衆議院

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第6号 平成26年6月10日(火曜日)

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平成二十六年六月十日(火曜日)

    午後一時二十四分開議

 出席委員

   委員長 遠藤 利明君

   理事 鈴木 淳司君 理事 とかしきなおみ君

   理事 中根 一幸君 理事 永岡 桂子君

   理事 山本ともひろ君 理事 中根 康浩君

   理事 坂本祐之輔君 理事 稲津  久君

      赤枝 恒雄君    秋元  司君

      岩田 和親君    門  博文君

      熊田 裕通君    小林 茂樹君

      新開 裕司君    田畑 裕明君

      高橋ひなこ君    東郷 哲也君

      堀内 詔子君    宮川 典子君

      菊田真紀子君    柚木 道義君

      遠藤  敬君    鈴木  望君

      佐藤 英道君    佐藤 正夫君

      青柳陽一郎君

    …………………………………

   国務大臣         森 まさこ君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   文部科学大臣政務官    上野 通子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房少子化・青少年対策審議官)    岩渕  豊君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 安田 貴彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 麻田千穗子君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 宮城 直樹君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     安藤 友裕君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 萩本  修君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           有松 育子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           永山 賀久君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 昌稔君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  宮川  晃君

   衆議院調査局第一特別調査室長           本多  満君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     東郷 哲也君

  熊田 裕通君     高橋ひなこ君

  小林 茂樹君     門  博文君

同日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     小林 茂樹君

  高橋ひなこ君     熊田 裕通君

  東郷 哲也君     赤枝 恒雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 青少年問題に関する件


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 青少年問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房少子化・青少年対策審議官岩渕豊君、内閣府大臣官房審議官安田貴彦君、内閣府大臣官房審議官麻田千穗子君、警察庁長官官房審議官宮城直樹君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長安藤友裕君、法務省大臣官房審議官萩本修君、文部科学省大臣官房審議官有松育子君、文部科学省大臣官房審議官藤原誠君、文部科学省大臣官房審議官義本博司君、文部科学省大臣官房審議官永山賀久君、厚生労働省大臣官房審議官成田昌稔君、厚生労働省大臣官房審議官鈴木俊彦君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君及び厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長宮川晃君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田畑裕明君。

田畑(裕)委員 自由民主党の田畑裕明でございます。

 当青少年問題に関する特別委員会で質問の機会をいただきまして、遠藤委員長を初め理事諸氏の先輩方の御配慮に心からの感謝を申し上げる次第でございます。

 きょうは、大きく二点、子どもが大人へと階段を上がっていく上でのいろいろな人格形成についてということと、貧困対策を含めた地域の全体的な仕組みをどうしていくかというようなことについて、お話をお聞かせいただきたいなと思っている次第でございます。

 先般、内閣府さんから子ども・若者白書も発行され、中身も拝見させていただいた次第であります。さまざま興味深いデータもあり、また、新しく子どもの貧困対策の事柄についても非常に多くのページが盛り込まれているわけであります。

 いつの時代も、次を担う子ども・若者が健全に生育する環境を、大人として、また国として、しっかり整備をしていかなければいけないのは当然だと思うわけであります。何もいろいろなことに悲観することなく、明るくそんなことについて取り組み、そしてまた、もってして日本全体が元気になるようにとり行っていかなければいけないのではないかと思います。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 森大臣は少子化担当大臣も特命大臣としてお仕事をなさっているわけでありますが、まず、少子化危機突破タスクフォースの議論を踏まえて少しお聞きをしたいと思います。

 これまで、第一期、二期と、少子化危機突破タスクフォースにおいて、結婚や妊娠、出産、育児における課題の解消を目指すとともに、家族を中心に置きつつ、地域全体で子育てを支援していく取り組みの推進等について検討を行ってきたというふうに認識をしております。

 今、そうした少子化の対策の中で、国がいろいろな数値目標をしっかり掲げて行うことの是非であったりですとか、地方自治体の中では、いろいろな、合計特殊出生率をこのような数字にしていこうですとかいうことを県政やそれぞれの市町村行政での目標にして設定をしている自治体もあることはあるわけでありますが、まず、少子化対策におけるこのような数値目標を設定することの意義であったりですとか、そうした目標値を活用した後々の検証について、お考えを政府参考人にお聞きをしたいと思います。

岩渕政府参考人 ただいま委員御指摘ございました少子化危機突破タスクフォースにおきましては、少子化対策を長期にわたり計画的に進めるため、施策の効果検証や国民の意識改革の観点から何らかの目標設定が必要であるという点については、意見が一致したところでございます。

 また、出生率や出生数などの出生に関する個々人や個々の家族の目標を設定するかのような数値目標については、女性に対して出産を押しつけるかのようなメッセージに捉えられかねないなど、特に慎重に議論すべきであるという意見が多く出されております。

 一方で、定性的な目標につきましては、個々人が希望する年齢に結婚でき、かつ、希望する子どもの数と生まれる子どもの数の乖離をなくしていくための環境整備は、国民の理解や賛同が得られるものとして、目標の一つになり得るとの意見でありました。

 なお、現状においても掲げられております政策手段の目標値、保育サービスですとか地域子育て支援拠点とか、そういったものでございますが、こういったものにつきましては引き続き設定することが重要であるとの御指摘をいただいたところでありまして、政府として引き続き検討してまいりたいと存じます。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 もちろん、何らかの目標や数値がなければ、何のためにそれを行っていくか、また、事後の検証ももちろんできないわけでありますし、片や、個人の生き方をそのような数値で縛るといったようなことについてもさまざまな意見があるのは、ごもっともだなとも感じるわけであります。

 いずれにしても、これもバランスの問題ではなかろうかと思いますが、国と地方自治体、それぞれ役割を分担しながら、生き方を強制することがないような中でのしっかりとした目標に向かって取り組んでいただきたいなと思います。

 あわせて、少子化の対策の中では、二十五年度の補正で、少子化対策の予算というのが非常に拡充強化をされたところでございます。今も、二十六年度が進んできておる中で、各地方自治体でも、具体的にその施策、交付金が交付決定をされ、現場で動いているところ、また、幾つかの県では、まだ交付決定に至っていないというところもあるともお聞きをしているわけであります。

 地域少子化対策強化交付金による地域での活性化、活用策、いろいろ私も拝見をさせていただいた中で、ああ、おもしろいなとか、新たなアイデアだなということを感じるものも幾つかあったわけでありますが、いわゆる好事例、そのようなことをどう水平展開していこうとお考えであるか、参考人の方にお聞きをしたいと思います。

岩渕政府参考人 平成二十五年度補正予算に計上されました地域少子化対策強化交付金につきましては、各地方公共団体が、結婚、妊娠、出産、育児の切れ目ない支援の先駆的な取り組みを行い、もって地域における少子化対策の強化を図ることを目的とするものでございます。

 現在、順次交付決定を行っているところでございますが、まず、交付決定した自治体におきましては計画を公表していただいておりまして、公表された計画につきましては、内閣府から全ての都道府県及び、都道府県を通じて市町村にも周知をしているところでございます。また、内閣府におきまして、好事例集を作成し、周知をしております。さらに、自治体向けの説明会も実施して、先駆的な取り組みの横展開を図っているところでございます。さらに、平成二十五年度の少子化社会対策白書でも、この交付金を活用いたしました取り組み事例を掲載したいと考えているところでございます。

 今後、事業の進捗とともに、さらに効果的な、先駆的な取り組みの横展開を図ってまいりたいと存じます。

田畑(裕)委員 答弁ありがとうございます。

 いろいろ地方の声を聞けば、地方自治体で基金の造成というようなこともできないかであったりとか、せっかく補正でこのような額を盛ったということでありますから、持続的な財政支援であったりですとか、そういうような枠取り、これは非常に大きな声があるのではないかなと思います。

 この場ではちょっと大臣はお答えできないのかもしれませんけれども、これはしっかり拡充、我々自民党としても応援をしていかなければいけませんし、やはり、人生の中で、先ほどから言うような、切れ目のないライフサイクルをしっかり確立する上でも、予算的な裏打ちのある施策というのは非常に大事なことではなかろうかなと思います。

 ちょっと大臣にお聞きをしたいと思いますが、この白書の中でもいろいろな調査結果というものが出ているわけでありますが、若者対象の意識調査から、早く結婚して自分の家庭を持ちたいと思っている意識というのは、実は、日本は欧米諸国と比較しても相対的に高いというような統計が出ている一方で、しかしながら、将来結婚しているとかあるいは子育てをしているといった将来イメージを持つことができていないというような結果も、アンケートからは出てきているようであります。

 親子関係が良好であったりですとか働くことへの不安が少ない若者ほど、結婚や育児の将来像を前向きに捉えているとの調査結果が出ているわけであります。これは、ごもっとも、そのとおりなんだろうなと思うわけであります。

 また、調査の中では、結婚の意思を持つ未婚者、ここでは幾つかのカテゴリーがありますが、ちょっと紹介をいたしますと、アンケートの中で、将来結婚したいですか、そうでないですか、どちらとも言えないですかというようなアンケートの結果であれば、中高生は一くくりになっていますけれども、男性が五七%、女性が六三%、将来は結婚したいというような意思を持っているようでありますし、十八歳以上を見ると、いずれ結婚するつもり、そうでないですとかとの設問の中では、九割近くがいずれ結婚するつもりだというふうな回答もしているわけでありまして、そこと現実のマッチング、晩婚化が進んでいることについて、非常に歯がゆく思うし、何らかそこで目詰まりが起こっていることがあるのではないかということは、もちろん容易に想像できるわけであります。

 子ども・若者育成支援施策は、子どもの発達段階に応じて、きめ細やかに総合的に対策を実施していかなければならないのではないかと考えています。勤労観であったり職業観、自身の能力開発、これは、やはり必要な時期に必要な指導助言のもと醸成していくべきではなかろうかと考えるわけであります。

 そこで大臣にお聞きをいたしますが、タスクフォースの議論であったりですとかさまざま少子化に対する予算の拡充といったことも今日に至って今動いているわけでありますが、大臣として、青年期、少年期も含めてでありますが、人格形成の上で、結婚への意思を高めることであったりですとか、結婚を前提としたライフコースを目指すといったようなことの価値を、私はその価値はしっかり高めるべきだと考えているわけでありますが、そういった取り組みについてのお考えをちょっと総体的にお聞かせいただきたいと思います。

森国務大臣 ありがとうございます。

 少子化については、待ったなしに取り組むべき状況だと思っております。

 昨日、経済財政諮問会議において少子化が議題になりまして、担当大臣の私からプレゼンをさせていただいたんですが、先ほど御指摘の少子化財源の拡充についても、しっかりと発言をしてまいったところでございます。

 若者の結婚観でございますが、御指摘の白書の中のアンケートによると、やはり結婚希望というものは高いわけです。青年期を過ぎた後の未婚者のアンケートをとっても、九割の方が結婚したいというふうに答えています。ですので、問題は、結婚したいという希望がかなえられるように、そのような環境を整えていくことだと思っております。

 先ほど御指摘いただきました地域の少子化対策強化交付金もその一つでございまして、昨年創設をさせていただきました。今までなかった取り組みなんです。地方自治体ごとに、少子化の状況や、今言ったような結婚したいのに結婚できない状況、その理由が異なっておりますので、その対策を地方ごとに打っていただこうという趣旨です。

 例えば、三重県では県民幸福度というものを発表しておりまして、幸福と感じる人の中で、やはり結婚をしている方と子どもを持っている方の割合が高いということを示しています。

 そのような地方自治体の取り組みも応援しながら、国では、内閣府で、平成十九年から、十一月の第三日曜日を家族の日、その前後各一週間を家族の週間というふうに定めまして、この期間を中心として、命を次世代に伝え育んでいくことや、子育て家族とそれを支える地域の大切さについて、国民に対して普及啓発を実施しています。こうした機会を通じて、家族の大切さや育児の楽しさについても啓発できるように努めてまいりたいというふうに思います。

 また、先ほどの交付金も、結婚前の段階から結婚、妊娠、出産、育児と切れ目ない支援を行うことを対象としておりますので、またこういった取り組みも加速をさせ、継続的に取り組んでまいりたいと思います。

田畑(裕)委員 御答弁ありがとうございます。

 まさに地域によっても取り組みというか実情はいろいろ異なるわけでありまして、そこをしっかりきめ細かくやっていかれるということの展開は非常に大事だと思います。

 家族の大切さであったりとか、基本的に、お子さんもそうですけれども、その前にまず結婚しなきゃいけないということもありますから、パートナーをしっかり得て人生を歩んでいく、その中で、勤労したり、また地域社会に参画をしていく、そうした意識をやはり児童青年期からしっかり醸成をしていくことは本当に大事なことではなかろうかと感じるわけであります。社会とのかかわりがしっかりあるということが、自分が生きていく上でも自覚が芽生え、そしてまた、そこに自分自身の人生設計ということが出てくるのではないかなと思います。

 引き続き、次の設問に入りますが、ここで今、家族であったりですとか社会とのかかわり、その中でも、昨今、さまざまな家族事情であったりですとか、生活困難に窮する方々というのも、これはしっかり光を当てていかなければならないのではないかなと思います。

 困難を有する子どもであったり、若者、その家族を支援することの観点から質問をさせていただきたいと思います。

 子どもの貧困対策の推進に関する法律というものが本年一月から施行されているわけであります。現在、子どもの貧困対策会議が設置され、本年七月を目途に、子どもの貧困対策を総合的に推進するための大綱案の作成が進められているわけであります。大綱案づくりには、森大臣を座長として子どもの貧困対策に関する検討会が設置され、これまで鋭意、構成員によります検討会議が実施されてきたことを仄聞しているわけであります。

 子どもの総合的なそのような支援、困窮対策としても、一つに教育の支援であったり、二つに生活の支援、また、保護者に対する就労の支援や経済的な支援などが、これまで生活保護世帯ですとか一人親世帯に実施されてきたわけでありますが、新たに生活困窮者世帯に対しての支援も新設、強化されるということであります。

 中でも、児童生徒への学習支援というのは、子どもが置かれた環境、家庭所得や両親の学歴が学力と密接に関係があるとの調査結果があるとおり、教員のみならず、専門的な知識、技術を有する方々とのネットワークやチームワークを持って取り組んでいかなければならないとも考えるわけであります。

 とりわけ、これまでも、学校における教育相談体制の整備として、スクールカウンセラーですとかスクールソーシャルワーカーが配置され、カウンセリング指導やソーシャルワークによる支援を実施してきているわけであります。その中でも、社会福祉士や精神保健福祉士の有資格者でありますスクールソーシャルワーカーについて確認をしたいと思います。

 これまでのスクールソーシャルワーカーの役割であったりですとか、今日までの福祉職と学校現場との連携強化の取り組みについて、参考人にお聞きをしたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、貧困の連鎖をとめていくためには教育の支援というのは非常に大事でございまして、なかんずく、子どもと保護者を支え、あるいは教育と福祉をつないでいくというふうな役割としてのスクールソーシャルワーカーの役割は重要だと考えております。

 文科省におきましては、平成二十一年度から、国の補助事業として、スクールソーシャルワーカーの配置を進めていくための活用事業を実施しているところでございます。

 具体的な取り組み例としましては、例えばでございますが、長期の不登校状態にある子どもについて、その要因を分析しまして、家庭が経済的困窮状態にあるということがその一因として判明した段階におきまして、家庭の経済的不安を軽減する観点から、生活保護の申請のためにスクールソーシャルワーカーが母親と福祉事務所をつなぐとともに、子どもに対しましては、生活習慣の改善や学習支援等のために、市等が行います適応指導教室につなぐことによりまして学校復帰に向かわせるなど、課題に応じて適切な機関との連携をすることで子どもの状態を改善する取り組みが行われているところでございます。

 平成二十六年度予算におきましても、スクールソーシャルワーカーの配置について拡充する予算を計上しておりまして、今後とも、福祉機関と学校現場の連携を強化する観点から、その取り組みについてしっかり取り組んでいきたいと思っております。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 ここでちょっと私の地元の富山市の御紹介をしたいと思いますが、富山市は、中核市ということでありますから、文科省から直接事業委託を受けて、スクールソーシャルワーカーの配置等を行っているわけであります。現状、中学校九校、小学校十二校に基本配置をし、また、市の教育委員会にも配置をし、現場からの要請に応じて柔軟に派遣する体制で七名のスクールソーシャルワーカーの皆さんがいらっしゃるわけであります。拠点校型、単独校型、要請派遣型ということを組み合わせて柔軟に対応しているということであります。

 実際、スクールソーシャルワーカーの皆さんの声をお聞きしたところ、一つに、やはり年々生徒の抱える問題が多様化、複雑化しているということ、二つに、学校生活で既にもう生活課題について顕在化している生徒がたくさんいらっしゃるということもお聞きをするわけでありますし、また、不登校やいじめの支援の中でも、経済的な課題ということが如実にあらわれている、そうした児童生徒もいるということが多く寄せられているわけであります。まさに学校現場だけではもう対応し切れない分野ということも顕在化していることに、私も大きく危機感を持つわけであります。

 これから貧困対策をよりしっかりやっていくということでありますが、確認も含めて、スクールソーシャルワーカーにそのような貧困対策について期待すべきことについて、いま一度参考人にお聞きをしたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 子どもの貧困対策においては、子どもが経済的な理由においてその将来が左右されることのないように、これは子どもの貧困対策法の理念としてあるところでございまして、教育に対する支援、あるいは、子どもを中心にしまして、家庭への支援を通じまして貧困をストップしていくということが非常に大事だと思っているところでございます。

 貧困から起こる子どものさまざまな課題を解決する上で、家庭への働きかけとか、あるいは、学校だけではなくて、福祉機関を初めとする関係機関との連携が不可欠でございまして、委員御指摘のとおり、スクールソーシャルワーカーの果たすべき役割は非常に大きいと認識しておりまして、今後とも、スクールソーシャルワーカーの活用、その充実について努めてまいりたいと存じます。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 もちろん、学校だけで貧困対策というのは完結するわけではございませんので、学校を交え、関係の行政機関ですとか、地域の福祉のセクターであったり福祉人材、さまざまな力を結集させて、一人でも救える子どもに最大限にアプローチをしていかなければならないと思います。

 大臣、最後にお聞きをしたいと思いますが、貧困の連鎖を断ち切る上でも、子どもが必要な相談、助言や、また指導を受ける地域の支援体制の整備についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

森国務大臣 日本の将来を背負う子どもたちは国の宝でございますので、その育つ環境によって子どもたちの将来が左右されないように、また貧困が世代を超えて連鎖することがないように、子どもの貧困対策は極めて重要なものでございます。

 政府では、子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づいて大綱を策定することとなっておりまして、私のもとに検討会を立ち上げまして、幅広く関係者の御意見を伺ってきて、その大綱に入れるべき事項について先日整理もしていただいたところです。

 この中で、御指摘のスクールソーシャルワーカーについて、学校現場において教育と福祉を結びつける人材として重要であるとの御意見がありました。

 その御意見をしっかりと受けとめて、七月を目途に総合的な見地から大綱を策定してまいりますので、しっかりその中に位置づけて、内閣府、文科省、厚労省の三府省を中心に、政府一体となって子どもの貧困対策を総合的に推進してまいりたいと思います。

田畑(裕)委員 終わります。ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、宮川典子君。

宮川委員 自由民主党の宮川典子でございます。

 きょうは、当委員会二回目の質問の機会をいただきました。委員長並びに理事の先生方に心から感謝を申し上げたいと思います。

 今、日本の中で、日々テレビで、また新聞で、凶悪犯罪が報道される毎日が続いております。いろいろな事件が起きているのは確かでありますけれども、しかし、私が思うのは、こういう情報に毎日さらされている日本の子どもたちは、これから犯罪というものに対して感覚が鈍くなり、また、自分たちがいとも簡単に凶悪な犯罪に手を染めるようになってしまうんじゃないか、そういうことに対して大変危惧をしております。

 今、子どもたちが犯す青少年の犯罪を見ましても、大人顔負けの内容になってきたなと皆様もきっと思われるところではないかなと思いますが、そういう大きな犯罪にいとも簡単に手を染めてしまう、また、みずからの人生やこの世の中を悲観して心の闇の中に閉じこもって引きこもってしまったり、みずから命を落としてしまう青少年がたくさんいる。

 こういう問題を見るに当たって、私たちが本当に思いますのは、時代というのは必ず変遷をしてまいりますから、私たちが若者だったときの常識は、今の若者には通用しません。ですから、私たち大人が常識を捨てて、そして、今の子どもたちに一体何が起きているのかをしっかり冷静に分析をし、判断をしながら青少年問題を考えていかなければいけないと日ごろから思っております。

 青少年に関する問題というのは、表面的な対処療法では全く解決をいたしません。きょうは、私も元教師でありました、青少年に寄り添ってきた経験をもとに、幾つか質問をしてまいりたいと思っております。

 まず初めにですけれども、青少年にかかわる問題というのは大変多岐にわたっておりますので、青少年問題と一くくりにしますと、さまざまな分野まで広がってまいるわけでありますけれども、今、青少年問題と大きく一くくりにしたときに、少し改善方向に向かっているのか、それとも、そうではなく、また少し悪化の一途をたどっているのか、政府として、それぞれの省庁でどのように認識をされているのか、伺いたいと思います。

 また、もし改善できていないというような分野があるとするならば、例えば、その中で特に事態が深刻化していると思われているものについて、政府参考人より御意見を伺いたいと思います。

安田政府参考人 お答え申し上げます。

 青少年の問題、とりわけその非行等をめぐりましては、平成二十五年の刑法犯少年の検挙人員につきましては、十年連続で減少となっておりますものの、人口比では成人の約四倍と依然高い水準にあり、少年による凶悪事件も後を絶っていないと認識をしております。

 また、近年、合法ハーブ等と称して販売される薬物等新たな乱用薬物について、青少年への広がりが懸念されているところであります。

 一方、青少年の犯罪等の被害につきましては、警察から児童相談所への児童虐待の通告人員は増加の一途をたどっております。平成二十五年は、約二万一千人と過去最多となっております。また、児童ポルノ事犯の被害児童数も、六百四十六人と過去最多であります。

 特に、青少年を取り巻くインターネット利用環境が大きく変化をする中で、インターネットを利用して青少年が児童ポルノ事犯等の犯罪の被害やトラブルに遭う事例が絶えないなど、予断を許さない状況となっていると認識をしているところでございます。

宮川委員 ありがとうございます。

 凶悪犯罪も、犯罪数としては少し下がってきているけれども、数ではなくて率で見たときにやはり増加をしているというのは現実として受けとめなければいけないと思いますし、今お話をいただいた中で、やはりインターネットにかかわる問題というのは大変大きな問題であるということ、そして、薬物の問題というのも、違法薬物のみならず、今は、いわゆる脱法ハーブとかそういうもの、また、医薬品の過剰摂取だとか、そういう問題が大変大きくなってきていると思っております。

 私もその問題意識を大変強く持っている者として、きょうは、リベンジポルノ問題、それと青少年の薬物問題に特化して質問をさせていただきたいと思っております。

 まず一つ目、リベンジポルノについてですが、これは、三鷹のストーカー殺人事件を機に、大変社会の中でも取り上げられるようになりました。あの殺害をされた女子生徒が、命を奪われたのみならず、当時交際相手だった男性との交際当時の画像、動画をインターネット上に流されて、亡くなった後も侮蔑を受けたという、本当に痛ましい事件だったと思っております。

 まず自分の命を奪われ、そして社会的にもその存在を殺されてしまったというふうに思いますから、二度の殺人に遭ったと言っても過言ではないと私自身思っております。

 このリベンジポルノという問題、この言葉をもう少し変えなければいけないという問題はあると思いますが、リベンジポルノとインターネットで検索をすると、検索サイトにもよりますけれども、九十万件以上の画像や動画が出てまいります。それだけ一般の人たちの商業用ではない画像や動画というものがたくさん世の中に流布されている、これが今現状だというふうに思います。

 リベンジポルノについて、現在どのように実態を把握して、どのくらいの被害件数が出ているか、また、今の法制下ではどのような処罰もしくは対応をすることができるのか、政府参考人よりお答えいただきたいと思います。

宮城政府参考人 お答えを申し上げます。

 警察では、いわゆるリベンジポルノとしての統計というのは、実は、これは定義の問題がございまして、数値はとってございません。

 したがいまして、統計上の数値といった形ではお出しできませんが、我々が行っております生活安全相談、これは警察署、本部の生活安全部門が受ける相談でございますが、この中にリベンジポルノに関するものがあるということを把握してございます。

 こうした相談の中を見ますと、一番多いのが、実は、そういった画像を公開するぞとおどされた、こういったものが多うございます。このような行為につきましては、脅迫罪あるいは強要罪、これに当たるということで対応してございます。

 さらに、その画像の中身によりましては、インターネット上に性的な画像等を掲載するということになりますので、これについては、例えば名誉毀損罪、あるいは、さらに進んでわいせつ図画陳列罪、さらには、先ほど先生御指摘のあった児童ポルノという形でも罰則を適用して、厳に取り締まりを行っているところであります。

 こうした行為の被害者でございますが、何よりも望んでおられるのは、当該画像の削除でございます。ですので、警察といたしましては、こうした被害者の心情に最大限配慮しつつ、各種法令を適用して、まず取り締まりを行います。とともに、サイト管理者等に対しまして、速やかに削除するように、このような要請を行っているところでございます。

 以上でございます。

宮川委員 ありがとうございます。

 まさに今おっしゃったとおり、画像や動画が流された方にとってみたら、一番重要なのは、即刻削除をしてほしいということなんですね。一秒でも一分でも一時間でも長くインターネット上にそれがあれば、どこで保存をされ、またどこまで広がっていくかわからないという、本当に被害者の方たちは恐怖に駆られていると思います。

 現在、被害者にとって一番重要な画像、動画の即時削除ということに対してどのような対処ができ得るのか、参考人からお伺いしたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような画像や動画がインターネット上に流通した場合、その削除が適切、迅速に行われることは大変重要と認識しております。

 このため、プロバイダーなどがそうした画像の削除に適切に対応できるよう、通信関連の事業団体において、削除できる場合を明らかにするためのガイドラインでありますとか、プロバイダーなどと利用者との間で適用される契約約款のモデル条項といったようなものを、これは法律の専門家などの意見も聞きながら作成してきているところでございまして、総務省といたしましても、そうした取り組みを支援してきているところでございます。

 こうした中、プロバイダーなどにおきましては、契約約款上の禁止事項でありますプライバシー侵害でありますとか名誉毀損などに該当する画像や違法なポルノ画像などがネット上に投稿された場合、基本的に、このような約款でありますとか利用規約あるいはガイドラインに違反するものとして、迅速に削除等の対応を行ってきているところでございます。

 総務省といたしましても、このような民間の取り組みを引き続き精いっぱい支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。

宮川委員 ありがとうございました。

 あともう一つ、よく保護者の皆様から言われるのは、スマートフォンやそれに代表されるようなモバイル端末にカメラ機能がついているけれども、それでわいせつな画像を撮れないようにする機能はつけられないのかとか、そういうお話があるわけですが、今、これは私の承知する範囲では、そういう開発はされていないというふうに存じております。

 それ以外に、スマートフォンやモバイル端末に関するインターネット上でのフィルタリング機能は日々強化をされていると実感をしておりますけれども、これに対しての対処はどうなっているのか、それについてもお答えください。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 スマートフォンを初めとしたさまざまなICTサービスが急速に普及する中、青少年がインターネットにアクセスし、利用する機会もますます拡大しており、こうした中、いろいろな面で利便性が飛躍的に向上している反面、青少年有害情報への接触でございますとか、いわゆるソーシャルメディアの利用拡大に伴うプライバシー問題など、青少年が、増大するさまざまなリスクに直面している側面もあるところでございます。

 このような状況下で、青少年が安心、安全にインターネットを利用できる環境をつくるためには、青少年インターネット環境整備法に規定するフィルタリングの利用促進と、青少年の適切なインターネット活用能力、いわゆるリテラシーの向上のための施策を講じていくことが重要となるところでございます。

 こうした中、特にフィルタリングにつきましては、近年、青少年に急速に普及しつつありますスマートフォンの場合は、従来の携帯電話と異なりまして、多様なアプリケーションを利用したり、場合によっては、公衆無線LANを通じてインターネットにアクセスする場合もあることから、そうした場合にも閲覧制限の機能が働くフィルタリングサービスが必要となるところでございます。

 このため、携帯電話事業者では、そうした必要な機能を有するフィルタリングサービスをスマートフォンに向けて提供しているところであります。また、あわせて、契約時などにおける、そうした新しい機能を持ったフィルタリングの設定サポートでございますとか、フィルタリングを解除した場合のリスクの説明等も行っているところでありますが、よりわかりやすく説明していくといったことも重要であり、そうした面でのさらなる取り組みが求められているところでございます。

 一方、青少年がこうしたインターネットを安心、安全に利用できる環境を確保していく上で、事業者側の取り組みとともに、例えば、青少年がフィルタリングを勝手に解除してしまわぬよう、保護者が、フィルタリングを解除した場合のリスクを十分に理解した上で、フィルタリングに係るID、パスワードを適切に管理するなど、利用者におけるリテラシーの向上に向けた取り組みも非常に重要となってくるところでございます。

 総務省といたしましても、関係府省や民間事業者と連携して、そうした青少年や保護者などの利用者のリテラシー向上に向けたさらなる普及啓発活動を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。

宮川委員 ありがとうございます。

 今お話を聞いていて二点思うことは、民間の力に、民間の常識にかなり頼っている部分があるんだなというところです。

 まず、プロバイダー責任制限法という法律がありますけれども、この法律では、画像は七日間のうちに削除をするということになっていまして、今のように、協力的な業者さんとかプロバイダーであれば、即日、被害者の皆さんの心に寄り添って、削ってくれるということはあるかもしれません。しかし、そのプロバイダーがそれに対する理解がない、もしくは悪質であった場合は、画像が削除されないというおそれもあるわけですね。

 もう一つ、フィルタリング機能も、これはしっかりと、今、業者さんが保護者の皆さんにも理解を得ながらやっているところでありますが、それに対して理解のない保護者であったら、このフィルタリングを勝手に外してしまうこともあり得るということでありますから、つまり、完全に、その人の個人の性質、その考え方に今頼っているにすぎないんです。

 ということを考えると、子どもたち、また青少年がまだ未熟であるということを考えたときに、私たちは、これを法として罰することもできないし、法的拘束力がない、また、プロバイダーが画像を削除してしまったときに、捜査をするに必要なログを残す義務もないんです。つまり、捜査をしようがない。ですから、自分が出した画像が削られたとしても、その後、それが犯罪にならなければ、また同じことを繰り返すということも十分あり得るわけですね。

 ですから、リベンジポルノ問題ということに関しては、これだけ大きな社会問題になって、海外ではたくさんの法整備ができています。その抜け道をつくらないために、また、そういう犯罪を犯す人間をしっかり罰することができるように法整備をしていかなきゃいけないということと、子どもたちにリテラシーを身につけさせるのと同時に、保護者、いわゆる大人にしっかりこの問題を考えてもらう、そういう機会を設けていかなければいけないと思います。

 インターネットは私たちの時代には使わなかった、苦手だからよくわからないと大人が言っているだけではこういう問題は防げないということを改めてここで申し上げるのと同時に、そしてリベンジ問題に関しては、早急に削除ができる、一秒でも早く画像を消してもらいたいと思う被害者の方たちの要求にしっかり応えられる法整備をしていくことが何よりも重要であるということを改めて申し添えたいと思います。

 一方で、犯罪の出口対策というのは今後考えていかなければいけませんが、入り口対策としては、やはり子どもたちにしっかり、メディアリテラシー、ネットのリテラシーをつけさせることが重要だと思います。

 今、教育現場でどのような具体的な取り組みがされているか、参考人から伺いたいと思います。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 インターネットやスマートフォンの普及など社会の情報化が進展する中で、児童生徒が情報化の影の部分を理解しながらインターネットなどを適切に活用していくために、学校教育において情報モラルを育成することは重要だと認識しております。

 このため、文部科学省では、学習指導要領におきまして、情報モラルを身につけさせることを明記しておりまして、例えば、インターネット上の犯罪や違法・有害情報の問題を踏まえた指導を行うこと、情報発信による他人や社会への影響や、ルールやマナーを守ることについて考えさせること、ネットワークを利用する上での基本的な法律を理解し違法な行為のもたらす問題について考えさせる学習活動を行うことなどを指導することとしております。

 また、スマートフォンなどによる新たなトラブルなどに対して、学校において、一度書き込んだら記録が残るといったインターネットの特性や情報モラルの指導の充実を図るために、ことしの三月でございますが、教員が指導する際に役立つ動画の教材や、この教材の解説と指導のポイントをまとめました教員向けの指導手引書を作成いたしまして、全国の教育委員会などへの普及を図っているところでございます。

 さらに、スマートフォンなどによるトラブルや犯罪被害の事例ですとか対処方法のポイントを盛り込みました児童生徒向けのリーフレットも作成をしておりまして、全国の小学校、中学校、高等学校などに配付をしております。このうち、高校生向けのリーフレットには、いわゆるリベンジポルノについても盛り込んでおるところでございます。

 また、文部科学省と総務省、関係団体が連携して、子どもたちのインターネットの安全、安心な利用のための啓発講座、これはe―ネットキャラバンと申しておりますが、この講座を実施するなど、情報モラルの育成に資するさまざまな取り組みを推進しているところでございます。

 インターネットなどの利用に係る問題につきましては新たな課題が次々発生しておりますけれども、文部科学省としては、関係省庁や関係団体とも連携をしながら、引き続き、児童生徒の情報モラルの育成に係る取り組みを推進してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

宮川委員 ありがとうございます。

 出口対策とともに、やはり入り口対策をしっかりやっていくということが、青少年の育成にとって大変重要な問題だと思います。

 これは私からのお願いでもございますけれども、委員長初め理事の先生方、ぜひ、インターネットの問題に関しては引き続き当委員会を中心に対策を進めていく、また、この問題についてどのような解決をしていくべきか、取り組みを続けていただきますようにお願い申し上げたいと思います。

 薬物問題について質問したかったんですが、時間が限られてしまいました。御用意いただいた参考人の皆様には、大変申しわけございません。

 しかし、この青少年の問題を考えるときに、とにかく一番考えなければいけないことは、子どもたちがなぜ犯罪を犯すのかという根本理由をしっかり私たちがつまびらかにするということが重要だと思います。表層的な出口対策、つまり犯罪に対してどのような対処をするかという対処療法ではなくて、なぜその犯罪に手を染めなければいけなかったのか、どうしてそこに走ってしまったのかという、子どもたちの心に寄り添うことが重要だと思います。

 他国に行きますと、なぜ日本の子どもたちはこんなに自分たちが社会から期待されていないと思っているのか、大変不思議であるという言葉をよく聞きます。それだけ私たち大人が子どもたちに目を向けていないという証拠ではないか、私自身は今までずっとそういうふうに思ってまいりました。

 衆議院にしかないこの青少年問題にかかわる委員会であります。当委員会で、子どもたちの未来についてしっかり私たちが議論すること、各委員の先生方が熱い思いを持って、子どもたちに対して、いろいろな問題を解決するための一助となるような検討をしていくことで、未来の子どもたちに対して、ちゃんと大人はあなたたちのことを見ているんだ、あなたたちの表面的な問題ではなくて心の問題を見ているんだということを訴えるに一番重要な委員会はこの委員会であるというふうに私自身は思っております。

 委員の先生方にもこの思いをぜひ共有していただいて、日本の子どもたちの健全育成を図れますように願いまして、ちょっと延長いたしましたが、私の質問を終わりたいと思います。

遠藤委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道でございます。

 青少年問題について、何点かお伺いをさせていただきます。

 まず一点目、居所不明児童問題、居どころが不明な児童にかかわる問題であります。

 昨今、我が国の重要課題の一つとして、人口の急減への対応が上がっております。今後官民一体となって取り組む課題ではあると思いますけれども、国が出生率の向上を目指す一方で、子どもが事件や事故によって命を落としているという現実は、極めて残念なことでございます。

 学校基本調査によれば、居所不明児童が平成二十五年で全国で七百五人と報告をされました。このたび、厚木市においても大変に痛ましい事件が発生していたことが判明しましたが、このような事案が再び起こることのないよう、子どもの居所等について的確に把握できる体制の整備が急務であると考えます。

 学校基本調査は、各学校の学籍簿をもとに就学の実態把握をしているが、その際、就学実態のない児童生徒については別簿を設け、教育委員会を通じて文科省に報告が上がるようになっているわけでありますけれども、管理のずさんさや間違いが指摘されたことがございました。

 平成二十三年に新聞報道がされたことを契機に、文科省の報告のあり方について適正化がなされた結果、一年以上居所不明の児童生徒が一千三百人も報告されたことがありました。それまで毎年三百人程度と報告されていたことと比較すると、約一千件が見過ごされていたことになるわけであります。その後、居所不明者の調査が進み、平成二十五年は七百五名となったわけでありますけれども、いずれにしても、大変にゆゆしき数字であると思います。

 文科省として、所在把握のために現在どのような取り組みをしているのか、また、事件性のある案件を見過ごすことのないよう、さらなる徹底を図るべきと思いますけれども、まず見解をお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、平成二十五年度の学校基本調査におきましては、一年以上居所不明の子どもの数が七百五名になっておりまして、これは、前年度調査からは減少したものの、依然として大きな数字であるということでございます。学校教育を受けるべき子どもたちが就学していないということは、教育を受ける権利の保障という観点から重大な問題であるというふうに認識しております。

 こうした子どもたちの所在を把握するには、学校や教育委員会が児童福祉関係の機関と連携して情報共有することなどによって対応する必要があるわけでございますが、平成二十四年度に文部科学省が行った調査におきましては、御指摘のとおり、関係者間の連携が十分図られていなかった事例が相当数ございました。

 このため、文部科学省といたしましては、平成二十五年三月に市町村教育長などに通知を出しまして、住民基本台帳担当や児童福祉関係機関との連携、要保護児童対策地域協議会への参加、事件性が疑われる事案の警察への相談といったことを積極的に行うことによりまして、居所不明児童生徒の把握の取り組みを充実するよう強く指導しているところでございます。

 現在、厚生労働省におきまして、文部科学省と協力して、居住実態が把握できていないような子どもの数あるいは市町村の対応状況などについて、詳細な調査を実施中でございます。厚生労働省ではこの調査の結果を踏まえてさらなる取り組み方針の策定をする予定と伺っておりますので、文部科学省といたしましても、厚生労働省と協力して一層の対策の充実に努めてまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 ぜひ、鋭意御検討、また御努力をよろしくお願いします。

 二つ目に、人口急減と若者政策の転換についてお伺いします。

 六月四日に最新の出生率が発表されました。昨年より〇・〇二ポイント上昇の一・四三。出生率は確かに上がりましたけれども、出生率のもととなる女性の数が減っているため、ことしも約七千人、新生児は減少したわけでございます。さらに、死亡者数が出生者数を上回っており、年々人口は減少しております。

 二〇〇八年の人口をピークに二〇〇九年からは毎年人口が減少しているわけでありますけれども、現在は十万人台ではありますけれども、今後、二〇一〇年代後半から二〇年代には毎年五十万人の人口減少、さらに二〇三〇年代には毎年百万人の減少が予想されており、まさに人口の急減が懸念をされているわけであります。

 人口減少の対応については、本年五月、政府の経済財政諮問会議の「選択する未来」委員会が、「未来への選択」というタイトルで中間整理を報告いたしました。

 その冒頭に、人口急減から脱するために抜本的少子化対策が必要であるとうたっているわけでありますけれども、その内容は多岐にわたりますけれども、全体として若者が大きな鍵を握っていると私は感じました。

 男女を問わず、地域や出自を問わず、若者が生き生きと挑戦し、活躍する社会の構築が、人口減少に歯どめをかける大切なポイントの一つだと私は考えますけれども、人口減少対策としての若者の政策の大転換について、大臣の御見解をぜひお伺いさせていただければと思います。

森国務大臣 少子化でございますけれども、昨日も経済財政諮問会議で少子化が議題になりまして、私はプレゼンをしてきたんですけれども、私は十八代目の少子化大臣でございますが、少子化が問題になってからずっと少子化に歯どめがかからない現状でございます。

 私がきのう二つ指摘したのは、一つは、やはり少子化対策の財源が先進国に比較して少ないこと、もう一つは、政策がまだ十分ではない、偏りがあったのではないかということを指摘させていただきました。

 なぜならば、結婚をした方の出生率は約二でございまして、最近の晩婚化を反映しまして少し少なくなっておりますが、それにしても、約二人の子どもを産んでいます。これは、専業主婦の方も働く女性も同じです。

 しかし、結婚をしない方がふえてきておりまして、それが全体としての出生率を押し下げている要因として、未婚化、晩婚化というものが主な原因であるというふうに指摘をされてきました。しかし、では、そこにフォーカスをした政策が打たれてきたかというと、なかなかそこは薄かったのではないかというふうに思います。

 ですので、特に若者の政策という御質問でございますけれども、結婚というところに、若者が希望をしている場合でも結婚ができない、希望をしない方に押しつけることはあってはならないんですが、希望をしている方が多いのに結婚していないというところをよく分析をして、その希望をかなえていく環境を整えることが重要であると思います。

 なぜ結婚をしたいのに結婚しないのかということもアンケートをとりますと、多くの方が答えるのは、一つは経済的な不安定、もう一つが出会いの機会がないということでございます。

 ですので、若者の雇用など将来の生活への不安感を解消していくこと、それから、核家族化や地域のつながりの希薄化などによる家庭の養育力の低下や子育て中の孤立感、負担感、こういったところに焦点を当てて政策を複合的に、全般的に打っていくことが大事なのではないかというふうに思っています。

 これらの要因に対処するために、安倍内閣一年目に若者・女性活躍推進フォーラムを全国で開催いたしまして、若者と女性の生の声を地域で聞いてまいりました。それをまとめて、若者と女性の活躍を積極的に推進するための具体的方策についての提言をまとめ、そして日本再興戦略に関連施策を盛り込んで展開をしているところでございます。

 若者が、結婚をしたいときに結婚をしたい年齢で結婚をして、そして子どもを産みたいと思ったときに子どもを産んで育てる、または産み育てながら仕事も続けていける、そういう環境を整えるために、引き続き、就労、結婚、妊娠、出産、育児の切れ目ない支援を推進してまいりたいと思います。

佐藤(英)委員 ぜひよろしく御検討のほどお願いします。

 次に、若者雇用対策基本法について伺います。

 人口急減への対策として、「未来への選択」においても、日本創成会議の提言においても、初めに取り上げられるのは、やはり少子化対策でありました。

 政府には一刻も早く出生率を上げていく努力が求められるわけでありますけれども、現実的には出生率一・四三。この一・四三と、潜在的に国民が望んでいる出生率、いわゆる希望出生率との乖離を埋めることが急務であると思います。

 出生率を引き上げるために、まず若者が結婚できる経済的基盤を築くことができる雇用環境の整備が、今大臣もお話しされていたとおり、私も必要であると思います。また、ディーセントワーク、適正な就業環境確保の重要性についても、少子化対策、人口減少対策としても非常に有効と考えております。

 また、若い女性の就業環境についても、賃金格差やつける職種など、確かに、企業等においては、現在でも根深く女性への待遇差別が残っていると思います。

 五月七日に、公明党の雇用・労働問題対策本部及び青年委員会が「若者が生き生きと働ける社会の実現に向けて」という提言を出しておりますけれども、若者世代が、男女を問わず、地域を問わず、子どもを産み育てながら働ける就業環境の整備を一層強力に推進するため、法的整備を含めて若者雇用対策の基本となる枠組みを検討すべきと申し上げておりますけれども、厚生労働省としてはどのような考えなのか、お聞かせをいただければと思います。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 少子高齢化の進展によります生産年齢人口の減少という中で、我が国が持続的に成長していくためには、若者雇用対策を総合的かつ体系的に進めていくことが重要だと考えているところでございます。

 これに関しましては、御指摘のとおり、若者雇用対策についての御提言をいただいているところでございまして、法的整備を含めて若者雇用対策の基本となる枠組みを検討すべきとの御提言も踏まえまして、若者が生き生きと働ける社会の実現に向け社会全体が責任を持って取り組んでいく、こういうことが重要だと考えているところでございます。

佐藤(英)委員 ぜひ、早期の若者雇用対策基本法について御検討いただければと思います。

 次に、若者応援企業宣言事業のマル適マークについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 学生や生徒の新卒者就職率の向上に、政府のさまざまな取り組みが功を奏しているのではないかと私は思います。例えば、新卒応援ハローワークやジョブサポーターによる支援は、大きな実績を上げていると思います。ジョブサポーターは現在全国に二千人、ジョブサポーターによって就職が決まった若者は年間約二十万人、ジョブサポーター一人当たり百人ぐらいの若者が就職決定ということで、いかに効果を上げているかよくわかります。

 その上で、就職した若者が職場に定着し社会に貢献していけるように、また、若者がやりがいを感じて仕事に取り組んでいけるように、応援をしていかなければならないとも感じております。

 厚生労働省においては、若者応援企業宣言事業という中小企業の情報開示を進める事業を行っているわけでありますけれども、この若者応援企業になるためには、就職面接などでなかなか学生生徒の側からは聞きにくい、例えば休日とか給与とか福利厚生についてオープンにしたり、就職後の長い人生設計と密接に関係するキャリアパスについて明確に開示するなど、幾つかの要件が必要で、若者と中小企業とのマッチングを進める上でも有用ではないかと考えております。

 そこで、マル適マークも定めるなどして、さらに取り組みを強化していってはどうかと考えるわけでございますけれども、御見解をお聞かせください。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 若者応援企業宣言事業につきましては、若者の採用、育成に積極的で、かつ、新入社員の定着状況ですとか残業時間実績などの就職関連情報を開示するなど、一定の要件を満たす中小企業に若者応援企業宣言をしていただきまして、ハローワークにおいて、若者応援企業のPRを行うとともに、重点的にマッチング支援を行うというものでございます。

 本事業は、学生等が、若者応援企業宣言を行っている地域の魅力ある中小企業に目を向けるきっかけになるとともに、通常の求人票より詳しい就職関連情報が入手できるということで、就職後の職場定着にもつながるものと考えているところでございます。

 今現在、若者応援企業のシンボルマークを公募、選定しているところでございまして、今後は、このシンボルマークも活用しつつ、より一層の周知に努めてまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 最後に、若者の地方就職の推進についてお伺いをしたいと思います。

 日本創成会議の人口減少問題検討分科会が本年五月八日に発表したストップ少子化・地方元気戦略で、このままでは多くの地域が消滅するおそれがあることから、人の流れを変えることを基本目標にすべきと提言をされたわけであります。

 地方からの人口流出を食いとめるためには、若者にとって魅力ある地方の創出が必須であるわけでありますけれども、そのためには、まず、地方にも多様な働く場が必要だとありました。このことは、私も全く同感であります。

 昨日、日経新聞のウエブ版の朝刊の記事に目がとまりましたけれども、その中で、「地方の雇用、本当は元気」という記事が目に飛び込んでまいりました。

 実は、求人倍率を働く場所で集計すると、一位は、何と、森大臣の地元の福島県なんですよね、東京だと思われたんですけれども。二位が宮城、三位は福井、四位は愛知、五位は富山、六位香川、七位岡山、八位三重、九位が岐阜県で、東京はというと、十五位であるということでありました。

 東京だけに仕事が集中しているというのは、事実ではないのかもしれません。所得の面で見ても、東京は、賃金は高いですけれども、生活するための必要経費も高いのであります。では、なぜ若者は地方から東京へ出ていくのか。

 地方には仕事がありますけれども、地方の仕事は若者にマッチしていないのか、あるいは仕事以外の部分で地方の魅力が不足しているのか、今後、各地域で戦略的な計画を練り、積極的に人口流出を食いとめる施策を実行していかなければならないと思っております。

 この創成会議の中でも、本当に、データを見ると、私が住んでいる北海道においては極めて喫緊の課題であるということを認識もしているところであります。

 ぜひ、政府としても、学生や生徒を含め、地方での就職、地元に残って地元で就職すること、進学などで首都圏などに出た若者のUターン就職などの働きかけを一層強化していただければと思います。

 現在、若者の地方への就職の推進についてどのような取り組みをしているのか、また、今後どのような取り組みを行おうとしているのか、ぜひ御見解をお聞かせいただきたいと思います。

宮川政府参考人 若者の地方への就職の推進につきましてお答え申し上げます。

 地方の人口流出を防ぐためには、希望に応じて地方で若者が就職できる環境の整備が重要であると認識しております。

 このため、地元での就職を希望している学生生徒に対しましては、新卒応援ハローワークなどにおきまして、ジョブサポーターがきめ細かな支援を行い、地元での就職の促進に取り組んでいるところでございます。

 また、都会に出ました若者でUターン就職などを希望する方に対しましては、ハローワークの全国ネットワークも活用し、地方の求人の情報提供等を行っているところでございます。

 今後は、これらの取り組みにつきまして、ホームページを通じたりとか、あるいはハローワークのU・Iターンコーナーなど、関係機関においてチラシなどにより周知することによりまして、希望する学生生徒に対する地方への就職の促進とその支援をより強化してまいりたいと考えているところでございます。

佐藤(英)委員 ありがとうございました。終わります。

遠藤委員長 次に、菊田真紀子君。

菊田委員 民主党の菊田真紀子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私の地元に、新潟県の三条市というところがございまして、最近よく新聞とかテレビで報道されているんですけれども、三条市の教育委員会が、ことしの十二月から四カ月間、試行的に全ての小中学校で牛乳の提供を中止することを決めたということでございます。ちょっとその背景について御紹介させていただきたいと思うんです。

 大臣も御承知のとおり、新潟県は、福島県と並んで、全国有数の米の産地であります。本当においしいコシヒカリが食べられる地域でありまして、給食の地産地消を進め、和食文化のすばらしさや、そしてまた、地元の農家の皆さんがどんな思いで米づくりに携わっているのか、そういった農業も学んでほしい、そんな思いで、二〇〇八年度から、週五日間全て、パンとか麺とかというものをやめまして、米飯給食に切りかえました。そして、地元の農家の皆様のコシヒカリが子どもたちに提供されるようになったわけであります。

 子どもたちの反応ですけれども、最初は、パンとか麺とかの方が食べやすいとか、あるいはそのおかずがおいしいということで、なかなか和食に切りかわらなかったと聞いております。和食、米飯になりますと、どうしても、焼き魚であったりとか、あるいはタケノコ、里芋の煮物といったものが出てまいりますし、そういった和食のおいしさというのがなかなか最初は子どもたちにとっては戸惑いがあったというふうに聞いておりまして、残飯もかなりあったということであります。しかし、現在は、本当に子どもたちがお米のおいしさや和食のおいしさを実感するようになりまして、残飯もほとんどなくなったというふうに聞いております。

 私は、こうした地元の取り組みは大変すばらしいことだというふうに思っていたわけでありますけれども、その米飯と同時に、牛乳は、御飯、お米に合わないんじゃないかというような意見も出るようになりました。とりわけ、新潟県はとても冬寒いわけでありまして、寒い冬に御飯と牛乳という取り合わせはどうだろうかというような意見がかねてより保護者から出されていたということでございます。

 そして、今般、消費税が増税されました。例えば、中学校の生徒一人当たり、一食の給食費というのは三百円なんですけれども、その三百円に占める牛乳の値段が五十円というのは、やはりかなり割合が大きいんですね。そういうこともありまして、どうやったら給食費を値上げしないで、負担増にならないでおいしい給食を提供することができるか等々いろいろ検討した中で、今回、教育委員会は、試験的に牛乳をやめようということを決めたわけであります。

 ただし、カルシウムが足りなくなるのではないかというような意見もございまして、そのかわりに、おかずをちょっとふやすとか、手づくりのふりかけをふやしてカルシウムなどを補う献立を工夫しようということであります。

 当然、保護者の中には、賛成だという方もおられますし、いやいや反対だという両方の意見が出ておりまして、そういったことで全国的にテレビとか新聞で注目を集めたということでございます。

 きょう私は、この牛乳の廃止について森大臣に、賛成ですか、反対ですかということを問うつもりはございません。牛乳廃止か継続かということばかりに注目が集まっていますけれども、ぜひ、これを機会に、子どもたちの健全な成長のためにどういう食事の仕方がいいのか、あるいは、食材、栄養のバランス、どうやったらよいのかということは、これを全て学校だけに任せる、学校給食に頼るのではなくて、ぜひ、親は親として、しっかりと子どもたちの毎日の食卓、毎日の食育について考えていく、そしてまた家庭で実践していくことが大変重要ではないかなということを、私自身も今回のことを通して痛感したわけでございます。

 大臣は食育を推進する立場にあられますので、所感をお伺いしたいと思います。

森国務大臣 新潟県三条市において試験的に牛乳をやめたということに至った経緯をお伺いいたしました。

 家庭における食育も、学校だけに任せるだけではなくて、大事なことだと思っています。

 国の第二次食育推進基本計画において、重点課題の一つとして、「家庭における共食を通じた子どもへの食育の推進」を掲げています。「日常生活の基盤である家庭において、子どもへの食育の取組を確実に推進していくことは重要な課題である。」というふうにしております。

 今回のことがきっかけに、また皆さんも家庭での子どもたちの食事を考えるきっかけになっていただければなというふうに思います。

 私も今聞いていて、子どもが中学生と高校生ですので、高校生の方は確かに牛乳を飲んでいないので、私が家で子どもたちに与えている食事は同じでございますので、そこのところにはっと気づいたわけでございますけれども、また、中学生と高校生ですと、とるべき栄養のバランスもまた違ってくるのかもしれません。

 そういったことも家庭で勉強して取り組んでいく一助になればと思いますので、国としても、食育が、家庭を初めとして地域やさまざまな関係者とともに国民運動として積極的に推進されるよう、内閣府として広報啓発をより積極的に行うとともに、関係機関や関係団体等と連携して食育の推進に努めてまいりたいと思います。

菊田委員 大臣、ありがとうございました。

 国におきましては、各省庁さまざまに食育に関する普及啓発等々取り組みをされているわけでありますけれども、よく見ますと、農水省がやっていることと厚生労働省がやっていることがもうほとんど同じではないかと思われるようなことがあったり、あるいは年々マンネリ化しているのではないかというようなこともございまして、これは大臣、しっかりチェックをしていただきまして、それぞれの省庁、もちろんよく連携をとっていただいて、大事なことは地方公共団体でも取り組んでいただく、そしてまた、一人一人、一般の家庭にもこういったことが浸透していくための取り組みが重要だというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、自殺対策について御質問をいたします。

 二〇一四年版の自殺対策白書が出ました。一三年の自殺者数は、前年に比べまして五百七十五人減りました二万七千二百八十三人となりまして、二年連続で三万人未満となりました。そしてまた、これは四年連続で自殺者が減少しているということでございます。

 私たち民主党政権でも、自殺者対策、一生懸命予算もつけて大変熱心に取り組んできたと自負しているわけでありますが、現在の政権においても、これは決して手を抜くことなく、予算もしっかりつけて、そして具体的な取り組みを進めていただきたいというふうに思っております。

 今回、五十歳代の自殺率が減っているというのが大きな要因だということでありますが、一方、若年者層の自殺者数は改善しておりません。十五歳から三十九歳については、二〇〇七年以来、七年連続で自殺が死因の一位を占めているわけでございます。若い世代で死因の第一位が自殺となっているのは、国際的に見ても先進国では日本だけであり、まさに深刻であります。

 若い人が亡くなった場合は、お医者さんが、自殺としないで病死等で書くケースというのが多いというふうにも聞いておりますので、実数はもっと多いのではないかというふうに私は分析しているのですが、この辺もあわせて、若年者の自殺が多い背景、理由、そして特段の対策が喫緊に必要だと考えますが、大臣の見解をお尋ねいたします。

森国務大臣 自殺者数ですね。全体の自殺者が二年連続減少いたしましたけれども、自殺対策の基金が一番最初に創設されたのは麻生総理のときなんですが、私よく覚えているんですが、そのときに党の方で、私もまだなりたての議員だったと思いますが、対策をまとめて、基金をつくるんだということで、つくっていただきました。

 その基金に、その後、民主党政権になってからもしっかりと予算立てをしていただいて、やはり与野党を問わず、そして関係者の皆様の御努力がずっと続いてまいって、この自殺者数が減ったと思っております。また、法制度も、貸金業法などが改正されまして、経済的理由による自殺が減っております。

 今後もそういったところを手を抜くことなくしっかりと取り組んでいくべきだと思っていますが、特に若い方の自殺でございますけれども、死因の一位が自殺であるというのが、先進国で我が国だけだという御指摘をいただきました。本当に憂うべき状況だと思います。

 識者の方の中には、他国は、例えば、事故であったり、それから病死というものが多いので、我が国の治安それから医療というものが比較的良好な環境であるということの一つであるという御指摘もございますが、そうであるとしても、若者がみずからの命を絶つというようなことは決してあってはならないわけでございまして、そこに至った理由をしっかりと分析して、対策を打っていく必要があると思っています。

 自殺総合対策大綱において、そういった意味で、若年層の自殺対策は重要な課題として位置づけております。そこにおいては、子どもについては、自殺予防を目的とした教育の推進や、いじめを苦にした自殺の防止に努めておりまして、働く若者については、職場におけるメンタルヘルス対策など、関係省庁によって取り組んでおります。

 私も昨年、文科省にヒアリングをいたしまして、若者の自殺防止について、学校教育の中でどういった取り組みをしているかということもしっかりと説明をいただいたわけでございますが、担当大臣として、こういった関係省庁との連携もさらに進めて、若者の自殺対策をしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

菊田委員 しっかり取り組んでください。お願いいたします。

 続きまして、二〇〇五年に栃木県の今市市で当時小学校一年生の女の子が下校途中に連れ去られて、そして遺体で見つかったという本当に悲惨な事件がございましたけれども、去る六月の三日、事件発生から八年半たって容疑者が逮捕されました。

 亡くなられた子どもさんの御冥福を心からお祈りしたいと思います。そして、二度と再びこのような本当に悲しい、悲惨な、残虐な事件が起きないように、子どもたちの安心、子どもたちの命を守るために、再発防止に政府としても全力で取り組んでいただきたいと思っております。

 現在、集団登校とか集団下校を実施したり、あるいは、地域の方々が通学路に立って、ボランティアで子どもたちの通学路をしっかり点検する、安全を見るというような活動が随分広がっているというふうに思いますが、しかし、学校のクラブ活動とか地域のクラブ活動等々でどうしても帰りが遅くなってしまう、あるいは、塾、習い事等でどうしても一人で帰らなければいけない、こういう児童生徒も多数いるわけでありまして、こういった対策がどのように講じられているのか。

 そしてまた、これは大変残念なことではありますけれども、子ども自身が犯罪から身を守るための知識あるいは訓練というものも必要ではないかというふうにも思うわけでありますが、この点に関してお答えをいただきたいと思います。

永山政府参考人 文部科学省といたしましては、これまで、通学路の安全対策といたしまして、例えば学校の危機管理マニュアル、この中には登下校時の緊急事態発生時の対応というのも含まれてございますけれども、そういったものを作成して、配付をして、活用いただく。あるいは、防犯の専門家ですとか警察のOBの方等にお願いしまして、スクールガードリーダーといったものを配置したり、あるいは、先ほどおっしゃったボランティアの方ですね、スクールガードを養成したりとか、さらには、防犯教室の講師となります教職員に対する講習会の実施に対する支援などを通じて、学校だけではなくて、警察、PTAそれからボランティア、家庭などと連携したさまざまな取り組みを促進しております。

 それから、もちろん子どもたちの防犯意識の向上ということは当然ございまして、これは、学校の中でも、さまざまな教材もつくりまして鋭意行われているということでございます。

 今後とも、私ども、警察等の関係省庁や関係機関と連携しながら、子どもたちが事件に巻き込まれることのないように、通学路の安全に力を尽くしてまいりたいと考えております。

菊田委員 ありがとうございました。

 続きまして、児童養護施設に関して質問いたします。

 全国の児童養護施設には三万人の子どもたちが暮らしているとされますが、施設にいられるのは、児童福祉法の規定で原則十八歳未満まで、つまり、高校三年生までは保護されるけれども、高校卒業と同時に多くの子どもたちが自立しなくてはならないというふうに聞いております。

 これは特例があるというふうに伺っていますが、実際、この特例がどれぐらいあるのか、ちょっとお答えいただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、児童養護施設等は、法律上、十八歳に達すると退所するということが原則とされておりますけれども、一方で、大学等に進学いたしましても生活が不安定で継続的な養育が必要、そういったお子さんに対しましては、二十までの入所期間の延長が可能な仕組みとなっております。私ども、この仕組みを積極的に活用していただくように、都道府県等に要請をしているところでございます。

 その実施状況でございますけれども、これはまた改めて調査をいたしたいと思っておりますけれども、今現在、確たる数字でつかんでいるところではございません。

菊田委員 ぜひ調査をしていただきたいというふうに思います。

 やはり、十八歳でいきなり社会に出なければならない、自立しなければならないというのは大変つらいことだというふうに思いますが、他方で、児童養護施設はどこも満所だという現実があるわけでありまして、その特例でもう二年間と思っても、どうしても退所しなければならないというような子どもたちが非常に多いのではないかというふうに思います。

 こういった子どもたちは、親や保証人がありません。近親者がいないために、住まいを探すにしても、これも大変難しい。そしてまた、就職先についても、結局は、もう選択の余地がない、住み込みつきの職場しか選べないというようなこともございますし、あるいはまた、金銭的に行き詰まって、誰にもお金の相談ができない、近親者もいないということで、借金を重ねてしまうというケースが多いというふうに聞いております。

 児童養護施設を出てからも継続的に見守り、そして支援するシステム、体制の必要があるというふうに考えますが、まず見解を伺います。

鈴木政府参考人 児童養護施設の子どもたちが自立していけるように継続的に見守っていくということは、まことに重要なことだと思っております。

 そこで、そもそも、児童養護施設に入所中から、子どもの一人一人ごとに自立支援計画の策定というものを義務づけまして、きめ細やかな指導をするように求めておるところでございます。

 また、退所後に社会で自立できるように、就職や進学に役に立つ資格の取得でございますとか、あるいは就職などの際の家財道具の準備費用、こういったものにつきまして、金銭的な支援を実施しているところでございます。

 今後とも、こうした取り組みを総合的に進めまして、児童の自立に的確につながっていくように努めてまいりたいと思っております。

菊田委員 就職やアパートを借りるときに、誰が身元保証人になってあげるんでしょうか。

鈴木政府参考人 これはさまざまなケースがあろうかと思いますが、就職の際の雇い主の場合もございますし、個別ケースでいろいろあると思います。その中では、養護施設の施設長を初め、そういった職員がその引受先になるということもあろうかと思います。

 個別ケースによりまして的確に対応していくということだと思います。

菊田委員 つまり、施設の施設長さんとか職員の方だけでは、私はこれは十分ではないと思うんです。やはり、社会全体で、こういった子どもたちの保証人になってあげるとか親がわりになってあげるとかということをぜひ具体的に進めていけるように、厚労省としても御検討いただきたいというふうに思います。

 それから、児童養護施設で育った子どもたちの大学進学率、専修学校進学率はどれぐらいでしょうか。

鈴木政府参考人 まず、大学進学率でございますけれども、二十五年の五月一日現在の数字ですが、一二・三%、それから専修学校等の進学率につきましては、同じく、一〇・三%でございます。

菊田委員 やはりこれは本当に信じられないぐらい数字が低いわけでございます。

 もう時間が参りましたから最後に一言だけお願いしたいと思いますけれども、結局、家賃や生活費を負担できないので、勉強したくても最初から進学を諦めざるを得ないというケースが大変多いのが実態だというふうに思いますので、こういった子どもたちの支援に、これは厚労省はもちろんなんですけれども、私は、この委員会というのは、大臣にいろいろ質問をしていろいろ議論したいことがたくさんあるんですが、結局、質問通告しますと、これは厚労省さん、これは文部科学省さん、これは国交省さん、全部割り振られちゃって、では何のための特別委員会なんだろうと毎回思うんです。

 ぜひここは、省庁横断で、しっかり大臣と議論させていただくというような場にしていただいてこその特別委員会だと思いますので、そのこともあわせてお願いいたしまして、時間が参りました、質問を終わります。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 資料を配付いたしております。まず、資料の一から三。

 先ほどから話題になっておりますけれども、経済財政諮問会議の有識者委員会「選択する未来」、こういったところが、五十年後の二〇六〇年代も一億人の人口を維持すべきだとして、今月中にも閣議決定する予定の骨太の方針に盛り込むということであるようであります。

 二〇六〇年代一億人、そのために必要な出生率は、年度ごとの政府の政策目標、あるいは達成すべき公約ということになるのかどうか、まず大臣に確認をしたいと思います。

森国務大臣 御質問は、経済財政諮問会議の「選択する未来」委員会において取りまとめられました、五十年後に一億人の人口を維持する必要があるとの報告を前提に、五十年後に一億人の人口を維持するとなると必要となる出生率が政府の目標となるかどうかというような御質問であったかと……(中根(康)委員「一億人と出生率、両方です」と呼ぶ)両方ということでございますか。はい、わかりました。

 政府としては、この有識者の委員会による報告をもとにこれから目標を定めてまいりたいと思いますけれども、私としては、合計特殊出生率という数字の方につきましては、やはり、女性に産む、産まないといったことを押しつけているかのような誤解を与えるおそれが非常に高いと思いますので、これを目標にするということには慎重であるべきであるという意見でございます。

 そして、もう一方の、五十年後に一億人の人口を維持する必要があるという方でございますけれども、これについては、「選択する未来」委員会の報告書を読みますと、あらゆる環境を政府が整えて、そして、国民の結婚する希望、または子どもを持つ希望、それをかなえられるような環境を整えた上で、五十年後にも一億人の人口を維持しているような国にすべきであるというような言いぶりだったと思います。

 そういった書き方であれば、少子化対策に非常に効果がある目標の一つというふうには言えるのだと思いますが、その場合にも、やはり先ほどの、女性または国民に、一人一人の人生における結婚の選択、または、子どもを産む、産まないの選択を押しつけているわけではないといったメッセージをともに出すべきであるというふうなことは、きのうの経済財政諮問会議でも私は意見として言わせていただいたところでございます。

中根(康)委員 私、まず、自分自身の立場を少し明らかにしておきますね。

 子どもの貧困率というのが一五・七%ぐらいだったと思うんですけれども、私は、この子どもの貧困率というものは、数値目標をつくってこれを削減させていくという、政府として、政治としての動きが必要だと思っている一人なんです。

 今回も、少子化対策ということについては、もちろん、子どもを産まない女性が非国民だというような、こういったことがあっては当然ならないわけなんですけれども、しかし、ここまで少子化が進んで、そのことが、経済や国民生活に大きな影響を与える、社会保障制度の持続性にも大変悪影響を及ぼすということであります。

 逆に言うと、子どもがふえていけば、社会の支え手がふえていけば、今日本が抱えている、あるいはこれから直面しようとしているさまざまな問題は、かなり解決の方向に向けていくことができるというわけでありますので、子どもをふやす、人口をふやすということは、政府が全力で取り組むに値する極めて重要な政策課題であるというふうに思っているんですね。

 ですから、今回、二〇六〇年代、五十年後、一億人の人口を何とか堅持する、そしてそれまでの間に、これは何年ごとかはわかりませんが、三年ごとだったり五年ごとだったり十年ごとだったりの出生率というものを目標設定して、ある意味、PDCAを回していく、その都度検証して政策効果をはかっていく、足らざるところを補っていくというような政策づくりのあり方というのは、私は、とても重要だ、必要なことだと思っているんです。

 ですから、今大臣が、一億人の人口、二〇六〇年代は目標ではないということをおっしゃったような気がしたものですから、それではちょっと寂しいな、残念だなと。骨太の方針に書き込むということであるならば、ぜひ、ただ、余りにも長い、先なものですから、ここにいる人間はほとんどそれを検証しようがないというようなことになってしまいますので、これは短中期的な政策目標をつくってそれを回していくということになろうと思いますけれども。

 大きな目標としては、五十年後、一億人の人口を守る。そこに向けて、出生率が、例えば、人口を減らさない出生率として二・〇七という数字が出ているわけでありますので、この二・〇七にいかに早く持っていくかということに対して政策を総動員していく、予算を総動員していくという意気込みは、せっかく六月中に骨太の方針を取りまとめるということであれば、ぜひ、政府の、公約と言っては、守らなかったらどうするんだという話になるかもしれませんけれども、大きな、重要な目標として位置づけるように、森大臣からも、閣僚の一人として、内閣の一人として、先ほどから経済財政諮問会議でプレゼンをしたということもおっしゃっておられるわけでありますので。

 これは、書きぶりはかなり大事だと思います。きょうの夕方にも何か出てくるんですか、あるいは、正式には今月の下旬だというふうにも聞いておりますけれども、これを力強いメッセージとして骨太の方針に盛り込んでいただくということをお約束いただけないでしょうか。

森国務大臣 誤解があるのかどうかわかりませんが、もう一度御説明させていただきますと、二つ、場合を分けて答弁をいたしました。

 五十年後に一億人ということについては、目標となり得ると思います。そのように評価をさせていただきました。

 ただ、出生率の方は、やはりこれは、目標とするには慎重であるべきだと思います。この二つは分けて考えるべきだというふうに思っています。

 合計特殊出生率については、一人の女性が生涯に産む子どもの数というふうに訳される場合が多いわけでございますが、そうしますと、女性に対して、または国民に対して、出産を押しつけるかのようなメッセージに捉えられかねないと思います。そうしますと、せっかく目標を設定しても、女性を傷つける、国民を傷つけるようなことであると、そこに向けて、全員で、よし頑張っていこうというようなことにはなかなかならないというふうに思います。

 ですので、あらゆる環境を整えて一億人の人口を維持するということについては、目標になり得るというふうに私は思いますが、出生率については、慎重であるべきだと思っています。

中根(康)委員 出生率というものが政策手段として一定の目安が示されなければ、一億人という目標はどうやって達成するんですか。出生率がやはり目標になるべきじゃないんですか。出生率と一億人という数字を分けて考えることなんてできないはずですよ。

 当然、それは差別的な考え方になってしまう、こんなものは政府の言いぶりでどうにでも、そんな誤解を招かないようにできるわけなんですけれども、それは大前提として。

 だから、言いたいのは、一億人というふうに簡単に言うけれども、二・〇七という数字を達成するということが二〇三〇年代にできなきゃだめだということも、マスコミ報道でも聞いているんですけれどもね。

 では、この二・〇七というのは今まで達成したことがあるのかということでいえば、これは資料の二、三をごらんいただければわかるんですけれども、高度経済成長時代に二・〇五というのが一九七四年ぐらいにあって、これ以降、一ポイント台、一点台にずっと低迷しているわけなんですね。

 だから、一億人ということを派手に打ち上げるのは、それはとても明るいニュースではあるんですけれども、では、そこに向けて、どういう政策がセットになって示されるのかということ、つまりは、出生率を年々どうやって上げていくのかということがきちんと骨太の方針に示されるのかどうかということを確認したいということでございますが、これは、今月の下旬にそういったものが出てくるということでございますので、それを拝見してから、改めて議論をさせていただきたいと思います。

 それで、子どもをふやすのに、では、どうしたらいいか。いろいろな政策を総動員するという話でありますけれども、資料四というところをごらんください。

 これは、正規雇用と非正規雇用の賃金の格差がはっきりとあらわれているグラフであります。例えば、二十五歳から四十歳ぐらいまでの子どもを産むんじゃないかという年代の方をとっても、真ん中のあたりの三十四歳ぐらいのところをとっても、お給料が、正規社員の方は二十七万二千円、非正規の方は二十万円ということで、ここだけとっても七万円の格差があるわけであります。正規と非正規の賃金格差というものは明らかなわけであります。

 それで、引き続き、資料五というところをごらんいただきますと、これは、正規雇用と非正規雇用の場合の配偶者のいる、いないというものを示したものでございますけれども、例えば、二十五歳から二十九歳とか、三十歳から三十四歳、どの年代をとってもそうなんですけれども、正規雇用の方の方が結婚している率は圧倒的に、明らかに高いというわけであります。

 つまりは、日本の場合は子どもをもうける前提がやはり結婚ということにあると考えると、正規雇用をふやすということが、まず経済的に安定をもたらして、そしてそのことが結婚しやすい状況をつくって、子どもを産み育てる環境を整えるということになるわけでありますので、これは大臣自身が経済財政諮問会議でプレゼンをなさった、問題は、未婚や晩婚、つまりは経済的理由で結婚できないということを解消していくということが大事だ、それを解決するのが若者雇用対策だということを先ほども御答弁をされたわけでありまして、まさにそのとおりであるわけであります。

 ありますが、引き続き、資料六とか七とかというところをごらんいただくと、資料六は、労働者派遣法の見直し法案なんですね。この国会で審議ができるかどうかわかりませんけれども、国会に提出をされている派遣法の見直し、私たちはこれは改悪だと申し上げているんですけれども、つまりは、派遣法の見直しによって、若者を結婚できない状況にさらに追い込んでしまうのではないか、少子化対策に逆行するのがこういった労働者保護ルールの改悪ということになるのではないかということを申し上げたいと思います。

 例えば、派遣法の見直しでは、直接雇用への道が閉ざされて、生涯派遣という状況を生み出しかねないというわけであります。

 それから資料七、これは産業競争力会議で今議論をされていて、産業競争力会議と厚生労働省の考え方が少しずれている問題なんですけれども、私たちはいわゆる残業代ゼロ制度というふうに言っております。

 一番上の「考え方」というところに書いてあるんですが、「成果に見合う処遇の確保」、つまりは成果主義、その上のところに「労働時間と報酬のリンクを切り離した、ペイ・フォー・パフォーマンスの浸透」と。つまりは、二つ合わせると、労働時間と報酬のリンクを切り離した成果主義の導入だということであります。

 これは、心配するのは、成果が上がるまで長時間労働を強いられるのではないか、あるいは、成果が上がらなければ、長時間労働の上低賃金になってしまうのではないか、こういうことであります。

 こういった労働者派遣法の見直しとか、こういう残業代ゼロ制度、あるいはほかにも、解雇の金銭解決制度であるとか、解雇しやすい形での限定正社員制度の導入であるとか、この間も、有期労働契約法の見直しが、私たちは反対しましたけれども、通りましたよね。こういったことで、非正規雇用とかあるいは低賃金が若者に押しつけられるということになる。これでは、結婚もできないし、子どもも産み育てることができない。

 ひいては、幾ら政府が、一億人、二〇六〇年代に維持しますということを高らかに宣言をしても、一方で、こういう労働者保護ルールの改悪で若者に結婚できない状況を押しつけるということになっては、それぞれの政策が相矛盾する、アクセルとブレーキを同時に踏み込んでいるようなことになってしまいかねないということになります。

 森大臣が、経済財政諮問会議で、若者雇用対策が大事だというプレゼンをなさっておられるということであるならば、引き続きのプレゼンをぜひやっていただきたい。つまりは、それは、こういう若者に低賃金と非正規雇用を押しつける雇用ルールの見直しというものはやめるべきだということをおっしゃっていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

岡田副大臣 中根委員にお答えをいたします。

 お尋ねの施策につきましては、いずれも厚生労働省の所管事項でありますので、ここを踏まえまして、そこを前置きさせていただきまして、答弁をさせていただきたいと思います。

 労働者派遣制度の見直しにつきましては、派遣労働者のキャリアアップを支援するとともに、事業を全て許可制とすることにより、健全な事業者の育成を図ることを目的として、厚生労働省において取り組んでいるものと承知をしております。

 また、労働時間法制の見直しについても、働き手が存分に能力を発揮し、各人の事情に応じて柔軟に働き方を選べるよう、労使双方にとって働き方の選択肢をふやすことを目的として、厚生労働省において取り組んでいるものと承知をしております。

 以上です。

中根(康)委員 岡田副大臣の御答弁だと、さっき菊田さんも指摘したように、この委員会での議論の意味がなくなっちゃうわけで、それは厚生労働委員会でやりますよ、やっていますよ。やっていますけれども、きょうは少子化対策という観点から、青少年特別委員会、子どものことを集中的に取り上げることができる委員会なわけであります。

 だって、大臣だって、先ほどから、経済財政諮問会議で若者雇用対策をプレゼンしているとおっしゃっているじゃないですか。そういう意欲があるわけでありますので、ぜひ大臣から御答弁いただきたいと思います。

森国務大臣 今述べられたような制度は、一生派遣のままで働かざるを得ないような制度を目指して行うものではありません。また、安倍内閣としては、若者の正規雇用化に向けて対策を講じております。正規を希望する者にはキャリアアップ訓練などを行って、そしてマッチングを行うことにより、正規になっていただくという取り組みを行っております。

 少子化対策といたしましては、若者の雇用の安定を目指して、結婚を希望する者が希望していけるような環境を整えてまいりたいと思います。

 しかし、少子化の原因を分析いたしますと、実は、高収入の者の未婚率が上がっております。ですので、若者の雇用の安定を図ると同時に、全体的に若者が結婚をしない理由というものに対しても政策を打っていく。つまり、経済的な不安定というものを掲げる者と全く同じ割合で、出会いの機会がないということを訴える若者も多いわけでございます。そういったことに対する政策も打っていく。

 また、女性が働きながら子どもを育てていく場合に、男性とともに出産、育児をしていけるような職場の環境づくり等にも心を配って、あらゆる政策を同時に展開してまいりたいと思います。

中根(康)委員 高収入の方がみずからの選択で子どもをもうけないということと、経済的に苦しい方が子どもが欲しいけれども子どもが持てないということとは、これは少し……(森国務大臣「みずからの選択じゃない。希望があるんですよ」と呼ぶ)何が悪い、大臣、何が悪いんですか。

森国務大臣 高収入の方がみずからの選択で子どもを産まないという御指摘でございましたが、希望する方が結婚をできない状況を取り除いていく、希望をかなえていくということを行っていきたいと思っています。高収入の方でも、未婚の方が、結婚を希望している方がいるわけでございますので、その原因をしっかりと分析して、あらゆる対策を打ってまいりたいと思っております。

中根(康)委員 それで、子育て支援として、学童保育ということを一つ取り上げていきたいと思うんですね。

 二十五年度から二十九年度で総額一・一兆円用意するとしていたものが四千億円の財源不足ということになっているということの中において、資料十一、これは大臣の五月二十七日の記者会見の要旨ということでありますけれども、子ども・子育て支援新制度は予定どおり二十七年の四月に施行するということを宣言しておられるわけであります。この中には、当然、学童保育ということの充実も入ってくると思います。

 学童保育の新たな運営基準というのは、ちょっと順番が逆になりましたが、資料十の官報のコピーがありますけれども、ここに細かく書いてあるわけであります。この資料十のように、施設面、人材面でも、今回、きちんとなさるということで、ある意味、ふやしていくことについてはハードルが高くなっているというようにも言えるわけであります。

 資料九というところもごらんをいただきますが、これは右上の方に、放課後児童クラブについて、平成三十一年度までに約三十万人分を新たに整備するということが書かれているわけであります。

 人材面あるいは施設面で厳格になった運営基準の中で、この三十万人をふやしていくということが本当にできるのか、ぜひこれは実現をしていただきたいけれども、本当にできるのかということであります。

 例えば、資料九にも書いてありますけれども、厚生労働省の放課後児童クラブと文科省の放課後子ども教室というのがあるんですが、どちらかというと、利用者から求められているのは厚労省バージョンの方なんですけれども、文科省の方のものをふやしていくことによって、大方そっちをふやしていくことによって三十万人分を何とかつじつま合わせをするというようなことがあってはいけないとも思うわけですね。

 そういったことも踏まえて、三十万人分、どう実現をしていくおつもりなのか、改めてお伺いしたいと思います。

岡田副大臣 放課後児童クラブについてのお尋ねがありましたが、子ども・子育て支援新制度のもとでは、地域子ども・子育て支援事業の一つとして、まず、市町村が住民の利用ニーズを把握した上で事業計画を策定し、事業の提供体制の計画的な整備により量的な拡充を進めていくこととされております。

 先般、厚生労働省におきまして、放課後児童クラブの基準に関する専門委員会における議論を踏まえ、放課後児童クラブに関する基準が定められたところでありますが、今後、この基準を踏まえて、市町村が条例を策定することとなるわけであります。

 子ども・子育て支援新制度では、質の改善項目の中で職員の処遇改善を行うこととしており、指導員の確保にも努めてまいりたいと考えております。

 さまざまな政策を通しまして、放課後児童クラブの質、量ともに今後充実をしてまいりたいと考えております。

中根(康)委員 時間が来ておりますので、もう少し学童保育のことについては詳細にわたってお尋ねをしたかったんですけれども、きょうはこれで終わらせていただきますが、資源の配分を変えていくということの中で、高齢者から若者へということも一つなんですけれども、これを言うと、またわあっと何か言われそうですけれども、コンクリートから人へという考え方も決して全否定されるようなことではない、別に、公共事業が全部悪いと言っているわけじゃないわけですから。

 そういった考え方で、高齢者から若者へという、例えば同じ厚労省の予算の枠の中でつけかえをするんじゃなくて、予算全体の見直しをする中で、少子化対策を政府挙げて全力で取り組んでいただきたい、こういったことをお伝え申し上げさせていただきまして、きょうは終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 日本維新の会の坂本祐之輔でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、青少年の健全育成につきまして、幾つかの観点から質問をさせていただきたいと存じます。

 前回の特別委員会の質問の際にも申し上げさせていただきましたが、私は、青少年の健全育成を考える上で、その基盤、基礎をつくる乳幼児期の子育てが非常に重要だと考えております。そして、大臣も同様の認識をお持ちだと御答弁をいただきました。

 そこで、最初の質問でございますけれども、前回の質問で、仕事と子育てを両立したい女性、そして子育てに専念したい女性がいる中で、待機児童対策など、仕事と子育てを両立したい女性への支援に比べて、在宅で子育てに専念する家庭への支援の政策が極端に少ないので、こちらにも支援を拡充すべきではないかと質問させていただいたところ、拡充していただく旨の御答弁をいただきましたけれども、具体的にどのような政策を実現していかれるのか、お伺いをいたします。

森国務大臣 子ども・子育て支援新制度でございますけれども、この新制度は、就労の有無や状況にかかわらず、全ての子どもの発達をひとしく保障していくことを目的としておりまして、保育を必要とする子どもに関する取り組みのみならず、在宅での子育て家庭も対象として、一時預かりや親子の交流、子育てに関する相談支援の場の拡充など、多様な支援メニューの充実を図ることとしております。

 これらの事業については、市町村が実施主体となり、各事業に対する現在の利用状況や今後の利用希望を把握した上で事業計画を策定し、計画的に整備を進めていくこととしておりまして、在宅の子育て家庭を含め、それぞれのニーズに応じた適切な支援の充実が図られるように取り組んでまいりたいと思います。

坂本(祐)委員 ありがとうございます。

 市町村が実施主体となって、さまざまなメニューをつくって支援をしていくということでございますけれども、私も首長を十六年務めさせていただいた中で、埼玉県下で初めて保育園規模の子育て支援センターを単独事業としてつくらせていただきました。

 この中には、例えば民生・児童委員や母子愛育会やあるいは保健師等が日々訪れる、あるいは医師会から医師が来る、そして、子どもの子育てに悩んだお母さんやお父さん、おじいちゃんやおばあちゃん、いろいろな方の相談を行う、そして、相談をしない子は自分たちが自由に遊んでいくというような子育て支援センターでございましたけれども、近隣の市や町からも毎日ここに通ってくる親と子がいらっしゃいました。

 すなわち、国がそのメニューを導入しようとしても、単独費となりますので、交付税算入をされるかどうかということはありますけれども、しかし、財源がないと、こういったものができません。

 大きいセンターを建設することができればいいわけでございますけれども、保育所や幼稚園やいろいろなところ、学校でもいいと思いますけれども、そういったところの活用も実際に行っていただく中で、地域住民にとって、特に、子どもを育てている七割の方という現況でございますから、国がそれぞれのメニューの指示をするだけでなくて、現場の声を聞きながらその整備を図っていく、そしてその主体にとっては、予算がかかるものについては積極的に財政的な支援をしていただくような政策を実現していただきたいと願っております。

 次に、幼児教育の無償化について質問をさせていただきます。

 子どもの健全かつ健やかな成長を考えたときに、質の高い幼児教育の確保あるいは充実は大変に重要なことであると考えます。

 森大臣も前回、私の質問の際に、この件につきまして、多子家庭の三人目の無償化の実現などにつきまして御答弁をいただきました。さらに、森大臣のホームページを拝見させていただきますと、大臣の進める政策の一番に、この幼児教育の無償化が挙げられていらっしゃいます。

 現在の幼児教育の無償化は、第二子が半額、そして第三子が無償となっておりますけれども、子どもの数え方として、小学校三年生以下の子どものみをカウントするというふうにされています。

 例えば、小学校三年生のお子さんと幼稚園のお子さんが一人いれば、幼稚園のお子さんは第二子としてカウントされますので、幼稚園の料金が半額になります。しかし、小学校四年生のお子さんと幼稚園のお子さん一人の場合には、幼稚園のお子さんは第一子としてカウントされてしまいますので、幼稚園の料金の半額の適用は受けられない。なぜ四年生にラインが引いてあるかというのはわかりませんけれども、というように、とりわけ、非常にわかりにくい制度になっているわけであります。

 財源の確保の問題はあると思いますけれども、幼児教育の重要性と、さらにまた質の確保を考えると、わかりやすい仕組みにした方がよいと私は考えます。

 例えば、子どもの数のカウントの仕方を学年や年齢で線引きをせずに、単純に、第二子であれば半額、第三子以降であれば無償になる、このようにした方が、子どもを産み育てやすい環境がよりできるのではないかと思いますが、この幼児教育の無償化の仕組みの改善について、大臣あるいは文部科学省の見解をお伺いいたしたいと存じます。

義本政府参考人 お答えいたします。

 幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものでございまして、委員御指摘のとおり、家庭の経済状況にかかわらず、全ての子どもに質の高い幼児教育を受けさせる機会を保障することが必要でございます。また、少子化対策の観点からも、経済的負担の大きい幼児期の教育の無償化に向けた取り組みを進めることは重要でございます。

 幼児教育無償化につきましては、昨年六月に、幼児教育無償化に関する関係閣僚・与党実務者連絡会議におきまして、今後の取り組みの基本的な方向がまとめられまして、環境整備と財源確保をしつつ、まずは五歳児を対象として無償化を実現することを視野に置いて、平成二十六年度から段階的に取り組むこととされているところでございます。

 この基本的な方向を受けまして、平成二十六年度におきましては、幼稚園の就園奨励費補助金を拡充いたしまして、幼稚園と保育所の負担の平準化を図る観点から、低所得世帯、多子世帯の保護者負担につきまして、幼稚園につきまして、保育所と同様の軽減措置を行っているところでございます。委員御指摘のとおり、第二子は半額、第三子以降については無償という形で行いまして、さらに、生活保護世帯につきましては無償というふうな措置を講じたところでございます。

 委員御指摘のとおり、多子世帯の第二子、第三子の幼稚園についてのカウントの仕方でございますが、保育所において、多子世帯の軽減の対象期間がゼロ歳から六歳までの六年間にしているということを勘案いたしまして、幼稚園につきましては、入園できる満三歳から小学校三年までの六年間の中でカウントするということでございますので、その中での一子、二子、三子ということについては、委員御指摘のとおりでございます。

 わかりやすい制度ということで、年齢制限を撤廃することにつきましては、対象人員がそれによりまして拡大しますので、追加財源をどうするか、あるいは、これまでの幼稚園、保育所におきます多子世帯の負担軽減の整合性等の課題があると認識しているところでございます。

 いずれにせよ、どのように無償化に取り組むかにつきましては、さきの政府・与党の実務者の取りまとめの方向を踏まえまして、まずは五歳を前提にしまして、どのような対象、方法にすることが適切かにつきまして総合的に検討してまいりたいと考えております。

森国務大臣 委員と気持ちは全く同じでございます。

 幼児教育の無償化でございますけれども、ずっと我が党も公約に掲げてきておりまして、なかなかそれが実現できないで来たのでございますけれども、安倍内閣が発足して、年が明けまして、昨年、三大臣会合を持ったんです。私から呼びかけまして、文科大臣と厚労大臣と私でこれは何回も行いました。そして、幼児教育の無償化について、一歩ずつでもいいから踏み出そうということで、各大臣が何回も知恵を出し合って、そして、次の段階で、与党・政府連絡協議会ということで与党の方にも入っていただきまして、そして始めたのが、今年度から無償化になりました、幼稚園の第二子の半額と第三子の無料化でございます。

 これについて、どうして三年生となっているかと申しますと、保育園が、そもそもそこで線が引かれておりまして、第二子が半額、第三子が無料でございましたので、それと同じにするという趣旨から、そこで、まず第一歩ということで、財源を必死になって集めてまいりまして実現をしたということで、これは第一歩ということで御理解をいただければと思います。

 やはりこれを財源の確保の方策の検討とあわせて前に進めてまいりたいと思いますが、その際に、進め方はさまざまあると思います、その年齢を引き上げていくのもあると思いますが、年齢を引き上げたときに第三子がどれぐらい入ってくるのかということもあると思います。

 いずれにせよ、与党・政府連絡協議会で決めた方向感としては、まず五歳、五歳児の無償化に向けて頑張っていこうということでございますので、そういった方向を目指して今後とも頑張ってまいりたいと思います。

坂本(祐)委員 ありがとうございます。

 先ほどお答えをいただいた中に幼稚園の就園奨励費というのもありましたけれども、こういったものも、それぞれの市町村で独自に配分をしておりますから、私は、本来であれば、国が一定程度の助成をして、それで打ちどめるという方が市町村格差がなくなるのかな、子どもの健全育成のためには一律に全国支援をするということが大切なのではないかということも考えております。

 大臣におかれましては、文科大臣と厚労大臣と、三大臣でお話をされたと今おっしゃっておられましたけれども、穏やかな大臣ばかりでいらっしゃって、今後はぜひ財務大臣も入れていただいて四大臣で、やはり財政をどうここに取り込むことができるかというのが、大切な問題、大きい問題だというふうに感ずるところでもございます。

 将来を担う大切な子どもたちこそが健全に、そして立派に成長することによって日本はより豊かに繁栄をすることは間違いないわけでございますので、ぜひ、少子化対策にもなりますし、健全な青少年育成の推進のためにも、この点、御留意をいただいて、公約ということであれば、一刻も早い実現を目指していただければと願っております。

 続きまして、乳幼児医療費の助成について質問を申し上げさせていただきます。

 子どもの健全育成を支援するためには、子どもの健康や命を守ることは大切であり、これはまた当然のことであります。しかし、現行の助成制度は、都道府県において、対象年齢や入院、通院に対する助成が違っております。

 例えば、三歳未満の通院費のみ県の補助としているところと、十八歳年度末までの入院、通院費の支援を県が行っているところと、大きな差があるわけでございます。何と十五歳、差があるわけですね。

 同様に、市町村においても、隣の町では医療費が中学校まで入通院も無料化、おまけに窓口払いもない、窓口払いに対しては制度が違うということもありますけれども、こういった格差があらわれております。

 しかし、健全な青少年の育成を考えたときに、その青少年の命や健康を守るという視点から考えて、これが各市町村でまちまちであっていいのか。子どもの健康や命を守る観点から、自治体による独自の支援を公平に、同じようにしていく必要があると考えますけれども、この件についてもお答えをいただければと存じます。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 子どもの医療費につきましては、医療保険の中で、小学校入学前の子どもにつきまして、自己負担割合を三割から二割に軽減をいたしております。このほか、例えば未熟児でお生まれになったお子さんとか、特定の慢性的な疾患を抱えているお子さんの医療費につきまして自己負担を公費で助成する、こういった形で、お子さんの状況に応じまして必要な負担軽減を行っているところでございます。

 これらの施策に加えまして一律に自己負担のさらなる軽減を行うということになりますと、現在の大変厳しい財政状況のもとで、医療費助成以外の他の子ども・子育ての関連施策、さまざまなものがございますけれども、こういったものとの均衡なども勘案いたしますと、現時点では大変課題が多いものというふうに認識をいたしております。

坂本(祐)委員 私が申し上げたいのは、そういった医療費の格差、子どもたちを健全に育てる、例えば、入院費、通院費をある県が小学校に上がる前まで支援する、しかし市町村はそれをしない、しかし、財源のある、財力のある市はそれを中学生まで、医療費、入院費も通院費も窓口払いも全て無料にしたとなりますと、私たちが試算したのは、通常かかるより大体一・五倍程度は、表情を見たりあるいは様子を見て子どもたちを医者に連れていくんですね。ですから、それだけ医療費がかかってしまうということはありますけれども、それによって大きな病にかからずに病気が治せたというような事例もあります。

 地方自治体で今、自治体間格差が進んでおり、それが地域間の格差にもなっています。それを国は黙って見ているのであれば、むしろ、私は、中央集権体制から地方分権体制、財源の移譲をしっかりと市町村に行って、何らかの形で行って、そのことによって地域での青少年医療についても考えてもらう必要があるのではないかというふうに思っております。

 医療等につきましては、国民は皆同じでございますので、隣の町の子どもと自分の町の子どもが病院にかかる医療費が違うんだというところの差がない方がいい、それはしっかりと国が方向性を決めるべきだと私は考えております。

 続いて、小児医療体制の充実について質問させていただきます。

 子どもを産み育てやすい環境をつくるには、近くにかかりつけ医がいることが大切であって、いつでも、子どもが体調を崩したときにそのお医者さんに診てもらうことができる、その体制が必要なのは言うまでもないと思います。

 しかし、二〇〇四年、平成十六年に臨床研修医制度が導入をされ、地域医療は崩壊をいたしました。医師の数が一極集中、すなわち東京に偏って、病院の運営も厳しくなってきた。私も市立市民病院を運営させていただきましたけれども、もちろん小児科医は早目に引き揚げていく先生がいらっしゃいました。この制度に私は大変に問題があるというふうに考えておりますが、しかし、直ちにこの制度を改正して、地域医療を回復させるというわけにはいかないと思います。

 しかしながら、いつでも安心して赤ちゃんや子どもが医師に診てもらえるような医療体制をつくることは、やはり子どもを健全に育てる中では大切な重要政策であるというふうに考えておりますけれども、この件につきまして御見解をいただきたいと存じます。

神田政府参考人 小児医療体制の整備につきましては、平日昼間の通常の小児科診療に加えまして、特に夜間、休日の救急医療体制の充実を図ることが重要であるというふうに考えております。

 平日昼間の診療体制につきましては、比較的軽症な患者の診療を担う小児科診療所、入院医療を担う小児科二次医療機関、施設内に救命救急センターが整備された、より高次の医療を担う小児医療機関のように、限られた医療資源を活用しつつ、重症度に応じて小児医療体制の整備を図っているところでございます。

 また、休日、夜間の診療体制につきましては、外来診療を確保するための小児初期救急センター、入院医療を確保するための、二次医療圏単位で地域の実情に応じた病院群輪番制方式による救急医療体制の確保、複数の二次医療圏にまたがる広域で小児の重症救急患者に対応する小児救急医療拠点病院、さらに、超急性期の重篤な小児救急患者を二十四時間体制で受け入れる小児救命救急センターなどの運営費に対する支援等を通じまして、その整備を進めているところでございます。

 さらに、現在国会で御審議いただいております医療介護総合確保推進法案に基づきます新たな財政支援制度の中におきまして、地域の実情に応じた小児医療体制を整備するために、夜間の保護者向けの小児救急電話相談事業でございますとか、救急医、内科医等を対象にしました小児救急研修など、地域の実情に応じた事業も支援の対象に加えることができるようにしているところでございます。

 今後も、これらの取り組みを通じまして、夜間、休日の対応を含めた小児医療体制の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

坂本(祐)委員 ありがとうございます。

 この問題につきましては、私は、臨床研修医制度を変えていかなければ地域医療の復活はない、特に小児科については、少子化が進んでいる中で、お医者さんも少なくなっています、麻酔医もそうでありますけれども、しかし、小児科をしっかりと地域に設けていただいて、子どもたちの大切な命や健康を守っていく、これはなかなか中央からの指示だけではできない大きな問題であろうと思いますので、この臨床研修医制度の検証をぜひしていただきたい。

 この件につきましてはまた違う委員会で議論をさせていただきたいと思いますけれども、小児科ばかりでなく、夜間、休日の体制は、全部の市町村民にとっても、これは今、たとえ埼玉県や千葉県であっても、医療制度が崩壊をしている中では大きな問題となっております。

 その現実に目を向けていただいて、しっかりとその制度を変えていくことによって、日本全国どこの過疎地に行ってもお医者さんがいて子どもの命を守ることができるというような体制をどうしたら構築できるのかということを、私は、やはりもう一回この制度を検証していただきながら考えるべきときが来ているのではないかということを指摘して、次の質問に移らせていただきます。

 学校給食費の無償化についてでございますけれども、食育、医食同源という言葉が示すように、人の健康を守るための食事はとても大切なものであります。バランスのとれた食事を毎日しっかりととっていくことが、子どもたちの健全育成に欠かせません。学校給食の果たす役割は大変に大きいと思います。

 しかし、ここにも、医療費と同じように市町村によって費用負担の格差が生じているのは、私はおかしいと思っております。ある町では医療が無料、そして隣の町では有料。

 義務教育課程の中においては、医療費と同じように、予算がない状況下であっても支援することが必要と考えておりますけれども、この点についての見解をお聞かせください。

永山政府参考人 まず、学校給食の実施そのものでございますけれども、これは御案内のとおり、学校給食法第四条の規定によりまして、設置者の努力義務となってございます。

 その上で、費用負担につきましては、施設設備に係るものあるいは人件費、これについては設置者の負担、それから、いわゆる食材費、これは学校給食費ということで保護者負担というのが法律に定める仕組みでございまして、現在、その仕組みにのっとって各自治体の運用がされているというふうに理解をいたしております。

坂本(祐)委員 努力義務ということでございますけれども、これは先ほど申し上げた医療費も同じでありまして、やはり地域間格差がこれだとどんどん広がっていってしまうんです。

 ですから、地方分権をしっかりと進めていく、道州制も、一つは、国保等は道州制で行った方がいいと私なんかは思っておりますけれども、そういった財源や権限を移譲することによって、その地域がいわゆる平均した医療や給食が受けられるというような体制になるのではないかというふうに思っておりますので、ぜひ、子どもたちをしっかりと育てていく、このことにつきましても、給食費の無償化についてお考えをいただければと思います。

 最後になりますけれども、江戸時代のことわざに、三つ心、六つしつけ、九つ言葉、十二文、十五ことわりで末決まるということわざがあります。これは、三歳までは愛情深く接し、子どもに人に対する信頼感を植えつける、六歳までには作法の基本を身につけさせる、九歳までには他人への口のきき方を教える、十二歳になると文字が自在に操れるように仕込み、十五歳になると森羅万象に対してその真実を見抜く力を養っておくという意味だそうであります。

 江戸時代のことわざでありますけれども、子どもたちの各発達段階における子育て、教育のあり方を的確にあらわしておりまして、現代の青少年の健全育成にも通じるものであると思います。

 本日御指摘をさせていただきました幾つかの課題にも関係いたしますけれども、子どもの発達段階に応じた適切な子育て、教育こそが、青少年の健全育成に資するものであると考えております。

 私は、青少年の健全育成は国の最重要課題であって、青少年の健全育成、健全な成長こそが、今後の我が国の発展に最も重要であると確信をいたしております。十年後、二十年後の日本を背負って立つのは今の青少年たちであります。

 青少年の健全かつ健やかな成長のために、本日御指摘させていただきました課題につきましてしっかりと取り組んでいただきますことを強く要望いたしまして、私の質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、遠藤敬君。

遠藤(敬)委員 きょうは、道徳の教材についてお話をする前に、地域の学校、区域といいますか校区ごとの問題をさまざまお聞きしまして、冒頭、小学校が乱れているということで御質問をさせていただきたいなというふうに思っております。

 ある小学校なんですけれども、離婚が理由で学校が荒れ始めたというお話でありますけれども、その子どもさんが、六年生なんですが、四、五人のグループで教室内でたばこを吸う、学校のガラスを割る、それはもう先生もどうしようもないので警察に通報して、パトカーで四回も補導される、その後、子どもさんは、パトカーに乗りたかったと言われるぐらい、地域が本当に困っていて、自治会も、見守り隊も手をやいてどうしようもない、そんな状態になってしまったそうです。

 それで、保護者も先生方も、学級崩壊、授業崩壊だということもあって、地域のボランティアの方々が学校見学に行かれました。その際に、先生は注意もできない、教育委員会も全く手を出せない。その理由はと申しますと、その児童から、おまえの家を燃やすぞ、おまえのところの子どもをいじめるぞ、自宅前に学校給食で出てくる牛乳瓶を割られたり、それぐらい低年齢化した非情な犯罪が小学校でも起こっているということで、これはもう看過できない状況になっているんじゃないかなというふうに思っております。

 日に日にエスカレートするんですけれども、今はちょっと落ちついているとはいえ、保護者もどうしようもできない、学校もどうしようもない、教育委員会もどうしようもない。それは、よく森大臣がおっしゃられる、横串を刺していくという意味では、警察とも連携しながら、地域だけではどうしようもないという状態になっているんです。

 こういうことは、ひいては地域力の低下につながってまいりますし、地価の下落にもかかわってくる問題だなというふうにも懸念しております。

 まさに、子どもが転校したり、また転出したりという場合でも、子どもが少ないにもかかわらず、高齢化の中で、非常に子どもさんの確保、また地域の高齢化を防ぐためにも、小学校の充実というのも、小中学校は当然ですけれども、地域の充実というのは大事じゃないかなというふうにも思っております。

 この横串を刺していくという意味では、地域の自治会であったり教育委員会であったりPTAであったりと、さまざまな横串のあり方もあろうかと思うんですけれども、余りにも、小学生という若年層なので、警察の介入というのも本当に難しいかなというふうにも思っております。

 実際、我々の知り及んでいるところでも、何カ所かそういう話をお聞きするんです。そんな場合に、ぜひ、こういうのも、国レベルなのか都道府県レベルなのかわかりませんけれども、いかに横串を刺して地域を守っていけるか、また、学校を守っていけるか、そんなことが必要じゃないかというふうに思っています。

 そういう地域の連携と、学校、そして家庭教育を含めた中で、これからそういう低年齢化する犯罪も含めて、守っていかなくてはならない、これが最終的には地域を守るということになるんだと思うんです。

 ぜひ、その辺のところを、弁護士でもあられます森大臣に御見解をお伺いしたいと思います。

森国務大臣 そのお子さんのそのような行動に出る原因が、委員は御家庭の離婚問題とおっしゃいましたけれども、そうかどうかはわかりませんけれども、家庭というのは子どもの健やかな育ちの基盤であります。

 一方、地域とのつながりというものも大事ですが、現在はそれが希薄化していると指摘をされております。

 そういった地域の皆さんや親などの身近な方に守られているということ、そしてまた、親自身も周りの地域と助けたり助け合ったり、また、その親がそれ以外の年上の方から子育て等を学んでいく、そういった機会も減少しているというふうに指摘をされています。

 こういった子育てや家庭をめぐる環境の変化を踏まえて、社会全体で家庭や教育を支えることが求められているというふうに思います。

 家庭が子どもたちにとって安心の場になるように、良好な育ちの場となるように、政府としては、関係府省が連携して、家庭教育支援や子育て支援の一層の充実に鋭意取り組んでまいりたいと思います。

遠藤(敬)委員 要するに、どこへ相談したらいいかわからないということなんです。

 ですから、教育委員会であったり、先生が手を焼いて、校長先生さえ対応できない、対処できない、そんな状況の中でどうしたらいいのかということをおっしゃっているわけでありまして、その対応を、ぜひこれから、政治も深くかかわりながら、安心、安全のまちづくり、いわゆる学校校区の中での出来事はできるだけ地域で完結できるようなまちづくりを進めていくことが、将来の青少年の健全育成という大きなスローガンのあるもとでは、地域力を高めるということが大きなことではないかというふうにも言われております。

 また、その一方で、見守り隊の方々がおっしゃるのに、コンビニで、子どもさんが集まって、たばこを吸うとか吸わないとかいう以前に、集まる場所になってしまっている、そこの規制を何とかできないかということもおっしゃっております。

 遊ぶところがないのでどうしてもコンビニに集まってしまうということもあって、コンビニに対する青少年のあり方といいますか、そういう守っていくという意味でも、コンビニに対する規制も必要になってくるんじゃないかなというふうにも思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それで、道徳という意味で、倫理観、教科書問題につなげていきたいんですけれども、先ほどの事例の子どもさんの親は、コンビニでたむろしている子どもたちに注意をしたそうです。その保護者がやってきて、逆に怒られて、うちの子どもが何で怒られなあかんのというようなことまで起きて、これはどこに行っても、親御さんに、おたくの子どもさんはこんな状況になっていますよと言いに行ったにもかかわらず怒られるというような状況になっておりますから、そんなところも、どこへ相談に行ったらいいのかわからないというふうになっています。

 まさに、これからの日本の再生の中で必要な道徳の再生ではないかなというふうに思っていまして、道徳の教材について御質問申し上げたいと思います。

 先般、五月十六日の文部科学委員会、下村大臣の御答弁で、四月から使用されている道徳教材「私たちの道徳」が、小中学生全員に配っているはずなのに、学校に置きっ放しになっている実態があったという旨がございました。

 まさにこれも質問の中で、いろいろと私も調査してまいりましたが、ある調査内容によると、報道ですけれども、首都圏の小中学校四十校を調べましたが、九割近い学校で持ち帰らせていないということが判明いたしました。全てが明快なのかどうかわかりませんけれども、報道で出ております。

 この実態は、音楽の教科書のように学校に置いておくのがいいのかどうなのかということなんですけれども、内容を見てみると、地域の方にサインをしてもらったり、保護者の方にサインをしてもらったりと、さまざまな工夫を凝らしておりますし、「心のノート」の改訂版と言われるだけあって、すばらしくなっているんじゃないかなと私は思うんです。これが学校にとめ置くような教材なのかどうかということも不思議でなりません。

 その辺について、まず冒頭、上野政務官に、御意見でも結構ですので、お聞かせいただきたいと思います。

上野大臣政務官 遠藤議員の御質問にお答えします。

 まず、「私たちの道徳」は、それまで使っていた「心のノート」を再改善してグレードアップさせて、道徳の教科化に向けて、小中学生、義務教育下にある全ての子どもたちがうまく利活用してくれて、なおかつ保護者にも、そして地域の方々にもぜひとも利活用して中身を見てほしいという思いで、平成二十六年の二月十四日付で、初等中等教育局長から全国の都道府県それから政令指定都市の教育長、それから都道府県知事、また各国立大学長、附属の小中学校、さらには構造改革特区の各地方団体の長に、配付するようにという通知をしたところでございます。

 しかしながら、御指摘のように、この副読本が、かわいそうに学校に置き去りにされているという思いで、多分「私たちの道徳」も泣いているんじゃないかなと思うんですが、この本をつくった狙いは、もちろん、今、家庭の教育力の低下が言われている、家庭でも、先ほどのような荒れた子どもたちもいる、誰がどこでどういうふうに道徳精神、公的、公共性のモラル、ルールを学ばせればいいのかという大きな問題があるので、ぜひともそれを使ってほしいという思いなんです。

 実は、イギリスなどは、ノートブックというのは、自分で自分のマイブックをつくるという意味でノートブックといって、いっぱいノートをとらせるんですが、それもそういう思いで、副読本プラス自分のマイノートブックとして、愛読書、フェーバリットの自分の本として持って歩いてもよろしいんですが、そのような形で持ち歩いてほしいという思いでつくったのです。

 私もあるリサーチをしたところ、学校では、置いておくのは、小学校低学年は、重たいから。重たいから学校に置いていくんじゃなくて、子どもは、重たくても、楽しければ持ち帰ります。前に「ハリー・ポッター」とかこんな分厚いものが出ましたが、子どもたちは、あれはおもしろいから、こんな厚くても持って歩くんです。

 そのような本にしてほしいので、もっともっとすばらしい本だよということを文科省も発信しますけれども、地方の教育委員会等学校関係者、地域の方々も、こんなおもしろい本だ、みんなで見ようという思いになるように、これからも発信していきたいと思っております。

遠藤(敬)委員 確かに余りおもしろくはないと思うんですよね。僕は、おもしろいからどうのこうのということではなくて、これは、文科省、国がきちっと精査して、今の子どもたちに伝えなければならないことを記載されているすばらしい道徳の教材だと思っております。

 それで、この副教材なんですけれども、これは文科省にお聞きしたいんですが、これは各学校に配られたとお聞きしております。どこまで強制力があって、この副教材が使用されるのかされていないのか、ちょっとそこをお聞かせいただけたらと思います。

上野大臣政務官 これは、まだ道徳の時間に使う教科書がないわけで、そのかわりに、代替として使うのは、副読本として、恐らく全国で使えるのはこの本しかないと思います、ほかに今まで使っていたそれぞれの地域の資料はあると思うんですが。こういう思いもあって、貴重な財源十億円を使いまして、皆さんの税金で無料配付もしております。

 ですから、強制とかではないですが、ぜひとも使ってほしいという思いでつくっておりますので、宝の持ち腐れにもなりますから、おもしろいとか、さっき、失言ですが、そうじゃなくて、とても心に残る、ためになるいい本、子どもたちの心の教育にはすばらしい本だと思いますので、これを使っていただきたいという思いでございます。

遠藤(敬)委員 これを送りつけただけで、では、強制力、使う使わないは、学校単位とか先生単位ということでよろしいでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的に、副教材につきましては、法律上の位置づけとしては、教科書と違いまして、教科書の場合は使用義務があるということでございますが、副教材の場合はそういう法律上の義務はないということでございますので、厳密に言うと、この「私たちの道徳」につきましても、使用を強制させるような法律上の権限はないということでございます。

 しかしながら、今、上野政務官からもお話し申し上げたとおり、文部科学省としては、確実に使ってほしいということを願っているというところでございます。

遠藤(敬)委員 それでは、今普及しているということで、まさに、下村大臣が、独自調査では七割、ある報道機関では九割、使用されていない、あるいは置き去りになっているということでありますけれども、その調査はされようとするのかどうかという点を、上野政務官、よろしいですか。

上野大臣政務官 子どもたち一人一人に確実に配付されているか、また、家庭や地域でも活用されているかは、引き続き働きかけをしてまいりたいと思っております。

 具体的な活用の状況についての調査を行うかどうかは、今後の状況を見きわめつつ検討してまいりたいと思っています。

遠藤(敬)委員 道徳の教科化ということも間近に迫っておりますが、そんな中で、学校現場が教科書すら使っていただけない状況で、道徳の教科化ということも実態として本当にできるのかなという心配も私はしております。

 それから、副教材ですけれども、先生方に言わせると、この副教材一つの説明、解読書といいますか、説明文といいますか、指導要綱がないので説明ができないんだという先生もおられます。中には、同じ学年だけれども、隣のクラスは使っているけれども隣のクラスは使っていない、そんな事例まで、調べれば調べるほどありまして、学校レベルでも当然なっています、学年ごとに、使っていない、使っていると。

 これを是正していくためには、ある意味、国がリーダーシップをとっていただいて教科化に向けた流れをつくっていく必要が、この教材ですらこういう状況になっていますから、十億円も国費を投じて、報道によりますと、九割が使われていないということであれば、ある意味、十億のうち九億無駄になっている、そんなことのないように、「心のノート」と同様に、幾らいいものをつくったって使ってもらえなかったら意味がないということですから、いま一度、ぜひとも、その点も重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 私は、道徳の教科化もできるだけ早くやっていただきたいというその旨の中で、この教材をひとつ、きょうは、皆様方にお願いをして、一緒に頑張っていきたい、そういう思いで御質問をさせていただきました。

 続きまして、これも文科委員会でお話をさせていただいて下村大臣から御答弁をいただいたんですけれども、校内人事の問題についてということで、先般、四月十六日の文科委員会で、大阪市立中学校の校内人事に関する規定と職員会議規約について取り上げさせていただきました。

 これは、今、添付資料で先生方のお手元にお渡しさせていただいていると思いますけれども、その中身は、そういう規定と職員会議が、まさにシーラカンスのようなものがあったんです。それを大阪の報道機関を通じて調査した結果、それだけの数の返答があったということでありまして、その返答を受けて、これから文科省として調査をするという前川局長の御答弁もいただいたので、あれから今現状どうなっているか、お答えをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、永岡委員長代理着席〕

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の件につきましては、現在、文部科学省といたしまして、大阪市教育委員会その他、いろいろ問題があると報道されたところにつきましてヒアリングを行っているところでございます。したがいまして、そのヒアリングの結果などを踏まえまして、今後全国的な実態の把握をどういうふうに行っていこうかということについて検討しているところでございます。

遠藤(敬)委員 では、まだ全国の教員人事に関する調査というのはされていないということでよろしいでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、今ほど申し上げましたとおり、大阪市と同様の事案があったと見られる自治体からもヒアリングを行っておりまして、大阪市も含めてこれら自治体においては、校内規定のあるなし、あるいは、どういうふうに規定されているかのみならず、それがどういうふうに運用されているのかということについてもいろいろ問題があるようでございまして、そういうことにつきまして個別に聴取をしているところでございます。

 大阪市のみならず、大阪府とかその近隣の自治体とか、幾つかの自治体から話を聞いておりますので、そういった事情聴取の結果などを踏まえた上で全国的な実態調査を行いたいと思っておりまして、現時点においては、まだ全国的な実態調査には至っていないという状況でございます。

遠藤(敬)委員 教職員のこの規定とか職員会議の内部のものというのもいろいろありますけれども、大阪市の事例ですけれども、校長が職員会議に入っていって、あんたは入ってくるなと言われるぐらいの事例まであるんです。

 ぜひそういうところを精査していただいて、道徳の教科書一つとってもそうなんですけれども、どういう形で国として教育のあり方を考えていくかということを十分に御認識いただけるようにしていただかないとなかなか前に進んでいかないと思いますから、この実態調査も早期にしていただいて、道徳の教材も、また教科化も含めてお考えいただきたいと思います。

 質問の時間が来ました。これにて終了します。ありがとうございました。

永岡委員長代理 次に、佐藤正夫さん。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 質問に入らせていただきます。通告を何点かやっていますが、順番がばらばらになるかもしれません。その節はお許し願いたいと思います。

 先ほどの質問でも、居所不明の子どもさんについてという御質問がありました。そこで、一、二点ちょっとお尋ねをしたいのです。

 こういう子どもさんがこの間厚木市でお亡くなりになったということがありましたけれども、文科省として、この実態をどのように考えておられるのか、そして、この居所不明というのは今に始まったわけじゃないでしょうから、これまでどういう対策をとり、どういう調査をされたのか、その点についてお尋ねしたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、厚木市での、居所不明の子どもさんが亡くなったというあってはならない事案ということで、非常に残念に思っているところでございます。

 文科省におきましては、毎年度、学校基本調査におきまして一年以上居所不明者の数というのをとっておりまして、二十五年度においては七百五人になっているところでございます。前年度調査からは減少したものの、依然として大きな数字でございまして、学校教育を受けるべき子どもたちが就学していないということにつきましては、教育を受ける権利の保障の観点から重大な問題だと考えております。

 こうした子どもたちの所在を把握するためには、学校や教育委員会が児童福祉関係の機関と連携して情報を共有することが対応として必要でございますが、残念ながら、平成二十四年に文科省が行いました調査では、教育委員会を初めとする学校と児童福祉の関係機関との連携が十分図れていないというふうな事例が見られたところでございます。

 このため、文部科学省におきましては、平成二十五年の三月に、市町村の教育長等宛てに通知を発出いたしまして、住民基本台帳担当や児童福祉関係機関と教育委員会がしっかり連携すること、それから、要保護児童対策地域協議会に学校関係者としてしっかり参加すること、それから、事件性が疑われる事案の警察への相談などを積極的に行うことによりまして、居所不明児童生徒の把握の取り組みを充実するよう強く指導しているところでございます。

 現在、厚労省におきましては、文科省と協力しまして、居所、居住実態が把握できない子どもの数及び市町村の対応状況等について詳細な調査を実施しているところでございます。厚労省におきましては、この調査の結果を踏まえてさらなる取り組み方針を策定する予定だというふうに承知しておりまして、文科省としましても、厚労省としっかり連携いたしまして、対策の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。

佐藤(正)委員 何でそれは総務省が入っていないんですか。厚労省とだけですか。総務省が必要でしょう。

義本政府参考人 おっしゃるとおりでございます。

 これは、地方の関係者が一丸となって取り組む課題でございますので、文科省におきましても、厚労省はもとより、総務省、警察庁とも連携させていただきまして、しっかり取り組んでいきたいと思っているところでございます。

    〔永岡委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤(正)委員 最初にそれは言わないとだめですね。最初の答弁だと、厚労省と文科省だけという話。そうではないですよ。

 要するに、居所不明になったお子さんを実は見つけることができたケースが何度もあるわけですね。乳幼児のときもそうでしょう、小学校に入学したときもそうでしょう。そして、今言われたように、実は連携がとれていないケースがたくさんあったということが、調査の結果、出ているわけですよね。それを踏まえて今やろうとしているんだったら、当然総務省も入らなきゃいけない。当たり前の話です。

 というのが、あるとき、子どもの所在がわからなくなったときに、いわゆる住民台帳から削除をされてしまったというケースが今回わかったわけじゃありませんか。なぜそうなるのか。それは、まさに、学校現場も含めて、教育委員会も含めて、それぞれが縦割りでやっているから見つからないわけですよ。

 そこで、大臣にお尋ねをしたいんです。ここが大きな課題なんです。

 前回、私が薬物依存症の質問をさせていただいたときに、横串を刺す、大きな問題ですよね、そのときに、大臣はこういうふうにお答えになった。朝御飯を私がつくるから、福島産のおいしいおにぎりをつくるから、各大臣に声をかけて、朝食を一緒に食べましょう、その中で、政治主導を発揮してやりましょうと、やっていますよと言われた。確かにすばらしいことで、やっていただきたい。

 今回、こういう事件が起き、さらには、これまでいろいろなことが現象としてあった中で、大臣、この問題については朝御飯をつくられましたか。どうでしょう。

森国務大臣 朝御飯をつくったのは幼児教育無償化のときでございますが、朝御飯をつくって何回も会議をしてから大臣同士の連携が密になったということで、朝御飯をつくったときだけ連携をしたわけではございませんが。

 この問題も大変深刻でございまして、あってはならないことだと思っています。

 居所不明もそうですけれども、それ以外も、例えば児童虐待などもそうですが、見つけられるはずだった、機会があったのに逃していたという事例、たくさんございます。連携もそうですけれども、やはり一人一人の意識の持ちようということもあると思います。あらゆる反省材料を検証して、二度とこういうことがないように取り組んでいきたいと思います。

佐藤(正)委員 先ほど来の議論でいくと、まさに横串が必要な重大な事件が起きたんですよ。その横串を刺すことをイの一番にやる大臣ですから、私はあえて、朝御飯をつくられたんですかとお尋ねをした。

 やってくださいよ、こんな大事なことを。横串を刺す大臣でしょう。しかも、一番大事な子どもの命を失っている。なぜすぐやらないんですか。すぐやってくださいよ。

 しかも、それは、先ほど文科省が、厚労省だけではない、総務省もある、警察もあると。まさに全庁挙げて取り組まなきゃいけない問題です。しかも、実は、防げていた話でもある。命を守ることができたはずです。その反省がなければならないと私は思っています。

 もう一度大臣に答弁を願いますが、即座に、大臣がお声がけをされてやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

森国務大臣 関係省庁と連携をして、しっかり取り組んでまいります。

佐藤(正)委員 しっかり取り組んでいただきたいのと、すぐさまやっていただきたいと思いますよ。

 国民が、実は、こういう事例を見て非常に悲しんでいますよ。先ほど遠藤先生が言われた道徳の問題にも関係するかもしれません。

 実は、平成八年か十年、その近辺ですけれども、福岡の方でもこういう事例がありました、確かに。

 虐待を受けながら、電気ショックを受けながら、娘さんが、我がお母さんを殺害し、その娘さんは中学生、しかし、中学校に登校してきていない、家庭訪問をしたときにいない。そして、親御さんからわざわざ電話がかかってきて、きょうはぐあいが悪いから休みます、これが三年間続いたんですよ、三年間。あり得ない話なんですが、しかし、学校の立場からすると、親御さんから電話が入っているから、家庭に行っても、今ちょっと親戚のうちに行っているからと言われて、それをうのみにしてしまった結果、殺人まで起こしてしまった。自分の妹はお母さんに殺害をされた。ばらばらになった。痛ましいことが起きたんです。

 また同じようなことが起きている。もう二度とこういう事件は起こしてはならないと思います。だからこそ、大臣、しっかりと、もう早々に集めていただいて、できることから対策を練る。

 なぜなら、文科省が調査をした結果、地域との連携がとれていない学校もある。さらには、先ほど言われた、要保護児童対策地域協議会に学校が入っていない事例もある。考えられないじゃありませんか。

 そういうことを踏まえたら、大臣、再度お願いをしておきますが、一刻も早く連絡協議会なり担当大臣を集めて会議をしていただきたいということを要望しておきます。

 それでは、次の質問に入らせていただきます。

 例えば、いじめの問題でも、学校の先生はどうやって、いじめが起きているかというのがわかるんでしょうか。その辺はどういうふうに考えていらっしゃいますか。

義本政府参考人 いじめの早期発見ということについてはやはり非常に大事な点でございまして、ただ、いじめにつきましては、友達の関係の問題ですとか、あるいは勉学の悩み、いろいろな要因が絡むわけでございます。

 文科省におきましては、教員については、子どもたちのサインを見逃さないという点において、チェックリストを出させていただいて、それに基づいて、その取り組みを学校を挙げてやっていただくようにお願いしておりますし、また、各種研修会を通じまして、その趣旨についての啓発等の取り組みをさせていただいているところでございます。

佐藤(正)委員 そのチェックリストはもう長い間やっていますよね。あれは何年だったかな、平成の八年ぐらい。(義本政府参考人「いや、もっと最近です」と呼ぶ)最近。

 昔もあったんですよ。チェックリストというのがあって、先生に渡すんですよ。僕は言ったことがある、こんな車検のチェックリストみたいなもので子どもの心がわかるはずがない、教師のプライドを傷つけるようなものだと。それすらわからないこんなチェックリストでチェックして、何項目当てはまったらいじめがあるんだろうなんというのは、教員として恥じるべきだと僕は思いますよ。

 実際にそういうものが配られても、実は見ていない。先ほど遠藤さんが言われたとおりなんですよ、僕は学校に行って調べてきたから。机の中に入ったままになっている。

 こういう現実があるということで、文科省は、チェックリストをつくってしまったら終わりでは困るんです。

 教員の質の向上をやらなきゃいけないのと、さらには、少し問題が飛び火しますけれども、学校の先生を採用する際において、やはり人間力を重視した採用に変えていくべきだと私は思っています。さらには、やはり、学校でいわゆる常勤講師なり非常勤講師なりをしながら、学校現場で、自分が本当に教員として合っているのかどうか、こういったことをしっかり見きわめられるようにすべきだと私は思っています。

 チェックリストをつくったら終わりと思っちゃいけませんよ。ぜひ、そのことを指摘しておきます。

 質問がまだあるので、次に移ります。

 次に、いわゆる中一ギャップの問題についてどのようにお考えになっているのか、まず文科省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 中一ギャップというのは、公式な定義があるわけではございませんけれども、小学校においては学級担任をとっておりますし、また、中学校におきましては教科担任制に変わるというふうな形で学習の環境が変わる、あるいは思春期におきます心と体のバランスの問題など、学習や生活の環境に適応できず、結果として、不登校になったりとか、あるいはいじめや暴力行為などが発生するなどの現象を指すものと認識してございます。

 文科省におきましては、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査におきましても、暴力行為やいじめの数は小学校六年生から中学校一年生にかけて増加しておりまして、特にいじめにつきましては、小学校一年生から高校三年生までの全学年のうち、中学校一年生が認知件数が最多になっているところでございます。

 中一ギャップの問題につきましては、今申し上げましたような中学校における学習や生活の適応の問題のみならず、小学校段階では潜在化していたような子どもたちの問題が中学校において顕在化するというふうな見方もできるわけでございまして、結果として、このような現象は、小学校教育と中学校教育の接続をめぐります大きな課題だと認識しておるところでございます。

佐藤(正)委員 資料をいただきましたけれども、今の数字でいきますと、これは文科省の児童生徒の問題行動等云々の調査ですけれども、例えばいじめの認知件数が、小学校六年のときに六千六百十五、中一になったら一万五千二百六十に上がるんですよ。さらには、暴力行為については、小学校六年で二千五百八十七件が、中学一年になると一万九百七十七件。数字を見ただけでも、これが中一ギャップだというのがわかると思います。

 さらには、学校の先生も、今、大分弾力化したんでしょうけれども、小学校の先生は全教科、担任制で全部教えなきゃいけない。女性の先生だって体育は不得意じゃない、今度は、男性の先生はオルガンを弾くのが不得意だというケースがありますよ。さらには、今子どもたちの成長が早くなっていますから、高学年になってくるとそれで賄えるのかどうか。

 そこで、もう時間がないので一点に絞りますけれども、今話題になって新聞等でも出ておりますが、いわゆる小中一貫校について、文科省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のいわゆる中一ギャップと言われる現象に対処し、小中学校間の円滑な接続を確保する観点から、小中一貫教育の実践が全国的にも増加しておりまして、例えば、小中学校の教育課程を連携していくとか、中学校と小学校の教員の兼務の発令をし、相互乗り入れの授業を実施するとか、あるいは、小学校におきましては、先ほど挙げられたような、例えば理科とか音楽なんかも含めた一部教科担任制を導入するなど、各市町村におきましてさまざまな取り組みがなされているところでございます。

 これらの中には、文部科学省が行います研究開発学校制度などを活用しまして、九年間の教育課程を四・三・二ですとかあるいは五・二・二などの形で便宜的に区分し直して、区分ごとに教育活動の目標を設定して取り組んでいるところが見られるところでございます。

 こうした学校におきましては、不登校やいじめの減少、あるいは学力、学習意欲の向上などの成果が見られる一方で、教員の負担の問題ですとか、あるいは所有免許状におきます兼務発令の制約、転出入する子どもへの対応の充実などが課題になっているところと承知してございます。

 いずれにしましても、子どもの成長に応じた柔軟な教育システムを構築していくことは大変重要な課題でございます。教育再生実行会議におきましても、学制改革の一環として、区分の見直しとか、あるいは小中一貫の問題についても御議論いただいていると認識しているところでございまして、今後、教育再生実行会議での御提言あるいは御審議などを踏まえまして、文科省としても検討を行ってまいりたいと存じます。

佐藤(正)委員 もう数字を見たらわかるじゃないですか。ぜひやってくださいよ、小中一貫校。前向きにじゃなくて、やっていただきたい。今のデータを見ても明確にわかるんですよ。私はそう思います。

 だから、文科省も真剣に取り上げていただいて、小中一貫校を、今は特区的にやっていますが、できるようにしていただきたい。それで、地域性に合わせて、先ほど言った九年をどう割るかは別ですよ、その地域に任せていいです、ぜひ前向きにやっていただきたい。

 このことをお願いして、最後に、森大臣、先ほど言った件ですが、くどくなりますが、一言、あしたやるとか、あさってやるとかいうことを聞いて、質問を終わりたいと思います。

森国務大臣 各省庁連携して、しっかりと対応してまいりたいと思います。

佐藤(正)委員 残念でした、あしたじゃなかったということで。よろしくお願いしておきます。

遠藤委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 結いの党の青柳陽一郎でございます。ありがとうございます。

 本日は、質問の機会を二十分いただきました。早速質問に移りたいと思います。

 今国会の青少年問題特別委員会、先般、五月二十二日に参考人の質疑を行いました。あるいは、四月三日の一般質疑においても、私は青少年のネット利用に関する課題について取り上げさせていただきました。青少年がインターネットを安全、安心に利用できる環境をいかに整備していくか、あるいは、日々進化するネット環境にどのように対応していくのか、青少年インターネット環境整備法というのがありますが、この法律の抜けや穴があれば不断の見直しを行っていくべきだということを指摘させていただきました。

 これまでの委員会で、インターネットの光と影の部分でいえば、影の部分の議論をさせていただきましたが、前回の委員会の参考人質疑の最後でも少し取り上げさせていただいたんですが、本日は、光の方の部分、前回申し上げたとおり、本委員会の遠藤委員長も熱心に取り組んでおられるICT教育の普及と振興について、まず最初に伺ってまいりたいと思います。

 ICT教育、デジタル教育というのは子どもの創造力あるいは表現力を育むということに効果が認められているということについてはもう論をまたないことだと思いますが、そのICT教育の普及の方針というか骨太な方針は、昨年の六月十四日に閣議決定された教育振興基本計画においても位置づけられておりますが、まずは、ICT教育の振興について、いつまでに、何を、どうやって達成するのか、何を成果として位置づけているのかについて、これは参考人から伺いたいと思います。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘の第二期の教育振興基本計画でございますが、平成二十五年度から二十九年度までの五カ年計画でございます。こちらの計画におきましては、確かな学力をより効果的に育成するために、ICTの積極的な活用による協働型、双方向型の授業革新の推進ですとか、情報端末などを活用した実証研究の実施を初め、教育の情報化を進めていく上での教育環境の整備目標などについて記載をしているところでございます。

 文部科学省では、昨年度まで学びのイノベーション事業という事業を実施しておりまして、学校におけるICT活用の実証研究を実施してきたところでございます。ICTを活用した指導方法ですとかデジタル教材を開発してまいりました。あわせて、ICT活用の教育上の効果について検証を行ったところでございます。

 文部科学省といたしましては、教育の情報化を推進する上で、まずICTを活用した指導方法の開発、そして教員のICT活用指導力の向上、またデジタル教材の充実、さらには学校におけるICT環境の整備などについて取り組む必要があると考えておりまして、今年度におきましては、まず一つは、最先端のICTを活用いたしまして、学校同士や学校と家庭が連携した教育体制を構築するための実証研究を行います。また、ICTを活用した効果的な指導方法ですとか教員の指導力の向上を図るための方法の開発、そしてデジタル教材などの標準化などを実施することとしております。

 また、学校のICT環境整備につきましては、必要な地方財政措置を従来から講じているところですけれども、第二期の教育振興基本計画で目標とされております水準を達成するために必要な所要額といたしまして、この計画の最終年度でございます平成二十九年度まで、毎年度およそ千六百七十八億円、四年間の総額ですと六千七百十二億円になりますが、こうした措置が講じられる予定になっております。

 今後とも、これらの取り組みを行いながら、教育におけるICT活用を積極的に推進してまいりたいと思っております。

青柳委員 ありがとうございます。

 今いろいろ政策を述べていただきましたけれども、ICT教育を本格的に振興していくのであれば、一番効果的なことは、一人一台タブレットを配れという意見を多く聞きます。

 例えば、小宮山元東大総長、今の三菱総研の理事長は、このように述べられていますね。日本は情報化がおくれている、学校の情報化で最後の一マイルまで届ける、それこそが最大の公共投資だ、一人一台タブレットの配付というのは千二百億円でできる、大した金額ではない、やるべきだということを述べられております。

 今答弁で、毎年千六百七十八億円ついているということであれば、千二百億円で一人一台タブレットを配れるのであれば、私も、まずはやってみるべきだろうと考えるわけでありますし、こうした分野の関係者の話をお伺いすると、先般、アルゼンチンの訪問団の視察を受け入れたところ、アルゼンチンの視察団は、日本は教育の情報化がこんなにおくれているのかということで驚いたんだそうです。アルゼンチンでも、もう既に一人一台配付しているという話だったそうであります。

 こうした政策、一人一台タブレットを配付するということについてはやはり出おくれているんじゃないかと私は思いますけれども、文部科学省さんはどのように思われますでしょうか。

上野大臣政務官 先生にお答えいたします。

 先生の質問にもありましたように、かなり世界的にはICT教育は進んでいると私も思っております。

 そして、実は、小学校、中学校、さらには特別支援学校と視察させていただいて、ICT教育がどのように導入されていくかも、実際に先生方にお話を聞きながら、子どもたちの授業も見てまいりましたところ、やはり、特に発達障害を持っている子どもたちは、普通に教室で授業が受けられなくても、ICTを入れることによって集中的に授業ができるという現状もお聞きしましたし、また、特別支援学校においては、今まで自分たちで何もできなかった子どもたちが、ICTを導入することによって自分の思いを伝えることもできるようになったというのもお伺いしてまいりました。

 このように、わかりやすい授業や子どもたちの主体的な学びを実現する上では大変効果的であると思います。確かな学力の育成に資するものであるとも考えております。

 そこで、教育の情報化については、先ほどもお話ありましたが、平成二十五年の六月十四日に閣議決定された日本再興戦略において、二〇一〇年代中に一人一台の情報端末による教育の本格展開に向けた方策を整理し、推進することなどとされているところでございますので、文科省といたしましても、この目標の達成に向けて段階的に整備を進めているところであり、現在、平成二十九年、二〇一七年度までの計画である、先ほど参考人の方からお話しさせていただきましたが、第二期教育振興基本計画に基づいて、教育用コンピューターの整備に努めているところでございます。

 また、地方公共団体の取り組みも促しながら、財政面でもさまざまなことを講じているところでございます。

 以上でございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 もう少しスピード感を持ってやっていただいたらいいんじゃないかなと思いますし、今、遠藤委員長もうなずいていただいているところでございますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 関連して、政府は、知財計画二〇一〇で、ICTの利活用について、デジタルコンテンツに関するワークショップの開催というのを策定されました。その目標の一つとして、二〇二〇年までに、子ども創作ワークショップ、年間三十五万人参加ということも検討の対象に入っているという話を仄聞しているところであります。

 こうしたデジタル教育、ワークショップ、これを実践しているところとして、例えば、慶応大学のメディアデザイン研究科と、NPO法人でCANVASというところがありまして、ここが毎年ワークショップコレクションというのを開催しております。例年、二日間で十万人ぐらいの参加者があるイベントでありますが、ことしで十回目になります。ことしは八月に開催されるということでありますが、このCANVASのワークショップコレクション、私も何度も参加しておりますけれども、さまざまなジャンルのワークショップが一堂に会する、そして、ICTを用いるものも数多くあります。

 このような場所に実際にこれだけ多くの親子が訪れているというのは、時代が体験型学習というのを欲しているんじゃないか、あるいは逆に、相対的に言えば、学校でのデジタル教育あるいは体験型の教育というのが不足しているんじゃないかという可能性も指摘されているところです。

 デジタル教育の振興と一緒に体験型教育を振興して充実させていくという必要性、このような参加型のワークショップを全国展開していって、いつでも子どもたちがワークショップ、体験型デジタル教育に触れることができる、こういう民間の活動を活性化させていくというのは私は必要だと思いますが、文部科学省さんの御見解を伺いたいと思います。

上野大臣政務官 委員御指摘のように、知的財産推進計画二〇一〇及び二〇一三の工程表において、デジタルコンテンツに関するワークショップの開催について記載されており、文部科学省においては、情報教育を推進する観点から、この取り組みを行うNPO法人に対して後援名義を貸して支援しているところでございます。

 また、近年、NPO法人によるプログラミング教育に関するワークショップなど、デジタルコンテンツを活用した教育に関するさまざまな取り組みが行われていると承知しているところです。

 文科省としましては、議員御指摘のように、体験型デジタル教育の必要性も十分に考えておりますので、情報教育を推進する観点から、こうしたNPOの活動について引き続き支援してまいりたいと思っております。

青柳委員 実際に、今御答弁いただいたように、後援名義というのはいただいておるんです。でも、私もいろいろなイベントをやっていますが、後援名義をいただいても、それはありがたいんです、ありがたいんですけれども、実際的に解決になっているかというと、余りそういうことではないと思いますし、今御答弁いただいたように、実際にやっている主体というのはNPOが多い。私がかかわっているのも、CANVASも、実際、NPOです。

 ここの最大の課題はやはり財政的な支援であって、後援名義の付与だけで支援している、それで二〇二〇年までに計画を達成できるかといったら、そういうことはないんじゃないかと思いますので、政治家でもあるので、もう一歩踏み込んだ御答弁を期待したいと思いますが、いかがでしょうか。

上野大臣政務官 よく御存じで。

 民間企業やNPO法人が学校以外の場で独自に行っている活動に対して直接財政上の支援を行うことはなかなか難しいのが今の文部科学省の立場でございまして、文科省としましては、今後可能な範囲で支援をしてまいりたいと思っております。

青柳委員 ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 これも、前回の参考人の質疑あるいはその前の一般質疑でも私は指摘させていただいたんですが、最近社会問題化している一つに、リベンジポルノの問題があります。この問題について大臣にお伺いしたいと思います。

 前回の参考人質疑で、全国webカウンセリング協議会の安川理事長あるいは千葉大学の藤川教授、お二方とも、このリベンジポルノの対策については立法化が必要なのではないかということを述べられました。立法化、規制の強化による抑止力が高まるということについての効果、これは極めて重要だという指摘がありました。

 また、立法化する場合については、被害者の視点に立つこと、これは当然でありますし、さらに被害者の親の視点に立つこと、女性の視点に立つこと、さらには男性の視点に立つことも必要だという指摘がありました。

 あわせて、立法化以外に行政がとり得るべきことについては、実際に警察や弁護士に相談するというのは被害者にとってはハードルが高いので、気軽に相談に乗ってくれる人や場所、機関などが必要じゃないかということも、参考人からは意見があったわけであります。

 こうしたリベンジポルノの立法化の必要性あるいは抑止力の効果について、あるいは相談できる機関の設置について、大臣の御見解、御所見を改めてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

森国務大臣 いわゆるリベンジポルノですけれども、断じて許しがたい行為だと思っております。

 立法化については、参考人から御意見があった、法律を制定することで抑止につながるという考え方も、一つの御見識であるというふうに認識をしております。

 法制化については現在自民党においても検討がなされていると承知しておりますので、そのような議論を積極的に注視し、フォローもしながら、現行でできることはしっかりと対処しながら、また相談の場についても検討してまいりたいと思います。

青柳委員 ありがとうございます。

 時間も迫ってまいりましたので、最後の質問になりますが、せっかく土屋副大臣にもお越しいただきましたので、最後に質問させていただこうと思います。

 放課後児童クラブと待機児童の問題について伺いたいと思います。

 まず、現在の待機児童数八千六百八十九人ということですが、この数字についてどのように捉えられているか、多いのか少ないのか、あるいはどういう要因でこれだけ待機児童数があるのかということについてお伺いしたいと思います。

 時間の関係で、あわせて、まとめてお伺いしますが、放課後児童健全育成事業補助金については、毎年三百億円程度の予算が計上されているんですが、実際、毎年使い切っていないわけであります。この予算は、全体の二分の一の中の三分の一ずつを、国、県、市町村で負担する。つまり、六分の一を県が、国が、面倒を見ているわけですけれども、使い切っていないので、実際に、待機児童数、待機児童がいて、これを解消しなきゃいけない、予算がついているけれども、予算を使い切っていないという状況であれば、この負担の割合というのを見直してもいいんじゃないかと私は思いますが、こうした点も含めて、まとめて土屋副大臣に御答弁いただきたいと思います。よろしくお願いします。

土屋副大臣 お答えいたします。

 今おっしゃった人数ですけれども、実際は、希望しても利用できなかった児童が減ってきているというのは、平成十九年、一万四千二十九人いたんですけれども、御存じだと思いますけれども、二十五年度には八千六百八十九人になったということでございます。

 それで、予算が余っているというお話でございましたけれども、実際は、地方の補填ができない中で、なかなか使い切れていない部分もありますし、また、場所を確保できない等で使えていない部分もあると思います。

 それで、女性の活躍推進のためには、小学校に就学後、放課後等に児童の居場所がないといういわゆる小一の壁というのを突破していかないとだめで、放課後児童クラブ等を拡大するためのプランを策定して五年間で放課後児童クラブを新たに約三十万人分整備するよう総理から指示を受けたところでございます。

 約三十万人分の整備に必要な財源については、内閣府の子ども・子育て会議において議論されている、消費税増収分から〇・七兆円の範囲内で実施する量的拡充の事項に含まれておりまして、地方負担分についてもこれで措置されるということになっております。

 学校の余裕教室がなかなか活用されていないという面では、文科省といろいろ話し合いをさせていただいておりまして、この間、西川副大臣とも、これは一緒に頑張っていこうということで、今後も放課後児童クラブの拡充を図っていきたいと思います。

青柳委員 ありがとうございます。

 時間を超過しましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十三分散会


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