衆議院

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第2号 平成13年9月13日(木曜日)

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平成十三年九月十三日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 川崎 二郎君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 荒井  聰君 理事 田並 胤明君

   理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君

      浅野 勝人君    河野 太郎君

      左藤  章君    佐田玄一郎君

      坂井 隆憲君    新藤 義孝君

      滝   実君    谷  洋一君

      野中 広務君    平井 卓也君

      宮路 和明君    山本 公一君

     吉田六左エ門君    大出  彰君

      玄葉光一郎君    武正 公一君

      中村 哲治君    長妻  昭君

      松原  仁君    山井 和則君

      山村  健君    高木 陽介君

      山名 靖英君    佐藤 公治君

      春名 直章君    矢島 恒夫君

      重野 安正君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣政務官      新藤 義孝君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    吉村 博人君

   政府参考人

   (消防庁長官)      中川 浩明君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     東尾  正君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    山崎  潮君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労

   災補償部長)       佐田 通明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・

   ガス事業部長)      迎  陽一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月十三日

 辞任         補欠選任

  松崎 公昭君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  長妻  昭君     松崎 公昭君

    ―――――――――――――

八月九日

 一、地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百五十一回国会閣法第六四号)

 二、地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案(内閣提出、第百五十一回国会閣法第六五号)

 三、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案(内閣提出、第百五十一回国会閣法第七四号)

 四、国家公務員法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(石井紘基君外六名提出、第百五十一回国会衆法第五八号)

 五、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(石井紘基君外六名提出、第百五十一回国会衆法第五九号)

 六、特殊法人の役員等の報酬等の規制に関する法律案(石井紘基君外六名提出、第百五十一回国会衆法第六〇号)

 七、行政機構及びその運営に関する件

 八、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件

 九、地方自治及び地方税財政に関する件

 一〇、情報通信及び電波に関する件

 一一、郵政事業に関する件

 一二、消防に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消防に関する件(新宿区歌舞伎町ビル火災)




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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 消防に関する件、特に新宿区歌舞伎町ビル火災について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長黒澤正和君、警察庁刑事局長吉村博人君、消防庁長官中川浩明君、消防庁審議官東尾正君、法務省民事局長山崎潮君、厚生労働省労働基準局労災補償部長佐田通明君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長迎陽一君及び国土交通省住宅局長三沢真君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 政府から報告を聴取いたします。中川消防庁長官。

中川政府参考人 去る九月一日に発生いたしました新宿区歌舞伎町ビル火災について御報告をいたします。

 この火災は、死者四十四人、負傷者三人が発生するという大惨事となりました。亡くなられました方の御冥福をお祈りするとともに、けがをされた方の一日も早い御快癒を願うところでございます。

 さて、過去の火災事例を振り返ってみますと、雑居ビルの火災といたしましては、死者百十八人が発生いたしました昭和四十七年の千日デパートビル火災に次ぐ被害を出したものとなりました。また、三十人以上の死者が発生した火災といたしましては、昭和五十七年に発生いたしましたホテルニュージャパンの火災以来となるわけでございます。

 この火災が発生いたしました場所は、歌舞伎町一番街にあります明星56ビルでございまして、耐火構造の地上四階地下二階のいわゆる雑居ビルであり、三階が遊技場、四階が飲食店であるほか、カジノやクラブも入居いたしておりました。

 このビルには階段は一つしかありませんでしたが、火災はこの階段の三階付近で発生し、三階と四階の室内に延焼したものと考えられております。階段は、狭い上、ロッカー等の物品が置かれており、また、防火戸が開放されていたため室内に容易に延焼し、このことが在館者の逃げおくれにもつながったと考えられます。

 消防機関の対応でございますが、東京消防庁は、一時一分に一一九番通報により覚知し、直ちに消防車を出場させ、消火作業に当たりました。また、逃げおくれた方が多数いるとの情報を入手したことから、救助車、救急車を現場に出場させ、被災者の救助、救急に当たりました。

 消防庁の対応でございますが、一時四十分に宿直者が火災を覚知後、直ちに情報収集や関係者への連絡を開始いたしました。午前二時には第一次応急体制をとり、災害対策室を設置、その後、被害の拡大状況を踏まえ、四時三十分に第二次応急体制に移行し、消防庁次長を本部長といたします災害対策本部を設置し、所要の対応を行いました。また、五時三十分には東京消防庁本庁に、七時二十分には現地にそれぞれ職員を派遣し、私、長官が、九時に火災現場の確認を行いました。

 火災原因につきましては、現在、東京消防庁等関係当局で調査が進められておりますが、消防庁として、今後同様の火災の再発を防止するために、次のとおり措置を講じたところでございます。

 一つには、全国の消防機関におきまして、今回、火災を起こしたビルと同様の小規模な雑居ビルについて、一斉立入検査を行い、法令違反等の防火安全上の不備事項が確認された場合には必要な措置を講じるよう、消防庁長官名により都道府県を通じてお願いをいたしたところであります。なお、立入検査の結果につきましては、十月三十一日までに消防庁に報告をいただくことといたしており、この結果を取りまとめ、次に申し上げます検討委員会に提出することといたしております。

 二つには、消防庁次長を委員長とし、学識経験者、消防機関職員等で構成いたします小規模雑居ビル火災緊急対策検討委員会を消防庁に設置し、九月六日に第一回目の会合を開催いたしました。委員会におきましては、今回の火災の原因や法令違反等の有無等の調査を踏まえながら、小規模雑居ビルについて、防火安全対策の基準のあり方、基準適合確保方策のあり方を検討することといたしておりますが、第一回の会合では、現在までに判明いたしております火災の概要や小規模雑居ビルの防火安全対策の現状を委員の方々に把握していただいた上で、小規模雑居ビルの防火安全対策の問題点等について、活発な意見交換をしていただきました。今回、月一回程度の開催を予定しており、年内を目途に結論を取りまとめていただくことといたしております。

 三つ目といたしまして、関係省庁課長から構成いたします小規模雑居ビル火災安全対策連絡協議会を設置し、九月十一日に第一回の会合を開催いたしました。第一回会合におきましては、現時点での各省庁で講じた措置等について情報交換を行いました。今後、随時会合を開催し、各省庁の連携を図ってまいりたいと考えております。

 なお、この件に関しましては、総理大臣からも、再発防止に全力で取り組むよう指示を受けているところであり、今後とも委員長を初め委員各位の御協力を賜りながら、各種対策を講じてまいりたいと考えております。

 以上、今回の歌舞伎町ビル火災の報告を終わります。

御法川委員長 以上で報告は終わりました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平林鴻三君。

平林委員 お許しを得まして、初めに、新宿歌舞伎町ビル火災の犠牲者に哀悼の意を表し、かつ、第一線の消防職団員の諸君が危険を冒して生命、身体、財産の保護に挺身しておられることに、改めて敬意を表したいと存じます。

 また、一昨日は米国で凄惨なテロが発生をいたしました。政府は直ちに我が国が講ずべき対策を決定しておりますが、消防庁も国際緊急救急救助隊ですか、その編成などに夜を徹して奔走されたようでありまして、その努力を多とするものでございます。

 さて、本日の委員会は、歌舞伎町の小さな雑居ビルの火災で多数の死傷者が出たという事実にかんがみまして、急遽開催をされたものでございますので、とりあえず消防法、消防組織法の職務権限を有します消防庁から報告を徴して、消防庁に質疑を行う、そういう趣旨で行われることとなったものであります。

 したがいまして、今回の委員会は調査審議の範囲を限定しておりますので、どうかひとつ、きょうの審議の状況につきましては、長官から総務大臣あるいは副大臣、政務官の方々にも逐一報告をいただいて、これが政務に確実に反映されますように、その点をひとつあらかじめお願いいたしておきます。

 さて、私からは二、三の質疑あるいは要望を申し上げたいと思っております。

 まず、実務的な事項を東尾審議官に伺いたいのであります。出火原因の調査、端的に言って、放火か失火か、こういうことでありますけれども、そういう事実の認定をして発表をするにつきましては、この種の火災について大体どれぐらいの日数を要するものか、従来の経験に徴してひとつ御答弁をいただいておきたい。

東尾政府参考人 火災原因調査に要する時間でございますけれども、この火災原因調査は、あらゆる出火の可能性を一つ一つ科学的に吟味しなければいけない、あるいは多数の関係者の供述などを踏まえまして慎重に行いまして結論を導き出す必要があるということで、一般の住宅火災では短期間でわかるということもございますが、この種のものは相当の時間を要する場合がございます。

 過去の例で申し上げますと、大阪の千日デパート火災につきましては原因究明まで約一年五カ月を要しておりますし、また、ホテルニュージャパン火災におきましても約六カ月の期間を要したところでございます。

 今回の火災の原因調査につきましては、現在、東京消防庁など関係当局が総力を挙げて取り組んでおりますけれども、国といたしましても、独立行政法人の消防研究所の必要な支援が求められた場合には支援をしてまいりたい、このように考えております。

平林委員 相当の日にちを要するなというのが今伺った感想であります。しかも、原因不明で終わってしまうということが実にしばしば。これは、ビル火災等に限らず、例えば鳥取大火というのが、昭和二十七年でありますからもう五十年近く前の話でありますが、これは戦後今日に至るまで一番の焼失戸数を出した大火災なんですけれども、これも原因は判明せず、幾つかのうわさはありましたけれども、結局はわからずじまいということでありました。

 でありますから、もちろん原因の調査というのは消防庁が直接行われるわけじゃありません、担当の東京消防庁なりあるいは警察庁がこの歌舞伎町のビル火災についても調査をなさるわけでありますけれども、どうかひとつ、徹底的に調査をして原因を明らかにして、原因を明らかにすることによって責任を明らかにする、こういう考え方を徹底してやっていただきたい、私はそう思うのであります。

 実は、昨日も、委員長以下理事の皆さんを中心に四谷の消防署に参りまして、あの惨状もスライド等で見せてもらいましたけれども、本当にああいう火災は、小さなビルの、しかも三階、四階の部分を焼失しただけであれだけの被害、惨状を呈するということでありますから、これはもう原因の究明ということを徹底的にやって再発防止に役立てなければいかぬな、そういう感じを私は持ちました。

 したがって、これは消防庁の方に要望いたしておきますけれども、どうかひとつ、関係者にさらに強く要請をしていただいて、原因が早くかつ正確に判明いたしますように御尽力を願いたい、そういうことをお願いいたしておきます。

 今回の惨事にかんがみまして、消防庁に小規模雑居ビル火災の対策を検討する委員会を設けられた由でありまして、ただいまの長官の報告によりますと、年内をめどにこの委員会で結論を出すということを伺いました。検討項目についても資料等で若干承知をいたしておりますけれども、長官として、もう少し具体的に、どういう点を委員会で検討してもらって、それについての対策をいつごろをめどに講ずるのか、そういうことをここで表明しておいていただきたい、そう思います。

中川政府参考人 先ほどの報告でも申し上げましたように、小規模雑居ビル火災緊急対策検討委員会、九月六日に立ち上げておりまして、第一回の会合を開催いたしました。消防庁次長が委員長ですが、それ以外のメンバーといたしましては、大学の教授あるいは関係省庁の、特に研究機関の研究員の方、また、現場の消防を預かっていただいております消防局の部長の皆さんなどをそのメンバーにした委員会を開催いたしたところでございます。

 第一回の会合ではいろいろな意見が出されておりますけれども、例えば、立入検査をふやすのは限界であり、民間の力も活用できないかとか、消防機関だけでなく他の関係機関とも連携した総合的な対策が必要ではないかなどの意見が出されておりまして、幅広く御検討いただくということでお願いをいたしているところでございます。

 具体的な検討事項といたしましては、防火安全対策の基準のあり方、これは、ハード面といいますと、消火、防火設備の基準の見直しが必要なのかどうか、そしてまた、その基準に適合されている設備の維持管理のあり方などが検討の項目の一つであり、もう一つは基準適合確保方策のあり方でございまして、基準の適合が実際になされていないのではないか、そういう問題意識に立って、その基準適合をどのように図っていくのかという方策について、主としてこの二つの項目を中心に御検討いただきたいと考えているところでございます。

 今後の取り組みの目標でございますけれども、東京消防庁等におきます火災原因調査や法令違反等の有無等の調査の状況、全国の消防機関で実施をいたしております小規模雑居ビルの一斉立入検査の結果等を踏まえまして、その検討結果については年内を目途に対策案を取りまとめたいと考えております。

 このような火災事故への対応は、できるだけ早期に、記憶の新しいうちに行うことが再発防止にとって効果的であると考えております。委員会におきます御検討につきましても、このような趣旨から、できるだけ急いで行っていただくように私からもお願いをしていきたいと考えております。

平林委員 私は、この委員会の研究、討議に当たっては、第一線の消防を担当する人たちの意見を十分に聞いて結論を出していく必要があると思いました。やはり、第一線の人がちゃんと働けるように、しかも、第一線の人たちの働きが有効になるように、そういうことを主眼にして御検討いただきたいなと思っております。

 後で触れるかもしれませんが、例えば今日の消防の法制というのは相当整備されてきておりまして、責任者というものも、防火管理者とかあるいは所有者、管理者の責任というものも法律の中には相当に強く意識して書かれていると思うんですけれども、立入検査とかあるいは消防活動とか予防活動、そういう点に関して、実態を見ておりますと、どうも消防の第一線の人たちが働きにくい状態が、全部とは言いませんけれども、あるのではないか、そういう感じがいたしております。

 したがって、これは委員会の審議にまつところでありますけれども、今申した、施設の、建物等の管理者あるいは所有者、占有者、それから防火管理者の定めのあるところは、そういう防火管理者の責任をもっと重いものにして、消防の活動がもっと徹底できるように、そういう観点を持って御研究を願いたいものだな、そう思っております。生ぬるいじゃないかという指摘もあるように私は思うわけであります。でありますから、その点を一つ私から申し上げて、今後の審議に処していただきたい、そう思います。

 そこで、今までの消防の法制の歴史というのは、今日の法制が整備され始めたのはたしか昭和二十三年からでありますから、五十数年、歴史をけみしております。その間に、幾つもの火災の苦い経験を生かすように、さまざまな改正が行われてきて今日に至った、そう感じておりますが、今日においても、狭い場所で起こった火災で多数の犠牲者が出る、このようなことを防げないというのは、今日までの改正をもってしても、絶大な効果を上げ得たとは自慢して言えないような気がいたしております。私もかつては消防に関係したこともございますけれども、顧みて、なかなか完全な消防体制というものはとりにくいものだなという気がいたしてなりません。

 そこで、歴史的に見ますと、劇場とかデパートとか、あるいは大きな公共の建物、旅館、そういうものに対しては、法制の整備が行われて、一応の成果は上げてきたと思うんですが、今回問題になっておる小さな建物での大きな被害の出る火災、こういうものの対策を真剣に練り直す必要がある。その場合に、今申した、建物の所有者、管理者、あるいは防火責任者という人たちの意識の改革も盛り込んでいかなきゃいかぬのではないかという気がいたします。どんな法律をつくりましても、絵にかいたもちになるということはしばしばあります。これはやはり、国民の、あるいは一部の人たちの遵法意識の希薄さというようなことも一因であろうかと思います。

 また、日本全国ではありませんけれども、特定の地域に密集をしておる、そういう場所で査察というものが、立入検査というものが果たして徹底的に行えるのかどうか、御報告にもありましたけれども、その点についての綿密な検討を行って、有効な方法を見出してもらいたい、そういうことを一つ希望しておきたいと思うんです。

 時間の関係でもう、いろいろな問題点がありますが、結局は、個人の自由とか権利とかいうものには必ず、自由には責任が伴うし、権利には義務が伴う、そういうことを強調しながら個人の自由や権利と公共の福祉との調和を図る、そういう目標をはっきり立てて、こういう火災のさらなる対策の徹底を図っていっていただきたい、そう思っております。

 私が意見として若干つけ加えますと、今の消防法制は全国一律の感がなきにしもあらずであります。でありますから、市町村ごとに実態に応じて、地方自治法に定められておる規則とかあるいは行政事務条例とか、そういうものを整備する余地というものを広げていくということも大事なことではないか。行政事務条例であっても相当の罰則をかけられるわけであります。何か新しい手を考えて責任感を喚起する、こういうことを一つやってみていただいたらどうか。場合によれば、違反を発見したら直ちに処分をする、悪質な場合にはそういうことも考えてはどうかとすら思うのであります。

 いささか、事件に関して頭に血が上っておりますから強硬なことを申しますけれども、国民の生命、身体、財産を預かる以上は、消防庁もそれぐらいな覚悟を持って再検討をひとつお願いしたい。

 以上で私の質問、要望を終わります。

御法川委員長 次に、田並胤明君。

田並委員 田並でございます。

 まず最初に、歌舞伎町の火災事故の前に、米国時間で九月の十一日午前八時五十分ごろ米国各地で大規模な連続テロが発生をいたしましたが、これに対して、犠牲になられた多くの皆さん方に心から哀悼の意を表すると同時に、絶対にテロは許さない、まさに日本の国会挙げて政府の方針を支持して、全面的にテロ防止のためにこれから大いに国際貢献をすべきだ、このように考えるわけであります。

 あわせて、我が国では国際救命救急救助隊の一員として、消防関係で二十四名を含めて九十名の方々が羽田で待機をされているようであります。ぜひひとつ、国際貢献のために、またアメリカの窮状を十分救助するために、消防庁としても一層万全の対策を立てられるように心から要望をしておく次第でございます。

 さて、そこで本題に入りますが、九月一日の未明に発生しました新宿・歌舞伎町ビル火災によって不幸にして亡くなられた四十四名の皆さん方に、心から御冥福をお祈り申し上げます。あわせて、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げますとともに、けがをされた方々の一日も早い快癒をお祈りする次第でございます。

 この種の痛ましい事故が再び起きないようにするためには、今、平林先生から話がありましたように、原因究明を徹底して行うこと、それと責任を明確化すること、そして厳正な法的な措置を行うこと、これが非常に重要だろう、私はこのように思いますが、消防庁長官の今回の事案に対する取り組みの決意をまずお聞かせ願いたいと思います。

中川政府参考人 今回の事故は、繰り返して恐縮ですけれども、四十四人が亡くなるという大惨事でございまして、私もその報を聞いたときに大変なショックを受けたところでございます。こういう火災事故が再度発生しないように万全を尽くしていくのが私どもの使命であり、責任である、このように自覚をいたしております。

 先ほど平林委員からのお話もございましたし、今の御意見にもございますように、やはり原因を明確にし、責任を明確にする、そして厳正な法的措置をとっていくということを基本ラインに、またあわせて法律を守っていくという遵法精神を植えつけていくような方策についても幅広く検討することによって、このような事故の再発防止に全力で取り組んでまいりたいと思います。

田並委員 今度の事案を見て非常に残念に思うのは、東京消防庁がこの明星ビルに対して三回も立入検査をして、具体的に改善措置を指導しているわけですね。最初は八五年の九月、三点ほど改善措置の指導をしたようであります。続いて二回目が八七年の一月、一回目よりさらに多くの改善指導をした。さらに、十二年間たってから、九九年の十月に三回目の立入検査をして改善指導をする。消防法違反と建築基準法違反、合計八件ほどこのときに指摘をされたようですが、残念ながら、いずれも改善をされておらなかった、こういう事実があるようであります。まさに無法地帯と言ってもいいぐらいのショックであります、そういう意味では。

 したがって、東京消防庁は、せっかく改善措置の指導をしておきながら、改善命令に従うような具体的な措置、場合によれば法的な措置をなぜとらなかったんだろうか。消防庁にこれを聞いてもあるいは無理かもしれませんが、しかし、消防庁という立場でこういう事例に対して、これは決して東京消防庁だけじゃなくて、全国的に恐らくこういう事例がいっぱいあるんじゃないかと思うんです。したがって、なぜ法的措置をとらなかったのか、とれなかった理由は何があるんだろうということについて、ぜひひとつ見解を、審議官で結構です。

東尾政府参考人 ただいま御指摘のように、消防長または消防署長は、このような事案に対しまして、消防法八条または十七条の四に基づきます各種の措置命令を発することができるわけでございます。しかしながら、これらの措置命令を直ちに発動するということになりますと、関係者の立場という問題とか、あるいは一たん反省を促すというようなことなどから、ただいま御指摘のとおり、各種の指導を行いながら立入検査の中でその改善を図っているという状況でございます。

 今回の事案につきましても、直近の立入検査が平成十一年十月に行われました。そのときに違反事実の再確認と文書による違反事実の再指摘、そして改善指導を行いましたが、その後、平成十二年二月に至りまして、防火管理者の選任と避難誘導訓練の実施ということにつきまして改善を確認いたしましたので、東京消防庁当局といたしましては、残りの事案、つまり、今回八事案の違反があったわけでございますけれども、六事案につきまして指導を継続して行おうというやさきに、それから一年以上はたっておりますけれども、そういうような状態の中で今回の火災が発生いたしました。このために、今回の場合は、その次の強い措置、つまり、改善命令などに至らなかったものと承知しているところでございます。

田並委員 いずれにしても、怠慢を責めるわけじゃないんですが、結果的に四十四名の方が亡くなったという事実を非常に重く受けとめなくちゃいけないと思うんですよ。

 きのう私も委員会の理事会の皆さんと一緒に四谷消防署へ行って、東京消防庁の幹部の皆さんからいろいろな話を聞きました。この中で、私も言ったんですが、とにかく、たまたま今度は明星ビルが火災になったんであるけれども、同じ場所でほかのビルが、同じような規模の建物で火災が発生をした場合には、恐らく同じような惨状が起きたのではないだろうかという話をしました。まさにそのとおりだというわけですね。

 というのは、私、ちょっと質問の内容を、時間がないので最後の方に持っていきますけれども、再発防止のためにこれからまた一斉立ち入りをする、あるいは、改善指導に従わない場合、また立入検査をする、こういうことを繰り返し行うということになると思うのですが、問題は、きのうの話を聞いて私も指摘をしましたが、あそこの地域は消火活動をすると同じぐらい怖い気持ちで立入検査に入らなくちゃならないという話を聞きました。私もそうだと思うのですよ。

 ですからこそ、今度の火災を一つの原因としてできる検討委員会を、各機関の連携した検討委員会というのを常設のものにして、例えば消防署の職員が立入検査をするときには警察の方も一緒に行ってもらうとか、風営法の関係も出てくるでしょうし、いろいろな機関と一緒に、あるいは都の建築基準法の関係の職員とも一緒に行ってもらうなり、とにかく消防署員だけじゃなくて連携を持った立入検査なり改善指導なりをしないと、また恐らくおざなりみたいに、怖くてなかなか立入検査もできなかったという、こういう結果で物事が終わってしまうと、同じような事案がいつまでもいつまでも起きてくる、こんな気がいたしますので、恒常的な連絡協議会をつくっていただいて、関係機関と密接な連携をとりながら、具体的な、抜本的な対策をひとつ立ててほしい、このことを最後に質問して、私の質問を終わります。

中川政府参考人 今回の火災の地域が大変な繁華街であって、そして雑居ビルの中には各種の店舗が入居していて、そしてまた、関係する諸法律も多岐にわたり、関係の行政機関も多様にわたる、こういう実態にあったことがこの災害の一つの原因であるという御指摘をされる向きは非常に多うございまして、我々もそのような認識を持っております。

 そういうことの実態を踏まえて、今回、先ほども申し上げましたように、小規模雑居ビル防火安全対策連絡協議会を設置いたしまして、この中には警察庁、厚生労働省、国土交通省など関係の諸法律を運用しております省庁からの御参加をいただいているところでございまして、この協議会において、基準確保方策のあり方などについて検討させていただきます。

 その中において、現場の査察等をどのような連係プレーの中でやっていったらいいのかについても検討していきたいと思っておりますし、ただいま田並委員おっしゃったように、この協議会を常設のものとすべきだということについても、関係の皆さんにお諮りする中で検討してまいりたいと思っております。

田並委員 終わる前に一つだけ要望しておきますが、十二月の末まで、それぞれ各都道府県知事を通して各市町村の消防署が一斉立入検査をするようですが、その結果については逐一公表して、国民の皆さんの前に明らかにしてほしい、このことを要望して、終わります。

御法川委員長 次に、武正公一君。

武正委員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。

 まず、新宿・歌舞伎町ビル火災でお亡くなりになられた四十四名の方、そして御遺族に心から哀悼の意を表させていただきます。

 今、既に田並委員から指摘がございました、消防法に基づいた、八条、十七条、こうした命令、あるいは五条の命令、四条の報告徴収命令、これがほとんど発動していないといったことについては既に御答弁がありました。こういった点がなぜ命令ができないのかということを以下の質問でお答えをいただければと思っておりますので、次に移らせていただきたいと思っております。

 まず、民主党は既に九月一日に、民主党雑居ビル火災対策本部を立ち上げまして、去る十一日に第一回会議を行いました。そのときにも関係省庁の皆さんからそれぞれお話を伺ったわけでございますが、民主党としても、この雑居ビル火災対策につきましては大変重大な問題意識を持って臨んでいることを、まずお伝えを申させていただきます。

 第一問といたしましては、まず四条の立入検査、平成十一年の、東京消防庁において、だれが立ち会ったのか、関係者としてだれに話を聞いたのか、これについてお答えをいただければと思っております。関係者としては、第二条に挙げられておりますが、ビルの所有者あるいは管理者、占有者ということになりますと、不動産の所有者の久留米興産、あるいは当然こういった不動産については介在する宅建業者さんがいらっしゃるはずであります。そしてまた、テナントの経営者というような関係者がいるわけでございますが、だれが査察のときに立ち会ったのか、お答えをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

東尾政府参考人 平成十一年にこのビルにおきまして立入検査が行われた際の立会人、立ち会い者でございますけれども、東京消防庁から聴取したところによりますと、当時、立ち会い者を立てて立入検査に入ったわけでございますけれども、この方は当該ビルに関係のある会社の従業員、この方が消防法第四条に言います質問対象となる関係のある者に該当するということを認識した上で、その人に立ち会いを求めた、このように聞いております。

武正委員 認識したということでございますが、昨日、私も理事会の東京消防庁への意見聴取に委員として同行させていただきました。委員長初め理事の皆さんの御許可に心から感謝を申し上げる次第ですが、そのときにもそういうような答弁、そして加えて、女性の方がということが東京消防庁から話がありました。

 今、認識というお話でありましたが、関係者であるならば、やはり久留米興産の代表取締役あるいは会社の社員あるいは宅建業者、テナント経営者、こういった方が立ち会わなければ立入検査の実効性がないだろうというふうに思います。これを第一点として要望しておきます。

 第二点は、このときの指摘事項が八項目ございましたが、この当該ビルは共同防火管理を行わなければなりません。協議会を設け、代表者を選任し、統括防火管理者を選任、全体の消防計画ということで、テナント、雑居ビル、それぞれ経営者が分かれるがために、それぞれの防火管理者を設けるのはもちろん、共同で全体の統括防火管理者あるいは共同での防火管理そして計画と。ただ、今回の東京消防庁の指摘には、この共同防火管理についての指摘がなかったんですが、この理由について、これは消防庁長官、お答えいただけますでしょうか。

中川政府参考人 ただいま御指摘のように、このような雑居ビルにおいては、防火管理者の選任と同時に共同防火管理者の選任をするという義務がございます。

 東京消防庁が平成十一年十月に立入検査を行った時点では、共同防火管理の協議事項の届け出をする以前の問題として、そもそも消防法に基づきます個々のテナントの防火管理者が全く選任されていないという実態にあったということでございます。

 東京消防庁では、このような状態で共同防火管理を指導しても事実上実効性が上がらないということから、まず個々のテナントについて防火管理者を選任すべきという判断のもと、その旨指導をしたところである、このように報告を受けております。

 なお、共同防火管理は、個々のテナントにおきます防火管理が確保された上で初めて有効なものとなるものでございますので、個々の防火対象物の状況にももちろんよりますけれども、各消防本部の判断によって、まずその個々のテナントの防火管理者の選任の指導を優先させて行う、こういう取り扱いをしたものではないか、このように考えているところでございます。

武正委員 今のお話でございますが、昭和五十二年に沼津市の三沢ビルで火災がございまして、死者十五名。このときの新聞を見ますと、雑居ビルでは、一つのビルに何人もの経営者がいて、一貫した防火管理体制がとれないところに大きな欠陥があったが、消防法、同改正でビル全体として防火計画をつくることが義務づけられたというような形で、このときにも消防法改正がそういった観点から行われたということがあるわけで、今回それが、個々の管理者がいないからといっても、やはり指摘事項で共同防火管理が漏れていることは問題ではないかということも重ねて指摘をするところでございます。

 続いて、無断転用について、国土交通省さんおいででございますので、お話を伺いたいんです。

 当初、建築確認においては店舗ということで申請をしておりましたが、いつの間にか飲食店あるいは風営店ということでございましたが、建築基準法に基づく確認申請の取り直しは当該ビルはございませんでした。さらにまた、三年に一回と、これも同じく建築基準法で義務づけられておりました定期報告もなしということでございます。国交省さんにお聞きをしますと、これらそれぞれの案件について、全国で調べてみても、あるいは聞くところでも、無断転用や定期報告を怠ったことによっての告発あるいは罰金といったことはないということがお答えでございました。

 新宿区役所の歌舞伎町地区における飲食店などに対する緊急監視では、この九月の上旬にやったわけですが、調査対象件数四千六十一件。調査した台帳の数三千二百九十九件のうち、いわゆる台帳の名義と一致した件数は二千二百六十件、六九%。三一%はその店名が一致しないといったことが新宿区役所の緊急監視でも出ております。

 こういった実態を受けて、建築基準法での無断転用あるいは定期報告、これについての告発、罰金がないといったことについてはやはり問題があるというふうに考えますが、御所見を伺いたいと思います。

三沢政府参考人 今、先生御指摘のように、建築基準法上必要な完了検査とか用途転用の申請あるいは定期報告の手続等につきまして、これらの規定に違反した場合、建築基準法によって一定の罰金に処する旨の罰則規定がございます。

 それで、この建築基準法の手続違反につきましては、私どもはこれは非常に大事な問題であると認識しておりますが、特定行政庁において、こういう手続をどうやって守らせるかということが非常に大事な課題でございます。

 それで、罰則に行く前に、指導命令あるいは行政的な対応によってこれを守っていただくということがまず第一に必要なのではないかということでございますが、具体的には、例えば定期報告がない場合には、所有者に対してきちっと督促をしていくということとか、それから、正直申し上げまして、それぞれの体制の中で限られた人員でやるとすれば、平成十年に建築基準法を改正いたしまして、例えば建築確認とか検査、こういうものは民間にできるだけやっていただきまして、むしろ行政は行政でないとできないようなこういう違反建築物なり手続違反への対応、こういうのをやっていただくということで、いろいろな取り組みをさせていただいております。

 ただ、こういった取り組みをしながらも、なおかつ指導とか命令に従わないで危険な状態にあるという場合においては、やはり規定の実効性をきちっと担保していくということが大事だと思いますので、これから罰則の適用のための告発ということも視野に入れて、そういった取り組みも含めて、特定行政庁にも十分呼びかけ、要請をしてまいりたいというふうに考えております。

武正委員 今のお話でございますが、実は建築基準法九十三条で、建築確認では消防同意をとるという規定がございます。消防法七条でもこれは盛り込まれておりまして、今回の事件を振り返りますと、建物を建てるときまではいわゆる国交省さん、建設省さん、あるいは建築主事さんが一生懸命やっておる。そのときに、消防長さん、協力してくださいということで同意をとる。

 つくった後は、今度は消防長さんあるいは各消防署さんがやってくださいよというような感じが若干ないかというところで、やはり消防長さんあるいは消防署に対して、もっと建築主事さんあるいは現場の特定行政庁の積極的な関与が必要ではないかなと思っておりますので、三年、五年に一回ということでの今回の査察でありますが、これは対象によって年数ももっと短くなっているようですが、これに基礎自治体の建築主事さんなど、建築主事さんに限らずやはり同行をすべきではないかというふうに思っております。

 これは時間の関係ですが、要望をして次に移らせていただきます。

 さて、同じく国交省さんでございますが、この当該ビルは、建築基準法百二十一条では、当初は店舗ということでございました。これが、キャバレー、ナイトクラブということでは、二つの避難経路を義務づけられております。ただ、キャバレー、ナイトクラブということで、今回、四階がそれに当たるのではないかと思われますが、そうであっても、百平方メートル未満は適用除外になっております。ですから、今回は百平方メートル未満ということで、二つの避難経路を必ずしもつくらなくてもいいということになっておりますが、消防法八条、維持管理ということでもございますが、やはりこの避難経路をきちっと当初から、当該ビルであってもつくるべきであろうというふうに考えます。

 これについての御所見を伺うとともに、今回、避難の妨害となる設備を設け、または物件を置かないということが、維持管理ということで消防法八条で定めがございます。また、東京都の火災予防条例五十四条でも同じく定めがございます。ただ、これについては罰則規定がありません。避難経路というか、階段に障害物を置いてあっても罰則がないということが、やはり今回の問題点になっているのではないか。モデル条例として、各市町村のモデル条例も同じく準用しておりますので、この点もやはり問題であろうというふうに考えておりますので、この点を指摘した上で、先ほど、当該ビルであっても二以上の避難経路を設けるべきではないか、この点について、御所見を伺います。

三沢政府参考人 今の点について御説明させていただきますが、三階以上をキャバレー等の用途に供する建築物で、一定のものにつきましては、こういうものであっても、こういうものは二方向の避難経路はまずきちっと確保していただきたい、これは大前提でございます。これは、一方向でいいということは全くございません。

 ただ、その場合の方法といたしまして、二つの方法が認められているということでございます。一つは、二つ以上の直通の階段があるということが一つの方法。それからもう一つは、単なる直通の階段というだけではなくて、階段が屋外にある、屋外避難階段である。その場合には、もう一つ、それとあわせて反対側に避難ばしご等を設けた避難上有効なバルコニーを設ける、そういう二つの方法を認めているということでございます。したがいまして、繰り返しになりますが、二方向の避難経路を確保するということはもう大前提で、法律できちっと規定しているところでございます。

 何でそれではその二つの方法を認めているのか。特に後の方法についてでございますけれども、二つ目の方法というのは、要するに、比較的小規模で避難対象人員が限られている場合を想定しているわけでございますけれども、そういう場合には、直通階段をむしろ屋外に出して、その屋外の階段というのは煙からきちっと遮断をいたします。そういう煙に汚染されにくい屋外避難階段に限定するということを前提として、もう一つ、反対方向に、例えば避難ばしご等を備えた避難上有効なバルコニーを設置しなさい、そうすると、双方向に避難経路が確保される、こういう考え方でございます。

 したがいまして、これは要するに、二以上の直通階段を設ける方法と防火上の安全性からいってほぼ同等の効果が期待されるということから、そういう規定をしているということでございます。

武正委員 やはり百平米以下であっても例外を認めるべきではないというふうに考えますし、また、特に当該ビルは四百九十七平方メートルということで、床面積が五百平米を超える建築物に適用される排煙設備あるいは内装制限、こういったものが除外されていたり、あるいは床面積三千平米を超える場合のスプリンクラー、これも除外ということでございますが、こういった点も改善が必要ではないか。また、スプリンクラーについても、基準でいきますと二千万円ぐらい当該ビルはかかるといいますが、三十五万円ぐらいでできる簡易なスプリンクラーもあるということですので、基準の緩和ということも必要ではないかなということを要望しておきます。

 さて、警察庁さん、お見えでございます。

 東京都では、この風営法の許可申請をとるときに、建築確認、建築指導課なりの、この建物は風営店としてふさわしいかどうかの意見を任意でいただくことになっております。これは私は、警察、風営法とこの建築基準法との連携ということで大変効果があるのではないかなと思っておりますので、これをやはり全国的にも準用すべきではないか、そういった意味では風営法の改正あるいは建築基準法の改正を視野に入れるべきではないかなというふうに思っております。

 先ほど沼津の三沢ビル火災のことを指摘いたしましたが、このときに、建設省住指発第十七号、昭和五十二年一月十二日に「風俗営業の用に供する複合用途建築物の防災対策について」という通知がもうなされております。このときに、今回のビルと全く同じ指摘が昭和五十二年にございました。まずは、避難者が有効に階段を利用しがたい状況、開口部が利用し得ない状況、階段に可燃物が存在している状況、こういったことがほぼ同じでありますし、風営店の所有者、管理者が移動する、こういったことも含めて、さらにまたいろいろと指摘をしております。

 このときに、風営法の目隠し規制とか出入り口一カ所、こういったことは風営法の方に実はある、これを勘違いしないでくれというようなことを言っておりますが、ここら辺もまだまだ現場は理解できていないんじゃないかなということでございまして、昭和五十二年にこういった指導が、通知があったにもかかわらず、また繰り返したといったことを痛感するわけであります。

 最後に、警察庁さんにはこの点について、繰り返しますが、この東京都がやっておる風営店の許可申請の際の建築確認部署の意見を聴取する、これについてお答えをいただきたいと思います。

黒澤政府参考人 いわゆる風営適正化法では、風俗営業の許可申請者が建築意見書等を添付する等の義務はございませんが、警視庁におきましては、許可申請がありましたときには、風俗営業の営業制限地域である用途地域に該当するかどうか等を確認するために、都の都市計画局に必要な照会を行っておりまして、回答を得まして、許可に当たっての審査の参考にしていると承知をいたしております。

 今後は、ただいま御指摘の、御提案の点も含めまして、建築担当部局との連携につきまして検討してまいりたいと考えております。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。

渡海委員長代理 次に、若松謙維君。

若松委員 公明党の若松謙維です。

 一昨日アメリカで起きましたテロ行為に対して数千人の犠牲者が出ました。まず、その方々に対して心から御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。

 まず、消防庁長官にお聞きしたいのですけれども、このテロ行為というのは、我々の全く想像を絶する行為となったわけでありまして、これは我が国でもやはり起こり得る話ではないかと思います。そういう観点から、消防庁としてテロ対策のマニュアルがしっかりあるのかどうか、それとあわせて、それに対する訓練が行われているのかどうか、それについて答弁をお願いいたします。

中川政府参考人 一昨日発生いたしましたようなテロの場合にどのように対処するのか、大変私どもとしても大きな課題であると考えておりますが、消防の立場で申し上げますと、火災の消火、あるいは要救助者の救助、救急搬送などがその仕事として当然出てくるものと考えているところでございます。

 このテロに関しましては、平成十年の閣議決定といたしまして、「重大テロ事件等発生時の政府の初動措置について」ということで基本的な考え方自体は取りまとめているわけでございまして、この中にあって消防庁も必要な対応をとることにしているところでございます。

 今回のテロ事件に関しましても、安全保障会議の決定いたしました対処方針に基づきまして適切な対応をとるよう、都道府県に対して早速通知をしているところでございます。

 ただ、現実の問題といたしまして、なかなか今回のような大規模なものというのは想定していない、想定しがたい面もございますので、今回の教訓を参考に、今後とも十分検討してまいりたいと考えております。

若松委員 まさにテロというのは、これがある意味で一番、唯一の脅威ではないかと思いますので、しっかり、さまざまなシミュレーションを通じて、対応をよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、きょうの委員会のテーマであります新宿の四十四名の、またこれも犠牲者となりました方々に、心から御冥福を申し上げる次第でございます。あわせて、日ごろ、日本の防災そして消火のために尽力をしていただいております消防署員の方々、また消防団員の皆様方に、心から感謝と御慰労を申し上げる次第でございます。

 そこで、今回の事件の出火の原因なんですけれども、極めて単純に考えますと、なぜ出火が起きたのかという、その原因の特定がまだなされておりません。特に、東京都内にビルをお持ちの所有者の方々のうわさ話では、いわゆるマフィア、新宿にもいろいろなマフィアがあります。日本系、または海外でも中国系、韓国系とかさまざまなマフィアがありまして、そのマフィアの抗争の一つのあらわれではないか、そんな意見もあります。

 私は、今回の事件の背後にそういった組織的なものもあるのではないかと推測するわけでありまして、そういった観点から、警察としてそのような調査をしているのかどうか、その点についてお伺いいたします。

吉村政府参考人 警視庁におきましては、所要の体制を編成しておりまして、出火原因等の究明とともに、失火、放火の両面で現在、捜査を進めているところでございます。その際には、当然のことながら、幅広くあらゆる可能性を念頭に置いて捜査に当たっているものと承知をしております。

若松委員 やはり、マフィア等の組織的な関係も当然あることを想定して調査しているということですね。それだけ確認させてください。

吉村政府参考人 本件の火災等につきましては、まず出火原因の解明が第一であろうかと思いますが、それを行う過程で、当然、失火なのか放火なのかということが次のテーマになります。放火であるとした場合に、だれがやったかということでありますから、それはあらゆる可能性を想定して、念頭に置いてやっているということでございます。

若松委員 まさに新宿の、これも地域差があるかと思いますが、大変不法地帯となっているというところも拡大しておりまして、ぜひこの事件をきっかけに、今言ったような観点からの捜査をしっかりと進めていただきたいと思います。要望して、次の質問に移ります。

 これも既に先生方が御質問、御指摘されましたが、今回の、消防署が各県で、いわゆる小規模の雑居ビルに対しての調査をしたところ、ちょうど埼玉の川口でも、やはりこういった小さいビルが多くあるわけですが、その調査結果が、八割が実質的に階段、通路等に物が置かれて守られていない。これが当たり前になっているんですね。

 そこで、ぜひこの委員会では、どっちかというと、本音ベースの議論をさせていただきたいんですが、消防法の重大な違反に対する行政指導として、警告があったり、また強制力のある命令というものがあるわけですが、本当に実効性があるかということをもう既に何人かの先生方が指摘されております。ですから、なれ合い行政が横行している結果として、先ほどの川口の八割とか新宿のほとんどが、ある意味で、非常通路に障害物を置いている、こんな事実が横行しているということでありますので、消防長としてしっかり、消防法を遵守しないテナントに対して告発しているかどうか、それについて答弁を求めます。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

東尾政府参考人 悪質な違反に対する告発の状況でございますけれども、私どもといたしましては、告発につきまして、最終的な強い措置と考えてもちろん対応しているわけでございますけれども、私どもとして、告発がどれぐらい行われているかということを、各市町村の消防本部からそういう統計をとっておりませんので、全国でどれぐらいあるかということについては把握してございません。

若松委員 今の、どうでしょう。告発、統計をとっていないということは、もともと告発をしないということを何か裏づけているようなものだと皆さん思いませんか。それが当然、川口の八割という実態になっているわけなんで、消防庁長官、今の答えに対してどうお考えですか。

中川政府参考人 今回の火災事故にかんがみまして、現在、全部の消防機関において、関係いたしますビルに対して立入検査を実施いたしております。その結果がまとまれば、その結果について対応を考えなければなりませんが、ただいま先生おっしゃったように、川口の事例では八割もそういう違反があるということであるとするならば、大変大きな問題である、このように思っております。

 ただ、今回の事故にも関連するわけですけれども、消防法の考え方としては、違反があれば、その発見後、事実を確認して、口頭または文書による指導を行い、文書による警告を行う。さらに、その後、措置命令という行政処分を行い、さらに、それに従わない場合には告発あるいは公表というようなことも考えるというのがこの消防法の考え方で、一連の段階的な流れの中で違反状態を是正させていこう、こういうことでございます。

 したがって、違反すべてを直ちに告発につなげるというよりも、違反状態を是正するという立場から、どのような確保方策があるのか、今回の事例あるいは調査結果にかんがみて、十分検討してまいりたいと思っております。

若松委員 特に先ほどの新宿の例ですと、ほかの委員の質問に対して、八事例中六の継続だということは、要は二つの改善しかないわけですよね。ほとんど、いろいろないわゆる法令違反をしていて、ちょこちょこ少しずつ改善して何とか告発にならないようにという、どちらかというとごまかしの対応ですよね。それを今まで認知してきたわけなんですよ。それで、火事が起きたら終わりと。こういう状況が、今の消防法の、いわゆる法の趣旨というものをそのまま踏襲すれば、私は、いざ火事が起きたときに、また同じような大災害が起きるのではないかと思います。

 ですから、長官、そういう遵法精神を守らせるという法の趣旨ではなくて、やはりきちんと取り締まりを行って告発を行う、それをはっきりと今回、法律の改正なりを検討してすべきではないかと思いますが、長官、どのようにお考えですか。

中川政府参考人 今回の火災事故の重大性にかんがみまして、委員御指摘の告発により積極的に対応していくということも含めて、今後前向きな検討をぜひ行ってまいりたいと思います。

若松委員 ぜひ、まさに法律改正も含めて検討をお願いします。そうじゃないと、何ら変わらないことが見えておりますので、くれぐれもよろしくお願いします。

 そこで、警察庁に質問いたしますが、では、消防署が、いわゆる警告または命令に従わないテナントに対して消防長が告発した場合に、これに対して警察としてはどう対処しているか、それについてお答え願います。

黒澤政府参考人 警察といたしましては、消防機関から、警告、命令に従わないということで消防法違反に係る告発を受理いたしました場合には、迅速的確な事件処理を行う所存でございまして、既に、消防、建設等関係機関におきまして、小規模雑居ビルに対しまして立ち入り等が実施されておりますことから、各都道府県警察に対しまして、告発等を受理した場合の迅速的確な事件処理等を指示したところでございます。

若松委員 済みません、これは質問通告していないので、データとしてあるかどうかなんですけれども、では、警察庁として、消防庁からのいわゆる告発として警察が動いた件数というのは把握しているんですか。

黒澤政府参考人 消防法違反で検挙いたしました件数、人員、これは毎年統計をとっておりますが、今御指摘のような案件については、個別的に報告があれば私ども承知をいたしますが、そういう事例を承知しておるものはございます。ただ、統計数字として、何件告発を受理して何件処理した、そういったような数字はとっておりません。

若松委員 やはり、今の警察庁の答弁を聞いていますと、いわゆる消防庁の告発に対して個別に対応している、それで済ませているのかなというのが、結果的に、先ほどの川口の八割、そして新宿繁華街等で当たり前のごとく避難通路に障害物を置いている、これを見逃している、こういう結果になっているんではないかと思います。そういう意味で、ぜひとも、消防庁、さらに警察庁あわせて、いわゆる防火という観点から、しっかりともっと連携を密にして真剣に対処していただきたい。

 いずれにしても、今度はどれだけテナントの方が守るかどうかという結果でわかりますので、これはまた委員会等でしっかりと監視してまいりたいと思いますので、くれぐれもよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、今回の事件に対して九月の六日に第一回小規模雑居ビル火災緊急対策検討委員会が行われました。そこで、ここでも一つの意見として出たんですけれども、立入検査実施数をふやすのは限界があり、民間の力も活用できないか、こういう指摘もあります。私も、これだけ多い雑居ビルの中で、かついわゆる法律を守らないテナントも多い、こういう中で行政だけに任すのも、それは国民の一人としてやはり無責任ではないか、そう思います。

 そういうふうに考えますと、例えば消防法違反、これは当然、消防法違反ということが確定したことを前提に話しているわけですけれども、そういった違反者を認知したテナントに対して、例えば、電力とかガス会社も協力して違反者に対してサービスを停止する、そういうこともやはり検討すべきではないかと思うんですね。ですから、民間も違反者に対して協力するような法整備をすべきじゃないかと思いますが、経済産業省、どのようにお考えですか。

迎政府参考人 消防法違反者に対して電気、ガスの供給を停止するという件でございますけれども、電気事業者、ガス事業者につきましては、電気事業法、ガス事業法におきましてそれぞれその供給区域においては供給義務というふうなものが課されておりまして、供給をとめるということは基本的にはできないというふうな法制になっておるわけでございます。

 したがいまして、消防法違反があるからというふうなことで電気、ガスの供給をとめるということは、極めて難しいというふうに考えております。

若松委員 私はそれを指摘しているんです。

 ですから、いわゆるお客さんだから、かつ供給義務があるということで、危険性を法的に確定して、それに対してのほほんとそういう危険なガス、電力を供給するということ自体、これは問題があるんじゃないですか。もっと、電力会社として、ガス会社なり、やはりモラルというんですかね、危険な状況に対して何らかの対処すべき義務があるんじゃないかと私は思うんですけれども、それについていかがですか。

迎政府参考人 危険の防止という点につきましては、電気事業者におきましても、電気の供給によって例えば漏電ですとか感電の危険があるとか、あるいはガスにおきましては、ガス漏れの危険がある、こういうふうな場合に電気の供給、ガスの供給というのを停止するということは可能であり、かつしっかりやっていかなければならないことだと思います。

 しかしながら、例えば消防法の違反の事実がある、避難経路が十分ではないとかそういうふうな消防法上の不備があるというふうな場合には、これは消防法の体系のもとで、先ほど御説明があっておりましたけれども、命令ですとかそういった方で是正をいただくということではないかというふうに考えておる次第です。

若松委員 私、ぜひその考え方を変えてもらいたいんですね。それぞれ、民間もやはり関係者だと、責任があると思います。法律的な罰はそれはありませんけれども、責任はあると思います、明確に。ですから、そういった観点から、ぜひガス会社等エネルギーの供給会社も、何らかのそういった危険な状況に対して改善するような検討をやはりしていただきたい。要望をして、とりあえず次の質問に移らせていただきます。

 次に、消防法違反を知っていながら、違反のテナントですね、というのを知っていながら、このビル所有者が相変わらず契約をしている。やはり、これもまた違ったモラルがあろうかと思います。

 そこで、法務省にもお伺いしたいんですけれども、このように消防法違反のテナントにビル所有者が例えば契約停止を促すような法的措置、こういったものを講ずべきではないかと思うんですね。例えば借家法改正等を通じて裁判所命令に応じないテナントの立ち退き命令を出せる仕組みを導入するとか、やはりそんな工夫をしないと、結局は、消防署だけに任せっ切り、そんな形では私は今の状況は変わらないと思いますので、それについて、法務省、どのようなお考えでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 民法上で、賃借人でございますけれども、賃借人は契約あるいは目的物の性質によって定まる用法、これに従って目的物を使用する義務があるということになっております。現在、御指摘の取り締まり法規でございます消防法に違反する賃借人についても、その使用方法が義務に違反する場合には賃貸人は賃貸借契約を解除することができる、こういう法律関係になっております。

 ただいま御指摘の点でございますけれども、この点につきましては、私人間の法律関係におきましては、所有不動産をどのように使用するか、あるいはだれに賃貸するかという点は、所有者の意思にゆだねられておるわけでございまして、ただいま議員御指摘のような民法あるいは借地借家法、こういう法律の中に賃貸借契約の一方当事者に解除を義務づけたり、あるいは促したりするような規定を設けるというのは、かなり困難であるというふうに考えております。

若松委員 ですから、そういう形で終わると、結局、関係者である所有者も相変わらず法律違反を放置している、こういう状況が変わらないわけなんですよ。だから、例えば、ビル所有者がいわゆるテナントと契約する場合に、少なくとも罰則規定のない義務規定、努力規定だけでもいいじゃないですか。そういった形で、今日本は全体緩み切っております。それをいわゆる取り締まりの当局だけの責任で対応しようというのは、私は本質的な日本の、この問題解決にはならないと思っております。

 そういう意味で、ぜひ法務省も、やはり当事者である所有者も、しっかりとそういう危険な状況に対してはそれなりの責任感を持って対処するという形の法的な工夫を私はしていただきたいと思います。それを強く要望して質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。これまでの質疑によりまして多少重なるところがありますけれども、よろしくお願いいたします。

 まずもって、去る九月一日の未明、防災の日でありますけれども、新宿・歌舞伎町でこのような大規模なビル火災事故が発生したことは、本当に何ともやりきれない思いでいっぱいであります。四十四名もの多数の方々がとうとい命を失われましたことに対しまして、謹んで哀悼の誠をささげますとともに、御遺族の方々に心からお悔やみ申し上げる次第であります。

 さて、新宿・歌舞伎町の雑居ビル火災事故を受けまして、総務省を初め、国土交通省、警察庁、東京消防庁など関係省庁は、再発防止について、都道府県、政令市など自治体の関係部局に査察、調査等の指示を機敏に発し、そしてまた対策検討委員会の設置を決定されましたことは、これは一応の評価が受けられるところであります。

 しかしながら、いつもの自治体任せの通達行政であり、役所は多分このような手段をとるであろうと想定していたとおりでありまして、何か本質的な点が欠けるように思えるところもあります。多分、二、三カ月後には消防法等の法令違反対策や改善策が出されることになるのでありましょう。日本一の繁華街の歌舞伎町などでの利益至上主義の雑居ビルの安全対策にどこまでメスを入れられるのでしょうか、大変な課題であります。

 自分は、地方自治に長らくかかわってきた経験から、今後の消防防災行政の基本的な方向を考えますとき、消防白書にも明らかなとおり、地域における安全を確保するためには、自分たちの地域は自分たちで守るという地域連帯の精神に基づき、自主的な防災体制を確立することが大切であると思っております。外国人の多い歌舞伎町のような繁華街でこのような共同体意識の醸成はなかなか難しいものがあるのはよくわかります。しかしながら、消防法や建築基準法など法令できつく縛るばかりでなく、地方の商店街のごとく隣り合う店の経営者同士の連携をうまく図る方策を工夫し、そしてまた彼らに自覚を促すよう、各省庁の関係部署が一体となり指導していくべきであると私は考えております。

 そこで最初に、このような消防防災上の基本的な認識につきまして、消防庁長官の御見解をお伺いいたします。

中川政府参考人 火災等の災害を未然に防止するためには、国民の一人一人が日ごろから防火の重要性を十分自覚し、自主的な防火安全活動を積極的に実施していくということが何よりも大切であると考えております。消防庁といたしましては、毎年春秋、全国火災予防運動を実施いたしておりまして、国民の防火意識の高揚を図っているところでございます。

 御指摘のように、商店街や旅館街などにあっては、経営者が協力して防火あるいは防犯などの運動を展開している例も見られます。しかし、いわゆる歓楽街にありましては、その業務が多様であること、あるいは経営者自体の交代が非常に頻繁に行われるというようなことを理由として、経営者の協力連携を求めていくという面にはなかなか困難な面もあろうかと思います。

 しかし、再発防止が何よりも重要でございますので、先ほど来申し上げております関係省庁から成ります連絡協議会等の場にも問題を提起いたしまして、防火意識高揚のための連携方策についても検討を進めてまいりたいと考えております。

黄川田委員 防災対策の強化につきましては、消防機関を初めとする防災関係機関による体制の整備が必要であることは言うまでもありませんけれども、地域住民が連帯し、地域ぐるみの防災体制を確立することが特にも重要であると私は思っております。

 消防白書によりますと、平成十二年四月一日現在、全国三千二百五十二市区町村のうち二千四百七十二市区町村で約九万六千八百の自主防災組織が設置されており、防災知識の普及、簡単な救助活動など、地域に密着した地道な活動をしております。全国平均組織率は五六・一%となっています。私の地元の岩手県は六〇・六%でありますが、東京都は七二・一%と高いわけであります。もちろん、組織率につきましては、地方は周辺の事情がよくわかっているので低い傾向にあり、また、愛知県、静岡県など、過去に大水害があったとか将来大地震が想定されるとかで高い県もあり、これはまた一概には言えないことは言うまでもありません。

 また一方、消防の常備化が進展してきた今日におきましても、消防団は地域の消防防災に依然として重要な役割を果たしております。

 これまた消防白書等によりますと、平成十二年四月一日現在、消防団は全国で三千六百三十九団、消防団員は約九十五万人であり、ほとんどすべての市町村に設けられております。しかし団員数は減少傾向にあり、十年前に比べて四万五千六百七十四人、四・六%減少しておりますけれども、女性消防団員数は八千二百五十三人ふえて一万百七十六人となっています。市町村規模別に見ますと、政令指定都市を含めて十万人以上が約二十・六万人で、ほとんど減少しておりません。二万人以上十万人未満が約三十・四万人で、約九七%に減少しています。二万人未満は約四十三・九万人で、約九四%に大幅に減少しております。

 この中にあって、消防団員の増加策として、消防団の施設、装備の充実、消防団員の処遇改善、青年層、女性層への入団啓発を現在行っており、今後は消防団体験制度を実施の予定と聞いています。

 そこで、先ほど長官にお尋ねした趣旨に沿って、歌舞伎町など歓楽街の自主防災組織をさらに強化するとともに、地域に密着した消防団員をさらに増加すべく、各種の新たな助成策を講ずるべきではないかと考えますけれども、この点につきまして長官の御見解はいかがでしょうか。

中川政府参考人 御指摘のように、防災に関しましては、地域社会は自分たちが守るんだ、こういう気持ちを持って取り組んでいくことが何よりも必要でございます。

 災害の発生を防止するとともに、万一発生した場合にはその被害をできるだけ小さなものにするということが、地域社会の安全という意味からいっても大変重要なことであろうと思っております。その中核となりますのは、何と申しましても、今御指摘の自主防災組織であろうかと思います。

 この自主防災組織の育成強化を図りますために、消防庁といたしましては、従来から、防災知識の普及やモデル的な自主防災活動の紹介などを通じた意識啓発、防災センターの整備や研修、訓練の実施等の支援、各地方公共団体が地域防災計画を見直す際に自主防災組織の育成強化を十分留意するよう要請することなどに努めてきたところでございます。

 ただ、今回の火災の発生いたしましたような地域におきましては、一般的に申し上げて、住民の入れかわり、出入りというのが非常に激しく、連帯感もなかなか希薄なものがあるということから、自主防災組織の育成の観点からしますと、率直に言って大変対応の難しい地域であろうと思っておりますけれども、今回の災害にもかんがみまして、例えば個人に着目して災害対応能力を高めるなど、災害に強い自立した個人を育成する仕組みなども導入できるかどうか検討を加えながら、多面的な自主防災活動をこのような地域においても展開できるようにこれからも十分検討してまいりたいと考えております。

黄川田委員 ぜひとも、大都市向けの自主防災組織の、あるいはまた個人の啓発、よろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、過去の大惨事となった火災事故の主なものを振り返ってみますと、一九七二年五月の大阪市の千日デパートビルで百十八人が死亡、七三年十一月の熊本市の大洋デパートで百三人が死亡、八〇年十一月の栃木県の川治温泉プリンスホテルで四十五人が死亡、八二年二月の東京都のホテルニュージャパンで三十三人が死亡などの例が挙げられます。

 そこで、これらの大規模火災事故の都度、消防法、同法施行令などはどのように改善または強化されてきたのでしょうか。その経緯について審議官に具体的にお伺いいたします。そしてまたあわせて、今般の火災を踏まえて検討委員会の設置や特別査察が行われますが、これはどのような方向性を持って臨むことになるのでしょうか。お伺いいたします。

東尾政府参考人 まず、過去の消防法や消防法施行令の改正状況でございます。

 ただいま御指摘のような大火災に応じまして逐次改正を図ってまいりましたが、まず千日デパートビル火災、昭和四十七年でございますが、この場合は防火管理体制の強化を中心とした法制の整備を図っております。また、昭和四十八年、翌年の大洋デパート火災につきましては、特定防火対象物につきましてスプリンクラー等消防用設備の遡及適用に踏み切っているところでございます。さらに、昭和五十五年の川治プリンスホテル火災におきましては、いわゆるマル適マーク、防火基準適合表示制度を導入しております。また、ホテルニュージャパン火災、昭和五十七年につきましても、マル適マークの制度の強化などを図っております。

 今回の火災を踏まえた対応でございますけれども、先ほど来話題になっておりますように、現在、一斉立入検査、そして是正指導を全国の消防本部に通知しております。あわせまして、専門委員会また関係省庁連絡協議会を開催しております。私どもといたしましては、年内をめどに、これらの結果を踏まえまして、違反是正措置のあり方、また基準適合確保方策のあり方について結論を得たい、このように考えております。

黄川田委員 小規模雑居ビルの問題は大都市の繁華街では必ずあると思いますし、また今回の火災は、地方の都市におきましても起こっておかしくないような状況にあると思います。この検討委員会を通じまして、具体的な規制強化の検討をよろしくお願いいたしたいと思っております。

 次に、若松委員からもお話がありましたけれども、新聞報道によりますと、歌舞伎町の多くの雑居ビルは、お客にはエレベーターを使ってもらい、階段は物置がわりになり避難路をふさいでおり、火事になれば逃げ道のない袋小路になってしまう。消防が立入検査を行っても、そのときだけ荷物を移動させ、後はもとどおりというケースも少なくないと言われております。これは消防法違反の一例にすぎないと思いますが、このような重大な違反については、消防法に基づく行政指導の警告や強制力のある命令などの改善指導が行われるはずであります。

 そこで、東京消防庁新宿消防署は、せっかくの立入検査を行っても検査後のフォローが不十分であったのではないかと思えてならないのでありますけれども、これについての長官の御見解はいかがでしょうか。

中川政府参考人 立入検査についてのお答えを申し上げます前に、先ほど私に対する御質問の中で消防団員についての御質問がございましたが、大変失礼いたしました、私、答弁漏れがございましたので、消防団員についての御質問にまずお答えをさせていただきます。

 消防団員は、今回の新宿区の歌舞伎町ビル火災におきましても二十一名が出動いたしまして、東京消防庁の部隊とともに活動をいたしました。このような火災対応を含め、消防団は地域防災に大きな役割を果たしておりまして、団員数の確保は大変重要な課題であると思っております。現実には、団員数の確保は大変難しゅうございまして、年々減少傾向にあるのはただいま先生御指摘のとおりでございます。

 消防庁といたしましては、消防団の施設、装備等の改善を図るという観点から補助金等の措置を行っておりますし、また処遇改善という面からは、地方交付税により措置をしております報酬等について、年々改善措置を講じているところでございます。また、消防団のイメージアップ等参加促進を図るための措置についても、インターネット等新しいメディアを活用した方式についても行っていきたいと考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、消防団を取り巻きます社会環境の変化に対応した消防団制度をどう構築していくかは、今後の大きな課題でございます。幅広い検討をただいま加えつつございますので、その検討結果を踏まえながら、二十一世紀における消防団はどうあるべきか、幅広い視点から検討してまいりたいと考えております。

 ただいま御質問のございました立入検査についてお答えをいたします。

 東京消防庁は、今回のビルにおきまして、平成十一年の十月に立入検査を行いまして確認をいたしておりますが、それのほかにも、完成検査の時点、あるいはその後も立入検査を行っているところでございます。ただ、現状から申し上げますと、防火対象物数が年々増加し、その態様も複雑化、多様化している中にあって、限られた人員と時間において規模に応じた立入検査を行うというのは大変厳しい状況下にあるということも事実でございます。

 今回の火災に関して、指摘をいたしましたけれども結果的にこのような大惨事の火災につながってしまったということについては、このビル自体が、店舗の権利関係が複雑であったこと、経営者の変遷が著しいことなどによりまして、その違反の是正が十分に行われなかったということがあろうかと思います。

 確かに今回の事例にかんがみまして反省するところもございますので、先ほども申し上げております火災緊急対策検討委員会におきまして、違反是正措置等を含めた基準適合方策のあり方について、もう少しきめ細かく検討をしてまいりたいと考えております。

黄川田委員 立入検査につきましては、汗をかいて最前線で取り組む消防職員が十二分に対応できるような、そういう環境の整備をよろしくお願いいたしたいと思っております。

 時間でありますので、最後になります。ちょっと視点を変えまして、火災の現象面を考えてみたいと思っております。

 基礎的なことでありますけれども、火災が発生するには燃焼の三原則が成り立つ必要があります。ガスやごみなどの可燃物がまずあること、燃焼に必要な空気があること、物が燃える温度または着火源があることであります。

 今までの各種報道を総合的に見ますと、ガスメーターが脱落または取り外されており、極めて短時間で部屋上部が千度C近い高温になっており、かつまた三階の上部、天井が激しく焼損していることなどから、大量のガスが燃焼したと想定されるわけでもあります。エレベーターホールのガスメーターは事前に取り外されていたとの報道もあり、既に外れていたアルミ製継ぎ手が高温にさらされ、溶解したとも言われております。また、七百度C台のアルミ製継ぎ手でも、鋳鉄の黒ナットで覆われてガスメーターにつながっていれば、容易に溶けることはないとも考えられるわけであります。最初の着火源が何であるかの疑問が残りますが、ガスメーターへの入り口管と出口管がビニールホースなどの可燃性物質で直結され、そのつなぎ目からガスが漏れやすい状況になったことも仮説として想定されるわけであります。

 ここは総務委員会であり、勝手な憶測は控えるべきでありますけれども、警察当局の捜査結果を待つべきでありますが、火災発生原因に関して警察庁で今まで判明していることはどのような状況であるのか、差しさわりのない範囲内で御答弁いただきたいと思っております。

吉村政府参考人 警視庁では、九月一日の火災発生当日、刑事部長を長といたしまして、歌舞伎町一丁目雑居ビル火災に伴う多数焼死事件特別捜査本部を設置しておりまして、現場検証、関係者からの事情聴取、現場資料の鑑定など、所要の捜査を鋭意推進しているところでございます。

 出火場所はビルの三階付近からと見られるわけでありますが、警視庁におきましては、今後引き続き、出火原因等の究明とともに、あらゆる可能性を念頭に、失火、放火の両面で捜査を進めていくものと承知をしております。

黄川田委員 今後とも十分な調査を行っていただきまして、今後に生かしていただきたいと思っております。

 それからまた、二つの方向の避難路の確保は消防法の基本でありますけれども、消防当局が幾ら査察、指導しても従わない無責任な経営者が多いとも耳にしております。査察指導の強化とともに、ビル構造面の規制も考え直すべきであろうと思っております。

 いずれ、各省庁の円滑な連携で実効性のある対応をぜひともよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。

御法川委員長 次に、矢島恒夫君。

矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。

 歌舞伎町ビル火災で亡くなられた方、またその御遺族の皆さん方に御冥福とお悔やみを申し上げたいと思います。

 ところで、私、この火災に関して、歌舞伎町で飲食店を経営しております若月さんという方がいらっしゃいますが、いろいろとお聞きしました。その方が申しますには、なぜ小さいビルで大惨事となったのか、複合的な人災ではないのかと憤っていらっしゃいました。

 もう何回もこの委員会で出ておりますが、九九年の十月、八項目の消防法違反あるいは建築基準法違反、これをきちんと指導しなかった、手抜きじゃないかということだとか、あるいは、風営法違反を見逃してきた、暴力団に甘い警察の手抜きだ、建築基準法違反を見逃し、雑居ビルの安全設計を軽視してきた建設行政の手抜きだ、これらのことから、政府各省それから東京都による複合的な人災ではないのか、こんなことを感想として言われておりました。

 実は、この問題は大きい問題なので、私、片山総務大臣、あるいはできれば副大臣の出席を求めましたが、きょうは無理なようでございます。長官にお尋ねするという筋合いもないかもしれませんが、もし御感想があればお尋ねしたいのですが、国の行政上の責任というものが問われているのじゃないか。何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

中川政府参考人 消防庁といたしましては、これまでも、現実の火災の発生や科学技術の進展等を踏まえながら、変遷を遂げてまいります建築物の構造、利用形態等に即して法令改正、啓発、指導等を行いまして、防火の徹底を図ってきたつもりでございます。しかしながら、今回四十四名の死者と三名の負傷者を出すという大火災が発生したことは大変残念なことであると考えております。

 現在、この火災原因の調査等が行われておりますが、これらの状況を踏まえながら、再発防止のための必要な対策を講じるのが我々の責務ではなかろうか、このように考えております。今後とも、火災を予防し、国民の生命、身体、財産を火災から保護するという消防の任務を適切に遂行してまいりたいと考えております。

矢島委員 大臣にはまたの機会にお尋ねするとして、次の質問に入ります。

 先ほど来出ておりますように、九九年十月の査察で八項目の消防法、建築法令関係の違反、こういうのが指摘された。それで、改善命令が出されていないのですね。その理由について、先ほど来、例えば二点の改善を確認した、六事案については引き続き行うということで改善命令に至らなかったと。ただ、六事案も残っていて、その指摘からあるいは改善を確認してからもう一年以上もたっているのに、なぜそんなにも延び延びになってその後の処置がとられていないのか。

 つまり、改善命令が出なかった理由を、同じことを東尾審議官が繰り返すのだったらそれは結構ですから、全国的に、指摘だけで改善命令までに至らなかった、こういう例はどれぐらいあるのですか。

東尾政府参考人 違反処理の実態についての御質問でございますけれども、全国的にこの種の消防法違反といいますか、是正指導しております物件については非常に多いというのが実態でございます。したがいまして、私どもでは、指導のみの段階に至っている防火対象物の状況については、これを一々国に報告させることをしておりませんので、現段階では、指導段階の案件で命令を出していないものの数についてはわからないというのが状況でございます。

 なお、今回の一斉立入検査におきまして、その点についての報告を求めるということにしてございます。

矢島委員 ぜひきちんと把握するという方向で対処してもらいたいと思うのです。というのは、改善命令が出ますと大体法令違反は是正されるのだ、こう私は聞いています。ですから、防火対象物をどれだけ立入検査していくかということ、このことは非常に重要なことだと思うのですね。

 さてそこで、九月三日付で「小規模雑居ビル火災の再発防止について」というので消防庁は通達を出されました。これは、出したからそれで済むというものではないし、またそう考えていらっしゃるわけじゃないと思います。やはり指導、改善の成果を上げるために徹底した活動が求められていると思います。

 ところで、東京消防庁にきのうお聞きしたのですが、四千カ所以上調査対象があると。それから、総務省の消防庁の予防課の説明ですと、全国的には三ないし四万カ所ぐらいあるのだと。先日、六日の理事会で、長官が十月三十一日までに完了する方針だと。きょうもちょっとお話しになりましたが、限られた人員というので、大変な数の調査対象の箇所を調べるのは容易じゃない、こういうお話もありますので、どうしても人手不足が障害となっているのじゃないか。

 そこでお聞きいたします。審議官で結構です。各地の消防職員が不足していると思いますが、全国でどの程度人手不足となっているのですか。

東尾政府参考人 全国の予防要員の実態について御説明申し上げます。

 予防要員の数、これは専従の予防要員でございますけれども、平成十一年度では全国で一万六百十九名でございます。

 これにつきまして人手不足かどうかという御指摘でございますけれども、議員御案内のとおり、我々としては消防力の基準というものを示しておりまして、これは市町村において消防の責任を果たすために必要な消防力を整備するための指針でございます。この中で、予防要員についても、それについて定めてございます。市町村の人口やそこにございます危険物の製造所などの数によりましてある基準値を求めまして、それに面積や火災予防に関する事務執行体制などを勘案しながら、各市町村においてその数が定められております。

 この消防力の基準との関係でございますけれども、専従予防要員の充足率は各都道府県によって大きくばらついてございまして、一概に申し上げられませんけれども、全国平均で申し上げますと、平成十二年四月一日現在におきましては、その充足率は平均七〇%弱ということになってございます。

矢島委員 国民の命と財産を守る消防職員の活動、非常に大変な任務を一生懸命果たされている、敬意を表します。

 ただ、消防法四条などによる予防査察活動、これは非常に重要だということは申し上げるまでもありません。ところが、この実施割合が最近年々低下しているという現象にあるわけですね。九五年度を調べてみますと、三五・六%実施した。九九年度になりますと、これが三一・四%に減ってきた。二〇〇〇年度分は現在集計中ということです。三〇%台にとどまっている、このことにはやはり問題があるのではないかと思うのですね。

 この問題の歌舞伎町のビルですが、八五年の建築以来、大体五年に一回査察するというのが東京消防庁では内規となっているらしいのですが、八七年一月から九九年十月までの十二年間査察が行われなかった。なぜなんだろうか。やはり消防職員の不足に問題があるのではないかと思うのですが、どのようにお考えですか。

東尾政府参考人 今回の対象物件に関します立入検査の状況でございます。

 ただいま御指摘のように、東京消防庁の立入検査実施に関する内規におきましては、東京管内では五年以内に一回の立入検査を実施するという内規をもちまして各防火対象物の立入検査に努めております。

 新宿消防署管内でございますけれども、立入検査を行うべき防火対象物は極めて多く、このため、この対象物についてもこれまで何回か立入検査を行うということを試みたようでございますけれども、その都度、関係者がいない、あるいは立ち会う方がいないなどの問題もあったようでございまして、なかなかにうまく立入検査が行えなかった、このようなことで、平成十一年十月になってようやく立入検査が実施できたということでございます。

 これは人手不足によるものではないかという御指摘でございます。人手不足ということにつきましてのいろいろなとらえ方はあろうかと思いますが、やはり今回の事案に関していいますと、どちらかといえば当該防火対象物の実態がなかなかに立入検査を難しくしていたということが大きな要因ではないか、このように分析しております。

矢島委員 これは消防ネットワークの原田さんという方に聞いたんですが、現状の職員数では国民から求められている予防査察の仕事が三〇%台しか遂行できないのだから、予防査察を六〇%に引き上げるためには人員増が不可欠だ、政令市では予防課の職員は専任で予防査察の仕事をするが、地方では消火出動と予防査察を兼務でこなしている、これで三〇%台の実施率になっている、こういうお話を聞きました。

 やはり、六〇%までにこの実施率を引き上げるということになりますと、全国的にも消防職員の増員ということが必要になってくると思うんです。予防査察を強化するということは、国民の命と財産を守る、こういう観点からも非常に重要だと思うんですね。私は、そのために消防力の基準二十六条、これの改正が必要だと思うんですが、長官、この辺についてのお考えを。

中川政府参考人 先ほど審議官からもお答えしましたように、予防職員については、平成元年、平成十一年、この十年間で比べてみましてもほとんど横ばいとなっておりまして、余りふえておりません。一方、防火対象物は年々増加の一途をたどっているということから、同じ人間が同じ回数立入検査を行いましても結果的に立入検査の実施率が低下するという実態にあるのは御指摘のとおりでございます。

 そこで、予防職員の確保を図るために消防力の基準について見直してはどうか、こういう御指摘であろうかと思います。

 ただ、消防職員全体の現在の消防力の基準の率を見てみますと七二%程度となっておりまして、予防職員が七割弱ということでございますので、広くいいますと、予防職員のみに限らず、消防職員全体の充足をより図っていかなければならないということになるのではなかろうかと思っております。ただ、現実には、市町村の財政力その他多くの問題がございまして、なかなか職員増というわけにはいかないということは実態としてございます。

 ただ、今回の火災事故にもかんがみまして、基準確保方策の一環として、消防職員、特に予防職員が現状のままでいいのかどうか幅広く検討して、地方公共団体、特に消防機関に対してその実態をつまびらかにして、必要な数を確保できるように努力をしてもらうよう努めていきたいと思っています。

矢島委員 本当に、全国的な状況がどれくらいかという点についてはいろいろ調査も難しいかと思いますが、私、地元の川越消防署、消防本部、川越市人口三十五万、消防職員は三百七十人となっています。予防査察について、十二年度分が千二十三件やりました。対象が六千件ですから、実施率でいきますと二〇%台となっているんですね。予防課の職員数は消防力基準で決められているわけですが、その基準でいきますと、五十人必要となってくる。現状は、予防課職員が三十三人なので、あと十七名不足している。何としても職員の増員が必要だという声を聞いてまいりました。

 同時に、長官ももうそのことは必要だという観点でお答えいただいたわけですが、非常に、査察そのものがなかなかしにくい、つまり権限が弱い、あるいは査察の前に店へ通知して強制もできないんだ、いろいろな問題があるということなんです。

 そこで、この火災の教訓に立って、もっともっと消防の権限といいますか、これは昨日、東京消防庁の杉村総監にお聞きしても、違反に対する厳正な対処、こう言われたわけですが、消防関係者の話として、これは朝日に載っていたんですか、消防法では指導に従わない所有者に対し建物の使用を禁止できると規定している、しかしそんなことをしたら民事で訴えられてしまう、消防職員にも逮捕権を与えるぐらいにしないと相手は従わない、現行の消防法では限界がある、法改正を考えないといけない時期に来ているかもしれないというのが載っておりましたけれども、消防法の改正、強化について、長官、どのようにお考えですか。

中川政府参考人 今回の事故にかんがみまして、消防法令に定めております基準に対してどのようにその適合をさせていくのかという点は大きなポイントでございまして、先ほど来申し上げております小規模雑居ビル火災緊急対策検討委員会において検討が行われているところでございます。

 御指摘の逮捕権限の付与ということにつきましては、警察権との関係で実現はなかなか困難であろうと思いますけれども、消防法令の基準適合を確保させるための行政権限のあり方、また警察との連携につきましては、これも申し上げております小規模雑居ビル防火安全対策連絡協議会の場においても検討していただくようにお願いをしたいと思っております。

矢島委員 この問題も、先ほど来国土交通省住宅局長の方で御答弁いただいているんですが、答弁されたことは抜きにして、私の聞きたいことだけお答えいただければ。時間が余りありません。

 一級建築士の方に聞いたら、やはり二方向の避難口設置、これが当然必要だ、だから建築基準法上そのことがきちんとできないと困るんだと。こういういわゆる飲食店やゲーム店などの場合ですね。

 そこで、小規模雑居ビルの建築防火安全対策検討委員会というのを設置されたわけですが、この委員会の中で検討されるであろう今後の具体的法改正の方向、ございましたらお答えいただきたいと思います。

三沢政府参考人 国土交通省では、ただいま先生から御指摘がありましたように、今回の火災を教訓として、小規模雑居ビルについて、防火上の措置、あるいは法令遵守を担保させるための方策、こういったことを検討することを目的といたしまして、小規模雑居ビルの建築防火安全対策検討委員会を設置しまして、昨日、第一回を開催しているところでございます。

 この委員会では、やはり非常に複雑な管理形態、あるいは非常に頻繁に用途が変わっていくという特性を有する小規模雑居ビルについて、例えば関係行政機関の連携のあり方とか法令違反があったときに法の実効性を担保させるにはどういう方策が必要なのかということを改めて点検していただきまして、そういうことについて、おおむね年内を目途に検討を取りまとめをお願いしているところでございます。

 国土交通省といたしましては、委員会の検討結果を踏まえまして、また必要な対策についてきちっと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

矢島委員 時間になりましたので、最後に要望だけですが、その検討委員会に消防庁としても、六日の理事会でも長官から積極的に参加する中で意見を申し述べていきたいとお話がありましたが、ぜひそういう方向で取り組んでいただきたい。

 やはり火災の原因の徹底究明、それから、質問に予定していたのですが時間がありませんので省略いたしますが、新建材や新化学薬品というものが使われるようになってまいりました。そういう点では、それらに対する一定の規制というのも、ひとつ検討委員会なりあるいは対策委員会なりで御検討いただければと思います。

 この火災で活動した消防職員の皆さん方が、いわゆる惨事ストレス症という状況にあると思います。ぜひこの対策も早急にとる、それで全国の消防職員の皆さん方の健康を守るという方向を強めていただきたいということだけ申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党・市民連合の重野安正です。

 質問に入ります前に、九月一日発生しました新宿区歌舞伎町ビル火災におきまして多くの犠牲者が発生いたしました。犠牲者はもちろん、御遺族の皆様方に心から哀悼の意を表しますとともに、この間奮闘されております消防関係職員の皆様方にも敬意を表したいと思います。

 ホテルニュージャパンを超える死者がこの火災で発生をいたしました。その原因については、現在調査中でありますので明確に答弁することは難しいという点については理解いたします。しかし、原因がいかなるものであろうとも、消防法、建築基準法所管の消防庁や国土交通省のこれまでの行政や今後のあり方については当然問われるわけであります。

 そこで、基本的な問題について何点かお伺いをいたします。

 まず、当ビルに対する東京消防庁の予防査察が、一九八七年一月以来一九九九年十月まで行われていなかったと聞いております。十二年近く未査察とはどういうことか。しかも、九九年の査察における防火管理者の未選任、火災報知機の不備など八項目にわたる改修指導に対するビル側からの改善報告は、自衛消防訓練の実施、三階マージャン店など二店舗からの防火管理者選任届しか提出されていないと聞いております。この間、東京消防庁はどういう対応をしてきたのか。

 また、建築基準法においても、建築完成検査は受けていない、二つ目に、用途転用されていた、三つ目に、定期検査の報告義務を行っていなかったなどの問題が指摘されております。さらに、風俗営業適正化法上、マージャン店は八号営業の届け出がなされているようであります。他方、四階や二階の営業内容は、事実上無許可営業であったと言えるのではないか。

 これらが事実とすれば、まさに無法状況というふうに言えるわけでありまして、以上、これらについて、消防庁、国土交通省、警察庁の見解を伺います。

中川政府参考人 小規模雑居ビルにおきます消防法令の適用関係のデータは現在ございませんが、複合用途防火対象物全体で見てみますと、違反対象物数の割合は、平成十二年三月三十一日現在で、防火管理者の選任届に係る違反が三五・六%、消防計画の作成届に係る違反が四七・六%、共同防火管理協議事項の届け出に係る違反が三九・七%、自動火災報知設備の設置に係る違反が五・九%、避難器具の設置に係る違反が五・八%などとなっております。

 今回火災が発生いたしました小規模雑居ビルでは、所有者やテナントの変遷が極めて著しいことから、他の複合防火対象物と比べまして指導が行き届きにくいという点もございますので、この違反割合、今申し上げました全体の違反割合よりも上回っているのではないかと考えているところでございます。

三沢政府参考人 今回火災のあったビルについての建築基準法との関係でございます。

 今回火災があったビルにつきまして、建築基準法の手続に関しましては、昭和五十九年八月に新宿区の建築確認を受けておりますが、先生おっしゃいますとおり、竣工後の検査、これは受けておりません。それから、定期報告についても行われておりません。これは、定期報告をすべき年次のときに定期報告が上がってこないと、区の方から督促をするわけでございますが、その督促にもかかわらず、定期報告が行われておりません。その他の違反については、新聞報道等によれば、やはり用途変更が行われたという疑いが極めて濃いわけでございますが、現在関係当局において事実関係を調査中でございまして、その結果を待って判断することにしたいというふうに考えております。

黒澤政府参考人 御指摘の雑居ビルでございますが、風俗営業等の営業所五件が営業いたしております。このうち一件につきましては、許可の申請または届け出をした事実はございませんで、また、四件につきましては許可がありますが、これら営業所の名義人や営業内容等につきまして現在捜査を進めているところでございます。無届け営業または無許可営業であると認められれば、厳正に対処する所存でございます。

 警察といたしましては、より一層実態把握を徹底いたしまして、無許可営業等の悪質な違反のみならず、よりよい善良な風俗環境を実現するため、各種取り締まりの強化を図ってまいりたいと存じます。

重野委員 次に、火災原因が究明されると思うのでありますが、究明されたといたしましても、今指摘した問題が複合的に存在をするわけでありまして、その場合、個別法での対応に限界があるのではないか、このように思うのです。特に、利用形態が猫の目のように変わる地域でのビルについては、現行消防法はそうした事態を果たして想定しているのかどうか。

 この点では、消防庁の検討委員会で、頻繁に変わる用途に対し、消防法のような用途に着目した規制では限界があるのではないか、あるいは査察体制についても、立入検査実施数をふやすのには限界があるとして、また消防機関だけの対応では難しい、他の関係機関とも連携して総合的に対策を講じる必要があるのではないかと指摘しておるのですね。

 こうした観点からするならば、当然、少なくとも都市計画法上の防火地域を対象に、既存法の検討のみならず総合的立法措置も検討されていいのではないか、このように思いますが、消防庁、国土交通省の見解を伺います。

中川政府参考人 一般的に申し上げますと、特定の地域に着目した火災予防のための立法を図るということは、特別の地域の建築物の関係者全体の権利を制限するということにもなろうかと思いますので、慎重であるべきだと思います。

 しかし、今回のビル火災が発生した地域に見られるように、類似の雑居ビルが集中して立地するような地域が現実に存在することも確かでございますので、例えば都市計画法上の用途地域規制などの面的な規制を参考にしながら、総合的な火災予防対策というものを現在の法律を超える形で考えられるのかどうか、研究課題ではなかろうかと思っております。

 先ほど来申し上げております研究会、協議会等において御検討いただくことを考えているところでございます。

三沢政府参考人 現行の建築基準法におきましては、建築確認とか完了検査、あるいは定期報告、あるいは違反建築物に対する是正命令等、いろいろな法令の遵守を担保するために必要な制度的な枠組みが定められております。

 ただ、やはり、今回の問題を眺めますと、制度は制度としてありながら、それがなかなか実効性が、守られていない、あるいは現場においてそれを守らせるための措置がなかなかうまくワークしないことが現実としてあるということが一番大きな問題かなというふうに思っております。

 私ども、そういう意味からは、国土交通省だけではなくて、当然、関係省庁と総合的に連携して、いわゆる総合的な対策としていろいろなことを打ち出していく必要があるというふうに考えております。そういう観点から、今般、小規模雑居ビルの防火安全対策のための検討委員会を設けまして、ここに関係省庁にもお入りいただきまして、そういう総合的な対策の検討を進めるということにしているところでございます。

重野委員 こういう火災が繰り返すことのないように、ひとつ多面的に検討を進めていただきたい。

 そこで、今も触れられましたけれども、消防庁、国土交通省が個々に設置する検討委員会の問題であります。両省庁が個別に設置しなければならないのかという点で疑問を持つわけです。

 というのは、検討委員会のメンバーを見ますと、消防庁が設置する検討委員会十四人中六人、また国土交通省が設置する委員会十人中六人、これが同じ人なんですね。しかも、国土交通省の特定行政庁建築主務部長あて通達では、都道府県知事あての消防庁長官通知を参考とし、消防部局と連絡調整することが有効、こういうふうに言っております。検討内容についても、建築物の部分ごとに異なる複雑な管理形態、頻繁な用途転用など、小規模雑居ビルの特性を踏まえ、実効ある措置を検討、こういうふうに言っているわけです。内容は消防庁のそれと大差ないのですね。

 ですから、私は、消防庁それから国土交通省が共通のテーブルにのって、そこで検討委員会をした方が効率的だし、本当の実効ある議論ができるのではないか、このように思うのですが、いかがでしょう。

東尾政府参考人 消防庁と国土交通省で別々の対策委員会を設置している理由についてでございます。

 ただいま御指摘のとおり、防火対象物の防火安全といいますと、やはり消防法と建築基準法が密接に連携をとって進めるということは何よりも肝要でございます。また現実に、消防法と建築基準法とは、おのおのその規制対象をよく調整して業務を進めているということも事実でございます。

 したがいまして、今回の事案にかんがみまして、ただいま御指摘、御提案のような合同委員会を立ち上げるということも一つの方策であるというふうには考えましたけれども、しかし、現在の消防法、建築基準法、それぞれに非常に精密な制度を持っておるということから考えますと、これを一緒に、直ちに同時に議論しても、いろいろなふくそうする議論も予想されますので、今回は、国土交通省とも協議いたしまして、おのおの別の専門委員会をつくったということでございます。

 しかしながら、ただいま御指摘の点は非常に重要でございますので、別途、何回か答弁してございます関係省庁の連絡協議会、これには消防庁、国土交通省がもちろんメンバーでございますので、これらの場を通じ、また両省庁間で個別に十分な連携、調整を図りながら今後の対策を打ち立てていきたい、このように考えております。

重野委員 ひとつそういう答弁を実効あらしめる方向で議論を深めていただきたいと思います。

 次に、災害救援者のストレス症状について質問いたします。

 欧米におきましては、この二十年間をとっても相当数のこの問題に対する研究報告がなされております。我が国においては、この問題は余り正面切って論じられてなかったようであります。しかし、阪神・淡路大震災を契機に、救援者の心的外傷後ストレス障害、PTSDというのだそうでありますが、その問題がクローズアップされるようになりました。

 調べたのでありますが、一九九六年の東京消防庁消防科学研究所発行の報告、阪神・淡路大震災に出場した職員の心理ストレスに関する調査研究というのがあります。二〇〇〇年十月の日本職業・災害医学会の会報、それから一九九八年八月の「精神科治療学」、同じく「精神神経学雑誌」十二号、そういう雑誌にPTSDに関する実証的調査研究が報告されている。

 そこで伺いますが、災害救援者がまた被害者でもあるこのPTSDに関し、消防庁の現状認識と、そしてこれが対策をどのように考えておられるか、伺います。

中川政府参考人 消防職員が悲惨な災害現場等に直面した場合に、近年、これに伴って発生するおそれのあるいわゆる惨事ストレス、今先生はPTSDとおっしゃいました、CISという言い方もあるようでございますが、この惨事ストレスの問題が指摘をされております。

 九月一日の歌舞伎町の火災現場に出場をいたしました消防職員に対しましては、東京消防庁におきまして、惨事ストレスケア実施基準に基づきまして、グループミーティングを行うなど、その対策がとられているところでございます。

 消防庁といたしましても、平成十三年度から消防大学校のカリキュラムに惨事ストレス対策を加えまして、消防職員への教育を行っているところでございます。しかし、新しい分野の問題でもございまして、この対策に具体的に取り組んでいる消防本部は極めて数が少ないのも実態でございます。

 消防庁といたしましては、今後、惨事ストレスが消防職員にとって大きな問題になることも予想されますので、十分研究、検討を加えまして、各消防本部において万全が期せられるように、その対策を講じてまいりたいと考えております。

重野委員 最後に、消防組織法との関係についてお聞きします。

 消防組織法十四条の五の規定によれば、消防本部は、消防職員の給与、勤務条件及び福利厚生、被服及び装備品、設備、機械器具に関して、消防職員から提出された意見を審議させるため、消防職員委員会を置く、このようになっていると承知しています。その中に、今問題になったメンタルヘルスの問題、これは当然勤務条件に含まれる問題だと私は認識をいたします。

 したがって、ストレス評価あるいはストレスマネジメント体制を確立する、こういうことも求められてくるのではないかと思うんですが、所要の法整備を消防組織法において図るべきではないかというように思いますが、これについてはいかがでしょうか。

中川政府参考人 ただいま御引用になりました消防組織法十四条の五では、消防職員委員会が審議をする事項の規定がございます。その中に「給与、勤務時間その他の勤務条件及び厚生福利に関すること」という項目がございますが、ただいまの惨事ストレスあるいはメンタルヘルスの問題はこの条項に該当するものと考えておりまして、今後、消防職員委員会の審議事項に含まれているということにつきまして、さまざまな機会をとらえて、消防本部、消防職員に周知を図ってまいりたいと考えております。

 したがいまして、現在の法律の中でこのような対策は十分果たし得るものと考えております。

重野委員 終わります。

御法川委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十三分散会




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