衆議院

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第2号 平成17年10月20日(木曜日)

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平成十七年十月二十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 上川 陽子君 理事 河野 太郎君

   理事 佐藤  錬君 理事 谷川 弥一君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 小宮山洋子君

   理事 田嶋  要君 理事 池坊 保子君

      井脇ノブ子君    岡本 芳郎君

      加藤 勝信君    北川 知克君

      土屋 正忠君    萩生田光一君

      福井  照君    福岡 資麿君

      山内 康一君    泉  健太君

      郡  和子君    横山 北斗君

      谷口 和史君    石井 郁子君

      保坂 展人君

    …………………………………

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      大島  寛君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          田中壮一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       北井久美子君

   参考人

   (全国学童保育連絡協議会事務局次長)       真田  祐君

   衆議院調査局第一特別調査室長           田中 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十日

 辞任         補欠選任

  岸田 文雄君     福井  照君

  高木美智代君     谷口 和史君

同日

 辞任         補欠選任

  福井  照君     岸田 文雄君

  谷口 和史君     高木美智代君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 青少年問題に関する件(放課後児童健全育成事業について)


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 青少年問題に関する件、特に放課後児童健全育成事業について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として全国学童保育連絡協議会事務局次長真田祐君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省雇用均等・児童家庭局長北井久美子君、文部科学省生涯学習政策局長田中壮一郎君及び文部科学省大臣官房文教施設企画部長大島寛君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。真田参考人には、放課後児童健全育成事業の現状について忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、真田参考人から十分程度で御意見をお述べいただき、その後、政府参考人から説明を聴取した後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、真田参考人、お願いいたします。

真田参考人 おはようございます。私、全国学童保育連絡協議会で事務局次長をしております真田と申します。よろしくお願いいたします。

 本日は、当委員会で学童保育、国の法律で言えば放課後児童健全育成事業あるいは放課後児童クラブということについて御審議いただけることになりまして、本当に厚く御礼申し上げます。よろしくお願いいたします。

 本日、私の方からは、学童保育の現状と課題ということについて意見を述べさせていただきます。

 お手元に資料を幾つか用意させていただきました。一つは、「学童保育(放課後児童クラブ)の現状と課題」というレジュメですね。それと「学童保育の現状と課題に関する資料」。それと「学童保育情報」という紫色の冊子。もう一つはピンク色の冊子で、「私たちが求める学童保育の設置・運営基準」。そして最後に、一昨日の日経新聞の記事及び読売新聞がこの間連載をしましたので、その記事を資料として皆さんの方にお渡しさせていただきました。本日は、この資料などを使いながら、十分というわずかな時間ですけれども、学童保育の現状と課題について意見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 本日の私の意見陳述については、大きく言って三点を用意しております。

 一つは、学童保育は子供たちにとってどういう施設なのかということが一つ目です。二つ目は、今、学童保育数や入所児童数が急増していますが、まだまだ足りないということと、あと、条件整備が大変おくれているという現状についてです。三点目が、子供たちや親たちの願いと、学童保育にどういう課題があるのかということについて、簡潔に意見を述べさせていただきたいと思います。三枚のレジュメと「学童保育の現状と課題に関する資料」を使いながら、意見を述べさせていただきたいと思います。

 最初に、学童保育クラブについてですが、対象は、共働きやあるいは母子家庭、父子家庭などの一人親家庭の小学生の子供たちが対象です。その子供たちが、昼間、保護者の方々が仕事などで家庭にいらっしゃらないお子さんを預かり、その生活を保障することが目的だ、そのことを通して、共働きやそういう一人親家庭の家族の生活を守っていくというのが学童保育の目的だと思っております。

 具体的に、学童保育でどういうふうに生活をしているのかということを簡単に御紹介したいというふうに思います。

 学童保育の場合は、小学校へ子供たちは行っていますので、その小学校が終わった後、そのまま学童保育に帰ってきます。ですから、最初に学童保育施設に子供たちが帰ってくるときは、ただいまと帰ってくるわけですね。それに対して指導員の方が、お帰りというふうに迎える。つまり、学童保育は、家庭にかわる生活の場ということが特徴だというふうに思います。

 紫色の資料にちょっとありますけれども、実は、学童保育というと、放課後のわずかな時間の問題ではないかというふうに思われていらっしゃる方が多いように思います。ところが、実は学童保育というのは、夏休み、春休み、冬休み、そして、今は土曜日は学校がお休みですから、土曜日も一日子供たちがその学童保育で生活をする。私どもの計算では、年間千六百時間、子供たちが学童保育で生活しております。

 千六百時間という数字ですが、小学校の低学年の子供たちは、学校にいる時間が千百時間ぐらいだという数字なんです。ですから、小学校低学年の子供たちにとってみれば、小学校にいる時間よりも、学童保育で生活している時間が五百時間も長いということになります。ですから、放課後のわずかな時間の問題ではないということをまず御理解いただきたいというふうに思います。

 そのことを具体的な学童保育の生活の様子として御紹介したいのですが、この「学童保育の現状と課題に関する資料」の一枚目をちょっとめくっていただけるとありがたいのですけれども、「学童保育の一日」というイラスト入りの資料があります。

 「ふだんの日の生活」、つまり平日ですね、学校のある日です。このときに、四月ごろのことですが、新しい一年生はもう十時半に学校が終わってしまいます。その後、指導員の方が学校にお迎えに行って学童保育に連れてくる、そして生活が始まる。ですから、十二時ぐらいにはお弁当を食べて、一年生たちは学童保育で生活している。そのうちに上級生たちが、一時半、二時、二時半ぐらい、授業時間数によって帰ってくる時間は違いますけれども、その子供たちがどんどん、ただいま、ただいまと帰ってくるということです。みんながそろったころに、四時ごろですが、おやつを食べて、片づけなどをしたり、あるいは思い思いの遊びをしたり、みんなで遊んだりという生活、あるいは宿題がある子は宿題をやっているというようなことです。そして、六時ごろになって帰っていく。集団下校のように、地域を決めて下校班をつくって帰っているところもありますし、保護者の方がお迎えに来るところもあります。これがふだんの生活です。

 そして、次をもう一枚めくっていただきますと、今度は「夏休みの生活」です。つまり、朝から学童保育は開いているわけです。ですから、大体朝八時半ぐらいに保護者の方に連れられて、学童保育におはようと来ます。それで、午前中の涼しい時間に夏休みの宿題をしたり、お勉強したりする。お昼には、持ってきたお弁当を食べたり、あるいは場所によっては手づくりのお昼づくりという、子供たちがみんなで昼食をつくって食べるといったようなこともやられています。午後の暑い時間は、お昼寝をしたり、余り体を動かさないようにして体を休めるということがあります。そして、あとは三時ごろにおやつを食べて、また六時ごろに帰っていくといったようなことが、全国どこの学童保育でも大体こういった流れで生活をしているのではないかというふうに思います。こういった生活が年間通すと千六百時間営まれているということになります。

 ですから、例えば一年生から三年生まで、あるいは六年生まで受け入れているところもたくさんありますけれども、年間千六百時間も子供たちが、例えば四十人規模の学童保育であれば四十人がこういった生活を繰り返しているわけですね。そういう中で、子供たちの人間関係も非常に濃密になっていきます。

 次の資料に、これは、もう中学生になったあるお子さんが作文コンクールに出して優秀賞をとった子供の作文というのを載せています。線を引いた部分ですけれども、ちょっと読ませていただきます。

 「親が仕事から帰ってくるまでの間、親代わりになって私たちの面倒を見てくれる所です。」学童保育はですね。「そこでは、指導員という人がいて、私たちの親代わりをしてくれます。学校から帰ってくると「おかえりなさい。」と一人一人に声をかけてくれます。そしてお腹がすいているとおやつを作ってくれていて、本当においしかったです。 学童保育所は、小学校一年生から六年生までいて、兄弟が何人もいるようです。私はお兄ちゃんしかいませんが、学童に通ったおかげでお姉ちゃんも、弟も、妹も、何人も兄弟ができました。」というふうに、この藤原愛ちゃんという子は作文に書いています。

 つまり、子供たちは、年間を通して一緒に生活する中で、兄弟のように生活を送っているということでございます。

 そういう学童保育については、基本的に、今言いましたように、生活の場ですので、生活するための専用の施設と、そして、その子供たちの安全や生活に責任を持つ指導員という方がいらっしゃいます。その大人である指導員の方が子供たちの生活を、いわば面倒を見るということになります。

 学童保育の生活の場所では、一人一人の名前のついたロッカーがあって、子供たちが学校のランドセルを置くとかいろいろな私物を入れる、あるいは名前のついた自分の座る席があります。場所によっては、食べる食器などもそれぞれ自分の好きなものを持ってきて、利用して、食事なりおやつを食べるといったようなことがあります。

 もちろん、指導員は出席簿をつけて、欠席の場合には親、保護者との連絡をとって、きょうはどうしたのかというようなこととか、あるいは事前に保護者の方からあしたは医者に行くので欠席しますとかいったようなことのやりとりをしております。

 こういうふうに、子供たちにとっては家庭にかわる生活の場ですので、保護者との連携がとても大事になります。

 その点で、その次の「資料三 ある学童保育の連絡帳から」ということで、これは当該の保護者の方の了解を得て掲載しておりますけれども、こういうふうに、かなり頻繁に保護者と指導員の方が、子供たちの健康のことや体調のこと、あるいは学童保育での様子のこと、家庭での様子のことなどを情報交換して、一緒に子供を見ているという状況があります。それが二枚続きまして、次の「どろんこクラブのおたより」もそういった内容になっております。

 そういう学童保育ですが、現状は、資料を見ていただきたいと思いますが、大変急増している。それだけやはり共働きがふえたり必要とする家庭がふえているわけです。

 そういう中で、これだけふえているんだけれども、まだまだ足りない。例えば保育園を卒園した子のまだ半分しか入れていないといったようなことが大きな課題になります。

 同時に、大規模化が大変進行しています。先ほどの新聞の記事などでも「マンモス化」というような表現がありましたけれども、非常に入所する希望が多い割には数がふえていないということでございます。

 それと、条件整備が大変おくれている。施設が貧困である、あるいは職員さんの待遇がよくないといったようなことがあります。

 そういった点で、やはり必要とする地域あるいは必要とする家庭がみんな入れるように学童保育を整備していくことと、質的な拡充が求められるということがあろうかと思います。

 最後ですが、三番目に、学童保育の課題ということで、必要とする子供たちが入れるようにすること、そして、大規模ではなくて適正な規模の学童保育をつくっていくこと、そのためには国なり自治体なりで学童保育の設置・運営基準をつくっていただくこと、そのことが大変重要ではないかと思います。

 最後に、地域の子供たちにとっては、学童保育も必要ですけれども、親が働いて、いない子供たちにとっては安全な遊び場だとか居場所も必要です。この両方が充実されることが必要ではないかというふうに思っています。

 大変時間を超過して申しわけありませんけれども、私の方からの意見陳述は以上で終わらせていただきます。(拍手)

近藤委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 次に、政府参考人から説明を聴取いたします。厚生労働省雇用均等・児童家庭局長北井久美子君。

北井政府参考人 それでは、放課後児童クラブについて御説明を申し上げます。

 厚生労働省の「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)について」と題する資料をごらんいただきたいと思います。なお、この放課後児童クラブでございますが、児童福祉法上の事業名は放課後児童健全育成事業となっております。また、地域によりまして、放課後クラブあるいは学童保育など、さまざまな名称で呼ばれているところでございますが、ここでは子ども・子育て応援プランなどで説明に使用しております放課後児童クラブという言い方に統一して御説明をしたいと思っております。

 まず、資料の一ページをお開きいただきたいと思います。

 事業の概要でございますが、放課後児童クラブは、保護者が労働などにより昼間家庭にいないおおむね十歳未満の児童に対しまして、授業の終了後や夏休み期間などに児童館、学校の余裕教室などの施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えることにより、その健全な育成を図るものでございます。

 その根拠と経緯でございます。

 放課後児童クラブは、児童福祉法に放課後児童健全育成事業として位置づけられた事業でございます。その経緯といたしましては、昭和五十一年より都市部の留守家庭児童に対する予算補助事業として発足をしたものでございますが、平成三年度に全国的な事業として発展をし、放課後児童対策事業を創設することによって、現在の形となっております。

 また、平成十年度それから平成十五年度に行われました児童福祉法の一部改正におきまして、法的に位置づけられております。すなわち、児童福祉法六条の二第十二項によって法的に位置づけられるとともに、社会福祉法上の第二種社会福祉事業としての位置づけがなされております。また、市町村の努力義務として、放課後児童健全育成事業の着実な実施などの努力義務がかかっているところでございます。

 次に、実施主体と実施場所でございます。

 実施主体につきましては、市町村、社会福祉法人その他の者となっておりまして、特段の主体制限はかかっておらないところでございます。実施場所でございますが、児童館のほか、学校の余裕教室、公民館などの社会資源を有効に活用することとしております。衛生、安全が確保された設備のもと、放課後児童指導員を配置して、放課後児童に遊びと生活の場を提供することとしているところでございます。

 次に、国庫補助でございます。

 国庫補助といたしまして、厚生労働省におきましては、放課後児童クラブの普及推進を図る観点から補助を行っております。

 まず、運営費でございますが、一クラブ平均利用児童数が十人以上で、原則として年間二百八十一日以上開設しているクラブに対しまして、利用児童数に応じて設定した基本単価に、十八時、午後六時を超えて開設する場合の長時間開設加算、それから障害児を二人以上受け入れる場合の障害児受け入れ加算を加えたものを補助基準額として定めているところでございます。

 なお、運営費につきましては、その二分の一を保護者の方に御負担いただいて、その残りの二分の一について、国、都道府県、市町村がそれぞれ三分の一を公費で補助するという仕組みといたしております。

 あわせまして、整備費でございますが、放課後児童クラブといたしまして、施設を新たに整備する場合や、既存の建物、学校の余裕教室などを改修してクラブを設置する場合には、これに必要な経費に対する国庫補助を用意しておるところでございます。

 次に、現状について御説明を申し上げます。

 二ページをごらんいただきたいと思います。初めに、放課後児童クラブ数と登録児童数の推移でございます。この数字の中には、国庫補助の対象となっているものだけではなく、地方自治体が単独で補助を行っておられるものも含まれておる数字でございます。

 平成十七年五月一日現在の調査結果によりますと、全国に設置をされておりますクラブ数は一万五千百八十四カ所、登録されております児童数は六十五万四千八百二十三人となっておりまして、平成十三年度に行いました調査と比較いたしますと、クラブ数で約三千、登録児童数で約二十万人と大幅に増加しているところでございます。

 次に、三ページをお開きいただきたいと思います。放課後児童クラブの状況ということでございます。

 実施規模別の状況を見ますと、三十六人から七十人までのクラブが六千六百四十三カ所と一番多く、全体の四三・八%を占めております。次いで、二十人から三十五人までのクラブが四千三百九十二カ所、二八・九%となっているところでございます。

 次に、終了時刻の状況でございますが、午後六時まで開所しているものが八千六百十一カ所と五六・七%を占めておりまして、過半数となっております。十九時まで、午後七時まで開所しているものも四千百五十九カ所で二七・四%となっているところでございます。

 次に、四ページをお開きください。放課後児童クラブの設置場所の状況でございます。

 放課後児童クラブにつきましては、さまざまな社会資源を活用して実施されているところでございますが、小学校の余裕教室に設置をしているものが四千二百十六カ所で全体の二七・八%、学校敷地内の専用施設に設置されているものが二千六百三十七カ所、一七・四%ということで、学校内に設置されているものが合わせて四五%余りとなっておるところでございます。続いて、児童館に設置されているものが二千五百二十カ所の一六・六%となっております。

 次に、五ページをごらんいただきたいと思います。登録児童の状況でございます。

 学年別の状況につきましては、小学校一年生から三年生までが全体の約九割を占めているところでありますが、一年生が二十四万人、二年生が二十万人、三年生が十四万人と、学年が進行するに従いまして登録児童数が減少しております。

 次に、障害児の受け入れ状況でございます。

 放課後児童クラブでは、障害児につきましても、その積極的な受け入れを進めていただいているところでございます。国の補助といたしましても、平成十三年度より障害児受け入れ加算を始めたところでございまして、平成十五年には、現行の要件でございます障害児を二人以上受け入れたクラブへと補助要件を緩和することによりまして、現在の状況は、放課後児童クラブの約三四%、五千カ所を超えるクラブで受け入れが進み、約一万人の障害児が登録されているところでございます。

 次に、六ページをごらんいただきたいと思います。

 今後の取り組みでございますが、この放課後児童クラブの推進につきましては、これまでも緊急保育対策等五カ年事業や新エンゼルプランなどによりまして、設置目標を具体的に定めまして、その推進を図ってきたところでありますが、昨年十二月に策定されました子ども・子育て応援プランにおきましても、子育ての新たな支え合いと連帯ということの一環として、放課後児童対策の充実を盛り込んでいるところでございます。平成二十一年度までの今後五年間の目標として、一万七千五百カ所で実施することといたしております。これは、全国の小学校区のおおむね四分の三という数字に当たります。

 これに伴いまして、平成十八年度の予算概算要求におきましては、この目標達成に必要な箇所数の増を図っていくことといたしておりますほか、障害児加算に係る障害児の受け入れ人数要件、現行は二人以上受け入れた場合となっておりますところの要件を撤廃したいと考えまして、あわせてその要求も行っているところでございます。

 最後になりますが、放課後児童クラブは、児童健全育成を図る観点だけでなく、仕事と子育ての両立の支援の観点からも、放課後児童とその御家庭にとって必要不可欠な事業であると考えております。今後も、さまざまな観点から、文部科学省あるいは地方公共団体との一層の連携を図りながら、放課後児童クラブが必要なすべての地域に設置され、また、利用する子供たちにとって最適のサービスが提供できるように努力をしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

近藤委員長 ありがとうございました。

 文部科学省生涯学習政策局長田中壮一郎君。

田中政府参考人 私の方からは、文部科学省におきまして、放課後や週末等の子供たちの居場所づくりとして取り組んでおります地域子ども教室推進事業について御説明を申し上げます。

 お手元の「地域子ども教室推進事業について」という資料をごらんいただきたいと思います。

 一ページにございますように、近年の都市化の進展あるいは少子化等によりまして、地域の連帯感や人間関係が希薄化する中で、子供たちにかかわる重大事件が続発するなど、青少年の健全育成における地域の教育力の低下が憂慮されておるところでございます。このため、学校及び家庭教育の充実に加えまして、子供たちが地域で安全に安心してさまざまな活動が行えますよう、地域社会の大人たちが連携協力して、子供たちを見守ったり、子供たちにかかわっていくことが今まさに求められているところでございます。

 文部科学省におきましては、このような状況を踏まえまして、地域の子供は地域で見守り、地域で育てるという機運の醸成を全国的に図り、各地域において自主的な取り組みが行われるためのきっかけづくりをしようということで、平成十六年度から緊急的に三カ年計画で地域子ども教室推進事業を実施しているところでございまして、具体的には、放課後や週末に学校の施設や公民館等を活用いたしまして、子供たちが安全、安心してさまざまな体験活動や交流活動などが行える拠点づくりを各地域に委託しておるところでございます。

 二ページをごらんいただきたいと思いますけれども、地域子ども教室推進事業の運営の仕組みでございます。

 本事業の実施に当たりましては、その運営方法、事業内容が地域の実情やニーズを踏まえたものとなりますよう、また、この事業が地域本来の活動として根づいていくことを目指しまして、運営体制を工夫いたしておるところでございます。

 すなわち、その事業の実施に当たりましては、地域の意思を適切に反映させられるように、例えば、PTAあるいは自治会といった方々を初めといたしまして、青少年スポーツ団体関係、あるいは福祉やボランティア関係者、小中学校の学校長など、多方面の地域の方々に運営協議会、実行委員会の委員として主体的に参画していただいておるところでございます。

 次に、三ページでございますけれども、地域子ども教室推進事業の実施状況でございます。

 平成十六年度は約五千四百カ所で実施させていただきましたが、平成十七年度は約八千カ所で実施しておるところでございます。

 利用状況につきましても、平成十六年度に比べまして、平成十七年度はかなり増加しておるところでございます。

 場所といたしましては、それぞれ、半数が学校の施設を使ってやっているというような状況になっておるところでございます。

 一方、この事業の実施に伴いまして課題も浮かび上がっておるところでございまして、まず一番目には、地域子ども教室の実施回数でございます。約八千カ所実施していただいておりますけれども、その三分の一以上が土日だけの実施となっておるところでございまして、子供たちが放課後安心して気軽に立ち寄ることができる子供の居場所づくりという観点からは、年間を通じた継続的な教室の開催を今後広めていきたいというふうに考えておるところでございます。

 また、このこととも関連するわけでございますけれども、それぞれの地域で、この事業の核となりますボランティア、人材の安定的な確保がございます。地域子ども教室をその地域独自の主体的な取り組みとしてしっかり根づかせていくためには、事業の具体的な内容を計画したり、また、実際に子供たちの指導に当たっていただく人材の確保が不可欠でございまして、今後、文部科学省といたしましても、都道府県や市町村、各実行委員会の方々の意見も伺いながら、これらの人材を安定的に確保できるような、例えば教員の研修等も含めまして、支援方策について検討してまいりたいと考えておるところでございます。

 それから、この事業の成果といたしましては、子供たちが安全、安心して活動できる機会、場の確保がなされるということに加えまして、子供たちの交友範囲が広がった、あるいは家庭でのゲームの時間が減った、あるいは地域の人々にとっても子供たちに対する関心が高まったというようなことが挙げられておるところでございまして、来年度におきましては、一万カ所でこれを実施したいということで考えておるところでございます。

 以上でございます。

近藤委員長 ありがとうございました。

 文部科学省大臣官房文教施設企画部長大島寛君。

大島政府参考人 それでは、私の方からは、文部科学省関係のうち、放課後児童クラブに関連いたしまして余裕教室の活用について御説明をさせていただきたいと存じます。

 お手元には、簡単な資料で恐縮ですが、一枚物の「余裕教室活用のための取組」、こういうものをお配りさせていただいております。

 まず、余裕教室の状況を御説明したいと思いますが、昨今の少子化に伴いまして、これまで多くの余裕教室、廃校が発生しているところでございますけれども、文部科学省といたしましては、学校施設は、児童生徒の学習の場でありますと同時に、地域住民にとりましても身近な公共施設でございますし、多様な活動の拠点ということでもあることから、地域の実情やニーズに応じまして、これら余裕教室等を、放課後児童クラブを含めまして多様な用途に転用するなど有効活用していくこと、このことについては大変意義あることということでとらえております。

 まず、余裕教室の状況ですが、発生の主な要因としては、昨今の少子化による児童生徒数の減少が挙げられるわけでございますけれども、この実態につきましては、全国の公立小中学校の普通教室を対象といたしまして、平成五年より調査を行っているところでございます。平成五年五月時点では、余裕教室数は全国で約五万三百というものがございました。それから直近の平成十六年まで累計いたしますと、約十二万四千室の余裕教室が発生しているという状況にございます。現在では、これらの余裕教室のうち大部分は既に有効に活用されているということになっております。

 具体的に申しますと、学校施設の高機能化、多機能化のために多目的教室あるいは特別教室といったものに引き続き学校施設として活用されているほかに、先ほど申し上げましたが、放課後児童クラブのような児童福祉施設ですとか、地域の高齢者との交流を目的とした社会福祉施設といったものなどに、学校施設以外の施設への転用も数多く行われているところでございます。

 次に、活用の仕組みということで、先ほど触れました、その一枚物の資料で御説明をさせていただきたいと思います。

 まず第一に、平成五年におきまして、当時の文部省におきまして、余裕教室の適切な活用を推進するということのために、余裕教室の活用を図る際の基本的な考えを取りまとめた余裕教室活用指針、これを策定してございます。これを公立小中学校の設置者である全国の市町村に配付をしております。これによりまして、全国の市町村に対して、余裕教室の有効活用に積極的に取り組むようお願いしているところでございます。

 第二に、国庫補助を受けて整備された学校施設を学校以外に転用する際に必要となります財産処分手続について、その弾力化、簡素化を図ってきております。

 国庫補助を受けた施設を転用する場合、これは基本的には、補助金等適正化法に基づいて補助金相当額を国庫納付するとともに、所管大臣の承認を得る、これが原則となるわけでございますけれども、文部科学省におきましては、一定の要件を満たせば国庫納付金を不要とする取り扱いとしております。

 その要件と申しますのは三つございます。一つは、転用先が公共施設であること。二つ目として、国庫補助事業完了後十年経過ということでございます。それから三つ目に、無償による処分。これさえ満たせば国庫納付金不要という取り扱いをしよう、こうしております。

 さらにまた、放課後児童クラブそれから社会教育施設などにつきましては、市町村からの報告だけで手続を完了するという仕組みとしてございます。

 またさらに、平成十六年二月に制度が創設された地域再生プログラムがございますが、この場合には、余裕教室を民間事業者に貸与して利用させる場合ですとか、あるいは国庫補助事業完了後十年未満に学校以外に施設を転用する場合でありましても、国庫納付金を免除する拡大措置を講じているところでございまして、活用方法の選択肢を広げたということでございます。

 第三に、このような手続の弾力化、簡素化の内容を十分周知するという観点から、適正な手続が行われるよう、各地方公共団体に対する指導通知を発出し、あるいは転用の際の参考となるように、余裕教室活用や財産処分手続の解説を内容とするQアンドA、さらに、特色ある事例を紹介したパンフレット、こういったものを作成して配付するなど、全国への情報提供にも努めているところでございます。

 以上申し上げましたように、文部科学省といたしましては、これまでも余裕教室等の活用が図られるよう積極的に取り組んできたところでございますけれども、今後とも、各地方公共団体の創意工夫によりまして、余裕教室、廃校などの既存施設がより有効に活用されますよう支援に努めてまいりたいと思います。

 以上でございます。

近藤委員長 ありがとうございました。

 以上で政府参考人からの説明は終わりました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより参考人及び政府参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。やまぎわ大志郎君。

やまぎわ委員 おはようございます。自由民主党のやまぎわ大志郎でございます。

 本日は、真田様におかれましては、本当に貴重な御意見ありがとうございました。また、政府参考人の皆さんにも、概略の説明ありがとうございました。

 時間がなかったものですから、真田参考人には思いのたけをすべて語っていただくわけにいかなかったんじゃないかと思うんですね。量的にも質的にも今まだまだ不足しているというお話がございましたけれども、一遍にこれらのことをすべて満足できるような状況に持っていくというのは、現実的には難しいと思うんですね。これらのものを優先順位をつける必要があろうかと思いますが、何を最も先にやってもらいたいと思っているかというのを、現場の声を最も知っていらっしゃる真田参考人の方にまずお聞きしたいと思います。

真田参考人 いきなり大変難しい質問ですが、量か質かと言われると、基本的には私ども、入れていない子どもたちがたくさんいるということは、大変それは深刻な話だというふうに思っていますし、入れたとしても、先ほど言いましたように、適正規模が三十五人とか四十人と私ども思っていますけれども、そこに八十人、九十人とか詰め込まれた状態が果たして子供たちにとっていいのかということを考えますと、どうしても、やはりそれは同時に解決していただきたいということを強く願わざるを得ないと思うんですね。

 やはり今まで、保育所に比べれば学童保育の整備が大変おくれていたのではないかというふうに私ども思っていますので、この際、ぜひ集中的に力を入れていただいて、質も量も充実していただきたいというのが率直なところでございます。

やまぎわ委員 ありがとうございます。

 待機児童の問題というのは、保育所、まあ幼稚園というのはそうでもないとしても、保育所でもかなり大きな問題になっていると思うんですが、まず、では、その待機児童の話を少しさせていただきたいと思うんです。

 私たち自由民主党の若手の議員がそろいまして、突っ込んで、子育て支援、少子化対策の研究会を立ち上げてこの一年間やってきたんですけれども、その提言を六月に私たち出させていただきました。

 その中にもこの放課後児童クラブの話というのは出ておりまして、お母さん方、もちろんお父さんも含めてですけれども、親御さんからヒアリングを重ねますと、子供が小さいうちは保育所があるからいいんだ、だけれども、小学校に入った瞬間にいきなり面倒を見てくれるところがなくなっちゃって、それで大変な思いをすると。しかも、まだ一人目なら何とかなっても、子供二人目、三人目という話になると本当にお手上げになっちゃうんですというようなことを現場で随分と私たち聞かされてきまして、それを受けて、私たちの提言では、とにかく全国の小学校区すべて、二万数千カ所あると思いますけれども、ここにこの放課後児童クラブをまずはつくるべきじゃないのというような提案をさせていただきました。

 厚生労働省さんの方で平成二十一年までに一万七千五百カ所というようなお話でございますけれども、やはりこれは、どこのところに重点を置いてというような話ではないと思うんですね。全国一律に、それこそ公平に、これは沖縄の子供だって北海道の子供だって、みんな同じ権利を持っているわけですから、こういう中途半端な、四分の三なんというようなことをやらずに、全部の小学校区においてこの放課後児童クラブを設置するというような目標値を設置するべきじゃないかと私は考えますが、その点についていかがお考えか、御見解をいただきたいと思います。

北井政府参考人 子ども・子育て応援プランに掲げました目標数値は、確かに一万七千五百カ所ということで、数字上の話でいえば全小学校区の四分の三ということになりますけれども、私どもの気持ちといたしましては、必要なすべての校区に設置するつもりで目標を立てたところでございます。

 一方で、大都市部のように、一小学校区であっても複数のクラブが要るところもございましょうし、また僻地、言葉が適当かどうかわかりませんが、山間僻地のようなところでは必ずしもクラブという形態でなくても多様な対応ができることもございますので、私どもの気持ちとしては、必要なすべての校区というつもりでございます。

やまぎわ委員 国のやることですから、お気持ちはわかりますけれども、きちっとした文書に残して、しかもそれを計画という形で出すわけですから、その中に四分の三というものが書いてあるということは、四分の三が目標値だという形になっちゃうわけですよね。ですから、ここは、子ども・子育て応援プランの中にはそう書かれてしまっているわけですけれども、早急にそれを見直して、全小学校区でというような形に改めていただきたい、このように思うわけでございます。

 それから、今のお話とも多少関連しますけれども、これは学校の施設を随分使っているんですよね。学校の空き教室、余裕教室やら、あるいは敷地内につくってみたり、それと児童館も使っているということなんですけれども、ヒアリングを重ねますと、もちろん、学校の施設を使うというのは、小学校に通ってそのまま行けるわけですから、近いし安全だしいいかもしれませんけれども、子供たちの中に、小学校の低学年なのに自力で今まで通っていた保育所に放課後に遊びに行って、そこで時間を過ごして家に帰るという例が随分あるというのを、私たちヒアリングを重ねる中で聞いてまいりました。この中にも、保育所や幼稚園をこの放課後児童クラブに使っているという例がちゃんと載っていますけれども、パーセンテージとしてはかなり少ないと思うんですよ。

 では、保育園や幼稚園の方々とお話しさせていただくと、私たちは受け入れ体制はできています、もしそういう形で行政がバックアップをしてくれるんだったら、それは子供たちの視点に立ったときには、今まで世話をしてきた子供たちのことですから、一番その保育園なり幼稚園の方々がよくわかっているわけですから、続けてその子たちの世話をできるんだったらやりたいというような話も随分聞いておりまして、その辺に対するバックアップも、できればこれは行政の側でやってもらえばなと思うんです。

 これは厚労省さんも文科省さんもかかわる話ですから、両省から、その点についてはどのような考えを持っているか、聞かせていただけますでしょうか。

北井政府参考人 放課後児童クラブについては、国の基準としては主体制限を設けていないところでございます。この趣旨は、地域の実情に応じて、一番いいところを見つけて、多様な取り組みができるようにという思いでこうしているわけでございます。

 現実には、やはり小学校に入りますと、小学校の授業を受けるのが基本でございますから、そしてお友達もその学校の中でできるわけでございますから、移動の際の安全性だとか利便性とか考えますと、かなりの地域で学校の余裕教室なり専用施設を使うということが多くなってくるのは、ある意味ではそういうことかなと思っております。

 ただ、その前まで育っておりました保育所ということの活用も大事なことでございますし、これは地域の実情に応じて、主体的な判断でいろいろな取り組みがなされるように促していきたいと思っております。

田中政府参考人 今厚生省の局長さんの方からお話がございましたけれども、私どもといたしましても、幼稚園等を放課後児童クラブの施設として使うのか、またそういうところで子供さんたちが来たときにどういうふうに扱っていただけるのか、このあたりは各地域におきまして、また各幼稚園におきまして適切に御判断いただくことが大切だろうというふうに考えております。

やまぎわ委員 ぜひ進めていただきたいと思います。

 それと、現場の声を一番聞いていらっしゃると思うんですが、私たちが現場から声を聞くときに、この放課後児童クラブをやっていらっしゃる方々と話をしますと、親御さんがなかなか子供を迎えに来てくれなくて困っているんですというようなことを随分聞くんですね。そして、親御さんたちとお話ししますと、当然働いていらっしゃるわけですから、そんなしゃくし定規に五時、六時と決められたって、五分、十分おくれちゃうことはよくあるんですよね、でも、そのたびに怒られちゃってつらいんですという話を随分聞くんですね。データだけ見ますと、十八時までが六割近いというようなデータが出ていますけれども、多分実態としてはかなりあつれきがあるような気がするんです。

 その点について、真田さんの方で、実際にはこういう意見がありますというようなものを、現場の声としてあるようでしたら、少しお聞かせいただければと思います。

真田参考人 今おっしゃるように、最近、終わる時間が大変延びてきております。五年ほど前までは五時で終わるところがかなり多かったわけですけれども、そういう保護者の願いがありまして六時まで開くようになってきた。

 ただ、お迎えがある学童保育と、なくて子供たちが下校班をつくって帰る学童保育とあるわけですけれども、お迎えがあるところについては、六時ではちょっと早過ぎるという声がやはり多うございます。六時半とか、あるいは場合によっては七時ぐらいまで開いていてもらわないとお迎えには間に合わないというのが保護者の方々の多くの声だというふうに私どもは思っています。

やまぎわ委員 今一例として挙げさせていただいたんですけれども、利用料金の話やら、それこそ本当に真田さんがおっしゃったように、まだまだ整備がしっかりしていないなと感じることがこの事業多いんですね。ですから、一つ一つですけれども、丁寧にやっていく必要があろうかと思うんです。先ほどのお話の中に、設置基準じゃないですけれども、ガイドラインじゃないですけれども、そういうものはやはり国の方からも示す時期が来ているんじゃないかなと私自身思っておりますので、そこはぜひ厚労省さんも文科省さんもやっていただきたいと思います。

 最後に、ちょうどその問題を問題だなと思っていたことが真田参考人の配っていただきました資料の中にちょっとありましたので、それを御紹介させていただいて御質問申し上げようと思いますが、この六ページに「どろんこクラブのおたより」って載っているんですね。これの二段目の一番最初のところに「こんだんしてきました」というのが書いてあるんですよ。これを読みますと、「学童保育ができてから二十八年になりますが、こうした形で正式に話し合いの場を持てたのは初めてです。」これは先生方と懇談してきましたという記事ですよね。

 これであらわされているように、これは先ほど話の中に出ましたとおり、学校の施設を圧倒的に使ってこの学童保育というのをやっているわけですよ。放課後児童クラブはそこで行われているにもかかわらず、文部科学省の協力体制が余りに少な過ぎると思います。

 私たちも、少子化対策の緊急提言の中に、課外活動クリエイターというのを資格制度でも何でもいいからとにかくつくって、学校の先生方の中には、やる気があって、それで放課後の児童クラブの方にもいろいろな働きかけをしたいという人が結構いるんですね。これも先生方とお話しすると、そういう考えを持っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるんですよ。でも、何にもインセンティブもないし、実際にそれをやるための枠組みというのも全然何にもないんですね。自分がボランティアでやるだけの話でございます。

 これも子供の立場から見れば、厚生労働省だろうが文部科学省だろうが、こんなの関係ないんですよ。自分たちをどうやって面倒見てもらえるか、幸せで、安全で、安心に生活ができるかどうかということだけが問題なわけでありまして、そういう意味でいいますと、厚労省さんの事業かもしれませんが、ちょっと協力体制が少な過ぎると思うんです。

 ですから、その点につきまして文部科学省からの見解を求めたいのと、要望としては、もっと強くこの事業にかかわっていただいて、連携をとっていただけないかと私は希望しているんですが、いかがでしょうか。

田中政府参考人 学校と放課後児童クラブとの連携のお話でございますけれども、委員御案内のように、教員の職務は児童の教育をつかさどるということで、学校教育に従事するわけでございますので、その勤務時間内は学校教育に携わっていただくことが必要なわけでございます。したがいまして、子供たちが帰ったからといって、その後は自由時間になるわけではございません。その後は教材の研究でございますとか研修でございますとか、あるいは職員会議でございますとか、学校にはいろいろな仕事があるわけでございますので、そういうことにきちんと携わっていただく。あるいは、家庭訪問をしたり、そういうことをすることも各学校の職務でございますから、そういうことを御理解いただきたいというのがまず一点でございます。

 それと同時に、やはりおっしゃられるように、学校の場を使って、当該学校の子供たちがそこに通っておるわけでございますから、そういう放課後児童クラブ等との連携を図るということも大切なことだというふうに考えておるところでございまして、そういう意味では、学校と放課後児童クラブとの必要なコミュニケーション等連携については、今後ともその連携について指導してまいりたいと思っております。

やまぎわ委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

近藤委員長 佐藤錬君。

佐藤(錬)委員 自由民主党の佐藤錬でございます。

 時間が十五分と限られておりますので、簡潔に、端折った話になるかもしれませんが、質問をします。

 まず、いろいろとお話を聞いておりましたら、昭和五十一年から厚生労働省がこの放課後児童健全育成事業というのを始めたと言いますが、今日これだけのことしかやっていないということは、私はびっくりしました。

 まず、親御さんは大変な不安を持っていますよ。子供を預けて、もし事故とか何とかあったら、指導員はしっかり指導をしているのか、非常に不安を持っていますね。それから、指導員の方も、待遇は悪いし身分保障はないし、余りそんなしっかりやれ、責任とれと言われてもやれないという。非常に現場はいろいろな条件とか整っていない状況に見えます。

 ですから、もうやめるがいい、こういうことは。そして、文科省がこれを受け継いで、そして地域子ども教室推進事業、これをこの厚生労働省の放課後児童健全育成事業も抱き込んでやるべきだと思います。

 というのは、小学校ですよ、学校、制度ですよ。それを今言ったら、一年生は十時半で帰す。大体普通は三時でしょう、高学年は。授業が終わったらもう知らぬ、もう教育しない、これはおかしいですよ。授業だけが教育じゃない。授業が終わっても、三時から五時なら五時、六時なら六時までやはり教育しなきゃ、教師、教員は。

 それから、グラウンドがあって空き教室がある。これほど子供にとっていい環境はないので、それをわざわざどこか公民館とか集会所とか移動させてやるなんというのもおかしな話で、ベストの環境があるところでしっかりと子供を見てあげればいいので、基本的にはこれは文部科学省がやる仕事ですよ。これは厚生労働省がやる仕事じゃないですよ。そう思うんですが、いかがですか、文部科学省。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが今いたしております地域子ども教室推進事業というのは、先生がおっしゃるように、子供の教育は学校それからまた家庭でしっかりと取り組んでいく必要があるわけでございますけれども、同時に、やはり子供が地域社会の中でいろいろな活動をするということも非常に重要だというふうに考えておるところでございます。

 学校に対する期待が大きくなればなるほど、だんだん学校と家庭の往復になる、あるいはその間は塾に行くとか、そういうような状況の中で、地域の果たす役割が非常に小さくなってきているのではないか。やはり子供が学校からの帰り道とかあるいはその地域で遊んでいるときに安全、安心して遊べるためには、地域の人々が子供たちを温かい目で見守っていただける、何か困難な場合に出会ったら大人たちが一声声をかけてあげる、そういうことが今非常に求められているのではないかと考えておりまして、私どもは、地域の子供は地域で見守り地域で育てる、そういう機運が醸成されますように、そのきっかけとなりますように、地域子ども教室推進事業を緊急三カ年計画ということで実施させていただいておるところでございます。

 先生がおっしゃられますように、子供の教育に関しまして学校が大きな責任を持っておることは言うまでもございませんけれども、私どもといたしましても、地域にも主体的に子供の教育に協力していただきたい、あるいは主体的に取り組んでいただきたいという思いでこういう事業を始めたところでございます。

 したがいまして、親御さんたちが働いておるというようなことから御家庭に保護者がいないという子供たちを対象といたしております放課後児童クラブとはちょっと性質を異にいたしますので、両方の事業をそれぞれ連携しながらしっかりと取り組んでいくことが非常に重要なのではないかというふうに考えておるところでございます。

佐藤(錬)委員 感覚が、ちょっと頭を切りかえてください。いいですか。いろいろな能力を持った地域の人たち、またお年寄りも含めて、これはボランティアで皆さん来てもらって、そしてやっているんでしょう、それをやれと言っているんですよ。児童クラブのように、ただ集めて、居場所をつくってあげて、じっと見ているのじゃなくて、そういった地域の人たちのいろいろなお手伝いもいただきながらやればいいんですよ。

 そして、家に帰ったら親がいようがいまいが、それは家に帰って、いない子は優先的にしてほしいですけれども、いたとしても、家に帰りたくない子はいるんですよ、遊びたい子は。普通そうですよ。三時ごろ家に帰りたい子なんかいませんよ。だから、そういった子供たちも、家に親がいようがいまいが自由参加で、これは授業と違うから強制できないけれども、自由参加でやればいいじゃないですか。それで、地域の教育力もと。今そういうことでしょう、学校教育がどんどん地域に。

 だから、じゃ、何が二つに分けておる意味があるんですか。一緒にやれるじゃないですか。もう一遍答弁してください。

田中政府参考人 委員御指摘のように、今、地域子ども教室におきましては、地域の人々のいろいろな能力、経験を生かしながら運営しておるところでございまして、これをもっともっと全国に広げてまいりたい。先ほども申し上げましたように、まだまだ土日しかやっていないような地域もあるわけでございますので、日々の放課後、子供たちがそういう子ども教室で活動ができるような取り組みにしていきたいというふうに考えておるところでございます。

 したがいまして、放課後児童クラブとも非常に連携を図りながら、お互いにどっちの、どっちのというか、放課後児童クラブの方々もこの子ども推進教室の中でも活動できるような連携も図りながら、事業を充実していきたいというふうに考えておるところでございます。

佐藤(錬)委員 やはり教師にもっと、三時で子供から離れて、もう知らない、もう学校を出なさいというような教育じゃだめなんですよ。やはり教師にもう少し、小学校に入ったら責任を持たせなきゃ。それを、学校の授業が終わったからどこかよそへ集まれなんて、学校を出ろ、そういうことはもう論外だと思いますし、それから、学校の先生が忙しいという話がさっきあったから、ローテーションを組んで、一人じゃ大変なら二人一組でもいいが、ローテーションを組んでやればいいじゃないですか。

 それから、これは今度厚生労働省に聞きましょうか。厚生労働省は、私の考え方どう思いますか、もう学校教育だから。御意見を。

北井政府参考人 私どもといたしましては、両事業は本当にそれぞれ有意義な事業でございまして、連携してやっていかなければいけないと考えておりますが、やはり、連携は大切でありますけれども、では、留守家庭の子供さんを預かる放課後児童クラブという趣旨の事業が全く不要になるかというと、そうではないと考えておるところでございます。

 仮に全体としてやる場合におきましても、留守家庭の児童を預かる場合には、例えば、もちろん土日だけではだめで、毎日、夏休み期間も含めて六時ぐらいまで日数を確保していただきたいとか、あるいは、出欠をちゃんととって、無断欠席の場合とか緊急時には保護者に連絡できるような体制を設けるとか、あるいは日常的に児童の様子について保護者と意見交換できるような体制をとるとか、そういうような、やはり十分な配慮が必要であるということを考えております。

佐藤(錬)委員 今の児童クラブの指導員にできて学校の教員にできませんか。もっと学校の教員の方が責任感を持ってやれると私は思いますよ。

 それから、文部科学省が、これは十六、十七、十八の三カ年事業ですね。十八年で終わるわけだ。その後をどうするのか、考えているのか考えていないのか知りませんが、その後、ちょうどいいじゃないですか。だから、十九年、再来年度から何か新規の、今からよくお二人で相談をして、これは子育て支援ですから、少子化対策ですよ。だから、文部科学省の新規の事業としてこれを組み立てて、そして放課後も何か授業とは違った教育をしながら、そして働いておる御両親の子供もきちっとできるような、これは簡単じゃないと思いますよ、それは言うはやすく、いろいろ現場は大変だということは私もわからぬわけじゃないが、それをやらせるような文部科学省になってもらいたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

田中政府参考人 十九年度以降の取り組みについてのお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、緊急三カ年計画ということで実施してまいりましたけれども、これはまさに、平成十九年度以降も各地域においてこのような取り組みがもっと充実していくことが非常に重要になってくるわけでございますので、その十九年度以降どういう形で支援をすればいいのか、これからまた、都道府県あるいは市町村の教育委員会、あるいは現実に運営協議会や実行委員会に携わっていただいている関係者の方々からのお話も十分伺いながら、検討してまいりたいと考えておるところでございます。

佐藤(錬)委員 検討してくれるそうですから、その返事を待っています。

 それから、せっかくお見えになっているので、真田さんに、今私の考え方を聞いておって、現場におられて、御意見をお聞かせください。

真田参考人 私どもは、いつも子供の立場に立って学童保育のあり方とかいろいろ考えるわけですけれども、やはり、子供の育ちを考えた場合には、一つは、多様な子供の見方、例えばある子を、その子はどういう子だと見るときに、学校の先生のような見方もあろうかと思うんですね、成績だとかいうことを中心に。しかし、学童保育の指導員さんの子供の見方があったり、あるいは地域の商店街のおじさん、おばさんの子供の見方があったり、そういう多様な子供たちの見方の中で子供たちは力をはぐくんでいくんじゃないか。

 放課後というのは、学校が終わって大変子供たちは心が解放された時間ですので、学校の先生が放課後まで見るというのは、子供たちにとってはなかなか厳しいものがあるのかなというのが私どもの実感なのです。ですから、現場の学童保育の指導員の方々は、学校とは違う見方で子供たちをとらえることによって、子供たちも居場所になっているのかなということを実感しておるところです。

佐藤(錬)委員 もう時間がございませんので、今検討するという御返事をいただいたので期待をしておりますが、ぜひこれは十九年度新規事業で予算獲得を目指してひとつ、きちっと仕組みをやはりつくってください。そうでないと、今この児童クラブは厚生労働省がやっておる、これは今の状態じゃいかぬですよ。だから、大きな一つの、先ほど申し上げました少子化対策、子育て支援の大義のもとに、新しい仕組みを前向きに積極的に検討していただきますようにお願いを申し上げまして、終わります。

近藤委員長 加藤勝信君。

加藤(勝)委員 おはようございます。自由民主党の加藤勝信でございます。

 時間が限られておりますので、二点の視点でお聞かせいただきたいと思います。

 まず第一点目は、今までの議論にありましたけれども、厚労省さんが進めておられる施策と文科省さんが進めておられる施策、具体的に言えば、放課後児童健全育成事業、これは予算規模約百億近く、地域子ども教室推進事業も百億近く、これを今ばらばらにやっているんじゃないか、これを一体化すべきではないか、そういう見地からまず一点お聞かせいただきたいと思います。

 真田参考人の御資料を見させていただきますと、学童保育とすべての児童を対象にした事業という役割の異なる二つの事業をそれぞれに発展させていく必要があるという、たしかそういうようなくだりがあったと思います。それから、この「学童保育情報」というのをちょっとぱらぱら読ませていただいて、ぱらぱらでありますから誤解があるかもしれませんが、この十七ページ等々見ておりますと、十七ページの上の方、「余裕教室の転用促進」の上の三行ぐらいを見ていますと、「「全児童対策事業」を進めるための施設改造にも活用されていることに注意を払う必要があります。」というくだりがあります。これをぱらぱら読ませていただきますと、何かそれぞれがお互いの動きを警戒し合っているんじゃないか、いわば学童保育と全児童対策事業というんでしょうか、それとが何か対立関係にあるような感じがする。どちらかというと、やや幼児教育における幼稚園と保育園の問題というような感もせずではない。

 ただ、今そこの段階では、御承知のように、総合施設という新しい取り組みをしていこうじゃないか。逆に、利用者からするとそこの差というのはそれほど、親御さんからしたときに、教育側から、提供する側からはそれぞれ趣旨の違いがあるんでしょうけれども、利用者から見ると、その差が自分たちのニーズというか需要を識別するほどはっきりしていない、そういうこともあるわけであります。

 それから、今議論がありましたように、学童保育、施設数も充実もまだまだ足りない、こういう状況でありますし、一方で、国の予算を見れば、なかなか一遍にふえるかなという、余地がどこまであるか、そういう疑問を持つわけであります。そういう意味では、今申し上げた二つの事業を例えば一本化すれば、かなりの箇所数に展開できる、市町村に展開できるんじゃないかというふうに思うわけであります。

 いずれにいたしましても、そうした両方の事業、いわゆる学童保育というものと全児童を対象とする事業、確かにこれを一体化して、安易な一体化、要するにレベルを下げる形での一体化、これは避けなければいけないと思いますし、既にそういう地方団体があって若干その懸念が指摘もされておりますけれども、そういうことに配慮しながら進めていく限りは、私は、両方の機能を持たせていく形で施策を進めた方がいいと思うんですが、真田参考人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。

真田参考人 先ほど私の意見陳述の中で、学童保育で子供たちは年間千六百時間ぐらい生活していると。そこでは、指導員の方が責任を持って子供を預かり、子供同士が適正規模の中で濃密な人間関係をはぐくみながら生活するということによって、安心で安全な学童保育ができるというお話をさせていただきましたけれども、例えば、地域子ども教室などの資料を拝見しますと、週に一回、二時間あるいは三時間程度の活動に取り組むといったようなものが大半のようにデータとしてはあるようです。ですから、子供たちの利用の仕方という点から考えると、ちょっと大きくずれている、異なっているのではないか。

 ですから、学童保育が、保護者の方あるいは子供たち自身のそこが生活の場になるためには、やはり、そういう適正な規模であるとか、あるいは自分のことをわかってくれる指導員の方がいらっしゃるとか、そういった体制がとられないとなかなかできないわけですね。

 ところが、地域子ども教室を利用される、あるいは全児童対策事業と言われる事業というのは、行っても行かなくてもいい事業ですから、行きたいときに遊びに行くということですから、それが一緒になるというのは、なかなかそれは、子供の利用の仕方としては大変難しいのではないか。

 同時に、遊びに行きたいときに遊びに来れるというような施設も必要だというふうに私どもも思っているんですね。あるいは、学童保育の場で、きょうはクラスの友達を連れてきたよということで、友達を連れてきて一緒におやつを食べながら学童保育でみんなで遊ぶといったようなことはかなり頻繁に行われているわけですので、子供の側から見ると、それを一つにするというのはちょっと無理があるのではないかというふうに私どもは思っております。

加藤(勝)委員 つくり方もあるんじゃないかなというふうな今感じをしたわけであります。

 ちょっと厚生労働省にお聞かせいただきたいんですが、今、放課後児童健全育成事業、これは厚生保険特別会計児童手当勘定で実施されていますが、財源は何ですか。

北井政府参考人 財源でございますが、厚年特別会計の児童手当勘定から出しているところでございます。

加藤(勝)委員 ですから、財源はいわゆる税ですか、保険料ですか。

北井政府参考人 失礼いたしました。

 事業主から拠出を受けております、いわば保険料といいますか、拠出金でございます。

加藤(勝)委員 ちょっとお聞かせいただいたのは、二つの事業、片や一般会計、片や特別会計、それを合算するということの前提としてお聞かせいただいたのであります。

 ただ一方で、この資料の中にも、たしか百ページですか、見て、この学童保育で受け入れる対象者について、必ずしも、保育に欠けるといいましょうか、親御さんが昼間いない人だけに限らなくてもいいよみたいにちょっと読み取れるのであります。まさに、学童保育という一つの場所をベースにしながら、そこへ、必ずしも親が働いているかいないかにかかわらず、受け入れていく余地を広げていくという形でひとつ一体化を図っていくと。もちろんそれ以外に、違う、ボランティアの方が週一回やる場所があっちゃいけないとは思いませんけれども、まずそれを充実していくべきではないか。

 そういう意味で、もう一回厚生労働省に聞かせていただきたいんですけれども、ここに書いてあるような話も含めて、今の学童保育の対象というものを、昼間親が家庭にいない世帯以外に積極的に拡大していく、ある意味では多少そこのバリアをなくして、ただ、優先順位をつけるときにはその辺は配慮するという形で運用していく、そういうお考えがあるのかないのか、お願いします。

北井政府参考人 厚生労働省といたしましては、やはり留守家庭のお子さんの健全育成を目的とした放課後児童クラブ事業は大変重要な意義を有していると思いますし、また一方で、文科省のやっておられる地域子ども教室推進事業のようないわゆる全児童対策も、さまざまな年齢の児童が交流される場として大変有意義だと思っております。

 そうした中で、地方自治体によりましては、いわゆる全児童対策事業の中に放課後児童クラブを入れていくといいますか、その枠の中でやっていく、あるいは、すべて全児童対策にしてしまうといういろいろなお取り組みが出てきていることは承知をしているわけでございます。

 私どもは、やはりこのそれぞれの事業の目的を踏まえながら必要な連携を十分していく、具体的には、例えば、児童が相互に交流をするだとか、地域のボランティアを活用するときにはそれを上手に相互活用を図るようにするといったような点では大変重要だと思っておりまして、その通知も出しているところでございます。

 あわせて、全児童対策の中に放課後児童を受け入れていかれる場合におきましては、やはり先ほども申し上げましたけれども、留守家庭の児童をお預かりしているという状況を踏まえた十分な配慮が必要であると思っておりまして、繰り返しになりますけれども、毎日、夏休み期間も含めて六時までぐらいはあけていただくとか、あるいは、保護者との連絡体制の整備であるとか、出欠を確認して安全確認に遺漏のないようにするとかいったような当然配慮が必要であると思っておりまして、そうした放課後児童クラブの機能が生かされるような総合事業であれば、国庫補助も可能でございますし、うまくいく場合があるんじゃないかなというふうに考えておるところでございます。

加藤(勝)委員 いずれにしても、今の学童保育が普及されている状況が満足している状況ならば、それは二兎を追うというのはあり得ると思うんですが、それが、全然今おっしゃるように達成されていない。そして、別途同じ百億を違う形で使う。これはまさに、政府全体あるいは我々がもちろん考えなきゃいけないことでありますが、百億足したら倍できるじゃないですか、どうしてそれをやらないんですかという発想もやはり積極的に、もちろん、流れがあることも、財源が違うことも、趣旨が違うことも前提ではありますけれども、やはりそういう発想をそろそろ考えていかなければ、限られた予算をどう使うか、これは大事なポイントではないかな。そのことを指摘をするとともに、私どもも自覚をしなければならないというふうに思います。

 それから、もう一点、学校との連携であります。

 先ほど、いろいろ学校とどういう形で組み合うかというのもありました。ただ、やはり放課後は放課後でありますから、学校の延長である必要は私はないと思いますが、例えば、学校が終わって学童保育の場所に行く、同じ施設内であれば、学校の中であれば、隣の教室に行くようなものですから余り問題がないと思いますが、学校から少し離れた場所へ移動するということになると、当然、特に小学校一年生ぐらいだと、この前まで保育園に行って、お迎えはお母さんが来なければ渡さないという状況の子供とほとんど変わらない。そういう子供たちが学童保育に行く、特に場所が違う。そうすると、学校側の先生と受け入れる側の連絡というのは非常に大事なことだと思うんですけれども、その辺の連携というのは、それは地域地域まちまちでありましょうけれども、今の状況はどのようになっているのか、ちょっと教えていただければと思います。

真田参考人 学童保育がある場所が、学校の中とか、あるいは学校の近くがかなり多いことがありまして、それほど、例えば学校の先生が学童保育にまでお子さんを連れてくるといった事例は多くはありません。ですが、中には、例えば横浜などは、学童保育が少ないために別の校区からそこまで通ってこなきゃいけない、そのときにバスを使ったりしながら通ってくるお子さんもいらっしゃるのは事実で、そういったところに対してどうするのかといったことは大変大きな課題だというふうに思っています。

 ただ、学校の先生が一人一人のお子さんを連れてこられるかどうかというのはなかなか厳しいものがありまして、そういう点では、例えば厚生労働省のボランティア派遣事業というような事業がありまして、そこでボランティアさんが協力されるとかいったようなことはあり得るのではないかなというふうには思っております。

加藤(勝)委員 今一例として挙げさせていただいたんですが、いわゆる学校と例えば学童保育の連携、もちろん、学校の先生が一人一人の子供を連れていけ、そんなのはできないわけでありますけれども、では仮に、子供が来ない、いないといったときに、きちんとそこは連絡体制がとれるのであろうかとかいう意味で、今の学童保育をされている主体の中にどこまで学校が入っているんだろうか。確かにPTAの方は入っておられるけれども、では、学校の関係者の方が、例えば校長先生なり教頭先生がそういう学童保育を支える中に入っていれば、それは割と連絡がうまくいくと思うんですが、なかなかそういう状況にないように私は認識をしているのであります。

 その辺を含めて、どういうふうにこの学童保育、あるいは全児童も一緒だと思いますけれども、そういう放課後における子供のさまざまな活動に対して、どういう形で学校側が、直接入ることはないと思いますけれども、見ていくというかフォローしていく、こういうことは大事だと思いますけれども、それに対するお考えを文科省からお聞かせいただきたいと思います。

田中政府参考人 学校とその放課後の児童の活動を支えておる各団体との連携でございますけれども、学校の施設が活用されております場合には、その施設管理は、本来は教育委員会がやりますけれども、それを受けて、現実には校長がやっておるところもございますので、何らかの形で校長先生方が連絡あるいは関与しておるところだろうと考えておるところでございます。それから、特に地域子ども教室に関しましては、実行委員会等にも校長先生が入っていただいて、具体の計画の中にも関与していただいておるところでございます。

 それから、子供たちがそれぞれ学校が終わった後、では、学童保育に行くことがその日は決まっておる、子供のその状況につきましては、無断で欠席があれば当然学校の学級担任は御家庭と連絡をとるわけでございますので、そういう関係から、その子供たちの状況やそういうのがうまく学童保育の場に伝わるように連携協力を図っていくことは大事だというふうに考えております。

加藤(勝)委員 ありがとうございました。

 いずれにしましても、子供たちを健全に育てるという意味では目的が一緒でありますから、限られた予算の中でうまく活用していく、我々も努めていきたいと思います。

 ありがとうございました。

近藤委員長 北川知克君。

北川委員 おはようございます。自由民主党の北川知克でございます。

 先ほど来から、同僚議員の方からさまざまな問題点を指摘されております。私も、今回の質問に当たりまして、地元の各市においてどのように取り組みをされておるかということをお聞きいたしました。それぞれの市によって対応がまちまちというか、担当部署が教育委員会の社会教育課であったり児童福祉課であったり、そういうところで対応されているような点を聞いたわけでありまして、今大変時代が変わろうとする中において、この教育現場における学童保育という観点、ある意味、今、土屋委員の方からお聞きしますと、昭和三十八年に武蔵野市でかぎっ子対策としてこの制度が発足をしたということを聞きました。

 今の時代になりまして、やはり先ほど来からの議論を聞いておりましても、文部科学省から教育の観点から居場所づくりの問題、そして厚生労働省からは家庭にそれぞれの事情のある子供たちに対する社会保障の点からの施策であろうと思います。私は今、教育の原点というか、教育問題をやはりもう一度基本から考えるべきときが来ているのではないかなと思っております。

 今、国においても、そして地方においても、文科省の方でも大変苦労されておりますけれども、義務教育費の国庫負担の問題が出てきております。この義務教育費の国庫負担の問題を考えたときに、やはり国がどのように教育にかかわっていくのか、地方がどのように関与をしていくのか、こういう点が問われている問題であろうと思っております。同時に、この学童保育の問題については、ある意味、教育の問題と社会保障の問題、これを同時に考えていかなければならないわけであります。

 先ほど来から真田参考人の方からもお話がありました。子供たちの立場に立ってどのような教育というものが理想的であるのかどうか、こういう点も踏まえて、真田参考人の方から先日来から資料も送っていただきました。現場等のお母さん方や、そしてその場で働く皆様方の御意向を体しながら、大変御努力をされているということを伺いまして、敬意と感謝を申し上げながら、真の教育の理想的な姿というのはどういうものであるかということをちょっとお聞かせ願えればありがたいと思います。

真田参考人 大変大きなテーマでございまして、私ども学童保育の現場から見た場合のことでありますけれども、やはり子供たち一人一人を大事にするといったことが今大変求められているように思います。

 それは、子供たちがいろいろな形で事件を起こすとかあるいは問題行動を起こすといったようなことも、一つ一つやはり子供たちが今抱えているいろいろな困難のあらわれではないか、そこにどれだけ大人なり、あるいは学童でいえば指導員の方々がその苦しみなり困難を理解してあげるのか、寄り添ってあげるのかといったことがすごく大事なように思います。

 学童保育のところでは、大変子供たちが、そういう意味でいうと、ある意味心が解放されて非常に生き生きと生活をしている。ただ、例えば困難を抱えているお子さんなんかは、現象的には最初にちょっと荒れていたりとかいろいろなことはあるのですが、指導員の方がそのお子さんに寄り添う中で、子供たちがやはり自分で育つ力をつけていくといったようなことが大変多く見られます。そういう点では、何かを教えるとかしつけるというスタンスだけではなくて、子供と一緒に学びながら、子供の苦しみや悲しみあるいは困難さに寄り添うということが大事なのかな、そのことが子供自身が育つ力をつけていくことなのではないかなというのを、大変私ども、学童保育の現場から見ていますと大事なことのように思っております。

北川委員 ありがとうございます。

 いずれにしろ、大人と子供が、そして子供同士がどういう形で接していくかであろうと思っておりますし、私は教育の原点は家庭にあると思っております。それぞれの親御さん、保護者の方々の事情により、こういう学童保育を受けておる子供たちもおられるわけでありますけれども、それでは、この学童保育を受けておられない立場の子供さんや保護者の方々からとって、この学童保育の現場というものをどういう目で見ておられるのか、こういう点も参考にちょっとお聞かせを願えればと思います。

真田参考人 先ほど来の議論にもかかわりますけれども、例えば、学童保育に入っていらっしゃらないお子さんもいろいろな問題を抱えているお子さんがいらっしゃいますし、地域が大変今安全ではない場所になりつつあるというようなことがありまして、私どもは、やはり、親が働いていないお子さんにも、学童保育のようなちゃんと大人が面倒を見てくれる、それは先ほど言いましたように、ある見方だけではなくていろいろな子供たちの見方をしてくれる大人が必要ではないか、あるいはそういう場所が必要じゃないかというふうに思っているわけです。そういう点でいうと、わかりやすい言葉で言えば、すべての子供たちに学童保育のような場所を保障していくことが求められるのかなと。

 そういう面でいうと、例えばヨーロッパの進んだところなどは、ほとんどの子供たちが学童保育に通っているといったような状況がありますので、やはり、そういう親が働いていない子供たちにも今大変な援助だとか、そういう場所も必要なんじゃないかというふうに思っています。

 そういう点で、今の文部科学省が進められているような事業などは、もっともっと改善していく余地があるのではないかというふうに思うんですね。やはり、学童保育のような場をどう子供たちに保障していくのかということが私は求められているようには思います。

北川委員 ありがとうございます。

 今のお話をお聞かせいただきながら、これからの社会というのはそれぞれが共生をしていくのが重要であろうと思っておりまして、それぞれの立場を認め合っていく、しかし、その中において義務や権利という問題もあるでしょうし、それぞれの家庭の事情の中で、その点において行政が援助をしていかなければならない点もあるでしょう。しかし一方では、今、国の政策として小さい政府を目指すということを言ってきております。より効率のいい政府ということでありますけれども、それと同時に、やはり安定したこういう福祉のサービス、そして充実を図る上においても、予算はきちんと確保もしていかなければならない、難しい点があると思います。

 その中におきましても、この放課後児童クラブに対する補助については、半額利用者負担と積算されているということでありますけれども、サービスというか、サービスという言葉はどうかと思いますけれども、行政の立場の負担、そして受益者の立場の負担、それと、先ほど申し上げました放課後児童クラブへお子さんが行っていない家庭の問題、こういう中においてのそれぞれの負担という点について、御意見もお聞かせを願えればと思います。

真田参考人 保護者の負担という問題ですが、「学童保育情報」という冊子の四十ページに現在の保育料の状況についての資料を掲載しております。

 議員おっしゃるとおり、私どもも、無料であるべきだというふうには思っておるわけではございません。ただ、有料の場合も、やはり保護者が負担できるような金額が必要だというふうに思っているわけですね。この資料などを見ますと、保育料が無料のところというのはもう一割以下でございます。私ども、例えば九州地方や四国、中国地方などに行きますと、月々保育料五千円を超えるとちょっと大変なので、家で留守番させてしまうわというような保護者の方の声もよく聞きますので、やはりその辺のところが一定必要なのかなということ。

 あと、もう一つは、例えば生活保護を受けていらっしゃる方、あるいは非課税世帯の方々にはきちっとやはり減免措置が必要だというふうに思っています。民間で運営されている場合には、なかなか財政難のために、そういう生活保護を受けられている方からも多額の保育料を取っているというような実態もありますので、その辺はぜひ行政サイドの方で手当てをしていただきたいなと思っています。

 値上げをするとか有料化する場合には、もちろん、質の向上ということがやはりセットでなければいけないだろうというふうに思っているところでございます。

 以上です。

北川委員 今、生活保護者の方々や母子家庭の問題、そして障害児の方々の問題、こういう中での減免措置というのは私は必要であろうと思っておりますけれども、しかし、それに準じない方々や、預ける中においてある程度の負担はできるという方については、やはり負担というものも必要でないかなと思っておりますので、今そういう御意見もちょうだいいたしました。

 それでは、続きまして、厚生労働省そして文部科学省にお聞きをしたいのでありますけれども、地元に問い合わせをいたしますと、やはりまだまだ教育の現場で空き教室を使うということで周知徹底をされていない点もあろうと思います。私は、この学童保育の必要性の中から、教室が足りないからわざわざプレハブを建てているというのを聞きまして、我々の時代、大変な生徒数の増加の中でプレハブを建てたということは聞いておるのでありますけれども、空き教室やもっといろいろな地域の施設を使うことによって、わざわざこういうプレハブを建てなくてもいいのではないかなという思いをしておりますので、そういう点についても、厚生労働省と、そして現場において教育委員会がきっちりとした連携をとりながら、そういうむだといいますか、次から次とそういう新しいものをつくっていくということではなく、以前からある設備、施設等をうまく使っていくことが必要ではないかなと思っておりまして、文科省の部長、局長の方から、この点についても御意見を聞かせていただければと思います。

田中政府参考人 御指摘のように、放課後児童クラブと学校との連携というものはこれからも十分図っていかなければならないだろうと思っておりますし、私どもが地域子ども教室の推進を実施するに当たりましても、厚生労働省と十分連携を図りまして、そういう両方の事業をやっているようなところでは、両事業の連携協力にも努力するようにというような指導もさせていただいたところでございます。

 また、学校教室の活用でございますけれども、私どもは従来から、児童も含めまして、地域住民の学習やスポーツ、文化活動の場として学校の施設の開放を積極的に進めていただきたいということで御指導を申し上げておるところでございまして、公立学校でいいますと九〇%の学校が何らかの形で学校開放というのは取り組んできておるところでございますし、小学校だけで申し上げますともうほとんどの小学校が、多いのは運動場とか体育館の開放でございますけれども、校舎の開放も四三%の学校で現にやっておる。

 ただ、放課後児童クラブに対しましては、約二〇%の学校が放課後児童クラブに教室を活用してもらっているというような状況でございまして、今後とも、私どもといたしましては、学校施設の地域住民への開放という観点から学校開放を進めていきたいと思っております。

大島政府参考人 御説明申し上げます。

 余裕教室の転用の件でございますけれども、先ほど御説明申し上げたように、これまでもQアンドAとか事例集とか、これはいろいろとこれまでの中でやってきたところでありますが、またあわせて、現在、市町村の担当者を対象にいたしまして、全国各地で財産処分手続に関する講習会というものを実施しているところでございます。

 ただ、まだそういった点からいいますと、先ほど先生御指摘のように、もっと周知という点もあろうかと思いますので、今後、厚生労働省とも連携しながら、さらに新たな事例を紹介したパンフレットを作成、配付するとか、あるいはホームページを通じた周知、あるいは各種会議における周知、こういったあらゆる機会を通じて、余裕教室の積極的な活用が図られるように文部科学省としても努めてまいりたいと存じます。

北川委員 ありがとうございます。

 いずれにいたしましても、先ほど来からの議論もありますし、先ほど真田参考人にもお聞きをいたしましたように、教育の原点といいますか、そちらに立ち返った中で、文部科学省そして厚生労働省との連携を密にいたしながら、国として一本化の施策をぜひ進めていただきたいと思っておりまして、我々もこういう教育問題というものをもう一度真摯に原点に立ち返って考えていかなければならないということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 まことにありがとうございました。

近藤委員長 泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。本日、参考人の皆様、お越しをいただきましてありがとうございます。

 私たち民主党も、特に子ども家庭省の設置を初めとして、とにかく子供たちを主人公にした、子供たちを主体にした政策、施策というものを考えていこうということで今政策立案を進めているところですけれども、特にこの学童保育にまつわることについては、やはりすべての子供に望まれる、望む居場所をと、やはりその居場所というものをどう考えるかというところが非常に大切になっているのではないのかなというふうに思っております。

 もう一度この委員会の中で共通認識としていきたいなと、これは願望でしかありませんけれども、思っておりますのは、やはり時代背景をもう一度考えていきたいというふうに思っておりまして、これまでは、学校があり、その学校の授業が終われば、放課後、遊ぶ子供は遊んで、それは地域どこでも遊べましたし、学校の校庭でも遊べたし、そして家庭に帰る、家庭にも居場所があったという過去の日本の風景があったわけです。

 しかし、それが、一つ申し上げれば、社会の安全が非常に担保できなくなった、不安定な社会、犯罪がいつどこで起きてもおかしくないという社会になってしまったということで、なかなか子供たちを外にほうっておけないという現状が、これはもう国民共通の社会認識としてできているということが一つだと思います。そして、経済の発展によって私たちは随分とすばらしい暮らしをできるようになったわけですが、一方で、やはり家庭環境が随分とさま変わりをしてきたということだというふうに思います。

 子供たちはだれしも家庭を望んでいると思います。そういう中で、しかし、社会的な情勢で一人親がふえ、あるいは共働きの家庭がふえ、あるいは男性も女性もこの経済成長の中でより仕事に費やす時間というものがふえてきたという中では、子供たちの望むような、学校から家庭への間の時間、引き継ぐ時間というものが、どんどんどんどん空白の時間が長くなってしまったのではないかというふうに私は思っております。

 そういった意味では、この学童保育の出てきた社会的背景というのは、どうしてもその費用負担の増大というものに目が行きがちですけれども、一方では、その費用負担の裏で、働いているお父さん、お母さんが社会的に、経済的にもこの日本社会に貢献をしているということ、そこにはもちろん経済効果というものもあると私は思っておりますし、また、学童保育によってさまざまな経済的な効果というものも私は生まれているというふうに思っております。

 この子供たち、特に家庭環境の大切さを訴える政治家であれば、それは間違いなく、学童保育という場所があるからこそ、放課後ではない、あるいは子供がかぎっ子になって一人で家に帰るのではなくて、学童保育という場で家庭的環境を、居場所を持ちながら、いろいろな遊び場や勉強する場にまた出かけていける、そのまさに足元の居場所というものが確保されている、それがこの学童保育の役割なのではないのかなというふうに思っております。

 そういった意味では、さまざまな費用負担の話がありましたが、まず一つ、厚生労働省と文部科学省にお伺いしたいんですが、やはり、一日六時間以上働いている母親を持つ小学校低学年児童が四十三万人、半数は学童保育に入所できていない実態があるということで、平成十六年の国民生活基礎調査では、一番末子の年齢が七、八歳の児童の六二・三%、九歳から十一歳の児童では六八・九%の母親が働いていますというような調査結果が出ているわけですが、例えば、こういった働かれている女性の方々のいわゆる経済効果、これによる社会的貢献、そういったものについて試算をされたということはございますでしょうか。

北井政府参考人 今手元に数字はございませんので、確かなことは申し上げかねるのでございますが、やはり日本の場合、女性が出産とか子育ての時期に一たん仕事を離れてしまうというケースが多くなっております。その後も、再就職をしたいと思ったときに、なかなかフルタイム、正社員で再就職できずに、パートといったような非正規で再就職をされるというケースも多いわけでございます。

 そうした場合の試算として、ずっとフルタイム、正社員で働き続けた場合のケースと、それから一たんやめて再就職した場合のケース、その再就職の場合も、フルタイムの場合とパートの場合というようなことで試算をしたケースがあったかと思います。それで、かなりの、何千万という金額の差になるということを承知しているところでございます。

泉委員 これは、ぜひ予算を獲得する上で、例えば、防災の関係の予算を獲得される部署は、想定される被害というものを、多少過大かなと思うくらいにしっかりとその試算をして、これだけの災害を防ぐことができるから災害対策予算をつけてくださいというやり方をしているわけですね。

 やはり、そういった意味では、私は、子供の福祉というものはこういったお金で語られるものではないというふうな大原則は、それはもちろんのことだと思っているわけですが、やはり、予算を獲得する上では、そういった他省庁の動きをかんがみれば、そういった試算もぜひともしていただいて、積極的にその効果というものを訴えていただきたいなというふうに思っております。

 そして、さらにお伺いをすれば、学童保育に対して補助金を出されているわけです。そして多くの雇用も生まれているわけですが、その経済波及効果、そういったものについては調べられているでしょうか。学童保育を設置したことによる経済波及効果ですね。

北井政府参考人 難しい御質問でございますが、クラブで生活の場を子供さんに与えていただいて、その間、安心して働ける御家庭は多いわけでございますし、現実に六十五万人の児童を預かっているわけでございますから、その家庭においては、経済活動という形でそれぞれの家庭が貢献をできているというふうに考えておりますが、そういうお答えでよろしゅうございますでしょうか。

泉委員 済みません。先ほどの質問は、学童保育ができることによって、お父さん、お母さんが世の中で働ける、その一つの経済効果というものがありますし、もう一つは、学童保育を設置することによって、職員さんたちがまた給料をいただいて、そこで経済活動を行っていくわけですから、そういった意味での経済波及効果、こういったことも出すことができないのかということをぜひ御検討いただきたいなというふうに思っております。

 次に、質問をさせていただきたいと思っているわけですけれども、やはり、幼稚園、保育園の分野でいうと、一元化の流れ、一体化の流れ、統合化の流れというものがあるわけです。そういったところでいいますと、確かに幼稚園、保育園の当事者の皆さんからはいろいろな御意見が寄せられていまして、特性を生かすべきだというところもあるわけですが、学童保育の分野でいいますと、やはり一つは、私は、子供たちを主体に考えれば、いかに家庭的な環境を、最終的な精神的なバックアップ機能みたいなものを、学校から本来の家庭に引き継ぐまでの空白の時間をなくしていくことができるのかというふうに思っております。

 その意味で、じゃ、例えば学校の空き教室を使おうという話の中では、先ほど真田参考人がおっしゃられましたが、なかなかやはり、学校という拘束された時間から解放されて子供たちの放課後があるという前提からいくと、それは難しいんじゃないかというお話がありましたが、これは仮の話として、学校の中に家庭的な環境を持ち込めるような学童保育を設置する。ただ単に放課後、学校の場所を開放するだけじゃなくして、それこそ空き教室に、もう前例はあると思いますが、しっかりと指導員が配置をされ、そして家庭的な環境が確保されたということであった場合に、そういった統合というものが考えられるのかどうか、これを一度御回答いただけたらというふうに思います。

真田参考人 先ほど、幼稚園と保育園の一元化というお話がありましたけれども、幼稚園と保育園の一元化の問題と、学童保育と例えば地域子ども教室事業の一元化というのは、かなり本質的に違うように思います。

 というのは、保育園にしろ幼稚園にしろ、一定の時間、子供たちがそこで生活をして、それを責任を持つ大人がいる。そこで子供たちは毎日生活をして帰っていく、そういう施設ですよね。ところが、学童保育はそれに近い施設なわけですけれども、地域子ども教室事業であるとかあるいは全児童対策事業というのは遊び場の提供ですから、行きたい子は行って、そこで遊んで帰ってくる、例えば二時間遊んで帰ってくるといったような、そういう利用の仕方ですので、そういう点からいうと、かなり本質的に、幼稚園と保育園の一元化の問題とはちょっと異なるのではないかということが一つです。

 それと、学校の中の学童保育の問題でいいますと、実は保護者の方々の中にも意見が結構分かれている部分がありまして、例えば、学校の中はとても安全だということで、やはり学校の中がいいんじゃないかという保護者の方もいらっしゃれば、中には、やはり子供は学校が終わって解放された時間なんだから、なるべく学校の外の方がいいんじゃないかというような御意見もあるわけですね。

 そういう点で、私どもはどっちが理想かということは必ずしも言っているわけではないわけで、現実には、余裕教室を活用することが学童保育をふやしていく上で今大変大事なことだというふうに思っているわけですけれども、理想的な形で言うとすれば、例えば、学校に近接した独立した施設があると、子供たちは一回学校から出て、それで学童保育にただいまと帰ってくるというようなこと、しかも安全も確保されているといったようなことがあるのではないかなというふうには思っています。

 ちょっと余りにも理想的なもので申しわけありませんけれども、以上でございます。

泉委員 厚生労働省にお伺いしたいんですが、この全児童対策事業、川崎市や品川区では留守家庭児童対策を目的の一つに含めながらこの事業を推進されているという現状があるわけですが、厚生労働省は、この取り組み、この方針についてはどういうお考えをお持ちなんでしょうか。

北井政府参考人 厚生労働省といたしましては、先ほど申し上げましたけれども、放課後児童クラブの事業、それから文部科学省の居場所づくりの事業、それぞれ有意義な事業であると考えておりまして、それぞれの事業が十分連携を図って、先ほども財政面からの御指摘もありましたが、一層これまで以上に必要な連携を図っていくということは重要なことだと考えておりますが、やはり、全児童対策の中で、特に留守家庭のお子さんはその意味では丁寧な対応が必要なわけですから、そういう丁寧な対応の枠がなくて、いつ来ても帰ってもいいとか、毎日でもないとか、六時ぐらいまではすごく預かってほしいのにそうでもないとか、そういったことの配慮がなくて、安易に居場所を設けるということだけの事業に流れてしまうのはいかがなものかという認識でおるわけでございます。

 しかし一方で、有効な、それぞれの大事な予算を使って重要な事業をするという上で、今まで以上に、もう少し連携の仕組み、うまくいく仕組みを考えていかなきゃいけないとも思っているわけでございます。

泉委員 地方分権の流れですから、一つ一つ、はしの上げおろしまでとは言いませんが、私は、この全児童対策事業というものの意義は意義であると思いながら、子供たちの居場所、家庭的な環境ということは非常に大切だと思っておりますので、指導という形ではちょっとかた苦しいかもしれませんが、やはり注視をしていただきたい。安易にこの流れが広がるのは私は決してよろしいことではないというふうに思っておりますので、どうか御配慮のほどをよろしくお願いしたいというふうに思います。

 そして、先ほど真田参考人から安全のことについてもお話がありましたけれども、先ほど聞いて驚いたのが、今、学童で過ごす時間と学校で過ごす時間というのが本当にもう匹敵をする、あるいは上回っているという状況の中でいうと、学校には最近、さすまたが配備をされ、防犯カメラがつき、先生たちも特訓をし、警備員を配置しという状況がございます。

 学童保育の立場から、お望みになる安全対策、いち早く、できればこういったことに予算をつけていただきたいということがあれば、お聞かせをいただきたいと思います。

真田参考人 学童保育というのは、例えば学校だとか保育園のように、枠があって、その中で子供たちが生活しているところもあれば、地域の中に独立施設としてあって、例えば、地域から近所の公園に遊びに行くとかあるいは近所の小川に遊びにいくといったような、そういう活動スタイルをとっている部分があります。逆に言うと、地域で単独施設で建っているところでは、なかなか、その施設の中で子供たちの安全を守るというのは、対症療法的にさすまたを置いたからといって解決できるものではないように思っています。やはり、根本的には地域の方々の協力、連携、あるいは地域自体が子供たちが安全に過ごせるような関係をつくっていくことがすごく大事だというふうに思っています。

 ですから、現場サイドでは、日常的に、近所の方々とのつながりだとか、もちろん学校も含めて、そういったことの連携を強めているところでありますけれども、それでも、本当にいざ不審者が入った場合に対応ができるかどうかというのは大変心もとないところがありますので、これについては、厚生労働省も含めて、安全管理マニュアルとかあるいは安全対策についての一定の手だてをとっていただくことがやはり必要かなというふうに思っています。

泉委員 どうもありがとうございました。

近藤委員長 田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、参考人の皆様、お時間をちょうだいいたしまして本当にありがとうございます。

 学童保育の関係でございますが、私の地元は千葉市でございますが、千葉市の方からも、有権者の方からいろいろな御相談を受けることもございました。まさに今、かなり広がってきているとはいえ十分ではないということで、家の一番そばのところに入りたいけれども、すごい待ちになっている、何とかしてほしい、ただ隣の町に行くと非常にすいている、役所に相談するとあっちへ行ってくれと言われた、そんなことできるはずがないというような多くの御相談を受けておるわけでございますが、まさに非常に現代的というか、昔から言われたかぎっ子みたいなところから歴史があって、こういう状況があるとは思います。

 ただ、今回、改めてこの関係でさまざま資料を拝見させていただく中で、どうしても私、ほかの委員でも御質問が出ていたかもしれませんが、いま一つすとんと落ちないのは、放課後というのであれば、それまで学校にいました、家に帰るとだれもいないから何とかしなきゃいけない、そういう社会がだんだん出てきたとするならば、私の自然な考え方としては、それはやはり学校ということの延長線上にあって、文科省が何か考えるようなことなのかなというふうに最初は思ったわけですね。

 ところが、いわゆる学童保育事業は厚労省が今やっておられると。何か、聞くところによると、最初は文科省がやっていたというお話もあるわけでございますが、そもそも文科省で最初始めた、にもかかわらず、やがて厚労省に移っていった、その辺の何か歴史的なところを、特に質問通告しておりませんが、文科省の方からお伺いをさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、昭和四十一年から昭和四十五年まで、当時、保護者が家庭にいない小学校の児童を対象に、留守家庭児童会というものに対して補助を行ってきたところでございますけれども、昭和四十六年度からは、すべての子供を対象といたしました、校庭において児童の遊び場等の集団活動を行います校庭開放事業と統合したものでございます。

 昭和四十六年当時は、市街地における子供の遊び場の不足や交通事故の頻発等に対処いたしまして、広く少年の校外活動を促進するために、すべての子供たちを対象とする校庭開放事業に吸収統合されたというふうに承知しておるところでございます。

田嶋(要)委員 ちょっと質問に対して明確に答えをいただいていませんが、文科省からこの学童保育事業が厚労省に移った理由を知りたいんです。

 要するに、今おっしゃった話は、留守家庭児童会なるものが四年間あって、四十六年からはすべての子供を対象にしたものに広がっていった、その中に吸収をされていったというお話ですが、では、もともと、補助をつけた留守家庭児童会なるものが厚労省か何かに移っていった、そういうことになるんですか。厚労省がこれをそもそも始めた理由ともかかわってくるとは思いますけれども。

田中政府参考人 文部科学省といたしましては、昭和四十一年から今申し上げましたような留守家庭児童会補助事業を始めたわけでございますけれども、昭和四十六年からはそれを統合いたしまして、統合した事業を開始したということで、その時点で留守家庭児童会補助事業は廃止したということでございます。

田嶋(要)委員 確認ですけれども、留守家庭児童会というのはいわゆる今の学童保育ですか。私の最初の質問は、ちょっと関係の方から聞くと、もともとは学童保育事業を文科省がやっていたと、歴史上。そうじゃないんですか、違うんですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省において学童保育事業をやっていたということではございません。

田嶋(要)委員 名称の問題はともかく、では、留守家庭児童会というものはどういった中身かというのを少し、もともとやっていたその事業の中身を簡単におっしゃっていただけますか。

 四十六年からはすべての生徒を対象。逆に言えば、四十一年から四十五年はそうじゃないですね。四十一年から四十五年は留守家庭の方を対象、それは今の学童保育に何となくコンセプトが似ている感じもしますけれども。

田中政府参考人 昭和四十一年度から四十五年度におきましては、下校時に保護者が家庭にいない小学校低学年の児童に対し、そういう留守家庭児童について、そういう子供たちを集めた活動に対して助成を行っていたということでございます。

田嶋(要)委員 そうするとやはり、何度お伺いしても、どちらかというと今の学童保育に非常に似ているような感じもするんですが、それは四十五年に文科省は廃止をされたわけですね。では、厚生労働省の方でいわゆる学童保育が始まったのは四十六年なんでしょうか。

北井政府参考人 厚生省で児童福祉の観点から都市部の、いわゆる今の放課後児童クラブの前身の事業を始めましたのは、昭和五十一年からでございます。

田嶋(要)委員 事実関係として、約五年間空白があった、文科省も手を引いた、厚労省が五年後に始めた、こういうことですか。その間かぎっ子現象は徐々に進展していった。厚生労働省が、やはりこれは必要だということでちょっとおくれて始めたということですね。

 過去はそのぐらいでいいんですけれども、やはり、今のこの状況でこの問題を考えると、どういう理由で二つの役所がそれぞれいろいろな必要性を感じてこうやって併存しているのか。もちろん、併存しなきゃいけないんだという御主張もあるし、きょう来ていただいた参考人の方も、そのような資料をつくられております。それも拝見させていただきました。

 ただ、私はあえて、もちろん、財政逼迫だからということだけを理由にするわけじゃないんですけれども、出発点が子供であり、出発点がそういう家庭事情の親御さんであるならば、地域の、そこからスタートして、では、こういった悩みがあるねと。きのう、実は地元に帰ってお母さん方とも話をしました。こういう悩みを抱えている方はやはり多いですね。そうすると、多分同世代の子供を抱えた親御さんが集まって悩みを共有する。どうしたらいいだろうね、ちょっと千葉市に相談してみようか、基本的には自分に一番身近な自治体に相談が行くわけですね。そうすると、恐らく、そういう流れからいくと、それは何とかいたしましょう、役所の方も考えなきゃいけない。地域の人の知恵も使いながら、何かプロジェクトチームか何かができて、徐々に立派なこういうものに発展をしていく。どこででも、二つのものがぴゅうっと出ていくような流れというのは考えにくいと僕は思うんですね。

 むしろ、もともとやっていた文科省から手を離れ、若干の過渡期はあったものの、厚労省として始めた。たかだか二、三年前ですか、二年ぐらい前から今度は全校の施策が始まってきたということですか。ここに書いてある川崎や品川なんかにありますが、全児童対策事業、これは文科省の事業だと理解しておりますけれども、これは違いますか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 川崎市で実施していただいている事業は、文部科学省からの委託事業ではございません。

田嶋(要)委員 いや、そういう意味じゃないですけれども、文科省は、厚労省の学童保育事業の片方で、文科省は文科省で中学生ぐらいまでの全生徒を対象に、年に一回利用する方も含めてそういう事業を始められたということですよね。それはそうですよね。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、そういう全児童、小学生、中学生を対象に、地域で安心して安全に活動できる場の確保をしたいということで、平成十六年度から事業を始めておるところでございます。

田嶋(要)委員 ちなみに、これは四十六年から始められた校庭開放事業のことですか。これの発展ということですか。

田中政府参考人 今ちょっとすぐ手元に経緯がないので恐縮でございますけれども、先ほど申し上げました校庭開放事業、これは昭和五十一年度に校庭開放事業といたしましては廃止をしたところでございまして、現在は、平成十六年度からただいまの事業を開始したところでございます。

田嶋(要)委員 ああ、そうですか。では、いろいろ廃止されているということで、留守家庭児童会も廃止して、四十六年から始められた校庭開放事業も五十一年には廃止した、それで、また平成十六年から放ち始めた、ああ、そういうことですか。

 その間ニーズがずっと大きくなっていたと思うんですが、厚労省はずっとそこから続けておると思うんですが、私がどうしても合点がいかないのは、たかだか二年前に、なぜこの時期になってまた新たなものを始めるという思考回路があったのか。

 要するに、それはまさしく縦割りの中のことだろうと思うんですが、何か質問取りを聞いていても、違う省庁の事業は余り関心がないような感じを受けるんですね。だけれども、普通考えたら、参考人の方もそういったページがございますが、分けなきゃだめだという意見がございますが、普通考えると、今あるものをどういうふうなところを手直しすると、小学生までとか、低学年だけとか、両方とも親が働いているケースしかだめとか、そういう制約を設けずに、もう少し間口を広げて、中学生もいいよ、何か後ろで首を振っていらっしゃる方がいらっしゃいますけれども、中学生もいいよ、そういうふうなことを最初にまず考えるのが順序としては正しいんじゃないかなと思うんですね。

 それを、とにかくうちも予算をつけて新しい事業を始めようというのは、本来やるべき思考回路じゃないと僕は思うんですけれども、その辺はどうしてこういうことになっておるんですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 子供たちが地域でいろいろ活動できるようにという観点からは、各地方公共団体あるいは各民間団体におきまして、いろいろな子供たちの活動の場の確保につきましてはこれまでも努力がされてきておるところでございます。各学校におきましての校庭開放事業なんかも各学校、地方公共団体で取り組んでいただいておるところでございますけれども、昨今、子供たちが通学途上あるいは学校内、そういうところでいろいろな事件に遭遇する、被害者になるというような事件が続発しましたし、また、そういう中で子供たちが加害者になるというような事件もあったわけでございます。

 そういう中で、学校、家庭だけではなくて、地域においてももっと子供たちに対して関心を払っていただいて、温かい目で見ていただこうということが非常に大事じゃないかというようなことで、これからの子供は学校だけではなかなか、あるいは家庭といっても、家庭でもなかなか十分なケアができていない家庭もあるんではないか。したがって、地域も主体的にそういう子供の活動の場所をつくっていく必要があるのではないかということで、そういう気風を、そういうことが全国に広がりますように、我々といたしましては、その呼び水と申しますか、きっかけづくりとしてこういう事業を緊急三カ年計画としてやり始めたところでございます。

田嶋(要)委員 きのうも緊急三カ年という話はお伺いしましたが、三年たったらぴたっとやめるということには恐らくならないだろう。実績をつくって、やはりその後も続くわけで、一つのやり方として三年というふうにやってまずは始めてみるけれども、結局それは持続すると思うんですね。三年切ったか切らないか、私は余り実質的な意味はないんじゃないかというふうに思っておるんです。

 だから、私は何を申し上げたいか。文科省のやっていること、いいことだと思いますよ。厚生労働省の施策もいいと思う。だから、部分最適はそれぞれあるんですが、全体で見ると最適化されていないような気がしてならないんですよ。それは、こっちは違う、あっちとはこっちは違うんだと、何となく、例えば私は思うのは、失礼な言い方かもしれませんが、参考人で来られた方も、学童保育の方のことにずっとかかわってこられた。そうすると、何かやはり、こっちはこういうところが違うんだからということで、こちらの方を拡充してほしいという思いがもちろん強いとは思うんですね。ただ、やはりむだが起きるような気がしてならないんですね。

 僕は、子供のニーズというのは本当に千差万別、小学校低学年はこっちだけれども、中学生はこっちというのは何か変な感じで、きのうも聞いたんですが、例えば小学校の空き教室、同じ空間の同じ時間帯に、ステッカーは張っていないものの、この子は学童保育の子、この子は文科省の方の子というふうに、見えないけれども、色分けされた子供が同じ場所にいるケースがあるというふうに聞いたんですけれども、何だか非常に不思議な感じがしてならないんですね。むしろそれは、子供たちのニーズは本当にさまざまで、それは右か左かと分けられないと僕は思うんですよ。

 例えば、きのうも聞いたんですけれども、兄弟が何人かいて、一人の子供さんが生まれながらに難病とか重病をお持ちだというような親御さんは、ほかの健康なお子さん方はなかなか構ってあげられない。そういった方々を入れるニーズなんかもやはりあるわけですね。ところが、そのお母さんは働いているわけでも何でもないわけですよ。そういったようなケースなんかのときに、では児童保育ではだめなのか、働いてもいないからだめなのか。入り口を、やはりそこをもう少し広げてあげて、文科省の方と話し合いながら、いろいろなニーズを一つの枠組みの中で受け入れていく。

 もう一つありました。いや、文科省の方はボランティアでやっている、地域の方が入っているんだ、片方の仕組みは指導員というのがいらっしゃる、だから違うんだと。だけれども、そういうのも、みんなで一つのものを運営していくという姿勢で、しかも、なるべく分権化して、余り国がいろいろ決めずに、先ほどのお話の中では自治体か国による設置基準が欲しいというふうにおっしゃっていましたが、これは国じゃなくて、中央集権じゃなくて、やはり自治体ごとに設置基準をつくっていけばいいと僕は思うんです。

 ぜひ、そういったことを、なるべく限られた資源の中でいろいろな人たちを一緒に集めた施策として本当にできないのか。余り、違うんだから分けなきゃだめだというふうにやられるのが本当に子供たちのためなのかなという感じを私は持っておりますが、最後に参考人の方から御意見を賜ればというふうに思います。

真田参考人 今先生がおっしゃったとおり、子供たちにはいろいろなニーズがあります。あるいはいろいろな家庭の環境があります。それに対応した枠組みがいろいろ必要なんじゃないかというのを逆に私などは思います。

 一つにまとめるということになると、当然やはり無理が出てくるケースがたくさん出てきますので、子供のニーズやあるいは家庭の環境に対応して、例えば学童保育もあれば、週に一回利用するそういう事業もあれば、あるいは児童館を利用する、いろいろな形があるのではないかなと。逆に、それを一つにまとめるということが、私は、子供たちの実態に離れていってしまうんじゃないか、あるいは親のニーズに離れていってしまうんじゃないかというふうな思いをしています。

 私も、学童保育は、今日こういう形になってきたのは、何か一つの目指すものがあったり、あるいはどこかがつくられたものを適用しているわけではなくて、保護者の方あるいはその子供たちにとってどういうあり方がいいのかということを考えてきたことと、やはり圧倒的に保護者の方々の強いニーズがあってここまで来たというふうに思っているわけですね。ですから、それはやはり、こうなるべくしてこうなってきたのではないかというふうに思いますので、そういうニーズを持った家庭にはこういう学童保育のあり方というのが必要だし、そうじゃない家庭にはまた違った放課後の過ごし方というのが必要なのではないかというふうに思います。

田嶋(要)委員 時間になりました。さらに地元で現場の声を聞きながら、私も研究を続けていきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

近藤委員長 小宮山洋子君。

小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。

 私の持ち時間は十分なので、簡潔に質問していきたいと思ったんですが、先ほどからの質疑を聞いておりまして、私自身、三人の子供を預ける場所がなくて、学童保育をつくる活動をしたり、それから児童福祉法の改正のときにかかわったり、ずっとやって、本当にこれは机上の理想論でいくというのではなくて、今真田さんからお話があったように、本当に困っている保護者の立場から、子供の視点でどういう形がいいかということを、苦労に苦労を重ねてこれまで来ている歴史があるものですから、もちろん、全児童対策もそのニーズがあってなさるのは結構なんですけれども、やはりこの学童というのは、家庭にかわって、そこの場できちんと家族にかわる人が目を配っていく、それが指導員の役割で、その処遇が悪かったりいろいろな問題があることはわかりますけれども、とにかく全く違う機能を持っているので、これは子供たちの暮らしとか育ちの面から親にかわってサポートをする仕組み、それは公設公営だったり、親が一生懸命場所もつくってやったりとか、いろいろなことがございますけれども、この仕組みを現状としてはなるべく設置基準とか運営基準をきちんとして、子供も親も安心できる仕組みにしていくということが第一なので、財政の状況とか、今二つあるから一緒にしていいんじゃないかとかいうことは、余りにも現場の実情を知らない声なのじゃないかという感じがいたしましたので、そのことだけは一言言わせていただきたいと思います。

 それで、学童の現場で今一番困っていらっしゃるのが、大規模の問題なのではないかと思います。先ほど御説明があったように、三十六人から七十人が四四%、七十一人以上も一二%近くあります。これについて、真田さんが用意された資料の九ページにもございますが、こども未来財団が報告書で適正規模は三〇人というふうにされていることを、厚生労働省はどういうふうに受けとめていますか。

北井政府参考人 この数字は、平成十五年度にこども未来財団が実施した調査研究の結果でございまして、この調査では、登録児童の構成であるとか施設の整備であるとか受け入れ体制などは考慮しておらずに、指導員の個人的な経験、実感から割り出された結果だというふうに思っております。しかし、現場で毎日活動していただいておる指導員が実感的に目の届く範囲というのはこの程度の人数だと思ってお書きになった数字だというふうに認識をいたしております。

 私どもとしては、決して大規模化でマンモス化ということがいいことだとは思っておりません。各地域の実情に応じた取り組みが行えるように、必要最低基準の要件を規定するにとどめておりますけれども、やはり規模というのは大事なことでございますから、現場の実情や指導員の意見をよく踏まえて、実施主体の判断でそれぞれ必要な場合には分割するとか、いろいろな工夫が必要であるというふうに認識をいたしております。

小宮山(洋)委員 このこども未来財団というのは厚生労働省が委託事業として行ったわけですから、単に指導員の声を聞いただけというような、今ちょっと否定的なニュアンスに聞こえたんですけれども、こういうものはもっと積極的に、やはり子供の立場で、きちんと数字を踏まえて、最後におっしゃいましたように、少しでもいい方向になるように、これが実態なんですから、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それで、先ほどやまぎわ委員もガイドラインというお話をされましたけれども、埼玉県は運営基準をつくっておりますし、石川県も今年度中につくることになっていますけれども、こうした都道府県の動きを厚生労働省はどう考えていらっしゃるのか。厚生労働省としていきなり基準というのは、そのでき上がった形もさまざま、ようやく児童福祉法に位置づけてほしいという声にこたえられる法的根拠をつくったという事情からしても、いきなり基準は無理かと思いますが、せめてやはりガイドラインはぜひ必要だと思うんですけれども、その二点をお答えください。

北井政府参考人 今委員御指摘のように、厚生労働省の調査によりますと、何らかの設備基準を独自で設けておられる自治体が、四十三市区町村それから二都県の合わせて四十五の自治体となっていると承知をしております。

 四十五自治体の内容を見ますと、例えば面積でいえば、クラブ室全体の面積を定めているもの、あるいは児童一人当たりの面積を定めているもの、もう少し包括的なもの、いろいろな内容となっているところでございます。

 確かに、御指摘のように、私どもでは、むしろ、各地域の実情を踏まえて多様な取り組みがなるべく地域主体でできるようにという思いから、最低限の規定、例えば衛生、安全が確保された設備を設けることとかいうようなことでお示しをしておって、その意味で適正規模であるとか職員基準というようなことは定めておらないわけでございます。

 国が一律の厳しい基準を設定するというようなことについては、いろいろな自治体の自主性とか地方分権の流れとかございますから、なかなか慎重なお答えをせざるを得ないと思っております。

 ただ、先ほど適正規模の話もございましたが、やはり私どもは決して、例えば大都市部でマンモス化しているようなところについて、一校区一クラブに限るといったような、そういう制限を設けているわけではございません。それから、あくまで実施主体の判断によって、よくニーズを踏まえて分割するといったような工夫を予算補助上もできるような仕組みになっておりますから、そういうことについては、少なくとも地域に誤解がないように周知をしてまいりたいというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 ガイドラインを検討されるということはどうですか。

北井政府参考人 ガイドラインというものをどのように受けとめるかということで、余り従来の保育所の最低基準風に受けとめられますと、かえって硬直的な運用になってしまって、この放課後児童クラブの必要なところに必要なことができないということになっても困りますので、私どもとしては、そうではないことができるかどうか、少し研究をしてみたいというふうに思っております。

小宮山(洋)委員 ぜひ研究をしてつくっていただきたいと思いますし、私たちもそういうことを検討したいと思っています。

 それで、時間がもうあと三分ほどになってしまったんですが、真田さん、いろいろ今までの議論も含めて、やはり大規模化の問題とか、指導員のあり方が今の全児童と全く違うというようなことも含めて、お話し足りない部分がたくさんあると思いますので、聞かせていただければと思います。

真田参考人 私のきょう用意しました三枚目のレジュメのところに少し書きましたけれども、非常に今子供たちは学童保育を必要としているわけです。それで大規模化が進んでいる。そのことを子供たちの側から見るとどういう問題なのかということを、私たちは絶えず考えています。

 そういう点で、例えば、やはり指導員と子供たちの関係で、その中で、子供がいろいろなことがあっても指導員さんにいろいろなことを話ができる、それで、自分を受けとめてくれる、自分を大事にしてくれているという実感を持って初めて学童保育が安心した生活の場になるわけなんですね。

 ところが、大規模化してしまうと、きょう学校であったことを指導員の方に言いたくても、なかなか子供は言えない。何人も指導員の周りに子供たちがいて、気の弱い女の子なんかは近寄りもできないといったようなことも含めて、やはり子供たちが指導員さんに大事にしてもらえないというふうなことがかなりあるのではないか。もちろん、施設が狭かったりうるさかったりすることによって、安心感のある生活というのはすごく崩されているということはすごくあると思うんですね。

 それで、本当に指導員さんの仕事というのは、子供たちの日々の体調だとか心の動きなどを敏感につかみながら、適切な援助をしている仕事なんです。先ほど冒頭に、ただいまと言うときから始まりますよというふうに言いましたけれども、同じ子供でも、毎日毎日ただいまの言葉が違うんですね。そうすると、ああ、きょうは学校で何かあったかなとか、いろいろな思いを指導員さんは受けとめて、子供たち一人一人に丁寧にかかわる。大規模だとそういうことができないということは、やはりすごく大きな問題なんじゃないかというふうに思いますので、指導員さんが子供たち一人一人を大事にできるような学童保育にするためにも、適正な規模がやはり必要だというふうに思っています。

小宮山(洋)委員 先ほどもありましたけれども、幼稚園と保育所を一体化するというのと今の全児童と学童を一緒にするということは全く違うということを、ぜひこの委員会の委員の皆様にも御認識をいただきたいと思います。

 その意味で、現場も視察もいたしますけれども、ぜひ私たち、子供の立場から、そして子供を安全な場所で、家族が見られるまで何とかその場所を確保したいと思っている保護者の立場から、しっかりした設置基準、運営基準ということを見定めて、親にかわるサポート体制としての学童の充実ということを図れるように、せっかくこのテーマを筆頭理事の御意思もございまして取り上げましたので、この委員会で引き続き検討していければと思っております。

 ありがとうございました。

近藤委員長 池坊保子君。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 幼稚園の創始者フレーベルは、人間は五歳までにその生涯で学ぶべきものをすべて学び終えると言っております。私はそこまでは思いませんけれども、十五歳ぐらいまでの子供が受ける影響というのは、人間形成や学力、すべてにおいて極めて大きいのではないかと思っております。公明党も、少子社会対策本部を立ち上げまして、そのコンセプトは、もっと生まれたい社会へ、子供の視点に立って、生まれたいような社会をつくっていこうということでございます。

 私も初中局には大変心を砕いております。先ほど居場所づくりというお話が出ましたが、私が文部科学省の政務官時代の最後に、私はこの居場所づくりに尽力いたしました。大阪の生き生き活動事業などを見ておりますと、子供たちが放課後大変生き生きと、いろいろな遊びなどを通して豊かに時間を費やしております。

 私は、家庭が果たす役割は大だと思っておりますが、今は働いていらっしゃるお母様もいらっしゃいます。家庭が十二分に子供に対して生活の規律とかさまざまなことを教える時間も、それからゆとりもなくなっているのではないか。ならば、家庭が果たしてきた役割を地域の方々とともに担っていただくのも一つの方法ではないかというふうに思っております。

 私は、子供が学校からだれもいないところに帰っていく、かぎっ子をなくしていきたい、そういう思いの中でその生き生き活動事業を視察いたしまして、そのころは私は政府におりましたから、いいことを全国に発信していくことはいいことではないか。学校で学ぶ教科ではなくて、遊びなどを通して、大人との触れ合いの中で生活の知恵とか人間の生きる道を知らない間に身につけていくということ、これが私は居場所づくりの大切な一つの要因であったと思っております。

 ですから、そういう意味では、つくった意義は、それにかかわってきたから言うわけではございませんが、大変大きいというふうに私は思っております。ただ、今のいろいろな方々のお話を聞いておりますと、やはり連携が必要なのかとか、あるいは幾つかの課題はあるのではないかというふうに思っております。

 それで、私、ちょっと北井局長に伺いたいんですが、今皆様方が質問していらっしゃるのは、放課後児童クラブという名称で、これは統一すべきではないかというふうに思っているんです。

 なぜかといいますと、委員の方々も学童保育、学童保育とおっしゃいます。かつては学童保育という名前でこの事業をやっておりました。私は学童保育という言葉は嫌いなんですね。なぜ嫌いかといいますと、学童保育というのは、学校に通っている子供を保育する。保育というのは、辞書を引きますと、乳幼児を保護し育てるというふうに書いております。六歳、七歳、八歳、小学校三年生までを特に厚生労働省は対象にしてやっていらっしゃると思います。これはもう乳幼児ではないと私は思うんですね。いろいろな成長過程の大切な時期なんですから、やはりこれはちょっと名称を変えていただきたい、しっかりとそれを統一していただきたいと思いますことが一点。それについての御意見。

 そしてもう一つは、居場所づくりは、確かにいつ来ても、いつ帰ってもいいわけですけれども、だから安易であるということではありません。丁寧でないということではありません。もしそういう認識がおありになったら、これは、それに携わっていらっしゃるボランティアの方々が大変お怒りになるのではないかと思います。いろいろなメニューをつくりながらやっていらっしゃるということ、そして、遊びだからそれは決して大したことではないということではないと思うんですね。

 では、放課後児童クラブがどういう遊びではない活動をしているのか、私はここのやはり連携というのが大切だと思いますけれども、その認識をまず持って、遊びだけれども大切だという認識を持っていただかないと、これから文科省とのいい連携はとれないと思いますので、その辺をちょっと伺いたいと思います。

北井政府参考人 まず、放課後児童クラブについての名称でございますが、私ども、一番最初の説明のときにお話を申し上げましたが、法律上の名称は放課後児童健全育成事業という名称になっております。私どもでは通称放課後児童クラブと、こちらは厚生労働省が言っておるわけでございますが、一方で、各地域地域が実施主体でございますので、地域の皆様方が学童保育であるとかいろいろな名称をお使いなわけでございます。

 国としては放課後児童クラブと言っておりますけれども、やはりほかの名称を使うのをとめるということにもなかなかいきませんで、そこは地域の言い方がある程度続いているのかなという認識でおります。国としては放課後児童健全育成事業、通称放課後児童クラブという言い方をしているところでございます。

 それから、居場所づくり事業が安易な事業だという感触で受けとめられたとすれば、まことに私の説明不足でございまして、文部科学省の居場所づくり事業というのは、とてもいろいろな世代のお子さんがきちんと遊んでいける、しかも、ボランティアをたくさん、多様な人材を活用してきちんといろいろな事業をやっていくという意味で、極めて有意義な事業であると認識をいたしております。

 そして、私どもの放課後児童クラブ事業と居場所づくり事業と、今は放課後児童クラブ事業も半分ぐらいが学校の敷地内でやっているわけでございますから、これは、両事業が同じ場所にありますと、ボランティアさんの相互の交流であるとか活用であるとか、それから、クラブの児童と居場所づくりで来られている児童と、当然、学校のお友達である可能性もあるわけですから、その交流を図っていくとか、いろいろなことを事業の実施上、連携を図っていかなきゃいけないのは当然でございますので、私どもも、文部科学省とさらに連携策について検討してまいりたいというふうに思っております。

池坊委員 確かに、居場所づくりが三分の一以上は土日というのも問題だと思うんですね。土日は必要だと思います。土日二日間あると何をしているかというと、子供は大概テレビゲームをしているとかテレビを見ているとか、今の子供ですから、親子の触れ合いがあったり、親子で野球をやるだとか一緒に遊ぶということがあればいいんですが、なかなかそうはいかない。それから遊び場もない。そうすると、やはりひとりぼっちで何かしているということになりますから、土曜日や日曜日そういうことをするのはいいですけれども、特に普通の日ももっと継続してやってほしいというふうに思いますし、そのときに、さっきも話が出ていましたけれども、放課後クラブに行く、そうしたら今度は居場所づくりに行きたいけれども行けないんじゃないかというようなことがないように、やはり市町村ではきちんとした連携をとってほしいと思うのです。

 まず、厚生労働省に伺いたいのは、二十一年度に一万七千五百カ所の設定、小学校区で四分の三実施するつもりだというふうなお話ですけれども、設置場所はどこというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

北井政府参考人 私どもの事業は設置場所の制限を設けておりませんので、地域のニーズに応じて、地域の実施主体が一番最適なところを見つけ出して実施していただくのがよいと思っております。

池坊委員 私、先ほど、学校時間は千百時間、それから放課後児童クラブで過ごす時間が千六百時間というのはちょっとショックを受けまして、ああ、そうか、考えてみれば、夏休みなんかもいるわけですから、それだけ長い時間いるのかと。どういう積算でそうなったのかは、まあ、小学校一年は十時半なんか、そんなに早く帰りますか。一部だけですね、そんなに早く帰るのは。本当にそれは一部であって、それが全部小学校一年生が帰ると思われると、これは誤解を生むと思いますけれども、学校よりも長い時間いるならば、やはり学校との連携というのが私は必要ではないかと思うんですね。

 先ほど、細やかに、保護者との連携は連絡帳などをつくっているというふうなお話を伺いましたけれども、学校との連携がないように思うので、その辺はどうしていらっしゃるのか、どう考えていらっしゃるのかをちょっと真田参考人に伺いたいと思います。

    〔委員長退席、小宮山(洋)委員長代理着席〕

真田参考人 私ども、学校との連携、大変大事にしたいと思っています。

 それは、具体的には、例えば、一人のお子さんは学校の生徒でもあると同時に学童保育の入所児童でもある、その子をめぐって、学校の先生と指導員の方がやはり情報交換したり、どういうふうに対応していくのかということのそういう積み重ねがすごく大事だと思うんですね。それに加えて、保護者の方との連携というものもすごく大事だということで、現場レベルでは相当日常的に、先ほど委員の方、どろんこクラブ便りで、校長室に集まってそういう会議は全然ないと書いてありますけれども、会議という設定ではなくて、本当に日常的に、担任の先生が学童保育に来て、ちょっと今この子はこういうことになっているのでこういうふうに配慮してもらえないかとか、そういったことはもう日常茶飯事にされていることなんですね。私は、そこが一番大事だというふうに思います。

 それに加えて、例えば学童保育でもお便りを出していますから、そういうのは全部担任の先生にも届けていますし、学校の行事予定表なんかも必ず学童保育にもらってきて、学校の予定に合わせて学童保育の生活も組み立てるといったようなことは、ほとんどのところでされているというふうに思うんですね。

 そういう意味で言うと、本当に子供を育てる上での第一線の現場同士での関係というのは相当大事にしてきているつもりだと思います。

池坊委員 学校との連携が必要ということでございましたら、学校のそばにあることがやはり私はいいのではないかと思うのです。先ほど、近隣に場所があったらいいなというふうに言われましたが、先ほど北井局長は、設置場所は今しっかりと考えているわけではなくて、地域のニーズに合わせてというお話がありましたけれども、今一万一千人の子供たちが待っているわけですね。やはり私は、空き教室を利用するのがいいと思っているんです。安心、安全のいろいろな問題は、確かに学校も乱入者がありますけれども、その侵入者を防ぐための工夫も、今、警備員の配置等、私ども公明党も言っておりますし、それもやっておりますから、やはり相対的に見て一番安心なのは学校ではないかと思います。

 学校の空き教室を利用したならば、一万一千人の待機児童たちも解消できるのではないかと思うのですが、先ほど十二万の教室があるとおっしゃいましたか、今どういう状況かというのをちょっと伺いたいと思います。

大島政府参考人 御説明申し上げます。

 かなり空き教室が出て、累積した数字が先ほどの十二万何がし、こういう数字でございますが、その大半が転用されてきて、現在残っているいわゆる空き教室、余裕教室と称されるものは約三千四百教室という状況が現在でございます。

 ただ、毎年大体、最近ですと新規に発生するのが余裕教室二千教室程度、その中で毎年さらにそれを上回る二千三百ないし二千四百といったものがほかの用途に転用というようなことの取り組みが行われている、そういう状況でございます。

池坊委員 私の住んでおります京都市では、不登校児のための中学校が一校ございます。そこは手厚く子供たちを学ばせていて、入りたいという子供たちがたくさんいるんですね。廃校の利用あるいは空き教室の利用というのをもっともっとやったならば、その連携がとれたならば、この待機児童も解消できるのではないかと思うのですが、これはなかなか、市町村レベルでいうと教育委員会と厚生労働省の市町村の部署との連携というのがとれていないのではないかと思うのですが、こういう協議会みたいなのをぜひ進めてほしいと思うのですが、局長、いかがでしょうか。

    〔小宮山(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

北井政府参考人 委員御指摘のとおり、学校の余裕教室を活用することは非常に有意義なことだと思っておりまして、一番いいことは、余裕教室ですから、既存の施設に余裕がある、それを有効に活用するということはいいことですし、それから何よりも児童が移動しなくて済む、安全、利便であるというようなこと、それから遊び場も確保されているようなことがございまして、その意味で、地域の総合的判断ではありますけれども、学校施設を活用するケースが当然ふえていくと思いますし、その活用ということは大事なことだというふうに思っております。

 御指摘のとおり、私どもとしてもそう思っているわけですが、やはり教育委員会のサイドとそれから市町村の児童福祉部局について、なかなか連携がうまくいかないケースももちろんあるように承知しております。私どもは、文部科学省と引き続き十分な協議をいたしまして、さらにそういうことが進むように努力をしていきたいというふうに思っております。

池坊委員 これはぜひ、国が関与することではないよとおっしゃるかもしれないけれども、サジェスチョンをして、いいアドバイスなどをしていただきたいというふうに思います。そうすれば、いいモデルケースたくさんありますよね、ですから、そういうのを厚生労働省と文科とが連携をとりながら全国に発信していっていただきたいというふうに思うんです。

 先ほどから、全児童とそれから放課後児童クラブの子供たちとの話が出ましたけれども、児童福祉法では、保育所が保育に欠ける児童の面倒を見るということになっておりますけれども、私はそういう時代ではないと思うんですね。もう今や、パートで働いていらっしゃるお母様たちもいらっしゃいます。ですから、全児童とそれから九時から五時まで働いていらっしゃる方々の子供たちを区別するということがおかしいと思うんですよね。ですから、その折り合いをどういうふうにうまくやっていくかというのが、私はこれからの課題ではないかと思うんです。

 その一つとして、やはり私は、ボランティアの方々の活用というのがいいのではないかと思います。居場所づくりはボランティアの方々を随分とお願いしておりますよね。学生さんだとか、それからまた、もう子育てを終わったけれどもそのノウハウを次の世代のために使いたいと思っていらっしゃる方々もあります。京都市では五千人の人をそういうことに携わるボランティアとして確保しているんです。

 そういうことのやはり積極的な、これも情報公開しまして、こういういいことをやっているところがあるんだというのを言って、そういうモデルとしてみんな全国でそういうことが展開していってほしいなと思うんですね。だから、そういうことも、先ほど人材確保ということを田中局長はおっしゃっていたけれども、この人材確保にもっともっと努めていただきたいと思うので、それについてちょっと伺いたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、これから地域子ども教室のようなものを充実していくためには、人材の安定的な確保ということが非常に重要だろうと思います。私も幾つかの教室を見させていただいたわけでございますけれども、これから始めようというときに、それぞれ、地域の自治会の方々が中心になっていただくところもございますれば、ある学校なんかでは、PTAのOB会みたいなのがございまして、そこが中心となって子ども教室を立ち上げていただいた。

 ただ、そういう中で、では今度、新しいボランティアの方々を募集しなきゃいけないんですけれども、これはそこのコーディネーターの方がおっしゃっておられたんですけれども、一番いいやり方は、要するに回覧板で募集するのがみんながちゃんと読んでくれるんだというようなお話も聞いたわけでございまして、やはりいろいろなメディアも使ってそういう広報をしなければならないと思うんですけれども、地域地域でどういうやり方が一番そういうボランティアを確保する上で有効なのか。今、現実に八千カ所でやっていただいているわけでございますので、そういう関係者の意見も聞きながら、また、では最低限安全、安心を守るためには、そういう人たちにそういう一定の研修というようなものが必要ではないかということもございますし、そういう点も十分研究して、今後安定的な人材の確保に努めてまいりたいと考えております。

池坊委員 月曜日に視察に行きました京都市の高倉小学校は、先駆的な教科を取り入れたり実践的ないろいろな試みをいたしておりますけれども、それも学校の先生だけでなくて、PTAとかPTAのOB、いろいろな方々、地域の方々が一緒になって運営している、学校運営協議会も七十名でやっているからうまくいっているんですよね。ですから、やはりそういう連携というのが大切だと思います。

 私、伺っていると、居場所づくりがある、こっちには放課後児童クラブがある、これはやはり不幸なことだと思いますから、ぜひ地元で、市町村レベルでこの連携をとっていただきたいと思いますし、それから厚生労働省、文科のレベルでもそれをとっていただきたいので、連絡会議みたいなのを、大規模でなくていいですから、開いていただけたらと思いますので、北井局長、その熱意、抱負を伺いたいと思います。

北井政府参考人 両省の連携については御指摘のとおりでございますので、そうした合同の会議も含めて積極的に進めてまいるつもりでございます。

池坊委員 期待をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

近藤委員長 石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 私は、一九七〇年代に共働きを始めまして、保育所、学童保育と、子供とかかわってまいりました。きょうもこもごも語られましたが、共同運営という形から始まった学童保育が制度化され、法制化される、そしてきょうは、いわば集中審議的な形での参考人質疑となったわけでございまして、私も大変歴史を感じ、また意義深くも感じているところでございます。

 ちょうどこの参考人質疑があるためで目が行ったのかもしれませんが、きょうも真田参考人が新聞の記事を資料に入れていただきましたけれども、雑誌でも何か特集、レポートが相次いで発表されているんですよね。それで、これは、ある雑誌は「働く親の命綱、学童保育をなくさないで」ということでございましたし、それから「働く母を阻む「小一の壁」」。だから、先ほどありましたように、保育所までは行けていたけれども、学童がないために、壁になる、学校へ上げた途端に困ってしまうということがちょうど相次ぎました。

 私は、今学童保育についてこういうメディアの注目もあるわけですし、それはやはりニーズが非常に高まっているからだというふうに思うんですね。本当に仕事を持ちたい、また働きたいという女性がもう多数というか、どんどんふえている状況だし、また、いろいろな家庭の事情、そして一人親家庭がふえている等々の事情も出てきている中で、私は、学童保育というのは本当に不可欠な、親と子供にとっての本当に大切な居場所でもあり施設でもあるというふうに思っているところです。

 それで、この機会ですので幾つかお尋ねしたいと思いますが、まず、真田参考人は、時間もなかったでしょうけれども、とにかくまだまだ足りないという実態だということを言われました。そして、学童保育には定員がないということがありますためか、急速に大規模化、マンモス化が進んでいるということの御指摘もありました。

 どのような実態なのか、その大規模化というのがやはりどういう現場に困難、そしてまた、とりわけ子供たちに影響をもたらしているのかというようなことで、足りないということの実態と大規模化という実態について、ちょっと簡潔に、もう少し数字的にでもお話しいただければというふうに思います。

真田参考人 大規模化の問題でございますけれども、ちょうどきのうでき上がったばかりのこういう冊子を私どもつくりました。安全、安心な学童保育を大規模化ではなく適正規模で複数設置をということで、ここにさまざまな私ども現場の指導員の方々の声だとか、あるいは子供の生活の様子、あるいは保護者の方々の願いを書いてありますけれども、本当に子供たちが、先ほど少し触れましたけれども、学童保育で大規模になることで安心して生活できなくなるということがこもごもに語られております。

 それは、先ほどちょっと指導員の方とのかかわりをお話ししましたけれども、子供同士の関係も、四十人ぐらいの規模であれば、本当に異年齢集団のよさで、お兄ちゃん、お姉ちゃん、あるいはその下の子の面倒を見るといったような子供同士のかかわりがすごく濃密になるわけですけれども、大規模化することによって、非常に子供同士が無関心になってしまうとか、あるいは、無関心な一方で、自分のエリアの中にだれかが入ってくると攻撃的になってしまうとか、あるいは言葉遣いが荒くなってしまう、あるいはどならないと相手に物が伝えられないといったようなことですね。そういった、子供の生活が本当に荒れてくるといったようなことが問題点として相当指摘されています。指導員の方々も、子供一人一人を大事にするようなかかわりができなくて、どちらかというと管理するような形になってしまうといったようなことが、大変私は大きな問題ではないのかなというふうに感じております。

 なぜ大規模化になっているのかということの中に、行政の方々の考え方の中に、施設が一人当たりの広さがあるだろうと。例えば、広い施設であればたくさん入れてもいいんじゃないかというふうな理解があるように思います。でも、やはり大事なのは子供集団の規模であり、あるいは指導員さんがどれだけ子供たちに目が届くかといったことが大変大事なことですので、そういう意味で言うと、施設が広い、狭いというだけの問題ではないということで、やはり分割をしていくということが大変大事なのではないかというふうに思っています。

 以上です。

石井(郁)委員 厚生労働省にお尋ねしたいと思いますけれども、子ども・子育て応援プラン、出されておりますように、二〇〇九年までに全小学校区の約四分の三、一万七千五百カ所ですか、学童保育をふやすという目標を立てていらっしゃるわけですね。少子化という問題が大変社会問題ですけれども、総務省の少子化対策に関する政策評価というのを見ましても、やはり放課後児童クラブの充実を望むという声が四二%と、保育サービス、子育てサービスの中でも非常に高くなっているということが昨年出されていると思います。

 私は、最初に少し述べましたように、共働き家庭が非常にふえている、そしてまた放課後の遊び、生活を充実させたい、保障したいという家庭がふえてきているという中で考えますと、この数値目標でいいのかなと率直に思うんですね。この数値目標がどういうふうに立てられたかというのもありますが、二〇〇九年まで一万七千五百カ所というのは少ないんじゃないか。ということで考えると、これから四年後になるわけですか、これは少ないというふうに率直に思います。

 既に待機児が相当あるというふうに言われている中では、そういう問題が一つ。それから、ではその数値目標を達成するのさえ、果たして予算の確保措置というのは大丈夫なのかという二つの問題なんですね。

 来年度の予算で見ますと、学童保育に九十四億七千万円ですから、いわば九十五億円にもならない。学童保育、六十五万人の子供たちが行っているところで、わずか九十五億円足らずというのが実態ですよね。この学童保育、少しずつでも箇所数はふえてきておりますけれども、ここ数年でもこの予算というのはどういう形での増額になっているのか、今後どういう増額が見込まれていくのか、その点をお聞かせください。

北井政府参考人 まず、子ども・子育て応援プランにおきまして目標としております目標数値一万七千五百カ所が少ないのではないか、こういう御指摘でございますが、私どもは、このプランを作成するに当たりましては、市町村が住民のニーズを踏まえて策定した地域行動計画の計画に基づきまして集計をしたものでございまして、現在のところ、その実施主体の市町村がこういう計画でやりたいという数字であるというふうに認識をいたしております。

 平成十八年度概算要求におきましては、この目標を達成するために八百カ所の増を要求しているところでございます。予算につきましては、平成十七年度予算、本年度の予算が九十四億七千万円余りでありまして、平成十八年度の予算要求におきましては百十二億円ほどを要求しているところでございます。

 私どもは、あくまでこの子ども・子育て応援プランの数字は今策定した段階での目標数値でございまして、仮に今後住民のニーズがますますふえて、もっと前向きに計画を見直して取り組みたいという市町村がふえてくれば、当然この目標数値を上回った国庫補助の御要望も上がってくると思いますし、各市町村でも取り組みが進むと思っております。仮にそうした計画を上回るような国庫補助の御要望等がありました場合にも、なるべく私どもとしては前向きに予算の確保をやってまいりたいということで考えております。

石井(郁)委員 下の方からのいわば積み上げ的な形で一万七千五百カ所ということだという説明でございました。そして、これは決して固定したものではない、もっと出てくればそれはそれで見ていくという話だと思いますし、本当に大事なことだと思うんですね。

 ただ、私は同時に、やはり児福法に基づいて国の事業として行うわけですから、そういう意味では国としてもっとイニシアチブを持ってもいいと思うんですよね。だから、ちゃんと、こういうニーズに対してどういうふうに対応していくのか、そういう裏づけというか、国としての試算なども持って臨まれるということも必要じゃないかなというふうに思ったものですから。

 何しろ、これは平成十六年度で一万五千百三十三でしょう、現在。それが一万七千五百といったら二千じゃないですか。箇所数でわずか二千ぐらいでしょう。本当にこれは時代のテンポに合わないなというふうに私は思いまして、強くその辺を、やはり箇所数もふやすし、また予算としてもきちんと措置していくということをお願いしておきたいというふうに思います。

 それで、先ほども小宮山委員の方からもお話がありましたけれども、大規模化の解消という問題にどうしても必要なのが、やはり一定の設置基準という考え方が要るんじゃないかということなんですよね。

 この問題は、私どもの党が昨年六月に、実は地方でも既に何らかの設置基準を設けている、あるいは設けようという動きがあるということの中で、それはどういう自治体で行われているのかということをお尋ねしました。そして、国としてもそういうことを考えるところに来ているんじゃないかというふうに質問したわけですけれども、そのときの回答では、これは地域の実情に応じて個別具体的に判断されるべきだ、施設の規模などの基準を国において一律に定めることは困難だと、質問主意書だとそういう答弁に終わってしまいますから、これはちょっと私も尋ねておかなくちゃいけないなというふうに思って、きょうはぜひ質問するわけでございます。

 先ほども少し回答もありましたけれども、地方がそういう設置基準を定めようとしている、定めているところも出てきているという中では、やはりその必要性があるからだと思うんですよね。地方の方が先に行っているんじゃないですか。国が本当に法律に基づいて学童保育を充実させようというふうに考えるんだったら、今のままでいいのかという点でいうと、やはり何らかのことを考えるべきじゃないか。それからまた、地方でも、もちろん地方にはいろいろ自治体間の格差ということがどうしても出てきますから、国としての、これは小宮山議員がガイドラインというふうにおっしゃったので、私も本当に、少なくともガイドライン的なものというのは必要だというふうに思うんですね。その点、いかがでしょう。

北井政府参考人 放課後児童クラブの何らかの運営・設置基準というお尋ねでございますが、先ほども御説明申し上げましたとおり、今独自で基準を設けている自治体が四十五自治体ございます。ただ、この内容を見ますと、かなり多様な内容になっております。

 こういうことで、私どもとしては、これまで放課後児童クラブの運営に当たっては、各地域の実情に合わせて多様な取り組みができることの方がむしろ円滑な事業実施につながる、このクラブの推進につながるという認識でもってやってきているところでございます。したがいまして、最低限の実施要件、指導員の配置であるとか、遊具、図書、ロッカーの配置であるとか、そのような最低限の実施要件を規定するにとどめているところでございます。

 国が余りにも一律な基準を設けますと、かえって自治体が萎縮をして硬直的な運用になったり、あるいは、そういう難しいことを言われるのならということで取り組みを進めないというようなことも危惧されるわけでございまして、私どもとしては、やはり基本的には、こうした児童クラブというのは自治体の自主性を最大限尊重したいと思っているところでございます。

 ただ、ガイドラインというお話もございました。そこのところは少し研究をしていきたいというふうに思います。

石井(郁)委員 今のお話で、何か運営基準を一律に決めると硬直化すると。そういう考え方はおかしいと思うんですね。そんな硬直化する運営基準だったら困るのははっきりしているわけですから。やはり運用においていろいろな弾力的なことを視野に入れたものができるわけでしょう。だから、そういうものとしてぜひ考えてほしいというふうに思います。

 さて、それでは真田参考人に伺いたいんですけれども、この設置基準の必要性についてどうお考えかということと、あわせて、先ほど私は予算のことを申し上げましたので、とにかく法制化自身がおくれて、ようやく国の事業が始まったが、しかし予算の規模というのは本当に少ない、やはり単価が少な過ぎるという点では、現場は大変御苦労されていると思うんですね。だから、この予算についてどのようにお考えか、簡潔にお答えください。

真田参考人 レジュメにも少し触れましたけれども、地域の実情に応じて多様であるとか柔軟である部分と、あと、子供たちを預かる施設としてやはり最低限安全を確保する、あるいは子供の健全な育成を図るという点で、共通的に必要なものがあろうかと思います。

 先ほどちょっと池坊議員の方からも言われましたけれども、過ごす時間が長いという計算ですが、この「情報」の三十一ページに書いてあるんですが、一年生の十時半始まりのことを計算に入れているわけではなくて、一年生から三年生までの平均の時間で、大体平日は三時間半で見ております。三時間半で見ていても年間を通すと千六百時間、そこで生活をしている子供たちの施設としてやはり最低限必要なものがあるのではないか。

 多様だからといって、例えば子供たちの生活のスタイルが違うわけではないわけですね。冒頭にお話ししましたように、イラストでかいたような生活の流れというのは、北海道の子供たちであれ沖縄の子供たちであれ、学童保育でああいうふうな生活を送っているのは事実でございますので、そういう点で、基本的なベースとしての設置・運営基準をつくった上で、その地域に応じて、実情に対応するような柔軟さがあっていいというのが私どもの考えでございます。

 そういう点では、そのベース部分のところについての予算が余りにも低いということをきょうの資料に載せておりますけれども、民間の施設であっても年間一千万ぐらいかかる。しかし、厚生労働省の補助単価の基準は一カ所当たり三百万円足らずで運営できるという試算になっているわけですね。三百万と一千万の、ここに大きな開きがあるというふうに私ども思っていますので、やはり一千万ぐらいの補助金が何とか確保できるような大幅な補助金の増額を私どもは要望してまいりたいというふうに思います。

石井(郁)委員 最後にもう一点でございますけれども、ずっときょうの質疑の中でも問題になっておりました全児童対策事業と学童保育の関連なんです。

 これは厚生労働省にぜひ端的にお答えいただきたいと思いますが、やはり全児童対策事業と学童保育は目的と役割が違うと思うんですよね。厚生労働省としては学童保育をきちんと進めていくという立場かと思いますが、全児童対策というのは学童保育に取ってかわることはできないという点では、きちんとした態度をお示しいただきたいというふうに思うんですが、その辺いかがでしょうか。

北井政府参考人 放課後児童クラブと全児童対策事業との関係ということでございますが、お答えを申しておりますとおり、それぞれの事業はともに大変重要な意義を有する事業であると考えております。ただ、御指摘のようにその目的が異なっておりまして、これをすべてどちらかに統一するというようなことは適当ではないというふうに思っております。しかし、一方で、例えば学校の敷地内で両事業が行われるということもありますし、それから全児童対策事業の中に放課後児童クラブの機能を入れた取り組みがなされるというような場合もございます。

 こうしたいろいろな地域での取り組みが始まっているわけでございますから、私どもは、何度も申し上げて恐縮ですが、保護者が昼間家庭におらない家庭の児童につきましては、ぜひ、開設の日数であるとか、安全の確認であるとか、あるいは保護者との連絡体制であるとか、そうしたような丁寧な対応法をしていただくことは少なくとも必須であると考えております。そのような配慮が必要であるというふうに認識をいたしております。

石井(郁)委員 私も、本当に今の社会状況、子供の安全の問題だとかが新しく出てきておりますから、放課後の遊びと生活、これは本当に小学校、中学校ともに大切だなというふうに思うんですね。だから、働く、働かないということで、そこで線を引けるのかどうかという問題も出てきているというふうに思います。

 しかし、私は、学童保育ということでいいますと、今、一部の自治体で公営の学童保育が廃止だ、父母会が運営主体になる、そうすると公営のときと比べて保育料が約六倍だ。これはきょういただいた読売新聞の資料にありましたけれども、こういうことで、また何か昔に戻ってしまうんじゃないか、昔、私たちが本当にゼロから始めたような。三十三人、いろいろなそういうところが出ている。十カ所出ている。これは名前を言ってはあれですが、川崎市内では。そういう自主運営が十カ所だ。何か、こんな苦労をさせていいのかなというふうに思いますよね。

 ですから、ぜひ学童保育はそれとしてきちんとやはり充実していただきたい、このことを強く申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

近藤委員長 保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 先ほどから伺っていて、やはりいろいろ地域によって実情が違うんだなということを感じました。私のよく話を聞く世田谷区内のある地域では、マンションの規制が緩和されたことによってたくさん建っているというと、学校によっては余裕教室どころか、教室が足りないのです。特別教室も全部つぶして、来年大丈夫だろうかというようなところもあるわけですね。そういうところで全児童対象の、いわばこれは新BOPというふうに呼ばれているんですが、これが始まる。そして、その中に学童の子供たちもいるということで推移しているんですが、雨が降ったりすると非常にすし詰め状態になってしまう。加えて、同じように過ごしている子供たちが、おやつの時間になると学童の子だけぞろぞろ動いておやつを食べる。何ともぎくしゃくしてしまいますね。

 真田参考人に伺いたいんですけれども、大規模化が生んでいる弊害の中で一つの例かと思いますけれども、こういうことは他のところでもいろいろ見られていると思うんですが、大規模化というときに、どのぐらい膨らんでしまう規模なのか、子供の数はどのくらいまで膨らんでいるのか、そのあたりもお答えいただきたいと思います。

真田参考人 本日用意させていただきました資料の中にも、九ページ、資料七ですが、「入所児童数の規模」という資料があります。これは実は二〇〇三年のときの資料でありまして、ことしの五月現在は相当大規模化が進んでいる、しかも百人を超えるところが軒並み生まれているというのがいろいろな地域から話を聞きますと出ています。それだけニーズが高いのになかなか学童保育がふえないためにそういう大規模になっているというのが実態でございます。

 大規模というのは、私ども基本的には、こども未来財団の調査でも三十人から三十五人、私どもも四十人を超えたらやはり二つに分けるべきだという提言をしておりますが、それがやはり基本的には必要なのじゃないか。そういう点でいうと、百人を超すところはやはり三カ所ぐらいに分けていかないと、本当に子供たちの安心な生活が守れないんじゃないかというふうに思っております。

保坂(展)委員 もう一つ、今、自治体の流れは行政改革ということで、公設公営で行われていたものも、例えば指定管理者制度を導入したりとか、あるいはベテランの職員さんがこれまでいた、しかし別の部署に動かして、アルバイトで比較的若い方々を職員にするということが起きていると思うんです。若い人たちが子供に触れ合うのはとてもいいことだと思いますが、反面、長いこと地域の子供を見てきたベテランの人たちがいなくなるということで、親たちはかえって不安に陥っているということがありますけれども、その辺の問題についてもいかがでしょうか。

真田参考人 議員がおっしゃるとおりで、学童保育というのはやはり子供を継続的に見ている施設です。それで、中には六年生まで行っているところもたくさんありますので、その途中で指導員が入れかわってしまうことというのは、大変子供たちにとっても、精神的な意味も含めて大きな影響があります。

 やはり学校の先生あるいは保育士さんと同じような仕事をされていらっしゃるにもかかわらず、行政の非常勤職員の場合ですと一年契約の雇用になっているとか、今おっしゃったように、指定管理者制度が導入されたところでは何年かごとに指定先を変えなければならないといった問題で、本当に経験のある指導員さん、それはまさに子供たち一人一人の心のケアも含めてかかわってノウハウのある方々が、なかなか熱意があっても続けられないという実態がありますので、それはぜひ改善していただきたいというふうに思っています。

保坂(展)委員 文科省の生涯学習の田中局長に伺いたいんですが、先ほどの例なんですけれども、雨が降ってしまうと、人口がふえているということで、子供さんが空き教室で遊ぶどころか、廊下でたむろせざるを得ないとか、そして、じゃ体育館があるじゃないかといっても、体育館はまた学校開放で使っていると。何かこれは安全面でも大丈夫かなんという声も上がっているんですね、地域の親から。

 全国的に見れば空き教室が多いんでしょうけれども、そういう事態に対してもう少し柔軟に考えていただけないかと思うんですが、その辺はどうごらんになっていますか。

田中政府参考人 委員御指摘のように、空き教室の有効活用というものを取り進めておるところでございますけれども、それと同時に、学校開放ということではまさに学校開放ということで、体育館あるいは運動場それから普通教室につきましても各学校で取り組んでいただくように我々は推進してきておるところでございまして、小学校でいえばもうほとんどの学校で何がしかの学校開放に取り組んでおるところでございますので、これにつきまして今後とも推進してまいりたいと考えておるところでございます。

保坂(展)委員 そうすると、ちょっと答弁かみ合わなかったと思うんですが、校庭開放していても雨が降ったら出れないわけで、体育館に行こうと思っても体育館が他の団体が使っていれば使用できないということもありますよということを改善願いたいというか、そういうことを考えていただきたいということを申し上げたかったわけです。

 ちょっと時間がないので、じゃ、せっかくですから厚生労働省にも伺いますが、児童館と児童センター、長いこと大きな役割を果たしてきたし、また学童保育の時代から、児童館でと、児童センターでというのは今もあると思うんですね。この役割をもっともっと生かすべきじゃないかと私は思うんですね。

 学校に子供がいるということも、しかし、朝からずっと長くいると緊張感も緩んでいきますし、学校である学習の時間を持って、そして地域の中で児童館である時刻まで過ごす、ここをもう少し強く押し出していただきたいというふうに思うんですね。学校で子供がずっと滞在できるということになると、児童館に物理的に子供が来れなくなるという現象も起きているんですね。このあたり、どういうふうに考えますか。

北井政府参考人 御指摘のとおり、児童館は長い歴史を持っておりまして、厚生労働省の全児童対策といいますか、すべての子供さんに遊びの場を与える場でございます。そうした児童館を通じて遊びの場を提供するとか、あるいはそこで放課後児童クラブをやるということは、これまた極めて有意義なことでございます。

 私どもはあくまでも実施主体は制限を設けておりませんので、各地域の現場の声、保護者の声、子供の利益を考えて、一番いい場所でやっていただくのがよいと思っております。

 本日も、御議論を聞いておりますと、学校の余裕教室をできるだけ活用するという御意見もございましたし、また児童館を活用すべしという御意見もございます。私どもはどれが優先というようなことではなくて、地方のニーズを踏まえて、これは明らかに放課後児童クラブも不足しておりますから、ぜひいろいろな資源を活用して、多くの放課後児童クラブができますことを支援していきたいというふうに思います。

保坂(展)委員 最後に、真田参考人に今の点なんですが、地方自治体の中には、児童館、余り子供が利用していないから廃止してはどうかというような声も一部にはあるんですね。

 今お話ししたような点について、やはりこれは児童館、児童センターというのはしっかり力を入れて生かしていくという必要が私はあると思うんですが、いかがですか。

真田参考人 議員おっしゃるとおりで、児童館というのは地域には本来ならば大変大事な施設だというふうに思います。ただ、例えば職員の方が常勤が配置されていないとか、あるいは土曜、日曜開いていないとかいったようなことで、そういう地域のニーズに見合っていないようなところもあろうかと思うんですね。その辺はぜひ解決することが必要じゃないか。

 例えば、学童保育と児童館の職員同士の連携というのは大変大事だというふうに思っているわけですし、あるいは児童館自体が地域の子育てセンターの中心になり得る可能性を私は持っているように思っています。ただ、それだけの条件が整備されていないということがやはり課題なのかなと。あと、学童保育との連携でいうと、学童保育は保護者会とか父母会がたくさんありますけれども、そういったところで親同士のつながる一つの拠点になり得るんじゃないかということで、ぜひ私どもも児童館を充実していただきたいなというようなことは常々思っております。

保坂(展)委員 ありがとうございました。終わります。

近藤委員長 以上で参考人及び政府参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人に一言御礼を申し上げます。

 真田参考人には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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