衆議院

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第19号 平成13年6月7日(木曜日)

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平成十三年六月七日(木曜日)

    午後二時三十三分開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 川崎 二郎君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 荒井  聰君 理事 田並 胤明君

   理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      河野 太郎君    左藤  章君

      佐田玄一郎君    坂井 隆憲君

      新藤 義孝君    滝   実君

      谷  洋一君    野中 広務君

      林  幹雄君    平井 卓也君

      増原 義剛君    宮路 和明君

      山本 公一君   吉田六左エ門君

      上田 清司君    大出  彰君

      大谷 信盛君    玄葉光一郎君

      今野  東君    武正 公一君

      中村 哲治君    松崎 公昭君

      松原  仁君    山内  功君

      山村  健君    高木 陽介君

      山名 靖英君    佐藤 公治君

      春名 直章君    矢島 恒夫君

      重野 安正君    横光 克彦君

      野田  毅君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務大臣政務官      新藤 義孝君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   会計検査院事務総局事務総

   長官房総括審議官     重松 博之君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  塚本 壽雄君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  石井 隆一君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局

   経済取引局長)      鈴木 孝之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房文化交流

   部長)          横田  淳君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  西田 恒夫君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   津田 廣喜君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学

   術政策局長)       大熊 健司君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長

   )            今村  努君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 山本 正堯君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月七日

 辞任         補欠選任

  佐田玄一郎君     林  幹雄君

  吉田六左エ門君    増原 義剛君

  伊藤 忠治君     今野  東君

  玄葉光一郎君     上田 清司君

  山井 和則君     大谷 信盛君

  山村  健君     山内  功君

同日

 辞任         補欠選任

  林  幹雄君     佐田玄一郎君

  増原 義剛君     吉田六左エ門君

  上田 清司君     玄葉光一郎君

  大谷 信盛君     山井 和則君

  今野  東君     伊藤 忠治君

  山内  功君     山村  健君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政機関が行う政策の評価に関する法律案(内閣提出第八七号)

 地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案(内閣提出第六五号)




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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、行政機関が行う政策の評価に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政評価局長塚本壽雄君、総務省自治税務局長石井隆一君、公正取引委員会事務総局経済取引局長鈴木孝之君、外務省大臣官房文化交流部長横田淳君、外務省経済協力局長西田恒夫君、財務省主計局次長津田廣喜君、文部科学省科学技術・学術政策局長大熊健司君、文部科学省研究開発局長今村努君、国土交通省河川局長竹村公太郎君及び国土交通省政策統括官山本正堯君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、会計検査院事務総局事務総長官房総括審議官重松博之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今野東君。

今野委員 民主党の今野東でございます。

 行政機関が行う政策の評価に関する法律案について質問をさせていただきます。

 私は、先日、本会議でもこの案件について質問をさせていただきましたが、そして総務大臣のお答えもいただきましたけれども、どうしても行政機関がみずからの政策について評価するというやり方はしっくりこないのであります。

 自分のことをどのように評価するかというのは、自分のことをよく思われたい場合には、特にいい面だけをピックアップして、そしてこれで評価しましたというふうになりはしないか。ましてや、それが一つの機関になった場合には、正しい評価というふうにはならないのではないかと心配をするものなのです。

 それで、まず政策評価の対象となるものなんですが、公共事業、ODAそれから研究開発事業、これらを評価するというのですが、これらのすべてを事前評価するというわけではないわけですね。この評価の対象となる政策かどうかというのはどうやって決めるのでしょうか。まず、この点を大臣にお伺いいたします。

片山国務大臣 本会議でも今野委員から御質問いただきましたが、きょうも何点か、よろしくお願いいたします。

 それで、今のお話ですが、これは行政機関政策評価法の九条に書いておりまして、今お話しの研究開発、公共事業、ODAにつきましては例示をいたしておりますが、その他は政令で決める、こういうことを書いております。

 その政令で決める対象としては、簡単に言いますと、国民生活や社会経済にかなりの影響を及ぼすもの、または多額の費用を要するもの、もう一つは、その上で、かつ事前評価の方法が開発されているもの、こういう要件を法律上書いておりますが、具体的に何をどうするかというのはまだ決めておりませんで、今検討中でございます。よろしくお願いいたします。

今野委員 その政令で定めるものということなんですが、これでいいのですか。どうも都合の悪いものはやめておこうやという話にならないのですか、お伺いします。

片山国務大臣 これは、一定の基準を私どもの方でも考えて、それを各省とすり合わせて、この範囲とやっていただいた方がいいかなということ等も検討いたしておりまして、各省余りばらばらではそれはぐあいが悪いと思いますので、事前評価をやるものは大体こういうイメージだ、こういうことでまとめていく方がいいのかなと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

今野委員 国民生活、経済の影響の大きいものという基準は、やはりあいまいなのではないかと思うのです。例えば、ある一定の予算、予算規模は十億とか二十億とかいろいろ決め方はあると思うのですが、十億以上の政策については必ず政策評価をするんだというふうに、ある一定のライン、これは絶対やるんだというラインは決めておくべきだと私は思うのですね。

 そうじゃないと、国民の間から、痛くない腹を探られる、これは都合が悪いからきっとやらないのだというふうに言われてしまうのではないか。その方がむしろ国民にとってもわかりやすいのではないかと思うのですが、そういう決め方は検討していらっしゃいますか。

片山国務大臣 まだ中身をしっかり詰めたわけではありませんが、今、委員御指摘のように、一定の予算を要するものというのは大変わかりやすい基準になるのではなかろうかと私は思っております。

今野委員 一定の予算以上のものはわかりやすいんだとおっしゃっていただいたのですが、そういう形でさらに決めようというお気持ちはおありでしょうか。今の大臣のは感想のような気がするんですが。

片山国務大臣 まだ政令の中身をきちっと結論を出しておりませんので、やや第三者的な言い方になりましたが、政令で、規定上そういうふうにいたします。

今野委員 その点はぜひそのようにしていただきたいと思います。

 続いてお尋ねします。

 評価の仕方なんですが、事前評価と事後の評価というのがあるんですが、私は、特に大規模な公共事業のようなものの場合、中間で評価をするということも必要なのではないかと思うんです。その点についてはいかがでしょうか。

遠藤(和)副大臣 事前評価、事後評価のほかにいわゆる中間評価というお話でございました。

 これは法律上は事後評価の中に入っているんですけれども、考えておりますのは、例えば、政策が決定されてから五年以上十年以内で政令で定める期間を経過しても未着手のもの、あるいは政策が決定されてから十年以上二十年以内で政令で定める期間を経過しても未了のもの、これについては評価の実施を義務づけておりまして、これがいわゆる中間評価と御理解していただいていいのではないかと思っております。

今野委員 未了とか未着手のものについて評価をするというのは当然のことでありまして、現在進行中のものでも中間で評価すべきじゃないかと私は言っているんですが、その点についてお答えください。

塚本政府参考人 お答え申し上げます。

 評価に当たりましては、一定程度の時間の経過が政策の効果が発現するまでに必要だということで、基本的には、ある程度のことを想定いたしまして評価のための計画を事前につくるということかと思います。

 しかしながら、委員の御指摘が、例えばいろいろと事業を継続している中で、社会経済の動きが急に変わった、今後それが引き続くのかというような点でございますれば、臨機に評価を行うということがあり得るわけでございまして、それを中間評価とおっしゃるということでございましたら、そういう評価も当然必要ではなかろうか、こう考えております。

今野委員 それでしたら、ぜひ中間でも評価をするという文言を入れていただきたいと思いますが、その点はいかがですか。

塚本政府参考人 ただ、今申し上げましたようなことから申しますと、その点につきましては、この事前、事後の法律上の定義も政策の決定前後ということで決めております。したがいまして、法技術上は、中間という形で委員がおっしゃっておりますものも事後ということになるわけでございます。

 そこで、その以後の問題につきましては、基本方針あるいは基本計画というものが政府あるいは各府省で定まるということでございます。そうした中で、事柄、これは政策の特性という言葉で法律上申しておりますけれども、それに応じてそのようなことがそれぞれの府省等において考えられるというのが、この政策分野の多様性、多岐性にかんがみましても適当ではなかろうか。ただし、精神はそういうことであるということと考えております。

今野委員 例えば、諫早湾の問題などを見てもそうなんですけれども、これはたとえ進行中であっても、社会の情勢等が変わってきた場合には、中間でそれが正しいのかどうかきちんと見きわめる必要がある。あるいは、場合によっては勇気を持ってそうした公共事業を中断するということも、これからの政策上は求められてくるのではないかと思うんです。そういう意味では、私は、ぜひ中間で評価をするという文言も入れておいていただきたい、このように思います。

 法律上はどうこうということがあっても、それは国民にとっては大変わかりにくいことでありまして、中間でも評価するのだということ、それこそが、これはどう考えても、冒頭に申し上げましたように自分のところを自分で評価するわけですから、一般のものよりはもっと厳しくシステムをつくっておかなければ、私は多くの国民から支持をされないのではないかと思いますので、ぜひそういう中間で評価するのだという文言も入れておいていただきたいという希望をここで申し上げておきます。

 さて、それでは次ですが、政策評価には大変お金がかかります。例えば、外務省の経済協力局の評価室、今この評価室には九人職員がいて、そして二〇〇〇年度は三億七千万だったのが、二〇〇一年度は四億二千万の予算がついて、二〇〇〇年度よりも五千万円多くなっているということなんですね。そして、その評価をするについて、これは本会議のときも例をお示ししたんですが、一九九四年度のフィリピンの都市化と移住環境についての評価は、世界経営協議会に評価調査を委託して、一千五百八十七万円評価にかかっております。一九九七年度のベトナム援助実施体制評価については、国際高等教育開発機構に委託して、八百万円かかっております。評価するについてはこのようにお金がかかるわけですよ。

 このお金、金額、予算、これはどのようにするんでしょうか、お尋ねします。

遠藤(和)副大臣 そのお話の前に、ただいまの事後評価の話ですけれども、これは、政策を決定した後に行う評価はすべて事後評価ですから、要するに、事業が全部終わってからやるのが事後評価じゃなくて、政策を決定する前が事前評価で、決定した後はすべて事後評価ですから、当然、中間の調査も全部事後評価の方に入るということでございまして、大規模な工事について毎年度その報告をいただくということは含まれている、このように理解をいたしております。

 それから、予算の話ですけれども、これは科学的で客観的な評価が行われる必要があるという方からいえば適当な予算が必要ではございますけれども、評価の精度を追求する余り、過大なコストをかけるような評価ということは余り適当ではない。したがいまして、合理的なコストで、合理的な評価が実施されるように、こういうことを基本方針の中できちっと言及するように検討していきたい、このように考えております。

今野委員 予算はできるだけかけないようにするというお話なんですが、それでは、ちょっと質問が前後いたしますけれども、事後評価についてお答えをいただいたので、そのことをお尋ねしますが、そうすると、事後評価というのは二回あるわけですか。政策の前と、それから政策を立てた後と実施した後、そのように考えていいんでしょうか。

遠藤(和)副大臣 政策が決定した後に行う評価はすべて事後評価ですから、当然、その中には事業が完了した後の評価も含まれる、こういうことでございます。

今野委員 次の質問に移ります。

 今もちょっと触れましたけれども、外務省経済協力局の評価室でやったODAの評価、三億七千百万円の予算を使ってやっているわけなんですが、この結果は、ずっと報告を見てみますと、貢献している、効果がもたらされた、促進された、改善傾向にある、ほとんど肯定的な評価ばかりなんですね。こういう傾向は、きょうは外務省の方にもおいでいただいておりますが、どうなんでしょうか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員から御質問のありました、外務省が二〇〇〇年度に実施いたしました報告書の中におきましては、全部で百十三件のプロジェクトを審査の対象にいたしました。そのうち四十五件につきまして、一部改善すべき点があると指摘されている案件として整理をさせていただいております。これは、所期の目的を一〇〇%果たすにはもう少し改善すべき点があったのではないかということでございまして、今後の同種のプロジェクト実施の際に参考にするための提言等をフィードバックするというシステムを導入して今後の改善に努めるという対応を行っております。

今野委員 このことについてはどのような感じをお持ちなのか、後で総務大臣にお尋ねをしたいと思います。

 ちょうど今外務省の西田さんにおいでいただいたので、質問通告していないんですが、おわかりでしたらお答えいただきたいんです。「「ODA評価体制」の改善に関する報告書」というところで援助評価検討部会というのがありますね。その下に評価研究作業委員会というのがあります。これは、それぞれどういう働きをするのか、どういう内容のものなのか、説明していただけますか。

西田政府参考人 お答えをいたします。

 評価研究作業委員会メンバーにつきましては、東京工業大学の牟田委員長以下メンバーの方にお集まりいただきまして、評価の今後のあり方、特にODAについての提言をいただきました。そのような中で、評価研究作業委員会というものについても行ったわけですが、もともとありましたのが援助評価検討部会、これは河合三良国際開発センター会長のもとでの検討を踏まえてつくられた委員会でございます。

今野委員 この評価研究作業委員会というもののメンバーはどういうふうになっていますか。

西田政府参考人 ただいま御説明いたしましたように、東京工業大学の牟田先生が委員長、それから、以下順不同でございますが、荒木国際開発ジャーナルの編集長、高千穂玉川大学教授、竹内国際開発センター調査部長、萩生監査法人トーマツのパートナー、野口システム科学コンサルタンツ、小泉コーエイ総合研究所、それから外務省等々関係者でございます。

今野委員 この評価研究作業委員会というのは、援助評価検討部会の中でODA評価体制の改善をどうすべきかということを話し合うところですね。確認いたします。そうですね。

西田政府参考人 御指摘のとおりでございます。

今野委員 そこのメンバーで、今もお名前が出てきましたが、国際開発ジャーナル社編集長という人が入っております。ODAの評価の報告の中に、実際に評価をした方、評価をしたところとして国際開発ジャーナル社というのが入ってきているんですが、評価をする人と体制改善をどうするかと話し合う人が同一というのはまずいんじゃないですか。

西田政府参考人 お答えをいたします。

 委員会のメンバーにおかれましては、有識者、すなわちODAに直接これまでも携わった経験のおありの方、必ずしもODAについて専門家ではありませんが、主に評価という観点について有識者の方等々お集まりいただく。そういう中におきまして、荒木先生はずっとODAにかかわってこられた方でございますので、その見識、それから御意見を伺いたいということでメンバーになっていただきました。

 他方、実際の評価のチームを出すときには、いろいろなスキームがございますけれども、その中において有識者によるチームを出す場合もございまして、その場合には、どのようなプロジェクトをどのような形で評価していくのがよろしいかという観点からそれぞれの有識者の方を選んでおりますので、たまたま同一の方が今度はメンバーになっていかれたからといって、委員会のメンバーと重なることが直ちに不適当というふうには考えておりません。

今野委員 私は、透明性という点からすると、一方で作業をする人と、その作業がどうあったらいいのかと話し合う人が同じというのはどうも好ましくないと思いますね。

 それで大臣、今のやりとりを聞いていただいていて、それからさっきのこともそうですけれども、ここから出ている報告のほとんどが、貢献している、効果がもたらされた、促進された、改善傾向にあるという評価が出ている。それから、この委員会の委員も、評価をする人と実際に体制改善をどうするべきかと話し合う人が同一だというような状況がある。こういう状況を見てどうお考えになりますか。

片山国務大臣 委員、この政策評価というのは、ことしの一月から初めて導入して、法律がまだここで御審議いただいておりまして通ってもおりませんし、私は、今試運転の期間だろうと思いますよ。

 とにかく、自己評価ということからまず入らないとなかなか難しいものですから、自己評価のくせをつけてもらう。しかし、それは自己評価といって褒めるだけじゃいけませんよ。評価というのは、よければ褒める、悪ければ直せと言うので、だから、そこのところはこれからだんだんなれていっていただくということが必要だと思います。

 関係の委員は、外務省は外務省のお考えがあって決めたので、よその省のことを余りとやかく言うのはどうかと思いますけれども、今の今野委員のような議論が出ないような人選をすべきだろうと私は思いますよ。

 それから、今、自己評価で、できるだけこれは客観的にやってくれと。必要なら、知識経験がある人もそれに加えてくれということもお願いしております。それから評価の結果で、これは全然評価したことにならないというようなことなら、第二次評価ということで総務省が、各省の政策評価について調整するような立場に我々はありますから、客観性を担保しなければいけませんから、そういう意味では、我々がもう一度その分については評価させてもらうということもあり得る。

 ただ、今からそういう手荒なことを、委員、とにかく試運転なんですから、法律を早く通していただいて、本運転を、本格的運転をやって次第にこの政策評価をいろいろなことにつなげていく、こういうことにしたいと我々は思っておりますので、もう少しいろいろなことで時間をいただくというのか、各府省を含めて、総務省にもいろいろな、なれさせていただく、こういうことが必要じゃなかろうかと考えております。

今野委員 さて、行政機関がみずからを評価するということ、どんなに話を聞いても私はうまくいけるのかなとどうも懐疑的になるんですが、本会議でも三重県の話をさせていただきました。私の出身県宮城県でも事務評価については比較的うまくいっているというふうに言われておりまして、三重県の方においでをいただいてお話も伺いました。本会議でも申し上げましたが、これを成功させるためには職員の方々の意識改革が何より大事なんだということを三重県の方々も何度も言っておりました。

 これも本会議でお話をしましたが、ただこの法案を通すことが大事だから、まずないよりはいいから早くつくってしまえという気持ちもわかるような気はするんですが、性格が、自分のところの評価を自分のところでするのですから、そこはやはり、なるほど厳しくつくったなということが僕は必要なんじゃないかと思うんですね。

 ここは大変難しいところだと思いますけれども、意識改革をどのように持つか、あるいはこれについて緊張感をどのように持つかということが大事なんだろうと私は思うんです。そうじゃないと、政策評価をただやっているふり、やったふりというふうになりはしないかと思うわけです。この意識改革、緊張という概念が法の中に生かされなければこの法案は成功しないというふうに思うんですが、そのあたりはどうお考えでしょうか。お答えください。

片山国務大臣 政策評価が定着してそれが立派なものになるためには、委員言われるように、私は、職員一人一人の意識改革は不可欠である、こういうふうに思いますね。

 それは、必要性はよくわかるんです。しかし、この意識改革というのは難しいことは難しいんですね。今、外務省もいろいろな意味で意識改革の真っ最中かもしれませんけれども、なかなか難しいので、これは、一つは、資質の向上のための研修をいろいろ工夫して、実りある研修をやる、それから、場合によっては官民交流で、民間の能力ある、経験のある方に来ていただいていろいろ教えてもらう、あるいは任期つき職員の採用ということも可能になりましたから、そういうことを含めて、万般の方策をとらないといかぬと思います。

 しかし、やはり基本はトップですね。だから、この内閣そのものが、あるいは各大臣がそういう意識を持って、部下の職員を督励して意識改革をやらせるということは私も必要だと思いますので、法律を通していただいたら、そんなことばかり言っておりますけれども、通していただいたら、閣議でちゃんと、この法律の成果を上げるように、総理を初め各大臣に要請させていただこう、こういうふうに思っております。

今野委員 私は、トップの意識というのも大変重要だともちろん思います。ただ、トップがどんなに意識改革をとか緊張感を持てとかいうことを言っても、巨大な組織になればなるほど、そのトップの意識というのは下に伝わっていきません。

 大臣のところも巨大な組織でございますから、果たして研修をやっても、実は私は放送でしゃべる仕事をしておりまして、社員研修の講師などという仕事もしてみたことがありますが、何回か研修をやっても、それはまじめに受ける人は受けるんですが、どうでもいいからとにかく二泊三日とか一泊二日とかで適当に過ごしていけば、後は受けたということになるんだからいいやという人が本当に多いんです。そういう人たちを、本当に意識を持ってやらなければいけないと思っている人はいいんですけれども、そうじゃなくて、いいかげんに研修を受けて、会社からあるいは役所から言われたからこれでいいんだと日程だけをこなしていくようなことになりがちなので、そこのところをどうするかということが大変重要なのだろうと私は思うんですね。

 そこをぜひもう一度、意識改革あるいは緊張感というのを法律の中にどう盛り込んでいくかということを検討していただきたいと思います。

 さて、我が民主党で、かつて日本版GAO、行政監視院法案というのを出したことがあります。行政監視院というのをつくりまして、行政とも、それから政党ともこれは距離があるんですよ。距離を持たせておくんですね。そして、行政機関の業務あるいは予算の編成、執行状況の調査、分析、政策評価をするわけなんです。また、国会でも、こうした各委員会や一定数の議員の要求に応じて個別の政策を評価するということがあるわけです。

 今のままですと、どうしても省庁にとって都合の悪いものは評価の対象にしないということがあらわれてきますから、そうじゃないのだという担保として、やはり、一定の数の議員がこの政策について評価すべきだということがあったら評価するんだという意味でも、こうした行政監視院法案というのは必要なのではないか。これと今論じている政策評価法とが両輪になって初めてうまくいくのではないかということを私は感じるんですが、大臣はこれに関していかがでしょうか。副大臣ですか、結構でございます。

遠藤(和)副大臣 御指摘の話は、日本版GAOを国会に設置すべきであるという御提案だとすれば、これは国会自身が御判断をして決めていただくということになります。

 今、車の両輪の話がありましたけれども、いずれにしても、国会というのは、有権者から代議員として選ばれた選良の皆さんで構成をされているわけでございまして、そういう目で行政を評価する、こういう意味が一つ大変重要でございます。それとともに、行政機関も、みずからの行政をみずからの眼で自己評価する、そしてその結果を国民のもとに公表するということは大変大事なことでございます。

 国会もまた行政も、ともに国民にきちっと仕事を公表して、最終的には御判断を仰ぐ、そして次の予算編成にまたその評価の結果を反映していく、こういうことでございまして、GAOの件につきましては、これは国会の御判断でございますから私どもが答える立場ではないんですけれども、国会の機能とともに、行政も自己評価をして、一生懸命に国民の皆さんの信託にこたえていきたい、こういう気持ちでございます。

今野委員 もう時間もありませんが、今、こうした日本版GAOもいいのではないかというお話をいただいたのだと受けとめております。私ども民主党も、行政監視院法案、ぜひもう一度トライしたいと思っておりますが、いいものはいいと、総理大臣もそうおっしゃっています。野党から出たからといって否決するのではなくて、ぜひ検討していただいて、私どもが出した場合には、大臣もこれに賛成をしていただきたいというお願いをしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党・無所属クラブの武正公一でございます。行政機関が行う政策の評価に関する法律案につきまして質問をさせていただきます。

 まず、この評価ということでございますと、大臣の発言がやはり当然それぞれの省庁の政策を決定するといった意味から、ここのところ、二匹のウサギか一匹のウサギかということで大臣の方に何度か質問させていただいておりますので、冒頭、こちらからちょっと質問させていただきたいと思います。

 私は、二月の二十七日に地方交付税法の改正で質問をしたときに、三年たてば景気がきっちりと自律的な回復軌道に乗る、その際は、国と地方の事務や権限の再配分に伴う地方税財源のあり方について、国と地方の配分のあり方についてしっかりとした議論ができるのではなかろうかというふうに御答弁をいただきました。

 そしてまた、小泉内閣になられての総務大臣として、過日、五月三十一日、これは電気通信事業法改正ですか、お伺いをしたときの御答弁では、今度の小泉新総理は、むしろ、これは二兎ではないのだ、二匹のウサギでなく、よく考えてみたら一匹なのだ、景気回復と構造改革というのは一体なのだ、コインの裏と表なのだと大臣が答弁され、そして続けて、私もかねがね、景気回復をやるのだけれども、そのやり方で構造改革に資するやり方もある、あるいは、物によっては構造改革を先行した方が景気回復にプラスのこともあると。小泉総理ほど徹底してはおりませんけれども、私は割に二兎を追う構えということは、ある意味、近かったと思いますが、今回はそういうことで、小泉新内閣ができて、構造改革と景気回復を一匹のウサギとして追っかけていこう、こういうことでございますから、我々もその方針のもと、所管行政については考えていく、こういうことでございますというふうに御答弁をいただきました。

 それに続きまして、六月五日の火曜日には、そういった意味では構造改革と景気回復は一体なのだ、一緒にやるんだということを私の質問にお答えをいただいたわけなんですが、六月五日の答弁では、地方税財源の充実についてこのように答えておられます。せめて五対五にしたい。ただ、それでは今すぐできるかというと、それはできません。やはり景気回復を待ってから税源移譲というのをやってもらいたい、四対六を五対五にしてもらいたい、こういうふうに思っていますということで、景気回復が先なんだということをまた御答弁の中で述べておられるんです。

 一匹のウサギで、構造改革と景気回復が一体であるならば、やはりこの地方税の税源充実あるいは税財源の移譲、これも一体で行わないと、結局は、構造改革をもって景気回復に寄与するという小泉首相の考え方とそごを来すのではないかというふうに考えるんでございますが、御所見をお伺いします。

片山国務大臣 いろいろ私の答弁を時系列的に御精査いただきまして、ありがとうございました。

 私が申しているのは、やはり今の内閣、小泉内閣は、景気回復をするにも構造改革と一緒でなければなかなか景気回復は難しい、こういうことなんですね。構造改革とあわせて景気回復をやる、こういうことでございまして、景気回復が最優先の課題だということは、それはそうなんですよ。ただ、景気回復するためにも構造改革と一体でやらなければ、これが一匹のウサギ、こういうことですね。

 そこで、今、構造改革で何をやるかということは、当面、小泉さんが言っておりますのは、委員に釈迦に説法ですけれども、とりあえず国債発行を三十兆以下にする、それからしばらく時間を置いてプライマリーバランスを回復する、こういうことですね。そこで、そのためには何をやるかというと、これから国の歳出と地方の歳出を精査して、それを切り込んでいくということですね。それは構造改革でもありますよ。同時に構造改革でもあるけれども、それによって景気回復をしっかりとプラスにしていく、景気回復を確かなものにしていく、こういうことなんですね。

 そこで、構造改革といってもいろいろあるんだけれども、国から地方に税源を移譲するのも構造改革ですけれども、今、国の歳出も二兆以上削ろうと言っている。地方も一兆ぐらい協力してくれと財務大臣は言っていますね。そんなときに、税財源の移譲を議論するのはいいけれども、すぐ実現するというのは私は現実的でないと思うんです。

 だから、とりあえずやることは、歳出構造の見直しからやる、国も地方も。それによって歳出全体を抑えていく。そういうことでむだなものを抑えて重点化したり効率化することが景気回復にもプラスになる。そして、景気回復をして国の税収も地方の税収もそこそこに安定したら、私は、本格的な税源移譲の議論を始めよう。そのために、経済財政諮問会議でも議論してもらうんだけれども、今度は、今の地方分権推進委員会の後のそういう機関でも議論してもらったらどうだろうと。議論はもう始めます。

 ただ、それじゃ来年度から所得税をよこせ、法人税をよこせといったって、これは私は現実的な議論にならないと思うし、景気回復にもマイナスだし、構造改革にもプラスかどうかわからない。経済財政諮問会議が出すあれの中には、原案は、地方税の充実とだけありました。私は、そのときは総務委員会がありましたので遠藤副大臣に行っていただきましたけれども、税源の移譲を書いてもらいました。我々の思想はそういうことです。一貫して地方税の充実と、国と地方の税財源を見直して地方に移譲してもらおう、こう考えておりますけれども、それでは、すぐ来年それができるかというと、私はこれは現実的でない。そこは景気回復を待たざるを得ないのではないか。

 だから、余り矛盾していないんですけれども、議論は大いにさせていただきたい、こういうふうに思っております。

武正委員 議論は大いにしていくという力強い御決意が出ました。二月二十七日の答弁では、三年たてば景気回復ができる、そして議論を始めるというような御答弁でございました。既に経済財政諮問会議で地方税財源強化、移譲ということで書かれておりますし、議論をすぐ始めていこうということでございますので、了解をさせていただいております。

 それでは、評価法の方に移らせていただきます。遠藤副大臣の方に、まず三条二項二号の「政策の特性に応じて学識経験を有する者の知見の活用を図ること。」という規定の趣旨についてお伺いをするとともに、具体的にどのような形で進めるのか、御答弁をお願いします。

遠藤(和)副大臣 まず、本規定の趣旨でございますけれども、この趣旨は、各行政機関に関しまして、みずから評価していく上で政策の特性に応じて第三者の知見を活用することを義務づけることによりまして、政策評価の客観的かつ厳格な実施を確保するということをねらいにしているのが趣旨でございます。

 それから、具体的にどういうふうな形で活用するのかということですが、各行政機関は、政策評価を行うに当たりまして、対象とする施策の種類や類型に応じまして、専門家や研究者等から意見聴取をすることもあるし、あるいは外部研究機関へ委託する場合もあります。そういういろいろな適切な方法で学識経験を有する者の知見の活用を図る、こういうことができると思います。

武正委員 これがやはり外部の力をかりるんだという話が出ているわけですが、例えばNPOとかさまざまな団体もあります。ここら辺も各省いろいろと活用していくべきではないかなというふうに思います。

 また、十五条の二項四号に国の委任、補助という項目がありまして、要は、今回の法案では余り地方自治体との関係が書かれておりません。地方自治体のことは地方自治体で評価をやってもらうんだよという趣旨と理解はしておりますが、やはり国からこれだけの補助金が地方に流れている。この国の委任、補助という項目については、今、各地方自治体が外部監査人というものを置いて進めておりますので、私は、この外部監査人との連携というようなことも、この外部の学識経験を有する者ということでいろいろとまた読み込んでいけるのかなと。外部監査人制度が進んでおりますので、ぜひこれとの連携を図っていただきたい、これは要望しておきます。

 次に、五条四項に、審議会など政令の定めるものの意見を聞いてとあります。今回、政策評価・独立行政法人評価委員会ということで、八条の審議会、八条機関になっておりますが、何ゆえ政令の定めるものという法律の書き方をしたのか、この委員会名をなぜ法律に書き込まなかったのか、御所見をお伺いします。

遠藤(和)副大臣 御指摘のとおり、法律第五条四項の審議会というのは、既に総務省に設置をされております政策評価・独立行政法人評価委員会を想定しているわけです。

 この委員会は、中央省庁再編のときに関連する組織法の整備を行った際に、政令で設置する、このように整理されたところでございまして、その関係で、純粋な法令技術的な理由から、本法におきましても、委員会の名前を直接明記しないで政令で定めるとしたものでございます。

武正委員 今回の政策評価は各省にとっても注目をされておりますし、また行政改革会議の一つの目玉としてこの政策評価が打ち出され、そして一月六日の省庁再編でも各省に政策評価の担当が置かれるということで、一連の流れの中でこの委員会を政令で定めるというのを法的なもの、テクニックの問題だというようなお話でしたが、私は、やはりここに書き込んであるべきだろうと思います。

 次の質問になりますが、私は、八条機関というこの委員会の性格でありますけれども、やはり三条機関あるいはもっともっと独立性を担保すべきではないかなというふうに思っておるんです。特に、これによって総務省の権限が巨大化するのではないかという危惧をする声がございます。また、この法案を読んでいきますと、では一体総務省に対して政策評価のチェックをするのはだれなのか、あるいは総務大臣に対して物を言うのはだれなんだろうといったことを考えていくと、私は同委員会は三条機関にして独立性を高めるべしというふうに考えるんですが、総務大臣、御所見をお願いいたします。

片山国務大臣 よく三条機関と八条機関のお話があるんですが、今回の政策評価・独立行政法人評価委員会は八条機関にさせていただきました。

 三条機関というのは、独立して準省的な機能を営んだり、準省的な調整をやったりするようなものが三条機関なんですね。自分で権限を持っている、行政処分ができる。だから、現在三条機関というのは、代表的なものは公正取引委員会、私どもの方の公害等調整委員会、あとは中労委や何かがそうですね、権限を持って仲裁する。それから、公安審査委員会だとか司法試験の委員会なんですね。

 それで、日本の国は議院内閣制ですね。議院内閣制というのは内閣が一体となって、だから内閣の意思決定は総理じゃなくて閣議ですよね。閣議で全員一致の意思決定ですよね。議員内閣制というものは内閣が一体となって国会に対して責任を負うという仕組みでございまして、その中でこういう独立して権限がある機関というのがたくさんあることは、私は議院内閣制にはなじまないと、ちょっと今の質問と違いますけれども、かねがね考えております。アメリカは大統領制ですから、そこで千ぐらいどっとこういう三条機関的なものの設置を言ってきたんですね。だから、今日本にできています教育委員会だとか公平委員会、公安委員会、あるいは人事委員会、地方の場合には、こういうものはアメリカ的な制度なんですよ、もう今日本に定着しましたから私は結構ですけれども。

 ただ、議院内閣制からいうと、三条機関がいっぱいあるのはいかがかなと。あくまでも各閣僚が一体として国会に責任を持って、しかし、内閣としては意思の一致が要るんですよ。そういうところが責任を持っていくというのがいいので、行政評価についても、やはり八条機関としてそれぞれの責任を持つ大臣に注文をつけて勧告する、こういうことの方がベターではないか、こう私は考えておりますので、ちょっと話を大きく発展させて恐縮なんですが、そういうことから今回も八条機関にさせていただいたわけであります。

武正委員 独立行政委員会については行政改革会議でその有用性が最終報告でも位置づけられておりますので、私は、日本の三権分立の行政、立法、司法、いろいろと見直し、そして変容してもしかるべきという中で、三条機関の有用性を認めているものでございます。

 先ほどちょっとお伺いしたんですが、政策評価に関して総務省あるいは総務大臣に物を言うのはだれなのか。これは質問通告にはありませんでしたけれども、いかがでしょうか。お答えいただけますか。

片山国務大臣 総務大臣に注文をつけるのはうちの評価委員会であります。評価委員会が、総務省そのもののいろいろな政策評価についての注文をおつけいただく、あるいは総務省が各府省に対して行う調整をすることについても御注文いただく、こういうふうに考えております。

武正委員 五条四項には、総務大臣は、審議会等の意見を聞いて基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないということでありまして、委員会が所管大臣に物を言うというようなことはちょっと読んでも書かれていないわけなんですけれども、これはやはり私は、この委員会が独立性が弱い理由というふうに思っております。

 時間もありませんので、次に移らせていただきますが、それでは、十八条において、総務省が行う政策評価と行政評価・監視との連携とありますが、具体的にはどういうことでございましょうか。副大臣、お願いします。

遠藤(和)副大臣 まず、総務省が行います政策評価ですけれども、それは、その対象とする政策を根本からその効果に注目して見直すことを目的として行っていくものでございます。一方、行政評価とか監視というのは、既に行っている政策について、行政運営が適正であるかどうかということ、あるいは改善を目的として行うものでございまして、若干趣旨が違っていると思います。

 このように、両者は機能面とか方法の上において大きな差異があるんですけれども、効率的な実施を確保するという上ではこれを区別して行うこととしておりまして、だから区別して行うんですけれども、具体的にやる政策評価の過程においては、連携をとるということは必要なことなんですね。業務の実際面でいろいろな問題が見られたときには、緊急度に応じまして、ともに連携をとって情報交換しながらやる、こういうふうなことになるのではないか。こういう意味で、具体的に連携という文言を入れたということでございます。

武正委員 私は連携が必要だというふうに言ったわけで、副大臣も連携が必要だということを認めておられますが、政策評価と行政評価・監視との関係につきましてはこんなことが書かれております。「第十七条の行政評価・監視の用語については、必要性、優先性、有効性から、合規性、適正性、効率性等まですべての評価視点から評価するものが、行政評価・監視であり、政策評価はそのうちの一部であると整理したわけである。」これは総務庁行政監察局長の東田さんという方が書かれていることでございまして、行政評価・監視というのは政策評価を含むということを、これまでこの法案の策定あるいは準備に当たってきた方が述べておられます。

 各省には、政策評価は行っておりますが行政評価・監視はないわけですね。ですから各省に、総務省の行政評価局がやる行政評価・監視のより実効性、これが政策評価と連携して、初めて政策評価は効果があるというふうに私は思っております。

 時間がありませんので、具体的に評価局、監察局の陣容の割合をちょっとお聞きしたかったんですが、先に行かせていただきます。

 会計検査院さんがおいでになっていますので、会計検査院さんと総務省行政評価局あるいは監察局はこれまでどんな連携をされてきたのか、お答えいただけますでしょうか。

重松会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 私ども会計検査院と旧総務庁の行政監察局、現在は総務省行政評価局でございますけれども、先生御案内のとおり、それぞれ立場あるいは目的等が異なるわけでございますけれども、両者の業務は、予算執行の適正化だとか行政事務あるいは事業の効率的な執行を図るという面で共通した面もございます。

 そういうことで、本院といたしましても、行政監察あるいは行政評価・監視の実施状況あるいは所見というものを承って限りある私どもの陣容での検査効率を上げるという意味でぜひとも必要だということで、相互の活動に資するということで、昭和六十二年から連絡会を開催してございます。会計検査の結果あるいは行政監察、行政評価・監視の結果について相互に情報を交換いたしまして、これを定例化しているところでございます。

 この連絡会は、毎年春夏に二回開催しておりまして、例年、春は二月から三月まで、私どもの会計検査院におきまして前年の検査結果について説明し、また夏は七月から八月まででございますけれども、現在の行政評価局から行政監察あるいは行政評価・監視の結果を説明いただきまして、相互に忌憚ない意見の交換を行っております。

 いずれにいたしましても、双方にとってまことに有意義なものと理解しておりまして、今後とも継続、発展させていこうと思っているところでございますので、よろしく御理解のほどお願いいたします。

武正委員 会計検査院さんもその有用性を認めておられます。

 平成九年に、国会法改正で会計検査院法が改正されまして、効率性、有効性、経済性といった観点から検査を行うことになりました。その十年前ぐらいからこれで会計検査院さんはやっていたというお話なんですが、改めて法律に書き込みました背景としましては、先ほども話がありましたが、アメリカのGAOでは、六〇年代後半からいわゆる政策評価を始めました。七〇年代には定着していた、業績評価ですね。今GAOの九〇%は政策評価に充てられている。いわゆる財務諸表の検査は、インスペクターゼネラルというような形で各省に担当者が置かれていて、そこが財務諸表検査をやる、それをチェックするのがアメリカ会計検査院、GAOである、いわゆる内部監査と外部監査がうまく相まっているということでございます。

 先ほど会計検査院さんから話がありましたが、私は、今回の政策評価に当たりまして、総務省行政評価局は、政策評価及び行政評価・監視を行うに当たり会計検査院との連携をより強化すべきではないかと思うんですが、これは大臣、御答弁の方よろしくお願いします。

片山国務大臣 今、会計検査院の方から御答弁がありましたが、ちょっと観点は違いますけれども、行政そのものの適正な執行を確保するという意味では同じだと私は思いますね。ただ、会計検査院の方は会計経理の監督、適正化というところに主たるねらいがあって、我々の方は、政策をどうやって評価していくか、監視をするか、行政運営がどうか、こういうことにねらいがありますけれども、そこは私は連携していった方がいいと思いますね。

 今のお話のように、連絡会をやったり若干の人事交流をやったりなんというようなことをやっておりますから、今後とも、政策評価あるいは行政評価・監視がだんだん本格的軌道に乗ってきますから、そういうことでさらに会計検査院との連携を深めたい、こういうふうに思っております。

武正委員 まさにバリュー・フォー・マネーでありまして、お金、そしてそれが費用対効果がどうであったかといったことが政策評価にはかなり欠かせない主要な部分でありますから、会計検査院さんとの連携をぜひ強化していただきたいと思います。

 次に、公取さんもお見えでございますが、公取さんとこれまでの総務庁行政監察局、規制改革に関する連携、取り組みはどのような形であったか、また、今後行政評価局とどう連携を進めていこうということを考えておられるか、お答えをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会では、行政事務の簡素化、合理化の観点から許認可等の見直しを行ってきた旧総務庁行政監察局との間で、相互に意思の疎通を図ることにより、政府規制及び独占禁止法適用除外制度の見直しを円滑に行うため、昭和五十五年四月から、政府規制及び独占禁止法適用除外に関する合同検討会議を設置し、規制改革へ向けた連携した取り組みを行ってきているところでございます。

 この合同検討会議におきましては、政府規制及び独占禁止法適用除外の見直しの基本方針及び方法に関する検討のほか、規制改革の推進に向けた双方の取り組みについて、率直な意見交換を行ってきたところでございまして、独占禁止法の適用除外法の整備など、成果を上げてきていると考えております。

 中央省庁再編により、旧総務庁行政監察局は総務省行政評価局として再編され、行政評価・監視に係る事務のほかに新たに政策評価に係る事務が加わったものと承知しておりますが、規制改革に関しては、今後とも、必要に応じ、かつ適切な範囲内で、総務省行政評価局と連携した取り組みを行ってまいりたいと存じております。

武正委員 公取さんも連携をしっかりやっていきたいということでございます。こういった外部のさまざまな機関と連携をとりながら、そしてお互いに役割分担としっかりと強化をしながら、この政策評価は進めていくべきものだというふうに考えております。

 そして、今度は二条一項四号を見ていただきますと、公取と公害等調整委員会だけがここに抜き書きをしているわけですね。これはなぜこういう形になっているのか、政務官の方、お答えいただけますでしょうか。

新藤大臣政務官 この法案は、府と省を基本に考えております。

 ですから、条文を見ていただきたいんですが、二条の一号と二号が内閣府に関しての問題です。内閣府の中で、特に外局である宮内庁と警察庁、これは内閣府の中でも別途にするんだ、こういうふうに分けております。そして、同じように今度は三号において各省の設置を言って、それの中で特に独立性が高い、それからその省とは別に政策評価を行った方がいいと思われるところについて、特別な外局として、実施主体として位置づけたということで、これは要するに立法技術上の問題でございます。

武正委員 立法技術上の問題という答弁が二回目に出てまいりまして、果たしていかがなものかなというふうに思うんですが、要は、これを見ていただくと、宮内庁、警察庁、そして公取、公害等調整委員会、これはそれぞれの担当省庁が評価をするんじゃなくて、自分たちで評価をしなさいよというふうに読み込めるわけであります。

 今、政務官の方から特に独立性が高いということで御答弁がありました公取でございますが、これは、水野清さん、行政改革会議の事務局長を務められた方が「官僚と権力」でこう述べておられます。「公正取引委員会の問題も残った。この役所は、全く独立した三条委員会であるが、諸外国では、独占禁止法上最も問題となる郵政三事業と通信・放送行政と近いところにあり、一応、総務省の範囲にある。すでにアメリカ政府やEUから、日本の独禁政策の今後について抗議が来ていることを付け加えておく。」ということでございます。

 最後に総務大臣に、公取が、総務省に置かれずに内閣府に置くべきだという議論がずっとあった中で、総務省に置かれるようになりました。ただ、ずっとかかわってこられた水野さんのような御意見があり、また先ほど公取との連携ということもありますけれども、特に公取の独立性を高めるには内閣府に置くべきではないか。これについての御所見をお伺いします。

片山国務大臣 公取は、名実ともに独立した機関なんですよね。だから、私は内閣府に置いても総務省に置いても同じだと思います。

 ただ、恐らく、あのときの整理では、内閣府に何でも持っていくと内閣府がちょっと機能不全に陥るんじゃなかろうか、そういう意味では全体のまとめ役的な位置にある総務省につけておこうかということではなかったろうか、私はこう思います。だから、所轄は私のところになっておる。

 ただ、これは所管とまで言い得ないですね。所轄なんですね。だから、もう職務そのものは完全に独立して、これまた行政委員会ですし、三条機関として機能されておりますから、そういうことで、一月六日から発足したばかりで、今直ちにということにはなかなかならないと私は思いますが、将来の検討課題としてはこれは一つあるな、こういうふうに認識いたしております。

武正委員 これにて質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、山村健君。

山村委員 行政機関が行う政策の評価に関する法律案につきまして、民主党山村健、質問に立たせていただくことを非常に光栄に思うわけです。といいますのも、先ほど来今野議員の方からも出ましたとおり、川崎先生もお見えですが、私も出身が三重県でございまして、自慢するわけではないですが、やはり行革先進県の有権者の皆さんから支持を得てこの場へ立たせていただき、そしてまた行革に関する政策評価というものに対しての質問に立たせていただく、非常に光栄に思う次第でございます。

 ただ、この法案、ざっと見させていただいたときにどうしても気になるのが、行政機関が行政の政策評価というものを本当に客観的にできるのかどうかということがまずもって心配な点ということで、その点について、大臣にお願いしたいんですけれども、先ほど来いろいろ議論もございますが、客観的に本当にこれは運用できるんでしょうか。

片山国務大臣 そこのところは山村委員初め皆さん、いろいろ御議論のあるところだと私は思いますけれども、一次評価はやはり自己評価でいいと私は思うんですよ。ただ、その自己評価さえ今までやってきていなかったんですからね、正直言いまして。個別にはいろいろなことをお考えだったと思いますけれども、仕組みとして、システムとしてはことし一月から初めて始まったので、しかも、先ほど言いましたように、まだ試運転ですよ。法律を通していただいて、本格的にこれが軌道に乗るのです。

 それで、自己評価がまず第一次にあって、二次的には総務省が調整して、その外にそれぞれ評価委員会があって、それから評価の仕方もできるだけ客観性を持ってくれということは、定量的、定性的な方法を開発してほしい、知識、経験のある第三者も活用してほしい、いろいろなことを今注文しておりますから、これからトライ・アンド・エラーで、私はだんだんうまくなっていくんじゃなかろうかと思います。

 そこで、言われるように、できるだけ客観性を保つ評価でないと、それ自身が権威がありませんからね。それから国民の皆さんにも、なかなかちゃんとした評価だな、こういう評価をそれこそ我々も得なければいけませんから、そういう意味で、だんだん、我々も努力して、各省にも努力していただいて、この仕組みが、この制度が生きるようにいたしたい、こういうふうに思います。

山村委員 大臣の方から、ことしの一月からの試運転というような言葉をいただいたんですけれども、三重県初め静岡、宮城、それぞれの地方の行政府においては、三重の場合ですと九六年から実施しておるわけなんです。国として一月六日からスタートしたというふうに認識しておるんですが、今までの経緯といいますか、ここに至るまでのことというのを少しお聞かせいただければと思うんです。

塚本政府参考人 先ほど来お話に出ておりますように、この政策評価の問題は中央省庁等改革の重要な柱であるということでございます。

 行政そのものについていろいろな批判が行革会議の当時にもなされ、行政の自己監視や自己評価ということが重要ではないかということからこの議論が始まったわけでございまして、基本法、それから各府省の国家行政組織法等に評価という字が初めて書かれたというようなこと、その裏側で、私ども総務省、当時総務庁行政監察局といたしまして、御指摘のとおり、確かに地方自治体において先行しているというようなところがございましたが、そういうものも勉強をしながら、政府の場合は新しいシステムを取り込むということでやってまいりました。その結実が、一月につくりました、各部署の政策評価の指針となります政策評価に関する標準的ガイドラインということでございます。

 この一方で、実は、中央省庁の改革に関連いたします法律案が平成十一年七月に成立いたしますに当たりまして、両院の特別委員会の附帯決議で、政策評価の制度の実効性を高めるために法制化が必要であるという附帯決議があったわけでございます。

 また現実に、そうしたことに対しまして、国民の各界各層から強い期待と関心が寄せられたという認識でもあったわけでございまして、これも踏まえまして、政府として、この制度の実効性を高めて、また国民の信頼を一層いただくということから、今回、行政評価法案として法制化の企図を提出させていただくに至った次第でございます。

山村委員 先行する地方自治体という中で、行政評価のシステムを導入すれば、即、例えばむだな公共事業がなくなるであるとか、住民生活がすぐに豊かになるとか、参加型の民主主義に変わったとか、いい点だけではないと思うのです。

 そういう観点から考えたところで、実際にこの法案が導入された後、どのような効果を期待されてこういう法案を総務省として実施しようとしたのかということをもう一度明言いただきたいのです。

    〔委員長退席、若松委員長代理着席〕

新藤大臣政務官 公共事業の問題を初めといたしまして、行政効率を上げるということが今私たちの国の最大の課題だ、委員と同じ認識を私は持っているというふうに思っております。

 ただ、まず初めにむだな公共事業があってはならないわけなので、本来、政策評価をするであるとかの以前に、これはきちんとした必要性を認めた上で事業をしていかなければいけないわけです。そういう意味では、担当課、それぞれのセクション、セクションで仕事がいろいろとつくり上げられていく、しかし、それをもう一回客観的に、または定性的に、定量的に見てみてはどうか、もう少し違う立場から光を当ててみたらどうかというのが、私は、今度の政策評価の法案の一番効果を期待するところなのでございます。

 特に公共事業につきましては、この法律の中において、公共事業においては事前評価をやりましょうということを明確に位置づけております。それから、一定期間未着手のものであるとか、そういう事業性についても必要性をチェックしましょう、こういうことになっております。また、改めて事後評価も義務づけするんだ、こういうような形で、その他、ODAだとかいろいろ、長期間の経費を要するものとか社会的な影響が多大なものについては同じような位置づけをしておりますが、私は、こういうことをやることによって費用対効果とかそういったものを見直すことによって、結果としてかなり公共事業のむだがなくなるのではないかというふうに期待をしております。

山村委員 まさしくおっしゃるとおりといいますか、先例の地方自治体の部分から考えましても、成功していると言われている部分についてはおっしゃるとおりのことなんです。

 ただ、一つだけ非常に気になる点というのが、行政が行政を評価し回していくといいましても、もう一つ必要なことというのは、やはり情報公開、情報を開示していく、政策の決定過程を一般の国民に、市民に示していくという作業が非常に不可欠な要素であると思うのですが、その辺に関してはどのような対処をされてみえるのでしょうか。

遠藤(和)副大臣 この四月一日に施行されました情報公開法、そして現在の行政評価法、この二本の法律が相まって国民に対するアカウンタビリティーを果たしていく。そして、行政をガラス張りにしていくということは、かつてなかったことでございますし、大変すばらしい選択だ、私はこのように思うわけでございます。

 この二つの法案を十分に機能させることによりまして、行政が本当に国民の目に明らかであって、しかも、行政の評価を行政府がみずからやるのですけれども、それを公表するところにまた一段と意味がありまして、それは、国民がそれの最終的な評価をするわけですね。国民が評価することによって、行政府がお手盛りの評価であれば国民から厳しい評価を受けるでしょうし、この評価をさせるというところにまた意味がある。国民に公表を義務づけているところに大変大きな意味があると私は思います。

山村委員 法案にもそのようには書いてあるんですけれども、それを本当に二本の柱としてこの国の今抱えている問題を改善していくには、まさしく小泉総理が言われる改革の一番の柱になる二つの法律になり得ると思うのです。

 ただ、私が心配するのは、そういうことをやられますと、いろいろマスコミ等、特に我々野党の方が盛んに攻めております言葉に、政官業の癒着構造を打破するというようなことを言わせていただいているんですが、行政の評価法案があり情報公開法があり、それを推進するということは、今までのそういう構造というのがなくなってしまうことになるんですけれども、政府・与党の皆さん方、その辺の覚悟というのはいかがでしょうか。大臣、本当に総務省として責任を持って、覚悟を持ってやっていただけるのかどうかということを、まずここで。

片山国務大臣 政策評価法案と情報公開法案、情報公開法案はもう既に通していただいて、四月から施行ですから、私は、これによって行政がガラス張りになる、国民の皆さんにわかりやすくなると。それから、国会にもいろいろな公表をしますし、世間にももちろん公表するわけですから、そういう意味では、各役所が説明責任をしっかりと果たさなければいけなくなるので、政官業ですか、何かそういう癒着だとかなんとかいうお話が時々ありますが、議院内閣制というのは政と官が癒着しているんですよ。これは、いい癒着ならいいんですよ、悪い癒着があるから問題なんで、議院内閣制というのはそういうことですから、ぜひひとつ御理解賜りたいと思います。

 もしそういうことがいろいろ言われているとすれば、私は、この両法案のうまい施行によってだんだん世間がそういうことを言わなくなるのではなかろうかと思っております。

山村委員 確かに、政官の癒着というと言葉は悪いですが、本当にコラボレーションといいますか共同作業にするためには、この行政評価システムというのは非常に重要な法律でもあるし、やはり忘れていただきたくないのは、情報を公開するというようなこと。

 それとまた、大臣に今改めてその覚悟といいますかを確認させていただいたのは、率直に申しまして、この法律を私ざっと最初に読ませていただいたときに、総務省という省庁が他の省庁に比べて少し上になってしまう、権限を握ってしまうのじゃないかということを危惧したわけです。

 今まで、御承知のとおり、かつての省庁の中でも同じように、某お金を扱う省庁、予算を扱う省庁は、同じ省庁でもちょっとだけ上だ、省庁内省庁というような言われ方もしてはおったような、官僚国家の中枢にあったと思うのですけれども、予算だ何だという金銭的な分は別として、今度は、情報、政策ということを、総務省のいわゆるお墨つきがなければ進めることができないということになると、陳情に来るのも、財務省だそっちの方だというより、総務省の方へ駆け込んでくる話の方が多いのかな、その辺が密室であっては困るなということで、今、大臣にそういうお話を再確認させていただいた次第なんです。

 総務省が、行政評価といいますか、こちらだけをやっているわけではないということで、非常にこれまた総務省管轄の領域になると思うんですが、こうなったらこうなるよというような具体的な運用事例といいますか、例えばIT基本法、IT政策というのも総務省の管轄にあるわけなんですが、その優先順位をつけていく方法といいますか、いわゆる省庁の縦割りの弊害をなくすためにこの行政の評価システムというのは非常に有効に活用できると思うんですが、そういったような具体的な事例、一月からの試運転の期間でも結構なんですが、あれば、ひとつお聞かせいただければと思うんです。

塚本政府参考人 御指摘のように一月から行政評価局ということで、従来、私ども行政監察専担でございまして、行政監察プログラムということで三年間の先々の計画をつくって、的を絞った重点的な調査をやってきたわけでございます。

 一月以降は、それに政策評価が加わりまして、行政評価等プログラムということで始めておりますが、差し当たりの取り組みといたしましては、例えばリゾート法の問題あるいは輸入促進に関する基盤整備の問題等々、複数省庁がかかわる、その中で総合的な施策を講じていくというような設計がなされている施策について、その効果あるいは問題点の評価を行うというようなことに手をつけているところでございます。

山村委員 確かに、複数省庁にまたがる懸案に関しては総務省がそれを調整していくというようなことをこの法案にも書いてはあるんですけれども、率直に申し上げまして、これはまた別の機会でもいろいろお話しさせていただいていたんですが、IT関連の業務に関していいますと、この国のIT基本法にのっとったe―Japan戦略で、あれもこれもというんじゃなく、その優先順位をつける基準というのは一体どういうところにあるんですかということを聞きたかったものですから、大臣、漠然とした答えで結構なんですけれども、こういうものは評価システムを利用すればこういうふうになるよというようなことをちょっと具体的にお願いしたいんです。

片山国務大臣 IT基本法は、私どもの方だけじゃなくて、関係省庁がたくさんございます。また、IT戦略本部というのもございまして、本部長は総理で、副本部長が竹中大臣に総務、経済産業、官房長官、こうありますので、内閣一体でこのIT革命を推進していこうということでございます。

 その中で、例えば超高速ネットワークのインフラの整備だとか、競争政策の推進だとか、電子政府、電子自治体、あるいは電子商取引、IT講習なんかも今私どもの方でやっておりますけれども、いろいろなことがある中で、そういうことが私どもの中心的なIT関係に関する政策ではなかろうか、こう思っております。

 そこで、順位をつけるということは大変難しいんですよね。私は、この計画は三年ないし五年ということなら、その年限によって大分違うと思います。今、私どもが一番急いでおりますことは、競争政策を促進する、電気通信事業法をお願いいたしまして衆議院を通していただきましたが、競争政策を促進するということと、やはり超高速ネットワークを、光ファイバーだけじゃなくて、DSLやケーブルテレビや無線系、あらゆるものを含めて、地域的なデジタルデバイドがないように全国的にこれを広げていく、こういうことに一番重きを置かなきゃいかぬのじゃなかろうかと思っておりますが、二年後までに、届け出や申請をインターネットを使って全部オンライン化しようと。

 だから、今はそれが優先順位が高うございますけれども、やはり次はまた変わってくる、そういうことでこの政策評価も、例えばIT関係ならしていくのかな、こういうふうに私は思っております。

山村委員 大臣の方でかなり踏み込んだところまで御答弁いただきまして、非常にありがたく思うんですが、私の方が質問した意図といいますと、実を言いますと、今これを例に挙げた場合、IT基本法でありe―Japan戦略でありという基本方針ははっきりと決まっていますね。二〇〇五年までに世界で一流のIT国家になるんだ、IT革命をなし遂げるんだという中で、IT戦略本部だIT何とかかんとかだ、要するに、経済産業省の中にもあり、当然総務省の中にもあり、文部科学省の方にもあり、いろいろな各省庁をまたいだ中で、IT基本戦略という言葉だけ、ITという言葉だけが国民の前には行っているだけで、中身が何にもわかっていない。

 それで、ではそれを政策としてやるのはIT戦略本部なのか、つかさどるのはどこがやっているんだというようなことが、この行政評価システムができることにより、このとおりといいますか、一月から試運転されて、まさに新しい年度になりまして、まあ来年からになるとは思うんですけれども、そういう感じでいきますと、その基本計画というのは、実際のところ今各省庁で立ててみえるわけですよね。それの評価というのを進めて、総務省のこの行政評価システムの方にフィードバックしてくるというような形になって、いわゆる政府の政策としてはすべて、政策評価基準といいますか、今回の法案のものがその原型といいますかプロトタイプとなっていくということなんですよね。それをちょっと確認したかったものですから、長々と済みません。

    〔若松委員長代理退席、委員長着席〕

片山国務大臣 計画はIT戦略本部で全部まとめるわけです。各省が持ち寄ったものをIT本部で調整しましてまとめたものが今のアクションプランですね。それから、戦略そのものは、言われたように、五年後に日本を世界で最も進んだIT先進国というんでしょうか、それにするということでございます。

 したがって、アクションプランの中の各省がやるものについては各省がまず政策評価する、こういうことになると思いますけれども、これこそ複数にまたがる大変大きなテーマですから、それでは、それを各省にやっていただくけれども、もう一度総務省で二次的にやるかやらないかということは、これはこれからの課題になると私は思いますね。関係のところとも十分相談しながら、どうするか考えていきたいと思います。

山村委員 確かに、IT政策というのは非常にマッチする政策だと思いますし、それの管轄をしているのも片山大臣でございますので、それをいい事例に生かしていただければ、この評価法案というのもどういうものかということが国民に伝わりやすくなると思うんです。ただ、くれぐれもやはり情報公開ということを綿密に考えていただかないと、まさに国家百年の大計を誤るような政策になり得るんじゃないかなというふうにも思う次第です。

 それで、先行する地方自治体がこの行政評価システムを導入して悩んでいる部分というのがさまざまあろうかと思うんですが、そういう事例というのがありましたら、ぜひお聞かせいただきたいんです。

塚本政府参考人 先ほど申し上げましたように、地方自治体、先行しておられるところがございまして、先ほどもございましたよい事例、悪い事例がたくさんいろいろと出てきております。

 やはり、一番多い問題点として私どもが聞いておりますのは、書類等の作成が大変な量に及ぶ、またそのことが日常の業務時間の相当部分を占めるので、企画と評価との関係で申しますと、むしろ企画に時間が割きにくくなる等の問題もあるやに聞いております。ただ、一方におきまして、成果というもの、それから住民の方々に何をお届けすればいいのかというような点については意識が高まった、先ほども御指摘がございましたけれども、やはりそういうようなこともあるようでございます。

 いずれにいたしましても、評価そのものは職員の方々にとっては大変重たい仕事でございますので、緊張感も、またある意味の重荷も組織内に高まっている、こんなことも断片的でございますが聞いておる次第でございます。

山村委員 私の聞いている情報といいますか、いろいろな事例としましても、同じようなことがございます。

 はっきり申し上げまして、いわゆる役所の職員の皆さんというのは、デスクワークは非常に得意な部分ではあるわけなんですが、本来の仕事というのはどちらにあるんだということを本末転倒してしまっているような事例が、私どもの住まいでも当初ありました。九六年当時から今の北川さんという知事が行政改革を声高に言い出して行政評価システムを導入した後、正直申しまして、私の場合、個人的な立場でいえば、プロの県民になってやろうという意識になったわけです。プロの県民、市民になろうとするには、インターネットという手法も含めて、市民レベルの知識というのは非常に上がった。

 しかしながら、知事が言ったことをやる行政の当事者というのは、まさしく事務量に追われて、今までのやり方と百八十度違ってしまったという戸惑いの中で、作文を書くのに一生懸命になって本来の仕事を忘れてしまったというようなことで、機会あるごとに当時一市民であった私たちは知事に、言っていることはわかるけれども県としてはなかなか進んでいないではないか、行政効率は何も上がっていないというようなことを言い続けたわけなんです。それでも、先ほども言葉がありましたが、職員の意識改革ということで、県庁内改革というようなことで、職員の皆さんと非常に多くの時間を費やし討論しながら、外に対してはインターネットという手段でコミュニケーションをとりながらというような形で、三重県という行政改革先進県、このシステムを導入した事例としてはあるわけなんです。

 その三重県ですらと言ったら失礼ですけれども、国会経験よりプロの三重県民をやっていた時代の方が私は長いものですから言わせていただきますと、毎年毎年この評価システムというもの自体を見直そう、北川さん流に言いますとバージョンアップしているんだというような言い方をされていますけれども、ともすれば、行政の皆さんというのは、一たん決めたことはなかなか動かしづらいと。

 二十一世紀型の政策指標といいますか手法としたら、行政評価システムがこの場で法案審議され通ってしまったら、それが標準として、日本の政策決定システムとして中央に位置していただかなければ本当に困るのですけれども、それに余りにも総務省として固執し過ぎてもらっても困りますよというようなことを私は考えておりましたので、最後になりますけれども、その件に関して所見をまたお伺いしたいのです。

遠藤(和)副大臣 すべての制度、法律というものは絶えず新しい眼で見直して斬新なものにしていくということが、大変大事なことだと思います。この法律の中でも基本方針を閣議決定することにしておりますが、これを新しい角度でまた見直して閣議決定を変更することによって、バージョンアップという言葉をお使いになりましたけれども、さらにそうした制度になるように、法律になるように仕上げていきたいと思っている次第でございます。

山村委員 時間も迫ってまいりましたので、最後になりますけれども、本当にバージョンアップしていただくということと、もう一回再確認で言わせていただきましたら、政策決定過程といいますか、その前の部分というのをどんどん公開していただいて評価させてもらえる機会をふやしていただければ、我々議員としても非常に効率のいい仕事ができるかなと思いますし、また国民にとっても非常にわかりやすい政策、日本の政治がどっちの方面に動いていくのかということが非常にわかりやすく伝わると思います。それがまさしく小泉改革、八〇%、九〇%という高支持率に支えられていて、我々野党がそういうエールを言うのもおかしな話なんですけれども、確かにこの国は今変えなければいけないと思いますので、総務大臣、総務省一丸となってこの政策評価システムを本当にいい運用ができるように組み立てていただきたいと思います。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、松崎公昭君。

松崎委員 民主党の松崎です。

 この法案で四人目でございまして、大分きょうの審議でもいろいろわかってきたことが多い、それと同時に、やはり問題点は皆さんが同じように指摘をしている、そんなことを今感じております。

 さて、この行政評価の問題でありますけれども、これは、本来的には第三者が客観的にある程度評価をした上で、政策の内容をまた情報公開し国民にどんどん参加をしてもらう、そしてそれを予算に反映していく、次の政策に反映していく、これがこの法案の意図するところではないかと私は思っております。

 さて今回、日本の場合、地方は非常に先端的に、既に千七百四十団体が導入または検討しているというふうに、地方に関しては特に行政評価という非常に大きな枠組みでやっていられるところが多いのであります。そういう時代の中で、少しでもむだな経費を外していく、そして少しでも税収を内容的にアップさせていくんだ、一生懸命そうやったところで、実はこの委員会でもずっと検討しております交付税の制度でありますとか地方行政の制度、こういったものが、特に交付税制度等がありますから、行政評価したりあるいは政策評価してむだをなくして効率よくやったところで、一生懸命やったところもそんなに効果がないんだ、標準的に交付税制度でやられますから。

 ですから、今の交付税制度ではその辺が、行政評価とか政策評価をしっかりやって自助努力をしていくその効果を非常に薄めるようになるんじゃないかということがまた明らかになるわけでありまして、地方行政の地方税充実を含めた改革がこれから諮問会議でも言われるわけでありますけれども、担当大臣として、政策評価、行政評価、そういう視点から地方の今の地方交付税制度を中心とした制度を本当に見直しをしないと、こういうものが全国でも、政府でも今度入るわけですけれども、地方自治体はもっと先行しているわけであります。

 ですから、そういう意味で、スピードのある地方の制度の改革が必要ではないかということをちょっと冒頭に大枠で御質問させていただきますが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 地方交付税制度が地方団体の自助努力を阻害している、こういうことはないと思います。何度も言いますように、今の我が国の状況の中で、地域的に経済力が違う、したがって財政力が違う中で、やはり一定の行政水準をやってもらうためには財源保障するということと、でこぼこの調整をするという財源調整、そのためには地方交付税は不可欠だ、役割を果たしてきていると私は思います。だから、基準財政収入の見方も二〇%ないし二五%は残しているのです。それは、自由でゆとりを、自主的な部分を残して計算しているわけです。

 それからもう一つは、このところのバブル崩壊後の景気対策ということで地方財政にも、地方団体にも協力してもらう、そういうことで、言われているように公共事業の裏負担や単独事業そのものの財源を起債を充てて、その元利償還を、丸々ではないんだけれども、丸々近く見ていったことがやはりモラルハザードを起こしているではないか、こういう点は確かにあります。制度としては、私は相当よく考えられた制度だと思うのだけれども、そういう本来の制度以外のものがいろいろ加わってきて、そこがやはり今のこの時点で見直す場合には議論の対象になるんではなかろうか、こう考えております。

 いずれにせよ、この政策評価は、正しい政策を選択する、正しい施策、事業を選択する、むだをなくす、しかも、それを国民の目から見てガラス張りにする、こういうことでございますから、この制度が定着して機能すれば、私は、国も地方も相当歳出の合理化や効率化や重点化が行われる、これは大変いいことだ、その結果が地方財政の充実につながってくれれば大変いいな、こういうふうに思っているわけであります。

松崎委員 今まではこの交付税制度が、当然、戦後の荒廃したところで全国の地方が非常に力がない、それで中央集権体制で都市化した、そういうところで、今日までは、十年、二十年前まではこれでよかった。しかし、これからは個性化をしたりむだをなくして地方分権だということになりますから、ここで小泉さんの言っていることは、どうも個性化していいんだ、多少のでこぼこがあっていいんだと。つまり、今までの交付税制度の本質は、役割はある程度済んだんだ、これからは地方もお互いに競争の時代なんだ、そういうことを言っている。

 そこで、この評価制度等も、それぞれの地域によっては恐らく違いが出てくると思います。三重県のように非常に進んでいるところもあるかもしれません。あるいは、今までの、中央から言われたことを普通にやっていればそれでいいんだという、改革のおくれている地域もある。それをやはり、多少でこぼこがあってもいいんだよ、江戸時代のように、多少藩によって違いがあっていいじゃないか、それが私は小泉さんの考えだろうと受けとめておりますので、大臣の、今までの発想でそれでよかったんだというのは、ちょっと違うと思います。

 ですから、この評価制度というのは、そういう意味では個性化を図ることにもなるわけでありますので、それを阻害するような交付税制度、地方制度は、やはりこれはもっと改革をすべきではないか、そんなふうに私は思っております。

 さて、本来のこの法律の問題でありますけれども、海外では非常に進んでおります。アメリカにしてもイギリスにしても、非常に進んでいる。最近、ジョージタウン大学の上山先生という方の本を読んだんですけれども、行政評価には本物とにせものがあるんだと。本物というのは、ずばり行政機関以外の人々が主体で、国民の側から評価をする、これが本物なんだ。にせものは、内部のお手盛りで自己点検をする、これを評価と名づけるんだというふうに言っておりますけれども、これは多分、ジョージタウン大学ですから、アメリカでの行政評価の現場をしっかり見て、そして日本を見ながらこういう表現をされていると思うんです。

 まさに今回、きょうも幾つも議論がありましたが、先ほどから大臣、最初だからしようがないとか、とやかく他の省のことは言いづらいなんということをおっしゃいましたね。あるいは、手荒なことは云々と。この辺の表現にあらわれているんですね。やはりどうもお手盛りというか内部で、この法案の一番のポイントはここですよ、内部の人たちが自分の評価をして果たしていいんだろうかと。

 これは学問的にも、先ほど言いました上山先生のように、やはりそれはにせものだよということをはっきり言っているわけですね。常識的に見ても、マスコミもみんな書いております。やはりこれは、せっかくこれだけの日本の状況になったんだから欧米並みに評価をしっかりやろうということになったのであれば、もうちょっとしっかりとした評価制度を導入すべきではないか。

 ですから、よく問題になっておりますけれども、総務省が他の省を評価するわけですね。これは、先ほど大臣のおっしゃったように、とやかく他の省は言いづらいという言葉にあらわれたように、これじゃ、勧告するとかそんなことも入っているわけでありますけれども、本当にできるんでしょうか、同じ横並びの省。だから、さっきから内閣府がいいんじゃないかとかいう意見があった、あるいは、後で出てくる問題ですけれども、評価委員会を三条にしろというようなことは、全部そこから来ているわけですね。

 果たして今のこの法案のままで、総務省がそれだけの指導性を発揮したり、客観性を持ったり、いわゆるお手盛りだと言われないように、本当にできるんでしょうか。

片山国務大臣 委員が交付税が中央集権制度云々と言うのは、これは完全な誤解ですよ。交付税というのは一般財源なんですよ。一般財源を科学的な手法で計算して、地方にお渡ししているんですよ。

 地方税で出すのがベストなんですよ。地方税でやると、東京や大阪ばかりふえるから、そういう普通の地方のところは財源が全然行かないんですよ。税が取れないんですよ。だから国税の形で、交付税という形で、それを特別会計に入れて、分けているんですよ。これは一般財源なんですよ。一つもひもはついていませんよ。国庫支出金と違うんですよ。これは、私は国庫支出金の方がずっといいと思うんです。ただ、それよりも、地方税をふやすことが、自分で苦労をして汗を流して独自の財源を取る方が私は正しいと思うんで、だから、例えば全部地方が使っている金だけ税を与えればいいんですよ。与えられないのです、今の日本の状況ならばらばらなので。そこで交付税というのが次善の策で出てきているので、一つも中央集権じゃありませんよ。交付税は何のひももついていない。

 計算の中に、例えば景気対策で公共事業やなんかの裏負担をやってもらった場合には、その起債の元利償還を見ていますよ。ただ、それが一種のモラルハザードを起こしている点があるから見直しますと言っているんですよ。小泉さんが言っているのは、地方交付税制度を見直すと言っているので、交付税を削減するとか地方税源を減らすとかと一切言っていませんので、そこは誤解のないように、ひとつよろしくお願いをいたしたい。

 それから、今度の政策評価というのは、内閣の政策、各省の政策をどうやって選択するかのシステムなんですよ。よその人にやってもらうんじゃないですよ。総務省なり各省が、自分の政策を、どうやって科学的にきっちりした手法で決めていくかという制度なんですよ。外部である必要はないんですよ。まず内部なんですよ。だから、各省が責任を持って自分で評価をして、政策を選択していく、事業を選択していくんですよ。それをチェックするために、各府省に専門家の評価委員会というのが別にあるんです。しかも、その評価の場合に、自己評価でもいいけれども、できるだけ専門家の意見もヘルプとして入れなさいと。しかも、各府省にまたがってばらばらになってはいけませんから、そのときは総務省が補完的にやりますよ、こういう制度なんですよ。

 そこは、委員のお考えは少し改めてもらいたい、私はこういうふうに思います。

松崎委員 分権の問題は、ちょっと言葉じりをとらえられてもいけないと思うんですね。やはり、今まで中央集権的に税金を七割方中央政府が集めたときに、本来はもう少し、今の行政のように一対一であれば、最初から地方に税金を納められるように、とらえられるようにしなければいけないはずなんですね。ところが、それは七割上げている。それをやはり戻す。戻しながら、おっしゃるとおり、全国平均的にやらなきゃならない。

 だから、我々民主党の案でも、財源移譲でも調整の交付金は残すということを言っているんですね。だから、おっしゃるとおり、今のまま、でこぼこの行政のまま地方に全部自由にやれということでは、これは絶対でこぼこになり過ぎますから、偏在がありますから、一定の調整を残すというのは、我々の案でもあるんですね。ただ、今までの日本の行政の仕組みの中で、中央に集まり過ぎているということを中央集権体制と言いましたけれども、交付税が中央集権体制とは言っておりません。

 確かに、今まではその調整の仕組みが必要だったでしょう。しかし、これからは、もう少し自立的に、同時に税金を国に集め過ぎるシステムを地方にやりましょうということで、我々は五年間という時限をかけてそれを移転しましょうという法律をつくっているということでありますので、決して、今の交付税制度を頭から否定するとか、そういうことではないんです。よりいい形にするためには、日本の構造を変えるためには、そういう点検をし、そして財源の移譲をすべきということであります。

 それから、今のこの法案に関する問題でありますけれども、きっと根本的な考え方だと思うんですね。やはり大臣の場合は、ずっと官僚さんでありますから、日本の国の今日の形は、この法制度、あるいは官僚の皆さんの力がしっかりしている、そういう前提の上でいくと、我々が今までやっていないのをやるんだからいいじゃないか。そうじゃなくて、もっといわゆる民主主義というレベルから見た場合には、やはりもう少し公開をしなきゃならない。今まで日本の場合は特にクローズでありましたから、これをしっかりと広げていくには、もう少し客観的な政策の評価をするところがあった方がいいんじゃないか、そういうことでございます。

 さて、今おっしゃった官僚の皆さんの、今までどっちかというと、自分たちがすべて善である、すべてと言ったらあれですけれども、善であるという前提の中に、皆さんが予算を獲得し税金を集めたものを、しっかり自分たちの制度とかそういったものでやってきた。これに関して、これからは、予算の効率性でありますとか、そういうことで、先ほどからも意識改革ということは言われておりました。ですから、その意識改革という点で百八十度変わるものではないかと私は思うんですね。その辺で、本当に大臣のおっしゃるように意識改革が果たしてうまくいくのかどうか。この辺をどういう手法で、先ほどいろいろおっしゃいました、研修でありますとか民間の交流でありますとか、特にトップの責任というものも大事だろうということをおっしゃっていました。

 具体的に聞きますと、前回の滝先生の質問で新藤政務官が、各省の作業チームに入ってリーダーシップを発揮すべきだというお話がありました。この辺は、各省のその担当者とどういう形で、政務官の皆さんが本当に政治指導ということでこの政策評価を指導していくのか、これは大臣との関係はどうなるのか、その辺、新藤さんのイメージで結構ですから。

新藤大臣政務官 これは、この初日の審議の中で私がお答えをさせていただきました。そして、それは前任からもそういったようなお話も聞いておりますし、既に大臣政務官会議の中で一度提案をされていることでございます。私は、この次の大臣政務官会議にまた改めてこの問題は提起をしようというふうに思っております。

 そして、あくまでもこれは大臣、副大臣との調整を経た上での前提でございますが、この作業の実際の実務に政治家が入っていくことで、国民の視点というものにさらに近づけられるんではないか、こういう効果を期待しているわけでございまして、これは、できれば内閣、各省で取り上げていただけるように、大臣政務官会議でまず相談をしてお計らいをいただければ、官房長官を初めとしてそこから上に上がっていきます。そして、実際にやるときには、これは大臣、副大臣の御指示がなければできないことでございますから、そういう調整を図ってまいりたい、こういうイメージでございます。

松崎委員 新藤さんみたいにこの委員会にいらっしゃる方であれば十分おわかりだと思いますけれども、たくさんの政務官の方がいらっしゃるわけでありますから、その辺はいわゆる政治指導の責任ということでこの法案の大事さがあると思います。先ほど私の言ったことじゃなくて、これは一応、まず内部的にもやらなきゃいけません。ですから、それはそれでいいんですけれども、その辺の政治リーダーとしての、やはりどこかできちっと、例えば地方であれば首長、中央であれば大臣あるいは総理大臣、その辺がリーダーシップをとってやっていかなければ本当の政策評価というのはできないというふうに我々は思っていますので、ぜひそれをお願いしたいと思います。

 さて、先ほどの独立行政法人評価委員会の話、大臣の答弁では私はちょっとわからないんですが、各省にたしか独立行政法人評価委員会というのがあるんですよね。それで、総務省に置いております政策評価・独立行政法人評価委員会、これは、総務大臣から諮問を受けたりあるいは総務省の行う他の省の評価をチェックする。独立行政法人関係は、各省にやはり独立行政法人評価委員会というのがあるんですね。先ほどは、各省のこの評価委員会が各省の政策評価に関与するというようにおっしゃっておりましたが、どうもこの通則法とかいろいろ読んでみますとそのようじゃないように思えるんですが、この全体の総務省の独立行政法人評価委員会と各省の評価委員会、これの関係、それから各省の評価委員会はどの範囲なのか、お答えをいただきたい。

塚本政府参考人 御指摘の総務省に置かれます政策評価・独立行政法人評価委員会でございますが、実はこの委員会は、二つの機能、分かれた機能を持っております。

 委員御指摘の独立行政法人の方につきましては、御指摘のように、各府省に各府省のそれぞれの独立行政法人の評価を行うための独立行政法人の評価委員会が置かれております。この各府省の評価委員会が行われました評価をさらに評価するというのが、独立行政法人の世界だけでございますけれども、私どもに置かれております政策評価・独立行政法人評価委員会の片っ方の仕事、独立行政法人部分の仕事になっております。

 一方におきまして、政策評価の委員会の部分が総務省の今の委員会にございます。これにつきましては、総務大臣の諮問に応じまして、政策評価制度の基本的事項あるいは総務省の行政評価局の業務について意見を答申し、あるいは独自に意見を述べるという権限があるわけでございます。

 一方、各府省において政策評価についてどのような機構を置くか、これは今各府省でそれぞれ検討中でございますし、また、ある意味では試行的に第三者の諮問機関的なものあるいは研究会的なものを置いておられる場合がございます。先ほど法律の中でも御議論になりましたように、第三者の知見を活用するということからすれば、かなりの場合に、個別の場合あるいは省全体として成る、これはいろいろあろうかと思いますけれども、恐らくそのようなものができるだろうということでございます。

 しかし、この場合は、独立行政法人と違いまして、総務省に置かれます政策評価の委員会がそれぞれの諮問機関や第三者機関的なものに関与するということは法律上はございません。むしろ、総務省に置かれます政策評価部分の委員会は、総務省が行います政策評価、あるいは政策評価の政府全体の制度について物を言っていただく、こういう仕分けになるわけでございます。

松崎委員 なかなかわかりづらい。多分、さっき大臣もちょっと間違っていましたよね。

 そうすると、各省の独立行政法人評価委員会というのは各省に関係する独法を評価するということで、そのほかの省のことはやらぬということですよね。そうしますと、これは、総務省の独法の評価委員会と各省の評価委員会の関連は全然ないんですか。

塚本政府参考人 総務省には、今申し上げました政策評価・独立行政法人評価委員会とは別に、総務省プロパーの独立行政法人に関する総務省の評価委員会がございます。したがいまして、その二つには、内部と申しますか、総務省の中で関係がございます。

松崎委員 わかりました。

 それから、先ほどこの法案のポイントは、情報公開あるいは国民への公表の仕方、しかも、それは双方向であらねばならないんじゃないか、そういうことでありますが、この辺の公表の仕方、インターネット云々と言っておりますけれども、この辺も非常に大事だと。やはり、国民の声をどこまで入れていくか。これは諮問会議の竹中さんもそうですね。オープンソースムーブメントなんていって、どんどん広げて情報を流していく、これはもう既に諮問会議でさえやっていらっしゃる。ですから、そこで、公表の仕方が非常に重要になる、国民の参加が重要になる、情報公開が非常に重要になる。この辺をどういう方法でおやりになろうとしているのか。

塚本政府参考人 御指摘の点につきましては、まず、政策評価、この制度全体につきましては、この法案の各所にあらわれておりますように、公表というものがいろいろなプロセス、いろいろな段階で出てまいります。これによって、国民の皆さんには、当然その作業経過あるいは作業結果が目に触れる、さらには、それをどのように政策に反映させたか、そのプロセスあるいは結果も目に映るということでございます。と同時に、今御指摘のございましたように、より広く、インターネット等のメディアを活用してこれをごらんいただき、また御意見をちょうだいするということも重要かと思っております。

 整理いたしますと、国会との関係におきましては、年一度と思われますけれども、政府全体の政策評価の実施状況や反映状況を御報告申し上げる。また一方におきまして、これは既にガイドラインで定めておるわけでございますけれども、政策評価に関しまして国民の皆さんから御意見等があれば、各府省は、それを受け付けるための仕組み、窓口といいますか、そのようなものを設けるというようなことも必要だと考えているところでございます。このあたりは、先ほど来出ておりますように、政府全体の政策評価を運営してまいるための基本方針、閣議決定になりますけれども、その中できちんと定めていきたい、こう考えている次第でございます。

松崎委員 最後に、ちょっとこれは通告はなかったんですが、九条の事前評価の中で、各省と覚書があるんですか。つまり、外務省ですと、外務省と覚書がある。九条は、事前評価を行わなければならないということですね。社会経済に相当程度の影響を及ぼすこと、多額の費用、政府開発援助もそうですね、こういう幾つかのものは事前評価を行わなければならない、これが九条なんです。それについて各省と覚書を総務省は交わしているということなんです。

 これをちょっと見ますと、かなりブレーキがかかる。先ほど今野さんもやりましたODA関係でも、外務省に対して出ているようですね。「政府開発援助の実態、開発援助委員会のメンバーで政府開発援助の事前評価を義務づけている国はないことを十分考慮すること。」ということですね。こういうところは外しちゃっていいんだよというふうに総務省の政策評価官の方から各省に出ているようです。それから国土交通省にも出ている。

 こういう内容は、さっきから言っております、総務省が他の省を掌握して、それに対していろいろ評価をするという、非常にやりにくい立場をある意味ではあらわしているみたいに見えてしまっているんですが、こういう事実はあるわけですか。

塚本政府参考人 委員御指摘でございます、本法案の閣議決定に至りますに当たりまして、関係府省の間で文書による確認というのを行っておるのは事実でございます。

 その内容でございますけれども、これは既に法案の中でもごらんいただけますように、今後政令を定める、あるいは基本方針を定めるということでございますが、そういうものに盛り込みます事項の立案方針等々、あるいは総務省が行います評価の運用というようなもの、これにつきまして、やはり各省としては、それぞれの政策の特性というのがございますし、そうした分野の実態というものをよく踏まえて対応をしてもらいたいものだということが意見として出てまいるわけでございます。私どももそのあたりを整理しないと、これは各府省の自体評価が基本にあり、それに対しまして総務省の評価がかかわってまいるという構造もあるわけでございますので、それが円滑かつ効果的に運用されるためには、やはり制度が本格的に動く前に整理は必要だろうということで、そのための段取りと申しますか、それは定めておくことが円滑だということで、そのようなものを確認しているところでございます。

松崎委員 円滑といううまい表現が、皆さんお上手ですが、これを見ると、これはやらなくてもいいよ、除外するよというようなことになっていますから、ちょっとその御答弁とは内容が違うような気がいたします。

 これは、せっかく、私たちからいえば百歩譲って少し前進はしたなというふうな法案であることは確かなんですが、しかしそれでも、まだまだ不十分な点は今回の審議でも随分わかってきたわけでありますから、その辺を考えて、余り総務省の方からブレーキをかけるようなことはなしに、むしろどんどん、各省は頑張ってやってくれよ、そういう方向をぜひ出していただきたいと思っております。

 なお、最後に、先ほど三重の件が出ました。見直しを毎年していると。私も、当然まだまだ不備だらけの、基本的な姿勢から、先ほどの大臣とのやりとりも、なかなかまだ本格的にいっておりませんのでもう少しやりたいと思いますけれども、非常に問題点がある。ですから、三重県まではいかないまでも、やはりちょいちょい見直しをする、そういうことを要望して、終わらせていただきます。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、若松謙維君。

若松委員 きょうは、ありがとうございます。公明党の若松謙維です。

 大臣、済みません、質問通告していないんですけれども、感想ですので、ちょっとお答えいただきたいんです。

 いわゆる中央省庁改革、私はずっと行革を担当しておりましたので、この中央省庁改革というのは、省庁の外側の改革ということで、看板のかけかえという言い方もされておりますけれども、英語で言うとリストラクチャリング。リストラというのは、首を切る、そういう意味じゃなくて、看板のかけかえのリストラクチャリング。ところが、行政の中身そのもの、ここに改革を入れたのが、実はこの行政評価法、いわゆるリエンジニアリング、こう私は説明しております。

 そこで、この行政評価法が出た淵源をたどりますと、遠藤副大臣、もう四、五年前になるんですかね、決算委員会で、私も質問させていただいて、いわゆる委員会制度改革、特に決算行政監視委員会、これがたしか五年前ぐらいでしたか、それで大きく国会のチェック機能が高まりました。

 それから、ちょうど二年前の平成十一年六月九日に衆議院の行政改革特別委員会で、附帯決議として、これは実は私が提言させていただいたんですけれども、「行政評価の実効性を高めるため、行政評価法(仮称)の制定について早急に検討に着手すること。」こういうことで、ちょうど二年後にこうして、野党のお知恵も拝借しながら、全会一致のこの行政評価法がいよいよ衆議院を通過する、こういう状況になりました。

 私、これに力を入れてきた者として大変感慨深いものがあるわけですけれども、大臣のお立場からも、この法律が成立することによっての思いとか感想が何かございましたら、一言教えてください。

片山国務大臣 この法案提出までに、若松委員初め皆さんに大変お世話になったということは私もよく聞いておりますし、今度の中央省庁再編を含むこの一連の行政改革の中で、私は、この政策評価法は目玉だと言っているんですよ。だから、これだけの法案をぜひ通していただいて、通していただいた実効をあらしめないと、それは、総務省なり、名前も行政評価局になっているんですから、前は監察局ですよ、あら探しみたいな、行政監察、今度は大変前向きな行政評価局になるので、局の存在が問われるよと私は局長以下みんなに言っているんですよ。

 今までは、政策を決める、事業を決める、施策を決めるのは、だれが、いつ、どのようにして決めたかわからなかったんですよ。決まっているでしょう。だから、これによって、だれが、いつ、こういう形で決めたということが国会や国民の前にガラス張りになってくると私は思うんですね、情報公開の話もありますけれども。そういう意味では、ぜひこの法案を通していただいて、生かしたいと思っております。

 総務省そのものの試金石にもなると私は思っておりますので、そういう意味で、大変な思いを持っておりますから、ひとつよろしくお願いいたします。

若松委員 この行政評価法は、きのう内閣委員会で質疑が行われましてあした衆議院を通過する特殊法人等改革基本法とあわせて、実は、公明党が自民党と政権協議をやったのが一年半前ですから、そのときに、ぜひこの二項目は行政のむだをなくすということでお願いをし、そして力を合わせて制定したものであります。きのう、野党の一部から選挙目的だと言われましたが、決してそうではない、まさに政権与党としての行革の決意をここにあらわした、そう理解しておりまして、今大臣が決意として述べられた中身、いかに行政評価の趣旨を体して、効率よく、また国民に喜ばれるものにしていくか、期待しておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 そこで、質問通告しておりますので、ちょっと飛ばしながらやらせていただきます。

 これは遠藤副大臣でしょうか、この行政評価制度においては、各府省がみずからの政策について自己評価を行う仕組みとなっておりまして、これについてもいろいろな御意見があるわけです。いずれにしても、各府省において適正な評価が実施されていくためには、行政評価制度全体を所管する総務省のリーダーシップ、それとともに、第三者的視点を持つ政策評価・独立行政法人評価委員会の機能、これが有効に発揮されることが大事であると考えますが、副大臣のお考え、いかがでしょうか。

遠藤(和)副大臣 今回の行政評価法という法律は、私は、明治維新以来、我が国の内閣制度の中で画期的な法律だと思っております。行政みずからが自己評価をいたしまして、それを国民の目に公表するということでございますから、本当にすごい法律を今審議していただいている、こういうふうに私は思っているわけでございます。

 ただいまお尋ねがありましたけれども、この行政評価法につきましては、総務省が大変大きな責任を負っていると思っております。みずからの省の中の行政評価をするとともに、他府省に対してもすべて担保評価を行うということでございまして、そしてまた、時にはそれぞれ勧告もするということでございますので、大変大きな意味合いがあると思います。

 それからもう一つは、政策評価・独立行政法人評価委員会の機能ですけれども、これは大変大きな役割を担っていただいていると思います。この法律が成立いたしましたら、まずこの委員会の方に、この法律で定められております基本方針、それから具体的に政令、これをどのようにいたすべきか検討していただこう、そしてこの法律がさらにきちんと中身を伴いまして実行されるようにしていきたい、このように考えているところでございます。

若松委員 そこで、この政策評価・独立行政法人評価委員会のメンバーとか、それぞれの省庁の評価担当官、こういった人たちが当然その能力が問われるわけですけれども、評価を行うに当たって、財界人、会計士、またはコンサルタント、こういった民間有識者の視点やノウハウがやはりなくてはならないと思うんですね。この法案におきましては、そういうことで、各府省から評価を行うに当たり、「政策の特性に応じて学識経験を有する者の知見の活用を図ること。」となっております。この条文で言う学識経験を有する者、これには民間人も当然含まれている、こう解釈していいわけですね。

塚本政府参考人 ただいま御指摘の学識経験を有する者は、委員お話しのとおり、そうした民間人も含まれる。具体的には、やはり実務者、研究者等の専門知識を有せられる方のほかに、いわゆる有識者や外部研究機関というものを含めて幅広く想定をいたしておるわけでございまして、財界人、公認会計士あるいはコンサルタントというような立場の方々もこれに当たるわけでございます。

若松委員 それで、今度はこの評価を担当する行政内部の人材育成なんですけれども、特にアメリカのいわゆるGPRA、これに基づく評価官、インスペクターゼネラル、そういう日本で言う評価担当官がいるわけですけれども、かなりの部分が実は外部任命なんです。

 私は、人材育成の場合に、評価の経験のない人を評価担当官にしても、大変アメリカ的な言い方をすれば、くその役にも立たない、こういうことだと思うんです。私は、実は日本全体として、評価ということは一番弱いと思うんですね。だから、バブルもあれだけ大きくなっちゃったし、そのはじけ方の整理もできなかった。ですから、この際、人材育成ということで、アメリカのGAOとかこういう政策評価官、監察総監という言い方をしていましたけれども、そのようなところに送って、経験、研修をさせた方がいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

塚本政府参考人 ただいまのところ、私どもの立場からは、ちょっと外国というところにまでは視野が及んではおりませんけれども、いずれにいたしましても……(若松委員「外国に送ってください、アメリカとか」と呼ぶ)そういう趣旨と承りました。

 いずれにいたしましても、人材というものが大変重要であるということはわきまえているところでございます。そのために、行革大綱、昨年十二月に決まりましたけれども、その中でも、この政策評価に関連して、人材の養成とか任期付職員法の活用など、そのことによる要員の確保ということを定めると同時に、この運用に当たりましても、法案が成立の暁には、やはり人材の養成、確保に取り組む。特に、官民の交流でございますとか、場合によりますと、やはり国内の政策関係の大学院なりへの留学というようなことも各府省の御方針でお進めいただけるような、そんな私どもの働きかけもしていきたいものだと考えておるわけでございます。

若松委員 今ちょっといきなり海外派遣の話をしましたけれども、国会議員もそのときはぜひ一緒に連れていってください。

 それと、今度は各府省の評価担当官、今ちょっと触れたわけですけれども、ここにぜひとも積極的に行政の外部からの人材を登用する、そしてその方が各府省が出してくる評価報告書にサインをする、ここまでやると、国民のいろいろな不満はそこで解消されるという仕組みになると思うんですけれども、総務省の見解、いかがでしょうか。

片山国務大臣 法律の中にも、ぜひ学識経験者の知見を生かせ、こう書いておりますけれども、私は、人がいないのなら外から呼んでくればいいと思うんですよ。給料その他で来てくれるかどうかですね。そこで、任期つき採用なんというのを始めることができますし、官民の交流ももっと積極的にやろうということになってきておりますから、そういう新しいシステムを利用して外部の専門家に一定の期間来ていただいて指導してもらうなんということもあるのかな、こう思っております。

 研修なのか派遣なのか知りませんが、海外はちょっとぐらい行ったらいいですよ。予算が恐らくないから局長は遠慮したと思いますけれども、来年度予算では要求します。いろいろなことを考えてやりたいと思います。

若松委員 その際には、私のこの法案のアドバイザーとして上山信一さんがおりまして、「「行政評価」の時代」とか「「行政経営」の時代」とか、かなり専門家がおりまして、ぜひこういった方のノウハウも御活用いただきたいと思います。

 それでは、今回の日本型の行政評価法ですけれども、いわゆる事前と実績、そして総合評価、こういう三つの切り口に分かれている日本版の行政評価法なわけですけれども、何といっても国民的にわかりやすい話は、成果重視主義というのでしょうか、成果重視の行政サービスになっているかどうかという観点からこの行政評価法の活用を期待していると私は理解しております。

 そういうことで、各府省が行政評価法に基づいて、事前に設定した目標、例えば国民年金の掛金、これの未納もかなりあります。未納を、今ですと大体回収額を、二年以内に半分にしますとかいう目標を立てて、それに対して実際の実績、こういう形の比較ですか、目標と実績評価、こういう達成度の情報の公表というのが国民には一番わかりやすいと思うんですけれども、そういった観点からの行政評価の制度というのはどう担保されていますでしょうか。

塚本政府参考人 御指摘の点でございますけれども、今お話にありました実績評価という仕組みを想定いたしております。この実績評価の枠組みがどうなるかという点につきましては、法律に基づきまして定めます基本方針という中に盛り込むことにしております。

 各府省がこの実績評価というものを今後行われることを想定いたしますと、これはやはり、事前に設定されました目標、それから、一年ごとに定められます事後評価の実施計画というものにおきまして実績評価の具体的な方法を記述する際に、あわせてその目標をお書きいただく、それをまた公表していただくことが法律上も義務づけられるということと考えております。

 目標に対する達成度ということをまた御指摘でございましたけれども、これにつきましても、評価の結果を取りまとめる評価書という制度がございますけれども、その中で、政策効果を把握した結果という形で明記をし、公表するということが義務づけられておるわけでございます。

若松委員 ぜひ目標と実績、達成度の情報公開、特にイギリスはシチズンズチャーターといって、どちらかというと、それぞれの行政の窓口に、これをやりますよといってそのとおりになっているかどうかがわかりやすい。ぜひともそういった先進国のいい例も取り入れて、日本型のいいものに仕上げていっていただきたいと念願いたします。

 それでは、これは遠藤副大臣でしょうか、これから各府省がこの行政評価法に基づいて評価報告書を作成するわけです。ところが、ここ一、二年大分変わってきたと思うんですけれども、白書というのは、あれを読むといっぱい字が書いてあるんですが、頭は真っ白になるんですね、何か難し過ぎて。それが最近大分読みやすくなってきたかなと思っているんですけれども、ぜひこの評価報告書が国民にとってわかりやすいものにということと、また、その評価結果の公表。これも私どもが主張させていただいて、IT基本法以外に、インターネットという片仮名がこの法律に載っかっております。そういう意味で、ぜひとも利用しやすい、わかりやすい評価結果の公表、これについて期待するわけですが、いかがでしょうか。

遠藤(和)副大臣 小泉純一郎さんが総理になりまして以来、国会の審議が大変国民に関心をいただいているのは、やはり総理の言葉が大変わかりやすいということが大きく、短い言葉で、余り政治用語じゃなくて、国民に大変わかりやすい言葉でお話しになっているところがあると思うんですね。

 ですから、この法律の眼目は結果を公表するということでございまして、その公表して見ていただく相手は国民でございますから、国民の皆さんにわかりやすくダイレクトに結果が理解していただけるというふうなことでなければ意味がないわけでございまして、各省庁で発表していただくものについてもそういう工夫をしていただく。

 それから、総務省として取りまとめまして、年に一回、恐らく前年度のものを五月か六月にまとめて国会にその結果を公表する、お届けすることになると思いますけれども、その書きぶりも、短い言葉でわかりやすく、時には絵とか図とかグラフ、そういうものも入れながら、国民に大変わかったと言っていただけるようなものにしていきたい、こう思っております。

若松委員 大臣にお聞きしますが、先ほど一部の委員からもちょっと違った観点からの御指摘がありましたが、総務省は各府省の評価結果に対して勧告することができます。総務省が肥大化し過ぎるんじゃないかという御指摘があるわけですけれども、あくまでも、こういう行政のむだをなくすという観点からも遠慮なく、大岡越前というんですか、何というんですかね、この証文が見えないかぐらいに突っ張っていいと思うんですよ。

 そういう意味で、ぜひとも政策評価専担組織の立場から確固たる姿勢で臨んでいただきたいと思うわけですが、大臣の決意をお伺いします。

片山国務大臣 先ほど来お話をしておりますように、総務省は評価専担組織でございますので、府省横断的な統一的な評価や、複数府省にまたがる総合的な評価や、各府省の政策評価の客観性担保のための評価ができる、こうなっておりますから、そういう評価をした場合には必ず総務大臣として必要な意見をつける。それからまた、その結果、政策に反映させる必要がある場合には勧告をする、思い切って。これをぜひやろうと思います。

 制度の打っ立てができたときに少し派手にやらないと、本当にそうやらないと制度そのもののPRにもなりませんし、認識もなかなか持ってもらえないというようなところがありますから、行政評価局長以下に、派手にやれ、こう言っておりますので、私も一緒に派手にやらせていただこうと思っております。

若松委員 本当は、恐らく、各省庁の代表者が来て、どういう答弁をしているか、気にならなくちゃいけないと思うんです、来ていないということは国会テレビでも見ているのかなと思うんですけれども。

 いずれにしても、改善が見られない場合にどうするのか、これは総務省の答弁。さらには、実は改善があった場合に、予算への反映という形で、これは今までどちらかというと財務省と他の府省という形で縦割りだったんですけれども、今回、総務省を中心としてやる行政評価の一つの結果が予算にも反映する、こういう非常に新しい法律でもありますので、その場合に財務省がどう反映するか。その二点について一挙に聞きます。

塚本政府参考人 まず、私から、勧告についての改善の点について申し上げます。

 これは、実際、今大臣も申し上げましたように、評価専担組織の総務省が、また先ほど来出ておりますような政策評価・独立行政法人評価委員会の御意見も伺いながら、客観的かつ厳格な政策評価結果に基づく勧告を行うということでございまして、もとより各府省においても十分尊重される、また改善が図られると期待しておるところでございます。

 と同時に、勧告は公表いたします。また、関係行政機関がとられた措置については報告を求めることができるということでございまして、これはこれまでの、一月以前の総務省設置法の規定ぶりよりは総体として強化されているということでございます。したがいまして、このような仕立てによりまして勧告の推進を図ることとしておるところでございます。

 現実にも、行政監察の時代におきましても、私どもの勧告にほぼ沿った措置が、長期を要する法律改正等の問題を除けばとられてきているということでございますので、そのような姿勢を保ってまいりたいと思っております。

片山国務大臣 経済財政諮問会議で、私は二回発言しているんですよ。今度、政策評価を大々的に、しかも法律を通していただいてやることになると思うので、ぜひ予算編成に生かしてほしいと。ただ、その発言のときは前の大臣、宮澤大臣でございましたけれども、それはそうだ、こういうことになりましたので、それは私もぜひ努力いたしたいと思いますが、まず、その評価自身が権威があって、なるほどという評価じゃなきゃいけません。そういう評価になるのなら、これは予算編成に反映するのは、私は当然のことだと。そうでなきゃ何でこんな制度を大騒ぎしてつくるのか、こういうことになりますので、大いに努力いたしたいと思います。

津田政府参考人 予算との関係につきましてはこの法案の第四条に規定されておるわけでございますが、予算編成の過程におきましては、各府省の政策評価の進展状況でありますとか諸外国の経験も踏まえまして、政策評価結果の予算への適切な活用に努めたいと考えております。

 具体的にはいろいろなことが考えられると思いますけれども、例えば、社会情勢の変化に即応しまして施策のスクラップ・アンド・ビルドをする、あるいは予算の非効率、むだがあればそれを排除する、そういった点で役立てることができるというふうに考えております。

若松委員 済みません。ちょっと何か頭に余り入らなかったんですけれども、要はしっかりやってくれるんですね。よろしくお願いいたします。

 それでは、時間もありますが、大臣、あのぐらいの答弁でいいんですかね。

片山国務大臣 申しわけないけれども、余りちゃんと聞いていなかったものですから。

 法律の四条の趣旨を体してやるということでございますので、これは国会の決意といいますか、合意に基づく決意ですから、財務省もちゃんと尊重しなければいけません。経済財政諮問会議で言います。

若松委員 明快なサポート、ありがとうございました。

 それでは、事前評価というところで、特に公共事業、研究開発、ODA、これが条文に盛り込まれております。具体的に、事前評価制度が導入されてこれらのそれぞれの施策というか政策、行政サービスがどう影響を受けるのか、どう改善していくのか、そういった観点について、時間がありませんので、それぞれ三省、よろしくお願いいたします。

山本政府参考人 お答えをさせていただきます。

 国土交通省におきましては、一月に発足をして以来、高速道路でありますとか新幹線でありますとか空港でありますとかといったような広範な公共事業を所管することになりましたが、これらの公共事業を初めといたしまして、二十一世紀型の国土交通行政への改革ということを目指しまして取り組みを行っているところでございます。そういう中で、政策評価というのはそのための大変重要な手段の一つであると認識をしているところでございます。

 公共事業を実施するに当たりましては、本当に必要な事業を的確に実施するための費用対効果分析とかといったようなことを取り入れながら事業を客観的に評価することが重要であると考えておりまして、そういう観点から、平成十年から新規事業採択時の評価等の公共事業の評価を実施してきているところでございますが、さらに充実していきたいというふうに考えております。

 さらに、今回の行政評価法案の趣旨も踏まえまして、今年度から、公共事業も含めました国土交通省全体の主要な政策分野についてわかりやすい目標や指標を明示いたしまして、その実現に向けた取り組みを総合的に評価する新しい政策評価体系を全省的に導入して、この実施を図っておるところでございます。

 特に、新規施策につきましては、公共事業を初めその他の施策についても、必要性、有効性、効率性をチェックする事前評価を一層厳格に実施することによりまして実効性ある政策評価を強力に推進して、その結果を新たな政策課題へ生かしていくということで、私ども国土交通省として、真に国民の立場に立った改革を進めて、効率的、効果的な行政の推進に一層努めたいというふうに考えておるところでございます。

大熊政府参考人 研究開発の評価につきまして御説明をさせていただきます。

 研究開発の評価でございますが、既に平成九年の八月に、評価の大綱的指針ということで、評価の大綱的指針が内閣総理大臣決定として策定されておりまして、これを踏まえまして、各省におきましては、外部による評価、評価結果の公表など、厳正な評価を行ってきておるところでございます。

 この大綱的指針を踏まえて行われました評価の結果につきましては、研究開発課題の適切な選定あるいは研究開発計画の改善などに活用されてきたところでございます。ただ、この研究開発評価をさらに一層充実したいということで、現在、総合科学技術会議におきまして大綱的指針の改定作業が行われているところでございます。

 今後とも、研究開発評価を一層充実することにより、研究開発に係る行政の評価が効果的かつ効率的になり、また国民に対する説明責任が適切に果たされるよう努めてまいりたい、こういうふうに思っております。

西田政府参考人 お答えをいたします。

 ODA評価につきましては、御案内のとおり、外部の有識者、専門家あるいはNGOの関係者、さらには他の援助国や国際機関の協力も得まして、これまでも援助の評価を行ってまいりました。今回の新しい法案ができることによりまして、このようなODAに関する評価についてもさらに質を向上し、透明性の向上に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

 また、ここにございます事前評価についてでございますが、現在、OECDのDAC、開発援助委員会でございますが、そのメンバー国の中におきましても、いわゆる事前評価を法律上義務づけている国は依然ございません。それからまた、ODAの個別事情に関します、いわゆる事前評価という手法自身がまだ必ずしも確立されていないというのが現状でございますので、このような現状を踏まえ、しかし、法案上の事前評価、具体的に取り決めることにつきましては、早急に研究を進めてまいりたいと考えている次第でございます。

若松委員 今の答弁に対する私の感想を述べて終わらせていただきます。

 まず国土交通省は、車の通る台数よりもタヌキとかキツネなどの通る回数が多い道路をつくらないこと。文部科学省は、落ちないロケットをぜひともつくっていただきたい。それと、ODAですけれども、我が党は今、芸術文化大国二十一世紀日本ということを主張しておりまして、ぜひともODAの活用で、特に海外の文化芸術面、まさにこれは真の平和のきずなでもありますので、そういった面の見直しも含めて、この行政評価法がすばらしいものとなることを期待して、質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 これまでの質疑で重複するところもありますけれども、確認の意味で、通告に従い順次質問いたしますので、よろしくお願いいたします。

 我が国は、今後厳しい国際競争に直面しながら、急速な高齢化社会を迎えることになります。また一方、その来る時代に向けたインフラストラクチャーの整備となると甚だ不十分であると私は思っております。にもかかわらず既に政府は巨額の財政赤字を抱えており、これまでの予算を幾らとってきたか、どんな施設や道路をつくったかなどの行動原理のままでは、とても国民の望む行政サービスが得られないことは必至であります。

 国の行動原理を変えなければなりません。行政の末端に至るまで、何が国民にとって必要であるのかを考えなければなりません。国民にとって真に欲しいサービスを目指すだけでなく、そのサービスを提供するのに、いかに低いコストで効率的に実現するかを考えなければなりません。公務員一人一人の行動原理を変えて、成果重視を徹底しなければいけないのであります。

 この視点で、政策評価と情報公開とは、行政の行動原理を成果志向に変えていく、変革のための両輪となる制度であると私は思っております。このように大事な政策評価であればこそ、ただ形式を整えればよいというものではなく、有効に活用されていくことが大切であります。

 一月の中央省庁再編と同時に、政府は各省庁の政策評価をスタートさせました。それに先駆けて、昨年十二月、行政改革大綱にて行政の組織、制度の抜本的改革の一環として、行政評価システムの導入を行うべく、政策評価に関する標準的ガイドラインが定められ、本法の骨格が形成されてきたところであります。

 私は地方議員として地方行政に携わってきましたけれども、御承知のとおり、この行政評価への取り組みは、地方自治体の方が進んでおり、昨年八月末現在で、既に導入済みの都道府県は二十四団体、五一%、試行中が十三団体、二八%、検討中が十団体、二一%となっております。

 そこで最初に、今回の政策評価の目的は何か、また海外先進国の実施状況はどのようになっておるか、総務副大臣にお伺いいたしたいと思います。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

遠藤(和)副大臣 今回の法律を制定いたします目的は、まず第一番に、国民に対してアカウンタビリティー、説明責任を果たす、ここに大きな意味があると思います。それから、国民本位の効率的で質の高い行政を目指す、国民的視点に立った成果重視の行政に転換していく、こういうふうな意味があると思います。

 また、こうした評価制度を採用している国は、アメリカ、イギリス、それからカナダ、オーストラリアがございます。私もオーストラリアに参りまして担当者のお話を聞いたことがありますけれども、きちっと予算に反映するという意味におきまして、十年ほど前から始まったそうですけれども、大きな成果を上げている、こういうことでございました。

 今回、この法律は、その諸外国の法律に比べましても、包括的、統一的に全省庁を網羅しているということでは大変特筆すべき法律であろう、このように思っております。

黄川田委員 副大臣からお話を伺いましたけれども、私も、国民に対して政策の説明責任を徹底し、そしてまた、それによって国民的視点に立った成果重視の行政の展開を強く求めておきたいと思います。

 次に、旧総務庁の行政監察局は、行政監察制度を実施する中、類似の行政評価を行ってきたと思いますけれども、今回の新しい評価制度に移行するに際し、双方の制度の違いはどのようなもので、かつ、どのように制度切りかえがなされるのか、総務省にお尋ねいたしたいと思います。

塚本政府参考人 両者の違いというお尋ねでございます。

 従来から実施してまいりました行政監察、これは総務庁時代でございますが、政府部内における第三者的立場であるという立場から、政策がその本来の意図されたように適正に運営されているかというような観点から、各行政機関の業務の実施状況を調査、把握して改善方策を勧告する、こういう仕組みでございました。

 一方、政策評価制度でございますが、これは、政策そのものにつきまして必要性、有効性、効率性等の観点からこれを見直していく、その際、まず各府省がみずからその所掌する政策を評価するということが基本になっております。

 その際、私ども総務省の役割は、府省による評価というものの存在を前提とした上で、評価専担組織という立場から、各府省にはなし得ない評価を行っていく。具体的には、府省横断的な統一的評価、それから複数府省にまたがる総合的評価、さらには各府省の評価の客観性を担保するための評価ということになったわけでございます。

 いずれにいたしましても、これらの評価の結果、政策評価の方は政策に反映されるという流れをとるわけでございます。

 新しい制度への移行ということでございますけれども、こうした制度の導入ということにつきまして、各府省では、先ほど来出ております政策評価に関する標準的ガイドラインというものを踏まえまして、現在、実施要領が既に定められており、これに沿って政策評価が着実に進められつつあるというふうに認識しております。

 私ども行政評価局でございますけれども、これも、監察というものがなくなりまして、行政評価・監視と政策評価に分かれましたものですから、従来の、監察業務運営要領というものがございましたが、これを廃止いたしまして、二つ、政策評価実施要領と行政評価・監視実施要領というものを定めますとともに、行政監察プログラムという三年計画がございましたけれども、これを行政評価等プログラムとするということで、政策評価、それから行政評価・監視というものを実施する組織への移行を完了したところでございます。

黄川田委員 また、同法第二条の行政機関の定義には、会計検査院は当然含まれておりません。御案内のとおり、会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する憲法上の機関であることを踏まえ、政策評価の実施主体としては位置づけられておりません。会計検査院は、各府省が評価の対象とする政策を会計原則にのっとり検査を行う場合、今回の政策評価の実施に際し、多くの接点があることから各府省との多少の重複は避けられないと思います。

 しかしながら、一つの政策を多面的に評価することは、重要なことと考えます。特に、大規模な政策を評価する場合、関係省庁は会計検査院と緊密な連携をとり評価を実施すべきであると私は思っておりますが、総務省はその役割上、関係府省をどう指導していく所存か、この点についてお伺いいたしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 会計検査院とは、旧総務庁時代から、情報交換をし合ったり検証したり、職員の交流等もやっているわけです。その目的は違いますけれども、日本の行政を会計の面からきちっと見ていくというものと行政の仕事という面から見ていくという違いはありますけれども、目的とするところは似通ったものがございますから、そういう情報の交換をして、お互いに協力し合ってきた面があると思います。

 今度の行政評価法でございますけれども、これは総務省としては大変大きな役割を担うわけでございまして、各省庁が自己評価をしていただいたものに対して総務省が担保評価をする、そしてそのときには、また会計検査院等がやっていることについてもよく情報を整理いたしまして、交換をして協力して行う、こういうことでございまして、今後もより機能を発揮していきたい。そしてまた、政策評価ということでございますから、旧総務庁時代よりもさらに幅広い活動を総務省として行っていく、こういうことだと自覚をいたしております。

黄川田委員 次に、本法案では、国民生活、社会経済に大きな影響を及ぼす政策、または多額の資金を要する政策であり、かつ、評価手法等が開発されている場合、同法第九条にて研究開発、公共事業、ODA等については事前評価を実施しなければならないとされております。そこで、この研究開発について、具体例を用いて政策評価のあり方を考えてみたいと思います。

 国民の期待を担い、国産技術の粋を凝らしたH2ロケットの開発は、単に我が国の技術水準の高さを示すのみではなく、世界の宇宙ビジネスに参入する絶好な機会であったと思います。NHKの「プロジェクトX」で放送されておりますが、約十五年間に約二千七百億円を投じましたが、残念な結果に終わっているのではないかと私は思っております。この場は、ロケットにかかわる技術や産業を議論する場ではありませんので、その方は次の改良型のH2Aに期待することとして、ここでは大型技術開発の目標管理や組織管理などを考えてみたいと思います。

 米国は六〇年代、数理万能主義による過度な費用便益の数値化と予算への反映をねらい過ぎ、アポロ計画の失敗等の事例にかんがみ、その後NASAは宇宙開発において数々の管理技術を開発し、成功をおさめてきたところであります。宇宙開発事業団も、その管理手法を吸収し、我が国トップクラスの企業から派遣される優秀な技術者たちをうまく組織管理し、設定された目標の達成へ挑戦してきたことと思います。宇宙開発委員会は、相次ぐトラブルを踏まえ、全体プロジェクトの着手前段階と中間段階を重視した評価基準の策定を指摘しているところであります。

 そこで、宇宙開発事業団におけるH2開発当初の目標設定の行い方はどうなされていたのでしょうか。また、仮定の話でありますけれども、今回の事前評価の考え方がもし適用されていたならば、その後の展開にどのような差異を生じていたと想定されるのでしょうか。あわせて、今回の政策評価を改良型のH2A開発プロジェクトにどう適用していく所存か、文部科学省にお尋ねいたします。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

今村政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、H2ロケットの目標設定についてのお尋ねでございますが、これは、宇宙開発委員会におきまして、当時、それまでのNロケット、H1ロケット等の開発の成功を踏まえまして、純国産ロケットとして打ち上げること、特にそれを二トン級の静止衛星打ち上げ能力を持つロケットとして開発することを目標として、開発計画が設定されたものでございます。

 これは、その時点における我が国における経験、技術能力をもって設定されたものでありまして、純国産ということは決して容易に達成できる目標ではありませんでしたけれども、その後、このH2ロケットの開発は、初号機から五号、五機連続打ち上げが成功したことを踏まえましても、この目標自体は適切な目標であったのではなかろうか、このように考えております。

 そこで、H2Aロケットはその後平成十年、十一年と二度失敗いたしましたが、この失敗の原因は、その後調査が行われたわけでございますが、やはり製造工程、試験工程、品質管理等に見直すべき事項が多くあるということが指摘されております。開発当時の技術的知見ではこのエンジンの破損に至る可能性について予測が困難であったという評価もなされておるわけでございますが、現在から見て、こうした製造工程等の見直すべき事項が多くあったということは事実でございまして、やはり評価のあり方ということについて多くの経験を学んだところでございます。

 現在のH2Aロケットにつきましては、ことしの夏に打ち上げる予定でございますけれども、やはり今般の政策評価等も踏まえまして、中間評価、事後評価等、適切にこの評価を行いまして確実に開発を推進してまいりたい、このように考えております。

黄川田委員 過去の経験が本当に生かされるように望むわけであります。

 次に、本法案では、政府として政策評価に関する基本方針を策定するとともに、それに基づき各府省が基本計画を策定することとなっております。

 ここで大切なことは、政策評価を行っていくことにきちんとしたインセンティブを与えることであります。インセンティブはあめとむちであり、きちんと評価をし、従来の惰性を改め、国民にとってためになる改善をした部署には、人事面で報いたり、予算面でシーリングの特別枠扱いとしたりするなど積極的に報いるべきであると私は思っております。また、形だけの貧弱な評価をしているような部署には、情報公開のもとで、メディアにも公表しながら公開討論を行ってみてはどうかとも思っております。

 今後各府省を調整、指導していく立場にある総務省の見解はいかがでしょうか。

遠藤(和)副大臣 これは、結果は国民の目にさらすところに大きな意味がありまして、私は、あめとむちは国民からいただくものだと思っています。いいことをやっているから何か予算をつけましょうなどという小さな議論ではなくて、これは行政自体が本当に国民から信頼されているかどうかという生命線を問うている法案でございまして、そうした大きな観点から評価をいただけるものだ、こう思っておる次第でございます。

黄川田委員 いずれ、与えられた予算あるいは人員等、少しでも多くの効果を生むように、そう思っておりますので、ぜひとも民間の経営感覚とかを取り入れていただきたいと思っております。

 次に、政策評価を実施する際、各府省は決められた定員枠の中で行うことになると思いますけれども、それでなくても忙しいのに余分な仕事を押しつけられたとの不平を耳にすることもあります。また、総務省は自分たちのやっていることはしょせん理解できず、うまくその場その場をかわしていけばよいとの話も耳にすることがあります。これらはごく一部の意見にすぎないと思いますけれども、指導する立場の総務省はそうは言ってはいられないと思います。

 そこで、総務省の担当部署の人員を強化すべく、他の府省から優秀な人材を結集するなどを考慮すべきではないでしょうか。また、その部署を、思い切って内閣府に移すことは考えられないでしょうか。あわせて御見解をお尋ねいたします。

片山国務大臣 大変ありがたい委員のお話なんですが、この新しい制度をやるということで増員も認めてもらいましたし、できるだけ将来の優秀な人材に行政評価局に来てもらうようにして運用したいと思いますし、外部からのいろいろな学識経験者の意見もぜひ活用いたしたい、こういうふうに思っております。今、各府省にいいのを出せといっても、みんな、うちの方でやらにゃいかぬのにそれは大変だ、こういうことになるでしょうから、とりあえず総務省の中で体制を整えたいと思います。

 そこで、このセクションを内閣府に、一つの御意見ですけれども、何でも内閣府じゃ、本当に内閣府が、先ほども言いましたが機能麻痺になるんですよ。もともとこの行政評価局というのは行政監察局ですから、監察から評価に、そういう意味では相当格上げになったものですから張り切っておりますし、それから、やはり行政管理局というのもありますので、この行政管理局や自治行政局との連携もありますから、私は、今までの伝統や経緯やあれから考えまして、やはり総務省でやるにふさわしい仕事だと。そういう意味で、内閣府に移すことは私は全く考えておりません。

黄川田委員 次に、本法案においては、各府省がその政策についてみずから評価することとされております。しかしながら、みずから行った政策についてみずから評価するとなると、どうしても甘い評価になってしまうのではないかという懸念もあります。

 このように、本法案における政策評価のあり方として、政策を立案する者と政策を評価する者が同一であるということはいろいろ弊害があると思われますが、たびたび質問されておりますけれども、私からも改めて、この問題に総務省はどう対処されるのでしょうか。

遠藤(和)副大臣 私は、自己評価ほど厳しい評価はないと思うんですね。なぜかならば、自己評価した結果を国民に厳しく評価されるわけですから、甘い評価をしている府省は国民から厳しく弾劾される話でございまして、自己評価ということをもって甘い評価になるというのは早計ではないのかなと思っています。

 また、それは、完全に自分の考え方で評価するのではなくて、やはり国民の目から見て間違いのない客観的な基準できちっと評価をするということが大事でございます。例えば、この法律では、各府省が政策評価をするに当たりまして、合理的な手法を用いるとか、できる限り定量的に政策効果を把握すべきであるとか、学識経験者の知見を活用すべきだ、あるいは評価結果について、評価の過程に至るまでの情報も開示すべきである、こういうことを言っておりまして、国民の目から見てきちっとした評価であるという認識をいただけるものに仕上げていくことが大切だと思っております。

黄川田委員 それでは、時間も過ぎてまいりましたので、一つ飛ばしまして、政策評価の質を向上させるためには、政策評価を担当する職員一人一人の資質の向上、これが大事であると思います。

 そこで、政策評価を行う職員の資質を向上させるためにどのように取り組んでいかれるのか、お尋ねいたしたいと思います。

新藤大臣政務官 これは、先ほど大臣の方からも既に御答弁をさせていただいておりますが、とにかく始まったばかりの制度でございますので、職員の士気をどう高めていくかということが大切だと思っております。

 そして、そういう意味では、政策評価を行うセクションの省庁横断的な研修をやろう、統一研修をやろうということで決めております。それから、海外に研修に行ったらいい、こういうような大臣からのお話もございましたので、これはぜひやらせていただければなと私も職員の立場としては思っておりますが、そんなようなことでございます。

 いずれにしても、これはこれから、今年度取り組みます。そういう研修をやっていくわけでございますので、そういう中でさらに効率的な研修制度を見定めていきたい、このように思います。

黄川田委員 お話しのとおり、政策評価制度は平成十三年一月から始まったばかりの制度であり、評価手法もまだ十分確立しているとは言えない状態にあるようであります。評価の実施主体である各府省及び総務省の創意工夫を促し、評価の質を高めていくことが必要であります。

 そこで、政策評価の的確な実施を図るため、政策の特性を踏まえた合理的な手法を開発し、それを適用していくことが重要であると考えますが、総務省の見解はいかがでしょうか。

新藤大臣政務官 これも既に御答弁がありますので、手短にさせていただきます。

 先生御指摘のとおりでございまして、この制度を生かすも殺すもこれからの運用次第ということだと思っております。

 私は、ちょっといろいろ調べてまいりますと、アメリカの政府業績成果法という、アメリカはこれの法制化を私どもよりも先駆けてやっております。そして、先ほど出ているようなGAOだとか行政管理庁との全体の連携の中で、この法律を運用させているのです。でもあのアメリカで、一九九三年に始まっております。そして、段階的な試行をして、実際にそれがまだ試行段階だ。この行政評価、政策評価を予算や事務事業の成果に反映させるまでには、アメリカももう七年以上やっているわけなんでございます。

 私どもも、これから、より具体的な効果の上がる方法というものを研究していかなくてはいけない。これもまた、今年度取り組みます。役所内もそうなっておりますから、どうぞまた、いろいろと御指摘をいただければありがたい、このように思います。

黄川田委員 ぜひとも頑張っていただきたいと思いますけれども、政策評価の使い方を誤れば、事業や施策を正当化する道具に逆に化ける危険もはらんでおりますので、一段の工夫をよろしくお願いいたします。

 最後に、政策評価は、それ自体、一定のコストや時間をかけて行うものであり、評価のしっ放しでは意味がありません。政策評価は、その結果が政策の企画立案に適切に反映されて初めてその効果を発揮するものであります。

 そこで、特に、評価結果の予算への反映について私からもお伺いするわけでありますが、本法案において、政策評価の結果は、各府省レベルの予算要求の段階と政府レベルの予算編成の段階において、予算にどのように反映されることになるのか、これについての総務省の見解を求めたいと思います。

新藤大臣政務官 これまた法律で担保をして、三条において適切に反映させることを義務づけております。そして、政府全体の予算編成をするときには、今度は四条において、努めなければならない、こういうことで努力目標を掲げているわけでございます。

 これをどう生かしていくかということは、これは現実の問題として非常に難しい問題だ。それから、作業量が膨大になるのではないか。ですから、その前の御質問でいただきましたように、いかに効率的に、それから定量的に、定性的に政策評価ができていくようにするか、この手法開発を急いで充実させなければいけないというふうに思っております。

 これは初年度でございますから、ぜひこれが反映できるように、我々総務省としても、見守ってまいりますし必要な活動をしていきたい、このようなことでございまして、今、一生懸命に手法にのっとって作業をしているところでございますので、どうぞ御期待をいただきたいと思います。

黄川田委員 いずれ、単なる努力義務だけにはならないように、よろしくお願いいたします。

 そして、行政評価自体が未成熟の分野といいますか、そういうところでありますので、試行錯誤の中から新しいシステムが構築されることを望んでおります。また、決してお手盛りにならずに、不断の見直しをよろしくお願いいたしまして、私の質問を終わります。

御法川委員長 次に、矢島恒夫君。

矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。

 政策評価法案という新しい法律案が提案されているわけですが、私は、この立法に関連して、まず最初に、具体的な事例について、国土交通省などが行っております公共事業の再評価制度に関係して少し聞いてみたいと思います。

 実は、私、北関東ブロックの選出ということもありまして、ちょうど今から一カ月ほど前ですけれども、栃木県の思川開発事業、これは水資源開発公団によるダム開発ですけれども、そこを現地調査してまいりました。

 この開発計画というのは、実は一九六四年に基本構想が打ち出されたわけですから、三十七年もたっているわけなんですね。行ってみますと、まず、この三十七年間何をしてきたんだろうかと見るような状況であります。つまり、本体工事はもちろん何もされていませんし、取りつけ道路などの準備工事などは一切進んでいない、こういう状況を見てきたわけです。

 現地に行きまして非常に驚いたことには、これは南摩ダムというダムをつくるわけですけれども、この思川の支流に南摩川というのがあるんです、そこに建設することになっている。その南摩川というのは、実は、行ったときに水が流れていないのですよ。石がごろごろあるだけなんです。我々、ダムというと、水が流れている川をせきとめて、そこへためて、それをいろいろな形に活用すると思うのですが、全然水がないのですね。どうするのかと思いましたら、実は、いわゆる導水ダム、ほかから水を持ってきてダムにする工事を行おうというわけなんです。

 なぜこんなところにダムサイトをつくるのかということを現地の水資源開発公団の方に聞きましたら、実は、ちょうどこの両側から山がその川の両端に迫っていて、高さも適当だ、幅も適当だ、だからここへつくるんだ、これを前にも後ろにも少しも動かすわけにいかないのですよ、この位置にダムサイトをつくらなきゃだめなんだ、それでやっているのですよと、こういうわけなんですね。

 その引いてくる水というのが、日光の中禅寺湖、あそこから流れております大谷川から取水してくるわけなんですね。いわゆる取水ダム、こういうことになるわけなんです。約二十キロぐらいありますか、トンネルで、導水管を使って水を引いてくる、こういう計画なんです。ですから、これは計画段階から相当の無理がある。我々素人ですから、見た感じ、地図上の状況などを見ますと、随分無理なダムをつくるんだなと、見ただけでもそう思えるような状況があるわけです。

 その水をとられる方、つまり大谷川関係、実際には今市市ですけれども、この今市市は、市議会で、水を持っていかれるのは大変だからだめだという決議を最初の段階から上げているわけなんですね。

 そうした経過があって三十七年も経過しましたけれども、何にも工事が進んでいない。だれが考えてもこれはおかしいのですよ。なぜここまで、見直しもしなければ中止ということもしなかったのか、もっと早い時点で再検討をやるべきだったのじゃないか、こういうことを思うわけです。やっとのことで、昨年八月に与党三党による見直し、あの中で、大谷川からの取水断念、規模縮小ということになってきたわけなんです。私は、この計画の前提そのものが崩れかかっているのじゃないかと思うのですね。その根本のところについて、河川局に来ていただいておりますので、局長にお尋ねしたいわけなんです。

 六四年に計画がスタートした時点では、首都圏の都市用水に対応するという理由があったと思うのです。ほかにも理由がありましたが、それも一つの大きな理由だったのです。しかし、最大の需要者である東京の場合、八年前に既に撤退しているのですね。つまり、その水は使わないということを言っているわけです。水需要の根本が変化しちゃったわけですよ。それでも、見直しもしない、あるいは見直しもできない、この点が非常に大問題だと思うのですね。

 計画変更したのは、昨年、与党三党による大谷川からの取水中止、これが決まってからです。そこで、規模縮小の計画変更にならざるを得なくなって、大谷川からは水が来ませんから、最初のときは一億百万トンですかの水を大谷川から引くわけだった、ところが六千万トン分は水が来ないということになりましたから、それだけ、根本的に計画が変わってきたわけです。

 そこでお尋ねしたいのは、計画の変更について、現段階ではどこまで進んでいるのか。同時に、その際、計画中止、こういう選択肢はあるのかどうか、御答弁いただきたいと思います。

竹村政府参考人 南摩ダムの計画につきまして御質問がございました。

 思川開発事業は、今、委員御指摘のように、長年、水が大変豊富に流れている大谷川の水を分水させていただこう、そして、非常に大きなポケットができる思川ダムにそれをためておいて、首都圏全域に安全な安心した水需給をしようという目的で考えていたわけですが、流域の違うところから水を引くというのは困難な社会的な調整事項でございまして、大変時間がかかったということは事実でございます。

 そのようなことから、与党三党において、大谷川分水の件に関してはもう中止すべきだ、そして思川ダムだけで、大谷川分水をやめて黒川と大芦川の分水で水をきちんとためていくというような規模縮小になりました。それは全く事実関係としては委員御指摘のとおりでございます。

 さて、今後の南摩ダムの計画でございますが、この南摩ダムを前提としまして、二市二町、つまり小山市、古河市等二市二町と北千葉広域水道企業団が、もう既に水をとっております。これは暫定水利と申しまして、水をとっているというのは、普通私ども、水が豊富なとき水をためておいて、そしてその水を渇水のとき補給するという形でございますが、今ダムがないままに水をとっているということは、この約二千六百万トン、人の飲み水にしますと約十八万人の飲み水が、川の水をそのままとっているという状況になってございます。私ども、そういう意味では河川に大変環境負荷を与えておりますので、水が豊かなときに水をためておいて、三百六十五日安全な水をとれるようなこの南摩ダムの必要性というのは、今でも十分成立していると考えてございます。

 今後、この南摩ダムの規模を縮小した段階でどのような形になるのか、茨城県、千葉県、埼玉県の四県を初め、もちろん栃木県も同じでございますが、関係の行政機関と広域的な関係をしますので、こういう広域的な関係行政機関と、これから計画を縮小したレベルでどのような要望があるのか、丁寧にお聞きしながらこの計画を立案していきたいと考えてございます。

矢島委員 そうすると、河川局が音頭取りになって、計画変更をつくる、それから、いろいろ調整する、そしていつまでにやるか、そういうのを決めるのは河川局がやるわけですか。

竹村政府参考人 この思川開発事業は水資源開発公団の事業でございます。そして、この思川開発事業の主務大臣は私ども国土交通大臣が所管してございます。最終的に決定は、利根川水系のフルプランで閣議決定という段階になりますが、閣議決定するまでの間、私ども主務大臣が中心となって計画の中身、そして治水の中身の案を提示していくのは、私どもが一つの役割を果たさなければいけないと考えてございます。

矢島委員 そこで、今、栃木県、茨城県、埼玉県、千葉県などなど、自治体との協議ということになっていくわけですけれども、水需要計画の基本が見直しの対象になるのではないかなと思うのです。

 というのは、栃木県分について知事が、毎秒二・九七トンの今までの計画から、今度は毎秒一・〇八トン、約三分の一に縮小するんだということを発表いたしました。そうしますと、この割合でいきますと、それぞれ、埼玉とか茨城とか千葉とか、縮小していかなければなりませんが、三分の一程度に縮小して参加するようにということを要請していくわけですか、河川局なり国土交通省なりが。

竹村政府参考人 私ども、事業の進め方としましては、ダムをつくるときは、多くのダムはつくれません。どうせつくるときには有効なダムにすべきだろうということで、ダムに関係する関係都県の、今回は県だけでございますけれども、県の御意向を十分聞き取りながらダムの規模を決めていく。なぜなら、県の御意向がわからない限りダムの規模は決まりませんので、鶏が先か卵が先かということでございますけれども、私ども、ダムの物理的な規模を決める調査と同時に、各県がどのような希望を持っておられるのかということをヒアリングしながら、ダムの計画を詰めていきたいと考えてございます。

 ちなみに、一・〇八トンと申しますのは、今、正式にまだ栃木県から来てはおりませんので、大体そのような数字が必要じゃないかなということは、私ども、遠くから承っております。一・〇八トンというと、どのくらいのイメージかと申しますと、人口にして約二十五万人の飲み水が賄われる量だと認識しております。

矢島委員 各県の需要等をよく聞きながら計画を練り直すということだろうと思います。

 さてそこで、これは県営ですけれども、大芦川のダムをつくるすぐ上流の方に、東大芦川ダムという計画がありますね。これは県営として上流に計画しているわけです。

 そこで、水を持ってきて、南摩ダムへためる、そのときに、この大芦川の上流につくった東大芦川ダムという県営のダム、これとのかかわり合い、水が少なくなったら、そのところから引いていくとか、そういう影響が出てくるのではないかなと思うのですが、この関係はどんなふうになるのですか。

竹村政府参考人 図面がないので、説明が大変ややこしくなりますけれども、御容赦願います。

 東大芦川ダムというのは、大芦川の流域だけに注目した非常にローカルなダムでございます。鹿沼市の方々の飲み水、三万人の水道用水を確保する、そして大芦川流域の治水のために役立てるということでございます。

 東大芦川ダムに影響のない、水が非常に豊富なときに、南摩ダムは、大変大きなポケットを持っております。東大芦川ダムのポケットより六倍から十倍ぐらい大きな、まだ計画は確定しておりませんけれども、非常に大きなポケットがございますので、せっかく大きな雨が降っても、大体二日間ぐらいで海へ戻ってしまいますので、その戻ってしまう雨を南摩ダムへためておいて、関東広域、首都圏に水を供給しようということでございまして、東大芦川ダムと南摩ダムは違った、独立した関係の事業でございます。

 ちなみに、東大芦川ダムの事業主体は栃木県でございまして、私どもの南摩ダムは国土交通省が所管しているという関係でございます。

矢島委員 そこで、私は、この政策評価法案に関して、これまでの政府の施策というものがどのような評価制度で行われてきたかという点、あるいはまた、どのような役割を果たしてきたのかという点、こういう観点から検証してみる必要があると思うのです。

 そこで、今ずっと河川局に聞いてきたわけですけれども、これまで公共事業を評価する制度として、国土交通省などが行っているいわゆる事業の再評価制度あるいは新規事業採択時評価というのがあるわけです。このうち事業再評価について言いますと、こんなふうになっているのですね。一定期間停滞している事業について再評価を実施して、事業の中止、休止などの対応を図るというものなんですね。九八年から、いわゆる公共事業関係の五省庁でやっていますね。

 再評価であるから、言ってみれば、途中まで行ったけれども行き詰まっちゃった、その事業を見直そうとかいうものであって、本格的ないわゆる事業評価制度と言えないものだろうと私は思うのです。しかも、事業が途中でとんざしてしまったというようなことになりますと、いわゆる計画段階あるいは事前の段階できちんとした評価を行わなかった、ともかく予算をつけて、何しろ見切り発車でスタートだというような公共事業、こういうようなことが今日まであったわけなんですね。ですから、やはりとんざしたとなれば、これは大変なむだ遣いになってくるわけですし、今まで一定期間は事業費をつぎ込んできたわけですから。

 こういうことがあってはならないという意味合いからいって、評価制度の導入は非常に重要だと思います。事業の必然性とか必要性あるいは費用対効果の問題だとか、こういうものをきちんとやっていくということのために、この制度の重要性があろうかと思うのです。

 特にこの大芦川というのは、非常に環境面で、北関東、北関東というよりは関東一円の中でも有数の自然が残されているところなんですね。私も調査してみましたけれども、この清流の中にはニッコウイワナと言われるイワナがおって、ぜひ大臣もあそこの辺を見に行ったら、イワナの塩焼き、おいしいのを食べさせてくれます。そういう清流の場所ですし、それから、先日、公団がオオタカのつがい三つを見つけたという発表がありまして、オオタカが営巣しているのではないか、その可能性ありというのを公団が発表しております。

 こういう豊かな自然を壊してしまうというところに重大な問題があるというので、反対していらっしゃるたくさんの方々がいらっしゃるのですが、事業の必然性だとか費用対効果、こういう観点と同時に、環境への影響という観点が必要だろうと私は思うのですけれども、その辺についてどのようにお考えか。

遠藤(和)副大臣 個別の河川法等にも環境への視点というのは配慮しているようですけれども、今度、行政評価という包括的な法律の中で、公共事業についても事前評価、あるいはいわゆる中間評価ですか、それから事後評価、総合評価、そういうふうなものをきちっとするということにしているわけです。

 それに当たりまして、視点の問題ですけれども、そこで法案では必要性とか効率性とか有効性ということを明示しているわけですが、その他いろいろな視点があるわけでございまして、その中に環境という視点も大変重要な視点である、このように思っております。

矢島委員 ぜひそういう方向での評価というのを期待いたします。

 それで、私、事業の必要性や費用対効果や環境への影響というような観点の上に立って、例えば事業を行わないという選択肢も含めて、複数の代替案をつくって検討する制度、こういうのが必要じゃないかなと思うのです。

 同時に、それを評価する時期も、計画段階から事前、事後の三つの段階に評価していくということも、また必要なことではないかなと思うのですが、大臣、そういうことに対するものがありましたら。

遠藤(和)副大臣 特に、公共事業につきましては、法律の書きぶりは、国民生活や社会経済に相当程度影響を及ぼすもの、または多額の費用を要するものであり、かつ事前評価の方法が開発されているもので、政令で定める政策についてと書いてあるわけですけれども、そういうふうに、国民の注目を集める公共事業は、そこの中に、すべて政策評価の義務づけになる、このように理解をいたしております。それは事前評価の話です。

 そしてまた、いわゆる中間評価ですけれども、政策決定した後一定期間未着手であるとか、長い一定期間を経たけれども未了であるとか、そういうものについてはきちっと個別事業に対する評価を行っていく。そしてまた、事後評価の義務づけもきちっと行っていく。こういうことでございますから、非常に国民の目に公共事業の姿がきちっとあらわれてくる、そしてまた、適正な政策評価をしないと、その府省が国民から信頼を失う、こういう仕組みになっていると理解をいたしております。

矢島委員 国民の目、国民の声、政策評価をした場合に、国民がそれを見て判断していくということの意味だろうと思います。

 そこで、その点について少し、これは総務省の塚本局長の方で結構ですが、第三者の活用の問題なんです。

 前にも質問が幾つかあったのですが、政策評価制度の法制化に関する研究会報告というのをいただいたのですが、その中に「第三者の活用」という部分が入っております。その「第三者の活用」という部分には、この報告書の中では、「本法制においては、政策評価の過程で各行政機関が評価の客観性確保のために特に必要と認める場合にあっては、第三者の専門的知見やチェック機能等を活用することを、各行政機関に対し義務付けることが適当である。」というふうな表現になっております。

 そこで、お聞きしたいのは、この第三者というのは、政策評価に関する標準的ガイドライン案というのがありますが、あそこで、「学識経験者、民間等」、こうなっているわけですが、この民間というのには、NGOあるいはNPOなどいわゆる市民団体等も念頭に置いているのかどうか、この点について。

塚本政府参考人 御指摘の、「学識経験を有する者」、法文ではこうなっておりますけれども、これは典型的には実務者、研究者、あるいは評価の対象となる政策や政策評価制度の専門的知識を有する方ということでございますけれども、当然いわゆる有識者、外部研究機関も想定しております。

 また、御指摘のありますようなNGOやNPOにつきましても、評価の対象となる政策の特性に応じてということでございますけれども、それに応じて知見を活用するということはあり得るものと考えております。

矢島委員 ぜひこの研究会報告を尊重して、環境団体だとか福祉団体とか、それに応じてということですから、そういう民間団体の意見に耳を傾けて政策の評価を客観的に進めてほしいと思います。

 同様に、これは情報を公開する、説明責任の問題もありますから、国民の目というものがあるわけです。実は、研究会報告では、国民からの意見の受け付けについてというところがあるのですが、ここにはどんなふうに書いてあるのですか。

塚本政府参考人 この報告におきましては、政策評価について国民からの意見を受け付ける窓口を整備すべきということが触れられております。

矢島委員 そこで、この窓口を義務づけるべしとあるのだけれども、提案されておりますこの法案にはそれがないのですね。なぜないのですか。

遠藤(和)副大臣 国民から直接いろいろな意見を受け付ける窓口というのは、ほかの法律にもないのでございますね。

 したがいまして、ほかの法律に倣ったということでございますが、具体的に基本方針を閣議決定いたしますけれども、この基本方針の中には、国民に対する窓口をきちっとつくるようにということを決定したい、このような考えをしております。

 現在も、各省庁のホームページ等を見ておりますと、ちゃんとそこには国民の窓口がございまして、通常、いろいろな行政に対するお尋ねとか注文とか、国民の意見が常時受けられるようになっているものですから、実態的にはそのように窓口は開かれているものだ、こう理解をいたしております。

矢島委員 ほかの法律の例を挙げられて入っていないというわけですが、私、ちょっと調べてみたんです。例えば中央省庁等改革基本法の中には、「広く国民の意見を求め、」という文章ですが、窓口とは具体的には言っておりませんが、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の中にも、窓口とは出ていないけれども、やはり国民の意見を聞く方向の文言が入っているんですね。窓口にするかどうかは別として、やはり法律の中にきちんと入れるということが、この研究会の報告でもあるんだから、結局、これは、初めから難しいなというので法律にするのをやめたんですか。

塚本政府参考人 これは、法制の整備の検討の際に十分議論をしたところでございますが、いずれにしても、法律の規定の有無にかかわらず、これは当然行われるべきものであるという判断もございました。そのようなことから、本法案には規定しないことにしたということでございます。

矢島委員 当然のことだということで入れなかったということだろうと思いますが、評価に当たって有識者の活用、これに触れております。国民に対しては説明責任を果たす、こういうことが求められている。さて、国民が評価に参加する方法は何なんだろうかと、そこの点で今窓口の問題を尋ねたわけです。

 もちろん、政策評価というのは本来、国会が行うものだろうと思うんです。少なくとも政策評価報告書を国会へ提出する、こうなっているわけです。それにとどまらずに、各府省が委員会に評価を報告して、委員会でいろいろ審議、それは物によってだろうと思いますけれども、する場面もあってもいいだろうし、また、そうすることによって、国民の意見を聞く場として公聴会をやるというようなことになってもいいんじゃないかというように私は思うんですよ。それについて何か御意見はありますか。

片山国務大臣 政策評価というのは、政策そのものを科学的に評価して国民にわかりやすい形で提供する、こういうことですから、今、委員は窓口の話もされましたが、窓口をどうするかということもしっかりと閣議決定の中で基本的な考え方を位置づけなきゃいけませんし、それから、国会に報告する義務がありますから、報告されたものについて国会で大いに議論をいただくのは、私は一向に構わない、むしろ歓迎すべきことだと思いますが、国会の仕切りは国会でお決めいただくことでございますので、よろしくお願いいたします。

矢島委員 ぜひ、国民の意見が反映できるような方向へ持っていってもらうことを特に要求いたしまして、終わります。

御法川委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党・市民連合の重野です。

 議題となっております行政機関が行う政策の評価に関する法律案について、若干の質問をしたいと思います。私で最後でありまして、大変お疲れと思いますが、しばしおつき合いいただきたいと思います。

 まず最初に、政策評価の位置づけについて質問をいたします。

 政策評価と行政評価の相違について、政策評価とは、政策を必要性、有効性、効率性の観点から把握、評価することであり、一方、行政評価・監視とは、政策を所与的条件として業務の実施状況を合規性、適正性、効率性の観点で行うものとされています。つまり、政策評価と行政評価・監視とは並列のものであり、両者を統合したものが行政評価とされているというふうに私は理解をしますが、まずこの点について確認をいただきたい。

片山国務大臣 言われるとおり、行政というのは政策に基づいて進められるもの、政策が決まれば、行政機関は一定の行政目的を実現するために政策を企画立案して行政活動を展開する、こういう意味では政策の方が上位の概念だと私は思いますけれども、ここで言う行政は大変広い概念なんですね。行政というのは広いのと狭いのといろいろありまして、そこで政策というのが限定的な感じを与えますから、だからこの法案も、政策評価法と言うべきか、行政評価法と言うべきか、定かでないんですよ。

 そこで、行政機関における政策評価法という長い名前で言っているんですけれども、だからそこは厳重に定義をして分けたんじゃなくて、広義の行政として行政評価という言葉を使った、こういうふうに御理解賜ればありがたい、こういうふうに思います。

重野委員 それではお聞きいたしますが、ガイドラインによれば、政策とは一、国の行政課題に対応するための特定の目的や目標を持ち、二、これを実現する手段として、予算、人員等の行政資源が組み合わされた行政活動が目的に照らしてある程度のまとまりになっており、三、行政活動の実施を通じて、一定の効果を国民生活や経済社会に及ぼすものと規定しています。

 これを素直に読みますと、政策と行政は並列的なものではなく、むしろ行政の上に政策があると私は理解をいたします。したがって、政策評価の一要素として行政評価・監視があると理解をするんですが、それについてはいかがでしょうか。

塚本政府参考人 この点、実は総務省設置法におきまして、また行政と政策という文字が一つの位置づけを持って使われている次第でございます。今、委員御指摘のように、このガイドラインにおきましては、やはり政策というものがありまして、それを具現化するための行政の活動がある、こういう位置づけになっておるわけでございます。

 現実に私どもの総務省設置法におきましては、従来の行政監察というのがございまして、これを政策評価という新しい活動と区別するために、より大きな概念として行政の評価及び監視という概念を用いました。それをまた旧行政監察と政策評価をトータルとして表現するために、行政評価等という言葉を用いたわけでございます。そこで、設置法上の観念としては、このガイドラインとはまた別の形で大きな意味での行政というものが出てまいった、こういう経緯でございます。

重野委員 今の答弁、ちょっと理解できないんですが、結局、評価対象としての政策は限定的なものとして認識されてしまう、そういうふうになってしまうんじゃないかと思うんですが、どうですか。

塚本政府参考人 その点は確かに、ガイドライン等、また政策評価を実務上どう位置づけるかというレベルにおきましてはいろいろと御認識の点で御議論もあろうかと思いますけれども、少なくともこの法律案におきましては、政策と申しますものは、「一定の行政目的を実現するために企画及び立案をする行政上の一連の行為についての方針、方策その他これらに類するもの」ということでございますので、ガイドラインで申しております意味の政策とこれは合致していると考えております。

重野委員 今いみじくも申し上げましたように、まだまだできて間がない、今後いろいろな角度からいろいろな議論がされてより豊富化されていくのだろう、このように思いますが、そういうふうな理解をして次に移りたいと思います。

 総務省行政評価局において政策評価と行政評価・監視とが同時に行われる必要がどこにあるのかという点です。結局、今のような見解が下敷きとなっておりますから、結果として合規性、適正性などを観点とする行政評価・監視は、会計検査院の観点とは根本でそう違わないのではないか。そうしますと、会計検査院にゆだねることが、いわゆる橋本行革以来の簡素化方針に合致するのではないかなというふうに思うのですが、その点について、大臣、いかがお考えでしょうか。

塚本政府参考人 私ども、政策評価と行政評価・監視という形で旧行政監察を実施するということでございますが、ここは政策評価そのものの目的が、政策の目的、それを前提とせず、政策そのものの効果を通じましてその必要性等を見直すという活動である、一方におきまして、それを具現化する行政の状況というものを総体として把握いたします。すなわち、会計上の手続等々のみならず、それを取り巻きます一連の手続の設計あるいはその運営、または人員等に及びますまで、幅広く、政策そのものの見直しのないレベルにつきまして見ていく、その趣旨を適正、合規という形で示しておるところでございます。

 具体的に申しますれば、従来行っておりました行政監察というものを引き継ぐというところになるわけでございまして、その点から申しますと、会計検査院が行っておられました主たる活動とは、私どもの現在の行政評価・監視は明らかに異なるものである。一部重なるという御見解もあろうと思いますけれども、そこは区別が可能であるし、それはそれとして、立場が異なりますので、引き続き行政府内にある監視のための機関としてこの活動を続ける必要があるという判断をいたしておるところでございます。

重野委員 次に進みますが、法案の内容について質問をいたします。

 政策評価制度法制化研究会報告というのがありますが、これと本案との関係であります。研究会報告の示すところでは、一に説明責任、二に質の高い行政、三に成果重視を法制目的としております。ところが、本法の第一条では、説明責任は明示されております。しかし、他の二項、特に成果重視という点については、私の読解力がないのかわかりませんが、どこからもなかなか読み取れないと私は思います。立法目的を極めてあいまい化しているのではないか。結局、政策評価を、行政に的確に反映するべき両者の関係というものを弱めようという意図があるのではないか。うがった見方かもしれませんが、私はその点を懸念するわけです。

 このようなあいまいな目的となった、なぜこうなったのか、見解をお示しください。

遠藤(和)副大臣 確かに、ガイドラインの文面と、それから実際の法案の表現が異なっております。

 しかし、この法案はガイドラインの精神をそのまま表現したものでございますが、法律用語として表現する際の技術的な問題でございまして、この法案というものは全くガイドラインの精神をそのまま書いた、こういうふうに理解をしているところでございます。

重野委員 成果重視の点ですね、説明責任は確かに書いてありますが、では、今私が示したこの二の項目、質の高い行政あるいは成果重視、そういうふうなものが読み取れる文言というものがないと思うのですね。ガイドラインの精神は生かしておりますと言うけれども、そうであれば、そこら辺は当然ここに出てきていいのではないかと思うのですが、なぜそうなったのか。

塚本政府参考人 ただいまの遠藤副大臣の答弁に尽きる面もございますけれども、ガイドラインのこの三つの太い柱で書きましたものを法律の目的にまさに書き下すに当たりまして、成果重視という概念の法文化というものについて、いささかの困難があったということでございます。しかしながらその趣旨は、「効果的かつ」の「効果的」というもの、このこと自体が成果重視ということのあらわれでございまして、その意味も含めまして、私どもとしてはガイドラインがこの法文にはそのまま生かされておるのだということを申し上げておるところでございます。

重野委員 この三つの精神、柱ですね、この中に生かされておる、そういうふうに説明がありましたが、そのとおりに理解をしたいと思いますが、その点は大事な点ですから、文言にはないが、しかし、私が言うまでもなく、ぜひその後をしっかり押さえていただきたいと思います。

 次に、政策評価のあり方について質問をいたします。評価の観点に関して、法三条で、必要性、効率性、有効性、その他を挙げております。他方、ガイドラインでは、公平性、優先性も明示しております。これらの観点のそれぞれに軽重はないわけでありますので、したがって、法案にも明示することが大切ではないかと私は思います。また、ガイドラインでは、これらの観点を並列列記しているのに、法律においては、「必要性、効率性又は有効性」、こういうふうにあえて「又は」という文言が入っておるのですが、これはどういう理由でそうなったのでしょうか。

塚本政府参考人 法文につきましては今御指摘のとおりになっておるわけでございますが、もともと、ガイドラインにおきましても、この観点につきましては、比較的幅広く適用することが可能と考られる必要性、効率性、有効性の三つをまず基本的な観点として位置づけ、それに加えて公平性、優先性の観点を提示していたという経緯がございます。

 それを踏まえまして、この第三条におきましても同様に、必要性、効率性、有効性をまず基本的な観点として明記いたしまして、さらに政策の特性に応じて、これら三つの観点以外の観点からの評価が必要な場合には、その実施を義務づけるということにいたした、強調の問題でございます。

 また、「又は」の問題でございますが、これにつきましても、政策評価の現実的な実施に当たりまして、やはり政策の特性に応じた、適切な観点の選択ということが可能であることが必要ではないかという観点から、その趣旨をあらわすために「又は」という文言を用いたということでございます。

重野委員 時間も過ぎていますので次に進みますが、評価対象としての政策の定義について伺います。

 研究会報告の中では、「「政策」、「施策」及び「事務事業」は、一般に、相互に目的と手段の関係を保ちながら、全体として一つの体系を形成している」、その認識をしながら、「政策」、「施策」、「事務事業」と指摘をしております。

 ところが、ここで言うこの政策にはわざわざ括弧がありまして、「(狭義)」こういうふうに記されているわけです。ここに言うこの狭義の政策とはいかなる意味を持つのかということが一つですね。もしこれが内閣の政治意思としての政策を除くものであるなら、これは私のうがった見方ですが、法第二条の二に定める政策の定義に基づいて行政機関が評価対象を定める場合、トップダウンによる個別政策、例えばかつての地域振興交付金のような政策は、なるべく基本計画から外すことになるのではないか。本来、最も評価されなければならない政策が外されるという懸念が私にはあります。そうなりますと、政策評価の意義そのものが著しく減少することになる、いや、もしかしたら皆無になる、そういうふうな懸念はないのか、この点についてお答えいただきたい。

塚本政府参考人 この点は、まさに委員の御指摘のようなことが起きないようにということで、この法律では、第六条の基本計画におきまして、事後評価に取り上げます政策を包括的にこれを掲げるということを義務づけているところでございます。

 これは、行政機関の長は、「計画期間内において事後評価の対象としようとする政策その他事後評価の実施に関する事項」として、当該機関がその任務を達成するために社会経済情勢等に応じて実現すべき主要な行政目的に係る政策を定めるものとするということが決められておりまして、しかも、この基本計画を公表しなければなりません。

 したがいまして、そこでの選択等に手落ち等があれば、これはまた御批判の対象になる、こういう仕組みになっているところでございます。

重野委員 ここに書いてある狭義という意味ですね。これはどういう意味なんですか。

塚本政府参考人 これは、行政実務におきまして政策と申します場合、そこで分析しておりますように、幾つかの段階が当然、自然に想定されるということでございます。そのときに、議論の混乱を避けるために、政策全体のことを議論するときと、それから、いわゆる三段階になるときの政策、施策、事務事業というものを区分けするために、わざわざ狭義と書いたわけでございます。

重野委員 次に進みます。

 政策評価は、それが確実に行政に生かされて初めて意味を持つわけです。そこで伺いますが、法第四条、「適切な活用を図るように努めなければならない。」とあります。これは、努力規定なのか、義務規定なのか、伺います。

塚本政府参考人 努力義務でございます。

重野委員 努力規定ではなくて努力義務、どういうことですか。私はどちらの規定かと聞いたんです。

片山国務大臣 これは、拘束する義務の規定じゃないんですね。いわゆる法令用語でいうと訓示規定という、努力をすることを義務づけているので、そうすることを義務づけているんじゃないんです。努力を義務づけているんです。

 訓示的な規定ですけれども、私は、これは訓示的な効果に終わらせずに、それを実効あるものに、本当の義務規定にするように、運用上は我々が精いっぱい努力いたします。

重野委員 ちょっと言わなきゃならぬのですが、さきの本会議答弁で、「政策評価をやるものが予算に反映しないようではこれは大変問題だ、」「この法案では、各府省に、予算要求の段階で政策評価の結果を反映させることを義務づけて」いる、これが大臣の本会議での答弁です。そういうふうに答弁しているわけですから、今の答弁はちょっと私には物足らない。

 法第三条には、「適切に反映させなければならない。」という規定もあるのですが、このことと何かごちゃまぜになったようなことになっておるんじゃないかなという懸念を持つんですが、どうですか。

片山国務大臣 今、法案の各条でいいますと、三条は、「その評価の結果を当該政策に適切に反映させなければならない。」これは義務規定そのものです。それから、四条の予算とか複数省庁に絡む計画ですね。これは努力義務規定、いわゆる法令用語でいうと訓示規定、こういうことでございますけれども、重野委員、私が本会議で言いましたのは、それは規定の書き方じゃないんです。行政評価制度を導入して、これを位置づけるということは、やはり予算や政策や計画に反映しなければ実施した意味がないんですよ。規定の仕方がどうあろうが、精神は私が本会議で言ったとおりでありまして、だから、経済財政諮問会議でも私は執拗に、政策評価を予算に必ず反映させろ、こう言っているので、そこのところをお酌み取り賜りたいと思います。

重野委員 厳密に言うと、本会議の答弁と違うんですよ。もうあと時間もありませんが、これは今後絶対、ずっと引き続きやり合わなきゃならぬ問題だと思いますよ。その点は大臣もしっかり受けとめておいていただきたいと思います。

 次に、本案に定める政策評価は、あくまで行政機関内部のものであります。国民の意見をどのように反映させるかという制度については、ここではインターネットによる情報の公開、あるいは、ガイドラインでは、評価結果に対する国民の意見に対する窓口設置しか触れておりません。この点では、行政機関のこの評価に対する国民的信頼というものは十分得られないと思うんですね。もっとその点について努力をしなければならぬと思うんですが、これについて大臣の見解を伺います。

遠藤(和)副大臣 この行政評価については、先進の地方自治体の例もありますし、国民の皆さんに知っていただくことが一番大事ですから、そういう工夫をきちっとする。そして、国民に対する窓口も閣議決定をさせていただくとかいう形で、きちっと基本方針の中に書き込む、こういうことを考えております。

 また、これは毎年やるところに意味があるわけでございまして、初めて始めるわけですけれども、毎年きちっと国民の皆さんにわかりやすい形で、しかも、言葉もできるだけわかりやすい言葉で、国民の皆さんにきちっと最終的な評価をいただけるような仕組みにしていきたい、こう思っております。

重野委員 私は、今の答弁、非常に甘いと思うんです。

 法第三条の二で、「知見の活用を図ること。」とはっきり定めておりますね。それなのに、大臣、本会議の答弁では、「できるだけ学識経験者の知見を活用するようにと、これをさらにつけ加えておりますし、」と言っております。これは「できるだけ」ではなく、活用しなければならないと私は書いておると思うんですね。私は、そのことをやはりはっきりしていただいて、大臣、これは本会議答弁がそのまま残っておったら誤解されますので、そこら辺ははっきりさせていただきたい。

片山国務大臣 これは、立案の過程で、この三条二項の二号は、必要に応じてと最初の原案にありましたものを、大議論をして、「政策の特性に応じて」でございますから、まさに、特性から見て、どうしてもという場合には義務づけられる、こういうふうに解釈すべきものだと思います。

重野委員 義務づけられるというふうに理解をいたします。

 いずれにしても、政策評価は、その結果が施策の変更あるいは廃止、さらには予算に確実に生かされて初めて意味を持つこととなります。第四条に「努めなければならない。」とあるように、明確な義務を政府に課していない。しかも、総務省の権限で行う政策評価に至っては、勧告と内閣総理大臣に対する意見具申だけであります。

 そもそも、政策評価制度を法定化することは、その結果が予算などに間違いなく反映されることが前提のはずであります。そうでなければ、立法目的を果たしたことにはならないのではないでしょうか。大臣も、本会議で、「政策評価をやるものが予算に反映しないようではこれは大変問題だ、」と強調しておられます。その担保がないのなら、法律でなくガイドラインで十分だ、こういうふうな指摘があっても、それはそうなのかな、こういうふうに言わなきゃならないのですが、この点についてはどうですか。

遠藤(和)副大臣 政策評価の結果について、各府省は、予算要求にそれを反映することを義務づけているわけです。その面では、予算にきちっと反映されている。

 ただ、それを政府全体として次の年度の予算にするかどうかというのは、いろいろな判断が必要でございます。何が起こるかわからないのがこの世の中でございますから、そうした意味で、義務づけるというよりも努力義務にして、これをきちっと担保していく、こういう方向であるわけでございまして、それは政治家であれば十分に理解をしていただけることではないかと思っております。

重野委員 時間も参りましたので、最後に言わせてください。

 これはもう要望でありますが、本法案は、基本的には全行政分野にわたって政策評価を行う点で、アメリカの業績成果法に次ぐものであります。その手法は行政学上もいまだ十分確立されているわけではないと理解をしています。未開の荒野を行くの感なきにしもあらずでありまして、それだけに、この法律が今後、我が国行政に確たる位置と効果をもたらすかどうかは、かかって国民的監視と行政府並びに立法府の努力と責任によるところが大きい、このように考えます。幸い、自治体、特に都道府県レベルでは、もう過半数が導入を先行しているという実態もありますし、自治体から学ぶべきことも多かろう。そういう意味では、総務省においても、謙虚に、自治体に学ぶべきところは学ぶという考えを堅持されたい。その点での大臣の決意をお聞かせください。

片山国務大臣 言われるとおりでございまして、自治体では先進的な、思い切った試みを幾つもやっておりますから、これは我々は全般的な制度として今度推し進めますから、その中で十分な参考にさせていただきたい、こういうふうに思っております。

重野委員 終わります。

御法川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 この際、本案に対し、平林鴻三君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合及び保守党の六派共同提案による修正案及び矢島恒夫君外一名から、日本共産党提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者より順次趣旨の説明を求めます。平林鴻三君。

    ―――――――――――――

 行政機関が行う政策の評価に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

平林委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合及び保守党を代表いたしまして、ただいま議題となりました行政機関が行う政策の評価に関する法律案に対する修正案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。

 政府原案においては、社会経済情勢に応じた効果的かつ効率的な行政の推進に資する等のため、行政機関が行う政策の評価の客観的かつ厳格な実施を推進し、その結果の政策への適切な反映を図るとともに、政策の評価に関する情報を公表する等の措置が講じられているところであります。

 この政策評価制度は新たに導入される制度であり、今後の実施の過程を通じてその改善、発展が図られていくべきものであると考えられるのであります。

 このため、本修正案では、国民に対する行政の説明責任の徹底という観点のもと、政策評価の実効性を確保し、本制度を確実に定着、発展させていくため、今後の政策評価の実施状況、評価手法の研究開発の動向等を踏まえ、一定期間経過後に見直しを行う必要があるとの認識から、政府原案の附則に新たに規定を追加することといたしております。

 すなわち、「政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」ものであります。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

御法川委員長 次に、春名直章君。

    ―――――――――――――

 行政機関が行う政策の評価に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

春名委員 私は、日本共産党を代表して、議題となっております行政機関が行う政策の評価に関する法律案に対する修正案の提案理由及びその内容を御説明いたします。

 政府提出原案は、むだな公共事業などへの国民の批判を背景に行政機関をチェックする仕組みとして提案されたものですが、本法案には、国民の声を反映する仕組みがほとんど盛り込まれておらず、単に行政の自己チェック法案に終わっています。

 政府原案のもとになった政策評価制度の法制化に関する研究会報告でも、国民の意見、要望を受ける窓口の明確化を指摘していますが、この部分だけが法案から抜け落ちているのであります。これでは、むだな公共事業の削減や効率的な行政を望む国民の要望を行政に反映する上で不十分であり、むしろ、各地で実施されている評価システムのように、事実上、これが住民サービスを後退させる行政改革推進の口実に利用されかねません。

 我が党は、政策のチェックは基本的に立法府の役割だと考えており、そのために十分な国会の審議時間の保障や調査能力の強化を一貫して主張しております。

 この点を踏まえ、本法案の政策評価に関してどうしても欠かすことができない最小限の内容として、国民からの意見、要望等を受け付ける窓口設置を行政機関に義務づける修正案を提案するものです。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

御法川委員長 これにて両修正案についての趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 行政機関が行う政策の評価に関する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、矢島恒夫君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、平林鴻三君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、内閣提出、地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 ただいま議題となりました地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。

 この法律案は、住民の利便の増進を図るとともに、地方公共団体の組織及び運営の合理化に資するため、地方公共団体が処理する事務のうち特定のものを郵政官署において取り扱うための措置を講じようとするものであります。

 以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。

 次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。

 第一は、郵政官署における事務の取り扱いのための手続に関する事項であります。

 地方公共団体は、郵政事業庁長官または権限を委任された郵便局長等との協議により規約を定め、戸籍の謄本、抄本等、納税証明書、外国人登録原票の写し及び外国人登録原票記載事項証明書、住民票の写し及び住民票記載事項証明書、戸籍の付票の写し並びに印鑑登録証明書の交付の請求の受け付け及びこれらの証明書等の引き渡しの事務を、郵政官署において取り扱わせることができることとしております。なお、この協議については、地方公共団体は、議会の議決を経なければならないこととしております。

 また、規約においては、郵政官署において取り扱うこととした事務及び当該事務を取り扱う郵政官署の名称、取り扱いの方法に関する事項、当該事務に係る経費に関する事項、取り扱う期間その他当該事務の取り扱いに関し必要な事項を定めることとしております。

 第二は、郵政官署において取り扱うこととした事務の適正な執行確保のための措置に関する事項であります。

 地方公共団体の長は、郵政官署において取り扱うこととした事務の適正な処理を確保するため必要があると認めるときは、郵政事業庁長官または権限を委任された郵便局長等に対し、報告を求め、または必要な指示をすることができることとしております。

 また、郵政事業庁長官は、郵政官署において取り扱うこととした事務に従事する郵政官署の職員が、当該事務に関して知り得た情報を当該事務の取り扱い以外の目的のために利用することを防止するために、必要な措置を講じなければならないこととしております。

 その他、総務省設置法等関係法律について、所要の改正を行うこととしております。

 以上が、地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十二日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時四十三分散会




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