衆議院

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第2号 平成20年11月18日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十年十一月十八日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 玄葉光一郎君

   理事 江崎洋一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 佐藤  錬君 理事 実川 幸夫君

   理事 菅原 一秀君 理事 笹木 竜三君

   理事 吉田  泉君 理事 古屋 範子君

      井澤 京子君    井脇ノブ子君

      上野賢一郎君    大塚 高司君

      とかしきなおみ君    中森ふくよ君

      丹羽 秀樹君    萩原 誠司君

      福岡 資麿君    松本 洋平君

      山内 康一君    泉  健太君

      菊田真紀子君    田名部匡代君

      池坊 保子君    石井 郁子君

    …………………………………

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小渕 優子君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   厚生労働副大臣      渡辺 孝男君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   松田 敏明君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 井上 美昭君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     武内 信博君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 三浦  守君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳久 治彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           尾崎 春樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岸田 修一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           杉浦 信平君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           北村  彰君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           大槻 勝啓君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十八日

 辞任         補欠選任

  永岡 桂子君     萩原 誠司君

同日

 辞任         補欠選任

  萩原 誠司君     永岡 桂子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 青少年問題に関する件


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     ――――◇―――――

玄葉委員長 これより会議を開きます。

 この際、小渕国務大臣、増原内閣府副大臣及び並木内閣府大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。小渕国務大臣。

小渕国務大臣 青少年健全育成を担当する内閣府特命担当大臣として、一言ごあいさつを申し上げます。

 心身ともに健康で社会的に自立した青少年を育成していくことは、我が国の将来を大きく左右するものであり、政府の最重要課題の一つです。

 一方で、若者の社会的自立のおくれや、児童虐待、いじめ、少年による重大事件の発生、有害情報のはんらんなどの問題が深刻化しています。

 このため、本年内を目途に、今後の政府の基本方針となる新しい青少年育成施策大綱を策定し、青少年が夢と希望を持ち、健やかな成長を遂げられるよう、家庭、学校、地域等が連携し、切れ目ない支援を総合的に推進してまいります。また、青少年インターネット環境整備法に基づき、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の実現に向けた施策を推進いたします。さらに、ニート、引きこもり等、困難に直面する若者を支援するため、新法も含め、対応策を検討してまいります。

 少子化対策に加えて、男女共同参画や食育など関連する分野もあわせて担当している立場を十分に生かしながら、関係閣僚とも緊密な連携を図りつつ、施策の総合的な推進に全力を尽くしてまいります。

 玄葉委員長を初め、理事、委員各位の御理解と御協力をよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

玄葉委員長 次に、増原内閣府副大臣。

増原副大臣 青少年健全育成を担当いたします内閣府副大臣の増原でございます。

 小渕大臣を支えまして、関係行政機関相互の連携協力によりまして、政府の重要課題でございます青少年育成施策を総合的に推進してまいります。

 玄葉委員長を初め、理事、委員の皆様方の御理解と御協力を何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)

玄葉委員長 次に、並木内閣府大臣政務官。

並木大臣政務官 青少年健全育成を担当する内閣府大臣政務官の並木正芳でございます。

 次代を担う青少年が夢と希望を持って健やかに成長し、そして、社会が幅広く活躍できる場である、これは大変重要なことでございます。

 私としましても、増原副大臣とともに小渕大臣を支え、青少年行政の総合的な推進に邁進してまいりますので、玄葉委員長を初め、理事、委員皆様の御指導、御協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

玄葉委員長 青少年問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官松田敏明君、警察庁長官官房審議官井上美昭君、警察庁刑事局長米田壯君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長武内信博君、法務省大臣官房審議官三浦守君、文部科学省大臣官房審議官徳久治彦君、文部科学省大臣官房審議官尾崎春樹君、厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君、厚生労働省大臣官房審議官岸田修一君、厚生労働省大臣官房審議官杉浦信平君、厚生労働省大臣官房審議官北村彰君及び厚生労働省職業安定局次長大槻勝啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡資麿君。

福岡委員 自由民主党の福岡資麿と申します。

 きょうは、質問の機会をいただきましたことをまず感謝申し上げます。

 前段は、人工妊娠中絶についての質問をさせていただきまして、後段で、今大変な社会問題となっております、学生による大麻の事件について質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 まず、小渕大臣、私と同じ昭和四十八年生まれでありまして、今、一児の母として、子育ても真っ最中であります。青少年に近い年の大臣として、また子育て世代の代表として、ぜひ青少年問題及び少子化問題等、頑張っていただければというふうに思っております。

 私は、九州、佐賀県出身でありますが、先日、小渕大臣に佐賀にお越しいただいたときに、佐賀県は合計特殊出生率が平成十九年度で一・五一ということでありまして、全国第七位だということでお褒めの言葉をいただきました。子育てをしやすい環境、そして子供を授かろうと思ってもらえる環境にあることは大変すばらしいことであるというふうに思っておりますが、一方で、平成十八年における佐賀県の十代の人工妊娠中絶率というのが全国トップだというようなデータもございました。

 きょう、参考資料に、全国の十代の中絶率の一覧の紙をつけさせていただいております。平成十九年度になりまして十一位に下がりましたので、そういった意味ではよかったと言っていいのかもしれませんし、全体としては、十代の人工妊娠中絶は低下傾向にあるという、長期的な傾向としては大変いいことであるというふうには思っておりますけれども、やはり少子化問題を考えるときに、今後どうやって子供を授かっていただくというような環境をつくっていくかということもそうですけれども、やはり一度授かった命を失わないようにしていくということも大変大きなことだろうというふうに思っております。

 今般、生活対策の中でも、政府として妊婦健診に対しての国の助成を大幅に拡充するというようなことで、やはり母子ともに健康な状況に保っていただく、そういう御努力をしていただいているということは本当に評価すべきだと思いますし、また、今、救急搬送のたらい回しの問題等もありますけれども、そういったところでやはりしっかりと、助かるべき命は助けていっていただく、そういうことも大切だというふうに思います。

 また一方で、アメリカ大統領選においても中絶というのは大変大きな論争のテーマになっているわけでありまして、国もこの中絶の問題に真剣に向き合っていくということが非常に今求められているのではないかと思います。

 御承知のとおり、一度中絶をいたしますと、その後流産をする確率が上がったりということもありますし、また、精神的にも肉体的にも大変大きなダメージを受けるようなことになるわけであります。やはりどういった原因で中絶が行われているのかという、原因をしっかりと分析した上で、もし子供を授かる意思がないのであれば、しっかりと避妊をしていただくということ、もしくは、もし経済的な理由で子育てができないということであれば、政治がそういった阻害要因を一つずつ解決していくということがまさに求められているんだろうというふうに思っています。

 佐賀県で高いというデータがありましたから、県の担当の方に、何で高いのということを聞いたところ、ちょっと率直に、類推はできても正確な原因はわからないというような話もございました。

 性教育が行き届いていないんじゃないかというような御指摘もあったりとか、また、今、出会い系サイト、そういった有害情報に触れる機会が大きいことも要因の一つとしてあるんじゃなかろうかというふうに思っておりますけれども、やはりこういった人工妊娠中絶、特に十代の方、こういったところにどうやって向き合っていくか、また、若者の間で命を大切にという意識が欠如しているとか性に関するモラルが低下している、こういったことが言われている中で、大臣としてどのように取り組んでいかれるか、御決意をお聞きしたいと思います。

小渕国務大臣 十代の人工妊娠中絶につきましては、先ほど委員からお話がありましたように、その後、やはり妊娠しづらくなるとか、また流産をするとか、ハイリスク出産になる可能性が高いということが言われています。また、それだけでなくて、やはり十代のときにそうしたことが起こると、精神的にも大変大きなダメージ、大きな傷を負うことであると思います。

 そうしたことをできるだけ回避するには、何といっても若いころからしっかりとした知識を持っていただく、これは男性も女性もしっかりとした知識を持っていただくことが大切ではないかと考えています。

 発達段階に応じてまず正確な知識を持っていくということも大切ですけれども、それとともに、やはり命の大切さ、子供を産み育てることの意義また喜び、また性に関する正しい知識、理解、そうしたものを身につけていくことが大切であると考えておりまして、学校におきまして、発達段階に応じた適切な性教育を実施していくことが必要であると考えています。

 現在、全国の小中高等学校において、命の大切さ、また家庭の役割等について理解を深める教育を推進しています。例えば、そのくらいの時期に赤ちゃんを抱かせたりすると、やはり随分と子供に対して、また小さな命に対しての思いも大きく変わってくることと思います。

 関係省庁とも引き続き連携をしながら、また学校、地域、家庭、そこがまた連携して取り組みも進めていかなければならないと思っておりますので、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

福岡委員 決意表明、ありがとうございました。

 この表を見ていただいてもわかりますように、これは都道府県でかなりばらつきがあるんですね。やはりそれは、全国的に取り組まれるというのもいいんですけれども、地域によって何でこんなにばらつきがあるのか、そこにどういう背景とか要因があるのかということについては、例えば佐賀県とかはわからないと言っているんですけれども、どこにその原因があるのか、そういうのをしっかり調べていただいて、そういった要因を一つずつつぶしていただくというようなことが大切になってくるのではなかろうかというふうに思いますので、ぜひ今後ともそういった取り組みをお願いさせていただきたいというふうに思っております。

 そして、実は佐賀県は三十代、四十代の中絶率もかなり高い水準にあるわけであります。中には、夫婦間で第二子、第三子ができたんだけれども、経済的理由とかで育てることが困難だという理由で中絶をされているケースがかなり多く見られるというふうに言われておりまして、そういった意味で、やはりそういったところに対してもし経済的手当てがしっかりしていれば、本来は中絶しなくていい命が生まれてくる、それが出生率の上昇につながるというようなことになるであろうというふうに思いますので、そういった観点から質問をさせていただきたいと思います。

 きょう、実は参考資料二でお配りをさせていただいている資料がございます。これは、私の選挙区でもあります鳥栖市の鳥栖市議会の子育て支援特別委員会というところで取りまとめた資料であります。

 これは、各委員が各戸をずっと自転車で回って、一軒ずつヒアリングをして取りまとめたものでありまして、七十二回もの議論を経て取りまとめたものであります。現在も、児童手当であったり、また乳幼児の医療費助成であったり、また税制面では扶養控除や特定扶養控除、そういったものが実施されているわけですけれども、この指摘によりますと、子育てにお金がかかる時期と国の助成の額とのタイミングが必ずしも一致していないんじゃないかというようなことが検証として挙げられるわけであります。

 これは、お子さんが三人のケースで試算をされているわけなんですけれども、この委員会では、可処分所得の大体四分の一、二五%ぐらいまでが子育てに充ててそんなに無理がない範囲だというふうに結論づけた上で、もしそのお子さんとかが高校から大学に入るような世代になると、家計の九割ぐらいを子育てに支出しなければいけないような状況になるというようなシミュレーションがなされているわけであります。

 そういった意味において、大臣もこれまで、日本のいろいろな子育ての予算というのは欧米諸国に比べても安いんだということもおっしゃっておりますけれども、総枠を広げることも大切なんですが、やはり家計の実態に応じて、必要な時期に必要な額が行くようなことも必要だというふうに思っております。

 そういった意味では、これは一つの地方議会で検証されたことでありますが、やはり政府としても、今後のいろいろな子育ての予算を考えるときに、今後どういった助成のあり方をするか、もしくはどういった奨学金とかの拡充を図っていくか、そういったことというのは非常に大事なことだと思いますので、そういった観点から大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

小渕国務大臣 先日、佐賀に伺いましたときに、市議会の皆さんからこの意見書をちょうだいいたしました。本当に細かく回っていただいて、実際の、本当に生の現状を聴取し、また分析をしたこの意見書に私も大変驚きまして、これからまたいろいろと参考にさせていただきたいと思っております。

 委員がおっしゃいますように、全体の量としては、日本は家族政策にかける予算というものは欧米諸国に比べると三分の一ということですから、このあたり、全体的なパイは広げていかなければならないと思いますが、確かに、必要なところできちんと国が手を差し伸べていけるか、そのポイントを外さないことがやはり大切だと考えています。

 ですから、そうした状況や背景というものをしっかりつかんで、どのところで国民の皆さんがそうした経済支援というものを必要としているのか、その実態をきちんと把握しながら対応に努めてまいりたいと考えております。

福岡委員 ありがとうございました。

 次に、昨今、大学生の所持が次々に発覚しております大麻汚染について質問をさせていただきたいと思います。

 私の母校の慶応大学からも逮捕者が出たということは大変衝撃的な話でありましたが、直近でも、早稲田大学であったり東京理科大の大学生が逮捕されるということなど、本当に大学横断的にこういった汚染が広がっているということが改めて明らかになったわけであります。

 若者の間でこういう大麻の取引が相次いでいるということは大変ゆゆしき話でありまして、きのうも、河村官房長官の談話の中でも、大変大きな問題だということをおっしゃっていただいておりますけれども、政府としてもしっかり対応していく必要があるんだろうというふうに思っております。

 その中で私が問題意識を持っていますのは、大麻取締法違反での検挙の中で、大麻を種で買って栽培をして摘発をされた件数というのが、ここのところ大変大きく伸びてきております。記憶に新しいところでいえば、俳優の加勢大周さんが栽培していたとか、関東学院大学のラグビー部の選手が大麻を栽培していたというようなことは記憶に残っているところでありますが、そういったものも、種を買って栽培をしたというのが問題につながったわけであります。

 栽培の増加の背景にあるのはネット社会であるというふうに言われておりまして、私も検索サイトで検索をして、大麻、種というふうに入れますと、本当に多くのサイトがひっかかってくるというような状況でございます。ネット上には別に栽培のマニュアルとかもいっぱい出回っておりまして、だれもが種を入手すれば容易に栽培ができるような環境に今なってしまっているということであります。

 インターネットは、だれでもアクセスができるために大変すそ野が広いわけでありますし、汚染拡大の点では大変問題が大きいというふうに考えておりますけれども、大麻取締法では実は種については所持罪の規定がないために直接取り締まることができないということが、今問題として指摘をされているわけであります。

 まず警察庁にお聞きをさせていただきますが、こういったインターネットを経由して大麻の種が、どんどん所持が広がっているということに対して、どのように考えて、どういうふうに対応をしていかれているのか、まずその点について質問をさせていただきたいと思います。

米田政府参考人 委員御指摘のとおり、大麻の種子につきましては売買を規制されておりません。したがいまして、警察が取り締まっておりますのは、種子の関連でいいますと、栽培でございます。

 栽培は、委員先ほど御指摘のとおり、近年、平成十五年以前は大体年間二けたの検挙人員でございましたが、以後はおおむね百人台というふうになっておりまして、最近ふえております。

 その中で、種につきましては、種そのものはちょっと検挙はできませんけれども、種を販売する側が、購入者がこれを栽培することをもう知っているということを証拠上何とか立証いたしまして、そしてその栽培の幇助という形で検挙をしている事例がございます。

 警察といたしましては、法と証拠に基づいて捜査をするということでございますので、現行法を前提に、今後とも積極的に検挙に努めてまいりたいと考えております。

福岡委員 まず警察の方でも今取り締まりの強化とか御努力はいただいていますが、取り締まりを強化しても現行法制では限界があるんじゃないかという指摘もあります。

 大麻取締法は、所持は禁じていても使用については特に規定がありませんし、先ほど言った種子の所持についても所持罪の規定がなくて、販売を直接取り締まることができないような状況になっています。

 栽培目的ではなくて鑑賞目的だとネットには書いてありますけれども、ああいう小さい種を鑑賞で見るということもめったにないことであろうというふうに思いますし、また、今、取り締まれない理由として、麻の種というのは七味トウガラシの中の一つの材料であったり、もしくは鳥のえさとかで一般的に流通しているから、そういった種の売買は規制がかけられないんだというような話もあります。

 ただ、一般に食用で出回っている麻の種というのは熱処理をしてありまして、発芽しないような状況になったものが食用として出回っているわけでありまして、であるならば、熱処理をしていない種の売買を規制していくとか、そういったものについては当然法規制の中で考えていく余地は大いにあるのではなかろうかというふうに思っています。

 また、麻の農家が栽培をする中で大麻の成分を自動的に吸引する可能性があるということから、大麻の所持については罰則があっても、その使用についての規定がないというようなことについても、やはりそこは例外とかを設けながら規制を図っていくということも必要ではなかろうかというふうに思っております。

 そういった意味で、私自身は、もう少し、取り締まりの強化も必要ですが、法改正、抜本的なルール改正、そういったことにも踏み込んでいく時期ではなかろうかというふうに思っておりますが、厚労省の見解をお聞きしたいと思います。

岸田政府参考人 大麻の種子につきまして、種子自体には有害な成分が含まれていないということは事実でございます。

 それから、麻薬、大麻を国際的に取り締まる国際条約というのがもう一九六一年にできているわけなんですが、そこにおきましても種子を取り締まりの対象にしていない。したがって、先進諸国も含めて、多くの国々では種子を取り締まりの対象にしていない、こういう実態がございます。

 したがいまして、大麻取締法では、発芽不能にしているかしていないかにかかわらず、種子自体を取り締まりの対象にしていない、こういうところでございます。

 しかしながら、相手方が栽培することを知って種子を提供する場合、その場合の種子の提供罪、先ほど警察庁の方が幇助罪の話をしましたけれども、さらに提供罪という罰則を設けておりますし、不正栽培の目的でその種子を譲り受ける、あるいは所持する、譲り渡す、そういった行為に対しては処罰を設けているわけでございます。

 大麻の種子をインターネットを通じて販売している、そういった実態があるわけでございますけれども、証拠をしっかりと積み重ねることによって、厳に種子の栽培者を取り締まっている。昨今でも新聞報道で出ているかと思います。

 厚生労働省として、不正栽培目的の種子の取り締まりを含めた取り締まりの徹底、それを関係取り締まり機関と連携しながら進める必要がある、と同時に、やはり青少年が気軽に大麻に手を出さない、そういう規範意識を初めとした予防啓発、そういったものを充実していく必要があるだろう、こういうふうに思っております。

福岡委員 国際ルールの話はよくわかりますけれども、実際にやはり非加熱の種が出回っているということが犯罪の温床と化しているわけですから、そういった部分についてはぜひ省内でも御検討いただきたいと思いますし、私たち、党内でもしっかり検討して、再発防止のためにどうしたらいいかということを真剣に今後とも議論をしていきたいというふうに思っております。

 時間が参りましたので、ここで質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、とかしきなおみさん。

とかしき委員 おはようございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 質問の前に、福岡先生も先ほどおっしゃいましたけれども、大麻についてちょっと一言申し上げたいと思います。これは通告をさせていただいておりませんので、要望という形でお聞きいただければと思います。

 連日のように、大学生、学生、ついに高校生まで汚染されているというような報道までなされております。

 私、実は薬剤師でありまして、大学時代、薬の害でいかに体に大きなダメージをこうむるか、これを一番勉強いたしました。

 大麻には副作用がない。先ほどちょっとグーグルの方で、大麻、副作用というふうに書いて検索いたしましたら、約十六万ぐらいヒットしたんですけれども、十枚ぐらいめくっていってもずっと、大麻の副作用ではなくて、副作用がないという情報ばかりが流れているわけですね。ですから、それを見ると、多分若い人たちは、ああ、大麻は副作用がないんだ、体に害を及ぼすものではないというふうに必ず誤って認識してしまうのではないかなと思いました。

 同じように、大麻、購入方法というふうにして検索しますと、激裏情報、クリニック、違法なクスリの購入方法を知りたいとかいって、そのサイトがありまして、どこどこの公園に行くとこういう人たちがいて薬を購入できますよとか、そういったことが、ましてやグーグルで一番最初にその情報が入ってくるということで、インターネットの世界でこの情報がかなり行き交っていて、これがかなりの汚染源になっているということが明白なわけであります。

 早急に、このインターネットを使った情報発信をどういうふうに食いとめていくのか、さらに、インターネットの中の情報で、大麻に関する副作用、体にどんなダメージがあるのかということを、どんどんメッセージを発信していかないと、今の状況ではますます被害者がふえてくる。

 もしくは、今、見ていますと、法律の方がおかしいんじゃないか、むしろ体に副作用がないものを禁止している日本の法律の方がおかしいのではないかというキャンペーンすらインターネット上で張られているという異常事態になっておりますので、早急なる手を打っていただきたいと思います。これは要望にさせていただきます。

 ということで、ここから質問に入らせていただきます。

 次に、少子化問題からきょうはお話しさせていただいて、最後に、青少年に家庭の大切さを意識させる、そういった教育活動についての質問をさせていただこうと思いますので、よろしくお願いいたします。

 少子化を語る前に、ちょっと自分の思いを吐露させていただきますと、私も実は独身でありますので、よく、少子化問題をお話しすると、あなた、子供も産んでいないのにそんなことを語る資格があるのというふうに言われてしまうんですけれども、全くそのとおりでありますけれども、でも……(発言する者あり)そうなんです。そうだと思うんですけれども、子供を産む性を授かって、それを行使しなかったということで、この年になってみて、私も女性として、やはり子供を産まなかったということは、実は人生において大変……(発言する者あり)いや、まだなことはないと思いますけれども、非常に大きな後悔となっているわけであります。

 逆に、こんな思いを抱いているからこそ、子供を産まれた方、そして子育てで苦労なさっている方のお役に少しでも立ちたいなと、ざんげの意味も込めて少子化問題にこれからも積極的に取り組んでいきたいなというふうに思っております。

 そこで、少子化問題についてお伺いしたいんですけれども、今回の第二次補正予算に盛り込まれる予定になっております少子化対策、小渕大臣がすごく思い入れを持ってこの少子化対策に取り組んでいらっしゃるというふうにおっしゃっていましたので、その内容と目的と期待される効果をぜひお示しいただきたいと思います。

 あと、政府が政策を実行した場合に、それがどうした場合うまくいったということが評価できるのか、その評価軸、もしお考えになっていましたら、あわせてお知らせください。

小渕国務大臣 少子化問題というのは、今まさに待ったなしの状況にあると考えています。

 私もその一人なんですけれども、第二次ベビーブームの世代が三十代であるのもあと五年であります。それ以降は母親となるべき人口が減っていくという状況の中で、本当にこの二、三年のうちに思い切った施策をとらなければ少子化に歯どめがかからないのではないかと、私は大変強い思いを持っております。

 先ほど委員からお話がありましたけれども、少子化問題というのは、男性であっても女性であっても、子供を持っていても持っていなくても、また御年配の方であっても、今のこの日本の最重要課題である少子化問題について何ができるのか、それをそれぞれにやはり考え、また行動に移していかなければならない時期にもう既に来ていると思っておりますので、ぜひ積極的に御発言いただきたいと思っております。

 今、政府・与党によります生活対策の中で、この少子化対策について、安心して出産、子育てができる環境づくりを加速するということで、思い切った施策を盛り込ませていただきました。

 その一つが、安心こども基金、一千億円です。これを都道府県に設置することによりまして、新待機児童ゼロ作戦を前倒しして、三年間のうちで十五万人分の保育所の整備を推進していきたいと考えています。

 二つ目としては、妊婦健診の無料化です。現在、十四回のうちの五回は公費で見ることとなっておりますけれども、これを十四回丸々見ることによりまして、妊婦さんの出産に関してのできる限りの経済的な負担をなくしていこうと考えています。

 三つ目としては、子育て応援特別手当の支給。そして、中小企業子育て支援の促進等。この四つの項目が含まれております。

 また、今回ちょっと盛り込むことが間に合わなかったんですけれども、出産費用の無料化についても、年末の予算編成過程の中でぜひとも実現させていきたい。

 子供をおなかに持って出産するまで、そうした経済的なことを何も考えずにお子様を持つことができる、そうした環境をしっかり整えていきたいと考えております。

とかしき委員 ありがとうございます。

 今回の子育て対策というか、少子化対策の政策、私の地元のお母様方にもとても評判がよくて、ぜひ早く国会の方で審議をして通してもらいたいということで、結構声が上がっておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 そして、少子化大臣の立場であられる小渕大臣なんですけれども、日本の少子化の一番の原因が一体どこにあるとお考えでしょうか。それに対して、今後どのような政策を重点的に取り組んでいらっしゃろうと思うか、今お話しになった部分も含まれるかと思いますけれども、お願いいたします。

小渕国務大臣 出生率の低下につきまして、一番の要因ということでありますけれども、一つに絞るのはなかなか難しいのですけれども、平均初婚年齢、また未婚率が上昇しているということ、また夫婦の出生児数の減少が挙げられるかと思います。また、社会的、経済的には、雇用の不安定、男性の長時間労働、教育費の負担感といった要因が考えられるのではないかと思います。

 こうした問題点を改善するために、具体的な施策としては、まず、安心して妊娠、出産ができるための支援として、先ほど申し上げた妊婦健診の無料化、そして出産育児一時金の充実、そして産科医療体制の確保など、しっかり整えていかなければならないと考えております。

 二つ目として、その後安心して仕事と子育てを両立するための環境整備として、安心こども基金の創設による保育所の整備、また仕事と生活の調和の実現、教育費負担軽減のための奨学金の充実や保育園、幼稚園等の保育料軽減などの経済的支援、またフリーター等の不安定就労者対策も含めた若者の職業的自立に向けた総合的支援など、幅広く総合的にやっていかなければならないのではないかと考えております。

とかしき委員 ありがとうございます。

 少子化問題、いろいろな原因があるかと思うんですけれども、私は、最近、傾向を見ていて、子供を持ったお母さんの方に政策が少し偏り過ぎていて、その前の青少年の段階からやはり動機づけをしていくこと、こういったことも必要なのではないかなと思います。

 そこで、ちょっとデータをお持ちさせていただきました。このパネルで、こちらの方で見ていただくとわかるんですけれども、夫婦一人当たりの子供の数がどうなっているのかということなんです。

 夫婦当たりの子供数というのは、実はほとんど横ばいでありまして、結婚すると子供をつくる数というのはそんなには変わっておりません。ただ、出生率がどんどん下がっていくというのは、実は結婚する人が非常に少なくなっているという傾向が見られるわけであります。ですから、家庭を持った人は、比較的、割と子供を産んでいらっしゃるんですけれども、しかし、結婚する人自身が大幅に減っていることによって子供の数が少なくなっているということが言えます。さらにもう一つ言えるのが、やはり離婚の数が非常にふえているということで、家庭を一度つくっても、これを解消してしまう人も非常にふえているわけであります。

 このように、家庭を維持するということを私たちが放棄してしまうことによって、実は少子化がどんどん進んでいるということが言えるわけであります。

 このように考えていきますと、実は、結婚しないような人たちを結婚するようにやはり持っていかなくてはいけない。そのためには、家庭の大切さとか、温かさだとか、それを維持していく重要性、そしてすばらしさを、やはり青少年のうちからしっかり教育の中に盛り込んでいかないと、結婚しない人がますます今後もふえてしまって、そしてそれが少子化に大きな影響を与えていくということになりますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。

小渕国務大臣 今委員の御指摘がありましたように、やはり少子化の要因として、初婚の年齢が上がっている、また結婚しない人たちがふえている、そうしたことが大きな要因であるということも、私自身も承知をしています。また、離婚についても触れられましたけれども、出生率にどのような影響を及ぼしているかという正確なデータは持ち合わせていないのですけれども、ただ、夫婦が減るということに関しては、やはりこれも出生率とは無関係ではないと思います。

 先ほど、青少年の段階で、結婚をするようにしっかりと教育をしていった方がよろしいのではないかというお話がありましたけれども、やはり、これから子供を産み育てていく若いうちに、そうした家族のきずなですとか家庭の大切さ、そうしたものをしっかり考えていくということは大変重要なことであると考えています。

 教育の場だけでなく、やはり私自身、結婚を考える、結婚観というものは自分自身の両親から受ける影響も大変大きなものがあると思いますので、例えば教育だけにかかわるのではなくて、やはり家庭の中で、そうしたことの大切さ、家族を持つこと、家庭を持つことのすばらしさ、喜びというものをしっかり言っていかなければならないのではないかと考えています。

 政府としては、十一月十六日を家族の日としておりまして、その前後一週間を家族の週間と位置づけています。関係省庁、また地方公共団体、関係団体との連携のもと、各種の啓発活動を行っているところでありますけれども、こうした日やこうした週間を利用して、家族とは何だろう、家族の大切さについていろいろ話し合うような時間をそれぞれの御家庭の中で持っていただけるといいなと思っております。

とかしき委員 ありがとうございます。

 ぜひ、その家族の大切さというものを、どうも若い人たちが、今、その意識がすごく欠落しているので、それを大切にしていっていただきたいと思います。特に、さっき大臣がおっしゃいましたように、両親を見て、子供たちというのは夫婦観とか家庭観とかいうのを育ててまいりますので、そういった関係を、環境を整えていくということもとても大切だと思います。

 あともう一つ。私も最近勉強して知ったんですけれども、お産のときに、その影響はかなり大きいということが何か最近わかってきたということで、出産のときに非常にストレスのある出産をして、そして子供を産んで、例えば、手術台の上でお母さんがしんどい体位で、すごく長時間苦しい思いをして、そして薬を使って無理やりかき出すように出産をした。そしてお母さんが、血だらけになって出てきた赤ちゃんはお母さんとすぐ離されてしまって、あとは保育器の外からガラス越しに自分の子供と最初に会わなくてはいけない。こういった赤ちゃんの育て方をしていると、やはり親子関係が希薄になってしまう可能性がある。

 むしろ、人間が本来持っていた機能である自然分娩という、陣痛促進剤も使わないで自然な形で、明るいところではなくて少し暗いところで、自分の好きな体位でゆっくり時間をかけながらお産をして、そしてそのときにはつるっと赤ちゃんが、血まみれになって生まれるわけでもなく、大きな声で泣いてしまうこともなく、ストレスがかからないで親子が最初に対面をして、そして抱き締めてあげた。その赤ちゃんとの親子関係というのが、実は、だんだん育っていくと、その方が精神的にかなり安定して、愛情豊かにお母さんも子育てができ、そして子供も親に対してすごく信頼感が出てくるというふうなことが行われて、現場の方では、今、そういった産科の先生が出てきております。

 ということで、お産というのが、私は、ある意味、すごくすばらしい体験であると思うんです。親子関係を築いていく家庭の価値観を、一番、無意識のうちに、言葉でなくて体で体感できるすばらしい行為だと思うんですけれども、お産がどのような意味を持っていくのか、親子関係と家庭のきずなを醸成する意味においてお産をどういうふうに位置づけていったらいいのか、大臣のお考えをお知らせください。

小渕国務大臣 お産をどう位置づけていったらいいのかという御質問でありますけれども、どのような出産の形をとるのかというのは、それぞれの母体のこともありますので、一概に、こういう方法、こういう形がいいということをなかなか言い切れない部分もあるかと思います。なかなかそうしたお産のことというのは表で語られることが少なかったように思いますけれども、私も経験者でありますけれども、大変いい経験をしたなと自分自身思っております。

 お産についても、大変重要で、今後いろいろな形で議論が進んでいけばいいと私は思っておるんですけれども、そのお産の前に、やはりおなかの中に十月十日いるわけでありまして、その中で子供と母親とのつながりというものはできてきますし、子供が生まれたいときに合わせて産んであげられるような環境を整えられれば、それがベストではないかと考えております。

とかしき委員 私も、お産はある意味人間の哲学を象徴している行為ではないかなというふうに思います。人生の奥深いところを含めた行為、それがお産であると思います。夫婦が、そして親子が命がけでかち取っていった関係、これができ上がっていく最初の段階だと思います。

 お産がすばらしい、こういったことをやはり若いうちから教育しておく。若い人たちは、お産の写真を見ると、何か痛そうで大変だなと言って、わあ、出産したくないわと。私も学生のときに、女子校だったんですけれども、そういうような意見がすごく出ていたんですね。そうではなくて、お産というのは本当にすばらしいものだ、こういうふうにお互いに、今までお産について余り前向きに公の場所で話す機会もなかなかなかったわけですけれども、本当はすばらしいことなんだ、人間に与えられたすばらしい行為なんだということをこれからどんどん意識づけしていく、これも私は少子化対策につながっていくのではないかなと思います。

 小渕大臣はまさにそれを体験なさって、そしてそれがすばらしい行為であるということを小渕大臣の口からお話ししていただくと、すごく説得力があって、心を打たれる方が多分多いのではないかなと思います。小渕大臣が少子化対策大臣でいらっしゃるうちに、お産についての考えをこれからもどんどん示していただいて、家庭の大切さ、そして親子関係の大切さ、そういったことを、みずからの体験を込めてこれから語っていただく、ぜひそのことをお願い申し上げたいと思います。

 ということで、時間も参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

玄葉委員長 次に、田名部匡代さん。

田名部委員 民主党の田名部匡代でございます。小渕大臣、きょうはよろしくお願いいたします。

 きょうは、不登校の児童生徒について御質問させていただきたいと思いますが、現在、小中学校における不登校児童生徒数、平成十九年で約十三万人、高校中退七万七千人、十五歳から二十四歳まで完全失業者数というのは五十万人で、率でいうと八・三%に及びます。非常に深刻な状況になっているということが言えると思うんです。

 青少年の自立支援に関しては、総合的かつ計画的にしっかりと推進をしていくことが必要だというふうに思っておりまして、取り組むべき課題は一体何なのか、そのことを明確にしながら、その明確にした課題にどう取り組んで、その成果はどう上がっているのか、このことをきちんと整理していく必要があると思うんです。と同時に、各省庁にまたがって取り組んでいるわけで、その連携が十分にとれているのかどうかということは非常に大事だというふうに思います。

 まず最初に、きょうは、大臣のごあいさつの中に、青少年の育成ですね、家庭、学校、地域等が連携し、切れ目ない支援を総合的に推進していきますという御発言がありましたけれども、もちろん、当然地域や学校の連携というのも非常に大事ですが、大臣は、現段階で各省庁の連携はどうなっているというふうにお感じでしょうか。

小渕国務大臣 青少年問題というのは、本当に各省庁にまたがる大変重要かつ大変難しい問題だと考えております。

 委員が御指摘のように、やはり縦割りの弊害というものもあり、本来だったらそれぞれのところで一生懸命やっていただいている部分があることはちゃんと私も承知をしておるんですけれども、もう少し横に連携していった方が、青少年問題、いろいろな意味で解決に結びつくのではないかと思いますので、より一層連携を深めなければならないと考えております。

田名部委員 私もそのとおりだと思っておりまして、いろいろ各省庁の方々に聞くと、それぞれの役所で懸命な取り組みをなされている。けれども、私は、そこで抜け落ちている部分があるんだろうというふうに思うんですね。まさにすき間に落ちてしまったというか、途切れてしまっている部分があるというふうに思っているんですね。

 実は、私、一年前にも同じ質問を取り上げてこの場で質問させていただきました。当時の上川大臣も同じような御認識を持たれておりまして、やはり横の連携をしっかりとっていくことが大事だと。大事なのはみんなわかっているんだけれども、それがどうとられているのかということをしっかりと埋めていかないと、思っているだけでは何の解決にもつながらないというふうに思うんですね。

 不登校のまま義務教育課程を終えた児童生徒、また高校中退した子のその後について、実態の把握が必要だと私は思っているんです。つまり、追跡調査です。義務教育を終えるまではもちろん文部科学省の主導のもと、学校現場また家庭や地域といったところで、その子がどうしているかと、家庭訪問も含めて取り組みをしているけれども、それが一たん終わってしまったら、その子が高校に行くことができたのか、それとも就職ができたのか、引きこもっているのか、何の実態もわからないのでは、私は、まさにここが切れてしまった不十分なところだと思っているんです。

 以前、上川大臣が私のその質問に対して、就労のところに関しては厚生労働省、進学では文部科学省、恐らく少しはざまのところができている、まさにそこをつないでいく、これは逆に調べることが大変大事じゃないかなという御発言をされました。

 大臣は、そのところ、どんなふうにお考えでしょうか。

小渕国務大臣 中学のうちに不登校になった子供たちのその後の追跡調査ということですけれども、私は大変重要な視点だと思っておりまして、学校に所属をしていない、だからといって家庭でもしっかりその子を見てあげられているわけではない、そうやって行方知れずになってしまっている子供たちがいて、その実態がしっかり把握ができなければ、こちらとしてもどこで手を差し伸べていいのか、それがきちんと把握ができないわけです。

 ですから、委員がおっしゃるように、卒業後、また不登校になっている児童をどういうふうに実態を調べ、追跡をしていくのか。整理しなければならない問題もあるにはあるんですけれども、それでも、そうしたところは物すごく重要な視点だと考えています。

田名部委員 大臣、それはどこが担当して行っていくべきだと思いますか。

小渕国務大臣 そうですね、義務教育のうちでの追跡調査ということになるのであるとすれば、文部科学省にしっかりやっていただきたいと考えております。

田名部委員 一年前に同じ質問をしたと申し上げました。きょうは、文部科学省の方、実態調査、どのようになっていますでしょうか。

徳久政府参考人 ただいま、不登校の子供に対しまする義務教育終了後の追跡調査、実態把握についてのお尋ねがございました。

 今先生御指摘のように、昨年のこの委員会におきましても同様の質問があったところでございまして、まず、私どもといたしましては、不登校生徒が義務教育を終了した後の状況についての追跡調査をしたことが過去ございます。平成五年の不登校生につきまして、中学校を卒業した五年後ですね、ですから、平成十年から十一年のその状況がどうなっているのかということについて、それからまた、その子供が不登校時においてどういうような指導を受けておったのかとか、もっと充実したら不登校が防げたのかとか、いろいろなことにつきまして、聞き取り調査も含めまして行ったところでございます。

 その結果につきましては、その後でございますけれども、例えば、今ございました話でいいますと、中学校在学時代における心理相談が大事であるということであれば、スクールカウンセラーというような、子供の相談に応じられる者を学校に配置したりというような施策をとったりとか、適応指導教室という、これは学校外でございますけれども、学校に通えないような子供さんたちが中学校在学時代に他の施設で学習できるような、そういうような施設をそれぞれ設置者の方で整備していただくようにお願いをしたりとか、そういうような取り組みを行ってきたわけでございます。

 しかしながら、今先生御指摘のようでございますけれども、不登校の子供につきまして、平成十九年度の数字で約十二万九千人、十三万人ということで、ここ二カ年ほど増加傾向を見せているということで、この問題の対策に充実を期していかなきゃなりませんし、その前提といたしまして、やはり適切な実態把握を行って、効果的な施策を講じる必要があるというふうに認識しているところでございます。

 このため、在学時のみならず、卒業後の実態把握に関しましては、いろいろ技術的な面も含めまして、今、文部科学省といたしまして、現時点で何をすべきか、何ができるのかということを関係省庁とも連携をいたしながら検討してまいりたいと考えてございます。

田名部委員 みんな、大事なことはわかっているんです。昨年も、一年前も同じでした。

 わかっているんですが、きのう、どうしてその追跡調査をしないのかと。いろいろ準備もあるでしょうからすぐにできない、今準備中ですというならまだわかるんですけれども、そうじゃないんですね。個人情報の問題であるとか学校の負担であるとか、さまざまな問題があって非常に難しいという御説明をきのういただきました。それというのは、やる側の、行政サイドの言い分であって、子供一人一人のことなんか何にも考えていないというか、後回し。

 さっきおっしゃったように、一度、高校中退者の進路状況について調査をしているんですね。すごい具体的な調査をされていますよね、聞き取り調査をしたり、アンケート調査をしたり、面接をしたりと。どういう問題を抱えているか、こういったことがきちんと形として出ているんです。私、これはすばらしい調査だと思います。

 こういうことをもとに、何をしていくかということをきちんと考えていかなければならないし、それをもとにその後いろいろな施策を考えたんだと思いますけれども、その成果があるのかということが、追跡調査をしなければわからないんですね。やってはみたけれども、本当にそれでよかったのかどうか、子供たちがきちんと社会に出ることができたのかどうか、そのことが何よりも大事なんです。

 学校の負担だとか個人情報の問題だとか、それがどうやってクリアできるかを考えるのがこちら側の、行政の、私たちの仕事であって、学校が負担に思うんですかね。自分の教え子が学校に来られないまま卒業して、心配をしない先生がいるのかな。毎日訪ねて聞き取りをしてくれと言っているわけではなくて、年に一度でもいいですよ、どうしているということを。学校で無理であれば、ではどこができるのか、私はそういう視点で前に進めていっていただきたいというふうに思います。

 ニートや引きこもりの四割が不登校経験者だという調査の結果もあります。これから、今やるとおっしゃっていただいたので、大臣、いつまでにやるのか、いつから始めるのかでも結構です、明確にしていただけますか。

小渕国務大臣 委員の問題意識は私自身も同じ思いを持っております。

 先ほど、ニートになる人が四割というお話がありましたけれども、ニートになってからとか引きこもりになってから、また事件を起こしてから問題解決に当たるのではなくて、しっかり、早期発見、早期対応していくということが重要であると考えています。

 速やかに実態把握、できるだけ早くできますように、大臣としても力を入れていきたいと考えております。

田名部委員 大臣、せめてもう少し具体的に。一年たったんですよ、実態調査をしてほしいと。そのとおりだと、大臣、前大臣もおっしゃった。何にも進んでいないじゃないですか。いつまでですか。

小渕国務大臣 先ほどの私の所信の中でも申し上げさせていただきましたが、青少年の問題というのは、みんなが問題意識を持っていながらも、なかなか進んでこなかった、ちょっと置き去りにされていた部分ではないかと考えています。新法に向けた検討ということを申し上げさせていただきましたけれども、それに向けてもそうした実態調査というものは必要だと考えておりますので、できるだけ速やかにやらせていただきたいと考えております。

田名部委員 大臣、期待しておりますので、本当にお願いします。

 私、何でこのことをきょうまた取り上げようと思ったかというと、去年のたしか十月だと思いますが、その質問をしてから、ことし、私の地元青森県の八戸で本当に痛ましい事件が起きました。十八歳の少年が家族を殺害したということです。

 この背景を見てみますと、この子は小学校のときから転校をきっかけに不登校になったんです。その後、民生委員らの熱心な働きかけで再び学校に通い始めて、どうもありがとうとその人たちに言ったと。しかし、中学に行ってまた不登校になったんです。不登校になって、家族が離婚したとか、ほかにもいろいろなことがあったんですけれども、中学二年のときには、不登校から今度は引きこもりになってしまったという背景があります。

 私、この事件を聞いたときに、本当に、防ぐことがというか、何かできることがあった気がしてならなかった。自分の地元だからということではなくて、全国でこういう痛ましい事件が起こるたびに、本当に、なぜこの子たちを守ってあげられなかったんだろうか、できることは何だったんだろうかということを考えるんですね。

 そのときに、私は自分で質問したこと、やはりどうしてもこれは大事なんだと。この子の悩みを聞いてあげる人は、ではどこにいたんだろうか。この殺された母親は何かいつもお酒を飲んでいたんだと。そこに対する憎しみを子供がだんだん募らせていった。そういうこともあったんですが、家族も子供と会話がない、家族の愛もない。では、その子が学校に行けなくなったのに、その後どうしたかのフォローもない、ケアもない、話を聞いてくれる人もいない。話を聞いてくれる場があったら、その子が今どうしているか気にかけてくれるところがあったら、こんな痛ましい事件を防ぐことができたんじゃないだろうか、私は本当にそう思うんですね。

 だから、やります、やりますと言って、作業も大変だと思うし、いろいろな問題はあると思います。でも、やはりこういうことがあるんですよ。守れる命も、守れる子供もいるんだということを本当に考えていただきたいんです。絶対大事なんです、追跡調査は。という思いがあって、今回どうしても大臣に、いつまでにやるのかはっきりしていただきたいという思いできょうはこの質問に立たせていただいたわけなんですが、ぜひ、こういったことがあるんだということを、きょうお越しの文部科学省の皆さんにもしっかり心にとどめていただきたいと思います。

 この実態把握、追跡調査というのも非常に重要なんですけれども、小学校、中学校の義務教育にも通わず、高校にも行かない、行けない、そういった子は、今度、どこに相談に行くのが適切でしょうか、大臣。

小渕国務大臣 中学も不登校になり、高校にも行かず、どこに相談に行ったらいいのだろうかという御質問でありますが、直ちにお答えをすることができません。ということは、そういう方々もどこに相談に行ったらいいのかわからないんだと思います。

田名部委員 私もきのういろいろ見たんですが、確かに各省庁でいろいろな支援をやっているんですね、就労支援であるとか、合宿であるとか、成果を上げているものが実際あると私は思います。それは否定するものではありません。

 ただ、どこに相談に行ったらいいのかなと。ある程度の年齢になって、児童相談所なのか、でも、義務教育も受けていなければ、ではすぐに働くことができるのか、どこに行ったらいいのかなと、非常に私もわからなかった。大臣、率直なお答えだったと思います。いえいえ、本当にそうだと思います。

 私は、総合的な一元化した窓口の設置が必要なんじゃなかろうかと思っておりまして、窓口といっても、本人が出かけてくる分にはまだいい方なのかなと。でも、親もどこに行っていいのかわからないというような、多省庁にまたがっていろいろな取り組みをしているばかりにそういうことも起こっているのかな。

 窓口の一元化ということに関して、大臣はどんなお考えをお持ちか、教えていただけますか。

小渕国務大臣 まさに委員御指摘のとおり、教育、雇用、福祉、それぞれの分野においてそれぞれの取り組みをしていただいていると思います。

 ただ、その部分での連携がないということと、もっと考えなければいけないのは、そうした、受け入れ先ということではなくて、個人個人が、一人一人がどうしていくのか、彼に対してはどういう手当てをしていったらいいのかという、視点が逆ですね、視点を変えていかなければならないと考えております。

 窓口を一つにするか、それとも連携を深めていくのか、それは今後また議論をしていかなければならないと思いますけれども、それぞれの若者に応じた取り組みを、対策を練っていかなければいけないという視点では、ある意味、一つにしていくというのも考え方の一つだと考えます。

田名部委員 もう時間なんでしょうか。時間が来ました。

 大臣、最後に私、大臣と同じことを大臣に申し上げようと思っておりました。大事なのは、一人一人にどういうケアをしていくかということだと思うんです。そのためには、引きこもったり、学校に行けなくなった子供が、ある意味、一元化された窓口の一人の担当者との信頼関係を築きながら、どういった問題を抱えているのか、その担当者も、時間をかけながら、子供たちの心、胸のうちを聞いていく。それに対応して、病院に行くことが大事なのか、働くことができるのか、それとももう一度学び直すことが必要なのか、どうやって社会に出してあげることができるかというためのきちんとした体制をつくることが大事です。

 さっき言った、切れ目なく子供たちを支援していくことと同時に、連携を深めることも大事です。その連携が、各省庁でただただ一生懸命やっても、私は、やはりそこにはすき間が出てきてしまう、窓口を一元化して、一体的な取り組みをして、子供たちとの一対一のケアというかサポートをできる、そういう体制を今後しっかりとつくっていただきたいというふうに思います。

 最後に、大臣のその御決意をお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。

小渕国務大臣 青少年問題、いろいろなところでいろいろな方々が問題意識を持っていただいているんですけれども、正直、進んでこなかったのは事実かなと思います。しかし、これからのこの国を担っていく子たちです。真剣に考えていかなければなりませんし、もうこれは逃げられないところにまで来ているのではないかと思います。

 総理も、私が青少年担当になる際に、困難を抱えた青少年をどうしていくのか、しっかり検討してほしいというお話がありました。新法も含めた形で検討が進むということは、これはかなり前向きで、かつ、かなり踏み込んだ議論をしていくことになるかと思います。

 逃げずに、またこれからの若い世代ですから、そうした人たちが夢と希望を持ってこの日本社会で活躍できるように、真剣に取り組んでまいりたいと考えています。

田名部委員 期待しています。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、吉田泉君。

吉田(泉)委員 民主党、吉田泉です。

 小渕大臣初め皆さん、よろしくお願いいたします。

 私の方からは、最初に、青少年インターネット環境整備法、この間の六月に成立して、六月に公布されました。通称、有害サイト規制法とも呼ばれておりますが、それについてお伺いしたいと思います。

 先ほどの大臣所信の中でも、この法律を引用されて、強調されておられました。来年施行の予定が四月一日と聞いておりますが、今、官民、関係機関が鋭意準備に取り組んでいる真っ最中だという時期だと思います。

 例えば、その有害性の判断、これについては、民間のEMA、さらにはI―ROI、こういう第三者機関が基準をつくって、それに基づいて審査をする、これが現在進行中であります。

 一方で、今度は携帯電話の各社においては、フィルタリングの推進を今やってもらっております。既に、新規分については、ことしの初めごろだったと思いますが、携帯各社、自主ルールをつくって、保護者の同意がない限りはフィルタリングを設定する、こういう仕事をやっているわけであります。さらに、今度は既存の分についても、現在、同じような手続を進めているという段階だと聞いております。

 そこで、この既存の分についての進行状況、これをお伺いいたします。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 インターネット上の有害情報から青少年を守ることは非常に重要な課題と認識しておりまして、これまで、携帯電話事業者等に対しまして、フィルタリングの導入促進ですとか改善等に関して、総務大臣から三度にわたりまして要請を行い、取り組み強化を促してきたところでございます。

 これを受けまして、携帯電話事業者等は、本年九月十二日に、御指摘の十八歳未満の既存の契約者に対するフィルタリングの設定等に関します発表を行ったところでございまして、この中で、スケジュールといたしましては、十月以降、順次ダイレクトメールなどによりフィルタリングサービスの利用を原則とした意思確認を保護者に対して行うこととし、不要の申し出がなかった利用者につきましては、各携帯事業者とも、平成二十一年、来年の一月下旬以降、順次フィルタリングを設定していく予定となっております。

吉田(泉)委員 そうしますと、来年の一月末ごろをめどに、そのころを締め切り日として、保護者の意思表示がなければフィルタリングが既存の分についても設定される、こういう進行が今なされているわけであります。そうしますと、来年一月末の締め切りを過ぎると、このフィルタリングの普及率というのが急増するんじゃないかというふうに思えます。

 そこで、小渕大臣にお伺いしたいと思いますけれども、このフィルタリングというのが有害サイトを規制するための最大の武器だと我々考えておるんですが、来年の四月一日が施行予定日ですが、大体、そのころまでにこのフィルタリングの普及率というのはどのぐらいに見込まれるものなのか、現状を踏まえて、大臣の決意も含めて、お伺いしたいと思います。

小渕国務大臣 委員がおっしゃいますように、フィルタリングについては、子供の有害な情報を閲覧させないための大変効率的なツールであると認識をしています。

 一層、フィルタリングの普及促進に向けて、関係省庁としっかり連携をとっていかなければならないと考えているんですけれども、まず、子供に対しては、小中学校において情報モラル教育をしっかり実施していく。そして、保護者が一番問題と言えば問題なんですけれども、きちんとフィルタリングが必要なんだよと、やはり幼くなれば幼くなるほど保護者の存在というのは大変大きなものになっていきますから、保護者自身がしっかりフィルタリングの大切さというものを認識していただくために、啓発講座などを使ってしっかり御理解をいただく。そして、民間事業者に対しては、法に基づくフィルタリング提供義務の確実な実施を徹底していくということで、それぞれの立場からフィルタリングを利用できる環境をしっかり整備するようにやっていきたい。

 数字ということでありますけれども、皆さんがフィルタリングをしっかり利用していただくように全力を尽くしていきたいと考えております。

松田政府参考人 携帯電話のフィルタリングサービスの利用者数、今後爆発的に伸びるのではないかという委員の御指摘でございます。

 二十年の九月時点で、フィルタリングの利用者数が四百五十五万人でございまして、これは既に昨年の二・二倍に増加しておりまして、来年どうなるかというところはちょっと申し上げがたいんですけれども、そうした勢いで、先生おっしゃるような形でさらに伸びるものと期待しておるところでございます。

吉田(泉)委員 九月末現在で、四百五十五万人がフィルタリングをかけているということで、青少年の利用者が七百五十万人と聞いておりますので、大体六割ぐらいの普及率がもう既に達成されていると。昨年は、今二・二倍とおっしゃいましたけれども、三割ぐらいだったと思いますよ。それが、携帯各社が新規について随分徹底した事業を行ってここまで来た。三割が六割になって、来年の四月まで、どうですかね、八割、九割ぐらいいってもいいんじゃないかなというふうに思われます。ひとつ関係者の努力を改めてお願いしたいと思います。

 さて、このフィルタリングについては、高校生と小学生が同じフィルタリングというのはちょっとおかしいんじゃないかという根強い声があります。そこで、年齢別のフィルタリングを使うとか、それから保護者がサイトを選択できるような仕組みにする、つまり、利用者の選択の幅を広げるフィルタリングの提供ができれば一番いいわけですけれども、その辺の開発そして提供の状況についてお伺いします。

武内政府参考人 ことしの、平成二十年四月の総務大臣からのフィルタリングサービスの改善等に関する要請の中で、各携帯事業者に利用者の選択肢をふやすようなフィルタリングサービスの提供に向けた検討をお願いしているところでございます。

 NTTドコモにつきましては、親権者が許可したサイトあるいはカテゴリーについて個別に閲覧を可能とする、いわゆるカスタマイズ機能と言っていますけれども、こういう機能を平成二十一年、来年の一月に提供を開始する予定と聞いております。また、KDDIについても、同様のカスタマイズ機能を提供できるよう検討を行っているところと聞いております。そのほか、ソフトバンクモバイルにつきましては、青少年の年齢等に応じたフィルタリングを可能とするために、ブラックリストの多様化、複数のブラックリストを用意するというふうなことに取り組んでおると聞いておるところでございます。

吉田(泉)委員 ありがとうございました。

 この法律では、国というのはあくまで後押し役といいますか、そういう立場ですが、全体がうまくいくためには、来年の四月までもう半年弱でございますが、ここがやはり勝負どころだというふうに思います。関係者の御奮闘をお願いしたいと思います。

 次に、児童買春・ポルノ禁止法、これについて、残り時間、お伺いしたいと思います。

 この法律は、前回、平成十五年の改正のときはここの青少年特別委員会で審議されたわけですが、今回の改正案については法務委員会の方に付託されているということであります。具体的な法案審議は近々そちらの方で始まるというふうに思いますが、きょうは、その前段というようなことで、現行法のもとでの法の執行状況について確認していきたいと思います。

 この法律は、もう施行後九年たちました。児童買春とポルノと両方を禁止する法律ですが、児童ポルノだけでも検挙数は累計で二千五百を超えた、判例も積み重ねられた、おのずとこの法律が対象にしている事案というのがだんだんはっきりしてきたということだと思います。

 最初に、児童ポルノの媒体物についてお伺いしたいと思います。

 現行法では、児童ポルノの媒体物というのは三つある。写真と電磁的記録とその他、電磁的記録というのはDVDとかインターネットということでございますが、この三つが媒体物である。この三番目のその他というものの中に、漫画とかアニメとか、いわゆる表現物といいますか、創作物といいますか、そういうものも入り得るのではないかという法解釈もあったと思いますが、この九年間法律を執行してきて、そういう表現物の検挙というのは実はなかったんだというお話を伺いました。それを取り締まらなかった理由を改めてお伺いしたいと思います。

 それから、この問題については、取り締まるべきではないかという意見もあるわけなんですが、もし、今後、漫画、アニメまで取り締まろうとすると、現行法が考えている保護法益というものが、今は個人法益を保護するということになっていますが、社会法益にまで拡大するような相当大幅な法律の目的の変更につながるんじゃないかというふうに法理論上は思いますが、いかがでしょうか。

 その二つ、お願いします。

三浦政府参考人 児童買春・児童ポルノ禁止法におきまして児童ポルノを規制の対象としておりますのは、このような児童ポルノがその描写された児童の心身に長期にわたって有害な影響を与え続けるということ、そして、このような行為が社会に広がるときには、児童を性欲の対象とする風潮を助長するとともに、身体的、精神的に未熟である児童一般の心身の成長に重要な影響を与えるというふうに考えたものと理解されるところでございます。

 ここに言います児童ポルノにつきましては、十八歳未満の実在する児童を描写したものでありまして、漫画、アニメ等実在しない児童を描写したポルノにつきましては、この児童ポルノには該当しないというふうにされているところでございます。

 今後、実在しない児童を対象とするポルノを規制の対象とするということにつきまして考える場合には、その処罰の根拠等をどのように考えるかということが問題になるわけでありますが、それによりまして、現行法における保護法益の考え方に一定の影響があり得るのではないかというふうに考えられるところでございます。

井上政府参考人 漫画等につきましては、検挙事例はございません。

吉田(泉)委員 あくまで現行法では実在する児童の法益を保護するという法律になっているということだと思います。

 それから、今度は児童ポルノの定義の問題をちょっとお伺いしたいと思います。

 現行法の二条三項、ここに三つほどポルノとは何ぞやということが書いてあります。一つは性交等の描写、二つ目は性器等に触れる行為等の描写、そして三つ目が、衣服をつけない児童の姿態であって、性欲を興奮させ、または刺激するもの、この三つが児童ポルノとして定義されているわけでございます。

 この三つ目の、衣服をつけない児童、要するにヌード、全ヌード、半ヌードの場合ですが、ここの定義に例えば小さい子供の入浴や水着の写真が入るのかどうか、もしくは女性アイドルの水着写真または男性アイドルの上半身裸の写真、こういうものが三号ポルノに入るのかどうかという議論もなされるわけなんですが、この九年間、実際の検挙の状況はどうだったんでしょうか。

井上政府参考人 最近の検挙事例について申し上げます。

 昨年十月、警視庁において、当時十七歳の水着姿の女子高生をモデルにDVDを製造したとして、DVD販売会社編集長等を児童買春・児童ポルノ禁止法違反で検挙した事例があるという報告を受けております。

吉田(泉)委員 昨年、一件検挙されたということですが、最終的には児童福祉法の違反になったという事案だと思います。

 今、一つ例を挙げられましたけれども、現実問題、一号ポルノ、二号ポルノというのが圧倒的で、なかなか三号ポルノの摘発というのは極めて困難だったんだろうというふうに思っております。

 それから、今度は年齢の問題なんですが、現行法は十八歳未満を児童として扱っているわけなんですが、中には非常に大人びた児童、つまり児童に見えない児童という人もいるわけです。もしくは、要するに年齢がわからない、年齢不詳、児童ではあるが見た目では年齢がよくわからない、こういうケースもあると思うんですが、そういうときに、そういう人を対象としたポルノというのは検挙されてきたんでしょうか。

井上政府参考人 十八歳未満ということの認識がなければ検挙できませんし、実務的にはその辺の認識をとった上で検挙しているというふうに承知をしております。

吉田(泉)委員 認識がなければ検挙されるということはないということです。

 結局、児童という大変弱い立場の人間を食い物にしているのが児童ポルノでございまして、極めて憎むべき犯罪だ。我々も、取り締まりはもっと強化すべきだという立場で改正案をまとめたわけでございます。

 ただ、一方で、取り締まりを強化するならもう少し児童ポルノの定義をはっきりさせるべきではなかろうか、こういう指摘があります。

 児童ポルノというのは、単なるヌードではございません、それから単なるわいせつ描写でもありません。今おっしゃったように、特定の児童への性的搾取、性的虐待、それに関連した描写というのが本来の趣旨だと思いますので、そこに的を絞って根絶していくという姿勢が必要じゃなかろうかと思っております。

 もう最後になりますけれども、最近の十一月十六日付読売新聞、児童ポルノがインターネット上で、ファイル交換ソフトというソフトの悪用によって日本の二十カ所から世界に発信されている、実はこれはブラジルの捜査当局の情報であるという報道がなされました。そして、それに基づいて半年間各県警で捜査をした結果、最近、埼玉県警の方で三人を逮捕したという事件がありました。

 インターネットによって児童ポルノが国際的に、世界的に拡散されるということが極めて憂慮されるわけなんですが、一体、日本の二十カ所から発信されているということは実態としてどうなのか。警察の方の今までの対応、今後の対応についてお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 御指摘の事件は、警察庁がブラジル連邦警察から提供を受けた情報に基づきまして埼玉県警察が検挙した児童ポルノ事件と承知をしております。

 事案の概要でございますが、本年十一月十二日までに、ファイル共有ソフト、イーミュールというものを使用して、インターネット上に構築された児童ポルノファイルを共有するためのネットワークに接続し、同ネットワークに接続する不特定多数の者に対し児童ポルノを提供する目的で所持したとして被疑者三名を検挙しておるものでございます。

 事件の詳細については、まだ現在捜査中ということでございますので、埼玉県警を中心に関係府県において鋭意捜査を継続していくものと承知をしております。

吉田(泉)委員 時間ですので、終わります。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 小渕大臣は、本年五月、子育てをしながら活躍する女性を表彰するベストマザー賞を受賞されました。一番、大変な子育てをしている母の気持ちをわかっていらっしゃる大臣かと思います。大いに期待をしております。仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスを労働、経済界にも訴えたいとおっしゃっており、大変に心強い思いでおります。私も大臣とともにこのワーク・ライフ・バランスの実現に取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 初めに、本年四月に公表されました、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインについてお伺いしてまいります。

 このガイドラインは、アレルギー疾患のある子供への学校での具体的な対応指針をまとめたもので、すべての児童が安心して学校生活を送ることのできる環境整備を目的とした、画期的な、充実した内容となっております。大変評価も高いというふうに聞いております。

 四月の公表以降、全国の小中学校、教育委員会などに配付をされているはずではございますが、いまだに届いていない地域がある、一部の市、それも政令市と聞いております。このガイドライン自体に問題があるといって配付していないとの話もつい最近伺いました。

 この点につきまして、六月、我が党の浜四津代表代行からも参議院の委員会において指摘をさせていただきました。文部科学省としても再度の配付徹底を促されていると承知しております。

 文部科学省では、このガイドライン配付の状況を、きちんと現場まで届き、活用されているのかどうか、把握をされているのでしょうか。また、ガイドラインは、学校全体でアレルギー疾患の子供たちをサポートするものとなる、画期的であるという評価も高いものでありますが、配付さえ徹底できないようでは、また、配付されていればよいというような段階では、取り組みが進まないというふうに思います。

 速やかに配付状況をしっかりと把握すべく全国調査を実施し、配付の徹底を行うとともに、現場でしっかり活用できるよう研修が必要であるというふうにも思います。実効性ある取り組みを進めるべきと思いますけれども、いかがでございましょうか。

尾崎政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインでございますが、御指摘ございましたとおり、各都道府県教育委員会等を通じまして、財団法人日本学校保健会から、本年四月以降、幼稚園、小中高等学校、共同調理場などに対しまして、それぞれ二部ずつ発送をいたしてございます。

 八月に、各都道府県教育委員会に対しまして、所管の学校へのガイドラインの配付状況について調査をいたしました。その結果を見ますと、四十七都道府県教育委員会のうち、四十四で配付をしたと回答を受けているところでございます。残り三県につきましては、関係団体と協議中であり、その後、配付、活用の予定である、そういう回答を受けているところでございます。

 さらに、文部科学省といたしましては、今御指摘ございましたとおり、ガイドライン本体だけでなくて、その効果的な活用方法を周知することが大事だ、そういう観点のもとに、教育委員会の担当者あるいは学校の教職員を対象として、アレルギー対策の講習会というものが必要であるということで、実は昨日、東部地区の講習会をやったところでございますけれども、この講習会を通じてさらなる周知徹底を図っていきたいと思っているところでございます。

 教職員がアレルギー疾患に対する認識を深めて、学校全体で適切な取り組みが行われるように、さらに努力を重ねてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 すばらしい内容のガイドラインでありますし、また、管理指導表というのが一人一人の子供を守る上で非常に重要だというふうに思います。ぜひ、そうした講習なども全国に広げていただき、推進が図れるようよろしくお願いを申し上げます。

 次に、このガイドラインでありますけれども、アレルギー疾患は特に乳幼児期に多いことを考えますと、ぜひ保育所にも早急に配付をしていただきたい。これは、さきの通常国会でも主張をしたところでございます。これに対しましては、当時の雇用均等・児童家庭局長より、参考にすべき点が多いので保育所においてこのガイドラインをどういう形で生かしていくか検討してまいりたいとの御答弁をいただいております。

 速やかに配付する方向で検討していただいていると思いますが、その後の検討状況をお伺いしたいと思います。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 保育所は、入所する子供がその生活時間の大半を過ごす場でございます。アレルギー疾患を有する子供に対して適切に対応すること、これは、先生御指摘のとおり、非常に重要であると考えております。

 今御指摘ございました、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインにつきましては、学校における活動と保育所における保育内容には若干相違があることなどにも留意する必要がございますけれども、保育所においても参考にすべき点が数多く含まれているものと考えております。

 アレルギー疾患に対する取り組みも含めまして、保育所における保健衛生面の対応の強化を図るために、厚生労働省におきましては、保育所における保育の質の向上のためのアクションプログラム、これに基づきまして、保育所における保健衛生面の対応に関するガイドラインを来年春を目途に作成することにしているところでございます。

 この保育所における保健衛生面の対応に関するガイドラインの策定に当たりましては、今委員御指摘の学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン、そして、先ほどお話もありました管理指導表、こういったものも十分参考にさせていただきながら、先生御指摘の趣旨も踏まえて、精力的に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 来年春、ガイドラインを策定するということでございます。

 保育所においても、アレルギー疾患を有するお子さんに対して適切な対応をとる、非常に重要なことであると考えます。文科省また厚労省といった縦割りの弊害を乗り越えまして、一刻も早い配付ができることが一番いいなというふうに思っておりますけれども、厚労省独自でアクションプログラムにこうした内容を組み込むということにするのであれば、ぜひまた小児アレルギーの専門家を入れた上での作成をお願いしたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

 次に、アレルギー物質を含む食品に関する表示についてお伺いしてまいります。

 この問題につきましても、さきの通常国会で、加工食品に含まれるアレルギー食品表示の義務違反が重大な健康被害を招くこと、その対応が各地域の保健所によっていろいろ格差があるとの事例を説明いたしました。

 すなわち、保健所によって、重篤な健康被害が出た場合も対応が非常に遅い保健所がある一方で、表示義務のある特定材料が他に混入していないか検査するために営業の一部停止といった行政処分を即座に行う保健所が一方ではある。表示義務違反などへの対応でも、保健所の対応に地域格差が生じているというところがございます。

 ここで、この問題について再度お伺いいたします。

 厚生労働省では、表示制度の運用の実態について、各自治体がどのように行っているのか把握をされているのでしょうか。問題の改善を図るために、まずその実態を調べる必要があると思います。その実態調査をすることが形式的なものになってしまうなど難しいのであれば、現場でどんな対応がなされているのか把握する必要があると考えます。

 アレルギー食品表示制度がスタートして六年になります。厚生労働省は、表示義務の運用、具体的な対応について、自治事務として都道府県、また政令市、中核市に任せたままではなく、しっかりと現場を把握、指導する責任があると思います。

 そこで、有症苦情や表示義務違反に対する保健所の対応など、この運用の実態につきまして、措置また対応、処分等をしたのか、あるいは、苦情の処理についてきちんと報告をとるべきだと思います。そして、表示義務違反による重篤な健康被害が二度と起こらないよう厚労省として対策を立てるべきではないでしょうか。厚労省の御意見をお伺いいたします。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省におきましては、地方自治体に対して、アレルギー物質を含む食品の表示を理由とする症状の発生に関する苦情を受けた場合には、発症の状況、発症の原因と疑われる特定原材料等に関する調査を実施するなど、適切に対応するよう要請をしております。

 また、地方自治体に対しまして、食品のアレルギー表示に関する違反事例が発見された場合には、事業者名、商品名、違反内容、改善措置等を公表するとともに、速やかに厚生労働省に報告をするように求めております。これを通じて、厚生労働省といたしましても、食品のアレルギー表示に関する違反事例を把握して健康被害の拡大防止を図るため、随時、厚生労働省のホームページを通じて注意喚起を実施しております。

 このようなアレルギー物質を含む食品の表示をめぐる地方自治体の対応に問題があったというような情報提供が厚生労働省にあった場合には、その都度、関係の地方自治体に対して個別に適切な措置を指示しております。

 厚生労働省といたしましては、今後とも、食品のアレルギー表示に関する監視、指導、情報提供が適切に実施されるように、引き続き関係自治体と連携しながら適切に対応したいと考えております。

古屋(範)委員 さまざまな食の安全に関する問題が提起をされております。

 食品に何か有害なものが含まれていた、これは非常にゆゆしき案件でございますけれども、それと同じように、アレルギー疾患を持つ者にとっては、表示されていないものが入っていた場合に、生命にかかわるわけでございます。特にアナフィラキシーというような、命にかかわるような事故、今まで起きていないからいいようなものの、死んでしまうかもしれないというような大変な思いをした方々に対しまして、表示を直しました、表示をいたしましたというだけでは、果たして納得できるのかどうか。もしその子供の親であったら、やはり納得できないというふうに考えます。

 そこで、アレルギー食品表示への改善について提案をさせていただきたいと思います。

 現在、厚労省が都道府県に通知をしている内容で検討や努力義務となっている対応について、義務化をする必要があると感じております。

 具体的には、健康被害を招いた事例では、原因特定のための検査の実施、また違反事例の公表、また被害を受けた当事者への情報提供、さらにアレルギー食品表示についても違反を抑制するために、保健所職員や食品関連企業のリスクマネジャーに対する研修を義務化する。そして、重篤な健康被害を招いた事例については、食中毒と同様の対応が必要であり、食品衛生法に基づいて再発防止へ向けた改善措置を徹底させる行政処分を積極的に行うべきと考えております。

 以上の点につきまして、きょう渡辺副大臣においでいただいておりますので、ぜひ実現していただきたいのですが、御見解をお伺いいたします。

渡辺副大臣 貴重な御提案、ありがとうございます。

 厚生労働省におきましては、地方自治体に対しまして、食品のアレルギー表示に関する違反事例が発見された場合に想定される措置を提示しておりまして、個々の事例に応じて適切に対応する、そういう要請をしておるわけであります。

 具体的にはどういうことをしているかといいますと、アレルギーが適正に表示がなされていない食品につきましては、まず第一に、表示が適正になされるまでの間は、事業者に対して当該食品の販売を停止するよう指導するようにしております。二つ目には、当該食品の流通先が不特定または多数である場合には、事業者に対して、社告あるいは店頭告知等を通じまして購入者に周知を徹底するように指導をしておるわけであります。三つ目には、必要に応じては、事業者に対して営業の禁止、停止等を命令するという強い対応もしておるわけであります。

 そのほか、先ほどもお話ありましたけれども、事業者名、商品名、違反内容、改善措置等を公表するとともに、速やかに厚生労働省に報告するように求めているわけであります。そのほかにもいろいろお願いをしているところであります。

 また一方で、厚生労働省としましても、地方自治体の報告を受けて、健康被害の拡大防止を図るために、随時厚生労働省のホームページを通じた注意喚起を実施しているところであります。

 今後とも、食物のアレルギー表示に関する違反事例につきましては、地方自治体と連携をしつつ、命にかかわることでありますので、厳格に対処していきたい、そのように考えております。

古屋(範)委員 徐々に表示義務につきましては推進をされてきているというふうには承知をいたしておりますが、やはりさらなる厳格な指導徹底をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後になりますけれども、小渕大臣、これまでの議論を聞いていただけたかと思います。最後に、社会の宝である子供たちをしっかり支えるという観点から一つお伺いをしたいと思います。

 このアレルギー疾患、非常にふえております。そして、アトピー性皮膚炎、お互い子供同士で汚いという言葉を言われたり、あるいはぜんそくの児童が掃除を免除されたりする場合もあるんですけれども、そうしたことや、また食物アレルギーの生徒は給食が食べられず、家でつくったお弁当を持ってくるというようなケースもありまして、結局、皆と違うということが原因でいじめにつながる。また、学校を休むことも多いというようなこともありまして、さまざまな悩みを持つお母さんが数多くいらっしゃるわけでございます。

 こうしたアレルギー疾患を通して、お互いに病気を理解し合って、そして困っている友達を支えようという優しい心を育てる健康教育を行うことで、今多く子供たちに欠けていると言われております共感する心を育てることにつながるのではないか、そのように考えております。大臣の御所見を最後にお伺いしたいと思います。

小渕国務大臣 私自身、子供のときに大変ひどいアトピー性皮膚炎でありまして、今思い出してもとてもつらい時期がありました。肉体的にもとてもつらいんですけれども、精神的に、やはり女の子ですから、いろいろなところにそういうものが出てくることにもつらさを覚えましたし、そうしたことは個人的なことではなくて、家族もみんな巻き込んで、例えば食事ですとか、衣服、また洗濯とか、そうしたことすべてにおいて問題になってくるので、きっと、私自身のそうしたアレルギーによって、例えば母や兄弟も巻き込んで、みんなが苦しい時期があったと記憶をしています。

 そうしたことから、やはり学校に行っても、そうしたアレルギーに対してなかなか理解がないということで、今お話があったようにいじめが起こったり、お母さん方がいろいろな苦しい思いをしていたりというお話がありました。子供たちが他人に対する思いやりの心を、またそうした違ったことに対して理解を深めるという意味でも、人を思いやる心をはぐくんでいくということは大切であって、アレルギー疾患などの病気に対する理解を深めていくということは大変重要なことであると考えております。

 自分自身のそうした経験も踏まえつつ、健康教育の充実をしっかり図っていきたいと考えています。

古屋(範)委員 ガイドラインの活用を含めまして、学校現場でのアレルギー対策の拡充等を求めまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。

 きょうは、若者の就労支援について質問をさせていただきます。

 若者をどう支援していくかというのは、日本の将来を左右する重大問題であるということは言うまでもありません。今、高卒、大卒でも半数、二人に一人が非正規の労働ですね。秋葉原事件でこの問題も非常にクローズアップされました。事件が余りにも衝撃的だったということは言うまでもないんですけれども、トヨタの関連の下請の派遣社員であって、その派遣の労働の実態がメールに生々しく記されていて、私たち本当に改めて驚いたところであります。

 今、若者の間で、使い捨ての働かせ方はやめてほしいという声が急速に高まっている。そういう中で、国会でも派遣労働の抜本改正ということがいよいよ政治日程に上ってきているということだと思うんですね。

 私は、こうした中で、きょうはそのことそのものではなくて、より困難を抱えている若者がさらにいるわけですよね、高校中退でなかなか職につけない、あるいは引きこもりの青年たち、こういう人たちの就労支援というのは、それとしてやはり独自に考えていかなきゃいけない問題だというふうに思っておりまして、そういう認識からきょうは質問をしたいわけですが、まず大臣に伺いたいと思います。

 新たな青少年の育成大綱、年内にも決定されるという状況だと伺っています。その枠組みを出されておりますけれども、それを見ますと、基本的考え方として、「青少年一人ひとりの状況にふさわしい支援を、切れ目なく実施する。」ということがありました。施策の柱には、「社会的自立に向けた取組の推進」ということがありまして、「職業を持つための準備への支援」、就労支援の充実というふうにありました。「困難を抱える青少年の支援」ということが項目として一項あるんですね。

 本日の大臣の御発言にもそのことが述べられておりまして、「ニート、ひきこもり等、困難に直面する若者を支援するため、新法も含め、対応策を検討してまいります。」ということがございました。私は大変ここに注目もいたしまして、最初に伺いたいんですけれども、こういう御認識、これはどのような現状認識のもとに出されてきたのか、そしてまた、どのような就労支援を今後方向性として打ち出そうというおつもりなのか、その辺の基本認識をまずお聞かせいただきたいと思います。

小渕国務大臣 困難を抱える若者の問題につきましては、例えば、いわゆるニートと言われる若い人たちの数は今六十二万人という水準で推移しているとともに、こうした若い人たちの背景には、学校の時代にいじめが起こった、あるいは不登校や中退等のさまざまな問題があるということが指摘をされています。まずはそうした状況がどうなっているのか、現状の認識、現状の把握というものをしっかりして、それに対する対策というものを練っていかなければならないと考えています。

 先ほどもちょっとお話ししたところでありますけれども、現在、教育、雇用、福祉、それぞれの分野では取り組みを進めていて、青少年に対する問題認識というのは高まってはきているんですけれども、それがしっかりまず連携ができていない。そうした制度の中で、例えば一人何か問題がある人がいたときに、どこを選ぶということではなくて、もうその一人一人の若い人たちの状況に合わせて、官民の関係機関がしっかり連携をとることによって自立をするまで切れ目ない支援をやっていくことが大事であるということを考えています。

 今の状況認識をしっかり踏まえながら、青少年大綱の策定やまた新法の検討に努めてまいりたいと考えています。

    〔委員長退席、吉田(泉)委員長代理着席〕

石井(郁)委員 それでは、少し現状というか、実態について具体的にちょっと確認をしておきたいと思うんですけれども、厚労省と文科省にこの点をお伺いいたします。

 まず、厚労省なんですけれども、若年無業者はどのくらいなんでしょうか。そして、社会的引きこもりということを厚労省が言っているわけですけれども、その実態はどのようになっているんでしょうか。

杉浦政府参考人 お答えいたします。

 いわゆるニートと言われておられる方の数ですけれども、総務省統計局の労働力調査におけます、十五歳から三十四歳までの非労働力人口のうち家事も通学もしていない者を若年無業者というふうに定義をしておりまして、その人数をいわゆるニートとして把握しておりますけれども、平成十九年で約六十二万人という数字でございます。(石井(郁)委員「引きこもりはどうですか」と呼ぶ)

 引きこもりの数については把握はしておりません。

石井(郁)委員 把握していないと、それはいいんですか。では、ずっと、引きこもりは厚労省としては正式に数字を持っていないということでいいんですか。

杉浦政府参考人 済みません。厚生労働省内の所管の、担当の局ではございませんので、実態を調べまして、後ほど御報告させていただきたいと思います。

石井(郁)委員 では、ちょっと行き違いはあったかもしれませんけれども、もう一点厚労省に伺います。

 今ニートの数字としては出されましたけれども、もう少しその実態、例えば学業をちゃんと終えた人たちはその中でどのくらいいるのかだとか、その実態についてはどのような把握をしていらっしゃいますか。

杉浦政府参考人 厚生労働省が地域若者サポートステーション等の支援機関を利用した若者を対象に平成十八年度に実施をいたしました、ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究によりますと、ニート状態にある若者の学校歴につきまして、全体の九四%が高校に入学をし、さらに大学や短大に進学した者が四四%、専門学校等に進学した者が二六%となっておりまして、進学率は、同世代の水準から見て特に低いものではございません。

 ただ、各段階におきます中退者を見ますと、合わせて三二%となっておりまして、全体の三七%が不登校を経験しているというような実態でございます。

石井(郁)委員 やはりニートの中では三割近い方が中退者ということだと伺いました。私は、この中退という問題はやはり大変深刻なことだというふうに考えております。言うまでもなく、日本では、やはり高卒じゃなければ就職につけない、あるいは機会というのは非常に厳しいという状況があるわけですから、そういう意味で重要だと思っているんです。

 そこで、文科省にお聞きしますけれども、高校中退者というのは今どのくらいでしょうか。

 それからもう一点、中退した子供のフォローアップというか、中退した子供がその後どうなっているのかということについて、文科省としての調査はございますか。

    〔吉田(泉)委員長代理退席、委員長着席〕

徳久政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一点目のお尋ねでございます。高校中退者数でございますけれども、直近のデータで申しますと、平成十八年度でございますけれども、七万七千二十七人が中途退学者数でございまして、全体の高校生に占める中退の比率ということになるわけでございますが、それは全体で二・二%という数字になってございます。

 それから、二点目のお尋ねでございます。高校を中退した生徒がその後どういうような状況にあるかということについてでございますけれども、これにつきましては、文部科学省におきまして、平成五年度に高校を中退した生徒を対象に、平成八年時点、つまり三年後にどういう状況にあるのかということにつきましての調査を行ったところでございます。

 大部にわたるところで、その調査結果のエッセンスだけちょっと答弁させていただきますと、特に、現在、すなわち高校を中退して三年後にどういう生活状況にあるのかという問いに対して、仕事をしていて学校へは行っていないという者が大体五五%、五割強。それから、学校に行っているという者が一八%。それから、仕事もしていないし学校にも行っていないというのが一五%。仕事をしながら学校へ行っているが一〇%。

 ちょっとこれを整理しますと、学校へ行っていない者は合わせて全体の七〇%になります。それから、学校へ行っている者は二八%ということで、三〇%弱。こういうふうな数字になっているところが一つございます。

石井(郁)委員 学校に行っていない子供たちが七〇%、これは大変な数ですよね。だから、中退したままというところだと思うんです。これは文科省にきのういただいた資料で、私もちょっと調べてみましたけれども、実は、平成五年度に中退した子供というのは九万四千人いるんですよね。今の数字のもととなるのは九万四千六十五人なんですよ。

 それで、このときいただいたことで私は整理をしますと、つまり、四八・八%はいずれかの高校に在学している、一二%は就職だ、五・七%はアルバイトをしているというふうに言われました。そうすると、残り三三・五%はどうしているのかなということで、ちょっと単純ですけれども、数字を出してみましたら、三万一千五百十一人。つまり三万人の方が、では何をしているのかな、この数字のままだといわば不明な状態だ。

 今のお話だと、今七割は学校に行っていない。学校に行っていないというのは、ではどうしているのかという問題。だから、ここら辺は全く、その人たちがどう言っているのか、国はそれに対してどんな支援があるのかということが見えてこないんですよね。これは大変問題だなというふうに私は思うんです。

 今、中退のことをお聞きしましたけれども、先ほど来出ている不登校ですが、不登校、長期欠席ですけれども、高校でもようやく調査が始まりまして、平成十八年で見ますと五万七千人の子供が不登校なんですよ。この子たちは一応在籍しているという前提ですよね、長期欠席ですから。やめてはいないんですよ。だから、中退に加えて五万七千人の不登校もいる。大変な問題だというふうに私は思うんですね。

 それで、ちょっと文科省に、私は、きょうはこのことも大事なんですが、一つは、今の調査も平成八年の調査ですよね。だから、十年以上もあるわけですから、やはりそういう間隔でしか調査していないというのは非常に問題だというふうに一つ思います。きちんとやはり調査をしていただきたいということが一つあるんです。

 きょうはもう一点。では、中退をいわばなくしていくということについて文科省がどう取り組んでいるのかという問題なんですね。中退者はこれだけいますよと数字だけ調べて終わりかということ。そうじゃないでしょう。高校中退をなくすということで文科省としてはどういう取り組みをしているのか。

 私は、特にその中で、最近はやはり経済的理由で中退せざるを得ないという御家庭がふえているんじゃないかと思うんですね。経済的理由での中退というようなことについて、どういう未然防止の手だてをとってきたのかという問題でちょっと文科省のお考えを伺いたい。

徳久政府参考人 中途退学につきましての生徒の理由につきましては、確かにさまざまでございます。

 その中で、経済的理由という理由で中途退学した方でございますけれども、ちょっと数字を先に申させていただきますと、先ほど来お話のありました十八年度の高校中退者数が約七万七千人でございますが、そのうち経済的理由による中退者数は二千六百四十人ということで、中退に占める割合は全体の三・四%。全体の中退者の三・四%が経済的理由に当たるという調査の結果になっているわけでございます。

 今委員御指摘の点でございますけれども、経済的理由による高校中退を未然防止するためには、やはり学費に対する親の経済的負担をいかに軽減していくかということが大事だというふうに考えてございます。

 御案内のように、経済的理由によって就学困難な高校生につきましては、全都道府県におきまして高校の奨学金の事業が実施をされているということがございます。それから、加えまして、特に、まず公立高校につきましては授業料減免という制度が、これも全都道府県で実施をしておるところでございますし、それから、私立学校、私立高校につきましても授業料減免をするような都道府県、これも全部にわたっておりまして、そのうち一部も国庫補助している、こういうふうな取り組みを行っておりまして、今後とも、各都道府県の状況を把握して、必要に応じて適切な事業が行われるよう促してまいりたいと考えております。

石井(郁)委員 今のような御説明では、私は本当に現状が認識されていないと思いますよ。

 今、高校の授業料未納者がふえているということも社会問題になっているでしょう。私は大阪で、これは府の教育委員会に聞いてみましたけれども、二〇〇二年度で千四百二十七人です、五年度には二千二百十一人、六年度で三千五百十九人、これは授業料未納者です。一府、大阪府で三千五百十九人。まあ、この未納者が全部中退になるとは限りませんけれども、でも、やはり未納が続いてやめざるを得ないということになっているんですよ。こういうふえ方ですよ。

 ところが、最初のあなた方の答弁だと、経済的理由では三・四%だと。これもまた驚くような話なんです。私は知っていますよ、これは文科省が毎年発表しているんですから。だけれども、これはずっと十年一日ですよ。

 この理由の調べ方というのは、項目を挙げていまして、学業不振とか学校生活不適応とか進路変更、病気、家庭の事情等々とありますけれども、一つだけ選ぶんですよ。その数が今おっしゃった三・四%です、経済的理由。

 この経済的理由の三%台というのは、平成十年度から変わりません。一番高いところで三・七%、三・八%ありましたけれども、三%台です。こんなことはあり得ないですよ。やはり実態がつかまれていない。

 それで、こういう施策をやっています、減免制度あります、あれありますといったって、現実は全然それでフォローされていないですよ。今、深刻な実態ですよ。こういう調査をやっている文科省は、私は、やはり調査に値しないと思いますよ。しっかりと考え直すべきです。高校中退者はどうなっているのか、なぜ中退しているのか、そして中退した後どうなっていっているのかということについて、真剣に取り組んでほしいということを強く申し上げておきたいと思います。

 もう時間がないんですけれども、きょうはもう一点、若年無業者に対する就労支援の事業というのが、厚労省、この間幾つかありました。きょうは、若者のサポートステーション、これはなかなか広がっているんですよね。このサポートステーションというのは今どういう状況にあるのか、今後の計画について簡単に御説明ください。

杉浦政府参考人 地域若者サポートステーションは、ニート等の若者の職業的自立支援を図るために、若者の置かれた状況に応じた専門的相談を行うとともに、地域主導による関係機関等の若者自立支援のネットワークの拠点といたしまして、平成十八年度から全国の主要都市に設置をしているものでございます。

 この事業につきましては、その必要性の高まりによりまして増設を図ってきたところでございまして、平成十八年度、二十五カ所からスタートいたしまして、平成十九年度五十カ所、本年度は全国で七十七カ所に設置をしておるところでございます。また、予算規模につきましても充実を図りまして、平成十八年度が三・二億円に対しまして、十九年度九・六億円、本年度は十三・五億円が措置をされておるところでございます。

 利用実績も順調に推移をしておりまして、平成十九年度の来所延べ人数は全国で約十四万五千人と、前年度の四倍に達しておるところでございまして、来年度も、予算規模につきまして増額を今要求しておるところでございます。

石井(郁)委員 もう時間ですけれども、大変順調にという話ですけれども、必ずしもそうではありませんので、このサポートステーション、やはり若年無業者の方というのは、精神的な問題も抱えていたり、また学歴上の問題もあったり、いろいろしているわけですよね。そういう意味で、居場所であり、相談もできるし、そこで職業訓練もできるという点で大変一つの役割を果たしていると思うんですけれども、家賃など、あるいは臨床心理士の配置などが地方自治体にゆだねられてしまうんじゃないかという不安もありますし、その点で、しっかりと国として支援をしていくということでの御答弁をいただきたいというふうに思うんですが、いかがですか。

杉浦政府参考人 ただいまお話がありましたように、地域若者サポートステーションにつきまして、国と自治体との連携、役割分担のもとに設置、運用をいたしておりまして、キャリアコンサルタントによる相談等の業務につきましては国が負担をしておりますが、これ以外の、委員御指摘の臨床心理士の配置を含めた、地域の実情に応じた多様な支援メニューに係る経費等につきましては、地方自治体が負担をするというふうになっておるところでございます。

 ただ、この地方自治体の財政措置を裏打ちするために、平成二十年度から、地方公共団体が負担する標準的な経費に相当する経費につきまして地方交付税措置が講じられているところでございます。

 こういった措置を踏まえまして、地方自治体としての積極的な対応を求めるとともに、国としても、このサポートステーションが期待される役割を果たすことができるよう、予算措置も含む事業の拡充に努めてまいりたいと思っております。

石井(郁)委員 困難を抱える若者への支援ということを正面から掲げたということは、私は大変注目しているんですが、それを本当に有効にしていくためにも、やはりちゃんとした実態を踏まえること、そして、関係者、国民の間からのいろいろな御要望、意見などをきちんと酌み上げていただきたいということを申し上げて、きょうの質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

玄葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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