衆議院

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第2号 平成22年3月31日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十二年三月三十一日(水曜日)

    午後三時開議

 出席委員

  衆議院

   委員長 大畠 章宏君

   理事 鈴木 克昌君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 樋高  剛君 理事 吉田おさむ君

   理事 若井 康彦君 理事 村上誠一郎君

   理事 柳本 卓治君 理事 井上 義久君

      阿久津幸彦君    青木  愛君

      古賀 一成君    齋藤  勁君

      下条 みつ君    高木 義明君

      玉置 公良君    手塚 仁雄君

      中山 義活君    橋本 清仁君

      伴野  豊君   松木けんこう君

      三井 辨雄君    山岡 賢次君

      石破  茂君    大島 理森君

      川崎 二郎君   田野瀬良太郎君

      谷垣 禎一君    志位 和夫君

  参議院

   委員長 溝手 顕正君

   理事 家西  悟君 理事 広中和歌子君

   理事 石井みどり君 理事 伊達 忠一君

      石井  一君    一川 保夫君

      亀井 郁夫君    川上 義博君

      輿石  東君    高嶋 良充君

      平田 健二君    山下八洲夫君

      岸  信夫君   北川イッセイ君

      末松 信介君    塚田 一郎君

      木庭健太郎君    山口那津男君

      井上 哲士君

    …………………………………

   内閣総理大臣       鳩山由紀夫君

   財務大臣

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   菅  直人君

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   原口 一博君

   法務大臣         千葉 景子君

   文部科学大臣

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   川端 達夫君

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   国土交通大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 前原 誠司君

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     平野 博文君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       中井  洽君

   国務大臣

   (金融担当)       亀井 静香君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   福島みずほ君

   国務大臣

   (「新しい公共」担当)  仙谷 由人君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     枝野 幸男君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   内閣官房副長官      松井 孝治君

   衆議院国家基本政策委員会専門員          桂  富夫君

   参議院常任委員会専門員  山口 一夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国家の基本政策に関する件


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     ――――◇―――――

    〔大畠章宏君会長席に着く〕

会長(大畠章宏君) これより国家基本政策委員会合同審査会を開会いたします。

 本日は、私が会長を務めさせていただきます。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 衆議院国家基本政策委員長の大畠章宏でございます。

 参議院の溝手委員長を初め、衆参両院の委員の皆様方の御指導、御協力を賜りまして、その職責を全うしてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

 国家の基本政策に関する件について調査を進めます。

 これより討議を行います。

 討議に当たりましては、申合せに従い、野党党首及び内閣総理大臣は、決められた時間を厳守し、簡潔に発言を行うようお願い申し上げます。

 また、委員及び傍聴議員各位におかれましても、不規則発言等、議事の妨げとなるような言動は厳に慎まれますよう、御協力をお願いいたします。

 発言の申し出がありますので、順次これを許します。谷垣禎一君。(拍手)

谷垣禎一君 鳩山政権が発足しましてから今日まで七カ月ぐらいたったんでしょうか。その間に政権周辺にいろいろな不祥事があったということは大変残念なことであります。

 一部を私、読み上げますと、十月の三日に、原口総務大臣、NTT労組からの献金の記載漏れが明らかになった。それから十月三十日には、江田参院議長や川端文科大臣あるいは直嶋経産大臣、松野官房副長官、松本議運委員長ら民主五議員の団体が、クラブ、キャバクラ、ニューハーフショーパブなどでの飲食費を政治活動費に計上していたことが判明した。それから十二月二十四日、友愛政経懇話会、これは総理の団体でありますが、偽装献金事件で元第一秘書が在宅起訴、元政策秘書を略式起訴。それから陸山会、これは小沢幹事長の団体でありますが、不正土地購入事件で元私設秘書の石川議員が事情聴取された。十二月二十七日、石川議員が事情聴取、それから鳩山総理が六億円の贈与税を支払った。

 年が明けまして一月十二日、川端文科大臣の政治団体達友会に事務所費疑惑、東レ労組幹部や秘書宅を所在地として届け出て、二十二年間で六千六百七十二万円の事務所経費を計上。一月十三日、小沢事務所、陸山会、石川事務所、鹿島建設など強制捜査。一月十五日、石川議員ら三人が逮捕。一月二十三日、小沢幹事長事情聴取。二月に入りまして、二月四日、石川議員ら三人が起訴、小沢幹事長は不起訴。そして十五日、小林千代美議員に北教組からの違法献金疑惑、北教組本部などへ家宅捜査。三月に入りまして、一日、北教組幹部四人が逮捕。それから十二日、輿石民主党参院議員会長の神奈川県の自宅が農地法違反の疑い発覚。そして三月二十二日、北教組委員長代理、小林議員選対会計担当が起訴、団体として北教組も起訴、小林議員は離党、議員辞職を否定した。

 こういうことが続きまして、今日また国家公安委員長の件が出ております。

 総理は、危機管理あるいは国民の治安を守る国家公安委員長がSPを連れずに夜の町に出て行く、このことは危機管理上何らかの問題があるとお考えか、あるいはお考えでないか、お答えください。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 今、さまざまな民主党の議員を取り巻く事件に関しての御披瀝がございました。

 国民の皆様方に対する政治不信というものを招かないようにしなければならないことは言うまでもありません。その意味において、私ども、一番大事なことは、国民の皆様方に、このような一つ一つの事件が起きた際に説明責任を果たしていくということでございます。私も含めてそれぞれの立場に置かれている者が、まずは、なぜこのようなことを起こしてしまったかということに関して、私も国民の皆さんに何十回も説明を申し上げてまいってきたところでございます。

 今回の国家公安委員長の問題に対しましても、本人がこのことに関してしっかりと説明をしているところでございます。私は、その意味において、必ずしも、SPを連れなかったということ、十分な配慮がなかったとも思ってはおりますけれども、しかし、ある種何らかの理由があったのではないかとは思っております。

 今後、しかしながら、このようなことが決して起きないような状況をつくり上げていくために、当然のことではございますが、やはり何が起きてしまうかわからない、特に国家公安委員長はその職にある者でございますだけに、本人も大いに反省をしているところでございますので、二度とこのようなことがないようにいたさせます。

谷垣禎一君 反省しているから責任は問わないとおっしゃったんでしょうか。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) この件に関しては、官房長官から厳重に注意がございました。

谷垣禎一君 今まで民主党関係でいろいろな事件が起こりました。大体おっしゃっていることは共通なんですよ。職責を全うすることによって責任を果たしたいとか、要するに、責任を正面から見詰めようというお気持ちがないんです。責任を正面から見詰めるお気持ちがない。今総理は美辞麗句で説明をちゃんとしてきたとおっしゃったけれども、そんなふうに受け取っている国民は一人もおりませんよ。私は、だから、一個進めて御質問したいと思います。

 一昨日、総理の元秘書、勝場さんの公判がありました。事実はお認めになった。そして二年間の禁錮を求刑された。事実を争っておられないんですから、これは有罪判決が出ることはほぼ確実であります。

 今まで総理は、この勝場さんの訴訟に関連して、訴訟が終わったら東京地検にある書類や何かを全部出して、そうしてきちっと国会で説明をするとおっしゃってこられました。裁判は結審したんですね。総理、即刻これをお果たしになる気がおありですか。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 今、私の元秘書でありました勝場被告のことに関してお尋ねがございました。

 私は、この件に関して、秘書がなぜこのようなことを犯してしまったのかと、大変そのことは残念に思っておりますし、私自身が政治家でなければ彼自身もこのようなことを犯さなかった、そのように思っております。その意味において、彼が大変に、このようなことを起こしてしまったことに対して、私が存在していなければ彼がこのようなことを犯さなかったことを思えば、まことに申しわけない思いであります。

 すなわち、当然のことながら、私はその責任というものを負うべきだと思っております。その責任の負うべきあり方は何かということを常に自問自答してまいったところでございまして、私としては今、身を粉にして国民の皆様方のために働かせていただくことを、せっかく政権交代をして、政治を変えていきたいという国民の皆様方の大きな御期待にこたえることによって、その責めを果たしてまいりたいと考えております。

谷垣禎一君 今の総理の御発言は、一見非常に誠実な態度で反省をしているようにおっしゃっているから、国民の中には、何か真摯に反省されているなと誤解される方もあるでしょう。だけれども、今の総理のお話のように、職責を全うすることによって責任を果たすんだ、そんなことばかりだから、今まで不祥事が起こっても、民主党でだれも責任をとる人がいないんじゃないですか。すべてはそういう総理の態度に起因していると私は考えます。

 それで、一昨日の新聞報道でも、総理の子分に裏金が渡っている、こういう記事が出ておりました。我が党の与謝野議員が総理に質問されたときに、子分に金を配る必要があるなんというのは全くの作り話だと色をなしたのは総理御自身です。しかし、収支報告書にもこの寄附は記載されております。過去二年で国会議員等に延べ二十七件、七千百万円。女房役の平野官房長官に至っては一千万円も渡っている。子分を養うためにお母さんからのお金が必要だった、これは事実じゃないですか。

 そして、裏金だということでこの報道がありました。集中審議をこれはやらなきゃならないのは当然のことであります。そして、裁判も結審したんですから、約束どおり資料を出さなきゃなりません。さらに、総理と熊田議員の国会での説明を求めたいと思います。

 そしてさらに、小沢議員、石川議員、小林議員について、辞職勧告決議案あるいは参考人招致、証人喚問、いろいろ私どもは要求しているけれども、これはすべてたなざらしにされております。こういった説明責任をきちっと果たされるように、強く要求をいたします。

 そして私は、今申し上げたのは、総理大臣のその言葉からいろいろな問題が波及しているのじゃないかということを申し上げた。そして、物事が何も決まっていかないということも今まで数多くあったわけであります。

 そこで、それに関連して政策面で問いたい。まず普天間です。

 まず総理に伺いたいことは、三月二十六日の記者会見で、三月末までに政府案を一本化したい、こうおっしゃいましたか。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 先ほど、二日前の新聞報道の話をされました。あたかも裏金を子分に渡したかのような記事でありました。そのことは私もチェックをいたしました。本人にも、そしてその元会計責任者にも秘書を通じてこのことの是非を尋ねました。それはない、全くの捏造記事であるということでございまして、このような事実でない記事があたかも事実のように記載されてしまうことに対して、大変私は残念な思いでございます。

 普天間の件で申し上げれば、私は、確かに三月に、三月をめどに、国民の皆様方には必ずしもまだ公表する段階ではありませんが、政府としての考え方をまとめてまいりたい、そのようには申したところは事実でございます。

谷垣禎一君 前段の話は説明責任をきちっと果たしていただきたいと申し上げます。

 そして、三月二十六日の会見で三月末までに政府案を一本化したいと言われたかというのは、今、そういうことを言ったという御答弁ですね。

 次に聞きます。

 三月二十九日、ぶら下がり会見で、今月じゃなきゃならない、そういうことは法的に決まっているわけではありませんと言われましたか。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 私が申し上げたのは、五月の末までに必ず政府の考え方を、政府の方針というものを沖縄を初め日本の国民の皆様方にも理解を求め、さらにはアメリカの皆様方にも理解を求めたものをつくるということをお約束いたしました。そのためには、当然、三月末ぐらいまでには政府としての考え方を決めていく必要があるのではないかという思いで、当然のことではありますが、私には今、その腹案を持ち合わせているところでございます。そして、関係の閣僚の皆様方にもその認識のもとで行動していただいているところでございます。

 そのような中で、私は、三月末をめどにして政府としての考え方というものを一つに、考え方をですよ、決めてまいりたいということを申し上げたことは事実でございますが、当然のことながら、法的に三月末までに何かを決めなければならないという状況ではないことは、これは谷垣総裁もおわかりのとおり、今大事なことは、五月末までにしっかりとした政府案というものをお認めをいただく、そのためのプロセスを今行っている最中でございまして、ぜひ国民の皆さんには政府の考え方を任せていただいて、アメリカに対しても、そして、特に地域の皆様方、関係の出てくる地域の皆様方にも御理解を願いたいと思っているところでございます。

 大事なことは、今日まで特に平和を維持するために沖縄の皆様方が大変に貢献をしてくださったということに、私は、全国の国民の皆さんが感謝をすべきだと思います。そして、感謝の気持ちの中で、これからは、全国の皆様方が沖縄の今日までの貢献というものに感謝をしていきながら、むしろ、全国の皆様方にその負担を分かち合うという思いを共有をしていただきたい。きょうはあえて国民の皆様方にそのことも申し上げたいと思っています。

谷垣禎一君 私は、本当にあなたに聞きたいことは、言ったとか言わないとかそういうことじゃないんです。そんな、三月中に解決しようなんて法律に書いていないなんて当たり前のことですよ。私が言っているのはそういうことじゃなくて、いいですか、そのように三月に回答を出したい、まとめたいとおっしゃったのはあなた自身なんですよね。それを、その事実を総理自身が自分のこととして意識しておられるかどうか、こういうことを問うているわけですよ。つまりこれは、総理、あなたの総理としての資質にかかわった質問を私はしているわけです。

 つまり、自分がおっしゃったことを何か他人事のようにおっしゃるその態度、そして人に転嫁していく、あたかも自分は被害者であるかのように振る舞う、こういう態度が見えているわけですよ。

 法律では決まっていない、しかし三月中に方向を出す、こうおっしゃったわけですよね。きょうは三月三十一日です。いつまでにきちっと決めるんですか。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) まず申し上げたいのは、何でこんなに長いこと、本来、普天間の危険性を除去しなければならない、それが先にあったにもかかわらず十三年、十四年かかってしまっているか。それだけ大変難しい仕事を今新政権において果たそうとしているということをぜひ御理解をいただきたい。

 私は、決して自分の責任を他人に転嫁しようなどと全く思っていません。やはり新政権を担っている以上、だから今まで十三年、十四年かかったとしても、これから半年の間にしっかりと新しい普天間の移設先を探しますよ。そのためには、アメリカの皆さんにも、あるいは沖縄を初めとする関係のある県の皆さん方にも御理解をいただかなきゃならない。そのために腹案というものを用意をしています。そう言ったじゃありませんか。私としての今の考え方というものはもう既に用意はしています。

 ただ、それを国民の皆さんにこの地域ですよということを申し上げた途端に、やはりその地域からは、この地域は難しいよ、いろいろなお声をちょうだいすることはわかっていますから、だからこそ、今政府がプロセスの中で考え方を一つに取りまとめていきながら、その工程の中で、アメリカに対しても、あるいはかかわりのある方々にも交渉をこれからしてまいりたいと思っているところでございまして、くどいようですが、その腹案はもう既に用意しているところでございます。

谷垣禎一君 今、総理のお話を承りまして、いつの間にか腹案になっちゃった、こういう思いで聞きましたよ。三月三十一日というのはいつの間にか消えちゃったんですね。

 それからもう一つ、十三年間何もしなかったかのごときことをおっしゃいましたけれども、我々はきちっと場所も決め、アメリカの同意も取りつけ、そうして地元の方々の同意も取りつけ、抑止力をきちっと守り、そうして沖縄の負担を軽減して、二〇一四年にはもうでき上がるというところまで来ていたんです。それを、県外だ、国外だというようなことをおっしゃって、そうして沖縄県民の期待をあおり立てて、この抑止力をきちっと守るということと沖縄の負担軽減、この二つを両立できる唯一の解が現行案だったんですよ。それをめちゃくちゃにしちゃったんです。

 私は今、三月三十一日どうするんだということを伺いましたが、もう一つ同じようなことを聞かなきゃならない。こういうことを聞かなきゃならないのは残念ですが、当事者にとっては切実であり、また、どうしてもここではっきりさせなきゃならないんです。

 総理、普天間基地の今腹案があるとおっしゃった。移設先は、沖縄県内ですか、県外ですか、国外ですか。

 これは、総理の発言があっち行ったりこっち行ったりするたびに福島党首が喜んだり悲しんだりされるという次元の問題じゃありませんよ。総理が、あるいは閣内のいろいろな大臣がこのいろいろな地域を挙げられる。そういう候補を挙げるたびに、その地域の方々が驚く、あるいは悩む、怒る、こういうことがあるんですね。

 総理、二十八日に徳之島で反対集会がありました。どれだけの方がお集まりになったのか、総理は御存じでしょうか。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) まず、谷垣総裁には申し上げたいけれども、十三年かかって、現行案でほぼ決まりかけていたとおっしゃるけれども、辺野古の海にくい一つ打てなかったじゃありませんか。すなわち、まだ何も、決まったと言いながら、地元の皆様方、本当の意味での同意というものが取りつけられていなかったために、私どもは、新政権になって、これでは無理だ、現行案では現実可能ではない案であるということがわかったものだから、だから、半年時間をいただく中で新しい移設先というものを、多くの国民の皆さん、県民の皆さんの御努力をいただきながらつくろうとして努力をしている最中でございます。

 だから、今、幾ら谷垣総裁といえども、私にそれが県内であるとか県外であると言われても、お答えはできない。

 先ほどから申し上げているように、腹案はあるけれども、それを表に出した瞬間に、徳之島でもそうでした、大変な反対運動が今起きているのは私はわかっています。四千二百名といわゆる主催者は発表されています。その現実の数字も大体は理解をしているところであります。やはり、反対をされる方は当然多くなると思います。

 それだけに、このような問題をしっかりと解決をさせていくためには、もっと水面下での交渉も含めて、腹案を国民の皆さんに大っぴらにすることはまだまだできない時期であるということも、どうぞそのところは、谷垣総裁にも当然のことながら御理解をいただけると思っています。

谷垣禎一君 くい一つ打てなかったじゃないかとおっしゃいますが、環境アセスメントが終わらなきゃできませんよ。これは環境アセスメントがもう終わるところだったんですよ。何をおっしゃいますか。全くそこの事実認識がゆがんでいますよ。

 それで、今どこにするかは答えられないと、こうおっしゃいましたね。それでは、いつになったら明らかにできるんでしょうか。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 当然のことでありますが、五月末までに私どもとしては普天間の移設先というものを国民の皆さんにもアメリカにも理解していただく中で決めるわけでありますから、それのある程度前までには当然決めなければなりませんし、したがいまして公表をすることになりますが、今はまだ腹案を持って交渉のプロセスに入っていく段階でありますだけに、国民の皆さんに、恐縮でありますが、いましばらくお待ちをいただかなければなりますまい。それだけは申し上げておきます。

谷垣禎一君 総理は今話す時期ではないとおっしゃった。そうしましたら、話せる時期になったときは、その具体的な場所に総理御自身がいらっしゃって、住民とひざを交えて、そしてきちっと説得をされる、説明をされる、対話をされる、そういう御用意はおありですか。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 当然、私自身、ある時期においては地元の皆様方のところにお邪魔を申し上げて、こういうことになります、国民の皆様方の平和を維持するためにどうぞ御理解を願いたいと、住民の皆様方と真剣に、真摯に対話を申し上げたいと思っています。言うまでもありません、そのことが必要だ。

 ただ、なかなか今までの時の総理は必ずしもそういうことをなさってこられなかったことも事実かもしれませんが、私としては、とことんそういった議論を地元の皆様方とも行ってまいりたいと思います。当然のことでございます。

谷垣禎一君 鳩山さん、今あなたがおっしゃったことは事実誤認も甚だしい。我が党の総理は、小渕さんも橋本さんも、そして森さんも小泉さんも、みんな現地に足を運んで車座の対話をしているんですよ。そんな事実誤認をこの場でおっしゃっていただいては困ります。

 それで、今おっしゃったことは、必ず案をまとめる前に地元の了解を得る、こういうふうにおっしゃったと理解してよろしいですか。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 私が申し上げたかったのは、車座の対話集会のようなことをやりなさいということでありますから、そのようなことを今までの総理がどこまでなさったかということで申し上げたわけでございます。当然、私としても真摯に行動を申し上げたいと思っております。

 恐縮ですが、もう一度御質問いただけますか。

谷垣禎一君 現地の了解をきちっと最後は取りつけるということをなさるんですね。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 当然、現地の了解なくしてその案を進める、理解をしていただくということになりませんから、当然のことながら、現地の了解は取りつけなければなりません。そのためには、当然のことながら、自分としても全力を傾注することをお約束いたします。

谷垣禎一君 私がわざわざ今のようなことをお聞きしたのは、総理は施政方針演説で命を守りたいということを強調されました。しかし、普天間のこの迷走の経緯を見ますと、総理は、現に生きている方、地域で暮らしている方々、そういう人たちへの思いや温かさというものが乏しいんじゃないか、私はこう思っているんです。机上でプランを立てて、閣内をまとめて、そしてアメリカの合意を取りつければ済むと考えておられるんじゃないか。そうすると、三月だ五月だ、こういうことでいろいろな発言が簡単に出てくるんじゃないかと私は思うんですね。しかし、現実に生きている人、現実の人の人生は机上のプランじゃありません。

 御党は八ツ場ダムを中止されましたね。八ツ場ダム、これは中止で喜んだ人もいるかもしれません。しかし、新しいダムで生活を立てようと考えていた人たちはその道を奪われてしまった。しかし、あなたの内閣から、あるいは民主党からこういった方々への思いやり、温かい言葉、そういう言葉を私は聞いたことがありません。

 現実に暮らしている方たちの触れ合いや信頼なしにこの普天間移設問題の解決はあり得ないと私は思うから申し上げたわけです。

 それで、今、現地の方々の了解は必ずとる、こういうことをおっしゃいました。それは結構です。

 もう一つ伺いたいことは、やはりこの移設の問題を考えるときは、私は四つほどポイントがあると思うんです。

 一つは抑止力の維持ということであります。日本には六千ぐらい離島があります。日本の海自や海保だけではここを十分に守ることができません。やはり米軍の存在というのは非常に大きい。この点からも抑止力は重要だと思います。それから二番目、沖縄の負担軽減ですね。それから三番目、これは普天間の基地の危険をどう除去するかです。それから四つ目は、こういうことを達成していくためにはなかなか大きな国民負担が要る。これも事実であります。

 以上四つの要件を、今総理がお考えになっている、腹案を持っておられるとおっしゃいました、その腹案は今までの現行案よりも、この四つを総合して見たときに、はるかにすぐれている案だということは自信を持っておっしゃれるでしょうか。特に、二〇一四年までに普天間の危険を軽減する、このことはきちっとおやりになれるんでしょうか。お答えください。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 今、谷垣総裁の方から、抑止力、さらには沖縄の負担軽減、また普天間の危険性の除去、さらには国民負担という話がありました。

 まず申し上げたいのは、この普天間の危険性の除去というものが本来真っ先に果たされなければならなかったのに、なぜ十三年間もそのことが進められなかったのか。本来ならば、これはもっと早く危険性の除去、あの少女のレイプ事件が起きた後もっと早く、一年でも二年でも早くできたはずなのに、新しい移設先が見出されなければ何もできなかった、今でも危険性の除去が何も進んでいないというところが大変大きな問題なんじゃないんでしょうか。

 だから私たちは、この問題をまず真っ先に本来ならば解決をしなければならない、そのようにも思っておりますし、国民の皆さんに御負担を求めることも大事な話だと思ってきょうも申し上げたところでございます。

 トータルとして申し上げれば、沖縄の負担の軽減も含めて、また抑止力の問題も含めて、今私が腹案として持っているものは、現行案と少なくとも同等かあるいはそれ以上に効果のある、すなわちお認めをいただける案だと自信を持っているところでございます。

 さらに、二〇一四年までにすべてこれを終了させるかどうかということになると、まずは普天間の危険性の除去という話を先ほどその一つに挙げておられたわけでありますから、普天間の危険性の除去というものに関しては、当然のことながら二〇一四年よりおくれることはできない、そのように思っておりますので、その前に解決を申し上げたいと思っています。

谷垣禎一君 二〇一四年までに普天間の危険を除去するということをおっしゃったわけですね。

 では、最後に伺います。

 総理は施政方針演説の中で、五月までにこの問題、きちっと決着をつけたいということをおっしゃいました。五月末日までに何をなさるんでしょうか。日本政府としての案をしっかり固める、現地にしっかり了解を得る、そして米国の同意を得る、この三つを五月末日までにおやりになる、こういうことと理解してよろしいですか。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 私は、五月末までに、今、谷垣総裁からお話がありましたように、まず当然のことながら、政府の案というものはそれまでにしっかりとつくっておかなきゃなりませんから、今連立与党でありますが、連立政権としての考え方としてそれをアメリカに提示して理解を求め、そして当然のことながら、これは沖縄とは必ずしも限りませんが、この新しい移設先に対しても理解を求める、そして、結果として政府案としてその案を認めていただくというプロセスにしてまいります。それが五月末までに私が果たすべき役割だ、そのように考えております。

谷垣禎一君 今、総理が五月末までにこれこれをやるとおっしゃった。おできにならなかったらどうなさいますか。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) これからアメリカに対しても強く交渉をしてまいる立場の人間として、できなかったらどうするなどという弱い発想を持ち合わせたら、交渉にも何もなりません。これは当然のことながら、命がけでこの問題に対して体当たりで行動してまいります。そして必ず成果を上げてまいりますので、どうぞ国民の皆様方にも政府を御信頼いただきたい、そのように考えております。

会長(大畠章宏君) 申し合わせの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

谷垣禎一君 もし五月にそれがおできにならなかったら、これは日米間の信頼も決定的に損ないます。そしてまた、沖縄の住民初めいろいろな方々の心をもてあそんで、政治と国民の信頼関係も裏切ったことになります。そのときには総理は退陣なさらなければいけません。退陣なさらないのであれば、信を問わなきゃなりません。私どもは受けて立ちます。そのお覚悟と承りました。

会長(大畠章宏君) 申し合わせの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 私として、当然のことながら、全力を挙げてこの問題の解決に努力をしてまいります。ぜひその成果を国民の皆様方にお認めをいただきますように頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

谷垣禎一君 終わります。(拍手)

会長(大畠章宏君) これにて谷垣君の発言は終了いたしました。

 次に、山口那津男君。(拍手)

山口那津男君 前回の党首討論、二月十七日でありました。既に一カ月半がたちました。その間、この今の内閣はどうでしょう。国民からは、学級崩壊状態だ、こうも言われ、総理のリーダーシップが欠けている、こうも言われているわけであります。

 例を挙げてみましょう。だれも責任をとらない政治と金の問題、利益誘導政治の復活ともとれる箇所づけ問題、閣内ばらばらの郵政改革案、さらには、いまだに見通しの立たない普天間基地移設問題、さらには、危機管理意識が全く欠如した国家公安委員長の軽率な行動、さらには、たび重なる閣僚の国会審議遅刻、もう挙げれば切りがありませんよ。

 これは、内閣の機能がもう不全に陥っている、こう言わざるを得ないんです。国民から見れば、まさに失望内閣と言いたいくらいですよ。こんなていたらくでどうするんですか。

 鳩山総理、その認識を伺いたい。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 私は、一番大事なことは、政府として国民の命を守ることにあると思っています。そして、国民の命を守るための予算を、これは与野党の御審議をいただいて、これは史上五番目という早さだとは伺っておりますが、早さが問題ではありません、内容としてしっかりとしたものをつくり上げることができた。

 このことによって、国民の実感として、世の中変わったな、今までは必ずしも官僚任せだったから自分の暮らしはよくならなかったけれども、これからは実感を伴ってくるな。子ども手当の問題にしても、あるいは高校の無償化にしても、あるいは戸別所得補償制度にしても、予算が上がることによって、そしてそのことを迅速に実現することによって、新たな政治というものが始まったことを国民の皆さんにも理解をしていただくことになる。そのように感じておりまして、そのためにも、我々としては一致団結して頑張っていかなきゃなりません。

 ただ、さまざま今、山口代表からお話がありました。我々として反省すべき点もないわけではありません。反省すべき点は反省したいと思いますが、ただ、例えば郵政改革に関しては、決して閣内ばらばらではありません。閣議で決めるまでは、それぞれ官僚任せでない新しい内閣ですから、自分たちの考え方があっていいじゃありませんか。むしろ、閣僚の皆さんに思う存分議論していただく中で閣議においてしっかりとしたものをつくり上げていく、国民の皆さんに理解していただける新しい内閣の姿だとお認めをいただきたいと思います。

 行き過ぎた点あるいは足らざる点があることは認めたいと思っておりますので、そこに関しては大いに反省をしながら再出発をしてまいりたいと思っています。

山口那津男君 反省をするとおっしゃるならば、具体的に反省の姿を見せてください。先ほど挙げた例、一つ一つ具体的な姿を見せていただきたい。

 そこで、最初の問題でありますが、政治と金の問題、いまだに私はこれを問わなきゃならないことはざんきの念にたえませんよ。あらゆる大事な問題を議論したいのに、この問題が障害物のようになって議論できないじゃありませんか。

 そこで聞きましょう。先ほど、勝場秘書の公判の話が取り上げられました。二つ聞きますよ。

 勝場被告をこの国会に、一番事実をよく知る人として証人喚問あるいは参考人招致に応じるよう総理が説得をしたらどうですか。これが一つ。

 もう一つは、三月三日の参議院の予算委員会で総理はこう答えているんです。「最終的に結論が出て、その結論を基にして使途の報告を申し上げたいということでございまして、正確を期す必要があるということで、私は、すべてが終わってから書類の返還を求めて、そしてそこで皆様方に見ていただきたい」、こうお答えになっているんですよ。このとおり、間もなく裁判は終わりますから、書類の返還を求めてこの国会に示して、国民の皆さんに説明していただけますか。

 この二点、明確にお答えください。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 山口代表、この勝場元秘書、被告でありますが、に対する裁判は、御案内のとおり、まだ最終的な判決が出ているわけではありません。したがいまして、判決が出れば、当然のことでありますが、まずは証人喚問に関しては、ぜひこれは、私が決める話ではありません、国会の中の議論の中で決めていただければよい話でございます。そこはまず、どうぞ国会の中で大いに御議論を願いたいと存じます。

 それから、その裁判が終わった暁にはと私は申し上げております。弁護士に対して、私の資料が戻ってまいります、その資料を分析、検証するようにということは指示をいたしているところでございます。その分析というものを行った結果、当然、これはもう何度も国会の中でも答弁を申し上げているところでございますが、その答弁でも申し上げておりますように、国民の皆様方にどこまでしっかりとお示しできるかどうかということは検証してまいりましょう。

 政治資金規正法に基づいて、当然のことながら、収支報告書に関しては修正を申し上げなきゃならないところもありますが、まず大事なことは、政治家が、いわゆる選挙とか政治活動、自分たちの政治活動に使っているお金に関する収支だと思います。それに対して、当然のことながら、国民の皆さんに明らかにする。そして、プライベートなことに関して、プライベートなことを一つ一つ全部公表するということはやはりいかがなものかとは思っておるわけではありますが、しかし、常識の範囲の中で、当然、政治家でありますから、政治資金規正法に基づいて判断をされるべき事柄ではないかと思っております。

 そして私は、やはりこの問題の根源を絶たなければなりませんので、根源を絶つためには、まずは企業・団体献金を禁止させることというのが非常に大事なことであることをあえて申し上げておきます。

山口那津男君 鳩山総理、もうお答えはわかりました。何も積極的に答えようとしていない。トップであるあなたがそういう姿勢だから、小沢幹事長も石川さんも小林さんもきちんと対応しようとしないんじゃありませんか。率先垂範ということをやらなければ、ますます支持率は下がりますよ。よく自覚してください。

 そして、郵政改革について一言申し上げます。

 これは民意を問うて決めた結論ですよ、民営化というのは。それをなし崩し的に今変えようとしているじゃありませんか、郵貯の限度額を例えば一千万から二千万に上げるという。

 だけれども、民主党が二〇〇五年に出した法律案は、これは五百万円に引き下げると書いてあったんじゃありませんか。全く方向が逆でしょう。それに対して総理は政府の関与の割合がどうかこうかと言っているけれども、国民から見れば、政府が関与しているからつぶれないから預けようと。そして預金がシフトするんですよ。そうしたら、中小企業は困っちゃうじゃないですか。ゆうちょで貸してくれますか。中小企業をいじめるようなそんな法案は、私は許しませんよ。

 この民主党がもともと考えていた方向は、鳩山内閣はその考え方を変更したんですか。仙谷大臣いかがですかと聞けないから、鳩山総理、しっかりここで答えてください。

会長(大畠章宏君) 時間が迫っておりますので、簡潔にお願いいたします。

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 二〇〇五年からさらにもう一度選挙というものがあったのも、これは山口代表御案内のとおりでございます。

 最初のときは確かにおっしゃるとおりでございました。私たちは、そのときは、公的な関与を極めて強くする形で郵政事業を取り上げてまいりました。

 しかし、小泉改革、あの改革は、民営化、本当に正しかったんでしょうか。これは山口代表にもお尋ねをしたいぐらいです。本当に郵政民営化というものが正しい方向であったのか。結果として地域がおかしくなってしまったじゃありませんか。そして、御案内のとおり、巨大なガリバーだと言われていたあの日本郵政の会社も、今は大変厳しい状況になってしまっているじゃありませんか。

 私たちは、だからといって税金を投入したいとは思っていないんです。税金を投入しないで解決する道は何かということを考えたときに、公的関与というものをある一定程度にとどめていきながら預け入れ限度額をある程度引き上げるということによって、結果として、税金を投入しないで郵政事業というものを、ユニバーサルサービスというものを続けさせることができる、ある意味でそれが唯一のやり方ではないか、そのように今考えているところでございまして、昨日、閣僚の皆さん方に御議論をいただく中で、しっかりとした一つの解決策を見出したわけでございます。

 これによって、私は、郵政民営化によって地域の崩壊現象が続いている、この地域の崩壊をむしろうまくとどめていくことができる、中小企業というものに対しても、今の金融機関と協力をしていく中で事業を進めていくことがむしろできる、そのように考えているところでございますので、御心配には及びません。(拍手)

会長(大畠章宏君) 申し合わせの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

山口那津男君 総理のかみ合わない答弁に私は非常に残念に思います。

 これで終わります。(拍手)

会長(大畠章宏君) これにて山口君の発言は終了いたしました。

 以上をもちまして、本日の合同審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後三時四十九分散会


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