衆議院

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第2号 平成13年12月5日(水曜日)

会議録本文へ
平成十三年十二月五日(水曜日)

   午後三時開会

    ─────────────

 出席委員

  衆議院

   委員長 堀之内久男君

   理事 甘利  明君 理事 今村 雅弘君

   理事 牧野 隆守君 理事 宮路 和明君

   理事 池田 元久君 理事 石井  一君

   理事 北側 一雄君

      麻生 太郎君    大木  浩君

      大島 理森君    谷田 武彦君

      中山 太郎君    菱田 嘉明君

      堀内 光雄君    町村 信孝君

      山崎  拓君    小沢 鋭仁君

      島   聡君    手塚 仁雄君

      羽田  孜君    鳩山由紀夫君

      肥田美代子君    冬柴 鐵三君

      東  祥三君    小沢 一郎君

      志位 和夫君    土井たか子君

      野田  毅君

  参議院

   委員長 広中和歌子君

   理事 河本 英典君 理事 矢野 哲朗君

   理事 今泉  昭君 理事 木庭健太郎君

      有村 治子君    魚住 汎英君

      加藤 紀文君    小泉 顕雄君

      松田 岩夫君    吉田 博美君

      吉村剛太郎君    大橋 巨泉君

      角田 義一君    直嶋 正行君

      日笠 勝之君    富樫 練三君

      筆坂 秀世君    大渕 絹子君

      西岡 武夫君

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   小泉純一郎君

       総務大臣     片山虎之助君

       法務大臣     森山 眞弓君

       外務大臣     田中眞紀子君

       財務大臣     塩川正十郎君

       文部科学大臣   遠山 敦子君

       厚生労働大臣   坂口  力君

       農林水産大臣   武部  勤君

       経済産業大臣   平沼 赳夫君

       国土交通大臣   扇  千景君

       環境大臣     川口 順子君

       国務大臣

       (内閣官房長官)

       (男女共同参画

       担当大臣)    福田 康夫君

       国務大臣

       (国家公安委員

       会委員長)

       (防災担当大臣) 村井  仁君

       国務大臣

       (防衛庁長官)  中谷  元君

       国務大臣

       (沖縄及び北方

       対策担当大臣)

       (科学技術政策

       担当大臣)    尾身 幸次君

       国務大臣

       (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君

       国務大臣

       (経済財政政策

       担当大臣)    竹中 平蔵君

       国務大臣

       (規制改革担当

       大臣)      石原 伸晃君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  上野 公成君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  津野  修君

 委員外の出席者

  衆議院事務局

       国家基本政策委

       員会専門員    鳥越 善弘君

  参議院事務局

       常任委員会専門

       員        宍戸  洋君

    ─────────────

  本日の会議に付した案件

国家の基本政策に関する調査




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    ─────────────

   〔広中和歌子君会長席に着く〕

会長(広中和歌子君) ただいまから国家基本政策委員会合同審査会を開会いたします。

 議事に先立ちまして、一言ごあいさつ申し上げます。

 本日、会長を務めます参議院国家基本政策委員長の広中和歌子でございます。

 堀之内委員長とともに、本合同審査会に負託されました使命を果たしてまいりたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

 この際、本合同審査会における発言に関して申し上げます。

 各党首及び総理におかれましては、申合せの時間の中で活発な討議が行われますよう、御発言はそれぞれ簡潔にされるよう御協力をお願い申し上げます。また、本日は時間表示装置を使用いたします。表示装置は残り時間を示し、配分時間が終了したときには赤色のランプが点灯しますので、御承知願います。

 それでは、国家の基本政策に関する調査を議題とし、討議を行います。鳩山由紀夫君。(拍手)

鳩山由紀夫君 ただいま広中委員長からもお話がありましたように、きょうは私は国民の皆さんが知りたいと思っているいろんなことを伺いたいと思いますので、ぜひ簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。

 まずは、皇太子殿下そして雅子妃殿下におかれては、内親王様御出産をされましたことを、これは民主党も国民の一人一人として心からお喜びを申し上げたいと思います。

 さて、前回の党首討論、総理も覚えておられると思いますが、私は、国民の未来にとって正しい改革政策であれば支持することはやぶさかでない、そう申し上げた。ただ、族議員に対してひるんだり後退したりしたら、それはどんなに口先で改革をお話しされても支持はできないと申し上げた。そして、特殊法人の問題などでかなり小泉総理も七つの公庫公団に対して廃止する、民営化するお気持ちを述べられた。そのことに対しては、道路公団に対してかなりおやっと思うところもありましたが、評価を申し上げた。

 そうしたら、何でしょうか。実は、その前日の夜、青木参議院幹事長、森前総理、そういった方々、控室には野中、古賀両氏がおられて、密室で談合がされた。そこで、道路族と総理との間で妥協が図られた。そんなふうに話をされた。

 私は聞いて愕然としました。新聞では、純な鳩山、したたかな小泉と書かれました。政治にはしたたかさも必要だということだと思います。ただ、私は政官業の癒着体質と闘っていくためには、小泉総理も、あなたも名前だけじゃなくて真剣に純な気持ちで国民のために仕事をされないと困ります。

 密室談合政治はあなたにはふさわしくない。二度とそのようなことをなさらないということを国民に向かって誓ってください。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) まず、密室談合などと、したことはございません。人のわからないところでの会合が密室談合だと言うなら、政治家はどこでもやっているじゃないですか。いろいろな人と会うことは政治家にとって大事なことだと思っております。しかも、森前総理と参議院の自民党青木幹事長とお会いしたことはお会いしましたけれども、道路公団の具体論など一切していません。そして、古賀前幹事長、野中元幹事長が別室に控えているなんということは夢にも思いませんでした。(発言する者あり)

 わからないと言っていますけれども、やっていることを見てください。私の党首討論の際、鳩山さんと道路公団等のお話をしました。何が変わったのか、あの発言を全部調べてもらえばわかります。

 まず、国費を三千億円投入しない。

 道路関係四公団一体となって民営化する。

 統合が抜けたと言いますけれども、なおいいじゃないですか。そこがよく見えていない証拠なんです。統合して民営化する、手間がふえるだけじゃないですか。最初から統合しないで分割・民営化、四公団一体となればもっと早くできるんです。それを統合が抜けているから一歩後退だの、妥協だの、節穴じゃないかと私は言っているんです。統合しないで一気に分割・民営化できればなおいいんです。統合しなければ、より時間がかかるんです。そこをよく見抜いていただきたい。

 なおかつ、第三者機関を設ける。

 そして、三十年から五十年に延長したと言いますけれども、もともと五十年なんです。それを私は、五十年を上限としてできるだけ短くしなさい、三十年でやると言ったらば、これは全部道路ができなくなると言ったんです。だから、私は、民主党でもそうでしょう、中、全部できなくなるのは反対だという議論でたくさん沸いたじゃないですか。必要な道路はつくると言っているんです。むだな道路はつくらない。

 だから、私は、五十年を上限として国費を投入をゼロにするという中でどうやるかというと、むしろ最近、五十年だったらばできるといいますけれども、国費の投入の分がなくなりますから、ある面においてはできない道路も出てきます。しかし、必要な道路はつくらなきゃならない。今まで同じ費用が、少ない費用でできるんだったらなおいいわけです。それだけでも今までの道路公団の考え方と違ってきたわけですよ。

 なおかつ、私は、いろんな議員と意見を交換してまいりましたけれども、基本路線を変えたことは一切ありません。今まで参議院選挙前に道路公団が民営か廃止かできるなんというのはだれが思っていましたか。だれも思っていなかったじゃないですか。そういうことからいえば、私の考え方は鳩山さんと党首討論する前と後と、よく答弁読んでください、何一つ変わっていない。

会長(広中和歌子君) 簡潔にお願いいたします。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、純な私の考え方をマスコミの皆さんも、信じていない人が、いろいろ変わったとか妥協したとか言いますけれども、そんなことは一切ありません。

鳩山由紀夫君 党首討論での総理の答弁から変わっていないのは当たり前であって、その前の日に談合がなされたんですから、その線に沿ってお話をされて、あいまいなところはすべて残されたんじゃありませんか。

 私どもにとって死活的にこれは大事だと思っているのは、実は上下を一体にするか分離にするか。これをどうも道路族の方々は分離して、道路の部分だけはまた別にうまく、例えば五十年償還にすれば何でもできると思っているに違いないし、そういう方向で第三者機関にみんな丸投げしちゃったわけでしょう。それがせっかく期待をしていた国民の皆さん方の大きな期待をくじいたことになるんです。これは結果でどうなってくるかでわかるんです。確かに、見直しをする、民営化をする、それは立派な心がけだと思います。でも、民営化でもいい民営化と悪い民営化とあって、悪い民営化、族議員に全部さらわれてしまったら、結局は真の意味での本当の活力のある民営化はできない。その心配があるから申し上げているんです。

 あえて申し上げれば、道路の特定財源の一般財源化という文言もこれにかかわって、きのうの経済財政諮問会議の予算編成に向けての基本方針の中から、ただ、特定財源に関してはあり方について見直す、それだけに変わってしまったじゃありませんか。総理は、参議院の選挙のときには、この道路の財源を見直して教育にも福祉にも環境にも使えるようにしたいとおっしゃったじゃないですか。それが一気に、あり方を見直すというだけになった。自動車重量税、それに対しては一般財源として使うという話もどこかに雲散霧消してしまった。どうもおかしい。一方で、本四架橋の公団に対して、この借金返しに特定財源のお金を使うんじゃないか、三千億円の投入をやめた、そのお金を今度は逆に一般の道路財源にするんじゃないか、そんなふうに言われている。

 結局は、右から左、左から右に財源を変えただけで、道路全体は全く困らないような予算の仕組みにしちゃったんじゃないんですか。そう私たちは思わざるを得ない。違うんだったら御答弁ください。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 全く違うんです。そこをよく見きわめてくださいと言っているんです、まず。

 道路財源見直しますと言っていましたよ。何ら変わっていませんよ。党の方で見直す、どこか余計な文章を削ってくれと言うから、どうでもいいことだからどうぞと。私は道路財源は見直すということを選挙前から言っています。これから予算編成を見たらわかりますよ。今まで自動車重量税は道路に全部使っていた。それは、来年度からは私はこれは道路へ全部行くようなことは見直しますと言っています。これから予算編成をすればわかりますよ。ある面においては、この五千億円ぐらいに及ぶ予算というものが道路だけに使われていたのが別の面にも使うようになります。

 そして、この問題は予算編成にもかかわってまいりますが、同時に本四架橋公団、これも、これは今まではこの部分だけは税金で負担すると二兆円以上かかる。だから一体となって、ある面においては税金を負担しなきゃならないでしょう。ある面じゃ地方が負担しなきゃならないでしょう。ある面においては道路を利用した人、高速道路を利用した人が負担しなきゃならないでしょう。

 そういう際に、第三者機関でどういういい民営化があるかということを考えてもらおうというわけですよ。私は専門家じゃないから独断専行はしたくない。だからこそ、改革意欲にあふれた第三者機関の人々によって、費用対効果を厳しく見直して、いい民営化方法を考えてもらいたい。はるかに私ひとりで決めるよりいいでしょう。見直し、先送り、すぐ決めるなんかできたら独断専行の批判を招きかねない。そういうことは排さなきゃいけない。

 だから、総理大臣というのははっきりした方針を示す、前提は言っているんです。最初、国費で特殊法人に一兆円削減なんかできない、道路公団は三千億円のうち二百億円しか削減できないと言ってきましたよ。それが何ですか、三千億円削減するということを、はっきり方針を打ち出したでしょう。四公団一緒になって分割・民営化を打ち出したでしょう。そして、今までの計画、九千何百キロに及ぶ、これは見直すと言ったでしょう。見直すと言ったら凍結は含まれないと。凍結は見直しの中に含まれるんですよ。そうでしょう。凍結という文字が含まれているから妥協したんだ、砕けたんだと。冗談じゃありませんよ。よく見てくださいよ。

会長(広中和歌子君) 簡潔にお願いいたします。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私が選挙前に言っていること、党首討論、全然変わっていない。総理大臣たるものは大きな方針を出して後は知恵者に任せる、そしてあるべき姿を考えていく。その方が私は正しいあり方だと思っております。

鳩山由紀夫君 凍結は見直しの中に含まれるというふうにお話をされた。まさにそうなんです。でも、凍結とおっしゃらないんです。より幅が広いんです。あいまいなんです。凍結というのはもっと厳しいんです。それを言えなかったということは、相当後退されたということなんです。

 先ほどのお話、どちらが正しいのかはこれから予算編成の過程で明らかになりますから、これをしっかり見せていただきます。

 次の問題に参ります。

 医療制度改革の問題も同じように、先月の二十九日、青木参議院幹事長や麻生政調会長あるいは厚生族の丹羽雄哉さん方と一緒に談合して決めてしまった。日本医師会が……(発言する者多し)

会長(広中和歌子君) 御静粛にお願いします。

鳩山由紀夫君 その幹部の方が何と言ったか。全部骨抜きになったとほくそ笑んでいたという、そういう報道がなされているじゃありませんか。また同じようなことをどうしてされるんですか。

 政官業の癒着の中でどっぷりつかっていたこの医療費の問題、真剣に議論しなきゃならない、抜本改革が大事だと、総理もみずから厚生大臣もなさったからおわかりのはずなのに、結局は三方一両損とおっしゃって、保険者もサラリーマンの本人負担も、また医師会もみんな損をする、そんな決着がなされたかのように見せておられるけれども、現実にはそうではない。余りにも差があり過ぎて、サラリーマンの患者の負担ばかりが目立っている話になっちゃったじゃありませんか。

 国民が今大変厳しい状況の中で、何で業界を守って国民の皆さんに対して厳しいことを平気でなさるんですか。特に、医療の問題というのは大事なんです。この問題、三方一両損どころじゃないでしょう。政治家、皆さん方族議員、そして政府、日本医師会、三方がうまくおさまってうまみを得した、そんな話じゃありませんか。違いますか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) また違うんだな、全然。

 私は自民党総裁ですよ。自民党の総裁が自民党の議員に会っちゃなぜいけないんですか。自民党の幹部の皆さん、専門家の皆さん、いろんな意見を聞くのは当たり前でしょう。それを、私が会っているのは族議員だの密室だの。民主党の議員は会わないんですか、皆さん。全部みんなの見ている前でしか会わないんですか。そうじゃないでしょう。いろんな方と会うのは必要なんです。

 しかも、今回の医療制度改革も、三方一両損を貫いていますよ。私は、診療側にも痛みを分かち合ってもらおう、患者さんにも負担をある程度はしてもらおう、保険者側にも負担してもらおうと、全部その方針でいっています。それを、はっきりと基本方針に書いていないから妥協しただのどうだの。現に、医師会だって診療報酬引き下げちゃいかぬというのを、引き下げるということをはっきり明記しているじゃないですか。

 自民党だっていろいろな意見がある。しかし、自民党にも我慢してもらいたいと。保険者側に来年度から前倒しして保険料を引き上げようということがあるから、それはやめた方がいいんじゃないかと。ある程度、保険者だけじゃない、患者さん側にも負担してもらう。みんな言ったように、当初は患者さん側、保険者側、診療側、それぞれがみんないいという改革は今あり得ないんだと。大事なのは、この医療皆保険制度を維持して、病気になった人はできるだけ軽い負担でいい診療が受けられるような制度を持続的に存続させることが大事なんだと。

 そういう際には、今の経済状況を考えれば、今言った患者さんも保険者側も診療側も、ああ全部よかったという改革はあり得ない。みんなが不満を持つ。しかし、結果的にこの世界にすぐれた医療皆保険制度を維持するためにはやむを得ないんだ、かえってこれは大事ないい制度を守ることにつながるんだからということで三方一両損をやって、その基本方針は全部了解されました。

 ただ、文言は、あれが書いてない、これが書いてないと。しかし、これは十四年度予算編成の中でこれからはっきりしてくるんですから、それは私は、変わったというのは全くそうでない、そういう方針でこれからもいくということを御理解いただきたいと思います。

鳩山由紀夫君 弱者にこういうときにしわ寄せが行くというのが大変な問題だということと、もう一つ、ジェラルド・カーチスさん、日本の政治に大変詳しい方が小泉総理のことを、この道路特定財源、そして医療制度改革、簡単に妥協する人だという評が載っていました。このことだけ申し上げて、次に進みます。時間がありません。

 実は、総理もお読みになったと思いますが、田中外務大臣が調査報告を発表されたこのプール金問題に関する調査結果報告書。これ、プール金じゃなくて裏金です。

 この問題、大変深刻だと私は思う。三百二十八人の方を処分をした。すべての役所の、外務省の三分の二にわたる七十一の課と室の中に汚染が広がっていた。大変な問題ですよ。だれのお金ですか、これ。税金でしょう。国民の税金が私的に流用されていたと。まさに税金の横領罪じゃありませんか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 綱紀の粛正、税金のむだ遣いをなくすという面においてしっかりやらなきゃいかぬと、そういう趣旨を踏まえて、今、田中外務大臣が外務省改革に取り組んでおりますので、しっかりやってもらうように今努力をしているところでありますので、見守っていただきたいと思います。

鳩山由紀夫君 横領罪でしょうかと聞いた、伺ったんです。何もお答えがなかった。ひょっとするとこれだけで、外務省の中だけで調べて事足りると済ましてしまうんじゃないんですか。到底これでは済まされませんよ。

 この報告書の中で、裏金がどのようにしてつくられていったかなんて全然どこにも書いていませんよ。お読みになりましたか、これ、まじめに。しっかりと読んでいただいて、この問題の本質をぜひ総理にもわかっていただいて、横領罪なら横領罪、もっと厳しくしなきゃいけない。

 少なくとも、第三者のチェックをもう一度これ、かけさせるように総理から指示出したらいかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 各省にはしっかりした大臣がいるんですから、私の指示どおりしっかりやってくれと。大臣がしっかりやっておりますので、それを見守っていきたいと思います。

鳩山由紀夫君 そういう答弁ですから、確かに外務大臣を御信頼をされておられると思いますが、そのような発想ですと、このままで終わってしまう可能性が大変に強い。私は深刻だと思っています。

 私からも外務大臣には申し上げますが、ぜひ、総理としても、真剣にこの問題の深刻さを理解をしていただかなければなりません。

 それから、一言だけBSEの問題、狂牛病の問題にも触れなければなりません。

 これは国民の皆さん、特に生産者から消費者、業者、そしてそれこそ焼き肉屋を初めとするお店の人たち、みんな不誠実な行政の対応によって大きな被害をこうむっているんですよ。これは認識していただかなきゃいけません。

 事もあろうに、国内で三頭目が発見されてしまい、発見された結果、まだまだ出るから驚かないでくださいと。どこの大臣ですか。農水大臣じゃありませんか。そんなことが聞かされてはたまったものじゃない。

 総理、みずからあなたの誠実さをもってこの問題、陣頭指揮してください。お願いします。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 狂牛病の牛肉が出回らないようにきちんと検査体制を整備しなきゃならない。既にその体制はでき上がっております。

 今まで行政の手抜かりはなかったか、反省すべき点も多々あった、そういう点をしっかり調べて、原因をよく調査して、そして国民に余計な不安を抱かせないような体制をとってくれということをきっちりと農水大臣に指示しておりますので、今その方針に沿って、鋭意、武部大臣も努力しているところではございます。

 また、いろいろこういう問題については風評といいますか、不安が不安を呼ぶというような面もございます。そういう点について、責任者として、発言においても不必要な不安が余り拡散しないような、発言には十分注意すべきだと。うっかりとした言葉が不安を招く場合もありますので、そういう点についてはよく発言に気をつけるように指示しておりますので、そういう点におきましても担当大臣としては今後きちんとした対応をとるように指示しております。

鳩山由紀夫君 もう時間がなくなりましたから、この問題深入りすることはできませんが、今の答弁では多くの国民の皆さん方、納得されるとは思いません。なお慎重にお願いをいたします。

 それから、総理は今回の答弁を通じて、族議員に染まっていないと盛んに主張されましたが、政官業の癒着というものから解放された政治とはほど遠い行政、政府がまだ続いているということを指摘しなければなりません。族議員に抱かれたあなたは心地いいかもしれない。自民党のそういった方々に抱かれることに心地よさを感じていても……

会長(広中和歌子君) 申合せの時間です。簡潔にお願いいたします。

鳩山由紀夫君 日本の経済は待ってくれません。不良債権の処理問題などは、あなた自身が不良債権の問題、族議員化しているんじゃないんでしょうか。ぜひ、小泉総理、あなた自身の内なる族議員化も含めて、族議員を心から真剣に退治してもらわなければ困る。日本の未来のために、私も同じように我が党、一生懸命、族議員とも闘って努力をしていきたい。同じ気持ちで努力しますから、頑張ってください。本当にあなたの……

会長(広中和歌子君) 時間でございます。

鳩山由紀夫君 総理の手腕に未来がかかっているんですから、しっかりお願いします。(拍手)

会長(広中和歌子君) 以上で鳩山由紀夫君の発言は終了いたしました。

 次に、志位和夫君。(拍手)

志位和夫君 私は、医療問題について質問いたします。

 医療の基本が病気の早期発見、早期治療にあるということはだれも否定されないことだと思います。この問題というのは、国民の健康と命を守るだけではなくて、医療費の合理的な節減にとっても二重に重要だと私は思います。必要な受診を控え治療あるいは検査がおくれれば、病気が重くなって本人が苦しいだけではなくて医療費も逆にふやしてしまうことになる。例えば、今国民健康保険、どこでも赤字で大変です。

 その事業主体となっている市町村が出している市民への広報を私は取り寄せてずっと見てみたんですけれども、どこでも共通して訴えているのは、早期発見、早期治療に努めましょう、このことであります。

 ここに愛知県の春日井市の広報を持ってまいりましたけれども、ここでも、「国保の医療費を大切に使うようにしましょう。」、「医療費の節減のため」にも「早期発見・早期治療に努めましょう」、「体調の変化に気が付いたら、我慢せずに早めに受診してください。」、みんなこう書いてありますよ。

 まず、私、総理に基本的な御認識、伺いたいんですが、この早期発見、早期治療、これは国民の健康にとってはもとより、医療費の合理的な節減にとってもこれは基本だと考えますが、いかがでしょうか。簡潔にお答えください。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 基本は健康三原則。それは何か。正しい食生活、適度の運動、十分な休養。そういう健康三原則の上に早期発見、早期受診、まず日ごろから健康に気をつけよう、予防が病気治療より大事なんだということをしっかり多くの国民の皆さんに理解してもらわなきゃいけない。

 食事をおろそかにしちゃいけません。健康をつくるもとが食事なんです。

会長(広中和歌子君) 簡潔に。

志位和夫君 病気にならない努力がもちろん必要ですけれども、もちろんそのための予防は必要だけれども、病気になったら早期発見、早期治療が大事だということをお認めになりました。しかし、現実は逆の事態が起こっているわけですよ。

 これ、ちょっとごらんになっていただきたいんですが、これは厚生省が行った国民生活基礎調査をパネルにしたものです。(図表掲示)

 この赤い棒ですね、これは病気の自覚症状を訴えている人、有訴者の割合です。青い棒は実際にお医者さんに行っている人、通院者の割合であります。二十五歳から六十四歳の現役世代の数字です。これは旧厚生省の数字です。

 これを見ますと、有訴者、この数は九二年、九五年、九八年、回を追うごとにふえております。九八年には三〇%になっています。ところが、通院者の方は九二年から九五年は大体並行にふえているんですけれども、その後がくんと九八年に向かって減っております。何があったのか。九七年に小泉さんが厚生大臣のときにやった健保本人二割負担、これがまさに受診をブレーキをかけて、早期発見、早期治療とは逆行する事態を現につくり出している。一目瞭然です。

 私、この問題について全国からたくさんの訴えをいただきますけれども、高血圧の方がもう治療代がなくて、もうこれは払い切れない、だから病院に行けない。糖尿病の方が治療用のインシュリンをもう続けられない。大変切実ですよ。その上に、今度の政府・与党がやろうとしている方針が実行されたらどういうことになるか。今度は健保自己負担は三割でしょう。お年寄りの自己負担もふやす。患者の自己負担をふやして、どうなりますか。こういう実態は現にあるわけですよ。まさに受診率がまた抑制される。受診率抑制されたら国民的な規模での健康悪化はすぐ、そうなればますます医療費だって膨らんでいって、あなたがおっしゃる医療保険制度の継続的な維持ということもできなくなっていくじゃありませんか。

会長(広中和歌子君) 簡潔にお願いいたします。

志位和夫君 これは私は、高い保険料を払った上でいざ病気になったときに、これ、重い患者負担を払わなきゃならない、そして結局、医療を受けられないというのでは何のための保険かということになると思いますよ。

 私は、今からでも方針をやっぱり撤回すべきだと、患者負担増で受診を抑制するような……

会長(広中和歌子君) 簡潔にお願いいたします。

志位和夫君 政策は中止すべきだということを言いたいと思いますが、いかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、国民健康保険加入者は既に三割負担なんですよ。そして今回、高齢者は一割を負担していただくと。しかも今、健保の方は、将来、二割から三割に引き上げる方向で今準備しておりますが、適正な負担はどうあるべきかということを考えているんです。

 確かに、負担が低ければ低いほど気軽にお医者さんに行けるといういい面もあります。同時に、何でもない人がお医者さん、病院に殺到しちゃって、本当に必要な治療が受けにくい面もある。そういう点もあるから、両面から、必要な受診は抑制しない方法で、どういういい方法があるか、適正負担と適正受診と両面、総合的に考えていただきたいものだと思います。

会長(広中和歌子君) 申合せの時間が過ぎております。

志位和夫君 国保は三割というふうにおっしゃいましたけれども、三割でも重過ぎる。(発言する者多し)

会長(広中和歌子君) 御静粛に願います。

志位和夫君 それを下げるべきだと言っている。

 それから、現に病気であっても受けられない人がいるわけですよ。(発言する者多し)

会長(広中和歌子君) 御静粛に願います。

志位和夫君 やはり公共事業のむだ遣いを削って、医療、社会保障に手厚い財政に切りかえるべきだと、これこそ解決の道だということを最後に申し上げて、終わりにいたします。(拍手)

会長(広中和歌子君) 以上で志位和夫君の発言は終了いたしました。

 次に、小沢一郎君。(拍手)

小沢一郎君 きょうで小泉総理に五回目のクエスチョンでございます。今まで四回、総理が口を開くたびにおっしゃっております構造改革の内容、中身はどういうものなのか、そしてその構造改革することによってどういう日本の社会をつくり上げようとしているのか、その総理のビジョンを含めてお尋ねしてまいりましたけれども、総理からは言葉の端をとらえられましてなかなか質問の趣旨をすりかえた答弁しかいただかなかったと思います。

 きょうも、実はもう一回、五回繰り返そうと思ったんですけれども、また同じような答弁では仕方ありませんので、全く違うことをお伺いしたいと思います。多分きょうで最後のクエスチョンだと思いますので、ぜひ総理の素直な率直な見解を聞かせていただきたいと思います。

 アメリカに対する同時多発テロ、それに引き続くアフガニスタンでの戦争、これに対して総理、政府は自衛隊を派遣して戦争に参加することをしているわけでありますけれども、きょうは別に戦争に参加したその是非について議論するつもりはないんですけれども、このテロと戦争については、これはイスラム教的なものとキリスト教的なものと、いわゆる文明と文明の対立だ、衝突だと、そういう見方があります。その意味では、私はパレスチナのエンドレスの紛争も一脈通ずるものがあるように思います。

 そういうことを踏まえまして、含めて、総理がこの点についてどういうような認識、所見を持っているかお伺いしたいんですが、実はこんなことをお聞きしますのも、この二十一世紀の新しい地球の全体の問題を考えますと、この文明、文化の違い、物の考え方の違いというのが非常に大きな私は要素になると思います。

 その中で、日本、日本人というのは、私なりに言わせますと、非常に、文明といいますか文化の調和、融合といいますか、そういう能力にたけている民族じゃないかなという気がいたしまして、そんな観点から、私は、世界的に日本の果たす役割というのは非常に大きな、政治的にも、もちろん経済的にも、今後役割を果たせるんじゃないかなと、そういう考え方を持っておりますので、そういう意味で、いずれにしても今日の絶え間ない、そしてずっとエンドレスのいろんな世界じゅう続いております紛争、特にテロ、アフガニスタンの紛争について、その原因等、総理の見解をお聞かせいただきたいと思います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 大きな問題提起をされましたが、このテロの問題、ある面においては文明の対立に持っていきたいというテロリスト側の意図があるかもしれません。しかし、それに乗ってはいけないと思います。決して今回のテロとの闘いは、文明との対決でもない、イスラムとキリスト教との対決でもないしアラブとの対決でもない。我々は、テロリスト、そしてそれを助長するようなグループ、あるいは支援しているようなグループとの闘いなんだということをまずはっきり分けて考えなきゃいけないと思っております。

 また、日本というのは非常にいろいろな文明を受け入れやすいのではないかという御指摘でございますが、確かに今まで日本というのは、いろいろな違いの文明あるいは宗教を受け入れて、うまく日本の風土に適した形で制度を発展させ、今日の発展を築いてきたと思います。

 今後は、ともすればイスラムとほかの文明との対決だと、あるいはアラブと別の世界の対立だと持っていきたがる傾向のある、そういう一部の言動に左右されることなく、日本としてはイスラムの国の皆さんとも、あるいはアラブ諸国とも友好関係を発展させる方策を考えていくべきでありまして、今後とも、このテロとの闘いは長期的な闘いになることを覚悟しながら、日本にできることは何かということをしっかり、国際協調の中で日本としての主体性をどう図っていくかという視点を持ち合わせながら、このテロにきちんと、毅然として対決していきたいと思っております。

会長(広中和歌子君) 時間でございます。

小沢一郎君 テロ、暴力と断固として闘うということと、本当に絶えることのないこの地球上の紛争をいかにして解決していくか、いかに共生していくか、そしていかに日本はその中で役割を果たすかということは、また別に考えなきゃいけないと思っております。

 終わります。(拍手)

会長(広中和歌子君) 以上で小沢一郎君の発言は終了いたしました。

 次に、土井たか子さん。(拍手)

土井たか子君 わずかの時間ですが、外交、経済、金融、そしてそういう問題についての基本問題を、きょうは基本的姿勢を伺いたいと思います。

 先月の二十七日でしたか、小泉総理は閣僚の株取引に対して解禁を検討するようにということを閣議懇談会でおっしゃったようですが、閣僚懇ですね、閣僚懇でおっしゃったようですが、そうですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 閣僚懇で私が発言したかどうか定かではございませんが、私は、今回、十一月三十日から、税法改正によりまして、一千万円まで、株を買って保有していただければ、三年後以降、二年か三年間保有していただければ、一千万円までの保有、利益があったとしても、二千万円利益があったとしても、三千万円利益があったとしても非課税だというような法案ができたものですから、これは貯蓄優遇から証券市場育成、投資優遇への税制にしなきゃならないという方向は今の日本の経済情勢によって適切なものだと思いましたから、株を取引するのが悪いという観念持ってもらうのはよくないなと。

 党側でもいろんな議論が出てきましたから、その点については、閣僚においても役人においても、不鮮明でない、いかがわしくない株取引というのがあるんだったらば議論してもらえばいいじゃないかと。株買うのは決して悪いことではないと、むしろ株式投資は日本の経済活性化に役立つんだということをよく国民に理解してもらうためには一つの方法ではないかと思いますから、よく議論してください、検討してくださいという趣旨に私は賛成いたしました。

土井たか子君 なぜ閣僚が株取引に手を出されれば株に対しての信用が上がるのか、またそれに対して何か親しみを持つ人がふえるのか。むしろ私は逆だろうと思いますがね。

 三日の日だと思いますが、官房長官はこれに対して消極的な答えを出されているようです、ニュースで。なぜですか、それならば、今の総理のその御発言に従って考えれば。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) いや、検討した方がいいじゃないかということで、官房長官がいろいろな方面で検討しているんでしょう。そして、いろんな声を聞いて、いや、閣僚はやっぱりしない方がいいのかなということを率直に表明されたんじゃないですか。私はこだわりませんし、それはよく検討して、痛くもない腹を探られるのは嫌だから、大臣は、閣僚は株を取引しないんだったらそれでもいいよ、よく各方面の御意見を聞いてくださいということを今官房長官には指示しております。よく各方面の意見を聞くようにと。

土井たか子君 それでもいいよ、閣僚が株取引をしない方がいいというのならそれでもいいよと。そんな程度にこの問題を考えて今までやってこられたのかというのを改めて今つくづく承りながらあきれ返っているのですがね。これはいかなる理由があるといえども、閣僚というのはやっぱり株取引は慎むべきだと思います。

 そして、官房長官は難しい点があるというふうに言われた、事務的に。何かといったら、インサイダー取引に対する防止策がないんでしょう。そういうことがわかっているがゆえに、この問題に対しては一月六日の大臣規範というのがあるんじゃないですか。

 一月六日といえば、小泉総理は総理でないとおっしゃるかもしらぬけれども、小泉総理の生みの親とでもいうべき森総理時代ですよ。一月の六日に、閣僚の株取引に対して、これは慎むべきだという中身が閣僚に対する規範として決められているんですが、何でですか、これ。

 リクルートの問題よく御存じだと思う。八九年当時ですね、宇野内閣のときですよ。この宇野内閣のときには、次から次から閣僚の中に未公開株に対して関係をした人たちが出てきて、残念ながら辞職せざるを得ないという状況があって上を下への大騒ぎ。そして、初めてこれは閣議で株に対して自粛するということを決められたんじゃないんですか。

 あのときのやっぱり反省というのが、これはどの程度具体化されているかということが実は私は例外なき、聖域なき構造改革を言われることの少なくとも基本になきゃならぬと思います。

会長(広中和歌子君) 時間が参っております。

土井たか子君 私は……

会長(広中和歌子君) 簡潔にお願いいたします。

土井たか子君 調べてみたら、宇野内閣のときの当時の官房長官というのは塩川財務大臣じゃなかったですか。きっとこの問題に対して……

会長(広中和歌子君) 時間が参っておりますので簡潔にお願いいたします。

土井たか子君 あっ、忘れておったなんと言われるようなあの塩じい発言は通用しませんよ。国民は忘れていませんから。そして、一月六日の日のこの大臣規範というものを……

会長(広中和歌子君) 時間が参っておりますので発言をおやめください。

土井たか子君 持ってまいりましたから、ただいまからこれ差し上げたいと思います。年始の誓いを年末に破る、こんなことだけはやめてください。

 構造改革についてしっかり取り組むとなったら、まずこの中身に対してしっかりみずからを持すということをやっぱり考えていただく内閣でなければならぬと思います。よろしいですか。これ差し上げます。(資料を手渡す)

 もう一度、一月の六日の大臣規範をよく読んでおいてください。

 終わります。(拍手)

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は株取引が悪だという印象を持たれるのはよくないといった趣旨までであります。

土井たか子君 株や株取引が悪だとは言っておりません。今までどうしたんですか。閣僚の中に株取引で疑惑のあった人たちがあったんじゃないですか。猛反省をお願いしますよ。

会長(広中和歌子君) 以上で土井たか子さんの発言は終了いたしました。

 以上をもちまして、本日の合同審査会は終了いたしました。

 本日はこれにて散会いたします。

   午後三時四十八分散会


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