衆議院

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第5号 平成20年4月18日(金曜日)

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平成二十年四月十八日(金曜日)

    午前九時四十分開議

 出席委員 

   委員長 玄葉光一郎君

   理事 江崎洋一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 実川 幸夫君 理事 菅原 一秀君

   理事 萩生田光一君 理事 笹木 竜三君

   理事 吉田  泉君 理事 古屋 範子君

      井脇ノブ子君    岩屋  毅君

      上野賢一郎君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    中森ふくよ君

      西本 勝子君    馳   浩君

      福岡 資麿君    藤野真紀子君

      松本 洋平君    山内 康一君

      泉  健太君    菊田真紀子君

      田名部匡代君    高井 美穂君

      石井 啓一君    石井 郁子君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 泉  信也君

   総務副大臣        佐藤  勉君

   文部科学副大臣      池坊 保子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  南  俊行君

   政府参考人

   (内閣法制局第二部長)  横畠 裕介君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  片桐  裕君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     武内 信博君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          深山 卓也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 秋元 義孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           関口 幸一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           前川 喜平君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           田中  敏君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           黒川 達夫君

   衆議院調査局第一特別調査室長           金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     小里 泰弘君

  中森ふくよ君     藤野真紀子君

  田名部匡代君     高井 美穂君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     井澤 京子君

  藤野真紀子君     中森ふくよ君

  高井 美穂君     田名部匡代君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)


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     ――――◇―――――

玄葉委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官南俊行君、内閣法制局第二部長横畠裕介君、警察庁生活安全局長片桐裕君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長武内信博君、法務省大臣官房司法法制部長深山卓也君、外務省大臣官房審議官秋元義孝君、文部科学省大臣官房審議官関口幸一君、文部科学省大臣官房審議官前川喜平君、文部科学省大臣官房審議官田中敏君及び厚生労働省大臣官房審議官黒川達夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笹木竜三君。

笹木委員 民主党の笹木竜三です。

 質問を始めます。よろしくお願いします。

 今回のインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部を改正する法律案、出会い系サイト規制法の改正ということなんですが、現状としては、出会い系サイト規制法があるわけですが、例えば出会い系サイトでの犯罪あるいは検挙数が非常に多い、平成十九年で千七百五十三件ですか、児童が被害者として巻き込まれている率も非常に高い。買春であったり、児童ポルノであったり、出会い系サイト規制法違反であったりということです。

 こうした現状に対して、まずは現状認識を大臣にお伺いしたいんですが、これまでの法律はどこが足りなくて、今回その問題をどういうふうにクリアしようとしているのか、認識で結構ですが、今回の法律案のそこのところをまずお話しいただきたいと思います。

泉国務大臣 インターネットにはんらんする違法情報は、大変数も多く、悪質なものがたくさんございまして、その限りにおいて警察としても取り締まりを行っているところでございますが、すべて捜査によって解決するということは非常に難しいのが実情でございます。

 悪質なものに警察は重点的に取り組んでいるところでございますが、その場合でも、御承知のように、通信記録が保存されていない、発信源のコンピューターを特定することができない、さらにインターネットカフェなどで本人確認が行われていない、こういうことで、違法情報の発信者の特定をすることが困難である、こういうことでございます。

 そういう中で、社会的に多くの問題が指摘されておりますので、今回の法改正を通じてこの状況を打破したい、こんな認識を持っておるところでございます。

笹木委員 それで、これまでの法律では、例えば、一番象徴的というか極端な例が、出会い系サイト規制法違反で逮捕された、実刑の判決も出た、しかしその逮捕された方のサイト自体はいつまでも残ったままになっている、放置されている、これが一番象徴的な例だと思いますが、そうした現状を変えるために、今大臣のお話ありました、これまで、例えばサイトの連絡先がわからない、そうしたことで事業者届け出制にするということ。それともう一つは、閲覧の防止措置。例えば違法の書き込みとか、サイトに対して閲覧防止措置を義務化するということ。事業者に対してこの二つをされるということですね。あと、事業者以外に対してはフィルタリング、こうしたことも考えていく、努めていくということなんですが、ここでちょっとお伺いをしたいわけです。

 今、ホットラインセンターというのがある。ホットラインセンターがいろいろ、例えば一般の方々からこれは明らかに違法情報だとかそういう連絡を受けて、事業者に連絡をして、これは違法情報ですよ、あるいは有害情報ですよということで、言ってみれば削除すべきじゃないですかというふうに要請をする、そういう枠組みだったわけですね。しかし、その言うことも聞かずにそのまま放置されている場合もあった。それで削除等の閲覧防止措置を義務化した、この点について、事務局の方でも結構ですが、手続を詳しくお話しいただけますか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、インターネット・ホットラインセンターの手続でございますけれども、昨年一年間で、インターネット・ホットラインセンターには、国民の皆様から約八万五千件ぐらいの通報がございます。このうち、違法情報と判断されましたものが一万二千八百件余り、有害情報と判定したものが三千六百件でございます。

 違法情報につきましては、基本的には警察の方に通報するという形になっています。ただ、警察ですべて捜査ができるわけではございませんので、多くは削除依頼をいたします。その結果、削除されたものの割合が約八五%ということでございまして、残り一五%は残ってしまっているということであります。同様に、有害情報につきましても削除依頼を行いますけれども、これで、依頼を行っても削除されないものが大体四分の一ぐらいあるという形になっております。

 今回の改正案でございますけれども、いわゆる不正誘引情報、これは違法な情報でございますけれども、これについて、出会い系サイト事業者が、そういうものが自分のサイト上にある、違法な情報があるというふうに知ったときには、これを削除する等の閲覧防止措置を講じなければならないということにするものでございます。

笹木委員 閲覧防止措置を義務化した。そしてさらに、まずは民間のホットラインセンターが、一般の方からの連絡を受けて民間から要請をする。再三やってもその要請に応じてもらえない場合に公安委員会が事業の停止命令とか廃止命令をやる、罰則もつけたということですね。民間からまずは要請をやって、それでも応じないときに罰則、そういうことで、言ってみればこの法律の効力というか、これを十分確保したいということで、これはよくわかります。

 今、年間八万五千件ぐらいがホットラインセンターに来るというお話がありました。通報を受けた件数でいうと、大体、今ホットラインセンターが六名のスタッフと聞いていますが、見学にもこの委員会で行きましたが、そうすると、一般の方から連絡を受けたものについては、一人当たり一日六十件とか七十件の処理をするということです。現場も見てまいりましたが、これはかなりの作業量で、とても追いつかないのが現状だ。

 ということで、こうした第三者機関、ホットラインセンターのようなものをこれからもっと複数つくっていこう、あるいは、どんどんそういう申し出があったら国家公安委員会に登録をして、事業者に対して閲覧防止措置とか削除の要請をする、登録誘引情報提供機関というんですが、ちょっとわかりにくい名前ですが、そうした第三者的な機関を複数これからちゃんとつくっていけるようにしようということだと思います。

 しかし、これは、どのような資格があれば、一応、常勤のスタッフ二名とかいろいろ書いてありますが、どの程度のこういう第三者機関を今よりもふやしていけば、ほぼ作業量が、もちろん将来的にもっとインターネットの情報がふえることはありますが、今現状時点でいって、どのぐらいの第三者機関が設立されてくれば大体追いつくようになってくるのか、その見通しについて聞かせていただけますか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 インターネット・ホットラインセンターの体制でございますが、今委員御指摘の六名というのは、平成十八年度の発足当時の体制でございまして、その後は通報件数が大変ふえておりますので、昨年度はこれを四名ふやして、センター長以下合計十名といたしております。さらに通報件数が今相当伸びておりますので、今年度予算におきましてさらに五名を増員するということで、今年度から十五名の体制になるということになっております。

 このホットラインセンターの事業は、御承知のとおり、平成十八年六月から運用しておりますが、これは国の予算を使って、警察庁の委託事業として実施をしているものでございます。実施した結果、このように国民の皆様から大変たくさんの通報をいただいておりますので、もしこの体制で不十分であるならば、またさらにその体制をふやすべく努力をいたしたいと思っております。

 さらに、このホットラインセンターだけでは不十分ではないかという御指摘だと思いますけれども、私どもも、民間の方々の発意で、イニシアチブでこういった機関をつくっていただけるのであれば、それは大変歓迎すべきことでございますし、また、今回の登録機関にも登録していただけるのではないかというふうに思っています。

 ただ、どれぐらいの機関の数があって、どれぐらいの体制があれば迅速に処理できるかということについては、まだちょっときちっと精査をしておりませんし、ちょっと不明確な部分がございますので、その辺の答弁は控えさせていただきたいと思っております。

笹木委員 大臣にちょっとコメントをいただきたいんですが、今の話、やはりこれは一つポイントだと思うんですね。

 ホットラインセンターは、政府から、警察庁から助成も受けて、第三者機関的に、一般の方からのいろいろな連絡を受けて、事業者に対して閲覧防止措置の要請を行う。これはこれでよくわかるんですが、政府から助成を受けている、あるいは警察庁から直接助成を受けているホットラインセンターだけでは、本当にいいのかどうかという問題もある。ほかの役所関連の第三者機関に登録誘引情報提供機関になり得る機関も幾つかあるわけですが、完全民間からの設立のそうした第三者機関も含めて、やはり複数、もっとふえていくのが理想だと思います。そこら辺のことが今後やはり課題になってくるんじゃないかと思います。

 細かいことは一切結構ですが、大臣に、それについての認識をお伺いしたいと思います。

泉国務大臣 ただいま局長から答弁をさせていただきましたように、大変、現状は少人数で多くの成果を上げておるという認識を、私も、現場を見せていただいて承知をいたしているところでございます。

 二十年度の予算も一億二千百万円、このようなお金でございまして、この機能を強化するためには、民間の方々、あるいはこの機能を持ち得る機関をもう少し多く必要とするという認識を持っております。私どもとしましては、こうした機関が有効に機能できるようにお力添えをしていかなければならないと思っておるところでございます。

笹木委員 その点が今後非常に大事になると思います。枠組みは非常によく工夫されたと思います。民間から閲覧防止措置の要請を行う、そして、それに再三従わなかったときには公安委員会が業務停止命令、廃止命令をやるということで実効力を担保する。よく工夫されていると思いますが、やはりこの第三者機関がこれからいかにいろいろな主体によってたくさん設立されてくるかということが非常に大事だと思っています。

 あともう一つ、これは出会い系サイト事業者以外の問題として、フィルタリングの問題があるわけです。

 まず、これは総務省になるんですか、担当の方で結構ですが、フィルタリング、今各社やっているわけですが、購入したときにフィルタリングをセットして、そして子供と一緒に帰る、その後で、フィルタリングをセットしたけれども、やはりフィルタリングを解除してくださいと。どのぐらいの率か把握されていますか、総務省の担当の方で結構です、お答えください。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 フィルタリングの設定後に解除される例があるということにつきましては承知しておるところでございますけれども、その実態につきましては、各事業者が、フィルタリングに関しまして、新規契約について設定を原則としたというのがこの一月、二月からでございまして、現在十分に把握はしていないところでございます。

 しかしながら、今後、フィルタリングの改善に向けまして、その実態の把握というものが非常に重要だというふうに認識しておりますので、今後、関係者と協力いたしまして、原因等を含めまして、実態の把握に努めてまいりたいというふうに考えております。

笹木委員 フィルタリングを一度セットする、あるいは買ったときに限りませんよね。私も、買ったときじゃなくて、その後に子供と一緒に行ってフィルタリングをセットしてもらった経験がありますが、これは、この都内で、ちょっと行って販売店でお聞きになってもいいと思います、別にほかの都道府県でも結構だと思うんですが。販売店の方に聞いてみれば、ああ、セットするんですかと言われまして、大体、セットしてしばらくしたらまた解除に来られますよと言われるわけですね。それが現状です。

 だから、それさえも把握していないということはやはり問題で、どうしてこうなるのかという点で、二つ理由があると思います。

 一つは、フィルタリングレベルが非常にお粗末だということ。この委員会でも、私も他の議員もその問題をやりましたが、ホワイト形式、例えばある携帯会社のホワイト形式だと、もうそこがもともと引き落としなんかで一番最初に勧めている、それしか見れない、そうしたレベルのフィルタリングであったり、ブラック形式でもなかなか追いついていないとか。要は、普通に見ていて何の問題もないサイトも見れなくなる、そういう率が非常に高いとか、逆に、ブラック形式でも、新しくどんどんできてくる問題のあるサイトに追いつかない、見れてしまうとか、いろいろ問題があるわけです。

 要は、ほとんどの親がまた解除に来てしまうのは、普通に見れるべきところが見れなくなる、これが非常に多いからです。非常にフィルタリングはお粗末で、苦笑いされてまた解除に来られますよとほとんどの方が言われるわけですね。だから、まず実態を把握してください。それと、これが現状だということをよく覚えておいてください。

 それで、理由は二つあると思います。一つは、今言ったフィルタリングのレベルが非常にお粗末だということ。

 もう一つは、親の意識というのもあると思います。親が、保護者が、かなり問題のある違法・有害サイトがどのぐらいあるかということを認識していない。だから、子供に、いや、見たいサイトが見れないから解除してくれと言われると、言われるままに一緒に店に行って解除してしまう。これも二つ目の理由としてあると思います。

 文科省になるんですか、担当の方で結構です。メディアリテラシーと言いますが、もちろん児童に対してのメディアリテラシー、例えば新入生、小学のとき、中学のとき、すべての子供に対して、生徒に対して、一回はそうした、最低一時間とかそういうことは実施するとか、あるいは子供だけじゃないんですね、今のお話で。保護者でも、最低一時間でも三十分でも、このぐらい、こんなサイトがありますよというのをちゃんと見せてわかってもらう、そういう機会。これはもう全保護者が最低一回は、子供が中学生であったり小学生であったりする間に必ずやる、そのぐらいの体制がないといけないんじゃないかと思います。

 まだまだそういう認知が追いついていないと思います。現状、どうですか。e―キャラバンとかいろいろやっているというけれども、非常にお粗末な状態だと感想としては感じていますが、お答えいただけますか。

関口政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、保護者に対するメディアリテラシーということでお尋ねがございました。

 私どもも、情報化が非常に急速に進展しております中で、保護者に対してメディアリテラシー教育を行うことは極めて重要であるというふうに認識しております。

 このため、文部科学省といたしましては、今委員御指摘のインターネットの安全、安心な利用に向けた講座、e―ネットキャラバンと申しておりますが、これを総務省と連携して、実施しております。

 また、子育てのヒント集として作成しております家庭教育手帳、これの中で、情報モラルについて家庭で話し合うことの重要性を記載し、その啓発を図っております。

 またさらに、昨年、省内に設置いたしました子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議、この中で、昨年末に、主に保護者に向けまして、現段階において直ちに取り組むべき喫緊の課題、四つの提案というものを行っておりまして、また、ことしの二月にもリーフレットを作成し、全国の学校、PTA等に配付をしておるところでございます。

 また、昨年十一月に発足いたしましたネット安全安心全国推進会議、これは関係の団体を集めた会議でございますけれども、こちらでも推進体制の整備を図っておるところでございまして、今後とも、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

前川政府参考人 引き続きまして、学校におきます児童生徒に対するメディアリテラシー教育についての御答弁を申し上げます。

 今日の情報化の中で、子供たちが情報活用能力をはぐくむということは非常に大事なことである、一方、その情報化の影の部分についてきちんと対応できるようにしていく力をつける、これは非常にまた大切なことだというふうに考えております。特に、他人への影響を考えて行動できるようにする、あるいは有害情報にきちんと対処できるようにする、こういった情報モラルの育成ということが非常に重要であるというふうに認識しておりまして、学校における指導を促してきております。

 具体的な手だてといたしましては、情報モラルの指導のためのモデルカリキュラムを作成いたしましたり、またその実践事例をまとめまして、教員向けのガイドブックを作成して、配付するというようなことをしております。また、情報モラルの指導のためのセミナーを開催するといった取り組み、あるいは情報モラルの指導事例を紹介するウエブサイトを作成する、こういったことをやっております。

 また、平成二十三年度から小学校で、また二十四年度から中学校で、新しい学習指導要領が実施されるということになっております。その新しい学習指導要領は、この三月二十八日に告示したばかりでございますが、この新学習指導要領の中でも、各教科等の中でコンピューターや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切に活用できるようにするための学習活動を充実するという記述をするとともに、あわせまして、情報モラルを身につけるということを重視して、その旨記述したところでございます。

 高等学校につきましても、間もなく、今年度中に新学習指導要領の作成の運びとなっておりますけれども、そのもとになります中教審の答申の中でも、「情報モラル、知的財産の保護、情報安全等に対する実践的な態度をはぐくむ」、そういう指導が大事だというふうに提言されておりまして、そういった内容を新しく高等学校の指導要領にも盛り込んでまいりたいと考えておるところでございます。

笹木委員 いろいろ御説明されているんですが、足りないと言っているんですよ。数字的にも足りないと思います。その結果が今の現状だと思います。

 PTAの方、保護者の方、いろいろな方に、ヒアリングでお会いしてお話を聞きましたが、ある県のPTAの代表の方が言っていましたね。この委員会でも参考人でやりました。野々市なんかは、もう町ぐるみで、小学生、中学生には、要はインターネット機能つきの携帯を持たせないという運動をやっているけれども、それは親、保護者の立場で言うんですね。自分らとしては、保護者そのものがしっかりと携帯電話の現状を知らない状態で、子供に持たせないぐらいのことをやるべきだ、これはPTAのある県の代表が言っていましたが、それぐらい今現状、足りないということ。

 それともう一つは、このメディアリテラシーは、子供はもちろんですが、保護者に対してももっとしっかり、それこそ組織的にやらないといけないということ。

 もう一つは、さっきのフィルタリングですね。努力義務になっているにすぎないわけですが、閣議で全会一致だからここまでしか行けなかったのかもしれませんが、義務化して、そのかわりフィルタリングのレベルをアップする、支援するとだけ書いてありますが、フィルタリングのレベルを高くするためにどういう支援をするのか、具体的に詰めていかないといけないと思います。

 ある業者の方がこう言っていますね。パソコンと同じように、携帯で、親がちゃんとフィルタリングのレベルを、例えば一から二十段階まであって、それを年齢に応じて親が選べるように、こういうことも技術的にはできる、コストの面はあるけれどもと言っていました。あるいは、やはりある携帯の事業者の方は、語彙で検索することができる、サイトといってもアドレスがしょっちゅう変わる、だから、問題のある有害な語彙、言葉で検索する、そういうシステムも不可能じゃないと言っていました。だから、こういう現状を踏まえて支援をすれば必ず実現ができる、やる気になればできるということだと思います。

 このフィルタリングのレベルアップ、支援の具体的な内容をちゃんと詰めることも、ぜひ大臣、認識をしていただきたいと思います。

 さっきお話ししたように、出会い系サイトについてはこの法律でかなり前進するのかと思いますが、海外のサイトであっても、海外のプロバイダーのものであっても、例えば日本にいる日本人がサイト開設者であれば、これもこの法律で対応できるわけですが、一番の問題は、では出会い系サイト以外はどうなんだという話ですよね。

 有害は、話が長くなるから、もう時間がないのでやりませんが、違法情報、一番典型的な例でいうと、児童ポルノの違法情報、あるいは薬物、麻薬取引の違法情報、これも、現状では、犯人が逮捕されても情報が残るんですよね。

 一番問題は、子供が被害者だということ。児童ポルノの場合がそうです、あるいは薬物取引の場合もそうです、ネットいじめの場合もそうですね。児童が被害者である。例えば書き込みとか映像とか写真、それが、犯人が逮捕できて、実刑判決がおりてもそのままになっている。閲覧防止措置ももちろんとられない。一番わかりやすいのが児童ポルノだと思います。アニメとかそういうのはややこしいからしません。実際の少年のあるいは少女のその実態の映像とか写真とか、それで犯人は捕まった、しかし、映像はずっとそのまま残って、写真はそのまま残って、世界じゅう閲覧ができるようになっている、児童の被害はそのまま続いていく、これは一体どうするんだという話ですね。

 ここで、総務省の方にお聞きしたいわけです。電気通信事業法、結局、今回は、法が不備だから、出会い系サイトというある一分野だけを切り取って、さっき言った閲覧防止措置、これを義務化もして、この法律の枠組みの中で、この範囲だけで閲覧防止措置を義務化をしたわけです。違法情報については事業者が閲覧防止措置をとる、その義務を果たさない場合には、今回、この出会い系サイトという分野だけで業務停止命令とか業務廃止命令をできるようにすると義務化したわけですが、本来は、電気通信事業法の中でやるべきことだと思います。

 総務省のお答えは、いつもなかなか前に進まないんですが、いや、もう一つ一つの分野ごとに、児童ポルノだったら児童ポルノという法律の中で、薬物取引だったら麻薬取引の法律の中で一つ一つ義務化してくれ、そういうふうな御認識なのか、電気通信事業法全体の中でそうした対応もこれから考えていく可能性があるのかどうか、そのことだけ総務省の方にお答えをいただきたいと思います。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘の電気通信事業法でございますけれども、この法律自体は、電気通信事業者の適正な事業運営によりまして、安定的なサービス提供が確保されるということを目的としたものでございまして、事業者が利用者に対しまして電気通信サービス自体を安定的に提供している限りにおきましては、この事業法上の責務としては果たしているということになりますので、流通する通信の内容の適正性に関する責務まではこの事業法上の対象として負わせているものではないというふうに考えてございます。

 なお、インターネット上の違法情報が放置されているということにつきましては、非常に深刻な問題であって、しっかりと取り組まなければならないというふうには考えているところでございまして、現在、総務省の中で、インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会を開催いたしまして、違法情報の削除を一層促進するための方策も含めまして、総合的な検討をいただいているところでございます。

笹木委員 終わりましたからやめますが、今言った児童ポルノであったり、薬物取引であったり、ネットいじめ、児童の被害だと。これは、今言った出会い系サイト以外の違法情報、有害情報、それについても、自民党も今、法案の詰めをやっている、骨格の詰めをやっている、民主党も、我々はその詰めをやっています。ぜひ、この委員会で出会い系サイト以外の有害情報についてもしっかりと立法をやっていく、そのことを急ぎたいと思います。委員長一同、そうしたことを必ずこの国会でやるべきだと思っていますので、よろしくお願いします。

 質問を終わります。

玄葉委員長 次に、田名部匡代さん。

田名部委員 おはようございます。民主党の田名部匡代でございます。

 今、笹木委員の方からも出会い系サイト以外の情報に対する規制の話がありましたので、私も、きょう大臣、お時間の関係でもしかして後半いらっしゃらないかもしれませんので、少し先に大臣に伺いたいことからお話を聞いていきたいと思います。

 実は、昨年の十一月十五日、私の地元であります青森県八戸市におきまして殺人事件が起こりました。どういった事件かといいますと、無料でゲームができるサイトの中から出会いが始まって、三十代の男性と地元の女子高生がそこを通じて知り合って、市内のホテルにおいて殺害された。火災が発生して、そして殺害された、その男性は逮捕されたわけなんですけれども。

 実は、こういった出会い系以外のところでの事件、また私もネットで随分いろいろ検索をしてみました。出会い系サイトと呼ばれるところ以外の状況がどうなっているのか。普通に、掲示板と言われるようなところで、実際にこれは未成年が書いているんだろうかと思うような、非常に怖い気持ちにもなったんですけれども、そういったところが出会い系サイトではないので規制の対象から外れている、チェックが働いていない、監視がされていないのかなというふうに思うんです。

 例えば、女子中学生、十三歳、携帯電話が欲しいので買ってください、その電話の使用料、利用料については月々体で支払いますというような書き込みであるとか、なかなかこの場で発言できないような内容のものが、いや、本当にこれは笑い事じゃなくて、本当にこれが十三歳ですとか中学生、高校生であったら非常に怖いなというようなことを感じました。

 こういったものを見ているときに、幾ら法律で規制しても、さっき笹木先生もおっしゃっていましたが、児童に対するしっかりとした教育、危機意識を持ってもらうこと、モラルを高めてもらうことというのがやはり基本にあるんだろうというふうに感じました。

 そういった中で、今、先ほど申し上げた無料でできるゲームサイトでは、自主的に規制を高めてパトロールを行っています。公序良俗に違反する書き込みの削除などをしっかりとみずからが行っている、そういう自主的な取り組みをやっていらっしゃる企業もあるんですけれども、私は、こういう民間の企業の自主性というのをもっと広げていく必要があるんじゃないかな、民間の力をもっとかりて、今申し上げたような、常識から大きく超える、非常に危険を感じるような書き込みに対しての削除、また注意を促すといったことを自主的に取り組んでもらう必要もあるんじゃないかというふうに思うんですが、大臣、ちょっとその件についてどういうお考えがあるか、お聞かせいただけますか。

泉国務大臣 出会い系でないサイトにおけるいろいろな問題が起きておるということについては、我々も看過できない状態に至っておると承知をいたしております。

 昨年の七月から九月にかけて調査をいたしました。被害児童二百六人に対して、出会い系サイトでないサイトに関係した事件の児童の被害者というのが百二十四人もいる。出会い系サイトと比較してでございますけれども、その中で特に高いのが、青少年保護育成条例違反でありますとか児童ポルノといったところ、あるいは、数はそう多くはございませんけれども、強姦とか、そういう先生御心配の御指摘の内容が出会い系サイト以外の分野で行われておるということを承知いたしております。

 こうしたサイトについては、さまざまな種類があるわけでありまして、今現在時点でこれを法律的に規制の対象として類型化するということは非常に難しいのがまた事実でございます。

 こういうことにつきましては、個別に自主的な被害防止のための取り組みを要請していくという段階にとどまっておりまして、すべての事業者が委員御指摘のような良心的な自主的な取り組みをしていただければよろしいわけですが、そういうことが必ずしも十分ではない。そこで、今こうした取り組みを警察としても一層推進をするとともに、多くの関係機関、関係団体ともまた協力をして、この成果が上がるように努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。

田名部委員 今大臣からも、今後もこれを推進していきたいというお話でありましたけれども、もう少しどういうふうに進めていくのかという具体的なことを教えていただきたいし、こちらからも少し御提案をしたいんですけれども、やはり、子供たちの感覚の中で、自分たちは法律を犯しているんだ、これは違法であるということの認識が非常に低いのではないかというふうに思うんですね。

 ですから、例えば、サイトのトップ画面には十八禁というふうな表示はあるんですが、私はそれだけでは不十分だと思っておりまして、これは違法ですよ、犯罪であります、援交といっても売春は犯罪なんだ、それは十八歳未満であっても処罰の対象となるんですよと。それは出会い系サイトでもほかの掲示板でもそうなんですけれども、もう少しきちんとした表示を業者にしていただくですとか、そういったことも必要なんじゃないかなというふうに思うんですが、その辺の何か具体的な対策をお考えであれば教えていただけますでしょうか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘は、出会い系サイト以外のサイトについてだと承知いたしておりますけれども、確かに、御指摘のように、出会い系サイト以外で相当多くの児童被害が発生しているサイトが現にございます。

 こういったサイトにつきましては、運営者に対しまして、例えば、異性交際目的による利用をしてはいけないという旨の運営方針をサイト上で明確にしてくださいとか、また、出会い系サイトでないにもかかわらず、出会い系サイトとして利用するユーザーを排除するために、サイトの監視体制を強化してくださいとかいうふうなお願いは現実にしておりまして、これに応じて、大分そういった改善の措置を講じていただけているものというふうに承知しています。

 このほかに、特定のキーワードをとらえて、その情報については載せないとかいうふうな努力もされているというふうに承知をいたしております。

田名部委員 ただ、実際に見てみれば、そのような厳しい規制というか、注意を促すということがなかなか行われていないところが非常に多いわけでありまして、さっき大臣おっしゃったように、良心的なところは自主的にいろいろな対策もとられているんですけれども、決してそういう事業者ばかりではありませんので、また、そういったところを皆さんにお話をしても、これだけ幅広い情報があってさまざまなサイトがある中で、すべてを取り締まっていくというのは非常に難しいというふうには思うんです。

 私が大変危惧しているのは、出会い系サイトの規制がきっちりと行われていったときに、逆にその裏をかくように、何をやってもイタチごっこの部分はあると思うんですが、それが、さっき言ったような掲示板というようなところで援助交際というようなものが起こっていく、また、子供たちが被害に遭っていく、そういう場が別のところにできてしまって、そこの規制というか、取り締まりがきっちりされないというのでは、全く子供たちを守るという観点からは意味がないというふうに思っておりますので、さっき大臣がおっしゃったように、連携をとりながら、しっかりとした強化を図っていっていただきたいと思うのです。

 一つ、よく運転免許を取るときに、免許の更新のときもそうでしたでしょうか、事故の映像なんかを目で見せられて、飲酒運転であるとかわき見運転であるとか、車に乗るときにはこういう危険が伴うんだという、本当に車がぐしゃっとつぶれたような映像、そういう悲惨な映像を目にする、そのことによって、自分がこれから運転するに当たってもこういう危険性があるんだ、気をつけようというような思いを新たにするわけなんです。

 そういったことを考えますと、警察の方で子供たちに、まず、これは学校教育の中でやるのか、また別のところでやるのか、いろいろあると思うんですが、この問題は、こういう被害というのは非常に身近なことであり、決して人ごとではない、いつ自分が被害者になるかもしれないというようなことをしっかりと植えつけるような取り組みも、教育も、また啓発も必要だと思うんですが、そういったことは今なされていますでしょうか。

泉国務大臣 御指摘のような内容は、完璧であるかどうかはわかりませんが、警察では、サイバーセキュリティ・カレッジというのを持たせていただいておるわけでございます。

 これは、平成十九年の五月、一月の実績で申し上げますと、内容的には、いわゆる違法・有害情報から子供を保護するためのフィルタリング利用の促進、あるいはモラル教育の充実というようなことを含んだものでございますが、昨年五月一カ月で約二千五百回開催をさせていただいております。小中学校生徒が二十八万人、教育関係者が三万三千人、その他四万七千人、こういうことで、少しずつではございますが、子供たちにもこの問題の恐ろしさといいますか、自分自身が大きな被害を受けるという認識を持たせるための会を催させていただいておるところでございます。まだ十分ではないかもしれませんが、またこうしたことを続けていきたいと思います。

田名部委員 そういった取り組みを、二千五百回やられたということで、ぜひこれはどんどん、子供たちに対してそういう注意を促していく、このことは一層実施をしていっていただきたいなと思うんです。

 それとあわせて、例えばより多くの子供たちにそういう認識を持ってもらうための方策として、携帯電話を購入してインターネットに接続ができるような契約をした場合、フィルタリングなんかは販売店も、さっき不十分だという笹木先生からの御指摘ありました、まだまだ不十分だとも思いますけれども、今現在、そういうフィルタリングを勧める、その説明をするということを行っているわけですが、そのときに、あわせて、こういう危険性がありますよ、こういう事件が起こっていますよというようなことも指導できる、何かそういうことはできないのかな。

 なかなか、これは販売店さんにお願いしても無理なのかもしれませんが、買うときに、一堂に、買う人に、何時何分からこういう講習があります、こういう危険性をお知らせするビデオがありますとか、説明がありますと言っても、買いに来る方々もそれぞれの御都合でその時間に集まってこられないと思うので、難しいのかもしれませんけれども、しかし、そういう窓口で、保護者と一緒に買いに来たときに、その保護者にも、また児童本人にもそういう注意を促していくというようなことはどうでしょうか、大臣、私の御提案でございますが。

泉国務大臣 具体的には、これからまた検討させていただかなきゃならない事柄だと思います。

 ただ、先ほど来、フィルタリングのレベルが低い、あるいは親の認識が不足しておる、こういうことも御指摘をいただいたわけでございますし、子供たち自身が、この問題が大きな要因を含んでおる、背後に大きな問題がある、こうした事柄に注意していただかなきゃならないと思いますので、一警察だけではうまくいかないと思います。文科省等々、多くの方々と一緒にこの問題に取り組んでいく必要があると考えております。

田名部委員 今、文科省さんとということでしたので、次に文科省さんにお伺いをしたいと思います。

 先ほども、学校現場における啓発、教育についてお話をされておりました。これに関しても、まだまだ不足だということでありましたが、私の手元にある資料で、「十八歳未満の人は出会い系サイトを利用できないことを知っていますか。」、その認知度を聞いた数字なんですけれども、十八歳未満が出会い系サイトを利用できない、これを知っている中学生は五五・三%、高校生は六六・二%。さらに、出会い系サイトへアクセスをしたことがある、その経験がある人で本当は利用しちゃいけないよと知っている人は七八・七%、アクセスの経験がない人で十八歳未満はだめだということを知っている人は五九%しかいない。このぐらいの認知度しかないんですね。

 これは非常に低い数字というか、知らないことが高い数字といいますか、こういったことを考えますと、先ほど大臣がおっしゃったように、連携をとって、学校機関の中でもしっかりとした啓発、教育をしていかなければならないし、出前講座みたいなものも実施をしていらっしゃいますけれども、これは、教育現場では今後どういう取り組みをして子供たちのモラルを高めていくのか、危機意識を高めていくのか、その方針を教えてください。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 近年の情報化の中で、情報活用能力をはぐくむということが非常に重要な学校教育の使命になっておるわけでございますが、御指摘のとおり、情報化の影の部分への対応ということがまた大きな課題となってきております。

 特に、他人への影響を考えて行動することができるようにするということ、あるいは危険な情報、あるいは有害な情報、御指摘のような携帯電話を通じた危険な情報あるいは有害な情報への対応、そういったことも含めまして、情報モラルを育成していく、情報に対処する能力を育成していく、こういうことが非常に大事であるというふうに考えているところでございます。

 文部科学省におきましては、こうした情報モラルについての学校における指導を充実させるために、モデルカリキュラムでありますとか、教師用のガイドブックでありますとか、あるいはセミナーの開催、ウエブサイトの作成といったことをやっているわけでございますけれども、その中で、情報の信頼性あるいは安全性、またネット上の誹謗中傷にどう対処するか、こういった問題も取り上げて、実践事例をまとめまして、教員の指導力の向上に資するように取り組んでいるところでございます。

 また、新しい学習指導要領の中で、情報モラルを身につけるということについて明記いたしまして、この新しい指導要領のもとでの情報モラルに関する指導を強化していきたいと考えているところでございます。

 なお、学校でコンピューターを通じてインターネットを利用する場合に、文部科学省といたしましては、各教育委員会等に対しまして十分な配慮をするように促しておるわけでございますけれども、一つは、フィルタリングソフトを導入すること、また、インターネットを子供たちが利用する場合に必ず教員の指導のもとで行うということ、そういったことを配慮するように指導してきております。フィルタリングソフトにつきましては、約九割の学校が導入しているという状況でございます。

田名部委員 学校の中で子供たちを指導していくに当たって、教える側、つまり学校の先生方がいかに早く現代社会の情報を知るか、そしてそれを踏まえて子供たちに教育をしていくかということは非常に重要だと思うんですね。

 いろいろな取り締まりが行われているんですが、次々とネットの中でもいろいろな隠語が出てきて、私なんかが見ても、これはどういう意味なのかなと。わからない、わからないけれども、そこを利用している子供たちはそれをわかって、その言葉を使って大人とやりとりが通じているということがあるわけで、ある意味、私なんかの方がずっとおくれているんだなというふうに思うわけですけれども、そういう情報を学校の先生方、指導する側もいち早く入手をして指導していかなければならない。そういったことを考えたときに、その取り組みについてはどのようなお考えでこれからなされていくんでしょうか。

前川政府参考人 御指摘のとおり、教員がその時代時代に追いつくための資質、能力を高めていくということ、これは非常に大事なことであるというふうに考えております。

 そのために、さまざまな手だてを私どもも講じているわけでございますけれども、一つは、これまでのような教育委員会主催という研修ではなくて、実際に生きて働いている方々と接して一緒に学ぶような研修の機会を設ける、あるいは最先端の社会状況について大学に赴いて大学の研究者とともに学ぶ、こういった教員の研修の機会というものを拡充していくということが非常に大事であるというふうに考えています。

 来年度から免許更新制というものが導入されるわけでございますけれども、その際に、教員は十年に一度、三十時間の講習を受けなければならないというふうになっております。その中で、最新の状況、子供たちをめぐる状況、こういったことについても学んでいくということを通じまして、教員が時代についていけるような、そういう手だてを講じてまいりたいというふうに考えているところでございます。

田名部委員 ぜひ、そういった民間で働いていらっしゃる専門家の知識も十分に取り入れていただいて、教育現場でも活用できるような体制をしっかりとつくっていただきたいというふうに思います。

 啓発、教育、子供たちのモラルの向上を図ることはもう基本中の基本で、言ってみれば、逆にそのこと以外に子供たちを守るすべはないのかなと思うぐらい私はこの教育ということに関しては重要だと思っております。これだけいろいろな情報がある中で、取り組んでいらっしゃる皆さん方の方がよく実感されているのかもしれませんけれども、やってもやっても次から次へといろいろなものが出てくるわけでありまして、ただ、そういう危険な情報の中からどうやって自分たちで身を守っていくのか。

 本当に、その子たちが十代でこういう被害に遭って、ネットの中での恐ろしさというのは、そのときにいろいろな被害、児童ポルノなんかがいい例ですけれども、それはいつまでも記録として残っていく。その子たちが二十年、三十年たったときにもそのときの被害がネットを開けばすぐ目に入ってくる。そういうことから守っていくためにも、また、子供たちがたくましくしっかりと自分たちで考えながら自分の身を守っていくための教育は、ぜひともここに十分に力を入れて今後も取り組んでいただきたいというふうに思います。

 また、アンケートの中で、十八歳未満の人の出会い系サイトの利用をなくすために、どうすれば利用がなくなると思いますかという中で、一番多かったのは出会い系サイトを有料にすればいいということで、その次が年齢確認を厳しくすればいいということでありました。

 この年齢確認について、今は十八禁となっていますけれども、すぐに中に入ることができます。今後の対策、何か取り組んでいらっしゃるということでしたので、今後どういうような方法で年齢確認をしていくのか、教えていただけますでしょうか。

片桐政府参考人 現在の利用者が児童でないことを確認する方法につきましては、国家公安委員会規則で定めておりますが、これによりますと、例えば利用者に年齢または生年月日を送信させる、あなたの年齢は幾つですか、または生年月日はいつですかということを聞いて答えさせる。また、このほかに、利用者にネット上の画面で児童でないことを問い合わせる、あなたは十八歳未満ですか、以上ですかということを聞いて、どちらかをクリックさせるという形でもいいという形になっておりまして、極めて簡易な自己申告で中に入っていけるという形になっているところでございます。

 しかし、他方で、相変わらず児童の被害が年間一千人を超えるという状態がずっと続いておりますのは、やはりこういった簡易な確認措置にも一因があるというふうに考えておりますので、何らかの形でこれを今後厳格化してまいりたいというふうに考えております。

 その方法でございますけれども、現在、同種の営業として、風俗営業適正化法の中に電話異性紹介営業というのがあります。これはいわゆるテレクラまたはダイヤルツーショットと呼ばれる営業でございますけれども、この利用者の年齢確認方法として、風営法は、これは規則でございますけれども、どう決めているかと申し上げますと、有料サイトであれば、クレジットカードによる支払い等、十八歳未満の者が利用できない方法で利用料金等の支払いを求める方法、それからまた、ファクス等で運転免許証等の必要部分、これは生年月日とか年齢の部分でございますけれども、ここを送付させるという方法、こういったことを定めております。

 したがって、今後、出会い系サイトにつきましても、こういった方法も参考にしながら、今よりは厳格化させるという方向で検討してまいりたいと考えております。

田名部委員 ぜひそこも厳しく規制をして、だれでも簡単に入れるようなことをせずに、入り口できっちり防いでいくというところにも力を入れていただきたいと思います。

 大臣が十時四十分きっちりに出なければいけないということで、時間が四分しかなくなりました。大臣を足どめしないためにも、最後の質問に入っていきたいと思うんです。

 これまでは、どうやって被害を防止するかということ、教育に関して、また入り口の部分に関して。ただ、被害に遭った子供たち、また犯罪を犯した子供たちに対するカウンセリングやケアというものは、これもまた非常に大事なことだと思うんですけれども、前回、法律が定められたときの附帯決議の中にもあるんですけれども、「本法第六条に違反した児童の処遇にあっては、児童の心身の状況、その置かれている環境等に応じた相談、指導等必要な保護のための体制の充実強化に努めること。」これは衆議院において決定がされました。また、参議院においても、「当事者となった児童に対し、その心身の状況、生育・生活環境等に応じた適切な相談、指導等の保護を与える体制を速やかに充実強化するよう努めること。」というふうになっております。

 きのう、いろいろ伺ったんですけれども、ここには、私ちょっと体制が不十分だというふうに言わざるを得なくて、捕まえるときには警察の皆さんが捕まえて、その中で第一次的にカウンセリングというか、子供たちと会話をする中でカウンセリング的なものもあるんだろうと思います。

 ただ、そこから先は、家庭裁判所に送致をされる、その家庭裁判所の中で調査官が子供からいろいろな事情を聞くときにカウンセリングやケアが行われているんではないだろうかという話でありました。しかし、家庭裁判所から伺いますと、カウンセリングの目的で調査をしているわけではないので、それは情報の収集であり、カウンセリング的なものも担っているかもしれないけれども、それが目的ではありませんということでありました。

 その後、その処分、処遇が決まるわけですけれども、保護観察になったらまた保護司の皆さんがいろいろなケアをしなければならない。ここになるとまた法務省の管轄になるわけで、そこから先、家庭に問題があるのか何なのか、家庭に帰されたときにそれはまた児童相談所とも連携をしなければならないかもしれないし、文部科学省さんの学校教育現場の中でも連携を図らなければならない。この連携がしっかりとれていないんじゃないかということを、私、きのう、それぞれの担当の役所の皆さんに伺って強く感じたんですね。ここはどこが主体となってこの連携を強化して子供のケアをしていくのか。ここの附帯決議に書かれてあることが実行されていないんじゃないかというふうに思いました。

 質問の方が長くなってしまいました。大臣、ちょっと時間がなくなりましたが、ぜひそのことについてお答えください。

泉国務大臣 インターネットが国民生活の中で大変重要な役割を果たしておる、これからももっと重要になるかもしれない。しかし、その影の部分で御指摘のような子供に対しての大きな被害が出ておるというわけで、児童をどうやってケアしていくかということは、附帯決議もいただいておりますように、大変重要なことだと思っております。

 やや通り一遍のお答えになる嫌いもありますけれども、例えば調査の段階から女性の警察官に担当してもらう、あるいは少年補導員を当てて児童の心理を、心を開いていく、まずこういう対応をして解きほぐしていくということで警察としては当たっておるところでございます。

 さらに、学校や家庭に問題を抱えて非行に走ったという例もこれは決して少なくないわけでございまして、そうした家庭にあっては、立ち直りの支援を進める。したがって、そこには家庭訪問等の役割も大きな意味があると思っております。さらに、少年サポートセンター、こういうところで、専門の心理学の先生方のお力をおかりしまして、できるだけきめ細かな対応を図っていきたいと考えておるわけでございます。

 お話にございました児童の要保護性ということに留意をしまして、家庭裁判所あるいは児童相談所、さらにはそうした関係の方々との情報交換をやっていくという、やや抽象的なことで恐縮でございますが、被害を受けた子供さん方への対応については、これまでとは少し違った対応をしなければならないのではないかと思います。

 今までは被害に遭わないことに全力投入をいたしておりますので、それでも出てくる被害児童に対してどうするかというのは、新たな視点から、また附帯決議もいただいたことも踏まえて対処してまいりたいと思います。

田名部委員 時間が参りました。

 子供たちの心のケアをすること、そして再発防止という観点からも、それぞれの省庁の垣根を越えて情報を共有して、どういった家庭環境にあるのか、どうしてこういう事件が起こってしまうのか、起こしてしまうのか、そのことをしっかりと調査して、分析をして、そのことを共有しながら連携を図って、子供たちの被害を、命を、しっかりと皆さん方の力で守っていただきたいと思いますし、そのことには私どもも一緒になってしっかりと子供たちを守っていきたいというふうに思います。

 きょうはありがとうございました。

玄葉委員長 次に、江崎洋一郎君。

江崎(洋)委員 自由民主党の江崎洋一郎でございます。

 引き続き、出会い系サイト規制法改正案につきまして質疑をさせていただきます。

 泉大臣、御退席でございますので、どうぞ、いらっしゃってください。

 本日は、お忙しい中、佐藤総務副大臣、また池坊文部科学副大臣にもおいでをいただきました。お忙しい中、御出席まことにありがとうございます。

 インターネットにおきましては、国民生活の利便性を向上させ、社会経済の根幹を支えるインフラとしての機能、国民生活にとりましてプラスの面があるわけでございます。しかしながら、一方で、きょう議題になっておりますような問題もあり、わいせつ画像、児童ポルノ、殺人の請負、集団自殺の呼びかけ等の違法情報や有害情報がインターネット上にはんらんするといったマイナス面も持ち合わせているわけであります。

 携帯電話やパソコンの普及によりまして、こうしたインターネット上の情報に子供が気軽にアクセスできる状況でありまして、子供の健全育成に悪影響を与えることが憂慮されるわけでございます。また、インターネットに起因した児童の犯罪被害も憂慮すべき状況にあるわけであります。

 先日発表されました文部科学省の学校裏サイトに関する実態調査結果によりますと、約四万件の学校裏サイトがあったとのことであります。四万件といっても、確認ができたというものでありまして、恐らくこれがすべてではないと思っております。そのうち二千件のサイトの書き込みを調査したところ、きもいですとか、うざい、ちびといった誹謗中傷する書き込みを含むものが五〇%もあった。また、死ね、殺す等の暴力表現を含むものが二七%もあったと伺っております。

 出会い系サイト規制法の改正では、出会い系サイト事業者に対しまして届け出や削除等の義務を課すなど、事業者に対する規制を強化するとのことでございますが、これは児童被害の防止に一定の効果が望めるものではないかと考えているわけでございます。

 一方、このような法規制だけでなく、警戒心が乏しく判断力が未熟な子供にインターネットの危険性を教えるといった情報モラル、情報リテラシー教育や、保護者や教師に対する啓発が重要だというふうに私は考えております。現在でも、学校ではパソコン教育に力を入れているわけでございますが、同時に、こういった情報リテラシーも強化していくことが大事なことではないかと考えるわけでございます。

 この情報モラルあるいは情報リテラシーについての授業をカリキュラムに組み入れていくなど、公教育に取り入れることが必要ではないかと考えております。既に同様の質問が前段の質問者の方からも出ておりますので、詳細な答弁は求めませんが、副大臣にせっかくおいでいただきましたので、御決意の胸をぜひお聞かせいただきたいと思います。

池坊副大臣 三月二十八日に告示いたしました小学校、中学校の新学習指導要領の中にも、今まで入っておりませんでした情報教育について、コンピューターや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切に活用できるようにするための学習活動を充実する、情報モラルを身につけるなどとしっかりと書き込んでございます。

 今、急速に情報化が進んでまいりましたので、私も、子供を守り育てる体制づくりというのをずっと立ち上げまして、裏サイトに関しましては、その対策に力を注いでおります。

 では、今どういうことをしているのかというと、お聞きになりましたように、まずは教師に向けての情報教育というのをいたしております。自己評価、教員がどれだけ、ICT活用指導力の評価が自分に対してどうですかという中にございまして、情報モラルなどを指導する能力というのが六二%でございます。ですから、先生自身がまだ指導するだけの能力、知識がないというところも現状ですので、これから文部科学省は率先して、まずは先生方への情報リテラシー、情報教育というのを徹底させて、道徳の時間などに、子供たちに情報が持つ光と影とを教えていきたいというふうに思っております。

江崎(洋)委員 そうですね。今おっしゃっていただきましたように、保護者の方あるいは先生方にしっかりと教育する場を設けていただくということが大事であるかと思っております。

 その点で、実は、総務省さんが、事業者団体やドコモなどの通信事業者の方々が講師となられて、これらを派遣して、インターネットの安心、安全な利用を啓発するe―ネットキャラバンという活動をされていると伺っております。事業者がこうした広報啓発活動を行うことは大変よいことであると私は思っております。

 今後一層、事業者による積極的な協力を得て、このe―ネットキャラバンなどを活用しながら、また学校現場でもぜひ取り入れていただきたいと思いますが、総務副大臣、このe―ネットキャラバンの実施状況と今後の展開について教えていただけますでしょうか。

佐藤副大臣 今、先生がおっしゃられたとおり、e―ネットキャラバンを立ち上げているところでございます。通信事業者団体とともに、文科省とも連携をいたしながら、保護者、教職員及び児童生徒を対象にしたインターネット安全、安心利用に向けた啓発講座であることはおっしゃるとおりであります。

 e―ネットキャラバンを平成十八年の四月から全国で実施しているところでございまして、平成十八年度には四百五十三件、平成十九年度には千八十九件の講座が開催をされておりまして、着実に実施件数は増加をしております。

 受講者の累計でありますけれども、約十七万人の方々に受講をいただいているところでございまして、それに対するアンケート等々もとらせていただいたことによれば、九割以上の方が講座の内容が役に立つという回答をいただいているところであります。

 これからも、講師の派遣など、先生がおっしゃられたように、通信関係事業者から主体的に参加をいただいているところでありまして、総務省といたしましては、今後とも支援をしていきたいというふうに思っております。

江崎(洋)委員 本当に私も、子供の教育も大変重要でございますが、同時に、保護者の方あるいは先生方への教育、情報リテラシーの向上というのが大変喫緊の課題になっているのではないかと思っております。

 とかく、まさか自分の子供に限ってとか、まさか自分の生徒に限ってということがちょっとしたすきをつくって、事件に巻き込まれてしまうようなきっかけを与えているというのは言い過ぎでありますが、逆に、子供たちを守らなきゃいけない皆さんの立場、危機意識が少し欠けているのではないかという心配もしているわけでございます。

 ぜひ、e―ネットキャラバン等々、事業者の自主的な取り組みも含めて活用いただきまして、保護者も教師も子供たち並み、あるいはそれ以上に、インターネットあるいは携帯を通じた情報をいかにとっていくかということをよく知っていただくような環境整備をしていただきたいと思います。

 私の地元の方でも、e―ネットキャラバンあるいはドコモのこういった教室が開かれまして、やはり参加された御父兄の方に大変評判がよかったわけでございます。今、十七万人の方々が経験されたということでございますが、もっと多くの方々に経験をいただいて、また、副大臣、父兄会ですとか保護者会、あるいは先生方におかれる講習会でも、これらにつきましてぜひ取り入れをいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

池坊副大臣 e―ネットキャラバン、もちろん総務省と連携をとりまして、保護者、教員の研修にも使っておりますが、それとともに、私たち文部科学省においては、家庭教育手帳というのをつくっております。これは三段階において、母子手帳とともに、小学校に入るときに、小学校五年生に、すべて保護者に配っております。この中に、携帯電話やパソコンの使い方、また情報モラルについて家庭で話し合いましょう、家庭の中でルールをつくりましょうというようなことも書かれておりまして、今おっしゃいますように、子供のメール等はまずは保護者がしっかりすることが必要でございますので、これからも、折に触れて保護者への啓蒙を進めてまいりたいと思っております。

江崎(洋)委員 ありがとうございます。ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 次に、出会い系サイトの方の法律に戻りますが、出会い系サイトの利用に起因する犯罪としては、昨今では、例えば九州において、マスコミ関係者が出会い系サイトで知り合った女子高生を誘拐し、集団強姦するといった凶悪事件が発生しているわけでございます。そのほかにも、出会い系サイトを利用した児童が被害者になる、強姦あるいは殺人といった凶悪事件が残念ながら相次いで発生しているという状況でございます。

 こうした凶悪事件の被害から児童を守るためには、児童による出会い系サイトの利用を防止する必要があるというわけでございます。先ほど警察からお答えがありましたが、児童でないことの確認、これも徹底してしっかりやっていただきたいと思います。

 そして、今回の改正におきまして、出会い系サイト事業者に対しまして、届け出や削除等の義務を課すなど、事業者に対する規制を強化するポイントもございます。この法改正によりまして、児童の被害防止にどのような効果があると考えておられるのか、警察庁の方からお答えいただきたいと思います。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正によりまして、今御指摘ございましたように、新たな規制として、届け出制をしき、また欠格事由を設け、それによって事業の停止命令をかけるとかまた廃止命令をかけるといったようなことも予定をしております。また、出会い系サイト事業者に対して、自分のサイトに違法な情報があった場合には削除するという義務も創設をするということになっております。

 これによって、出会い系サイト事業者によるところの児童の被害防止が相当進むと私どもは考えております。また、不適格な事業者の排除が進んでいくというふうに考えているところでございます。

 あわせまして、先ほども申し上げましたように、出会い系サイト利用者の年齢確認方法、これを規則によって厳格化をしたいというふうに考えておりまして、これによって児童の被害防止に相当な効果があるというふうに私どもは考えております。

江崎(洋)委員 ぜひ徹底した取り締まりをお願いしたいというふうに思っております。

 インターネットに関しまして、業界関係者からは、とかく違法情報につきまして、海外サイトを含め、違法情報であっても放置されている、あるいは書き込んだものを取り締まるべきだという意見も多く聞かれるわけでございます。しかし、取り締まり当局、警察からは、インターネットの特徴である匿名性ゆえに犯人の特定が困難であり、その特定にも相当の期間を要するというふうに伺っているわけでございます。

 インターネット上の違法情報の取り締まりについては、現在どのように行っておられるのか、また、その困難性や、捜査をスピーディーに行うことが難しい理由について警察庁の方から教えていただきたいと思います。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 一般にサイバー犯罪の特徴として、今委員御指摘のように、一つは、匿名性が高いという問題がございます。あと、二つ目には、痕跡が一たん消えてしまうと残りづらいという問題があります。それからまた、地理的、時間的制約を受けることなく短時間の間に多数の被害を及ぼすといったようなことが挙げられているところでございます。

 まず、取り締まりの前提でございますけれども、そのためには違法情報の実態の把握がどうしても必要でございますけれども、そのために実際どうしているかと申し上げますと、警察がみずから、職員みずからサイバーパトロールを行って把握をするとか、またインターネット・ホットラインセンターからの通報を受けて実態を把握するとか、また一般の方々からの直接の通報によって違法情報を発見するとかいうふうなことがございます。

 しかしながら、ネット上の違法情報の数は極めて膨大でございまして、そのすべてを網羅的に把握するということは困難でありまして、すべてについて捜査をすることができるというわけではないということでございます。

 次いで、書き込んだ被疑者を特定していくことになりますけれども、そのためには、通信ログ、通信記録、いわゆるログの解析がぜひとも必要でございます。しかしながら、ログがそもそも保存されていないといったケースもございますし、また、保存されていても、保存期間が既に経過していて消去されてしまっているということがありまして、こういった場合には捜査が行き詰まってしまうということになります。また、ログの解析によって発信元のコンピューターがある程度特定されましても、それがインターネットカフェであったり、また無線LANの無断使用であったりということになりますと、そこから先の捜査が困難になるということでございます。

 こうした困難な事情はございますけれども、警察としましては、悪質な事犯に重点を指向して、違法情報の取り締まりを推進しているところでございますけれども、何より大事なことは、違法情報をネット上から駆逐する、なくしていくということが極めて重要でございまして、そういった意味で、関係省庁とも連携をしながら、そういった対策を進めてまいりたい。その一環として、警察庁としては、インターネット・ホットラインセンターを設立するなどして、違法情報を早期に削除すべく今対策を進めているという状況でございます。

江崎(洋)委員 そうですね。ぜひ違法情報の徹底した取り締まりをしていただきたいと思いますが、この青少年特別委員会におきましても、出会い系のみならず、現在、インターネット上の違法・有害情報から児童を保護するための法制度についても各党で検討を始めているところでございます。違法・有害情報につきましては、インターネット上に掲載されないことが第一でありますが、仮に掲載されてしまったら、すぐ削除するなどして児童等が閲覧できなくすることが大事であるというふうに感じるわけであります。

 当然、違法情報につきましては、掲載した者を検挙すること、警察でも回答ございましたが、これが重要でありますが、被疑者の検挙までに相当な日数を要し、また、仮に被疑者を検挙できたとしても、その被疑者が掲載した違法情報が削除されるわけではない、ここが問題であるわけであります。掲載されてしまった違法・有害情報につきまして、プロバイダー等によって迅速な削除、特に児童の目に触れないような措置がなされる仕組みが大変重要ではないかと感じている次第でございます。

 この点につきまして、総務省において、プロバイダー有限責任法を制定しまして、プロバイダーが削除しても投稿者から民事責任を問われないようにするなど、削除が促進するよう支援してきたと承知はしてございます。また、サイトの開設者は、投稿者との間で、違法情報や公序良俗に反する投稿がなされた場合に、これを削除することを内容とする利用契約を結んだ上でサイトの利用を認めるといった運用を行っていることも承知してございます。

 しかしながら、インターネットが普及して、インターネット情報に児童が触れる機会が増加し、一方で、違法・有害な情報がインターネット上ではんらんし、児童の目に触れやすくなっているのも事実であります。

 サイト開設者やプロバイダーの方々の中からは、違法・有害情報の削除については、いっそ義務づけられた方がいい、義務となっているから削除せざるを得ないと投稿者にも抗弁できる、また削除しても投稿者とのトラブルとならずに済むといった意見も聞きます。こうした情勢を踏まえて、違法情報に関しては、投稿者について徹底した取り締まりを行うとともに、プロバイダーやサイト開設者に迅速にこれを削除することを義務づけるといった制度を創設することを今後考えていくべきではないかなというふうに感じる次第でございます。

 そして、出会い系サイトに関しましては、今回の改正案により対策を講じることになりますが、出会い系サイトに限らず、男女間の交際を目的としないサイト、例えば趣味サイトと称する怪しげなサイト、趣味そのものはいいんですけれども、趣味サイトと称する違う目的で使われるサイトもありますし、また、掲示板も同様にあるわけでございます。見知らぬ者同士がやりとりすることによって、犯罪被害に遭うことが懸念されるわけであります。また、いわゆるやみの職安と呼ばれるような、犯罪者を募集するサイトまであるわけですね。ここで知り合った男によって愛知県在住のOLの方が殺害されるという残念な、大変悲劇的な事案も発生しております。

 インターネット上で犯罪者を募集したり爆弾のつくり方を紹介するといった犯罪の方法を教えるといった行為は、一般に、これだけでは違法と認められないということであります。いわゆる違法情報に該当しません。しかし、インターネットに係る犯罪被害の対策については、次から次に問題が出てくるから、イタチごっこでありますが、これからもどんどん拡充していくべきだというふうに考える次第でございます。

 今回、出会い系サイトに限らず、児童によるインターネットの利用について、この法案で終わりでなく、またさらに進めていくということを強く求めたいと思っております。現在、各党でも法整備のための議論が行われているところでありますが、法の制定及びその施行に当たっては、政府にもぜひ御協力をいただきたいと思います。

 時間が参りましたので、私からの質問は以上とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

玄葉委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部改正法案、いわゆる出会い系サイト規制法改正案について質問してまいります。

 出会い系サイトを利用した犯罪の被害者児童数、平成十五年にこの規制法が施行され、一たんは減少いたしましたけれども、平成十八年に再び増加をいたしまして、昨年は一千百人となっております。また、平成十九年の出会い系サイトに関連した事件の被害者数が一千二百九十七人、その九六・八%はやはり携帯電話を通じて出会い系サイトにアクセスをしております。

 こうした出会い系サイトを利用する児童被害を防止するために今回出会い系サイト規制法を改正することとなったわけでございますけれども、この法律について、出会い系サイトに限定したフィルタリングであるものの、フィルタリングに関する規定が法律上初めて明記をされたということは大変意義深いというふうに考えております。

 今回の改正を踏まえまして、フィルタリングの普及促進や出会い系サイトの利用に起因する児童被害の防止に一層前向きに取り組んでいただきたいと思いますけれども、まず初めに、国家公安委員長、戻られましたので、これに関しましての御決意をぜひ伺いたいと思います。

    〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕

泉国務大臣 中座をいたしまして申しわけございません。

 インターネットに起因します犯罪から子供を守るということは、今回の法改正の施行によりまして万全を尽くしたいということは当然の思いでございます。児童買春、児童ポルノ法違反あるいは青少年保護育成条例違反等の取り締まりの推進は、これは当然やっていかなきゃならないと思っておりますし、またフィルタリングの普及促進に向けた非行防止教室の開催、このこともあわせて考えなければならないと思っております。

 さらに、違法・有害情報の削除、あるいは、出会い系サイトではないが児童被害が発生しているサイト、いわゆる出会い系サイト以外のサイトにつきましても自主的な被害防止のための取り組みが必要であると考えておるわけでございまして、いろいろな事柄をやっていかなければこの問題は解決しない、一事だけで問題が解決するような事態ではないと思っておりまして、関係機関と連携をしながら、子供が犯罪被害に遭うことなく、安全に安心して生活ができるように、そしてまたインターネットを活用できますように、そうした社会を目指して努力をしてまいる所存でございます。

古屋(範)委員 ただいま国家公安委員長からも万全を尽くすという強い御決意を伺いました。まさに国を挙げてこの問題に取り組んでいかなければいけない時代になっているという気がいたします。ぜひ、委員長を先頭に、この児童被害の防止に全力で取り組まれることを再度希望しておきたいと思っております。

 次に、この出会い系サイトに係る問題だけではなくて、インターネット上の違法情報、有害情報一般への対策が重要でございます。児童の保護という観点からは、このフィルタリングは極めて有効であると考えております。

 十八歳未満の子供の携帯電話から有害サイトへのアクセスを制限するフィルタリングサービスの導入にようやく関係業界が本腰を入れ始めたのは、導入が進まないことに業を煮やした総務省が、昨年十二月に、総務大臣から携帯各社にフィルタリングの導入促進を図る取り組みを強化するよう要請したからではないかと思います。

 年初から各社ともに対応を始められまして、昨年からも、非常に業者によって温度差があるということも伺っておりましたけれども、利用もかなり進んできていると承知をいたしておりますが、総務大臣要請以後、このフィルタリングの利用状況についてどうなったか、この点お伺いいたします。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の十二月十日に、総務大臣の方から携帯電話会社の方へフィルタリングの導入促進の取り組み強化の要請をいたしました際に、あわせまして、社団法人の電気通信事業者協会にフィルタリングサービスの利用者数を取りまとめて定期的に公表するよう要請したところでございます。現在、同協会におきまして本年三月末の数値を取りまとめ中ということでございますが、昨年十二月の要請前に比べまして、フィルタリングサービスの利用者数は大幅に増加している模様であると聞いております。数値につきましては、来週にも公表する予定であるというふうに伺っております。

 総務省といたしましては、この要請に基づく取り組みが着実に行われまして、一層の導入が進んでいることを期待しているところでございます。

古屋(範)委員 来週にも結果公表ということでございますので、その結果を踏まえて、さらなる普及促進に努力されるよう、ここで再度希望しておきたいと思います。

 次に、池坊文部科学副大臣にお伺いいたします。

 副大臣、こうした携帯またネットの安全な利用に関しまして非常に精力的に取り組んでいらっしゃるということを存じております。業界側からフィルタリングを提供する仕組みはだんだんと整いつつあるようでございますけれども、実際に子供の携帯電話にフィルタリングが導入されるには、児童そしてまた保護者にフィルタリングの重要性を理解していただく必要があると思います。

 子供たちの大半は、携帯電話を通じてインターネットの世界と接しております。私も子供と同じ携帯の請求書が来るのですが、私と子供は利用の仕方が全く違っております。そこには、自殺や薬物などの違法行為を助長するサイト、またアダルトサイト、暴力的なサイト、果ては他人を誹謗中傷する有害サイトも数多く存在をしております。こうしたサイトを子供たちから遠ざけるフィルタリングの導入を促進することが私たち大人の責任であると考えております。今後は、子供たちと最も近いところにいる親、また教師のかかわり方も問われてくるものと思います。

 新しい便利な道具と考えている親や教師の世代とは違いまして、子供たちは、生まれたときからこの携帯電話やインターネットが身の回りにあった世代、受けとめ方の違いもあるかと思います。今回のフィルタリング導入の原則化につきましても、保護者の九割が必要としたのに対しまして、子供の八割が解除してほしいと答えている意識調査もございます。今後、親子の間で導入をめぐる議論がふえてくるということも予想されております。

 そこで、フィルタリングの普及促進について、教育という観点から、文部科学省の取り組みについて副大臣にお伺いいたします。

池坊副大臣 私が主宰しております、子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議の中においても、さまざまな角度から実態調査をしてまいりました。御存じのように、ことしの二月から、フィルタリングはつけなければいけない、携帯を買うときにそう言われるのですが、実際には、保護者と子供が参りますと、子供が親に向かって、僕を信用して、大丈夫だよ、使わないよ、だからこれはつけないでと言いますと、一つには子供に親が甘い、それからその危険性を知らないということで、では解除をしようかという例が結構多いんですね。時には、それで親子の間がぎくしゃくするから、子供の言うことを聞いてあげようということになってしまうということを聞きました。

 まずは、私は、保護者の方々にどれだけ携帯を持つことが怖いことなのか、これは使い方によっては光よりも十倍影がありますよということを知っていただかなければならないということで、一つつくりましたのは、「ちょっと待って、ケータイ」これは小学校六年生並びに保護者、先生の方々、地域住民にもお配りしているんです。携帯を持つ、何で必要なのということを、情報教育、情報モラル、リテラシーということです。それからもう一つ、「お父さん!お母さん!お子さんのケータイ・ネットの利用は大丈夫ですか?」御存じのように、ネットによっていじめが起き、そして自殺した高校生というのは、去年にございました。

 まずは、保護者への知識を植えつけること、危険性があるんだということをわかっていただくこと、それから、子供たち自身も、教育の中で、あるいは親との話し合いで、どう携帯を使うかというような取り決めを行う。また、学校もこの認識を持っていただきたい、地域の方々も協力してくださいということで、これはもう本当に学校関係者、いろいろな方々にお配りしております。私も事あるたびに、教育長の集まりだとか、あるいはテレビなどでもこの啓蒙をいたしておりますので、またどうか皆様方も、地域社会にこういうことも言っていただけたらと思います。

 文部科学省だけでなくて、本当に総務省とか警察庁との連携が必要だと思います。そして、ネット安全安心全国推進会議などを通じまして、これからもきめ細やかに、しつこいほどこれはしていかなければならないと思っておりますので、啓蒙をしてまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 ただいまのお答えの中で、文部科学省としても全力で取り組まれている様子が伝わってまいりました。やはり親の毅然とした態度というのが大事だと思います。その親への教育というものは、やはり学校でしていくのが一番の近道ではないかと思っております。今後とも、ぜひ総力を挙げてそれに取り組まれることを期待しております。ありがとうございました。

 次に、これまで、政府ですとか、また関係業界の御努力によりまして、ある程度普及が進んできたということは大変いいことでございますけれども、現状のフィルタリングが、遮断される範囲が広いなどの混乱も一部生じていると聞いております、先ほどもございましたけれども。また、この違法情報、有害情報対策にフィルタリングはやはり極めて有効でありますので、政府には、民間の活動ともしっかりと連携をしながら、フィルタリングの利用が後退しないよう、引き続き御努力をお願いしたいと思っております。

 そこで、総務省に、フィルタリングの普及に向けた今後の取り組みについてどのようにお考えか、お尋ねいたします。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生が御指摘になりましたように、現在、携帯電話事業者により提供されているフィルタリングサービスにつきましては、制限される情報が広範囲かつ画一的で、青少年に有害でないサイトまで利用できなくなってしまいまして、かえって普及の妨げになってしまうという指摘がされているところでございます。その改善が課題であると認識しているところでございます。

 総務省では、現在、インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会を開催しておりまして、そこで携帯電話等のフィルタリングサービスの改善方策等について御検討いただいているところでございますが、具体的には、利用者からの個別の判断により閲覧できる範囲を選択可能とすること、また、民間の第三者機関において、青少年にとって有害でないサイトを認定して、携帯電話のフィルタリングで閲覧可能とすることなどについて検討しているところでございまして、四月の二十五日には中間取りまとめを予定しているところでございます。

 総務省といたしましては、今後、中間取りまとめを踏まえまして、よりよいフィルタリングの実現のために努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

    〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕

古屋(範)委員 ぜひ、こうしたフィルタリング技術の向上というものに、今後ともしっかりと取り組んでいただきたいというふうに考えております。

 最後の質問になりますけれども、インターネット上の違法情報、有害情報の対策として、フィルタリング以外にも、インターネット・ホットラインセンターが設けられております。当委員会でも視察に行かせていただきました。少ない人数で非常に多くの業務をこなしていらっしゃる、その様子も拝見をいたしました。非常に社会的に意義のある活動であると考えます。いらっしゃる方々も、毎日毎日そういった情報を目にしなければいけない、非常に精神的にも大変な仕事であるというふうに思います。インターネット上には、膨大な量の違法情報、有害情報がはんらんをしているところでございまして、その体制は必ずしも十分でないというのが現状かと思います。

 そこで、このインターネット・ホットラインセンターの活動実績、及びこれに対して警察庁がどのような支援を行っていかれるのか、今後の見通しも含めまして、お伺いしたいと思います。

片桐政府参考人 お答えを申し上げます。

 インターネット・ホットラインセンターは、御承知のとおり、一般の方々、インターネット利用者の方々から、違法情報とか有害情報に関する通報を受け付けまして、これを選別の上、サイトの管理者とかプロバイダー等への削除依頼を行っているという団体でございます。警察庁の委託事業として、平成十八年六月から運用を開始しておりまして、財団法人インターネット協会がこれを受託しているという状況でございます。

 通報件数でございますが、毎年ふえておりまして、平成十九年中は、八万五千件弱の通報を受理いたしております。うち、違法情報が一万二千八百件余り、有害情報が三千六百件余りでございます。これの違法情報は、警察に通報するとともに、削除依頼を行っておりますけれども、削除依頼を行った結果、削除率が、違法情報では八五%弱、有害情報では七五%弱ということになっているところでございます。

 なお、これ以外にも、ガイドライン上、違法情報、有害情報に分類はしておりませんけれども、名誉毀損であるとか誹謗中傷であるとか、また知的財産権を侵害するとかいったような情報もございますけれども、こういったものも、それぞれ関係機関、団体に通報をしているということでございます。

 このほかに、国際的な活動として、違法情報が海外のサーバーに蔵置されている場合について、外国におけるホットライン相互間の連絡組織でありますINHOPEというのがございますけれども、ここに加入をしておりまして、これを通じて外国のサーバーの中にある違法情報の削除を求めているという活動も行っております。

 ただいま申し上げましたとおり、インターネット・ホットラインセンターで受理する通報件数は年々ふえておりまして、例えば、月平均でならして御説明申し上げますと、平成十八年中は四千百五十八件であったのに対しまして、平成十九年中は七千八十件ということで、約一・七倍にふえているということでございます。

 こうしたことから、ホットライン業務の迅速化、効率化、また職員の負担軽減を図っていく必要があるということで、平成二十年度予算、今年度予算におきまして、対前年比二千五百万円増の一億二千百万円を計上いたしまして、昨年度に比べて五名を増員して、センター長以下十五名の体制で運用するように今しているところでございます。

古屋(範)委員 インターネット・ホットラインセンターは非常に機能しているという現状でございます。私たちといたしましても、ここの強化を訴えてまいり、五名増員という予算を獲得しているところでございます。

 今後とも、こうしたセンターに限らず、こうした公益性の高い活動が広がりますよう、関係省庁においても御配慮いただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、高井美穂さん。

高井委員 民主党の高井美穂と申します。本日は、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 本法案、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部を改正する法律案ということで、いわゆる出会い系サイト規制法というのは、ある意味で、出会い系サイトに限ってですけれども、インターネット上の情報を規制するという意味では初めての法案であったというふうに思っています。さまざまな努力の結果この法案ができたわけでございますが、私、今、民主党の違法・有害サイトの方の事務局長をやっておりまして、本法案を大変参考にさせていただきました。

 先ほど来から、多くの委員の皆様からも、今ネット上にはびこっているいわゆる違法・有害情報に対して多くの懸念の声がありましたし、泉大臣もさまざまな決意のほどをおっしゃっておられるというふうに感じています。

 実は、当委員会で、私、二年前に、フィルタリングのことについて御提案を申し上げました。そのとき以来、急速に、フィルタリングについて、総務省の皆さんからの業務指導に基づいて、今普及が一挙に進んだような感がいたします。

 ただ、そのときの反省にも基づき、当時はやはりフィルタリング、今ももちろん大事な機能だと思ってはいるんですが、先ほど来、総務省の政府参考人の方もお答えになっておられるとおり、さまざまな問題がございます、精度の低さ、本当に健全なサイトまでかかってしまうという問題等、多くのフィルタリングの精度の問題があることも含めて。ただ、そうとはいえ、関係事業者の皆さんやさまざまな団体が多くの取り組みを今違法・有害サイト対策としてやっておられる中で、やはり立法府としても何らかの後押しをするような、今やっている取り組みを後押しするような枠組みというのが必要なのではないかという問題意識でPTの方をさせていただいております。

 そういう気持ちに基づきまして、まず、通告に従ってお聞きをしたいと思っているんです。

 今回の本法案の立法趣旨は、出会い系サイトを利用して児童を性交の相手方となるよう誘引する行為を禁じるとともに、児童による出会い系サイトの利用を防止するという二つの大きな意味があるというふうに思います。

 一つ懸念いたしますのは、やはり後者の部分、児童を犯罪から守るという点の取り組みの部分が本法案の中では少し弱いのではないかというふうに感じておりまして、出会い系サイトを営む事業者に絞って規制対象としておりますが、違法・有害情報はネット上に今もたくさんはびこっているわけでございます。それに対して危機感を持っておられる、取り組みをなさっておられることを、先ほど来さまざまな委員の質問の中でも大臣お答えになりましたけれども、その決意のほどは先ほど来お聞きしましたので結構ですが、さらに加えて、違法と言われるサイトへの取り締まりに対する決意等も含めておっしゃっていただければというふうに思います。

泉国務大臣 インターネット上の違法情報を取り締まるということにつきましては、本来、インターネット上の情報交換に有益な部分にも影響が出るのではないか、こういう声があることを私は承知いたしております。

 しかし、今日の児童に対する大変大きな被害が出ておる状況を見ますと、これは若干言い過ぎかもしれませんが、少しぐらい踏み込んでも、この問題に対処する姿勢が、今、日本社会には求められておるのではないか、こんな思いを持っております。

 ですから、私は、就任をさせていただきましたときにも、この問題、あるいはいずれまた衆議院でもお諮りをしなければならない暴力団の問題、こうした事柄に取り組ませていただきたいと思っておりますので、けさほど来の各委員のお話をしっかりと受けとめてまいりたいと思っております。

高井委員 踏み込んだ御発言、ありがとうございます。

 先ほど江崎議員からも御質問がございましたけれども、いわゆる違法情報を掲載するということの犯罪要件に対してちょっとお聞きをしたいんです。

 先ほど来、サイバー犯罪を取り締まることの難しさ等も御答弁ございました。それを踏まえた上で、違法といっても、掲載しただけで取り締まりの対象となるものと、それが実行に移されたら犯罪となるけれども、掲載しただけでは取り締まることができないものとあるというふうに思います。

 とりわけ、先ほど来指摘があった、やみの仕事人の件、犯罪請け負います、人殺し請け負いますという募集そのもの自体は掲載されていても違法ではないですよね、いわゆる有害サイトという方に認定されるんだろうと思うんですけれども。私なんかの普通の感覚からすると、人殺しやりますというのを書いただけで、請け負いますと書いただけで犯罪になるんじゃないかと思っていたんですね。しかしながら、それは掲載されているだけでは違法ということにならない。つまり、取り締まりはできないということになると思います。

 そういう意味では、刑法上というのは、いわゆる罪刑法定主義というんでしょうか、あらかじめ法律で定められた犯罪行為しか捜査ができない、つまり、頒布や掲示しただけで犯罪であるというふうに定められている行為だけしか犯罪として認められなくて、捜査はできないということだと思うんですけれども、こういう認識でよろしいのか。その違いをもう少しわかりやすく説明していただければと思っています。

片桐政府参考人 何をもって違法情報というかというお尋ねでございますけれども、観念的に申し上げますと、ある情報をネット上に掲載すること、すなわち不特定多数の人の目にさらすこと、そのことが一定の犯罪の構成要件に該当するならば違法情報、該当しないけれども公序良俗に反するとかいう場合には有害情報というふうに分類をいたしております。

 例えて申し上げますと、児童ポルノとかわいせつ物、これは公然陳列する行為自体が犯罪でございますので、ネット上にアップしますと、そのときに公然陳列となりますので、これは違法ということになります。また、薬物等の広告の規制がございますけれども、薬物について広告する文言をネット上に掲載すれば、これまた広告行為になりますので、これは直ちに違法ということになるわけでございます。

 他方で、殺人を唆すとか、それからまた助けるとか、幇助するとかいう行為は独立して犯罪とはされておりませんので、単にそういった助けますとか、唆すとかいう行為があっただけでは犯罪とはならないということで、これは違法情報とはならないわけでございます。

 また、殺人予備はどうかということでございますけれども、ネット上にそういうことを掲載するだけで予備に当たるということは、なかなか判断として難しいのではないのかなというふうに思います。

 また、自殺につきましても、自殺の幇助、教唆がございますけれども、これは自殺行為が行われて初めて犯罪になりますので、教唆、幇助だけでは犯罪ではない。したがって、違法情報とはならないということになります。

高井委員 ありがとうございます。

 今御説明があったように、取り締まるといっても、極めて難しい問題もそういうふうにあるのではないかと思います。

 そういう意味でも、私は、やはり唯一、小さい立場の人を守るという意味で、フィルタリングを促進していくというのはすごく大事なことだと思っておりまして、その点からも次の質問に移りたいと思うんです。

 ちょっと申しわけないんですが、総務省さんに先にもう一点、フィルタリングの重要性を考えるその立場から質問を申し上げたいんですけれども、やはり幾ら国内法を規制しても、海外発の情報には対応しようがありません。そして、海外発の情報に対して何らかの措置はとれると考えておられるのか。これは警察庁にお聞きした方がいいのかもしれませんけれども、ごめんなさい、適当な方にお答えをいただければと思うんですけれども、どう対応していかれるつもりなのか、海外発の情報に対しての対応について、お答えを願いたいと思っています。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる海外サイトに投稿されております違法・有害情報につきましては、海外の事業者が管理しているサーバーに情報が置かれているということで、この海外の事業者は日本の法律の適用を受けない、また、これに対して国内のプロバイダーが有効な対応を行うということも困難であるということだと承知しております。

 他方、受信者側で情報の取捨選択を可能とするフィルタリングというものは、海外からの違法・有害情報に対しても有効な対策と認識しておりまして、総務省といたしましては、関係機関あるいは業界とも連携いたしまして、フィルタリングの改善ですとか導入促進に努めてまいりたいというふうに考えております。

高井委員 今、武内さんがおっしゃったとおり、やはり海外発の、もうパソコン一つあれば、例えば中国に移してそこから発信する、海外だと日本の本法案に言うところの届け出をしなくていいわけですから、そこにはもう手が届かない。いろいろな国際的な取り組みもあるというふうに先ほど来お答えがありましたけれども、実はやはりそういうふうに抜け穴というのがありまして、そういう意味では、何といっても、先ほどおっしゃったように、フィルタリングをきちんとしていく、精度を上げていくということは、当面の、犯罪に巻き込まれる人を減らすという意味でもすごく大事なことだと思っております。

 次に、その点についても踏み込んだことを質問したいんです。

 政府においても、総理のもとにIT安心会議を設けておられます。その中に違法・有害サイトの対策についても細かく書かれていますけれども、まず、これを主管する省庁はどこで、まあ内閣官房が中心になっているのであるとは思いますけれども、その中心になった省庁が、やはり先ほど申し上げたように、今の事業者の取り組みやフィルタリングの精度を上げるには、事業者側の負担も重くなるし、投資も要ることでございますから、大変なことだろうと思っています。その上で、やはり政府としても支援していくということが必要だと思うんですけれども、法制化など法的枠組み、そのほかのいろいろな枠組みを考えるおつもりがあるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、児童をインターネット上の違法・有害情報から守る対策につきましては、それぞれの省庁がそれぞれの所掌事務の範囲内で各種の施策を講じていただいているところでございますが、内閣官房の方でIT戦略本部の命を受けましてIT安心会議を設置いたしまして、関係各省の施策を取りまとめて、集中対策という形で実施をさせていただいているところでございます。

 先生御指摘のように、違法・有害サイトから子供を守っていくための大変実効性の高い対策を講じていくということは非常に大事なことであるというふうに思っております。現在、刑法でありますとか、あるいはプロバイダー責任制限法等々の既存の法的枠組みをうまく活用しつつも、そういった民間のフィルタリング精度を向上していくような自主的な取り組み、これは政府全体としても強力にバックアップしていく必要があるというふうに考えております。

 そうした取り組みに加えまして、新しい法律上の枠組みが必要かどうかということにつきましては、考えられる手法がどういうことなのかということにもよろうかと思いますけれども、表現の自由でありますとか、あるいはその手法によって事業者の活動を過度に萎縮させるようなことがないのかどうかといった多方面での検討が必要になってくるのではないかというふうに考えております。

高井委員 政府からの御答弁ということでは、私は質問主意書を出しまして、二月八日に戻ってきた答弁書の中で、「フィルタリング利用の義務付けについて法律案を提出する予定はない。」ということで、先ほど御答弁ありましたとおり、現在ある既存の法律や枠組みの中でできるだけ努力をしていくというお話がございました。

 同二月八日に、我が党の笹木議員の質疑の中において、予算委員会でしたか、官房長官も、青少年にとって有害なインターネット上の情報対策について積極的な取り組みを行う旨を答弁されておりますし、政府の方で、法制化、何らかの法的枠組みを考えるということが考えられていないのであれば、やはり議員立法も含めて今の取り組みを後押しすることが検討として必要だというふうに私は考えております。

 とりわけ、日本が批准しております子どもの権利条約、実はこの第十七条に、「締約国は、大衆媒体の果たす重要な機能を認め、児童が国の内外の多様な情報源からの情報及び資料、特に児童の社会面、精神面及び道徳面の福祉並びに心身の健康の促進を目的とした情報及び資料を利用することができることを確保する。」という条項がございます。その後に続いて(a)、(b)、(c)、(d)、(e)という項目があるんですけれども、その最後の(e)という項目の中に、第十三条には「児童は、表現の自由についての権利を有する。」ということが書かれているんですけれども、その条項の「規定に留意して、児童の福祉に有害な情報及び資料から児童を保護するための適当な指針を発展させることを奨励する。」という項目がございます。

 政府としても、今までいろいろな取り組みをなされているということは、先ほど来るるお聞きしました。でも、それを超えた勢いでさまざまな問題が起きてきていて、大人はやはり自分で情報を選んで対応していけばいいと思うんですけれども、余りにも年少の児童が余りにも有害な情報に直面するというリスクをできるだけ下げていくという意味で、ぜひフィルタリングの義務化について一歩踏み込んだことが必要ではないかというふうに思っています。

 もちろん、この権利条約の中の十三条にも、表現の自由について児童は権利を有しますし、あらゆる種類の情報や考えを受け及び伝える自由を持つということも子供の人権の観点からも書かれておりまして、そういう意味では、必要以上に子供を情報鎖国にするということは、有害だから、有害だからということで何もかもシャットアウトするということは、私は、リテラシーの向上上も望ましくないというふうには思っているんですけれども、それでもやはり、余りにも小さいお子さんが初めて見たサイトが、異性に対する思いを見たサイトがアダルトだったりすると、大変、それは違う意識が植えつけられてしまうんじゃないかと思って、懸念をしているところであります。

 そういう趣旨にかんがみても、ぜひ政治家ベースで法的枠組みも検討していただきたいと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか、前向きな御答弁がいただけたらというふうに思うんですけれども。

泉国務大臣 御指摘がございました十三条の規定について、詳細は承知をいたしておりませんけれども、子供たちを有害な情報から守るということは本当に重要なことだと思います。先ほどお話がございましたように、生涯それがつきまとう可能性もあるということを考えますと、本当に守っていかなきゃならない。当然、表現の自由ということへの配慮はやらなければならないことでございます。

 先ほど、総務省ですか、お答えがございましたように、IT戦略本部などの場において、関係閣僚がお互いに立場を乗り越えて、こうした対策を連携をとってやっていく、違法情報、有害情報に対する対策を推進していこうということで回を重ねておりますので、直ちに答えが出てくるということにはならない状況もあろうかと思いますが、問題の重要性は認識してまいりたいと思います。

高井委員 ありがとうございます。

 インターネット上の表現行為の規制と表現の自由の保護という問題は大変難しいというふうに、私もPTの事務局長をしながら、これは本当に隘路と申しますか、バランス、こっちが行き過ぎてもだめ、こっちが行き過ぎてもだめという極めて難しい問題だと思っていまして、やはり私もうかつな気持ちで法制化について検討をというふうに申し上げているわけではございません。これは深く検討しなきゃいけないことだと思うんです。

 そこで、内閣法制局にちょっと一点お伺いをしたいというふうに思っています。

 これは政府として、内閣の答弁書を、我が党の藤末健三参議院議員が出された第百十号において、違法情報がインターネット上に掲示され、公衆の閲覧にさらされている場合に、プロバイダーやサイト開設者に対して削除等の公衆の閲覧を防止するための措置を講じる義務を課すことに対してどうかという質問に対して、「御指摘のような義務を課すことが憲法第二十一条に違反するか否かについては、その目的や具体的な措置の内容等を総合的に勘案する必要があり、一概にお答えすることは困難である。」という答弁書が来ております。

 これは、つまり目的や措置、児童を違法なものに触れさせないという目的と、具体的な措置として削除が想定されると思うんですけれども、憲法違反にならないという可能性ももちろんあるし、あるときにはなる場合もあるというふうな認識でいいのか、お答えをいただきたいと思います。

横畠政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりと理解しております。答弁書でお答えしたとおり、なかなかその問題について一概にお答えすることが難しいということは御理解いただきたいと思います。

 さらに敷衍して、一般論として御説明させていただきますと、憲法第二十一条第一項は、表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、もとより慎重な吟味、検討が必要ではありますが、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を加えることを認めているというふうに解しております。最高裁の判例においても同旨の判決が示されております。

 お尋ねの規制等の可能性につきましては、児童との関係で、どのような内容の情報をどのような態様で流布させることを違法として禁止しようとするのか、それはどのような法律を定めようとするのかということでありますけれども、また、その削除等についてどのような手続を定めようとするのかなどについて具体的に検討する必要があると考えております。

高井委員 もちろん、今回のまさにこの法案がそうだと思うんですけれども、構成要件が明確な犯罪を規定すればそれに違反したものを削除させることも憲法違反ではないということが、この法案はそういうふうな仕組みになっているんだろうと思います。つまり、目的が、児童を出会い系サイトを通じて性交の対象として誘引するという違法な、児童ポルノ法や児童福祉法などに反する構成要件がはっきりした違法な行為に対して削除も含む閲覧防止措置をとるということで、構成要件がはっきりしているため憲法には抵触しないということなんだろうと思います。

 そういう意味では、世界の国々も、憲法と表現の自由の問題、大変さまざまな論争が今起こっているさなかでございますけれども、こうした形で、絞った形で構成要件を決めていけば憲法違反に当たらない、隘路を縫っての法的措置もできるのではないかというふうに私は考えています。

 そして、ではフィルタリングについてもお聞きしたいんです。

 同じように、フィルタリングを義務化するということも憲法違反に当たるかどうかということについては、恐らく法制局は同じ見解ではないかと思うんですけれども、これも確認させていただきたいと思いますが、私は、フィルタリングというものが、あくまでもユーザーがかけるか外せるか選べるということであれば、すべての人に対してそれが見られなくなるという措置ではないので憲法違反には当たらないと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

横畠政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのフィルタリングにつきましては、その仕組みや精度などについてどのようなものを前提として考えるのかという問題が一つございます。もう一つ、義務化という御指摘でございますけれども、だれに対して、どのような要件で、どのような義務づけをするのかというその具体的な義務の中身というのがもう一つ問題になろうかと思います。

 その上で、一般論として申し上げますと、やはり、フィルタリングを法律によって義務化するということになりますと、発信された情報、表現と言っても構いませんが、その伝達が国の意思、国家の意思によって制限されることを招来するということは間違いございませんので、その意味で表現の自由にかかわる問題であるというふうに認識しております。

 しかしながら、先ほど申し上げたように、憲法二十一条との関係につきましては、公共の福祉のための必要かつ合理的な制限というものがあり得るわけでございまして、その中身につきましては、先ほどと同様になりますけれども、どのような内容の情報についてフィルタリングを義務づけようとするのかとか、あるいはその義務の中身でありますとか、その手続でありますとか、そのようなことをやはり具体的に検討していく必要があると考えております。

高井委員 まさに、立法化する場合には、恐らくその対象なり、きちんとはっきりする形で、例えば本当に低年齢の児童に限るなど、しかも、フィルタリングの精度がきちんと上がっていき、まさに親御さんとともに子供がこのレベルのフィルタリングをかけたいとまで、きちんと精度がよくなっていけば、それも絞ってやっていけば憲法違反には当たらないのではないかというふうに考えますし、確かに、今のままのフィルタリングの精度の低さでは、さまざまな、憲法上も疑義がある部分もあるのではないかというふうに私も考えているところであります。

 ぜひ、恐らくこれは総務省さんが一番詳しいだろうと思うんですけれども、さまざまな民間団体、事業者、関係者が集まって、フィルタリングの精度を上げるために、総務省内の検討会でもそうですけれども、民間の方々も取り組みをされているというふうに思っています。承知している限りで結構なんですけれども、このフィルタリングの精度について、今後、上がっていく可能性があるのか。今現状お持ちの問題意識というのは先ほど御答弁がありましたのでわかりましたけれども、では、これからかなりいいフィルタリングになっていく可能性があるのかどうか、またそういう指導もされているのかどうか、お尋ねしたいと思います。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員の方から御指摘いただきましたように、現在提供されておりますフィルタリングサービスというものは、制限される情報が画一的かつ広範ということで、そういう問題があるという指摘がされているところでございまして、現在、総務省の方の検討会でその改善に向けた検討をいただいているところでございます。

 これに、現在のフィルタリングですと、青少年に対して健全なあるいは有益なサイトも閲覧できなくなる、そういう課題がございます。検討会の方では、今後、利用者からの個別の判断によって閲覧できる範囲を選択可能とするように、あるいは、第三者機関によりまして青少年にとって有害でないサイトを認定いたしまして、携帯電話のフィルタリングで閲覧可能とする、そういうふうな観点から検討していただいているということでございます。

高井委員 一概にフィルタリングといっても、日々生まれるサイトをチェックしながら、また精度を上げるためのカテゴリーを検討しながらということは、大変投資もかかることですし、事業者の皆さんに負担も強いる話になるかもしれませんけれども、やはりそれを政府が支援する形で、社会総挙げでフィルタリングの精度を上げていくための支援ということに取り組んでいただきたいと思いますし、ぜひ、せっかくIT安心会議というのが立ち上がっておりますので、私どもももちろんできるだけの協力をして後押しをしていきたいというふうに考えています。

 最後の質問になりますけれども、総務省はIT社会の健全な発展の観点から努力をしておられますし、また警察庁にあっても児童の犯罪防止という観点からも努力をされておられるわけですが、ぜひ政府一体となってネット上の有害対策を推進してほしいと思います。

 昨日も、通告のときにも、これはどこの省でここはどこだというときに大変混乱をいたしました。内閣府に聞いたら、いや、これは内閣官房だ、いや、これはもうちょっと違う観点からすると警察に聞いた方がいいとか、事業者のことは総務省にということで、幾ら一体でIT安心会議をなされているとはいえ、結局縦割りのベースを抜けないので、本当に政府レベルできちんとこれは連絡を取り合って対策推進のための努力をしてほしいと思うんですけれども、やはり何といってもキーになるのは、通信事業者にかかわる、直接指導しておられる総務省のお立場だと思います。

 総務副大臣にきょうはお忙しい中お越しいただきました。この点について、決意を含めて御意見をいただければと思います。

佐藤副大臣 先生おっしゃられるように、各省庁にまたがっておりまして、大変難しいということはおっしゃるとおりだと思います。

 インターネット上の違法・有害情報対策を実効あらしめるためには、やはり民間による自主的な取り組みを効果的に支援するための各関係省庁が連携を進めていくということが肝要だというふうに考えております。

 総務省といたしましては、昨年二月及び本年の三月に、文部科学省及び警察庁と合同で、携帯電話のフィルタリングについて、学校関係者や保護者を初めとする住民に対しましてその周知活動に取り組むように、都道府県知事、教育委員会及び都道府県警察等に要請を行うなど、積極的に連携をして、取り組みを行っているところでございます。

 また、子供のインターネットの安全な利用のため、総務省及び事業者は、文部科学省と連携をいたしまして、保護者、教職員及び児童生徒を対象にいたしましたインターネットの安全、安心な利用に向けた啓発講座である、先ほど申し上げましたように、e―ネットキャラバンを平成十八年四月から実施しているところでありまして、その他、有害情報から子どもを守るための検討会、内閣官房で、IT安心会議などの場も通じまして、今後とも積極的に連携を図って、わかりやすい取り組みをしていきたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。

高井委員 ありがとうございました。

 違法な有害な情報がはんらんしているということ自体、IT社会の発展に努力している関係者の皆様自身が一番懸念されているところでありまして、繰り返し申し上げますけれども、過剰な規制をして子供たちを情報鎖国に置くということに対しては、かえってリテラシーが上がらず、最終的には問題が起きるのではないかということも私は強く思っている方でございます。

 関係事業者だけに負担を課するのではなく、もう皆さん御承知だと思うんですけれども、すべての関係者が、国を初め公共団体、それから保護者、地域社会すべてが、子供を守るために特別な保護を与える必要性を認識して、努力していかなければならないと思いますし、児童があらゆる種類の求める情報を得られて、伝える自由を持つと同時に、児童の福祉に有害な情報や資料から子供を保護するために、この隘路を通り抜けて、ベストな選択ができるように、頑張りたいと思いますので、今後とも御指導よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、石井郁子さん。

石井(郁)委員 きょうの最後の質問となりました。日本共産党の石井郁子です。

 インターネットが子供たちに何をもたらしているのか、それに対して大人社会があるいは関係者がどう対応していくのかということは、ますます重要な問題になっているというふうに思います。

 法案に関連して、最初に、先日、文部科学省から学校裏サイトの調査結果が出されましたので、ちょっと、一、二お尋ねをしていきたいというふうに思います。

 この調査では、確認できた学校裏サイトの数が三万八千二百六十だと。中学校、高等学校の校数が一万六千三百からすると、ほとんどの中高生は学校裏サイトの存在を知っていると考えるべきだろう、これは文科省の調査の分析でございます。ほとんどの中高生は知っていると考えるべきだろうというのは、私は何かとても突き放した言い方のようにちょっと思ったんですけれども、では、一体この実態は、各学校、教師それから保護者などはどう知っているんでしょうかということが第一点なんですね。ちょっとその認識を伺いたいと思います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 先生今御指摘をいただきましたインターネット上の学校の非公式サイト、いわゆる学校裏サイトということでございますけれども、各地域、学校単位でそれぞれ実態を把握しようという動きは今までございましたけれども、このように全国規模でその実態を把握するということはなされておりませんでした。今回、文部科学省が実施をいたしました非公式サイトの実態調査ということによって、全国規模でのその数、あるいは、これは特定地域でございますけれども、その利用方法といったことについての結果が得られたところでございます。

 文部科学省としては、調査結果につきましては直ちに各都道府県・指定都市教育委員会に送付を申し上げたところでございますし、近々文部科学省のホームページにもアップをして掲載したいというふうに思っています。

 また、今後、あらゆる機会を通しまして、保護者の方あるいは教職員の方々に対しての理解が深まるよう、調査結果についての周知を図ってまいりたいというふうに思っているところでございます。

 ただ、一つ申し上げたいんですけれども、高校生に対してのアンケート調査も同時に実施をしてございまして、学校裏サイトを知っているというふうに答えたのは三分の一ぐらいでございました。先生、今、大体全部の子が知っているというふうにおっしゃいましたけれども、アンケート調査の結果によると、三分の一ぐらいの子が学校裏サイトを知っているというふうに答えたところでございます。

石井(郁)委員 わかりました。ただ、私が申し上げたのは、この調査報告書の中にそのように書かれていたということで紹介したわけであります。

 それで、今回、文科省は、本当にいろいろな記述、いろいろなことを駆使してこういう全国的な調査をされたというのは大変結構だと思うんですが、大事なことは、それぞれの地域であるいはそれぞれの学校で、これは大変な労力だと思いますけれども、みずからそういう実態をつかむということも大事なんですよね。だけれども、そういうことにまで至っていないんじゃないかということを私は懸念しているわけでありまして、しかも、この裏サイトの問題というのは、発表された中でも、抽出調査で、そのうちの二千件で見ますと、やはり個人の誹謗中傷、これが五〇%ある、それからわいせつな表現も三七%ある、死ねとか殺すなどの暴力表現が二七%ある。つまり、裏サイトというのは、まさに人権侵害にもつながる、それからいじめの新たな温床となっているということが大事だと思うんですね。そういう意味で、学校自身がこの実態をやはりつかまなきゃいけない、地域がつかまなきゃいけないということだろうというふうに思うんです。

 さて、それで、この調査を受けて、こう書かれてもありました。学校教師に対する啓発も必要だ、一つの学校に数名は自校に関する非公式サイトの検出、書き込み内容の見回りのできる教員を育てる必要もあろうというようなことも書いているんですが、これは本気でやる気があるかどうかという問題なんですよね。

 現場はどうなっているかといいますと、これは最新のことで見たんですけれども、横浜市では、ネットを見回りする、ネットをずっと見ている、削除依頼を出したら逆に中傷されてしまう、その教師が中傷されるというようなことまで起きている。それから、教師が朝からずっとネットを検索しているというような状況だ、しかし、これはとても教師へは負担だ、日常、授業を持っているわけですから。というようなことがありまして、やはり本当に学校教師に対する啓発という必要を言うんだったら、そういう教師への支援ということも当然考えるべきではないかと思うんですが、その辺のお考えをお聞きしたいと思います。

田中政府参考人 お答えをいたします。

 先生おっしゃるとおり、あらゆる機会を通して、こういった実態をいろいろな方が把握するということは大事だろうというふうに思っておりますけれども、現実の問題、日常的にこの非公式サイトの実態をリアルタイムで把握するということはなかなか困難かなというふうに思っております。

 ただ一方、群馬県などでは意欲的な取り組みを行っておられまして、インストラクターを育てるとか、そういうことをやっておられます。

 文部科学省としては、こういったことをモデルとして、いろいろなところに情報提供して、それぞれのところで、学校、家庭、地域ということがうまく連携をしながら、きめ細やかに本件の問題に対応できるように努めてまいりたいというふうに思っております。

石井(郁)委員 今、インターネットについては、どのように使うか、どう活用するかという問題と同時に、その危険性、これが犯罪につながるという問題も教えていかなきゃいけないということがずっとこの委員会でも議論されてきたかというふうに思うんですね。その点なんですけれども、情報リテラシーということが本当に日本の教育の中でどのようにされているのかということも、各委員の方からも指摘されてきたとおりだというふうに思うんですね。

 それで、文科省にその点を伺いますと、こういう「「情報モラル」指導実践キックオフガイド」というものを各学校でやってもらっているようだ、渡しているんだという話になるかと思うんです。

 それで、伺うんですけれども、例えばモデルカリキュラム表というのがありまして、何かずっと、一応、表はできているんですよ。ちょっと一つ二つ具体的に伺いますけれども、例えば「情報社会の倫理」という中で、小学校五、六年生、「情報にも、自他の権利があることを知り、尊重する」、こういうことを教えなきゃいけないと書いているんですね。それから、中学校にいきますと、「違法な行為とは何かを知り、違法だとわかった行動は絶対に行わない」、これはこのとおりだと思うんですけれども、こういうことを子供たちにいわば納得させるというか、わかってもらうには、やはりそれなりの、言ってみれば、時間やあるいはいろいろな具体的な取り組みが要るんだと思うんですよ。

 この言葉どおりをただ何回唱えてもだめなわけですから、これは具体的な事例としてどういう取り組みでこういうことがなされているのか。今、群馬県の話もありましたけれども、文科省としてもう少し事例的に御紹介することがあれば、教えていただきたい。

    〔委員長退席、吉田(泉)委員長代理着席〕

前川政府参考人 学校における指導のあり方の問題でございますが、私どもとしては、学校現場の教員の指導力を高めるためにさまざまな手だてを講じてきているわけでございまして、先ほど御指摘のございましたモデルカリキュラムをつくる、あるいは教員向けのガイドブックを作成する、また情報モラル指導の普及のためのセミナーを開催したり、ウエブサイトを作成して教員の参考に供する、こういったことをしてきております。

 その中で、特に強調しておりますのは、子供たちが、予測される危険の内容がわかり、それを避ける、そういうすべを身につけるということ、また、不適切な情報であるもの、こういったものをきちんと認識してそれに対応できるようにする、こういうことを強調してきておるわけでございます。

 ただ、私どもでつくっております教員のICT活用指導力のチェックリスト、これは教員が自己チェックするためのリストでございますが、これで、情報モラルなどを指導する能力を持っているという回答をした教員、これが六二・七%という数字にとどまっております。このうち、生徒がインターネットなどを利用する際に、情報の信頼性やネット犯罪の危険性などを理解して情報を正しく安全に活用できるように指導することができるという教員の割合は、中学校で六三・五%、高等学校で六三・一%にとどまっているという状況でございますので、私どもとしては、さらに教員の資質を向上させるために、さらなる取り組みをしていかなければならないと考えております。

 特に、ネット上でのいじめにつきましては、従来、実態を把握しておりませんでしたけれども、十八年度分の調査から、いじめの調査の中に、そのいじめの態様として、パソコンや携帯電話等で嫌なことをされる、こういう項目を追加いたしまして、その実態を把握するように努めてきております。その上で、インターネットの掲示板上での誹謗中傷などについて解決を図った事例等を紹介した取り組み事例集を作成いたしまして、これも現場の教員の参考に供するということで取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。

 具体的な指導としては、道徳の時間も使うでしょうし、また総合的な学習の時間を使うといったことで、実際に模擬的なサイトなどを利用して、自分が嫌だと思うことは人にしない、こういう基本的なところから教えていくことが必要ではないかというふうに考えております。

石井(郁)委員 文科省の方は、一応、ITにどう対応するかだとか、それからこの面での教師の指導力を高めるとか、それはそれなりに考えていらっしゃると思うんですが、現場で何が起こっているのか。現場の先生方は本当に何かそれどころじゃないというような形で、多忙化と、そして今、学力を上げよとかという形で授業時間をふやしていろいろやらなきゃいけないということになっているんじゃないのかなと。だから、本当に現場を支援するという視点で考えると、もっときちんとした体制というか、応援の仕方があるんじゃないかということを強調したいわけであります。

 この点は、本委員会にも参考人として来られた尾木直樹さんが書いていまして、ネット教育の実践モデルというのをちょっと見ましたけれども、やはり各地でいろいろな取り組みをしていることはあるんですね。ネット憲法なんかをつくってやっているというのがありましたけれども、やはり総合的な学習の時間なんかを使って、いろいろ活用の実態調査などを生徒に話し合わせたりして、そしてやっていく。そうすると、うそ情報の書き込みやコンピューターの自分本位な使用法というのは減少した、いまだゼロだというような実践も生まれているというんですね。

 だから、こういうことをやろうと思ったら、それこそこういう時間が必要なわけですよ。一方で、あなた方は、総合的な学習時間は今度はカットしている、減らしているわけですからね。現場は、一体どこで、どんな時間で、どういう体制でやるのかということを具体的にやはりちゃんと見定めていただきたいなということを思いますので、それはぜひお願いをしておきたいというふうに思います。

 さて、このことは本法案の問題にも関係しますので、これは大臣にぜひ伺いたいことなのでございますけれども、現行法では誘引行為を禁止というか、規制ということですけれども、これは児童にもかかったわけですよね。それは前回、大変議論になりました。ということで、そのときに、政府の答弁としては、児童自身に対して本法案の内容についてよく知らせる、理解させるということは非常に大事だ、重要だ、それから児童に対する教育、啓発に特段の配慮をしてまいりたいという御答弁だったんですよ。では、この現行法の執行期間中、どんな特段の配慮をされたのか、まず伺いたいと思います。

    〔吉田(泉)委員長代理退席、委員長着席〕

泉国務大臣 出会い系サイトの利用防止を図りますために、児童や保護者に対しましては、サイトを利用する危険性を説くだけではなくて、フィルタリング等についても十分な情報を提供していくということが重要であるという考え方を持っておりまして、学校と警察が連携をとりまして、サイバーセキュリティ・カレッジというものを開催する、あるいは非行防止教室等の機会を通じて、児童とその保護者に対して出会い系サイト利用の危険性を話し、また理解を得てきたところでございます。出会い系サイトへの不正誘引の書き込みは犯罪であること、そしてフィルタリングサービスの利用が役立つことなどの教育、啓発に努めてまいったところでございます。

 先ほど少し御紹介をさせていただきましたけれども、昨年も四月から五月、一昨年ですから平成十八年も四月から五月にかけまして二千六百回、そして平成十九年は二千五百回、このカレッジを開催して、子供はもちろん、父兄そして教育関係者等にこの重要性を説いてきたところでございます。

石井(郁)委員 私は、やはり子供たちにきちんとした教育をということを言っていますけれども、この問題は、子供たちはやがて大人になるわけですから、大人が書き込みするという、大人が誘引行為をすることはもちろん禁止されるわけですから、やはり子供たち、中学生や高校生にきちんと教育していくということは非常に大事だというふうに思うんですよね。

 出会い系サイトに関する調査報告書、これは資料をいただきましたけれども、「出会い系サイトに関する被害を防止するための話や、記事などの情報を、聞いたり見たりしたことがありますか。」という問いに対して、中高生は五六・八%があるとは答えています。しかし、その大半がテレビや新聞からだと。新聞紙上で、出会い系サイトでこういう事件があったというような話だというふうに思うんですね。学校の先生からというのは三七・四%でした。それから、非行防止教室、これはいろいろ警察庁がやっておられると思いますけれども、三七・三%ですよね。

 だから、やはりまだまだ周知徹底はしていない。私は、特段の取り組み、配慮はまだまだ弱いんじゃないかということを指摘をさせていただこうと思います。

 それと関連しまして、出会い系サイトの性犯罪ということが今問題なんですけれども、私は、子供たちには法律の知識、もちろん権利ということについても、それから犯罪ということについてもやはりきちんと教える必要があると思うんですよね、少し犯罪一般について。

 そのことで一つ御紹介をさせていただくんですけれども、スウェーデンの中学の教科書というのは非常に日本と違っているなというのを感じましたので、ぜひこれからの何か一つの議論に、国家公安委員長に参考にしていただければと思うんですが、まず第一に、法律と権利ということから始まるんです。これは、日本でいえば社会科の教科書ですよ。法律と権利ということから始まって、一体法律とは何ぞや、そしてまた、この社会にはどんな犯罪があるのか、あなたが犯罪に遭ったときにはどうするのかというようなことで、本当に具体的なんですよね、考えさせる。

 これはちょっと教育論になってしまいますけれども、OECDのあの調査でも、問いを出して考えさせるというのを日本の子供たちは書かなかったというのが大問題になったんですよ。マル・ペケは書くけれども、考える問題については書かない。ここは徹底して考える問題が出されているということで、私が強調したいのは、法律と権利というのが第一に来るという、こういう構成というのはやはり一考に値するんじゃないかということなので、ちょっとこれは御紹介をさせていただきます。

 ただ、文科省や警察庁を挙げて、本当に犯罪の問題にどういうしかるべき知識と、そしてまた対応をしていくのかというのは、子供の時期から考えさせるべき問題だということを含めて、ちょっと私の問題意識なんですけれども、申し上げさせていただきました。

 さて、本法案に関係して一つどうしてもお願いしたいことがあるんですけれども、これは今お話ししましたように、現行法で、書き込みをする子供たちを処罰の対象とするということがありましたけれども、不正誘引、第六条違反での検挙状況、これはこの間どのようになっているか、ちょっと数字をお知らせいただきたいと思います。

片桐政府参考人 お答えを申し上げます。

 出会い系サイト規制法、平成十五年の施行でございますけれども、それ以降のいわゆる不正誘引行為、不正誘引違反の検挙件数、うち児童によるものは何件かということを申し上げます。

 平成十五年は、検挙五件でございまして、うち児童はゼロでございます。十六年は、検挙三十一件中、児童が六件、平成十七年は、検挙十八件中、児童が五件、平成十八年は、検挙四十七件中、児童が十八件、平成十九年が、検挙百二十二件中、児童が六十一件、合計しますと、二百二十三件中、児童が九十件ということになっております。

石井(郁)委員 皆さんも意外と子供の検挙は少ないなという印象を持たれると思うんですが、私がちょっと問題にしたいのは、この法律、現行法を決めるときに、平成十四年で四百二十九件検挙数があって、うち子供が書き込んだことによってというのは三百九十三、だから、九一%がやはり児童自身がアクセスしているからだということがあって、そういう子供をも処罰の対象にしなきゃいけないんだということがあったんですね。

 そういう点でいうと、この法律の効果かどうかは知りませんけれども、やはり子供自身が意外と書き込んでいないのかなと、あるいは検挙されていないのかもしれませんけれども、この辺が一つ残っているなというふうには思っております。

 今回、六条の不正誘引行為の罰則要件なんですけれども、新たに五号目が加わりましたよね。現行では四号あったんですが、それに五号が加わりました。それは、「前各号に掲げるもののほか、児童を異性交際の相手方となるように誘引し、又は人を児童との異性交際の相手方となるように誘引すること。」と。

 ちょっと漠とした表現に私は見えるんですけれども、これは具体的にどんな行為と書き込みを想定しているんでしょうか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正で不正誘引行為の範囲を拡大したということでございますが、従来は、対償を要求するとか、また性交等を求めるとかいう形で児童を誘引する、または児童が大人を誘引する、こういった形のものを不正誘引としておりましたけれども、こういった形の誘引によるところの児童被害というものがその後だんだん減っておりまして、そうでない、性交とか、それからあと対償とかいうことを明示しないような誘引の仕方によるところの被害がふえてきているということでございまして、例えば、私は十六歳の少女です、だれかカラオケに行きませんかといったような形でもって誘引をするという形のものが出てきておりまして、これによって被害が出ているという実態もございますので、こういった形のものもやはり禁止すべきではないかということで、今回、不正誘引行為の一つとして取り上げたということでございます。

石井(郁)委員 そうしますと、かなり漠と第五号がなっておりまして、捜査によってはどれもこれも不正誘引というふうに当たり得るという問題が生じませんか。だから、非常に不正誘引行為の判断の範囲が拡大をした、今、あなた、拡大したというふうにおっしゃいましたけれども、拡大をすることによって、逆に取り締まりの範囲が非常に広がっていくという問題についてはどうお考えですか。

片桐政府参考人 一つには、ここに書いてございますように、やはり児童とか、あと異性交際という形になっておりますので、決して要件的には不明確ではないというふうに考えています。

 もう一点でございますが、この五号につきましては罰則を設けておりません。これは禁止はしておりますけれども、罰則を設けておりませんので、捜査対象にはならないということでございます。

石井(郁)委員 そういうことが加わったということも一つ押さえておきたいというふうに思います。

 私は、やはりここで本法の改正の一番の中心点となる事業者の責任、今回それが規制がかなりされるようになったという問題なんですね。しかし、この問題は、私どもも、現行法のときに、サイトの異性紹介事業者に対しては努力義務ということにとどまったということについては大変問題だという指摘をずっとさせていただきましたけれども、今回、いわばかなり規制が強化されるということになっているわけです。

 ただ、そこでもう一つの出てきている問題が、出会い系サイトと銘打たないいわばサイト開設もいろいろあるわけでしょう。今、そこからの犯罪被害者も非常にふえているという実態もございました。ですから、出会い系サイト以外のサイトに対してはどういう形での取り組みを求めていくのか、その自主的な措置というものについてはどう考えておられるのかということもぜひお聞きをしたいと思います。

片桐政府参考人 御指摘のように、出会い系サイト以外のサイトにおいても児童の被害が発生しているところでございまして、昨年七月から九月の間に検挙いたしました出会い系サイトに関係した事件のうち、児童から任意に聴取できたものに限っておりますけれども、これによって、出会い系サイトを利用して被害に遭った児童が二百六人、出会い系サイト以外のサイトの利用に起因したものが百二十四人ということで、相当数のものが出ているということは事実でございます。

 そこで、こういった出会い系サイト以外の事業者に対してどうするかということでございますけれども、なかなか規制対象として類型化することは難しいという問題もございますので、現段階においては、これを規制対象にするということは考えておりませんが、ただ、事業者として、こういった異性交際のために使ってはいけませんよということをきちんと明示していただくとか、また、こういった児童を誘引したりするような情報が記載されているのであれば、きちんと監視をして、そういったものは早期に削除してくださいというふうな要請をしているところでございます。

石井(郁)委員 私は、いろいろな形で、このサイト事業者のやはり社会的な責任ということがまず第一義的に問われなきゃいけないことでありまして、これはいろいろと注目をしていきたいというふうに思います。

 これもいただいた調査報告書の資料を見ますと、有害サイトへの接続を子供たちに注意しているかどうかということを尋ねた項目がありまして、それを見ますと、学校の先生から注意を受けたということが約四割でしかありません。そして、携帯を売っているお店の人から受けたというのが何と二・七%。だから、お店自身が、ネットに接続する携帯を売りながら、そういう注意をしていない。やはり大人社会が子供たちを本当に守るような取り組みになっていないということがこの中からもうかがえるわけですね。

 もう時間ですので、私は、今回、改正案でございますけれども、依然として年間千人以上の子供たちの被害者が生まれているという状況でありますので、これは本当にしっかりと、子供を守るという点でこの法改正がどういう実効性を今後発揮していくのかということは注視をしていかなきゃいけないということを申し上げまして、きょうの質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

玄葉委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

玄葉委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、実川幸夫君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。笹木竜三君。

笹木委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読で趣旨の説明にかえさせていただきます。

    インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について万全を期すべきである。

 一 通信ネットワークを介した自由な情報の受発信が、児童を含むすべての人々にとって、社会参画と幸福追求のための極めて重要な手段となっていることに留意し、インターネットを利用した表現の自由、多様な情報への接触等を不当に制約することのないようにすること。また、児童の健全育成及び犯罪被害からの保護が本法の目的であることを踏まえ、児童の特性と人権、利益に最大限配慮すること。

 一 今回の法改正の趣旨及び内容について、国民に対し広報啓発活動を積極的に行い、広く周知徹底を図るとともに、インターネット異性紹介事業者による「異性交際希望者に係る児童でないことの確認」について、より実効性あるものとするための措置について検討すること。

 一 インターネットの安全な利用法、情報の主体的選択能力を養うことを含む情報リテラシー・モラル教育を学校教育等あらゆる機会を利用して拡充するとともに、保護者等へのさらなる理解の浸透を図ること。

 一 フィルタリングサービスが児童によるインターネット異性紹介事業の利用防止、違法・有害な情報の児童によるアクセスの防止並びに児童の健全育成に資することにかんがみ、フィルタリングサービスの利用を促進するための措置を講ずること。その際、フィルタリングサービスの精度の向上を図るための措置についても併せて講ずること。

 一 インターネット上に児童ポルノ等の違法・有害な情報が氾濫していることにかんがみ、サイト開設者やプロバイダ等による違法・有害な情報の閲覧防止、削除等の自主的措置及びそのための体制整備が促進されるための必要な指導や支援を行うとともに、関係業界における、違法・有害な情報を早期に認知するための技術の開発及び普及を促進すること。

 一 登録誘引情報提供機関制度を適切に運用するとともに、インターネット上の違法・有害な情報の対策に取り組む民間団体の設立や活動への必要な支援・育成に努めるとともに、違法・有害な情報の閲覧を防止するための民間活動をさらに促進すること。

以上です。

 委員各位の御賛同をよろしくお願いします。

玄葉委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

玄葉委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、泉国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、これを許します。泉国家公安委員会委員長。

泉国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して努力してまいる所存でございます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

玄葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十六分散会


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