありましたけれども、新生日本のときには婦人参政権ということで大変盛り上がったということも漏れ聞いているわけでございます。

 今回は、確かに盛り上がりという点ではちょっと欠けることかもしれませんけれども、やはりこれは、もちろん国民の側からの盛り上がりも必要ですけれども、同時に、国民の潜在的なニーズを我々国会議員がしっかりと認識して立法措置を行って、そして時代の進歩を牽引する、こういう気概も我々は一方では持つべきなのかなということも感じた次第でございます。

 投票率の問題、これは本当に我々も深刻に感じております。選挙をやればやるほど、どんどん投票率が下がってくる、長期低落傾向である。これは、我々政治家、そして政党が反省をしなければいけない。もっと魅力的な、魅力的な人間というのは難しいんですけれども、魅力的な政策を、あるいは魅力的な政党として、もっともっと国民にアピールをしなきゃいけないというのは、大原則としてあると思っています。

 しかし同時に、若い人々がせっかく選挙権を持つということになる場合に、投票率が低いということでは困るように私たちは思っておりますので、やはり主権者教育というのを、高校、できれば小中学校も含めてしっかりとやるということが大事だと思っております。

 現在のところ、文科省にはお願いをし、総務省にもお願いをして、いわゆる主権者教育をやるために、学習指導要領できちんとこれを書き加えていくとか充実をするということは当然なんですけれども、やはり、実際に即して模擬投票を行うとか、そういった実践的な主権者教育をもっともっと学校教育の中でやってほしい、こういうことで、今盛んにお願いをしているところでございます。

 また、今回の法案をまとめたその大もとにあるプロジェクトチームが現在も超党派で動いておりまして、そこでもこの主権者教育については一生懸命今研究をし、そして役所にお願いをしている、こんな状況で、こういったことも含めて投票率のアップにつなげたい、このように思っております。

井野委員 ぜひ、私も選挙で信任を得なければならない一人の人間として、投票率の低下というのは本当に私自身の課題でもあると思っておりますので、ともにこの投票率向上には汗をかいていければというふうに思っていますので、御指導をよろしくお願いいたします。

 続きまして、五分前ということですので、通告の三番と四番をあわせてお伺いさせていただきます。いずれも新聞記事等によるものでございます。

 まず、日経新聞の方でございまして、今回の引き下げで起きそうな問題点というので世論調査の結果が出ておりまして、それによりますと、よく考えずに投票する人がふえるんじゃないかであるとか、単純に芸能人のような有名人だけ当選するようになるんじゃないかという懸念が世論調査の数字では高いわけであります。

 これについて、当然、懸念でありますので、国民のこういう懸念に対して我々もちゃんと応えなくてはならないという意味で、この点に関する見解をお聞かせいただきたいと思います。

 それと、もう一つの朝日新聞によりますけれども、今回の法改正の趣旨の一つとして、国民投票法が十八歳に下げるから、それに合わせて、普通選挙権といいましょうか、公職選挙法の年齢も十八歳に下げるということも、先ほど船田先生がおっしゃっておりましたけれども、今回の附則十一条には、そのほか、民法の成人年齢の引き下げであったり、また少年法の対象年齢の扱いについても触れられているというところであります。

 この朝日新聞の記事によりますと、国民の中で、まず、少年法の対象年齢、これは引き下げた方がいいかどうかという問いに対しては、八〇%以上の人が引き下げた方がいいとおっしゃっています。他方で、いわゆる普通の、民法の今の成人年齢、これについて十八歳に引き下げる方がいいのかどうなのかという質問に対しては、約四三%が賛成で、四四%が反対というふうになっております。ちなみに、今回の選挙権の年齢を引き下げることについては、四八%が賛成で、反対が三九%。

 何が言いたいかと申しますと、国民の中では、必ずしも、全ての法律といいましょうか、成人を例えば十八にして、参政権も国民投票法も少年法も全部ひっくるめて十八にしたいということでもなく、少年法は十八歳、だけれども、成人年齢は多少抵抗があるから、そこまでの、八〇%までの国民のコンセンサスには至っていないのかなというのは、正直思っているところでございます。

 この点について、国民の皆様は、ある意味、一律に何でもかんでも十八にするということについては、そこまで理解は広がっていないように思うんですけれども、この点についてはどう考えているのか。

 この二点をお聞かせください。

船田議員 お答えをいたします。

 まず最初の質問でございますが、よく考えずに投票するとか、あるいは有名人にばかり投票するのではないか、そういう弊害が出るのではないかということでありますが、これは、十八、十九の若者に限らず、我々大人の立場においてもそういう傾向は少なからずあるんだろうと思っています。

 この点について、なかなか、これをやればいいんだという特効薬はないと思いますけれども、特に若い人たちには、先ほど申し上げたような、実践を伴った主権者教育をやはりきちんと行っていく必要があるんだろうと思います。自分の目で見て、そして資料を集め、情報を集めて、自分の自由意思でしっかりと判断をしていく、そういう判断能力というのを、やはり小学校、中学校、高校で段階ごとに養っていただくということが必要である、そういう意味での体系的な主権者教育というのが必要ではないか。

 こういうことで、これはさらに役所をも巻き込んで、我々もプロジェクトチームでしっかり議論をしていくべき問題だと思っています。

 それともう一つは、選挙権年齢の十八引き下げに伴いまして、我々、附則のところで、成年年齢の引き下げ、それから少年法の適用年齢の引き下げのことについても早急に結論を出しましょう、こういうことを申し上げました。これは、大人の年齢というのが分野によってばらばらであるというのではやはり困るであろう、こういうことで、この問題提起をしたわけでございます。

 もちろん、今御紹介のあった数字がどういう意味なのか、これはよく分析をしなければいけないと思っておりますが、なかなかそう単純にはいかないだろうということは認識をしております。ただ、少なくとも、やはり選挙権年齢と大人の年齢、成年年齢というものはそろえておく必要がある。

 それともう一つ、少年法の場合には、その少年が将来立ち直る、可塑性といいますけれども、そういうことで、立ち直る可能性があるということで、少年法によって保護される法益というものもあるのではないか。それをバランスをとっていくのはなかなか難しいことかと思いますけれども、この少年法につきましても、最近の少年の凶悪犯罪、そういったものが多発をしておりますので、そういったものもにらみながら、この三つの年齢ということについては、私は、できるだけ早く整えていくということが必要であろうと思います。

 しかし、また一方では、酒、たばこののめる年齢というもの、これも十八に下げろという声もあるんですけれども、なかなかこれは、子供たちの健全な発展、あるいは健康、そういったことを考えると、これまで十八に下げるのはいかがかな、さまざま意見があると思います。

 ですから、分野、内容によって、あるいは法が示す目的によって、趣旨によって、やはり何でも十八ということではなくて、それぞれ、十八にすべきもの、二十でとどめるもの、そういったものの整理はこれからしっかりとやっていきたい、このように思っています。

井野委員 時間になりました。ありがとうございました。

山本委員長 次に、小田原潔君。

小田原委員 自民党の小田原潔であります。

 本日は、質問の機会を頂戴し、まことにありがとうございます。

 私ごとになりますが、私は自衛隊官舎で育ちました。小学校六年生のときに憲法の授業があります。四十年前、社会科の参考書にはコラムがあって、憲法九条があるのに我が国には自衛隊がありますというような、どよんとした記述がありました。先生も、学校に自衛隊官舎の子供が非常に多く通っていたこともあり、何とも歯切れの悪い、これまたどよんとした授業でありました。日本の憲法を一番初めに子供に教える授業がこんなのでいいのかなと思った記憶が強く残っています。

 また、当時、日本国憲法を読んでも、小学六年生には何が書いてあるかよくわからぬ。中学、高校になったらわかるのかなと思いましたが、高校生になって、やはり同じような授業が公民でありました。やはりわかりにくい。今でも、日本語で書いてあるけれども、日本人が解説書を買って、解説書の方を読まないと、本当ははっきりと何が書いてあるのかわかりにくい。これで本当にいいのだろうかと、高校生のころから強い問題意識を持っていたのを覚えております。

 したがいまして、昨年の議員立法による、日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律、歓迎をしておるところであります。

 さて、本法律案の意義について、まずはお伺いをしたいと思います。

 昨日の提案理由の説明では、附則に定められた選挙権年齢等の引き下げの措置を講ずるということになっておりますが、つじつまを合わせるという技術的な意義にとどまらず、特に、先ほどの話に関連をいたしますが、憲法改正の是非を判断するための能力や情報収集に要する努力と、地域の、選挙区内の候補を選ぶための努力というのは別物ではないかという考え方もあろうかと思います。事実、これは十八歳の青少年に国の形を考えさせるということから、町づくりに関心を持たせるということになりましょう。

 この意義について、まずは質問させていただきたいと存じます。

船田議員 小田原委員にお答えいたします。

 今回の私どもの公職選挙法改正案、十八に選挙権年齢を整えていこう、下げていこうということですが、先ほど申し上げましたように、憲法改正国民投票の投票権年齢を引き下げるということと並んでこのことをやらせていただいているということですが、問題はそれだけに限らず、この公職選挙法における選挙権を十八に下げるということによって、できるだけ多くの若者が、今お話のあったような町づくりであるとか、町づくりを行う政治のあり方とか、あるいは、誰にそれをやらせるのかということをみずからの手で決めていくという、民主主義の中では非常に重要な拡大をもたらすものというふうに思っておりますので、その効果はとても大きいということはまず言えると思います。

 ただ、今御指摘をいただいたように、憲法改正国民投票法は、国の形を決める、憲法をどうするのかということについて投票いただく、それから、選挙という場合には、政党を選ぶあるいは候補者を選ぶということで、同じ政治ではございますけれども内容は違ってくる、こういう状況にあります。

 ただ、私たちは、やはり同じ投票行為、同じ参政権の行使ということでくくられるものだと思っておりますので、年齢を合わせるということがふさわしいのではないか、こう考えた次第でございます。

 もう一つ申し上げておきたいのは、国民投票法は、憲法改正原案が国会から発議をされてから最短で二カ月、最長で六カ月、いわゆる周知期間というか運動期間、そういったものが置かれます。ただ、公職選挙法によりますと、公示あるいは告示をしてから、短いもので五日、長いもので十七日ということで、やはり選挙の場合には非常に短いんですね、投票までの間が。国民投票の場合にはかなり長いということがあります。

 ですから、能力の点でどうかということはありますが、憲法のような大きな問題については、一定の熟慮の時間があるということだと思っております。選挙の場合には、それよりは短くても、人を選ぶ、政党を選ぶのであればその程度の時間でいいのかなということなので、そういう、選挙まで、あるいは投票までの期間が長い、短いということによっても一定の調整はできるんじゃないか、このように思っております。

小田原委員 ありがとうございます。

 それでは、この法案附則第十一条で民法の成年年齢の引き下げに関する検討がうたわれておりますが、その社会に及ぼす影響についてお伺いをしたいと思います。

 お配りいたしました資料の三枚目、五月二十五日付の毎日新聞では、「十八歳は大人か子供か」という特集が組まれております。この一番最後のところに、例えば喫煙ができるとかいろいろなことがありますが、馬券法、医師法含め、「何らかの影響を受ける法律は二百十二本に上ります。」ということでこの特集がくくられております。

 本件における社会への影響について教えてください。

船田議員 お答えいたします。

 今回の私どもの公職選挙法改正案が成立をいたしました暁には、それに付随して、地方自治法、それから農業委員会の関係の法律、あるいは漁業の海区調整委員の選挙権年齢も変わるというものから、数多くの法律が年齢条項を変えなきゃいけない。自動的に変わるものもあります、あるいは価値判断をして変えるものもあります。あるいは、これが十八になったからといって、この法律はやはり二十というのは変えないよというものもあるわけでして、そういったものを精査していくことはこれからだと思っております。

 ただ、二百十二本と言いましたけれども、そのうちの二百本近くは、それぞれ所管をする役所において十八にするのか二十にするのかということについては大体整理ができたというふうに聞いておりますので、これは後ほどまた精査の機会があると思いますけれども、対応していきたいと考えています。

 問題は、やはり民法を変えることによって相当影響がいろいろ出ると思っております。一番影響が出ると思うのが、やはり大人になりますと一人で契約ができるということになります。そういたしますと、十八歳、十九歳の者が違法な契約をしてしまっていろいろな消費者のトラブルに遭ったりする、こういったことが非常に社会問題になりかねないということでございますので、先ほども申し上げました主権者教育、これは主に政治上の主権者教育ということでございますが、あわせて、いわゆる消費者教育というのも高校においては、中学校から入っておりますけれども、やる必要があると思っています。

 既に、学習指導要領の改訂において、この消費者教育は一部ずつ、まだ十分ではないと思いますが、少しずつ導入をされておりまして、それに基づいた教科書も出始めている、こういう状況でございますので、我々は、そういったものをもっと充実させなさいと後押しをしようということで考えております。

 やはり、民法における成年年齢が十八に下がるということに対して、若者がいろいろな問題に巻き込まれるということをなるべく避けるように、もちろん若者自身が自分の判断で危険を避けるということはありますけれども、そういった環境づくりもしっかりとやっていきたいと思っています。

小田原委員 ありがとうございます。

 教育の重要性、全くおっしゃるとおりであろうと思います。

 そこで、お伺いをいたします。

 資料の一枚目で「学校で有権者のススメ」、これこそ有権者教育ということであろうかと思います。二枚目は、高校生の政治活動の解禁について囲み記事が出ております。

 できれば、十八歳を迎えた青少年が大いに社会に関心を持ち投票に行ってほしいと思うわけでありますが、この二枚目の記事では、下校後に限り集会に参加したり政策ビラを配れるようになるという書かれ方をしております。

 今、高校三年生にもなると、LINEですとかフェイスブックですとか、いわゆるSNSのようなもので常に仲間と連絡を取り合う青少年が多いというふうに思います。この人を何とか当選させたいという熱い思いで、大勢の人に投票を呼びかけたり、依頼をしたりというのが、携帯のメールではいけないということに気づかずにやってしまい罪に問われる、こういう悲しい事案を何とか防ぎたいと思うのが我々大人の自然な思いではないかと思います。

 選挙犯罪等についての少年法の特例等がうたわれているこの法案に関連をいたしまして、気づかずに選挙違反をしてしまうことを防ぐための対策をどう講ずるか。

 あわせまして、高校などでの授業で政治をどう扱うかについてお聞きをしたいと思います。

 資料の一枚目には、下から三段目の真ん中辺に、高校の教頭先生の発言として、「特定の政党に偏った教育をしないのは当然だが、政治的中立を過剰に気にしすぎて政治を教えることに及び腰になってはいけない」。こういうやはり歯切れの悪いコメントをどうしても先生がしてしまうのではないか。私が四十年前に、何だこのどよんとした授業はと思ったのと同じような、歯切れの悪い政治や歴史に関する授業が現場で行われやしないか。

 さらに申せば、投票日直前に現代史のどこで授業を終えて投票日を迎えるかということが、もしかしたら微妙に投票結果に影響を与えるかもしれない。それが、わざと早く進んでいたり、わざとゆっくり、おくらせたりというような細工をすることのできる余地がありやしないか。こういった現場の現状も含めて、御所見を頂戴したいと思います。

船田議員 お答えいたします。

 極めて多岐にわたる御質問でございまして、明快に答えられるかどうかわかりませんが。

 まず、高校における選挙運動とかあるいは政治活動、そういったことでございますが、これにつきましては、初めてのことでございますので、我々としては、やはり、高校における政治活動、選挙運動、これらは、新たに有権者になった者ということでありますが、何ができて何ができないのかということをなるべく明確にしておく必要があるんだろうというふうに思っております。

 そのことについては、やはり主権者教育の中で、選挙違反を犯した場合にどうなってしまうのか、あるいは選挙違反の中身がどういうものなのか、こういったことも明確に教えておく必要があるんだろう、そういうふうに思っております。

 ただ、余りさまざまな分野でいわゆる公職選挙法以上に制限を加えるということになりますと、せっかく十八、十九の者に選挙権を与えても、自由に行えないというようなことで萎縮されるということも当然考えられますので、なるべく、選挙運動については可能な限り自由にやらせるということも一方では必要ではないか。

 しかし、何かルールがなければいけないということであれば、法律というよりは、やはり学校が校則などを通じて自主的に規制をすること、あるいは国や都道府県の教育委員会におきましても、学校に対して何らかのガイドラインを示すということが必要である、こう思っている次第でございます。

 それから、もう一つ、無知ゆえに選挙違反に問われて、それが非常に重大な影響、連座制にかかわるようなことであって、そしてその少年の一生が台なしになるというような、そういう不幸な事態というのは私たちも避けたいと思っております。

 この少年法の適用の特例におきましては、やはり少年法の趣旨というのを十分に踏まえること、それから、無知ゆえにということで、つまり故意にそういう行為を行うということじゃなくて、過誤とか、あるいは間違ってそういうことをやってしまったということについては、やはり裁判の途上において情状酌量等々いろいろな手だてを講ずる可能性は十分にございますので、そういうことで少年としての裁きというものもしっかりとやっていく必要があると思っています。

小田原委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

山本委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 本日は、公職選挙法等の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。

 人口減少、少子高齢化社会の中で、社会保障制度の充実、また巨額な財政赤字、こういった日本政治が直面する大きな課題は、若者の未来に大きな影響を及ぼします。

 我が党は、衆参国会議員五十五名のうち、青年委員会所属の国会議員が十五名の青年政党でございます。若者の政治離れ、こういったことが昨今言われておりますが、若者は決して政治離れしているわけじゃないんだ、政党離れ、選挙離れしているだけで、その原因は政党不信、政治家不信からきている。だからこそ、若者たちの中に入り切って、若者の声を政治に反映させる、若者の政治意識を開拓していく、こういったことが私ども青年議員の使命であり、役割であると思っております。

 そのような思いのもと、一昨年、私ども党青年委員会は、若者を対象に全国でワーク・ライフ・バランスに関するアンケートを実施しました。二十八万人を超える若者の皆様から回答をいただきまして、その声をもとに若者のワーク・ライフ・バランスに関する提言をまとめ、一昨年六月、総理に直接提言を申し入れました。

 また、昨年は、若者のさまざまな声を膝詰めで聞くための青年市民相談会を全国各地で開催いたしました。計五十回以上、八百名を超える若者の皆さんから現場の声を伺いまして、その声をまとめた青年政策アクションプランを昨年八月、政府に提言いたしました。

 十八歳選挙権につきましても、我が党は、一九七〇年代から国会審議で取り上げ、選挙公約に掲げ、一貫してその実現に向けて取り組んでまいりました。

 本改正法案は、現在二十以上である国政選挙や地方選挙の選挙権年齢を十八歳以上に引き下げることを主たる内容とするものでございます。改正案は公布後一年を経て施行されるため、今国会で早期に成立すれば、来年夏の参議院議員選挙から適用されることになります。

 ただ、先ほど井野委員の方からも指摘がありましたけれども、十八歳選挙権に関する世論調査におきましては、本年三月、朝日新聞が行ったものでは、賛成四八%、反対三九%、読売新聞が行った世論調査では、賛成五一%、反対四三%。賛成が上回っているものの、反対の声も多くございます。国民の皆様に十八歳選挙権の導入をしっかりと理解していただくことが重要になると思います。

 そこで、法案提出者に伺います。

 本改正案において、選挙権年齢を十八歳以上に引き下げる意義、選挙権年齢を十八歳以上とすることの妥当性について、国民の皆様にわかりやすい説明をよろしくお願いいたします。

北側議員 國重委員にお答えをいたします。

 選挙権年齢を十八歳以上に引き下げる意義でございます。

 いろいろな観点があるかと思うんですが、私は、一番大きいのは、今も委員がおっしゃっておられましたが、若い方々の意見、考え方、これを少しでも政治に、政策に反映できるようにするということは非常に大事なことだというふうに思っております。

 御承知のとおり、今、我が国は高齢化が進んでおります。言いかえますと、有権者の年齢がまさしく高齢化しているわけですね。一方で、さまざまな政治課題がありますが、例えば財政の健全化の問題、非常に深刻な問題ですね。この財政の健全化の問題を取り上げても、結局、その借金のツケを誰が払っていくかといったら、若い世代が将来払っていくことになるわけですね。そういう意味では、もっと若い方々の声を政策、政治に反映していく必要があるというふうに思うんです。

 そういう意味で、十八歳、十九歳の方々が選挙権を持つということは重要な意義を持つと思いますし、一方で、我々政治に携わっている人間から見ますと、十八歳、十九歳の方々が選挙権を持つということになりますと、我々も有権者として彼らを意識するわけですね。そうすると、我々の方もそういう若い方々の声に対してしっかり耳を傾けていこうという姿勢にもなってくるわけでございまして、そういう意味でも私は非常に重要な意義を持っているというふうに思っているところでございます。

 いずれにいたしましても、国民の皆様に十八歳選挙権の意義というものをしっかり伝えていく努力を今後とも行ってまいりたいと考えております。

國重委員 よくわかりました。

 続きまして、本改正案におきましては、選挙権年齢は十八歳以上に引き下げられる一方、被選挙権の引き下げは規定されておりません。

 現在、日本の国会議員の被選挙権は、衆議院議員が二十五歳以上、参議院議員が三十歳以上。また、都道府県知事は三十歳以上でございます。現実的な話はさておき、法律上は二十五歳以上であれば内閣総理大臣になれるのに、知事には三十歳以上にならないと立候補さえできないという事態が生じております。

 本改正案をまとめるに当たり、被選挙権について議論がされたのか。されたのであれば、どのような議論がされたのか。被選挙権年齢の引き下げについての見解をお伺いいたします。

北側議員 選挙権の方は、これは政治家を選ぶ、公職につく人を選ぶ、こういうことです。被選挙権というのはまた逆でございまして、公職につく人の年齢をどうするかという問題です。そういう意味で、少し評価の基準が違うと思うんですが、ただ、今委員のおっしゃったとおり、今の現行法の被選挙権年齢というのがこのままでいいのかどうかということは、今後の非常に重要な論点であるというふうに思っております。

 選挙権年齢について十八歳に引き下げるということを、まず私ども超党派で今提案させていただいているわけでございますが、今後の課題として、被選挙権についてもぜひ論議を進めさせていただきたいというふうに考えております。

國重委員 私も、この被選挙権については若干問題意識を持っていますので、またしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 続きまして、学校における政治教育等についてお伺いしていきたいと思います。

 本改正案が成立すれば、若い有権者が全国で約二百四十万人ふえることになります。十八歳は高校三年生に当たる年齢でございます。学校で政治に関する知識や判断力を養い、主権者意識をどう育てていくのか。

 世界の趨勢では、既に十八歳までに選挙権を認めている国が多くございます。

 では、それらの諸外国では若者に対してどのような政治教育を行っているのか、政府参考人に伺います。

徳田政府参考人 お答えします。

 全ての国について承知しているわけではございませんが、諸外国におきましても、政治教育について、特に中等教育段階において、社会科、市民科、公民科、政治科などの教科の中で取り扱われております。

 選挙年齢が十八歳以上の国では、例えばイギリスでは、政治的な教養を備えた市民の育成を目指すシチズンシップ教育が中等学校において義務化されております。最近の総選挙に際し、各地の学校で生徒による模擬選挙が実施されております。

 また、アメリカでは、初等中等教育を通じまして、歴史、社会科の中で政治教育を学ぶことが義務づけされております。

 さらに、ドイツの初等教育では、教科横断的に民主的な生活やそれに結びついた行動様式などを学ぶ機会を設けております。

 フランスでは、初等教育において、子供国会などの取り組みも行われております。

 このような事例のように、各国における取り組みはさまざまではありますが、いずれも民主主義社会に主体的に参加する主権者の育成を目指す政治教育を行っていると承知しております。

國重委員 今、諸外国の若者に対する政治教育に関して説明がございました。

 そういったものも参考にしながら、踏まえながら、今回、十八歳選挙権を導入することに伴って、政治的中立性を確保しながら、今後、学校においてどのような政治に関する教育を行っていくことが重要と考えるか、お伺いいたします。

北側議員 十八歳選挙権の実現に向けて、おっしゃっているとおり、政治教育、主権者教育というのは極めて重要だというふうに認識をしております。

 もちろん、現在も、学習指導要領の中に一定の記載は当然あるわけなんですね。憲法等、選挙等についての仕組みを教えるとかあるわけなんですが、十八歳選挙権ということで、現役の一部高校生が選挙権を持つことになるわけでございまして、主権者教育、民主主義社会における政治参加意識を高めるため、国や社会の問題を自分たちの問題として考え、捉え、行動していく、主権者としての素養を身につけていただく、そういう教育というものを充実していくことが大変重要であると思います。

 そういう意味では、現在ある指導要領につきましても改訂をしまして、そして主権者教育というものをしっかりと柱として位置づけをしていくということが重要になってくると思いますし、また、主権者教育につきましても実のある内容にしていく必要があるというふうに思います。

 例えば、先ほど来出ております模擬選挙等の体験的な方法を導入していくだとか、それから、主権者教育の充実を図るための副教材を全高校生に配付するだとか、そうしたことも検討をしていかねばならないというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、主権者教育の充実が極めて喫緊の課題であると考えております。

國重委員 ありがとうございました。

 私も、政治教育というと、かなりいろいろなところに偏ったりとか、非常に難しい問題もあると思いますけれども、政治参画の重要性、こういったことはこれまで以上に促進していく必要があると思います。しっかり私も議員の一人として取り組んでまいりたいと思います。

 続きまして、本法案が成立しましたら、高校三年生、十八歳になれば選挙活動をすることができるようになります。

 一方、昭和四十四年の文部省通達におきまして、学校における政治活動を適切に制限、規制すべき旨の通達が出ております。

 選挙権を有する高校生の学校における選挙活動についてどのように考えるのか、法案提出者に伺います。

北側議員 十八歳選挙権が実現をいたしましたならば、当然、これは選挙権を持つわけですので、選挙運動も基本的に自由、また政治活動も自由、これがまず大原則であるというふうに思います。

 今おっしゃった昭和四十四年の文部省通達というのがありまして、非常に厳しい内容の通達になっているんですね。子供たちの、高校生のそうした政治活動について厳しい規制を設けております。

 これは、昭和四十四年というのは、実を言いますと私も高校生だったんですが、当時、高校紛争なんかがありまして、そうした当時であったという背景がございますし、そもそも選挙権を持つ高校生などいない、こういう時代の通達でございます。

 この通達については、今回、十八歳選挙権が実現しましたならば、見直しをしていただく必要があるというふうに考えております。

 ただし、選挙運動、政治活動が自由とはいうものの、では、全く自由でいいのかというのは当然議論があるわけでございまして、例えば、学校の中での選挙運動、政治活動についてどう考えていくのか。学校は教育の現場でございます。そこにはやはり一定の秩序というのが求められるというふうに思うんですね。そこでは一定の規制があるんだろうと思うんです。

 ただ、その規制をではどうやってつくっていくのかということなんですが、ここは、やはり選挙運動、政治活動は基本的に自由であるという原則に立ち返った上で、各学校ごとにそういう自主規制というものをつくっていただくということがいいと思います。また、各教育委員会におかれましても、一種のガイドラインのようなものを検討していただくことも大事かなというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、この文部省通達につきましては見直しが必要、そして、学校内における選挙運動や政治活動の規制についてどう考えていくのか、こういうことについてもしっかり私どもも議論をしてまいりたいというふうに考えております。

國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、先ほどの質問と若干かぶるところがあるかもしれませんけれども、お伺いいたします。

 学校には、議員とか候補者の子供もいます。父親が市会議員選挙に立候補することになって、町じゅうにポスターが張られることになる。恥ずかしい思いをするからもうやめてほしいと言って泣いた女子中学生の話も聞いたことがございます。父親が議員をしている、そういったことでからかわれている子供たちがいる。これも私も目の当たりにしたこともございます。これは私の子供じゃありませんけれども、私が中学生の時代とか、そういったことがあることも見たことがございます。

 本法案が成立すれば、これまで以上に学校現場に政治が入ってくる、選挙が入ってくる。また、新たに選挙活動というものが入ってくる。国会議員はまだしも、地方議員であれば、同じクラス内に選挙で争うことになる候補者の子供同士がいることも考えられます。私は、十八歳選挙権になったとき、すぐ直観的にそのことを思ったわけです。私は弁護士のときに、いじめの問題とか少年事件とか子供に関することをよくやってきましたので、すぐにそこに思いが行ったというか、ちょっとマニアックかもしれませんけれども、そういう意識を持ちました。

 子供たちに、もちろんプラスの影響もあると思いますけれども、さまざまな悪影響というのも生じるかもしれません。こういったことについてどのように考えているのか、難しいかもしれませんけれども、所感等含めてお伺いしたいと思います。

北側議員 大変貴重な御意見を賜りました。非常に私どもにとりまして身につまされる御指摘だと思います。

 確かに、そういうこともしっかり配慮した学校内でのルールというものを考えていかないといけないんだろうなというふうに思うんですね。それは、この法律が通りましたら、施行まで一年間の周知期間がございますので、この間、今委員から御指摘があった学校の中での選挙運動のあり方、またその規制については、しっかりと論議を進めさせていただきたいというふうに思っております。

國重委員 続きまして、選挙犯罪等についての少年法との関係、特例に関してお伺いしたいと思います。

 少年法の適用対象年齢は二十未満でございます。では、選挙権年齢を十八歳以上に引き下げた場合、十八歳、十九歳の未成年者の選挙犯罪にどのように対処するのか、さまざま議論がされたかと思います。その上で、本法案では、未成年者の選挙違反への対処について、少年法の適用対象から除外するのではなくて、少年法の特例を規定して対処することとなっております。

 選挙犯罪について少年法の特例を設けた趣旨について伺います。

北側議員 少年法の適用の問題につきましては、一番議論になったところでございます。今回の政党間の協議の中でも一番焦点が当たったところでございました。

 少年法は、言うまでもございませんが、少年の保護ということを目的にしております。少年の可塑性から、更生をさせていくという趣旨を強く持っている仕組みでございます。

 一方、公職選挙法は、当然これは選挙の公正ということが確保されねばならないわけですね。選挙の公正の問題と少年の保護、こういう要請と、そこをどうバランスをとるのかという議論を、相当詰めて議論をさせていただきました。

 最終的にこの法案で提案をさせていただいておりますのは、選挙の公正に著しく影響を与えると思われる連座制が働くような選挙犯罪、そういうものを犯した場合には、これは単にその少年の問題だけにはとどまりません。連座制が働くような場合というのは当選無効になるわけでございまして、そういう意味では、買収等の重大な犯罪を規定しているわけですね。

 こういう重大な、選挙の公正に影響を与えてしまうような犯罪については、これは原則、検察官送致、逆送するというふうな規定を設けさせていただいております。

 ただ一方で、逆に、そうでないものについては、やはり少年の保護という観点から少年法の適用を認めていく、このような判断をさせていただいた提案をさせていただいているところでございます。

國重委員 よくわかりました。

 それでは、今の質問に関連しましてお伺いいたします。

 附則五条第一項におきまして、家庭裁判所は、当分の間、十八歳以上二十歳未満の者が犯した連座制の対象となる選挙犯罪の事件について、その罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼすと認める場合には、少年法二十条一項の決定、これは検察官への送致の決定ですが、これをしなければならない。ただし、犯行の動機、態様等の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りではない、こう附則五条一項に定められております。

 では、ここで言う、その罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼす場合とは、どのような場合を言うのか。連座制にかかわる事件を犯した場合は、この重大な支障を及ぼす場合に原則として当たると考えていいのか、法案提出者に伺います。

北側議員 買収等の選挙犯罪を仮に十八歳、十九歳の少年がやってしまった場合に連座制が働く場合というのは、例えば、先ほど少し例に出ておりましたが、親が候補者で、なおかつ、その子供が自分の友人に対して、お父さんに入れてよとお願いをする、そこまではいいんですけれども、さらに何か物を上げたりしますとこれは買収になって、そして連座制が働く、こういうことなんですね。

 基本は、そういう買収等をやって連座が働くような場合というのは、やはり選挙の公正に大きな影響を与えるわけでございますので、これは働くということなんですが、この規定は、連座制に係る事件を犯したというだけではなくて、今、委員のおっしゃったように、もう一つ要件をつけ加えまして、罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼすと認める場合はというふうな要件をつけ加えているんですね。

 だから、例えば本人、その少年にとって、その罪質が非常に客観的に見て軽微な場合もあると思われるんです。ですから、形式的に全て、買収だから逆送して連座制を働かせるというのではなくて、そういう連座が働くような選挙犯罪プラス、その罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼすと認める場合、こういう二つの要件をつけることによって逆送するという形をとらせていただいた次第でございます。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

國重委員 ありがとうございます。

 続きまして、ちょっと話題を、質問をかえて、現行の選挙人名簿の登録制度においては、十九歳から二十歳になる前の三カ月以内に転居した場合、これは選挙人名簿に登録されない。こうなれば、旧住所でも新住所でも選挙権を行使できないということになる今の現状がございます。

 選挙権年齢を十八歳以上に引き下げることになることに伴って、現行の選挙人名簿の登録制度における不備も早急に解消しなければならないと考えますが、これについての法案提出者の見解を伺います。

北側議員 現行の公職選挙法で今の問題があるわけですね。

 選挙権というのは、年齢がその年齢になるということとともに、選挙人名簿に記載をされないと現実に投票権行使ができないわけなんですね。現行法では、三カ月以上居住をしていないと選挙人名簿に登録をされない、こういう仕組みになっているわけです。また、そういう登録をするときというのも三カ月に一回でして、そういう意味では、そこに登録をされていないと、実際二十になっていても選挙権行使ができないという問題点がありました。

 これにつきまして、ぜひこの機会に見直そうということで、昨日、法案の提出を衆議院の方に、幾つかの政党で共同提出をさせていただいたところでございます。

 特に、十八歳の場合は、高校を卒業して、そして転居するという場合が多くなりますので、ぜひともこの機会に、今のこの課題、問題点を改善できるようにさせていただきたいということで、これは、今回の十八歳選挙権の問題が施行されるまでには、こちらの方についても、その不備を是正する公職選挙法の改正について、ぜひ成立をさせていただきたいというふうに考えております。

國重委員 私も、今、北側法案提出者が言われたように、この不備については早急に解消していく必要があると思います。

 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

坂本(哲)委員長代理 次に、黒岩宇洋君。

黒岩委員 民主党の黒岩宇洋でございます。

 提出会派であります民主党は、提出者であります武正公一衆議院議員を中心に、全党を挙げまして、十八歳への選挙権年齢の引き下げについて、早期実現を図るために全力で取り組んできた次第でございます。

 僣越ですが私も、党の青年委員長として、若い世代の皆様に、選挙権年齢が引き下がる、予定されているということを周知してきた、そんな立場から、きょうは基本的なことを冒頭提出者に私の方から何点か聞かせていただきたいと思っております。

 それでは、まず一問目といたしましては、十八歳に選挙権年齢を引き下げることによって、社会的な影響、社会的な効果はどういったものが期待をされているのでしょうか。提出者としての御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

武正議員 黒岩委員にお答えいたします。

 今回、六党会派、そして野間健君ということで提出に至り、そしてまた、こうして審議に付されるということで、関係各位に心から感謝を申し上げたいと思います。

 先ほど来お話があるように、この間、二〇〇〇年の衆議院憲法調査会の発足以来の十五年間の国会での議論が、昨年の国民投票法改正、施行につながっておりまして、そして、昨年の施行が今回の十八歳選挙権引き下げ法案につながっているということで、これは国民各般から、特に若い世代の皆さんから、選挙権年齢を十八歳に引き下げてほしいと、いろいろな団体もそうした活動をされてまいりました。そういったところが今回の法案提出に至ったものと理解をする次第でございます。

 社会的な影響、効果というお話でございますが、例えば、実は今回の地方選挙は過去最低の投票率を記録しました。昨年の衆議院選挙も同様でございます。こうしたことは、やはり民主主義の根幹を揺るがす事態ではないかというふうに強く危機感を覚えるのは私だけではないというふうに理解をいたします。

 そういった意味では、やはり若年層の政治参加が民主主義の土台をさらに強いものにしていくのではないかという期待がございます。また、先ほど来触れられておりますように、中長期的な諸課題解決には、財政再建の話もございましたが、こうした若い世代の皆さんの声があるのではないかというふうに思っております。

 こうした点に対する期待ということで、社会的効果を期待している次第でございます。

黒岩委員 ありがとうございます。

 若い世代に社会的な責任も担ってもらう、それの見合いといたしまして権利も行使してもらう、そういう趣旨であるということを理解させていただきました。

 それで、今、投票率も下がっている、特に若い世代が下がっているということが現実でございます。先ほどの議論の中でも、アンケートで、十八歳以上の、十八歳、十九歳の方が選挙に行くかという問いに対して、八〇%以上の方が行かないのではないかというアンケートの御紹介がありました。

 ただ、このアンケートは、二十歳から六十歳までの、現実には成人されている方たちのある意味予測であるわけなんですけれども、当の、今後新しく選挙権を十八歳以上ということで付与される、まさに十八歳、十九歳を来年にでも迎えようとするこの年代の方たちが、一体、新しく選挙権を付与されるということに対してどのような思いを持たれているとお考えなのか、提出者として御答弁をいただけますでしょうか。

武正議員 お答えをいたします。

 昨年でしたでしょうか、ティーンズライツムーブメントという団体が、院内で三百名ほどの高校生を集めて、十八歳に選挙権を引き下げる、そういった機運を盛り上げるシンポジウムを二回ほど開いておられました。そのほか、Rightsとか、そうした十八歳、十九歳、あるいは高校生などが参画している団体が熱心に十八歳選挙権引き下げの運動をしているということは、そうした期待感のあらわれではないかなというふうに思っております。

 また、きのうも、私も都内で自民党の逢沢議員とともにシンポジウムにも出席をしました。これは十八歳選挙権のシンポジウムでありましたが、会場にあふれるほどの方々、特に若い方々が多く詰めかけておられました。

 また、最近、高校生、あるいは高校の新聞部とか放送部からいろいろ問い合わせが来るようになっておりまして、多分、それぞれの議員の皆さんの選挙区でもそういったことが起きているのではないのかなというふうに拝察をいたします。

 そういった意味では大変期待が高いとは思いますが、まだまだ一部の高校生あるいは若い世代の皆さんに限られるとすれば、今回この法律を通した後に、それをどうやって周知していくのか、あるいは、先ほど来話が出ております主権者教育の充実をどう工夫していくのか、法律可決そしてまた施行後の工夫というものがやはり大事になってくるのかなというふうに思っております。

黒岩委員 ありがとうございます。

 確かに、きょうの議論でもありましたが、参政権を新しく付与するということは、やはりその当事者からの期待感、またはその欲求、要求というものが素地にあるということは大切だと考えておりますが、今、武正議員の、提出者のお話で、かなりこの期待感も高まりつつある、ただ、これが一部の方だけで終わってはならないという懸念もあるということをお示しいただきました。

 そこで、その若い世代の方たちに、十八歳、十九歳の方に政治的な関心をどうやって持っていただくのか、また、投票率をどうやって上げていただくのか、これは行政の方でも取り組んでおられるということは聞いておりますけれども、まさに政治の側からどういった方策をお考えになられているのか、この点についてお聞かせいただけますでしょうか。

武正議員 ちょうど平成二十三年十二月に、総務省では、常時啓発事業のあり方等研究会の最終報告書で、先ほど来話が出ております主権者教育というのが初めて定義づけられたと聞いております。

 これは、四十年前、ドイツなどでも始まっていることですが、先ほど来、教育基本法の十四条の二項の政治的中立ということで、どうしても現場では、こうした主権者教育あるいは政治教育、憲法教育、歴史教育、若干腰が引けていたように感じますが、そういった意味では、この主権者教育を進めていくということが大変大事になってくるのではないかと思っております。

 既に学習指導要領にも盛り込まれておりますが、その記述以上に、こうした改訂で主権者教育を位置づける必要もあろうかと思いますし、先ほど来、高校という話がありますが、やはり小学校、中学校からこうした主権者教育の充実を図る必要もあります。

 また、十八歳、十九歳が在籍する大学でございますが、当然、大学の自治というのが原則でありますけれども、大学は何といっても知的財産の宝庫でもありますし、大学の先生にはぜひ、小中高のそうした主権者教育、大学生ももちろんですが、主体的な役割の発揮を期待したいというふうに思います。

 またあわせて、社会教育といった場でも、こうした主権者であるということの意識づけが、若年層にとどまらず改めて必要ではないかというふうに考えるわけでございます。

 もちろん、私ども国会議員としてもそうした点で積極的に提案をしていくということで、先ほど来お話がありましたが、九党会派による十八歳選挙権のプロジェクトチームでも引き続き議論をして、また関係各省庁にもそうした精力的な検討を期待してまいりたいというふうに思っております。

黒岩委員 確かに、高校を含む学校現場に政治の側からアプローチをしていく、啓発をしていくということにはなかなか困難な点もあろうかと思いますけれども、これは合理的な範囲で我々が努力をしていくべきだ、そういうことを強く認識させていただきました。

 それでは、この後、宮崎岳志議員に質問を譲りまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

坂本(哲)委員長代理 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 民主党・無所属クラブの宮崎岳志でございます。

 本日は、この場で質問させていただくわけでありますが、もう審議も五人目でございますので、相当重複している部分もございます。大胆に質問通告から割愛しつつ、質問をさせていただければというふうに思っております。

 今法案は大変重大な意義を有するというふうに思っておりまして、一八九〇年、第一回の帝国議会の衆議院の総選挙が行われたわけでありますが、その後、有権者年齢というのが引き下げられたのはたった一回しかありません。戦後、女性に選挙権が開放されると同時に二十に選挙権年齢が引き下げられた、このたった一回であります。そういった意味で、国民的な盛り上がりは少々、いま一つということでありますけれども、大変歴史に残る法律になるであろうというふうに思っております。

 私は、中央大学の弁論部であります辞達学会というところの出身でございまして、本院でも、自由民主党の秋葉賢也先輩、それから武井俊輔君等が同じサークルの出身であるわけですが、そこの創立者が花井卓蔵先生という、私学で初めての法学博士であり、また、衆議院副議長を務められ、貴族院議員を務められたわけでありますが、第一回の普通選挙法の提出者の一人であります。

 第一回の提出はもちろん否決されるわけでありますが、そこから二十三年間をかけて男子普通選挙を実現されたということでありますけれども、そのときに、年齢をめぐる議論等もありました。

 普通選挙導入の年齢をめぐる議論を一つ御紹介させていただきたいというふうに思うんですが、大正十四年に普通選挙法が成立するわけですが、その前段、大正十二年に、時の総理大臣山本権兵衛が、普通選挙を実現すべく、臨時法制審議会に諮問を行っております。そこで、審議会は、納税要件を全廃するということを決めた上で、選挙権、被選挙権の年齢、性別をどうするかという議論をしております。

 参考までにちょっと御紹介をいたしますけれども、例えば、これは大阪毎日新聞の大正十二年十月二十八日付でございますが、普選に関する法制審議会主査委員会は二十七日午後二時から首相官邸に開催、当日は主として選挙資格について審議することとなり、まず年齢に関する件を議題とし、劈頭花井卓蔵、小野塚喜平次両氏から、男子二十五歳に達すれば十分選挙権を行使することができるから、現行法どおり二十五歳以上の男子に選挙権を与うることを至当と認める、しこうして、中等学校卒業者は必ずしも二十五歳に達せずとも十分選挙能力を有するに至るから、二十歳の中等学校卒業者にも選挙権を付与するをもって適当なりというふうな主張をし、鳩山一郎氏は花井、小野塚両氏の説に反対し、採決の結果、中等学校卒業者にして二十歳以上の男子に選挙権を与うる件は少数にて否決せられて、多数をもって二十五歳以上の男子に選挙権を付与することに決定したというふうにあります。

 この後、女性参政権の審議等も行われて、例えば、女性に今すぐ男子同様に与えるのはいかがなものか、しかし、三十歳以上に限って与えてみたらどうかとか、そういった議論まで行われている。

 また、やはり臨時法制審議会でございます。大阪朝日新聞の同年十月三十一日付でありますが、当時、この法制審の総裁は穂積陳重、日本民法の父と言われた方であります。副総裁は平沼騏一郎でございます。審議を続行して、副島義一さんが、選挙において既に納税資格を撤廃したのであるから、被選挙権の年齢は三十歳としておく方が穏当であるのみならず、外国の例に徴しても選挙資格年齢二十歳、被選挙資格年齢二十五歳の者が多いから、我が国の選挙資格二十五歳である以上、被選挙資格を三十歳とすることは適当であると三十歳説を主張し、花井卓蔵氏、阪谷芳郎氏、江木千之氏、鳩山一郎氏諸氏より賛成ありというようなことの議論が行われたりもしている、こういった状況であります。

 つまり、責任能力とか判断能力というのが年齢において十分ついているかどうかということが、この当時から選挙権年齢を決める際の条件になっているということでございます。

 そういうことを踏まえて、私は、今回、選挙権について、十八歳に引き下げるということはもちろんでありますけれども、選挙によって被選挙権の年齢が違うというのは、今の日本の現状を考えるに、非合理的であると考えます。参議院議員、知事は被選挙権が三十歳となっておりますが、これを引き下げるべきではないかというふうに存じますけれども、提出者武正公一議員にお答えを願いたいと存じます。

武正議員 お答えをいたします。

 この間、十八歳選挙権引き下げの法案提出者の中での議論では、先ほど来触れておりますように、被選挙権についての年齢についての議論というのはしてこなかったということでございます。今後そうした議論が行われることを期待したいということは、先ほど来提出者が述べていることと同じでございます。

 今、参議院の被選挙権年齢は三十歳で、衆議院二十五歳となぜ違うのか、引き下げるべきではないのかということでございます。

 この間、参議院の被選挙権年齢については、年齢が高くなるにつれて思慮分別が深まるので、二院制の役割を果たすために衆議院より年齢は高くすべきであるとか、あるいは知事選についてもそういうようなことが説明はされてきました。

 ただ、こうしたことが現時点で合理的か否か、これはやはり議論の余地がありますので、今回選挙権年齢が下がることによって、やはりこうした被選挙権年齢の引き下げについての議論というのは、今後、余地が大いにあるというふうに考えております。

 また、アメリカの例では、下院は二十五歳、上院は三十歳ですが、御承知のように、十八歳の市長なども誕生しております。

 今、住民投票では、住民投票の条例をやって、例えば、北海道の奈井江町では小学校五年生以上が投票権、あるいは、長野県の二つの自治体では中学校以上が投票権を得るというような条例もやっていますので、被選挙権も下げるということが果たしてどうかという議論はありますけれども、そうした自治体においての検討というのも一つあり得る話かな。これは個人的な意見でございます。

 以上です。

宮崎(岳)委員 ありがとうございました。

 私は、過日、超党派の日本・オーストラリア若手政治家交流プログラムというものに参加をさせていただいたんですけれども、そのときに、与党自由党のワイアット・ロイ下院議員と面会の機会を得ました。

 この方は、実はオーストラリアで史上最年少の議員でありまして、二十で初当選をされている。現在二期目ですが、お会いしたときは二十四歳、現在二十五歳になっております。オーストラリアの被選挙権は以前から十八歳でありましたが、これまでの最年少記録は二十二歳、それも九十二年前、一九一八年のことであったというふうに思いますので、百年近いことでそれを塗りかえた。

 この方、非常におもしろい経歴でございまして、非常に貧しい労働者階級の家に生まれて、家族の中で高校を出たのも自分が初めてだというふうにおっしゃっていました。非常にエネルギッシュでありまして、家族はみんなもともと労働党の支持者だったんだけれども、自分は自由党に入って、中道右派政党ですけれども、そこで、党員投票で予備選をやって候補者を決めるわけです。そのころ恐らくまだ十九歳だったはずでありますが、党員の家を一軒一軒ドアノッキングしてというんですから、戸別訪問してということでありますけれども、信頼をかち得て議員になられて、今二期目ということであります。

 こういった状況で、オーストラリアの政界の中でも台風の目になっているような若手議員でありますが、私もそうそうの年になってまいりまして、今のワイアット・ロイさんから比べれば二十も年上なわけでございますけれども、こういう若い議員が日本の政界にももっと出てくるようになってもいいんじゃないかなという思いもしております。

 そういった意味で、今後、被選挙権の引き下げも積極的に取り組むべしというふうに一応申し上げて、この件についての質問は終わらせていただきます。

 次に、成人年齢についてお伺いをしたいと思うんです。

 成人年齢の引き下げ、内容についてはるるこの場で、御審議の中で出ましたので、引き下げの時期のめどというのはどれぐらいになりましょうか。武正議員にお伺いをしたいと思います。

武正議員 成年年齢の引き下げについては、昨年の国民投票法の改正案の審議のときにも、提出者から、できれば四年以内にそうした検討が行われるようなというような答弁がされておりますので、そうした意味では、やはり速やかな検討、早急な検討というものが必要になってくるのではないかと思います。また、報道では、法務大臣も検討するというようなことも既に報じられておりますので、こうした点が必要かというふうに思います。

 そうした中で、一方で、やはり関係施策の効果等の若年層、若年者を中心とする国民への浸透の程度や、それについての国民の意識を踏まえて、引き下げ時期を判断していく必要があるのではないかというふうに思っております。

 しかしながら、先ほど触れましたように、可及的速やかに検討が必要であるというふうに考えますし、衆議院の憲法審査会でもそうした議論をしていこうというふうにも検討されておりますし、先ほど触れましたプロジェクトチームも含めて、こうした点もやはり議論をしていく必要があろうかと思っております。

宮崎(岳)委員 一点、飲酒、喫煙等の問題について質問をしたいと思います。

 今、二十未満禁止ということであります。多くの成人年齢は今後十八歳に引き下げられると聞いておりますが、飲酒、喫煙については、現在のところ二十のままでいいんじゃないかという議論が省庁の中で行われているというふうに聞いております。

 ただ、私は、これは実態に合っていないのではないかと正直思っております。大学一年生で飲酒を多くの方がやっているのが実態ではないか。私の十代のころ、よく私の友達がたばこは二十までということを言っておりましたが、これがいいかどうかは別ですよ、いいかどうかは別なんですけれども、私は、たばこは二十からだったので少数派であったわけですね。そういったことも考えて、それがいいかどうかは別ですが、多くの方が、高校を卒業すれば、実質的にお酒を飲んだり喫煙をしたりということが容易に可能な環境の中に身を置いているのが現実であります。

 十八歳、十九歳の大学一年生がお酒を飲んでいたから髪の毛を逆立ててそれを叱責しようという方がこの委員の中にもどれぐらいおられるかということを、私は現実に考えなければいけないというふうに思っているわけであります。

 未成年飲酒禁止法というのは、根本正さんという方、もともと水戸藩士でありまして、衆議院議員を明治、大正に務められた根本正が、二十年以上の歳月をかけて、ほとんど毎議会毎議会同じことを言い続けて成立をさせたという法律でありまして、彼が壇上に立つと大変大きなやじが飛びまして、賛成側はヒヤヒヤ、反対側はノーノー、こう言うんですね。これはイギリス下院の議会のやじでございまして、今も議事録にそう残っているわけでありますが、そういったやじにも歴史と伝統があるということをここで一言触れつつ、しかし、そのときにも、これは法律で決めるべき問題じゃないんじゃないかという指摘もあったのは事実であります。

 これも踏まえて、私は、画一的に、健康に関することで、国民的にも飲酒、喫煙ならもうちょっと厳しくしても反発を受けないだろうということかもしれないけれども、ほかの成人年齢が引き下げられるときに飲酒、喫煙だけ別というのはちょっと合わないんじゃないかというふうに思っておりまして、この点、警察庁の方から来ていただいております島根長官官房審議官にお伺いできればと思います。

島根政府参考人 お答えいたします。

 未成年者飲酒禁止法及び未成年者喫煙禁止法が二十歳未満の者の飲酒及び喫煙を禁止している趣旨といたしましては、飲酒及び喫煙による健康被害と非行の防止という二点が挙げられます。

 ただいま、二十歳未満の者が飲酒、喫煙をしている実態があるのではないかという御指摘がございました。確かに、そのような実態が一部あることは否定はしておりませんが、警察においてもこれを単に放置しているわけではございませんで、平成二十六年中には、飲酒で約一万二千人、喫煙で約二十二万六千人を補導しているところであります。

 現行法のもとでもこのような実態でありますことから、制限年齢を引き下げた場合、さらに下の年齢層に広がるおそれもあり、法の趣旨に照らしますと、制限年齢を引き下げることで、少なくとも状況がよくなることにはならないのではないかと考えているところでございます。

 この問題につきましては、民法や公選法等、成年年齢の問題とは切り離して慎重に判断し、二十歳未満という現行の年齢制限を維持することが適当であろうと考えているところでございます。

宮崎(岳)委員 これは私どもも自省を込めて言いますけれども、私も二十前にお酒を飲んでいたことはございますし、きょうここにいた方々も、あるいは警察庁に入っているような方も、もしかしたらそういう実態もあったかもしれない。やはり現実に即さないものは正していくということが必要ではないかということを一言申し上げたいと思います。

 さて、次でございます。教育の中立性について伺いたいと思うんです。

 この資料の表のところをごらんください。今度、高校生に選挙権が与えられる。では、高等学校は、あるいは高校の教員は、高校の職員はどの程度政治活動や選挙活動について規制されるのか。

 この表をごらんください。左側の一列が公職選挙法。真ん中が教育基本法、これは罰則がございません。右側が教育委員会の管理運営とか公務員関係の諸法、これは刑事処分もありますし、懲戒処分等もあります。

 公立の学校、教職員等は、かなりいろいろな意味で規制がかかっている。これは、かつてやはり学生運動等があった、あるいは左翼運動等があったということも含めて、厳しく取り締まろうということで、時のそれぞれの政府がいろいろな法律をつくってきたからこういうことになっているわけでありますが、私学の場合、教員については辛うじて幾らかのものはありますが、例えば職員、あるいは職員だけじゃなくて役員、理事や理事長とかそういう方々にも大きな規制はかかっていない。そして、学校については、教育基本法で、学校ということで一応だめよという決めはありますが、実際には罰則はないわけであります。

 そうすると、例えば学校内で特定の政治家あるいは特定の政党に関する選挙運動、政治活動が行われるとしますと、これは教育の中立を害するんじゃないかというふうに思っております。

 端的なことを申し上げますと、例えば、私は民主党ですけれども、民主党の議員でも、学校法人の理事なんかをされている方はいらっしゃる。きょう、提出者の船田議員も、現職の高校の学院長でいらっしゃる、奥様は学校法人の理事長でいらっしゃる。あるいは、宗教法人等が母体となっている、そしてその宗教の教育理念というものを反映させるために設立している高校というのもある。

 そうすると、そこがどこまで政治活動、選挙活動が許されて、どこは許されないのかということを確定する必要があると思うんですが、どのように教育の中立を確保していくのかを武正提出者にお伺いしたいというふうに思います。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

武正議員 教育の政治的中立性、先ほど触れました教育基本法十四条の二項ということでありまして、これが、何ができて何ができないかを明確にしていくことは、やはり教育の場として学校を円滑に機能させる観点からも極めて重要であります。この点は、国公立学校であれ私立学校であれ、何ら異なるものではないと考えております。

 他方、選挙運動は、選挙人に対して何びとを選挙すべきかの判断の基礎を与えるものであり、選挙運動は可能な限り自由にすべきであることから、選挙運動の自由と教育の政治的中立性の二つの要請をいかにしてバランスをとるかということが改めて問題となります。

 この点、直ちに法律による規制を課すことは、選挙における選挙運動の意義等に照らして妥当でないと考えられ、先ほど来答弁がございますが、まずは学校が校則などを通じて自主的規制に取り組むべきであると認識しております。

 今御指摘の、特に私学につきましては、やはり建学の精神ということで、それが特色ある教育がされる源というふうに承知しておりますので、今言った二つ、選挙運動の自由と教育の政治的中立性の二つの要請のバランスを図るための自主的規制が適切になされるべきであると考えておりまして、これを踏まえて、国や都道府県の教育委員会等においても、学校に対して、ガイドラインの提示を含め、適切な指導助言がなされるべきではないかと考えております。

 ただ、教育委員会は、公立学校にはダイレクトにということになりますが、私学ということですから、知事部局を通じて、文科省から教育委員会というところは必ずしもダイレクトに私学に行かないということもあろうかと思いますが、私学に関しては、知事部局がいろいろな形で指導あるいは助言、そしてまたいろいろな意味でのやりとりもしているわけでありますので、こうした点の検討を、本法案成立後、施行までの間の一年の周知期間内に、関係機関において行われることを期待したいというふうに思います。

宮崎(岳)委員 当時、昭和四十四年、文部省初等中等教育局長が出した通達、今は通知ということだと思いますが、というのがございまして、これによって、学校内での政治活動、これは基本的には公立ですけれども、公立学校内での政治活動は、生徒がやるものであっても厳しく規制をされております。また、学校外においても政治活動は好ましくない、あるいはそれはとめるべきであるという趣旨の通達となっております。

 内容を見ますと、例えば、

 選挙権等の参政権が与えられていないことなどからも明らかであるように、国家・社会としては未成年者が政治的活動を行なうことを期待していないし、むしろ行なわないよう要請しているともいえる

あるいは、

  生徒の政治的活動は、学校外の活動であつても、何らかの形で学校内に持ちこまれ、現実には学校の外と内との区別なく行なわれ、他の生徒に好ましくない影響を与えること。

あるいは、

  生徒が政治的活動を行なうことにより、学校や家庭での学習がおろそかになるとともに、それに没頭して勉学への意欲を失なつてしまうおそれがあること。

あるいは、

  放課後、休日等に学校外で行なわれる生徒の政治的活動は、一般人にとつては自由である政治的活動であつても、前述したように生徒が心身ともに発達の過程にあつて、学校の指導のもとに政治的教養の基礎をつちかつている段階であることなどにかんがみ、学校が教育上の観点から望ましくないとして生徒を指導することは当然である

このような記述がございます。

 今回、この法律が通ると、選挙運動さえ自由になるわけでありますから、本質的に全く法律と通達が食い違ってしまうことになります。

 この通達について、今後、修正をする、あるいは新しいものを出す、そんな御予定はあるかどうか、文部科学省に伺いたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の昭和四十四年通知でございますが、御指摘のとおり、この通知は、学校で政治的教養を高めるための教育を行う必要性を示しつつも、高校生の行う政治的活動につきましては、学校内では制限、禁止し、学校外でも望ましくないとして生徒を指導することを各学校に対して求めているものでございます。

 これは、当時の時代背景、あるいは投票年齢は二十歳以上であるということを前提とした通知でございますので、通知の内容につきましては一定の見直しを行う必要があるというふうに認識しておるところでございます。

 その方向といたしましては、まず、政治的教養を高めるための教育、例えば模擬投票など現実の政治に即した教材、素材を活用して、政治参加のための教育を推進する必要があるということ。他方、高校生の政治的活動に関しては、高等学校が教育基本法に基づいて政治的中立性を確保することの必要性というのは変わりないわけでございますが、一方で、十八歳以上の高校生が、今回の公職選挙法改正によりまして選挙運動も可能になるというようなことがございますので、そうしたことを踏まえ、特に学校外での活動について一定の見直しが必要になるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、こういったことを踏まえつつ、学校現場において、政治的教養の教育の充実、あるいは適切な生徒指導ができるというような観点で、高校関係者の意見も伺いながら、今後、新しい通知であるとか、あるいは教育現場で副教材を示していくとか、そうした対応を具体的な形で考えていきたいというふうに考えております。

宮崎(岳)委員 見直すのは当然であるといたしまして、余り公立、私立ということを区別せずに、これまでは、私学であっても、そこに有権者は教職員しかいないわけですから、まあいいかというところももちろんあったわけですけれども、そこに高校生がいる、そして公的な器である高等学校ということを考えまして、そこについては、公立、私学の区別のない、ある一定の基準をつくっていただきたいというふうに思っております。

 最後となりますが、時間も余りございませんが、資料の裏側でございます。

 私、もしこの法律が成立をいたしましたときに、例えばこういうことについてはどこまで許されるのか。

 教員は、あるいは公務員としてなっている方はかなりの制限がかかっているわけでありますけれども、例えば、生徒会が政治活動をする、特定の政党あるいは政治家を支援するような政治活動をする、あるいは部活、クラブとしてやる。大学等では、例えば各政党の青年部みたいなものが、あるいは学生部みたいなものが、大学によっては実質的に公認サークルのような扱いを受けているケースもあると聞いておりますけれども、そういったことはどこまで可能であるのか、あるいは可能でないのか。

 あるいは、選挙になると、学校の中の体育館で個人演説会等を行うことはできますね。そうすると、そこに、学校の主要な方々が生徒に動員をかける、例えば学校の理事とか、教員ではないので縛りはかかっていませんが、そういう方が動員をかけるということはどこまで許されるのか。

 例示的にちょっと考えられるだけ挙げてみて、全部聞く余裕はないのでありますが、例えば、この中で、生徒会あるいは部活、クラブというものが特定の政治家、政党を支援することはどこまで許されるのか。文科省、お伺いできますでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 教育基本法十四条第二項によりまして、学校は、特定の政党を支持し、または反対する党派的政治教育が禁じられているところでございます。

 これは、国公私立を問わず、生徒会あるいは部活動というのは学校教育活動として行われますので、その目的を逸脱して、特定の政治家、政党を支援するような目的を持った活動を学校が禁止するのは、引き続き必要であるというふうに考えております。

宮崎(岳)委員 学校は禁止する。生徒が勝手にやるのは禁止でしょうが、学校が黙認しているというケースがある。それも基本的には禁止ということでよろしいんですか。学校が黙認をしているというケース。

伯井政府参考人 そうした学校教育活動として行われるものについては、これは学校教育活動ですので、それを学校が事実上黙認しているということも、教育基本法の趣旨に反する行為になるというふうに考えております。

宮崎(岳)委員 では、例えば、学校の理事、理事長あるいは学校職員が、その学校の生徒に対して政治的な働きかけを行うということについては、これは許容されますでしょうか、されないんでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 学校法人の理事あるいはその事務職員につきましては、選挙活動もしくは政治的活動の手段として、例えば、学校内で生徒に対して特定の政治家、政党への支援を呼びかけるようなことにつきましては、教育基本法十四条第二項の規定に鑑みまして、適切とは言えないというふうに考えております。

宮崎(岳)委員 そもそも罰則がありませんから、禁止するかしないかというところまでもいかないんでしょうけれども、適切ではないというお答えでありました。

 例えば、では、もうちょっと広げまして、(オ)のところ、学校、生徒会あるいは部活、クラブが特定の政治家の講演会を開催する。これは大学等ではよくあることですね。それから、(キ)のところ、学校が、特定の、全員に呼びかけるとかそういうのではなくて、あるいは一定の条件に合う人全員に呼びかけるとかというんじゃなくて、特定の議員のみに対して、卒業式その他の行事で挨拶をさせるというようなことについて。

 この二点についてはどうでしょうか。いいんでしょうか、いけないんでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 私立学校についてのお尋ねということで、お答え申し上げたいと思います。

 まず、(オ)の関係でございます。

 これは、学校教育に支障がない範囲であれば、私立学校の施設を利用して公職の候補者などが個人演説会などを開催することは、公職選挙法上、規定もありまして、可能ではありますが、学校や生徒会あるいは部活動が主体となって、選挙活動もしくは特定の党派を支援するなどの政治的活動の手段として、特定の政治家の講演会を生徒に対して校内で開催するということであれば、政治的中立性の確保についての基本法十四条二項の趣旨に反するものというふうに考えております。

 それから、二点目の(キ)についてのお尋ねでございます。

 これは、卒業式その他の行事にどのような方をお招きして御挨拶いただくかにつきましては、各学校法人において適切に判断をするものであります。選挙活動もしくは政治的活動としてではなく、学校の卒業式その他の行事において学校を支える地域の代表を招待するということは、一般的に考えられるところであります。

 学校においてどのような方を招くかという点につきましては、政治的中立性に配慮しながら、一定の合理的な理由から、特定の政治家を招いて卒業式その他の行事で挨拶していただいても、直ちには基本法に反するものとは考えておりません。

 ただし、学校が、選挙活動もしくは政治的活動の手段として、特定の議員のみに対して、卒業式その他の行事で、例えば特定の党派への支援を促すような挨拶をしていただくということであれば、それは教育基本法の趣旨に鑑みて適切ではないというふうに考えております。

宮崎(岳)委員 時間となりました。新しい有権者に恥じない政治活動を皆さんでしたいということをお誓い申し上げて、質問を終了いたします。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 維新の党の牧義夫と申します。

 提出会派の一員でございますから、この法案についてあえてけちをつけるつもりはございませんし、皆様方の御労苦に心から敬意と感謝を申し上げる次第であります。

 ただ、今回のこの法案の提出の意義について、先ほど来お話がございますけれども、その一つとしては、若い人たちの投票率が極めて低いという現実は、これはもう誰も否めない事実であり、特に昨今ひどいものがあろうかと思います。

 これが、今回の法改正で、若い人たちに政治に関心を持ってもらうための一つのきっかけになるのかならないのか、そういう期待も、多少は、私は、ないとは言えませんけれども、余り期待できないな、一方でそういう感を抱いております。

 私自身も自戒の念を込めて申し上げれば、若い人たちに政治に関心を持ってもらうための努力を我々は本当にしてきたんだろうかということを、我々みんな胸に手を当ててもう一回考え直さなければいけないときが来ているんじゃないかなと思っております。

 後ほど、学校教育における公民教育等々のお話にも触れさせていただきたいと思いますけれども、それ以前の問題として、例えば年金の問題、社会保障の問題ですとか、あるいは、後世にこれまでも、これからもまたツケ回しをどんどんしていってしまっていいのかどうなのか。こういった世代間の利害がぶつかるような政治課題、政策課題というのがたくさんあろうかと思います。

 そういうことについて、もっと若い人も巻き込んで議論を高めていかなければ、こういうことをしても、結局は若者が政治に関心を持つことにはならないんじゃないかなと私は思います。

 このことについては、質問通告をいたしておりませんので、とりたてて発言を求めるものではありませんけれども、もし何か思いのある方がいらっしゃれば、一言どうぞ。一番ベテランの船田先生はいかがでしょうか。

船田議員 牧委員にお答えいたします。

 今お話のあったことは、私たちも大変重要なものと考えております。

 投票率が選挙ごとにずっと下がってきているということ。これは、本当に政治家の一人としてもまた各政党においても重く受けとめて、どうしたらいいのかということで、お互いに考える必要があると思っています。

 特に、若い方々、現在は二十からでございますけれども、実は、二十歳の投票率というのは、二十一歳、二十二歳に比べると、過去の選挙において四ポイント程度上回っている、こういう状況があります。つまり、人生で初めて投票するというときは、少しやはり緊張して、投票所に行こうか、そういうインセンティブが若干ではありますが働いている、こういうことがあります。

 問題は、十八と十九はどうなるのかということでございますが、十八、十九、とりわけ十八は、やはり高校三年生の子供たちが多いわけでございます。しかも、親元にいる可能性が非常に強い。そうすると、家庭内において両親と、選挙について、あるいは政治について議論する場、あるいは話をする場というのが設けられる可能性もある。

 さらには、高校においては、高校三年生で有権者になる者と、まだならない者と混在をしております。そうすると、何ちゃんは誰に入れるのということで、非有権者が有権者である高校生に対していろいろ聞いたりとか話題になったりということで、第一回目の投票、生まれて初めて行う投票が、ある意味で関心の高い状況のもとで行われるという可能性も私は否定できないと思っております。

 現に、ドイツなど、これは私どもが調べたわけじゃなくて、若い方々で、若者に選挙権が欲しい、こういう活動をしている方々が結構いらっしゃいまして、そういう方々の中でドイツの調査をしたことがあったようでございます。それは、やはり二十以上よりも十八、十九の方が投票率がある程度高いということが言われておりますので、そこに一つヒントがあるのではないか、こう思っております。

 ただ、問題は、一回目投票したけれども、それがだんだん投票所から足が遠のく、そういう問題もありますので、せっかく一回目投票していただいたのであれば、その方々がずっと投票していただけるような、何か運動とか仕組みとか、そういったことも考えていきたい。

 ですから、十八、十九に年齢を下げることによって投票率を下げないための何かきっかけがつかめるんじゃないかということをもう一回よく考えてみたいな、私たちはこう思っております。

牧委員 ありがとうございます。

 一番最初の、初めての選挙には一遍行ってみたいというインセンティブが働くというお話はよくわかるんですけれども、私が申し上げたのは、もう少し、例えば今の若い人とお話ししていると、自分たちはもう将来年金を受け取れないんじゃないかとか、政治そのものへの不信というか諦めというか、そういうものが根源的にあるんじゃないかということで、あえて申し上げさせていただいたわけです。

 そういったことは、これから公民教育とあわせて、学校教育の現場で、文科省の方はもう帰られてしまいましたけれども、しっかり取り組んでいただきたいということをあわせて申し上げておきたいと思います。

 そしてもう一つ、これも私、決してけちをつけるものではありませんけれども、子供から大人への発達というのは、いろいろな身体的な発達もあれば精神的な発達もあります。その発達の状況に応じて、十八歳が好ましい、そういう結論に至ったんであろうとも思いますけれども、個人的に、私、例えばもう他界した自分の父親の若いときの写真を見て、ずっと自分と見比べていくと、昔の人の方がよっぽど何かしっかりしていたなという感がございます。

 今、私から三十歳の人を見ても、何だこの小僧みたいに見えるんですけれども、あの当時の三十歳の人というのはもう本当に立派な大人の顔をしていたなというふうに思うんですね。生きていくこと自体、あるいは家族を養っていくこと自体が大変厳しい時代を生きた人たちというのは、やはりそれなりにしっかりしていたんだろうなと思いますし、今の若者よりもずっと精神年齢が高かったんじゃないかと思います。

 そういった意味で、これは別に引き下げるのをだめだと言っているわけじゃないんですけれども、やはり、これからお話しする公職選挙法等々の話も含めて、本当に細心の注意を払ってこの法律の運用に当たっていただかなければ、いろいろな予期せぬことが起きるんじゃないかなという懸念がございますので、その辺のところをしっかりと踏まえていただければと思います。

 今申し上げたように、精神年齢等々の問題もありますけれども、少年法の適用年齢についてもお聞かせをいただきたいと思います。

 先ほど、船田先生のお話で、これは人生の、これから先の長い人たちに、よもやちょっとした不注意で将来に禍根を残すようなことがあってはいけないというお話がありました。

 そのとおりだと思うんですけれども、一方では、選挙違反、とりわけ連座制にかかわるような選挙違反というのがあるわけで、これは少年だから許されるということでは選挙そのものの公平性が担保できないと思うんですけれども、この辺の関係についてお聞かせをいただきたいと思います。

井上(英)議員 牧委員にお答えをいたします。

 昨年六月の憲法改正国民投票法の成立により、投票権年齢が十八歳に引き下げられることになりましたところ、同時に選挙権年齢と民法の成年年齢も引き下げるのが望ましいというような意見もあったものの、まずは、少なくとも、投票権年齢と同じ参政権グループであります選挙権年齢を先行して早急に十八歳に引き下げてそろえることが立法政策上望ましいという問題意識に基づきまして、今回は民法や少年法は改正の対象としなかったというところでございます。

 一方で、本法案では、国は、国民投票の投票権を有する者の年齢及び選挙権を有する者の年齢が十八歳以上とされたことを踏まえて、選挙の公正その他の観点における十八歳以上二十歳未満の者と二十歳以上の者との均衡等を勘案しつつ、民法、そして少年法、またその他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする旨の規定を附則十一条で設けております。

 可塑性のある少年は、刑事手続に乗せるだけではなくて、指導や教育により更生させるべきとする少年法の趣旨を踏まえつつも、本法案の成立により選挙権年齢が十八歳となること、また、民法の成年年齢引き下げの検討も着実に進められているということですので、さらなる契機といたしまして、少年法の適用対象年齢の引き下げについても鋭意検討してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

牧委員 少年法、あるいは今お話にも出ました民法、この絡みというのは基本中の基本だと思うんですね。

 そもそも、日本国憲法の第十五条三項に規定されていることが普通選挙の保障であるわけですね。「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」これが日本国憲法の十五条三項にあります。

 これに基づいて公職選挙法があるわけですけれども、同時に、ここで言う成年者というのは一体何なのかというと、民法に二十という規定があるわけで、それに基づいて少年法の規定があるわけですから、公職選挙法で言う選挙権二十歳というのは、日本国憲法があって民法があって少年法があって、その上にある、私はそういう解釈をするんです。

 だとすると、これは附則で「当分の間、」というふうなことになっておりますけれども、まず、この「当分の間、」というのは、いつごろまでにこれを整備するんでしょうか。それと同時に、もう一つは、民法、少年法も改正するという前提で理解してよろしいんでしょうか。

井上(英)議員 お答えをいたします。

 選挙権年齢と成年年齢とは、社会生活における大人としての年齢という意味で共通の基盤を持つものであります。憲法改正国民投票法の審議におきましても、これらの年齢はそろえることが立法政策上やはり望ましいというふうに述べられております。

 ただ、今回は、少なくとも、先ほど申し上げた投票権年齢と同じ参政権グループである選挙権年齢というのをまずは先行して早急に十八歳に引き下げてそろえることとする。民法は改正の対象と今回はしなかったところでございます。

 一方、平成二十一年十月の法制審議会の「民法の成年年齢の引下げについての意見」という答申におきましては、実際に成年年齢の引き下げを行うためには、若年層の自立を促す施策や消費者被害の拡大を防止する施策の実現という環境整備が必要であるというふうに述べられておるところでございます。

 ただ、その後、政府においてもこれらの施策が進められてきているというふうに承知をしているところであります。

 民法の成年年齢に関しましても、こうした環境整備が整いつつあることを踏まえると、あとは、いつ下げるのかというだけの問題だというふうになっていると我々も認識しております。

 本法案附則十一条は、成年年齢及び少年法の適用対象年齢の引き下げについて、その期限こそ明示しておりませんが、本法案の成立により選挙権年齢が十八歳となることをさらなる契機として、なるべく早く成年年齢を十八歳に引き下げるよう可及的速やかに検討してまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

牧委員 なるべく早くということですので、きちっとやっていただけますようにお願いをしたいと思います。

 これはちょっと私、通告したかどうか記憶が定かじゃないんですけれども、今の話に絡むんですが、多分皆様方でこれまで議論されてきたことだと思いますので恐らくお答えいただけると思うんですけれども。

 今、少年法、民法について申し上げましたが、その他、例えば選挙管理委員ですとか裁判員、民生委員など、二十歳と実年齢で規定しているものがございますけれども、こういったものについては今後どういうふうに理解したらよろしいんでしょうか。

船田議員 お答えいたします。

 選挙権年齢の引き下げに伴って、先ほど言いましたように、地方自治法の改正で地方議員にもこれは及ぶわけでありますし、それから、公選法の適用のあるいわゆる農業委員会委員、それから海区漁業調整委員、こういったものは下げるということになります。

 一方で、やはり公職選挙法で年齢が決まって、それと連動して決まっているものとして幾つかありますけれども、例えば検察審査会の審査員、それから裁判員制度の裁判員、これも、実は何もしないと十八に下がってしまいます。

 しかし、十八、十九というのは今までも申し上げましたように少年法の適用を受けている者たちでございまして、もちろん、一部適用除外のような形になっておりますけれども、もともとは少年として扱っているということからしまして、人を裁く、そういうような立場になることが果たして妥当かどうかということで議論いたしまして、これは除外をするということにいたした次第でございます。

 それから、民生委員などの民法にかかわっていろいろな仕事をする役職の者がおります。こういったものについても、これは民法における大人の年齢が二十のままということでありますと、やはり、十八、十九の者に民生委員とかそういうものを担当してもらうには、保護を受けている者が人を保護していくというような、そういう関係になってしまいますので、これも除外をする、二十のままで置く、こういうことで整理をさせていただいたわけであります。

牧委員 ありがとうございました。

 次に、政治教育についてお話をお聞かせいただきたいと思いますが、最近、文科省が国立大学にぜひとも国旗掲揚、国歌斉唱を進めてくれというような要請をしたということがございまして、文科委員会なんかでもそれを問題視する人もおりました。

 ただ、これは別に日本の国として当然のことでありますし、国立大学の学生さんがそういうことで政治的にいろいろなことを植えつけられたりとか、もうそんな次元ではございませんので、そのことと、この十八歳に選挙権、選挙年齢を引き下げることとは、直接結びつけることは私は適切ではないと思います。

 ただ、自分の高校時代を振り返ると、いろいろな先生がおりました。実際に戦争に行かれた体験を持っている先生で、全然社会の分野でも何でもない理系の先生だったんですけれども、戦争時代の苦労した、南方の方へ行って、苦労して、たくさんの戦友を失って帰ってきた、そういう話に大体授業の半分ぐらいを割いている先生がいて、これを淡々としゃべられますので、逆に、そのお話の内容が、戦争の悲惨さですとか大変さというものを我々は本当に客観的に知ることができたいい経験にもなったんです。

 一方で、ある生物の先生は授業のほとんどを安保闘争ですとかあるいは家永教科書裁判の話ばかりして、私は高校のときの生物をほとんど覚えていないんですけれども、だからといってそういうことに感化されたわけでも何でもなくて、一方で淡々とお話をされた方のお話の方がずっと心に残っているわけです。

 だから、私は、教育現場で特定の人たちが生徒に特定の思想、政治的な考え方を押しつけるんじゃないかといったような心配は逆に余りする必要はないんじゃないかな、子供は子供でしっかりと物事を判断する能力があるからそんなに懸念する必要はないんじゃないかと思うんですけれども、まずは、政治教育あるいは公民教育についてのお考えがあれば、お聞かせをいただきたいと思います。

井上(英)議員 お答えをいたします。

 本法案の成立により来夏の参議院通常選挙から選挙権年齢が満十八歳以上となった場合、新たに選挙権を有することとなる現在の高校生が、やはり戸惑うことなく、かつ、自由な意思により選挙権を行使できるようにする必要があるというふうに我々は考えております。

 そのためには、現在の高校生に対する主権者教育、つまり、民主主義社会における政治参加意識を高めるため、国や社会の問題を自分たちの問題として考え、捉え、行動していく主権者としての素養を身につけさせる指導を充実させることが喫緊の課題であるというふうに認識をしております。

 そのためには、学習指導要領に記述があるというレベルにとどまらず、実を伴った内容の主権者教育がなされるかどうかということが非常に大事な点であるというふうに認識しております。

 したがって、今後行われる学習指導要領の改訂に際し、主権者教育をしっかりと位置づけていくことのほか、次のような実を伴った内容の主権者教育というのを進めていく必要があるというふうに考えます。

 先ほど来提出者から答弁もありますけれども、模擬選挙等の実践的な学習活動で副教材を全ての高校生に配付するだとか、また、公民や総合的な学習の時間において、模擬選挙などの実践的、また体験的な方法で指導を徹底するということもあります。

 しかしながら、主権者教育の充実も、その前提として、教育の政治的中立性が確保されるということが前提となることは、やはり言うをまたないというふうに思っています。

 政治教育における中立性に関しましては、教育基本法十四条に定められておりますけれども、同条を初めとする教育の政治的中立の要請に反して教員が政治的な行為を行った場合には、一、それが公立学校の職員であれば、公務員法制の中で当然に懲戒処分の対象となるであろうし、二、また私立学校の職員であった場合には、当該学校を設置している学校法人がその就業規則にどのような規定を置いているか等に照らし、例えば、就業規則違反によってペナルティーを科されるなど、当該学校によって適切に対処されるものと考えております。

 いずれにいたしましても、ただ盲目的に主権者教育の充実を主張するのではなくて、公立、私立を問わず、教育の政治的中立性をしっかり確保した上で、適正な形で主権者教育の充実を図っていくことが重要であるというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

牧委員 ありがとうございます。

 基本的な国民の権利義務ですとか、こういった公民教育については、別に、選挙権があるなしにかかわらず、学校教育の現場でもともとしっかりやっていかなきゃいけない話だったと思います。ですから、今のお話で十分だと思うんです。

 一方で、先ほど来お話ありますように、選挙というのは非常に煩雑な、何か人をおとしめるための法律なんじゃないかと思うぐらい、公職選挙法というのは、普通の感覚からすると非常にわかりにくい法律の体系になっております。捕まえるための法律なんじゃないかなと言っても過言ではないような法律で、これは大人でもわかりづらい部分というのはたくさんあるんですね。

 うちの後援会の人でも、何度も選挙をやった人はようやく何となくわかってくるけれども、これはやっちゃいけない、これはやっても大丈夫だ、しかも、これは選挙期間じゃないときはここまでは許される、選挙期間に入ったら逆に、これはやってもいいけれども、これはやっちゃいけないとか、こういう非常に難しい部分があることは、皆さん選挙をやってこられていますからよくおわかりだと思うんです。

 こういうことをどこで子供たちに教えるのか、ちょっと具体的なイメージが私はできないものですから、船田先生でも、もしそんなお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

船田議員 お答えいたします。

 公職選挙法は本当に複雑でございまして、私どももマトリックスというんでしょうか、公示前でやっていいこと、公示になったらばやっていいこと、悪いこと、いろいろありまして、我々も実際選挙をやる身でございますけれども、やはりにらめっこをしながら、あるいは専門家を脇につけておいて、これは大丈夫か、これはだめかということで、一々判断を仰ぐというような、そういうこともあるくらいでございます。ですから、これを高校生に生で教えていくというのは、多分至難のわざでございます。

 ただ、できるだけ、基本的なことについて、やれること、やれないこと、そういうことについては学校教育の中で、先ほど来出ております主権者教育の中で、コンパクトな形で基本的なところを教える場というのは当然必要だと思っています。

 これにつきましては、まだ明確に私どもから申し上げているわけじゃないんですけれども、文部科学省におきましては、この夏以降もそうですが、夏を目指しまして、現在、副教材を作成してもらっている、そういう状況にございます。

 まだその詳細については我々も聞いておりませんし、またどういうものになるかがつまびらかではありませんけれども、できればそういう中に、いわゆる公職選挙法の概要みたいなもの、そして高校生にも理解できるような、そういう中身でぜひ記述をし、そしてそれを学校の現場でも教えられるような、そういう状況をつくってもらうとありがたい、このように思っております。

牧委員 ありがとうございます。

 少年ですから、将来ある身でございますから、そこはきちっとやっていただけますように確認をしたいと思います。

 あと、ちょっと時間も余りありませんけれども、実際、さっきもお話が出ましたが、今回の法改正で十八歳、十九歳が新たに選挙権を得るということになると、具体的には、およそ二百四十万人が新たに有権者になるということであります。

 これが全体から見たらどんな程度かなと私は思っておりましたら、この日本の国というのはここまで高齢化が進んだのかなと改めて思ったんですけれども、もう有権者が一億人を超えているんですね。そうすると、二百四十万人というと二・何%という世界で、全体から見ると何だと思うぐらい微々たる数字であります。

 さはさりながら、二・四%といっても大きなわけで、この間の大阪の住民投票でも、二・四%あればひっくり返っていたわけですから、そういった意味では大きな数字なのかもしれませんけれども、中長期的に見て、今回のこの法改正が今後の投票率に、最初の話とはまた別次元ですけれども、どう影響を及ぼすというふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

井上(英)議員 お答えいたします。

 先ほど牧委員からもお話がありましたように、大阪の住民投票は六六%ということで、私は、大阪一区という非常に都会の、都市部の選挙区なんですけれども、昨年末の衆議院選挙のときの投票率が約四五%ですね。六つの行政区が私の選挙区であるんですけれども、その六つのうちの一つが常に全国レベルでワーストテンに入るほど投票率が低いところで、先般の総選挙のときでも、実は、その行政区は三五%という投票率でありました。

 そういった非常に低いんですけれども、今回の住民投票に限りますと、総選挙で三五%だった区の投票率が五二%まで上がっていたということで、やはり関心、そして興味を持っていただくような機会がふえれば、必ず投票率は上がるんじゃないかというふうに思っております。

 先ほど船田提出者からもお話がありましたけれども、やはりしっかりと投票率が上がるように、そして最初の二十のときの初めての選挙で投票率が上がっているように、十八歳になって、最初に投票権を持って投票に行ってもらったら、その後、継続して政治に興味を、関心を持ってもらえるような発信を我々も含めてしっかりとさせていただいて、投票率が何とか上がっていくように、そしてまた、高齢者の人口比率の問題もありますので、若年層の声を少しでも多く聞けるような機会ということに捉まえてしていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。

牧委員 ありがとうございます。

 最後に、もう一問だけお聞かせいただきたいんですけれども、今のお話で、投票率が低いのは、やはり政治との距離感というのも多分にあると思います。物理的な距離感と同時に、やはり選挙で選ばれる人と選ぶ人との年齢の差、そういった距離感も一方ではあると思うんですね。

 今回、十八歳に引き下げたのはいいんですけれども、例えば参議院ですと被選挙権が三十歳ということで、この年齢差というのは非常に大きなものがあると思うんですけれども、この辺についての問題意識というか、将来的には被選挙権も下げていくという問題意識を共有しているという認識でよろしいんでしょうか。

井上(英)議員 お答えをいたします。

 今回の改正案におきましても、先ほどからるる質疑もありますように、やはり被選挙権とのバランスという議論がございます。憲法改正の国民投票法制定時における投票権者の年齢を何歳にすべきかという点を中心に、投票する側の議論をずっと深めてまいりましたので、今回は、選ばれる側、すなわち一定の公職に就任するために必要な知識や経験を踏まえた年齢は幾つなのかということに関しては、まだまだ議論が成立をしておりません。

 今後は、被選挙権年齢の引き下げについて近い将来議論が行われることを我々も望んでおりますので、ぜひとも御協力をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

牧委員 ありがとうございました。

 被選挙権の年齢の問題ですとか、あるいは先ほどの少年法、民法の問題、課題はまだ残っておりますが、とにもかくにも、この法案をぜひとも成立させていただいて、来年の参議院選を迎えたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 公職選挙法の改正案について質問をいたします。

 今回の法案は、選挙権年齢等の十八歳への引き下げを行うものであります。

 そもそも、選挙は民主主義の根幹であり、国民、有権者の参政権にかかわる問題であります。憲法十五条は、国民の固有の権利として選挙権を保障しております。これは、国民が主権者として政治に参加する機会を保障するものであり、国民主権、議会制民主主義の根幹をなすものであります。

 歴史的に見れば、議会がない時代から国民の要求、運動が広がり、議会が開設をされ、その議会に民意を真に反映させるため、普通選挙権、婦人参政権などを実現してまいりました。

 日本共産党は、一九二二年の党創立の直後から、十八歳以上の全ての男女に対する普通選挙権を掲げてまいりました。党綱領でも十八歳選挙権を実現すると定めて、その実現に力を尽くしてきました。

 今回、選挙権年齢が二十歳以上から十八歳以上に変わることで、二百四十万人の有権者がふえることになり、それは、さらに幅広い民意が議会に反映されることにつながり、議会制民主主義の発展につながるものと考えております。

 十八歳以上の国民は、既にさまざまな分野で社会的権利を持ち、労働や納税などの義務を負っており、それにふさわしく政治に参加する権利としての選挙権を保障することは当然だと考えます。

 国会図書館の調査によれば、国際的に見ても、百九十七の国・地域の議会の選挙権年齢は、約九割の国・地域において選挙権を十八歳までに認めております。選挙権年齢を二十歳からとしている国・地域というのは、日本を含め十四しかありません。十八歳選挙権は世界の大勢であります。

 そこで、最初に、自民党の提出者にお尋ねをいたします。

 十八歳選挙権に関する政策について、自民党においては選挙権年齢の引き下げを政策で掲げたことがあるのか、あるということであれば、その時期や理由について御説明をいただけますか。

船田議員 塩川委員にお答えいたします。

 お答えの前に、ちょっと私の方から共産党の皆様に申し上げたいのでありますが、今回の公職選挙法の改正案で選挙権年齢を十八に下げるということについて、もともとは、国民投票法の改正あるいは国民投票法の制定、そういうものから実はスタートしたことでございまして、この点について、これは当然憲法改正の手続でございます。そういうことで、共産党さんあるいは社民党さんがこれに対しては反対であるということで来られました。

 ですから、その流れからして、今回の公職選挙法改正におきましても、申しわけありませんでしたが、共産党の方々あるいは社民党の方々を中に入れない形で、つまり、七党二会派の合意に入らないという形で事を進めてしまったということがありました。

 この点につきましては、そういう経緯があったので、我々とすれば、それはやむを得ないのかなという気持ちもありますけれども、また一方で、先ほど塩川先生がおっしゃったように、共産党は結党当初から、選挙権年齢十八歳からということをおっしゃっていたわけでありますので、この点については当然敬意を払うと同時に、これまで我々が十分に共産党の皆様あるいは社民党の皆様の御意見をこの点においてしっかりいただくということがあるいは不十分であったということで、この場をかりまして、おわびといいましょうか、お話をしたいと思った次第でございます。これがまず第一でございます。

 そして、具体的に、私ども自由民主党としましては、この選挙権年齢の引き下げ、十八歳への引き下げということについては、これまでの各種選挙において、これを公約あるいはマニフェスト、そういうもので言及したことは残念ながらございませんでした。

 しかしながら、その後、これまで御説明申し上げましたように、国民投票法の改正案あるいは今回の選挙権年齢の引き下げ、こういうことを各党とともに合意してきた、そういう中において、我が党の中で、政策審議会、政務調査会それから総務会、こういうところで機関決定をずっとしてまいりました。

 正直言いまして、その機関決定が、我々、選挙権年齢の引き下げを初めて自民党として、機関として認めた、こういうことでございますので、この点を御理解いただきたいと思っております。

 以上でございます。

塩川委員 その経緯をこの後の質疑の中でもただしていきたいということで今質問しているわけでありますが、自民党の公約、マニフェストにおいて、選挙権年齢の引き下げについて言及したことはないというお答えでございました。

 それとの関係で、今も一部御説明されているところでありますけれども、自民党としてみずから政策で掲げてこなかった選挙権年齢の引き下げの法案を今回提出した理由について、改めて確認的にお尋ねをいたします。

船田議員 お答えいたします。

 今日まで、特に我々は、国民投票法につきましては、平成十九年に、当初自公民、三党の合意に基づいてこれを国会に出そうということで議論してまいりましたが、残念ながら、民主党さんが途中で離脱をされまして、そのために、自民、公明のみで最初の国民投票法を成立させた。しかし、その中で、ストッパーはついておりました、条件はついておりましたけれども、本則として、国民投票年齢は十八歳以上にする、そういう決定もさせていただきました。

 ただ、これは、なかなか自民党の中で大きな声というものにはならなかった。しかし、一応、政審、総務会を通しまして、機関決定をさせていただいたわけであります。

 公職選挙法についての具体的な動きということについては、これは正直、改正国民投票法、つまり昨年の春の通常国会においての各党との話し合い、そういう中でこのことが具体的に動き出したということでございました。

 それにつきましては、我が党の中におきましても、私が会長をやっております憲法改正推進本部というところで相当議論をさせていただきました。

 また、これは公職選挙に関することでございますので、自由民主党の中の選挙制度調査会、そことの合同ということで議論をさせていただき、そして、各党の皆さん、ほとんどの政党の方々がこの公職選挙においての選挙権年齢は十八が望ましい、こういうことで合意を得られるような状況になりましたので、我々としてもそれを自民党の中で了解をとって、機関決定して、そしてこの七党二会派の合意にこぎつけた、こういう状況にありました。

塩川委員 今お答えがありましたように、今回の選挙権年齢引き下げの法案というのは、本法案の提案理由説明で既に船田提出者がお述べになっているように、昨年六月に超党派の議員立法として成立した日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律の附則に定められた選挙権年齢等の引き下げの措置を講ずるとあるとおり、改憲手続法の附則第三項を理由に提出された法案であります。まさに、改憲手続の具体化の一環として提出をされたという経緯がある。

 六党提出の十八歳選挙権法案というのは、先ほど船田提出者もお述べになっていましたように、第一次安倍内閣、二〇〇七年のときの改憲手続法を強行成立させる、それに当たって改憲の国民投票法の投票年齢を十八歳とし、同法施行後、選挙権年齢を十八歳に引き下げるとしたことに端を発したものであります。

 重ねて船田提出者にお尋ねをいたします。

 率直に言って、今国会での法案についての、この問題についての議論が倫選特の理事懇、理事会でも行われましたけれども、本法案の提出理由に、改憲手続法の附則第三項によることを明記しているということでいえば、国民投票の前の国政選挙において十八歳選挙権を実施しておきたいという改憲派の意図のもとで今国会の成立を急いでいる、そういう中での審議となっているのが実態ではありませんか。このことについての受けとめをお聞きしたい。

船田議員 お答えいたします。

 公職選挙法の改正による選挙権年齢十八歳以上、これを提案させていただいておりますが、確かに、これのきっかけとしては、国民投票法の成立あるいは改正ということがあったことは事実であります。

 しかしながら、私たちの七党二会派の合意というものは、決して国民投票の制度を動かす、あるいは、もちろん当然ながら、それは憲法改正の原案を発議する、そういうことを急ぐということとは全く別の問題、やはり民主主義の一層の発展のため、そして特に若い人々の声を政治にしっかり反映させなければいけないな、そういうことが内部において相当議論をされました。

 我々としては、確かにきっかけはそうであったかもしれないけれども、実際にこの法案を提出する、その主な理由というのは、これは憲法改正云々ということではなくて、やはり民主主義の一層の発展のため、若い人々がもっと政治に関心を持ち、そして若者のための政治ができるように、こういったことが大きな理由としてあるということを指摘したいと思います。

塩川委員 船田提出者と安倍総理の話の中身などが報道されておりますけれども、この間の経緯というのは、やはり本案の成立を急ぐのは、改憲を進めたい安倍政権の思惑に沿ったものと言わざるを得ません。十八歳選挙権の実現は当然のことでありますが、その動機が余りにも悪過ぎると言わざるを得ません。

 次に、自民、民主、公明の提出者にお尋ねをいたします。

 国民の政治参加の一つとして、政党への加入が挙げられます。我が党を含め、主要政党は皆十八歳以上を入党年齢の要件としております。

 この間の改憲手続法の議論も重ねてこられた三党にお尋ねしますけれども、十八歳以上としている入党の理由は何なのか、簡潔にお答えいただけますか。

船田議員 お答えいたします。

 我々自由民主党は、入党の年齢を満十八歳以上といたしております。

 その理由としましては、我が党の総裁選挙の選挙権を有する者、いわゆる選挙人資格が条件がございまして、二年間党費を継続して納めた者で日本国籍を有する二十以上の者とすると規定をしております。これは総裁公選規程の六条にあります。このことから、満十八歳以上の者で党費を二年継続して納めていただければ、二十から総裁選挙の選挙人資格が得られる、こういうことで、さかのぼって十八歳から入党ができる、このように決めた次第でございます。

 なお、この条件としては、これまでの選挙権年齢が二十以上であるということを前提とした制度であるということを申し上げたいと思います。

武正議員 塩川委員にお答えをいたします。

 民主党も、一九九八年の結党以来、十八歳の年齢をもって党員としての資格を有するとしております。

 先ほどのお話の中でも、二〇〇〇年五月に、「十八歳以上に大人としての権利と責任を」と題して、成年年齢、そして十八歳選挙権、少年法の適用年齢を十八歳未満に引き下げると政策文書もまとめておりまして、過去三度、法案も提出してきた。

 そういう中で、十八歳という年齢が自己の意思を確立している年齢であること、十分な政治的判断能力が備わる年齢であることといった考えから、十八歳以上としております。

北側議員 公明党におきましても、結党以来、党の綱領、規約の中で、党活動に参加する者は十八歳以上というふうに決めさせていただいております。

 また、選挙権年齢の引き下げについては、貴党と同様でございまして、もう早い段階から十八歳選挙権の実現を目指しております。国会の方でも、一九七〇年ころから取り上げさせていただいておりますし、以降、十八歳選挙権の実現を推進してきたという立場でございます。

 そういう立場からも、党員となる資格については十八歳以上というふうに早い段階からさせていただいております。

塩川委員 その理由について、直接のお答えのない方もありましたけれども、民主党の武正提出者のように、自己の意思を確立し、判断能力が備わっている、まさに、十八歳以上の国民に政治を担う意欲と力量がある、政治に参加する権利があることを認めているものであります。

 そうであるならば、若い世代の政治参加という点から見ても、選挙権年齢を引き下げるだけではなく、被選挙権も引き下げることが必要ではないか。参政権は、特定の候補者を応援し投票する選挙権だけでなく、みずからが候補者となり政治に参加する権利も当然含まれております。

 歴史的な文書でありますけれども、我が党が戦後、一九四六年に発表した憲法草案には、「第三章 国会」の中で、「代議員として選挙され、かつ代議員を選挙する資格は、政治上の権利を有する十八歳以上のすべての男女に与へられる。」としており、国政における選挙権、被選挙権とも十八歳以上としているところであります。

 近年の傾向としても、被選挙権年齢も十八歳に引き下げている国もあり、下院の選挙権、被選挙権年齢を十八歳としている国は、イギリス、ドイツ、フランス、カナダ、ロシア、オランダ等々となっております。

 そこで、自民、民主、公明の提出者にお尋ねしますが、各党の入党資格が十八歳以上であるように、十八歳以上の国民に政治を担う意欲と力量があり、政治に参加する権利があることを認めている以上、選挙権年齢だけではなく、被選挙権年齢も引き下げていく、こういうことが当然求められるんじゃないのか。今の二十五歳ですとか三十歳の区切りを引き下げていく、こういうことについて今検討すべきときにあるのではないか、この点についてお答えをお願いいたします。

船田議員 今までは選挙権の年齢のことでございましたが、被選挙権ということになりますと、なかなかにわかに、二十あるいは十八というのはどうだろうかという意見は、我が党内にはあると思っております。

 個人的な見解でございますが、やはり、選ぶ方としての能力、そういったものは、これまでも議論してまいりましたように、これまでの二十から十八に引き下げても、それは、具体的に政治を考え、そしてどの候補者に入れるかということをみずから考えて投票する能力を持ってきているということで十八にこれからしていこうという状況でございますが、被選挙権、すなわち選ばれる側、そういう立場の人々は、社会的な経験であるとか、あるいはまた、さまざまな、思慮深さであるとか、そういったものがやはり備わる必要があるのではないだろうか。そういう場合には、やはり選挙権の二十あるいは十八というものよりはもう少し高い年齢から被選挙権が始まるのが私は妥当ではないかと。

 ただ、現状のように、衆議院議員が被選挙権二十五、参議院、知事が三十というこの年齢の違いとか、あるいは三十という年齢の高さ、そういったものについては少し是正する必要があるのではないかというふうに思っております。

武正議員 塩川委員にお答えいたします。

 先ほど来、提出者の中で、被選挙権年齢については議論していないというふうにお答えをいたしましたが、これでこの法律が成立をし、施行され、実施されるときに、十八歳、十九歳の投票が非常に高いものであるというようなことが、先ほど申し上げましたような有資格であるということから、被選挙権年齢の議論、これをやはり同時に行っていく機運が盛り上がるのではないかというふうに期待をいたします。

 民主党では、党の政策として被選挙権年齢の引き下げを掲げたことはありませんが、ちょうどこの間、四月二十六日に、千葉市でのイベントで、岡田克也代表から、投票はできるけれども政治家には十分でないという考え方が果たしていいのか、検討に値するテーマだというようなことで触れたことがありますので、この点も触れておきたいと思います。

北側議員 この法案が成立をいたしまして十八歳選挙権が実現をいたしましたならば、今委員のおっしゃったように、被選挙権の年齢、現行の三十歳もしくは二十五歳という年齢の引き下げについて、ぜひ政党間での協議を進めさせていただきたいと思っております。

塩川委員 国政選挙において、選挙権年齢の十八歳引き下げとともに、被選挙権年齢の十八歳引き下げも同時に進めることが若者の政治参加を保障する上でも重要ではないかということを指摘し、きょうの質問を終わります。

山本委員長 次回は、明二十九日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時六分散会


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