衆議院

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第2号 平成21年6月17日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十一年六月十七日(水曜日)

    午後三時開議

 出席委員

  衆議院

   委員長 二田 孝治君

   理事 伊藤 達也君 理事 臼井日出男君

   理事 萩山 教嚴君 理事 柳澤 伯夫君

   理事 奥村 展三君 理事 平野 博文君

   理事 冬柴 鐵三君

      伊吹 文明君    小野 次郎君

      大島 理森君    海部 俊樹君

      笹川  堯君    津島 雄二君

      中川 秀直君    中山 太郎君

      長勢 甚遠君    丹羽 雄哉君

      保利 耕輔君    細田 博之君

      谷津 義男君    保岡 興治君

      小川 淳也君    岡田 克也君

      高木 義明君    鳩山由紀夫君

      山岡 賢次君    北側 一雄君

      志位 和夫君

  参議院

   委員長 大石 正光君

   理事 小川 敏夫君 理事 佐藤 公治君

   理事 山谷えり子君 理事 脇  雅史君

      亀井 郁夫君    北澤 俊美君

      輿石  東君    芝  博一君

      平田 健二君    広中和歌子君

      簗瀬  進君    岡田 直樹君

      岸  信夫君    末松 信介君

      中村 博彦君    野村 哲郎君

      木庭健太郎君    西田 実仁君

      井上 哲士君

    …………………………………

   内閣総理大臣       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地方分権改革担当)

   (防災担当)       佐藤  勉君

   法務大臣         森  英介君

   外務大臣         中曽根弘文君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       石破  茂君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       金子 一義君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (規制改革担当)     甘利  明君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     野田 聖子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小渕 優子君

   内閣官房副長官      松本  純君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   衆議院国家基本政策委員会専門員          吉宮 孝治君

   参議院常任委員会専門員  田中 英明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国家の基本政策に関する件


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     ――――◇―――――

    〔二田孝治君会長席に着く〕

会長(二田孝治君) これより国家基本政策委員会合同審査会を開会いたします。

 本日は、私が会長を務めさせていただきます。

 国家の基本政策に関する件について調査を進めます。

 これより討議を行います。

 討議に当たりましては、申合せに従い、野党党首及び内閣総理大臣は、決められた時間を厳守し、簡潔に発言を行うようお願い申し上げます。

 また、お手元に配付いたしておりますとおり、委員及び傍聴議員各位におかれましても、不規則発言等、議事の妨げとなるような言動は厳に慎まれますよう、御協力をお願いいたします。

 発言の申し出がありますので、これを許します。鳩山由紀夫君。(拍手)

鳩山由紀夫君 私は、国民の代表の思いで、政府の代表の総理に対して議論をいたしたいと思います。その中で民主党と自民党の政策の違いというものを明らかにしてまいりたいと存じます。

 まず最初に、実はこの話をすることを必ずしも民主党の同僚議員からはとめられているのでありますが、あえて、国民の皆さんの最大の関心事に触れないわけにはいきませんので、申し上げたいと存じます。それは、日本郵政株式会社の西川社長さんの続投問題でございます。

 この件に関して、私は、国民の皆様方の総理に対する支持率が大変落下した大きな原因をつくったと思っています。なぜならば、判断ができない、判断がぶれる、判断が間違える、この三つ。国民にとってみれば、一国の総理大臣が重要な判断に対してなかなか結論が出せなかった、そして途中で判断が変わった、そして私から見れば、あるいは国民の多くから見れば、間違った方の首を切ったのではないか、そう思っておるのでございます。

 このような判断、国民の皆様方にとって、これでは総理の器としていかがなものかと思われるのは当然ではないかと思いますが、もし反論があればお聞かせを願いたい。

内閣総理大臣(麻生太郎君) 我々も、国会議員であれば皆、国民の代表、選良だということをまず最初にお断りしておきたいと存じます。

 郵政民営化に関してのお話が最初から、郵政民営化というか郵政会社に関するお話がありましたけれども、郵政株式会社というか郵政会社は、これは民営化された会社です。一〇〇%政府が株を持っているとはいえ、間違いなくこれは株式会社でありますので、そういうような民営化された株式会社に対して政府の介入というものは最小限にとどめるべきは当然のことだ、私はそう思っております。

 民間会社というのは、民営化というその趣旨からしても、人事に介入するというのは特に慎重であるべきだと思っております。したがいまして、日本郵政の人事にいろいろな点で問題があるというのであれば、これは明らかに、業務改善命令というもの等々を出されておるわけですから、それに基づいて郵政株式会社が結論を出されるのは、これは取締役会で出されることになりますので、取締役会までに結論をおろされておかれるべきということで、早い時点からこの点を申し上げておきましたけれども、残念ながらその対応はできなかったということだ、私はそう理解をいたしております。

 したがいまして、このような状況の中において混乱を招いているような感じというのはいかがなものかということでありましたので、私どもとしては、総理・総裁としての人事権が及んでおりますのは、これは郵政会社ではなくて間違いなく内閣側にありますので、この問題に関しましては、担当大臣というものの辞表を受理したということであります。

 また、西川社長につきましては、今後、新任されました総務大臣のもとで、業務改善命令にも従って対応していかれるということになりますので、この改善状況を見た上でよく判断をしたいと思っております。

 少なくとも、総務大臣というものは、事実を踏まえて、法律に基づいてきちんと対応されてしかるべきなんだ、私は基本的にそう思っておりますので、ぶれておるとかぶれていないとか、結論が出るまでの間、いろいろな御意見を聞くのは当然のことだと思いますが、結論が出た後は速やかに実行するというものだと思っております。

鳩山由紀夫君 もし最初からそう思っておられるならば、何でこんなに時間がかかったのかという話になります。もっとあっという間に結論を出してもよかったはずではないかと思います。一時は、少なくとも二月の段階では、私はもともと郵政民営化には賛成ではなかったみたいな発言があったりした。その中でリストがどうのこうのと、余りこの中に入り込むつもりは毛頭ありませんが、国民の皆様方との期待のずれというものが余りにも大きかったということは指摘しておかなければなりません。

 特に、かんぽの宿の問題を初めとする大変な不祥事、あるいは不祥事に極めて近いような状況に対して、私どもは、もう既に他の野党、国民新党さん、そして社民党さんとともに、告発を西川社長さんにしているところでございます。

 したがいまして、私どもが政権を獲得したときには西川社長さんにはおやめになっていただくしかないな、そのように感じているところでございまして、これは当然、国民の皆様方の世論というものをしっかり受けとめた中で、連立政権を樹立した暁にはそのような行動というものもとりたい。であるとするならば、今のうちにおやめにさせておかれた方がよろしいのではないかな、そのようにあえて申し上げておきます。

 私が続いてやはり申し上げておきたい、あるいは、これは大変大きな問題でありますだけに総理の方からお尋ねがあるのではないかと思いますので、私の方から先に申し上げておきたいことがございます。それは、北朝鮮の核実験あるいはミサイル発射の問題をとらえた国連安保理一八七四に対する採択の問題でございます。

 私は、採択がされたことは大いに歓迎すべきことだと。国際社会の中で、何としても北朝鮮に、少なくとも慎重に行動をしてもらわなければならないわけでございまして、その意味においては、一方では厳しく行いながら、他方では熟慮をうまく行うという外交が求められている。日米韓のしっかりとした連係プレーというものが必要であることを、私は先般、韓国に参りまして李明博大統領にもそのことを強く申し上げてきたところでありまして、これは総理も御異存がないところだと思います。

 したがいまして、いわゆる貨物検査に関する新法が必要だということであれば大いに議論をしたい、そのように思っておりますので、早く法案を出していただきたい。白紙委任を幾ら何でもするわけにはいきませんので、ぜひ早く法案を御準備いただければ、我々としても、できるだけ早く結論を出すことをお約束申し上げたい。

内閣総理大臣(麻生太郎君) まず最初に、政権をとられたときには郵政会社の社長を解任させるという御意見でしたが、世論だからということをおっしゃっておられましたが、私は、民間会社の人事というものを世論で決めるべきか、ましてや、それを政府が世論をバックに介入すべきかということに関しましては、極めて慎重であらねばならぬと最初に申し上げております。うかつにやるべきものではない、私は基本的にそう思っております。まずこれが第一点です。

 加えて、西川さんという方の行状またはいろいろな問題点につきましては、いろいろあるんだと思いますよ、行状という言葉が正しいと思いますが、いろいろあると思いますから、あえて行状という言葉を使わせていただきました。この方のしておられましたことに関していろいろ御意見が多々ありますのは、十分私どもとしても知っております。

 ただ、基本的には、仮にも民間会社になったというのであれば、その会社の行動というものにつきましては会社の中においてきちんと対応すべきが筋なのであって、我々としては、それは少なくとも取締役会の決まる前までにいろいろ株主として発言をする……(発言する者あり)

会長(二田孝治君) 御静粛にお願いします。

内閣総理大臣(麻生太郎君) また、それに対していろいろ話をするというのは、決して間違っていないとは思います。

 しかし、取締役会で既に決定された後にということになるのは問題だというので、早目の対応をということを申し上げておりましたが、やっておるということでしたけれども、なかなかそのように結論が至らなかったがゆえに長引いたという形になっているという点も御理解いただきたいと思います。

 北朝鮮のお話がありましたが、北朝鮮のことに関しましては、これは、この極東というか朝鮮半島に限らず、アジアはもちろんのこと、世界の平和と安定にとっても極めて危惧すべき重大な案件、ましてや隣国の日本にとりましては重大な案件であります。

 したがいまして、これに対応するためには、核実験が二回目に行われた後には、私としては、ブッシュ大統領に、また国連安保理のP5のメンバーであります方々に電話をし、もちろん韓国にも、いろいろな電話連絡などなどをいろいろさせていただいて、今回のP5の一八七四に関しましても、少なくとも、時間はかかりましたけれども、前回の決議文に関してははるかに厳しいものが出されたというのは、それなりの成果だと思います。少なくとも、圧力というものをもってして初めて、世界のメッセージ、世界の世論というものが先方に伝わるんだと思っております。

 したがって、今回の対応というものは、全会一致で一八七四が決議されたということは、これを受けて我々としては、その中で、各国に要請をされているものを含めまして我々はそれに真摯にこたえていくという必要があろうと思いますので、今御提案のありました、いわゆる船舶検査とかいろいろな表現がありますが、船舶法だけ直せばいいという話ではなくて、いろいろな問題が関連いたしますけれども、ぜひ早急にこれを提出させていただきたい。

 我々もそう思っておりますので、ぜひこの件に関しましては、両党一致して、与野党一致してこの後に対しての早急な結論を得たいものだと、私どももそう思っております。

鳩山由紀夫君 北朝鮮に関しては前置きがかなり長かったわけでありますが、私どもも、これは中身をしっかりと精査をしながら、協力すべきところは協力を申し上げたい。しかも、時日がそれほど長く国会があるわけではありませんし、解散・総選挙の時期も迫っていると理解をしている中で、できるだけ早くお出しを願いたい、そこを改めて申し上げておきたいと存じます。

 きょうこれから申し上げたいことは、私どもの政策と政府あるいは与党の政策との違いというものをできるだけ際立たせていくために、幾つかの論点で議論を申し上げたいと思います。

 その一つは医療問題でございます。

 私は、一人の命も粗末にしない、そんな日本の社会をつくらなきゃならないと思っています。ところがどうでしょうか。医療関係にまつわるさまざまな事件、事故が相次いでおります。

 つい先般も、出産中に重体となられた妊婦さん、十九カ所病院に断られて、ついに亡くなられてしまわれた。御案内かと思います。同じような事件、事故はたくさんございます。自宅でお生まれになった未熟児の赤ちゃんが、七カ所病院に断られてしまって、最終的に新生児の集中治療室がない病院に連れていかれて、結局亡くなってしまった。こういう事故が、事件が絶たないわけでございます。

 いろいろと当然政府の皆さんも御苦労されておられることだとは思いますが、私は、こういったことがなくなるような社会を何としてもつくり上げていくことが最優先の課題ではないか、そのように思っておるのでございます。

 そして、そのことをさまざま勉強してまいりますと、やはり決定的なのは、医師の数が不足をしているということ、それから看護師の数も不足をしているということ。私どもはやはり、医学部の定員を例えば五割増しにするというようなことなどを、早急に手当てをしなければならないことだと思います。

 さらには、あの二〇〇六年からでしょうか、社会保障費、これはもう聖域ではないという発言の中で二千二百億円がどんどん削られてしまったということ、これは大変な国民にとっての災難であった、そのように思います。

 診療報酬もずっとしばらくの間下がり続けていたわけであります。私どもも、診療報酬に対して、すべてとは言いませんが、平均して二割上がるくらいの診療報酬に戻さないと厳しいのではないか、そのようにも感じているところでありまして、都合八千億円程度がどうしても今緊急に手当てをする必要があるのではないか、そのように私どもは計算をいたしております。

 このような医療の問題、最優先しなければならない人の命の問題に関して麻生総理はどのようにお考えになっておられるのか、お聞かせを願いたい。

内閣総理大臣(麻生太郎君) 我々として、今、医者の数が足りない、看護婦の数が足りないという事態、特に地域においては格差がある、看護師、医者、いろいろ地域によって差がございます。そういった点は、これは大きな問題だと思っております。地域格差が出ておるという点だと思います。

 昔は、医者は余っておると言われた時代がありました。そのときに、あわせていろいろ医学部の定員を削減したりもいたしましたが、今は逆に足りないという事態になっております。それにあわせて我々としても当然対応をすることにいたしております。

 その問題に関しましては、我々も同様に、医者の数をふやさねばならぬ、看護師をということを当然考えておるわけですが、同時に考えなければならぬのは、医者を新たに養成するのには十年ぐらいの年数がかかります。その十年間どうするのかと。ただ、今から学部の数をふやして、医者の卵を、今からインターンから始めてというようなことをやるのにはかなりな時間差ができるという点が我々としては考えねばならぬ大きな問題なんであって、そのためにはどのような対応ができるかということも含めて、今、検討をいたしておる最中であります。

 これは正直申し上げて現実問題としてはかなり厳しい話でありまして、やめた方もぜひもう一回というお話をしてみたり、結婚されて退職をされた看護師、看護婦に対して、ぜひ再就職をやる気はないかというような話もいたしております。

 ただ、いずれにいたしましても、これは、毎年一兆円ずつぐらいふえてまいります社会保障関係の中で我々はそれに対する財源の手当てもしなければならぬ。私は、基本的にこれは大きな問題だと思っております。少子高齢化というのが間違いない現実となってきております今の中においては、この財源問題の話なくして我々はこの問題は対応できないと思っております。

 したがいまして、我々としては、今こういうような状況下にあっては、財源の手当てとしては、少なくとも広く薄く国民に負担をお願いせざるを得ない、そう思って、三年後、景気が少なくとも回復してきたというような状況の中において、経済が好転を示したという段階においては、消費税を含めて税の抜本改正というものをやらせていただき、そういった新たにふえます分に対しての対応、新たにふえますというのは社会保障関係の対応に関しまして、それに勘定科目を分けるというんですが、そういうようなことをきちんとさせていただいて、いわゆる社会保障関係がきちんと手当てができるようにする。

 そのための財源というものに対して消費税というものは我々としては避けて通れないと思っておるんですが、鳩山代表のお話を聞いておりましたら、この間の党首討論で、岡田当時代表候補者との話の中においては少なくとも消費税の話はしないというお話になっておるように聞こえましたけれども、消費税の論議というものを避けて通るというのは、財源を避けて通るということになろうと思いますが、この点に関しましてはどのように財源を考えておられるのか。

 なぜかならば、財源というものがなければ少なくともこういう話は極めて無責任なことになりますので、財源というものをきちんと提示してこそ初めて政策が実現し得る、我々はそう思っておりますので、ぜひこの財源の問題についての御見解を聞かせていただければと存じます。

鳩山由紀夫君 私は今お話を伺って、人の命より財源の方が大事かなと。

 やはり私は、人の命をまず大事にする政治というものをつくる、そのためには、必要な財源をやはり投入すべきじゃないですか。それを最初から、財源の制約というものを財務省に言われてつくった、社会保障費といえども聖域ではないという間違った論理の中で、二千二百億円、毎年ふえるべきものがカットされてきた。それがこんなありさまになってしまったんじゃないですか。

 財源の議論を私はするなと言うつもりはないんです。しかし、人の命というものをもっともっと大切にする、それが政治のあり方で、官僚任せにする政治が、どうしてもコンクリートの方が大事で、人の命というものを粗末にしてしまう政治に成り下がってしまっている。ここを変えなければならないと申し上げています。

 財源のお話をされました。その御質問をいただいたものですから、私からお答えを申し上げたいと思います。

 財源の手当てというのは、御案内のとおり、三種類あります。一つは増税をすること、一つは借金をすること、一つは無駄遣いをなくすことです。私どもはその優先順位を、まず、無駄遣いをなくす、徹底的に無駄遣いをなくしたいという方向からスタートしたいんです。

 今の政府は官僚任せにされているものですから、すぐ財源論の話になって、本来ならば消費税を上げないで済む話なのに、すなわち、無駄遣いを徹底的に見直すという部分を官僚主導でやられているものだから、どこにも無駄がありませんという話になって、ならば減らせませんね、減らせないからしようがありませんね、借金をしましょう、借金でも足りなければあとは消費税の増税ですね、そういう話にすぐ変わってしまうのでございます。私どもは、その前にやることがあるでしょうと。

 私どもが政権をとったときに、まず四年間、消費税の議論にすぐ答えを出すのではなくて、これは官僚の抵抗が物すごく予想されますから、それに対して、各省庁、今お互いにやっておりますけれども、事業仕分けなどを徹底的に行って、どのぐらい無駄があるかということを点検しなければいけない。

 我々が政権をとれば、あの川辺川ダムとか八ツ場ダムとか、もう古くなった、今の御時世に合わないような大型な公共事業というものは基本的にやめようと思っています。そういうことをしながら財源を見出していく、無駄遣いを減らしていく、不要不急のものは後にしたっていいじゃないですか。私どもは……(発言する者あり)何ですか、その言い方は。

 私どもは、二十兆円ぐらい、新しい政策というものに予算を計上したいと思っているんです。それを、皆さん方から言うと、そんな財源どこにあるんですか、必ずそういう話になるんです。だからお話を申し上げたいと思っているんです。(発言する者あり)

会長(二田孝治君) 不規則発言を慎んでください。

鳩山由紀夫君 一般会計と特別会計、合わせると二百十兆円あります。この二百十兆円の中で、社会保障費、国債費、こういったものはどうしても削れないのはわかっています。費目をいろいろと検討した中で、公共事業、施設費、人件費、補助金、こういったものを合わせると七十兆円になるんです。この七十兆円の中の十兆円程度を、例えば随契を見直すとか不要不急なものを後に回すとかして、当然の話で我々は十兆円ぐらい削減できると考えているんです。

 それをやるかやらないかは、官僚任せにしている政権はできない、でも、官僚任せではない、国民の皆さんと一緒に歩む民主党ならできる、その発想で私どもはやらせていただくんだ。だから、このようなことを行っていけば、決して今すぐに消費税の増税の議論に陥る必要はないんです。

 すなわち、四年間の間、我々が政権をとっても消費税の増税はしないということをここに明言をしておきます。それでよろしいでしょうか。

内閣総理大臣(麻生太郎君) 鳩山代表は、前回の党首討論の中においても、四千五百の団体に二万五千人の天下りOBがいて、そこに十二・一兆円のいわゆる国の予算が流れていると主張されておられました。

 十二兆一千億のほとんどというものは、これはよく調べていただかないといかぬところだと思いますが、国立大学、私立大学などなど教育に一兆二千億出しております。また、独立行政法人に三兆七千億出ておりますが、この中には、住宅金融支援機構に三千億など、いろいろ例を挙げて出てまいりますが、我々は、この間のお話を聞いていますと、これを全部足して申し上げてもいいですよ、時間がもったいないなと思って申し上げないだけなんですが、民主党は十二兆一千億が既に天下りOBの人件費かのごとき話をされておられますが、これは、十二兆一千億のうち人件費は〇・八%です。〇・八%しか使われていないので、残りの部分につきましては、今申し上げたような例をずっとかければ切りなく出てきますけれども、学校の問題に関しましても、少なくとも、こういった支援というものをきちんと私立大学なり国立大学にしなければ、国立大学の授業料は今五十万円だと思いますが、直ちに五倍、二百五十万ぐらいにならないと計算が合わぬ。そういったようなことができるでしょうか。

 基本的に、そういった点を一つ一つ私どもは詰めた上で申し上げておりますので、いかにも十二兆一千億がすべて人件費かのごとき話をされるといかがなものかという形をいたしております。

 また、二百十兆円の話が出ましたけれども、御存じのように、これは国債費が八十兆。御存じのとおりです。また、社会保障関係費七十兆。これで百五十兆であります。また、地方交付税関係で二十兆出ております。したがって、これで百七十兆。そして財投に約十兆出ておりますので、残り約三十兆ということになりますが、その三十兆の中には、もちろん文教関係の中にこれが五兆幾らか出ておりますので、そういったものを足していきますと、この中からいきなり、二百十兆からこうやって振っていたら二十兆出てくるかのごとき話には、私どもとしては、とてもではないけれどもそういった話は現実論を欠いておるのではないかと、私どもはそう思っております。

 少なくとも、こういったようなことをきちんと精査していかないといかぬ話なのであって、現実論を言っていただかないと、どこがどういうぐあいなのかという点をきちんと言っていただかないと、今申し上げたような極めて不安感を我々は持たざるを得ない、そういうことに思っております。

鳩山由紀夫君 だから、最初から私の話を聞いてくださいと申し上げているのであります。

 この二百十兆円を官僚のやり方の仕分けをするのではなくて、私どもがきちんと別の費目で検討し直したんですよ。それでさっき言ったじゃないですか、施設費とか人件費とかそういうものに分けるんです。社会保障費というものの中でも、全部が全く切れないものではないんですよ。その中にも切れるものがあるんです。それを我々が点検をした中で、二百十兆円の中で七十兆はそれで積み上げることができる。この七十兆の中の十兆円程度ならば十分に、無駄だと考えてなくしたり、あるいは、今急がなくてもいいから、後回しにしたっていいだろうというものを見出すことができる。

 先ほどからそう話をしたのに、いわゆる官僚任せにする、ペーパーをそのまま棒読みされるから結果として間違った認識をそのまま持ってしまわれるのではないか、そう指摘せざるを得ないのであります。

 それから、前回の党首討論のときに確かに私が申し上げました。トータルで十二兆一千億円、四千五百の天下り団体に二万五千人が天下っている、そのことを指摘申し上げたら、事もあろうに、細田幹事長から公開質問状なんというものが来まして、ちょっとこれは幾ら何でも失礼な話で、今まさに麻生総理と私との間のこういった議論を通じて解明すればいいのに、何ですか、顔も見ないでペーパーだけ出して、これをいつまでに答えてくれなければいけませんと。これは大変失礼な話だな、御無礼なことだなと思っておりますので、二度とこういうことはなさらないでいただきたい。そして、私の方からきちんとお答えしますから。

 あの中に書いてあること、私は政府に調べていただいて、それをペーパーにしてその中で読んだわけでありますので、その数字は正しい数字でありまして、決して間違っているわけではありません。一つ一つそれを政府答弁として、私が国民の皆様方に党首討論でお話をした数字は決して間違っているわけではありません。

 その十二兆一千億円の中で……(発言する者あり)よく聞いていただきたい。八兆四千億円だと思いますが、その中の半分以上が随契なんです。随意契約であります。すなわち、防衛装備なども入っていますよ。当然のことながら、それだって減らせない話じゃないでしょう。かなり、相当高く見積もったものがいろいろ出てきたことが指摘されているじゃありませんか。こういう一つ一つをチェックしていけば、私どもとすれば、すべて十二兆一千億円全部が無駄なんということは言っていませんよ。一言も言っていませんよ。でも、その中にかなりの部分削減できるものがあるんではないですかと言ったんです。人件費などという言葉も一言も使った覚えはありません。人件費がごくごくわずかであることは十分に理解をしています。だからこそ、随契とかそういう話を申し上げているわけじゃありませんか。

 ぜひそこのところは、政府なんですから、我々は予算を組める状況ではない、皆さん方が予算を組んでおられるわけだから、もっと一つ一つの中身を点検して、本当に無駄がないのかどうかをチェックしてくださいよ。政権をとれば当然我々がチェックをいたしますが、政権をとる前はあなた方がチェックするしかないんです。

 では、あなた方は、河野太郎先生などが中心となって、事業仕分けで例えばアニメの殿堂は無駄だみたいな話が出てまいりましたけれども、そういう議論は政府の中ではまじめにされていないんですか。無駄遣いはないと本当に麻生総理は思っておられるのかどうか、お聞きしたい。

内閣総理大臣(麻生太郎君) まず最初に随意契約の話から入られましたが、随意契約というものは、十二兆円の約半分が随意契約という表現を使っておられました。今も重ねて使われましたが、計算をしてみますと、競争入札以外はすべて随意契約という計算でこれはでき上がったんだと理解をいたしております。しかし、財政投融資資金なんかの貸し付けなんというものは、これはそもそも随意契約であろうはずがありませんから、それは幾ら何だって、それを全部入札と言われるのはいかがなものかと。随意契約としてカウントしておられるのは、ちょっと正直申し上げておかしいんじゃないかと思っております。

 また、いろいろな意味で、例えば防衛施設庁なんかのライセンス契約というようなものも、これは随意契約ということになりますので、我々の計算では、正直申し上げて、随意契約と言われるものが約二兆円ございます。二兆円ありますが、我々の言う随意契約、世間一般で言われる随意契約というものだと思います。これが約二兆円ありますが、そのうち約半分が防衛施設庁関係の、防衛庁関係のものだという点でありますので、まず、いかにも随意契約が半分以上は勝手に役人がやっているかのごとき印象を与えるのは間違っていると思います。それがまず第一点であります。

 また、無駄ということに関しましては、当然のこととして、無駄が全くない、一つもないというほど私はすべての人間が完璧だと思ったことはありません。しかし、我々としては、極力無駄をなくすように不断の努力をし続けるのは当然なんであって、これは選良として、政府側にいる人間としては当然のこととして、この種のものに対しては目を光らせる義務、責任というものは皆一様に負っている。なかんずく、そこを担当いたします閣僚ともなれば、当然のことにそれをやらざるを得ない、またやらねばならぬ大事な大事な仕事だ、私どももそう思っておりますので、いかにも、何となく、民主党になったらすべての無駄がなくなるかのごとき話は、とてもではないけれども我々としては、そんな簡単にいくものでもありませんし、双方、この点は無駄だと言われる御指摘を入れれば、それは我々としてもそれを受け入れる、そういったものを調べて対応していくものだと思っております。

 また、アニメの殿堂の話を具体例としてされましたけれども、これは何も思いつきで私の段階から出たわけでも何でもない。これは、前々に、安倍内閣のときにこれがスタートし、福田内閣でこれを企画し、私のときに実行させていただいたというそれまでの経緯がございます。

 少なくとも、我々は今、これからの日本のソフトパワーとしては、コンテンツというものは今日本で約十四兆円ぐらいのものがありますけれども、十四兆、世界では百五十兆のコンテンツ関係のものがあります。これは、これからもさらに伸びると言われる部門であります。我々としては、映画、写真、いろいろアニメ以外にもいっぱいありますが、こういったものをきちんと系統立てて、それを支援していく。役人が、政治家が、この種のことに秀でていると思ったことはありません。

 したがって、これは運営等々は民間に基本的にやってもらうのが筋だということを申し上げてきておりますので、思いつきで何もやっているというわけでは全くないことだけは、私としては、誤解を招かれるような話になり過ぎていると思っております。

鳩山由紀夫君 私は、十二兆すべてが問題だと言っているわけではありませんで、その中の八兆のうちの半分が随意契約だと申し上げたんですよ。ちゃんとしっかりと聞いていただかないといけません。

 私どもの計算では、随意契約が四兆となっています。ですから、今のどちらが正しいのかを、これは私どもも政府からもらったデータでありますので、どっちかが間違っているんでしょう。それはひとつ正しいものにしていかなきゃなりませんが、我々とすれば、半分ほど随意契約があるなという思いは、さまざま今までの経験から感じているところであります。

 それから、アニメの殿堂のお話がございました。

 私がアニメの殿堂のことを申し上げたのは、河野太郎先生がそれは不要だということで申し上げた、自民党の中から不要だという話が出たということで、そのことを政府としてどう考えているのかということを申し上げた話であります。

 そこに百十七億円かける。今、安倍総理のときからという話がありましたけれども、補正予算ですよ。補正予算で組むのは、本予算が終わった後、緊急的に必要になるところに組まれる予算でなければいけないのに、何で安倍総理のときから問題が起きて考えられてきたものが突然補正予算に組まれるのかということが、どう考えたっておかしいでしょう。これは私でなくたってこのおかしさはわかるはずであります。

 私は、ただ、論点を変えて申し上げれば、こういった箱物ですよ。三十兆が土地だと承っていますし、そのうち七十兆が箱物、そこで百兆でしょう……(発言する者あり)失礼、百億、ごめんなさい。合計百億ということでありますが、そのことで私が申し上げたいのは、コンクリートより人の方が大事じゃないかということを申し上げたいんです。

 すなわち、この三月、四月、自殺をどのぐらいされたと思いますか。自殺の数が毎日百人です。日本です。そんな国、先進国でどこにもありません。特に、二十代、三十代の若い方々が自殺をされてしまっている。死因のトップですよ。亡くなった原因の、二十代は四九%が自殺ですよ。四九%、ほぼ半数がみずから命を絶たれてしまっている。三十代も三六%、三人に一人以上がみずから命を絶たれてしまっている。こんな国ないんです。先進国の中で、こんな若者の自殺が第一位なんという国、ないんです。そういう人たちを救うことが政府の役割じゃないですか。私は、一人の命も粗末にしないというのは、まさにそういう意味で申し上げているのであります。

 そのことをもしおわかりになっているならば、なぜ生活保護を、あの母子家庭の母子加算、四月にカットしちゃったんですか。二百億ぐらいでしょう。そのぐらいのお金でできる話で、私はいろいろなところから聞きましたよ。

 小学校に入りたてのお嬢ちゃん、お母さんが生活保護、母子家庭、二万円を切られてしまった。そこで、もう私は高校に行けないのねと。その話を聞いたら涙が出ましたよ。高校に行けないのね、勉強したいのに。

 高校へ行っている男の子三人の兄弟のトップが高校一年生、彼も母子家庭。その方も修学旅行へ行きたい。でも、僕、修学旅行へ行かなくていいよとお母さんに言ったそうです。

 修学旅行へ行きたくても行けない、高校へ行きたくても行けない、こういう人たちがたくさん今いるんです。これが今、日本の現実なんです。みずから命を絶たれる方も毎日百人おられるんです。こういう方を救おうじゃないですか。居場所を見出せるような国にしようじゃないですか。

 そのために、何で一方で、私はアニメの殿堂を全部悪者にしたいとは思っていない。でも、アニメの殿堂のお金があれば、まず何で生活保護の家庭の母子加算に戻してあげないんですか。そういう政治をやりたいんですよ。やろうじゃありませんか。

内閣総理大臣(麻生太郎君) まず最初に、二つ問題を分けておられまして、これは時間も限られていますので、母子家庭の加算の話をされましたけれども、これは、母子家庭が置かれております状況は実にさまざまであります。

 したがって、先ほどの、一日百人とおっしゃいましたが、これは正確に言いますと、過去十年間で毎年約三万人を超えております。それが実数でありまして、ずっと毎年三万人を超えておるのは異常だと、私もたしかこれは去年のうちに、所信かどこか本会議でこの数字に触れたと記憶をいたしますが、明らかに鳩山代表、これはだれが考えてもおかしいです。しかも、一九九七、八年の、多分、アジアの経済金融危機、あのときぐらいが数字的には日数としては合っているんだと思いますが、そのころぐらいから急激にふえてきたというのが実数として我々として把握しているところであります。

 したがって、この問題は非常に大きな問題なのであって、これは、裕福か裕福じゃないかにかかわらず出てきておるというところも、加えて問題なところです。

 したがいまして、母子家庭というものを一つ例に引かれましたけれども、我々は、これを一律というような今までのようなやり方ではなくて、少なくとも、これまで月額二万三千円という一律母子加算というものを廃止をしましたが、しかし、高校に行っておられる方々とかいうのに関しましては二万円、また、御存じのように、働いておられる、いわゆる就労している場合に関しましては、これは一万円というのをきちんと出させていただいておりますし、またさらに、今回の補正予算において、職業訓練期間中などにおきましては、生活費の支援というものは、職業訓練の間は働けませんから、そういった意味では、生活費の支援として、我々としては最大三年間と限らせていただきましたが、十四万円というものを給付するという制度も創設をしたわけでありまして、母子家庭を支援していくという視点ははっきりしておると思います。

 あと一分だということなのでこれで終わらせていただきますが、話が途中になっているというところもありますし、我々としては、間違いなく安全保障の問題、何となく、隣の朝鮮半島の話などいろいろなお話を伺っていますと、どう考えても、第七艦隊さえいれば大丈夫だ、第七艦隊だけいれば十分だというような話が出てきてみたり、日米安全保障条約を確固たるものにするのが今我々として最も大事なところなんじゃないのか、私は基本的にそう思っております。

 第七艦隊だけで日本の安全が守れるであろうかということに関しましては、我々としては……(発言する者あり)

会長(二田孝治君) 御静粛にお願いします。

内閣総理大臣(麻生太郎君) 明らかに偏っていると思っておりますので、ぜひそういう意味では……(発言する者あり)

会長(二田孝治君) 御静粛に。

内閣総理大臣(麻生太郎君) 我々としては、こういったことにきちんと対応するために、ぜひ委員長に、時間だと思いますが、次回早急にこの問題に関しまして、財源の問題、財源を話さない政策などというものは無責任だと思っておりますから、財源の問題、そして安全保障の問題、この二つに関して改めて党首討論を開催していただくように、ぜひよろしくお願い申し上げます。(拍手)

鳩山由紀夫君 今御提案ありましたから、全く異論はありません。

 何か突然に安全保障の話を最後に触れられて、聞いておられる国民の皆さんも唖然とされたのではないかと思いますが、私どもは、民主党と自民党の政策の違いというものをわかりやすく説明をしようとしてきょうは参りました。

 その意味で、コンクリートではなくて人を大事にする政治だ、官僚任せではない、国民の皆さんの視点に合ったそういう政治をつくりたい、縦の利権型社会ではなくて横のきずなの社会をつくりたいんだ、中央集権ではなくて地域主権の世の中に変えたいんだ、こういう議論を大いにこれからやりながら、国民の皆さんがなぜ麻生政権に対して残念ながら愛想を尽かしておられるのか、そういったことも明らかにしてまいりたいと思います。

 どうぞよろしくお願いします。(拍手)

会長(二田孝治君) これにて鳩山君の発言は終了いたしました。

 本日の合同審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後三時四十七分散会


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