衆議院

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第4号 平成15年5月7日(水曜日)

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平成十五年五月七日(水曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 青山 二三君
   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君
   理事 松宮  勲君 理事 森田 健作君
   理事 水島 広子君 理事 山口  壯君
   理事 福島  豊君 理事 達増 拓也君
      小野 晋也君    小渕 優子君
      太田 誠一君    岡下 信子君
      上川 陽子君    河野 太郎君
      平沢 勝栄君    保利 耕輔君
      大石 尚子君    鎌田さゆり君
      小宮山洋子君    肥田美代子君
      石井 郁子君    保坂 展人君
      山谷えり子君
    …………………………………
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 谷垣 禎一君
   内閣府副大臣       米田 建三君
   総務副大臣        加藤 紀文君
   政府参考人
   (内閣官房内閣参事官)  上田 隆之君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   山本信一郎君
   政府参考人
   (内閣府男女共同参画局長
   )            坂東眞理子君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  瀬川 勝久君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局長
   )            有冨寛一郎君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局国
   際社会協力部長)     石川  薫君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育
   局長)          矢野 重典君
   政府参考人
   (文部科学省スポーツ・青
   少年局長)        田中壮一郎君
   政府参考人
   (厚生労働省雇用均等・児
   童家庭局長)       岩田喜美枝君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           松井 英生君
   衆議院調査局青少年問題に
   関する特別調査室長    石田 俊彦君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月七日
 辞任         補欠選任
  阪上 善秀君     平沢 勝栄君
  山元  勉君     小宮山洋子君
同日
 辞任         補欠選任
  平沢 勝栄君     阪上 善秀君
  小宮山洋子君     山元  勉君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律案(内閣提出第一〇三号)


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     ――――◇―――――
青山委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官上田隆之さん、内閣府政策統括官山本信一郎さん、内閣府男女共同参画局長坂東眞理子さん、警察庁生活安全局長瀬川勝久さん、総務省総合通信基盤局長有冨寛一郎さん、法務省刑事局長樋渡利秋さん、外務省総合外交政策局国際社会協力部長石川薫さん、文部科学省初等中等教育局長矢野重典さん、文部科学省スポーツ・青少年局長田中壮一郎さん、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝さん、経済産業省大臣官房審議官松井英生さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
青山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
青山委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山谷えり子さん。
山谷委員 保守新党の山谷えり子でございます。
 出会い系サイト関連事件がこの三年で十六倍と急増中で、ようやく規制法案が提出されたということを感無量で受けとめております。
 出会い系サイトのいろいろなサイトを見ますと、処女買いませんか、生脱ぎパンティー一万円、ゴムつき四万円など、非常に具体的な、少女自身が自分を売り込むというような文章に出会って、胸が痛みます。
 平成十三年調査では、女子高校生の二二%が出会い系サイトを利用し、そのうち四三%が相手と会っている。男女、中高校生を合わせますと、約三十四万人の子供たちが実際に異性と会っているという計算になります。警察庁の発表調査では、中高生の六七・七%が同年代の女子が見知らぬ人とセックスすることを容認し、セックスで小遣いをもらうことを四四・八%が本人の自由と答えております。
 これは、教育並びに社会のいろいろな現象の中でこのような状況にあるんだというふうに思いますが、法案の質問に入る前に、先日、リプロダクティブヘルス・ライツについて議論がありまして、これは何度もあったのですけれども、なかなか定義があいまいだったり、議論がうまくかみ合わなかったりという部分がございまして、きょうも、ちょっと冒頭に確認させていただきたいと思います。
 リプロダクティブヘルス・ライツについて、私は去年、平成十四年七月二十二日の決算行政監視委員会で質問させていただきました。そのとき、坂東政府参考人が、ヘルスについての方は合意があるけれども、リプロダクティブライツの方についてはいろいろな意見があるというふうに、極めて客観的なお答えをいただきました。
 実際、厚生白書平成七年版でも、「リプロダクティブヘルス・リプロダクティブライツの中に、出生調節その他の情報提供を受ける権利が含まれているが、出生調節といった場合に、中絶を含むのであれば、このリプロダクティブヘルス・リプロダクティブライツという用語自体受け入れられないというのが、」それぞれいろいろな世界の国の主張であったというような記述がございます。
 現在、野党の中には、刑法の堕胎罪を廃止させようという議論をしているところもあるようでございます。刑法の堕胎罪というのは、日本の場合、特別法、母体保護法があって、違法性阻却事由、不可罰性ということで、実際には罰せられない。つまり、胎児の生命権というものを認めつつ、しかも、人間の営みに対して深いまなざしを持っているというような法体系になっておりまして、私は、これは非常にすぐれた法体系ではないかと思っております。
 しかしながら、男女共同参画社会推進条例に中絶の自由などを認めることにつながる性の自己決定権規定を何らかの形で盛り込んでいるところが十八県に上っておりまして、やはり概念、議論というのが非常に混乱しているというのが現状ではないかと思います。リプロダクティブヘルス・ライツのライツの中に、中絶の問題に矮小化したというような議論がございますが、矮小化しているわけではなくて、これは非常に重要な問題だという位置づけであって、矮小化というくくり方は適切ではないというふうに考えております。
 教育現場におきましては、例えば中絶について、「思春期のためのラブ&ボディBOOK」という中学生百三十万人に配る予定で印刷したものがあるんですが、「日本では中絶することが許されている。」とか「妊娠二十二週をすぎると法律で中絶は禁止。産むしかなくなっちゃう。」というような記述がありまして、これは非常に誤解を招く不適切な記述ではないかと思っております。
 また、高校のトップシェアの教科書、三七・三%の子が使っている教科書なんですが、「やむを得ず産めない場合には母体保護法において人工妊娠中絶という方法を選択することもあるだろう。こうした選択肢は女性の基本的人権の一つとしてとらえることができる。」というような書き方がありまして、注釈のところに、いろいろ人工妊娠中絶が適用される条件が書いてあって、「しかし、女性の自己決定権という考えに基づく法律には至っていない」とか、「うむこともうまないことも主体的に選択できる自己決定権をもつことが女性の基本的人権であるとしている。このなかには人工妊娠中絶も選択肢の一つであるとする考えが盛り込まれている。」とか、ちょっと誤解を招く表現があるのではないかなと思うんですが、政府としては、このあたりをどのようにお考えでいらっしゃるんでしょうか。
米田副大臣 リプロダクティブヘルス・アンド・ライツの考え方について誤解と混乱があるのではないかというお尋ねでありました。
 しばしば、このテーマに関する議論でお答えを申し上げておりますが、改めて、政府の基本的な考え方を整理して御説明したいというふうに思っております。
 まず、リプロダクティブヘルス・アンド・ライツの考え方でありますが、これは一九九四年のカイロで開催をされました国際人口・開発会議で提唱された概念でございます。
 その中心テーマには、いつ何人子供を産むか産まないかを選ぶ自由、あるいは安全で満足のいく性生活、また安全な妊娠・出産、子供が健康に生まれ育つことなどが含まれております。そして、これらに関連をいたしまして、思春期や更年期における健康上の問題等、生涯を通じての性と生殖に関する課題が幅広く議論をされたわけであります。
 女性の生涯を通じた健康を支援するということで、我が国も、平成十二年に閣議決定された男女共同参画計画におきましても、この旨、リプロダクティブヘルス・アンド・ライツの視点を規定しておるわけでございます。したがいまして、今申し上げたとおり、ここで掲げられた課題はいずれもごく当たり前のことでありまして、自然な話なんだろうというふうに思っております。
 しかし、今御指摘のいわゆる妊娠中絶の問題でありますが、このカイロでの国際会議におきましても、あるいはこの国際会議の場以外でのさまざまな議論の舞台におきましても、いろいろな議論があったことは事実であります。
 例えばアメリカなどでは、一切が、いかなる中絶もだめである、これはもう犯罪であるというようなことを強く主張する方々もおられるわけでありますし、あるいは一方でまた、我が国のような、ある一定の条件のもとでの中絶なら可であるというふうな、こういう規定をもさらに超えて、より自由にというような議論もまた一方ではあるわけであります。
 しかしながら、我が国の基本的な姿勢、スタンスは明確であるわけでありまして、先ほど委員も御指摘になりましたけれども、我が刑法には堕胎罪がこれあり、そしてまた一方で、母体保護法におきまして例外の規定というものを設けているわけであります。すなわち、身体的、経済的な理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるものもしくは暴行等による妊娠、この二点につきまして可とする旨の規定がなされているわけでありまして、極めて限定的に規定をされているわけでございます。
 したがいまして、この議論の中でこの大原則を揺るがすような方向性がもしあるとしたら、またそういう誤解があるとしたら、これは極めてまずいことであるというふうに考えております。
 内閣府としては、いやしくも誤解を招くことのないように、男女がともに高い関心を持ち合い、そして正しい知識、情報を得て認識を深めるための政策を進めてまいりたいと思っております。
 また、何点かの教科書の記述についてのお話がございました。手元にございませんので詳細あるいはその文脈の趣旨はわかりませんが、仮に我が国の法律を逸脱するような、そういう考え方が教科書において述べられているとしたならば、それは大変な問題だろうと思います。ぜひ精査、精読をしてみたいと思っております。
山谷委員 内閣の方針が確認できたというふうに思っております。
 このリプロダクティブヘルス・ライツの中に性の自由決定権、性教育というのが含まれているわけですけれども、これも非常に現場が混乱しているようでございます。
 例えば、川崎市の市立小学校の一年生に、男女の性器の名称を児童に記入させる、これは学習指導要領を逸脱しておりますし、また、北区の区立小学校五年生、父母の性行為を詳細に説明して、授業内容を自分から親に話さないようにという念押しまでプリントでしていたということ、これは校長も心外だというふうに言っております。また、京都府の公立小学校六年生、無編集の出産ビデオを見せております。これは、実は大人に見せるための出産ビデオだったものをたまたま子供に見せているということでございます。豊中市の市立中学校の三分の一はコンドーム着装実習、これは豊中市だけではなくて、ほかの多くの市もやっていることでございます。
 こういう技術指導をしましたら十代の妊娠率が三〇%上がったというのがアメリカの調査でございまして、アメリカはむしろ、違う、モラル教育とか生命尊重教育に予算をかけ始めているんですね。ヨーロッパも、親の教育権があるということで、このような教材、それから、性教育を受けさせるか受けさせないかも親に選ばせるというようなことが行われているわけでございますが、日本の場合は、それぞれの現場の方たちが学習指導要領を逸脱してやりたいことをやり始めているというような状況がございまして、教育委員会に親たちも大変な声を寄せているという状況でございます。
 文部科学省は、この現状をどうとらえていらっしゃいますか。
田中政府参考人 学校における性教育についてのお尋ねでございますけれども、学校における性教育につきましては、人間尊重を基盤といたしまして、児童生徒の発達段階に応じて、性に関する科学的知識を理解させますとともに、これに基づきましてみずから判断する能力を身につけ、望ましい行動がとれるようにすることをねらいといたしまして、保健体育や特別活動あるいは道徳等を中心に、学校教育全体を通じて指導することとしておるわけでございます。
 この性教育の実施に当たりましては、当然、特に小学校の低学年から性教育を実施するような場合には、校長先生のリーダーシップのもとに、教職員の共通理解を確立して、保護者の理解を十分に得ながら円滑に推進していくことが非常に大切なことだろうと考えておるところでございます。
 文部科学省におきましても、性教育の効果的な指導のあり方につきまして、従来から、小中高等学校を含む地域を指定いたしまして、調査研究を行いまして、実践発表や研究協議を通じまして、その成果を公表しておるところでございまして、今後とも、適切な性教育の実施に向けて、私どもとしても努力してまいりたいと思っております。
山谷委員 しっかりした実態調査をしていただきたいというふうに思います。
 現在、平成十四年で、十代の妊娠中絶、四万六千件、六年前の八割増となっております。テネシー州のリアー郡というところが、避妊技術教育で、妊娠の中絶率が一位になってしまった。そこで、生命尊重とモラル教育に移しましたら、二年目で四十六位に下がり、三年目で六十四位に下がったというようなことがございまして、やはり性教育のあり方というのは妊娠中絶などの数と非常に密接な関係があるというふうに考えております。
 それで、今回の法でございますけれども、出会い系サイト法規制のアンケートを警察がしているはずでございます。このアンケートの中では、子供たちを罰するのはよくないのではないかとか、それから国民の意識、いろいろなことを聞いていると思うんですけれども、どのような結果になったか、お教えいただけますでしょうか。
瀬川政府参考人 この出会い系サイトの問題につきましては、昨年の十月に、有識者の方やインターネットの関係者、PTA関係者等を構成員として、少年有害環境対策研究会というものを発足させていただきまして、出会い系サイトの法的規制のあり方について検討をしていただきました。その中間の段階で、いわゆる中間検討案ということで、法的規制のあり方についての案を公表いたしまして、国民の皆さんから意見を幅広く募集したところでございます。
 その結果、警察庁のホームページで公表したわけでありますが、三万六千件を超えるアクセスがございました。また、具体的な意見としていただいたものは四百二十九件に上りました。
 その内容は、簡単に申し上げますと、全体として八〇%が、この中間検討案、今回提出をしております法案の骨子となっているものでございますが、これに賛成であるということでございました。
 特に、委員からの御質問は、児童の側からの意見はどうであったかということであろうかと思いますが、年齢等を別に明記するようにお願いしたわけではございませんが、中に、みずから中学生、高校生と明記をしたり、あるいはこれに相当する年齢を記載して提出されたものがございました。これが十九件ございました。
 そのうち肯定的な意見が十一件でございまして、その内容は、罰則がないから利用する人が後を絶たない、大きな犯罪に発展してしまうというようなものでありますとか、知り合いが出会い系サイトを使っていてとても心配だとかいうものでありました。
 また、これは児童ではありませんが、二十代の女性から、自分が児童のときに援助交際をしたということを述べられました。これが非常に自分自身の人生にとって大きなトラウマとなっているというような内容のものもございました。
 一方、否定的な意見は八件ございましたが、その多くは、援助交際目的の書き込みは罰するべきだが、メル友募集サイトを利用できなくなるのは困るとか、メル友には悩みや不満を相談できて助かっているんだ、こういうものを禁止しないでほしいというものでございました。
 私どもといたしましては、これらの意見にも十分配慮いたしまして、本法案におきましては、対象となるサイトにつきまして、異性交際というもので一つのメルクマールとして切り分けておりまして、異性交際の相手方を求めるものではない、単なる相談相手あるいはメル友、こういったものを探すためのサイトにつきましては、今回の法案の対象となる事業の定義から外したというところでございます。
山谷委員 これから議論していく中でその辺が非常に議論の中心になっていくのではないかと思いますけれども、最後に、今回の出会い系サイト法案の中での制度論として、児童に対してどのように具体的な処分が行われるか、予定されているかということをお聞かせいただきたいと思います。
瀬川政府参考人 この法律の六条では、不正誘引行為を禁止しております。すなわち、児童との性交等を伴う交際の誘引でありますとか、対償を伴う異性交際の誘引であります。これにつきましては、何人に対してもこれを禁止するということでございまして、こういった行為を行った児童についても適用となるわけでございます。
 これの罰則は十六条にございますが、百万円以下の罰金ということでございます。罰金以下の刑に当たる罪の事件につきましては、少年法四十一条の規定によりまして、検察官に送致されることなく家庭裁判所に直接送致をされるということになります。
 家庭裁判所における児童、少年の処遇につきましては、お答えする立場にはございませんけれども、少年法によりますと、少年法の規定を若干御説明させていただきますと、事件を重視した家庭裁判所は、調査官に命じて、その事件についての調査をまず行うということであります。
 その調査の結果、大きく三つの決定をするということであります。一つは、審判を開始しない、審判不開始、そこで事案は終結をするというものであります。二つ目は、審判を開始するという決定であります。それから三つ目は、児童福祉法の措置にゆだねるという決定であります。この大きく三つの決定をするということでございます。
 審判を開始したという審判開始の決定をなされた場合には、裁判所の行う処分、決定には大きく三つございまして、一つは、不処分、保護処分には付さないというものがございます。それから二つ目は、保護処分に付すということがあります。それから三つ目は、児童福祉法の措置にゆだねる、こういうことになります。
 保護処分に付すという決定がなされた場合には、これも大きく三つの対応が規定をされておりまして、保護観察所の保護観察に付する、二つ目は児童自立支援施設または児童養護施設に送致をする、三つ目は少年院に送致をする。
 このように少年法の規定では児童の処遇について定められているものと思います。
 いずれにいたしましても、家庭裁判所におきまして当該児童に対する最も適切な処遇がなされるものと私どもは理解をしております。
山谷委員 教育的配慮から、ほとんどの場合が、保護者と子供との面談という形で恐らく終わるのではないかというふうに私も考えております。
 子供には、法律で規範を示して、犯罪を防止して、もし失敗を犯したらば教育的配慮をもって生き直すチャンスを与えるというような、そのような方向性でこれから議論が進むことを期待しております。
 どうもありがとうございました。
青山委員長 馳浩さん。
馳委員 おはようございます。自民党の馳浩です。
 きょう、いわゆる出会い系サイト被害防止法案の質疑をさせていただくということで、朝、埼玉県のさる私立女子校の私の知り合いの先生に、どうかなと思って聞いてみましたら、朝七時にもかかわらずもう既に職員室におりまして、一体何事ですかと聞いたら、実は馳さん、聞いてくださいというので、こんな話がありました。
 出会い系サイトを使って、うちの生徒が、実在の他人をかたって、また、メールアドレスを次から次へと変えて、親のメールアドレスも使って、これはいわゆる誘引行為ではないんですけれども、実在の他人の悪口を次々と書き込んで大混乱が起きた。それで、非常に人間関係、不信ということで校内で大問題になったので、朝からその生徒を呼んで、停学にするか、あるいは、停学にしたところで事の本質はおさまりませんので、どのように指導したらよいのか、学校長を初め、みんなで朝からけんけんがくがくと議論をしておるということだそうであります。
 学校側としても、こういう出会い系サイトを使った、いわゆるいじめに近いような、他人をかたって、そしてメルアドもどんどん変えてしまう、こういう状況でトラブルが起きてしまうというようなことが初めてのことなので、どう対応してよいのかわからない、だからこそ、現場で子供も含めてよく話し合って対応していかなきゃいけないな、こんな状況です。馳さんも、もしきょう国会で議論をされるならば、こういうことも紹介していただきながら、当然我が校でも、いわゆる出会い系サイトを利用した誘引行為、援助交際等が数多くある、こういう実態も報告してくださいました。
 その学校では、携帯電話を学校に持っていってはいけないそうですが、八割の子供は持ってきているそうであります。決まりをつくって守っていただこうと思っても、イタチごっこのこういう携帯電話を使ったような最新的な犯罪というのは、なかなか難しいものだなと私も改めて思いました。
 この法案は、そういう意味で言えば、一定の抑止力を持つことはできるけれども、まだまだ不十分である。利用する側の児童が年齢を詐称するとか、今の報告にお出しいただいたように、他人をかたるとかどんどんメールアドレスを変えるとか、親のメールアドレスまで使ってしまって、またそれも使ったらすぐに変更してしまう。これこそイタチごっこでありまして、こういう新しい情報機器を使った犯罪に対応して、一定の抑止力はあるけれども、まだまだ不十分である。
 こういう実態を勘案しながら、今後、どのように行政側としても対応していくのか。これはだれに聞こうかな、警察庁に伺います。私の話もちょっと参考にしながら、警察庁、どうでしょう。
瀬川政府参考人 児童の間に携帯電話が非常に今普及をしているというのは委員御指摘のとおりでございまして、例えばこの携帯電話の購入につきましても、親の承諾がなければ本来できないものと承知をしておりますけれども、そこを、御質問にもありましたように、親に承諾を得ずに黙って購入をするという例も随分あるところでございます。
 この携帯電話は、いつでも、どこでも、だれにも知られないような形で利用できるということから、非常に便利なツールではありますけれども、判断力の未熟な児童にとりましては、なかなか正しい使い方というものができない。先ほど申し上げました有識者の研究会の中でも、児童に対してそういった携帯電話あるいはインターネットの正しい利用の仕方について指導するということについては、非常に難しいという御発言もあったところでございます。
 それから、今御質問の中にございました、他人をかたる、年齢を詐称できるのではないかという点でございます。
 この御審議いただいております法案では、第八条で、児童でないことの確認をするということを事業者の責務として定めているところでございます。これにつきましては、御指摘のように、年齢を詐称すれば、パスできるといいますか、効果がないのではないかという考え方もできようかと思いますが、私どもといたしましては、出来心や興味本位で利用しようとする児童にとりましては、年齢を詐称するということについては抵抗感があるというふうに考えられます。やはり一定の効果があるのではないか。
 現実に、平成十四年中に検挙されましたいわゆる出会い系サイトを利用した児童買春事件が七百八十七件ございます。これにつきまして、被害児童の年齢の記載状況を調査しております。判明いたしましたのは七百二十五件でございますが、そのうちの六百七十三件、九二・八%は自分が児童であるという旨を明確に記載しております。
 これは、一方で児童の商品化、児童の性の商品化というものを裏づけるといいますか、うかがわせるものではないかと見ておりますが、こういったことからしましても、この法の八条で予定しております年齢の確認は自主申告をさせるという考え方でございますが、これにつきましても一定の効果が期待できるのではないかと考えております。
 それから、もう一点申し上げますと、仮に児童が十八歳以上の者であるというふうに年齢を詐称して利用した場合のことを考えますと、サイト上では外形的にこれが児童であるかどうかということがわからないわけでありまして、児童買春を行おうと思っている者がいたとすれば、その者にとっては児童買春の相手方を探すのに著しく不便になるわけでありまして、インターネット異性紹介事業を利用した児童買春の被害を防止する上で効果があるものというふうに考えているところでございます。
 そのほかにも、本法では、事業者規制でありますとか、保護者を初め関係者の責務とかを規定しておりまして、こういった総合的な対策によりまして、いわゆる出会い系サイトの利用に起因した児童買春等の犯罪による児童の被害を減少させていくことができるというふうに考えております。
 インターネット社会には次から次へとまた新たな形態の問題がいろいろ出てこようかと思いますが、その発生実態に応じまして、警察といたしましてもできる限りの対処をしてまいりたいと考えているところでございます。
馳委員 今の答弁をお伺いして、大臣、一定の抑止力しか持てないというのがまさしく明らかになったわけですね。ちょっと警察庁も楽観的過ぎるなと私は指摘をしておきたいと思います。
 私としては、本法案の規制は最低限必要なものとして賛成をいたしますが、もっと青少年を有害情報から守るためにこの法案にさらなる肉づけをすべく、将来的課題として幾つかの具体的提案を行いたいと思います。
 まず、携帯電話会社やプロバイダー等、法案で言うところのインターネット異性紹介事業に必要な役務を提供する事業者に対して、出会い系サイトには児童への接続をさせない、フィルタリング規制などの法的義務を課していくべきだということであります。そもそも、第七条において児童による出会い系サイトの利用そのものを禁止しているわけですから、この利用禁止を徹底させるためには接続禁止が最も効果的だと思います。この提案に対しての認識を総務省と警察庁に伺いたいと思います。
 関連して、今提案した接続禁止義務を例えば努力義務として制度化すべきとした場合は、携帯電話会社等に課せられる第三条の児童によるインターネット異性紹介事業の利用の防止に資する責務にこの努力義務が含まれると解釈できると思いますが、いかがでしょうか。これは警察庁にお伺いいたします。
有冨政府参考人 携帯電話会社あるいはプロバイダーなどにおきまして、利用者側からの要望に基づきまして、フィルタリングによって出会い系サイトの接続を行わない、このようなサービスを提供するということにつきまして、未成年者による出会い系サイトの利用抑止をする、そして、こういったサイトを利用する未成年者が犯罪に巻き込まれないようにするということについては、先ほど議員からもいろいろありましたけれども、一定の抑止力効果はある、このように思っております。
 ただ、携帯電話会社あるいはプロバイダー等の電気通信事業について申し上げますと、これは、電気通信事業法、検閲の禁止というような法律の規定がございます。したがいまして、通信内容の適否を事前に電気通信事業者が判断して接続の可否を決めるというようなことについては、現状の法律は基本的には想定していないのであります。それからもう一つは、携帯電話会社などのいわゆる第一種電気通信事業者、これについては、電気通信事業法上は役務提供義務というものが課せられておりまして、したがって、利用者からの要望がないのに一方的に電気通信事業者の判断で接続拒否するということはなかなか難しいというのが今の仕組みでございます。
 したがいまして、この電気通信事業者に対しましてどうするかということでございますが、現段階で申し上げますと、未成年者は一律に出会い系サイトに接続させないような法的義務を課すということは基本的に難しいのではないか。しかしながら、青少年保護の観点から、利用者が選択できるようなサービスを導入していくことが望ましいのではないか、このように考えておりまして、実際に各携帯電話会社におきましては、利用者からの要望ということが前提でございますけれども、その要望に応じまして、公式サイト以外に接続させない、こういうようなサービスの導入を検討しておりまして、一部にはこの夏にもスタートしたいという意向が伝えられてきております。
 また、既に大手プロバイダーの中には、利用者からの要望に応じたフィルタリングサービスというものがございますが、フィルタリングをかけるサービスを導入しているところもあるということでございますので、私どもといたしましては、自主的な努力、業界の自主規制の取り組みというものを見守ってまいりたい、このように思っておるところでございます。
瀬川政府参考人 未成年者に対して、児童に対して一定のサービスについて接続をさせないようにするということにつきましては、今、総務省の方からも御答弁がありましたように、インターネット社会全体のあり方という問題の中で考えられるべきことかなというふうに思っているところでございます。
 本法におきましては、プロバイダーや携帯電話会社等に対しまして、今委員の御質問にありましたフィルタリングサービス等の提供につきまして、具体的に義務づけるという規定は確かに設けてはおりません。これは、プロバイダー等の中には大小さまざまな事業者が存在をするということから、これらに一様の、一律の法律上の義務を課すことは過剰な負担を強いることになるのではないかというふうに考えたところであります。
 しかしながら、御指摘のとおり、プロバイダーあるいは携帯電話会社が適切なフィルタリングシステムを開発導入し、また、顧客に対して、その内容について十分に説明をし、サービスを提供するというようなことにつきましては、この法案の三条に「児童によるインターネット異性紹介事業の利用の防止に資する」という責務の規定がございますが、これはまさにこの責務規定に沿ったものとして好ましいものというふうに考えており、そのような努力がなされることを私どもとしては期待をしているということでございます。
馳委員 今のは大事な答弁だったですね。第三条の児童によるインターネット異性紹介事業の利用の防止に資する責務に含まれる、合致すると、警察庁としては大きな期待をしておられるわけですよ。
 であるならば、こういったフィルタリングサービスなどについても、携帯電話会社だけではなく、また、先ほど総務省の方が答弁されたように大手のプロバイダーだけではなく、自主規制を行っていない中小のプロバイダーにもこういった点を広げていくべきではないのでしょうか。そういう指導を行っていくべきではないのでしょうか。自主規制を求めていくべきではないのでしょうか。これがいわゆる国や事業者としての責務、第三条に合致する、警察庁として大きな期待のあるところでありますし、法案を審議される皆さん方としても、この法案の趣旨にのっとって、技術的にできるのであるならば、そういう方向で指導していくことも一つの責務であろうと私は思います。
 この指導というものは、どうなんでしょう、表現の自由とか通信の自由を侵すようなものではないと私は思いますよ。総務省、どう答弁されますか。
有冨政府参考人 今、議員御指摘のとおりでございまして、技術的には可能である。もちろん、すべてが可能というわけではありませんけれども、今の段階でできることはやるべきであるというのが一つの基本的なことで、それをすべてのプロバイダーに対しまして求めるということについて、私どももそうしたいと思っております。
 ただ、現実問題といたしましては、今の何万もある小さいプロバイダーに対しまして個々に言えるかというと、物理的にはなかなか難しい点がございます。しかし、こういった点が望ましいという観点からいいますと、できる限り、大手だけではなくて、事業者の団体がございますが、そういったことを通じて、小規模なプロバイダーも含めて、こういったフィルタリングサービスの導入も呼びかけていきたい、このように思っておりますし、またもう一つは、利用者に対しましても、こういったサービスがある、こういう意義があるということについても、機会をとらえまして周知も図っていきたい、このように思っております。
馳委員 この法案が成立いたしましたらば、附則二条にもありますように、三年後、その成果を見て見直すわけですから、十分な成果が得られていないのであるならば、私が提案をした、児童への接続自体の法的禁止も検討課題にしていただきたいと思います。
 関連して、今答弁にもありました、例えばドコモのフィルタリングサービスについてですが、実はこれには問題があります。というのは、携帯電話の販売時には、公式サイト以外への接続を拒否する旨の申請を買い手が行わなければ、出会い系サイトを含む一般サイトへの接続が自動的に行われてしまう結果になっているはずです。これに間違いはありませんね。これではフィルタリングサービスをやっている意味はありません。この点を、監督官庁として総務省はどんな指導をしているのですか。
 あわせて、私見を言うならば、携帯電話販売時には出会い系サイトを含む一般サイトに接続できないようにしておき、販売後に申請があったもののみに、初めて公式サイトのみか一般サイトも含む接続かの選択ができるようにし、その際、あらかじめ出会い系サイトの問題点も説明させるような形にしておくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。これは、先ほどの答弁にもありましたが、技術的には可能なはずであります。一条項を設けて、申請するか申請しないかという、これを契約書に設ければいいだけの話だと思いますが、いかがでしょうか。
有冨政府参考人 NTTドコモのサービスでございますが、これは、今先生言われたとおり、初めに利用者側からの申し出があって初めて公式サイト以外のサイトへの接続を拒否するというようなサービスの内容だと承知をしております。
 ただ、これは、委員御指摘のとおり、いろいろな議論があると思いますけれども、一般的に言いますと、今、いわゆる公式サイトは三千ちょっとでございます。一般サイトは六万以上ございまして、一般的には、こういった一般サイトに接続をできないということになりますと、いわゆる一般サイトの利用についても大きく制約を与えかねない。
 御議論があるところだと思いますけれども、私どもは、現段階では、まずはNTTドコモの計画しているようなサービスがちゃんと導入されて、そして契約時に、NTTドコモとかあるいは代理店、これが、そのサービスの内容あるいは出会い系サイトの問題点、こういった点につきまして周知、説明がきちんと行われる、そういったことを通じてユーザーによる適切な選択が可能になっていく、まずはこれをきちっと期待したい、このように思っております。
 ただ、総務省といたしましては、これはいろいろなケースがあると思いますので、事業者とも必要な意思疎通を図りながら、より効果的な取り組みが展開できないか、これについては十分努力をしていきたい、このように思っているところでございます。
馳委員 大臣、今ちょっと聞いておられてわかったと思いますが、携帯電話を販売する末端の代理店がユーザーに対していろいろ指導していただくようにこれからやっていただくんです。そこを所管する役所はどこか、御存じですね。経済産業省なんですよ。
 きょう、経済産業省、私呼んでいなかったかな。呼んでいますね。
 今の議論を聞いていて、どうですか。いいですか、この法案、主に所管しているのは警察庁さんですね。通信の問題に対して、今総務省さんが非常に前向きに答弁いただきました、将来的な私の提案に対しても。末端で、販売店、代理店、経済産業省なんです。今まで議論を聞いておられて、どう思いますか。
松井政府参考人 今、委員御指摘のとおり、さまざまな問題が末端の販売店の対応でうまく解決できる可能性があることは御指摘のとおりであるというふうに思っております。
 ただ、それによりましてさまざまなサービスがすべて規制されるようなことになりますれば、電気通信に関する経済の活性化に阻害を与えるおそれもありますので、十分にこういう問題が生じないように対応すべく、末端の販売業者に対しても鋭意普及啓蒙をしていく必要がある、こういうふうに思っております。
馳委員 私は、さまざまなサービスが規制されるようにという趣旨できょう質問をしているのではありません。いいですか、法案の趣旨にのっとって、末端の代理店において販売をされるときにしっかりとした対応がされなければだめですよということを私は申し上げていて、そこの所管は、警察庁でも総務省でも文部科学省でも内閣府でもなく経済産業省なんですよということを私はあえて今申し上げたことなんですね。
 いいですか、さまざまなサービスの規制を私は求めているのではありません。極めて限定的な、少年たち、児童たちの健全な保護育成に対して必要な法の趣旨に基づいた対応が求められる現場は、経済産業省さん、あなた方の対応する代理店なんですよということを申し上げているのでありまして、その趣旨はわかっていただけると思いますね。そういうことなんです。
 次の質問に移ります。
 ここで、昨年十二月二十九日の読売新聞朝刊の社説を紹介したいと思います。この社説では、「出会い系サイトの運営者や携帯電話の販売者も、少女らがサイトを利用できないよう防止策を講じるべきだ。実情を見て見ぬふりをすることは、少女売春の幇助者と批判されても仕方がない。」と言っています。私もまさに同感でありまして、実質的な出会い系サイト関連の犯罪幇助と言わざるを得ないと思っています。
 そこで、総務省にお聞きしますが、出会い系サイト開設者や携帯電話会社等は、これにまつわる一連の犯罪について責任のない中立な立場にあり、犯罪が起こるのはあくまで利用者側に問題があると認識しているのかどうかを伺いたいと思います。どうも総務省の対応が業界寄り過ぎていて、青少年の健全育成に消極的過ぎると思うのですが、いかがでしょうか。
 また、警察庁には、先ほどの私の行政指導の提案、つまり、携帯販売時には接続できないようにしておいて、申請するときに、する、しないという、契約書にこういう一条項を入れるという話についての提案について、どういう認識を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
有冨政府参考人 出会い系サイトの開設者のほかに、携帯電話事業者等につきましても、いわゆる出会い系サイトに必要な役務を提供する事業者の一つであるというようなことでございますので、これは出会い系サイトを利用した未成年者が売春行為による被害に遭わないようにするというために可能な対応を行うことが望ましいというふうに考えておりまして、先ほど、委員言われましたように、責任がない中立の立場で、犯罪を行うのはあくまで利用者の立場だというような観点だけで取り組んでいるわけではございません。
 私どもといたしましては、青少年の健全育成の重要性というものは十分認識をしておりまして、かねてから、青少年にとりまして有害な情報のアクセスを防ぐための、先ほどから出ておりますが、フィルタリング技術というものの開発や実験も行ってきておりますし、また、昨年十月の青少年育成推進会議の申し合わせ、こういったことについても、これを踏まえて電気通信事業者や事業者団体等に対する対応も呼びかけております。これらを踏まえまして、現実には、各電気通信事業者等におきまして対応策の検討や実施を図ってきているものというふうに承知をしているところでございます。
瀬川政府参考人 委員から、大変貴重な御提案、御意見をいただいておるというふうに受けとめておりますが、私どもといたしましては、昨年の十月二十一日に、関係省庁の局長クラスでございますが、青少年育成推進会議というものがございまして、そこにおきまして、「「出会い系サイト」に係る児童買春等の被害から年少者を守るために当面講ずべき措置」ということで、申し合わせを行っております。今御質問の中にもございました、例えば広報啓発活動の推進でございますとか、あるいは事業者に対する協力要請でありますとか、もちろん取り締まりの強化、そしてまた、今御審議いただいていますことに関係しますのは、法規制の検討ということについて申し合わせをしているところでございます。
 今後とも、関係省庁、関係機関と協力をいたしまして、児童を出会い系サイトに係る犯罪被害から防止するための努力を一生懸命努めてまいりたいと思っております。
馳委員 続きまして、フィルタリングサービスと、その前提になるサイトの格付について質問をします。
 そもそも、フィルタリングサービスは、サイトの適正か不適正かの格付が適切に行われて初めて機能するもので、その格付が難しいものであります。
 そこで、格付を含むフィルタリングサービスについては、ドコモさんのように自主的取り組みもありますが、公的な取り組みも必要です。この点について、財団法人インターネット協会においてその事業が行われており、その促進のための公的支援もなされていると聞きますが、法第五条二項の規定に基づき、今後、助成等なお一層の促進を図るための措置を充実させるべきと考えますが、経済産業省の見解はいかがでしょうか。
 あわせて、学校での有害サイトに接続できないようにフィルタリングシステムを導入すべきと思っておりますが、どうなっているのでしょうか。現状では、普及率はまだ七、八割と伺っておりますが、当然一〇〇%にすべきである話であります。文部科学省にお答え願いたいと思います。
松井政府参考人 お答えいたします。
 経済産業省におきましては、平成八年度から所管の財団法人などに委託いたしまして、フィルタリングソフトの開発及び無料配布を実施してきております。本年度につきましても、インターネットにおけるコンテンツレーティング及びフィルタリングに関する調査研究事業といたしまして、財団法人インターネット協会と委託契約を締結いたしました。
 今後とも、このフィルタリングシステム事業の重要性にかんがみまして、関係省庁とも連携をとりつつ、その事業の促進のための支援を行ってまいりたいと考えております。
矢野政府参考人 学校におきまして子供たちがインターネットを利用する場合に、子供たちが有害情報を含むホームページを閲覧できないように、学校単位やあるいは教育用ネットワーク全体でフィルタリングソフトなどを用いてアクセス制御などを行うなど、さまざまな工夫がなされているところでございまして、このようなフィルタリングソフトが導入されている公立学校は、委員御指摘のように、平成十四年三月現在で、全体の約八割を超えているところでございます。
 我が省といたしましても、フィルタリングソフトの活用を含めまして、有害情報への対応方法でございますとか指導方法につきまして解説をいたしました教員用ガイドブックを作成して、各学校に配布して、学校におけるフィルタリングソフトの活用を推進しているところでございます。
 また、フィルタリングソフトの維持管理を各学校単位で行うことは一般的には非効率でございまして、教育センター等で集中的に管理することが効果的かつ効率的であると考えられるところでございます。
 このために、文部科学省といたしましては、高度教育用ネットワーク利用環境整備事業というのを実施いたしまして、教育センター等に整備するフィルタリングに必要なサーバー類でございますとか、ソフトウエアに対する補助を行っているところでございまして、私どもといたしましては、今後とも、こうした事業を通じまして学校や教育センターにおけるフィルタリングソフトの活用を一層推進することといたしているところでございます。
馳委員 矢野さん、余りよくわからなかったんですけれども、要は、予算の問題、技術的な問題ですか、一〇〇%じゃないのは、フィルタリングソフトが普及していないのは。そんなもの、パソコン、インターネットを各学校に普及させるときに一〇〇%にするのは当たり前の話ですよ。これは何でですか。
矢野政府参考人 フィルタリングソフトにつきましては、今申し上げましたように、逐次、順次整備がされているところでございますが、これにつきましては、それぞれの学校単位でやりますと財政的に非常に非効率であるわけでございますので、私どもとしては、集中管理システムでやるように努めているところでございまして、そのために必要なサーバー類等の機器について補助をいたしている、そういう形で安全対策をきちんと進めるようにいたしているところでございます。
馳委員 わかりました。
 次に、質問のテーマを変えて、本法案の違反業者への措置についてお伺いします。
 法第七条の明示伝達義務違反や第八条の児童確認義務違反のサイト開設業者には、第十条で是正命令が出せますが、そもそも、違反後はこの出会い系サイト事業ができないような閉鎖命令等を出して排除できないのか、お伺いしたいと思います。
瀬川政府参考人 この法律では、七条、八条の義務の履行を担保するために、十条で是正命令について規定をしておりますが、この是正命令につきましては、これに違反した者につきましては第十五条で「六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」というふうに規定をされているところでございます。
 違反した業者について閉鎖命令ができないのかという御質問でございますが、インターネットの世界は非常に匿名性が高い世界でございまして、閉鎖命令という制度をたとえ導入したといたしましても、閉鎖命令の対象となるサイトでありますとか、事業者の同一性の判断とかいうようなものがなかなか困難ではないだろうかというふうに思います。
 また、そもそも営業という形をとらないインターネット異性紹介事業が多いわけでございますので、閉鎖命令ということになりますと、営業許可制度がその前にあるということにもなろうかと思うんですが、こういったものについて、今、許可制という業規制方式をとれるかということについても問題がちょっとあるのではないかなというふうに思っております。
 したがいまして、この法案では、さっき御説明しましたように、是正命令に違反した者については懲役刑を含めた罰則を設けておりまして、このことによりまして七条及び八条の義務の履行を担保しようというふうに考えているところでございます。
馳委員 つまり、七条、八条違反を起こして、しばらく是正命令に従っては再度七条、八条違反を繰り返す、こうやって十五条の罰則を免れる業者が多く出てくるのではないかと思います。また、もうけのよさから、罰金を支払って堂々繰り返し違反を重ねたり、同じ業者が別の違法サイトを開設したりするかもしれません。この辺をどう警察庁として考えているのか。ここは、罰則のかさ上げも今後の検討課題ではありませんか。こういう悪質な再犯業者は強制的にそのサイトを閉鎖させ、今後は許可制にして、簡単に開設させないようにすべきではありませんか。
 あわせて、民事的閉鎖手段もどんどんやるべきだと思います。通常、プロバイダー等はサイト開設者との間で利用約款を結び、違法行為があれば契約が解除できる旨の規定があるはずです。ならば、七条、八条違反が明確であれば、利用約款に基づき契約を解除するようプロバイダー等に指導すべきと考えますが、監督官庁の総務省の見解はいかがでしょうか。ちなみに、業界としてはニフティがこういう取り組みに入っていると伺っております。それじゃ、警察の方から。
瀬川政府参考人 許可制をとるべきではないかという御質問の点につきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、これは非常に種々雑多な営業形態がございまして、無料のサイトも非常に多いということでございますので、業規制としてこれをとらえていくにはなかなか問題もあるのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
 ただ、本法案の第三条では、プロバイダーや携帯電話会社には児童によるインターネット異性紹介事業の利用の防止に資する責務というものが明示をしてございますので、今、委員の御質問にありましたような、約款に基づく措置というようなことを自主的にとられることにつきましては、この法律の考え方からしても大いに期待をされるところだと思います。
 また、罰則の引き上げについての御指摘がございましたけれども、これにつきましては、今後の本法の効果、運用の実績というものを見ながら検討してまいりたいと考えております。
有冨政府参考人 今、委員御指摘の例がありましたけれども、ニフティのような大手プロバイダーにおきましては、その契約約款におきまして、利用者側において法令に違反する情報の発信を行うというような行為があった場合、これにつきましては、警告等を行った上で、契約解除等あるいは利用の停止等、こういったことができるというような旨を盛り込んでおります。
 また、いわゆる電気通信事業者団体におきましても、モデル契約約款、こういったものを示しておりまして、今申しましたようなものと同様の条項を盛り込んで、その会員向けに採用を促しているというのが現実でございます。
 総務省におきましては、プロバイダーとサイト開設者との個別の契約につきまして、そのすべての状況を把握して指導するということはなかなか難しい点がございますけれども、明確な違法行為があった場合におきましては、約款の規定に基づく契約上の権限というものを各プロバイダーが適切に行使することが望ましい、このように考えております。
 したがいまして、総務省といたしまして、青少年の健全育成の重要性にかんがみまして、事業者団体を通じたこうした条項を含むモデル約款の周知徹底、こういったものを図りながら、適切な契約約款の採用を促してまいりたい、このように思っているところでございます。
馳委員 今の答弁も極めて重要な答弁でありまして、やはりプロバイダー等と開設者との間での、民間と民間のお約束ですから、こういったものに行政がああしろこうしろと口を挟むのもあれですが、問題が問題ですから、そういう約款をつくって、違反した人はすぐもう契約を打ち切りますよ、サイトを閉鎖しますよ、それを促すようなガイドラインをつくって、そのガイドラインを指導することは、総務省としては何ら規制とか縛りをかける意味ではありませんから、重要なポイントでありますから、その辺十分考えて対応していただきたいと思います。
 最後に、この法案の一つの痛切な問題は、法第六条を通じて、いわゆる児童、少女も犯罪者になるという問題であります。
 私は、本当にやむを得ない措置として、支持というか、認めざるを得ないと思っております。九割方が少女側からの誘引に基づく犯罪行為が起きているという実態を考えれば、法第六条に基づく児童、少女たちに対する罰則というものはやむを得ないと思っておりますが、こういう実態を踏まえて、警察庁そして文部科学省、今後どのように法に基づいて教育、普及、啓発体制を整えていくか、その点をお伺いしまして、質問を終わらせていただきます。
瀬川政府参考人 私どもといたしましては、これまでも出会い系サイトにかかわる児童買春等の被害から児童を守るために、児童はもとより、保護者、国民一般に対して広報啓発を行ってきたところでありますが、本法が成立いたしましたならば、関係省庁、関係事業者それから各団体、PTA等の協力も得まして、広く国民に対して周知徹底に努めてまいりたいと思います。
 特に、御指摘のとおり、児童自身に対して本法案の内容についてよく知らせる、理解をさせるということがこの問題については非常に重要だというふうに考えておりまして、今回の法案につきましては、学校関係者あるいはPTAからも強い要望が私どもにも寄せられております。
 これらの方々と十分協力をいたしまして、インターネット異性紹介事業を利用することが非常に危険であるということ、それから、この新しい法律によりまして不正誘引行為というものを行ってはならないことになったというようなことにつきましての児童に対する教育、啓発に特段の配意をしてまいりたいと考えております。
馳委員 これは政府としての取り組みですから、矢野局長、申しわけありませんが、大臣に答弁を最後にいただきたいと思います。
谷垣国務大臣 馳委員の御質疑をずっと拝聴させていただきまして、こういう法案をつくるのはなかなか難しいところがあるのは事実でございます。
 一つは、新しい技術ができてきて、これは大変な便益をもたらすと同時に、どんな技術もそうですが、新しい害悪を流す可能性というのもある。これに対決していこうというとき、二つ問題があると思うんですね。
 一つは、新しい技術的な問題ですから、それに対処していく技術的な処方が確立できているかどうか。警察も、今のようなときには、ネット上の犯罪と申しますか、サイバー犯罪というものには、新しい技能、技術を開発しなければならないという面もあります。それと同時に、新しく成長していく分野を抑え過ぎてもいかぬという問題が他方あるわけですね。
 それからもう一つは、今まさに議員が指摘された点でありますけれども、特にこのような問題でありますと、利用する方といいますか、本法案の場合には子供、児童ですね、児童の権利と申しますか、あるいは健全な成長というものに対してどういうふうに対応していったらいいのかという問題があります。
 私は、最終的には、犯罪の取り締まりと同時に、教育とかそういうものが充実してこなければ、我々の直接の問題は、このインターネットの利用によって凶悪な犯罪に巻き込まれる子供にどう対応していくかというのが警察を所管する国家公安委員会の基本的な責務でありますから、それには懸命にやらなければなりませんが、同時に、こういう問題に対応しながら、警察だけでできることは限りがあるなという気持ちも持たざるを得ません。
 家庭、地域社会、教育、こういうところとどう連携をとっていくかというのは、我々も全力を傾けて、もちろん警察が全部できるわけではありませんけれども、むしろ警察を所管する国家公安委員長というよりも一人の政治家として、いろいろな知恵を傾けていかなければならないのじゃないか。警察を所管する立場としても、どういうことがあり得るか、今後も、新しい技術の発展に応じて、新しい害悪にどう対決していくかという思いを込めて工夫をしなければならないな、こう思いながら、馳議員の質疑を伺った次第であります。
馳委員 ありがとうございました。
青山委員長 達増拓也さん。
達増委員 第六条でございます。この法案の核心部分の一つが、この「児童に係る誘引の規制」、第二章の第六条だと思います。これは第十六条で、第六条違反は罰金百万円ということで罰則も科せられている、そういう禁止規定なわけでありますが、幾つかわかりにくいところがありますので、質問をさせていただきます。
 児童をいろいろな相手方となるよう誘引するというのはわかるのですけれども、二号、四号、「人を児童との性交等の相手方となるように誘引する」あるいは「対償を受けることを示して、人を児童との異性交際の相手方となるように誘引する」。これは、だれがこういうことをするのかと考えた場合に、二種類あるのかと思います。
 一つは、自分、誘引する主体が児童、つまり、少女がみずから自分との性交等の相手方、異性交際の相手方となるよう人を誘引する場合。もう一つ、第三者が児童との性交等の相手方となるようだれかを誘引する。例えば、中学生で幾らでどうかとか、異性交際についても中学生で幾ら幾らでどうかと、その児童、本人以外の者が誘引する。これは、そういう二種類含まれる規定なんでしょうか。
瀬川政府参考人 御質問にありましたとおり、この二号、四号につきましては、二種類の形態がございます。
 二号につきましては、児童が大人を誘引すること、それから大人に対して児童を周旋することという形態がございます。また、四号につきましても、児童が人を誘引すること、それから人に児童をいわば周旋すること、こういう形態のものが含まれるものでございます。
達増委員 そうしてみますと、その二つのことがひとしく禁止され、またひとしく百万円以下という罰則の対象になっているのはちょっとバランスを欠いているのではないかと思うんですね。児童みずからが誘引する場合と第三者が人に児童を周旋する場合では、その悪質さが違うのではないでありましょうか。児童を周旋するということは、まさに児童の性的搾取そのものでありまして、これは児童みずからが相手方となるような誘引とはどうも質的に違うと思うのです。そのことをここでひとしく禁じ、ひとしく加罰の対象にするというのはバランスを欠いているんじゃないかという疑いを抱いてしまうんですけれども、この点いかがでしょうか。
瀬川政府参考人 リアルの世界といいますか、現実の形での単純な行為と周旋する行為ということを考えたときには御質問のようなことがあろうかというふうにも思いますが、今回、この六条で規定をしておりますのは、出会い系サイトにおいて不正誘引、児童との性交等を伴う交際の誘引や対償を伴う異性交際の誘引でございますが、こういった不正誘引がはんらんをしている、そのことにより児童の性の商品化の風潮が蔓延をしている、そのことから児童が凶悪犯罪を含む多様な犯罪の被害に結果として遭ってしまうようなことになってしまった、こういう状況に着目をいたしまして、この不正誘引を禁止しようとしたわけでございます。
 したがいまして、その不正誘引を禁止する趣旨からしますと、周旋の形であろうと、みずからの勧誘であろうと、不正誘引が児童の性の商品化を招いている、児童にとって有害かつ危険なものになっているという状況は同じように評価されるのではないだろうかというふうに考えているところでございます。
 この法律は、インターネット異性紹介事業の利用に関しまして、とにかく不正誘引をなくそう、不正誘引をしてはならないという必要最小限度のルールを定立いたします。行為者がだれであろうと、また、行為の形態がみずからの誘引であろうと、周旋であろうと、インターネットを利用する児童一般に有害で悪質な行為と不正誘引を性格づけといいますか、とらえまして、罰則をもってそれを禁止しようというものであります。
達増委員 このことはちょっと大事なのでまたこの後でも取り上げますけれども、その前に第三号についても伺っておきましょう。
 これは、「対償を供与することを示して、児童を異性交際の相手方となるように誘引すること。」という、基本的に大人の側が児童に対し対償を供与するということで児童を誘引するパターンなんですけれども、この「対償を供与することを示して、」というのを特に加えてあるわけですが、実際には、いわゆる出会い系サイトの中では、対償を供与することを示さずに誘引する、中学生希望とか高校生希望とか、そういう表示をしつつ、いざ電子メールの個別のやりとりになった段階で、そこで価格交渉、条件交渉に入っていくということが実は多いのではないか。そういったことについてはこの第三号では規制することができないというふうに理解してよろしいんでしょうか。
瀬川政府参考人 平成十四年中に検挙されました出会い系サイトに関係した児童買春事件のうち、誘引状況がどうだったかというのが判明したのは四百二十九件ございます。これを見ますと、全く一般的な書き込みがきっかけとなった事件というのは七十一件、一六%余りにすぎないという状況であります。
 こういった形態の書き込みをどう評価するかということでございますが、これは、それ自体が直ちに児童の性の商品化という風潮を蔓延しているとはなかなか言えないのではないだろうか、また、犯罪被害にこういった形態の書き込みが直ちにつながるというふうに断定することもなかなかできないのではないかということで、私どもといたしましては、今回のこの不正誘引の禁止につきましても、児童の犯罪被害を未然に防止するための必要最小限度の規制とするために、こういった単なる一般的な書き込みについては、罰則をもって禁止することはしなかったというわけでございます。
 しかし、インターネット異性紹介事業そのものを児童が利用するということは、そこからそれを、例えばいろいろな書き込みを、大人同士の書き込みも含めて、極めて露骨な書き込みがたくさんあるわけでございまして、そういったものを見るということは、児童の健全育成にそのこと自体も障害となるのではないかということで、事業者に対しまして、広告、宣伝等において児童の利用禁止を明示していただくというようなこととか、利用する者が児童でないことを確認することを義務づけるといった事業者規制を定めておりまして、こういったものと相まって児童の保護を図ろうと考えたものでございます。
達増委員 では、また二号、四号の問題に戻りまして、その中でも特に、児童がみずからとの相手方となるよう人を誘引する場合のケース、少女みずからが人を誘引するケースについてです。
 これは谷垣大臣に伺いたいと思うんですけれども、犯罪抑止等、非行と言っていいでしょう、そういうことに走る少女に対する教育あるいは保護のバランスを考えた場合に、違法化はするけれども罰則は設けないという考え方がいいのではないかということが、例えば朝日新聞の社説などに出ているわけです。
 これは、こういう誘引をする少女の心理を考えてみた場合にかなり有効な考え方ではないかというふうにも思えるわけでありまして、例えば法律が禁止していないからやるんだとか、あるいはみんながやっているからやるんだ、そういう好奇心とか仲間との競争心といったものにあおられて、ついついそういう出会い系サイトへのアクセス、そして誘引行為をしてしまう、そういう少女については、違法化ということだけでかなりの抑止効果があるんじゃないかと思われるわけです。
 あと、これは毎日新聞の社説に載っていたんですけれども、本当にもう覚悟を決めてお金を稼ぐためにやっている場合であれば、仮に罰金を科しても、その罰金分稼ぐようにまた再犯するんじゃないか、この場合だと、罰金ということがブレーキにならないのじゃないかという、これは反対側からの指摘であります。
 まず、ケース・バイ・ケースでもありましょうし、少女の心理というのを明らかにして読み切るのはなかなか難しいんですけれども、ただ、全体を大きく考えた場合に、違法ではあるけれども罰則は設けない、そういう規定の仕方があるのではないか、こういう考え方についてどう考えられますでしょうか。
谷垣国務大臣 今、達増委員の御質疑を聞いておりまして、達増委員の発想もわからなくはないと言うと大変失礼な言い方になりますが、つまり、子供を引き込む大人の方が、いわば周旋、あっせんするといいますか、そういう大人の方が悪いんで、子供の方は被害者だという、これは私も、ある意味ではよくわかる議論なんですが、そういうのが一つ伏線にあって、そして、子供には罰則を科さずに、大人にはむしろ厳罰を科すという体系ではできないか、こういう御発想だろうと思うんですね。
 それで、私自身も、この種の問題には前から関心を持っておりまして、国家公安委員長になりまして、いろいろ取り締まりの実態等も、現場で当たっている者の話も聞いたりして勉強したわけなんですが、従来、出会い系サイトのようなものについて、広報とか啓発とか、あるいは、先ほどもいろいろ御議論がありましたけれども、事業者への働きかけ、かなりいろいろなことをやってきたわけですね。
 しかし、現実には、出会い系サイトで、ここの二条に言う不正誘引というものに端を発する、単なる児童買春だけではなくて、強姦であるとか、場合によると殺人であるとか、そういうような凶悪事件が非常に多い。しかも、多くの場合が児童の方からいわば声をかけたというような構造になっているという現実がありまして、私自身も、ちょっと今手元に厳密な数字は持っておりませんけれども、そういう数字ないし実態を見たときにショックを感じたことは事実であります。
 そこで、もう一つの私どもの視点は、こういうインターネットという技術を利用して不正誘引をしていくというのは、これは大人、子供、大人だから害悪性が強い、子供だから害悪性が少ないというわけではないんだろうと思います。インターネットの匿名性ということもありますが、こういうインターネットという新しい技術を利用して不正誘引を行っていくこと自体が、子供の安全というか、健全な成長というか、そういうものに非常に害悪があるし、性の商品化というものにもあしき道筋を開いているのではないかと私は考えるに至りまして、児童に対してもきちっと規範を示す。
 そして、どうも、確かに達増さんがおっしゃるような議論も私はあり得るかと思いますが、現実の状況を見ておりますと、いろいろ自主規制をやってきたけれども、なかなか成果が上がっていないということを考えると、単なる、禁止はするけれども罰則は科さないということだけでは不十分なのではないか。実は、ここのところも私自身に迷い、ちょっと、余り答弁を長くしちゃいけませんが、迷いはあったんですが、やはりそうなると、罰則ですから、今度は少年法の世界に行く、もろに刑罰の世界ではないなというようなこともいろいろ勘案しまして、今度のような案になったということでございます。
達増委員 インターネットの本質として、個人の能力を極大化するということが言えると思うんですね。これは、たった一人の一個人で大企業を向こうに回して内部告発、インターネット掲示板で大企業を負かした例がありますし、また、ハッカーですね、アメリカ国防総省のコンピューターの中枢に入り込んでそれを壊したみたいな、テロリストが何人束になってもできないようなことを高校生ぐらいがやってしまうことができるとか。
 だから、この出会い系サイトについても、歌謡曲の歌詞風に言えば、少女が娼婦に瞬間的にインターネットの力で変わってしまう。ただ、本質的には少女は少女なんであって、そこのところ、インターネットの持つ、そういう無限の可能性と同時に無限の危険性ですね。これは、日常的に生活しているときには考えられないような、いきなり、普通に歩いていて間違ってポルノショップに入ってしまうということは日常生活では余りないんですが、インターネットの世界ではもう本当に日常茶飯事的に起こってしまう。
 そういうインターネットの危険性ということについて、これは文部科学省さんの方に伺いますけれども、学校での指導がまだ足りないんじゃないかなという気がいたします。ついつい、メーカーやプロバイダーやバラ色の側面にインターネットの話は広がっていくんですけれども、同時に、殺人とか、そういうことにさえつながっていく。
 私も、国会で田中真紀子外務大臣を批判したときに、三千通のメールが突然ばあっと来て、まだ全部あけて見ることができないでいるんですけれども、半分以上はもうほとんど暴徒化したと言ってもいいですね。もう全然理性的じゃない。ばか、死ね、議員やめろとかいうような内容で、ちなみに、公務員に対して脅迫して辞職を迫るというのは公務執行妨害で刑法上有罪になるんですけれども、そういうことを簡単にやってしまう。そういう危険性というものがインターネットにはあるわけですね。
 僕はその人を罰しようとは思わないんです。やはりインターネットの特質として、そういう、人をおかしくする危険性もある。そういうことを教育の現場でもう少しきちっと指導した方がいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
矢野政府参考人 子供たちがインターネットの利用に起因したトラブル等に巻き込まれることのないように、情報化社会に主体的に対応できる情報活用能力を育成することは大変大事だと考えているわけでございます。
 このため、学校教育におきましては、情報活用能力として、コンピューターやインターネットを的確に使う技能を習得させるとともに、情報化のいわば影の部分を理解し、それを克服するための知識や態度を身につけさせるということが大変大事であるというふうに考えているところでございます。
 このため、新しい学習指導要領に基づく、中学校の技術・家庭科という教科でございますとか、あるいは高等学校の新しい教科として情報という教科をつくりましたが、そうした教科におきましては、インターネットを活用した情報の収集、発信に当たっての問題点等について理解をさせることといたしているところでございます。
 また、教員が適切な指導を行うことができますように、出会い系サイト、有害サイトなどへの対応につきましての指導内容あるいは指導方法について解説した指導資料を作成して、各学校に配付いたしているところでございまして、私どもといたしましては、これらの取り組みを通じて、子供たちに情報化の影の部分への対応も含めた情報活用能力が身につくように、情報教育の充実に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
達増委員 本当に、ポルノショップが突然目の前にばっと出てくるとか、あるいは殺人犯が待ち構えているような、そういう危険なところが目の前にばっと出るかもしれない。インターネットは人を殺し得る。実際、そういう事件は起きているわけで、そういう危険性は、子供はもちろんですけれども、大人の側も理解し、これは政府全体もそういうことをきちんと理解した上でやっていかなきゃならないんだと思います。
 時間がないので余り立ち入りませんが、例えば、文部科学省が持っている研究者用のネットワークですね、そういうサーバーを子供用に開放して、これはインターネットじゃなく、厳密にはパソコン通信の世界ですけれども、青少年だけがパスワードを持ってそこに入れるような空間をつくって、そこで自由にチャットでも何でもというような、そういう工夫を大人の側がやるくらいのことを考えていかないと、IT社会の中での青少年健全育成というのは図れないのではないかということを指摘して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
青山委員長 小宮山洋子さん。
小宮山委員 民主党の小宮山洋子でございます。
 衆議院に参りまして最初の質問を子供をめぐることでできることは、非常に幸いだと思っております。
 本日は、一番の問題点としましては、谷垣大臣と、ぜひ、この法案の持つ基本的な考え方について質疑をさせていただきたいと思っております。
 というのは、谷垣大臣は、ユニセフのことを初め、子供をめぐる問題では最も力を尽くして取り組んでいらっしゃる国会議員のお一人だと思いますので、先ほどから、悩まれたというお話がございましたけれども、やはり、子供を処罰するということは、これまでの国際的な流れ、それにのっとって、おくればせながら日本でつくられました児童買春あるいは児童ポルノ禁止法、その中の基本的な考え方に反すると私は思っています。
 まず、国際的な流れですけれども、御承知のように、一九九六年のスウェーデンでの児童の商業的性的搾取に反対する国際会議、これは世界の政府とNGOが本当に力を合わせて開いた画期的な会議だったと思いますし、一昨年は十二月に、日本がその第二回の会議をできた、子供も参加してできたということは、非常に日本としてはよかったことだと思っています。
 そこで、一番大事な考え方としては、こうした性的な搾取については、子供は被害者であって保護をする、大人の方を処罰する、それが一番大きな考え方だと思うんですけれども、それに今回の法律は反するということではないかと思いますが、谷垣大臣のお考えを伺いたいと思います。
谷垣国務大臣 まず、小宮山委員が当選をされましたこと、お祝いを申し上げますとともに、その当選直後、この法案の質疑にお立ちいただいたこと、大変熱心なお取り組みに敬意を表したいと思っております。
 そこで、この法案の、子供を処罰の対象とするということが最近のいろいろな国際的な議論の流れにも反しているんじゃないか、子供を考える一番基本的な視点と違っているんじゃないかというお問いかけだったと思うのです。
 先ほど、達増委員の御質問にも御答弁を申し上げたところですけれども、私は、警察所管の大臣になりまして、出会い系サイトのいろいろな資料を見ましたときに、本当にショックを受けたんです。何にショックを受けたか事細かに申し上げるのは差し控えますが、出会い系サイトを利用した犯罪ですが、平成十四年度中における出会い系サイトに関係した事件の検挙件数が千七百三十一件なんですが、平成十二年の十六・六倍になってきている。二年間で十六・六倍になったわけですね。その中で、児童買春事件については、平成十四年中七百八十七件で、平成十二年の十九・七倍に二年間でなったということですね。
 こういう出会い系サイトを利用した犯罪の被害者のうち、十八歳未満の児童の占める割合が年々高くなってきておりまして、平成十二年には六九・六%だった。ところが、十三年には七七・一%になった。平成十四年には八三・九%になった。要するに、子供をえじきとするようなインターネットの利用というものが毎年毎年進んできているという現実があるなというふうに私は考えたわけであります。それで、出会い系サイトの利用から生ずる児童買春その他の犯罪から子供を保護するという対策を真剣に考えなきゃならぬというふうに私は考えたわけです。
 今委員がおっしゃったこの法案の六条と十六条で、あわせて子供を処罰するということになりますけれども、六条で言う不正誘引は、子供が行ったから罰そうというわけではありません。何人たりといえどもこういう行為をネット上で行うということは、先ほど申し上げたような児童買春だけではなくて、各種の凶悪な犯罪に子供を巻き込むおそれが高い。その意味で非常に有害といいますか、危険といいますか、そういう行為であるので、何人を問わずこれは禁止をし、処罰をしようという考え方に立っております。
 もちろん、他方で、事業者規制も置いておりまして、事業者規制を仮に徹底してやれば、あるいはこのような規制は必要でなくなるかもしれませんが、先ほど申し上げたように、一方、この持つ技術をまだ十分我々が把握し得ていないこと、それの持つ可能性を余りにも抑圧してもいけないこと等々があって、利用者規制と事業者規制のバランスというのは、実は非常に難しいところがあると思います。
 いろいろな点を勘案しながらこういうバランスにしたわけでありますが、先ほど、スウェーデン会議等の結論に反するじゃないかという小宮山さんの御意見ですけれども、今のような危険な状況がある中でこういうような措置を講ずることは、むしろ児童の最善の利益に合するものじゃないか、こういうふうに私は考えるに至ったわけであります。
 差し当たって、こういう御答弁をさせていただきます。
小宮山委員 今お答えの中にありましたけれども、児童を保護するということと児童を罰するということは、どう考えても整合性がないように私は思います。どれだけ効果があるのかということも踏まえてですけれども。
 もう一度国際的な流れの話に戻しますけれども、スウェーデン会議、横浜会議では、子供たちはあくまでも保護の対象であったということ。それから、もちろん大臣もつくるのに参加をされました児童買春、児童ポルノ禁止法、これの趣旨にもやはり反すると私は思います。
 というのは、日本では、売春、買春、両方ともバイシュンと言っていましたけれども、売春防止法だと売った側も罰せられるから、十八歳未満の子供については、子供は処罰をしない、保護をし、さらに啓発とかケアに努めて大人の方を厳罰化しようということで、わざわざ買春をカイシュンと読ませて、これは言葉の区別もしたわけですね。だから、そういう意味からしますと、やはり、子供を守るために処罰をするというのは、どうしても私は納得ができません。
 それから、子どもの権利条約にしましても、三十四条、三十五条で、これは九四年に日本も批准しておりますし、世界の各国が一番多く批准をしている国連の条約でございますけれども、これも二〇〇〇年にまた選択議定書もつくられて、日本はまだ批准をしていないと思いますが、この中でも一貫して言われているのは、子供の権利の保護なんですね。
 処罰して保護をするというのは一体何なのか。子供は被害者にならないように守るのが保護だと思いますので、それを犯罪者の予備軍として扱うと私にはどうしてもとれるのです。大臣も、先ほど迷いがあったとおっしゃいましたけれども、そのあたり、もう少し迷っていただいて、やはり変えていただかなければいけないと思うんですが、いかがでしょうか。
谷垣国務大臣 例えば、今おっしゃった児童買春法でも、あの法律は小宮山さんもよく御承知のとおり、子供が被害者であるという視点でつくられた法律であります。しかし、子供を商業的性的に搾取する行為そのものは、あの法律の思想も、何人も禁ずるという思想でできているはずであります。
 したがって、あの法律でも、そういう事例は余り考えにくいかなとも思いますけれども、仮に商業的性的に搾取する側に児童が、十二、三歳で回るかどうかわかりませんけれども、十九歳ぐらいで回ったとしますと、あの法律の体系でも処罰されるはずであります。そして同時に、あの法律で処罰された場合、もちろん少年であれば少年法の適用がありますから、すぐに一般刑法あるいは刑事訴訟法の対象というわけではありませんけれども、そういう体系になっているのではないかと思います。
 この法律も、子供だから守る、保護するという視点は必ずしも六条から見えにくいかもしれませんが、子供を守るために、こういう行為が危険であるという認識に立って、何人といえどもそういう危険な行為はしてはならない、こういう構成になっている。迷いが足らない答弁でおしかりを受けるかもしれませんが、そう考えております。
小宮山委員 私は、やはり今の御答弁では納得できません。
 そして、これまで、子供買春に関する犯罪というのは子供からの親告によって摘発されている例が多いかと思うんですけれども、今回のように子供が処罰されるとなりますと、子供からの親告がかえって減って潜ってしまう、見えにくくなってしまうということがあるのではないか。これは、百歩譲ってこれをやったとしまして、効果があるかどうかということなんですが、処罰によって効果があるとはちょっと思えません。
 先ほどから、九四%が少女側からの誘いということで盛んにそのデータが出されますけれども、これは事件となりましたものの統計で、出会い系サイトの書き込みは圧倒的に大人の男性が多いわけです。ですから、この数字をもってして、これでびっくりしたから罰則規定まで設けて、国際的流れ、日本がせっかくつくったこの法律の流れにも反して、子どもの権利条約にも反すると私はあくまで思いますけれども、それでやることの効果というのがかえってないというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
谷垣国務大臣 その点は、いわゆる児童買春に関する犯罪が行われて摘発されたという場合には、今委員がおっしゃったように、子供からの親告があった場合が随分あるんだろうと思います。しかし、今度のいわゆるインターネット上の出会い系サイトの法律が目的としている趣旨は、子供が犯罪に遭う、被害に遭って、やりましたということじゃなくて、その被害に遭ういわば前段階をとらえて未然防止を図ろうというのがこの法律の趣旨なんですね。だから、そういう抑止効果によって、この法律の六条で言う不正誘引が減って、子供が巻き込まれることが減少することを目的としているわけです。
 それで、減るのではないかということなんですが、いわゆる出会い系サイトで誘引をする場合に、私はこれは大変困った風潮だと思うんですが、自分の年齢を出して、当方何歳なんて言って誘っている例が多いわけですね。その当方何歳と言う場合に、当方二十五歳とか当方三十何歳というのは余りなくて、当方中学三年生とか当方十四歳とか言ってやっているわけです。そこに、要するに児童であることに、いわば児童の性が商品化されているという現実がここに残念ながらあるわけです。
 そこで、十何歳ということを名乗らずに、つまり、この法律のもう一つの抑止効果といいますか、これをやりますと、十何歳ということでやった場合にはいろいろな事業者規制や何かがかかってまいりますから、当方十四歳と言ってやれなくなるということがあるわけですね。そうすると、実はこの世界では、言うなれば商品価値が、大変嫌な言葉ですけれども、商品価値がなくなってくるという抑止効果もあるんじゃないかというふうに私は思うのです。
小宮山委員 スウェーデン会議以降、警察庁は非常によく取り組んできたと私は思っています。国際刑事警察機構の仕組みなどもつくって、ずっとフォローアップの会議にも私も参加しておりますけれども、警察の取り組みは本当に評価をしていいと思っています。
 ところが、その流れの中で、何で今回子供に罰則をかけるという、流れと違ったものが出てきたのか。それで使われている数字が、どうしても私は、全体の数字というよりも、そこのところに、ためにするというと言い過ぎかもしれませんけれども、一部の数字を、ショッキングな数字を並べて、もう厳罰化もやらないとだめだというふうに世論を持っていった、そうとられても仕方がない向きがあるのではないかと私自身は思っております。
 そうした中で、やはり大人に対してはしっかりと厳罰化をする方向を、例えば児童買春、児童ポルノ禁止法の見直しの中で徹底してやればいいと思いますし、子供についてはあくまでも、罰するのではなくて、さまざまな教育とか啓発、ケア、そちらの方にもっともっと力を入れるべきだと思っています。例えば児童相談所の機能を強化するとか、先ほど山谷委員からお話がございましたけれども、私は全く違った考え方を持っておりまして、人間教育としての性教育は小さいときから幾らやっても足りないというふうに思います。
 今、高校三年生で性交経験がある人が四割を超えているというデータもある中で、厳罰化したから減るかというと、そうではなくて、やはり自分の性とか、お互い、相手をどう人間的に大切にするかという教育とか、それからいろいろな相談機能とか、そちらの教育、啓発機能、子供の心身とものケア、こちらを充実させることが子供にとってはいい形で、その方が抑止効果はずっと大きいと私は思うんですけれども、いかがですか。
谷垣国務大臣 山谷さんと小宮山さんで、教育は重要だという御意見は共通だけれども、中身で若干違うのかなと思います。
 しかし、その教育の中身は、実はこれは大変議論のあるところでしょうけれども、私は国家公安委員会に参りまして、子供のこういう問題だけではなくて、あらゆる犯罪みんな共通ですけれども、いわゆる刑罰だけでできることというのは、いや、それは、そういうことで現実に被害が起こっているときは警察は断固前に出なきゃならぬというのは私の信念ですけれども、しかし、それだけでできるかというと、限界があることは、私はもうそれは痛切に感じます。
 地域社会の機能は十分なのか、家庭が十分犯罪を防ぐことに役割を果たしているのか、教育はどうなんだ、当然そういうことが、特に子供のいわば性の商品化に起因するような犯罪では問われなければならないのは当たり前だと私は思います。
 警察もやることはやらなきゃなりませんけれども、私は、教育や家庭や地域社会、こういう問題にやはり力を挙げて取り組んでいただかなきゃならぬ、それは当然のことだと思います。
小宮山委員 次に、一つ、法制度上の問題点だと思うことを伺いたいと思います。
 今回、誘引のみで処罰をすることになっておりますが、児童買春、児童ポルノ禁止法では、買春の相手方になった子供もこれは保護の対象になっているわけですね。そうなりますと、買春をしても保護の対象であって処罰はされないのに、今回、誘っただけで処罰をするというのは、法制度上整合性がないのではないでしょうか。
谷垣国務大臣 処罰の対象になっておりますけれども、先ほども生活安全局長が御説明をしましたけれども、これは家庭裁判所の扱いの対象になりまして、家庭裁判所は、先ほど申し上げたように、審判不開始、審判を開始する、あるいは児童福祉法の措置にゆだねると、三つあると思いますが、現実には、子供が、六条、十六条ですか、罪を犯した場合にはそういう経過をたどることになって、大人と同じ刑罰を受けるという流れにはなっていないのが、この法律の体系ではそうなるわけであります。
小宮山委員 何かちょっとまだよくわかりませんけれども、またこの後、議論の中で詰めていけばいいというふうに思います。
 それから、先ほどありましたけれども、やはりこういう法律をつくる以上は、十八歳未満であることをどう確認するか、そこの手法がきちんとしていないと余り意味を持たないと思うんですが、先ほどから自己申告ということがありますけれども、それで十分なんでしょうか。確認の方法をもう一度きちんと教えていただきたいと思います。
 大臣、お願いいたします。
谷垣国務大臣 これは、現状では、インターネット上で確実に相手方の本人確認をするという方法が、だれもが容易に行える形では見つからないわけですね。そうすると、現実には利用者の自主申告によらざるを得ないというのは、インターネット上の一般的な答えだろうと思います。
 この法律は、そういう現状を踏まえてやるわけですが、具体的には、そのサイト上のプロフィール欄というんでしょうか、年齢の項目を設けるなどして、利用者に年齢を入力させるということによって、児童でないことを確認する。それから、サイト上において利用者の年齢を入力させることがない場合には、あなたは十八歳以上ですかというような問いで、イエスまたはノーという回答を入力させる。それから、あらかじめ十八歳以上の者であることを確認した者にIDとかパスワードを付与して、利用の際にIDとかパスワードの入力を求めるといったような方法も考えられると思っております。
 ただ、これは第八条の規定に基づく国家公安委員会規則というものをつくりまして、そこでもう少し技術的な詰めを行って規定する予定でございます。
 それで、こういうことを言いますと、年齢詐称してしまえば、結局、そんな対面して問い合わせるわけじゃないから詐称できる場合が大部分じゃないか、そういう効果はないんじゃないかということがございますけれども、これは先ほど申し上げたような、残念ながら、子供の性を商品化するという現実があって、自分の年齢を言うということに意味があるような非常に忌まわしい現実があります。
 ですから、仮に詐称するということが、もちろん詐称することを望んでいるわけじゃありませんけれども、詐称するという御心配は、詐称する人もいるかもしれませんけれども、私はそれなりの効果は十分期待できるというふうに考えております。
小宮山委員 次に、今回のことでの通信の自由とか個人情報の保護との関連で伺いたいと思うんですけれども、総務省副大臣に伺います。
 このインターネット異性紹介事業者の定義、そのことにつきまして、どこまで対象とするのか、総務省の方でもいろいろ疑問を持たれたというふうに聞いておりまして、性交目的とか有料、無料の営利目的かを問われない友人紹介とどう区別するのかというところもあると思いますが、ガイドラインでそこを規定するというところで、警察庁とお話し合いになったと聞いていますが、総務省の方としては、この点についてはどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
加藤副大臣 小宮山委員御承知のとおり、この法律の趣旨といたしましては、出会い系サイトを利用して児童を性交等の相手となるように誘引すること等を禁止することを目的としておりますので、総務省といたしましては、こうした行為が行われているサイト以外の、いわゆる健全なサイトを運営する事業者に無用の混乱を起こさせないためには、事業者から見て個々のサービスがこの事業に当たるかどうか、わかりやすくなっていることが必要だと考えております。
 このため、警察庁では、この法律が成立した後、施行の前に、インターネット異性紹介事業の具体的な事例を示すなど、理解しやすいガイドラインを作成するということでありますので、総務省といたしましても、このガイドライン作成の検討に当たっては、警察庁と十分協議していきたいと考えております。
小宮山委員 谷垣大臣にも同じ点を伺いたいのですが、友人紹介とどこが違うのかというのは、非常にここは線引きが難しいと思うのです。事例を示されただけで、ガイドラインでそのあたりがきちっと、そういう事業の妨げにならないというようなことが可能になるとお考えですか。
谷垣国務大臣 このガイドラインでは、今、加藤副大臣もおっしゃいましたけれども、余り不明確なものをつくって取り締まりの範囲がはっきりしないようでは、ネットの利用というものも妨げるでしょうし、また、我々取り締まる方からいきましても、不明確な定義をいたしますと、後で公判でひっくり返ったりしても捜査がうまくいきませんし、きちっとしたものをつくらなきゃならない。そこで、ガイドラインをつくって、異性交際といった用語の意義については、明確なわかりやすいものをつくっていこうと思っております。
 そこで、いわゆる趣味のサイト、私は昔、学生時代、山に登っておりましたけれども、当時の山岳雑誌には交友を求むなんという欄がありまして、どういうわけか、男性から女性の登山者と文通したしなんというのが載っていたのを今思い出しますが、いわゆる趣味サイトであって異性交際を目的としないのはこの場合のインターネット異性紹介事業には該当しないというのは、これは当然のことだと思います。
 それから、いわゆる返信機能を備えていないような電子掲示板というのは、これはいわばその場で出会うことができないわけでありますから、いわゆる返信ができるという機能がなければこれに該当しないといったような内容を盛り込むことを今検討しております。
小宮山委員 総務副大臣に次の点を伺いたいんですけれども、犯罪捜査をする場合は令状をとるので通信の自由は侵さないというふうに言われておりますけれども、不審なものでなければ令状はとらないわけですから、不審なやりとりをしているかどうかというのは、やはり常にチェックをしているということになりますね。そのあたりのことと通信の自由の関係は、総務省としてはどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
加藤副大臣 委員御指摘のとおり、通信の秘密というのは、憲法または電気事業法で厳格な保護の対象とされておりますので、捜査機関が犯罪捜査において通信の秘密に該当する情報を入手しようとする際には裁判所の発付する令状が必要とされていることは、これは当たり前でありますが、インターネットといっても、御承知のように、不特定の者が受信できるようなオープンな状態でありますので、このサイトの表示内容を捜査機関が一般人と同じ立場で単に受信しているというだけでは、通信の秘密または通信の自由を害するというふうには言えないと解釈しております。
小宮山委員 ちょっと、いまいちわかりにくいと思うんですけれども、警察庁の方では、一般的に普通に見る範囲で見ていて、不審なものだと踏み込んで令状をとるところまでいくんですか。
谷垣国務大臣 現実に警察の捜査では、インターネット犯罪はこのごろはいろいろな案件が起きますので、捜査手法をいろいろ工夫しているんですが、何をやっておるかというと、サイバーパトロール、例えて言えば、いろいろな検索エンジンがございますね。用語を入れていろいろなサイトを引っ張り出すことができるわけですが、いわばああいったようなものでパトロールをしているということをやっております。
 ただ、これは今、加藤総務副大臣がおっしゃったように、いわばだれでもが見ることができる掲示板みたいなところをさあっと見て歩くわけですので、通信の秘密ということには当たらないんじゃないかというふうに私どもも思っております。
小宮山委員 その点については、またあすの参考人質疑の中でも聞かせていただこうと思います。
 先ほどもやりとりがありましたけれども、フィルタリングの方法などももっと検討されていいと思っていますし、NTTドコモの方でも、この夏には、未成年の方の出会い系サイトのアクセスを制限するために、不適切なサイトを見せたくないと判断した場合に公式メニューのみアクセス可能にする、そんな方法も検討しておいでになると聞いております。
 先ほども御答弁、政府委員の方からはありましたけれども、副大臣としては、このようなフィルタリングとか、こういうことをきちんとすることによって、子供を処罰するということはもう最後の最後というか、まだまだいろいろできることがあると思っているんですけれども、お考えを聞かせてください。
加藤副大臣 今、小宮山委員御指摘のとおり、携帯事業者ではこれからフィルタリングのサービスの導入を検討しているということでありますし、大手のプロバイダーの中には、もう既にフィルタリングサービスを導入しているところもあるわけでありますが、総務省といたしましては、こういった事業者の自主的な取り組みを見守ってまいりたい。と同時に、青少年の健全育成の重要性を十分認識した上で、このフィルタリング技術の開発や、また、昨年十月の青少年育成推進会議の申し合わせを踏まえた、電気通信事業者や事業者団体への対応の呼びかけを行ってまいりたいと考えております。
小宮山委員 そのような方法を含めて、最初から申し上げておりますように、やはり子供を処罰するというのは、国際的流れからも、日本のこれまでの取り組み方からも、私は、間違ったというか反する考え方だと思っておりますので、ぜひ、この後の審議そのほかを通じまして、本当に子供たちを守る、保護するというのはどういうことなのか、改めてきちんと議論をした上で、よりよい形になっていくことを希望したいと思います。
 同僚の肥田委員にバトンタッチをいたします。ありがとうございました。
青山委員長 肥田美代子さん。
肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。
 本委員会に付託されましたいわゆる出会い系サイト規制法案に関連いたしまして質問いたします。
 出会い系サイトを通じまして子供の買春被害が増加傾向にあることは、本当に残念でございます。本委員会を通じまして、私は、やはりすべての子供たちに、かけがえのない自分たちの命と人間としての尊厳を大切にしようと呼びかけてみたいと思います。よろしくお願いいたします。
 さて、本法案を読みますと、売春禁止法や児童買春、児童ポルノ禁止法、そういう現行法では対応できない事態が起こっている、また、フォローできない事件や犯罪がインターネットを通じて起きているということが時代背景にあると思っております。
 しかし、法案の目的が、児童買春その他の犯罪から児童を保護し、児童の健全な育成に資することになると言っておりますね。それで、家庭や保護者の責任まで盛り込むのであれば、担当が警察庁というのはちょっと変だなという感じが私はするんですけれども、この法案の主管は青少年対策全体の調整を行う内閣府ではなくて警察庁になったのはなぜか、その経緯をお話しいただきたいと思います。これは内閣府の方にお尋ねしたいと思います。
山本政府参考人 お答えいたします。
 今先生おっしゃいましたように、近年のインターネットなどの普及と利用者の拡大ということで、出会い系サイトの利用を通じて年少者が児童買春等の被害を受ける事例が急増するという傾向を受けまして、平成十四年の十月二十一日に、内閣府の次官が主宰いたします青少年育成推進会議という場におきまして、法規制についても検討を行うということとしたところでございます。
 この法規制につきましては、具体的内容が、出会い系サイト、すなわち、インターネットによる異性紹介事業というものを利用して児童を誘引する行為のような、いわば個別具体的な行為を禁止して、その違反者に刑罰を科するという内容を中心的なものとしておるということでございますので、国家公安委員会におきまして法案の内容を取りまとめて国会に提出をされたものというぐあいに理解をしているところでございます。
肥田委員 ただいまの御答弁の中に出ました平成十四年十月二十一日の青少年育成推進会議、ここで申し合わせが行われたわけでございますけれども、当日の会議に各省庁からどのようなメンバーが参加されましたか。
山本政府参考人 お答えいたします。
 この青少年育成推進会議と申しますものは、内閣府の事務次官が主宰をし、局長クラスの十七名のメンバーから成る会議でございます。昨年の十月二十一日に開催されましたこの会議におきましての出席者は、代理出席が十八名のうち十四名といったような状況でございます。
肥田委員 代理出席なんですよね。これは、各省庁が出会い系サイトについての犯罪が増加しているということに危機感を持ってお集まりになった会議ですね。そこで、それほどの代理出席がある会議というのは、私はちょっと不思議だと思うんですよ。
 ですから、当日の申し合わせでは、出会い系サイトを利用し、児童買春の被害に遭うことを防止するために各省庁が講ずべき措置として、教育活動、啓発活動、情報提供、家庭における指導監督、それから事業者の自主規制、早期発見、カウンセリングなど、まさに各省庁にまたがることがテーマになっているんですね。
 これほど重要な課題の取り組みを実効あるものにするためには、代理出席でなく、局長御自身が出席されるのが当たり前だと私は思うんですけれども、内閣府は、このことについてどういうふうな感想を持っていらっしゃいますか。
山本政府参考人 本来のメンバーが御出席いただくのが望ましいというぐあいに基本的には思っております。事前に日程もセットして御案内を申し上げるのでございますけれども、いろいろ所用もございまして、現状では代理出席が多いという状況になっております。
 代理と申しましても、その省をいわば代表して来られますので、事務上は支障がないわけでございますけれども、本来、メンバーができるだけ、可能な限り御出席いただけるように要請していきたいと思っています。
肥田委員 内閣府のもとに置かれている青少年に関する対策会議はこれ一つですよね。ちょっと念押しのために。
山本政府参考人 各省庁の会議は、この会議と、これのいわば実務的な検討をさらに行う課長会議とか、そういったもので構成されております。
肥田委員 そういたしますと、この会議、昨年は何回持たれましたでしょうか。
山本政府参考人 お答えいたします。
 昨年十月、先ほど先生御指摘の会議が一回開かれております。この会議では、先ほどの出会い系サイトの対処方針というものと、それから、各省の青少年施策をいろいろ整理して体系的にまとめております推進要綱というのをつくっておりますが、それの一部を改正するといったような内容の審議をしていただいたところでございます。
肥田委員 私が申し上げるまでもないのですが、子供たちをめぐる状況というのは大変厳しいわけです。それで、内閣府の中に、青少年の問題に対する対策の会議をつくった。それが年一回しか開かれていない。私はこれは大変問題だと思うんですね。子供たちの中にさまざまな病理現象、それから大変な問題が起きている中で、たった一回というのは私はちょっと変だなと思いますが、副大臣、どういうふうに感想を持たれますか。
米田副大臣 まず、先ほどの代理出席の問題でありますが、言うまでもなく、青少年の育成策は、幅広い分野にまたがっておりますところの国政の重要課題だという認識をしております。その意味では、関係省庁の緊密な連携体制をさらに質的にも深める意味でも、本来の構成メンバーである関係省庁の局長本人の出席、これが必要であるというふうに考えております。
 しかしながら、一方で実務上の問題、それぞれ各省庁も事情がございます。局長の皆さんもいろいろな仕事を抱えておられます。そういう中で、問題は実務的にどうかということでありますが、現状におきまして、実情として、代理出席の場合でも実務上支障はないというふうに現在は判断をしております。しかしながら、事柄の重要性からして、局長御本人の出席が望ましいということを考えております。重ねて、私からもその点は申し上げておきたいと思います。
 なお、会議の開催の回数が妥当であるのかどうか。中身の問題ではあろうかと思いますが、委員の御熱意また御関心の深さは、当然、我々も共有をしているところでございますので、御意見をしっかり受けとめさせていただいて、また内部で議論をしていきたいというふうに考えております。
肥田委員 ぜひ、そのあたり、御一考も御二考もしていただきたいと思っております。
 それで、出会い系サイトを利用する子供の急増、これは子供が自分の居場所を求めている、自分の意思表明の場をつくろうとしているというふうに私は思えるんですけれども、この法案の策定の過程におきまして、パブリックコメントを中高校生に求めたというふうに伺っております。これは私は大変いいことだったと思っております。今後、法案審議の過程におきましても、中学生、高校生と懇談、参考人として呼ぶというのは大変なことでございましょうけれども、ぜひ懇談できるような機会をおつくりいただければと思うんですね。
 子どもの権利条約の批准のときに、実は、子供たちを国会に呼びましょうという提案をしたことがあるんですが、子供たちを国会に呼ぶような先例はございませんということで断られてしまったんですが、ぜひ御一考いただきたいと思うのです。大臣、いかがでしょうか。
谷垣国務大臣 これは、行政府にいる私が国会審議をああせい、こうせいと言うのはちょっと僣越ですので、委員長にお任せをいたします。
肥田委員 ぜひ、委員長にお願い申し上げたいと思います。
 それでは、具体的な法案の内容に入らせていただきたいと思います。
 先ほど、第二条ですね、インターネット異性紹介事業について、面識のない異性交際希望者が電子メールやその他の電気通信を利用して相互に連絡できるように役務を提供する事業と定義しております。この定義は、第一条の「目的」で明示した「児童を性交等の相手方となるように誘引する行為」の紹介事業といった限定された範囲が明示されていない。そのために、極めて、異性紹介事業全体を法の網にかけられるという内容になっております。つまり、健全なメール友達とか結婚相手を探そう、そういう目的のサイトと売買春行為等不正誘引行為のサイトがごっちゃになってしまわないかというふうな印象を持ちます。先ほど、ガイドラインを作成するというふうにおっしゃいましたが、それで十分ですか。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 第一条の「目的」と二条の「定義」との関係についてまずちょっとお話がございましたが、第一条では、「この法律は、インターネット異性紹介事業を利用して児童を性交等の相手方となるように誘引する行為等を禁止するとともに、」こういうことで、児童に対して不正誘引等を行うような不正誘引行為の場となるような事業について「インターネット異性紹介事業」ということで規定をしているものでございまして、二条の定義は明確ではないかと思います。
 と申しますのは、私どもは、過去に発生いたしました出会い系サイトと言われるものに起因する各種事件をずっと実態調査いたしました。その結果、この二条にありますようなものとして定義をすれば、問題となっているサイトは全部含まれるということだったわけでございます。
 すなわち、一つは、面識のない異性との交際を希望する者を対象としてサービスを提供するということ。それから二つ目は、異性交際に関する情報をインターネット上の電子掲示板に掲載いたしまして、他の異性交際希望者の求めに応じてこれを閲覧させる、みんなに見せるということでございます。それから三つ目には、その電子掲示板に掲載した情報を閲覧した異性交際希望者が、その情報を載せている異性交際希望者と電子メールを利用して相互に連絡できる、いわば返信機能がついているというものである。そして四つ目に、有償もあり無償もありますが、これらのサービスを反復継続して、いわば業として行っていること。
 こういう四つの要件があるということでございまして、それをこの二条の「定義」として定義をさせていただいたというものでございます。
 メル友探しというようなお話もございましたが、いわゆる純粋のといいますか、それに藉口して不正誘引をしよう、児童買春の相手方を探そうというようなものは別でございますが、純粋のメル友探しあるいは趣味の相手を探す、こういったものにつきましては、面識のない異性との交際を希望する者の求めに応じるものでないということに通常なりますので、これはインターネット異性紹介事業には該当しないというふうに考えております。
 そして、御質問にありましたガイドラインでございますが、こういった趣旨、内容をわかりやすくお示しすることによって理解を各方面に求めていくこととしたいと考えております。
肥田委員 本法案の第六条四項ですが、「対償を受けることを示して、人を児童との異性交際の相手方となるように誘引すること。」を禁止しております。この場合の「誘引」は、売買春の成立に至るのかどうかわからない状況のときなんですね。つまり、やがては性交に進む危険性があるから前もって禁止しておこうということでございますけれども、予測で規制が始まりますと拡大解釈が広がっていくのではないかというおそれを私は持ちます。
 言葉による表現が苦手な子供たちがたくさんおります。その子供たちが、メールのやりとりで異性交際を行う、また、孤独感や劣等感から解放されるというプラス面もあるいはありますよね。携帯電話から利用できる出会い系サイトを子供が全く利用できなくなるという措置になると、私はちょっと危惧を持つのですが、子供たちがサイトを利用できるというプラス面の権利、これもあると思いますので、これをきちんと保障されるかどうか、その辺をお話しいただきたいと思います。
瀬川政府参考人 児童の利用につきまして、事業者規制で、インターネット異性紹介事業を利用しにくくするような措置ということで、児童は利用できませんということを明示するとか、あるいは年齢は何歳ですかということを確認するというふうにしているわけでございます。
 確かに、私どもの有識者の先生方の研究会で行われましたいわゆるパブリックコメントにおきましても、児童から、メル友の人といろいろな悩み事を話し合うことができて、それができなくなるのは困る、こういう意見がございました。
 私どもがこの法律で児童の利用を禁止したいと考えておりますのは、異性交際を希望する者の求めに応じて異性交際の相手方を探しやすくするようなサイトということでありまして、子供たちが悩み事やその他もろもろのことを相談する相手を探したり自分の居場所を求めたりするような、健全な形でのサイトについてまでこの法律で児童の利用を規制しようとするものではございません。
肥田委員 それから、子供への処罰についてなんですけれども、少年法の適用で、鑑別所における観護措置とか少年院送致とか、そういう身体的拘束を伴う不利益処分はあり得ると考えていいんですね。
瀬川政府参考人 この法律に違反する行為というのは、刑罰としての罰金刑が定めてあるわけでございまして、一応刑罰の適用がございますので、身体的な拘束を伴うことは法的にはあり得るということだろうと思います。
 ただ、先ほど来の御審議の過程でも出ておりますように、少年につきましては、少年法の四十一条という規定がございまして、これは、罰金刑以下の犯罪を犯した少年につきましては、検察官に送致されることなく家庭裁判所に送られるという取り扱いになっているものでございまして、身体的拘束を伴うというのは、警察の取り扱いとしては非常に例外的だと。
 もともと、少年の事件につきましては、できるだけ任意捜査で、身体的拘束をできるだけせずに警察捜査を行うというのが、これは犯罪捜査規範でも明確に定められております私どもの少年事件捜査の原則でございますので、法的には身体的拘束ということはあり得るということではございますけれども、極めて特殊な場合であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
肥田委員 第三章で、インターネット異性紹介事業者は、利用者が児童でないことを確認する義務を負うことになりますけれども、具体的な確認方法は国家公安委員会規則で定める、また、広告や宣伝に当たっても、児童が利用してはならないというふうなことを明示すると。
 その国家公安委員会規則ですけれども、これに盛り込まれる内容というのは、もうおおよそ決まっておるわけですか。
瀬川政府参考人 国家公安委員会規則で定める内容につきましては、現在、検討中でございます。
 今考えております内容でございますが、例えば七条の関係の広告、宣伝でございますけれども、これは、広告または宣伝を、文字、図形、記号、あるいはそれらを結合したような形で行うという場合に、十八歳未満の者がインターネット異性紹介事業を利用してはならない旨の文言を見やすいように表示してもらうことを内容として決めたいと思いますし、それから、七条の二項の児童が利用してはならない旨の文言でございますが、これも公衆が見やすいように表示してもらうということを考えております。
 それから、八条の規則でございますけれども、これは年齢確認の方でございますが、サイト上のプロフィール欄に年齢の項目を設けて利用者に年齢を入力させるというようなことにする場合、例えば、十八歳未満の年齢を入力した場合には以後のサービスが利用できないようになっていなければいけないとか、そういった内容のことを決めたいというふうに思っております。
 それから、八条のただし書きにつきましても、国家公安委員会規則で定めることとしておりますけれども、これは会員制をしっかりしいて本人確認をあらかじめしているものについてのただし書きの例でございますが、その場合の会員資格は十八歳以上の者に限定されていなければいけないとか、それから、クレジットカードや銀行口座の情報を登録するということでしっかり本人確認をしてもらわなければいけない、そういった内容を国家公安委員会規則で定めることになろうというふうに今検討しておるところでございます。
肥田委員 文科省に伺いたいと思います。
 出会い系サイトにかかわる犯罪に巻き込まれるのは、文科省の影響下にある子供たちでございます。その子供たちを今、私が見る限り、この法案を通じて警察庁に預けようとしていらっしゃる、そういうふうに感じるわけです。警察庁にお願いする前に、学校教育を通じて、出会い系サイトの問題点とか買春の根絶や性に関する知識などの教育プログラム、こういうものを開発して子供たちを教育することの方がさらに大切だと思うんですけれども、出会い系サイトにかかわる犯罪の急増にかんがみまして、文部科学省は学校現場でどのように指導すべきだと考えておられますか。
田中政府参考人 インターネット上の出会い系サイトの利用を通じて、子供たちがまさに児童買春等の被害を受ける事例が急増しておるところでございまして、私どもといたしましても、出会い系サイトに関して教育上の取り組みをしていかなければならないと考えておるところでございます。
 まず第一点といたしましては、子供や保護者などに対しまして、出会い系サイトの問題性や注意すべき事項などについて指導や啓発を行うことが必要であろう、まさに広報啓発活動の充実ということがあろうと思っております。
 それから二つ目には、性的な関係を持つことによって金銭を得ることは法律で禁じられている売春にほかならない、人間として恥ずべき行為であること、これを子供たちにしっかりと認識させるなど、規範意識の向上に向けた指導の一層の充実、性教育の充実をしていくことが大切であろうと思っております。
 それと同時に、子供が情報社会の中で必要な情報を選択し、性の問題も含め、望ましい行動をとることができるように、情報活用能力の育成、情報モラルの育成を学校教育で充実していくことも重要だろうというふうに考えておるところでございます。
肥田委員 厚労省にも同じようにお尋ねしたいのです。
 確かに、厚労省への期待も大きいわけですよね。ですから、いろいろな具体的なことがあると思いますけれども、私は、この法律の推進省庁の一つである厚労省がどんなにこれから活躍をしてくださるかというのが結果への大きな示唆になると思いますので、お願いいたします。
岩田政府参考人 この法律の施行に関連いたしまして、厚生労働省の役割は二つあるというふうに考えております。一つは、予防、防止の面でございます。もう一つは、不幸にして被害に遭った子供たちの保護、自立の支援の面であるというふうに思っております。
 まず、予防の面でございますけれども、子供が日ごろから、性について正しい知識としっかりした考え方を持って自分の心や体を大切にするといったようなことについても、発達の段階に応じて性に関する指導を行うということが大事かというふうに思っております。
 ことしの三月に少子化対策推進関係閣僚会議で、次世代育成支援に関する当面の取り組み方針を決定したわけですけれども、その中にも、思春期の課題として、性に関する健全な意識の涵養と正しい理解の普及を図るということを盛り込んだところでございます。
 厚生労働省といたしましては、これに基づきまして、子供の発達に応じて保健や医療関係者あるいは保護者が子供に指導、援助ができるような学習の教材を今開発いたしておりますし、また、思春期の子供を対象とした性に関する相談や援助について地方公共団体が先駆的、モデル的な事業を実施されるときに、それに対して助成をするということもいたすことといたしております。
 また、二十一世紀の初頭の十年間の母子保健分野についての国民運動計画、健やか親子21と言っておりますけれども、この中でも思春期の保健対策の強化と健康教育の推進を主要な課題といたしておりまして、文部科学省とともに、地方公共団体や関係の団体と連携しながら取り組んでまいっているところでございます。
 児童買春の被害に遭った子供の保護についてですけれども、子供自身や家族や関係機関からそういった相談とか通告が児童相談所にありました場合には、児童相談所において、まず、子供の心身の状態がどうであるか、家族環境や生活環境がどうであるかといったようなことを総合的に調査して判定を行い、その結果、さまざまな個別のケースごとに応じた対応をしております。
 例えば、児童相談所などに通ってもらいながら継続的なカウンセリングを子供に実施するケースや、緊急的な保護を必要とする場合には児童相談所の一時保護所で一時保護をするケースや、総合的な判断の結果、児童の生活全体の立て直しが必要であるというふうに判断した場合には、児童養護施設、児童自立支援施設などに入所していただき、そこで保護や指導をするケース、そして、心身の状態が治療を必要とするようなケースもございます。そういったときには医療機関をあっせんするというように、個別具体的な対応をいたしております。
 今後とも、警察ともよく連携をとりながら、児童相談所などが中心になりまして、被害を受けた子供の保護、自立支援について取り組んでまいりたいと思います。
肥田委員 もうこれで最後の質問にさせていただきたいんですが、こうやって各省庁に伺いますと、しっかりとそれぞれの施策があるわけですね。ところが、今回の場合でも、結局は子供たちが一番最後に来るところ、警察庁がこの法律をつくらなきゃいけない。ここに来るまでにいろいろな手はずがあったはずなのに、子供たちはすとんと警察庁の手の中に落ちていくことになる。なぜか、私は、やはり日本というこの国の中に子供たちを本当に考えて責任を持つ省庁がないからだと思うんですよ。
 ですから、ぜひ私は、青少年総合対策局というようなものをつくっていただきたいと思います。男女共同参画局があるように、きちっとしたそういうものをつくっていただくために、青少年基本法のようなものも必要です。基本法をつくるということは青少年問題審議会の答申で既に平成十一年に提言されているんです。私は、青少年をめぐる基本法を制定し、きちっとした部署をつくっていただくことが先決ではないかと考えています。副大臣に前向きな御答弁でよろしくお願いします。
米田副大臣 まず、男女共同参画局のように、重要な施策であるからして青少年施策強化のための専門の部署を設けよというお尋ねであります。
 御案内のとおり、平成十三年一月の中央省庁等の改革以前は、総務庁の青少年対策本部におきまして、青少年行政の総合的な施策の推進を担っておりました。
 中央省庁等の改革によりまして、行政を分担管理する各省より一段高い立場から、内閣の重要政策に関する企画立案、総合調整の機能を担うということで内閣府が設置されたわけであります。
 その際に、青少年行政の重要性にかんがみて、青少年の健全育成に関する企画立案及び総合調整等も内閣府が所掌する、こういう流れでございますので、委員御指摘のように、専門の局はございませんけれども、この企画立案及び総合調整の事務は局長級の政策統括官が担当をしておりますし、専門の局は設けられておらないけれども、施策の重要性を十二分に認識した上での政府の体制になっているというふうに考えております。
 また、もう一点の基本法の問題でございますけれども、これは、平成十一年の青少年問題審議会の答申におきまして、政府全体で総合的にこの施策を推進する必要がある、こういう観点から、仮称でありますが、青少年プランを策定すべきであるというふうにされております。そしてもう一点は、国民挙げての幅広い取り組みを総合的に推進していくべきである、こういうことから、これまた仮称でありますが、青少年育成基本法、この制定に向けて検討すべきとされまして、また、その上での各方面における具体的な検討が進められることを強く期待する、こういうふうになっております。
 これを受けまして、内閣府としましても、とにかく我が国社会は今大変な変革期にございますので、その中での青少年育成のあり方を基本から見直した上で、中長期を見据えた骨太のビジョンを示していきたい、こういうことから、本年夏ごろまでに、青少年プラン、これまた仮称でありますが、策定することとしております。
 そこで、お尋ねの、青少年の育成に関する基本的な法律につきましては、やはりこれは政府だけでなく、さまざまな御意見がございますので、やはり国を挙げての国民的な合意の形成というものをつくっていく努力も必要だろうというふうに考えておるわけであります。
 そういう意味におきましても、ぜひとも立法府におかれても大いに議論をしていただき、深めていただき、その点を踏まえながら、政府としては各方面での検討状況を見守りながら、必要な検討を政府としても行っていきたい、これが基本的な考え方であります。
 以上です。
肥田委員 ありがとうございました。
 時間が超過しました、恐縮でございます。終わります。
青山委員長 石井郁子さん。
石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 提出の法案について、幾つかのことを質問させていただきます。
 インターネットを利用した犯罪、特に深刻な社会問題となっている児童買春については、児童の権利の保護という観点から、出会い系サイトを含めて、インターネットに何らかの形での規制というのはやはり考えられるのではないかというふうに私も思っているところでございます。
 そこで、まず、この法律の目的について、これは第一条に書かれているわけでございますが、「インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童買春その他の犯罪から児童を保護し、」とあるわけでして、この「保護し、」という言葉ですね。この法律は児童を保護するための法律であるというふうに認識していいでしょうか。これは大臣に御答弁いただきたいと思います。
谷垣国務大臣 石井委員がおっしゃいますように、読んで字のごとく、第一条に目的が書いてあるわけでございまして、児童を保護するための法律であるという御認識、私、それでよろしいのではないかと思います。
 それで、その背景は、先ほどお触れになりましたように、出会い系サイト等に起因する児童買春のみならず、そのほかの凶悪な犯罪に子供たちが巻き込まれていく事例が数多く発生しているという現実に対処しなければならない、こういうことでこの法律をつくったわけであります。
石井(郁)委員 ここでは児童買春ということが主たる問題になっておりますので、そのことで尋ねていきたいわけでございますけれども、大臣もかかわりになられた児童買春の禁止法でございますよね、これとのかかわりをやはりどうしても私はただしておきたいと思っているわけであります。
 この児童買春禁止法のときにも、国会審議でこの辺は大変議論になったかと思うんですけれども、大体大方の基本認識では、脱法行為や捜査当局の乱用行為で、子供たちを性的搾取、性的虐待する行為があってはならないということ、子供たちを犯罪者のように取り締まらないようにすることということがあったかと思うのです。
 ですから、私どもは、児童買春禁止法では、児童は保護される対象として、特に子供の人権擁護という点ではきちんと明記をされていたと思うんですが、この法律では、今、保護するという目的のとおりだとおっしゃったわけでございます。しかし、児童は一方で処罰の対象となるという問題なんですよね。こういうことはなぜなのかという問題。
 つまり、なぜこの法律で、同じ買春を問題にしながら処罰の対象にしたのかということを、保護との関係できちんとお答えいただきたい。
谷垣国務大臣 まず、現実の認識、今まで、きょうの審議でも御答弁申し上げたわけですけれども、出会い系サイトで、いわゆる法律六条で言う不正誘引が行われて、それがはんらんしている。そして、それをきっかけといいますか、児童の性の商品化の風潮が蔓延している。そして、こういう不正誘引行為は、大人の側からだけじゃなくて子供の側からも行われているのが実態で、結果として子供が、もちろん児童買春ということもありますけれども、児童買春だけではない、強姦であるとかあるいは殺人であるとか、凶悪犯罪を含むいろいろな犯罪の被害に遭っているという現実があるわけです。
 平成十四年に検挙された出会い系サイトを利用した児童買春事件、七百八十七件検挙したんですが、その検挙されたうち、出会い系サイトを利用したものが七百八十七件なんですが、このうち、どういう誘引であったかというのを判明したのが四百二十九件あるんですね。その四百二十九件のうち、子供の方から誘ったのが三百九十三件、九一・六%あったという現実。それにどう対処するかということが基本にございます。
 それからもう一つは、児童買春法の、子供を保護する対象だというのと矛盾があるんじゃないかという問題意識をお持ちなんだろうと思いますが、本法六条で禁止している不正誘引行為というのは、子供であろうと大人であろうとこういうことはしてはいかぬという最小限のいわばルールをつくろう、こういうことでやっておりまして、それは、先ほども御答弁申し上げたことでありますが、児童買春法の場合に、子供を商業的に性的に搾取することは、これはだれであってもやっちゃいかぬというのと、精神は共通だろうと私は思います。
石井(郁)委員 今引用になられましたデータですが、先ほどもちょっとその辺が議論になったかと思うのです。
 確かに現象的には、子供の方がアクセスして、子供の方から書き込みをしてそういう行為にいっているというふうにとられることもあると思うのです。しかし、問題は、児童買春ということの行為というか現象というのが、きょうも議論されていますように、性の商品化という憂うべき状況がずっと長年、日本社会で深刻になってきている、むしばんでいるということだと思うんですが、なぜそういう性の商品化ということがこれほどまでに広がるかといえば、やはりそういうことを何か商品にする、まさに買い手の側の、まさに大人の側の問題が一番問われなければいけないことなんですよね。
 だから、そこのところと、いや、子供の方がアクセスするんだ、子供の方も一緒なんだということでいうと、私は、やはり問題の本質を見誤ることになるのではないかということで、児童買春禁止法ではその辺がきちんとされていたんじゃないかという認識を持っているわけであります。
 そこで、ちょっと具体的に伺いますが、出会い系サイトの買春行為にかかわる書き込みがされて、実際に買春行為が行われたという場合、現行の児童買春禁止法では、その買春した大人は処罰されると思うんですね。しかし、書き込みを放置していたサイトの事業者、これは規制の対象にはなるのでしょうか。また、これまでサイトの事業者が検挙された事例というのはあったのかどうか、ちょっとお知らせください。
瀬川政府参考人 児童買春、児童ポルノ禁止法におきましては、不特定の相手方に対し誘引等を行うことを処罰する規定がございません。したがって、児童買春に関する書き込みをさせた出会い系サイト事業者を児童買春、児童ポルノ禁止法違反として処罰するためには、相手方を特定した児童買春にかかわる書き込みがあって、事業者がこれを放置した行為があって、その放置した行為がいわば不作為による幇助として法的に評価をされるという場合が当たるのかというふうに思われますが、これは現実としては極めてまれな例しか想定することができません。
 現実にこういう例もございますので、何とかしなければいけないということで、警察といたしましては、今まで、このような例を児童買春の幇助犯として検挙した事例が実は一件ございますが、残念ながら起訴はされませんでした。
石井(郁)委員 私は、やはりそのサイトの開設者というか事業者への対策、ここが本当にどう行われてきたのか、また行う道はないのかということが第一義的にきちんと議論されなきゃいけないというふうに思うのです。
 この問題は、表現の自由とか通信の秘密とかいろいろな問題にかかわると思いますけれども、私は、基本的には、本当は事業者の自主規制というか、こういうことがもっと社会的に進まなければいけない、そういう意味での買春を防止する環境づくりというのが本当に大人社会の責任だというふうに思うわけです。その辺が本当にちゃんとどこまで行われたんだろうか、あるいは研究されたんだろうか、出会い系サイトという新しいこういうことにつきましてもそういう研究が必要だと思うんですね。
 それはまだ余地があるんじゃないかというふうに考えていまして、その道として、ことしは児童買春禁止法の見直しの年でもありますので、この児童買春禁止法においてサイト事業者の責任と義務ということが検討されたのかどうか、あるいはされることがあったのかどうかという問題です。そこがあれば、今私たちが問題にしている児童買春から児童を保護できる、処罰か保護かという対立じゃなくて、子供をちゃんと保護しつつ、サイト事業者の責任と義務、あるいはその規制ということが一定できるのではないかというふうに考えられます。そうすれば、この法案でのそういう意味での利用者処罰というのは必要ないのではないかと思いまして、これは大臣、いかがでございましょうか。
瀬川政府参考人 児童買春禁止法の改正で対応してはいかがかという御質問かと思いますが、検討の結果、幾つか難しい点があるのではないかというふうに私どもは考えたところでございます。
 まず、出会い系サイトにおいては、児童買春、要するに対象とその性交等とが両方備わっているものでございますが、そういった誘引だけではなくて、児童を対象とした性交等のみの誘引でありますとか、あるいは金銭等のみを示した児童との交際の誘引、お金を上げるからデートをしてくれというようなものでありますけれども、そういったものが多いということで、必ずしも児童買春の誘引とは言えないものが非常に多い。しかも、そういったものをきっかけとして児童買春等の犯罪の被害が発生をしているということでございます。
 それから二つ目には、出会い系サイトでは、不正誘引以外にも大人同士の性交等の誘引等、児童の性と言わず、いわゆる性の商品化といった風潮を助長するような誘引も多数見られるところでございまして、こういった誘引は児童の目に触れるということだけで児童の健全な育成に障害を及ぼすのではないかというふうに考えているところでございます。
 さらに、出会い系サイトに関係した児童の犯罪被害について言いますと、児童買春のみならず、先ほど来大臣からも答弁申し上げていますように、強姦でありますとか強制わいせつでありますとか、児童買春以外の凶悪な犯罪も非常に多発している、こういう状況でございます。
 したがいまして、児童買春、児童ポルノ禁止法の改正で対処するとした場合に、この出会い系サイトを利用した児童に対する犯罪被害ということを全体として考えたときには、なかなか十分な対応は難しいのではないかというふうに考えたところでございます。
 したがいまして、児童がこれら各種の犯罪被害に遭うことを防止するため、実効性のある措置ということで、出会い系サイトの利用者による不正誘引を禁止し、それから、事業者に対して児童の犯罪被害の温床となっている出会い系サイトそのものを利用させないような措置を義務づける、そしてまた、国、地方公共団体それから保護者の責務を定めるということによりまして、いわば総合的に出会い系サイトの利用による児童の犯罪被害を防止することが必要であると考えたところ、御提案申し上げているような法案となったところでございます。
石井(郁)委員 児童買春禁止法との関係につきましては、恐らく今後もいろいろと議論しなければいけないものだ、あるいはそういう内容を含んでいるというふうに思いますので、きょうはここまでにしますが、児童買春禁止法の第一条はこのようにありました。児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、行為により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定め、児童の権利の擁護に資するということだったと思うんですね。これは憲法の基本的人権や、また国際人権規約、また子どもの権利条約の流れからもというか、そこにつながる大事な考え方だというふうに私たちは理解をしています。
 提出のこの法律案がその点で子供を処罰の対象とするということにしている点で、児童買春禁止法の大事な骨格をも崩しかねないのではないか、そこと極めて矛盾するのではないかということを重ねて指摘して、次の質問に移ります。
 また第一条に戻りますけれども、第一条は、「インターネット異性紹介事業の利用に起因する」犯罪ということになっていまして、この「起因する」ということをどう理解したらいいのかということなんですね。
 例を挙げますと、サイトで知り合った主婦を殺害した少年が逮捕されたと。これは毎日新聞、二〇〇一年の四月二十四日にございましたが、こういう事件。これは、少年は十八歳だというふうに出ていましたけれども、だから、出会い系サイトがきっかけで交際をしましたが、それは確かですけれども、殺人の動機とか殺人に至ったというのは別のいろいろな要因なわけですよね。つまり、別れ話がもつれてしまっただとかいろいろあるようですけれども、だから、こういうケースがサイトの利用だというふうに言えるのかどうかという問題なんです。いかがでしょうか。ちょっと大臣に。
谷垣国務大臣 これは、目的規定はどういう趣旨でつくるのかというのを明確にするためにつくったわけでありますが、現実に今委員がおっしゃったことは、例えば殺人罪なりそういう具体的な犯罪になってまいりますね。この法律で何を犯罪にするかというのは、六条と十六条ですか、要するに、これを使って不正誘引をした者を処罰するというのは、百万円以下の罰金というのはこの法律で決めている犯罪の構成要件でありますから、今おっしゃったようなそれに起因して殺人が起こったというような場合は、また別個殺人罪で扱えるかどうかという問題になるのだと思います。
石井(郁)委員 しかし、ここに法文上「起因する」ということがありますので、何か、いろいろ何でもここにつながっていくんじゃないかということがちょっと考えられましたので、お尋ねしたわけですが、それは置いておきます。
 そこで、次の問題なんですが、二〇〇一年に風俗営業法、風営法が改正されました。それで、テレクラ規制というのがあったと思うのですが、このときは、そのテレクラは、「専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際を希望する者に対し、会話の機会を提供することにより異性を紹介する営業」というふうにかなり限定されていたと思うのです。つまり、規制の目的そして範囲というのは一定決まっていたと思いますが、どうも今回の出会い系サイトの規制というのは網が広いと思われてならないわけであります。
 つまり、児童買春その他の犯罪からの保護というふうにあるということで、「その他の犯罪」ということで警察庁が挙げたのは、買春もありますが、売春といった性犯罪にとどまらず、殺人、強盗、傷害、恐喝、詐欺など非常に広範囲にわたっているわけでしょう。だから、あらゆる種類の犯罪の原因にどうも出会い系サイトが結びつけられるのじゃないのかということが一つですね。
 そして、現法案で十八歳未満の児童は出会い系サイトの利用が原則できないとまでされている問題ですね。
 そして、児童同士の異性紹介。先ほどもちょっと議論になっていましたけれども、紹介というか、出会いということで、広くというか、不正誘引に当たらないそういう出会いは認められるという話が先ほどあったと思うのですけれども、しかし、異性交遊は、異性紹介は禁止というふうにあるんですよ。これがどうも異様に見えてならないんです。つまり、異性のメル友づくりというのは一切禁止になるのか。先ほどもメル友づくりの話がありましたけれども、そこまでいくと、これは行き過ぎになりはしないか。だって、例えば思春期の時代というのは専ら異性を求めるわけだから、それが異性だからといって禁止されるというのは、ちょっと網が広過ぎやしないかという問題なんです。
 そこで、警察庁にお尋ねしたいのは、異性メル友づくりということも十八歳未満の禁止ということに入るのでしょうか。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 まず、専ら面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際を扱うサイトについての規制ということを考えるべきじゃないかという御趣旨のお話があったかと思いますけれども、これは、実際に発生しました、例えば出会い系サイトを利用した児童買春事件のうち、実際に使ったサイトの構造が判明したものを分析した結果、児童買春事件の半数以上、五二%がこういった性的要素を特に強調していないサイトで発生をしているという事実がございます。一時の性的好奇心を満たすための交際を扱うサイトというふうに対象のサイトを限定した場合には、児童買春事件の被害から児童を保護するということすら十分にはできないのではないかというふうに考えているところでございます。
 それから、児童の異性交際でございますが、私どもとしましては、こういった実際に児童が出会い系サイトに絡んで犯罪の被害に遭っている状況につきましていろいろ調査しました結果、そのポイントは、やはり異性交際を希望する者の求めに応じてサービスを提供するというサイトで、二条に定義しているようなサイトでございますけれども、こういうもので発生をしているということで、それを対象とした児童の利用防止措置等の規制を定めたところでございます。
 そういう意味では、児童につきまして、異性紹介、インターネット異性紹介事業を利用したい児童がいても、結局利用できないのかというお尋ねであれば、そういうことになりますということでございますが、私どもとしましては、専ら異性交際を求めるという形ではなくて、ぜひ健全な形でのメル友なり相談相手なりをインターネットの中で求めていくということについては、何ら本法律でも規制されるものではございませんので、そういった形でインターネットを健全に利用していただくことが望ましいのではないかというふうに考えているところでございます。
石井(郁)委員 もう時間が参りまして、総務省にもおいでいただいたのですが、通信の秘密関係でお尋ねしたかったのですが、どうも申しわけありません。時間になりましたので、以上で終わります。
青山委員長 保坂展人さん。
保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。
 谷垣大臣にまず冒頭伺いたいのですけれども、今、この出会い系サイトにおける子供が犠牲になる犯罪ということが主なテーマとなっていますけれども、大臣の周りに、出会い系サイトあるいはインターネットなどでよき相手を見つけて、結婚して幸せになっているという方はいらっしゃいますか。
谷垣国務大臣 私は直接面識があるわけではありませんけれども、出会い系サイトと言っていいのか、何かそういうネット上のあれで知り合って結婚したという、ああ、あの人がそうかという方はおられます。
保坂(展)委員 私の周りにも、古くは十年ぐらい前ですか、パソコン通信で知り合ってというのを聞いて、そんなことでよく結婚に至ったな、率直に言って、そういう感じを抱いたんですね。
 きのう、質問の準備で、事務所でいろいろ話をしていたら、若いスタッフから、いっぱいいますよ、今、出会い系サイトで結婚する人はという話で、あの人もそうだし、あの先輩もとか、そういう話になって、なかなかこれは世の中に普及をしているんだなと思いました。
 そういうことに対する違和感というのはございますか、大臣の方は。
谷垣国務大臣 今、保坂さんがおっしゃったように、えっ、本当というのが最初の感じで、よくそういうところで知り合って、まさに委員がおっしゃったとおりです、最初思ったのは、よく結婚までしたものだなと。だけれども、聞きますと、そういうところで出会いがあってから、まじめな交際と言うと変な言い方ですけれども、十分いろいろなおつき合いがあって結婚されたようですので、たまたま一つのきっかけだったのかな、こういうふうに思うわけです。
保坂(展)委員 さらにこの辺は深めていきたいと思いますけれども。
 ちょっと警察庁の方に伺うのですが、こういった子供に性的被害を与える犯罪のリストを見ていますと、公務員の方が結構目につく。ざっと見ても、かなり、ちょっと読み上げるのが大変なぐらいにあるんですよ。
 これは二〇〇二年の八月ですが、新潟で女子高生と援助交際の市職員を逮捕とか、大阪でも車内で淫行の市職員逮捕とか、茨城で十五歳の少女にわいせつ行為の自衛官逮捕とか、時間がなくなるのでこれは全部読みませんけれども、どういう傾向がありますか。
瀬川政府参考人 公務員による児童買春事件の検挙の特徴というお尋ねでございましょうか。特に公務員による児童買春事件にこれといった特徴を挙げられるようなものはございませんが、非常に多岐な職種にわたっているということはあろうかというふうに思います。
保坂(展)委員 これは警察庁だから当然御承知だと思いますが、警察官も意外と多いんですね。
 二〇〇一年の十二月には、大阪の生活安全課保安係員が、これは十九歳ですけれども、同署内でわいせつ行為をしたということで逮捕。それから、三十二歳の青森県警の警察官が十四歳の少女にいかがわしい行為をしたということで逮捕。見ていましたら意外なのがありまして、出会い系売春あっせんの警官逮捕というのまで出てきたんですね。こんなことがあったのかと。二〇〇二年、去年ですね、宮城県生活環境課は三日、仙台北署の地域課巡査長、そしてまたもう一人の方を、女性ですね、逮捕したと。アパートを借りて、ネットの出会い系サイトに売春のあっせん情報を書き込み、男性客を募集していたと。つまり、これは運営していたというんですね、使ったというのじゃなくて。
 どうですか、御承知ですか。どんな経過だったか、ちょっと。
瀬川政府参考人 ただいまの御質問にありました具体的事例につきましては、ちょっと手元に資料を持ち合わせてございませんのでお答えいたしかねますが、警察官につきましては、児童買春事件としては、平成十四年中の検挙事例はない、平成十三年中には二件、二名が検挙をされているものというふうに承知をしております。
保坂(展)委員 こういった法律を出して執行する側がまさに運営まで、準備していて、子供たちなんでしょうか、これは警官がやっているらしいという通報があって、内偵の末、逮捕と。これは後でぜひ説明してください、どういうことがあったか。これは、それだけ逆にすそ野が広いという証拠でしょう。
 そして、やはり買う大人の側の問題、あるいはそれで一もうけしてやろうと。農水省の職員が自宅でテレクラを営業していたという事件もあったんですね、二〇〇〇年ですが。これは、二十八歳の農水省の統計情報部システム課の方が、八百万投じて、公務員の給料以外に金もうけしたいということで、実際には八千二百円しか稼げなかったということらしいんですけれども、どういうことなのか。すそ野の広がりという意味で検証が必要だと思います。
 ちょっと谷垣大臣に、この法律の中身について触れていきたいんですけれども、児童買春・ポルノ禁止法との整合性が先ほどから話題になっていますけれども、同性間を含めなかったという意味は何かあったんでしょうか、異性に絞ったという意味は。
谷垣国務大臣 これは、出会い系サイトを利用したというか、先ほどの言葉で言えば出会い系サイトに起因したいろいろな犯罪状況、児童の被害状況、こういう非常に憂慮すべきものをまずこれでやろうということでありますので、今の委員がおっしゃったようなことで、必ずしも我々のいわばアンテナにひっかかった、非常な被害が起きているとか、被害というよりも犯罪ですね、犯罪のきっかけになっている、犯罪被害の温床となっているという実態が必ずしも十分我々はつかめていないということであります。
保坂(展)委員 そうすると、大臣、これは状況対応型立法だということですよね。子供の性的被害からの保護ということを保護法益にするのであれば、少なくとも、同性間において性的な虐待被害に遭うことも禁じておかなければいけないと思うんですが。
谷垣国務大臣 状況対応型立法というのは、多分非常に価値をおとしめる意図を持ってお使いになったんじゃないかと思いますが、やはり新しい技術の発展、新しいメディアの発展、こういうものが起きまして、正直申し上げて、予想もしないような事態が次々と出てきていることは、率直に言って事実でございます。
 数年前、では五年ぐらい前に今のような状況が十分想定できていたのかと言われると、五年前の警察の状況を私、完全に把握しているわけじゃありませんから、当時から知っていたのかもしれませんが、多分その当時に予想していたのとは違う状況が現在起きているということがございますので、状況対応型と言われると若干抵抗感はあるんですが、現実の問題に対応しようということでつくった立法でございます。
保坂(展)委員 法務省の刑事局長に来ていただいていますけれども、十三歳以上がいわゆる同意をして性行為等を行うことを認められているということがありますけれども、さまざまな条例だとか立法の中で子供の性の自己決定権をどういうふうに扱うのかというところで、今回の法律とのそごが生じてきませんか。いかがでしょうか。
樋渡政府参考人 突然の御質問でございますが、委員御指摘のように、十三歳未満ということを境といたしまして、刑法で、暴行、脅迫によらない性行為をも処罰の対象としているというところでございまして、あと、児童福祉法では、児童に淫行させる行為、児童買春、児童ポルノ処罰法では、対償の供与やその約束を伴う性交等を処罰の対象としております。
 これらのさまざまな法律、条例といいますのはそれぞれの立法趣旨が異なっておりまして、そういうようなところから、その立法趣旨に従って法律を策定していくことについては何らそごは生じないだろうというふうに思っております。
保坂(展)委員 もうさきにも触れられていますけれども、ストックホルム宣言で科罰対象に子供は加えないんだということをうたっているわけで、それに基づいて児童買春・ポルノ禁止法もつくられたわけですけれども、外務省は、今提出されている法案とこのストックホルム宣言とのいわば明らかな差異、これをどういうふうに国際社会で説明するつもりですか。あるいは国際社会の舞台でこういう議論をしてきて、国内で政府内のしっかりした議論はあったんですか。
石川政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、九六年にストックホルムで開催されました児童の商業的性的搾取に反対する世界会議において採択されましたいわゆるストックホルム宣言では、児童の商業的性的搾取及び他の形態の児童の性的搾取を犯罪とし、自国民であれ、外国人であれ、これにかかわったすべての犯人を有罪とするも、その際、かかる行為の犠牲となった児童を処罰しないことを確保するとされております。
 お尋ねのこの法案との関係でございますけれども、この法案におきます不正誘引の処罰は、その危険性、悪質性にかんがみ、何人が行った場合であっても罰則をもって禁止するという趣旨であると理解しております。
 したがいまして、これは個々具体的な児童買春の前段行為の処罰化を図ろうとするものではなく、児童買春事件において児童が被害者として扱われることには変わりがない、かように理解しております。
保坂(展)委員 そういう答弁をしているから、日本というのは全く理解されない国になるんですね。大臣、いかがですか。これは、ストックホルム宣言で、国際社会では日本はこの枠組みでいろいろな法整備もやりましょうということを表明しているわけですよ。そしてまた、そういったミーティングがあれば、日本でこういう立法をしたけれどもどうなんですかと日本は問われるわけです。そのときに今みたいなことを言っていたのでは、全くわけがわかりません。こういうことについて、しっかりした説明を大臣からいただきたいですね。
谷垣国務大臣 いわゆる出会い系、特に、携帯電話で出会い系サイトを使って子供たちが犯罪に巻き込まれるというのは、国際的にどれだけあるのかわかりませんけれども、どうも、私自身の個人的なつき合いでいろいろな国際機関の人たちなんかと話してみますと、日本の特有な現象のように思われます。あるいは、ああいうインターネットといいますか、携帯電話を使ったいわゆるメールの交換というようなもの、あるいは出会い系サイトを利用するような機能がある携帯電話がこれほど普及しているのは多分日本だけだという現実がやはりあるんだろうと思いますね。
 したがいまして、こういう実態があって、先ほども御答弁しましたので繰り返しませんけれども、現実にこれだけの子供たちがそこで被害に遭って、しかも、その場合に、子供たちがこれだけむしろ積極的と言うと言葉がいいかどうかわかりませんが、性の商品化みたいな現実の中に巻き込まれて、みずから、誘引といいますか、誘っているという状況を説明しますと、むしろ、それをきちっと対処する法をつくる方が、先ほどからストックホルム宣言とか児童の権利条約ということが出ておりますけれども、それに合致するんじゃないかというような考えを私は多く承っております。
保坂(展)委員 それは、対処する法律は大いにつくっていいんですけれども、しかし、国際的な宣言で処罰対象にしないということに、枠に入っているわけですから、国際的にも訴えてきているわけですから、そこの矛盾は必ず指摘されますし、説明をしなきゃいけないし、だから、本来は処罰対象ということは考え直してもらわなければならないと私は思います。
 最後に大臣に、私、先ほど、あえて挑発的に言ったつもりはないので、率直に言ったんですが、状況対応型立法というふうに言いました。実は、児童買春・ポルノ禁止法も見直しの議論が与党内で、自民党の中で進んでいるというふうにも聞いています。そしてまた、この委員会でも、児童虐待防止法について、これは、児童虐待の中には当然、性的な虐待は大きな被害として入るわけですね。幾つかの立法が出てきて、しかし、それはそれぞれ近接し合いながら、一部重なっていたりとかいうこともあろうかと思います。
 ただ、今回の法案そのものをということではなくて、早急にやはり政府として、子供の性的な被害も含む、子供の人権保護のための総合的な立法をむしろ急ぐべきじゃないかというふうに私は思うんですね。これは論戦の出発点として認識を問いたいと思います。
谷垣国務大臣 今の保坂さんの問題意識は、我々も十分参考にさせていただく必要があるなと思っております。
 先ほど、状況対応型というので、私もちょっと反論させていただきましたが、ただ、もう一つ難しいのは、今の段階でいろいろなことを常に大体想定できて、何か包括的な対応策が立てられれば、それはそれで望ましいんですけれども、正直な私の実感は、ああ、こういう問題が起きてきたのか、こういう問題が起きるんだなということがございまして、そういう、新しい技術や手段、社会情勢の変化に応じて新しい問題が生まれてくる、どうしてもそれをまず対応しなきゃならないというようなことがございまして、なかなか、どこまで見通して今のような議論ができるかどうかというのは、我々も問題意識は持ちますが、今すぐ、ではこれでというだけの答えが、これは警察なり国家公安委員会の答えというよりも、私個人として、今、そんなふうに思っております。
保坂(展)委員 子どもの権利条約を批准して、大体の国が国内法を総合的に整備しているわけですけれども、日本ではまだそれが果たされていないんですね。
 同時に、先ほども指摘しましたように、外務省は、私はちょっと無責任じゃないかなと常々思っているんですね、こういう問題については。外ですばらしいことをおっしゃっていても、やはりこれは、ぎりぎりの苦悩とか葛藤があって、政府部内の厳しい意見交換とかあるように到底見えないですね、今の答弁とか聞いていても。ですから、これからも引き続き来ていただいて、しっかりした答弁をしていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
青山委員長 次回は、明八日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十四分散会


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