衆議院

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第4号 平成13年2月27日(火曜日)

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平成十三年二月二十七日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 荒井  聰君 理事 田並 胤明君

   理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      河野 太郎君    左藤  章君

      佐田玄一郎君    阪上 善秀君

      滝   実君    橘 康太郎君

      野中 広務君    菱田 嘉明君

      平井 卓也君    宮路 和明君

      山本 公一君    吉田 幸弘君

      大出  彰君    金子善次郎君

      玄葉光一郎君    武正 公一君

      中村 哲治君    松崎 公昭君

      松原  仁君    山井 和則君

      山花 郁夫君    山村  健君

      高木 陽介君    山名 靖英君

      佐藤 公治君    春名 直章君

      矢島 恒夫君    重野 安正君

      横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務大臣政務官      滝   実君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   財務大臣政務官      砂田 圭佑君

   国土交通大臣政務官    今村 雅弘君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議

   官)           林  省吾君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  香山 充弘君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  石井 隆一君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   丹呉 泰健君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  堤  修三君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 岩村  敬君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  谷  洋一君     吉田 幸弘君

  伊藤 忠治君     山花 郁夫君

  松崎 公昭君     金子善次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田 幸弘君     谷  洋一君

  金子善次郎君     松崎 公昭君

  山花 郁夫君     伊藤 忠治君

    ―――――――――――――

二月二十七日

 特定非営利活動の促進のための地方税法の一部を改正する法律案(岡田克也君外七名提出、衆法第三号)

同月二十三日

 法人事業税の外形標準課税導入反対に関する請願(松本善明君紹介)(第一七六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

 公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)




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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案及び公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官林省吾君、総務省自治行政局長芳山達郎君、総務省自治財政局長香山充弘君、総務省自治税務局長石井隆一君、財務省主計局次長丹呉泰健君、厚生労働省老健局長堤修三君及び国土交通省大臣官房長岩村敬君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤勉君。

佐藤(勉)委員 おはようございます。自由民主党の佐藤勉でございます。質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。大臣、副大臣、政務官には、大変お忙しい中、お疲れさまでございます。よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 早速、質問に入らさせていただきたいと思いますが、私は、国会に来させていただく前に県議会議員を十年ほど経験させていただいております。地方議員としての経験を踏まえて、今回の質問をさせていただきたいと思います。少し的外れなところがございましたら、答弁でカバーをお願いしたいと思います。それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 我が国の財政は、現在、国、地方を通じて危機的な状況に直面しております。平成十三年度の国の予算は、国債の発行額を極力抑制するよう最大限の努力が行われてまいりましたが、それでも新規国債の発行額は二十八兆三千億円にも達しております。そのうち約十九兆六千億円がいわゆる赤字国債でありまして、歳入全体のうち四分の一は赤字国債で賄っているという現況であるわけであります。

 地方財政も、借金依存という点では変わりはありません。総務省の見通しによれば、平成十三年度の地方財政財源不足は、減税の影響を除いても十兆六千億円にも上り、これに減税の影響分三兆四千億円を加えると、十四兆円もの財源が不足をすることになります。そして、その大半を借金で穴埋めせざるを得ないという状況にあることは御承知のとおりであります。

 バブル経済の崩壊後、国も地方もこうした借入金に依存した財政運営を余儀なくされてまいりましたが、その結果、国及び地方の長期債務残高は平成十三年度で、マスコミでも報道されておりますように六百六十六兆円、GDP比一二八・五%にも膨れ上がっております。このうち地方財政の借入金残高は百八十八兆円に上り、一見、国の債務残高に比べれば少ないようにも見えますが、国の財政が単一の財政体であるのに対し、地方財政は三千三百にも上る地方公共団体の財政の集合体であり、そしてその大半は財政力の弱い町村が含まれていることを考えれば、地方財政悪化の深刻さは国以上だということは御承知のとおりだと思います。

 地方団体の財政運営の健全化をはかる指標に、経常収支比率という数値があります。その団体の恒常的な収支のうち、どの程度が人件費や公債費などの固定的な経費に回っているかを示す指標であります。数値が高いほど財政が硬直化していることを示すものでありますが、この数値は、地方財政全体で平成十年度は八九・四%まで上昇しております。ちなみに、平成元年度にこの数値は六九・八%にとどまっておりましたから、十年余りで二〇ポイントも上昇しているということになります。そして、収入の九割は借金の返済などの固定経費で消えていくという、硬直化が極限まで達した状態になってしまっていると思います。

 そこで、まず総務大臣にお伺いをいたしますが、地方財政は借入金残高の累増などによりかつてなく厳しい状況にあると考えますが、総務大臣は、地方財政の現況についてどう認識をされているのか、また、今後の地方財政の立て直しに向けてどのような展望をお持ちなのか、お伺いをいたします。

片山国務大臣 今、佐藤委員から地方財政の現況あるいは過去からのいろいろな推移についてのお話がありまして、私も大体同じような事実認識を持っております。

 御承知のように、このところ毎年の地方財政の収支不足はいずれも大幅でございまして、恒久減税を除いて十兆を超える、恒久減税を入れますと今お話しのように十四兆、こういうことでございますし、また、そういうことで毎年度収支不足をいろいろな形で埋めておりますから、借入金の累積も、今お話しのように、平成十三年度末では百八十八兆円になるのではなかろうか。大変極めて厳しい現況だ、こういうふうに思っております。

 いずれにせよ、これから早く脱却いたしたいという思いは国の財政と同じでございますけれども、そのためには、どうしても景気を早くよくして、景気をよくすることによって地方税収もふえる、国税収入もふえるので交付税もふえるということをぜひしっかりと確保していかなければならない、それがまず一つ。

 それから、今までも地方には相当の御努力をお願いしておりますけれども、さらなる地方の行財政改革によって、リストラをやっていただいて、冗費を節約して、簡素で効率的な行政体制をつくっていただいて、できるだけむだな歳出を抑えるということが二つ。

 それからもう一つは、それでもやはり私は今の地方財政はなかなか難しいと思いますので、最終的には景気の回復を待って、国、地方の税財源の再配分をやる、もう一度国と地方の税財源の配分割合について再検討する、こういうことがどうしても必要ではなかろうか、こう思っておる次第であります。

佐藤(勉)委員 ぜひとも御認識の上、しっかりとお願いを申し上げたいと思います。

 次に、平成十三年度の地方財政対策について幾つかお尋ねをいたしたいと思います。

 平成十三年度の地方財政は、恒久的減税の影響を除いたいわゆる通常収支の部分だけで十兆六千億円もの財源不足を生じる見込みであると聞いております。そして、今回提出されている地方交付税法の改正案では、その財源不足の補てん方式について新たな制度の導入が盛り込まれております。

 これまでの地方財政対策では、財源不足は国の交付税特別会計において借入金で穴埋めをし、特別会計における借入金で交付税を増額して地方団体に交付をするという方式がとられてまいりました。その上で、特別会計の借入金を償還する時点において、その負担を国、地方で半分ずつ受け持つというルールだったわけであります。

 これに対して、平成十三年度は、国と地方が折半して負担するというこれまでの方式は踏襲しながら、交付税特別会計における借入金方式は廃止をし、国の負担分は一般会計からその年度にストレートに繰り入れをする。そして、地方負担については各地方公共団体が赤字地方債を発行して補てんをすることとしております。

 この新しい方式によれば、地方団体はみずから借金の痛みを負うこととなります。今までのように、国の特別会計でまとめて借金をしてもらって、交付税として交付をしてもらうというわけにはいかなくなるわけであります。その意味では、地方の実質的な借金の状態をより目に見える形にしていく、透明化していくという効果が期待できると思うわけであります。

 ただ、一方では、地方団体の立場に立てば、現在でも地方債の残高の増加、その償還負担の増大によって苦しい財政運営を余儀なくされている中で、さらに赤字地方債の発行まで迫られているということについて、今後の財政運営を心配する声もあり、地方単独事業実施にも消極的になってしまうのではないかという意見もございます。

 そこで、まず、今回の地方財政対策の見直しにおいて特例地方債、いわゆる赤字地方債の発行を導入した趣旨について御説明をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕

片山国務大臣 今佐藤委員御指摘のように、来年度の地方財政対策からやり方を変えたわけでありますが、これは既に本会議等でも若干御説明いたしましたけれども、今までの方式は、大幅な収支不足を交付税特別会計が資金運用部から一括で借り入れて、それを地方団体に配分する、こういうことであったわけでありますが、これでやりますと、地方団体が借金をしているというあれはないのですね。本当は交付税特会による全地方団体まとめての借金なんですが、個々の地方団体は自分が借金しているとなかなか思わないのですね、借入金なんだけれども、キャッシュがもらえるものですから。それからもう一つは、この借り入れ方式というのは国の財政上もはっきりしない。

 それからもう一つ、一番大きい原因は、資金運用部というのがなくなるわけです。今度、郵貯やああいう資金運用部の資金というのが全部財投改革でなくなるわけでありますから、資金調達もなかなかできないようになるのですね。今までは資金運用部からばっと借りてくればいいのですが、資金運用部そのものがなくなりますから。

 そこで、この際、交付税特会の借入金も相当大きな額になりましたから、はっきりした方がいいのではないか、国も地方も。だから、今まで大体折半でやってきましたから、国の持ち分は国が自分で調達してもらって、一般会計から直接金を加算してもらう、入れてもらう。地方の方は、地方で特例地方債を起こして、赤字地方債ですけれども、自分の責任で資金調達をする。こうした方が住民の目からもわかりやすいし、責任も明らかになるのではなかろうか、こう考えたわけであります。

 ただ、佐藤委員が言われるように、地方債がさらにふえるわけですから、その分の償還が大変だという議論は必ずあります。

 そこで、この特例地方債については、地方交付税の肩がわりでこういう仕組みにするわけですから、将来の元利償還は交付税の基準財政需要額に入れて交付税できっちり補てんする、そういう意味では個々の地方団体に迷惑をかけない、こういう仕組みにいたしたわけでありまして、これを来年度から財務大臣との間では三カ年続けてみよう、その間に景気の回復は恐らくはっきりしてくると私は思いますので、そういうことの中で今後どういう地方財政対策をとるかを相談しよう、こういうふうにいたしたわけであります。

佐藤(勉)委員 いずれにいたしましても、非常に不安に思っているというのが基本的な話でありまして、ぜひとも説明方を地方に対しても細かくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、この特例地方債は臨時財政対策債と称されておりますが、この団体別の発行可能額の決定方式について、若干細かくお伺いをしたいと思います。

 平成十三年度の地方債計画では、この臨時財政対策債の全国発行額として一兆四千四百八十八億円が計上されています。今回提出をされた法案では、各地方団体は、地方交付税法第十一条に定める方法に準ずるものとして総務省令で定める方法により算定した額の範囲内でこの特例地方債を発行できることとしております。

 確かに、赤字地方債だからといって、各県各市町村が発行したいだけ発行できるというわけにはいかないと思うわけでありますが、今回の法案では、この特例地方債の元利償還金は後年度地方交付税で財源措置をすることとしておりますから、その発行額の配分については一定のルールが必要だと思います。しかも、この特例地方債は、これまでであれば地方交付税として配分されていた財源にかえて措置されるものであります。各団体にとっては、地方交付税の総額が前年比五%減というかつてない減少となるのを補てんする重要な意味があると考えます。

 したがって、この臨時財政対策債の発行可能額の各団体間での配分については公平なルールで行われる必要があると考えますが、その配分はどのように行うのか、自治財政局長の説明を求めたいと思います。

    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕

香山政府参考人 臨時財政対策債についてのお尋ねでございますけれども、これは先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、交付税の代替的な性格を持つもの、交付税の不足に対処するために発行するものでございますので、地方交付税の計算をする際に、地方債発行として予定いたした額につきましては、その分だけ基準財政需要額を減額するという方法をとります。

 具体的には、その他諸費等、包括的な算入項目でありますけれども、その費目に係る単位費用を引き下げるという方法をとります。

 個々の地方団体の地方債としての発行額の方は、この基準財政需要額の減少額の範囲内ということにいたしたいと考えております。個別の団体の額につきましては、各地方団体の普通交付税の額の算定を行います七月ごろとなると思いますけれども、その時期に決定をいたしまして、各地方団体に改めて連絡をさせていただきたいというふうに考えております。

 なお、以上のような考え方は、既に総務部長会議あるいは財政課長会議等を通じまして全地方団体に考え方が行き渡るように御連絡をさせていただいておりまして、各地方団体もおよその額については見当がつくような状況になっておるのではないかというふうに考えております。

佐藤(勉)委員 いずれにいたしましても、問題が起きないように、しっかりとお願いを申し上げたいと思います。

 次に、地方公共団体が国の補助金を受けずに執行するいわゆる地方単独事業の問題についてお伺いをいたします。

 地方団体が実施する公共事業は、国の補助金を受けて行う国庫補助事業と国の補助金を受けずに行う地方単独事業に分けられているのは御承知のとおりだと思います。

 公共工事というと、とかく国の補助金を受けて行われる大規模な道路やダムなどの補助事業を連想しがちでありますが、我が国の公共投資の約四割は地方単独で実施されております。そして、地方単独事業は、国庫補助事業でカバーできない地域の身近な生活道路や公園などの社会資本整備に大きく貢献をしております。国の規格にとらわれない地域の実情に即した事業を地方団体が自主的に実施できる点において、地方分権の時代にまさしく求められるものでありますし、また、地域のきめ細かな経済対策としても極めて有効に機能していると考えます。

 ところが、平成十三年度の地方財政計画においては、この投資的経費に係る地方単独事業費が前年度比一兆円、五・四%も減額をされております。それでも十七兆五千億円が計上され、国庫補助事業費九兆七千億円の一・八倍の水準が確保されているのでありますが、先ほど大臣の答弁にございましたように、景気を本格的な回復軌道に乗せることが最優先の政策課題になっている現在、地域経済の下支えに大きな役割を果たしている地方単独事業を減額して本当に大丈夫なのかと危惧する声は私だけではないのではないかと思います。

 聞くところによりますと、地方団体は財政難のため地方単独事業の実施を抑制する傾向にあるということになっています。地方財政運営の指針となる地方財政計画の計上額が削減されてしまうと、地方団体はますます地方単独事業の実施に慎重になってしまうのではないでしょうか。その結果、景気回復の足を引っ張ることになりかねないと思います。

 今回の地方単独事業費の減額について、考え方をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 今お話しのように、確かに、来年度の地方財政計画におきまして、地方単独事業を十七兆五千億円、本年度が十八兆五千億ですから一兆円減らしたわけであります。

 これは、この何年間か決算をしてみますと、当初の地方財政計画とその決算額が大変な乖離があるのですね。多いときは四兆円ですね、まあ三兆だとか二兆だとか。地方財政計画は全地方団体の指標としてつくりますから、決算と必ずしもぴたっと一緒にならなくてもいいのですが、三兆も四兆も乖離があるのでは、地方財政計画の権威にもかかわります。

 そこで、そういう意味での規模是正をしたらどうか、こういうことで今回一兆減らしましたけれども、地方財政計画の減額は即地方単独事業を減額しろということではなくて、十七兆五千億までは大いにやってくれ、こういうことなんですね。そこで、今までの決算額を見ますと大体十四、五兆でございまして、だから十七兆五千億もし本当にやっていただければ、かなりきめの細かいいろいろな事業ができるし、景気回復にも大きなプラスになるのではなかろうか、私はこういうふうに思っております。

 それで、バブルのときは地方財政計画を上回って地方単独事業をやってくれたのですよ。ところが、やはりバブルの反動があるのですね。地方団体の方もそういう意味ではマインドがシュリンクしていまして、地方債でどうせやるんだからというところがちょっとあると私は思いますけれども、できるだけ十七兆五千億の枠の中ではしっかりやってほしい、こういうことをお願いしておりますし、国の方でも日本新生枠だとかなんとかというようなことをやっておりますから、地方の方でも似たような、臨時に経済対策をやるとか、地方新生を連動してやるとか、そういうものについても地方財政計画の単独事業の中で考えておりますから、ぜひそれも地方団体にお願いしよう、こう思っております。

 佐藤委員が言われたように、昔はずっと国の補助事業の方が多かったのですよ。単独事業は半分くらいだったのです。それがだんだん単独事業が国のあれに追いついて、今はもう国よりずっと、二倍までいきませんが、一・七、八倍ぐらいに地方単独事業がなっている。また、単独事業は大変地方に喜ばれますから、そういう意味ではぜひしっかりと対応してもらうようにお願いしよう、こういうふうに思っております。

佐藤(勉)委員 いずれにいたしましても、減額というのは地方では非常に心配する声がありますので、その辺も踏まえてしっかりと対応をお願いしたいと思います。

 続いて、財政投融資改革に関連して何点かお尋ねしたいと思います。

 従来の財投制度に対しまして、一つとして、財投の入り口において、出口の資金需要にかかわりなく資金を集める仕組みになっているため、初めに原資ありきとなります。財投の規模の肥大化、特殊法人の非効率をもたらしていると思います。

 また二番目といたしまして、入り口、出口ともに民業の補完という公的部門の本来の役割を超えて拡充しており、結果的に民業を圧迫していると思います。

 三番目に、投資負担は、短期的には国民負担に直結をしないため、一般会計負担の肩がわりが行われ、その結果、後年度の国民負担の増大を招いているなど、さまざまな問題を指摘されてきました。

 こうした問題点の解決を目指して財政投融資改革がことしの四月からスタートするわけであります。この財投改革が地方公共団体に与える影響について幾つかお聞きをしたいと思います。

 まず一つは、新しい財政投融資制度のもとでの地方債資金の調達の問題でございます。

 財投改革にとって郵便貯金、年金積立金の義務預託が廃止され、原則として市場運用に移行することとされました。ただし、地方公共団体に対しましては、市場運用の例外として簡保積立金、郵便貯金の直接融資が行われることとなっています。さらに、国が財投債を発行して調達した財政投融資資金が地方公共団体に融資をされます。

 このように、財投改革によって地方債資金の供給システムが大きく変化したわけでありますが、一方では、地方分権の時代を迎え、今後とも地方公共団体が円滑に社会資本整備を推進していくには十分な公的資金の確保が必要不可欠であることは御承知のとおりだと思います。

 そのような中で、今後、すべての地方公共団体が市場にさらされて、その試練を受けてもいいのではないかという意見もあるわけです。しかし、民間企業においても市場から低利で安定的に資金調達のできるのは限られた大企業だけなのが実態であるわけでありまして、財政の弱い市町村では低利な安定的な資金の調達に支障を生じることが懸念をされると思います。

 以上のような観点から、財投改革後においても、地方債資金における政府資金の重要性は変わらないものと考えられますが、財投改革によって、年金積立金は平成十二年度は一・三兆円あったわけでありますが、これが来年度は、郵貯資金と異なり、市場の完全自主運用となります。その結果、従来政府の責任で確保してきた地方債資金の原資に穴があくこととなります。

 平成十三年度の地方債計画において、その部分をどのように穴埋めをして公的資金を確保していくのか、答弁をお願い申し上げたいと思います。

遠藤副大臣 今詳しく経緯をお述べになったわけでございますけれども、地方債計画といたしまして、従来、平成十二年までは大体その全体の規模の六割程度を公的資金で補てんしてまいりました。それはほとんどが資金運用部からの借り入れという形でございます。

 この財投改革によりまして、資金運用部制度が廃止されたわけでございますから、今お尋ねの年金の積立金だとか郵便貯金が、今まで資金運用部に義務預託をされておりまして、そこから調達をしてきたわけでございますが、これはなくなってしまいます。さらに、原則として市場で自主運用されるというふうになるわけでございますから、これに対する新しい制度、枠組みというものをつくらなければならないということでございます。

 平成十三年度におきましては、やはり公的資金を六割程度はつくらなければいけないということで、一つは、国が国債を発行いたしまして調達する財政融資資金、これで全体の三一%程度に相当します五兆二千億円程度調達いたします。それから、郵貯と簡保は市場運用の例外として地方に直接融資する制度をつくりましたものですから、郵貯から大体一兆円程度、これは全体の六%に相当しますが、簡保も一兆六千億円程度、これは全体の九・九%に相当しますが、この財政融資、郵貯そして簡保、これを合わせまして政府資金としては七兆八千億円程度、これは全体の四七・三%となります。このほかに、いわゆる公庫資金でございますが、これを入れまして、公庫資金が大体二兆円程度ということで、合わせまして公的資金といたしましては九兆八千億円程度、従来どおり約六〇%に相当する部分は調達をさせていただいた、こういうことでございます。

佐藤(勉)委員 時間が参りましたので、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党・無所属クラブの武正公一でございます。

 大臣、副大臣、政務官の皆様には、御答弁よろしくお願いいたします。また、政府参考人の皆様にも、よろしくお願いいたします。

 今、佐藤委員からお話がありましたように、私も県議会の方では五年間務めさせていただきましたので、そのときにいろいろと経験したこと、国と地方との関係についていろいろ感じたところを、体験を交えながら質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、地方財政需要額の算定方法についてでございますが、交付税の作成に当たっては、地財計画総額が決まって地方税や支出金を作成した後、その残りで決まってくると思われます。しかし、地方自治体の交付税額は、大変複雑な基準財政需要額と基準財政収入額の差で決定されます。

 例えば、交付団体の基準財政需要額と同収入額の差、財源不足額を一九九一年から九九年まで見ると、九一年が、基準財政需要額が二十八兆九千余、基準財政収入額十四兆九千余、財源不足額が十四兆余、普通交付税が十三兆九千四百ということで、その差が〇・二一%。九九年との比較をしますと、基準財政需要額が四十一兆八千余、基準財政収入額が二十二兆二千余、財源不足額が十九兆六千三百余、普通交付税額が十九兆六千百余ということで、その差は〇・〇五%ということであります。

 つまり、交付税額に合わせて基準財政需要額を決定しているのではないか、すなわち、単位費用や補正係数などを調整しながら基準財政需要額を決定しているのではないかと考えますが、御所見を伺います。

香山政府参考人 基準財政需要額についての御質問にお答えさせていただきます。

 毎年度、私どもは予算編成の時期に地方財政計画というのを策定していくわけでありますけれども、この地方財政計画は、歳入と歳出を比較いたしまして、最終的には、一般財源が不足する部分は交付税を増額するというような対策を講ずることによって、収支バランスをとるようにしておるわけであります。

 そういう意味で申しますと、地方財政計画の歳入のうちで、国庫補助金といった特定財源を除いた一般財源、地方税と交付税とを合わせた額と、それから歳出の中で一般財源を必要とする経費、これは基本的に基準財政需要額の方に対応するものになるわけでありますけれども、もともと一致するように計画そのものができておるわけであります。

 普通交付税は、さらに具体的に申し上げますと、地方財政計画で予定をしております一般財源所要額のうち留保財源分、これは県の場合は税収の二〇%、市町村の場合二五%ということになりますけれども、これを除いたものが基準財政需要額とされます。一方で、計画の上で想定をいたしました税収の方から今申し上げました留保財源を除いたものが基準財政収入額ということになりますから、この両者を差し引きますと、基本的にはこれは普通交付税の額と一致するというふうに計画はできておるわけでありまして、その意味では、御指摘の趣旨とは若干異なるかもしれませんけれども、地財計画を受けて普通交付税の算定をし、地財計画で予定をしております歳出に見合うように単位費用等を設定していきますと、基本的にはこれは普通交付税の額と一致するようにでき上がっておるということであります。

 補正係数の方は、むしろ地方団体間で交付税を配分する場合に、その実質的公平を図るためにいろいろな費目に対して導入しているものでありまして、例えば人口が多い団体の場合は、一人当たりの経費が割安になるのでその分だけ割り落としをするとか、そういった趣旨のものでございまして、これは年度によってそんなに大きく変動するものではありませんで、この率を調整するというようなことで、交付税額と地方財政計画と申しますか基準財政需要額とが合うように調整をしているということではございませんので、御理解を賜りたいと存じます。

武正委員 御説明はいただいておるのですけれども、要は地財計画で地方交付税を出す、その税額に合わせて単位費用を調整するというふうに今答弁で言われたように、結局は地財、地方交付税の額に単位費用を合わせていくんだという認識を持ったわけでございます。

 次に、今基準財政需要額の話をしましたが、この算定が非常に複雑であるということで、簡素化についてはもう既にいろいろと提言が出ているわけですね。

 それについて、今年度もいろいろと実行をされているのは伺っているわけでありますが、まず、交付税改革の論議で、早稲田大学の林正寿教授によれば、人口だけで九四%、面積で九八%説明がつくんだ、それ以外は要らないというくらいの簡素化が基準財政需要額の算定で図れるというようなことを言っておられます。

 これについて御所見を伺うのと同時に、地方分権一括法で、交付税算定について地方自治体が意見を述べることができるようになりました。

 たくさんの意見がいろいろと出されているようでございますが、私の出身の埼玉県もこんな意見を出しております。それは、やはり人口が増加している県でありますので、この人口増加に対する基準財政需要額について、国調の数字をもとに対応する。そうしますと、国調時点での数字が今の人口増の係数の対象に満たない場合には五年間対応がないといったことでありまして、減数補正は人口が減っているところは全部やるということでありますから、人口増加についても同じような対応ができないか。それも、国調をもとにするのであれば、住民基本台帳、これであれば毎年毎年出るわけですので、これをもとにやってみていただけないかという要望が出ているのですね。

 そのほか、この人口について言えば、例えば今回三宅村のお話が出ていますが、北海道の虻田町、これは同じく今回の噴火で、人口、平成七年国調で一万五百三十六人のところ、千四百三十三人の方が町外に避難をされている。差し引き、今九千百三人の方がいらっしゃるということでありますので、昨年の国調で計算をしてしまいますと、千四百三十三人分交付税措置が減額をする、影響額を試算しておられるわけであります。これもやはり要望として出ているわけですが、これへの対応。

 あるいはまた神奈川県では、基準財政収入額への収入の乗率が市町村、大都市あるいは横浜、名古屋、大阪で違う、〇・九八、一・一〇、一・二五、これは神奈川県の申し出によれば、団体別の乖離の状況は団体の規模との関連性は見られないということによって、全団体に同一の乗率を適用してはどうかというようなことも要望として出ております。

 それぞれについて、お答えもあわせていただきたいと思います。

香山政府参考人 基準財政需要額の算定方法についてのお尋ね等にお答えさせていただきます。

 人口と面積等によって算定すれば思い切った簡素化ができるのではなかろうかという御趣旨でございます。

 私ども、林先生の研究論文も読ませていただきましたが、これは人口と面積による相関度は極めて高いという分析をされたわけでありますけれども、あの研究報告に出ております相関係数そのものは、統計学的に見ればかなり強い相関度でありますけれども、個々の地方団体でその財政運営がやっていけるかどうかというレベルで、具体的に各地方団体にどのくらいの影響が出るかといいますと、相当大きな額になりまして、例えば私どもの方も人口、面積、一定の割合で計算しますと、全国の地方団体の数の半分以上は交付税減になってしまうというような結果が出ております。

 一方で、地方の歳出でございますけれども、義務教育でありますとか福祉あるいは公共事業といったような形で、国で法令や国庫補助負担金制度を通じまして地方団体の支出規模を実質的に決めておるという経費が大変多うございます。これらにつきましては、当然、国の責任におきまして財源保障をする必要があるわけでございますけれども、法令によって地方団体が負担を求められる経費というのは、残念ながら人口や面積に比例するという保障はございません。

 例えば、今地方財政にとって大きな問題になっております介護保険について申し上げましても、これは人口とか高齢者人口にも単純には比例いたしませんで、現実に介護サービスの受給者数に比例する関係にございます。したがいまして、このサービスの円滑な実施を全国的に期待するためには、やはり介護サービスの受給者数に比例するような補正を行う必要がある、そういう事情にありますことを何とぞ御理解いただきたいと思います。

 また、人口急増補正等につきまして具体的な御質問がございましたけれども、交付税の算定に用います測定単位あるいは補正係数に用います基礎数値は、基本的に公信力のある数字を使う必要があるということで、人口については基本的に国勢調査人口というのを使うようにいたしております。人口急増補正は、その五年に一回あります国勢調査の後、人口増加が著しくて財政需要額をそのままに計算してはおかしいということで手当てをしようというものでありますが、それは客観的に見まして全国の平均増加率よりも上の団体でよかろう、要するに、それ以下の団体については著しい財政増加があるとまで考えなくてもいいのではなかろうか、また算定の簡素化を図るというような観点も踏まえまして、人口増加率が全国平均を上回る団体についてのみ適用しておるということでございます。

 それからまた、有珠山噴火の場合につきましては、これは今申し上げた意味で測定単位の数値につきましては国勢調査人口によることにいたしておりますが、一方で、その人口が区域の外に移動したからといって、当然にその分だけ財政需要が減るわけではありません。したがいまして、私ども、平成十三年度の算定におきまして、過去の算定の例もございますけれども、人口急減補正という補正を持っておりまして、人口が急激に減ったけれども、それによって団体の財政需要がストレートに減るようにならないように激変緩和をするという算定法を持っておりますので、北海道の虻田町等の場合はこの補正を適用するということで、地元の御要請にこたえたいと考えておるところでございます。

 それからまた、法人関係税の基準税額の算定についての御質問がございました。

 これは交付税の設計、先ほど御質問にあったこととも関連してまいりますけれども、地方交付税全体を配分する場合の基準税額というものは、全体として地方財政計画の収入見込み額に対応するように設計する必要があります。そういたしませんと、交付税が足りないという形になります。一方で、個別の地方団体の税収の実績もある程度反映した方がよいということで、前年度の実績に対して一定の乗率を掛けるという方法で法人関係税について基準税額の算定をさせていただいております。

 この乗率につきましては、率直に申し上げまして、ただいま御指摘いただきました意見を初めといたしまして、いろいろな意見をいただくことがございますが、これはそれぞれの御意見に一長一短がございます。特に、法人関係税というのは年度によって変動が比較的大きい税目であります。そういうことで、私どもは実績の収入額がこの基準税額の算定額に対しまして増収あるいは減収となった場合は、翌年度以降の交付税の算定において精算をする仕組みをとっておりまして、いずれの乗率を採用いたしましても地方団体には損得は生じないという方法で対応いたしておりますので、御理解いただきたいと存じます。

武正委員 私は埼玉の出身でして、一人当たりの地方交付税額は全国で四十三番目でございまして、また県と市町村を合わせた一般財源は全国最低の県となっております。そういった意味では、この人口急増補正のみ人口増加率以上、人口急減は減ったところはすべてというのはいかがなものかなと思います。また、虻田町については、人口急減補正率では補てんし切れないということで要望が出ているということをつけ加えさせていただきます。

 次に移らせていただきます。

 次に、地方単独事業について伺います。

 地方財政悪化の原因の一つが地方単独事業の膨張にある。平成三年十三兆三千億円が平成九年十九兆九千億円まで増加した。

 片山大臣が述べておられる自治研究第六十九巻第十号というのをちょっと読ませていただきたいと思います。参議院議員という肩書ですから、以前のものになりますが、「地方財政が国の財政を凌駕し、地方単独事業が公共事業の二倍近くに増大しているなかで、「地方には人材がいない」、「情報不足、勉強不足で判断は国任せ」、「国につながる縦割り意識が強い」、「ムダ使いをしたがる」等々、地方の行財政能力に対するきびしい批判があり、当らずと言えども遠からずの感がある。」この部分だけちょっと抜粋しておりますので、前後はちょっと、恐縮しておりますが、というようなことを述べておられます。

 そもそも地方単独事業については、身の回りの生活関連施設を着実整備するためのものであり、景気動向などに左右されるべきものではない、あるいは地域経済の下支えであるから国の施策動向と横並びにはできないというような意見があるのでありますが、先ほど大臣は、思い切りやってほしい、あるいは喜んで地方単独事業をやってほしいというようなことを言っておられます。

 実際に、例えば地方債制度研究会からは「市町村長さんと議員さんの知恵袋 これでわかる地方単独事業」、こういうブックレットが出て、懇切丁寧に地方債と、あとは交付税の措置等も書かれているわけですね。

 先ほどから大臣に答弁をというような声が周りから出ておりますので、これは今大臣のお言葉を引用したこともありますので、まず御所見をお伺いできればと思います。

片山国務大臣 武正委員、いろいろお話がございましたが、いつでしょうか、恐らく大分前の自治研究に書いた論文だと思います。

 今、地方が受ける事業はいろいろあるのですけれども、一つは、国が直接やる直轄事業というのがあるのですね。それから、国から補助金や負担金をもらって地方がやるのが補助負担事業ですね。それから、全く起債を中心に、あるいは自分で調達した一般財源でやるのが単独事業であります。

 私は、基本的な行財政改革からいいますと、直轄事業は国でないとできないような大規模で技術的にも大変高いレベルが要る事業ですから、これはこれで結構だと思うんです。国の補助事業というのは次第に少なくしていくべきだ、あとは地方が独自の判断で事業を選択してやれる単独事業をふやすべきだ、もともと私はそういう論者なんです。補助金や負担金を出すことによって国がひもをつけますから、事業自身の選択性を狭めるわけですね、国が介入して、国がむしろ事業の優先順位を決めるようになりますから。ただしかし、そうはいっても一遍に単独事業といきませんから、やはり直轄事業、補助事業、単独事業の別は仕方がないと思うんですが、ウエートは単独事業に移していくべきだと私は考えております。

 そういうことからいうと、地財計画上もだんだん補助事業が減って単独事業はふえていますね、一・八倍になっている。私は結構なことだと思うんですけれども、ちょっとバブル期に地財計画を上回って単独事業をやり過ぎたのですね。そのツケがちょっと来ているようなところがあると私は思うんです。例えば、箱物だとかテーマパークなんというのはそういうたぐいですよ。だから、これからは大変地方財政も厳しい時代ですから、本当に住民の意向に沿った優先度の高いものを選んでもらいたい。それについてはしっかりやったらいいと私は思うんです。

 ただ、地財計画上一兆円減らしたのは、先ほども申し上げましたが、地財計画の計上額と決算額の乖離が大きくなったものですから、やはりここは近づけた方がいい、規模是正した方がいいと思うんですが、それでも十七兆五千億でしょう。公共事業が国の予算で九兆四千億ですからね。

 だから、私は、十七兆五千億はしっかりやってもらう必要があると思うんですが、本当に必要なもの、インフラ整備みたいなものを中心にしっかりやっていただきたい、それについては地方債や地方交付税で財源措置をしていきたい、こういうふうに思っておりますが、むだなものはないんでしょうけれども、ちょっとランニングコストがかかって、後、往生するようなものは私は控えていただきたい。そういう選別はしっかりやっていただいた上で単独事業をやるということは、私はいいことだと思っております。

武正委員 一兆円の減額をお聞きしようと思っていたんですが、もう先にお答えいただいております。先ほどもお話が出ましたように、ことしは一兆円の減額ということでございまして、ただ、九九年、九八年と四兆円の乖離があったという、今も大臣のお話がありました。

 さっき例に出しましたこの地方単独事業には、地方債は充当率何%ですよ、それから交付税でその残りの部分をどのぐらい補正できますよというようなことが書いてあるんですね。ということは、頑張って思い切りやってくれというお話はよくわかるんですが、今度、その財源の話が必ず出てくるわけですね。あるいはまた、地方債をそのように後年度、交付税の形で算入していって果たしてどうなんだろうということが出てくると思うんですね。これについては、後ほどまた地方債について伺いますので、そちらの方に譲りたいと思います。

 次は、第三セクターについてお伺いをしたいと思います。

 宮崎のシーガイアの破綻のニュースが過日流れましたが、平成十一年度末で全国六千七百九十四法人のうち、損失補償を行っている法人数とその額をお聞かせいただきたいと思います。

香山政府参考人 計数的なことでございますので、私の方からお答えをさせていただきます。

 私どもの方、総務省におきましては、地方団体が二五%出資している法人について調査をいたしておりますけれども、対象法人が六千七百九十四ございまして、そのうち損失補償を行っておる法人というのは七・七%の五百二十法人というふうに相なっております。

 また、この関係法人の負債総額というのは十四・六兆円ほどでございますけれども、これに対応いたします損失補償の額というのは二・六兆円程度と相なっております。

 以上でございます。

武正委員 この法人に対する地方公共団体からの出資が二兆弱ということを考えると、出資を上回る損失補償をしているということが今のお答えでわかったと思います。

 そういった意味では、第三セクターについてお聞かせをいただきたいんですが、平成十二年十二月の自治省、第三セクターの状況に関する調査報告によると、単独の地方自治体が二五%以上出資、出捐している第三セクターは、平成四年をピークに、前後九年間で設立されている。委員会などによる点検評価体制があるものは五・九%にすぎない。条例、要綱などで情報開示を求めているものは二一・九%。平成十一年五月二十日付で自治大臣官房総務審議官、第三セクターに関する指針というものが出されているんですけれども、これは都道府県知事、政令指定市長あてなんですが、この中で、地方自治法では五〇%以上出資をしている団体、第三セクターは議会に報告義務があるということでございます。

 そういった意味で、先ほど二五%というお話がありました、それ以外にも検討すべしということでこのときの指針では述べているんですけれども、その後どうなっているのか、お答えを、これはいかがでしょうか、よろしくお願いします。

片山国務大臣 今御指摘のように、平成十一年の九月だったですか、第三セクターに対する指針を出しまして、その前に自治法で、五〇%以上の出資をしているものは議会への報告、二五%以上のものは監査委員の監査をしろ、こうやっているんですが、そのときに、五〇%、二五%にかかわらず、五〇%未満でも積極的に情報開示をして議会に状況を報告したらどうかということを指導しておりまして、今幾つかの府県でそういうことをやるということになっております。

 今回、シーガイアの問題も出ましたし、その他大変状況の悪い第三セクターのプロジェクトも一、二ありますので、もう一度そこは検討して、第三セクターに対するいろいろな規制を含めて、そういうことの徹底を図る必要があるかなと今考えているところでございます。

武正委員 先ほど引用させていただいたあの自治研究、もう一回ちょっと引用させていただくんですが、私も県議会にいたものですから、そのときに五〇%以上の団体のみの資料だけだったものですから、あのときは信用保証協会でしたか、やはり審査ができないということで、改めて翌年度、信用保証協会も公社事業等の特別委員会の審査対象にしてもらったことがありました。

 そんなことで、やはり議会の役割というものが第三セクターに対しては大きいということを先ほどの引用文章で大臣が述べておられますので、ちょっと引用させていただきます。「最近、目につく地方の大小の汚職事件も、議会のチェック機能が正常で、議会と執行機関に緊張関係があれば、その多くは防止できたのではないかと思う。地方における議会の権威を高め、そのチェック機能を回復するため」ということで、あといろいろ、首長の多選とかも触れておられる文章なんです。

 そういった意味でぜひ、今も大臣から先に決意を伺った次第でございますが、やはり議会の権能を高めなければ、チェック機能を高めなければ、地方分権の受け皿たり得ないだろうということでございます。

 実は、先ほどお話しした第三セクターに関する指針も首長さんあてなんですね。こういったことが、私も県議会にいても、なかなか伝わってこなかったんですね。今度、地方分権で通達とかいろいろなものは変えるんだというお話ですが、議会がチェックすべきいろいろなもの、団体等の情報なり指針なり通達、こういったものはやはり議会に直接送るか、送れないとすれば、例えば首長にそれを議会に必ず伝えるようにとか、何かそういうようなことができないものだろうか、重ねて大臣にお伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 今委員御指摘のように、国の場合には議院内閣制ですけれども、地方の場合は大統領制でございまして、やはり執行機関、首長さんと議決機関の議会は車の両輪ですね。その間にやはりチェック・アンド・バランスの機能がないといかぬと私は思うんで、そういう意味では緊張関係が必要だと思いますね。また、さらに地方議会のチェック機能を強化していただきたいというのは、かねて私の持論でございまして、そういう意味で、今お申し出の話につきましては検討させていただきます。

 ただ、議会は、これは独立した意思決定機関ですから、そこにストレートに総務省からというのはなかなか、私は難しいのかなという気がしますが、首長さんを経由してとかいろいろなルートを考えまして、我々の趣旨が議会の方にも徹底をするように検討させていただきたいと思います。

武正委員 前向きな御答弁を次々に大臣からいただけるということで、後から来る我々のメンバーも大臣にどんどん聞いていく形になるのかなと思っております。

 次に、赤字地方債の発行についてお伺いをしたいと思います。

 今回、赤字地方債というべき臨時財源債の発行を行うわけなんですが、特別会計借入金の償還繰り延べも行うわけでありまして、まず危惧するのは、昭和五十年の赤字国債発行の二の舞を踏まないのか。赤字地方債の増発を生むのではないか。また、その理由として、後年度一〇〇%の交付税措置が手当てされるということでございます。これについて御所見をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 かつてそういう時期がありましたが、あのときはまだ地方財政の規模も小そうございましたし、それから財源不足額も大変小さかったというふうに記憶いたしております。今と状況が大変違いますので、資金運用部でお金を借りて、交付税特会でその借金が四十兆近くなる、そのままずるずるいくわけにいかないということが一つと、先ほど言いましたように、資金運用部が廃止になりますから、今度はあの資金は自主運用ということになりますので、この際、資金調達そのものもおかしくなるので、しっかりと国の持ち分、責任と、地方の持ち分、責任を分けた方がいい。そのためには、いわば交付税特会でまとめて赤字地方債を出したのと同じことでございますから、今回は、それをはっきり個別の団体に割り振って、責任を持ってもらう。そのかわりそれの元利償還は、大変地方財政の運営に影響を与えますから、きっちり交付税で補てんする、こういうことで考えたわけでありまして、前回のときとはちょっと我々は発想を異にしておるわけであります。

武正委員 大臣が、そういった形で責任の所在をはっきりさせるんだということを言っておられて、多分そういったことも今回の改正の一つの目的だと思うのですね。

 ただ、地方自治体は、今住民の方から、県債あるいは市町村債、特に都道府県が多いのですけれども、こんなに出して大丈夫かということで、住民の方と一番接している地方自治体ですから、絶えずそれを言われている。これが県議会であり、あるいはまた県庁の方の実感だと思うのですね。そういった意味で、今までは責任が余りわかなかったということは、もしかすれば、財政能力の低い市町村なりがさまざまな措置でいろいろと国からお金が来るといったことで、どうもぴんとこないようなところがあったんじゃないかな。かなり規模の大きい都道府県は本当に必死な覚悟で行財政改革に取り組んできたと思うのですね。

 そういった意味では、私は、やはり今回の赤字地方債というものは、責任というお話もありましたが、責任はもう感じているところは十分感じている。そういった意味では、今回三年で一つ期限を区切っているのですけれども、三年後はどうするのか、これについても同じく御所見を伺いたいと思います。

片山国務大臣 昨年末の、そのときは大蔵大臣でございましたけれども、宮澤大蔵大臣との折衝では、とりあえず三年間この方式でやってみよう。我々の思いは、三年たてば景気がきっちり自律的な回復軌道に乗る、その際は、国と地方の事務や権限の再配分に伴う地方税財源のあり方について、国と地方の配分のあり方についてしっかりした議論ができるのではなかろうか。それまでのつなぎということもありませんが、それまでの間の方式としてこれを採用しよう、そこで大蔵省とも我々の方とも意見が一致したわけでありまして、私は、三年後はこの方式を続けるのではなくて、できれば新たな方式というのがあるのかな、こう思っております。

武正委員 先ほど、景気が回復すれば地方財源の充実も図れるんだという御答弁がありましたので、今のお答えでは、この三年で景気を何としても回復させるんだという決意とも受け取るわけでありますが、甚だいろいろな状況が、何としても好転をさせなければなりませんが、非常に厳しい見通しもいろいろあるわけでありまして、そういった意味では、三年後どうするのかといったところが、景気の動向ということに頼っていると、また地方自治体は大変心配であろうというふうに思うわけですね。

 それで、交付税特会の償還でございますけれども、平成十二年度で三十八兆で、平成十三年度で四十二兆ぐらいになるのでしょうか、ちょっと数字が定かではありませんが、三十八兆だとすると、そのうち二十六兆が地方分、これをどうやって返すのかということでございます。

 返済額のピークが二〇〇七年から二〇一〇年に来る。来年度、十三年度、民間借り入れについては、財務省は入札で六兆円を予定している。この十三年度の借りかえが八兆円要る。この六兆円を足すと、調達額が十四兆円。大体六カ月から七カ月の債券でありますので、年に二回借りかえをすると、毎月二兆円の額の借りかえが発生する。これを財政投融資の改革の中で調達をしていくということでございますが、この地方交付税特別会計の償還についての見通しについてお伺いしたい。

片山国務大臣 資金運用部が借り入れる際に、償還については、国と地方の責任を明らかにしながら一応の償還計画をつくっているわけですね。しかし、私は、なかなかその計画どおりには事が進まないおそれもあると思いますので、何度も繰り返しますけれども、基本的には景気の回復によって国も地方も税収をふやしていく。あるいは、地方行財政の行革を含めて簡素、効率化を進めて歳出の節減を図ること。それから、何度も言いますけれども、最終的には地方税財源の国と地方の再配分を進めること。これをプラスにしないと、今の償還計画どおりで巨額な交付税特会の借り入れの償還は大変かな、こういうふうに思っておりますから、総合的な戦略でこの返済を推進したい、こういうふうに思います。

武正委員 本当にこれから、財投改革で市中から、あるいは先ほど簡保、郵貯というお話もありましたが、要は地方債の信用というものが問われる、そういった時代になってくるわけでありますので、先ほどの三年たてば、景気がよくなればというような形ではなくて、ぜひ主体的な形で地方財政をどうするかといった観点がより一層今求められているのではないかなということをお伝えさせていただきます。

 次に、地方債の借りかえについてお伺いします。

 今回、地方債計画でも公営企業債、公営企業借換債、六百億円を見込んでおりますが、実際、この六百億円の対象が徐々に緩和をしてきてはいるのですね。その額が二千三百九十七億ということで、対象債残高はふえております。ただ、やはり公営企業債を借りている合計というのはもっと莫大な額だと思うのですけれども、まず、これは合計でどのぐらいで、そのうちどのぐらい今回、対象債残高になっているのか、お答えをいただきたいと思います。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 公営企業借換債は、公営企業の健全化を図るために、資本費負担比率が高い一定の公営企業に対しまして、高利のものから順番に借りかえをするという方法でやってきておるものでございまして、平成八年、九年は、大体金利七・五%以上のものを対象にいたしました。十年度から十二年度にかけましては、七・三%のものを対象といたしました。八年度は百六十億、九年度は二百六十億、十年度は三百四十億、十一年度、十二年度はそれぞれ六百億円の借りかえを行っております。

 今御指摘にありました金利七%、これは、平成十三年度におきましては、借りかえ対象の高金利というのは一応七・〇%まで引き下げることにしておるわけでありますが、この金利に相当いたします貸付残高は、全事業で見ますと二兆一千八百億円程度、うち、財政健全化の必要性が高いということで借換債の対象事業といたしております上下水道、工業用水道、都市高速鉄道の四事業に係るものについて申し上げますと、二・一兆円程度となっております。

武正委員 合計二兆一千億のうち二千三百億ということでございまして、私も県議会にいたときに、やはり金利が七パー、八パー、あるいは八パー以上という、これはもう全国地方自治体挙げて、これだけ低金利の時代に何とか借りかえができないかということを望んでいるわけですね。

 今回、借換債の現状では、大蔵省資金運用部資金は認められていないということで、公営企業金融公庫資金について順次拡大を図っているわけですが、依然二兆一千億円の二千三百億ということですから、十数%ということになります。やはりこの拡大を望む声は強いと思うのですね。

 これは埼玉の例なのですけれども、水道について見ますと、この借りかえ条件というのが一立米資本費八十四円以上、それから給水原価が一立米百四十二円以上ということなんですね。埼玉県ですと、資本費は一立米四十四・二六円、給水原価は一立米六十三・六七円ということで対象にならないわけであります。それから、工業用水についても、資本費が一立米十六円以上、埼玉県十一・五五円ということで、これも対象にならない。

 工業用水の方は何か緩和が打ち出されるような話も聞いておるのですが、やはりこういったところを見ますと、先ほどの十数%の借換債の対象ということはやはり拡大をしていくことが、先ほどの地方財政を安心させるという意味では非常にわかりやすい事例ではないのかなということでございますので、この点について再度大臣、いかがでございましょうか。

片山国務大臣 今、自治財政局長から御答弁のように、年々借りかえの拡大をしてきていることは事実ですけれども、全体から比べるとまだ一割程度、こういうことではなかろうかと思いますが、これは公営企業金融公庫そのものの経営にも影響があるのですね。余りどんどんやりますと、今度は公営公庫そのものの存立に響いてくるようなところがありますので、今お話がございましたことを十分しっかり受けとめて検討させていただきます。我々としては、できるだけふやしたいとは思っておるのです。どの辺がどうかな、こういうことについてはさらに検討をさせていただきたいと思います。

武正委員 財投について、簡保、郵貯のお話を伺いたかったのですが、ちょっと時間も押していますし、先ほどもるる出ておりますので、これは割愛をさせていただきたいと思います。

 次に、先ほどちょっと話が出ましたが、地方債の元利償還金算入について、なぜこれは元利償還金を算入していくのか、その理由をお聞かせいただければなと思っております。

 平成十三年度で一三・四%の割合ですが、この地方債の地方交付税に対する元利償還金算入が毎年一%ずつ伸びているわけですね。このことが今後も続くのかどうかも含めまして、なぜ地方債の元利償還金を算入していくのか、お答えをいただきたいと思います。

片山国務大臣 今の地方団体の実態を見ますと、やはり仕事をやるのは公共事業なり単独事業で、公共事業の場合には裏負担が要りますね、それから単独事業の場合には主として起債ですよね、地域総合整備債や何かで。それを全く元利償還はおまえらの責任でやれといいますと、財政力の弱いところは事実上、仕事ができないのですよね、財政力のあるところだけになりますから。財政力に応じてある程度元利償還も面倒を見てやる、こういうことが、それじゃ公営事業をやろうか、こういうことになりますから、私は、元利償還を相当交付税で見るということは必ずしもいいとは思いませんけれども、今の割合程度で交付税で元利償還を補てんしてやるということはやむを得ないのかな、今の地方団体の実態を見たときに、弱小切り捨てになりますから。そういう感じを持っております。

武正委員 そもそも建設国債というものは、将来の国民にいわゆるインフラ整備の金利あるいは償還を負担してもらおうということでありますので、地方債が同じく建設地方債だとすれば、すぐ元利償還金を繰り入れていくというのはいかがなものかなというふうに思うわけであります。

 それで、いろいろと債券について、普通交付税の措置でさっき言いました元利償還金の算入が行われているのですが、一つ例を挙げさせていただきますと、補正予算債なんですね。補正予算債が、昭和六十二年度補正分までは、一番低いのが三八%算入、そして一番高いのが昭和五十三年度分の六九%算入ということですね、これは県分になりますが。ということだったのが、平成四年度からこの補正予算債が元利償還金の八〇%算入に一律なった、この理由をお聞かせいただきたいと思います。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 国の補正予算とかあるいは予備費を使用することによって年度中途に公共事業が追加されるということになりますと、その地方負担につきましては、地方団体の方に年度中途の事由でありますから財源が原則的にない、追加財政需要額を充てるということはありますけれども、大きな事業になりますと、その財源がないということで、補正予算債と称しまして全額を地方債で対応することといたしております。

 また、その元利償還につきましては、先ほど申し上げたような理由で、翌年度以降交付税に算入するという措置をとっておるわけでありますが、六十二年度までは、当初予算に算入をされております各事業種別ごとの算入率というのを加重平均したような形で率を設定させていただいておりました。平成四年度からは、なかなかこれも複雑だということになりまして、結局全体として八〇%に統一をするということで、年度中途の補正事業の償還は安定的なものにするということで、一律八〇%にするということにいたしまして、それ以後、統一的な扱いを続けておるものでございます。

武正委員 私が伺いたかったのは、なぜ八〇%に高くなったのか、これをちょっとお聞かせいただきたいと思うのですが、大臣いかがでしょうか。

香山政府参考人 これにつきましては、最近、財源不足等に対応するために財源対策債というようなことを発行いたしておりますが、それに対する算入率が八〇%になっておるということ、また補正予算につきまして確実な執行を期する必要があるというようなことで、八〇%というラインにさせていただいた次第でございます。

武正委員 後ほど触れますが、やはり総合経済対策、これをきちっとやる、やってもらう、そのときにはやはり地方にといったことの裏づけになっているのかなというふうに感じるわけであります。

 さて、先ほど大臣から地総債のお話がありました。地総債について、現在の発行残高、これをお聞かせいただきたいと思います。

香山政府参考人 計数のみお答えさせていただきます。

 平成十年度末におきます地総債の残高は十一・二兆円程度となっております。

武正委員 私も県議会にいたときに、この地総債についてたくさんの県議会議員が質問に立ちました。本当に大丈夫なのかといろいろ質問をしたときに、答弁の方が、この方は自治省から来られた方なのですが、このため後年度に交付税措置のあります起債の活用を図ってきたところでございます、お尋ねの有利な条件の起債とは、地方交付税の額を算定する上で、基準財政需要額に県債の元利償還額の一定割合が算入されるものを指して申しております、平成八年度を例にとりますと、おおむね県債の元利償還額の七割程度が算入されているところでございますということで、我々県議会議員は、この有利な県債、有利な県債ということが、耳にたこができるほど聞かされたわけでございます。

 一体何が有利なのかということで、それは地方交付税に後年度負担、算入されるということをあらわしているのですが、では国の財政を考えて本当に大丈夫かなということを心配したわけでございます。

 これも先ほどの総合経済対策と同じく、ある面、政策的な誘導がなかったのかどうか、大臣いかがでございましょうか。

片山国務大臣 地総債につきましては、今お話がありましたように、大体充当率が七五%ぐらいで、その元利償還は財政力に応じて三〇%から五五%補てんする、こういうわけでございますから、大変ある意味では地方団体にとっては魅力的な事業ではなかろうかと思います。

 やはり地方自治というのは、地方が自分の判断で自主的ないろいろな事業を選択して多様な地方自治行政を展開するということだと思いますので、今の窮屈な財政事情の中では、私は、地総債というのは大変そういう意味では効果といいますかそれなりの効用を発揮してきた、こういうふうに思います。

 ただ、バブルのときは、私は、本当に、繰り返して言いますけれども、箱物だとかテーマパーク風のものだとか、ややいかがかなと思うものはあったことは事実ですけれども、だんだんそういう過程を経て今地方団体は賢明な選択をするようになっておりますから、この仕組みはなお維持していきたい、こういうふうに思っております。

武正委員 この後年度負担の地方交付税への算入ということについては、確かに地方自治体は本当にありがたいわけでありますね。

 ただ、それに関しては、我々民主党の方では一括交付金というような形を考えておりまして、こういったそれぞれのメニューを用意して地方債とそのほか後年度負担算入ということで手を差し伸べていく、その大変なお気持ちというのは地方自治体にとってはありがたいのですが、先ほどの三年で結果を出さなければいけないという今の実態から見ますと、やはり自立をいかにして求めるかということが今問われているのではないかなと思うわけであります。

 次に、今回「地方債協議制度の概要」という文書をいただきましたが、要は平成十八年度から協議制度に移行するということでございますが、そのただし書きに「財政構造改革法の停止前の目標年度である平成十七年度までは許可制度を維持」ということが出ているのですね。これは、財政構造改革法の停止前の目標年度である平成十七年度までと、平成十八年度から地方債の協議制度を始める、この関係はどういうふうになっているのか、お答えをいただきたいと思います。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 地方債の許可制度を協議制に切りかえるということは地方財政運営の基本にもかかわるかなり重要な改正でありますので、一定の周知期間を置く必要があるというふうに私どもは考えたわけでありますが、そのときにどのくらいの期間がいいか、それからどのように説明がつく期間がいいかということになりますと、財政構造改革をやっている期間というのはやはり地方債を、国の関与を若干厚目にして運用する必要も高かろう、これが一応めどがついたときに協議制に切りかえる方がよかろうということで、十八年度というのを選ばせていただいたということでございます。

武正委員 一応ということで、御説明がちょっと不十分かなというふうに思うのですが、財政構造改革法、今凍結はされておりますが、国、地方で赤字が対GDP比三%と決められております。現在それぞれが何%であり、それを踏まえて凍結されている財革法の目標に対する認識はいかがでございましょうか。

 先ほど大臣は、やはり行革なんだ、行革をやらなければだめなんだ、実際に地方団体はやっているぞというお話もありましたが、どうしても、財革法を凍結されまして、私も埼玉県でそうでしたが、財政構造改革法に対応して、では県も行革をやろうということでつくって、よしというときにもう一回見直しになってしまったわけですね。その後、一挙にまた歳出が膨らむ基調になっていったわけですが、財革法に対する認識、大臣、お答えをいただければありがたいと思います。

片山国務大臣 委員の言われました国及び地方の財政赤字の対GDP比は、平成十三年度見込みで六・四%だそうであります。

 そこで、財政構造改革法でございますけれども、あれが出たとき、私たちも大変な議論をして国会を通しましたね。しかし、景気がこういうふうに加速度的に悪くなりましたので、あれは凍結、こういうことになりました。しかし、私は、日本の将来を考えるときに、財政構造改革は必要だ、こう思っております。

 ただ、御承知のように二兎論と一兎論というのがございまして、今はやはり景気回復に軸足を置くべきだけれども、財政構造改革についてもそろそろ準備に入るべきではないかと私個人は考えております。

 今、経済財政諮問会議というのがありまして、私もそのメンバーでございますけれども、そこで経済運営を含め財政構造改革等も議論を始めておりまして、私は、景気回復をしながら財政構造改革に資するようなことがあるのではないか、こういうことを個人でも思っておりますし、その諮問会議でも主張しておりまして、これから大いに総務省も財務省その他と協議しながらその方途を探ってもらおう、こういうふうに思っております。

武正委員 私も大臣と同意見でありまして、二匹のウサギは必ず追える、そして捕まえられるというふうに思うわけであります。ただ、その前提がやはり民主党に政権をとらせていただくというのがあるのかなというふうに私は思っております。

 そのほかいろいろな前提があるわけでありますが、るる今までお話を申し上げてきた中に、地方が総合経済対策を担うことへの認識と問題点というものがあるのかなと思っております。総合経済対策は事業規模で総額百三十五兆円。平成四年から平成十二年度までです。建設、赤字国債発行額が四十五兆円。減税が十九・七兆円。うち地方影響分として三十一・二兆円。内訳は、地方負担額が単独事業を含めまして二十二・三兆円、減税のうち地方の減収分は八・九兆円ということで、特に減税の半分を地方が引き受けたというのが大変大きな痛手というか影響を持っているのかなということも感じますし、先ほど来、るる補正予算債あるいは地総債などの手厚いさまざまなバックアップで地方が単独事業を引き受ける、あるいは地方が引き受けられるようにということをやってきたのですが、その結果、地方の負担額が二十二・三兆円といったことが出ているわけです。

 そういった意味で、この総合経済対策を地方がこのようにこれからも引き受けなければならないのかといった点が、今回の、失われた十年と言われる、検証の中でやはり必要ではないか。地方のあり方といった点から、この総合経済対策への御認識とそしてまたお感じになる課題、問題点を大臣、お聞かせをいただきたいと思います。

片山国務大臣 マクロの経済政策については、私は基本的には国の責任において対処すべきものだとは思いますが、我が国の公経済における地方財政のウエートというのは大変高いのですよ、よその国に比べまして。実施部門では、御承知のように、国より地方の方が財政支出は大きいわけですから。それから、財源配分は、交付税まで入れますと、大体国、地方が四、六ぐらいになるのでしょうか。税だけでいきますと六、四ぐらいでしょうけれども。

 国の責任で地方は知らないというわけにはなかなか経済政策としてはいかないので、国と地方はある意味では運命共同体でありますから、国がよくなることが地方もよくなるので、そういう意味で経済対策に地方が協力するのはやむを得ない、私はこういうふうに思っております。

 地方だけがよくなるということはないのですね、国が悪くて地方だけがよくなるということは。地方をよくするためにも国をよくする。また、地方がよくなることがトータルとしての国もよくなる。こういう二人三脚でいかざるを得ないのかなと思っております。

 いろいろな今までの十年の経済政策については御意見があろうと思いますけれども、私自身は、これはやむを得なかった、こういうふうに思っております。

武正委員 そういったことで、なぜ地方税の減税を中央政府が決めるのかということがまず一点。今も大臣からるるお話がありましたが、やはり地方税の税財源の充実がなければいつまでもこういったことが続くだろうと思うわけでありますが、まず一点、なぜ地方税の減税を中央政府が決めるのか。

 今もお話がありました、地方が八割を担っているんだということがありましたが、それと地方税の税財源の充実、特にこの三年、さっきの二匹のウサギを追うためにも、やはり地方が安心して財政運営ができるためにもこの三年だというふうに思うのですが、特に地方税の税財源の充実について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 減税については御意見はあると思いますよ。だから、次第に課税自主権を強化していくということは、方向としては正しいと私は思いますけれども、税源自身が国と地方が共有しているのですよ。それで、国分だけ減税しますと、地方はしませんというわけにはこれまた、今言いましたように、国と地方は運命共同体ですから、なかなかできないので、その辺はぜひ御理解いただきたいと思います。

 基本的には、地方税を充実強化して、地方に自主的な、それは地方税を取るのは大変な苦労もありますけれども、取る苦労が地方自治なんですよ。そういう意味では、地方の皆さんにもそこは御理解を賜って、地方交付税の方が楽だという意見も本当にあるのです、私のところでも市町村長さんや何かに。そうではなくて、やはり地方税は苦労して取る。そのためには、苦労して取る地方税の税源を地方により手厚く配分して与えていくということは、基本的に正しいと思っておりますから、いずれにせよ、しっかりと今後議論してその辺は詰めてまいりたいと思っております。

武正委員 もう時間も限られておりますので、次は、合併のお話を伺いたいと思います。

 私は、浦和市、蕨市、埼玉一区選出でございますので、一月に総務大臣の認可をいただき、五月一日には三市が合併をしてさいたま市をつくるわけであります。やはりその目的は、地方分権の担い手として、また埼玉はどちらかというと、東京のベッドタウンですので、中心となる都市をつくろう、そこでやはり自立性をしっかり持たせていこうといったところがあるわけでございます。

 ただ、この合併がなかなか進まないといったことで、合併について種々対策がとられております。例えば合併しても交付税が十年間減らないようにとか、その後も激変緩和措置とか、いろいろとられているのですが、私は、今までお話をしてきた、例えば交付税制度、地方単独事業あるいは後年度の交付税算入、こういったものが実は合併を阻んでいるのではないかなというふうに思っているのですね。

 これは、黒川教授のお話では、大体人口三十万人くらいが一番適正規模の自治体ではないか、これにはいろいろ御議論もあるかと思います。そういった意味では、今回、さいたま市のような政令市を目指すといった例は別にいたしまして、小規模の市町村、これが合併を自然と行っていくということで、今までどちらかというと、あめとむちで言えばあめというような形で交付税措置などがとられておりますが、決してむちという言葉を使いたくはありません。

 ただ、そういった意味では、合併を阻む理由が、手厚い財政力の弱い市町村に対する交付税制度、あるいは地方単独事業、そして地方債の後年度の算入といったところにあるとすれば、大臣が、市町村合併をやろう、しかも政府として千にしたい。これは各党からも出されているわけでありまして、地方財政の健全化あるいは三年で次の新しい改革の入り口を見る、こういったことを考えますと、やはり合併というのは避けて通れない。ただ、そのときにそれを阻む理由が交付税、地方単独事業、後年度の交付税算入にあるとすれば、この点の改革が必要ではないかと思うのでございますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

片山国務大臣 今いろいろお話がございましたが、合併は私もぜひしていただきたい。地方分権の受け皿として、今の市町村の規模、能力では必ずしも十分でないと私は考えておりますから、本当の地方の時代、市町村の時代をつくるためには、基礎的な地方団体である市町村の充実強化は避けて通れない、こう思っております。

 そこで、大変政府の方でも考えまして、今の合併特例法の期限が十七年の三月ですから、それまでに合併をやっていただくために、合併特例債だとか交付税の算定がえだとか、算定がえというのは減るのをとめるだけですから、あれは優遇じゃないのですけれども、あるいはその他いろいろな優遇措置をとっておりますが、私は、それはそれなりの、あめと言うと言葉が悪いですけれども、優遇措置が魅力があるのではなかろうか、こう思っております。

 そこで、合併をしない弱小市町村に対して、むちという議論も確かにあります。我々の党内にもあるいは経済界にもありますが、私は、合併はあくまでも自主的な合併でなきゃいかぬし、そのためにしないところにむち的な措置をとることは適当でない、こう思っておりますが、今お話しのように、弱小の市町村ほど交付税の方では有利なような今の仕組みになっているのですね。だから、今の状況で優遇されているのですよ、極めて。だから、この優遇をいつまでも続けるかどうか私は議論がある、こういうように思っているのです。

 むちはやりません、むちはやらないけれども、今も人口が少ない方が一人当たりの交付税額はかなりふえていますから、こういう状況をいつまでも続けるかどうか、交付税の総額の議論もあるし、これは検討させていただきます。こういうことを私は全国町村会にも言っているわけでありまして、そういうことを含めて、総合的にどういう方法が合併を進めることになるのか、しっかりと検討させていただきます。

 今の法律でとっている優遇措置は、これはこれで続けさせていただきたいと思いますので、そこは御理解賜りたいと思います。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、中村哲治君。

中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治です。

 最年少の総務委員として、質問させていただきます。若い世代の代表としての感覚を訴えさせていただけたらいいなと思っています。

 さて、大臣、平成十三年度末の地方の借金というのは百八十八兆円と言われていますよね。これは、地方財政が借金漬けで危機的な状況にあるということだと私は思っています。

 では、大臣、経済財政諮問会議のフルメンバーでおられます大臣にお聞きしたいのですけれども、大臣が会議でおっしゃっているように、二兎を追うという議論をやはり始めないといけないのではないでしょうか。大臣は、三年で景気は回復されるとおっしゃっていました。三年で本当に回復するのか、そして、その景気の回復とはそもそもどういう状況をいうのか、大臣の持っているイメージをお伝えください。

片山国務大臣 三年で回復するとは言っていません。三年で回復させたい、回復を目指す、こう言っているわけであります。そして、景気の回復というのは、いろいろな議論があるのですが、私はかつて参議院の予算委員会で質問したんですよ、答弁じゃありません、質問したときに、景気を野球の打順に例えると、一番バッターは公共投資だ、二番バッターが住宅だ、三番バッターが設備投資だ、四番バッターが個人消費、五番バッターが輸出だ。

 日本の今までは、財政出動で一番の公共事業と二番目の住宅建設はかなり頑張ってきた。塁に出る、ヒットを打ったり、向こうのエラーかもしれません。ところが、三番の設備投資がなかなか打たない、四番の個人消費が全然打たない、こういうことを言ってきたのですが、三番の設備投資は動き出したのです。どんどん打ち出した。

 ところが、四番が動かないのですよ。四番の個人消費が財政需要の、御承知のように六割ですから、これをどうやって動かすかが今後の景気回復で、それが民間による自律回復の軌道に乗るのですね。

 だから、今どうやって個人消費に刺激を与えて動かすかということなので、個人消費が動いた段階で景気は回復した、財政出動を大幅にしなくても、民間の力で景気が回っていく、こういう状況が私は景気回復だと思っております。

中村(哲)委員 個人消費の回復というのは四番バッターだとおっしゃっていまして、私もそれは同感です。

 若い世代の意見としては、個人消費なんかもう進みませんよ。僕の同じ世代の人たちで、将来に対する不安はいっぱいあります。今のような政治が続いていたら、年金をもらえるかどうかわからへん、将来の見通しが全然立たへん中で、個人消費なんか進むはずがないじゃないですか。ばらまき、ばらまきで公共事業ばかりやって、自分たちの目に見えへんところでお金が使われていっている、それが若い世代の率直な意見ですよ。

 それで、大臣は、その後、税財源を地方に移譲すべきだとおっしゃっています。これは景気が回復してからやるとおっしゃっています。しかし、若い世代の代表としたら、不透明な状況があるからお金は使わない、個人消費にはいかないという状況ですから、やはり負担と受益を明らかにするという意味でも、自治体が自分の身を切る努力を本当にしようと思う意味でも、地方への税財源の移譲というのは必要なんじゃないでしょうか。それをさっきの答弁で大臣はおっしゃっていたと思うのですよ。そこについての御答弁をお願いしたいのです。

片山国務大臣 私も、地方分権一括推進法が去年の四月から施行になりまして、権限移譲だとか事務移譲は一区切りついたのかなと思います。これで十分ではありませんけれどもね。

 そうなると、やはり地方の一番要望が強いのは税財源の移譲でございますから、ただ、景気がこういう状況で、国も地方よりずっと借金が多い。地方は百八十八兆ですけれども、国は四百五十兆くらいでしょうか、五、六十兆でしょうね。そういう状況の中で、今それでは税源配分を国との間にやりましょうといっても、私は現実的でないと思うのです。

 何度も同じことを繰り返しますけれども、景気がしっかり回復した時点で、これからの地方分権にふさわしい税源がどうあるべきかということをもう一遍しっかり見直すべきではなかろうか、こういうふうに思っておりまして、そういう意味では、今、政府の中での意思も大体そういうことかな、こういうふうになっていると思います。

中村(哲)委員 私が言いたいのは、四番バッターを打たせるためには、不安を取り除く政策が必要だということです。景気回復をさせたら不安が解消する、そのためには公共投資をやっていく、そういう理屈で不安が取り除かれるのかどうか、大臣はどういうふうに認識されているのかということをお聞きしたいのです。

片山国務大臣 言われることは私もわかるわけでありますが、やはり言われるように、先行きの不透明さが個人消費を幾らか抑えているところはあると思います。老後の不安、雇用の不安ですね。だから、そういうことはきっちり我々、責任を持って、特に政府が責任を持って、例えば年金や医療や介護や福祉はこういうふうにちゃんとやります、中長期的にこういうことですよと、それから雇用対策についても、新しい産業を創出したり新しい雇用を創出するために、こういう政策をやりますということを提示する必要が、委員が言われるようにあると私は思います。

 それからもう一つは、もうかなり皆さん、我が国民は物を持っているのですね、衣食住も。住は、大都市圏はともかくとしまして、大都市圏を除くと、住も足りているのですよ。衣も食も世界で私は一番、ぜいたくだとは言いませんけれども、一番充実している、こういうふうに思いますよ。

 今売れているのは、例えば携帯電話だとかパソコンだとかそういう種類のものなのです。だから、そういう意味では、今度は売る方も、個人消費を刺激するような、国民が喜ぶような商品開発というのがあるのかな。今国民が求めているのはサービスですね。例えば旅行もそうでしょうし、いろいろな趣味を生かすとか、絵だとか焼き物だとかいろいろなことを身につけるとか、そういう技能でしょうかね、私はそういうことを求めているのかなと思いますから、総合的にどうやって個人消費を引き出していくかということをみんなで考えていく必要があるな、こう思っております。

 そういう意味では、IT革命が、これから携帯電話も次世代の携帯電話になりますと、今度は動画になるわけですから、携帯電話を持っておればインターネットにもつながるし、テレビと同じような効用も出るわけですから、もしこういうものがしっかり開発されれば爆発的な需要になるのかな、それから今度は固定電話でLモードというのも今研究されておりますから、そういうIT革命が景気回復の個人消費爆発の一つのきっかけになればいいなと、当方の所管でもありまして、そういうことを考えておる次第であります。

中村(哲)委員 私の質問に対する不安の解消という答えの部分をもう一度繰り返させていただくと、雇用の不安と老後の不安を解消していかなくてはならないというのが大臣の答弁でした。それをしていかなくてはならないとおっしゃっていて、議論をしていかなくてはならないとおっしゃっていますけれども、その課題というのはずっと前からあったわけですね。何でできないのですか。

 この数年間、年金改革も労働条件の話もいろいろありました。だけれども、現実に不安が解消されていないということは、今までの政府の、また自民党政治の失敗だったのじゃないですか。そこについてはどのようにお考えですか。

片山国務大臣 それは見方がいろいろあろうと思いますが、政府・与党は年金の改革でも、医療制度の改革でも努力してきています。かなり無理をして前の臨時国会に関係の法案を通してまいりました。

 それから、今後抜本的な改革をやろうというので、政府・与党で社会保障に関しては、正式な名前は忘れましたが、そういう協議会をつくりまして、三月中に結論を出そうということで議論しております。

 それから、経済財政諮問会議は全体の経済運営や予算編成についてしっかりした方針を出そうということでやっておりますし、そういう意味では雇用を含めまして懸命の努力をしている、私はこういうふうに思います。

中村(哲)委員 それを若い世代にもわかるように、わかりやすく伝えていただきたいと思います。それができていないのが今の政治全体の問題だと私は思います。

 それで、税財源の移譲の話に戻りますけれども、大臣としてはどのような具体的なプロセスで進めていくようなイメージをお持ちでしょうか。

片山国務大臣 これは役所の意見ではありませんが、政府部内でこれから調整しないといけませんけれども、地方分権推進委員会がこの六月末で一区切りになるわけでありまして、地方分権もこれで終わったわけじゃないからフォローアップをしなければいけませんね。そういう意味で、地方分権の事務や権限移譲のフォローアップをしながら、税財源をきっちり検討して御審議賜る何らかの権威ある機関が必要なのかな、こういうふうに思っておりまして、そういうものを一つのよりどころにしながら議論を起こしていこう。役所は役所で、我が総務省は総務省として、十分な検討を、地方六団体を初め関係あるところの意見を聞きながらやっていきたい、こういうふうに思っております。

中村(哲)委員 権威ある機関の意見を聞きながらということでよろしいですね。

 一つのお考え方としてお聞きをしたいのですけれども、個人にかかる税金と法人にかかる税金をどういうふうに仕分けしていくのかという観点があると思います。例えば、所得税については、累進部分は国税で残すとしても、定率の税率といいますか収入に比例する部分ぐらいは地方税として財源を移譲した方がいいのではないか、そのように考えております。

 一方、法人税など法人に関係する税については、景気に左右されるとか地域的な格差が大きいとかいう二つの理由で国税とする方がいいというふうに考えております。つまり、自然人についての税金は地方に、法人についての税金は国にというふうに考えているのですが、この点について、どのようにお考えでしょうか。

片山国務大臣 税源はいろいろな考え方があるのですが、一つは所得に対する税金ですね、それからもう一つは、消費に対する税金、もう一つは資産に対する税金です。大ざっぱに分けると、所得、資産、消費ですね。それで、所得について言えば、これは個人の所得と法人の所得とありますね、そういう税源を見ながら、長い間の経緯の中で国税と地方税の体系ができているのです。

 だから、委員の言われるようなことも一つの大変新しい御意見だと私は思いますけれども、今まで積み上げてきた経緯からいうと、ちょっと大胆過ぎるのかな、こういうふうに思っております。

 いずれにせよ、行財政改革というのは基本的に公でやることを縮小すること、官から民へ、中央から地方へ、そうやった上で、その中で税を国と地方がどう分けていくか、もっとわかりやすくする必要がありますね。

 そういう意味で、今の所得、消費、資産をどういうふうに、これを一つだけこっちだということには、税の体系としてはなかなか難しい点があると思いますけれども、委員の御提言を含めて、私は今後しっかり検討していく課題だと思っております。

砂田大臣政務官 ただいまの税の配分についてでありますが、私の私見でもありますけれども、国全体が今の借金を抱えて公債を発行しているという状況の中では、地方に国が移譲する、しかし、国全体としてはどこかで必ず負担しなければならない、そういう状況下にあるわけでございます。そういう意味で、今片山大臣がおっしゃるように、財源にゆとりができて、国、地方それぞれの分野に従って使える財源をそれぞれに分割するということは極めて大事なことでありますけれども、しかし、今の経済状況、国の財政状況の中では、どうしても国税として、あるいは地方税として、結局、地方にも借金が一緒についていかなければ解決できないというような形でありますので、いましばらく財政改善の余裕をいただきたい、そういうふうに考えておるところでございます。

中村(哲)委員 砂田政務官の御答弁をいただきまして、一言で言うと、先送りという印象を私は受けました。片山大臣の答弁をお聞きしまして、私は非常にわかりやすい御答弁だったなと思っています。それで、わかりやすさがキーワードだと、今おっしゃったと思うんですね。だからこそ、抜本的な改革をしていかぬといけないという大臣のお気持ちに私は共感させていただきました。

 それでは、次の質問に移らさせていただきます。

 交付税についてお聞きします。基準財政需要額の算定についてお聞きします。

 公共事業の補助金のいわゆる裏負担分というのが基準財政需要額の算定に入っております。これでは、補助金をどんどんとってきて、歳出をどんどん膨らませた方が交付税もふえるということになってしまうような気がするんですね。自治体にとっては行財政改革に対するインセンティブが働かない、こういうふうに私は危惧しております。だからといって、裏負担を基準財政需要額の方に全く入れなければ、財政規模が小さい自治体にとっては非常にしんどい話になってしまうと思います。

 そもそも、国が公共事業をコントロールして、箇所づけして補助金をつけるという思想自体が今、問題になっているんじゃないでしょうか。今の公共事業で、自治体だって、こんなもの要らないというふうに思っているけれども、国から言われるからしようがないからやろうかというふうな思いでやられているところがいっぱいあるんじゃないでしょうか。本当に欲しいものがつくられない今の補助金制度というものにメスを入れる必要があると思います。

 むしろ、公共事業の補助金について、例えば、投資的経費としての一括補助金という形をとるとか、補助金分をそのまま地方交付税交付金という形でやるとか、新しい制度を考えた方がいいのではないでしょうか。この点についての御答弁をお願いいたします。

片山国務大臣 御指摘のように、国の補助金というのは、補助金がつけばやろうかということになるんですね、地方は。本当にしたい事業が、A、B、CとあってAなんだけれども、補助金がCについたらCをやるんですよ。私も県で財政課長や総務部長をやったことがありますけれども、そういうことになるあれがあるんで、場合によっては自主性を大変阻害していることは事実ですね。だから、そういう奨励的な補助金というのはできるだけ私はやめた方がいいと思うんです。

 ただ、公共事業は違うんですよ。例えば、道路だとか河川改修、港湾だとか都市計画、こういうインフラ整備は、国と地方の両方が責任を持って、お金を出し合ってやっているんですね。そういうことが必要な事業なものですから、公共事業の裏負担にはそれは交付税を見ています、場合によっては。事業費補正やあるいは起債についての元利償還を見ておりますけれども、どこまで見るかというのは、一つの検討課題でしょうね。今までのやり方がいいのかどうか、そう思います。

 それから、最後に言われました、公共事業なんか全部やめて一括の交付金みたいにしたらどうかと。これは、今、統合補助金という形で幾つかの分野について総合的に、あるいはメニュー的に地方団体が事業をやれるようになっていますが、これは私は大変な前進だと思いますね。これをさらに拡充していきたい、こういうふうに思っております。

 ただ、公共事業を全部やめて、第二交付税みたいな、もう一つ交付税をつくる、こういう議論も昔からあるんですが、これは、今の交付税制度とのバランスもありますし、それじゃそうですかというよりも、むしろ、税源の移譲だとか今の交付税制度をしっかりしたものにする方が優先する課題じゃないかと私は思っています。

砂田大臣政務官 今、大臣がおっしゃったとおりでございます。

 必ずしも一つのことに財源を決めて使うということではなくて、統合補助金制度というのが平成十二年の予算において創設をされたところでございまして、その中で比較的自由に使える制度というものもできておりますし、そしてまた、大臣がおっしゃいましたように、国全体にかかわる公共事業については、それなりにはっきりとした形でそのところに予算を使うという形に相なっております。

 十二年度から、そういう意味ではかなり自由な選択ができるという部分もふえておりますので、先生のおっしゃるような状況にこれからも発展していくだろうというふうに考えているところでございます。

中村(哲)委員 お二人の答弁を伺いまして、非常に心強く思いました。

 税財源の移譲とセットで考えていくべきだという大臣の答弁に関しては、非常にそのとおりだなと思うんですね。それを強力に、早く推し進めていただきたい。三年たったらとかいう話じゃなく、早く始めていただきたいと思います。

 関連してなんですけれども、このように基準財政需要額が過去どんどん膨らんできた原因として、霞が関で新しい制度をつくって、その執行は地方自治体に任せていくという構造的な問題があるように私には思えます。

 大臣にお聞きしたいんですけれども、そもそも地方交付税交付金の本来の趣旨というのは、ナショナルミニマム、すなわち、全国どこでも達成すべき最低限の行政水準を保障するということではないんでしょうか。もしそうならば、そのナショナルミニマムというのは、だれがどこでどういうふうに本来決めていくべきものなのか、大臣のお考えをお聞きします。

片山国務大臣 地方交付税制度というのは二つありまして、一つが、今言われたような標準的な行政を全国の地方団体に保障してやる、そのためのお金を与えるという、ナショナルミニマムというのかどうか、そこはちょっとありますが、そういう財源保障の役割と、もう一つは、税金をたくさん取れるところには勘弁してもらいます、税金が少なく取れるところにはたくさん上げます、中間のところには中間のように上げますという財政調整ですね。財政力のある団体と財政力のない団体との間の財政を調整する、本来は交付税はそれで始まったんですよ、昔は。地方財政平衡交付金という時代が長くあったんです。それはそういうことなんですね。財源を調整する、地方団体間の財政力を調整する。

 だから、その財政調整の機能と財源を保障する機能と両方あるわけでありまして、その財源を保障する方が委員が言われるようなナショナルミニマムの保障、こういうことになるのかもしれませんが、ナショナルミニマムという言葉はありますけれども、それじゃ、だれがいつどう決めたかというのはないんです。今は、国がいろいろな法令で、例えば義務教育の小中学校の先生の定数はこうしなさい、標準法というのがあるでしょう、あるいは社会保障や何かでは、生活保護はこうです、児童福祉はこうです、障害者福祉はこうです、高齢者対策はこうですと法令や政令でいろいろな形を決めておりまして、そういうものがナショナルミニマムというならば言うのかなと。そういうものをきちっと決めているものについては、それにかかるお金は地方交付税で地方団体に保障してやる、こういう仕組みになっているんです。

中村(哲)委員 まさに今、大臣がおっしゃった、国の方でいろいろ制度を決めていくというところが、地方分権という考え方からしてみてどうなのかな、検討が必要なことだと思うんですね。

 去年の十二月二十日に全国知事会が、「国の立法等に係る第三者機関設置に関する緊急要望」というのをお出しになりました。もちろんこれは、憲法四十一条の国会単独立法の原則ということもあって議員立法の方には難しいのかもしれませんけれども、この要望というのは、霞が関でどんどん新しい制度をつくってその仕事だけ地方自治体に押しつけられてはたまらないという知事さんたちの率直な、切実な気持ちのあらわれだと思うんですね。この点に関して大臣のお考えをお聞きしたいんです。

片山国務大臣 今中村委員が言われた、全国知事会から何かペーパーをいただきました。国と地方の立法等に関する第三者機関を設置したらどうか、こういうことでございます。

 我々の立場から言いますと、国会は国権の最高機関で唯一の立法機関だと憲法に書かれているんですね。この立法権というのは大変権威のあるものだ、私はこう思いますので、全国知事会が、あるいは地方六団体がいろいろなことを言ってきていただくのは、それはそれでいいと私は思います。それからまた、総務省というのは国と地方との間のいろいろな仲介やコミュニケーション、意思疎通の代弁をするところですから、地方のことを閣内でしっかりと表明していく、こういう役割もありますしね。

 だから、全国知事会の会長さんの埼玉県の知事さんが来られたときに、お気持ちはわかります、しっかりと受けとめますけれども、私としては、中長期的な課題なので、この第三者機関を今おつくり賜るのは国会のあれからいうと、それは各会派がぜひ必要だということなら、これは国会でお決めになることですから、国会の皆さんが同意されるというのなら、それはそれで検討してもいいのですけれども、私の立場からいうと、ちょっと中長期的な課題ですねと。唯一の立法機関ですから、その立法機関について、チェックするわけじゃないのだけれども、それについていろいろなことを言う強力な第三者機関ができるということは、もう少し検討する必要があるのじゃないでしょうかと申し上げた次第であります。

中村(哲)委員 大臣の答弁は、本当にそのとおりだと思います。憲法四十一条で、国会は唯一の立法機関であることが定められております。先ほど私が国会単独立法の原則と申しましたけれども、それはその文言から出てくる原則でございます。だから、国会の審議には第三者機関は関与できないというのが憲法上の要請だと思いますので、その以前の、法案として提出する前の段階の話だと思うのですね。議員立法ではなかなか難しいけれども、内閣提出法案についてはあらかじめおれたちに相談してくれよというお気持ちでの要望だと思うのです。

 だから、本来、それは総務省の皆さんが従来やってこられた部分でやるということですから、そこがきちんとできていなかったのじゃないかというのが、その知事さんたちのお気持ちだと思うのですね。そこを透明性を確保して総合調整をどういうふうに果たしていくのかということが、知事さんたちから問われているということだと思いますので、その点について、一言だけお答えください。

片山国務大臣 全国知事会初め地方六団体からいうと、そういうもどかしい思いがあったかもしれませんが、そういうことを言ってこられたときは自治省時代でございますので、今は総務省になりましたから、しっかりと地方の意思を閣内で代弁させていただきます。

中村(哲)委員 次の質問に移らせていただきます。

 地方債の発行を順次許可制から協議制に移行させていくということですけれども、このことが意味するのは、地方債の発行というのは徐々に地方自治体自体の信用力に任せていくという方向だと思います。その中で、自治体と引き受け手である金融機関との間で、引き受けに当たって審査がかなり厳密になってきているという話をお聞きします。最近の新聞でもそういうふうな報道がありました。国債の格付がスタンダード・プアーズによっても下がりましたけれども、同じように地方債の信用力についても同じような評価の低下が今後考えられると私は思っております。

 そのような流れから考えますと、自治省と郵政省が一緒になって総務省になったということがこのことと関連して懸念されます。

 と申しますのは、郵貯と簡保が自主運用となって、その資金が地方自治体に直接貸し付けられることになろうかと思います。そのときに、膨大な郵貯の資金や簡保の資金が地方債の引き受けに回ることで地方債の発行というのがどんどん無限定になされていって、地方財政のモラルハザード、倫理破綻が起こることが想定されます。その点についていかがお考えでしょうか。

遠藤副大臣 今二つ御質問がありました。それぞれ順次答えていきたいと思います。

 最初は、地方債の許可制を協議制に移行することによって地方債の信用度が低下するのではないかという御懸念の点でございますけれども、私ども国の方が協議をいたしまして同意したものにつきましては、地方財政計画や地方交付税制度を通じた財源保障をしておりますから、元利償還等について不安は起きない、こういう仕組みにさせていただいているところでございます。

 それから、郵貯、簡保の市場運用の例外として特別に直接融資ができるようにした、そういうことによって総務省の中で自分で勝手にやってしまって、透明性が確保されないのではないか。あるいは、総務省というのは大きい役所ですから、郵貯や簡保とかいう資金も総務省の中にあるし、それを借りる方の旧自治省も総務省の中にある。あるいはまた、それをチェックする、行政監察をしておりました総務庁も総務省の中にある。お金を出す方も借りる方もチェックする方も全部総務省の中にあって、大変わかりにくく、自分で勝手にやるのじゃないかというふうな御懸念がさまざまなところから出ておりますけれども、それは全く誤解に基づく御懸念だと私は思います。

 と申しますのは、郵貯や簡保資金の地方団体に対する貸付額については、運用計画の一部として、まず郵政審議会の審議を経なければなりません。そして、財投計画の一部として財政制度等審議会の審議を経なければならないし、最終的には特別会計予算として国会で議決をいただく、こういう仕組みになっています。

 それからまた、総務省が財務省との協議を経て作成する地方債計画でございますけれども、この中において、地方債資金としての額を明らかにしなければなりませんし、地方債の発行見込み額等を含めた地方財政計画、きょうはこれを出しているわけですけれども、これを策定いたしまして、国会で審議をいただく、こういうふうになっておるわけでございます。

 地方債の許可について、あるいは決定について、貸し付けに当たって、これは総務省の中で一元的にできるものではない、こういうふうな仕組みになっているわけでございまして、御理解を賜りたいと思います。

中村(哲)委員 二つの答弁の先の答弁の方の感想をまず申させていただきますと、地方財政計画で決まっているから自由に発行できない、一言で言うと、そういうことだと思うのですね。それと、許可制から協議制へ移行していくという制度改革の流れと私は矛盾すると思います。そこの制度の移行時期にあるということを押さえて答弁していただかなくてはならないのだと思います。

 同じことは、後の答弁でも言えると思います。公社化になろうということになりますと、民間企業に近い企業体としての判断が一方で求められるということになると私は思います。二〇〇三年以降の公社化の制度設計をいかにしていくのかというときにおいて、一々許可をとっていかないと貸し付けができないというようなことであれば、郵政公社の自主性というのは非常に限られたものになると思います。だから、そこのあたりの意思決定のプロセスの明確化、そこが郵政公社をつくる設計のときに必要なのだと思うのですね。そこをどう取り組んでいかれるのか、今後どうされていくのかということをお聞きしたいのです。

片山国務大臣 御承知のように、二年後に今の郵政事業庁は郵政公社に移行する、こういうことでございまして、総務省発足以来、制度設計を準備していただくようにお願いしておりまして、今鋭意作業中でございます。できれば年内ぐらいに制度設計を終えて、来年の通常国会に公社法を出したい、こういうふうに思っております。

 その中で、この自主運用についてどういう割り振りで、今度は公社と旧郵政省なる総務省が、総務省の中にも郵政企画管理局という内局は残りますから、こことどういう分担をして全体の自主運用をやっていくかを議論して詰めたい、こう思っておりますが、公社にするということは、やはり公社自身が透明で自律的にいろいろな事業がやれる、弾力的にやれる、企業会計的にやれる、こういうことでございますから、そこのところをしっかりと行革基本法に書かれた郵政公社の基本的なフレームも踏まえて考えていきたい。その中で、この自主運用についてもしっかり結論を出したい。今この委員会でこういう方向ですということを申し上げる段階に至っておりません。しっかりと検討します。

香山政府参考人 地方債の協議制に関する御質問につきまして、若干補足をさせていただきます。

 許可制度から協議制度に移行した場合に、要するに、私どもが協議をいたしまして同意をしないという場合があるわけであります。私どもが翌年度以降その元利償還費を財源確保するとか、あるいは地方債につきまして公的資金をあっせんするとか、そういう場合は当然同意をした地方債に限らせていただくということであります。

 協議制度に移行した、基本的に意味がどう違うかといいますと、これは個々の地方団体が国とか知事の同意を得なくても地方債を発行することができるということになるわけでありますが、これは当然、そのためにかえって財政規律を乱したり、みだりに事業が実施されるようなことがあってはいけませんので、一方では財政再建制度は維持いたしますし、赤字比率や元利償還費のウエートが一定の比率以上の団体につきましては、国の許可を受けなければならないというようにいたしております。また、それにもかかわらず、同意を得ないで地方債をあえて発行しようとする地方団体の場合は、議会にあらかじめ報告をしてもらうという制度を用意いたしております。

 こういったことによって、全体として、地方財政計画や交付税による財源保障が、はるかに届かないようなとてつもない額の地方債が発行されるというようなことは起こらない。個々の地方団体においても十分財政規律を守って地方債が発行されるであろう。そういう意味で申し上げますと、地方債につきましては償還財源の担保も十分なされておるから、したがって、全体として地方債の信用が下がることはない、こういう趣旨で考えておる次第でございます。

中村(哲)委員 モラルハザードというのは急に起こるものではなく、徐々に進みます。だからこそ、郵便局と地方自治体が、地方債を発行するときに、引き受けをやるときの相談というのは、きちんとルールに基づいた透明であるものを制度設計していただきたい、そのように感じております。その点を御確認させていただきまして、次の質問に移らせていただきます。

 郵政と自治の融合の話が出てきたので、ついでにワンストップ行政サービスについてお聞きします。

 先日の大臣の答弁で、合併が進み、それを補うものとして郵便局が自治体の支所的なものになるということが言われておりました。私がそのとき疑問に思ったのは、その費用はどこから出るのかなということでした。郵政事業は公社となりますから、公社化を視野に入れますと、郵政事業としてはただで引き受けるわけにはいきません。そうすると、自治体から委託費をもらって仕事をするということにしかならないと思うのです。

 さて、その委託費というのはどういうふうに決まるのでしょうか。また、その財源はどこから出てくるのでしょうか。ワンストップ行政サービスというのは国が推進する事業だから、また基準財政需要額のところに組み入れられて交付税が積み増しされるということになるのでは、本当に困ると思うのですね。その点についての御答弁をお願いします。

遠藤副大臣 これはこの国会に法案の提出を予定しているわけですけれども、郵政官署、郵便局におきまして、今自治体が行っている業務の一部をできるようにするという法律です。

 そこで、取り扱う手数料をどうするかということでございますが、これは郵便局が契約によりまして各地方団体からいただく、こういうことになります。ですから、お金を出す方は地方自治体、地方団体でございます。これに対する特別な、新たな地方財源措置はいたしておりません。

中村(哲)委員 同じことを大臣にお聞きしたいのです。というのは、大臣がイメージをおっしゃった、先日の答弁で。そのイメージに基づいて、同じことなんですけれども、大臣の口から聞かせていただけませんでしょうか。

片山国務大臣 市町村の合併をこれから平成十七年三月まで進めていく。できれば与党三党が言われている千ぐらいを念頭に置く。今三千二、三百あるのを千というのは、三分の一ぐらいにするということは簡単にいきませんけれども、そういうことを念頭に置きながら市町村合併を進めていく。

 そうしますと、市町村合併で一番反対が多いのは、今役場があるから住民サービスが行き届いている、なくなると、それが低下する、自分らのところが場末になる、親しみがなくなる、市町村役場と距離ができる、こういう反対論が多いのですよね。私は、それはそれで情緒的なことを含めて大変よくわかるのです。だから、仮に市町村合併や地方分権推進のためにどうしても必要ならこれはやっていく。しかし、そうなると、今コミュニティーの中心になっている市町村の役場にかわるようなものがあったらいいなと。

 そこで、今幾つかの郵便局でトライアルとしてワンストップサービスをやっておりますから、これを全国的にやってもらったらどうだろうか。しかし、それは郵便局とそれぞれの市町村が自由な話し合いのもとに合意した場合にやってもらう。郵便局に市町村が委託するわけですね、これこれの仕事を頼む、郵便局は引き受けましょうと。一カ所で行って済むからワンストップサービスというので、役場に行かなくて、郵便局に行けば役場で今まで受けたサービスがワンストップでもらえる、こういうことをやったらどうだろう。

 そのお金は委託する市町村が出すのですよ。もともと市町村の仕事ですから、いわば市町村の予算というのか財政措置としてもともとあるものです。自分がやるかわりに今度は郵便局にお願いするのですから、そのかかるお金は市町村が委託費で郵便局の方に差し出す、こういうことなんですね。

 そこで、このためには法的根拠が要るものですから、私はそのための法律をこの通常国会に出させていただいたらどうだろうか、こういうふうに思っているわけであります。

 それから、これからは、ちょっと余談になりますが、地方のIT化を進めなければいけません、地方の情報化を。そのためにはやはり郵便局に、同じ総務省ですから、郵政事業だけじゃなくて、テレコミュニケーションの方でも一つの拠点になってもらう。今イントラネット整備というのを一生懸命やっておりますから、そういう地域のLANの拠点にぜひ郵便局になってもらったらどうだろうか。二万五千もあるのですから、二万四千七百あるのですから、郵便局をうまく活用していく、こういうことが必要ではないかと私は考えておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

中村(哲)委員 大臣の答弁は本当にイメージがわきやすくて、いい答弁をされるなというふうに実感しております。

 ただ、今の御答弁で一点、IT化のところがちょっとひっかかりました。IT化という名目で国のお金が郵便局につぎ込まれていく。そのときに、ワンストップ行政サービスの設備をつくるための費用もIT化という名目で継ぎ足していかれているのではないかと思うのですね。今IT化、IT化といいますけれども、具体的に郵便局のIT化というのはどういうものでしょうか。

片山国務大臣 これは、私がちょっと余談なことをつけ加えたので、今そういう御質問になったんだろうと思います。

 今人口によってインターネットの普及や利用が物すごく違うのですよ。数字を見ますと、大都市は物すごく高いのです、中都市は半分ぐらいですか、さらに地方の市町村はその半分なんです。このままでいくと、いわゆるデジタルデバイド、情報格差が拡大すると私は思うのです。本当に進んだIT国家というのは、日本じゅうの隅々まで同じようなインターネットその他の恩恵が受けられるような仕組みにせにゃいかぬのじゃなかろうか。地方はおくれていますからね。

 そのためには、今地域のLAN、ある地域の主要な公共施設をネットワークでつなぐことをやっておるのです。その中には必ず郵便局を入れてくれ、役場、公民館、図書館、病院、保健所だとか、その中に必ず郵便局を入れてくれと。郵便局に行けば、そこでインターネットのアクセスもできるし、場合によってはそこで簡単な講習も受けられる、こういうことを少し検討してくれ、やるかやらぬか決まっていませんよ、私の個人の意見と言ったので。ぜひ郵便局をそういうことの一つの拠点に、情報の拠点にすることも今後考えていきたい。細かいことは検討してもらいます。

中村(哲)委員 大臣はインターネットをどれぐらいお使いになりますか。

片山国務大臣 恐らく委員よりは相当使い方が下手だし、回数は少ないと思いますけれども、そこそこにはメールをやっておりますが、国会がございますので、今は忙しくてそれどころではありません。

中村(哲)委員 大臣、メールをやっているとおっしゃいましたね。メールというのは非常に個人的なものですね。郵便局に行ってやろうというふうにお思いになりますか。

片山国務大臣 それは委員、地方の、おくれているといったら怒られますけれども、まだまだこれからのところの現状を見て、私は、やはりそういうところにインターネットにもっと親しんでもらうということが必要かなと。

 そこで我が総務省は、インターネットの整備事業だとかイントラネットの整備だとか、もう少し広域的なネットワークの整備だとかに今力を入れているのです。私は、恐らく地方の町村に住んでおれば郵便局に行ってやろうと思いますよ、郵便局はちょっとコミュニティーセンターみたいになっているところがたくさんあるんだから。ぜひその辺は御理解賜りたいと思います。

中村(哲)委員 インターネットの使い方を教えてくれる場所として郵便局が機能するというのはわかるのですけれども、日常的にインターネットを使うというのはやはり家になると思うのですね。デジタルテレビとかいうことも言われていますけれども、端末は必ず家にあって、そこでインターネットをやる。デジタルデバイドを解消するのであれば、一軒一軒の家にどういうふうなインターネットの網を張っていくかという観点が必要だと思うのですよ。それと関係して考えると、郵便局にインターネットというのは余りイメージが沸かないなというのが、私、インターネットを駆使している議員として思うことであります。メールマガジンということも御存じでしょうけれども、そういうものを駆使している議員としての意見として聞いていただければ幸いでございます。

 それではもう一点、最後に、地方債の今後を考えると、貸借対照表の作成など自治体の信用力を開示するための情報公開制度というのを整備していく必要があると思います。

 その点について、今後どのように取り組まれるおつもりでしょうか。局長の答弁と、最後に大臣の答弁をお願いいたします。

香山政府参考人 地方団体の財政に関する情報の公開というのは極めて重要なことだと思っておりまして、既に財産でありますとか歳入歳出予算の執行状況等につきましては、住民に定期的に公表されておりますけれども、最近いわゆるストック情報についての関心が高まっておりまして、地方団体の資産の構成、あるいはその資産を形成するためにどのような財源があって、それが負債としてどのように残っているか、こういうことが大きな関心になってきております。

 総務省におきましては、昨年三月にバランスシート作成に関する研究会によって報告書を取りまとめまして、地方団体に対しましてその活用方を要請したところでございまして、私ども現時点での調査では都道府県はすべて、それから八割の市町村においてバランスシートを作成する、あるいは作成の検討がなされておるという状況になっておりまして、こういう意味での地方団体の取り組みも少しずつ進んできておるのではないかと思っております。

 さらに今年度におきましては、普通会計だけではなく公営企業会計も含めました全部の会計を対象とするバランスシートの作成でありますとか、こういうことにつきましても作成手法について研究をいたしております。

 いずれにいたしましても、今後とも、地方団体の財政状況をさらにわかりやすい形で住民の方々にお示しできるように、我々としてもできるだけの努力をしてまいりたいと考えております。

片山国務大臣 今の局長の答弁に尽きますが、国の方は、情報公開法も四月から施行されますし、ぜひ地方の方にもできるだけ情報開示をしていただくように努力いたします。

中村(哲)委員 私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

御法川委員長 午後一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十分開議

御法川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松原仁君。

松原委員 民主党・無所属クラブの松原仁であります。

 今から、大臣、副大臣、政務官、また参考人の皆様に御質問いたしたいと思っております。

 今、地方分権の時代というふうに従来から言われております。まさに、地方分権を通して私たちはしっかりとした民主主義を日本に定着させ、また、地域の自立を通して私たちはより生産性のあるというのですか、効率的な行政をつくっていかなければいけない、こういう時代に入っているんだろうというふうに思っております。

 したがいまして、今の地方財政にかかわる大きな赤字をどういうふうに解消していくのか、またこれ以上ふえないようにするのかというのが大きな課題になっているわけであります。御案内のとおり、地方分権の一括推進法というものがなされたわけでありますが、その中でしばしば、地方自治体の側から言わせると、権限、そういったものについては移管されたけれども、財源が来ないじゃないか、権限ばかり来て財源が来なければ、これはどうもならぬというふうな議論も言われているわけであります。

 そういう中で、御質問をいたしていきたいと思っております。

 御案内のとおり、バブルが崩壊をいたしまして、九〇年以降、都合十回に及ぶ景気対策のための、主に公共事業の財源としての地方債が大幅に増発をされたりしてきたわけでありまして、こういったたび重なる景気対策、経済対策の実施により、地方においての借入金残高は大変に増大をしているわけであります。まさに、現在においてはこの残高が百九十兆まで増大している、こういう状況になっております。

 これは、地方自治体からすれば、国の景気対策にある意味では無理してつき合ったという部分があるような実態もあると思っておりまして、だから国が面倒を見るのは当たり前だという意識を持っているわけであります。つまり、国が面倒を見て借金をしてやっているんだから、これはこの政策に乗らなければ損をしてしまう、どっちにしても国がやってくれるんだ、こういう、地方自治体が既に赤字があったところに、今回のバブル崩壊後の景気対策のためのおびただしい公共事業がさらにモラルハザードを起こす原因になっているだろう、起こさせているだろう、こんなふうに思っているわけでありますが、この部分に関しての御見解をお伺いいたします。

片山国務大臣 松原委員から今お話がございましたが、委員の御指摘のような考え方もあると私は思います。とにかく、バブル崩壊後の大変な不況に突入して、不況から脱出するためには、やはり財政出動で公共事業その他をやらないといかぬ。しかし一方、不況ですから税収は入りません。入るものは減る、しかし、出すものはもっと出さないと景気がよくならない。

 こういう中で、やはり住民の地方団体に対するいろいろな要請もまた強くなるわけでございまして、特に高齢化社会に伴う福祉や保健のいろいろなことをやってくれという要請は強くなるわけでありますから、そういう意味では、三つ重なったわけですね。不況で収入は減る、しかし、不況だからこそ思い切った財政調整政策で仕事をやらないといかぬ、同時に、高齢化社会突入でそういう意味での行政需要がふえるということで、大変な財政悪化を招いたわけでありますが、私は、これはある意味ではやむを得ないし、国と地方は運命共同体でございますから、先ほども言いましたが、全部国の責任で地方は知らないよ、こういうわけにいかないわけであります。そういう意味では、景気の回復も二人三脚で国と地方で一緒にやる、こういうことでやってきたわけでありまして、一日も早い景気の回復を国とあわせて地方も頑張っていくというのでしょうか、歩調を合わせていく、こういうことではなかろうかと思っております。

松原委員 アメリカでは、大変な不況の時期にルーズベルトさんがニューディール政策というのをやったわけでありまして、公共事業によって景気は浮揚したわけであります。

 今大臣は、やむなし、こういうふうにおっしゃったわけでありますが、現在の景気はなお混沌としているわけでありまして、百九十兆という借入金残高に至るのはやむを得なかった、こういう御認識なのか、お伺いいたします。

片山国務大臣 ニューディールのお話が出ましたが、私は、やはり景気が全体に落ち込んだときには、どうしても民間ではなくて財政が、公が出ていって需要喚起をせざるを得ないと思うんですね。先ほども言いましたが、一番バッター、二番バッターがよくやりましたから、三番バッターまではちゃんと打つようになってきている。問題は、四番を動かすということがこれからの課題であろう、こういうふうに思っております。

 今までの経緯で、それぞれの場面でのいろいろな御意見はあろうと思いますけれども、私は、全体としてはこれだけ借入金がふえましたけれども、それはそれで最善の努力をした結果ではなかろうかと思っております。

松原委員 余りここでこだわってはいかぬのかもしれませんが、そうすると、百九十兆のこれだけの借入金が増大した、しかし、それに見合うだけの経済効果はあった、こういう御認識でいらっしゃいますか。

片山国務大臣 まだありません。私は、今、これからそれだけの効果を生む過程ではないか、こういうふうに思っているわけであります。設備投資が相当今伸びてきておりますから、ただ、アメリカの景気が御承知のように減速してきて、それがアジア経済に影響し、アメリカの輸出を盛んにやっている日本にも影響し、アジアにも日本は大変輸出入やっておりますから影響しておりますけれども、私は、景気回復の基調は大きく後退していない、やはりなだらかな回復の過程にはあるんだ、こういうふうに理解しております。

松原委員 私は、公共事業によって景気回復を目指すというのは、先ほどニューディールということを申し上げましたが、それは意味があると思うんですよ。ただ、今日の十年間の経過を見て、大臣、例えば一昨年ですか、サラリーマンの死者の数というか、リストラされた人の死者、それによって実際平均年齢が下がったとは言われないけれども、日本人の平均年齢、男性が何か下がっていますよね。それぐらいの厳しい状況になる中で、従来型の、今までやってきた、百九十兆まで増大した借入金残高を生じた、これが役立った、百九十兆、これがまた将来さらにふえてもいい、そういう御認識かどうか、もう一回お伺いします。

片山国務大臣 私は、借入金がふえることを奨励したり賛成する立場ではないんです。やはり借入金は少ないほどいいんです。しかし、それはやむを得ず仕事をやるという面があるので、借入金が今までふえてきたと思いますよ。しかも、これ以上の増大はできるだけとめたい、十三年度末で国と地方を合わせて六百六十六兆ですから。地方は百八十八兆ですから。できるだけこれ以上の増大は抑えたいと思っておりますけれども、しかし、それじゃ何もしなくてもいいのか、こういう議論になるわけでありますから、そこのところの兼ね合いだ、こう申しているわけでありまして、できるだけ早期の景気回復で地方財政の健全化ということも目指したい、こういうふうに思っているわけであります。

松原委員 どちらにしても、借入金が百九十兆になった。私は、従来の、今まで十年間行ってきた景気かさ上げするためのさまざまな公共事業については、本当にそれが効果があったのかどうかという反省なくしてこの百九十兆をさらにふやすようなことがあってはならないだろう。今のように百九十兆、これだけ負債がふえてきたのはやむを得ざることだ、何もしないじゃいかぬのだからやったんだと。やることは必要だろう。しかし、そのことに関して、それが正しかったか、それとも、いや違うものがあったんだろうというふうなことか、そういった反省と検証というものが私は必要だと思うわけでありまして、そういった意味では、ぜひともいろいろなことをまたお考えいただきたいと思うわけであります。

 次に、交付税特別会計の借入額が約四十二兆円になっておりまして、隠れ借金となっているわけですが、資金の借入先、また、先ほど武正議員の質問にもありましたが、そういった部分での今後の償還計画というか返済計画、この中身をちょっとお伺いしたいと思います。

香山政府参考人 事実関係でございますので、私の方からお答えをさせていただきます。

 交付税特別会計におきます借入金は、従来資金運用部から借り入れをいたしておりましたけれども、今年度から、資金運用部の原資事情を踏まえまして、新規借り入れ分につきましては、民間金融機関から入札によって調達するという方法を導入いたしました。

 平成十三年度におきましては、十二年度新規借り入れ分、約八兆円になりますが、このほかに、十三年度に新規借り入れとなります額四・三兆円及び十三年度の地財対策の見直しの中で償還繰り延べをした額、これは一・九兆円ほどでございますが、これを加えました約十四兆につきまして、民間金融機関から借り入れをすることといたしております。残る二十八兆円余につきましては、財政融資資金からの借り入れで賄うことになります。

 この借入金につきましては、国負担分は、平成三十年度までにそれぞれ国が負担して交付税特別会計に繰り入れを行う、地方負担分につきましては、平成三十八年度までの間に償還をしていくことにいたしておりまして、それぞれ法律にその旨を規定させていただいておるところでございます。

松原委員 今回の質問に先立って、役所の方にも、そういったことも含めながら、さまざまな補てんの措置とか、こういうペーパーをいただいたわけでありまして、本当にどうやってない中でお金を回していくかということで苦慮なさっておられるなということを強く感じたわけであります。

 しかし、私は、先ほど大臣の答弁にも申し上げたわけでありますが、孔門の十哲の一人に曾子というのがいますが、我日に三たび我が身を省みる、こういうふうな言葉があります。やはり、常に反省なくして前進もないということだと思うんですね。例えば、民間の企業であれば、激しい反省の中できちっとした総括を行い、そしてその中で、信賞必罰というんですか、責任も明らかにしながら、責任を明らかにすることが最善の策とは私は言いませんが、そういう中で物事を進めているわけであります。現在、地方の借金がこれだけの大きな額になって、これが極めてリーズナブルな姿だとはだれも思っていないと思うんですよ。

 やはり、このことについて責任というものを、だれも責任をとらないのか、だれかにこの責任があるのか、責任論というのはどんなふうにお考えかを大臣にお伺いいたします。

片山国務大臣 全く反省がない、検証がないというわけじゃありません。公共事業を中心に景気対策をやってきたわけでありまして、公共事業の中でも、今後の二十一世紀の我が国に必要なものを優先的にふやしていくというシェアの変更を、もっとやれるじゃないかという御意見がありますけれども、そういうことをやったり、あるいはかなり公共事業の見直しもやってきたわけであります。新しい時代のニーズに合ったようなものを優先してやる、こういうことはやってきたわけでありますが、有効な手段としては、やはり公共事業は単独事業になっちゃうんですね、また。

 そういうことで、それは反省を含めながら今までいろいろな政策を選択してきたわけでありまして、これはだれの責任かというと、一番の責任は、やはりこの不況なんですね。不況にだれがどうしたのか、これはまあ経済の大変な大きな流れというか動きでございますから、私は、その時点その時点では、国もそれぞれの地方団体も最善の政策選択をしてきたと思うんですよね。

 それでは、その結果がすべて成功しているか、そういうわけにはいっていないかもしれないと私は思いますけれども、その積み重ねが今日のあれでありますから、だれの責任、どの責任ということはなかなか言いがたい、こういうふうに思っております。

松原委員 それはだれの責任かというのはなかなか言えないわけで、言えないというか、大臣のお口からは言えないんだろうと思っております。我々は、この責任というのは、やはり長いこと政権を担当していた皆さんの責任だろうという認識を持ってずっと訴え続けているわけであります。

 ただ、今、不況が大きな責任だというふうにおっしゃったわけであります。先ほどからの質疑でも、三年後に景気が直れば何とかなる、こういうふうな話がありましたが、不景気だからそれが理由でだめになったとかいうふうな議論は、もちろんそれは神風みたいな要素というのは必要でありますが、その議論で乗り越えようとするのは、私は適切ではないというふうに思っております。

 そういった意味では、やはり、特に今、大臣が総務省という新しい省庁になった中でリーダーシップを持ってこの問題に取り組まれるべきだと思うので、御決意をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 総務省の大きな一つは地方分権の推進であり、地方財政基盤の充実強化ですから、私は私なりに精いっぱいやりたいと思います。

 この百八十八兆についても、これ以上無制限にふやすようなことはぜひ避けて、できるだけ増大を抑えながら、しかし、景気回復に資するために国と協力しながらいろいろな施策をとってまいりたい、こういうふうに思っております。また、総務省の中には、御承知のようなIT革命推進ということがありますから、アメリカの例のようにこれを一つの景気回復のばねにしたい、こういうように思っております。

松原委員 ちょっとその中で、今百八十八とか百九十、こういう状況でありますが、それはなかなか数字は言えないだろうし、言っても困るわけでありますが、どれぐらいまで借金は許容できるという認識なんですか。

片山国務大臣 いやいや、これは国の方は幾らかというと、国は四百何兆ですから。私はやはり借金は少ない方がいいと思いますよ、少ない方がいいと思う。だから、どこまでがおまえ許容範囲だと言われても、これはなかなか言いがたい。だけれども、まあそうですね、今いろいろなことが言われておりますよね。いろいろな指標、いろいろな議論がありますから、そういうものを参考にしながら、できるだけ抑えるということだけは言わせていただきたいと思います。

松原委員 それで、例えば、将来もっとふえて、そのときもこんなものだというふうな話だと、何だということになるわけでして、切りがいいからこれは二百を限度にしてそれ以上は一歩もふやしませんとか、それはなかなか言えないと思うけれども、僕はそこは計数的な感性を入れてやっていかなきゃいかぬのじゃないかなというふうに思っております。

 それでは、次に、基準財政需要額の部分でありますが、この基準財政需要額の算定基準はどのように作成されているのかということを具体的にお伺いしたいということと、昨年四月より交付税算定について、交付税の算定は基準財政需要額と収入額の差についての議論でありますが、地方団体の意見の反映とその過程の明確化のために意見提出制度を創設するなど、算定の透明化を図っているようでありますが、そういった具体的な進捗、内容についてお伺いいたします。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 基準財政需要額は、各地方団体が合理的、妥当な水準の行政を行うのに必要な一般財源の額を算出したものでありますが、具体的には、地方団体の財政需要に応じまして幾つかの行政項目を設定いたしまして、その項目ごとに経費の多い、少ないを最もよく反映する指標として測定単位というのを決めます。この測定単位一人当たりの費用である単位費用というのをこれに乗じて行うという計算であります。

 この単位費用のつくり方でございますけれども、市町村の場合は、人口十万の規模の団体を標準団体というふうに想定いたしまして、地方団体の財政実態あるいは国の施策の動向、こういったものを想定いたしまして、各費目ごとに標準的な経費というのを積算いたしまして、これを標準団体の測定単位で割り返すという形で単位費用を決定してまいります。

 これに対して、例えば人口規模によって単位費用が割り増しになる場合、割り落としになる場合、こういった場合に段階補正をかけるとか、いろいろな補正を行うということによりまして基準財政需要額を算定させていただきます。

 ミクロの流れでいきますとそういう形になりますが、この基準財政需要額全体を積み上げた額というのは、基本的に地方財政計画に対応するものでございまして、地方財政計画の中で国庫補助金等の特定財源を除いたもの、すなわち地方税及び交付税で措置すべき経費というのが全体としては積み上がるようになってまいります。あるときに単位費用を決定いたしますと、翌年度以降、この地方財政計画の伸び率、こういったものを勘案いたしまして、あるいは地方団体に割り振られる仕事、権能の変更、こういったものを勘案いたしまして、単位費用の積算を変えていく、補正係数を変えていく、こういうような形で、各年度の基準財政需要額を計算していくわけでございます。

 また、交付税の算定方法につきましては、分権委員会でも御指摘がありましたが、簡素化、簡明化ということを進めていくべきだということでありまして、私ども、そのような流れの中で、補正といったものが多過ぎるとわかりにくくなるので、それをできるだけ単位費用化するとか、あるいは補正係数の廃止、縮減、こういったものを行うべきであるというような御提言をいただいておりまして、十二年度から、こういう地方団体からの意見提出制度も踏まえまして、地方団体の意見を踏まえまして、そのような対応をさせていただいております。

 最近の例で申し上げますと、老人医療費につきましては、従来は人口を測定単位にしておりましたけれども、人口で一たん経費を計算した上で、老人人口によって補正をするというのは非常にわかりにくいということで、老人、七十歳以上の人口を測定単位にする、それから私学助成経費につきましても、人口を測定単位にして配分するようにいたして、補正によって配分するようにいたしておりましたけれども、これは私学の生徒数を直接測定単位とし、これに単位費用を加える、こういうふうな手当てを講ずることによって算定の簡素化を図ったわけであります。

 十三年度におきましても、現在審議をお願いいたしておりますけれども、港湾補正において、種別補正という形で対応いたしておりました漁港につきまして、新たに法律で定める測定単位、単位費用、これにより算定するというような方法をとっておりまして、今後とも、この交付税の算定過程が透明化するようにできるだけの努力をしてまいりたいと考えておる所存でございます。

松原委員 この基準財政需要額の算定というのは、一般から見ると非常に複雑でございまして、なかなかわからない。それなりの根拠を持ってやっているわけでありますが、ただ、現実にこれが、人件費等が特にありますが、前年度に比べて減少したという実績があるのか。つまり、上に向かっての硬直性があるのではないかという議論がしばしば言われるわけでして、民間であれば、ボーナスが減ったり、給料が減ったりしているわけでありますが、そういった部分はどうなのか、お伺いいたします。

香山政府参考人 私ども、五十五年以降をちょっと当たってみましたけれども、基準財政需要額が前年度に比べまして減少いたしましたのは、昭和五十八年度に基準財政需要額の総額が減少いたしました。また、平成十二年度において給与関係費が減少いたしておりますが、それ以外には減少したという事例はございません。

 ただ、これは言いわけめいて大変恐縮なのでございますけれども、午前中もいろいろお答え申し上げましたように、地方行政の大半は、義務教育、社会福祉あるいは公共事業など、国の法令や国庫補助負担制度を通じて、その支出規模が実質的に国の関与のもとに決定される、こういうものが大きなウエートを占めておりまして、交付税の算定のもとになります基準財政需要額等の規模も、大きなところはこれが左右する面が大きいわけであります。そうすると、これらのものは、基本的には国の予算に連動しておるという面が強いわけでございまして、そのような形で今のような結果になっておるのだろうと思います。

 ただ、私どもは、漫然とそのような地方財政計画を組み、あるいは基準財政需要額の算定をしているわけではありませんで、特に現在の財政状況を踏まえますと、歳出の節減合理化に努める必要が極めて強うございますから、平成十三年度の地方財政計画につきましては、一般歳出をマイナス〇・六%にするなど、抑制を図ったところでございます。

 今後とも、各経費の重点化、効率化に関して十分意を尽くしまして、地方財政規模の節減合理化が図られるように努めてまいりたいと考えている次第でございます。

松原委員 今お話があったわけでありますが、やはり民間の方にしてみると、我々は血を流す、血を流して税金を納める、税金を納められた側は血を流しているのか。さっき、地方は親方日の丸的に借金百九十兆、こういうふうな話もあったわけでありますが、血を流しているのか、これが大きな怒りになっているわけであります。そういった意味では、民間の人も納得してもらうような、一般の国民の方に納得をしていただけるような形に、こういった基準財政需要額の算定もしていくべきではないかと思うのでありますが、例えば、第三者機関などの公平なものが基準財政需要額の算定についてかかわるというふうなことについて、大臣、いかがお考えでしょうか。

香山政府参考人 交付税の算定が公平であり、かつ透明性を持っておる必要があるということはおっしゃるとおりだと思っておりまして、私ども、現在も、地方団体に対する交付税額の決定だとか算定方法に係る省令改正等は、地方六団体の推薦する委員も含んで構成されております地方財政審議会、この意見を聞いて行うことといたしておりますし、あるいは、交付税制度そのものにつきまして、地方制度調査会とかいろいろな場で、地方団体の意向等も踏まえて、各界の御意見を聞くようにしておるところでございます。ただ、交付税の基本的な配分そのものを第三者機関にゆだねてしまうということは、率直に言って難しかろうというふうに考えております。

 交付税は基本的には国の施策でありますから、予算と関連を持った部分が大変多うございまして、地方財政計画をつくる段階で、私ども各省庁からヒアリングをいたしまして、各省庁の施策の動向、地方負担の変更、こういったものを地方財政計画に反映し、さらには、それを交付税総額あるいはその算定方法に反映させるという操作をする必要がございます。

 また、それを踏まえた上で地方交付税法の改正を行い、国会での御審議、いろいろな御論議を経た上で交付税の算定、配分を行うわけでありまして、これは一連の流れの中として、地方財政計画をつくり、交付税法の取りまとめを行った、そのような総務省の責任のもとにおいて算定そのものも行うということでなければ、現実に機能し得ないのではなかろうかというふうに思っておる次第でございます。

松原委員 そういうふうな御答弁でありますが、これはできるだろうというふうに私は思っているのです。できるできないはやってみなければわからない、こういう議論かもしれないけれども、私は、これをそこまで、懐を開いてやることが本当の意味でのわかりやすい地方分権のあり方につながるのではないかなと。

 実際、最終的に負担を負うのは国民であります。税金を、例えばいろいろな費目のものがあって、最後は国がそれを保障する、国というのは何かと言えば、最後は国民に行きつくわけでありますから、最終的に、二十年先の自分の子供たちがその責めを負うということになれば、僕は、やはりここの部分は第三者機関でやるぐらいの大胆な、どこまでできるかというか、そういう議論は必要だろうけれども、やるべきではないかとは思っておりますが、次に進めます。

 地方分権の議論をするときに、先ほど中村議員の話にもありましたが、ナショナルミニマムというものがどういうものかという議論が随分とありました。交付税法の制定以来ナショナルミニマムの実現は達成されているだろうというふうな議論もあるし、IT化の時代があるからここまでなんだ、これもナショナルミニマムなんだという議論もあります。大変難しい議論だと思っております。

 そもそも、衣食足りて礼節を知るというのは昔から言われておりますが、最低限の、人間が生きる上でのいろいろなツールを与える、これをナショナルミニマムとするならば、ITまで含めてナショナルミニマムとするべきかどうか、そういうふうな議論をするべきなのかもしれないけれども、ナショナルミニマムについて、これをどんどんと、現実に住民ニーズは多様化している。従来は、例えば娯楽といえば野球しかなかった。だから野球場をつくるといえば、例えばナショナルミニマムのことだったかもしれない。しかし、今日はサッカーもあればラグビーもあるみたいに、趣味も多様化していれば、地域の多様性もある。そういう中で、ナショナルミニマムというものをどういうふうに理解しているか、大臣にお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 午前中もナショナルミニマムの議論がございましたが、我々は、そのときにも言いましたが、国が法律や政令等で一定の行政水準を示していますね。あのとき申し上げましたのは、義務教育である小中学校の教職員の数だとか、社会保障についてはこれはこれとか、私は、あれの集大成がナショナルミニマムかな、こういうふうに思っております。それの財源については、地方財政計画でまとめながら交付税で見ていく、こういうことになっていると思います。

 ナショナルミニマムというのは、いろいろな考え方があり、どの水準が何かというのは必ずしもまだ確立されていないのですね。国が公としてここまでは守るべきだということを言っているものがナショナルミニマムかな、私はこう思っております。

松原委員 このナショナルミニマムにしても、それを実行するためには金がかかる、金はだれかが払う、こういう話になるわけであります。

 そういった意味では、ナショナルミニマムについて、どこまでみんなでやるのだという、それは国が決めるのではなくて、最初は、それはあす生きるかどうか、飯を食えるかどうかというふうに大変な、例えば食料難の時代とか、これは議論する以前に、必死だと思うのですよ、議論している間に食事ができなくて死んでは困るわけですから。しかしながら、今日の状況というのはそうではない。したがって、ナショナルミニマムのあり方は独断的に国が決めるのではなくて、受益と負担との関係になりますが、どこまで皆さんが、将来的には負担するのですよ、そういう議論をどこかで一回やるべき時期に来ているのではないかなというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 私が先ほど言いました、各省庁が法律等で決めている行政水準というのは、国会で決めているということですね。午前中も言いましたが、国会ということは、国民の代表者で構成されている、国権の最高機関で、唯一の立法機関で、そこでしっかりと決めていますから、それがナショナルミニマムかな、こう思います。また、時代の変化とともに中身が変われば、法律の改正だとか水準の見直しだとかいうのは当然あるわけでありまして、それはそういうことの手続を経れば十分ではなかろうかと私は思っております。

松原委員 国会で決めるわけですから、国会における、与党がどこがやっているか、こういう議論にもなってくるのかな、我々も一層頑張らなければいけないと思うわけであります。

 そのナショナルミニマムの一環として、それぞれが健康な生活を、文化的な生活を送ろう、こういう中で、昨今、大変に災害が頻発をしているわけであります。昨年、伊豆諸島の噴火、群発地震、また有珠山とか東海水害、鳥取西地震等、いろいろなことがありましたが、こういったことに対する特別交付税の措置状況をお伺いいたしたいと思います。

香山政府参考人 災害等を受けた地方団体に対しましては、罹災世帯数あるいは農作物被害面積、こういったものを指標といたしまして、特別交付税で財源措置をさせていただいております。

 ただいま御指摘がありました昨年の主な災害について申し上げますと、十二月分の特別交付税で措置をさせていただいておりまして、有珠山対策としては三十九億円、三宅島対策としては四億円、新島、神津島近海地震対策といたしましては七億円、東海豪雨災害対策としては五十六億円、鳥取西部地震対策として二十七億円等を措置したところでございます。

 今後とも、関係地方団体の事情を十分お聞きいたしまして、被災団体の財政運営に支障が生じないよう対処してまいる所存でございます。

松原委員 その中で、三宅村というのは、噴火等によって、聞くところによると三千年に一回の噴火とかいろいろなことが言われているわけでありますが、昨年の国勢調査の結果、全島避難中人口ゼロ、交付税算定に際して特別の措置をすべきであると私も昨年の十月五日の災害対策特別委員会で質問をしたわけであります。それに対して、当時の自治省財政局長は、政府参考人として、「三宅村の行財政運営が円滑に行われるように、国勢調査を補足するような方法等も国勢調査当局等ともよく協議しながら、算定を的確に行っていきたい」という答弁をいただいたわけでありますが、その後、このことについての具体的な措置はどうなっているか、お伺いいたします。

香山政府参考人 先ほどもお答えいたしましたが、地方交付税は公信力のある数字を測定単位に使うということで、人口系統のものにつきましては、国勢調査人口を使うことにいたしております。

 ただいま御指摘がありましたように、三宅村の場合は、昨年十月の国勢調査では人口はゼロとなりました。したがって、人口を測定単位としておる費目に関しては需要が計算できないということになります。先生等の御指摘も踏まえまして、私ども検討いたしまして、今回の交付税法改正案におきまして、三宅村の算定方法については人口だけによらないでいけるという特例を置くことができるということで、法律改正をお願いいたしております。

 具体的には、平成十二年の前の国勢調査であります平成七年の国勢調査人口を基礎といたしまして、その後の住基台帳人口の変動を加味した数字を三宅村の人口とする、こういうことが法律の根拠をもとに正式に採用できるような方法で対応いたしたいと考えておる次第でございます。

松原委員 次に、先ほどお話がありましたが、百九十兆の借金とかさまざまな議論がある中で、これは大臣が武正議員の質問に対して答えたのだと思うのですが、これをクリアするには、さまざまな要素を取り入れながら総合的な戦略をとっていかなければいけないというのは事実そのとおりだと私は思っておりまして、大臣の柔軟なお考えに大変共鳴をしたわけであります。

 私は、そういう中で、前回も地行のときに質問したのでありますが、心理学の実験で、当たり前といえば当たり前なんでありますが、こういう実験がある。人間というのはどういうときに一番真剣に金を使うか、こういう話でありまして、一番だめなのが、人のために人の金を使う、これは一番むだが多いらしいのですよ。自分のために自分の金を使う、これが一番真剣に使う。言われてみれば、おれは違う、おれは自分のために自分の金を使うときの方がいいかげんだというのはよっぽどのことがない限りいないわけでありまして、当然であります。

 私は、それは組織においても同じ議論が成り立つだろうというふうに思っております。先ほどモラルハザードということを冒頭に言いましたが、国がどんどん打ち出の小づちのように金をくれたら、人の金を自分のために使うというのは二番目にだめなそうなんですよ。三番目が、自分の金を人のために使う。自分の金を人のために使う方が、人の金を自分のために使うときよりはより真剣に使う、こういうことらしいのです。三番目の使い道の悪い手法が、今の地方自治の財政のあり方ではないかと思っているわけであります。

 では、何が言いたいかというと、地方が自分でお金を集めて自分で使うようにすればいい。要するに、地方の自立、財政自主権。私も東京都議会議員を二期七年やっておりましたので、財政自主権を確立するということが一番重要なことになるのではないかなというふうに思っておりますが、そこに至る間の質問を少しいたしていきたいと思っております。

 公共事業に係る国庫補助事業において、地方自治体の裁量権、裁量性を高めるために統合補助金というものが創設をされているわけでありますが、現在六千億ぐらい、全体の約一割ということであります。これも実験的にこれからふえていくわけでありまして、まだまだ水準として低いと思っておりますが、不十分ではないか、このことについての御認識をお伺いいたしたいと思います。

片山国務大臣 今お話しの統合補助金につきましては、平成十二年度で六千百二十億円、これからですけれども、平成十三年度において、十二年度分にさらに広がったわけでありまして、七千二百六十二億円、拡充されております。

 私は、補助金というのは、国がぜひこれをやってもらいたいということでお金を出すわけでありまして、余り細かいことにひもをつけるのではなくて、できるだけ大ぐくりにして、地方団体が使いやすいようにすべきだ、こういうふうに思っております。

 さらに徹底すれば、今お話がありましたように、地方税を充実するのが一番いいのですね。自分が苦労して、自分で取って、自分で使うのですから。ただ、地方税というのは、東京都のような財政力の強いところは税源を与えれば税がふえますけれども、田舎の県や市町村は税源を与えてもなかなか税収が上がりませんので、やはりそこは一種の限界があって、地方交付税制度みたいなものが要るわけでありますけれども、地方税源の拡充というのが一番ベスト。それから、そこでいけないならば、補助金制度というのを認めるとしても、やはり統合化、メニュー化というのが正しい、私はこういうふうに思っております。

松原委員 先ほど私が比喩で申し上げました議論でいうならば、統合補助金である程度の自由性を与えることによって、人の金を自分のために使うことになる。その自由度がないと、自分の場所の公共事業やいろいろなさまざまな事業をやるにしても、人の金を人のために使うような認識になるわけでありますから、より真剣にお金を使う、モラルハザードをなくすという観点では、この統合補助金を、どんどん割合をふやしていっていただきたいなと思っております。

 次に、不交付団体が年々大変に減少をしているわけでありまして、平成十二年度も十一市町村が交付団体へ転落をした。東京でも八王子、日野、小平、こういったところが転落をしたというふうに聞いているわけであります。

 現在、不交付団体、七十八ですか。全体の九七%以上は地方交付税の交付を受けなければならない状況にある。言ってみれば、生命維持装置がなければやっていけない、こういうことでありますが、自治体の自立を阻害しているこの理由に、先ほど武正議員の質問にもありましたが、こういったことが逆にあるのではないかというふうなこともあるんですが、御認識をお伺いいたします。

遠藤副大臣 確かに不交付団体が、一番多いときは昭和十六年に百九十三団体ございまして、現在は、平成十二年度は七十八団体に、昭和六十三年です、百九十三団体は。今は七十八団体でございますが、大体、不交付団体が減少している主な理由は、税収が低迷しておりまして、恒久的な減税等による税収の減があるということが背景にある、このように認識しております。

松原委員 そういう中で地方の自立、地域、地方自治体の自立を財政的な部分からもきっちりと担保していくことが必要であるということが、先ほどまでの議論で、大臣からの答弁でもあったわけでありますが、地方の税財源の充実確保を図るために、国と地方との税源配分を変える、もしくは課税自主権としてどういうものを考えるべきかということになるわけであります。

 私は、地方が自分で財源を確保しようとする場合には、なるべく偏在性が少ない、または、景気対策は地方もやるというふうな議論もありますが、私は基本的には景気対策というのは国がやるべきかなという認識を持っておりまして、逆に景気に左右されないような税財源である方がよりいいだろうというふうな認識を持っております。そういった意味では、消費税、住民税等を地方税としてより充実をさせていくべきであろうというふうに私は思っておりますが、御所見をお伺いいたします。

片山国務大臣 委員の言われるとおりでございまして、やはり地方の税というのは、応益原則といいますか、地方団体の行政サービスを受ける受益の程度に応じて負担していただく、こういうことでございますから、しかも、それは安定して公平でなきゃいけませんから、そういう意味では、今言われた個人住民税や地方消費税は私も望ましい税だと思います。

松原委員 ぜひそれは、大臣がそういう御発言があった以上、その具体的な検討も行っていただきたいと強く要望するものであります。

 また、地方の独自財源として注目される法定外普通税、昨年設けられた法定外目的税、現在設けられているもの、検討中のもの、これは地方も期待はしているわけでありますが、どのぐらいの財源になるかという規模の問題もあるでしょうが、このあたりについての今後のあり方、現状についての見解というか、お伺いいたします。

片山国務大臣 平成十二年四月一日現在で、都道府県では福井県等十三団体において核燃料税などが、また、市町村では京都府の城陽市等三団体において砂利採取税など法定外普通税が課税されております。

 現在検討中のものは、御承知のように、横浜市の馬券売上税、現在総務省に協議中であります。また、山梨県河口湖周辺三町村による法定外目的税である遊漁税、釣りの遊漁税が先週各町村の議会において条例案が議決されたようでありますし、また神奈川県の臨時特例企業税条例案が議会に提出されるなど、全国でさまざまな取り組みがなされているところであります。

 私は、この法定外普通税や目的税については、基本的には課税自主権の尊重という意味から、できるだけ認めたいと思っておりますが、ここは税でありますから、やはり共通の、安定性といいますか、統一性といいますか、公平性といいますか、中立性といいますか、そういうものがあるかどうかということも協議の際の尺度にいたしたい。基本的には認めたいけれども、御承知のように地方税法上にもいろいろな条件をつけておりますから、その条件を満たさないものについてはなかなか認めがたい、こういうことでございまして、現在、いずれも我が省に上がってきているものについては鋭意検討中であります。近々に結論を出したいと思っております。

松原委員 ちょっと質問をはしょりまして、いわゆる市町村合併についてお伺いをいたしたいと思っております。

 最終的に大臣が、先ほどの答弁で総合的に、景気の回復に対して祈るような期待を込めての見通しを話したわけであります。私は、やはりこの百九十兆とか二百兆とか、しかもその返済にどんどんまた公債費がかかっていくというふうな状況の中で、これを何としても断ち切るということは、さっき言ったように、自分の金を自分のために使うという論理、地方自治体が財政自主権を確立するということが基本にならなければいけないというふうに思っております。

 この財政自主権の確立という場合、やはり今の三千三百という市町村の規模では到底財政自主権の確立の道は遠いわけでありまして、規模の問題になるだろうというふうにも思っているわけでありますが、今回、市町村合併、千という数字が挙がってきたわけであります。昭和の大合併のときに三分の一にしたから、また三分の一だというふうな安直なことで千という数字が出てきたとは私は思っていないわけでありまして、なぜ千なのか、お伺いしたいと思います。

片山国務大臣 この千は、与党三党の政策責任者がまとめましたものに、千を目指す、こうありましたので、昨年十二月の政府の行政改革大綱に、与党三党が言う千という数を踏まえて今後市町村合併に本格的に取り組もう、こういたしたわけでありまして、恐らく千というのは、今地方団体が三千二百二十六ありますから、およそ三分の一ぐらい、丸い数字で千、わかりやすくこうしたんではなかろうかと思っておりまして、与党三党の言われることでありますから、十分それを尊重しながら取り組んでまいりたい、こう思っております。

松原委員 大臣の答弁としては、与党三党の協議だから尊重する、それは当然、政治家ですから尊重するわけでありますが、今のお話では、燃えるような情熱を込めて千だ、きょうお集まりの委員の皆さんも、これは千だと燃えるような情熱を込めて走っていこうというふうにはならないわけでありまして、もうちょっと燃えるようなコメントを何かいただきたいんですが。もう一回。

片山国務大臣 私は、二十一世紀は、何度も言っておりますが、地方の時代にしなければならないし、なる。その地方というのは市町村だ、都道府県よりも市町村である。そのためには、市町村の規模、能力、行政能力も財政能力もあるしっかりした市町村になって、地方分権の主役になってもらいたい、地方分権推進の受け皿になってもらいたい、こういうふうに思っておりまして、二十一世紀の地域社会の将来を考えたときに、ビジョンを考えたときに、ぜひどうかということをお考え賜りたい。現実にはいろいろ抵抗があるんですよ。

 そこで、今全都道府県にそれぞれの府県の合併のパターンをつくってもらいましたから、それをもとに、今後は強力に、燃えるような情熱で取り組んでまいりたいと思っております。

松原委員 私はこういう答えを大臣に期待したわけでありまして、要するに、市町村合併を促進すべき理由として、一定規模の人口がいなければ、地方の自主財源というのは確立しない。だから、千でいいのかという議論もあるわけですよ。例えば、さっきの武正議員の質問にも、人口三十万規模ぐらいからじゃなければ自主財源はできないのじゃないかという議論もあるわけです。

 ちょっと質問なんですが、交付税等の不交付団体は、現在どのぐらいの規模になっているか、御答弁お願いします。

香山政府参考人 十二年度の普通交付税を見ました場合、不交付団体数は全部で七十七でございますけれども、一番数が多いのは人口一万人から十万人の規模の団体で四十三団体ございますが、ここは、全体が千四百七十四団体ございまして、その中ではわずか三%ということになります。全体の団体数で不交付団体の比率が高くなりますのが、人口十万から三十万人の刻みが一〇%、三十万人以上の団体が六十四団体中九%の六団体というような数字になっております。

 小規模でも不交付団体等はもちろんありますが、これはむしろ例外的なことであります。

 このデータがどれだけのことを語っておるか、私ども自信がないわけでありますけれども、一応、人口十万人以上になりますと不交付団体の割合がかなりふえてくるということで、そういう意味では、ある程度の規模がないと自主的な財政運営といいますか、十分な税収の確保ができないというふうに言うことはできるのではなかろうかと考えておるところでございます。

松原委員 時間ですから、最後に言いっ放しで終わりますが、この後、山井議員も介護の問題から恐らく市町村合併の議論をすると思うのです。介護では、例えば六つぐらいの地方自治体が一緒になって広域連合を組まないとできないとか、予算規模や財政自主権の議論ではなく、現実的なサービスの功利性というのですか、そういった意味からも、市町村合併はしなければいけない。私は、とりあえず千なんだろうけれども、これはもっと理由があるのだろうとは思っておりますが、もっと少ない数に落ちつかなければこの辺はできないのじゃないかなというふうに思っているので、この後の質問に譲っていきたいと思います。

 さらに、我々は、そういう中で、市町村合併が行われる中で結果として失われる地域の伝統や文化、大臣が先ほどから何度もおっしゃっているコミュニティーであります。これをいかにして温存させるか。いわゆるゲゼルシャフト的な行政体と別に、ゲマインシャフト的なそういった地方の伝統や文化をどうやって温存させるか。そのための、イギリスのパリッシュに見るような事例も、これはきょうではなく次の機会にぜひ質問していきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

 以上です。

御法川委員長 次に、山井和則君。

    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕

山井委員 まず最初に、片山大臣、御就任おめでとうございます。自治省出身で、岡山県副知事を経て、まさに地方自治、分権のために長年お仕事をされてこられたという片山先生が大臣になられたことを非常にうれしく思っております。

 私も福祉をライフワークにしておりまして、過去、世界各国調査に行き、中でも一番長かったのがスウェーデンなんですが、スウェーデンでなぜ福祉や教育が進んでいるかという一つの大きな理由が、御存じのように、スウェーデンという国は地方税中心でして、最も分権が進んだ国の一つであります。そんな中で、私は、地方分権こそが福祉充実の重要なかぎであるということを痛感いたしました。本日、総務委員として初めて質問させていただけることを光栄に思っております。大臣、副大臣の皆さん、御答弁のほどよろしくお願い申し上げます。

 まず最初に、地方分権には三ゲンが必要だということが言われております。権限、財源、人間ということでありますが、私、最近危機感を感じておりますのが、数年前までは、自治体の職員の方々も、これからは地方分権の時代だということで非常に勢いがあったように思います。しかし、最近、これだけ多くの借金を地方自治体が抱えて、首が回らなくなっている。このあたりに関しては、まさに午前中から中村議員、武正議員、今の松原議員からも言わせてもらった問題で、議論がかなり出ておりますが、私も言わずにはおれません。国が公共事業を繰り返した結果、地方自治体が百八十八兆円もの借金を抱えて、これは九〇年末から三倍にも膨らんでいるわけであります。

 前の方の質問にもありましたので少し変えますが、そもそも、このような公共事業を連発して景気回復に成功した、そのような国は国際的にほかの国であるのでしょうか。大臣、御答弁をお願いいたします。

片山国務大臣 冒頭、山井委員から御丁寧なお言葉をいただきまして、大変感謝いたしております。

 今の御質問でございますが、ケインズ理論というのが一時はやりまして、フィスカルポリシーというのがまさにそうなんですね。景気の悪いときには財政が、公共が需要を喚起して需要をつくり出して、それによって景気を回復する。ニューディールなどというのも私はその一種だと思っておりますけれども、一番どこが成功したか、全部成功したか、それはちょっと不勉強で存じ上げませんけれども、戦後の我が国では、このケインズ理論によるフィスカルポリシー、財政調整政策をずっととってきたことは事実であります。

山井委員 今日本は、ある意味で豊かな社会、少子高齢社会に入っている、安定した時代になっているわけであります。そういう時代においてその理論が成り立たないということは、ある意味で先進国共通の理解ではないかと思います。ある意味では、ばらまきの公共事業というのは、一時のカンフル剤にはなっても、根本的な景気回復にはならないというふうに認識しております。

 先ほどの答弁の中でも、今後もこのような形をある程度続けていかねばならないのではないか。そういうことを続ければますます地方財政は悪化していくわけですけれども、今後このような地方財政をどのように改善していかれようと考えておられるのか、御答弁をお願いいたします。

片山国務大臣 公共事業もいろいろありまして、今、ある学者の試算によりますと、これから一番景気に対する乗数効果が高いのは、例えば情報通信、IT、それから介護、環境だ、こういう研究もあるようですね、検証されたのかどうか知りませんが。

 だから、公共事業も単なる道路や河川から次第にそういう新しい公共事業にウエートを移していく。公共事業というのは皆トンカチの事業だけじゃないのですから、公共事業ですから、そういうふうに変わっていく必要があるのではなかろうかと私は思っておりまして、先ほど申し上げましたが、経済財政諮問会議やなんかでしっかりと議論していきたい、こういうふうに思っております。

 そこで、地方財政立て直しは、これも繰り返し申し上げることになると思いますけれども、やはり一つは、景気に軸足を置いた景気回復をやって、これによって国税も地方税も税収を上げていって立て直しを図っていくということが一つ。

 それから、地方の行革もかなりやっておりますが、さらに地方の行財政改革をやってもらいまして、その中には市町村合併もあると思いますけれども、コストを下げてスリム化をやる、リストラをやる、そういうことによって、むだなお金というのはないと思いますけれども、さらに簡素効率化を図っていくというのが二つ目。

 それから、それだけじゃ十分じゃありません。本当の地方分権推進のためには、山井委員も言われましたように、地方税源の充実を図っていく、場合によっては国と地方の税源の現状の配分を直していく、こういうことがその次に必要ではなかろうかと思っております。

山井委員 今の大臣の答弁の中でも、まさに公共事業の質を変えていかねばならない、IT化あるいは環境、介護というような、二十一世紀に対応した公共事業に変えていかねばならない、それはまさに私ども民主党の主張でもあります。まさにそれが、九〇年代、世界の流れが変わっているときに日本だけが変われなかった、失われた九〇年代と言われて、財政がこれほど苦しくなりながらも景気が回復しなかったことであると思います。

 IT化は先ほどからも御答弁ありましたが、環境の問題や介護に対して公共事業がシフトしていく、今まさに大臣がおっしゃったそのようなことに対して、総務省は今後どのような転換を図っていこうという取り組みをしていかれるおつもりでしょうか。

片山国務大臣 ITの方は、IT国家戦略、e―Japan戦略も決めましたので、三月までに重点計画を決めるということで関係各省一生懸命今努力しておりまして、特に私のところは、超高速ネットワークのインフラを整備する、それによってデジタルデバイドを解消していく、あるいは高齢者や障害者の方のいわゆる情報バリアフリーをもっと徹底していく、こういうことを考えておりますし、それから、やはり公正な競争を促進していかなければいけません。このITのマーケットで、適正な、公正な競争を促進することによって活力を出していく。

 それから、私のところは旧総務庁や旧自治省もありましたので、電子政府、例えば届け出や申請を、今一万四百件ぐらいあるそうですけれども、これをインターネットを通じてできるようにする。あるいは、調達、いろいろな入札だとかそういうことも電子化していく、IT化していく。あるいは、輸出入の手続もワンストップサービスにするとか、いろいろなことはあると私は思いますけれども、そういう電子政府の実現、地方は電子自治体になるんでしょうか、そういうことをしっかりやっていく必要があるのではなかろうか、こういうふうに思っております。

 それから、介護の方は、御承知のように、去年から市町村を保険者にして仕事が始まりましたので、これは主として財政面になるんでしょうけれども、いろいろバックアップをしていったり、あるいは、お話がありましたように、今市町村の連合でやっているところも全国にたくさんあります。こういうものもきっちり連合が動くように応援していきたいと思っております。

 環境についても、環境省ができまして一生懸命頑張っておられますので、総務省も、地方を含めまして、環境省を大いにサポート、応援していきたい、こういうふうに思っておりますので、そういうことの面で、これが景気回復に資し、地方財政の立て直しに大変いい働きをすればそれは望ましいことだ、こういうふうに思っております。

山井委員 今ある意味で中央官庁の姿勢を聞かせていただいたんですが、本来でしたら、やはり地域が元気になる、地方自治体が主役になる、そして住民のニーズをいち早く取り上げて景気回復に取り組んでいくというのがあるべき二十一世紀の姿だと思います。

 その意味では、先ほど松原議員からも話がありましたが、九七%もの自治体が地方交付税を受けなければならない。やはり、そういう地方の地場の力をそいできたのは中央集権的な日本の今の行政のあり方だと思います。

 ある町長さんからも次のような意見を聞きました。地方から税金を一たん国が取ってそのお金を交付税という形で地方に配分するというのではなくて、もうその税金をやはり地方が取らせてもらって、確かに貧しい自治体への財政調整は必要だからその分だけ負担金として中央に出していく、あくまでも財政の主体は地方にあるんだというふうな改革をしてほしいということを言われました。

 このことに関しては、特定補助金を減らすなり、あるいは交付税の見直しということになると思うんですが、先ほどからの質問とも重なりますが、そのような地方自治体の主体性を確立する、そのことに関してのお考えをお聞かせください。

遠藤副大臣 地方分権で一番大切なことは、事務は法定受託事務になったわけですけれども、肝心の財源の地方への移転がないということでございまして、これをどうするかということは大変大きな課題です。

 現在は、不交付団体というのが大変少なくなってしまって、本当は不交付団体が多くなってみずからの地方の事務は地方の財源でできる、こういうふうになるのが望ましいわけでございまして、そのためには、まず第一に地方の地方税の領域を大きくしなければいけない、こう思うわけでございます。

 ただ、地方の税というのは、地域によって大きな格差がございまして、遍在をしているわけですね。例えば、ここにちょっと資料があるんですけれども、平成十年度でいいますと、一人当たり地方税がどのぐらいあるかというと、東京都は一年間で十九・五万円なんですけれども、沖縄では七・三万円というわけでございまして、約二・三倍の格差が生じているんですね。ですから、地方税をふやすということは大変大事なわけですけれども、地域の格差をどういうふうに調整するかということも大変大事なわけでございまして、そういう意味では交付税の役割が今後もある、こう思っています。

 それからまた、交付税の中の約半分くらいの額が、国が法律で決めております例えば小学校や中学校の先生のお給料ですね、この人員配置基準を、標準を決めておりますから、そちらの方にいく。社会保障の関係あるいは公共事業の関係、こういうのにつきましても、法律で地方の負担が決められておりますものですから、それに対して大体普通交付税の総額の半分ぐらいがそちらの方に回らなければならないという状況になっておりますものですから、おっしゃるとおり、地方税を大きくするということは大変大切。

 ただ、地域の遍在があるものですから、それを調整するということも重要。また、一般の行政の標準の水準を国が決めているものですから、これに対してきちっとした措置をしなければならない、こういう状況がございまして、今後もこの交付税の議論は必要なものでございまして、できるだけ交付税の果たす役割が少なくなるようになった方がいいと思うんですけれども、これは必要欠くべからざるものでございますから、これをどういうふうに調整していくか、また一緒に御議論を願いたい、こう思っておるところでございます。

山井委員 確かに貧しい自治体への必要最小限の財政調整というのは必要でありますが、その部分が余りにも大きくなり過ぎて、結局は地域の主体性というものがなくなってきているように思います。

 このような財政を立て直す解決策の一つが市町村合併であると思います。これに関しては、分権の受け皿ということで、先ほどから松原議員の質問も出ておりました。まさに松原議員からございました、なぜ三千三百を千なのかということは、私も質問をしたかったわけでありますけれども、先ほどの答弁を聞いていてもやはりイメージがわいてまいりません。

 例えば昭和の大合併の際には、中学校や国民健康保険の事務を任せられるというような一つの目安があったように思いますし、明治二十二年の合併の際には、小学校などの事務を任せるというような理念があったように思います。この千というのは、最低限その自治体がどのような機能を果たせるとお考えでしょうか。あるいは、人口や面積など何らかの基礎自治体のイメージがあるのでしょうか。大臣、お聞かせください。

片山国務大臣 昭和の大合併、昭和二十八年ごろから三十年代の初めまでやりました合併は、今委員が申されましたように、中学校を新制にしまして、それは市町村が設置管理する、それがちゃんとできるようにということがありまして、人口八千というのが一つの目安だったんですね。

 ところが、今回はそういう具体的な目安はないんですよ。何度も言いますように、地方分権の受け皿として、私は、今後は福祉や保健や環境や都市計画は市町村でやってもらいたい。そのためには、市町村が相当の規模と財政力、行政能力を持たなければいかぬ。最初に委員が言われましたように、権限と財源と人間がそろわないと、市町村というのが本当の基礎的自治体としてちゃんと機能を発揮していない。

 ただ、これは、今回は例えば人口幾ら、面積幾らというのはなかなか難しいものですから、都道府県にお願いしまして、都道府県ごとに行政推進のパターンをつくってくださいと。大体全都道府県でおつくり賜るようですから、私は、それを一つのたたき台に市町村合併を推進したい、それが恐らく千ぐらいになると思います。

 ただ、もう少し大きくした方がいいという意見もありますよ。ただ、大きくすれば大きくしただけの今度はデメリットも出てくるわけで、コミュニティー意識がなくなるとか、行政サービスが満遍なく行き届かないとか、前の委員が言われましたように、ゲゼルシャフトになり過ぎる。市町村というのは、やはりゲマインシャフト的なあれは残った方がいいんですよ。

 そういう意味で、いろいろな議論がありますが、とりあえずは、我々は、与党三党がやる千を目標に、都道府県がおつくりになった合併のパターンをもとに、十七年度三月までにできるだけそれに沿って推進していきたい。

 仮にそうなると、今私が言いましたように、相当の仕事を市町村でやれるようになる、こういうふうに思っております。都市計画、環境、福祉、保健。介護なんというのは、いろいろな議論がありましたけれども、我々は、やはり市町村を保険者にするのがいいのじゃないか、こういうことで踏み切ったわけでありますので、今言いましたような基本的な考え方のもとにぜひ今後とも推進していきたい、こう思っております。

山井委員 そういう意味では、明治の合併、昭和の大合併よりも少しイメージがつかみにくいという部分があるように思うんですが、総務省さんのホームページを見ると、市町村合併のメリットということでいろいろ書いてあります。今おっしゃったような大臣の思いがあるにもかかわらず、なかなかまだ、地方自治体も腰が重い、機運が十分に高まっていないという気がするのですが、なぜそのあたりは思うように合併が進まないと大臣はお考えでしょうか。

遠藤副大臣 昨年、市町村合併をともに考える全国リレーシンポジウムというのを行いまして、そこでアンケートをしたわけでございますが、市町村合併が余り進まない理由として三つ挙げられておりました。

 一つは、住民の意見が行政に反映されなくなるかもしれないという不安です。二つ目は、住民の一体感と個性を失うかもしれないということです。それから三つ目が、市役所や町役場が遠くなってしまうかもしれない、こういった意見が寄せられたようなところでございまして、こうした意見に対して、安心をしていただけるような広報活動がどのようにできるかということを今考えているところでございます。

山井委員 まさにそのアンケート調査を私もここに持っておりますが、民意が行政に反映されなくなる、市役所などが遠くなり、一体感、個性の喪失、やはりそういう意味では、逆に言えば、住民の方が合併というものに対してしり込みする意味も非常にうなずけると思います。

 私自身は、先ほども言いましたように、しっかりとした基礎自治体で分権を進めていくという意味で市町村合併には基本的には賛成でありますけれども、しかし、住民の方々のこのような不安というものをきっちり取り去っていく必要があると思います。

 例えば、財政が危機であるとか財政効率が悪いというようなことを言っても、なかなか住民の方々にとってはぴんとこないわけであります。それよりも、サービスが遠くにいってしまうのではないかとか、きめ細かいサービスができないのではないか、あるいは町の名前も変わってしまうのではないか、そういう意味では、特に小さな町村にとって合併というのは、ある意味で分権どころか、権限が遠ざかるということになります。調査でも、小規模な自治体、本来は財政力が弱い自治体ほど合併をした方がいいという面があるのですが、実際はそういう小規模自治体ほど合併に消極的だというデータも出ております。

 そのために、今遠藤副大臣もおっしゃった市町村合併をともに考える全国リレーシンポジウムが行われていると思うのです。私も実は近所で開かれたのに行かせていただいたのですが、ある意味で、こういうシンポジウム一つを見てもちょっと不十分な点があると私は思います。例えば、この市町村合併をともに考える全国リレーシンポジウム、四十七カ所、二〇〇〇年の七月から、総括が十二月十五日ですか、それを見てみても、土日は五カ所のみなんですね。ほとんどがウイークデーの昼間です。そして、私が行った会でも、こう言っては失礼かもしれませんが、参加者の多くが自治体関係者の動員であります。そしてまた、そこで聞く話というのも、先ほど言いましたように、このままでは自治体は破産しますよ、財政的にもたないですよという財政の話がぼんと正面から出てくるわけですね。

 実際このシンポジウムの参加者の合計を見てみましても、男性が九千五百四十人に対して女性は六百七十一人、先ほど中村議員の質問にもありましたけれども、若い世代は非常に少ない。こう言うと言い方が悪いですけれども、行政による行政のための行政の合併シンポジウムであり、合併計画ではないかというような気がするのです。

 そういう意味において、やはりこのような、これからの住民の方に対する啓発活動が非常に大事だと思うのですが、取り組み、いかがお考えでしょうか。

    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕

遠藤副大臣 おっしゃるとおり、土曜日にやったところは山梨、石川、奈良、愛媛、鹿児島の五会場だけでございまして、あとはウイークデーでやっているということでございまして、住民の皆さんが参加する機会が狭められているのではないかということでございます。

 やはり、市町村合併を深く理解していただくのは、行政の皆さんも当然のことでございますけれども、一番大切なのは住民の皆さんでございますから、住民の皆さんにどのようなメリットがあるのかを正確に理解していただくという広報活動をしていかなければいけない、このように考えております。

 平成十三年度の予算案におきまして、市町村合併啓発事業というのを盛り込んでおります。あるいはまた今度は各都道府県の皆さんももっとこうした活動に積極的に取り組んでもらいましょうということでございまして、都道府県体制整備費補助金を創設するようにいたしておりまして、予算面で充実をさせていますとともに、市町村の皆さんにも、行政の皆さんにもお願いをいたしまして、もっと住民の皆さんに広く啓発広報活動ができるような、日程の考え方も、土曜日とか日曜日にできるような体制を組んでいただけるようにお願いをしたい、このように思っているところでございます。

山井委員 まさに今御答弁いただきましたように、当然、主人公は自治体の職員さんではなくてそこに住む住民なわけですから、住民の方々を巻き込んだ啓発のシンポジウム、運動をしていただきたいと思います。

 例えば、私が思いますには、そういうシンポジウムや啓発の際には、財政が破綻しますよとかそういうことよりも、一般の住民の方にとっては、合併すれば介護サービスがこんなに進みますよとか、実際、合併で養護学校の問題や障害児のための福祉や教育がこんなに進んだ例がありますよとか、あるいは広域になって環境への取り組みもこんなに進みますというような実例や、生活サービスが進むということを前面に押し出していただいたら、多少のリスクというものを感じながらも、住民の方々に合併していこうというふうな思いも出てくるのではないかと思います。

 例えばスウェーデンでは、一回目の市町村合併は基礎自治体を福祉サービスをきちんと提供する単位に、福祉充実のために、そして二回目の合併では合計二千五百から二百八十九に今日までになったわけですけれども、小学校をしっかりと運営できて、子供が安心して暮らせる自治体づくりというような理念を持ってやられたわけです。

 そういう意味では、日本でもこれは総務省さんだけの問題ではなくて、他の官庁と密に合併の意義やメリットについて議論をして、合併によって教育、環境政策、福祉がどう変わるかということをきっちり議論していく必要があるのではないかと思います。

 そこで、もう少し具体的な話として、私は介護保険などの介護問題に取り組んでおりますけれども、その分野の例で言うならば、例えば合併すれば、介護サービスは一般的に言って充実するのでしょうかあるいは低下するのでしょうか、どのように変わるとお考えですか。総務省と厚生労働省の両方にお伺いしたいと思います。

遠藤副大臣 私どもは、間違いなく充実すると考えております。

 と申しますのは、ただいまも、一部事務組合を広域につくるとか、あるいは広域で保険者になるとか、こうした動きがあるわけでございますが、それがさらに合併ということになりますと、市町村間の調整にかかる時間もなくなりますから、スケールメリットを発揮できるわけでございます。あるいはまた、施設も十分に使うことができる、保険者としての規模も大きくなりますし、あるいはサービスも向上できる、こういうことでございまして、合併することによってこの介護保険制度はさらに充実する、このように考えております。

堤政府参考人 合併によりまして、例えば保険者の規模が拡大をするということがございます。そういたしますと、安定した保険財政の運営が可能になりますし、あるいは介護保険の場合には介護保険事業計画というものをつくることになっておりますが、こういう在宅や施設サービスに関する計画を広域的につくるということになりますので、一般的には長期的にかつ安定した形で広域的な区域での均衡のとれたサービス基盤の整備が進みやすくなるということは言えようかと思いますので、そういう意味ではプラスの効果があるのではないかというふうに考えております。

山井委員 全国の大きな自治体と小さな自治体を比べれば、今の堤局長の答弁によりますと、一般的に大きな方が介護サービスは充実しやすいというように理解できるんですが、そのような理解でよろしいでしょうか。

堤政府参考人 現在介護保険でもいろいろな広域化が進んでおりますし、合併もその延長ということで考えられるわけであります。

 もちろん、合併なり広域化の形というのはいろいろ地域の実情によって違いますので、規模とか、あるいはそういう地理的な条件によって違ってくると思います。ただ、非常に大きい規模になりましても、例えば、現に横浜市は三百万の人口を抱えているわけであります。そういうところでも、住民の意見を吸い上げるいろいろな工夫というのは、市町村のさまざまな工夫の中でやっておられるということでございますので、規模とかいうことだけで一概にはなかなか言いにくい、市町村の工夫次第という面もあろうかと思います。

山井委員 確かに、今、局長がおっしゃいましたように、ある意味で、人口は小さいけれども非常に熱心な町長さんがいらっしゃって、大規模化するよりもはるかに介護サービスが進んでいるという例もありますし、逆に広域化して非常に無責任になって介護サービスが充実していないという例もあると思うのですね。

 正直言いまして、そのように介護サービス一つとっても、広域化によって財政は安定するかもしれないけれども、その反面、きめ細かいサービスができなくなるんじゃないかという不安、そういうふうな不安によって、住民の方々もこの合併に対してちょっとしり込みをされる部分もあると思います。

 そういう意味では、合併を推進する以上は、ある意味で総務省さんがリーダーシップをとって、教育も合併でよくなるんだ、環境施策も充実するんだ、福祉も進むんだというようなことを連携してやっていかないと、どうしても総務省さんの今までの取り組みを見ると、財政主導で、逆に住民の方にとっては、財政問題というのは大事だけれども、一番ぴんとこない部分だと思うのです。

 そのような、住民にほかの具体的な身近なサービスの充実ということとセットで合併の啓発を進めていくというようなことについて、片山大臣、いかがでしょう。

片山国務大臣 御指摘のように、今総務省の中に合併推進本部をつくっておりますけれども、これは総務省の人だけですから、私は省庁を超えた連携によって総合的に合併を進める戦略というんでしょうか、それが必要なので、例えば、総理を本部長とする各省庁の大臣に加わってもらう合併推進本部か、あるいは私が本部長になって関係の省庁、副大臣も入ってもらう本部か、そういうものをつくって、今言いました介護もありますし、教育もいろいろなことがありますから、そういうところで議論して、相連携して総合的に合併を推進するということを今検討しておりまして、これは近々に結論を得たい、こういうふうに思っております。

山井委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、合併によって身近なサービスも進むんだというふうなインセンティブなり優遇策というのを、総務省さんにリーダーシップをとって進めていただきたいと思います。

 ある意味でそのこととちょっと反する部分もあるのですが、逆に合併することによるスケールデメリットでサービスが低下することもあるように思います。実際、小さな町村にとっては、役所が遠くなってしまったとか、今までのようなきめ細かなサービスが受けられないというようなことが、昭和の大合併の後も苦情として尾を引いているような自治体もあります。

 例えば、また介護問題になりますが、合併して人口が五十万、百万になった結果、老人保健福祉計画の策定委員会が合併して一つになってしまう。今まで二つや三つや四つあったものが一つになってしまう。その結果、住民参加が難しくなって、きめ細やかな計画やサービスができにくくなるというマイナス面も出てくるように思います。

 このあたりの合併による、この例では介護サービスですけれども、このようなスケールデメリットについて、大臣そして厚生労働省にお伺いします。

遠藤副大臣 今、スウェーデンのお話をされておりました。

 私は、ちょっとこの間、一月の二十三から二十六ですけれども、オーストラリアに参りまして、ビクトリア州という州がございます。これはメルボルン市を含む州ですけれども、ここの首相といろいろ懇談をしてきたわけですが、前の首相のときに、二百二十ある自治体を法律で全部解散させてしまいまして、強制的に市町村合併をした。ゼロにしておいてから七十六だけ認めた。こういうふうなことをやったわけですけれども、これが大失敗をいたしまして、選挙をしたらその内閣が崩壊してしまったのですね。新しい内閣ができておりまして、新しい首相が誕生したわけですね。

 その方にその後どうされていますかと聞きましたら、もともとあった市町村の自治体の議会を全部また法律で復活させました、そこで議論をしていただきまして、住民の意見を聞いた上で、この七十六になった自治体をさらに分割していってもいいかどうか議論をしていただいておりますというようなことを言っておりました。

 そこで、失敗した理由は一体何ですかと聞きましたら、やはり強権的にやるとだめです、地方自治は地方自治体の皆さんの意見というものを大事にして合併は進めるべきだ、幾らスケールメリットが財政的にあるといっても、それを自治体のコミュニティーの皆さんに理解していただけなければ、これは失敗しますと。

 どこのところが一番失敗をしましたかと言いましたら、住民の皆さんから見ると、役場が遠くなったとか利便性が悪くなったとか、そういうことでございます。したがいまして、その利便性をよくするために、例えばワンストップサービスを充実するとか、そうしたサービスの向上、サービスの向上をするために市町村合併をするんだというふうな、何のために市町村合併をするのかという目的を正確に住民の皆さんに理解してもらうことが大切だと考えております、こんなことを言っておりました。

 ブラックスさんという新しい首相ですけれども、この人は何と支持率が七〇%ございまして、すばらしい人気のある人ですが、やはり住民の意識というのを絶えず大切にされている首相だと思ったわけです。

 そうした一つの教訓を考えますと、住民のサービスを向上させる、具体的にこういうメニューで向上ができます、そのために財政規模をさらに大きくする必要があります、こういったことを丁寧に住民の皆さんに知っていただく、そのための広報活動というものが市町村合併にとって欠くことのできない重要なことだろうと思っております。

堤政府参考人 合併や広域化等で規模が大きくなった場合に、地域住民の意向を反映しにくくなるのではないかということでございますけれども、私ども、介護保険の場合には、介護保険事業計画を市町村でつくっていただくときに、地域住民の意見を反映させるために必要な措置を講じていただくということで基本の指針を示しておりますが、その中で、計画策定委員会のメンバーに公募などによる地域住民の参加に配慮していただく、それから、地域における聞き取り調査、公聴会、あるいは自治会を単位とする懇談会等を工夫して、地域住民の意向の反映に努力をしてくださいということを申し上げております。

 市町村によって計画策定の方法に違いはございますけれども、規模の大きい市におきましても、小規模の説明会を何度も開いたり、あるいは既存の市政モニター制度を活用するといったようないろいろな工夫をしながらやっていただいております。

 規模が大きくなり過ぎて、仮にスケールデメリットがあると感じられる部分があるといたしますと、それをカバーする工夫を、やはり自治体の方でいろいろな工夫をしながらやっていただく必要があるのではないかと思います。

山井委員 ありがとうございます。

 今私が申し上げたかったことは、例えば五つ自治体が合併して、今までは五つの老人保健福祉計画の策定委員会だった、今局長がおっしゃったように、住民の公募の枠がそれぞれの自治体に五人ずつあった、ところが、いざ合併してしまうとトータルで五人しかない。あるいは、小さな自治体で老人保健福祉計画をつくる際に、医師会の会長さんが来られている、小さな自治体だったら、その医師会の会長さんが自治体のことをすべてわかっておられる。ところが、人口が非常に大きくなったら、なかなかその町全体のことはわからないという部分があります。そのような不安というものを解消していかないと、住民の方々にこの合併の意義というのが理解してもらえないと思うんです。

 例えば、このような問題について、スウェーデンでは、地域に密着した議論が必要な福祉や文化行政については大きな自治体で幾つかの準自治体委員会、コミューンデルスネムデンと言われる小さなユニットに分けて、そこに予算をつけて、そのユニット内の行政については住民の身近で決めるという制度もつくったりしております。これは、ある意味では、市町村合併のスケールデメリットを補整する制度だと思うんですが、日本でもこのような市町村合併でのスケールデメリットというものを減らすために、どのような取り組みを考えておられますでしょうか。

遠藤副大臣 スウェーデンは、約二千五百あった自治体を二百八十まで二回にわたってやりまして、最終的にはちょっと強制的にやったところもあるようですけれども、減少したということを聞いております。我が国の大体一・二倍ぐらいの広い国土にわずか九百万人の国民が住んでいるということですから、直ちに、我が国の実情に合わない部分もあるのですけれども、おっしゃるような基礎的な自治体の下に地区委員会というものを設置して、いろいろと地域の皆さんの意見を聞いているということでございます。

 我が国の制度の中にもこの地区委員会と類似の役割を果たすものとして地域審議会というものがございまして、そういうものとか、例えば合併した後の市町村の役場を支所だとか出張所として活用いたしまして、地域の皆さんのニーズをそこでお聞きする、こういうような形をしていく。あるいは、今度法案を出そうと思っているわけでございますが、二万七千四百ございます郵便局で市町村の事務の一部を委任をして行う。こういうふうなことによりまして、地域のサービスが低下しない、そしてさらに、地域の皆さんの声がちゃんと届くような仕組み、こういうものをつくっていかなければいけない、このように思っております。

山井委員 そういう意味では、これから地方自治体の合併によって広域化する部分と、今、遠藤副大臣もおっしゃってくださいましたように、そのコミュニティーを大切にして細分化していくという部分と、同時にやっていく必要があると思います。

 例えば、私の手元の資料でも、高知市ではコミュニティー計画というのをつくって、計画策定のための市民組織であるコミュニティー計画策定市民会議をほぼ小学校単位で結成することを目指して地区ごとに全戸配付による公募を行った、まさに遠藤副大臣がおっしゃるように、強権的にやると後で非常にしこりが残ってしまってうまく機能しない、そういうことでは何のための合併かわからないということになります。

 さらにもう一つ、群馬県の小寺知事も小学区ごとに自治区を設け、三億円ぐらいの財源を持たせて、自治によって日常生活で必要と思われる事業を行えないものかというようなこともおっしゃっておられます。そういう意味では、広域化と、またコミュニティーを大事にしていくということを車の両輪でやっていく必要があると思います。

 改めてになるのですが、このような市町村合併に最も進みにくい壁というのは何だというふうに片山大臣は御認識でしょうか。

片山国務大臣 昭和の大合併をやって大分時間がたっておりますね。今の制度に今の首長さんや議会の関係者はなれておりますから、それを破っていくということに対する勇気というのですか、そういうところが今の段階ではもう一つかなと思います。

 それから住民の方も、遠藤副大臣から何度もアンケート調査の結果の御披露がありましたように、やはり今の状況は変わるわけですから、目の前にある役場がなくなるわけですから、不安があると思いますね。だから、そういうことをしっかりとわかってもらうということ、そうじゃないのだ、もっとよくなるんだということをわかってもらうということと、やはりこれから我が地域社会の将来をどうするんだ、そのためには何がいいかという大きな賢明な決断をしてもらうことが私は必要だと思いますので、都道府県とも協力して、啓蒙、普及を大いに図ってまいりたい、こういうふうに思っております。

山井委員 地方自治体で非常に慎重である方の中には、町長さん、村長さん、そして自治体議員の方々も多いと思うんですね。それに対して総務省さんでは、議会の議員定数、在任に関する特例で、結局、合併後の市町村に関しては議員定数の二倍まで定数を最初の任期だけふやすというような特例を設けたり配慮もされていると思うんです。やはり首長さんが一人になる、議員の数が将来、減っていくというような議員さんや首長さんの危機感も非常に強いと思うんですが、そのあたりの方々の理解を得るための取り組みというのは今後いかがでしょうか。

片山国務大臣 いろいろなことを今まで自治省も民間のそういう協力団体と一緒にやってきましたけれども、さらに都道府県や関係のところの意見を十分聞いて、また一番関係ある全国町村会、全国市長会、町村議長会、市議長会、そういうところとも十分相談して、どういう進め方が一番効果的かということも考えながら、総合的に進めてまいりたい、こういうふうに思っております。

山井委員 ぜひお願いしたいと思います。

 それで、おとといの朝日新聞に出ておりましたのが、市町村合併の住民投票に必要な署名の数が当初案の有権者の十分の一から六分の一に引き上げられた、この法案は合併特例法改正案としてまた国会に出てくるかと思うんですが、その理由として、住民投票の導入に消極的な全国町村会や町村議会議長会などの強い反発によるものだ。そういう意味では、市町村合併を推進されている姿勢と、それに向かって非常に反発が強くて慎重になっていられるという苦悩の姿を感じるのですが、これは残念ながら後退ということになるのでしょうか、いかがでしょうか。

遠藤副大臣 当初十分の一で考えたわけですけれども、全国町村会の皆さんの御意見を賜りまして、六分の一にいたしたい、このように考えております。もともとこの法律をつくるに当たっては、全国の町村会の皆さん、地方団体の皆さんとよく意見を交換してつくりなさいということが初めに約束されておったものですから、その約束どおりにしたということでございまして、余り大きな差はないのではないかな、このように考えているところでございます。

山井委員 この十分の一から六分の一に引き上げるというのは非常に大きな差で、非常に大きな後退ではないかなというふうに私は心配に思っておりますが、まさに危機感を感じておられる議員の方々の理解を得る努力をこれからも続けていただきたいと思っております。

 最後になるのですが、最初にも申し上げましたように、地方分権には三ゲンが必要で、財源と権限と人間が必要だということであります。私が自治体の職員さんからよく聞く声は、財源もない、権限も非常に少ない、新しいことができない、結局は横並び意識になってしまうということで、残念ながら新しいことを、その町独自のことをやっていこうという思いが非常になえてしまっている現状があると思います。そういう意味では、地方分権の一番中心な柱は人でありますから、そのような地方分権の受け皿となる地方自治体の人材の方々をどうやって育成していくかということも大切な問題だと思います。

 一つ具体例になりますけれども、福祉関係者が一番困っているのが、介護保険を導入する去年の四月には、割と市町村の中のエースの方が介護保険課長とかになられて頑張っておられた。ところが、そろそろその方々がもう交代の時期になっていられるわけなんですね。だから、そういう意味では、なれたころにかわってしまう、二年交代ぐらいでかわってしまう。本来だったら、やはり五年でも十年でも、私は、マイナス面もあるかもしれませんが、責任ある仕事というのはやっていただきたいと思っております。そのようなことが起こるのも、やはり財源も権限もないから、上から言われたことをやるだけだから、だれがやっても同じだというような退廃的な気分が支配しているからではないかと思います。

 分権と並行して、このような横並び意識から脱却した創造性のある人材の育成が急務だというふうに思うんですが、そのことについて、それに向けた援助や取り組みについてお伺いしたいと思います。

遠藤副大臣 確かに、地方分権は制度も大切ですけれども、最終的には人でございます。やはり人材が地方に集まるような仕組みをつくらなければいけない、あるいは、現在ある職員の皆さんが、きちっとした、能力が研さんできるような、そうした制度というものをつくっていかなければいけない、このように認識をしております。

 したがいまして、採用試験のあり方等につきましても検討をしたいし、職員の研修の共同実施とか、地方公共団体間の人事交流、あるいは社会人を中途採用する制度だとか、そういうものをつくる。

 総務省といたしましても、こうしたことを支援するために、人材育成に関する基本指針を策定する考えでございます。また、人材育成等アドバイザーの派遣をする、こういうことも考えております。あるいは、従来からやっております自治大学校における研修制度だとか、市町村アカデミーに対して支援をしていくとか、そうしたことで地方にすばらしい人材が育っていくような制度をつくっていきたい、このように考えております。

山井委員 そのような人材の方々が育っていく前提としては、やはり自主財源がたくさんあってやりたいことが発揮できるんだ、ある意味で、中央官庁と市町村の役所に勤めようと思ったときに、市町村の役所の方がやりがいが大きいと思えるようにしていく必要が分権社会ではあると思います。

 ともすれば、二十世紀は中央が上で市町村が下請みたいなそういうイメージがあったわけですけれども、本来、私たち民主党が主張しておりますように、外交や経済やごく限られた部分だけを国がやって、より多くの生活に関連したサービスは住民の身近な市町村が権限と財源も持ってやっていくんだ、そういうふうな分権改革というのが必要だと思います。

 そういう意味では、中央集権型から地域主権の社会づくりへ、そのための税制改革、いろいろな改革を片山大臣を先頭にやっていっていただきたいと思います。

 質問時間が終わりましたので、これで終了させていただきます。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、金子善次郎君。

金子(善)委員 民主党の金子善次郎でございます。

 地方自治推進の観点から、幾つかの点につきまして御質問をさせていただきたいと思っております。

 まず最初に、総務大臣にお伺いいたします。

 今度の行政改革、大変な各省庁の統合ということになったわけですが、御承知のとおり、総務省は、総務庁そして郵政省とともに自治省が統合された巨大官庁になったということだと思います。このたびの行政改革、中央省庁の統合につきましては、いろいろな問題点は私は非常に多いと思っております。ただ、その中でもこの旧自治省が統合されたということにつきまして若干の危惧を持っているのは、私一人ではないのではないかというような気もしているわけでございます。

 自治省は、基本的には国の官庁ではあったわけですが、その中で地方自治を推進するという、ある意味においては、各省庁とちょっと違ったような性格もあわせ持った官庁だなと、私も働かせていただいていた次第でございますけれども。

 そういうことを考えますと、この総務省の立場、国と地方との関係におきまして常に地方サイドに立った主張というものが総務省の中から弱まるのではないかというような、各方面での心配があるということでございます。これは杞憂に終わればそれでよろしいわけでございますけれども、現実問題として、総務庁そして郵政省というような、それぞれどの行政分野も大変大切な分野ではございますけれども、巨大官庁になった、その中で、地方行政を所管する機能といいますか、それが弱まるというようなことがあってはならない、こう思うわけです。

 ある雑誌で、旧自治省の大先輩でありまして、長く官房副長官を務められました石原信雄氏でございますが、次のとおり述べておられます。

 今次改革を地方分権推進の視点から考察した場合、どのような評価となるであろうか、この案では、地方自治体の立場に立って、地方の主張を閣内で代弁すべき自治省の存在が巨大な総務省の中で陰が薄くなってしまうのではないかという批判がある。しかし、地方分権の推進については、各省庁は、建て前はともかく、本音は反対であり、これを確実に推進するためには、強力な大臣がその役割を担当することが大切である、こういうようなことをある雑誌で述べておられるわけです。

 行政の世界で長年にわたりまして、ある意味においてはいろいろな知識、見識の上で大変すぐれた方だと思っておりますけれども、その方がこう言っておられる。各省は、建前はともかく、本音では地方分権に反対である、これは大変な発言だなと思うんですが、実際のことを言っておられるのかなと思うわけでございます。

 そうした意味で、総務省の初代大臣として就任されました片山大臣といたしましては、大変重要な役割を担っておられるのではないかと思いますけれども、その決意をまず最初に聞かせていただきたいと思います。

片山国務大臣 今、金子委員からいろいろお話がございまして、石原前官房副長官のお話もございました。恐らく地方自治関係者の中にはそういう心配が確かにあるだろう、私はこういうふうに思います。

 ただ、我が総務省は三つの省庁が一緒になりましたけれども、その中の最大の課題の一つが地方分権の推進、地方自治の尊重でございまして、総務省になったからそれが後退するようなことはないと思いますし、私自身そういうことはもう全く考えておりません。最大のテーマの一つだ、こういうふうに思っております。

 いずれにせよ、中央省庁再編で自治省という役所はどこかと組まざるを得ないんですね、それこそ規模からいいまして。そうなると、どこと組むかということのいろいろな議論があの過程であったわけでありますが、私は党におりましたけれども、総務庁と組み、郵政省と組み、こういう形で総務省になったというのは、ある意味では私は最善に近い組み合わせではなかったかと。

 だから、その中でしっかりとした地方分権推進、地方自治強化の方針を貫ければ、今度はこちらの方が前の自治省よりずっと強いんですから、しかも、各省庁に対する調整機能を持つわけでありますから、そういう意味ではもっと地方自治がしっかり守れる、地方分権がしっかり推進される、私はこういうふうに思っておりまして、そういう決意で今後取り組んでまいりたいと思います。

 自治から総務に名前は変わりました。しかし、それはぜひ御甘受を賜りたいと思いますし、前の自治省だと、全く地方団体の味方だけか、こういう見方が中央省庁にあったんですが、今度は、地方自治の味方はもちろんするんだけれども、国の立場を考えてしっかりと地方自治を守っていくという意味では、むしろいろいろな立場が強化されたんではないか、私はこういうふうに自負しております。

金子(善)委員 大臣が今そうおっしゃられましたので、そういう決意のもとに頑張っていただきたい、このように思いますけれども、現実にはなかなか大変な点があるのではないかと思います。十分気をつけてその辺の総務省の運営に当たっていただければ、このように思うところでございます。御期待申し上げます。

 そこで今度は、地方分権推進委員会でございますけれども、このままではたしか法的には七月で廃止になるのではないかと思うのです。これまで、そもそも地方分権推進委員会のスタートが現行の地方制度の枠内でのどういう改革をするかというような点から論議のスタートが始まったと承知いたしております。要は、国、都道府県そして市町村という一連の枠組みの中で、どういう地方分権を進めていくかというような議論がなされたものだと思っております。第五次の勧告まで種々勧告が出されまして、全体といたしまして、評価はさまざまあろうかと思いますが、私は評価をしてもいい内容だというふうにも思っているところでございます。その中で、特に長年の我が国の地方制度上の懸案でございました機関委任事務の廃止などもございまして、その勧告が生かされて分権一括法という形で関連法の実現も見たわけでございます。

 非常に委員の方々も労苦が大変だったというようなお話も聞いているところでございます。近く廃止されることになるとすればという前提でお聞きいただければと思いますけれども、地方分権推進委員会の法律、設置法ですが、その法律にうたっている基本理念あるいは責務そして委員会の役割、いずれを見ましても、内容的には現行の制度を前提にしているということは、国、都道府県、市町村という流れの枠の中で考えるいろいろな改革等をするという基本形のようでございますから、その基本理念、責務、いずれのものを見ても、時限的なものというようなとらえ方で果たしていいのだろうか。なかんずく、地方分権推進計画に基づく施策の実施状況を監視するという機能まで役割を負っておられるわけでございます。

 地方分権の話につきましては、これから後ほども触れさせていただこうかと思っておりますけれども、まだまだ不十分である、まだまだ本来、地方分権推進委員会の機能として頑張ってもらわなきゃいかぬじゃないかというようなところも多々あるわけでございます。そういう意味で、今後の地方分権推進委員会がどうなるのか。また、廃止されるということであれば、それにかわるどういうような機能をお考えになっておられるのか、その辺につきましてお答えいただきたいと思います。

遠藤副大臣 地方分権推進委員会は、法律で一年延長いたしまして、この六月の末で役割を終えることになるわけでございますが、大変大きな役割を果たしていただきましたし、今も地方の税財源のあり方等について議論をしていただいているところでございます。

 この後どうするかというのはこれからの話でございますけれども、大変大きな問題としては、きょうも議論になりましたけれども、地方の財源をどのように確保していくのか、あるいは国と地方の役割、あり方、こういうことは骨格の議論もあるわけでございまして、こうした議論は新しい地方分権推進委員会にやっていただくのか、継続してやっていただくのか、これは今後議論をして決めていくことになろうかと思います。

 いずれにしても、何かきちっとした議論の場、推進委員会は継続していただかなければいけない、このように思っております。

金子(善)委員 ただいま御答弁いただいたのですが、私が申し上げましたとおり、常に地方分権を我が国においては基本的に進めていかなければならないという点については国民だれもが考えていることであり、各党も、政治の場でもそういう主張を皆さんが持っておられる。こういう中で、これから油断なくさらに徹底を期していくということに努めていただければというふうに要望をいたしておきます。

 それでは、ちょっと論点を変えさせていただきます。先日、新聞に出たのですが、宮崎県のシーガイア、第三セクターのフェニックスリゾート社というものが、二月の十九日でございますが、会社更生法の適用を申請したという記事が大々的に出たわけでございます。これは、地域経済にも与える影響は極めて大きいということも報道されておりました。当然だと思います。宮崎県あるいは宮崎市という地方公共団体が深いかかわり合いを持っているわけでございますが、第三セクターの問題ということになりますと、このほかにもいろいろと問題を抱えたところがあることは、新聞の報道をまつまでもなく、いろいろなテレビ報道を初めといたしまして国民の間に知らしめられているような状況でございます。そういう意味で、このシーガイアのフェニックスリゾート社の倒産は来るべきものが来たんだなというような印象で受けとめられたと思うのです。

 ただ、何でこういうようなことになってしまったのか、県なり市がかかわり合いを持ちながら何でこんなふうになってきてしまったのかという基本的な原因と申しますか、いろいろな要素はあると思いますが、基本的な要因だけを、御所見をお伺いできればと思います。

片山国務大臣 シーガイア破綻の基本的な原因、こういうわけでございますが、私どもは、実態を必ずしも正確に把握しておりませんので、県の説明なんかを聞いてから判断せざるを得ないのですけれども、基本的にはバブル経済の崩壊ですね、経済環境が大幅に変わってきた。それから、日本じゅうがリゾート競争みたいなことになりましたし、競争激化によって需要の予測が大幅に変わってきたということが一つあると思うのです。それから、あのバブルの時代は、豪華けんらんたるものをつくればいいという風潮があったのですね。だから、大変お金をかけているということが同時にありますよ。投資過剰だったということがあります。それから、第三セクターの運営にもいろいろ問題があったのかなと私は思う。第三セクターでは、パブリックセクターとプライベートセクターのよさを集めるのですけれども、往々にして、よさじゃなくて、どっちかというと、悪さの方が集まるようなケースもあるのですよ。知りませんよ、シーガイアは。一般論で申し上げているのです。そういうことの複合要因が今日のシーガイアのああいう会社更生法の申し出、こういうことになったと思いますが、県は出資と融資をしているのですね。損失補償を幸いにしてしていないので、致命的には財政の影響はないと私は思います。

 ただ、雇用や出入りの業者、そういう関係の影響はありますから、原則としてはどこかに引き取ってもらって、今までのとおり営業を続けるということで雇用の確保等ができますから、そういうことで県も頑張ると言っておりますので、それを我々は承って、我々ができることはしてやろう、こういうことですから、当面はそれでいけるのではなかろうかと私は思っております。

金子(善)委員 大臣の御答弁によりますと、基本的な要因というようなところは一つに絞れないということのようでございますが、こういう事例がまたどんどん出てくるようなことになっては大変心配だということから、御質問をしたわけでございます。

 いわゆる第三セクターそのものではございませんが、法律に基づきまして、地方公共団体が財政的には極めて、財政的と申しますか、ある意味においては分身というふうな表現を使ってもいいと思いますが、土地開発公社あるいは住宅供給公社等があるわけでございます。その中で、特に土地開発公社については、経営が大変だというようなことで、既に旧自治省時代でございますが、総務省ということで、経営健全化を図ろうということで、平成十三年度から平成十七年度まで、これをある一定期間といたしまして、土地開発公社の出資団体でございます地方公共団体に対して健全化計画をつくりなさいということを求めているというふうに聞いておりますけれども、土地保有の現状と計画策定の状況、これについてお答えいただきたいと思います。

林政府参考人 土地開発公社につきましての御質問にお答えをさせていただきます。

 御指摘のように、土地開発公社は公有地の拡大の推進に関する法律に基づきまして設立された特別法人でありまして、平成十二年六月一日現在、全国で千五百九十四の土地開発公社がございます。

 お尋ねのうち、保有土地の現状でありますが、十一年度末で調査をしたものがございますが、十一年度末の土地開発公社が保有しております土地は、八兆二千九百四十八億円、三万二千六百二十ヘクタールとなっております。土地開発公社がこのように保有いたしております土地は、その大半は設立団体であります地方公共団体の依頼に基づくものでありまして、その必要性あるいは将来の土地利用計画等について検討を行い取得されたものではありますが、その後の事業計画の見直し、経済情勢の変化、あるいは財政事情の変化等によりまして、公社が長期にわたって保有しているものがあるところでございます。

 この長期保有土地の現状につきましては、金利負担の増大等によりまして開発公社の経営に重大な影響を及ぼすことも心配されたものですから、先ほど御指摘いただきましたように、昨年の四月には、土地取得手続の適正化、使用済み土地と未収金土地の解消、あるいは保有土地の処分の促進、情報の積極的な公表等の留意事項を地方公共団体にお示しをいたしまして、公社の運営改善を指導いたしておるところであります。

 その中で、ただ、土地開発公社の健全化に取り組もうとしている団体の中にも、財政状況等から独力でこの問題に対処するのが困難な団体もあることがわかりました。また、そういう団体からは何らかの総務省としての支援策がとれないか、こういうお話もございましたので、昨年七月には、財政状況等から独力では土地開発公社の健全化が困難な地方公共団体につきましては、御指摘いただきましたこの公社経営健全化計画を定めていただきまして、これに基づく経営健全化に取り組む場合には、地方財政措置により支援を行う旨の御連絡を申し上げたところであります。既に計画を策定済みあるいは策定中の団体もございまして、これらの支援措置を活用しながら健全化に進むことを私どもとしては期待いたしているところでございます。

金子(善)委員 きょうは、時間の関係もあるものですから、余り深く個々のケースについて申し上げるわけにはいかないのですが、ただいま御答弁がございましたように、団体によりましては大変なところも全国的には出ているというふうに承知をいたしております。健全化計画を立てて、それで、今の御答弁ですと、何らかの手助けをしていくというふうにとれたのですが、簡単にお答えをいただければと思います。

林政府参考人 お答えを申し上げます。

 公社の経営健全化のためには、先ほど申し上げましたような土地の処分、あるいはかさんでおります金利負担の軽減等が必要でございますし、特に、地方公共団体が要請して取得しております土地につきまして、設立団体による公社保有土地の再取得の促進が重要となってまいります。

 その場合、先ほど申し上げました健全化計画を策定していただきました団体につきましては、設立団体による公社保有土地の再取得の際に公共用地先行取得等事業債の弾力的運用を行うとか、あるいはこの資金調達に係る利子の一部につきまして特別交付税による措置を行う。あるいは、地方団体が現在既に供用いたしております土地の再取得につきましても、同じような地方債措置等を考える。あるいは、再取得等まで公社が保有を続けなければならないような土地につきましては、公社の金利負担の軽減を図るような観点から、地方公共団体、いわゆる設立団体が資金手当てをする、あるいは利子補給をするという場合が出てまいると思いますが、その場合につきましても、地方財政上特別交付税等による措置を講じたい、内容をこういうふうに考えているわけでございます。

金子(善)委員 今の御答弁の内容でございますけれども、結局は、言ってみれば、公社のマイナスの部分、それを親元の地方公共団体が肩がわりをする。特別交付税というような形で一定の助成を行うということは、確かにその個々の団体から見ればよそからお金が来るという側面もあるわけでございます。ただいまのお話でございますと、特別交付税ともう一つは借金でそれを再取得するというようなことでございますから、要は借金を、マイナスの部分というものを移しかえることになるだけではないかというような気さえしないでもございません。いずれにいたしましても、公社の経営状態が大変だという状況のようでございますから、何らかの手だてをしなければならない状況にあるということについては私も理解はできます。

 そこで、大変恐縮なのですけれども、これまで、バブル崩壊後、先ほどのシーガイアのところで大臣はバブルの後遺症的な話をなさいました。ところが、自民党を中心とする、特に平成四年度から、一連の経済対策、景気対策として公共事業中心ではございますけれども、相当のことをやってきた。その中で、たしか平成十年度の四月まで、平成四年度の八月が一回目ですから、六回にわたって、経済対策として公共用地の先行取得をしなさい、してほしいというようなことで、地方団体あるいは土地開発公社、地方団体ということは、実際に先行取得をするということになれば土地開発公社が肩がわりをするわけでございますから、言ってみれば、そういう意味で国の責任も大きいものがあると思わざるを得ないわけでございますけれども、その辺の御所見はいかがですか。

林政府参考人 現在、土地開発公社が取得しております土地は、各地方公共団体が計画的な町づくりの推進等のために必要と考えて先行取得を依頼したものが大半でございますが、その後の景気情勢あるいは経済情勢等の変化に伴いまして事業計画の見直しや、財政事情による事業計画の見直しをしているものが多いのではないかと私どもは考えております。

 御指摘のように、確かに過去の経済対策におきましては、地方公共団体における用地の先行取得を要請はいたしておりますが、しかし、その時点におきましては、地方公共団体におきますこれらの計画的な用地取得のニーズを勘案しながら、地方公共団体の自主的な判断によりまして、必要な公共用地を先行して取得することができるような地方財政措置を講じながら事業費の追加を要請したものでありまして、特に国の方から地方団体の事情とかかわりなく取得をお願いした、こういうものとは考えておりません。

 いずれにしても、繰り返しになりますが、取得後の経済情勢の変化等に伴う事業計画の見直しあるいは財政事情の変化によるものと考えております。

金子(善)委員 いずれにいたしましても、土地開発公社の経営というものがこれからも健全になるように、ひとつその辺の対応を強く要請いたしておきたいと思います。

 それから、次の点に移りたいと思います。これは総務大臣にお伺いしたいと思います。

 今、財政は、私から申し上げるまでもなく、大変危機的な状況にさえあるというようなところまでになってしまいました。国、地方を合わせて十三年度末で六百六十六兆になる。そのうち、地方財政の借り入れだけで百八十八兆。十三年度の地方財政計画が八十九兆程度でございますから、もう借金は年間の財政規模の二倍以上になっているというのが実際のところでございます。

 また、借金をすれば当然元利償還ということで経費もかかってくるわけでございますから、固定経費も多くなってくるわけでございます。いわゆる財政状態の弾力性をはかる概念といたしまして公債費負担比率というものがございますが、それが一五%を超えていると警戒ラインだというふうに一般的に言われているようでございますけれども、こういう団体が十年度から十一年度にかけては若干減少はしているようでございますが、ほとんど傾向としては変わっていないというふうに思います。

 まず大臣にお伺いしたいと思いますが、ここまで悪化してしまった、国の財政もそうなんですけれども、どういうことか、これも先ほど御質問したような形で恐縮ですが、基本的な点だけをお答えいただければと思います。

片山国務大臣 もう既に似たような答弁をさせていただきましたが、基本的には、バブル崩壊後の長期不況の克服ができずに来ていると。相当な努力をして経済対策を相次いでやってきましたが、いろいろな要因がありまして、なかなかそれがうまくいかなかった。ただしかし、金融不安もほぼ解消しておりますし、さらに、新たなる金融問題についてはしっかり対応することにしておりますし、設備投資がかなり伸びてきておりまして、そういう意味で、個人消費にもし火がつけば本格的な景気回復ができると思います。

 今、踊り場という説もありますが、私は、大変踏ん張りどころだろう、こういうふうに思っておりまして、ここまで来たのは、やはり今までの経済対策がそれなりの効果があったのではなかろうか、私はこういうふうに思っておりまして、ぜひ一日も早い景気回復に全力を挙げたいと思います。その上で、何度も言いますけれども、地方税財源の移譲等の抜本的な地方分権を支える方途を考えてまいりたい、こういうふうに思っているわけであります。

金子(善)委員 確かにこれまでの政府の財政運営という観点から、まさにそのとおりの、今、大臣がおっしゃられました考え方でこれまで経済対策、財政政策というものを進めてこられたということでございますが、私が申し上げたいのは、その結果として、今、地方団体が非常に財政的な苦しみの中にあるのではないかということを申し上げたいわけです。その中で、特に借金に借金を重ねる、そういう行政のやり方、特に公共事業というものを中心にして増加させてきた、公共事業というものを通じて借金を重ねてきたツケが今回ってきているように思えてならないわけでございます。

 平成四年の八月のいわゆる経済対策からずっとこれまで九度にわたって合計百三十一兆円の規模の経済対策が講じられてまいりました。そういう中で地方団体が公共事業を実施する場合には、もともと地方団体はお金がない状態でそれを受け入れているわけでございますから、結局はそのお金をどうするのだということになりますと、地方債、借金の増発で地方負担分というものを賄ってきた、これが実態なわけでございます。自治省におきましても、ずっと政府の一省としてこの経済対策の一翼を担ってきたということは現実の話でございます。

 私は、冒頭申し上げたつもりでございますが、自治省、今度総務省でございますが、地方団体サイドに立ったスタンスと申しますか、こういうものがどこかで欠落していた面はないのかどうか。

 その辺について、具体的な表現で申し上げますと、借金に借金を重ねるということについてですが、地方負担分の元利償還金を交付税措置というような形で公共事業の消化に協力する、その理由と申しますか、なかなかお答えしにくいものもあるかもしれませんけれども、それをまず総務省にお聞きしたいと思います。

 それから、せっかく財務省の方にもきょうお越しいただいておりますので、ちょっと細かい点を注意するようですが、実は、各経費のポイント、平成十三年度予算ということで、これは国民に対する説明資料なのかもしれませんけれども、この十一ページ、これは既に通告していますからごらんになっていただいていると思うのですが、この「(注)」のところ、意味がわからなかったのです。「投資単独事業の減額については、近年の地方財政計画と実績との乖離を調整するためのものであり、実質的な地方単独事業の減を意味するものではない。」最初、読みまして何のことかなと。要は、地方財政計画と実績の間では相当の消化不良があって実績がそこまでいかないのだな、それを何とかうまく言うために、あるいは地方単独事業をどんどん減らすという姿勢ではないですよというようなことも言いたくて、こういう表現になったのかなというふうに私は読ませていただいたのですが、この点につきまして、それぞれ、総務省と財務省の方からお答えいただきたいと思います。

遠藤副大臣 バブル崩壊後の日本経済というのはまことに深刻でございまして、一時は日本発世界恐慌ということが実際懸念をされた、それほどの大変深刻な状態でございました。その中から何とかして元気な日本をつくりたいということで、国も地方も一体になりまして、懸命にここ十数年努力をしてきたと私は思っております。その結果、やはり社会資本の整備だとか公共事業、そうした形で当分の間は景気を引っ張っていかなければいけないという認識が国にも地方にもございまして、大きな借金を抱える結果にはなったのですけれども、一応危機的な経済不況というものは回避されつつあるような気持ちがいたします。

 地方のいろいろな公共事業に対しまして、元利償還まで交付税措置をするから甘えてしまって、借金を覚悟で膨大な工事をやってそのツケが回っているのではないかというふうな声も中にはあるのでございますけれども、地方が行う地方単独事業と申しますのは、本当にその地域にとってはなくてはならない地域密着型の事業を中心に展開をしているわけでございます。つまり、景気対策あるいは地域における社会資本の整備、そうした両面から必要なものをやってきたということでございまして、必要なことをやる以上は、国も、脆弱な地方財源ということを考えますと、それ相当の、後年度は交付税で措置をしてあげるという政策をとっているわけでございます。

 余りにも過保護ではないのかとか、いろいろな議論があるところは承知しておるわけでございますが、現在はそのような状況の政策をとらせていただいておるところでございます。

砂田大臣政務官 財務省からお答えをいたします。

 十三年度地方財政計画における地方単独事業は、十七兆五千億となっているところでございます。これは、地方単独事業に関して、近年地方財政計画と地方団体の事業実績との間に乖離が生じている状況にかんがみまして、地方財政計画の規模を是正し、計画と実績との乖離を調整するための措置を講じているものでございます。

金子(善)委員 これに関連いたしましていろいろ御質問する予定でございましたが、時間が余りなくなってきておりますので、私の主張だけをちょっと述べさせていただいて、次の点に移りたいと思います。

 いずれにいたしましても、あくまでもこれからの地方分権というものを考えた場合ですが、地方公共団体というものは確かに国の行政体制の一翼を担っていることは間違いございませんが、国の都合だけを押しつける、それを地方公共団体が、あめの部分と申しますか、交付税で元利償還を見るというような、余りこれは行政手法とは言えないのではないかという気がしてならないわけでございます。あくまでも地方自治体は相当の独立性を持つという観点で、これからの対応をぜひお願いしたいというふうに思う次第でございます。

 それで、次の点でございますが、国土交通省さんの方にお聞きしたいと思います。

 今、統合補助金というものが昨年度の予算から新しく創設されまして、本年度も若干の拡大を見ているようでございますが、どうもお聞きいたしますと、この統合補助金を決定する場合には、かなり詳細な資料を要求されているというようなことも耳にするわけでございます。

 例えば、五カ年計画というような計画をつくって、それを、国の同意があって、その結果として統合補助金を交付するというような形で扱われていると思いますけれども、もしもそういうことになりますと、余り詳細なものを地方団体に要求するということになると、個別の箇所づけをする補助金とほとんど実態が変わらなくなってしまうのではないかということが危惧されるわけでございます。

 必ずしもそうでもないという反論もおありかもしれませんが、そういう心配が一部に出ております。その点につきまして、御答弁をお願いしたいと思います。

岩村政府参考人 統合補助金についてのお尋ねでございますが、地方分権推進委員会の第五次勧告を受けまして、今、先生御指摘のように、地方公共団体の主体的な取り組み、また創意工夫を生かした事業を展開するためということで、国が箇所づけをしないということを基本とします統合補助金が平成十二年度に創設されたわけでございます。十二年度の予算では、まちづくり総合支援事業を初め九本の事業について新たにこういう補助金が認められたわけでございます。

 そして、その具体的な手続でございますが、地方公共団体が中期の事業計画、今、先生五カ年とおっしゃいましたが、中期の事業計画をつくりまして、それをもとに国がその年度におきます地方公共団体ごと、あるいは地区ごとの配分の枠、それのみを定めるというのがまず第一の手続でございます。

 そして、地方公共団体は、その枠の範囲内で、みずからの裁量で当該年度において実施すべき具体的な事業箇所、また内容等を定めて補助金を申請する。そして、国は当該申請が事業計画に適合していればそのまま交付決定を行う、そういう仕組みでございます。

 したがいまして、地方公共団体は、事業の進捗状況等を勘案して、毎年度の事業箇所を自由に定めることが可能になっているわけでございます。この点、従来の箇所づけ、すなわち、年度ごとに地方公共団体の申請を受けて、国が具体的な事業箇所、また内容について交付決定を行っている従来のやり方とは大きく異なっているというふうに考えております。

 また、交付決定後の事業箇所、内容等の変更につきましても、従来でありますと、事業箇所ごとに変更手続を行っていたところでございますが、今般執行しておりますこの統合補助金におきましては、事業計画の枠内であれば変更の手続が要らない、そういう形にいたしております。

 このように、統合補助金におきましては、従来の箇所づけのやり方と比べまして、地方公共団体の裁量、自由度を認めまして、弾力的な事業実施を可能とするものでありまして、地方公共団体からも歓迎をされているところでございます。

 また、現在、御審議をいただいております十三年度予算の中でも、この統合補助金の拡充、さらには新しい統合補助金の創設等も政府原案の中に盛り込んでおるわけでございまして、今後ともそのより一層の効率的また効果的な運用に努めてまいりたい、そのように考えておるところでございます。

金子(善)委員 ただいまの答弁ですと、心配ないよというような話でございますが、せっかくこの統合補助金という制度が創設されたわけでございますから、その徹底をなお研究をしていただきたい、このように要望を申し上げておきます。

 それから、財務省さんにお聞きします。

 概算要求基準の閣議決定におきまして、制度的補助金とその他補助金ということに分けまして、その他補助金につきましては一割削減というような方針で予算編成に臨んでいるというふうに承知しているところでございます。

 きょうは時間がございませんので、制度的補助金とその他補助金に分けて補助金の整理をやっている、どういう視点で区分されているのか。閣議決定の内容は私どもも承知しているのですが、もう少しわかりやすい視点を教えていただければというふうに思います。時間がありませんので、ポイントだけお願いします。

丹呉政府参考人 お答え申し上げます。

 補助金につきましては、社会経済情勢の変化あるいは国と地方、官と民の役割分担の観点から、従来からその整理合理化を積極的に推進してきたところでございます。

 その具体的な整理合理化に当たりましては、補助金の中にはさまざまなものがあることから、平成十年度予算の編成に当たりまして、地方公共団体向けの補助金あるいは民間団体等向けの補助金につきまして、国の責務に反するものなど、その補助金等につきまして、制度等々の改正をしなければ補助金を見直すことができないもの、これらを制度等見直し対象補助金と名づけまして、こういった補助金につきましては、交付の対象となる事業等の見直しまたは当該事業に係る施策の見直しを行うことを通じまして、補助金の削減、合理化を図るとする一方、それ以外の補助金、その他補助金と申しておりますが、これらにつきましては、各省各庁の所管ごとに一〇%の削減を行うという形で補助金の整理合理化を進めてきているところでございまして、この基本的考え方に立って、現在まで補助金の整理合理化を進めているところでございます。

金子(善)委員 正直申しまして、ただいまの答弁でもなかなかはっきりイメージがわいてこない、これが正直なところでございます。

 私も長年行政の世界にいた男でございますから、もう少しわかりやすい答弁をいただけるかなと思っていたら、わかりにくい。時間がございませんので、この問題はいずれ、その他の委員会等においてやらせていただきたいと思っております。

 そこで、時間がほとんどなくなりました、地方分権推進委員会でも限界があったというのは基本的には地方に対する財源の移譲がなし得なかったというところであろうと思います。私の所属する民主党といたしましては、いずれ、地方と国の税収というものは一対一まで持っていきたいということを一つの目標として論議をしているところでございます。実際には、地方二、国一の割合で仕事ということになっていると思います。それに対しまして、税収ということになりますと、国二、地方一というようなことで逆転しているわけでございます。

 いろいろな審議会等におきましても、この乖離は埋めていくべきだというようなことがいろいろ言われているのですが、今度の行政改革の大綱を見ましても、景気が本来のものになったらそういうふうにしていこう、乖離を埋めていこうというようなことが方針として打ち出されているようでございますが、必ずしも景気が上昇したからそうするのではなくて、今からでもやっていく姿勢が必要なのではないか、このように私は思っている次第でございます。その点につきまして、総務大臣、どうお考えなのか。特に、地方消費税の取り分が一%というような状況でございますが、もう少し地方に回してもいいのではないかなという気さえしている次第でございますけれども、その辺のところを含めて、最後に、御答弁いただければと思います。

片山国務大臣 国と地方の税源配分を一対一に、こういうことですが、今の国と地方、国税、地方税の配分は大体六対四ですね、国も六を切っているのですよ。それに地方交付税が加わりますと、これが逆転しまして四五対五五になるのですよ。何で地方交付税があるかというのは釈迦に説法ですけれども、税源を与えても、東京都や埼玉県、神奈川県はだあっとふえるけれども、鳥取県や佐賀県はふえないのですね。関係の方がおったらごめんなさい、事実ですから。市町村も同じでございます。だから、税源を与えるということは財政格差を、税収の格差を広げるのですよ。そこで、しようがないから、国税の何税かをリンクして、地方交付税という形で財源保障と財政調整をやっているのですね。

 だから、私は今のままで、しかし、もう少し上げた方がいいと思いますよ、あなたが言うように、今の六対四をできるだけ五対五に近づける努力は必要ですけれども、その場合に、税源の格差を広げないようにどうやるか、それは工夫ですね。

 それから、地方消費税のお話がありましたが、今の四対一というのは大議論をして、私も与党税調で議論をしてできたものでございまして、消費税をさらに引き上げる事態になれば、私は地方消費税を引き上げていただく、この努力はいたしたいと思いますけれども、今の段階では、国と地方はこういう財政状況、景気の中で、抜本的なことはどうかと思いますが、しかし、金子委員御指摘のように、何年か待ってやるのじゃ遅過ぎると私も思います。今から、直ちにあしたからというわけにもいきませんが、できるだけ自律的回復の過程の中でも、財政構造改革の一環として地方税源の充実について大いに議論していきたい、こういうふうに思っております。

金子(善)委員 それでは、時間が参りましたので、冒頭の質問のように、総務省として地方団体を守るといいますか地方自治を進展させる、そういう気持ちでお仕事のほどを御期待申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

御法川委員長 次に、若松謙維君。

若松委員 若松謙維です。

 先ほど、元自治省で大変すばらしい仕事をなされた金子先生が淡々ながらも突っ込んだ質問をされておりました。私も与党の立場から大変元気のある総務大臣に、引き続き、お疲れと思うんですけれども、質問させていただきたいと思います。

 十二月一日の行革大綱に、いわゆる地方自治体数を千にする、こういうことをはっきりと盛り込みました。私も与党の行財政改革推進協議会の一員でしたので、そのときに自治省が大変抵抗をされておりました。その中であの文言が出たというのは大変大きな意味合いがありまして、それを進められる総務大臣として、この一千自治体をどうやっていくのか、詳しくは恐らく今週中にまた行われるほかの委員会で私の同僚議員の高木委員が質問されると思いますけれども、この一千自治体への具体的なアクションプランについて、ぜひ大臣の考えをお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 この委員会でも何度も議論をしていただきましたが、千にするということは、行革大綱の中に千を目標にすることを踏まえて、こう書いてありまして、我々は千を念頭に置いて、それを目指しながら頑張らせていただこうと。当面は、全都道府県から合併のパターンの提出を受けまして、それをたたき台にいたしたい。まだ全都道府県から出ておりませんから、恐らく千前後だろうと私は思っておりますので、それを目指してぜひ努力いたしたい、こういうふうに思っております。

 今の三千二百二十六ですか、それが千になるということは、やはり基礎的自治体としての市町村の性格は変わってくるんだろうと私は思う。先ほどもお話がありましたが、例えば今の二千とか三千とかいう市町村は本当にゲマインシャフトですね、牧歌的で、みんな仲よくて、私は大変いいと思うんですよ、それも一つのあり方で。しかし、これから市町村が基礎的な自治体としていろいろなことをやるためには、やはりそれなりの力、規模、財政力がなきゃいかぬ、人材も得なきゃいかぬ、そういうことになりますと、やはりかなりの規模、能力がなければいけません。そういうことで、しっかりとした権限移譲を受けるためにも、あるいは税財源を受けるためにも、信用できるというか力がある市町村にする必要があると私は思っております。

 ただ、その場合に、今の市町村制度というのは、政令市を除きますと、制度的には一律なんですね。そこで、中核市だとか特例市だとか、役所の方ではいろいろ考えておりますけれども、もっと市町村の制度というのは多様でもいいのではないか、こういうふうに私は思っておりまして、そういうことをまた地方制度調査会その他で御検討賜る必要もあるのではなかろうか、こういうふうに思っております。

 千が同じような規模できっちりなるという保障があれば結構でございますけれども、なかなかそういうわけにいかないので、そういうときに、今のいろいろな仕組みをどういうふうに制度的にきっちり整合性のあるものにするかということが、次の検討課題かなと思っております。

若松委員 今基礎的自治体というお言葉が出ましたが、これは日本でなかなか議論が進みません。いわゆる道州制とかいう議論があるのですけれども、どちらかというと、道州制というのは私から言わせれば抽象的なイメージ的な議論であって、あくまでも、これだけ小さな日本の国ですので、当然、中央の政府があるのとあわせて、では、地方の自治体はどうすべきか、何が基礎になるのか、いわゆる住民のニーズに対してどこが適切に対応するのか、その意味での基礎自治体となると、やはり市町村だと思います。

 ところが、今は都道府県というのがありまして、市町村と都道府県、二層制になっていますね。この二層制という地方自治体制は、今の時代には、これだけ情報がシェアできる時代でありますので、都道府県というのはまさに広域の調整機関であって、本来的には、さまざまな予算を持って権限を決めるとか、そういった機能はかなり終わっているのではないか。二十一世紀の基礎自治体というのはまさに市町村、かつ、市町村というのは基本的に地元の住民のニーズというものを一〇〇%に近く対応ができる、それが二十一世紀のあるべき基礎自治体ではないかな、そう思うんですね。

 そうしますと、いわゆる市町村ですけれども、人口は恐らく三十万から五十万ぐらい、いわゆるミニ政令都市型というんでしょうか、そういった規模に収れんされて、初めて地元での要望等についてはすべて地元で賄える、それを超える広域的なところを都道府県が調整をする、いわゆる限りなく一層性に近いのがこれからの地方自治体のあり方かな、そう思うんですけれども、大臣はこの二十一世紀の基礎的自治体のあり方についてどのようにお考えですか。

片山国務大臣 今、若松委員御指摘のように、今の地方自治制度は二層性ですね。それで、基礎的な自治体は市町村で、都道府県は広域的自治体で、仕事は広域、補完、市町村ができないような例えば高等学校の設置や調整連絡、こういうことが今の広域自治体である都道府県に課せられておりますけれども、ただ、その基礎的自治体が大きくなれば、広域的な自治体である都道府県の役割はかなり減ってくると思いますね。

 ただ、今、市町村がなかなか大きくならないから、例えば、環境の問題ですね、産業廃棄物だとか、下水道でも流域でやらないといけませんから流域下水道だとか、水道でも広域水道の水源開発なんというのは、市町村が本来やるべきなんだけれども、やれないから都道府県でやっているんで、そういう意味でも市町村合併の必要性があると私は思います。

 三十万、五十万に一律に全部なるのかという議論がありまして、もしなれば、都道府県をどうするのかということはありますが、都道府県の役割は次第に縮小されてくる。ただ、国と市町村だけになったときに、国の方が力が圧倒的に強いですから、その間、やはり都道府県というクッションがあった方がいいのかなという気はいたしますけれども、それは少しいろいろな面からの検討が必要だろう。

 ただ、三十万、五十万になれないところ、例えば物理的に、地形やいろいろな条件で、そういうところが残ったときに、その市町村の位置づけをどうするのかというのが残された課題になると思います。

若松委員 この市町村合併、さらに二十一世紀の基礎的自治体の議論は翌日に回させていただいて、先ほどの、特に北海道なんか、大変広域なところ、それを、三十万といいますと、埼玉県よりも広くなるぐらいになると思いますので、そこら辺は翌日の議論にさせていただきたいと思います。きょうは、いわゆる地方自治体の制度的な議論よりも、財政面での議論に残された時間を費やさせていただきたいと思います。

 まず、これも、今週ですか、大臣にも質問させていただいたかと思うんですけれども、公共事業の地方負担、恐らくこれは先ほどの金子委員も触れられたと思うんですけれども、特に地方の単独事業分、これにかかわる地方債の元利償還金を地方財政計画及び地方交付税を通じて財源措置をする制度を今行っているということで、最終的には地方の財源不足は補助している、そういうことだと思うんですね。これをやはりこの際見直して、地方団体が独自の財源で対応できる仕組みをこの際つくるべきだと考えますが、これもいろいろな形での質問があろうかと思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 御指摘の点は、私も大変気持ちはわかるんです。

 ただ、今の市町村のばらつきの中で、一律に単独事業は地方債だけでやれといったら、相当できないところができてくると私は思うんですね、将来が心配ですから。そうなると、また一種の格差が、公共施設整備の格差、社会資本のストックの格差が開くんじゃなかろうかと心配しております。

 いずれにせよ、ある程度の社会資本の整備が進んだ段階で、それから市町村のある程度の合併といいますか、規模がまとまった段階でなら、委員が言われるようなことはあり得るかな、私はこう思いますけれども、今直ちに地方単独事業の交付税補てんを全部切るということになったら、大変な抵抗があるのではなかろうかと心配しております。

若松委員 これもいろいろな議員が指摘されているんですけれども、特に、投資的経費にかかわる地方財源措置ということで港湾事業がありますね。港湾事業、釣りばか何とかという映画がありましたけれども、本当に、釣りの趣味のために港湾をつくっているということがあながち当たらない批判じゃないと思います。

 この港湾事業ですけれども、最初、これは大体国費で半分負担されて、ですけれども、自治体負担なんですけれども、最終的に、先ほどの地方財政計画及び地方交付税を通じて国がかなり財源措置をしている。これについては、地方自治体も最終的に負担が自分のところに来ないからということで、一生懸命港湾事業の誘致に頑張るわけです。

 反対に、では、下水道事業という、本当に地元の住民が必要とする事業については、国の五〇%負担というのがあるんですけれども、残りの地方自治体の負担で当然受益者の負担がある、いわゆるそれぞれの自治体の住民が負担しなくちゃいけないということで、本来必要となる下水道事業の方がもっと整備されていいんですけれども、結果的に港湾事業という最終的に国の負担率が著しく高いところに偏ってしまう。

 ですから、先ほど大臣がおっしゃったように、もっと基本的なインフラが整備されてと言いながら、現実には余り市民生活に関係のないインフラばかりがよくなって、本当に重要な下水道のインフラが先ほどの仕組みによって進まない。これであってはいつまでも、三十世紀になってもしっかりした基礎的自治体はできないんじゃないか、こう思うんですけれども、それはいかがですか。

片山国務大臣 委員が言われる港湾については、事業費が割に過大になるということがあるんですね、特定の港湾で。そこで、交付税を見るのに静態的に見るか動態的に見るかというんで、動態的に算定する必要があるという議論から事業費補正という制度がとられたんですね。これについては、事業費補正を採用したときから大変な議論があったんです、本当に。交付税というのはそんな動態的なものまで見るのかな、静態的なものでいいではないか、こういう議論がありましたが、これはいろいろなところで支持があって今日まで来まして、そこで事業費だとか制度だとかいろいろなことのバランスで今の交付税の措置率が決まっております。委員の御指摘のような下水道等の比較での議論はありますよ。考え方は、下水道のうちの半分は雨水だからこれは別だ、こういう議論もあるんで、しかし、この辺は一遍整理をする必要があるんじゃないか、私は個人的に考えております。

 自治財政局長から、これは専門家でございますから、ぜひ意見があれば聞いていただきたい、こういうふうに思います。

香山政府参考人 大臣から御答弁申し上げたことで尽きておるわけでありますけれども、港湾事業につきましては、財政投資額が比較的大きいことということと、受益が地元地方団体にとどまらないということから、そういう意味で地方交付税等の措置は基本的に手厚くなっておりまして、現在、財源対策債というのが入っておりますから、わかりにくいところがありますけれども、個体で申し上げますと、地方債の元利償還費は六六%交付税で措置するという形になっております。

 一方で、下水道の方につきましては、地方債の規模に対して申し上げますと、措置率は五〇%になっておりますけれども、これは下水道事業債でカバーしている経費のうち、汚水部分については料金で回収すべきだという発想に立っているわけでありまして、雨水処理の相当分だけに着目いたしますと、交付税措置はやはり七〇%になっておりまして、この二つの比較に関してだけ申し上げますと、我々、実質的にはバランスがとれておるというふうに考えております。

 先生の御指摘は、基本的にとにかくこういう仕組みがおかしいんじゃないかということなんでありますが、我々地方団体サイドの立場に立って言わせていただきますと、いやしくも公共事業、国の長期計画に基づいて決定がなされる事業でありますから、国の責任において適正な地域配分をなされるべきでありますし、現になされておると私どもは考えておりまして、交付税の措置がそういった、投資をゆがめておると言われるのでありますと、いささか我々としては心外なところがあるというのが率直な気持ちでございます。

若松委員 やはり大臣の答弁の方が格好いいですね。ちょっと局長の答弁は削除してもいいぐらいですね。

 先ほど大臣が、まさに動態的、静態的、詳しい御説明はなされませんでしたけれども、整理する必要があるとはっきりおっしゃいました。これは今は議論しませんけれども、またいずれ、具体的にどうしていくのか、また大臣の考えを聞きたいと思いますし、局長もしっかりとこの大臣の真意をしんしゃくして、後退するような答弁は余り受けませんので、ひとつよろしくお願いいたします。

 それで次に、今度は、補正係数というのがあるわけですけれども、基準財政需要額の算定方法に補正係数を例えば人口案分とか面積案分とかそういったやり方をとりますと、例えば鳥取県ですと、平成十一年度の基準財政需要額ですと二千四十億円、こういうものがあるのですけれども、先ほどの補正を本来の姿でやりますと、一千二百五十億ということで、約七百九十億ぐらい差が出ます。基準財政需要額の方が多くなっているのです。

 反対に、では私の住んでいる埼玉ですけれども、平成十一年度の基準財政需要額が七千八百四十億に対して、先ほどの人口とか面積基準の補正をやりますと、九千七百三十億ということで、千八百九十億円ぐらいふえます。本来これだけ埼玉県としては基準財政需要額よりももらっていいのですけれども、そこら辺が地方の方にいっている。

 ここの補正係数というものを、ちょっと説明がわかりにくいと思うんですけれども、この補正係数はどうもわかりにくいので、この際、補正係数というやり方をなくしちゃって、いわゆる基準財政需要額の算定基準、算定方法で補正係数を使うとかじゃなくて、本当に人口と面積で算定するとか単純にして、思い切った簡素化をすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

遠藤副大臣 基準財政需要額の算定基準も、透明で簡素化して簡単にした方がいい、例えば人口と面積だけでやったらどうかというふうな大胆な御提案でございますけれども、確かに簡素化されればいいことはいいのですけれども、なかなか理想どおりいかない事情がございます。

 どうしてかと申しますと、地方がやっていく義務教育だとか警察、消防とか生活保護あるいは公共事業はみんな法律で決まっておりまして、地方がそれを負担しなければならない、こう義務づけられているわけですね。そういうふうに、標準的な行政水準というものを国が決めております。それが、必ずしもその地域の人口や面積に比例しておりません。したがいまして、面積や人口に比例した単純なものでやりますと、こういった法律に義務づけられている標準的な地方負担ができないという心配があるわけでございます。そこをぜひ御理解を賜りたいと思うんです。

 それから、ちょっと具体的に申し上げますと、例えば介護保険の実施に伴う経費というものを考えた場合に、給付費が単純に人口とか高齢者人口に比例するものではないのですね。これは正確には介護保険サービスの受給者の数に比例するわけでございます。したがいまして、そうしたことをきめ細かく配慮をいたしまして、補正係数で算定をさせていただいておる、こういうことでございまして、御理解を賜りたいと思います。

 ただ、おっしゃるとおり、単純にした方がいいわけでございまして、これについては今後も努力をしていきたい、こう思っております。

若松委員 私も、ただ簡単に単純にしろと言っているのじゃなくて、先ほどの補正をやることによって、いわゆる本来の人口基準とか面積基準とかという一つの数字が出るわけですけれども、それが先ほどの補正を通じた基準財政需要額と比べて、鳥取なんかですと、本来の姿よりも四割ぐらいふえている。反対に、神奈川とか北海道なんかですと四割ぐらい減っている。八〇%差があるのですよ。これはちょっと差があり過ぎじゃないのですか、どう考えても財源の配分のばらつきが大きいのじゃないですかということを言っているんです。ですから、一〇〇%理解しないと言っているのじゃなくて、それは理解します。しかし、その差が大き過ぎます。今の時代、補正係数のいわゆるプリズムを通すのじゃなくて、これはもうちょっとすっきりとさせた方がいいのじゃないかということなので、これは主張だけにさせていただきますが、同じ党内でやってもしようがないのですけれども、何か反論ですか、どうぞ。

遠藤副大臣 この背景には、地方税源の偏在というものがあるわけですね。この地方税源を中心にして確保していただければありがたいのですけれども、地方税源が大変偏在しています。

 例えば、東京と沖縄では三倍近い差があるという問題があるわけですから、大きな財源が偏在しているものですから、交付税で調整をしなければならない、こういうところがあるということも御理解いただきたいと思います。

若松委員 調整機能については私も賛成でございます。

 ただ、先ほど言いましたように、答弁する側が強いわけですので、結論は私が言わせていただきますが、補正係数が大き過ぎる、それを指摘して次の質問をさせていただきたいと思います。皆さん、そう思いますよね。(発言する者あり)はい、民主主義の勝利です。済みません、閣僚はそちら三人しかおりませんので。

 続いてシーガイア、先ほども御質問があったと思うんですけれども、これは総務大臣、ちょっとお答えください。

 やはり、バブルの崩壊でいよいよ財源も厳しくなってくる、国の措置もできなくなる。そうすると、こういったシーガイアみたいのものはどんどん出てくると思うんですね。これは氷山の一角だと思いますか。

片山国務大臣 シーガイアについては、この委員会を含めて何度も答弁させていただきましたが、基本的にシーガイアの支援はいたしません。

 ただ、シーガイアを支援している関係団体、宮崎県初め宮崎市その他、それがその絡みで大変な財政運営の困難に陥るようなことが仮にあるとすれば、そのときは総合的に考えることはある、こういうことでございまして、第三セクターは第三セクターと、それをつくられたパブリックセクターは地方団体でしょうけれども、その責任において処理すべきである、こういうふうに思っております。

若松委員 そうすると、宮崎県が万が一大変になってきた場合には、それに対して救済措置をする、そういうことですよね。だけれども、ここら辺が難しいのですよね。

 基本的に、宮崎県は宮崎県としての知事選挙もやっているし、民主主義のプロセスをとっている。では、自己責任というのを、民主主義の自己責任とどう仕切っていくかというのがこれからの課題だろうと思うんです。今、自治体につきましては、いわゆる公債費率が高くなっているところとか、公債発行の制限とか、そういった団体が幾つかあるわけですけれども、とにかく今の形は一九九〇年代にあった日本の銀行の護送船団方式、やはりこれの踏襲だと思うんです。これはこれから見直さなくちゃいけないと思うんですけれども、やはりこの問題にどうしても行き着くのですよね。

 大臣、どうでしょう、市町村合併につきましては、たしか九四年ごろ、今まで自治体はそれぞれの地域の合併については中立だったというのを、積極的に関与してくるという政策転換をいたしました。同じく、やはりそれぞれ選挙をやっているわけですから、もうちょっと日本国民にある意味で緊張を持たせるためにも、地方団体、公共団体に対しての責任を持たせる、そういう意味での、いわゆる護送船団方式を制限するといったことに踏み切るべきだと思うんです。それについてはいかがですか。

片山国務大臣 言われるとおり、このシーガイアをつくるときに当方に相談があって、事細かにということは全くないわけで、自分のいろいろなことを考えての政策展開の一環としてシーガイアをおつくりになったわけですから、私は、自己責任が当然あると思います。

 ただ、もしこれがひっくり返りますと、会社更生法の手続をとっておりますが、雇用だとか地域経済に大変な影響を与えますから、ぜひこれがそのまま残るような自己努力を今宮崎県その他にはお願いしているわけでありまして、とにかく操業をどこかほかの引き受け手を探して継続してもらう、こういうことは基本でございます。

 それから、宮崎県のかかわり合いを見ますと、出資金を七千五百万とふるさと融資を六十億しまして、残高が三十四億残っている。それからあと、補助金を振興基金を通じて二十六億五千万出している。この辺がどこまで取り返せるかだと思いますけれども、操業を続ければ、事業を継続すれば、これはかなりの分返ってくるだろうと私は思いますし、その点の心配は全くしておりません。財政的な、例えば宮崎県がどうにかなるということは心配しておりませんので、当面は宮崎県を中心にした関係者の努力を見守りたい、こういうふうに思っております。

 護送船団方式ということじゃないのですけれども、会社と違いますのは、地方団体は住民を抱えていろいろな公共的な仕事をやっているわけでありますから、もしその団体が倒産に近いようなことになるのは我々避けなければいかぬので、その場合にはいろいろな形での支援を行ってまいる、そこが会社と違うのですね。だから、そういう意味でやはり護送船団方式ではないかと言われると、そういう一面はあります。しかし、やはり自己責任ということは、これからの地方自治ではしっかりと自己決定、自己責任ということを今後の地方自治強化の大きな方針にしなきゃいかぬなと思っております。

若松委員 大臣、そういう意味で、特にアメリカなんかですと、チャプター9という、自治体が、まさにニューヨークとか、そういうのもありましたけれども、倒産して、それを国が一定額いわゆる借金を棒引きにするとか、そういった制度というのも、いわゆる地方自治体の預金保険機構みたいなものですよ、ここまでが国の責任なりにするとか、やはりこの際何か具体的に工夫すべきだと思うのですけれども、そういうお考えはおありですか。

片山国務大臣 今、法的には財政再建団体指定というのがありまして、これに、今ありませんよ、今ありませんけれども、財政再建団体指定だとか準用団体指定になりますと、簡単に言うと、国管理で地方団体の財政運営その他が決まっていく、そういうことで財政再建計画をつくってもらいまして、一定の年限で、会社更生法みたいなものですね、そういうことできちっともとに返ってもらうという仕組みはございます。これは昔は相当あったのですが、今は適用がございません。

若松委員 そうしますと、では、事前段階というのですか、私もイギリスにいたときに、ちょうど八〇年代後半に日本の邦銀、東京銀行とか当時の住友銀行等がイギリスの自治体にお金を貸そうかという時代だったのです。では、それに対して、自治体の評価はどうなのかというところの評価制度がやはり議論になったわけです。これもちょっと前回の質問でたしかやりとりしたと思うのですけれども、少なくとも三千三百の自治体とは言わないまでも、先ほど言いましたように、自己責任というのはいずれにしても流れですから、それを可能な限り前倒しで準備するという意味から、少なくとも都道府県と政令都市についてはその自治体のいわゆるマーケットのモニタリングというのですか、評価というのですか、そんな地方債の格付とか、そういうことをできる制度を導入すべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。

遠藤副大臣 地方分権の究極の姿としては、確かにそうあるべきだと思います。それには、地方が発行する地方債については後で国が交付税措置をしないということですね。全く一〇〇%地方の責任で債券を出していただく。そして、その債券の信頼度というものを市場で決定していただく、こういうことが地方分権の究極の姿ではあると思うのですね。しかし、今現在から見ますと、現在は、地方の債券、地方で出していただく地方債でございますけれども、これは後で交付税措置をするという仕組みになっておりますから、信用の低下というのはないわけでございまして、債務が不履行になったという例がありませんから、格付をする意味がない、したがって、BIS規制においてもリスクウエートはゼロである、こういうふうに評価されておるところでございます。

若松委員 時間が来たからやめますけれども、大臣も同じ考えだとすると残念なんですけれども、また質問は次回に楽しみを残しながら終わらせていただきます。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 私は、地方における県議時代を通じ、地方財政に関心を持ち、そのあり方を常々考えてまいりました。地方財政の現状を見ますと、平成四年度以降、国に協力して行ってきた景気対策による地方債の増発や、介護保険など高齢化社会への対応、情報、環境施策などの実施により、地方公共団体の歳出はますます増大しております。また一方、景気の低迷で法人関係税を中心に税収が伸び悩んでいることから、勢い地方公共団体は地方債を増発して行政需要を賄わざるを得ない状況になっております。その結果、地方の借入金残高は、平成十二年度末百八十四兆円、今国会に提出中の平成十三年度の地方財政対策を前提にすると、平成十三年度末には百八十八兆円にもなるのであります。国も苦しいのでありますが、地方の財政も大変な危機的状況なのであります。

 ただ、ここで一言申し上げたいのは、地方の借金は、決して地方公共団体が放漫財政に流れた結果ではないということであります。御案内のように、国と地方の財政は、歳入歳出ともに密接に連携しているのであります。もし国がその税収の範囲内で歳出をあがなっていれば、地方の歳出もその歳入であがなっていけるのですが、国が国債という形で借金をして地方負担を伴う事業を行おうとすると、地方も借金で財源を用意せざるを得ない状況となるのであります。したがって、地方財政の構造が悪化している主な要因は国の財政構造そのものにあるのであり、地方財政の収支改善を図るためには、まずもって国の財政構造を見直すことが必要だと考えるのであります。このことを踏まえ、地方税関係の質問に移りたいと思います。

 毎年予算を審議するに際し、地方議会においては、経済一新への対応、生活関連社会資本の整備、少子高齢社会に向けた総合的な地域福祉対策の充実等への対応など、住民ニーズを取り込んで歳出の面では非常に活発な議論が展開されてきましたが、一方、歳入の面を考えると、交付税や補助金等は国からもらえるもの、もろもろの税は住民から取れるものとの固定観念が強く、余り議論されてこなかったようにも思われます。しかしながら、地方の財政危機が深刻化し、また、地方分権一括法の施行に伴い、首長はもとより地方議会そして住民も、歳入すなわち地方税に本気で目を向けるようになってきたところであります。

 そこで最初に、地方税法改正の基本的部分をお尋ねいたします。

 まずもって、地方への財源移譲を進め、自治体がみずから税収をふやすことで、今申し上げたように、首長や議会や住民が歳入歳出についてより真剣に議論し、結果的に財政の健全化につながると私は考えますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。

片山国務大臣 言われるとおりでございまして、やはり地方がいろいろな仕事をやる、地方の存立を含めていろいろな仕事をやるのは、地方税で賄うのがベストなのですね。

 ただ、何度も言いますけれども、今の状況では経済力に地域的な差がありますから、税源だけということになると、物すごく取れるところと取れないところがありますから、地方交付税制度というのをつくっているわけであります。

 ただ、何度も先ほどから議論になりますように、国税がかなり取りやすいいい税をたくさん持っておって、それが六割ぐらいですね。四割は地方税で、これは都道府県と市町村が分けている。こういうわけでございますから、もう一度地方への税源移譲を図るための抜本的な議論をする必要があると私は思いますし、税を取るということが地方自治なのですよ、苦労して。地方交付税をもらうということよりも、地方税を取るということが地方自治でございまして、そうなれば、財政健全化の努力も今よりは真剣な議論が展開されると私は思っております。

黄川田委員 また、全国各地で自治体の新税の構想が模索されておるわけでありますが、地方税財源の充実という点では過大な期待はできないと私は思っております。むしろ、法定外普通税あるいは目的税の意義は、地方議会における税や歳入に関する議論を活性化させるという点で重要と思いますが、これについての大臣の御所見はいかがでしょうか。

片山国務大臣 地方分権一括法によりまして地方税法の一部改正を行いまして、法定外普通税は今までは許可制だったんですね、それを協議制にしましたし、法定外目的税もつくれるようにいたしました。課税自主権の強化ということです。

 そこで、現在、全国的に幾つかの法定外普通税、目的税についての動きがありまして、何県かは今、総務省の方に協議に来られております。基本的には、課税自主権を尊重するという立場で協議に応じております。ただ、税というのは、何度も言いますけれども、安定性、公平性、共通性が必要なことと、それだけ実際お金がかかるからという地域特有の財政需要がなきゃいかぬのじゃなかろうか、私はこう思っておりまして、そういうことを含めて、地方税法の要件に合うか合わないかで現在、審査し、検討中でございまして、近々に結論を出したい、こういうふうに思っております。

黄川田委員 それでは次に、地方交付税は地方にとっては欠かすことのできない大切な財源であり、地方公共団体として住民から求められている必要なサービスを行っていこうとすれば、現在の交付税の総額の安定的な確保は必要なものと考えております。

 しかし、大臣も御認識のとおり、地方交付税については、交付税特別会計が借り入れを行い、個々の地方公共団体には地方交付税という交付金で配っているために、交付税特別会計の借入金が地方の借金でありながら地方公共団体には借金の実感がないのが実態であります。

 私は、各自治体が個別に借金をしていなくても、地方全体として借金をして今の地方交付税の総額が確保されているのだという認識をもっと自治体が持つべきであろうと思っております。その上で、真の歳入構造を前提として、抜本的な行政改革など行政のスリム化あるいはまた効率化を図っていくべきではないのかと考えております。

 そこで、地方交付税法改正の基本的部分についてお尋ねいたします。

 まず、今回の地方財政対策において、地方公共団体が赤字地方債を発行する新しいスキームを実施するとのことですが、それは概略どのようなもので、また、このような制度にした理由を大臣にお伺いいたします。

片山国務大臣 黄川田委員が言われましたように、今までは、歳入の大きな不足があると、財源対策債といってできるだけ建設地方債を目いっぱい認めて充当して、残ったものが交付税特別会計が資金運用部のお金を借りてきて、だからこれはオール地方団体のオール借金なんですよ、それを借りてきて、それを配分してキャッシュをお渡ししておったんです。

 ただ、これが何度も議論が出ますように、特会の借り入れが四十兆になっている、償還をどうするんだという議論になっているわけでしょう。それから、資金運用部がなくなりましたので、お金を借りてくるところが、調達が非常に困難になってきた。民間から調達しなきゃいけません、入札か何かで。それもまた大変な話なんで、しかも、地方の方は特会に入ると自分の借金だという認識が割に薄いんです。国の方もそこはややあいまいなんですよ。

 そこで、今回は、大蔵大臣とも協議しまして、十二月ですけれども、今回我々としてはこうしたいと。すると、大蔵大臣から大変な英断だといってお褒めをいただきました。

 そこで、国と地方の責任をきちっと分けて、半分は国が一般会計でお金を調達して入れてくれ、キャッシュを。そのかわり半分については、申しわけないんですが、オール地方団体に特例地方債を出してもらって調達する、ただ、それは将来の元利償還は補てんします、そういうことではっきりいたしたわけでありまして、私は、これは前進だったな、このように思っておりまして、交付税法の六条二項はそういう制度改正をしたというふうに読んでいただきたい、こういうふうに思います。

黄川田委員 また、各自治体の意識を明確化する上で今回のスキームが提示されておるわけでありますが、平成十六年度以降は具体的にどのような対策を講じようと考えておられるのか。さきにも御質問があったわけでありますが、改めて、十六年度以降、お伺いいたします。

遠藤副大臣 平成十六年度以降は、これからまだ景気をうんとよくしていただいて、国も地方もゆとりが出てくる、こういうふうな状況の中で考えることができれば大変ありがたい、このように思っております。

黄川田委員 景気の回復という神頼みみたいなものでは、本当に心細い限りであります。

 次に、今回のスキームにより、地方公共団体は地方債を起こすことになりますが、地方債の資金面などで地方公共団体が困るようなことはないのでしょうか。例えば、財政状況による発行上の制約などはないのでしょうか。

遠藤副大臣 先ほど大臣からお話がありましたけれども、今回はスキームを変えることによりまして、今まで交付税特会から借り入れていたものが、それはそういうものではわかりにくいということもありまして、地方債を発行していただくわけでございますが、その上限は一兆四千四百八十八億円であります。これはほぼ大体県と市町村が半々ぐらいになるんじゃないかなと思っていまして、また、総額の約二分の一が、七千二百四十四億円は財政融資資金より手当てをする、このようにいたしております。

 財政融資資金というのは国が国債を発行して調達していただくものでございますから、これは比較的調達力の弱い市町村の方に優先的に配分するということになりますと、ちょうど半分ですからうまいぐあいにいくのではないかなと思っております。したがいまして、全体として地方団体の資金調達には支障がないようにしたい、このように考えているところでございます。

 それから、臨時財政対策債については、一般財源の補てん措置として発行される性格のものであるということにかんがみまして、起債制限比率が高い団体にあっても発行を制限することは考えておりません。

黄川田委員 行政も、起債許可の制限比率であるとかいろいろありますけれども、かつては、市町村あるいは県もそうなんですけれども、単年度予算の規模よりは地方債の残高が少なかったわけなんですが、いつの間にか同額になり、今現在は多分どの自治体も単年度予算よりも多い額を地方債の残高として持っておると思います。汗をかいて働いている一人一人の住民も地方の借金をどうしてくれるんだと本当に心配しておりますので、十六年度以降は景気頼みという話でありますが、そういうことのないように、堂々と具体的な政策を提示していただきたいと思います、要望であります。

 次に、昨年四月に地方分権一括法が施行されまして、ほぼ一年が経過しようとしております。教育、福祉、災害などへの対応や社会資本整備など、住民の毎日の生活に密着した行政サービスを地方公共団体がより自主的に、総合的に、かつ的確に実施するための法律上の仕組みが整えられたわけであります。全国各地で知事、市町村長、議会の議員はもちろん、地域住民の方々にも積極的に地域行政についてアイデアを出していただき、議論を闘わせて、理想的なふるさとづくりにチャレンジしていただきたいと私は思っております。そしてまた、国会議員としてもそうした取り組みを支援し、お手伝いしていかなければならないと考えております。

 そこで、地方行政全般にかかわる問題についてお尋ねいたしたいと思います。

 先ほど述べましたとおり、地方分権一括法が施行され約一年が経過いたしました。そこで、大臣は、その成果として、自治体の行政はどのように変わり、そしてまた、どのような課題が残されているとお考えか、お尋ねいたします。

片山国務大臣 地方分権一括推進法が去年の四月から施行になりまして、まだ一年はたっておりませんが、明治以来の中央集権のシステムを変更しまして、国と地方が対等、協力の関係だ、先ほども言いましたが、地方は自己決定、自己責任でやる、こういう風潮はまだ顕著でありませんけれども、次第に浸透してきているな、私はこういうふうに思いますし、先ほどの法定外普通税の一連の動きだとか、あるいは町づくり条例というので、今までにないいろいろな新しい条例を各団体が制定あるいは制定準備をいたしておりますけれども、これはやはり地方分権一括推進法の効果かな、私はこういうふうに思います。

 機関委任事務を直したり、いろいろなことをやりましたけれども、すぐ、即効的な効果は私は出ないと思いますが、私は、今言いましたような自主性の強化、自立、自己責任、こういうことのいい風潮がじわじわ出てくるのではなかろうか、こういうふうに思っております。

黄川田委員 せっかくの大臣の御所見なんですけれども、地方分権一括法が施行されたにもかかわらず、ちょっと気になる事例がありますので、御質問いたします。

 法的根拠がないのに、国が県に資料提出や調査票の取りまとめなどを要求している事例を耳にしております。地方分権一括法が施行され国の機関委任事務が廃止された後も、依然として地方が国の手足になっているようにも思われます。もちろん、地方自治法第二百四十五条が規定する国の関与の一つである資料提出要求という根拠もあるわけでありますけれども、このような事態について大臣はどのように考えておられるでしょうか。

遠藤副大臣 議員が御指摘のように、国が法律に根拠のない事務を一方的に要求しているのではないかという事例につきまして、地方公共団体から具体的な御相談がありましたら、総務省としては真剣にお聞きいたしまして関係省庁に伝えてまいる、こういうつもりでおります。

黄川田委員 私の地元の岩手県にあっても、昨年の四月から十二月までの間の九カ月間でありますが、七十六件の事例がありました。また、事例によっては、専ら国の側の必要性からのみ行われていて、県にとっても何らかの利益があるなどの合理性が見受けられないものもあります。特段の善処をよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、情報公開の進展や行政のアカウンタビリティーに対する意識が向上する中で、住民監査請求や住民訴訟の件数がふえております。そして、時代の変化に対応した監査制度の見直しが必要と考えますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。

遠藤副大臣 国の方も情報公開法をいたしているわけでございますが、このアカウンタビリティーというのは大変大事でございまして、地方の方もぜひそのように努力をしてもらいたいと常々思っているところでございます。

 最近、監査委員制度というものにつきましていろいろな要望がありまして、地方行政の公正で能率的な運営を確保するという重要な使命を果たすことが多方面から期待をされております。

 これまでも、OB職員の選任制限の強化とか監査の結果に関する報告に基づいた措置の公表など、時代の変化等に応じて数次の改正を行ってきたところでありますが、最近では、地方公共団体の組織に属さない外部の専門的な知識を有する公認会計士や弁護士等を活用する外部監査制度が導入されているところでございまして、相当の数に上っているわけでございます。

 今後とも、地方公共団体における監査の実施状況を踏まえつつ、地方公共団体の監査機能のさらなる充実に努めてまいりたい、このように総務省としては考えております。

黄川田委員 私も国会に昨年六月の選挙によって初めて来ておるわけなのですけれども、情報公開とか行政の説明責任についてはむしろ地方の方が進んでいるのではないか、こういう気がしておりまして、国も政策評価とか、後追いとは言いませんけれども、進められておりますので、どんどんやっていただきたいと思います。

 関連しまして、平成十一年に導入された外部監査制度は導入のねらいどおりの成果を上げているのかどうか。具体的に各都道府県はどういうものを外部監査として調査されておるのか、委託されておるのか。ちょっと事例があったらお教えいただきたいと思いますし、そしてまた、全国における実施状況を踏まえて大臣のその評価を伺いたいと思います。

遠藤副大臣 包括外部監査契約に基づく監査は、平成十一年度では、法律により実施が義務づけられているすべての都道府県、四十七団体ですけれども、これで行われております。また、指定都市十二団体及び中核市、当時は二十五団体ありましたが、合計、県と指定都市と中核市と合わせまして八十四団体のほか、これを任意に導入した東京都八王子市及び三重県の四日市市において着実に行われているわけでございます。

 また、個別外部監査契約に基づく監査につきましては、平成十一年度にあっては、すべての都道府県、指定都市及び中核市計八十四団体のほか、十三の市町村、合計九十七団体が条例を制定いたしまして、住民、議会または地方公共団体の長から請求があった場合に、いつでも実施できる体制を整えているところでございます。

 なお、これら九十七団体のうち、住民等からの請求等に基づき、秋田県、静岡県静岡市及び滋賀県近江八幡市の三団体において、個別外部監査契約に基づく監査が実施されているところでございます。

 制度導入後間もないことでございまして、総括的な評価を行うには難しいところもありますけれども、実際に外部監査を実施した地方公共団体では、監査に対する住民の皆さんの信頼の確保に寄与している、このように認識をしているところでございます。

黄川田委員 それでは、終わりに、都道府県の予算についてであります。

 秋田、千葉の両県は骨格予算でありますが、四十七都道府県の平成十三年度の予算案が出そろい、その概要が最近報道されております。それによると、一般会計総額は五十三兆三千九十億円で、前年度当初比一・〇%の微増であります。これを踏まえて二点お尋ねいたしたいと思います。

 まず、地方債の元利償還に充てる公債費等の義務的経費は二・六%増でありますが、公共事業などの地域活性化につながる投資的経費は減少しております。このような状況下、平成十三年度の都道府県の予算案は景気浮揚策になると考えられるのでしょうか。特色ある地域づくりなど首長の自由になる予算が少なくなり、それらがさらに地方の景気を悪くするという悪循環を心配するものでありますが、総務省の見解はいかがでしょうか。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 先般来もお答え申し上げておりますように、十三年度の地方財政計画は、地方単独事業につきましていわゆる規模是正を行ったために、見かけ上減額を来しておりますけれども、個々の地方団体の実績がこの計画額に追いついておりませんので、私どもとしては、地方団体に対して積極的な事業量の確保に努めるように要請しておるところであります。

 そういったことをお助けするために、平成十三年度の地方財政計画あるいは地方債計画においては、IT社会等の基盤整備を図る、そういった目的のための日本新生緊急基盤整備事業、これは三千億の規模でございますが、これを創設し、また臨時経済対策事業というものを昨年と同額の八千億確保する等の支援策も講じておるところであります。

 御指摘がありましたように、当初予算の計上状況、これは全都道府県でいろいろまちまちでありまして、伸び率が相当落ち込んでおるところもあります。今現在、私ども、財務調査官等を通じて各県の事情をお聞きしておりまして、補正で追加をするとか、このようなお答えをいただいているところもあります。

 地方財政の立て直しあるいは地域経済下支えのためには、景気対策に当面軸足を置いて、切れ目のない財政運営をしていただくことが必要だと考えておりまして、この点、先ほど申し上げたような制度の活用方を指導するなりして、地方団体の積極的対応を要請してまいりたいと考えておるところでございます。

黄川田委員 最近の景気動向は、改善から停滞、ないし下降局面にあると私は思います。デフレスパイラルに突入しかけているとさえ感じる昨今でありますけれども、歳入面で税収の伸びが六・一%も期待されております。前年度より企業実績の改善を見込み、法人住民税と法人事業税が二四・七%も増加をするとしております。全国的に見れば楽観的な見通しと私は思いますが、総務省の御見解はいかがでしょうか。

山名大臣政務官 各都道府県の平成十三年度当初予算における税収見込みの状況のお話でございますが、一部新聞等にも報道されたところでございます。

 御承知のように、平成十三年度の地方財政計画、さきに提示をさせていただいたわけでございますけれども、最近の経済状況あるいは国税の見積もり、税制改正の影響等、そういったものを勘案しながらその見込み額を提示いたしまして、各都道府県はその地財計画に基づいて、それを参考にしながら一定の見込み額を出しておるわけでございます。全体的にまだ正式な把握はしておりませんが、その伸び率の問題につきましては、平成十二年度当初の見積もりを極めて厳しく各都道府県が行っていた、そういう中で今回高目に出たのではないか、こういうふうに予想をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後、各都道府県、地方公共団体におきまして、それぞれの地域の経済状況を考慮しながら、さらに税収見込みを検討され、また議会において十分論議を尽くされるもの、このように考えるところでございます。

黄川田委員 大臣には、地方が元気になるように、地方分権の理念とともに具体的な政策を大いに実践されますよう希望いたしまして、私の質問を終わります。

 以上でございます。

御法川委員長 次に、春名直章君。

春名委員 日本共産党の春名直章です。

 まず、地方税のグリーン税制について聞きます。

 地方税にこのたびグリーン税制を導入しますが、自動車取得税に加えて、今回、保有税である自動車税に特例制度を導入する、こういうことになっています。今まで、保有税には特例制度は導入しないというのが公式答弁でした。考え方をお変えになったのかどうか、お答えいただきたいと思います。

片山国務大臣 これはこの委員会でございましたか、本会議でございましたか、お答え申し上げたような気がいたしますが、平成七年度改正において、それまで電気自動車等には、今御指摘のように、自動車税の特例措置を講じておりましたけれども、自動車取得税に一本化したわけであります。これは、電気自動車等の取得価格が一般の車に比べて大変高うございますので、それがこの普及を妨げている。高いことは高いですね、あの電気自動車というのは。そこで、取得時の税負担額を軽減した方が普及に効果的ではなかろうか、こういう議論がありまして、私も党の税調なんかで大分議論いたしましたが、それではそれでいこう、こういうことになったわけでございます。

 今回のグリーン税制はまた別の観点から、地域環境対策で自動車税を使おう、こういうことでございまして、実は、去年の税制改正でも大変議論があったのです。

 ただ、去年は自動車重量税を含むような大変な議論でございまして、今回は、地域環境対策に資するのだ、NOxやPMに。だから、そういう意味で非常にそれをやってほしいと。ただ、きょう何度も御議論がありますように、私どもの方は、今の地方財政だと大変厳しゅうございますから、これは税が減るようでは困りますよ、こういうことを申し上げましたら、それでは税収中立でいこう、まけるのと重く取るのと税収中立だ、こういうお話がございましたので、それでは地域環境対策に資するならば、税収中立ということを条件に税制改正をいたしたわけでございます。

春名委員 先走りして随分お答えになるものですから、考え方を変えたのかどうかだけ聞いているのです。

 つまり、それは私の質問に対して、当時の税務局長が、九七年二月二十七日に、税制としてそういうやり方ですることがより効果的な支援策になるのかどうか、いろいろな角度から検討したが、その検討を二十年の反省に立ってやってきた結果、自動車税にも特例措置を導入するということについてはしないという御答弁を、既に四年前に僕に断言しているのですよ。四年間で全部変わってしまっているのです。ですから、考え方を変えたのですねということをずばり聞いているわけですよ。変えたということでいいのですね。

片山国務大臣 私はその四年前の経緯は定かでないのですけれども、税務局長がそこにおるのですが、登録されていないから答弁できないというものですから、私が答弁しているのです。

 そういう意味では、委員が言われるように、取得税でいった方が効果的だということは、考え方を変えたのかもしれません。

春名委員 それでは、グリーン税制は新たな制度ですので、新たな税制は普通、国税と地方税が同時に、あるいは地方税がおくれて導入するというのが通常だと思うのですね。今回、先に地方税から導入されるという形になった理由は何でしょう。

片山国務大臣 今言いましたように、目的は地球温暖化対策よりも地域環境対策に焦点を当てたい、こういうのが要求した省の言いぶりなのです。それでは地方税の方がより関係があるのではなかろうかと。こういうことで、恐らく当時の自治省の税務局は、正直言いまして私は渋ったと思います。そこで税収中立ということで調整がついた、こういうことでございまして、国税の方はその前の年に大議論があって結局うまくいきませんでしたから、今回まず地方税で突破口、こういうことではないでしょうか。これは私の推測でございます。

春名委員 ちょっと推測で物を言われると困りますので、きちっと答弁してください。質問の趣旨は通告はしてありますから。いいですね。

 それで、地域対策という側面が大きいからと言われるのです。要するにNOx対策ですね。しかし、NOxを出す車というのは一つの自治体しか走っていないことはないのですよ。全国どこでも走るのです。そして、尼崎訴訟なんかがありまして、これは全部国の責任を明確にしているのですよ。だから理由にならないのですよ、地方税だけ導入するということの理由が。その点が私はどうも不思議でならない。国税だって自動車重量税があるわけだから、なぜこういう制度ができないのかということが不思議でならない。税収中立の話はいいですから、それは置いておいて、なぜ地方税だけ先にやるのか、その点、もう一回明確にきちっと答えていただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のグリーン化につきましては、先ほど大臣のお話にもありましたように、その目的が地球温暖化対策というよりは、窒素酸化物ですとか粒子状物質の削減対策に重点を置くということでございまして、また、軽課なり重課の基準についても、今の自動車の窒素酸化物なり粒子状物質の排出性能に着目して設定しているということもございます。

 また、これは政府の関係省庁からの要望もあったわけですけれども、もともと地方税についてだけぜひやってほしい、こういう御要望をいただいておりまして、私どもとしては、種々論議の上、先ほど大臣がおっしゃいましたように、これは地域環境対策が重点だということでありますので、大変厳しい財政事情ですけれども、これは税収中立ということであれば地方財政に大きな影響を与えない、こういう判断で今回のグリーン化税制を仕組んだわけでございます。

春名委員 同じ答弁を繰り返されているので全く納得できないのですが、NOxの地域対策という側面から見たって、それは国税だって同じなんですよ。なぜ地方税だけねらい撃ちなのかというのが、私は今の答弁では全くわからないということを改めて申し上げておきます。

 さらに、税収中立といって増減税中立の対策をとっていらっしゃる。それがあるから地方税に影響ないからいいかといってお認めになったという話なんですが、私、一言申し上げたいと思うのです。

 新たに重課となる対象自動車は七百五十万台です。税が重くなるのは七百五十万台です。軽課となる自動車は百六十万台です。はるかに重課となる対象自動車の方が多いわけです。税を集める方は、税収中立で、二百二十億ずつですので税収そのものに影響がないかもしれません。しかし、納税する側は重課になる方がはるかに多いわけです。重課の対象範囲を狭めるとか、あるいは負担をもう少し軽くするとか、そういうことはお考えにならなかったのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。

石井政府参考人 委員がただいま御指摘になりましたように、軽課対象と重課対象と比べますと、確かに重課対象の車の台数が多いのですけれども、ただ、今おっしゃったお話にもございましたが、重課の方はそれぞれ対象になる車は標準税率よりも一〇%重課、一方、軽課の方は、三段階に分かれておりますけれども、最も環境負荷の少ないと評価されたグループの車につきましては標準税率よりも五〇%軽減している。第二のグループが二五%軽減、それから、第三のグループが一三%軽減ということでございますので、台数から見ますと、確かに委員がおっしゃるような点はあると思いますけれども、私どもは、一方で環境に配慮する、また他方で大変厳しい地方財政にも配慮する、いろいろなことを総合勘案しますと、今回の案はそれなりに御理解いただける案ではないか、かように考えている次第でございます。

春名委員 自動車税の納入は年一回なんですね、五月の三十一日が期限で。まあ一〇%だからと言われるけれども、納税者にとっては、一回に四千円から五千円税金が重くなるのですよ。それが毎年七百五十万台あるんです。これはなかなかのものですよ。納税者の人はおっと思いませんかね。

 軽課の方は、軽課の率を高くしているんだということで、それはそうでしょう。それは結構なことです。しかし今回の特例措置は、ここで御質問しますけれども、二年間では税収中立になるのだけれども、このスキームがこのまま続いていけば、自動車の保有台数が年々増加しているわけですから、重課になる対象自動車数が年を追うごとにふえる結果になって増税になっていきます。これは特例措置で二年間ですが、当然二年後にスキームの見直しをすべきだと私は考えますが、そういうつもりはありますね。

石井政府参考人 一〇%重課ということですから、もちろん、その負担が重いかどうかということもございますが、今重課するというのは、したがって、やはり環境に悪い大きな影響を与える車については、できるだけ買いかえを促進してほしいという気持ちが入っているわけでございまして、その点は御理解いただきたいと思います。

 それからまた、二年後にどうするかという点でございますが、この点につきましては、今後二年間、今回の環境負荷の小さい車に対して軽課する、負荷の大きい車については重課をするというこのスキームを実際に実施しまして、その後の車の台数等、買いかえ促進の効果が上がったかどうかといったような点、それから環境への影響ですとか、総合的に勘案しましてまた検討していきたいと思っております。

春名委員 これは十一年、十三年で買いかえしないといかぬということで、御存じのとおり、自動車買いかえ促進税なんと言われているのですね。

 それで、見直しの話が今出たので、これは大臣、答えてください。その際、見直しをするときには、税制中立という枠だけにとらわれないで、軽課の部分を拡大することに誘導策を強めるということを検討してください。その点、お答えください。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

片山国務大臣 二年たちまして、このフレームをどうするかは十分検討させていただきます。今の御要請は御要請として承っておきます。

 それから、宮澤財務大臣が本会議で、国税に関しては何でしなかったかというと、グリーン化の要望がありませんでした、したがいまして、そういうことにはいたしておりません、こういう答弁をしております。

春名委員 要望がなかったわけじゃないのです。事実、一昨年は要望しているのですから、それは間違いだと思います。

 軽課をふやすと財源がなかなか大変になる、地方財政が大変になるという御意見もあります。これはリンクさせるわけじゃないのですけれども、今度の地方税法の改正の中に、既に決定している株式譲渡益課税の申告納税制度への一本化を二年延長するというとんでもない改正が入っているのですね。何で二年延長するのでしょうか。決定どおり実施すべきではないでしょうか、率直に思います、いかがでしょうか、地方財政のことを考えれば。

片山国務大臣 これは私も党の税調のメンバーでございまして、一本化もかなり大議論をやって決めたのですね。そうしたら株価が、委員御承知のようにこういう状況で、それについては大変強い要望があちこちからありまして、ここで税制改正という大議論をやって、とりあえず二年間は延期しよう、こういう話になったわけであります。これはこれでそういうふうに決まりましたから、やむを得ないと思いますけれども、私は、筋としては一本化が筋だ、こういうふうに思っております。

春名委員 まさに筋でありまして、十三年度から実施すると、皆さん既に決めておられるのだから。まさにその筋を通すべきだと思うのだが、もし申告納税に一本化をしていたら年間、地方税にどれくらいの収入が新たに得られたか。その想定を税務局長、教えてください。

石井政府参考人 申告分離課税に一本化できたとしますと、そのときそのときの株式市場の動向にもよりますけれども、例えば十年度ベースで推計いたしますと、大体三百億台であろうか、こういうふうに考えております。

春名委員 全国三千自治体ですから、それを割れば少ないと思われるかもしれないけれども、それでも、大変な財政の中で地方財政は三百億円の増収になるのですよ。私は、この二年延長というのは本当にめちゃくちゃだと思いますよ。

 今、片山大臣が言われたけれども、十三年度の税制改正に関する税調の答申の中にもこう書いてあります。申告に伴う事務負担感などが起こってくるから、個人投資家の株式市場離れを招くおそれがある、今まさに言った理由なんですけれども、そういう意見について、リスクを伴う株式に係る投資については、投資家みずからによる取得価額等の管理が行われていると考えられるので、投資家が所得をみずから計算して申告し、納税することが本来の所得税制のあり方と考えられます、ちゃんといいことを言っているじゃないですか。だから十三年度に実施しようということになっていたのでしょう。

 そういう議論をしているのに、なぜ二年も先延ばしするのか。本当に地方財政のことを考えたら、これはきちっとやらせると。総務省として、そういう断固とした立場で臨むべきじゃないのですか。いかがですか。

片山国務大臣 あのときはまだ総務省じゃございませんで、私も総務大臣でもなく自治大臣でもございませんでしたから、税調の一員として、税調のメンバーとして私もずっとこの問題はかかわってきたので、事情はよく私自身はわかっているんです。今回は、株価の低迷やいろいろな議論があって、また関係業界の強い要望もありましたから大議論で、もうやめてしまえという議論もあったんですよ、実は。それを、こういうことで中をおさめたというのか、中をとったわけでありまして、その辺はぜひ御理解を賜りたい。私はもう何度も筋はそうだということを言っております。

春名委員 国税庁が出している申告所得の実態の平成九年度分を見ますと、こんな状況なんですね。譲渡所得がある者の申告所得階級別区分というのが出ているんですよ。もう片山さんはよく御存じなので、また釈迦に説法かもしれませんけれども、これはどんなふうになっているかというと、申告所得階級が五千万円以上の超大金持ちの方々が全体の譲渡所得金額の七七%を占めているんですよ。その方々の一人当たりの所得金額、譲渡所得ですよ、一年間に一億一千八百八十万円もうけているんです。これが住民税を払わなくていいんですよ。こんな理不尽な話がありますか。

 一方では地方財政が本当に大変で、いろいろな新しい法定外目的税とか取って、いろいろやらなければいけないと努力をされているときに、国が一遍法律を決めているのに、二年間延長している、こういうところからも、当たり前の公平感として、申告納税制度でお金をいただく。当たり前のことじゃないですか、こんなもの。そう思いませんか、大臣。だから、今からでも遅くないので、来年度からやりましょうと、ちゃんと言ってください。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

片山国務大臣 委員のお気持ちや御主張はわかりますけれども、しかし、それはいろいろな考え方があるんで、例えば今のこの譲渡益課税は二重課税だという議論もあるでしょう。税については、いろいろな議論があるんですよ。ただ、私は、何度も言いますように、本来は一本化を決めたんですから一本化は筋だと申しておるわけでありまして、そういう筋だと私が言っていることは、今後もそういう方向で努力するということであります。

春名委員 やはりちょっと国の都合優先主義じゃないかと改めて指摘せざるを得ませんので、申し上げておきたいと思います。

 次に、地方交付税法改正問題について触れたいと思います。

 昭和五十九年度、八四年度に、今回と同様に、財源不足を交付税特別会計で補てんするという方法をやめて、財源不足が生じた場合には国の一般会計からの交付税の特例措置で補てんするという方法に変更したことがあります。昭和五十九年度です。そのときの理由を教えてください。

香山政府参考人 お答えを申し上げます。

 五十九年度におきます見直しは、新たな借り入れをやめまして、したがって、それとあわせまして、それまで特会が借り入れてきた残高のうち、国の負担分につきましては国債の方に振りかえ整理をいたしました。財源不足が生じた場合には、特例措置、これは一般会計から繰り入れをするということでありますが、これは基本的に精算を伴うものでありまして、その年度は一般会計から繰り入れをするけれども、後年度以降に地方の方から今度は逆に返す、こういう措置でありましたけれども、こういう特例措置によって賄うという方法をとったということであります。

 この方式を五十九年度に採用した理由は四つほどあるというふうに考えられておりまして、一つは、特会借り入れ方式というのが、五十三年度から国がその一部を負担するということがルール化されたのでありますけれども、これがそもそも当分の間の措置だというふうに決められておったということが一点であります。

 それから、先ほど国債残高の方に振りかえ整理をしたというふうに申し上げましたが、利子はスタート時は全額地方負担でありましたが、毎年度毎年度の地方財政対策で、その利子負担はどちらが持つかというのが非常にもめておりまして、ピーク時になりますと、利子だけで八千億円ほどに上るということで、地方財政に対する影響は極めて大きい。この機会にこれを整理しようということで、国債として振りかえ整理してしまいますと、これは当然利子の方も国が負担するということになるわけでありまして、そういう選択をした。

 それから三つ目は、当時、一九八〇年代経済社会の展望となる指針というのを定めまして、昭和六十五年度までに特例公債依存から脱却するというような国の財政再建目標が立てられまして、国、地方を通じた行財政改革をするという観点がありました。そういう意味で、借金に依存する方法というのを見直そうということになりました。

 それからもう一つ、四つ目の理由としては、前年度に比べましてこの年は地方財政が大幅に収支改善されるという見通しになりまして、財源不足が半減する、そういうことで、新たな借り入れによらなくても一般会計からの繰り入れ、加算、これは後年度精算ということでありますけれども、その措置でも補てんすることは可能な水準であった、そういうような事情もあったというふうに私どもは理解いたしております。

春名委員 るる説明をしていただきましたが、制度の中身としては、八四年度に今回と同様の措置として、財源不足を交付税特別会計で補てんするというそれまでやっていた方法はやめて、一般会計からの交付税の特例措置で補てんする、こういう方向に変わったというのは、もう同様のことなんであります。

 そこで、そのとき、八四年度の改正では、財源不足が生じた場合にはその財源不足はどう補てんされるように改正したのか、一言でいいですから。

香山政府参考人 そのときの五十九年度の対策で申し上げた方がよろしかろうと思いますが、一・五兆円ほど財源不足がございましたけれども、そのうち一・二兆円につきましては建設地方債の増発、いわゆる財源対策債を発行いたしまして、残る三千億ほどの財源不足のうち、千二百億円は償還の繰り延べをいたしまして、残る千七百六十億円について、国の一般会計から交付税特別会計の方に繰り出しを行った。ただ、これは、何回も申し上げましたように、後年度精算を伴う措置でありましたけれども、当該年度はそういう繰り入れを行ったということであります。

春名委員 いろいろなわかりにくい説明をされるのであれなんで、私は捨象して言いますけれども、要するに、いろいろな手だてを、建設あれも、それを除いて、あと財源不足の手だては全額国の一般会計から繰り入れ、金額は違いますよ、全額一般会計から繰り入れをするという制度だったんですよ、八四年度改正は。今回の改正なんですけれども、金額は確かに違うといえばそうですけれども、しかし、今回の改正は当時と大分違うんです。財源不足額の全額ではなくて、半分だけという措置になっているわけです。ですから、私は明らかに、その意味で国の責務を後退させている改正だと思います。

 なぜ八四年度改正の方法をとらなかったのか、その点を大臣にお答えいただきたいと思います。

香山政府参考人 先ほど五十九年度見直しの趣旨を申し上げましたけれども、率直に申し上げまして、五十九年度当時の財源不足は地方財政の規模に比べて相対に小さくございまして、この措置で最終的にカバーしたのは千七百億円強ということであります。

 今回の場合は、当時と比べますと、財源不足の規模が決定的に違います。ことしの対策につきましては、財源対策債をフルに発行した上で、残る財源不足が五・八兆ということになりますので、五十九年度と同じ方法でやるとすれば、五・八兆円を国の一般会計から交付税特別会計に繰り入れなくちゃいけないということになります。そういう意味で、国の財政も極めて深刻でありまして、ともかく現実問題としてこのような方策をとることはできなかったということであります。

 それで、平成十年度から十二年度までの三カ年間の間は、特会借り入れ方式におきまして償還を国、地方で折半するという考え方をとっておりましたから、この考え方を基本的に堅持いたしまして、国負担分については一般会計から、これは精算なしの繰り入れでございます。それから、地方負担分については、特例地方債の発行によって補てんするということにしたものであります。

 余り講釈を申し上げますと、おしかりを受けるかもしれませんが、五十九年度方式は、最終的に残った財源不足を一般会計から繰り入れますけれども、後年度全額地方の負担で返すという仕組みであったわけであります。今回は二分の一国が入れて、これは返さなくてもいいという意味でありますから、数字だけを見る限りは必ずしも後退したわけではないというふうに私どもは思っております。

春名委員 額は確かに、八四年当時、財源不足額がおっしゃられたように一兆五千百億円ですか、二〇〇一年度の減税補てん分を合わせて今度は十三兆円ですか、巨額であります。大きく違うわけですが、しかし、私は、その考えの根本になければならないのは、財源不足は国の責任で解決するというのが交付税法の根本的な趣旨ですから、その点でいえば、後退しているという面は否めないと思うのです。

 そこで、重大なことは、半分の補てん方法が赤字地方債で行うという手法を取り入れているということについてです。先ほどからその議論になっておりますけれども、よく出される地方交付税法の六条の三第二項の規定は、財源不足が二年連続して、普通交付税総額が不足して、三年目以降も不足する場合で、その不足額が普通交付税総額のおおむね一割程度以上になる場合に、制度の改正あるいは交付税率の引き上げを行って、財源不足を生じさせないように国が責任を持つということを規定しております。よく御存じの六条の三第二項の規定です。

 さて、六条の三第二項に当てはまるような今のような事態に対して、赤字地方債を発行して、それを制度改正と称することは一体想定されているんでしょうか。私は、この条項からいって想定されていないと考えますが、大臣の御見解を聞きたいと思います。

片山国務大臣 今お話がございました交付税法第六条の三第二項に規定する制度改正の中に、私は、今回のこの仕組みの変更は該当する、解釈として許容され得る、こういうふうに思っておりますし、赤字地方債でありますけれども、後年度その元利償還は交付税で補てんするわけでありますから、私は、この制度改正は六条の三第二項で十分読み得る、こう思っておるわけであります。

春名委員 地方の固有財源である将来の交付税財源を先食いするというようなやり方をしているわけで、それに大きな批判があるわけなので、後年度措置するからということでは納得するようなものではありません。

 そこで、一つ議事録を紹介しておきたいと思うのですが、昭和五十四年、一九七九年の三月一日、参議院地方行政委員会で当時の財政局長の森岡氏が赤字地方債の発行についてこういう答弁をしております。聞いておいてくださいね、大臣。

 六条の三第二項におきまして、引き続き著しく地方交付税の総額が足りない場合には、交付税率の引き上げを行うか、あるいは地方行政または財政に関する制度の改正を行うと、こう書いてあるわけです、このことは、結局詰めて申しますと、国が責任を持って地方の必要な財源を確保するということを示しておるわけだと考えるわけであります、したがって、赤字地方債と申しますのは、おのおのの地方団体が自前で借金をしてきて財源を調達して穴埋めするものですから、それは交付税法六条の三第二項に規定しております国が制度的に財源を保障する措置を講じなければならぬという責めを果たしたことにならない、だから、この赤字地方債の発行ということは、現在の地方税財政制度の仕組みからいえばとれない、こういうことで大蔵省の納得を得たのです、こういう御答弁をされていますよ。

 つまり、六条の三第二項の規定からいえば、制度的に財源を保障する措置を講じなければならない、赤字地方債を発行するというやり方をすると、その責めを国が果たしたことにはならない、だから、そのやり方は今の地方税財政制度の仕組みからいえばとれない、これが従来の旧自治省の見解であります。これは変わったんでしょうか。制度の趣旨はどう変わったんでしょうか。大臣、どうぞ。

香山政府参考人 地方交付税法第六条の三第二項の対応といたしましては、率直に申し上げて、赤字地方債でない方が望ましいということは一般的に我々も考えております。

 ただ、先ほどるる申し上げたような考え方によりまして、今回、国の方の責任も明確にする、それから地方財政の状況も住民や議会の方々にもよく見えるようにしよう、こういう二つの目的のもとに、しかも、国と地方の負担のルールにつきましては、十年度から十二年度までの間における補てん措置のルールを踏襲いたしまして、国、地方の折半という考え方をより明確にするという方法をとりました。

 また、一時的な財源の調達は地方債ということになりますけれども、その元利償還につきましては、後年度これは国の責任において全額償還財源を確保するという意味でありますから、償還財源のない赤字地方債とは違いますから、しかも、そのことを法律に規定するわけでありますから、私どもとしては、基本的な思想において十年度から十二年度までの対策と後退したものではないと考えておりまして、そういう意味で、交付税法六条の三第二項に規定する制度改正に該当するものと考えております。

 また、交付税法第六条の三第二項に該当する制度改正につきましては、いかなる内容の行財政制度の改正を行うべきかについては、政府に対して広い選択を許しているという内閣法制局長官の答弁もございまして、私ども、これらを総合的に踏まえまして、今回のような措置をとらせていただいたものでございまして、何とぞ御理解をいただきたいというふうに考えております。

春名委員 いろいろ説明をされて大臣をかばっていらっしゃいますけれども、制度の趣旨は本当にそれでいいのかということを、私は根源的な問題として提起をしているわけなんですよ。

 六条の三第二項というのは、二年連続して財源不足が出て、一割以上財源不足が出て、三年目も続く、そういう事態のときに制度の改正か交付税率の引き上げをやらなきゃいけないんだ、それは国の責めとしてあるんだというのがその法律の趣旨でしょう。その条項の趣旨でしょう。借金が出たら、財源不足が出たら赤字地方債でおのおの勝手にやりなさい、そんなことを、わざわざこんな事態になっているときにそれを当てはめる、制度の改正と称して当てはめる、制度の趣旨と違うでしょうと言うているのですよ。

 私は、七九年のときのこの答弁はそうだと思うし、これは誤っていると認識せざるを得ないわけですが、大臣はどうお考えでしょうか。

片山国務大臣 今まで、交付税の特会でやってきたのですよ、特会の借り入れで。私は、それが一つもいいとは思いません。

 森岡さんは、大変厳重に話をしているんです。もちろん、地方交付税率の引き上げがベストであることは、言われるとおりです。しかし、それができない、国の財政やいろいろな状況で。そのときには、今回の赤字地方債を一応起こしてもらって、後はしっかりと地方交付税で元利補てんをする、こういうことは私は六条の三第二項の制度改正の中で十分読み得る。法制局長官もそう言われたようでございますし、私は法制局長官と話してはおりませんけれども、そういう意味では、これは、私はベターな、次善の選択であった、こう思っております。

春名委員 なかなか強引なこじつけをされるものですからあれですけれども、森岡財政局長はこうも言っているのですよ。大臣も自治省の幹部の方々も、まとめて借金をするものだから地方に痛みがわからない、だから、赤字地方債で痛みをわかってもらうんだという御説明をされるので、私は非常にこれは心外なんですけれども、その当時の答弁でこう言っていますよ。

 借金の痛みを地方団体はわかっていないじゃないかという議論がございますと、いいですか、そういう問題が一つございますけれども、しかし、現在の地方税財政制度を基礎にして考えれば、やはり政府として必要な交付税はあらゆる措置を講じて制度的に確保する必要があるんだ、責任があるんだ、こういう観点から、赤字地方債は不可なんだ、ちゃんと言っていますよ。なかなか厳しい財政、そのときに、こういう発言をしていますよ。

 だから、率直に、制度の改正には当たらないと、当たらないと言うたらこれがポシャってしまうので当たらないとは言えないと思うけれども、しかし、その趣旨からは反したやり方をあなた方は今とろうとしているんだ。そこをはっきりお認めになった方がいいですよ。

遠藤副大臣 地方交付税法六条の三第二項についてどう理解をするかという話でございますが、これはまさに国の責務を言っていることは間違いない、こう思います。

 ですから、一〇〇%地方が責めを負う地方債の発行ということであれば、国の責務を果たしていないということになるわけでございますが、今回の場合は後で元利償還をするという国の責務が入っているものでございますから、このように六条の三第二項の国の責務を果たしている。したがって、この条文の許容の範囲のことを国はやっておる、このように理解をいたしております。

春名委員 後で交付税に算入するということなんですけれども、先ほど言いましたけれども、そういうやり方をおやりになることが、地方の交付税、固有財源の交付税の先食い、先取りになってしまうという批判が今本当に続いているわけで、そういう認識で当たらないと、私は非常にまずいと思いますね。

 それから、なぜ二分の一、赤字地方債で補てんさせるという仕組みにしたのか。今回は激変緩和で四分の一ですけれども、再来年からは二分の一になるわけで、なぜ二分の一なのか、なぜ三分の二じゃないのか、その点、大臣は、どういうことでしょうか。

片山国務大臣 それは昭和十年度から、この交付税特会の借り入れの償還の責任は折半しよう、これが確立したルールなんですよ、今まで国と地方の。

 それから、元利償還を交付税で補てんすることを委員は先食いだと言われるけれども、交付税はその時点時点における、ナショナルミニマムかどうかは別にして、地方の標準的な行政を維持するためには必ず総額を確保するんですよ。だから、先食いにはなるかもしれぬけれども、先食いでないかもしれぬ。場合によってはふやすということもあり得るんです、この関係で。その辺はぜひ御理解を賜りたい。そんな固定的なものじゃありません、あなたが言われるように。

御法川委員長 大臣、先ほど昭和と言いましたけれども、平成じゃないですか。

春名委員 昭和十年とさっきお話にあったのでもう一回確認します。そんな、昭和十年からですか。

片山国務大臣 平成十年です。訂正いたします。

春名委員 ちょっと確認、平成十年。

片山国務大臣 平成十年度から三カ年間。

春名委員 昭和五十二年、七七年の改正のときに、単年度措置として地方交付税の不足分を交付税特別会計借入金で補てんして、その償還時に元金の二分の一相当は国として一般会計、国が負担をすると、一九七七年。それから、七八年にも元金の二分の一を臨時地方特例交付金として特別会計に国が繰り入れをする。この昭和五十二年、五十三年度当時から二分の一という数字が出ているんですが、その当時からの考え方を踏襲しているということで認識してよろしいですか。

香山政府参考人 五十二年、五十三年ごろというのは、特会借り入れのはしりのころでありますけれども、このころは国と地方との負担の関係というのは必ずしも確立をしておりませんで、当時は、元本二分の一を持つけれども、利子をどういうふうに持つかは毎年度の折衝にゆだねる、そういうことになっておりまして、最終的には、元本は国が持つけれども、利子の方は地方が持つ、こういうふうに対応したようなケースもあります。

 最終的には、五十九年度の、先ほど御指摘がありました対策の見直しで、国、地方折半ということで、ここで利子と元本をきれいに国、地方で半分に分けるというのが一つ、一回、確立いたしました。

 今回の場合の考え方については、こういったことも踏まえつつ、さらに私ども、国と地方との税財源配分ということでよく申し上げておりますけれども、交付税まで加味をいたしました財源、国全体として税金をどう分け合っているかといいますと、おおむね国、地方が二分の一ずつになっておる。

 それから、さらに直接的には、大臣から御答弁を申し上げましたように、十年度から十二年度まで、前回ルール化しておりました交付税特別会計についての負担関係が、国、地方折半になっておった。これらの事情を勘案して、今回このような方式に踏み切らせていただいた次第でございます。

春名委員 時間が参りましたので、最後に二点申し上げて終わります。

 要するに、財源不足は全額国が負担をするという、このことがもう最大の責任なわけです。それを残念ながら放棄をされて、長年国と地方が折半するというやり方でやってきて、今日の地方財政の破綻がそこで生み出されてくる。そして、今度はもう一歩進んで、赤字地方債発行ということで、おのおのの地方団体の直接の負担にまでこれが進められる、こういう措置に今回なってきているということです。

 と同時に、今後も巨額の財源不足が予想されるわけですから、それまでの補てん方法に比べて、今回の方法は、地方負担分がすべて赤字地方債になるわけですから、財源不足の補てんのために加算される交付税は国負担分だけになるわけです。結果として、交付税総額の圧縮に進まざるを得ないということになるだろうと思うんです。今回の措置は交付税総額の圧縮に進んでいく、そういう措置にならざるを得ないということも明確に指摘をして、私の質問を終わりたいと思います。

御法川委員長 次に、重野安正君。

重野委員 質問の最後になりました。長時間の質問で大臣、副大臣、大変お疲れと思いますが、三十分間、ひとつ誠意ある答弁をお願いいたします。

 私は、社会民主党・市民連合を代表しまして、ただいま議題となっております地方税法、地方交付税法等及び公害財政特例法改正案等につきまして質問をいたします。質問の最後でありますので、重複する内容があるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

 まず第一に、地方交付税法の解釈について、これもたびたび質問がありましたが、一九七五年の後半からの地方財政の財源不足にかかわる地方交付税法六条の三第二項の解釈でありますが、この解釈については、従前のとおり、ここに書いておる内容そのものであるというふうに確認したいと思うんですが、いかがでしょうか。

香山政府参考人 六条の三第二項の解釈、先ほど春名委員の御質問にもございましたけれども、一定規模の財源不足が二年連続して生じ、三年度以降も続くというふうに見込まれる場合、その「著しく」というのは、地方財政対策を講ずる前の財源不足が法定分の普通交付税のおおむね一割程度以上になる、こういうふうに解釈をいたしておるところでございます。

重野委員 過去の赤字地方債による財源補てんについて聞きますが、過去、少なくとも一九七五年度後半以降、今日まで、年度当初の不足財源を地方財政法第五条の特例、つまり、赤字地方債で補てんした例は何回あったのでしょうか。

香山政府参考人 これまでいわゆる赤字地方債、これを発行する方法をとったのは、昭和五十一年度、財源不足を特例地方債の発行により補てんするという措置を講じたことがございます。

 また、ごく最近では、平成六年度以降、特別減税あるいは恒久的減税で地方税の減収分を補てんするための措置として、地方財政法五条の特例となる地方債によって補てんするという措置を講じさせていただいております。

 ただ、いずれも、御指摘がありました地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当する制度改正として発行することとしたわけではございません。

重野委員 そこで、改めて確認をしておきたいんですが、地方交付税法六条の三第二項、何のためにこの項が法定をされておるのかということを一度確認したいと思います。

香山政府参考人 この項は、基本的に地方財政の収支が相償うように制度改正をする、これは歳入をふやす、歳出を削る、いろいろあろうと思います、あるいは交付税率の引き上げをする、こういう形で地方の財源不足を解消する、こういうことを国に対して命じてある法律であろうというふうに考えております。

重野委員 そこで、私の理解で質問いたしますけれども、一九七六年度の財政対策と今提案をされております来年度の財政対策の相違点はどこにあるのかという点について聞きたいのです。

 一九七六年度はここに言う交付税法六条の三第二項に基づく、そういう措置ではないわけですね。その当時、我が党の大先輩であります細谷議員の質問に対して、当時の大蔵省主計官でありました現自由党幹事長の藤井さん、それから自治省の首藤財政局長の答弁は、いわゆる一九七六年度の対策は財政の異常な事態に対応するものでノーマルな姿とは考えていない、このように答弁をされておりますが、この点について確認をいたしたいと思います。

香山政府参考人 私ども、書類等を読ませていただいておりますが、当時はそのような説明がなされております。

重野委員 そうなると、この赤字地方債による補てんということは正常な姿ではない。そのノーマルな姿ではない状況を、今後三年間、本来的に言うと、交付税法六条の三第二項の適用となるべき財源不足を赤字地方債で講ずる理由は一体どういう理由なんでしょうか。

香山政府参考人 率直に申し上げまして、大臣からも御答弁がありましたけれども、赤字地方債といったようなものに依存しないで財源不足を補てんすることができれば望ましいのはもちろんでありまして、私どもは常にそれを念じておるわけでありますけれども、今回のような財政環境のもとにおきましては、交付税率の引き上げ等を行い得る財政状況にはございませんし、交付税特別会計の借入金の増大も適当と言えないという状況のもとで、さらに一方では、地域の住民や議会の皆さん方に地方財政の借金の実態をわかりやすくしていく、あるいは国の財政実態もわかりやすくする、こういうふうなことも踏まえて対策に踏み切ったわけであります。

 そういう意味で、その地方交付税法第六条の三第二項に基づく制度改正というのはどういうものが可能かというのは、その時々の財政環境に応じて、その選択肢の範囲内で選択されざるを得ないわけでありまして、そういう趣旨で今回の制度改正を行うこととさせていただいておりますので、御理解をいただきたいと存じます。

重野委員 そうなると、この地方交付税法六条の三第二項が厳然として法律として存在をしているこの国は紛れもなく法治国家であります。そうなると、どうも地方財政のジグザグ行進が始まったのかというふうに受け取れるわけですね。

 では、そういう地方交付税法六条の三第二項というのは、今の地方財政の厳しい環境の中においてはそぐわないというふうに言い切れるのですか、そうじゃないのですか。

香山政府参考人 大変難しいお尋ねでございまして、交付税法六条の三の存在そのものについてはお答えは差し控えさせていただきたいと存じますけれども、この地方交付税法第六条の三の趣旨というのは、地方財源の不足を国の責任において補てんする、こういうことを制度化しろということを言っているわけでありまして、先ほど申し上げましたように、制度改正の内容についてはその時々の財政環境の中でできるだけベター、ベストと申しますか、いい方法をとるようにするということが、これはまた政府の方に裁量として法律そのものが許しておるんだというふうに我々、考えております。

 今回の場合は、特例地方債の方と同額を国が一般会計から交付税特会に繰り入れる、これは将来、地方が返さなくていい金として繰り入れるということがセットになっておるということと、一方で、特例地方債の元利償還費の全額を後年度交付税に算入する、そのことを法律に書くということでぎりぎりの国としての責任を果たし得たものというふうに考えておりまして、そういう意味で、地方交付税法六条の三の趣旨に沿ったものというふうに我々、考えている次第でございます。

重野委員 そこで、ちょっと視点を変えて質問したいと思うんですが、この間の経過から見て、赤字地方債による補てん、そのことに対する矛盾を私は感じておるわけですね。これは失礼な言い方かもしれませんが、こういうことをせざるを得ない背景と申しますか、あるいは国の言いわけと申しますか、交付税特別会計の借入金が三十八兆円という大変な額に上っています。これ以上ふやすことはもう無理だ、これ以上借り入れをふやしてはもうだめだというのが一つ。したがって、自治体についても、そういう赤字の実態というものを、痛みを感じてもらって、自己抑制をしてもらう、こういうふうに国は考えているのじゃないかというふうに私は見たわけですね。

 そうであると、それは随分勝手ではありませんかと言いたくなるわけです。百八十八兆円の借金をしておるわけですね。その根本的な責任というものは地方にはないのではないかという立場に私は立つわけです。もしあるというのであれば、この百八十八兆という額は税収の五・三倍にもなるのですね。その返済策、どうして返していくのだという道筋を示してもらいたい、こう言いたくなるわけですが、そこについてはどのようにお考えでしょうか。

香山政府参考人 地方の借入金が増大いたしました構造的な原因というのは、これまでも御答弁申し上げましたとおり、バブル崩壊によりまして地方税収それから交付税の原資となる国庫収入が低迷を続けてきたことでございまして、これに対しまして、累次の景気対策によります公共事業追加あるいは減税実施のための借入金が加わった結果というふうに考えております。

 その責任論でありますけれども、私ども、国と地方財政は要するに車の両輪でありまして、相協調して、景気浮揚あるいは福祉の向上に取り組んでいるものでありまして、それを、国の責任か地方の責任かといったとらえ方をするのは適当ではないんではなかろうかというふうに考えておるところでございます。

 そういうことをいたしましても、いずれにしたって、百八十八兆の借金がたまったわけでありまして、先般も大臣からお答えがございましたけれども、この返済は率直に言って容易ではないと私ども、考えております。法律には、いろいろ交付税特会の借り入れ等につきまして年譜表を書いております。そういうことで、償還のスケジュールは書いておるわけでありますけれども、なかなか容易なことではないというふうに思っております。

 したがって、当面の財政運営としては、借金の返済も含めて地方財政の立て直しのために、まず景気を自律的回復に乗せないことにはどうしようもないということであります。そういうことで、景気の状況を見きわめつつ、地方税財源の拡充あるいは財政構造改革、こういったことを進めまして、できるだけ早期に地方財政の借入金の縮減が図られるように努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

重野委員 必ず景気回復待ち、これは確かにそうかもしれませんが、ちょっと、私は、何か責任逃れみたいな感じがするんですね。確かに、そういう側面が強いことは私も否定しません。だけれども、最悪の状況の中で現状をどう打開していくかということは、やはりこれは絶対に必要なことだと思うんですね。

 私は、視点を変えて、例えば、今、こういうときだ、確かに景気回復だという大きな命題があるけれども、こういうときだからこそ、今重要なことは、地方交付税法や地方財政法の基本、背骨ですね、やはりこれを崩してはならない。ここのところは踏ん張って、その基本というものをしっかり守っていかなければならぬのじゃないかということを私は強調したいんです。

 例えば、地方交付税法六条の規定、これは中央政府の地方財政に対する責任を明示しているんですね。だから、不足額の二分の一、今度の新しい仕組みですね、それを政府が、今までは見ていないけれども、今度は見たんですよ、したがって、その責任を果たしたというふうに言うべきでない。総務省としては、したけれども、しかしというその後がなければならぬ、それがやはり今欠けているような感じが私はするんですが、どうですか。

片山国務大臣 重野委員からいろいろ御意見を承りました。地方交付税法の六条の三第二項というのは、地方側が国に突きつけた盾なんですね。もし大幅な財源不足が三年も続くようなら、交付税率を上げるかほかのことを考えろ、こういうあれでございまして、私は、これは地方交付税確保、地方側にとっては大変有利な条項だ、こういうふうに思っております。今回は、まさに六条の三第二項に言うような状況なんですよ。

 本当は、自治財政局長も言うように、交付税率を上げてもらう方がいいんです、わかりやすくて。しかし、そんな状況じゃないんですね、国の財政を見たときに。当方は百八十八兆ですけれども、国の方は全部合わせると四百七十八兆なんです。しかも、赤字国債をいっぱい出している。そこで、こっちだけきれいにして、あなたの方はどんどんと赤字でいけと。これは、国と地方の財政は、もう重野委員、釈迦に説法ですが、運命共同体ですよね。裏表みたいになっているんです、いい悪いは別ですよ。

 しかし、そういうことになっているときに、そういうわけにはこの状況ではいかない。それじゃ次善の策で、次善か三善か知りませんけれども、その策として赤字地方債を出して、もうお金の調達も難しいんだから、国には、これは無理してでも一般会計で元利の半分はきちっと入れろと。こっちは赤字地方債でとりあえず資金調達する、しかし、後年度地方交付税できっちりそれは補てんする。地方交付税の総量をどうするかは、重野委員御承知のように、毎年度毎年度の地方財政計画での議論ですから、地方財政計画で穴があけば、それはどんな形でも地方交付税を我々は確保します、そういう意味で、こういう制度をやむなくとったわけであります。

 これがノーマルかというと、私はノーマルでないかもしれぬと思う。ただ、制度改正をやることによってノーマルにするわけでありまして、そこの御事情はもう十分御承知の上での御質問だと思いますけれども、ぜひ御理解を賜りたい。

 大臣折衝をやったときは大蔵省でございましたが、それは相当大蔵省も何か深刻でございまして、そこでの話し合いの結果、大臣折衝でこういう方式をとろう、こういうことが決まったわけでございますから、事情は十分の御理解を賜りたい、こういうふうに思います。

重野委員 では、それ以上言いません。

 次に、これも私は何だかだまされていると言ったら悪いんですけれども、例えば、交付税特別会計の借入金の問題です。いわゆる交付税特会の借入金も、これ以上もうふやしちゃならぬ、それはわかるんです。そうはいっても、赤字地方債の元利償還分、これは後年度交付税の基準財政需要額に算入するわけですね。そういう答弁ですね。そうすると、結果として、交付税特会の借入金総額の抑制とはならない、後年度負担、そこのところはどのように理解したらいいんですか。

香山政府参考人 御指摘がありましたように、今回の方式の切りかえは、率直に申し上げますと、借金の形を変えただけでありますから、ことしの状態について言いますと、地方財政全体の借入金残高を抑制するということにはなりません。

 ただ、繰り返し御説明してまいりましたように、今回は、地方団体が借金に依存しているということを議会や住民の皆様に明らかにするということに一つのねらいがあるわけでありまして、そういうことによって、地方団体レベルで経費支出の効率化だとか重点化への理解が深まり、地方財政の健全化に向けた取り組みが強まるんではなかろうか、そういうことが将来の地方財政全体の借入金の抑制につながっていく、こういうふうに考えておる次第であります。

 この元利償還金を入れることに関して、明年度以降の対策につきましては、これは当然ことしの方式を続けるわけでありますから、特会借り入れを当面追加するということは考えておらないわけであります。その一方で、景気の回復、そういったものを期待しながら、全体としての借金依存が少しでも縮小していくように努力をしていくという意味でございます。

重野委員 地方自治体も、言われるまでもなく、どこも年間予算を上回る借金をしている、もうその認識は持っていますよ。後は答えぬでいいですが、そこは地方自治体も、本当に四苦八苦、もう十分にわかっていますから、そこら辺はあえて付言しておきたいと思います。

 次に、単位費用と省令について伺います。

 改正案では、赤字地方債分一兆四千四百億円を除いた額で単位費用が法定化されているということです。ところが、地方財政法附則三十三条の五の二によって、「総務省令で定める方法により算定した額の範囲内で、地方債を起こすことができる。」となっています。これではこの交付税法に定める単位費用では、基準財政需要額がわからない。本来、交付税で配分されるべき金額が地方債で後払いされるこの改正案の仕組みでは、問題があると思うんですね。これについての説明をお願いします。

香山政府参考人 単位費用そのものが行政水準をストレートにあらわす方が望ましいというのは、私どもはおっしゃるとおりだと思います。

 ただ、ちょっと条文を読むような形で大変恐縮なんでございますけれども、地方交付税法の二条で単位費用というのはどういうふうに定義しているかと申しますと、標準的な水準の経費を基準として、補助金、負担金、その他それらに類する収入を除いて算定するのが単位費用だということでありまして、要するに、歳出の水準全体そのものを示すものではなくて、標準的な歳出のうち一般財源で措置すべきものだけを示すというのが、技術的な意味における単位費用でございます。

 そういう意味で言うと、私ども、望ましい姿とは思っておりませんけれども、今回、地方交付税の中で臨時財政対策債に振りかえる部分につきましては、これは明年度以降交付税により元利償還費を算入するけれども、今年度においては、一般財源として地方団体に措置する必要がないものでありますので、この分は単位費用から除かせていただくというわけであります。

 ただ、とは申しましても、例えば、社会福祉でありますとか、小中学校費でありますとか、こういう個別の行政項目にこのような方法をとりますのは避けた方がいいと我々も考えておりまして、その他諸費でありますとか、その他土木でありますとか、そういう行政水準というのがストレートに必ずしも出てこないような、そういう包括的な費目の方の需要を除くということで、私どもは検討いたしたいと考えております。

重野委員 これに関連して、話が前後して恐縮ですが、三十三条の五の二の平成十三年度から平成十五年度までという三年間、これはどういう意味を持つんですか。

香山政府参考人 今回の法律は、あくまで地方交付税法六条の三の二項の制度改正として行うものでありますから、ある程度の期間を持った安定的なものである必要があるということです。

 それから一方で、これは固定してしまうというわけにはいきませんので、景気の回復状況等を見る必要がありますから、しかるべき時期には見直すべきであろう、余り長ければいいというものでもない。

 それから、平成十年度から十二年度までの前回の六条の三第二項に基づく制度改正というのを三年間の制度としてやったというようなことを踏まえまして、暮れの大蔵大臣と当時の自治大臣との折衝において、とにかく三年間ということでとりあえずスタートして様子を見ようということになったものでございます。

重野委員 では、次に進みます。

 次に、地方財政運営に当たって地方債をもって財源としてはならない、これが地方財政法五条で明示されているわけですね。地方債否定主義に立ちながら、しかし、建設事業については起債を認める、これは五条の規定そのものが、そういう筋からいくと、本来矛盾していると私は思うんです。にもかかわらず、今回の財政対策ではさらに裏返しして財源補てん策とする、ここのところはちょっと問題があるのではないかと私は思うんです。地方財政対策では否定されているものが、今度はここでは語られる。地方財政法の重要な規定についてこういう御都合主義がまかり通っていいものか、こういうふうな私の思いがあるんですが、そこら辺についての答弁をお願いします。

香山政府参考人 先ほどからお答えいたしておりますように、私ども、赤字地方債が望ましいものとは思っていないわけでありますけれども、国、地方を通じまして大変な財政難にあるという状況のもとで、恒久的な制度改正を行うことは現実問題として難しいということで、国として、それでは財源補てんの責任をどういうふうに果たせるかということになってこの方式をとり、要するに、元利償還費は明年度以降措置をいたしますから、いわゆる償還の当てがない赤字地方債とは違う、これをそういう意味で一つの歯どめといたしまして、地方財政法五条の特例を定めた上で今回の方式を導入することにした次第でございまして、その点につきまして御理解を賜りたいと存じます。

重野委員 以上で終わりますが、いずれにいたしましても、地方財政はまことに厳しい状況にある。厳しい状況にあるけれども、やはり基本的な背骨は曲げてはならぬ、便宜的なことをやってそれが基本になるというおそれなきにしもあらず、そういう点は十分に配慮して財政運営をやっていただきたい。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次回は、来る三月一日木曜日午前九時理事会、午前九時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時五分散会




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