衆議院

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第7号 平成13年3月15日(木曜日)

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平成十三年三月十五日(木曜日)

    午後三時四十一分開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 荒井  聰君 理事 田並 胤明君

   理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      河野 太郎君    左藤  章君

      佐田玄一郎君    阪上 善秀君

      七条  明君    滝   実君

      橘 康太郎君    野中 広務君

      林 省之介君    菱田 嘉明君

      平井 卓也君    宮路 和明君

      伊藤 忠治君    大出  彰君

      大谷 信盛君    玄葉光一郎君

      武正 公一君    中村 哲治君

      松原  仁君    山井 和則君

      山村  健君    高木 陽介君

      山名 靖英君    佐藤 公治君

      春名 直章君    矢島 恒夫君

      重野 安正君    横光 克彦君

      野田  毅君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務大臣政務官      滝   実君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 衞藤 英達君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 大坪 正彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議

   官)           三沢  孝君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  堤  修三君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  谷  洋一君     林 省之介君

  山本 公一君     七条  明君

  山村  健君     大谷 信盛君

同日

 辞任         補欠選任

  七条  明君     山本 公一君

  林 省之介君     谷  洋一君

  大谷 信盛君     山村  健君

    ―――――――――――――

三月七日

 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)




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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

    ―――――――――――――

 恩給法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、最近の経済情勢等にかんがみ、普通恩給及び扶助料の最低保障額の一部の引き上げ等を行うことにより、恩給受給者に対する処遇の改善を図ろうとするものであります。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 この法律案による措置の第一点は、傷病者遺族特別年金、実在職年六年未満の者に係る普通恩給及び普通扶助料の最低保障額の増額であります。

 これは、低額恩給の改善を図るため、平成十三年四月分から、傷病者遺族特別年金については二千五百円増額して四十万二千円に、また、実在職年六年未満の者に係る普通恩給及び普通扶助料の最低保障額については各千円増額して、それぞれ五十六万七千四百円、三十九万九千円に引き上げようとするものであります。

 第二点は、遺族加算の年額の増額であります。

 これは、戦没者遺族等に対する処遇の改善を図るため、遺族加算の年額について、平成十三年四月分から、公務関係扶助料に係るものにあっては三千円増額して十四万五千二百円に、傷病者遺族特別年金に係るものにあっては二千四百円増額して九万六千三百十円に、それぞれ引き上げようとするものであります。

 第三点は、扶養加給の増額であります。

 これは、平成十二年度における公務員給与の扶養手当の改善に準じ、傷病恩給及び公務関係扶助料を受ける者に、未成年の子、父母等の扶養家族または扶養遺族があるとき、二人までは一人につき六千円増額して七万二千円に、三人目以降については一人につき一万二千円増額して三万六千円に、それぞれ引き上げようとするものであります。

 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官衞藤英達君、総務省人事・恩給局長大坪正彦君、厚生労働省大臣官房審議官三沢孝君及び厚生労働省老健局長堤修三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

山井委員 質問に先立ちまして、先日、文芸春秋を私、読ませていただきましたら、片山大臣と宮崎緑さんの対談が出ておりました。その中に、これからの地方分権のあり方やIT基本法の問題、そして放送のデジタル化、また郵便局の今後のあり方について書いてあります。非常に、大臣の思いがわかりやすく私も理解できました。

 それでは、きょうのこの法案であります恩給法等の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、この法案については賛成であるという私の立場を述べさせていただいた上で、質問をさせていただきます。

 この法案趣旨の最初に、「経済情勢等にかんがみ、」というふうなことが書いてあるのですが、これはどのような経済情勢を指すのでしょうか。

 なぜこのようなことを聞くかといいますと、消費者物価も低下する中で、ほかの年金は据え置きになっております。恩給のベースアップがない中で、なぜ普通恩給及び扶助料の最低保障額の一部を引き上げるのか、その趣旨をお答えいただきたいと思います。

片山国務大臣 今お話がございました恩給の改善につきましては、恩給が国家補償的な性格を持つという特殊性がまず一つありますが、その特殊性を考慮しながら、公務員給与の改定や物価の動向など、そういうもろもろの状況の総合勘案、こういうことでございまして、今回私どもが大変心配しましたのは、平成十二年度は公務員給与の改定が見送られた、物価がマイナスである、こういうことの中で、公的年金をどうされるのかな、こういうふうに考えておりましたが、結局、最終的には、年金額の引き下げは行わない、据え置く、こういうことにいたしましたので、我々も、少なくとも恩給年額は据え置いてもらえる、こういうことで強く折衝をいたしまして、予算折衝の結果、そういうことになったわけであります。

 ただ、恩給制度の中でも最も低額な恩給である戦没者の遺族等に対して給付されます遺族加算などにつきましては、やはり冒頭に言いましたように、恩給の国家補償的な性格ということを重視いたしまして、これは少なくともその処遇の改善を図るということから、また関係者の方の強い要望等がありますので、ぜひお願いする、こういうことで、最終的には、大臣折衝の結果、恩給制度内のバランスにも配慮しながら、現下の財政状況の中ではこのくらいと、こういうことで妥結したわけでありまして、我々としてはこれはやむを得なかったな、こういうふうに思っております。

山井委員 そういう意味では、格差の是正、底上げというふうに理解させていただきたいと思います。

 さて、今百四十五万三千人の方、そして平均年齢八十一歳の方が恩給を受けておられます。

 例えば、私もこの旧軍人普通恩給受給者の生活状況調査報告書というのを今回読ませていただきました。少し私が感じたところをかいつまんで申し上げますと、例えば旧軍人普通恩給受給者の場合、平均年齢八十二歳で、平均収入が恩給と公的年金、これは国民年金や共済年金、厚生年金ですけれども、平均年額が七十七万円、それで七一%の方が病院に通院しておられる。そういう意味では、八十歳というと、もうほとんど平均寿命にも達しておられるわけです。それで、五%が既に入院をしておられるという実態です。また、一二%の方が介護を受けておられます。また、旧軍人公務扶助料の受給者、すなわち、遺族の調査でも、健康であるという方は一二%しかなくて、余り健康とは言えないが五九%、病気で一日じゅう寝込んでいるという人も一〇%おられるわけです。今少しだけ言わせてもらいましたが、このような今の受給者全体の状況について、どのように認識あるいは把握しておられますでしょうか。

遠藤副大臣 お答えをいたします。

 恩給の受給者の生活状況につきましては、今お話がありましたように、昭和五十一年度以降、毎年度、順次、恩給の種類別に、家族の構成であるとか就業状況、世帯の年収、家計に占める恩給の役割、公的年金の受給状況あるいは健康状態、また受給者の意見とか要望等につきまして調査を行いまして、その把握をしているところです。

 最近の調査の結果を概観いたしますと、まず第一点としては、恩給を主たる収入としている者、その方は、増加恩給受給者、これは公務で重度の障害を残された方ですけれども、この方々の中では特に多く、大体約六割の方が主な収入を恩給に頼っているということでございます。また、文官の普通恩給や普通扶助料とか旧軍人の傷病年金等の受給者については、約三割の方が主な収入を恩給に頼っているということでございます。

 それから、公的年金の受給状況については、旧軍人の普通恩給や普通扶助料、傷病年金受給者について公的年金を受給している者の割合が約八割から九割程度となっておりますが、一方、旧軍人の公務扶助料受給者は六割を切るといった状態になっています。

 また、受給者の意見とか要望を聞きますと、いずれの調査におきましても、恩給があることについて感謝をしているという声が強いと同時に、恩給の増額を求める要望が大変多い。特に、低額の恩給の皆さんの中にそういう声が多いということでございまして、今回も、第二次折衝でそこの部分は増額させていただいたということでございます。

山井委員 資料では、恩給受給者が非常に高齢化しているということが見てとれます。今、遠藤副大臣がおっしゃいましたように、この調査の中でも、要望のトップが恩給の増額、これはある意味で当然なんですが、それに続いて手続の簡素化、手続の広報の充実、また裁定に対する疑問や不満、相談窓口の充実というようなことが出ておりますので、ぜひともこれらの要望についても対応していただきたいと思います。

 それで、病院にかかっておられる方やホームヘルパーにかかっている方が非常にふえている。恩給以外のサービスについて厚生労働省に聞いてみたところ、戦傷病者の特別援護法により、まず公費負担で傷痍軍人には無料で医療を行っているなどという取り組みがあるということなんですが、これからますます受給者が高齢化していくというふうに思うんです。総務省としては、このようなお金の問題だけじゃなくて、非常に弱っていかれる恩給受給者に対して、どのように対応されようとしているのか、御答弁をお願いします。

遠藤副大臣 お尋ねのように、平成十二年三月現在におきまして、恩給の受給者の平均年齢が八十一歳ということで、今後もその年齢が上がるだろうと予測されるわけでございます。こういう高齢化に対して、大体三十万人ぐらいの方々からいろいろな御相談がございますけれども、それに対して専門的にお答えができる相談室を設けて、恩給に関する幅広い知識とか経験を有する職員を配置いたしまして、親切丁寧に受給者の立場に立って御相談に応じているということです。

 あるいはまた、恩給の受給者に対する通知書等につきましても、できるだけ文字を大きくしたり、わかりやすい文章にしたりいたしまして、御高齢の方にも十分に理解をしていただけるように配慮をしているところでございます。

 あるいは、恩給の受給者のみならず、受給者の相談相手になっております近親者の方々、御家族の皆さんとかそういう方々にも御理解をいただけるように努力をしておりまして、より一層相談業務を充実しながら丁寧に対応していきたい、このように思っております。

山井委員 高齢化しておられますし、遺族の方もまた高齢化しておられますので、その辺の対応をよろしくお願いいたします。

 それで、今後の恩給受給の見通しについて、次にお伺いしたいと思います。

 現在は、先ほども述べましたように、百四十五万三千人なんですが、聞くところによりますと、二〇一〇年、九年後には百万人を割るんではないかということも聞いたんですが、対象者数や金額について、長期的にはどのような見通しを持っておられるのか、お伺いしたいと思います。

遠藤副大臣 恩給の受給者の将来推計ということでございますが、これは、恩給受給者の失権による減少というものをどのように見込むかというのはなかなか推定困難なんですけれども、仮に、平成十三年度予算において見込んだ人数が百四十五万人おりますので、それを基礎にいたしまして、厚生省が作成しております平成十一年簡易生命表の年齢別死亡率等を用いて機械的に計算をいたしますと、十年後の平成二十三年度には約八十四万人になるだろう。これは、対十三年度比五七・九%です。それから、十五年後、平成二十八年度には約四十七万人になるだろう。これは、対十三年度比三二・一%でございます。

 その後はどうなるかということでございますけれども、推計に不確定なものがかなりありますし、個別の、例えば婚姻だとか養子だとかいう要素がございますものですから、ゼロになるのはいつかというと、確定はできないわけでございますけれども、おおむね、三十年後の平成四十三年度にはかなりの少人数になるだろう、このように見込まれるところでございます。

山井委員 こればかりは、減っていくというのは仕方がないことなんですけれども、こういうことに関して、ある意味ではほかの年金と統合してはどうかというような意見もあるわけです。今後、選択肢の一つとして御検討いただければと思います。

 次に、ちょっと変わりまして、在日韓国人などへの弔慰金についてお伺いしたいと思います。

 まず、外国の例なんですが、恩給について、第二次世界大戦で戦ったほかの国は、国籍のない人に対してどのように扱っているのか、このことについてお伺いをしたいと思います。

滝大臣政務官 外国における扱いの問題でございますけれども、まず、文官と軍人それぞれが、そもそも国籍を要件としているかどうかという問題と、それから今度は、実際に発生して恩給を受け取った後、国籍が変わった場合にどうなるのかというようないろいろな問題があるわけでございますから、一概には言えないと思いますけれども、アメリカとかイギリス、そういうようなところでは、概して国籍の要件を外しているようなケースが多分にある。

 それに対して、例えばドイツ、フランス、イタリー、いわばヨーロッパの大陸系の場合には国籍を恩給の条件にしている、そういうようなことが見受けられるのではないかというふうに思っております。

山井委員 一九八二年の外務省の調査というのをちょっと見てみたら、アメリカ、イギリス、フランス、イタリアなどは国籍条項がなく、国籍にかかわらず同等に扱っているというように書いてありました。

 日本でなぜそうできないのか、そもそもなぜ日本に国籍条項を設けたのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。

滝大臣政務官 日本の場合には、おっしゃいますように、恩給法の九条で、国籍を失ったときは恩給受給権を失うということを規定いたしておるわけでございまして、この規定は、大正十二年に現在の恩給法の制定以来、そういう条件がつけられているわけでございます。

 したがって、そういう意味では、日本の場合には、公務員の年金制度として、十二年からの公務員制度そのものに対する考え方、そういうことが基本的な約束事として一貫して維持されてきたということに由来するというふうに思っております。

山井委員 このあたりの不公平だという議論については、過去に議員立法のときに議論されたのかと思いますが、在日韓国人などの方の中には、甚だ今の弔慰金というのは不十分だという声が非常に強いと聞いております。

 それについて、この四月一日から在日韓国人旧軍人軍属戦没者遺族などに対する立法措置が施行されるわけですけれども、まず、その額についてお伺いしたいと思います。例えば戦没者遺族への弔慰金が二百六十万円ということですが、これについて、その根拠を知りたいと思います。

滝大臣政務官 御指摘のように、この四月から平和条約国籍離脱者ということで、在日韓国人につきまして新たに弔慰金を支給することになるわけでございますけれども、その金額が、おっしゃいますように、戦没者等の遺族に対しましては二百六十万、こういうふうに規定いたしているわけでございます。

 その根拠でございますけれども、これに先立ちまして、実は昭和六十三年に台湾の方々に対して同じように弔慰金法における弔慰金というものをお出ししたわけでございますけれども、そのときの金額が二百万円であった、こういうことをベースにいたしまして、以後、六十三年から今日までの恩給の改定率、それを台湾の場合の二百万円に掛けまして、今回二百六十万円とさせていただいたというのが根拠でございます。

山井委員 この一時金という形に対して、同じように戦場で戦ったのに、国籍の違いにより、なぜ恩給でなく弔慰金なのかという批判があると聞いていますし、また、二百六十万円という額で十分だとは思えません。このことに関して、こういう不十分な形だったら受け取らないというようなケースは出てくるのでしょうか。そのことと、あと、しかし、このような制度が四月一日からスタートする以上は漏れのないように給付してほしいと思いますが、この立法措置、四月一日からについての準備状況についてお答えいただきたいと思います。

滝大臣政務官 御心配の点は、一つは、二百六十万円程度であれば受け取らないという方が出てくるのじゃなかろうか、こういうような御懸念でございますけれども、私どもとしては、これは議員立法として長年の懸案を解決した、あくまでも弔慰金、そういうようなことで立法化いたしたわけでございますので、多くの方に恐らく弔慰金を受け取っていただく、そういうようなことを期待されていると存じますし、私どももそういう意味でできるだけ幅広くPRもさせていただきたい、こういうふうに思っているわけでございます。

 そこで、実際の窓口は市町村がおやりいただくわけでございますので、昨年の秋、そして、この年明けて二月にも打合会をやっておりまして、とにかく、これから四月一日以降の業務開始に先立ちまして十分なPRをまず行う、こういうことでございまして、本日も、日刊紙にもそのPRの広告を掲載させていただいているような状況でございます。

山井委員 ちなみに、この特別立法措置の対象者は大体何人ぐらいと推定をされておられますでしょうか。

滝大臣政務官 対象者の数字は、なかなか正確にはつかみかねるところがあるのでございますけれども、今までの朝鮮半島出身者の軍人軍属の数あるいは戦没者の数、台湾の方々の場合の弔慰金の支給実績、そういうことから推計いたしますと、大体二千人から三千人ぐらい、大変粗い推計でございますけれども、そのような数字を一応推計しているような状況でございます。

山井委員 今おっしゃったように、戦争で戦った韓国人などの方が二十四万人、永住の在日韓国人などが約五十二万人、その中で何人がこの資格者かというのはなかなかわかりにくいと思うんです。

 そこで、そもそもこの弔慰金の申請の窓口は市町村なわけですが、やはり申請漏れがないように、特に在日韓国人などの方々への広報というのは充実する必要があると思うんですが、どのようにそのあたり、心がけておられますでしょうか。

滝大臣政務官 基本的には、御高齢の方が多いという前提に立ちまして、とにかくできるだけ親切、懇切に対応させていただくということが基本だというふうに考えております。

 そしてまた、言葉の問題もあろうかと存じますので、そういう面で、パンフレット等にも、言葉の違いと申しますか、日本語以外にもハングル文字でパンフレットをつくるとか、そういうようなきめ細かさが必要だということで準備をさせていただいているような状況でございます。

山井委員 ここの「弔慰金等の請求手続など」という資料を読ませていただきますと、公務等で死亡した場合の書類、すごく数が多いのですね。「弔慰金等請求書」「他の法令による給付に関する申立書」「弔慰金等受取金融機関に関する届」「公務傷病等により死亡したことを認めることができる書類」「外国人登録証明書の写し」「先順位者がいない旨の申立書」など、これは、それぞれすべてが必要なわけではないのですけれども、非常に申請書類が多いということで、先ほども話がありましたが、高齢で、かつ在日韓国人などの方なわけですから、こういう行政手続というので非常に混乱あるいは苦労をされると思います。

 先ほどの要望書の中でも、ただでさえ手続が非常にわかりにくいということがありましたので、このあたり、そういうことで、受け取る権利があるのに受け取りづらくなってしまうということはないようにしていただきたいと思います。

 特に、御高齢になってきて、御自分で歩いて申請ができないというようなケースはどうなりますでしょうか。

滝大臣政務官 当然そういうことも予想されるわけでございます。市町村の窓口におきましては、本人が病弱な場合にはできるだけ御家族を通じて手続が十分にできますように、そういうようなことで対応させていただくということを考えておるようなことでございます。

山井委員 御本人さんが亡くなられた後、どうしたら御遺族が受け取れるかということについて、わかりにくいというようなことがあると思いますので、その相談の窓口もまたきっちりと充実していただければと思います。

 それで、少し話は変わるかもしれませんが、在日の韓国人などの方も非常に高齢化をされてこられました。

 私、昔、京都の老人ホームで実習をさせてもらったことがあるのですが、何カ所かで実習させていただいて感じましたのが、五十人の特別養護老人ホームでしたら、京都の場合、必ずお一人かお二人ぐらい、金さんなどという名字で在日の方がおられるわけですね。それで、高齢になると、痴呆でなくとも、日本に来て覚えた日本語を忘れてしまって、もう母国語しかしゃべれなくなるというケース、あるいは、そういう言葉だけではなく、実際、食べ物も、日本料理よりもキムチなどの自分の国の食べ物が恋しくなるというようなケースも出てくると思います。

 私、非常に心が痛みましたのは、日本語もしゃべれなくなる、はっきり言って、文化も多少違うという中で、五十人の特別養護老人ホームで、ある意味で差別をされて、ただでさえ苦しい、つらい人生を送ってこられた在日のお年寄りの方が、安心できるついの住まいであるはずの老人ホームに入って、またそこで差別をされて、仲間もいずに、非常につらい日々を送っていられる。母国の言葉を話されたら、老人ホームの寮母さんも何をしゃべっていられるかもわからないわけですよね。そういうことを非常に私、戦争という一つのことに端を発する問題でもありますので、心が痛んだのです。

 そんなこともあって、私、在日の韓国人などの方から、そういう方々専用の特別養護老人ホームや、あるいはもっと小規模の、七、八人のグループホームなどが必要だ、そんな要望も受けているわけなんですが、特別立法以外にこのような介護サービスとしての在日韓国人などの方々への対応を何かお考えでしょうか。

堤政府参考人 介護保険制度におきましては、日本国籍の有無にかかわりませず、国内に住所があるということであれば、平等に制度の適用があるわけでございます。したがいまして、在日韓国人の方々につきましても、特別養護老人ホームを初め、介護保険制度の各種のサービスを利用していただけるわけであります。例えば、特別養護老人ホーム等におきましては、正当な理由なく入所希望者の入所を拒否するということはできない、例えば、特定の外国人のみを対象としておりますから、あなたはだめですと、その他の方々についての入所を拒否するということは認められないという建前になっております。

 ただ、そうはいいましても、実態としていろいろ見てみますと、各施設のサービスあるいは食事の内容等につきまして、入所者のニーズとか、それまでの生活実態に応じていろいろと工夫をされている例は多うございまして、例えば在日韓国人の方々の多い地域では、実態として、施設の中で韓国人向けの環境づくりとか食事の提供といったようなことも行われている例もございます。

 介護保健施設の運営基準の中でも、入所者の意思及び人格を尊重して、常にその者の立場に立ってサービスを提供するよう努めるとか、あるいは、食事の提供は、栄養並びに入所者の身体の状況及び嗜好を考慮したものとするといったようなことを決めておりまして、そういうふうな規定を踏まえて、入所者の実態に応じて、それにふさわしいサービスを提供されていくということは適切なことではないかと考えております。

山井委員 今お答えがありましたように、確かに特定の人を排除するとかいうことは介護保険の中でも難しいかとは思うのですが、年をとればとるほど、母国の言葉や母国の文化、母国の食べ物が恋しくなるということも御理解いただけると思います。

 私がなぜこのようなことを言うかといいますと、私も昔、いろいろな外国の老人ホームでボランティアをして回ったことがあったのですけれども、非常に考えさせられたのが、外国人労働者や移民として来られた方が今、高齢化している。だから、例えばイギリスやスウェーデンでも外国人向けの老人ホームがあったり、グループホームがあったり、あるいは一番わかりやすい例ですと、アメリカのロサンゼルスには日系人向けの敬老ナーシングホームとか、日本人の高齢者向けの老人ホームがあるわけなんですね。

 二十一世紀、国際社会であり、高齢社会になっていきます。また、本当に在日の方々にとっては戦争で傷ついた心というのはまだまだ残っていると思いますので、そのあたり、介護保険という見地だけではなく、国家補償という見地から御配慮をいただければと思います。

 そこで、もう一つお伺いしたいのですけれども、老人ホームだけではなくて、在日韓国人などの御高齢の方が在宅で暮らされるケースもふえてくると思います。そういうときに、例えば韓国の言葉がしゃべれるホームヘルパーさんとか、これは韓国に限らず、日系ブラジル人の方の御高齢の方も、呼び寄せの問題とかで、もしかしたら出てくるかと思うのですけれども、国際化に対応した、外国語がしゃべれるホームヘルパーさんがそこの家に行くというようなことも二十一世紀には必要になってくると思うのですが、そのあたりについての取り組みはいかがでしょうか。

堤政府参考人 サービスを利用する方は当然でございますし、もちろん、サービスを提供される側の方々についても、何人であってはいけないとか、そういうことはもちろんございません。ただ、例えば今のホームヘルパーの養成のカリキュラムの中に韓国語が入っているというわけではございませんけれども、できるだけ使っていただきますように、私どもも、介護保険のパンフレットを中国語、韓国語、英語というふうに三種類つくってお配りをしたりして、そういう要望もございましたので、そういう情報提供に関してはできるだけ配慮してやっております。

 恐らく実態として、先ほどの特別養護老人ホームの例でもございましたように、そういう地域では、韓国語も話せるような、あるいは在日韓国人みずからヘルパーになっていただいて、家庭を訪問していただくということもだんだんふえてくるのではないかと思っております。

山井委員 介護保険にしても、日本のお年寄りでさえわかりにくい、利用しづらいという声もあるぐらいですから、在日の韓国人などの方々への配慮もぜひしていただきたいと思います。この恩給や弔慰金を通しまして、本当に戦争で御苦労された方々が安心して長生きができるような社会にしていっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 これまでの質疑により重複するところがあるかもしれませんが、確認の意味で、そしてまた、私の質問ということでよろしくお願いいたします。

 恩給受給者は、昭和四十四年の二百八十三万人をピークに年々減少し、平成十三年度は百四十五万人と想定されているところであります。受給者の大多数が遺族、傷病者であり、かつそのほとんどが平均年齢約八十歳の高齢者であります。いかに厳しい財政事情といえども、過去において国に尽くし、そして老齢になられた方々に対する処遇はそれなりに行われなければならないと思っております。

 そこで、最初に、ますます高齢化する方々の立場を配慮しつつ、今後、我が国の恩給制度の改善に基本的にどう取り組む所存か、大臣にお伺いいたします。

片山国務大臣 先ほどもやりとりの中で話がありましたように、現在、受給者の平均年齢は、黄川田委員も言われましたように、八十一歳と相当高齢化しております。

 ただ、何度も繰り返しますけれども、恩給は国家補償的性格を持つものでございますし、高齢化された受給者の方々のいわば生活の支えであると同時に、心の支えになっておりまして、その処遇改善にはできる範囲で十分な努力をしていかなければならない、こういうふうに思っているわけでございます。

 ことしも我々が思ったよりは各方面の御理解をいただいたわけでありますけれども、今後とも、高齢者の方々の立場に立った、相談の充実などに努めながら、恩給年額の実質価値の維持を図るように、処遇改善に総務省としては全力を尽くしてまいりたいと考えております。

黄川田委員 私は、社会保障制度の一環としての公的年金と、恩給はそもそも根本的に性格が違うと思っております。

 そこで、恩給の有する基本的な性格について、改めて大臣からお伺いいたします。

片山国務大臣 これも委員からお話がありましたように、現在の恩給受給者の大部分は、さきの戦争において犠牲になられた旧軍人の方々の御遺族や、生命、身体を賭して長年軍務に服されまして、または不幸にして傷つかれた旧軍人の方々でございます。恩給は、このような方々との特別の関係に基づき、国として使用者の立場から支給するものでございまして、これも何度も繰り返しますけれども、国家補償的性格を色濃く持っているものだと理解しております。

黄川田委員 私も、恩給は命を賭して国に尽くされた方々に対する国からの給付でありまして、まさに国家補償であると考えます。

 それで、国家補償的性格を有する恩給の特徴は具体的にどのような点か、改めて大坪人事・恩給局長にお尋ねをいたします。

大坪政府参考人 今先生の方から、恩給の特徴、国家補償的性格という観点でどういうものがあるかという御指摘でございます。三点ほど申し上げたいというふうに思います。

 一点は、まず、その公務性が高いということが言えるかと思います。この場合の公務性という意味でございますが、恩給の種類といたしまして、年数に応じて出します年功的恩給、それから、公務災害というふうによく言われますけれども、亡くなられた場合あるいはけがをされた場合、こういうような場合にお出しします公務的な恩給、実は性格的に二種類あるわけでございますが、恩給が、もともとスタートが明治維新以降の国内の騒乱のときにつくられたということからも見られますように、先ほど大臣が言いましたように、身体、生命を賭して国に尽くしたというようなことを背景としてできておりますために、公務的なものについて非常に手厚くなっております。

 例えば、戦死されました場合の公務扶助料というものがあるわけですが、これは年功恩給としてお出しします普通扶助料の二倍から四倍ぐらいの割り増しを実はしております。それから、公務扶助料の中でも特に戦死の可能性の高い兵、下士官の方、こういう方には手厚く、上薄下厚の制度というふうになっております。それから、けがをされた方について見ますと、年功恩給の方々の今の普通の平均的な年額が六十万ちょっとでございますが、増加恩給を含めたけがをされた方の恩給は年額今三百万を超えるというように、公務的なものには非常に手厚くなっております。

 二つ目の特徴といたしましては、加算年という制度でございます。これは、実際の勤務年数に上乗せをするという考え方でございますが、その勤務が非常に厳しい勤務、戦地等の場合には割り増しで考えようというものでございます。最高では四倍計算をいたすことにしております。恩給の資格年限は兵、下士官の場合十二年でございますので、戦地で三年御勤務された場合には四倍計算で十二年ということで、実際の勤務は三年であっても恩給がつくということで非常に手厚くなっております。現実、今の恩給受給者の実際の勤務年数の平均を見ますと、五年ちょっとの方が平均でございまして、その辺が加算年という制度からくる特徴だろうというふうに思います。

 それから、三点目といたしましては、恩給には最低保障制度があるわけでございますが、この最低保障の適用率が非常に高くなっております。数字で申しますと、恩給受給者の八五%の方はこの最低保障制度によります恩給が支給されております。

 これはなぜかということでございますが、今次の大戦の特徴ということにもなるわけでございますけれども、若くしてお亡くなりになられ、あるいはけがをされ、敗戦ということで勤務が短いうちに早く退官、退職になってしまったという実態があるわけでございますが、恩給の計算というのはやめたときの俸給と年数をベースにいたしますので、どうしてもそういう今次の大戦の特徴として恩給年額が低くなる。ところが、恩給の性格を考えますときに、そういう国家補償的な性格が強いというときに、余りにも低額な恩給というのはやはり問題があるのではないか、生活の支えという機能が果たせないのではないかということで、最低保障制度を設けたわけでございまして、逐次その充実に努めた結果として、今八五%の方々が最低保障で支給されているというような手厚い状況になっている、このような三点を申し述べました。

黄川田委員 従来、恩給支給については、社会経済情勢の変化に応じた基本年額の改定、いわゆるベースアップに合わせて各種の制度改正を行ってきたと思いますが、今回の改正案においてベースアップが行われていないのはなぜでしょうか。

 また、あわせて、公的年金の額が据え置かれる中、今回、低額恩給の改善と戦没者遺族等の処遇改善を行うこととした理由は何か、大坪局長にお伺いいたします。

大坪政府参考人 まず、ベースアップの点でございます。

 恩給の実質価値を維持するためのベースアップは、過去、公務員給与に準拠して行っておりました。ところが、昭和六十一年に共済年金制度の大幅改定がございまして、共済年金も物価スライドになったわけでございますが、そのときに、では、恩給はどういうふうにスライド方式を考えるかということが大きな問題で議論となりました。

 結果的に申しますと、公務員給与それから公的年金が使います物価、この二つの要素を中心に考えながらいろいろ勘案していこうというような方式が昭和六十二年以降行われるようになったわけでございます。

 それで、平成十三年につきましては、その二つの要素につきまして、先ほど大臣からも御説明がありましたけれども、公務員給与が基本的には俸給月額は据え置かれたということ、それから、公的年金におきましても物価マイナスのところ、据え置くということでゼロ扱いをされたということ、こういうようなことから恩給のベースアップもしないようにしたわけでございます。

 一方で、今、先生御指摘のように、低額恩給あるいは遺族加算の増額はしたということでございますけれども、これは、基本的にやはり恩給の国家補償的性格というところを考えますと、手をつけるべき部分というのはどうしてもあるわけでございますので、そういう部分を私ども、受給者の方々の御要望も聞きながらいろいろな精査をいたしまして、結果といたしまして、やはり余りにも低額なものは何とかすべきではないか、そうしないと、国の心というものが出ないのではないかというのが一点でございます。低額恩給で是正します恩給は、実は年四十万を切っております。そういう低額なものには、やはり国として何らかの特別な思いというものを入れるべきではないかなということでの低額恩給の是正を考えました。

 もう一つ、遺族加算の増額ということにつきましては、遺族加算は戦死された方々、戦没者の御遺族の方にお出しするものでございますので、やはり戦没者の方々のお気持ち、昭和二十八年まで恩給は出なかった、そういうようなところで非常に生活に苦労されたというような思いを考えますと、何らかの措置が必要ではなかろうかなというようなことから、遺族加算の増額をいたしたということでございます。

黄川田委員 それでは、時間が残り少ないので、終わりに、関連いたしまして、人道的精神に基づき弔慰の意等をあらわすため、在日韓国人旧軍人軍属戦没者遺族等に対し弔慰金を支給すべく、平和条約国籍離脱者等である戦没者遺族等に対する弔慰金等の支給に関する法律が平成十三年の四月一日に施行される予定であります。

 そこで、そのための準備状況はどうでありましょうか、そしてまた、平成十三年度予算にどのように組み込まれておるのでしょうか。衞藤官房審議官にお尋ねいたします。

衞藤政府参考人 お答えいたします。

 今、先生からお話しの弔慰金等支給法の施行の準備状況でございますが、本年一月、総務省の発足に伴いまして、担当する部署として、大臣官房に弔慰金等支給業務室を設置いたしました。そこで本法の施行に必要な政令、省令の制定を行ったところでございます。

 また、請求の窓口が市町村でございますので、この事務が円滑に行われますよう、本年二月に都道府県職員等の担当者を集めまして事務の打ち合わせを行ったところでございます。

 このほか、広く国民に周知徹底が必要でございますので、一昨日十三日から十八日の間に、中央紙五紙それから地方紙六十七紙などに御案内の政府広報を掲載しております。また、各地方自治体でつくっておりますいわゆるお知らせ等への掲載とかポスターの掲示を現在、鋭意進めておるところでございます。

 次に、予算の関係でございますが、平成十三年度予算案には、初年度分の給付費といたしまして三十四億三千六百万円、また事務費として一億四千万円の計上を行ったところでございまして、合わせて十三年度は三十五億七千六百万円を計上いたして、鋭意今準備に努めているところでございます。

黄川田委員 遺漏のないような取り組みをよろしくお願いいたします。

 所得水準の余り高くない私の地元の岩手県や、また私の知人がおる沖縄県では、恩給が貴重な生活財源である方がおられます。今後ともきめ細かい制度の運用をよろしくお願いいたしまして、私の質問を終わります。以上であります。

御法川委員長 次に、春名直章君。

春名委員 日本共産党の春名直章です。

 先ほどの山井委員の質問に続いて、恩給法の第九条の国籍条項について関連して伺っていきたいと思います。

 朝鮮半島、台湾を植民地化して、自分の意思に関係なく日本国籍を持たされて日本人として徴用される、そして戦争に駆り出されていった多くの外国人がいらっしゃる。ところが、恩給法九条の第一項三で恩給権の消滅事由の一つに「国籍ヲ失ヒタルトキ」という条項があるために、サンフランシスコ条約発効と同時に日本国籍を失った外国人に対して、恩給の受給の権利が剥奪されたままになっている。これは何度も内閣委員会等で議論もされて、当時の野中官房長官、きょういらっしゃいますけれども、内閣においてもこの問題に前向きに対処するという御答弁もされて、昨年、先ほどお話が出ました弔慰金制度ができるということになりました。

 私は、こういう一時金支給は正当であると思います。と同時に、きょう、まず大臣にお伺いしたいことは、その一時金支給の弔慰金制度ができたから恩給法の国籍条項問題はクリアした、こうはならないと思うんですね。別個の問題だと思うんです。その点をまず確認しておきたいというふうに思うんです。

片山国務大臣 今、委員からいろいろお話がございましたが、平成十一年三月の野中官房長官の発言を受けて、政府としては、いろいろな調査検討の結果、御承知のように、与党三党による議員立法として、今お話しの平和条約国籍離脱者等である戦没者遺族等に対する弔慰金等の支給に関する法律が昨年の通常国会で提出され、昨年の五月末に可決成立したわけであります。

 そのことと国籍条項云々とは別のことだといえば別のことでありますけれども、大変深くに関係があるといえばあるわけでありまして、我々としては、それは別個のものとしてそれぞれ位置づけて、しかるべき対応を考えてまいっております。

春名委員 人道的な立場からという点で、一時金の支給が実施をされるということについて、私は、それはそのとおりで正当なことだと思うんですが、人権という問題、世界の流れという問題等々から考えると、この国籍条項という問題をこのまま放置するということにはならないと思うんですね。そういう立場から少し議論をしてみたいと思います。

 それで、七九年に批准をしている世界人権規約のB規約、二十六条ですね。

  すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。このため、法律は、あらゆる差別を禁止し及び人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等のいかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護をすべての者に保障する。

これがB規約の二十六条の条文で、御存じのとおりです。

 この条文に照らすと、国籍によって恩給権を排除していくということはやはり違反する方向になってしまう、違反することになるんじゃないか、私は率直にそう思いました。大臣、この点はいかがでしょうか。

片山国務大臣 今委員、国際人権規約B規約第二十六条のお話がございましたが、我々が有権解釈権を有しているわけでは必ずしもありませんけれども、合理的理由のある区別を設けることは法のもとの平等に違反するものでないとの最高裁の判決もあるように、これらの条項がそれぞれの国の合理的かつ客観的な差を設けることまでも排除しているわけではないと我々は理解しております。

 恩給法におきましては、先ほども副大臣からお話がありましたように、大正十二年の同法制定以来、日本国籍の保持を恩給受給権の付与及び存続の要件としており、このことは公務員年金制度としての我が国の恩給制度の沿革や性格に由来するものでありまして、御指摘のような国際人権規約に直ちに違反するものではないと我々は考えております。

春名委員 そのことも承知できます。その合理的理由がある場合ということなんですけれども、先ほどの議論でもありましたが、私、こう考えてみたんです。

 国の仕事を通じて国民全体のために尽くした人々に対する、いわば生活保障という意味合いを持っているのが恩給ですよね。そうだとすれば、その後に日本の国籍をさまざまな理由で失うことになったとしても、かつて日本国籍を有して、公務員としてあるいは軍人として働いたという事実はさん然と残っているわけでありまして、その事実から、それを合理的な理由にしてこの問題に対処するということも、私は排除してはいけないと思うんですね。

 先ほど滝大臣政務官が、大正十二年から、最初から約束事でそういうふうになっているんだという答弁をされていたと思うんですけれども、世界や日本の判決の流れから見て、そこにしがみついていいんだろうかということが私は昨今、問われているように感じるんです。

 セネガル人の元フランス兵が国連人権規約委員会に申し立てを行いました。フランスは一九五一年の法律に基づいて旧植民地出身者にも同様に年金を支給していたんですが、途中、一九七五年から、年金額をセネガル人に対しては据え置くという対策をとってしまった、そして、フランス人より低額になってしまったんですね、それはおかしいじゃないかと申し立てを行った。

 同委員会は、八九年の四月、フランスの措置は国際人権規約二十六条に違反しているという結論を出したんですね。その理由なんですが、国籍の変更はそれ自体別異の取り扱いを正当化する根拠とはなり得ない、なぜならば、年金支給の根拠は軍務を提供したことにあるのであり、セネガル人もフランス人も提供した軍務は同じであるからである、非常に論旨明快なんですね。

 先ほどの議論もありましたが、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、西ドイツ、少し前の例なので、それぞれ、一時金あるいはもちろん年金を差別なく支給する。カナダは植民地がありませんでしたので、それが問題にならない。日本だけが、国籍条項という問題で、はっきり言ってこういう差別がまだ二十一世紀になっても続いているという事態を、私は真摯に受けとめなければならないんじゃないか、こういうふうに感じるんですね。

 そこで、大臣にもう一点、違う角度からお聞きしておきたいと思います。

 一九九九年の十月、大阪高裁で戦後補償をめぐる裁判が行われて判決が出ました。国籍による差別を初めて違憲状態というふうに判断をいたしました。原告らが日本や韓国両国から何ら補償もされていないのは、憲法十四条と国連人権規約B規約に違反する疑いがあるという判決であります。これは高裁の方です、最高裁じゃありませんけれども。国籍、戸籍条項の改廃や新たな立法措置を明確に求める、そういう判決が、二年前の十月ですけれども、高裁のレベルですが出されている、ほかにもいろいろな判決がございます。似たような判決があります。

 したがって、こういう今の裁判例に、今行政そして政治が、国会がこたえる使命を帯びているんじゃないかと私は思うんです。大臣、そういう流れについてどうお考えでしょうか。

大坪政府参考人 ちょっと過去の事実的な経緯という観点で御説明させていただきたいというふうに……(春名委員「短くやってください、時間がありませんので」と呼ぶ)はい、わかりました。

 実は、野中元官房長官がおられますので非常に答弁しにくいんですが、今、先生が御指摘になりました判決を受けまして、野中官房長官のあの答弁が出たというふうに私は理解しております。

春名委員 歴史的な経緯でいえば、そういう流れになっているんじゃないかと私も理解しております。ただ、ですから、弔慰金制度は正当であるけれども、そのことをもって国籍の問題、差別の問題について、それで解消してはならないんだということを私は冒頭に言っているわけなので、議論をもとに戻さないでくださいね、そのことを申し上げておきたいと思います。

 それで、この二年間余り、私は随分大きな変化があったと思うんですよ。つまり、人権上の差別撤廃、外国人の国籍問題などについての大きな世論が広がってきていると思うんですよ。

 例えば、第一に、永住外国人への地方参政権を付与する問題が、国会にも法案として提案をされてまさに議論されるということに今、段階としてなっているわけでしょう。それからもう一つは、地方の変化として注目できるのは、地方公務員の職員採用に当たって国籍条項を撤廃する動きが、御存じのとおりぐっと広がっていますよね。私が住んでいる高知県が一番最初に国籍条項撤廃をやりましたけれども、そして今、最新の資料では、都道府県で八、政令市で八、これが見直しをするということになっている。そして、前の前の前になりますか、白川元自治大臣は、条件つき緩和、川崎市の方向でいこうというようなことを認める方向を出す。こんな方向になっているわけですね。

 つまり、もう国籍によって差別するような時代ではないと。二十一世紀はそういう差別をなくして本当に共生していこうというのが、地方でも、そして世界でも大きな流れになっているときですから、この恩給法が大正十二年にできたから、古いので、そのまま一貫して守っているのだと言われるのかもしれないけれども、そういう視点で見たときに、今、不問に付さない、真剣に考えるときに来ていると私は実感するのですね。

 ですから、一人の政治家としてで結構ですから、総務大臣、こういう御認識で当たっていく必要があるのではないかと私は思うのですけれども、いかがでしょう。

片山国務大臣 今いろいろ言われましたけれども、やはり一国の主権と国籍に絡むいろいろな問題というのは、私は慎重に考えないといかぬと思いますね。今言われましたように、国籍条項の問題、地方参政権の問題、いろいろ提起されていますね。最終的には、ある意味では立法政策の問題なのですよ。そこで私は、この国会でいろいろなことが真剣に議論されておりますから、その結果を待ちたい。個人としての意見というのはないのですよね、大臣になると。そういうことで御理解を賜りたいと思います。

春名委員 それでは、個人として意見が言いにくいということですので、別の角度からお聞きします。今、人権の分野では、その国籍を問わずに保障していこう、特に補償問題をきちんと差別なく解決していこうというのが私は世界の流れだという認識をしていますが、総務大臣はどういう御認識をされていますか。

片山国務大臣 私は、必ずしも委員ほどこの関係は勉強しておりませんので、これから十分勉強して世界の流れを的確につかみたい、こういうふうには思います。

春名委員 勉強していただければいいのですけれども。

 私、こう思うのですよ。国籍要件を課して外国人を排除することは、ある意味、日本では長い間一般的だったのですよね。

 例えば社会保障関係を見てください。ほとんどが日本に住所を有する日本国民というのを対象にしてきました。しかし、一九七九年の国際人権規約に加入する、八二年の難民条約に加入する、そういう中で、国籍要件というのが撤廃をされて、そして国民年金、児童諸手当、公共住宅などが、相次いで在日外国人の方々に門戸が開かれるということになってきたのですね。今では、率直に言って、この恩給法などを含めた援護法令のみが国籍要件を残すものになって、副大臣がうなずいておられるので副大臣に答えていただいてもいいけれども、いや、本当に時代の遺物のようなものになりかかっているのですよ。

 ですから、今度私は恩給法の一部改正に当たっての勉強をしてみて、私も知っているわけではないのですけれども、この九条に出くわしてびっくりしたわけです。二十一世紀に入ってまだこういうものがあるのかという実感を持ったわけなので、ぜひ私は、弔慰金制度は大事だけれども、それで不問に付さないで、この問題はやはり真正面から検討するという立場で臨んでいただきたい。恩給法に責任を持っている一番の大臣ですから、そういう角度から研究もしていただきたい、検討してほしいということを強く要望したいわけです。いかがでしょうか。

片山国務大臣 委員が言われた、日韓の問題、韓国の方の問題については、昭和四十年の協定によって在日韓国人に係るものを含めて法的には完全かつ最終的に解決された、こういうことになっているのですね。ただ、人道的な観点で、野中前官房長官がおられますけれども、そういうことであの立法がとられたわけでありまして、委員の御趣旨は御趣旨としてしっかりと受けとめますけれども、なお我々はいろいろな感覚で検討していきたいと思います。

春名委員 全部解決していないから言っているのです。その認識についてまた議論する時間が、質問時間が終了になったので終わりますけれども、改めて私は問題提起をいたしましたので、ぜひ検討の俎上にのせていただくことを期待いたしまして、私の質問にします。

御法川委員長 次に、重野安正君。

重野委員 それでは、質問は最後になりますが、与えられた時間もわずかでありますが、ひとつ真心のこもった答弁をお願いいたします。

 新しい百年が始まりました。私は、いま一度この恩給という問題について、おさらいをする意味で幾つか改めて確認をしたい、こういうことで質問することといたしました。

 まず第一に、旧軍人恩給の請求権者が申請をし、最終的に裁定されるまでの事務体系、またそれと関連して、軍人恩給にかかわる進達などの事務について、なぜ都道府県が行わなければならないのか、その点について最初にお伺いいたします。

大坪政府参考人 恩給の手続につきまして、特に都道府県との関係についての御指摘でございます。

 恩給を受けようとされる方は、まず都道府県に行っていただきまして書類を出していただきます。書類にはいろいろな書類がございますので、その辺を都道府県の担当の方で整理をしていただいて、厚生労働省に提出していただきます。厚生労働省でチェックしたものが、裁定庁でございます人事・恩給局に参りまして、こちらでいろいろ裁定事務をいたしまして御本人に通知するという流れになるわけでございます。

 それで、なぜ都道府県でそういう事務をやるかという御指摘でございますが、実は、恩給におきましては、恩給給与規則という政令があるわけでございますが、そこでは、本属庁という言葉がございます。本属庁を経由して裁定庁に行くというやり方をしろというふうに書いてあるわけでございます。その本属庁は、実は、旧軍人の場合で言いますと、県ごとに置いてありました連隊区司令部、ここでまず受け付けをして、それが陸軍の場合ですと陸軍省に流れるという、連隊区司令部の事務と陸軍省の事務が本属庁事務ということになっておりました。

 それで、終戦となりまして軍隊制度がなくなりましたので、連隊区司令部の事務あるいは陸軍省の事務というものが都道府県と厚生省に分かれて引き継がれたわけでございます。施行規則におきましては、組織がなくなった場合には、本属庁の事務はその引き継いだところが本属庁としてやれという規定がございますので、都道府県それから厚生省は、本属庁という立場でやることになっているわけでございます。したがいまして、今都道府県がやっておられる事務は、戦前、連隊区司令部が行っていた事務を引き継いでいるという関係になっているわけでございます。

重野委員 次に、今の点と関連があるのですが、恩給法十八条ノ二におきまして、恩給の請求、裁定、支給及び受給権存否の調査に関する手続については政令で定める。恩給給与細則二条ただし書きでは、請求者の退職当時における本籍地を管轄する都道府県及び厚生労働大臣を経由して差し出す、このようになっているわけです。

 そこで、十八条ノ二の規定は手続規定と私は理解をいたしますが、そうなりますと、恩給行政における地方自治法附則十条の規定、つまり、「都道府県は、軍人軍属であつた者の身上の取扱に関する事務」云々、こういう条文があるわけですが、その規定はどういうふうに受けとめておられますか。

大坪政府参考人 ただいま、地方自治法附則十条の規定は恩給制度においてどういうような位置づけがされるのかという御指摘でございます。

 附則十条に書いてございますことは、先生が言われましたように、都道府県は、軍人軍属であった者の身上の取扱事務を処理しなければならないというふうに書いてあるわけでございますが、これは、先ほど申し上げました本属庁としての事務、旧陸軍、軍隊で行われておりました事務の一部が都道府県に流れてきましたものを明示されたものでございます。

 この考え方で、恩給法の体系におきましては、施行規則一条におきましてまず本属庁を経由して裁定庁に差し出すべしとありまして、やはり同じ給与規則二十二条に本属庁においては受け付けをしたるときは調査をして云々云々というように、いろいろな事務を規定しているわけでございます。

 このような一条あるいは二十二条で規定しておりますような、本属庁としての立場の都道府県で行う事務、これを地方自治法におきましては附則十条で明示してあるという関係になるわけでございます。

重野委員 軍人軍属であった者の身上の取り扱いに関する事務は、都道府県が行うと定めた地方自治法附則十条の規定に基づいている。

 では、厚生労働省が進達事務費等委託費を払っているというのが実態ですが、これはどういう事務変遷の結果そういうふうなことになったのですか。

三沢政府参考人 お答え申し上げたいと思います。

 旧陸軍関係者の人事記録の移管の問題だと思います。この点につきましては、先ほど恩給局長の方から申し上げておりますけれども、若干、私どもの方で敷衍して申し上げたいと思います。

 今次の大戦の終戦に伴いまして、旧陸軍の各部隊が保管しておりました兵籍とか戦時名簿はすべて連隊区司令部に継承されたところでございますけれども、昭和二十年の十一月三十日、陸軍省と連隊区司令部が廃止されました。この廃止に伴いまして、陸軍部隊の復員とそれに関する事項の実施を行うため、同年十二月一日、第一復員省とそれの地方機関として地方世話部、これは原則といたしまして各都府県一カ所、北海道に四カ所地方世話部が設けられまして、この機関にこれらの人事記録が引き継がれたということでございます。

 その後、昭和二十一年六月になりまして、この第一復員省というものが復員庁第一復員局となったのですけれども、その際に、先ほど申しました地方世話部というものが地方長官の管理に属することになりまして、この関係の職員はいわゆる地方事務官、こうされたわけでございます。

 そして、御承知のことと思いますけれども、昭和二十二年に地方自治法が施行されました。この地方自治法の施行に伴いまして、地方世話部が廃止、改組されまして、旧陸軍軍人軍属であった者の身分上の取り扱いに関する事務は都道府県において処理することとなった。そういうことから、先ほど申しました兵籍、戦時名簿などは都道府県に移管されて現在に至っている、こういう状況をたどってきております。こういう経緯を踏まえまして、この事務については国で負担すると地方自治法にも書かれておりますものですから、私どもでこの関係の経費を負担しているということでございます。

重野委員 今の答弁でありますが、本属庁という文言が今に置きかえると都道府県という説明なんですけれども、総務省のそういう説明、今、地方分権一括法が成立をするという時代なんですね。中央、地方の役割分担と、地方分権一括法が成立をしたという今の時代、そういう中に今のような説明というものが果たしてマッチする説明なのだろうかという疑問を私は持つのです。

 例えば経費負担の問題ですが、経費負担は厚生労働省が進達事務委託費を出しておる。私は、この進達事務については、そういうことであれば総務省が負担すべきものではないのかな、こういうふうな理解をするのですが、そこについてどういうふうな考えを持っているのですか。

大坪政府参考人 今、厚生労働省に計上されております事務委託費のことでございますが、これは、私どもが答弁していいのか厚生労働省が答弁していいのかよくわかりませんけれども、私どもが理解しておりますのは、先ほど言いましたように、都道府県と厚生省の関係と申しますのは、本属庁の事務を両方があわせてやるという関係にございますので、ある意味で厚生労働省と都道府県は本属庁の関係の中では一種の親子の関係みたいなものかな、子供に仕事をさすので親が払うという本属庁の事務としての委託費かなという感じがするわけでございます。

 人事・恩給局は、先ほど言いましたように、恩給法の世界では本属庁ではなくて裁定庁という立場で位置づけがされております。そこはちょっと立場が違いますので、恩給局に計上というのはちょっとなかなか難しいのではないかなというふうに考えております。

重野委員 もう時間もありませんが、今、局長、国と地方の関係は親と子の関係、こういう発言はやはり私はしない方がいいと。

 それで、この進達事務委託費の中には、その事務に当たる職員の人件費はどういうふうに見られているのでしょうか。私の理解の中では、人件費は入っておらぬと読んだのですが、それはちょっとまたおかしいんじゃないかなという感じがするのですが、それはどうでしょうか。

三沢政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、この恩給の請求書進達関係の業務に要する経費といたしまして、私ども、一定の委託費を都道府県に流しておるわけでございますけれども、その中に、この事務を実施する都道府県の職員の人件費を直接手当てはいたしておりません。これは、いろいろな理由があるのですけれども、それはさておきまして、手当てはしておりません。

 ただ、先生これまた御承知だと思いますけれども、恩給請求書の進達を処理するために当然、人手がかかりますから、その人手に要するという意味で、アルバイト等に要する人件費といいますか、賃金の予算は計上しているところでございます。

重野委員 最後に要望したいんですが、受給権を持っていながら手続が抜かって請求漏れ、そういうケースもあるのではないか、そういう方々に対する請求促進について、恩給局としてはどういうふうにしようと考えておられるか。また、現行受給者の平均年齢はもう八十一歳強、こういうふうに理解をしておりますが、この人たちが死亡した場合の新たな受給権者に対する行政の側からのアクセス、こういう点も大事にしていかなきゃならぬと思うんですが、そこら辺はどうですか。

大坪政府参考人 請求漏れがおられるというのは、恩給の性格を考えますときに非常に問題であるというふうに思っております。先ほど先生から御指摘がありましたけれども、都道府県との関係が私ども、いろいろございますので、都道府県が窓口になっていただいております。そこでのいろいろな連絡のとり合い、そういう中で未請求者をなくすようなこともやっておりますし、現実、今、恩給が本人の方に出ておりますのが御遺族の方に転給するというケースもございます。そういうようなときには転給漏れのないようにいたしたいというふうに思っております。

 もう一つ別の角度で申し上げますと、実は年数が足らなくて恩給がもらえないという恩給欠格者の方々についての別途の制度があるわけでございますが、そちらに申請された方々の中で、よく調べてみたら恩給権があるというふうにわかるケースも多々ございます。そういうことも含めて、関係機関と濃密な連絡をとりながら、請求漏れのないように今後とも努めていきたいというふうに思っております。

重野委員 ありがとうございました。終わります。

御法川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、恩給法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

御法川委員長 次回は、明十六日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会




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