衆議院

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第3号 平成21年4月8日(水曜日)

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平成二十一年四月八日(水曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 末松 義規君

   理事 江崎洋一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 佐藤  錬君 理事 実川 幸夫君

   理事 菅原 一秀君 理事 笹木 竜三君

   理事 吉田  泉君 理事 古屋 範子君

      井澤 京子君    井脇ノブ子君

      上野賢一郎君    大塚 高司君

      土屋 正忠君  とかしきなおみ君

      丹羽 秀樹君    西本 勝子君

      福岡 資麿君    松本 洋平君

      山内 康一君    泉  健太君

      菊田真紀子君    田名部匡代君

      横山 北斗君    池坊 保子君

      石井 郁子君

    …………………………………

   国務大臣         小渕 優子君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 殿川 一郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   松田 敏明君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     武内 信博君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳久 治彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           尾崎 春樹君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官)    惣脇  宏君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           杉浦 信平君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           北村  彰君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           大槻 勝啓君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月八日

 辞任         補欠選任

  中森ふくよ君     西本 勝子君

  永岡 桂子君     土屋 正忠君

  菊田真紀子君     横山 北斗君

同日

 辞任         補欠選任

  土屋 正忠君     永岡 桂子君

  西本 勝子君     中森ふくよ君

  横山 北斗君     菊田真紀子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 青少年問題に関する件


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     ――――◇―――――

末松委員長 これより会議を開きます。

 青少年問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官殿川一郎君、内閣府政策統括官松田敏明君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長武内信博君、文部科学省大臣官房審議官徳久治彦君、文部科学省大臣官房審議官尾崎春樹君、文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官惣脇宏君、厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君、厚生労働省大臣官房審議官杉浦信平君、厚生労働省大臣官房審議官北村彰君、厚生労働省医薬食品局長高井康行君及び厚生労働省職業安定局次長大槻勝啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

末松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

末松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本洋平君。

松本(洋)委員 自由民主党の松本洋平でございます。

 本日は、この青少年特委におきまして質問をする機会をちょうだいいたしまして、ありがとうございます。

 また、小渕大臣に対しまして、私、初めて質問をさせていただくわけでありますけれども、小渕大臣と私は同い年ですね、昭和四十八年。私、しらがが多いので老けて見られるんですけれども、実は……(発言する者あり)独身とか言わないでください、それは最後にちょっと言おうと思っていたので。

 そんな意味におきましても、小渕大臣の御活躍に対して心から敬意を申し上げたいと思いますし、ぜひ、我々の世代の代表といたしましても、閣内におきまして積極的に活動していただきまして、この国の将来をつくる大変重要な職責を担われておりますので、御活躍を心からお祈り申し上げたいと思います。

 この青少年問題に関する特別委員会に私も当選以来所属をさせていただいているわけでございますけれども、それこそ、子供たちが健康で健やかに成長してくれるようにという願いは、これは万民だれもが持っている願いでございまして、そういう意味におきましては、委員長を初めといたしまして委員の皆様方が一緒になって本当にすばらしい政策を実現してきた、そういう非常に前向きな委員会だなということを大変強く感じているところでございます。

 引き続き、末松委員長を初め皆さんにも、私も、思いを述べさせていただきながら前向きに議論を進めさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思っております。

 そんな中、青少年に関するさまざまな事件というのがニュースで報道されているわけでございまして、例えば、相変わらず大麻に関するようなニュースも流れておりますし、先般は、特に小渕大臣なんかはいろいろお感じになられるところがあるんじゃないかと思いますけれども、身重の学校の先生に対する児童の事件でしたりとか、そんなものもありました。

 私も、地元と国会は必ず電車で行き来をしているわけですけれども、先般、中央線に乗っていましたら、突然、中央線がとまってしまったんですね。何でとまったのかと思ったら、東京駅で人身事故がありましたということでございまして、後々いろいろとニュースを見てみたら、六十代の女性を二十代の方が突き落としたと。幸いにして、その突き落とされた方は命を落とさずに済んだということで、一日も早い回復をお祈りしたいと思います。

 そういう事件も報道されるにつれて、本当に、この国は一体どうなっちゃうのかな、また、私たち大人の責任として、子供たちをしっかりと育てていく、そうした責任を果たすというのは一体どういうことなんだろうということを、私なりにいろいろと考えさせていただいたところでございます。

 そういう思いに立ってきょうは質問させていただきたいと思っておりますけれども、時間が二十分しかございませんので、私は大きく二つの質問をさせていただきたいと思いますが、その前に、今回、小渕大臣が所管しております大変重要な法案が提出される予定になっているわけでございまして、青少年総合対策推進法案というものがいよいよ審議にかかろうというような状況であるわけでございます。

 これは、ニートなど若者の自立をめぐる問題の深刻化、また児童虐待、いじめ、有害情報のはんらん、青少年による重大事件など、一段と厳しさを増す青少年をめぐる状況を背景といたしまして、青少年育成施策の総合的推進のための枠組みを整備するということでございまして、私は、この法案は大変重要な法律案だと思っております。

 また、地域の活力、地域の人たちの力というものをおかりして、町ぐるみで、しっかりと地域ぐるみで子供たちを育成していきましょう、健全に成長してもらえるようにしていきましょうという、大変すばらしい法案だと私は思っているところでございます。

 私自身の個別の質問に入る前に、まず、今申し上げました青少年総合対策推進法案につきましての小渕大臣の意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

小渕国務大臣 お答えをいたします。

 次世代を担う青少年は、我が国の将来を左右する貴重な人材であると思います。にもかかわらず、高齢者対策あるいは乳幼児対策、そうしたことと比べまして、青少年というのは、どちらかというと、これまで十分に関心が向けられていなかった世代とも言えるのではないかと思います。

 そうした中で、そうした若い人たちをめぐる社会環境というものは大きく変化をしてきていますし、ニートや引きこもりなど、そうした若者の自立をめぐる問題は年々深刻化をしておりまして、直ちに対策を講じなければならないと考えております。

 昨年の九月に麻生総理は、こうした問題意識を持って、困難を抱える若者を支援する新法を検討するようにと御指示を下さいました。この総理の指示を踏まえまして、政府部内で検討を重ね、先般、青少年総合対策推進法案を国会に提出いたしたところであります。

 先ほどもお触れいただきましたけれども、この法案におきまして、ワンストップの相談窓口の設置、閣僚レベルの本部の設置など青少年対策を総合的に推進するためのインフラ整備、あわせまして、困難を抱える若者を地域において継続的に支援するための若者のサポートステーションなどの就業支援機関やさまざまな関係の機関からの情報の把握、情報の共有をするためのネットワークの整備、こうした大きな二つの柱から成っているものであります。

 これまで、やはりどちらかというと待ちの姿勢であったところから、ニート、引きこもりの問題などに真っ正面から取り組むということで臨んでおりますので、この法律の成立によりまして少しでも若者の支援を加速させられるように、精いっぱいやってまいりたいと考えております。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 大変重要な取り組みだと思っておりますし、私としても早期の成立というものをぜひ実現してまいりたいと思っているところでございますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 今もお話の中にありましたとおり、ニート、引きこもりというような話があるわけでございますけれども、先般も、テレビ番組を見ておりましたら、例えば、諸外国なんかに行くと、子供たちが一様に、私は将来こういう人になりたい、こんなことをやりたい、そういう夢を語るのに対して、どうも日本の若者たちは、自分たちが将来どういう職業につこうかというところが何かはっきりと見えてこないというような、そういういろいろな、そんなマスコミの番組も拝見をさせていただいたりなんかしたところでございます。

 私も、小学校の卒業アルバムなんかを見てみますと、今の職業と小学校のころ目指していた職業とは全然違うわけでございまして、余り人のことを言える立場ではないのかもしれません。しかしながら、自分たちの将来というものを子供たちがしっかりと考えるきっかけを与え、そしてそういう知識というものをしっかりと身につけさせるということは、子供たちの将来をしっかりと広げていくために大変重要な事柄ではないかと私は思っております。

 そういう意味におきまして、職業教育というものをどのように進めていくのかというのは、私は、これからの日本の子供たちの将来にとって大変重要なことだと思っております。

 もちろん、子供たちの可能性を縮めてしまうような、狭めてしまうような、そういう教育のあり方ではなくて、しっかりと子供たちにさまざまなことを教えていく中で、子供たちが自分たちの将来像というのをより具体的に想像しやすい姿をつくってあげるというのは、私は、極めて重要な姿ではないかと思っております。

 そういう意味におきまして、職業教育についての考え方、国の、文部科学省の御意見をぜひ聞かせていただきたいと思っております。

惣脇政府参考人 お答え申し上げます。

 職業教育についてのお尋ねでございますけれども、委員御指摘のとおり、若者が学校において、望ましい職業観、勤労観や職業に関する知識、技能を身につけ、社会や職業に円滑に移行していくということは極めて重要な課題だと認識をしているところでございます。

 このような観点から、昨年七月に閣議決定されております教育振興基本計画におきましても、特に重点的に取り組むべき事項といたしまして、キャリア教育、職業教育の推進が挙げられております。

 文部科学省といたしましては、これを受けまして、各学校段階を通じて体系的な取り組みを行っているところでございます。

 例えば、中学校における職場体験の推進、普通科高校等におけるキャリア教育のあり方に関する調査研究、専門高校における地域の産業界等と連携した専門的職業人の育成の推進などを行っているところでございます。また、大学、短大、高専におけるインターンシップ等への支援や、社会人の学び直しの推進、専修学校を活用した就業能力の向上等にも取り組んでいるところでございます。

 さらに、現在、中央教育審議会におきまして、今後の学校におけるキャリア教育、職業教育のあり方についての検討が行われているところでございます。

 この検討結果も踏まえつつ、職業教育の充実を図ってまいりたいと考えております。

松本(洋)委員 実は私、昨年末に高等専門学校、いわゆる高専にお伺いをする機会がありまして、実際に、そこでの教育だったりとか、さまざまな意見を聞く、そして自分の目で見てくる機会というものがあったわけでございます。

 NHKなんかで、いわゆるロボコン、ロボットコンテストなんかを大体深夜の時間帯にやっていて、私なんかも、おもしろくていつも見てしまうんですけれども、何というんですか、子供たちながらの発想の豊かさだったりとか、よくこういうものが手づくりでできるなという、私自身、大変そういう驚きなんかを感じながら拝見をさせていただいているわけです。

 私を実際に案内してくれた学生さんに将来の夢は何ですかという話を聞いたときに、ちゅうちょすることなく、将来、通信産業の分野において礎になりたいというようなことを言っていたのが、私にとっては大変印象的だったわけでございます。

 しかしながら、実際に、例えば、こういう高等専門学校というような、技術を身につけるようなそういう学校が本当に子供たちにしっかりと選択肢として広げられているのかといえば、私はそうではないのではないかと思っておりまして、やはり、そういう学校の位置づけというものもしっかりとし、そして子供たちに対してもそういう学校の存在というものもしっかりと示していくということは、私は大変重要なことではないかと思っております。

 また同時に、実は、地域の物づくりを支えていらっしゃる中堅企業の経営者の方々とも話をする機会がありました。この話を聞いて私は大変びっくりしたわけでございますけれども、今、昨年の年末ぐらいの段階でしたけれども、そういう高等専門学校の卒業生に対する有効求人倍率というのは大体三十倍以上じゃないかというぐらい、大変引く手あまた。地域の物づくりの企業がそういう手に技術を持っている子供たちを採用するのは、こういう言い方がいいのかわからないですけれども、四大を卒業している人間よりも確保するのは本当に難しいんですというような話をしておりました。

 私自身は、これからの日本の将来、もちろん子供たちのこともそうですけれども、日本の将来の産業をどういうふうに育成していくのかということを考えたときに、私は、やはり物づくりというものが日本のもう一度取り戻していかなければならない活力だと思っておりまして、そういう意味におきましては、そうした子供たちの将来のことも含め、また、経済界と実際に子供たちを育てる教育界との、求める人材だったりとか、そういう意味でのミスマッチというのをどういうふうに解消していくのかということは、私たちはしっかり考えていかなければならないと思っております。

 ちなみに、よく金の卵なんという言われ方をしますけれども、経営者の方々は、金の卵どころの騒ぎじゃありません、彼らはダイヤの卵なんですというような言い方もしていたわけでございまして、ぜひ、そうした職業教育、また、そうした技術をつける教育のあり方というものも御検討いただきたいと思っております。

 私、思うんですけれども、例えば高専なんかは、中学校を卒業した人たちが入学をしていくわけですよね。しかしながら、人間の生き方というのはさまざまだと思っておりまして、例えば中学、高校までは全然別の道を目指していたけれども、実際に私もそうでしたけれども、いろいろなきっかけに触れて夢が変わってくるということは当然あるわけでございますから、では、そういう学校というものを、果たしてどういう位置づけにして、子供たち、青少年の教育の体系の中にどう位置づけていくのかということも、画一的ではなくて、弾力的にしっかりと考えて位置づけをしてもらいたいと私は思っておりますので、その点もぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 続きまして、これは末松委員長も同じ思いを抱えていらっしゃると思いますけれども、子供たちのスポーツに関してちょっとお話をさせていただきたいと思っております。

 私の地元は、西東京、小平、国分寺、国立ですから、いわばベッドタウンみたいな町になるわけでございますけれども、子供たちがスポーツをする場所というのがだんだん減ってきてしまっていて、子供たちも、お父さん、お母さんも、またスポーツの指導者たちも今非常に困っているという現状がございます。

 しかしながら、当然のごとく、子供たちの健全な育成といいますか成長においてスポーツが果たす役割というのは大変大きいと思っておりまして、私自身もスポーツをずっとやっておりましたが、やはり、そこで培った経験というのが私の今の基礎になっているということを大変強く感じているところでございます。

 では、何で我々の住んでいるところ、この都市部においてこういうスポーツをする場所がなくなってきてしまっているかといえば、一番大きな原因は、それまで企業が持っていたグラウンドなんかを利用して実は地域のスポーツが支えられてきたのに、こういう経済状況の中でそういうグラウンドがなくなってきちゃった。したがって、子供たちがそういうスポーツをする場所もなくなってきちゃった。

 今、うちの地元でどういう状況かといえば、例えばリトルリーグのチームなんかは、わざわざ埼玉県とかまで行って、そこで毎週毎週の練習を転々としながら何とか確保しているという実態があります。

 そういう意味におきまして、子供たちのスポーツ環境をしっかり確保するというのは私は大変重要だと思っておりますが、これに関しましての文部科学省のお考えをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

尾崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、子供たちのスポーツ環境の整備というものは、体力の向上ですとかスポーツの振興そのものの観点からも非常に重要なことというふうに考えております。

 このため、文部科学省といたしまして、地方公共団体が整備をする体育館、運動場、プールなどに助成を行っているところでございます。

 また、地域の体育施設のみならず、学校の持つ施設あるいは民間の施設等の開放を進める、その活用を進めるというのも、御指摘のとおり、非常に大事な観点ではないかというふうに思っております。

 文部科学省といたしまして、例えば学校が持つグラウンドを地域のスポーツ施設として活用する場合には、地域住民が利用しやすくなるように、夜間照明ですとかクラブハウス、こういったものを整備する、そういったことについての補助も行っているところでございます。

 今後とも、地方公共団体の整備いたしますスポーツ施設への補助、あるいは施設の開放の推進というものについて努力を重ねまして、地域の子供たちのスポーツ環境の整備に努力をしてまいりたいと思っております。

松本(洋)委員 そうした形でいろいろと進めているという話ではありますが、実際問題として都市部におきましては、子供たちがスポーツをするのに本当に厳しい環境にどんどんどんどんなっているわけでございますので、さらなる取り組みというものを進めてもらいたいと思います。

 学校といったそういう公共施設を民間に開放していくということももちろん重要なんですけれども、先ほども申し上げましたように、私は、企業が持っているようなものに対しても、これは私自身の思いでありますが、例えば、一定以上民間に開放して、そういう地域の共通の健康増進だったりとか子供たちの育成のために役割を果たしてくれているというのであれば、税制の恩典等々を与えて、そういうものを持つことが企業の負担にならないような仕組みづくりというのも大変重要な観点じゃないかと思っております。

 今からそういうものをつくっていくというのは、正直なところ、コスト的な部分、いろいろな部分でなかなか難しい部分がありますけれども、今あるものをまずはしっかりと守っていく、そういう施策にもこれからぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。答弁は特に求めませんが、私から強く要望をさせていただきたいと思います。

 ということで、時間でございますので、最後に、今いろいろと質問させていただきましたけれども、これらに関する小渕大臣の御見解をぜひ聞かせていただきたいと思います。

小渕国務大臣 若い人たちが、これから自立して、また、たくましく育っていくためには、やはり、学校での勉強だけでなく、クラブ活動ですとかボランティア活動、あるいは、そうした職場体験などを重ねることによりましていろいろな経験をふやすということとともに、また、いろいろな人と出会うことによって交流を重ねていくこと、それは本当に大事なことだと思います。

 まず最初に御指摘いただいた職業教育ということでありますけれども、これはやはり、働くというイメージをつけるということだけでなく、先ほど高専の話ですとかロボコンの話とかありましたけれども、どういう選択肢があるのか、働くということは何であるのか、そうしたことをしっかり意識するという上で大変大事なことだと思っております。

 また、スポーツについては、やはり、友達と一緒に競い合うということ、ルールをしっかり守っていくこと、さまざまな面で大変重要な機会だと思いますし、そうしたスポーツをするための環境をしっかり確保していくことは大変必要なことだと思っております。

 関係省庁ともこれからも協力しまして、そうした若い人たちが育つ環境整備に全力を注いでまいりたいと考えております。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 小渕大臣のリーダーシップ、そして、この国で成長していく子供たちが、しっかりと健やかに健康に成長していけるように、ぜひ、お力添えというか、頑張っていただきたいと思っておりますし、私自身も、こうしたさまざまな国会での活動を通じまして、しっかりと子供たちが成長できるような環境整備に頑張ってまいりたいと思います。

 加えまして、まずは、隗より始めよで、結婚することを一生懸命頑張りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

末松委員長 次に、上野賢一郎君。

上野委員 自由民主党の上野賢一郎でございます。

 独身の松本議員の後ですが、よく考えると、この委員会は独身者が多いような気がします。済みません、余談で。

 それでは、早速ですが、大きく言って、きょう二つの質問をさせていただきたいと思います。

 一つは、これまでこの委員会が大変熱心に取り組んでまいりました、インターネットと青少年の関係でございます。

 もう一昨年になるでしょうか、参考人等々の質疑から始まりまして、この青少年特でも大変熱心にこの問題を議論させていただきました。それが、昨年の通常国会で青少年インターネット環境整備法、この成立に結びついたというふうに思っております。

 四月一日からいよいよこの法律が施行されるわけでございますが、この施行を具体的にどういうふうに進めていくか、たしか六月だったでしょうか、国の方で基本計画を作成する予定だと聞いております。その基本計画の中で、具体的な方策、取り組み、そうしたものをしっかりと位置づけていくということが私は必要だというふうに思います。そうした観点で、まずお伺いをします。

 青少年インターネット環境整備法の施行に関しまして、これは今、内閣府さんが中心になって検討会というものをつくって、そこで具体的な審議を大変熱心に進めていただいているというふうにお伺いをしていますが、その検討会等々の場の中でどういった課題が明らかになってきたのか、これにつきまして、並木政務官にお伺いをします。

 並木政務官におかれましては、毎週学校に行かれてフィルタリング機能の重要性について現地で大変熱心に説明をしていただいているとお伺いをしたもので、差し支えがなければお伺いをしたいと思います。

並木大臣政務官 昨日も、東京都の中学校、高等学校で全校にこのフィルタリングを普及していただけるということで、中学校の入学式に行ってまいりました。

 四月から施行ということなので、これからいろいろな問題も出てくるかなというふうなことも考えられますけれども、まず、検討会での審議事項を踏まえての課題でございますけれども、御承知のとおり、昨年十月から計四回にわたって、基本計画に盛り込む事項について検討を行ってきたわけです。

 インターネットについては、我々もちろんそうなんですけれども、保護者の方の子供時代に存在しないというようなことでありますから、その辺の認識不足というのがあるわけですけれども、そういったところを保護者の方に啓発していくことがまず必要じゃないかというようなことが考えられるわけです。ですから、きのうも入学式で保護者会の方にお願いをしたというような次第なんです。

 さらに、フィルタリングサービス、これは、こういう必要なものしか入れないというのと、こういう有害なものは排除してしまうとか、よくホワイト、ブラックというようなことで呼んでおりますけれども、方法がいろいろあるわけですけれども、そういった中で、青少年の発達段階に応じて保護者が選択できる、そういう多様なサービスが提供されることが重要ではないか、そんな課題が言われているところであります。

上野委員 どうもありがとうございました。

 今お話がありました、まさにそのとおりだというふうに思います。

 特に、フィルタリング機能、この普及状況は今どうなっているんでしょうか。いろいろ調べますと、携帯各社によってサービス内容が違ったり、あるいは対応が違う等々いろいろな問題があって、統一的なやり方がまだ普及していないということがあるようでございます。

 こういう問題については、もちろん緒についたばかりですので、今後、順次改善をされていくんだろうというふうに思いますけれども、青少年インターネット環境整備法の中でもフィルタリング機能の問題は非常に重要なポイントを占めておりますので、現在の普及の状況はどうなのか、また、それに対して政府としてどういった取り組みをしているのか、あるいはどういった支援措置を講じようとしているのか、それにつきましてお話をお伺いしたいと思います。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、各携帯電話事業者の方で、総務大臣からの要請を受けまして、携帯電話フィルタリングの普及に努めてきたところでございまして、その結果、電気通信事業者協会の発表によりますと、平成二十年十二月末時点の携帯電話フィルタリングサービスの利用者数は約四百九十五万となってございます。着実に利用が広がっているところかと思います。

 また、フィルタリング機能の向上につきまして、各携帯電話事業者の方で利用者の選択肢をふやすサービスの提供について取り組んでいるところでございまして、NTTドコモでは、本年一月九日より、カスタマイズ機能と申しますけれども、特定のサイトを個別に選択できるような機能を提供してございます。KDDIにおいても、同様のサービスの提供について検討を行っているところでございます。また、ソフトバンクモバイルにつきましては、青少年の年齢層に応じたフィルタリングサービスの提供に向けて取り組んでいると聞いてございます。

 今後、総務省といたしましても、青少年インターネット環境整備法の施行を踏まえまして、フィルタリングに関する民間の取り組みを支援するなど、引き続き、多様なフィルタリングサービスが提供されるように取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

上野委員 今、四百九十五万ということですが、これは、青少年というか学生の割合からいうと何%になるんでしょうか。

武内政府参考人 これは全体の数でございますので、これとは別に、総務省の方で通信利用動向調査というものを行ってございます。これはモニターへのアンケート調査でございますけれども、昨年の末に、十二月の段階で、十八歳未満の子供がいる世帯において、フィルタリングサービスについて利用しているという回答をいただいた世帯は四九・八%となってございます。

上野委員 ありがとうございます。

 半分程度ということであれば、相当進んでいるなという気がいたしますが、四百九十五万件、これは解約も含んだりしている数字なんでしょうか、よくわかりませんが、そうしたことをきめ細かによく見ていただく必要があると思いますし、場合によっては、調査の精度をもう少し高めてやっていただく必要があると思います。

 また、政府の支援については、支援したいということでありましたが、具体的には、どういったことを考えていただいているんでしょうか。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 このフィルタリングにつきましては、ブラックあるいはホワイトというものに加えまして、先ほども申し上げましたような、きめの細かいフィルタリングが必要かと存じますが、そのためにも、そのサイトが有害かどうかということを判定するような機関が必要かということでございます。

 民間の第三者機関として、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構というふうなものを設立して、今運営しているところでございますが、例えば、こういう活動といいますか機関の設立につきまして、総務省の方でも支援をしているというところでございます。

上野委員 よくわからないんですが、いずれにしろ、具体的にこういう支援策というものをぜひ前向きに検討していただきたい。むしろ、民間主体でやっていくんですけれども、やはりそれをバックアップするのが国の役割だと思うので、ぜひそういった点でお願いをしたいと思います。

 文部科学省さんが、昨年の十一月から十二月にかけて、子供の携帯電話の利用についての調査をされました。

 携帯電話についての家庭でのルール、これを決めているというのは、小学校六年生で五割、中学二年生で四割ということでございますが、高校二年生では、特に決めていないというのが五割以上あります。

 同じ調査の中で、ルールを家庭で決めている子供は利用マナーを身につけている、そういった傾向があるというような調査結果が出ています。

 例えば、ルールを家庭で決めている子供は、そうではない子供に比べて、チェーンメールはしてはいけないと考えていると答えた子供がはるかに多いということが、統計上、調査からも明らかになっている。

 あるいは、携帯の危険性を学校で学んだ子供の方が、例えば、フィルタリングは必要ですと答えたり、あるいはチェーンメールはしてはいけないと答えたり、そうしたマナーを身につけたり、危険性を認識したりする子供が非常に多くなっているというような実態があります。

 今回の法律の施行に合わせて、私は、一つは、先ほどから議論があるフィルタリング機能を充実させていくことと、それと同時に、学校や家庭で危険性を教えたり、あるいはマナーの認識を広げたり、そうしたことを地道にやっていくことが必要だと思いますが、そうしたことを踏まえて、小渕大臣として、どういった観点から子供をインターネット上の有害情報から守るための取り組みを進めていこうと考えていらっしゃるのか、その決意をお伺いしたいと思います。

小渕国務大臣 まさに委員の御指摘のとおりであると思います。

 インターネットを見ておりますと、本当にさまざまな情報がはんらんをしております。自分自身が使うときにはあれですけれども、親として考えていくと、こうした有害な情報に子供たちがどう接していくのかということを考えると本当に心配になるわけで、子供たちが本当に安心して使える環境整備というものは急いで進めていかなければならないと思っております。

 そうした中で、やはり、委員が御指摘のように、子供たちがしっかりとこうした正しい認識を持ってもらうように教育をしていくということがまず大事だと思っております。そして、保護者の方々も、全然インターネットがわからないということでは困りますので、しっかりとした正しい知識と関心を持って、子供たちとともにそうした家庭でのルールづくりなどをしていただかなくてはならないと思っています。

 あわせまして、事業者によってフィルタリングの提供などを適切に行うこと、それぞれの立場でそれぞれの方々がインターネットの安全利用について考え、実行していただかなくてはならないと思っております。

 先ほど並木政務官からもお話がありましたとおり、昨日、内閣府におきまして開催しています検討会で提言をいただき、これを踏まえて速やかに基本計画を策定してまいります。

 子供たちが安全に安心してインターネットを利用できる環境を実現できますように精いっぱい努めてまいりたいと考えております。

上野委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 特に、小渕大臣も、また並木政務官もお話しをいただきました、保護者の皆さんの認識がまだまだ足りない部分があると思います。生まれたときから携帯のある中で育っている子供たちと、大人になってから携帯電話を知った世代では、その認識が全然違うのは当たり前でございますが、そうしたもののギャップを埋めていくようなことも十分考えていただきたいと思います。ありがとうございます。

 それでは次に、時間も限られておりますが、大麻の問題につきまして取り上げさせていただきたいと思います。

 最近、大麻の不法所持で検挙をされるというようなニュースが相次いでいるわけでありますが、スポーツ界あるいは大学生に蔓延をしている、そうしたニュースもございます。あるいは、中学生、高校生が大麻で摘発をされるというような事案も全国的に発生をしているようでございます。

 統計によれば、これは速報値のようでございますが、平成二十年の検挙人員は二千七百七十八人、うち十代、二十代は、その約六割を占める千七百三十八人だということで、五年前に比べて増加傾向にあるということは間違いないことだと思います。

 そうした中で、私が非常に懸念をしているのは、大麻は比較的安全だ、たばことそんなに違わないというような認識を持っていらっしゃる方も多いかと思いますし、あるいは、先進国では合法なところも多いんだというような誤った認識を持っていらっしゃる方もいると思います。そうした認識が広がることは私は大変危険だというふうに思っておりますので、そうしたことに対して御見識をお伺いしたい。

 あわせて質問しますが、最近では、観賞用だというふうに偽って、いわゆる種子を、種を販売する脱法種子というようなものが非常に広がっているというふうに聞いておりますが、こうしたものがあると入手が安易にできてしまうというわけでございます。とりわけ青少年の皆さんが安易に大麻を入手することができないように、規制や取り締まりを徹底して強化していくべきだと思いますけれども、これにつきましてのお考え。

 あわせて二点、お伺いをしたいと思います。

高井政府参考人 お答え申し上げます。

 大麻でございますけれども、WHO、世界保健機構の報告書によりますと、記憶への影響でありますとか学習能力の悪化、知覚の変化、人格喪失など、また、使用をやめても依存性が残るなど報告されておりまして、決して安全ではないと認識いたしております。

 このような大麻に係る乱用防止を図るためには、規範意識の向上、これが大事だと思っておりまして、厚生労働省では、発育段階に応じた啓発といたしまして、全小学六年生の保護者に啓発読本を配ったり、あるいは全中学一年生にリーフレットを配付する、また、今年度からは、学年は検討中でありますけれども、大学に入る前ということで、高校生を対象とした啓発資料を配付する、あるいは、地域における啓発として、キャラバンカーを全国の小中学校に運行するなどの啓発活動をしております。

 今後とも、文部科学省等関係機関と緊密に連携を図って、予防啓発を図りたいと思っております。

 二点目の、大麻の種の御指摘でございます。

 大麻の種、種子でございますけれども、種子については、たとえ種子をまく前であっても不正栽培の予備行為ということで処罰が可能であるほかに、種を譲り渡す側の方も、不正栽培の幇助犯でありますとか、あるいは種子の提供罪ということで処罰が可能となっております。最近の事例といたしましても、インターネットで観賞用と称して大麻の種子を販売していた者が不正栽培の幇助罪ということで摘発されておりまして、相当の効果が上がっているというふうに思っております。

 この取り締まりでございますけれども、現行法において既に必要な規定が整備されていると考えておりまして、十分対応可能でありますので、今後とも、関係取り締まり機関と十分連携を図って、現行法の規定を最大限活用して対応してまいりたいと考えております。

上野委員 ありがとうございます。

 今お話のありました種の問題ですけれども、裁判所の判断等で、それは未必の故意があって処罰の対象だというようなことも出ているようでございますので、そうしたこともぜひ広めていただくように、啓発等の活動にさらに力を入れていただきたいと思います。

 何よりも、学校現場でこうした問題が取り上げられることが大切だと思いますので、そうした観点で、先ほどお話がありましたけれども、これはいろいろ文科省等々の所管もあろうかと思いますが、そうした学校現場等での対応につきましても意を用いていただきたいというふうに思います。

 日本でこうした大麻汚染と言われるような状況が広がっているわけでございますが、アメリカに比べると、まだまだ日本はそうしたものが比較的少ないわけでございます。

 アメリカですと、ハイスクールの生徒を対象にした調査、これは一九七九年、少し古くなりますが、これがピークで、五〇%のハイスクールの学生が大麻を使用していた。直近では、二〇〇七年でも三一・七%と、依然高率なわけでございます。我が国は、そこまでは恐らくいっていないだろうと思いますけれども、最近の動向等を考えると、とても安閑としてはいられないような状況だと思います。

 こうした大麻の問題、特に青少年に対する影響については我々も非常に関心を持って取り組んでいく問題だというふうに思いますが、こうした状況を踏まえてですが、小渕大臣にお伺いをしたいと思います。

 青少年対策担当大臣としてお伺いをいたしますけれども、この大麻の問題についてどのような御所見をお持ちか、そして、今後どういった取り組み、これは各省にわたる問題でございますが、そうした問題を青少年担当の大臣としてどういうふうに後押しをしていかれるおつもりなのか、あわせてお伺いをしたいと思います。

小渕国務大臣 お答えいたします。

 今御指摘がありましたように、今、ニュースなどを見ておりますと、若い普通の人たちが、学生さんたちがこうした大麻を所持していたり栽培をしているというようなニュースがある中で、これがどのくらい広がっているのか大変心配されるところでありますし、大人が思う以上にこうしたものが簡単に手に入る、普通の学生さんたちでもすぐに手を出すことができる状況であるということは、大変憂慮すべき事態であると認識をしております。

 先ほどお話がありましたけれども、特に、大麻は体に影響がないのではないかというような誤った知識というものが広がっております。まずは、正しい知識の普及啓発に一層力を入れていく必要があるのではないかと思っております。

 それとともに、やはり、関係機関が十分に連携をいたしまして、しっかりとした取り締まりに当たっていただきたいと考えております。

上野委員 どうもありがとうございます。

 インターネットの問題も、今お話しさせていただきました大麻の問題も、いずれにしろ各省庁にまたがる問題でございまして、いろいろ所管等の問題、縦割り的な問題があろうかと思いますけれども、やはり、今お話しいただいたように、小渕大臣には、ぜひ、青少年の健全育成を図るというような観点から、リーダシップを発揮していただいて、取り組みを進めていただきたいというふうに思います。そのことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

末松委員長 次に、田名部匡代さん。

田名部委員 民主党の田名部匡代でございます。小渕大臣、きょうもよろしくお願いいたします。

 以前もこの青少年特別委員会で、そのときは、不登校、中途退学者等の支援などについてお伺いをいたしました。

 今回、昨年の十二月に、こういった、青少年の育成に関する、その推進を進めるという新たな大綱が策定をされた。今後、また議論が始まるんだと思います。

 その中、私も拝見いたしましたけれども、幾つか私も取り上げて御指摘をさせていただいたことが盛り込まれていました。例えば中途退学者の調査、実態把握についてだとか、窓口の一元化、ネットワークづくりなどなど。

 これは非常に大きな前進だなという期待とともに、絵にかいたもちにならなければいいなと。いかに実効性のある、意味のある対策を、支援策をやっていくかということが何よりも重要なことは、もう大臣もそのとおりだと思いますけれども、これは、対策、支援策だけではなくて、財政措置も含めてしっかり行っていかなければならないと思っておりますので、これからは、いかに小渕大臣が他省庁とやり合って予算を獲得するかというところにもかかっているのかな、そんなふうに思っています。

 いろいろ見てみるんですけれども、いろいろな支援が必要なのも理解できなくはないんですが、手当たり次第にいろいろあればいいというものでもないのかなと。いかにこれまでやってきた支援策に効果があって、しかも成果を生み出してきたのかということをきちんと検証し、前に進めていかなければならないだろう、そのように思っています。

 本来であれば、いろいろな支援が求められている中ですので、細かい実態調査をしてからというわけにはいかなかったと思いますが、新たな支援とともに、いろいろ盛り込まれていますけれども、実態調査というのは常に行って、その状況を把握して、新たな取り組みをすべきなのか見直すべきなのかということを考えていかなければならないのかな、そんなふうに思っておりますので、きょうは、これまで取り組んできた支援策の成果とこれから取り組む支援策について、どういった具体的内容になっているのかということを御質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、ジョブカード制度についてお伺いをしたいと思います。

 十九年、この制度を構築しまして、今回の、昨年十二月に新大綱を出された中にも、今後整備充実を図るということが盛り込まれていました。これまで訓練を受けた人が一万四千人というふうに私は把握しているんですが、ジョブカード交付件数が一万三千人でしょうか、受講した人たちがジョブカードを持ってどのぐらい就職につながったのか、その実態がわかりますでしょうか。

杉浦政府参考人 お答えいたします。

 昨年四月のジョブカード創設から本年二月末までの間にこの制度の職業訓練を開始した者の数は、全体で三万三千人でございます。内訳を見ますと、専修学校等へ委託をして行う、いわゆる日本版デュアルシステムの形で行う訓練の受講者が約三万二千人、それから、企業が訓練生を雇用して行う雇用型訓練の受講者数が約一千三百人というふうになっております。

 就職状況でございますが、まだ訓練を受講しておる人たちや修了後間もない人たちも多いことから、まだ全体状況を把握できる段階にはないんですけれども、現時点で把握している状況を申し上げますと、委託型の日本版デュアルシステムにおきましては、昨年の九月ないし十月までの段階で、受講者約八千七百人のうち六千六百人が就職をしております。就職率で申しますと約七六%でございます。それから、雇用型の訓練につきましては、昨年度中の訓練修了者が三百五十人でございますけれども、そのうち二百九十六人が正社員としての就職を実現しておるところでございまして、就職率約八五%というふうになっております。

田名部委員 今、企業でプログラムを受けた人たち三百五十人中二百九十六人が正規雇用として勤めることができたと。これは非常に成果が出ているのかなというふうに思います。

 そうじゃない八千七百人、委託して、八千七百人中六千六百人の就職につながった、七六%が就職。これは正規雇用でしょうか。

杉浦政府参考人 日本版デュアルシステムの方の、統計上は、四カ月以上継続して就職するという常用就職としての数字としてとっておるものが先ほど申し上げました六千六百人でございまして、正社員かどうかという形での統計はとっておりません。

田名部委員 せっかく就職につなげるためのこういった制度に取り組んでいらっしゃるわけですので、その後の実態というのもきちんと正確な調査をしていただくことが重要なのかなというふうに思いますが、協力してくれている企業というのは現在どのぐらいあるんでしょうか。

杉浦政府参考人 ジョブカード制度におきましては、企業実習と座学を組み合わせた実践的な訓練を提供しておるところでございます。

 委託型の日本版デュアルシステムにおきましては、先ほど申しましたけれども、三千二百人について企業の協力をいただきながら職場実習をやっておるところでございますけれども、こちらの方は、専修学校などが直接実習する企業を開拓していただいておるということや、一つの企業で複数の訓練生を実習しておるというようなこともございまして、詳細な企業数は把握していないところでございます。

 一方、雇用型の訓練は、四月二日現在、延べ約六百社でございます。ただ、本年二月末現在で、三千社を超える企業、三千九十一の企業から参加、協力の申し出をいただいておるところでございまして、今後、こうした企業において着実に訓練が実施されるよう支援をしてまいりたいというふうに考えております。

田名部委員 百年に一度の経済危機と言われる中、せっかくこういう制度で、若い人たち、また母子家庭もそうですけれども、就職支援ということが、企業の協力が得られなくなるようなことがないように、そういった呼びかけを国としてもしっかり行っていく必要があるのかな。それで、そういった受け入れてくれる企業、協力してくれる企業が都会などに偏らないように、全国津々浦々、地方の若い人であってもきちんとそういう制度を利用して就職につなげることができるように、ぜひ努力をしていただきたいというふうに思います。

 続けてもう一つ、若年者の就職支援として実施しているYESプログラム。

 これは、就職基礎能力を修得し、それが修了または認定試験に合格をすれば、厚生労働大臣名で若年者就職基礎能力修得証明書が発行されるという。こういう証明書が発行されることが就職につながるのかなと、ちょっとそんな疑問を持ちながらこれを拝見していたわけです。

 この対象講座というのは百八十四機関あるというふうに伺っておりますけれども、これを利用している人数というのは、延べじゃなくて、重複を数えない、実質何人ぐらいが利用されているんでしょうか。

杉浦政府参考人 若者が早い段階からみずからの職業能力、適性を自覚し、目的意識を持って能力向上に取り組むよう、若年者就職基礎能力支援事業、いわゆるYESプログラムというものを厚生労働省で実施しておるところでございまして、民間の教育訓練機関などが行う就職基礎能力に係る講座ですとか試験を認定いたしまして、これらを修了または合格したことを証明する証明書を発行して、就職活動の場面などで活用をしていただいておるところでございます。

 これまでの実績としましては、平成十七年度から二十年九月末までの累計で、認定講座の受講者数は約十八万人、それから認定試験の受験者は約九十九万人というふうになっております。

 統計的なものはございませんけれども、現実に、学生の方あるいは企業などから活用をしていただいておる声はいろいろ聞いておるところでございまして、一定の効果は上げておるというふうに私どもは承知をしております。引き続き、その普及に努めてまいりたいと考えております。

田名部委員 さっきのジョブカード制度もそうですし、このYESプログラムもそうですけれども、雇用する側の企業というのは、こういう制度があるんだと、それを持っていったときに理解をしているんですか。どのぐらい企業の側がこの制度を知っているんでしょうか。

杉浦政府参考人 先ほど申しましたとおり、統計的なものはないんですけれども、正直申しまして、まだまだ全国的な認知度としては低いというふうに思っております。

 そういったことから、いろいろな事業主団体あるいはハローワーク等各機関を通じまして、この制度の周知に努めておるところでございまして、いろいろパンフレット等を配って御理解をいただきながら普及促進に努めておるところでございます。

田名部委員 大臣、私は、決して支援策、制度を否定するつもりはないんですけれども、こういった今の世の中が抱えている青少年の問題を見たときに、もちろん、そうなってしまってからの支援というものも必要ですけれども、何かもっともっと基本的なところに大きな問題があるんじゃないかなと思っています。

 例えば、今のYESプログラムなんかでも、コミュニケーション能力を身につけるだとか、基礎学力、職業人意識、基礎的なマナーというものを身につけましょうというような講座があるんですけれども、生きていく中で、社会に出るまでの間に、社会の中で、また教育機関の中で、基礎能力だとかマナーだとかコミュニケーション能力だとかというのは、しっかりと身につけていくべきです。

 ジョブカード制度も、成果がないわけではないですけれども、それは、受け入れ側、雇用する側も、一つの判断材料として、この人はこういう資格があるんですよという細かいデータがわかるから判断しやすいというようなことがあるんです。

 私の考えが正しいかどうかはわかりませんが、しかし、社会に出て働くときに、試験を受けたり面接をしたり、その中でしっかりと自己アピールができる、自分はこういうことをやってきたんだときちんと相手に伝えることができる、そういった能力を身につけるということが大事で、紙一つ、その制度があれば、ジョブカードがあればいろいろなことが相手に伝わるとか、学校が終わった後にでもこういう能力を学ぶ場を提供していかなければ就職につながらないということが何かすごく悲しい気がして、本来は、もっともっと基本的な、それまでの間にやるべき、取り組むべきことの方が重要なのかなということを思いながら、昨年つくられたこの新たな大綱、いろいろ新しいものも盛り込まれているんですけれども、そんなことを思いながらいたんです。

 つまり、こういった制度とあわせて、それまでの間にどういう対策をとるのかということが、今申し上げたように、私は重要だと思っています。就職ができない、就職活動に失敗をしたという人たちが引きこもったりニートになるケースが非常に多いというデータがあります。そういった人たちをいかに社会復帰させるか、自立できるように支援をするのかということが大事なんだろうというふうに思うんです。

 ニートだけでも六十四万人いると言われて、フリーターも引きこもりも入れたら、相当な人数が社会に出れずにいるということだと思うんですね。その支援の一環としてサポートステーションだとか若者自立塾というものがあるわけですけれども、みずから出向いてその支援を受けられる人たちはまだいいんだと思うんですね。引きこもっている人たちが、こういうものがあるから来てくださいね、ああそうですかと行ければいいけれども、そうじゃない人たちの方が圧倒的に多いんだろうと私は思うんです。そういった実態というのは、多分厚生労働省さんでもわからないんだと思うんですが、いかがでしょうか。

 ごめんなさい。通告をしていないので、わからなければいいです。

 そのために、中退した人たちが就職できたのか、学校に進学することができたのか、引きこもったのかという実態調査が必要になってくるんだと思うんです。

 この引きこもりなどの支援として有効だと言われるのが訪問型の事業で、佐賀県でこれに取り組んでいる人たちがいるんですけれども、結局、若者自立塾なんかでも、費用が高額で利用できないという問題とかあるんですね。または、さっき言ったように、みずから出ていくことができない。

 この訪問型の事業に関して、これから国ももっと力を入れて取り組んでいくことが必要なのかなというふうに私は思うんですが、今後、青少年の引きこもり対策の一環として、訪問型事業、これからどういう取り組みの御予定があるのか、わかったら教えていただけますか。

小渕国務大臣 今お話を聞いておりまして、まさに、どのお話もそのとおりだなと思って聞いておりました。

 若者支援ということでありますけれども、これまでやはり、どちらかというと、子供とか若者は特に支援をしなくても勝手に育つというような思いがあったのかなかったのか、なかなかそうした支援策というものは、とられてきたのもちょっと少なかったのではないかと思いますけれども、今若い人たちが置かれているこの社会環境をいろいろ考えたときに、しっかりとした対策を喫緊にとっていく必要があるのではないかと思っています。

 委員が御指摘になりました、特にニート、引きこもり、この数につきましても、その状況につきましても、大変深刻な状況だと思っております。

 そういう方々が、外出をして、自分たちはこういう状況なので助けてほしいということで相談に来てくれるというんだったらまだいいのですけれども、どちらかというと、これまで待ちの姿勢であったところがあるかと思います。やはり、御指摘のように、そちらまでしっかり出向いていって、相談に乗り、その後の支援につなげていく、そうした訪問をきちんとこちらでしていくということ、それは大変大事なことだと思っております。

 先般国会に提出いたしました青少年総合対策推進法案におきましては、その第十五条におきまして、関係機関が支援を実施する際に、訪問支援を行うということを念頭に規定をしているところであります。

 まだ、こうしたことにつきましては、一部の先進的な自治体やNPOにおきまして行われている取り組みのノウハウを今蓄積しているところでありまして、これを広く普及していくということが何としても欠かせないことだと思いますので、内閣府が中心となりまして、モデル事業、実践的な研修の実施、情報提供の充実に取り組んでいきたいと考えております。

田名部委員 民間やボランティアの力もかりながら、しっかりとした支援体制をつくっていくことが大事だと思うんですが、そのために人材を育成するということも必要だと思うんですね。そういった悩みに相談をしてあげられる、また、そこから今度は社会復帰につながるような就職の支援活動もできるというようなことをやっていくことも大事なのかなと。その人材育成ということもぜひ念頭に置いて今後の取り組みを進めていただきたいというふうに思うんです。

 さっき言った若者自立塾に関してなんですが、平成十九年度、年間の入塾者数の目標というのが千五百八十四人だったんですね。十億円を予算計上しているんですが、十九年度の実績は五百九十三人、目標達成率は三七・四%なんです。自立できない若い人たちが自立塾に行って、生活のリズムを取り戻すだとかコミュニケーション能力をつけるだとか、そうしているうちに就職をする意欲がわいてくる、これもさっき言ったように、決して悪い取り組みではないんですが、なかなか成果として数字が出ていない。

 ただ、数字だけで判断できないこともあると思うんです。すぐに成果の出るものではない、時間をかけてやっていくことが大事なこともあると思うので、一概に数字が悪いからどうなのという話ではないんです。

 しかし、十億円という予算をつけて取り組んでいる以上、この若者自立塾、国としても、その中で、どういうプログラムで塾が開かれているのか、どういった成果を出しているのか。例えば、数字が悪くても、とても親切な、丁寧な支援をしているところも実際あるんです。一度就職、社会に復帰できました、でも、また仕事をやめちゃいました、戻ってきたときに再就職をまた探してあげましょうというような熱心な取り組みをしているところも実際あるんです。

 やはりこういった実態の把握に努めることが大事なんじゃないかなというふうに思うんですが、そういったことは厚生労働省として行っているんでしょうか。

杉浦政府参考人 お答えいたします。

 若者自立塾の事業でございますけれども、今年度、三十の団体において実施をしております。もちろん、良好な成績を残しておるところもたくさんございますけれども、先生御指摘のように、必ずしも入校生が十分入っていないというようなところもあるわけでございまして、そういったところにつきましては、こちらからも随時適切な指導をしておるところでございます。

 それから、塾の評価基準といったようなものを策定しまして、それぞれの団体の評価というようなこともやっております。その都度、こういった実績を見ながら指導してまいりたいというふうに考えております。

田名部委員 ぜひ、そういったことの調査、今後も続けていただきたいと思いますし、そこに行って社会に復帰しよう、自立をしようという子供たちにとって本当に有意義な塾となるように、国としても責任を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。

 今度は、ニート。フリーターの方はまたちょっと数字が違うんですけれども、引きこもり、ニートという人たちの中には、学生時代に不登校になった、また、いじめに遭ったという人たちが非常に多いわけなんです。

 それで、前回も不登校についてはいろいろと取り上げて御質問をさせていただきましたけれども、私、実は地元で、不登校というか、その子は不登校にならなかったんですけれども、学校の中でいろいろ問題があった、本人は、いじめがあったと、しかし学校は、それはなかったという判断なんですね。

 それで、その子は、違う高校に移りたい、転入したいということで言ったんですけれども、これは各自治体によっていろいろ要件が違うのかもしれないんですが、転入学の要件が結構厳しく、三つぐらいありまして、青森県では、いじめがあった、もしくは、家族が引っ越しをして学校に通えなくなった、また、受けている学科を違う学科に変える必要があるとか、そういう要件になっているんです。学校側でいじめがあったと認めなかったばかりに、要件に当てはまらないから、転入したいと言った転入先の学校から断られてしまったんです。

 その子は、結局、学校をやめることになって、そして通信教育で高校卒業の試験を受けようということになったんですが、直接その子と話をしたときに、とても前向きないい子で、元気な子でありまして、いろいろあったけれども、今回のことは私にとっていい勉強になりました、社会にはいろいろなことがあるんだなということもわかったし、親とも腹を割って話すことができたし、親の愛情をしっかりと感じることができた貴重な体験でした、思うような学校への転校というか異動はできなかったけれども、今の現実を受けとめて、私は前向きにこれからまた学んでいきますと。最後に一言、日本の政治のためにも頑張ってくださいと私が逆に励まされたりしながらいたんですけれども。

 結局、学校の中でいろいろ問題があった、学ぶ意欲もある、しかし、なかなかその条件が厳しくて、転入だとか編入だとかということがかなわない。こういった要件の緩和、これは自治体ごとの判断なのかもしれないですけれども、こういったことがきっかけで学校に行かなくなり、そして引きこもる、またニートになってしまうということにもつながっていくのかなと考えますと、やはりもう少しこのことも国として考える必要があるんじゃないかなと思うんですが、大臣、この件について、どんなふうにお考えでしょうか。

小渕国務大臣 今のお話を伺っていますと、前向きなお子さんでしたのでそのようなお答えをされたというふうに思いますけれども、やはりスムーズな形で転入がされるべきことであると思いますし、高校生ということでありますので、本人が希望することでありましたら、ほかの学校で同じように勉強を続けていただきたかったというふうに思っております。

 それぞれの地域によりまして状況は違うかもしれませんけれども、やはり、学ぶ皆さん方が希望する環境の中で、それがかなうようにしていかなければならないと考えております。

田名部委員 私も、こうした社会情勢が厳しい中で、子供たちが家庭の環境に左右されて学びたいところで学べない、そういったことだけは何としても避けなければならない、子供たちを守っていかなければならないというふうに感じているんですね。

 今のような、学校でいろいろ問題があったというケースだけではなくて、私のところには、今このような状況の中、やはりいろいろな相談が来るんです。

 母子家庭で子供を四人抱えているお母さんからも、子供が高校に進学するのに非常に経済的に厳しい、きちんとした仕事をしたいんだけれども、なかなか受け入れてくれるところがないと。パート勤めをしているんですが、月に七万から九万しか収入がないんですね。結局は、では生活保護に頼るのかどうするのかということになっていくんですが、しかし、その女性もまた非常に力強い前向きな方で、私はそういう生活保護には頼らない、しっかりと働くところをまた見つけて、何とか子供を一人で育てていくんですというようなお話をされていました。

 その方のときにも、高校に進むときにお金がなくて行きたい学校に行かせてあげられなかったらどうしようか、子供にそんな情けない思いはさせたくないんですと、涙を流しながら私のところに来られました。私も、どこか働く場所がないかなと思っていろいろと知っているところに話してみたんですが、その家庭は、上が高校に進学する中学校三年生、その後は小学生と四歳と二歳なんです。ですから、小さい子供さんがいる、子供が四人いる、母子家庭だということで、なかなか働く場所もない。そういった相談がありました。

 そういうことを考えれば、不登校、引きこもり、ニート対策、その中の一環として、しっかりとした、子供たちが学校にきちんと通える、そういう状況も全体的に、国として、これは厚生労働省、これは文科省というやり方ではなくて、一体とした、連携をとった体制づくりというものをしていただきたいというふうに思います。

 それで、ちょっといじめについて引き続きお伺いをしていきたいと思うんです。

 これもまた、何か本当に最近はいろいろな相談があるんですが、非常に悲しいお電話を二件いただきました。

 子供さんが自殺をしたという二つの家庭から電話がありまして、どちらも抱えている問題は一緒というか、気持ちが一緒というか、結局は、本当は学校で何があったのかという事実を知りたい、でも、それを知ることができないし、学校や教育委員会の報告では、それが事実だったのかどうかなかなか信用することができないということなんです。

 一人は、お手紙をいただきました。スポーツの大会、中体連の選手として試合に出ていて、とても活発なお子さんだったそうです。全く思い当たる節のないまま子供さんは自殺で亡くなってしまったと。また、いろいろ学校にも話をしたり、教育委員会にも問い合わせをしたんだけれども、学校や行政がどちら側を向いているのかわからない、本当に子供の方を向いてくれているんだろうか、我が子のことを思ってくれているんだろうか、そういった思いが込められたお手紙でありました。

 ある県の役所の方が、いろいろ相談していたら、お母さん、それは無理です、国を変えないと百年たっても無理だということを言われたそうです。その言葉を聞いて私のところにお手紙を下さったんだと私は思っているんですね。きちんとした調査をしてほしいんです、事実が知りたいんですということと、自分は学歴もないし裕福でもない、決して立派な親でもありません、でも子供を愛して人並みに育てていました、息子の抜けた穴は息子でなければ埋めることはできません、あの笑顔はもう二度と戻ってはきませんというようなお手紙でありました。

 こういった中、いじめに関しては、事実がわからないから裁判になるケースというのも実際にあるわけですけれども、いじめに対する実態調査というのは、国として学校に何か指導をしているんでしょうか。

徳久政府参考人 今委員御指摘のとおりでございまして、子供をめぐる事案、例えばいじめで自殺された痛ましいそういうような事件、事故につきまして、やはり、事実を把握したいというような保護者の要望が多く寄せられることがございます。

 学校としても事実関係を把握するための取り組みを行うということは非常に大切なことでございまして、そういう保護者からの訴えを受けた場合には、まず謙虚に耳を傾けてください、また、事実を隠ぺいすることなく事実関係の正確かつ迅速な把握をしていただいて的確に対応してください、また、いじめが起きた場合には、家庭との連携を密にして一致協力してその解決に当たること等について、文科省の方からも、教育委員会、学校に対して取り組みを促しているところでございます。

田名部委員 文科省として、いじめで自殺した人は全国で年間でどのぐらいいるというふうに把握しているんでしょうか。私の手元にある資料ですと、警察庁の資料なんですが、平成十九年、十九歳以下の自殺者は五百四十八名、そのうち小中高校生の自殺は二百七十一名というふうになっているんですけれども、この数字で間違いないでしょうか。

徳久政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査というのを実施しておりまして、そこで、平成十九年度中に国公私立の小中高等学校において自殺をした子供さん、児童生徒のうち、自殺をした児童生徒が置かれている状況としていじめの問題があった、そういう生徒は五名であるということでございます。

 なお、今委員御指摘ございましたように、自殺者数についてはもっと数が多うございまして、これは文科省調査でございますけれども、小中高等学校、国公私立の十九年度の、警察は十九年という暦年なんですが、私どもは年度の単位でございますが、全体で百五十八名ということになってございます。そのうちの内数として、いじめという問題が置かれていた状況としてあったのは五名だということでございます。

田名部委員 いじめがあったかなかったかということは、文科省としてどのような把握の仕方をしているんですか。それは学校側からの報告を受けるだけでしょうか。その報告を受けたことで、学校がいじめがなかったと言えば、いじめではないということですか。

徳久政府参考人 例えば、いじめ自殺が痛ましく起こったケースにつきまして事実関係を把握できる、調査できるというのは、もちろん学校なり教育委員会というところが中心になるわけでございます。そのデータが私どもの方に、こういうケースはこういうことであった、先ほど言った五名であるとか、数字が上がってくるわけでございます。

 今委員も御指摘ございましたように、警察庁との数字にちょっとそごがあるんじゃないかというようなこともよくあります。警察の方の統計数値、これは、御案内のように警察は捜査権限を持っていまして、検視とか事情聴取の結果を集計しているということで、学校側が行う調査とはまた別にそういう調査網を持っておって数字を把握しているところでございます。

 したがいまして、調査方法が異なるということで数字に差があるわけでございますが、今のような御指摘がありましたので、私ども、警察の方からいただいた数字を都道府県の方に返しまして、おたくの県は警察がこういう数字を持っておりますので、おたくのそういう学校の調査なり教育委員会の調査はこれで問題ありませんかということについてフィードバックをして、それで最終的に学校なり教育委員会でその数字でよろしいのかどうかを確定していただいて、それを私どもの方に報告して、それを全国集計した結果として先ほど言った数字になっている、こういう状況でございます。

田名部委員 当然それは、やっていただくべきことだと思います。警察から上がってきた数字と学校から報告をされる数字が違うわけで、それは都道府県に返して調査をしてもらう。

 でも、それを依頼する先が、いじめはなかったと報告をしてくる学校や教育委員会であったときに、本当のことが国に届くんでしょうか。そういう調査の仕方で十分なんでしょうか。数字が違うから間違いないですかと、報告を上げてきた学校や教育委員会にそのことを返して、いや、実はいじめがありましたなんていう報告、そういう訂正で報告がされるんでしょうかね、本当に。

 やはりここは、調査の仕方、ある程度の一定のマニュアルだとかそういうことは必要なんだと思いますし、学校や教育委員会で事実が上がってこないような状況があるんだとしたら、ほかの方法を考える。それは第三者機関なのか、一方側の話だけを聞いて、それは受け取る側がいじめだと思っていたかもしれないということもあるし、学校は隠そうとしているのかもしれないし、いろいろな事情があるかもしれないけれども、実際どうなのかということをしっかりと考えて、命を守ることに全力を尽くしていただきたいと私は思うんですが、どうでしょうか。

徳久政府参考人 確かに、学校におきまして、友人とかその親とか、それから児童生徒の遺族も当然そうでございますけれども、そういう関係者からいろいろ状況を聴取いたしまして事実関係の把握に努めているものとは考えておりますが、先生御指摘のように、学校関係者の調査にやはり限界がある場合はあると思います。そういう場合は、必要に応じて、第三者機関、第三者により実態把握を行うということが大切だと思っておりまして、私ども、教育委員会、学校に対しては、そのように指導しているところでございます。

田名部委員 その第三者機関で調査をする場合にも、偏った調査にならないようにということと、御家族にきちんとした情報公開がなされるということが非常に大事だと私は思います。

 さっきのお手紙の方でも、受けとめ方の違いと言ってしまったらそれまでなのかもしれませんけれども、そこの学校の先生は、おうちの方に強く怒られたことがなかったんでしょうと、本当に、悲しんでいらっしゃる人の気持ちをさらに踏みつけるというか、逆なでするようなことを言ってしまう。それは、学校としては、そんなのはいじめじゃないよと思うようなことであっても、事実がどうだったのかということをしっかりと調査する必要がある。

 やはり、命をなくする前に何事も未然に防いでいく、命を守る、そして不登校にならないように、学校をやめてどこにも行き場がなくならないように、そういった視点で取り組みをしていくことが私は大事だと思います。

 大臣、最後に一言、本当に、子供たちの命を守る、また、社会に出て、たくましく生き抜いていってもらう、以前も同じようなことを言ったかもしれませんけれども、そういった役割を担う担当大臣でありますので、今のいじめの調査のことに関する感想も含めて、これからの新しい取り組みについての意気込みをお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。

小渕国務大臣 いじめの問題は大変重く受けとめなければならないことでありまして、いじめの根絶というのはなかなか難しいかもしれませんけれども、一歩でも二歩でも先に進められるようにしていかなければならないと思っております。

 先ほどの、いじめによる自殺ということでの実態把握をしていかなければならないということでありますけれども、やはり親の立場からいたしますと、どういう状況があったのか、しっかり教えてもらいたいと思うのは当たり前のことであるかと思います。

 私も、実際、いじめが起こった学校の現場や親と話をさせていただいたことがあるんですけれども、現場でそうしたことが起こると、本当に小さな町のうちの一つの学校でそんなようなことが起こると、もう大事件になりますし、やはり、今はマスコミがその町にたくさん押し寄せるということで、内部の状況をお聞きしますと、もちろん実態把握はやらなければならない、しかし、ほかの子供たちのことも考えると、一日も早く日常を取り戻したいというような思いがあるという、その両方の気持ちで大変難しいということをお聞きいたしました。

 しかし、実態把握をするということは、親の気持ちをということだけではなくて、やはり再度こういうことが起こらないように未然に防いでいくという予防策にもなっていくと思いますので、私は、しっかりとした実態把握というものはしていかなければならないのではないかと思っておりますし、先ほど第三者機関というお話がありましたけれども、そうしたところに対して、また教育委員会や学校に対して徹底した指導をしていかなければならないと思っております。

 何よりも子供たちの命を守っていくということは、その環境をつくることも、親の責任も大変大きなものがあると思っておりますので、これからのこの国を担っていく子供たちが健全に成長していけるように、しっかりとした環境整備、また対策に努めていきたいと思っております。

田名部委員 ありがとうございました。

 ぜひ、子供たちに対するこういった支援、取り組みが絵にかいたもちにならないように、しっかりとした体制づくりをしていただきたい、そのことを期待して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

末松委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、小中高校生に対する適切ながん教育の取り組み、また、健康教育の取り組みについてお伺いをしてまいります。

 本題に入ります前に、小渕大臣に、少子社会対策の一つといたしまして、育児・介護休業法の改正についてお考えをお尋ねいたします。

 平成十九年度の雇用均等基本調査によりますと、女性の育児休業取得率は八九・七%でございます。二年間で一七・四ポイントも上昇しています。一方で、男性は一・五六%と、まだまだ低い取得率ではございますけれども、二年間で約三倍になっております。

 この未曾有の経済危機の中で、育児休業やワーク・ライフ・バランスどころではない、そういう意見もございます。私は、こうしたときこそ、逆に、社会の価値観を大きく転換させる好機ではないか、このように考えております。

 実際、先進企業の一部では、ワーク・ライフ・バランスの推進により、これが組織変革のチャンスだと、不況を追い風ととらえて、これまでの非効率な業務体制にメスを入れることで、残業がゼロに近づき、休暇取得日数がふえる、また、従業員はリフレッシュしてさらに業務効率が上がるという、正の連鎖が生まれているという例もございます。

 仕事と家庭の両立を可能とする職場環境を整備すること、これは、出産、育児を行う女性が退職することなく働き続けられる、そういう希望をかなえることともなります。

 昨年九月の仕事と生活の調和に関する意識調査では、理想とする生活と現実の生活が一致している人は約一五%にとどまっております。厳しい現状であります。

 こうした中、小渕大臣は、経済団体等を訪問されまして、仕事と生活の調和を初め、少子化対策、男女共同参画などに一体的に取り組むことを直接経営幹部に要請するなど、取り組みを積極的にされていらっしゃいます。世界がこれまで経験したことのない少子高齢社会を迎える日本の取り組みは、世界各国からも注目をされているというふうに思います。

 そこで、仕事と生活の調和につながるこの育児・介護休業法改正案ですが、一刻も早く提出をし、成立をさせたいという強い希望を私は持っておりますけれども、大臣のお考えをお伺いいたします。

小渕国務大臣 私も、委員と同じように、強い思いを持っております。

 女性が働きながら出産や子育てができ、また、男性も育児をすることができる環境を整える、これは少子化対策を考える上で大変大事なことだと思っております。

 今回の育介法の改正の内容は、これまで任意であった子育て期の労働者への短時間勤務制度の提供を企業に義務化する、また、父親の育休取得を促進するいわゆるパパ・ママ育休プラスなどを考えておりますので、これによりまして、子育て期のニーズに合わせた柔軟な働き方が可能になるということとともに、いまだに一・五六%という低調な男性の育休取得率を大幅にアップするきっかけにもなると思います。少子化対策の観点からも本当に重要なことであると思っております。

 あわせて、こうした法律改正を行うということによりまして、一般の方々あるいは労働者、経営者の方々に対して強いメッセージをお伝えすることになるという効果も期待できますので、速やかに法案の形にまとめまして国会に提出し、成立させていただきたいと考えております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 私自身も、自分のできる努力を尽くして、成立に向けて頑張ってまいりたいと思います。大臣、またよろしくお願いいたします。

 次に、がん検診の受診率アップへの取り組み、また、がん教育充実に向けての検討状況について厚労省にお伺いをしてまいります。

 平成十九年六月に閣議決定をされましたがん対策推進基本計画の基本方針の中に、がん患者、国民の視点に立った対策の実施が掲げられております。

 さらに、厚労省のがん対策推進本部が取りまとめた「今後の厚生労働省のがん対策の取り組み」の中で、がんの早期発見を一層推進するためには、がんの病態、治療法に対する正しい理解の普及啓発が重要とされております。

 政府は、このがん対策推進基本計画において、五年以内に検診の受診率を五〇%以上とすることを目標に掲げておりますけれども、日本人のがん検診の受診率は、八〇%前後の欧米と比べますと、特に、女性特有のがんである子宮がん二一・三%、乳がん二〇・三%と非常に低迷をいたしております。そこで、まず厚労省に、受診率アップへの取り組みについてお伺いいたします。

 また、さらに、検診率の低迷は、がんに対する正しい理解が十分にされていないということが考えられます。今後、さらに、正しい理解の普及啓発、受診への環境整備とともに、がん教育の充実が非常に重要である、このように考えます。

 こうした現状に対して、厚生労働省は、昨年十月、がんに対する正しい理解を促進させるため、識者によるがんに関する普及啓発懇談会を発足させました。このメンバーの中には教育の専門家も参加されておりまして、子供たちへの適切ながん教育の充実について検討されているものと存じますが、この検討状況についてお伺いいたします。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、がん対策推進基本計画におきましては、がん検診の受診率を五年以内に五〇%にしようという個別目標を掲げております。

 このため、各地域の実情に応じたがん検診の受診率向上に係るモデル的な取り組みに対する支援を行い、受診率の向上に努めてまいりました。また、本年度からは、全国共通のキャッチフレーズによる集中キャンペーンを実施するなど、国、地方自治体、企業、関係団体等が一体となって全国規模の受診勧奨事業を積極的に展開することとしております。

 次に、がんについての教育でございますけれども、御指摘のとおり、昨年、がんに関する普及啓発懇談会を設置いたしました。この中で、がん検診の重要性や学校教育におけるがんに関する正しい知識の普及などの先駆的な事例を収集して御意見を伺っているところでございます。

 第二回の懇談会におきましては、座長をやっていただいております中川恵一東京大学医学部附属病院放射線科准教授から、東京都国立市立の国立第一中学校の生徒を対象に中学生向けの冊子を活用した授業を行った事例が紹介されまして、子供たちは非常によくわかってくれたというような報告が行われたところでございます。

 厚生労働省といたしましては、これらの先進的な事例をもとに、がんに関する正しい知識の教育、普及啓発のための方策についても検討を行うとともに、必要に応じて文部科学省など関係省庁とも連携を図ってまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 厚労省においてもさまざまな取り組みはされていると存じますが、この検診率の現状を見ますと、やはり、もっともっと総力を挙げて、危機感を持って行っていかなければならないのではないか、そのような気がいたします。

 次に、特に小中高校生に対するがん教育の実施は、我が国にとって急務の課題ではないかと考えております。

 日本において、国民の二人に一人ががんに罹患をしている、三人に一人ががんで亡くなっているこの現状を見ますと、日本は世界一のがん大国である、そう言っても過言ではないと思います。しかしながら、受診率の停滞が示しますように、国民のがんに対する知識は著しく欠如している、そう言わざるを得ません。

 実際、小中学校、高校の保健の教科書にはがんに関する記述はわずかしかない、学校教育の現場では、がん教育が非常に少ない、不足をしている、こういう現状ではないかと思います。将来を担う子供たちにとって、がん教育は大変重要なものであると考えます。

 がんの主な原因として、喫煙、また日常の生活習慣、これが密接な関係があると言われております。喫煙、食事、運動などに気をつけることにより、がんへの危険性を低下させることが可能であるとも言われております。

 しかし、一度身につけた生活習慣を直すことはなかなか難しいかと思います。学校教育の現場では、適切な生活習慣、がんに関する正しい知識を身につける機会をふやすというような、健康増進の基礎となるがん教育を進めることが必要だと考えます。

 例えば、私たち公明党が現在力を入れて推進しております子宮頸がんの予防ですけれども、ワクチン接種と早期発見のための検診の普及により、ほぼ封じ込めることができるがんだと言われております。ワクチン接種など子宮がん予防の重要性の啓発は、学校教育の現場で行われることが一番理解が進むのではないかと考えております。

 また、学校教員のがんに関する知識も必ずしも十分ではない、学校教育においてがんに関する教育が欠如している現状を改める必要があるとの指摘もございまして、がんの知識についての教育研修の実施が求められると思います。

 そこで、文部科学省に、小中高校の現場におけるがん教育充実への取り組みと、また、教職員に対する知識の普及啓発、教育研修についてお伺いをいたします。

尾崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、小中高等学校のがん教育が重要であることは言うまでもないわけでございますけれども、その重要性を踏まえまして、学校では、小学校であれば体育、中学、高等学校であれば保健体育の時間を中心に、がんを含む健康に関する指導が行われているところでございます。

 具体的なその指導の中身は、学習指導要領を踏まえまして、小中高を通じまして、生活習慣病の予防のためには望ましい生活習慣を身につける必要があること、また小中学校では、常習的な喫煙により肺がんなどの病気を起こしやすくなること、それから高等学校では、悪性新生物などの生活習慣病の予防を適宜取り上げまして、健康に関する適切な意思決定と行動選択が重要であること、こういった内容を指導することとしております。

 これを踏まえまして、それぞれの教科書では、例えば最も多く使われております中学校の保健体育の教科書を見ますと、国立がんセンターから示されております、がんを防ぐための十二カ条を具体的にイラスト入りでわかりやすく説明するなど、がんの予防などにつきましての記述が盛り込まれているところでもございます。

 さらに、文部科学省といたしまして、がんの予防の大切さを含んだ健康に関するパンフレットをつくりまして、小五、中一、高一の各段階で全児童生徒に行き渡るような配付もしているところでもございます。

 それから、御指摘ありました教職員に対する普及啓発でございますけれども、これも重要でございまして、飲酒、喫煙とがんの関連などを盛り込みました教師用の指導資料を作成いたしまして、全小中高等学校に配付をいたしております。

 また、具体的な研修ということで、教育委員会の指導主事ですとか、それから研修の成果を各県でまた広めていただくための指導的な立場の教員を集めまして、健康教育指導者養成研修というものを直轄で開催しているところでもございます。

 今後とも、教職員の資質向上ですとか、いろいろな啓発資料の作成、こういった充実を通じまして、がん教育がさらに充実されるように努めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 さらにがん教育の深化、また普及というものをお願いしたいというふうに思っております。

 先ほども紹介がありましたけれども、私も、中川恵一准教授が行われた、国立市の第一中学校のがん教育のその現場、公開講座に参加をしてまいりました。

 このとき、中川准教授は、やはり長生きをするほどがんになりやすい、ということは、世界一の長寿国である日本ではがんは特別な病気ではないということを説明していらっしゃいました。食生活を初めとする生活習慣に気をつけて予防する、また定期的に検診を受ける、また早期発見できれば治る病気だということも強調されまして、特にたばこの悪影響について、十五歳でたばこを吸うようになると将来がんになる確率が三十倍になるということを指摘され、非常にわかりやすい授業でもございました。生徒からも、がんを理解することの大切さを学んだ、これから役に立てたいという声が聞かれまして、非常に真剣に聞いている様子でありました。

 私は、こうした小中学生のころからがんについて学ぶということ、これががん検診の受診率の向上につながると思っております。がんに関する正しい知識を学校教育の中で徹底していくことの大切さ、これを痛感した次第でございます。

 そこで、学校教育の現場では、小中学生、高校生のうちから適切な生活習慣やがんに関する正しい知識を身につける機会をふやして、できれば副読本なども活用して健康増進の基礎となるがん教育を進める必要があるのではないかと考えます。

 小渕大臣も所信の中で、「青少年が心身ともに健康で社会的に自立できるよう育成することは、我が国の将来を左右する、政府の最重要課題の一つ」と述べられております。

 学校現場でのがん教育をさらに充実させ、推進していかなければならない、このように考えますけれども、政務官に御所見をお伺いしたいと思います。

並木大臣政務官 古屋先生も、小児医療・アレルギー対策とか、そうした面で大変御活躍で、専門家でいらっしゃいます。

 先ほど来のお話のとおり、日本人男性の二分の一、女性の三分の一ががんにかかって、死因の三分の一ががんだということで、医療費についても二兆五千億、一割ぐらいががん関係ということですから、大変重要な課題であります。

 予防あるいは早期発見ということが非常にその後の治癒率にもつながってまいりますから、そういった点で、まさに小中学校の成長過程に応じて正しい知識を教えていくということが大変重要であるかと考えております。

 食育等でも、早寝早起き朝御飯なんということで、小学生ぐらいでそういう習慣を身につけて、さらに、喫煙、飲酒、そういった問題、あるいは、高度になってきますと、今先生おっしゃったように、ワクチン等で子宮頸がん等が防げる、こういうことも教えていくということが大変必要であるかなと思います。

 文部科学省、厚生省もさまざまな取り組みをされておりまして、特に厚生省は、がんに関する普及啓発懇談会、教育専門家も含めてこうした取り組みをされていますので、連携してさらに充実した対策を図っていければというふうに考えております。

古屋(範)委員 並木政務官、ありがとうございました。

 女性の社会進出、これは非常に大きな流れでございます。多分、小渕大臣が一番実感されているのではないかと思うんですが、出産にしても子育てにしても仕事にしても、基本となるのは健康だと思います。女性の健康を守ること、この環境整備は急務であると考えます。

 先月の半ば、私は、花の集い・健康づくり女性の会という会の方々と懇談する機会を得ました。

 この会は、女性の健康問題、特に、結婚して子供が欲しい、また、既に子供を抱えている女性にとっては切実なことである、少しでも世の中に貢献したいと、食それから運動、いやしを柱に活動している方々の集まりでありまして、女性のライフステージに応じた健康増進、予防の啓発教育による健康づくりなど、さまざまな企画を考えていらっしゃいます。

 この事務局長でいらっしゃる実践女子短期大学の山本初子先生から、女性の一生涯にわたる健康づくりの大切さ、食育、健康教育、介護予防、生活習慣などについても、大変重要な御示唆をそのときにいただきました。

 平成十九年度、日本人の死亡者約百十万人、このうち、がんによる死亡者が約三十四万人であります。三人に一人ががんで亡くなっているこの現状を何としても変えていかなければならない、このように考えます。

 私は、高校生までは、子供に対して十分に計画された健康カリキュラム、健康教育は、子供たちを有意義な学習体験に引き込み、関与させるための豊かな機会を提供するものと思います。そして、子供たちに、生涯を通じて健康への積極的な態度や行動へと導く知識を与えるものであると考えます。

 小渕大臣に、子供のころからの学校現場での健康教育の重要性について最後にお伺いいたします。

小渕国務大臣 お答えいたします。

 私自身も日々健康の大切さというものを痛感しておりますけれども、やはり、これまでのことを振り返ってみますと、自分の体のことですとか、健康に対する正しい知識ですとか、なかなかそうしたものを学んでくる機会というものが少なかったかなということを考えております。

 昨年の十二月に策定した新大綱におきまして、心の健康に関する指導、あるいは発達段階に応じた性に関する指導、感染症対策などについての健康教育の推進を図ることといたしておりますけれども、何よりも、青少年が心身ともに健康で健やかに成長していくためには、やはり健康教育の推進、大変大事なことだと思いますので、しっかりと、関係省庁とも連携いたしまして、この推進に努めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 子供たちへの健康教育の推進を求めまして、時間でございますので、質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

末松委員長 次に、石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。

 若者の問題、きょうは、特に高校卒業者への就労支援についてお聞きをいたします。

 まず、この三月末での、今春の高校卒業者の就職の内定率、あるいは、就職を希望しながらもできなかった子供たち、内定したけれども自宅待機を命じられたとか、採用延期、内定辞退の示唆などを受けた生徒たちがどのぐらいいるのかについて、厚生労働省と文部科学省から数字を教えていただきたいと思います。

 あわせて、就職を希望しながら就職できなかった、そういう子供たちに今後どのような対応をしていくおつもりか、お聞かせいただきたいと思います。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 ことしの三月卒業予定の高校生の就職内定状況につきましては、これは一月末現在の数字でございますけれども、就職内定率は八七・五%でございます。前年同期と比べますと一・九ポイント下回っているところでございます。また、就職未内定者は約二万三千人でございまして、前年同期を三千人上回る状況でございます。

 この就職内定率でございますけれども、ここ十年間で見てまいりますと三番目に高い水準ではございます。ただ、求人が最近伸び悩んでおりまして、このことから例年同時期よりも悪化している状況がございまして、やはり、景気後退に伴う雇用情勢の悪化によりまして、就職先が決まらないで卒業をされた方の増加も懸念されるところでございます。引き続き、その状況につきましては、早急に把握をしたいと思っております。

 ハローワークにおきましては、就職先が決まらなかった方が一日も早く就職先を見つけられますように、高卒就職ジョブサポーターの活用などによりまして、個別の就職支援を強化してまいりたいと考えているところでございます。

徳久政府参考人 お答え申し上げます。

 今春、新規高校卒業者の三月末の就職内定状況についてのお尋ねでございますけれども、現在調査中ということでございます。

 文科省で把握をしている最新の調査結果の数字は、昨年十二月末現在ということでございまして、就職内定率で申しますと八二・三%、これは昨年の同期に比べまして一・五ポイントの減ということでございまして、非常に厳しい結果になっておるところでございます。

 それから、未内定者が何人おるのかという御質問でございますけれども、昨年十二月末ですけれども、就職を希望しながらまだその時点で内定が得られなかった数は、約三万六千人という数字になっております。

 それから、その次のお尋ねで、内定取り消しを受けたり、内定取り消しそのものではないけれども、示唆があったその人数はどうかということでございます。

 これは三月一日現在の数字を持っておりまして、高校生でございますけれども、内定取り消しを受けた生徒数が三百十五名でございました。それから、内定取り消しを受けるに至っていないけれども、内定取り消しを検討するとか入職時期を繰り下げる、そういう旨の連絡があった者等々を加えますと、千四十一名ということでございます。

 しかし、当初、内定取り消しを受けた者三百十五名のうち、現在、ほかの企業に決まったような方もいらっしゃるので、その三月一日時点で内定取り消しを受けてまだ就職が決まっておらずに就職活動中の者は、七十八名という数字でございました。

 それから、対応、対策ということでございますけれども、このような数字の状況につきまして、私ども、都道府県教育委員会に対しまして、都道府県の労働部局と連携をして一層の求人開拓に努めていただきたい、また、就職面接会や就職未内定者を対象とした就職準備講習会などを積極的に活用していただいて一層お取り組みをいただきたいということを都道府県の方にお願いしていますとともに、主要な経済団体に対しても、文書を発出いたしまして、新規高校卒業予定者の求人枠の確保、拡大等をお願いしてきておるところでございます。

 いずれにいたしましても、三月末でまだ就職が決まらないお子様がいるということ、今の数字、今後まとめるわけでございますけれども、在籍していた高校で四月以降も引き続き就職のための指導、支援を行うことができますので、そちらの方の取り組みも強化をお願いしてまいりたいと思っております。

石井(郁)委員 厚労省と文科省、それぞれ実態の数字をいただきましたし、いろいろな形で一定の就職の開拓というか就労支援を進めていくという取り組みもされているというふうに伺うことはできましたけれども、高校の教員の方に伺いますと、昨年度は年度途中から悪くなったということもあって、苦しい状況ながらも対応できた、しかし、就職を希望している現在の高校三年生、もう新学期、三年生に入っているわけですから、その求人数を減らされたり、あるいは募集をしないかもしれないというふうに話している企業がいろいろあって、ことし、より深刻な事態になるだろうと予想されているわけですね。そういう危機感が非常にあるわけです。

 だから、ハローワークや労働局などもそうした認識は共有されていると思いますけれども、本当に、特段に、やはり国として、政府の方がこういう取り組みに機敏に立ち向かうというか対応すべきではないのかということを強く求めておきたいというふうに思います。

 それで、具体的に伺うんですけれども、内定取り消しの子供の数は、先ほども出されましたし、それは把握できているんですけれども、今、一つの問題は、内定を受けながら自宅待機とか、あるいは内定辞退の示唆を受けるというような形での問題が出てきております。

 新聞の一面トップで報道された記事があったんですけれども、富山では三月三十日の時点で、県内の大学、高校合わせて百五十人を超える方々が三カ月から六カ月、自宅待機を命じられているという報道があるんですね。公立のある高校では、卒業式後の三月中旬に六人が最長六カ月の自宅待機を命じられてしまい、学校側は、もう卒業するわけですから、卒業式後ですから、その卒業生の不安をなくす、解消するためには、待機中も学校へ来るようにというふうに言って、いろいろ対応しているということを聞いています。

 日本高等学校教職員組合が昨年の十二月に発表した調査なんですけれども、これは全国的にありまして、ある県では、事務職から販売職への変更を打診されて生徒が断った、そうしたら、内定を辞退したことにしてくれ、こういうふうに言われてしまうとかいうことがあるんですね。

 だから、内定取り消しというのは違法だということは確認されているわけですけれども、こんな新たな形で非常に子供たちに不安をかぶせているというか、不安に陥れているというか、そういう状況があります。

 ハローワークの指導による改善というのもあるんですけれども、今申し上げたように、学校は、もう卒業しちゃった生徒なんですよね、だけれども、卒業した生徒にもフォローしなきゃいけない、しかし、もう現に新学期で、新しい生徒を受け入れて、その指導、そしてその生徒たちの将来ということにも対応するということで、本当に大変な状況だと思うんですね。

 私は、やはり、こういう状況はもう学校現場に任せていてはいけない、学校現場任せにしないようにしていかなきゃいけないというふうに思いますが、その点でいかがですか。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 幾つか御指摘がございました。

 内定取り消しではなくて、入職時期の繰り下げでありますとか内定の辞退を強要する、そんな動きもあるではないかという御指摘でございます。

 そういった状況につきましては、そういった場合には事業主の方からの通知をいただくということにもなっているところでございまして、この通知制度の周知も図りつつ、そういった事態の把握に努めているところでございます。

 事業主が一方的な都合で自宅待機をさせるというようなことにつきましては、新規学校卒業者にとりまして、社会に出る初めての機会に大変重大な支障を生ずる問題でございます。

 私ども、新規学校卒業者の採用に関する指針等に基づきまして、ハローワークにおきまして、そういった事態も、内定取り消し同様、極力回避をしていただきたいということで企業指導を強めているところでございます。また、そういった回避が困難な場合におきましても、労働基準法等を遵守していただく、待機中の休業手当をしっかり払っていただく等々、法令の遵守につきましても強力に指導しているところでございます。

 また、内定の辞退を学生に求めること自体が必ずしも違法ということではございませんけれども、本人の意思に反するような不適切な方法による辞退の強要といったことにつきましては、不適切な事例でございます。その状況によっては内定取り消しにまさに該当するような事例もありますので、これにつきましては、気をつけて、留意しつつ、企業に対する指導を行ってまいりたいと考えているところでございます。

 それからもう一点、卒業された後での就職支援の問題でございます。

 私どもといたしましては、就職先が決まらないで学校を卒業された、こういった高校生につきましても、卒業後も引き続きハローワークの学卒部門におきまして支援を行うことになっているところでございます。ハローワークの専門窓口に職員もおりますし、ジョブサポーターもおりますが、こういったものによりまして、個別の一人一人の御希望を踏まえつつ、就職指導、職業紹介に努めているところでございます。

 できるだけ早期に就職ができますように、卒業後も、精いっぱい努めていきたいと思っております。

石井(郁)委員 内定を受けることもできない子供たち、先ほど三万六千人というふうに出されまして、こんなに大勢いらっしゃるということも本当に重大な問題で、その点での今御答弁のようなハローワークの役割というのは、非常に大事になってくるんだろうというふうにも思います。

 これも現場の教員の話として、ハローワークに行っても、担当者は学卒者以外の求職者に追われると。実際、このところの報道もそうですよね、相当ハローワークに駆け込んでいらっしゃるという話なので。だから、学卒者が個別に相談がしたくても、時間がない、高校生の就職状況についての意見交換もなかなかままならないというような話もあるんですね。

 私は、こうした問題を実はずっと取り上げておりまして、二〇〇二年の当委員会で高卒者の就労問題を取り上げたときに、未就労のまま卒業せざるを得なかった若者への支援ということについて質問したときに、厚労省は、学校と連携して、ハローワークへの登録推進を初めとして、個別の支援作成などを行っている、支援しているという答弁がございました。今、それにかかわっている職員というのは一体何名いらっしゃいますか。これは厚労省にお聞きします。

 それから、あわせて、文科省が配置しているジョブ・サポート・ティーチャーがありますよね。その増員も私は強く求めたんですけれども、現在、どの程度までふえていますか。

大槻政府参考人 高等学校卒業生に対する就職支援ということでございますけれども、先ほど少し申し上げました高卒就職ジョブサポーター、これは、学校訪問等々もしながら、就職の前段階から職場定着に至るまでいろいろ指導する相談員でございますけれども、これにつきましては、平成二十一年度、全国に約四百七十人を配置しているところでございます。

 また、ジョブサポーターだけではなくて、ハローワークの学卒担当部門というのは必ずございますので、当然ながら、そこの該当職員が、そういった卒業後も就職ができない方の支援、個別支援に現状も当たっているところでございます。

徳久政府参考人 ジョブ・サポート・ティーチャーへのお尋ねがございました。

 御案内のように、学校におきましては、進路指導主事という方が、教員でございますけれども、就職相談なり就職指導の中心となるということで、それに加えまして、やはり求人開拓とかいろいろ手間を要するような事務等もかなりございますので、したがって、ジョブ・サポート・ティーチャーというのを平成十四年度から地方交付税によって措置してきておりまして、先ほど申しました進路指導主事という、進路指導、就職指導の中心となる人と連携をいたしまして、就職を希望する生徒に対する就職相談、企業求人の開拓、求人や職場見学の情報等の収集、提供を職務とするティーチャーを置いております。

 十四年度から地方交付税措置が始まりまして、十四年度は全体で八十一名でございましたけれども、二十年度、昨年度でございますが、百十七人分が措置をされている、こういうような状況でございます。

 この方が、先ほど厚労省から御答弁ありましたように、厚生労働省、特にジョブサポーターの方々と連携して、一人一人に対するきめ細かな対策を講じるようにしているところでございます。

石井(郁)委員 厚労省にちょっと関連して伺うんですけれども、今、ジョブサポーター、四百七十人配置というふうに伺いましたが、今年度、これはふえていますか。何か減っていると聞いたんですけれども、これはゆゆしきことだなと思うものですから、ちょっと数字を正確に教えてください。それが一点。

 それから、関連してですけれども、政府は近く追加経済対策というか補正というか発表されまして、雇用創出ということが非常に声高に言われておりますので、二百万人だとか言われておりますけれども、この中には、高卒者などの若年層対策というか、そういう雇用の問題という視点は、あるいは施策は入っているんでしょうか。いかがですか。

大槻政府参考人 先ほど申し上げました高卒ジョブサポーターの人数についてのお尋ねでございますけれども、約四百七十名というのは二十一年度の数字でございます。二十年度は四百九十三名でございましたので、若干減少しているところでございます。

 いずれにしましても、高卒者の支援、特に卒業後の方の支援等につきましては、ハローワークの学卒担当部門、必ず職員がおりますので、必要に応じ、職員とこのサポーターが連携して就職支援に当たっているところでございます。

 このサポーターの配置については、全体で学生の数、生徒の数が減っているということもあるわけでございますけれども、多くの高校が存在する、多くの就職希望者が存在するような地域に重点的に配置をするという形で効率的な運営を行っているところでございます。

 また、中には、もちろん、ハローワークによってはジョブサポーターが配置されていないところもございますけれども、その場合は、先ほど申し上げましたように、当然、職員が、まさに専門的な立場から指導助言をするわけでございます。そういったことで対応しているところでございます。

 それから、経済対策の中でどうこうという御質問の点でございますけれども、昨年年末来、累次の雇用対策の強化に努めておりまして、その実施に今努力しているところでございますけれども、現下の雇用情勢の悪化を受けまして、さらなる対策についても、今、政府の経済対策全体の検討の中で私ども検討をしているところでございますので、まだその中身についてどうこうということは申し上げられません。

 ただ、高卒者あるいはそういう若年者の方の対策というのは、私どもにとりましても、日本の雇用情勢が厳しい中での重点対策でございまして、新規学卒者、また、就職氷河期に正社員となる形では就職できなかったいわゆるフリーターの方々などの就職状況、これからますます厳しくなるということも予想されますので、これにどう対処するかということは大変重要でございます。

 本年度におきましても、年長フリーターなどを初めとするフリーター等正規雇用化プランを推進していくということにいたしておりますし、また、高校卒業予定者を含む新規学卒者対策といたしまして、今、中小企業、経営状況困難でございますが、中には、人を確保したいけれども確保できないという企業も多いわけでございまして、そういった人材確保が困難となっているような、労働力の需要のある、物づくり企業でありますとか中小企業あるいは介護分野の企業等との就職面接会を従来以上に相当強化いたしまして開催する、そういったことを通じましてマッチングの強化を図る、就職促進を図るということも計画をしているところでございます。

 いずれにしても、さまざまな側面から努力をしていきたいと考えているところでございます。

石井(郁)委員 もう最後になりますけれども、雇用情勢のこうした急激な悪化という中で求められる、緊急のというか、あるいは抜本的な施策ということもあるんですけれども、もともとというか、そもそも若年者の雇用対策というのは、やはりトータルとして、政府として、何か、あるようなないようなというか、私は、本当に不十分なものだと言わざるを得ないんですよね。

 この点で、EU諸国でいいますと、若者の就業というのは、単なる経済活動への参加ではなくて社会参加だ、こういう認識のもとに、就労支援政策というのは十年も前からきちんと政策的に進められているということは報道されていますよね。

 中でもイギリスのコネクションズ政策というのは大変注目に値するんですけれども、これは決して、日本が今言っているように、引きこもりの青年、ニートの子供という、狭いというか、そういう部分的な対応じゃなくて、十代のすべての若者を対象として、雇用、教育、住宅、福祉、さまざまなサービスを一元的に提供する、こういうシステムを持っているんです。だから、若者たちがここを通して社会参加できる窓口となるということがあるんですね。

 日本では、学校にいる間は学校の先生方がやる、卒業したらハローワークでもやっているということはあるけれども、しかし、すべての若者を対象とした窓口というのはどこにもないということがあるわけです。継続して若者を支援する、こういう窓口とか体制というのは要るんじゃないかと私は今考えています。

 最後に大臣に、もう時間ですけれども、所信の中では、若者の社会的自立のおくれということを言われて、それを支援するんだというふうに言われましたから、やはり政治として、そこを本当にどういう責任をとるのかという方向へかじを切るべきだと私は考えていますけれども、大臣のお考えを伺って、終わりにします。

小渕国務大臣 私も同じ問題意識を共有しておりまして、今、この経済状況だから特に若者の雇用というものが大変クローズアップをされております。しかし、そうした、こういうときだからこそということではなくて、やはり総合的に、これからを担っていく若者施策というものをどう考えていくのか、それについても真剣に真正面から向かい合っていかなければならないのではないかと思っております。

 そうしたところにおきましては、これまで、どちらかというと、高齢者ですとか乳幼児ですとか、そうした対策がとられてきたんですけれども、若者施策ということについては、もっともっと関心が寄せられていい分野ではないかと思っております。やはり、若者の問題というと本当に多岐にわたりますので、それぞれの省庁でそれぞれに対応するといったところもありますので、そうしたところの連携をしっかり深めていくことが大切なのではないかと思います。

 委員が先ほど御指摘になりました、英国でのコネクションズというお話がありました。今回、国会に提出いたしました青少年総合対策推進法案におきましても、これにつきまして、いろいろと検討いたしましたり、また調査をいたしたところであります。

 自立支援ネットワークを運用する上で、こうしたことも、取り入れられるものは日本でもしっかり取り入れて、効果的な若者支援というものをしていきたいと思いますし、何よりも、この国の将来を左右する青少年育成につきまして、本当に真正面から真剣に取り組んでまいりたいと考えております。

石井(郁)委員 ありがとうございました。終わります。

    ―――――――――――――

末松委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 青少年問題に関する件の調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

末松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十八分散会


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