衆議院

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第7号 平成20年4月25日(金曜日)

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平成二十年四月二十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 玄葉光一郎君

   理事 江崎洋一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 実川 幸夫君 理事 菅原 一秀君

   理事 笹木 竜三君 理事 吉田  泉君

   理事 古屋 範子君

      新井 悦二君    井澤 京子君

      井脇ノブ子君    上野賢一郎君

      中森ふくよ君    西本 勝子君

      馳   浩君    福岡 資麿君

      松本 洋平君    山内 康一君

      菊田真紀子君    田名部匡代君

      高井 美穂君    石井 啓一君

      石井 郁子君

    …………………………………

   参考人

   (群馬大学社会情報学部大学院研究科教授)     下田 博次君

   参考人

   (財団法人インターネット協会副理事長)      国分 明男君

   参考人

   (全国webカウンセリング協議会理事長)     安川 雅史君

   参考人

   (ソフトバンクモバイル株式会社代表取締役社長兼CEO)          孫  正義君

   衆議院調査局第一特別調査室長           金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     新井 悦二君

  田名部匡代君     高井 美穂君

同日

 辞任         補欠選任

  新井 悦二君     大塚 高司君

  高井 美穂君     田名部匡代君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 青少年問題に関する件(ネット上の有害情報から子どもを守るための対策)


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     ――――◇―――――

玄葉委員長 これより会議を開きます。

 青少年問題に関する件、特にネット上の有害情報から子どもを守るための対策について調査を進めます。

 本日は、参考人として、群馬大学社会情報学部大学院研究科教授下田博次君、財団法人インターネット協会副理事長国分明男君、全国webカウンセリング協議会理事長安川雅史君及びソフトバンクモバイル株式会社代表取締役社長兼CEO孫正義君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、ありがとうございました。参考人の皆様には、それぞれの立場から忌憚のない御意見を賜りたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人の皆様からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと思います。

 なお、念のため申し上げますけれども、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いをいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承をいただきたいと思います。

 なお、参考人及び質疑者におかれましては、御発言の際はどうぞ着席のままで結構でございます。

 それでは、まず下田参考人にお願いをいたします。

下田参考人 群馬大学の下田でございます。よろしくお願いいたします。

 私どもの研究、さらに私どもが活動しているNPOの活動内容についてお話をし、子供と、とりわけインターネットの有害情報問題に関する私の意見を申し述べたいと思っております。

 まず、私の研究分野は、情報メディア論という研究分野でございます。私どもの研究分野の視点からいたしますと、インターネットというメディアは基本的に成人向けメディアということでございまして、未成年者の利用に当たっては、特に思春期の子供たちのインターネット利用に当たっては慎重に対応しなければいけない、フィルタリング等、有害情報を遮断するような仕組み、それをフルに活用しながら、なおかつ、保護者、教師ともに慎重にインターネットの利活用をさせなければいけないというのが私どもの認識でございます。

 未成年者、思春期の子供を中心にきょうはお話をいたしますが、子供のネット利用ということでとりわけ主張しておりますのは、保護者、御家庭の責任です。

 一般的に、日本の風潮からしますと、インターネットというメディアの利用に関しては学校が責任を持つような印象が強うございますけれども、これは、マスメディアと違ってパーソナルメディアというメディアでございますので、学校が子供のネット利用に関して責任をとれるような代物ではない、そういう性格のメディア特性ではないというふうに私どもは認識しております。したがって、保護者が賢くなる、そういうことが子供のネット利用についてはまず必要である、そして、インターネット時代の子育て、教育ができる賢い親御さんをいかに社会の中でふやしていくかということが社会的課題になろうか、そのように認識しております。

 そういう私どもの認識から申し上げますと、日本の子供社会にインターネットを普及させるプロセスといいますか、その方法がいささか心配である。もう少しはっきり申し上げますと、欧米諸国等に比べて、これは私の見解ですが、粗雑過ぎるのではないか。そういう心配を、とりわけ携帯電話からのインターネット利用が始まった過去十年間、私は個人的に抱いてきたわけでございます。

 私ども、そういう認識と現状把握から考えまして、大学で研究をしているだけではだめである、これは何らかの地域活動をするべきであるというふうに考えたわけですが、きっかけは、とにかく後先何も考えずに、パソコンやゲーム機、あるいは携帯電話等から、インターネットというメディア、インターネットの情報環境と申しますけれども、さまざまな、成人向けの、あるいは子供たちを、青少年を非行に、犯罪に導くような情報層、そういうものに経験的に直面してしまった保護者、主に私どもの大学周辺のPTAの方々が私どもに、一体インターネットというメディアはいかなるメディアなのか改めて聞きたい、こういうレクチャーの依頼がございまして、そして私どもは、キャンパスの外に出て市民講座を開くということになりました。これは、二〇〇〇年から私どもは活動しております。

 パソコンからよりも、とりわけ携帯電話からのインターネット利用に関して、携帯電話は電話であると思い込んでいる保護者に対して私どもは啓発活動を市民レベルで行っておりましたところ、群馬県庁がこの我々の活動を見まして、これは行政として支援しなければいけないという認識を持っていただいたために、群馬県、さらにはその後文部科学省が、私どもの市民的な啓発活動、二〇〇〇年から始まった啓発活動に支援をしていただくということになりました。

 私どもは、そういう経緯で、四年前から、単なる啓発講座ではなくて連続的な市民講座、本格的な市民講座を、市民インストラクター養成講座と私ども呼んでおりますけれども、県と共催で、私どもは新たに青少年メディア研究協会というNPOを設立したものですから、インターネット時代の賢い保護者の方々を地域でどう育てるかという取り組みを本格化させたわけでございます。

 そういう中で、私どもの市民講座の要点は、お父様、お母様方、保護者の方々に、インターネット時代にパソコンや携帯、ゲーム機を与えっ放しではいけない、原則的に、買い与える保護者が、このメディアの特性を学習し、その上で、買い与えるときは子供に注意をする、そしてその注意をちゃんと守っているかどうか見守る、そしてその見守りの過程で問題が生じたら指導する、それができる能力を持っていただきたい。私どもはこれをペアレンタルコントロールと申しております。そういう力を保護者、家庭に持っていただかなければ学校が困るだろう、そういう考えを持ってカリキュラムを編成し、さまざまな工夫をしながら市民講座を開催しております。

 その際に、一言申し上げますが、従来の子供のインターネット利用に関するいわば風潮からいたしますと、特に携帯電話からのネット利用、モバイルインターネットと申しますけれども、子供がこれを好き勝手に使いますと、家庭よりも、むしろしわ寄せが学校当局に集中してしまうという傾向を私どもは認めております。

 そのために、私どもの県では、まずPTAを中心に保護者、それから、インストラクターの中には携帯電話会社の社員の方も、携帯電話会社の出前講師とは別に、親として、消費者、市民という立場で改めてメディアの勉強をしていただいた方々も入っておりまして、そういう保護者的な、子育て、教育的な観点から活動する、そういう人材養成を私どもはやっておりまして、しかしながら、この間にもまだまだ工夫の余地があるということがわかってまいりました。

 先般、科学技術振興機構等、政府機関の要請によりまして、今後どうこの市民講座を発展させるかについて意見を述べよということでレポートを出しました。今のところ、人手に頼った人海戦術で、教員の方々、保護者の方々がそれぞれの携帯電話やパソコンから子供のネット利用の見守りをしておりますが、とてもこういうことでは間に合わないということで、そのための専用の見守り指導システムというものを考えて設計、まだ段階はコンセプトデザインでございますけれども、それを申し上げて、これは、社会的な制度を含む総合的な解決策、新たな子供のネット利用の見守り、注意、指導のための情報通信システム、そういう制度、仕組み、システムを日本の社会は持たなくてはいけないのではないか、そういうことをしないとインターネット時代の子育て、教育を十分にすることはできないのではないかということを申し上げておきました。

 それは私どもの考えでございまして、私どもの報告を受けた政府関係機関がどのように判断していただくかは、それは今審査中であるそうですからわかりませんが、私の個人的な意見を率直に申し上げますと、現在の段階ではほとんど無策に近い状態になっておりますので、さまざまな子供のネット利用問題、直面をいたしましてもモグラたたき状態といいますか、その都度対応ということで後手後手に回っている、そのためにはいずれにしろ戦略が必要であるというふうに考えております。そのことについて、皆様の御理解を得ることができれば幸いだと思っております。

 以上で、時間も来たようですから、私の意見陳述を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

玄葉委員長 ありがとうございました。

 次に、国分参考人にお願いをいたします。

国分参考人 インターネット協会の国分でございます。

 昨年の十一月にこの委員会にお招きをいただきまして、インターネット協会が長年続けてきた子供を守るいろいろな取り組みについて御紹介いたしました。本日は、前回と同じ内容ではちょっとまずいので、別のお話も盛り込んだ資料を用意いたしました。

 振り返ってみますと、昨年の十一月から最近まで、また新しいインターネット上のいろいろな事件が起こっております。このところ毎日のように報道されております硫化水素の問題とか、それから十九歳の女性が行方不明になった覚せい剤のサイトとか、私どもはインターネット・ホットラインセンターというのを運営しておりますので、そういう情報は特にたくさん見る機会があるわけです。また、マスコミ等からもどういうふうにそういうものに対して対処するかということをよく問われるわけでございますが、なかなか難しいところで、ホットラインセンターからもそういうものを見つけたときにはすぐ削除をお願いするという前に、やはり社会的に、保護者の方々とかお子さんとかがちゃんとインターネットとのつき合い方を理解した上で、また社会のコンセンサスが得られた結果、何らかの対策がとられるべきだなというふうに思っております。

 私どもは、インターネットの初期のころから、大人向けのインターネットとのつき合い方といいますか、ルールとマナー集というのを公表いたしまして、それから、一九九九年、八年ぐらい前に「インターネットを利用するためのルールとマナー集こどもばん」というのを発表いたしました。ウエブを見て、インターネットを使うときにはこういうことに注意しましょう、自分の身は自分で守るとか、相手のことを思いやるというようなことを勉強しましょうということで始めたわけでございますが、それだけではお子様たちが実際にそういうルールとマナーを身につけるということがなかなか簡単にはいかない状況がわかりまして、二〇〇四年に「インターネットにおけるルールとマナー検定こどもばん」というのを始めました。

 これは、小学校高学年から中学生ぐらいまでの年齢の子供を対象にしておりまして、インターネットを楽しく安全に利用するために知っておくべきこと、ルールとマナーの知識を検定で客観的に測定できるようにする、オンラインですから、ウエブ上での選択肢問題に対する回答によって正解とか不正解とかということがわかって、三十問中二十七問以上の正解だったら合格ということでやってきております。これはビジネス的にとらえているのではなくて、子供たちのそういうリテラシーを向上させようという趣旨ですから、受検料は無料で、何度でも受けて、答え合わせもできます。ただ、合格証カードというのが必要であれば、それを有料で発行するようにしています。

 こういう検定がどういうふうに学校なり地域なり子供たちに利用されているのであろうかというので、昨日までの分のログを分析しました結果、総数でいえばまだ六万に達していませんが、五万六千人受検をいたしまして、子供向けの検定ですから、小学生なんかはやはり振り仮名がある方がいいというので、振り仮名がないバージョンと振り仮名があるバージョンを用意して、受検してもらっております。振り仮名なしの受検者の方がうんと多い状況にあります。

 それで、私どもが最初は想定していなくて、子供たちが親御さんとか先生の勧めでこういう検定を受けるということを想定していたんですが、二〇〇六年一月から通年で実施するようにしたものですから、学校の授業の中でクラスごとこういう検定を受ける。もちろん、そのためには、PCが一台で子供一人か二人とか、そういうコンピュータールームみたいな設備が必要なんですが、振り仮名なし版で八一%が授業の一環として受けている、振り仮名あり版で八七・九%が授業で受けているということで、八、九割ぐらいは授業の一環として受けているという状況にあります。

 それから、だれが受けたかというのはデータをとっていないんですが、受検場所の都道府県名はどこかというふうに聞いておりまして、これは、教育熱心な県は受検者が多いという結果が得られております。例で、神奈川県の関係者にはちょっと申しわけないんですが、人口的に神奈川県の方が兵庫県よりうんと大きいんですが、受検者でいうと兵庫県の方が神奈川県よりも大幅に多い感じがいたします。それから、多分、現地の駐在の方とか日本から行かれている方のお子さんかと思いますが、アジアとか北米からも受検者がおります。

 それで、大体、振り仮名なし版で、高校生が多くて、中学二年生、一年生と続きます。振り仮名あり版では、小学校六年生が多くて、小学校五年生、中学一年生と続きます。

 こういう結果を私ども見ていまして、やはりインターネットに関するリテラシーというのを保護者にもちゃんと勉強してもらいたいとか、お子さんにもちゃんと勉強してもらいたいというふうに思っておりますが、現実には、親御さんもわからない、学校の先生もわからないという状況の中で、インターネットを通して、だれでもいつでも受けられるというある種のインフラを私どもが用意して、それが学校の授業の中で着実に使われ始めた。まだ五万人や六万人は、例えば、ことしの二月に文部科学省が全国の小学校六年生全員に「ちょっと待って、ケータイ」というリーフレット、携帯からのインターネット利用に関する注意を漫画でかいた資料を配りましたが、そこの内容は私どもインターネット協会がつくりましたけれども、これで百二十万部ですから、そういうものと比べると、日本全体のある種の国民運動的にこれからどんどん発展していくということでいえば、まだ本当の第一歩、ちっちゃなインフラですが、こういうものがどんどん発展して、政府によるインターネットの規制が是か非かとかという、最近そういう議論がいろいろたくさんありますけれども、落としどころは、結局、子供たち、その保護者、先生たちのリテラシー向上ということになる場合が多いわけで、こういうことを着実にやっておりまして、これをどんどん発展させることによって、そういうものの問題解決の一つの切り口になるのではないかというふうに思っております。

 資料の裏側を見ていただきますと、今度はレーティング、フィルタリングの話なんですが、インターネットのコンテンツには表現の自由というものが絡みますので、発信者自身か第三者機関がこのコンテンツはこういうものですよということを分類あるいは格付する、それは客観的なものである、それに対して第三者機関が評価をする。これは主観的な評価、価値観がやはり人によってあるいは社会のセクターによって違いますので、そこはそういうところの主観が入った評価をさらに足す、それを使って、フィルタリングのソフトメーカーが、どうやって設定するかという機能を足して、フィルタリングができるようになる。全体像でいいますと、現実に存在するプロダクトとしては一部分かもしれませんが、私どもが考える全体像はこういうことでございます。

 それで、セーフティーオンライン3という基準をつくったりしてきておりまして、右上の方にちょっと詳しく書いてありますが、時間がないのでスキップします。

 左下の方にありますように、セーフティーオンライン3というので、昨年発表いたしました基準がございます。これは、もともと、日本でいろいろこういうものの基準、有名な映倫とかビデ倫とか、それからCEROが決めているゲームの基準とか、インターネット上のコンテンツのレーティング基準であるRSACiとかICRAとか、その辺と、都道府県の青少年健全育成条例をよく勉強いたしまして、そういうところをベースにインターネット向けにまとめたものです。

 ただ、掲示板のところは、この左下の「具体的内容」のところに掲示板は一つしか定義されておりませんで、このところのいろいろ掲示板サイト、コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア、CGM的なとらえ方をすると、少し見直す方がよいのではないかという意見もたくさんいただきましたので、それで、昨日報道発表をいたしましたレイティング/フィルタリング連絡協議会研究会の開催をことし新たにまたスタートしまして、セーフティーオンライン4という形になるかどうかわかりませんが、書き込みサイトに関する分類・格付基準を細かくする予定であります。それから、「年齢区分」というのもなかなか議論があるところで、この辺も見直しを行う予定にしております。

 それから、最後に、昨年の十一月にも御紹介いたしましたが、インターネット・ホットラインセンターの最近の活動状況について、簡単に御紹介をしようと思っております。

 右下の方にありますように、通報受理件数がどれぐらいになっているかといいますと、黒いのが、一昨年六月にスタートしましたから、六月からしかデータがなっておりませんが、薄い灰色の棒は昨年度で、だんだんふえてきまして、ついに昨年の十一月には一万を突破いたしました。十二月はちょっと落ちたんですが、ことし一月、二月も一万前後のところの通報になりまして、おかげさまで、警察庁の方でいろいろ予算的に頑張っていただいて、現在、フルタイムスタッフが十人にふえまして、大分こういうものの対応能力は向上しているんですが、まだまだもうちょっと処理の効率化とか簡素化とかいろいろやっていかないと、今後の世の中の関心の高まりと、インターネット環境が、やはり新手のいろいろな問題がどんどん出てくるものですから、それに対処するためにはもっともっと頑張らなければいけないなというふうに思っております。

 大体時間が来ましたので、以上で私のプレゼンテーションを終わりにさせていただきたいと思います。(拍手)

玄葉委員長 ありがとうございました。

 次に、安川参考人にお願いいたします。

安川参考人 全国webカウンセリング協議会の安川です。よろしくお願いします。

 協議会の活動としては、全国を回りまして、学校とか保護者に、現在のネットいじめの問題とか、不登校の問題とかの講演を行っています。それから、全国からの電話であるとかメールの相談というのも受け付けています。

 きょうは、いろいろな相談の中でこれはまずいなと思ったケースをもとにお話をさせてもらいます。

 皆さんの手元に「ネットいじめ対応アドバイザー」と書かれた黒い表紙のテキストがあるんですけれども、その十二ページに「なりすましメール」と書かれているものがございます。これは字のとおりで、だれにでも成り済ますことが可能なんですね。

 例えば、自分がここにいる皆さんのメールアドレスを知っているとすると、皆さんのメールアドレスを使ってこの携帯からだれにでもメールを送ることができます。そうすると、この携帯から送ったということは一切わからないんですね。そのメールアドレスを使われた人が送ったことになってしまうんですね。

 これは、実は簡単です。この携帯から携帯の裏技と検索をかけると、なりすましメールのページに行きます。そこから無料で、普通にメールを送るように第三者のメールアドレスを使ってメールを送ることができるんですね。

 学校で、クラスの中で、仲のいい男の子と女の子のカップルがいて、あいつら見ていたらむかつくよな、仲を裂いてやろうかなんて言って、男の子のメールアドレスを使って女の子に、おまえ、うざい、きもいんだよ、おれはもうおまえのメールアドレスも電話番号も削除するから、あしたからは他人な、なんというふうに送ると、女の子はもうその場でメールアドレスも全部削除して、連絡がとれなくなってしまうんですね。女の子のメールアドレスを使って男の子にその逆の内容を送るんですね。それは二人が全く知らない間にそういうことが行われてしまったんですね。翌日学校に行くと、二人はもう口もきかなくなっているんです。簡単に二人の仲が裂かれてしまったんですね。

 そのほかにでも、サブアドというのを子供たちはたくさん持っています。

 大人たちは、大体メールアドレスは一個、携帯番号は一個だと思い込んでいるんですね。ところが、サブアドを持っている子は、一人で二十個とか三十個もメールアドレスを持っている子がいるんですね。一つの携帯でそんなにたくさんメールアドレスを持てるんですよ。それで、そのメールアドレスを使って、またクラスの中で気に食わない子に、おまえよくそんな顔で生きているなとか、もうおまえの顔も見たくないからさ、あしたから学校に来るなよとか、おまえ、うざいんだよなんということを五分置きに送られたらどうですか。すべて全部違うメールアドレスなんですね。

 しかも、auから送っているのか、ソフトバンクから送っているのか、ドコモから送っているのか、それすら全くわからないんです。全くの匿名性があるものから送られてくると、学校全体、クラスの中がもうみんな信じられなくなってしまうんですね。学校へ行って、おはようとか話しかけてくれる人を見ても、でも、ひょっとしたらこの人送っているのかななんて思ってしまうので、みんなを疑った目で見てしまうことがあるんですね。

 ここの問題なんですけれども、なりすましメールなんて受け取りたくないですよね、普通の人は。これは、携帯電話の会社すべてがなりすましメールの拒否設定があるんですね。ソフトバンクにしても、なりすましメールを受信する、拒否するという設定項目があるんです。拒否するに設定しておけば、なりすましメールというのは届きません。これは違法にだれかのメールアドレスを使って送っているものですよとわかるんですね。

 ところが、問題は、その方法を知っている人がほとんどいないんです。全国の講演会に行って、学校の先生方に、なりすましメールの受信拒否の方法を知っていますかと聞くと、三百人とかの会場でも、だれも手を挙げなかったところもあります。子供たちに聞いても、なりすましメールの拒否設定なんてあるのなんて言っているんですね。もちろん親もわかりません。せっかくこんないい方法があるのに使われていないということが問題なんですね。説明書のどこを読んでもその方法が書かれていないんですよ。講演会に参加した人が、初めてその設定方法がわかって設定して、なりすましメールを受け取らなくなっているんです。

 サブアドレスというのも、自分のメールアドレスを使わないんですから、やはり悪いことに使われることというのは多いんですね。出会い系サイトに登録するとき、大体子供たちというのはサブアドから登録しているんですね。先ほどのように、自分の気に食わない子を陥れるときというのもサブアドを使ってメールを送っているんです。

 サブアドというのは、これは広告費で成り立っていますから、必ずURLがついてくるんですね。URLがついてくるメールはすべて拒否するに設定しておけば、サブアドからのメールというのも届かなくなります。これで安心ですよ。

 ネットいじめ、メールでのいじめもそうなんですが、何が一番怖いかというと、匿名性なんですね。これを設定することによって、本当の自分の知っている相手からしかメールは届かなくなるわけなんです。せっかくこうやって子供を守る方法があるんだから、これをもっともっと本当は広めていかなければならないと思うんですね。

 このテキストの十一ページに「チェーンメール」というのが書かれているのがあります。これは以前からありましたが、最近の相談を受けるチェーンメールというのは、いじめというよりも犯罪だろうというようなチェーンメールなんですね。

 どのようなものかというと、裸の画像とかトイレの画像が送られてくるんです。どうやってそんな画像を撮影するのか。実は簡単なんですよ。この携帯にカメラ機能があります。普通のカメラで撮ったものというのは現像というのがあるんですね。現像の段階で卑わいなものとかというのは現像してもらえませんが、携帯のカメラで撮った画像は現像がないんですよ。どんな画像でも撮り放題ですよ。それを簡単に学校裏サイトにアップもできます。チェーンメールで流すことも簡単にできてしまうんですね。

 クラスの中でちょっと浮いている子がトイレに行くと、グループをつくって後ろからくっついていくんですね。それで、男子トイレで用を足している両端に立つんですね。それで、メールを打っているふりをして、横の人の下半身の画像、そのおしっこをしているところの画像をカチャッと撮るんです。ここでシャッター音というのがあります。それを消すために大人数で行っているんですね。流しのところでみんなでわいわいがやがや話しながら、水を流しながら笑ったり雑談したりするので、そのシャッター音は消されてしまいます。いつの間にかその下半身の画像を撮られているんですね。

 また、トイレの個室に入っても、防犯のため上も下もかなりあいています。携帯を入れて上から簡単に画像が撮れますよ。上を見ながらトイレをする人なんていませんから、知らない間にそのトイレの画像を撮られているんですね。

 それを、これはだれだれのくそをしているところの画像だぞ、これが届いたら五時間以内に五人に転送しろよ、もしおまえのところでとまったら、おまえの同じ画像も撮っているからな、今度はおまえの画像を広めるよ、こんな言葉が書かれていると、子供たちは怖いんですよ。自分が一番見られたくない画像、そんなのがもし広まったら、学校どころか、もう外にも出られないと思ってしまいます。

 本来であれば、人の下半身の画像とかを転送するのはまずいことだとわかるはずなんですけれども、精神状態がもう不安定になっています。そういうときというのは、携帯の電話帳に登録しているメールアドレス、片っ端から五カ所に転送してしまうんですね。それで、転送された五人がさらに五人に転送するので、あっという間に、学校全体どころか、もう学校とは全く違う人のところにまでその画像が広まってしまうんですね。

 何でこんなことが広まってしまうのか。簡単ですよ。子供たちは自分のところでとまったというのがばれたら怖いんです。これは大人の責任でもあります。どこでとまったかなんということは絶対わからないんです。でも、それを教えてくれる人がいないんです。だから、怖いから広めてしまうんです。送られた段階ではその人も被害者ですけれども、送った段階で共犯者になってしまうということまで考えないんですね。教えられないからわからないんです。

 また、チェーンメールには転送先というのもあります。どこかに転送しなければ怖いというときは、チェーンメールの転送先に全部転送してしまえばいいんですよ。協議会でも実はチェーンメールの転送先を十個用意しています。財団法人日本データ通信協会の方でもチェーンメールの転送先というのは用意しています。だれにも迷惑がかかりませんよ、チェーンメールの転送先に転送すれば。協議会に転送してもらったら、逆にうれしいです。あっ、今こういうのが出回っているのかという情報収集にもなります。それに対して対策も立てられるんです。

 今、チェーンメールとなりすましメールのことで、実際、これはいろいろな相談を受けます、いまだに受けています、そのような相談というのは。

 さらに、今、子供たちにとってのネットというのは携帯なんですね。携帯電話がもうネットになっています。

 学校裏サイトに関しての相談というのもかなりたくさん受けます。学校の先生とか教育委員会からもかなり相談を受けるんですが、先生の中で休職に追い込まれた先生がいます。

 どうしてかというと、学校裏サイトに誹謗中傷を書かれていた内容を生徒が先生に相談したんですね、先生、何とかしてということで。それで、先生がその掲示板に書き込んだのです。何を書き込んだかというと、このような誹謗中傷するようなことはすぐやめなさい、警察に訴えますよということを書いたんですね。

 そうすると、生徒たちもわかるんですね、どの先生が書き込んだかなんということは。あの生徒さ、あの先生に相談していたぞ、絶対あいつが書き込んでいるぞということになると、おまえだれだれだろというふうに先生の名前、実名を挙げて、今度は掲示板でその先生の誹謗中傷が始まったんですね。おまえの奥さんは浮気しているんだぞということで、男性と女性がホテルに入っていく後ろ姿の写真がアップされていたんですね。もちろん、それは実際の先生の奥さんではありません。でも、その裏サイトを見ていた人はその奥さんだと思い込むんですね。ああ、あの先生の奥さんは浮気しているんだ。

 さらに、おまえの子供はどこどこ高校の今一年だよな、テニス部に入部しているんだよな、帰り七時ぐらいだよな、おれたち帰り襲っちゃおうかななんて書かれていたり、おまえの家、犬飼っているよな、不細工な犬だよな、おれたちぶっ殺していいかなんて書かれていたりするわけなんですよ。

 怖いですよ、幾ら先生であっても。クラスの中のだれかが書いているわけですからね。翌日学校に行っても、全員の生徒を疑った目で見てしまうんですね。それで、もう学校という場所が怖くなってしまって、学校へ通えなくなった先生もいるんです。

 掲示板の削除依頼についてなんですけれども、全国版の学校裏サイトの場合というのは、誹謗中傷とか個人名を挙げての書き込みは絶対やめてくださいと大抵書かれているんですね。そういうところというのは、管理人に連絡をとるとすぐ大体削除してもらえます。ところが、最初から個人名が挙がって誹謗中傷がばんばん挙がっているようなサイトというのは、大変危険なんですね。先生方がこれは自分でやるべきではないんです。やはり専門家に相談して、一緒に協力をして削除依頼を送った方が、先生方がせっかく生徒のためと思っているのに、自分自身の体を壊しては元も子もないんですね。

 さらに、もう一例だけ話をさせてもらうと、あの子援交しているんだよ、きもいよね、あの子と話するとみんな友達なくすから、あの子と話するのをやめようねなんて書かれて、リンクが張られているんですね。

 そのリンクを、クリックを押すと、その子のプロフィールサイトに飛んだんです。実際、それはその女の子がつくったプロフィールサイトではありません。だれかが勝手に立ち上げたプロフィールサイトです。その中に、女の子の画像がかかれて、職業、JK、女子高生ということですね、性別、パコられる方、これは女性ということです。さらに、そのままの文章で言うと、特技はアナルとフェラだよなんて書かれているんですね。ここだけの話、苺佐保でお願いねと書いてあるんです。イチゴサポ、食べるイチゴです、サは佐藤さんの佐、ポは保つという字です。実は、苺というのは子供たちの間で隠語で一万五千円ということですね。佐保はサポート、援助ということを意味します。一万五千円で私と寝てねということです。

 もちろんその子がつくっているわけではないんですね。でも、その裏サイトを見た人は、みんなその子が援交していると思い込んでしまうわけなんですね。それが学校の先生の耳にも入って、おまえ、援交しているのかということを言われたんですよ。それがショックだったんですね。学校の先生にまで疑われた、クラスのみんなが離れていく。結局、その子は転校せざるを得なくなったんです。本人に非は一切ないんです。そういう事例もあります。

 あと、最近の事例なんです。

 小学校六年生の女の子なんですけれども、書き込みをしてしまったんですね。書き込みをするというのは、実は、本当に今までのいじめと違って、全くまじめな子とかがストレスで書き込みしてしまうケースもあるんですね。それが学校の先生にばれて、学校の先生がクラス全員に、書き込みをしている子がわかったからということで全員に電話を入れたんですね。さらに、書き込みをした女の子の家庭には校長から電話が入って、おたくのお子さんは犯罪者です、あした全校集会を開きますから、お子さんとお母さんで全校生徒の前で謝罪してくださいなんということがあったんです。その子のこれからのことを全く考えていないんですよね。

 時間になりましたので、ちょっと途中ですけれども、ここで終わらせてもらいます。

 ありがとうございました。(拍手)

玄葉委員長 ありがとうございました。

 次に、孫参考人にお願いいたします。

孫参考人 それでは、今お手元に「フィルタリング問題の対応について」、黄色い資料をお配りしております。ちょっとごらんいただきたいと思います。

 まず、フィルタリングの問題で、親御さんが自分の子供を守るためにいろいろな機能を提供するということは大変有益なことだと思いますし、そのような形で子供を守るということをしっかりと進めていくことについては、私自身、大変賛成しております。

 ただ、一方、健全なコミュニティーサイト、こういうものまでまとめて、強制的に近いような形で遮断してしまうというようなことについては弊害もあり得るということについて、ちょっと御指摘させていただきたいというふうに思います。

 この一ページのところにございますが、新たなコミュニティーということで、さまざまなコミュニティーができ上がっております。海外でもそうですし、日本でもそうです。

 次のページを見ていただきたいと思いますが、そのコミュニティーの一つの事例ですけれども、例えばミクシィというサイトがあります。これは、日本で行われているインターネットの上でのコミュニティーサイトの一番大きな事例ですけれども、ユーザーの数が約千三百万人おります。千三百万人のユーザーといいますと、ちょうど東京都の人口に匹敵する規模であります。

 三ページをごらんいただきたいと思いますけれども、このコミュニティーサイトでは、例えば、日記だとかブログだとか仲間づくり、コミュニティーの形成ということで、今参考人の先生の皆さんから御紹介がありましたように、非常に問題のある事例もたくさんあります。

 しかし一方、例えば、小学校のときに転校した、新しい学校でほとんどまだ友達がいない、非常に寂しい思いをしているというときに、もといた学校の親しい友達とコミュニケーションを継続するということによってどれほど心がいやされる場合があるかということですね。中学校に進学した、全く知らない友達ばかりだ、先生も言うことをなかなか聞いてくれない、相談に乗ってくれないという場合すらあります。そういうようなときに、もとのクラスメート、親しい親友とコミュニケーションを継続するということによってどれほどいやされる場合があるか。

 子育ての知恵を共有したりするようなコミュニティーもあります。悩みを共有したり、あるいはその他の形のものがあります。

 ということで、現在、日本には約二百万のコミュニティーサイトがあります。さまざまなコミュニティーサイトがあります。県庁がつくったようなコミュニティーサイトもあります。先生方がつくったようなコミュニティーサイトもあります。テニス部のものもあります。ということで、これらのものが今、一カ月に約百億ページ読まれております。約百億ページですね。当然、この百億ページの中には、今参考人の方から紹介されたような事例もございます。

 東京都の千三百万人の人口の中において、毎日のようにさまざまな凶悪な事件が起きたり、事故が起きたりということがございます。では、その千三百万人住んでいる東京都の中で、何か学校の裏庭で生徒同士がいじめをする、そうしたら、その学校には十八歳未満立入禁止というふうにしてしまいますでしょうか。あるいは、千三百万人の住んでいる東京都で問題があった、渋谷で子供同士が何か出会った、そうしたら、東京都には十八歳未満立入禁止、このようにしますでしょうか。これは、一歩間違えるとやや行き過ぎなことになってしまう危険性もあるということで、よく検討すべきではないかと思います。

 四ページ目をちょっと見ていただきたいと思います。

 インターネットのコミュニティーは、今ほかの参考人から御紹介がありましたように、いろいろな問題がありますが、音楽活動する仲間ができたとか、あるいはアメリカの友達ができたとか、昔はペンフレンドで、手紙で海外の友達ができるということで英語の勉強にも役立ったりすることがありましたけれども、今や、それをインターネットを使って、まさにペンフレンドを海外に求めて、子供のときから世界の子供たちとコミュニケーションを交わしていくというようなことも、よい事例もたくさん出てきておるわけですね。不登校の生徒がほかの子供とコミュニケーションを交わして、やはり学校に行こうと励まされたりする場合もあります。

 ということで、よい事例もたくさんある、悪い事例だけではないということをぜひ御認識いただきたいというふうに思います。

 五ページですけれども、そのように問題のある、例えばアダルトだとか、あるいは自殺を促すようなサイトだとか暴力的なもの、こういうものは当然親としてはフィルタリングしたいわけですね。しかし一方、健全なコミュニティーのサイトもある。では、これをどうやって識別するのか。そういうような手段としてフィルタリングという方法がございます。

 次、六ページですけれども、では、同じように、千三百万人の東京都の中で、実社会としてどのようにして青少年を守っているか。Aというコンビニの店舗で何か事件が起きた、その店長が悪いことをしたといったら、そのお店を閉鎖させるなりあるいは管理する、あるいは、麻薬を売買した、そうすると、その売買した本人たちを処罰する、あるいはパトロールを強化する、教育を強化するというようなさまざまな努力が実社会においてなされているわけですね。

 もはやインターネットも実社会の一部だというふうに私は思っております。ですから、このように、現在までの、過去の実社会において行われているさまざまな努力、インターネットの世界においてもさまざまな努力を行っていくべきであろう。東京都千三百万人に丸ごと、十八歳未満は親の許可なしには東京都に出入りしてはならない、住んではならない、目も合わせてはいけないというのは、やはり行き過ぎ、問題点があるであろうということでございます。

 七ページですけれども、ということで、安全なインターネットコミュニティーをつくるために、サイトの開設者、携帯電話の事業者、あるいは親御さん、子供たち本人にさまざまな取り組みをしていくべきであろう。

 八ページをごらんいただきたいと思いますが、では、どのような取り組みかといいますと、ルールの作成、啓蒙活動、パトロール、違反者への対処。

 今までは、インターネットのコミュニティーを提供しているようなサイトが、問題のある表現の書き込みがあった場合でも削除することができないというふうに思われている場合もたくさんありました。しかし、少なくとも、健全な事業者がみずからの判断でそのようなひどい書き込みを削除することができるという権限を十分に与えるだけでも、いろいろな問題が大分健全化されるのではないかというふうに思います。

 九ページをごらんいただきたいと思いますが、そのフィルタリングでも、ホワイトリスト方式、ブラックリスト方式というふうにございますけれども、先ほど言いましたように、二百万もコミュニティーサイトがあるという現状の中で、一歩間違えると、コミュニティーそのものをつぶしてしまうということにもなりかねないというふうに思います。

 ちょっと飛ばしていただいて、十一ページをごらんいただきたいと思います。

 コミュニティーサイトの中にもいろいろなものがありますが、例えば、小学生向け、中学生向け、高校、大学向けというふうに、年齢によっても、小学生と高校生では著しくレベルが違いますので、次のページにございますように、映画の世界でいえば、十二歳未満が見ても大丈夫だとか、あるいは十五歳、十八歳というふうに、推奨するということによって、フィルタリングの問題でも、自分の息子は十七歳だけれども、小学生並みにがちがちにしておきたいというふうに思う親御さんの場合は、小学生向けフィルタリングというものを自分の息子には当てはめたいというふうに、親御さんが判断できて、意思決定できることが可能な道具を提供するということが私はいいのではないかと思います。

 十三ページですけれども、第三者の認定機関というものがございますが、これも一歩間違えると、国がつくった機関、あるいは一つだけの機関が認定するということになりますと、例えば十人とか百人の先生方が、二百万あるウエブサイト、一カ月に百億ページも読まれているようなものをどうやって閲覧して、検閲のような形を行えるのか、これはなかなか難しい問題がございます。

 十四ページですけれども、このコミュニティーは世界じゅうで伸展しているものですから、日本だけが余りにもがちがちな形で新しい時代から取り残されるというふうになってしまうのも、これはまた本末転倒になる危険性があるということでございます。十五ページにありますように、健全なコミュニティーをつくるべきだ。

 十六ページについてですけれども、慎重によく検討しましょうということでございます。

 最後の十七ページ。アメリカで同じような議論が行われました。そのことについて詳細を、この白黒の紙、四ページのものを後でお配りしましたが、「通信品位法違憲判決までの経緯」というものがございます。

 一九九六年にクリントン大統領が、通信品位法案というもので、まさに今議論されているような法案について、その法案を通すべきだということで、クリントン大統領が署名して行われたわけですけれども、その後、国を相手取って裁判が行われました。

 結論を言いますと、先ほど欧米に比べて日本は取り組みが遅れているという御指摘もございましたが、逆に、アメリカでは、行き過ぎた規制は憲法に違反するということで、あいまいな識別における行き過ぎた規制ということになると、次のページにございますように、規制対象があいまいである、言論の包括的制限である、政府による検閲である、表現の自由に反している、信教、言論、出版、集会の自由、請願権、こういう修正憲法の第一条に定められている人権をそもそも侵害するものである、憲法違反であるというような判例が最高裁で出ております。

 ですから、二百万あるようなコミュニティーサイトをまとめてすべて十八歳未満閲覧禁止みたいな形になりますと、これはちょっと行き過ぎではないかというような議論がございますので、利用者本人たち、学生たちにも、あるいはその親御さんにも十分意見を聞き、また提供している事業者にも十分意見を聞き、そして、それが憲法に違反していないのかというようなレベルまで含めて十分な議論を行ってから判断をしないと、性急に十分な議論なしに、大統領がサインした後に最高裁で負けた、国を相手取って訴訟した結果、国が負けたというような事例もございますので、同じ過ちを繰り返さないように、十分な議論をしてこの決定をしていかないと後で大きな問題になり得るということを御指摘させていただきたいというふうに思います。

 以上でございます。(拍手)

玄葉委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 なお、孫参考人は、所用のため午前十時四十五分に退席される予定ですので、御了承願います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井澤京子さん。

井澤委員 おはようございます。自由民主党の井澤京子でございます。

 きょうは、お忙しいところを各四人の参考人の方に貴重な御意見を伺いました。改めてお礼を申し上げます。本当にありがとうございます。

 きょうは、限られた時間、三十分ということで、本当にいろいろお伺いしたいことばかりでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私から御専門家の前で携帯電話の歴史というのをひもとくのも少し遠慮するところでございますが、そもそも携帯電話というのは、一九八〇年代に実用化され、昨年末にはその契約台数が一億台を突破して、今や日本国民の一人が一台を持つというようなことになっているのではないかと思います。今では小学生が三割、そして中学生の約六割、高校生の九割以上、ほぼ全員が持っているとさえ言われております。

 今では、この携帯というのは、インターネットによる情報収集、またメールで成り立つ友人関係などを含めると、子供にとっては、もう暮らしに欠かせない、コミュニケーションを超えた、なくてはならない存在になっているかと思います。このように、携帯の歴史は、わずか十年足らずの間に想像をはるかに超えるスピードで今もなお進んでいるというのが現状ではないでしょうか。

 先ほども参考人からお話がありました。ネット上での有害情報やいわゆる学校の裏サイトの問題など、しかも、急速化、多様化、複雑化、大きな社会問題になっており、一昨日も衝撃的な事件がありました。プロフで知り合った無職の少年が、生意気だという理由だけで、面識もない中学生を呼び出して金属バットで殴り、殴られた中学生が重体になっている。本当にもう耳を疑うような、インターネットにかかわる事件が連日報道されているのが現状です。

 文部科学省が公表している中高生への実態調査でも、学校裏サイトは、実に三万八千件を超えるサイトが存在すると公表されております。例えば、中高生に聞いたところ、学校非公式サイトの認知度が三三%、見たことがあるという数が七〇・五%、フィルタリングの必要性を感じているというのが、八五・五%の生徒が感じているという実態調査も明らかになっています。

 このように、コミュニケーションツールでありながら、一方では事件やいじめのツールにもなっているという、もろ刃の剣であるというのが現状ではないでしょうか。

 携帯電話のフィルタリングサービスについては、私たち自民党でも、実はけさも八時から総務部会がありまして、インターネット違法有害情報対策プロジェクトチームで議論がいろいろと現在もなお行われており、これは、自民党のみではなく、各党でもいろいろと日々議論が行われていると聞いております。

 実は、私の地元は京都でございまして、京都市の教育委員会、京都市のPTA連絡協議会の呼びかけが中心となって、署名活動が行われました。その内容というのが、子供が使用する携帯電話への適切なフィルタリング設定を義務化するということ、そしてもう一つが、子供にとっての有害情報の排除に向けて法的規制を強化するということ、この二つの内容で、何と三万七千人の署名を受け取り、衆議院、参議院の議長あてに請願を私の方から提出いたしました。

 このような形で、全国的にも広がっているこの問題、仕組みづくりについては幾つかの論点があるのではないかと思いまして、きょうはたくさんお伺いしたいことがありますが、三つの大きな切り口でお伺いしたいと思っております。

 まず一つが、民間の自主的取り組みというのがどこまで必要なのか、そして二つ目に、家庭や学校における教育の取り組み、そして三つ目が、国が法的規制、法的根拠をつくった方がいいのかどうなのかという、三つの大きなくくりといいますか、観点があるのかと思います。この三つの観点からの対策を中心にお伺いしたいと思います。

 きょうは、皆様方、それぞれの立場に立った御意見があると思います。私は、本当にきょうはもう率直に疑問点をぶつけさせていただきます。そして、各参考人からは、忌憚のない率直な御意見を伺いながら、あるいは問題提起をして、今後の議論につながるような御意見を率直にお伺いしたいと思っております。

 では、早速、まず孫参考人に二問お伺いいたします。

 先ほど、多分十五分では十分お話しし切れなかった内容ではないかと思っておりますので、民間の自主的な取り組みについてお伺いしたいと思います。

 孫参考人については、いろいろと、もう私から申し上げるまでもなく、我が国のインターネットの歴史の、産業の創成期から、本当に国内外においてさまざまな事業に取り組んでいられまして、トップリーダーとして現在のこのインターネット産業を築いてこられました。

 今のネット産業の状況、あるいはインターネットを使われたこれだけの事件が起きている、違法、有害という言葉はその当時はなかったと思うんですけれども、当初からある程度このような社会問題が起きるというのは想定されていたのか、あるいはようやく今結びついてきたのか、その時代の歴史とともに感じられることがあればお伺いしたいというのが一点。

 そして、もう一つが、違法・有害情報から子供を守るために、先ほども幾つか御紹介がありました、第三者の機関のお話、あるいは民間の実績の話もあると。しかし、現状は、二百万のコミュニティーサイトがあり、東京都の人口に匹敵する千三百万人の方々が一月百億ページのものを見ていると。どこまでそれに取り組めていけるのかも含めまして、忌憚のない御意見なり御感想をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

孫参考人 まず、今、東京都の事例を挙げましたが、二百万コミュニティーある中のたった一つのコミュニティーで千三百万人のユーザーがいるということですから、二百万のコミュニティーサイトを利用している延べの人数でいいますと大変な数に上る、一人で幾つも使っているわけですからね。

 そういう状況の中で、さまざまな事件が起きている、社会問題化するような場合もあるということは、私も大変憂慮しておるところでございますけれども、でも、そもそも、インターネットが生まれる前から、我が国において、いじめだとか、不登校だとか、自殺だとか、事件というのはずっとあったわけですね。これは、それぞれなるべくなくすように、先生方だとかあるいは親御さんのさまざまな努力がなされておるわけですが、インターネットの世界において、新しく生まれたこの道具をいかに上手に使って、そういう問題点をむしろ解決する方向に、よい方向にそういう道具を使っていくか。これはあくまでも道具ですから、その道具をよい方向にも使えるし、悪い方向にも使えるということで、できるだけよい方向に使うように啓蒙活動をしていかなければならないということだろうと思います。

 また、その道具が悪いように使われているような場合には、当然のことながら、フィルタリング等を使って親御さんが選択することができる。例えば、私には息子はいませんけれども、もし息子がいたならば、しかもその息子が高校生なら、余り自分の息子の行動を制限するよりも、むしろよいところを自由に使わせて、悪い部分については、それを見抜く目を、守るすべを教育するようなことに使うのかもしれません。

 ということで、民間の努力としては、さまざまなフィルタリングの導入を携帯事業者それぞれが既に行っておりますし、普及啓蒙活動を行い、フィルタリングを利用している利用者数は三月末時点で三百四十三万人に上る、この半年間で一・六倍にふえたりしております。こういうような努力をこれから着実に進めていくべきだろうと思いますし、また、そういうコミュニティーサイトを提供している事業者においても、パトロールを強化する、あるいはそのパトロールの専任者を一サイトで数百人用意して、一生懸命健全に頑張っているようなところもございます。

 そういうようなところで、よい活動をする人たちが悪い活動をする人たちに対して、むしろその数があるいは規模が上回るような努力を我々は継続してやっていくべきであろう。

 ただ、国が一方的に、強制的に義務化をしていろいろなことをするということになりますと、先ほど言いましたように、米国の最高裁で判例が出たような、これは憲法論議まで議論が行われることになるのかもしれませんので、まずは民間のさまざまな健全な努力をしっかりと見守り、あるいはガイダンスしていくというところから始めるのがより現実的ではないかというふうにも思います。

井澤委員 ありがとうございました。

 今、孫参考人より、これは道具である、悪い方向での議論ではなく、よい方向に使うような議論も一つ必要ではないかというような御提案もいただきました。

 それに関しまして、引き続き孫参考人と、また、国分参考人にお伺いしたいと思います。

 先ほど孫参考人からも、国が一方的にフィルタリングの義務化をしない方がいいのではないかと。しかし、今フィルタリングの必要性が問われていることから、この半年間で約一・六倍、三百四十三万人の方がフィルタリングを利用するようになったという現状もございます。実際、このフィルタリングの義務化というのは、各関係者の中では、義務化するかしないかというのは非常に難しい問題かと思います。

 孫参考人と国分参考人の方に、では、実際義務化するかしないか、あるいは民間でどこまで自主的な規制ができるのか、民間の水際での予防というのは、フィルタリングのほかにどういう取り組みがこれからもまだまだ必要になってくるのか。今、フィルタリングの義務化というのが取り組みの一つの手段として先に取り組まれているようですけれども、ほかにどういうことがあるのか、一つまたお伺いいたしたいと思います。お願いいたします。

孫参考人 フィルタリングは、フィルタリングをしたいという親御様に対して、フィルタリングのレベル一、二、三というような形で、レベルまである程度分けて、しかも、第三者機関も、複数の第三者機関がお互いに切磋琢磨しながらやるような、例えば株式市場においても複数のレーティングエージェンシーが、例えば国債ですらレーティングをするというようなことがあるわけですけれども、複数の第三者機関が切磋琢磨しながらフィルタリングのレベル分けというようなものをつくり、それを道具として使うことができるようにというようなものを提供するという普及啓蒙活動は大変有益だと思いますし、やらなければいけないことだと。

 ただ、親御さんにもいろいろな主義主張の方が、思想の方がおられますので、一方的に、強制的に全員が見れなくするとか、表現の自由を奪ってしまうというようなところまで行き過ぎてしまうと、あるいはコミュニティーサイトは全部まとめてもうアウトだとか、これは余りにも乱暴過ぎるということを私は感じておる次第でございます。

 やはり道具は上手に使わなければいけない。道具を間違った形で使うといけない。包丁は危険だからといって、すべて包丁はキッチンからなくすということになると、これまた行き過ぎだということではないかと思います。

国分参考人 フィルタリングの義務化についてですが、もともとフィルタリングという考え方なり、原理的なとらえ方としては、情報の発信者、インターネット上で情報を発信する人は、表現の自由をちゃんと行使して、自由に発信できる。ただ、そのときに、発信する情報の最初の方に何らかのラベルなりレーティングをつけてもらうと非常によい、これはセルフラベリングとかセルフレーティングといいますが。一方、受信者の方は、いろいろな発信者がおられますが、自分の価値観に基づいて設定をして、自分の基準に、カラーに照らしてオーケーなものは受信するし、だめなものはそこで排除するというのがフィルタリングのスタートなんですね。

 ですから、表現の自由と、受信者の見たくないものは見れないようにするということを両立させるということで、表現の自由とか、先ほど孫社長が御紹介された米国のいろいろな状況の中で、いろいろうるさいことを言う人の中で、ちゃんとフィルタリングというのが、ある種の市民権といいますか、存在し得たわけですね。

 現在の携帯フィルタリングについては、受信者の例えば携帯電話機のところでフィルタリング機能を実現するというのではなくて、携帯電話会社とインターネットを接続するところでフィルタリング機能を実現しておりますので、そこでいろいろ国の関与がどうかというような議論が出てくるわけでございますが、フィルタリングのそもそもの始まりから考えれば、これは発信者と受信者の問題であります。

 ですから、たまたま現在実現されている携帯電話会社のフィルタリングというのは最初の一歩であって、携帯電話機の方にそういう機能が将来的につく可能性もありますし、インターネット上にそういうような機能を有料でサービスするというような形で、携帯電話会社のネットワークは単に通り道である、そういうふうなことも技術的には、次のステップとしては考え得るのではないかというふうに思っております。

 ですから、ちょっとその辺、私、技術がバックグラウンドなものですから、どうしても次のステップ、技術的にどういうふうになるかなという観点で考えるわけですが、そこら辺をまず見据えた上で、本当に法的な規制が必要かどうかをやはり議論されるべきだなというふうに思っております。

井澤委員 ありがとうございました。

 続いて、もう一問だけ、孫参考人にお伺いさせていただきます。

 先ほど、国の規制、法的根拠についていろいろと御意見をお伺いいたしましたけれども、例えば放送の分野では、BPOという、政府から独立した第三者機関が存在しております。放送倫理の向上等に一定の役割を果たしてきていると認知をされております。

 やはり通信の分野でも、インターネット上の情報については、子供を守るための仕組みを考えていくというようなことが必要だと思います。先日、EMAというモバイルコンテンツ審査・運用監視機構が設立され、その方々からもヒアリングを行ったりしております。

 このような民間の自主的な機関が必要なのか、あるいは、BPOのように、政府から独立してはおりますが、ある程度国の公的な機関として第三者機関のようなものが必要なのか、その辺についてお伺いいたします。

孫参考人 先ほど申しましたように、きょう現在で既に約二百万のコミュニティーサイトがあって、一カ月に百億ページも読まれているという状況ですから、これを一つ一つ、どのような人がどのような書き込みをしたか、それを瞬時に消し込みに行くというのはこれまた大変難しい作業でありまして、しかも、その書き込まれている内容が、本当に表現の自由の範囲なのか、それともそれを逸脱しているレベルなのかということを、一つの文章を議論するだけでも、場合によっては、教科書問題のように非常に長くかかる議論になる場合もあり得る。

 これを国の判断で行うということになると、あるいは国がつくった機関が行うということになると、より慎重な判断をせざるを得なくなって、結果的には、足の遅いリアクションになってしまう。むしろ、それよりも、民間の機関であれば、独自の判断で、これはよい、悪い、みずからの判断で行ったというふうに、素早く対応ができることになるというふうに思いますし、しかも、それが、複数の機関があれば、なぜそのような判断をしたのかと。もし一つしかそのような第三者機関がないと、その第三者機関によってなされた決断によってあるコミュニティーサイトが閉鎖に追い込まれるようなことすらあり得るわけで、大変責任の重い判断になり得るわけです。一つしかその機関がないと、その意思決定もこれまた慎重にならざるを得なくなって、非常に議論を呼ぶところであろう。

 しかし、これが複数あると、私どもの独自の判断で行いましたというふうにすぱっと言い切れるわけですね。まさに株式市場において格付機関が複数あるわけですけれども、ムーディーズだとかS&Pだとか、あるいは国内のものも複数あるわけですが、私ども独自の判断基準で判断しました、その経緯については問わないでくださいとすぱっと言い切れるわけですね。私どもの判断が嫌ならほかの機関の判断を御利用されればよろしいのではないでしょうかということで、瞬時に、みずからの判断基準で決めましたというふうにすぱっと言い切れる。これは、民間であり、かつ複数あるからそのようにすぱっと言い切れる、素早い意思決定がなされる。

 こういうような形でないと、先ほど言いましたように、インターネットで一カ月に百億ページも読まれているような状況で、どんどんどんどん手おくれになってしまったのでは、かえって問題を防ぐことができにくくなってしまうということがあろうかと思いますので、やはり道具は上手に、的確に使っていくべきであろうというふうに思います。

井澤委員 ありがとうございます。

 次に、安川参考人にお伺いしたいと思います。

 実は、けさの総務部会では、文部科学省の担当者から、現在の情報モラルの教育についていろいろと報告がありました。

 例えば、学校の教育では、情報モラル教育を推進して学科にも取り入れている、教員のIT活用の指導力の向上を指導したり、あるいは、先日新しくできました学習指導要領の内容にも盛り込まれたりしております。また、先日ありました教育再生懇談会でも、小中の義務教育の中でしっかりと教育していくと。また、福田総理の方からも、実際、携帯を与えなくていいのではないか、例えば、携帯を与えるにしても、ルールをつくって、しっかりと規則をつくりながら、きちんとした形で携帯を持たせるようにすればいいというような議論もあったというようなことを、きょう報告がありました。

 先ほど安川参考人の方から、本当に衝撃的な事実を知りました。片や文科省の中では、教育現場でしっかりと指導をしていくということがありましたが、先ほどは、何かトイレの画像を取り込んでそれをチェーンメールで流す、あるいは、教師の不倫を、偽ってといいますか、それを暴くようなメールをしたり、苺佐保というんでしょうか、これはどういうことなのか、一万五千円で援護をしてほしいというような。

 実際、このような形で子供たちはインターネットをおもしろおかしく利用している、片や教育の現場では、文科省で指導をしているというような、本当に、現場と今の文科省との間のギャップをきょうまざまざと感じたというのが私の率直な感想でもあります。

 今の教育現場で何が必要なのか、どうしていかなければならないのかというのを、率直な御意見をお伺いしたいと思います。

安川参考人 やはりモラル教育とは言っていても、例えば、英語とか数学であれば、生徒よりもできない先生が生徒に教えていても、それは生徒は見向きもしないでしょう。モラル教育も実は一緒なんですね。生徒の方がよっぽど詳しいです、ネットとか携帯に関して。先生方がわかったふりをして教えていても、結局は、生徒たちにとっても、そんなのわかり切っていることだよ、時間の無駄だなんと言っている生徒もたくさんいるんですね。

 これからは情報化社会ですから、教育の中に、携帯とか、本当に生徒たちに、心に響くではないですけれども、ただ使い方を教えても、生徒というのは変わらないですよ。どうして危険なのかという実態をちゃんとわかりやすく生徒に伝えて、その危険性をわかった上で、生徒が自分たちで、ああ、まずいことをやっているんだなと気づかせるような教育というのはやはり必要だと思うんですね。

 ところが、やはり先生方も、時間に追われて、自分の教科は一生懸命やるけれども、そのようなモラルということに関して手薄になっているんじゃないかなという感じは受けます。

井澤委員 次に、下田参考人にお伺いいたします。

 先ほど、保護者の責任がある、賢くなる必要があるというようなお話がありました。与えっ放しではいけない、メディアの特性を学習し、子供に注意する、見守る、問題があれば指導する能力を持ってもらいたい、ペアレンタルコントロールというお話がありました。先ほど、きっと時間が足りなかった部分もおありかと思いますので、もしプラス何か一言ございましたら、引き続きお話をいただきたいと思います。

下田参考人 ペアレンタルコントロールと申しておりますが、最終的に保護者のレベルを上げる必要があるという理由についてもう少し申し述べます。

 まず、メディアの特性ですが、テレビとインターネットは違うということですね。テレビよりも受信者責任が大きいんですね。これがいい情報なのか悪い情報なのかは、受信する側の責任ということで、それを判断していかなきゃいけない。

 そのときに、未成年者、特に義務教育段階にある子供が、情報のよしあし、私どもは、特にインターネットのいろいろな情報の中には、ウエブトラップと呼んでいますが、さまざまな情報の落とし穴がありますから、よしあしだけではなくて危険性をも見抜かなきゃいけない、それを自己責任で子供にさせるということは、当然これはできないと考えております。

 したがって、まず保護者がこのメディア特性を、受信者責任であるという、パーソナルメディアの特徴ですね、マスメディアとは違いますから、それをしっかりと理解した上で、子供にインターネットをさせる場合に最小限必要な知識をしっかりと持ってもらう。その中に、もちろんフィルタリングも入ってまいります。

 しかし、このフィルタリングも、レベルが、子育て、教育上気をつけなきゃいけないフィルタリングの内容の認識があるんですね。形だけは確かにフィルタリングをやって、これで全部、コンピューターフィルタリングといいますと、コンピューターが子供に有害な情報を全部はじき出すよ、安心してくださいといったような技術は到底望めない。私は、それに対して、人間フィルタリングと言っています。コンピューターフィルタリング、それも必要だけれども、もっと必要なのは人間フィルタリングである。

 とりわけ、フィルタリングの技術の中には、ブラックリスト方式というふうに言われているものは、私どもの研究、特に日本の子供のインターネット利用問題の研究の結果として、今のところ、私個人が判断しているんですが、ブラックリスト方式は要注意なんですね。変化に対応できない特徴を持っています。コンピューターフィルタリングを入れたからといって安心はできないということですね。

 したがって、わかりやすく言えば、人間フィルタリングが最終的には必要になる。その人間フィルタリングという、賢いインターネット時代の子育て、教育ができる保護者、もっと言いますと消費者ですね。携帯電話会社はお客さんは子供だと言っていますが、それは間違いだと私どもは言っております、経緯からすれば。本当のカスタマーは保護者です、さらには教員ですから、子育て、教育に責任を持つ保護者や教員の助けになるような、子供をおだてて喜ばせるだけではなくて、助けになるようなビジネスモデルを基本的にはつくっていただかなくてはいけない。

 その枠の中で、どういうフィルタリングを業界として提供していけるのか、その議論を、消費者であり、子育て、教育の責任を持つ保護者が納得できるような社会的説明責任それから情報開示、そういうものをしっかりしていただかないと、第三者機関とかいろいろ言いますけれども、どうしても業界主導の、ビジネス主導のモデルになってしまうのではないかということを私は心配しております。

 基本的には、賢い消費者であり、繰り返しますが、インターネット時代の教育、子育てができる賢い保護者をふやして、そして学校に子供のネットトラブルを持ち込まない、そういう仕組みをつくるべきだと私は主張しております。

井澤委員 まだまだ伺いたいことがたくさんありましたが、時間となりました。貴重な御意見、ありがとうございました。

 以上で、質問を終わります。

玄葉委員長 次に、笹木竜三君。

笹木委員 民主党の笹木竜三です。座って質問させていただきたいと思います。

 孫参考人が四十五分までしかこの場所にいられないということなので、孫参考人にたくさん私の方で質問することが多くなると思います。よろしくお願いします。

 まず、一つ目なんですが、フィルタリングの問題。

 いろいろな方々が、あるいはインターネット、IT業界の方なんかも、民間の動きを見守ってほしいということを再三言われています。それはよくわかりますし、先ほどの孫参考人のお話もある意味で非常に明確なんですが、しかし、ここで考えていただきたいんですね。フィルタリングのレベルが、例えばブラック形式もホワイト形式もあります、これがもっと優良なものであれば、精度が高いものであれば、孫参考人御自身が言われたような健全なコミュニティーサイトまで見れないという状態にしないで携帯電話を使うことができるわけですね。

 実は、私ごとになりますが、私は、小学、中学と子供二人に対して携帯は持たせておりません。それは、いろいろ見ても、とてもこのレベルでは持たせることに責任が持てない。先ほど下田参考人が言われました、親がペアレンタルコントロールでいろいろ調べていけばいいんでしょうが、自分がなかなかそこまでの時間とか責任を負えないということで、現状ではやはり持たせない方が安全だと。

 光の部分は、確かに参考人が言われたようにたくさんあると思います。これからITの光の部分、ますますふえると思います。しかし、影の部分が非常に多くて、例えばこの委員会でも参考人で来ていただきました、石川県の野々市では町ぐるみで小学、中学生には携帯を持たせないということをやっております。そうなるのは、影の部分が非常に多くて、事業者のみずからの努力というのが非常に遅い、このことに煮えを切らせてそうなっているという現状が一つあると思います。

 ぜひお願いをしたいし、御質問したいんですが、フィルタリングのレベル、先ほど孫参考人御自身が言われていました、保護者が選択をできる。店頭で買ったときに設定していただくんじゃなくて、保護者が選択をできる。しかも、よく言われるのは十八歳、十五歳、十二歳とか、三段階、四段階ですが、できれば十段階以上になっていて、保護者がそれを選んでいくことができる、こういったフィルタリングがどのぐらいの時間で実現可能性があるのか。パソコンにおいてはもう実現しているわけですよね。携帯においてどのぐらいの時間で実現可能性があるのかをお答えいただけますか。

孫参考人 技術的には何ら難しいことではない。

 ただ、先ほど言いましたように、二百万もコミュニティーサイトがあるわけですね。アダルトのようなものは当然のことながら制限すべきような範疇に入ると思いますけれども、難しい議論を呼ぶのはコミュニティーサイトのところなんですね。このコミュニティーサイトが行き過ぎたものは出会い系のような形になっているし、健全なものはむしろ有益なコミュニティーのサイトになっているということで、これの判断が非常に難しい。例えばモバゲータウンとかヤフーの掲示板とか、いろいろありますけれども、こういうようなものが果たして何歳ぐらいまでの子供たちには見せていいのか悪いのかという判断はなかなか難しいわけですね。

 それを一つの機関が決めるのもこれまた先ほど言ったような弊害があり得るということですから、これはこれから一年、二年、三年かけてしっかりと積み上げていく、一度で完全無欠になるというのは難しいと思いますけれども、着実にそのような努力を積み重ねていくということではないかと思いますね。テレビも自動車も、あるいは石器時代から比べれば包丁ですら、ある程度の年月をかけて徐々に徐々にルールがより収れんしてきた、道具の使い方、啓蒙活動も収れんしてきたということがあろうかと思います。

 そういう意味でやっていくということだと思いますが、今議員の先生がおっしゃられましたように、親御さんの判断で、私は携帯を持たせたくない、これも立派な一つの判断だろうと思うんですね。それは尊重すべき判断だ。ただ、持たせたいという親もいるわけですね。持たせたい、それは有益だという主義主張の親もいるわけで、その親の判断を、これまた義務的にそれはいけないと、ましてや首相が、子供に携帯を持たせない方がいいんじゃないか、こういう発言は、私は、その立場において発言されるものとしてはやや問題があり得るのではないかなというふうにも思うわけですね。

 やはり親だとかあるいは子供たちも含めて、利用者の考えを十分に尊重する、その自由な権限を与えるということは大切なことではないか、権限を奪ってはいけないということではないかと思います。

笹木委員 もう一度、繰り返しになりますが、おっしゃることはよくわかります。私もできれば持たせたい、中学ぐらいでは思いました。しかし、持たせられなかった。これはやはりフィルタリングの質が非常に問題であって、もっと言いますと、いろいろな携帯の会社のフィルタリングがありますが、先ほどお話がありました健全なコミュニティーサイトを本当に見せたいという情熱があるのかと疑われるようなフィルタリングもある。あるいは、ブラック形式であっても、これではとても危険性が高いから不安だということで、そういうやむを得ない選択になっている。

 それで、この点はしっかりお答えいただきたいんですが、先ほど、保護者が選べる、段階も十段階以上、きめ細かい精度の高いフィルタリングをそれぞれの使用者が、保護者が選択できるようなフィルタリング、これを実現するような努力をされる意思はあるかどうか、そのことについてお答えいただけますか。

孫参考人 当然のことながら、健全な業界の健全な事業者はそういう健全な努力をしようという強い意思を持っていると思います。

笹木委員 孫参考人もそうだと解釈をしますが。

孫参考人 当然そうでございます。

笹木委員 はい、わかりました。

 それで、二つ目、このフィルタリングにもかかわりますが、第三者機関はたくさんあった方がいい、これは私も大賛成です。

 きょう来られている参考人、下田参考人はネットいじめのことで、主に親の学習ということですが、有害サイトがどれか、有害な文章がどういうものか、あるいは安川参考人も、あるいは国分参考人もホットラインセンターにかかわっておられる。ですから、恐らく十分第三者機関を立ち上げる資格がある方だなと思って先ほどからお伺いをしておりましたが、例えば、サイト開設者、業者がこういった第三者機関をみずからつくっていく、直接でもいいし外部にでも結構なんですが、有害度をレーティングするとか、あるいは黒と白、ブラックとホワイト両方で、優秀な、これはお勧めだというサイト、優良サイトを認定する第三者機関、あるいはこれは非常に危険だというブラックを認定する第三者機関、いずれにしても、そうしたものをサイト開設者、業者みずからが何らかの取り組みをしていくことも必要じゃないかと思うわけですが、いかがでしょうか。

孫参考人 そういう健全な努力をしたいと願っている複数の人たちがそういう機関を、例えば親御さん、PTAを中心としたフィルタリングの機関もあってもいいと思いますし、サイト開設者がつくったものもいいと思いますし、あるいは学生たち自身もそういうものをつくってみたいということがあってもいいのかもしれません。

 とにかく、そういうような啓蒙活動を一生懸命みんなで努力して行っていくということが有益な議論そのものであり、少なくともこのような形で日本が世界の携帯の先進国としてよい事例を示していくということを私は非常に願っておりますし、そのように進んでいくと。

 ただ、水も漏らさないような形のものというのは、東京都で一人も自殺者を出さないとか、一つも交通事故を出さないとか、こういうことが不可能だというのと同じように不可能なことでありまして、ただ、そういうたゆまない健全な努力をし続けていく、しかも、それを競争して、努力し続けていくことがあるべき姿ではないかというふうに思います。

笹木委員 ぜひ、サイト開設者の業界全体でもそういうふうなものを検討いただけるといいなというふうに思います。

 それともう一つ、有害と違法情報と両方あるわけですが、違法情報についてお聞きしたいんですね。

 先ほど孫参考人は、禁止行為の明確化、ある意味で違法情報は明確です。もう一つ、やはり問題のある書き込みは削除をする、サイト全体じゃなくて書き込みを削除するということを言われていました。あるいは処罰をする。そのことが健全なサイト全体を消すことにならない、つながるんだというお話もありました。

 違法情報について、例えば、青少年委員会ですから、青少年が被害者になるような児童ポルノあるいは薬物取引、麻薬取引の広告、これは違法です。今携帯が社会のインフラになっているとしたら、例えば公共的なインフラである電車の中に薬物取引広告がそのまま張ってあるということはありませんし、児童ポルノの映像とか写真が張ったまま放置されているということはありません。しかし、現状において、犯人が捕まった、その犯人が提供した児童ポルノの映像、写真、あるいは薬物取引の広告がそのまま削除されないで残っている。これを変えるために、結局は、今はプロバイダー有限責任法で削除することができるというふうになっているわけですが、やはりこれを削除しなければならない。違法情報についてだけでもいいと思いますね。これが必要じゃないかと思います。

 それで、最後に孫参考人にお聞きしたいんですが、なぜ、現状において、利用契約において、例えば文章の投稿者との間でサイト開設者は違法情報や公序良俗に反する投稿がなされた場合はこれを削除するという利用契約を結んでいるにもかかわらず、あるいはプロバイダー有限責任法があるにもかかわらず、違法情報まで削除がされていないのか、それが徹底されていないのか。これはやはり義務化する、削除しなければならないとすることでしっかりと対応がとれるという面があるんじゃないかと思うわけですが、お答えいただけますか。

孫参考人 削除することができるというのは大変重要なことで、事業者が徹底的にそのような努力をするということが可能になるわけで、表現の自由とか難しい問題がある中で、少なくともその事業者の判断で削除することができるというのは大変有益な前進だというふうに思うわけですが、削除せねばならないとなった途端に、常にどこかで違反状態が起きているということになってしまう。

 先ほど言いましたように、コミュニティーサイトだけで二百万ですけれども、世界じゅうにさまざまなインターネットのサイトがあるわけで、そこへの入り口はさまざまなところにあるわけで、外国にサーバーを持っていくような悪徳業者もいるという状況の中で、これを義務化したときに、健全に事業を行っているつもりの事業者が、常にどこかで一部の違反状態が起きている、それで事業者が罰せられるという恐怖状態にあるということであれば、事業そのものが行えない。つまり、東京都で、違反者に対して取り締まることはできるわけですけれども、違反者が一人でも出たら東京都知事はその責任を問われるということになると、東京都知事は一日も務まらないということであろうと思うんですね。

 ですから、やはりそのような取り締まることができるということは大変重要な手段ですけれども、一日も違反状態があってはならないということになると、努力義務というのはわかるんですが、その義務が行き過ぎるとだれもそれが務まらないということになってしまうという問題点があろうかと思いますので、義務化ということについては慎重な検討が必要であろう、こういうことでございます。

笹木委員 わかりました。

 もう終わりますが、今のお話については、恐らくサイト開設者が知った場合にはということにすればクリアができるんじゃないかなというふうにも思いますが、それと、ぜひ有害情報については、成人であるという認証をもう少し厳格にやるような方法を考えていただければ、かなり問題は前に進むんじゃないかなと思います。

 いずれにしても、この携帯がインターネットにつながる技術、これは世界の最先端を走っているわけですから、安全面についても最先端を走れるように、我々もそうですが、事業者の方々にもぜひその努力をお願いしたいと思います。

 終わります。

孫参考人 ちょっと最後に、済みません。

 時間で退出しますので、最後の今のコメントで、事業者が違法であるというふうな状況を知った場合には削除する努力義務が必要だということですが、先ほど米国の通信品位法の中でもありましたように、どの線を越えたらこれが違反状態であるかどうか、この判断が、あいまいな、主観性に基づく判断である場合があり得るということですね。

 したがいまして、これは問題であろうというふうに思った場合には、その事業者の主観でそれを削除することができるというふうになれるだけでも事業者としては大変な前進なわけですけれども、ほかの第三者が見て、これは違反している内容のものであるということを別の主観で指摘されて、その主観から見て違反しているぞというふうに指摘された場合に、これはその線引きの問題が難しい場合があるということもあわせてコメントさせていただきたい。少なくとも、健全な努力をするという精神の中でも一部その線引きが難しい場合があり得るということだけはぜひ記憶にとどめておいていただきたいというふうに思うわけでございます。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、吉田泉君。

吉田(泉)委員 民主党の吉田泉です。

 私の方からも、有害サイトの規制のあり方について三人の参考人の方に質問をさせていただきます。

 今、笹木委員の方からもインターネットの光と影という話がございました。私もインターネットの世界の半分は悪の世界だという話を専門家から聞いて、最近実感しているところでございます。そこから青少年をどうやって保護するのか、与野党ともに今、法整備を含めて対策を検討中ですが、そこの論点を中心にお伺いしたいと思います。

 最初に、国分参考人にお伺いしたいと思いますが、このフィルタリングをもっと活用しようというのが大方の共通認識だと思います。そして、政府もいろいろな事業者にその旨要請もしてきたところであります。

 問題は、このフィルタリングの基準をだれがつくるのかということですが、国がこれを直接やると検閲というような憲法問題が出てきて、先ほど孫さんもおっしゃっていましたが、アメリカでは違憲判決が出たということであります。映画界だと映倫がやっている、ビデオ界だとビデ倫がやっている。テレビですとBPOというようなところがやっている。インターネットの世界でも、こういった確固とした機関が複数あって、そこが基準をつくるというのが理想だろう、きょうはそういう御意見が多かったと思います。

 実際、先日ですが、四月八日、新しくEMAという民間の中間法人ができました。ここがフィルタリングの基準を策定する委員会をつくって、第三者機関としてやろう、こういう動きが出ております。

 ところで、実際には、国分参考人のところの財団法人インターネット協会で、既に長年にわたってセーフティーオンライン3という基準を策定されているわけですね。3というからには、1があって、2があって、今3の段階まで来た、間もなくこの4を検討し始めるということです。

 そのオンライン3の状況なんですが、これを見ますと、小学校、中学校、高校、こういう別にフィルタリングをつくるべきだというような基準になっておりますが、一体、オンライン3という基準が世の中にどのぐらい普及したとお考えなのか。これはPCと携帯ではまた違うのか。そして、長年やってこられて、必ずしも普及していない、民間の協会としてやってこられて、基準をつくってはみたもののなかなか普及しないんだ、こういう原因があるんだというようなことがもしあれば、それも含めて教えていただきたいと思います。

国分参考人 御指摘のとおり、セーフティーオンラインというのは大分歴史がありまして、セーフティーオンラインから始まって、2と、先ほどの資料の中にありましたセーフティーオンライン3。今度、やはり掲示板サイトなんか、もうちょっと最近の新しいネットのサービスに対応して見直すという状況です。

 どれぐらい普及しているのかという御質問に対しては、正直なところ、セーフティーオンライン3をつくったのは、二〇〇七年、ちょうど一年前です。ワーキンググループには、ネットスターとかでありますとか、デジタルアーツ、それからヤフーというフィルタリングソフトをつくっている企業に参加していただきまして、そういう中で合意を得て、だんだんセーフティーオンライン3のもとのバージョンができて、そのワーキンググループの上にある委員会で、これは教育関係者とか学識経験者とか、実際にそういうフィルタリングサービスをやっている会社とかがメンバーなんですけれども、そこで少しいろいろ御意見をいただいてまとめてきましたものですから、少なくとも、フィルタリング事業者三社のところではそれなりに、実際のこれまでの製品にどれぐらい活用されているかよくわかりませんが、皆さんが今後いろいろさらにフィルタリングソフトの性能を向上させる際には、こういうものがベースになっていくのではないかというふうに考えております。

 それから、PCか携帯か、どこで使われるのかという御質問ですが、当面はPCでのフィルタリングを想定してそのフィルタリングソフト三社に参画してもらってきましたが、携帯の方もどんどん技術革新とともに新しい携帯が出てきて、まさにPC化しつつあるものですから、そういう一つの流れの中でとらえれば、そこら辺は、現在は携帯ではネットスターのデータベースを使っている状況ではありますが、いずれ、だんだんそういう区別の境目がなくなってくるのではないかと思っております。

 ですから、ちょっと、時間軸で直ちにということじゃなくて、二、三年ぐらいのレンジでぜひとらえていただければと思います。

吉田(泉)委員 時間がかかるということもあると思います。ぜひ、インターネット協会とかEMAとか、民間の機関が競い合うような格好で開発していただきたいと思います。

 それから、二番目に、下田参考人に親の選択権ということでお伺いしたいと思います。

 先ほどのお話ですと、インターネットから子供を守るのは学校の先生の責任じゃない、親の責任が第一義的だというお話、私も全く同感であります。ただ、それを言うからには、今度は親の教育権といいますか、では選択権も認めよう、責任と権利と裏腹だ、こういうことになってくると思います。

 そこで、先ほど孫さんの方からも、フィルタリングを最終的にかけるかかけないかというのは親の選択権に残しておこうというお話がありました。一方、先ほどの井澤委員のお話だと、京都などではフィルタリングをかけるというのを義務化しようじゃないかという運動があるというようなお話だと思って聞いておりましたが、親にフィルタリングを外す権利を認めるべきかどうか。そういう声の方が多いような気はしているんですが、いかがでしょうか。

下田参考人 まず、おっしゃった選択権ということは、もちろん選択権という言葉でいいとは思うんですが、重要なことは、根本はインターネット時代に子供をしつけられるかどうか、子育て、教育ができるかどうか、その能力があって初めてその権利行使の実効が上がるということですね。

 私どもが申し上げているのは、従来のインターネットモラルだけでは実はいけないと思っているんですけれども、情報モラルという発想だけでは対応できないので、私どもは、危険回避、リスクマネジメント教育が必要だし、実は私どもの感想では、十年間子供たちを教えてきて、お説教に近いモラル教育ではなくて、実際に使うことを前提に、どういうわな、ウエブトラップ、ピットホールといった落とし穴があるか、それを教えてほしいという声が子供にも強い。まず子供への教育もそういう点で欠陥がありますし、とりわけ親、保護者は買い与えるだけで中身は見なくてもいい、インターネットだから親はわからないやというような社会風潮を改めないと、選択権の実質的な行使もできないだろう、基本的にそう考えているということです。

 そのために、そういう仕組みに実は流れがなっているかというと、業者のビジネスモデルは、選択権といいますけれども、例えば、言ってみれば、レストランに入って、そして、うちはお子様向けのランチもあるけれども、成人、要するにアルコールの入ったようなものとか、アルコールも出しますけれども、あなたはお子様を連れていらして、このメニューの中からどれを選びますかと、フィルタリングというのはそういう考えだととっていただいてもいいと思うんですね。

 そのときに、その親が、その食べ物の中に有害性がどれだけあるのか、アルコールがかなり入っていると言うけれども、それを食べさせていいのかどうかということを知った上でないと選択できないわけでしょう。そういうことを例えて言えば、そういう状態を想定すると、これまでの、特にモバイルインターネットもオンラインゲーム機もそうですが、メニューに対する説明が余りにもないんですね、私どもが見ていますと。説明責任が果たされていない。それをしっかりとやってほしいと言っているわけです。

 実は、具体的な話を一つしますと、ドコモさんが安心、安全というキッズケータイを売り出された。GPSがついているから安心、安全だとおっしゃった。そこのところを、うちの県の市民講座、十二時間、二十四時間コースを卒業されたお母さんたちが、これはテレビのCMと違うのではないか、キッズケータイを使っているのに有害情報がどんどん入ってくるし、サラ金からの請求も入ってくる、これはおかしいんじゃないのかということが実際に使ってみてわかった。販売のときに注意もされていません。

 テレビのCMで出ているあの安心、安全を下さいと言ったときに、それを買わされてしまう流れ、セールスプロモーションになっているんですね。それはおかしいんじゃないかといって携帯電話会社の支社長を呼んで説明をさせたら、いや実は保護者にとって安心、安全でない機種もあったんですと言う。それは説明されていないわけですね。これはやはりまずいんじゃないですかと言ったら、それはそのとおりですと。それで、実は私どもの市民に対して、どうしたらいいか教えてほしいとおっしゃった。それはおたくのマニュアルに小さな文字で実は書いてあって、私どもは必死になって、その場で親御さんは、アクセス制限ができますよという、キッズケータイでも改めて親はその製品の知識を得なきゃいけないという仕組みになっているんですけれども、そこを苦労して読んで、私どもアクセス制限をこうやってかけました、かけることができますよと言ったら、驚いたことに、携帯安心・安全教室の責任者が私どもに、どうやったらそれができるんでしょうか、教えてくださいとおっしゃった。自分のところの製品の説明能力がないということが歴然だったんですね。

 そもそも、最初から、インターネットができる携帯を売り出すときにそういう説明ももちろんされていないわけですから、これはいかにも不公平ではないのか、選択権以前の問題である、私どもはそういうことを言っているわけです。

 直接お答えになったかどうかわかりませんが、だから、私どもは、説明責任をしっかりしろ、選ぶ以上は情報をしっかり出してほしい、それから質問にもちゃんと業界は答えてほしい、その上で、子供に与える判断を子供と一緒に考えてやりましょう、使うときはもちろんその手順を踏んで、使うときの自己責任は消費者が引き受けますという流れを社会的合意にしなければいかぬだろう、こういうふうに申し上げている。

吉田(泉)委員 時間ですので、終わります。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。

 参考人の先生方、きょうは早朝から大変ありがとうございます。お一人の参考人はお帰りになりまして、大変お忙しい方ですからやむを得ないと思いますけれども、質問する機会がなかったのは大変残念だということを申し上げておきたいと思います。

 三人の参考人にお伺いしたいと思いますけれども、インターネットの有害サイトの規制ということで、この有害性の判断をだれがやるのがいいのかというテーマでありますが、この有害サイトの規制ということでは、今は議員立法の動きがございます。

 違法な情報、あるいは明らかに公序良俗に反する情報を規制するあるいは削除するということについては余り異論は少ないと思うんですけれども、有害かどうか、特に子供にとって有害かどうかということについては、その線引きの難しさだとか、あるいは先ほど孫参考人は、特にコミュニティーサイトについては、真っ当なサイトもあるわけですから、難しい判断になるということもございましたし、また、憲法上の表現の自由なり通信の秘密なりというところの関連もあるということで、この有害性の判断を国がやるのがいいのか、あるいは民間の第三者機関がやるのがいいのか、あるいは業界の自主規制に任せるべきなのか、この点についてどのようにお考えなのか、三人の参考人にお伺いしたいと思います。

下田参考人 おっしゃるように、私はインターネットの情報環境を三つに分けて考えております、ブラックゾーン、グレーゾーン、それからホワイトゾーンと。

 フィルタリングということを考えますと、ホワイトゾーンに関しては、子供に推奨する、むしろ使わせたい。それから、ブラックゾーンは、これは治安維持の観点から判断もしやすいので使わせない、認めやすいし使わせないということもできる。問題はグレーゾーンだということを当初より申し上げております。

 グレーゾーンというのは、子育て、教育上の観点から見ますと、勉強ではなくて遊びのサイト群です。先ほど孫さんがおっしゃった、コミュニティーサイトあるいはコミュニティーの性格を持ったウエブ、掲示板等々、学校裏サイトもその中に入るわけですけれども、そこの判断の難しさがグレーゾーンにあるということを私ども申し上げております。

 特に、私どもは、誹謗中傷、わいせつ、暴力誘発情報というものを中心にしておりますが、意図的に大人が子供に悪いものを見せて出会い系サイトに引っ張ったり、わいせつ情報販売に引っ張ったりしようというような発信が、あるいはリンクで引っ張っていくと言いますけれども、そういう行為がここには見てとれます。

 それを判断するのもなかなか難しいんですが、最も注意しなければいけないのは、子供同士で意図せざるコミュニケーション、やりとり、あるいは子供に紛れた大人と子供で行っているコミュニケーションの中から有害情報がつくられてしまう、ブラックゾーンに相当するような、わいせつ、誹謗中傷、暴力、人権侵害に結びつくような情報が文脈の中から発生してしまうその仕組み、現状を我々はもっと認識すべきであると考えているんです。

 ここのところは、やりとりの中から、文脈の中から生まれてくる性格の有害情報ですので、当初よりマークすることは基本的に難しい。先ほど孫さんは事業者の悩みの一端を示されたわけですが、外国にサーバーを置くという問題ももちろん事業者の悩みでしょうが、そういう中で、意図的に、子供たち自身がおもしろがってわいせつな動画等々をアップしてしまうような仕掛けをつくってしまうこと、仕掛けをつくることも非常に問題であるという認識がまだ社会にないと私どもは考えております。

 そういう要素を持ったインターネットというテレビとは違うメディアですので、何度も申し上げますが、事業者にしても、さて最終的にきっちり責任をとれと言われたらとても困るわけです。お客さん同士がいたずらを始めたらどうしようもないところが実はございますので、それは悩みだろうと思うんですね。

 そこは、私どもの経験からしますと、学校区単位で私どもは実験を三年ぐらい重ねているんですが、先生も保護者も、ネットの子供のそういうコミュニティーサイトの振る舞い、遊び状況を見てきております。いつの時代も、子供の安全は学校だけではなくて学校後、休み期間中にどういう遊び方、どんな危ないところにいるかを見ているわけですから、インターネット時代もそれをやろうと見ているんですね。

 そのときに、こういう有害情報を発生させるような仕組みそのものも問題なんですが、発生してしまっているよということを携帯電話会社等に我々は教えたりしているんですね。そこでフィルタリングの中身を修正したりもしてもらっているわけです。

 どういうふうに考えても、情報を供給する側に一〇〇%安全性を求めるということがもしできないのであれば、やはりユーザーの能力アップを図らざるを得ないし、それに対して、単にモラル教育ではない、リスク教育を含めた社会教育的なシステムをつくらざるを得ないのではないか、私どもはそう考えております。

 それがないと、子供にとってこれが有害情報か有益な情報かという判断は一律にできないわけですから、非常に柔軟な対応ができなくなるわけですから、やはりユーザー、インターネット利用者、親子でレベルアップをする仕組みをやらなくてはいかぬだろう。今までそういう発想すらなかったわけですけれども、社会的なシステムをつくる必要があるということで、私ども研究室として、八年間の実践経験から、コンセプトデザインを国に提案しております。

国分参考人 有害性の判断をだれがするのか、国がやるのか民間がやるのかという御質問ですが、私どものところでホットラインセンターを運営しておりまして、日々、線引きが難しい、悩ましい事例が出てきております。

 ホットラインセンターでは違法情報が中心ですけれども、社会の安定、公序良俗に反するような違法一歩手前の有害情報というものにも対応しておりまして、有害情報の場合は、ネットの管理者あるいはプロバイダー等に、そちらの利用約款に基づいて適切な処置をお願いしますというお願いをするわけですが、違法情報についても、いろいろ線引きが難しい部分がありまして、これはホットラインセンターの中で法律アドバイザーといろいろ相談をして、ある判断を出して、警察へ通報するわけです。警察は警察で、外には公開していない判断基準がやはりあるように見えます。それが実際に裁判になれば、裁判所の判断というのもあります。

 ですから、国がやるのか民間がやるのかということでいうと、やはりいろいろなところで判断があって、裁判所まで行かないと最終的な判断にはならないわけですが、そうすると、物すごく時間がかかるので、私どものホットラインセンターとしては、いろいろ専門家、法律アドバイザーの意見も聞きながらホットラインセンターとしての判断をしたものは、それなりに尊重していただきたい。それを聞いていただけないとなると、警察の方の判断の世界にだんだんなってきて、捜査とかということになるんだと思います。

 この手の話のポイントは、掲示板等の、ユーザーがどんどん書き込むような、あるいは写真をアップするようなコンテンツがこのところ、孫社長のお話でもありましたように、すごくふえているわけですが、そういう際に、管理者というものの存在がやはり非常に大きな意味を持つようになってきておりまして、やはり管理をきっちりしていないところが問題になるわけですね。管理をきっちりしていれば、まあ、そう問題にはならない。もちろん、ビジネス的に見ると、管理をきっちりやるということは、それだけ人手がかかりますので、大変なんですけれども、やはりそういうものに対しては管理をきっちりするということがすべての始まりではないかというふうに私は思っております。

 以上でございます。

安川参考人 モバゲーというのがありますね。今一千万人加入している方がいますけれども、以前ネット上で広まったことがあるんですね。モバゲーで出会った子とは簡単にできるよ、一番できるサイトだよということで、それをマニュアル本までネット上で販売されたんです。もちろん、それは未成年とやれる方法が書かれている本なんですね。ただ、それをどこまで大人たちがわかっているかということですよね。モバゲーといったら、別に安全なサイトだと思い込んでいるかもしれません。

 そうしたら、その中での出会いというのがたくさんあったんですね。ちょっと前に事件がありまして、それでモバゲーの方もいろいろ対策を練って、プラスマイナス二歳までの人としかやりとりできないとか、電話番号、メールアドレスの交換は一切できなくなりました。

 ところが、やはり考えていますね。一たん解約をして、四十五歳であっても十五歳と登録したら幾らでも十五歳になれるんですね、成り済ませるんですよ。電話番号の交換、メールアドレスの交換、簡単にできてしまうんですね、平仮名で、ぜろきゅうぜろいちさん何とかと書けば。一たん電話番号の交換とかメールアドレスの交換をしてしまえば、もうモバゲーは必要ないんですよ。お互いのメールアドレス、電話番号の交換でやっているんですね。ただ、表ざたになってこないんですね。

 プロフのサイトでもそうです。実は、未成年とかロリコン系の特に男性が興味を持っているのは、出会い系じゃないんですね、今は。出会い系サイトはサクラだ、プロフィールサイトは実際の小学生、中学生、高校生が登録しているんだ、しかも顔まで見られるんだということなんですね。

 さらに、子供たちの間では、そういう私たちに興味を持った大人も見ているということがわかっているから、援交を求める言葉を隠語で書くんですね。よく見ていたら、私のこと差して、差してというのは最初何かぐさっと刺すのかなとか考えていたんですが、違うんですね。差してというのは、サポートして、援助して、お金ちょうだいということなんですね。

 もともとプロフィールサイトというのは、本当に友達をつくりたいという子同士が立ち上げていたものが、そうではなくて、全然、子供をねらっている大人たちの絶好のターゲットになってしまっているんですね。

 もう一個は、モバゲーでも、では有害でなければいいのかというと、はまると子供というのは抜けられないんですね。プレステとかにはまっていて、ほら、もう寝る時間でしょうの一言で子供を寝かせることができます。携帯を持たせてモバゲーに接続したら、中途半端なところで子供はやめませんよ、親の監視の目がなければ。

 ということで、自分独自の考えだけ言わせてもらえば、未成年と成人が使う携帯というのは区別すべきだと思うんですね。フィルタリングどうのこうのというよりも、親はなぜ子供に携帯を持たせるのか。不安だから、何かあったとき連絡をとりたいからというんですね。そこにネット機能が必要ありますかということなんですね。何かやはり調べたいものとかというときは親が監視できるところでやればいいんですよ。パソコンがあって、そこでやればいいんです。そうすれば何の問題もないと思うんですね。

 以上です。

石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。

玄葉委員長 次に、石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 きょうは、青少年特別委員会の参考人質疑に、参考人としてそれぞれの立場から貴重な御意見をいただきましたし、また、皆様方の取り組み、私は実践、大変興味深く伺わせていただきました。

 我々だったら、私なんかまだまだネットがわからない世代なんですけれども、子供たちの間では急速にネット機能の携帯が普及して、そしてさまざまな問題がそこから派生しているということだと思いまして、そういう問題に本当にそれぞれ取り組んでいらっしゃるということだと思います。

 限られた時間ですので、お一人ずつに一点ずつお伺いをさせていただきます。

 下田参考人は、先ごろ発表されました文科省の裏サイトの実態調査、それにもかかわっておられましたようで、そのコメントも読ませていただきました。

 そこで、ぜひこの機会ですので伺いたいなと思ったんですけれども、学校非公式サイトというのは中高生を中心とした子供たちによる主体的なネット遊びととらえがちであるが、構造的には大人の業者の手のひらに乗っているということがございましたし、さらに、各種の子供サイト遊びの根底には、いわゆるコンテンツ業者を含めた企業のネットビジネスモデルという大人社会の企て、活動が働いている構造になっていることに注目しなければならないだろうということがございました。

 私もこのくだりに注目いたしまして、もう少し具体的にこれがイメージできるというか、どういう実態を指してこのようにおっしゃっていらっしゃるのか、少し、短い時間ですけれども、お聞かせいただければというふうに思いましたし、では、子供を守るためには、結局、今何から始めるべきなのか、何をすべきなのかということなので、そのことで何か御示唆をいただければというふうに思います。

    〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕

下田参考人 お答えします。

 具体的にわかりやすく申し上げます。

 学校裏サイトという掲示板遊び、ネット遊び、それを子供たちに、ただでおもしろいことができるよというふうにしかけているわけですね。そういう場所がなければ、お金がかかるのであれば、子供はああいう遊びはしません、基本的には。学校の友達といろいろ連絡をしたいということで、ただで掲示板を貸してくれる。では、うちのクラスあるいは学校の友達、ここで集まって話をしようやという趣旨は趣旨なんですね。

 ところが、問題は、そうやってただで子供にネットの遊び場を提供している、その遊び場に張られている、わかりやすい例、ただ一つなんですね、ワン・オブ・ゼムの話をしますけれども、広告が張られている、これをだれも問題にしないのはおかしいと私どもは言っているんですね。

 全国調査で広告の種類をチェックしました。はっきり言って有害広告ばかりです。有益な、こういう本を読みましょうとか、そんな図書の広告はありませんし、文部省推薦の映画を見ましょうなんてございません。サラ金、わいせつ情報販売、最も多いのは出会い系サイト。

 ですから、その遊び場で友達が集まるサイトは、子供たちが自主的にいろいろな情報交換、宿題やったとか夏休みはどうするかとか、仮に問題のない受発信内容であっても、子供たちはそういう悪い広告、青少年健全育成の視点から完全に条例違反のような、完璧な有害広告が張られている中で遊んでいるわけですから、見ないわけがないんですよ。現実に私どもは見ているというデータもとっておりますし、本当に見ないわけがない。そのことについて考えると、これはやはりビジネスモデルに問題があるなということを私は指摘せざるを得ない。

 問題は、従来、頻繁に膨大な子供がそういう遊び場で遊んでいるのに声が上がらなかった理由はどこにあるんだ。では、それを提供している業者自身が問題にするか。するわけがないですね、そこが収入源ですから。その声を上げたのは保護者なんですよ。子供に、あなた、こういう遊び場でネット遊びしているけれども、お母さんが見たらアダルトグッズを売っているじゃないと。クリックしてくださいというふうに誘導するわけですから、さまざまな仕掛けが施されているわけですから、それでお母さんはおかしいねと。

 本当に僕はつくづく思うんですが、インターネット時代に、携帯電話会社が子供を守っていい子にするためにあれを出したとは、私はそのもともとの開発の経緯からして思っていません。時間がないので詳しく申し上げませんが、設計者自身が私の意見を聞きに来たんですから。設計思想そのものに問題がある。さらに、今お話ししているのは、コンテンツサービス業者の問題として、広告の問題を取り上げて言っている。

 その問題を専門家と称する人たちが指摘もできない中で、本当に子供のことを考える親御さんが、初めてこの遊び場に入ってわかった、先生、というふうに私に教えてくれているわけですから、やはりインターネット時代の日本の社会に、さらに今まで以上に見守る力、愛情の力をみなぎらせなければだめだと私は思っております。

 以上です。

    〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕

石井(郁)委員 ありがとうございました。

 続きまして、国分参考人にそれとの関連で伺いたいと思います。

 今のお話のように、さまざまなサイトというのは、パソコンでは見られなくて携帯でたくさん見られるという話になっているわけでしょう。それは私たち大人では到底わからない世界になっていたわけでありまして、今私も伺って本当に驚いたんです。その問題で今いろいろ議論されているのに、先ほどの委員の質問にもありましたけれども、違法情報、有害情報を一くくりにして、そこから子供を守るというような形で言われているんですけれども、そもそも違法と有害は一緒くたにはできないと私は思っているんです。

 今のお話の関連でいいますと、今、一つの議論として出ているように、違法もしっかりと削除できないというか、きちっと対応できない中で、有害という定義をさらに広げて、そして、それを国が決めたり、削除しなければ権力的に規制するというようなやり方というのは、やはり私はとるべきではないという立場なんです。そこで、問題は、コンテンツ業者というふうに言われましたけれども、やはり業界、業者が自主的な取り組みをいかに進めるかということが非常に問われているというふうに思うんですね。

 そこで、国分参考人の書かれたものの中で、例えばアメリカの企業では千人規模で管理している企業という形で紹介をされていたと思うんですけれども、先ほど来、レーティングの話もありますけれども、第三者機関という話もありますが、業界の自主的な取り組みというのをどのように進めていったらいいのか、御意見があればその点をちょっと伺わせていただきたいと思います。

国分参考人 先ほど孫社長が御紹介された資料の中にもありましたけれども、米国のマイスペースという、二億人ぐらいのユーザーがいるという世界的に展開しているSNS、ソーシャル・ネットワーキング・サービスのサイトなんですけれども、そこでは、内部のスタッフが千人ぐらいで、外と契約をしていろいろカスタマーサポートしている人が三百人ぐらいおられるということで、これでもまだ不十分だというようなお話でした。

 このマイスペースは、実は、やはり成り済まし、子供に成り済まして、ちっちゃい男の子とか女の子をだまして、実際に会って児童に対して性的虐待をするとかという事件がいろいろ起こったこともあって、そういう経緯もあって、相当なサポート要員といいますか、管理体制を強化してきたんじゃないかなというふうに思います。

 先ほど安川参考人からも御紹介ありましたモバゲーも、三百人体制あるいはもっと多い数でちゃんと管理するというふうに話がだんだんなってきましたので、ちょっと後づけになりますが、とにかく、掲示板的なサービスをする場合は、手間がかかるといいますか、管理者がちゃんとしなければ相当荒れて、違法も有害も書き放題という状況になるというふうに社会的にいろいろな立場の方が理解をして、やはりそういうサービスを提供する側にちゃんと管理をしろということを言っていただきたいなというふうに思っております。私も機会あるたびにそういうことは関係者に申し上げているんです。

 体制的に一人か二人でやっているようなサイトももちろん存在します。そういうところは、いわば副業的に管理をしている、夜とか週末とか、そこら辺で対応するとかというサイトもあるので、一律に何かで法的に規制をかけるということではなくて、何かちょっとそこら辺の管理体制を強化する、管理者のトレーニングでありますとか、スキルのスタンダードを検定的な形でちゃんとある資格を持っている人が管理者になれるとか、何かそういうことを具体的に考えていかないとなかなか問題は解決しないように思います。

 以上でございます。

石井(郁)委員 ありがとうございます。

 最後の時間になりましたけれども、安川参考人に伺いたいと思います。

 本当にたくさんのショッキングな事例も御紹介いただきまして、なるほどと思ったんですけれども、やはり携帯のネット機能というのは、本当にこれは新しい問題ですよね。

 それで、私は、学校や保護者はもう完全に立ちおくれていると思うんですけれども、やはり子供たち自身に、こういうネット時代、あるいはネット機能、そして日本の社会にこういう問題が起きているということ、さまざまな科学的知識と言ったらいいんでしょうか、やはりそれが必要じゃないかな、私はこう思うんです。

 そういう点と、安川参考人が大変精力的にいろいろ全国を回っていらっしゃることを拝見いたしましたし、ぜひ、政府や行政がもっと後押しするためには何をしたらいいのかというような点でお聞かせいただければと思います。

安川参考人 まず家庭なんですけれども、今、フィルタリングの件もそうなんですけれども、もっと問題を言えば、子供たちは携帯を手放さないんですね。おふろに入るときでも、ビニールに包んで、おふろの中でメールを打っている子もいるんですよ。御飯を食べるときでも、親子の会話というのは成り立っていないケースが多いんですね。右手で御飯を食べて、親の話も何も聞かないで、左手でメールを打っているんですね。ずうっとなんですよ。

 だから、結局、家庭の中で一番大切なのはコミュニケーションですよね。今、携帯にはまっている子が多いということが、これがコミュニケーション不足という一番のデメリットになっていると思うんですね。だから、まず家庭の中でのルールづくりというのも必要だと思うんですね、携帯を持たす上で。うちでは、御飯を食べるときは携帯を置いて食べようね、携帯を持つのはそれが条件だよということで、友達にもそういうことをちゃんと伝えておいてねと。

 それから、あと、SOSのサイン、まず家庭の中で見抜くべきなんですね。裏サイトとかに書き込みされたりする子というのは、大体、同時にメールでの嫌がらせにも遭っているんです。子供たちは着うた、着メロを大音量で流しますよ。新しい歌が出たらすぐダウンロードして、それを聞くのが快感なんですね。ところが、死ねとか、うざいとか、よくそんな顔で生きているななんてメールが来出すと、いきなりサイレントにします。このようなサインというのは、本来、一番身近にいる親が気づかなければならないんですね。これは学校の先生では見抜けないところなんですよ。

 ちょっと、いろいろ話すと長くなってしまうので、時間がオーバーしたので、ここで終わらせて……

石井(郁)委員 どうですか、委員長に御了解いただいて、一、二分、ちょっと御披露していただきたい。

玄葉委員長 どうぞ、安川さん。

安川参考人 あと、全国を回っていて、最近は、教育委員会とか保健所とか、いろいろなところから要請が来ます。一生懸命なんですけれども、県ごとの取り組み方が全くばらばらなんですね。やはりこれは日本の問題ですから、それぞれの県が、こうやってやっていけばいいんだとわからないから、もう全部試行錯誤をやっているんですよね。

 だから、やはり上からどんとそれぞれの県に、こういう方向でやっていきましょう、それもマニュアルみたいなわかりづらいのじゃだめなんですよ。先生方はもう分厚いマニュアルは持っているんですが、学校へ行っても、全然読んでいない先生方が多いんですよね。わかりづらいというんですね、細か過ぎて。学校の先生にももっとわかるように、対策としてこうなんだとずばっと言うものがなければ、先生方も親もなかなか動いてくれないと思うんですね。わかりやすいものの作成の方をぜひ国の方にはお願いしたいというふうに考えています。

石井(郁)委員 時間が参りました。

 どうもありがとうございました。

玄葉委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人の皆様に一言御礼を申し上げたいと思います。

 参考人の皆様には、大変貴重な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。いただきました御意見、私どもの委員会での審議の参考にさせていただきたいと思います。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。

 ありがとうございました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十三分散会


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