衆議院

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第6号 平成15年5月13日(火曜日)

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平成十五年五月十三日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 青山 二三君
   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君
   理事 松宮  勲君 理事 森田 健作君
   理事 水島 広子君 理事 山口  壯君
   理事 福島  豊君 理事 達増 拓也君
      小野 晋也君    小渕 優子君
      太田 誠一君    岡下 信子君
      上川 陽子君    川崎 二郎君
      阪上 善秀君    保利 耕輔君
      大石 尚子君    鎌田さゆり君
      小宮山洋子君    肥田美代子君
      丸谷 佳織君    石井 郁子君
      保坂 展人君    山谷えり子君
    …………………………………
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 谷垣 禎一君
   総務副大臣        加藤 紀文君
   政府参考人
   (人事院事務総局人材局長
   )            佐久間健一君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  瀬川 勝久君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局長
   )            有冨寛一郎君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局電
   気通信事業部長)     鈴木 康雄君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           松井 英生君
   衆議院調査局青少年問題に
   関する特別調査室長    石田 俊彦君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十三日
 辞任         補欠選任
  福島  豊君     丸谷 佳織君
同日
 辞任         補欠選任
  丸谷 佳織君     福島  豊君
同日
 理事福島豊君同日委員辞任につき、その補欠として福島豊君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律案(内閣提出第一〇三号)


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     ――――◇―――――
青山委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局長佐久間健一さん、警察庁生活安全局長瀬川勝久さん、総務省総合通信基盤局長有冨寛一郎さん、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長鈴木康雄さん、法務省刑事局長樋渡利秋さん、経済産業省大臣官房審議官松井英生さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
青山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
青山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丸谷佳織さん。
丸谷委員 おはようございます。
 インターネット異性紹介事業、いわゆる出会い系サイトを利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律案に関して質問をさせていただきます。
 昨年の本委員会で、出会い系サイトにおきます児童の利用のあり方、またネット上で行われます児童の売買春への対策を緊急にするべきだという主張をさせていただきました。その意味におきまして、今国会にこの法律案が提出されたことを評価しております。
 政府がこのような素早い対応をとったのは、とりもなおさず出会い系サイトにかかわる問題を深刻に受けとめたからだと思いますけれども、まず最初に、現在の児童の出会い系サイトの利用状況を政府はいかに把握しているのか、また、本法律を施行することでどのようにその状況を変えようとしているのか、この点からお伺いします。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 まず、現在の出会い系サイトの状況でございますが、平成十四年中に出会い系サイトに関係した事件は千七百三十一件ということで、平成十二年に比べまして十六・六倍というふうに急増しておるわけでございます。とりわけ、児童買春事件が千九百二件ということで大変大きな割合を占めているところでございます。しかも、その被害者の約八割が児童であるという状況で、深刻な状況になっております。
 児童の出会い系サイトの利用でございますが、現行は、出会い系サイトの利用について何らの法的規制もなされておりません。したがいまして、例えば、事例で申し上げますと、いわゆる迷惑メール等で出会い系サイトの広告が児童の携帯電話に届いたときに、その児童が出来心で出会い系サイトを利用しようとしても何らの注意表示、抑制をするようなものがないということで、簡単にアクセスができてしまうわけであります。
 アクセスをしてみたところ、児童による、いわゆるこの法律で言います不正誘引行為、援助交際を求めるような書き込みが非常にたくさんある、あるいは大人の側から児童に対して援助交際を求める書き込みもたくさんあるという状況でありまして、それを見た児童は、みんながやっている、自分も簡単にお金がもらえるというふうに思って、ほかの児童のまねをして気軽な気持ちで自分も不正誘引をしてしまうということであります。
 そうしますと、それに対して大変多くの返信メールが届きまして、その中から自分で条件がいいと思う人を選んでデートをしてみた結果、実際に性交の相手方等をさせられてしまって買春事件の被害に遭う、こういう状況でございます。
 この法律の効果についてのお尋ねでございますけれども、本法が成立し施行された場合には、まず広告メールが児童の携帯電話に届いた場合に、その広告メール自体に、このサイトは十八歳未満の方は利用してはいけませんというような表示がなされることになります。そうすると、普通の児童は、これは自分たちは使ってはいけないんだということで、そこで利用することはしないということが期待されます。また、好奇心があってそのサイトにアクセスしてみようという児童もいるかもしれませんが、アクセスしてみますと、そこにまた十八歳未満は利用してはいけないという表示があります。ここでまた多くの児童は、思いつきで、好奇心でアクセスした児童は利用を断念するだろうと思います。
 ただ、ちょっとやってみようかということでその先に進んだ児童でありますが、これにつきましては、年齢確認措置がございますので、あなたの年齢は何歳ですかということをまた聞かれます。ここでまた多くの児童が利用を断念するだろうというふうに期待をするところでございます。
 したがいまして、出来心や興味本位で利用することを防止する効果が非常にあるのではないか、こういうふうに思います。
 ただ一方、援助交際をしよう、金銭を得ようというふうに思っている児童も残念ながらいるわけでありまして、この児童は今のようなプロセスの中で、例えば年齢の欄について、年齢を詐称して、虚偽の年齢を記載することによって出会い系サイトの中に入っていくということになると思います。ただ、その場合でも、年齢確認措置等が有効に機能しておれば、児童からの書き込みというものは非常に少ないということになるだろうと思います。
 そしてまた、そこで実際、例えば二十歳だということで入っていった児童については児童ということでの検索ができませんので、児童を探す大人の側からしても非常に児童を探すことが不便になる。実際に、その児童は書き込みの本文の中で、自分は実は十六歳だというようなことを書くかもしれませんが、そういう児童を買う、児童を求める側から探すということは非常に難しくなるだろう。また、適正に運営しておられるサイト事業者にあっては、こういうような本文書き込みを見つけたときは、これは削除するということが期待をされるわけであります。
 しかし、そうではありましても、実際に年齢を詐称してサイトに入って、実は自分は十六歳だと本文に書き込みをすることはできるわけでありますので、完全に防止することはできないということになろうかと思いますが、その場合に初めてこの法律案で言います六条の規定が働くということになりまして、その児童につきましては家庭裁判所において立ち直りの機会が与えられることになる。このような仕組みになっておりまして、思いつきや好奇心で出会い系サイトを利用しようとする児童に対しては大変大きな効果が上がるものというふうに考えております。
丸谷委員 今のお話の中で、今回の法律をつくることで、入り口から子供たちが入れないような形、書き込みをできないような形をつくることで、普通の子供たちはかなり今までの状況から一変して書き込みをしなくなるだろうというようなお話があったわけなんですけれども、実際、出会い系サイトというところを私も見てみました。普通の高校二年生ですという女の子が、本当にこの委員会で言葉にするのはちょっとなかなか厳しいものがあるんですけれども、とても私の口からは言えないような単語を、性的な単語を使って自分の体を売るための勧誘をしているわけですね。
 高校二年生です、普通の女の子です、遊んだりエッチをしたり、余り経験はないんですけれども、優しくしてお小遣いをくれる人がいないでしょうか、年上歓迎で、幾らぐらいかメールをしてくださいとか、あるいは、差しさわりのないところでいえば、十六歳の女の子が、これから援で会いませんか、援助交際の援ですけれども、会いませんか、一万円でよろしく、あるいは、夕方から渋谷か原宿で、生Fで援助をしてください、一万円でよろしくというようなことを書いて、本当に、普通の子供だとみずから言うような子供たちがこういう書き込みをしている現状を見ますと、果たして、みずからの意思でお金を稼ぐ方法としてネット上で売春をしている、あるいは買春の勧誘をする、この状況を、誘いに乗る大人あるいは同じ世代の買う方だけが悪いのかなという疑問が私には残ります。
 そういった意味において、児童の処罰ということもある程度仕方がないのではないかというような思いがするわけなんですけれども、本委員会の議論を聞いていましても、議論の一番の焦点は児童に対する処罰であろうと思います。十八歳未満の児童に対して本法案が示すような罰則規定を設けることで、児童の将来に暗い影を落としていくのではないかという懸念の声も聞かれるわけなんですが、この点について伺っていきたいと思います。
 まず、法務省に伺いますが、我が国の刑罰のある法律におきまして、児童のみを処罰の対象から除外する法律があるのかどうか、この点をお伺いします。
樋渡政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねにつきましては、必ずしも網羅的に把握しているわけではございませんが、罰則のある法律におきまして、犯罪行為を行ったのが児童である場合に、児童であることを理由に処罰しないこととしているものは承知しておりません。
丸谷委員 確かに、議員立法でできました児童買春、ポルノに係る行為を禁止する法律でも、これは、買う方が悪いんだという規定の法律ではありましても、児童に対価を示して性交をさせる買う側は、成人であってもあるいは未成年であっても、買うこと自体の行為が禁止されるわけですから、その買うという行為の主体主が児童であっても処罰をされるという法律になっています。
 一種、この児童買春・ポルノ禁止法という一面から、買う方だけが悪いんだ、大人だけが悪いんだというふうに見られがちなんですけれども、児童に対してお金を示して性行為をさせるということは、児童買春・ポルノ法でも、その主体主が児童であっても処罰されるということ、この性格を考えると、買春あるいは児童ポルノをやめさせるという目的から、これは処罰の対象は児童も含まれているのだろうというふうに認識をしています。
 そういった意味からして、今回の、出会い系に書き込みをさせない、あるいは対価を示して売春をさせないという目的を達成するためには、その書き込みの主体主が児童であっても処罰の対象となるというのは、理論的にはこれはかなっているものというふうに私は考えております。ただ、買春をする、あるいは書き込みをするというこの行為自体の温度差があるのではないかという議論もあるのではないかと思います。
 そういった意味で、児童の将来を考えると適切な処置をとっていく必要があるわけなんですけれども、本法律案第六条におきましては、違反をした児童の場合には、少年法に則して処罰されるものとなっておりますが、法務省に、少年法の趣旨をいま一度改めて確認をさせていただくとともに、法定刑が罰金以下の刑を犯した少年の処遇はどのようになっているのか、そして、これらの処遇は法律上の処罰に該当するのかどうか、この点をお伺いします。
樋渡政府参考人 お尋ねにつきましては、少年の被疑事件について警察で捜査がなされた結果、罰金以下の刑に当たる罪を犯したと思料されたときは、検察官を経ずに、直接、家庭裁判所に送致されることとなっております。家庭裁判所では、このような少年に対しましては保護処分がなされることがございますが、検察官に逆送されて刑事処分を受けることはございません。
 このような保護処分は、刑罰ではないものの、少年の権利を制約する側面はありますことから、家庭裁判所においては、罪質、法定刑のほか、犯行態様、動機、さらに少年自身の犯罪傾向など、諸般の事情を十分に考慮し、少年の健全育成を図る見地から、事案に応じた適切な処分を行うものと承知しております。
丸谷委員 先日の参考人質疑におきましても、保護観察であれ、試験観察であれ、少年法のもとで処罰を受けた子供は前歴として一生背負っていかなければいけないと、子供の将来性をおもんぱかった切実な意見も出されていましたし、これは非常に大事な視点だと私も思います。
 そこで、警察庁にお伺いをしますが、検挙された少年に関する記録はどのように保存をされるのか、外部に知られることがあるのかどうか。
 また、法務省は、少年法制定の精神から見て、犯罪を行った少年に関する記録の取り扱いがどのようになっていると承知をされているのか。
 また、国家公務員を採用する際、少年時代に犯罪を行ったことを理由として不採用となるのかどうか。この点は人事院にお伺いをします。
瀬川政府参考人 警察におきましては、捜査を行うに当たり、法令の規定に従いまして、捜査書類や関係書類等を作成いたしまして、必要に応じてこれを保存しているところでございますが、警察職員には、当然のことでありますが、守秘義務がありまして、これは外部に漏れることはございません。
樋渡政府参考人 お尋ねは、少年審判に関する記録の閲覧、謄写等の取り扱いに関するものと理解いたしますが、この点に関する一般的な規定といたしましては、少年審判規則第七条第一項があり、裁判所の許可を受けた場合を除いては、閲覧、謄写をすることができないとされているものと承知しております。
 したがいまして、記録中の情報が閲覧、謄写の対象となるかどうかは、最終的には個々の事件における裁判所の判断にかかわる事柄でございまして、法務当局としましてはお答えする立場にはございませんが、同条項において、少年審判記録を原則として公にしないとの趣旨があらわれているものと承知しております。
 なお、この点につきまして、少年犯罪の被害者等による権利行使を容易にするため、平成十二年の少年法改正におきまして第五条の二が追加されましたが、同規定におきましても、閲覧、謄写ができるのは、事件記録のうち非行事実にかかわる部分に限られますほか、被害者等の損害賠償請求権の行使のためなどの正当な理由があること、少年の健全育成に対する影響、事件の性質、調査、審判の状況等の事情を考慮して相当と認められることなどの事情が必要とされ、また、被害者等は、知り得た少年の氏名等を正当な理由がないのに漏らしてはならないなどとされているものと承知しております。
佐久間政府参考人 先生御質問の趣旨は、かつて少年時代に犯罪を犯したことがあるという理由で国家公務員となれないという法律上の規定があるかということだと存じますが、そのような明文の規定はございません。
 しかしながら、国家公務員法上、第三十八条に欠格条項というものが置かれておりまして、その第二号に、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者」については国家公務員となれないとの規定がございます。
 したがいまして、通常の場合には、執行猶予期間中も国家公務員にはなれないということでございますけれども、少年時代の犯罪につきましても、その刑罰が禁錮以上のものであり、その刑の執行が終わっていない場合には欠格条項に該当するということになりますけれども、犯した罪について執行猶予の言い渡しを受けている、執行猶予期間中、そういう者については、少年法第六十条の第二項において、刑の執行を受け終わったものとみなすということとされておる関係上、こういう場合においては欠格条項には該当しない、国家公務員にも採用できることがある、そういうことになっております。
丸谷委員 ですから、結論的には、今法律が施行した後、例えば、対象となった青少年あるいは児童に対しては、将来、国家公務員を採用する際に法的に不採用となることはないという理解でよろしいですね。
佐久間政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、刑の執行が終わっていれば、それは欠格条項には該当しないということになります。
丸谷委員 でも、罰則規定が今前提とされていることと違いますでしょう。
 では、本法律案の施行から見て、警察庁、いかがですか。
瀬川政府参考人 本法律案の六条違反の罰則は罰金刑でございまして、しかも、先ほど法務当局から御答弁ありましたように、これは検察庁には行かず家庭裁判所において処理されるということで、刑罰を受けることはこの児童についてはあり得ないものというふうに承知をしております。
丸谷委員 ありがとうございました。
 でも、この法律は、そもそも、児童を罰するためにつくる法律ではありませんで、何人であれ出会い系サイトを利用して児童を性交等に誘引させないためにつくる法律なわけです。そのためには、罰則を厳しくするという以上に、出会い系サイトに児童が入れなくするような措置をとることが一番大事なのであろうと思います。
 法案第七条及び第八条は、児童の出会い系サイトの利用を防止することを事業者に義務づけたものでありますけれども、第八条に基づいて事業者が児童でないことの確認を行うことで、出会い系サイト上において売買春の価値となっている児童であることをまず自称することはできなくなると考えてよろしいですか。
瀬川政府参考人 先ほどお答え申し上げましたとおり、児童がこの出会い系サイトを利用しようとすれば、事業者による年齢確認措置が適正に行われている限り、年齢を詐称するという形でしか利用できないということになります。しかしながら、年齢を偽ってそのサイトに入って、書き込みの本文の中で実は自分は児童であるということを明らかにすることは可能でございまして、この場合には法六条の規定が適用になる、こういうことでございます。
丸谷委員 今おっしゃった例で、例えば自分は二十のOLですといって、本当は児童なんだけれども、年齢を詐称して性交等に及んだ。本文の書き込みの中にも、十六歳だということはなかった。でも、実際に買う側が現場に行って性交をしたときに児童であった場合には、これは当然、その次の段階というか、今の法定刑の中では、児童買春法で買った側が罰せられるということになるわけですね。
 逆に言えば、そこまで、実際に買春が行われるまで、こういった年齢を詐称して入って買春の誘引をした子供たちに対しては何ら処置がとれないという言い方もできるわけになるんですけれども、そういった意味ではまだまだ入り口で、児童が入れないような入り口をつくることをもっと一生懸命しなければいけないのではないかと私は思います。
 その意味におきまして、児童が実際に出会い系サイトにおける売買春等の有害な情報にアクセスすることなく、安心してインターネットを利用できる環境をつくるためにも、フィルタリングサービスを普及発展させていくことに、政府並びに関係者は努力をしていかなければいけないと思います。
 現在、経産省の支援を受けまして財団法人インターネット協会がフィルタリングサービスの普及活動を行っていますけれども、今後も一層こういった普及活動、発展活動を支援するような、予算措置も含めて支援を行っていくことが必要と考えますけれども、経産省の見解をお伺いします。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 経済産業省におきましては、平成八年度から、所管の財団法人等に委託いたしまして、フィルタリングソフトの開発、無料配布を実施しております。本年三月末までのインターネット協会のフィルタリングサービスの利用者の数は、教育機関、公的機関など約六千件となっております。
 また、これに加えまして、プロバイダーが守るべき倫理要領、有害ランク対策に関する広報パンフレットの作成、配布、ウエブサイト等での公開など、さまざまな形で広報活動を展開しております。本年三月にも、当省からの委託事業といたしまして「フィルタリングソフトの仕組み」というパンフレットをインターネット協会が作成し、教育機関、パソコン等の小売業界に配布を行っているところでございます。
 今年度におきましても、経済産業省がこのフィルタリングサービスの委託をインターネット協会に行っておりますけれども、今後とも関係省庁と連携をとりつつ、この事業をさらに促進してまいりたい、こういうふうに思っております。
丸谷委員 そのようにぜひしていただきたいと思います。
 次に、総務省、同じく経産省に再びお伺いをさせていただきますけれども、例えば外国の例を見てみますと、政府のみならずインターネット事業者も協力して児童に有害な情報の流通の防止に取り組んでいる、こういった活動は非常に評価すべきことであると思います。我が国におきましても、事業者がインターネット協会に対して例えば金銭的な援助を行うとか、あるいはフィルタリングサービスの普及発展に寄与するような指導をしていくことも必要だと考えますけれども、業界を監督する立場から、総務省、そして経済産業省、両方の見解をお伺いします。
有冨政府参考人 ただいま先生が言われましたように、青少年の健全育成の観点から、児童に有害なコンテンツの流通を防止するというための施策を講じることが重要だというふうに認識しておりまして、総務省では、かねてより、青少年にとっての有害な情報のアクセスを防ぐためのフィルタリング技術の開発等、あるいは実証実験等を行ってきておりますし、また昨年十月に青少年育成推進会議の申し合わせ、これも踏まえまして、事業者あるいは事業者団体の対応も呼びかけました。
 現在、各携帯事業者並びにプロバイダー等におきまして対応策の検討やら実施運営は考えているというようなことでございますが、先生御指摘の、インターネット事業者等に対する財団法人インターネット協会への金銭的、資金的な問題でございますけれども、これは財団法人でございますので、拠出金の拡充であるとかあるいは協賛会員の拡充であるとかというようなこと、多々あると思いますけれども、こういった協会の活動につきましては今日的な対応を期待したいというふうに思っております。
 また、これまで、協会とプロバイダー、あるいは携帯事業者の間で、同協会が主催をいたしましたワークショップ、これに電気通信事業者が協賛をするとか、あるいはレイティング/フィルタリング連絡協議会というのがございますが、これに対してプロバイダーが参加をするとか、あるいはその協会の作成しましたラベリングやデータベース、これをプロバイダーが活用するとかというような連携を事業者間とプロバイダー協会等で図っておりますので、総務省としましては、こういう機会をとらえまして、この両者の間の連携による取り組みを一層強化したい、このように考えておるところでございます。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 これまでも、フィルタリングソフトの開発及び普及につきましては、インターネット事業者なども積極的に取り組んできたところでございますけれども、先生御指摘のとおり、今後ともこのインターネット事業者等との協力をさらに強化しながら事業を進めたいと考えております。
丸谷委員 ありがとうございました。
 業界の自主的な取り組みに任せるということになってしまいますと、どうしても、これは私の偏見かもしれませんが、なかなか日本の場合、もうからないことはしないというような傾向もあるのが業界の現状ではないかといった意味で、社会に寄与するとか、あるいは子供たちの将来に寄与するという観点から、やはり監督省庁であります総務省、もうちょっと指導する等、積極的な観点で、また態度で取り組んでいただきたい。逆に、これをやっていただかないと、本法律で第七条、第八条に関して義務を事業者が履行していれば、児童が第六条違反で処罰されることもなくなるわけですから、ここを本当にしっかりやらなければいけないと思います。
 そういった意味において、最後に大臣にお伺いをさせていただきますけれども、私、先日、ゴールデンウイークにインドネシアで行われました、ユニセフとインドネシア政府主催の第六回子供の権利を守る東アジア太平洋閣僚会議に、一議員として参加をさせていただきました。
 大臣も御存じのとおりに、このアジア地域というのは、年間三百万あるいは四百万の子供たちが人身売買、あるいは買春の被害を受けている。そういった児童たちの被害を受ける原因というのは、貧困からきているわけですね。
 そういった子供たちの権利を守らなければいけないという私たち議員あるいは大人の闘いもあるわけなんですが、その子たちの現状と、さっき冒頭に例を挙げましたような、ビジネスとしてみずから自分の体を売っていく子供たち、そしてまた、この出会い系というものが日本が今初めての問題、ケースになっているわけであります。
 こういったことを踏まえて、今までの議論を聞いていただいて、今法律の施行後、あるいは運用をしっかりとしていかなければいけないのではないかという思いが強くするわけなんですけれども、この法律を厳格に運用していただきたいと考えるわけですが、大臣の見解をお伺いしまして、最後の質問にさせていただきます。
谷垣国務大臣 丸谷さんは、連休の間も国際会議にお出になって、国際的な子供の問題に対する取り組み、いろいろ熱心にやっていただいて、敬意を表したいと思います。
 ああいう、特にメコンデルタから大量な子供が、いわゆる児童のトラフィッキングということで、あのあたりですとバンコクを第一目標にするんだと思いますが、あのあたりに行って聞きますと、最終目標は日本だというような議論も聞かれまして、貧困の中で子供たちが大変悲惨な搾取に遭っているということは、我々政治家として、真剣に取り組まなければならない課題だと思います。
 そういう目からこの出会い系サイトの問題を見ますと、ここにも貧困の問題はあるのかもしれませんが、やや問題の質というか面がちょっと違っているところがあるのかなと。これは、今、丸谷さんおっしゃったように、あるいは日本が最初に取り組んでいる問題かもしれないなという気もいたしまして、どういう解決をするかというのは、なかなか簡単ではないんだと思います。
 しかし、この法は、実際、出会い系サイトで子供たちが危険な目に遭っているということが現実にあるということで、何とか手を打たなきゃいかぬという思いでつくったものでありまして、子供たちがそういう犯罪の被害を受ける環境とか、あるいは、場合によってはみずから犯罪に加担をしていくような環境を阻止していくというのは、我々大人の責任であるというふうに思います。
 そう考えますと、この体系のもとでは、児童も処罰、これは少年法の適用になるわけですが、何人もという表現をとっておりますから、六条でしたか、そういう構造になっておりますけれども、あわせて、おっしゃったように、七条、八条というようなものの趣旨を事業者にも十分理解していただく。もちろん、お触れになったフィルタリングサービスというような普及も大事でございますが、七条、八条というものを十分利用して、我々も普及啓発に努めて、指導もよろしきを得るということが必要ではないか、それは十分督励してまいりたい、こう思っております。
丸谷委員 ありがとうございました。
青山委員長 次に、水島広子さん。
水島委員 民主党の水島広子でございます。
 きょうは、専ら谷垣大臣に質問をさせていただきたいと思いますので、子供たちのために、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、大臣にお伺いいたしますが、今回、この法案をつくるに当たりまして、実際に出会い系サイトに書き込む子供たちの実態を調査されましたでしょうか。
谷垣国務大臣 これは、かなり調査をしておりまして、この法案の策定に当たりましては、少年有害環境対策研究会というのを組織していただいて、「いわゆる「出会い系サイト」の法的規制の在り方について(中間検討案)」というのを公表していただいたんですが、この際に、国民の意見を幅広く募集いたしました。
 それから、警察庁等が主催しまして、出会い系サイト問題に関するシンポジウムを開催しまして、こういう機会を通じて、児童心理の専門家や児童買春の防止に取り組むNGOからもいろいろ実情を伺った。意見の表明もなされた。
 それから、警察部内でも、こういう被害児童の保護に携わった少年補導職員等がおりまして、相当経験が蓄積されておりますので、現場の実態を聞いて、把握に努めたということがございます。
 それで、個々の児童買春事件で、被害児童が、援助交際というか、それの勧誘を行うに至った原因とか背景というのは、先ほども丸谷委員の御質問に、東南アジア等で行われている貧困の問題とちょっと違うのではないかというようなことも申し上げたわけですが、背景はさまざまで、必ずしもまだ実態が十分にわかっているわけでもないという面もございますけれども、いろいろ勉強してみますと、根本は、児童の性の商品化という社会の風潮と言っていいんでしょうか、そういう流れがある。それから、児童にも、なぜそういうことをしてはいけないのかというのがよくわからなくなっている、抽象的に言えば規範意識の低下ということになるんだろう、そんなふうに思っております。
 そこで、これまでも、いろいろな取り締まりとか広報啓発には努めてきたところでありますけれども、出会い系サイトを利用した児童の犯罪被害が急増しておりますので、こういう法体系をつくった。かなりいろいろ勉強させていただいたつもりでございます。
水島委員 今の御答弁に関して、いろいろお伺いしたいんですけれども、まずお伺いしたいのは、今回、警察庁によって示されたものは、一般の方たちからの意見、法的規制が必要であるかどうかというようなことに関するアンケートについてはよく御説明をいただきましたけれども、今大臣がおっしゃったような、例えば、少年補導職員の方たちの実体験であるとか、あるいは実際にそういう援助交際の問題にかかわってこられた専門の方たちの実体験、一体、その子たちには何が欠けていて、どういうケアをしたところ、どういうふうにまた健康を取り戻したかというような、そのようなデータの開陳がなかったと思うんですけれども、そのようなものをお持ちなんでしょうか。要するに、学術論文が書けるようなデータというのはお持ちなんでしょうか。大臣、お願いします。
谷垣国務大臣 学術論文とおっしゃられますとうまくお答えができるかどうかわかりませんが、先ほど申しましたように、こういう問題で、少年係と申しますか、指導体験というか補導体験、実例がかなり積み重なっておりまして、中でも、警察部内でも研修等は相当積み重ねておりますので、それは学術論文になるのかどうかはわかりませんけれども、相当経験の蓄積はあるというふうに考えております。
水島委員 具体的に、その研修というのは、子供たちにこういうことを教えて、こういうところに配慮してというような、そうやってかなりマニュアル化された研修という意味でおっしゃっているんでしょうか。
瀬川政府参考人 これは、全国の少年補導に携わっております少年補導職員その他、そういった業務に従事している者たちが、いろいろな機会で意見交換会あるいは研修会等を実施しております。その中で、先生御指摘のような学術論文というものではありませんけれども、自分たちが取り扱った子供たちについて、こういうことをして立ち直りを図ることができたとか、児童のこういったところが問題でこういう行動に走っているんだとかいう、いろいろな意見交換をしておるところでございます。
 学術論文と言えるかどうかはあれですけれども、警察部内のいわゆる機関誌的な、警察職員の間での雑誌等もありますけれども、そういったところにもそういう経験が随分発表されておりますし、また、科学警察研究所がございますが、そういったところにおきましても、児童の問題行動に対する研究等が行われているところでございます。
水島委員 そこから結論として言えることは何なんでしょうか。ついでにお答えいただければと思うんですけれども。
瀬川政府参考人 これはさまざまな要因が重なり合っているということになろうかと思います。家庭の問題あるいは学校教育等の問題もある。それから、先ほど大臣が申しました社会全体の風潮というものがある。そういったもろもろの影響を受けて、最終的にはといいますか、児童にはそれが児童自身の規範意識の低下としてはね返ってきている、こういう状況が見られるということでございます。
 私ども、一生懸命そういった問題についての研究といいますか、議論、検討をしておりますけれども、こうこうこうだからこうだ、ここをこうすればこうなるというふうな形での結論というのは、なかなかこれは出しにくい問題であります。
 しかし、そういった社会全体の問題なり、大人側の意識の問題なり、それから家庭、学校、教育の問題なり、そういったことは非常に重要なことである、そういったものが基本的に問題の根本にあるということは十分認識をしております。
 そういった意味で、本法律案におきましても、国、地方公共団体の責務、あるいは児童がこういった危険な、犯罪に巻き込まれるようなサイトに簡単にアクセスできるようなものを提供している事業者の方々に対して、児童をそういうものに巻き込ませないような義務をいろいろお願いする、こういう法律案を考えたところでございます。
水島委員 また大臣にお伺いしたいんですけれども、私は医者でございますので、目の前に問題を抱えた人がいらっしゃるときに、なぜそういうことになっているのかということを、まず現状をきちんと認識した上で、こうすればよくなるとわかっていることをするというのが自分の責任だと思っておりますので、そのために、何をすればよくなるかということをいろいろなデータを積み重ねて研究をしていく。
 大臣も、病気になられたときに、何か悪そうだからとりあえずこんな薬でも飲んでみたらどうだろうか、アンケート調査をしたところ、谷垣大臣にこの薬を飲ませるべきだという人が八割ぐらいいるから、とりあえず飲ませてみようといって、全く変な薬を飲まされても困ると思うわけです。
 今回のこの法案をつくるに当たって、私、一般人のアンケートを前面に出してこられているという手法に非常に疑問を持っております。当事者の方たちの声を集めたというのならまだわかります。出会い系サイトに書き込む子供たちに直接アンケートをして、自分たちは何が寂しいんだとか、こういう知識が欲しいんだとか、そういうことから法案をつくるというのなら、大変よく理解できる、いい姿勢だと思うんですが、当事者以外の方たちのアンケートで法律がつくられていくというのは、実は差別の問題などを考えてみますと、かなり危険な手法なのではないかと思うんですけれども、一般論としてで結構ですから、大臣の御見解をいただけますでしょうか。
谷垣国務大臣 今、水島さんが御職業が医者だからというふうにおっしゃって、それはある意味では警察もよく似ているんですね。目の前に犯罪が多発するというか、そういう危険性があるときに、どうやったらそれを抑止あるいは制圧できるか、そのために有効な手法は何だというふうに我々は考えるわけでございます。
 ただ、今一般人の意見だけでは危険だとおっしゃった、それは確かにそういう面もあると思いますが、実は、一般人の意見も犯罪においてはなかなか大事でございまして、やはり社会の危険感をどう解消していくかというのも警察にとっては、治安維持にとっては大事なことでございますから、それも無視はできないと思います。
 一方、今実際に出会い系サイトを使っている人たちにアンケート調査をするなどとおっしゃいましたけれども、患者の場合と違いまして、これは、どちらかというと、やや、つまり、今回はある意味での犯罪化が行われるわけであります。率直に申しまして、そういうところをアンケートの手法をとっていくというのはなかなか、例えば暴力団対策をつくるときに、暴力団にアンケート調査をして、なぜあなたはこういうことをやるのかというのも、なかなかこれは簡単でない。ちょっと例は適切ではないかもしれませんけれども、そういうような面もあるわけでございます。
 ですから、現実に、警察としては、そういう被害に遭った児童に接触をした、補導経験とか、そういうようなものを、経験にあるものをできるだけ法律化してくるという作業が、手順が必要なんだろうと思います。
水島委員 もし大臣が今の御答弁を本気でおっしゃっているんだとしたら、ぜひもう少し、この法案をつくる前にせめて私ぐらいには御相談いただきたかったなと思うのです。
 実際に精神科ですとかそういうところに行きますと、出会い系云々は別としましても、性的逸脱行為を繰り返す子供というのは今たくさんいます。ですから、何も犯罪者のところで見つけようとしなくても、そういう子供たちと日々接触している専門家はたくさんいますので、そんなところから、例えば性的逸脱体験といろいろな心理的な指標との関係、あるいはほかの合併症との関係、そういったもののデータもございますので、何も警察で犯罪者にアンケートをしろと言っているわけではなくて、そういうところからぜひこの御研究の枠を広げていただきたかったなと思います。
 今、私の疑問意識をちょっと申し上げたわけでございますけれども、それはそれで、警察の方たちもきっと、現場でいろいろかかわっていらっしゃって実態はよく御存じだということでございました。
 その上でお伺いしますけれども、よくこの法案の審議の中で普通の子供という言葉が出てまいります。実際に、大臣の感覚としまして、出会い系サイトに、先ほどここの委員会で口にするのもはばかられるような表現を書き込んでいる、そういう子供たちは普通の子供なんでしょうか。
 例えば、私、大臣にお嬢さんがいらっしゃるかどうかは存じませんけれども、自分のうちに普通にいるような子供が普通に書き込むようなことなのか。例えば今、子供で茶髪にしたり金髪にしたりしている子供が多いですけれども、うちの子も茶髪にするかもしれないなというような意識は多くの親が持っているかもしれませんけれども、うちの子供も出会い系にそういうみだらな書き込みをするだろうなと多くの親が思っているでしょうか。そういう意味で普通の子供なんでしょうか。
谷垣国務大臣 私も娘が二人おりまして、出会い系サイトに書き込むようなことはあってほしくないとは思っておりますが、こういう犯罪の問題を議論しますときは、なかなか難しいんですね。
 難しいというのは、犯罪というのは自分とは無縁のことだと思っておられる方が、やはりアンケートみたいなのをとれば大部分だろうと思いますが、警察のようなところで仕事をしておりますと、私は国家公安委員長で直接警察ではございませんが、警察を管理する立場で仕事をしておりますと、やはり犯罪というのは日々起こっておりまして、人間存在と不可分とまで言っては言い過ぎかもしれませんが、昔から申しますように、「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」という言葉がございますけれども、普通か普通でないかというのは難しいですね、今の水島さんのお問いかけは。だから、我々の生活の周りにあるものだというふうに私は思っております。
水島委員 実際に、私が茶髪にしているような中学生、高校生にちょっと聞いてみたところでは、やはり援助交際をする子というのはちょっと違うと。友達が茶髪にすれば自分も茶髪にする、友達が、今履くのかどうかわからないですけれども、厚底靴を履けば自分も履く、友達がパンツが見えそうなスカートをはけば自分もはく、そのくらいまでなんですって。援交をしている子というのはいるけれども、やはりちょっと病んでいるよね、やめた方がいいよねというようなのが、どうやら、私がいろいろ地元で聞き回ったところの今の子供たちの実態のようで、ちゃんと押さえるところは押さえているんだなと私は思いましたけれども、恐らくそんなところが現状なんじゃないかなと思います。
 私は、その書き込みをするような子が普通じゃないといって差別化しようとしているわけではなくて、やはりそうやって書き込みをするような子というのは、悪いと言えばやめるようなレベルではなくて、それなりに心のいろいろな病んだ部分を抱えていて、何らかの援助を求めているからそのような、自分を粗末にするような行動をとるんだろうというふうに考えるのが妥当だと思います。
 私は、そのようにこの問題をとらえておりまして、実際問題、出会い系サイトの問題は日本で始まったばかりだということでございますけれども、これは昔から、例えば町で売春の勧誘をしている売春婦の方たちの中には、性的虐待の被害者であった方が非常に多いと言われておりますし、実際に私自身が実地の体験をした中でも、援助交際を求めたり性的な逸脱行為を繰り返したりする女の子たちは、みずからが性的虐待の被害者としての経験を持つケースが決して少なくはございません。
 自分が実の親から、あるいは義理の父親から性的な虐待を受けた、その汚い自分を消したくて、あるいは一度何か間違ってやられてしまった、その汚い記憶を消したくて、あるいは自分はしょせんそんな汚い人間なんだという思いからみずからを売る行為を繰り返す、そのような子供たちが決して少なくはございません。専門的にも、性的虐待の被害と性的逸脱行為にはかなりの相関があると考えられているのが定説でございます。
 例えば、家庭内で性的虐待を受けたような場合、その晩、あるいはしばらく、その後、非常に子供は悩みます。その記憶を消そうとしてというような動機で出会い系サイトに、こんな私、買ってくださいみたいに書き込むということは十分あることなんです。そのような場合に書き込みをしたことであっても、本法案の六条による加罰対象となるんでしょうか。
谷垣国務大臣 それはこの法律上、要件を満たせばなるわけでございまして、委員のおっしゃったようなことは、後はいわば情状の問題ということに法律的にも、これはもちろん罰金刑でございますから、少年の場合にはすぐに少年法の適用になりますのであれですが、刑事法的にいえば情状の問題ということになるのかなと思います。
水島委員 私は、子どもの権利条約からも、またストックホルム宣言の精神からも、被虐待体験を持つ子供たちの傷をいやして、また社会的再統合を図っていく、その責任が社会にあると思っておりますけれども、つまり、虐待の被害者の子供たちが、再び社会の一員として、他者への信頼を取り戻して、また健康に生きていこうとさせていく、そのような責任が大人側にあると思っておりますけれども、性的虐待の被害者である女の子を、そのことがほとんど直接のきっかけとなって起こったその書き込みという行為によって罰するというのは、虐待後の子供に対する社会全体の取り組みとしていかがなものなんでしょうか。
谷垣国務大臣 法体系のつくり方ですけれども、私は、この委員会で御答弁申し上げていることは、やはり現状を見ると、非常に子供たちを、児童買春のみならず、強盗あるいは強姦とか強制わいせつのような、場合によっては殺人に至ることがあるかもしれません。そういう非常に悲惨な犯罪に引き込んでいく、いわばきっかけとなっていることが非常に多いことがわかってきた。だからこれを何とか抑えたい、何人といえどもそういう行為はしてはいけないという一般的な体系でつくってあります。
 そこで、委員がおっしゃるように、今のような過去のいわゆるトラウマというんでしょうか、そういうものを抱えてこういう行動に走る子供たちを罰するというのは矛盾じゃないか、それはストックホルム宣言にも反するのじゃないかとおっしゃったわけですが、これは児童買春、児童ポルノ法の場合も、先ほど丸谷委員もおっしゃいましたけれども、あれも性的搾取に遭った者は被害者であるという考え方でつくった法律でありますけれども、法の立て方としては、子供であっても、相手の児童を性的に搾取する者は処罰を受けるという体系になっております。
 ただ、その後もちろん、日本の法体系では、それは直ちにいわゆる裁判所、刑事裁判所における手続に移行しないで、少年法あるいは児童福祉法の体系に行くこともありますが、そういう形で子供としての保護をしていこうという体系になっているわけでありまして、この法律もそういうことでございます。
 それで、委員のおっしゃるような問題は、より大きな犯罪の抑止といいますか、そういう面から考えていかなければならないことだと思いますけれども、こういう子供に対して危険な場をつくるということを刑罰、刑事体系によって防いでいく必要は、私は依然として残るのではないかと思っております。
水島委員 先ほど大臣は、社会の危険感をどう解消していくかも大事だということで、また今もそのような御趣旨での、犯罪抑止という点からの御答弁をいただいたわけでございますけれども、そんな中、先ほど言いましたように、本当に個々の子供たちが一体どういう事情でそうなっていて、その子供たちを本当にまた再び、再びというか初めてかもしれませんが、人を信頼できるような子供たちにしていくにはどうしたらよいかという、本当に個別の子供たちにとって決してマイナスにならないような包括的な取り組みをぜひ進めていただきたいと、これは本当に心からお願いを申し上げるところでございます。
 谷垣大臣もよくわかっていらっしゃるとは思いますけれども、ぜひ、全体としてそのような機能が担保できるようにしていただきたい。そして、関係の方たちに必ずそういうケースがあるということを周知徹底していただきたいとお願い申し上げます。
 次に、だんだん時間がなくなってきましたので、法案の中身について少しお伺いしたいと思います。
 この法案を読んでみますと、七条と八条が実効性を持てば六条は意味がなくなるというようなつくりになっていると思うんですけれども、なぜ、まず七条、八条だけの法案をつくられなかったのか。また、六条違反の数を減らすということが結果としては七条、八条の実効性を証明することにもなると思いますけれども、そういう御認識がありますでしょうか。
谷垣国務大臣 児童、子供がこういう、適切な表現かどうかわかりませんが、犯罪が非常に多くできるような場に引き込まれることを防ぐ手法として、七条、八条というのは非常に大事な規定だと思うわけです。
 それで、しかし、完全な事業者規制が行われれば、児童がインターネット異性紹介事業を利用することは不可能となって利用者規制は不要だという考え方も成り立つんじゃないかというお立場だったと思うんですが、現在のところ、インターネット上でだれもが容易に確実に相手方の本人確認をする方法は普及していないんですね。それで、企業や個人といった大小さまざまなインターネット異性紹介事業者が一律に実行できて、かつ、効果が期待できる措置というのは、利用者の自主申告に基づく年齢確認措置にとどまらざるを得ないのが現状だろうと思います。
 こういう現状では、いわゆる出会い系サイトを利用して子供たちが危険にさらされるという状況を完全に防止することまで期待はできないのではないか。だから、児童の健全な育成に障害を及ぼす行為を防いでいくためには、七条、八条では足らないので、やはり六条のような規定が、補完的と言うとちょっと言葉は悪いかと思いますが、総合してやっていく、不正誘引を禁じて総合的な施策としてやっていくということではないかな、こういうふうに考えてこの法律をつくった次第です。
水島委員 補完的という言葉をいただきましたので、大臣も本来は七条、八条の方をしっかりやっていくべきだというお考えなのかなと理解をいたしましたけれども、ぜひ七条、八条の実効性をきちんと担保していけるように、技術は日進月歩でございますけれども、いろいろなお取り組みをいただけますようにお願い申し上げます。
 また、この七条で、出会い系サイトを子供たちが使ってはいけないというだけではなくて、使うことの危険性を、実際にそれがきっかけになって殺人事件が起こっていますなどというような情報をもって示すべきではないかと思いまして、私は、これは教育的な法案にならなければ意味がないと思っているんですけれども、ここでそういう規定を盛り込む。
 実際に自分が思春期ぐらいの子供の立場に立って考えてみますと、いけないと言われてやらないというよりは、本当に危ないですよと言われた方が説得力もありますし、また、恐らく大臣も私も、怒られるからやらないという人間を育てるのではなくて、ちゃんと、危ないことだから、いけないとわかっていることだからやらない、他人を傷つけることだからやらない、そういうことが自分の頭で理解できるような人間を育てていきたいと私は思っています。多分大臣も、単にこれは罰せられるからやらないんだと言っている人間ではなくて、ちゃんとその内容を理解した上でやらない人間を育てることの方が正しいのではないか、多分それは同意していただけるんじゃないかと思うのです。
 そのように考えますと、ここは罰則というだけではなくて、本当に限りなく教育的な色彩を強めるべきだと思っておりますが、七条にそのような情報を提供する義務も同時に盛り込むということは考えられないんでしょうか。
谷垣国務大臣 今おっしゃった点は他方の問題と関連してまいりまして、インターネットというのは今まだ完成し切ったメディアにはなっておりませんで、生成途上のメディアであるということから、ある意味では、事業者規制というのも過剰なものであってはならないということがあるんだろうと思います。
 そういう意味で、今回の規定はすべての事業者が実行可能な内容で、警察は、それに違反したものに対しては取り締まりをやっていく、こういう考えでつくっておりまして、具体的にどういうことを七条の内容としてやってもらうかということは、今後の広報啓発とか、あるいは総務省などの関係省庁の協力もいただいて、コンテンツ事業者とかプロバイダー等の業界団体を通じてこの法律の内容、物の考え方というものを周知徹底、ともに勉強していくということかもしれませんが、そういう中で、今水島さんがおっしゃったような実効性を確保できる方法を探していくのかな、こう思います。
水島委員 やや消極的な御答弁なんですけれども、罰則よりも教育だというところだけは大臣も賛成していただけますか。
谷垣国務大臣 罰則というか刑罰は非常に劇薬ですから、できれば刑罰を使わずに、その前のいろいろな教育や環境を整備することによって犯罪が抑止できればそれにこしたことはないわけです。私は、それはそう思います。しかし、今の実情を見ますと、最後はやはり刑罰という担保が必要かな、こう考えております。
水島委員 そのあたりまた、これは今の少年法の精神にもかかわるような部分でございますので、今時間がございませんから、きちんとそのうち議論させていただきたいと思っております。
 あくまでも、今子供たちが必要としているのは、規範意識が低下しているというのは、一つには、それがどれほど危険なことなのかというのを知らないからついつい気軽に使ってしまうという一面は確かにあると思います。それを知った後にもさらに繰り返してしまうというのは、やはりある程度特殊なケアを必要としていると思います。私は、それらは児童福祉の受け皿をきちんとつくっていくべきだという考えでございます。
 もう少し質問を続けさせていただきたいんですが、例えば六条の規定そのものも非常にわかりにくいところがあるんですけれども、例えば、中学生の女の子、旅行代は持ちますから僕と一緒にハワイでデートしませんかというような書き込みは六条違反になりますでしょうか。
    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕
瀬川政府参考人 御指摘のような誘引行為は、社会通念上「対償を供与することを示して、児童を異性交際の相手方となるように誘引する」行為であるととらえるのが通常と考えられますので、六条三号の禁止行為に該当するものと考えております。
水島委員 今、御答弁を聞いて驚いたんですが、これは、きのうの事前通告の時点まで、私が党の会議でお招きしたときも、一貫してそれはひっかかりませんというふうに警察庁の担当の方はおっしゃっていました。そんなふうに内部でころころ日によって解釈が変わるような法案で大丈夫なんでしょうか。非常に心配になってまいりました。
 時間がないので、本当にもう少し個別の事例をどんどん伺っていきたいんですけれども、きのうの時点までこれは罪にならないですねというふうにおっしゃっていたのに、今急にここで違反ですと言われたので、今の御答弁で確実に大丈夫ですか。
瀬川政府参考人 ハワイまでの旅行代を出すということでございますので、これは、全く見ず知らずの児童をそういうことで「異性交際の相手方となるように誘引する」ということですので、六条三号の禁止行為に該当するものと考えております。
水島委員 では、そうしましたら、中学生の女の子、フランス料理をごちそうしますから会ってくださいというのはどうですか。
瀬川政府参考人 これにつきましても、社会通念から考えて「対償を供与することを示して、児童を異性交際の相手方となるように誘引する」行為であるというふうにとらえるのが通常だと考えられますので、同様に六条三号に該当するものと考えております。
水島委員 今のフランス料理の方に関しては、これはフランス料理の掲示板であればならないけれども出会い系サイトだったら難しいですねというのが今までの警察庁の見解でございましたので、今のはその趣旨の御答弁なんでしょうけれども、ちょっとハワイでデートというのは、私、実は、最初にこの法案の御説明を受けたときからしつこく聞き続けてきた質問で、そのお答えがここまで変わってきたというのは、本来はここでちょっと審議をとめてもう少し御検討いただいてもいいくらいのことだと私は思うんですけれども、時間が残り本当に限られてきておりますので……。
谷垣国務大臣 結局、法律の解釈、当たるか当たらないかという場合に、我々も法律書生の出身ですから、随分そういう議論をして、こういう場合はどうだ、ああいう場合はどうだという議論をいたします。しかし、実際、取り締まりなり現状を考えますと、そこで現実にどういう被害が起こっているかとか、どういう弊害が起こっているかということがやはり先にあるんだろうと思うんですね。今のようなフランス料理の場合でも、委員のところに御説明に行った警察が、一般のサイトだと問題にならないけれども出会い系サイトだと難しいと申し上げたのは、やはり、言っていることの実態がどういうことなのかというデリケートな事実認定の問題が入ってくるのではないかと思います。
水島委員 今のフランス料理の方はそうなんですが、ハワイでデートというのは、それが出会い系サイトに書き込まれていたら、今の大臣の御説明ですと、かなり、実際そこで行われることは、ハワイに一緒に行けばどうなるかというのは考えれば何となくわかることでございますので、私は、どちらかというとこれは違法じゃないですかということをずっと言っていたんですけれども、このお金というのは旅行代の実費であるので交際に対する代償ではないという御説明を今まで聞いてまいりましたので、今、不信感を非常に強く持っております。
 このあたりについて、後ほど、またいろいろと協議をさせていただきたいとは思いますけれども、残り時間五分という紙が来ましたので、青少年問題特別委員会ですので子供の問題に最後にもう一つまた戻らせていただいて、ただ、今の点はまだ余り納得をしておりませんので、頭におとめ置きいただきたいと思います。
 いろいろとストックホルム宣言のことなどを言い始めますと外務省に聞けと言われそうなんですが、谷垣大臣はこの件に関する政治家としての専門家であるということで、また以降の質問をさせていただきたいと思うんですけれども、今回の法案がストックホルム宣言に反しているということはもう随所で指摘されておりますけれども、それに対する反論をここで大臣としてきちんと総括していただけますか。
谷垣国務大臣 私も別にストックホルムの専門家というわけではございませんけれども、何度か、ストックホルムで行われました会議の後、フォロー会議とかいうのが横浜でも行われましたね。私も出席させていただいて、児童買春、児童ポルノの法案の成立にも取り組ませていただきました。
 それで、ストックホルム宣言というのは何なのかというのは、外務省に聞けとは申しませんけれども、いろいろな理解はあるのかなと。やはり、まさに先ほど申し上げましたような、メコン川の奥地の少数民族が子供で出てきてバンコクでいろいろ搾取されていると。私もバンコクへ行って、その中で、大阪へ行ってセックスインダストリーに従事していたという十六歳の女の子に会ったことがありますけれども、やはりそういう子供を被害者として更生保護というようなことをどうやって取り組めるか、かえってその犯罪の摘発に遭って、後、追い込んでしまうということはよくないという考え方ででき上がっているんだろうというふうに思います。
 それで、今度のこの問題は日本で新しく起きている問題ですので、これはいろいろ実態の把握が難しいという面があることは私は率直に認めるわけですが、現実問題として、子供たちを犯罪に引き込む危険な場となっているということを考えますと、やはり私は、何人もこれをやってはいけないという規範を定立すること自体は決して間違っていないだろうと思います。
 そして、先ほど申しましたように、その子供たちが犯罪に引き込まれてもっと凶悪な犯罪に遭っているという現実を見ますと、事業者規制だけでは不十分であるから利用者規制もやっていこうという問題の立て方は、これは、この被害を防ごうという観点から見ると間違っておりませんで、むしろストックホルム宣言の背後にある、これは子どもの権利条約でも書かれていることでございますが、子供の最善の利益というものに合致した方法ではないかというふうに私は考えております。
水島委員 きょうは法務省の刑事局長に来ていただいているんですけれども、ちょっと短くお答えいただきたいんですが、今谷垣大臣がおっしゃったように、犯罪に引き込まれないようにその前で罰しておこうという今回のこの法案の説明があるわけですが、これは、例えば児童買春・ポルノ禁止法というのは、ストックホルム宣言の枠組みに従いまして、子供を児童買春の被害者として位置づけている、だから買春行為によって罰せられない仕組みになっているわけですけれども、それと同時に日本には売春防止法というのがございまして、売春防止法の中では、買春の勧誘とか誘引行為によって、法律をそのまま読みますと、子供自身も処罰されるような仕組みになっているわけです。これについても法務省としては、子供が買春の被害に遭わないために勧誘や誘引の段階で処罰しているんだというような今の谷垣大臣と同じような論法をとられているんでしょうか。
樋渡政府参考人 大臣がそこまでおっしゃっているかどうか、そういうことではないんではないかという気もいたしますが、本法案におきましては、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を性交等の相手方となるように誘引する行為等」を罪としておりますのは、当該児童についての犯罪被害を防止することを一義的に考えているのではなく、児童一般を性的行為の対象とする社会的風潮を助長し、ひいては児童一般が児童買春等の犯罪に巻き込まれることを防止するためであると承知しておりまして、本法案が成立した場合、児童買春・ポルノ法がこれと矛盾することになるものではないというふうに思っております。
水島委員 ということで、ちょっと警察庁のおっしゃっていることと法務省のおっしゃっていることは微妙に違うなということを私は感じてきているんですけれども、その辺も政府としてきちんと一度趣旨をそろえられた方がよいのではないか、この点も申し添えさせていただきます。
 時間がもうありませんので、最後に一言確認させていただきたいんですが、先ほどから、貧困の国々、途上国の子供たちが経済的な理由によって買春の被害者になっている。そのようなことは被害者ですということは納得していらっしゃると。ただ、日本で出会い系サイトなんかに積極的に書き込んでいく子供たちというのはちょっと違うんじゃないか、そのようなことがずっとここで展開されているわけでございますけれども、果たしてそうなのかということを、ちょっと大臣に最後に御答弁をいただきたいのです。
 日本の子供たち、何でそうやって自分を売るような、自分を大切にできないような育ち方をさせられてしまったのか。そのことを考えますと、やはり今の日本の社会の子育てが非常に貧困であって、子供たちにちゃんとしたものを与えられていないから、子供たちはそうやってみずからを売るようなことを申し出るような子供たちになってしまっているという意味では、社会全体の被害者であるというところは、私は全く同じだと思います。
 また、子供と大人の物理的な力関係、また経済的な力関係を考えますと、やはりそこにはおのずと買う、買われる側に力関係が生じているんだということ、それがその後傷になって残るかどうかということに関しても、それは買われた側の傷になって残っていくんだということ、いろいろなことを考えますと、一見積極的に書き込んでいるように見えている子供たちであっても、私は、それはやはり喜んで積極的に書き込む子供たちがそんなにいるわけではなくて、やはりその貧困の中で売られてしまった子供たち、やむなく生活のためにみずからの体を売る子供たち、その子供たちと全く違う生き物として論じていくというのは、そもそも、子どもの権利条約から考えてもおかしいのではないかと思います。ちょっとこのあたりを大臣に、最後に、トータルにコメントをいただきたいと思うんですけれども。
馳委員長代理 大臣、既に質疑時間を大幅にオーバーしておりますので、簡潔に御答弁をお願いいたします。
谷垣国務大臣 今の委員の御議論を聞いておりまして、それは委員がそうお考えになるような面も私はあると思います。ただ、これは犯罪一般を考えますと、犯罪の加害者になった人間が、逆に言えば、ある意味では社会からの被害者だという議論も十分に成り立ち得ますし、犯罪の実情には常にそういうところが私はあるんだと思います。
 しかし他方、そうだからといって、その犯罪に対して規範を定立して、そして犯罪を犯した人間を刑罰という手法をもってやっていくということが、何というのでしょうか、さらなる危害を抑止するためには必要だということは、私は十分あるんじゃないかと思っております。
馳委員長代理 水島さん、質疑時間が終了いたしておりますので。
水島委員 もう時間が過ぎていますので終わりにしますけれども、殺人のような犯罪とは違って、買春の場合は、買う大人がいなければ成立しない犯罪だということをちょっと最後に思い出していただいて、質問を終わらせていただきます。
    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕
青山委員長 大石尚子さん。
大石(尚)委員 民主党の大石尚子でございます。
 ただいま審議いたしておりますインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律、この法律、長いので出会い系サイト法と略させていただきたいと思いますが、この法案を拝見いたしましたときに、私、正直言って大変わかりにくかったのですけれども、今までのこの特別委員会での質疑を伺っておりまして、いろいろと見えなかった部分が見えてきたり、ああそうだったのかと思い知る思いもいたしております。
 それでまず、谷垣大臣がさきの特別委員会におきまして、自由党の達増委員の御質問、あるいは私どもの民主党の小宮山委員の御質問等にお答えになっているときに、警察所管の大臣になり、出会い系サイトのいろいろな資料を見て本当にショックを受けた、これを繰り返してお二人の質問にお答えになっておられました。
 この法案は、思うところ、とにかく深い、はい上がれないかもしれない大きな真っ黒い海の中に子供がはまっていくのを、とにかく水際で一人でも二人でも防ぎたい、とどめおきたい、そういう思いがおありになって出てきた法案ではないか。その陰には、その背景には、やはり各地域地域の警察署において第一線で子供たちと接せられ、あるいは犯罪者と接せられて、そして孤軍奮闘してきておられる警察官の方々の思いと、それから谷垣大臣の思いと、共有される部分が大いにあるのではないだろうか。
 ちょっとうまく言えないのでございますけれども、とにかく、このショックをお受けになられた、そのときには、少年とか児童とか子供とかという、今までお考えになっていた概念が覆されるような御体験もあったのではないか、ちょっと思い込み過ぎかもしれませんけれども、御答弁を伺っております中で、そういうことを感じさせていただいたのでございます。
 そこで、この法案を提出なさる背景にあった、本当に何とか今自分たちがこういう法案を出さなければどうしようもないんだという、そういう思いのたけを、その一部分でもお聞かせいただけませんでしょうか。
谷垣国務大臣 前から、出会い系サイトなるものに関係していろいろ子供たちが凶悪な犯罪に巻き込まれていく、単に援助交際とか児童買春といったものだけではなく、生命を失うような事件が起きているということは、私自身の問題意識の中にありまして、何とかしなきゃいかぬ、こう思っていたんです。実は私の選挙区でも、そうして子供が被害に遭うという事件が幾つかございました。
 そこで、こういう問題をどういうふうに考えたらいいか、たまたま内閣府といいますか、警察も関与していろいろ勉強をしていたわけですが、そういう資料を見ますと、これはこの委員会でも御議論になっておりますけれども、実際に出会い系サイトを利用して検挙された七百八十七件、そのうちどういう誘引の状況があったのかわかっているのが四百二十九件あるわけですけれども、そのうち子供の方から誘引したものが九一・六%あった。
 この数字の意味はまたいろいろ御議論があると思いますが、九割以上、子供の方から誘っているということに、私はまずショックを受けたというのはそのことであります。これは私の今までの認識が甘かったのかもしれませんが、大人がやはりいわば、古めかしい表現かもしれませんが、子供を毒牙にかけるというようなイメージがどことなく私にあったわけでありますけれども、その私の認識は少し甘かったなというのがまずショックの第一歩であります。
 これは、余り長々とこういうことで御答弁をしてはいけないかもしれませんが、警察に参りまして、私のところの警察庁長官、佐藤長官がおっしゃるのは、やはり少年事件を担当している者たちの話を聞くと、そういう犯罪に巻き込まれたりみずからまた犯罪に関与していく子供たち、少年犯罪というのは非常にふえていますが、そういう少年の心の叫びは、おれのことを本当に思ってくれるのはだれなんだといういわば心の渇きがあるということを、警察庁長官が、私が赴任しましてから少年犯罪の問題ではよく言われるんですね。
 さっきの水島さんの話もそうかもしれません。やはり一種の、そういう子供の心の渇きみたいなものが、みずから誘引していくということになっているのかもしれません。
 しかし、これは、こういう一種の病理現象なのか何かわかりませんが、どこから手をつけたらいいのかというのは、いろいろお考えの差が当然あると私は思います。しかし、今、警察を監督する私の立場としては、現実に子供たちがこういう危険な犯罪にさらされている状況で、これは何か考えなきゃいかぬというような気持ちがありまして、こういう法律をまとめさせていただいた。
 うまく私の気持ちを申し上げられたかどうかわかりませんが、そんなことでございます。
大石(尚)委員 この出会い系サイトに子供がアクセスしていくというきっかけに関しまして、内閣府の世論調査がございます。
 これによりますと、特に十五歳から十七歳の子供たちの約六割が、いわゆる迷惑メール、携帯電話に入ってきた迷惑メールがきっかけになって、そしてそこからアクセスしていく。それから、知り合いの紹介というのがあるのでございますけれども、これがまた二割くらいある。ただ、この知り合いは、ではどうやってそのことを知ったかというと、またその迷惑メールによって知り得たという可能性が高い。
 そうすると、この迷惑メールというものが子供を深みにはまらせてしまうきっかけになっているということが大変重要な問題ではなかろうかと思いまして、総務省の加藤副大臣にお尋ねしたいのですけれども、去年の通常国会で成立いたしまして、十四年の七月一日から施行されております特定電子メールの送信の適正化等に関する法律、これが施行されました後、いわゆる施行した後の実態というものをどういうふうに把握しておられて、その運用の状況はいかがなものか、お知らせいただけますでしょうか。
加藤副大臣 今、大石委員御指摘のとおり、この迷惑メール、いわゆる特定電子メールの送信の適正化に関する法律が七月一日に施行されました。
 総務省におきましては、その適切な施行に努めているところでありますが、御承知のように、この法律というのは、広告メールを送信する場合の一定の表示義務やまた送信拒否の表示をした者に対する再送信禁止の義務を課すなど、迷惑メールに対するいわゆる包括的な対策が定められた法律であります。
 総務省といたしましては、指定法人であるデータ通信協会に寄せられる情報などに基づきまして、この法律に違反するメールを送信していると認められる者に対しまして、ことしの四月末まで四千七百九十三件の警告を行ってまいりました。そしてまた、昨年十二月に、この違反行為を繰り返しておりました送信事業者一社に対しまして、法律に基づいて措置命令の発出を行ったところであります。
 こうした法律に基づく取り組み、また携帯電話事業者等の自主的な取り組みが相まって、携帯電話事業者に寄せられる苦情も、二年前に比べますと約四分の一に減少するなど対策の効果が生じていると考えております。
大石(尚)委員 今御答弁いただきました中に、施行されてから本年四月までの間に四千七百九十三件警告を与えた、その警告を与えた四千七百九十三件のうち、措置命令を出したのは一件であると。これは何かすごく少ないような気がいたしますけれども、どうしてそういうふうになってしまうのでございますか。警告を発した後、一件だけ措置命令を出せば大丈夫だったのでございましょうか。
加藤副大臣 結構、警告メールを発信した場合、かなり改善が認められまして、さらに繰り返し繰り返しする悪質なのが一件だということであります。
大石(尚)委員 これは私がデータをとったわけではないのでございますが、この院内に勤めていらっしゃるさる方が携帯電話をお持ちで、きょうどれくらい迷惑メールが入っていますかとお尋ねいたしましたら、きょうはとごらんになって、五十件ぐらいですかね、それから、毎日そんなに入るんですかと申し上げましたら、やはり三十件から五十件は入ってきますよ、そういうお答えをその方からいただきました。
 何か追跡しにくい原因でもあるのでございますか。
加藤副大臣 総務省といたしましては、先ほど申し上げましたいわゆる迷惑メール法でありますが、これは迷惑メールに対する包括的な対策を定めたものでありまして、この法に従っていろいろ対応してきてまいっておると同時に、各携帯電話事業者とかいろいろ相談しながらやってまいりました。そして、昨年四月にこの法律ができた後、周知活動を行ってまいりましたし、この法に従いまして、七月一日から施行されると同時に指定法人もデータ通信協会を指定いたしましたし、いろいろ、今申し上げました警告なり措置命令を行ってきたところでありますが、総務省といたしましてはできる限りのことはさせていただいているということであります。
大石(尚)委員 これができる限りのことかと思うと心配になってまいります。プロバイダーにお尋ねになるなりなんなり、それができるようにするなりなさいまして、それで、この迷惑メールがきっかけで出会い系サイトへのめり込んでいく子供の実態をどうか十二分にお受けとめくださって、もっと積極的に命令を発するなり、取り締まるなり、取り締まってもらうなり、御努力いただきたいと思います。
 これは要望させていただきまして、その次に、これはまた谷垣大臣の方にお尋ねしたいと思います。
 この法律は、出会い系サイトに子供が書き込もうとしたときに、この法律が完全に守られていれば、特に事業者に、そうすれば、一〇〇%、未成年の子供が書き込めなくなる、アクセスできなくなるという法律であるということはよくわかりました。これは間違いないと思います。
 ただ、おっしゃいましたように、大臣の御答弁にございましたように、そう完全に全部が守れるわけではないということで、たまたま、A子、十四歳、何々で、三万円でどうとか、そういうような書き込みをして、書き込めちゃったときに、どうやってそれを見つけるのか。これは、サイバーパトロールとかいろいろな方法でチェックしていらっしゃると思うんですけれども、まず、そういう子供たちはどういうふうにして見つけられるのか。
 それから、今度、見つかった場合に、これは確かにこの法律に反している行為となると思うのですけれども、伺っておりますところ、未成年である場合に、少年法の適用になって、警察で取り調べというか、いろいろと聞かれ、そして書類が家庭裁判所の方に回っていく、そういうことになるわけでございますよね。それで、家庭裁判所でいろいろと、これがいわゆる審理されるのかされないのか、そこでまた幾つかの段階で保護処分になっていく。そういう歩みをするということで間違いございませんか。
谷垣国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、まず七条、八条の、事業者が守るべき手段をきちっとやってくれれば、これは相当程度防げますね。
 ただ、さっき委員もおっしゃいましたように、年齢、あなたは未成年ですかと、年齢を偽って入ってきたりすると、これはなかなかそれを防ぐ方法というのは難しゅうございますね。
 それで、中へ入ってきて書き込んだときに、さっき十四歳とおっしゃいましたか、十四歳、A子とかなんとか言っていわゆる不正誘引を行ったとしますと、それを発見するのは、まさに委員がおっしゃったように、サイバーパトロール。いわば公開されて閲覧ができるわけですから、それを発見していくのはサイバーパトロール、フーイズとか今いろいろな、検索エンジンに類したものだと思いますが、そういうものを利用して調べていく。私も余り細かい実務はわかりませんので、必要があれば当局の方に答えさせますが、そういう手法で発見をしていくということになるわけです。
 そこで、まず、そういう子供が、先ほどおっしゃったように、十四歳とか十六歳とか言って対価を示して不正な誘引をしたということが明らかになりますと、警察はその子供を調べることになるわけですが、これは、少年事案の取り扱いについては、やはり子供の健全な育成を期する精神をもって当たる、これは当然のことだと思いますが、とともに、その規範意識の向上及び立ち直りに資するように配意することということにしておりまして、この考え方に基づいて六条違反を犯した子供たちに当たる、こういうことになります。
 それから、身柄の拘束につきましては、犯罪捜査規範というものがあるわけでありますけれども、その犯罪捜査規範で、少年の、子供の身柄の拘束というのはなるべくこれを避けることというふうに規定されておりまして、やむを得ない場合を除いては任意捜査の方法によって捜査を行う、これを子供の場合には原則としているわけであります。
 それで、それが、では家庭裁判所に送られた場合以降どうなるかということになるわけでありますが、これは、少年法には検察に送るということもあるわけですけれども、これは罰金でございますから、罰金の場合には全部家庭裁判所に直接送致される。この法律の違反をした子供の場合は全員家庭裁判所に送られるわけですね。
 それで、家庭裁判所は、ここでは調査、審判というのが行われるわけですが、保護処分あるいは児童福祉法の措置というどちらかに行くわけですね。保護処分の場合は、保護観察、あるいは児童自立支援施設または児童養護施設送致、あるいは少年院送致ということもないわけではありませんが、その保護処分か児童福祉法の措置が行われることになりまして、いずれにせよ、少年の処遇について専門的な知見を有する家庭裁判所がその子供の状況に応じた適切な保護、処遇のための措置をとる、こういう流れになるわけであります。
大石(尚)委員 今お話を伺っておりますと、この法に抵触した子供はいずれの場合でも一番重くて家庭裁判所の少年院送り、いわゆる保護処分であって、処罰の対象にはならない、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
谷垣国務大臣 これは保護処分という位置づけでございまして、刑事処分には当たらないわけであります。
 それから、少年院に行くかどうかというのは、これはもう家庭裁判所が判断されることでありますから、行政府にいる私が家庭裁判所がどう判断するかというようなことは御答弁してはいけないんですが、今までの事例を見ますと、罰金で少年院という事例は、これは全くないかどうか、存じませんけれども、そんなのは余り私は見た記憶がございません。
大石(尚)委員 先ほど、十四歳と書いても、書いちゃった場合は全部ストップできるような御答弁のように聞こえましたけれども、たとえ書き込んでもサイバーパトロールで見つからなければそのまま行ってしまう、そういうケースもあるんだろうと私は思っております。もし間違っていたら、後でどなたか訂正していただきたいと思うのですけれども。
 時間がなくなってまいりましたのでちょっと急いで恐縮でございますが、今御答弁いただきましたように、この法律で子供を警察に呼んだ場合は決して処罰の対象にはならない、少年院送りになるようなこともまずないであろう、そういうふうに理解させていただきました。
 それで、今度、警察並びに家庭裁判所等でのいわゆる取り調べの記録、事件の記録が残るわけでございますね。それに関して、私は、最高裁判所の規程の第八号でしょうか、事件記録等保存規程というのを引っ張り出してまいりまして、これを見ますと、これは家庭裁判所の場合となりましょうが、少年保護事件の場合は、少年が二十六歳に達するまでの期間が保存期間となっている。それで、全部が二十六歳までではなくて、二十歳までのもあれば三年間と、いろいろケース・バイ・ケースのようですが、長くても少年が二十六歳に達するまでの期間、事件記録が保存される規程になっていると読めます。
 警察の場合は、警察で取り調べられた記録というのは、それが家庭裁判所へ回っていくのでございましょうが、警察当局ではどれくらい保存されるのでございますか。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 警察において作成をいたしました捜査書類等は、これは家庭裁判所へ送るものでございますが、関係する書類等につきましては必要に応じこれを保存するということになっておりますけれども、外に漏れたり、児童にとって不利益に使用されたりすることはございません。
 それから、検挙された少年につきましては、少年カードというものを警察では作成することにしております。これは、非行少年につきまして、適正な処遇、健全育成に資するために、少年の非行の内容、家庭環境等について作成をするものでございますが、これは原則として、少年の適正な処遇及び健全な育成に資するという趣旨でございますので、少年が死亡したり、あるいは少年が成人したという場合にはこれを廃棄するということになっております。
 それから、先ほど、十四歳という書き込みをしたときのサイバーパトロールでということでございますが、本法律案の七条、八条の規定を事業者の方が遵守していただければ、そこでの年齢照会の欄に十四歳と書いた場合には、もうその先利用はできない、こういうことになります。そこで年齢を詐称して実際に書き込んだということをサイバーパトロールあるいは民間の方の協力で発見に努めてまいりたいと考えておりますが、場合によっては、そういうものが発見できずに残るということもあり得ることであろうと思います。
大石(尚)委員 今の御答弁は、年齢が偽られていなくて十四歳と書かれた場合でも残ってしまう可能性がある、いわゆるパトロールで見つかる可能性があると解釈してよろしゅうございますね。それを全部手続上シャットアウトできるわけではないと私は思っているんですけれども、それでよろしゅうございますよね。
瀬川政府参考人 ひとつ、七条、八条の規定をすべての事業者が遵守していただくように私どもも周知徹底に努力してまいりたいと思いますが、そういう規定を遵守しない事業者というのも、これは残念ながらあり得るかというふうに思います。
 それから、そういう年齢確認措置をきちっとやっていただいているところでは、サイトに入るときには、これは十八歳以上であるということを、年齢確認の際にそういう申告をしない限り中には入れないということになります。ですから、年齢を偽って入った者について、実際の書き込みの文章の中で、例えば実年齢が十六歳であれば十六歳であるというふうに書くことはあり得るということでございます。
大石(尚)委員 未成年者の場合、どれくらい記録が保存されるのか。成年になった場合、破棄するという、先ほど少年カードのことでおっしゃいましたが、いずれの場合でも、未成年者の場合、成年になった時点で記録は破棄されるのでございますか。
 その保存されている間でも、目的外使用がないということはよく理解いたしております。
瀬川政府参考人 これは、それぞれの都道府県の長が保管期間については判断をするということになっておりますが、私どもとしては、成人したときには、これは各都道府県とも廃棄しているものというふうに承知をしております。
大石(尚)委員 それでは、成人になったときにはすべての記録が廃棄されるものと理解いたします。
 それでは、今度、事業者がきちっとこの法律を守ってくれるかどうかというのがこの法律の運用の決め手になると思うのでございますが、どうやって、サイバーパトロール等で発見されるのでしょうけれども、今の警察の体制でどれくらいそういうことに時間がかけられるのか、大変危惧を持っております。
 それで、どうやって違反を摘発して、それに措置命令を出していこうとしていらっしゃるのか、そこら辺の取り組みはいかがでございますか。
瀬川政府参考人 警察におきましては、インターネット上でこういった問題も発生しておりますほかに、いろいろ各種の犯罪に関係するような事案も最近非常に多発をしておりまして、各都道府県警察とも体制を整えまして、いわゆるサイバーパトロール等を実施しておるところでございます。
 それからさらに、民間のボランティアの方の中で、こういったサイバーパトロールに大変熱心に取り組んでいただいている方も多数ございまして、こういった方々としっかり連携協力を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
大石(尚)委員 ありがとうございます。時間が参りました。
 最後に、私どもの肥田委員も申し上げましたように、この問題に関しては、青少年に関する基本法等を制定して、大きな網をみんなでつくり上げながら、青少年を守っていく、そういう方向性を検討しなければいけない時期に来ているのではないかと思うこと、私も同感でございますので、一言添えさせていただいて、終了させていただきます。
 ありがとうございました。
青山委員長 次に、達増拓也さん。
達増委員 現在、出会い系サイト問題ということが非常に深刻になっていて、殺人事件などの本当に許せない犯罪が起きている。そういったことを防いでいかなければならない、出会い系サイトでの人と児童とのさまざまな交渉に係る誘引について規制していかなければならないということは、これは全くそのとおりだと思っております。
 ただ、幾つかこの政府提出法案について疑問な点があることと、また、立法政策上いかがなものかという点がございますので、その点について質問をしていきたいと思います。
 まずは、第二条二号のインターネット異性紹介事業の定義についてであります。
 いわゆる出会い系サイトというものを、法律で「異性交際を希望する者の求めに応じ、その異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達し、かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供する事業」というふうに定義されています。
 ただ、この定義でありますと、およそあらゆる掲示板、BBSとも言われますけれども、インターネット上の掲示板がこれに当たってしまうおそれがあるのではないかということを懸念いたします。
 例えば、趣味の出会いでも構いませんし、あるいはそういう出会いと全然関係のない、時事問題について議論するような掲示板でもいいかもしれませんけれども、そこに、私は異性交際を希望していますと。そして、児童の側からであれば、自分は十五歳で、何円で何がしたいですとか、あるいは児童を誘引する場合であれば、そういう児童と何々したいですというようなことを書き込んで、そしてそこに電子メールアドレスなどをくっつけておきますと、大概の場合、その電子メールアドレスのところをクリックすれば、その人と直接の交渉に入ることができる。
 あらゆる掲示板というのはそういう仕組みになっているわけですが、そうしますと、そういう書き込み次第では、あらゆる掲示板がこのインターネット異性紹介事業という定義に該当してしまうのかどうか、ここを伺いたいと思います。
瀬川政府参考人 二条二号の定義につきましては、委員が今指摘されたとおりでございますが、御質問にありました掲示板でありますけれども、二条二号の要件に当てはめてみたときに、面識のない異性との交際を希望する者を対象としたサービスを提供している掲示板であるのかどうかという点が、まず、いかがなのかな、こういうふうに思うわけでございまして、例に引かれましたように、単なる趣味でありますとか、例えばいろいろ時事問題についての意見を交換するとかいうようなものでありますれば、これは、面識のない異性との交際を希望する者を対象としてそのサービスを提供しているものということにはならないのではないか、このように思います。
 それから、返信機能でございますけれども、これも具体的なサイトでの状況がどうなのかということによろうかと思いますけれども、サイトの主宰者が、返信ができるような機能を用意しているというのが、ここで言う、相互に連絡することができるようなサービスを提供しているということである、こう考えておりますので、この二つの点におきまして、ただいま御質問にありましたようなものにつきましては、これはインターネット異性紹介事業には当たらないものであるというふうに言えようかと思います。
達増委員 そうしますと、これは似たような質問なんですけれども、そういう異性紹介事業を行う者が次の三号で「インターネット異性紹介事業者」と定義されているわけですが、今言ったような、「異性交際を希望する者の求めに応じ、」云々ということではなく、趣味の意見交換、情報交換ですとか、時事問題一般についてのそういう掲示板を運営している者については、この三号の「インターネット異性紹介事業者」には当たらないという解釈でいいのか。
 これは非常に重要な問題でありまして、インターネット上のそういう意見交換の場、情報交換の場、掲示板というのは今物すごく発達しているわけですね。これはだれでも簡単につくることができて、新しいタイプの表現の自由の行使、新しいタイプのそういう情報へのアクセスということで、うまく活用すれば、市民社会を発展させていくためにも、また政治をよくしていくためにも非常に効果的なわけであります。
 私もiモード上に自分のホームページをつくってありまして、携帯電話から私のホームページにアクセスできるようになっていまして、そのホームページには意見の書き込みもできるようにしてあるんですね。もしそこにそういう政治の問題や時事問題と脈絡なく、突如、私は異性交際を希望するんですが、これこれこういう条件でお返事下さいなんというのが書き込まれた瞬間に、ホームページを運営している私がこのインターネット異性紹介事業者ということになってしまうと、本当に安心して掲示板の運営ができなくなってしまう。いつ法律に基づいたいろいろな報告を求められたりするかわからないということになると、安心して掲示板の運営、ホームページの運営ができなくなってしまうのですが、そこのところは大丈夫ということなんでしょうか。
瀬川政府参考人 この二条二号の「インターネット異性紹介事業」の定義といいますのは、現実にいわゆる出会い系サイトと俗に言われているようなものに関連して発生した事件につきまして、いろいろ実態を調査いたしました結果、この二条二号に書いてありますような要件に該当するものでほとんど、九九%以上のものがこういった形態で発生しているということで、こういう定義をしたものでございます。
 したがいまして、先ほどの繰り返しになろうかと思いますけれども、例えば、全く面識のない異性との交際を希望する者を対象としたサービスでないものに、たまたま異性交際を希望するということの書き込みが行われたということでもって、これが突然インターネット異性紹介事業になるというものではないというふうに考えております。したがいまして、そういうホームページ等を主宰しておられる方がインターネット異性紹介事業者になることもないというものでございます。
達増委員 健全なネット活動というものが阻害されたり萎縮されたりすることがあってはなりませんので、伺ったところであります。
 さて、同じ定義の問題で、今度は反対に、法の網を逃れよう、この定義をうまく逃れて、実質的にはインターネット異性紹介事業に当たるような、実質的には問題になる出会い系サイトでありながら、この定義の文言をうまくくぐり抜けて、そうじゃないということでごまかせないかどうかという逆の観点から質問をします。
 警察庁の調査、アンケートによれば、アンケートに回答した人の二割、三割ぐらいは、男女の別なしに出会いの場を提供するような、そういう出会い系サイトだったという調査がたしかあったと思います。
 したがって、異性交際のための出会い系サイトではありませんよということを銘打って、これは異性交際の紹介を目的とするものではありません、異性交際希望者間の相互連絡という役務を提供するものではありませんというようなただし書き、注意書きを銘打って、それをトップページにきちんと書いて、そして出会い系サイトを運営する。ただし、実態としては、その書き込みの中で、私は何歳です、最近お小遣いが足りないので何とかかんとかしましょうよとか、これはもう未成年の女性から男性へだなとわかるような書き込みがなされ、そして、そういった者同士の直接の電子メールのやりとりなどを可能にする、そういうサービスが組み込まれているような、異性交際を目的とするものではないような外見を取り繕いつつ、実質としては問題になっているような出会い系サイトとして機能する、そういうホームページ、サイトも、きちっとこれで取り締まることができるのかどうか、伺いたいと思います。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 二条二号の定義でございますが、これは、私どもの調査した結果、九九・八%ぐらいがこの定義に該当する、面識のない異性との交際を希望する者を対象としてサービスを提供する云々の、四つほどの要件に分解できるかと思いますが、これに該当するものでございます。
 御質問は、そのサイトが、異性紹介が目的ではなくて男女を問わず出会いの場を提供するというふうに銘打っているというようなものについてということでございますが、どのように銘打とうと、実質が、この二条二号に言います四つの要件、すなわち、面識のない異性との交際を希望する者を対象とするサービスの提供、それから、異性交際に関する情報をインターネット上の電子掲示板に掲載し、他の異性交際希望者の求めに応じて閲覧させているサービスであること、それから、その情報を閲覧した異性交際希望者が、その情報を掲載した異性交際希望者と電子メール等を利用して相互に連絡できるようにしていること、四つ目に、有償無償を問わず、これらのサービスを反復継続して提供している事業である、これに該当する限り、これはインターネット異性紹介事業に該当するものと判断されます。
    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕
達増委員 先ほど警察庁の調査と言ったのは、内閣府の調査、平成十四年八月の調査のことでありました。
 さて、次に、第二章、児童に係る誘引の規制の第六条について質問をいたします。
 この第二章、児童に係る誘引の規制ということで、具体的に第六条で規制されているのは、児童と人の間の性交等が一つ、もう一つが児童と人との間の対償の授受を伴う異性交際ということであります。
 児童に係る誘引ということで、ほかにも考えられるのが対償の授受を伴う性交ということなんでありますが、そもそも、この対償の授受を伴う性交というものは、いわゆる売春ということでありましょう。そうしますと、売春防止法の五条、六条のところには、「公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。」というのが第五条三号にあります。また、六条は、周旋として、二項三号のところで、「広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。」
 そうしますと、今回の法律であえて対償の授受を伴う性交ということについては規制の対象になっていないんですが、それはこの売春防止法上、既に、そういう「広告その他これに類似する方法」、まさに出会い系サイトを利用した誘引というのがこれに当たり、売春防止法の方で規制されているからここには書かれていない、そういう理解でよろしいでしょうか。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 売春防止法の規定は御指摘のとおりでございますが、この法律案におきまして、いわゆる性交等と対償の授受ということを別個に分けて、不正勧誘行為ということで規制をしておりますのは、実際に出会い系サイトを利用して行われております児童買春事件等について分析をしましたところ、もちろん対償の授受と性交等を同時に誘引しているというものもありますけれども、非常に多いのは、対償の授受のみをもって誘引をするという誘引が現実に非常に多い、それから実は児童買春事件等に発展をしている、こういう事実、実態に着目をいたしまして、対償の授受を伴う異性交際の誘引というものについても法律をもって規制をする理由があるというふうに考えたことからくるものでございます。
達増委員 売春防止法と別に、この児童にかかわる誘引関係の法規制として児童買春、児童ポルノ禁止法というのがありまして、この第六条では、児童買春の周旋をする目的で、人に児童買春をするように勧誘した者は、三年以下の懲役、三百万円以下の罰金ということで、児童じゃない普通の売春の周旋や勧誘よりも厳しい刑罰が定められているわけですね。
 この出会い系サイト規制法案の方では、「人を児童との性交等の相手方となるように誘引すること。」ということで、ここには周旋も含まれるんだと思いますけれども、これが対償の授受を伴うような、つまり買春に当たるような形で行った場合には、それを出会い系サイト上で行った場合には、こちらの児童買春、児童ポルノ禁止法の違反ということになるんでしょうか。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 本法で禁止されておりますインターネット異性紹介事業を利用しての対償の授受を示しての性交の誘引でございますが、これは誘引行為でございまして、インターネット上で不特定多数の者を相手に誘いかける行為である、こういうものを意味するものでございます。
 一方、児童買春、児童ポルノ禁止法第六条で禁止されておりますのは勧誘行為でございまして、これは特定の人に対して相手方となるように直接積極的に働きかける行為である、こういうものを意味するものでございます。
 したがいまして、両法律は禁止対象となる行為の態様が異なるということで、インターネット異性紹介事業を利用しての対償の授受を示しての性交の誘引というのは、児童買春、児童ポルノ禁止法六条の児童買春勧誘には該当しないということになると考えております。
達増委員 この法案の目的、第一条をよく読みますと、何が目的かというと、「インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童買春その他の犯罪から児童を保護し、もって児童の健全な育成に資することを目的とする。」ということで、「児童買春その他の犯罪」、この「その他の犯罪」には、殺人事件でありますとか、あるいは強盗のようなことでありますとか、そういうことが入るんでありましょうけれども、要は、児童買春、これは売春防止法の世界からいうと、売春の側からいえば売春ということであるんでしょうが、そういう売買春以上の犯罪から児童を保護することが目的であるということなんですね。
 その手段として、売買春その他の犯罪に至らない段階での誘引というものを規制する仕組みになっているんだと思いますけれども、そこで、そういう誘引をした児童に対しても加罰するこの第十六条の問題になるわけであります。
 第十六条で、六条違反に百万円以下の罰金ということになっているわけでありますけれども、今の議論からいっても、やはり保護対象であるところの児童に対する加罰というのは、どうも目的と手段との関係として矛盾する、立法政策上いかがなものかと思われるんですが、どうでしょう。
瀬川政府参考人 この出会い系サイトにおきます不正誘引でございますけれども、不正誘引のいわば問題とすべき点ということであります。
 これは大きく三つあろうかと思いますが、一つは、御質問にありましたように、当然、児童が児童買春その他の犯罪の被害者等、直接のきっかけとなるおそれはあるんだろうと思います。それから二つ目には、こういった不正誘引行為が公然と行われることによって、児童の性の商品化がどんどん助長される、そういう風潮が広がるということがあると考えられます。それから三つ目に、児童がこういったものを見たときに、これはみんながやっているんだからということで、それを見た児童も不正誘引行為をしてしまう、そういう児童の不正誘引行為を誘発をするということがあるんだろうと思います。
 こういったことから、児童一般や社会全体にとって大きな悪影響を与える極めて悪質な行為であるというふうに考えられます。
 したがいまして、この法律案は、インターネット異性紹介事業の利用に関して不正誘引はしてはならないという必要最小限度のルールを定めまして、行為者がだれであろうと、インターネットを利用する児童一般に有害で悪質な行為を禁止するというふうに考えているところでございます。
 これは、児童を含め、何人に対しましても、インターネット異性紹介事業の利用に起因する規範を確立し、児童の健全な育成を図ることができるものでありまして、何人に対しても不正誘引を禁止するということは、法の目的と何ら矛盾はないものと考えております。
達増委員 これは大臣に伺いたいんですけれども、女性の性、セクシュアリティーと言ってもいいんでしょうが、女性の性をめぐる法規制というのは、社会全体の利益を守るという目的から、その当該女性、なかんずく児童の性が最近問題になっていて、児童そのものの権利を守るということに、目的の力点が移ってきていると思うのです。
 例えば、売春防止法では、「目的」のところに、「この法律は、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることにかんがみ、」というふうに書いてあって、社会全体の法益ということについて強調している。ところが、児童買春、児童ポルノ禁止法の「目的」の方になりますと、「この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、」ということで、「児童の権利」というところにウエートが移っている。
 売春防止法よりもさらに古い刑法、明治四十年にできている刑法の体系で、第二十二章に「わいせつ、姦淫及び重婚の罪」ということで、わいせつ罪や強姦罪やそういう規定があるんですが、これは実は、偽証罪とか虚偽告訴の罪とか、そういう裁判制度全体をおかしくするような、社会全体に対する罪の次に置かれていて、この「わいせつ、姦淫及び重婚の罪」の章の次には、「賭博及び富くじに関する罪」とか「礼拝所及び墳墓に関する罪」とか、社会全体の利益を害するような罪の間に位置づけられていて、個人の法益を害する犯罪、第二十六章、殺人、以下の犯罪の前の方に来ているんですね。これは明治時代の発想だと思います。
 政府案の「目的」は、社会全体の法益を守るとか児童一般を守るとかいうふうにはっきりは書いていなくて、素直に読めば、やはり児童の権利を守るというところに力点があるように読めるので、目的がそうであるならば、その中身においても、児童に対する刑罰というのはなしにしてもいいんじゃないかと思うんですが、この点いかがでしょう。
    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕
谷垣国務大臣 達増委員が今指摘されましたように、いわゆる児童買春、児童ポルノ法、私も、直接の提案者にはなっておりませんが、与党でこの議論を始めましたときに、最初に加わって議論をしました。
 そのとき、いわゆる子供を対象にしたポルノのようなものは、もし、今委員がお挙げになったような、社会的法益といいますか、善良の性風俗を守るという観点から立法するならば、それは既に、刑法上の、わいせつ文書図画の所持、頒布を禁止するという条項があるわけですから、本来ならあれでいけるはずなんです。
 しかし、御承知のように、あの法案には、チャタレー事件の、わいせつとは何かという基準が四つほど掲げてあるわけですが、結局、社会通念の変化に伴って、現実には子供のいわばポルノ写真みたいなものもなかなか取り締まれなくなっていたという現状が一方にあり、他方で、子供の権利は、やはりこういうものを残された場合、子供が成長していくに従って、いつまでもそういうものが残っていたこと等のトラウマ、あるいは子供の性の商品化というのを防ぐには、なかなか今までの手法ではできない。
 そこで、子供の権利という側面に着目して、わいせつ文書図画ということになりますと、表現の自由とかなんとかという問題も一方で出てくるわけですし、社会通念との折り合いというものも必要だろうと思うんですが、子供の権利というところから攻めてみようという発想であの法律は議論が始まったというふうに私は理解しております。最後までそれでいったのかどうか、私は今明確にできませんが、多分そういう思想でできているんだろうと思うのです。
 今度のこの法律は、先ほど瀬川生活安全局長が御説明申しましたように、確かに、いわゆる出会い系サイトを使うことによって、自分も児童買春等に巻き込まれていくというか、その場に入っていくという危険性、これは児童買春のみにとどまりません。るる申し上げているわけですけれども、強姦であるとか強制わいせつ、場合によっては殺人というようなことがあるかもしれませんが、非常に危険な場を利用しているのがありますね。
 それと、我々ここで看過できないのは、性の商品化、児童の性の商品化というものに対して、やはり警鐘を鳴らしたい、一定の歯どめをつくりたいという気持ちもございました。それから、生活安全局長が答弁いたしましたように、そこを利用する子供だけではなくて、友達が利用していると、ああ、こういうことがあるんだなということで、新たな子供たちをまたそこに引き込む危険というものもあるんだ。そういうものを抑止、防止する必要があるという考えでつくられたわけであります。
 これはもう、厳格に言えば、一条に書いてございますように、児童買春その他の犯罪に巻き込まれることから児童を守ることにあるということになるわけですが、さらに広く申し上げれば、児童の性の商品化とか、児童が性というものをきっかけにして非常に危険な場にさらされていく、社会的な法益と申しますか、そういうものをこの法律によって守っていこう。
 委員は、そういう発想は明治時代の片仮名の発想だとさっきおっしゃったようでありますけれども、必ずしも、個人の権利だけに着目すれば子供の健全な状態が守れるというものではないんではないか、やはりそれに対する社会の通念、そういうようなものも、私どもは、こういう手法を通じて子供の性の商品化というものを防いでいくという視点も必要なのではないかというふうに思います。
達増委員 社会の通念を守り育てていくのは、罰則によってではなく、別の教育啓発とかいった、他の行政施策でやるべきだと思うんですね。
 出会い系サイトでのそういう不健全なやりとりを見ている児童にも誘発していくとか、公然行われることで同調が広がるとか、そういう被害の拡大、二次災害についても、そこは教育啓発で対処をすべきで、罰則については本当に最低限に抑えなければならない。まして、この法案では、罰則とは別に禁止規定ということで、およそ公然行われることについては違法だとはっきりさせるわけでありますし、また、第三章では事業者に対する規制というものがかなりきっちり定められるわけでありますから、そういったところで、かなりの効果が期待できるんだと思います。
 質問時間が終了してしまいましたけれども、そこについてはまだまだ議論を深めなければならないんじゃないかということで、私の質問を終わります。
青山委員長 次に、石井郁子さん。
石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 きょう、私も、法案条文に則して幾つか質問をさせていただきます。
 まず、この新法における事業者の責務なんですね。七条、八条がありますが、第九条には、「児童の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するための措置を講ずるよう努めなければならない。」というところがございます。「障害を及ぼす行為を防止するための措置を講ずる」ということは、どういうことを課しているのでしょうか。
瀬川政府参考人 お答えします。
 本法九条におきます、「児童の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するための措置」ということの内容でございますが、インターネット異性紹介事業者は、具体的には次のような措置をとっていただくということが考えられるわけでございます。
 まず、第六条各号に掲げる行為、いわゆる不正誘引行為が罰則をもって禁止されているという旨を表示して、利用者の注意を喚起してもらう。それから、不正誘引行為のほか、買春の誘引行為その他の児童の健全な育成に障害を及ぼす書き込みが行われたというものを事業者が発見した場合には、その書き込みを削除して、公衆に閲覧をさせないようにしてもらう。それから、児童がインターネット異性紹介事業を利用したと疑われる場合には、その者の書き込みを削除し、公衆に閲覧をさせないようにする、こういったことが考えられるわけでございます。
 いずれにいたしましても、この規定というのは努力義務規定でございまして、事業者はそれぞれ、みずからの技術力や措置に要するコストの負担能力に応じて、可能な範囲の措置を講ずることが期待されているところでございます。
石井(郁)委員 いろいろ議論されているんですけれども、児童買春の問題を解決するためには、児童の性を商品化する、そういう社会風潮やそれを助長している大人の問題があるということなんですが、この法案では、同時に書き込みをする児童にも問題があるんだと。そのための抑止効果を発揮しなければならないというようなことで言われてきているわけです。
 ここで、児童に責任を同時に問わなければならないと一方でかなり言っているわけですから、本当に児童に責任を問うのかどうか、問わなければならないのかどうかということを言う前に、やはりその入り口で書き込みを減らしたいというのがこの法律の大きな立法趣旨だということを言われておりますから、書き込みを減らしたいということだったら、やはりまず第一に、そのサイトの開設者に、今言われたような、してはならない、防止措置というものを周知徹底させる、その責任をきちんと果たしてもらうということの方が先ではないのかということなんです。
 だから、そういうサイトに子供からの書き込みがあったらまず削除させるとか、そういうことを開設者自身が率先してやれば済む話なのに、なぜそれができないのかという歯がゆさがあるわけでしょう。そういう措置で済むのではないのかということが、なぜもっと強くというか、それをどこまでの権限でどうするかという問題もありますけれども、やはりまずサイト開設者に、あるいは事業者にきちんとその責任を果たしてもらうということについて、この九条はいわばどのぐらいの効果を持つのですか。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 サイトの事業者でございますけれども、これは大きな企業から本当の個人に至るまで大小さまざまでございまして、いわゆる出会い系と言われる事業者の数も、実は、現在のところ正確にはわからないわけでございます。こういった事業者に対してどのような義務づけを課していくのかという問題がまずございます。
 それから、児童の利用を防止するために一番必要なのは、利用者がだれなのかということを確実に本人確認をすることが非常に重要でございますけれども、現在のところ、残念ながら、インターネット上で簡単かつ確実に本人確認をする仕組みというのは普及をしておりません。
 したがいまして、インターネット異性紹介事業者が、先ほど申し上げました、さまざまな方がおられるということからして、そういった事業者が一律に実行できる、かつ、一定の効果が期待できる措置として、その利用者の自主申告に基づく年齢確認措置にとどまらざるを得ないという状況になっているわけでございます。
 ただ、これも、自主申告ではありますけれども、例えば思いつきでありますとか単なる好奇心でありますとか、そういう形で、ちょっと見てみよう、利用してみようという児童に対しては非常に効果があるというふうに私どもは考えているところでございます。
 したがいまして、九条の義務づけでございますが、先ほど来御説明申し上げましたようなことを私どもとしては大いに期待をしていることでございますけれども、これは一応努力義務規定ということになっているものでございます。
石井(郁)委員 技術的にまだいろいろ難しい問題もあるということも言われましたけれども、私は、事業者の責任、責務ということで言うと、ここら辺が、今お話しのように努力義務規定で終わっているというあたりが、どうも事業者に対しての弱腰が見えるわけでして、その辺はやはりこの法案の一つの問題点ではないのかなというふうに思うのです。こういうことをしちゃいけないという点では、事業者にもっときちんとした責務を課すべきだということを私は第一に申し上げたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。
 それから、次の問題が、一方で利用者の方も問題があるんだ、子供もアクセスしているんだということで、その児童に加罰するということがずっと議論になっているわけでございますけれども、その背景に、誘う側の子供も悪いじゃないかという問題がずっとちらちらありまして、私は、これはやはり性犯罪あるいは児童の性を売り買いするという問題の本質を見誤ることになるのではないかとずっと思っております。児童が買春の書き込みをするというのは、やはりそれが売れるからだ、買う側の大人の存在があるからだということでやっているわけですから、ここはもう紛れもない事実だと思うんですね。
 そこで、先日の参考人の陳述でも、やはり大人が買わなければ子供はそういう行為に走らないんだと。大人の社会が圧倒的なんですから、子供から見て。大人の社会にそういう風潮とそういう条件が蔓延していて、それに子供がいろいろ染まっていくというのは、これは第一義的に子供の責任ではないでしょう。しかも、性を売り買いする、売買の対象にする、まさにやってはいけないという行為なわけですから、そういう問題では事柄ははっきりしていると私は思いますが、改めまして谷垣大臣に、この児童買春ということに限って、児童は一体被害者なのか加害者なのかということを明確に認識をお示しいただきたいと思います。
谷垣国務大臣 児童買春について、児童が被害者なのか加害者なのかというのは、児童買春、児童ポルノ法の立て方は、明確に児童が被害者である、こういう観点でつくってある法律であります。
 もちろん、あの法律も、子供の性的な商業的な搾取、例えば児童がそれをやって、例えば搾取してもうけていたとか、もうけていたというのは適当かどうかわかりませんが、搾取する側に回れば子供もやってはいかぬという体系ではできておりますが、いわゆる児童買春と言われる場合の子供は被害者であるという視点でつくってあるわけであります。
 今度のこの法律は、そういう観点から見ると問題ではないかという立場からの今の御議論だと思いますが、先ほどから議論させていただいておりますように、やはりこの法律の出発点は、いわゆる出会い系サイトを場として、ここでいろいろな悲惨な犯罪が起こっている事例が過去にありました。
 そういうことを考えますと、こういう場を利用して児童の性を商品化するような申し出をする、それは対価を払っての場合もあるし、子供を相手に、どなたか相手はいませんかというような対価を払わない場合であっても、児童買春のみならず、非常に危険な犯罪、それを蔓延させていく危険というものがある。それはさらに児童の性の商品化も進めていくことである。それから、先ほど局長も御答弁しておりますように、そういうことを身近な人がやっていれば、ああ、こういうことをやってもいいのかといって、また新たなものをつくっていく要因にもなる。
 だから、児童の性の商品化を守るためだと言えばちょっと抽象的ですけれども、それだけではなくて、現実にこういう危険な場をできるだけ抑えていこう、そういうのが法益であるわけでありますので、つまり、そういう立て方でありますと、例えば殺人であるとか買春の相手方をどうするという場合だと被害者という概念があるわけですけれども、ここの場合にはやや被害者という概念の立て方は難しいのかな、こう思っております。
石井(郁)委員 大変御丁寧に御答弁いただきましたけれども、やはりこの出会い系サイトの場をめぐって、そこが発端となっていろいろな犯罪が起こる、そして児童が巻き込まれる、そのことの御心配というのはある面ではよくわかるわけです。
 しかし、問題は、何度も言いますが、そこで性の売買、児童買春が行われるということについて言うと、やはり子供は書き込みする側であっても被害者なんですという立場に立たなければいけない。つまり、誘う子供が悪いんじゃなくて、やはり誘っても児童は被害者なんですよ。その認識にきちっと立つべきだ。そうしないと、児童買春禁止法との整合性がないと思うんですね。それが第一点です。
 それから、これまで警察庁自身もいろいろ少年非行等について書かれたときには、やはり性非行への対応のポイントとして、表面的な言動に惑わされないことだとか被害者の視点を持つことだとか、そういうことをずっと一貫して言われているんですよね。だから、やはり少女売春とよく言われるそういうことについても、それは被害者としての視点を持つことが大事だというのは、カウンセリングなどで述べられているとおりなんですよ。
 だから、そういうことに立って考えますと、それがきっかけでさまざまなことが起こったとして、それを何とかしなければならないという抑止効果を考えるということはわかるんですが、なぜ、同時にそういう児童までも処罰の対象にしなければいけないのか。禁止まではわかりますよ。禁止するというのは必要なことです。しかし、なぜ被害者である児童まで処罰の対象にするのか、加罰の対象にするのか、ここはどうしても説明がつかないわけですよ。
 大臣、御説明いただけますか。
谷垣国務大臣 委員の今の御発想は、やはり児童買春等に結びついていくんだ、したがって、児童買春の方の発想でいけば、仮に最初に声をかけたとしたって子供は被害者なんだ、では、ここで違っているのは矛盾じゃないか、平たく言えばそういうことをおっしゃっているわけですよね。
 それで、実は児童買春のときは、まさに買う、買われるというのがあって、被害者だというのはあるわけですが、ここはそういうことに直接着目しているという、もちろん性の商品化一般に着目はしておりますけれども、この場をきっかけにして凶悪な犯罪が起こり得る、つまり、そういうところに巻き込まれる子供の危険というものが保護法益なわけです。そういう危険ある行動は何人もしてはいけない。それは子供であろうと大人であろうと同じことだ。大人が、ここに十六歳の子がいる、交際を希望しているから紹介するよということをやったっていかぬ、こういうことだろうと思うのです。
 ですから、委員は説明がつかないとおっしゃるけれども、児童買春禁止法でも、ああいう児童を商業的性的に搾取しちゃいかぬということは、そのための刑罰規定は、何人といえどもこういうことをやった者は罰せられる、こういうふうになっているわけです。
 そこで、あとは結局、では犯した場合にどうなるのか。そのことで、つまり好奇心や、先ほどからいろいろな御議論で、あるいは渇きみたいなものもあるかもしれません。出来心でこのサイトに書き込みをして、たまたま対象になってしまった子供をどうするかということになりますと、それは少年法等の保護の体系でカバーしようじゃないか、こういう発想でできているわけであります。
石井(郁)委員 少女をめぐるいろいろな性の問題、大人社会も含めてですけれども、こういう問題というのは、本当に社会の全体から出てくる、教育の問題も含め、マスメディアも含めて、もっともっと掘り下げた議論がいろいろな角度から必要なんですね。
 この特別委員会で、ちょうどこの出会い系サイトの規制法案を出されて、今こういう議論になっていますけれども、私自身も国会の場で、長年いますけれども、性の商品化という問題は初めて質問させていただいているわけで、本当に子供をめぐるこういう問題というのは、日ごろからいろいろな議論が必要だったなということを今痛感もしているんですね。
 私が問題にしているのは、少年非行のいろいろな実態、それこそ日本の社会の、この二十年ぐらいでしょうか、特にそういう少女売春だとかという形でずっと問題になってきたということを見ていますけれども、これもちょうど「警察時報」を見せていただいたんですが、平成十四年の上半期の少年非行等の概要についてというのがありまして、そこでも「少女たちが出会い系サイトにアクセスする直接の動機は、」というのが書かれてありまして、これを見たんですけれども、やはりそういうことをやることに対して罪悪感を持っているというんですよ。私、ここら辺に、やはり子供は子供として健全な部分はあると思うのです。
 だから、大人から見て、そういうことに走っているかのように一部現象が見えたりするけれども、決してそうではないと。これはちゃんと書いていますよ、「売春行為そのものには抵抗感が強い。」と。罪悪感を持っているんですよ。しかし、なぜそういうことをするのか。そこが次の問題ですけれども、やはり「満たされていない愛情欲求や依存欲求を求めるかのように、みせかけの優しさに心も体もを許してしまう子が多い。」ということで、いわばそういうことの誘いの網というか、わなにやはり乗ってしまう。それはその子の弱さだと言ったらそれまでになってしまいますけれども、そういう子供の優しさを求めるのに乗じてというか、そういうサイトを開いて、交際をしていく側があるわけでしょう、求めていく側が。
 だから、その辺で言うと、私は、やはり書き込みする子供たちをどうやってさせないようにするかというのは、もっと社会的に、こういうことをしちゃいけないということも言いつつ、教育の問題、あるいはそのケアの体制、いろいろなことで考えていかなきゃいけないというふうに考えているわけです。
 そういうことで、罰則ということがどれほどの有効性があるのかという問題ですね。事業者に対して余り有効的でなくて、子供には加罰をしてこういう危険なところから子供を救うというやり方は、ちょっと違うんじゃないかということなんです。私は、子供たちになすべき行政の側の取り組むことというのはもっとほかにいろいろあるんじゃないかということを強く思っておりまして、ぜひ警察庁も、関係省庁とも連携していろいろな、そういう子供に対する必要なケアとかそういう体制を充実させてほしいということが私の要望でございます。
 その点、何かお答えいただけますか。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 性非行に走る少女について私どもがどういうふうに接すべきかというのは、今委員が御質問の中でまさに触れられたとおりでございまして、そういう認識で私どももそういった少女の立ち直りに対して一生懸命努力をしなければいけない、こういうふうに考えているところでございます。
 また、児童買春、児童ポルノ法ができましたときに、そこの十五条等の児童保護の規定もございます。私どもとしましても、こういった規定も受けまして、そういった被害に遭った児童に対する支援活動とか、あるいは児童相談所等の連携の強化ということについても第一線に指示をしているところでございます。まさに今後とも関係省庁とも連絡して、こういった現実の被害に遭った児童に対する保護でありますとかケアでありますとかいうことをさらに強力に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 ただ、本法におきます不正誘引行為というのは、先ほど来御答弁申し上げましたとおり、その児童が各種犯罪の被害に遭うおそれがあるということだけではなくて、社会一般にやはり児童の性の商品化ということを蔓延させていくという問題があり、かつ、そういった不正誘引をみんながやっているということ、そういうものを見た児童が安易にみずからも不正誘引行為を行うという問題がある、大変これはそれ自体悪質な行為であるというふうに考え、何人についても禁止をするという法律案としたものでございます。
 しかし、当然のことながら、これも、本日御答弁申し上げましたとおり、各種の事業者規制を設けておりますので、児童が今までのように何の障害もなく出会い系サイトにアクセスをしていくということは、この法律によりまして極めて難しくなる。実際に書き込みで不正誘引をする場合というのは、事業者の方々がこの規定を遵守していただければ、みずからの年齢を偽って、援助交際等を積極的にやるという考えで、年齢を偽って出会い系サイトにアクセスをしていって書き込みをする児童というものに、初めてこの六条の禁止規定が働くことになる、こう考えておるものでございます。
石井(郁)委員 少し具体的に確かめておきたいんですけれども、先ほども出会い系サイトをどう定義しているのかということで、大変広い概念になっていないかという問題、どう特定するのかというようなことが出ていたと思うんですが、何か総務省とも相談してガイドラインを作成されるということを聞いておりますけれども、そのポイントとなるような点、どういうものになるのか、今、お示しできたら伺っておきたいと思います。
瀬川政府参考人 これは、インターネット異性紹介事業について、二条二号で定義を書いてあるわけでございますが、累次、委員会でも御質問がありますように、例えば、趣味のサイトは当たるのかとか、それから単なるメル友のサイトは当たるのかとか、そういう御質問もあったところでございまして、そういったものについて、こういうサイトは当たる、当たらないということが明確にわかるような形でガイドラインを作成していくということを考えております。
石井(郁)委員 これもいろいろ言われているとおりなんですけれども、先日も参考人質疑で、宮台参考人から、出会い系になり得ない書き込みサイトというのは存在しないということもございました。それで、定義のあいまいさについての疑問が出されていましたので確かめたわけですけれども、新法で規制の対象となるサイトの要件が異性紹介事業になっているんですね、面識のないとかいろいろありましたけれども。今お話しのように、趣味のサイトは定義から外れるとございました。しかし、どうしてそんなにはっきり区別できるんだろうかというのがまだわからないわけです。
 それで、法案では、このサイト、異性交際を希望する者の求めに応じる役務を提供しているかどうかだというんですけれども、これはどうやって判断というか、どういう区別がされるわけですか、教えてください。
瀬川政府参考人 「異性交際を希望する者の求めに応じ、」ということでございますが、異性交際を希望する者を対象としてサービスを提供する、こういうことでございます。そのサイトが客観的にどういうサービスを提供しているかということで判断されるべきものと考えておりまして、例えば、異性交際を希望する者というのは、相手方が異性であることを必須の条件として交際の相手方を求めるということになりますので、通常、こういったサイトにおきましては、書き込みをした者の性別がシステム上で明らかになる。例えば、男の人がアクセスをしまして女性を探す。異性交際を求めるわけですから、女性を探すわけですので、女性で書き込みをしている人たちを探せるようなシステムを持っているサイトということになります。
石井(郁)委員 では、これもまだまだ、私もガイドラインをしっかり見せていただいて考えなければいけないなと思いますが、結構です。
 それで、例えば、トップページに山好きのサイトとうたっても規制になるのかどうかなんですけれども、確認したいのは、例えば山好きのサイト、山が好きだということで、そこに出会いのページがある、掲示板もメール送信機能もある、こういう場合はどうなりますか。
瀬川政府参考人 結局は、法の二条二号の要件に該当するかどうかということでありまして、山好きサイト、こういう名称でありましても、その中身が単に登山を趣味とする人たちの集まりのサイトであれば全くこれは当たることはないわけでございますが、客観的に見て、それが二条二号にありますような四つの要件、異性交際を求める者の求めに応じるとか、今私が御答弁申し上げましたような、それが結局、男女の性別が明らかになるような仕組みをとっているとか、そういったことによって、実質的な要件で判断をされるということになろうと思います。
石井(郁)委員 そうすると、かなり中身に入って、この第二条の二号の要件がどうなのかということを見ていくことになるわけですね。それはいいでしょう、おいておきます。
 ちょっと具体的な話ですけれども、例えば、児童の場合、書き込みをした、そして規制対象となるような行為をしているという場合、その捜査の仕方というのはどんなことになるんでしょうか。書き込みをしたという、そのことから捜査が始まるんですか、携帯電話はその場合にどんなふうに使われたりするのか、ちょっと伺っておきたいんですけれども。
瀬川政府参考人 これは、警察が例えばサイバーパトロール等で、そういった出会い系サイトの掲示板、これは公になっている、公開されているものでございますので、そういったものをサイバーパトロールする中でそういう書き込みを発見するということが端緒となるわけでございまして、それを発見した場合に、例えば公開のデータベース等を活用するなどして、どのサーバーからその不正誘引が行われているのかということを特定し、必要により捜索・差し押さえ令状等で通信ログ等を差し押さえるというようなことから、どの端末から不正誘引が行われたかということを確認していくということになります。
 例えば、端末を特定したとしても、具体的にその端末を利用して当該書き込みを行ったのがだれであるのかということについても、さらに進んだ捜査を行うことによって、最終的に書き込みをしたその当該人物を特定するという形で捜査が進むものでございます。
石井(郁)委員 もう時間が参りまして、私は、やはりまだいろいろな問題が残されているという気がしてなりません。
 それで、最後に一言なんですが、インターネットが世界的に普及する中で、こういう出会い系サイトで少女買春などについて、あるいは性犯罪そのほかの犯罪についても、こういう防止の法律をつくらなければならないというのは日本だけだということでございますが、私は、何かそういうところに今の日本の問題点があるなというふうに思うんですが、こういう法律が本当にどれだけの有効性があるのか、ないのかを含めて、今後もっと私自身も考えてみたいということを申し上げて、きょうは質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
青山委員長 次に、保坂展人さん。
保坂(展)委員 社会民主党の保坂展人です。
 きょうは、生活安全局長にちょっと細かい点にお答えを簡潔にお願いします、たくさんありますので。
 刑法犯の検挙率が二割を割り込んだということ、大変ゆゆしき問題だと言われていますけれども、出会い系サイトの検挙率の方はむしろ上昇している、これはどんな理由なんでしょうか。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 出会い系サイトを検挙しているということはございませんで、出会い系サイトに起因した事件が増加をしている、こういうことでございます。
 平成十四年中が千七百三十一件で、平成十二年の十六・六倍ですが、一番増加をしておりますのが児童買春事件で七百八十七件。それから、県の青少年保護育成条例違反事件が四百三十五件でございまして、これは、検挙率という形ではこの種の犯罪は出てまいりませんで、特にこの部分の検挙率が増加をしているということではなくて、実際に検挙される件数が増加をしているということでございますので、これは相当発生が増加しているということを裏づけるものであろうというふうに考えております。
保坂(展)委員 ちょっと言葉足らずな質問だったかもしれませんけれども、いわゆる出会い系サイトにかかわっての事件が検挙の数がふえているということだと思います。そういうことでこの法律の提案に至ったということですけれども、例えば深夜徘回とか万引きだとかさまざまな理由で少女を補導されたりするときに、メモとか携帯電話のメモリーなどにお客さんみたいな形で登録されていたりとかということから逮捕に至る事例が多いと私は聞いております。
 そこで、今回の法律で規定している言葉を、ちょっとこれから、局長に簡潔に答えていただきたいと思うんですね。というのは、これは立法目的はわかるんですけれども、拡大されて運用されてしまっては大変なことになるという心配が我々はあるわけです。
 そこで、まず、「異性交際希望者」、こうありますよね。異性交際希望者というのは、例えばこの言葉だけとってみると、異性交際希望者でなかった人は中に何割かいるかもしれませんけれども、ほとんどの方が思春期及び青年期に異性交際希望者だというふうに言えるんじゃないか。非常に幅広い概念だと思いますが、どうですか。異性交際希望者とは何か。
瀬川政府参考人 法二条二号にある「異性交際希望者」についてのお尋ねだと思いますが、これは、「異性交際」、ここに括弧しまして、「面識のない異性との交際をいう。」ということで、それを希望する者ということでございまして、ここで言いますのは、インターネットを利用しまして面識のない異性との交際を希望する方のことを意味するものでございます。
保坂(展)委員 インターネットというのは非常に普及しているわけで、つまり、インターネットを利用して面識のない異性との交際を希望する者でいうと、例えばこういうふうな書き込みをした人はここまでの概念に当てはまりますよね。恋人が欲しいなとか、一緒に遊んだり語ったりする相手が欲しい、こういうのはやはり面識のない異性交際を希望する者だ、こういうことですか。
瀬川政府参考人 異性交際希望に当たるかということに限って言えば、当たるというふうに考えられます。
保坂(展)委員 そうすると、インターネットが扱えて、自分が好きな異性がいれば別ですけれども、そうでない、つまり十代、特に女の子の側の誘引行為というのが今回処罰対象になっているわけですけれども、次に出てくる「インターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態」、これは該当するもの、しないものと分けて考えられていますか、どうでしょうか。
 質問を明確にするために、「警察時報」の二〇〇三年、ことしの三月の「出会い系サイトの現状と対策」、庄司さんという方が書かれたものがあるんですね。これによりますと、出会い系サイトというのは、一応二つの種類、メッセージ取り次ぎ型、単純BBS型、ツーショット・チャット型というウエブページ利用型と、二番目に電子メール利用型、メルマガ型、メールマガジン型ですね、それからメーリングリスト型、この五類型に分かれると。これがことしの三月の段階の「警察時報」の論文のようなんですが、どうでしょうか。この五つ、みんな入るんでしょうか。
瀬川政府参考人 まず、閲覧することができる状態に置くというのは、これはウエブサーバーに記録させる行為でありまして、これによって、公衆がインターネットを通じていつでもその情報を閲覧できるようになるというふうに理解をしております。
 それから、御紹介の論文にありましたメールマガジン、メーリングリストでありますけれども、どういうメールマガジンであり、どういうメーリングリストであるかということが実は問題なんだろうというふうに思います。
 その論文自体は、ちょっと私、詳細に読んではおりませんけれども、メールマガジンについて言いますと、一般にそのメールの発信者が、あらかじめ登録されている会員に対して定期あるいは不定期に同様のメールを送る形態のものであり、またメーリングリストというのは、限定された会員間でのメールのやりとりをするものだというふうに理解されておりますので、そういったものであれば、そのままでは本法に言うインターネット異性紹介事業には該当しないことになろうと思います。
保坂(展)委員 ツーショット・チャット型については触れられていないんですが、恐らく、この庄司さんの論考には、ツーショット・チャット型については、二人までしか利用できない電子上の掲示板に互いにリアルタイムで書き込みをし合うことで、あたかも会話をしているように互いの意思を伝達するようなサイトであり、結局、性的な書き込みになったり、実際に会うことを希望する書き込みになることもあるというふうに、いわば性格を絞って書かれている。
 それから、メールマガジンにしても、電子メールで届くメールマガジンのうち、たくさん、いろいろあるんだけれども、その中で、見知らぬ相手の情報を定期的に送信してくるサービスがあるが、受信した出会い情報に返信することで互いに連絡をとり合うことができるものであるというのが該当するだろうというふうに恐らく書かれていると思うんですね。
 それから、メーリングリスト型にもさまざまな類型があるけれども、受信した出会い情報に返信することで互いに連絡をとり合うことができるものもあるとして、この類型に含めているんじゃないか。
 今私が言ったところは入るんじゃないですか。どうですか。
瀬川政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたとおり、メールマガジン、メーリングリストそのものについては、これは基本的に該当しないものと思います。といいますのは、そのものは、メールの内容を公衆の閲覧に供しているとは、普通の場合は言えないわけでございます。
 ですから、何らかそれに付加するといいますか、その運用の方法といいますか、それによりまして、それが公衆の閲覧に供するというような形になって運用されているとか、それから、例えば発行者から一方的に送られてくるメールマガジン、メーリングリストは、利用者の間での一対一の連絡をさせる機能は普通は有していないわけでありまして、この二条二号に言う、相互に連絡ができるようにするとは言えないというものだろうと思います。もしそういう機能を付加したようなものがあれば、それは該当することになる場合もあるだろうと思います。
 同様に、ツーショット・チャットにつきましても、それは相互間のいわば密室内での会話でございますので、ツーショット・チャットそのものは、ここに言うインターネット異性紹介事業には該当しない。
 ただ、これが何か掲示板と連動するような形のもので、単なる通信手段の部分としてツーショット・チャットが扱われるということであれば、これはインターネット異性紹介事業に該当するということになるんだろう、こう思います。
保坂(展)委員 大臣にちょっと伺いますけれども、先ほど水島委員がちょっと今までの説明と違うのではないかというふうに指摘されていましたけれども、例えばメールマガジンであるとかメーリングリストというのは、やはりここには入りませんよというふうなもので峻別していただくと、割と非常に狭く範囲がわかって、いろいろ業界の混乱も呼ばないだろうというふうに私も思うんですけれども、しかし、やはりこの三月段階での五類型というのは、今の答弁を聞いてもわかるように、全部網羅的に入るとは言っていないんですよ。言っていない。
 ただ、例えばツーショット・チャットといっても、それ自体を限定的に見れば入らないけれども、その入り口で公衆の閲覧に供し得るようなところにあれば、そこは入り得るというふうに言っているわけで、恐らく私が質問したこととそんなにそごはないですね。これは、入る入らないというのは、ガイドラインで決められるということではなくて、どこまでこれは入るのかということをしっかり審議中に示していただかないと余計な混乱を招くし、またそういう大事な部分を省庁間の協議にお任せするというのも国会の審議機能としていかがかと思いますので、見解を問いたいと思います。
谷垣国務大臣 要するに、インターネット異性紹介事業の概念の立て方が不明確ではないかという御疑念だと思いますが、一つは、今論文をごらんになって、いろいろなこういう分類がある、その分類は必ずしもこの法律を適用しようと思って立てた分類とは違うと思うんですね。
 それから、インターネットやこういう世界でどんどん新しい技術的発展や手法の発達があると思いますから、今分類したのでは、多分また新しいものが出てきて、これはどうなんだと当てはめになかなか苦労する場面が私は必ずあるのじゃないかと思います。
 それは技術の進歩ですからやむを得ない面がありますが、そういうことを抜きにしてこれを考えますと、異性と交際したいと希望する者の求めに応じてその情報をインターネット上公開で公衆が閲覧できる、それから相手方と連絡する機能を持つ、そういうことを事業としてやる。事業としてやるということは、たまたまその場限りではだめなので、言うなれば少なくとも反復継続の意思がなきゃいかぬ、こういうことだろうと思いますが、これは、概念の立て方としては、私は極めて明確に概念が立てられているというふうに思います。別に、特殊な解釈といいますか、価値観の入るような文言は比較的少なくでき上がっておりますので、今四つここに要件があるわけですが、この四つの要件を当てはめていけば、大体というかきちっと整理ができるのではないかと考えております。
保坂(展)委員 四つの要件を当てはめて考えてみると、おおよそいろいろなものは入るんじゃないかなというふうに読めてしまうんですよ、私の方から見ると。
 つまり、だから、あらゆるメーリングリストやメールマガジンが対象だというようなことはないんですよ。これは出会い系にしてもすべてが対象じゃありませんからね。ですから、そこに幾つかの要件があるわけですけれども、しかし、今「警察時報」の五類型を挙げましたね。その中で、入るものもあり得るということでよろしいんですね。理由は省略してください。
瀬川政府参考人 その論文といいますのは、三月号に出ているものでございまして、恐らく執筆したのは十二月か一月かだろうと思います。この法律案というものができる前に、いろいろ実態を調べた中で、個人的な研究としてこんなような形のものがあり得るというようなことを検討したものだと思います。
 私どもとしましては、最初の御質問にお答えしましたように、いわゆる特殊な形のものは別にして、俗に言われるメールマガジンとかメーリングリストというものは、先ほど御答弁申し上げましたけれども、これにつきましては本法に言うインターネット異性紹介事業には該当しないと考えておりますし、それから、ツーショット・チャット、これそのものもインターネット異性紹介事業には該当しないというふうに考えております。
保坂(展)委員 ますますわからなくなりましたね。最初に言われていたのは、ツーショットの中でも、それ自体特定的に見れば入らないけれども、例えばホームページとか公衆が閲覧できるところにこの入り口があれば、この「警察時報」が書いているように、やはり性的な書き込みになったり実際に会うことの展開になるのではないかという部分を見れば、これは入るとさっき言いませんでしたか。これも入らないなら入らないというように、すっぱり言っていただかないと、わけがわからなくなってしまいます。
瀬川政府参考人 ツーショット・チャットというのがいわゆるメールのやりとりと同様の相互間の通信のことを意味するものであれば、これは明確に入りません。
保坂(展)委員 そうすると、私は聞き違えてないと思うんですけれども、先ほど、一般的に入らないが、その入り口が公衆の閲覧ということであれば入る場合もあると言ったじゃないですか。それは間違っていましたか。
瀬川政府参考人 言葉足らずでちょっと申しわけありません。
 ツーショット・チャットといいますのは、通常、メールと同様にお互いの通信手段としてとらえられるものでございますので、この二条二号の要件に言ういわゆる相互に連絡することができる手段ということで、ツーショット・チャットがそういうものであるというふうに見られるということはあります。
 ただ、ツーショット・チャットそのものは、これは公衆が閲覧できるようなものでは当然ございませんので、そのツーショット・チャットが公衆が閲覧できる掲示板と連動した形で、いわばメールの機能を果たす部分としてある場合には、それが全体としてインターネット異性紹介事業に当たる場合がある、こういう意味でございます。
保坂(展)委員 一般的には入りません、しかし実際には、よく限定的に考えていけば、そこが抜け道になってもいけないので入るということなんですね、今聞いていると。恐らくそうだと思いますよ。要するに、一般的にメーリングリストやメルマガは入りませんと言いつつも、しかし、その中に、不特定多数に発信するものもあるわけですから、そこの中に出会い系情報が入っていて個人に往信という機能があれば、それはこの法律の要件に入るということですね。そういうことですよね。入らないなら入らないとはっきり答えてください。
瀬川政府参考人 ツーショット・チャットについては、この二条二号の要件にあります相互の連絡手段というものとして評価されるものであるというふうに考えております。(保坂(展)委員「メーリングリストは」と呼ぶ)
 メーリングリストにつきましても、これは通常の場合、書き込みを公衆が閲覧できる状態に置いてこれを伝達するものではない、また、相互に連絡できるようにするものではないと我々理解しておりまして、本法に言うインターネット異性紹介事業には該当しないものと考えておるところでございます。
保坂(展)委員 これは恐らく政府内で大変議論があったところだというふうに私聞いているんですよね、こういう部分。非常に、どこまで線を引くのかによって、インターネット社会のいわば発展していくいい部分もあるわけですからね、いい部分は多いわけですから。そこはしかし、こういう出会い系みたいな問題を縛るときに、どこで線を引くのか、すごくいろいろな議論があったと思うんですね。
 今お話を聞いていますと、やはり入ると言われたり、メルマガは今入らないと言われたんだけれども、メールマガジンの中に、要するに出会い系の情報を付加して、個人に対する返事ができるような機能で配信するとかというものも考え得るわけですよ、これは電子情報社会ですから。それは入るんですね。これはどうですか。入らないなら、もう入らないと整理したというのなら、そういうふうに言っていただければ、次の議論に進めます。
瀬川政府参考人 結局、メールマガジンでありますとかメーリングリストでありますとか、普通の場合は、私が先ほど申し上げましたように、これは当たらないと言うことができると思いますが、それについて、今御質問にありましたように、こんな場合こんな場合ということは、これはこういうインターネット社会でございますから、あり得るのだろうと思います。その場合は、これは二条二号の要件に立ち戻って、それに照らし合わせてどうなのかということで判断されるべきものであって、これは明確に判断ができるものであるというふうに考えております。
保坂(展)委員 大体私の考えているとおりの解釈なんですよね。やはりかなり幅広いというふうに思います。
 そこで、十六歳を超えた女子は結婚ができるわけですよね。結婚可能年齢が十六歳からになっています。これは、例えば出会い系も含むいろいろなインターネット上に、僕と結婚してくれる十七歳の女の子を探しています、三十歳男、これはどうなりますか、この書き込みは。
瀬川政府参考人 六条の二号に該当するかどうかということだろうと思いますが、結婚しようという誘引は、通常は不正誘引には該当しないというふうに考えております。
保坂(展)委員 それでは、僕と結婚を前提につき合ってくれる女の子を探しています、十七歳くらいの子がいいな、三十歳男、これはどうですか。
瀬川政府参考人 そういった場合には、恐らくこれは対償性があるだろうというふうに考えられますので、あるいはまた、そういった結婚しようという言葉がある種、そのサイトにおいて隠語的に、性交等の相手方になるように誘引しているというふうに認められる場合という状況があるのかないのかということもあろうかと思います。そういった状況を見て判断されることになるというふうに考えます。
保坂(展)委員 そうすると、昔はお見合いなんかも断れませんで、お世話になった方からお見合いの話が来れば、やはり相当嫌な人でも我慢して結婚するということが言われていましたよね。今はそんなことはなくて、いろいろな男性がいるし、奥行きも深い、情報もいろいろあるということで、やはりおつき合いをして結婚するというのが世の常になっていて、それでいいと私も思っていますが、結婚してくれるというふうに、即結婚というのはよくて、結婚を前提につき合うというのはどうもこれは怪しい、こういうことになっちゃうんですかね。
 さらに言いますと、言われることはよくわかるんです。例えば、僕と結婚してくれる十七歳の女の子を探しています、年収は一千ウン百万で金融の仕事をしています、離婚歴が一度ありますが、明るい子が好きです、こういうふうにやったら、ますます怪しいわけですね。
瀬川政府参考人 なかなか、具体的な事案でありますとか、あるいはそのサイトでどういったような書き込みが行われているのか、全体の状況を見なければいけないと思いますけれども、今御指摘のことだけとらえれば、これは性交等の誘引とか、あるいは対償を示しての異性交際の誘引ということには直ちには当たらないものというふうに考えます。
保坂(展)委員 やはり答弁が大分混乱しているんじゃないでしょうか。私は、必ず入ると言われると思ったんですけれども。僕と結婚を前提につき合ってくれる女の子を探していますは、やはり隠語的にこれは怪しいんじゃないかとおっしゃったんですよ。結婚を前提にだけじゃなくて、年収まで示して、離婚歴も示して、それはどういうふうに区別されるんですか。
谷垣国務大臣 今いろいろな限界事例と言っていいのかどうかわかりませんけれども、私も法律書生のころ、よくそういう議論を友人とやったものです。
 取り締まる方から考えますと、仮に今委員がおっしゃったようなことがサイトに出ていた、それだけ出ていたというときに、ではそれをすぐ、それだけの事実をもって取り締まれるかといったら、今局長が答弁しましたように、これは違法行為だから取り締まろうというふうにはならないと思いますね。やはり全体を見なければいけない。このサイトでそういうものが、つまり不正誘引みたいなものがたくさん行われている、そういう中で隠語等みたいなものも使用されているというような事実がやはり背景になければ、今のようなものを取り締まるということにはならないだろうと思います。
 これは、事務当局と議論したわけではありませんけれども、そこらは常識に従って捜査もしなければなりませんし、この法も運用しなければならないということじゃないかと思います。
保坂(展)委員 大変うまく答弁されるんですけれども、いや、ちょっと私は、局長からあった隠語という言葉が気になるんですよ。必ずこういうふうに逃げていくでしょう、そういう一群がどういうところに抜け穴を探すかというとき。
 その隠語なんですけれども、例えば、対償はありませんが、心のつき合いを求めますという書き込みがあった。対償はないということを明示した。だけれども、これは逆に怪しいということにも受けとめられる。それから、喫茶店でおしゃべりがしたい、その際には法律違反にならないように割り勘にしましょう、こういうのは、やはり隠語的なものをかぎ取ってやるんでしょうか。どうですか。
瀬川政府参考人 書き込みの言葉だけをそういう形で示されての御質問ですけれども、なかなか難しいと思います。いずれにいたしましても、罰金ではありますが、これは犯罪捜査でございますので、その具体的な事実関係、その事案の状況、それから全体のサイトの状況、ほかの書き込みの状況、そういったものをやはりしっかり見た上で、これは個別の事案に応じてきちんと判断をしていくものだろうというふうに思います。
保坂(展)委員 では、最後に大臣に伺って終わりたいと思いますが、私も、こういう出会い系サイトを利用したというか、それによって子供たちが性の被害に遭っていく、場合によっては殺されたり、あるいは非常に深い、例えば集団で暴行されたりして非常に大きな影響を受けてしまう、これは断固として防止しなきゃいけないだろうというふうに思っています。しかし、問題は、ここは他の議員からも指摘があるように、やはり加罰対象にする、処罰の対象にその少女自体をしていくということにあるんだろうと思います。
 そこで、実際に事件に遭った、事件に遭って例えば集団で暴行をされてしまって大変な傷を負った、しかし、被害者が出会い系に駆け込んでしまった、出会い系を発端にしてそういった性被害に遭ったと。今までならば警察に訴えて駆け込むことができるけれども、しかし、今回の法律ができたので、あなたも処罰対象だよということで駆け込めなくなる、あるいは訴えが少なくなる、あるいは地下に潜ってしまうという心配はないでしょうか。意味わかりますね。
谷垣国務大臣 私は、実は、その心配は余りしていないんです。だけれども、一般的な可能性としては、あるいはあるかもしれません。しかし、それよりも、現実にこの出会い系サイトの弊害を放置しておく方が私は害が大きいと思います。
保坂(展)委員 まだ議論の途中ですけれども、時間ですので終わります。
     ――――◇―――――
青山委員長 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
青山委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に福島豊さんを指名いたします。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十九分散会


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