衆議院

メインへスキップ



第5号 平成26年5月22日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十六年五月二十二日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 遠藤 利明君

   理事 鈴木 淳司君 理事 とかしきなおみ君

   理事 中根 一幸君 理事 永岡 桂子君

   理事 山本ともひろ君 理事 中根 康浩君

   理事 坂本祐之輔君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      秋元  司君    岩田 和親君

      熊田 裕通君    小林 茂樹君

      新開 裕司君    田畑 裕明君

      中谷 真一君    藤井比早之君

      堀内 詔子君    宮川 典子君

      大西 健介君    柚木 道義君

      遠藤  敬君    鈴木  望君

      佐藤 英道君    佐藤 正夫君

      青柳陽一郎君

    …………………………………

   参考人

   (全国webカウンセリング協議会理事長)     安川 雅史君

   参考人

   (千葉大学教育学部教授) 藤川 大祐君

   参考人

   (前刈谷市児童生徒愛護会委員長(愛知県刈谷市立雁が音中学校校長))    大橋普支俊君

   参考人

   (デジタルアーツ株式会社代表取締役社長)     道具登志夫君

   衆議院調査局第一特別調査室長           本多  満君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     中谷 真一君

  堀内 詔子君     藤井比早之君

  宮川 典子君     青山 周平君

  菊田真紀子君     大西 健介君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     宮川 典子君

  中谷 真一君     田畑 裕明君

  藤井比早之君     堀内 詔子君

  大西 健介君     菊田真紀子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 青少年問題に関する件(青少年とインターネットをめぐる諸問題)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 青少年問題に関する件、特に青少年とインターネットをめぐる諸問題について調査を進めます。

 本日は、参考人として、全国webカウンセリング協議会理事長安川雅史君、千葉大学教育学部教授藤川大祐君、前刈谷市児童生徒愛護会委員長・愛知県刈谷市立雁が音中学校校長大橋普支俊君及びデジタルアーツ株式会社代表取締役社長道具登志夫君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、大変ありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願い申し上げます。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承ください。

 それでは、まず安川参考人にお願いいたします。

安川参考人 安川です。よろしくお願いします。

 昨年の九月まで、リベンジポルノの相談というのがほとんどなかったんですね。一カ月に一、二件でした。ところが、昨年、メディアとかでリベンジポルノという言葉が出始めてから、子どもたちが不安になって、まさか自分の画像が出回っていないだろうなと、画像検索とか名前検索をする子どもたちがふえ始めたんですね。それ以降、相談件数が、平均すると三十件弱の相談が来ています。単純に、十倍以上の相談が来ているという計算になります。

 ほとんどが未成年です。なぜ未成年の相談が多いのかというと、いろいろ話を聞いていくと、警察に相談できないというふうに言うんですね。これは、親にもないしょにしている、学校にもないしょにしていると。学校にばれると退学処分になるかもしれないし、親には、まさか自分の子どもがこんなことをしているなんて思われたくない、だから親にもないしょで何とかしたい、警察に言ってしまうと、それが公になってしまうのはまずいと。それで未成年の相談が多いんですね。

 これは、大体、子どもたちの相談に乗って、検索をかけると、素人の動画投稿サイトとか画像投稿サイトがあるんですが、そこにまず載っている。そこには名前も何も載っていない、画像しか載っていないんです。ところが、2ちゃんねるにリンクを張られて、そこにはその子の個人情報が書かれているんですが、それがまとめサイトに載って、その子の顔画像と個人情報が合わさってしまう。そうすると、その子の画像検索とか名前検索をかけると、それが出てきてしまうわけなんですね。それで慌ててしまう。

 昨年の末の相談で、こういうケースがありました。

 高校生の女の子です。この子は、クラスに彼氏がいたんですけれども、彼氏から一方的に下半身の画像が送られてきて、ねえ、俺のも送ったんだからおまえのも送ってよと。女の子は迷ったんだけれども、彼氏が浮気性なので、もし送らなくて浮気なんてされたらどうしよう、だから、慌てて、彼氏に言われるがままに上半身の画像を送った。さらには、その後、性行為の画像とかまで撮られていた。

 それで、彼氏が浮気しているのが発覚して、女の子は別れを切り出したんですね。別れた後です。男の子は、クラスにLINEの友達がいるんですが、LINEの友達に、女の子の裸の画像を回してしまったんですね。これはまだネットには流出していません。でも、それを、クラスの男の子から女の子が聞いたんですね、俺、おまえの裸の画像を持っているよと。女の子は不安になって、それ以降、学校に通わなくなったんですよ。

 最初は親には話さなかったんだけれども、親がしつこく聞いてきたので、こういうことがあったと話したんですね。お父さんの方が怒って学校の方に連絡をとって、先生は、LINEで回ったという男の子たち一人一人を呼んで話を聞いて、やっと一人の子がその画像を見せたんですね。その回した男の子は退学処分になったんですが、これはまだネットには流出していません。

 でも、先生に言わせれば、男の子たちは全員、その画像は削除したと言い張っているんですが、これがもし携帯の中に保存されていた場合、それがいつまたネットに流出するかわからない。その不安を持って、その女の子はずっとこれから生活していかなければならない。

 彼氏、彼女の関係といっても、今の子どもたちというのは、実際に会っての彼氏ではなくて、ネット上で彼氏とか彼女をつくるような子も多いんですね。特に、学校で余りなじめない子ども、余り学校に行かない、クラスの中では仲のいい友達がいない、でも、SNSの中では私のことをよくわかってくれる人がいる、ジャニーズ系のすごく格好いい人なんだよねと。もう女の子は妄想が膨らんでいって、そこでもそうですよ、男の子に言われるがまま画像を送ってしまった。

 その男の子というのが、北海道に住んでいる方だというんですね。今度会わないか、俺、休みがとれるからさと。女の子も、何とか会いたいんだけれども、北海道まで行くお金がない。そうすると、男の子から、一日で稼げる仕事があるから紹介するよと。女の子は、とにかく男の子に会いたかったので、言われるがまま仕事をした。ただ、その仕事というのが、男を紹介されて、男の相手をするという仕事です。

 一日でお金がたまりました。こんなにお金って稼げるんだね、これだけあれば北海道に行けるでしょうと。そうすると、男の方から、おまえの学校ってこういうことを認めているの、俺、おまえの学校の校長に、おまえが送ってくれた裸の画像とかを送るよ、おまえがやっていることを校長にばらすよ、いいのかと。女の子は不安定になってしまって、とにかくそれだけはやめて、お金は全部払うからと、男の子にお金を払ったんですね。それ以降も、男がしつこく、またこういう仕事をやってと。女の子は、それがどうしても嫌だったので、親には絶対に話したくなかったんだけれども、全部を話したんですね。

 男からもしつこく連絡が来る。それを全部無視していたんです。そうすると、今度は電話がかかってきて、お母さんがかわりに出ました。警察に通報しますよ、あなたのやっていることは犯罪ですよと。そうすると、警察に通報してもいいぞ、そのかわり、おまえの娘が送った画像をネットに流出させるからな、おまえの子どものやった画像を学校に提出するぞ、おまえの学校はどう判断するだろうな、しかも、おまえの子ども、ネットに流出すると、いろいろな男に見られるんだぞ、それに耐えられるのかと。

 そこから、逆におどしですよ、お金を幾ら用意できるかと。旦那さんは厳しい人だったみたいで、奥さんは旦那さんに内緒でお金を振り込んでしまったんですね。それ以降もお金の振り込みが続いている。

 このように、警察になかなか相談できないけれどもこちらの方に相談が来るケースというのは、すごく多いです。ほとんどの子どもは、警察には絶対に言いたくないと言い張ります。

 今、女性の事例を話したんですが、実は、相談が来るのは女性だけではありません。男性からの相談もあります。リベンジポルノというと、どうしても女性というふうな感じになるんですけれども、先月あった相談では、このようなケースでした。

 女の子の方から、どうしても別れたくないと。男の子は、その女の子と縁を切りたいという思いで、別れると言い出したんですね。その間、やはりいろいろな画像を撮り合っていたんですね。その男の子の画像を女の子はどうしたかというと、同性愛者が集まる掲示板に、男の子の下半身の画像とか顔画像とか、フルネームで名前を書いて、連絡先まで書いてしまったんですよ。

 男の子の電話に、卑わいなメールとか、下半身の画像がばんばん送られてきたり、エッチな言葉が書かれてきたり。男の子は耐え切れなくなって、何かある、何で俺のことをみんな知っているんだと。いろいろ調べていくと、そのような掲示板に自分の画像が載せられているし、個人情報も載せられている、何とかしてほしいということで、こちらの方に相談があって、協議会の方で対応しました。

 ほとんどのケースは、まず、こちら側で管理人の方に連絡をとります。明らかに未成年であるとか、個人情報がさらされているものに関しては、今はどこもすぐに対応はしてくれますね。ただ、中には、管理人といっても、放置していてほとんど忘れているようなものというのは、対応してくれないわけなんですよ。そのような場合は、プロバイダーの方にこちらの方から削除依頼を送ってという形になります。

 まだ拡散する前にほとんどは抑えられているので大丈夫ですけれども、これが、一度拡散してしまって海外のサーバーとかに行ってしまった場合は、なかなか対応し切れない。

 ただ、今の段階で、協議会の方に相談が来るケースというのは、ほとんどが拡散する前のケースなんですね。だから、何とかこちら側で対応できているという状態です。

 以上です。(拍手)

遠藤委員長 ありがとうございました。

 次に、藤川参考人にお願いいたします。

藤川参考人 おはようございます。千葉大学教育学部の藤川と申します。

 本日は、よろしくお願いいたします。

 お手元に、パワーポイントで作成した資料を配付していただいております。基本的に、その資料に沿ってお話を申し上げさせていただきます。

 私は、教育学の研究者でございます。教育方法学という、具体的な教育の方法を研究する研究者でございまして、いじめの問題でありますとか、メディアと教育にかかわる問題ですとか、そういった問題について研究をしております。

 特に、子どもとインターネット、あるいは子どもと携帯電話、こういった問題について、余り教育学者で研究している人が多くない中で、私は十数年ずっと研究をしておりまして、現在は、安心ネットづくり促進協議会という、民間で、青少年のインターネット利用環境をよくしていこうという多くの関係企業、有識者などが入っている団体でかかわらせていただくなど、各地で、PTAの会であるとか、あるいは教員研修であるとか、そういったところに伺いましてお話をしたりする活動をやらせていただいております。

 きょうは、そうした、一応この問題にかかわる有識者という立場から、特に法的な問題を中心に意見を申し述べさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 資料の二枚目でございますが、まず、青少年インターネット環境整備法について意見を述べさせていただきます。

 この法律は、二〇〇九年四月に施行されておりまして、現在の青少年とインターネットをめぐる問題についてさまざまな活動、取り組みを進めていく上での基本となっている法律でございます。

 まず、この法律は五年たっているんですが、基本理念であるところの、例えば、青少年が適切にインターネットを使えるような能力を育てることが大事だということであるとか、フィルタリングという有害環境に触れさせない仕組みを普及させることが重要であるとか、あるいは、民間における自主的かつ主体的な取り組みが大きな役割を担うのだというところ、こうした基本理念につきましては、その重要性は五年たった今でも変わらないということを申し上げておきたいと思います。

 私は、安心ネットづくり促進協議会というところで、さまざまなネット関係の企業の方々と意見を闘わせながら活動しておりますけれども、民間で自由闊達に議論をする中で、さまざまなアイデアが生まれ、いい教材をつくり、各地の啓発につなげる、そういう活動がかなり進んできたというふうに実感しております。恐らくこうしたことの成果は大きいものでありますので、この法律の理念というのは非常に重要であるということが、今でも申し上げられるのではないかと考えております。

 他方で、五年間というのは、インターネットにかかわる問題としては比較的長い期間でございまして、状況の変化もございます。幾つか、この法律では明記されていない課題が出てきているというふうにも感じております。

 まず、長時間のネット利用であるとかネット依存と言われる問題が、特に、昨今のスマートフォンの急速な普及によりまして、深刻化していると考えられます。各種調査を見ましても、従来型の携帯電話と比較いたしまして、スマートフォンの利用時間というのは非常に長いということがわかっております。

 こういったことが子どもたちの生活にどういう影響を与えるのかということは、インターネット環境整備法では明記されていませんけれども、検討していかなくてはいけない課題であろうというふうに考えております。

 また、フィルタリングに関してでございますが、この法律では、携帯電話のサービスにのみ提供義務が課されております。しかし、子どもたちは、ゲーム機であるとかタブレット端末であるとか音楽プレーヤーでもインターネットを使えるものがございますが、こういった端末を利用しているケースが多くなっております。

 これについては、ともすると、子どもがお小遣いでお店に行って購入して、親の知らない間に使うということもできてしまう状況がございます。保護者にしっかり監督してもらわなくてはいけないという観点からいたしますと、こうした携帯電話以外の機器について、保護者の知らない間に子どもが購入し利用できるという状況がよいのかどうかということについては、議論の必要があるのかなということを考えております。

 次に、スマートフォンの普及に関してなのですが、スマートフォンにおけるフィルタリングが何を指すのかというのがやや曖昧でございまして、携帯電話の回線を使わないで無線LANと言われる回線から利用できる場合、あるいは、アプリと言われますが、アプリケーションソフトウエアをインストールして利用する場合、こういった場合のフィルタリングが法的に義務なのかどうかが曖昧であるという課題もございます。

 もう一つ、サーバーの管理者にさまざまな義務が課されているのですが、アプリを利用してのコミュニケーションというものができておりまして、この場合、いわゆるサイトを利用しませんので、サーバーの管理者の義務というものがどこまで課されるのかがわからないといった課題がございます。

 こうしたところは、法の改正が必要かどうかについて私が意見を申し上げるものではございませんが、検討の必要があるところではないかということを申し上げたいと思います。

 次に、次の紙に参りまして、学校教育に関して、ネットいじめ等がございますので、私なりの意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず前提として、学習指導要領におきまして、現行の学習指導要領では、小学校、中学校、高等学校、全ての段階で情報モラル教育を重視するということが定められております。各地の学校でお話を伺っても、何らかの指導をしているという学校が大半でございまして、こうしたことは進んでいるということが前提です。

 また、いじめ防止対策推進法が昨年度成立いたしまして、各学校で、今、基本方針を立て、組織を設けていじめ防止対策に努めておりますが、その中でもネットいじめの対策が必要となっておりまして、これは法律に明記されておりますので、今後、各学校でのいじめ対策としてのネットの課題への対応が進んでいくだろうということが考えられます。

 このように、学校では対策が進んでいるのですが、他方で、状況の変化が非常に速いということがございまして、教材の普及が追いついていないということに若干懸念を抱いております。よい教材が、適切に、全国の教員の使いやすい形で普及する体制というものが今後さらに充実されていくことを期待しております。

 また、ネットいじめ対策については、学校のいじめ防止基本方針などに盛り込まれることが求められておりますが、まだこれは現状動いているところでございまして、十分な対策がとられているかどうかについては今後チェックをしていく必要があるというふうに考えております。

 なお、最近、アプリなどによるコミュニケーションで、仲間外れ、悪口といったいじめが起きていることが問題になっておりますが、こうしたことは、フィルタリングをかけるとか監視をするといった対応では防止が難しいということがございます。

 こういうものにつきましては、学校での予防的な教育、そして何かがあった場合の相談窓口の充実、こういったもので対応するしかないというふうに考えられます。特に、予防の教育の充実が今後さらに進む必要があるというふうに考えられます。

 また、長時間利用の問題につきましては、学校では十年以上前から「早寝早起き朝ごはん」運動というものが進んでおりまして、これがかなり効果を上げていて、子どもたちの生活時間の改善であるとか、朝食抜きの子どもが減るとかという成果が出ております。

 こういった取り組みの実績がございますので、こうした取り組みの成果を生かして、今後も子どもたちの生活習慣の改善に努めていくことが求められるということになろうかと思います。

 続きまして、福祉犯対策について意見を申し上げたいと思います。次の資料でございます。

 福祉犯と申しますのは、児童の福祉を害する犯罪ということでございまして、特に、インターネットの文脈におきましては、児童買春、淫行あるいは児童ポルノといった事柄に関する犯罪が福祉犯ということになります。

 こうした犯罪にインターネットが使われる、インターネットがきっかけとなって犯罪が起こるということがこの間ずっと問題になっておりまして、各府省庁の会議であるとかあるいは安心ネットづくり促進協議会において、こうした被害をどのように抑止するかということが、ずっと大きな課題でございました。

 そして、数年前までは、被害者数がかなり減る傾向が生じておりました。これは、フィルタリングの普及であるとか、各サイトでの監視、パトロールの充実であるとか、あるいは教育の充実、こういったものの成果が出てきたというふうに考えられます。

 しかしながら、昨今、スマートフォンが急速に普及しまして、新しい被害発生のルートが生じております。これは、特に通信アプリのID、IDというのは利用者を識別する記号でございますが、IDを交換する掲示板があたかも通信アプリ公式の掲示板であるかのようにして登場しておりまして、そうしたところでIDを交換することによって、不特定の異性が出会い、犯罪が生じるということが起きております。

 これは、実質的には出会い系サイトというふうに考えてもよいと思われます。つまり、児童買春等を喚起するような発言がたくさんなされていて削除もされないような掲示板がこうした犯罪につながっているわけですが、出会い系サイトの定義には一応当たらないということになっておりまして、規制ができておりません。いわば、脱法サイトというふうに申し上げていいのかなと思います。

 こうしたサイトに対する何らかの抑止というんでしょうか規制というんでしょうかができればいいのですが、出会い系サイトに実質なっているものについて何らかの注意喚起を行う、警告を行うといった仕組みがとれないものかということを、私としては考えたいところでございます。

 もう一つ、違う観点から申し上げますと、被害児童の側、これは児童買春の被害者とか淫行の被害者でございますが、こうした子どもたちというのは、みずから進んで加害者と出会っておりまして、被害者ではあるのですが、その犯罪を起こすきっかけをつくっている側でもあるわけです。

 こういった子どもたちの側には、貧困とか非行とか、そういったものがかなり色濃くございまして、家出中という方も多いんですね。ということは、ネットだけの問題ではなくて、非行対策とか児童福祉対策とか、そういった観点からの検討も必要ではないか、こういったことについてもっともっと幅広い視野での検討が必要ではないかということを考えております。

 次に、フィルタリングに関してなんですが、この福祉犯対策におきまして、フィルタリングは、スマートフォンの普及以降も非常に有効でございます。問題ある脱法サイトのようなものにつきましては、フィルタリングをかければアクセスができませんので、こうした犯罪を抑止することができます。

 実際に犯罪被害に遭った方の状況を見ても、九十数%が、フィルタリングなしで携帯電話を使っております。実際使っているお子さんというのは半分ぐらいはいますので、被害者の中でのフィルタリングの非使用率は非常に高いということがわかるかと思います。

 フィルタリングの推進を今後も図っていく必要がございます。

 また、今後、ゲーム機あるいはスマートフォンのアプリといった、新しい手段でもってこうした犯罪が生じてくる可能性が懸念されます。こうしたことについても、関係の企業等と連携をして予防に努めなくてはいけないということを申し上げておきます。

 最後に、リベンジポルノ対策について意見を申し上げておきます。

 リベンジポルノという問題に関しては、昨今、大変問題になっているところでございます。これは、当然ながら、異性との交遊などをする中で、容易に写真が撮れるということがございますし、そういったものを広く発信することも容易であるという環境の変化がもたらしたものだというふうに考えられます。当然、これは大きな問題でございますので、何らかの対応が必要であろうと考えられます。

 ただ、基本的には、現行の法律でもかなりの対応はできるというふうに考えられますので、問題が生じた場合には現行の法律での対応、そして予防的には教育をするということになるのかと思います。

 しかしながら、若干問題もございまして、例えば、写真が広がるなんということについて、最初に撮影した者はともかく、二次的に広げた者、二次的に利用した者については、それを抑止することは非常に難しいということがございます。ですので、そういったものについて抑止する何らかの仕組みというものも検討されていいのではないかと考えられます。

 こういったことを考えまして、例えばリベンジポルノ規制法というような法律がつくられることの意義はどうかということを考えてみました。

 これにつきましては、ストーカー規制法というのが非常に大きな参考になるかなと考えております。リベンジポルノ規制法のような法律が仮にできましたら、そのアナウンス効果というんでしょうか、そういう法律ができたということでこの問題についての関心が高まり、抑止に努めるとか、あるいは被害が起きても早く相談するとか、そういった動きにつながっていくことが期待できます。

 法律的にリベンジポルノをどう定義するかというのは難しいのですが、資料に書かせていただきましたように、一定の目的、行為の目的を定めて、復讐のような目的で写真等を公開するというようなことで定めれば、対応は可能ではないかというふうに考えられます。

 その他、公開されたときに早目に削除ができるような仕組みをつくるなどということも、検討の余地はあるのかなというふうに考えられます。

 なお、海外のサーバー等もございますので、諸外国と連携した対応も当然求められるということも申し添えておきたいと思います。

 このように、現行法でもある程度の対応ができる問題が多いのですが、さらにこういった問題について議論を重ねて、さまざまな知恵を出し合って対策を進めていくことが重要であるというふうに考えております。

 とりあえず、私の意見は以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

遠藤委員長 ありがとうございました。

 次に、大橋参考人にお願いいたします。

大橋参考人 皆さん、おはようございます。私は、前刈谷市児童生徒愛護会委員長でありまして、現在、刈谷市立雁が音中学校の校長をしております大橋普支俊と申します。

 本日は、このような場を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 今回刈谷市が携帯電話やスマートフォン等の安全な使用について保護者に依頼した取り組みについて、きょうはここに呼ばれたのかなということを思いますので、その点について述べさせていただきたいと思います。

 まずもって、今回、非常にスムーズに取り組めたのは、実は、刈谷市では、この刈谷市児童生徒愛護会という組織は、昭和二十五年から脈々と受け継がれてきたものであります。刈谷市市制施行と同時に、その当時の青少年の健全育成を願い、小学校、中学校、高等学校の関係者、そしてPTAの皆さん、児童委員の皆さん、警察署員、司法保護司等の皆さんが、児童生徒の校外生活指導に、横の連絡を密にしてその環境を整備するとともに、積極的に児童生徒を愛護、善導するという意味から、刈谷市児童生徒愛護会という命名をしまして発足をしました。

 実は、十数年ぐらい前に少年非行の低年齢化が叫ばれたときに、よく全国的に、文科省等もたくさん言われましたけれども、中学校と高校との連携だとか、または、最近の犯罪から、警察署と教育委員会との連携とか、そういうことが叫ばれているわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、本市では、市制開始と同時にこうした連携を密にして、今では幼稚園、保育園も加えて、幼児、児童生徒の健全育成に取り組んでおります。

 また、日ごろから学校とPTAの連携もとれておりまして、そういった関係各位の信頼があったから今回の取り組みがスムーズにスタートできたのではないかな、そういう環境があったことをまず御理解ください。

 それでは、今回の取り組みの経緯でございますが、ただいま申し上げました児童生徒愛護会の小委員会である中学校部会、この部会には、刈谷市には六中学校ございまして、そこの生徒指導主事、それから委員長である私、それから刈谷警察署の少年係の係長、それから刈谷市教育委員会の生徒指導の担当指導主事という九名の者が集まって、定期的に中学校の生徒の諸問題について協議をしているところでございます。

 そんな中、実は、昨年の十月十五日のときに、六中学のどの学校からも、いわゆる無料通話アプリケーションソフト、LINEを使ってのトラブルが報告されました。それまでもあったわけでございますが、だんだんふえてきまして、トラブルの内容としましては、例えばグループをつくってのLINEのトーク、よく子どもたちはトークというふうに呼んでいるわけですが、そこで特定の子どもの誹謗中傷をするわけです。

 例えば、この前もあったのは、同じ高校に嫌いな子が進学するというたわいのない言葉なんです。でも、その言葉から、お互いに、これは私のことじゃないかということでけんかが始まったり、それから、ちょっとした口論がネット上でだんだんエスカレートしていって、うざい、きもいとか、またはデブいとか、ちょっと差別的な用語が入るわけですが、そういうようなことが書き込まれて、男の子の強い生徒は、先ほど言ったように、学校とかで会ったときにけんかになったり口論になったりするわけでございますけれども、弱い女子生徒や何かは、悩んで、教室に行きたくないとか、学校の方に行きたくないというふうな症状が出てきます。

 それから、一旦悪い仲間の方に入ったが、自分が更生しようとしていても、夜遅くメールだとかそういったもので呼び出されて、それが断り切れずにまた夜遊びをするというような事例もありました。

 それから、先ほど、前の参考人の方がおっしゃられたように、チャットやトークで見知らぬ男性から会おうというふうに言われて、会おうとしていたというようなこと。また、親子げんかをした際に、LINEのトークで知り合った見知らぬ県外の青年の家に家出をしていたというようなこと。

 それから、これも先ほどのお話ではありませんけれども、知人の写真掲載など、無断で私的な情報をネット上に流したために、どうしてそんなものを勝手に流すのというようなこと。

 それから、メールやチャット、トークなどにより、自分の学校だけじゃなくて他校の子もそのグループに入ってきます。一番いけないのは、先ほど言ったように、グループに二十人、三十人といて、その中の一人がIDを掲示板に載せますと、全然見知らぬ人がそのグループに入り込んできて、成り済ました形で会話が進んでいくというようなこと。または、他校の生徒が入ってきて、学校間のトラブル、または仲間を広げる、そういったものにもつながる、そういう原因にもなっております。

 一方、そこまでの非行ではないんですけれども、LINEのトークやゲームがおもしろくて夜遅くまでやっていて、就寝時間がおくれて遅刻の原因になったり、学校へ来てすぐに保健室に来て眠いよと言ったりというような症状がありました。

 その一方、一部の生徒というか、しっかりやっている生徒の中では、私は本当はやりたくないんだけれども、既読スルーや未読スルーと言われる、いわゆるLINEのトークでは、見たかどうかが瞬時に相手に判断されるわけですので、ある地区では何秒以内に返信しなさいという自分たちのルールを決めていたりとか、そういうふうなところもあるわけでございますけれども、そういう既読スルーや未読スルーで、いわゆる外し、彼女らの言葉を使うと、外しという言葉をよく使うんですけれども、外しをされるのが嫌だから気になって常にそばにスマホを置いて、スマホに振り回された家庭生活を送っているというような声も聞かれました。

 それから、トラブル等を行った生徒を指導する際に、当然親御さんも呼んで指導するわけでございますけれども、親御さんの方としては、使ってはいけないというふうに言っているんですけれどもなかなか聞いてくれなくて、学校で決めてくれるとありがたいんですけれどもねというような言葉も、実は耳にしました。

 私自身が前々から思っていたのは、中学生は携帯電話を契約できないんですよね。保護者が契約するのであって、携帯電話を使うのは、使用者は中学生かもしれませんけれども。

 契約者と使用者の関係を、私がよく例えるのは、車の所有者と使用者。そうした場合、車の所有者というのは車の使用者に対して、監督責任を持っていろいろなことに非常に注意をするはずですよね。ところが、携帯電話は、お子さんに与えたら与えっ放しで、親御さんがほとんど放任しているという状況がたくさん見られます。

 そういった意味もありまして、私どもも一生懸命指導しているわけでございますけれども、どうしても指導が追いつかない、または私たちの指導力不足によって徹底できないというところがございましたので、保護者の方にぜひ協力をしてもらいたいというような気持ちから、今回の取り組みをしたわけでございます。

 それから、先ほどございましたように、電話回線じゃなくて通信回線を使ってのLINEでございますので、そういった意味で、iPodだとかDSだとか、そういった、携帯とかスマホとは関係ないところでトークをやっているという実態を、保護者の中には知らない方も多いと思います。私も、アナログ世代でございますので、なかなかついていけていない部分が非常に多くて困っているわけでございます。

 こうした実態を踏まえまして、保護者へ強く訴えたいという気持ちから、では、どこへお願いしようかということで、PTAの方にお願いするのが一番いいのではないかなということを思いました。

 刈谷市立学校PTA連絡協議会というものがございますけれども、これはどこの市、町にもあるかと思います。この事務局に今回のことをお話ししましたところ、御賛同いただきましたので、ことし一月に行われました市P連情報交換会に事務局から提案していただきました。

 会に参加されていた市内二十一の小中学校のPTA会長さん、副会長さんからも御賛同をいただきましたので、市P連と、私が委員長をしていました刈谷市児童生徒愛護会の連名で、本年二月に各小中学校へ取り組みの依頼文を送付しました。お手元にその資料があるかと思います。

 依頼文の内容は、一点目としましては、必要としていないのに、子どもからみんな持っているとせがまれて契約する保護者もいますので、実は刈谷市内の中学生の所持率は五八・二%という数値を示しておりましたが、このように、持っていない子どもも四割強の生徒がいるんだよということを保護者に知らせながら、必要のない携帯は持たせなくていいですよということをまず一点目に訴えました。

 二点目は、これまでも言ってきましたように、契約する際に親子で約束を決めてしっかり守っていく、また、フィルタリングサービスをしっかりかけるという依頼でございます。

 三点目が、特筆するわけでございますが、先ほど言いましたように、子どもたちの中には、本当はそれと離れたいという子どもがいるという実態を私どもつかみましたので、夜九時以降につきましては、親御さんに携帯を預ける、またはリビング等の自分の勉強部屋と離れた場所で充電しておくというような取り組みをしました。

 三点目のこの九時というのは、よくマスコミで今、九時が非常にひとり歩きしているわけでございますが、私どもは、九時というのは、固定電話で大人が知人に電話するときに、深夜こんなに遅く電話しては失礼だなという時間の目安で設定させていただきました。

 ですから、当然、塾等で十時以降に帰ってくる生徒につきましては、その時間で親御さんが、じゃあ、今から預かるねという形で、それはそれぞれの家庭で決めていただければいいというふうな気持ちで取り組みを始めました。

 開始時期でございますけれども、依頼を受けてすぐに保護者に通知した学校もございましたけれども、市内としましては、本年度四月に各小中学校でPTA総会が開催されますので、このPTA総会において保護者の方にしっかりと依頼をしていくというような形で取り組みを始めました。

 その後、家庭訪問等もありまして、保護者の反応といたしましては、ほとんどの家庭が賛成いただいております。子どもに注意しやすくなったとか、これをきっかけに家でスマホの使い方やルールづくりのきっかけとなったというようなお声をいただいております。保護者の方から特に強い反対意見は聞いておりません。

 また、子どもたちの方でも、これは本校のことでございますけれども、やはり予想していたとおり、これでスマホに振り回されずに済むといった好意的な意見も出ており、睡眠時間がふえた、または、スマホを気にせずに勉強しているので集中できるというような反応も一部ございます。

 今回の取り組みは、お願いであって、強制力のないものでございます。先ほどの藤川先生のお話ではありませんけれども、「早寝早起き朝ごはん」と同じような取り組みでございます。

 携帯やスマホの使い方について、今回の取り組みで各家庭で考えてくれますでしょうし、先ほども述べましたとおり、こうした取り組みによって、既読スルーや未読スルーを恐れて不安になっている子どもを一人でも二人でも救えるならば、それで今回取り組んだ価値があるのではないかなというふうに考えております。

 微力ではございますけれども、今後も子どもたちの健全育成に邁進していきたいと思います。

 私からの意見陳述はこれで終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。(拍手)

遠藤委員長 ありがとうございました。

 次に、道具参考人にお願いいたします。

道具参考人 おはようございます。デジタルアーツの道具と申します。よろしくお願いいたします。

 私どもは、九七年、十六年前に国産初のフィルタリングソフトをつくったメーカーでございます。

 弊社では、このフィルタリングソフトの提供に加えまして、情報モラル教育に関する啓発活動や定期的な世論調査発表を通じて、青少年のインターネット利用環境の整備を推進しておりますが、本日は、そういった民間事業者の視点から、前回四月三日の委員会において議論されましたインターネットに関する三つのテーマ、一つ目は無線LANに対応するフィルタリングについて、二つ目はスマホの長時間利用や依存について、三つ目はリベンジポルノについてでございますが、この三つのテーマについて意見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 まず、一つ目のテーマである、無線LANに対応するフィルタリングのさらなる普及が必要ではないかという前回の委員会での御意見についてですが、私としましても、全くそのとおりだと考えております。

 スマートフォンを初めとした、無線LANを使える機器の普及が急速に進む一方で、フィルタリングの利用率が低下しているという現実は、青少年保護の観点からも、対策が急務であると考えております。

 実際に町中を歩いてみても、コンビニやカフェ、また地下鉄の駅など、至るところで公衆無線LANが普及しており、その多くは、子どもでもできる簡単な登録ですぐに使うことができますし、中には、登録不要で使える公衆無線LANも存在しております。

 そういった公衆無線LANを、スマートフォンはもちろんのこと、ゲーム機や音楽プレーヤーからも子どもたちは利用しております。

 このような環境の変化を踏まえますと、まずは携帯電話の販売店における保護者へのフィルタリングの告知が非常に大切だと考えておりますが、昨今のフィルタリング利用率の低下を考えますと、販売店での告知に不十分なところがあるのではないかと思われます。

 無線LAN対応のフィルタリングはスマートフォンのアプリとして提供されておりますので、そのダウンロード方法や設定方法などの説明は、旧来型のフィルタリングよりも時間がかかってしまう部分もあると思います。しかしながら、フィルタリング利用率の向上のためにも、無線LAN対応のフィルタリングについてしっかりと告知をしていただき、スマートフォンを購入した未成年者に利用してもらうことを、今まで以上に販売店にて徹底していただく必要があるのではないかと考えております。

 もしも、店頭での説明が難しいといったことや、余り時間が割けないといったことがあるのであれば、例えば、設定方法などを記載したチラシを配布するといったことも有効ではないかと考えております。

 また、最近は、スマートフォンだけでなく、ゲーム機や音楽プレーヤーにも無線LANでインターネットに接続する機能が実装されておりますので、これらの機器でも無線LANに対応したフィルタリングを使っていただく必要があるわけでございますが、家電量販店などの店頭では、基本的にはフィルタリングの案内や設定がされておりませんので、その点は改善の余地があるのではないかと考えております。

 委員の皆様も御存じかと思いますが、ことし二月から三月に、大手のゲームメーカー様が合同で、啓発用のチラシを一部の家電量販店にて配布することを実施されております。このような取り組みは非常によいと思うのですが、こういった取り組みは、一時的なものではなく、恒常的に全ての販売店にて行われるべきじゃないかと考えております。

 さらには、ゲーム機と同様に未成年者の利用者が多い音楽プレーヤーの販売に関しても、こういったチラシの配布などの取り組みが必要ではないかと考えております。

 また、さらに言いますと、青少年の利用が多いゲーム機や音楽プレーヤーは、最初からフィルタリングを有効にしておくということも検討に値するのではないかと考えております。

 現状では、最初はフィルタリングは無効という状態になっており、未成年者がインターネットを利用する場合に保護者がフィルタリングを後から申し込むという方法なのですが、この方式ですと、保護者が気づかないうちに子どもがインターネットを使ってしまうというケースがどうしても発生してしまいます。そのため、ゲーム機や音楽プレーヤーでのフィルタリング利用率を上げるということを考えた場合、最初からフィルタリングを有効にしておくということも、選択肢の一つではないかと思っております。

 次に、二つ目のテーマでありますスマートフォンの長時間利用や依存への対策について申し上げますが、こちらも前回の委員会の御意見には同意するところが多く、時間制限ソフトの案内強化や何らかのルールづくりということは非常に重要であると考えております。

 例えば、弊社のフィルタリングソフトや携帯電話会社に提供しておりますフィルタリングサービスにも、決められた時間以外は端末をロックするということにより長時間の利用を防ぐ機能を既に搭載しております。しかしながら、まだまだこういった機能を保護者に知っていただいているとは言いがたい状況だと思いますので、こういった機能の普及啓発を強化していく必要があると考えております。

 また、ルールづくりに関してですが、実際に保護者の声を聞きますと、一旦家庭でルールづくりはしたものの、その後の運用ができておらず、いつの間にか有名無実化してしまっているというケースも多く聞かれます。

 例えば、ルールをつくった際に、利用時間の制限機能を活用して、子どもの端末に利用時間の設定をしてしまえば、ルールで決めた時間以降は自動的にスマートフォンが使えなくなるので、ルールに実効性を持たせることができるわけでございます。

 一般的には、フィルタリングは不適切なサイトやアプリをブロックするだけのものと思われておりますが、スマートフォンの利用ルールの実効性を高めるツールとしてもお使いいただけますので、そういった使い方も保護者に広めていく必要があると考えております。

 次に、三つ目のテーマでありますリベンジポルノに関して申し上げたいと思います。

 前回の本委員会で御意見がございましたリベンジポルノに対する新たな法案の必要性につきましては、専門家であります委員の皆様に御検討をお願いしたいと思いますが、フィルタリング事業者として一つ申し上げたいのは、フィルタリングは、万能ではないものの、リベンジポルノを初めとしたスマートフォンに潜むリスクを減らすことには有効だと考えております。

 残念ながら、フィルタリングでリベンジポルノを完全に防げるわけではございませんが、リベンジポルノを含めたスマートフォンのトラブルの多くは、SNSの利用と密接にかかわっております。現在、青少年の多くは、LINE、ツイッター、フェイスブックなどの複数のSNSを使っておりますが、むやみやたらとSNSを使わせますと、それだけ潜在的なリスクも高まります。

 しかしながら、先ほど来お話がありましたように、SNSが友人との最も一般的なコミュニケーションツールになりつつある昨今において、子どもにSNSを全く使わせないということも、現実的ではございません。

 そうではなく、フィルタリングによって、使わせるSNSを必要なものだけに絞り込み、そのSNSに関してはきちんと保護者が危険性を教え、利用状況も見守っていくことが、リベンジポルノを初めとしたスマートフォンにおける被害者、さらに言えば加害者を減らしていくために有効であると考えております。

 これは、フィルタリングは、何を使ったか、何を書き込んだかというログがとれるようになっております。今現在、保護者もそのログを見ることができる機能がついております。よって、フィルタリングは、別にアダルトサイトをブロックするという機能ではなくて、こういった幅広い利用をすることによって、今起きておりますいろいろな問題に対処する一つの方法であると思っております。

 最後に、まとめとして申し上げますが、無線LANに対応するフィルタリングにしても、スマートフォンの長時間利用を防ぐためのソフトウエアにしても、既にサービスとしては世の中に提供されております。しかしながら、これは弊社も含めた業界の努力不足であると認識しておりますが、まだまだ保護者に知られていなかったり、保護者が使いやすい提供方法になっていなかったりということにより、結果として、十分には使われていないという状況であると考えております。

 こういった状況を改善していくために、業界関係者の皆様と連携して、保護者への普及啓発や提供方法の改善などに積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますので、この後の質疑の時間帯におかれましても、さまざまな御意見、御質問をいただければと思っております。

 以上で私からの意見陳述を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

遠藤委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀内詔子君。

堀内委員 自由民主党の堀内詔子でございます。

 遠藤委員長初め、理事の先生方、委員の先生方におかれましては、本日、このような機会を与えていただきましたことに、心より御礼申し上げます。

 また、参考人の皆様には、本日は、お忙しい中、青少年問題に関する特別委員会に御出席くださり、ありがとうございます。

 現在、インターネット世界が、世界じゅうの現実の環境を席巻するような形で急速に広がっております。二十一世紀に入ってからの十年間で、世界のインターネット人口は三億五千万人から二十億人となり、現在は三十億人を超えると言われております。二〇二五年には、世界人口の八十億人のほとんどがオンラインでつながると予想されます。

 このような中、若い世代のほとんどの人が、ネットにアクセスしないで一日を終えることができない状況です。

 例えば、私には社会人と高校生の二人の息子がおりますが、二人とも、数年前までは、メールを使って学校のゼミや部活の連絡をし合っておりましたけれども、今はLINEで行っています。メールだと、一斉に会話ということがないので、忙しいときには見ないで過ごしておりましたが、LINEだと、話がほかの参加者の中だけで自分を抜きで進んでしまう場合があるので、時々チェックする必要があるようで、見る回数がふえたように感じております。

 また、パソコンは、普通、一家に一台あれば十分ということで、我が家では食卓の脇にありましたので、親が気軽にのぞけましたが、スマホだと、そういうわけにもいきません。

 このように、子どもたちが自宅で傍らにいても、外部とどんな連絡をとり合っているのか把握しにくい、そういった状況になってきています。

 どんどん進んでいくITの技術と、それにのみ込まれそうな子どもたち、この状況を目の当たりにして、何とかしなければという思いを抱く方々は多いと思っております。

 けれども、一方で、発達する情報技術によって、子どもたちが多くの恩恵を受けているというのも事実です。

 例えば、遠くに引っ越してしまった友達とネットで連絡をとり合ったり、忙しくて受けられない検定試験を、自由な時間と場所でネットで受験できたり、また、外国への留学試験の面接をスカイプで受けたり、もし本人が望めば、ハーバード大学の授業を映像で聴講することもできます。今までさまざまな制約で奪われていた学ぶ機会を、ネットというツールを使えば、その壁を簡単に乗り越えて手に入れることができるようになりました。

 確かに、今、ネットというものが長い間あった社会のあり方を根底から変えてしまっている、その渦中に私たちはいると思います。

 けれども、どんな時代にあっても、子どもたちというものは、時代のうねりの中で翻弄されつつも、それをたくましく乗り越えて、成長して、大人になってきました。現代のネット社会にあっても、自分をしっかりと持って、それと上手につき合う方法を身につけることが、子どもたちにとって人生を実りあるものにすることになると私は信じています。

 大人たちが子どもたちと知恵を絞っていく、その方法について、きょうお越しの先生方からさらなる御教示を賜りますようお願いいたします。

 それでは、大橋校長先生に質問させていただきます。

 先生は、刈谷市において、小中学校でのスマートフォンの使用制限を提唱してくださいました。私は大賛成です。ネットの長時間利用については、青少年の健全な生活習慣の定着に向けた保護者への働きかけが必要だと思います。

 先ほど先生がお話しくださいましたPTAに配られたプリントの取り組みを保護者にさらに浸透させるには、どのような働きかけを行う必要があるとお考えでしょうか。質問させていただきます。

大橋参考人 御質問にお答えします。

 今現在、本校でございますけれども、子どもたちが実際に時間等も決めてやっているのが、大体四割程度でございます。ルール決めを再度認識というか話し合った家庭が、大体七割程度です。まだまだ普及していません。

 子どもたちの中にも、自分は十時、九時でやめたんだけれども、朝見ると、百件または二百件ぐらい来ているよというようなところがございます。それは、グループが何十人もいますので、すぐに件数はふえますので、そういうこともございます。

 今度、また六月に、PTAさんの行事で、これは実は余り私どもが出ようという気はございません、やはりあくまでも親御さんの方の組織で親御さんにという気持ちがございますので。PTAの方で、六月二十日に親子触れ合いトークということで、警察署の方に、そういった補導の危険性とか、また注意事項をお話しいただき、その後、親同士の座談会みたいな井戸端会議的なところで、うまくやっている家庭の知恵、うちはよくやれていないというようなことを今度企画をしております。

 こうしたことの取り組みを継続的に、いつまでいっても一〇〇%は難しいと思うんですけれども、一人でも二人でも賛同していただける家庭をふやしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

堀内委員 ありがとうございます。

 先生のお取り組みが全国的な規模に広がることを願っております。

 次に、藤川教授に質問させていただきます。

 子どもたちの持つ機器が携帯からスマホに変わり、子どもたちの生活にどんな変化がありましたか。また、そのことにより、どんな点により着目して注意をしていく必要があるかということについて、伺わせていただきたいと思います。

藤川参考人 御質問ありがとうございます。

 特にスマートフォンの普及が、子どもたちの生活への影響は非常に大きいと考えられます。

 今、さまざまな生活時間の調査に私は携わっているのですけれども、わかっていることは、子どもの学習時間は決して減っていません。むしろ、ふえている傾向がございます。そして、子どもの就寝時刻ですとか睡眠時間も余り変わっていなくて、むしろ、よくなっている、早寝になっているということがございます。しかし、一方で、スマートフォンを持っている子どもにつきましては、利用時間は非常に多いということもわかっております。

 何が減っているかと申しますと、テレビを見ている時間であるとか漫画を読む時間などの、ほかの娯楽の時間がかなり減っているということがわかってきております。

 ですから、なかなかこれは解釈が難しいのですが、一般的な傾向といたしましては、娯楽の要素が変わってきたというふうに捉え、子どもたちの多くは、生活時間に何か非常に深刻な問題が生じているとは言えないということなんですね。

 他方で、依存というようなことが指摘されておりますが、これは一部の極端な状況のお子さんのことでございます。

 極端な状況のお子さん、例えば、家庭環境が余りよろしくないとか、性格特性等からのめり込みやすいとか、そういったお子さんについては、今まで以上に依存しやすい状況というのが生じていることが考えられますので、ここはまだ余り調査がないんですけれども、今後注意をしていかなくてはいけないところかなということでございます。

 まとめますと、全般には、娯楽の要素が変わってきているということが考えられるので、そこについては慎重に見守りたい、一方で、一部のお子さんについては、危険性が高まっている可能性がありますので慎重に見ていきたいというのが、私の見解でございます。

 以上でございます。

堀内委員 子どもたちの全般の生活時間については大きな変化がないというお話を伺いまして、大変安心いたしました。ありがとうございました。

 次に、安川理事長に質問させていただきます。

 スマートフォンが青少年に普及していく中で、インターネットの危険性や、特に情報モラルの注意喚起について、より定着を図るためには、安川理事長はどんな方法があると考えられますか。

安川参考人 まず、基本的なことなんですけれども、家庭の問題ですよね。

 御飯のときでも、ゲームをやりながらとか、無料通話アプリで遊びながら、やりとりしながら御飯を食べている。それを許しているということ。これが、もう人の気持ちをわからない子どもに育てているということなんですよ。

 勉強のときも、無料通話アプリをしながら勉強している。頭に入ってくるわけないんですね。お互いに足を引っ張り合って、睡眠不足になる。これも、友達がやることではなくて、友達のふりをしている人がやること。

 これは、まず家庭の中でしっかりと教育していかなければならないです。

 全国の学校を回っていて、昨年で二百七十会場で講演会をやらせてもらっています。学校の先生方が、自分たちでは指導できないというふうに言うんですね。

 まず、子どもたちのことをよく知っている先生方がしっかりとした情報モラル教育をする力をつけていくということが今後必要になってくるかな、それによって子どもたちが健全に育っていくことができるんじゃないかなというふうに考えています。

 以上です。

堀内委員 御所見、ありがたく承りました。ありがとうございました。

 次に、道具社長に質問させていただきます。

 先生方からもフィルタリングについての御意見がございましたが、その設定の利用方法が、保護者から見て複雑でわかりにくいように思います。事業者の責務として、企業でどこまでコストをかけて周知、普及させるべきだとお考えでしょうか。

道具参考人 私ども、年間約百回ほど、自治体、また学校、PTAの皆様に対して、啓蒙活動とあわせて、では、今のフィルタリングの何が悪いんだろうか、何が使いづらいんだろうかというヒアリングをさせていただいております。それをもとに、年間約二回から三回、ソフトウエアの使い方の改善をさせていただいております。

 ただ、おっしゃるとおり、それでも現実の御両親のIT知識というのは、今のソフトウエアと一致しているかというと、まだまだメーカーとして改善する余地はあると思っています。

 引き続き、御利用いただける保護者の方々の意見を伺いながら、日々改善していきたいと考えております。

堀内委員 ありがとうございました。

 続きまして、全ての参考人の先生方にそれぞれお答えいただきたいのです。

 インターネット環境が日々進化しております。この激変の中で、保護者といたしましても、どうにか子どもたちを守ろうと一生懸命頑張っておるところでございますが、一方、この進化が、子どもたちにはついていける変化であっても、大人たちについては、日々の生活の中で、その新しいツールについていくということが大変厳しい状況になってきております。場合によりましては、子どもたちにフィルタリングの方法を親が聞きながらする、そういった逆転の状況が生じております。

 これについて、先生方の御所見を伺いたいと思っております。

安川参考人 今は、携帯ショップに行っても、ほとんどがスマートフォンですよね。では、親は何を使っているのと聞くと、親はそのまま今までの携帯を使っています、子どもにはスマートフォンを持たせていますと。

 包丁と一緒ですよね。包丁の使い方もわからないで、子どもに自由に使いなさいなんて渡すような親はいませんよね。一歩間違えば、人を殺すための道具にもなる、自殺の道具にもなる、そういうことをまずわかった上で持たせなければならない。

 やはり、子どもにスマートフォンを持たせたいというのであれば、自分自身も、わからないではなくて、わかるように努力する。持たなければわからないんですよ。子どもと同じ機種を持つということが大切だと思います。お互いに勉強していけばいいんじゃないですかね。

 フィルタリングに関しても、そうですね。

 実は、子どもたちは、フィルタリングをかけていても自分で外していますから、話を聞くと。書店に行くと、外し方なんて幾らでも出ていますから。親はかけていますよと言うんですが、子どもに聞くと、親は知らないだけだよ、外しているもんと。

 そういうことまで、ちゃんと親に知識があれば、わかるわけなんですよ。わからないで済まされる時代じゃないと思うので、やはり親も努力していく必要があると思います。

 以上です。

藤川参考人 私の意見でございますが、安川参考人もおっしゃったように、保護者は、当然責任があるわけでございますから、責任を自覚して一定程度学んでいただきたいというのが大前提でございます。

 特に、青少年インターネット環境整備法等に掲げられている保護者の責任については十分理解していただいて、フィルタリングをかけさせるとか、かけない場合にはきちんと責任を持って対応するといったことは当然であろうと思います。

 ただ一方で、思春期の子どもたちというのは、親に反発する時期でもあるわけでございます。これは正常な発達がそういうふうになるわけでありまして、そうしますと、親からだけ言われてもなかなか難しいということがございますので、大人は大人でネットワークを持って、PTA等で話し合いをし、親以外の大人からも話を聞くとか、あるいは意見交換をするとか、そういったさまざまな対話の場が必要ではないかなということも、一方では思います。

 親だけが一人で抱えるのではなくて、みんなで大人が考えていく、子どもと対話をしていくということが重要ではないでしょうか。

大橋参考人 大変難しい問題で、実は、子どもに差がございますように、家庭にも大きな差がございます。学校でこういった場を、今回の、先ほど申し上げました触れ合いトークでもそうですけれども、本当に来ていただきたい保護者の方は、残念ながら欠席が多いんです。

 ですから、いろいろな場を設けて普及することも当然大事なんですけれども、やはり最終的には、親と子が常によく話し合って、この携帯だけじゃなくていろいろなことで、親と子が常に話し合って、子どもが親の愛情を感じて育っていくことが大事であって、そうすれば、困ったときに親御さんに相談もできますでしょうし、それから、私ども子どもを取り巻く学校を初めとするところが、常に子どもたちに、ウエルカムじゃないですけれども、いつでもおいで、手を差し伸べるよということを子どもに知らしめるというか、そういった信頼関係をつくっておくことが一番大事なのかなというふうに考えております。

 答えにはなっていませんけれども、根本的にはそこにあるんじゃないかなというふうに僕は考えております。

 以上でございます。

道具参考人 私たち、年二回、定期的に親御さんもしくは未成年者にアンケートをとっております。先日、未成年者に、要は子どもたちですね、アンケートをとった結果、では、何でフィルタリングを外したいと思うのかというアンケートで、私たちは別にアダルトサイトを見たいと思っていない、だけれども、何でこれがブロックされるのかわからない、例えばSNSと。

 実は、SNSというのは、小学校、中学校では、今、標準ではブロックの対象になっているんですね。

 ですので、携帯を買ってきまして、フィルタリングを入れます、では、何でもいいです、LINEをやろうと思うと、最初は使えなくなっているんですね。お母さん、何でLINEはだめなのとなってしまうんですね。これは、フィルタリング業者として、今、すごく悩みです。

 では、LINEがいいものなのか悪いものなのか、デフォルトで使っていいとするのか、しちゃいけないのかというのが、実は、今現在は、小学校、中学校は使ってはいけない設定にフィルタリングが標準ではなっています。高校生になったときに、標準では使えるようになっています。

 ですので、それをきっかけに、何でこれを使っちゃだめなの、せっかく携帯を買ったのにと、オフにしている。お母さんも、実は、PTAの連絡が今LINEで来ますので、目の前でお母さんはLINEを使っているんですね。そうすると、目の前でお母さんはLINEを使っているのに、何で私は使っちゃいけないの、そんなだめなものだったら、お母さん、使っちゃだめじゃないのと言われると、御両親は何も言えないんですね。

 このあたり、何をオーケーとして何をだめにするのかというところが、今、私どもフィルタリングの業界の中では、どうしていこうかというところが一つ課題ではあります。それが、フィルタリングの利用率の低下の一つの要因でもあるのではないかなと。

 そのあたり、どういうことをオーケーとして、どういうことをオーケーとしないのかというのは、家庭の親子間の教育ルールづくりにもありますけれども、私ども、最初にデフォルトでフィルタリングを設定する業界としても、どこまで何を許すのかということを改めて見直さなきゃいけないのかなというふうに考えております。

堀内委員 ありがとうございました。

 激動の時代にあって、私たちは、新しい技術や道具を正しく使って、社会をよりよく、より豊かにするために、最大の努力を重ねていかなければなりません。未来に、青少年のあすに何が起こるかは、機械ではなく、私たち人間の手にかかっているという気持ちを強く持ちながら、質問を終わらせていただきたいと思います。

 本日は、ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 実は、参考人のお話をずっと聞かせていただいて、質問を考えていたところなんですけれども、正直言って、私もスマホを持っていますけれども、LINEをやったのは二、三カ月前ぐらいからなんです。それまでやっていませんでした、メールだったりで。便利がいいからというので、事務所の方で連絡するのにLINEをしてくれと言われて、意味がわからなくやっていたんですけれども、確かに便利はいいんですね。

 しかし、今の参考人のお話を聞かせていただいてびっくりしたのは、最後の道具参考人の言われた、フィルタリングをかけたときにLINEがだめだと。僕も、聞いていて、何が基準で、どこで決めているのかというのが全然わからなかったので、もう一度ちょっと教えていただけませんか。

道具参考人 御回答させていただきます。

 基準としては、モバイルコンテンツ機構という団体がございまして、少なくとも、スマートフォン、携帯電話の標準的なカテゴリーのルールをそこで今決めております。私たちは、そこに準拠して提供させていただいております。

 その中で、先ほど申し上げましたように、小学校まではここまでブロックしよう、中学校まではここまで許そう、高校生はこうしようという標準をつくっておりまして、私ども、一部携帯キャリアの方々に提供しているフィルタリングはここに準拠することという定義になっておりますので、その中のルールとして、LINEが、例えば、小学校では初期で使えないように、中学校でも使えない、高校になって初めて使えるようにというふうになっております。

 実際に、私どもも、こういう仕事をさせていただいている中で、今回議論になっていますように、いい部分、便利な部分ももちろんありますし、ただ一方で、それによっていろいろな犯罪があるということもあります。ここは、どちらに寄っていくのかというところは、皆様方に議論していただきたいところだと思っております。

佐藤(正)委員 確かに、難しい問題ですよね。先ほど私が言ったように、確かに便利がいいんですね。同じ国会の中の事務所の連中が全部一発できょうは何だとわかる、本当に便利がいいな、一人ずつ言わなくていいからというのはいいんですけれども。

 逆に言えば、先ほど安川先生が言われたように、安川先生の本だけは読ませていただきました。

 僕は、ずっと今まで、こういうスマートフォンとかのITのことよりも、薬物依存症のことをずっとおつき合いを、薬物依存症の方々、ダルクとかも一緒に活動をずっとやってきたんですけれども、実は、よく似ているんですよね。何が似ているかというと、人に言えないということ。

 薬物はやはり犯罪だから、警察に言ったら捕まるかもしれない、学校の先生に言ったら退学になるかもしれない、親に言ったら誰にも言うなと言われるかもしれない。よく似ていて、しかし、それはある意味では特殊な状況で、よく調べてみると、やはり家庭環境に起因していることが多いです。

 そこで、安川先生、先生のところにはいろいろな御相談が入っていると思いますが、それぞれ対応した後、その子たちがどのようになっているのか。薬物の場合だったら、また依存症に戻ってきたりするんですね。

 今回の、リベンジポルノというんでしょうか、こういう子たちは、やはり依存症になっているケースが多いのか、それとも、一度相談を受けた後にはそれを断ち切ることができるのか、その辺は、先生、どうなんでしょうか。

安川参考人 画像がネットに流出するということは、本人にとってみれば、これは物すごく苦痛。それを見て、やはりいろいろな人が悪口を言ってくるんですね、おい、ブスとかデブとか。そうすると、やはり死にたいという気持ちになってくるみたいなんですよ。

 まず、こちら側としてやれることは、その子の一番の苦痛に関している画像の削除です。管理人が応じてくれる場合は、すぐに削除依頼を送ります。放置されるような場合は、プロバイダーの方に削除依頼を送る。

 画像は消えても不安は残るんですね、またいつ流出するかわからないとか。今はもう結婚しているんだけれども、またそれが復活して、旦那にそれがばれたら離婚されるかもしれない。その子の心の傷というのは、一度ネットに載ったものというのは、表面上だけきれいに消しても、やはり残り続ける。

 だから、不安になったときはずっと相談に乗っていくことが必要なんだなというふうには感じています。

 今の子たちは、裸の画像とかだけではなくて、不謹慎な画像を結構載せてしまうんです。

 大学の合格証を持って、ビールの瓶とかがそこら辺に転がっています、たばこを吸いながら、やった、合格だぞなんて。それは、当然、学校側に電話が入るんですね。学校側からその子の通っている学校に連絡が入って、大学入学が取り消しになったんです。ことしの三月のことです。卒業式もその子は出られなくなってしまったんですよ。

 過去にさかのぼっていくと、まあ、出てくるわ出てくるわ、そういう画像がたくさん出てくる。今の子どもたちは、画像を載せるということの危険性をわかっていないわけなんですね。

 特に、反社会的な画像を載せてしまうということは、これはいろいろな人にたたかれて、精神的にも追い詰められる。そのような追い詰められた子を、自分から出したものなんですけれども、救っていくためには、やはり時間がかかります。何回も相談に来ますけれども、そのたびに、こちらの方では、丁寧に、その子たちの心の傷が癒えるように対応はしていっています。

佐藤(正)委員 先ほど僕は薬物の話をしましたけれども、よく似ているんですね。何度も何度も相談に来て、同じようにまたもとに戻って、そして選択肢はどこに行くかというと、やはり死を求めたりするんです。

 僕が経験をしたのは、ダルクと一緒に、私の事務所の裏に住んでいただいていたんですけれども、一人の方がビルから飛びおり自殺をした。

 結局、なぜ飛びおり自殺をしたかというと、ダルクというのは、毎日毎日、きょう一日、今現在、薬物はしていませんよというのを繰り返してミーティングをやっていくわけです。たまたまやっちゃったんですね。それで後悔した。ところが、そのときにお母さんに相談をしたんです。私は北九州ですけれども、お母さんは名古屋にいたんです。お母さんが来ていただけると。ところが、仕事の都合で一日ずれたんですよ。それで彼は自殺をしちゃったんですね。

 何が言いたいかというと、結局は家庭だということなんだと思います。しかしながら、安川先生がやられていることは、実はすごく地道なことの繰り返しですが、本当に大事なことをされているんだなと思って、敬意を表しております。

 しかし、結果的に、今言う、管理人が削除するだとかプロバイダーが削除するだとか、こういったことが、言ったらすぐできないのかと単純に思うんですね。自分のことを書かれた人間が、自分がこれは嫌だと思ったら、すぐ削除できないのかと単純に思うんですが、その辺は、参考人の四先生方は、私が単純にきょう質問を聞いて思ったことなんですけれども、どのように思われますでしょうか。

安川参考人 表現の自由とか、いろいろな法律があります。削除した場合、逆にプロバイダーの方がたたかれるというケースもあるわけなんですね。だから、一週間という期限も切られて、管理人の方にプロバイダーの方から連絡が行きます。そのような手順を踏んでいかなければということで、時間がかかってしまう。

 こちらの方から管理人に直接連絡をとって、管理人の方が応じてくれている場合は、すぐに対応してくれるんですよ。

 ただ、幽霊のようなところがあるんですね。そういうふうな掲示板はあるんだけれども、実際、管理している人がもうその存在すら忘れている。そういう場合は、やはり削除には応じてくれないということになるので、消えるまで時間がかかってしまうというところがあります。

 やはり、被害者、精神的に追い詰められている人にとってみれば、一日を争うことがありますので、何とかまずは被害者を守るというふうな視点で考えてもらえればというふうに考えています。

藤川参考人 掲示板等の削除につきましては、安川参考人のおっしゃるとおりで、基本的には、管理者がしっかりしていれば、すぐに削除してくれるケースが大半というふうに申し上げていいと思います。

 他方で、いいかげんな管理者の場合には、法律的に、プロバイダー責任制限法という法律で、より上位の管理者が削除を要請しても応じない場合、一週間、七日間待って削除ができるという規定になっておりますので、そういった法律が適用される。

 最近問題になっておりますのは、公開の掲示板ではなくて、LINE等のアプリでばらまかれてしまうという場合ですね。これは、サーバーにデータが載っているわけではなくて、それぞれの端末にデータがもう流れているわけですので、その削除のルールが全く適用できないわけです。つまり、不特定多数の人の端末に届いてしまっている場合に削除というのはあり得ないわけでありまして、こういった形での拡散をどういうふうに対応したらいいのかというのが課題でございます。

大橋参考人 私も、先生のおっしゃるとおりで、学校現場でも、そういったのが見つかったときに早く削除してほしいという依頼をしても、なかなかすぐに対応してくれないということで苦慮しております。

 ただ、最近、先ほど藤川先生もおっしゃられたように、どちらかというとLINE上の方が多うございますので、以前のような、チャットだとか、そういうところに流れるというのは少なくなってきたかなというのが中学校の現実でございます。

 以上でございます。

道具参考人 私も、今までお話をされていましたのと同様だと思います。

 やはり体制の問題でございます。事業者側からすると、そういうサポートというのは収益を生まない部分でございますので、何人ぐらいその対応に人を割くのかというところは、そのサイトの考え方によってさまざまでございます。

 そういうふうに、そのあたりがしっかりしているところは対応していただいていると思うんですが、そうじゃないところはやはり、収益を生まないものですから、軽率にというか、重い腰を上げてというような対応にならざるを得ないのかなと思っております。

佐藤(正)委員 そうすると、フィルタリングというのはすごくいい方法なのかなというふうに思いますね、今のお話を聞いてくると。要するに、なる前にとめるというのが一番いいんだろうというふうに今思いました。

 そこで、そのフィルタリングのソフトをかなりやられているということでありますけれども、僕なんかは、フィルタリングと言われてもやり方がわからないですよ、正直言って。言ってぽっとできる、何かそういうものはないんですか。

 非常に難しいものではなくて、そういうものを開発していただいて、あとは暗証番号か何かで、それぞれの番号で解除したりとかができる、そんな簡単なものはできないんでしょうか。

道具参考人 今現状も、まず、もうほぼ全て、ダウンロードで、標準でソフトウエアはインストールされております。先ほどのゲーム機もそうですし、テレビでもそうですし、パソコンにも標準でインストールはされておりますので、起動していただいて、ユーザー登録、名前とメールアドレスとか入れていただいて、オンにしていただくだけで、基本的には、すぐ使える状態にはなっています。

 ただ、先ほども申し上げましたように、では、LINEを使いたいとか、このサイトは使いたくないとか、要は、家庭それぞれの教育、ルールがございまして、何を見せていい、何を見せてはいけないというのは、最終的には親子の話し合いだと思っております。その辺が、皆様、ちょっと面倒くさいと思われるところでございます。

 基本的には、申し込みをしていただいて、ユーザー登録していただいて、何を見ていい、何を見ちゃいけないというのは、先ほど申し上げたように、小学校用、中学校用、高校用と、標準的なものは設定がされておりますので、単純にオン、オフだけで使えるようになっています。ただ、要は、あとは家庭のルールにどうフィルタリングをカスタマイズするかというところが、多少、ちょっと面倒くさいというか、詳細設定をしなきゃいけないところでございます。

 使い始めるということでいえば、ある程度簡単にはできるようになっていると思います。

佐藤(正)委員 済みませんね、単純な、基礎的なことを質問したみたいで。実際、こっちはよくわからないものですから、そういう質問をしたんですけれども。

 先ほどのいろいろな議論を聞いていますと、逆に言ったら、今度、それを解除できる、せっかくフィルタリングをやっているんだけれども、親御さんが知らない間に子どもが勝手に解除している。

 では、解除も簡単にすぐできるんですか。

道具参考人 まず、二つございます。スマホ用とパソコン用でございます。

 パソコン用の解除は、基本的には御両親のパスワードとメールアドレスで設定解除ができるようになっているんですが、例えば、うちのおやじだったらこのパスワードだろうな、自分の生年月日だろうな、もしかしたらうちの電話番号を使っているのかもしれないとか、要は、親が何をパスワードにするかをもし子どもが知っているならば、親のふりをして開いてしまうということはあるかもしれません。

 それ以外に、技術的に何か裏わざ的なことというのは、すぐネットに書き込まれますので、それは、私ども業者としては常にウオッチしています。要は、裏わざ的なことがあるかどうかというのは常にウオッチしています。

 ただ、多いのは、結構、御両親のパスワードを勝手に子どもが想像して、何度も打ち込んで、ああ、これだったというケースですね。

 もう一つ、スマートフォンの場合、これは、ルールとしては、御両親のサイン、承諾書をもらえば、携帯ショップに行けば解約ができるようになっております。

 ただし、これは御両親のサインが必要です。何かしら、先ほど申し上げましたように、私、LINEを使いたいのよ、授業でこういうのがあるから、お友達もいるからと。そうね、では、あなたにもLINEを使わせてあげるわといって、解約書にお母さんがサインして、ショップへ行ってしまえば、すぐ解約できてしまう。そんなふうなルールになっています。

佐藤(正)委員 それを聞いたら、親のものを探すというのは、なかなか難しいような気がします。そんなに簡単にわからないだろうと思うんですけれども、先ほど、どなたか参考人が言われたのは、子どもが勝手に解除しているケースがたくさん見られますよというので、そんなにできるものかなと。

 ということは、要するに、親の管理がなってないんだろうというふうに感じます。

 最後に、藤川先生、それから大橋先生、現場で大変御苦労されていると思います。しかし、学校現場で、当然親もそうなんですけれども、先ほどもちょっと質問がありましたけれども、学校現場の方でこのITのスピード感についていけるのかなというのは、単純に思います。親も当然ついていけていないのも事実なんですけれども。

 まず、学校現場の方で、そういうものについて今現在対応できているのかどうなのか、できているかどうかを藤川先生と大橋先生の方にお尋ねをしたいと思います。

藤川参考人 まず、学習指導要領で情報モラル教育を行うことが決まっておりますので、多かれ少なかれ、何らかの対応を学校はしているはずですし、実際、私が伺っても、ほとんどしているというふうに聞いています。

 ですが、内容ですよね、課題は。特に、昨今、スマートフォンの普及が一、二年で進んでおりますので、少し古い教材を使いますと、今起きている内容に全く対応ができていないということになります。ここは課題でございまして、十分新しい教材を使っている学校はまだまだ少数ではないかというふうに考えております。

 私は、例えばNHKのEテレの番組の監修などもしていますけれども、そういうところで、スマートフォンの利用で起こりがちな問題を短いドラマにして夏休みに放送するなんという計画が今あるんですね。そういうものがさまざまな形で出されることによって、各学校で使える教材がふえていくということを期待しています。

 ポイントは、ドラマなどでわかりやすく問題を表現し、それについて子どもたちや、あるいは場合によっては保護者も交えて議論ができる、自分たちで交流しながら考えられるという教材が必要だと考えておりまして、そういうものの普及を進めているところでございます。

大橋参考人 先生の御質問ですけれども、教員間に非常に差がございます。特に今、五十代の教員が現場は非常に多うございますので、そういったアナログ世代につきましては、特に興味を持っている者は知っていますけれども、そうでないほとんどの教員については、今のこの進歩についていけていないというのが現状でございます。

 ただ、若い子たちは、自分らもついこの前まで大学生でいたわけでございますので、そういう子たちは非常に勉強しているかと思いますが、そんなふうで、現場では非常に差があるというのが現状でございます。

 以上でございます。

佐藤(正)委員 大橋先生、本当に差があるんだろうと思います。私と息子では全然違いますし、なかなかついていけないんだろうと思います。

 ITを普及するよと学校にパソコンをばあっと入れた時期がありましたけれども、いわゆる机の上の飾り物になっていた、笑い話じゃないんですけれども、そういう時代が実はありました。

 しかし、世代が変わってきたんでしょうが、先生、これだけいろいろなものが使えて、便利がいいけれども間違ったら本当に人の命まで追い込むようなこういう情報ツールというのは、やはりちょっと、学校現場もそうですけれども、我々も、そして地域も、一度みんなで真剣に考える場面、場所を何かつくるべきだな、このように痛感をいたしました。

 貴重な時間をいただきまして、ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 きょう、この委員会で御質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。心より感謝申し上げます。

 また、参考人の皆様におかれましては、大変お忙しい中お越しをいただき貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。

 特に、大橋参考人は、きょう、私の地元の刈谷からお越しをいただきまして、私、ここに刈谷のゆるキャラのかつなりくんのバッジをつけてきたんですけれども、このかつなりくんというのは、刈谷藩の初代藩主水野勝成に由来するんですけれども、水野勝成というのは、実は徳川家康の生母於大の方のおいに当たるんですね。

 また、この間、テレビで「リーダーズ」という、豊田喜一郎さん、トヨタ自動車の創業者をモデルにしたドラマが放映されました、皆さんごらんになった方もいらっしゃるかもしれませんけれども。実は、トヨタの自動車の第一号がつくられたのも刈谷なんです。

 ところが、刈谷は、ちょっと宣伝下手なのか、なかなか、豊田市とか、中根理事のお地元の岡崎市に比べると、どうも知名度が不足しているなという中にあって、今回、刈谷市が、午後九時以降のスマホの使用について、ルールを親の方でしっかりやるようにと呼びかけるということが全国的に注目を浴びているということは、私も刈谷市民なんですけれども、大変うれしく思っております。

 ただ、今回、一連の報道を見ていると、若干誤解されている部分があるんじゃないかなというふうに思っております。

 このニュースが最初に出たのが、三月十五日、地元中日新聞の一面にどんと載ったんですけれども、そのときの見出しが「夜九時からスマホダメ 刈谷市 全小中校、家庭に要請」、こういう見出しだったんですね。この見出しを見て、多くの人が、何か市が規制をしたのかなというふうに誤解をされたのではないかと思っています。

 ただ、先ほど大橋参考人からも御説明があったように、実際には、今回の刈谷市の取り組みというのは、行政当局ではなくて、学校関係者によって組織をされていて、そして教育委員会、警察、民生・児童委員、PTA連絡協議会が参加をしている刈谷市の児童生徒愛護会、ここが中心になって取り組んだということであります。

 また、内容も、これはあくまで保護者へのお願いということでありますので、強制力もないということなんですね。

 この辺が、センセーショナルな報道とはちょっと違うところだというふうに思うんです。

 先ほど大橋参考人から皆様のお手元に配付をされた、児童生徒愛護会から各学校長、PTA会長に宛てた依頼文書の中をもう一度皆さんにも確認いただきたいんですけれども、こういう一文が入っています。「携帯電話を契約する際に、保護者の責任の下、親子で使い方についてよく話し合っていただき、」というふうに書いてあるんですね。私は、まさにここが、今回の刈谷の取り組みの肝じゃないかと。

 つまり、家庭でのスマートフォンの使用というのは、これは学校生活の話じゃありませんから、本来は、学校が云々という話ではなくて、家庭の中のしつけの範疇の問題、そして、先ほど大橋参考人からもありましたけれども、契約者は保護者なんですから、本来は保護者が第一義的な責任を負うというところだというふうに思います。

 まさに、今回の刈谷市の取り組みというのはそういうところにポイントがあるのではないかというふうに私は思うんですが、先ほどの大橋参考人の意見陳述と重なるところがありますけれども、改めてこの点、確認をさせていただきたいと思います。

大橋参考人 大西先生には、日ごろ地元のためにお働きいただき、ありがとうございます。

 今先生が御質問されたとおり、まさしく、今回、いろいろな自治体からも刈谷市教育委員会等に問い合わせ等もございますけれども、これはあくまで、私ども現場の教師または子どもたちの声、そういったところからボトムアップ的に立ち上げていき、私としては、教育委員会には、こういう運動を取り組みますが御承認いただけますかということで承認をいただいたということで、それはいいことだからやっていいよというような形で取り組ませていただきました。

 私どもの指導力不足をさらすようで恥ずかしいわけでございますが、要するに、世の中いろいろなことで、子どもに問題が起きますと、学校で指導してください、学校で指導してくださいというのが非常に多うございます。昨今問題になっていることもいろいろあるわけでございます。

 私どもも努力しているわけですが、余りにもこういった諸問題が起きている中で、何とか親御さんに御支援いただけないか、私どもの力だけでは、力不足で申しわけないんですが、親御さんに少しでも助けていただきたいということで、今回の取り組みをしました。

 この取り組みをしたからといって、いじめとかいろいろな犯罪がすぐに減るなんということは一向に考えておりませんが、先ほど申し上げたように、自分はやりたくないけれども、または、親御さんは子どもに言いたいんだけれども言えない、家庭の教育力の低下と言ってはなんですが、そういうお子さんや親御さんの言いわけや後ろ盾に少しでもこの材料がなってくれるならば、それはそれでいいじゃないかというような気持ちで取り組みの方をさせていただきました。

 以上でございます。

大西(健)委員 今の大橋参考人のお答えの中にあったんですけれども、親の責任の部分なんですけれども、私、刈谷市の方から、保護者の反応はどうですかということでお聞きをしたときに、少しショックを受けたのは、今まさにお答えの中にもありましたけれども、次のような意見が多く見られたと。子どもに夜間の使用について注意しやすくなった、親がスマホの使用などに制限をかける後ろ盾に使える、中学生の難しい時期に大義名分ができ、注意しやすくなった。

 つまり、こうした意見の背景には、親が子どもに注意できない、そういう現実がある、あるいは、自分たちが悪者になりたくないので学校で決めてくれ、そういうある種の責任回避の心理があるのではないかというふうに思います。

 本来、私も親ですけれども、親が親としての責任を自覚して、毅然とした態度で子どもに接することが必要ではないかと思うんですけれども、こうした親の意識を変えていく、こういうところから始めていかなければならないのかなというふうに思うんです。

 この点、大橋参考人は、今も校長先生として教育現場に長く身を置かれていて、親の意識、親の世代というのも変わってきていますけれども、時代の変化によって、親の意識の変化というのをどう感じておられるか、これについてお話をお聞かせいただきたいと思います。

大橋参考人 家庭で親子が触れ合う機会というのが非常に少なくなったのと同時に、もうこれは大分前からですが、親御さんの働いているそのつらい姿を子どもが見ていなくて、家でだらだらしているお父さんやお母さんの姿を見ている。

 それから、子どもの数も減ってきたということもございまして、今、子どもたち、学校でもそうですけれども、すぐに、例えば、もう死にたいとか、何かあると家出するとか、逆に親を子どもの方が、言葉は悪いですが、おどしているじゃないですけれども、そういうことに非常に親御さんが心配をしているというか、そういうところから強く出られないという部分もあると思うんです。

 私ども学校現場も、昨今のいろいろな情報から、やはり子どもたちに対しての言葉がけとか、非常に気を使って、以前ですと軽い冗談で済んだような言葉がけが子どもにひどくショックを与えていて、後で親御さんからお叱りをいただく場面も結構あるのでございます。

 そんなふうで、ナイーブというんですか、そういう意味で、親御さん、親子の関係も、昔の強い親という感じじゃなくて、やはり友達関係的な親子というのは数がふえているのかなというふうに考えております。

 以上でございます。

大西(健)委員 もう一問、大橋参考人にお聞きしたいんです。

 新聞記事の中で、大橋参考人の、ほかの地域にも波及する取り組みにしたいというコメントが引用されているんですけれども、先ほどもお話がありましたけれども、刈谷でこの取り組みがうまくいったのは、刈谷市独自の児童生徒愛護会、こういう枠組みがあったから。先ほども、関係各位の信頼関係が基礎にあったという話がありました。

 今回の取り組みにおいて、刈谷市児童生徒愛護会という取り組みがあったからこそこういう部分が非常にうまくできたんだという部分があれば教えていただきたいのと、もしほかの地域にこれを波及させていくとしたら、同じような組織のない地域ではどういうところに工夫すればうまくいく、波及させることができるというふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

大橋参考人 現実に、一昨日ですか、名古屋市のPTA総会の方で、スマホ等の使い方については、時間制限等はしませんでしたけれども、親子でしっかり話し合いましょうというような採択がされたようにも聞いておりますし、同じ愛知県でも、ほかの自治体から、うちの市、町でもやっていきたいということで、やはり親御さんへの呼びかけですので、どこの市、町も、先ほど言いました、各市が持っているPTA連絡協議会が主体となって取り組んでいるようでございます。

 それとは別に、先ほどの刈谷市独自の児童生徒愛護会につきましては、私ども、刈谷警察署の少年係の方が学校現場と非常に連携して、よく少年補導員の方が学校の方に回ってきて、ちょっとやんちゃな子に対して面接をしていただいていたり、日ごろからよく相談もするものですから。

 例えば、先ほどポルノの話がございましたけれども、実は、中学校でもこんな事例があるんですよ。男の子同士で、罰ゲームじゃないけれども、負けたからおまえのズボンを脱がす、脱がしておいて、そこをすぐ写して、それをLINE上にアップする。だけれども、そういったことも、写した時点で、これはポルノ法に、犯罪にひっかかりますよということを警察の方からしっかりと教えていただいて、子どもたちの方に、写した時点でもうそれはだめなんだよ、アウトなんだよということを、私どもの知らない、この部分は法令にひっかかりますよということも詳しく教えてくれたり、そういうこともしてくれる。

 やはり日ごろからお互いに信頼関係を持ちながら、罪を憎んで人を憎まずではありませんけれども、常に健全育成の方へ向ける、防犯に向けるという意味で、一つの犯罪があったとしても、罰するんじゃなくて、その子をいかに更生させるかを警察も学校も常に考えながら、親御さんも考えながら、常日ごろから取り組んでいる、そういう母体があったから、今回のこういうことを呼びかけたときも、それぞれが、ああ、いいじゃないか、では一緒に取り組もうというふうになったのではないかなというふうに考えております。

 以上でございます。

大西(健)委員 先ほどの最初に出た中日新聞の記事に、専門家の意見として藤川参考人のコメントが引用されています。「トップダウンでは反発を招いてうまくいかない。ルール作りや運用に生徒を参画させて、自ら考えさせることが大事だ。」非常にごもっともな御意見だなというふうに思うんですけれども、ただ、先ほど申し上げたように、これは報道ぶりによるちょっと誤解があって、実際には、今回の取り組みというのは、市が行ったものではなくて、また、あくまで、生徒にではなくて保護者に向けたものということなんです。

 そして、保護者からの反響の中にも、使い方やルールについて話し合うきっかけになったというふうにありますけれども、親が責任を持って、子どもと話し合って、一緒になってルールを決めていくということがあり得べき姿だと思うんです。

 そこで、藤川参考人にお聞きしたいんですけれども、今回、刈谷市の取り組みは、あえて生徒ではなくて保護者に宛てた、これをどう評価するのか。それからまた、別の部分では、確かに、子どもも自分たちが納得できないルールに従うということはないと思いますので、そういう意味では、ルールづくりや運用に生徒や子どもを参画させていく、その上での工夫とかコツというのがあれば、御教示いただきたいと思います。

藤川参考人 ありがとうございます。

 私は、教育の研究者でございますので、基本的に、子どもたちへの教育が最優先されるべきであるというふうに考えております。

 ですので、この問題に関しては、家庭での利用の問題ではありますが、子どもたちの人間関係にかかわる問題でもございますので、当然、学校で一定の指導がなされるべきである、そして、そういうものにつきましては、子どもたちがきちんと問題点を学んだ上で、解決策もまずは自分たちで考える、これが筋だというふうに考えております。

 実際に、例えば大阪府の寝屋川市などでは、中学校の生徒会の活動として、こうした問題への対応を子どもたちが考えるという取り組みが継続して行われておりまして、例えば長く使ってしまうという問題については、どうやったらとめられるのだろうかということを話し合い、とめ方についてさまざまな提案がなされ、その提案をする中で、自分たちが自覚していくというような活動も行われているんですね。

 こういった取り組みが各地でございますので、私としては、大人が決めて子どもに守らせるという一方的なやり方は、あり得るとは思います、しかしベストではないというふうに考えておりまして、子どもたちが参画し、基本的には、まずはみずから学んで解決策を考えられるようになるというのが教育の場の役割であろうというふうに考えております。

 しかしながら、一方で、保護者に対する意識を高めるということも大事なことでございますので、保護者に対して学校側あるいはPTA等が発信をしていくというのは、非常に重要なことだというふうに考えております。

 そういう意味では、この取り組みは一定の評価はできるものと思われますし、本日お話を伺っても、非常によく考えられ、慎重に進められていることはわかっておりますので、これが絶対よくないなどと言うつもりはございません。

 新聞の取材のときにも、もう少し詳しくいろいろお話をしたんですが、結果的に載ったのがそういう部分だというふうに御理解いただきたいと思います。

 以上です。

大西(健)委員 ちょっと話をかえて、サラリーマン川柳というのがありますけれども、その中からスマホに関するものをちょっと拾ってみたら、例えば、「妻のグチツイッターならつぶやける」「アイウオンチューいつでも君はiPhone中」、こういうのがあったんです。

 これは、スマホのコミュニケーションの特徴を非常にあらわしているんじゃないか。つまり、面と向かって言えないような言葉がSNSでは簡単に飛び交ってしまうとか、また、デート中と思われるカップルが、会話もなくお互いにスマホをいじっていてみたいな、そういう風景というのを最近見かけますけれども。

 安川参考人のきょうのお話はリベンジポルノの話が中心でありましたけれども、安川参考人は、心理療法カウンセラーで、高校でも教鞭をとられた経験があるということなんですけれども、幼いころから当たり前のようにこういうネット社会の中で成長してきた子どもたちのコミュニケーションのスキルというのがどう変化しているのかということについて、安川参考人の考えるところをお聞きしたいと思います。

安川参考人 子どもの数も減って、家庭の中でも、親が子どもの言おうとしていることをわかってしまうんですね、それとかこれとかあれで。その子たちが、面と向かって話をしていたら、誤解というのは余り生まれないんですよ、表情とか声のトーンとか、ああ、こういうつもりで言っているんだなと。

 それが、ツールが変わって、文字だけにした場合、やはりその中でトラブルはすごく多いですね、何でそんなことを言うのと。かわいくない?と言ったつもりが、クエスチョンマークが抜けて、かわいくないと。何で、私のどこがかわいくないのなんということで、すぐけんかになったりするようなこともあるわけなんですね。

 やはり、思っていることというのは、顔と顔を合わせてのコミュニケーションが主流にならなければならなくて、無料通話アプリというのはあくまでも付録なんです。ところが、先ほど言ったように、デートのときでも、横にいるのにLINEの方がやりやすいとか、授業中でもずっと机の上にスマホを置いてLINEでやりとりをしている、先生から見つからないもんと。

 これは、これからの人間関係をおかしくすると思います。やはりあくまでもそれは付録として使っていかなければならない。そういう教育をしていくのが、家庭であり、学校だというふうに考えています。

 以上です。

大西(健)委員 ちょっと時間がなくなってきたんですけれども、最後に。

 安川参考人も、いろいろなところで情報モラル教育の必要性というのを説かれております。また、道具参考人のデジタルアーツ社さんの方では、全国各地で、保護者、教職員向け、また、生徒児童向けの出張授業をやっておられて、そこで得られた知見をもとに、「スマホにひそむ危険 疑似体験アプリ」というのを作成されて、これを無料配布しておられる。それが全国の学校等の情報モラル教育の場でも活用されているというふうに聞いております。

 また、先ほどの刈谷市の保護者の反響の中にも、携帯やスマホに関する講話を親子で聞く機会があるといいというような意見もありました。

 そこで、最後に、道具参考人に、効果的な情報モラル教育のあり方について、時間がありませんけれども、簡単にぜひお願いしたいと思います。

道具参考人 アプリの御紹介、ありがとうございます。

 疑似体験アプリというのは、セミナーをやっている中で、保護者の啓蒙はそういう形で機会を設ければできるんですけれども、実際に生徒さんの方に私どもは直接何か教育をするということはできないものですから、そういうアプリを通して、子どもたちの方に何が危険で何が危険じゃないかということを、微力ながら、今やらせていただいております。

 やはり、そういう、知っていただくということに努力していくことしか私どもの業務の中ではないな、それを継続してできる限りのことをしていくということを、ここから先も引き続きやっていきたいと思っております。

大西(健)委員 我が家には四歳の長男がいるんですけれども、誰が教えたでもなく、スマホをいじって、ユーチューブの動画を見られるようになっているんですよね。だから、今の子どもたちというのは、私たちが育った時代とは全く異なる時代で育っているんだなということを実感しております。

 そういう現実の中で、私も一人の親として、自分を省みつつ、きょう皆様からいただいた御意見をしっかりと今後の国政に生かしていきたいというふうに思います。

 本日はありがとうございました。

遠藤委員長 次に、鈴木望君。

鈴木(望)委員 きょうは、インターネットをめぐる諸問題ということで、四人の参考人の皆様方に時間を割いて御出席いただき貴重な御意見をいただきまして、まず御礼を申し上げたいと思います。

 今、私の前の大西委員がくしくも言われましたように、大西さんの場合は四歳の子どもさんということでありましたけれども、私の年代は、子育てが終わって、そろそろ孫を観察するというような年代に入ってきているわけですけれども、私の五歳の孫も、まだ平仮名も片仮名もよく読めないにもかかわらず、インターネットで自分で何か、誰も教えたわけではないんですけれどもやっていまして、それで、しまじろうとかドラえもんのところにたどり着いて、そこで何かゲームをやっておりまして、十五分だよとか三十分以上やっちゃいけないよというふうに、五歳にしてそういうことを注意しなきゃいけないというような、そういう環境にいる。

 これは、先ほどの大西さんのお話にもありましたように、どうもそういう環境に私たちの次の世代、またその次の世代がもうさらされていて、不可逆的なことじゃないのかなというふうに強く思うわけであります。

 送金詐欺とか、そういうようなことによくあらわれておりますが、イタチごっこというか、新たな対応策を考えれば、またその裏を考えていろいろやるというようなことがあって、次々に、新しい対策を考えると、それを打ち破る方法を見つけるというところで、そういったことを一生懸命やっていても青少年とインターネットをめぐる諸問題というのは解決しないんじゃないのかなというような感じを、私の世代、特にインターネットには疎くて余りうまく活用できない世代が、子育てとか孫の状況を見ていて思うところであります。

 そういう観点から、私は、大橋参考人が刈谷市で取り組まれた事例というのは、これは、私とちょっと考えは異にしますけれども、高く評価しなくちゃいけないんじゃないのかなというふうに思うんですね。意欲的な取り組みで、そういった取り組みを、とかく評論家的にこれは悪いとかと言うだけで何もやらないのに比べて、一歩、一つ踏み出してみて、それを評価して新たな取り組みに行くという意味では、私は非常に高く評価すべき取り組みじゃないのかなというふうに思います。

 そういう意味で、まだまだ始まったばかりですので、何ともまだその評価をするという段階にはないということかもわかりませんが、そこら辺、始められた取り組みに対するプラス面、マイナス面、今後全国に広げていきたいというお話でございましたけれども、それにはどういうところを注意してこういうふうに広げていったらいいというようなところがございましたら、御意見を大橋参考人にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

大橋参考人 鈴木先生の御質問にもございましたけれども、本校のPTA総会は四月二十八日でございましたけれども、幸いにして、実はマスコミ各社がもう三月の中旬ぐらいから一斉に非常に報道していただけたものですから、私どもが保護者に啓発する以前に、もう刈谷市民全部に徹底されていましたので、そういう意味では大変入りやすうございました。

 一部、家庭のことなのに何で学校が言うんだというような御意見があったのは確かでございますけれども、特に母親からはもうほとんど、うちの入学式のときに外で番記者がちょっと保護者にシールを張らせていたんですけれども、三十人張ったら三十人が賛成で、反対がゼロのシールでしたけれども、ほとんどの方が、先ほど大西先生の質問のときもございましたけれども、賛同いただきました。

 今回、ちょっと誤解があるのは、上からトップダウン的じゃないかとか、そういうようなこともありましたけれども、あくまでも、先ほど申し上げましたように、「早寝早起き朝ごはん」じゃございませんけれども、一つの運動として、保護者、親御さん自体が、子どものソーシャルネットワーク、SNSの世界を知らない保護者というのが非常に多うございますので、こういうことを提言することによって、保護者の方も再度見直していただく。DSでもそんなことができるのか、iPodでもできるのかというような、そういうことすらも知らない保護者の方も結構いましたので。

 そういう意味で、今回取り組んだ成果は、自分なりにはあると思っていますし、今後ほかへ広げていく上においても、先ほど藤川先生おっしゃられたように、やはり子どもと親御さんがよく話し合って、ルールを決めて、そしてそれを親の方も責任を持って徹底していくというか、そういう形で、いろいろなところで広がりを持っていただければいいなというふうに考えております。

 以上でございます。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

 ちょっと角度を変えて、今の大橋参考人の御意見を私なりに解釈すれば、親御さんがもう少し主体性を持って努力すべきではないのか、そのための一つのきっかけとして、夜九時以降は持たせないとか使わせないとか、ある意味では非常にセンセーショナルで、それが一つのきっかけとなって、先ほども御意見でありましたように、塾に通っている子どもさんについては、九時というのを十時にする、また、その子どもの状況に合わせて、中毒症になっている子どもはもう少し使い方を制限するとか、要するに、そういう一つのきっかけになればいいというような御発言であったのかなというふうに私は解釈をさせてもらうわけですけれども。

 要するに、ポイントは親にあるんじゃないのかなと。家庭にあるし、また、学校でいろいろ起こっているんだったら先生に、きちんと指導をする、第一義的というか、主体的にそういう行動をする責務があるというふうに私自身は思うんですけれども、そういう御意見は安川参考人の方からも出てきたように思いますが、そこについては、藤川参考人にお尋ねしたいと思いますが、どういうふうにお考えでしょうか。

藤川参考人 まず、この問題というのは、基本的に家庭で与えている機器に関する問題ですので、保護者がもっともっと責任を負わなくてはいけないということは、まさにそのとおりだと考えます。

 他方で、そうはいっても、責務をなかなか果たしてくださらない保護者の方が相当数いて、そうした保護者の家庭で問題が起こりやすいというふうに考えられるわけです。このあたり、先ほど大橋参考人もおっしゃっていたと思います。

 ですから、親に責任があるということで話を済ませることはできないというふうに考えます。

 こうしたものにつきましては、当然、携帯電話等の契約の際の御協力のお願いなども充実させなくてはいけないですし、よりわかりやすいフィルタリングが提供されることも必要でしょうし、また他方で、学校や地域で、議論をする場がある、学ぶ場があるということも必要かと思います。

 特に、貧困の分類に当たる御家庭のお子さんが大体六分の一から七分の一という統計が出ていますが、実態を伺っても、なかなか、子どもには携帯は与えるけれども、そこについてのきめ細かいしつけまではできないという御家庭がそれなりに多いということは間違いなさそうでございます。

 そうしたところについては、学校や地域がその家庭の教育力をカバーするということも当然考えていかなくてはいけないと思われますので、やはり今のような、学校とか地域での取り組みというのは重要ではないかというふうに考えております。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

 藤川先生にちょっと観点を変えてお尋ねをさせていただきたいなと思うんですけれども、先生は、いじめの防止基本方針を策定する委員に加わっておられるということで、実は私も、いじめ防止対策推進法を議員立法でやったときの一員に加わらせていただきまして、それでいろいろと、いじめをなくすにはどうしたらいいのか、そもそも、いじめとは何なのかと。

 要するに、今回も、ネットいじめというようなことで大きく問題がクローズアップされていて、その背後にいじめというものがあるんじゃないのかなと思うんですね。ツールが、今はやりの、我々世代には余りよくわからないところがあるITを使っているということで、事の本質はいじめであると。

 そういう見方から見ますと、いじめというのはなくなるものであるのかどうか、また、なくならないものであるとしたら、どうやってそれを防いでいけばいいのかどうか、そこら辺については、藤川先生は基本方針をつくっておられる立場でどういうふうに思っておられるのか、お願いいたします。

藤川参考人 ありがとうございます。

 まず、いじめがなくなるのかという御質問ですが、かなり減らすことができる、しかし、ゼロというものをいきなり期待することは難しいというふうに考えられます。

 いじめが生じやすい状況と申しますのは、お互いが同じだ、同質的だという感覚を持ち、誰か一人を異質だと排除する、これが、典型的な、いじめが発生するパターンでございます。

 逆に申しますと、お互いは違って当たり前だ、何かがうまくいかないとか、ちょっと性格的に合わないとか、そういう人がいても当たり前で、そうした人たちともある程度協力をしながら生活をしなくてはいけない、そういう価値観を持ち、一定のコミュニケーションができれば、いじめはかなり減らせるというふうに考えられます。

 そうしたことを考えますと、このネットの問題につきましても、子どもたちが、家庭の状況も違いますし、価値観も違います、生活習慣も違います、こうした中で、例えば、家に帰ってからのネットでのコミュニケーションについて、どんなふうに思っているのか、言いたくても言えないというお話がありますけれども、そういうことを率直に言いながら、では、自分たちはこういうふうにつき合っていこう、こんなコミュニケーションがとれれば、いじめ、ネットでのいじめというのはかなりの程度抑止できるというふうに考えられます。

 他方で、しかし、そういった取り組みが余り十分になされていないのが、これまでの状況ではないかと思われます。

 いじめ防止対策推進法は、各学校にいじめ防止の対応を求めています。このいじめ防止の策の中に、ネットでのいじめを防ぐために、ネットで起きそうなトラブルについてあらかじめ話し合っておく、率直に意見交換をする、こういった指導があれば、ネットでのいじめはかなり減らせるであろうと考えられます。

 しかし、ゼロになるかというと、それはそう簡単にはいきませんので、仮にネットでのいじめに悩むような状況が生じた場合に、信頼できる教員であるとかカウンセラーであるとかあるいは地域の方に子どもたちが相談ができる、そういう状況ももちろんつくっていかなくてはいけません。

 このためにも、いじめ防止対策推進法では、学校に相談窓口を設けるようにということを定めております。国の基本方針でも、こういったことを具体的にどう進めるかをかなり突っ込んで書かせていただきました。こういった対策を各学校で進めることによりまして、仮にいじめが起きた場合も、深刻な状況になる前に何らかの対応ができて、抑止できるのではないかというふうに考えております。

 いずれにしましても、今まで以上にできることはたくさんあるので、こういったことを着実に進めるというのが現段階ではないでしょうか。

 以上でございます。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

 私は、親御さんとか家庭とか先生ということを言いましたけれども、実は、私自身が思っているのは、子ども自身をもっと鍛えるということが、本人のことですので、一番じゃないのかなというふうには思っているところであります。

 その点で、安川参考人にもちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、要するに、ジェンナーの種痘とか、そういった例があるように、疾病から守るために、その疾病から遠ざけるというようなことだけじゃなくて、逆に、まず弱い菌を植えつけて、それでその病気にかかっても大過ないようにしていくというのがジェンナーの種痘だろうと思うんですね。

 そういうやり方で、予防のために植えつけたりというような、そういう意味での予防注射を打ったりというようなことが医学で行われているわけでありまして、私は、非常に示唆的じゃないのかなと思うんです。

 人間の本性で、いじめというのは、猿から進化した時代から抜き去ることができない。その典型がこの国会で、いろいろ、そんな小さいいじめにああだこうだこだわっていたらこの中で生き抜いていけないという現実もありますし。

 例えがちょっと悪かったわけですけれども、ジェンナーの種痘ではありませんけれども、やはり子どもを少しぐらいのことではへこたれないというふうに鍛えていくということは、それこそ教育の本旨じゃないのかなとも思うわけであります。

 一方で、へこたれてしまった子どもをきちんとケアするということも、もちろん重要であります。

 そういった意味で、バーチャルの世界で行われている、言われていることがリアルの世界に戻った場合に、先ほど安川参考人が非常に示唆的なことを言われましたけれども、同じ言葉であっても、それがメールとかSNSで発信されたときと実際に対面して言ったときとでは全然違うと。当然だと思います、言い方であるとか抑揚であるとか顔の表情であるとか、そういうので全然違うわけですので。

 そういう意味では、リアルな世界での対人接触、人と人との交流というのをもっともっとふやしていく、それが、遠回りのようではありますけれども、こういった新しい時代に対応する基本的な対応策じゃないかなと私は思っておりますが、その点について、安川参考人に御所見がありましたら、お願いいたします。

安川参考人 いじめが原因で家にこもってしまって六十代になったという方の相談がありました。五十年以上引きこもっている、その引きこもった原因がいじめだったわけなんですね。それによって、五十年間全く誰とも接触がない。

 やはり、いじめられているというだけではなくて、その子に免疫がないとか、甘やかされて育ったという子どもは、本当に、小さいことでもショックを受けることというのがあるんです。

 御飯のときでも、学校で誰も一緒に御飯を食べてくれる人がいない、自分だけがぽつんと黒板を見て御飯を食べている。でも、よく話を聞くと、本人にも原因があるんです。ただ、そういうことは全く本人は気がついていない。

 だから、そういうことに気づかせてあげて、支えてあげる人が身近にいると、例えば学校でも、常にそういう子どもたちの相談に乗ってあげる、その子の気持ちになって聞いた上で、こういうふうに改善していけばうまくいくよというふうにアドバイスしてくれる人がいれば、その子が社会に出ても通用するような人間になっていけるんじゃないかなと。

 ただ、そういう子どもほどネットで友達をつくってしまうんですね。そこでだまされて怖い目に遭うというケースがありますので、それを避けるためにも、身近に相談に乗れる方がいるといいと思います。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

 私も、首長をしているときに、田舎の都市の首長をしていたんですけれども、五市町村合併を経験しました。そのときに、一つの市としての一体感を一番醸成するには、子どもの世代に、今までの何とか町とか何とか村という意識を持つんじゃなくて、同じ市なんだと。そのためには、一緒に合宿をして、暮らすというのは非常に重要じゃないのかなと思って、夏休みに夏季のキャンプをやって、そこで一緒に御飯を炊かせたりとか、そんなことをやらせました。

 私のやったいろいろな施策の中では一番好評だったんじゃないのかなと思っているわけですけれども、ぜひ、バーチャルに対するリアルというものをもっともっと重視するというような取り組みも、また大橋先生のところでも入れていただければなというふうに思うわけであります。

 あと、済みません、道具参考人に質問をする時間がなくなってきましたけれども、最後に一つ、そうはいっても、一番最初に私が言わせてもらいましたように、五歳の、まだ文字もよく読めないような子どもがITにどんどん接触して、未熟な人間ということですね、親がパソコンまたは携帯の使用を制限しなければ無制限にやり続けてしまうような未熟な子どもを、ITの世界に無防備にさらすというわけにはいかないんじゃないのかな。

 フィルタリングは非常に有効である、お話を聞いてそう思いましたけれども、イタチごっこ的な懸念も一方でありますが、新しいことに対して、また新しい考え、悪い意味での創意工夫ができて、むくむく起こって、どんどん変わっていっちゃう、そこら辺についてはどういう、楽観的に考えておられるのかどうか、ちょっと御所見をお伺いして、私の質問を終わりにしたいと思います。

道具参考人 多分これに尽きると思うんですけれども、何がよくて何が悪いのかというところに尽きるのではないかなと考えております。

 例えば、SNSも、最初は、だめという世論の声もありました。ただ、やはり楽しいことというのは自然と広がってしまう。今お話がありましたけれども、五歳の子どもでも、要は言葉を覚えるような形でスマートフォンの操作を覚えるというのと同じで、楽しいことというのは広がります。

 ただ、楽しい一方、広がってしまえばしまうほど危険なことも出てきますというところで、どこまで幾つの方に何を提供するのかという基準、これは多分、法律でもないでしょうし、僕ら業者でもないでしょうし、やはり最後は、親子のルール、家庭内ルールというものが最終的な法律になっていくのではないかなと思っております。

 新しい技術、イタチごっこというところは最初は抑えますけれども、抑えたことによって、フィルタリング使えない、何でこんな不便なものというのが、実は今現状なんです。

 昨年、初めて利用率が下がりました。ですので、最初、イタチごっこで抑えますけれども、どこかで解除しなきゃいけないタイミングが来ると思います。そのあたりを私どもは、業界関係者の方々と議論しながら、世論に合った、ITの使い方に合ったフィルタリングに今後も改変していこう、そのように考えております。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

 終わります。

遠藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津でございます。

 これから順次質問させていただきますけれども、初めにお礼を申し上げたいと思います。

 大変お忙しい中、四名の参考人の皆様にお越しいただきまして、ありがとうございました。

 先ほど来からの意見陳述、それから質疑、ここまで参りましたが、非常に大事な論点が幾つか浮き彫りになってきたんじゃないだろうかなと思っています。

 そこで、まず一番最初にお伺いしたいのは、これは、藤川参考人、安川参考人、お二人にお伺いしたいと思うんですが、リベンジポルノのことです。

 私は、実は、きょうここでいろいろなことをお聞きするときに、このリベンジポルノについては、その必要性を認めながらも、きょうのメーンテーマになるかどうかということにまだ少し考えが整理できていなかったんですが、これは極めて大事なことで、一番主要なテーマの一つだというふうに思いました。

 そこで、リベンジポルノの関係で、その規制法を制定すべきかどうか、こういう端的な質問です。

 藤川参考人は、先ほど、資料の説明の中でも、リベンジポルノ規制法の具体的な意義づけについても触れていただきました。それから、安川参考人も、この趣旨の資料を出していただいて、現状についてもお話をいただきました。

 そこで、まず一つは、法の制定の必要性と、それにあわせて、そのときに最も留意しなければいけないこと、どこにお考えがあるか、それぞれ両参考人からお聞きしたいと思います。

藤川参考人 まず、私は、青少年の問題については専門家としてずっとかかわってまいりましたけれども、リベンジポルノというのは、当然、成人にもかかわってくる問題でございます。成人に関してどういう課題があるのか、特に表現の自由等との関係については、私は専門家でもございませんし、その分野の専門家と十分に議論してもおりませんので、包括的に法を制定するとなった場合に、果たして、成人まで含めて、適切な法がどういうものであるかについては、もっともっと検討が必要であるというふうに考えております。ですから、これが、課題といえば課題でございます。

 少なくとも、青少年に関しましては現行法でも一定程度対応ができますけれども、一方で、そうしたものについて、余り罪の意識がない人も多いですし、あるいは、その前提として不適切な写真等を撮影してしまう者も多いわけでございますので、もう少し一般の方々が意識を持っていただくために、法についての議論が喚起され、多くの人が理解を深めるということは意味があるでしょうし、場合によっては、法律ができた方が、多くの人が理解をして、問題が抑止できるのではないかという期待はしております。

 以上でございます。

安川参考人 日本で、例えば新聞とかテレビで報道されるリベンジポルノの内容というのは、リベンジポルノ単独のものというのがほとんどないんですね。その背景にストーカー被害があったり、しつこいメールが来たり、それで警察がやっと重い腰を上げてくれる。

 さらに、未成年の場合はほとんど、警察に相談に行きづらいという環境があります。そこをまず変えていかなければならないのと、やはり被害者視点に立っていないんですよね。それが卑わいだから削除すると。

 例えば、警察に相談に行きました、私の画像が卑わいなの、だから削除するの、私の気持ちは何もわかってくれないでしょうと。これではいけないと思うんですね。

 やはり、被害者を守るという視点に立って法律というのはつくってもらいたいというふうに感じています。これが違法だからではなくて、被害者が精神的に追い詰められるのを防ぐためにというふうになってくると、日本の今の法律では甘過ぎると思うんですね。罰則金にしてもそうです。そこら辺をもう少し強目にすることによって、抑止効果にはなっていくんじゃないかなというふうに考えています。

 以上です。

稲津委員 まさに、スマートフォンが普及をしていく中で、LINEとかさまざまなアプリが出てきて、それが、利便性は高いけれども、もう一方では、今まで携帯電話とかインターネットの世界では、ありましたけれども、しかし急速にこういうものが広がってきているというのは事実ですから、きょういただいた御意見をこれから私ども、私自身もしっかり勉強して、反映していきたい、こう思っているところです。ありがとうございました。

 それで、次に少し具体的な話をお伺いしていきたいと思うんですけれども、これは道具参考人にお聞きをしたいというふうに思います。

 フィルタリングの広報活動について国が果たすべき役割ということなんですけれども、少し抽象的な言い方をしましたが、青少年インターネット環境整備法という法律の中においては、国はフィルタリングの広報啓発活動を行うことが規定されているんですね。先ほど来の御案内のとおりですけれども、具体的には、関係府省が民間団体と連携をしてフィルタリングの普及を推進することになっているということなんです。

 先ほど、恒常的なそういう普及啓発活動が民間事業者としては必要なんだという話もありまして、なるほどと思いました。

 もう一方で、国の果たすべき役割というか、そこも大事なんだろうなと。例えば、政府広報の中でこの辺についてもPRするとか、いろいろな手法はあるのかもしれませんけれども、この点について、ちょっと難しい問題かもしれませんけれども、論点としてはあると思いますので、お聞きしたいと思います。

道具参考人 先ほど来の話の中で、やはりフィルタリングは難しいんじゃないかということが一つ、何が危険で何が危険じゃないというのがもう一つ、それと、何でインターネットができているか、例えばゲーム機からインターネットができるということを知らない保護者の方もたくさんいらっしゃいます、この三つです。

 私ども、もしくはほかの参考人の先生方もそうですけれども、私たちができることは、保護者会に参加させていただく、もしくは警察が主催したものに参加させていただくという程度でございます。

 先生方、今のお話ですと、では、国会でとか法律でということはちょっと詳しくないのであれですけれども、現実を考えますと、子どもにスマートフォンを渡した瞬間に、二度と子どもは親にそのスマートフォンを見せません。もう子どものプライバシーです。要は、渡した後に、フィルタリングをオンにしなさいとか、何を書いているか見せなさいと言っても、子どもはほぼ見せないと思います。

 そうすると、何が重要かというと、子どもの手に渡る瞬間に、親が安心できる環境にスマートフォンをどう置くのかということが、結構ポイントです。

 ですので、私どもは、携帯キャリアさんと御協力させていただいて、いろいろチラシとかをつくらせていただいたりはしました。実際に、買う瞬間もしくは与える瞬間に、何か御両親が設定する、もしくは御両親から子どもに教育をする、ここがすごく重要です。

 先ほど申し上げましたように、ゲーム機等は家電量販店ですし、携帯はショップですし、この両方の事業者様に対して私たちが何かを言うことは、残念ながらできないです。協力はしていただきますけれども、それ以上、もう一歩強制的に、案内をしてくださいとか、絶対これを入れてくださいというのは、なかなか難しいところでございます。

 このあたり、子どもの手に渡る瞬間でもう少し何かできたらいいなというふうに日々思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 思えば、私も子どもが三人いまして、それぞれもう随分大きくなっているんですけれども、一番目と二番目は、高校生のときに携帯電話が欲しいというふうに相談しました。一番下の子は、中学生のときに欲しいというふうに言ってきました。これぐらい、やはり時代の流れというのは違ってきているのかなと思うんですけれども、そのときに子どもと十分いろいろな話し合いができたかというと、私は、残念ながら、恥ずかしながらできていなかったというのを、今非常に反省をしております。

 幸いなことに、今の時代と違いますので、十数年前ですから、十年ぐらい前ですと随分環境が違うんですけれども、それはそれとして、親子の話し合いというものの必要性について感じているんですが、今度は、学校のことも少しお聞きしたい。

 これは大橋参考人にお伺いしたいと思いますけれども、児童生徒のスマートフォンなどの利用に関する意識啓発を促す指導ということについてお伺いしたいと思います。

 私は、やはりこの問題は、親がどれだけ子どもにきちんと話していけるか、そこでどういう約束ができるかということが前提として一番大事だと思っていますし、それから、今回の刈谷市の取り組みについても大変すばらしいものだと思っていまして、これからもぜひ、全国各地の展開も期待をしたいと思っている一人です。

 その上での話なんですけれども、児童生徒へのトラブル回避ですとか、それから自立の啓発促進というんですか、そういう指導性というのは、一人の親になってみれば、ぜひ学校でまずやっていただければありがたいなということは強く思っています。

 今回、こういう刈谷での取り組みの中で、そうした子どもたち、児童生徒への指導性というのはどういうふうに行われたか、この点についてお伺いしたいと思います。

大橋参考人 お答えさせていただきます。

 まず、これまでも当然、学校としまして、保護者または子どもたちに情報モラル教育ということで、さまざまな、警察関係者または携帯会社さん等のソーシャル・ネット・サービスにおける危険性または正しい使い方等の集会、そういったものを通して、安全な使い方について啓発してきたところでございます。

 そういうところは当然今後も引き続き行っていく予定でございますし、先ほど藤川先生がおっしゃられたように、子どもたちの中からということもございますので、実は私の学校のホームページを開いていただくとわかるかと思いますけれども、先週も、生徒会が中心となって、いじめ撲滅集会ということで、今回のテーマがソーシャル・ネット・サービスにおけるいじめというようなことで、生徒会が中心に取り組んでいます。

 ですから、そういったさまざまな機会を通して私どもも行っているわけでございますが、それでもなおかつ現実がいろいろとございましたので、私ども、力不足で申しわけないですが、保護者の皆さんのお力をかりたいということで今回の取り組みをやったところでございますので、今後も、子どもたちまたは保護者に向けてのこういった指導は十分していきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 さらに取り組みを勉強させていただいて、いろいろな形で応援したいというふうに思っております。

 それで、今、ネット上のというか、通信アプリを含めて、いじめの問題のことについてもちょっと触れていただきました。それに関連して、これは安川参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 このネット上の中傷、それから個人情報を削除するという問題点なんですけれども、これは私、若干調べてみたら、ネット上に書き込まれた児童生徒に対する中傷、個人情報の削除について、例えば、個人が削除してくれと言うこともあるんですけれども、地方自治体等からの削除要請について、中傷された本人の要請でなければ削除できない、こう回答する運営者がいるということが報道にありました。その理由は、本人以外の依頼は受け付けないということですけれども、秋田県とか埼玉県では二割近くが応じてもらえなかった、こんなふうに一般紙にも回答がありました。

 その上で、国がガイドラインをまとめてサイトの運営者を指導すべきだとか、あるいは、サイトの運営者は教育委員会とか学校からの要請には応ずるべきだ、こういう意見もありまして、この点についてどういうふうにお考えというか意見があるか、突然のことで恐縮ですけれども、お話しいただきたいと思います。

安川参考人 それぞれにガイドラインというのが設けられています。当然、ガイドラインに違反しているものであれば、管理者としてすぐに対応しなければならないわけなんですね。

 やはり、子どもたちが自分で削除するというのはかなりハードルが高いわけなんですよ。保護者の方からも相談を受けます、やりたいんだけれどもわからないと。

 全国webカウンセリング協議会では、そのような保護者とか子どもにかわって管理者とやりとりをして削除依頼を送っているんですが、実は、削除されないというケースの方が少ないです。そうはいっても、ほとんどのケースで削除に応じてくれているわけなんですね。違法だと、どこがまずいのかということをしっかり指摘すれば、応じてくれるところが大半です。

 多分、削除の申請の仕方がちょっとまずいのではないかなというふうに感じています。

 それがさらされるということは、面と向かって悪口を言われるよりもよっぽど強いんですよ。いろいろな人からそれを見られて、私はこう見られているんだ、そうなったらもう外に出られないなんていう子もいますから、そういう子どもたちを救う上でも、すぐに対応できるような体制というのはやはり必要だというふうに感じています。

 以上です。

稲津委員 ありがとうございました。

 次は、これは藤川参考人が配付をしていただきました資料から、先ほど陳述をお伺いした中でお聞きしたいと思うんですが、最初は藤川参考人にお聞きしたいと思います。

 先ほどのペーパーの「青少年インターネット環境整備法について」という項目の中の四つ目のポツのところで、スマートフォンの場合の携帯電話事業者のフィルタリングの提供義務について触れていただきました。

 これも非常に難しいところなんですけれども、携帯電話事業者のフィルタリング提供義務がどこまでなのかという先ほど御提案がありましたが、さらにこのことについて、例えば、具体的に見直しをするとなった場合、どこを見直したらいいのかということについて、改めて少し御示唆いただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

藤川参考人 ありがとうございます。

 見直しをするとすれば、資料にも書いたんですが、三つの要素に対応したフィルタリングを義務づけるということになるだろうと思います。

 一つ目は、携帯電話回線に対応したフィルタリング、二つ目は、これは主に端末にソフトを入れることになるんですが、無線LAN利用に対応したフィルタリング、三つ目は、そういうことをしても特定のアプリを使いますと問題があるところに行けてしまう場合があるので、アプリに対応したフィルタリング、三つの要素に対応したものを義務づけるということになろうかと思います。

 ただ、これは、携帯電話会社は今自主的に提供はしているんですね。しているのですが、手順が複雑過ぎてなかなかうまく普及していない面があるというところでございますので、基本的には民間の取り組みで実際上こういうものが普及するようにしていくことが第一義的には必要で、それがうまくいかない場合には法的な義務づけを検討するという段階になるのかなというふうに考えております。

稲津委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、最後に一点、大橋参考人にお伺いをしたいというふうに思います。これも、大変恐縮ですが、藤川参考人が出していただいた資料と意見陳述の中で、これは大橋参考人にぜひお伺いしたいなというふうに思ったものですから。

 「学校教育に関して」というところがありまして、通信アプリにおける悪口、無視、仲間外れ等については罰則で対応することはなかなか難しい、予防教育と相談で対応してはどうか、予防教育のための教材を全国の学校で利用できるようにすることが急務であるという話で、なるほどなと思いました。

 そこで、ぜひ学校現場のサイドから御意見を賜りたいと思うんですけれども、一つは相談体制、これも学校現場では相当きちっとやっていただいているのは認識しておりますが。あわせてもう一つは、教材の話がありましたが、現状どうなっているかということも含めて、御意見をいただければと思います。

大橋参考人 まず、本校でも、LINE等におけるそういった誹謗中傷について、私ども教師の方が発見するということは皆無でございます。その子たちのIDを知っていて、のぞかない限り、皆無でございます。

 何をやっているかというと、これはほかの全てにも通じるんですが、私も職員によく申しているんですけれども、子どもたちに先生に言ったら何とかしてくれるという信頼がなければ、子どもは自分で自分を守るよと。すなわち、自分がいじめる側につくか、または傍観者になるか、いずれかだよと。でも、先生に言ったら先生が何とかしてくれるというのがあれば、子どもたちの小さな心というのは非常に正義感が強いので、必ず言ってきます。

 ですから、体を張ってでもそういう信頼感をつくって、徹底的に、その日のうちに素早く、即処理しなさいというようなことを常々子どもたちの前でも職員にも言っているものですから、大体、十人、二十人いますと、言い合っているある一つのグループの中の誰かが、先生、こんなことが起きているよというふうに教えてくれます。そこから解決の糸口をとってやっていきます。

 先生今おっしゃられた教材につきましては、やはりどんどん革新していきますので、私ども、いろいろな、DVDだとかそういったものが市販されていたりしますが、ただ、全校集会で使っていいものとそうでないものというのがございますので、また、教材として使用できるものを制作者とも問い合わせをしながらいろいろ行っているわけですけれども、あくまで、やはり予算の関係もありますので、それぞれの学校で工夫しながら進んでいるところですけれども、よりよい教材となると、なかなか難しいのが現状かなというふうに考えております。

 以上でございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

遠藤委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 結いの党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、青少年とインターネットをめぐる問題について、相談の現場、教育の現場、あるいは事業者の立場から貴重な御意見をいただきました。参考人の皆様、本当にありがとうございました。

 早速、質問に移りたいと思います。

 まず、道具参考人に質問させていただきますが、無線LANに対応したフィルタリングの利用率の向上に関して、携帯電話の販売店において告知、周知を今まで以上に徹底する必要があるのではないかという御意見がありましたけれども、現状でもただでさえ混んでいる販売店の状況の中で、さらにこうしたことを課していくことになると、混乱というか、販売店にはかなりの重荷になるんじゃないかと思いますが、こうした点についてはどう思われるか、どうやって乗り越えるべきなのかというのが一点。

 そしてもう一点は、先ほど、自主的にチラシをつくって配布したという御意見もありましたが、チラシを配布するというのは本当に効果があるのかどうか、そういう分析というかデータというか、実際にチラシをまいたら何かこういうことが減って効果があったというデータがあれば、お聞かせいただきたい。

 まず、この二点についてお聞かせいただきたいと思います。

道具参考人 一点目におきましては、おっしゃるとおりでございまして、私どもも各キャリアさんのショップさんと直接お話をすることがあるんですが、混雑していて今まで以上の話をするのはなかなか困難だというお話をいただきます。

 ただ、現状、昨年、初めてフィルタリングの普及率が下がってしまったという結果もございますので、オペレーションのさらなる工夫をしていただきながら、先ほども申し上げましたように、買った瞬間に告知をするというのが一番効果的でございますので、何とかそこを工夫していただくということにお力添えいただければと思います。

 もう一点の、では、告知をどうするのかという点で、チラシをまいたらどうだということでございますが、実際に、あるキャリアさんのスマートフォンの利用マニュアルの中に、今お話が出ました無線LAN用のフィルタリングの設定の仕方を書いていただいた時期がございます。これは弊社の実績で申しわけないんですが、その時期においては、この無線LAN用のフィルタリングの導入率が非常に上がったという数字的な根拠はございます。

 ですので、やはり保護者の方も、渡す前に何かしたい、安心したいという思いがあり、かつ、そのスマートフォンのマニュアルの中にそれは書かれている、これはいいじゃないかと申し込んでみるという行動に実際に出た結果だと思っております。

 ただ、残念ながら、今現状はそれは書かれていないものですから、今後、そのあたりも御検討いただければと思っております。

青柳委員 ありがとうございます。

 チラシは一定の効果があるというお話でしたので、これは検討に値するんじゃないかと思います。

 次に、ゲーム機や音楽プレーヤー、最近のこういう機器に対してのフィルタリングについて、これも道具社長にお伺いします。

 先ほどは携帯電話の販売店のお話をお伺いしましたが、今度、ゲーム機や音楽プレーヤーになると、売っているところは家電量販店ということになると思いますが、家電量販店でフィルタリングの案内をしたらどうかという御意見もあったかと思います。

 ただでさえ、携帯電話の販売店でさえ難しいものを、家電量販店で案内することができるのか。しかも、最新の機器がどんどん出る。ゲーム機あるいは音楽プレーヤー、これもどんどん進化しているわけですね。これが家電量販店の売り場できちんと説明できるのかということについて、御意見を伺いたい。

 であれば、こういう機器もそもそもフィルタリングを最初からオンにして販売したらいいんじゃないかということも思いますが、逆に、フィルタリングを最初からオンにして販売することの問題というかデメリットについても、あわせてお伺いしたいと思います。

道具参考人 実際、二〇〇八年までは、携帯ショップでもこの案内をしていませんでした。ですけれども、各業界の御努力で義務化され、携帯ショップでこの案内をするようになりました。

 同じように、今現状、家電量販店では何の案内もされていません。ただ、やはりこれから教育等いろいろな整備の上で、携帯ショップでできたことは家電量販店でも、若干時間はかかるかもしれませんけれども、できるのではないかと考えております。

 それと、携帯音楽プレーヤーとゲーム機についてでございますが、おっしゃるとおり、標準でオンにした場合、必ずしも子どもだけが買っている機器ではございませんので、大人の方がゲーム機や携帯音楽プレーヤーからインターネットをやった場合、見られないよということが起きると思います。

 ただ、よく皆さんも考えていただきたいんですけれども、通常、大人がインターネットをやる際、あのちっちゃな音楽プレーヤーでインターネットをやっている方がどれだけいるのか。だけれども、実際、子どもは公園とかで無線LANを使って、親に見えないところで逆にやりたがるんですね。実際にゲーム機でインターネットができることを親は知らないんですよ。

 最近、私ども、PTAの方、また保護者会でお話しさせていただく機会を得た中で、どちらかというと、ゲーム機ですとか携帯音楽プレーヤーのことをなるべくするようにしています。そうすると、まず第一声は、保護者の方が言われるのは、えっ、携帯音楽プレーヤーでインターネットができるのと。そもそもそれを知らない。まず、そこが保護者の方の驚きですね。

 そういう現状もございます。何の案内もなく、インターネットができる機器が子どもに渡ってしまっている現状がございます。

 大人の方については、多少お手間が、一手間入りますけれども、子どもへのゲーム機と音楽プレーヤーについては、早急に御対応をお考えいただくべき問題だと認識しております。

青柳委員 ありがとうございます。

 実際、使っている子どもたちの方が、私も親ですが、よっぽど親よりも詳しいということですから、最初からオンにしておくという対応もあるんじゃないかなと思いました。

 同じように、無線LANあるいはゲーム機などの問題について、藤川先生にお伺いしたいと思います。

 実際、皆さんの御努力で、青少年インターネット環境整備法というのが五年前に施行された。本日も、この法律と今の現状のギャップについて藤川先生にもお話しいただいたんですが、具体的な法律の穴というか抜けについてもう一度お話をお伺いしたいのと、では、この法律の改正についてどのような御見解を持っているか。

 先ほどの意見の際は、法律については申し上げないということでしたが、せっかくの機会なので、法律の穴がもしあるのであれば、そこを埋めていくという作業は必要かと思うんですが、もう一歩踏み込んだ御意見があれば、お伺いしたいと思います。

藤川参考人 ありがとうございます。

 スマートフォン以外の端末、ゲーム機、音楽プレーヤー等につきましては、私の見解は、保護者の知らない間に子どもが買えるということ、これが一番問題であるということです。

 つまり、保護者に監督責任をこの法律は課しているにもかかわらず、保護者が知らない間に子どもだけでこういった機器を買い、インターネットに接続することができてしまうわけでございますので、少なくとも、販売のときに保護者の承諾を得て買わせる、こういう仕組みが必要ではないかということでございます。それがあれば、そのときにチラシを渡す等の対応でフィルタリングについても案内ができると思われますので、まずは、保護者が知らない間に買わないという仕組みが必要ではないかと考えております。

 法律の改正が必要かどうかにつきましてですが、携帯電話会社のフィルタリングの義務づけも、実はこの法律は後追いでございまして、二〇〇八年から各携帯電話会社は、原則として、つまり保護者が要らないと言わない限り、十八歳未満の利用者に対してはフィルタリングを提供するということを決めて運用しておりました。それを後から法律で決めたということがございます。

 この種の問題というのは、民間の努力が非常に重要でございますし、連携、協力というのは一定程度できますので、本来は、ゲーム機メーカーであるとか音楽プレーヤーメーカーが努力をしてこういった対応をしていくべきものだと思われます。

 私ども、民間で議論をする場にそういった方々を巻き込もうという努力はしていますが、まだ努力不足で、そこが十分にできておりません。できましたら、そういった方々を巻き込んで対応についての議論を重ね、そういった方々の自主的な努力だけで対応が難しければ、立法化ということになるのかなということを考えております。

青柳委員 ありがとうございました。参考になる意見だと思います。

 もう一問、藤川先生にお伺いしたいと思いますが、きょう配られた「学校教育に関して」というところですが、学校の教育は当然重要ですし、そのためには、先生のお話で、よい教材が使われることが重要だというお話もきょうありました。

 先日、藤川先生もよく御存じの、ネット教育アナリストの尾花先生という方がいらっしゃいますが、私も、尾花先生からお話を聞いて、なるほど、おもしろいなと思ったことがありました。

 スマホの長時間利用の問題は、いろいろあるんですが、一つは寝不足になる問題だということがよく言われるんですが、実はもっと大きな問題は美容と健康なんだと尾花先生は言っていました。

 スマホの長時間利用をしていると、スマホというのはブルーライトが出ている、ブルーライトに当たっていると、眠くなるホルモンが出なくなって、眠くならないホルモンが出て、食欲が湧くホルモンが分泌されると尾花先生は言っているんです。そうすると、起きていておなかがすきますから、深夜にいっぱい物を食べてしまい、太ってしまったり、肌が荒れる。美容と健康に非常によくないということを盛んにおっしゃる。

 なかなかおもしろいなと思うのは、これは、青少年、特に女性、最近は男性もそうらしいんですが、親御さん、お母様はやはり美容に非常に敏感なわけですよね。中学生も高校生も、大学生もそうかもしれませんが、にきびができるとかというのは非常に気にしますから。

 こういうアプローチでスマホの長時間利用はよくないんだよということを言った方が、実際にお母さんにも刺さる、生徒たちにも刺さるんじゃないか、こういうことをやった方がいいというのを尾花先生は言っていましたが、こういう教材のあり方とかについて、藤川先生の御意見があったらお聞かせいただきたいと思います。

藤川参考人 尾花紀子先生にはいつもお世話になっているんですが、非常に大胆な発想で教育、普及をやっていただいていまして、私もいつも大いに学ばせていただいております。

 そういう意味では、美容と健康という切り口は非常におもしろいなと思います。

 もちろん、これはほかにもさまざまな方法はあると思われますけれども、重要なことは、仮に長時間利用してしまった場合、どういう問題が生じ得るのかということについて、具体的に子どもたちに理解をしてもらうということですよね。

 美容と健康というのに当てはまるお子さんは多分少数だと思うんですけれども、つまり、睡眠も余り変わっていないということもありますので、当てはまる方は少数かもしれませんが、そういう可能性があるということについては、教材の中で触れるというのは、一つおもしろいなと思います。

 それだけではなくて、さまざまな事柄について、長時間利用していることのデメリットを具体的に子どもに知らせていくというのが教育をする上では重要で、逆に言うと、単に長時間利用はだめですよと言うだけではまずいということなんだろうと思います。

青柳委員 ありがとうございます。

 次に、リベンジポルノの件に関して安川参考人に質問したいと思います。

 私も、青少年問題特別委員会の前回の委員会で、この問題を取り上げさせていただきました。前回この委員会で申し上げたのは、わいせつ物陳列罪とか名誉毀損とか脅迫罪とか、現行法でも対応できるというのが今の警察の見解なんですけれども、これはストーカー法のときもそうだったんですが、現行法で対応できるんですけれども、新たに立法化することによる抑止効果というのが非常に大きいんじゃないか、こういうお話をさせていただきました。

 リベンジポルノの立法化、規制の強化について、安川先生はどうお考えになるか、あるいは、法整備以外で行政がやるべきことが具体的にあったら、教えていただきたいと思います。

安川参考人 リベンジポルノという言葉が出始めて、やっと子どもたちが危険に気がついた。だから、やはり法律としてこうなんだということを訴えていけば、実際そういうことをやった人たちもこれはまずいことだと気がつくと、当然、抑止効果は広がっていくと思います。そういう意味では、大切なことだと思うんですね。

 もう一個は、やはり難しいのは、海外のサーバーまで行ってしまったり、それが広がり過ぎてしまうと、当然、昨年起こった事件、未成年のものでもいまだに残っているわけなんです、いろいろな画像が。本人だけではなくて、家族みんながそれに苦しむ、そういう事態だけは避けなければなりませんので、やはり、まずは被害者視点に立って、もし自分の子どもがそうなったらどうするだろうと、親としての気持ちになって法律というのを決めてもらいたいなというふうに感じています。

 これは、女性だけではなくて、男性でも同じように悩んでいる人たちがいますので、これは女性の問題だろうではなくて、男性でも同じようにリベンジポルノの問題がありますので、そこら辺も踏まえて法律をつくっていただければ大変ありがたいかなというふうに感じています。

青柳委員 もう一問の、行政としてほかにやるべきことがあったら教えてください。

安川参考人 今、子どもたちの相談に乗れる場所というのは本当に限られているんです。警察には未成年はやはり相談に行きづらい。弁護士に頼もうと思っても、お金が莫大にかかってくるし、弁護士に頼む上でも親がいなければということになってくると、やはり協議会の方に相談が回ってくるわけなんですね。

 だから、そのような相談に乗れる場所、気軽に子どもたちの相談に乗れるような場所があるとやはり助かると思いますので、そのようなところを支援するようなことも今後考えていってもらえればと思います。

青柳委員 ありがとうございます。

 同様の、リベンジポルノの立法化あるいは行政がやるべきことについて、藤川先生の御意見もお伺いしたいと思います。

藤川参考人 私も、安川参考人とほぼ同じ意見でございます。

 つまり、法律がないことによって問題が気づかれていないということがあると思われますので、こういったものが話題になるだけでも抑止効果は生じてくるでしょうし、立法化されるとなれば、ますます抑止効果は高まるであろうということを考えます。

 特に、具体的なところで申しますと、リベンジポルノとされるような画像等を広げる行為についても、罰則はなくてもいいかもしれませんが、それは違法であるというふうに定めてしまうということで、何かネット上でむやみやたらに問題があるものを拡散する行為に抑制がかかれば、被害も縮小できますので、法律のつくり方によっては、かなり効果的に抑止効果があるものがつくれるのではないかというふうに考えます。

 ほかに行政がやることというのはちょっと考えにくいのですけれども、やはり教育とか啓発のところにこういった話題も入れていきながら、具体的にどんな問題が起きているかということについて多くの方に知らせていくということが必要ではないでしょうか。

 以上です。

青柳委員 ありがとうございます。

 最後の質問になりますが、これは大橋参考人、時間があれば道具参考人にお伺いしたいと思います。

 本日の議論というのは、ネットの光と影でいえば、ほとんど影の部分の議論だったんですが、本委員会の委員長である遠藤委員長は、ICT利活用議員連盟の会長ですか、まとめ役でもあって、光の方を推進していらっしゃる立場なんですね。ICT教育にとても熱心に取り組んでおられるということですが、そこで議論になっているのは、生徒一人一台タブレットを全部配れということが検討の対象になっているようでございまして、デジタル教育とかデジタル教材、こういったものを積極的に検討しているということなんです。

 こうした、タブレットを配付してデジタル教育を充実させていく、デジタル教材を充実させていくということについて、現場の御意見として、大橋参考人の御意見があれば、光の部分について伺っておきたいと思います。

大橋参考人 ICT教育が叫ばれているわけでございますけれども、今、本校でも、デジタル教科書が非常に有効というか、例えば、英語のデジタル教科書等でも、好きなように教科書の文章を消したり入れたりして、また、英語の発音もそこでやってくれますし、それから、社会とかいろいろなところの資料提供ですね、デジタル化された資料と紙媒体で見るのとでは、子どもたちへのインパクトは全然違いますので。

 そういう意味で、端末等を与えれば、当然、調べ学習、課題解決的な学習に有効でございますので、そういう意味では大変いいと思います。

 また、文科省の学力テストの結果等の調査を見ても、ネット等の利用が一時間ぐらい、その程度の者が非常に学力的にも高い、ただ、それを超えていくとだんだん下がっていくというような結果も出ているように聞いていますので、そういう意味では、必要な部分は当然あるというふうに考えております。

 以上でございます。

遠藤委員長 道具参考人、短くお願いいたします。

道具参考人 教育現場でiPad等を使われるのは賛成でございます。これから未来を考えましたら、今の子どもたちがインターネットから離れていくということはあり得ませんので、学校現場においても、先ほどのモラル教育、情報教育も含めて、一緒にやっていただくいい機会だと思いますので、ぜひ推進していただければと思います。

 ありがとうございます。

青柳委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

遠藤委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、大変貴重な御意見をいただきまして、心から御礼を申し上げます。委員会を代表いたしまして御礼の御挨拶にさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.