衆議院

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第1号 平成20年11月28日(金曜日)

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平成二十年十一月二十八日(金曜日)

    午後三時開議

    ―――――――――――――

委員氏名

  衆議院

   委員長 二田 孝治君

   理事 伊藤 達也君 理事 臼井日出男君

   理事 萩山 教嚴君 理事 宮路 和明君

   理事 柳澤 伯夫君 理事 奥村 展三君

   理事 平野 博文君 理事 冬柴 鐵三君

      伊吹 文明君    大島 理森君

      海部 俊樹君    笹川  堯君

      武部  勤君    津島 雄二君

      中川 秀直君    中山 太郎君

      長勢 甚遠君    丹羽 雄哉君

      保利 耕輔君    細田 博之君

      谷津 義男君    保岡 興治君

      赤松 広隆君    小沢 一郎君

      菅  直人君    高木 義明君

      鳩山由紀夫君    北側 一雄君

      志位 和夫君

  参議院

   委員長 山下八洲夫君

   理事 工藤堅太郎君 理事 前田 武志君

   理事 山谷えり子君 理事 脇  雅史君

      輿石  東君    芝  博一君

      長浜 博行君    平田 健二君

      藤原 正司君    円 より子君

      簗瀬  進君    岡田 直樹君

      岸  信夫君    末松 信介君

      中村 博彦君    野村 哲郎君

      木庭健太郎君    西田 実仁君

      井上 哲士君

    ―――――――――――――

 出席委員

  衆議院

   委員長 二田 孝治君

   理事 伊藤 達也君 理事 臼井日出男君

   理事 萩山 教嚴君 理事 宮路 和明君

   理事 柳澤 伯夫君 理事 奥村 展三君

   理事 平野 博文君 理事 冬柴 鐵三君

      伊吹 文明君    大島 理森君

      海部 俊樹君    笹川  堯君

      武部  勤君    津島 雄二君

      中川 秀直君    中山 太郎君

      長勢 甚遠君    丹羽 雄哉君

      保利 耕輔君    細田 博之君

      谷津 義男君    保岡 興治君

      赤松 広隆君    小沢 一郎君

      菅  直人君    高木 義明君

      鳩山由紀夫君    北側 一雄君

      志位 和夫君

  参議院

   委員長 山下八洲夫君

   理事 工藤堅太郎君 理事 前田 武志君

   理事 山谷えり子君 理事 脇  雅史君

      輿石  東君    芝  博一君

      長浜 博行君    平田 健二君

      藤原 正司君    円 より子君

      簗瀬  進君    岡田 直樹君

      岸  信夫君    末松 信介君

      中村 博彦君    野村 哲郎君

      木庭健太郎君    西田 実仁君

      井上 哲士君

    …………………………………

   内閣総理大臣       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   鳩山 邦夫君

   法務大臣         森  英介君

   外務大臣         中曽根弘文君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       中川 昭一君

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       石破  茂君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       金子 一義君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (沖縄及び北方対策担当)

   (防災担当)       佐藤  勉君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (規制改革担当)     甘利  明君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     野田 聖子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小渕 優子君

   内閣官房副長官      松本  純君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   衆議院国家基本政策委員会専門員          吉宮 孝治君

   参議院常任委員会専門員  田中 英明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国家の基本政策に関する件


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     ――――◇―――――

    〔二田孝治君会長席に着く〕

会長(二田孝治君) これより国家基本政策委員会合同審査会を開会いたします。

 本日は、私が会長を務めさせていただきます。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 このたび、衆議院の国家基本政策委員長に就任いたしました二田孝治でございます。

 参議院の山下委員長を初め、衆参両院の委員の皆様方の御指導、御協力を賜りまして、その職責を全うしてまいりたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

 国家の基本政策に関する件について調査を進めます。

 これより討議を行います。

 討議に当たりましては、申合せに従い、野党党首及び内閣総理大臣は、決められた時間を厳守し、簡潔に発言を行うようお願い申し上げます。

 また、委員各位におかれましても、議事の妨げとなるような言動のなきよう、御協力をお願いいたします。

 発言の申し出がありますので、これを許します。小沢一郎君。(拍手)

小沢一郎君 麻生総理大臣とオープンの場で初めて対面するわけでありますので、遅まきですけれども、総理大臣就任のお祝いを申し上げます。

 私、二年半余り前に民主党の代表に推されまして就任しましたけれども、きょうで三人の総理大臣に三回目のお祝いを申し上げることになりました。このままでいきますと、近いうちに四回目の就任祝いを申し上げなければならない状況になりかねない、そういう心配をいたしております。

 しかしながら、私は、今日の段階におきましても、麻生総理御自身の決断によって、それを避ける方法が二つあるのではないかと思っております。

 その一つは、総理がずっと言い続けておりました、年末へかけての国民生活の安定のために、選挙よりは景気対策だ、経済対策だと。そして、十月の三十日でしたか、経済対策を発表になられました。そして、これを実際に、二次補正を提案していくんだ、そういう趣旨の発言もたびたびなさってまいったと思います。ところが、いつまでたっても、会期末が近くなりましてもそのような政府の様子が見えないものですから、せんだって、失礼も省みず、総理に直談判を申し上げたわけであります。しかしながら、結局、幹事長を通じまして、今度の臨時国会には提出しないという話が伝えられました。私は、これは麻生内閣として、総理として、本当に筋道の通らない、そして、国民に対する背信行為だと思います。

 そういう意味で、私は、今からでも遅くない、会期も延長なさるようでございますし、きょう今すぐとは申しませんけれども、可及的速やかにこの補正予算案を提出するということが、麻生内閣の、そして総理大臣自身の論理的な結論であり筋道ではないだろうかというふうに考えます。

 その意味におきまして、せんだって党を通じて、二次補正は来年に提案するという話がございましたけれども、今まで国民の皆さんに、総選挙も先送りして景気対策だ、経済対策だ、二次補正出すんだと言っておられたにもかかわらず、なぜ来年に回さなきゃいけないのか、なぜことし出せないのか、今この国会で出せないのか、そのことをまずお伺いしたいと思います。

内閣総理大臣(麻生太郎君) お祝いを言っていただきまして、ありがとうございました。私の方も、かねてよりお願いをしておりました党首討論をこういった形でお受けいただくことになりました。ありがたく感謝申し上げます。

 まず最初に、御質問のあった二次補正の話が出ました。

 私は、この景気対策というものは極めて大きなものだと思っております。少なくとも、今世界の中でいろいろな国々が景気対策、内需拡大等々を、アメリカまたイギリス、中国、いろいろ始めておられますが、私どもは九月早々にこの問題を提起させていただき、おかげさまで一次補正も通していただいて、世界の先進国の中では一番早く景気対策というものに手をつけた国であった、まずその点はそう思っております。

 その上で、私どもは景気対策というものを考えましたときに……(発言する者あり)

会長(二田孝治君) 御静粛にお願いします。

内閣総理大臣(麻生太郎君) 一次対策というものを申し上げた中では、いわゆるこの年末、十二月の年末に向けましては間違いなく今補正を、一次が通っておりますので、その中で、中小・小規模企業対策などのいわゆる九兆円の保証枠また貸出枠等々は順調にはけておりまして、きのう、きょうと約一千億、一千百億、毎日そのような形で使われておりますのはもう御存じのとおりです。

 そういった意味で、これが仮にこのままずっと継続いたしましても……(発言する者あり)

会長(二田孝治君) 傍聴の議員の皆さん、不規則発言は慎んでいただきます。

内閣総理大臣(麻生太郎君) 年内のものに関しましてはこれで対応ができる、借り手側に関してみればそう思っておりますが、もう一つは貸し手側があります。

 貸し手側の問題に関しましては金融機能強化法というのが、今お願いをさせていただいておりますが、いわゆる金融機能強化法を通していただくことによって、貸し手側によります貸しはがしもしくは貸し渋りなどが起きないようにするという、貸し手側、借り手側のもう一点の問題がまだ残っておると思っておりますので、この点につきましてはほぼ審議が終わったように参議院の方で伺っておりますので、ぜひこれが早急に成立するように、小沢党首のお力添えもあわせてお願いを申し上げておきたいと思っております。

 ただ、基本的には、私は今回の景気対策というものは、一次補正というもので年末、そして二次補正というものは、いわゆる会計年度と言われる三月末に向けまして、三月の決算対策と言われる、いわゆる資金繰りが要ることになります。そういったものを考えますと、ここをきちんとしなければならぬ。かつ、我々は二次補正の中で、この平成二十年度の法人税等々はかなり減額、減収になると思っておりますので、それがどれくらいになるのかという点も見きわめなければならないと思っております。また、この金融機能強化法がまだ通っておりませんので、通るか通らないかによってまた違ってくる。

 そういった全体像をきちんとした上で、二次補正というものをきちんとお見せする方がきちんとしておると思います。

 加えて、景気を考えるのであれば、何といっても、これは平成二十一年度の本予算というものが一番肝心なものになります。したがって、一次、二次、そして本予算、この三つが、私どもとしては一つの、三段階もしくは三段ロケット、いろいろな表現があろうと思いますが、そういったようなものを含めてきちんと対応していくべき。

 したがって、私どもは、異例ではありますけれども、一月早々に国会を、きちんとした形で通常国会を早目に開催させていただき、そして、この問題を、国民に安心を得ていただくため、安心を持っていただくための本予算も含めて提出する、そういった形にさせていただきたい。したがって、二次補正というものを、きちんと守った上でというのを考えておるのが、今申し上げている一月早々に出させていただく背景であります。

小沢一郎君 総理の今の答弁を簡単に結論を言うと、一次補正で十分年末大丈夫だ、そういうお話だったと思いますけれども、私は今の総理のお話を聞いていて、本当に、今になってそのような言い方をなさるということは、ああ、一国の総理大臣として非常におかしい、筋道が通っていないと思います。

 まず一番最初私びっくりしましたのは、一次補正の審議がまだ行われていないうちに、二次補正の話が政府・与党から出てまいりました。私の経験でいいますと、一つの予算案が通る前に、むしろ審議もしていない前にです、今度は。通る前に次の予算の話をするということは、聞いたことがありません。

 しかしながら、いずれにしても、一次補正では、それでは十分でない、そういうふうに判断されたからこそ、十月三十日に、今総理も若干お話しになりましたけれども、信用保証枠を二十兆円に拡大する、政府関係の融資を十兆円枠に拡大する、合計三十兆円というものも含めまして、二兆円の例の問題、あるいは一兆円の交付の問題等々、いろいろな話がありましたけれども、いずれにしても、一次補正ではまだ足りないからということで、積極的に二次補正を、十月の三十日に、この国会で出すというお話をなさったんじゃないでしょうか。

 今になって、来年でいいんだということになりますと、ちょっと今までの総理の御発言の趣旨からいうと筋道が通らないように、これは私だけじゃなく、国民の皆さんも思うんじゃないでしょうか。

内閣総理大臣(麻生太郎君) 一次補正をつくりました八月末、それ以後、例のリーマン・ブラザーズという大きな事件が起きました。もう御存じのとおりであります。このときに物すごく大きな問題が出てきたのはもう御存じのとおりであります。したがって、状況としては、どのような形でこれがさらに悪化していくかということに関しては、私は多くの方々が不安に思われたことは確かだと思っております。

 したがいまして、私は、総裁に当選をさせていただきました後、十月の末に、いわゆる生活対策ということできちんとしたものをつくっておかないと、少なくともこの状況がさらに悪化していく可能性というものも考えねばならぬと思っておりましたので、二次補正の必要があるということを申し上げておるのであります。

 幸いにして、今のところのあれを見ておりますと、今、月々、中小企業もしくは小規模企業の資金繰りというものを見ますと、少なくともこのところの貸し出している量を比べてみますと、今の段階で、この二日間は千億台に乗りましたけれども、それまでは百億台。そういった形で、仮に営業日が三十日ありましたとしても、少なくともこの問題に関しましての対応はそこそこできる。

 もう一点は、貸し手側の話でありまして、貸し手側の銀行がいわゆる貸し渋り、貸しはがしをせざるを得ないような、自己資本比率が下がっておるという今の状況を考えますと、貸し手側のことも考えて対応する必要があるので、金融機能強化法という法案を私どもは提出させていただいております。

 したがって、これは早急に、今ほとんど審議は終わったように伺っておりますので、これを採決していただくということがありませんと、貸し手側としては非常に、自己資本比率の問題を含めまして、いろいろな問題を考えなければならぬというのは、もう貸し手側はだれでもわかっているところでありますので、それで迷惑を受けるのはまた借り手側ということになりますので、その意味では、私どもは、ぜひこの問題につきましては小沢党首のリーダーシップで早急に参議院でこの結論を出していただきますよう、重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 その点についてはいかがお考えか、お聞かせいただければと存じます。

小沢一郎君 先ほど来から法律の話を総理がなさっておりますけれども、私どもは、総理との会談のときも申し上げましたように、意図的に審議を延ばしていくということはしないと……(発言する者あり)

会長(二田孝治君) 静粛にお願いします。

小沢一郎君 意図的に審議を引き延ばすようなことはしないということを申し上げましたし、十分な常識的な範囲で……(発言する者あり)総理が聞こえないそうですからちょっと。常識的な範囲で審議を尽くして、そして結論を出すということを申し上げております。

 ただ、あの金融機能強化法案につきましては、私どもも政府案と別な主張がございます。したがいまして、その点につきましては、ぜひ参議院でも修正の協議に自民党も応じてもらいたい。今、自民党は全くそれに応じようとしていないわけです。ぜひそれは総裁の方からも指示をしてもらいたい、そのように考えております。

 それからもう一つの、それに関連しての話ですが、貸し出す側の問題もちゃんと手当てしなきゃならないということですけれども、本当に総理の御認識が、この間の一次補正でもって大丈夫、この年末を越えられるという御認識のようですけれども、いろいろな調査を見ますと、もう既に、十月では倒産件数前年比一四%増、それから雇用も、非正規の雇用者はみんな打ち切りになってきている状況です。まさに正社員にまで、いわゆる俗に言えば首切りの、雇用の停止、中止が求められている、そういう状況であります。

 ですから、倒産が多いということは、特に中小零細企業の皆さんの資金繰りが大変厳しいということ、だからこそ総理も、信用枠を二十兆円にしましょう、国庫のあれを十兆円にしましょう、そう言ったわけでしょう。ですから、それをまさに今どうしてこの国会に出さないのかということは、だれが考えてもわからないことじゃないでしょうか。

 それから、もう一つの理由として、例えば大幅な歳入欠陥の話が理由に挙げられることがありますけれども、これはこれでまた別な話でございまして、それほどの不景気だからこそ補正予算を早くしなきゃいけないんでしょうよ。

 ですから、私は、そういう意味におきまして、今まで総理の言ってこられたことと最近になりまして総理のおっしゃっていることは、全く論理一貫しない、筋道の通らない話だと思います。

 もう一度お伺いしますけれども、補正予算の件についても、この間の会談でも申し上げましたが、常識的な範囲できちんと結論を得るようにいたします、それはまたここでも繰り返しますけれども、補正を出す意思は全くないということですか。

内閣総理大臣(麻生太郎君) まず最初に、この間の申し込みに来られました、官邸に御足労いただきましたけれども、あのときにいただきました、審議にできる限りと言われましたか、審議に応じるというお話をいただきましたが、今、こういった公開の席で、こういった形でお受けをいただきましたことはまことにありがたく、私どもとしては大変ありがたく思っております。

 まずこれは、今後いろいろ審議をしていく上で非常に大事なことだと思いますので、こういったことが実行されていきますリーダーシップはお持ちでありますので、そういった意味では、基本的に我々としては大変感激をしております。感謝を申し上げます。

 その上で申し上げますけれども、二次補正につきましては、先ほども申し上げましたとおりに、我々としては、少なくとも、今の段階で、今この国会の中でまだ審議をされていません、この金融機能強化法はまだ採決されておりません。これは一次補正とも関係するすごく大事なところでありまして、金融機能強化法というものに関しましては、衆議院で一部修正をした上でこのような形で通過をして参議院に送られてきた、私はそのように記憶をしております。

 したがいまして、衆議院で修正に応じて採決をされて参議院に来ておりまして、ぜひこの部分に関しましても早急にこれを採決していただけませんと、貸し出し側の方に大きな影響が出るということを申し上げているのでして、これ二つが、借り手側と貸し手側と両方の話ができませんと資金繰りというものはできないというのは、これは商売をしていればだれでも御存じのことだと存じております。したがいまして、この問題もあわせて解決していただく、それが私どもとしては一番大事なところだ。これは一次補正ですよ、一次補正の話。これは一次補正の話ですから。

 したがって、二次補正に関しましては、今申し上げましたように、先ほど申し上げた答弁の繰り返しになるようで恐縮ですけれども、この二次補正の中には、いわゆる二次補正の問題として、大きく二十兆になります、資金繰りのもとになります貸出枠五千億の話、いわゆる生活対策の問題とか、金融機能強化法というものが仮に通りました、それに対応いたしまして、そこの二兆円をさらにふやさねばならない。それが二つ目です。そして、三つ目が、減額補正のこと。三つの分をまとめて提出するというのが私どもとしては基本的に正しい、国民にもその方が御納得をいただける、それが大きな理由であります。

 また、年末に対してはどうかというお話でしたけれども、現実、貸し出しをずっと見ておりますこのところでありますと、少なくとも、借り手側に対します貸し出しは、きのう、きょうで一日約千億円台でありますから、営業日数を計算しましても、今回の九兆円で年末は一応できるのではないか。借り手側から見ますとそのような数になっていると思っております。

小沢一郎君 さっきも申し上げましたように、金融機能強化法につきましては、私どもの主張もありますので、その点を、参議院では野党が多数でもありますから、その参議院でも修正の審議に、協議に応じていただきたい。そしてその上で、協議をしないとおっしゃっているらしいので、そこは総裁から言っていただいて、そして協議して、速やかに成立できるようにしたらいいと私は思っております。

 それから、これもまたもう繰り返しになりますから言いませんけれども、本当に総理は、一次補正のこれだけで、この十一月から十二月、年末へかけての危機を乗り越えることができる、そうお考えなのでしょうか。

 私は、さっきも申し上げましたが、倒産件数も十月も一四%増、十一月、十二月はもっともっとふえてくると思います。これから職を失う人も大勢ふえてくると思います。ですから、そういう意味において、総理が、総選挙よりも景気だ、政局よりも経済だと言ってこられた、それが総理の本当のお考えならば、やはりここで二次補正を出して、本当に国民生活の安定を図っていくというのが私は総理のお話の筋道だというふうに思います。

 しかし、ことしはもう一次補正だけでいい、来年に回すという答えのようでございますので、これ以上は繰り返しませんけれども、私どもは本当にしんどい、厳しい年末を迎えることになるんじゃないか、私はそのように考えております。

 それから、二次補正を出すという方法はとらないという結論ですから、もう一つです。もう一つの方法は、総理の初心に返ることだと思います。

 総理は、就任する直前から、とにかく国民の、主権者の審判、選挙の洗礼を仰ぐというお考えを持っていたやに伺っております。私はそれは正しい考え方だと思います。

 今、大変失礼なことを総理に申し上げて恐縮ですが、何の問題でも、きょう言ったこととあした言ったこと、また結論が違ってくる、そういう迷走を繰り返しているのも、結局は、選挙の洗礼、国民の審判を受けて、その国民の支援の背景のもとに総理がリーダーシップを発揮するというのが私は民主主義のあり方だと思います。多分、総理もそのようにお考えになっていたんだろうと思います。

 私は、今こうして来年に補正予算も送るということならば、今直ちに解散・総選挙して、そして国民の審判を仰いでいいじゃないですか。そういう意味で、経済対策、景気対策が急務だ急務だ、選挙をやっている暇なんかないんだと言いながら来年に二次補正を送っているわけですから、現実、金融機能強化法の問題はもちろんそれはそれでちゃんとしなきゃいけませんけれども、十二月に十分選挙できるじゃないですか。私の初当選も昭和四十四年の十二月二十七日でした。年末の選挙というのは往々にしてよく行われてきたことでもあります。

 したがいまして、機能強化法のことは、それはそれとしてきちんと整理しながら、年末、この十二月に解散・総選挙を断行して、そして、麻生総理、あなたが国民の支持を得られたら、それこそ総理の思うとおりの政策を実行したらいいんじゃないですか。いかがですか。(発言する者あり)

会長(二田孝治君) 傍聴の議員の皆さん方に申し上げます。不規則発言は慎まれるようにお願いいたします。

内閣総理大臣(麻生太郎君) まず、二次補正のお話をいただきましたけれども、二次補正に対しましては、先ほどお答えを申し上げましたとおり、私どもは、一次、二次、そして本予算と、この三段ロケットでもってきちんとやる。同じ御質問をいただきましたので、同じ答弁をさせていただいた次第です。

 そして、その上で、先ほど最初にも御質問をいただきましたけれども、解散をしてというお話でしたし、私も解散というのは一つの手段だと当初思っておりました。そのとおりです。私もそのとおり思っておりました。うそを申し上げるつもりはありませんので。

 ただし、その後起きております今の状況というものは、世界の中で、少なくとも百年に一度と言われるほどの……(発言する者あり)

会長(二田孝治君) 静粛にお願いします。

内閣総理大臣(麻生太郎君) 百年に一度と言われるほどの、金融災害というような言葉が使われるほどの大きな問題になり、世界じゅうそれの対応に必死になっている中で、私どもは、政治空白をつくるというような状況は、少なくとも、今のアメリカの中におきましてもそのようなことになっている、アメリカも今非常に厳しいことになっておると思っておりまして、なかなか、最終決断者がだれなのかが難しいという話をよく言われております。そういったことを我々は第二の経済大国としてすべきであろうとも思いませんし、私どもは、それにこたえるべくきちんとした対応をするためには、きちんとやっていくべきだと今の問題で思っております。

 また、今、三人目の総理大臣というお話をいただきましたけれども、これは、議会制民主主義のルールですから。我々は大統領制と違います。少なくとも議会制民主主義におきまして、トニー・ブレアという人からゴードン・ブラウンにかわりまして、まだ一回も選挙をやったことがないと私は記憶をいたしますので、そういった意味では、別に瑕疵があるわけではない、これははっきりしていると思っております。議会制民主主義にのっとって……(発言する者あり)

会長(二田孝治君) 静粛にお願いします。

内閣総理大臣(麻生太郎君) ルールのとおりにやらせていただいておるということだと思っております。いかにも何か問題があるかのように言われますと、これは議会制民主主義というルールですから、そのとおりに合わせてやらせていただいておると思っております。

 したがって、今の状況の中において、雇用の問題、倒産の問題、御指摘のとおりです。(発言する者あり)

会長(二田孝治君) 傍聴者の皆さん、静粛にお願いします。

内閣総理大臣(麻生太郎君) したがって、私どもは、いろいろな形で、雇用対策含めていろいろな問題を解決すべくということで、いろいろ対策を練らせていただき、私の方から各担当大臣に、雇用対策というものにつきましては、若者支援含めていろいろなことは既にいろいろやっておりますが、これが早急にできるように、さらなる対策をする必要を検討しろと命じたところでもあります。

 また、倒産件数につきましては、確かに、世界じゅうの不況の中にありまして、我々もそれに対する対策を考えねばならぬことは当然ですが、ぜひその点に関しましては、借り手の問題としては今申し上げているとおりです。重ねて申し上げます。貸し手の方につきましてもその対応ができますように、参議院で早急なあれをしていただき、そして、我々は、こういった形で参議院で協議をというお話をいただきました。私どもも、参議院で協議をというお話をいただきましたが、こういった問題に関して政党間で協議ができるというのは喜ばしいことだと思っております。

 ぜひそういった意味で政党間協議が出せますように、いずれ本予算等々はやらせていただくことになるんですが、その場におきましても、ネクストキャビネット初めいろいろ対策をしておられる方もいらっしゃるんだと思いますので、我々も、担当大臣、また幹事長、政調会長という者とそういった論議ができるような場を与えていただければ、そういった話をきちんとさせていただいて、いろいろな協議ができることこそ私はこのねじれ国会の中での建設的な答えが出せるものだ、国民の期待しているところだとも思っておりますので、ぜひその点のお力添えも、本予算においていろいろさらにまた協議をせねばならぬ事態になるやもしれませんので、ぜひあわせてお力添え、指導力をお願い申し上げておきたいと存じます。

小沢一郎君 総理が今もお話しになったことは、一次補正でもって大丈夫、ことし、年末へ向けて乗り切れるというお話をさっきからなさっておった。そして二次補正は来年回しでも大丈夫だ、こういうことでおっしゃいましたから、二次補正は出さないと。それならば、それこそまさに政治の空白そのものじゃないですか。

 私は、そういう意味で、経済対策にはスピードが大事だ、総選挙よりも景気対策だ、そして二次補正も出すんだ、こう言ってこられた総理が、一次補正で十分だ、二次補正は来年でいいんだと言うのならば、当初の総理の初心どおり、トニー・ブレア等の例を出しましたけれども、二年半のうちで三人総理がころころかわって選挙もしないという例は余り聞いたことがないと思います。

 したがいまして、この十二月の期間があるんですから、総理が一次補正でも十分だとおっしゃるならば、ぜひ解散・総選挙をやって、さっきも申し上げましたように、総理だってやりやすいでしょう、選挙で勝たれれば、それで強力な内閣ができるわけですから。それはどちらにとっても、選挙で勝つことによって国民の支援を背景にして政策を実行するということでなければ、本当の、強い、強力な、思い切った政策は実行できないですよ。私はそのことを申し上げたいとさっきから言っているわけです。

 それで、もう時間がありませんので最後にちょっと申し上げますけれども、総理のお話が余りにもころころ変わり過ぎる、あるいは非常に不適切な話が多過ぎる、そういうことであります。この間も、医者は社会的常識の欠落している者が多いとか、また、たらたら飲んで、食べて、何もしない人の医療費を何でおれが払うのかという話もなさったと漏れ聞いております。

 いずれにしても、私は、総理の言葉というのはもっともっと重いものだと思います。昔からの言葉に、綸言汗のごとしという言葉もあります。どうかそういう意味で、本当に総理が今後きちんと筋道の立った、そして自分自身の発言に責任を持ってやっていただきたいということを最後に申し上げて、総理の見解があればお聞きして、終わります。

内閣総理大臣(麻生太郎君) 二次補正につきましては、来年一月早々に出させていただきます。したがいまして、これには当然のこととして補正予算を執行するために関連法案が出てまいりますので、その関連法案の審議を、先ほどお言葉をいただきましたので、我々としては早急にこれを詰め上げるべく、私どもとしては減額補正を含めてきちんと対応をさせていただきたいと思っております。ぜひそのときは、そういった協議を、また、こういった党首討論を含めまして、いろいろなお話し合いをさせていただければと心から期待をいたしております。

 最後になりましたけれども、今、もう一点、言葉に重みがないという御忠告をいただき、ありがとうございました。総理として、言葉にもっと重さができるように今後とも努力をしてまいりたいと思っております。

 いろいろ私の発言等々で一部誤解を与えたということに対しては、私どもとしてはおわびを申し上げたところでもありますけれども……(発言する者あり)

会長(二田孝治君) 静粛にお願いします。

内閣総理大臣(麻生太郎君) ぜひ、そういう点を含めまして、私どもは、発言に関しましては今後とも気をつけて、総理としての職務を全うしてまいりたいと思っております。

 ぜひとも、こういった党首討論等々を含めまして、今後ともこういった機会を与えていただいて、双方で意見の違いを明確にさせていただいたり、また、合うところは合うのであれば、我々としてはしかるべき担当を出しますので、ぜひ双方できちんとした話を詰めさせていただき、細部につきましての政党間協議など政策協議が大臣とそちらのネクストキャビネットの方々でやれるような機会を与えていただきますと、本予算の審議におきましても非常に建設的な話し合いができるものだと私どもは心から期待をいたしておりますので、重ねて御理解とお力添えのほどをお願い申し上げておきたいと存じます。

 ありがとうございました。

小沢一郎君 まだちょっとあるのだそうで、一言もう一度。

 私は、総理の言葉が軽いと言った意味は、総理だけじゃなくてみんな自戒しなくちゃいけないんですけれども、自戒というのは自分も含めてのことでございます。そうですが、言葉面の話ではなくして、自分がこうと思って話したことは、それはきちっと貫かなくちゃいけないということだと思うんです。

 また、今度のことでいえば、いわゆる政党間云々ではなくして、国民に対して総選挙よりも経済対策、景気対策が大事だと言って公約なさったんですから、それをやはりちゃんと実行しないと、二次補正を含めて、そうおっしゃったんだから、そういう意味において、私は、特に総理は、綸言汗のごとしという言葉そのものに、やはり一番最高権力者ですから、その最高のリーダーが一度自分自身でこうと言ったことは、特に国民と約束したことは、きちんと約束を守るという態度に徹していただきたい、そう思います。(拍手)

内閣総理大臣(麻生太郎君) 基本的に、思っているとおりのことを、きちんと自分の信念を、大事なことだと思います。私もそのように考えております。それは、私どもも同じように考えて、多分小沢党首も同様な考えでこれまで政治生活をしてこられたんだと存じますし、私もそのように思って政治生活をこれまで送らせていただいたものだと私自身もそう思っております。

 したがいまして、今申し上げましたように、私どもは、今回は政局よりは政策だということを最初に申し上げております。そして、そのとおりに実行させていただき、一次補正の中において、少なくとも借り手側の話につきましては一応の対策はできたんだと、数字の上からもそういった感じをいたしております。問題は貸し手側にというところもありますので、ぜひ、その貸し手側につきましては、審議並びに採決をよろしく重ねてお願いを申し上げたいと存じます。

 そういった上で、私どもは税収を見、そして年末にかけまして、我々は年末の予算というものを考え、一次補正に続きまして二次補正、そして本予算と、きちんと一月には通常国会において提出をさせていただきたいと思いますので、早々に出させていただきますので、ぜひ御協力のほど重ねてお願いを申し上げて、時間だと思いますのでお答えなり答弁にかえさせていただきますが、ぜひこういった形で、かねてからお願いいたしました党首討論がきちんとできましたことに対しまして重ねて感謝を申し上げ、今後とも、こういった形で党首討論ができて、国民の前で堂々と意見が交換できます機会があることを心からお願いを申し上げて、答弁なり私からの意見にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

会長(二田孝治君) これにて小沢君の発言は終了いたしました。

 本日の合同審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後三時四十五分散会


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