衆議院

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第7号 平成27年7月28日(火曜日)

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平成二十七年七月二十八日(火曜日)

    午前九時四十分開議

 出席委員

   委員長 山本  拓君

   理事 大串 正樹君 理事 坂本 哲志君

   理事 白須賀貴樹君 理事 田中 良生君

   理事 盛山 正仁君 理事 黒岩 宇洋君

   理事 浦野 靖人君 理事 佐藤 茂樹君

      井野 俊郎君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君    小田原 潔君

      門山 宏哲君    神田 憲次君

      助田 重義君    中川 俊直君

      長尾  敬君    長坂 康正君

      藤井比早之君    古川  康君

      星野 剛士君    三ッ林裕巳君

      宮内 秀樹君    宮崎 政久君

      武藤 貴也君    山下 貴司君

      若狭  勝君    岸本 周平君

      後藤 祐一君    玉木雄一郎君

      福島 伸享君    宮崎 岳志君

      井出 庸生君    木下 智彦君

      牧  義夫君    國重  徹君

      角田 秀穂君    穀田 恵二君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   参議院議員        岡田 直樹君

   参議院議員        鶴保 庸介君

   参議院議員        清水 貴之君

   参議院議員        山田 太郎君

   参議院議員        中野 正志君

   参議院議員        荒井 広幸君

   衆議院調査局第二特別調査室長           細谷 芳郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十八日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     星野 剛士君

同日

 辞任         補欠選任

  星野 剛士君     坂井  学君

    ―――――――――――――

七月二十七日

 公職選挙法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一一号)

同月九日

 政党助成金の廃止に関する請願(大平喜信君紹介)(第三四七四号)

同月二十四日

 政党助成金の廃止に関する請願(斉藤和子君紹介)(第三五三〇号)

 同(藤野保史君紹介)(第三五六四号)

 同(宮本徹君紹介)(第三五六五号)

 同(真島省三君紹介)(第三五八〇号)

 同(池内さおり君紹介)(第三六四三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公職選挙法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一一号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 参議院提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 発議者より趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員鶴保庸介君。

    ―――――――――――――

 公職選挙法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鶴保参議院議員 発議者を代表いたしまして、自民党の鶴保庸介でありますが、提案理由を説明させていただきたいと思います。

 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党、維新の党、日本を元気にする会・無所属会、次世代の党及び新党改革・無所属の会を代表し、提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。

 参議院選挙区選出議員の選挙制度については、選挙区間における議員一人当たりの人口の格差が、平成二十二年の国勢調査の確定値によれば、最大で一対四・七五となっており、平成二十六年十一月二十六日の最高裁判所判決においては、平成二十五年の通常選挙における投票価値の不均衡は違憲状態であるとされ、都道府県単位の選挙制度を改めるなど現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置によって違憲状態を速やかに解消することが求められていたところであります。

 そこで、参議院では、議長のもとに開催された選挙制度の改革に関する検討会及びその下に設けられた選挙制度協議会において鋭意協議が行われてきましたが、各会派の意見の一致が得られず、来年の通常選挙に間に合わせるためには今国会中に公職選挙法の改正が必要となることから、各会派において法案化作業を行うこととされたものであります。

 これを受け、各会派内及び各会派間において調整を行ってきた結果、私どもといたしましては、現行の都道府県単位の選挙区をできる限り尊重しつつ、憲法が求める投票価値の平等の要請に応えるため、四県二合区を含む十増十減による格差の是正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。

 本法律案は、都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式を一部の選挙区において改めるものであり、まさに平成二十六年の最高裁判所の判決が求めている現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置に該当するものであります。

 本法律案により、議員一人当たりの人口の格差は、平成二十二年の国勢調査の確定値によれば、最大で一対二・九七となり、大幅に縮小されることになります。

 憲法制定直後に制定された参議院議員選挙法に基づく最初の選挙における議員一人当たりの人口の格差が最大で一対二・六二であったことからすると、憲法は、格差が二倍台であることは、その制定当時から許容していたものと考えられます。

 また、累次の最高裁判所の判決も指摘するように、参議院議員の任期を六年の長期とし、解散もなく、三年ごとにその半数を改選するという憲法の規定は、多角的かつ長期的な視点からの民意を反映させ、衆議院との権限の抑制、均衡を図り、国政の運営の安定性、継続性を確保するという趣旨に立つものであり、これを踏まえれば、参議院議員の選挙に求められる投票価値の平等は、政権を形成する機能を有するがゆえに民意と議席の数ができるだけ一致するような投票価値の平等が求められ格差二倍未満が法定されている衆議院議員の選挙とは、おのずと異なるところがあると考えられます。

 したがって、本法律案により格差がこの程度に縮小することにより、違憲状態は解消されるものと考えます。

 次に、本法律案の内容の概要を御説明申し上げます。

 第一に、参議院選挙区選出議員の選挙区及び定数について、長野県、宮城県及び新潟県の定数を二人ずつ削減するとともに、鳥取県及び島根県、徳島県及び高知県をそれぞれ合区し、定数二人の選挙区とし、兵庫県、北海道、東京都、福岡県及び愛知県の定数を二人ずつ増加することとしております。

 第二に、合区された選挙区における参議院選挙区選出議員の選挙の候補者の選挙運動等について、選挙事務所の数、選挙運動用自動車の台数、新聞広告の回数等を他の選挙区の二倍とする等の特例を設けることとしております。

 第三に、合区された選挙区における参議院選挙区選出議員の選挙に関する事務を管理するため、選挙区内の二の都道府県が、共同して参議院合同選挙区選挙管理委員会を置くこととしております。

 第四に、平成三十一年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて、参議院のあり方を踏まえて、選挙区間における議員一人当たりの人口の格差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して三月を経過した日から施行し、来年の通常選挙から適用することとしております。

 以上が、本法律案の提案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同いただきますようよろしくお願いをいたします。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎政久君。

宮崎(政)委員 自由民主党の宮崎政久でございます。

 きょうは、会派を代表いたしまして、公職選挙法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。こういう機会をいただきましたことを理事各位の皆様に御礼申し上げます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず冒頭でありますが、各会派の皆様におかれまして、来年の参議院の通常選挙までに参議院の一票の格差の是正、違憲状態を速やかに解消するという趣旨での大きな御努力と、真摯なこれまでの議論に心から敬意を表したいと思います。参議院として、立法府として一つの責任が示されましたので、これを前提として、私も同じ国会議員の一人として質疑に立たせていただきたい、そう思っております。

 まず、格差の是正と合区の問題について、あわせて質問させていただきます。

 先ほども発議者の方から説明がありましたように、今回の改正によって、一票の格差は最大四・七五倍から二・九七倍に縮小をされることになります。三倍未満におさめるということになったわけであります。

 さまざま意見があるところでありますが、法のもとの平等、どのような形で法のもとの平等を実現していくか、そこには当然立法裁量があるわけであります。何が平等であるかということに関しては、その平等についてのそれぞれの判断を踏まえて、合理的な範囲内で立法裁量を果たして、国民の最大の幸福の実現への手段を実現していく。これもまた選挙制度においてこの国会が果たすべき役割であり、またその矜持であると私は思っております。

 先ほどの説明の中で、例えば、参議院の任期の六年、半数改選、そして解散がない、こういった形で多角的、長期的な視点から民意を反映させるという意味で、衆議院と異なる配慮をしなければいけないという要請が働いている、こういう指摘もあったところでございます。

 こういうことも踏まえて、改めて、この選挙制度における格差の是正を三倍未満にしているということについての合理性についての御説明をいただきたいと思っていることが一つ。

 もう一つは、今回の制度を実現するために合区がとられたわけであります。鳥取県と島根県、そして徳島県と高知県、この四県二合区を含む十増十減という改正内容であります。

 この合区は、参議院の選挙制度が発足して以来、都道府県を単位とする選挙区の仕組みを変更するものでありまして、ここで何が一番問題かといえば、合区によって候補者を出すことがかなわない都道府県が発生する可能性があるわけです。

 先週、全国町村会から我が党に緊急要望というものが提出されました。この中では、次のような記載があります。従来、都道府県単位で選挙区選挙が行われてきたのは、各地域によって状況や課題が異なることから、それぞれの地域事情を国会の議論に反映させることが国民全体の利益につながる趣旨だ、こういう指摘をされております。

 合区には、それぞれの地域の声が国会に届かなくなる弊害が懸念されているところでございます。

 この合区を選択したことを含めて、冒頭の三倍以内の件も含めて、立法の趣旨を改めて御説明いただきたいと思います。

山田(太)参議院議員 発議者を代表しまして、日本を元気にする会、山田太郎の方からお答えしたいと思います。

 まず、三倍未満におさめることとした理由と、三倍未満であれば十分なのかどうか、このあたりの答弁をさせていただきたいと思います。

 選挙区間の定数を増減する六増六減ということでは四・三一倍の最大格差が残りますので、最高裁判決の要請に応えるため、四県二合区を行うこととし、最大格差を二・九七倍に大幅に縮小することとした、これが今回の改革であると考えております。

 憲法制定直後に制定されました参議院議員の選挙法に基づく最初の選挙は、議員一人当たりの人口の格差が最大で二・六二倍であった。こういうことを考えても、この程度の格差は憲法上許容されるのではないか、こういうふうにも考えているわけであります。

 ただしかし、今回の改革は、来年の通常選挙を違憲状態のまま迎えるわけにはいかないという強い思いから、実は我が党もみずからの主張をおろしまして、最大格差を二倍台に縮小させるという案に合意したものであります。

 今後とも、三倍未満であれば十分だとは決して考えておりません。そのため、附則第七条に、「平成三十一年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて、参議院の在り方を踏まえて、選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとする。」と規定したところであります。

 以上です。

中野参議院議員 宮崎議員の合区についての問い合わせにお答えを申し上げます。

 私は、次世代の党の中野正志でございます。

 合区を取り入れた理由についてでありますけれども、我が党といたしましては、平成二十八年の通常選挙が来年に迫っているという時間的な制約がある状況下におきまして、会派間の合意が得られないことによって公職選挙法の改正ができないという不作為状態に陥ってしまってはならないという思いから、最高裁判決を踏まえて、また、最大会派である自民党の理解を得た上で、現実的にとり得る案として今回の案を提出した次第であります。

 我が党にも該当する議員が一人おり、あえて御理解をいただいたところでありますけれども、今回、合区対象の県の方々には大変申しわけないところでございますけれども、御理解をお願いしたいと思います。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。

 選挙制度というのはその国の文化であり、歴史を踏まえたものだと思います。

 新憲法が制定された後の昭和二十一年の国会での審議、参議院議員の選挙法を審議した委員会では、参議院の選挙においてはいわゆる地域代表的性質は必要だということが当時の大村国務大臣の答弁であります。地域代表的性質というのは何だと質問を受けた大村大臣は、地方の実情に詳しい人に出てきてもらうという趣旨だという答えをされておられる。

 今の憲法の地方自治の定めのあり方なども踏まえてみると、今回このような形での改正を踏まえて、私は、憲法の改正も踏まえて、しっかりと地方の声が上がる人が参議院に上がってくる必要があると思っています。

 先ほどの御答弁、大村大臣の昭和二十一年の答弁の趣旨から踏まえて、今から考えてみれば、地方の実情に詳しい人に出てきてもらうのは、やはり現在であれば、これだけ国民から理解を得て支持を受けている都道府県制度を前提としなければその声が具体的に上がってくるということは果たせないと思っておりますし、多くの国民の皆様も、今定着をして支持している都道府県制度のもとで声を上げるべきという理解があると私は思っています。

 私ども自由民主党では憲法の草案を定めておりますが、憲法改正推進本部においても、参議院議員の選挙制度について、改選ごとに全ての都道府県から少なくとも一名は代表を選出するように憲法改正草案に盛り込みをさせていただいているところでございます。

 これからの見直しについて、自由民主党の発議者の方から、どういう形で憲法改正を含めた参議院制度の改革を視野に入れているのか、御見解を伺いたいと思います。

鶴保参議院議員 委員御指摘のとおり、今回の最高裁の判決の中にも、行政上の単位としての都道府県の重みというものは明示をしていただいております。

 したがって、政治的に我々がどう考えるかということでありますが、今回の判決を受けてどうしても私たちが考えなければならないのは、参議院そのもののあり方について大きく役割が変わっているというあたりでございますから、私ども、会派の皆様と相協力をしながら、今後、参議院のあり方全体を踏まえた検討を行い、それを踏まえた形で選挙制度も考えていかなければいけない。

 その先には、もちろん他会派との協議もまた必要だと思いますし、また全国民的理解も必要だと思いますが、憲法改正も視野に入っているということであります。

 以上であります。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。

 終わります。

山本委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして質問する時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、発議者に質問する前に、我が党の参議院選挙制度改革についての考え方を最初に申し述べた上で、発議者に質問をさせていただきたいと思います。

 公明党は、長年にわたりまして、全国十一ブロックによる大選挙区制の抜本改革案を掲げてきました。この十一ブロック案では、最大格差は一・一三倍にまで縮小することになります。これが最もふさわしい抜本改革案だと考えておりまして、その理想は今も変わりません。

 しかし、平成二十二年、平成二十五年の参議院選挙について、最高裁から違憲状態との厳しい判決を重ねて受けました。この機会に一票の格差を是正する抜本改革案をまとめなければ、司法からはもちろん、国民から極めて厳しい指弾を受ける、そういうことは必定だ、そのように我々は認識をしたわけでございます。

 そのため、理想とする抜本改革案は一旦棚上げして、より幅広い合意形成が可能となる合区を許容して、一票の格差を二倍以内とする抜本改革案をまとめました。何ら提案もせずに、合意形成にも汗をかかないという姿勢はとるべきではない、そのように我々は考えたわけでございます。

 その後、各会派とも協議を重ねてまいりました。参議院において、民主党・新緑風会、公明党、無所属クラブ及び生活の党と山本太郎となかまたちの会派の皆様で、いわゆる二十県十合区による二倍以内案を内容とする法律案を提出いたしました。これによりまして、最大格差は一・九五三倍に縮小することになるわけであります。参議院においてこの案が採決されなかったことは、まことに残念でなりません。

 そういう観点からいたしますと、今回提出されております自民党及び四党が提案されたいわゆる十増十減案というのは、合区に踏み切られたという点では私どもの提案と同じ方向性であると認識しておりますが、ただ、一票の格差が二・九七四倍と三倍程度に達する改革案では、憲法が求める投票価値の平等の要請に応えるのには不十分である、そのように私どもは考えているところでございます。

 一つには、発議者も当然読んでおられると思うんですが、昨年の十一月二十六日に出された最高裁判決、これを読ませていただきましたときに、これだけの分厚い内容ですからはしょって申し上げますと、参議院の役割がこれまでにも増して大きくなっていることに加えて、衆議院が格差二倍以内になることを基本とする区割りの基準が定められていることを引用した上で、参議院についても、適切に民意が反映されるよう投票価値の平等の要請に十分配慮することを求めているわけでございます。特に参議院議員の選挙だからといって投票価値の平等が後退してよいという理由はないとしていることから、最高裁が許容するいわゆる一票の格差は二倍以内であると私どもは考えるところでございます。

 これを踏まえれば、まさに格差を二倍以内とすることが、最高裁が違憲無効と判断しない、そういう要件である、そのように我々は考えているわけでありますし、さらにその後、両案が出そろってからのマスコミの論調も、基本的には我々の十合区案の方が一票の格差の是正案としてはまさっている、そのように多くの報道でされているわけでございます。

 二十四日に決められた後の二十五日の毎日新聞でも、「定数の「十増十減」で最大格差は二・九七四倍に縮小するが、民主、公明両党の「二十県十合区」案に比べると踏み込み不足は否めない。」そのように報道しているわけでありますし、また、きょうあえて持ってきましたけれども、参議院の皆さんが協議されてきました選挙制度協議会の議論では、多数は、二倍を超える最大格差は許容されない、そのように意見を述べられているわけでございます。

 そういうことを踏まえて、あえてきょうは、時間が限られておりますので、発議者の中で自民党の発議者と維新の党の発議者にそれぞれお聞きしたいと思うわけです。

 参院第一党の自民党の発議者にまずお尋ねしたいのは、十増十減案では、一票の格差が二・九七四倍と三倍程度に達するわけであります。憲法が求める投票価値の平等の要請に応えるのには、今申し上げましたように不十分だと我々は考えますけれども、自民党の考える参議院の一票の格差の最大格差は何倍まで許容されるとお考えなのかもあわせて御答弁をいただきたいというのが一つでございます。

 もう一つは、選挙制度協議会の報告書の中身を見ましても、一貫して一票の格差は二倍以内におさめるべきであると維新の党さんはこの協議会で主張されてきました。そういう維新の党の従来の主張からいたしますと、今回の十増十減案というのは、縮小されたといっても、二・九七四倍と三倍程度に広がるわけでございまして、従来の主張からすると踏み込み不足、不十分な案ではないのか、そういうふうに考えますけれども、それぞれ発議者の方から御答弁をいただきたいと思います。

岡田(直)参議院議員 お答え申し上げます。

 本法律案は、参議院創設以来初めて都道府県単位の選挙制度を一部改め、合区を行うことで最大格差を約二・九七倍に大幅に縮小させるものでございます。

 格差の許容範囲につきましては、これまでの最高裁の判決において、具体的に何倍までという格差であれば許容されるといった言及はなされておりませんので、具体的な数値については回答することは困難であるというふうに存じます。

 それと、先ほど、憲法制定直後の参議院議員選挙法に基づく最初の選挙における議員一人当たりの人口の格差が最大で約二・六二倍であったということからすると、憲法は、格差が二倍台であることは、その制定当初から許容をしていたものと考えるところであります。

 こうしたことから、参議院議員の選挙については、最大格差を二倍未満とすることまでは求められていないと私どもは考えているところであります。

 したがって、この法律案は、憲法が定める投票価値の平等の要請に十分に応えるものであると考えております。

 マスコミの報道もさまざまございますけれども、一部の報道の世論調査によりますと、一票の格差の是正、これも重要と考えるけれども、それよりも都道府県単位の選挙区を維持するべきであるという意見が多かったというデータも示されております。こういう民意、都会の民意、地方の民意、さまざまある中でこうした今回の法改正を御提案申し上げております。

 よろしくお願いします。

清水参議院議員 今御指摘いただきましたとおり、我々維新の党、当初主張していた案ですと、定数削減、ブロック制も導入いたしまして、格差というのは一・一倍余りになる案というのを主張しておりました。

 お話あったとおり、公明党さんや民主党さんがまとめられた案というのは格差が二倍以内ということですから、それに比べて今回のこの我々の案というのが踏み込み不足ではないかとおっしゃるのは非常によくわかりますし、我々としても苦渋の選択であったというのをまずお話しさせていただきたいと思います。

 その上でなんですが、今回の案は、合区を行って最大格差二・九七四倍に縮小させるものです。

 参議院議員の任期は六年の長期となっておりまして、解散もなく、三年ごとにその半数を改選するという憲法の規定の趣旨を踏まえれば、参議院の選挙に求められる投票価値の平等は、衆議院の選挙とはおのずと異なるところがあるのではないかというふうに思っています。

 また、憲法制定直後に制定されました参議院議員選挙法に基づく最初の選挙における議員一人当たりの人口の格差が最大で一対二・六二であったことからしますと、憲法は、格差が二倍台であることは、その制定当初から許容していたものと考えられます。

 したがって、今回の法律案によりまして格差がこの程度に縮小することで違憲状態は解消されるものだと考えます。

 以上のことから、今回の案、憲法が求める投票価値の平等の要請に応えるには不十分とまでは言えないと考えているんですが、しかし、参議院の改革は、おっしゃるとおり、まだまだこれで終わりだとは思っておりませんので、引き続き、定数削減そして格差の是正などについてしっかりと議論を深めていきたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 質問時間が来ましたので終わりますけれども、今回、この十増十減案の附則に、二〇一九年の参議院選に向けまして、選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討し、必ず結論を得る、この「必ず」というのが前回の附則よりも、新たな言葉として入っております。

 今回のひとまずの格差縮小を図るびほう策にとどまることなく、参議院がいかにあるべきか、参議院のあり方などの議論も踏まえた、そういう抜本改革案をぜひ引き続き御議論いただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 以上です。

山本委員長 次に、黒岩宇洋君。

黒岩委員 民主党の黒岩宇洋でございます。

 それでは、自民党の発議者にお聞きします。

 確認という意味でもありますけれども、二十四年の法改正、これは附則三項に抜本的見直しという検討条項が入ったわけですけれども、今回のこの改正案、十増十減案が抜本的見直しであるという理解をされているという認識でよろしいのかどうか、お答えいただけますか。

鶴保参議院議員 どのような制度改革をもって平成二十四年改正附則三項の「検討」に明記された抜本的な見直しに当たると考えるかについては、各会派においてそれぞれお考えをお持ちであるかと思います。

 我が党といたしましては、今回の改正案は、昭和二十二年の参議院議員選挙法制以来、一貫して維持されてきた都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の選挙制度を一部の選挙区において改め、合区を行うものであり、まさに平成二十四年改正附則に言う「抜本的な見直し」に当たるものであると考えております。(発言する者あり)

黒岩委員 今、場内からもええっという声が上がりましたね。先ほどの公明党の佐藤先生からも、まだまだ抜本的見直しじゃないという。

 なぜならば、だったら、自民党の発議者にお聞きしますけれども、今回、また、附則の第七条に全く同じ文言、抜本的見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとすると、なぜ附則に抜本的見直しについての検討というものが書かれているんですか。これは矛盾じゃありませんか。お答えください。

鶴保参議院議員 今回の附則についてよくお読みをいただきたいと思うんですが、各会派の先生方とそれぞれ検討を重ねた結果、参議院のあり方についての検討を踏まえと一文入れてあります。

 このことは、すなわち、先ほど私、御答弁申し上げたとおり、今回の最高裁判決において一番問われているのは、選挙区の定数是正もさることながら、その根本にある参議院制度、参議院というもののあり方、このことが最も多く問われている、重きを置かれているというふうに理解をしております。

 このことについては各会派の先生方もほとんど異論はないところでありますから、全参院議員を交えて、全会派を交えて、このあり方についての検討を行うことがまず第一義であるというふうに考えております。そのことが抜本的な見直しになるという理解をいただければというふうに思います。

黒岩委員 今、鶴保発議者がおっしゃったとおり、もともと、二十四年の附則の三項には、「参議院の在り方、」という文言があるんですよ。今回、それを踏まえて書いただけですよね。加えて、なぜか今回「必ず」と入った。

 ということは、今回の改革案は、必ずしも抜本改革じゃなかったということを条文自体がまさに吐露しているということなんですよ。そういうことなんですよ。せんだっての参議院本会議でも、抜本改革だと言ったのは自民党だけで、他の四会派は抜本的改革じゃないと言っている、こういう内容なんですね。

 ですから、これがいざ通ったとして、少なくとも、平成二十七年一月一日の住民基本台帳によればもう三倍を超えちゃっている、こういう状況で、いざ選挙が来年行われたときに、また違憲状態、また違憲判決、こんなことが出るようならば、やはり立法府としての無責任さのそしりを免れないということを強く付言させていただきたいと思います。

 では、今回、自民党さんは、党内の議論、また党内の利益の調整に時間がかかったのでしょう。他の四会派がもう提案をして、さあ法案を提出しようということだったんですけれども、二十二日に党内の調整が終わって、翌二十三日に法案が提出されて、結果的には、この法案に委員会審査省略要求という、これは選挙制度改革法案において過去に例のない、まさに前代未聞の、当事者たる参議院での委員会審査を省略するということになった。このことに、結局、時間的に一年前に何とかということで各会派も応じたわけです。

 しかし、今申し上げたとおり、各会派の合意形成を図るべきだと発議者もおっしゃっている。私は、選挙制度はそういうものだと思っておりますけれども、結局、委員会という各会派の合意形成を図るせっかくの機会を、参議院でこれを省略要求してしまった。結果として委員会審議ができなかったことに対して、やはり一端の責任が自民党発議者にもあると思うんですけれども、この点についてどうお考えか、お答えください。

鶴保参議院議員 委員御存じだと思いますが、この委員会審査省略要求につきましては、交渉会派全ての御意見をいただきながら、合意のもとにやらせていただいていることでございます。したがいまして、与党であります自民、公明、そしてまた、民主党の皆さんにもこのことの御意見はいただいておる、そういう中での話だというふうに御理解をいただきたいと思います。

 また、かてて加えて、この委員会審査省略のかわりと言ってはなんですけれども、審査の充実のために、本会議で、異例ではありますけれども、我々、少数会派の方々にも登壇していただき、質問をしていただくという機会をいただいております。その中で、我々の考え方、そしてまたさまざまな疑問についてお答えをさせていただいたところであります。御理解をいただきたいと思います。

黒岩委員 公明党、民主四会派案というのは、七月十四日に提出されていましたので、ある程度時間的な余裕はあった。ただ、自民党の提案、提出までに時間がかかったがゆえに、結果的には委員会審議ができなかったということは、これは前代未聞で、今後はこういう形はとるべきではないということを改めて申し上げさせていただきます。

 そして、前代未聞ということになりますと、今回、連立与党を組む自民党と公明党で、これは、自民党、公明党が連立を組んで十六年間、初めて別々の法案を出し、法案の賛否も分かれました。

 今回、先ほど公明党の佐藤先生がおっしゃっていましたけれども、もともとは、公明党さんは、全国十一ブロック大選挙区、一・一三倍、こういう案を出していたんだけれども、それを取り下げて、十合区、一・九五倍という大変譲歩をされて、そして当然、同じく与党の自民党さんの歩み寄りを私は望んでいたんだと思います。

 当然、与党内では協議はするわけですし、与党内の調整ということはしてきたわけですから、だからこの十六年間、自民党、公明党連立の間で、これは参議院選挙制度に限らず、全ての法案において賛否が分かれることはなかった。でも、今回、結果として分かれることになりました。しかも、公明党さんがここまで譲歩をしても、結果として調整ができなかった。

 与党間の調整ができなければ、各会派の調整というのはおよそ、これは困難になることはわかり切っていることだと思うんですが、何で法案提出前に与党間での調整ができなかったのか。自民党発議者にお答えいただきたいと思います。

岡田(直)参議院議員 お答えを申し上げます。

 ただいま御指摘のとおり、連立与党の自民党と公明党の参議院における採決が分かれましたことは、私どもにとっても非常に残念に思っているところであります。

 公明党さんが十一ブロック案を一旦棚上げとして合区案に踏み切られたということと同時に、私どもは、都道府県単位の維持というものを極力主張してまいりましたが、これまた合区案に踏み切るということでありまして、歩み寄りの可能性を極力探ってまいりましたけれども、やはりその間の隔たりというものがかなりございまして、溝が埋まらなかったことは事実でございます。

 しかし、このことが連立政権に影響を与えることがあってはいけないと私どもは当然考えておりまして、この自公連立、変わらずに多くの重要政策案件について取り組んでいくべきであるということは両党幹部も含めて同じ認識というふうに伺っているところであります。

 今後も、しっかり自民党と公明党との連立の関係を維持して、重要な案件にきちんと取り組んでまいりたい、このように思っております。

黒岩委員 各政党、事情にさまざまな違いがある、これはそうでしょう。ただ、それを乗り越えながら、また利害を乗り越えながら各党各派の合意形成を図っていくということの努力が、すなわち国民の皆様の合意形成を図っていくことにほかならないわけですから、私は、その点において、せめて与党の間で、公明党さんがこれだけ歩み寄って努力されたならば、やはり同じ与党、自民党さんの方でも、しっかりと合意形成を図る。もっと踏み込んだ尽力をされるべきであり、そうであってこそ初めて国民の合意形成に基づく選挙制度になるんだということを強くこれも訴えさせていただきたいと思います。

 それで、改めてなんですけれども、前回の四増四減案を通すときに、このときは参議院の声も、各会派がですよ、何増何減というような、びほう策と言ってもいいし、その場しのぎのこういったやり方はもうやめよう、こういう制度変更はもうやめよう、次はもう本当の意味の抜本的改革だということで、これは各党各会派が一致したわけですよ。

 しかし、今回、結局、十増十減ということによって、いろいろな不合理があるので、時間がないですから一点言うと、例えば、今回は、全国で人口が多い順番で並べていくと、十四番目、十五番目、十六番目の県が、上位三分の一に入っている三県が、私のいる新潟県もそうなんですけれども、これは二人区から一人区に減員される。そして、全国で四十三番目の人口、八十万人を切るような県も同じく一人区だと。

 ですから、三倍ということはこういうことなんですね。今、上位十四番目と十五番目というのは二百三十万人を超えている県、片や八十万人を切るような県、まさに三倍の、一票の格差というのは、これほど人口が違っても同じ一人区ですよという。

 このように、大変大きな人口を抱える県も、今言ったびほう策だと減員区になってしまう、こういう不合理についてどうお考えか、発議者、お答えいただけますでしょうか。

鶴保参議院議員 〇増〇減という認識についてのお問い合わせでございますが、これは、便宜上十増十減という形で私たちは呼んでおりますけれども、私どもの会派、自民党といたしましては、合区を含むというところに重きを置いております。四県二合区を含む十増十減。十増十減と言ってしまうと、その対象県が十個あるのかなという誤解を生みますから、合区を含むというところで理解をいただきたい。それほど、今回の〇増〇減は、合区を含んでいるということにやはり大きな意味があるんだというふうに考えております。

 また、今回の改正後の状態から〇増〇減により最大格差を縮小しようとする場合には、定数四人の選挙区の中で議員一人当たりの人口が最も少ない京都府の定員を四人から二人に減らし、格差が二・九七倍と最も大きい埼玉県の定員を六人から八人にふやすことになるかと思われますが、定数を減らした側の京都府と福井県の格差が、埼玉県の定数をふやす前の最大格差である二・九七倍より大きい三・二七倍となってしまいます。

 このようなことから、今後、各選挙区の人口が大幅に変動しない限り、〇増〇減が行われるということは考えにくいというふうに考えております。

黒岩委員 最後になりますので申し上げますけれども、この二十六年の最高裁判決というのは、衆議院と参議院、これは選挙区と比例区という形で選挙制度も近くなってきた、そしてもちろん参議院の価値もすごく高まってきたという、これは参議院にとってもすごく評価をされている。

 結果として、衆議院と参議院の定数、一票の格差のあり方について、これが違っていいという合理的な説明は、じゃあ立法府の方ではちゃんとできるのか、そこまで司法が突きつけているわけですから、これにしっかりと応え切れない限り、やはり抜本的改革にはならないわけですし、きょうの議論を聞いても、他の提出会派の皆さんは、まだまだ不十分だとおっしゃっている。我々もそう思う。

 ですから、自民党の発議者にも、これは要請でありますし、そして我々自身も真剣に、抜本的な選挙制度改革、これを推し進めていく、このことを皆様に要請し、また私もそれについても尽力することをお誓い申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 維新の党の浦野です。

 本日、十増十減ということで、参議院の皆さんが御努力をされて、一定の形を整えて衆議院に送られてきたということに関しては、非常に敬意を表します。

 ここからですけれども、我々維新の党の方も提出者として名前が入っていますので、非常に質問しづらい部分もありますけれども、それは、参議院と衆議院は別物だというふうに我々ずっと言われ続けておりますから、衆議院として、参議院の皆さんに少しお聞きをしたいと思います。

 先ほど黒岩先生の質問にもありました、私がやはり我慢がならないというか、何でやろというふうに思うのは、やはり委員会での審議が参議院でなされていない、私はこの点については非常に大きな不満を持っております。

 皆さん方の、もちろん自分たちの身を切る改革になりますから、非常に議論しにくいというのはわかります。それは例えば、こちらを見れば、衆議院でそういう議論になったときに、衆議院の我々もそういった苦しみを味わうことは間違いはないです。しかし、皆さんが、委員会質疑という中で、国民の皆さんに見える形でしっかりと議論した上で今回の結論を得たという形でないということに対しては、非常に私は不満を持っております。

 参議院の委員会、ちゃんと委員会がある中で、先ほど鶴保提案者の方からも説明が少しありましたけれども、委員会の質疑をなくして衆議院に送ってきたということに関して、各会派、全会派を聞くとちょっと時間がしんどいかもしれませんけれども、全会派、その件についてどう思われているのか。

 しかも、これは今後、もし、またこういった改革、次は必ず抜本改革をされると約束をされておりますけれども、ということは、またこういう時期がやってまいるわけですけれども、そのときもこういった形にしてしまうのかどうかということも含めて、各会派、お考えを聞かせていただきたいと思います。

岡田(直)参議院議員 ただいま、委員会審査省略の件でお尋ねがございました。

 国会法第五十六条第二項ただし書きには、「特に緊急を要するものは、発議者又は提出者の要求に基き、議院の議決で委員会の審査を省略することができる。」というふうに規定されていることは御存じのとおりでございます。

 これが、七月二十五日が参議院議員の改選議員の任期一年前に当たりますことから、先週二十四日に参議院で可決することに大きな意味があると私どもは考えまして、これは緊急を要する場合として、時間の制約上、委員会は省きましたものの、本会議において、全議員を前にして趣旨説明をし、質疑を行い、それには交渉会派のみならず小会派の皆様にもその機会を持っていただき、かなり激しい論戦もございましたけれども、討論を経て可決に至った次第でございまして、この点については十分議論が行われたものと存じております。

 また、将来において選挙制度改革を行う場合には、もちろん、倫選特、この委員会、参議院で、衆議院でも当然行われることと思いますけれども、その手続を踏んで行われることが望ましいと存じます。

清水参議院議員 浦野議員おっしゃるとおり、本来は、委員会の場で、この参議院選挙制度の理念から制度設計の細部にわたるところまで、国民の前で十分な質疑、議論が行われるべきであったと考えておりますので、委員会審議がなかったことについては、私も非常に残念に思っています。

 確かに、今回は、参議院で、都道府県単位の選挙区を合区するという戦後初めてのことを行ったわけでして、強い異論があったことも理解はできるのですが、しかし、選挙制度協議会であれほど時間をかけて協議をしてきたのに、参議院の委員会質疑さえ省略せざるを得ないタイミングで法案提出になった、つまり提出がもう遅くなってしまった、そこまで時間がかかってしまったということに対して、本当に残念に思っているところです。

 先ほど申しましたが、我々は、定数を一割削減、選挙区を全国十一ブロックに改めるブロック制というのを、一票の格差も一・一倍余りに縮小する案というのをそもそもは考えておりました。

 ですので、今回の法案はあくまで過渡的なものであり、次の次の参議院選挙、平成三十一年の参議院選挙に向けて、一院制ということも念頭に置きながら、そもそも参議院のあり方とはどういったものなのかということですとか、選挙制度に関しては都道府県を基本単位とすべきなのか、それともブロック単位がふさわしいのかといった抜本的な見直しの検討を行い、もちろん委員会審議も行いまして、参議院の改革を前進させる何らかの結論を、必ず行って結論を得ていきたいというふうに考えています。

山田(太)参議院議員 私も、委員おっしゃるとおり、まさに委員会を省略してやったということに対しては大変実は憤りを感じている。これは本会議の方でも、実は発議者を代表して発言させていただきました。ただ、先ほどからあるように、一年前の周知期間ということも重要だということで、こういう次第になったわけであります。

 確かに協議会、何度も開かれたんですが、一番問題だったのは、結論が出なかったということ。全会派が入って、できるだけ民主的に、小会派の意見も聞いて、議長あっせんのもと、何度も何度も協議会が開かれたけれども、結局、一番問題だったのは、結論が得られなかった、それによっていろいろな党がぎりぎりになって案を出してきて、その審議が全くできなかった、これが最大の問題だと思っています。

 そういう意味では、附則七条の「必ず結論を得る」の二文字の「必ず」を実は入れさせていただいて、こだわったのは私なんでございますけれども、こういうことが二度と起こらないように、これは参議院のある種の恥でもありますので、ぜひ今後の抜本改革を含めて、実はこれは定数是正だけの問題ではない、選挙制度、参議院のあり方ということも含めてあると思っておりますので、言われた部分はもっともでございます。留意して今後進めるべきだ、こういうふうに思っております。

 以上です。

中野参議院議員 浦野委員にお答えいたします。

 御指摘のとおり、本来は、参議院においても委員会を開催し、国民の皆様、特に合区の対象となる県民の皆様や定数削減の対象となる県民の皆様にとりまして、よりわかりやすい議論を行うべきであったのではないかと考えております。

 しかしながら、参議院の選挙制度改革に関する議論につきましては、平成二十五年九月以来、二年近くにわたり各会派の幹事長クラスの委員による選挙制度協議会を三十一回、参議院正副議長と各会派の会長クラスの議員による選挙制度の改革に関する検討会を八回、それぞれ開催し、議論を深めてまいりました。特に、実務者会議である選挙制度協議会に至っては、三十一回全てをマスコミ含めてフルオープンにし、見える化して議論を尽くしてまいりました。

 そのような経緯に加え、平成二十八年の通常選挙が来年に迫っているという時間的な制約もあり、やむを得ず納得した次第でございます。

 今後につきましては、附則にあるとおり、努力を傾けてまいります。

 参議院本会議において本案が可決されたことに伴い、民主党などによる二十県十合区案が採決もされることなく見送りとなったことにつきまして、合区の対象とされていた一部の民主党議員や民主党の地方組織は安堵の声を上げているやに聞いております。果たして、民主党などは、みずからの意思で国会に提出したはずの法案を本気で可決させるおつもりがあったのか否か、甚だ疑問を感じたことも申し添えさせていただきたいと存じます。

荒井参議院議員 改革の荒井です。

 御指摘、全く同感でございます。

 参議院は、衆議院の議論の結果をさらに深掘りして熟議をする場であろうと思いますし、同時に、政府に対して再考を促すのが参議院の役割だろうというふうに思います。その意味で、皆様方から送られてきた安保法制、この法案を審議するかどうか、その時間も迫っておりました。一年前の七月二十五日という参議院選挙までの期日と、もう一つは安保法制審議を控えております。

 そのときに、参議院がみずからの選挙区制度で身を切れなくていいのか、最高裁の違憲状態判決に答えを出さなくていいのか。そういう参議院の審議や結果やその議論の経過が果たして国民の信頼に応えられるだろうか、こういう一方の要請もありまして、このような形にしました。

 そこで、委員各位に御理解をいただきたいのは、例えば、今ほどの次世代の中野先生のところは、委員会に、政治の委員会ですね、政倫審に対して委員はおりません。(発言する者あり)倫選特ですね、御指摘ありがとうございます。倫選特に委員はいないんです。

 しかし、今回の本会議では、全参議院議員がいる場で、それぞれの身分にもかかわるものでありますからということで、次世代もきちんと本会議で質疑を行って、そして議論をしている。これは、過去に参議院では一例しかない例をもちまして説明責任を果たしているということでございます。

 こうした経緯を踏まえて、きょうの皆様との質疑になっているということでございます。

浦野委員 時間なので終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 自民、維新等五会派提出の参議院選挙制度改革に関する公選法改正案について質問をいたします。

 自民党発議者の鶴保議員にお尋ねをいたします。

 参議院の本会議質疑において、鶴保議員は、今回の改正は参議院始まって以来の合区という大改革を行っていると答弁をされております。確かに、参議院発足以来、全国区、比例代表区にせよ、地方区、選挙区にせよ、選挙区割りの変更を行ったことは今回が初めてということであります。

 参議院始まって以来という大改革なら、当然、十分かつ慎重な審議が求められます。しかし、参議院での審議を見ると、大改革と言いながら、法案提出の際にわざわざ委員会審査省略の要求までつけていた。そのため、倫選特での委員会審議も行わなかった。もちろん、参考人質疑や公聴会、地方の声を聞く機会も設けておりません。

 お尋ねしますけれども、これで大改革にふさわしい審議だと言えるんでしょうか。

鶴保参議院議員 先ほど来お話がございますように、各会派の思いを述べていただきました。我が会派といたしましては大改革であると思っておりますが、他党、よその会派の方々の対案も出ております。そういった方々と国会の運営というのはともに協議をしながら進めるものであります。

 御存じだと思いますが、国会法五十六条、先ほど来出ておりますとおり、緊急を要するものについてはこういう審査を省略することができるというふうに明記をしております。議運の方でもそうした取り扱いについて真摯な議論がなされたものと理解をしております。その結果としてこういう結果になったというふうに御理解いただきたいと思います。

塩川委員 委員会審査省略の過去の例というのを聞いても、国会法とか人勧に関する法案など、全会派一致の案件だけなんですよ。意見の割れているような、対案も出ているような、そういう法案について委員会審査を省略するようなことというのはないわけですよ。

 そういう点でも、極めて重大な、国民に対する理解を促すような、本来国民の基本的権利にかかわる問題について、こういう対応でいいのかということがまさに問われているんじゃないでしょうか。国会での丁寧な審議があってこそ、選挙制度への国民の納得と合意が進みます。

 過去、全国区廃止、比例代表制導入のときは、本会議の質疑も当然やり、四十五時間を超える審議を委員会で十八回も開いて、参考人質疑や公聴会もやっていたわけであります。大改革と言うんだったら、やはりこういう丁寧な議論こそ行うべきであって、一部の政党で決めた選挙制度についてまともな議論を国会で行わずに押し通そうというやり方では、国民の理解が得られないばかりか、民主主義の土台づくりである選挙制度の改革のあり方として許されるものではありません。

 そもそも自民党は、最高裁判決が指摘をする都道府県単位の選挙区選挙という仕組みの見直しを図る考えが全くないのではないかと疑わざるを得ません。

 参議院の本会議の答弁で、参議院議員選挙は都道府県から改選ごとに最少でも一議席選出するという憲法改正を視野に入れ、自民党の憲法改正推進本部の改正草案に、改選ごとに各広域的な地方公共団体の区域から少なくとも一人が選出されるよう定めなければならないという規定を盛り込んだと述べております。

 つまり、最高裁判決が一票の格差の違憲状態解消のために都道府県単位の選挙区選挙という仕組み自体の見直しを求めているにもかかわらず、改憲によって違憲状態を解消しようなどというのは、本末転倒ではありませんか。違憲状態を解消するために憲法の方を変えるという、こんなやり方がどうして納得できるんでしょうか。お答えください。

鶴保参議院議員 最高裁の違憲状態の判決を引用なされましたが、同じ判決の中に、都道府県が地方における一つのまとまりを有する行政等の単位であるという点は今日においても変わりはないという判決文もございます。

 したがいまして、今回問題になっておりますのは、行政上、そして政治上の都道府県単位の中での政治上の都道府県単位というもの、つまり、選挙制度としての都道府県をどう維持するべきなのか、どう考えるべきなのかというところが論点になっているというふうに我々は理解をしております。

 したがいまして、これについては、私たち国会議員、立法府にいる我々がしっかりと議論をするべきだ。そして、その議論の前提となるのは、先ほど来申し上げておりますとおり、参議院のあり方も前提にした大きな議論が必要であるということであります。

 私どもの会派といたしましては、そのことの検討を踏まえた上で、憲法改正も視野に入れて議論を進めていく方針であるということを申し述べたまでであります。

 以上です。

塩川委員 つまり、現行の憲法の制度のもとで本気で一票の格差是正をする考えはないということを言わざるを得ません。現行の選挙制度を変えるつもりはないということを言っているのと同等であります。投票価値の平等を図るためには、都道府県単位の選挙区選挙の仕組みそのものを見直さざるを得ないということを指摘せざるを得ません。

 そもそも、初めて参議院の選挙制度が大きく変更されたのは、一九八二年の全国区制を比例代表制に変えたときであります。

 そこで、多様な民意を鏡のように反映させる制度こそ選挙制度の抜本改革では必要だという立場でお尋ねをしますが、一九八二年のときの選挙区選挙で、定数二、改選定数一となる選挙区の数は幾つだったでしょうか。それ以降の参議院選挙制度改革時の数についてもお答えいただけますか。

清水参議院議員 定数二の選挙区の数についてですが、平成六年改正前は二十六、平成六年改正後は二十四、平成十二年改正後は二十七、平成十八年改正後は二十九、平成二十四年改正後は三十一であったものと承知しています。

 また、今回の改正案が成立した場合には、定数二の選挙区の数は、鳥取県及び島根県選挙区と徳島県及び高知県選挙区、合区される選挙区を含めまして三十二となるものと承知しています。

塩川委員 ですから、改選定数一の選挙区がずっとふえてまいりました。全都道府県の約七割の選挙区がいわば小選挙区制であります。今回の法案では、合区を含め小選挙区は、今お答えいただきましたように、三十二に上ることになります。

 四十七都道府県のうち三十四県がいわば小選挙区に当たるという点で、私たちは、小選挙区制というのは、衆議院の選挙においても、四割の得票で八割の議席を占め、多数の死票を生み出すと指摘をしてまいりました。こういった改選定数一の選挙区がふえ続けるということでは、民意を鏡のように反映できることにはならないということを指摘せざるを得ません。

 少なくとも、現行定数のもとでは、都道府県単位の選挙区選挙は民意を反映しない制度にならざるを得ないのではないのか、そういう認識をお持ちかどうか、発議者の方にお尋ねをいたします。

岡田(直)参議院議員 お答えを申し上げます。

 多様な民意を鏡のように反映する制度というのはどのような制度かということを思うわけでございますけれども、一方で、参議院の選挙というものは、昭和二十二年の発足以来、全国単位と選挙区単位で行われております。

 全国単位の比例代表選挙が果たす職能代表などの多様な人材を輩出する役割という、これも一つ衆議院とは違った独立した役割を持っておりまして、それと同時に、選挙区が果たす地域代表的性格を有する議員を輩出する役割というものも、それぞれ今日においてなお重要な意義を有していると考えられるわけでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、民意といっても、先ほど仰せのとおり多様な民意がございます。都会の民意もあれば地方の民意もある。このように考えながら、しかし、最高裁が要請する都道府県制度の見直しにも踏み込む等のという、例示でありますけれども、その要請に従い、また格差についても大幅に縮小することによって、今回の選挙制度というものは合憲の判断を受ける、私はこのように確信をいたしております。

塩川委員 地域代表制のお話をされましたが、この間の最高裁判決でも、地域代表制については直接の憲法上の要請はないということも指摘しているところであります。

 地域代表の重要性のことをおっしゃるわけですが、この定数二、改選定数一の選挙区では、比較第一党の候補者しか議員に選出をされない。比較第一党の議員の議席がその地域の民意を全て反映することになるのか、地域におけるその他の民意が切り捨てられていることになるのではないのか。選挙制度を抜本的に見直すのであれば、先ほど述べた多様な民意を鏡のように反映させる制度こそ必要であります。

 そこで、最高裁判決が求めた都道府県単位の仕組み自体の見直しですけれども、これに応える抜本改革案として、二〇一〇年十二月に、西岡参議院議長の参議院選挙制度の見直し、たたき台、いわゆる西岡私案が示されました。

 ここでは、「一票の較差是正は、国民の基本的人権にも関わる喫緊の課題であり、早急に取り組む必要がある。しかし、現行の都道府県単位の選挙区を前提とした場合、較差是正には限界がある。」として、「現行の全国単位の比例代表選出議員の選挙及び都道府県単位の選挙区選出議員の選挙を廃し、総議員(二百四十二名)につき、全国九つのブロック単位の選挙区に人口比例により定数を配分した上で非拘束名簿式比例代表制の選挙により選出する」としたわけであります。

 総定数を維持し、ブロックごとの比例代表制によって格差是正を実現しようという西岡議長の当初案は、重要な提案だと考えております。

 発議者の方にお尋ねしますが、最高裁の判決にある都道府県単位の選挙区選挙の仕組みの見直しは、ブロック単位のこのような比例代表で行う、西岡私案などは当然そのたたき台としてなり得るのではないのか、このように考えますが、いかがでしょうか。

岡田(直)参議院議員 ただいまの西岡私案等に、ほかにもブロック制の御提案というのはさまざまな形でなされておるわけでございますけれども、やはり現状の全国比例区と比べて、また都道府県選挙区と比べて、いささかブロックというものは中途半端な感じがいたすわけでございます。

 それは、双方の利点が十分に生かされない。全国比例、職能代表というか有識者の集まりである参議院の比例、そして都道府県単位を極力尊重した選挙区の議員、これは地域の代弁者。その中間的な位置づけになって、例えば選挙の場合も、候補者と有権者の距離が遠くなってしまって、顔の見えない選挙に陥るおそれがなきにしもあらず、このような懸念も抱いております。

 それぞれの各派の思いはさまざまにございますけれども、私としては、ブロック単位というのは、そういうメリットもあればデメリットもある、どちらかといえばデメリットの方が大きいのではないかというふうに思っております。

塩川委員 顔が見えないといったら、比例代表もそうだと言われかねないわけで、そういうことは理屈にならない。

 我が党は、選挙制度を考える上で最も重要なことは、多様な民意を議席に正確に反映させることであるとの基本的立場に立って、西岡議長が当初提示した総定数維持、ブロックごとの比例代表制をたたき台にして議論することを提案し、各党の合意を形成する努力を行ってまいりました。

 今、過半数の国民が戦争法案反対の声を上げても、選挙制度によって民意が反映されていない衆議院では、民意無視の政治が行われ、強行採決が行われました。

 今、国民は、私たちの声が届く国会をと求めております。この声に応え、国民、有権者の参政権の点からも、民主主義の根幹をなす選挙制度を根本的に見直し、民意が正しく反映する制度に見直すことを求めて、質問を終わります。

山本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 私は、日本共産党を代表して、自民、維新など五会派提出の参議院選挙制度二合区十増十減案に反対の討論を行います。

 今回の参議院選挙制度の見直しは、二〇〇九年に最高裁が投票価値の平等の観点から現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要と指摘したことを契機としています。二〇一二年、最高裁は違憲状態と判示し、抜本改革の実行を求めています。

 参院において二〇一〇年秋より行われてきた各党による協議で、我が党は、選挙制度を考える上で最も重要なことは、多様な民意を正確に議席に反映させることであるとの基本的見地に立ち、当時西岡議長が当初提案した総定数維持、ブロックごとの比例代表制をたたき台として議論すべきと提案し、各党の合意を形成する努力を続けてきました。

 本案は、当面の格差を三倍におさめようというものにすぎず、三年前、我が党などが反対する中、民主、自民両党が糊塗した四増四減案に続いて、抜本改革をさらに先送りするものでしかありません。

 今回導入される合区について、都道府県単位の選挙区を基本的に維持しながら合区する手法は、数合わせ感を否めないばかりか、一部の県のみが単独の選挙区でなくなることによる格差と不公平を新たに生じさせます。さらに、人口変動によって合区の府県の見直しが必要となるなどの根本的な問題点も残ります。

 本案の発議者は、法案提出時に要求をつけ、参議院では委員会審査を拒否し、国会において十分な審議を尽くそうとしていません。選挙制度の改革は、国民の参政権、基本的権利の問題であり、議会制民主主義の根幹にかかわる問題であって、国民に開かれた議論は不可欠であります。幾ら各党協議がフルオープンで行われたといっても代替できるものではなく、ましてや、一部の会派による合意で押し通すことは、決して許されません。

 自民党について言えば、各党協議において改革案の提案を先延ばしにして今日の現状を生み出した責任は重大です。都道府県単位の選挙区に固執し、違憲状態の解消は今後の憲法改正でという姿勢は、全く無責任と言わなければなりません。

 今、国民は、私たちの声が届く国会をと求めています。この声に応え、国民、有権者の参政権の点からも、民主主義の根幹をなす選挙制度を抜本的に見直し、多様な民意が正確に反映される比例代表を中心とした選挙制度にすべきであります。

 以上を指摘して、反対討論を終わります。(拍手)

山本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより採決に入ります。

 参議院提出、公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時五十五分散会


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