衆議院

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第7号 平成21年6月18日(木曜日)

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平成二十一年六月十八日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 末松 義規君

   理事 江崎洋一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 佐藤  錬君 理事 実川 幸夫君

   理事 菅原 一秀君 理事 笹木 竜三君

   理事 吉田  泉君 理事 古屋 範子君

      赤澤 亮正君    井澤 京子君

      井脇ノブ子君    上野賢一郎君

      小里 泰弘君    大高 松男君

      大塚 高司君    谷  公一君

      とかしきなおみ君    永岡 桂子君

      丹羽 秀樹君    福岡 資麿君

      松浪 健太君    松本 洋平君

      武藤 容治君    山内 康一君

      泉  健太君    菊田真紀子君

      田名部匡代君    池坊 保子君

      石井 郁子君

    …………………………………

   国務大臣         小渕 優子君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   松田 敏明君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 園田 一裕君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳久 治彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           伊岐 典子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂本 森男君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十八日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     小里 泰弘君

  井脇ノブ子君     赤澤 亮正君

  大塚 高司君     武藤 容治君

  谷  公一君     松浪 健太君

  永岡 桂子君     大高 松男君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     井脇ノブ子君

  小里 泰弘君     井澤 京子君

  大高 松男君     永岡 桂子君

  松浪 健太君     谷  公一君

  武藤 容治君     大塚 高司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 青少年総合対策推進法案(内閣提出第四八号)


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     ――――◇―――――

末松委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、青少年総合対策推進法案を議題といたします。

 この際、本案に対し、実川幸夫君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。吉田泉君。

    ―――――――――――――

 青少年総合対策推進法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

吉田(泉)委員 ただいま議題となりました青少年総合対策推進法案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。

 政府原案は、青少年の健全な育成について、その基本理念、施策の基本となる事項を定めるほか、青少年が自立した社会生活を営むことができるようにするための支援その他の施策を定めるものでありますが、修正協議の結果、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念にのっとり、子どもや若者をめぐる環境が悪化し、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子どもや若者の問題が深刻な状況にあることを踏まえ、子どもや若者の健やかな育成、子どもや若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援その他の取り組みをより一層強力に推進するため、本修正案を提出することとしたものであります。

 次に、修正案の主な内容について申し上げます。

 第一に、法律の題名を、青少年総合対策推進法から、子ども・若者育成支援推進法に修正することとしております。

 第二に、憲法及び児童の権利条約の理念を反映させることとし、日本国憲法及び児童の権利条約の理念にのっとる旨を明示するとともに、子ども・若者について、尊厳を重んじる、差別的取り扱いを受けない、意見の尊重、最善の利益を考慮などの理念を明記することとしております。

 第三に、支援対象となる子ども・若者の範囲を拡大することとし、義務教育終了後としていた支援対象年齢の下限を撤廃するとともに、ニート、ひきこもりだけでなく、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者全体に支援対象を拡大することとしております。

 第四に、人材の養成等の規定を強化することとし、推進本部が作成する子ども・若者育成支援推進大綱に盛り込むべき項目の中に、人材の養成及び資質の向上を明記することとしております。

 第五に、一元的かつ責任ある支援機関に関する規定を新設することとし、支援の全体状況を把握するとともに、公的機関では担いにくい、社会生活を円滑に営むことができるようにするための相談、助言または指導などの支援業務をみずから実施する機関として、NPO等の民間団体を地方公共団体の長が指定支援機関に指定できる旨の規定を新設することとしております。

 第六に、さまざまな社会的要因が子ども・若者の成長に影響を及ぼすものであり、とりわけ良好な家庭的環境で生活することが重要であることを基本理念に追加することとしております。

 以上が、修正案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

末松委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

末松委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官松田敏明君、警察庁長官官房審議官園田一裕君、文部科学省大臣官房審議官徳久治彦君、厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君、厚生労働省大臣官房審議官伊岐典子君及び厚生労働省大臣官房審議官坂本森男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

末松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

末松委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井澤京子さん。

井澤委員 おはようございます。自由民主党の井澤京子でございます。

 本日は、政府提出、青少年総合対策推進法案、並びに、ただいま御紹介がありました修正案について質問をいたします。限られた二十分という時間ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、日本の若者をめぐる現状についてお伺いをいたします。

 昨年九月、麻生総理は、臨時国会の所信表明演説で、困っている若者に対し手を差し伸べるために、若者を支援する新法も検討するということを述べられました。そして、昨年の十二月には、麻生総理を本部長とする青少年育成推進本部ができ、新しい青少年育成施策大綱が決定されました。前回大綱が策定されたのは平成十五年で、その後、五年後の見直しを受け、今回の策定になったと理解をしております。

 五年前の当時、平成十五年に比べますと、もちろん、物の価値観や社会の状況が大きく変わり、そして、不登校やいじめ、自殺、児童虐待、青少年をめぐる環境というのが随分と変わって、憂慮すべき状況は、大きな社会的な問題となって深刻化あるいは多様化してきているのではないかと思っております。また、ニートやひきこもり、フリーター、有害情報のはんらんなど、本当に皆様方も、御経験されて、実感されているのではないかと思います。

 私も、深夜地元に戻りますと、駅の近くのコンビニの路上で中高生と見受けられる子どもたちがたむろしているという状況を見ると、この子たちはうちにも帰らずここで何をしているのかと、本当に心配になります。昭和生まれの私たちの時代には想像もできなかった新しい問題が次々と表面化し、青少年をめぐる状況、家族との関係や取り巻く社会環境は、一段と厳しく、理解しがたい状況になっている、一変しているのではないかと思っております。

 そもそも、ニートという言葉は、御存じのように、ノット・イン・エンプロイメント・エデュケーション・オア・トレーニングの略ですが、平成十四年ごろから出てきた言葉で、若者にかかわる問題として広く認識をされるようになりました。

 フリーターは、若者が何らかの理由で安定した職業の確保につけないという問題であるのに対し、ニートやひきこもりというのは、本人自身のより深い問題で、しかも、家族や学校、社会と隔絶しがちであって、外に出ない。家族としてはほっといてほしいという気持ちがあると聞いております。その実態も、なかなか数字としては外に出にくい、認識もしにくいという問題があります。

 実は、私自身、この四月に、地元京都の雇用状況を伺おうと、京都のジョブパークの視察に行きました。その四月からの二カ月間での来所数というのは、前年度に比べて、約千五百三十三人、一一・六%もふえており、三十五歳未満の来所数も、全体の約六八%を占めています。三十歳から三十九歳の求職者が、この二カ月余りで約三千二百三十九人ふえ、対前年度比で一四五%も増加をしており、年長フリーターの高齢化の傾向がこの数字からもあらわれているのが現状かと思います。

 このように、今、私たちは少子高齢化を迎えており、これからの日本を背負って立つ若者が生きがいと夢を持って人生を歩めるような道筋をつくっていくのが、私たち政治にかかわる者の責任ではないかと思っております。

 そこで、小渕大臣にお伺いいたします。

 法案審議の前提として、大臣御就任から八カ月たちますが、その経過の中で、三十代の大臣が、同じような世代が抱えている問題に接してこられたことで、この八カ月間思われること、また、大臣御自身も子育てを今までずっとされ、そして間もなく御出産を控えられたみずからの経験も踏まえて、今の日本の若者をめぐる現状認識について、まずお伺いしたいと思います。

小渕国務大臣 お答えをいたします。

 委員が御指摘のように、今、若者をめぐる状況というものは大変複雑化をしていると思います。そして、いろいろなところで、この青少年にかかわる問題というものは大変な問題だということの問題意識はある中でも、正直言いまして、この若者と言われる年齢層に対しては、例えば高齢者であるとか乳幼児であるとか、そうしたところと比較しても余り注目をされてこなかったと言えると思いますし、制度の面、予算の面でも、一〇〇%充実しているということはなかなか言えないのではないかと思います。

 にもかかわらず、そうした有害情報のはんらんですとか、この経済状況ですとか、また児童虐待、自立がおくれていることにつきまして、それは若者みずからの問題ではないか、若者の努力が足らないのではないかというような声も聞かれるわけですけれども、実際、そういうことばかりではなくて、やはり、社会環境が大きく変化したことによって、そのしわ寄せがこうした若者に来ているということが言えるのではないかと思っています。

 私も、実際、大臣になりましてから、そうした若い方々の声を聞いたり、あるいは、そういう支援をするような、サポートステーションのような場に足を運んで、いろいろな御意見を伺いました。

 そのときに感じたことは、そうした若者を支援する人たちがまず少ないということと、その支援する人をまた支援する体制ができていないということ、そして、こうした若者、ニートやひきこもりなどの問題を抱えた若い人たちというのは、すぐに解決できることではなくて、やはり、子どものころの虐待やいじめ、そうしたものがニートやひきこもりにつながっているということもありますので、物事のそうした問題というものは大変深刻であるということを感じたところであります。

 しかし、そうはいっても、こうした若い人たちがこれからのこの国を担っていくわけでありまして、それぞれの可能性を十分に発揮できるような、そうした環境にしていかなければなりませんし、子どもについても若者についても、これまで以上に家庭や地域、社会がみんなで支えていく、そうした体制をつくっていかなければならないと思っております。

 若者に対する施策を抜本的に強化しなくてはならないときであると思っておりますし、この法案は、そうした取り組みの強化に向けての第一歩になるものと考えています。

井澤委員 ありがとうございました。

 では、次に、修正案についてお伺いをいたします。

 今回、与野党による修正案をまとめていただきました。国全体で取り組むという点からも非常に大きな意味があり、関係者の皆様には、まずは感謝申し上げたいと思っております。

 今回の修正案の中で、二点、確認の意味も込めまして提出者にお伺いをいたします。

 青少年総合対策推進法から子ども・若者育成支援推進法へと修正をされ、条文の中の「青少年」を、すべてその言葉を「子ども・若者」と修正されております。

 青少年という言葉は、よく使われている割には、ちょっと漠然としたような意味合いがあった、その枠もわからなかったのではないかと思っております。言葉の年齢的な範囲がいま一つわかりにくいというものでした。

 今回の修正は、どのような考え方に立って行われたのか、その点について提出者の方にお伺いしたいと思います。

江崎(洋)委員 井澤先生の御質問にお答えをいたします。

 今回の修正案では、この法律が乳幼児期から三十代までを広く対象とするということで、育成と支援をともに推進するという目的を明確に示すために、「青少年」にかえまして「子ども・若者」という言葉を用いさせていただいた次第であります。

 実質的に対象が、青少年と子ども・若者という言葉との間での違いはないわけでありますが、しかし、今先生御指摘のとおり、言葉の響きとしての伝わりが悪いということで、あえて、わかりやすいメッセージをお伝えしたいという考えに基づいて変更させていただいております。

 これまで政府は、二次にわたりまして、青少年育成施策大綱におきまして、青少年をゼロ歳からおおむね三十歳未満の者としてとらえた上で、雇用など特定の施策分野においては三十代も対象として施策を推進してきたものと承知しております。

 しかしながら、青少年という言葉の響きは、例えば、昨年成立をいたしました青少年インターネット環境整備法、これでは青少年を十八歳未満の者と規定しております。こうした用語では、三十代までも含めて必要な支援を行っていくという本法の趣旨が伝わりにくいのではないかと考えた次第でございます。

 また、若者の抱える問題の背景には、幼少時の体験や環境が影響を与えていることも指摘されております。青少年という言葉の中に乳幼児まで含まれるというのは一般的な理解とは異なってしまうのではないかということも変更のポイントになりました。

 さらに、青少年という語は、これまで長い期間にわたって使われてきただけに、言葉自体の発するメッセージ性という点では弱いということも考えたわけでございます。

 繰り返しになりますが、政府におけるこの関連施策の実質的な対象年齢の範囲は、基本的には変わっておらないわけであります。政府において幼少期からの育成や三十代までを含めた若者支援にしっかり取り組むという本法の趣旨を踏まえて、法律に基づく大綱において対象年齢を改めて整理され、これまで以上に、子どもから若者までの幅広い年齢層の育成及び支援に積極的に取り組んでいただくことを求めていきたいと考えております。

井澤委員 ありがとうございました。

 提出者に、もう一点お伺いいたします。

 この委員会でも、三月の二十五日に、渋谷区のヤングワークプラザ、足立区の若者サポートステーションに視察に行きました。

 特に、足立区の視察では、私も大変印象に残っておりまして、関係者と意見交換をした中で、将来に希望を見出せずに、義務教育の段階での不登校や、進路未定のまま中学を卒業せざるを得ない子どもたちがふえている、高校に進学するのかあるいはその後中学を出て働くのか、その進路さえも見出されないままに悩み抜いている十五歳未満の子どもがふえているというような意見があり、そういう状況について、私も改めて、年齢が低年齢化しているんだなということを実感いたしました。ニートやひきこもりなどへつながっていくリスクというものがまだまだ多く、私たちがわからない、年齢ではくくれない中で、いろいろな問題が見えてこないのではないかと思っております。

 こうした問題に的確に対応するには、学校だけではなく、家庭、地域がもっと連携をして、教育などの早い段階から対処していくことがとても重要だと思っております。

 先に、関係して二つお伺いしたいんですけれども、提出者には、事前通告をしておらずに、ちょっと御意見を伺いたいと思っております。

 同じように視察に御一緒しております。視察でごらんになって、その視察を踏まえて、こういう形で支援年齢層を拡大されているかと思っております。視察でごらんになって、そこで意見交換された中で感じたことをちょっと一点感想としてお伺いしたいということ。

 それと、今回、修正案では、二条及び十五条において、支援対象年齢を、義務教育終了後、すなわち十五歳以上としていた政府案を撤廃し、ニート、ひきこもりだけでなく、社会生活を営む上で困難を有する子ども・若者全体に支援対象を拡大するということになっております。私は、この支援年齢の拡大というものは、大変重要であり、大変意義があると考えております。

 前半の、視察をされたという感想も含めまして、修正部分についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

江崎(洋)委員 お答え申し上げます。

 視察については、やはり、私たち議員の責務として、実際に現場を歩かせていただいて、また意見交換をすることによってこういった法律にも意見が反映されるということで、非常に重要だと思います。

 また、実際に今社会生活を営む上でかなり困難性をお持ちになった若者もふえてきているという実感も肌身で感じさせていただきましたし、また、それに対応する措置というのも、行われているということは感じましたが、やはり、もう一歩、二歩踏み出してやっていかなければならないというふうに強く感じた次第であります。

 また、井澤先生からの御質問の中で、政府案にありました十五歳以上という対象年齢の下限を撤廃するという修正案についての議論をお話し申し上げたいと思います。

 政府案においては、当初、この法案自体の性格として、学校教育や雇用などの分野における従来の法制度では直接の対象とされなかったニートなどの状態にある十五歳以上の青少年を念頭に置いたということ、また、就業も視野に入れた支援を行うことを予定したというふうに聞いております。

 しかしながら、若者が社会生活を円滑に営む上で抱える問題としては、当然、ニートやひきこもり以外にも、義務教育段階での不登校やいじめ、摂食障害などがありまして、また、これらの問題の中にはニート等の背景要因になるものもあることが指摘されているわけであります。

 このような問題に対しては、当然、年齢にとらわれずに、早期に発見して、関係機関が連携して対応していく必要があるものと考えまして、支援対象者の年齢制限を撤廃するとともに、ニート、ひきこもり以外の問題に対しても協議会として対処できるように変更をしたものであります。

井澤委員 では、時間も限られておりますので、最後の質問とさせていただきます。

 これだけ今与野党が協議をして修正案をつくられた。では、これをどうやって周知徹底をして、本当に必要な子ども・若者たちに知らせて、この法律をうまく使えるようにするにはどうしていけばいいのかということを、私も、ぜひこの件についてお伺いしたいと思っております。

 この法案は大変意義があり、政府が一丸となって取り組んでいくという姿勢については、私も大変高く評価をさせていただきたいと思っております。地域における青少年等の育成をサポートするネットワークはできたとしても、子ども・若者にどう知らせていくのか、保護者にもどう知らせていくのかというのが重要ではないかと思っております。

 実は、昨日も地元宇治の保護者の方とお話をしておりまして、五年間不登校の子どもを抱えて、悩んで悩んで悩み抜いていたと。手記も読んでおります。成績優秀だった我が子が、ある日突然不登校になり、ひきこもりになってしまったと。

 その方にずばり聞きました、国に要望があるとしたらどんなことだと。そうしましたら、今までは、学校のカウンセラーなどに相談をすると、そのカウンセラーを通じてしかどう解決していけばいいかわからなかった、今後は、もし要望があるとしたら、いろいろなサービスメニューがわかりやすくあって、相談ができる場所が欲しいというようなお話でした。

 今回このような生の声を聞いて、これだけ私たち政府が取り組んでいることについて、この法案、法律が、生きた法律として、必要な方、保護者や子ども、そして若者に対してどう周知徹底をされていくのか、教えていただきたいと思います。

 私が視察をした、たしか足立の若者サポートステーションでは、小さな名刺大の、よくお店とかのカードがあると思うんですが、このようなカードに支援先の電話番号を書いて、ハローワークだけではなく、繁華街に子どもや若者が行きがちですので、繁華街のお店やコンビニに置くような仕組みもつくっているというようなことを聞きました。

 今の若者たち、対象となるニート、ひきこもりは、外に出なかったり、あるいは、その情報ツール、情報を得る手段というのも限られています。今回の施策を効果的に実施するために、政府による積極的な投げかけ、子どもや若者に対しての周知徹底、広報、PRについて、ぜひ教えていただきたいと思います。

 今、子どもや若者に対してメッセージを投げかける意味も含めまして、最後に質問させていただきます。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案に基づきます施策を効果的に推進するため、議員御指摘のとおり、法律が定める理念あるいは具体的な支援、こういった仕組みなどにつきまして、国民の方々に本当に十分理解していただくことが重要だと認識しておりまして、今回の法案の第十条におきましても、国民の理解の増進等のために啓発活動を積極的に行う旨が規定されておるところでございます。

 政府におきましても、これまでも、政府広報あるいはホームページ等々を活用いたしまして施策の重要性を訴えますとともに、その具体的内容をわかりやすく説明する努力を重ねてまいりましたが、本法案が成立しました暁には、一層こうした活動に取り組んでまいりたいと思っております。ワンストップ窓口であります相談センターの利用も含めまして、周知に努めてまいりたいと思います。

 また、特に、この法案の第三章で支援対象としておりますニート、ひきこもりの方々、社会と隔絶されがちな分、必要な情報も届きにくいことが予想されますので、今回の法案でも、支援に携わる関係機関等の責務といたしまして、それぞれの機関が行う支援につきまして地域住民に周知するということを規定しているところでございます。

 困難を抱えて悩んでいる子どもや若者に、身近な地域レベルで本当に必要な情報が真に必要としておられる方々に届く、議員がお話しされたような、チラシをちょっとしたところに置いておくとか、そういったいろいろな工夫を凝らした周知を行っていく必要があると考えておりまして、政府としても、今後、最大限の努力をしてまいる所存でございます。

 よろしくお願いいたします。

井澤委員 以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

末松委員長 次に、菊田真紀子さん。

菊田委員 おはようございます。民主党の菊田真紀子でございます。きょうは、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず最初に、小渕大臣に質問させていただきたいと思いますけれども、フリーター、ニート、不登校、そしてひきこもり、摂食障害など、さまざまな困難を抱える若者と小渕大臣は直接かかわった経験がおありでしょうか。もしそういう御経験があれば、どのようなことを感じられたか、お話をいただきたいと思います。

小渕国務大臣 お答えをいたします。

 私は、大臣に就任いたしまして間もなくのころに、ニート等の支援を行っているサポートステーションを訪問いたしまして、現場のスタッフの方々と意見交換をさせていただきました。

 そのときに感じましたことは、やはり、支援する方々が大変熱意を持ってやっていただいている、そして根気強くやっていかなければならないという、また、お金の面でも大変苦しい中でやっていただいている、にもかかわらず、そうした支援をする人を支援していくという体制が十分に整っていないということを感じた次第であります。

 また、もう一つ思いましたのは、ニート、ひきこもりの方々がこうしたところに相談に来るというのは、逆に、まれなケースでありまして、なかなかそうした問題を抱えた方々がどこに相談をしていいのかわからないという現状もあり、相談に行っていただければまだ支援をする方がいるにもかかわらず、そういう状況にもなっていないということに対して大きな問題を感じたところであります。

 そうした中で、やはり、この法案におきましても、支援する人材の育成をしっかりしていくということが大切でありまして、研修や情報交換の機会を充実させたり、先進的なノウハウを広く紹介するなどを通じて、そうした支援にかかわる人材の養成や資質の向上に取り組んでいかなければならないと思ったところであります。

 そしてもう一つ、そうした実際に問題を抱えた方々に対しては、来てくれるのを待つということではなくて、やはり、こちらから出向いていって、どういう問題があるのかということを一緒になって解決していく。そうした体制を整えるためにも、本法案にも盛り込みましたアウトリーチといった考え方が今後ますます必要ではないかと考えております。

菊田委員 ありがとうございました。

 大臣がみずから現場に行かれて、関係者の皆さんやそこで悩んでおられる多くの若者の声を直接聞かれたということは、私は、大変すばらしく、また有意義なことだったというふうに思っております。その熱意を込めて今回の法律が出てきたんだろうというふうに思っております。

 私自身も、いろいろな方との御縁をいただく中で、やはり、そういう子どもさんを持って悩んでおられる親御さん、いろいろな家庭環境や家族関係がありますし、不登校や中退、いじめ、さまざまな経験が長い間に積み重なって、ある時期、ちょっとしたつまずきでこういう非常に困難を抱えてしまう子どもさんが大勢おられるということで、本当に大きな社会問題になっているというふうに思いますので、今般、国を挙げて、そして地方自治体、さまざまな取り組みをされているいろいろなNPOの皆さんとか、力を合わせてこうした問題にしっかりと取り組んでいくことが本当に大事だというふうに思っております。

 政府に質問させていただきますけれども、法律の題名を変更して法律の中身も大幅に修正するという案が今回提出されたわけですけれども、このことに対して、政府はどのようにお考えでしょうか。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、青少年という名称が子ども・若者という名称に変わったということでございますけれども、これは、先ほど提案者からの御答弁にもございましたように、私どもがこれまでの施策大綱の中で定義してまいりました、ゼロ歳からおおむね三十歳までを青少年とし、それから特に支援対象ということであれば三十代にも及ぶという施策の基本的な枠組みは変わらないものの、やはり、子ども・若者ということで、ゼロ歳児からの乳幼児等の育成もきちっとやっていくんだ、あるいは三十代の若者にもきちっと支援をするんだということで、名称も変わったというようなことを始まりといたしまして、法案の中身につきまして御提案のような修正をいただいているわけでございまして、政府案の考え方は私どもなりに考えたものでございますけれども、それを超えまして、政策論として、修正案の意義というものは非常に意義深いものだというふうに受けとめておるところでございます。

    〔委員長退席、後藤田委員長代理着席〕

菊田委員 私の経験からして、法律の題名そのものが変わってしまう可能性がある、あるいは法律の中身も、今回七項目ですか、大幅に修正する案が出されるということは今までなかったことでありまして、果たして政府は、どれだけ思いを込めて、そしてどれだけの理念と、どれだけいろいろなことを検討し、精査をして出されたのか、そういったことが今回ちょっと疑念を持たざるを得ないなという、そんな感想を持ったところであります。

 政府は、青少年という定義でこの法律をつくられたわけですけれども、改めて、青少年の定義についてお聞きしたいと思います。

 支援対象は何歳から何歳までが対象になるのか、お答えください。

松田政府参考人 法律上の青少年の定義というものは定まっておりませんで、今回の提出の法案につきましては、定義というものを特に定めていないところでございます。

 昨年の青少年インターネット環境整備法、これにつきましては青少年の定義が十八歳未満、あるいは児童福祉法であれば児童自身が十八歳未満といったような、法律上さまざまな規定をされているところ。この法案では、先ほど申し上げましたように、大綱の中で、ゼロ歳から三十歳未満までの年齢層が基本的に青少年となる。ただ、支援という意味では、家庭を引きずったニート等、ひきこもり等あるものでございますから、三十代まで支援対象となり得る。

 そういう意味で、施策の基本的範囲は基本的には変わりませんが、定義という意味では、原則三十歳未満ということを大綱にうたっていたところでございます。

菊田委員 青少年という用語の年齢的な範囲についてですけれども、今答弁があったとおり、統一的な呼称、解釈というのが存在しないということですね。

 児童福祉法、今お話ありましたとおり、十八歳に満たない者を児童と定義しておりますし、あるいは職業能力開発促進法では、青少年の定義を省令で十五歳以上三十五歳未満である者というふうに規定をしております。

 先般、NPO法人の全国引きこもりKHJ親の会、ひきこもりの子どもさんを抱えて大変悩んでおられる親の会の皆さんにヒアリングをする機会がありました。

 そこでいろいろお伺いした中で、ひきこもり本人の年齢が平均で三十・二歳になったということです。最年少の方が十三歳、最年長の方は四十七歳というケースがあるというお話でした。ひきこもり期間の平均も八・八年間、最も長い人だと最長で四十年間もひきこもり状態にあるということです。

 本当に、このひきこもり、その支援の対象になる人たちがどの年齢にあるのかということは、ばらばらでありまして、非常にここが悩ましいところだというふうに思っておりますけれども、改めて、青少年の定義があいまい、明確でないとすれば、現場ではいろいろな混乱が出てくるのではないか、そういう心配もあるんですけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。

松田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、青少年という用語の法律上の定義というものにつきましては、統一的な整理がなされていない。委員御指摘のとおりでございます。

 ただ、委員からもお話がございましたけれども、児童福祉法のまさに児童という意味では、十八歳未満が青少年に含まれる者としての政策対象となっておりますし、職業能力開発促進法では、省令で十五歳から三十五歳ということで、政策上のターゲットとしては示されておるわけでございます。青少年インターネット環境整備法も昨年成立しました。この法律におきましても、十八歳に満たない者を整備の対象として、やはりターゲットを明確に示している。

 そういうふうに政策ごとの対象がしっかりしておれば基本的には目的は達成されるのではないかということで、その上で、私ども内閣府といたしまして、全体的な政策を総合調整し取りまとめる立場からは、三十歳未満を原則としながら全体的な政策の枝ぶりを整えているということでございます。

菊田委員 修正案の提出者にお聞きしたいと思います。

 今回、義務教育終了後、十五歳以上としていた支援対象の下限を撤廃するとともに、ニート、ひきこもりだけでなく、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者全体に支援対象を拡大した理由、第二条と十五条ですが、このことについてお伺いしたいと思いましたけれども、先ほど井澤委員が質問されて答弁がありましたので、これは省略をいたします。

 しかし、その支援対象を拡大した結果、実際にどれくらいの人が対象になると考えておられるか、お答えください。

江崎(洋)委員 支援対象の人数ということでございますが、政府案で当初考えていたもの、十五歳以上の青少年では、ニート対策として約六十三万人、また、修正案で対象に加えました十五歳未満の子ども・若者につきましては、中学校、不登校の生徒約十・五万人、これは全中学校の生徒数の約二・九%ということでございます。これらの方々が対象となると考えられますが、これら以外にも、当然、ちょっと統計はございませんが、対象はさらに広がっていくと考えております。

菊田委員 ありがとうございました。

 それと、日本国憲法と子どもの権利条約にのっとる旨が明示された理由についてもお答えいただきたいと思います。

吉田(泉)委員 御承知のように、今回の新法、基本法的な部分と、それからニート、ひきこもり支援という個別法的な部分と、両方を持った法律になっております。そして、その基本法的な部分においては、やはり、依拠すべき根本法というのは、国内的には憲法であり、国際的には児童権利条約である。そういうことでありますので、それをはっきり明記したということでございます。

 特に憲法においては、十三条の個人の尊重とか、十四条の法のもとの平等、さらに権利条約においては、差別の禁止とか最善の利益とか、そういう項目がこの法律にとって重要だと考えまして、それらを目的とか基本理念に明記したところでございます。

 それらを踏まえて、やはり若い人の、子ども・若者の目線でいろいろな支援をしていくということが大切であろうというふうに考えております。

菊田委員 子ども・若者本人の目線でというお話がありましたけれども、それぞれの尊厳を重んじ、そしてまた、差別的取り扱いを受けない、意見も尊重される、最善の利益を考慮していく、私は、これは非常に重要なことであり、このことがきちんと明示されたということを大変評価したいというふうに思っております。

 困難を抱える若者の状況把握について、引き続き質問させていただきたいと思います。

 学校教育の段階を過ぎますと、こうした若者の把握が非常に困難になってまいります。現状では、高校中退者がその後どういう生活を送っておられるかとか、そういったことについてどこが把握をしているのか、お伺いしたいと思います。

松田政府参考人 高校中退者が中退された後は、基本的には学校から離れるわけでございます。そういう意味で、直接に中退された方をすべて把握するという意味での所管する行政機関はどこかというのは、はっきり申し上げる機関がないということでございます。

 ただ、もちろん、学校をやめるに当たりまして、学校行政にかかわります教育委員会等が関係は深いということは申し上げられるかと存じます。

菊田委員 私、これは大変問題だと思っておりまして、やはり、不登校あるいは中退、こういった人たちがその後非常にこういったひきこもりとかニート状態に陥りやすいということがもう明らかなわけでありまして、高校だけでなく、中学を卒業できなかった人たちがその後どうなっているのか、高校中退者のその後はどうなっているのか、これは、どこの省庁が責任を持って調査し、把握していくのかということがきちんと明確になっていかないと、今回、立派な法律をつくって、きれいなネットワークをつくって、枠組みをつくっても、やはり、そこから抜け落ちてしまう人を救うことができないというふうに私は思っているんです。

 今回、この答弁についても、内閣府さんがするのか、それとも文部科学省がするのかで、大分もめましたよね。私、今まで、こうした問題について、とにかく縦割り行政の弊害を取っ払っていかないとだめだと。今回のこの法律をつくった大きな目的の一つは、現場においても縦割り行政をなくそうということであります。しかし、私が今回この質問をさせていただくに当たって、内閣府が答弁するのか、あるいは文科省が答弁するのかということで、大分行きつ戻りつがありました。

 そういうことを考えても、本当に、どこが責任を持ってどういう調査をして、そしてその情報を本当に共有していけるのかどうか、これは大変大きな関心を持っていますが、もう一度お答えいただけないでしょうか。これは本当に、どちらがやるのか。内閣府なのか、文科省なのか、どうなんですか。

松田政府参考人 先生御指摘のとおり、高校中退者の状況把握につきまして、一昨年から当委員会におきましても質疑がございました。

 そうしたことを踏まえまして、内閣府といたしまして、去る平成二十年度末にわたりまして、ニート、ひきこもりなど自立や社会参加に困難を抱える青少年の支援策の検討に当たりまして、現時点におけます五年前に高等学校を中退された方の今の進路状況の実態を把握するために、文部科学省の協力を得まして緊急調査を実施いたしました。

 その調査に当たりまして一番困難でありましたのは、やはり、当人の同意を得ないでそもそも調査をしていいのかという、そこがネックになりました。その同意を得た上で、今度は、中身について、また内容の結果によって回収をすることがなかなか厳しいということで、調査票が発送できたのが二千に満たず、回答者は二百に満たなかったという結果でございます。

 そのデータといたしまして御紹介をいたしますと、五年前以降、現在仕事についていると回答した方は五割弱、その半分が非正規の職についておられる。それから、現在の状況として、仕事にもついておられないし学校にも行っていないという方、それで別途配偶者と同居しているという方を除きますと、いわゆるニート群と言っておりますけれども、これが一四%となっておりました。

 そのニート群の半分が、今後の生活設計のために就職に関する相談あるいは技術や技能の習得を手助けしてほしいといったようなことを希望として挙げておられるという結果が出ておりまして、高校を中退した人の中に現在困難な状況に置かれて支援を必要とされておられる方がいらっしゃる、この状況ははっきりとうかがえる状況であろうかと考えております。

 なお、本年度も、高等学校中途退学者の進路状況を把握するために別の調査を考えておりまして、前は、五年前に高等学校を中退された方の今の進路を把握するという形で、実は十数年前にやったのと同じ形でやりましたが、今度は、もっと直近でやりますとか、もっといろいろな形で、より中退者の詳しい状況を、本人の同意を得ながらというところになかなか調査の難しさがあるのでございますけれども、文部科学省と協力しながら、生活実態等の把握、この法律も踏まえまして、内閣府といたしましてきちっと対処してまいりたいと考えております。

菊田委員 ありがとうございました。

 やはり、プライバシーの問題とか個人情報保護法との関係とか、非常に微妙な問題がありますから、この調査そのものも大変困難であるということは私は十分承知をしておりますけれども、例えば、現場においても地方においても、教育委員会が持っている情報が、アウトリーチ、訪問支援をしたいと思っていろいろな働きかけをされている方にその情報がなかなか行かないとか、情報を教えてもらえないとか、非常にやりにくさを現場も抱えているわけでありますね。

 これから地域協議会というものができてきて、そこが本当に円滑に、もちろん情報はしっかりと守っていかなければならないけれども、お互いに情報を共有しながら、より一歩前に前に進む施策を、支援策を進めていかなければならないわけですから、ぜひこれは、現場だけじゃなくて、中央省庁においても、本当に、内閣府だ、文科省だとか言わないで、お互いに情報、連携をよくとりながら進めていっていただきたいというふうに思っております。

 修正案の提出者に質問させていただきますが、今回、法律の文言から自立という文言を削除してありますけれども、その理由をお答えください。

    〔後藤田委員長代理退席、委員長着席〕

吉田(泉)委員 端的に申し上げますと、今回、法律の対象年齢を十五歳未満の方にも広げるということになりました。つまり、義務教育段階での不登校もしくは摂食障害、こういう困難を抱えている方にも広げるということになります。

 そうしますと、十五歳未満の方に対して経済的な自立という意味も含めた自立というものを念頭に置いて支援をするというのはそぐわないということが一つございます。

 それから、もう少し根本的な問題として、一体なぜ今の日本のこの時代で数十万の若い方が引きこもってしまうのかという問題がございます。

 いろいろ説はあると思いますが、例えば、専門家の中で高塚先生という方の御意見ですが、ひきこもりというのは自立社会の落とし穴であるという説を展開されておられます。つまり、昔は日本の社会はいわば協調型だったわけですが、だんだん自立ということが尊重され、強調される時代になってきました。しかしながら、なかなか自立できない、そうかといって昔の協調型にも戻れない、そういう若い方がその両方の真ん中の落とし穴に落ちた状態がひきこもりであると。私は、卓見だと思っておるんです。

 そういう意味でも、この自立ということを強調することがひきこもりの一つの原因になっているとすれば、この法案のひきこもり対策部分においては、余り自立という言葉を前面に出すのは逆効果ではなかろうか、そういうこともありまして、自立という言葉を削除いたしました。

菊田委員 私も、ニートやフリーターや、あるいはひきこもりの方とお会いしたことがあるんですけれども、お話ししてみると、非常に自立したいと。親と離れて自立して生活したいとか、自立して働いて自分で頑張っていきたいという意識は非常に強いんですね。むしろ、普通の社会生活を送っている人よりも非常にそういう意識が強いということを感じることが多々ありました。

 ですから、自立という言葉自体が、彼らに大きなプレッシャーであり、重圧であり、とらわれになるようなことがやはりあってはならないのかなというふうにも思っておりますので、今御答弁をいただきまして、大分理解をさせていただいたところでございます。

 それから、修正案の提出者にお伺いしますけれども、今回、良好な家庭的環境で生活することの重要性をあえて基本理念に追加されたわけですが、その理由についてお伺いします。

田名部委員 お答えいたします。

 子どもや若者の実態を踏まえますと、子どもや若者が社会生活を円滑に営む上で困難を有する、そこの困難を有するに至る要因として、子どもや若者自身が有する、つまり、子どもや若者自身が持っているというものよりも、その取り巻く社会環境、そういったものが及ぼす影響というものが非常に大きいと考えています。

 中でも、子どもや若者が成長する過程においては、子どもや若者と日常的に接しており、また、その成長において大きな比重を占めている家庭的環境が大変重要であると考えています。例えば、家庭において子どもが育児放棄や児童虐待をされた場合には、その健やかな成長にとって大きな障害になるであろうということは容易に想像がつくと思うんですね。また、これが負の連鎖としてどんどん悪循環で回っていってしまう。

 こういったことを考えたときに、さまざまな社会的要因が子ども・若者の成長に影響を及ぼすものであり、とりわけ、良好な家庭的環境で生活することが大変重要である、家庭の中で多くの愛情を受けて人とのきずなをつくり上げていく、こういった良好な家庭的環境を大変重要と考え、基本理念に追加したところであります。

菊田委員 ありがとうございました。

 本人だけではなくて、やはり、そういった子どもを抱えておられる家族の皆さんの悩みは大変深くて、その本人とどういう言葉を交わしたらいいのかわからない、あるいはどのような距離感で接したらいいのかわからないということで、家族への支援、良好な家庭的な環境を整えていくことに対して国あるいは地方自治体が支援していくということは非常に重要だと思っておりますので、ぜひこれも前に進めていっていただきたいというふうに思っております。

 子どもの意思を十分に尊重しつつということが二条七号で書かれておりますけれども、これは具体的に何を想定されているんでしょうか。

吉田(泉)委員 子どもの意見を十分に尊重しつつという言葉は、基本理念に二回出てまいります。

 まず、二号ですね。ここに入れた理由は、ここは児童の権利条約十二条、意見表明権というものを引いて、ここに一般的な理念として明記いたしました。

 それからもう一つは、ひきこもり支援にかかわって、基本理念の七号というところにもこの言葉を入れました。それは、例えばこの法律が施行されますと、いろいろ、相談センターでの相談に始まって、最終的には指定支援機関が、例えば訪問支援、アウトリーチと言われておりますけれども、そういう支援までやろうということになります。

 専門家の御指摘によりますと、この訪問支援というのは、大変有効な手段ではありますけれども、その反面、副作用というのもある場合があると。余り無理をすると、本人のプライドを傷つけて、かえって状態を悪くしてしまう、そういう心配もあるわけでございます。

 ですから、そういうことを念頭に置いて、訪問支援活動などの場合は、特に本人の意見を十分に尊重しつつ慎重にやるべきである、そういう趣旨で入れたところであります。

菊田委員 そこのバランスが非常に難しいんでしょうけれども、でも、無理やり強制的に連れていってむしろ状態が悪くなるということがないように、やはり、この法律の中身、意味、理念というものを、現場の皆さんにも、関係者の皆さんにも、そして多くの国民の皆さんにもしっかりと理解をしていただきたいというふうに思っております。

 民主党は、不要な箱物をつくることや、天下りの温存になりがちな組織をつくることには反対をしています。今回、青少年対策の名をかりて、緊急性のない施設整備などへ予算を無駄遣いするおそれがないのかということが随分議論されてまいりましたけれども、このことについて、政府に対して質問をさせていただきます。

小渕国務大臣 お答えをいたします。

 本法案第十三条におきましては、青少年総合相談センターについて規定をしております。しかし、これは、相談に応じる機能を担う体制を確保していただくためのものでありまして、いわゆる箱物を新たにつくってくれということではありません。

 国の大綱に盛り込まれる施策の中には施設整備を伴うものもあるものと思いますけれども、予算の無駄遣いが生じることのないように、まずは既存の施設を十分に活用していただくことを御検討いただくこと、これは当然のことだと思っております。

 政府といたしましても、より厳格にこの予算執行に努めてまいりたいと考えております。

菊田委員 無駄遣いをするおそれはないのかと聞いて、おそれがあるかもしれませんという答えは絶対ないとは思いますけれども、でも、今大臣がおっしゃったように、既存の施設を上手に利用すること、そして、むしろ人への支援にこそ必要な予算を回すことをぜひお願いしたいというふうに思っております。

 修正案提出者はこのことを修正案に明記しなかったわけですけれども、どうですか、どのようにお考えでしょうか。

田名部委員 菊田委員御指摘の点は非常に重要なことだと思っておりまして、実はこれは、修正協議において議論になったところであります。

 ただ、緊急性のない施設整備など予算を無駄遣いさせないということは、あらゆる行政分野において共通して留意していくべきことでありまして、今回の、この子ども・若者育成支援の推進、この固有の問題ではないということ、そして、予算の無駄遣いをしないということは当然のことでありまして、あえて法律に書くより、運用レベルで規律すべきという指摘があったことから規定をしなかったということなんですけれども、もっとも、私たちといたしましても、委員御指摘の点は、先ほど申し上げたとおり、本当に重要なことだと思っておりまして、今後、この施策を講ずる際に、緊急性のない、必要のない施設整備などに予算の無駄遣いが行われるようなことが決してないように、しっかりと検討されるべきだというふうに考えております。

菊田委員 私もいろいろな支援をされているNPOとか現場の皆さんの話を聞きますと、もう少し予算があったらもっといろいろなことができるし、そして長期的に支援ができるのにという話をよく聞くんですね。

 本当に、今お話がありましたとおり、無駄遣いのないように、有効な予算の使い方を、私たち議員も、そして行政府の方でもしっかりと監視をしていかなければならないというふうに思っております。麻生総理の漫画の殿堂でしたか、百十七億円とか、国民の皆さんの批判の目も非常に大きいですから、こういったこと、いろいろな施策を新しくするときに、しっかりと監視をしていかなければならないというふうに思っております。

 修正案の提出者に重ねて質問させていただきますけれども、今回、新たに子ども・若者指定支援機関というものが設けられるわけでありますけれども、その理由と、調整機関との関係や役割の違いについて、ちょっとわかりにくいんですけれども、説明をいただきたいと思います。

吉田(泉)委員 もともとの政府案においては、調整機関というものが置かれておりました。そして、そこが事務を総括し、それから構成機関等が行う支援の状況をよく把握して組み合わせる、そういう連絡調整機能をそこで果たそうという原案になっておりました。

 修正案では、このような情報管理を軸とした連絡調整だけでは協議会による支援に万全を期すことはできないというふうに考えまして、調整機関とは別に、協議会において行われる支援全般について主導的な役割を果たすNPO等の団体を指定支援機関として指定することができるという旨の規定を設けることにしたわけでございます。

 この指定支援機関は、調整機関が行います支援の状況を把握しつつ、必要に応じて、生活習慣の改善とかコミュニケーション能力の向上、そういう支援を自分で、みずからこの指定機関が実施していくということでございます。

 調整機関というのは、いわば事務を総括し、今回の指定機関は、主導的に実施していく機関である、そういうふうにお考えいただきたいと思います。

菊田委員 ありがとうございました。

 地域協議会、調整機関、そして指定支援機関ということで、ちょっとわかりにくいところがありましたけれども、今の説明のように、それぞれが役割を担って連携をしながら進めていくということであります。

 そして、一番大事なことは、自治体によって、各市町村でケース・バイ・ケースでやれる裁量を持つということだろうというふうに思っておりますが、そこは、がちがちにしなくて、それぞれの独自性を持ってやっていくということが大事だというふうに思いました。ありがとうございました。

 そして、政府に質問させていただきますけれども、本法案に関係する予算はどのようなものが想定されるんでしょうか。

小渕国務大臣 お答えをいたします。

 本法の施行に伴い新たな予算措置を伴うものは、第十三条で規定する総合相談センター及び同じく第三章で規定する地域協議会ですけれども、これは基本的に、それぞれの地方公共団体において必要な予算の確保がされるべきものでありますので、国としては地方交付税の要求をしてまいりたいと考えております。

 また、国の予算にかかわるものといたしましては、センターや協議会等の関係者に対し研修等を行っていくための予算を内閣府において計上しておりまして、その合計額は、二十一年度予算ベースで約一・八億円となっております。

菊田委員 ありがとうございました。

 地方交付税全体が減らされていく中で、本当に地域協議会の必要な運営経費がしっかりと確保されていかないと地方自治体の方も場所によっては格差が出てくるというふうに思いますので、この予算を、費用をしっかりと確保していくことを求めたいと思います。

 それから、支援に携わる人材の養成あるいは資質の向上ということが非常に重要になってくるわけでありますので、今一・八億円というような予算が提示されましたけれども、もっともっと予算をたくさんつけて、現場の人材育成のために必要な予算を回していっていただきたいというふうに思っております。

 やはり、何をするにしても予算がなければ何も環境整備ができないわけですから、ぜひ大臣にはリーダーシップをとっていただきたいというふうに思っております。

 時間が参りましたので、最後になるかもしれません。

 先ほど私が問題提起をさせていただきましたけれども、今回、困難を抱える多くの子どもや若者を総合的に支援するための枠組みがきちんと法律で示されたということは大変大きな前進だというふうに思っておりますけれども、きれいなネットワークの枠組みだけをつくって本当に現場が機能するのか、一方でこういう心配もあるわけであります。そして、従来の縦割り行政の弊害がこの法律によって本当に改善されていくのかということを心配しているわけでありますけれども、最後に、このことについて、政府と修正案提出者に質問させていただきたいというふうに思います。

小渕国務大臣 本法案におきまして、やはり、もともとの問題意識といたしましては、そうした縦割りということではなくて、あくまでも利用者の目線に立ったときにどういうものが必要であるかということを考え、この法案の提出になったというふうに承知をしております。

 対策推進本部の設置や施策の大綱の制定など、関連施策の推進のための枠組みをしっかり整えていくということ、そして、今日的な課題であるニート、ひきこもりの若者に対し地域の関係機関が連携をして支援していくための仕組みを整備するということが、この法律案の大きな目的の一つではないかと思っております。

 国や現場レベルで、本当に、青少年問題というと、皆さんが問題意識を持っているけれども、それぞれが個々に頑張ってやっているという状況であったところがありますので、それを、しっかり連携させていくことにより、利用者にとって一番使いやすい形の体制を整えていくことが何よりも大切であると考えておりますので、そうした視点を大事にしてまいりたいと考えております。

田名部委員 お答えいたします。

 委員御指摘の件でありますけれども、これまでもこの委員会の中で何度となく取り上げられてきた問題であるというふうに思っています。

 先ほども委員が御質問の中でされておられました縦割りの弊害、これは内閣府なのか文部科学省なのか、それぞれが責任を押しつけ合うというか、そういった中で子どもたちの支援が途切れてしまう、継続的な支援ができないということがこれまで起こってきたというふうに思っています。

 今回、この法案が提出されたことによって、やはり重要なのは、ばらばらに行われてきた省庁間の連携をしっかりととっていくこと、また、その施策そして知見というものを結集して体制づくりをしていくことだと思っています。

 ネットワークをつくってみたけれども中身が伴わない、実際、機能しないということでは、救える子どもたちを救うことができないというふうに思いますので、これは、この法律をしっかりと成立させて、そのチェックを政治がしていく必要があるだろうと思っておりますので、この点に関しては、委員皆さん方とまた力を合わせて取り組んでいきたい、そんなふうに思っています。

菊田委員 質問を終わります。ありがとうございました。

末松委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、青少年総合対策推進法案についてお伺いをしてまいります。

 本題に入ります前に、先般、質疑の折に、育児・介護休業法案の提出につき小渕大臣に質問いたしまして、大変力強い御答弁をいただきました。現在、衆議院を通過したところでございますけれども、一日も早い成立を求めておりますので、本当に感謝をいたします。ありがとうございました。

 では、本法案の質疑に入ってまいります。

 青少年をめぐる問題は、家庭、学校、職場、そして地域、社会と、あらゆる分野にわたる広範な問題であります。青少年の健全な育成に関する施策を効果的に推進するためには、国、地方自治体、その他の関係機関、国民の協力など、密接な連携のもとで広がりを持った取り組みが必要であります。

 私たち公明党では、二〇〇二年の十一月に、初めて若者を対象といたしました政策、ユースポリシーを発表いたしました。

 若者が日常生活で直面することが多い課題の解決を目指した政策提案、例えば、フリーターなどの就労を総合的に支援するジョブカフェ、それから奨学金制度の拡充ですとか、あるいは携帯電話の番号ポータビリティー制度などの政策を実現してまいりました。若者の声を聞いて、それを本当に国に反映させていこうとしてまいりました。

 また、昨年の十二月には、党の青年委員会が中心となりまして、若者の雇用、生活支援を初め、出産、子育ての支援、そして、国の将来を背負っていくのは青年であるとの思いから、仮称、若者支援新法の早急な法制化、また、青年担当大臣・庁の設置を求めてまいりました。それが今回、青少年総合対策推進法案として実現をし、本委員会において審議をされることになったということは、大変うれしく思っております。

 そもそも、青少年問題とは、教育、福祉、医療、経済など多領域の専門家が縦割りの垣根を越えて連携しながら対応すべき問題であります。若者の育成支援を国そして地方公共団体、関係機関などが地域のネットワークとして整備して総合的に取り組んでいく課題でもあります。そうした意味からも、関係機関の連携を盛り込んだ今回の法案は大変意味のあるものと評価をしておりますが、改めて、本法案の制定の意義について小渕大臣にお伺いいたします。

小渕国務大臣 お答えをいたします。

 若者をめぐる状況というものは大変大きく変化をしておりまして、深刻化もしておる中であります。しかし、ややもしますと、この若者世代に対しての施策や予算というものが決して十分とは言えない中でありまして、それぞれで頑張ってやっていただいておるんですけれども、十分に連携がとれていなかったというのが現状ではないかと思っております。

 この法案では、対策推進本部の設置や施策の大綱の策定など、関係施策の推進のための枠組みをしっかり整えていくということとともに、ニートやひきこもりの若者に対し地域の関連機関が連携をして支援していくための取り組みを整備するものであります。

 これまで私は、少子化問題をやりながら、この少子化というものは、当事者だけの問題ではなく、みんなの問題である、本人はもちろんですけれども、社会も地域も職域も、みんなで協力をして子どもを支えていかなければならないということを申し上げてきましたが、若者に対しても私は同じ思いを持っております。

 先生が御指摘のように、家庭、学校、職域、地域、あらゆる分野の関係者が相互に協力をしながら一体的に取り組むことが大切であると思っておりますので、本法の制定によりまして、若者に対する施策を抜本的に強化するための第一歩になると思っております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 やはり、切れ目のない支援、どうしても施策が高齢者に偏りがちかなと思うことも間々ございますが、我が国を担う青少年に対する手厚い支援、これが本当に必要なのだなというふうに思います。

 次に、本法案における支援の対象者についてお伺いをしてまいります。

 第二条の基本理念の中の第五号によりますと、「修学及び就業のいずれもしていない青少年で、自立した社会生活を営む上での困難を有するものに対しては、その困難の内容及び程度に応じ、自助の責任を踏まえつつ、必要な支援を行うこと。」とございます。さらに、第十五条でも、支援の対象として、「修学及び就業のいずれもしていない青少年で、自立した社会生活を営む上での困難を有するもの(満十五歳に達した日以降の最初の三月三十一日を経過した者に限る。)に対する次に掲げる支援を行うよう努めるものとする。」と明確に規定をされております。支援対象者から義務教育年齢の青少年が除外をされているわけであります。すなわち、本法案においては、ひきこもりや不登校の小中学生などは支援の対象になっていないわけです。

 しかしながら、現状では、不登校を経験しているニート、ひきこもり状態の青年が非常に多いということを考えますと、やはりこの小中学生も本法案によって設置をされる青少年自立支援地域協議会で支援する対象としていくべきではないか、このように考えますけれども、いかがでございましょうか。

松田政府参考人 政府案におきましては、基本的に、学校教育や雇用など、従来の法制度では直接的な対象となっていなかった、修学も就業もしていないニート等の状態にある十五歳以上の青少年、これが自立した社会生活を営むことができるよう協議会において支援をするという形で法案の骨格としておるわけでございます。

 それで、自立した社会生活、そして修学に加えて就労という、ある意味で一つの自立の出口といたしまして就労という政策目標を掲げておりまして、そうした中で、就労といいます場合、労働関係法上原則雇用してはならない十五歳未満の者をそういう出口として据えるのはいかがかということで、協議会の直接の支援対象からは除くというのが政府案の考え方でございます。

 先生御指摘のとおり、中学校での不登校など、ニート等へつながっていくおそれのある早い段階から対応していく必要があるということでございますけれども、政府といたしまして、市町村教育委員会に、中学校を所管いたします教育委員会等に協議会に入っていただいて、事実上、この協議会のネットワークを活用して不登校に対処していただいて、その上で、十五歳になれば、当然、ニート化するおそれがあるという形で、政府としては、原則就労を目指すという中で、不登校の問題にはそういう形で事実上対処し得るのではないかというふうに考えておったところでございます。

 ただ、修正案では、逆に、こうした状況を踏まえまして、地域におきまして、義務教育段階の不登校など、本当にニートにつながるおそれがあるんだという問題につきまして、早い段階からの取り組みを行うことが一つのねらいということで、法律上きちっと位置づける、協議会の業務として対応していくようにする、この修正案がそういうものであるものと認識をいたしております。

 政府といたしまして、修正案を含みます法律の趣旨を十分踏まえまして、子どもから若者まで幅広い年齢層の円滑な社会生活に困難を有する方々につきまして、早い段階から円滑な支援につなげていくことができるよう、しっかり取り組んでまいりたいと存じます。

古屋(範)委員 私も、修正案において小中学校生もこの支援の対象に含めるということにしたことに関して、やはり一定の評価をしたいと考えております。

 次に、先ほどのお二人の委員からも御指摘のあった点でございますが、ひきこもりの現状とその対応についてお伺いをしてまいります。

 青少年にとって、ニートやひきこもり状態が続くことは、社会の中で自分の居場所を築けないという疎外感、あるいは社会から排除されている感覚、さらに、就労を通じた職業能力を蓄積することが困難である、自立した生活ができなくなる不安が生じております。また、社会全体にとっても、ニートやひきこもりの若者の増加というものは、我が国の活力の低下の大きな要因の一つとなることが懸念をされております。

 現在、ニートに対する注目度も増してきた結果、働く意欲や能力を高める総合的な対策を推進しようと、ジョブカフェ、若者自立塾、あるいは地域若者サポートステーションなど、ニートへの自立支援は、徐々にではありますけれども、進んでおります。

 その一方で、ひきこもりの問題は、これからとの感がどうしてもいたします。

 ひきこもりとは、長期にわたって自宅に引きこもっている、社会参加をしない状態が続いている。その原因はさまざまと指摘をされておりまして、精神疾患や発達上の問題によるものも考えられ、それ以外のものは社会的ひきこもりとも呼ばれております。しかし、これらが原因のすべてではなく、それぞれが複雑に絡み合ってひきこもり状態を引き起こしているとも考えられております。

 そしてまた、ひきこもり第一世代がもう既に四十代を迎えているということ、平均年齢は三十歳を超えようとしており、彼らとともに高齢化しつつある親たちの不安というものも一層深くなってまいります。

 こうしたひきこもり状態にある若者の実態、ひきこもりへの対応、取り組みについてお伺いいたします。

坂本政府参考人 厚生労働省では、厚生労働科学研究というのがございまして、十六年度に実態調査を行いました結果、ひきこもりのいる世帯数は全国で約三十二万世帯と推定されております。また、十九年度からは、思春期を中心とした実態把握と支援のあり方に関する研究を進めているところでございます。

 ひきこもりといいますものが、単一の疾患や障害の概念ではなく、さまざまな要因が背景になっている状態であることから、厚生労働省におきまして、精神保健分野や児童福祉分野そしてニート対策等、さまざまな分野にわたる取り組みを行っているところでございまして、今後とも引き続き必要な対策を実施してまいりたいと考えているところでございます。

古屋(範)委員 研究は進んでいる、進めているということであります。

 私も今回の法案の質疑に当たり、斎藤環先生、このひきこもりの問題に長年取り組んでいらっしゃる精神科医の著書を読んでみました。

 やはり、長年引きこもってしまうそういう方々にとっては、非常に状況が難しく、どうしても専門家の手をかりる以外にない、放置をしておいてそれが改善するというケースはほとんどないということであります。

 あと、興味深かったのは、先生が長年臨床でかかわってきた方々、そのほとんどが男性、男児である、長男が多いというような興味深いことも書かれているんですが、この社会的ひきこもりの問題は、二重三重に不遇な状況に置かれていて、その一番の問題というのは、予防や治療をやりさえすればある程度可能なんだけれども、しかし、それに当たる専門家が少ない、受け皿がないということであります。

 こうした事例を抱える家族が困り切って相談に行く場所としては、とりあえず精神科しかないと思うんですが、その精神科医も対応はやはり消極的であり、対応策が余りにも立ちおくれている、ひきこもり状態は自然に解決することはほとんどなく、社会、家族を巻き込んだ一つの病理システムとして理解し、その解消に向けた努力をすべきだとおっしゃっております。

 そこで、この若者のひきこもりについては、まず、精神保健福祉センター、保健所、児童相談所等において本人や家族に対する支援が行われております。厚労省は、本年度から、ひきこもり地域支援センターを設置して、児童期から成人期までの各ライフステージに対応する一貫した支援を行うこととされています。これは、長期のひきこもりに対して、専門の知識を持った職員による相談窓口、各段階に応じた対応が必要なわけでありますけれども、各関係機関のネットワークの連携強化が図られて、必要な情報を広く提供できるひきこもり地域支援センターの設置は、非常に重要であると思われます。

 本法案では、地方公共団体は、青少年育成に関する地域住民からの相談に応じて、関係機関の紹介や必要な情報提供、助言を行う拠点としての機能を担う青少年総合相談センターの設置の確保に努めるように規定をされております。ひきこもり地域支援センターは、どのような位置づけとなるのか。本法案制定によって機能強化も期待されるわけですが、この点、いかがでしょうか。

 また、青少年育成にかかわる施策は、教育、福祉、保健、医療、矯正、雇用等多岐にわたっておりまして、地域の皆様から寄せられる相談も多様なものが予想されるわけであります。

 そこで、あらゆる相談に対応できる知識と経験を持った的確な判断のできる専門スタッフの配置など、青少年総合支援センターが真に総合相談窓口として機能するための人材育成、体制強化が必要と考えますけれども、いかがでしょうか。

 二点について、お伺いします。

坂本政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたが、さまざまな要因が背景になっておりまして、ひきこもりの相談も、御指摘のとおり、児相でありますとか保健センターそして福祉事務所、いろいろなところに来ております。

 厚生労働省といたしましては、平成二十一年度から、新規の事業といたしまして、都道府県、政令指定都市に、ひきこもりに特化いたしました第一次の相談窓口としての機能を有しますひきこもり地域支援センターを整備いたしまして、推進をすることといたしております。

 地域の実情に応じまして設置の形態は区々にわたると思いますけれども、この支援センターは、この青少年総合対策推進法案に明記されております関係機関等で構成される地域協議会を構成する機関の一つになるのではないかと考えているところでございます。

 この法案の成立によりまして、関係機関とのさらなる連携強化等における支援体制の充実につながるものと考えているところでございます。

松田政府参考人 総合相談センターの関係につきましてお答え申し上げます。

 ワンストップ相談窓口と申しますか、できるだけ住民の皆様の近場にワンストップの相談窓口があればいい、青少年に関する総合相談窓口があればよいという考え方から、この法案に総合相談センターの機能を確保するということをうたっておるわけでございますけれども、このためには、やはり、ニートを初めといたしまして不登校、いじめ、非行、さまざまな青少年が抱えます問題、それから、対応をどうするんだという、関係機関につきまして基礎的な知識を有する、そういうことで、一次的な相談に応じたり、あるいは他の適当な機関を紹介できるだけの知見、こういったものを持ったスタッフを配置する必要がございます。そうした人材を育成するために、私も、国の支援もまた欠かせないものと認識しております。

 内閣府としても、いろいろこれまで研修、情報交換等々やってきたところでございますが、さらに内容の充実に努めてまいる所存でございます。

 いずれにしましても、相談要員としての人材養成、これは一次的な窓口としてのレベル、それから先ほどのひきこもりの地域センター、これは精神科医的な、そういう専門的なノウハウを持たれた人材、あるいは元NPOの方々、本当に、生の人間にどういうふうに寄り添っていくのか、共感していくのか、そういった人材、いろいろな人材の養成がございまして、さまざまな人材がまさに今求められている。そういった中で、相談としては、一次的な相談要員の人材というものもきちっと確保に努めてまいりたいと存じております。

古屋(範)委員 では、時間ですので、最後の質問に移ります。

 私たちは、若者の声をしっかりと聞き、そしてそれを政策に反映させていく必要があると思います。

 非正規労働の若者がふえて、所得が低いワーキングプアが多くなる、このまま続けば、結果的には、やはり若者が社会の犠牲になりかねない、希望を失った若者がふえれば、いずれ社会は不安定化してしまう。社会保障や雇用に限らず、青年に対する総合的な政策展開が今求められていると思っております。

 今こそ、小渕大臣のリーダーシップのもとで、国は総力を挙げて、若者が希望を持てる社会を築いていくためにも、若者自身の意欲や努力を引き出すことができるよう、実効性のある施策とともに本法案の早期実現を目指していきたいと思います。

 最後に、将来の日本を見据えた若者支援のあり方について、大臣にお伺いいたします。

小渕国務大臣 お答えをいたします。

 今こそ、委員が御指摘のように、若者に対する支援を充実させ、強化させていく必要があると思っております。

 この法案が制定されました後には、まずは、地域の関係機関が連携して支援するためのネットワークである協議会をしっかり整備していくこと、これが大きな柱の一つであると思っております。それとともに、いろいろと困難を抱えた若者がふえてきている中で、そうした若者を十分に支援する体制が整っていない。やはり、特に、人材の質の向上、育成というものが大切であると思っております。

 そして、何よりももう一つ重要な点は、そうした若者に対する支援をするための予算というものもしっかり確保していく必要があると考えております。

古屋(範)委員 では、時間でございますので、以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

末松委員長 次に、石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。

 国と地方自治体が子ども・若者に対して支援を行う、必要な施策に取り組むことを明記した法律案が提出されましたこと、私は大変意義深く感じているところです。

 これまで、若者の問題といえば、個人の問題だ、あるいは家庭、家族の問題だ、そういうことに帰してきたということからしますと、ひきこもり、ニートの状態にある若者たちへの支援を社会と政治の課題としてとらえたことになるわけでして、これは、やはり大きな一歩だというふうに思うわけですね。

 本法案では、支援の枠づくりが主たる内容になっているかと思いますし、その支援と施策を充実させるということがいろいろ書かれておりますので、そういうことで幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 初めに、子どもの権利条約との関連で一問なんですが、政府が批准していまして、これは、五年に一度政府が報告書を提出する。過去二回、国連の子どもの権利委員会からの審査もあったところですよね。いずれも、国連からの大変厳しい最終所見、勧告等々が出されています。

 その一つに、これは二十八項の(a)なんですが、家庭、裁判所、行政機関、施設、学校において、また、政策の制定及び運用に際して、子どもに影響を与えるすべての事柄について、子どもの意見の尊重及び子どもの参加を促進する、また、子どもがこの権利を確実に認識できるようにすることと。日本はまだまだそうなっていないという意味を込めての最終所見なんですね。

 法案の十二条がそのことを書かれておりまして、これは大変いいと思うんですが、「子ども・若者を含めた国民の意見をその施策に反映させるために必要な措置を講ずるものとする。」と、こういう修正案になったわけですね。

 さて、問題は、必要な措置として何がされるのか、子どもの参加促進ということでどう具体化されるのかということを、一点伺っておきたい。

小渕国務大臣 委員が御指摘になった点は、大変重要な視点であると思っております。しかし、正直申し上げまして、この国の体制といたしまして、そうした若者の声というものを十分に反映できているか、そうした機会を設けているかというと、必ずしも十分ではないということが言えるのではないかと思います。

 しかし、この法案におきまして、第十二条で規定する、子ども・若者の意見を反映するということにつきまして、昨年の十二月に策定した青少年育成施策大綱の検討過程において、通常のパブリックコメントに加えて、担当大臣と十代の青少年との意見交換を実施いたしました。また、今後、法案に基づく大綱の検討過程においても同様の取り組みを実施したいと考えております。

 また、今年度より新たに、青少年目安箱として、ユース特命報告員、中学生以上の青少年三百名に対しまして、青少年をめぐる政策課題等についての意見を定期的に募集することとしておるところであります。

 諸外国の例を聞きますと、本当に、三歳から若者の声を聞くというようなこともある中でありまして、やはり若者施策に関しては、若者の、現場の、本人の声をしっかり聞くということが大切であるということとともに、やはり若者が意見を言う、なかなか最近の若い人たちは自分の声を言えなくなってきている部分があると思いますので、双方において大変必要なところではないかと思っておりますので、しっかり子どもや若者の声を反映していきたいと考えております。

石井(郁)委員 私は、特に参加ということ、意見の尊重というのは、やはり参加をするということなくしてないわけですから、それをシステム的に、あるいはもっと組織的にするということをぜひ考えるべきだというふうに思っているんですね。それは今後の課題として、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。

 さて、大きな問題の一つは、私は、今の日本の若者たち、就労の不安というのは大変大きなものがあると。正規の雇用がなかなか少ない中で、失業だとか、また生活の不安を抱えているということがあるわけですね。

 それで、本法案の第二章、支援の施策という中で、第一、イの項に挙げられているのが、「教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用その他の各関連分野における施策に関する事項」ということになっておりまして、私、雇用ということも挙げられていることで、これはどういうことになるのかなというふうにちょっと思っていることもありまして、これは後で質問いたしますけれども、一つは、この法案は、要するに、すべての子ども・若者を対象とした法案なんでしょうかという問題ですね。そして、この施策ということでいうと、どのような内容が想定されていくのかという問題です。

 これは、原案と修正案と、両方からお答えいただきたいと思います。

小渕国務大臣 本法案におきましては、今日的な課題であるニート等の特定の状況に置かれた青少年について特に重点的に規定をしておりますけれども、そうした特別な困難を抱えた青少年ということのみならず、おおむね三十歳までのすべての青少年を対象にしているところであります。

田名部委員 お答えいたします。

 石井委員におかれましては、日ごろから、ワーキングプア、また非正規雇用、こういった青少年の抱える問題に幅広く取り組んでおられまして、この法案に対する思いもひとしおなのではないかな、そんなことを思っております。

 委員御指摘のとおり、今の社会全体で取り組んでいくことの重要性、こういったことをしっかりと私たちも思いをいたしながら、この法案、本当に困難を抱えている人たちへのしっかりとした支援体制をつくっていかなければならないというふうに思います。

 また、今御質問ありました、すべての子ども・若者に向けられたものなのかどうか。修正後の本法案においても、子ども・若者の年齢的な範囲について特に規定はしておりません。しかし、三十歳未満までのすべての子ども・若者を対象にしつつ、また、ニート、ひきこもり等の困難を抱えている若者支援などの特定の分野においては、例外的に三十代も含めて対象としているところでございます。

石井(郁)委員 私は、すべての子ども・若者を対象にしているということは、大変重要だというふうに思っております。子どもたちの成長の過程では、いつ、どういうことが起こるかわからない、また、多くの子どもたちが何らかの問題を抱えているということもあるかと思いますので、これは確認させていただきました。

 そして次に、これはまた政府に伺いますけれども、法案では、若者への支援、総合的な支援という言葉がよく出てくるんですよね。

 私は、総合的というのは大変大事だと思うんですけれども、これを考えたときに、教育、福祉、雇用、これを一元化して取り組むということのいわばヒントというか実践例としては、イギリスのコネクションズ・サービスがあるかというふうに思うんですね。それがモデルになるかと思うんですけれども、二〇〇一年に始まったコネクションズ・サービスというのは、十三歳から十九歳までのすべての若者が対象だと。それで、学校とか地方自治体、保健センター、職業安定所、民間企業、団体など各種専門機関が連携し合って支援をしていくということなんですね。

 日本のこの法案によって、将来的にはこういうことまで考えているのでしょうかということをお答えいただきたいと思います。

松田政府参考人 先生御指摘のとおり、イギリスでは、コネクションということで、アウトリーチも含めまして、イギリスとしてのきちっとした若者対策、若者支援対応ということでやっておられることは十分承知しておりまして、本法案の策定に当たりましても、当然、参考にはいたしております。

 ただ、日本の制度を今、もう釈迦に説法でございますけれども、教育、雇用、福祉のそれぞれの担当機関があって、そういう中で、ニートというのが、逆に、雇用対策法でありますとか学校教育法でありますとか、そういう法律のはざまにあって、意外に、これはきちっとした行政対応をするところがないじゃないかというような問題意識から、基本法と同時に、この対応をきちっと地域なり中央で総合的に取り組んでいこう、こういうフレームを決めて、これでやってみようということでございます。

 目指しているのかと言われれば、それはちょっと今、そうだとはとてもまだ申し上げられる段階にはありませんけれども、やはり、地域レベルできちっと関係機関が協力をして、それで、特定の機関だけで対応できない、福祉もあれば、医療もあれば、教育の関係もあれば、そういうところが総合して一人一人の若者の支援をやっていくんだという考え方でございまして、直ちにコネクションを目指すのかといえば、そこまではいきませんと申し上げさせていただきたいと思います。

石井(郁)委員 それで、子どもたちの相談窓口、具体的にいろいろ助言等々を、情報収集等々をやるところが、子ども・若者の総合相談センター、十三条になるかというふうに思うんですね。

 この十三条を見ますと、そこに行って相談できる、情報もあるけれども、助言も行う拠点だというふうにありますよね。そういう機能を担う体制をつくらなきゃいけないというふうにも書いてありまして、とすると、人の配置、また、しかるべき場所の確保が必要になってきますので、私は、地方自治体に行いなさいと言っても、本当に今の地方自治体ができるのかと。

 先ほどもちょっと議論になりましたけれども、交付税でという一言がございましたが、これは国としてどのぐらいの支援になるんですか、国としての予算措置というのは。例えば、それは、まず一人から始まるというのは、交付税になるのか。交付税というのは色はついていませんけれども、もう少し、交付税の中身といいますか予算措置、国としてどのような責任を負うのかということをちょっと御答弁いただきたいと思います。

松田政府参考人 申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、この十三条のセンターが機能を発揮するためには、本当に、ニート等の若者が抱えるさまざまな問題や、それに対する対応をどうすればいいんだといったようなことと、関係機関等についての基本的な知識を持って、一次的な相談に乗ったり、あるいは適当な機関を紹介できるスタッフを配置する必要がまずあります。

 それで、内閣府としても、そうした職員を養成するために、国の出先機関でありますとか自治体の相談機関の職員を対象として研修の機会を設けて充実してきたところでございまして、この体制、人材養成につきましては、先ほども申し上げましたけれども、今後さらに充実してまいりたいと存じ上げます。

 さて、センターにつきましては、今、青少年相談センターとか、既存の施設が全国に約五百八十ほどございまして、私ども、これでいいとは思っておりません。ただ、今から、ゼロからスタートするのではなくて、そうしたものを、既に自治体で取り組んでおられるところをベースに、さらに広げていきたいと思っております。

 法律の五条には、政府は、必要な施策を実施するため必要な法制上、財政上の措置その他の措置を講じなければならないとなっておりますので、これを根拠といたしまして、御指摘のとおり、センターとしての主体性の確保、運営、こういったものを、自治事務でございますので地方財政措置ということになろうかと存じますが、きちっとした交付税の措置につきまして私ども内閣府として要求をして、地方の取り組みを後押ししてまいりたいと存じ上げます。

石井(郁)委員 ここのところは非常に大事なところだと思うんですね。本当に実際にこの法律が運用されていく、機能していくということになりますと、やはり予算措置が要ると思うんですね。それは、ぜひきちんとやっていただきたいということを強調したいと思います。

 それで、先ほどの就労問題にまたちょっと戻るんですけれども、この機会ですので、一点確認させていただきたいんです。

 これは、ある研究者から伺ったんですけれども、高校卒業後、追跡調査をした、そうしますと、もうほとんど非正規。アルバイトやパート、派遣とかいうような形で重ねていきますと、やはり、ずっと正規の道はないと。そうすると、技能を身につけたくても身につかないということもあります。だから、一生その道しかない、自分はだめな人間だ、こういうふうに思ってしまうということがあるんですね。この点で、私は、本当に日本は卒業後の若者たちへのセーフティーネットがない国だというふうに言わざるを得ないと思うんですね。

 一つは、大臣にぜひお願いしたいんですけれども、今の若者たちの就労をめぐるそういう困難についての御認識と、そして、やはり何らかの対策というか手当てをしようとすれば、ヨーロッパがやっているような求職手当だとか住宅の確保だとかあるいは職業訓練、こういうものについての財政的な支援が要るんだと思うんです。だって、若者は、お金も時間もないわけです。本当に、日々の暮らしに追われているような状態です。そういうことはこの法案でカバーできるんでしょうか、フォローされるんでしょうか。何らかの具体化がこの法案によって進むんでしょうかということをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

小渕国務大臣 今の若者が置かれている雇用状況というのは大変厳しいものがあると思っております。特に、今不況なときでありますので、そうしたしわ寄せが若い人たちに来ておる中で、例えば、大学を卒業したとしても相当数の方が非正規社員になっているという話も聞こえてくるわけであります。

 そうした問題は、大変深刻であると同時に、政府としても危機感を持って対応していかなければならないということで、今年度の補正予算において、職業訓練期間中の生活保障を行うための緊急人材育成・就職支援基金の創設など、思い切った若者の再就職支援や能力開発のための支援に取り組んでいるところであります。

 しかし、これは緊急的な経済状況においての緊急的な対応ということでありまして、私自身思いますのは、今の若者が置かれている状況というのは、決して若者の努力が足らないとかそうしたことではなくて、社会環境が若者のそういう状況をつくってきているということで、新たに若者がどういうふうな形で自立をしていくのか、そのための支援を国でどうしていったらいいのか、一時的なことではなくて恒久的な形での支援策というものを考えていかなくてはならないと思っております。

 それにつきまして、まさに今後、議論をしていかなければならないところでありますけれども、時代が変わったという認識をしっかり持ちながら、若者を支援していくために、例えば、これまでは企業ですとか地域ですとか、いろいろな形で若者を支援してくれたものが、随分と、すべてがセーフティーネットができていないということでありますので、そうしたものを社会サービスというか政府で考えていかなければならないところに来ていると思っております。その中で、この法案の制定におきまして、若者を支援するための第一歩につながるのではないかと考えています。

石井(郁)委員 あと最後の一問なんですけれども、これも政府と修正案提案者に伺いたいと思いますが、いわゆるニート、ひきこもりへの支援という問題でございます。

 これは、社会生活をしていく上で困難を抱えているわけですよね。本当に、したくてもできないという状態、しかも、これは長期にわたるというのが特徴なんですよね。

 さて、そういう中で、法案の十五条というのは、修学も就業もしていない若者への支援ということが書かれておりまして、医療、療養を受けることを助けること、生活環境の改善などとともに、「修学又は就業を助けること。」とあるんですよね。これは四号です。

 これは非常に短い言葉なんですけれども、私、実はこれは大変重要だというふうに思うんですよ。修学及び就労を助ける。この、助けるというのは、何が助けになるのかという問題がありますし、本当に助けるためにどんな環境だとか体制が要るのかだとか、本当にここはもう、大変議論してもし尽くさなきゃいけない部分があるというふうに思うんです。

 ぜひ原案と修正案の皆さんにお聞きしたいのは、やはり、助けるというのはどういうことを指しているのかという問題と、そのために、社会生活をしていく上で必要なのは、何らかの就労支援だ、いろいろな形態の就労支援にアクセスできるというか、そういう居場所をつくることだ、こういうふうに私は考えているんですけれども、具体的にどのような支援をこの項目によって考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕

松田政府参考人 今、委員御指摘のございました十五条の一項四号、「修学又は就業を助けること。」でございますけれども、基本的には、進学や資格取得を目指した学び直しの訓練でありますとか、あるいは職業訓練、職業紹介といったようなことを想定いたしております。

 それから、特に就業体験等を含めまして、ニート等の子どもたちにいかに社会参加の体験を積んでもらうかということが、本当に最終的な就労に結びつくまでのステップとして重要だと思いますけれども、そのためには、やはりいろいろな、今、サポステなんかで紹介しているのは、町内の定期的なボランティア清掃に加わるとか自転車整理に加わるとか、そういったことから始めまして、もう少し実際の企業活動に携わっていただく。

 これは、特に協力企業と申しておりますけれども、職親とかいいますけれども、そういう事業主の協力のもとでの就業体験がやはり非常に必要だと思っています。ただ、これは今、実は事業主の皆様の善意でやってもらっていまして、本当は、この間の参考人質疑でも出ておりましたように、むしろ世話やき賃をいただきたいぐらいだというような企業も確かにあろうかと思います。そうした協力企業に対します受け入れインセンティブのあり方につきまして、これは私ども、本当に何か考えていかなきゃいけないなと思っております。

 ただ、一般的な雇用そのものにつきましては、先ほど大臣から申し上げましたように、雇用対策全般の話としまして、いわゆるフリーター対策、求職の意思のある者につきましては、基本的には雇用対策ということで厚生労働省ではいろいろな施策をやっております。そこまで至らない者をどうするかということがこの法案の眼目の一つであるというふうに御理解いただければと存じます。

田名部委員 お答えいたします。

 今委員がおっしゃったように、若者を取り巻く雇用の環境というのは非常に厳しいものがあると認識をいたしております。

 修学そして就業の支援というのは、何か一つをやれば解決するという問題ではなくて、若者そして子どもたちを取り巻く環境、すべての整備をしていかなければならないんだろうと思っています。それは、実態の把握というところからスタートをするのかもしれませんし、また、良好な家庭的環境をつくっていくということかもしれません。

 修学そして就業ということに関しては、社会的な受け皿もしっかりと構築されなければならない、そんなふうに考えています。実社会との接点が少ないニート、ひきこもり、そういった子ども・若者にとって、特に企業の就業体験などを通じて就業や修学を助けるということも大変重要だと考えています。

 そして、ニート、ひきこもりの心のケアということもしっかりと行っていかなければなりません。

 そこで、修正案において、就業や修学に対する支援が適切に行われるように、支援を実施するための体制整備を国及び地方公共団体が行うよう努める旨の規定を新設するとともに、困難を有する子ども・若者への支援に関し、その家庭への援助、そして関係機関等への誘導の対象として追加をしました。あわせて、支援の全般について主導的な役割を果たす指定支援機関に関する規定を追加したところであります。

 でも、先ほど来いろいろと質問の中にもありましたけれども、こういったことが、形だけではなくて、しっかりと中身が伴う、本当の意味で必要な支援が提供されるような体制を政治がしっかりと主導で行っていかなければならないと考えています。

石井(郁)委員 やはり「就業を助けること。」というふうに入ったことは、大変重要な項目だというふうに私は思っておりまして、それは、本人にとっては何が助けになるのかということと、やはりサポーターが要るんですよね。本当に、専門家であれいろいろな方であれ、親身になってサポートする人たちが要ることと、居場所が必要だ。そういう中で、一つ一つ就業というものについて、なれていくというか自信を持っていくということかと思うんですね。

 そういう点で、NPOなどが、いろいろな団体が非常な努力をしているということがあると思いますし、ぜひ、この分野では関係者の意見をこれからよく聞いて、何が本当に修学、就業の助けになるのかということについては、そういうことで中身を本当に充実させていただきたい、私たちもそのように努力をしたいというふうに思います。

 もう時間が参りまして、私、もう一点、今の、サポートする人が要るという、人の話なんですけれども、こういうニート、ひきこもりの子どもたちは、やはり、まず親身に話を聞いてほしいと思っているわけですから、そういう人の力で立ち直っていくわけですから、ワーカーとかユースワーカーというのは大変大事になっていくわけですね。

 これは、聞いたところですと、先ほどのイギリスですけれども、バーミンガム市というところでは、ユースワーカーが百人いるそうです。これは、相談に来る人だけを聞くんじゃなくて、みずから、この地域にそういう子どもたちが本当にいないのかと。だって、なかなか来られないわけですから、引きこもっている子どもたちは。だから、おいでおいでじゃなくて、本当に丹念に、その地域を、若者たちを見ていくということをしているそうであります。

 それで、ワーカーをどのように養成したり地域に計画的に配置していくのかということについて、これは政府から簡単にお答えください。

笹木委員長代理 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

松田政府参考人 まさに、若者を支援するためのそういうキーパーソン、こういったものの必要性があるという先生の御指摘は非常に重要なことだと思っておりまして、また、今回の法律に盛り込みましたいわゆるアウトリーチの規定等々、実際にこれを全国あまねく現実化するためにも、そうした人材の養成それから確保、これに努めてまいりたいと考えております。

石井(郁)委員 もう時間ですので終わりますけれども、まだまだ質問したいことは実はございました。こういう短い時間だということを大変残念に思っているということを申し上げまして、イギリスでも子ども法、スウェーデンでは若者施策法とか、非常に単純な名前の法律ができておりますが、そういうことも含めていろいろまだお聞きしたいことはあるんですけれども、以上で終わります。

 どうもありがとうございます。

笹木委員長代理 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 きょうは、この法案、修正案が提出されたということで、大変評価をしたいというふうに思います。政府案とあわせて、まず、幾つか変わった点についての確認からさせていただければというふうに思います。

 政府案の中では、二条のところでございますけれども、さまざま書かれておりましたが、そういう中で、「青少年が自立した社会生活を営むことができるようにするための支援その他の施策を定める」という当初案に対して、議員提出の修正案では「自立した」という部分があえて除かれたというふうに認識をしております。これはどのような理由によるものなのか、御説明をいただければと思います。

吉田(泉)委員 端的に申し上げますと、今回の修正案で、対象者を、十五歳未満の若い方々も対象にする。そうしますと、十五歳未満の方々は経済的自立になじまないということもあって、自立という言葉を外したということであります。

 もう少し根本的に言いますと、今回問題にしているひきこもりのような問題、これは自立社会の落とし穴であるという専門家の御意見がございます。

 我々、五十年前に育ったころには、素直で人の言うことを聞くおとなしい子がいい子だという環境で育ったんですが、三十年前ぐらいからですか、それよりも、自分の考えをしっかり持って、それをしっかり主張して、結果、責任をとる、そういう自立型の子どもがいい子どもだと、だんだん時代の価値観が変わってきたと思います。しかしながら、なかなかその新しい自立という価値観になじめない方々もおって、そうかといって前の価値観にも戻れない、その二つのはざまで落とし穴に落ちている、こういう見解であります。私は、大変本質的な指摘だろうと思っております。

 要するに、そういう、自立を余り強調することがひきこもりの原因になっている可能性があるということを踏まえて削除したという面もございます。

泉委員 そして、同様に、もともと政府案でいいますと二条の五号、そして修正案でいいますと二条の七号でございますが、政府案の二条五号には、「自助の責任を踏まえつつ、必要な支援を行うこと。」ということになっていたわけですね。もう少し長く読めば、「修学及び就業のいずれもしていない青少年で、自立した社会生活を営む上での困難を有するものに対しては、その困難の内容及び程度に応じ、自助の責任を踏まえつつ、必要な支援を行うこと。」これは政府案でございました。

 それに対して、「自助の責任を踏まえつつ、」という言葉は議員提出の案からは省かれておりまして、さらに、加えられたのは、「当該子ども・若者の意思を十分に尊重しつつ、」という言葉に変わっております。この趣旨についても御説明願います。

吉田(泉)委員 修正案では、先ほど申し上げましたように、十五歳未満の低年齢の子どもも支援の対象とするということであって、そういう方々に自助の責任を求めるのは適切ではないという考えでございます。

 それから、引きこもっているような方は、先ほど菊田先生からの御意見もございましたが、かえって自助の責任感が非常に強い子が多い、そういうタイプの人に余り自助の責任感ということを強調するとかえって負担となる、逆効果となる、そういうおそれがあるということで削除した次第でございます。

泉委員 要は、小渕大臣、今の議論、これはまだ修正案の段階でございますので、採決をされて決定したわけではございませんけれども、政府案では、自立、自助、そういう原案があり、そこにも一つの哲学はあったんだと思うんですね。一方で、議員修正案、出されたものについては、自助や自立というある種のキーワードは、時には精神的なプレッシャーを与え、逆効果を与える可能性がある、こういう指摘をもってこの修正に至ったということでございます。

 私は、ぜひ大臣にその趣旨を理解していただいて今後この青少年施策を進めていただきたいというふうに思いますけれども、御見解をお願いいたします。

小渕国務大臣 委員におかれましては、前回の委員会あるいは少子化対策についての御質問の中でも触れていただいたんですけれども、やはり、大人の目線よりは子どもですとか若者当事者の視点というものを決して忘れてはならないという御指摘をいつもこれまでの御質問を通じていただいているように思っております。

 今回の法案の、自立を削除したということ、また、子どもの意思を十分に尊重しつつという文言を加えたということ、先ほどより修正案提出者の方からの御意見を伺っておりました。これにつきましても、同じ思いがあるのではないかというふうに思っております。

 これは、大臣としてというより、大人の一人として反省しなければならないことでありますけれども、実際に子どもや若者がその姿を望んでいるのか、それとも、大人がそうなってほしいというものを望んでいるのか、そのあたりでギャップが生じているのではないかと思っております。自立した姿の子どもというものをどうしても大人は望んでしまいますし。

 アウトリーチにつきましても、これは青少年問題を考える上での第一歩として私は大事な視点ではないかと思いますが、おっしゃるように、負の面ということを考えなければなりませんし、やはり、こういうものはバランス感覚を持って進めていかなければならないと思っております。

 そうした意味で、今回提出をいただいた修正部分につきましては、一定の評価をするところであります。

泉委員 もとより、自立という言葉全部を否定するわけではありません。しかし、丁寧な表現をすれば、恐らく、青少年というのは自立をする過程の段階であって、青少年の時代に完全なる自立をするというのは、よっぽどの青少年であるということなんだと思います。ですから、そういう温かみを持った、自立する過程であるという認識を持ってこの青少年施策をやっていくということがまず共通認識でなくてはいけないというふうに思っております。

 次でございます。

 また、今回、政府原案では、麻生総理のそもそもの指示もあってということもあったと思いますが、特にニート、フリーターを頭出しをしてというか、ニート、フリーター対策を前提とした地域協議会をつくっていくという仕掛けになっていたと思います。

 一方で、修正案二条においては、これも少し変化がございます。支援対象者でございます。

 ニート、フリーターを前提としながら、しかし、それだけではなく、その他の子どもたちということも今回新たに盛り込まれているというふうに認識をしておりますけれども、その他の子どもたちということは、いろいろな子どもが入ってくることになるのではないかと思います。

 修正案の二条の七号、「修学及び就業のいずれもしていない子ども・若者その他の子ども・若者であって、社会生活を円滑に営む上での困難を有するもの」でありますから、その他の子どもであって社会生活を円滑に営む上で困難を有するもの、この子どもたちに必要な支援を行っていくということになります。

 これは我が党でもいろいろ指摘があったところなんですが、非行問題から始まって、学習障害ですとかADHDあるいは被虐待、そしてまた、根本的には、障害者ですとか家庭内暴力、摂食障害、うつ、社会生活を円滑に営む上でのいろいろな困難を有する若者たちがいるわけですね。今回「その他の」という言葉が入ったことによって、こういったさまざまなほかの障害というものを持った子ども・若者が支援対象に入るというふうに提出者は考えられていますでしょうか。

    〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕

吉田(泉)委員 今回の修正案によりまして、支援の対象が広がったわけでございます。

 そして、例えば障害のある方、今お話しになりましたが、そういう方の場合でも、軽度の発達障害のような場合であれば、医療的ケアに加えて修学・就労支援、こういうこともあわせて行うということも考えられるわけでありますので、本法の対象になり得るということだと思います。しかしながら、今度は逆に、重度の障害という場合には、医療面でのケアが支援の大半を占めるということになります。そうしますと、今回のこの協議会を中心とした支援というのは、ほとんど意味がなくなる可能性もある。

 したがって、具体的に、それぞれの個人の抱える状況によって、この法案で対応すべきか、別の個別法で対応すべきか、ケース・バイ・ケースであるということだと思います。

泉委員 ここは、もしこの修正案が成立をするということになれば、政府側には、ある種、今までの発想をどこまで練り直しをしていただくのかということが必要になってくると私は思うんですね。

 今まで政府から御説明のあった法案の説明資料によりますと、やはり、ニート、フリーターを前提にこの地域協議会をつくっていくということで、よく言われるアウトリーチの手法が取り入れられるということでありました。

 しかし、一方で、さまざまな困難を持つ若者を支援対象に含めるという今回の修正案が出てくる中で、特に、青少年総合相談センターが今後機能していく、そして地域協議会が機能していくに当たって、当然いろいろな方々を対象にしなくてはいけなくなると思うんですね。そこの現在の認識、今、どのように考えておられますか。

松田政府参考人 今、支援対象が拡大したことをどのように受けとめているかという御質問でございます。

 一つは、十五歳未満の者を外しておったわけでございますが、これはやはり、就労を自立の出口ということで考えております関係で、労働基準法上、雇用が原則禁止となる十五歳未満を対象に含めるのはいかがかということで、まずはニートということで原案はなっておったわけでございます。今回、こうしたものがないということで、十五歳未満がなくなるという意味では、まず、長期にわたる不登校、これが入ってくるわけでございます。

 先生が今御質問ございました非行問題、ADHD、それから虐待や障害の子はどうなるのか、家庭内暴力はどうなるんだと。

 長期にわたる状態ということであれば、社会生活を円滑に営む上での困難を有する者ということであれば、摂食障害とか発達障害の方は多分入る。

 虐待の関係は、別途、児童福祉法で、本当に命に危害が及ぶおそれがあれば、警察に通報するとか、別な協議会のネットがございますので、そういう事象に対する地域ネットワークということで、これは、直接に対処するよりも、うまく地域ですみ分けをしていただくのかなと思っております。

 家庭内暴力も、当人が家庭内暴力を振るうということは、ひきこもりの方にありがちなことでございますので、これは対象にも入り得るし、うつ病の方で引きこもっておられたりあるいはニート状態にあるということは当然あり得ますので、そういった意味で、対象はもちろん広くなるわけでございます。

 私どもが想定していたのを超えたという意味では、一つは、不登校が確実に入ってきた。それから、摂食障害ということが御指摘にありました。本当にふらふらの状態で摂食障害状態で長期間ということであれば、では、その原因を要するに地域レベルでいろいろな分野で相談してあり方を決めようということで、対象になり得ると思っております。

 そういう意味で、広がるということですが、それに対応いたしまして、私どもも、今後どういうふうに協議会を運営していくかということを、そうしたいろいろな対象者がいらっしゃることを前提として、きちっとした運営要領をつくってまいりたいというふうに考えております。

泉委員 委員長、ここは、恐らく政府側は、この法案、先ほどから指摘をしておりますけれども、地域協議会というのは、ニート、フリーター対策を前提に構成をしたものである、それは恐らく、さまざまなNPOや関係団体にもそのような説明をされてきたと思うんですね。一方で、もしこの修正案が成立をすれば、今御説明ありましたように、対象者が大分広がるということになると思います。

 一つは、いろいろな困難を有する、私が例示をしたもの以外にもそれはいっぱいあるかもしれませんが、そういったものに対して、最終的には、一番下の項目に、その他困難を有する若者というものが入ることにはなると思うんですが、やはりどこかで、対象はこういった方々ですよというものは例示をしていただきたいし、それを委員会にお出しをいただきたい、お示しをいただきたいというふうに思っております。

 ですので、これはぜひ今後理事会で御協議をいただいて、そういった、政府の側がどのような若者、青少年を対象としようとしているのか、このことについては、判明次第、提出をお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。

末松委員長 それは、理事会にて協議をさせていただきます。

泉委員 ここは、恐らく大きな意識改革が必要ですし、それに伴う役割分担、先ほどお話がありましたように、虐待は、もちろん児童相談所が中心となったり警察が窓口となったり、いろいろなアプローチがありますけれども、私は、対象が広くなるというのは、実は非常に大きな変化であるし、これを運用のレベルではほとんど変えずにいこうという動きがあるのであれば、それは厳に慎まなくてはいけない、やはり修正案の意味は大きいんだということは御認識をいただかなくてはいけないというふうに思います。

 続きまして、少し触れにくい話題なんですが、十一条であります。

 十一条に「社会環境の整備」という項目がございまして、政府案においては、「青少年の健全な成長を阻害する行為の防止」、そのために国及び地方公共団体は必要な措置を講ずるよう努めるものとするとなっています。修正案では、「子ども・若者の健やかな成長を阻害する行為の防止」となっております。

 修正案の提出者、これは具体的にどのような行為を指すのか、御説明ください。

吉田(泉)委員 成長を阻害する行為、具体的にはどうかということでございますが、例えば、青少年に有害な情報をインターネット上に流布する行為、もしくは、いわゆる出会い系サイト上などで児童を対象とした書き込み、誘引行為、こういうことを想定しております。

泉委員 恐らく、政府案もさほど違わない答えを出してくるんだと思うんですね。

 ただ、私は、ここはあえて言いますが、実は、大人たちが議論をするときには多分そうやって済ませていくことができるんですけれども、表現が「健やかな成長を阻害する」だとか「健全な成長を阻害する」となっているものですから言いにくいんですが、例えば離婚、これは、子ども・若者の健やかな成長を阻害する行為でしょうか。だれも答弁したくないと思います。ですので、求めません。

 何を言いたいかというと、子どもにとっては、成長を阻害する行為というよりは、離婚というのは、ある種、人生における事故みたいなものです。だれも最初から離婚を望んで結婚する人はいないわけですから、これは事故です。大人にとっても事故ですね。しかし、恐らく、人生においては非常なインパクトを与える一つの出来事であると思います。現に私たちは法案の中で、良好な家庭的環境が子どもたちに提供されるべきだというところまでは言っているわけです。

 ですから、私が言いたいのは、離婚をするなだとかそういうことではなくて、離婚というものは、ここに書かれている「健やかな成長を阻害する行為」に入りますかと言われれば、恐らく、入りませんと答えるんですが、しかし、家庭の環境に変化があったことに対しては、ぜひ支援をしていただきたい、その思いは持っていただきたいというふうに思います。人生の中の大きな出来事が起こった子どもに対してどのような心のケアができるのか、これは、ぜひ青少年施策の中でも私はお考えをいただきたい。

 もちろん、離婚があっても、いわゆる問題らしい問題を起こさずに社会の中に適応していく若者もいっぱいおるでしょうから、離婚すべてが問題があるということでは、もちろんありません。恐らく皆様、そういった意味では、離婚をした家庭の中からその子どもたちが何かしらの異状なサインを発したときに初めて支援をすればいいんだというふうな考え方もあるんだと思います。

 私も、非常に取り扱いにくい問題なので言及するべきかどうか迷ったわけですが、しかし、認識の中の一つに、離婚ということは、阻害する行為ではないけれども、私たちは、それを家庭環境として受けた子どもたちに対してどのような支援が必要なのかということも、ぜひどこかでそれぞれの担当職員の皆さんや政治家が考えていただければという思いがあって、このことにあえて触れさせていただきました。

 次であります。

 子ども・若者総合相談センター、これが十三条にございます。

 政府側にまずお伺いしたいと思いますが、想定をしている担い手、また体制、機能、これはどのようなものなのかということを知りたいと思います。いただいた事前資料では、青少年に関するワンストップ相談窓口だというふうに書かれておりますが、御説明をお願いします。

松田政府参考人 青少年に関する相談に対しまして、本当に、教育、福祉、保健、医療と、関係分野が非常に幅広く及んでおりまして、その中で必要な対応がとられておるわけでございますが、問題となりますと、どうしても分野横断的な対応が求められるというふうに考えられます。

 相談の受け付け窓口ということは、まさに支援の入り口ということでございまして、青少年やその家族等にとりましてわかりやすく利用しやすいよう、一元的、本当にワンストップであるものが望ましいとの指摘がございまして、既に自治体の中では、こうした機能を有する機関を設けておられるところも存在するところでございます。

 修正案によれば、子ども・若者総合相談センターでございますけれども、こうしたことをきちっと位置づけるんだということを宣明することで、積極的に取り組むんだということを明らかにすることで、自治体の後押しをするといったようなことを国としても積極的にやってまいりたいというふうに考えております。

 現在、既に、今、青少年相談センターとか、いろいろな名前で全国で五百八十カ所程度設置されておられます。そうした五百八十でいいかということは決してございません。もっと、本当に各自治体に一つぐらい最低は欲しいというぐらいに全国展開を期待しておりまして、そういったセンターの機能の確保、人材等々の確保のために、研修の実施や情報の提供に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。

泉委員 青少年委員会の委員の皆様がどこまで御存じか私は承知しませんが、もう一度御説明ください。青少年相談機関として、統一的な、今五百八十数カ所とおっしゃったものは、政府の中では何と呼ばれているものですか。

松田政府参考人 少年補導センターでございます。

泉委員 少年補導センターですね。全国五百八十カ所というような話がありました。何となく地方自治体にそういった施設が、相談窓口がございますということでさらっと説明をされましたが、これは、いわゆる少年補導センターでございます。

 これも、私、三年前ですか、一回委員会で取り上げたことがあるんです。ほとんどの人たちが認識をされていないんですが、警察の所管の少年補導員、内閣府あるいは地方公共団体所管の少年補導委員、員と委員で実は違うんですね。別に、どっちがいいだとか正しいというのはございません。両方とも地域においてボランティア活動に熱心に取り組んでおられる。ただ、恐らく警察で補導としてカウントされているものは少年補導員及び警察職員が関知しているものということであって、少年補導委員の活動は内閣府で見ておられるのだと思います。

 私も地元で少年補導委員をしております。しかし、京都の場合はこれまた特別でして、警察も随分そこには御協力をいただいているわけですが、我々これまで、地域の浄化活動だとか風紀の改善だとか、割かし古めかしい言葉で防犯パトロールなんかを続けてきた。そういう地域で頑張っている人たちが大勢いる、それをある種ぶら下げているところがこの少年補導センターでもあるわけですね。

 そういう意味からいいますと、少年補導センターが今全国に五百八十カ所、内閣府が持っている、管轄をしているものだから使いやすい、転用しやすいということかもしれませんが、これは、正直言いまして、果たして本当に大丈夫なんですかと私は言いたいですよ。ましてや、ニート、フリーターだけじゃなく、対象範囲が広がった、そういう中でワンストップ相談窓口と言い始めた。

 ワンストップというのは何ですか。どのビジネスの業界から見ても、ワンストップというのは、例えば、一つの窓口で登録をしたらほかの手続も全部完了するだとか、違う窓口に行っても自分の情報はちゃんと向こうに伝わっているだとか、そういうことをいうわけですよ。

 今、この青少年総合相談センターで想定をしているサービス、これはどのようなものでしょうか。本当に、この窓口に行けば、最後の解決策まで提示をしてくださる、相談に乗ってくれるんですか。もしかしたら、荷さばき、相談さばきの機関じゃないですか。

松田政府参考人 もともと、相談センターと申しますように、相談を受け付けるところがまずあって、そこですべてを解決するということではなくて、相談を受けて、その内容によりまして適切な機関を紹介する、あるいは、軽微で、相談だけでもちろん間に合うことがあるかもしれません。そうしたことを含めまして、とりあえずそれが受け皿の一元化という意味でのワンストップの窓口というふうに理解をしております。

 先生、先ほど御指摘があったわけでございますが、実際、少年補導センターと呼んでおりますのは、全国五百八十カ所のうち多分三十ぐらいで、実際は青少年相談センターという、補導センターと言いますと皆さん見えませんので、実際は、既に自治体の方も総合的な相談窓口になっております。

 さらに、この基礎的なところのセンター機能を、もちろん相談員に対してもっとさまざまな情報を提供いたしまして、今、ニート、ひきこもりのお話が、おいこらの警官的なところと、ニートの、ある意味で、受容し共感し寄り添って、それで背中を押してあげる、こういったところと、必ずしもすぐにはつながってきませんので、要するに、相談センターという意味では、人材の確保という以前に、まず相談のスタイルから、ある程度いろいろな仕分けを視野に入れたような相談スタイルに変えていかなきゃいけない、そういうことも、自治体に協力していただくに当たりまして、これからいろいろ努力してまいりたい。

 先生の御指摘はそれなりに、歴史的経緯としてはございます。昔は補助金を出しておりましたが、でも、今は全く所管でも何でもございませんので、その点は御理解いただきたいと思います。

泉委員 沿革からすると、今回、自然体で青少年総合相談センターなるものが各自治体にできるように我々考えがちですけれども、これは、この団体にも歴史があり抱えているものがあってのことですので、そしてまた全国五百八十ということは、まだ未設置のところが多数あるという中で、ノウハウも何もない中でスタートさせざるを得ないところもいっぱいあるということですね。

 それを我々がよく認識しておかないと、法律はつくっても、実際には、かつての活動とほとんど変わらない状態であった、あるいはほかの相談機関とほとんど並列で並ぶだけ。もっと言えば、今まで、例えば警察が頑張っておられる少年サポートセンター、こういうものもあって、ここも子どもたちから電話で相談を受け付けているわけですね。恐らく、子どもたちからの電話相談あるいは親からの電話相談に対して、今の時代、ああ、うちじゃありません、ガチャン、まさかそんな対応をする人はおられないと思います。それぞれのところでまずは相談はしっかりと受け付けるんだと思うんですね。

 そういう意味では、どの窓口だってワンストップじゃないですか。受け付けた後に、どうさばくか。もし今回の新しい青少年総合相談センターがそれしかやらないというのであれば、それは私はワンストップと言ってはいけないんだと思います。

 先日も、特別委員会の中で消費者庁の法案の審議がありました。その中で、相談員にもいろいろある、中には、相談を受け付けて、データ入力して、それを件数として報告すればおしまいという方もおられます。しかし、それは本当にワンストップだろうか。そうではないと思うんですね。

 やはり、あっせんをして、さらに言えば、最後の解決策まで寄り添っていくことができたときに一つのワンストップだと私は思うんです。その一番最後までという理想的なワンストップができなくても、せめて他機関に対してどのような情報提供をするのかも含めてもう少しちゃんと対策を考えていかないと、私は、これは絵にかいたもちになってしまうというふうに思いますし、今現在、担い手体制機能、青少年総合相談センター、常勤の職員がおられるのか、そしてまた、それが兼職なのか完全なプロパーなのか、まだまだわからないところがございます。こういったものもぜひ今後明らかにしていただきたいし、それをまた我々、委員会でしっかりと議論していきたいというふうに思います。

 次であります。

 十八条でありますけれども、人材養成が修正案の方では書かれております。政府原案では十七条ですね。この人材養成でありますが、実際にはどのような人材を想定しているか。政府の方からお答えください。

松田政府参考人 ニート等を初めといたしました円滑な社会生活を営む上での困難を有する子ども・若者に対する支援でございますけれども、本当に幅広い知識といいますか、ある意味で精神科医的なところもございますし、あるいは心理的な、心理学的なところもございます。幅広い知識とともに、悩んでいる子ども・若者への共感力といいますか、それから……(泉委員「具体的にどのような人材か言ってください、時間がないから。どのような人材ですか、資格だとか職種だとか」と呼ぶ)資格とか職種はございません。

 NPO団体で今まさにアウトリーチなんかやっておられるというところもありますけれども、団体で実際に若者の相談を受け付けて、例えばサポステで相談役になっておられる方とか、アウトリーチを実際にやりますと、アウトリーチの場合はもっとテクニックが要りますので、そういった人材を想定いたしております。

泉委員 私の地元、京都市でも、京都市のユースサービス協会というところが、地元の大学と共同の事業でそういった人材養成のプログラムをつくっております。もちろん、他の自治体においてもそういう事例がございます。かつては国がかかわった形で大学校的なものがあったときもありましたけれども、なかなか難しいのは、やはり就職先なんですね。こういった養成をされた人たちが、社会の中でそれを生かす場がなかなか非常に少ない。今後、この相談センターなんかでそういう方々を受け入れることが可能になるのかもしれませんが、しかし、給与、待遇の面も含めて、恐らくさまざまな難しい点がございます。そういったことで、ユースワーカーを初めとして、人材の育成とその待遇の確保、これもぜひ今後お願いをしていきたいというふうに思います。

 次に、修正案の十七条でございますが、調査研究。これは提出者側にお伺いをしたいと思いますが、今現在、調査研究というのはどのようなものを想定されていますか。

吉田(泉)委員 先ほど、この問題に関する専門家の見解の一つも申し上げましたけれども、全体的に調査研究が非常に不十分だという認識でございます。

 具体的には、まず、ニートやひきこもりの実態を初めとして、さらには、こうした状態に結びついていくおそれがある不登校、こういう問題についての調査研究を、この法律を主管する内閣府を中心に早急に実施していっていただきたい、こう考えております。

泉委員 続きまして、きょうは各省庁からもお越しをいただいております。

 先ほどワンストップ相談窓口の話がございましたけれども、一方で、現状でもさまざまな相談窓口がございます。児童相談所も、虐待の問題だけではなくて、非行問題から育成の問題から、さまざまな問題を扱っております。そういった意味では、これまでも一生懸命宣伝をし、電話番号をお知らせし、窓口として機能してきたところでございます。また、警察の方も、先ほど少年サポートセンターのことを挙げましたが、少年補導職員という方々が、さまざまな資格を有しながら、子どもたちからの電話を受け付けたり、実際に面談をして悩みを解決したりということをやってきている。それぞれが窓口を宣伝してやってきておりまして、恐らく、そういった意味では、児童相談所やこの少年サポートセンターも、ああ、その問題であればこちらですよと、それぐらいのさばきはされてきたと思うんですね。

 ですから、そういった意味では、それだけするのであればそこだってワンストップだという話になってしまうわけで、先ほども言いましたが、ワンストップという言葉を簡単に使っちゃいけないよと。

 ワンストップというのであれば、もう少し後まで見る。あるいは、この青少年総合相談センターに来た人の情報が、ある種ネットワークで、どんなケースであれ、構成をしている地域協議会の例えばデータベースの中に入ってくる。その人が今度は児童相談所に行ったときに、ああ、何々さんですね、ようこそ、データとして入っていますと、言うか言わないかは別の話ですが、認識はやはり違いますよね、ああ、この人は一度そこに行っているんだと。

 ただ、地域協議会にはちゃんと守秘義務もございますので、その辺は、やはり、ワンストップというのであればワンストップなりのことをやっていただきたいし、ワンストップという機能を果たせないのであれば、ただ単に、総合窓口だからワンストップだという言い方はするべきではないというふうに私は思います。

 話がずれましたが、先ほど来、きょう、やはり大きな修正ポイントといたしましては、ニート、フリーターを大前提としていた、これは私は速度を落とす必要はないと思いますので、アウトリーチ、ぜひ進めていただきたいし、そういった人材もどんどんしっかりと確保していく。しかし、対象が広がるという修正案が出される中で、その趣旨を尊重するという大臣の御答弁もあり、そういった意味で、それぞれの機関、相談窓口を有する各省庁にきょうはお越しをいただいておりますが、やはり御決意をお伺いしておかなくてはいけないというふうに思っております。

 その、きょうの議論をしっかりと認識した上で、それぞれの相談窓口の体制をしっかりとしていくんだということをしっかりと御答弁でいただきたいと思いますが、まず警察庁お願いをいたします。

園田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、警察では、警察本部や警察署あるいは少年サポートセンターに窓口を設けまして、少年あるいは保護者の方々から少年の非行等に関する悩み事、困り事の相談に応じているところであります。また、フリーダイヤルや電子メール等でも相談に応じているところでございます。

 そこには、少年補導職員という専門的な知識、技能を持った者がございまして、これらの者が相談あるいはそういう相談をされた方々の支援に当たっているところでございまして、今回、御指摘のこの地域協議会あるいは先ほどの総合相談センターでございますか、こういうものができましたら、警察としても関係機関と連携しながら適切に対応してまいりたいと思っております。

泉委員 引き続きで、文部科学省は、もちろん学校、そしてまた取り組みとしては、子育てサポートリーダーだとか家庭を支援するチームだとか、そういう取り組みをされています。そして、厚生労働省は、先ほどもございましたけれども、児童相談所、保健所、福祉事務所。

 きょうお呼びしていませんが、例えば法務省なんかでも、少年鑑別所でも、実は、鑑別所というと何か非行を起こした子どもが入るように思っておられますけれども、そこではやはり心理相談ですとかを日常的にやられているわけですね、件数は少ないわけですけれども。来る方がちょっと先入観を抱いてしまうところもあって、鑑別所に来てくださる方はそういう意味では少ないのですが。

 きょうは法務省はお呼びしておりませんが、そういったいろいろな機関があるということで、文部科学省、厚生労働省、厚生労働省の場合は、児相と保健所と福祉事務所はそれぞれ審議官も異なるということでございますが、それぞれで御答弁をお願いしたいと思います。

徳久政府参考人 ただいま相談に関するお問い合わせがありました。

 御案内のように、各学校におきましては、不登校の子どもたちに対します相談ということで、スクールカウンセラー等を置きまして相談に乗っているとともに、教育委員会の教育相談所というようなところがありまして、そこでいろいろ子どもたちの相談に乗っているところでございます。

 今委員御指摘のように、地域のほかの相談機関もありますけれども、今後、そこと連携を図りながら、子どもたちの相談に携われるように努めてまいりたいと考えております。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 保健所におきましても、従来より、家族の方などからの相談があった場合にアドバイスを行うというような形での対応を行ってきているところでございます。

 社会生活に困難を抱える方々が、生活が不規則であったり健康上の問題を抱えているというようなこともございますので、この法律の制定後におきましても、地域協議会において、関係機関と連携しつつ、健康相談などを行うとともに、必要な場合には医療機関へつなぐというようなことも含めまして、支援をしてまいりたいと考えております。

伊岐政府参考人 児童相談所との関連についてお答え申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、児童相談所がこの法案の地域協議会に参画するケースも多いものと考えておりますが、その際には、児童相談所が持っております機能、すなわち、心の問題を抱えるお子さんについての状態を把握しカウンセリングなどの心理的ケアを行う機能や、そのようなお子さんを抱える保護者の方への相談支援といった機能を十分発揮するということがまず第一だと思います。このほかに、児童相談所の児童福祉司の指導のもとで、メンタルフレンドといいますボランティアがひきこもりのお子さんの家庭を訪問して話し相手になるなどの対策事業を持っておりますので、これらも活用いたしまして、対象となるお子さんの支援に積極的に当たるよう働きかけてまいりたいと思っております。

 また、児童福祉法におきましても、先ほど来お話のありました、虐待などにより保護や支援が必要な十八歳未満の子どもさんを対象とした子どもを守る地域ネットワーク、これは要保護児童対策地域協議会というものがございます。こちらとの連携や調整などにも留意してまいりたいと存じます。

坂本政府参考人 福祉事務所は、全国で一千二百四十四カ所設置いたしておりまして、児童福祉や身体障害、知的障害等の相談に応じまして必要な指導等を行う市町村の現場での住民に身近な現業機関でございますので、今後、地域協議会の関係機関の一つといたしまして、必要な相談、助言または指導を行うこととなるのではないかと考えております。

泉委員 ありがとうございます。

 きょう、あえて、各省庁の方にお越しをいただいたこと、これをぜひ最後に私はお伝えしたいと思いますが、今回、正直言いまして、予想以上に大幅な修正になりました。しかし、私は、その重みというものは非常に重たいものなんだと。やはり、運用するのは行政側でございます。政府案から修正案にかわる、まだ、採決は後ですけれども、その意味というものを深く認識していただいて、だからこそ、その代表的な変更点である対象者の拡大ということについて、ぜひとも、そういった修正をした以上はその修正を前提とした今後の対応、行政施策の進めをしていただきたいということを私はお願いしたいということでございます。

 修正が終わった後、運用は従来の政府案の想定と一緒であったということでは決していけないというふうに私は思いますので、そこだけを最後にお伝え申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

末松委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

末松委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、青少年総合対策推進法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、実川幸夫君外六名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

末松委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

末松委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

末松委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、後藤田正純君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。後藤田正純君。

後藤田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    青少年総合対策推進法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 地方公共団体において、子ども・若者総合相談センターの機能を担う体制の確保及び子ども・若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援が効果的に実施できるよう、法律の趣旨・内容を周知徹底するとともに、全国においてあまねく子ども・若者育成支援のための体制が整備されるよう努めること。

 一 子ども・若者指定支援機関としての指定を行っていない地方公共団体及び子ども・若者支援地域協議会を設置していない地方公共団体に対しては、自ら指定支援機関としての役割を担うこともできるよう、他の地方公共団体における先進的な取組事例や当該地方公共団体の区域外で活動するNPO等民間団体についての情報提供、協議会の設置や指定支援機関の指定による支援の必要性等についての助言、及び国の行う研修事業への参加呼びかけや相談への的確な対応等の援助を行うこと。

 一 指定支援機関に対する情報の提供その他の必要な援助を行うに当たっては、財政上の措置について十分留意すること。

 一 子ども・若者育成支援施策を推進するに当たっては、既存設備の有効活用に努め、緊要性のない施設整備等が行われることのないようにすること。

以上であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

末松委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

末松委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、小渕国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小渕国務大臣。

小渕国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

末松委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

末松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

末松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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