衆議院

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第3号 平成14年2月28日(木曜日)

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平成十四年二月二十八日(木曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 平林 鴻三君
   理事 荒井 広幸君 理事 稲葉 大和君
   理事 川崎 二郎君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      赤城 徳彦君    浅野 勝人君
      伊藤信太郎君    大野 松茂君
      河野 太郎君    左藤  章君
      佐藤  勉君    新藤 義孝君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    野中 広務君
     吉田六左エ門君    吉野 正芳君
      荒井  聰君    伊藤 忠治君
      玄葉光一郎君    島   聡君
      田並 胤明君    武正 公一君
      中村 哲治君    松崎 公昭君
      遠藤 和良君    山名 靖英君
      石原健太郎君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    重野 安正君
      横光 克彦君    三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        佐田玄一郎君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務大臣政務官      河野 太郎君
   総務大臣政務官      滝   実君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君
   政府参考人
   (総務省情報通信政策局長
   )            高原 耕三君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局長
   )            鍋倉 真一君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  中尾  巧君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           中村 秀一君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――
平林委員長 これより会議を開きます。
 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官岡本保君、内閣府地方分権改革推進会議事務局長伊藤祐一郎君、総務省自治行政局長芳山達郎君、総務省情報通信政策局長高原耕三君、総務省総合通信基盤局長鍋倉真一君、総務省郵政企画管理局長團宏明君、郵政事業庁長官松井浩君、法務省入国管理局長中尾巧君、厚生労働省大臣官房審議官中村秀一君及び厚生労働省職業安定局長澤田陽太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉大和君。
稲葉委員 おはようございます。自由民主党の稲葉大和です。
 きょうは、大臣にお越しいただきまして、先般大臣からお話しいただきました大臣の所信につきまして、若干のお尋ねをさせていただきたいと思っております。時間が限られておりますので、大臣からかいつまんだ御説明をいだたきとう存じます。
 一昨日の所信表明の中で、大変盛りだくさんなメニューを大臣から拝聴させていただいたのですが、私は特に、突っ込んだお話を申し上げたいところでありますが、二点、地方財政について、また郵政事業の公社化につきまして、大臣からのお話を承りとう存じますので、よろしくお願いします。
 まず初めに、地方財政についての問題でありますが、最近、地方財政が大変窮屈な状況に置かれております。特に、平成十四年度の予算総額並びに公共事業費が一〇%カットされる、こういう状況にありまして、地方自治体からのお話を承ると、単に一〇%のカットではなくて、事実上一五%あるいは二〇%に近いカット状況に置かれている、そういう話も承るわけであります。
 また、地方財政計画が圧縮されたことによって、地方の財源不足が解消されつつある、減少されつつあるとは申しながらも、やはり地方自治体にとりまして一番大事な財政基盤とも言われます交付税額が削減される、こういうおそれも十分察知しているわけであって、交付税額が削減されるということは、まさしく健全な財政運営に破綻が生じてまいります。
 こういった点も踏まえまして、総務省としましては、地方財政の充実に、要するに地方の財源不足の補てんに対しまして、どのような御配慮をされるのか。この点、地方財政についての御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
片山国務大臣 今、稲葉委員からいろいろお話がございましたが、来年度の地方財政計画につきましては、国も一般歳出を厳しく見直す、特に公共事業は一割カットですね。国の公共事業は地方にとっては補助事業ということで、だから、地方財政計画上補助事業も約一割少なくなりました。また、単独事業が、もともと決算との乖離が大きいものですから規模是正をずっとやってきたのですが、今回は規模是正を含めてやはり事業量を少し抑えようというので、一割カットいたしました。そういうことで、投資的経費を抑えた、経常的経費についても見直したということで、地方財政計画としましては、マイナス一・九なんです。一・九%規模が縮小した、こういうことでございます。
 地方交付税の方は、交付税制度の改正をやりまして、とにかく財源不足額については、今までは、交付税特会で資金運用部その他から借り入れて、借り入れたものをそのままキャッシュで各地方団体に配っておりましたけれども、これでは交付税特会の累積の借入金が物すごく大きくなるものですから、四十兆を超える、こういうことなものですから、二カ年でこれをやめよう、借り入れはもうやめて、国の持ち分は国が一般会計で調達して加算する、地方の方は赤字地方債を出す、こういうことにいたしました。やり方を変えたから、交付税そのものは約八千億来年度は今年度より減りますけれども、その分赤字地方債がふえるわけで、赤字地方債と交付税の総量を加えますと四・五%プラスなんです、二十二兆八千億で。
 だから、この二十二兆八千億という一般財源の額を見れば、私は、来年の地方財政の運営には支障がないな、こう思っておりますし、赤字地方債は後年度全部交付税で補てんしますから、そこは地方団体の心配のないようにいたしておりますが、キャッシュとしての交付税は約八千億、七千九百億ほど減っております。しかし、今言ったようないろいろなことがあるわけでありますので、地方団体個々の財政運営も、トータルとしても、私は来年度支障はないものだと考えております。
稲葉委員 大変わかりやすい御説明だったと思うのですが、ただ、市町村の首長さんからの悲鳴に似たお話というのは、既に交付税において一億ないし二億に近い金額が減収している、こういうお話を承るわけです。
 それに対しまして、総務省の皆さんに問い合わせしますと、今回の場合には、市町村の方から臨時財政対策債を出してください、それに対しまして後からこちらの方から裏打ちしますよ、こういうお話をなさっておられるということを承るわけです。しかし、その総務省側のお話、指導に対しまして、市町村長さんのところには届いていない。担当課長さんのところまではお話をされておられるそうなんですが、その担当課長さんから市町村長さんのところまで上がっていない。
 そういう実情は、これは総務省マターのお話ではないかとは思いますが、しかし、まだそういった自治体の長もおられるようでありますので、再度、そのあたりの御指導といいますか、心配することはないんだよといったことをコメントしていただければ、アナウンスしていただければ大変ありがたいな、そう思うわけであります。
 それから、次のことなんですが、次の郵政事業に入る前に、特に大臣から、所信の中でもおっしゃっておられましたe―Japan計画について、これは私の一方的なお話で申しわけないのですけれども、五年以内に世界最先端の技術革新を求めた日本に生まれ変わらそう、こういうお話を承っておるわけでありますし、総務省に限らず小泉内閣が挙げて取り上げられる最重要課題、そう思っておりますが、積極的にもっと、ベンチャー企業なり、あるいはこれから先の若い人たちのITに対する考え方、また技術の育成、こういうところにさらに力を注いでいただきたい、このことだけを申し上げておきます。
 時間が限られておりますので、先ほど申し上げました郵政事業の問題点に移らせていただきたいと思うのですが、今まで時系列を追ってみましても、省庁再編から始まって、これから来年の四月に郵政事業が公社化される、こういう段取りになっているわけであります。
 恐らく、今、総務省サイドとしましては、今国会に法案を提出するために大変、徹夜に近い形で御尽力されておられるのじゃないかと思いますが、大きな点といいますか、もともとの基本点と言った方がいいのかもしれません、郵政法案についての基本的な認識としまして、なぜ、省庁再編も含めまして、今まで郵政省だった組織が省庁再編によって総務省の中に組み込まれて郵政事業庁という形に変わったのか。また、これから先、郵政事業庁から、法文の中に明記されております国営の公社として生まれ変わっていく。こういった流れの中で、何ゆえそういうような時代の変革とともに組織の変更をされるのか。
 もっと具体的に言うならば、公社化されるメリット、今まで郵政省、郵政事業庁が果たしてきた役割、つまりはその成果と、これから公社化していこうということに当たっての問題点、さらに今後事業庁あるいは公社として考えていかなければならない機能、こういった面について、なおまた、私たちが希望している三事業一体なんだ、こういう点も踏まえまして、何ゆえ郵政事業庁の事業でなくて国営公社の事業とされるのか、このあたりのアナウンスが、国民の皆さんの理解がまだまだ深まっていないと思うんです。
 ですから、先般行われましたマスコミの世論調査においても、どういうふうに答えたらいいのかわからないという回答も多いようでありますので、このあたりのコメント、アナウンス、そもそも大臣の公社化に向けてのポリシーといいますか、どういうスタンスで臨んでいくんだよと、さらには、この公社化法案を大体いつごろ国会の方に御提出なさるのか、そのことも、もしできましたらお教えいただきたいと思っております。
 以上、多くの問題点になりましたが、よろしくお願いします。
片山国務大臣 今、稲葉委員から言われました交付税の仕組みの変更については、さらに市町村長を中心に十分PRしてまいりたいと思います。
 それから、IT、e―Japan戦略の方につきましては、委員が言われましたことを念頭にしっかり対応いたしたいと思います。
 郵政公社の問題でございますけれども、中央省庁の改革基本法で今の大体の流れが決まったわけでありますが、中央省庁再編というものは、できるだけ大ぐくりの省庁をつくって、縦割り行政の弊をなくして、行政の効率化あるいは簡素化を図る、こういう主張で総務省というのが去年の一月六日に発足しまして、郵政省と総務庁、自治省が一緒になったわけであります。
 そういう中で、郵政事業については、とりあえず郵政事業庁にして、平成十五年中に、四月と決まったわけじゃありませんが、暦年の十五年中に国営公社に移行する、こういうことになったわけでありまして、これは、大変な議論の後、この公社化というのが国会で意思決定された、私はこういうふうに考えております。基本的には、国でなくて国営公社がやるということは、国とは別の法人格を有する公社によって、国の行政組織ではいろいろある制約を外して、独立採算制のもとで、法律にも書いてありますが、自律的かつ弾力的な運営を可能にして、国民の、利用者というんでしょうか、国民利用者の利益の増進を図っていく、こういうことで私は事が決まったんだろう、こう思っております。
 三事業一体でございますし、国営公社ですから、職員の皆さんは国家公務員でございます。ただ、単年度の予算主義じゃなくて中期でいく、あるいは業績評価を入れる、あるいはできるだけ役所や国会の関与を少なくするとか、いろいろなことを基本法の中ではフレームとして書かれておりますので、それに基づいてやっていきたい。
 それから、私の方の、総務省の方の研究会を去年の八月につくりまして、十二月に中間的な答申をいただきましたので、その答申に基づいて、今、法案の立案作業をやっておりまして、三月の半ばごろを目途に法案をまとめて国会に出したい、こういうふうに考えております。
 私は、郵便局の二万四千七百のネットワークは、百三十何年の歴史を持つ大変有用な国民の資産であり、別の言い方をすれば生活インフラだ、こう思っておりますから、ぜひこれを国民のために有効に利用する、こういう観点で、国営公社にしてよかったな、こういうふうな公社をぜひ目指したいと考えておりまして、先生方の一層の御指導、御支援を賜りたいというふうに考えております。
稲葉委員 大臣、大変ありがとうございます。
 今大臣がおっしゃられました大臣の諮問機関であります公社化研究会、それと小泉総理の私的懇談会といいますか、諮問機関であります郵政三事業の在り方について考える懇談会、この二つの研究会、懇談会の間での意思の疎通といいますか、一時は懇談会の方が先行されまして、我々の考え方とかなり食い違いがあった、そういう認識もあるわけですけれども、最近、二十六日のマスコミ報道によりますと、総理の懇談会の方にあっても、全国の郵便局ネットワークを維持するんだ、このことを前提に、法案が提出された後、答申を取りまとめたい、こういう御意向をマスコミ報道からは承っているわけで、私どもからしますと、田中座長の懇談会も常識的な御判断をされてきているな、こういう認識を持っております。
 いずれにしましても、懇談会を含めて公社化研究会の皆さんと同時に、我々は、全国ユーザーのために郵政事業を考えていくんだ、このことは大臣の御認識とも一致するわけでありまして、そのことを最重要課題として今後法案作成に取り組んでいっていただきたいということを希望的に申し上げまして、次に谷本議員にバトンタッチさせていただきます。ありがとうございました。
平林委員長 次に、谷本龍哉君。
谷本委員 自由民主党の谷本龍哉でございます。十五分時間をいただきまして、質問をしたいと思います。
 実は、一点、非常に危惧をしている問題がございまして、それについての質問なんですが、それは、昨年、電波法改正で一度は決まっている内容でございますけれども、テレビの地上波のデジタル化の問題でございます。
 決まったことですからそれで決まったというのではなくて、やはり政治家として、私もこれは衆議院において賛成をいたしました。賛成した者として、それがしっかりと前に進んでいるのか、あるいは問題が出ていないのか、フォローアップしていくのが、それも議員の役割であるという観点から、少しだけ質問をさせていただきたいと思います。
 一点目は、アナログ変換、アナ・アナ変換と言われる問題でございます。
 これにつきまして今さら説明するまでもないとは思いますが、誤解のないように言わせていただければ、私自身は通信あるいは放送のメディア化というものについては基本的には賛成でございます。そのメリットも十分にあると思っております。ただ、昨年の四月にこの総務委員会で審議をされ、そして六月決定された、その前提条件となる数字等が、実は昨年末以来いろいろと変わってきている。これについて、昨年決められたとおりでいいのかどうか、その辺をしっかり、疑問点もクリアにしたいと思っております。
 このアナログ、アナ・アナ変換、デジタル放送を部分的に始める場合、アナログ放送と当然一時期は両方、サイマル放送という形で両波を出すことになります。そのときに混信が起こる地域が出てくる。そのために、これを防ぐためには現状のアナログ波の部分から別のアナログ波へ一度移さないといけない。つまり、アナログからデジタルへ引っ越す途中で、仮転居をしないといけない。これに非常に費用がかかる、非常にややこしい話なんですけれども。
 この費用が、実は昨年の議論の段階では、全国地上デジタル放送推進協議会というところが出している数字に基づいて議論をいたしましたので、対象地域が約二百四十六万世帯で、約八百五十二億円かかる。これに対しまして、この費用を電波利用料、移動通信事業者が納めている電波利用料から埋めるというような議論になっていたと思います。しかしながら、昨年末同じ協議会が、実はこの試算は間違いであったということで訂正がございました。その訂正された数字は、実は、対象世帯は約四百三十六万世帯、費用は二千億円以上に上る、こういう発表がございました。
 これを受けて、まあ、まだ確定はされていないわけですが、この変更、大幅に変わった理由というのは一体どこにあるのかということを、まず総務省の方から説明をいただきたいと思います。
高原政府参考人 今先生おっしゃいましたように、アナログ周波数の変更対策につきましては、当初より、NHK、民放、総務省の三者共同で検討を行ってきました。
 それで、昨年、対策実施段階に入りまして、各地域ごとに詳細な電波状況についての測定調査を行ったわけでございます。そうしましたところ、周波数事情の特に厳しい地域が、九州等の西日本あるいは関東の一部地域というところで非常に稠密な周波数の割り当てが行われている地域がございます。そういうところは、当初の予想をはるかに超えた電波の状況だったということがわかりました。
 このため、昨年十一月段階で、当初の想定よりも、先生先ほどおっしゃいましたように、対策局所数及び影響世帯数が増加いたしまして、対策経費が二千億を上回るという、昨年の数字は中間的な数字でございますが、中間的な数字が出たということになっております。
谷本委員 八百五十二億が二千億以上ということですから、倍以上になっているわけです。これも中間であると。恐らくそれに対してさらに費用を削減するような方向での検討がなされているとは思うんですけれども、やはり我々議員の側としては、前提条件が変わってしまった。さらに、もしこれが、例えばふえるというようなことがあれば、予算措置、あるいは国民の税金をさらに投入しなきゃいけないんじゃないか、そういう思いがしてくるわけでございます。
 その前に、一体、ではこの試算というものを、どういう体制、あるいはどこが責任を持って行っているのかということを聞かせていただきたいと思います。
高原政府参考人 先生おっしゃいましたように、今、対策経費が、中間段階とはいえ二千億を超えるという数字になっておりまして、これを圧縮すべく作業をいたしております。
 これは、各地域で実際に事業を行っております放送事業者による作業がどうしてもこのためには不可欠でございます。このため、先ほど先生もおっしゃいましたが、全国地上デジタル放送推進協議会というのを設置いたしておりますけれども、その中に技術部会あるいは対策計画部会あるいは受信対策部会及び総合推進部会、四部会がございまして、それぞれのところで検討を進めるとともに、三十二の地域にやはり、総務省の出先機関、それからNHK、民放、三者の入った地域推進協議会というのを設けておりまして、そういうところで鋭意その積み上げを行っております。そこで検討を進めているところでございます。
 総務省としても、当然のことながら、行政としての自覚も十分持って、遺漏のないように取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
谷本委員 今、全国地上デジタル放送推進協議会において検討が行われていると。
 この会則の中の目的を見ますと、あくまで今述べられた参加者が「共通認識を形成するとともに、意見交換を行うことを目的とする。」となっております。ここでいろいろな専門家が集まって当然算定をしていただく、これはありがたいことでありますが、我々政治家としては、それに対して、それが本当なのか間違っているのかというのは、なかなか判断が難しいところがあると思います。しっかりと総務省の方でも責任を持ってこの数字の確定を急いでいただきたいと思います。
 そういう中で、ではこのアナ・アナ変換にかかるコスト、この確定の時期がいつであるのか。そして、現時点、中間で言いにくいかもしれませんが、大体どのくらいにこの費用がなるのか。現時点での見通しを説明いただきたいと思います。
高原政府参考人 経費確定の時期でございますが、先ほど申し上げましたような体制で、今特に地方段階において作業を進めております関係で、七月初旬を目途に経費の総額を確定したいというスケジュールでやっております。したがって、今現在どのぐらいになるかとか、そういうようなものは中央段階ではまだデータ的に全くない状況でございます。
谷本委員 現段階ではなかなか、まだ総額がわからないということなんですけれども、昨年時点におきましては、平成十三年度から十八年度までの予算総額見込み、七百二十七億円というふうになっております。これは先ほど言いました当初の経費、コスト計算に基づいているわけですけれども、それが現状、倍以上になる可能性がある。
 その場合に、昨年の電波法の改正においては、この予算、コストに電波利用料を充てるということで決められていると思いますが、これが倍以上になった場合に、果たして電波利用料で対応できるのか、それとも、新たにまた国費を投入するというような事態が起こり得るのか。この点について伺いたいと思います。
高原政府参考人 経費につきましては、先ほどから申し上げておりますように、今、鋭意地方段階において作業を進めております関係で、先生おっしゃるように、それがどのくらいになるかというのは、全く予想がつきません。
 したがいまして、今の段階におきましては、先生も今おっしゃいましたように、昨年、電波法の改正によりまして、アナログ周波数変更対策にも電波利用料を充てることが可能というふうに措置していただいたところでございますので、この考え方に沿って今現在努力しておるところでございます。
谷本委員 今のがアナログ周波数変換に関してなんですが、もう一点お聞きしたいことがあります。
 それは、昨年の電波法改正でも決められたことですが、二〇一一年においてアナログ電波を停波する、つまり現在我々が持っているアナログテレビは二〇一一年段階で停波すると映らなくなるという事実がございます。これについての国民への周知というのが非常に弱いんではないか。
 ビデオリサーチ社の調査によりますと、昨年時点ですけれども、この問いかけに対して、そういうことは知らないと答えた国民が九割という結果も出ております。これは、国民にとってはテレビの買いかえを含む非常に大きな負担になる問題でございますので、予定どおり二〇一一年、アナログ停波を完成させるためには、このことをしっかりと国民に理解をしていただくことが必要だと思いますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、大臣から御所見を伺いたいと思います。
片山国務大臣 今、谷本委員が言われましたように、国民の皆さん、なかなか、まだ御存じないというデータが私のところにも大変来ておりますが、御承知のように、昨年の電波法の改正で、二〇一一年からはもうデジタル放送一本、こういうことになるわけでありまして、そういう意味では、テレビの買いかえその他対応していただく必要がありますので、これからも大いに国民の皆さんへの周知徹底、PRをしてまいりたい。
 そういうことで、来年度予算にも、その情報提供活動のために約一億五千万の予算を今とっておりまして、ぜひ、先ほどお話がありました地上デジタル放送推進協議会を初めとする関係者とも連携をとりながら、ホームページ、新聞広告、政府広報、あるいはビデオソフト、リーフレット、ポスター等の作成をしてまいりたい。一番効果があるのは、NHKや民放にテレビでやっていただくことですね。そういうことで、よくその辺の協力を求めてまいりたい、こう考えております。
谷本委員 わかりました。
 私が今非常に危惧をしておりますのは、第一点目で言いましたアナログの周波数変換、これに、現状、途中段階ですからわからないということですけれども、もし予想よりかなり多くの費用がかかるようになった場合に、それでだんだん税金の投入額がふえるあるいはその予定どおりに進まないという事態が起こったり、あるいは、テレビの買いかえ問題というものが、当然国民の買いかえが進まなければ、それを無視して停波するというのはなかなか難しいことだと思います。そういうふうになって、お金はどんどん入れていったが、結局中途半端に、途中で行き詰まった、そういうふうにならないように、やはりしっかりといろいろなあらゆる手を打っていかないといけないというふうに思いますので、その点、よろしくお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
平林委員長 次に、玄葉光一郎君。
玄葉委員 玄葉光一郎です。
 きょうは、地方分権の話と放送行政の話をメーンにして議論をさせていただきたいと思いますけれども、冒頭、政治と官僚、政と官の関係について整理をしておきたいといいますか、大臣のお考えを聞いておきたいというふうに思っています。
 それは、御案内のとおり、予算委員会で鈴木宗男さんの問題が取りざたされています。具体的には、北方四島支援事業への入札疑惑であるとか、あるいは外務省人事に介入したとか、そういった問題が取りざたされているわけであります。
 私は、個人的には、予算委員会がこの問題に終始するのはいかがかと思う側面もなきにしもあらずだけれども、でも、本質的な問いをこの問題が発しているのももう一方の事実だと思うんですね。すなわち、それは、癒着の温床になっている族議員という問題がそこに横たわっていて、もっときれいに言うなら、冒頭申し上げたように、政治主導のもとにおける政と官の関係をどう整理すべきなのか、政治改革なくして構造改革もどうやらなさそうだぞということからすると、本質的な問いを発しているのも事実だということだと思っています。
 そこで、片山大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。
 今回、予算委員会をにぎわしている鈴木宗男さんのように、一つは、政策決定に際して、例えば、鈴木宗男さんは外務大臣ではありませんね。外務大臣でないにもかかわらず、省庁に対して絶大な影響力を現に行使しているということについてどう思うかということと、もう一つは、本来中立に執行されなければならないような個別利害に絡む事案、こういった事案に政治家が介入してくる、あるいは人事なんかに介入してくる、こういったことについて、片山大臣はどういうふうにお考えになっておられますか。
片山国務大臣 なかなか大きな問題でございますけれども、これは国会で、予算委員会で小泉総理も答弁しておりますように、私は、やはり国会議員さんというのは、国民と役所をつなぐといいますか、そういう役割もある、国民の代表者として、国民の考え方、意向を役所に取り次ぐという機能もありますし、地域の代表という側面もありますから、地域利害についてもいろいろ開陳される、こういうことはあってもいいと思いますね。それはあってもいいと思いますけれども、それによって役所が全く意思決定を左右されるということはいかがかなと。やはり、役所は役所で主体性を持って、いろいろな国会議員の皆さんが言ってきたことをしっかり受けとめて、取捨選択をして役所としての意思決定をしていく、こういうことが必要だ、こう思っております。
 ただ、今は議院内閣制ですから、与党の言い分、与党との間の意思の調整というのはどうしても要るわけでございまして、そこのところが往々にして行き過ぎたり、問題を起こしたりということはあるのかもしれませんが、基本的には、役所はいろいろな議員さんの意見を聞くことは結構だけれども、決めるときには主体性を持って大臣以下で意思決定していく、こういうのが正しいと私は思いますし、人事や個別の予算の執行は、やはりこれは行政権に属するわけでありますから、大臣以下の役所で完結して物を決めていくことが必要ではないかと思っております。
玄葉委員 私は、率直に言って、小泉さんも十分整理できていないような気がしているんですよ。
 今私が申し上げた点は、結局、大きく分けると二つなんだと思うんです。重ねて申し上げることになるかもしれませんけれども、一つは、結局、政府と与党の権力の二重構造というのが、残念ながら現実にありますね。これがいいのか悪いのかという問題が一つと、もう一つは、政治家が個別利害に介入してくる、本来中立でなきゃいけないところに介入してくる、この二つの問題が相互に関連しているのが今回の話だと思うんです。
 ですから、この二つの問題を上手に整理しないと、これはシステムとしてはなかなか機能しない。単純に、政治家は基本的には何を言ったっていい、問題は、受けとめる役所の方が、自立というか、きちっとすべきだ、そういうレベルの話ではないと私は思っているんですね。ですから、具体的に、どういうふうに改善したらいいか、小泉さんも何かいろいろ指示を出しているようですけれども、何かお考えはないですか。
片山国務大臣 議院内閣制と大統領制、釈迦に説法ですけれども、大統領制だと立法府と行政府は完全に分かれますよね。議院内閣制というのは立法府が行政府とある部分では重なる、こういうことでございますから、そのほかなかなか難しい問題もありますけれども、私は、先ほど言いましたように、基本的には、行政府に属することは行政府で完結して物を決めていく、こういうことが正しいと思います。しかし、それは、今言いましたように、一番今霞が関が弱いのは、国民の生の意向、生の考えというものの把握がちょっと弱いところにあると思うんですね。そういう点では、立法府の議員さんにいろいろ言っていただく、注意していただくということが私は大変必要だと思います。
 ただ、今言われますように、個別利害の問題に関与する仕組みはどこかで遮断する必要がある、こういうふうに思っておりまして、今回を契機に、各省庁、今いろいろな検討をしているようでございますから、その成果を待ってその辺はしっかりと今後やっていく、こういう体制になるのではなかろうかと思っております。
玄葉委員 余りこの問題に時間をかけたいとは思っていないんですけれども、ただ、大事な問題だから、少しつけ加えて聞きたいと思います。
 官僚の弱点は国民からの意見を十分吸い上げられないことだ、確かにそのとおりだと思います。では、それを補うのはどこなんだといったら、基本的に、第一義的には閣僚あるいは副大臣、政務官なんでしょう、そうでしょう。そして、第二義的には国会なんでしょう、こういう議論なんでしょう。それでいいじゃないですか。よくありませんか。
 だから、では、もっと延長線上で聞くと、例えば官邸はというか小泉さんは、与党審査というのはなくしたらどうか、こういう提案をしています。こういうことも含めて、どういうふうにお考えになられますか。
片山国務大臣 前より今の仕組みで進んだのは、副大臣、大臣政務官という制度ができまして、そういう方々が行政の中に入ってきていただいて、今の国民との関係の橋渡しをしてもらえるということは私は大変進んだことだった、こういうふうに思っております。
 ただ、与党の今の事前審査は、これはいろいろな考え方がありますけれども、私は、やはり今の議院内閣制の中では一つの考え方だ、こういうふうに思っております。ただ、それが行き過ぎたりするような面があればそれは是正しなければならないと思いますけれども、今の与党の事前審査制がすべて悪いとは、なかなかそこまで言えるのかな、こういう感じを持っております。
 この辺はいろいろな考え方があるいはあるのではなかろうか、こう思っておりまして、今、与党の中でもいろいろな検討をいたしておりますので、その検討の結果を待ちたい、こういうふうに思っております。
玄葉委員 さっき、大統領制と議院内閣制があって、議院内閣制だからある程度与党から意見を吸い上げるのは当然だという話なんですが、これも釈迦に説法だけれども、別に私はイギリスがすべてすばらしいと思っているわけではない。ただ、例えばイギリスの場合なんかは、政治家と官僚は接触しないとか与党審査がないとかという特徴を一つ有しているわけです。
 確かに、与党の政治家は、基本的に、片山大臣とか佐田さんとか若松さんとかを通じて意思を伝えればいいわけですよ、特に政策の問題は。それでいいじゃないですか。今の与党、我々が政権交代して与党になったら変えますけれども、でも、今の与党の事前審査の行き過ぎというのはちょっと目に余るんじゃないか、我々、外から見ていてそう思うけれども、いかがですか。
片山国務大臣 基本的には、議院内閣制といえども三権分立ですから、その意味では、与党の事前審査も私は節度がなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。事前審査がよくないとまでは、私はなかなか、私個人としては思えないところがございますので、これは運用、やり方の問題ではなかろうか、こういうふうに思っておりますが、基本的には、私は、やはり役所が、大臣以下、副大臣、政務官を含めて、主体性を持って物を決めていく、判断をしていくということが一番必要ではなかろうか、こう思っております。今後とも我々としてもいろいろな検討をいたしたい、こういうふうに思っております。
玄葉委員 なかなか後ろ向きの発言が多いのですが。
 では、例えば個別利害の話は、これはあってはならない。これはこれでいいのですね。でも現実にはあるわけですよ、はっきり言って。もうあちこちに、すべての省庁と言ってもいいですね、率直に言って。あると思います。野党からも含めてあると思いますよ。みんなあるのですよ、これは。
 例えば外務大臣は、外務省において政治家と官僚が接触したらメモを残して、そして情報公開をすべきだ、こういうことを実は言っているわけですね。どうも予算委員会で小泉さんも、メモを残すなんということもちらちらと発言をされておられるようですが、個別利害を絶つために、これはどうしますか、具体的に。これはどの省庁だってあるのですから、やはり主体的に考えてください。
片山国務大臣 個別利害でいろいろ言われるのは、地域の代表という側面もありますから、私はやむを得ないと思いますが、そのことがその役所にとって必要な仕事ならやったらいいと私は思うのです。必要でないことなら、きちっと理由を挙げてお断りすればいいので、それはやはり役所の主体性によるのではないでしょうか。
 それから、メモをとるといって、全部メモをとるというのも、これは、メモをとる場合があってもいいし、口頭だけでお聞きしてそれを処理することがあってもいいし。これは外務省はどういうお考えか知りませんが、私どもの方では外務省の例も参考に今いろいろ検討いたしておりますけれども、いろいろな議員の方からいろいろなことを言ってこられたら、それはきちっと上に上げて、どういうふうに処理するかというのをはっきりと決めていったらいい、私はそういうふうに言っているわけでありまして、このことについても、なおいろいろな御意見をお聞きして検討してまいりたいと思っております。
玄葉委員 いや、モラルの問題で片づくのだったら、事は簡単です。率直に言ってモラルの問題を超えていると思うのですね。システムの問題になっているわけですよ。モラルは大事なことは当たり前です。だけれども、その問題ではもう片づかないという認識に我々は立っているし、いや、あくまでモラルなのだ、ただそれだけでいいというふうにお考えですか。
片山国務大臣 だから、今そのシステムについても、今のやり方がいいのか、どこを直すべきか、あるいはもっと抜本的に、与党との関係でどういうふうにすべきか、あるいは与野党を含めて、議員さん方とのおつき合い方をどうするのか、その点を各省で検討いたしておると思いますので、私どもの方も、国民の皆さんから見て納得のいくような形を考えたい、こういうふうには思っております。
玄葉委員 そうすると、いつまでに結論を出しますか。
片山国務大臣 これはいつまでと期限を切れるような、法案の提出ではありませんからあれでございますけれども、できるだけ早く、総務省としてはどうだということはまとめさせていただこう、こう思っております。
玄葉委員 この問題がいろいろなところで取りざたされるのは、先ほども申し上げましたけれども、結局、構造改革なくして景気回復なしとか、構造改革なくして改革なしとか、いろいろ言われているのですけれども、どうもその前に政治改革がないと構造改革ができないぞというのが、これは意外とみんな気がついているのですね。あるいは、構造改革の中に政治改革というのが含まれるぞということをみんな気がついているのですよ。
 だとしたら、これは悠長な話ではないのですよね。構造改革を今進めているわけでしょう。だから、それこそ一カ月後ぐらいには答えを出しますと。例えば川口さんなんかはすぐ改革案を出したわけですよ。並行して、やはり改革を競い合うぐらいのことが必要だと私は思いますよ。いかがですか。
片山国務大臣 総務省は政策評価の所管官庁でございますし、情報公開のまとめ役でもございますし、そういう観点もありますので、人事管理もやっているところでございますので、一カ月後になるかわかりませんが、できるだけ早くそういうことにさせていただきたい、皆さんとの相談もありますので。そういうふうに考えております。
玄葉委員 では次に、地方分権の議論、国と地方の関係の構造改革についてお尋ねをしたいというふうに思います。
 小泉さんになられて、地方にできることは地方に任せるというスローガンを言っていただいて、私は大変期待をしました。昨年、たしかこの場で、私は、もしそういうことをやってくれるのだったら頭を引っ張るということを申し上げて、具体的な提案もさせていただきましたけれども、その後、どういう進捗がなされているのでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
片山国務大臣 御質問いただきましたことはよく覚えておりますが、当時は地方分権推進委員会というのがありましたし、諸井さんが委員長の。それが七月二日に任期が切れまして、そこでその前に、六月十四日だと思いますけれども、地方分権推進委員会が閉幕する前に、最終報告を出すということで御意見をいただきました。自主財源を強化して、依存財源を削れ。具体的に言うと、税源を拡充して、それに見合う地方交付税や国庫支出金を落とせ、こういうのが中心でございましたけれども。
 そこで、我々はいろいろ考えまして、総理とも相談しまして、七月二日に地方分権推進委員会が終わるのなら、七月三日に、日を置かずに地方分権改革推進会議をつくろう、こういうことでつくらせていただきました。西室さんという東芝の会長さんが議長でございますけれども、そこで引き続いて地方分権の御検討を賜ろう。当面、地方分権推進会議がやっておりますことは、一昨年の四月から地方分権一括推進法が施行になりまして権限移譲や関与の縮小が行われたわけでありますけれども、その後のアフターケアをするとともに、さらなる権限移譲や関与の縮小をしよう、こういうことで、関係省庁や地方団体からの幅広いヒアリングをやっていただいておりまして、六月中には報告をまとめていただける、こういうことになっております。
 そしてその後は、税財源の配分のあり方等について、これは経済財政諮問会議等でも議論するわけでございますけれども、そういうところと連携をとりながら、税財源の配分のあり方について御検討を賜る、こういうことでございまして、そういうところの審議を中心にしながら、我々としてもいろいろなことを考えていきたい、こういうふうに思っております。
 そこで、税制改正につきまして、ことしは例年より早くこういう議論を始めよう、こういうことでございまして、これも経済財政諮問会議でも議論していく、こういうことでございますから、そういう中で、経済財政諮問会議の骨太の方針の中にうたわれました税源移譲、国から地方への税源移譲。この税源移譲という言葉が公のものに入って、閣議決定されたのは初めてなのですよ、我が国では。だから、税源移譲の具体化、道筋について、経済財政諮問会議でも大いに議論していただこう、こういうふうに思っております。
    〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
玄葉委員 いろいろ申し上げたいことはあるのですけれども、ちょっと確認をしたいと思います。
 今の税制改正を抜本的にやるのだ、経済財政諮問会議でも、あるいは政府税調でも、地方への税源移譲という問題をテーマとしてきちっと取り扱うというふうに理解してよろしいですか。
片山国務大臣 恐らくそういうことになると思いますが、私は経済財政諮問会議のメンバーですし、政府税調でも関係者でございますから、地方税、そういう意味では、はっきりとして、私自身もそういう提案、発言をしようと思っております。
玄葉委員 率直に言って、去年の議論から大分たっているのですけれども、まだ実現したことというのは、残念ながらほとんどないのですよね。結局、今おっしゃったように、また推進会議というのができて、私は、分権推進委員会の最終報告というのはかなりいいものだと思います。だけれども、また検討を加え、もちろん検討はしなければいけないのだけれども、検討、議論ばかりで少なくともここまで来たわけです。大事なことは実行ですから、実現することですから。残念ながら、今地方にできることは地方に任せると言っていて、まだ実現したことというのはないのですね。ここをどう考えるのか。
 例えば、我々は、昨年も申し上げたので繰り返しになりますからとうとうと述べることはいたしませんけれども、道筋まできちっと提言しているわけです、民主党は。分権推進委員会も言っているように、やはりまずは国の関与の厳しい補助金とか負担金に手をつけよう。我々は、幾つかにくくって自由に使えるお金として自治体に差し上げる、その中で少し削減することはあるかもしれない、そしてその後税源移譲をしよう、こんなふうに、そのときの国と地方の役割分担をそれぞれきめ細かく全部まとめてあるんですよ。ぜひ実現してください。いつも検討ばかりだ、議論ばかりだ。スローガンが泣きますから。どうですか。
    〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
片山国務大臣 そうはいいましても、地方分権で今一応権限の移譲あるいは事務配分、例えば機関委任事務を廃止しましたよね。国の関与は大幅に縮小しましたよ、一昨年の四月の分権一括法の施行で。それ以降何をやるかというのは、そう短兵急に、なかなか事は大きいと思いますよ。
 それから、税財源の配分でも、私は経済財政諮問会議その他で、今の六対四を五対五にしてくれ、そういうことを言いますと、国税から地方税に七兆から八兆動かさなきゃいかぬと、税を。それは、すぐ今のような経済状況、財政状況の中で直ちに実現するというのは、国の方ももうあっぷあっぷですよ、地方も大変ですけれども。だから、これはやはり議論を積み重ねて道筋をつけてからやっていく必要があるんじゃなかろうかと私は思っておりますし、小泉内閣になりましてから、今玄葉委員言われましたように、できるだけ地方が裁量できるような補助金の仕方に直そうというので、総合補助金制度、これが来年度予算で九千億になりました。これは箇所づけなんか全部地方にやってもらうんです。そういうものを次第にふやしていきたい、こういうふうに思っておりまして、着実にうまずたゆまず積み上げていって、地方分権なり税源の配分の見直しをやりたい、こう思っておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
玄葉委員 国から地方に七、八兆、税源移譲すると移っちゃうんだと。それはどのぐらいやるかによるんでしょうけれども。そしたら国もあっぷあっぷだ、地方もあっぷあっぷだなんて、総務大臣がおっしゃっていたらどうするんですか。率直に、歳入中立でこれはやればいいんだし、残ったお金で財政調整すればいいんで、それはもちろんトータルで考えなきゃいけないのは閣僚ですから当然ですけれども、総務大臣があっぷあっぷだなんて言っていたら、私、全然進まないと思いますよ。推進力になってもらわないと進まないですからね。
 それに、九千億の統合補助金というのは、前も申し上げたので余りくどくど申し上げたくないんですけれども、ほとんど意味がない、私から言わせれば。だって、箇所づけしないといったって、そもそもどういうものに統合補助金をつけるかということに対して箇所づけがあるわけですから。そうでしょう。自由に使えるお金なわけじゃないんですよ。
 だから私は、そんなのは正直、進展だと思わない。もっとドラスチックに、大胆に考えたらどうなんでしょうね。そのぐらいの問題だと私は思いますよ、この分権の問題というのは。多分、問題意識とか時代認識が違うのかなというふうに思っているんですが、いかがですか。
片山国務大臣 骨太の方針の中に税源移譲を書くということで、それは大変な激論を財務大臣その他ともやりまして、書かせたわけであります。そういう意味では、私はもともとそういう論者ですし、今もこういう立場ですから、地方分権を進めることがこの国のためにも大変いいことだ、こういうふうに思っておりまして、今後ともそれは力いっぱいやっていきたい、こういうふうに思っております。
 ただ、私が今言っているのは、大きなことをやるにはやはりそれだけの準備や議論の積み重ねが要るということを言っているわけでありまして、小泉内閣になってまだ十カ月ですからね。十カ月もたったじゃないかという議論はあるんですけれども、まだ十カ月ですから。これだけの大きな問題が直ちに右から左というようなことにはなかなかならないんではないか、こういうふうに私は思っておりますが、やらないということじゃないんです。積み重ねていく、着実に進めていく、こういうことでございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
 まあ、自由なお金といいますと、これは一般財源になるんですよ、交付税に。だから、交付税と国庫支出金ではおのずから役割が違うので、一括交付金というのが私は第二交付税的なものではないかという感じを持っておりますので、そういうことなら交付税を拡充すればいいわけで、その辺は、なお我々としても研究させていただきたいと思っております。
玄葉委員 着実に積み上げると言うんですけれども、だったらタイムスケジュールを示してくださいよ、もうそろそろ。大体いつごろまでにこういうことをやりたいんだと具体的にタイムスケジュールを示してくださいよ。手順、方法、どういうことを最終目標にするんだ。我々はもう示していますけれども。だって小泉内閣になってからももう十カ月でしょう。少なくともスケジュールは示してくださいよ。どうですか。
片山国務大臣 今、私、手元にありませんが、改革工程表の中に今のようなこともいろいろスケジュール的には示しておりますが、ただ、玄葉委員お考えのように、何年何月でどうだ、こういうことまでは、それは書かれておりません。だから我々は、何度もこの総務委員会でもお答えしましたように、景気の動向あるいはいろいろな今の構造改革の進展の状況を見ながらできるだけ早く、こういうふうにお答えしたと思いますけれども、基本的には、我々の目途というのか、それはそういうふうに考えております。
玄葉委員 これは本当に政権交代がないとできないなというのが率直な感想なんですけれども、いずれにしても、税制の抜本改革で実現してくださいよ、地方への税源移譲を。これは一つの修羅場というか正念場だと思いますので、ぜひ実現をしてほしいというふうに思っています。
 市町村合併の話とか減額補正の話で、いろいろ地方自治体は不満に思っていたり不安になったりしているんですけれども、合併にしても減額補正にしても方向性がそれぞれ正しくても、全体のパッケージとして、つまり分権全体のパッケージとして進んでいないから不安や不満になるんですよね。多分それは同意されると思うんです。全体のパッケージで進んでいるというのがみんなが納得すれば、なるほどというところはあるわけですよ。方法、手順が明らかになって、いいですよ、何月までいかなくたって大体こういうスケジュールで進みますというのがわかれば、そんなに不安や不満は、まあある程度は起きますけれども、今ほど起こらない。正直、このレベルで起きているわけですよ、減額補正なんかも、大変な不安あるいは不満が。どうですか。
片山国務大臣 地方行財政改革全体をパッケージとしてと、こういうことは、なるほどその点の目標や期限は示していないかもしれませんが、例えば市町村合併は、合併特例法が平成十七年の三月末で切れますから、平成十七年の三月末を目標にする。それから、今言われた減額補正というのは恐らく段階補正の見直しのことだと思いますけれども、段階補正は、十四年度から三カ年で一六、七%のカットをする。これは、これも釈迦に説法でしょうけれども、今の段階補正の状況を調査しまして、一六、七%は過大とは言いませんけれども、実態よりはやや離れている、こういう感覚を持ってそれを三カ年で落としていく、こういうことでございまして、一応のそれぞれの目標は示しておりますけれども、玄葉委員言われるように、全体のパッケージというのは一つのお考えでございますから、我々としても検討させていただきます。
玄葉委員 合併も段階補正も、結局、財源の移譲スケジュールとか、あるいは歳出の義務づけをなくしていくとかということなしに進んでいるからやはり不安になっている、あるいは不満が出るということだと思います。
 ところで、地財対策はどうされたんでしょう。つまり、去年片山大臣がこの場で、ここに議事録もありますけれども、御自分で提案なされた、通常収支の不足はこれから交付税特会から借り入れないんだ、もうこれからは一般会計から借り入れた方がはっきりすると、みずから去年おっしゃったわけです。今回、ある意味ではその約束というか決め事がほごにされたのは事実としてあると思いますが、それはそのとおりですか。
片山国務大臣 昨年の総務委員会でも、二カ年で交付税特会の借り入れ方式はやめて、国は一般会計加算、地方は特例財政対策債、赤字地方債ですけれども、この方式でやると申し上げました。そこで、二分の一は十三年度にやりまして、来年度、二分の二やろう、全部をやろう、こう思いましたら、我々が思ったより財源不足額が大幅になったんです。地方税収が落ちる、国税収入がさらに落ちる。そうすると、国税収入が落ちるということは地方交付税が落ちるということでございまして、我々が思ったよりはるかに財源不足額が大きくなりましたので、これをこのまま一般会計加算と赤字地方債でやりますと、十三年度の三倍になるんですよ。国の方は、三十兆円という枠もありまして、なかなか全部をやるというのは大変だ。地方の方も、赤字地方債を一挙に十三年度から十四年度にかけて三倍にするというのは各地方団体も大変なことになる。こう思いまして、結局、四分の四やるべきところを四分の三特会借り入れを解消して、四分の一だけ残したわけです、二兆円ほど。
 できれば平成十五年度には、本来十四年度でやるというものを、一年、四分の一は延ばしますけれども、再来年度には特会借り入れ方式は全部なくしたい、こういうふうに今考えております。
玄葉委員 ただ率直に言って、見通しが甘かったということですね。それと、事実、三十兆円のつじつま合わせというのも、今おっしゃっていましたけれども、率直に言って、これは認めざるを得ないな、そういうことですね。そこは確認したいと思います。
片山国務大臣 正直言いまして、来年度の景気がゼロ、ゼロですよね、御承知のように。ゼロになるとは我々は考えておりませんでした。その辺は見通しがやや間違っていたのではないかという批判は甘んじて受けないといかぬと思いますが、景気の状況、税収の見込みが、我々が十三年度の予算編成の段階で想定したよりは変わってきたということが一つあると思いますし、今の三十兆円の話も、あの段階では、あれは宮澤大蔵大臣と私がまだ自治大臣のときに話したことでございますので、背景にはそういうこともあったと思います。
玄葉委員 個人的には、それでも一般会計から繰り入れて透明性を高めた方がよかったんじゃないかというふうに、私なんかは思いますけれどもね。この問題はこれで終わります。
 次に、放送行政の話でございます。国会テレビの問題も関連をします。
 最近、アルビン・トフラーの「パワーシフト」という本を読んでいましたらば、こういう一節が出てまいりました。新しい経済の本質が知識だとすれば、表現の自由という民主主義の理想が、末梢的問題ではなく、政治の最優先事項になるということである、その上で、貧富にかかわらずすべての市民に広範なメディアへのアクセスを保障すること、これを主要目標としなければならないということを一九九〇年に彼は書いているわけであります。
 私はそのとおりだというふうに思っていますが、片山大臣は、放送行政なるものの目的というものをどういうふうにお考えになっておられるか、また、今トフラーの一節を引用いたしましたけれども、この言葉をどういうふうにお考えになられるか、お尋ねをしたいと思います。
片山国務大臣 私どもの方で放送法を所管いたしておりますけれども、放送法の目的は、法律にも定められておりますように、三つの原則に従って、放送を公共の福祉に適合するように規律して、その健全な発展を図ることであると。その三つの原則というのは、一つは、放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障するということ。二つ目が、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。三つ目が、放送にかかわる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発展に資するようにすること。こういうふうに書かれておりまして、今、アルビン・トフラーさんですか、お話がございましたが、基本的には私は同じ方向ではないかと考えております。
玄葉委員 そういうことだろうというふうに思います。つまり、できるだけ安いコストで、できるだけ多くの国民が、できるだけ多くの多彩なメディアにアクセスできることを保障してあげるというのがいわば放送行政の目的だろうというふうに思うんです。
 では、どういう手段でそれを実現するかということでありますが、それは幾つかの手段がありますけれども、例えば、一つはインターネットであったり、あるいは、地上波は当然でありますけれども、BS放送であったり、CS放送であったりということだろうというふうに思います。
 そこで、きょうはさわりだけを質問したいと思いますけれども、私が危惧しているのは、CS放送の現状を心配しています。CSの現状というのは、ちなみにどういうふうに理解されておられますか。
佐田副大臣 今玄葉委員、大変危惧されているということでありますけれども、CSというのはいわゆる通信関係の衛星放送でありますけれども、有料専門放送といたしまして、視聴者のさまざまなニーズにこたえる専門的な多様な番組がここで提供されておるわけであります。
 このために、平成元年に、放送法改正によりまして、委託、受託放送制度を導入いたしまして、CS放送に多数の委託放送事業者が参入することを可能にしたわけでありまして、現在は、CS放送全体における委託放送事業者の数は何と百三十二社、こんなふうな状況であります。
 さらに、近年の通信と放送の伝送路の融合の進展に対応いたしまして、これは要するに放送と通信の融合ということでありますけれども、CS放送等における規制緩和を行うということを目的とした新法である電気通信役務利用放送法を本年一月から施行したところでありまして、総務省としても、CS放送の健全な発展、育成に尽力をさせていただいているという現状であります。
 また、先ほど玄葉委員の方から大変御心配がありましたけれども、確かにジェイサットなんかは、百二十四度と百二十八度、これを利用してやっておるわけでありますけれども、前にはスーパーバードCというのがありまして、これもありましたけれども、いろいろな経費の問題等ありまして、今のところ百二十四と百二十八度でCSにつきましてはやっておりまして、プラットホーム事業につきましても、これは前はJスカイBというのとディレクTV、そしてスカイパーフェクTVがありましたけれども、最終的にはJスカイBがスカイパーフェクTVと一緒になりまして、スカイパーフェクTVが今行っている。そしてまた、スーパーバードCにつきましては、いろいろ有線放送であるとかこういうものを今行っている。これが現状であります。
玄葉委員 いろいろ議論に入る前に、もう一度ちょっと確認しておきたいんですけれども、結局、国民にできるだけ広範な、多彩な情報を、あるいは多彩なメディアへのアクセスを保障してあげるというのが放送行政の目的でありますから、CSがある意味では健全に発展して、できるだけ多チャンネル化して、できるだけメディアへ国民がアクセスする、これが望ましい姿だというふうに総務省としてはお考えになっておられるかどうか、確認したいと思います。
佐田副大臣 それは、もちろんいろいろなメディアによって放送事業が進んでいくということは、非常に重要なことだと思っています。
 CSにつきましても、今申し上げましたとおり、かなりなチャンネルができてきたと同時に、BSの方におきましても、これは百十度、そして最近はまた、委員にはもう釈迦に説法でありますけれども、アンテナの方向ということがありますから、そういうことを考えますと、百十度に今度はCS放送も入れる、こういうふうなことが行われておるわけであります。
 そしてまた、これも言うまでもありませんけれども、地上デジタルも進んでおる。こういうことを考えますと、これからはいろいろな意味でインタラクティブな放送と通信の融合に向けてのいろいろなメディアが花開くんではないか、こういうふうに思っております。
玄葉委員 そこで、CSに戻りますけれども、別に私、どことも何の利害関係もないということをあらかじめ申し上げて質問したいと思うんです。一切の利害関係ありませんから。私は、ただ現状を心配して質問をさせていただくわけですけれども。
 先ほど佐田副大臣から話のあった現状ですけれども、いわば委託放送事業者、これは、この問題に関心のない人はわかりにくい話ですけれども、要は、CSの番組制作会社、これが百三十社ぐらいありますよということですね。その番組の制作会社が、顧客管理とか課金業務とか料金収納のために、いわばプラットホームというのがそのためにありますよ。これが、現時点ではスカパー、これからプラスワンが入りますけれども、現時点ではスカパーだけだ、こういうことですね。
 衛星は、先ほどお話ありましたけれども、現時点ではジェイサット。宇宙通信が入っていますが、両方、いずれにしても衛星にはジェイサットが入っちゃっている。私は残念ながらだと思いますけれども、そういうことだ。
 もう一回ちょっと繰り返しますけれども、要は、CSの番組制作会社はどうも、これは確認したいんですけれども、九割近くという人もいますけれども、かなり赤字になっている。CSの番組制作会社はどうも九割が赤字になっている。一方、そのCSの番組制作会社が衛星のトランスポンダー、さっき申し上げたジェイサットに、要は衛星使用料を支払わなきゃいけない立場にあるわけですけれども、その衛星使用料を支払っていただいているジェイサットは大変な黒字だ。これは程度問題あるでしょうけれども、百億近い経常黒字を出している。そして、一株当たり五千円の配当をしている。こういうふうに現状、聞いていますけれども、それはそれでよろしいですか。
佐田副大臣 委託事業者につきましては、九割というんではなくて、平成十二年の時点で九十三社の中の三十二社が黒字ということになっておるわけでありまして、先生も御存じのとおり、かなり厳しい経営状況が続いているということは事実であります。
 ただ、ジェイサットの方につきましては、これは非常に打ち上げに経費もかかることでもありまして、これからどういうふうな状況になっていくかわからないということと、今のところプラットホームが一つに集約して、またこのジェイサットの方も単独ではありますけれども、そういういろいろな状況がありまして、その中で民間の経営内容でありますので、その点につきましては、とにかく料金につきまして指導はできますけれども、それはやはりその会社の経営方針でありますから、その辺のことは御理解いただきたいと思います。
玄葉委員 この点はいかがですか。
 本当に残念ながらだと思うんだけれども、衛星のトランスポンダー、受託放送事業者が事実上独占状態になっちゃっている、事実上。私、残念なことだと思っているんですが、この点について問題意識ありますか。
佐田副大臣 ですから、今も申し上げましたけれども、確かに百二十四、百二十八のJCSATにつきましては、これは単独でありますから、それはいろいろの今までの経緯、また、それは打ち上げの経費も莫大でありますから、二百億から三百億の間でありますから。そういうことを民間が出資をしながらやっておるという状況の中で、健全であるならば、ほかのところもやらなくちゃいけませんけれども、先生も御存じのとおり、要するに一つの軌道に一つしか打ち上げられませんから、そうなりますと、百十の方の今度のCSということも考えられますけれども、これはやはりアンテナの方向ということもありますから、確かにそういう観点からすると、これはちょっと競争をもう少し促進すべきではないかなという観点はあると思います。
玄葉委員 個別の問題、少し聞いておきたいと思いますけれども、国会テレビが、電波がとまっている、放送が停止している、あるいは中止しているという表現が適切なのかよくわかりませんが、そういう状態だということでございます。
 これについては、総務省としてはどういうふうにお考えになっておられますか。どういうふうにとらえておられますか。
佐田副大臣 先生、それはC―NETの話でしょうか。(玄葉委員「C―NETですね、国会テレビ」と呼ぶ)
 御指摘のC―NET、国会テレビにつきましては、御存じのとおりでありますけれども、契約上は同社がジェイサット株式会社に対しまして支払うべき、先ほども申し上げましたような使用料金、これを滞納したものですから、ジェイサット株式会社においては、契約に基づきまして衛星中継器を使用させるサービスの提供をとめまして、契約を解除したものと私は聞いております。
 ただ、実は先生、これは月末にこの料金を払って、払わない場合はその次のときからこれをとめるわけでありますけれども、はっきり申し上げまして随分滞納しておりまして、十三年の四月分より滞納しておりまして、停止したのが、十二月の八日にとめたということでありますので、これは御理解いただきたいと思います。
玄葉委員 この問題、幾つかに整理できるとは思うんですが、一つは、いろいろ聞きますと、きょうは余りぐうっとは入っていきませんけれども、どうも返済協議中に電波をとめたということのようだと聞いております。総務省も、もちろんそれはあずかり知らぬところではなくて、関係者の方は知っておられるという中で、返済協議中に電波をとめるというのは、いいんですかね。
佐田副大臣 その辺の細かい事情につきましてはこれからよく精査させていただきますけれども、契約上は基本的に、一カ月でも滞納した場合にはその次の月の初日からこれはとめるという話になっているものですから、その中でいろいろな協議が行われたと推察しております。
 その点につきましては、先生、無責任なことは申し上げられませんので、しっかりよく調べさせていただきたい、かように思っております。
玄葉委員 先ほど佐田副大臣が、料金については指導はできるという話がございました。CSの番組制作会社が非常に厳しい、ジェイサットは黒字だと。ただ、副大臣いわく、いや、そうはいったって、ジェイサットだって初期投資が大変だから厳しいんだ、こういう認識だと。私は必ずしもそうは思わないんですが、だとしたらそこはよく調べますけれども、そういう状況がある。どんどん何かCSのいわゆる公共的な番組というのが撤退しているというんですね、福祉放送みたいな。そういう現状がどうもありますね。
 例えばアメリカなんかでは、衛星を打ち上げたらば、例えば数%は公共的な放送に活用するんだということを決めている。ベーシックパックなんといって、ばら売りじゃなくて、できるだけ公共的な放送はパックにしてあげて、結果としてアメリカのC―SPANは全家庭の七割ですからね、普及しているの。うちはもう今ゼロですよ、結果として。放送を流されていないわけですから。アメリカの場合は七割。こういうことをどうしてできないのか。
 つまり、さっき料金は指導できるんだと。料金は指導できる立場にある総務省は、もちろんこのいろいろな経緯を知らなかったはずはないわけですけれども、どうしてできないんですか、そういう指導が。
佐田副大臣 要するに、ちょっと詳しく申し上げますと、受託放送事業者の衛星使用料は放送法において届け出制とされておりまして、受託放送事業者は、届け出を行った料金に従って役務の提供を行うこととされておる。
 そういうことでありますから、先ほど私は衛星を打ち上げるのにも相当の費用がかかるというふうに申し上げましたけれども、そういう一つの経営方針であると同時に、やはりこれは非常に公的な部分もありますから、そういう意味においては、勝手に決めるんじゃなくて、適正な価格というものがあるわけでありますから、これは届け出ということで役務を提供されるわけでありますから。その辺の指導ができるということを申し上げたわけであります。
玄葉委員 そうするとあれですか、例えば国会テレビについてもそうなんですけれども、まさに届け出制になっていて、基本的に衛星使用料についての料金については指導できると繰り返しおっしゃっているわけですけれども、そうすると、今は極めて適正な、適切な価格なんだ、こういう理解をしているということですか。
佐田副大臣 ある程度私はそれは適切であろう、こういうふうに思っております。
玄葉委員 もう一つだけ聞きたいので、島先生のお時間をいただいて少し聞きますけれども。
 そうすると、今の衛星使用料は適切だと。一方で、放送行政の目的というのがまずあるわけですね。CS放送なんかも健全に育成するんだというのもある意味では含まれている。できるだけ安いコストで、できるだけ多くの国民に対して、メディアへのアクセスを保障してあげるという放送行政の目的があって、恐らくその次で少し認識が違っているのかもしれませんけれども、番組制作会社がどうも物すごく厳しい、ここはまあ一緒だ。だけれども、衛星のトランスポンダーは私はそんなに厳しくないなと、現状は。どうも佐田副大臣はそこも厳しいんだという認識なのか、そこで違ってくるのかわかりませんけれども。
 私は、単純に考えて、どうも本当に料金適切なのかなと率直に思うのが一つと。もう一つは、これは民間の話と言われれば民間の話の側面もゼロじゃないんだけれども、さっきの放送法の目的に照らすと、そういうベーシックパックのようなパック制でやったらいいんじゃないのということを、むしろ総務省、言ってあげたって構わないんじゃないかなと思うんですけれども、いかがですか。
佐田副大臣 今言われた、それが適正かどうかという御質問だろうと思うんですけれども、それと同時に、私が今申し上げたのは、適正であるんだろうと私は思います。というのを申し上げるのは、今も申し上げましたように、これはきちっと料金につきましても届け出をしてやっておるわけでありますから、余り法外なものになれば、それは指導を受けるわけでありまして、そういうことを考えますと、後の、今玄葉委員が言われたように、相当の黒字があるとかそういうふうなお話につきましては、これはよく精査をいたしまして、余り極端であるならば、これは指導しなくちゃいけない、こういうふうに認識しております。
玄葉委員 ベーシックパックの方はどうですか。ベーシックパックの方は。
佐田副大臣 パック制につきましては、これは我々総務省の方で決めるということじゃなくて、委託事業者の方の方々が共同で決めていくということと認識しております。
玄葉委員 最初の問題についてはよく精査するということでございますので、私一度精査してもらいたいなと思うのです。まさに届け出制になっているんですね。そのときに、どうも適切じゃなかったのかもしれないし、ぜひこの点を精査してもらいたい。
 あと、パックの話は、これはおっしゃるように、民間の話でも一部あるんです、事実。だけれども、さっき例えばアメリカの例なんていうのも申し上げましたね。そう考えたときに、あるいは放送行政の目的ということを考えたときに、ある程度サジェスチョンすることは決していけないことではないと思うのですね。そういう意味で、ぜひこのことも検討していただけますか、最後に。
佐田副大臣 料金につきましては、今玄葉委員の言われたように、今のジェイサットの経営内容、これをよく精査してみたい、かように思っています。また、パック制につきましても、検討はさせていただきます。
玄葉委員 では、時間をオーバーして済みませんでした。ありがとうございました。
平林委員長 次に、島聡君。
島委員 民主党の島聡でございます。
 ネクストキャビネットのITを担当させてもらいます副大臣でございまして、佐田さんが多分私のパートナーということになります。ネクストキャビネットというのはイギリスのシャドーキャビネットと同じですが、影のように寄り添って、佐田さんの発言を一つ一つ見ていくというのが私の仕事でございますので、きょうもそういう観点で、最初にそこから始まります。
 迷惑メールの話を最初に言っていましたけれども、それは後にして、ちょっとこれは片山総務大臣にもお願いしておりましたんですが、ことし一月、首相が郵政の民営化を指示して、中央省庁改革基本法等の三十三条一項六号というのを削除しろ、そういう発言をした、それは十二月でした、失礼しました。
 それで、この内容については、我が党も今読んでみて検討しておるところでありますが、これは憲法六十六条による内閣総理大臣、「首長たる内閣総理大臣」が、憲法七十二条、「行政各部を指揮監督する。」というものに基づいて、行政改革に対して、つまり総務大臣に対して指揮をしたというふうに私はとらえていますし、そうだと思います。
 十二月にそういう指示があった。うちのネクストキャビネットだったら、ネクストの総理である鳩山総理が指示したら、すぐ対応しますよ、これは。玄葉大臣はすぐ対応します。そういうものなんです。
 ところが、憲法にきちんと規定されている総務省が何やったんですかと聞いたら、どうやってやったか、きちんと文書で、今まで二カ月もたっているんだから、特にITなんてスピードの時代なんだからきちんとやれということでやった。そうしたら、何か記者会見で一枚ペーパーが出てきたんですよ。一枚ペーパーが。
 「総理はもう一つ、行革基本法の中にある「民営化等の見直しを行わないものとする」という条文の「行わないものとする」ということの改正ができないだろうかということですが、総理には、あれは確認規程ですよ、法的な実質上の効果はないんですよ、とこう申し上げたのですが、自由に議論をするためには、「行わないものとする」という文言がないほうがいいのではなかろうか、とこういうお話がありましたので検討しましょうと申し上げておきました。」十二月十四日。
 二カ月。今何をやっているんだと言ったら、一行ですよ。「以下のやりとりを踏まえ、検討中。」これはふざけていると私は思っております。総務大臣、どういう指揮をして、総務省もあれですか、外務省みたいに総務大臣と総務省がうまくいっていなくて、指揮しても動かないんですか。どうですか。
片山国務大臣 今お話しのように、昨年の十二月十四日に、いろいろ公社化研究会の中間答申をまとめる段階で、総理から話を聞きたいというあれがありまして、総理と話しました。
 その中で総理が、今のお話の三十三条一項六号のこの削除はどうだろうか、こういうお話がありましたので、今読み上げられたことを記者会見でそう申し上げたのですけれども、あれは確認的効果の規定なんで、公社にするから民営化の見直しは行わない、法律ではこう読むんです、だから、特に法制的な法律上の効果をもたらすものではない、確認規定なんだから。あってもなくても同じですよ、簡単に言うと、そういうことを申し上げたんです。そうしたら、いや、まあ自由に議論するには、自分はない方がいいと思うけれどもと言うから、しかし、記者会見では言いませんでしたけれども、相当な経緯があってできたようなことを聞いていますので、これは、削除というのは、いろいろな意見があって簡単にいきませんよ、こう申し上げたら、よくわかっていますと総理は。だけどお願いしますという話でしたから、検討します、こういうふうに言って帰りました。
 それで、まず私は、法制局に意味を聞く、経緯を調べる、それから、それぞれのところに、仮にこれを削除する場合にはどう、こういうことの指示をいたしまして、報告は聞いておりますけれども、それよりも何よりも本体の公社化法案をまとめなければいけませんから、今その方に全精力を傾けているわけでございまして、検討は何にもしていないわけじゃありませんで、私どもの方は検討いたしております。
島委員 総理から指示があって、検討して、それを総理に伝えられましたか。
片山国務大臣 総理からもお話がございませんし、私の方から特にこのことだけでは申し上げておりませんが、万般の進行については申し上げております。
島委員 そういうふうにしろと言って、本題へ返ったら、普通は報告しないのを一般企業ではサボタージュというんですけれども、サボタージュしたという認識はありませんか。
片山国務大臣 いやいや、それはサボタージュじゃ、全く考えておりませんで、詳細、緻密に検討いたしておるわけでありますから、いずれしかるべきときに総理には御報告いたします。
島委員 近いうちに総理に報告してください。私、郵政民営化研究会という総理を座長とした超党派の研究会のメンバーですから、総理に即伝えておきますから、すぐ報告があるという話があったことは伝えておきますので、よろしく、きちんと伝えて、また議論をしていきたいと思います。
 次、佐田さんですよ。
 佐田さんが、同じことで、これは一月十七日の副大臣会見メモというものなんですよね。質疑応答、佐田副大臣にクエスチョン。きょうの部会で、党の方からは中央省庁等改革基本法三十三条の削除の問題について認められないということだったようですけれども、これについて副大臣のお考えは。認められないというお話がありましたし、去年の暮れに大臣が、総理からこういうことがあったらいろいろな議論ができないんじゃないのという話がありましたけれども、大臣の方からは、そんなことはないですし、また法改正するということがあれば非常に抵抗がありますよと。それはそうでしょう、いろいろな政治判断でやったんでしょうから。でも、政治判断でやったことを総理が政治判断で検討しろという、これは大きな話なんです。
 それで、次です。という話は聞いております。したがって、その三十三条の話につきましては、話が出れば議論をすることはやぶさかではないということです。ただ、そういう話ですから、それはそこで切るということです、基本的にはね。ということは、副大臣としては、これは総理から指示があったって副大臣の権限の方が偉いわけですね、ここで切るというふうに答えられたわけですから。
佐田副大臣 ちょっとそれは委員、大変申しわけないんだけれども、ちょっと誤解があるんですよ。
 私、後で新聞記者の方にも申し上げたんですけれども、最初の、前段の方は、我が党の部会の中で、そんなのけしからぬという話が出たことは事実であります。
 それと、後の方につきましては、検討しますということを大臣が言われたということは、これは本当は、公的に言っていたわけじゃなくて、聞こえてきちゃったんですね、これ、新聞記者を通して。何も大臣が大っぴらに言ったわけじゃなくて、それが聞こえてきてしまったんですよ。そういう中において、そういう話があったと。私は、だから新聞記者にそれで終わりですと言ったんじゃないんです。要するに、その話はそこで、そういうふうに話が終わっていますということを言っただけであって、話自体が終わった、話自体もうこれで終わりなんだ、こういうふうに言ったことを誤解しているんですね。
 大臣が言ったことをそのまま私は申し上げただけなんです。要するに、大臣が、今言われたとおりでありますけれども、最後は、検討します、こう言われたでしょう、最後の話、三十三条六号につきましては検討するということですね。だから、話はそこで終わっていますよ、その話はそこで終わっています、そういうふうに私が会見で申し上げた、こういうことです。
島委員 大臣は検討させていますと言っていますから、違うじゃないですか、それは。大臣は検討させると言っているんでしょう。それで終わりという話じゃないでしょう。
佐田副大臣 私は大臣の意見を遮っていることは一つもしていませんし、ですから、大臣の言われたことをそのまま、聞こえたことを申し上げただけなんです。それでもう終わりですよなんて言っていないんですよ、私はそこで。だから、それはクレームを入れました。
 要するに、大臣が言われたことを、検討しますと最後に言われましたよね、検討すると。そこまでの話が出ていますということを申し上げただけなんです。その後で、それは話が終わりだと解釈した新聞記者がいたものですから、それはそうじゃないんですよ、こういうふうに申し上げたんです。
島委員 これは総務省からもらった資料なんだけどね。
佐田副大臣 だから、そうじゃなくて、私の言い方が悪かったんですよ。言い方が悪かった。ただ、マスコミの、必ず毎週するんですけれども、その中で私の最後の表現がちょっと悪かっただけなんです。だから、それは新聞記者に言いました。話が全部それで終わりだよ、こういうんじゃなくて、大臣のお話はそこで、私が聞いているのはそこですべてですよ、こういう意味で申し上げたんです。
島委員 佐田先生も興奮されると時たま間違えられる、そういう話なんでしょうが、これはもう少しきちんとやっていきますから、今のことも含めまして。
 というのは、大体、総理が行政指揮監督権があるわけだから。大臣と副大臣が違ったことを言っていて、普通だったら、党の部会に対して、行って、きちんと総務省はこういう方針なんだからとそれを伝えて、総理の方針をきちんと説得するのが仕事ですよ、一般的に言えば。任命権者は、特に大臣の任命権者は総理だし。それがどうもおかしくなっている。今おっしゃったのは、何か誤解があるとかなんとかだから、それならもうちょっと、誤解かどうかきちんと調べてからもう一回やりましょう、これは。ただ、言い方が悪かったと認めたんだから、本当に言い方が悪かったかどうかも含めてきちんとこれはやっていきます。
 さて、若松先生。迷惑メール法案の話をしていきますけれども、これも新聞の報道でまず見ました。迷惑メール法案、今、御存じのように、大体、きちんとした数字かどうか知りませんが、九億通出されて八億通ぐらいがいわゆるあて先不明で戻ってくるというのがずっと続いていると思います。
 我々はいち早く、昨年、迷惑メール法案を出しました。なぜかといったら、スピードが必要だと思ったからであります。スピードが必要だと思ったから出したわけでありますが、何か、経済産業省がうちへ説明に来ました、こういう法案を出しますと。そのときに一点、まず聞きました。これは総務省と調整は終わっているのという話はまず聞きました。それで向こうの答えは、もちろん閣議で出すんですから、総務省と調整は必要ですと。それはそうだわなと。今、事務次官会議を通らなかったら通らぬような体制だからねという話をしました。
 それならそれで、国民のためを考えたら、別にうちも、私どもが議員立法を出しているからといっても、そちらが出てきたら一緒に審議するのはやぶさかでないよという話はその時点でしました。そうしたら、どうだ。何か経済産業省が出したら、総務省の副大臣である若松さんが、どうもこれは、そもそも所管が総務省なので、何で経済産業省が出してくるんだみたいな発言をしたとある。
 もともと若松さんというのは、行政改革のことを私と一緒にやっていましたよね。こういう縦割りというのは絶対だめだ、やらなくちゃいけないということを話し合って一生懸命やっていた。宿舎も隣同士だった。そういうことでやっていたのに、私はそれを聞いてびっくりした。どういう真意でこれは言われたんですか、若松さん。短くやってください、話の長いことはよく知っていますから。
若松副大臣 今の島委員の御質問の半分ぐらいの答弁でさせていただきたいと思いますが、率直に申し上げまして、島委員が、まず、私の宿舎の隣にいなくなったこと、大変寂しく思っております。
 そういうことで、最近意見の交流が少なくなっているわけでありますが、御存じのように、この迷惑メールについても、私どもはやはり、私が副大臣の任命の前に、一議員として、これは何とかしなくちゃいけない、こういうことで、いわゆる与党として、やはりこれは議員立法が必要ではないか。
 と申しますのも、御存じのように迷惑メールというのはいろいろな省庁に関係する、いわゆる共管ということになりますと、やはり議員立法というものが非常に効果的である、そういう認識もありまして、私も、十二月には議員立法のいわゆる関係者としてやっておりました。
 そういった流れから、総務副大臣の任命を受けまして、さあ、仕事をしようと思ったやさきに、実は新聞で、経済産業省が省令を出したと。
 こういうことで、私どもには正直言って経過報告が経済産業省からございませんでした。ですから、新聞報道だけで、私は、もし省令という形で、それがどういったものなのかというのは説明をいただいておりませんから。ただ、省令にもいろいろな内容がありまして、一般的に省令というのはいわゆる法律の体系の一部になるわけでありますが、ただ、省令の出し方によっても、本当にそれが行政指導なのか法律の範囲なのかというのは非常に微妙なところもある、そういったところをやはり私は問題意識として感じまして発言した次第であります。
島委員 片山総務大臣、この問題につきまして私も記者会見メモをいただきました、総務大臣の。
 二月五日の記者会見で、迷惑メール規制は一つの省を超える、だから議員立法の方が望ましいというようなことをおっしゃっている。これは非常に不思議な感じを私は持ったのですよ。
 法律的にいけば、内閣法七条というのがありまして、主任の大臣の間における権限についての疑義は、内閣総理大臣が閣議にかけて、これを裁定するのですよ。総務大臣が、議員立法の方が望ましい、これは一体どういう真意で言われたのか。片山さんなら内閣法を知らないわけもないですし、ひょっとしたら、どこかの新聞にあるように、どうも総務省が、新聞の報道ですよ、総務省が参議院の自民党に裏から働きかけて出させようとしているという報道がありました。
 片山さんのような方が内閣法を知らないわけもないし、議員立法の方が望ましいという、いわゆる立法に関することに対して行政の人が言うというのもいかがなものかとも思うし、どういう真意で言われたのか、お答え願いたい。
片山国務大臣 参議院の自民党の政策審議会でいろいろ議論が出て、議員立法でやりたいという話は私は聞いております。
 そこで、迷惑メールの規制は総務省としても考えなければいかぬという意見が省内にありました。そこで、私は参議院の政審、自民党政審でそういうことをやっているということを知っておりましたから、これは恐らく迷惑メールの規制をやるとすれば総務省が主だった役所ですけれども、経済産業省その他もいろいろな事業官庁が関係があるので、だから、それは議員立法でやってもらった方がいいのではないか、私は総務省の関係の職員にもそう申し上げまして、参議院の政審でまとめるものを待ったわけであります。私がたきつけたわけではありませんよ。参議院政審そのものが、自民党政審そのものがやりたいという話が前からありまして、参議院の自民党では議員立法推進委員会というものをつくっているのです。私もかつて大分前にそれをやったことがあるのですけれども。
 我々は立法府ですから、立法府が議員立法をやるというのは正しいことなので、しかも各省にまたがるようなことはやはり議員立法の方が適当ではないか。総務省自身も出したがっておったものを、私は、それはちょっと待て、議員立法の方でやろうと。こうやっておりましたら、経済産業省も、特定商取引何とか広告法ですか、何かを出す、こういうことになったので、それは議員立法でやってもらった方がベターではないかということを私は記者会見で申し上げたわけであります。
島委員 うちも同じ議員立法を出しているのですけれども、何かつるしっ放しになってあるわけでして。総務大臣が議員立法でいいと言うのなら、それは議員立法の方がいいでしょう。自民党の、どういうふうに意思決定されるのか私は知らないけれども、ぜひ理事さん、総務大臣が言っているのですから、ここでやりましょうよ、議員立法で。そう思うのですよ。それをぜひ、理事会で当然正式にうちは提案すると思いますが、総務大臣も議員立法でいいと言っているのだから、やりましょう。それが当然ですよということです。
 ぜひ委員長に、理事会できちんとうちも提案しますから、図っていただくように、一層の促進を図っていただくようにお願いします。(発言する者あり)大いにやりましょうと言っていますから。
平林委員長 後刻、理事会において協議をいたします。
島委員 はい、ありがとうございます。至急やりましょう、これ。遅くなるといけないから。そういうことです。
 次へ行きます。では今度は政策の話をしますから、お願いします。
 総務大臣が所信関係で、いわゆる全国で二千ぐらいの市町村が合併の方向に検討しているというような話をされました。実は私もずっとこの市町村の再編、合併問題については取り組ませていただいております。今三千二百数ある市町村を幾つかの形にある意味で再編をしていくということは極めて重要な話になっていくと思っています。私も、自分の地元でありますところが今ちょうど市町村合併の住民発議運動を四月二十日から起こそうとしているところであります。一緒になると、五つの市だと人口四十六万ぐらいになるのですが、そこでやっていきますと、いろいろな問題がやはり出てくるのですよ。例えばですけれども、今三千二百数十あるものを一千ぐらいにするとするといろいろな問題が出てくるという意味で、自分のところの、ケーススタディー的に気づいたことも含めてちょっと何点か申し上げたいと思うのです。
 今、小泉内閣の骨太の方針でも、例えば人口三十万人以上ぐらいにしていった方がいいみたいなことを言っている。人口三十万人以上になるということにしていくと、一つ問題が出てきます。事業所税という問題です。
 人口三十万人以上になると、いわゆるそこの新しい都市環境の行政サービスなどが必要だということで、事業所税というのをかけることができる。事業所税は、人口三十万人以上の都市等が都市環境の整備及び改善に関する事業処理に要する費用に充てるために、都市の行政サービスと所在する事業所等の受益目的に着目して、事業所等に対して課する目的税である。それがかかってくるのです。三十万にしようとすると、三十万あると事業所税がかかる。
 そうすると、すごくこれ、マイナス要因になる、事業者からすれば。もちろんいろいろな免税点があることも知っていますし、合併特例法では五年、プラス合併都市としての一年の、六年の特例があることも知っていますけれども、事業計画をする方からすれば、五年、六年というのはあっという間ですから、これはどうしても問題になってくる。
 それで、問題になってくるわけであるから、どうすればいいかという話でありますが、例えば地方税法六条というのがあって、それは、公益上その他の事由により課税を不適当とする場合においては、課税をしないことができるようになっています。だから、地方分権で自立した地域をつくるのが目的なのなら、三十万都市なら、この地方税法六条「公益上その他の事由」なのだから、そこが事業所税は要らないと決めたら、決めることができる、そういうふうに解釈すればいいと思うのですが、いかがですか。
片山国務大臣 事業所税は、人口が三十万以上になりますと都市整備のための、特に環境整備の財源が要るということで、これも大議論があって国会でお認めいただいた税ですよね。ただ、合併する場合に、事業所税を納める市と納めない市があって、なかなかこれは議論がありますから、今度の、今地方自治法が参議院で継続審査になっておりまして、あの中に、合併特例法の一部改正も中に盛り込んでおりまして、今は三年なのですよ、それが一年プラス五年で、言われるとおり六年になるのですよね。
 そこで、課税免除というのは、個別の事情があった場合に、事情を勘案して課税免除ができる、御承知のとおりだと思いますよ。それを、合併したから全部課税免除にする、それは、法律はそういうことは考えておりません。
島委員 そう言っているのではなくて、全部ではなくて、その合併した市がこの地方税法六条、公益上その他の事由により課税を不適当とする場合においては、課税をしないことができるというわけだから、これは特別の事由だということであるということは知っていますが、解釈の問題で、一部担当者からは自治体の判断で一切課税しないことは解釈不可能という話もあるけれども、これは政策判断ですからね。一部の担当者からそういうことは聞いています。聞いていますが、市議会が課税免除と決めるなら、それはいいんじゃないですか。どうですか。
片山国務大臣 今、島委員が言われるようなことは法律は全く想定しておりませんので、法律上できないと思います。法律を直すのは別ですよ。それはまさに立法政策の問題で、我々はまさに、事業所税というのは必要だ、これは国会で大議論してお認めいただいたあれでございますので、国会の方で議論していただくのは、それこそ結構だと私は思います。
島委員 国会で十分議論をしてくださるのは結構ですという話だったので、これも私どももまた議員立法で出しますから、ひとつしっかりと議論しましょう。よろしくお願いを申し上げます。
 次に、これは前に予算委員会の分科会でもちょっと片山大臣に申し上げたことがあるんですけれども、二千以上の市町村が今合併のことを考えている。当然、これは国民的な課題になってきました。そのときに、前に予算委員会の分科会で、例えばあるシンクタンクが、三百ぐらいに合併して、それは道州制も絡んでいますが、それをやると、日本全体でそのシンクタンクの試算だと十六兆円ぐらいでしたかね、行政改革になるんだみたいなことを言っていました。
 総務省がそういう市町村合併施策をずっとやっていく以上、これは説明責任としてきちんと、例えばだけれども、今、千ぐらいとおっしゃっているんだから、千ぐらいになった場合にどれぐらい行政改革の効果が上がるのか、そういうことは指し示す必要があると私は思いますと言っていましたら、新聞報道では、全市町村の歳出は年間で四、五兆円削減できるというようなことを総務省がまとめたみたいなことが書いてありました。後で聞いたら、いや、それはいろいろなパターン、いろいろなことを考えてやったものなので正式なものじゃありませんという答えが返ってきましたけれども、こういうのをきちんと一度やられるべきじゃないですか。
片山国務大臣 これがなかなかもろ刃の剣みたいなところがありまして、合併というのは地方行政の簡素効率化のためだけじゃないのですね。よりよいサービスをやるとか、広域的な施設配置だとか、あるいは地方分権の受け皿になるとか、いろいろな観点があるわけで、機械的な計算で効果を数字上出すのはいかがかな、こういう感じがするのです。
 千というのは、これは委員御承知のように、与党三党が言われる千という目標、これを千という数を踏まえて、こうなっています、一昨年の十二月の行政改革大綱は。与党三党の言われる千という数を踏まえて合併を進める、こういうことになっておりますので、千が政府のはっきりした目標かというと、目標であることは確かです。それから三百というのは、どこかの党や方が言われている数字で、三百という議論は政府としてはありません。
 ただ、今、仮に合併を進める場合の一つのパターンとして、各都道府県に合併のパターンというのをつくってもらったんですよ。この合併のパターンを見ますと、三分の一から五分の一にするというんですね。合併のパターンの少ない数字は三分の一、大体千ですね、千ちょっと。それから、一番大型の合併があった場合に約五分の一になるということは、六、七百になる。こういうことで考えますと、少なくとも、それだけの一般行政経費から見ると、五分の一ないし三分の一の削減ということは一つの目安にはなる、こういうふうには思いますね。
 そこで、実際は、田無と保谷が合併いたしましたね、西東京市になりましたが、ここでは試算をやっておりまして、合併後十年間で約百九十億円の経費節減効果がある。これは両市がやったあれでございますので、具体にこれとこれが合併するというなら計算できるんですけれども。ただ、今の合併の進め方は、国が一律あるいは都道府県が一律に計画をつくってやるというやり方ではありませんから、自主的な合併で、パターンだけ示してもらっておりますから、なかなか試算は困難ではなかろうか、こういうふうには思っておりますが、いろいろな議論がありますので、研究だけはいろいろ今総務省の中でもやっております。
島委員 説明責任が発生してくると思いますから、これだけ大きなことですから、ぜひきちんとしていっていただきたいと思います。
 さて、あと五分だと言われたので、佐田さんに話さぬと申しわけないですから、お話をしましょう。
 いわゆるコンピューターウイルスの問題。皆さんもウイルスは結構来るでしょう。大変なんですよね。私もかかって、私も大変で、たまたまある意味でITで有名なものですから、その後、僕のところにチャレンジャーがたくさん来てくれまして、ますます大変になっているのです。
 まず、今サイバー犯罪条約の批准も控えていたりします。私どもも、これはまさに今大変なので、議員立法で即またこれも、ウイルスの問題についてどのように、ウイルスを製造した人に対して、罰則規定は今ありませんものですから、これはひょっとしたらここじゃなくて警察庁とか法務省になるかもしれませんが、そういう法案を準備していましたが、そのときに議論になりましたのが、ウイルスの定義は何だという話なのです、コンピューターウイルスの定義。IT担当の総務副大臣、政治家としてウイルスの定義は何だと思いますか。
佐田副大臣 私も専門家じゃありませんから、定義と言われても間違っていると困りますけれども、今よくマスコミ等で言われていることは、やはりソフトを破壊するとか、こういうことを言われておるわけでありますけれども、政府といたしましては、これは非常に、ネットワークであるとか、重要なインフラに対するサイバーテロ対策の一環としましては、昨年より、重要システムに重大な障害が発生した場合等の官民の連絡連携体制をとにかく構築していこう、こういうことで今進んでおるところであります。
島委員 今政治家としてと聞いたのは、きのう官僚の方に来てもらって、総務省の方に聞いてもらったら、定義はないと言ったんですよ。私どもに言ってもらっても困りますと言われたのです。ああ、そうかと。あれほど総務省は情報はこっちだと言うんですけれども、こういうときは定義はないと言ったり、いろいろあるなと思って聞いていました。だから、政治家としてこれは早く定義するべきだと思いませんか。そうしないと議論が進まないんだから。今専門家じゃないとおっしゃったんだけれども、早く専門家になってもらってやるというのが政治家の責任だと思いますが、どうですか。
佐田副大臣 これにつきましては、委員は大変御専門で勉強されておることは聞いておりますけれども、とにかく、これは非常に重大なことでありまして、いろいろなシステム、重要なことでありますから、与野党を超えて議論して、これはプロジェクトをつくってもいいんじゃないか、こういうふうに思っております。
島委員 重大なことだから官僚に答えさせますと言うんじゃないのかと冷や冷やしました。重大なことだから与野党を超えて議論、やはりこれも議員立法ですね。そういうような話に、どんどんきょうはなってきているようであります。
 あと二分だけありますので、片山総務大臣に最後にちょっとお聞きしたいことがあります。きょうの毎日新聞、「板挟みの総務相」とあります。「十二月二十一日、自民党本部で郵政議員懇話会が開かれた。」そのときに、民間全面参入方針を説明する片山氏に、首相と一緒に勝手に決めたらおかしいと怒号が飛んだ、申しわけないと頭を下げた片山氏は、私も皆さんと思いは同じだと苦しい胸のうちを披露したとありますが、なぜ申しわけないと頭を下げられて、皆さんと思いは同じというのはどういうふうに同じなんですか、お答えください。
片山国務大臣 必ずしも、その毎日新聞の記事は正確じゃないんですよ。総理と相談したのは、公社化研究会の中間答申取りまとめをどうやるか。私は、民間事業者の参入は段階参入が、EUもやっていますし、ベターだと。これをメーンにそれ以外の参入の方式を並べる、総理は全面参入をメーンにしてほしい、そういうことで、そこで、それこそいろいろ調整をしましょう、こういうことで、条件つき全面参入と段階参入と特定サービス参入というのを、中間報告、中間答申に盛ったんですね。そのことについて党側は、勝手に決めたと。決めるのはこれからだ、答申を受けてから省としての方針を出して、与党ともいろいろな調整をやるわけですからね。そこのところは党の方の誤解があるんですが、そういう誤解をされるような、説明を私が事前にしなかったということについては、大変遺憾でございましたということを申し上げました。謝罪じゃありません、謝罪じゃありません。
 それから、思いは、公社化というのは決まっているのだから、国民に納得できる、国民から信頼される公社をつくるという点では皆さんと思いは同じです、こう申し上げたので、それも、部分的なその言葉だけとっておりますから、極めて正確じゃありません。私が遺憾だと言ったことは、そのことの事前の連絡をしなかった、総理との調整の、そういうことで遺憾でございましたということは申し上げましたし、思いは同じというのは、そういう意味でございます。
平林委員長 質疑時間が終了しておりますので、簡単にお願いします。
島委員 それでは、きょうは最初のお互いの蹲踞ですから、礼も要りますから、これぐらいにさせていただいて、これからしっかりやることをお願いしたい。
 それから、毎日新聞、これは違っていると言われましたから、毎日新聞の人、聞いていたら、ぜひ本当にどうか確認してください。
 以上です。終わります。
平林委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 総務委員会は、平林新委員長をお迎えいたしまして、そしてまた政府側も、片山大臣のもと、佐田、若松両副大臣、また滝、河野両大臣政務官も新たに交代いたしました。総務省の新しい政府参考人及び委員部の皆さんの協力のもとに、前向きに議論を進めていきたいと思いますので、そしてまた、私、一回生でありますので、本年もよろしくお願いいたしたいと思います。
 さて、昨年十二月、政府は従来の経済白書にかえて経済財政白書を発行いたしました。同白書や政府予算案等によりますと、平成十四年度の日本経済は三年続けて縮小し、経済成長率が政府見通しのとおり実質ゼロ、名目マイナス〇・九%で済むのか、私は大きな疑問を感じるわけであります。
 GDPの約六割を占める個人消費が実質〇・二%の微増も楽観的過ぎると思います。政府は、潜在GDPと現実のGDPを比べたデフレギャップは、同白書で三から四%と推計しております。そして、このギャップは、四、五年前の金融危機が起きてきたときに匹敵する需要不足であります。本来、このデフレギャップを埋める財政拡大が必要なときに、公共事業を一割削減するなどの緊縮予算を編成しているのは、私にとっては大きな疑問でありまして、政府による日本経済の現状認識は甘く、少々の補正予算案ではデフレ解決策にはならないではないかと思っております。
 そしてまた、昨年十二月の完全失業率が五・六%と四カ月連続で過去最悪を更新するなど雇用不安がますます高まり、金融危機の再来もささやかれている中、景気の底割れのリスクが大きく、政府の平成十四年度経済見通しは極めて楽観的過ぎるのではないかと思っております。
 また、最近の円、株、債券が同時に下落するトリプル安の再来など、企業の三月期決算や四月のペイオフ解禁を間近に控え、前回の金融危機再来の度合いを増幅しかねない厳しい経済状況にあります。
 政府は正式に認めておりませんけれども、既にデフレスパイラルに入っていると見る識者が最近ふえておりまして、私も、地方経済の惨状を肌で感じる中、既にその状態に突入していると思います。政府もやっと総合デフレ対策を決定しましたが、私は、金融政策にも限界があり、三十兆円にこだわらず、新たな財政支出を追加し需要喚起を促す以外、目先の危機的状況を打開できないのではないかと考えております。
 ここで地方経済にちょっと目を転じてみます。国際協力銀行の調査によりますと、平成十二年度の海外生産比率は過去最大の二三%に上昇し、平成十六年度にはほぼ三〇%に達する見通しであります。大手製造業等の生産拠点を中国等に移転する空洞化現象の影響でありまして、私の地元でも、アルプス電気やアイワなどの生産拠点の閉鎖は、それでなくとも厳しい地方経済にさらなる地方の犠牲を強いております。岩手の歌人石川啄木は、明治四十三年に有名な「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢつと手を見る」なる歌を詠んでおります。地方は、まさに時代閉塞の状況であります。
 そこで、最初に、大臣所信表明及び二月二十二日の地方財政計画等に関する私の本会議での代表質問を踏まえまして、大臣はこのような地方経済の窮状にどう対処される所存か、お伺いいたします。
 あわせて、最近塩川財務相が税制改革について直間比率是正の意向と発言された中、地税をどう見直す方向であるのか。また、地方分権改革推進会議は、地方への抜本的な税源移譲に向けて近々具体的な検討に着手すると聞いておりますが、この地方の税財源拡充に関し、大臣の基本的な考えを改めてお伺いいたします。
 よろしくお願いいたします。
片山国務大臣 今、黄川田委員が言われましたように、国全体の経済も大変でございますが、地域経済も、そういう意味では、窮乏しているというのでしょうか、衰退しているというのでしょうか、特に空洞化ということが盛んに言われております。私は、だから、経済の活性化では、マクロで全体を考えるとともに、個々の地域経済の活性化ということも念頭になきゃいかぬな、こういうことを経済財政諮問会議なんかでも発言させていただいております。
 そこで、私どもの方では、十四年度から地域経済活性化事業というのをつくりまして、地方団体が積極的に地域経済活性化のためにいろいろな方途をとるものの財源手当てをしよう、こういうふうに考えておりまして、今後ともそういうことで力を入れていきたい、こういうふうに思っております。
 塩川大臣が直間比率の是正をどういうお考えで言われたか知りませんが、私どもは、何度も同じことを言いますけれども、国、地方の六十対四十を五十対五十にしてもらいたいと。その場合に、プラス十はできるだけ地域の偏在性のない安定した税が欲しいということは、一つは、所得税から個人住民税へ、これは直接税ですね、それから消費税を四対一で分けているものの、この地方消費税の比率を上げてもらいたい、これは間接税でございまして、この二つを、我々は移譲の大きな目標にいたしております。
 そこで、地方分権推進会議は、六月までは権限移譲と関与の縮小についての見直しをやる、それについての中間答申をまとめるということでございますので、六月以降、税源移譲について本格的な御討議をお願いいたす、こう思っておりますし、経済財政諮問会議は、恐らく来月ぐらいから、大きな税制改革と国と地方の税源配分についての議論が始まる、こういうふうに思っておりますので、先ほども御答弁しましたが、着実に議論の積み上げをやって、国から地方への税源移譲の道筋をつけてもらいたい、こういうふうに思っております。
黄川田委員 私は、構造改革は需要創出型にシフトすべきだと思っております。民営化や規制撤廃など、改革がどれだけ需要を創出し雇用を生むかを明らかにしなければならないと思っております。先般、アメリカのブッシュ大統領が来られまして、そして参議院本会議場で、米国の経済を再生させたのは減税と規制緩和であるとおっしゃっておられました。また、地方の税財源の拡充に関しても、税制の抜本改革、これを強く求めておきたいと思っております。
 それでは次に、平成十四年度の地方財政計画の規模は、約八十七兆五千七百億円で対前年度比一・九%減と、現行の地方財政制度が始まって以来、初の前年割れであり歴史的なターニングポイントを迎えた感を深めております。地方交付税総額は、約十九兆五千四百億円で四・〇%減、臨時財政対策債を加えて約二十二兆七千七百億円で四・五%の増であります。
 この地方財政対策に関しましては、総務省も努力されたところもあると思っておりますけれども、政府は新規国債三十兆円の発行枠にしがみつくため、急激な景気悪化による税収減が確実視される中、問題も多いわけであります。すなわち、地方の財源不足は一般会計加算と赤字地方債で折半して埋め、今後は隠れ借金から脱却するとした平成十三年度の地方財政対策の新ルールでありますけれども、仮に平成十四年度は仕方のない措置としても、早くも交付税特別会計からの借り入れを継続した、このことに問題があると私は思っております。
 そこで、先週本会議で質問したところでもありますけれども、改めて、地方財政対策の根幹をなす特会借り入れを取りやめる基本方針は、平成十五年度以降どのように対処していく所存でありましょうか。先ほど、されるのをやめるというような話もお聞きしましたけれども、その実現は可能なんでしょうか。そしてまた、行財政制度の転換点を迎える中、長期的な地方財政計画のあり方、これについても大臣にお尋ねいたしたいと思います。
片山国務大臣 本会議でも御質問いただきましたし、先ほどもそういう御指摘がございました。
 本来、十四年度で交付税特会の借り入れはやめるつもりでございましたが、御承知のような状況で、これを一年延ばさざるを得なくなりました。したがって、財源不足分の四分の三は特会借り入れをやめたわけですね、四分の一だけ残したんです。だから、再来年度、平成十五年度は、残した四分の一も交付税特会の借り入れをやめて、本来十四年度で実現すべきものを実現したい、借り入れなしで一般会計加算と特例地方債でいきたい、こういうふうに思っております。
 そこで、毎年度の地方財政計画のあり方なんですが、中期的な地方財政の見通し云々という議論もありますけれども、御承知のように、地方財政そのものが国の財政に七割いろいろな影響を受けるんですね。依存ないしは影響を受けるものですから、国の財政の方が決まらないと、地方財政だけで試算をしても、大変意味があるということにはならないものですから、それは、研究だけはいたしておりますけれども、単年度の地方財政計画を毎年度しっかりつくっていくことによって、地方財源不足はなくして、それぞれの地方団体の財政運営に支障がないようなことにしていきたい、これはもう、今までもそうでございますし、今後ともその方針は堅持してまいりたいと思っております。
黄川田委員 片山大臣は、常々、税財源の移譲でも、景気回復が調ったらさまざま対応するというお話をされておりますけれども、景気の回復が頼みの綱という現状では、本当に心もとないわけであります。
 そこで、改めてお伺いいたしますが、この日本の、我が国の景気の回復はいつになると思っておるでしょうか。
片山国務大臣 これは、「構造改革と経済財政の中期展望」というのを経済財政諮問会議で決めておりますけれども、来年度は〇%ですね、再来年度に構造改革が進めば、名目で一・五、その次の年度から二・五ぐらいの経済成長が確保できるのではないかというのが中期展望の内容でございますので、大体そういうことになることを強く期待いたしております。
黄川田委員 そしてまた、地方財政計画と決算額との乖離もさまざまありますので、投資的経費あるいは経常的経費、さまざま吟味していただきたいと思っております。
 それでは次に、地域課題という部分もあるわけなのでありますが、地域総合整備事業債についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。
 地場の建設業を初めとする地方経済は、依然として公共事業に大きく依存しているところがあります。地方にとっては特に高いわけであります。平成十四年度から地域総合整備事業債は廃止され、単独事業に対する財政措置は、新たに地域活性化事業債を設け、元利償還に交付税措置を講じることになりますけれども、従来のいわゆる箱物は対象外にするなど内容が地総債と大きく異なっております。
 そこで、従来の地総債を対象にこれまで計画されている事業の交付税措置は、経過措置としてどのように扱われるのでしょうか。そしてまた、地方経済の疲弊を勘案し、ぜひとも激変緩和に配慮してほしいと思っているわけでありますけれども、総務省の見解はいかがでしょうか。
若松副大臣 黄川田委員の御質問にお答えいたします。
 今回、廃止することといたしました地域総合整備事業債、いわゆる地総債、これは単独事業という形で自主的、主体的に魅力ある地域づくりを推進するために設けられたものであるわけでありますが、このような取り組みは今日まで全国的に浸透して大きな成果を上げている、そう理解しております。しかしながら、一方では、事業費補正方式により地方債の元利償還金の相当部分を後年度に交付税措置をする仕組み、これが結果として安易な事業実施を誘発しているのではないか、こういう指摘も受けるようになったところであります。
 そういうことでありまして、先ほどの地総債、この制度は今年度限りで廃止をいたしまして、平成十四年度からはいわゆる重点七分野などの基盤整備事業を中心に支援する、先ほど大臣も申し上げましたが、地域活性化事業、これを創設するに至りました。
 その際に、これまでの地総債の対象としてきました事業、当然これはいわゆる箱物整備も含むわけでありますが、こういったものについては、各地方公共団体において財源計画に支障を生じたり、または事業計画の見直しを迫られたりすることのないように、既に着手しているものについては経過的に従来どおりの財政措置を講じて、必要な事業が円滑に実施できるように配慮することとしております。
 具体的には、平成十三年度までに建設事業本体に着手しているもののほか、基本設計に着手済みの事業、または用地取得の全部または一部を終えている事業等についても従来どおりの財政措置を講じるとしておりますので、御理解のほどよろしくお願いしたいと思います。
黄川田委員 公共投資はすべてむだであるというような極端な批判もありますけれども、また一方で、地方単独事業というものは住民に身近な事業として、そしてまた地域経済を支える事業としてその役割を果たしたところもありますので、特段の御配慮をお願いいたしたいと思っております。
 時間も経過しておりますが、次に、雇用、失業、そして福祉問題について、特に地方の雇用問題を主体にお尋ねいたしたいと思っております。
 厚生労働省の発表によりますと、企業の倒産、リストラの影響もありまして、昨年の自殺者は一昨年同様三万人を超えています。また、今春卒業予定の高校生の就職内定率は、文部科学省の調査によりますと、昨年十二月末現在、全国平均六七・四%で前年同期比五ポイントの減と、一九八七年の調査開始以来最悪を記録しております。
 一方、私の地元の岩手県でありますけれども、県独自に毎月追跡調査をしており、十二月末現在六四・九%で全国平均を下回っており、前年同月比約一〇ポイントも減少しております。また、求人面から分析しますと、職種のマッチングを別にすれば、求人倍率は一・三七とどうにか就職を見込めるというような状況にありますけれども、岩手県内だけの求人は〇・七六にすぎないという現状であります。冒頭にも申し上げましたとおり、地域の雇用環境は本当に悪化の一途をたどっておるわけなのであります。
 そこで、最初に、雇用統計についてお尋ねいたしたいと思います。
 政府は、常々雇用のミスマッチ解消策などを唱えております。地方出身の私の目からしますと、速報性のあるきめの細かい地域の雇用統計が不足していると思っております。有効求人倍率は、厚生労働省から毎月都道府県別に公表されております。そこで問題は、完全失業率統計であります。総務省から毎月労働力調査が公表されておりますが、完全失業率は、都道府県別には分析されてなく、ブロック別に東北地方も三カ月ごとに公表されるにすぎません。年平均値は都道府県別に公表できるよう改善するとのことではありますけれども、理由は、予算不足で聞き取り調査をするのに十分な調査員を確保できない、だからできないのだ、このように聞いております。
 そこで、構造改革の痛みを国民に強いるというようなこの大事な時期において、この雇用統計の一元化を図るべきではないでしょうか。そしてまた、調査員の増員自体もむしろ雇用対策になりまして、失業統計を毎月都道府県別に把握できるよう予算措置を図る等、早急な改善をすべきではないかと思っておりますが、この二点を総務省にお伺いいたしたいと思います。
河野大臣政務官 委員の御質問でございますが、日本全体で失業の問題が大きなイシューとなっている中で、特に痛みの大きい地域があるということだろうと思います。
 まず初めに、あす初めて都道府県別の年平均の完全失業率というのを試算値として公表させていただきます。一歩前進ではないかと思っております。
 有効求人倍率は、確かに各県ごとに今出させていただいておりますが、これは、調査というよりもハローワークに集まってくる業務データ、求職と求人の業務データがハローワークに集まってくるものをマッチングさせて数字が出る、いわば業務データの中から出せるものでございます。それに比べまして労働力調査の方は、これは毎月四万世帯、約十万人の方に調査に御協力をいただいて調査をしているということでございますので、業務データを集めるものと調査に行って調査データを集めるという、手法が大きく違っておりますので、これを一緒に、一元化するというのはなかなか難しいということでございます。
 それともう一つは、それでは毎月都道府県別に失業統計を出すことができないかという御指摘でございます。
 確かに、人手をかければそれもできないことではないのかもしれませんが、我々の試算では、今四万世帯に毎月お願いをしているサンプルを七倍から八倍にしなければいけない、そうすると毎月三十万世帯に調査に行かなければいけないということになります。それから、その調査員をふやすだけではなくて、今都道府県に調査をお願いしておりますので、調査員の指導を初めとする体制もつくらなければいけないということを考えますと、予算の方がかなり巨額になることが予想されます。
 さらに、今一万人単位で発表させていただいておりますけれども、一番小さい県の失業者数というのが大体一万人になるわけでございます。そうしたことを考えますと、毎月都道府県ごとにしっかりとした裏打ちのあるデータを出すためにはかなりの予算が必要となる、それとそこまでやったときのメリットを勘案いたしますと、これはなかなか難しいと言わざるを得ないということを御理解いただきたいと思います。
黄川田委員 いずれ、地方自治体が独自の雇用対策を発揮できるように、統計の充実をよろしくお願いいたしたいと思います。
 そしてまた、新規高校卒業者の就職内定率調査に関しまして、現在、文部科学省は都道府県の教育委員会と私学課等から、また厚生労働省は職安を介しまして都道府県の労働局等からおのおのデータを入手しまして、そして類似の分析作業を並行して行っております。また、両省はその結果を一カ月交代で隔月に公表しております。行政簡素化の観点からも、こういうふうな慣行を改め、一元化を図るべきではないかと私は思っておりますので、特段の改善を求めておきたいと思っております。
 さまざま通告をしておったのでありますけれども、ちょっと時間がなくなってまいりました。最後の質問になるかもしれません。次に、ワークシェアリングの関係についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。
 労働界も、この春闘は賃上げから雇用確保に重点を移すなど、厳しい雇用環境を改善すべく、ワークシェアリングの試行を開始しているところであります。御案内のとおりであります。我が国のワークシェアリングは、オランダ等のヨーロッパと違い歴史も浅く、雇用環境あるいはまたライフスタイルの違いもありまして、取り組む際の課題も多く、我が国にどこまでこのワークシェアリングが根づくのか、本質的な疑問を私は持っております。例えば、製造業の熟練工に依存する工場などでは簡単に代替がきかない等、事前に実施可能な部門、職種等を慎重に検討しておく必要があろうかとも思います。
 また一方、最近は、鳥取県が独自の取り組みを開始するなど、地方自治体でも国に先駆けてその採用を検討し始めておりまして、少しでも雇用の機会をふやそうと努力しております。私の地元の県でも、就職難の新規学卒者を主体に臨時職員として採用しまして、民間企業に就職するまでの就職支援を進めておるという状況であります。
 そこで、このワークシェアリングでありますけれども、この導入を契機に年功的な賃金体系を打破していく上でいろいろな拍車がかかるという期待もありますけれども、このワークシェアリングの本質的な意義は何でしょうか。そしてまた、各地方自治体のワークシェアリングの取り組み状況と、導入上の問題についてお尋ねいたしたいと思います。
滝大臣政務官 今、黄川田委員からワークシェアリングにつきまして三点ほどの御質問をいただきました。
 本質的な意義でございますけれども、文字どおり仕事を分かち合う、こういうことでございますから、現下の厳しい雇用情勢の中でどうやって雇用を維持するか、そういうようなことから、今回、各地方団体が先行的に踏み切りました、あるいは踏み切りを予定しておりますようなワークシェアリングができてきているわけでございます。そういう意味では、雇用の創出あるいは各地方団体における多様な職場を提供する、こういうところに意義があるんだろうと思うんです。
 それから、二番目の各団体の取り組み状況でございます。
 今、先生のお尋ねのように、鳥取県も新しいパターンをお出しになる、あるいは岩手県も暫定的というか臨時的なことをおやりになる、こういうことでございますけれども、私どもの調査では、大体十の道県と申しますか、そこで新たに踏み切る、こういうふうに承知をいたしております。
 導入上の課題でございますけれども、まだこれからでございますから、なかなか課題といっても総合的なものが出てきているわけではございませんけれども、今も黄川田委員が御指摘されていましたように、いわば緊急避難的、新しい学卒者が本来的な就職を得るまでのことということで緊急避難的なもの、あるいは中高年齢者のリストラによってその後をどうするかという中高年型とか、そういうふうに分かれておりますから、そういう目的、あるいはどういう事態をこれによってカバーするかということによって、例えば労働時間と賃金との関係、あるいは適用する職種、そういうものをどうやって整理していくかというのがいずれも各団体の課題だろうというふうに認識をいたしているところでございます。
黄川田委員 あと二分ほどありますので、最後に、先ほど谷本委員からも御質問がありましたけれども、地上デジタル放送開始の遅延問題についてお尋ねいたしたいと思います。
 このデジタル地上波放送のための設備投資は、NHK、民放を含め、テレビ局全体で一兆円とも言われております。そして、多くの地方局はこのために内部留保を吐き出しました。デジタル化で先行する米英では受信機が普及せず計画の延期、見直しを迫られておりますが、我が国では計画どおりにこれを推進していくのか、改めて大臣の決意といいますか、お聞きいたします。
佐田副大臣 大変恐縮ですけれども、私の方から答弁をさせていただきます。
 先ほども御質問がありましたけれども、アナログ周波数変更対策につきましては、これは含まれるわけでありますけれども、対策実施段階に入りまして、各地で詳細に電波状況につきまして測定調査を行いましたところ、周波数事情の特に厳しい、先ほども御指摘がありましたけれども、九州や西日本や関東の一部地域では当初の想定をはるかに超えた複雑な電波状況だったために、対策局所が増加しまして、対策経費が二千億を上回るという中間的な見通しが生じたところであります。
 このために、現在対策経費を極力抑制すべく、NHK、民放、総務省の三者から成る全国地上デジタル放送推進協議会において、例えば、先生も御存じのようにセットトップボックス、いわゆるチューナーみたいなものをつくって、できるだけ経費が節減するように努力をしておるところであります。
 また、当初の計画であります二〇〇三年に都市圏でやりまして、二〇〇六年から始め、そしてサイマル放送をやりまして、二〇一一年にデジタルに移行する、この計画につきましては、これは全力でその方向で邁進をしていきたい、こういうふうに思っております。
 先生が御指摘のとおりでありまして、厳しい状況じゃないかというふうな御指摘でありますけれども、これは世界の一つの趨勢、流れでもありますし、そういうことを考えて、将来に向けて、いわゆるインタラクティブな通信ということを考えますと、できるだけ早急にやっていかなくちゃいけない。言いかえるならば、計画どおり何としてでも進めていきたい、こういうふうに思っております。
黄川田委員 残した項目が多数ありますけれども、また質問する機会があろうと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上で終わります。ありがとうございました。
平林委員長 次に、山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 質問に入ります前に、私ごとでございますが、昨年一年間、片山大臣のもとに大臣政務官として大変お世話になりました。大変貴重な経験をさせていただき、勉強をさせていただきました。改めてここで御礼を申し上げますとともに、ぜひとも、今後とも総務省におかれましては、片山大臣を先頭に、融和と挑戦ということで、一層の御精励を心からお願いを申し上げる次第でございます。
 私も今度は立場を変えまして、攻守ところを変えて、協力すべきところは協力をさせていただきたい、こう思っておる次第でございます。よろしくお願いします。
 さて、今我が国は国際化の波が押し寄せておりまして、グローバル化、ボーダーレス、こういう言葉がはやっております。確かに日本人が海外に行く機会もふえました。統計によりますと、およそ一千八百万人の人が日本を出国している。逆に、日本に来る外国の方々は、およそ五百三十万人、このように聞いておりますが、もはや日本はそういう意味ではボーダーレス化して、世界の中でも有数の、外国人を含む共生の社会を迎えた、こういうふうに認識をしているところでございます。
 そこで、当然日本社会におけるいろいろな法体系等の経過等もございますが、一方で、デフレ対策だとか医療制度改革だとか有事法制とか、そういう国を挙げての大変な課題がありますけれども、私としては、この外国人問題についてきょうは御質問をさせていただきたいと思った次第でございます。
 せんだって、私のところへ一通のメールが送られてまいりました。ちょっと御紹介したいと思います。
 普通に生活をしてお仕事をして、子供を産んで育てて、普通に老いた義父母の看病をして見送りました。自分は一体何なの、宇宙人なの。正式に結婚をしているが、夫の戸籍の妻の欄はありません。一家の住民票を見ると、夫は独身で、子供たちには母親はいない、私は一体透明人間なの。こういう内容のメールでありました。
 このメールを読ませていただいて、私は一瞬愕然としたわけでありますが、これは日本人の男性と結婚をしたいわゆる外国人妻、外国人配偶者の方からのメールであったわけであります。この方は、御自身のことを宇宙人、透明人間、こういうふうに感じていらっしゃる。この問題は何なのか。この問題を解決する策はないのか。こういうことで、きょうの質問をさせていただくに至ったわけでございます。
 ところで、日本人の男性と結婚をする、あるいは日本に住む外国人の世帯主、いわゆる混合世帯というわけでありますが、この混合世帯をどのように把握をされていますか。今どれぐらい日本に混合世帯があるのでしょうか。
芳山政府参考人 お答えいたします。
 住民基本台帳におきましては、日本の国籍を有しない者については法の適用から除外をされております。したがいまして、記載の対象となっておりませんので、御指摘がありましたいわゆる混合世帯数については、住基法上は把握をしておりません。
山名委員 住基法上の把握はしていないということでありますが、まあ、法務省の入国管理局等のデータを見ますと、日本に在住をしている外国人の配偶者数ですが、およそ三十万人、こういうふうにあります。したがいまして、先ほど申しましたように、まさに共生社会の一つの姿を私は示していると思っております。
 そこで、この外国人世帯主、あるいは外国人配偶者、こういった方々の身分関係あるいは居住関係、こういったものについては、行政上あるいは法律上、どのように今把握をされているのか、このことをお尋ねしたいと思います。
中尾政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国に在留いたします外国人の居住関係、身分関係につきましては、外国人登録法に基づき、市町村に外国人登録を行うことによって把握することになっております。
山名委員 それでは、日本国籍を有する、要するに日本人ですね、我々のことですが、そういう身分関係、居住関係等についてはどのように把握されていますか。
芳山政府参考人 日本国籍を有する者の身分関係の公証につきましては戸籍により行われております。また、居住関係の公証につきましては住民票により行われる、そういう状況でございます。
山名委員 要するに、外国人の方については外国人登録法に基づいて把握している、それから日本国籍を持つ我々については戸籍法に基づく把握をしている、居住関係については基本台帳、こういうことなのですね。
 なぜ、そういうふうに日本国籍を有する者と外国籍を有する者との身分関係、居住関係を把握する法体系が異なっているのか、その理由についてお教えいただきたいと思います。
芳山政府参考人 日本国籍を有する者につきましては、日本国の構成員でありまして、その当然の帰結として我が国に居住し生活することが認められるわけでありますが、外国籍を有する者につきましては、我が国に入国するにはその主権に基づいて許可を受けなければならない、また、そこに在住し生活するには同じく許可を受けることに相なっております。
 したがいまして、日本国籍を有する者と外国籍を有する者とのこのような基本的な立場の相違に基づいて、住民基本台帳に基づく制度、戸籍に基づく制度、また外国人登録制度が設けられているというぐあいに承知をしております。
山名委員 そういう立て分けといいますか、法体系が異なる意味合いについては、憲法第十四条、いわゆる法のもとの平等、これを侵すものではないというかつて最高裁の判例があったことは承知をいたしているところでございます。
 そこで、今御説明をいただいた住基法上の住民票、この存在意義といいますか、住民票というのは何を意味し、どういう意義を持っているのか、これについてお答えいただきたいと思います。
芳山政府参考人 住民基本台帳法、四十二年に現行法律が制定をされました。
 それで、この制度につきましては、市区町村において、住民の皆様の居住関係の公証でありますとか、また各種行政の基礎となります選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするということとあわせて、住民の住所に関する届け出等の簡素化を図るということ、それと同時に、住民に関する記録の適正な管理というようなことでございまして、重要な意義を有しておる。住民の利便にも資しますし、行政の近代化にも資するというぐあいに考えております。
山名委員 住民票のもととなる根拠法は住民基本台帳法であります。ところが、この住民基本台帳法の第三十九条、ここには「この法律は、日本の国籍を有しない者その他政令で定める者については、適用しない。」という適用除外規定がうたわれているわけでありますが、適用除外をされている対象はどういう人を言い、なぜそういう対象外にしているのか、その理由についてお尋ねをいたします。
芳山政府参考人 住民基本台帳法三十九条の規定でございますけれども、「日本の国籍を有しない者その他政令で定める者」というぐあいに書いていまして、政令でもって戸籍法の適用を受けない者については住民基本台帳法は適用されないというぐあいになっております。したがいまして、戸籍法の適用を除外されております天皇及び皇族につきましても住民基本台帳法の適用が除外されております。
 また、先ほど来御質疑がありました外国人登録法により外国人登録原票に登録されている者につきましても、先ほど申した趣旨で住民基本台帳法の適用の除外になっているというぐあいになっております。
山名委員 ところで、地方自治法、まさに地方自治の根幹となる法律でありますが、この地方自治法上住民という点について、住民という定義はどのようになされておりますか。
芳山政府参考人 地方自治法第十条第一項の規定でございますけれども、「市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民とする。」というぐあいに定義づけられております。
山名委員 それでは、外国人の世帯主あるいは外国人配偶者あるいは永住外国人等、地方自治法に言うところの住民に当たるのか当たらないのか、この点についてはその根拠はいかがでしょうか。
芳山政府参考人 ただいま申し上げました地方自治法の規定であります「市町村の区域内に住所を有する者」の定義でございますけれども、自然人、法人の双方を含みますし、また国籍のいかんを問わないというぐあいに定義づけられております。
 したがいまして、御質疑がありました外国人世帯主、外国人配偶者、在留期間無期限の永住外国人の方々も、市町村の区域内に住所を有しておりますれば、当該市町村及び都道府県の住民となるというぐあいになっております。
山名委員 では、その地方自治法に言うところの定めと、それからいわゆる住民基本台帳、ここで言うところの適用除外をされた、こういう部分との整合性といいますか、どちらの法規が上なのですか。少なくとも、地方自治法に基づく地方自治制度の一環としてこの住民基本台帳というものが定められたと私は認識をしておりますけれども、その辺についての御見解を承りたいと思います。
芳山政府参考人 それぞれに法律のよって立つ目的、趣旨があると思います。ただいま申し上げました地方自治法は、地方自治法に基づく住民として、前の市制町村制時代から住民の定義としてはそういう定義をしておるわけでございまして、そこの根拠を持つ住民でありますれば、地域としての、住民としての権利と義務を負うというぐあいに相なっておりますし、先ほど住民基本台帳法、外国人登録法の趣旨の観点からの整理であろうと思います。
山名委員 それでは、日本国籍を持っている私たちが、不動産関係の賃貸借契約あるいは免許証の申請、学校の入学申し込み等、住民票提出を求められる場面が非常に多いわけでありますけれども、外国人世帯主が住民票の写しの交付を申請いたしますと、住民票の写し上の表記、これはどういったことになりますか。
芳山政府参考人 ただいま御質疑がありました外国人の世帯主の場合、外国人と日本人との混合世帯におきまして外国人が実際の世帯主である場合でございます。その場合は、外国人には住民基本台帳法が適用にならないわけでございまして、その場合の記載の仕方として、日本人の世帯員のうち、世帯主に最も近い地位にある者を世帯主として記載していただく。実際の世帯主であります外国人の氏名は、備考として記入するよう、これまで助言をしております。
 また、これにつきましては、本人からの申請に基づいて、申請があれば、市町村長の判断によりまして、外国人であります世帯主の氏名を備考欄に記載した住民票の写しを交付するというぐあいにしてきております。
山名委員 それでは外国籍の配偶者ですね、つまり外国人妻でありますが、この場合、住民票の写しの交付を申請した場合、住民票上の表記はどうなりますか。
芳山政府参考人 ただいまの御質疑の場合、妻が外国人である場合の取り扱いでございます。この場合は、日本人であります世帯主が住民票に記載されておりますこともありまして、現時点におきましては、ほとんどの団体におきまして、住民票の備考欄にその旨の記載はされておらない、されていない事例が多いというぐあいに認識をしております。
 この点につきまして、これまで、平成九年の行政実例などによりまして、妻が外国人でありましても、住民票の備考欄にその旨を記載することは差し支えないという助言をしてきているところでありますけれども、さらに、この趣旨を周知徹底する観点から、昨年の十月ですが、各市町村の住民票担当者向けの機関誌であります「住民行政の窓」という本の中で、妻が外国人の場合であっても、住民票の備考欄に、本人から申し出があった場合にはその旨記載することが適当であるというように指導してきております。
山名委員 「住民行政の窓」というのはこういった小冊子でありますが、確かに、今おっしゃったように、昨年十月に、この中の質問欄に、質問に対する答え、回答という形で、今答弁をされた内容が出たわけでありまして、これをもとに、各市町村について、それなりの対応をしよう、こういうことであるわけであります。
 ここが先ほど最初にメールで御紹介した部分であるわけでありまして、要するに、外国人配偶者というのは住民票のいわゆる配偶者欄に記載がないわけであります。記載がされないがゆえに、住民票の表記上出てこないがゆえに、先ほどのメールにあるような、透明人間ですか、私は存在しているけれども実際は存在していないように住民票の表記上は出てくるじゃないですか、こういうことになるわけであります。
 一たび外国人配偶者を持つ家庭が住民票を取り寄せて家族欄を見ますと、母親が住民票に載っていない。正式に結婚をして、子供もいて、家族としてかたいきずなで結ばれている、そういったかけがえのない家庭を築いているにもかかわらず、住民票では片親の家族に見えてしまう、こういうことで、悲痛な叫びをされているわけでありました。
 この問題は今起きた問題ではなくて、もう相当、まさにこの法体系、法ができた時点からのいわばテーマであったわけでありまして、なかなかそれが解決しなかった。こういう中で、先ほど御答弁いただいたように、一歩前進の形で、質問に答える形でありますけれども、備考欄に記載することが好ましいというところまで前進したことを私は非常に評価はするわけであります。
 一方で、現在、住民票に記載をされていない外国人配偶者、こういう方は住民税を取られているんですか。
若松副大臣 山名委員の御質問でありますが、外国人配偶者であるために住民票に記載がない者であっても、その方が国内に住所を有する場合には、一定の所得があれば、当該住所所在の市町村により住民税が課されるものとなっております。
山名委員 ですから、外国人配偶者についてもしっかり住民税は取られているわけであります。徴税という面では住民扱いし、しかし一方で住民票では住民扱いされていない、むしろ住民として存在が否定されている。見えない住民から国は、地方も、徴税をしている。こういうことで、都合のいいときだけ住民扱いしないでほしいというのは、これは切実なまさに叫びだと思っております。
 ともかく、今回の外国人配偶者の住民票記載問題については一定の前進を見てはおりますが、この問題は、外国のジャパン・タイムズ紙等にも取り上げられた経過もございます。私たち公明党といたしましても、これは我が国の、まさに戦後以来の、人権国家へ脱皮する大きなテーマだ、こういう観点から、全国市町村の議会でこの問題も取り上げ、今、実態調査、あるいはその記載に対しての依頼といいますか、これを各議会で取り組んでおりまして、一定の成果を見ております。
 例えば、佐賀県の武雄市というところでございますが、ここでは、外国人配偶者のいる市内全世帯にお知らせを配布いたしまして、「現在、配偶者が外国人の場合、住民票の写し及び住民票記載事項証明書に配偶者の氏名が記載されておりません。このため何かと不都合が生じご迷惑を被られたのではないかとお察しいたします。今後、世帯主もしくは家族の方から住民票の写しを請求される場合、配偶者の氏名の記載を申し出されますと、配偶者の氏名を備考欄に記載して交付を行います。」こういう通知を出しているところもございますし、北海道から九州に至るまで、今、そういったところで大きく取り組みが進んでいるようでございます。
 しかし一方、自治体によりますと、そんな「行政の窓」の通知なんて知らない、「住民行政の窓」、こんなのは見たことないとか、そういった備考欄記載に対する全くの無認識、こういった実態もあるわけです。ですから、今の窓口に行って住民票をとりますと、備考欄への記載を申請しても、拒否をされている実例はたくさん今なお存在をしております。
 そこで、この際、単にこの小冊子で質問に答える、こういったやりとりで済ませていてはこれは進まないと思いますし、問題解決になりませんので、総務省から正式な形で、全国の自治体に、原則記載することが望ましい、適当である等々の文書をお出しいただいて、周知徹底を図っていただきたい。当然、住民票問題は市町村の自治事務であることは重々承知のことであって、それを総務省として通達なりそういった指導性、拘束力があるものは出せないというお気持ちは理解はいたしますが、なら、何らかの形、方法でこの周知徹底を図っていただきたい。そして、まさに長年の、積年の悲願であった、家族と一緒に住んでいる、そこに居住している、そして間違いなく外国人配偶者である、母である、こういうあかしとしての住民票の記載が、各都道府県、市町村で着実にこの問題が進み、この叫びが一日も早く解決できるように、ぜひ文書による通知等お考えをいただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
若松副大臣 今までいろいろ議論をしてまいりましたように、最近の国際化ということを考えますと、日本人と外国人のいわゆる混合世帯の増加が事実でも大変ありますし、妻が外国人であっても、本人からの申し出があった場合などは住民票の備考欄にその旨を記載することが望まれるところであって、それを、申し出があって拒否することがあってはならない、そう理解しておりまして、総務省としても、しっかり自治体に文書による適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
山名委員 大変前向きな御答弁をいただいてありがとうございます。ぜひその方向でよろしくお願いをしたいと思います。
 繰り返しになりますが、この問題は、単に外国人の問題という形でとらえてはいけないと思います。むしろ、日本の社会全体が持つテーマだ、こういうふうにとらえるべきだと思っておりますし、こういう一つの人権問題ともいうべき課題を一つ一つ解決することが、これからの人権国家日本としての大きな歩みになるのではないか。
 特に、それぞれ、地方分権の時代に、地方の社会は多文化しております。そういう多文化が進んでいる中に、やはりこれからも居住する外国人の人たちが、ともに地方自治の中で考え、悩み、そしてそういった意味での共生社会をともにつくっていける、こういった日本をつくっていかなきゃならない。そういった意味では、多様性を認め合う、こういった地方をつくっていかなきゃならないという思いでいっぱいでございます。今後とも一層の御尽力を賜りまして、本日の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
平林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時六分開議
平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 再開に先立ち、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員に御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。
 再度理事をして出席を要請いたさせますので、しばらくお待ち願います。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕
    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕
平林委員長 速記を起こしてください。
 理事をして民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員に対し出席の要請をいたさせましたが、いまだ御出席いただけません。
 なお、先刻、野党理事に面会をいたしましたが、本日は当委員会の審議には応じられないとのお話でございました。
 この際、暫時休憩いたします。
    午後三時四十七分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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