衆議院

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第3号 平成23年10月25日(火曜日)

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平成二十三年十月二十五日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 稲津  久君

   理事 川村秀三郎君 理事 笹木 竜三君

   理事 竹田 光明君 理事 道休誠一郎君

   理事 柚木 道義君 理事 あべ 俊子君

   理事 松浪 健太君 理事 池坊 保子君

      相原 史乃君    岡田 康裕君

      岡本 英子君    川口  浩君

      阪口 直人君    高橋 英行君

      橘  秀徳君    富岡 芳忠君

      畑  浩治君    松岡 広隆君

      三宅 雪子君    室井 秀子君

      森山 浩行君    山崎 摩耶君

      山田 良司君    山本 剛正君

      湯原 俊二君    小渕 優子君

      棚橋 泰文君    馳   浩君

      宮本 岳志君    吉泉 秀男君

    …………………………………

   国務大臣         蓮   舫君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   厚生労働副大臣      辻  泰弘君

   内閣府大臣政務官     郡  和子君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   文部科学大臣政務官    城井  崇君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  竹澤 正明君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  岩瀬 充明君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 團藤 丈士君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    三浦  守君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳久 治彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           尾崎 春樹君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           有松 育子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           桑田 俊一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房統計情報部長)        伊澤  章君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           山崎 史郎君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    岡田 太造君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括審議官)       西本 淳哉君

   衆議院調査局第一特別調査室長           横尾 平次君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十五日

 辞任         補欠選任

  橘  秀徳君     相原 史乃君

  初鹿 明博君     高橋 英行君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     畑  浩治君

  高橋 英行君     阪口 直人君

同日

 辞任         補欠選任

  阪口 直人君     山本 剛正君

  畑  浩治君     岡本 英子君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 英子君     橘  秀徳君

  山本 剛正君     岡田 康裕君

同日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     初鹿 明博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 青少年問題に関する件


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     ――――◇―――――

稲津委員長 これより会議を開きます。

 青少年問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府沖縄振興局長竹澤正明君、警察庁生活安全局長岩瀬充明君、法務省大臣官房審議官團藤丈士君、法務省矯正局長三浦守君、文部科学省大臣官房審議官徳久治彦君、文部科学省大臣官房審議官尾崎春樹君、文部科学省大臣官房審議官有松育子君、厚生労働省大臣官房審議官桑田俊一君、厚生労働省大臣官房審議官石井淳子君、厚生労働省大臣官房統計情報部長伊澤章君、厚生労働省医薬食品局長木倉敬之君、厚生労働省社会・援護局長山崎史郎君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長岡田太造君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

稲津委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三宅雪子さん。

三宅委員 おはようございます。民主党の三宅雪子でございます。

 青少年問題に関する特別委員会では初めての質問となります。蓮舫大臣におかれましては、日々の大変な御活躍、そして御奮闘、心から感謝申し上げます。

 本日は、青少年にかかわる幾つかの喫緊の問題をお伺いいたします。

 初めに、城井政務官のお時間もおありとのことですので、文科省関連から質問をさせていただきます。子どもの所在不明問題についてお伺いをいたします。

 昨年、高齢者の所在不明問題というのが大きく取り上げられました。これは記憶に新しいところでございます。そこから、死体遺棄、年金詐欺といった犯罪が幾つも発覚いたしました。同時に、戸籍事務、そして住民基本台帳の盲点なども明らかになったわけでございます。

 子ども所在不明問題は、この委員会でも取り上げられましたが、いまだ具体的な解決策のないまま現在に至っているように私は感じております。

 ことし、所在不明と言われる子どもは千百八十三人。前年までの三・六倍となっています。急にふえた理由をお聞かせいただけますでしょうか。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 文部科学省が実施している平成二十三年度学校基本調査によりますと、今議員からも御指摘ございましたけれども、一年以上居所不明であった児童生徒数は、前年度の三百二十六人から千百八十三人に増加をしているということであります。

 議員御指摘の項目につきましてですが、昨年度、一部の地方自治体におきまして正確な数値が報告をされていなかったことを踏まえまして、平成二十三年度の調査におきましては、正確な数値を報告するよう地方自治体に改めて周知徹底をいたしたところでございまして、その結果が反映されたものというふうに承知をいたしております。

三宅委員 ありがとうございます。

 今、城井政務官から一部のというお話がありましたが、私が把握している限りでは大変多くの自治体というふうに思っております。それでなければこれほどの数字の増加はないのではないかというふうに思うんです。

 十年で、単純に計算して大変な人数となるわけで、逆にこれまで把握されていなかった子どもたち、この対応をしっかりやっていただきたいというふうに思うんですが、お考えをお聞かせください。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 十年でという御指摘がございましたけれども、今の調査方法は一年一年で見ているので、ちょうど今の千百名余りというところがどのように推移してきたかというのは、過去の分を見ながら、その年ごとの数字だということを御理解いただければと思います。

 その上で、先ほど申しましたように、いわゆる計上方法の適正化という点で通知をいたしまして、その点改善をいたしているというところに加えまして、現在、その把握にあわせて、児童生徒の教育を適切に行うために、学校や教育委員会が民生委員や児童相談所と連携をして情報共有することなどにより対応していただくよう、文部科学省といたしまして、本年の四月の通知によりまして、各都道府県教育委員会等に指導をいたしているところでございます。

 引き続き、各種会議でありますとか、あるいは本年七月にも、文部科学省のホームページ上で開設いたしました小中学校への就学ページなど、あらゆる機会を活用して教育委員会等に徹底を図ってまいりたいというふうに思います。

三宅委員 どうもありがとうございました。

 私もその点は大変違和感を持っておりまして、東京が二百人、大阪が百五十三人という中で、全くゼロという都道府県がまだあることは御承知おきのとおりでございます。来年はさらに詳しいデータが出てくることを期待申し上げたいと思います。

 また一方で、日本は申請主義なので、家で出産しようが、病院で出産しようが、出生届が出ない限り捕捉できないという問題があるわけでございます。これは、死亡届においての所在不明高齢者の問題につきましてもそうでございました。

 そうすると、出生届が出ない限り捕捉できないという問題があるわけでございますけれども、生まれた後の子どもの安否確認はどこの機関がどのように責任を持ってやっていこうとお考えでしょうか。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 先ほど議員御指摘のものも含めまして、所在が不明になっている子どもたちの把握につきましては今に始まった問題ではありませんで、私も今回の対応をいたしますときに調べましたら、一番古いもので昭和の三十年に出ている次官通知あたりで、文部省、それから厚生省、労働省あたりが提携をして取り組みを行っているということでございます。

 ですので、どこの省がというよりも、そうした特に関係をしている省庁が中心になりながら一つ一つ丁寧に見ていくということが大事だ、特に、これまでの把握が足りなかった部分の原因がどこか、過去からある問題ではあるけれども、古いながら現在もある新しい問題であるという認識でもって取り組ませていただきたいというふうに存じます。

三宅委員 ありがとうございます。

 病院、警察当局と連携するなど、また、母子手帳の活用を図るなど、安否確認をすることはお考えいただけますでしょうか。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 文部科学省としての、行政の範囲内でできる限りの努力をさせていただきたいと思います。

三宅委員 城井政務官、お時間でいらっしゃるということですので、どうもありがとうございました。

 次の質問に移らせていただきます。

 国立精神・神経医療研究センターの調査によりますと、皆様のお手元にも資料を配らせていただきましたが、自閉症などと診断された就学前の子どもたちのおよそ二八%に何かしらの精神薬を投与しているという驚くべきデータがございます。これについての感想を厚生労働省の方からお聞かせくださいませ。

岡田政府参考人 御指摘のとおり、国立精神・神経センターの医師の調査によりますと、発達障害を専門に診察する医師に対してアンケート調査を行ったところ、回答を得た医師の三割の方が小学校就学前の自閉症児に対して薬物療法を行ったことがあるというような報告があることは承知しております。

 専門家に確認いたしますと、ADHD、注意欠陥多動性障害と言われる発達障害の方に対しては、子どもが安心して家庭や学校での生活を行うために、多動や不注意などの症状を軽減する目的で薬物療法を行うことがあるというようなことを聞いております。また、自閉症などの発達障害を持つ子どもさんのうちには、非常に興奮しやすい状況になったりとか、感情の起伏が激しい状況になったりするような状況が生じることがあって、そうした場合に、感情の起伏とか興奮を抑えるために薬物を使用せざるを得ない状況があるというようなことを聞いております。

 いずれにしましても、この調査におきましても、安全で有効な、小児の自閉症状に対する適切な薬物治療のあり方についてさらに研究が進められるというふうに聞いております。

 それから、国立精神・神経医療研究センターにおきましては、小児科医とか児童精神科医を対象にして発達障害に対する医学的研修を計画的に実施している、その中で薬物療法を含めた医学知識や技術の普及啓発を行っているというふうに聞いておりますので、こうした研究だとか研修を支援することを通じて発達障害に対する支援を適切に進めていきたいというふうに考えているところでございます。

三宅委員 今の段階では、効果があるかもしれない、しかしないかもしれない、そういった段階で、発達途中の、特に二歳以上のお子様、全く脳に影響がないのかどうかというところを私は大変心配をしております。

 その観点から、安易な投与は今のところは慎重であるべきではないかというふうに考えておりますが、お答えください。

岡田政府参考人 先ほど申しましたように、薬物療法の適切なあり方については、さらに医学面での研究が進められていく必要があるというふうに考えております。

 ただ、この薬物治療は、障害に伴って子どもさんの情緒や行動にいろいろな問題が生じている、それにどう対応するかという観点から使われているというふうに聞いております。そういう意味では、むしろ、障害児を、地域の中で安心して暮らせるように、そういうふうに支えていく体制をどうつくっていくかということが非常に重要な課題だと我々は考えております。

 昨年の末におきましては障害者自立支援法、それからことしの障害者基本法の改正におきましても、障害者の範囲に発達障害を明確に位置づけるということをされたところでありますので、厚生労働省といたしましても、そうした点を踏まえまして、地域での関係機関のネットワークづくりであるとか、発達遅延児の育児を経験したことがある母親による家族の支援とか、相談体制を充実していくとか、発達障害児に対する支援手法の開発普及、そうした支援を行う方の養成、そういうようなものを通じて、地域で発達障害の方をしっかりと支えられるような体制づくりに今取り組んでいるところでございます。

三宅委員 この問題は大変重要なことだと思っておりますので、引き続き注視をしていきたいというふうに思っております。

 次は、ひきこもりの問題について取り上げたいというふうに思います。

 ひきこもりの方については、一説には七十万人から百万人、多いと三百万人とも昨今は言われております。現在、政府が把握されている数値がありましたらお教えください。また、その調査方法につきましてもあわせてお教えいただけますと幸いです。

蓮舫国務大臣 昨年の二月に、全国の十五歳から三十九歳の者を対象として、内閣府が調査を実施しました。この中で、狭義のひきこもりの推計値は二十三・六万人。この狭義のひきこもりというのは三パターンありまして、ふだんは家にいるが近所のコンビニなどには出かける、この方が十五・三万人。自室からは出るが家からは出ない、三・五万人。自室からほとんど出ない、四・七万人。これを合わせて二十三・六万人。ここにさらに、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する、これは準ひきこもりと呼ばせていただいているんですが、これが四十六万人おりますので、この年代の広義のひきこもり、合わせますと、推計値は六十九・六万人に上っております。

三宅委員 どうもありがとうございます。

 今後、何ら対策を講じなければ、この数はふえることはあってもなかなか減ることはないだろうなというふうには感じております。この人たちの多くは就労しないまま年齢を重ねていって、お世話している親御さんもいつかは亡くなるわけでございます。そうしたときに、無年金、無保険となってしまう危惧も大変あるというふうに思っておりますが、その際には当然大きな社会問題となるわけで、政府として、どのような事態を想定して、来るべき危機に対してどのような対策を考えていらっしゃいますでしょうか。蓮舫大臣、よろしくお願いします。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のひきこもりにつきましては、御本人、御家族とともに、社会にとって大変大きな損失であるというふうに考えてございます。

 したがって、大変しっかりとした対策が必要でございますが、特に大事と考えておりますのは、何といっても、やはり早期に御相談をしていただく、その上で専門的な機関での専門的な支援に早期につなげていく、これが大変大事であるというふうに考えております。

 現在、地域の精神保健福祉センター等で相談、支援を行ってございますが、国におきましても、ひきこもり相談の研修を行いまして、専門家の育成を図っております。

 特に、平成二十一年度からは、都道府県及び指定都市にひきこもり地域支援センターという専門センターを置いてございまして、現在三十二自治体で三十四カ所が開設されてございます。

 このセンターでございますが、まず、一次相談として相談を受けまして、ひきこもりの方々についていろいろな専門機関につなげていくこと、さらには地域のネットワークづくりも実施してございます。その上で、本年度からは、アウトリーチといいましょうか、家庭の方に訪問していくという相談も進めてございます。

 そういう形で、将来のことを考えますと大変いろいろな面で問題があると考えておりますので、まずは早期の御相談と専門機関へのつなぎといいましょうか、これをしっかり進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。

三宅委員 ありがとうございます。

 関連して、文科省に質問いたします。

 ひきこもりが不登校の延長線上にあると以前は言われておりました。昨今は、リストラ等々あり、必ずしもそうではない部分もあるとはいえ、不登校段階での対策は非常に重要であることは変わりがない事実であるというふうに思っております。

 現在、そのことに対してどのような対策をとられているのか、またその効果が上がっているのでしょうか。文科省にお尋ねします。

徳久政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省の方で、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査ということで、その調査の中に不登校の調査がございます。

 平成二十二年度、昨年度でございますが、不登校の児童生徒数、小中でございますけれども、全体で十一万四千九百人に上っておりまして、引き続き教育上取り組むべき重要な課題であるというふうに認識しているところでございます。

 このため、文部科学省におきましては、不登校児童生徒に対して、やはり学校で子どもたちの相談に応じるというようなことが非常に大事でございますので、スクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカーを学校に配置するということで教育相談体制を充実しているということがございます。また、やはり学校と家庭とが連携して取り組むということが大事でございます。そのような学校の措置を促すような対策も講じているところでございます。

 効果という点がありましたので、効果につきましては、今申しました問題行動調査の中で、不登校の子どもが実際学校に行けるようになった、そういう子どもたちに効果があった学校の措置にどういう措置があるのかということについて、その調査でも調査しております。

 その中では、登校を促すため、教員が電話をかけたり迎えに行くというようなこととか、教員が家庭訪問を行うということで学業や生活面での相談に乗るというようなこと、また、スクールカウンセラーが専門的に指導に当たったということで、先ほど来申しております学校から家庭への働きかけとか教育相談体制の整備ということが項目の上位に上っているということで、その施策について一定の効果があったというふうに認識してございます。

三宅委員 どうもありがとうございました。

 子どもが学校に行きたくないというのは本当に悲しいことだと思います。本来は、学校というのは、私たちが子どものころは、楽しくて楽しくてしようがない、月曜日が来るのが待ち遠しい、そんな時代もございました。ぜひ不登校の原因を取り除いていただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきます。放射能の汚染問題についてお伺いいたします。

 お母さん方がやはり一番心配されているのは、お子さんたちへの影響だというふうに思っております。特に、生後間もない、現在授乳中のお子さんを持たれるお母さんたちにとりましては、自分の与えている母乳が果たして安全であるのかどうか、そういったことは大変深刻であるというふうに思います。

 そこでお伺いいたします。

 政府として、母乳の検査は、発災後三カ月で二回行ったと承知しておりますが、その際に検出された数値につきまして改めてお教えいただけますでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、これまで二回調査を行っておりまして、四月三十日それから六月七日にそれぞれ公表いたしているところでございます。

 まず、四月下旬に行いました緊急調査でございますが、調査対象者二十三名中七名から放射性沃素が微量検出されております。ただ、検出された放射性沃素の数値は、一番高い方で沃素131が八・〇ベクレル・パー・キログラムでありました。これは、牛乳や飲料水に準じた基準値が放射性沃素につきましては百ベクレル・パー・キログラムでございますので、相当程度下回っていたところでございます。

 それから、厚生労働科学研究班が五月下旬から六月上旬にかけて百八名の方から大規模な母乳の調査を行っております。その結果、福島県民の七名の方から放射性セシウムが微量検出されました。

 この調査で検出されました放射性セシウムは、一番高い方でセシウム134が六・四ベクレル・パー・キログラム、セシウム137が六・七ベクレル・パー・キログラムでございます。これにつきましても、牛乳や飲料水に準じた基準値といいますのは二百ベクレル・パー・キログラムでありますから、相当程度下回っていたという結果でございますが、いずれにしましても、若干の数字が出たということでございます。

 関係学会からは、通常の授乳期間、授乳を続けても乳児への影響はないとの見解が示されておりまして、それも含めて私ども公表いたしているところでございます。

三宅委員 ありがとうございます。

 どんな少ない数値であれ、お子さんを持つお母様方の心配は本当に尽きないと思います。調査の方もこれで終わらせることなく、引き続き、お母さんたちが心配しないで済む施策をお願い申し上げたいというふうに思います。

 では、次の質問に移ります。

 私は、ふだん新聞などで事件報道などを見るたびに、服役した受刑者のお子さんにつきまして大変心配になります。服役した保護者が出所した際、例えば児童施設に預けられている子ども、里子に出されているお子さんの引き渡しというのはどうやって判断されているのか気になります。どういったスキームになっているのか、厚生労働省の方からお聞かせください。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 施設入所や里親委託の措置を解除し、お子さんを家庭復帰させるに当たりましては、まず、施設長あるいは里親の方の御意見を十分に聞くことが大切でございます。十分に聞いた上で、子どもの意向も聞いてみる。そういったようなことで、家庭環境などの実情を十分把握して、慎重に判断することとされております。

 また、措置を解除した後も、保護者や主任児童委員などの地域の関係者と調整をし、必要な援助を行っている、こういうスキームになっております。

 しかしながら、保護者が刑務所に収容されていた場合は、措置解除前からの保護者に対する指導を十分に行うことはできません。また、出所直後の生活が不安定である場合が多いことから、特にこの措置解除の時期につきましては慎重な判断を行っているところでございます。

三宅委員 ありがとうございました。大変慎重な対応をしていただけているということで、安心いたしました。

 では、次に、いじめの問題につきましてお伺いいたします。

 私の地元であります群馬県の桐生市におきましても、十二歳の少女がみずからとうとい命を絶ちました。くしくも、一昨日の二十三日に一周忌を迎えたわけでございます。親御さんや御家族の皆様の気持ちを考えますと大変胸が痛むわけでございますけれども、この事件は今司法の場に移っていますのでこれ以上の言及は避けます。

 この群馬県の件にかかわらず、いじめなど学校内の出来事が原因とされる事件につきまして、親御さんが学校側の説明に納得していない、そういった例が多く見受けられます。これは、学校側の誠意に対するいわば不信感みたいなものがベースにあるのではないかと思うんですけれども、親御さんへの丁寧な説明等が肝要というふうに思います。

 関係省庁として、いじめ問題の予防対策、また、起きた後の事後対策として、これまでどのような指導を行ってきたのか、また、今後どのように指導していかれるのかお聞かせください。

徳久政府参考人 今委員御指摘の点でございますが、当然のことながら、いじめは決して許されないことでございます。ただ、どの学校でも、どの子にもいじめは起こり得るということでございまして、やはり、いじめの問題の解消を図るということで、未然防止の取り組みと、いじめが発生した場合には、その兆候をいち早く把握し迅速に対応する、いわば早期発見、早期対応ということが重要であるということでございます。

 このため、文部科学省といたしましては、このいじめ問題につきまして、一つは、まず、すべての学校において、いじめに関する子どもたちに対するアンケート調査を行って、いじめの早期発見、早期対応に取り組んでくださいということ。また二つ目には、スクールカウンセラーの活用などによって学校における教育相談機能を充実して、児童生徒の悩みを積極的に受けとめていくことができるような、そういう体制を整備してくださいということをお願いしてきているところでございます。

 また、いじめを背景とした、今、残念ながら桐生の例がございましたけれども、そういう自殺の防止、これも非常に大事な件でございます。教員向けに、児童生徒の自殺の兆しや対応方策に関する基本的な事項を記載いたしました自殺予防マニュアルを作成いたしまして、これらを活用して教員の研修にも努めているところでございます。

 それから、今委員御指摘がございました、やはり、遺族の意向を丁寧に聞き取りながら学校として丁寧に対応していくことが重要でございまして、これにつきましても、今言いました資料等を通じまして、学校、教育委員会に指導してきているところでございます。

    〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕

三宅委員 最後に、蓮舫大臣にお伺いしたいと思います。

 本日、これまで取り上げた問題は、いずれも青少年にまつわる、多くの省庁にまたがる問題であったわけでございます。青少年を担当される大臣として、この省庁の壁をぜひ越えて、大臣のリーダーシップで問題の解決を図っていただきたいというふうに思います。大臣の今後の取り組みについてお考えをお聞かせください。

蓮舫国務大臣 三宅委員のきょうの質問を伺っておりまして、まさに、不登校あるいはひきこもり、あるいはいじめ、あるいは乳児への薬物投与、本当に子どもたちを大切に社会全体として育てていかなければいけないときに、多岐にわたる問題がある種低年齢化しているということを改めて今痛感させられたところでございます。

 各省庁から適切に答弁はいただきました。文科省、厚労省、内閣府、まさにここが縦割りになってしまうと、せっかく事業であるとか予算を伴った施策を国が地方とともに行っていくときにも、結果がなかなか伴わないということになってしまいますので、ここの連携はまさに私の役割だと思っております。

 御指摘いただいた事項、各府省とも今後とも連携をして、総合的にしっかりと反映できるような施策を推進していくための役割を果たしていきたいと思っております。

三宅委員 蓮舫大臣、大変力強いお言葉、ありがとうございました。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

笹木委員長代理 次に、山崎摩耶さん。

山崎(摩)委員 おはようございます。民主党の山崎摩耶でございます。

 一年ぶりにこの青少年委員会でまた仕事をさせていただくことになりまして、きょうは質問の機会をありがとうございます。

 まずは蓮舫大臣、中塚副大臣、ちょっといらっしゃらなくなりましたが、園田政務官、御就任おめでとうございます。青少年の健全な育成のために、どうぞ御尽力いただきますようお願い申し上げたいというふうに思います。

 まず最初の質問は、被災地の子どものケア、支援についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 私ども民主党の一期生の女性議員、衆参二十八名で、子どもの未来を守る女性議員ネットワークというアクションをちょっとこの間起こさせていただきまして、被災地三県に実際に入りまして、お子さんたちの復興にかけるいろいろな思いですとか意見ですとか、ふるさとを思われる、そんな言葉を、実際に子ども復興会議なるものを開きましたり、子育て支援サークルに参加させていただいたり、または短大生にミーティングをさせていただいたりということでアクションしてまいりました。

 幾つかの私どもの提言は第三次補正にも盛り込まれたり、各省庁いろいろキャッチアップしていただいておりますが、きょうはその中から何点かだけを質問させていただきたいというふうに思います。

 まず一つは、被災三県におきます震災の遺児、孤児と呼ばれる子どもたちの問題です。正確な数値の把握と支援体制の確立が必要だろうというふうに思っておりますが、被災三県の遺児、孤児の数というのは、厚労省はつかんでいらっしゃるでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 孤児、遺児の数は、逐次、被災県を通じまして把握をいたしているところでございまして、最近では十月二十日現在の数値になります。

 今回の震災により両親を亡くしたまたは行方不明となった子どもの数は二百四十名、そして一人親となった子どもの数は千三百二十三名となっているところでございます。

山崎(摩)委員 被災地におきましては、基礎自治体そのものが被災をしているということで、実態の把握、七カ月たちましたけれども、やはり国においてもしっかりとこれはフォローしていただきたいということで、引き続き正確な数値把握等をお願いしたいというふうに思いますが、具体的にはどのような支援策を今日までとられてきたのか、お聞かせください。

石井政府参考人 お答え申します。

 両親を亡くしたまたは行方不明となったお子さんに対しましては、まず、被災地の児童相談所職員などがチームを組んで、現状の把握、子どもとの面談、養育や生活に関する親族との話し合いを実施してきているところでございます。

 また、子どもの心のケア、これが大変重要なテーマ、課題だろうと思っておりまして、平成二十三年度第一次補正予算では二十七億円を安心こども基金に積み増しいたしまして、児童福祉に携わる専門職種の方が避難所あるいは仮設住宅、こちらが今中心でございますが、仮設住宅など、被災した子どもが生活する場で相談、援助を行っているところでございます。保育所などにも出かけていったりしているところでございます。

 経済的な支援といたしましては、遺族年金の制度などがあるほか、さらに手厚い支援をするために、子どもの生活費などを支給できる親族里親の制度も積極的に活用しながら継続的に支援していくこととしております。これまで実は親族里親であった扶養義務のないおじ、おば、そういう方々を養育里親として認定し、里親手当を支給できるように、九月一日には省令の改正もいたしております。

 一人親となった家庭に対しましては、遺族年金などの請求の窓口やハローワークの窓口などに支援策の概要あるいはその照会先を記載いたしましたチラシを置いて情報提供を行って、支援策が十分活用できるように努めているところでございます。

 さらには、平成二十三年度第一次補正予算におきまして積み増ししました安心こども基金におきましては、自治体はこれを使いまして遺児家庭支援専門員、そういった新たな職員を配置して訪問などを行うことができることになっておりまして、そうした取り組みなども促進をいたしているところでございます。

山崎(摩)委員 ありがとうございます。さらに取り組みを、連携して強化していっていただきたいというふうに思います。

 そこで、ちょっと文科省にお尋ねをしたいのですが、震災で遺児、孤児となった子どもたちはもちろんのこと、経済的に困窮する子どもたちへの教育の機会の保障として、返済不要の奨学金制度、給付型奨学金というのでしょうか、この創設が必要だというふうに考えますが、いかがでしょうか。

尾崎政府参考人 お答え申し上げます。

 被災した高校生に対しまして、第一次補正予算の段階で、就学支援等臨時特例交付金という形で百十三億円を計上いたしまして、各県にございます基金に積み増しをして支援をしてまいりました。また、三次補正におきましても、その基金の積み増し、三年延長、二百九十七億円を計上しているところでございます。

 各都道府県におきまして、奨学金の貸与要件を緩和したり返還免除を柔軟にやっていただくことで、より手厚い修学支援が可能になるものと考えてございますけれども、今御指摘ございましたように、さらに来年度の概算要求におきまして、高校生に対する給付型の奨学金ということで、低所得世帯の生徒への支援を主眼といたしまして、教科書等図書費相当額を給付することを目指しまして、百二億円を要求しているところでございます。

 被災した生徒が経済的理由で学業を断念することがないように、今後とも修学支援に力を注いでまいりたいと考えております。

山崎(摩)委員 ありがとうございました。ぜひ概算要求でもまた頑張っていただければというふうに思います。

 やはり被災地で子どもたちの心のケアというのが非常に重要になってくるわけですが、厚労省にちょっとお尋ねをしたいと思います。

 津波で流された保育園ですとか学童保育ですとか、子どもの居場所の確保、遊び場の確保、これは日常的に大変重要なことですが、具体的にそれら自治体の財政支援などはどのようになっておりますか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災で被災をした保育所など児童福祉施設の復旧につきましては、社会福祉施設等災害復旧費補助金により財政支援を行っているところでございます。さらに、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律などによりまして補助率のかさ上げも行っております。

 また、施設の復旧までの間の子どもの安全な居場所の確保は大変重要でございます。したがいまして、仮設の施設の設置費用につきましてもこの補助金で支援をするとともに、事業再開のための備品の購入などの準備経費についても財政支援することといたしております。

 さらに、第三次補正予算におきましては、被災地における保育所などの復旧に当たり、子育て関係施設の複合化、多機能化を行う場合に重点的な財政措置を行うことといたしておるところでございます。

山崎(摩)委員 ありがとうございます。具体的に復旧復興の箇所数も多分ふえてきていると思いますが、さらなる御支援をよろしくお願いしたいと思います。

 子どもたちの心のケアという点では、専門職の活動、地元の皆さん、それからボランタリーに外からお入りになる皆さん、本当にこの間、御支援をしてくださっていますが、さらに子どもたちの心のケアについて専門職の活動が今後重要になってくるというふうに思いますが、その支援策についてはいかがでしょうか。

 私ども、アクションを起こす中で、やはり今回これだけ未曾有の大きな災害でしたので、東北地方に子どもの心のケアのトレーニングセンターみたいなものをしっかり置いて、それで、全国からそこにいろいろな方たちがお集まりになり、また、地元の関係スタッフをそこでトレーニングしたり支えたりして、きめ細かにケアの体制を構築したり中長期的にかかわる、このことが大事だというふうに御提言を申し上げたりもしているんですが、このあたりについていかがでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの答弁の中におきましても、二十三年度第一次補正予算で、自治体などで積んだ基金を活用して、子どもに接する保育士などに対する研修事業も実施できるようにしているというふうに申し上げたところでございます。

 ただいまの先生の御提言につきましては、これはまさに、継続的にずっと支援をしていく体制をどうやってつくっていくか、そういう観点からの御指摘だろうと思っております。心のケアトレーニングということではないのでありますが、同じようなねらいを持ったものとしまして、ただいまかなり詰めているものがございます。それを御紹介させていただきたいと思います。

 現地では今、子どもの心の専門家というのは不足をいたしているわけでございまして、その派遣をしていくなど中長期的な支援体制を構築していこうということで、厚生労働省では、社会福祉法人恩賜財団母子愛育会に対しまして、被災地の行政や関係機関と共同した取り組みを進める東日本大震災中央子ども支援センターを設置するとともに、このセンターのもとで、関連する職能団体とか学会とか民間団体とかが支援方法を協議する、そういった協議会を設立することを要請いたしたところでございます。これが十月二十七日付で設置される見込みに来ているところでございます。

 また、厚生労働省といたしましても、被災県のニーズをより的確に把握するとともに、この中央子ども支援センターとの密接な連携協力を図っていくために、雇用均等・児童家庭局に、同日、十月二十七日に、新たに東日本大震災被災地子ども支援室を設置することといたしております。こうした取り組みによりまして、被災地の子どもが健やかに成長できるよう、継続的にきめ細かな対応を行っていきたいと考えているところでございます。

山崎(摩)委員 ありがとうございました。

 実は、私が大変心配をしておりますのは、例の、皆さんも御承知のPTSDというのは、震災の直後ではありませんで、ちょうど六カ月、七カ月、特に東北はこれから冬に向かってまいります、そういうちょうどただいま現在から、このPTSDの問題、ケアがとても大事になってくる時期である。

 実はこれは、私どもの仲間が各病院で仕事をしているわけですが、その集まりの中で、被災地におけます、思春期の子どもたちが自殺を図る、こういった事態が水面下で大変深刻化してきているという情報が私のところにも入りまして、まさに今申し上げたように、これからの取り組みというのが非常に重要になってくる。

 その意味では、十月二十七日付ということでございましたが、しっかりお取り組みをしていただきたい、現地を御支援していただきたいというふうに願っているところです。よろしくお願いいたします。

 次に、防災計画関連についてちょっと御質問したいというふうに思います。

 内閣府防災基本計画、その他、地域防災計画、それに基づいて全国に防災計画があるわけですが、どうも今回の震災の後、回っていますと、子どもという視点を防災計画等の中に盛り込むことが手薄になっていたんじゃないか。一つは、今回の震災でのエピソードは、学校に残っていれば助かったんじゃないかというケース、またはスクールバスや幼稚園等のバスがそのまま被害に遭ったケース、いろいろございました。

 こういったことを繰り返さないためにも、学校現場関係者への、マニュアルの作成といいますか、それも含めた研修なども、今後、避難については必要と思いますが、文科省はどのようにお取り組みになっていらっしゃいますか。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 児童生徒等に災害時にみずから危険を予測して安全な行動ができる判断力を身につけさせる防災教育は、重点を置いて取り組むべき重要な課題であると考えております。

 東日本大震災を受けまして、文部科学省では、ことしの七月に、こうした防災教育等を見直すための有識者会議を設置いたしまして、九月の三十日に中間取りまとめをいただきました。その中で、避難マニュアルや避難訓練等につきまして、すべての学校において、大学や研究機関等の研究者などの指導助言を受けながら、今回の教訓も踏まえて改善を図ることが必要だということ、また、避難訓練は、さまざまな条件下での訓練を保護者などとの連携も図りながら実施することが重要だということなどの御指摘をいただいております。

 こうした御指摘を踏まえまして、第三次の補正予算案におきまして、今回の大震災で明らかになった教訓を踏まえながら、地震、津波が発生した場合の具体的な対応について、参考となるような共通的な留意事項を取りまとめましたマニュアルを作成して配付するという経費を計上しておるところでございます。

 今後とも、各地域におきまして具体的な取り組みが進んでいきますように、国としても防災教育の充実に一層努めてまいりたいというふうに考えております。

山崎(摩)委員 ありがとうございました。

 災害は、いつ、どこでもというようなことが今回の教訓でもありますので、お取り組みを強化していただきたいというふうに思います。

 もう一点は、避難所におけるさまざまな問題でございます。今回も、避難所での子どもの安心、安全な居場所の問題ですとか遊び場の問題ですとか、または、乳幼児を抱えるお母さんの、例えば授乳場所一つないとか、いろいろなことが指摘されました。

 今回の大震災のこういった課題、問題点を踏まえて、防災基本計画を、子どもの視点も盛り込んで、もう少し書き加えて見直しをしていくことが必要ではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

郡大臣政務官 御質問ありがとうございます。この間のお取り組み、改めて感謝を申し上げます。

 今後の震災への備えというのを強化するためには、今般の東日本大震災における避難所の運営状況などを検証して防災対策の見直しに反映するということはとても重要なことだというふうに認識をしております。

 内閣府におきましても、災害対策全般の検証を行っている中で、避難所運営における問題点の把握に努めているところです。今、山崎委員から御指摘がありましたように、授乳場所の確保など、避難所そのものの設計ですとか運営上の課題というのも報告をされているところでございます。

 今後、このような検証を踏まえまして、防災基本計画の見直しに反映をさせていきたいというふうに考えております。また、地域で立てられる防災計画においても必要な対策がとられますように、関係各省と連携をいたしながら、自治体に対する必要な指導助言なども行っていきたいと考えているところでございます。

山崎(摩)委員 郡政務官、ありがとうございました。今回の大震災を契機に、現行の災害関連のいろいろな法制全般について検証と必要な見直しをぜひ進めていっていただきたいというふうに思っているところでございます。

 次は、青少年の薬物乱用と防止対策について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 実は私、平成二十一年の十一月二十六日の本委員会で、青少年の薬物乱用について質問をさせていただきました。今回は、それに引き続きまして、その後の政府の取り組みの進捗と現状について御質問申し上げたいというふうに思っております。

 警察庁にちょっとお尋ねをいたしますが、直近の青少年の薬物事犯の検挙数と年次推移をお聞かせいただきたいと思います。

岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 少年の薬物事犯の検挙状況でございますけれども、平成二十三年上半期に薬物事犯により検挙した少年の人員は、覚せい剤取締法違反につきましては九十四人、前年同期比十二人の減少でございます。同じく大麻取締法違反につきましては四十五人、前年同期比四十一人の減少。同じく麻薬及び向精神薬取締法違反につきましては十六人、前年同期比二人増加となっております。

 これを有職少年、無職少年、学生の区分で申し上げますと、覚せい剤取締法違反につきましては、送致人員九十四人のうち、無職少年が五十四人で最も多く、次いで有職少年が二十五人、学生が十五人となっております。有職少年、無職少年とも前年同期に比べ減少しておりますが、高校生が十一人と、三人増加をしております。同じく大麻取締法違反につきましては、送致人員四十五人のうち、有職少年が二十一人で最も多く、次いで無職少年が十六人、学生が八人となりまして、いずれの区分も前年同期に比べ減少しております。最後に、麻薬及び向精神薬取締法違反についてでございますが、送致人員十六人のうち、無職少年が七人、有職少年が三人、学生が六人となっております。

 以上でございます。

山崎(摩)委員 覚せい剤、大麻等については減少しているということですが、MDMAのような麻薬についてはある種増加をしているという傾向が見られるということと、これは現場の皆さんにお話を聞きますと、低年齢化しているということが一つ大きな課題というふうに言えるかなと思います。

 実は、札幌にございます私の事務所の同じビルの一階下のフロアに、大変熱心に地域精神衛生をやっております精神科のクリニックがございまして、そこでデイケアですとかいろいろおやりになっていらっしゃる。そこの女医さんなんですが、精神保健センター、いろいろと連携をいたしまして、青少年の薬物の問題にも取り組んでおられる。そこからも大変問題意識がございました。

 実は北海道は、例の、少女に、子どもに覚せい剤を打った親の事件がございましたけれども、地域で見ますと、今の検挙数、送致数になかなか上がってこないすそ野というものをひしひしと感じるようなことでございまして、この取り組みをやはりきちんと我々は進めていかなければいけないなというふうに思っているところでございます。

 さて、文科省にちょっとお尋ねをしたいと思います。

 前回、平成二十一年の質問のときに、私、小中高の子どもたちへ文科省がおつくりになっているパンフレットで、酒、たばことシンナー、麻薬が同列に記述をされている、こちらは犯罪、あちらは健康ということでございますので、これはきちんとセパレートをしてしかるべく教育をしていただきたいというふうに御質問申し上げて、そのとき当時の副大臣が、前向きにお受けとめくださる答弁をしていただいたんですが、その後どんなふうにこれはお取り組みなさったでしょうか。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 飲酒、喫煙と薬物乱用の関係でございますが、小学校の学習指導要領では、喫煙、飲酒、薬物乱用などの行為は健康を損なう原因となることについて取り上げておりますが、その解説におきましては、薬物乱用については、心身の健康に深刻な影響を及ぼすこと、法律で厳しく規制されていることなどを指導することとしておりまして、喫煙や飲酒の害と書き分けておるのは従前からでございます。

 それで、一昨年に先生から御指摘をいただきました、小学校の啓発教材「わたしの健康」におきましては、平成二十二年度の改訂におきまして、薬物の乱用について、「知っておこう!シンナーの害」と新たな見出しをつけまして、たばこ、酒の害と分けて説明をするというように、その取り扱いを改善させていただいたところでございます。

 なお、薬物乱用が法律で厳しく規制されていることにつきましては、この教材のQアンドAのところで、「心と体への害が大きいので法律できびしく規制されています。」と改めて明記をしているところでございます。

    〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕

山崎(摩)委員 意見を取り上げていただいて、改訂版をおつくりいただいたということで大変うれしいことですが、やはりもう一歩、これは犯罪で、こういうふうに検挙、送致されるわけですから、そこのところはきっちり、もう少し書き込むといったようなことを文科省には要望しておきたいというふうに思います。

 また、すべての中学校で年に一回は薬物乱用防止教室を開催するというふうにされておりますが、実績はどのようになっておりますか。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省がいたしました調査では、平成二十二年度に、年一回以上薬物乱用防止教室を開催いたしました中学校は約七九%でございまして、前年度に比べまして六ポイントアップしたところでございます。

山崎(摩)委員 七九%、八割弱ですので、これはやはりきちんと一〇〇%を目指して、昨今の学校教育はこの問題だけじゃなく、いろいろな課題が多いだろうということは重々承知をしておりますが、やはりこれは一〇〇%を目指して鋭意お取り組みをいただきたいと思いますし、年に一回もやはり少ないのではないか、こういう意見を持っていることをぜひ政務三役にお伝えをいただければというふうに思います。

 次の質問に移ってまいりますが、厚生労働省でございますね。全国中学生の薬物乱用に関する意識・実態及び全国の児童自立支援施設における、薬物依存の意識・実態に関する調査というのを厚生科研で実施をしていらっしゃるということですが、この結果、どのような特徴的なポイントが抽出されたのでしょうか。また、それを、これは厚生科研でございますので、施策にどのように反映したか、そこまでお答えください。

木倉政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のこの二つの調査、全国中学生の薬物乱用に関する意識・実態調査と、自立支援施設、昔の教護院でございますが、これに対する調査でございますが、これは一九九〇年代から隔年で、全体の薬物乱用、あるいは飲酒、喫煙等も含めてなんですが、調査を繰り返しして、その傾向を見て施策への反映を図っておるものでございます。

 直近は二〇一〇年の調査ということでございますが、まず中学校の関係の調査を見てみますと、抽出した百九十二の学校に御協力をいただいて、アンケート形式で見ておりますけれども、シンナーのような有機溶剤を一度でも経験したことのあるというのは大きく減少の傾向にあるわけでございます。一方で、大麻の生涯経験率、覚せい剤の経験率、これも低いんです、しかも減少傾向にあります。しかし、例えば大麻で見ますと、直近の二〇一〇年の調査は二〇〇八年に比べて若干の上昇が見られるとか、覚せい剤を見ましても、二〇〇四年ごろが高い傾向がありましたが、全体で減少はしておるのですが、女子の方で少し増加が見られるとか、こういうふうな心配すべき点が見られております。

 また、児童自立支援施設の方におきましても、全体でシンナーは大きく減少傾向にございますけれども、覚せい剤、大麻も減少傾向にありますが、特に大麻などでは、女性で大きな変化が、低いながらも見られないとかいうふうなことがあります。

 これらの一年置きの調査を踏まえて、専門の先生方に検討もいただきながら、文科省とも議論をする中で、特に近年は、社会全体としても大麻の事犯の検挙数がふえております。その中で、二十歳代以下が多く、六割を占めるというふうな傾向がございますので、その辺に重点を置きながら、今、平成二十年から五カ年計画で取り組んでおりますが、その中でもその辺に重点を置いて取り組む。

 具体的な動きとしましては、新しく、高校三年生全員に対しまして、薬物について、これが本当に危険であることと犯罪であるということを明確に訴えるものを文部科学省と両省で作成をし、全員に配付をし、啓発をお願いしておる。さらに、これはその少し前からですが、大学生にも、それをちゃんと進めなきゃいけないということで、大学一年生向けオリエンテーションのときに、これは警察庁も入っていただきまして、三省庁で、しっかりとわかっていただくものを啓発を繰り返しておるというふうなこともやりまして、今後とも連携をとって、政府全体で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

山崎(摩)委員 ありがとうございます。

 科研のようなそういう調査研究をしっかり政策に生かす、これが非常に重要だと思いますし、特にこの問題では、省庁連携、今お話があったようなことで、情報共有しながら、さらに取り組みを進めていただきたいというふうに思います。

 また、先ほども出ました有職、無職少年に対する取り組みというのをそれぞれおやりになっていらっしゃるというふうに思うのですが、未成年労働者を対象とする啓発活動についてお尋ねをしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました政府の二十年度からの五カ年の戦略におきましても、小中高校生あるいは大学生まで啓発を広げてきちんと理解を求めていこうということとともに、働いていらっしゃる方、有職あるいは無職の方についても、青少年層に絶対に薬物に手を出してはいけないということをしっかりわかってもらわなきゃいけないということで、対策を強化しようということで取り組んでおります。

 具体的には、青少年、働いていらっしゃらない方々に対しましては、厚生労働省の各地の労働局を通じての資料の配付、あるいは地域の雇用促進センター等を通しましての啓発というふうなことを中心にやらせていただいております。

 また、これは学校等中心ではございますが、地域の中でよりわかりやすく知っていただこうということで、薬物乱用防止のキャラバンカーなども全国各地に拠点を置きまして、二十二年度でも千三百五十二カ所、八台で運行していますが、一台当たり年間で百六十九回、薬物を、実際にモデルのものを見ていただきながら、あるいはビデオを見ていただきながら、本当に危険なものという怖さを知っていただくということで、地域の方々、地域の大人の方々を含めた啓発をやらせていただく。また、箇所は少ないですが、市町村にもお願いをしまして、対話形式でしっかり知ってもらおうという、議論もさせていただくような対話集会もやらせていただいている、このような活動に取り組ませていただいております。

山崎(摩)委員 ありがとうございました。

 学校関係だけではなく、高校、大学に行かない無職、有職の青少年も地域にはいるわけですので、ぜひ今後とも取り組みを強化していただきたいというふうに思います。

 次に、再乱用防止策、これも非常に重要ではないかというふうに考えます。薬物乱用の取り組みでは、地域において関係機関が本当に連携して相談体制を構築していく、地域住民や保護者からの相談にきっちり乗れる、かつ素早く対応できる仕組み、これが重要だと考えますので、地域の教育機関、保健所、医療機関、精神保健センター、警察それから自助グループなどがもっとネットワークして、姿が見える、実効性ある取り組みにしていくことが早急に求められているというふうに思いますが、警察庁においてはどのような取り組みがなされておるのでしょうか。

岩瀬政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、少年による薬物乱用事案につきましては、再乱用を防止するという取り組みが大変重要であると認識しております。いろいろ取り組んでおる中で、警察といたしましては、薬物乱用を含む非行少年の中には、周囲の環境や自身に問題を抱え、再び非行に走りかねない状況にあるなど、支援を必要とする少年が潜在していると考えられることから、こうした少年や保護者に対しましては、警察の側から積極的に連絡をとりまして、その立ち直りを図る取り組みを実施しているところであります。

 具体的には、保護者の同意を得た上で、少年警察ボランティアや関係機関の方々と共同いたしまして、定期的な連絡、相談、家族への助言、就学、就労に向けた支援、社会奉仕活動への参加を促すなどの活動を行っておりまして、このような取り組みにより、少年による薬物の再乱用防止に効果を上げてまいりたいと考えております。

 以上です。

山崎(摩)委員 少年サポートセンターというのもあるやに聞いておりますので、お取り組みをしていただきたいと思います。

 法務省は、少年院においてはどのような取り組みをなさっておられますか。

三浦政府参考人 お答えをいたします。

 少年院におきましては、非行の態様や改善すべき問題性に応じまして少年をグループに編成して指導を行っているところでございますが、薬物非行のある在院者につきましても、再乱用防止ということで指導を実施しているところでございます。

 具体的には、五名から十名程度の対象者をグループとして、講義やグループ討議、ロールプレーイングなどを組み合わせた指導を実施して、薬物を再乱用させないための働きかけを実施しているところでございます。その際、保健所等の公的機関あるいは自助グループなどと連携して行う少年院もあると承知しているところでございます。

山崎(摩)委員 ありがとうございます。

 再乱用防止という点では、ある種、セラピーといいますか、治療的要素というのは不可欠だというふうに思いますので、少年院におかれましても、きちっとそのあたりも、今グルーピングでいろいろおやりになっていらっしゃるということでしたが、強化をしていただきたいというふうに思います。

 厚生労働省のお取り組みはいかがですか。

岡田政府参考人 地域における依存症対策の一環といたしまして、先ほどの薬物の依存症対策に取り組んでいるところでございますが、従来より、都道府県の保健所であるとか精神保健福祉センターにおきまして、電話や窓口による相談、依存症の方やその家族に対する支援を行っているところでございます。特に平成二十一年度からは、全国八カ所の都道府県、指定都市、中核市を選定いたしまして、二十三年度までの三カ年で、地域依存症対策推進モデル事業ということを実施いたしています。

 具体的には、自助グループ同士の連携などを図るためのフォーラムの実施であるとか、当事者、家族、支援者に対する研修の実施、依存者の薬物再使用のきっかけにどう対処するかということを身につけていただく。家族についてもそういうものを身につけていただく。そういうような形で、再使用を防止するためのプログラムの実施。それから、薬物使用によって検挙された初犯者を中心にして、自治体の薬事課や自助グループと連携した再犯防止のための教育などの取り組みを行っているところでございます。

山崎(摩)委員 ありがとうございました。

 それぞれの所管があるわけですが、青少年の健全育成という観点からは、この問題も国としてしっかり、撲滅、ゼロというところを目指して取り組まなくてはならないと思いますが、蓮舫大臣、御所見を一言お聞かせください。

蓮舫国務大臣 山崎委員の先ほどからの大変高い問題意識を拝聴させていただきながら、非常に応援していただいていると思って、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 薬物乱用防止あるいは再乱用防止、特に子ども、青少年の場合ですと、やはり先の長い人生というものがございますので、ここは政府としてもしっかり連携をとって、一日でも早く撲滅という目標、本当に現実的にそんなに早い段階で達成できるのかどうなのか、全員全力を挙げて、各省庁連携をとって整えているところではございますが、一歩一歩確実に成果を残すための取り組みを私のもとでも進めていきたいと考えています。

山崎(摩)委員 大臣、ありがとうございました。

 この問題については、また次回、私もいろいろ質問をさせていただきたいと思いますので、関係省庁の皆様も、お取り組みは大変でございましょうが、さらに一層強化をしていただければというふうに思います。ありがとうございました。

 さて、最後の質問になりますが、民主党が人生前半の社会保障ということで、チルドレンファースト、子ども・子育て新システム、いよいよ法案を出す、そこまで来ているところですが、幼保一元化政策を積極的に進めている町村の首長さんのお声をちょっとお届けしながら、大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。

 地方自治体がこういった幼保一元化を、みずから施設を設置しようというふうに思われて、お取り組みをなさろうとしましたときに、現行では、既存の幼稚園建設の場合は、幼稚園の園舎新増築事業として国が三分の一、市町村三分の二があります。また、地方債なども、学校教育施設等整備事業債、これは七五%ですが、こういったものがあるわけです。公立の保育園等の施設については補助金は皆無であるということから、地方の声としては、政策推進のための施設の設置に財政的措置を求めるお声をよく聞くわけです。特に、乳幼児から小学生まで一貫した幼保一元、または認定こども園のようなこと。

 実はこれは、北海道の東の北見の隣にあります訓子府町というところが、昭和五十三年から国に先駆けて、この町でお生まれになったお子さんは、産休明けから就学前まで、幼稚園と保育園を合築した取り組みをしていらっしゃる。しかし、今回、老朽化しまして、新たに施設をとお考えなんですが、調べると、国からの補助金は全くないですねということで、首長さんも大変頭を悩ませていらっしゃるというようなことが具体にございまして、民間のみならず、地方公共団体がきめ細やかな支援が欲しいというような御意見でございました。

 蓮舫大臣には、今後の政策推進のための費用負担も含めたスケジュール等を少しお聞かせいただきたい。

蓮舫国務大臣 私どもとしましては、とにかく社会全体で子どもさんの育ちを支える、学びを後押しするということで、子ども・子育て新システムを取りまとめてまいりました。七月二十九日に少子化社会対策会議が決定をしました子ども・子育て新システムに関する中間とりまとめにおきましては、恒久財源を得て早期に本格実施できるように、平成二十三年度中に必要な法制上の措置を講じることとされております税制抜本改革とともに、早急に所要の法律案を国会に提出するとなっているんですね。

 先般、費用負担のあり方を含む残された検討課題についてさらなる検討を進めるために、基本制度ワーキングチームにおける議論が再開され始めたところでございます。実施主体であります地方公共団体を初めとする関係者の御意見、時間は相当限られているんですけれども、それでもやはりできるだけ丁寧に伺いながら、早期の成案取りまとめを目指して精力的に検討会を進めていきたいと思っております。

山崎(摩)委員 ありがとうございました。

 子ども・子育て新システムは、我が政権にとっても大変重要な柱でございますし、やはり、子どもが育つ基礎自治体もしっかり国として支援をしてまいりたい、そんなふうに私も思っておりますので、大臣にはさらに一層お取り組みを進めていただければというふうに思います。

 時間が参りましたので、私の質問をこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

稲津委員長 次に、川口浩君。

川口(浩)委員 川口浩でございます。

 本日は、質問の機会をちょうだいいたしまして、関係各位の皆様には心より感謝を申し上げます。

 ただいま山崎委員の方からも何点かございましたが、さきの東日本大震災から八カ月を過ぎようとしております。戦争を知らない私どもとしては、こういった惨状にどうしたらいいのかとあたふたしているのも、正直な部分ございます。

 しかしながら、余震もおさまりつつございまして、少しずつではございますが、静かな生活が始まるのではないかという気配が見受けられるように感じております。静かな生活が始まりますと、以前の生活を思い出し、被災されました方々に対する心のケアが殊さら重要になってくるのではないかと思われております。

 お一人お一人の立場、境遇もさまざまでございますので、難しい問題を数多く含むものではございますが、心のケア対策に関しまして、現在の取り組みと今後の展開について、厚生労働省としてどのようなお考えなのかをまずお聞かせいただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のように、心のケアの問題、これは、継続的に、またかなり本腰を入れてしっかり取り組んでいかなきゃいけない大変重要な問題だというふうに認識をいたしております。

 先ほども答弁申し上げておりますけれども、平成二十三年度の第一次補正予算におきまして、二十七億円を安心こども基金に積み増しいたしまして、児童福祉に携わる専門職種の方が、仮設住宅あるいは保育所など、被災したお子さんが生活する場所に出向いて相談、援助を行うという事業を展開しているところでございます。

 また、現地では、子どもの心の専門家の不足が大変深刻な課題となっております。したがいまして、その専門家の育成はありますけれども、まず派遣という形で対応しようということで、中長期的な支援体制を構築するために、厚生労働省では、社会福祉法人恩賜財団母子愛育会に対しまして、被災地の行政や関係機関と共同した取り組みを進める東日本大震災中央子ども支援センターの設置をするということとあわせまして、このセンターの下で、関連する職能団体、学会、民間団体などが支援方法を協議する協議会を設立することを要請いたしたところでございます。このセンター、そして協議会につきましては、十月二十七日付で設置される運びに至っているところでございます。

 また、厚生労働省といたしましても、被災県のニーズをより的確に把握するとともに、この中央子ども支援センターとの密接な連携協力をしっかり図っていかなきゃいけない、そういう観点から、雇用均等・児童家庭局内に、十月二十七日付で、新たに東日本大震災被災地子ども支援室を設置することといたしております。

 こうした取り組みを通じまして、子どもたちが安心して生活をし成長できるように、継続的な、きめ細かな対応を図っていきたいというふうに考えております。

川口(浩)委員 これから新たな取り組みが行われるということで、これは十分にその役割を発揮されますように期待をしているのでございますが、一番大切なことは、やはり一人一人の個人が少しでも心のすき間が埋められたかなと思われるような施策が実現されることをお願い申し上げます。

 次に、私は、学校歯科医といたしまして、二十五年以上にわたり、児童の口腔内健診を行ってまいりました。そんな中で、口腔内がひどく汚れており、治療を全く受けさせてもらえず放置され、歯が溶けてしまっている状態等も見受けてまいりました。児童虐待、ネグレクトが原因ではないかと思われる児童もおりました。

 歯科保健の向上のためにも、口腔内の状態をきっちりと把握し、児童虐待を防止していくことも非常に重要なのではないかと考えております。将来に不安を抱えた状態で、心の安らぎや落ちつきのない中での生活は、児童虐待やネグレクト増加の原因ともなるのではないでしょうか。

 いち早く児童虐待、ネグレクトを発見する手段としましては、口腔内の細菌の数や口腔内の汚染状況を計測する方法など、一回の検査が百円程度、そして所要時間も数十秒程度で計測が可能な機器もございますので、将来的には、医療機関、学校、児童相談所等のあらゆる機関で、そのような廉価かつ簡便な検査を活用していくなどの方法も役に立つのではないかなと考えております。

 そこで、学校の歯科健診による口腔内の状況把握に関して文部科学省としてはどのようにお考えになられているか、お尋ねさせていただきます。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 学校における児童生徒等の健康診断、この検査項目の一つといたしまして、学校保健安全法の施行規則におきまして、歯及び口腔の疾病及び異常の有無という検査項目が定められておりまして、各学校では、これに基づきまして、歯や口腔の状況についても健診をしているものでございます。

 また、学校歯科保健参考資料といたしまして、私ども文部科学省が作成し配付しております資料、「「生きる力」をはぐくむ学校での歯・口の健康づくり」という資料がございますが、この中では、児童生徒等の健康診断の進め方とか健康診断結果の評価と活用の方法、こうしたものに加えまして、児童虐待と関連する歯や口の所見についても解説を行っております。

 また、同じく私ども文部科学省で作成、配付しております養護教諭のための児童虐待対応の手引におきましても、保健室等における児童虐待の早期発見の機会と視点といたしまして、歯科健診が重要であるということも示しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、これらの資料の活用によって、学校における児童生徒等に対する口腔内の状況の把握が適切に行われますように、今後ともしっかりと周知してまいりたいというふうに考えております。

川口(浩)委員 いろいろな取り組みをされているのは重々承知しておりますが、まだまだ不足している部分もあると思いますので、今後ともひとつよろしく御指導をお願い申し上げます。

 そして、ネグレクトなどの児童虐待を未然に防止していくことに関して、歯科医師も積極的に関与していく必要があると私は思っております。

 現実の問題として、目は心の窓と言われますが、実は口の中は生活の窓でございまして、その人の栄養状況、食生活、それから不自然な歯茎の状況、あるいは顎骨の骨折等によりましても、本当に転んだものなのか、あるいは意図的に外圧というか暴力的な力で生じたものなのかは、専門家が見れば歴然とするものであります。

 そのような中で歯科医師が積極的にこういった問題に関与していくことに関して、厚生労働省としてはどのようにお考えになられているのかをお尋ねさせていただきます。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおり、児童虐待の未然防止に歯科医師の方がかかわることにつきましては、私ども大変大きな期待をしているところでございます。地域のさまざまな方の協力を得て、とにかく児童虐待があったら早期に発見をして早期に対応していくということが本当に必要なことでございますけれども、特に歯科医師の方は児童虐待を発見しやすい立場にある、これは本当に紛れもない事実でございます。実際にそういう歯科医師の方からの通告を受けて対応できたという実例がたくさんあるわけでございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、歯科医師の方に対して、虐待が疑われる子どもを発見した場合にはまずは児童相談所に適切につないでいただく、そのほか、医療機関から保健機関、児童相談所、市町村の児童家庭相談担当部署にも適切にこの情報提供がなされ、支援を行っていくことが大変重要だと思っております。

 このため、児童虐待に関係する府省庁そして関係団体から構成される国のレベルでの児童虐待防止対策協議会、そして市町村が設置する、関係機関が連携して虐待家庭等に対する支援を行うための、子どもを守る地域ネットワーク、要保護児童対策地域協議会というのが正式な名称でございますが、そこに対して歯科医師会や歯科医師の参画、協力を求めているところでございます。

 厚生労働省としましては、今後とも、歯科医師の方々にも児童虐待についてより一層の御理解や御協力をいただきながら児童虐待防止対策を推進していきたいというふうに考えております。

川口(浩)委員 ありがとうございます。

 おかげさまをもちまして、関係各位そして議員の皆様の御尽力によりまして、本年八月に歯科口腔保健法、歯科口腔保健の推進に関する法律が成立をいたしまして、施行されました。国民が、生涯にわたって、日常生活において歯科疾患を早期に発見し、早期に治療を受けることを促進することなどがうたわれております。

 ところで、今御答弁もありましたような問題を考えて、少し意見を申させていただきます。

 先輩議員の御尽力のおかげで平成十二年に成立いたしました児童虐待防止法でございますが、これは実は、第四条、第五条をよく読んでいただきますと、歯科医師という文言が入っていないのでございます。さきに、本年六月に成立をいたしました障害者虐待防止法案では、きちんと歯科医師と書いていただきました。

 学校歯科健診その他、虐待の疑いがある子どもを診た経験を持つ歯科医師のうち、実は通報に至ったのは一割しかないという報告もございます。今御答弁にありましたように、あらゆる場でネグレクト、虐待を把握しておる歯科医師は多数いるのでございますが、ぜひこういったような見逃しがないよう、児童虐待防止法の文言の改正というものも必要なのではないかと強く考えております。

 どうか委員の皆様、そして議員各位、関係者各位におかれましては、これは議員立法でございますので、ぜひ皆様方の御指導そして御理解のもとに改正の実現を見たいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、原発事故に関していろいろな問題が出ておりますので、その青少年部分に関してお尋ねをさせていただきます。

 福島第一原発の事故により、多くの子どもたちが放射性物質のいわゆる風評被害というものに苦しんでいる実態がございます。一番問題なのは、自分の出身地を堂々と言えない子ども。そして、転校しても、あらゆる誤解により、まあ親も悪いんだとは思いますけれども、不登校になる場合。本来の子どもらしい、笑顔にあふれた、伸び伸びとした姿が影を潜めて、何か悪いことをしているんじゃないか、罪を背負っているんじゃないかというようなおどおどした状態の子どもたちの姿を見るたびに、大変胸が張り裂けるというか、悲しい思いをしている部分がございます。

 風評被害、こういったものがある限り、被災地の子どもたちがしんから安住の地と言えるような環境は得られないのではないかと思っているのでございます。誤った知識による風評被害により、子どもたち同士の間で差別やいじめが起こるのは大変悲しいことでございます。

 このような課題に対して、政府の取り組み、文部科学省のお考えをお聞かせいただければと思います。

徳久政府参考人 今委員御指摘のように、被災した児童生徒が避難先で差別されたりいじめられるということは、あってはならないことであるというふうに考えてございます。そのため、児童生徒に対して放射線についての正しい知識を教育することが重要であるというふうに考えているところでございます。

 放射線に関する学校教育についてでございますけれども、中学校の理科の教科で、今年度から放射線の性質と利用ということにつきまして新たに教えることにいたしました。

 また、今回の原子力発電所の事故にかんがみまして、学校におきます放射線等の指導を支援するために、七月に全国の教育委員会の指導主事さんを集めた説明会を開催したのでございますが、その際に、放射線についての正しい理解を持つための資料を配付いたしまして説明するとともに、ホームページにも掲載したところでございます。

 さらに加えてでございますけれども、今月の十四日に、放射線等についての正しい理解を深めるために、放射線は風邪のように人から人に伝染することはありませんなど、放射線についての正確な知識を学ぶための、小学校、中学校、高等学校それぞれ別冊の、そういう副読本を作成して、ホームページに掲載するとともに、来月以降、学校の方に配付をすることを予定しております。

 また、このような副読本等を活用いたしまして、放射線に関する指導の充実を図るために、教員研修ということで、教員を対象とするセミナーを開催したりとか、また、学校を対象として、出前授業という形で出かけていって授業を行う、そういうような授業も実施をしているところでございます。

 今後とも、被災した児童生徒が受け入れ先、転校先においていじめられることを許さないように取り組みを推進するとともに、放射線に対する正しい理解を持つよう教育の充実に引き続き努めてまいりたいと考えております。

川口(浩)委員 本当に、心ない一言が子どもの心にはぐさっと突き刺さる場合がございますので、ぜひ、より一層心のこもった対応をお願いしたいと申し上げます。

 次に、去る十月五日に、アップル社の創業者でありますスティーブ・ジョブズ氏がお亡くなりになりました。マイクロソフトの創業者でありますビル・ゲイツ氏とともに、現在のインターネット社会の礎を築かれ、その功績は世界に知れ渡っております。

 私ども、学生時代や、つい最近まで、実はインターネットというものを全く存じない、無縁の世界に住んでおりましたが、インターネットの急速な普及によりまして、我々の生活は予想しなかった方向で利便性が向上し、しかしながら、それに伴い、さまざまな問題、そして犯罪も急激に増加しているようでございます。

 インターネットとは、スティーブ・ジョブズ氏とビル・ゲイツ氏のようなすぐれた開発者を育てるツールでもあり、しかしながら、使い方によっては犯罪者の凶器ともなり得ます。近年、ネット犯罪に巻き込まれる青少年が急増いたしております。これはやはり何とか食いとめる方策を考えていかなければいけないと思っております。

 蓮舫大臣の所信表明にございました、子ども・若者ビジョンの青少年インターネット利用環境等の整備の取り組みについてお尋ねをさせていただきます。

 情報リテラシー教育の必要性やフィルタリングの利用等について規定されております青少年インターネット環境整備法が平成二十一年四月一日に施行をされました。この法律に基づき、現在、政府全体といたしましてはどのような取り組みを実施されているのでございましょうか。

 法律ができたことはみんな知っていても、それがどのように具体的に効果をあらわしているのか、いま一つ理解されていない部分がありますので、青少年のインターネット環境整備に向けた現在の取り組みと大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

蓮舫国務大臣 委員御指摘のように、平成二十一年に施行されました青少年インターネット環境整備法に基づきまして各府省が取り組むべき施策を取りまとめた基本計画は、私たち、平成二十一年六月に取りまとめました。この基本計画に沿って、各府省がさまざまな施策を推進しております。

 例えば、ネットの適切な利用に関する教育や啓発の推進、青少年有害情報フィルタリングの性能の向上あるいは利用の普及、青少年のインターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等の支援、その他の施策としては、サイバー犯罪の取り締まりや違法・有害情報の削除等の対応依頼の推進、あるいはその推進体制をしっかりと整備していくということを計画に基づいて行ってきています。

 政府全体の最近の施策としましては、ことしの三月八日なんですけれども、コミュニティーサイトの利用に起因する犯罪から子どもを守るための緊急対策として、卒業や入学時の携帯電話の購入時期、子どもさんたちにこの時期に買い与える親御さんの事例というのが多いと見越しまして、この時期をとらえて、青少年の携帯電話にフィルタリングを普及させるための緊急対策を実施させていただきました。

 委員御指摘のとおり、やはり携帯電話あるいはインターネットというツールは非常に利便性が高い。特に、今の子どもたちには、ある種、本当に物心ついたときからすぐそこにある環境として整備をされておるものですから、メディアリテラシーの必要性はさることながら、親として、保護者として、あるいは教育者としても、フィルタリングで適切な管理というものを同時に行っていくことが私は必要だと考えております。

 こうした取り組みをした結果、平成二十三年度に携帯を購入した未成年、青少年のフィルタリング利用が七六・六%、これは去年のデータと比べ、去年の時点では六八・〇%だったので、若干上がっていると思います。ただ、やはりこれは一〇〇%になることが望ましいと思っておりますので、引き続き努力をしていきたいと考えております。

川口(浩)委員 一〇〇%になるのが望ましいという御答弁をいただきました。

 一番問題なのは、実は保護者であります私どもの年代ですね。思春期にはこういった便利なツールがなかったわけでございます。したがいまして、子どもたちが知らないうちに、こういう環境が生まれたときからあるというのが理解できない部分がございますので、その辺はぜひ、保護者に対する啓蒙を含めまして、より一段、しっかりと取り組んでいただければ幸いであると思っております。インターネットの脅威それからネット上のコミュニケーションルールをきちんと教育することが求められているのではないかなと考えます。

 ネット社会における犯罪、トラブルは急速に若年化しておりまして、その内容も、ビジネス同様、グローバル、全世界的な規模で多様化しております。ふとアクセスしたところが知らないうちに外国のとんでもないサイトへたどり着いてしまうとか、そういう場合もございます。しかしながら、さきの大震災においても、その現状をネットを通じて知り、心温まる支援や救助の手が無数あったというのも、これもまた事実でございます。

 インターネットというのは、その使い方によって、よくもなり、そして悪にもなる、善悪あわせ持った面があるというのが現実の姿であろうし、また、さきに述べましたように、天才を生み出すツールであることも事実でございます。

 ネチケットをきちんと教育していくことが、これからの時代、特に、そういった環境になかった保護者を含めますと、犯罪を未然に防げるということを申し上げまして、より一層、親の世代そして子どもの世代にきちんと目が行き届くような配慮をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

稲津委員長 次に、馳浩君。

馳委員 おはようございます。

 十月十六日から三日間、超党派の議員で、沖縄県の青少年問題を調査するために視察をしてまいりました。メンバーは、馳浩、あべ俊子が自民党、民主党から瑞慶覧長敏さん、玉城デニーさん、田中美絵子さん、共産党から宮本岳志さん、無所属の糸数慶子さんです。

 そこで、この視察の取りまとめをした結果をきょうは質問させていただきます。

 まず最初に、結論から質問いたします。

 内閣府の園田政務官に伺います。

 二〇一二年度からの新沖縄振興計画の中に沖縄子ども振興計画を明示して作成し、国も県も市町村も一体となって、沖縄県を子育て先進県とするために継続的財政措置で支援すべきと考えております。米軍基地問題と子育て環境支援問題は、沖縄県の未来を考える上において連結をしておりました。沖縄支援策の中心的政策課題としての位置づけを求めます。園田政務官の前向きな答弁を求めます。

園田大臣政務官 馳委員には、日ごろ、沖縄政策を含め、子ども・子育てに対しまして大変御尽力をいただいていることに心から感謝を申し上げたいと存じます。

 沖縄を訪れて、現地の皆様方、沖縄の県民の皆さん方を初め意見交換をされたというふうに伺っておるところでございまして、それを踏まえて、きょうは、沖縄子ども健全育成計画というものを盛り込んではいかがかという御提言をいただいたところでございます。

 政府といたしましても、御承知のとおり、来年の新たな沖縄振興策、三月の末でこれまでの振興策が切れますので、四月から向こう十年間の新たな振興策というところを政府を挙げて今取り組ませていただいているところでございます。

 その中で、やはり沖縄県を通じてさまざまな御提言をいただいておるところでございます。例えば一括交付金、これは民主党政権になりましてからも、全国で取り組んでいこうというふうに申し上げていたところでございますけれども、さらに、沖縄に関しましては、より自由度の高い、そしてまた全国に先駆けて先進的な部分をつくり出していこうということで、これもまた、来年の予算概算要求の中に、今の段階では事項要求でございますけれども、盛り込ませていただいているところでございます。地元の御意見も踏まえて、しっかりこの点については検討をしていきたいというふうに思っております。

 また、県からの要望が、先ほど申し上げましたように、沖縄政策協議会沖縄振興部会においてさまざまな御提言をいただきました。その中で、今までは、国が何か施策を行って、そしてそれを地方自治体にそのままお願いするという形でありますけれども、沖縄独自の振興策というものはやはり沖縄県が主体となってやりたいんだという御意見を強くいただいたところでございます。その点をしっかりと私どもとしては踏まえさせていただきまして、県が政策の策定の主体になっていただいて国が支援をするという方向性を今打ち出させていただいているところでございまして、法制的に検討をさせております。

 私は沖縄担当でもございますけれども、御指摘の沖縄における子育て支援の重要性については大変認識をさせていただいているところでございまして、これまでも、補助金の拡充であるとか、あるいはさまざまな施設の改善の上限額を引き上げる、そういったところを国としても取り組んできたところでございます。今後、子どもの福祉施設等の整備、そういったところもしっかりと継続して取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 また、来年の概算要求につきましては、認可外保育の施設の認可化やあるいは放課後児童クラブへの支援、これは今までになかったことでございますけれども、こういったところにも、必要な経費というところで、沖縄振興部局の中においては盛り込ませていただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、今委員からの御提言も踏まえて、今後の新たな沖縄振興策の検討に当たりましては、厚生労働省あるいは他の沖縄関連の部局も含めてしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っておるところでございます。

馳委員 まさしく沖縄の子育て支援という問題は米軍基地問題と連動しております。きょうはこの後るる申し上げますが、そのことを踏まえて、子育て支援にかかわっている福祉、教育、就労関係の皆さん方の現場の声を聞いた上で、沖縄子ども振興計画という位置づけで明確におつくりをいただき、十年間の継続した予算をつけるべきであるというのがきょうの私の結論でありますから、ここに至るために、では、質問をさせていただきます。

 まず、沖縄県保護司会、また法務省の保護観察官の皆さんとの意見交換でいただいた声を伝えたいと思います。

 まず一つ目です。補導された不良行為少年で、全国統計と比較した飲酒や深夜徘回や喫煙の割合はどうなっていますか。

岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十二年中におきます沖縄県の不良行為少年の補導人員でございますが、四万一千二百七十七人でありまして、このうち飲酒は千六百六十七人、深夜徘回は二万三千三百九十二人、喫煙は一万七百九十二人となっております。

 沖縄県におけるこれらの補導人員を五歳から十九歳の少年人口千人当たりの人口比に直して全国の人口比と比較をしますと、飲酒は全国の約六・九倍となり、深夜徘回は全国の約三・一倍、喫煙は全国の約二・二倍となっているところでございます。

馳委員 全事件に占める少年の割合は、全国統計と比較してどうなっていますか。

岩瀬政府参考人 お答えいたします。

 平成二十二年中の刑法犯少年の検挙人員でございますが、これは全国で八万五千八百四十六人となりまして、成人を含むすべての検挙人員の二六・六%を占めております。一方、沖縄県におきましては、同じく刑法犯少年は千百三十二人でありまして、成人を含むすべての検挙人員の二七・二%を占めております。

馳委員 毎年、青少年の補導件数で、深夜徘回は全国の三倍、飲酒は七倍に近い結果が出ています。さらに、低年齢からの非行発現、集団暴行事件も後を絶たず、沖縄の深刻な社会問題となっております。この状況を変えるには何が必要だとお考えになりますか。

岩瀬政府参考人 沖縄県におきましては、先ほど申し上げましたが、飲酒や深夜徘回で補導される不良行為少年の割合が全国と比べて高くなっているということでございます。このような刑法犯に至らない早い段階で少年を補導し、その健全育成を図ることが極めて重要と認識をしております。

 そこで、現在、沖縄県警察におきましては、少年による深夜徘回対策といたしまして、学校ボランティア等と連携をし、規範意識を高めるための非行防止教室の開催、農業や伝統文化活動を体験させる、あるいは学習支援を行うなどの居場所づくり、また、街頭補導活動の強化による早期発見、保護等の取り組みを推進しております。

 また、少年による飲酒対策といたしましては、非行防止教室においてアルコールの影響の危険性を理解させることのほか、関係業界に対しまして、酒類の販売、提供時における年齢確認の徹底について要請するとともに、酒類の販売、提供した違反業者などの取り締まりの強化に取り組んでおりまして、このような取り組みについて、関係機関の方々と協力しながら進めてまいるのが必要であるというふうに考えております。

馳委員 警察のこういう対症療法の対応はピントがずれているとしか言いようがありません。

 非行少年として生まれてくる者はおりません。なぜ非行少年となったか、なぜ再犯率も高く、成人後も犯罪に走るのか、そのプロセスをさかのぼると子どもを取り巻く状況が見えてくるのではありませんか。

 沖縄県の失業率、出生率、全国学力テストの成績は、全国平均と比べるとどうなっていますか。

竹澤政府参考人 御説明を申し上げます。

 完全失業率につきましては、平成二十二年平均で見ますと、全国の五・一%に対して、沖縄県は七・六%となっておりまして、全国で最も高くなっております。

 次に、合計特殊出生率につきましては、平成二十一年で見ますと、全国の一・三七に対して、沖縄県は一・七九となっておりまして、全国で最も高くなっております。

 次に、全国学力・学習状況調査におきましては、平成二十二年度調査におけます平均正答数を見ますと、沖縄県は、小中学校の全科目で全国平均を下回っており、全国でも下位に位置しております。

馳委員 沖縄弁護士会の平成十五年のある集団暴行事件に対する見解では、事件にかかわった少年らは、劣悪な育成環境にありながら、福祉的援助を受けることなく放置されたことで、暴力による制裁が正しいとする価値観が形成され、集団暴行事件が発生したと述べております。

 もちろん、そういう生育環境にあった者がすべて犯罪者になるわけではありませんが、ネグレクトや児童虐待も含めて、子どもたちの育成環境に責任を持つ親がいない場合の福祉的援助を支援すべきだと思われます。いかがでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、子どもたちの育成環境に責任を持つ親がいない場合の福祉的援助、これは大変必要なことではないかと考えます。特にネグレクトなどの児童虐待を含めまして、保護者が子どもの健全な育成に責任を持とうとしない場合には、これは保護者に監護させることが不適当と認められる要保護児童として、現在も児童相談所において適切な保護、または必要な支援を行うべきものと考えておりますが、もっと広く対策が必要になってくるというふうに考えております。

馳委員 浦添市の母子生活支援施設浦和寮の視察を受けて、質問をいたします。

 まず、沖縄県の離婚率は、全国平均と比べていかがですか。

伊澤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十二年人口動態統計の概数によりますと、人口千人当たりの離婚率は、沖縄県で二・五八、全国で一・九九と、沖縄県の方が高くなっておりまして、これは全国で最も高い数値となっております。

馳委員 若年結婚と若年離婚、そして再婚率の割合は、全国平均と比べて沖縄県はいかがですか。

伊澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、若年結婚でございますが、平成二十二年人口動態統計の確定数によりますと、婚姻件数のうち三十歳未満の若年者の割合は、夫では、沖縄県で四九・五%、全国では四五・五%となっております。また、妻では、沖縄県では五八・五%、全国では五七・八%。夫、妻のいずれも沖縄県の方が高い割合となっております。

 次に、若年離婚でございますが、離婚件数のうち三十歳未満の若年者の割合は、夫では、沖縄県で二二・一%、全国では一五・六%でございます。妻では、沖縄県では二七・六%、全国では二二・五%となりまして、こちらも夫、妻いずれも沖縄県の方が高い割合となっております。

 さらに、再婚についてでございますが、婚姻件数のうち再婚の割合ですが、夫では、沖縄県で二〇・七%、全国で一八・五%となります。妻では、沖縄県では一八・四%、全国で一六・二%となりまして、こちらでも、夫と妻いずれも沖縄県の方が高い割合となっております。

 以上でございます。

馳委員 大臣、何となく見えてきたように思いますが、若いうちに結婚し、離婚し、再婚の繰り返しが実はとても多いんですね。なぜそういう環境に置かれているかというところがこの青少年問題対策への実は肝になってくるということを御理解ください。

 では、さらにお伺いします。

 沖縄県のDVの保護命令件数は、全国平均と比べていかがですか。

團藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十八年四月から平成二十三年八月までの間の保護命令の発令件数でございますが、全国の地方裁判所の合計数が一万二千六百五十四件でございます。同じ期間におきます那覇地方裁判所の発令件数は三百十一件となってございます。

 全国平均をどういう形でとるかというのは非常に難しいところでございます。裁判所数の五十で割っても余り意味がないと思われますので、人口十万人当たりで除した概数で比較をしてみましたところ、おおよそ全国では九・八件となり、那覇地方裁判所管内では二十二件というふうになってございます。

馳委員 沖縄県にDV被害母子緊急一時保護施設はありますか。

石井政府参考人 沖縄県内におけるDV被害者の一時保護の委託契約施設数は八カ所となっているところでございます。

馳委員 委託ということで八カ所あるということを確認させていただきました。

 では、母子生活支援施設への入所条件はどうなっているのでしょうか。

 浦和寮でお伺いしましたら、入所条件が厳しいので、残念ながら、入りたくても入れないという御意見が多くありました。母子寮をふやせばいいという問題かというと、私もそうとも思わないのですが、ちょっと入所条件が厳しいのではないかなと思いました。いかがでしょうか。

石井政府参考人 まず、母子生活支援施設でございますが、これは児童福祉法第二十三条により、配偶者のない女子またはこれに準ずる事情にある女子が、その者の監護すべき児童の福祉に欠けるところがある場合において、その者から申し込みがあったときに保護をするというふうにされているところでございます。

 国としましては、実は議員御指摘のような入所の条件、国が定めているものではございません。母子生活支援施設の入所につきましては、県や市などの福祉事務所に申し込みのあった母子について、その生活実態など入所の必要性を個別に考慮して、福祉事務所が決定をしているというふうに聞いているところでございます。

馳委員 一点だけ申し上げます。これは、大臣も女性ですので、わかると思います。

 この母子生活支援施設に入所する条件として、門限は九時なんですね。夜の仕事はしちゃいけないんですよ。夜の仕事というと飲食業というふうに想像する方が多いんですが、介護サービス、沖縄は観光も盛んでありますから、観光、ホテル関係の仕事、それとサービス業、コンビニでのお仕事もありますね。できないんですよ。それをしていたら入れないんです。

 DV被害者も最近多いんですね。そして、母子寮に入りたい。しかし、施設の基準として、夜は門限、お母さんは九時なんですね。ここは国の基準ではないというふうにおっしゃいますが、私は、ここら辺はやはりもうちょっと見直しを検討すべきなのではないかなとお母さん方とお話をしていて思いました。大臣、どう思われますか。

蓮舫国務大臣 この件については、私は初めて知ったことが非常に多うございます。

 今、自治体が独自の判断で入れているということで、国で決めているわけではないということではございましたが、確かに、沖縄という特殊性を考えたときの九時というのが適切なのかどうなのか。

 ただ、他方で、母子ともに保護をされている立場ですから、子どもの健全な育成というのを考えたときに、子どもの就寝時間に合わせて母親がいるということも福祉の観点からは必要なのかなとも考えられるんですね。

 ですから、保護をして、そこから自立をしていくための支援もともに行っていくことを考えたときに、総合的に、この時間帯が本当に適切なのかどうなのかは、時間だけを取り上げるんじゃなくて、全体的な子どもの福祉と自立をあわせて考えなければいけないなと思ったところです。

馳委員 大臣、勘が鋭いですね。

 夜も子どもを預かるサービスがあればいいですねという、一応懇談の中での意見もありましたが、DV被害者、母子の生活実態を考えれば、夜、お母さんがそばにいることがいかに必要かということを考慮すれば、なかなか難しい問題なんです。そうすると、次に焦点となってくるのが職員の配置基準の問題なんですね。

 母子生活支援施設の職員配置基準はどうなっていますか。その基準が決められたのはいつですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 母子生活支援施設においては、施設長、嘱託医、調理員等のほか、母子支援員及び少年指導員の基本配置について、措置費上は、昭和五十七年に、二十世帯未満の施設ではそれぞれ一名、すなわち母子支援一名、少年指導員一名、そして、二十世帯以上の施設ではそれぞれ二名に定められているところでございます。

 その後、平成十三年に心理療法担当職員、平成十六年には個別対応職員、平成十九年には定員四十世帯以上の施設の非常勤職員の配置が措置費上の加算の対象とされております。

 一方、児童福祉施設最低基準における最低基準は、本年の六月の改正におきまして、これらの措置費上の配置を最低基準に反映をさせまして、まず一点としまして、二十世帯以上の施設の母子支援員及び少年指導員の数はそれぞれ二人以上とし、また、母子十人以上に心理療法を行う場合には、心理療法担当職員を配置しなければならないとしたところでございます。

馳委員 母子寮の運営については、厚生労働省の基準、ガイドラインというのはありますか。

石井政府参考人 母子生活支援施設については、児童福祉施設最低基準におきまして、設備や職員の最低基準、自立支援計画の策定などを定めているところでございます。

 また、ことしの七月に取りまとめました社会的養護の課題と将来像におきましては、母子生活支援施設は、施設による取り組みの差が大きく、また、住む場所の提供にとどまる施設も多いことから、すべての施設が、母に対する支援、例えば入所者支援機能を充実させていく必要があるということで、例えば、生活、子育て、就労の自立支援だとか、あるいはDVを受けた母親の心のケアだとか、そういったような母親に対する支援、子どもに対する支援、虐待の防止、母子再統合の支援、さらにアフターケア、地域支援などを充実する必要があるとしているところでございます。

 この取りまとめでは、施設種別の施設運営指針を作成することを盛り込んでおりまして、現在、母子生活支援施設につきましても、運営指針を策定するための検討ワーキングを開催いたしまして、今年度中を目途につくるということで作業を進めているところでございます。

馳委員 石井さん、丁寧に御答弁をありがとうございます。

 大臣、そのとおりなんですよ。運営の指針がないんです。そして、ないからだめと言っているんじゃなくて、とりあえず、最低限、居室を提供するサービスはできているんです。ただ、一番重要な自立支援の部分と心のケアの部分に対する支援が全くできない。また、ほとんどできない。できているところも数少ないですね。ここの支援をしないと、母子寮のお母さんもお子さんも本当に自立していくことが難しいということなんですね。

 そこで、次に、入所三年経過後の退所において、何かトラブルはありませんか。例外延長はどのくらいありますか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 母子生活支援施設の入所につきまして、国としては入所期間を定めることはいたしておりません。ただ、各自治体の独自の判断により、一定の期間を定めている自治体もあるというふうに承知をいたしているところでございます。

 入所期間を延長した件数などについては、まことに申しわけないのでございますが、把握をいたしておりません。

 ただ、各自治体において、個々の母子の生活状況などから、必要に応じて延長の判断を行う、これが原則でございます。

 また、施設退所の際のトラブルについては把握をいたしておりませんけれども、浦添市の施設では退所の際ではなく入所中のルールに関するものが多いというふうに聞いているところでございます。

馳委員 母子寮に入寮をしますと当人の費用負担はありますか。全額支払われておりますか。

石井政府参考人 母子生活支援施設の運営費は公費で賄われているところでございますが、母親の所得税額等に応じて費用徴収をする仕組みとなっております。しかしながら、低所得世帯が多いことから、自己負担は極めて低くなっておりまして、平成二十年度の調査におきましては、八五%の世帯は自己負担免除となっているところでございます。

馳委員 ちなみに、この浦添市母子生活支援施設浦和寮の建設予算は、どの予算を使って建てられているか、御存じですか。

石井政府参考人 まことに申しわけございません。準備がございませんで、お答えできません。

馳委員 いや、私は質問通告していませんから、準備がないのは当たり前なんです。

 これはぜひ委員の皆さんも御理解いただきたいんですが、大臣、これはSACOの経費で建てられているんですよ。だから、これが沖縄の特殊事情の一つなんですよ。

 大変立派です。そして警備員もいます。当然ですね、DV被害者が多うございますから、会わせろと言って夜中にやってくる男の人も多いので、二十四時間警備体制が整っています。コンクリート建てです。一階では学童保育の提供もいたしております。

 したがって、この浦添市の浦和寮というのは、極めて沖縄県においても入りたくて、ほぼ満床なんですよ。だけれども、沖縄県内にはこういうのは一カ所しかございません。そして、御存じのように、SACOの経費で土地代も建設費も賄っておりますので、全国どうなのかということを比べると、恐らくこの浦和寮のような施設はほとんどないと思われ、石井さんもおっしゃいましたが、居室サービスで精いっぱいなんです。施設を管理するだけで精いっぱいなんです。お母さんの自立、子どもの自立、そして、ここまで言っていいかどうかわかりませんが、発達障害関係のお子さんも実は極めて多うございまして、この方々に対する個別支援プログラムなどもありません。

 ここの取り組みというものが、園田政務官、だから私は沖縄の子ども振興計画を明示してつくるべきだと言ったのは、実はここがポイントなんですね。

 次の質問に移っていきたいと思います。

 里親ファミリーホームみんなの家、ここは神谷眞行さん、梅代さん御夫妻が運営しておられます。ここの訪問を受けての質問といたします。

 沖縄県の里親委託率は全国平均と比べてどうなっていますか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の里親等委託率は、平成二十二年三月末現在、一〇・八%でございます。対しまして沖縄県でございますが、沖縄県の里親等委託率は二五・二%で、都道府県別では全国第三位の高さでございます。

馳委員 沖縄県には、虐待された児童を治療する通所対応の情緒障害児短期治療施設はありますか。

 被虐待児が十分な治療がされないままに里親に委託措置されており、里親の苦労は並大抵ではありません。つまり、あいさつを初め、本来親がすべきことの最初から教え直しなのだそうであります。

 沖縄県の情緒障害児短期治療施設の整備計画はどうなっておりますか。お伺いします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県では、現状におきましては、情緒障害児短期治療施設が設置はされておりません。ただ、次世代育成支援推進法に基づきまして、各県において平成二十二年度から二十六年度までの間を計画期間とする後期行動計画が策定をされておりまして、沖縄県でも沖縄県子ども・子育て応援プランというのがございまして、その中で、情緒障害児短期治療施設を一カ所整備する目標があるというふうに承知をいたしております。

 国といたしましては、都道府県に最低一カ所は必要ではないかということで、ビジョンの中で、二十六年度までの数値目標を四十七カ所として設置の推進を図ってきておりますが、ただ、人口の多いところでは複数設置も必要だろうということで、先ほど申し上げました本年七月の社会的養護の課題と将来像では、将来五十七カ所程度を目標としているところでございます。

 ただ、沖縄県の担当部局から聞きましたところ、現時点におきましては、その一カ所整備目標はございますけれども、具体的なものまで至っていないというふうに聞いておりますので、今後とも、沖縄県に対しては、その必要性等につきまして働きかけをしていきたいというふうに考えております。

馳委員 園田政務官、ここなんですよ。必要性は沖縄県当局もよくわかっていますが、やはり予算との見合いで具体的な計画ではないんです。

 だから、二〇一二年度からの沖縄振興計画、一括交付金の話もありますが、私は、子ども振興計画というのを明示した上で、情緒障害児短期治療施設の設置を速やかに求めたいということなんですね。園田政務官、いかがですか。

園田大臣政務官 お答え申し上げます。

 御指摘本当にありがとうございます。私どもも、これまでの沖縄振興策、過去四回にわたり行われてきたわけでございますけれども、その中身を見ておきますと、どうしても公共インフラのところに集中してしまっていた。それは、沖縄の過去の歴史の特殊事情からするとごく当たり前の振興策であったというふうに私も理解をいたしております。だからこそ、今後の新たな振興策の中においては、やはり人に対する、あるいは今御指摘をいただいた子どもに対する支援というものを重点的に行っていきたいということを私どもも求めさせていただいているところでございます。

 その観点の中で、沖縄県と今までさらに検討を進めてきた結果が今の方向性になっているわけでございますけれども、その充実策という点で、きょう馳委員からも御指摘いただいた点も踏まえて、今後の子ども・子育ての充実策という点で何かできるかというところはさらに考えていきたいというふうに思います。

馳委員 沖縄県里親会では、里親支援専門員を里親会の組織の中に配置してほしいとの強い要望でした。沖縄県の里親会は、法人化されて、しっかりとした組織があるそうですね。厚生労働省の基準では、児童養護施設の中でなければならないかのように指摘されておりまして、ここは都道府県の事情、または里親会の組織体制などを配慮しながら、里親会の中に里親支援専門員を配置していただきたいと存じますが、いかがでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 里親支援専門員の果たす役割は大変大きなものがあると考えております。

 本年七月に取りまとめられました社会的養護の課題と将来像では、施設に地域支援の拠点機能をまず持たせ、里親に対する相談などの支援体制の充実を図るために、まず乳児院と児童養護施設に里親支援担当職員を配置することとして、これを踏まえまして、平成二十四年度の概算要求にも盛り込んだところでございます。

 施設に対する里親支援担当職員でございますけれども、これは施設内の業務を行うわけではございませんで、地域での里親家庭の訪問相談などの、まさに里親支援の活動を行うことを想定いたしております。

 里親会の活動に対する支援もその業務の一部と考えているところでございまして、各都道府県の実情を配慮いたしまして、里親会と十分連携をして配置していただくようにお願いをしているところでございます。

 なお、本年四月の実施要綱の改正によりまして、児童家庭支援センターの役割に里親支援を位置づけております。したがいまして、地域の里親会、沖縄などは法人格を持って立派なところだと議員御指摘いただいたわけでございますが、仮にそこが児童家庭支援センターを設置した場合には、里親支援を含む業務を行うためにセンターの職員三名を配置することができることになっておりますので、こうしたものもぜひ御検討いただければありがたいなというふうに考えております。

馳委員 里親さんのもとで生活できるのは何歳までですか。その後に帰るおうちがないのではありませんか。どうすればよいとお考えですか。

石井政府参考人 児童福祉法では、都道府県が要保護児童の養育を里親に委託することができるのは、児童が満十八歳になるまでとされておりますが、児童が満二十歳になるまで委託を継続する措置をとることも可能となっております。

 また、実際の里親の家庭では、措置解除後もつながりを持って、いわば実家のような役割を持ち続ける里親さんも少なくないというふうに聞いているところでございます。

 このほか、措置解除後の自立支援に対しましては、措置解除された子どもに対して、住居の提供や就業・生活相談を行う自立援助ホームや、あるいは就職などの相談ができる場、あるいは同じ悩みを抱える者同士が集える場を提供する退所児童等アフターケア事業などを推進いたしているところでございます。

馳委員 これは、里親さんのもとを離れると同時に、児童養護施設、十八歳を過ぎてからの問題と同レベルの問題であります。これは後ほど、また質問いたします。

 NPO法人のサポートセンター、ゆめさきというところを訪問しての質問をいたします。

 沖縄県のニート率は全国平均と比べていかがでしょうか。お伺いしましたら、沖縄県ではおよそ二万五千人の若者が不登校やひきこもりで困っているそうですが、いかがでしょうか。

桑田政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、いわゆるニートの数につきましては、総務省統計局の労働力調査に基づいて算出してございますけれども、それによれば、平成二十二年の全国のニートの割合、これは十五から三十四歳の人口に占めるニートの割合でございますけれども、それは約二・一%となってございます。

 ただ、この労働力調査では、調査を見る限りにおいては都道府県別のニートの数というのが出されてございませんので、大変申しわけございませんけれども、沖縄県におけるニートの割合というのは私どもとしては持ち合わせてございません。

馳委員 委託事業、合宿型若者自立訓練、これは平沼経産大臣のときにお始めになりました旧若者自立塾でありますが、現在どのような事業として地域に定着していますか。お聞きすると、平成二十三年六月まで行われて、その後は終了というふうに聞いておりますが、間違いありませんでしょうか。これは何か事業仕分けされたんじゃなかったでしたか。その経緯と、今後どういうふうな形として地域に定着をさせていくかが問題なんですね。お伺いします。

桑田政府参考人 お答えいたします。

 確かに、平成十七年度に始まりました若者自立塾事業につきましては、事業仕分けの評価も踏まえて、二十一年度末をもって廃止ということにいたしたわけでございますが、その後、今御指摘の合宿型若者自立プログラムでございますけれども、これについては、いわゆる私どもがやっておりました基金訓練のメニューの一つとして、ニートなどの若者の方々を対象として生活訓練を含む職業的自立支援を実施していた、そういったものでございますが、これは御指摘のとおり、平成二十三年六月末に開始されたプログラムをもって、それを最後として終了したところでございます。

 ただ、一方で、ニートの方々の自立に向けて生活訓練をきちっと支援するというのは引き続きとても重要な政策課題だというふうに考えてございますので、平成二十三年度からは、地域若者サポートステーション事業という事業がございますけれども、これを機能強化いたしまして、例えば生活習慣を身につけていただいたり、あるいはコミュニケーション能力を向上させていく、そういったことに向けての訓練の支援を行うこととしております。

 これによりまして、それを受けていただいた受託事業者の皆様方におかれましては、地域のさまざまな関係する機関と連携しながら、ニートの皆様の自立支援に取り組んでいただいているところでございます。

馳委員 ここは、私の見解を含めて、大臣にちょっとお伺いしたいと思います。

 ポイントとして、学校から職業への移行と指摘されますが、学歴社会において若者の職業自立を先送りしてきたツケが回ってきているのではないかと考えています。長くなった学校在籍と親がかりの青年期をどのように終結させて、社会人としての一歩を踏み出すかという問題です。身体の基本的なコントロール、日常生活スキルの獲得、コミュニケーション手段の学習、他者との社会的関係を形成する能力、価値基準、これは金銭や恋愛や家族観などなどの価値基準、こういったことの学習などがニートに必要な支援かと私は思っております。

 大臣としての見解を求めます。

蓮舫国務大臣 まさに今さまざま列挙をされましたが、ニートの方がなぜニートになられたのか。その家庭環境及び個人の特性ですとか性格ですとか、あるいは育ってきたそのお子さんの環境によるものが随分大きいのではないか。

 どうしても行政の枠組みの中では、ニートと一くくりで固めてしまって、そして総合支援的なプログラムをお渡しして自立を促していきたいという形になりますけれども、ここは今委員が御指摘したような、実際に実施する段階においてきめ細かな、まさにオーダーメード的な支援をしていかなければ、それぞれの職業観念といいますか、どこかでニートを断ち切って一歩外に出ていくための後押しというのは、全員同じ形で支援をするのは難しいのではないかと私は思っております。

馳委員 次に、学童保育の質問をいたします。

 那覇市と浦添市の四カ所の学童保育、放課後児童クラブの施設を訪問してまいりました。

 沖縄県で、放課後児童クラブの長時間開設加算の基準はどうなっているんでしょうか。その基準は妥当とお考えになるのでしょうか。どうも放課後児童クラブの開設の基準があって、それより早く、またおくらせるという延長の基準もあるんだそうです。財政的な問題があって、余り長時間開設を認めてもらえなくなってきたんだそうですよ。そういうことを私は今ここで質問しようとしているんです、園田さん。

 要は、長時間開設加算というのは沖縄県にもあるんですよ。各市町村でやっているんだそうです。そういったところで、できるだけ学童保育でも長時間を望む保護者も多いわけですよ、やむを得ず。母子家庭などもそうですね。そうしたときの長時間開設加算を容認できるように、こういうところも一括交付金の使い勝手のよい交付金が欲しいなという本音のところなんですね。いかがですか、園田さん。

園田大臣政務官 今私どもで、沖縄県からの御要望も踏まえまして、来年の概算要求の中に盛り込ませていただいている事業の中を一つちょっと御紹介させていただきます。

 先ほど少し私も口走って申し上げたところがございますけれども、沖縄子ども育成特別対策事業という形で、今十七億三千万円ほど、概算要求、要望額として上げさせていただいております。その中で、子育て環境の改善という点を挙げさせていただきまして、先ほど少し申し上げた認可外保育の施設への支援と放課後児童クラブの支援ということで、これは、現段階においては、保育料の低減を目的とした家賃補助をこの中で実施させていただきたいということで盛り込ませていただいているものでございます。

 そのほかに、委員御承知のとおり、一括交付金も踏まえて、子育て支援というところが沖縄県の皆さん方からの御要望としていただいておりますので、そこも含めて、何か支援ができるものがないかというところは少し検討をしてみたいというふうに思います。

馳委員 沖縄県の学童保育の施設利用料金の平均は幾らで、全国と比べていかがですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十年度の地域児童福祉事業等調査によりますと、放課後児童クラブにおける月額利用料金を、例えば一万円以上の料金を取っている施設の割合で比較をした場合に、全国では一六・一%であるのに対して、沖縄県では六一・五%と、全国に比べて高い状況となっております。

馳委員 施設利用料金をもっと下げるためにも、小学校の敷地や学校施設内に設置すべきではありませんか。全国平均と比べて、沖縄県での小学校内での施設設置状況はどうなっておりますか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブが小学校の敷地や学校施設内に設置されている割合の全国平均は、平成二十三年五月一日現在で五一・一%でございます。対しまして、沖縄県ではこの割合が六・六%でございまして、全国平均よりかなり低い状況となっております。

 学校施設の利用につきましては、これまでも文部科学省と連携を図り通知などを出してきたところでありますので、引き続き連携を図っていかなきゃいけないというふうに考えております。

馳委員 歴史的な背景から、保育に欠ける幼児も、多くが公立幼稚園に在籍しています。小学校に隣接している公立幼稚園です。しかし、午後の預かり保育の実施が十分ではないため、放課後児童クラブが幼稚園児を受け入れざるを得ない実態が沖縄にはあります。これが沖縄県で放課後児童クラブを利用したくても利用できない根本理由です。

 大臣、御存じでしたか。

蓮舫国務大臣 正直、知りませんでした。

 今回、この質問通告をいただいて、資料を調べました。沖縄県において公立幼稚園が預かり保育を実施している割合は約六割、これは人数の実績を見ますと、平成二十二年度、十五市町村において五百九十八人。一般的に、学童保育クラブといいますと小学校の低学年が利用できるものなんですが、なぜ沖縄でと思ったところなんですけれども、これは沖縄だけが特例措置なんですね。特例措置として、放課後児童クラブで幼稚園児の受け入れを認めている。

 そうなると、特例で幼稚園児を見ていますと、本来見てもらいたい小学校の低学年のお子さんが入れないということになりますから、これは非常に難しいのは、例えば、保育園が終わって学校に行ったとき、親御さん、特に片親あるいは共働きの保護者にとって一番きついのは、預かってくれる場所がいきなりなくなるわけなんですね、六歳から七歳になっていきなり自立するわけではありませんから。そう考えると、馳委員の問題意識は非常に重いものと、私も今回、質問通告をいただいて受けとめたところでございます。

馳委員 実は、ここがきょう私が一番言いたかったポイントのところなんですよ。なぜ特例措置になっているのか。なぜ沖縄県だけ公立幼稚園が小学校の敷地に隣接してあるのか。アメリカがつくってくれたんですよ、占領時代に。ところが、給食を出すことができないから、公立幼稚園という形で終わってしまったんです。

 当然、五歳児は、給食がなければ、放課後というか、午後はどうするんでしょうか。まさしく片親や共働き家庭は行き場所がないんです。幸いにも、沖縄県特有のユイマール精神で、近所の皆さん方が子どもたちを誘ってくれたり、あるいは地域の青年会というところが子どもたちの面倒を見てくれたりしていたんですが、そういった枠からもはみ出す、はみ出さざるを得ないような子どもたち。子どもたちに責任があるのではありません、親の問題なんですね。

 そして、ネグレクト状態の子どもたちが中学生になったらどうなるか。警察のおっしゃるとおりです。高校、大学と進んだらどうなるか。警察の皆さんがおっしゃるとおりです。早く結婚して、早く子どもを産んで、早く離婚をして、また再婚をして、それを三回、四回繰り返しているんですよ。

 こういう実態が全国と比べても異常なほど多いという背景を踏まえた上で、園田さん、あなたに、新たに子ども振興計画を沖縄県につくってほしい、それを国としても応援してほしいというのはそういうことなんですよ。

 次の質問に移ります。

 児童養護施設、島添の丘訪問を受けて質問いたします。

 十八歳を過ぎてからの自立支援のメニュー拡充が必要ではないかと思っています。とりわけ運転免許取得のための支援が必要ではないかと思います。

 全国の自治体で、運転免許取得や資格取得やアパート入居支援や家庭復帰支援など、具体的な自立支援をしている実例があったら教えてください。政府としても、この十八歳以降の自立支援を制度化して応援をしていくべきではありませんでしょうか。児童虐待防止法の前回改正のときにも、これは積み残しの課題として附則に書いてありますが、まだ、残念ながら十分な手は打っておりません。厚生労働省としての現状の認識をお伺いしたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 幾つか御質問をいただきましたので、順番にと思っております。

 まず、自立支援のための自治体独自の支援でございますけれども、進学や就職の際に、国の基準で支給される金額のほか、自治体として加算とかあるいは入学金等の支給を行っている事例がございます。具体的には、高校などに入学した児童に対し措置費に上乗せをして奨学金や入学金を支給するもの、運転免許の取得のための実費を補助するという例、あるいは、就職支度費及び大学等進学支度費の国の基準に加算をしている例、さらには、賃貸住宅を貸借する場合に敷金、礼金の実費などを補助しているもの、こういったような例がございます。

 このほか、就業支援や一人で生活するに当たっての訓練を実施している例としまして、退所が間近な児童に対して施設の近くの住居を借り上げるなど、ひとり暮らしの訓練を行うものもございます。そういった例もございます。

 自立に役立つ資格として、先ほど議員から、ぜひ運転免許の取得についてというお話でございましたが、現在のところ、自立に役立つ資格取得として、高校生の特別育成費の改善というのを行っております。中身としましては、英語検定とかあるいは簿記検定などを想定いたしているところでございますが、運転免許の取得についても今後検討してまいりたいと思っております。

 そして、自立支援の制度化という点でございますけれども、差し当たり、本年七月に社会的養護の課題と将来像を取りまとめておりまして、その中でも、自立支援の充実を図るということはきちっとうたっております。

 平成二十四年度の概算要求におきまして、若干、先ほど前後して申し上げましたが、自立に役立つ資格取得等のための高校生の特別育成費の改善や、就職や大学等進学のための支度費の引き上げを要求しているところでございます。

馳委員 ここは、私たちはもう十年間、児童虐待防止法の改正に取り組んできましたが、小宮山洋子大臣、また、今は世田谷区長になっちゃいました保坂展人さん、ここが物すごく気になっている。だけれども、余り国が前のめりになるのもどうかなということで、ずっと附則に残してきたという経緯があるんですね。大臣からがみがみ言われる前に、どんどん前向きにつくっていただきたいと思います。

 次に、児童養護施設の職員配置基準は子ども六対職員一のままであります。これでは、実質一年三百六十五日、一日二十四時間対応する施設の配置基準としては過酷ではないかと思いました。

 基準を緩和すべきではありませんか。島添の丘でも、非常勤職員が多く、それも三交代であるので、施設長は、職員の定着率が低いと嘆いておりました。恐らく平成二十四年度の予算要求では、ここは五・五対一になっているのではないかなと思いますが、人の数をはかるのに五・五とかというのも何だかなと思いますね。まさしく専門職員をふやす、あるいは保護者対応の職員を専門的に配置する、いろいろ工夫をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

石井政府参考人 現行の児童指導員等の六対一の人員配置につきましては、もう議員御指摘のとおり、交代勤務の中では、結局、職員一人が十八人のお子さんに対して対応しなきゃいけない、そういう体制でございまして、虐待などで心に傷を負った子どもさんに対する十分なケアというのは困難でございます。人員配置の引き上げというのは必要だというふうに私ども認識いたしておりますし、小宮山大臣が副大臣時代から、これはしっかり取り組めということで、私ども検討体制を組んで、何をしていこうかということでいろいろ議論してきたところでございます。

 その完成物が、本年七月に取りまとめられました、先ほど来何度か申し上げております社会的養護の課題と将来像という報告でございまして、この中で、児童養護施設の基本配置につきまして、小学生以上を現行の六対一から四対一に、三歳以上小学生未満の幼児を四対一から三対一に、そして一歳児を二対一から一・三対一に、そしてゼロ歳児を一・七対一から一・三対一にそれぞれ引き上げることを目標水準としたところでございます。

 平成二十四年度の予算要求では、まず、その段階的な取り組みといたしまして、児童養護施設の基本配置について、小学校以上を、議員御指摘のとおり、五・五対一に、そして、ゼロ歳児及び一歳児を一・六対一にそれぞれ引き上げることを要求いたしているところでございます。

馳委員 島添の丘入所の子どもたちは、現在、六十六名中八割が被虐待児でありました。とても退所後に家庭復帰は望めそうにありません。

 退所児童の支援イコール自立支援のための予算、これを継続的に支援すべきではありませんか。これは園田政務官にお伺いしたいと思います。

園田大臣政務官 今の御指摘、大変私も重く受けとめさせていただきました。

 私も青少年特別委員会に所属をさせていただいたときに、この児童虐待の部分、国と関係部局がしっかりと連携をとって保護していくべきであるというところを申し上げてきたところでございます。

 親の支援プログラムというのは、やはり義務づけというところが、今の枠組みの中でどういう形でできるのかというのは少し検討してみないといけないというふうに思っておりますけれども、当然ながら、子どもを保護するだけではなくて、御指摘のように、親に対するいわば相談支援、教育支援、あるいは環境に対してもしっかりと見ていく必要があるのではないかなというふうに思っておりますので、そういった点も含めて、関係のところとはしっかりと連携をさせていただきたいというふうに思っております。

馳委員 最後になりますが、大臣、この一時間を通じて多分お気づきになったかもしれませんが、私は、親責任についてはきょうは余り触れませんでした。親責任のあり方については、あえて実は触れなかったんです。

 そこは触れたいところではありますが、そうはいっても、沖縄県の米軍基地との共存、共栄と言ったら失礼ですね、米軍基地との共存の中で、失業率も高い、そして、まさしく子育て支援の福祉的な環境が劣悪である、放置された子どもたちがどのように成長していっているのか、若年結婚、離婚、再婚の繰り返しの中で、学力も残念ながら低いままである。だから、福祉、教育、就労、そういった支援を一体的に、計画的に、継続的な財政支援のもとでやっていく、そういうセーフティーネットが必要ではないかということを申し上げました。

 少子化担当大臣として、蓮舫大臣も、乳幼児の時代、就学前の時代、小学校低学年の時代、小学校高学年と中学校との連携、そして、就労に結びつく高校生から大学、専門学校への時代、こういったつながりのある支援が、私は蓮舫大臣が総合計画として支援していく責務だと思っています。

 私はなぜ沖縄県を取り上げたかというと、沖縄県を子育て先進県にすることは、我が国の子育てを根本的に支えることにつながると信じているからです。

 改めて大臣の見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

蓮舫国務大臣 きょうはありがとうございました。

 どうしても数字だけを見ますと、沖縄といいますと、出生率が高いというところが印象に残るんですね。どうしても政府の目標としては、少子化だから出生率を上げようという数値目標的なところに走りがちです。ただ、その細かい中身を今教えていただきました。出生率が高いから、では、全員が幸せか、親子が本当に幸せで、そして子どもが自立をして、親が働きながら子育てをできるような環境かというと、そこはある種、特異な事情があるというのもよくわかりました。

 沖縄は直接私の担当ではございませんが、まさに少子化担当という形で、子ども・子育てビジョンに応じて、税制改革も含めて、社会保障と税の一体改革の中で来年度以降ここは対応していきたいと今取り組んでいるところでございますので、委員の御指摘の事例というのは私の頭の中に今入れさせていただきましたので、取り組みをさせていただければと思っております。

 ありがとうございました。

馳委員 終わります。

稲津委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

稲津委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。あべ俊子さん。

あべ委員 自由民主党、あべ俊子でございます。

 きょうは蓮舫大臣に幾つか、所信を受けましての質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、大臣、児童ポルノの日本の実態について今どのように考え、また御存じでしょうか。

蓮舫国務大臣 児童ポルノに対する国際的な取り組みというのが国連を中心に極めて積極的に行われていることは認識しているところでございます。

 翻って、我が国におきましては、特にここ数年間の急速なインターネット環境の広がりを踏まえまして、あるいはお子様の携帯電話の保有率の高まりに伴いまして、また一方で親御さんのフィルタリング等への認識がまだそう高くないということも相まって、残念ながら、児童ポルノ取り締まりという関係で先進国というレベルまでは行っていない、ここは政府で取り上げて各省の調整をして、しっかりと取り組んで改善をしていきたいと認識をしております。

あべ委員 世界から批判されているということはかなり長く続いておりまして、特にG7の先進民主主義国の中で処罰をしていないのは日本だけであるというのは言うに及ばず、ICMEC、児童誘拐、児童の性的搾取などの問題にグローバルに取り組んでいる団体が二〇一〇年に発表いたしました二〇〇九年次の調査によりますと、既に世界百九十六カ国中七十四カ国で児童ポルノの単純所持の処罰化を行っています。EU諸国では、既に単純所持どころか、意図的に児童ポルノのサイトにアクセスすることを処罰化していく方向であります。

 ところで、大臣、二〇〇九年に自民党と公明党が児童ポルノ法の改正案を出しました。当時野党でありました民主党とぎりぎりでやっと話し合いがついたところで解散になりまして流れてしまったものでございますが、先般の国会で自公案と民主党案が対立しています。これは単純所持の部分が特に大きかったわけでございますが、大臣、民主党が出した案をごらんになったことはございますか。

蓮舫国務大臣 今回の質問通告をいただきまして、改めて概要というのを、御党と公明党が出されているもの、私どもが出しているもの、今委員が御指摘の部分で、御党が出されているものは、児童ポルノを所持し、これに係る電磁的記録を保管してはならないとなっておることに対して、我が党の出している案に関しましては、児童ポルノまたはこれに係る電磁的記録等を有償でかつ反復して取得したもの、これに対しては罰金刑をもたらす、御党のには罰則がないというふうに理解をしております。

あべ委員 単純所持に関して有償かつ反復でなければ罰しないというふうにしている民主党案について、大臣はどうお考えですか。

蓮舫国務大臣 あべ委員にまず前もって申し上げておきたいのは、この法案の作成に私自身が携わっておらなかった、またこのときに所管の担当をしておらなかったものですから、必ずしもその経過というのは、申しわけございません、民主党を代表して私が負っているわけではございません。

 ただ、委員、ここはやはり相当微妙なやりとりといいますか、どちらの立場に立つ、例えばイメージで言いますと、私も子どもを持つ親でございますから、あるいは何らかの形で自分の子どもが被害に遭った場合を考えたときに、単純所持そのものだけでも、やはりそれは許しがたい。これは親としても、大人としても、当然そう思うわけであります。ある種、先ほどおっしゃったような、児童の性的搾取や性的虐待の一環だと思っているわけです。

 ただ、他方で、何らかの形で、犯罪なのか、ターゲットになるのか、いじめなのかわかりませんけれども、今はメールが簡単に送信される時代になりました。そこに画像や動画も簡単に添付されるようになりました。メールアドレスが簡単に第三者に取得をされるという、あってはならないような、情報が漏れるという時代にもなりましたので、偶発的に手にした映像、自分に思いのないものを手にしたところで、それを所持と言われることが人権と関係してどうなのかなというのは、率直に思うところでございます。

あべ委員 おっしゃるとおりでございます。ここのところは非常に複雑なところでございますが、しかしながら、ただであれば、かつですから、何回繰り返してもただであればいいのか。

 例えば、ある子どもは入浴中の写真を盗撮されてしまった。それがネット上に流れるのではないか。小学生が、本当にいつも、自分の裸体がさらされるのではないかとネットを検索し続け、このままではお嫁に行けないというふうに悩んでいる子たちもいるやに聞いています。そうすると、有償でなければいいのかということに対して、大臣はどうお考えでしょうか。

蓮舫国務大臣 各党が国会に提出しているその法案の成否、あるいは修正について、私は発言をする立場にはおりません。ただ、一般論としまして、被害に遭ったお子さんの心理的圧迫感というんでしょうか、脅迫概念というのはよくわかります。

 政府が対応しようとしますと、何らかの形で、一人でも多くの方がサイトにアクセスできないような、いわゆるフィルタリングをかける、あるいは、実際のインターネットプロトコルサービスをやっているところ、あるいはさまざまな検索エンジンの事業者、あるいはそういうサーバーを提供している方たちがブロッキングをして、そういったところにアクセスできないように、事後的な部分にどうしてもならざるを得ないわけですね。それだと、事後的なものが間に合わなかったときに、被害に遭った方、あるいはその家族の方たちの心理的なものを考えたら、有償であるという条件が、その安定感というか安心感につながるかといったら、必ずしもそうではないのかなと思います。

あべ委員 私は、今回蓮舫大臣に青少年の特別委員会の担当大臣としてお答えをいただきたいと思っているわけであります。特に、メールで勝手に送りつけられた児童ポルノをたまたま自分が所持していたからといって摘発されるか、そういう捜査権の濫用というのは確かに防がなければいけません。しかしながら、捜査権の濫用を防ぐという話と、単純所持であれば、無償で反復して持っていることがいわゆる罪にならないということは、私は、国際的にも日本が児童ポルノ大国として非難され続けること、また青少年特別委員会として子どもたちを守らなければいけないという立場からは決してあってはならないことだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

蓮舫国務大臣 先ほど来のあべ委員の御趣旨はよくわかります。私も、青少年の担当大臣として、おっしゃるとおりの考え方は共有できるものがございます。

 ただ、各党間で法案をつくられて、そして国会で御議論をいただいていることに対して、行政府に身を置く私から、ここはこうあるべきだというのは、大変申しわけございませんが控えさせていただきたいと思います。

あべ委員 この法案そのものに対してというよりも、青少年担当大臣といたしまして、児童を守るために、私たちは今、子どもたちのために何をしなければいけないかということでもあります。

 大臣、秋葉原に児童ポルノの専門店があるのは御存じですか。

蓮舫国務大臣 具体的にどのような店舗かは存じ上げません。

あべ委員 ここは、実は、平沢勝栄前衆議院法務委員会筆頭理事、自民党筆頭理事が視察に行っております。一定額を購入するとイベント券がもらえるそうでございます。

 大臣、それは聞いたことはありますか。

蓮舫国務大臣 初耳です。

あべ委員 イベント券をもらった、そのイベントの日に行くと、そのDVDに出ているか写真集に出ている子が出てきて、生で見られるらしいです、洋服はつけていると思いますが。

 かなりさまざまなことが言われておりまして、特にこの秋葉原のお店、大臣、一度視察に行きませんか。

蓮舫国務大臣 どのような店舗なのか、今いただいた断片的な情報ではなかなか具体的にイメージすることはできないんですが、いずれにしても、子どもを性商品化的なもので扱うような店舗が堂々と開かれているという御趣旨であれば、それはぜひ視察なりなんなり、一緒に行かせていただける機会を設けさせていただければ、最大限の努力をしたいと思います。

あべ委員 子どもが性的虐待として、性的搾取とも言える対象になっているということは、私は、青少年特別委員会としては非常に大きな問題だと思っています。

 実はさまざま批判の記事がありますが、余りにも生々しくて、ここで言うことは控えさせていただきますが、ぜひ青少年特別委員会の、大臣と御一緒の超党派の視察ということで、お決めいただけたらと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

稲津委員長 後ほど理事会で協議をさせていただきます。

あべ委員 ありがとうございます。

 大臣が、ぜひ行きたい、一緒に行ってくださるということで、私は、児童ポルノ、このことに対して、ぜひとも日本が海外から批判されないように、ユニセフからもずっと批判が来ているところであります。日本の衆議院における、国会の青少年特別委員会で解決に向けてみんなで超党派で動いたという実績は、私は貴重なものだと思いますので、大臣、ここはお礼を申し上げます。ぜひとも御一緒に頑張ってまいりたいと思っています。

 また、この単純所持に関しましては、民主党でいらした大臣でありますから、また法案そのものは今から議論がされるところであります、そうした中にありまして、やはりどう考えても、単純所持は、私は、調べがつけられるところに関してはまた別問題でございまして、やはり制限をすべきではないかというふうに思っているわけであります。

 母親が子どものわいせつな写真を撮り、ネット上にアップをしていた例、販売していた例もございますが、想像を絶するようなことが起きている中、民主党は特にチルドレンファースト、子ども第一ということを言っていたはずだと思います。そうしたときに、まずあるのは、児童ポルノの、その見ているユーザーではなくて、被害に遭う子どもたちを守るという観点で、大臣、よろしいでしょうか。

蓮舫国務大臣 あべ委員の問題意識、深くうなずくところがございます。

 私ども政府は、去年の七月、平成二十二年の七月に、犯罪対策閣僚会議で児童ポルノ排除総合対策をまとめました。その中で、この対策を策定するに当たっての前段の部分で、犯行形態を見ますと、児童を守るべき実母による事犯、あるいは児童が信頼を寄せている教員や保育士等による事犯も発生して、極めて憂慮すべき事態に至っているという問題意識を書かせていただいた上で、さまざまな施策、省庁がまさに縦で分かれているものですから、この対策会議の中で、どこを優先で抜き出すというのではなくて、同時に対策しなければいけない。

 それはお子さんたちへのある種のメディアリテラシーもそうでしょう、保護者に対する問題認識の、現実を直視していただく部分の提案もそうでしょう、警察のサイバーテロと同じようなインターネットの取り締まりもそうでしょう、あるいは民間の社会活動を行っている法人かもしれません。企業活動かもしれませんけれども、それでも問題を政府と共有していただいて、子どもの人権を守るためであれば営利活動も一部制限をして、我々のブロッキングに御協力をいただくということも含めて、総合的な対策を三年間かけてまずは行っていこうとしておって、ここでは、委員の問題意識はよくわかりますけれども、どこだけを抜き出してということではなくて、総合的に、一体的に三年間進めていこうということを決めて、今ちょうど一年たったところでございます。

あべ委員 園田政務官がほかの委員会で大変おくれて、午前中にお断りをいただいたわけでございますが、園田政務官にもお尋ねいたします。

 児童ポルノ禁止法の改正案が前国会で議論されたことは御存じでしょうか。

園田大臣政務官 議員立法という形で国会に出され、そしてまた理事間も含めて議論はされているというのは承知をいたしております。

あべ委員 このときに議論されていた自公案と民主案、大きな違いはどこだというふうに思っていらっしゃいますか。

園田大臣政務官 単純所持を認めるか認めないかの違いではなかったかというふうに記憶をいたしております。

あべ委員 さすが園田政務官。

 単純所持に関しましては、政務官として園田先生はどのようにお考えでしょうか。

園田大臣政務官 政務官といたしましては、まだ政府の中でしっかりとした議論をしているわけではございませんので、コメントは差し控えさせていただければと思っております。

あべ委員 これは先ほども大臣に申し上げましたが、主要八カ国、G8で禁じていないのは日本とロシアだけでございまして、国際社会からも非常に批判のあるところなので、政府の方でしっかり議論を始めていただけたらと思いますが、大臣、この議論は全く政府の中ではされていないのでしょうか。

蓮舫国務大臣 私が今回のこの所掌、青少年を担当して、野田内閣で任命をされてからまだ一月半、九月の頭だったものですから、それ以降において今委員の御指摘のような会議を政府の中で持ったことはございません。

あべ委員 これは国際的にも非常に注目を浴びることでございますので、先般の夏にはCNNかどこか海外のメディアが秋葉原の取材にもいらっしゃいました。児童ポルノ大国日本をドキュメントされているわけでございますので、ここをしっかり解決していく方向性はぜひお約束いただきたい。

 また、京都の府議会で単純所持を取り締まる条例が可決されました。また、奈良県でも、小学生が殺害された痛ましい事件の後でこの条例を可決しています。ですから、地方自治体が動き始めている中で国政が放置するということはできないので、大臣、ぜひこの国会で政府内で議論を始めるというお約束をしていただけませんか。

蓮舫国務大臣 先ほどあべ委員がおっしゃった、あってはならないことだと思いますが、我が子の映像であるとか写真や画像というものをある種商売の道具にしてしまう、それは私は一種のセクシャルアビューズだと思っています。あってはならないことです。

 ちょうど来月、十一月は政府としても児童虐待防止推進月間でございますから、この月間に合わせて、委員御指摘の問題意識を私も共有していますので、何らかの取り組みができないのか考えさせてください。

あべ委員 おっしゃるとおり、子どもたちのわいせつな写真や画像が商品として出されることは大問題でございますが、それが有償でないからといって集中的にやりとりをされるということに関しても、私は、ここは、アニメーションの問題もさまざまございますが、人権がどのように考えられるかという人権尊重の観点からは、これは有償じゃなくても罪であるというふうに思います。

 大臣、これは子どもの人権を守るという観点から議論をしていただくというお約束をしていただいてよろしいでしょうか。

蓮舫国務大臣 ごめんなさい、私、ここは想像するしか今手段がないんですけれども、恐らく、御党が公明党さんと御提出になられた法案あるいは我が党が出した法案を修正に向けた御協議をいただくときに、やはりこういうときというのは人権と人権がどこかでぶつかるところが、どうしても議論としては避けられないんだと思いますね。

 ただ、今私が置かれている立場におきますと、やはり子どもの人権というのは子どもの権利条約でも認められておりますので、最優先で考えるということには変わりはございません。

あべ委員 園田政務官、そこのところはいかがでしょうか。

園田大臣政務官 今、大臣からも御答弁がありまして、私ども、大臣とともに、政府内における取り組み、そしてまた子どもの人権という部分においては、権利条約も含めてしっかりと取り組んでいく必要があるというふうに考えております。

あべ委員 ありがとうございます。

 引き続きまして、性教育に関して、大臣に、また政務官にお尋ねしたいというふうに思います。

 実は、平成二十年、文部科学省の小学校、中学校の指導要綱の中に、性教育ということがしっかり入っています。

 先般、私、八月末に、HIVの国際会議に韓国・釜山で出席をしてまいりました。これは放置できない、日本における性教育がうまくいっているかどうかは別として、HIV、特に男性の感染者はふえているという結果が出ております。

 厚生労働省に調査をかけましたところ、十五歳未満の妊娠中絶が四百件、一番近いところでございます。一番多かったときは五百件ございます。母子保健課にお尋ねしましたら、これ以上の数は承知していないのかと言いましたら、そのデータは、違法なので、違法なことが日本にあるとは自分たちは承知していないという四角四面の答えでございました。

 地方の産婦人科医が、小学生の妊娠中絶がふえているということを実は何カ所かで私は聞きました。また、小学校の養護教諭、保健室の教諭でございますが、性教育は小学生の修学旅行の前でないともう間に合わないという声も聞きました。私は、それは全国の話かどうかということが余り把握できずに聞いておりましたが、最近そういう話がどんどん出てまいりました。そうしたときに、従来であれば、指導要綱は十年に一遍、次は平成三十年の変更だそうでございますが、これは待っていては手おくれになるというふうに思いました。

 新宿国立医療センターにHIVの専門クリニックがあります。そこの方にお話を聞きました。二十七歳の女性が、大学も出ております、HIVに感染をいたしまして、妊娠中絶、人工中絶も行っています。彼女は、避妊用具を使わなければHIVに感染するとも妊娠するともどこでも教わらなかったという驚いた発言をしています。

 そうした中で、性教育をどこまでやるかというのはかなり議論のあるところでございまして、保守の強い方は、結婚までそのような性交渉はしないので教えない方がいいという方もいらっしゃるわけであります。しかしながら、実態はそうではないわけでありまして、そうしたときに、性教育、どのようにこれからしていかなきゃいけないか、青少年特別委員会担当大臣としてのお考えを聞かせていただきたいと思います。

蓮舫国務大臣 現状におきましては委員御指摘の性教育ではございますけれども、学校教育活動全体を通じて、まさに子どもの発達の度合いに応じて、あるいは保護者の理解を得ながら適切に行われているものと認識をしております。

 ただ、他方、これからどういうふうにしていくかという部分で、我々、子ども・若者ビジョンをまとめたときにもこうした話は正直ございました。その中においては、思春期特有の課題への対応におきまして、人工妊娠中絶の実施率、性感染症罹患率等を減少させることを目標に、各種の取り組みを推進する、発達段階に応じた性に関する知識等について、学校教育における健康教育の充実と推進を図ることとして取りまとめたところでございます。

あべ委員 そこの性教育の部分が、文部科学省の指導要綱に入っているけれども、どう実施されているかは実はほとんどわかっていない。

 私は、担任の先生が性教育をしていくのは、毎日顔を突き合わせるがゆえに難しいんじゃないかと思うんですね。ですから、ここから先は学校の養護教諭、保健室の方が担当していくのがいいのではないかというふうに思っていますが、大臣、いかが思っていらっしゃいますか。

蓮舫国務大臣 小学生で、まさに担任が全教科を持っているという特性があるところと、中学生の専任の先生、高校生の専任の先生、どうしても学校の体系によって、毎日顔を合わせる頻度は確かに違うと思います。その部分で、今文部科学省において、どのように指導を、把握しているのを知らないということはないとは思うんですけれども、その中で、おっしゃったように、担任よりも養護教諭の方が生徒にとっては比較的なじみやすいのかなという気はしております。

 ただ他方で、委員、私はこれはいつも悩むんですけれども、学校の教育にお願いをしたいところももちろんありますけれども、やはり家庭において、まずは一義的に、自分の家でどういうふうに教育をしていくんだろうか、あわせて学校でどういうふうにしていくんだろうか、両方あわせて考えるべきものではないのかなとこれは個人的に思っております。

あべ委員 家庭における性教育、これは、デンマーク、スウェーデン、いろいろお聞きしたら、かなり自宅でしっかりやっている。ただ、蓮舫大臣のようにはっきりしたお母さんだけではないので。

 そうすると、親が必ず教えられるかという問題は結構難しいところがあって、特に、日本の社会がそういうことをオープンに話せるところであるのかとか。例えば先ほども、話はまた前後しますが、児童ポルノの話。私は朝から法務関係者に、児童ポルノを絶対通さなきゃいけないと七月ぐらいから言い続けているんですが、私が児童ポルノよろしくと言うと、周りの男性がみんなびくっとするんですね。ですから、それは身に覚えがあるのかないのかは別として、やはりそういうことを朝から言われるのがなれていないというのがあるわけであります。

 そうすると、担当教諭が男性だと多分教えにくい、女性の方がこれは教えやすいんだと私は思っています。さらに言えば、お母さんの方が教えやすいんでしょうけれども、では父子家庭はどうするのかとか、お母さんが非常に控え目というかおとなし目というか、余りそういうことをオープンに話さない方だったらだれが教えるのかとかいうのがあります。

 特に、オーストラリアの方にお聞きしましたら、ある州では幼稚園から、キンダーガーテンのときから教えるらしくて、それもさわり方から教える。グッドタッチ、バッドタッチ、さわり方の中でもいいさわり方と悪いさわり方がお友達同士であるんだよから始まって、小学生になったら、基本は教えるけれども、そこから先、例えばコンドームとか、いろいろなことを教えることをしてもいいかどうかは親が決めるんだそうです。

 私はそれは非常にいい仕組みだなと思っていて、なぜかというと、教えることによって逆に好奇心を喚起してしまうのではないかというふうに考える方もいまして、そこの時期と、だれが言うかということとどこまで教えるかというのは、やはりある程度親の選択が必要ではないかというふうに思うわけであります。

 ですから、家庭で教えることがいいというふうに大臣はおっしゃいますけれども、家庭で教えるようになるためには、日本文化の醸成ということも考えたときに、ぜひ大臣ここは、では御意見をどうぞ。

蓮舫国務大臣 誤解があってはいけませんので、何でもかんでも家庭で全部完結をするということではないと思っております。

 委員御指摘のように、やはり一人親の場合にはどうするか、あるいは、男の子の子どもに対しては母親が教えられるんだろうか、いろいろなものが家庭の事情にあると思います。そういう部分では、学校における教育で補完関係があるのが最も望ましいと思っています。

あべ委員 おっしゃるとおりでございまして、特に性教育に関しましては、避妊と性感染症を防げば何をやってもいいかという話ではございませんで、ここはやはり、性とは何であるのか、人間同士のコミュニケーションとは何であるのか。倫理観も含めた道徳とのセットだと私は思っているわけでありますが、大臣、ここに関していかがでしょうか。

蓮舫国務大臣 全く同感でございます。

 つまり、命の大切さ、命を紡ぐこと、この大切さ、それは当然、性教育の最も崇高な目的だと思っております。

あべ委員 先ほども蓮舫大臣がおっしゃったみたいに、子どもたちがネットに非常にアクセスがしやすいということもあって、通常の性交渉が、ネット上に出ている過激なものが通常ではないかと、ちゃんとした教育を受けていないと思い込んでしまう節もあるやに聞いています。ですから、だからこそ最初の情報は、正しい、適切な、倫理観のある、道徳性のある教育をまずは行っていくということが大切だと思うわけであります。大臣、これに関していかがでしょうか。

蓮舫国務大臣 先ほどいみじくもあべ委員がおっしゃいました、知識のない年齢のときに教えることが逆に知らしめてしまうのではないかという消極的な声があるのも事実だと思います。それとはまた違う考え方で、何も教えないことによって、情報が今はんらんしていますから、何も知らないところでいろいろな情報をうのみにしてしまって、それが結果として性感染症や妊娠の危険率というものに対して無知になってしまうということもあると思うんですね。

 だから、どれがベストな答えかというのはなかなか出しづらいとは思いますが、両者の意見がまだ日本にはあるんだと思います。だからこそ、これがベストだと押しつけるのではなくて、その時代に合わせた臨機的な対応というのが必要ではないかと私は思っております。

あべ委員 本当に大臣のおっしゃるとおりだと思っております。ぜひ子どもたちに正しい情報、適切な情報をまずは与えなければいけない。特に、このように情報がはんらんするがゆえに、インフォメーションリテラシーといいますか、情報リテラシーといいますか、適切な情報を自分たちが取捨選択できるということが本当に大切なんだと私は思っております。ここは、青少年特別委員会担当大臣としてもぜひ御努力いただきたいところであります。

 次に移らせていただきます。

 先ほど馳委員が沖縄の問題を、一緒に視察に超党派で参りましたが、ほとんど質問をしてしまったので余り残らなくなってしまったわけでございますが。そういう中におきましても、やはり沖縄の子どもの置かれている現状というのが、離婚率が一番高い、離職率も一番高い、さらには幼稚園の就園率が、米国からの返還があっての部分で一番高い。ところが、逆に一番低いところが幾つかあって、一人当たりの県民所得、年間平均収入も低い、さらには高校進学率も低く、大学の進学率も低い。ところが、沖縄県の県議会では、基地問題が八割なんだそうであります。

 沖縄の基地問題、非常に重要なことでもございますが、次の沖縄を担うのは今の子どもたちであるということを考えたときに、私は、特に沖縄の公立幼稚園の問題に関しては沖縄特有の事情でありますので、全国一律の政策ではなく、沖縄は別として立てていくものがもっともっと必要なのではないかというふうに馳委員の質問を聞いていて思ったわけであります。

 大臣、先ほどの馳委員の質問の中で何かお感じになったことがありましたら教えてください。

蓮舫国務大臣 子どもは生まれる場所を選べないと思っております。生まれた地域性であるとか、特殊性であるとか、さまざまな事情によって、例えば全国一律に保障されているサービスを受けることができないというのはあってはならないことだと私は思っております。

 先ほど馳委員の質問の中でも園田沖縄担当政務官からも答弁がございました。だからこそ、認可外の保育所を認可にするべく、あるいは認可外の保育所の質をどうやって向上するかという具体的な基金を組んで、そこの部分のレベルを上げるための措置を講じ、来年度の予算、概算の中でもさらにここの中身を充実させ、一人でも多くの沖縄の子どもたちが幸せな時間を過ごせるための施策を講じているところだと思っております。

あべ委員 おっしゃるとおりでございまして、ぜひとも大臣に、沖縄の子どもたち、次世代を担う子どもたちのために、御一緒に頑張っていただけたらと思います。

 きょうは大変ありがとうございました。特に、児童ポルノの秋葉原の専門店を御一緒に行っていただけるということで、私はとても楽しみにしておりますので、また、子どもたちをしっかりこの青少年特別委員会が守っていくという決意のあらわれだと思います。ぜひよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

稲津委員長 次に、池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 久しぶりに大臣と御一緒にこの委員会質疑ができますことを大変喜んでおります。なぜならば、昨年の六月半ば、大臣がかわられました。が、私たちはこの委員会において大臣の顔を見ることもない。大臣が、あいさつというか、御自分の御意見をおっしゃることもない。そういうていたらくでした。これは、政権与党にもぜひ、この青少年に関する特別委員会、大変貴重な委員会だと思いますので、心してこれから審議をしていきたい、委員会を開きたいというふうに思っております。

 そもそも、一九九九年、この委員会が設立されました。そして、二〇〇〇年の五月に、児童虐待防止法を、国会決議を経て、私たちはつくり上げました。今でしたら、児童虐待というのは当たり前になっておりますでしょう。十年前は、みんな、知らない人もいたんです。虐待するというのはしつけとどう違うのか、そうまじめにおっしゃる議員もいらっしゃいました。

 私たちは、子どもたちを取り巻く環境が決して良好ではない、虐待を受けている子どもたちに対して何ら手だてがない、政治家としてそれを見過ごしていいのか。その思いで、超党派で、これは元厚生省でしたね、厚生省は、児童虐待防止法、こんなものが必要なのか、児童福祉法を改正したら済むんじゃないか、そういう圧力もありました。にもかかわらず、子どもたちを守るのは先を歩んでいる私たちの使命だ。その責任と使命感で、私たちはこれをつくり上げました。

 特別委員会で法律をつくるということはめったにないこと、初めてのことではなかったかと思います。それぐらい大切なこの委員会であるということを、ここにいらっしゃる委員の方々も認識していただけたらと思います。

 私たちは超党派で、「きこえますか 子どもからのSOS」、こういうような本もつくり上げました。これには、本当に超党派の、でも、みんなが心を一つにしてこれをつくり上げていったのです。私はそのとき、ああ政治家になってよかったなと本当に思いました。みんながそうした志、少なくとも社会的責任というのを持つべきではないかというふうに感じております。

 大臣、私は一昨年の事業仕分けの行革大臣だったときのことをちょっと触れたいと思います。私は決して意地悪で申し上げるのではなくて、私は大臣よりも先輩ですので、次の世代に大きな期待もしておりますので、政治理念としてしっかりとした見識や認識を持っていただきたいという、その期待を込めて申し上げるのです。

 一番でなくちゃだめなんですか。二番でいいじゃないですか。私は、一番でなくちゃだめなの、科学技術、教育、文化、芸術、その分野は一番でなくてはだめなのです。一番でなければ全敗をしていくというのがグローバリゼーションの、今の世界の流れなのです。

 例えば、七年ぶりに、ことしの六月二十一日、計算速度ランキングが発表されて、私の住んでおります京都の京と書いてケイと読む、このスパコンが世界一になりました。この活用分野は幅広く、医療技術や新薬の開発、太陽光電池の新素材開発、気候や地震、津波の予測、物づくりの技術革新など、医療技術や新薬開発の分野で、スパコン、京によって、人体で起きる現象を、全身、臓器、細胞、分子レベルで丸ごと再現することもできる、極めて重要なものなのです。ですから、私は、これからの日本が世界に伍していくためには、一番でなければいけないのよと申し上げたいのです。

 そして二つ目には、クラーク博士が少年よ大志を抱けと言いました。二番でいいと思ったらだめなんです。子どもたちが夢や希望を持って、高い目標に向かってこそ、日本の成長というのがあるのではないか。子どもが目指していくものは、やはり一番でなければならないと私は思っております。

 ですけれども、それと同時に、一番というのは一人しかいないんです。ですから、二番になったときに、では、それは落後者であるか。そんなことはありません。そしてまた、二番にも入れない、自尊意識を持てないとか、あるいは人から評価されていない、そう思って、生きていくのが嫌だとか生きる意味を持たない子どもたちもまたいるわけです。そういう子どもたちに光を当てていくのが私は政治家や行政の仕事ではないかというふうに思っております。

 私はそのように思いますけれども、少子化対策、子ども・若者育成支援担当大臣として、どうお考えでいらっしゃいますか。

蓮舫国務大臣 まず冒頭に、私が国会議員に七年前に手を挙げ、立候補したときの、議員になりたいと思った最大の理由は、この国の子どもたちを幸せにしたい、特に児童虐待防止、これに命をかけたいというのが原点でした。十年前、池坊委員を初めとして、まさに超党派で、与党、野党ではなくて、子どものために特別委員会で法律をつくったという実績を、私はメディアにいたときによくウオッチをしておりました。すばらしい取り組みが、動けばできるんだというふうに実感をして、国会議員を目指した一つの理由です。

 その池坊先生とこうして今、国会において、立場は違うかもしれませんけれども、教えを請う立場に私がいるのは本当にありがたいことだと思っておりますし、改めて、これからも子どものためにさまざまな御提言をいただきたいということを冒頭お願いしたいと思います。

 その上で、私の発言の一部分が走っていることは事実ではございますが、ただ、事業仕分けというのは、せっかくの機会なので一言だけ言わせてください、理念や目的は否定はしていません。科学技術立国として、一位を目指すのは当然だと思っております。速度で一位を目指した上で、次にやるのはソフトの開発になると思っています。事業仕分けのときにはその議論も実際にされました。また、これまでに数百億にわたる予算、それは国民の税金です。税金を使ってきて、何らかの説明をしなければ、今、一千兆もの借金を背負った我が国において、科学という特別な理由でその使った理由を説明しないでいいということの聖域にはしたくないという思いがございましたので、そこにおいてのやりとりをしたことは事実でございます。

 発言一つだけが走っているのは、本当に私の不勉強の至るところではあるとは思いますが、その上で、今御指摘いただいた部分、この国の子どもたちには、一番であるというところにこだわるのではなくて、夢を持ってもらいたい。一番を目指すも何も、夢や目標がなければどこに向かっていくかというのがわからない、そういう子どもたちがいなくなること、みんなが夢を持って、共通の目標を持って、自分がどこに行くべきかという思いを持って、そして人生を歩んでいくためのしっかりとした支えを政府が行っていくために、私も微力ながら力を尽くしていきたいと思っております。

池坊委員 蓮舫大臣の原点は子どもを幸せにすること。ぜひ、さまざまなお立場に立たれても、この原点に立ち返っていただきたいというふうに期待いたします。

 事業仕分けのことをちょっと触れられたので、子どもゆめ基金、百億。これは、財務省、国庫に返還いたしました。私は、財務省が一体これをどのように使っているのか、追跡調査をしなければいけないと思っているぐらいです。

 これによって多くの子どもたちが救われ、子どもたちに、みんなが協力しながら指針を示すことができました。これは現在、交付金と民間寄附で継続はしておりますけれども、例えば、この一つには、子ども読書活動の推進もございます。私は、党の子ども読書活動推進座長としてずっと、朝の十分間の読書、ブックスタート、読み聞かせというのをやってまいりました。

 これは本当に地味な、朝の十分間で何だ、そんなの聞いたことがない。でも、これが七二%にもなり、小中高、今や二万六千八百六十九校がやっているんです。これによって、学級崩壊がなくなったとか、あるいは保健室にしか行かれない子どもがちょっと座って本を開くようになった、いじめもなくなった、校長、教頭からいろいろないい意見が寄せられております。これに至るまでには、本当に地味な、堅実な積み重なりでした。そして、みんなを一緒にしながら、みんなで守り立ててきたのです。

 そもそも、政治というのは地味で堅実で、そういうことの積み重なりなんです。そういう意味では、野田総理になってよかったなと思う気持ちもございます。なぜなら、もうパフォーマンスの政治はやめなければいけないからです。政治というのは地味で堅実なものだということを一人一人の政治家が肝に銘じる必要があるというふうに私は考えております。

 幼いときから読み聞かせをする、これは大変重要なことだと思います。十月二十七日から十一月九日までは読書週間です。美智子皇后も折に触れて読書の大切さを言っていらっしゃいますが、私は、子どもたちに良好な環境を与えることの一つに、たくさんございます、でも、その一つに読書があるのだと思います。読書をすることによって、予測の能力が芽生えてきたり、あるいは想像力、正義感、公平性、人間は何のために生きているか、そういうことを学ぶのではないかと私は思います。自分が不幸だなと感じるときに、本を読むことによって、自分よりはるかに不幸な人たちが生きているんだということで勇気づけられるかもしれません。例えば、読み聞かせをする人の支援などがなくなったということは大変残念だと思っております。

 それからもう一つ、伝統文化こども教室事業というのがございました。これは廃止になりました。国がやるんじゃなくて地方がやるべきではないかと。確かにそうですが、地方は、御存じのように、財政が大変緊迫しておりますから、こうした教育、文化、芸術に手を差し伸べる、支援するだけの財源がないのです。私は、やはり国がやるべきではなかったかと。なぜなら、保護者と子どもを結ぶきずなであったわけです。

 一例として、私どもは花の甲子園というのをやっているんですね。花の甲子園ですから、ブロックごとに高校生がお花を生けて競い合うのです。

 東北ブロックでいたしましたときに、陸前高田の高校生の子どもは、一本の松、松が一本しか残っていません、その松の枝を切って、未来につなげるために持ってきました。それから、福島県の磐城高校というのは、今二割削減しているんですね。原子力発電所から近いから子どもたちがいなくなっているんです。存亡の危機に瀕しています。私たちは、その校門の前にあるヒャクニチソウを持ってきて、みんなが力を合わせましょう、その思いを託しています。秋田の子はナンテンを持ってきました。なぜかと思ったら、難を転じるんです、ああ、ナンテンでそういうことを考えるんだな、私はそれもほほ笑ましかったのです。すべての子どもたちが、生きる力、この逆境から立ち上がらなければいけないと思っているのです。

 子どもたちを良好な環境に置くということは、何か特効薬があったら一番いいのです。でも、そういうものはありません。さまざまな要素の総合的な中で子どもたちを救っていき、そして健全に育成することができるのではないかというふうに思っております。

 ですから、こういうのがなくなったことも残念に思っておりますし、この事業仕分け、さっきちょっとおっしゃったのに触れますと、私は、財務省の指導がすごくあったんじゃないか、そして財務省は、芸術、文化、教育、科学技術、そういうことに対する理念がないのではないかというふうに思っておりますので、ぜひ、これから政権与党の方々には、そういうのに屈しないで、こういうものが大切だということをわかっていただきたいと思っておりますが、大臣いかがですか。

蓮舫国務大臣 子どもゆめ基金に関してですが、私どもは、特に私も思っていることですが、読み聞かせを否定はしていません。本当に子どもの心身の健やかな発達において、本の世界から得られる知識であるとか想像力であるとか、自分でイメージする、考える力を養えるすばらしい教材だと思っておりますので、事業の理念そのものは否定はしておりません。

 ただ、仕分けのときには、事業内容の重複であるとか、あるいはこれは難しいんですけれども費用対効果、こういう部分がどうなんだろうか、あるいは、基金については、運用型の基金であったにもかかわらず、多額の交付金を措置しているということもありまして、一度見直して、毎年度しっかりとこれは対応していっていただきたい、そうした仕分けの評価結果を受けて、子どもの読書普及及び啓発事業については、それ以降、予算が措置されていると認識をしているところでございます。

池坊委員 では、児童虐待の方に触れたいと思います。

 先週の十月二十二日に、名古屋で中学二年生の男の子が母親の交際相手に暴行され死亡するという本当に痛ましい事件がございました。報道によれば、事件発生に至るまでには、通っていた中学校、それから近所の人、親族、みんなが、虐待を受けているのではないか、計五回通報されております。市の児童相談所は、ことし六月から数回にわたり家庭訪問を行い、十月十四日には警察官とともに、暴行を受けていた男の子、母親、逮捕された交際相手の三人と面接もしているんですが、保護の措置はとられませんでした。私は非常に残念だと思います。

 一つには、後でまた触れたいと思います、児童相談所の機能強化を図らなければいけないということだと思います。今、年間に五万件以上の相談がある。一昨年より一万件はふえたんですか。今、児童福祉司というのは二千六十人、そして二百六カ所しか児童相談所がないというのは私はやはり問題なのではないかというふうに考えております。今日までの十年間で児童相談数が四・四倍以上ふえているにもかかわらず、児童福祉司というのは二倍しかふえていないというような現実があるのは確かなのだと思います。

 これは後で質問するとして、やはり大切なのは、児童相談所、学校そして地域、それから子ども自身が、私ども児童虐待防止法をつくりますときにもいろいろなところを視察に行きました。親から暴行を受けて失明した子どもが、でもやはり親が好きなんですよ。そして、親が会いに来ると、会いたいと言う、この辺に私は本当に痛ましさを感じるのです。子ども自身にも、虐待は堂々と言っていいんだよみたいな社会の醸成というのが私は必要なのではないかというふうに思っております。

 同じことが書いてありましたその新聞に、ノルウェーの児童文学賞を受賞した絵本、タイトルは「パパと怒り鬼―話してごらん、だれかに―」というんです。これは、ドメスティック・バイオレンスの家庭の子どものつらい気持ちと加害者である父親の更生をテーマにしておりまして、日本でも出版されております。

 主人公はボイという男の子で、ふだんは大好きなんですね、パパもふだんは優しい。だけれども、怒り鬼が取りつくと暴行をしてママを殴っちゃう。彼は空想の世界に入り込んでいるんですけれども、ママは、パパがいなくなると暮らしていけないからだれにも言わないでねと男の子に言う。男の子は、パパの暴力は自分のせいだと思い込んでしまう。でも、その後、ボイは勇気を出して王様に手紙を書く。王様の庭でボイの祖父と話したパパは、暴力を克服する努力を始めるというストーリーなんです。

 ここで申し上げたいのは、王様の庭とはノルウェーの加害者更生プログラムなんですね。これに見られるように、やはり虐待を防止するには社会全体の支援が必要である。それから、学校教育もまた必要である。地域の意識の醸成も必要である。それから、もちろん加害者への教育が必要です。それから、被害を受けている子ども自身が、これはおかしい、言ってもいいんだよということを感じることも必要なのではないかというふうに思っております。

 私は大臣にお願いしたいのは、どうしたら児童虐待を防ぐことができるのか。これは一つだけの問題じゃないんですね。総合的にプログラムをつくる、あるいは有識者の会合を持つとか、そういうプログラムをつくることが必要ではないかというふうに思っておりますので、そういう取り組みをぜひ率先してやっていただけたらと思うんです。

 今のところ、児童相談所に対してのアプローチ、学校のアプローチ、いろいろなところがございます。でも、これは横断的にそういうプログラムをつくって、学校にも、SOSとか、生徒たちに教えるとか、そういう必要があるのではないかというふうに私は思います。これは同級生もわかっていた、本人も苦しみながら、でも本人が言えなかったというところに問題があると思うんですね。それらのことを踏まえながら、心理学者なんかをチームに入れた一つの対策チームをつくるべきというふうに私は考えておりますが、いかがでしょうか。

蓮舫国務大臣 この十年間、児童虐待防止法の動きは、国会の中でまさに超党派で御努力をいただいております。ただ、残念ながら、私たちの努力が足りないのか、世の中の動きがどのような大きな変化があるのか分析をしなければいけませんが、公表されている、把握をしている児童虐待の数は右肩上がりになってきています。

 当初、先ほど委員もおっしゃっていましたけれども、児童虐待はしつけとどこが違うんだろうという、本当にその原点の部分からひもといて、法律を頑張ってつくってくださいました。それから改正を経て、今では、虐待と疑われる場合でも御近所の方が通報してくださいというように変わってまいりました。今までだったらこれはいじめかもしれないと戸惑っていた方が、児相に、あるいは区役所に、あるいは学校に、あるいは関係機関に連絡をするようになりました。

 また、先ほど、私どもの川口委員のところから、歯科医健診、これは学校で健診をするときに、ネグレクトですね、歯磨きを教えていない。歯が溶けるなんて、本当は親が一番気づくところですけれども、そこさえも気づかない部分が、学校から児相にようやく連絡をできるようになった。

 委員が御指摘いただいた、十月二十二日の中学二年生、十四歳の長男が亡くなった事例です。これは心からお悔やみを申し上げたいと思いますが、中学校から児相に三回も連絡があった。あるいは、児相も家庭に行って面談をしていたという事実があるにもかかわらず、だれもが気づくところまでようやく制度を持ってきたんですけれども、その気づきが命を救うために生かされなかったのは何だったんだろうかというのは考えなければいけない。

 恐らく、次の大きな山は、プログラムも考えなければいけませんけれども、これは厚生労働省の中で取り組んでおられるかもしれませんが、親子分離、親子統合、親子が離れたくないという思いが一般の家庭よりも、委員御指摘のように、さらにつながりが強いという傾向がありますので、これをどういうふうに、センシティブな案件を、一たん離して、両者にプログラムをして、親子統合をして、家族としてもう一度再出発ができるようなフォローができるかというのが私どもに課せられた課題ではないかと思っております。

池坊委員 どうしたらいいかというのはいろいろな大人の英知を傾けないとできないことだと思いますから、これは横断的に、ぜひ大臣、原点が子どもたちを幸せにするということであるならば、私は少子化対策というのは子どもをたくさんつくることではないと思います。まず、それよりもするべきことは、生まれ出た子どもが幸せな道を歩むことができるようにしてあげる、その環境整備をするのが私たちの仕事ではないかというふうに考えます。

 ことしの七月、厚生労働省の児童養護施設等の課題に関する検討委員会は、社会的養護の課題と将来像という報告書をおまとめになりました。現在一〇・八%の里親委託率を将来的には三割以上に引き上げるとともに、手厚いケアを必要とする子どもたちのために児童養護施設等の職員配置基準を引き上げるべきと指摘しておられます。

 先ほど申し上げたように、児童養護施設はこの間一人当たり三・三だったのが四・九五平方メートルに引き上げられました。これは私もずっと引き上げるべきだというふうに言ってまいりました。昨年末からことし一月にかけてですが、これは大変よかったというふうに思っております。先ほど申し上げたように、具体的な児童福祉施設の職員配置というのは小学生以上であれば子ども六人に一人、それを四人に一人に引き上げるべきではないかと言われておりますけれども、現在三交代、つまり一人の人が十八人を見なければならないというのが現状なんですね。

 そして、例えば里親、アメリカは七割、イギリスでは六割、フランスでも五割以上、日本ではさっき申し上げたように一割しかいない。だけれども、この間、里親が虐待をして、子どもが虐待死の結果になったというようなこともございます。

 さまざまな問題は、私は児童相談職員が少ないということなのではないかというふうに思うんです。財団法人全国里親会の木ノ内理事は、虐待により社会的養護を必要とする子どもたちに対しては、里親等による家庭的養育の必要性とともに、里親委託を推進するためには、子どもの処遇に責任を持つ児童相談所の機能強化を早急に図るべきと提言していらっしゃいます。つまり、里親にした、それでもう終わりだというのではないんですね。虐待を受けた子どもというのは、素直に親に甘えられない、親を試すために、愛情をはかるために凶暴になったりすることもある。さまざまな問題を抱えていますから、里親との密な懇談というか勉強会が必要である。

 養護施設においては、このようなさまざまな問題を人間が足りないということで抱えている。それから、児童福祉司は数が少ないというのが現状なんですね。私はこれを絶対に強化しなければいけないというふうに思っております。今、児童福祉司一人が五十万人から八十万人ぐらい見なければいけない。こんなのは無理に決まっておりますでしょう。

 これについて、大臣は強い意思を持って政策をなさっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

蓮舫国務大臣 午前中のやりとりでもございました、委員御指摘のとおり、児童相談所の職員の配置基準ですが、小学校以上だったら、今六人に対して一人だったというものを、来年度の概算では五・五に対して一人というふうに若干改善をして要求をしているという話がありましたが、正直申し上げて、私は足りないと思っています。ただ、これはそれに見合う財源というものも当然生み出していかなければいけないので、足りないというだけではなかなか責任を全うすることができないというのも、正直、私の立場ではここまでしか言えるところがございません。

 また、委員御指摘のように、児童福祉司の数なんですね。これは平成二十一年と平成二十二年を比べると、二十二年は速報値で、宮城、福島、仙台市を除いて集計した数値ではございますが、福祉司の数自体はふえています。二十一年は二千四百二十八人だったものが二千四百七十七人、微増ではございますが、ふえている。

 ただ、先生、それを超えて児童虐待の数の方がふえているんですね。ですから、二十一年は一人の福祉司が抱えている相談対応件数、これは児童虐待も含めて相談所の案件で抱えているものが、一人の福祉司が十八・二件抱えていた。それが、平成二十二年速報値でいうと、一人の福祉司が四件ぐらいふえて二十二・三件。ふやしても忙しくなっている。本当にこれは悪循環だと思っています。バーンアウト、燃えつき症候群の方たちも残念ながら後を絶たないという報告も聞いています。ここは何とか知恵を絞って、この方たちの働き過ぎ、抱えている案件をもう少し減らして、きめ細かく一人一人の子どもに対応していけるような環境整備を整えていただきたいということを私から厚生労働省にも強く依頼をしたいと思います。

池坊委員 これは件数がふえているということに私は問題があると思うんですね。それこそ無駄な事業をやめたら、ここにお金をつぎ込むべきだというふうに私は思っているんです。

 現実には、例えば震災孤児、震災遺児への支援ということもあるのではないかと思います。東日本大震災では多くのとうとい命が奪われ、それとともに、被災地では、震災孤児となった子どもは二百三十七人、片親を失って震災遺児となった子どもが千三百二十三人です。

 このような状況の中で、私たち公明党は、主張、提言をして、震災孤児の引き受けの調整を行うよう被災地の自治体に対して方向性を示し、ことし九月には児童福祉法施行規則を改正して、扶養義務のないおじ、おばが里親となった場合も、養育里親として、従来は支給されなかった里親手当が受け取れるようになったこと、私は、まあ、よかったと安堵する思いではありますけれども、震災孤児はさまざまな問題を抱えていると思います。

 問題は、すぐには起きてこないんですね。一番、そのトラウマ、PTSDが出るのは三年なんですね。三年がピークなんです。そして、五年たつと徐々に減っていくというのが阪神大震災のときの結果でもあるんです。

 そういう検証を踏まえながら、私は手厚い、この里親、おじさん、おばさんとなったから大丈夫って、そんなことはないと思うんですよ。親族だって、今まで一緒の屋根の下に住んでいなかったら、やはりこだわりもあるし、どうしていいかわからない、種々さまざまな問題を抱えていると思います。

 ですから、この里親制度に対しても、あるいは震災孤児、震災遺児への手厚い支援が必要だと思いますけれども、厚生労働省の方に来ていただいたので、ちょっと現状を、こういうことに対してはどのような対策をしていらっしゃるかを伺いたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに未曾有の大震災を受けまして、不幸にして両親を亡くした、また行方不明となった子どもの数が相当数あるわけでございまして、その方々に対して、継続的なしっかりとした支援体制を講じていくことが極めて重要だと考えております。

 委員がいみじくも御指摘になられたように、特に心のケアの問題。これは今の問題ではございませんで、数年先も見越してしっかり体制を固めていかなきゃいけない。そういうことがございまして、まず平成二十三年度の第一次補正予算では、二十七億円を安心こども基金に積み増しをいたしまして、児童福祉にかかわる専門職種の方が、避難所や仮設住宅、今は仮設住宅が中心、あるいは保育所などにも行っておりますけれども、そこを巡回いたしまして、子どもが生活する場で相談、援助を行っているということでございます。

 また、引き続きのメンタルケアという観点から、現地で不足している子どもの心の専門家をどうやって確保しようかという観点から、これは派遣できるシステムをきっちりつくる必要があるだろうということで、社会福祉法人恩賜財団母子愛育会に対して厚生労働省から要請をいたしました。

 一つは、被災地の行政や関係機関と共同した取り組みを進めるための東日本大震災中央子ども支援センターを設置してほしいということ。

 そして、そのセンターにおいては、関連する職能団体とか学会とか、あるいは民間団体、それから、そういう方々と支援方法を協議するような、多分状況がさまざまに変わってくると思いますから、専門家が知恵を寄せ合って、どうやったらいいか知恵を出していくような、そういう協議会を設立することが必要ではないかと、その設置を要請いたしましたところ、十月二十七日付でセンターと協議会が設立する見込みになっているところでございます。

 厚生労働省も、お願いしっ放しではございませんで、体制を組もうということで、被災県のニーズをより的確に把握をして、密接な連携協力を図るために、局の中に、十月二十七日付で新たに東日本大震災被災地子ども支援室を設置することといたしております。

 こうした取り組みによって、被災地の子どもたちに対して、継続的に安定的な支援が行えるように努めてまいりたいと思っております。

 それから、里親の問題も御指摘いただきました。

 里親は、特に親族里親、あるいはおじ、おばの、親族に準ずる里親さん、まさにそういう方々に対するサポートというのがないと、状況が変わってくることもありますし、あるいは、引き受けたけれども、とても心の傷を負っていて、今後どうやって子どもを育てていったらいいかわからない、そういう悩みを抱えるケースも十分想定されるわけでございますので、ここは、児童相談所とか、あるいは里親支援の専門家を配置することにいたしておりますので、そういう方々がサポートを長期的に行っていく、こういう体制をしっかり整えていくことが大変大事ではないかなと思っているところでございます。

池坊委員 さまざまな分野の、例えば日本医師会においても、虐待などは、医師会に入っているさまざまな職種の方々が、小児科だけでなくて、産婦人科の方も内科の方も外科の方も、全部が協力して、一筋の道をつけながらかかわっていくべきだというふうに述べていらっしゃる、熊本の「こうのとりのゆりかご」の理事長のお話で、私どもはこの委員会でも私が委員長のときに視察に参りましたけれども、こういうことが大切なのではないかというふうに思っております。

 野田総理の官邸のブログを拝見しました。その中で野田総理は、「「人生前半の社会保障」をいかに手厚くしていけるのかという点が、「社会保障・税一体改革」の大きなテーマ」だと言っていらっしゃいます。「子ども・子育て分野は、これまで支援が最も手薄だった分野です。」と述べた上で、今月十四日、横浜市にある子育て支援施設の視察の感想として、「政府としては、「子ども・子育て新システム」を早急に具体化し、多様なサービスの提供により、親御さんの悩みを解消していかなければならないと痛感しました。来年の通常国会に関係法律を提出できるように、年末までに成案のとりまとめを行うよう、内閣府に重ねて指示したところです。」だから、きっと内閣府にいらっしゃるから指示をお受けになったのかもしれません。

 しかしながら、今の我が国の子育て支援に関する施策において最も求められているのは、今私がお話ししたような、震災により親御さんを亡くした子どもたちや、親がいるにもかかわらず、虐待によって親子分離が必要と判断され、児童養護施設などに行かなければならない子どもたちを私たち一人一人がしっかりと抱きとめるとともに、その思いを共通して、子どもたちがどのような境遇にあろうとも、自分の未来に希望や夢を持てるよう、支援の輪を一段と大きく広げていくことが私は最優先の課題ではないかなというふうに思っているんですね。

 政治というのは、必要なのはきめ細やかな政策なんです。ばあんと何か風船を打ち上げるような、そういうこと、私は野田総理にはそんなことをしてほしくないんですけれども。ドジョウだとおっしゃったからには、ドジョウらしく細やかに、ドジョウが細やかかどうかわかりませんけれども、していただきたい。

 現実の問題として、政府が取りまとめた子ども・子育て新システムに関する中間とりまとめというのは拝見したし、私もレクをしっかりと聞きましたけれども、幼保一体化の総合施設は学校教育法上の幼稚園と児童福祉法上の保育所として位置づけるとしており、地方レベルでは都道府県知事への届け出に一本化されるものの、国レベルでは文部科学省、厚生労働省が所管するようになるとも読めます。そうであるならば、多くの無駄が生じるのではないかと私は危惧するわけです。急速な幼保一元化は、保育所、市町村、親、子どものいずれにも大きな混乱をもたらすのではないかと、私は現場の方々の声を聞きながら思っているわけです。

 それよりもまずするべきは、政府として、震災孤児や震災遺児となってしまった子どもや社会的養護を受けている子どもたちなど、困難な状況の中でけなげに頑張っている子どもたちに対して、手厚くきめ細やかな支援を講じていくべきである。優先順位としては、私は、この子ども・子育て新システムに関する中間報告を読んで、まず先にやるべきことがあるんじゃないのと。

 今いる子どもたちをどうしていくか。制度の問題ではない。生きている子どもたちの今の環境を大切にして、少しでもよりよいものにしていかなければ、その子どもたち、虐待を受けたり、悩んでいる子どもたちは救われませんよということを申し上げたいのですが、いかがでございますか。大臣の御見解を伺いたいと思います。

蓮舫国務大臣 委員の御指摘、全くそのとおりだと思っております。

 ただ、野田内閣の最優先課題は被災からの復旧復興ということを掲げております。まさにその中では、親御さんを失った孤児あるいは片親になってしまったお子さんたちへの対応というのは、これは当然最優先でやらなければいけない。

 他方で、被災地外における部分でも、虐待のリスクを負っている子どもがあるのであれば、それはひとときでも早くそのSOSを受けとめてあげて、命を救うことが私は少子化対策だと思っております。

 子ども・子育て新システムの中には、確かに幼保一体化の問題もありますけれども、こうした児童虐待の問題であるとか、子どもたちの学力の問題であるとか、優先順位をつけるつけないではなくて、今の子どもたちに政府として一体的に迅速に講じなければいけない部分を、まさに今税制改革と一緒に法案を整備して、来年の通常国会に出させていただこうと思いますので、最優先すべきは被災地の復旧復興、子どもたちの命という観点でいうのであれば、両方ともに来年度は進めていきたいと考えております。

池坊委員 その言葉を私はしっかりと受けとめたいと思います。

 優先事項というのはあるんですよ。なぜかといったら、一人の人間の能力には限りがあります、エネルギーもあります、予算も限られています。その中で、でも、私は大切なことは目立たなくてもきめ細やかな施策ではないかと信じておりますので、協力していただけることを心から願い、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

稲津委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 東日本大震災から七カ月、震災による影響は、被災地を含め、多くの子どもたち、若者たちを取り巻く状況に今なお暗い影を落としております。復旧復興の希望である子どもと若者を社会全体で支えていくことが改めて求められていると思うんです。そのために、私たち日本共産党も、本委員会において全力で奮闘することをまず申し上げて、質問に入ります。

 まず、学童保育の問題についてお伺いいたします。

 被災地の学童保育の現在の状況について報告をしていただきたい。あわせて、学童の復旧に向けてどのような支援を行っているか、御答弁願えますか、厚生労働省。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブの被災状況でございますが、岩手、宮城、福島の三県で二百三十六施設が何らかの被害を受けたとの報告を受けております。九月一日現在で大部分の施設が再開をしたとの報告もあわせいただいているところでございます。再開をした施設数は二百二十五カ所でございますので、九五%が既に再開をしたという状況でございます。

 放課後児童クラブの復旧復興については、被災をした放課後児童クラブの復旧に係る施設整備に対する補助率を引き上げる、通常二分の一でありますのを三分の二に引き上げるとともに、被災した施設の復旧に要する初期契約費用、再開等準備経費、定額でございますが、それにつきましても補助を実施して支援をしているところでございます。

宮本委員 二百三十六が二百二十五ということですから、差し引き十一の減。やはり被災による影響があると思うんですね。

 それで、陸前高田市の学童保育に子どもを通わせているある保護者からは、津波から七カ月たったが、全壊したにこにこ浜っこクラブは遠く離れた隣の学区にある公民館で再開、同じく全壊したリトル学童クラブは、分割前のクラブに戻り合同で生活、早く安全な場所に移りたいと願っているが、学童クラブを建設する平地がほとんどない、市は学校や保育所の用地確保に奔走しているが、父母会運営の学童クラブの用地確保までは手が回っていない、こういう声が届いております。

 調査できなかった市町村、先ほどの調査は幾つかの町でできていないと思うんですけれども、そういう市町村についても状況をしっかり把握して、一刻も早く安心して再開できるような対策を、支援を始めることが求められていると思います。

 私も被災地の幾つかの学童保育の指導員の方からお話を伺ったんですけれども、被災地では生業、なりわいの再建が進まないもとで、仕事もない、収入もないという状態が長く続いております。退所する子どももふえて、子どもの数も減っております。そうした状況が保育料の支払いにも影響し、ひいては学童保育の指導員の給与支給さえ危ぶまれるという状況も聞いております。

 被災地の学童保育においては、保育料の減免を大至急検討すべきだし、保育料収入に頼らなくても安定的な運営と指導員の雇用を保障し続けることが可能なように、補助金の額の引き上げや負担率の見直しなどに早急に着手すべきだと私は考えるんですが、これも厚生労働省から御答弁をいただきたいと思います。

石井政府参考人 被災地の放課後児童クラブの運営費でございますけれども、まず、被災によって登録児童数が減少するところが出ております。そうした場合でありましても、国庫補助は減額しない取り扱いとしているところでございます。

 また、クラブの運営主体と指導員の雇用契約が継続をしていて、指導員の職務として、その職員が仮設の放課後児童クラブの実施とか、あるいは放課後児童クラブの再開に向けた開設準備、そうしたような仕事に従事している実態がある場合には、クラブは運営されているものというふうにみなしまして、補助の対象としているなど、ここは補助金の特例を設けて被災地の支援はしているところでございます。

 お尋ねの保育料の減免でございますけれども、実は放課後児童クラブの利用料につきましては、国として特段の基準は示しておりませんで、クラブの実施主体の判断でそれぞれに設定をされている、そういう意味では、非常にばらつきが多いという状況になっております。また、その水準も大体月額四千円から八千円、これをどう見るかという評価はあるわけでございますが、保育所の保育料と比べますと、それに比べたら必ずしもそれほど多くないというふうな状況もございまして、現段階におきましては、保育料においては減免の仕組みをつくっておりますけれども、そういった仕組みを設けることは、整理しなければいけない問題がなかなか多いということで、特段の措置は講じていないという状況でございます。

宮本委員 相当大変な状況ですから、こういう被災の実態に即してしっかり検討してほしいと思うんですね。

 それで、ソフト交付金への積み増しをするという方法もあると思うんです。私は文部科学委員会に所属しておりますけれども、収入減となった私立学校に対して、私学助成を積み増して渡すなどの支援を文科では考えているわけでありまして、他省の施策なども大いに研究していただいて、何らかの支援策を研究していただきたいというふうに思います。

 被災地の中でも、福島の学童保育は、復旧復興に向けた努力と同時に、放射能との葛藤、闘いが続いているわけですね。福島市内でも、放射線量の高い渡利地域にある学童保育きりん教室では、独自に表土除去や夏休み期間中に近接する小学校敷地内に緊急移転することなどの取り組みを行ってまいりました。しかし、二学期を迎えても依然として室内放射線量が高いことから、再び小学校敷地内の緊急移転も検討しているということでありました。この学童保育で働く指導員は、転校した子どももいるんだけれども、目の前にここを必要としている七十名を超える子どもたちがいる、自分たちの仕事は、保護者が仕事を続けられるようにその家族の安定した生活を守る役割があるんだ、この地で学校に通う子どもたちと、不安の中働き続ける保護者を励まし、応援しながら頑張っていきたい、そう語ってくれました。

 子どものいる場所だけという点の除染だけではなくて、やはり地域全体という面での除染を急がねばならぬと思うんです。最終的には、事故前の地域、学童保育に戻して子どもたちに返す、こうした立場で国が責任を持って取り組んでいくべきだ、これは政府の構えとしてはそうでなきゃならぬというふうに思うんですが、これは大臣の御認識をひとつお伺いしたいと思います。

蓮舫国務大臣 非常に重い質問だと受けとめております。

 今は放課後児童クラブに限っての御質問ではございましたけれども、特に福島におかれましては、クラブのみならず、子どもたちの生活圏として、震災前、そこに暮らしがあったわけです。そこに生活があったわけです。子どもたちの笑顔があったわけで、子どもたちの話し声があって、活気があったものが、今、大変残念ながら事故がまだ収束に向かっていないということで福島県外に一時的に避難しているお子さんあるいは御家族がおられますので、政府としては、一日も早く事故を収束させる、そして福島にもとの生活が戻るための最大限の努力をする、一人でも多くの方がお戻りをいただくために除染に最善策をとっていくという姿勢は変わらないと思っております。

宮本委員 私がお伺いした福島県の南相馬市の除染対策室ですけれども、点での除染では放射線量がまた上がってしまう、だから、この線量だから安全と、それではまだ説明できないんだ、やはり面できちっと進めてほしいということなので、調査と除染を一体に行いながら、本当に面で除染を進めていただきたいというふうに思います。

 それで、学童保育の拡充が必要という点では、沖縄を欠かすことはできません。私も、先ほど来議論があった、本委員会のメンバーで、超党派で、沖縄へのスタディーツアーに行ってまいりました。あべさんや馳さんと一緒に行ってまいりました。午前中の馳委員からの質問もございましたし、先ほどあべ委員も触れられましたけれども、昼休みに少し聞いておりますと、行っておられない委員の方々もいらっしゃって、これはひとつ委員会として沖縄に派遣で視察に行こうじゃないかという声も出ておりました。

 ここは委員長に御提案でありますけれども、ひとつ委員派遣の件について御検討いただけますでしょうか。

稲津委員長 後ほど理事会にて協議をさせていただきます。

宮本委員 私、聞いてきたんですが、那覇市内にある学童保育では、民間のアパート四部屋分を借りて保育をしている。現場も見てきました。近くに外遊びできるスペースがないことから、そのうちの一室でボール遊びをさせているんです。壁もぼろぼろ、電灯もばりばりという状況でありましたけれども、別の学童保育は、幼稚園の空き教室を借りて開設していたものの、老朽化のためにやむなく移転、移転先は小学校の理科室で、毎日授業が終わると指導員が理科室の机やいすを片づけて、学童保育室に仕立てて保育を行い、保育が終了すると再び理科室に戻す、これを毎日繰り返しておられるわけです。

 本土では、学校敷地内や学校の余裕教室での学童保育が主流となりつつありますけれども、那覇市内で三十カ所以上あると言われる学童保育のうち、学校敷地内に専用スペースが確保できているのはわずか一カ所で、それもことし四月から使用を始めたばかりです。

 関係者からは、全国では公立が八割を超えるのに対し、沖縄県全体で二百カ所を超える学童保育の九割強が民立民営であることから、学童保育としての施設確保が非常に大変だ、こういう声も聞きました。全国平均に比べ、倍近い保育料、一万円を超える高額な保育料負担になっている、これも事実なんですね。所得の少ない家庭や一人親家庭の子どもたちが学童に入れないという状況もございます。

 これは、アメリカ軍による統治という歴史的背景があるとはいえ、どこに住んでいても小学生の放課後の生活は同じように保障されるべきだというこの立場、先ほど大臣も、子どもは生まれる場所は選べないとおっしゃいましたけれども、言うまでもなく、児童福祉法第一条、すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならないとし、二条で、国は、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う、こう定めておりますから、この支援は不可欠だと思うんですね。

 これも大臣にお伺いいたします。

 国が支援をして、この沖縄の立ちおくれた現状を早急に解消することは、児童福祉法に照らしても当然のことだと私は思いますが、大臣もそれでよろしいですね。

蓮舫国務大臣 御指摘のとおり、児童福祉法の観点でいいますと、国も地方公共団体も子どもの健やかな成長には責任を有すると感じております。

宮本委員 議論を聞いておりますと、内閣府の沖縄振興対策、あるいは一括交付金という議論も出ております。

 ただ、このおくれというのは、基地のもとでの沖縄の子どもたちの成長、発達を大きく阻害してきた歴史的条件によるものでありますから、それが原因でこういう立ちおくれを生んでしまったものを、その解消をする場合に、解消してほしかったら、いわば基地と引きかえのようなお金でという議論は余りにもひどい。私は、そういうこととリンクさせるのじゃなくて、全国ひとしく保障する中身として沖縄の対策をとるべきだということを申し上げておきたいと思います。

 学童保育は、子どもの放課後の生活の場であると同時に、家庭を丸ごと受けとめ、保護者とともに子どもたちの育ちを支える専門的な場であります。だからこそ、大災害時には子どもの命と安全を守るとりでとなり、深刻化する子どもの貧困のもとで、子どもたちの成長と発達を親とともに守ろうと必死に頑張っておられます。しかし、学童保育を実施している自治体によって、設置主体が公立か民立かで保育環境が全く異なってしまいます。さっきの沖縄の例もそうですね。これで子どもたちの放課後の安全や安心が守られるのか。今だからこそ、国による学童保育制度の抜本的な拡充が求められている。

 これは厚生労働副大臣にお伺いしたいんですが、そういうふうに私は考えますけれども、いかがでしょうか。

辻副大臣 宮本委員御高承のとおり、放課後児童クラブは平成九年に放課後児童健全育成事業として児童福祉法に位置づけられたものでございますが、運営形態やサービス利用実態が多様であること等を踏まえ、市町村が地域の実情に応じてサービスを提供できるよう、職員配置や施設に関する基準や利用手続などにつきましては定めていないのが現状となっております。

 現在、私どもが検討を進めております子ども・子育て新システムにおきましては、放課後児童クラブにつきましても、量的拡充だけではなく、質を確保する観点から検討がなされているところでございます。

 御指摘の放課後児童クラブの充実につきましては、このような議論も踏まえつつ、量的拡充と質的確保の二つの観点から努めていきたいと思っております。

宮本委員 私は、子ども・子育て新システムの議論の中でそういう話が出ていることはもちろん知っているんです。きょうは子ども・子育て新システムそのものについて議論をするつもりはありません。先ほど池坊委員から指摘があったように、私としてはこの新システムというものについては賛成できないわけでありますけれども、その前にやるべきことがあるという議論なんですね。

 一九九七年に学童保育が法制化された。やっと二〇〇七年に放課後児童クラブのガイドラインが出されました。厚生労働省が二十一日に発表した平成二十三年放課後児童健全育成事業の実施状況を見ても、ガイドラインを活用している市町村が半数に上っております。ガイドラインの策定からもう四年がたって、子どもの貧困に代表されるように、子どもとその家族を取り巻く環境はこの四年間で激変をしております。

 また、十月の二十一日、厚労省は放課後児童クラブの事故報告集計というものを発表いたしまして、学童保育で子どもが死亡したり、大けがをしたりする事故が、一年間に全国で二百六十件余り起きていたということも明らかになり、厚労省は子どもの安全を守るための基準について検討を進める、こうも述べられております。

 私は、今こそガイドラインから一歩前に進んで、子どもたちの安全を確保するための職員配置基準や施設基準、子どもたちの成長や発達を保障できるだけの適正規模や事業内容などの運営基準を国が定めることが求められている、こう思いますが、厚生労働省、いかがですか。

石井政府参考人 議員御指摘のとおり、平成十九年の十月に放課後児童クラブとして望ましい運営内容を目指すためのガイドラインが策定されたところでございます。

 放課後児童クラブについては、これは平成二十三年五月一日現在でございますが、利用できなかった児童が七千四百八名おられるなど、量的な拡充も必要でありますし、また、質的な改善も必要ではないかというふうに考えております。

 こうした中で、本日はその議論をしないということでございますが、子ども・子育て新システムに向けた検討の中で、その中間取りまとめが去る七月に取りまとめられておりまして、その中で、放課後児童クラブの質を確保する観点から、人員配置、施設、開所日数、時間などについては、国が一律の基準を設定すること、そして、その際、国の基準と地方公共団体の裁量の範囲について、今後、さらに検討する、このような記載がなされているところでございます。

 具体的な内容につきましては、今後、子ども・子育て新システムの検討をさらに進めていく中で議論をしていくことになっておりまして、この結果を踏まえてしっかり対応していきたいというふうに考えております。

宮本委員 大臣にも確認したいんですが、国による一律の基準というならば、まず国と自治体が学童保育を実施する責任を有していることをはっきりさせた上で、学童保育が抱えているおくれや格差を解決し、量的にも質的にも向上させていくべきだ、そういう方向で今後議論していくということでよろしいでしょうか。

蓮舫国務大臣 先ほど来、宮本委員の御指摘をうなずきながら私も実は聞いていた立場なんですが、放課後児童クラブ、これはもう日本全国で定着したと言ってもいいんですけれども、他方で、指導員の資格要件ですとか職員の配置基準、あるいは施設要件等に関して明確な基準がないということ、これを果たして保護者がどこまで存じ上げているかどうかわからないんですけれども、やはり私はこれは問題だと思っています。

 二〇〇七年のガイドラインを示して、厚生労働省としても質の向上は図ってきております。ただ、明確な基準がないというのは、安定的な保育の提供という部分でもやはり不十分だと考えておりますので、先ほど厚労省からの答弁にもございましたが、新システムの検討を進めていく中で、放課後児童クラブに係る客観的な基準の策定、あるいはそれを踏まえた充実と質の確保をどのように図るかというのは、この改善策を講じていくために努力をしていきたいと思います。

宮本委員 補助金の問題も指摘しなければなりません。

 二〇一〇年三月に発表された学童保育サービスの環境整備に関する調査研究によると、施設運営費が国の基準を上回る都道府県が半数以上、市町村に至っては、国の枠組みの三倍前後という過重負担となっていることが明らかとなりまして、国は、設定した補助基準と市区町村が実際に負担している運営費等の大きな隔たりを見直すことや、指導員の処遇改善等に資する補助のあり方の検討が必要だと提言をされております。

 厚生労働省、これらの解消はどのように行っていくんですか。

石井政府参考人 先ほど来答弁申し上げておりますとおり、放課後児童クラブの質を改善していくことが大変重要だというのは、もうそのとおりと思っております。

 このため、まず、平成二十四年度の概算要求におきましても、子ども・子育てビジョンの目標達成に向けて、放課後児童クラブの運営費や整備費の確保など、対前年比九億円増の増額要求をしているところでございます。

 また、本年七月にまとめられました子ども・子育て新システムに関する中間取りまとめにおきまして、潜在ニーズを含む保育等の量的拡充は、最優先で実施すべき喫緊の課題ということとあわせまして、職員配置の充実など必要な事項について、子ども・子育て新システム制度の実施のため、財源を確保しながら実施するとされているところでございます。

 こうした中で、放課後児童クラブについて、質の改善をしっかり図る、これに取り組んでまいりたいというふうに考えております。

宮本委員 学童保育は、子どもをただ単に預ける場ということでもありませんし、単なる放課後の遊び場でもありません。学童保育は、児童福祉法第六条の二に規定されているとおり、適切な遊び及び生活の場なのであって、それに見合う補助額の引き上げや制度の拡充がぜひとも必要だと申し上げておきたいと思います。

 残った時間で、里親への支援と児童養護施設の職員配置の問題を取り上げます。

 沖縄でのスタディーツアーで、沖縄県は里親への委託率が二五・二%と、全国の平均の一〇・八%を大きく上回って、全国第三位であるということを知りました。沖縄で里親をされている方々からもお話を伺い、里親への支援や専門的な研修などが急がれていると痛感をいたしました。

 先ほども議論がありましたけれども、里親支援機関事業ですね。そして、里親委託等推進員というものが今度配置される、こういう話も聞きましたけれども、確認したいのは、厚労省ですけれども、里親委託等推進員というのは、里親支援だけを専門的に行うということになりますか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 里親委託等推進員というのは、里親支援機関事業というのがございまして、その事業におきましては、子どもに最も適合する里親などの選定の調整や里親等への訪問支援、里親等による交流事業の実施のため里親委託等推進員を配置するということとされております。また、それとともに、里親委託等推進員や児童相談所の里親担当職員、里親等により構成される里親委託等推進委員会を設置することとされております。

 里親委託等推進員は、これらの里親支援に係る事業の実施に当たって、事業の企画、そして支援の実施、里親等と施設の調整、さらには関係機関との連絡調整等のさまざまな業務を行うものでございまして、里親支援だけを行うものではないというふうに理解をしております。

宮本委員 そうなんですね。支援のみを行うわけじゃないんです。

 里子になるのは、虐待や親の死亡などで家族のもとで暮らせなくなった子どもたちであります。家庭的な環境の中で育った経験が全くない子どもも少なくありませんし、生活習慣が身につかないままの子どももいると聞きました。極端に反抗的な態度や暴力など、問題行動を繰り返す試し行動、それから赤ちゃん返りなど、里親にとっては、自分の養育が間違っているのかと不安になるような場面も多いというんですね。

 沖縄では、先ほどもありましたが、そういう子どもたちがふえているもとで、専門的な知識や研修がなければ、里子を養育することすらままならず、里親の苦労は並大抵ではない、ですから、里親支援の専門職員をぜひ里親会に置いてほしいとの要望がありました。

 里親委託等推進員だけでなく、支援に専念できる職員がいれば、もっと里親支援に力が割ける。先ほど馳さんからもありましたが、この要望は私はもっともなことだと思います。

 里親会そのものの形態や規模も全国まちまちなので、一律にというわけにはいかないでしょうけれども、要望があるところについては前向きに検討してはどうかと思いますが、厚生労働省、そうじゃないですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 本年七月に取りまとめられました社会的養護の課題と将来像では、施設の小規模化、施設機能の地域分散化、里親推進など、家庭的養護の推進を図るため、乳児院と児童養護施設に里親支援担当職員を配置することとし、平成二十四年度の概算要求においてこれを盛り込んでおります。

 お尋ねの、里親支援担当職員というのを里親会に置いてはどうかということなのでございますが、確かに、里親会、さまざまな実態があるわけでございまして、沖縄は、先ほどの話を聞きますと、法人格を持って立派なところだということでありますが、まず、乳児院と児童養護施設に置くところからスタートしたいと考えておりまして、その中で、里親会と連携をして、うまくコーディネートしてやっていただければありがたいなと思っているところでございます。

 ただ、そのほかに使える措置としまして、本年四月の実施要綱の改正によりまして、児童家庭支援センターの役割に里親支援を位置づけております。地域の里親会がこの児童家庭支援センターを設置しますと、そこにおいては、里親支援を含む業務を行うために職員三名の配置が可能になります。こうしたような仕組みなどの御活用を御検討いただければありがたいなというふうに考えております。

宮本委員 施設と里親を結ぶ職員が必要だということに別に異論はないんですね。しかし一方で、里親への支援に専念できる職員も必要だという声がある、それで今申し上げたわけで、ぜひしっかり里親を支える体制をとっていただきたいというふうに思います。

 それで、同時に、児童養護施設も沖縄では見てまいりました。先ほど来議論がありまして、今、小学生、職員一人が六人の子どもという基準を概算要求では五・五人にと。しかし、目標としてはもっと高い目標で、子ども四人に対し指導員一人、これを目指しているというお話もあったわけであります。

 しかし、それでも、六人というのは、実際上は、三交代で見れば、一人で十八人。五・五人になっても十七人ということですから、これはなかなかそう簡単に解決する問題じゃないと思うんですね。

 それで、全国児童養護施設協議会の「子どもの権利を擁護し養育条件を高めるために」と題する提言によれば、この現状を改めて、小学生以上三人に対し児童指導員、保育士一人の配置を求めておられます。つまり、一対三まで進めてほしいと。

 私も、児童養護施設の現状を聞いて、この提言の方向に進むべきだと思っております。子ども四人に対し一人というのは最終目標ではなくて、さらにその先に進むべきだと私は思いますが、これは、厚生労働副大臣の御答弁をいただきたいと思います。

辻副大臣 児童養護施設における児童指導員等、六対一の現行の人員配置につきましては、交代勤務の中で、職員一人が十八人の子どもに対応する体制となるわけでございますが、虐待などで心が傷ついた子どもに十分なケアが困難であるということでございます。そういった意味で、人員配置の引き上げが必要となっているものと考えております。

 本年七月に社会保障審議会児童部会の社会的養護専門委員会におきまして取りまとめられました社会的養護の課題と将来像におきましては、小学生以上について、現行の六対一から四対一に引き上げることを目標水準としたところでございます。

 児童養護施設につきましては、小規模グループケアなどの家庭的養護を推進することが重要でございますので、この基本配置に小規模グループケア加算等を合わせることによりまして、三対一ないし二対一の水準まで改善を図ることができることから、その積極的な推進を図ってまいりたいと考えております。

宮本委員 時間が参りましたので終わりますけれども、きょうは幾つかのテーマで質疑をいたしましたけれども、子どもや若者を取り巻く状況の変化と格差の深刻さに、率直に言って驚いているわけです。大臣が所信で述べられた、子どもや若者が大切にされ、支えられながら可能性を発揮できる社会を目指して、政府含め社会全体が力を発揮しなければならないと思いを新たにしております。

 最後に、この問題での大臣の御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。

蓮舫国務大臣 子どもが夢を持てない社会というのは、私は国の将来性に陰りが出ると思っております。すべての子どもが夢を持ち、目標を持ち、自分なりの道筋を歩いていける可能性を示すのが政治の仕事だと思っておりますので、ぜひ、きょう宮本委員からいただいた御提言もしっかりと受けとめながら、仕事をしてまいりたいと思っております。

宮本委員 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

稲津委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房技術総括審議官西本淳哉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

稲津委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 まず初めに、避難している子どもたちを安心して育てられる環境づくりについて質問をさせていただきます。

 大震災、発生をしてからもう既に七カ月以上、こういう状況の中で、原発事故の収束が見えない。避難された人たちは毎日毎日不安な日々を送っている。この悩みについて、私たちはしっかり受けとめながら対応していかなきゃならない、こういうふうに思っております。特に子どもたちの避難している受け入れ先の現状、この部分についての教育問題、これが今大きくなっているのも事実でございます。

 私の出身の山形県は福島県の隣でございます。今、山形県には、十月一日現在で、園児が四百三十名、小学生が八百二十七名、中学生が百七十四名、高校生が八十六名、合わせて千五百二十四名が福島県そして宮城県から避難をしている現状でございます。震災が発生してから一カ月後は六百一名でした。それがもう二倍以上でございます。夏休み以降、千三百五十八名、そしてまた十月になってもまだふえております。特に、今の山形の状況については、もう九割が福島県から避難をしている、そういう児童生徒が多いのでございます。このことを見たときに、子どもたちの避難の部分が、短期ではなく長期に及ぶものなんだろう、私はこういうふうに思っております。

 そうした中で、文科省として、四月の十一日にそれぞれの各県知事なり学校の方に受け入れの通知を出してきているわけでございますけれども、もう半年過ぎております。

 そういう状況の中で、今、山形の現状を含めて、数字を申し上げたわけでございますけれども、文科省として、子どもたちが避難先で、さらに学校、さらには保育所、園児、こういった部分についてどういうふうにとらえながらどう対応しているのか、まずお伺いをさせていただきます。

尾崎政府参考人 御指摘の点でございますけれども、今先生お話がございましたとおり、被災三県、とりわけ福島県を中心としまして、県をまたがって、隣県山形県を初めとして多くの避難の子どもたちが出ているということで、とりわけ山形県への避難の生徒が多いという状況であることは確かでございます。

 こういった子どもたちが安心して学校教育を受ける、その機会を失わない、また、ちゃんとした環境で教育の恩恵に浴するということは非常に重要なことだと思っております。

 そのために、恐らく、経済的な観点、心の観点、それから先生方の観点、そういったものについてきちっとした体制を整えていく必要があるということで、経済的な支援、心のケアのためのスクールカウンセラーの派遣、それから、今御指摘がありましたように、幼児、児童生徒が移動した場合の先生の体制づくりといったようなものについて、これまでも対応してきたところでございます。

 とりわけ、多くの児童生徒が移動している場合に、そこの移動先の先生方の体制をきちっと十全な形でつくるといったようなことが大事だと思っておりまして、受け入れ側の先生の増、それから、送り出した側でも、例えば避難所を訪問したり、それぞれの個別の苦労があったりしますので、そういったところにも、加配という形で、特別の措置を講じるといったような形で現在も対応してきているところでございます。

 ただ、御指摘のとおり、短期のお話ではございませんで、これからもこういった状況が続くことが見込まれますので、政府の方でも、東日本大震災からの復興の基本方針の中で、今申し上げましたような経済的な支援、心のケアなどにつきまして、多様で手厚い支援を引き続き実施するといったようなことが方針としてうたわれております。

 私どもとしても、それを踏まえまして、これまでの補正予算の対応とあわせまして、来年度以降での予算での対応、切れ目のない支援に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

吉泉委員 冒頭に言ったわけですけれども、福島は、まさに長期的になるだろうというふうに私は見ているわけでございます。その中で、文科省の方から通知が出されたのが四月十一日ですよね。それで、この六点について、受け入れの部分を含めながら、今答弁があったような、そういうお話がこの通知で出されているわけです。

 半年を過ぎているんですね。その後、文科省の方から、それぞれの状況をつかみながらどうしていくのか、こういう部分がなかなか見えてこない、こういう状況だろうというふうに思っています。

 これは地元の新聞ですけれども、まさに園児の転入が多くなって、幼稚園、対応が追いつかず、こういう状況で、もう新聞に出ているわけです。

 確かに、今、小学校、中学校、高校については、いわゆる加配ということの関係で、教員の数はふえているわけでございますけれども、しかし、その基準なんかも含めていくと、総枠で出しているわけでございますし、地元からするならば、そのところがそれぞれの学校によって分散しているわけですから、地元負担なんかも非常に多い、こういう部分があるわけです。

 それと同時に、一番問題なのが園児です。

 今、そういう数を申したわけでございますけれども、保護者に対して、それぞれの入園とか、服とかそういうものについての一つの援助、支援はなされているわけですけれども、受け入れる幼稚園側に対しては何もないわけですね。

 幼稚園の場合は、私の方はほとんど私立でございます。そんな面の中で、今の状況からいうと、幼稚園の経営、そういった部分についても大変きつい。ましてや、幼稚園で、この件に関して職員をふやすという状況にはならないわけでございますから、そういった面から見ると、七カ月過ぎているわけですけれども、しかし、調査をしてから半年が過ぎているわけですから、現状をきちっととらまえながら、今のいわゆる補正、さらには来年度予算、こういうような言い方なんですけれども、そうでなくて、きちっと現状に合うような形でもう少し対応をやってもらわないと、それぞれの将来の問題、そしてまた今の保護者の苦労といった部分は、それぞれ国、県、または幼稚園、学校、そして保護者、こういう部分が全体的に将来のものも含めてきちっとうまく育つ、そういう環境をつくっていくための一つの構え方、そういう部分をきちっと出す、そういうことが今求められているんだろうというふうに思っています。

 そういった面の中で、もう一度、文科省の方から考え方をお聞きします。

尾崎政府参考人 御指摘の、小学校、中学校を中心としまして、今お話がございましたとおり、加配という形できちっとした対応をしてきているつもりでございます。

 四月の通知の前に、実は、震災が起こりました三月十一日の翌週、週明けの三月十四日の段階で受け入れの体制の整備のことにまず通知をお出しして、それから、今先生からお話がございましたとおり、四月の通知でその後のフォローをやっておるわけでございますけれども、さらに加えまして、例えば幼稚園の場合でございますと、経済的な事情で就園が困難な子どもたちのための支援ということで、一次補正の段階で、これはもう幼稚園も小学校も中学校も使い道は地元の事情に任せて御自由にどうぞという形になってございますけれども、臨時の特例交付金といったような形で百十三億円をちょうだいいたしまして、これによりまして、例えば就学の支援が必要となった世帯についての支援というようなものもやってきております。

 また、それだけでは足らないであろうということで、三次補正予算での積み増し、それから、お話がございますとおり、今後数年間見込まれる事態を想定しまして、受け取る側の各県での基金があるわけでございますけれども、その基金の設置期限をさらに三年間延長するといったようなことも措置として講じてきているところでございます。

 また、御指摘がございましたとおり、通う家庭の側だけではなくて幼稚園に対する助成、そういったものにつきましても、申しわけございません、私は直接の担当ではございませんけれども、十分でない点がございましたら、きちっとした対応を心がけるようにしてまいりたいというふうに考えております。

吉泉委員 間もなくうち方は私学のフェスティバルとかいろいろな行事がございます。そういった点を、私学の方から私どもゆっくりお話も聞きながら、それぞれまたぜひ相談もさせていただきたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、厚労省、経済産業省は、この震災においての原発に関して、いろいろな面で大変御苦労なされている、このことに本当に敬意を表させていただきたい、そういうふうに思います。

 福島の子どもたち、さらにはそれぞれの県民から非常に多くの健康に対する不安というものがあって、第二次補正で七百八十二億を計上させていただいて、福島県に原子力被災者・子ども健康基金を創設していただいた、このことについては本当に地元全体的には大変ありがたいなというふうに思っているところでございます。

 しかし、今出た段階で、それぞれ実施計画なりを立てて今取り組んでいるんだろうというふうに思っておるわけでございますけれども、お話を聞きますと、まず子どもの問題については、十八歳以下、そして一巡するのが二年半、約三年かかる、そして対象は三十六万人もいる、こういう一つの状況の中で、これを三十年間ずっとやっていくんだというふうな一つの方向は少しお伺いをしているわけでございますけれども、現状的なものについて課題はあるというふうに思っています。

 そういうところの中で、まず初めに、今福島で行われている子ども基金を使った中で、やっと進んでいるんだろうというふうに思っていますけれども、その辺について、主管である経済産業省から状況をお伺いさせていただきます。

西本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、二十三年度の二次補正予算で、健康管理関係で七百八十二億円の計上をいたしまして基金をつくりまして、全面的に福島県を支援するということをさせていただいております。

 中身は、例えば、二百万人の県民の方々全員に、基本調査と申し上げておりますけれども、アンケートの調査用紙をざあっと今送付しておりますけれども、そのときにどこにいたのかとかいうことを全部回収をいたしまして、事故当時の放射能の広がりぐあいと照らし合わせて、どれぐらい実際に本当に被曝したのかどうかということの推定とか、そういうようなことをするとか、あるいはデータベースをきちっとつくっていくとか、あるいは、先ほど先生御指摘いただきましたように、子どものがん検診ということで、三十六万人いらっしゃいますけれども、事故当時ゼロ歳から十八歳までだった人、三十六万人ですね、これから数年かけて全員に、エコー検査と言っていますけれども、甲状腺のエコー検査をしていくとか、あるいは、ホール・ボディー・カウンターを使って、これは子どもに限りませんけれども、どれぐらい内部被曝があったのかどうかということについての計測とか、それから、子どもに対して学校に積算線量計を貸すとか、いろいろなことを取り組んでいるところでございます。

吉泉委員 ここは青少年の委員会でございますから、子どもたちのことに限ってお伺いさせていただきたい。

 今答弁にもありましたように、三十六万人の甲状腺のエコー検査、これはやはり大変なんだろうというふうに思っております。医師なり、それを検査する体制ですね。恐らく福島には医大があるわけでございますけれども、机の上では三十六万人をやる、二年半だという考え方でございますけれども、しかし、さっき話しましたように山形にも、全国にそれぞれ避難をしている、そういう状況からするならば、もう少しこの体制というものについて、それぞれの医師会等々を含めながら対応していかないと、これは計画どおりいかないのではないか、こういう心配もしているわけでございます。

 これから三十年間やっていくという一つのものについての実施していく機関なりチームなり、そういったものについてはどういう状況になっているのか、お伺いさせていただきます。

西本政府参考人 まず、三十六万人といいますと、大変な数でございます。

 それから、先ほどちょっと言い忘れましたけれども、まずコミュニケーションをきちっと図っていく必要があると思っていて、そのためのいろいろな体制をつくっていこうというふうに思っております。

 例えば、私ども、これは福島県さんが基金の活用の仕方としてお考えになることだと思いますけれども、住民の方々にできる限りいろいろな正確な情報を伝えていくとか、住民の方々がコミュニケーションをとっていくというようなことが重要かなというふうに思っておりますので、それはしっかりやらせていただきたいというふうに思っています。

 それから、甲状腺のエコー検査ですけれども、これは大変な人数になりますので、甲状腺学会等に働きかけをいたしまして、協力を依頼いたしまして、とにかく手伝ってくださいという依頼をしているところでございます。

吉泉委員 実施のところについては、福島県がそれぞれ責任を持つ、そういうシステムなんだろうというふうに思っていますけれども、今お話ありましたように、それぞれ学会の方なり、いろいろな力をかりなければこれはでき得ない、こういうものなんだろうというふうに思っております。

 それと同時に、もう一つお聞きをしたいわけでございます。これはあってはならないというふうに思っておりますけれども、この甲状腺のエコー検査の中で、例えば一巡目は何でもなかったわけですけれども、二巡目で異変が出た、異常がある、そしてがんに近い、こういう問題が出たときに、これはどういうふうに対処していくのか。そして、それをそれぞれ子どもさんなり、さらには保護者が安心して、心配になるわけですから、そのことについてはこういうふうにやっていくんだ、そういう一つの基本的なケアをしていく体制というものがとられているのかどうか、お伺いします。

西本政府参考人 お答え申し上げます。

 今、福島県さんで、県民健康管理調査ということで委員会を組織して、福島県立医大の先生方とか、それから、今放医研なんかがかなり放射線医学の関係の知見がございますから、総力を挙げて体制をつくって調査をしていくということで進めているところでございます。

吉泉委員 調査はわかるんですよね。調査はわかる。しかし、それぞれの現状から見ると、例えばがんが見つかった、その因果関係はどうなのか、こういう問題が当然出てくるわけでございますね。そのことについては非常に難しい、これまでのそれぞれの事例がある、そういうふうに思っています。ですから、やはり安心してそういう検査を受けて、検査の結果がこういう状況になったらそのことについてはきちっとフォローする、ケアする、そのためのチームがきちっとありますよ、こういうものでなければ、単なる検査で終わってはならぬだろう、こういうふうに思うんですよ。

 その中に、今の福島の医大、少なくとも福島、そういうことにそれを全部ゆだねる、これはやはり難しいものがあるというふうに私は思っています。ですから、このことについては国がきちっと責任を持ってケアをする、そういうものの対応について、体制、組織をつくる、これは国でつくらなければならぬだろうというふうに思っておりますけれども、そういう考え方はないんですか。ちょっとお願いします。

西本政府参考人 県知事さんも、県民の方々の中長期に及ぶ健康管理の問題をきちっと県としてやっていくというふうにおっしゃっておられて、私ども、それに対してあらゆる技術的サポート、それから経済的サポート、しっかりやっていくということで対応していくということでございます。

吉泉委員 健康管理、健康調査、その域から少しも出ない、そういう状況でございます。しかし、これからもこの点については追求をしながらも見守っていきたいというふうに思っていますけれども、やはり一番心配するのは、万が一こういうふうに出た場合どうするんだろうな、まだ生まれたばかりの子どもが二回回れば、二歳、三歳児ですよね。そういう保護者の人方の心配も大変なものがある。そのところをきちっと対応される、そういう一つの方向性をぜひ国として持っていただきたい、考えていただきたい、こう思っております。

 それと同時に、もう一つ、福島ということで今限定をしているわけでございますけれども、全体的に福島よりも非常に高い、そういうところも今出てきているわけでございます。これから福島の健康検査が進んでいく際に、やはり他県からもこういう声が出てくる、そういうことも考えられるわけでございますけれども、そういった声に対してはどういうふうにこたえていくのか、お答えをお願い申し上げます。

西本政府参考人 私ども、今、県の調査ということでいろいろな支援をさせていただいておりますけれども、それと同時に、広くコミュニケーションといいますか、住民の方々、それから放射線の障害等についてしっかり対応していく必要があるだろうというふうに思っておりまして、例えば放医研さんなんかは相談窓口みたいなものを設置されて、いろいろ御心配であられますから、そういったことに対してしっかりこたえていくというような体制をつくっております。

吉泉委員 ひとつよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 時間がもう迫ってきたわけでございますけれども、児童虐待の関係で質問に入らせていただきます。

 午前中の、歯科医師であります先生の方からの質問については、大変学ばせていただきましたし、感動をしたところでもございます。そういう意味では、虐待の早期発見については、まさに歯科医師会なり、さらには歯医者さんの役割、この部分が非常に大きいものがあるんだろうというふうにも思っているところでございます。

 その中で、大変数字が、児童虐待の数がウナギ登り、こういう状況になっているわけでございます。それぞれの現状を見たときに、お母さん方がそういう虐待の加害者として出ているという状況も数字的には出ているわけでございます。

 こんなにも大きく、そういう相談件数、さらには命を落とすまでいじめる状況というものについて、総体的に各省を取り仕切る担当大臣として、これまでも議論がなされたわけですけれども、やはり虐待ストップ、そういう立場の中で見たときに、何がこれからの一番の注意事項で、さらには一つのポイントとして行政を進めていこうとしているのか、大臣の方からお伺いさせていただきます。

蓮舫国務大臣 一言でこれだと答え切れるものではないと思っております。ただ、委員御指摘のように、児童虐待件数が、残念ながら、政治の取り組みと比例して低減をしていくというよりは、増加をしているという現実には、厳しく私たちは向き合わなければいけないと思っております。

 その上で、子ども・若者ビジョン、去年の七月二十三日にまとめたところにも、やはりこの児童虐待防止という観点を重要視しておりまして、防止対策として、地域における子育て支援を充実する。それとともに、子育てに関する親等への情報、学習機会の提供、相談体制の充実を初めとするきめ細かな家庭への支援が実施されるよう促すとともに、相談、通報等を通じた児童虐待の早期発見、早期対応に努めることも、これも大事。そのための地域ネットワークをどうやってつくり上げていくのか。あるいは、児童相談所の体制強化、これは人員の支援も含めて、こうした強化も図らなければいけない。さらには、児童虐待の防止を図り、児童の権利利益を擁護する観点から、親権の制限等の具体的あり方について検討を進めていくということを私どもはまとめさせていただきました。

吉泉委員 今大臣の方からもお話があったように、早期発見のために、それぞれの地域でのサポート、そういう部分が大変必要なんだというお話もあったわけでございます。

 十七年に厚労省として、要保護児童対策地域協議会設置・運営指針を出して、これを強力に進めているわけでございますけれども、その中で、ほぼ九割近い各自治体等の中に設置がされているというふうにお聞きもしております。

 今現在、江戸川の事故の問題を含めながら、医師会として、虐待の早期発見、このことについて、それぞれ、勉強も、さらには研究会も重ねているというふうに医師会の方からは聞いているところでございます。

 しかし、この研究、さらには医師としての役割が発揮でき得る、そのためには、この協議会の中に歯医者さんの代表が加わっていかなきゃならないのではないかな。学校の中には学校医ということで、それぞれ内科医、さらには歯科医が入っているわけでございますけれども、この協議会の中にどういうふうにかかわっているのか、その点についてお伺いをさせていただきます。

辻副大臣 吉泉委員御指摘のとおり、歯科医師の方々につきましては、ネグレクトなどの虐待を発見しやすい立場にあることから、児童虐待防止対策において重要な役割を果たしていただけるものと考えております。

 このような見地から、現在、厚生労働省におきましても、関係府省庁及び関係団体から構成される国レベルの児童虐待防止対策協議会に歯科医師会の御参画、御協力をいただいているところでございます。

 同時に、市町村が設置する要保護児童対策地域協議会につきましては、参加が想定される構成員を協議会の設置・運営指針により自治体に示しているところでありますが、歯科医師、歯科医師会についても構成員の対象として明示させていただいているところでございます。

 今後、自治体の皆さん方に対しましても、歯科医師を含め、地域の実情に応じた幅広い関係者の要保護児童対策地域協議会への参加を呼びかけていただけますように、各種会議等を通じて促していきたい、このように考えている次第でございます。

吉泉委員 今答弁がありましたように、歯科医師の方々がこの協議会の中に入りながら、それぞれ指導をもらうという状況について、大変重要だ。

 しかし、全体的に、私のお聞きをしている中においては、その協議会の中に歯医者さんが入っている、さらにはその代表が入っているというのは二五%ぐらいでとどまっているというお話も聞いています。

 ですから、この点については、県さらには市町村を通じながら、せっかく九割ぐらいまでこの協議会ができているわけでございますから、その構成員の方に、ぜひ歯科医師の協力をお願いしながら、そして御指導いただくという体制をつくっていただきたい、このことをお願い申し上げながら、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

稲津委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十八分散会


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