衆議院

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第4号 平成18年3月30日(木曜日)

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平成十八年三月三十日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員 

   委員長 近藤 昭一君

   理事 岡下 信子君 理事 菅原 一秀君

   理事 谷川 弥一君 理事 松島みどり君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 小宮山洋子君

   理事 田嶋  要君 理事 富田 茂之君

      井脇ノブ子君    上野賢一郎君

      大塚 高司君    北川 知克君

      土屋 正忠君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    福岡 資麿君

      松本 洋平君    山内 康一君

      泉  健太君    郡  和子君

      横山 北斗君    福島  豊君

      石井 郁子君    保坂 展人君

    …………………………………

   国務大臣

   (少子化・男女共同参画担当)           猪口 邦子君

   内閣府副大臣       山口 泰明君

   内閣府大臣政務官     山谷えり子君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  幹雄君

   政府参考人

   (内閣府犯罪被害者等施策推進室長)        荒木 二郎君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           草野 隆彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           白石 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           高橋  満君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 鳥生  隆君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中谷比呂樹君

   衆議院調査局第一特別調査室長           田中 啓史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 青少年問題に関する件


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 青少年問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官林幹雄君、内閣府犯罪被害者等施策推進室長荒木二郎君、警察庁生活安全局長竹花豊君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、厚生労働省大臣官房審議官草野隆彦君、厚生労働省大臣官房審議官白石順一君、厚生労働省職業安定局次長高橋満君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長鳥生隆君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長中谷比呂樹君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡資麿君。

福岡委員 自由民主党の福岡資麿と申します。本日は、質問の機会を与えていただきましたこと、関係各位の方々に心から感謝を申し上げたいと思います。

 また、私、今回初当選の新人議員でございますけれども、この委員会にも若い新人議員がたくさん出てきております。比較的青少年に世代が近い者として、一生懸命この問題に対しても取り組んでいきたいということをこの場でお誓い申し上げたいというふうに思います。

 まず、猪口大臣にお聞きをさせていただきたいと思います。

 青少年問題といっても、本当に非常に広範囲にわたるわけでございます。また、省庁も、非常に横断的に取り組んでいかなければいけないテーマであるわけでございます。今後の将来を担っていく青少年の方々の対策というのは、本当に、国の一番重要な課題だと言っても過言ではないと私自身思っております。

 大臣もさきの所信の中で、関係閣僚と連絡をとり合いながら一生懸命対策を講じていくということを表明されているわけですけれども、かけ声倒れに終わってしまってはいけないわけでございますから、実際に具体的にどのように連携をとって連絡体制をとっていくかという大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。

猪口国務大臣 福岡先生、ありがとうございます。先生が積極的に青少年育成につきまして御指導くださるということ、担当大臣として大変心強く思っております。

 御指摘のとおり、また、私が所信において述べましたとおり、私は、青少年育成の問題は、我が国の政策上最も重要な政策分野の一つであると認識しております。また、少子化対策等とも深く関連のある分野であり、重視していきたいと考えております。

 所信の中でも述べましたけれども、青少年をめぐりましては、幼い子供が犠牲となる痛ましい事件の発生でありますとか、あるいは児童虐待事件などが増加し、大変憂慮すべき事態が見られていますので、子供が安心して暮らしていくことができる社会をつくることが最優先の課題と私は認識しております。

 また、少年非行でありますとか、不登校あるいは引きこもりの問題、若者が経済的にも社会的にも自立するために支援を必要としている状況があるのではないかと考え、しっかりと寄り添って施策を推進していきたいという決意でございます。

 先生御指摘のとおり、このような施策を強力に推進していくためには、各省庁の御協力を得なければなりません。どういうふうに強い連携を政府として一体となって確保できるか、これが私にとっての大きな課題でございます。

 政府といたしましては、青少年育成施策大綱がございますので、まずそれに基づく施策を推進する。そして、実施体制としましては、青少年育成推進本部がございますけれども、機動的に取り進めるために、副本部長の会議がありまして、私がその主宰者なんですけれども、また、さらに課長級の会議を設置してございます。必要に応じていい連携がとれる体制は実務的には確保できていると考えておりますので、引き続き、副本部長会議あるいは課長級会議を適宜適切に開催しまして、連携についての体制を一層強化して取り組んでまいります。

福岡委員 しっかりとした取り組みをお願いさせていただきたいと思います。

 今、猪口大臣のお話の中にも、子供の安心して暮らせる社会というようなお話がございました。まだ捜査中でございますので確実なことは言えませんが、きょうのニュースで飛び込んできた話として、川崎のマンションで十五階から小学校三年児をほうり投げたのではないかというような痛ましいニュースも入ってきておりまして、そういった中で、子供の安全をどうやって確保していくかということが今改めて真剣に問われているのではないかというふうに思っております。

 私、出身が九州・佐賀県でございますけれども、かつては、田舎の方は治安は安全だというふうに言われていたんですけれども、今やそうではなくなってきておりまして、最近のそういった幼児を対象にした残虐な事件が地方で起こっているということも、これまた事実でございます。

 難しいのは、地方の方はやはり非常に人口密度も薄くて、どうしても人目につかないところを通らないと学校に行けなかったりとか、そういったことが往々にしてございまして、そういった中でどうやって子供の安全を確保していくかというのは、まさに重要なテーマであるというふうに思っております。

 昨日、地元のそういった御父兄の方々を集めて、子供の安全についてということで議論をさせていただく機会をつくったわけですけれども、政府として見解を求めるのは非常に難しいテーマかもしれませんが、この中で一番多かった御意見というのが、携帯電話についてなんですね。今、子供が安全に暮らしていただける、緊急時に連絡をとれるようにということで、親御さんとしては、携帯電話をお子さんに持たせたいと思われる方がいらっしゃる一方で、やはりそういった携帯による犯罪というのもふえてきていますから、そういったものを子供に持たせることを懸念される、反対される親御さんもたくさんいらっしゃるわけでして、大きく意見が分かれるところになってきているわけでございます。

 学校におきましても、今、教育長が指導しているというわけではないんですが、独自に校則等で縛りをかけていまして、高校とかにおいては、携帯を学校に持ってくるのを禁止するというような、校則みたいなことを定めて自主的に運用しているケースが多々あるというふうに承っております。

 ただ、最近、そういった子供の安全という意味では、GPS機能つきの携帯電話等も出てきておりまして、要は、子供がさらわれたりしたときにGPS機能を使ってどこにいるのかということを探知できるというような機能もありまして、そういった携帯電話を学校に持っていくことの是非ということについて非常に今議論が起こっているということが、一つ問題として上がってきているのではないかなというふうに思っているわけでございます。

 学校側からしてみれば、やはり学業第一の中で、携帯を持ってくると、どうしても休み時間とかにそういったことをして友達とのコミュニケーションが疎になってしまうのではないかとか、どうしてもそれでカンニングをしてしまったりとか、授業中、机の下でメールをやりとりしてしまうんじゃないかというような懸念もあるということはよくわかるんですが、安全対策という、そういう両面があって、どちらかをとればどちらかが失われるといったことがある状況でございます。

 そういった中で、統一の見解というのは難しいんでしょうけれども、この携帯電話の問題について、学校に持っていくことの是非について、文部科学省としての御意見をお聞かせいただきたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 携帯電話につきましては、一般的に、学業及び学校生活に不要なものであるという認識に立ってございますが、児童生徒の安全等の確保からすれば有効な場合も考えられるということから、学校等への持ち込みにつきましては、学校や地域の実情を勘案して、各学校において適切に判断いただくものと考えております。

 実態といたしましても、子供たちの発達段階あるいは実態、地域の実情に応じまして、一律に持ち込みを禁止していらっしゃる学校、あるいは、校内に持ち込みはできても校内での使用を禁止するケース、それから、休み時間等に限定して使用を認めるケース、そして、特段の規制はしておりませんけれどもマナー指導を行うという、学校によってさまざまな対応が行われているところでございます。

 また、先生御指摘のように、携帯電話の利用に関しましては、出会い系サイト等の有害情報に子供たちが遭遇する危険性、あるいは携帯電話を使用する場所、時間等に関する公共のマナーの問題もございますので、事前に各学校においてしっかりとルール、マナーについて指導を行っていただきたいと考えております。

 このため、文部科学省としても、家庭に向けて、家庭教育手帳というものの中に家庭での取り組みへの支援のアドバイスを書いたり、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律、いわゆる出会い系サイト法の周知ということ、それから、児童生徒の規範意識の向上のための取り組み、そして情報モラルの育成のための取り組みにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

福岡委員 ありがとうございました。

 こういった問題は非常に難しいと思うんです。携帯もそうですけれども、例えば高校生のアルバイトとかについても、やはり社会性を養うためにアルバイトした方がいいというのと、学業優先のためにそれを校則で禁止するといったようなこともありますので、縛りをかけるというのはふさわしくないのではないかと思うんですが、そういった社会的問題があるということを十分に認識して対応していくことが必要ではないかというふうに思っております。

 次に、ニート、フリーター対策について御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 今や、ニート、フリーターが急激な勢いでふえてきているというのは周知のとおりでございますけれども、そういった中で、我が地元においてもそういったニート、フリーターがたくさん出てきているということも事実でございます。

 この間、地元のジョブカフェの担当の方に地元の実態を聞かせていただいたんですけれども、今、働いていない方の最大の理由として挙げられているのが、自分は働く自信がないというのが一六%ぐらい、あと、自分には行動力が備わっていないと自分で思う人も同じく一六%ぐらい。ほかには、自分はコミュニケーション能力が不足しているとか、また自己分析ができていないとか、そういったことを理由に挙げる方がそれぞれ一〇%ぐらいずついるということで、そういったことが彼らの大きな悩みとしてあるということが浮き彫りになったわけでございます。

 そういった中で、対人関係においてもまだまだ自信が持てない、そういった方々に対して就労を支援していくということについては、やはり行政側のさらに強いバックアップが必要ではないかというふうに思いますが、現状の取り組みも含めまして、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のニート、フリーターを中心といたしました若者の就業をめぐる諸問題でございますが、政府といたしましても、この問題につきましては、若者自立・挑戦プランというものを策定いたしまして、関係省庁が連携をしてさまざまな支援に取り組んできておるところでございますが、幸い、最近におきましての若者の雇用の状況というものは、例えば高校生、大学生のこの春の卒業予定者の内定状況も、少しずつ改善傾向にございます。また、フリーター、ニートにつきましても、十七年あたりに少し減少なり横ばいなりということで、いろいろな対策の効果も少しずつあらわれてきているのかなと思っておるところでございます。

 ただ、若年失業率というのはなお高い水準で推移しておるわけでございまして、こうした状況を受けまして、私どもといたしましては、一つは、フリーター対策といたしまして、常用雇用を希望いたしますフリーターという方も大変多くおられるわけでございまして、そうした方々に対しましては、私ども、昨年の五月から、フリーターの方々を年間二十万人常用雇用に移行させよう、こういう具体的な目標を掲げまして取り組んできておるわけでございます。

 具体的には、一つには、今御指摘のございましたジョブカフェでありますとか、それからハローワークのそれぞれの窓口におきまして、御指摘のありましたようなさまざまな条件の中でフリーターにならざるを得ない方々に対しまして、情報提供でありますとか相談でありますとか、場合によっては職場体験をしていただくとか、究極的にはそうした常用雇用の就職、職業紹介をやっていくということでありますとか、それから、これはお試し雇用と申しておりますが、企業の方に対しましてまずは試行的に雇用していただく、そういう中で常用雇用に移行していただくためのトライアル雇用事業といったものでありますとか、それから、職業能力を身につけていただくためには、実習と座学とを組み合わせました、日本版デュアルシステムと称しておりますが、そうしたものを通じた教育訓練といったような、さまざまな取り組みをしてきておるところでございます。

 来年度におきましては、これを二十万人から二十五万人という形で目標を引き上げまして、さらにさまざまな取り組みを強化していきたいと思っております。

 それから、ニートの問題でございますが、これに対しましては、今年度、若者自立塾という事業を開始させていただいております。これは、家から離れまして合宿生活を送っていただく、この中で、生活訓練あるいは労働体験等を通じまして、働く自信と意欲というものを喚起あるいは向上させていくという取り組みを引き続き実施していきますとともに、新たに地域若者サポートステーションというものを設置いたしまして、親御さんも含めまして、若者の置かれた状況に応じました専門的なカウンセリングを中心とした相談でありますとか、それから、地域にいろいろ支援機関がございますので、こういう支援機関をネットワーク化していこう、こういうようなことを新たにやっていこうというふうに考えているところでございます。

 これら施策を積極的に実施いたしまして、私ども、若者をめぐる雇用問題の解決に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

福岡委員 雇用についてもう一点御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今、地方における雇用の格差みたいなことが非常に叫ばれておりまして、本年一月の県別の有効求人倍率の資料が手元にあるんですけれども、一番高いところで愛知県の一・六七倍というのがある反面、例えば沖縄県であれば〇・四三倍、もしくは、私の地元の佐賀県〇・六一倍、高知県〇・五一倍と、求人がたくさんあるところと求人が余りないところの地域格差が非常に広がってきているわけなんですね。

 地元の高校生とかにも意見を聞きますと、隣の福岡県とかに働きに出ている方、結構たくさんいるんですけれども、実際、本当は地元にとどまって仕事をしたいんだけれども、求人がないから出ていかざるを得ないんだというような話というのもありまして、自分の意思で出ていくのはしようがないんですけれども、どうしてもそういった雇用がなくて、やむにやまれぬ事情で県外に流出されている方というのがたくさんいらっしゃる。それが、こういった今後の地方分権の流れの中で、やはり自分の生まれ育った地域で仕事を見つけて暮らしていく、こういった原点からすると、非常に大きな問題ではないかというふうに思います。

 そういった地域別の雇用の格差といったことに対してどのような対策をお考えになられているのか、御所見をお聞かせいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 雇用状況、御案内のとおり、全国的には改善がかなり顕著になってきておるわけでございますが、しかし、地域別に見ますと、今御指摘のありましたように、中部あるいは関東と、北海道、東北、九州といったような間では、大変改善に大きな差が見られておるわけでございまして、そういう意味で、地域差というものが大変大きな課題になってございます。

 こうした特に雇用の改善がおくれております地域におきまして、今後、地域の独自の資源、資源と申しましてもさまざまな概念があろうかと思いますが、地域の持つさまざまな特性を生かして雇用の場を創出、確保していくということが大変重要な課題になろうかというふうに思っておるわけでございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、従来、都道府県レベルでの地域振興施策と連携した施策ということを中心に取り組んでまいりましたが、これに加えまして、やはり市町村レベルで、それぞれの市町村でさまざまな特性がございますので、そうした特性を生かした創意工夫ある雇用創造の取り組み、これに対して積極的に支援をしていこうということで、今年度から、具体的には、地域創造の取り組みを企画するあるいは構想する、その段階から専門家の方をアドバイザーあるいは助言という形で取り組んでいこうという市町村に対しての支援、それから、具体的に雇用創造のための取り組みを行いたいということを市町村から御提案いただきまして、御提案いただいた中からコンテスト方式によりまして特に雇用創造効果の高いものを選抜して市町村に事業を委託していこうという取り組み、それから、どういう産業をこれから重点に取り組んでいこうかというのは地域によってさまざまでございますので、そうした地域が選んだ重点産業分野に対して、創業いたします場合に創業にかかわる経費等の助成を行います取り組み、こうしたことを今年度から取り組んでおるところでございます。

 来年度につきましては、地域の中小企業事業主団体が、例えば、退職をいたします高齢者を活用していこうとか、あるいは後継者を確保していこうとかという、地域のさまざまな活性化の取り組みを行います場合の中核になります人材を確保していこう、こういう取り組みに対しても助成をしていこうという新たな取り組みを行っていく考えでございます。

 こうした施策を効果的に実施することによりまして、主体的に地域の雇用創造に取り組む市町村に対しての支援を強化してまいりたいというふうに考えております。

福岡委員 ありがとうございました。

 時間も押し迫っておりますので、予定されていた質問を割愛させていただいて、最後に大臣に御見解をお聞きしたいんです。

 すべての青少年問題、あらゆる分野にわたって言えることなんですが、すべての原因は、やはり今、社会で最低限共有されるべき共通の価値観であったり、また共通の倫理観だったり、そういったことが非常に崩れてしまっているということが大きな原因の一つではないかというふうに思っております。そういった中で、一概にそういった取り組みをしていくというのは非常に難しいというふうに思いますが、ただ、そういった共通の価値観の形成というのを放棄している限り、問題の抜本的な解決というのはあり得ないのではないかというふうに思っているわけでございます。

 そういったことを含めまして、大臣がこのような問題に対してどのように取り組んでいかれるのか、最後に決意をお聞かせいただきたいと思います。

猪口国務大臣 私、先生のおっしゃるとおりだと思っています。共通の価値観、共同体として共有していく、そして伝承していくような内容を私たちもまたどういうふうに語り続けていくことができるかということが、非常に重要なところであると思うんです。

 それで、規範意識、機会あるごとに、青少年に対して、家庭、学校、地域、それぞれの場において、さまざまな活動を通じて伝えていかなければならないんですけれども、私、今、前の御質問を伺いながら、自分の地域に対してどういう思いを抱いていくかということを重視していくということの重要性をやはり感じたりいたします。地域には、それぞれの持ち味、よさ、あるいは郷土の産業あるいは芸能など、文化的なリソース、必ずたくさんあると思うんです。小学校、中学校を通じまして、そのような郷土に対する思いを共有できるような教育、ぜひ、文科省とも議論しながらさらに進めていきたいと感じております。

 たとえほかの地域、都市部に出て働くことがあっても、まぶたに思い浮かべる自分の郷土の姿、風景、あるいはそこでの支えてくれた方々、そういうことを心の支えにいろいろな困難を乗り越えていくということが、日本では今までよくあったのではないかと思います。

 それで、青少年の育成という観点で、きょう朝、ずっと御質問いただきました御議論を伺いながら思いましたのは、人は、いろいろな苦労を乗り越えながら発展していきますね。郷土の中で困難を克服していろいろなことを達成した人たち、あるいは郷土の発展に寄与した人たち、もっと具体的に、その人は立派だから立派なんだというのではなく、こういう苦労があったんだけれども、まさに郷土愛あるいは自分の地域に対する思い、乗り越えて社会に大きく寄与したんだというようなことを青少年に伝えていく。そんなことから、この日本という共同体の中で共有していきたい規範的なことを、上から教育するというよりも、内発的に子供たちが持ってもらえるようなものにして、規範、価値観、先生がおっしゃいましたようなものを共有していくことができれば、最も強い規範力になるのではないかと感じております。

福岡委員 政府としてもしっかりと取り組んでいただきますことを心からお願いさせていただきまして、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

近藤委員長 井脇ノブ子君。

井脇委員 おはようございます。自由民主党の井脇ノブ子でございます。青少年問題に関する特別委員会での質問は、自民党では私が最後だと思います。よろしくお願いいたします。一年生です。

 まず初めに、私は三十六年間青少年教育に携わってきました。そこの中でいつも感じておったことを、猪口先生一生懸命頑張っておりますので、猪口先生にたくさんの質問をと思っております。

 まず初めに、少年非行の現状についてお伺いしたいと思います。

 現在、少子化、人口減少時代を迎えて、より一層青少年を守り育てていかなければならないにもかかわらず、本日も、十四階から小学三年生の子供を、三十六歳ぐらいと、まだ判定ができませんが、凶悪な事件が後を絶ちません。最近でも、東京都板橋区で起こった管理人両親殺害事件、大阪府寝屋川で起こった小学校教員殺傷事件等さまざまな事件が起こっております。

 警察庁がまとめた少年非行等の概要によれば、平成十七年中の刑法犯少年検挙人員は約十二万四千人、少年による殺人、強姦、強盗、放火の凶悪事件は千四百件余りとなっておりまして、一日に四件もの少年による凶悪犯事件が発生しております。少年非行の現状は、予断を許さない深刻な状況であると思います。

 そこで、お伺いしたいのですが、このような少年非行の現状認識とその取り組み状況について、本当は内閣府、警察庁、法務省に聞きたいんですが、政策大綱もございますので、内閣府にお聞きしたいと思っております。どのぐらいの取り組みでしょうか。

林政府参考人 お答えいたします。

 最近におきましては、凶悪な少年犯罪が発生するとともに、不良行為の補導人員も増加傾向にございます。少年の非行問題は、そういうことで、依然としまして深刻な状況にあると認識しております。

 そして、青少年育成推進本部が平成十五年に、今先生お尋ねございました青少年育成の施策大綱を策定いたしたわけでございますが、その中で、青少年の育成に係る政府の基本理念と中長期的な方向性を示したものでございますけれども、その重点課題を少し御紹介させていただきます。

 規範意識を身につけることは、社会的存在としての人間が備えるべき基本であり、成長の過程でこの基本がおのずと備わるよう、青少年育成施策は配慮されなければならないということ、こういう前提のもとに、非行等の社会的不適応を起こしやすい状況にあるなど、特に困難を抱える青少年に対し、その環境や条件が改善されるよう、特別の支援を行うこととしておるわけでございます。

 少年非行問題の深刻な状況を踏まえまして、今後とも、少年非行対策につきましては、大綱の基本的な考え方、方針にのっとりまして、関係省庁間で十分に連携を図りながら推進してまいりたいと考えております。

井脇委員 ありがとうございました。

 大変な数でございまして、十二万四千人もの方が検挙されているということで、もう本当にこれはどうしたらいいかと、私たちも青少年教育にずっと携わっておりましたものですから。本当に、政策大綱は立派なものが、読みましたけれども、できておりますけれども、これといったこれをなくす方法が、この政策がまたとても難しいものでありまして、家庭教育から学校教育から社会教育からすべて、これは本当に大変なものだと思っております。

 今御答弁をいただきましたが、政府の各般の取り組みにもかかわらず、少年非行が高い水準のまま推移しています。対症療法的な対策を講じるだけで、抜本的な対策を怠っているのではないかな、このように思っております。もう一度、政府の見解をお伺いしたいと思います。

猪口国務大臣 井脇先生の御指摘のとおりで、非常に重要な問題、分野でございます。今統括官から説明申し上げましたような施策を推進してはいますけれども、どういうふうに総合的に、早い段階で、さまざまな困難を抱え、特別の支援を必要としている青少年に対して、しっかりとその人の発展性、可能性を重視した指導を行い、また地域の中で温かく教育していくという観点を強化できるかということが大きな課題ではないかと考えております。

 それぞれの少年の事情が異なる、ニーズも多様であるという感じがいたしております。個別に相談しやすい環境を、学校、地域を中心に強化していかなければならないと感じておりますが、その中での家族の位置づけ、地域の位置づけ、学校の位置づけ、どう連携して必要な支援を早い段階において提供できるかということが、今後一層強化していかなければならないポイントの一つではないかと感じております。

井脇委員 先生、ありがとうございました。一生懸命に頑張っている姿をいつも拝見して、大変尊敬を申し上げております。

 このような青少年による凶悪な犯罪事件の背景には、インターネットを媒介とする有害情報のはんらんがあることは言うまでもありません。例えば、昨年の六月には、東京と山口で爆破事件が相次いで起き、インターネットの爆破物製造情報の影響を受けたと思われる事件が発生いたしました。さらには、インターネットゲームなどで、残虐性や小児性愛を助長する情報や、青少年にとっては刺激の強過ぎる映像がはんらんしています。このような青少年を取り巻く有害情報のはんらんの状況は、もはや看過できないのではないでしょうか。

 そこで、お伺いいたします。

 先ほども言いましたように、事件の背景にはインターネット上の爆破物製造情報やテレビゲームの影響があったと報じられていますが、政府としてこの状況をどのように把握しているのでしょうか、お伺いしたいと思います。有害環境状況のことについてお願いしたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 青少年を取り巻く社会環境、これは成長の過程にあります青少年の人格形成に強い影響を及ぼすわけでございますが、とりわけ、今お話しのような青少年の健全な育成に有害な影響を与える情報、これがあふれているということは、極めて憂慮すべきことと考えております。

 このような状況に対しまして、青少年の健全育成に配慮された環境が整備されるように適切に対応することが必要と考えておるわけでございますが、これにつきまして、先ほども引用いたしましたが、平成十五年の青少年育成施策大綱では、情報化の進展や青少年を取り巻く有害環境への対応といたしまして、まず、メディアを活用する能力の向上、これが必要、それから、各種メディア等を通じまして有害情報が流されるわけでございますけれども、それに対する対策、また、インターネット上の違法・有害情報への対応などの施策が盛り込んでございます。

 そして、十六年四月には、その大綱に基づきまして有害環境への対策を推進するために、青少年育成の推進本部のもとに設置されております青少年育成推進の課長会議、より具体的なことを検討いたしますこの課長会議におきまして、青少年を取り巻く環境の整備に関する指針を申し合わせまして、これを関係省庁、地方公共団体、それから業界でございますが、関係業界等に要請いたしました。これらが一体となって取り組みを展開しているところでございます。毎年フォローアップも行っておりまして、今後とも、こうした取り組みを強力に推進していきたいと考えております。

井脇委員 ありがとうございました。

 有害情報の青少年に与える危険性についての外国での現状はどうでしょうか。その概要について簡単に御説明いただきたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 諸外国における、青少年にとって有害な情報に対する規制の状況ということでございますが、米国及び英国などでは、我が国と同様に、関係業界による自主規制を中心とした取り組みが展開されていると承知しております。映画やビデオについては、業界が自主的に内容に応じた格付を付与し、一定の年齢未満の青少年への提供を制限したり、テレビ番組につきましては、青少年にとって有害と思われる内容を含む番組の放送を一定の時間帯にのみ制限するなどの取り組みが実施されているということでございます。

 我が国におきまして、青少年育成大綱では、先ほど申し上げましたように、そのような幾つかの施策を行っておるということでございまして、先ほども申し上げましたように、関係業界に対しましても自主規制を促進するよう要請しているところでございます。

井脇委員 ありがとうございました。

 今御答弁いただいたように、多くの先進国は有害情報に対して、青少年の保護、健全育成の観点から、法律に基づく規制を実施しているようですが、このような取り組みについて政府はどのような評価、認識をしているのでしょうか、お伺いしたいと思います。どちらでも結構ですが、お願いします。

林政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げましたように、それぞれの国の事情に応じまして、特に欧米では我が国と似たような取り組みがされておるわけでございますけれども、我が国も、そういう欧米諸国と比較いたしまして、必ずしもおくれているものではない、同じような取り組み状況ということでございます。

 その点から、青少年を取り巻く環境の整備ということにつきましては、諸外国の例を見ながら、また諸外国の例を評価しながら整備していくということを考えております。

井脇委員 諸外国もこのぐらいのことだと思うんですが、ちょっとまだ取り組みが、大綱はできておりますけれども、十二万四千名の子供たちが、多くの子供たちが、そしてまた頻繁に起こるこのような状況、もっと何か大胆な取り組みをしていかなければ、これはまだどんどん、去年よりは少しことしは減っているように言われますけれども、それでも、十二万四千人といったら莫大な青少年の方がこのようなことになっておるんです。

 家庭教育、学校教育、社会教育、この取り組み方の抜本的な、小さいときからのことでございますので、これは何とかしなければ、大綱はできて、課長会議はして、すべていろいろなことはやっているということを聞きますけれども、どんどん昔からふえておって、何か青少年を取り巻く対策をとらなければいけないんじゃないかなと。

 現場でやっている私たち、青少年育成のグループがたくさん財団法人や社団法人をつくってやっておりますけれども、もう間に合わぬというか、やはり現場の人だけではだめだ、もっと青少年対策の真剣な、法案でもつくっていかなきゃいけないんじゃないかということ、これは話し合いの中で、いつも会議で現場の声が出るところでございます。

 我が国における有害情報に対する規制とか、刑法百七十五条などの法律上の規制はあるものの、青少年の保護とか育成を直接の目的としておらないので、青少年の保護や育成を目的とした有害情報に関する規制は、各都道府県レベルで制定されております青少年保護育成条例で行われているのが実態でありまして、青少年の保護育成条例は、これまでに各都道府県が実情に応じて、青少年の健全育成、有害情報の規制を大きな役割として果たしてきました。

 都道府県のことについてでございますが、条例を制定していますが、ばらばらで、規制の方法が都道府県ごとに異なっております。多様化しています。メディアやインターネットやテレビゲームの急速な普及によって、社会の変化に十分対応し切れなくなっているのです。

 千ぐらいの地域の方々、地方議会が、青少年健全育成をするために一生懸命に、百人チームで、各地でみんな青少年育成に力を入れて頑張っておるんですけれども、都道府県ごとにみんなばらばらになっておりまして、規制する条例レベルが、インターネットを媒介とする有害情報のはんらんから青少年を守ることがもうできないような状況で、お手上げになって、百人ぐらいの、各地の多くの方々が皆青少年育成のために委員になって頑張っておりますけれども、もうお手上げだというような状況の声もたくさん聞かれておるわけであります。

 そういうことの取り組みはどこまで、このようなばらばらの条例が、こんなにはんらんしてばらばらになっておるのに、メディア、インターネット、テレビゲーム、そういう急速な普及でなっておりますので、どうか何かいい方策、いい施策がございませんでしょうか、お伺いしたいと思います。

林政府参考人 今の先生のお尋ね、問題提起に対しまして、すべてにお答えできるわけではございませんけれども、確かに、青少年保護育成条例、これで、インターネットカフェ等への青少年の立ち入りの制限であるとか、青少年に悪影響を与えますゲームソフトの有害図書としての指定、これらについては、それぞれの実情に応じて適切な対策を講じているというふうには承知しております。

 ただ、今のお尋ねの中でございますが、こういう点につきましては、国としてはこれまで、テレホンクラブや出会い系サイトにかかわる児童買春被害などの問題が顕著になったということに対しましては、風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律の一部改正をいたしましたし、また、インターネットの方でございますけれども、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律、これを制定するというようなことで、法的にも対応を講じてきているところではございます。

 今後とも、有害情報に対します適切な対策が確実に実施されるように、先ほど申しましたけれども、政府、地方公共団体、それから関係業界とも一体となりまして、青少年を取り巻く環境の整備に努めるというふうな総合的な取り組みを推進してまいらなければならないと考えております。

井脇委員 ありがとうございました。

 先ほど申し上げましたように、有害環境の規制については、主に各都道府県において青少年育成条例をつくり、対処してきていますが、県境、国境を越えてつながるインターネットには対処できず、また、全国的な課題でもある青少年問題について各県ごとにまちまちに対応するのでは限界があるとの声は多く、多くの地方議会、約千の議会から、青少年健全育成基本法制定を望む強い要請が相次いでございます。今国会においても、既に請願書や意見書が国民の声として寄せられています。

 そこで、お伺いしたいと思います。

 政府は、こうした地方議会からの青少年健全育成基本法の早期制定に関する切実な要望をどのように受けとめているでしょうか、お伺いしたいと思います。

 これにつきましては、十六年度に一度これを出しましたけれども、廃案というか、流れてしまいました。そこで、自民党で、立法府までいかないで自民党でというようなことを今聞いておりますけれども、何とかこの青少年健全育成基本法を早期制定していくことを切望したいと思いますが、そのことについて一言お聞きしたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 青少年をめぐる現在のさまざまな問題状況がございますが、その中で、青少年が健やかに成長し、社会に参加し、幅広く活躍できるよう、家庭、学校、それから地域を初めとする社会全体で青少年の健全な育成に取り組むということが必要であるわけでございますが、今先生お尋ねのような、そのような観点からは、地方公共団体からも基本法の制定の要望が寄せられているということは承知しております。

 青少年育成に関します基本法につきましては、これも今先生お話ございましたが、平成十六年の通常国会におきまして、与党より青少年健全育成の基本法案が提出されたわけでございます。閉会に伴い廃案になったという経緯がございます。

 内閣府といたしましては、今後とも、立法府における検討の動向を見守ってまいりたいと考えております。

井脇委員 ありがとうございました。一日も早く青少年健全育成基本法ができますようにお願いを申し上げたいと思います。

 健全な青少年を育成するためには、すべての青少年の成長の基本単位であります家庭基盤の充実が不可欠です。家庭は社会と国家の中核であり、人間が成長するための厳粛な場であることを考えますと、家庭の意義を見直し、家庭基盤の充実を図る施策を実施することを重点に置いた基本法こそ今求められているのではないでしょうか。

 家庭にあっては親が、地域にあっては隣近所の大人たちが、また青少年に情報や商品を提供する事業者が、今こそ道徳心を回復させ、規範を遵守し、愛を持って見守り、大人としての自覚と主体性を取り戻し、次代の担い手である青少年を健全に育成する強い信念と責任感が求められています。

 このような基本理念を明記した青少年健全育成基本法の必要性を、青少年問題を担当する猪口大臣の御意見を最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。先生、お願いします。

猪口国務大臣 統括官からいろいろお答え申し上げましたけれども、まず、国といたしましては、青少年育成の施策大綱がございまして、その中で、まず有害情報につきましても対応を盛り込んでおります。また、先生今御指摘の家族の重要性の観点からは、非行少年の家族への働きかけ、こういう観点も盛り込んでおりますので、そういう意味での家族の重要性と責任を認識していただき、また必要な支えを提供していくというような観点は、既に政府の施策の中で展開できる仕組みは整っていると考えております。

 基本法につきまして、今統括官が申し上げましたとおり、立法府の方でのどういう動きをなさるのか、その検討を政府としては見守るということなんでございますが、きょうの御議論また御指摘、私も注意深くすべてお伺いしながら思いましたことを、最後に幾つかにつきまして述べたいと思います。

 まず、社会環境が変化する中で、あるいは新しい技術が導入されていく中で、常に、子供にとってどういう影響が出るのか、その中で子供はどう感じ、どうその状況の中で自分が成長しようという内在的な力を発揮できるのか、あるいは、それができなくなる危険性があるのか、そういう子供の視点から、すべての問題について、あるいは新しい社会の可能性について見ていくという必要があると思います。もう少しその視点を強化しなければならないと考えております。

 私は、少子化担当の閣僚であり、また青少年育成の担当でもあり、子供の観点から、社会環境の変化や新たな技術の導入、これがどういう意味を持つのかということについて、関係省庁により強く問題意識を喚起し、そういう視点を常に政策の中に持っているよう働きかけていくということをしっかりとやっていきたいと考えております。

 また、今申し上げましたように、非常に横断的な視点が必要です。すべての政策分野において、あるいは科学技術の発展が子供の観点にとってはどうかという横断的な、クロスカッティングなということも認識していきたいと考えております。国といたしまして、関係省庁との連絡と、また問題意識を共有してもらうために、担当大臣としてしっかりと働いていきたいと考えております。

井脇委員 ありがとうございました。これをもって終わります。

近藤委員長 田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。おはようございます。よろしくお願いします。

 今、大臣が最後の方でお話をされておったことをお伺いしておりまして、全くそのとおりだなというふうに思うんですが、科学技術の発展とか、そういった中で、子供の視点に立ってどうあるべきかということを関係省庁にいろいろと説いて回る立場にあるということ、本当に大切だというふうに思いますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 きょうは、子供をふやすということと子供を守るという両方の側面からの質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 考えてみますと、この委員会の名称というか、青少年、人間のある年代を切って、それが名称になっている委員会というのはここだけだというふうに思うんです。であるからこそ、人に着目をして、いかに多岐にわたる課題に取り組んでいかなきゃいけないかということを改めて感じておるわけでございますが、それだけ、猪口大臣のお考えによる、あるいは決意によるところが大変左右することだと思いますので、ぜひとも、この任務につかれておる間、全力でやっていただきたいというふうに思うんです。

 今、前の井脇委員のお話をお伺いしておりましても、今の時代というのは、子供たち、青少年にとって、本当に厳しいというか、かわいそうな時代になっているなという感じを私自身も思っております。

 実は、私も今、子供を三人育てておりますが、一番上が五歳、二番目が二歳で、下がゼロ歳で、そういう意味では、大変今時間がない年代なんですが、私は、家で時間が少しとれるときは、折り紙とか積み木とか、時にはあやとりとかあるいは童歌とか、そういったことで結構時間を共有したりすることが多いんですけれども、何か、昔からあるものの方が本当にいいなということを、どうしても私自身思うんですね。それは、自分が大分年をとったからということでもないんじゃないかな、やはり昔から時代を経て残っているものの方が、小さい子供から十代にかけて、エクスポージャーというんですか、そういうものに接することの方が子供たちにとって結局幸せなんじゃないかなということを痛感します。

 しかし、子供たちは、今はやりのテレビ番組をいっぱい見たがるわけですね。そういうのを一緒に時々見ていると、中身より、はらはら、もう既に幼稚園児が見たがるような番組も、そのスピードとか言葉とか色遣いとか、あらゆる部分に関して、ああ、余り見せたくないなという思いを持ちながらも、しかし、やはり子供はそういうものにすごく欲求がある。であるからこそ、社会全体で考えていかないと、やはり子供の欲求に任せていくと余りよくない方向に行くんじゃないかなということを、親としてもすごく痛感しております。

 その件に関しては後ほど触れますが、まず冒頭、子供をどうやってふやすか、いわゆる少子化とか子育て支援の話に入らせていただきたいと思います。

 少子化、少子化というふうによく言われて、大分そういう問題に対してクローズアップが進んできているような感じもいたしますが、きょうお配りをした資料がございますので、ぜひごらんをいただきたいと思います。

 少子化の関係は、言ってみれば右の下だけでございますけれども、私はこれを見て悲しくなるんです。猪口大臣も、もう大臣でこの担当になられてしばらくたちますが、これは一つの事実がそれぞれ並んでおるんですが、分野は違います。これをごらんになって、今のこの日本の国の形ということに関して、どういう御印象を持たれますか、大臣。

猪口国務大臣 私は、日本という社会は、子供を非常に大事にする社会であるとは思います。私もそういう社会で生まれ育ち、大事にされてきた、それをどう受け継いでいくかということであると思います。

 さまざまな取り組みが地域の中でもなされていますよね。そういうこともありますが、国としての、例えば教育機関に対する、国だけではないですね、これは公財政支出の割合をお持ちいただいていますね。あるいは、これは人口一万人当たりの警察官の数、あるいは子供への公的支出と出生率の関係、こういうグラフをお持ちいただいていまして、この資料だけを拝見すれば、公的なコミットメントが十分ではないのではないか、あるいは偏りがあるのではないかというような解釈の余地というのが、このグラフだけからではあるかもしれませんが、他方で、非常に工夫のある取り組みをしようという努力はあると思います。

 また、日本は基本的には無資源国ですから、経済的な活力を維持しながら、経済全体を底上げしながら対策をし、その中で、構造改革を進める中でも余力が出てきたときに、その配分を社会政策の重点化というところに受けとめることができればと私としては考えているところでございます。

 海外から見ますと、日本は、教育においても非常に国民皆学の成果を上げているというような評価、また、無資源国であるにもかかわらず、国民の力を引き出すことに成功してここまで来ているというような評価があります。

 私は、軍縮大使として世界で仕事をしていたときに寄せられる世界からの日本に対する評価と、しかし、政府の中に入りまして、今先生から御指摘を受けるような、このような実際のデータとの関係において、よくこれから、先ほど申し上げましたような関係省庁の理解、合意を取りつけながら、青少年、子供の分野の適切な政策が強化されますよう努力しなければならないと感じております。

 少子化の観点からは、さまざまな分析がございますので、どのような施策が日本として必要とされているか、また、既に少子化に対応できた国の場合、どういう知見をそこから引き出すことができるか、先生の持ってきていただきましたこのデータも含めて、もう一回考えてみたいと思います。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 それぞれの国の置かれた状況はさまざまでございます。日本が資源のない国とか、そういうのは確かにあると思いますし、こういった統計データ、同じものを本当に比較しているかという点もあるかもしれませんが、しかし、この四つそれぞれ違う分野でこうやって比較すると、どれを見ても日本が相当突出をしているということは認めざるを得ないというふうに思うんですね。教育に関して、たしか国家基本政策の委員会か何かで、前原代表の質問に対して小泉総理も別の観点から答弁をされておったと思うんですが、この表を見る限り、やはりその突出感は否めない。

 特に、この右下の出生率との関係において、やはり今まで余りこういった分野に力を入れてこなかった。それと関係して、教育であり、それから治安の問題もあると思うんですが、そういったところに、これからはもう少し強烈なメッセージ、国民に、こういったことに軸足をシフトしていくんだ、日本がシフトしていくんだということを、わかりやすいメッセージを、ぜひ猪口大臣に旗を振っていただいて、発信をしていただく必要があるというふうに私は思います。

 ここには載っていないですけれども、よく一対十七という比率の話がございまして、社会保障の費用の中で、高齢者に向けられるものが十七倍高い、子供に向けられる金額が非常に少ないといったことに関しても、大臣も過去にも触れられたことがあると思うんですが、その現状を踏まえて、やはり大きくその辺はかじを切っていくときに来ておるというふうに思うんですね。

 ただ、そのときやはり問題なのは、では財源をどうするのかという話になってくると思うんですが、まず、高齢者の福祉の問題もあれば、それから公共事業のような問題もあると思うんですが、その辺はどのようにこれから取り組んでいきたいというふうに考えておられるか、御見解をいただきたいというふうに思います。

猪口国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、構造改革を推進する中で、捻出できる財源を少子化対策にできるだけ振り向けてもらえるよう、私は担当大臣として最大限の努力をしていきたいと思っております。その場合に、少子化対策というこの政策分野が、まずこれは内閣の重要政策分野であるのですけれども、広く国民社会の中でそれについての理解と合意を得ていく必要があると思っております。

 そのために私として最大の努力を傾けたいと就任以来決意しておりまして、例えば、実際の保育関係事業の責任者ともなります地方自治体のトップの方々との政策対話なども、ブロック会合の方式で、全国、私が往訪して展開するというような努力もしております。もう私にはあいている土日はなく、週日は国会において、そして週末は地方において、少子化及び男女共同参画など少子化と深い関連分野の政策対話を、地方自治体の皆様、行政職員も含めてやっているというような努力、あるいは経済界の理解を取りつけるというようなこともやる中で、まず国民社会としての合意形成をしていただくということがとても大事であると考えております。

 その中で、例えば民間企業に財源を求めるような、そのような施策も強化できれば、総合的な力が日本社会全体として出てくるのではないかと考えております。実際に地方を往訪していますと、自治体もまた財政状況の困難な中にありますので、いろいろ知恵を出して、民間企業が、それぞれ少しずつ実際には自己負担していただきながら、ネットワークをつくって子育て家庭を支援するようなさまざまな施策がございますので、また別途、もし御関心を持っていただければ資料等も紹介したいと思いますが、そのように、財源を市民社会に求める、あるいは民間企業に求める、そういう工夫もまた重要であると。

 他方で、政府の中で、政府・与党協議会もできました。また推進会議、政府の中にございます。六月を目途に、取りまとめ作業に向けて全力を尽くしたいと思います。そういう仕組みの中で、幅広く、社会保障制度や税制のあり方も含めて、全体的な見地から真剣な議論を引き出してまいりたいと思います。そして、政府の中においても、関係省庁と強い連携を組んで、少子化対策は時間との闘いの局面にも入っており、重点化を一層できるよう努力してまいります。

田嶋(要)委員 ことし新年早々に、大臣が出産費の無料化というようなことを、新聞にぽんと出て、割と私もびっくりしたんですけれども、その後いろいろあったようでございます。私は、多分それは余り調整なく思いをぽんと言われたのが出ちゃったので、後から若干いろいろあったかもしれませんが、ただ、方向性として、今、子供を育てる多くの家庭が、経済的なものが一番大きな理由で、二人以上欲しくてもとか、そういう理由がやはりいろいろなところで言われている中で、経済的な支援を強化していかなきゃいけないという思いは今でももちろんお持ちだというふうに思うんですが、そこら辺に関しては私は質問いたしませんけれどもね。

 ことし、同じように、これは全く違う分野で、公共事業に関してGDP比の削減目標というのが日経新聞の一面トップに、ちょっと前にかなり大きく出たんですね。これは財務省にも確認いたしましたけれども、内容的にはほぼこのとおりで、こういった取り組みを今こういう方向性で取り組んでおるということなんです。

 やはり、子供を育てる家庭から見れば、少子化、少子化対策とおっしゃっているんですけれども、最終的に一体どのぐらいの支援が来るのかな、あるいは、数字としてどのぐらい軸足を移していくということが政府の決意としてあるのかなということ、そこら辺も非常に関心が高いと思うんです。

 もちろん、合計特殊出生率を、今の一・二八から幾らを目指すとか、そういう数値目標というのは非常にセンシティブで多分問題だと思うんですが、GDP比の削減目標に対しての、反対ですけれども、要するに、子供事業に対してGDP比でどのぐらいの増加目標を持つとか、そういったイメージ、あるいは期限を区切って、そういったものというのは、今、大臣、構想としてはお持ちなんでしょうか。

猪口国務大臣 まず、最初の御指摘のところは、調整せずに発言したということではなくて、地方ブロックプロセスの中でさまざまな意見が私に寄せられておりまして、その意見の一つとして、しかし積極的に私が紹介したというプロセスの中で、新聞がそのように書いたということではございます。

 それ以降、出産無料化につきましては、実にたくさんのさらなる意見が寄せられております。昨日も専門委員会を開催したところでございますが、そのテーマは経済的支援ということでやりました。ところが、そこにおいて、もちろんそういう経済的支援をテーマにいたしましたので、それが重要であると指摘は相次ぎましたが、しかし、ほとんど専門委員会の一致した見解ではないかと私は聞き取ったのでありますが、それだけでは不十分であると。それは、実際に地域におきますさまざまな子育て支援のニーズがあり、そういう具体的な事業が展開できているかどうか、それとあわせて初めて子育て家庭が助かるのであるという指摘が非常に強く出ましたので、これは、給付をさらに拡大する、あるいは増額するという議論だけでは少子化対策にはならないのだと。

 実に少子化の現象というのはさまざまな多様な原因が背後にありますので、そこを総合的に、もちろん財政状況を考えれば効率的にということを加えなければなりませんので、そういう観点から、もちろん経済的支援は、調査、アンケートなどにおいては一番強く国民が要望しているという結果が出ていますので、これも重視しなければならない。しかし、総合的な観点は非常に重要であると考えております。

 決してばらまきにならないような、効率的な、具体的に地域で、例えばいわゆる専業主婦の方なども保育に行き詰まっている状況があるとするならば、そういう方々も利用できるようなきめ細かい議論をしながら、その上で経済的支援をどう議論するかということではないかと考えております。

 そして、公共事業のGDPのこととの御指摘の中では、私は、政府としては、公共事業費も含めまして、支出、歳出につきましては適正な見直しを常にやっていかなければならないというのが当然の前提でありまして、毎年、一般歳出についての財政全体の効率化の観点から見直していくという姿勢であると思います。

 先ほども議論いたしましたが、少子化対策が重要であるという認識を形成する中で、必要な財源をさらに重点的にこの政策分野に、この非常に重要な社会政策の分野に振り向けてもらえるよう、担当大臣として全力で働いていきます。連携を強化して、説明し、合意形成がなされるよう努力してまいります。

田嶋(要)委員 幾つか質問を飛ばしますけれども、子供を守るという方に関してもう一点だけ大臣にお伺いをしたいんですけれども、先ほどの井脇委員からの御質問にもありましたネット上の有害情報ということでございますが、現在、条例それから業界の自主的な取り組みということが中心になってきております。仮に違法な情報がサイト上にあったとしても、警察は、その発信者の取り締まりということで、大臣、いいでしょうか、目の前にある有害情報、その有害な情報が子供にさらされているという現状を取り除くということには全く何も手が出せないのが現状だというふうに私は理解しておるんですね。

 やはり親の立場からすれば、健全な青少年の、子供の環境という立場からすれば、そういった有害なものが除去されることの方が、発信者を捕まえるかどうかよりもさらに急いでやってほしいということもありますので、その辺に関しては、やはり今後、今のままで本当にいいのかということを私も思っております。

 そこに対していわゆる削除命令をちゃんと行えるようにするとか、そういった立法措置のことも含めて、今大臣としてはどういったお気持ちをお持ちになられておるかということを御答弁いただきたいと思います。

猪口国務大臣 先ほどからの、前の質問者に対する政策統括官の答弁の中でも議論した内容ではないかとは思いますけれども、既に政府の中で、有害情報に対する、子供を守る環境を整備する方法は有していると考えております。それをどう積極的に推進し、連携を強化しながら、実効ある結果を得ていくかということが重要ではないかと考えております。

 立法府の側におきますお考えにつきましては、政府としては、やはりこれは見守らせていただくという基本的な立場でございます。

 他方で、先ほどの私の答弁にもありますとおり、子供を守るという視点から、横断的に、さまざまな新たな技術がもたらす意味、そういうことについては担当大臣としてしっかりと発言していく、また、そういう視点の重要性について理解をしていただくよう努力する、また、認識の喚起をできるよう努力していくということでございます。

田嶋(要)委員 最後の質問ですけれども、先ほども政府参考人の方から、今の日本の状況に関しては欧米諸国と比べておくれていないというような内容の御答弁があったと思うんですが、実際に事例として出されたのはアメリカとイギリスの例だったと思うんですね。

 やはり、ほかの国がどういうような取り組みをされているかということをしっかりと調査していただいて、私はおくれていると思うんですけれども、もっと強化をしていただきたい。きょう質問できませんでしたが、性犯罪の再発防止策に関してなども、韓国などもかなりいろいろな試行錯誤を行っているようですし、そういったところに関してもぜひ検討を続けていただきたいというふうに思います。

 最後に一点、これもお配りした表の左下のところと関係しますが、これもただのファクトでございますが、こういったファクトがございます。それで、これも犯罪対策ということで、子供たちを被害者にもしない、加害者にもしないということで、やはりしっかりと防犯強化をしていきたいというふうに思うんです。

 総務委員会の方で私は同じ表を提出して、竹中大臣に、地方公務員のお巡りさんをもうちょっとふやすべきだということを申しました。それは、公務員全体としては削減しなきゃいけないんですけれども、やれるところはやると。ただ、そこはなかなか難しいという話があって、では防犯ボランティアの現状はどうなんだということで、やはりそういったところの力をかりていく形が大変重要になると思うんです。

 最後に、これは警察庁の方だと思うんですけれども、防犯ボランティアを活用し、そして、私のイメージの中で一つあるのは消防団ですね。今、消防団というのが日本にあります。消防署の職員の大体六倍、全国にいらっしゃるんですね。それに対して警察も、警察職員の大体六倍、いわゆるボランティアで防犯活動をされている方がおる。人数的には同じようなんですが、消防団の方々というのは特別職の地方公務員にもなっておるわけでございます。そういったようなことによって使命感を持ち、しっかりと消防活動の役割を担っておられるわけなんですが、そのボランティアをこれからどのように支援を強化していくかということに関して、それは大臣にも聞いておいていただきたいんですが、警察庁の方から御答弁いただきたいというふうに思っております。

竹花政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、国民の安全、安心が非常に大きな課題になっている中で、警察としても、その体制や能力を強化するということでさまざまな工夫をいたしておるわけでございますけれども、やはり警察だけではこの問題に十分に対処し切れない状況がございます。

 そういう状況を受けまして、これは警察ばかりではなくて地方公共団体も含めてでありますけれども、ボランティアの方々に、自分の地域は自分で守るという活動を進めてもらおうということで、さまざまな働きかけ、警察の場合ですと犯罪情報の提供をいたしましたりするなど、あるいは、警察官と一緒にパトロールをするというような方法もとりまして、こうした防犯ボランティアの活躍に期待しているところであります。

 そういう状況の中で、昨年の十二月末の段階で約二万の防犯ボランティア団体が全国にできておりまして、何とこれは、二年前は三千そこそこだったものですから、急速にそういう状況が広がっております。そして、これに従事をしていただいている方々は約百二十万人に上るわけでございます。この方々は、はっきり申し上げて、老若男女を問わず、また持っている知識ですとか経験を問わず、自分のできるところで少しでもいいから参加をしよう、そういう方々が多うございまして、そういう方々の努力があって、今少し犯罪情勢が落ちついてきているという状況にございます。

 先生のおっしゃるように、確かに、継続的にそういう任務を与えられた消防団のような組織をつくるというのも一つの考え方でございますけれども、私どもといたしましては、現在、こういうボランティアの方たちがこれだけ広がっている状況をもう少し見させていただいて、考えさせていただきたいというふうに考えております。

田嶋(要)委員 ボランティアが拡大するのは大変すばらしいことだというふうに私も思いますので、ただ、その継続性とか不安定な部分も側面としてはあるということです。ぜひ慎重に、しかし、消防団のような組織のあり方も参考にしながら、さらなる御検討をしていただきたいというふうに思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

近藤委員長 泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 今の田嶋要議員からの質問にもありましたが、防犯ボランティアについてきょうはぜひお伺いをしたいというふうに思っております。

 実は私自身も、地元は京都ですけれども、京都市の少年補導委員というのをさせていただいておりまして、日々、地域のお祭りがあったりですとか夏休み中なんかには地域を回らせていただいて、声かけをするというのは、我々のような少年補導の委員をやっている者であってもやはりなかなか勇気の要るものでして、最近はいろいろな意味でトラブルも予想をされるということもあって、なかなか少年補導が以前のような、以前も大変だったとは思うんですが、この少年補導という活動についてはなかなか難しい新しい面も出てきているというふうに認識をしているところです。

 それで、きょうは実は、その補導ということについてぜひ猪口大臣にもお考えをいただきたく、この質問をさせていただきたいと思います。

 実は、この数年間、補導人員というのが激増をしております。政府が、犯罪に強い社会の実現のための行動計画、あるいは青少年育成支援大綱というものをつくられている一方で、補導人員で見ると、不良行為少年の補導人員、平成八年には約七十四万人でした。七十四万一千七百五十九人、平成八年。しかし、平成十七年、百三十六万七千三百五十一人、これは暫定値ですけれども、平成十六年には百四十万人を超えて、約二倍近くに少年補導の人員がふえているという状況にあります。

 この状況を見たときに大変びっくりするわけですが、大臣、この状況についてどのような御認識をお持ちでしょうか。

猪口国務大臣 泉先生にお答え申し上げます。

 私、先生と全く同じ印象を持っております。御指摘のとおり、不良行為少年の補導人員、これは百四十万人強であったわけでございますけれども、ただ、平成十七年度は十六年度に比べて三・六%減少しています。しかし、依然として非常に高い状態であるということではありますので、引き続き、非常に憂慮すべき状態であり、対策を講じていかなければならないと考えております。

泉委員 いや、私が聞きたいのは、要因が何なんだろうかということについて大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

猪口国務大臣 不良行為といいますか、そういう少年たちの状況、そして背後にある原因、さまざまであると思うんです。また、ニーズも非常に多様であると思うんです。ですから、一般的には、社会環境がかなり激変しています。それは大人にとってもなかなかついていけない部分がある。子供にとって、敏感な時期を過ごしている子供たちですから、いろいろなことを考え、その中でいろいろな原因で不良行為少年となって補導人員の中に入っていってこういう数字に出てくるわけですけれども、原因はきっとさまざまであろうと考えております。

 午前中の早い段階でも私申し上げましたとおり、さまざまな原因、かつ早い時期からしっかりとその子供たち一人一人が社会の中で守られ、また、立ち直ると言うとちょっと強いんですけれども、支援を受けながら立派に育っていく、そういうことが可能な社会にしていかなければなりませんので、きめ細かいその少年たちに対する寄り添い方、指導をしながら健全に発展できるよう努力していくということが当然ながら青少年健全育成の観点でありまして、原因については、もちろんいろいろな研究調査はございますけれども、一律にこうだからということを断言して、またそういうことを予断して政策を収れん化させるというやり方ではない方が、よりきめ細かい対応ができる。そして、それぞれの事情が異なるというような、社会政策において根本的に重要な視点、これを維持していくことが私としては大事ではないかと感じております。

泉委員 同じくこの少年補導に関しては、所管はというか、主には警察ということになるんでしょうから、警察の方にも、この少年補導の人員の数がこうしてふえているということについての要因を挙げていただければと思います。

竹花政府参考人 少年補導が非常に数がふえておりますが、その中身を見てみますと、ふえておりますのは深夜徘回と喫煙でございます。

 深夜徘回は、例えば平成八年は二十三万人の補導でございましたが、平成十七年は六十七万人と、四十万人もふえている。こういう状況は、やはり社会における子供たちの生活状況の変化ということを示しているのではないだろうかというふうに思います。また、そうした社会における子供たちの生活規範といいますか、これは社会また生活のあり方の変化も受けて、そういう影響も非常に受けているのではないかというふうに思います。

 もう一点、私は、犯罪の非常な増加の状況も含め、あるいは青少年の非行の問題といたしましても、十年ほど前から大きく状況が変わってきているように思っております。例えば児童買春の問題、援交という言葉が出てまいりましたのは平成八年ごろからでございます。そういう形で、子供たちのこうした自分の日常的な生活、あるいは学校に行く行かない、そうした問題についてもかなり意識の変化が広がってきている、そういうことも背景にあるのではないかというふうに考えます。

泉委員 大臣には、さまざまという言葉やいろいろという言葉は出てきたんですが、私は少なくともこうした少しの、警察が言っているような観点は具体例として述べていただきたかったなという思いを持っております。

 私も、改めてこの問題を考えたときに、これは実は幾つかやはり理由があって、幾つか触れられた点もありますけれども、一つはやはり社会の変化だというふうに思います。それは、社会全体の生活時間が二十四時間化してきていること、あるいは遊興が多様化していること、今、竹花局長がおっしゃったように、喫煙に対する感覚が今の青少年は大分変わってきてしまっていることなどが挙げられるんだと思います。

 そして、さらに言えば、社会だけじゃなくして、やはり家庭の段階で、これは家庭の結束力、家族力みたいなものが落ちているだろうということは、一つ一つの家庭の中にも私は挙げられるというふうに思います。

 そしてさらには、家庭にも社会にもかかわらない部分での少年自身の心の持ちようというところもやはり変わりがあるんじゃないのかなというふうに思っておりまして、少年自身の規範、モラルづくりみたいなものをやはり少年自身が考えなければならない時期にも来ているのかなと思います。

 そして、実は、もう一つあるのは、こういった統計というのは常に両面から見なければならないというところなんだと思います。というのは、児童虐待もそうですけれども、一方では、これまで潜在化していたものをちゃんと掘り起こして、結果として数字が上がっていくというケースがあるんですね。

 少年補導の場合も、実は、少年補導という行為そのものは、いろいろな子供たちに声をかけていって指導をしていくという行為ですから、言ってみれば、大人からすると徳を積むような行為でして、ある意味、勧められるべき行為なんですね。その件数がふえているということは、それだけの子供たちを導いたということもあるわけですから、実は、不良行為少年の補導人員が伸びたということが一概にすべて悪だということではなくして、補導強化に取り組んだんだということがあれば、統計上も、これは数字としては一時期当然出てくる数字だということはぜひ御認識をしていただきたいと思います。

 警察にお伺いをしたいんですが、この間の補導人員の増加ということでいうと、今言った第四の観点というか、補導の強化というものが、実際に、平成八年、例えばここの統計上では一番古い数字が平成八年で私はいただいているものですから、そこから約二倍に補導がふえているわけですが、そこから何か具体的にこの街頭補導活動を強化したということがあるのかないのか、お伺いしたいと思います。

竹花政府参考人 八年前にどうだったかということについては、私は今つまびらかではございませんけれども、犯罪抑止というものに警察が全体として取り組み始めましたのは、平成十四年の末からでございます。その中で、少年の犯罪抑止というのが一つの大きな課題として掲げられ、その方法の一つとして、補導という活動が重点的に、各都道府県警察によってそれまで以上に強化をされたという状況はあろうかというふうに思います。それが、補導状況がとりわけ平成十四、十五年に非常に多くなってきているという状況にあらわれているのではないかというふうに思います。

 もう一点は、これは東京都の例でございますけれども、やはり深夜徘回に関する規定が青少年健全育成条例になかったところ、新たにその条例がつくられまして取り組みが拡大されたという状況、そういう件もあろうかというふうに思います。

泉委員 実は、平成十五年の十二月の、犯罪に強い社会の実現のための行動計画あるいは青少年の育成施策大綱というところには、「補導の法的根拠の整備等を図る。」あるいは「街頭補導活動を強化する。」という言葉が入っておりまして、そういう意味では、ここにもしっかりと書かれているということですし、あるいは、平成十四年の警察の通達では、いわゆる学校週五日制に伴っての街頭補導強化ということも、実は、できれば月一遍の街頭一斉補導の日というものも設けるようにということも含めた通達がなされていまして、そういった意味では補導が今強化をされている時期なのかなというふうに思っておりますが、ぜひトップの皆様も、その認識は持っていただいた上で、この数字の実情を見ていただきたいというふうに思っております。

 そして、その中で、やはり子供たちの育成という意味でいうところの補導というものは何なのかということについてお伺いしたいわけですが、猪口大臣はそもそもこの補導というものの主担当ではないかもしれませんから、警察にあえてお伺いしたいんですが、補導の定義、これを改めて教えてください。

竹花政府参考人 補導という形で、法令上、警察が行っている補導を定義したものはございませんけれども、警察におきましては、喫煙、深夜徘回等、いわゆる不良行為を行った少年に対して声をかけ、注意をし、またその後の非行を防止するための助言または指導をする、また、これに付随いたしまして、必要に応じて保護者に連絡をするなどの活動をいうものと考えております。

泉委員 実は、そうするとおかしいところが出てきまして、犯罪白書ですとか警察白書を見ますと、例えば触法を含む少年の刑法犯の検挙(補導)と書いて数字が十九万とか、あるいは、そのうちの凶悪犯、強盗の検挙数(補導)と書いて千二百名とか、何か検挙と補導が一緒になっているということは、なぜなんでしょうか。

竹花政府参考人 わかりにくい表記で恐縮に存じますけれども、十四歳以上の少年を検挙いたしますとこれは検挙ということになりますけれども、それ未満の子供たちは刑事責任能力がございませんので、検挙というわけにまいりませんで、そうした触法少年を発見した場合に措置を講ずるものも、その場合は補導として含めているという趣旨でございます。

泉委員 私は、実は、この言葉遣いが一般国民に対する大きな誤解を与えているんじゃないのかなというふうにやはり思うわけですね。一般の国民は、あるいは子供たちは、補導といえば、ちょっと上のおじさん、おばさんに声をかけられて、そして注意をされる、そういうふうに思うわけですけれども、一方ではこうした形で、まあ正確を期すというところが皆さんの趣旨だとは思うんですが、検挙と並び合わせて(補導)という形で書いてある。要は、大きな犯罪を起こした人間も補導なんだというような形に、今やはり言葉として混同されてしまっている事実はあると思うんですね。

 ここがやはり、あの人は補導されたんだよと、例えば地域でどこかの少年を指すときに、その補導がいろいろな意味でとらえられてしまうというのは、私はこれは悲しいことだというか、あるべきことではないというふうに思っておりまして、その意味では、やはり検挙、十四歳以下の子供たちが触法少年ということで、それ以降の処分を受けるということがあったとしても、これはやはり補導という言葉じゃない言葉で今後考えていくべきではないのかなということは、ぜひ私の思いとしてお伝えをさせていただきたいというふうに思っております。

 そういう中で、私は実は京都市の少年補導委員というのをしているんですが、大変この業界、ややこしいということがあります。これは、警察所管では少年補導員というのがいます。それで、市町村の、あるいは国がつくった施設の中には少年補導委員という制度があるんですね。役割はほとんど一緒です。警察の方では約五万一千人でしたか、そういう方々がおられて、都道府県の方では警察分を除く少年補導委員というのが七万四千人いるという実態になっておりまして、この少年補導委員と少年補導員の区別というか、なぜ違うのか、これを教えていただきたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 今お話ございましたように、少年補導活動を推進しておりますボランティアといたしましては、少年の非行防止と健全育成に資することを目的として活動する少年補導員と少年補導委員がございます。一般的には、これも今ございましたけれども、都道府県警察からの委嘱に基づいて活動しておりますのが少年補導員、市町村等からの委嘱に基づいて活動しているのが少年補導委員でございます。ともに、街頭補導活動、相談活動、環境浄化活動を中心とした補導活動を行っているものでございます。

 ただし、これは、地域の実情それから歴史的経緯などによりまして、名称それから活動内容等について差異があり得るというところでございます。

泉委員 ということで、役割には全く何の違いもないんですね。かつ、私はさっき言ったように京都市の少年補導委員なんですが、委員なんですけれども、本来であれば、その名称からいくと市町村の扱いなんですが、京都市は特別だそうでして、過去の経緯から、警察が私たちをしっかりと担当してくださっているということで、さらにややこしい現状があって、各地域、両方ある地域もあれば片方しかない地域もあるというところで、恐らく警察の皆さんは、過去の経過を踏まえて、地域の特性を生かしてというふうに言うかと思うんですが、恐らくここにおられる委員の皆さんだれしもが、これは疑問に思うことじゃないのかなと思うわけです。

 実は、政府の方もちゃんと気づいておられまして、統括官も御存じだと思いますが、少年補導センターの在り方等に関する研究会というものを平成十四年に設けられて、実はその中で、名称も含めて非常にややこしいということですとか、少年補導センターという、内閣府の方が行っている少年補導委員の方ですね、この少年補導委員は少年補導センターというところに主に所属しているんですが、そこが行う街頭巡回における補導と少年警察活動の一環として行われる街頭補導との関係や効率的な連携のあり方についてはさらに検討していく必要があるという形で、随分やわらかく書いていますが、事実上は、大変残念ながら、余りこの二つが別々であることの必要性を私は見出せません。

 そういった意味で、この二つの役割の違いをもう一度答弁をお願いして、御説明をいただけるのであれば、違いをしっかりと委員にわかるように説明していただいて、もしその違いがないようであれば、この二つの統合に関して今どのように考えられているのか、これはできれば局長の後に、あるいは統括官の後に、大臣もこの議論を聞いていてどう思うのか、これをお答えいただきたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 都道府県の警察本部に設置されております少年サポートセンター、それから今お話ございました少年補導センター、これらは日常的に協力しておるわけでございます。多くの少年補導センターにございましては、連絡会議を開催しておりますほか、今お話ございました、双方のボランティアも参加しまして、合同の街頭補導活動などを行うというようなところもございます。

 また、これは内閣府の方の事業といたしまして、都道府県単位で青少年育成関係機関の連絡調整会議も開催する等の事業を実施しておるところでございます。

 こういう点で、地域によって、先ほど私からも申しましたように、差異はございますけれども、連携の強化が図られているということで承知しております。

猪口国務大臣 政策統括官がお答え申し上げましたけれども、先生も御指摘のとおり、やはり地域に密着した経緯というのがあるのではないかと思うんです。そして、重要なことはやはり未然防止、この少年たちが立ち直って、また健全育成されていくということが重要ですから、どう実を上げることができるかというふうに私は受けとめました。

 事務的なことは、今申し上げましたとおり、少年補導センター長及び職員及び補導員等の知識、能力あるいは連携能力、これを強化する研修会などを実施しているわけです。また、その調整連絡会議をやっております。

 地域に密着した形でそのような制度が発展してきているということと、現に、現場での対応力をどう強化し、健全育成に資する実態を得ていくかということが、担当大臣としては一番心を砕いて考えていきたいというところでございます。

泉委員 なぜこういう問題を言うかというと、実は、奈良県で今、青少年補導条例というものができました。これは、少年補導そのものを法的に位置づけていこうということでして、実はこれは、犯罪に強い社会の実現のための行動計画の中にも「補導の法的根拠の整備等を図る。」ということが書いてありまして、その意味では、今、政府の方向性として、補導が法的整備を図られるかもしれない。我々補導委員にとっては、これは大変大きな変化なんですね。このことをまず大臣にちょっと確認したいんですが、政府は、今この補導活動の法的な明確化を図ろうとされているんでしょうか。

猪口国務大臣 今御指摘のところは、青少年育成施策大綱の中で補導活動についての記述がございますということであります。そしてまた、奈良県において、補導活動の範囲や根拠、またその手続を明確化した条例、これが制定されているということはよく承知しております。

 私としては、その施行状況などをしっかりと注視してまいりたいと思っておるところでございます。

泉委員 この大綱の中にも、補導活動の権限や手続などを、条例を含めて法的に明確化したりすることでという一文が入っていまして、その意味では、今後法制化をされていく方向なんだろうなというふうに私は思います。

 これは、法制化そのものを今の時点では私も否定はしませんけれども、しかし、やはり子供たちの人権にちゃんとした配慮がされなければならないということであったり、逆に言うと、少年補導活動というのは、これまでボランティアということでの幅があって、かつ、警察権力とは違うという意味での少年補導のボランティアの活動があって、ここまで青少年との交流、接点が図られているわけですので、ぜひこの法制化については慎重に、この委員会の中での議論も踏まえて取り組んでいただきたい、政府だけで取り組んでいただくことがないようにしていただきたいというふうに思っておりますし、単純な警察権の拡大にならないようにということはぜひ私からはお願いをしたいと思います。

 もう最後になりますけれども、実はこの補導の中で、先ほど不良行為少年の補導、約百四十万という話をしましたけれども、この中で、中学生、高校生、学校に行っている子供たちの数が約八十五万人です。そうしますと、それ以外は学校に行っていない子供たちの数ということになります。そうしますと、六十万人ぐらい未就学の子供たちが実は補導されているという実態がございます。

 警察が通達で同じように呼びかけをしていて、子供の居場所づくりを警察で取り組みましょうということを通達で出されております。しかしながら、やはり警察が子供の居場所づくりをやっていこうというのは、本来、これは大変なことですし、なかなか難しいことでして、これはやはり猪口大臣、こういった青少年の健全育成の立場からも、子供たちの健全育成に、また未就学の子供たちの居場所づくりに取り組むということ、これはだれかがやらなきゃならないことだと思います。

 もしそういう担当の部署を御存じであれば最後にお答えいただきたいのと、そのことについての取り組み、これについてぜひお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

猪口国務大臣 いろいろな観点から、私、それについて述べたいと思います。

 まず、放課後児童につきまして……(泉委員「未就学」と呼ぶ)未就学ですね、未就学もありますけれども、放課後児童の対策も同時に進めなければならないというところを思っております。

 未就学の少年の非行防止、これにつきましての議論をされているわけですが、これは、今既にお答え申し上げましたとおり、青少年補導センター、そこの機能、知識強化のための施策は推進しているところでございます。また、警察に設置されていますサポートセンターですね、少年サポートセンター、それから法務省の保護観察所などがございます。それぞれの機関において、少年補導職員及び臨床専門家、専門的な知識を有する職員が配置されているというところでございます。

 今、その機関についてお尋ねになりましたのでそのようにお答え申し上げますが、ただ、私の立場としては、すべての児童生徒について、健全育成と非行防止のためにしっかりと取り組んでいきたいと思っておりますので、そのような役割を果たすためにも、関係の行政機関との連携を強化し、また、先生の御議論の中で指摘されましたさまざまな点につきましても、よく私として受けとめて、改善できるところは改善、また研修会などで問題提起し、認識を強化するべきところはそうしてまいりたいと考えております。

泉委員 終わります。

近藤委員長 福島豊君。

福島委員 猪口大臣、また副大臣、政務官、本当に御苦労さまでございます。連日、少子化対策ということで全国を駆け回っておられます大臣の御努力にも心から敬意を表する次第でございます。

 本日は、発達障害の問題について取り上げたいと思っております。

 この発達障害という言葉自体はさまざまな意味がありまして、非常に広い意味ですと知的障害もその中に含まれるわけでありますが、メンタルリターデーションですね。本日は、より狭い意味で、一昨年成立いたしました発達障害者支援法に定義するところの意味で使わせていただきたいと思っております。

 発達障害の問題をなぜ取り上げるのかということについては、青少年の問題と深くかかわっている、こういう認識があるからであります。例えば不登校の問題、引きこもりの問題、ニートの問題、現場でそうした問題に取り組んでいる人は、この発達障害という障害にどう取り組むのかというところに突き当たっているという現実があるわけであります。

 発達障害というのは聞きなれない言葉であるかもしれません。法律ができまして、社会の認知度も高まってきたか、そういう思いもいたします。また、この法律は議員立法で成立をいたしまして、きょうは小宮山先生お座りでございますが、国会での審議では非常に貴重な御質問をしていただいたような経緯もございます。

 我が国の障害者法制のあり方自体が発達障害者支援法をつくらなければならないことになったというふうに私は思っております。大臣もよく御存じだと思いますが、我が国の障害者法制は、身体障害、知的障害、精神障害と、児童の場合には児童福祉法でありますけれども、その障害種別に応じて法律がある、そして、その中に支援策が盛り込まれているわけであります。

 お手元にお配りしました資料でございますけれども、いわゆる発達障害というのはどこに位置づけられるかというと、知的障害の丸が真ん中にあるわけであります。

 左側には広汎性発達障害。いわゆる自閉症スペクトラムと言われている障害でございますが、一部知的障害と重なっているけれども、重ならない部分もある。その特徴は三つあります。言葉の発達、コミュニケーションの障害、これが一つの特徴。対人関係、社会性の障害、これが二つ目の特徴。パターン化した行動、こだわり、これが三つ目の特徴でございます。

 このように知的障害ということの中にすべて含まれない障害というのが存在する、こういうことが大事でございます。

 右の方には注意欠陥多動性障害、ADHDということで、最近アメリカでも非常に有名な障害でございますけれども、これは、不注意であるとか多動であるとか多弁、衝動的に行動する、教室の中で走り出してしまって、校庭に勝手に飛び出していってしまう、こういったこともあるわけですが、この場合も、知的障害がある場合とない場合とあるわけです。

 学習障害というのは、もともと知的障害がないけれどもさまざまな学習において困難を有する、そういう定義から、知的障害と重なっていない。知的障害という従来の障害者法制で定められた範疇ではうまくカバーできない障害がある。しかも、それは決して数が少ないわけではない、こういう認識があるわけであります。

 文部科学省は、LD、学習障害の問題がありましたので、九〇年代からいろいろな取り組みを進めてきたのでありますが、平成十四年に、LD、ADHD、高機能自閉症に関する全国実態調査の発表ということで、これは診断の確定したものではありませんけれども、それぞれの教室で特別な課題を持つ児童というのはどの程度いるんだろうか、こういう調査をしたわけです。その中で上がってきた数字が六・三%。六・三%ですから、三十人のクラスで二人ということになるわけであります。非常に数が多い。

 どのようにしてこの障害に対して支援をしていくのか。というのは、この障害に気づかないと、さまざまな問題を起こすことがあります。

 例えば学習障害ということであれば、障害によって字を読むということが非常に困難な生徒もいるわけであります。それがそういう障害によって起こるということが認識されないと、あなたは努力不足なんだ、もっとしっかり頑張らなきゃいけないという話になる。例えばADHD、これは本人が思っていても衝動的に行動してしまう。親のしつけが悪い、そして、それに対してどうやって罰を与えるか、教育の中でこういう話になるわけです。

 それは、実は、障害という観点からいうと逆効果しか生まない。そうやって責められれば責められるほどセルフエスティームが落ち込んでいって、二次的な障害を引き起こしてきて、引きこもりとかそういうことにつながっていく、こういうことがわかってきたわけであります。

 今申し上げましたように、発達障害というのは非常に数が多い、そしてその対応によってさまざまな二次障害を起こすこともある、そしてそのことが結果として引きこもりやニートのような問題にもつながってくることがある。そういう意味で、この発達障害の問題にどう対応するかということは現在の我が国においても非常に大切な課題である、そして、従来の法制ではこれは対応ができないということで、議員立法として発達障害者支援法というものをつくろうという流れになったわけであります。

 この発達障害という問題について、大臣から、御所見といいますか、余り聞きなれない言葉だと思いますけれども、お考えをお聞きできればと思います。

猪口国務大臣 まず、私の基本的な考え方として、障害のある子供について、その能力や可能性を最大限に伸ばさなければいけない。そして、障害の内容は本当にさまざまである。ですから、自立して社会参加するための必要な能力を、さまざまな形で支援していかなければならない。御指摘の発達障害の児童につきましては、いろいろな能力の偏りがある場合が多いんですね。そして、その中には、非常に深い能力を潜在的に、内在的に持っている子供もたくさんいる。ですから、そういうところを重視しながら、それぞれの子供の能力を最大限に引き出すための支援がどうできるか、これは非常に重要な御指摘であると思います。

 そして、先生もう既に御指摘になったんですけれども、結局、我が国におきましては、制度の谷間にこの発達障害の問題が陥っていたこと、そしてまた専門家が少ない。したがって、今先生が御指摘になったような、思い込みからのコメントなどが多く、かえって子供たちを助けることに、あるいは家族を助けることにならなかったという状態があると思います。ですから、その支援体制の確立は喫緊の課題であると私としては認識しています。そして、発達障害者支援法が制定されましたので、今後、この支援法をベースに施策を一層推進していくということでございます。

 また、私は少子化対策の担当でもありまして、例えば、子ども・子育て応援プランにおきましては、特に支援を必要とする子供とその家庭に対する支援の推進を盛り込んでございまして、その中で、発達障害に対する一貫した支援体制の整備を図ることといたしております。

 具体的な取り組みとしましては、地域において、乳幼児期から成人期までのそれぞれのライフステージにおいて一貫した取り組みが重要であると考えておりまして、また分野も、保健、医療、福祉、教育、そして最終的に雇用につなげて、地域の中で支援を受けながらも、先生、セルフエスティームという言葉をおっしゃいましたけれども、自負を持って暮らすことによってその能力が最大化できるだろうと考えますので、そのような一貫した支援体制の整備を図るという方向性は既に出しております。

 また、十九年度までに、自閉症・発達障害支援センターを整備する方向を出していたんですけれども、実際に何カ所でということもあったんですが、この段階では都道府県、政令指定都市それぞれに少なくとも一つずつはというところまで合意形成ができておりますので、その整備は着実に私として図っていきたいと考えております。

 また、文科省と厚労省と連携共同しながら、具体的な取り組みがある、そういう体制も整えておりますので、発達障害を持つお子様、それから御家族に対する社会の理解を深め、また広報啓発活動が、その正確な理解、そしてそのような家族やお子様を温かく見守るという合意につながりますので、そのような取り組みをこの分野も全力をもって推進していきたいと思っております。

福島委員 どうもありがとうございます。

 時間が限られておりますので、質問を若干省略させていただきたいと思います。

 今大臣から現在の政府の取り組みについてはるるお話がございましたので、まず、児童虐待との関係についてお聞きをしたいと思います。

 この青少年問題特別委員会は、児童虐待防止法の議員立法で大変大きな役割を果たした委員会でございますが、児童虐待と障害の関係ということも指摘されているわけであります。例えば、愛知県の発達障害に関しての著名な専門家の先生によりますと、医療機関に児童虐待ということで紹介されてくる児童の中の約半数ぐらいはそういった発達障害と関係をしているんじゃないか、こういうような指摘があります。

 発達障害というのはまず親にとってはどのように感じられるかというと、子育てがしにくい、言うことを聞かない。例えばADHDであれば、衝動性があります、多動性もあります、こういったことで親と子供がいつもぶつかる。また自閉症スペクトラムであれば、コミュニケーションの障害ということがありますので、なかなか親と目線が合わない、こういうような子育ての問題もある。そういったことが、幼児期において、ただでも子育てのストレスがある中で、こういった児童虐待を誘発するようなことにもつながるんじゃないかという指摘をその専門家の方はしているわけであります。

 であるからこそ、児童虐待のような悲劇的な事態を避けるためにも、早期に気づいて早期に支援をする、このことが大切であると私は思っております。

 この点についての政府の認識と取り組みについて、御説明いただきたいと思います。

中谷政府参考人 御答弁申し上げます。

 児童虐待の中で発達障害を要因とする方がどのくらいいるのかということは、今御紹介いただきましたように非常に高いデータ、あるいはそうでもないというデータ、さまざまございますけれども、やはり御指摘のとおり、発達障害のある子供さんについては、人との愛着行動の形成がおくれまして、子育てが困難な子供として虐待が起こりやすいということは言われていることでございます。

 いずれにしましても、児童虐待を未然に防止するということは極めて大切であると認識しておりまして、発達障害を早期に発見して適切な発達支援を行っていくとともに、家族への支援も重要でございます。そのために、先ほど猪口大臣が言及されました、全国に配置されつつあります発達障害者支援センター、これが他の関係機関と連携をして取り組むことが重要だというふうに思っております。

 特に、連携先といたしまして、情緒障害児の短期治療施設というのがございます。この短期治療施設は、虐待を受けたことなどによりまして軽度の情緒障害を有する子供たちが入所あるいは通所しておりまして、その中には発達障害の子供さんも含まれておると承知しております。こういう施設などと連携を十分とりまして、やはり発達障害に関する指導助言、これを発達障害者支援センターが行っていく、こういう体制の充実に努めてまいりたいと思っております。

福島委員 どうもありがとうございます。

 ただいま政府参考人から御説明ありました情緒障害児短期治療施設につきましては、子ども・子育て応援プランの中でも、全都道府県にこれを整備するということが示されているわけであります。その中で、こうした発達障害というような課題を、支援を必要とする障害を抱えている場合もあるということで、その施設における支援について、より専門性を確保するような、例えば医療的なケアでありますとか、そういうことについても、これは厚生労働省の話になりますけれども、しっかりと検討していただきたい、そのように思っております。

 次に、引きこもりの問題でございます。

 引きこもりの問題についても、発達障害との関連が指摘をされております。これも非常に高名な専門家の先生の最近の御発言ですと、三分の一ぐらいは発達障害に関係しているんじゃないか、こういう指摘があります。これは、発達障害が直ちに引きこもりにつながるということではなくて、発達障害を契機として、例えば学校教育の場でいじめに遭うというようなことがあり得ます。そして、そのいじめに遭うというようなことが、その子にとっては大変心の傷となって、それが二次的に引きこもりのような状態を引き起こしている、こういうケースも考えられるわけであります。

 また、発達障害者支援センター、先ほど大臣から御説明ありましたが、全国に整備が進んでおります。ここにはかなり深刻な相談が寄せられている。引きこもりといっても、親との関係が極めて悪くなって、親に対して暴力を繰り返し振るうような、解決といいますか、なかなか難しいし、そしてまた、どうやって介入するのかということが当事者の方にとっては大変悩ましい、そういう事例も寄せられているわけであります。

 引きこもりの問題については、政府としてもさまざまな形で取り組みを進めていただいておりますけれども、こうした発達障害ということも一つの原因として存在するということについて、政府の見解をお聞きいたしたいと思います。

    〔委員長退席、小宮山(洋)委員長代理着席〕

中谷政府参考人 御答弁申し上げます。

 発達障害と引きこもりの関連性につきましては、現時点では解明されていないというふうに思います。しかし、対人関係において、発達障害を持たれた方はやはり問題を抱えやすいという障害特性、これはやはり十分認識しなければならないというふうに考えております。

 今後、発達障害と引きこもりの関係性、こういう問題につきまして、また、それにどう対応していくか、これにつきましては、やはり関係の部局あるいは厚生労働科学研究の研究の成果、これらを踏まえまして検討してまいりたいと考えております。

福島委員 このように国会で言いますと、発達障害というのはすぐ引きこもりになるのかね、こういう話になってもいかぬのでありまして、そうではなくて、早期にそうした特別な支援が必要であるということに十分周りが気づいて、そして、認識しながら対応していくということによってソーシャルスキルというものを高めて、そして社会において自分の持てる才能を発揮していく、こういうことは十分可能なわけです。例えば、エジソンにしてもADHDだというふうに言われておりますし、また、著名なアメリカの俳優の中でも、LDで台本は読めない、読めないので全部耳で覚える、だけれどもすばらしい演技をする、こういう人もいるわけであります。

 要は、どのように支援をしていくのか、こういう観点であります。引きこもりになってしまう、それはその時点での対応が必要だと思いますけれども、むしろ、そうならないように、幼児の段階からどう支援を組み立てていくのかということが非常に大切だというふうに思っております。

 不登校の問題、これは教育の場でも大変大きな問題になりましたが、その不登校の問題をどうするかということで、さまざまな取り組みが地域ではなされております。フリースクールという形で支援をしているというところもあります。

 先日、私は、ステップアップアカデミーという中野にあるフリースクールでありますけれども、伺ってまいりました。これはもともと不登校の児童に対してどう支援をするのか、ここから出発して、その中には、特別な支援を要する発達障害の子供がいる、だから、それはやはり特別な支援ができるような体制をつくらなきゃいけないということで出てきたものでございます。

 また、埼玉県でもいろいろなグループがありまして、むさしのフリースクール、これは望月さんという方がやっているんですが、「コ・ラ・ボ」という、後で大臣に差し上げますが、こういうのをつくりました。これは、埼玉県下でもう何十というこういう支援のための、NPO法人であるものやら、さまざまな団体の核はありますけれども、取り組みがなされた、それのネットワークをつくろうと。ネットワークをつくることによって、どの地域に住んでいたとしてもそういう支援が利用できるようにしよう、こういうことでつくったのであります。

 この国会では、その特別支援教育ということで学校教育法の改正案が審議されることになりますが、学校教育の現場でそうした支援体制を整える。と同時に、不登校というような形でそこからドロップアウトしてしまった子供に対しても継続的な支援をどうしていくのか、これは非常に大事なことなんですね。

 今フリースクールを初めいろいろな地域での努力がありますから、こういうものを幅広く認め、そしてまた、行政としても支援をしていくというようなことも十分検討されるべきであるというふうには思っているわけでありますが、文部科学省の御見解をお聞きしたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 ただいま福島先生から、発達障害の子供たちに対しての早期の気づきと支援が大事だというふうに御指摘をいただきました。この支援につきましても、医療、福祉等の関係機関あるいはNPO等の民間団体の方々の連携協力をいただくということが大事であると認識しております。

 この観点から、文部科学省におきましても、発達障害のある子供たちに対する医療、福祉、労働等の関係機関が連携しました総合的な支援体制の整備を図るため、幼稚園から高等学校までを対象として、特別支援教育体制の整備事業というものを平成十五年度から全都道府県に委託して、推進してまいっております。その中で、特別支援連携協議会という形で関係の方々のネットワークを構築していくということを促進しておりまして、この協議会の中に、NPO等先進的な取り組みをいただいている方々の参画を促しているところでございます。

 また、来年度から新たに、発達障害を初めとして、障害を持っていらっしゃるお子さんたちの教育に関して先導的な取り組みをいただいておりますNPOの方々などに対しまして、一人一人のニーズに応じた支援のあり方について、実践的な研究を委託させていただくということも始めたいと思っております。

 これらの取り組みを通じまして、NPOなどの民間の団体の方々とも連携を図りながら、発達障害のある子供たちに対する適切な支援体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

福島委員 時間が終わりましたので、残余の質問はまたの機会にさせていただきます。どうもありがとうございました。

小宮山(洋)委員長代理 石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 政府の子ども・子育て応援プラン、青少年育成施策大綱などを見ましても、乳幼児期の子供を含む施策として出されていると思います。言うまでもなく、乳幼児期をどういう環境のもとで過ごすかというのは、人間発達のスタートですから、大変重要だというふうに私も常々思っているところです。その際、そういう子供の施策を遂行するときに、日本も批准しております国際条約の子どもの権利条約、これを抜きに考えることはできないと思うわけでございます。

 そこで、きょうは一般質疑でございますので、子どもの権利条約、特に乳幼児期の問題ということで質問をいたします。

 それは、昨年の十一月、国連子どもの権利委員会から、一般的注釈第七号、乳幼児期における子どもの権利の実施というものが出されております。その経緯を見ますと、権利条約というのは締約国に報告義務を課しているわけですね。各国から報告文書が出されるけれども、それを見ると、多くの場合、乳幼児期に関する情報が余り提供されていない、主に死亡率とか出生登録とか健康ケアということに限定されているということで、この子どもの権利委員会、本委員会はこう言っているんです。

 子どもの権利条約の乳幼児期にとってのより広範な意味に関する討議が必要だということで、討議を経た上で、この一般的注釈第七号というものが出されたということなんですね。そこでは、乳幼児が子どもの権利条約に規定されたすべての権利の保持者だ、乳幼児期がこれらの権利の実現のために決定的に重要な時期である、そういう認識を助長したいというのが「はじめに」というところで述べられています。

 こうした見解についての大臣の基本的な御認識をまず伺いたいと思います。

    〔小宮山(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

猪口国務大臣 石井先生にお答え申し上げます。

 児童権利条約並びに今御指摘いただきましたその補充的解釈をしました一般的注釈、読んでまいりましたが、それをまつまでもなく、乳幼児につきましては、憲法でも定められました基本的人権の享有主体であるという認識を私は持っております。

 しかしながら、乳児について、本人自身がその権利を主張したり権利を行使することはできないわけですから、子供を守り、親権者等による権利の主張を行うという形になっていると理解しております。

石井(郁)委員 大臣は、国連の場でも活躍されてまいりまして国際的な感覚をお持ちですから、大変期待をしたいと思うわけですが、先ほど申し上げました、この間の政府の施策、子ども・子育て応援プラン、あるいは青少年育成施策大綱など、こういうものの中に、では、子どもの権利条約、この乳幼児期の一般的注釈は新しいものでございますけれども、子どもの権利条約の精神は引き継いでいるものですから、こういうものが生かされているかどうかという点での御認識はいかがでしょうか。

猪口国務大臣 我が国はこの条約を批准しております。それがまず政府の根本的な立場であり、その条約を遵守するということが責務でございます。

 先生よく御存じなんですけれども、この児童の権利に関する条約につきまして、一九八九年に国連総会において採択されて、我が国は一九九四年に批准したものであります。これは、国際人権規約に既に権利が定められていますけれども、その権利を広範に規定して、児童の人権の尊重及び確保の観点から必要となる具体的な事項を規定しているということでございます。

 そして、この児童の権利に関する条約等に示されています青少年の人権の尊重につきまして、これは、もう午前中の議論で多々出てきました青少年施策大綱において、その目的規定のところに明記してございます。児童の権利に関する条約等に示されている青少年の人権の尊重及び擁護の観点も踏まえ、適切に推進される必要がある、このように定めてございますので、青少年育成の大綱に係る諸施策を午前中ずっと議論してきているわけですけれども、各省において、そのような観点を引き続き重視するという立場でございます。

石井(郁)委員 きょう私は、今日本の特に保育所をめぐって起きている問題について、少し具体的にお尋ねさせていただこうと思うのです。その前提としまして、今、政府が公立保育所の民間委託とか民営化を進めているんですね。

 そこで、これは厚労省になると思いますけれども、公立保育所、全国どのくらいあってという数字はわかるわけですが、この間、民間委託がどのように進んでいるのか、あるいは民営化というのがどのように進んでいるのかということで、ちょっと推移を含めて数字をお示しください。

白石政府参考人 お答えいたします。

 公有施設を活用した保育所の設置にはいろいろ種類があります。業務委託、公有施設の貸与あるいは公有施設の譲渡といった方法がございます。

 直近の状況につきまして申し上げますと、平成十三年度四十二件、十四年度八十四件、十五年度八十九件、十六年度九十六件、十七年度百八十六件、総計四百九十七件でございます。

石井(郁)委員 今の数字でわかりますように、この間、急速にというか民間委託という方向が進んでいるということです。私は、決して民間委託がけしからぬとかそういう形で言っているわけじゃありませんので、問題はその質、中身の問題なので、これはこれから伺いたいというふうに思います。

 練馬区で起きていること、これはいろいろ本にもなっておりましたので紹介をしたいと思うんですね。区立の光が丘第八保育園というところですが、昨年十二月に、年度途中なのに民間委託が強行されてしまった。もちろん保護者、保育士の皆さんも反対をしたけれども、強行される。ことし四月から、引き継ぎなどを終えて委託された事業者、企業が運営するという事態になっているわけですね。

 ところが、この一月になって一名の方、二月に二名、三月末までに五名の方が、これは事業者が雇った保育士の方が次々とやめておられるということで、この事業者は何度も募集広告を出して募っている状況だというふうに聞いています。こういう状況になると、被害がもろに子供たちに来るわけですよ。だって、保育士さんがいなくなる、足りなくなるというわけですから、まさに子供たちにかぶってくるという問題なんですね。

 しかも、私が取り上げたいのは、障害を抱える子供を持つある保護者の方が通っていらっしゃったということで、民間委託ということになって他の保育園に移らざるを得なくなってしまったということなんです。この保護者の方はどう言っておられるかというと、娘が受けてきた保育が、効率を優先する新しい形の保育園で実現されるとは思わなかった、障害者保育というのは、個々の先生の技術というより保育園全体の文化なんですという訴えをされているんですね。

 私は、やはりこういう問題がいろいろな形で生じているんじゃないか、急激に民間委託をするという中ではこういう弊害が生じているのではないか、実際に生じているということなんですね。

 多少一般論になるかと思いますけれども、少子化対策の大臣として、こういう状況はやはり子供の権利の侵害と言わざるを得ないんじゃないかというべきだと思いますが、この点での大臣の御見解も伺いたいと思います。

猪口国務大臣 我が国におきましては、公立の保育園それから民間の保育園、さまざま、まあ両方とも認可を受けている場合にはその基準を満たしているという形でここまで来ているわけですね。

 それにつきましては、設置基準もあり、それから保育士さんの配置基準などがあって、設置形態については公立も民間もあるということでございますので、それは、先生のおっしゃるような子供の権利を侵害するというような保育がなされていることはないと私はお伝えしたいと思います。

 保育の量的な拡大を図っていくこともまた重要であり、また、今まで民間の認可された保育園の果たしてきている役割ということも重視しながら、しかし、先生の御指摘のとおり、保育の質は高くなければならないという点は非常に重視しながら、少子化対策といたしましても総合的な体制づくりを考えていかなければならず、また、さらに強化していかなければならないと思っております。

 先生の出された御事例などが示唆するところでまた当然ながら認識されなければならないことは、子供の育成において継続性、そして保育士さんあるいは学校の先生たちが継続してその子供を大事に思ってくれていると子供が感じられる状況を実現していくことが大切であろうと思います。

 その意味で、保育士の配置につきまして、もう既に配置基準がございますが、働きを継続しやすい環境の整備について、私としてもさらに考えていきたいと思います。

 障害児を受け入れる観点からの保育のことにつきましては、先生もう御存じであると思いますけれども、保育所に保育士を加配する事業が実施されておりまして、これはその後一般財源化されましたけれども、そのような申請があれば実施されるという体制を維持しております。

 民間委託される中で、あるいは民営化されていくという中で良質の保育が確保されますよう、そのことについて、私は少子化対策担当、また子供の観点からさまざまな施策を見守っていく、推進していくという立場の閣僚といたしまして、十分に考え、配慮し、またそのような観点を推進していくという立場でございます。

石井(郁)委員 御丁寧に御答弁いただきましたけれども、国連の子どもの権利委員会の委員の方々というのは、やはり権利条約が各国で遵守されているのかどうか、またその精神を広報するために、ずっと世界を回っていらっしゃることがありますよね。昨年の十月に日本のNGOの団体の方々が招聘されて、日本でも随分講演、懇談等々されました。私も権利委員長ともお会いしたんです。

 その権利委員会の委員のお一人のドイツ自由大学教授のロタール・クラップマンさんと、その夫人がいらっしゃるんですけれども、同じ練馬区の保育園を訪問されているんですよね。同じというのは、同じ保育園ではありません、別の保育園ですけれども。

 この保育園は、ことし四月から民間委託される園だということで、そこでいろいろ実態をごらんになった、子供たちと保護者とも懇談をしたということで、その後でどうおっしゃっているかといいますと、公立保育所の民営化というのが乳幼児期における子供の権利の実施に反しているということを知った、子供の権利の実施という観点からすると反しているんじゃないかという感想を持ったとおっしゃるんです。

 そしてさらに、こういうふうに述べられていました。施設の設置主体が政府、自治体、私的組織、非営利組織、営利組織であっても、つまり民営化、いろいろな形態であっても、すべての者にそれが利用可能だ、かつ高い質のものであることを保障することを、これは政府に義務づけているんですということを述べていらっしゃるんですね。私は、さすが、やはり子どもの権利委員会の見識が示されているというふうに思ったのです。だから、ぜひ、日本の政府は保育園の民営化についてどういうふうに考えているのかということを聞きたいと思っているということがありましたので、これは今、子供の権利という点から少子化担当の大臣としてこういうクラップマンさんにもしお答えになるとすれば、どういうふうにお答えされるでしょうか、お聞かせください。

猪口国務大臣 児童権利条約と我が国政府の関係につきましては冒頭に申し上げたとおりで、これは我が国として批准しており、その遵守は政府として非常に責任を持って考えている、推進しているということでございます。

 世界にさまざまな国がありまして、我が国は批准した条約については非常に真剣に受けとめ、推進体制を、国内法制及びさまざまな行政的な措置において推進していく、できる限りのことをやっていくという精神を持って誠実に履行していく、そういうアプローチを従来もとってきておりますし、これからもそうであることは言うまでもないことであります。

 乳幼児期のことで先生きょう御指摘になりましたので、この権利条約の精神が十分に遵守されていることを確保しますことは、保育の質の高いものをこの少子化対策の文脈においても重視していくということの観点からも重要でございます。

 日本として、我が国の環境の中で、またそれぞれの地域、自治体のいろいろな取り組みあるいは状況がございますので、私としても、まず、午前中の早い段階で、自治体の役割、責任が重要であるので自治体に働きかけているということは申し述べたとおりでございますけれども、さらにきめ細かく、すべての子供たちがこの国の中においてその大事な時期において適切な保育環境を享受できますよう最大の努力をしていきたいと思います。

石井(郁)委員 時間が過ぎましたけれども、このパラグラフの三十二は、保育所を民営化した場合の政府の責任ということについてはっきりと述べております。お読みいただいていると思いますけれども、その立場に立ってお願いをしたいと思うんですが、やはり子供の最善の利益の実現を確保するためにはサービスの質を確保する、それから、それを規制する義務を締約国は有しているんですというふうにきちんと述べられています。ぜひその立場で、少子化担当大臣として乳幼児期の子供たちのいい環境の実現のために努力していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

近藤委員長 保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 冒頭に、猪口大臣にお聞きします。

 これは本当に簡単なことなので、答弁書を見ないでお答えいただきたいんですが、よろしいですか。大臣自身の発言にかかわる問題なんですが、よろしいでしょうか、政治家同士の生のやりとりを実現したいので。

 希望格差社会と言われましたね。この国会でもたくさんの論戦がありました。猪口大臣は、一月の末でしょうか、待ち組という言葉を使われたというふうに聞いています。負け組は立派だ、その人たちは戦ったんだから、本当に反省すべきは待ち組だと。

 これは、待ち組とは、フリーターやニートなど、挑戦しないで様子をうかがう人を意味するというふうに伝えられているんですが、この発言の意図は何なのか、意図を簡単に言ってください。

猪口国務大臣 保坂先生にお答え申し上げます。ちょっと通告がなかった質問ではありますけれども、重要な点ですので、申し述べさせていただきます。

 まず、ニート、引きこもりということを名指しで申し上げてはおりませんで、私がその発言の中で申し上げたかったことは、そもそも物事を、二者択一あるいは二項対立、ダイコトミーという哲学で使う分類がありますけれども、そういうダイコトミーといいますか二項対立的な観念をもって語るということ自身が非常に二十世紀的であるということを申し上げたかったんです。

 つまり、さまざまなカテゴリーがあり得るだろう、これかこれかと非常に単純化した考え方で物事を語るべきではないという意味で、例えば、打って出ることがなかなか、さまざまな理由でちゅうちょしておられる方々もいらっしゃるという意味でございます。

 それで、さらに私が思いますのは、もったいないということです。その人材は非常に社会にとって貴重な方々であるから、もったいないです。私は、軍縮大使として、いろいろな国の飢餓、貧困、内戦、さまざまな状況の中にいる方々、そういう方々をも見てきたときに、いろいろな能力を持って、でも何らかの理由で今待っているということであれば、その能力を十分に生かして貢献してもらいたい、そういう意味でございます。

保坂(展)委員 私も、二項対立、勝った負けただけで世の中を見るのはよくないと思います。

 猪口大臣の言葉の中で、反省すべきは待ち組だという言葉が記者会見場で述べられたと聞いているんです。これは、フリーター、ニートを指したものではないというふうにおっしゃっているんですけれども、この待ち組という人は何を反省すべきなんですか。つまり、挑戦をしない、ただ様子をうかがっているんじゃだめなんだ、こういうことを言いたかったのか。ここは、すごく大きな問題だと思うんですね。

 例えば、フリーターの人。挑戦しないわけではない。いろいろ仕事、非正規雇用でも、大変しんどい仕事が待っているわけですね。挑戦し続けているわけです、そういう意味では。では、今仕事がない、そういう人たちはどうなのかというと、これは、挑戦しないから反省しろとは言えないわけですね。

 では、どういう人が待ち組なのか。フリーター、ニートじゃないとすれば、だれが待ち組なのか。

猪口国務大臣 今先生が御指摘されたような方々は、実に努力して挑戦されているわけですね。ですから、フリーターの中でも、仕事をして、できれば正規雇用に入りたいと努力している方々、そういう方々は、待っているということではないと思います。

 私は、勝ち組、負け組という表現自体に非常に違和感があるんですね。人には勝っている、まあ勝つという概念も、私は個人的には余り好きではないんですね。先生は勝っていらっしゃるんですか。

 そういう概念自体、そういう面もあろう、しかし、人は複雑な総体ですから、そういうふうにとらえるということについて違和感はございますが、十分な能力を出し切っていない、あるいは何らかの理由でちゅうちょしておられるのであれば、もっとみずからを肯定して、等身大の自分を肯定して、思い切って、傷つくかもしれないけれども、もっと大変な立場の方はたくさんいますので、識字もあり、教育も受け、とうとい貢献ができるに違いない、そういうふうに思うんです。

 ですから、勝ち組の中にも何か十分なことをやってくださっていない方もいらっしゃるかもしれないということで、どういう人というふうなイメージはないです。それぞれの職業についていながらも、その立場となったらもっと努力していただきたいと思う場合もあります。

保坂(展)委員 今の話を聞いている限り全く違和感はないんですが、しかし、反省すべきは待ち組だというようなことが流れると、これは、若い人で、今仕事がないんだ、雇用が非常に厳しいんだという中で、私は反省しなきゃいけないのかしら、こういうふうに受け取られます。ですから、政治家で、しかも大臣ですから、勝ち負けだけじゃないというのはわかりますけれども、そこで余り待ち組なんという概念を出してほしくない。

 人のあり方に類型のあるラベルを張るのは、これは慎重じゃなきゃいけないということについて、一言。

猪口国務大臣 しかし、勝ち組、負け組というラベルこそがすさまじいラベリングでありまして……(保坂(展)委員「いや、だから、待ち組って何なんですかと聞いているわけです」と呼ぶ)ですから、私の発言意図は、そういう二項対立で人間存在をラベリングすること、そのこと自体適切でないということを伝えたかったということですね。わかっていただけたのではないかと思います。

 結果的に広くそのことが取り上げられもしまして、そういう二項対立であるとか二者択一であるとか、そういう形で人間存在を把握していくということは、ちょっと残念である。もっとさまざまな可能性を秘めているし、それに気づいて、今この時代、前半でも申し上げました、無資源国日本として、人間の能力を本当に大事に生かして、またそれを社会的に還元していただきたいと。そうでなければ乗り越えることのできない問題をたくさん日本は抱えているわけですから、持てる能力をみんな出して支え合っていこうという意味でございます。

保坂(展)委員 ということは、猪口大臣は、勝ち組、負け組という二項対立は不幸な対立概念だ、だからあえて待ち組という概念を出してみたということであれば、さわやか組だとかゆっくり組だとか、そういう概念があってもいいでしょう。どうですか。

猪口国務大臣 大変さわやかな質問をいただきました。さわやかな方々、たくさんいます。

 ただ、負け組、勝ち組という、確かにそうですね、そういう概念化も、二項対立ではないというときに、いろいろな言い方が可能であると思います。

保坂(展)委員 さわやか組を目指してこれからも議論をしたいと思いますけれども。

 きょうはニートのことをちょっと準備していたので、ニートについてなんですが、これはちょっと大臣に引き続き、簡単なことなので、学者でいらっしゃったので。

 イギリスは、十六から十八までの非常に限定的な若者たちに対してニートと呼んできた。失業者も含んでいるんですね。ところが、日本の場合は、十五歳から三十四歳、十九年間と非常に幅が広いんです。それから、失業者を含んでいないんですね。失業している人は、求職者ということで排除している。

 今回、いろいろ細かくニート対策の予算が上げられていますが、これは不思議な現象が起きていて、グーグルなどで検索すると、ニートという言葉は、英語で入れると余り出てこないですね、件数が。それも、日本の英字紙、ジャパン・タイムズとか、そういうものが扱っているニートは出てくるんですね。片仮名で入れると物すごい量出てくるんですよ。つまり、日本でとても有名になっちゃって、本家イギリスでは余り知らない人も多い。

 ニートという言葉はかなり広がったと見ていいと思うんですね。パラサイトとかあるいは引きこもりと言われて、今、ニートと言われている。そのニートの中に失業者が、イギリスでは含まれているけれども、日本では含まれていない。これは相当違う概念になってしまったんですが、ここはどう考えていらっしゃいますか。

猪口国務大臣 ニート、ノット・イン・エンプロイメント・エデュケーション・オア・トレーニングですよね。ですから、海外から来ている概念で、確かに日本で、ニートと呼ばれる方々についての認識が非常に重視されるようになっている。それは、社会的にあるいは経済的に自立しにくい環境があるとするならばそれを是正しなければならない、そういう政策意欲とも相まってこの概念が非常に重視されるようになっているということではないかと思いますので、今回、十七年度からもやっておりますけれども、十八年度に向けて、フリーターの方々あるいはニートの方々に対する対策を一層強化するという政府の姿勢は、認めていただけるとありがたいと思っております。

保坂(展)委員 やや危惧があるのは、日常的に耳にする会話の中で、うちの子がニートになったらどうしようとか、それじゃニートだよというような、ちょっと差別感や、ニートになったらまずいなというような、そういう響きがこの日本語におけるニートという言葉に出てきたことにちょっと私は危惧を持っているんです。

 厚労省にお聞きします。

 社会的引きこもり、厚労省はこれまでも、ガイドラインをつくったり、やってきたと思うんですけれども、現状、このニート対策予算というのは提示されていますが、厚労省の引きこもり対策予算や経年の予算の様子、このあたりは今どうなっているのか。時間がないので、保健センターや保健所などに寄せられた相談の数なども答えていただけるでしょうか。

中谷政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、最後に聞かれました相談の件数から御答弁申し上げます。

 都道府県、政令市に置かれております精神保健福祉センター、こういうものがございます。ここでは、実は、引きこもりに特化した調査項目がありませんで、思春期ということで束ねてとっておりますが、その報告、過去三年ぐらいを見てみますと、大体二万二千件ぐらいで推移してございます。保健所におきます思春期の相談件数、これもやはり一万二千件程度で推移をしております。

 ただ、これでは引きこもりの実態がわかりませんので、平成十七年度から新たに引きこもりの相談件数を別にとるということで、正しい数字を把握できるようにしてまいります。

 次に、最初のお尋ねでございます対策の状況と予算について御答弁申し上げます。

 対策でございますけれども、やはり引きこもりというのは、単一の疾患あるいは障害という概念ではなかなかくくり切れないようなさまざまな問題があると考えておりますので、厚生労働省の対策メニューも、それだけになかなか難しいものになっております。

 そこで、心の健康という問題、それから、引きこもられている方それから家族への支援、大きく分けてこの二つの対応がございます。

 まず、心の問題でございますが、今御答弁申し上げましたような思春期の相談窓口をしっかり確保していくということが一つでございまして、その予算といたしましては、経年的に申し上げますと、精神保健福祉センターにおきます思春期、アルコールに関する特定相談事業、これが、平成十六年度九千二百二万、平成十七年度六千四百十万、平成十八年度六千三百九十二万、こんな状況でございます。

 また、こういう引きこもりを含みます思春期の精神保健の専門家の養成確保、この研修会を行っておりまして、これを経年的に言いますと、大体千六百万円程度でございます。

 それからあと、研究も行っております。平成十七年度一千万。

 それからあと、児童、家庭の問題につきましては、児童虐待・DV対策等総合支援事業、こういうことで、十八億円程度の予算を組んでございます。

 以上でございます。

保坂(展)委員 だんだん時間が押してきましたので、では、フリーター、ニート等若者の人間力の強化の推進で厚労省で予算がついていると思うのですが、ここには今の社会的引きこもりの人たちに使える予算が十分あるのかどうか、簡潔に答弁いただきたいと思います。

草野政府参考人 お答えします。

 就労支援対策としましては、引きこもりの方そのものを対象とするということでは必ずしもございませんが、関連する施策としまして、ニート状態にある方の中の、就労に向けて適した方といいますか、そこらと相談、面接をしたりトライアルをやったりして選定しておりますが、そういう方に対しまして、この十八年度から、地域における若者自立支援ネットワーク整備事業というものを行うこととしております。

 この予算は大体三億程度のものでございまして、おっしゃるように引きこもりの方を特に対象とするものではございませんが、保健福祉機関を含めました関係機関とネットワークを組んで、いろいろな方が相談にいらっしゃいますので、その相談の中から、例えば引きこもりの方であれば福祉機関に紹介するとか、こういうことを通じて、引きこもりの方にも関連する施策としてやっていく、こういう形でございまして、現在、三億ということで予定しております。

保坂(展)委員 申しわけないんですが、大臣に最後にお願いなんです。

 今お聞きしたように、就労については結構な予算がつき始めているんですが、引きこもりでコミュニケーションもほとんどだれともできない、そして親が高齢化して本人も三十代、四十代という人たちは、なかなかそういう予算的にもついていないんですね。ここについてぜひ力を入れていただきたい。ニートという中で引きこもりの問題がやや陰に隠れてきているように思いますので、特に三十代、四十代になっている方たち、そしてまた高齢化している親の人たち、そこへも手を差し伸べることを努力していただきたいというのを聞いて、終わります。

猪口国務大臣 御指摘いただきましたので、私として、本日の議論をしっかりと受けとめ、高齢化していく、高齢化といいますか、徐々に年齢が上がっていくニート、引きこもりの問題につきまして、さらに考えを深めてまいりたいと思っております。

保坂(展)委員 終わります。

近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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